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特表2023-538132筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/30 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
A61F2/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512703
(86)(22)【出願日】2020-11-18
(85)【翻訳文提出日】2023-04-18
(86)【国際出願番号】 CN2020129722
(87)【国際公開番号】W WO2022036899
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】202010850275.X
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202021764320.1
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514082712
【氏名又は名称】上海交通大学医学院付属第九人民医院
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼▲馳▼
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼吉▲駟▼
(72)【発明者】
【氏名】焦子先
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼敏▲潔▼
(72)【発明者】
【氏名】姜▲聞▼博
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA30
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC12
4C097CC16
(57)【要約】
筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼであって、関節窩部材1及び関節窩部材1と当接する関節頭部材2を含み、関節頭部材2は下顎後縁固定板21、S字状切痕固定板22及び関節頭部23を含む。下顎後縁固定板21は前記関節頭部23下端に連結されて下方に延伸し、板状構造をなして下顎後縁表面接合面を含み、S字状切痕固定板22は下顎後縁固定板21の一側から突出するとともに下顎後縁固定板21から離れる方向に延伸し、板状構造をなして下顎上行枝略S字状切痕部接合面を含む。該プロテーゼは側頭下顎関節の正常な解剖学的構造を効果的に修復し、外側翼突筋及び咬筋の正常な付着を維持して、患者の咀嚼、言語、運動等の機能を回復させることができ、患者が術後において下顎が歪む、咀嚼力がなくなるという課題を解決する。設計がより精細になり、手術の創傷が減り、手術時間が短縮され、手術難度が下がる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼであって、前記プロテーゼは上から下に、関節窩部材及び前記関節窩部材と当接する関節頭部材を少なくとも含み、前記関節窩部材は互いに接続する関節窩部と人体頬骨弓に固定される頬骨弓保持部とを含み、前記関節頭部材は下顎後縁固定板、S字状切痕固定板及び関節頭部を含み、前記関節頭部は全体的又は部分的な顆状突起形態であり、かつ、前記関節窩部材と当接し、前記下顎後縁固定板は前記関節頭部の下端に連結されて下方に延伸し、板状構造をなして下顎後縁表面接合面を含み、前記S字状切痕固定板は前記下顎後縁固定板の一側から突出するとともに前記下顎後縁固定板から離れる方向に延伸し、板状構造をなして下顎上行枝略S字状切痕部接合面を含むことを特徴とする筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼ。
【請求項2】
前記下顎後縁固定板が前記関節頭部の下端から下方に延伸する長さは25~35mmであり、及び/又は、前記S字状切痕固定板が前記下顎後縁固定板から突出する延伸長さは15~25mmであることを特徴とする請求項1に記載の筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼ。
【請求項3】
前記下顎後縁固定板と前記S字状切痕固定板の接続部分は、前記下顎後縁固定板の幅が5~15mmであり、及び/又は、前記S字状切痕固定板の幅が5~15mmであることを特徴とする請求項1に記載の筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼ。
【請求項4】
前記下顎後縁固定板の延伸末端の幅は5~10mmであり、及び/又は、前記S字状切痕固定板の延伸末端の幅は5~10mmであることを特徴とする請求項1に記載の筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼ。
【請求項5】
前記下顎後縁固定板及び前記S字状切痕固定板の厚さは2~3mmであることを特徴とする請求項1に記載の筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼ。
【請求項6】
a.前記下顎後縁固定板の延伸末端は人体の下顎骨後縁の後ろ側に向かって骨面が湾曲し、
b.前記下顎後縁固定板と前記S字状切痕固定板の延伸方向間の夾角は60~90°であり、
c.前記関節頭部の幅は5~10mmであり、及び/又は、前記関節頭部の深さは10~20mmであり、
d.前記関節頭部の上端は凹凸型湾曲部であり、骨に近い面が凹面、骨から遠い面が凸面であり、骨から遠い面と前記関節窩部とは凹凸嵌合し、
e.前記頬骨弓保持部、前記下顎後縁固定板及び前記S字状切痕固定板の板面には固定ねじ孔がそれぞれ設けられる、
との特徴のうちの1つ又は複数を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼ。
【請求項7】
前記関節頭部材の内表面は粗面又は多孔構造であることを特徴とする請求項1に記載の筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼ。
【請求項8】
前記関節窩部は骨面及び運動機能面を含み、前記骨面は人体の関節窩と関節結節とに個人化された接合を行うことができ、前記運動機能面と前記関節頭部材は当接することを特徴とする請求項1に記載の筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼ。
【請求項9】
前記運動機能面は凹面であることを特徴とする請求項8に記載の筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼ。
【請求項10】
前記頬骨弓保持部は人体の頬骨弓に個人化された接合を行うことができる頬骨弓接合面を含み、前記頬骨弓保持部の厚さは2~3mmであることを特徴とする請求項1に記載の筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療機器分野に関し、具体的には、筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼに関する。
【背景技術】
【0002】
側頭下顎関節は顎顔面で唯一の関節、かつ左右連動する関節であり、回転及び摺動運動を伴うものであって、解剖学的及び運動的に人体で最も複雑な関節の一つである。側頭下顎関節症は一般的な病気であり、多発的な病気である。主には関節領域の痛み、開口制限、咬合不正、下顎運動及び機能の障害等が現れ、患者の咀嚼、言語等の機能に大きく影響し、ひいては患者の生命を脅かすことにもなる。末期の側頭下顎関節骨関節症、重い突発性顆状突起吸収、硬直、粉砕骨折及び一部の関節腫瘍等は病変した関節を切除する必要があり、自家組織又は他家組織を利用してTMJを再建することによって、形態及び機能を最大限に回復させる。全側頭下顎関節プロテーゼ(Total Temporomandibular joint prosthesis、全TMJプロテーゼ)は該関節の形態及び機能を回復させる効果的な方法の一つである。現在、国際的に主流となっている製品は標準型のZimmer Biometとカスタマイズ型のTMJ Conceptsである。この2種類のプロテーゼはそれぞれ中国人の関節構造に適合しないもの、価格が非常に高いもの(7~15万RMB/片側)であるため、中国国内では応用されることが少ない。特許文献1の製品は、初歩的な臨床試験において良好な安全性と有効性が実証されている。この3種類のプロテーゼは主に関節機能の回復に焦点を当てており、手術において顆状突起を完全に切除するため、外側翼突筋が関節に付着しなくなり、同時に、下顎ホルダを下顎上行枝表面に接合させるため、咬筋も部分的に付着しなくなることから、術後患者の側方運動が制限される、開口において下顎が大きく歪む、咀嚼力がなくなる等の合併症が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国実用新案第205626192号明細書
【発明の概要】
【0004】
上述した従来技術の欠点に鑑みて、本発明の目的は、筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼを提供することである。
【0005】
本発明で述べる筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼにおいて、前記プロテーゼは上から下に、関節窩部材及び前記関節窩部材と当接する関節頭部材を少なくとも含む。前記関節窩部材は互いに接続する関節窩部と人体の頬骨弓に固定される頬骨弓保持部とを含む。前記関節頭部材は下顎後縁固定板、S字状切痕固定板及び関節頭部を含み、前記関節頭部は全体的又は部分的な顆状突起形態であり、かつ、前記関節窩部材と当接する。前記下顎後縁固定板は前記関節頭部下端に連結されて下方に延伸し、板状構造をなして下顎後縁表面接合面を含む。前記S字状切痕固定板は前記下顎後縁固定板の一側から突出するとともに前記下顎後縁固定板から離れる方向に延伸し、板状構造をなして下顎上行枝略S字状切痕部接合面を含む。
【0006】
上述したように、本発明における筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼは、以下の有益な効果を有する。
【0007】
本発明で述べる筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼはTMJの正常な解剖学的構造を効果的に修復することができ、患者の咀嚼、言語、運動等の機能を回復させる。また、関節表面のみを修復し、関節の大部分の骨性構造及び外側翼突筋の付着、機能が保持されることで、患者の下顎が歪むという課題が解決し、大部分の咬筋付着領域及び機能が保持されることで、患者の咀嚼力がなくなるという課題が解決する。下顎における応力の伝達及び分布に有利であり、プロテーゼの応力が集中することを効果的に回避して、長期にわたり効果的に固定されるという機能が達成される。骨と速やかかつしっかりとした骨結合を形成することができることで、プロテーゼが長期的に安定するという効果が維持される。設計が精細であり、手術の創傷が減り、手術時間が短縮され、手術難度が下がる。本発明における側頭下顎関節の個人化された修復、外側翼突筋及び咬筋の付着の維持は、側頭下顎関節の機能、下顎運動、咀嚼機能の正常な回復に対して顕著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例における筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼの構造図である。
図2】本発明の一実施例における筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼの使用状態図である。
図3a】本発明の一実施例における筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼの関節窩部材の正面図である。
図3b】本発明の一実施例における筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼの関節窩部材の背面図である(倒置されている)。
図4a】本発明の一実施例における筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼの関節頭部材の側面図である。
図4b】本発明の一実施例における筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼの関節頭部材の正面図である。
図4c】本発明の一実施例における筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼの関節頭部材の背面図である。
図5a】本発明の一実施例における筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼの関節頭部材が使用状態にある際の側面図である。
図5b】本発明の一実施例における筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼの関節頭部材が使用状態にある際の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、特定の具体的な実施例を通じて本発明の実施手段を説明するが、当業者であれば本明細書で開示された内容によって本発明の他の利点及び効果を容易に理解することができる。
【0010】
図1から図5bを参照されたい。注意すべきこととして、本明細書の図面において図示される構造、割合、大きさ等はいずれも、明細書に示される内容と組み合わせることで当業者の理解と閲読に供するものにすぎず、本発明で実施可能な限定条件を限定するためのものではなく、故に、技術上の実質的意味はなく、構造の補足、割合関係の変更又は大きさの調整はいずれも、本発明によって生じることができる効果及び達成することができる目的に影響しない状況において、本発明に示される技術内容が包括できる範囲内に含まれるべきである。同時に、本明細書において引用される、例えば「上」、「下」、「左」、「右」、「中間」及び「一」等の用語もまた、明瞭に説明しやすくするためのものにすぎず、本発明で実施可能な範囲を限定するためのものではない。相対関係の変更又は調整もまた、技術内容の実質的変更がない状況において、本発明で実施可能な範囲とみなされる。
【0011】
本願において記載される個人化された接合とは、プロテーゼの骨に接合させる面に用いる一面の形状と異なる患者の自家骨の形状とが互いに適応することによって、接合効果が優れたものになることを指す。
【0012】
図1に示すように、本発明の一実施例は筋肉機能維持型全側頭下顎関節プロテーゼを提供し、上から下に、関節窩部材1及び前記関節窩部材1と当接する関節頭部材2を少なくとも含む。
【0013】
図3aに示すように、前記関節窩部材は互いに接続される関節窩部11と人体の頬骨弓に固定される頬骨弓保持部12とを含む。図4bのブロック線での区分に示すように、前記関節頭部材2は下顎後縁固定板21、S字状切痕固定板22及び関節頭部23を含み、前記関節頭部23は全体的又は部分的な顆状突起形態であり、かつ、前記関節窩部材1と当接する。図1及び図2に示すように、人体の顔面を前方とすると、前記下顎後縁固定板21は前記関節頭部23下端に連結されて下方に延伸し、板状構造をなして下顎後縁表面接合面を含み、前記S字状切痕固定板22は前記下顎後縁固定板21の一側から突出するとともに前記下顎後縁固定板21から離れる方向に延伸し、板状構造をなして下顎上行枝略S字状切痕部接合面を含む。
【0014】
前記関節頭部材は人体の関節頭の表面を修復するのに用いられ、前記関節窩部材は人体の関節窩を修復するのに用いられる。
【0015】
更に、前記下顎後縁固定板21が関節頭部下端から下方に延伸する長さは25~35mmであり、及び/又は、前記S字状切痕固定板22が前記下顎後縁固定板21から突出する延伸長さは15~25mmである。外側翼突筋付着領域及び咬筋付着領域(すなわち、図2のA部分及びB部分)が被覆されないことを保証し、外側翼突筋及び咬筋の機能を維持する。
【0016】
1つの実施形態において、前記下顎後縁固定板21とS字状切痕固定板22の接続部分は、前記下顎後縁固定板21の幅が5~15mmであり、及び/又は、前記S字状切痕固定板22の幅が5~15mmである。外側翼突筋付着領域及び咬筋付着領域(すなわち、図2のA部分及びB部分)が被覆されないことを保証し、外側翼突筋及び咬筋の機能を維持する。
【0017】
前記下顎後縁固定板21の幅とは、前記下顎後縁固定板21が関節頭部下端から下方に延伸する方向に垂直な方向の前記下顎後縁固定板21の延伸距離のことを指す。
【0018】
前記S字状切痕固定板22の幅とは、S字状切痕固定板22が前記下顎後縁固定板21から突出して延伸する方向に垂直な方向の前記S字状切痕固定板22の延伸距離のことを指す。
【0019】
1つの実施形態において、前記下顎後縁固定板21の末端の幅は5~10mmであり、及び/又は、前記S字状切痕固定板22の末端の幅は5~10mmである。外側翼突筋付着領域及び咬筋付着領域(すなわち、図2のA部分及びB部分)が被覆されないことを保証し、外側翼突筋及び咬筋の機能を維持する。
【0020】
1つの実施形態において、前記下顎後縁固定板21及びS字状切痕固定板22の厚さは2~3mmである。
【0021】
1つの実施形態において、前記下顎後縁固定板21とS字状切痕固定板22の延伸方向間の夾角は60~90°である。外側翼突筋付着領域及び咬筋付着領域(すなわち、図2のA部分及びB部分)が被覆されないことを保証し、外側翼突筋及び咬筋の機能を維持する。
【0022】
選択可能に、前記関節頭部23の上端は凹凸型湾曲部である。骨に近い面が凹面、骨から遠い面が凸面であり、骨から遠い面と前記関節窩部11とは凹凸嵌合する。
【0023】
選択可能に、前記関節頭部23の幅は5~10mmであり、及び/又は、前記関節頭部23の深さは10~20mmであり、人体の顆状突起の大きさとおおよそ同じである。
【0024】
前記関節頭部の深さとは、前記関節頭部における関節窩部材に接触する一端から下顎後縁固定板の接触端まで下方に延伸する延伸距離のことを指す。
【0025】
前記関節頭部の幅とは、前記関節頭部の深さに垂直な方向の延伸距離のことを指す。
【0026】
更に、図4aに示すように、関節頭部材2の人体の骨に接合する一面を内表面とし、前記関節頭部23の上端が内面に湾曲して湾曲部231を形成し、前記湾曲部231の外表面が弧面であることによって、関節の内側及び頸部を維持することができ、それによって外側翼突筋の付着が維持される。前記湾曲部と関節窩部とは凹凸嵌合する。
【0027】
選択可能に、図4aのD部分に示すように、前記下顎後縁固定板21の延伸末端は人体の下顎骨後縁の後ろ側に向かって骨面が湾曲する。下顎上行枝後縁の一部を包囲することで、プロテーゼの位置を位置決めする効果を発揮する。
【0028】
1つの実施形態において、図4cに示すように、前記関節頭部材の内表面は粗面又は多孔構造とすることができ、自家骨としっかりとした骨結合を形成するのに有利になる。前記多孔構造の厚さは0.5~1mmである。
【0029】
更に、図3a及び図3bに示すように、前記関節窩部11は骨面111及び運動機能面112を含み、前記骨面111は人体の関節窩と関節結節とに個人化された接合を行うことができ、前記運動機能面112と関節頭部材2は当接する。
【0030】
更に、前記運動機能面112は凹面である。
【0031】
選択可能に、前記運動機能面112のラジアンは10~30°であり、関節頭部材との嵌合効果に優れている。
【0032】
選択可能に、図3aのC部分に示すように、前記関節窩部11のS字状切痕固定板22から離れる一側の長さはS字状切痕固定板22に近接する一側の長さよりも長く、関節と耳道を分離して、関節の後方への動きを防止するのに用いられる。
【0033】
前記頬骨弓保持部12は人体の頬骨弓に個人化された接合を行うことができる頬骨弓接合面を含み、前記頬骨弓保持部12の厚さは2~3mmである。
【0034】
更に、前記頬骨弓保持部12、前記下顎後縁固定板21及びS字状切痕固定板22の板面には固定ねじ孔3が設けられる。
【0035】
選択可能に、前記頬骨弓保持部12の固定ねじ孔の数は5~7個であり、下顎後縁固定板21及びS字状切痕固定板22の固定ねじ孔の数はそれぞれ2~3個である。選択可能に、前記下顎後縁固定板のねじ孔は下顎後縁固定板とS字状切痕固定板22が接続される部分の下部に設けられる。
【0036】
前記下顎後縁固定板とS字状切痕固定板22が接続される部分の下部、S字状切痕固定板はTMJの応力分布に適合しており、咬合力を効果的に伝達することができる。
【0037】
選択可能に、CT又はMRIスキャン等の技術によって使用者の自家骨をスキャンした後、三次元モデルを作成し、3D印刷を行って前記プロテーゼ又は前記プロテーゼの部材を得ることができる。
【0038】
使用するとき、まず、頬骨弓保持部によって関節窩部材を人体の頬骨弓に固定し、関節頭部材と関節窩部を嵌合させた後、関節頭部材を人体の下顎上行枝部分に固定する。
【0039】
上述の実施例は本発明の原理及びその効果を例示的に説明するにすぎず、本発明を限定するためのものではない。本技術を熟知する者であれば、本発明の精神及び範囲を逸脱せずに上述の実施例に対する補足又は変更を行うことができる。したがって、当業者が本発明で開示する精神と技術思想を逸脱することなく完了するあらゆる等価の補足又は変更は、依然として本発明の請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1 関節窩部材
11 関節窩部
111 骨面
112 運動機能面
12 頬骨弓保持部
2 関節頭部材
21 下顎後縁固定板
22 S字状切痕固定板
23 関節頭部
231 湾曲部
3 固定ねじ孔
A 外側翼突筋付着領域
B 咬筋付着領域
C 関節窩部の下方延伸部分
D 下顎後縁固定板の湾曲部分
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
【国際調査報告】