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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】BTK阻害剤としての複素環式化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20230830BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20230830BHJP
   C07D 473/34 20060101ALI20230830BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20230830BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20230830BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20230830BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20230830BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20230830BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230830BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230830BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
C07D471/04 106H
C07D471/04 CSP
C07D487/04 144
C07D473/34 321
C07D471/04 107E
A61K31/437
A61K31/4985
A61K31/53
A61K31/5377
A61K31/522
A61P35/02
A61P37/02
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512198
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(85)【翻訳文提出日】2023-04-03
(86)【国際出願番号】 CN2021113535
(87)【国際公開番号】W WO2022037649
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】202010836243.4
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516095419
【氏名又は名称】ベイジン・イノケア・ファーマ・テク・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing InnoCare Pharma Tech Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】Bldg.8,No.8 Life Park Rd.,ZGC Life Science Park,Changping Dist.,Beijing,PRC,102206
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シャンヤン
(72)【発明者】
【氏名】パン、イーチョン
【テーマコード(参考)】
4C050
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB05
4C050CC07
4C050CC08
4C050EE03
4C050EE04
4C050FF05
4C050GG04
4C050HH01
4C050HH02
4C050HH04
4C065AA05
4C065BB05
4C065BB06
4C065CC01
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH01
4C065JJ07
4C065KK09
4C065LL01
4C065LL04
4C065PP03
4C065PP04
4C065PP07
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB07
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
4C086ZC41
(57)【要約】

ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)及びそのC481変異体の阻害剤として使用される式(I)で表される複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩を開示する。式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩の製造方法を開示する。これらの化合物は、BTK又はそのC481変異体が仲介する関連する疾患、とりわけがん及び自己免疫疾患を治療及び/又は予防するために使用できる。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】
[式中:
Aは
【化2】
(ここで
【化3】
は、Aとベンゼン環の接続を示し、
【化4】
は、AとEの接続を示す)
であり;
環Kは、フェニル又はピリジルであり、前記フェニル又はピリジルは、場合によっては、ハロゲン、シアノ、C1-6アルキル又は-ORから選択される1つ以上の置換基で置換され;
Eは、C1-6アルキル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、C6-10アリール又は5~10員ヘテロアリールであり、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、場合によっては、D、ハロゲン、シアノ、-OR、-NR、-COOR、-C(O)R、-C(O)NR又はRから選択される1つ以上の置換基で置換され;
は、C1-6アルキル、C3-10シクロアルキル又は3~10員ヘテロシクリルであり、前記アルキル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、場合によっては、ハロゲン、シアノ、-OR、-NR、-COOR、-C(O)R又は-C(O)NRで置換され;
は、H、ハロゲン、-OR又はC1-6アルキルであり;
はC1-6アルキルであり、前記アルキルの1つ以上の水素原子は、場合によっては、D又はフッ素で置換され;
及びRは、それぞれ独立して、H、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル又は4~6員ヘテロシクリルから選択される]
で表される化合物であって、
前記化合物は、Kp、CSF値が少なくとも0.15のCNS浸透剤である、
化合物又はその薬学的に許容される塩、安定な同位体誘導体若しくは立体異性体。
【請求項2】
EはC1-6アルキルであり、前記アルキルの1つ以上の水素原子は、場合によっては、D又はフッ素で置換されてもよい、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、安定な同位体誘導体若しくは立体異性体。
【請求項3】
Eは、C3-7単環式シクロアルキル又はN及び/若しくはO含有4~8員単環式ヘテロシクリルであり、前記単環式シクロアルキル及び前記単環式ヘテロシクリルは、場合によっては、D、ハロゲン、-OR、-NR、-COOR、-C(O)R、-C(O)NR又はC1-6アルキルから選択される1つ以上の置換基で置換され、前記アルキルの1つ以上の水素原子は、場合によっては、ハロゲン、-OR又は-NRで更に置換されてもよく;
及びRは、それぞれ独立して、H、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、又はN及び/若しくはO含有4~6員ヘテロシクリルから選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、安定な同位体誘導体若しくは立体異性体。
【請求項4】
Eは、シクロプロパニル、シクロブタニル、シクロペンチル、シクロヘキサン、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル又はモルホリニルであり、これらのシクロアルキル及び複素環式基は、場合によっては、D、フッ素、-OR、-NR、-COOR、-C(O)R、-C(O)NR又はC1-2アルキルから選択される1つ以上の置換基で置換され、前記アルキルの1つ以上の水素原子は、場合によっては、フッ素、-OH又は-NHで更に置換されてもよく;
及びRは、それぞれ独立して、H、C1-2アルキル、C3-6シクロアルキル、又はN及び/若しくはO含有4~6員ヘテロシクリル(例.モルホリニル)から選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、安定な同位体誘導体若しくは立体異性体。
【請求項5】
Eは、C5-10多環式シクロアルキル又はO含有5~10員多環式ヘテロシクリルであり、前記多環式シクロアルキル及び前記多環式ヘテロシクリルは、場合によっては、D、ハロゲン、-OR、-NR、-COOR、-C(O)R、-C(O)NR又はC1-6アルキルから選択される1つ以上の置換基で置換され、前記アルキルの1つ以上の水素原子は、場合によっては、ハロゲン、-OR又は-NRで更に置換されてもよく;
及びRは、それぞれ独立して、H、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、又はN及び/若しくはO含有4~6員ヘテロシクリルから選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、安定な同位体誘導体若しくは立体異性体。
【請求項6】
Eは、
【化5】
であり、ここで、Gは、H、フッ素、-OR、-NR、-COOR、-C(O)R、-C(O)NR又はC1-2アルキルであり、前記アルキルの1つ以上の水素原子は、場合によっては、フッ素、-OH又は-NHで置換されてもよく;
及びRは、それぞれ独立して、H、C1-2アルキル、C3-6シクロアルキル、又はN及び/若しくはO含有4~6員ヘテロシクリル(例.モルホリニル)から選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、安定な同位体誘導体若しくは立体異性体。
【請求項7】
環Kはフェニルであり、前記フェニルは、場合によっては、ハロゲン又は-ORから選択される1つ又は2つの置換基で置換され、好ましくは、環Kは、
【化6】
であり、ここで、RはC1-2アルキルで、前記アルキルの1つ以上の水素原子は、場合によってはDで置換されてもよい、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、安定な同位体誘導体若しくは立体異性体。
【請求項8】
は、H又はフッ素である、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、安定な同位体誘導体及び異性体。
【請求項9】
以下の構造:
【化7-1】
【化7-2】
【化7-3】
【化7-4】
の化合物又はその薬学的に許容される塩、安定な同位体誘導体及び立体異性体。
【請求項10】
【化8-1】
【化8-2】
である請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
【化9】
である請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、安定な同位体誘導体若しくは立体異性体、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項13】
BTK又はそのC481変異体が仲介する疾患を予防又は治療する方法であって、前記方法は、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、安定な同位体誘導体若しくは立体異性体の治療有効量を患者に投与することを含み、前記BTK又はそのC481変異体が仲介する疾患は、がん、リンパ腫、白血病、自己免疫疾患又は炎症疾患である、方法。
【請求項14】
前記疾患が、B細胞リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、小リンパ球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、ワルデンストロームマクログロブリン血症、辺縁帯リンパ腫、濾胞性リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、ループス腎炎、シェーグレン症候群、IgG4関連疾患、特発性血小板減少性紫斑病、免疫性血小板減少症又は天疱瘡である、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)及びそのC481変異体の活性を調節又は阻害するのに好適な、複素環式化合又はその薬学的に許容される塩に関する。本発明は、また、前記化合物又はその薬学的に許容される塩の製造方法に関する。さらに、本発明は、がん及び自己免疫疾患の治療及び/又は予防における前記化合物又はその薬学的に許容される塩の用途及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
BTKは、細胞シグナル伝達を仲介する重要な非受容体型チロシンキナーゼであり、B細胞を含む形質細胞中に存在する。B細胞は、B細胞受容体(BCR)を介して活性化され、BTKは、BCR仲介シグナリング経路において重要な役割を果たす。B細胞上のBCRが活性化されると、BTKが活性化され、下流のホスホリパーゼC(PLC)の濃度が上昇し、IP3及びDAGシグナル伝達経路が活性化される。このシグナル伝達経路は、細胞の増殖、接着及び生存を促進でき、B細胞リンパ腫の発生において重要な役割を果たす。
【0003】
BTK阻害剤は、BTKの活性を阻害することでBリンパ腫細胞の増殖を阻害し、腫瘍細胞の接着を破壊し、腫瘍細胞のアポトーシスを促進し、BTKを、B細胞に関連するがん、例えば非ホジキンリンパ腫(NHL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、ワルデンストロームマクログロブリン血症(WM)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、中枢神経系白血病(CNSL)等の注目せずにはいられない標的にする。Abbvie/JNJのイブルチニブ、AZのアカラブルチニブ、Beigeneのザヌブルチニブ及びGilead/Onoのチラブルチニブを含め、いくつかのBTK阻害剤が現在上市されており、多くのBTK阻害剤が臨床研究中である。
【0004】
B細胞に関連するリンパ腫の治療に加え、BTK阻害剤は、B細胞自己抗体及びサイトカインの産生も阻害できる。自己免疫疾患では、B細胞は、自身の抗原を提示し、T細胞の活性化を促進し、組織損傷を引き起こす炎症性因子を分泌し、同時に、B細胞を活性化して自己免疫応答を誘発する多数の抗体を産生する。T細胞及びB細胞は、互いに相互作用して、制御されていない自己免疫応答をもたらし、組織の病理学的損傷を悪化させる正のフィードバック調節チェーンを形成する。研究によれば、体内には、インターロイキン10(IL-10)又はトランスフォーミング成長因子β1(TGF-β1)の分泌及び他の機構を介して、免疫応答を負に調節し、免疫が仲介する炎症を阻害できる制御性B細胞が存在することが示されている。したがって、BTKは、例えば関節リウマチ(RA)、多発性硬化症(MS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、天疱瘡等の自己免疫疾患の標的となる可能性がある。自己免疫疾患への適応に関し、BTK阻害剤は依然として臨床研究中である。その中で、Sanofiのリルザブルチニブ及びMerck Seronoのエボブルチニブは、それぞれ、天疱瘡及び多発性硬化症の治療において、有効な結果を達成している。
【0005】
市販されている及び研究中のBTK阻害剤の大部分は、BTKタンパク質の481位のシステイン残基と共有結合することでBTKの活性を阻害する不可逆的阻害剤である。一部のB細胞リンパ腫の患者は、一定期間イブルチニブによる治療を受けた後に、BTKのC481の変異、例えばC481Sによってイブルチニブがタンパク質と共有結合する部位を失い、その結果、イブルチニブの活性が低下し、患者がイブルチニブ治療に対して耐性となった(Quinquenel, et. al Blood 2019, 134, 641-644)。BTKとそのC481変異体の活性を有効に阻害し、不可逆的BTK阻害剤に関連するC481変異によって生じる薬剤耐性を克服するBTK阻害剤が必要とされている。
【発明を実施するための形態】
【0006】
発明の詳細な説明
定義
別途説明しない限り、この出願で使用する以下の用語は、以下の意味を有する。
【0007】
「CSF/血漿比(Kp)」は、脳脊髄液(CSF)中の化合物濃度と血漿中の化合物濃度の比率を指す。化合物が血液脳関門(BBB)を通過する能力は、げつ歯類のCSF及び血漿中の化合物の濃度を測定し、その比率(Kp,CSF)を決定することによって評価される。
【0008】
「Cx-y」は、炭素原子数の範囲を指し、x及びyはいずれも整数で、例えば、C3-8シクロアルキルは、3~8個の炭素原子を有するシクロアルキルを表す。
【0009】
「アルキル」は、1~20個の炭素原子、例えば、1~8個の炭素原子、1~6個の炭素原子又は1~4個の炭素原子を含む飽和で直鎖又は分枝鎖のヒドロカルビル置換基を指す。アルキルの非限定的な例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、n-ヘキシル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル及び2-エチルブチルが含まれるが、これらには限定されない。
【0010】
「シクロアルキル」は、3~14個の環状炭素原子を含む飽和の環式ヒドロカルビル置換基を指す。シクロアルキルは、通常、3~8個、3~7個又は3~6個の炭素原子を有する炭素単環置換基であってもよい。単環式シクロアルキルの非限定的な例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルが含まれるが、これらには限定されない。シクロアルキルは、また、デカヒドロナフチル、ビシクロ[2.2.2]オクタン及びスピロ[3.3]ヘプタンといった、2つ又は3つの単環が縮合した置換基であってもよい。
【0011】
「ヘテロシクリル又は複素環」は、3~20個(例.3~14個、3~12個、3~10個、3~8個、3~6個又は5~6個)の環原子を含む飽和又は部分的に不飽和の単環式基又は多環式基を指し、環原子の1つ以上は、N、O及びS(O)(mは0~2の整数)から選択される。好ましくは、3~12個、より好ましくは3~10個、より好ましくは4~7個、より好ましくは4~6個、最も好ましくは5又は6個の環原子を有してもよく、1~4個、1~3個又は1~2個がヘテロ原子である。単環式ヘテロシクリルの非限定的な例には、ピロリジニル、オキセタニル、ピペリジル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ホモピペラジニル及びアゼチジニルが含まれるが、これらには限定されない。多環式ヘテロシクリルには、オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール、オクタヒドロピロール[1,2-a]ピラジン、3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、5-アザスピロ[2.4]ヘプタン及び2-オキサ-7-アザスピロ[3.5]ノナンといった、縮合、架橋又はスピロ多環式複素環が含まれる。
【0012】
「アリール又はアリール環」は、フェニル及びナフチル、最も好ましくはフェニルといった、6~14個の炭素原子を有する、好ましくは6~10員の芳香族単環式又は縮合多環式基を指す。アリール環は、ヘテロアリール環、複素環又はシクロアルキル環と縮合していてもよい。非限定的な例には、
【化1】
が含まれるが、これらには限定されない。
【0013】
「ヘテロアリール又はヘテロアリール環」は、5~14個の環原子を有するヘテロ芳香族系を指し、その1~4個の環原子は、O、S及びNを含むヘテロ原子から選択される。ヘテロアリールは、好ましくは5~10員、より好ましくは5又は6員であり、例えば、フリル、チエニル、ピリジル、ピロリル、ピリミジル、ピラジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル及びイソインドリルである。ヘテロアリール環は、アリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル環と縮合していてもよい。非限定的な例には、
【化2】
が含まれるが、これらには限定されない。
【0014】
「ハロゲン」は、F、Cl、Br又はIを指す。
【0015】
「シアノ」は、CNを指す。
【0016】
「場合によっては」は、続いて説明する事項が生じる可能性はあるが生じなくてもよいという意味であり、この表現はそのような事項の発生の有無を含む。例えば、「場合によっては、アルキル基で置換されていてもよい複素環」には、複素環がアルキル基で置換されている場合と複素環がアルキル基で置換されていない場合とが含まれる。
【0017】
「置換」は、対応する数の置換基によって独立して置換されている、置換基中の1つ以上の水素原子、例えば1~3個の水素原子を指す。置換基は、当業者が理解する可能な化学的位置にのみ配置される。置換基には、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、オキソ、SF、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ等が含まれるが、これらには限定されない。
【0018】
「異性体」は、分子式は共通するが、原子の結合位置や空間配置が異なる化合物を指す。原子の空間配置が異なる異性体を「立体異性体」と呼ぶ。立体異性体には、光学異性体、幾何異性体及び配座異性体が含まれる。
【0019】
本発明の化合物は光学異性体として存在してもよい。光学異性体には、エナンチオマーとジアステレオマーが含まれる。エナンチオマーは、互いに鏡像であり、重ね合わせることができない2つの立体異性体の一方である。ラセミ混合物又はラセミ体は、キラル分子の等量の左旋性及び右旋性エナンチオマーを有するものである。ジアステレオマーは、互いに鏡像ではなく、互いに重ね合わせることができない立体異性体である。化合物が単一の異性体であり、絶対配置が決定されている場合、キラル炭素原子の周囲の置換基の配置により、「R」又は「S」異性体と呼ばれる。絶対配置が決定されていない場合、測定された旋光度に応じて、(+)又は(-)異性体と呼ばれる。光学異性体を製造し分離する方法は、当業者に知られている。
【0020】
本発明の化合物は、炭素-炭素二重結合、炭素-窒素二重結合、シクロアルキル基又はヘテロシクリル基の周囲の置換基の分布から生じる幾何異性体を有していてもよい。炭素-炭素二重結合又は炭素-窒素結合の周囲の置換基は、Z又はEの立体配置にあるといい、シクロアルキル又は複素環の周囲の置換基は、シス又はトランスの立体配置にあるという。
【0021】
本発明の化合物は、また、ケト-エノール互変異性などの互変異性であってもよい。
【0022】
本発明は、任意の互変異性又は立体異性の形態及びその混合物を含み、化合物の命名法又は化学構造式で特定される互変異性又は立体異性の形態には限定されない。
【0023】
「同位体」には、本発明の化合物中の原子の全ての安定な同位体が含まれる。同位体は、原子番号が同じで質量が異なる原子を含む。本発明の化合物に組み込むのに適した同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素及び塩素の同位体であり、H(D)、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F及び36Clが例示されるが、これらには限定されない。本発明の同位体標識化合物は、一般に、当業者に知られている従来技術によって、又は、非同位体標識試薬に代えて適切な同位体標識試薬を使用して、実施の形態に記載した方法と同様の方法によって製造できる。このような化合物には、生物学的活性の決定における標準物質及び試薬といった、さまざまな潜在的な用途がある。安定な同位体では、そのような化合物は、生物学的、薬理学的又は薬物動態的特性を有利に変化させる可能性がある。重水素H(D)は、本発明の好ましい同位体である。例えば、メチル、メチレン又はメチンの水素を、重水素で置換できる。
【0024】
本発明の化合物は、プロドラッグの形態で投与できる。「プロドラッグ」は、in vivoの生理学的条件下で、例えば酸化、還元及び加水分解(それぞれ酵素の関与の有無にかかわらず生じる)によって、生物学的に活性な化合物に変換される誘導体を指す。プロドラッグの例は、アミノがアシル化、アルキル化又はリン酸化された本発明の化合物、例えばエイコサノイルアミノ、アラニルアミノ及びピバロイルオキシメチルアミノであり、ヒドロキシルがアシル化、アルキル化又はリン酸化されたか、ボレートに変換された本発明の化合物、例えばアセトキシ、パルミトイルオキシ、ピバロイルオキシ、スクシニルオキシ、フマロイルオキシ及びアラニルオキシであり、カルボニルがエステル化又はアミド化された本発明の化合物であり、チオールが、ペプチドのような薬物を標的及び/又は細胞のサイトゾルに選択的に送達する担体分子と、ジスルフィド架橋を形成する本発明の化合物である。プロドラッグは、本発明の化合物から周知の方法で製造できる。
【0025】
「薬学的に許容される塩」は、本発明の化合物が1つ以上の酸性基又は塩基性基を含むという条件で、本発明の化合物と、無機アルカリ又は無機酸及び有機塩基又は有機酸を含む薬学的に許容される塩基又は酸から作られる塩を指す。酸性基を含む本発明の化合物は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩などの塩の形態で存在できる。例えば、そのような塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩若しくはアンモニア、又はエチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン若しくはアミノ酸の塩などの有機アミン塩を含む。塩基性基を含む本発明の化合物は、無機酸塩又は有機酸塩などの塩の形態で存在できる。適切な酸の例には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、シュウ酸、酢酸、酒石酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、ギ酸、プロパン酸、ピバル酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、スルファミン酸、フェニルプロピオン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、イソニコチン酸、クエン酸、アジピン酸及び当業者に知られている他の酸が含まれる。本発明の化合物が分子内に酸性基と塩基性基を含む場合、本発明は、塩の形態に加えて分子内塩を更に含む。各塩は、当業者に知られている従来の方法で、例えば、溶媒又は分散剤中で本発明の化合物と有機若しくは無機の酸若しくは塩基とを混合することで、又は、別の塩との陰イオン交換若しくは陽イオン交換することで得ることができる。
【0026】
「医薬組成物」は、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩、安定な同位体誘導体、異性体、プロドラッグ及びそれらの混合物、並びに、薬学的に許容される担体及び添加物といった他の成分の1つ以上を含む組成物を指す。
【0027】
「がん、リンパ腫又は白血病」は、B細胞悪性腫瘍、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、小リンパ球性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(例.ABC-DLBCL)、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ワルデンストロームマクログロブリン血症、辺縁帯リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、慢性リンパ球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、形質細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、種々の固形腫瘍(例.黒色腫、骨がん、脳のがん、結腸がん、肝がん、皮膚がん、腎がん、肺がん、筋肉のがん、膀胱がん、消化管/胃腸がん、乳がん、卵巣がん、頭頚部がん、前立腺がん)等を含むがこれらに限定されるものではない。
【0028】
「自己免疫又は炎症性疾患」は、関節炎、多発性硬化症、骨粗しょう症、炎症性腸疾患、大腸炎、クローン病、狼瘡、関節リウマチ、乾癬性関節炎、ループス腎炎、シェーグレン症候群、IgG4関連疾患、特発性血小板減少性紫斑病、免疫性血小板減少症、ライト症候群、乾癬、ベーチェット病、喘息、天疱瘡、糖尿病、重症筋無力症、ギランバレー症候群、バセドウ病、橋本甲状腺炎、血管炎、自己免疫性血管炎、多発性血管炎を伴う肉芽腫、自己免疫性肝炎等を含むがこれらに限定されるものではない。
【0029】
「治療有効量」は、BTKとそのC481変異体の活性を有効に阻害し、及び/又はBTKとそのC481変異体が仲介する疾患を治療若しくは予防できる本発明の化合物の量を指す。
【0030】
「患者」は、哺乳動物、好ましくはヒトを指す。
【0031】
本発明は、可逆的BTK阻害剤としての式(I)で示す構造を有する化合物に関し、この化合物は、BTKとそのC481変異体の活性を有効に阻害し、不可逆的BTK阻害剤に関連するC481変異によって生じる薬剤耐性を克服する。
【0032】
本発明は、式(I):
【化3】
【0033】
[式中、
Aは
【化4】
(ここで、
【化5】
は、Aとベンゼン環の接続を示し、
【化6】
は、AとEの接続を示す)
であり;
環Kは、フェニル又はピリジルであり、前記フェニル又はピリジルは、場合によっては、ハロゲン、シアノ、C1-6アルキル又は-ORから選択される1つ以上の置換基で置換され;
Eは、C1-6アルキル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、C6-10アリール又は5~10員ヘテロアリールであり、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、場合によっては、D、ハロゲン、シアノ、-OR、-NR、-COOR、-C(O)R、-C(O)NR又はRから選択される1つ以上の置換基で置換され;
は、C1-6アルキル、C3-10シクロアルキル又は3~10員ヘテロシクリルであり、前記アルキル、シクロアルキル及びヘテロシクリルの1つ以上の水素原子は、場合によっては、ハロゲン、シアノ、-OR、-NR、-COOR、-C(O)R又は-C(O)NRで置換され;
は、H、ハロゲン、-OR又はC1-6アルキルであり;
はC1-6アルキルであり、前記アルキルの1つ以上の水素原子は、場合によっては、D又はフッ素で置換され;
及びRは、それぞれ独立して、H、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル又は4~6員ヘテロシクリルから選択される]
で表される複素環式化合物、又はその薬学的に許容される塩、安定な同位体誘導体、異性体及びプロドラッグを提供する。
【0034】
ある態様では、Aは、
【化7】
である。
【0035】
ある態様では、Aは、
【化8】
である。
【0036】
別の態様では、Aは、
【化9】
である。
【0037】
別の態様では、Aは、
【化10】
である。
【0038】
別の態様では、Aは、
【化11】
である。
【0039】
ある態様では、EはC1-6アルキルであり、前記アルキルの1つ以上の水素原子は、場合によっては、D又はフッ素で置換され、例えば-CH(CH)(CF)である。
【0040】
ある態様では、Eは、C3-7単環式シクロアルキル又は4~8員のN及び/若しくはO含有単環式ヘテロシクリルである。例えば、Eは、
【化12】
である。
【0041】
ある態様では、Eは、C5-10多環式シクロアルキル又は5~10員のO含有多環式ヘテロシクリルである。例えば、Eは、
【化13】
である。
【0042】
前記単環式シクロアルキル、多環式シクロアルキル、単環式ヘテロシクリル及び多環式ヘテロシクリルは、独立して、場合によっては、D、ハロゲン、-OR、-NR、-COOR、-C(O)R、-C(O)NR又はC1-6アルキルから選択される1つ以上の置換基で置換され、前記アルキルの1つ以上の水素原子は、場合によっては、ハロゲン、-OR又は-NRで更に置換され;R及びRは、それぞれ独立して、H、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、又は4~6員のN及び/若しくはO含有複素環式基(例.モルホリニル)から選択される。
【0043】
好ましい態様では、Eは、
【化14】
であり、ここで、Gは、H、フッ素、-OR、-NR、-COOR、-C(O)R、-C(O)NR又はC1-2アルキルであり、前記アルキル基の1つ以上の水素原子は、場合によっては、フッ素、-OH又は-NHで置換され;R及びRは、それぞれ独立して、H、C1-2アルキル、C3-6シクロアルキル、又はN及び/若しくはO含有4~6員ヘテロシクリル(例.モルホリニル)から選択される。
【0044】
好ましい態様では、環Kはフェニルであり、前記フェニルは、場合によっては、ハロゲン又は-ORから選択される1つ又は2つの置換基で置換され;RはC1-2アルキルで、前記アルキルの1つ以上の水素原子は、場合によっては、Dで置換されてもよい。
【0045】
例えば、環Kは、
【化15】
であり、ここで、RはC1-2アルキル基で、前記アルキルの1つ以上の水素原子は、場合によっては、Dで置換されてもよい。
【0046】
ある態様では、RはHである。
【0047】
別の態様では、Rはハロゲンである。
【0048】
ある態様では、本発明は実質的な脳透過性を有し、血液脳関門を透過する化合物に関する。
【0049】
ある態様では、本発明は、CSF/血漿濃度比であるKp,CSFが0.15以上のCNS浸透性化合物に関する。
【0050】
本発明は、以下の化合物1~29及び31~54
【0051】
【表A-1】
【0052】
【表A-2】
【0053】
【表A-3】
【0054】
【表A-4】
【0055】
【表A-5】
【0056】
【表A-6】
【0057】
【表A-7】
【0058】
【表A-8】
【0059】
【表A-9】
【0060】
【表A-10】
【0061】
【表A-11】
【0062】
又はその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、安定な同位体誘導体、異性体及び混合物に関する。
【0063】
本発明の化合物は、BTKとそのC481変異体の活性を有効に阻害し、IC50が好ましくは100nM未満、より好ましくは10nM未満である。
【0064】
本発明は、また、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩、安定な同位体誘導体、異性体及びプロドラッグ、並びに、1つ以上の薬学的に許容される担体又は添加物を含む医薬組成物に関する。
【0065】
本発明は、更に、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩、安定な同位体誘導体、異性体、プロドラッグ及び混合物、並びに、少なくとも1つの別の治療薬を含む医薬組成物に関し、前記治療薬は、低分子化学療法薬(例.抗炎症性ステロイド薬、キナーゼ標的化薬、アポトーシス阻害剤、炎症モジュレーター、細胞毒性薬、DNA損傷関連薬)又は高分子免疫及び/若しくは炎症モジュレーター(例.CD20抗体、CD19抗体、PD抗体)であってもよい。
【0066】
式(I)で表される化合物及び別の治療薬は、同じ医薬組成物中に存在してもよく、又は別々の医薬組成物中に存在してもよい。式(I)で表される化合物及び別の薬剤は、同じ又は異なる形態で、同時に又は連続して投与してもよい。
【0067】
本発明は、BTK又はそのC481変異体が介在する疾患の治療又は予防方法を提供する。該方法は、必要とする患者に、治療有効量の式(I)で表される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、安定な同位体誘導体、異性体、プロドラッグ及びそれらの混合物、又は、式(I)で表される化合物を含む医薬組成物を投与することを含む。疾患には、例えば、B細胞悪性腫瘍、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、小リンパ球性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(例.ABC-DLBCL)、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ワルデンストロームマクログロブリン血症、辺縁帯リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、慢性リンパ球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、形質細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、種々の固形腫瘍(例.肺がん、前立腺がん、頭頚部がん、乳がん、卵巣がん、子宮がん、膵がん、結腸がん、直腸がん、胃がん、食道がん、脳のがん、肝臓がん、腎臓がん、皮膚のがん、筋肉のがん、上皮がん、膀胱がん、神経芽腫、黒色腫、骨のがん、黒色腫)、関節炎、多発性硬化症、骨粗しよう症、炎症性腸疾患、大腸炎、クローン病、狼瘡、関節リウマチ、乾癬性関節炎、ループス腎炎、シェーグレン症候群、IgG4関連疾患、特発性血小板減少性紫斑病、免疫性血小板減少症、ライト症候群、乾癬、ベーチェット病、喘息、天疱瘡、糖尿病、重症筋無力症、ギランバレー症候群、グレーブス病、橋本甲状腺炎、血管炎、自己免疫性血管炎、多発性血管炎を伴う肉芽腫、自己免疫性肝炎といった、がん、リンパ腫、白血病、自己免疫疾患又は炎症疾患、とりわけ、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、小リンパ球性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(例.ABC-DLBCL)、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ワルデンストロームマクログロブリン血症、辺縁帯リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、慢性リンパ球性リンパ腫、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、ループス腎炎、乾燥症候群、IgG4関連疾患、特発性血小板減少性紫斑病、免疫性血小板減少症、天疱瘡、蕁麻疹等が含まれるが、これらには限定されない。
【0068】
本発明では、医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、液剤、凍結乾燥調製物及び注射剤を含むがこれらには限定されない剤形であってもよい。
【0069】
本発明の医薬製剤は、所定の量の活性成分を含む投与単位の形態で投与してもよい。このような単位は、治療する疾患、投与方法、並びに患者の年齢、体重及び状態に応じて、1mg~1g、好ましくは5mg~700mg、特に好ましくは10mg~500mgの本発明の化合物を含んでいてもよい。医薬製剤は、製薬分野で周知の方法により、例えば、活性成分を1種以上の添加物又は1種以上のアジュバントとともに製剤化することによって製造してもよい。
【0070】
本発明の医薬製剤は、任意の適切な方法、例えば経口(経口又は舌下を含む)又は非経口(皮下、筋肉内、静脈内又は皮内を含む)による投与に好適である。
【0071】
本発明は、化合物の製造方法も提供する。本発明の化合物の製造は、以下の代表的な方法及び実施例で行ってもよいが、これらの方法及び例は、本発明の範囲を如何なる形でも限定するものと考えるべきではない。本発明の化合物は、当業者に公知の合成技術により、又は当技術分野で公知の方法と本発明の方法との組合せにより、合成してもよい。反応の各工程で得られた生成物は、抽出、濾過、蒸留、結晶化及びクロマトグラフィー分離を含むがこれらには限定されない、当技術分野で公知の分離技術によって単離する。合成に使用する出発物質及び試薬は、文献(例.SciFinder)に基づいて従来の方式で製造してもよく、又は購入してもよい。
【0072】
本発明の式(I)で表される複素環式化合物は、以下に示す経路で合成できる:1) NBSによるA1の臭素化でA2を生成;2) 保護されたアミン(例.2,4-ジメトキシベンジルアミン)によるA2の置換でA3を生成;3) A3とE-OHとの間のミツノブ反応でA4を生成;4) A4とフェニルボロン酸とのスズキカップリングでA5を生成;5) A5の脱保護でA6を生成。Eの官能基を更に誘導体にして、さまざまな目的化合物を得ることができる。たとえば、Eのエステルをアルカリ(例.LiOH)で加水分解して酸を生成し、保護されたアミン又はアルコールを有するEを脱保護してアミン又はアルコールを生成し、アミンを更にアミド化してアミドなどを生成できる。
【0073】
【化16】
【0074】
本発明の式(I)で表される複素環式化合物は、また、以下に示す経路で合成してもよい:1) B1とE-COOHとの間のアミド形成でB2を生成;2) B2をホスフィンオキシクロリド中で加熱することで環化してB3を生成;3) NBSによるB3の臭素化でB4を生成;4) 塩基触媒を用い保護されたアミン(例.2,4-ジメトキシベンジルアミン)によるB4の置換でB5を生成;5) B5とフェニルボロン酸とのスズキカップリングでB6を生成;6) B6の脱保護でB7を生成。同様に、B7の官能基を更に誘導体にして、さまざまな目的化合物を得ることができる。
【0075】
【化17】
【0076】
本発明の式(I)で表される複素環式化合物は、また、以下に示す経路で合成してもよい:1) E-COOHによるC1のアミド形成でC2を生成;2) C2をホスフィンオキシクロリド中で加熱することで環化してC3を生成;3) NISによるC3のヨウ素化でC4を生成;4) C4のアミノ化でC5を生成;5) C5とフェニルボロン酸とのスズキカップリングでC6を生成。同様に、C6の官能基を更に誘導体にして、さまざまな目的化合物を得ることができる。
【0077】
【化18】
【0078】
本発明の式(I)で表される複素環式化合物は、また、以下に示す経路で合成してもよい:1) 塩基触媒を用いE-NHによるD1(AはN又はCH)の置換でD2を生成;2) 保護されたアミン(例.ジベンジルアミン)によるD2の更なる置換でD3を生成;3) D3の還元でD4を生成(例えば、還元剤Zn/NHClを使用);4) 塩基(例.NEt)の存在下でのカルボニルジイミダゾール又はトリホスゲンによるD4の環化でD5を生成;5) D5の脱保護でD6を生成;6) D6とフェニルボロン酸とのチャン-ラムカップリングでD7を生成。同様に、D7の官能基を更に誘導体にして、さまざまな目的化合物を得ることができる。
【0079】
【化19】
【実施例
【0080】
本発明における出発材料は、当技術分野における公知の方法で合成するか、又はABCR GmbH & Co. KG、Acros Organics、Aldrich Chemical Company、Accela ChemBio Inc.、Beijing Ouhe等から購入した。
【0081】
化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)又は質量分析(MS)によって決定した。NMR測定は、Bruker ASCEND-400 NMR分光計を使用した。溶媒として、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d)、重水素化クロロホルム(CDCl)又は重水素化メタノール(CDOD)を使用した。内部標準物質はテトラメチルシラン(TMS)を用い、化学シフトを10-6(ppm)の単位で示した。MS測定は、Agilent SQD(ESI)質量分析計(Agilent6120)を使用した。
【0082】
HPLC測定は、Agilent 1260 DAD高圧液体クロマトグラフィー(カラム:Poroshell120 EC-C18、50×3.0mm、2.7μm)又はWaters Arc高圧液体クロマトグラフィー(カラム:Sunfire C18、150×4.6mm、5μm)を使用した。
【0083】
薄層クロマトグラフィー(TLC)は、厚さ0.15~0.2mmのQingdao Haiyang Chemical Co.,Ltd.製GF254シリカゲルプレートを使用し、薄層クロマトグラフィーによる生成物の分離/精製は、厚さ0.4~0.5mmのシリカプレートを使用した。
【0084】
カラムクロマトグラフィーは、通常、Qingdao Haiyang Chemical Co.,Ltd.製の200~300メッシュシリカゲルを使用した。
【0085】
実施例において別に説明しない限り、反応は、室温(20~30℃)、容量が約1Lのバルーンを用いるアルゴン又は窒素雰囲気中で実行した。
【0086】
水素化は、真空にした後に水素を充填し、反応容器に取り付けた容量が約1Lのバルーンを用いる水素雰囲気中で、繰り返し3回実施した。
【0087】
マイクロ波反応は、CEM Discover-SPマイクロ波反応装置を使用した。
【0088】
反応は、Agilent LCMS (1260/6120)又は薄層クロマトグラフィーを使用して監視した。カラムクロマトグラフィー及びTLCの溶出溶媒系は、a)ジクロロメタン/メタノール、b)石油エーテル/酢酸エチル、又は記載した他の系を使用した。溶媒の比は、化合物の極性に従って調整し、必要に応じて、少量のTEA又は酸性若しくはアルカリ性試薬を添加して更に調整した。化合物の精製は、MS検出器(SQD2)を備えたWatersのMS誘導自動調製システム(分取HPLCという)を使用して行い、適切なアセトニトリル/水(TFA又はギ酸を0.1%含有)又はアセトニトリル/水(25~28%水酸化アンモニウムを0.05%含有)の勾配(XBridge-C18、19×150mm、5μm)を用い、流速20mL/分で溶出させた。一部の化合物は、分取HPLCによる精製後、得られた画分に1N塩酸を添加し、続いて、減圧下で乾燥することによって、塩酸塩として製造した。
【0089】
DMFは、N,N-ジメチルホルムアミドを指す。
DIPEAは、N,N-ジイソプロピルエチルアミンを指す。
DBUは、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エンを指す。
NBSは、N-ブロモスクシンイミドを指す。
NISは、N-ヨードスクシンイミドを指す。
Pd(dppf)Clは、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムを指す。
HATUは、2-(7-アザベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素ヘキサフルオロホスフェートを指す。
LDAは、リチウムジイソプロピルアミドを指す。
【0090】
実施例1 N-(4-(4-アミノ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(化合物1)
【化20】
【0091】
工程1 (4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)ボロン酸(1b)
DMF(0.05mL)及びジクロロメタン(10mL)中の5-フルオロ-2-メトキシ安息香酸1a(340mg, 2mmol)の溶液に、0℃で、塩化オキサリル(279mg, 2.2mmol)を加えた。混合物を徐々に室温まで温め、1時間撹拌し、次いで再び0℃に冷却し、続いてTHF(20mL)中の(4-(アミノメチル)フェニル)ボロン酸塩酸塩(374mg、2mmol)及びDIPEA(516mg、4mmol)の懸濁液を加えた。室温で15時間撹拌した後、減圧下で溶媒を留去した。残留物を酢酸エチル(100mL)に溶解し、飽和塩化アンモニウム(50mL)及びブライン(50mL)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を乾燥して表題化合物1bを得た(460mg、76%)。
MS m/z (ESI): 304 [M+1]
【0092】
工程2 3-ブロモ-4-クロロ-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン(1d)
アセトニトリル(60mL)中の4-クロロ-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン1c(921mg、6mmol)の溶液に、NBS(1.12g、6.3mmol)を加えた。5時間撹拌した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物を乾燥して表題化合物1dを得た(2.1g)。生成物は、更に精製することなく次の工程で直接使用した。
MS m/z (ESI): 232 [M+1]
【0093】
工程3 3-ブロモ-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-アミン(1e)
アセトニトリル(50mL)中の1d(2.1g、粗生成物)、2,4-ジメトキシベンジルアミン(2g、12mmol)及びDIPEA(3.1g、24mmol)の混合物を120℃に加熱し、15時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=30/1~1/2)で精製して表題化合物1eを得た(1.2g、2工程で55%)。
MS m/z (ESI): 363 [M+1]
【0094】
工程4 3-ブロモ-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-アミン(1f)
THF(5mL)中の1e(363mg、1mmol)、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール(306mg、3mmol)及びトリフェニルホスフィン(524mg、2mmol)の混合物に、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(404mg、2mmol)のTHF溶液(5mL)を滴下した。3時間撹拌した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=50/1~1/1)で精製して表題化合物1fを得た(220mg、49%)。
MS m/z (ESI): 447 [M+1]
【0095】
工程5 N-(4-(4-((2,4-ジメトキシベンジル)アミノ)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(1g)
1,4-ジオキサン(3mL)及び水(1mL)中の1f(134mg、0.3mmol)、1b(90mg、0.3mmol)、炭酸カリウム(83mg、0.6mmol)及びPdCl(dppf)(22mg、0.03mmol)の混合物を、窒素雰囲気中で120℃に加熱し、1時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=20/1~1/5)で精製して表題化合物1gを得た(80mg、42%)。
MS m/z (ESI): 626 [M+1]
【0096】
工程6 N-(4-(4-アミノ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(1)
トリフルオロ酢酸(5mL)を、ジクロロメタン(2mL)中の1g(80mg、0.13mmol)の溶液に加え、得られた混合物を40℃に加熱し、2時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物を分取HPLCで精製して表題化合物1を得た(21mg、固体、34%)。
MS m/z (ESI): 476 [M+1]
1H NMR (400 MHz、CD3OD) δ 7.83 - 7.50 (m, 6H), 7.32 - 7.25 (m, 1H), 7.24 - 7.11 (m, 2H), 4.84 (d, J=11.7 Hz, 1H), 4.73 (s, 2H), 4.13 (dd, J=11.4, 3.7 Hz, 2H), 4.00 (s, 3H), 3.68 (t, J=11.2 Hz, 2H), 2.37 (ddd, J=16.7, 12.5, 4.8 Hz, 2H), 1.98 (dd, J=11.2, 9.0 Hz, 2H)。
【0097】
実施例2 N-(4-(4-アミノ-1-(4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(化合物2)
【化21】
【0098】
工程1 4-(3-ブロモ-4-((2,4-ジメトキシベンジル)アミノ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-1-イル)シクロヘキサン-1-カルボン酸メチル(2a)
THF(30mL)中の1e(726mg、2mmol)、4-ヒドロキシシクロヘキサン-1-カルボン酸メチル(948mg、6mmol)及びトリフェニルホスフィン(733mg、2.8mmol)の混合物に、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(566mg、2.8mmol)を滴下した。15時間撹拌した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物を分取HPLCで精製して表題化合物2aを得た(130mg、13%)。
MS m/z (ESI): 503 [M+1]
【0099】
工程2 4-(4-((2,4-ジメトキシベンジル)アミノ)-3-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-1-イル)シクロヘキサン-1-カルボン酸メチル(2b)
1,4-ジオキサン(4mL)及び水(1mL)中の2a(130mg、0.26mmol)、1b(94mg、0.32mmol)、炭酸カリウム(72mg、0.52mmol)及びPdCl(dppf)(19mg、0.026mmol)の混合物を120℃に加熱し、1時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=20/1~0/100)で精製して表題化合物2bを得た(70mg、39%)。
MS m/z (ESI): 682 [M+1]
【0100】
工程3 N-(4-(4-((2,4-ジメトキシベンジル)アミノ)-1-(4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(2c)
THF(10mL)中の2b(70mg、0.1mmol)の溶液に、0℃で、水素化アルミニウムリチウム(76mg、2mmol)を加えた。0℃で1時間撹拌した後、飽和ブライン(0.5mL)を加え、混合物を濾過した。濾液を濃縮乾固して表題化合物2cを得た(45mg、69%)。
MS m/z (ESI): 654 [M+1]
【0101】
工程4 N-(4-(4-アミノ-1-(4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(2)
ジクロロメタン(1mL)中の2c(45mg、0.069mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(3mL)を加えた。得られた混合物を50℃に加熱し、2時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物を分取HPLCで精製して表題化合物2を得た(2.8mg、固体、8%)。
MS m/z (ESI): 504 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.78 - 7.62 (m, 4H), 7.58 (d, J=8.1 Hz, 2H), 7.32 - 7.24 (m, 1H), 7.20 (dd, J=9.1, 4.2 Hz, 1H), 6.91 (d, J=6.4 Hz, 1H), 4.73 (s, 2H), 4.61 - 4.55 (m, 1H), 4.00 (s, 3H), 3.68 (d, J=7.3 Hz, 2H), 2.21 (dd, J=21.5, 10.1 Hz, 2H), 2.00 - 1.75 (m, 7H)。
【0102】
実施例3 N-(4-(4-アミノ-1-((1s,4s)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(化合物3)及びN-(4-(4-アミノ-1-((1r,4r)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(化合物4)
【化22】
【0103】
工程1 3-ブロモ-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-1-(1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-イル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-4-アミン(3a)
THF(30mL)中の1e(600mg、1.65mmol)、1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-オール(521mg、3.3mmol)及びトリフェニルホスフィン(864mg、3.3mmol)の混合物に、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(667mg、3.3mmol)を滴下した。15時間撹拌した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=50/1~2/1)で精製して表題化合物3aを得た(440mg、53%)。
MS m/z (ESI): 503 [M+1]
【0104】
工程2 N-(4-(4-((2,4-ジメトキシベンジル)アミノ)-1-(1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-イル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(3b)
1,4-ジオキサン(5mL)及び水(1mL)中の3a(250mg、0.5mmol)、1b(151mg、0.5mmol)、炭酸カリウム(138mg、1mmol)及びPdCl(dppf)(36mg、0.05mmol)の混合物を、窒素雰囲気中で120℃に加熱し、1時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=50/1~1/3)で精製して表題化合物3b(100mg、29%)を得た。
MS m/z (ESI): 682 [M+1]
【0105】
工程3 N-(4-(4-アミノ-1-(4-オキソシクロヘキシル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(3c)
ジクロロメタン(1mL)中の3b(100mg、0.15mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(4mL)を加えた。得られた混合物を50℃に加熱し、3時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去して表題化合物3cを得た(110mg)。生成物は、更に精製することなく次の工程で直接使用した。
MS m/z (ESI): 488 [M+1]
【0106】
工程4 N-(4-(4-アミノ-1-((1s,4s)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(化合物3)及びN-(4-(4-アミノ-1-((1r,4r)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(化合物4)
THF(15mL)中の3c(110mg、粗生成物)の溶液に、0℃で、水素化アルミニウムリチウム(56mg、1.47mmol)を加えた。1時間撹拌した後、混合物に飽和ブライン(1mL)を加え、濾過し、濃縮乾固した。残留物を分取HPLCで精製して表題化合物3(7.3mg、固体、10%)及び4(5.1mg、固体、7%)を得た。
【0107】
N-(4-(4-アミノ-1-((1s,4s)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(3)
MS m/z (ESI): 490 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.73 (d, J=6.3 Hz, 1H), 7.66 (td, J=6.2, 2.8 Hz, 3H), 7.58 (d, J=8.3 Hz, 2H), 7.28 (ddd, J=9.1, 7.6, 3.3 Hz, 1H), 7.19 (dd, J=9.1, 4.2 Hz, 1H), 6.94 (d, J=6.4 Hz, 1H), 4.73 (s, 2H), 4.52 (t, J=11.5 Hz, 1H), 3.99 (s, 3H), 3.76 - 3.70 (m, 1H), 2.21 - 2.03 (m, 6H), 1.63 - 1.53 (m, 2H)。
【0108】
N-(4-(4-アミノ-1-((1r,4r)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(4)
MS m/z (ESI): 490 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.72 - 7.64 (m, 4H), 7.58 (d, J=8.2 Hz, 2H), 7.28 (ddd, J=9.1, 7.6, 3.3 Hz, 1H), 7.20 (dd, J=9.1, 4.2 Hz, 1H), 7.02 (d, J=6.5 Hz, 1H), 4.73 (s, 2H), 4.60 - 4.54 (m, 1H), 4.06 (s, 1H), 4.00 (s, 3H), 2.49 (dd, J=13.3, 10.3 Hz, 2H), 2.01 (d, J=12.9 Hz, 2H), 1.82 (t, J=13.7 Hz, 4H)。
【0109】
実施例4 N-(4-(4-アミノ-1-((1r,4r)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(化合物5)
【化23】
【0110】
工程1 (1r,4r)-4-(((3-クロロピラジン-2-イル)メチル)カルバモイル)シクロヘキサン-1-カルボン酸メチル(5b)
DMF(10mL)中の(3-クロロピラジン-2-イル)メチルアミン塩酸塩5a(360mg、2mmol)、(1r,4r)-4-(メトキシカルボニル)シクロヘキサン-1-カルボン酸(373mg、2mmol)及びトリエチルアミン(606mg、6mmol)の混合物に、HATU(836mg、2.2mmol)を加えた。16時間撹拌した後、反応混合物に水(20mL)を加え、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=10/1~4/1)で精製して表題化合物5bを得た(520mg、84%)。
MS m/z (ESI): 312 [M+1]
【0111】
工程2 (1r,4r)-4-(8-クロロイミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)シクロヘキサン-1-カルボン酸メチル(5c)
アセトニトリル(10mL)中の5b(520mg、1.67mmol)の溶液に、0℃で、オキシ塩化リン(2.55g、16.7mmol)を少しずつ加えた。得られた混合物を100℃に加熱し、2時間撹拌した。0℃に冷却した後、減圧下で溶媒を留去して表題化合物5cを得た(420mg、86%)。生成物は、更に精製することなく次の反応で直接使用した。
MS m/z (ESI): 294 [M+1]
【0112】
工程3 (1r,4r)-4-(1-ブロモ-8-クロロイミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)シクロヘキサン-1-カルボン酸メチル(5d)
アセトニトリル(100mL)中の5c(420mg、1.43mmol)の溶液に、0℃で、NBS(280mg、1.57mmol)を加えた。室温で1時間撹拌した後、混合物を水(20mL)でクエンチし、ジクロロメタン(2×20mL)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を分取HPLCで精製して表題化合物5dを得た(180mg、34%)。
MS m/z (ESI): 372 [M+1]
【0113】
工程4 (1r,4r)-4-(1-ブロモ-8-((2,4-ジメトキシベンジル)アミノ)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)シクロヘキサン-1-カルボン酸メチル(5e)
アセトニトリル(5mL)中の5d(160mg、0.43mmol)の溶液に、2,4-ジメトキシベンジルアミン(49mg、0.47mmol)とDIPEA(166mg、1.3mmol)を加えた。混合物を50℃に加熱し、18時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/0~7/3)で精製して表題化合物5eを得た(160mg、74%)。
MS m/z (ESI): 503 [M+1]
【0114】
工程5 (1r,4r)-4-(8-((2,4-ジメトキシベンジル)アミノ)-1-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)シクロヘキサン-1-カルボン酸メチル(5f)
1,4-ジオキサン(5mL)中の5e(160mg、0.318mmol)の溶液に、1b(191mg、0.636mmol)、炭酸カリウム(132mg、0.954mmol)及びPdCl(dppf)(24mg、0.032mmol)を加えた。混合物を窒素雰囲気中で100℃に加熱し、4時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/0~7/3)で精製して表題化合物5fを得た(140mg、64%)。
MS m/z (ESI): 682 [M+1]
【0115】
工程6 N-(4-(8-((2,4-ジメトキシベンジル)アミノ)-3-((1r,4r)-4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(5g)
THF(5mL)中の5f(140mg、0.204mmol)の溶液に、0℃で、水素化アルミニウムリチウム(23mg、0.616mmol)を加えた。室温で1時間撹拌した後、0℃に冷却し、20%NaOH水溶液(0.1mL)を滴下した。得られた混合物を室温で1時間撹拌し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/0~1/1)で精製して表題化合物5gを得た(100mg、75%)。
MS m/z (ESI): 654 [M+1]
【0116】
工程7 N-(4-(4-アミノ-1-((1r,4r)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(5)
5g(80mg、0.122mmol)とトリフルオロ酢酸(5mL)の混合物を80℃に加熱し、1時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物を分取HPLCで精製して表題化合物5を得た(12.0mg、固体、20%)。
MS m/z (ESI): 504 [M+1]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.91 - 8.76 (m, 1H), 7.61 (d, J=5.1, 1H), 7.58 - 7.50 (m, 3H), 7.45 (d, J=8.1, 2H), 7.40 - 7.28 (m, 1H), 7.19 (dd, J=9.0, 4.3, 1H), 7.00 (d, J=4.9, 1H), 5.94 (s, 2H), 4.57 (d, J=6.0, 2H), 4.51 - 4.34 (m, 1H), 3.90 (s, 3H), 3.27 (d, J=5.6, 1H), 3.12 - 3.00 (m, 2H), 1.97 (d, J=11.5, 2H), 1.85 (d, J=10.7, 2H), 1.62 (d, J=14.0, 2H), 1.45 (s, 2H), 1.25 (d, J=9.5, 1H)。
【0117】
以下に示す中間体を、工程1で(1r,4r)-4-(メトキシカルボニル)シクロヘキサン-1-カルボン酸の代わりにテトラヒドロ-2H-ピラン-3-カルボン酸を使用したことを除いて、実施例4の工程1~4の方法に従って合成した。
【表B】
【0118】
実施例5 N-(4-(8-アミノ-3-(4-(ヒドロキシメチル)ピペリジン-1-イル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(化合物6)
【化24】
【0119】
工程1 1-(((3-クロロピラジン-2-イル)メチル)カルバモイル)ピペリジン-4-カルボン酸メチル(6a)
DMF(10mL)中の(3-クロロピラジン-2-イル)メチルアミン塩酸塩5a(1.80g、10mmol)とDIPEA(1.29g、10mmol)の溶液に、N,N'-カルボニルジイミダゾール(1.62g、10mmol)を加えた。混合物を3時間撹拌し、次いで、ピペリジン-4-カルボン酸メチル(1.43g、10mmol)を加えた。混合物を更に18時間撹拌し、次いで濾過した。濾過ケークを酢酸エチル(3×10mL)で洗浄した。合わせた濾液を水(3×10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して表題化合物6aを得た(3g、96%)。生成物は、更に精製することなく次の工程で直接使用した。
MS m/z (ESI): 313 [M+1]
【0120】
工程2 1-(8-クロロイミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)ピペリジン-4-カルボン酸メチル(6b)
アセトニトリル(10mL)中の6a(3g、9.6mmol)の溶液に、オキシ塩化リン(2.98g、19.2mmol)を加えた。混合物を100℃に加熱し、3時間撹拌した。室温まで冷却した後、残留物を酢酸エチル(10mL)に分散させ、炭酸ナトリウムの飽和溶液でpH=9に調整した。得られた混合物を酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機相を水(3×10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/1~4/1)で精製して表題化合物6bを得た(260mg、9%)。
MS m/z (ESI): 295 [M+1]
【0121】
工程3 1-(1-ブロモ-8-クロロイミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)ピペリジン-4-カルボン酸メチル(6c)
アセトニトリル(5mL)中の6b(260mg、0.88mmol)の溶液に、NBS(189mg、1.1mmol)を加えた。混合物を5時間撹拌した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/1~17/3)で精製して表題化合物6cを得た(200mg、67%)。
MS m/z (ESI): 373 [M+1]
【0122】
工程4 1-(1-ブロモ-8-((2,4-ジメトキシベンジル)アミノ)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)ピペリジン-4-カルボン酸メチル(6d)
アセトニトリル(5mL)中の6c(200mg、0.54mmol)と2,4-ジメトキシベンジルアミン(99mg、0.59mmol)の溶液に、DIPEA(208mg、1.6mmol)を加えた。混合物を60℃に加熱し、18時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/1~7/3)で精製して表題化合物6dを得た(200mg、74%)。
MS m/z (ESI): 504 [M+1]
【0123】
工程5 1-(8-((2,4-ジメトキシベンジル)アミノ)-1-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)ピペリジン-4-カルボン酸メチル(6e)
1,4-ジオキサン(10mL)中の6d(200mg、0.4mmol)、1b(145mg、0.48mmol)及びPdCl(dppf)(29mg、0.04mmol)の混合物に、炭酸カリウム(82mg、0.6mmol)と水(2mL)を加えた。混合物を窒素雰囲気中で100℃に加熱し、3時間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機相を水(3×10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/1~4/1)で精製して表題化合物6eを得た(170mg、63%)。
MS m/z (ESI): 683 [M+1]
【0124】
工程6 N-(4-(8-((2,4-ジメトキシベンジル)アミノ)-3-(4-(ヒドロキシメチル)ピペリジン-1-イル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(6f)
THF(3mL)中の6e(90mg、0.13mmol)の溶液に、0℃で、水素化アルミニウムリチウム(10mg、0.26mmol)を加えた。混合物を徐々に室温まで温めた後、3時間撹拌し、酢酸エチル(1mL)と水(1mL)を加えた。10分間撹拌した後、混合物を酢酸エチル(3×5mL)で抽出した。合わせた有機相を水(3×5mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して表題化合物6fを得た(100mg)。生成物は、更に精製することなく次の工程で直接使用した。
MS m/z (ESI): 655 [M+1]
【0125】
工程7 N-(4-(8-アミノ-3-(4-(ヒドロキシメチル)ピペリジン-1-イル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(6)
ジクロロメタン(5mL)中の6f(100mg、0.15mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(2mL)を加えた。混合物を50℃に加熱し、18時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物をメタノール(2mL)に溶解し、炭酸カリウム(138mg)を加えた。混合物を、3時間撹拌し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を分取HPLCで精製して表題化合物6を得た(27.6mg、固体、42%)。
MS m/z (ESI): 505 [M+1]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.84 (t, J=6.1 Hz, 1H), 7.62-7.48 (m, 3H), 7.44 (d, J=8.2 Hz, 2H), 7.37 - 7.31 (m, 1H), 7.22 - 7.14 (m, 2H), 6.95 (d, J=4.9 Hz, 1H), 5.99 - 5.87 (m, 2H), 4.61 - 4.48 (m, 3H), 3.90 (s, 3H), 3.42 - 3.33 (m, 4H), 2.89 - 2.79 (m, 2H), 1.82 - 1.74 (m, 2H), 1.59 - 1.52 (m, 1H), 1.44 - 1.34 (m, 2H)。
【0126】
以下に示す中間体を、工程1でピペリジン-4-カルボン酸メチルの代わりに4-メチルピペリジン-4-カルボン酸メチルを使用したことを除いて、実施例5の工程1~5の方法に従って合成した。
【表C】
【0127】
化合物44を、工程1でピペリジン-4-カルボン酸メチルの代わりにモルホリンを使用したことを除いて、実施例5の方法(工程6を除く)に従って合成した。
【表D】
【0128】
化合物44のH NMRデータを以下に示す。
【表E】
【0129】
実施例6 N-(4-(8-アミノ-3-((1r,4r)-4-(アミノメチル)シクロヘキシル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(化合物7)
【化25】
【0130】
工程1 N-(4-(3-((1r,4r)-4-(ブロモメチル)シクロヘキシル)-8-((2,4-ジメトキシベンジル)アミノ)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(7a)
ジクロロメタン(10mL)中の5g(160mg、0.25mmol)のスラリーに、窒素雰囲気中で、トリフェニルホスフィン(96mg、0.37mmol)及び四臭化炭素(122mg、0.37mmol)を順次加えた。混合物を加熱還流し、18時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=4/1~1/1)で精製して表題化合物7aを得た(170mg、97%)。
MS m/z (ESI): 716 [M+1]
【0131】
工程2 N-(4-(3-((1r,4r)-4-(アミノメチル)シクロヘキシル)-8-((2,4-ジメトキシベンジル)アミノ)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(7b)
密封したチューブに入れた7a(110mg、0.16mmol)とアンモニアのTHF溶液(4M、5mL)の混合物を100℃に加熱し、48時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=100/0~50/1)で精製して表題化合物7bを得た(60mg、58%)。
MS m/z (ESI): 653 [M+1]
【0132】
工程3 N-(4-(8-アミノ-3-((1r,4r)-4-(アミノメチル)シクロヘキシル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(7)
7b(60mg、0.092mmol)とトリフルオロ酢酸(10mL)の混合物を80℃に加熱し、18時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物を逆相分取高速液体クロマトグラフィーで精製して表題化合物7を得た(4.5mg、固体、10%)。
MS m/z (ESI): 503 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.73 - 7.41 (m, 6H), 7.37 - 7.15 (m, 2H), 7.00 (s, 1H), 4.70 (s, 2H), 3.97 (s, 3H), 3.24 - 3.11 (m, 1H), 2.87 (d, J=6.1, 2H), 2.20-2.00 (m, 5H), 1.92 - 1.66 (m, 4H)。
【0133】
実施例7 N-(4-(8-アミノ-3-(6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(化合物8)
【化26】
【0134】
工程1 酢酸(3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル(8b)
ジクロロメタン(50mL)中の(3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-メタノール8a(12.5g、110mmol)の溶液に、トリエチルアミン(16.7g、165mmol)と無水酢酸(16.8g、165mmol)を加えた。15時間撹拌した後、混合物をジクロロメタン(200mL)で希釈し、順次、塩化アンモニウムの飽和溶液(50mL)、水(50mL)及び飽和ブライン(50mL)で洗浄した。減圧下で有機相から溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=30/1~1/2)で精製して表題化合物8bを得た(15g、87%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.38 (dd, J=4.5, 1.7 Hz, 1H), 4.71 (dddd, J=6.2, 4.9, 2.6, 1.2 Hz, 1H), 4.17 (qd, J=11.6, 5.2 Hz, 2H), 4.11 - 3.99 (m, 1H), 2.14 - 2.06 (m, 4H), 2.01 (dddd, J=15.7, 11.0, 2.9, 1.6 Hz, 1H), 1.89 - 1.82 (m, 1H), 1.69 (dtd, J=13.5, 10.3, 6.0 Hz, 1H)。
【0135】
工程2 酢酸(5-ホルミル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル(8c)
DMF(80mL)に、オキシ塩化リン(25.5g、166mmol)を加えた。得られた混合物を30分間撹拌し、0℃に冷却し、8b(13g、83mmol)を加えた。室温まで温めた後、混合物を15時間撹拌し、次いで炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(50mL)を加え、更に15時間撹拌した。混合物を酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=50/1~3/1)で精製して表題化合物8cを得た(8g、52%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.27 (s, 1H), 7.33 (d, J=9.4 Hz, 1H), 4.34 - 4.20 (m, 3H), 2.43 (ddd, J=17.0, 5.5, 3.2 Hz, 1H), 2.25 - 2.14 (m, 1H), 2.12 (s, 3H), 2.04 - 1.94 (m, 1H), 1.76 - 1.62 (m, 1H)。
【0136】
工程3 2-(アセトキシメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボン酸(8d)
8c(1.5g、8.1mmol)、リン酸二水素ナトリウム(2.43g、20.3mmol)、アセトニトリル(16mL)、n-ブタノール(16mL)及び水(8mL)の混合物に、過酸化水素水(30%、3.67mL、32.4mmol)を加えた。30分間撹拌した後、混合物に亜塩素酸ナトリウム(3.66g、40.5mmol)を加え、更に15時間撹拌を続けた。反応混合物を飽和ブライン(80mL)で希釈し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=50/1~3/1)で精製して表題化合物8dを得た(1.03g、63%)。
MS m/z (ESI): 201 [M+1]
【0137】
工程4 6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-カルボン酸(8e)
酢酸エチル(80mL)中の8d(1g、5mmol)とパラジウム炭素(10%、0.7g)の混合物を水素雰囲気中で48時間撹拌した。混合物を濾過し、濃縮乾固して表題化合物8eを得た(1.05g、100%)。生成物は、更に精製することなく次の工程で直接使用した。
MS m/z (ESI): 203 [M+1]
【0138】
工程5 酢酸(5-(((3-クロロピラジン-2-イル)メチル)カルバモイル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル(8f)
DMF(15mL)中の5a(890mg、5.0mmol)、8e(1.05g、粗生成物)及びDIPEA(1.28g、9.9mmol)の混合物に、HATU(2.26g、5.9mmol)を加えた。30分間撹拌した後、混合物を逆相分取高速液体クロマトグラフィーで精製して表題化合物8fを得た(1.5g、72%)。
MS m/z (ESI): 328 [M+1]
【0139】
工程6 酢酸(5-(8-クロロイミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル(8g)
アセトニトリル(20mL)中の8f(229mg、0.7mmol)とオキシ塩化リン(215mg、1.4mmol)の混合物を80℃に加熱し、6時間撹拌した。0℃に冷却した後、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(30mL)を加え、混合物を酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=50/1~2/1)で精製して表題化合物8gを得た(150mg、69%)。
MS m/z (ESI): 310 [M+1]
【0140】
工程7 酢酸(5-(1-ブロモ-8-クロロイミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル(8h)
アセトニトリル(20mL)中の8g(150mg、0.48mmol)の溶液に、0℃で、NBS(112mg、0.63mmol)を加えた。混合物を室温まで温め、30分間撹拌した。減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=50/1~2/1)で精製して表題化合物8hを得た(170mg、89%)。
MS m/z (ESI): 388 [M+1]
【0141】
工程8 酢酸(5-(8-アミノ-1-ブロモイミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル(8i)
アセトニトリル(10mL)中の8h(150mg、0.386mmol)と水酸化アンモニウム(10mL)の混合物を80℃に加熱し、密封したチューブ中で4.5時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去して、表題化合物8iを得た(145mg)。生成物は、更に精製することなく次の工程で直接使用した。
MS m/z (ESI): 369 [M+1]
【0142】
工程9 N-(4-(8-アミノ-3-(6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(8)
8i(145mg、0.39mmol)、1b(174mg、0.58mmol)、炭酸カリウム(106mg、0.77mmol)、PdCl(dppf)(29mg、0.04mmol)、1,4-ジオキサン(5mL)及び水(1mL)の混合物を、窒素雰囲気中で120℃に加熱し、2時間撹拌した。室温まで冷却した後、飽和ブライン(3mL)で希釈し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を分取HPLCで精製して表題化合物8を得た(32mg、固体、16%)。
MS m/z (ESI): 506 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.62 (dd, J=9.1, 3.1 Hz, 3H), 7.56 - 7.47 (m, 3H), 7.29 - 7.20 (m, 1H), 7.17 (dd, J=9.1, 4.2 Hz, 1H), 6.99 (d, J=5.1 Hz, 1H), 4.70 (s, 2H), 4.29 (dd, J=11.8, 3.0 Hz, 1H), 3.97 (s, 3H), 3.90 (dd, J=11.8, 3.5 Hz, 1H), 3.64 (dd, J=9.6, 4.2 Hz, 2H), 3.56 (t, J=7.1 Hz, 1H), 3.38 (s, 1H), 2.29 (dd, J=13.6, 4.2 Hz, 1H), 2.14 - 2.03 (m, 1H), 1.96 - 1.86 (m, 1H), 1.67 - 1.59 (m, 1H)。
【0143】
実施例8 N-(4-(8-アミノ-3-(6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)ベンジル)ピコリンアミド(化合物9)
【化27】
【0144】
工程1 (4-(ピコリンアミドメチル)フェニル)ボロン酸(9b)
ピコリン酸9a(240mg、1.95mmol)、(4-(アミノメチル)フェニル)ホウ酸塩酸塩(280mg、1.5mmol)、DIPEA(387mg、3mmol)及びDMF(4mL)の混合物に、HATU(855mg、2.25mmol)を加えた。1時間撹拌した後、混合物を分取HPLCで精製して表題化合物9bを得た(295mg、77%)。
MS m/z (ESI): 257 [M+1]
【0145】
工程2 N-(4-(8-アミノ-3-(6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)ベンジル)ピコリンアミド(9)
8i(125mg、0.25mmol)、9b(128mg、0.5mmol)、PdCl(dppf)(18mg、0.025mmol)、炭酸カリウム(69mg、0.5mmol)、1,4-ジオキサン(4mL)及び水(1mL)の混合物を、窒素雰囲気中で120℃に加熱し、1時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物を分取HPLCで精製して表題化合物9を得た(12mg、固体、11%)。
MS m/z (ESI): 459 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.67 (d, J=4.1 Hz, 1H), 8.15 (d, J=7.8 Hz, 1H), 7.99 (td, J=7.7, 1.7 Hz, 1H), 7.80 - 7.31 (m, 6H), 7.01 (d, J=5.2 Hz, 1H), 4.74 (s, 2H), 4.31 (dd, J=11.8, 2.3 Hz, 1H), 3.92 (dd, J=11.8, 3.6 Hz, 1H), 3.71 - 3.54 (m, 3H), 3.40 (dd, J=7.5, 3.4 Hz, 1H), 2.36 - 2.26 (m, 1H), 2.11 (ddd, J=15.3, 9.7, 4.5 Hz, 1H), 1.99 - 1.88 (m, 1H), 1.69 - 1.60 (m, 1H)。
【0146】
実施例9 N-(4-(8-アミノ-3-(6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)ベンジル)-2-メトキシベンズアミド(化合物10)
【化28】
【0147】
工程1 (4-((2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)ボロン酸(10b)
2-メトキシ安息香酸(296mg、1.95mmol)、(4-(アミノメチル)フェニル)ボロン酸塩酸塩(280mg、1.5mmol)、DIPEA(387mg、3mmol)及びDMF(4mL)の混合物に、HATU(855mg、2.25mmol)を加えた。1時間撹拌した後、混合物を分取HPLCで精製して表題化合物10bを得た(270mg、63%)。
MS m/z (ESI): 286 [M+1]
【0148】
工程2 N-(4-(8-アミノ-3-(6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)ベンジル)-2-メトキシベンズアミド(9)
8i(125mg、0.25mmol)、10b(143mg、0.5mmol)、炭酸カリウム(69mg、0.5mmol)、PdCl(dppf)(18mg、0.025mmol)、1,4-ジオキサン(4mL)及び水(1mL)の混合物を、窒素雰囲気中で120℃に加熱し、1時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=50/1~20/1)で精製して表題化合物10を得た(73mg、固体、60%)。
MS m/z (ESI): 488 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.93 (dd, J=7.7, 1.8 Hz, 1H), 7.64 (d, J=8.2 Hz, 2H), 7.60 - 7.49 (m, 4H), 7.18 (d, J=8.2 Hz, 1H), 7.12 - 7.06 (m, 1H), 7.01 (d, J=5.2 Hz, 1H), 4.73 (s, 2H), 4.32 (dd, J=11.7, 2.4 Hz, 1H), 4.04 - 3.95 (m, 3H), 3.93 (dd, J=11.8, 3.6 Hz, 1H), 3.72 - 3.62 (m, 2H), 3.57 (dd, J=14.2, 6.9 Hz, 1H), 3.40 (dd, J=8.4, 4.3 Hz, 1H), 2.35 - 2.27 (m, 1H), 2.17 - 2.06 (m, 1H), 1.99 - 1.89 (m, 1H), 1.69 - 1.61 (m, 1H)。
【0149】
実施例10 N-(4-(8-アミノ-3-(6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)-2-フルオロベンジル)-2-メトキシベンズアミド(化合物11)
【化29】
【0150】
工程1 4-ブロモ-2-フルオロベンズアルデヒドオキシム(11b)
エタノール(50mL)中の4-ブロモ-2-フルオロベンズアルデヒド11a(4.06g、20mmol)の溶液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(1.53g、22mmol)を加えた。2時間撹拌した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=20/1~10/1)で精製して表題化合物11bを得た(2.18g、50%)。
MS m/z (ESI): 218 [M+1]
【0151】
工程2 (3-フルオロ-4-((ヒドロキシイミノ)メチル)フェニル)ボロン酸(11c)
THF(50mL)中の11b(2.18g、10mmol)及びホウ酸トリイソプロピル(3.76g、20mmol)の溶液に、-78℃で、n-ブチルリチウム(2.5M、12mL、30mmol)を加えた。-78℃で2時間撹拌した後、水(2mL)を加え、得られた混合物を室温まで温め、30分間撹拌した。混合物を1N塩酸でpH=5~6に調整し、濾過した。濾過ケークを乾燥させて表題化合物11cを得た(3.78g)。生成物は、更に精製することなく次の工程で直接使用した。
MS m/z (ESI): 184 [M+1]
【0152】
工程3 (4-(アミノメチル)-3-フルオロフェニル)ボロン酸(11d)
メタノール(80mL)中の11c(3.7g、10mmol)とパラジウム炭素(10%、500mg)の混合物を水素雰囲気中で4時間撹拌した。混合物を濾過し、減圧下で濃縮乾固して表題化合物11dを得た(2.9g)。生成物は、更に精製することなく次の工程で直接使用した。
MS m/z (ESI): 170 [M+1]
【0153】
工程4 (3-フルオロ-4-((2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)ボロン酸(11e)
2-メトキシ安息香酸(2.28g、15mmol)、11d(1.69g、10mmol)、DIPEA(3.9g、30mmol)及びDMF(30mL)の混合物に、HATU(5.7g、15mmol)を加えた。3時間撹拌した後、混合物を分取HPLCで精製して表題化合物11eを得た(720mg、24%)。
MS m/z (ESI): 304 [M+1]
【0154】
工程5 N-(4-(8-アミノ-3-(6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)-2-フルオロベンジル)-2-メトキシベンズアミド(11)
8i(125mg、0.25mmol)、11e(151mg、0.5mmol)、炭酸カリウム(69mg、0.5mmol)、PdCl(dppf)(18mg、0.025mmol)、1,4-ジオキサン(4mL)及び水(1mL)の混合物を、窒素雰囲気中で120℃に加熱し、1時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=50/1~20/1)で精製して表題化合物11を得た(55.4mg、固体、43%)。
MS m/z (ESI): 506 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.91 (dd, J=7.8, 1.8 Hz, 1H), 7.59 - 7.48 (m, 3H), 7.43 (ddd, J=8.2, 5.4, 1.6 Hz, 2H), 7.16 (d, J=8.2 Hz, 1H), 7.06 (td, J=7.7, 0.9 Hz, 1H), 7.01 (d, J=5.1 Hz, 1H), 4.74 (s, 2H), 4.29 (dd, J=11.8, 1.9 Hz, 1H), 3.98 (d, J=5.7 Hz, 3H), 3.90 (dd, J=11.8, 3.5 Hz, 1H), 3.66 - 3.60 (m, 2H), 3.56 (t, J=7.1 Hz, 1H), 3.38 (t, J=4.0 Hz, 1H), 2.33 - 2.26 (m, 1H), 2.14 - 2.05 (m, 1H), 1.95 (s, 1H), 1.62 (dd, J=9.6, 4.2 Hz, 1H)。
【0155】
実施例11 N-(4-(4-アミノ-7-シクロペンチルイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(化合物12)
【化30】
【0156】
工程1 3-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)-2-ヒドロキシプロパン酸エチル(12b)
DMF(300mL)中のオキシラン-2-カルボン酸エチル12a(30g、259mmol)の溶液に、フタルイミド(34.2g、233mmol)及びフタルイミドカリウム(9.6g、52mmol)を順次加えた。混合物を90℃に加熱し、8時間撹拌し、次いで室温に冷却し、水(600mL)で希釈し、酢酸エチル(3×600mL)で抽出した。合わせた有機相を水(3×600mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して表題化合物12bを得た(57.5g、84%)。生成物は、更に精製することなく次の工程で直接使用した。
MS m/z (ESI): 264 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.87 - 7.85 (m, 2H), 7.80 - 7.69 (m, 2H), 4.50 (t, J=5.9 Hz, 1H), 4.32 - 4.18 (m, 2H), 4.09 - 3.98 (m, 2H), 3.03 (s, 1H), 1.30 - 1.22 (m, 3H)。
【0157】
工程2 3-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)-2-オキソプロパン酸エチル(12c)
アセトニトリル(500mL)中の12b(57.5g、218mmol)の溶液に、0℃で、2-ヨードキシ安息香酸(91.7g、328mmol)を少しずつ加えた。混合物を90℃に加熱し、18時間撹拌した。室温まで冷却した後、濾過した。濾液を約150mLに濃縮し、新たに形成された沈殿を濾別した。新たな濾液を濃縮乾固し、ジクロロメタン(250mL)を加え、濾過した。新たに得た濾液を減圧下で濃縮乾固し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/0~1/1)で精製して表題化合物12cを得た(40g、70%)。
MS m/z (ESI): 262 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.94 - 7.85 (m, 2H), 7.80 - 7.74 (m, 2H), 4.99 (s, 2H), 4.41 (q, J=7.1 Hz, 2H), 1.41 (t, J=7.1 Hz, 3H)。
【0158】
工程3 2-((5-オキソ-3-チオキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)メチル)イソインドリン-1,3-ジオン(12d)
酢酸(300mL)中の12c(40g、153mmol)の溶液に、ヒドラジノカルボチオホルムアミド(hydrazinocarbothioformamide、14g、153mmol)を加えた。混合物を120℃に加熱し、16時間撹拌した。室温まで冷却した後、沈殿を濾取し、酢酸(2×50mL)及び石油エーテル(200mL)で洗浄して表題化合物12dを得た(16g、36%)。
MS m/z (ESI): 289 [M+1]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.38 (s, 1H), 13.29 (s, 1H), 7.96 - 7.85 (m, 4H), 4.68 (s, 2H)。
【0159】
工程4 2-((5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)メチル)イソインドリン-1,3-ジオン(12e)
12d(16g、56mmol)とエタノール(6mL)の混合物に、ラネーニッケル(8g、50%wt)を加えた。混合物を85℃に加熱し、水素雰囲気中で72時間撹拌した。反応は完了しなかった。反応混合物を室温に冷却し、ラネーニッケル(8g、50%wt)を更に加えた。混合物を85℃に加熱し、水素雰囲気中で6時間撹拌した。水素雰囲気を窒素雰囲気に代え、反応混合物を素早く熱時濾過した。濾過ケークをエタノール(200mL)に溶解し、1時間還流し、濾過した(この操作を4回繰り返した)。合わせた濾液を減圧下で濃縮乾固して表題化合物12eを得た(11.56g、81%)。
MS m/z (ESI): 127 [M+1]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.30 (s, 1H), 7.78 (s, 3H), 3.87 (s, 2H)。
【0160】
工程5 6-(アミノメチル)-1,2,4-トリアジン-5(4H)-オン(12f)
12e(11.56g、45mmol)とエタノール(200mL)の混合物に、ヒドラジン水和物(22.5g、450mmol)を滴下した。得られた溶液を、16時間撹拌し、次いでエタノール(300mL)でスラリーにした。濾過後、減圧下で濾液から溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール(水を10%含む)=2/3~7/3)で精製して表題化合物12fを得た(700mg)。濾過ケークを水(400mL)でスラリーにして、濾過した。減圧下で濾液から溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール(水を10%含む)=2/3~7/3)で精製して表題化合物12fを得た(3.35g)。生成物の2つの部分を合わせて表題化合物12fを得た(4.05g、71%)。
MS m/z (ESI): 127 [M+1]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.30 (s, 1H), 7.78 (s, 3H), 3.87 (s, 2H)
【0161】
工程6 N-((5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)メチル)シクロペンタンカルボキサミド(12g)
ジクロロメタン(20mL)中の、12f(600mg、4.76mmol)、トリエチルアミン(721mg、7.14mmol)及びシクロペンタンカルボン酸(597mg、5.23mmol)の混合物に、HATU(2.72g、7.14mmol)を加えた。混合物を18時間撹拌し、減圧下で溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/1~1/100)で精製して表題化合物12gを得た(400mg、38%)。
MS m/z (ESI): 223 [M+1]
【0162】
工程7 7-シクロペンチルイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4(3H)-オン(12h)
12g(400mg、1.8mmol)とアセトニトリル(10mL)の混合物に、オキシ塩化リン(551mg、3.6mmol)を加えた。混合物を100℃に加熱し、1時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/1~1/100)で精製して表題化合物12hを得た(210mg、54%)。
MS m/z (ESI): 205 [M+1]
【0163】
工程8 7-シクロペンチル-5-ヨードイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4(3H)-オン(12i)
DMF(2mL)中の12h(210mg、1.03mmol)の溶液に、NIS(242mg、1.08mmol)を加えた。18時間撹拌した後、混合物を水(5mL)でクエンチし、酢酸エチル(3×5mL)で抽出した。合わせた有機相を水(3×5mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/1~1/1)で精製して表題化合物12iを得た(110mg、31%)。
MS m/z (ESI): 331 [M+1]
【0164】
工程9 7-シクロペンチル-5-ヨードイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン(12j)
ピリジン(1mL)中の1,2,4-トリアゾール(188mg、2.73mmol)の溶液に、オキシ塩化リン(139mg、0.91mmol)を加えた。15分間撹拌した後、ピリジン(1mL)中の12i(110mg、0.33mmol)の溶液を加え、撹拌を2時間続けた。混合物を0℃に冷却し、アンモニアのイソプロパノール溶液(2M、0.3mL)を加えた。18時間撹拌した後、混合物を濾過し、濾過ケークをジクロロメタン(5mL)で洗浄した。合わせた濾液を減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/1~1/1)で精製して表題化合物12jを得た(60mg、70%)。
MS m/z (ESI): 330 [M+1]
【0165】
工程10 N-(4-(4-アミノ-7-シクロペンチルイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(12)
12j(40mg、0.12mmol)、1b(45mg、0.15mmol)、炭酸カリウム(26mg、0.18mmol)、PdCl(dppf)(9mg、0.012mmol)及び1,4-ジオキサン(2mL)の混合物を、窒素雰囲気中で120℃に加熱し、18時間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を分取シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒として酢酸エチルを使用)で精製して表題化合物12を得た(5.1mg、固体、9%)。
MS m/z (ESI): 461 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.73 (s, 1H), 7.57 - 7.49 (m, 3H), 7.44 (d, J=8.2 Hz, 2H), 7.18 - 7.13 (m, 1H), 7.09 - 7.05 (m, 1H), 4.60 (s, 2H), 3.87 (s, 3H), 3.66 - 3.61 (m, 1H), 2.07 - 2.00 (m, 2H), 1.92 - 1.78 (m, 4H), 1.68 - 1.61 (m, 2H)。
【0166】
以下に示す化合物又は中間体を、工程6でシクロペンタンカルボン酸の代わりに別のカルボン酸を使用したことを除いて、実施例11の方法に従って合成した。
【表F】
【0167】
化合物16及び17のNMRデータを以下に示す:
【0168】
【表G】
【0169】
以下に示す中間体を、工程6でシクロペンタンカルボン酸に代えて(1r,4r)-4-(メトキシカルボニル)シクロヘキサン-1-カルボン酸を使用したことを除いて、実施例11の工程6~9の方法に従って合成した。
【表H】
【0170】
実施例12 (1r,4r)-4-(8-アミノ-1-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)シクロヘキサン-1-カルボン酸(化合物13)
【化31】
【0171】
工程1 (1r,4r)-4-(8-アミノ-1-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)シクロヘキサン-1-カルボン酸メチル(13a)
5f(100mg、0.147mmol)とトリフルオロ酢酸(10mL)の混合物を、80℃に加熱し、2時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、表題化合物13aを得た(100mg)。生成物は、更に精製することなく次の工程で直接使用した。
MS m/z (ESI): 532 [M+1]
【0172】
工程2 (1r,4r)-4-(8-アミノ-1-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)シクロヘキサン-1-カルボン酸(13)
メタノール(5mL)中の13a(100mg、粗生成物)の溶液に、水酸化リチウム(11mg、0.45mmol)を加えた。1時間撹拌した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物を分取HPLCで精製して表題化合物13を得た(26.5mg、固体、35%)。
MS m/z (ESI): 518 [M+1]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.14 (s, 1H), 8.85 (s, 1H), 7.66 (d, J=5.0, 1H), 7.59 - 7.50 (m, 3H), 7.46 (d, J=8.1, 2H), 7.38 - 7.31 (m, 1H), 7.19 (dd, J=9.1, 4.3, 1H), 7.02 (d, J=4.9, 1H), 5.96 (s, 2H), 4.58 (d, J=6.0, 2H), 3.91 (s, 3H), 3.12 (t, J=11.4, 1H), 2.36 - 2.26 (m, 1H), 2.01 (t, J=10.0, 4H), 1.74 - 1.50 (m, 4H)。
【0173】
実施例13 N-(4-(4-アミノ-7-((1r,4r)-4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(化合物14)
【化32】
【0174】
THF(3mL)中の14a(40mg、0.075mmol)の溶液に、窒素雰囲気中、0℃で、水素化アルミニウムリチウム(6mg、0.15mmol)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、水(0.2mL)でクエンチし、濾過した。減圧下で濾液から溶媒を留去し、残留物を分取HPLCで精製して表題化合物14を得た(15.7mg、固体、42%)。
MS m/z (ESI): 505 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.74 (s, 1H), 7.55 - 7.50 (m, 3H), 7.46 - 7.42 (m, 2H), 7.17 - 7.13 (m, 1H), 7.09 - 7.05 (m, 1H), 4.60 (s, 2H), 3.87 (s, 3H), 3.33 (d, J=6.3 Hz, 2H), 2.00 - 1.94 (m, 2H), 1.90 - 1.84 (m, 2H), 1.79 - 1.67 (m, 3H), 1.14 - 1.01 (m, 3H)。
【0175】
実施例14 (1r,4r)-4-(4-アミノ-5-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)シクロヘキサン-1-カルボン酸(化合物15)
【化33】
【0176】
14a(40mg、0.075mmol)、THF(3mL)及びメタノール(3mL)の混合物に、水酸化リチウム一水和物(13mg、0.3mmol)を加えた。3時間撹拌した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物を分取HPLCで精製して表題化合物15を得た(23.1mg、固体、59%)。
MS m/z (ESI): 519 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.86 (s, 1H), 7.68 - 7.61 (m, 3H), 7.59 - 7.54(m, 2H), 7.31 - 7.25 (m, 1H), 7.21 - 7.17 (m, 1H), 4.72 (s, 2H), 3.99 (s, 3H), 3.44 - 3.38 (m, 1H), 2.45 - 2.38 (m, 1H), 2.20 - 2.09 (m, 4H), 1.90 - 1.80 (m, 2H), 1.70 - 1.61 (m, 2H)。
【0177】
実施例15 N-(4-(4-アミノ-7-((1r,4r)-4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-(メトキシ-d3)ベンズアミド(化合物18)
【化34】
【0178】
工程1 5-フルオロ-2-(メトキシ-d3)安息香酸メチル(18b)
アセトニトリル(10mL)中の5-フルオロ-2-ヒドロキシ安息香酸メチル18a(1.7g、10mmol)と炭酸カリウム(2.07g、15mmol)の混合物に、重水素化したヨウ化メチル(1.45g、10mmol)を加えた。24時間撹拌した後、濾過した。減圧下で溶媒から濾液を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/1~4/1)で精製して表題化合物18bを得た(900mg、48%)。
MS m/z (ESI): 188 [M+1]
【0179】
工程2 5-フルオロ-2-(メトキシ-d3)安息香酸(18c)
THF(5mL)中の18b(900mg、4.81mmol)の溶液に、水酸化ナトリウム水溶液(231mg、5.77mmol、2mL)を加えた。5時間撹拌した後、混合物を酢酸エチル(4M)中の塩酸でpH=4に調整し、酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機相を水(3×10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。減圧下で溶媒から濾液を留去して表題化合物18cを得た(600mg、72%)。生成物は、更に精製することなく次の工程で直接使用した。
MS m/z (ESI): 173 [M+1]
【0180】
工程3 (4-((5-フルオロ-2-(メトキシ-d3)ベンズアミド)メチル)フェニル)ボロン酸(18d)
DMF(5mL)中の18c(600mg、3.47mmol)、(4-(アミノメチル)フェニル)ボロン酸塩酸塩(649mg、3.47mmol)及びDIPEA(895mg、6.93mmol)の混合物に、HATU(1.58g、4.16mmol)を加えた。混合物を18時間撹拌し、次いで、分取HPLCで精製して表題化合物18dを得た(360mg、34%)。
MS m/z (ESI): 307 [M+1]
【0181】
工程4 (1r,4r)-4-(4-アミノ-5-(4-((5-フルオロ-2-(メトキシ-d3)ベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)シクロヘキサン-1-カルボン酸メチル(18e)
18e(50mg、0.12mmol)、18d(46mg、0.15mmol)、PdCl(dppf)(10mg、0.012mmol)、炭酸カリウム(26mg、0.19mmol)、1,4-ジオキサン(2mL)及び水(0.2mL)の混合物を、窒素雰囲気中で130℃に加熱し、1時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/1~1/100)で精製して表題化合物18fを得た(50mg、75%)。
MS m/z (ESI): 536 [M+1]
【0182】
工程5 N-(4-(4-アミノ-7-((1r,4r)-4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-(メトキシ-d3)ベンズアミド(18)
水素化アルミニウムリチウム(8mg、0.19mmol)を、THF(3mL)中の18f(50mg、0.093mmol)の溶液に0℃で加えた。混合物を徐々に室温まで温め、3時間撹拌した。水(0.1mL)でクエンチし、濾過した。減圧下で溶媒から濾液を留去し、残留物を分取HPLCで精製して表題化合物18を得た(15.4mg、固体、33%)。
MS m/z (ESI): 508 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.86 (s, 1H), 7.67 - 7.61 (m, 3H), 7.58 - 7.54 (m, 2H), 7.30 - 7.25 (m, 1H), 7.21 - 7.17 (m, 1H), 4.72 (s, 2H), 3.45 (d, J=6.3 Hz, 2H), 2.12 - 2.06 (m, 2H), 2.02 - 1.96 (m, 2H), 1.90 - 1.80 (m, 2H), 1.69 - 1.56 (m, 2H), 1.25 - 1.15 (m, 2H)。
【0183】
実施例16 N-(4-(8-アミノ-3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)ベンジル)-3-メトキシ-6-メチルピコリンアミド(化合物19)
【化35】
【0184】
工程1 (3-メトキシ-6-メチルピリジン-2-イル)メタノール(19b)
DMF(10mL)中の2-(ヒドロキシメチル)-6-メチルピリジン-3-オール19a(700mg、5mmol)と炭酸カリウム(2.07g、15mmol)の混合物に、ヨウ化メチル(1.42g、10mmol)を加えた。1時間撹拌した後、混合物に水(10mL)を加え、酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濾液から溶媒を留去して表題化合物19bを得た(600mg、粗生成物)。生成物は、更に精製することなく次の工程で直接使用した。
MS m/z (ESI): 154 [M+1]
【0185】
工程2 3-メトキシ-6-メチルピコリン酸(19c)
19b(600mg、4mmol)と水(40mL)の混合物に、水酸化カリウム水溶液(1N、20mL)及び過マンガン酸カリウム(1.26g、8mmol)を順次加えた。1.5時間撹拌した後、混合物を希塩酸(1N)でpH=4~6に調整し、ジクロロメタン(5×20mL)で抽出した。合わせた有機相を減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=100/0~4/1)で精製して表題化合物19cを得た(150mg、18%)。
MS m/z (ESI): 168 [M+1]
【0186】
工程3 (4-((3-メトキシ-6-メチルピコリンアミド)メチル)フェニル)ボロン酸(19d)
DMF(2mL)中の19c(150mg、0.90mmol)、(4-(アミノメチル)フェニル)ボロン酸塩酸塩(187mg、1.00mmol)及びDIPEA(258mg、2.0mmol)の混合物に、HATU(380mg、1.0mmol)を加えた。1時間撹拌した後、混合物に水(10mL)を加え、酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を分取HPLCで精製して表題化合物19dを得た(30mg、11%)。
MS m/z (ESI): 301 [M+1]
【0187】
工程4 N-(4-(8-((2,4-ジメトキシベンジル)アミノ)-3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)ベンジル)-3-メトキシ-6-メチルピコリンアミド(19f)
19e(59mg、0.13mmol)、19d(30mg、0.13mmol)、炭酸カリウム(51mg、0.39mmol)、PdCl(dppf)(10mg、0.013mmol)、1,4-ジオキサン(3mL)及び水(0.3mL)の混合物を、窒素雰囲気中で100℃に加熱し、18時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/0~3/2)で精製して表題化合物19fを得た(30mg、37%)。
MS m/z (ESI): 623 [M+1]
【0188】
工程5 N-(4-(8-アミノ-3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)ベンジル)-3-メトキシ-6-メチルピコリンアミド(19)
19f(30mg、0.048mmol)とトリフルオロ酢酸(5mL)の混合物を、100℃に加熱し、1時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物を分取HPLCで精製して表題化合物19を得た(6.0mg、固体、27%)。
MS m/z (ESI): 473 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.73 - 7.45 (m, 6H), 7.39 (s, 1H), 7.00 (d, J=4.9 Hz, 1H), 4.70 (s, 2H), 4.11 - 3.85 (m, 5H), 3.71 (t, J=10.9 Hz, 1H), 3.53 (t, J=10.6 Hz, 1H), 3.44 (t, J=11.1 Hz, 1H), 2.48 (s, 3H), 2.15 (d, J=11.9 Hz, 1H), 2.09 - 1.93 (m, 1H), 1.89 (dd, J=23.3, 10.2 Hz, 1H), 1.77 (d, J=13.1 Hz, 1H)。
【0189】
実施例17 N-(4-(8-アミノ-3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)ベンジル)-5-メトキシ-2-メチルイソニコチンアミド(化合物20)
【化36】
【0190】
工程1 2-ブロモ-5-メトキシイソニコチン酸(20b)
メタノール(40mL)中の2-ブロモ-5-フルオロイソニコチン酸20a(2.2g、10mmol)の溶液に、ナトリウムメトキシド(2.7g、メタノール中に30%、15mmol)を加えた。混合物を60℃に加熱し、4時間撹拌した。室温まで冷却した後、ナトリウムメトキシド(1.8g、メタノール中に30%、10mmol)を加え、混合物を再び60℃に加熱し、18時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去した。残留物を水(20mL)に溶解し、混合物を塩酸(12N)でpH=4に調整した。濾過後、沈殿を集めて表題化合物20bを得た(2.06g、89%)。
MS m/z (ESI): 232 [M+1]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.62 (s, 1H), 8.34 (s, 1H), 7.70 (s, 1H), 3.92 (s, 3H)。
【0191】
工程2 2-ブロモ-5-メトキシイソニコチン酸メチル(20c)
メタノール(60mL)中の20b(2.06g、8.9mmol)の溶液に、濃硫酸(1.13g、1.3mmol)を加え、混合物を16時間加熱還流した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(100mL)を加えた。次いで混合物をジクロロメタン(3×50mL)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/0~2/3)で精製して表題化合物20cを得た(1.86g、85%)。
MS m/z (ESI): 246 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.19 (s, 1H), 7.74 (s, 1H), 3.99 (s, 3H), 3.93 (s, 3H)。
【0192】
工程3 5-メトキシ-2-メチルイソニコチン酸メチル(20d)
THF(24mL)中の20c(1.61g、6.6mmol)の溶液に、トリメチルアルミニウム(ヘキサン中に2M、3.94mL、7.9mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(758mg、0.66mmol)を窒素雰囲気中で加えた。混合物を70℃に加熱し、4時間撹拌した。室温まで冷却した後、塩化アンモニウムの飽和溶液(100mL)及び酢酸エチル(100mL)を順次加えた。沈殿を濾別し、濾液を静置した。分離した水相を酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和ブライン(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル=100/0~2/3)で精製して表題化合物20dを得た(1.43g、トリフェニルホスフィンとの混合物)。生成物は、更に精製することなく次の工程で直接使用した。
MS m/z (ESI): 182 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.32 (s, 1H), 7.44 (s, 1H), 3.98 (s, 3H), 3.92 (s, 3H), 2.54 (s, 3H)。
【0193】
工程4 5-メトキシ-2-メチルイソニコチン酸(20e)
20d(1.43g、トリフェニルホスフィンとの混合物)、メタノール(6mL)及びTHF(6mL)の混合物に、水酸化ナトリウム溶液(2.5N、6mL、15mmol)を加えた。混合物を16時間撹拌し、減圧下で溶媒を留去した。残留物を水(20mL)に溶解し、イソプロピルエーテル(3×20mL)で洗浄した。水相を濃塩酸でpH=4とし、約2mLに濃縮し、THF(100mL)で抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して表題化合物20eを得た(633mg、2工程で50%)。
MS m/z (ESI): 168 [M+1]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.27 (s, 1H), 8.36 (s, 1H), 7.36 (s, 1H), 3.88 (s, 3H), 2.43 (s, 3H)。
【0194】
工程5 (4-((5-メトキシ-2-メチルイソニコチンアミド)メチル)フェニル)ボロン酸(20f)
ジクロロメタン(2mL)中の20e(119mg、0.71mmol)と(4-(アミノメチル)フェニル)ボロン酸塩酸塩(133mg、0.71mmol)の混合物に、DIPEA(367mg、2.84mmol)とHATU(270mg、0.71mmol)を加えた。混合物を1時間撹拌し、減圧下で溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=100/0~19/1)で精製して表題化合物20fを得た(80mg、38%)。
MS m/z (ESI): 301 [M+1]
【0195】
工程6 N-(4-(8-((2,4-ジメトキシベンジル)アミノ)-3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)ベンジル)-5-メトキシ-2-メチルイソニコチンアミド(20g)
20f(80mg、0.27mmol)、19e(119mg、0.27mmol)、炭酸カリウム(149mg、1.1mmol)、PdCl(dppf)(20mg、0.027mmol)、1,4-ジオキサン(20mL)及び水(2mL)の混合物を、100℃に加熱し、窒素雰囲気中で8時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=100/0~26/1)で精製して表題化合物20gを得た(54mg、32%)。
MS m/z (ESI): 623 [M+1]
【0196】
工程7 N-(4-(8-アミノ-3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)ベンジル)-5-メトキシ-2-メチルイソニコチンアミド(20)
20g(54mg、0.087mmol)のトリフルオロ酢酸(5mL)溶液を80℃に加熱し、20時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物を分取HPLCで精製して表題化合物20を得た(10.8mg、固体、26%)。
MS m/z (ESI): 473 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.36 (s, 1H), 7.70 -7.52 (m, 6H), 7.04 (d, J=4.7 Hz, 1H), 4.72 (s, 2H), 4.13-3.99 (m, 2H), 4.07 (s, 3H), 3.74 (t, J=10.9 Hz, 1H), 3.56 (td, J=11.5, 2.5 Hz, 1H), 3.51-3.43 (m, 1H), 2.54 (s, 3H), 2.18 (d, J=12.7 Hz, 1H), 2.04 (ddd, J=15.7, 12.4, 4.2 Hz, 1H), 1.95-1.84 (m, 1H), 1.83-1.75 (m, 1H)。
【0197】
以下に示す化合物を、工程6で(4-((5-メトキシ-2-メチルイソニコチンアミド)メチル)フェニル)ボロン酸20fの代わりに別のフェニルボロン酸を使用したことを除いて、実施例20の工程6~7の方法に従って合成した。
【表I】
【0198】
化合物21及び25のNMRデータを以下に示す:
【表J】
【0199】
実施例18 (R)-N-(4-(4-アミノ-7-(ピロリジン-3-イル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(化合物22)
【化37】
【0200】
工程1 1-ベンジル 3-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル) (R)-ピロリジン-1,3-ジカルボキシラート(22b)
THF(30mL)中の(R)-1-((ベンジルオキシ)カルボニル)ピロリジン-3-カルボン酸22a(748mg、3mmol)と1-ヒドロキシ-ピロリジン-2,5-ジオン(380mg、3.3mmol)の混合物を、0℃に冷却し、ジシクロヘキシルカルボジイミド(743mg、3.6mmol)を加えた。室温まで温め、4時間撹拌した後、混合物を0℃に冷却し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮乾固して表題化合物22bを得た(1.1g、100%)。生成物は、更に精製することなく次の工程で直接使用した。
MS m/z (ESI): 347 [M+1]
【0201】
工程2 (R)-3-(((5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-イル)メチル)カルバモイル)ピロリジン-1-カルボン酸ベンジル(22c)
DMF(10mL)中の12f(915mg、6mmol)とDBU(4.6g、30mmol)の混合物に、THF(10mL)中の22b(1.1g、3mmol)を加えた。4時間撹拌した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物を分取HPLCで精製して表題化合物22cを得た(240mg、22%)。
MS m/z (ESI): 358 [M+1]
【0202】
工程3 (R)-3-(4-オキソ-3,4-ジヒドロイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピロリジン-1-カルボン酸ベンジル(22d)
アセトニトリル(15mL)中の22c(240mg、0.67mmol)の溶液に、オキシ塩化リン(5mL)を加えた。得られた混合物を80℃に加熱し、5時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、表題化合物22dを得た(270mg、粗生成物)。生成物は、更に精製することなく次の工程で直接使用した。
MS m/z (ESI): 340 [M+1]
【0203】
工程4 (R)-3-(5-ヨード-4-オキソ-3,4-ジヒドロイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピロリジン-1-カルボン酸ベンジル(22e)
DMF(10mL)中の22d(270mg、粗生成物、0.67mmol)の溶液に、NIS(1.51g、6.7mmol)を加えた。得られた混合物を50℃に加熱し、2時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物を分取HPLCで精製して表題化合物22eを得た(140mg、45%)。
MS m/z (ESI): 466 [M+1]
【0204】
工程5 (R)-3-(4-アミノ-5-ヨードイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピロリジン-1-カルボン酸ベンジル(22f)
ピリジン(1mL)中の1H-[1,2,4]トリアゾール(207mg、3mmol)の溶液に、オキシ塩化リン(138mg、0.9mmol)を加えた。10分間撹拌した後、ピリジン(1mL)中の22e(140mg、0.3mmol)の溶液を加えた。更に2時間撹拌した後、アンモニアのイソプロパノール溶液(2M、5mL、10mmol)を加え、撹拌を更に1時間続けた。減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=20/1~1/2)で精製して表題化合物22fを得た(220mg、粗生成物)。生成物は、更に精製することなく次の工程で直接使用した。
MS m/z (ESI): 465 [M+1]
【0205】
工程6 (R)-3-(4-アミノ-5-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ピロリジン-1-カルボン酸ベンジル(22g)
22f(220mg、粗生成物)、1b(136mg、0.45mmol)、炭酸カリウム(83mg、0.6mmol)、PdCl(dppf)(44mg、0.06mmol)、1,4-ジオキサン(4mL)及び水(1mL)の混合物を、窒素雰囲気中で105℃に加熱し、1.5時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物を分取HPLCで精製して表題化合物22gを得た(45mg、25%)。
MS m/z (ESI): 596 [M+1]
【0206】
工程7 (R)-N-(4-(4-アミノ-7-(ピロリジン-3-イル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(22)
ジクロロメタン(10mL)中の22g(45mg、0.076mmol)の溶液に、0℃で、ヨウ化トリメチルシリル(30mg、0.15mmol)を加えた。混合物を室温まで温め、2時間撹拌した。減圧下で溶媒を留去し、残留物を分取HPLCで精製して表題化合物22を得た(20mg、固体、57%)。
MS m/z (ESI): 462 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.90 (s, 1H), 7.67 - 7.59 (m, 3H), 7.55 (d, J=8.3 Hz, 2H), 7.26 (ddd, J=9.1, 7.6, 3.3 Hz, 1H), 7.18 (dd, J=9.1, 4.2 Hz, 1H), 4.69 (s, 2H), 4.32 - 4.25 (m, 1H), 3.97 (d, J=8.2 Hz, 3H), 3.81 - 3.73 (m, 2H), 3.60 - 3.54 (m, 1H), 3.47 (dd, J=7.4, 4.2 Hz, 1H), 2.57 (dd, J=13.4, 6.3 Hz, 1H), 2.46 - 2.39 (m, 1H)。
【0207】
以下に示す化合物を、工程1で(R)-1-((ベンジルオキシ)カルボニル)ピロリジン-3-カルボン酸22aの代わりに別のカルボン酸を使用したことを除いて、実施例18の工程1~6の方法に従って合成した。
【表K】
【0208】
化合物26、28、29及び43のNMRデータを以下に示す:
【表L】
【0209】
実施例19 N-(4-(8-アミノ-3-((1r,4r)-4-(メチルカルバモイル)シクロヘキシル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(化合物23)
【化38】
【0210】
DMF(2mL)中の13(8mg、0.015mmol)、塩化アンモニウム(3mg、0.045mmol)及びDIPEA(8mg、0.06mmol)の混合物に、HATU(11mg、0.03mmol)を加えた。30分間撹拌した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物を分取HPLCで精製して表題化合物23をギ酸塩として得た(5.5mg、固体、63%)。
MS m/z (ESI): 531 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 9.02 (s, 1H), 7.88 (d, J=4.9 Hz, 1H), 7.71 (d, J=5.6 Hz, 1H), 7.60 (dt, J=24.3, 6.5 Hz, 4H), 7.29 - 7.22 (m, 1H), 7.18 (dd, J=9.1, 4.2 Hz, 1H), 6.98 (d, J=5.5 Hz, 1H), 4.71 (d, J=3.9 Hz, 2H), 3.98 (s, 3H), 3.22 - 3.14 (m, 1H), 2.73 (d, J=4.5 Hz, 3H), 2.31 (dd, J=13.4, 9.8 Hz, 1H), 2.08 (d, J=13.4 Hz, 2H), 1.96 (d, J=12.4 Hz, 2H), 1.87 - 1.65 (m, 4H)。
【0211】
実施例20 (R)-N-(4-(4-アミノ-7-(1-(シクロプロパンカルボニル)ピロリジン-3-イル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(化合物24)
【化39】
【0212】
THF(10mL)中の22(110mg、0.24mmol)と炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(5mL)の混合物に、0℃で、シクロプロピルギ酸クロリド(37mg、0.36mmol)を加えた。室温まで温めた後、混合物を30分間撹拌し、飽和ブライン(10mL)で希釈し、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=100/1~15/1)で精製して表題化合物24を得た(57.5mg、固体、45%)。
MS m/z (ESI): 530 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.87 (dd, J=6.5, 2.7 Hz, 1H), 7.62 (dd, J=9.1, 3.0 Hz, 3H), 7.53 (d, J=8.1 Hz, 2H), 7.28 - 7.22 (m, 1H), 7.17 (dd, J=9.1, 4.2 Hz, 1H), 4.69 (s, 2H), 4.30 - 4.19 (m, 1H), 4.11 - 3.99 (m, 2H), 3.97 (s, 3H), 3.91 - 3.68 (m, 2H), 2.55 - 2.37 (m, 2H), 1.87 - 1.78 (m, 1H), 0.93 - 0.81 (m, 4H)。
【0213】
実施例21 1-(8-アミノ-1-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルピペリジン-4-カルボン酸(化合物27)
【化40】
【0214】
工程1 1-(8-アミノ-1-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルピペリジン-4-カルボン酸メチル(27b)
27a(360mg、0.52mmol)とトリフルオロ酢酸(5mL)の混合物を、90℃に加熱し、5時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物を分取HPLCで精製して表題化合物27bを得た(180mg、64%)。
MS m/z (ESI): 547 [M+1]
【0215】
工程2 1-(8-アミノ-1-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)-4-メチルピペリジン-4-カルボン酸(27)
27b(180mg、0.33mmol)、水(2mL)、メタノール(2mL)及び水酸化リチウム(79mg、3.3mmol)の混合物を2時間撹拌した。次いで減圧下で溶媒を留去し、残留物を分取HPLCで精製して表題化合物27を得た(21.2mg、固体、12%)。
MS m/z (ESI): 533 [M+1]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.40 (s, 1H), 8.84 (t, J=5.6 Hz ,1H), 7.57 (d, J=8.2 Hz, 2H), 7.52 (dd, J=9.2, 3.3 Hz, 1H), 7.44 (d, J=8.2 Hz, 2H), 7.37 - 7.31 (m, 1H), 7.23 (d, J=5.0 Hz, 1H), 7.19 (dd, J=9.1, 4.3 Hz, 1H), 6.95 (d, J=5.0 Hz, 1H), 6.01 (s, 2H), 4.56 (d, J=6.0 Hz, 2H), 3.90 (s, 3H), 3.22 (m, 2H), 2.96 (m, 2H), 2.11 (d, J=13.4 Hz, 2H), 1.63 (m, 2H), 1.22 (s, 3H)。
【0216】
実施例22 3-(4-アミノ-5-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボン酸(化合物31)
【化41】
【0217】
THF(10mL)中の29(65mg、0.13mmol)と水酸化リチウム水溶液(1N、2mL)の混合物を1時間撹拌した。混合物を氷酢酸でpH=7~8に調整し、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を分取HPLCで精製して表題化合物31を得た(50mg、固体、79%)。
MS m/z (ESI): 503 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.86 (s, 1H), 7.64 - 7.59 (m, 3H), 7.54 (d, J=8.3 Hz, 2H), 7.25 (ddd, J=9.1, 7.6, 3.3 Hz, 1H), 7.17 (dd, J=9.1, 4.2 Hz, 1H), 4.70 (d, J=4.0 Hz, 2H), 3.97 (s, 3H), 2.62 (s, 6H)。
【0218】
実施例23 (1r,4r)-4-(8-アミノ-1-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)-1,4-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボン酸(化合物32)
【化42】
【0219】
工程1 1,4-ジメチルシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ジメチル(32b)
THF(25mL)中のLDA(2M、12.5mL、25mmol)及びヘキサメチルリン酸トリアミド(13.9mL、79.9mmol)の溶液に、-78℃で、THF(2mL)中のシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ジメチル32a(2g、10mmol)を加えた。1時間撹拌した後、混合物を0℃まで温め、更に1時間撹拌した。混合物を再び-78℃に冷却し、ヨウ化メチル(7.75g、54.6mmol)を加えた。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。1N塩酸(3mL)を加え、酢酸エチル(50mL)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮乾固した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=78/22)で精製して表題化合物32bを得た(450mg、20%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 3.59 (s, 6H), 1.79 - 1.70 (m, 4H), 1.47 - 1.38 (m, 4H), 1.13 (s, 6H)。
【0220】
工程2 4-(メトキシカルボニル)-1,4-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボン酸(32c)
32b(387mg、1.70mmol)、水酸化カリウム(476mg、8.5mmol)、メタノール(2mL)及び水(2mL)の混合物を、80℃に加熱し、16時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応混合物を減圧下で濃縮乾固し、1N塩酸(5mL)を加え、酢酸エチル(8mL)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮乾固して表題化合物32cを得た(325mg、粗生成物、90%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 3.59 (s, 3H), 1.82 - 1.70 (m, 4H), 1.46 - 1.32 (m, 4H), 1.12 (d, J=7.6 Hz, 6H)。
【0221】
工程3 (1r,4r)-4-(((3-クロロピラジン-2-イル)メチル)カルバモイル)-1,4-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボン酸メチル(32d)及び(1s,4s)-4-(((3-クロロピラジン-2-イル)メチル)カルバモイル)-1,4-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボン酸メチル(32e)
DMF(15mL)中の32c(492mg、2.30mmol)と(3-クロロピラジン-2-イル)メチルアミン塩酸塩(621mg、3.45mmol)の混合物に、DIPEA(1.48g、11.45mmol)とHATU(1.31g、15mL)を加えた。2時間撹拌した後、混合物を分取HPLC、次いで、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=1/1)で精製して表題化合物32d(190mg、24%)及び32e(60mg、8%)を得た。
MS m/z (ESI): 340 [M+1]
【0222】
工程4~7 (1r,4r)-4-(8-((2,4-ジメトキシベンジル)アミノ)-1-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)-1,4-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボン酸メチル(32j)
化合物32jを、5bの代わりに32dを使用したことを除いて、実施例4の工程2~5の方法に従って合成した。
MS m/z (ESI): 710 [M+1]
【0223】
工程8 (1r,4r)-4-(8-アミノ-1-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)-1,4-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボン酸メチル(32k)
32j(60mg、0.084mmol)のトリフルオロ酢酸溶液(3mL)を90℃に加熱し、5時間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を濃縮乾固し、残留物を分取HPLCで精製して表題化合物32kを得た(30mg、63%)。
MS m/z (ESI): 560 [M+1]
【0224】
工程9 (1r,4r)-4-(8-アミノ-1-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)-1,4-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボン酸(32)
32k(30mg、0.054mmol)、水酸化リチウム一水和物(9.6mg、0.24mmol)、水(1mL)及びメタノール(1mL)の混合物を2時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮乾固した。残留物を分取HPLCで精製して表題化合物32を得た(9mg、固体、31%)。
MS m/z (ESI): 546 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.24 (s, 1H), 7.73 (d, J=5.5 Hz, 1H), 7.63 (dd, J=9.0, 3.1 Hz, 3H), 7.54 (d, J=8.3 Hz, 2H), 7.26 (ddd, J=9.1, 7.6, 3.3 Hz, 1H), 7.17 (dd, J=9.1, 4.2 Hz, 1H), 6.94 (d, J=5.4 Hz, 1H), 4.70 (s, 2H), 3.97 (s, 3H), 2.58 (d, J=14.4 Hz, 2H), 2.09 (d, J=13.8 Hz, 2H), 1.65 (t, J=11.9 Hz, 2H), 1.39 (s, 5H), 1.09 (s, 3H)。
【0225】
化合物39を、工程4で32dの代わりに32eを使用したことを除いて、実施例23の工程4~8の方法に従って合成した。
【表M】
【0226】
化合物39のNMRデータを以下に示す:
【表N】
【0227】
実施例24 4-(8-アミノ-1-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボン酸メチル(化合物33)
【化43】
【0228】
工程1 4-(((3-クロロピラジン-2-イル)メチル)カルバモイル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボン酸メチル(33b)
DMF(10mL)中の4-(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボン酸33a(1.06g、5mmol)、(3-クロロピラジン-2-イル)メチルアミン塩酸塩5a(900mg、5mmol)及びDIPEA(1.94g、15mmol)の混合物に、HATU(2.47g、6.5mmol)を加えた。30分間撹拌した後、混合物を水(40mL)で希釈し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和ブライン(80mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=50/1~2/1)で精製して表題化合物33bを得た(1.5g、89%)。
MS m/z (ESI): 338 [M+1]
【0229】
工程2 4-(8-クロロイミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボン酸メチル (33c)
アセトニトリル(10mL)中の33b(1.5g、4.44mmol)とオキシ塩化リン(20mL)の混合物を、120℃に加熱し、4時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去して表題化合物33cを得た(1.4g、粗生成物)。生成物は、更に精製することなく次の工程で直接使用した。
MS m/z (ESI): 320 [M+1]
【0230】
工程3 4-(8-クロロ-1-ヨードイミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボン酸メチル(33d)
DMF(10mL)中の33c(1.4g、粗生成物)の混合物に、NIS(2g、8.9mmol)を加えた。得られた混合物を50℃に加熱し、2時間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を水(30mL)で希釈し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和ブライン(80mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=50/1~2/1)で精製して表題化合物33dを得た(1.5g、2工程で76%)。
MS m/z (ESI): 446 [M+1]
【0231】
工程4 4-(8-((2,4-ジメトキシベンジル)アミノ)-1-ヨードイミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボン酸メチル(33e)
アセトニトリル(30mL)中の33d(1.5g、3.4mmol)、2,4-ジメトキシベンジルアミン(675mg、4.0mmol)及びDIPEA(868mg、6.7mmol)の混合物を、90℃に加熱し、密封したチューブ中で15時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=50/1~3/1)で精製して表題化合物33eを得た(1.7g、88%)。
MS m/z (ESI): 577 [M+1]
【0232】
工程5 4-(8-((2,4-ジメトキシベンジル)アミノ)-1-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボン酸メチル(33f)
33e(1.7g、3mmol)、1b(1.36g、4.5mmol)、炭酸カリウム(828mg、6mmol)、PdCl(dppf)(219mg、0.3mmol)、1,4-ジオキサン(16mL)及び水(4mL)の混合物を、窒素雰囲気中で100℃に加熱し、2時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=50/1~1/2)で精製して表題化合物33fを得た(1.7g、80%)。
MS m/z (ESI): 708 [M+1]
【0233】
工程6 4-(8-アミノ-1-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボン酸メチル(33)
33f(1.7g、2.4mmol)、ジクロロメタン(5mL)及びトリフルオロ酢酸(30mL)の混合物を、加熱還流し、5時間撹拌した。室温まで冷却した後、減圧下で溶媒を留去し、残留物をメタノール(50mL)に溶解し、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液でpH=7~8に調整した。次いで減圧下で溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=100/1~20/1)で精製して表題化合物33を得た(1.2g、固体、89%)。
MS m/z (ESI): 558 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.80 (d, J=5.3 Hz, 1H), 7.62 (dd, J=9.2, 3.2 Hz, 1H), 7.55 (dd, J=19.7, 8.3 Hz, 4H), 7.28 - 7.22 (m, 1H), 7.17 (dd, J=9.1, 4.2 Hz, 1H), 6.93 (d, J=5.3 Hz, 1H), 4.69 (s, 2H), 3.96 (s, 3H), 3.67 (s, 3H), 2.18 (dd, J=9.8, 5.9 Hz, 6H), 1.98 (dd, J=9.7, 5.9 Hz, 6H)。
【0234】
以下に示す化合物を、工程1で4-(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボン酸33aの代わりに別のカルボン酸を使用したことを除いて、実施例24の方法に従って合成した。
【表O】
【0235】
化合物38及び42のNMRデータを以下に示す:
【表P】
【0236】
実施例25 4-(8-アミノ-1-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボン酸(化合物34)
【化44】
【0237】
THF(20mL)中の33(1g、1.8mmol)と水酸化リチウム水溶液(1N、6mL)の混合物を、50℃に加熱し、15時間撹拌した。室温まで冷却した後、氷酢酸(1mL)を混合物に加え、減圧下で溶媒を留去した。残留物を分取HPLCで精製して表題化合物34を得た(300mg、固体、31%)。
MS m/z (ESI): 544 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.81 (d, J=5.3 Hz, 1H), 7.62 (dd, J=9.2, 3.2 Hz, 1H), 7.55 (dd, J=20.5, 8.3 Hz, 4H), 7.28 - 7.23 (m, 1H), 7.17 (dd, J=9.1, 4.2 Hz, 1H), 6.93 (d, J=5.3 Hz, 1H), 4.70 (s, 2H), 3.96 (s, 3H), 2.18 (dd, J=9.6, 5.9 Hz, 6H), 1.99 (dd, J=9.8, 5.8 Hz, 6H)。
【0238】
以下に示す化合物を、33の代わりに別のエステルを使用したことを除いて、実施例25の方法に従って合成した。
【表Q】
【0239】
化合物40、41及び48のNMRデータを以下に示す:
【表R】
【0240】
実施例26 N-(4-(8-アミノ-3-(4-(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(化合物35)
【化45】
【0241】
THF(20mL)中の33(100mg、0.18mmol)の溶液に、0℃で、水素化アルミニウムリチウム(7mg、0.18mmol)を加えた。1時間撹拌した後、混合物を飽和ブライン(0.5mL)に加え、減圧下で溶媒を留去した。残留物をTLC(ジクロロメタン/メタノール=12/1)で精製して表題化合物35を得た(32.2mg、固体、34%)。
MS m/z (ESI): 530 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.79 (d, J=5.3 Hz, 1H), 7.62 (dd, J=9.2, 3.2 Hz, 1H), 7.59 - 7.50 (m, 4H), 7.25 (ddd, J=9.1, 7.6, 3.3 Hz, 1H), 7.17 (dd, J=9.1, 4.2 Hz, 1H), 6.92 (d, J=5.3 Hz, 1H), 4.69 (s, 2H), 3.96 (s, 3H), 3.26 (s, 2H), 2.14 (dd, J=9.4, 6.3 Hz, 6H), 1.65 - 1.59 (m, 6H)。
【0242】
以下に示す化合物を、33の代わりに別のエステルを使用したことを除いて、実施例26の方法に従って合成した。
【表S】
【0243】
化合物50のNMRデータを以下に示す:
【表T】
【0244】
実施例27 4-(8-アミノ-1-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル)-N-メチルビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキサミド(化合物36)
【化46】
【0245】
DMF(1.5mL)中の34(82mg、0.15mmol)、メチルアミン塩酸塩(20mg、0.3mmol)及びDIPEA(78mg、0.6mmol)の混合物に、HATU(114mg、0.3mmol)を加えた。30分間撹拌した後、混合物を分取HPLCで精製して表題化合物36を得た(11.5mg、固体、14%)。
MS m/z (ESI): 557 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.83 (d, J=5.4 Hz, 1H), 7.70-7.50 (m, 5H), 7.26 (ddd, J=9.1, 7.6, 3.3 Hz, 1H), 7.17 (dd, J=9.1, 4.2 Hz, 1H), 6.93 (d, J=5.4 Hz, 1H), 4.70 (d, J=4.0 Hz, 2H), 3.97 (s, 3H), 2.72 (t, J=5.0 Hz, 3H), 2.19 (dd, J=9.6, 6.0 Hz, 6H), 1.93 (dd, J=9.5, 6.1 Hz, 6H)。
【0246】
実施例28 N-(4-(8-アミノ-3-(4-(モルホリン-4-カルボニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(化合物37)
【化47】
【0247】
DMF(1.5mL)中の34(82mg、0.15mmol)、モルホリン(26mg、0.3mmol)及びDIPEA(78mg、0.6mmol)の混合物に、HATU(114mg、0.3mmol)を加えた。30分間撹拌した後、混合物を分取HPLCで精製して表題化合物37を得た(17.2mg、固体、19%)。
MS m/z (ESI): 613 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.84 (d, J=5.4 Hz, 1H), 7.62 (dd, J=9.2, 3.2 Hz, 1H), 7.55 (dd, J=20.6, 8.3 Hz, 4H), 7.26 (ddd, J=9.1, 7.6, 3.3 Hz, 1H), 7.17 (dd, J=9.1, 4.2 Hz, 1H), 6.93 (d, J=5.4 Hz, 1H), 4.69 (s, 2H), 3.97 (s, 3H), 3.71 (d, J=5.0 Hz, 4H), 3.67 (d, J=4.9 Hz, 4H), 2.25 - 2.15 (m, 6H), 2.08 (dd, J=9.7, 5.4 Hz, 6H)。
【0248】
以下に示す化合物を、34の代わりに別の酸を使用したことを除いて、実施例28の方法に従って合成した。
【表U】
【0249】
化合物54のNMRデータを以下に示す:
【表V】
【0250】
実施例29 N-(4-(4-アミノ-7-モルホリノイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(化合物45)
【化48】
【0251】
工程1 1-アミノ-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(45b)
THF中の1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル45a(630mg、5.0mmol)の溶液に、-78℃で、LiHMDSのTHF溶液(1M、5mL)を加えた。溶液を-10℃まで温め、3時間撹拌し、次いでジフェニルホスホニルヒドロキシルアミン(1.28g、5.5mmol)を加えた。混合物を室温まで温め、更に12時間撹拌した。減圧下で濃縮乾固し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=10/1)で精製して表題化合物45bを得た(450mg、63%)。
MS m/z (ESI): 142 [M+1]
【0252】
工程2 イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4(3H)-オン(45c)
エタノール(10mL)中の45b(450mg、3.17mmol)とホルムアミジン酢酸塩(1.65g、15.85mmol)の混合物を、85℃に加熱し、2日間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を濃縮乾固し、水(50mL)を加えた。混合物を濾過し、濾過ケークを集めて表題化合物45cを得た(330mg、76%)。
MS m/z (ESI): 137 [M+1]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.88 (s, 1H), 8.47 (d, J=0.7 Hz, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.79 (d, J=0.7 Hz, 1H)。
【0253】
工程3 5,7-ジブロモイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4(3H)-オン(45d)
DMF(5mL)中の45c(450mg、3.3mmol)の溶液に、0℃で、液体の臭素(1.6g)を加えた。3時間撹拌した後、混合物を濾過して表題化合物45dを得た(550mg、77%)。
MS m/z (ESI): 293 [M+1]
【0254】
工程4 5-ブロモ-7-モルホリノイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4(3H)-オン(45e)
45d(300mg、1.02mmol)、モルホリン(89mg、1.02mmol)、DMSO(1mL)及びDIPEA(263mg、2.04mmol)の混合物を、95℃に加熱し、12時間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を濃縮乾固した。残留物を水(5mL)に分散させ、酢酸エチル(2×10mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=10/1)で精製して表題化合物45eを得た(220mg、72%)。
MS m/z (ESI): 300 [M+1]
【0255】
工程5 5-ブロモ-7-モルホリノイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン(45f)
ピリジン(5mL)中の1H-[1,2,4]トリアゾール(455mg、6.6mmol)の溶液に、オキシ塩化リン(335mg、2.19mmol)を加えた。混合物を10分間撹拌し、次いで0℃に冷却し、ピリジン(3mL)中の45e(220mg、0.73mmol)の溶液を加えた。0℃で2時間撹拌した後、アンモニアのイソプロパノール溶液(2M、3.65mL)を加えた。得られた混合物を室温で12時間撹拌し、減圧下で濃縮乾固した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=10/1)で精製して表題化合物45fを得た(86.5mg、59.3%)。
MS m/z (ESI): 299 [M+1]
【0256】
工程6 N-(4-(4-アミノ-7-モルホリノイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(45)
45f(86.5mg、0.3mmol)、1b(115.5mg、0.3mmol)、炭酸カリウム(82.8mg、0.6mmol)、1,4-ジオキサン(5mL)及び水(1mL)の混合物に、PdCl(dppf)(24.5mg、0.03mmol)を加えた。混合物を90℃に加熱し、2時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応混合物を濃縮乾固した。残留物を水(10mL)に分散させ、酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和ブライン(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮乾固した。残留物を分取HPLCで精製して表題化合物45を得た(10mg、固体、7%)。
MS m/z (ESI): 478 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.70 (s, 1H), 7.66 - 7.58 (m, 3H), 7.52 (d, J=8.3 Hz, 2H), 7.26 (ddd, J=9.1, 7.6, 3.3 Hz, 1H), 7.17 (dd, J=9.1, 4.2 Hz, 1H), 4.68 (s, 2H), 3.97 (s, 3H), 3.89 - 3.81 (m, 4H), 3.63 - 3.53 (m, 4H)。
【0257】
実施例30 (1s,4s)-4-(4-アミノ-5-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-1,4-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボン酸(化合物46)
【化49】
【0258】
工程1 (1s,4s)-1,4-ジメチルシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ジメチル(46a)及び(1r,4r)-1,4-ジメチルシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ジメチル(46b)
THF(125mL)中のLDA(2M、62.5mL、125mmol)及びヘキサメチルリン酸トリアミド(69.5mL、400mmol)の溶液に、-50℃で、1,4-ジオキサン(10mL)中の32a(10g、50mmol)の溶液を滴下した。1時間撹拌した後、溶液を0℃まで温め、更に1時間撹拌した。再び-50℃に冷却し、ヨウ化メチル(31g、218.4mmol)を溶液に加え、室温での撹拌を16時間続けた。溶液を1N塩酸(30mL)に加え、酢酸エチル(50mL)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=78/22)で精製して表題化合物46a(2.9g、25%)及び46b(1.4g、12%)を得た。
【0259】
工程2 (1s,4s)-4-(メトキシカルボニル)-1,4-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボン酸(46c)
46a(1g、4.38mmol)、水酸化カリウム(334mg、6.0mmol)、メタノール(20mL)及び水(20mL)の混合物を、80℃に加熱し、16時間撹拌した。室温まで冷却した後、溶液を濃縮乾固した。残留物を1N塩酸(20mL)に加え、酢酸エチル(30mL)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮して表題化合物46cを得た(795mg、85%)。
【0260】
工程3~8 (1s,4s)-4-(4-アミノ-5-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-1,4-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボン酸メチル(46i)
化合物46iを、工程3で(R)-1-((ベンジルオキシ)カルボニル)ピロリジン-3-カルボン酸22aの代わりに46cを使用したことを除いて、実施例18の工程1~6の方法に従って合成した。
MS m/z (ESI): 561 [M+1]
【0261】
工程9 (1s,4s)-4-(4-アミノ-5-(4-((5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド)メチル)フェニル)イミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-1,4-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボン酸(46)
化合物46を、工程3で33の代わりに46iを使用したことを除いて、実施例26の工程1~6の方法に従って合成した。
MS m/z (ESI): 547 [M+1]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.00 (s, 1H), 8.84 (t, J=6.0 Hz 1H), 7.87 (s, 1H), 7.59 (d, J=8.2 Hz, 2H), 7.53 (m, 1H), 7.47 (d, J=8.2 Hz, 2H), 7.34 (s, 1H), 7.19 (m, 1H), 4.57 (d, J=6.1 Hz, 2H), 3.90 (s, 3H), 3.29 (s, 2H), 2.33 (s, 2H), 1.88 (m, 4H), 1.44 (m, 5H), 1.18 (s, 3H)。
【0262】
以下に示す化合物47を、工程2で46aの代わりに46bを使用したことを除いて、実施例30の工程2~9の方法に従って合成した。
【表W】
【0263】
化合物47のNMRデータを以下に示す:
【表X】
【0264】
実施例31 N-(4-(6-アミノ-8-オキソ-9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-8,9-ジヒドロ-7H-プリン-7-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(化合物51)
【化50】
【0265】
工程1 N,N-ジベンジル-6-クロロ-5-ニトロピリミジン-4-アミン(51a)
ジクロロメタン(10mL)中の4,6-ジクロロ-5-ニトロピリミジン51a(1.93g、10mmol)とトリエチルアミン(2.02g、20mmol)の混合物に、ジベンジルアミン(1.97g、10mmol)のジクロロメタン溶液(5mL)を10分かけて加えた。得られた混合物を0℃で1時間撹拌し、減圧下で濃縮乾固した。残留物を水(70mL)に懸濁し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和ブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮乾固した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/0~9/1)で精製して表題化合物51bを得た(3.21g、91%)。
MS m/z (ESI): 355[M+1]
【0266】
工程2 N4,N4-ジベンジル-5-ニトロ-N6-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ピリミジン-4,6-ジアミン(51c)
ジクロロメタン(5mL)中の51b(0.8g、2.25mmol)とトリエチルアミン(455mg、4.5mmol)の混合物に、ジクロロメタン(3mL)中のテトラヒドロ-2H-ピラン-4-アミン(227mg、2.25mmol)を加えた。得られた混合物を1時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮乾固した。残留物を水(70mL)に懸濁し、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和ブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮乾固した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/0~4/1)で精製して表題化合物51cを得た(0.68g、72%)。
MS m/z (ESI): 420[M+1]
【0267】
工程3 N4,N4-ジベンジル-N6-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ピリミジン-4,5,6-トリアミン(51d)
51c(0.68g、1.62mmol)、塩化アンモニウム(433mg、8.1mmol)、酢酸エチル(10mL)及び水(10mL)の混合物に、亜鉛粉末(526mg、8.1mmol)を加えた。得られた混合物を6時間撹拌し、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和ブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮乾固した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/0~1/1)で精製して表題化合物51dを得た(0.52g、82%)。
MS m/z (ESI): 390[M+1]
【0268】
工程4 6-(ジベンジルアミノ)-9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-7,9-ジヒドロ-8H-プリン-8-オン(51e)
THF(10mL)中のトリホスゲン(520mg、1.33mmol)とトリエチルアミン(404mg、4mmol)の混合物に、51d(520mg、1.33mmol)のTHF溶液(3mL)を加えた。得られた混合物を1時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮乾固した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/0~1/1)で精製して表題化合物51eを得た(0.35g、82%)。
MS m/z (ESI): 416[M+1]
【0269】
工程5 6-アミノ-9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-7,9-ジヒドロ-8H-プリン-8-オン(51f)
酢酸(10mL)中の51e(350mg、0.84mmol)の溶液に、パラジウム炭素(10%、100mg)を加えた。得られた混合物を水素雰囲気中で12時間撹拌し、次いで濾過した。濾液を減圧下で濃縮乾固して表題化合物51fを得た(165mg、83%)。
MS m/z (ESI): 236[M+1]
【0270】
工程6 N-(4-(6-アミノ-8-オキソ-9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-8,9-ジヒドロ-7H-プリン-7-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(51)
アセトニトリル(5mL)中の51f(248mg、1.05mmol)と1b(636mg、2.1mmol)の混合物に、Cu(OAc)(381mg、2.1mmol)とトリエチルアミン(530mg、5.25mmol)を加えた。得られた混合物を大気中で12時間撹拌し、減圧下で濃縮乾固した。残留物を分取HPLCで精製して表題化合物51を得た(85.3mg、固体、17%)。
MS m/z (ESI): 493[M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.16 (s, 1H), 7.67 - 7.57 (m, 3H), 7.51 - 7.42 (m, 2H), 7.28 (ddd, J=9.1, 7.6, 3.3 Hz, 1H), 7.20 (d, J=4.2 Hz, 1H), 4.72 (s, 2H), 4.64 (tt, J=12.6, 4.4 Hz, 1H), 4.15 - 4.05 (m, 2H), 3.99 (s, 3H), 3.57 (d, J=1.3 Hz, 2H), 2.77 (qd, J=12.6, 4.7 Hz, 2H), 1.79 (s, 2H)。
【0271】
以下に示す化合物又は中間体を、工程2でテトラヒドロ-2H-ピラン-4-アミンの代わりに別のアミンを使用したことを除いて、実施例31の方法に従って合成した。
【表Y】
【0272】
化合物47のNMRデータを以下に示す:
【表Z】
【0273】
化合物49は、実施例32の方法に従って合成できる。
【0274】
実施例32 N-(4-(4-アミノ-2-オキソ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,2-ジヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-3-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(化合物52)
【化51】
【0275】
工程1 2-クロロ-3-ニトロ-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ピリジン-4-アミン(52b)
DMF(12mL)中の2,4-ジクロロ-3-ニトロピリジン52a(1.93g、10mmol)とトリエチルアミン(1.31g、13mmol)の混合物に、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-アミン(1.01g、10mmol)を加えた。得られた混合物を1時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮乾固した。残留物を水(70mL)に懸濁し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和ブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮乾固した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/0~9/1)で精製して表題化合物52bを得た(2.33g、91%)。
MS m/z (ESI): 258 [M+1]
【0276】
工程2 N2,N2-ジベンジル-3-ニトロ-N4-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ピリジン-2,4-ジアミン(52c)
アセトニトリル(10mL)中の52b(2.33g、9.07mmol)とトリエチルアミン(1.83g、18.1mmol)の混合物に、ジベンジルアミン(1.78g、9.07mmol)を加えた。得られた混合物を80℃に加熱し、20分間撹拌した。室温まで冷却した後、反応混合物を減圧下で濃縮乾固し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/0~4/1)で精製して表題化合物52cを得た(3.22g、85%)。
MS m/z (ESI): 419 [M+1]
【0277】
工程3~6 N-(4-(4-アミノ-2-オキソ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,2-ジヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-3-イル)ベンジル)-5-フルオロ-2-メトキシベンズアミド(52)
化合物52を、実施例31の工程3~6の方法に従って合成した。
MS m/z (ESI): 492 [M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.80 (s, 1H), 7.69 - 7.57 (m, 3H), 7.51 - 7.43 (m, 2H), 7.28 (ddd, J=9.1, 7.6, 3.3 Hz, 1H), 7.20 (d, J=4.2 Hz, 1H), 6.95 (s, 1H), 4.73 (s, 2H), 4.54 (tt, J=12.4, 4.2 Hz, 1H), 4.20 - 4.07 (m, 2H), 3.99 (s, 3H), 3.60 (d, J=1.6 Hz, 2H), 2.56 (qd, J=12.6, 4.7 Hz, 2H), 1.82 (dd, J=12.5, 2.6 Hz, 2H).
【0278】
生物学的実験
実施例33 BTK活性阻害アッセイ
in vitroキナーゼアッセイにより、本発明化合物のBTK活性に対する効果を評価した(表1)。
【0279】
実験方法を以下に要約する:
ホモジニアス均一時間分解蛍光(HTRF)キナーゼ検出キット(Cisbio、カタログ番号62TK0PEC)を用い、BTKの酵素活性を、キナーゼ反応における基質のリン酸化のレベルを検出することで決定する。反応バッファーは、キット中の酵素反応バッファー(1×)、5mMのMgCl、1mMのDTT、10nMのSEB及び0.01%のTween(登録商標)20を含む;キナーゼ反応溶液は、反応バッファーで0.2ng/μLに希釈したヒト由来組換えBTKタンパク質(Carna Biosciences、カタログ番号08-180)を含む;基質反応溶液は、反応バッファーで0.5μMに希釈したビオチン標識チロシンキナーゼ基質及び40μMのATPを含む;検出バッファーは、反応バッファーで0.05ng/μLに希釈したEu3+標識ケージ抗体、及び31.25nMに希釈したストレプトアビジン標識XL665抗体を含む;試験化合物は、DMSOに溶解して100μMに希釈し、続いて、DMSOで最低濃度6.1nMまで4段階希釈し、反応バッファーで最終的に40倍希釈する。化合物のIC50値が非常に低い場合、化合物の初期濃度を小さくする。
【0280】
4μLの試験化合物溶液及び2μLのキナーゼ反応溶液を384ウェル検出プレート(Corning, catalog number 3674)に加え、十分に混合し、室温で15分間インキュベートする;4μLの基質反応溶液を加え、50分間インキュベートする;10μLの検出バッファーを加え、十分に混合し、60分間放置する;Envisionプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用して620nm及び665nmにおけるシグナルを検出する。シグナルの値(665nmの吸光度/620nmの吸光度)は、基質のリン酸化の程度と正に相関しており、それによって、BTKのキナーゼ活性を検出する。この実験では、BTKを含まない群が陰性対照(100%阻害)であり、BTKを含むが化合物を含まない群が陽性対照(0%阻害)である。阻害曲線をプロットし、試験化合物の対応するIC50値を、XLfitソフトウェア(ID Business Solutions Ltd., UK)で計算する。
【0281】
実施例34 BTK C481S活性阻害アッセイ
in vitroキナーゼアッセイにより、本発明化合物のBTK C481S活性に対する効果を評価した(表1)。
【0282】
実験方法を以下に要約する:
ホモジニアス時間分解蛍光(HTRF)キナーゼ検出キット(Cisbio、カタログ番号62TK0PEC)を用い、BTK C481Sの酵素活性を、キナーゼ反応における基質のリン酸化のレベルを検出することで決定する。反応バッファーは、キット中の酵素反応バッファー(1×)、5mMのMgCl、1mMのDTT、10nMのSEB及び0.01%のTween(登録商標)20を含有する;キナーゼ反応溶液は、反応バッファーで1.5ng/μLに希釈したヒト組換えBTK C481Sタンパク質(社内で精製)を含む;基質反応溶液は、反応バッファーで0.5μMに希釈したビオチン標識チロシンキナーゼ基質及び35μMのATPを含む;検出バッファーは、反応バッファーで0.05ng/μLに希釈したEu3+標識ケージ抗体、及び31.25nMに希釈したストレプトアビジン標識XL665抗体を含む;試験化合物は、DMSOで溶解して100μMに希釈し、続いて、DMSOで最低濃度6.1nMまで4段階希釈し、反応バッファーで最終的に40倍希釈する。化合物のIC50値が非常に低い場合、化合物の初期濃度を小さくする。
【0283】
4μLの試験化合物溶液及び2μLのキナーゼ反応溶液を384ウェル検出プレート(Corning, catalog number 3674)に加え、十分に混合し、室温で15分間インキュベートする;4μLの基質反応溶液を加え、50分間インキュベートする;10μLの検出バッファーを加え、十分に混合し、60分間放置する;Envisionプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用して620nm及び665nmにおけるシグナルを検出する。シグナルの値(665nmの吸光度/620nmの吸光度)は、基質のリン酸化の程度と正に相関しており、それによって、BTK C481Sのキナーゼ活性を検出する。この実験では、BTKを含まない群が陰性対照(100%阻害)であり、BTK C481Sを含むが化合物を含まない群が陽性対照(0%阻害)である。阻害曲線をプロットし、試験化合物の対応するIC50値を、XLfitソフトウェア(ID Business Solutions Ltd., UK)で計算する。
【0284】
【表1-1】
【表1-2】
【0285】
本発明、並びにそれを製造し、使用する様式及び方法が、本発明が関係する技術分野の当業者がそれを製造し、使用できるように、完全、明瞭、簡潔かつ正確な用語でこの明細書に記載されている。この明細書は本発明の好ましい態様を記載したもので、特許請求の範囲に記載した本発明の範囲から逸脱することなく、それに修正を加えてもよいことが理解される。発明とみなされる主題を特に指摘し、明確に請求するために、以下の特許請求の範囲をもって本明細書の結びとする。
【国際調査報告】