(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(54)【発明の名称】船舶のSTL三次元モデルに基づくROV船底自主巡検方法
(51)【国際特許分類】
B63C 11/52 20060101AFI20230830BHJP
B63C 11/48 20060101ALI20230830BHJP
B63C 11/00 20060101ALI20230830BHJP
B63B 81/00 20200101ALI20230830BHJP
B63H 25/04 20060101ALI20230830BHJP
B63B 79/40 20200101ALI20230830BHJP
【FI】
B63C11/52
B63C11/48 D
B63C11/00 B
B63B81/00
B63H25/04 D
B63B79/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512713
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2023-02-20
(86)【国際出願番号】 CN2021089289
(87)【国際公開番号】W WO2022037100
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】202010846898.X
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523060138
【氏名又は名称】グゥアンドン オーシャン ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】523060149
【氏名又は名称】ダリアン マリタイム ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】バオジュ ジア
(72)【発明者】
【氏名】クンヤン チャン
(57)【要約】
本発明は、船舶のSTL三次元モデルに基づくROV船底自主巡検方法を開示し、下記のステップが含まれる。立体リソグラフィSTLフォーマットの船舶の三次元モデルを取得し、船舶の三次元モデルの表面は複数の三角形パッチをつなぎ合わせたものであり、船舶の三次元モデルの本体の三次元座標点を取得し、ROVと船舶との安全距離に基づいて、本体の三次元座標点を拡張し、ROVの巡検軌跡点を取得し、船舶の三次元モデルを複数のエリアに分割され、各エリアにおける巡検軌跡点に対して補間処理及び平滑化処理をそれぞれ行い、エリアの分割結果に基づいて、平滑化された巡検軌跡点を連結し、船底巡検軌跡を取得し、ROVリアルタイム位置を取得し、船底巡検軌跡とROVリアルタイム位置とから船底巡検経路を生成し、船底巡検経路に従ってROVが運動するように制御して船底巡検タスクを完了する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体リソグラフィ(STL)フォーマットの船舶の三次元モデルを取得し、前記船舶の三次元モデルの表面は複数の三角形パッチをつなぎ合わせたものであり、
前記船舶の三次元モデルの本体の三次元座標点を取得するステップと、
ROVと前記船舶との安全距離に基づいて、前記本体の三次元座標点を拡張し、ROVの巡検軌跡点を取得するステップと、
前記船舶の三次元モデルを複数のエリアに分割され、各前記エリアにおける前記巡検軌跡点に対して補間処理及び平滑化処理をそれぞれ行うステップと、
前記エリアの分割結果に基づいて、平滑化された前記巡検軌跡点を連結し、船底巡検軌跡を取得し、ROVリアルタイム位置を取得し、前記船底巡検軌跡とROVリアルタイム位置とから船底巡検経路を生成し、前記船底巡検経路に従ってROVが運動するように制御して船底巡検タスクを完了するステップとを含むことを特徴とする、船舶のSTL三次元モデルに基づくROV船底自主巡検方法。
【請求項2】
前記船舶の三次元モデルの本体の三次元座標点を取得するステップにおける、具体的な方法は、前記船舶の船底を複数の平面に分割し、各前記平面と各前記三角形パッチとの交点をそれぞれ取得し、前記交点が前記船舶の三次元モデルの本体の三次元座標点であることを特徴とする、請求項1に記載の船舶のSTL三次元モデルに基づくROV船底自主巡検方法。
【請求項3】
前記巡検軌跡点を取得する具体的な方法は、
同一の前記平面から得る前記本体の三次元座標点に対応する法線ベクトルを平面投影し、単位化処理を行い、
単位化処理後の法線ベクトル方向に従って、前記本体の三次元座標点を外側に拡張し、ROVの巡検軌跡点を取得し、外側に拡張した距離はROVと前記船舶との安全距離であることを特徴とする、請求項2に記載の船舶のSTL三次元モデルに基づくROV船底自主巡検方法。
【請求項4】
段階的線形補間法を用いて、前記巡検軌跡点に補間処理を行うことを特徴とする、請求項1に記載の船舶のSTL三次元モデルに基づくROV船底自主巡検方法。
【請求項5】
三次サンプルストリップ補間法を用いて、補間処理後の前記巡検軌跡点に平滑化処理を行うことを特徴とする、請求項1に記載の船舶のSTL三次元モデルに基づくROV船底自主巡検方法。
【請求項6】
前記船底巡検経路を生成する具体的な方法は、
各エリアにおける前記巡検軌跡点をそれぞれ連結し、各エリアの巡検軌跡を取得し、
予め設定された巡検順序に従って各エリアの巡検軌跡を首尾よく連結して、前記船底巡検軌跡を取得し、ROVリアルタイム位置を取得して、前記船底巡検軌跡とROVリアルタイム位置から船底巡検経路を生成して、前記船底巡検経路に従ってROVが運動するように制御して、船底巡検任務を完成することを特徴とする、請求項1に記載の船舶のSTL三次元モデルに基づくROV船底自主巡検方法。
【請求項7】
前記船底巡検経路を生成する具体的な方法は、
各前記エリアにおける前記巡検軌跡点をそれぞれ連結し、各前記エリアの巡検軌跡を取得し、
複数のROVのリアルタイム位置をそれぞれ取得し、各前記エリアの巡検軌跡と前記ROVのリアルタイム位置に基づいて各前記エリアの船底巡検経路を生成し、複数のROVがそれぞれ対応するエリアの船底巡検経路に従って運動するように制御して、船底巡検任務を完了し、前記ROVの数は、分割するエリアの数以下であることを特徴とする、請求項1に記載の船舶のSTL三次元モデルに基づくROV船底自主巡検方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は船底巡検技術分野に関連し、特に船舶のSTL三次元モデルに基づくROV船底自主巡検方法に関する。
【背景技術】
【0002】
社会の発展に伴い、海洋資源の開発市場の需要は日増しに高まっているが、船舶は人類と海洋の最も直接的な連絡先として、近年、海用船の数も急増しており、船底の傷、破損、付着物などは船舶の寿命と航行安全に大きな影響を与えている。一方、珪藻、フジツボ、カキ、イガイなどの海洋汚損生物の船舶への影響分は致命的であり、船舶が海上で任務を遂行する時間が長いほど、船底に付着する海洋汚損生物も多くなる。一部の海域で浅水層生物が豊富な場合、海洋汚損生物もますます深刻である。船底に付着した海洋汚損生物は船体の重量を大幅に増加させ、船底を凹凸にすることができ、その結果、船体の航行抵抗が大幅に向上し、航行速度が急激に低下し、船舶の有効積載量が低下し、燃費と対応する汚染排出量が大幅に向上する。同時に、海洋生物は船底に寄生すると同時に、強酸性の生物活性物質を分泌し、船体に腐食作用を与え、錆びさせ、船体の劣化を加速させる。その結果、船舶のドッキングメンテナンスサイクルが増大し、船底の汚損清掃コストが上昇し、船舶の有効な航行時間が大幅に短縮され、寿命が短くなる。これらの影響を解決するには多大な費用が必要である。また、付着した海洋生物は船舶の安全航行に一定の脅威をもたらし、例えば、海洋生物の渋滞によって船舶の重要な部品の機能に問題が生じたり、機能しなくなったりすることも珍しくない。海外の統計分析によると、海洋生物の汚損は毎年全世界の船舶燃料を40%以上増加させ、経済的損失は75億ドルに達している。
【0003】
そのため、船底をリアルタイムで巡検することが特に重要である。現在、伝統的な船底巡検の方法は通常二つあり、一つ目の方法は人工潜水検査で、巡検費用が極めて高く、例えば、幅がそれぞれ20メートル、10メートルの普通の船舶では、一回の人工潜水巡検費用は1万2千元に達し、毎年の巡検維持には多額の予算が必要であり、しかも半閉鎖の不安定な水域、あるいは高い喫水深さの水域では、潜水巡検員に大きな潜在的安全上の脅威をもたらす。二つ目の方法はROV(remote operated vehicle、水中ロボット)巡検であり、通常は人工的にROVを遠隔操作して船底巡検を実現するが、操作者の経験に依存し、危険性が高く、船底の傷、破損、付着物などを迅速かつ正確に検出することが難しい。
【0004】
そのため、現在、低コスト、高精度の船舶巡検方法が早急に必要である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、船舶のSTL三次元モデルに基づくROV船底自主巡検方法を提供し、従来技術に存在する技術的問題を解決し、船舶の巡検精度及び巡検効率を効果的に高めることができ、かつ巡検コストが大幅に低減されることができる。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、以下のステップを含む船舶のSTL三次元モデルに基づくROV船底自主巡検方法を提供する。
【0007】
立体リソグラフィ(STL)フォーマットの船舶の三次元モデルを取得し、前記船舶の三次元モデルの表面は複数の三角形パッチをつなぎ合わせたものであり、
前記船舶の三次元モデルの本体の三次元座標点を取得するステップと、
ROVと船舶との安全距離に基づいて、前記本体の三次元座標点を拡張し、ROVの巡検軌跡点を取得するステップと、
前記船舶の三次元モデルを複数のエリアに分割され、各エリアにおける前記巡検軌跡点に対して補間処理及び平滑化処理をそれぞれ行うステップと、
前記エリアの分割結果に基づいて、平滑化された前記巡検軌跡点を連結し、船底巡検軌跡を取得し、ROVリアルタイム位置を取得し、前記船底巡検軌跡とROVリアルタイム位置とから船底巡検経路を生成し、前記船底巡検経路に従ってROVが運動するように制御して船底巡検タスクを完了する。
【0008】
好ましくは、前記船舶の三次元モデルの本体の三次元座標点を取得するステップにおける、具体的な方法は、前記船舶の船底を複数の平面に分割し、各前記平面と各前記三角形パッチとの交点をそれぞれ取得し、前記交点が前記船舶の三次元モデルの本体の三次元座標点である。
【0009】
好ましくは、前記巡検軌跡点を取得する具体的な方法は以下の通りである。
同一の前記平面から得る前記本体の三次元座標点に対応する法線ベクトルを平面投影し、単位化処理を行い、
単位化処理後の法線ベクトル方向に従って、前記本体の三次元座標点を外側に拡張し、ROVの巡検軌跡点を取得し、外側に拡張した距離はROVと前記船舶との安全距離である。
【0010】
好ましくは、段階的線形補間法を用いて、前記巡検軌跡点に補間処理を行う。
【0011】
好ましくは、三次サンプルストリップ補間法を用いて、補間処理後の前記巡検軌跡点に平滑化処理を行う。
【0012】
好ましくは、前記船底巡検経路を取得する具体的な方法は以下の通りである。
【0013】
各エリアにおける前記巡検軌跡点をそれぞれ連結し、各エリアの巡検軌跡を取得し、
予め設定された巡検順序に従って各エリアの巡検軌跡を首尾よく連結して、前記船底巡検軌跡を取得し、ROVリアルタイム位置を取得して、前記船底巡検軌跡とROVリアルタイム位置から船底巡検経路を生成して、前記船底巡検経路に従ってROVが運動するように制御して、船底巡検任務を完成する。
【0014】
好ましくは、前記船底巡検経路を取得する具体的な方法は以下の通りである。
各エリアにおける前記巡検軌跡点をそれぞれ連結し、各前記エリアの巡検軌跡を取得し、
複数のROVのリアルタイム位置をそれぞれ取得し、各前記エリアの巡検軌跡と前記ROVのリアルタイム位置に基づいて各前記エリアの船底巡検経路を生成し、複数のROVがそれぞれ対応するエリアの船底巡検経路に従って運動するように制御して、船底巡検任務を完了し、前記ROVの数は、分割するエリアの数以下である。
【0015】
本発明は、以下の技術的効果を開示している。
(1)本発明は、ROVの船底巡検軌跡を自動取得し、船底巡検軌跡とROVのリアルタイム位置から自動的に船底巡検経路を生成し、巡検中に制御アルゴリズムによってROVを所定の巡検経路に沿って走行させることにより、船底に対するリアルタイム巡検を実現する。人工潜水巡検や人工遠隔操作を必要とせず、巡検コストが大幅に低減され、かつ高喫水深度の水域が潜水巡検員に与える安全上の脅威を避ける。
(2)本発明は、STL形式の船舶三次元モデルによりROVの巡検軌跡点を取得し、巡検軌跡点の取得過程においてROVと船舶との安全距離を十分考慮し、ROVと船体との衝突によるROVの損傷及びROVの運行軌跡の変化を効果的に防止することができる。同時に、本発明は、本体の三次元座標点を巡検軌跡点に拡張する前に、同一平面で得られた本体の三次元座標点に対応する法線ベクトルを平面投影し、さらに単位化処理を行うことで、巡検軌跡点のドリフトを効果的に回避し、巡検軌跡の精度を保証することができる。
(3)本発明は船舶の三次元モデルをエリア分割し、区間線形補間法を用いて巡検軌跡点を補間処理し、補間処理後の巡検軌跡点に三次サンプルストリップ補間法を用いて平滑化処理することにより、巡検軌跡の非平滑化を効果的に回避し、かつ、区間ごとに収束性が強く、数値安定性がよく、各エリアの巡検精度の要求に応じて補間点を調整することができ、巡検精度を保証した上で、巡検速度を効果的に向上できる。
(4)本発明は船舶の各エリアに対して同一のROVを使用して予め設定された方向に巡検を行い、またエリアごとに異なるROVを採用して同時に巡検を行うことができ、効果的に巡検速度が向上し、巡検の柔軟性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は本発明に繋がる船舶のSTL三次元モデルに基づくROV船底自主巡検方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は本発明の実施形態における船体モデル図(コンテナ船型を例にとる)である。
図2(a)は船体モデルの正面図である。
図2(b)は船体モデルの底面図、
図2(c)は船体モデルの左側面図(船尾視角)である。
【
図3】
図3は本発明の実施形態におけるSTL形式の船舶の三次元モデルである。
図3(a)はSTL形式の船舶三次元モデルの全体図である。
図3(b)はSTL形式の船舶三次元モデルの詳細図である。
【
図4】
図4は本発明の実施形態における船底等価模式図である、矢印の円弧が船底の巡検対象エリアを示している。
【
図5】
図5は本発明の実施形態において船底を複数の平面に分割する模式図である。
【
図6】
図6は本発明の実施形態におけるROV自主巡検軌跡追跡制御器の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態または従来技術における技術的手段をより明確に説明するために、実施の形態に必要な図面について簡単に説明するが、以下の説明における図面は本発明の複数の実施の形態にすぎず、創造的な労力を払うことなく、当業者にとってはこれらの図面から他の図面を得ることもできる。
以下、本発明の実施形態の図面を参照して、本発明の実施形態における技術的手段を明確かつ完全に説明するが、説明する実施形態は本発明の一部の実施形態であり、全ての実施形態ではないことは明らかである。本発明における実施形態に基づいて、当業者が創造的な労働をしないことを前提にして得た他のすべての実施形態は、本発明の保護の範囲に属する。
【0018】
この発明の上述の目的、特徴および利点をより明らかに分かりやすくするために、以下では図面および具体的な実施形態に関連して、この発明をさらに詳細に説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態は、以下のステップを含む船舶のSTL三次元モデルに基づくROV船底自主巡検方法を提供する。
【0020】
S1、STL(stereolithography、立体リソグラフィ)フォーマットの船舶三次元モデルを取得する。船舶三次元モデルの表面は複数の三角形パッチをつなぎ合わせたものであり、
STLファイルは、コンピュータグラフィックアプリケーションシステムで三角形メッシュを表すために使用されるファイル形式で、最も多くのラピッドプロトタイピングシステムで使用される標準ファイルタイプである。STLファイルには、ASCII平文形式とバイナリ形式の2種類がある。本実施形態に記載の船舶の三次元モデルは、三角形パッチの幾何情報を1行ずつ与えるASCII平文形式を採用し、STLファイルの三角形パッチの情報要素facetはベクトル方向を持つ三角形パッチである。各行は1つまたは2つのキーワードで始まり、STLファイル内の三角パッチの情報ユニットfacetはベクトル方向を持つ三角パッチである。STLファイル全体の最初の行はファイルのパスとファイル名を示している。STLファイルでは、各facetは7行のデータで構成されている。facetnormalは三角パッチが実体の外部を指す法線ベクトル座標で、outerloopの次の3行のデータはそれぞれ三角パッチの3つの頂点座標で、3つの頂点は実体の外部を指す法線ベクトル方向に反時計回りに並んでいる。本実施形態ではコンテナ船型を例にとり、船体モデルを
図2に、船体モデルをSTL形式に変換した船舶の三次元モデルを
図3に示す。
【0021】
S2、船舶の三次元モデルの本体の三次元座標点を取得する。
船底を船舶の長手方向に沿って複数の平面に分割し、各平面と三角形パッチごとの交点をそれぞれ取得し、その交点が船舶三次元モデルの本体の三次元座標点である。
本実施形態では、
図4に示すように、軌跡の自動生成と計算量の削減を容易にするために、船体を円柱形に近似する。
図4中、矢印の円弧部分は船底を示す。船底の円柱面を均等に分けて、複数の円柱の軸線を通る近似平面を得て、
図5に示すように、船底を複数の平面に分けることにより、ROV巡検軌跡の確定を容易にする。
【0022】
S3、ROVと船舶との安全距離に基づいて、本体の三次元座標点を拡張して、ROVの巡検軌跡点を得る。
ROVが船底巡検任務を実行する際、ROVと船体との衝突を防止するため、本実施形態ではROVと船舶との安全距離を1メートルとする。
本体の三次元座標点をそれに対応する法線ベクトルに従って外側に拡張し、ROVの巡検軌跡点を得て、外側に拡張した距離はROVと船舶との安全距離である。
STLファイル中の各三角パッチのサイズ方向がそれぞれ異なることに基づく、本体の三次元座標点をその法線ベクトルに沿って外側に安全距離を拡張した後に得る巡検軌跡点がドリフトすることは、後期軌跡点の平滑化及びROV制御に困難を伴う。この問題を解決するために、本実施形態では、本体の三次元座標点を拡張する前に、同一の平面から得る本体の三次元座標点に対応する法線ベクトルを平面投影し、さらに単位化処理を行う、拡張が得られることを効果的に回避する。
【0023】
S4、船舶の三次元モデルを複数のエリアに分割する、各エリアにおける巡検軌跡点にそれぞれ補間処理を行う。
本実施形態では、船舶の三次元モデルを船首、船中、船尾の3つのエリアに分割する、巡検軌跡点をエリア別に処理する。
本実施形態では、ROVの巡検軌跡点に段階的線形補間法を用いて補間処理したが、段階的単位区間ごとに収束性が強く、数値安定性がよく、実現が容易である。段階的線形補間法は補間点を増やすことによって補間精度を高めることができ、補間処理の過程において、各エリアの巡検精度の要求に応じて補間点を調整することができ、巡検の精度を保証した上で、効果的に巡検速度を高めることができる。
【0024】
S5、補間処理後の巡検軌跡点に対して平滑化処理を行う。
本実施形態では、補間処理後の巡検軌跡点に三次サンプルストリップ補間法を用いて平滑化処理を行う。段階的線形補間ではノードでの補間関数の導関数の連続性、すなわち滑らかではないため、三次サンプルストリップ補間法によって、段階的線形補間のノードでの滑らかでない欠点を効果的に補うことができる。
【0025】
S6、S4におけるエリアの分割結果に基づいて、平滑化された巡検軌跡点を連結し、船底巡検軌跡を得て、ROVリアルタイム位置を取得し、船底巡検軌跡とROVリアルタイム位置とから船底巡検経路を生成し、船底巡検経路に従ってROVが運動するように制御して船底巡検タスクを完了する。
ROVは、
図6に示すように、水中測位システム、速度制御器、巡検経路生成システム、制御システムを含む構成される自主巡検軌跡追跡制御器を含む。水中測位システムは、ROVの位置をリアルタイムで収集するためのものであり、巡検経路生成システムは、ROVのリアルタイム位置、船底巡検軌跡に基づいて船底巡検経路を生成するためのものである。
制御システムは、予め設定された制御アルゴリズムに従って、船底巡検経路に従ってROVが巡検されるように制御し、制御アルゴリズムはPID(Proport ion Integration Differentiation、比例積分微分)制御、逆ステップ制御、スライド制御のいずれかを含む。速度制御器は、ROVの運動速度を制御ためのものである。
【0026】
[実施形態1]
船底巡検経路を取得する具体的な方法は以下の通りである。
各エリアにおける巡検軌跡点をそれぞれ連結し、各エリアの巡検軌跡を得る、
予め設定された巡検順序に従って各エリアの巡検軌跡を首尾よく連結して、船底巡検軌跡を得て、ROVリアルタイム位置を取得して、船底巡検軌跡とROVリアルタイム位置から船底巡検経路を生成して、船底巡検経路に従ってROVが運動するように制御して、船底巡検任務を完了する。本実施形態に記載のROVは船首、船中、船尾の順に船底巡検を行い、船底巡検精度を効果的に高める。
【0027】
[実施形態2]
船底巡検経路を取得する具体的な方法は以下の通りである。
各エリアにおける巡検軌跡点をそれぞれ連結し、各エリアの巡検軌跡を得る、
3つのROVのリアルタイム位置をそれぞれ取得し、各エリアの巡検軌跡とROVのリアルタイム位置に基づいて各エリアの船底巡検経路を生成し、三つのROVがそれぞれ対応するエリアの船底巡検経路に従って運動するように制御して、船首、船中、船尾エリアを巡検し、船底巡検速度を効果的に高めることができる。
【0028】
加えて、実際の検査ニーズに応じて、1つのROVで1つまたは複数のエリアを巡検することができ、船底の巡検速度を高めることができる。
【0029】
以上述べた実施形態は、本発明の好ましい態様を説明したにすぎず、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の設計精神を逸脱することなく、当業者が本発明の請求項に対して行った様々な変形や改良は、本発明の特許請求の範囲によって定められる保護範囲内に収まるべきである。
【国際調査報告】