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特表2023-538119感染症を診断、予防及び処置するための融合タンパク質
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】感染症を診断、予防及び処置するための融合タンパク質
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20230830BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20230830BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230830BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20230830BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20230830BHJP
   C07K 16/12 20060101ALI20230830BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20230830BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230830BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230830BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230830BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230830BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230830BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20230830BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20230830BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230830BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20230830BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230830BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20230830BHJP
   A61P 33/10 20060101ALI20230830BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20230830BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230830BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20230830BHJP
   A61K 47/62 20170101ALI20230830BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230830BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230830BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20230830BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20230830BHJP
   G01N 33/531 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/13
C12N15/12
C07K16/46
C07K16/18
C07K16/12
C07K14/705
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12N1/21
C12N1/19
C12N1/15
C12P21/02 A
A61P31/00
A61P31/14
A61P33/00
A61P31/04
A61P31/10
A61P33/10
A61P31/16
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K39/00 G
A61K47/62
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/24
G01N33/53 S
G01N33/531 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512390
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(85)【翻訳文提出日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 US2021046713
(87)【国際公開番号】W WO2022040436
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】16/997,639
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】523057585
【氏名又は名称】バイトルビアエ・エル・エル・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アハメド,マヒウディン
(72)【発明者】
【氏名】セケイラ,ソニア
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B064DA13
4B064DA15
4B065AA90X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4B065CA45
4C076AA94
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB15
4C076BB16
4C076CC31
4C076CC32
4C076CC34
4C076CC35
4C076DD63
4C076DD67
4C076EE30
4C085AA03
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB36
4C085BB37
4C085BB44
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG06
4C085GG08
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA41
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA31
4H045EA50
4H045EA52
4H045EA53
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、特に、ジカ、デング、西ナイル、エボラ、H1N1、エンテロウイルス、リーシュマニア、マラリア及びコロナウイルスSARS-COVを含む微生物感染症を管理及び処置するための、ホスホチジルセリン又は病原性糖標的治療薬の使用に関する。一態様において、本発明は、Ig-Fcドメイン又は他のタンパク質足場、例えばアルブミン、並びにホスファチジルセリンに結合するペプチド、タンパク質、又は抗体断片、及び/又は微生物によって発現されるPAMPに結合及び/又はPAMPを認識するペプチド又はタンパク質を含む融合構築物に関する。他の態様も記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ig-Fcドメイン又は他のタンパク質足場、例えばアルブミン若しくはアルブミンに結合する抗体断片、並びに
a.ホスファチジルセリンに結合するペプチド、タンパク質若しくは抗体断片、及び/又は
b.微生物によって発現されるPAMPに結合及び/又はPAMPを認識するペプチド又はタンパク質
を含む、融合構築物。
【請求項2】
IgG-Fcドメイン又は他のタンパク質足場、並びに
a.組換えヒトTIM1断片、及び/又は
b.組換えヒトCD209断片
を含む、好ましくは請求項1に記載の融合構築物。
【請求項3】
IgG-Fcドメイン又は他のタンパク質足場、並びに
a.ヒトTIM1の組換えIg様V型ドメイン、及び/又は
b.ヒトCD209断片の組換えC型レクチンドメイン
を含む、請求項1又は2に記載の融合構築物。
【請求項4】
IgG-Fcドメイン又は他のタンパク質足場、並びに
a.1つ以上のヒトTIM1由来の2つ以上の組換えIg様V型ドメイン、及び/又は
b.1つ以上のヒトCD209断片由来の2つ以上の組換えC型レクチンドメイン
を含む、請求項3に記載の融合構築物。
【請求項5】
a.ヒトTIM1の組換えIg様V型ドメイン、及び
b.ヒトCD209断片の組換えC型レクチンドメイン
を含む、融合構築物。
【請求項6】
IgG-Fcドメイン又は他のタンパク質足場、並びに
a.組換えヒトTIM1断片、及び/又は
b.組換えヒトCD209断片
を含む、融合構築物であって、
ADCC、ADCP及び/又はCDCの増強を提供する、
好ましくは請求項1~5のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項7】
IgG-Fcドメイン又は他のタンパク質足場、並びに
a.組換えヒトTIM1断片、及び/又は
b.組換えヒトCD209断片
を含む、融合構築物であって、
配列番号54~59に記載のCDR領域をさらに含む、
好ましくは請求項1~6のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項8】
IgG-Fcドメイン又は他のタンパク質足場、並びに
a.組換えヒトTIM1断片、及び/又は
b.組換えヒトCD209断片
を含む、融合構築物であって、
フーリン阻害剤をさらに含む、
好ましくは請求項1~7のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項9】
ペプチド、タンパク質又は抗体断片が、免疫細胞に結合及び/又は免疫細胞を刺激することができる、請求項1~8のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項10】
TIM1断片が、40~200アミノ酸残基、50~180アミノ酸残基、60~160アミノ酸残基、70~140アミノ酸残基、80~130アミノ酸残基、90~120アミノ酸残基、100~120アミノ酸残基及び100~110アミノ酸残基からなる群から選択される配列長を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項11】
CD209断片が、40~200アミノ酸残基、40~190アミノ酸残基、50~180アミノ酸残基、60~170アミノ酸残基酸残基、70~160アミノ酸残基、80~150アミノ酸残基、90~150アミノ酸残基、100~150アミノ酸残基、110~150アミノ酸残基、120~150アミノ酸残基及び130~140アミノ酸残基からなる群から選択される配列長を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項12】
TIM1及び/又はCD209断片が、野生型TIM1又はCD209と少なくとも70%、又は75%、又は80%、又は85%、又は90%、又は95%の配列相同性を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項13】
TIM1及び/又はCD209断片がインタクトなTIM1及び/又はCD209機能を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項14】
IgG-FcドメインがIgG3-Fcドメインである、請求項1~13のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項15】
以下の
a)ヒンジ配列が好ましくはIgG4ヒンジ配列又はIgG1ヒンジ配列で置き換えられている、IgG3;
b)配列番号54~59に記載のCDR領域;及び/又は
c)フーリン阻害剤
のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項16】
配列番号1及び/若しくは配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項17】
配列番号3及び/若しくは配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項18】
少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、又は好ましくは少なくとも8個のジスルフィド結合を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項19】
融合構築物が標的に結合することができ、標的がマンナン、高マンノース含有構造物、フカン、リン脂質ホスファチジルセリン及び/又はCD3である、請求項1~18のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項20】
a.配列番号1に記載の配列、又は配列番号1に記載の配列と少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列を含むか、又はそれからなる、タンパク質断片、及び
b.配列番号3に記載の配列、又は配列番号3に記載の配列と少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列を含むか、又はそれからなる、タンパク質断片
を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項21】
a.i.配列番号1若しくは配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号9に記載の配列若しくは配列番号43に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、並びに
b.iii.配列番号1若しくは配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
iv.配列番号9に記載の配列若しくは配列番号43に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項22】
a.i.配列番号3若しくは配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号9に記載の配列若しくは配列番号43に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、並びに
b.iii.配列番号3若しくは配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列と少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
iv.配列番号9に記載の配列若しくは配列番号43に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項23】
a.i.配列番号1若しくは配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号11に記載の配列若しくは配列番号45に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、並びに
b.iii.配列番号3若しくは配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
iv.配列番号13に記載の配列若しくは配列番号47に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項24】
a.i.配列番号1若しくは配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号14若しくは15、若しくは配列番号66に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、並びに
b.iii.配列番号1若しくは配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
iv.配列番号16若しくは17、若しくは配列番号67に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
v.好ましくは配列番号41に記載のリンカー配列、及び
vi.配列番号18~35から選択される配列のいずれか一項に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項25】
a.i.配列番号3若しくは配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号14若しくは15、若しくは配列番号66に記載の配列、又はこれらの配列と少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、並びに
b.iii.配列番号3及び/又は配列番号4による配列、又はこれらの配列と少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
iv.配列番号16若しくは17、若しくは配列番号67に記載の配列、又はこれらの配列と少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
v.好ましくは配列番号41に記載のリンカー配列、及び
vi.配列番号18~35から選択される配列のいずれか一項に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項26】
a.i.配列番号1若しくは配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号14若しくは15、若しくは配列番号66に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、並びに
b.iii.配列番号3若しくは配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
iv.配列番号16若しくは17、若しくは配列番号67に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
v.好ましくは配列番号41に記載のリンカー配列、及び
vi.配列番号18~35から選択される配列のいずれか一項に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項27】
a.i.配列番号1若しくは配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号16若しくは17、若しくは配列番号67に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、及び
iii.好ましくは配列番号41に記載のリンカー配列、及び
vi.配列番号18~35から選択される配列のいずれか一項に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、並びに
b.v.配列番号3若しくは配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
vi.好ましくは配列番号41に記載のリンカー配列、及び
vii.配列番号14若しくは15、若しくは配列番号66に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項28】
リンカーを含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項29】
リンカーが、(GGGGS)3リンカー(配列番号41)、(GGGGS)4リンカー(配列番号70)、(GGGGS)5リンカー(配列番号71)及び(GGGGS)6リンカー(配列番号72)から選択される、請求項1~28のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項30】
少なくとも1個の遊離システイン残基、少なくとも2個の遊離システイン残基、少なくとも3個の遊離システイン残基、少なくとも4個の遊離システイン残基、少なくとも5個の遊離システイン残基、好ましくは少なくとも6個の遊離システイン残基を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項31】
遊離システインが、薬物及び/又はペイロードとの相互作用を可能にする、請求項1~30のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項32】
ペイロードが、フーリン阻害剤である、請求項1~31のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項33】
融合構築物が、A339C変異、S337C変異、及び/又はK340C変異を含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項34】
融合構築物が、配列番号36、37、配列番号38、39、40、42、44、又は46の配列のいずれかから選択される配列を含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項35】
IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4である、請求項1~34のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項36】
IgG、IgM、IgA、IgD、又はIgEである、請求項1~35のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項37】
null fcを含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項38】
null fcが、234位でのAla置換、及び/又は235位でのAla置換、及び/又はN297A変異、及び/又はK322A変異を含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項39】
ヘテロ二量体化ドメインを含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項40】
ヘテロ二量体化ドメインが、配列番号48、49、又は50に記載の配列を含む、請求項1~39のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項41】
ヘテロ二量体化変異を含む、請求項1~40のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項42】
ヘテロ二量体化変異が、F405L、R409K及び/又はK409R変異である、請求項1~41のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項43】
a.i.配列番号1若しくは配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号38に記載の配列、又はこの配列と少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、並びに
b.iii.配列番号1若しくは配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
iv.配列番号38に記載の配列、又はこの配列と少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、請求項1~42のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項44】
a.i.配列番号3若しくは配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号38に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、並びに
b.iii.配列番号3若しくは配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
iv.配列番号38に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、請求項1~43のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項45】
a.i.配列番号1若しくは配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号38に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、並びに
b.iii.配列番号3若しくは配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
iv.配列番号40に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、請求項1~44のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項46】
a.i.配列番号1若しくは配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号41に記載のリンカー配列、及び
iii.配列番号65に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、
b.iv.配列番号1若しくは配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
v.配列番号41に記載のリンカー配列、及び
vi.配列番号65に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、請求項1~45のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項47】
a.i.配列番号3若しくは配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号41に記載のリンカー配列、及び
iii.配列番号65に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、
b.iv.配列番号3若しくは配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
v.配列番号41に記載のリンカー配列、及び
vi.配列番号65に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、請求項1~46のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項48】
a.i.配列番号1若しくは配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号41に記載のリンカー配列、及び
iii.配列番号65に記載の配列であって、配列番号65が表8の変異のうちの1つ以上を含む配列
を含む第1の鎖、
b.iv.配列番号3若しくは配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
v.配列番号41に記載のリンカー配列、及び
vi.配列番号65に記載の配列であって、配列番号65が表8の変異のうちの1つ以上を含む配列
を含む第2の鎖
を含む、請求項1~47のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項49】
融合構築物の薬物及び/又はペイロードに対する比が、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10から選択される、請求項1~48のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項50】
配列番号51に記載のカッパ軽鎖、又は配列番号52若しくは53に記載のラムダ軽鎖を含む、請求項1~49のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項51】
融合構築物がIgG3構築物であり、IgG3構築物がヒンジ領域を含み、ヒンジ領域が改変されている、好ましくは請求項1~50のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項52】
ヒンジ領域が、配列番号6又は配列番号8に記載の配列と、合計で少なくとも10%の同一性、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%の同一性を有する配列を含む、請求項51に記載の融合構築物。
【請求項53】
配列番号5、7、9、10、11、12及び/又は13に記載の配列を含む、請求項1~52のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項54】
ヒンジ領域が、少なくとも1個の遊離システイン残基、少なくとも2個の遊離システイン残基、好ましくは少なくとも3個の遊離システイン残基を含む、請求項1~53のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項55】
ヒンジ領域が、S228P変異を含む、請求項1~54のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項56】
ヒンジ領域が、配列番号6及び/又は配列番号8及び/又は配列番号68に記載の配列を含む、請求項1~55のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項57】
ホスファチジルセリンを検出するために使用される、請求項1~56のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項58】
対象の血液中のホスファチジルセリンを検出するために使用される、請求項1~57のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項59】
配列番号1に記載の配列及び/又は配列番号2に記載の配列を含む、請求項57に記載の融合構築物。
【請求項60】
マンナン部分又はフカン部分に結合するC型レクチンを検出するために使用される、請求項1~59のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項61】
対象の血液中のマンナン部分又はフカン部分に結合するC型レクチンを検出するために使用される、請求項1~60のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項62】
配列番号3に記載の配列及び/又は配列番号4に記載の配列を含む、請求項60に記載の融合構築物。
【請求項63】
IgG3の定常領域及びヒンジを含む融合構築物、融合タンパク質又は抗体であって、ヒンジが、好ましくはIgG1又はIgG4ヒンジから選択される、融合構築物、融合タンパク質又は抗体。
【請求項64】
1つ以上のヘテロ二量体化変異を含む、請求項63に記載の融合構築物、融合タンパク質又は抗体。
【請求項65】
405位及び/又は409位(EUナンバリング)が関与する又はそれらを含むヘテロ二量体化変異を含む、請求項64に記載の融合構築物、融合タンパク質又は抗体。
【請求項66】
ヒンジ領域を含むIgG3ホモ二量体であって、ヒンジ領域が、配列番号6、8及び68から選択される配列を含む、IgG3ホモ二量体。
【請求項67】
ヒンジ領域を含むIgG3ヘテロ二量体であって、ヒンジ領域が、配列番号6、8及び68から選択される配列を含む、IgG3ヘテロ二量体。
【請求項68】
405位及び/又は409位に変異を含む、請求項66~67のいずれか一項に記載のIgG3。
【請求項69】
CH2及び/又はCH4ドメインの電荷対を変化させることによって得ることができるIgMヘテロ二量体。
【請求項70】
表8の変異のうちの1つ以上を含む、請求項69に記載のIgMヘテロ二量体。
【請求項71】
配列番号64及び/又は65に記載の配列を含む、請求項69~70のいずれか一項に記載のIgM。
【請求項72】
請求項66~71のいずれか一項に記載のIgG3ホモ二量体、IgG3ヘテロ二量体及び/又はIgMヘテロ二量体を含む、請求項1~65のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項73】
感染症の処置において使用するためのものである、請求項1~72のいずれか一項に記載の融合構築物。
【請求項74】
感染症が、コロナウイルスSARS-COVなどのウイルス、寄生虫、細菌、真菌又は原虫によって引き起こされる感染症である、請求項73に記載の融合構築物。
【請求項75】
ウイルスが、アルボウイルス、ジカウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、エボラウイルス、インフルエンザウイルス、インフルエンザウイルスH1N1、チクングニアウイルス、エンテロウイルス、コロナウイルスSARS-COV-2及びコロナウイルスSARS-COVから選択される、請求項74に記載の融合構築物。
【請求項76】
細菌が、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(mycobacterium tuberculosis)及びマイコプラズマ・レプレ(mycobacterium leprae)から選択される、請求項74に記載の融合構築物。
【請求項77】
寄生虫が、リーシュマニア及びマラリアから選択される、請求項74に記載の融合構築物。
【請求項78】
感染症の処置のための、請求項1~71のいずれか一項に記載の融合構築物の使用。
【請求項79】
感染症が、ウイルス感染症、細菌感染症及び原虫感染症から選択される、請求項78に記載の使用。
【請求項80】
処置が、皮下、皮内、筋肉内、経口及び経鼻から選択される投与形態での融合構築物の投与を含む、請求項78~79のいずれか一項に記載の使用。
【請求項81】
ペイロード送達のためのIgG4又はIgG4の一部の使用であって、IgG4がFcを含まないように改変されているか、又はIgG4のFcの活性が1つ以上の変異により無効化若しくは低減されている、使用。
【請求項82】
IgG4が、1つ以上のヘテロ二量体化変異を含む、請求項78~81のいずれか一項に記載の使用。
【請求項83】
IgG4が、1つ以上のCys変異を含み、好ましくはそれにより部位特異的コンジュゲーションが可能になる、請求項81~82のいずれか一項に記載の使用。
【請求項84】
IgG4が、339位(EUナンバリング)にCysを含む、請求項81~83のいずれか一項に記載の使用。
【請求項85】
請求項1~65のいずれか一項に記載の融合構築物を含む、ワクチン。
【請求項86】
マンナン、高マンノース含有構造物、フカン及び/又はリン脂質ホスファチジルセリン(PS)を含む、ワクチン。
【請求項87】
β-グルカンをさらに含む、請求項85又は86に記載のワクチン。
【請求項88】
感染症の予防及び/又は処置のための、請求項85~87のいずれか一項に記載のワクチン。
【請求項89】
感染症が、ウイルス、好ましくは請求項75に記載のウイルス、及び/若しくはコロナウイルスSARS-COV、寄生虫、好ましくは請求項77に記載の寄生虫、細菌、好ましくは請求項76に記載の細菌、真菌又は原虫によって引き起こされる、請求項88に記載のワクチン。
【請求項90】
皮下投与、皮内投与、筋肉内投与、経口投与及び/又は経鼻投与から選択される経路を介した投与が可能である、請求項1~65のいずれか一項に記載の融合構築物及び/又は請求項85~89のいずれか一項に記載のワクチン。
【請求項91】
希釈剤、結合剤又は担体などの1つ以上の賦形剤を任意選択的に含む、請求項1~65のいずれか一項に記載の融合構築物を含む組成物。
【請求項92】
請求項1~65のいずれか一項に記載の融合構築物、及び/又は請求項85~89のいずれか一項に記載のワクチン、及び/又は請求項90~91のいずれか一項に記載の組成物を投与するステップを含む、対象における感染症を処置及び/又は予防する方法。
【請求項93】
対象における疾患の進行をスクリーニング及び/又はモニタリングする方法であって、下記の
i.対象由来の血液試料を提供するステップ、
ii.血液試料を、請求項1~65のいずれか一項に記載の融合構築物と接触させるステップ
を含む、方法。
【請求項94】
請求項1~65のいずれか一項に記載の融合構築物をコードする、単離された核酸分子。
【請求項95】
請求項94に記載の核酸分子を含む、組換えベクター。
【請求項96】
請求項95に記載の組換えベクターを含む、宿主細胞。
【請求項97】
請求項1~96のいずれか一項に記載の融合構築物の生成方法であって、融合構築物の発現を可能にする条件下において培養培地中で請求項96に記載の宿主細胞を培養するステップ、及び融合構築物を培養培地から単離するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、本出願と一緒に提出したコンピュータ可読形式の配列表を含む。配列表は本開示の一部を形成し、本明細書にその全体が組み込まれる。
【0002】
本発明は、ジカ、デング、呼吸器合胞体ウイルス、西ナイル、エボラ、H1N1、マイコバクテリウム・レプレ(Mycobacterium Leprae)、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)、エンテロウイルス、リーシュマニア、マラリア及びコロナウイルスSARS-CoVを含む、微生物感染症を管理及び処置するための、ホスホチジルセリン又は病原性糖標的治療薬の使用に関する。
【0003】
フーリンプロテアーゼ阻害剤、T細胞エンゲージャー、細胞毒性機能を有するプラットフォーム、一価及び多価分子、薬物コンジュゲート及びアジュバント、担体にコンジュゲートされ得る病原体中和タンパク質を含む、新規の治療用タンパク質に関する組成物、並びに投与方法、特に皮下、経口又は経鼻投与方法が提供される。本発明はさらに、このような治療から恩恵を受ける可能性のある対象の選択方法としてのコンパニオン診断、及び処置の応答を迅速かつ容易にモニタリングするための血液バイオマーカーに関する。
【背景技術】
【0004】
WHOによれば、アルボウイルスであるジカウイルス(ZIKV)、チクングニアウイルス(CHIKV)、デングウイルス(DENV)、西ナイルウイルス(WNV)、並びにエボラウイルス(EBLV)及びSARSは、世界的な公衆衛生上の高リスクをもたらすパンデミック拡大しやすい、比較的最近の、生命を脅かす希少疾患である(WHO report 2020)。
【0005】
これらの疾患に対してFDAが承認した治療法はない。エボラ株の1つであるザイールエボラウイルス(Ervebo、2019年)のエンベロープ糖タンパク質からなる組換え生ワクチンは、最近FDAによって成人における使用のみが承認されたが、防御の期間はまだ完全には判明されていない。デングの4株すべてのプレM及びEタンパク質からなる別の組換えワクチン(Dengvaxia、2019年)もまた承認されているが、Limら、2019年は、異なる抗原特性を持つDENVの新しい変異を報告している。
【0006】
ZIKV、WNV、及びDENVは、主に媒介蚊によって感染されるフラビウイルス(フラビウイルス科(family Flaviviridae))である(すなわち、アルボウイルス)。ジカは、主にアエデス属(Aedes)蚊によって感染されるプラス一本鎖RNAフラビウイルス科ウイルスであり、1947年にウガンダで初めて単離されて以来、2つの系統発生系列(アジア及びアフリカ)の多数の株が同定されている(Ramos da Silva、2016年)。WHOによれば、2015年~2017年のアウトブレイクは、世界で30,000件を超える症例を引き起こした(世界保健機関ジカ疫学 アップデート2019年7月、ウェブサイト:www_who.int/emergencies/diseases/zika/zika-epidemiology-update-july-2O19.pdf? ua=1、2020年8月5日アクセス)。
【0007】
Musso、2015年によれば、ジカは性的接触によっても拡大し(Musso、2015年)、Rasmussen、2016年によれば、ジカは母体血液から胎児血液にも広がる(Rasmussen、2016年)。
【0008】
神経学的後遺症のスペクトルの拡大が報告されている。Rasmussen、2016年によれば、妊婦におけるジカ感染症の特に深刻な共存症は、その子孫への重度の先天性小頭症である(Rasmussen、2016年)。Barbi、2018年によれば、成人では、ミエリン鞘を破壊して進行性の上行性麻痺を引き起こす自己免疫疾患のギラン・バレー症候群(GBS)は、患者の1.23%で発症すると推定されている(Barbi、2018年)。他に報告されたZIKVの神経学的合併症には、脳炎/髄膜脳炎、急性散在性脳脊髄炎、脊髄炎、脳血管合併症、発作及び脳症、感覚性多発性ニューロパシー及び感覚性ニューロパシーが含まれる。
【0009】
ZIKVの主な宿主には、ヒト、サル、蚊が含まれる。Hou、2017年によれば、神経幹細胞、線維芽細胞、上皮細胞、血液細胞は、ZIKV感染を許容する(Hou、2017年)。
【0010】
デングウイルス(DEGV)は、世界で最も流行している節足動物由来のウイルス性疾患(100万症例/年)を引き起こす、マイナスRNA鎖フラビウイルスである。DENV感染は、無症候性感染症又はデング熱(DF)と呼ばれる自己限定的発熱性疾患から、デング出血熱(DHF)及びデングショック症候群(DSS)を含めた生命を脅かす疾患まで、幅広い臨床症状を伴うヒト疾患を引き起こす。現在、デングに対する治療法はなく、デングに以前感染したことがない人又は非流行地域から旅行する人に対するワクチンもない。Dengvaxiaは、以前にデングに感染したことが検査室で確認され流行地域に住んでいる、9歳~16歳の人に対して承認されたワクチンである。
【0011】
特許出願US2009175865A1には、親抗体の1つ以上のアミノ酸を非架橋の高反応性のシステインアミノ酸で置き換えることにより操作される抗体が記載されている。変異の中でもとりわけ、本特許出願はA339C及びS337Cに言及している。
【0012】
特許出願WO2015157595には、1つ以上の反応性システイン残基で操作された抗体及びその断片を含むコンジュゲート化合物が記載されている。変異の中でもとりわけ、本特許出願はK340Cに言及している。
【0013】
Wenwen Biら(IgG Fc-binding mortif-conjugated HIV-1 fusion inhibitor exhibits improved potency and in vivo half-life:Potential application in combination with broad neutralizing antibodies、PLOS Pathogens、2019年12月5日)によれば、短いHIV-1融合阻害ペプチドCP24のインビボ半減期を、ヒトIgG Fc結合ペプチド(IBP)とCP24を融合させることによって延長する戦略が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/175865号明細書
【特許文献2】国際公開第2015/157595号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】世界保健機関,report,2020年
【非特許文献2】Ervebo,2019年
【非特許文献3】Dengvaxia,2019年
【非特許文献4】Limら,2019年
【非特許文献5】Ramos da Silva,2016年
【非特許文献6】世界保健機関,ジカ疫学 アップデート2019年7月,[2020年8月5日検索],ウェブサイト<URL:www_who.int/emergencies/diseases/zika/zika-epidemiology-update-july-2O19.pdf? ua=1>
【非特許文献7】Musso,2015年
【非特許文献8】Rasmussen,2016年
【非特許文献9】Barbi,2018年
【非特許文献10】Hou,2017年
【非特許文献11】Wenwen Biら,IgG Fc-binding mortif-conjugated HIV-1 fusion inhibitor exhibits improved potency and in vivo half-life: Potential application in combination with broad neutralizing antibodies, PLOS Pathogens,2019年12月5日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
(発明の要旨)
遺伝的変異が生じやすい新興及び再興感染症を管理するための新しい技術に関するまだ対処されていないニーズがある。
【0017】
ウイルスが許容ヒト細胞に結合し、エンドソーム-リソソーム区画で活性化され、感染性になるという点における類似性は、それらの処置に対する汎治療的なアプローチに対して可能性に対する洞察を提供する。
【0018】
CD209治療標的としての病原性糖
グリカンは、微生物の必須構造的及び機能性成分である。これらの中でも、D-グルコースに由来する多糖部分であるグルカンは、真菌、植物、及びマイコバクテリアの細胞壁の主要構成物である。高マンノース含有構造(マンナン)は、多くのウイルス、真菌、及び細菌によって発現され、フコース構造(フカン)は、蠕虫及び一部の細菌の表面において確認されている(Geijtenbeek及びGringhuis、2009年;Robinsonら、2006年)。
【0019】
ヒト免疫系は、自己グリカンを非自己グリカンから識別する先天性パターン認識受容体を進化させてきた。C型レクチンが病原性糖に結合することにより、病原体の排除をもたらす先天免疫及び適応免疫の両事象が誘発されるが、しかし、この相互作用はまた、病原性の増強に利用される可能性もある。
【0020】
骨髄細胞、樹状細胞及びマクロファージ細胞特異的C型レクチン受容体CD209(DC-SIGNとしても公知である)(Zelensky及びGready、2005年)は、ZIKV(Perera Lecoin、2013年、Osorio及びSousa 2011年)、インフルエンザ(Gillespie 2016年)、DENV(Cruz-Oliveira、2015年)、WNV(Davis 2006年)、エボラ(Alvarez 2002年)、エンテロウイルス(REN 2014年)、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Tailleux 2003年)及びマイコバクテリウム・レプレ(Barreiro 2006年)、並びにSARS-COV2/COVID19(Amraei 2020年、Cai 2020年、Jeffers 2004年)の侵入に対する重要な宿主細胞受容体である。原虫媒介性の疾患であるレシュマニア症及びマラリアは、宿主侵入にCD209を利用する非ウイルス性病原体である(Colmenares 2002年、Morenikeji 2020年)。CD209は、ウイルスシグネチャー又は「病原体関連分子パターン(PAMP)」を含む、マンナン(高マンノースN結合型オリゴ糖)部分及びフカン部分の両方に結合する。この結合は、「C型炭水化物認識ドメイン」又は「C型レクチンドメイン(CTLD)」として公知になった独自の構造フォールドを持つコンパクトなタンパク質領域内で起こる(Weis及びDrick-Amer、1996年)。
【0021】
現在、世界的流行のCOVID-19についての治療法はなく、FDAは、抗ウイルス薬レムデシビルの緊急使用許可を与えてはいるが、Covid-19に対する有効性は大規模な無作為臨床試験においてはまだ実証されていない。初期前臨床開発におけるアプローチのうち、宿主細胞へのウイルス付着を遮断するACE2デコイタンパク質、及び人工呼吸器を使用している患者であるが初期段階の症状のない患者の炎症を軽減するデキサメタゾンの適応外使用がある。したがって、COVID-19及び関連症状を処置及び緩和するための有効かつ安全な手段のための緊急のニーズがある。そのため、特定の処置から効果を得ることができる患者を正確に選択できる診断薬のための緊急のニーズがある。
【0022】
TIM1治療標的としてのホスファチジルセリン(PS)脂質
いくつかのウイルスの外側のウイルス膜層は、リン脂質のホスファチジルセリン(PS)が豊富であるが、宿主細胞膜においては、PSは、通常、内膜層に限定されている。
【0023】
T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン1(TIM-1)ヒト膜受容体は、T細胞活性化のための強力な共刺激分子として機能する。
【0024】
TIM1(HAVCR1としても公知である)はI型膜貫通糖タンパク質であり、N末端免疫グロブリン可変(IgV)様ドメインとそれに続くグリコシル化ムチンドメインで構成される細胞外ドメイン、単一膜貫通ドメイン、及びチロシンリン酸化モチーフを持つ短い細胞質尾部を含有する。TIM1のIgVドメインは、保存されたPS結合部位を含有することが予測されている(Santiagoら、2007年)。
【0025】
TIM-1は、脳、消化管、肝臓及び胆嚢、腎臓、精巣、並びにリンパ組織における2型ヘルパーT(Th2)細胞で優先的に発現される。Freeman 2010年によれば、TIM-1は、死にかけているアポトーシス細胞において高い特異性で露出したPSを認識して付着し、免疫系による食作用を誘発する(Freeman 2010年)。TIM-1は、IgVドメイン内の金属イオン依存性リガンド結合部位(MILIBS)を介してPSに結合することにより、アポトーシスクリアランスを促進する。
【0026】
また、TIM1は、ジカ(Lee 2018年)、エボラ(Brunton 2019年)、デング(Chu 2019年、Amara 2015年)、西ナイル(Richard 2015年)、A型肝炎、及びおそらくはマラリア(Nuchnoi 2020年)を含む、非常に多様なウイルスの侵入因子であることも明らかにされている(Jemielity、2013年)。
【0027】
これらの研究は、TIM-1が、糖タンパク質とは無関係に、ウイルスエンベロープのPSと直接相互作用することによって様々なエンベロープウイルスに共通の付着因子として機能することを示唆している。
【0028】
TIM1は最も周知のPS受容体であるが、TAMファミリーのタンパク質のTyro3、Axl及びMerなどの他のPS受容体も、少ないが記載されている。
【0029】
ウイルスタンパク質のための受容体としてのTIM-1
Angiariら 2014年によれば、TIM-1は、TIM-1ムチン及びIgVドメインを介したP-セレクチンタンパク質への結合によりT細胞接着を制御することによって、自己免疫疾患及び炎症性疾患の発症において役割を果たしている(Angiari 2014年)。
【0030】
Kurodaら 2015年は、TIM-1とニーマン・ピック病C1タンパク質(NPC1)の間の相互作用を阻害するTIM-1特異的モノクローナル抗体を用いて処置すると、フィロウイルス感染及びGP媒介性膜融合が顕著に抑制されることを報告した。この研究は、TIM-1がウイルス膜融合にも関係し得ることを示唆している。
【0031】
Yuanら 2015年によれば、ヒトTIM-1はEBOV糖タンパク質(GP)に直接結合し、著者らは、hTIM-1とhTIM-4のIgVドメインの結晶構造及び結合領域を決定した。
【0032】
Kondratowiczaら 2010年によれば、気管、角膜、及び結膜の宿主上皮細胞上のTIM-1は、ザイールエボラウイルス(EBOV)糖タンパク質の受容体結合ドメインに直接結合し、空気感染及び手から目への感染を増強する。この相互作用を抗体で遮断すると、結合及びエボラ感染が抑制された。
【0033】
したがって、TIM-1は、ウイルス感染において、タンパク質依存性機能とタンパク質非依存性機能の両方を有し得る。
【0034】
治療戦略としてのフーリンプロテアーゼ阻害
フーリン切断部位は、中でもジカ、デング、COVID-19(Coutard 2020年)、エボラ、HIV、及びB型肝炎ウイルスの侵入タンパク質に存在する(Braun 2019年)。
【0035】
配列番号81を含むデカノイル-Arg-Val-Lys-Arg-クロロメチルケトン(dec-RVKR-cmk)及びヘキサ-D-アルギニン(D6R)は、インビトロでのウイルス感染性の低下を示すために使用されてきた小型の合成フーリン阻害剤である(Owczarek、2019年、Imran 2019年、Remacle 2010年、Couture 2015年)。CMKは、B型肝炎e抗原(HBeAg)前駆体の成熟HBeAgへのフーリン媒介性プロセシングを阻害することにより、肝炎複製の減少においてD6Rよりも効果的である。Dec-RVKR-cmkは、すべてのプロタンパク質転換酵素(PC1、PC2、PC4、PACE4、PC5、PC7、及びフーリン)の小型で合成の不可逆的及び細胞透過性競合阻害剤である。CMKは、ウイルス糖タンパク質のフーリン媒介性切断及び融合活性を阻害すると報告されており、ヒト免疫不全ウイルス、チクングニアウイルス、慢性B型肝炎ウイルス、インフルエンザA型、エボラウイルス感染、及びパピローマウイルスを含む様々なウイルスに対する抗ウイルス剤として作用する。Smithら及びSteinmetzerらはまた、dec-RVKR-cmkのC末端を脱炭酸アルギニン模倣物で修飾することによってペプチド模倣型フーリン阻害剤の特許を取得し、非常に強力なフーリン阻害剤をもたらした(Couture 2015年)。
【0036】
広範囲のフーリン/プロタンパク質阻害剤は、フーリンノックアウトマウスによって明らかなように、プロタンパク質転換酵素が非常に冗長であることから、宿主における最小限のオフ・病原体、オン・ターゲット効果を有すると考えられる。
【0037】
CMKは非細胞毒性濃度で抗フラビウイルス活性を有することが明らかとなっている(Imran 2019年)。
【0038】
ジカウイルスは、3つの構造タンパク質(キャプシド-pC、エンベロープ-pE、及び膜-prM)、並びに7つの非構造(NS)タンパク質(NS1、NS2A、NS2B、NS3、NS4A、NS4B、及びNS5)を含む。ジカウイルス複製は、クラスリン媒介性pH依存性エンドサイトーシスを介した内在化とリソソームコンパートメントでのウイルスタンパク質の成熟後に、寛容な宿主細胞において起こる(Owczarek、2019年)。リソソームにおいて、フーリン又はフーリン様プロテアーゼは、ウイルス表面糖タンパク質prMを活性型に切断し、ウイルス膜を不安定化し、ミトコンドリア及び小胞体で複製するためのウイルスRNAの放出を促進する。
【0039】
臨床開発中の治験薬はあるが、ZIKVに対するワクチンはない。
【0040】
フーリン阻害により、未成熟ビリオンが後期コンパートメントに輸送され、そこでタンパク質分解を受けることが明らかになっている。分解生成物は、ゆっくりと再循環する小胞を介して細胞から排出される(Owczarek、2019年)。
【0041】
ZIKVと同様に、ウイルスEタンパク質と細胞受容体とのDENV結合により、ウイルス粒子は、クラトリン媒介性エンドサイトーシス経路を介して許容細胞内に内在化される。ウイルスRNAゲノムを放出するために、DENVビリオンは、酸誘導型の構造変化と膜融合を受ける。小胞体(ER)近くで生成された、新たに合成されたウイルスタンパク質は、ウイルスRNAゲノムの複製、膜再編成の誘導、及び新しいウイルス粒子のアセンブリを促進する。DENV複製のプロセスを促進するために、DENVは、様々な細胞成分と相互作用するだけでなく、オートファジーなどの様々な宿主応答も誘発する。
【0042】
T細胞媒介療法
CD3はタンパク質複合体であり、T細胞の活性化に関与するT細胞共受容体である。CD3は血液、骨髄、リンパ系組織のT細胞で選択的に発現されるが、他の正常組織では発現されず、チンパンジーを除く他の動物との交差反応はない。近年、ヒトCD3トランスジェニックマウスが作製され、抗CD3免疫療法の研究が容易になった。
【0043】
ムロモマブ-CD3(Janssen、オルソクローン、OKT3)などの抗CD3ベースの治療は、反応性T細胞を遮断し、潰瘍性大腸炎及びメタボリックシンドロームを回復させることについて、ヒトにおいて全身的及び経口的な両面で広く研究されている(da Cunha 2011年、Ilan 2010-NCT01287195、NCT01205087)。ブリナツモマブ及びカツマキソマブなどの、腫瘍を橋渡ししてT細胞に関与する抗CD3二重特異性抗体プラットフォームは、がんの処置に対して承認されており、いくつかの他のCD3二重特異性が臨床開発中である(Suurs、2019年)。
【課題を解決するための手段】
【0044】
一態様によれば、本発明は、Ig-Fcドメイン又は他のタンパク質足場、例えばアルブミン、並びに
a.ホスファチジルセリンに結合するペプチド、タンパク質若しくは抗体断片、及び/又は
b.微生物によって発現されるPAMPに結合及び/又はPAMPを認識するペプチド又はタンパク質
を含む融合構築物に関する。
【0045】
PAMPは、宿主自然免疫系により認識される、微生物病原体によって生成されるが宿主生物によって生成されない病原体関連分子パターン:保存された分子構造を指す。
【0046】
別の態様によれば、本発明は、IgG-Fcドメイン又は他のタンパク質足場、並びに
a.組換えヒトTIM1断片、及び/又は
b.組換えヒトCD209断片
を含む融合構築物に関する。
【0047】
別の態様によれば、本発明は、IgG-Fcドメイン又は他のタンパク質足場、並びに
a.組換えヒトTIM1断片、及び/又は
b.組換えヒトCD209断片
を含む融合構築物であって、
ADCC、ADCP及び/又はCDCの増強を提供する、
融合構築物に関する。
【0048】
ADCCは、抗体依存性細胞傷害として定義することができる。ADCPは、抗体依存性細胞食作用として定義することができる。CDCは、補体依存性細胞毒性として定義することができる。
【0049】
別の態様によれば、本発明は、IgG-Fcドメイン又は他のタンパク質足場、並びに
a.組換えヒトTIM1断片、及び/又は
b.組換えヒトCD209断片
を含む融合構築物であって、
配列番号54~59に記載のCDR領域を追加的に含む、
融合構築物に関する。
【0050】
別の態様によれば、本発明は、IgG-Fcドメイン又は他のタンパク質足場、並びに
a.組換えヒトTIM1断片、及び/又は
b.組換えヒトCD209断片
を含む融合構築物であって、
フーリン阻害剤をさらに含む、
融合構築物に関する。
【0051】
好ましくは、フーリン阻害剤は、クロロメチルケトン及びD-アルギニン誘導体、例えば、ヘキサ-D-アルギニン及びdec-RVKR-cmk(配列番号81を含む)から選択される。
【0052】
リンカー及びスペーサーはフーリンにコンジュゲートすることができ、表7を参照されたい。
【0053】
別の態様によれば、本発明は、IgG3構築物である融合構築物であって、IgG3構築物がヒンジ領域を含み、ヒンジ領域が改変されている、融合構築物に関する。
【0054】
別の態様によれば、本発明は、IgG3の定常領域及びヒンジを含む融合構築物、融合タンパク質又は抗体であって、ヒンジが、好ましくはIgG1又はIgG4ヒンジから選択される、融合構築物、融合タンパク質又は抗体に関する。
【0055】
別の態様によれば、本発明は、ヒンジ領域を含むIgG3ホモ二量体であって、ヒンジ領域が配列番号6、8及び68から選択される配列を含む、IgG3ホモ二量体に関する。
【0056】
別の態様によれば、本発明は、ヒンジ領域を含むIgG3ヘテロ二量体であって、ヒンジ領域が配列番号6、8及び68から選択される配列を含む、IgG3ヘテロ二量体に関する。
【0057】
別の態様によれば、本発明は、405位及び/又は409位に変異を含む、IgG3に関する。別の態様によれば、本発明は、CH2及び/又はCH4ドメインの電荷対を変化させることによって得ることができるIgMヘテロ二量体に関する。
【0058】
別の態様によれば、本発明は、表8の変異のうちの1つ以上を含む、IgMヘテロ二量体に関する。
【0059】
別の態様によれば、本発明は、本発明に記載のIgG3ホモ二量体、IgG3ヘテロ二量体及び/又はIgMヘテロ二量体を含む、融合構築物に関する。
【0060】
別の態様によれば、本発明は、感染症を処置するための本発明に記載の融合構築物の使用に関する。
【0061】
別の態様によれば、本発明は、感染症がウイルス感染症、細菌感染症、原虫感染症から選択される、使用に関する。
【0062】
別の態様によれば、本発明は、処置が皮下、皮内、筋肉内、経口及び経鼻から選択される投与形態での融合構築物の投与を含む、使用に関する。
【0063】
別の態様によれば、本発明は、ペイロード送達のためのIgG4又はIgG4の一部の使用であって、IgG4がFcを含まないように改変されている、又はIgG4のFcの活性が1つ以上の変異により無効化若しくは低減されている、使用に関する。
【0064】
別の態様によれば、本発明は、本発明に記載の融合構築物を含むワクチンに関する。
【0065】
別の態様によれば、本発明は、マンナン、高マンノース含有構造、フカン及び/又はリン脂質ホスファチジルセリン(PS)を含むワクチンに関する。
【0066】
別の態様によれば、本発明は、希釈剤、結合剤又は担体などの1つ以上の賦形剤を任意選択的に含む、本発明に記載の融合構築物を含む組成物に関する。
【0067】
別の態様によれば、本発明は、本発明に記載の融合構築物及び/又はワクチン及び/又は組成物を投与するステップを含む、対象における感染症を処置及び/又は予防する方法に関する。
【0068】
別の態様によれば、本発明は、対象における疾患の進行をスクリーニング及び/又はモニタリングする方法であって、下記の
i.対象由来の血液試料を提供するステップ、
ii.血液試料を、本発明に記載の融合構築物と接触させるステップ
を含む、方法に関する。
【0069】
別の態様によれば、本発明は、本発明に記載の融合構築物をコードする単離された核酸分子に関する。
【0070】
別の態様によれば、本発明は、本発明の核酸分子を含む組換えベクターに関する。
【0071】
別の態様によれば、本発明は、本発明の組換えベクターを含む宿主細胞に関する。
【0072】
別の態様によれば、本発明は、
融合構築物の発現を可能にする条件下の培養培地中で本発明に記載の宿主細胞を培養するステップ、及び
融合構築物を培養培地から単離するステップ
を含む、本発明に記載の融合構築物を生成する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0073】
詳細な開示
一実施形態によれば、本発明は、Ig-Fcドメイン又は他のタンパク質足場、例えばアルブミン、並びに
a.ホスファチジルセリンに結合するペプチド、タンパク質若しくは抗体断片、及び/又は
b.微生物によって発現されるPAMPに結合及び/又はPAMPを認識するペプチド又はタンパク質
を含む融合構築物に関する。
【0074】
PAMPは、宿主自然免疫系により認識される、微生物病原体によって生成されるが宿主生物によって生成されない病原体関連分子パターン:保存された分子構造を指す。
【0075】
「タンパク質足場」という用語は、上記a.及びb.で定義された活性エレメントが結合され得るタンパク質構造を意味する。タンパク質足場は、好ましくは血漿中に可溶性であるべきであり、好ましくは血漿中に長い滞留時間を有するべきであり、これは典型的には、完全融合タンパク質が腎クリアランス限界を超えるサイズ、例えば60kDaを超えるサイズを有する場合に、又は活性保持システムの影響下にあるタンパク質足場、例えば、FcRn受容体を介して血漿に結合しリサイクルされるタンパク質を選択することによって提供され得る。適切なタンパク質足場の例としては、血漿タンパク質又はその断片、例えば、免疫グロブリンの定常領域、アルブミン、アルブミンドメインI、II、又はIII、トランスフェリン及びラクトフェリンなどが挙げられる。
【0076】
一実施形態によれば、本発明は、IgG-Fcドメイン又は他のタンパク質足場、並びに
a.組換えヒトTIM1断片、及び/又は
b.組換えヒトCD209断片
を含む融合構築物に関する。
【0077】
一実施形態によれば、本発明は、IgG-Fcドメイン又は他のタンパク質足場、並びに
a.ヒトTIM1断片の組換えIg様V型ドメイン、及び/又は
b.ヒトCD209断片の組換えC型レクチンドメイン
を含む融合構築物に関する。
【0078】
一実施形態によれば、本発明は、IgG-Fcドメイン又は他のタンパク質足場、並びに
a.1つ以上のヒトTIM1断片由来の2つ以上の組換えIg様V型ドメイン、及び/又は
b.1つ以上のヒトCD209断片由来の2つ以上の組換えC型レクチンドメイン
を含む融合構築物に関する。
【0079】
一実施形態によれば、本発明は、
a.ヒトTIM1断片の組換えIg様V型ドメイン、及び
b.ヒトCD209断片の組換えC型レクチンドメイン
を含む融合構築物に関する。
【0080】
一実施形態によれば、本発明は、IgG-Fcドメイン又は他のタンパク質足場、並びに
a.組換えヒトTIM1断片、及び/又は
b.組換えヒトCD209断片
を含む融合構築物であって、
ADCC、ADCP及び/又はCDCの増強を提供する、
融合構築物に関する。
【0081】
ADCCは、抗体依存性細胞傷害として定義することができる。ADCPは、抗体依存性細胞食作用として定義することができる。CDCは、補体依存性細胞毒性として定義することができる。
【0082】
一実施形態によれば、本発明は、IgG-Fcドメイン又は他のタンパク質足場、並びに
a.組換えヒトTIM1断片、及び/又は
b.組換えヒトCD209断片
を含む融合構築物であって、
配列番号54~59に記載のCDR領域を追加的に含む、
融合構築物に関する。
【0083】
一実施形態によれば、本発明は、IgG-Fcドメイン又は他のタンパク質足場、並びに
a.組換えヒトTIM1断片、及び/又は
b.組換えヒトCD209断片
を含む融合構築物であって、
フーリン阻害剤をさらに含む、
融合構築物に関する。
【0084】
好ましくは、フーリン阻害剤は、クロロメチルケトン及びD-アルギニン誘導体、例えば、ヘキサ-D-アルギニン及びdec-RVKR-cmk(配列番号81を含む)から選択される。
【0085】
リンカー及びスペーサーはフーリンにコンジュゲートすることができ、表7を参照されたい。
【0086】
一実施形態によれば、本発明は、ペプチド、タンパク質又は抗体断片が免疫細胞に結合及び/又は免疫細胞を刺激することができる、融合構築物に関する。
【0087】
一実施形態によれば、本発明は、TIM1断片が、40~200アミノ酸残基、50~180アミノ酸残基、60~160アミノ酸残基、70~140アミノ酸残基、80~130アミノ酸残基、90~120アミノ酸残基、100~120アミノ酸残基及び100~110アミノ酸残基からなる群から選択される配列長を有する、融合構築物に関する。
【0088】
一実施形態によれば、本発明は、CD209断片が、40~200アミノ酸残基、40~190アミノ酸残基、50~180アミノ酸残基、60~170アミノ酸残基酸残基、70~160アミノ酸残基、80~150アミノ酸残基、90~150アミノ酸残基、100~150アミノ酸残基、110~150アミノ酸残基、120~150アミノ酸残基及び130~140アミノ酸残基からなる群から選択される配列長を有する、融合構築物に関する。
【0089】
一実施形態によれば、本発明は、TIM1及び/又はCD209断片が、野生型TIM1又はCD209と少なくとも70%、又は75%、又は80%、又は85%、又は90%、又は95%の配列相同性を有する、融合構築物に関する。
【0090】
一実施形態によれば、本発明は、TIM1及び/又はCD209断片がインタクトなTIM1及び/又はCD209機能を有する、融合構築物に関する。
【0091】
一実施形態によれば、本発明は、IgG-FcドメインがIgG3-Fcドメインである、融合構築物に関する。
【0092】
一実施形態によれば、本発明は、以下の
a)ヒンジ配列が好ましくはIgG4ヒンジ配列で置き換えられている、IgG3;
b)配列番号54~59に記載のCDR領域;及び/又は
c)フーリン阻害剤
のうちの少なくとも1つを追加的に含む、融合構築物に関する。
【0093】
一実施形態によれば、本発明は、配列番号1及び/又は配列番号2に記載の配列を含む、融合構築物に関する。
【0094】
一実施形態によれば、本発明は、配列番号3及び/又は配列番号4に記載の配列を含む、融合構築物に関する。
【0095】
一実施形態によれば、本発明は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、好ましくは少なくとも8個のジスルフィド結合を含む、融合構築物に関する。
【0096】
一実施形態によれば、本発明は、融合構築物が標的に結合することができ、標的がマンナン、高マンノース含有構造、フカン、リン脂質ホスファチジルセリン及び/又はCD3である、融合構築物に関する。
【0097】
一実施形態によれば、本発明は、
a.配列番号1に記載の配列、又はこの配列と少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列を含む又はそれらからなるタンパク質断片、及び
b.配列番号3に記載の配列、又はこの配列と少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列を含む又はそれらからなるタンパク質断片
を含む、融合構築物に関する。
【0098】
一実施形態によれば、本発明は、
a.i.配列番号1若しくは配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号9、配列番号43に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、並びに、
b.iii.配列番号1、配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
iv.配列番号9、配列番号43に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、融合構築物に関する。
【0099】
一実施形態によれば、本発明は、
a.i.配列番号3、配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号9、配列番号43に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、並びに
b.iii.配列番号3、配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
iv.配列番号9、配列番号43に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、融合構築物に関する。
【0100】
一実施形態によれば、本発明は、
a.i.配列番号1、配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号11、配列番号45に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、並びに
b.iii.配列番号3、配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
iv.配列番号13、配列番号47に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、融合構築物に関する。
【0101】
一実施形態によれば、本発明は、
a.i.配列番号1、配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号14、15、66に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、並びに
b.iii.配列番号1、配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
iv.配列番号16、17、67に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
v.好ましくは配列番号41に記載のリンカー配列、及び
vi.配列番号18~35から選択される配列のいずれかに記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、融合構築物に関する。
【0102】
一実施形態によれば、本発明は、
a.i.配列番号3、配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号14、15、66に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、並びに
b.iii.配列番号3及び/又は配列番号4による配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
iv.配列番号16、17、67に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
v.好ましくは配列番号41に記載のリンカー配列、及び
vi.配列番号18~35から選択される配列のいずれかに記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、融合構築物に関する。
【0103】
一実施形態によれば、本発明は、
a.i.配列番号1、配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号14、15、66に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、並びに
b.iii.配列番号3、配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
iv.配列番号16、17、67に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
v.好ましくは配列番号41に記載のリンカー配列、及び
vi.配列番号18~35から選択される配列のいずれかに記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、融合構築物に関する。
【0104】
一実施形態によれば、本発明は、
a.i.配列番号1、配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号16、17、67に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
iii.好ましくは配列番号41に記載のリンカー配列、及び
iv.配列番号18~35から選択される配列のいずれかに記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、並びに
b.v.配列番号3、配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
vi.好ましくは配列番号41に記載のリンカー配列、及び
vii.配列番号14、15、66に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、融合構築物に関する。
【0105】
一実施形態によれば、本発明は、リンカーを含む融合構築物に関する。
【0106】
一実施形態によれば、本発明は、リンカーが、(GGGGS)3リンカー(配列番号41)、(GGGGS)4リンカー(配列番号70)、(GGGGS)5リンカー(配列番号71)及び(GGGGS)6リンカー(配列番号72)から選択される、融合構築物に関する。
【0107】
(GGGGS)リンカーは、Gly-Gly-Gly-Gly-Serリンカー(配列番号69)として定義することができる。
【0108】
一実施形態によれば、本発明は、少なくとも1個の遊離システイン残基、少なくとも2個の遊離システイン残基、少なくとも3個の遊離システイン残基、少なくとも4個の遊離システイン残基、少なくとも5個の遊離システイン残基、好ましくは少なくとも6個の遊離システイン残基を含む、融合構築物に関する。
【0109】
一実施形態によれば、本発明は、遊離システインが、薬物及び/又はペイロードとの相互作用を可能にする、融合構築物に関する。
【0110】
一実施形態によれば、本発明は、ペイロードがフーリン阻害剤である、融合構築物に関する。
【0111】
一実施形態によれば、本発明は、A339C変異、S337C変異、及び/又はK340C変異を含む、融合構築物に関する。
【0112】
一実施形態によれば、本発明は、配列番号36、37、配列番号38、39、40、42、44、又は46の配列のいずれかから選択される配列を含む、融合構築物に関する。
【0113】
一実施形態によれば、本発明は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4である、融合構築物に関する。
【0114】
一実施形態によれば、本発明は、IgG、IgM、IgA、IgD、又はIgEである、融合構築物に関する。
【0115】
一実施形態によれば、本発明は、null fcを含む、融合構築物に関する。
【0116】
一実施形態によれば、本発明は、null fcが、234位でのAla置換及び/又は235でのAla置換、及び/又はN297A変異、及び/又はK322A変異を含む、融合構築物に関する。
【0117】
一実施形態によれば、本発明は、ヘテロ二量体化ドメインを含む、融合構築物に関する。
【0118】
一実施形態によれば、本発明は、ヘテロ二量体化ドメインが配列番号48、49、又は50に記載の配列を含む、融合構築物に関する。
【0119】
一実施形態によれば、本発明は、ヘテロ二量体化変異を含む、融合構築物に関する。
【0120】
一実施形態によれば、本発明は、ヘテロ二量体化変異がF405L及び/又はK409R変異である、融合構築物に関する。
【0121】
一実施形態によれば、本発明は、
a.i.配列番号1、配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号38に記載の配列、又はこの配列と少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、並びに
b.iii.配列番号1、配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
iv.配列番号38に記載の配列、又はこの配列と少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、融合構築物に関する。
【0122】
一実施形態によれば、本発明は、
a.i.配列番号3、配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号38に記載の配列、又はこの配列と少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、並びに
b.iii.配列番号3、配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
iv.配列番号38に記載の配列、又はこの配列と少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、融合構築物に関する。
【0123】
一実施形態によれば、本発明は、
a.i.配列番号1、配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号38に記載の配列、又はこの配列と少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、並びに
b.iii.配列番号3、配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
iv.配列番号40に記載の配列、又はこの配列と少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、融合構築物に関する。
【0124】
一実施形態によれば、本発明は、
a.i.配列番号1、配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号41に記載のリンカー配列、及び
iii.配列番号65に記載の配列、又はこの配列と少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖、
b.v.配列番号1、配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
vi.配列番号41に記載のリンカー配列、及び
vii.配列番号65に記載の配列、又はこの配列と少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、融合構築物に関する。
【0125】
一実施形態によれば、本発明は、
a.i.配列番号3、配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号41に記載のリンカー配列、及び
iii.配列番号65に記載の配列、又はこの配列と少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第1の鎖;
b.iv.配列番号3、配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
v.配列番号41に記載のリンカー配列、及び
vi.配列番号65に記載の配列、又はこの配列と少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列
を含む第2の鎖
を含む、融合構築物に関する。
【0126】
一実施形態によれば、本発明は、
a.i.配列番号1、配列番号2に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
ii.配列番号41に記載のリンカー配列、及び
iii.配列番号65に記載の配列であって、配列番号65が表8の変異のうちの1つ以上を含む配列
を含む第1の鎖、
b.iv.配列番号3、配列番号4に記載の配列、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列、及び
v.配列番号41に記載のリンカー配列、及び
vi.配列番号65に記載の配列であって、配列番号65が表8の変異のうちの1つ以上を含む配列
を含む第2の鎖
を含む、融合構築物に関する。
【0127】
一実施形態によれば、本発明は、融合構築物の薬物及び/又はペイロードに対する比が1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10から選択される、融合構築物に関する。
【0128】
一実施形態によれば、本発明は、配列番号51に記載のカッパ軽鎖、又は配列番号52若しくは53に記載のラムダ軽鎖を含む、融合構築物に関する。
【0129】
一実施形態によれば、本発明は、IgG3構築物である融合構築物であって、IgG3構築物がヒンジ領域を含み、ヒンジ領域が改変されている、融合構築物に関する。
【0130】
一実施形態によれば、本発明は、ヒンジ領域が、配列番号6又は配列番号8に記載の配列と合計で少なくとも10%の同一性、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%の同一性を有する配列を含む、融合構築物に関する。
【0131】
一実施形態によれば、本発明は、配列番号5、7、9、10、11、12及び/又は13に記載の配列を含む、融合構築物に関する。
【0132】
一実施形態によれば、本発明は、ヒンジ領域が、少なくとも1個の遊離システイン残基、少なくとも2個の遊離システイン残基、好ましくは少なくとも3個の遊離システイン残基を含む、融合構築物に関する。
【0133】
一実施形態によれば、本発明は、ヒンジ領域がS228P変異を含む、融合構築物に関する。
【0134】
一実施形態によれば、本発明は、ヒンジ領域が、配列番号6及び/又は配列番号8及び/又は配列番号68に記載の配列を含む、融合構築物に関する。
【0135】
一実施形態によれば、本発明は、ホスファチジルセリンを検出するために使用される、融合構築物に関する。
【0136】
一実施形態によれば、本発明は、対象の血液中のホスファチジルセリンを検出するために使用される、融合構築物に関する。
【0137】
一実施形態によれば、本発明は、配列番号1に記載の配列、及び/又は配列番号2に記載の配列を含む、融合構築物に関する。
【0138】
一実施形態によれば、本発明は、マンナン又はフカン部分に結合するC型レクチンを検出するために使用される、融合構築物に関する。
【0139】
一実施形態によれば、本発明は、対象の血液中のマンナン又はフカン部分に結合するC型レクチンを検出するために使用される、融合構築物に関する。
【0140】
一実施形態によれば、本発明は、配列番号3に記載の配列及び/又は配列番号4に記載の配列を含む、融合構築物に関する。
【0141】
一実施形態によれば、本発明は、IgG3の定常領域及びヒンジを含む融合構築物、融合タンパク質又は抗体であって、ヒンジが、好ましくはIgG1又はIgG4ヒンジから選択される、融合構築物、融合タンパク質又は抗体に関する。
【0142】
一実施形態によれば、本発明は、1つ以上のヘテロ二量体化変異を含む、融合構築物、融合タンパク質又は抗体に関する。
【0143】
一実施形態によれば、本発明は、405位及び/又は409位(EUナンバリング)が関与するヘテロ二量体化変異を含む、融合構築物、融合タンパク質又は抗体に関する。
【0144】
一実施形態によれば、本発明は、ヒンジ領域を含むIgG3ホモ二量体であって、ヒンジ領域が配列番号6、8及び68から選択される配列を含む、IgG3ホモ二量体に関する。
【0145】
一実施形態によれば、本発明は、ヒンジ領域を含むIgG3ヘテロ二量体であって、ヒンジ領域が配列番号6、8及び68から選択される配列を含む、IgG3ヘテロ二量体に関する。
【0146】
一実施形態によれば、本発明は、405位及び/又は409位に変異を含む、IgG3に関する。
【0147】
一実施形態によれば、本発明は、CH2及び/又はCH4ドメインの電荷対を変化させることによって得ることができるIgMヘテロ二量体に関する。
【0148】
一実施形態によれば、本発明は、表8の変異のうちの1つ以上を含む、IgMヘテロ二量体に関する。
【0149】
一実施形態によれば、本発明は、配列番号64及び/又は65に記載の配列を含む、IgMに関する。
【0150】
一実施形態によれば、本発明は、本発明に記載のIgG3ホモ二量体、IgG3ヘテロ二量体及び/又はIgMヘテロ二量体を含む、融合構築物に関する。
【0151】
一実施形態によれば、本発明は、感染症の処置において使用するためのものである、融合構築物に関する。
【0152】
一実施形態によれば、本発明は、感染症がウイルス、寄生虫、細菌、真菌又は原虫によって引き起こされる感染症である、融合構築物に関する。
【0153】
一実施形態によれば、本発明は、ウイルスが、アルボウイルス、ジカウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、エボラウイルス、インフルエンザウイルス、インフルエンザウイルスH1N1、チクングニアウイルス、エンテロウイルス、及びコロナウイルスSARS-COVから選択される、融合構築物に関する。
【0154】
一実施形態によれば、本発明は、細菌がマイコバクテリウム・ツベルクローシス及びマイコプラズマ・レプレから選択される、融合構築物に関する。
【0155】
一実施形態によれば、本発明は、寄生虫がリーシュマニア及びマラリアから選択される、融合構築物に関する。
【0156】
一実施形態によれば、本発明は、感染症の処置のための本発明に記載の融合構築物の使用に関する。
【0157】
一実施形態によれば、本発明は、感染症がウイルス、細菌及び原虫感染症から選択される、使用に関する。
【0158】
一実施形態によれば、本発明は、処置が皮下、皮内、筋肉内、経口及び経鼻から選択される投与形態での融合構築物の投与を含む、使用に関する。
【0159】
一実施形態によれば、本発明は、ペイロード送達のためのIgG4又はIgG4の一部の使用であって、IgG4がFcを含まないように改変されている、又はIgG4のFcの活性が1つ以上の変異により無効化若しくは低減されている、使用に関する。
【0160】
一実施形態によれば、本発明は、IgG4が1つ以上のヘテロ二量体化変異を含む、使用に関する。
【0161】
一実施形態によれば、本発明は、IgG4が1つ以上のCys変異を含み、好ましくはそれにより部位特異的コンジュゲーションが可能になる、使用に関する。
【0162】
一実施形態によれば、本発明は、IgG4が339位(EUナンバリング)にCysを含む、使用に関する。
【0163】
一実施形態によれば、本発明は、本発明に記載の融合構築物を含むワクチンに関する。
【0164】
一実施形態によれば、本発明は、マンナン、高マンノース含有構造、フカン及び/又はリン脂質ホスファチジルセリン(PS)を含むワクチンに関する。
【0165】
一実施形態によれば、本発明は、免疫応答を増強するためのβ-グルカンアジュバントをさらに含むワクチンに関する。
【0166】
一実施形態によれば、本発明は、感染症の予防及び/又は処置のためのワクチンに関する。
【0167】
一実施形態によれば、本発明は、感染症がウイルス、寄生虫、細菌、真菌又は原虫によって引き起こされる、ワクチンに関する。
【0168】
一実施形態によれば、本発明は、皮下投与、皮内投与、筋肉内投与、経口投与及び/又は経鼻投与から選択される経路を介した投与を可能にする、融合構築物及び/又はワクチンに関する。
【0169】
一実施形態によれば、本発明は、希釈剤、結合剤又は担体などの1つ以上の賦形剤を任意選択的に含む、本発明に記載の融合構築物を含む組成物に関する。
【0170】
一実施形態によれば、本発明は、本発明に記載の融合構築物及び/又はワクチン及び/又は組成物を投与するステップを含む、対象における感染症を処置及び/又は予防する方法に関する。
【0171】
一実施形態によれば、本発明は、対象における疾患の進行をスクリーニング及び/又はモニタリングする方法であって、下記の
i.対象由来の血液試料を提供するステップ、
ii.血液試料を、本発明に記載の融合構築物と接触させるステップ
を含む、方法に関する。
【0172】
一実施形態によれば、本発明は、本発明に記載の融合構築物をコードする単離された核酸分子に関する。
【0173】
一実施形態によれば、本発明は、本発明に記載の核酸分子を含む組換えベクターに関する。
【0174】
一実施形態によれば、本発明は、本発明に記載の組換えベクターを含む宿主細胞に関する。
【0175】
一実施形態によれば、本発明は、融合構築物の発現を可能にする条件下の培養培地中で本発明に記載の宿主細胞を培養するステップ、及び融合構築物を培養培地から単離するステップを含む、本発明に記載の融合構築物を生成する方法に関する。
【0176】
本発明の追加の実施形態を以下に説明する。
【0177】
一実施形態によれば、本発明は、ヒンジ領域を含む融合構築物であって、ヒンジ領域が以下に記載の配列のいずれかを含む、融合構築物に関する:
【0178】
【表1】
【0179】
一実施形態によれば、本発明は、残基405~409にFcヘテロ二量体化配列を含み、Fcヘテロ二量体化配列が配列番号48、49又は50に記載の配列を含む、融合構築物に関する。
【0180】
IgG Fcヘテロ二量体化配列(残基405~409)
【0181】
【表2】
【0182】
免疫グロブリンは、1つ以上のユニットから構成される糖タンパク質であり、それぞれが4つのポリペプチド鎖:2つの同一の重鎖(HC)及び2つの同一の軽鎖(LC)を含む。ポリペプチド鎖のアミノ末端は、アミノ酸組成にかなりの多様性を示し、相対的定常(C)領域と区別するために可変(V)領域と呼ばれる。各軽鎖は、1つの可変ドメインVL、及び1つの定常ドメインCLから構成されている。重鎖は、可変ドメインVH、並びに3つの定常ドメインCH1、CH2、及びCH3から構成されている。重鎖及び軽鎖は、非共有結合の相互作用と共有結合の鎖間ジスルフィド結合の組合せによって一緒になって結合されており、左右対称の構造を形成している。H鎖及びL鎖のV領域は、免疫グロブリン(Ig)分子の抗原結合部位を含む。各Ig単量体は、2つの抗原結合部位が含んでおり、二価であると言われている。
【0183】
Fabは、1つの完全なL鎖全体、並びに1つのH鎖のV及びCH1部分を含む。Fabはさらに、VHドメイン及びVLドメインから構成される可変断片(Fv)、並びにCLドメイン及びCH1ドメインから構成される定常断片(Fb)に分けることができる。
【0184】
H鎖定常ドメインは、一般に、CH1-CH2-CH3(IgG、IgA、IgD)として定義され、IgM及びIgEについては追加のドメイン(CH4)を含んで定義される。上述のように、CH1ドメインはF(ab)領域内に位置しているが、残りのCHドメイン(CH2-CH3又はCH2-CH4)はFc断片を含む。このFc断片は、免疫グロブリンのアイソタイプ及びサブクラスを定義する。
【0185】
CH3ドメイン:CH3ドメイン及びCH3領域という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0186】
CH1ドメイン:CH1ドメイン及びCH1領域という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0187】
ヒンジ領域:ヒンジ領域は、第1と第2のC領域ドメインの間の重鎖の領域であり、ジスルフィド結合によって結合されている。ヒンジ領域は、典型的には、10~30個のアミノ酸残基を含む。
【0188】
リンカー:リンカーは、ペプチドリンカー又は非ペプチドリンカーであり得る。ペプチドリンカーの例は、適切な回数を繰り返すことができる、5アミノ酸残基単位GGGGS(配列番号71)を含むGly/Serペプチドリンカーである。リンカーは、天然に存在するリンカーあっても、合成的に生成されたリンカーであってもよい。リンカーは、分子内で自然に生じる場合もあれば、合成的に分子に付加されることもある。
【0189】
抗体断片:本明細書で使用される場合、「抗体断片」は、例えば、抗体の抗原結合性又は可変領域などのインタクトな抗体の一部を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;トリアボディ;テトラボディ;直鎖抗体;単鎖抗体分子;及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。例えば、抗体断片には、重鎖及び軽鎖の可変領域からなる単離された断片、「Fv」断片、軽鎖及び重鎖の可変領域がペプチドリンカーにより連結されている組換え単鎖ポリペプチド分子(「ScFvタンパク質」、並びに超可変領域を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識ユニットが含まれる。多くの実施形態において、抗体断片は、親抗体と同じ抗原に結合する断片である親抗体の十分な配列を含む。一部の実施形態において、断片は、親抗体の親和性に匹敵する親和性で抗原に結合する、及び/又は抗原への結合に対して親抗体と競合する。抗体の抗原結合断片の例としては、限定するものではないが、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、scFv断片、Fv断片、dsFvダイアボディ、dAb断片、Fd’断片、Fd断片、及び単離された相補性決定領域(CDR)領域が挙げられる。抗体の抗原結合性断片は、任意の手段によって生成され得る。例えば、抗体の抗原結合性断片は、インタクトな抗体の断片化によって酵素的若しくは化学的に生成され、及び/又は部分的抗体配列をコードする遺伝子から組換え的に生成され得る。或いは、又は追加として、抗体の抗原性結合断片は、完全に又は部分的に、合成的に生成することができる。
【0190】
抗体の抗原結合性断片は、単鎖抗体断片を任意選択的に含み得る。或いは、又は追加として、抗体の抗原結合断片は、例えば、ジスルフィド結合によって一緒に連結された複数の鎖を含んでいてもよい。抗体の抗原結合性断片は、多分子複合体を任意選択的に含み得る。機能性抗体断片は、典型的には少なくとも約50アミノ酸を含み、より典型的には少なくとも約200アミノ酸を含む。
【0191】
抗体又はその断片:本明細書で使用される場合、「抗体又はその断片」とは、上記で定義された抗体又は抗体断片を指す。
【0192】
ヒト化抗体:ヒト化抗体は、ヒトにおいて自然に生成される抗体バリアントとの類似性を高めるようにタンパク質配列が改変された非ヒト種由来の抗体である。
【0193】
IMGT:the international ImMunoGeneTics information systemは、免疫遺伝学及び免疫情報学における国際的なリファレンスである。
【0194】
単鎖Fv(scFv):単鎖Fv(scFv)は、当技術分野において広く知られており、使用されている。単鎖Fvは、多くの場合、短いリンカーペプチドによって連結されている、免疫グロブリンの重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質である(例えば、Benny K. C. Lo(編)、Antibody Engineering-Methods and Protocols、Humana Press 2004年、及びその中で引用されている参考文献を参照されたい)。
【図面の簡単な説明】
【0195】
図1】ADCC、ADCP、及びCDCが増強されたTIM1及びCTLD構築物を示す図である。
図2】T細胞エンゲージャー活性を持つTIM1及びCTLD構築物を示す図である。
図3】フーリン阻害剤ペイロードを持つTIM1及びCTLD構築物を示す図である。
図4】IgMエフェクター機能を持つTIM1及びCTLD構築物を示す図である。
図5a】VP019のSEC-HPLC分析を示す図である。
図5b】VP020のSEC-HPLC分析を示す図である。
図6a】VP025が4つの異なるピークから構成されることを示す図である。
図6b】インタクト質量分析ピーク3からのフラクション3(VP025-F3)を示す図である。
図6c】インタクト質量分析:ピーク4からのフラクション4(VP025-F4)を示す図である。
図7a】SEC-HPLCによるVP300の概略図及び純度を示す図である。
図7b】SEC-HPLCによるVP301の概略図及び純度を示す図である。
図8】SARS-CoV-2 Sタンパク質(D614G)の結合を示す図である。
図9】VP025-CTのウイルスタンパク質への結合を示す図である。
図10a】VP019、VP020(ヘテロ二量体混合物)のビオチン-ホスファチジルセリン及びウイルス抗原の選択群への結合曲線を示す図である。
図10b】VP025-CT(ヘテロ二量体混合物)及びVP025-F4(純度78%のヘテロ二量体)のビオチン-ホスファチジルセリン及びウイルス抗原の選択群への結合曲線を示す図である。
図11】ヘキサ-D-アルギニンリンカー化合物及びデカノイル-RVKR-CMKリンカー化合物の構造を示す図である。
図12】デカノイル-RVKR-CMKリンカー化合物の反応スキームを示す図である。
図13a】フーリン阻害剤ペイロードのVP020へのコンジュゲーションが達成されたことを実証するマススペクトログラムを示す図である。
図13b】フーリン阻害剤ペイロードのVP020へのコンジュゲーションが達成されたことを実証するマススペクトログラムを示す図である。
図14a】本発明の選択された融合タンパク質の中和アッセイを示す図である。詳細については、実施例16を参照されたい。
図14b】本発明の選択された融合タンパク質の中和アッセイを示す図である。詳細については、実施例17を参照されたい。
【0196】
すべての引用された参考文献は、参照により組み込まれる。
【0197】
添付の図面及び実施例は、本発明を限定するものではなく、説明のために提供されている。本発明の態様、実施形態、特許請求の範囲、及び任意の項目が組み合わされ得ることは、当業者には明白である。
【0198】
特に記載のない限り、すべてのパーセンテージは重量/重量である。特に記載のない限り、すべての測定は、標準条件(室温及び気圧)下で実施される。特に記載のない限り、試験条件は、欧州薬局方8.0に従っている。
【実施例
【0199】
[実施例1] 組換えヒトTIM1断片の選択
構築物V-TIM1-1を完全長TIM-1配列(https://www.uniprot.org/uniprot/Q96D42)の残基21~125として選択し、V-TIM1-2を残基21~127として選択した。V-TIM1-2は、C末端ドメイン境界に余分な2個のPro残基を含む。
【0200】
【表3】
【0201】
[実施例2] DC-SIGN(CD209)の組換えヒトC型レクチンドメイン(CTLD)断片の選択
構築物V-CTLD-1を完全長DC-SIGN配列(https://www.uniprot.org/uniprot/Q9NNX6)の残基250~385として選択し、V-CTLD-2を残基254~383として選択した。V-CTLD-1は4つの内部ジスルフィド結合を含むが、V-CTLD-2は3つの内部ジスルフィド結合を含む。
【0202】
【表4】
【0203】
[実施例3] IgG3エフェクター機能を持つTIM-1及びCTLD構築物の設計
すべてのヒトIgGサブクラスの中で、IgG3は、ADCC、ADCP及びCDCの点で最も高いエフェクター機能を有する(https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fimmu.2014.00520/full)。IgG3は、CH1とCH2ドメインの間の長いヒンジ領域がタンパク質分解切断により血清半減期が短くなるので、典型的には治療に使用されていない。IgG3サブクラスの強力なエフェクター機能を利用するため、IgG3ヒンジ(LKTPLGDTTHTPEPKSCDTPPPCPRCPAP)(配列番号6)を、Fabアーム交換を防止するIgG4ヒンジS228P変異を含むIgG4ヒンジ配列(SKYGPPCPPCPAP)(配列番号8)又はIgG1様ヒンジ(KTGDTTHTCPRCPAP)(配列番号68)と置き換えたV-IGG3構築物を設計した。
【0204】
ヘテロ二量体V-IGG3構築物は、CH3ドメイン(https://www.nature.com/articles/nprot.2014.169)にK409R(1つの半抗体上)変異及びF405L(2つ目の抗体上)変異を含めることにより設計した。それぞれの半抗体は、まず単一ホモ二量体として生成され、次に一緒に混合され、還元条件及び酸化条件下でヘテロ二量体として再結合される。得られた配列は、V-IGG3-A及びV-IGG3-Bとして注記され、一緒に対になっているか、一緒に対になるV-IGG3-D及びV-IGG3-Eとして注記されている。配列は、CH1ドメインを置き換えるための(GGGGS)3リンカー(配列番号41)を含む切断型バージョンを含め、表3で確認される。
【0205】
【表5】
【0206】
TIM1及びCTLD融合タンパク質は、改変されたIgG3-Fcドメインを用いて設計されており、図1及び表4に示す。
【0207】
【表6】
【0208】
[実施例4] T細胞エンゲージング活性を持つTIM-1及びCTLD構築物の設計
TIM-1及びCTLDを単一抗CD3 scFvと融合させることによってT細胞エフェクター機能をエンゲージする追加の構築物を設計した。設計を図2及び表5に示す。
【0209】
【表7】
【0210】
【表8】
【0211】
[実施例5] フーリン阻害剤ペイロード送達を用いるTIM-1及びCTLD構築物の設計
抗体Fc領域への薬物ペイロードの部位特異的付加は、ヒトIgG1 Fcと細菌タンパク質Aの3ヘリックスバンドルとの共結晶構造の解析によって考案された(PDB構造5U4Y https://www.rcsb.org/シーケンス/5U4Y)。計算モデリングにより、A339Cが構造に対して安定化効果を有し、S337C又はK340CがFcドメインの安定性に対して中立的な効果を有することが明らかになった。A339Cが部位特異的コンジュゲーションの部位として選択された。
【0212】
【表9】
【0213】
ペイロードコンジュゲーション部位を含むFcドメインを有するTIM1及びCTLD融合タンパク質が設計され、図3及び表8に示す。
【0214】
【表10】
【0215】
[実施例6] フーリンリンカー
デカノイル-Arg-Val-Lys-Arg-クロロメチルケトン(dec-RVKR-cmk)(配列番号81)又はヘキサ-D-アルギニン(D6R)を、酸感受性N-アシル-ヒドラゾンなどの切断可能なリンカー、又は酵素感受性マレイミドコンジュゲート型ジペプチド、バリン-アラニン、バリン-シトルリン若しくはフェニルアラニン-リジンを使用し、TIM-1及びCTLD構築物に連結させた。
【0216】
酸感受性リンカーは、構築物の内部移行後にリソソーム酸性環境において切断される。この戦略は、2種類の承認済みADC、ゲムツズマブオゾガマイシン(Gemtuzumab ozogamicin)及びイノツズマブオゾガマイシン(Inotuzumab ozogamicin)で使用されている。リソソームプロテアーゼ感受性ジペプチドは、カテプシンB-リソソームプロテアーゼなどのプロテアーゼによって切断された後、薬物を放出する。このタイプのリンカー化学は、FDA承認のブレンツキシマブベドチン(Brentuximab vedotin)に使用されている。
【0217】
抗体のポリペプチドへの結合は、コンジュゲートの不均一な混合物を生成するランダムコンジュゲーションによって、又は生成物の不均一性を抗体薬物比(ADR)1若しくは2に低減する、操作されたシステインへの部位特異的コンジュゲーションによって、リジン又はシステインの求核基を介して行われる。
【0218】
Cys残基のチオール官能基のマレイミド基に対する求核反応性は、リジン残基のアミノ基又はN末端アミノ基などのタンパク質の他のいずれかのアミノ酸官能基と比較して約1000倍高い。マレイミド試薬中のチオール特異的官能基はアミン基と反応し得るが、より高いpH(>9.0)及びより長い反応時間が必要とされる(Garman、1997年、Non-Radioactive Labelling: A Practical Approach、 Academic Press、London)。
【0219】
最初にFDA承認された、設計されたシステインによる部位特異的ADCは、バダスツキシマブタリリン(Seattle Genetics)であった。
【0220】
【表11】
【0221】
[実施例7] IgM定常領域との融合タンパク質
IgM分子は、特に、CDCとの強力なFcエフェクター機能を有する。IgM分子は自然にホモ二量体化し、その後共有結合により五量体又は六量体になる。IgMは、IgG分子のようなヒンジ領域を含まず、代わりに余分のCHドメイン(CH1-CH2-CH3-CH4)を含む。ホモ二量体重鎖は、CH2ドメインとCH4ドメインで一体となる。マウスIgM CH2ドメイン(pdb 4JVU)の結晶構造、マウスIgM CH4ドメイン(pdb 4JVW)の結晶構造、及びヒトIgM CH2及びCH4配列と相同なマウス配列との配列アラインメントの視覚的分析に基づき、ホモ二量体化界面で電荷差を誘導することによりIgM重鎖ヘテロ二量体化を誘導するように変異を設計した。
【0222】
uniprot(www_uniprot.org/uniprot/P01871)による残基番号1~453のヒトIgM定常領域の配列:
【0223】
【化1】
【0224】
IgMのエフェクター機能(残基105~453)を付加するための、抗体断片(Fab、scFv、VHHなど)又はターゲティングタンパク質(TIM-1、CTLD/DC-SIGN)への融合に使用することができるIgM CH2-CH3-CH4の配列:
【0225】
【化2】
【0226】
構造解析によれば、下線部の残基K131及びQ135はCH2:CH2界面で近接していることが確認され、残基T354及びE385はCH4:CH4界面で近接していることが確認された。V-IGM-A及びV-IGM-Bの電荷パターンを変更し、A:Bのヘテロ二量体形成を誘導し、A:A又はB:Bの形成を回避するために、以下の変異を行った。
【0227】
【表12】
【0228】
IgMエフェクター機能を持つTIM1及びCTLD融合タンパク質を設計し、図4及び表11に示す。
【0229】
【表13】
【0230】
実施例8:VP011-VP020の発現及び精製
[表1及び図1~3]の10種類のタンパク質を発現させ、プロテインA/G磁気アガロースビーズを使用して、2.5mLのExpiCHO培養物からバッチ精製した。発現収量及び単量体純度%を表12に示す。
【0231】
【表14】
【0232】
VP011(100mL)、VP012(100mL)、VP013(100mL)、VP014(100mL)、VP019(1L)及びVP020(250mL)について、ExpiCHO細胞でより大きなスケールでの調製を行った。VP011、VP019、及びVP020は、MabSelect SuReプロテインA樹脂カラムクロマトグラフィーにより精製した。VP012、VP013及びVP014は、HiTrapプロテインG樹脂カラムクロマトグラフィーにより精製した。発現収量及び単量体純度%を表13に示す。
【0233】
【表15】
【0234】
発現された組換えタンパク質の配列を表14に示す。
【0235】
【表16】
【0236】
実施例9:VP019画分及びVP025ヘテロ二量体の調製
VP019のSEC-HPLC分析(図5a)は、VP019が予想されるホモ二量体(フラクションF6)と多量体約600kDa(フラクションF2)を形成することを示す。この画分を精製し、機能活性について別々に評価した(それぞれVP019-F6及びVP019-F2と命名した)。
【0237】
図5b:VP020のSEC-HPLC分析。
【0238】
VP019とVP020のヘテロ二量体であるタンパク質産物VP025は、遺伝子TM-G4-A-DCとCT-G4-B-DCをExpiCHO細胞で共発現させることにより生成し、MabSelect SuReプロテインA樹脂カラムクロマトグラフィーにより精製した。得られた同時トランスフェクトされた試料生成物をVP025-CTと命名した。図6aは、VP025-CTが4つの異なるピークを含み、これを精製してインタクト質量分析で別々に評価したことを示す。ピーク1及びピーク2からの画分は、多くの種を示した。ピーク3からのフラクション3(VP025-F3)は、VP020ホモ二量体に対応する、86,721Daの質量を示した(図6b)。ピーク4からのフラクション4(VP025-F4)は、約78%の純度で、適切に形成されたVP019/VP020ヘテロ二量体に対応する、83,881Daの質量を示した(図6c)。
【0239】
実施例10:VP300及びVP301の発現及び精製
単一ポリペプチド鎖上にTIM-1及びCTLDドメインを含む2つの追加の二重特異性分子(表15)を100mLのExpiCHO細胞で生成し、MabSelect SuReプロテインA樹脂カラムクロマトグラフィーで精製した。概略図及びSEC-HPLCによる純度を図7a及び図7bに示す。
【0240】
発現された組換えタンパク質の配列を表14に示す。
【0241】
【表17】
【0242】
実施例11:VP019、VP020及びVP025のSARS-COV2 Sタンパク質への結合
VP019-F2、VP020、及びVP025-CTのSARS-Cov-2 S D614Gへの結合をELISAにより調べた。このタンパク質は、2020年初頭において優勢なSARS-COV-2株を代表するものである。DC-SIGNは結合部位でカルシウムを使用することが知られているため、本実施例及び後続の実施例におけるすべてのELISAアッセイは、2.5mMのCaClの存在下で実施した。結合曲線を図8に示し、EC50値を表16に示す。VP019-F2は、SARS-COV2 Sタンパク質に対して予想外に高い結合を示したが、VP020はわずかな結合であった。
【0243】
【表18】
【0244】
実施例12:VP025-CTの広範囲のウイルス抗原への結合
多くの多様なウイルス表面タンパク質抗原へのVP025-CTの結合をELISAにより調べた。結合曲線を図9に示し、EC50値を表17に示す。
【0245】
【表19】
【0246】
実施例13:VP019、VP020、VP025-CT及びVP025-F4のホスファチジルセリン及びウイルス抗原への結合
VP019、VP020、VP025-CT(ヘテロ二量体混合物)及びVP025-F4(78%純度のヘテロ二量体)のビオチン-ホスファチジルセリン並びにウイルス抗原(インフルエンザA型H1N1 HA、ヒトRSV糖タンパク質G、ジカウイルスエンベロープタンパク質及びSARS-Cov-2 S D614G)の選択群への結合について、ELISAにより調べた。結合曲線を図10a及び図10bに示し、EC50値を表18及び表19に示す。VP025-F4は、VP025-CTよりもすべての抗原に強い結合を有していた。
【0247】
【表20】
【0248】
【表21】
【0249】
実施例14:フーリン阻害剤リンカーペイロードの合成
溶媒及び試薬は、Sigma-Aldrich、VWR、又はFisher Scientificから購入し、さらなる精製を行うことなく使用した。反応は、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって、又はWaters Acquity Ultra Performance LCシステム及びSynapt高解像度質量分析計を用いる分析液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)によってモニターした。H NMRスペクトルは、Varian Unity INOVA分光計(500MHz)で記録した。すべての化学シフトをppmで報告し、カップリング定数Jはヘルツ(Hz)で報告している。NMR溶媒ピークは次のように参照された:(H NMR)CDCl:7.27ppm、DMSO-d:2.50ppm。化合物は、順相シリカゲル(SiliCycle Inc.)又は逆相(Teledyne Gold-C18又はC18-Aq)プレパックカラムを使用するTeledyne ISCO Combi-Flashシステムのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。化合物の純度は、Acquity UPLC CSH C18 1.7μm(50mm×2.1mm)カラム及び0.3mL/分の流速を使用する分析用HPLC(Waters Acquity Ultra Performance)により決定した。勾配条件:溶媒A(水中0.05%ギ酸)及び溶媒B(アセトニトリル中0.05%ギ酸):0~0.1分 95%A、0.1~4.0分 5~95%B(線形勾配)、4.0~5.0分 95%B、254nm及び220nmでのUV検出。
【0250】
反応スキームを図12に示す。
【0251】
N-メチルモルホリン(13.8μL、0.126mmоl)を、ヘキサ-D-Arg(D-アルギニンアミドD-アルギニル-D-アルギニル-D-アルギニル-D-アルギニル-D-アルギニル-D-アラニン;Ambeed、cat# A333458)(30mg、0.0314mmol)、MC-Val-Cit-PAB-PNP(BroadPharm Cat#:BP-23292、CAS:159857-81-5)(46.4mg、0.0629mmol)及びHOBt.HO(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物;5.3mg、0.0345)の無水DMF(1mL)中溶液に、アルゴン雰囲気下で加えた。溶液を室温で18時間撹拌した。反応物を1:1のACN/水(0.05% HCOH)(10mL)で希釈し、逆相C18-Aqフラッシュクロマトグラフィー(勾配溶出;100%水-移動相添加剤として0.05%のHCOHを含む100%ACN)で精製し、凍結乾燥後にMC-VC-PAB-(D-Arg)e-NH2(12mg、0.00773mmol、25%)を白色の固体として得た。H NMR (500 MHz, DMSO-d) d 10.09 (s, 1H), 8.65 (br. s, 6H), 8.47 (s, 6H), 8.32 - 8.45 (m, 4H), 8.12 - 8.20 (m, 1H), 7.84 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.50 - 7.80 (m, 18H), 7.29 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.17 (s, 1H), 7.01 (s, 2H), 6.08 - 6.10 (m, 1H), 5.43 - 5.50 (s, 2H), 4.89 - 5.01 (m, 2H), 4.36 - 4.41 (m, 1H), 4.12 - 4.30 (m, 6H), 4.01 - 4.09 (m, 1H), 3.35 - 3.40 (m, 2H), 2.91 - 3.12 (m, 12H), 2.09 - 2.21 (m, 2H), 1.93 - 2.00 (m, 1H), 1.65 - 1.75 (m, 6H), 1.40 - 1.62 (m, 28H), 1.30 - 1.40 (m, 1H), 1.15 - 1.25 (m, 2H), 0.80 - 0.89 (m, 6H);MS(ESI)m/z:1552.4[M+H]
【0252】
構造を図11に示す。
【0253】
実施例15:フーリン阻害剤ペイロードのVP020へのコンジュゲーション
ヘキサ-D-アルギニンリンカー化合物のVP020へのコンジュゲーション試験は、VP025を4当量のTCEPと反応させ、37℃で1時間インキュベートして遊離システインを還元することにより実施した。試料をZebaカラムに通してTCEPを除去し、1mM DTPA pH6.5を含む1×PBSに緩衝液を交換した。次いで、この試料を2.5当量のペイロード(Mc-VC-PAB-(D-Arg6)-CONH2と室温で1時間反応させた。最終生成物を質量分析法で分析し(図13を参照)、予想される質量の88,138Daに近い、88,136Daの質量を有することが示された。
【0254】
実施例16:VP019、VP020及びVP025のRSV中和アッセイ
マイクロ中和アッセイを実施して、RSVに対する3つの化合物(VP019-F2、VP020及びVP025-F4)の抗ウイルス特性を決定した。各ウイルスを各抗体と1時間インキュベートした後、その混合物をA549細胞(ヒト肺がん細胞株)に添加した。抗ウイルス活性を、免疫蛍光ベースのアッセイを使用して24時間後に決定した。24時間後、感染プレートをPBSで洗浄し、4%ホルムアルデヒドで30分間固定し、再度PBSで洗浄し、染色までPBS中に4℃で保存した。残留ホルムアルデヒドすべてを50mMの塩化アンモニウムでクエンチし、その後、細胞を透過処理し(0.1% Triton X100)、RSV融合タンパク質を認識する抗体(GeneTex GTX40697)で染色した。一次抗体をAlexa-488コンジュゲート二次抗体(Life Technologies、A21244及びA11001)で検出し、核をHoechstで染色した。画像は、CellInsight CX5ハイコンテント・プラットフォーム(Thermo Scientific)で取得し、感染率をCellInsight CX5ソフトウェアを使用して算出した(感染細胞/全細胞×100)。
【0255】
試験物質は0.5μMの濃度で使用し、試料は3連で試験した。結果のデータを図14に示す。RSVについては、VP019-F2は97%のウイルス阻害であったのに対し、VP025-F5については55%の阻害、VP020については28%の阻害であった。
【0256】
実施例17:VP025のZIKV中和アッセイ
第2の中和アッセイは、以下の手順を使用し、VP025-F4を使用してジカウイルスについて実施した。
【0257】
細胞培養の調製
Vero E6細胞を2%FBS(及び1% pen-strep -Allenで確認することが必要)を補充したDMEMで維持し、5%COで37℃にて保存した。細胞を48ウェルプレートに1ウェルあたり8.0×10個の細胞の濃度で播種し、一晩接着させた。感染当日の朝に、細胞単層を検査して90~95%の密集度であることを確認した。
【0258】
ジカウイルス中和の試験
VP025-F4を、合計8つの希釈(220~0.1μg/mL)について、1:3の比で感染培地を使用して3連で連続希釈した。ジカウイルス(ZIKV)のMEX-1-44株を、1.0のMOI(8.0×10FFU)で各希釈液に加え、混合し、37℃、5%COで1時間インキュベートした。
【0259】
陽性対照の中和
VP025:ZIKVのインキュベーションと同時に、陽性対照試料もインキュベートした。マウスα-ZIKV MIAF(マウス免疫腹水抗体)を1:500、1:1000、及び1:1500に希釈し、3連で試験ウェルと同じ濃度のウイルスを使用してZIKVと組み合わせた。
【0260】
プレート感染
VP025-F4:ZIKV及びα-ZIKV MIAF:ZIKVをインキュベーションした後、Vero E6ウェルプレートをインキュベーターから取り出した。培地を細胞から吸引し、試験試料及び陽性対照試料をVero E6プレートに移し、インキュベーターに戻し、非中和ウイルスを細胞に1時間感染させた。
【0261】
陰性対照フォーカス形成アッセイ
プレート感染のインキュベーションと同時に、ZIKVを段階希釈し(10-2~10-5)、試料をVero E6細胞に3連で感染させた。
【0262】
フォーカス減少法中和アッセイ
Vero E6細胞で1時間インキュベーションした後、0.8%メチルセルロースのオーバーレイをすべてのウェルに加え、37℃、5%COで約60時間維持した。プレートをインキュベーターから取り出し、オーバーレイを吸引し、細胞をリン酸緩衝生理食塩水で2回穏やかに洗浄した。ウイルスをメタノールとアセトンの1:1固定液混合物で不活性化し、プレートを30分間固定させた。不活性化した後、固定液を除去し、固定液がなくなるまでプレートを風乾した。
【0263】
すべてのインキュベーション及び洗浄は室温で実施し、プレートをプレートロッカーに置いた。細胞をPBS中0.5%Tritonで透過処理し、PBS中0.02%Tween20(PBST)で洗浄した。BSA及び正常ヤギ血清を含むPBSTのブロッキング溶液を調製し、すべてのウェルで1時間インキュベートした。一次抗体、マウスα-ZIKV MIAFは、BSAを含むPBSTで希釈し、使用するまで氷上で保存した。ブロッキング溶液を除去し、一次抗体を1時間インキュベートした。抗体を除去し、プレートをPBSTで洗浄した。二次抗体、ヤギα-マウスIgG(高鎖及び低鎖)HRPコンジュゲート型を、BSAを含むPBSTで希釈した。抗体をウェル上で1時間インキュベートし、次いで、BSAを含むPBSTでウェルを洗浄した。Vector labs ImmPACT AMEC展開溶液をキットの説明書に従って調製し、各ウェルに添加した。プレートを暗所でインキュベートしたが、染色について定期的にチェックした。病巣が明確に発生した後(約15分)、ウェルを脱イオン水ですすぎ、プレートを乾燥させた。
【0264】
結果
病巣は、VP025-F4試験ウェル又は陽性対照ウェルにおいて観察されなかった(図14bを参照)。病巣は、陰性対照フォーカス形成アッセイウェルで予想どおりに発生し、連続ウイルス希釈ごとに病巣が減少することが示されている。これは、VP025試験物質が(220~0.1μg/mL)の希釈でZIKVを中和できたことを示唆している。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図8
図9
図10a
図10b
図11
図12
図13a
図13b
図14a
図14b
【配列表】
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【国際調査報告】