(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(54)【発明の名称】タブ付き分割二重ライナー
(51)【国際特許分類】
A61F 13/02 20060101AFI20230831BHJP
A61B 17/08 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
A61F13/02 380
A61F13/02 355
A61B17/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578683
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(85)【翻訳文提出日】2023-02-16
(86)【国際出願番号】 US2020038600
(87)【国際公開番号】W WO2021257083
(87)【国際公開日】2021-12-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522490446
【氏名又は名称】クローゼクス・メディカル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】CLOZEX MEDICAL,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100187469
【氏名又は名称】藤原 由子
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【氏名又は名称】古後 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】レブナー・マイケル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160AA12
4C160CC07
(57)【要約】
【課題】創傷又は切開部の閉鎖に有用な2部コンポーネントの医療器具を提供する。
【解決手段】2部コンポーネントの本医療器具は、創傷エッジを有する接着剤付きの第1および第2係止部材を備える。接着剤付きの第1係止部材の第1接着剤付き面は、第1および第2剥離ライナーによって保護されている。接着剤付きの第2係止部材も、第1および第2剥離ライナーによって保護されている。これら第1および第2剥離ライナーは、それぞれ、対応する第1または第2剥離ライナーを剥がすのに用いられるタブ部分を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2部コンポーネントの医療器具であって、
a)創傷エッジとも称される1つのエッジを有する接着剤付きの第1係止部材、前記接着剤付きの第1係止部材の前記創傷エッジから延びる1つ以上の細長い第1連結具、および前記1つ以上の細長い第1連結具と繋がって前記接着剤付きの第1係止部材を創傷又は切開部に向かって並進させるように適合化された1つ以上の第1牽引要素を含む、第1コンポーネントと、
b)創傷エッジとも称される1つのエッジを有する接着剤付きの第2係止部材、前記接着剤付きの第2係止部材の前記創傷エッジから延びる1つ以上の細長い第2連結具、および前記1つ以上の細長い第2連結具と繋がって前記接着剤付きの第2係止部材を前記創傷又は切開部に向かって並進させるように適合化された1つ以上の第2牽引要素を含む、第2コンポーネントと、
c)前記接着剤付きの第1係止部材の接着剤付き面を保護する第1および第2剥離ライナーであって、それぞれ、前記接着剤付きの第1係止部材のうちの対応する当該第1または第2剥離ライナーを剥がすのに用いられるタブ部分を有する、前記接着剤付きの第1係止部材の第1および第2剥離ライナーと、
d)前記接着剤付きの第2係止部材の接着剤付き面を保護する第1および第2剥離ライナーであって、それぞれ、前記接着剤付きの第2係止部材のうちの対応する当該第1または第2剥離ライナーを剥がすのに用いられるタブ部分を有する、前記接着剤付きの第2係止部材の第1および第2剥離ライナーと、
e)前記1つ以上の細長い第1連結具を前記接着剤付きの第2係止部材に取り付けることにより、取付後の細長い第1連結具毎に、取付部分および橋渡し部分を形成する、手段と、
f)前記1つ以上の細長い第2連結具を前記接着剤付きの第1係止部材に取り付けることにより、取付後の細長い第2連結具毎に、取付部分および橋渡し部分を形成する、手段と、
を備える、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項2】
請求項1に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記タブは、前記接着剤付きの第1または第2係止部材と対応する前記第1および第2剥離ライナーを製造するのに用いられた素材の未接着部分であるか、あるいは、別の素材から製造されて前記接着剤付きの第1または第2係止部材と対応する前記第1および第2剥離ライナーに取り付けられたものである、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項3】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記タブが、対応する前記接着剤付きの第1または第2係止部材における接着剤付き部分を越えて延出している、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項4】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1および第2剥離ライナーの各々の接着部分、ならびに前記接着剤付きの第2係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1および第2剥離ライナーの各々の接着部分は、対応する前記接着剤付きの係止部材のうちのタブ部分が延出している前記創傷エッジと平行な境界軸を有しており、各々の境界軸が接着部分の境界を定めている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項5】
請求項4に記載の2部コンポーネントの医療器具において、
a)前記接着剤付きの第1係止部材を保護する前記第1剥離ライナーの前記タブ部分、および前記接着剤付きの第1係止部材を保護する前記第2剥離ライナーの前記タブ部分は、それぞれの境界軸からの延出箇所にて第1および第2線分を規定し、当該第1および第2線分は略平行かつ隣接しており、
b)前記接着剤付きの第2係止部材を保護する前記第1剥離ライナーの前記タブ部分、および前記接着剤付きの第2係止部材を保護する前記第2剥離ライナーの前記タブ部分は、それぞれの境界軸からの延出箇所にて第1および第2線分を規定し、当該第1および第2線分は略平行かつ隣接している、
2部コンポーネントの医療器具。
【請求項6】
請求項5に記載の2部コンポーネントの医療器具において、
a)上記構成a)の前記第1および第2線分の長さが、前記接着剤付きの第1係止部材に接着した前記第1および第2剥離ライナーの前記境界軸の長さと略同一であり、
b)上記構成b)の前記第1および第2線分の長さが、前記接着剤付きの第2係止部材に接着した前記第1および第2剥離ライナーの前記境界軸の長さと略同一である、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項7】
請求項46に記載の2部コンポーネントの器具において、前記機械的操作が、接着剤付きの係止部材への切れ目の導入によって複数の接着副領域を形成することを含む、2部コンポーネントの器具。
【請求項8】
請求項7に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1剥離ライナーと、前記接着剤付きの第2係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1剥離ライナーは、重なり合うか又は突き合わされており、接着剤を用いて物理的に接続されている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項9】
請求項8に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1係止部材の接着剤付き部分を保護する前記第1剥離ライナーの前記タブ部分、および前記接着剤付きの第2係止部材の接着剤付き部分を保護する前記第1剥離ライナーの前記タブ部分は、同剥離ライナーのうちの前記創傷エッジを保護している部分から延出している、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項10】
請求項5に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1剥離ライナー、および前記接着剤付きの第2係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1剥離ライナーが、2つの区域に分かれた単一のポリマーシートから形成されている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項11】
請求項10に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記2つの区域が、前記単一のポリマーシート内に形成された脆弱線によって分かれている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項12】
請求項10に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記2つの区域は、前記単一のポリマーシート内に形成された折り目によって分かれている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項13】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、接着剤付きの第1および第2係止部材が、透明な素材から製造されている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項14】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、接着剤付きの第1および第2係止部材が、非弾性素材、または非弾性構造材料で強化された弾性素材から製造されている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項15】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、接着剤付きの第1および第2係止部材が、透湿性素材から製造されている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項16】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記牽引要素および/または係止部材は、ユーザが区別できるようにコード化されている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項17】
請求項16に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記コード化が、目視可能な幾何学的区別を含む、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項18】
請求項16に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記コード化が、印刷による印を含む、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項19】
請求項16に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記コード化は、区別色を含む、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項20】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、当該器具の適用後、牽引要素が取外し可能である、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項21】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、牽引要素が、プルバーで補強されている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項22】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、閉鎖時に前記1つ以上の細長い第1および第2連結具を前記接着剤付きの第2および第1係止部材に取り付ける前記手段が、接着剤を含む、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項23】
請求項22に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤が、前記細長い第1および第2連結具の下面に設けられている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項24】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記剥離ライナーが、任意で、取外しの順序を示すようにコード化されている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項25】
請求項24に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記コード化が、前記第1、第2剥離ライナーをユーザが区別できるようにする印刷による印を含む、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項26】
請求項24に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記コード化が、前記第1剥離ライナー、前記第2剥離ライナーの区別色を含む、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項27】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1および第2係止部材に、1つ以上のアライメント・インジケーターが設けられている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項28】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1および第2係止部材に、傷エッジバーが設けられている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項29】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1および第2係止部材のうちの前記創傷又は切開部側のエッジが、スキンエッジを反らせるように湾曲又は角度が付けられている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項30】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記創傷又は切開部上方の遮られない表面積が増えることで滲出液が排出され易くなったり薬剤が適用され易くなったりするように、前記細長い第1および第2連結具の一部が切り取られている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項31】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記細長い連結具同士は、前記細長い第2コンポーネントに対する前記細長い第1コンポーネントの横方向調節が容易になるように十分に離間している、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項32】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1および第2係止部材が、非弾性構造材料で強化されていない弾性ポリマー材料から製造されている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項33】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1および第2係止部材が、機械的操作によって変化する非弾性材料から製造されている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項34】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記細長い第1および第2連結具は、それぞれの幅がそれぞれの厚さよりも大きい帯状である、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項35】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第2および第1係止部材への前記細長い第1および第2連結具の前記取付けによって、個々の細長い連結具毎に取付部分および橋渡し部分が形成され、細長い連結具毎の当該橋渡し部分の平均幅が当該取付部分の平均幅よりも小さい、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項36】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記橋渡し部分が、実質的に接着剤を含まない、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項37】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1および第2取付部材のそれぞれに、創傷エッジと略直交する方向でミシン目が入れられているかまたはスリットが入れられていることにより、当該器具の一部の取外しによる当該器具の低サイズ化または器具の複数化が容易である、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項38】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、当該器具に、感染の発症を検出するのに有用な感染インジケータが埋め込まれている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項39】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、当該器具が、経皮薬剤送達用に適合化されている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項40】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、当該器具が、弾性テンションインジケータ要素を備える、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項41】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記細長い第1コンポーネントおよび前記細長い第2コンポーネント、あるいは、それらの構成要素が、シート素材から型抜きされたものである、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項42】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記細長い第1および第2コンポーネントが絡み合う、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項43】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記細長い第1および第2コンポーネントが鍵穴配置で嵌合する、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項44】
請求項35に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記取付部分の幅が一定である、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項45】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、少なくとも前記接着剤付きの第1および第2係止部材が、色付き又は不透明の素材から製造されている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項46】
請求項33に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記機械的操作が、スライス、ミシン目、またはパンチからなる群から選択される非連続部の導入を含む、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項47】
請求項33に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記機械的操作が、前記材料の通気性を上げる、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項48】
請求項33に記載の2部コンポーネントの器具において、前記機械的操作が、使用時に前記接着剤付きの第1および第2係止部材下方の皮膚から汗を逃がし易くする、2部コンポーネントの器具。
【請求項49】
請求項33に記載の2部コンポーネントの器具において、前記機械的操作が、弾性様特性をもたらす、2部コンポーネントの器具。
【請求項50】
創傷又は切開部を閉鎖する方法であって、
a)2部コンポーネントの医療器具を用意する過程であって、当該2部コンポーネントの医療器具が、
i)創傷エッジとも称される1つのエッジを有する接着剤付きの第1係止部材、前記接着剤付きの第1係止部材の前記創傷エッジから延びる1つ以上の細長い第1連結具、および前記1つ以上の細長い第1連結具と繋がって前記接着剤付きの第1係止部材を創傷又は切開部に向かって並進させるように適合化された1つ以上の第1牽引要素を含む、第1コンポーネント、
ii)創傷エッジとも称される1つのエッジを有する接着剤付きの第2係止部材、前記接着剤付きの第2係止部材の前記創傷エッジから延びる1つ以上の細長い第2連結具、および前記1つ以上の細長い第2連結具と繋がって前記接着剤付きの第2係止部材を前記創傷又は切開部に向かって並進させるように適合化された1つ以上の第2牽引要素を含む、第2コンポーネント、
iii)前記接着剤付きの第1係止部材の接着剤付き面を保護する第1および第2剥離ライナーであって、それぞれ、前記接着剤付きの第1係止部材のうちの対応する当該第1または第2剥離ライナーを剥がすのに用いられるタブ部分を有する、前記接着剤付きの第1係止部材の第1および第2剥離ライナー、
iv)前記接着剤付きの第2係止部材の接着剤付き面を保護する第1および第2剥離ライナーであって、それぞれ、前記接着剤付きの第2係止部材のうちの対応する当該第1または第2剥離ライナーを剥がすのに用いられるタブ部分を有する、前記接着剤付きの第2係止部材の第1および第2剥離ライナー、
v)前記1つ以上の細長い第1連結具を前記接着剤付きの第2係止部材に取り付けることにより、取付後の細長い第1連結具毎に、取付部分および橋渡し部分を形成する、手段、ならびに
vi)前記1つ以上の細長い第2連結具を前記接着剤付きの第1係止部材に取り付けることにより、取付後の細長い第2連結具毎に、取付部分および橋渡し部分を形成する、手段、
を具備しており、前記タブは、前記接着剤付きの第1または第2係止部材と対応する前記第1および第2剥離ライナーを製造するのに用いられた素材の未接着部分であるか、あるいは、別の素材から製造されて前記接着剤付きの第1または第2係止部材と対応する前記第1および第2剥離ライナーに取り付けられたものであり、前記接着剤付きの第1係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1および第2剥離ライナーの各々の接着部分、ならびに前記接着剤付きの第2係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1および第2剥離ライナーの各々の接着部分は、対応する前記接着剤付きの係止部材のうちのタブ部分が延出している前記創傷エッジと平行な境界軸を有しており、各々の境界軸が接着部分の境界を定めていて、前記接着剤付きの第1係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1剥離ライナー、および前記接着剤付きの第2係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1剥離ライナーが、単一のポリマーシートから形成されている、過程と、
b)前記接着剤付きの第1係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1剥離ライナーの部分を剥がす過程と、
c)過程b)により露出した前記接着剤付き面を、前記接着剤付きの第1係止部材の前記創傷エッジが前記創傷又は切開部のうちの1つの側に沿って位置合わせされるように皮膚に接着する過程と、
d)前記接着剤付きの第2係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1剥離ライナーの部分を剥がす過程と、
e)過程d)により露出した前記接着剤付き面を、前記接着剤付きの第1係止部材の前記創傷エッジが前記創傷又は切開部のうちの2つ目の側に沿って位置合わせされるように皮膚に接着する過程と、
f)前記接着剤付きの第1および第2係止部材の前記創傷エッジを調節して、閉鎖すべき前記創傷又は切開部のエッジ同士を揃える過程と、
g)前記1つ以上の細長い第1連結具を前記接着剤付きの第2係止部材に取り付けることにより、取付後の細長い第1連結具毎に取付部分および橋渡し部分を形成する過程と、
h)前記1つ以上の細長い第2連結具を前記接着剤付きの第1係止部材に取り付けることにより、取付後の細長い第2連結具毎に取付部分および橋渡し部分を形成することで、前記創傷又は切開部を閉鎖する過程と、
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
マイケル=レブナー(Michael Lebner)氏を発明者とする、創傷や切開部を閉鎖する2部コンポーネントの医療器具やそれに関連する方法に向けられた米国特許が、数多く発行されている。そのような特許の例としては、米国特許第6,329,564号、米国特許第6,831,205号、米国特許第6,822,133号、米国特許第7,511,185号、米国特許第8,636,763号、米国特許第7,414,168号、米国特許第7,332,641号、米国特許第7,354,446号、米国特許第8,636,763号、米国特許第7,838,718号、米国特許第7,414,168号、米国特許第7,563,941号が挙げられ、それらの開示内容は参照をもって本明細書に組み入れたものとする。
【背景技術】
【0002】
以上の2部コンポーネントの創傷閉鎖器具に共通する構造としては、閉鎖する創傷又は切開部の両側の皮膚に接着される、接着剤付きの一対の(すなわち、第1および第2)係止部材が挙げられる。接着剤付きの第1および第2係止部材は、それぞれ、閉鎖対象の創傷と略平行かつ隣りに適用される、創傷エッジと呼ばれるエッジを有する。
【0003】
接着剤付きの一対の係止部材を取り付ける方法としては、接着剤付きの第1係止部材上の接着剤を露出させ、この接着剤付きの第1係止部材を創傷又は切開部のうちの1つ目の側に適用するという順序的な方法が好ましい。この接着剤付きの第1係止部材の適用後、接着剤付きの第2係止部材が、創傷又は切開部のうちの2つ目の側に適用される。
【0004】
適用前は、剥離ライナーによって、接着剤付きの係止部材の接着剤が保護されている。様々な試作品が製造され、医療業界に受け入れられるか否かの試験調査が行われた。そのような実施形態の一つでは、単一の剥離ライナーによって第1係止部材の接着剤付き部分が保護されていると共に、単一の2つ目の剥離ライナーによって第2係止部材の接着剤付き部分が保護されていた。医療従事者は、創傷閉鎖器具を開放性創傷に適用する際に手袋を装着していると考えられる。従事者からのフィードバックでは、手袋をした指が適用中に接着剤付き面に引っ付く傾向があって作業がやや困難になるという内容の意見が寄せられた。
【0005】
別の開発試作品は、単一の剥離ライナーによって、接着剤付きの第1および第2係止部材双方の接着剤付き面を保護するものであった。接着剤付きの第1係止部材の接着剤を露出させて、剥離ライナーの残りの部分を接着剤付き第2係止部材に接着させたままにするというのが、医療従事者による使用時の傾向であった。接着剤付きの第1係止部材の適用後、その単一の剥離ライナーを完全に剥がすことで接着剤付きの第2係止部材の接着剤を露出させ、当該接着剤付きの第2係止部材を皮膚に適用させていた。単一の剥離ライナーの実施形態に関する医療業界からのフィードバックも、手袋をした指が適用中に接着剤付き面に引っ付く傾向があって作業がやや困難になる、という同様の内容であった。
【0006】
医療従事者からのフィードバックに応える努力として、米国特許第7,354,446号に開示されている2段階の剥離ライナーが開発された。この2段階システムでは、単一の第1剥離ライナーによって接着剤付きの第1係止部材の接着剤付き面が保護されていると共に、単一の第2剥離ライナーによって接着剤付きの第2係止部材の接着剤付き面が保護されている。
【0007】
まず、接着剤付きの第1係止部材に注目する。接着済みの剥離ライナーの露出面の一部に、半剛体タブが接着されている。当該半剛体タブは、接着剤付きの第1係止部材の創傷エッジと略平行に位置した第1エッジを有する。当該半剛体タブは、当該半剛体タブの当該第1エッジが、接着済みの剥離ライナーのうちの、上記接着剤付き第1係止部材における創傷エッジから略反対側のエッジを保護する部分までの間の位置になるようにして、同剥離ライナーの露出面の一部に接着されている。当該半剛体タブは、接着剤付きの第1係止部材の第1創傷エッジ(及び当該半剛体タブが接着した中間部分の剥離ライナー)を越えて非連結(unattached)で延出する第2エッジを有する。
【0008】
医療従事者は、閉塞する創傷又は切開部のうちの1つの側に接着剤付きの第1係止部材を適用するにあたって、まず、半剛体タブのうちの非連結部分を接着剤付きの第1係止部材の創傷エッジから遠ざかるように付勢して当該半剛体タブ(および剥離ライナーの接着部分)を持ち上げる。この作業により、当該半剛体タブと当該半剛体に接着した剥離ライナーの部分とが一緒に動いて、同剥離ライナーのうちの、当該半剛体タブと接着剤で引っ付いていない部分上に、当該半剛体タブが裏返される。この作業により、接着剤付きの第1係止部材の接着剤のうちの第1部分、しかも、この第1の部分のみが露出される。露出した当該第1部分には、創傷エッジ及びその隣接領域が含まれており、施術者は接着剤付き係止部材の一部を皮膚に適用することが可能となる。接着剤付きの第1係止部材のうちの第2部分は、上記剥離ライナーと裏返された上記半剛体タブによって保護されたままなので、施術者は、この保護された第2部分を把持し、手袋をした指で接着剤付きの第1係止部材を操作して高精度に適用することができる。
【0009】
この高精度な適用は、半剛体タブの半剛体性によって助長される。例えば、施術者は、上記半剛体タブを曲げるか又は撓ませることで、接着剤による創傷エッジの初期接触を、創傷エッジ(傷口)の中央部分に限定することが可能となる。適切に位置決めし、接着剤付きの第1係止部材のうちの露出した上記第1部分を押し付けると共に、上記半剛体タブの曲げを解除させると、当該露出した第1部分が皮膚に完全に接着する。次いで、接着剤付き係止部材のうちの接着が済んだ上記第1部分に隣接した上記半剛体タブを掴んで引っ張ることによって上記剥離ライナーのうちの残りの第2接着部分を剥がし、接着剤付きの第1係止部材のうちの残りの接着剤を露出させて、これを押し付けて皮膚に完全に接着させる。そして、この過程を接着剤付きの第2係止部材にも繰り返す。両方の接着剤付きの係止部材を取り付けた後の創傷又は切開部の閉鎖は、例えば、引用した米国特許の教示内容に従って行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示は、創傷又は切開部を閉鎖する2部コンポーネントの医療器具に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記2部コンポーネントの医療器具は、創傷エッジとも称される1つのエッジを有する接着剤付きの第1係止部材、前記接着剤付きの第1係止部材の前記創傷エッジから延びる1つ以上の細長い第1連結具、および前記1つ以上の細長い第1連結具と繋がって前記接着剤付きの第1係止部材を創傷又は切開部に向かって並進させるように適合化された1つ以上の第1牽引要素を含む、第1コンポーネントを備える。前記2部コンポーネントの医療器具は、さらに、創傷エッジとも称される1つのエッジを有する接着剤付きの第2係止部材、前記接着剤付きの第2係止部材の前記創傷エッジから延びる1つ以上の細長い第2連結具、および前記1つ以上の細長い第2連結具と繋がって前記接着剤付きの第2係止部材を前記創傷又は切開部に向かって並進させるように適合化された1つ以上の第2牽引要素を含む、第2コンポーネントを備える。前記2部コンポーネントの医療器具は、さらに、前記接着剤付きの第1係止部材の接着剤付き面を保護する第1および第2剥離ライナーであって、それぞれ、前記接着剤付きの第1係止部材のうちの対応する当該第1または第2剥離ライナーを剥がすのに用いられるタブ部分を有する、前記接着剤付きの第1係止部材の第1および第2剥離ライナー、を備える。前記2部コンポーネントの医療器具は、さらに、前記接着剤付きの第2係止部材の接着剤付き面を保護する第1および第2剥離ライナーであって、それぞれ、前記接着剤付きの第2係止部材のうちの対応する当該第1または第2剥離ライナーを剥がすのに用いられるタブ部分を有する、前記接着剤付きの第2係止部材の第1および第2剥離ライナーを備える。前記2部コンポーネントの医療器具は、さらに、前記1つ以上の細長い第1連結具を前記接着剤付きの第2係止部材に取り付けることにより、取付後の細長い第1連結具毎に、取付部分および橋渡し部分を形成する、手段、を備える。前記2部コンポーネントの医療器具は、さらに、前記1つ以上の細長い第2連結具を前記接着剤付きの第1係止部材に取り付けることにより、取付後の細長い第2連結具毎に、取付部分および橋渡し部分を形成する、手段、を備える。
【0012】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記タブは、前記接着剤付きの第1または第2係止部材と対応する前記第1および第2剥離ライナーを製造するのに用いられた素材の未接着部分であるか、あるいは、別の素材から製造されて前記接着剤付きの第1または第2係止部材と対応する前記第1および第2剥離ライナーに取り付けられたものである、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0013】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記タブが、対応する前記接着剤付きの第1または第2係止部材における接着剤付き部分を越えて延出している、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0014】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記接着剤付きの第1係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1および第2剥離ライナーの各々の接着部分、ならびに前記接着剤付きの第2係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1および第2剥離ライナーの各々の接着部分は、対応する前記接着剤付きの係止部材のうちのタブ部分が延出している前記創傷エッジと平行な境界軸を有しており、各々の境界軸が接着部分の境界を定めている、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0015】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記接着剤付きの第1係止部材を保護する前記第1剥離ライナーの前記タブ部分、および前記接着剤付きの第1係止部材を保護する前記第2剥離ライナーの前記タブ部分は、それぞれの境界軸からの延出箇所にて第1および第2線分を規定し、当該第1および第2線分は略平行かつ隣接しており、前記接着剤付きの第2係止部材を保護する前記第1剥離ライナーの前記タブ部分、および前記接着剤付きの第2係止部材を保護する前記第2剥離ライナーの前記タブ部分は、それぞれの境界軸からの延出箇所にて第1および第2線分を規定し、当該第1および第2線分は略平行かつ隣接している、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0016】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、上記構成a)の前記第1および第2線分の長さが、前記接着剤付きの第1係止部材に接着した前記第1および第2剥離ライナーの前記境界軸の長さと略同一であり、b)上記構成b)の前記第1および第2線分の長さが、前記接着剤付きの第2係止部材に接着した前記第1および第2剥離ライナーの前記境界軸の長さと略同一である、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0017】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記接着剤付きの第1係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1剥離ライナーと、前記接着剤付きの第2係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1剥離ライナーは、重なり合うか又は突き合わされており、接着剤を用いて物理的に接続されている、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0018】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記接着剤付きの第1係止部材の接着剤付き部分を保護する前記第1剥離ライナーの前記タブ部分、および前記接着剤付きの第2係止部材の接着剤付き部分を保護する前記第1剥離ライナーの前記タブ部分は、同剥離ライナーのうちの前記創傷エッジを保護している部分から延出している、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0019】
他の実施形態において、本開示は、2部コンポーネントの医療器具であって、前記接着剤付きの第1係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1剥離ライナー、および前記接着剤付きの第2係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1剥離ライナーが、2つの区域に分かれた単一のポリマーシートから形成されている、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0020】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記2つの区域が、前記単一のポリマーシート内に形成された脆弱線(frangible line)によって分かれている、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0021】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記2つの区域は、前記単一のポリマーシート内に形成された折り目によって分かれている、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0022】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記接着剤付きの第1および第2係止部材が、透明な素材から製造されている、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0023】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、接着剤付きの第1および第2係止部材が、非弾性素材、または非弾性構造材料で強化された弾性素材から製造されている、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0024】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、接着剤付きの第1および第2係止部材が、透湿性素材から製造されている、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0025】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記牽引要素および/または係止部材は、ユーザが区別できるようにコード化されている2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0026】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記コード化が、目視可能な幾何学的区別を含む、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0027】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記コード化が、印刷による印を含む、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0028】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記コード化は、区別色を含む、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0029】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、当該器具の適用後、牽引要素が取外し可能である、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0030】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、牽引要素が、プルバー(pull bar)で補強されている、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0031】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、閉鎖時に前記1つ以上の細長い第1および第2連結具を前記接着剤付きの第2および第1係止部材に取り付ける前記手段が、接着剤を含む、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0032】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記接着剤が、前記細長い第1および第2連結具の下面に設けられている、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0033】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記剥離ライナーが、任意で、取外しの順序を示すようにコード化されている、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0034】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記コード化が、前記第1、第2剥離ライナーをユーザが区別できるようにする印刷による印を含む、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0035】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記コード化が、前記第1剥離ライナー、前記第2剥離ライナーの区別色を含む、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0036】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記接着剤付きの第1および第2係止部材に、1つ以上の位置合わせ指示部が設けられている、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0037】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記接着剤付きの第1および第2係止部材に、創傷エッジ補強具(wound edge bar)が設けられている、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0038】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記接着剤付きの第1および第2係止部材のうちの前記創傷又は切開部側のエッジが、皮膚エッジを反らせるように湾曲又は角度が付けられている、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0039】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記創傷又は切開部上方の遮られない表面積が増えることで滲出液が排出され易くなったり薬剤が適用され易くなったりするように、前記細長い第1および第2連結具の一部が切り取られている、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0040】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記細長い連結具同士は、前記細長い第2コンポーネントに対する前記細長い第1コンポーネントの横方向調節が容易になるように十分に離間している、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0041】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記接着剤付きの第1および第2係止部材が、非弾性構造材料で強化されていない弾性ポリマー材料から製造されている、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0042】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記接着剤付きの第1および第2係止部材が、機械的操作によって変質した非弾性材料から製造されている、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0043】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記細長い第1および第2連結具は、それぞれの幅がそれぞれの厚さよりも大きい帯状である(strap-like)、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0044】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記接着剤付きの第2および第1係止部材への前記細長い第1および第2連結具の前記取付けによって、個々の細長い連結具毎に取付部分および橋渡し部分が形成され、細長い連結具毎の当該橋渡し部分の平均幅が当該取付部分の平均幅よりも小さい、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0045】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記橋渡し部分が、実質的に接着剤を含まない、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0046】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記接着剤付きの第1および第2係止部材のそれぞれに、創傷エッジと略直交する方向で目が開けられているか又は切れ目が入れられていることにより、当該器具の一部の取外しによる当該器具の低サイズ化または器具の複数化が容易である、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0047】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、当該器具に、感染の発症を検出するのに有用な感染インジケータが埋め込まれている、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0048】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、当該器具が、経皮薬剤送達用に適合化されている、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0049】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、当該器具が、弾性テンションインジケータ要素を備える、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0050】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記細長い第1コンポーネントおよび前記細長い第2コンポーネント、あるいは、それらの構成要素が、シート素材から型抜きされたものである、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0051】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記細長い第1および第2コンポーネントがインターレースされる、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0052】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記細長い第1および第2コンポーネントが鍵穴配置で嵌合する、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0053】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記取付部分の幅が一定である、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0054】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、少なくとも前記接着剤付きの第1および第2係止部材が、色付き又は不透明の素材から製造されている、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0055】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記機械的操作が、スライス、目開き、またはパンチからなる群から選択される非連続部の導入を含む、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0056】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記機械的操作が、前記材料の通気性を上げる、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0057】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記機械的操作が、使用時に前記接着剤付きの第1および第2係止部材真下にある皮膚から汗を逃がし易くする、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0058】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記機械的操作が、弾性様特性をもたらす、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【0059】
他の実施形態において、本開示は、前述の2部コンポーネントの医療器具であって、前記機械的操作が、接着剤付きの係止部材への切れ目の導入によって複数の接着副領域を形成することを含む、2部コンポーネントの医療器具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】本開示の絡み合い型創傷閉鎖器具を示す底面投影図である。
【
図2】本開示の絡み合い型創傷閉鎖器具を示す斜視図であり、第1剥離ライナー及び第2剥離ライナーによって保護された接着剤付きの第1係止部材と、これと鏡像的な剥離ライナー構成である第1剥離ライナー及び第2剥離ライナーを含む構成の接着剤付きの第2係止部材が描かれている。
【
図3】剥離ライナーがない状態の本開示の絡み合い型創傷閉鎖器具の底面投影図であり、接着剤付きの第1係止部材の中央部を表す領域に境界軸が描かれている。
【
図4A】2部コンポーネントの医療器具における2つのコンポーネント間で共通の第1剥離ライナーが共有されている一例を示す斜視図である。
【
図4B】2部コンポーネントの医療器具における2つのコンポーネント間で共有されている共通の第1剥離ライナーに折り目が設けられた一例を示す斜視図である。
【
図4C】2部コンポーネントの医療器具における2つのコンポーネント間で共有されている共通の第1剥離ライナーに脆弱線が設けられた一例を示す斜視図である。
【
図5】接着剤付きの第1係止部材の第1剥離ライナーが接着剤付きの第2係止部材の第1剥離ライナー上に延出している、本開示の絡み合い型創傷閉鎖器具の斜視図である。
【
図6】接着剤付きの第1および第2係止部材の創傷エッジから第1剥離ライナーのタブ同士が延出している、本開示の粗み合い型創傷閉鎖器具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本開示は、創傷又は切開部を閉鎖するのに有用な2部コンポーネントの医療器具に関する。当該2部コンポーネントの医療器具の実施形態は、創傷エッジとも称される1つのエッジを有する接着剤付きの第1係止部材を含む、第1コンポーネントを備える。当該第1コンポーネントは、さらに、前記接着剤付きの第1係止部材の前記創傷エッジから延びる1つ以上の細長い第1連結具、および前記1つ以上の細長い第1連結具と繋がって前記接着剤付きの第1係止部材を創傷又は切開部に向かって並進させるように適合化された1つ以上の第1牽引要素を含む。
【0062】
また、実施形態は、創傷エッジとも称される1つのエッジを有する接着剤付きの第2係止部材を含む第2コンポーネントを備える。当該第2コンポーネントは、さらに、前記接着剤付きの第2係止部材の前記創傷エッジから延びる1つ以上の細長い第2連結具、および前記1つ以上の細長い第2連結具と繋がって前記接着剤付きの第2係止部材を前記創傷又は切開部に向かって並進させるように適合化された1つ以上の第2牽引要素を含む。
【0063】
また、実施形態は、前記接着剤付きの第1係止部材の接着剤付き面を保護する第1および第2剥離ライナーを含む。前記接着剤付きの第1係止部材の当該第1および第2剥離ライナーは、それぞれ、前記接着剤付きの第1係止部材のうちの対応する当該第1または第2剥離ライナーを剥がすのに用いられるタブ部分を有する。
【0064】
さらに、実施形態は、前記接着剤付きの第2係止部材の接着剤付き面を保護する第1および第2剥離ライナーを備える。前記接着剤付きの第2係止部材の当該第1および第2剥離ライナーは、それぞれ、前記接着剤付きの第2係止部材のうちの対応する当該第1または第2剥離ライナーを剥がすのに用いられるタブ部分を有する。
【0065】
前記1つ以上の細長い第1連結具を前記接着剤付きの第2係止部材に取り付けることにより、取付後の細長い第1連結具毎に、取付部分および橋渡し部分を形成する手段が設けられている。また、前記1つ以上の細長い第2連結具を前記接着剤付きの第1係止部材に取り付けることにより、取付後の細長い第2連結具毎に、取付部分および橋渡し部分を形成する手段が設けられている。
【0066】
前述したように、前記接着剤付きの第1および第2係止部材両者の前記接着剤付き面は、いずれも、第1および第2剥離ライナーによって保護されている。これら第1および第2剥離ライナーのそれぞれには、2部コンポーネントの医療器具の取外しおよび適用を容易に行うためのタブが設けられている。以下では、剥離ライナー同士の組合せの具体的な実施形態について詳細に説明する。これらの実施形態を詳細に説明する前に、全ての実施形態に共通する特定の考慮事項について述べる。
【0067】
(絡み合いの実施形態と鍵穴の実施形態)
本開示の医療器具の実施形態は、絡み合うものか、絡み合わないものかの、いずれかであり得る。絡み合う実施形態では、単一の牽引要素に取り付けられた細長い1種類目、2種類目の連結具の2つ以上の細長い連結具を有する第1コンポーネントと、別の単一の牽引要素に取り付けられた細長い1種類目、2種類目の連結具の2つ以上の細長い連結具を有する第2コンポーネントと、が存在する。そして、2つあるうちの一方のコンポーネントの細長い連結具が、他方のコンポーネントにおける細長い2つの連結具の間に形成された空隙を通過する。このように組み付けられることで第1および第2コンポーネントが連結され、それら2つのコンポーネントのうちの少なくとも一方を切断又は破壊しない限りは、それらを切り離すことができない。このような絡み合い器具を簡単に例えるとするならば、一対のインターロッキングリングが挙げられる。
【0068】
当業者であれば、第1コンポーネントの絡合せを発展させて、3つ以上の隣合う細長い連結具により形成された2つ以上の隣合う空隙に絡み合わせるようにすれば、より複雑な絡み合いの実施形態を作り出せることが分かるであろう。そのような実施形態の例は、先行技術の欄で引用し且つ参照をもって取り入れた発行済み米国特許に開示されている。
【0069】
絡み合いの実施形態は、様々な方法で作り出すことが可能である。一例として、先ほどインターロッキングリングに例えた最も単純な実施形態について考える。このような絡み合い構造を製作する際には、第1、第2コンポーネントが単一物として型抜きされ得る。次に、2つあるコンポーネントのうちの一方を切断し得て、切断していないほうのコンポーネントと絡ませてから、その切断部を、例えば接着剤やその他の何らかの適切な手段で修復するということが可能である。この最も単純な絡み合いの実施形態を製作する別の方法としては、一方のコンポーネントを単一物に型抜きし得る一方で、第2コンポーネントの型抜きを構成要素又は構成要素の一部を欠くように行うということが可能である。例えば、第2コンポーネントは、必要とされる2つの細長い連結具のうちの1つがない状態で型抜きされ得る。欠けている2つ目の細長い連結具は、接着剤付きの別の型抜き部品として用意することができる。不完全な(partial)第2コンポーネントと第1コンポーネントを絡み合わせた後、別途供与される不足分の細長い連結具を取り付けることにより、絡み合い構造を完成させることができる。
【0070】
上記のいずれの絡合い型器具の製法も、コンピュータ制御の大量生産製造技術に向いていない。しかしながら、そのような方法として、開発や公衆への開示にまで至っている方法も存在しており、同方法については、参照をもって本明細書に取り入れたものとする。当業者であれば、その開示内容を踏まえたうえで、本開示の2部コンポーネントの医療器具における絡み合いの実施形態の製法として、コンピュータ制御の製法を開発・実施することができるであろう。
【0071】
これとは別の、絡み合いのない構造は、「鍵穴」構造と呼ばれている。この構造では、例えば、2部コンポーネントの医療器具における2つのコンポーネントが別々に製造される。好ましい方法の一つでは、それらが、単一物のコンポーネント同士として型抜き法で製造される。2つの単一物コンポーネントは、それぞれ、接着剤付きの係止部材、1つ以上の細長い連結具、および牽引要素を含む。1つ目のコンポーネントにおける前記1つ以上の細長い連結具は、組付・適用後の器具において中央に位置することになる。2つ目のコンポーネントにおける細長い連結具同士は離間しており、それにより、1つ目における前記牽引要素および前記1つ以上の細長い連結具を差し込む空隙、すなわち、「鍵穴」が形成される。1つ目と2つ目のコンポーネント同士を差し込んで共通の平面上にまで回転させることで、それら2つのコンポーネントが「鍵穴」配置で嵌合し、2部コンポーネントの器具の適用状態となる。
【0072】
(シート素材)
好ましい実施形態において、接着剤付きの係止部材、細長い連結具、および牽引要素は、実質的に非弾性のポリマー材料から製造される。あるいは、これらは、非弾性構造成分で強化された弾性材料から製造されることで、前記器具を実質的に非弾性にするものであってもよい。例えば、そのような非弾性材料として、モノフィラメントポリマーのラインやメッシュが挙げられ得る。本明細書では、このような強化されたポリマーのことをポリマーコンポジットと称する。当該技術分野では、強化用の非弾性構造材料のことを「スクリム」と称する。スクリムは、織布、ポリマーの織物、ポリマーの不織物、または基材を安定化させるように機能するその他の任意の構造材料であり得る。好ましくは、スクリムで強化された基材は、高い透過度(例えば、1,000~8,000リットル/秒/m2)を有する。
【0073】
また、接着剤付きの係止部材と細長い連結具が別々に製造され、その後互いに取り付けられる実施形態(すなわち、非単一物の実施形態)であれば、接着剤付きの係止部材の製造において、ある程度の弾性を示す非強化ポリマー(例えば、ポリウレタン、ポリエステル等)が使用されてもよい。接着剤付きの係止部材の製造に用いられるポリマーとしては、厚さ3~12ミルのポリウレタンが好ましい。このようなポリマーは、通気性があり、ある程度の可撓性も示す。非強化弾性ポリマーを用いて接着剤付きの係止部材を製造する場合には、閉鎖過程のあいだ創傷エッジが切開箇所に亘って実質真っ直ぐに維持されるように非弾性要素で当該創傷エッジの上面を強化するのが好ましい。本明細書では、このような要素を「創傷エッジ補強具」(wound edge bar)と称する。当業者であれば、創傷エッジに剛性を付与する目的の創傷エッジ補強具の製造に、広範囲の非弾性ポリマー、さらには、金属を使用できることが分かるであろう。透湿性のポリマー材料は、本器具の製造に用いる際の透湿性以外の条件を満たしていることが前提となるが、快適性が向上して好ましい。また、治癒過程や創傷箇所全体が観察し易いように、透明な素材が好ましい。そのため、好ましい実施形態では、少なくとも、接着剤付きの第1および第2係止部材が、透明な素材から製造される。状況によっては(例えば、コスト等を考慮した際に)、設計上の別の選択肢として、少なくとも、接着剤付きの第1および第2係止部材の製造において、色付き又は不透明の素材が使用されてもよい。
【0074】
好ましい実施形態では、接着剤付きの係止部材、細長い連結具、および牽引要素が、ポリウレタン、ポリエステルなどの、ポリマー材料やポリマー複合材のシートまたはロールから製造される。当該シートまたはロール素材は、好ましい実施形態での厚みが約0.5ミル~約5ミルの範囲とされる(但し、用途によっては違うものになり得る)ことから、典型的に「フィルム」と称される。ポリマーシート素材から上記の構成要素を型抜きし、組付/一体化(packaged)時に前記2部コンポーネントの器具を構成することになる2つの単一物(すなわち、継ぎ目や接合部がない)コンポーネントを提供するという製造アプローチは極めて経済的である。型抜きは、例えば、本明細書で別途説明する絡み合いの実施形態の製作時等のように、他種の組付工程と併用されてもよい。レーザトリム装置や超音波トリム装置も、本開示のコンポーネントの切断に利用可能な機器の例である。前記シート素材は、前記2部コンポーネントの器具下方の皮膚との間で空気のやり取りが可能となるように小孔が開けられてもよい。
【0075】
(シート素材の機械的操作)
ここでの開示は、2部コンポーネントの医療器具のうちの接着剤付きの係止部材を構成するポリマーフィルムの改良や変質に関する内容である。具体的に述べると、ここでの開示事例における接着剤付きの第1および第2係止部材は、ポリマーフィルムに1つ以上の非連続部が存在することによって当該接着剤付きの第1および第2係止部材下方からの汗の放出が可能となっていることを特徴とする。前記接着剤付きの第1および第2係止部材の製造用として、本質的に通気性を有するポリマーフィルム(すなわち、機械的操作を行わずとも接着剤付きの第1および第2係止部材下方の皮膚との間で空気の入れ替えが可能なポリマーフィルム)を使用した場合、汗の放出が可能にならない。
【0076】
汗の放出が可能でない本質的に通気性を有するポリマーフィルムにある種の機械的操作を施すことにより、創傷閉鎖器具下方の皮膚からの汗を通すことが可能となる。本質的に通気性を有さないポリマーフィルムの機械的操作についても、同じことが言える。
【0077】
接着剤付きの第1および第2係止部材下方からの汗の放出を可能にする非連続部を導入することで、接着ロスの問題に対処できる。ヒトの、活動中の汗腺の大きさ、数および分布には、ばらつきがある。例えば、専門家の見積もりによると、手のひらには1cm2あたり約370個の汗腺が存在する。これに対し、手の甲には約200個、額には約175個、胸部、腹部および前腕部には約155個、脚部と背中には約60ないし80個(いずれも、1cm2当たりの汗腺)存在する。汗腺のこのような分布パターンを踏まえると、当業者であれば、接着ロスの問題に最も効果的に対処するにあたって、接着剤付きの係止部材の領域の広範囲に非連続部を導入するのが望ましいことが分かるであろう。
【0078】
非連続部は、接着剤付きの第1および第2係止部材の製造に用いられるポリマー材料に様々な方法で導入することが可能である。ある特定の接着剤付きの係止部材に導入される非連続部は、全て均質又は一様でなくともよい。型抜き技法は、非連続部を導入するための好ましい方法の一つである。型抜きは、金型を用いてポリマーシート材料などの低強度材料の1つ以上のウェブを剪断する方法である。例えば、ニードルやピンの金型を用いた
穿孔加工により、接着剤付きの第1および第2係止部材に数百、さらには数千の、小さな丸い非連続部を導入することができる。本明細書で用いる穿孔とは、金型に組み付けられた数々のピンのうちの各ピンのような個別の穿通要素が材料を貫通する際に、同材料のいずれの側(例えば、突き刺した側、突き出た側等)にも余分な肉厚が生じることのない加工を言う。ある特定の穿通要素の貫通によって片側又は別の側に余分な肉厚(例えば、突き出た側の材料の変形等)が生じるか生じないかは、その穿通要素自体だけでなく、穿通対象の材料(本例では、ポリマーシート材料)にも左右される。例えば、ポリマーシート素材によっては、小釘のサイズのような大きめのゲージの穿通要素であると、突き出た側に変形が生じる可能性があり、本開示に沿った非連続部の導入には有効でない。穿通要素の形状は、丸状である必要はない。穿通要素の形状に幾何学的な制限はない。
【0079】
ポリマー材料に小釘を刺した際に生じる非連続部のような大きめの非連続部を導入するのであれば、穿孔加工がより妥当であり得る。本明細書で用いる穿孔は、穿孔過程のなかで材料が切り離されるという必然性の面で、目開きと対比をなす。例えば、ある特定の直径の穴開け金型では、ポリマー材料から材料屑が打ち抜かれ、すなわち、切り離される。型抜き法において、このようなばら物状の穿孔屑は、例えば、切断後の材料屑を捕集するための接着ウェブの設置やバキューム処理等を含む様々な方法によって除去される。
【0080】
前述の穿孔や打ち抜きのほかに、カッテング(ダイカット)によって1つまたはそれ以上のスリットやスライスを接着剤付きの掛止部材へ導入することも可能である。ここでも、上述した汗腺分布を踏まえて、スリットを複数にするのが好ましい。
【0081】
当業者であれば、非連続部の大きさ、形状および分布を最適化するにあたって、ある程度の日常的な実験が必要となり得ることが分かるであろう。ある程度大きめのゲージの目開き、穴開けまたは切れ目にすることで、創傷閉鎖器具下方の皮膚から汗を逃がすことが可能になる。例えば前述のピン金型によって形成されるような、ある程度小さめの線番の目開きである場合、湿気を逃がすことは可能かもしれないが、汗を逃がすことはできないかもしれない。日常的な実験により、汗を逃がすことのできる非連続部のパラメータが求められる。ある特定の接着剤が付いたある特定のポリマーシートに対する最適な非連続部の構成は、別のポリマーシートおよび/または別の接着剤になると上手く行かない可能性がある。例えば、極めて小径の穿通要素で目開きを導入した際に、接着剤が極めて軟質な又は粘着性のものであると、そのような目開きに同接着剤が流れ込んだり埋まったりして勝手に修復されてしまう場合がある。
【0082】
また、当業者であれば、パンチタイプの非連続部の場合、接着剤付きの係止部材から皮膚と接触する表面部(および接着剤)が取り去られる傾向になることが分かるであろう。このため、少なくとも、高接着特性を必要とする用途では、大きめの穴開け型非連続部(例えば、ペーパーパンチによる大きさ又はそれを超えるサイズの非連続部等)は好ましくない。
【0083】
様々な理由から、接着剤付きの係止部材にスリット又はスライスが導入されているのが好ましい。その一つとして、スリット又はスライスでは、目開き(perforation)と同じく、接着剤付きの係止部材から材料が失われないことからスリット又はスライスが導入された後も、接着剤付きの係止部材の表面積及び接着剤の含有量が全く変わらないという点が挙げられる。切れ目又は切込みは、直線状や曲線状であってもよい。スリット又はスライスは、比較的長い(例えば、接着剤付きの係止部材の長さ又は幅に亘って延びる)ものであってもよいし、略短い長さのものであってもよい。しかも、スリット又はスライスは、屈曲した際に開く傾向がある。この傾向は、2部コンポーネントの創傷閉鎖器具の場面で利点となる少なくとも2つの目的を果たす。第一に、屈曲時にスリット又はスライスが「開く」ことにより、接着剤付きの係止部材下方の皮膚の表面から外部環境へと汗を比較的妨げられずに逃がすことができる。第二に、スリット又はスライスが「開く」ことにより、スリット又はスライスに隣合う接着剤付き面と皮膚との間で、良好な接着性を維持できる傾向がある。スリットやスライスの存在により、接着特性の悪化をもたらしがちな剥離力やせん断力が軽減される傾向にある。
【0084】
好ましい事例として、スリットは、接着剤付きの各係止部材に、当該接着剤付きの係止部材の創傷エッジと略直交する方向で導入される。スリットは、適用後の器具において細長い連結具同士の間となるように設けられる。ある特定の接着剤付きの係止部材に対し、
スリットをこのような向き方向とした場合、導入したスリットによって複数の接着副領域に分割されているように見える傾向が生じる。接着後の2部コンポーネントの器具は、屈曲時にアコーディオン状に開くようになる。実際、本開示の2部コンポーネントの器具の事例では、前記接着副領域同士が時間と共に互いに離れていき、それによって、独立した副領域を呈することが可能となる。
【0085】
上述したような種類の機械的操作により、非弾性ポリマーに「弾性様」特性を付与することが可能である。機械的操作によって特定のポリマーの非弾性特性が変わることはないが、空隙や非連続部を導入すれば、空隙や非連続部を持たない場合の同一ポリマーと比較して、動きや寸法の屈曲を可能にできる。
【0086】
(適用/使用時の考慮事項)
以下では、前記器具を用いた裂傷や切開部の閉鎖について詳細に説明するが、ここで簡単な前置きを挟んでおいたほうが良いかと思われる。使用時には、前記器具の第1コンポーネントの接着剤付き取付部材が、動物やヒトの患者において、閉鎖すべき裂傷や切開部に隣接した皮膚に適用される。第1コンポーネントの創傷エッジは、裂傷又は切開部のエッジの極めて近隣に、ただし、第1コンポーネントの係止部材から裂傷又は切開部の開放領域に接着剤が入り込むほどの近さにならないように配置される。1つ以上の細長い連結具は、第1コンポーネントの係止部材の創傷エッジから、当該創傷エッジと略直交する方向に延出し、裂傷又は切開部の部分を横切って当該裂傷の反対側へと延びることになる。
【0087】
第2コンポーネントの適用も同様の適用手順で行われるが、2つ目の適用手順は1つ目の適用手順の鏡像となる。接着剤付きの係止部材の適用が済むと、係止部材同士を互いに向かって押すか、あるいは、各コンポーネントの1つ以上の細長い連結具を掴んで係止部材同士を引いて裂傷を引き閉じることにより、裂傷が閉じられる。X、Y寸法の細かい微調節により、傷跡を最小限に抑えながら裂創を確実に閉鎖することが可能である。第1および第2コンポーネントの位置が施術者やその他の器具適用者が満足する位置となれば、第1コンポーネントの1つ以上の細長い連結具を第2コンポーネントの係止部材に取り付けて、かつ、第2コンポーネントの1つ以上の細長い第2連結具を第1コンポーネントの係止部材に取り付けることにより、2つのコンポーネントの関係が固定される。
【0088】
(接着剤)
本開示に関する用途に選択される接着剤は、多くの要件を満たす必要がある。初めに、皮膚と接触することになる接着剤であれば、皮膚による有害反応の可能性が最小限になるものが選択されなければならない。すなわち、選択される接着剤は、低アレルゲン性のものが望ましい。また、どの接着剤も、皮膚に接触するものであるか否かにかかわらず、器具の除去が妥当となる時点まで治癒過程が進むのに十分な期間のあいだ確実な保持を行うものでなければならない。接着剤の保持期間としては、一般的に約7~10日間が適切である。
【0089】
接着剤は、1つ以上の細長い連結具を接着剤付きの係止部材に取り付ける好ましい手段の一つである。一実施形態において、接着剤は、2つのコンポーネントのうちの一方のコンポーネントの細長い連結具を他方のコンポーネントの適用済み係止部材に取り付ける目的で、当該細長い連結具の下面の少なくとも一部に塗布されている。これに代えて又はこれに加えて、接着剤は、接着剤付きの第1および第2係止部材の上面の一部に塗布されていてもよい。器具の適用前では、塗布された接着剤を保護するために剥離ライナーが適用されている。
【0090】
細長い連結具は、取付部分と橋渡し部分という2つの部分又は部位を有する。細長い連結具の取付部分は、その名前が表すように、器具の適用後に他方のコンポーネントの取付部材に取り付けられる部分である。橋渡し部分は、細長い連結具又は連結部材のうちの、裂傷上部領域を跨ぐ部分である。さらに改良した実施形態では、橋渡し部分の下面の接着剤が取付部分よりも少ない。好ましい実施形態では、1つ以上の細長い連結具の橋渡し部分全体に接着剤がないか、あるいは、橋渡し部分に接着剤があるものの、当該橋渡し部分の当該接着剤が機能を果たさないようにする別のフィルム(無効化層)によって遮られている。
【0091】
(細長い連結具)
前述したように、細長い連結具の寸法は、幅が厚さよりも大幅に大きい帯状とされる。細長い第1および第2コンポーネント同士の取付け箇所が細長い連結具の取付部分の下側と取付済みの細長いコンポーネントの上面との間になる点に鑑みると、接触面積を最大化すれば、接着剤の接触面積も最大になって、器具の閉鎖がより確実なものになる。したがって、閉鎖の確実性の観点からみれば、取付部分の幅は広いほうが好ましい。しかし、全ての細長い連結具の幅を増やすと、細長い連結具間の距離が必然的に小さくなる。隣合う細長い連結具間に十分な距離を設けておき、第2係止部材の位置決めを行っている際や、2つの係止部材の位置決め後から細長い連結具を係止部材に取り付けて関係を固定するまでの間にかけて、器具の微調節をし易くしておくことが極めて重要である。
【0092】
参照をもって開示内容を本明細書に取り入れた米国特許第6,329,564号の記載にもあるように、細長い連結具間の間隔については、絶対的な最小値を述べることはできない。恐らく、器具の長さ(すなわち、器具の寸法のうち、裂傷または切開部と略平行な寸法)に対する百分率として好ましい範囲を述べるのが最も良いであろう。例えば、包帯の長さの約5%~約10%の間隔が、適切な範囲の一例である。
【0093】
このような間隔により、細長い連結具の取付部分と係止部材との間の接着剤の接触を大幅なものとしつつ、第2係止部材の取付け前後の微調節のための間隔が十分なものとなる。第2係止部材の取付け後の微調節とは、一般的に、裂傷を閉じてから細長い連結具を接着剤付きの係止部材に取り付ける直前までに関するそれである。適用過程のこの段階では、1つ以上の細長い第1連結具の橋渡し部分と1つ以上の細長い第2連結具の橋渡し部分とが、閉じておいた裂傷または切開部の上方で互いに揃えられる。本開示の好ましい一実施形態では、細長い連結具における橋渡し部分の平均幅が取付部分の平均幅よりも小さい。平均幅は、橋渡し部分の外エッジ部分、取付部分の外エッジ部分からの測定で求まる。
【0094】
取付部分に対する橋渡し部分の幅のこのような違いは、細長い連結具の幅が長さに沿って略一定である先行技術の器具に比べて有利である。一例として、確実性を最大限にするように設計されている先行技術の器具について考える。このような器具では、細長い連結具同士が可能な限り接近して配置されると共に、調節範囲の許容度は最小限に抑えられている。このような器具において橋渡し領域の幅を狭めた場合には、正味の効果として、裂傷上方の露出領域の増加(これは、薬剤の適用、滲出液の除去などに望ましい)や調節範囲の増加(細長い連結具の幅を橋渡し部分にて狭めることで、隣接する橋渡し部分間の距離が実質増加する)が得られる。
【0095】
前項で述べたものと同じ先行技術の器具について考える。橋渡し部分の幅を一定に保ちながら取付部分の幅を広げると、接着剤の接触面積が実質増加して確実性がより高まる。当業者であれば、ハイブリッド的構成(すなわち、幅が一様な先行技術の器具に比べて幅狭の橋渡し部分と幅広の取付部分を有する器具)が本開示の重要な実施形態を成すことが分かるであろう。
【0096】
細長い連結具は、その寸法から、帯状であると見なされ得る。好ましい実施形態では、細長い連結具の一部が、創傷又は切開部上方の遮られない表面積を増加させるように切り取られている。これにより、滲出液の排出や薬剤の適用が容易になる傾向がある。この切り取られた部分は、型抜き法で製造されるのが最も良い。参照によって開示内容を本明細書に取り入れた米国特許第6329564号の
図3には、例えば、切欠き部が示されている。切欠き部の形状は重要でない。重要なのは、細長い連結具の構造的完全性を、切欠き部の導入によって損なわないようにするという点である。
【0097】
(牽引要素)
本開示の好ましい実施形態では、細長い連結具又は細長い連結具の延長部に牽引要素が取り付けられている。コンポーネントに細長い連結具の数が1つだけ対応付けられている実施形態では、細長い連結具の延長部自体を牽引要素と見なすことも可能である。定義から言って、細長い連結具の取付部分は、別のコンポーネントの係止部材に取り付けられるものである。細長い連結具の延長部は、細長い連結具の長さを延ばして適用し易くするためのものであり、一般には、適用過程の後に切り離される。その切離しを簡単にするために、孔あけ(perforation)又は切れ目(scoring)が設けられるのが好ましい。コンポーネントに対応付けられている細長い連結具の数が複数の実施形態では、ユーザが複数の連結部材に牽引力を容易に加えられるように細長い連結具同士又は細長い連結具の延長部同士を繋げるものとして牽引要素が有用である。
【0098】
牽引要素を切り離すことで、適用後の2部コンポーネントの器具の専有面積が抑えられる。器具全体の大きさがこのように減少することで、包帯の一部が例えば衣類や枕に引っ掛かる可能性が少なくなる。このような事態に陥ると、適用済みの器具が皮膚から引き離されて創傷又は切開部が開くという傾向が生じ得る、また、適用済みの器具の総専有面積が抑えられると、より快適な装着感となる傾向がある。
【0099】
(反らせエッジ)
好ましい実施形態において、接着剤付きの第1および第2係止部材の創傷エッジは、創傷治癒を促するために皮膚エッジ(スキンエッジ)を反らせる(または上げる)ように適合化されている。創傷又は切開箇所の皮膚エッジを反らせる、上げる又は盛り上げると創傷の陥没(wound inversion)が阻止されることが、当該技術分野で知られている。これを達成することのできる方法の一つは、創傷エッジに曲折を付与することである。曲折部は、角度が付けられたものであってもよいし、円弧状のものであってもよい。接着剤付きの係止部材の下部の接着剤は、創傷エッジの部分にも塗布されている。このような反らせエッジは、皮膚に取り付けられた際に閉鎖接触箇所の皮膚エッジを持ち上げる傾向を示すことで、創傷又は切開部の治癒を促す。
【0100】
(コード化)
本開示の器具の新規ユーザの混乱が最小限になるように、牽引要素および係止部材は、ユーザが区別できるようにコード化され得る。つまり、コード化は、例えば、牽引要素の形状と接着剤付きの係止部材の形状との間での、目視可能な幾何学的区別を含み得る。別の実施形態において、このようなコード化は、コンポーネント間の区別をユーザができるようにするための印刷による印を含み得る。また、色によってこのような区別機能を提供するようにしてもよい。
【0101】
(横方向並進要素)
本開示の事例では、本開示の2部コンポーネントの器具の前記細長い第1および第2コンポーネントが、いずれも、単一の第1牽引要素に1つ以上の細長い第1連結具が取り付けられたものとされる。これ以外の事例としては、前記細長い第1および第2コンポーネントの両方ではなく一方が、1つ以上の横方向並進要素を含むものとされる。このような実施形態では、前記細長い第1および第2コンポーネントの一方が1つ以上の横方向並進要素を含み、他方の細長いコンポーネントが複数の横方向並進要素を含むと共にその各横方向並進要素は単一の牽引要素に1つ以上の細長い連結具が取り付けられたものとされる。
【0102】
各横方向並進要素は:a)単一の細長い連結具および単一の牽引要素;ならびにb)複数の細長い連結具および単一の牽引要素;からなる群から選択される。
【0103】
(剥離ライナー)
本開示の器具の接着剤付き面は、製造時に剥離ライナーが適用されて(例えば、異物混入や酸化等から)保護されている。一部の事例では、複数の剥離ライナー又は剥離ライナーシステムによって途切れのない単一の接着剤付き面が保護され得る。一例として、本開示の器具の係止部材について考える。閉鎖する裂傷又は切開部の隣りに係止部材の創傷エッジを正確に取り付けるには、当該係止部材を片手で把持しつつもう片方の手で裂傷又は切開部の領域を自由に操作するのが好ましい。よって、各々の係止部材に複数の剥離ライナーがあるのが好ましい。好ましい実施形態では、創傷エッジを保護する第1剥離ライナーが適用過程で最初に取り外される。これにより、創傷エッジの一部を皮膚に接着させると同時に、係止部材のうちの保護されている部分を保持することができるので、器具がユーザの(例えば、手袋をはめた手の)指に引っ付くことがない。創傷エッジの適用が済むと、第2剥離ライナーを取り外し、係止部材を完全に固定することが可能である。剥離ライナーの好ましい素材としては、抄紙や厚紙やポリマーシート材料が挙げられる。細長い連結具の延長部や牽引要素が「接着剤なし」で設けられる好ましい実施形態では、細長い連結具に伴う接着剤について複数の剥離ライナーを使用することの重要性は低くなる。本開示の器具の新規ユーザの混乱が最小限になるように、剥離ライナーについてもコード化が施されてよい。剥離ライナーの取外し順序をユーザが即座に認識できるようにするコード化の例としては、剥離ライナーの色や、剥離ライナー上の印刷による印が挙げられる。
【0104】
前述したように、本開示の器具の第1および第2コンポーネントの製造に用いられるフィルムまたはシート素材は、極めて薄いものであってもよく、かつ、そのようなものが好ましい。そのような薄い素材から製造された係止部材を裂傷又は切開部の隣りに適用する際には、エッジのしわや重なり合い、不測の又は不正確な位置決めによる初期接触などに関係した困難性が容易に想像される。器具に対して用いられる剥離ライナーは、適切に選択すれば、器具、特に、薄いシート素材から製造された器具の取扱い時に、著しい手助けとなり得る。例えば、2つの剥離ライナーを使用して係止部材の接着剤付き面を保護する場合、係止部材の創傷エッジを保護しているほうの剥離ライナーの特性は、接着剤付きの同じ係止部材を保護しているそれよりも後で取り外される2つ目の剥離ライナーの特性に比べると全く重要でない。例えば、2つ目の剥離ライナーとして半剛体の剥離ライナーを用いると、接着剤付きの係止部材の創傷エッジの配置をより高精度に行うことができる。
【0105】
(別の素材)
前述した器具の実施形態は、第1および第2のコンポーネントが本質的に単一物のものである。すなわち、(係止部材と1つ以上の細長い連結具を含む)第1コンポーネントは、接合部や継ぎ目のない1枚の素材シートから製造される。同じことが、第2コンポーネントにも当てはまる。代替的な一実施形態では、第1および第2コンポーネントが本質的に非単一物とされる。この代替的な実施形態は、係止部材にとって所望とされる物性と細長い連結具にとって所望とされる物性とが全ての事例で共通になるとは限らないとの認識に基づいたものである。例えば、ある程度の弾性は、関節のような領域等への適用時の係止部材とって望ましい特徴である。ある程度の弾性を有するフィルムから製造された係止部材は、そのような領域に適用された場合、実質非弾性の材料から製造された係止部材に比べて早期に剥がれてしまう可能性が低い。弾性は、細長い連結具の製造時には避けなければならない特性である。細長い連結具の伸張は、裂傷又は切開部が早期に開放されてしまう傾向に繋がるので避けるべきである。
【0106】
第1および第2コンポーネントが単一物でない実施形態では、ある程度の弾性を有する素材から係止部材が製造されてもよい。細長い連結具は、別途、実質非弾性の素材から製造される。そして、1つ以上の細長い第1連結具が第1係止部材に(例えば、接着剤等で)取り付けられることにより、第1コンポーネントが製造される。第2コンポーネントも、同様に構築される。特に、ある程度の弾性を有するシート素材が採用される実施形態では、別の箇所で説明するような創傷エッジ補強具が、創傷エッジを補強するように取り付けられ得る。
【0107】
非単一物のコンポーネントにおける細長い連結具と係止部材は、必ずしも別々の素材材料で製造しなければならないわけではない。例えば、追加の強度を付与するために、細長い連結具のうちの一部(例えば、橋渡し部分等)を多重にする(create an overlap)のが望ましい場合がある。つまり、連結部材の一部を含んだ単一物の係止部材を製造することで、橋渡し領域の厚さの二重化を行うようにしてもよい。この単一物の係止部材に対し、別途製造した細長い連結具を重ね合わせるようにして取り付けられる。これにより、橋渡し部分の厚さが二重となって追加の強度を得た第1コンポーネントが形成されると共に、伸張も防がれる。
【0108】
(補強要素)
係止部材の創傷エッジ部分は、可撓性の低い素材の別の層で補強することが望ましい場合がある。この「創傷エッジ補強具」により、細長い連結具により加わった力は、創傷エッジ全体に沿って一様かつ良好に移動することになる。同様に、任意の牽引要素又はその一部についても、可撓性の低い素材の別の層で補強することが望ましい場合がある。このプルバー(牽引補強具)は、器具を閉鎖用の位置に持っていく際に、牽引要素から全ての細長い連結具に一様なテンションを適用するうえで役立つ。この構成は、接着剤付きの各係止部材へと牽引固定される細長い連結具が4つ以上にもなり得る長い裂傷又は切開部の閉鎖用に意図された器具の実施形態において重要性が増す。
【0109】
(弾性テンションインジケータ)
本開示の包帯は、任意で、弾性テンションインジケータ要素を備えるものであってもよい。テンションインジケータ要素の目的は、包帯を適用させている際に所望のテンションに到達したことを視覚的に知らせることである。例えば、所定のテンションが加わったときに色が変化する材料が当該技術分野で知られている。この目的には、その他のグラフィック表現も同様に利用されてよい。例えば、長方形のグラフィック表現が、弾性テンションインジケータ要素に採用されてよい。このテンションインジケータが伸張すると、長方形のグラフィック表現が伸張する。この要素は、元々の長方形の表現が幾何学的な正方形に近くなるところまで伸ばされた際にテンションが所望になったことが分かるように設計され得る。
【0110】
この弾性テンションインジケータ要素は、包帯の適用後に牽引要素と共に取り外し可能であるのが望ましい。少なくとも、弾性テンションインジケータ要素は、包帯を適用させた際に、当該弾性要素が伸び続けることや当該弾性要素がそれまでに確立した所望のテンションを放出することができないように包帯に設置されているのが望ましい。
【0111】
(経皮薬剤送達)
本開示の2部コンポーネントの器具は、任意で、経皮薬剤送達用に適合化され得る。当該技術分野で知られていることであるが、薬剤は皮膚を介して経皮送達することが可能である。そのような用途では、皮膚を介して薬剤を送達することができるように、薬剤含有パッチが接着剤付きの少なくとも一方の係止部材に固定される。薬剤送達パッチの領域では皮膚と接着剤付きの係止部材との間で接着剤による接触がなくなるであろうことから、そのような経皮薬剤送達の実施形態では、包帯の固定のために、接着剤付きの係止部材のサイズを大きくしなければならない場合がある。経皮薬剤送達は当該技術分野で周知のものであるから、当業者は、背景技術を確認せずとも、同開示の実施形態を製造および使用することが可能である。
【0112】
(埋込み感染インジケータ)
埋込み感染インジケータの使用は比較的新しい技術であり、同技術を組み込むことにより、例えば、色の変化によって望ましくない細菌の存在を示すことが可能な創傷閉鎖器具を提供することができる。同技術の一つは、望ましくない細菌が分泌する毒素により、ナノカプセルから蛍光色素の放出が惹起されるものである。
【0113】
(使用方法)
本開示は、さらに、前述したタイプの器具を使用して裂傷又は切開部を閉鎖する方法に関する。このような方法は、第1および第2コンポーネントの係止部材を、閉鎖すべき裂傷又は切開部の反対側に適用する過程を備える。次いで、前記裂傷は、前記接着剤付きの係止部材の領域の皮膚を操作して当該裂傷のエッジ同士を押し合わせるか、横方向並進要素を用いて前記裂傷を引き閉じるか、あるいは、これらの何らかの組合せによって、ユーザにより閉じられる。前記裂傷が閉じられた後、前記細長い連結具を前記接着剤付きの係止部材に取り付けることによって、前記第1および第2コンポーネントの互いに対する位置が固定される。
【0114】
全実施形態に共通する考慮事項の説明を終えたので、次に、本開示の二重分割ライナーの事例について説明する。図面及び説明は本開示の絡み合い型の事例に関するものであり得るが、本開示の教示内容は、絡み合いのない事例を含む本開示のあらゆる事例に関係している。
【0115】
図1は、本開示のインターレース型創傷閉鎖器具の底面投影図であり、同図には所定の構成要素が描かれている。図示の構成要素には、創傷エッジ11を有する接着剤付きの第1係止部材10、細長い第1連結具12、第1牽引要素14、創傷エッジ17を有する接着剤付きの第2係止部材16、細長い第2連結具18、および第2牽引要素20が含まれる。接着剤付きの第1係止部材10の接着剤付き部分は、第1剥離ライナー22a及び第2剥離ライナー24aによって保護されている。同様に、接着剤付きの第2係止部材16の接着剤付き部分は、第1剥離ライナー22b及び第2剥離ライナー24bによって保護される。
【0116】
図2は、本開示の絡み合い型創傷閉鎖器具の斜視図であり、第1剥離ライナー22a及び第2剥離ライナー24aによって保護された接着剤付きの第1係止部材10が描かれている。これと鏡像的な剥離ライナー構成である第1剥離ライナー22b及び第2剥離ライナー24bを含む構成の接着剤付きの第2係止部材16が描かれている。
【0117】
図2に示す剥離ライナー22a,24aは、それぞれ、接着剤付きの第1係止部材10の接着剤付き部分に接してこれを保護する接着部分(又は保護部分)を有する。
図2に示す剥離ライナー22b,24bは、それぞれ、接着剤付きの第2係止部材16の接着剤付き部分に接してこれを保護する接着部分(又は保護部分)を有する。
図2では、第1剥離ライナー22aの接着部分に参照符号26aが付されていると共に、第2剥離ライナー24aの接着部分に参照符号28aが付されている。同様に、第1剥離ライナー22bの接着部分には参照符号26bが付されていると共に、第2剥離ライナー24bの接着部分には参照符号28bが付されている。
【0118】
図2に示す各剥離ライナー(22a,24a,22b,24b)は、さらに、接着剤付き面を越えて延出している未接着のタブ部分を有する。当該タブ部分は、本器具の適用中に、対応する前記剥離ライナーを剥がし易くするものである。
図2では、第1剥離ライナー22aのうちの未接着のタブ部分に参照番号30aが付されていると共に、第2剥離ライナー24aのうちの未接着のタブ部分に参照番号32aが付されている。同様に、第1剥離ライナー22bのうちの未接着のタブ部分に参照符号30bが付されていると共に、第2剥離ライナー24bのうちの未接着のタブ部分に参照符号32bが付されている。タブ部分については、本開示の別の箇所で詳細に説明する。
【0119】
本明細書で用いるタブ又はタブ部分とは、対応する剥離ライナーと連なっているタブのことを指し得る。すなわち、タブは、同じシート素材から製造されるものであり、典型的に、型抜き法で製造される。あるいは、別の素材からタブを製造し、例えば接着剤等を用いて、当該タブと対応付けられる剥離ライナーに取り付けるようにしてもよい。
【0120】
図2に示すように、接着剤付きの第1係止部材10は、創傷エッジ11と平行な境界軸23aを有する。同じく、接着剤付きの第2係止部材16も、創傷エッジ17と平行な境界軸23bを有する。
図2では、接着剤付きの第1係止部材10が、さらに、創傷エッジ11と平行な境界軸25aを有している。同じく、接着剤付きの第2係止部材16も、さらに、創傷エッジ17と平行な境界軸25bを有している。各境界軸(23a,23b,25a,25b)は、個々の剥離ライナーの接着部分の境界を定めている。具体的に述べると、各境界軸が定める境界は、内部境界(すなわち、接着剤付き第1または第2係止部材の内部にある境界)である。詳細には、境界軸23aは、第1剥離ライナー22aの接着部分26aによって保護された接着剤付きの第1係止部材10上に内部境界を定めている。境界軸25aは、第2剥離ライナー24aの接着部分28aによって保護された接着剤付きの第1係止部材10上に内部境界を定めている。境界軸23bは、第1剥離ライナー22bの接着部分26bによって保護された接着剤付きの第2係止部材16上に内部境界を定めている。最後に、境界軸25bは、第2剥離ライナー24bの接着部分28bによって保護された接着剤付きの第2係止部材16上に内部境界を定めている。
【0121】
前述したように、これらの境界軸は、創傷エッジと平行である。境界軸23a,25aは創傷エッジ11と平行であり、境界軸23b,25bは創傷エッジ17と平行である。さらに、これらの境界軸は、対応する接着剤付きの係止部材の中央に位置している。また、接着剤付きの各係止部材は接着剤付き面の全体が一対の剥離ライナーで完全に保護されたものであるから、接着剤付きの各係止部材に対応付けられる2つの境界軸同士は(接着剤付きの各係止部材の接着剤付き部分全体を保護するために)必然的に隣接する。ほかにも、接着剤付きの各係止部材に対応付けられる2つの境界軸同士は、当該接着剤付きの係止部材の領域内の略中央に必然的に位置することになる。
【0122】
本開示の事例では接着剤付きの第1係止部材10と接着剤付きの第2係止部材16が実質的に同一であるが、創傷又は切開部のうちの1つ目の側に適用すべき最初の接着剤付きの係止部材が接着剤付きの第1係止部材10であると見なすのが、都合が良いのでそうする。
図2を参照すると、本例では、第1剥離ライナー22aが剥がされることで、接着剤付きの第1係止部材10のうち、接着部分26aによって保護されていた接着剤部分が露出する。第2剥離ライナー24aの接着部分28aによって接着剤付きの第1係止部材10の残りの接着剤が保護されていることで、医療従事者は、引っ付かない把持領域で接着剤付きの第1係止部材10を掴みながら創傷エッジ11の位置合わせを行い、第1剥離ライナー22aの接着部分26aが剥がされて露出した接着剤付きの第1係止部材10の部分の露出した接着剤を高精度に接着させる。
【0123】
よって、当業者であれば、境界軸23a,25aは、接着剤付きの第1係止部材10の接着剤付き部分の領域内の中央に位置しているのが望ましいことが分かるであろう。これが重要な理由は、第2剥離ライナー24aを剥がす前の時点ての接着が確実なものでなければならないからである。例えば、接着剤付きの第1係止部材10の接着部分26aが当該接着剤付きの第1係止部材10の接着剤付き部分の面積の5~10%しかなかったとすると、第2剥離ライナー24aを剥がす際に、接着剤付きの第1係止部材10のうちの適用済みの一部(すなわち、第2剥離ライナー24aを剥がす前に適用済みの部分)が皮膚から引き剥がれてしまうリスクが存在する。このリスクにより、接着剤付きの各係止部材に対応付けられる2つの境界軸を当該接着剤付きの係止部材の領域内の略中央の位置に配置する重要性が強まる。本開示の好ましい例では、接着剤付きの各係止部材に対応付けられる2つの境界軸が、接着剤付きの係止部材の中央60%~70%として定められる領域内に位置する。
【0124】
図1から剥離ライナーを省略した
図3を参照すると、境界軸23a,25aは、接着剤付きの第1係止部材10の中央60%~70%となる領域内に位置している。同じく、境界軸23b,25bは、接着剤付きの第2係止部材16の中央60%-70%となる領域内に位置している。接着剤付きの第1係止部材10の中央60%~70%の側方にある境界軸除外区域48a,50aは、交差平行斜線で示されている。境界軸除外区域48b,50bは、接着剤付きの第2係止部材16の中央60%~70%の側方にある交差平行斜線で示されている。言及している各境界除外区域は、対応する接着剤付きの係止部材の総面積の15%~20%以上の領域からなる。境界軸は、境界軸除外区域内に位置しない。
図3には、上記の構成要素に加えて、細長い第1連結具12、第1牽引要素14、細長い第2連結具18、および第2牽引要素20も描かれている。
【0125】
再び
図2を参照するが、接着剤付きの第1係止部材10を保護する第1剥離ライナー22aのタブ部分30aは、境界軸23aから延出している。同様に、接着剤付きの第1係止部材10を保護する第2剥離ライナー24aのタブ部分32aは、境界軸25aから延出している。同様の説明は、接着剤付きの第2係止部材16に係るタブの場合にも当てはまる。具体的に述べると、接着剤付きの第2係止部材16を保護する第1剥離ライナー22bのタブ部分30bは、境界軸23bから延出している。同様に、接着剤付きの第2係止部材16を保護する第2剥離ライナー24bのタブ部分32bは、境界軸25bから延出している。
【0126】
特定の境界軸からの特定のタブの延出箇所の終わりは、線分(line segment)を規定していると言える。実施形態では、隣接する境界軸から延出している2つのタブによって規定される線分同士が略平行である。これらの線分は、等しい長さであっても、不等長であってもよい。次の段落でも述べるように、前記線分は、対応する軸の全長とされ得るが、これは必須ではない。前記線分同士は、隣接していてもよいし、重なり合っていてもよいし、重なり合わないものであってもよい。
【0127】
接着剤付きの第1係止部材に関して、本開示の実施形態では、1つ目および2つ目の線分の長さが、境界軸23a,25aの長さと略同一である。接着剤付きの第2係止部材に関して、本開示の実施形態では、1つ目および2つ目の線分の長さが、境界軸23b,25bの長さと略同一である。
【0128】
(第2剥離ライナー-追加の詳細)
第1および第2剥離ライナーの一般的事項を述べたことで、本開示の事例に関するさらなる内容を述べる準備が整った。ここで用いる参照符号は
図2のものである。本開示の全ての事例において、第2剥離ライナー(すなわち、剥離ライナー24a,24b)は、境界軸(すなわち、境界軸25a,25b)を起点とした当該第2剥離ライナー(すなわち、剥離ライナー24a,24b)の剥離を容易にする、未接着のタブ部分(すなわち、タブ部分32a,32b)を有する。すなわち、剥離ライナー24a,24bの未接着のタブ部分32a,32bにより、ユーザは、当該未接着のタブ部分32a,32bを掴んで境界軸25a,25bに沿って同剥離ライナー24a,24bの剥離を開始することができる。好ましくは、当該剥離は、接着部分28a,28bのうちの境界軸25a,25bの終端に位置した2つの角部の一方にて開始される。
【0129】
上記第2剥離ライナー24a,24bの剥離を容易にするタブの構造や事例には、2種類の基本的なものがある。1つ目のタブの事例については、簡単に先述したとおりである。1つ目のタブの事例は、境界軸25a,25bから延出し、タブ部分を掴んで接着部分28a,28bのうちの境界軸25a,25bの終端に位置した2つの角部の一方にて医療従事者が剥離を開始させることのできるものである。このようなタブは、境界軸25a,25bの全長に亘って延在するものとすることで、医療従事者が接着部分28a,28bのうちの境界軸25a,25bの終端に位置した2つの角部のどちらでも剥離を開始させることが出来るようになり得る。あるいは、当該タブの長さを、境界軸25a,25bの全長よりも短くしてもよい。そのような場合、当該タブは、接着部分28a,28bのうちの境界軸25a,25bの終端に位置した2つの角部のうちの一方に又は同角部の近傍に位置することになる。境界軸25a,25bの全長よりも短いタブにこのような位置的制限を設けることは、医療従事者が接着部分28a,28bのうちの境界軸25a,25bの終端に位置した2つの角部の一方にて剥離を開始できるようにするために必要である。
【0130】
第2剥離ライナー24a,24bの剥離を容易にする2つ目の基本的なタブの構造や事例は、タブ部分が、当該剥離ライナー24a,24bのうちの、境界軸25a,25bが画定するエッジでないエッジから延びるというものである。すなわち、このようなタブは、境界軸25a,25bの終端にある又は同終端の近傍にある側エッジ部から延出するように設計されたものであり得る。
図2に示すように、このような側エッジ部は、例えば、境界軸25a,25bと直交するものである。
【0131】
再び
図2を参照するが、タブ部分32a,32bが境界軸25a,25bの全長に亘って延在する本開示の事例のうち、好ましい事例では、第2剥離ライナー24a,24bのタブ部分32a,32bが、当該第2剥離ライナー24a,24bの接着部分28a,28b上に折り返した際に、同接着部分28a,28bを越えて突出する。このような突出により、第1剥離ライナー22を剥がして露出させた接着剤の接着が済んだ後のタブ部分32a,32bの把持、さらには、接着部分28a,28bのうちの境界軸25a,25bの終端に位置した2つの角部の一方にてその後開始させる第2剥離ライナー24の剥離が容易になる。
【0132】
さらに、第2剥離ライナー24a,24bのタブ部分32a,32bの折り返しにより、剥離ライナーが二重の厚さになる。この二重の厚さは、最初の適用作業の際に創傷エッジ11,17のうちの真ん中の狭い部分のみが皮膚と接触するように曲げたり撓ませたりすることができる。これによって高度な調整を行い、下記創傷エッジ11,17のうちの真ん中の部分の初期接触を高精度なものにすることができる。初期接触が終わると、撓んだ二重の厚さの第2剥離ライナー24a,24bのテンションを解いて、創傷エッジの全体及び露出した対応する接着剤を皮膚に固定させることができる。
【0133】
(第1剥離ライナー-追加の詳細)
第2剥離ライナーについて高い具体性で説明したので、第1剥離ライナーについても同程度の具体性で論じることにする。再び
図2を参照するが、好ましい事例では、第1剥離ライナー22a,22bの接着部分26a,26bのうちの境界軸23a,23bの終端に位置した2つの角部の一方にて、当該接着部分26a,26bの剥離が開始される。第2剥離ライナー24a,24bのタブ部分に関して先述した考慮事項の一部は、第1剥離ライナー22a,22bのタブ部分にも当てはまる。例えば、接着部分26a,26bのうちの境界軸23a,23bの終端に位置した2つの角部のうちの一方にて第1剥離ライナー22a,22bの剥離を開始させるには、タブ部分が接着部分26a,26bのうちの境界軸23a,23bの終端に位置した2つの角部の一方又は同角部の近傍に位置している必要がある。第2剥離ライナー24a,24bに関して先述したものと同じく、そのようなタブは、境界軸23a,23bから延出したものであってもよいし、剥離ライナー22a,22bのエッジのうち、創傷エッジ11,17を画定するエッジでも境界軸23a,23bを画定するエッジでもないエッジから延出したものであってもよい。すなわち、そのようなタブは、境界軸23a,23bの終端にある又は同終端の近傍にある側エッジ部から延出するように設計されたものであり得る。
【0134】
(第1剥離ライナーの拡張部)
前に触れた製造上の考慮事項は、本開示の絡み合い型の事例のコンピュータ制御の製に関係するものである。本開示のインターレース型の事例(interlaced instances)の製法のうち、コンピュータ制御の製法に向いた製法については、開発および公衆への開示にまで至っているものもあり、そのような製法は、参照をもって本明細書に取り入れたものとする。コンピュータ制御されたこのような方法では、典型的に、ポリマー材料の複数のシートやロールを協調的に動かしながら、複数のシートに切断部や切れ目を同時に又は非協調的に導入する必要がある。このような製法の最終製品は、絡み合い型の2部コンポーネントの個々の医療器具の集まりである。製造上の同考慮事項は、絡み合い型ではない実施形態にも当てはまる。
【0135】
コンピュータ制御されたこのような製法では、ポリマー材料の各シートやロール同士の見当合わせを維持しながら様々な切断部や切れ目を導入して当該シートやロール内に各種構成を形成することが極めて重要である。キャリアシートを用いることにより、ポリマー材料の各シートやロール同士の見当合わせされたこのような関係を維持しながら切断部を導入して当該シートやロール内に各種構成を形成することが可能である。
【0136】
本発明を限定する例ではないが、本開示に係る(インターレース型および非インターレース型を含む)2部コンポーネントの器具についてのコンピュータ制御の製法の計画を立てる際には、接着剤付きの第1係止部材および接着剤付きの第2係止部材の製造に、2つの別々のシートやロールが用いられ得る。最終製品におけるこれら2つのコンポーネントの相対位置は、セットアップ段階で固定される。例えば、最終製品において創傷エッジとなる各シートやロールのエッジ同士は、同一平面上で例えば3mm~20mmだけ離して平行な向きにセットアップされる。製法中のある段階で、最終製品において接着剤付きの第1係止部材や接着剤付きの第2係止部材となる各シートやロールの片面に接着剤のコーティングが塗布される。これらの接着剤付き面を保護するのに、第1および第2剥離ライナーとなるフィルムが適用される。
【0137】
第1および第2剥離ライナーの事例については、いくらか詳細に先述したとおりであるが、第1剥離ライナーに関しては、各シートやロールおよびそのようなシートやロールから形成される各種構成の見当合わせを維持するための追加仕様について触れることができる。
【0138】
本開示では、前記第1剥離ライナーが、各シートやロール同士およびそのようなシートやロールから形成される各種構成同士の見当合わせの維持補助を行うキャリアとなるように、離間区域(本例では3mmないし20mm)に亘って拡張される。
図2を参照するが、実質上キャリアとして動作させるには、第1剥離ライナー22aと第1剥離ライナー22bとを(例えば、接着剤等を用いて)物理的に接続する必要がある。例えば、別体の2つの第1剥離ライナー同士を、前記離間区域内へと又は前記離間区域を越えて拡張させて重なり合わせるか又は突き合わせることが可能である。剥離ライナー22a,22bは、終端同士が重なり合ったか又は突き合わされた状態で、例えば、接着剤付きテープを用いて物理的に接続することが可能である。
【0139】
図4Aは、2部コンポーネントの医療器具における2つのコンポーネント間で共通の第1剥離ライナー34(点描で図示)が共有されている本開示の別の事例を示す図である。可能であれば(すなわち、共通の構成要素がある場合)、
図2で使用した符号を
図4A~
図4Cでも使用する。具体的に述べると、
図4Aでは、接着剤付きの第1係止部材10が共通の剥離ライナー34の第1接着部分36a(交差平行斜線)と第2剥離ライナー24aとで保護されている様子が描かれている。接着剤付きの第2係止部材16の接着剤付き部分は、共通の剥離ライナー34の第2接着部分36b(交差平行斜線)と第2剥離ライナー24bとで保護されている。共通の第1剥離ライナー34には、第1タブ38aと第2タブ38bが設けられている。
図4Aに示す事例で描かれているように、タブ38a,38bは、
図2に関連して前述したタブ30a,30bと同様のものである。共通の剥離ライナー34の第2接着部分36a,36bから各タブ38a,38bへの移り変わりは、曲折部(符号なし)によって示される。
【0140】
図4Aに示す事例の適用時の最初の工程は、接着剤付きの第1係止部材10から共通の剥離ライナー34の第1の接着部分36aを剥がすことである。タブ38aを用いて、共通の剥離ライナー34の第1接着部分36aの剥離が行われる。好ましくは、この剥離は、第1接着部分36aのうちの境界軸23a(図示せず)の終端に位置した2つの角部の一方にて開始される。共通の剥離ライナー34の第1接着部分36aを接着剤付きの第1係止部材10から剥がした後、露出した接着剤を用いて、創傷エッジ又は切開部のうちの1つの側に沿って創傷エッジ11の位置が固定される。次に、既述の別の事例に関して説明したように第2剥離ライナー24aを剥がすことで、接着剤付きの第1係止部材10の接着剤付き面全体を皮膚に取り付けることができる。
【0141】
その後、共通の剥離ライナー34の残りの部分が剥がされる。具体的に述べると、共通の剥離ライナー34の第2接着部分36bが、本例のタブ38bを用いて接着剤付きの第2係止部材16から剥がされる。共通の剥離ライナー34の第1接着部分36bを接着付きの第2係止部材16から剥がした後、露出した接着剤を用いて、前記創傷又は切開部のうちの2つ目の側に沿って創傷エッジ17の位置が固定される。次に、既述の別の事例に関して説明したように第2剥離ライナー24bを剥がすことで、接着剤付きの第1係止部材16の接着剤付き面全体を皮膚に取り付けることができる。接着剤付きの第1係止部材10および接着剤付きの第2係止部材16の適用が済むと、従来の技術に従って2部コンポーネントの本器具の調節及び固定が行われる。
【0142】
図4B及び
図4Cに、2つの区域に分かれた共通の剥離ライナー34を備えた別の事例を示す。2つの区域の事例に2つの区域を導入する目的は、接着剤付きの第1係止部材10から第1接着部分36aを剥がした後に、共通の剥離ライナー34のうちのその剥がされた部分を、適用の邪魔にならないように遠ざける(removed)のを可能にすることで、医療従事者がより簡単に2部コンポーネントの医療器具を皮膚に適用できるようにすることである。
【0143】
図4Bを参照すると、共通の剥離ライナー34に、折り目42が設けられている。接着剤付きの第1係止部材10から第1接着部分36aを剥がした後、共通の剥離ライナーは、折り目42に沿って折り曲がるか又は折り畳まれる。折り目42は、医療従事者が接着剤付きの第1係止部材10のうちの第1接着剤部分36aを剥がして露出させた接着剤部分を適用させる際に共通の剥離ライナー34のうちのくっ付いていない(loose)尾部分を「折り離す」ための、便利な特徴である。折り目42の深さ次第では、この特徴により、ユーザが共通の剥離ライナーのうちの前記くっ付いていない尾部分を単に折り返すだけでなく同折り目に沿って共通の剥離ライナーの当該くっ付いていない尾部分を引きちぎることが可能となり得る。折り目42は、共通の剥離ライナー34のうちの接着部分36a,36b間に位置した中央領域に設けられる。
【0144】
図4Cを参照すると、共通の剥離ライナー34に、脆弱線44が設けられている。接着剤付きの第1係止部材10から第1接着部分36aを剥がした後、共通の剥離ライナー34を脆弱線44に沿って破断することにより、前記くっ付いていない尾部分が取り外される。脆弱線44は、医療従事者が接着剤付きの第1係止部材10のうちの第1接着剤部分36aを剥がして露出させた接着剤部分を適用させる際に共通の剥離ライナー34のうちの前記くっ付いていない尾部分を切り離すことができる便利な特徴である。脆弱線44は、共通の剥離ライナー34のうちの接着部分36a,36b間に位置した中央領域に設けられる。
【0145】
図5は、
図2に記載した事例とほぼ同じの本開示の2部コンポーネントの医療器具の事例の図であるが、(
図2に示す)第1剥離ライナー22a,22bに拡張部が存在している。
図5については、(
図2に示す)符号にプライム(')記号を適用することで、第1剥離ライナー22a,22bの拡張部に起因した相違点を有する構成要素を表している。例えば、
図5では、接着剤付きの第1係止部材10が、第1剥離ライン22a'の接着部分26a'と第2剥離ライナー24aとによって保護されている。接着剤付きの第2係止部材16の接着剤付き部分は、第1剥離ライナー22b'の接着部分26b'と第2剥離ライナー24bとによって保護されている。第1剥離ライナー22a'には、タブ30a'が設けられている。第1剥離ライナー22b'には、タブ30b'が設けられている。
【0146】
図2に示す事例では、剥離ライナー22aのエッジが、創傷エッジ11と同一直線上であった。同じく、剥離ライナー22bのエッジも、創傷エッジ17と同一直線上であった。
図5に示す事例では、剥離ライナー22a'と剥離ライナー22b'とが重なり合う。
図5に示す事例では、剥離ライナー22b'が創傷エッジ17で終端すると共に、剥離ライナー22a'が離間領域を跨ぐように延出して剥離ライナー22b'と重なり合っている。剥離ライナー22b'は、必ずしも創傷エッジ17で終端していなくてよい。設計上の選択事項として、剥離ライナー22b'は前記離間領域内に延出していてもよい。ライナー22a'の交差平行斜線部分46は、重なり合い領域を表している。剥離ライナー22a',22b'同士が重なり合う部分は、例えば、製造工程のなかで接着剤付きテープなどを用いて物理的に接続される。
【0147】
図5に示す事例の適用時の最初の工程は、接着剤付きの第1係止部材10から剥離ライナー22a'の接着部分26a'を剥がすことである。タブ30a'を用いて、第1剥離ライナー22a'の接着部分26a'の剥離が行われる。好ましくは、この剥離は、接着部分26a'のうちの境界軸23a(図示せず)の終端に位置した2つの角部の一方にて開始される。剥離ライナー22a',22b'間の物理的な接続も破壊され、第1剥離ライナー22a'は他の構成要素との連結から完全に切り離される。第1剥離ライナー22a'を接着剤付きの第1係止部材10から剥がした後、露出した接着剤を用いて、創傷又は切開部のうちの1つの側に沿って創傷エッジ11の位置が固定される。次に、既述の別の事例に関して説明したように第2剥離ライナー24aを剥がすことで、接着剤付きの第1係止部材10の接着剤付き面全体を皮膚に取り付けることができる。剥離ライナー22a',22b'同士の重なり合い領域は、参照符号46で表している。
【0148】
次に、接着剤付きの第2係止部材16を皮膚に適用するのにも、上記の工程を繰り返す。接着剤付きの第1係止部材10および接着剤付きの第2係止部材16の適用が済むと、従来の技術に従って2部コンポーネントの本器具の調節及び固定が行われる。
【0149】
当業者であれば、
図5に記載の重なり合いの事例において剥離ライナー22a',22b'の拡張をそれらが突き合う程度までに留めることで、突き合わせの事例が得られることが分かるであろう。キャリア用途のために、剥離ライナー22a',22b'は、例えば、接着剤付きテープを用いて物理的に接続することが可能である。
【0150】
図6には、接着部分26b'',26a''の剥離が、それぞれ境界軸23b,23aではなく、それぞれ創傷エッジ17,11を起点とするようにタブ部分が設けられた別の事例が示されている。具体的に述べると、
図6では、第1剥離ライナー22a''を剥がすのに用いられるタブ48aが描かれている。剥離ライナー22b''を剥がすのに、タブ48bが設けられている。タブ48aは、創傷エッジ11を保護する剥離ライナー22a''の部分から延出していると説明することができる。同じく、タブ48bは、創傷エッジ17を保護する剥離ライナー22b''の部分から延在していると説明することができる。剥離ライナーの剥離と2部コンポーネントの器具の適用の順序については、基本的に前述したものと同じになるが、第1剥離ライナー22a'',22b''の接着部分26a'',26b''の剥離は創傷エッジ17,11を起点とする。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2部コンポーネントの医療器具であって、
a)創傷エッジとも称される1つのエッジを有する接着剤付きの第1係止部材、前記接着剤付きの第1係止部材の前記創傷エッジから延びる1つ以上の細長い第1連結具、および前記1つ以上の細長い第1連結具と繋がって前記接着剤付きの第1係止部材を創傷又は切開部に向かって並進させるように適合化された1つ以上の第1牽引要素を含む、第1コンポーネントと、
b)創傷エッジとも称される1つのエッジを有する接着剤付きの第2係止部材、前記接着剤付きの第2係止部材の前記創傷エッジから延びる1つ以上の細長い第2連結具、および前記1つ以上の細長い第2連結具と繋がって前記接着剤付きの第2係止部材を前記創傷又は切開部に向かって並進させるように適合化された1つ以上の第2牽引要素を含む、第2コンポーネントと、
c)
第1接着部分と第2接着部分とを備える共通の第1剥離ライナーであって、
前記第1接着部分は、接着剤で裏打ちされた第1係止部材の接着剤裏打ち表面の第1部分を保護し、かつ、接着剤付の前記第1係止部材の接着剤付の表面から第1接着部分を取り除くためのタブ部を有しており、
前記第2接着部分は、第2の接着剤で裏打ちされた係止部材の接着剤裏打ち表面の第1部分を保護し、かつ、第2の接着剤付の前記係止部材の接着剤付の表面から前記第2接着部分を取り除くためのタブ部分を有しており、
前記共通の剥離ライナーは、第1接着部分と第2接着部分との間に位置する、折り目または脆弱線を有しており、
d)前記接着剤付きの第1係止部材の接着剤付き面
の第2部を保護す
る第2剥離ライナーであって
、前記接着剤付きの第1係止部材のうち
の当該
第2剥離ライナーを剥がすのに用いられるタブ部分を有する、前記接着剤付きの第1係止部材
の第2剥離ライナーと、
e)前記接着剤付きの第2係止部材の接着剤付き面の
第2部を保護す
る第2剥離ライナーであって
、前記接着剤付きの第2係止部材の当
該第2剥離ライナーを剥がすのに用いられるタブ部分を有する、前記接着剤付きの第2係止部材
の第2剥離ライナーと、
f)前記1つ以上の細長い第1連結具を前記接着剤付きの第2係止部材に取り付けることにより、取付後の細長い第1連結具毎に、取付部分および橋渡し部分を形成する、手段と、
g)前記1つ以上の細長い第2連結具を前記接着剤付きの第1係止部材に取り付けることにより、取付後の細長い第2連結具毎に、取付部分および橋渡し部分を形成する、手段と、
を備える、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項2】
請求項1に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記タブ
部分は、前記接着剤付きの第1または第2係止部材と対応する前
記第2剥離ライナーを製造するのに用いられた素材の未接着部分であるか、あるいは、別の素材から製造されて前記接着剤付きの第1または第2係止部材と対応する前記第1および第2剥離ライナーに取り付けられたものである、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項3】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記タブ
部分が、対応する前記接着剤付きの第1または第2係止部材における接着剤付き部分を越えて延出している、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項4】
請求項2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1係止部材の前記接着剤付き面
の第2部分を保護する前
記第2剥離ライナー
の接着部分、ならびに前記接着剤付きの第2係止部材の前記接着剤付き面を保護する前
記第2剥離ライナー
の接着部分は、対応する前記接着剤付きの係止部材のうちのタブ部分が延出している前記創傷エッジと平行な境界軸を有しており、各々の境界軸が接着部分の境界を定めている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項5】
請求項4に記載の2部コンポーネントの医療器具において、
a)前記接着剤付きの第1係止部材
の第1部分を保護する前記
共通の第1剥離ライナーの
部分の前記タブ部分、および前記接着剤付きの第1係止部材
の第2部分を保護する前記第2剥離ライナーの前記タブ部分は、それぞれの境界軸からの延出箇所にて第1および第2線分を規定し、当該第1および第2線分は略平行かつ隣接しており、
b)前記接着剤付きの第2係止部材の
第1部分を保護する前記
共通の第1剥離ライナー
の部分の前記タブ部分、および前記接着剤付きの第2係止部材の
第2部分を保護する前記第2剥離ライナーの前記タブ部分は、それぞれの境界軸からの延出箇所にて第1および第2線分を規定し、当該第1および第2線分は略平行かつ隣接している、
2部コンポーネントの医療器具。
【請求項6】
請求項5に記載の2部コンポーネントの医療器具において、
a)上記構成a)の前記第1および第2線分の長さが、前記接着剤付きの第1係止部材
に接着した前記第1の
共通の剥離ライナーおよび第2剥離ライナーの前記境界軸の長さと略同一であり、
b)上記構成b)の前記第1および第2線分の長さが、前記接着剤付きの第2係止部材に接着した前記第1の
共通の剥離ライナーおよび第2剥離ライナーの前記境界軸の長さと略同一である、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項7】
請求項
17に記載の2部コンポーネントの
医療器具において、前記機械的操作が、
第1及び第2の接着剤付きの係止部材への
スライスの導入によって複数の接着副領域を形成することを含む、2部コンポーネントの器具。
【請求項8】
請求項
1に記載の2部コンポーネントの医療器具において、接着剤付きの第1および第2係止部材が、非弾性素材、または非弾性構造材料で強化された弾性素材から製造されている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項9】
請求項
1に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記剥離ライナー
が、取外しの順序を示すようにコード化されている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項10】
請求項
1に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1および第2係止部材に、1つ以上のアライメント・インジケータが設けられている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項11】
請求項
1に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記細長い連結具同士は、前記細長い第2コンポーネントに対する前記細長い第1コンポーネントの横方向調節が容易になるように十分に離間している、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項12】
請求項
1に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1および第2係止部材が、非弾性構造材料で強化されていない弾性ポリマー材料から製造されている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項13】
請求項
1に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1および第2係止部材が、機械的操作によって変化する非弾性材料から製造されている、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項14】
請求項
1に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1および第2係止部材のそれぞれに、創傷エッジと略直交する方向でミシン目が入れられている
か又はスリットが入れられていることにより、当該器具の一部の取外しによる当該器具の低サイズ化または器具の複数化が容易である、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項15】
請求項
1に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記細長い第1および第2コンポーネントが絡み合う、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項16】
請求項
1に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記細長い第1および第2コンポーネントが鍵穴配置で嵌合する、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項17】
請求項
13に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記機械的操作が、スライス、ミシン目、またはパンチからなる群から選択される非連続部の導入を含む、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項18】
請求項
13に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記機械的操作が、前記材料の通気性を上げる、2部コンポーネントの医療器具。
【請求項19】
請求項
13に記載の2部コンポーネントの器具において、前記機械的操作が、使用時に前記接着剤付きの第1および第2係止部材下方の皮膚から汗を逃がし易くする、2部コンポーネントの器具。
【請求項20】
請求項
13に記載の2部コンポーネントの器具において、前記機械的操作が、弾性様特性をもたらす、2部コンポーネントの器具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0150
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0150】
図6には、接着部分26b'',26a''の剥離が、それぞれ境界軸23b,23aではなく、それぞれ創傷エッジ17,11を起点とするようにタブ部分が設けられた別の事例が示されている。具体的に述べると、
図6では、第1剥離ライナー22a''を剥がすのに用いられるタブ48aが描かれている。剥離ライナー22b''を剥がすのに、タブ48bが設けられている。タブ48aは、創傷エッジ11を保護する剥離ライナー22a''の部分から延出していると説明することができる。同じく、タブ48bは、創傷エッジ17を保護する剥離ライナー22b''の部分から延在していると説明することができる。剥離ライナーの剥離と2部コンポーネントの器具の適用の順序については、基本的に前述したものと同じになるが、第1剥離ライナー22a'',22b''の接着部分26a'',26b''の剥離は創傷エッジ17,11を起点とする。
以下、本発明における態様を記す。
〔態様1〕2部コンポーネントの医療器具であって、
a)創傷エッジとも称される1つのエッジを有する接着剤付きの第1係止部材、前記接着剤付きの第1係止部材の前記創傷エッジから延びる1つ以上の細長い第1連結具、および前記1つ以上の細長い第1連結具と繋がって前記接着剤付きの第1係止部材を創傷又は切開部に向かって並進させるように適合化された1つ以上の第1牽引要素を含む、第1コンポーネントと、
b)創傷エッジとも称される1つのエッジを有する接着剤付きの第2係止部材、前記接着剤付きの第2係止部材の前記創傷エッジから延びる1つ以上の細長い第2連結具、および前記1つ以上の細長い第2連結具と繋がって前記接着剤付きの第2係止部材を前記創傷又は切開部に向かって並進させるように適合化された1つ以上の第2牽引要素を含む、第2コンポーネントと、
c)前記接着剤付きの第1係止部材の接着剤付き面を保護する第1および第2剥離ライナーであって、それぞれ、前記接着剤付きの第1係止部材のうちの対応する当該第1または第2剥離ライナーを剥がすのに用いられるタブ部分を有する、前記接着剤付きの第1係止部材の第1および第2剥離ライナーと、
d)前記接着剤付きの第2係止部材の接着剤付き面を保護する第1および第2剥離ライナーであって、それぞれ、前記接着剤付きの第2係止部材のうちの対応する当該第1または第2剥離ライナーを剥がすのに用いられるタブ部分を有する、前記接着剤付きの第2係止部材の第1および第2剥離ライナーと、
e)前記1つ以上の細長い第1連結具を前記接着剤付きの第2係止部材に取り付けることにより、取付後の細長い第1連結具毎に、取付部分および橋渡し部分を形成する、手段と、
f)前記1つ以上の細長い第2連結具を前記接着剤付きの第1係止部材に取り付けることにより、取付後の細長い第2連結具毎に、取付部分および橋渡し部分を形成する、手段と、を備える、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様2〕態様1に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記タブは、前記接着剤付きの第1または第2係止部材と対応する前記第1および第2剥離ライナーを製造するのに用いられた素材の未接着部分であるか、あるいは、別の素材から製造されて前記接着剤付きの第1または第2係止部材と対応する前記第1および第2剥離ライナーに取り付けられたものである、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様3〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記タブが、対応する前記接着剤付きの第1または第2係止部材における接着剤付き部分を越えて延出している、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様4〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1および第2剥離ライナーの各々の接着部分、ならびに前記接着剤付きの第2係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1および第2剥離ライナーの各々の接着部分は、対応する前記接着剤付きの係止部材のうちのタブ部分が延出している前記創傷エッジと平行な境界軸を有しており、各々の境界軸が接着部分の境界を定めている、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様5〕態様4に記載の2部コンポーネントの医療器具において、
a)前記接着剤付きの第1係止部材を保護する前記第1剥離ライナーの前記タブ部分、および前記接着剤付きの第1係止部材を保護する前記第2剥離ライナーの前記タブ部分は、それぞれの境界軸からの延出箇所にて第1および第2線分を規定し、当該第1および第2線分は略平行かつ隣接しており、
b)前記接着剤付きの第2係止部材を保護する前記第1剥離ライナーの前記タブ部分、および前記接着剤付きの第2係止部材を保護する前記第2剥離ライナーの前記タブ部分は、それぞれの境界軸からの延出箇所にて第1および第2線分を規定し、当該第1および第2線分は略平行かつ隣接している、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様6〕態様5に記載の2部コンポーネントの医療器具において、
a)上記構成a)の前記第1および第2線分の長さが、前記接着剤付きの第1係止部材に接着した前記第1および第2剥離ライナーの前記境界軸の長さと略同一であり、
b)上記構成b)の前記第1および第2線分の長さが、前記接着剤付きの第2係止部材に接着した前記第1および第2剥離ライナーの前記境界軸の長さと略同一である、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様7〕態様46に記載の2部コンポーネントの器具において、前記機械的操作が、接着剤付きの係止部材への切れ目の導入によって複数の接着副領域を形成することを含む、2部コンポーネントの器具。
〔態様8〕態様7に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1剥離ライナーと、前記接着剤付きの第2係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1剥離ライナーは、重なり合うか又は突き合わされており、接着剤を用いて物理的に接続されている、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様9〕態様8に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1係止部材の接着剤付き部分を保護する前記第1剥離ライナーの前記タブ部分、および前記接着剤付きの第2係止部材の接着剤付き部分を保護する前記第1剥離ライナーの前記タブ部分は、同剥離ライナーのうちの前記創傷エッジを保護している部分から延出している、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様10〕態様5に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1剥離ライナー、および前記接着剤付きの第2係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1剥離ライナーが、2つの区域に分かれた単一のポリマーシートから形成されている、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様11〕態様10に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記2つの区域が、前記単一のポリマーシート内に形成された脆弱線によって分かれている、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様12〕態様10に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記2つの区域は、前記単一のポリマーシート内に形成された折り目によって分かれている、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様13〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、接着剤付きの第1および第2係止部材が、透明な素材から製造されている、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様14〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、接着剤付きの第1および第2係止部材が、非弾性素材、または非弾性構造材料で強化された弾性素材から製造されている、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様15〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、接着剤付きの第1および第2係止部材が、透湿性素材から製造されている、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様16〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記牽引要素および/または係止部材は、ユーザが区別できるようにコード化されている、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様17〕態様16に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記コード化
が、目視可能な幾何学的区別を含む、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様18〕態様16に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記コード化
が、印刷による印を含む、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様19〕態様16に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記コード化
は、区別色を含む、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様20〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、当該器具の適用後、牽引要素が取外し可能である、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様21〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、牽引要素が、プルバーで補強されている、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様22〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、閉鎖時に前記1つ以上の細長い第1および第2連結具を前記接着剤付きの第2および第1係止部材に取り付ける前記手段が、接着剤を含む、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様23〕態様22に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤が、前記細長い第1および第2連結具の下面に設けられている、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様24〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記剥離ライナーが、任意で、取外しの順序を示すようにコード化されている、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様25〕態様24に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記コード化が、前記第1、第2剥離ライナーをユーザが区別できるようにする印刷による印を含む、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様26〕態様24に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記コード化が、前記第1剥離ライナー、前記第2剥離ライナーの区別色を含む、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様27〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1および第2係止部材に、1つ以上のアライメント・インジケータが設けられている、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様28〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1および第2係止部材に、傷エッジバーが設けられている、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様29〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1および第2係止部材のうちの前記創傷又は切開部側のエッジが、スキンエッジを反らせるように湾曲又は角度が付けられている、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様30〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記創傷又は切開部上方の遮られない表面積が増えることで滲出液が排出され易くなったり薬剤が適用され易くなったりするように、前記細長い第1および第2連結具の一部が切り取られている、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様31〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記細長い連結具同士は、前記細長い第2コンポーネントに対する前記細長い第1コンポーネントの横方向調節が容易になるように十分に離間している、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様32〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1および第2係止部材が、非弾性構造材料で強化されていない弾性ポリマー材料から製造されている、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様33〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1および第2係止部材が、機械的操作によって変化する非弾性材料から製造されている、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様34〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記細長い第1および第2連結具は、それぞれの幅がそれぞれの厚さよりも大きい帯状である、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様35〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第2および第1係止部材への前記細長い第1および第2連結具の前記取付けによって、個々の細長い連結具毎に取付部分および橋渡し部分が形成され、細長い連結具毎の当該橋渡し部分の平均幅が当該取付部分の平均幅よりも小さい、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様36〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記橋渡し部分が、実質的に接着剤を含まない、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様37〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記接着剤付きの第1および第2取付部材のそれぞれに、創傷エッジと略直交する方向でミシン目が入れられているまたはスリットが入れられていることにより、当該器具の一部の取外しによる当該器具の低サイズ化または器具の複数化が容易である、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様38〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、当該器具に、感染の発症を検出するのに有用な感染インジケータが埋め込まれている、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様39〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、当該器具が、経皮薬剤送達用に適合化されている、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様40〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、当該器具が、弾性
テンションインジケータ要素を備える、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様41〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記細長い第1コンポーネントおよび前記細長い第2コンポーネント、あるいは、それらの構成要素が、シート素材から型抜きされたものである、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様42〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記細長い第1および第2コンポーネントが絡み合う、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様43〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記細長い第1および第2コンポーネントが鍵穴配置で嵌合する、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様44〕態様35に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記取付部分の幅が一定である、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様45〕態様2に記載の2部コンポーネントの医療器具において、少なくとも前記接着剤付きの第1および第2係止部材が、色付き又は不透明の素材から製造されている、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様46〕態様33に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記機械的操作が、スライス、ミシン目、またはパンチからなる群から選択される非連続部の導入を含む、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様47〕態様33に記載の2部コンポーネントの医療器具において、前記機械的操作が、前記材料の通気性を上げる、2部コンポーネントの医療器具。
〔態様48〕態様33に記載の2部コンポーネントの器具において、前記機械的操作が、使用時に前記接着剤付きの第1および第2係止部材下方の皮膚から汗を逃がし易くする、2部コンポーネントの器具。
〔態様49〕態様33に記載の2部コンポーネントの器具において、前記機械的操作が、弾性様特性をもたらす、2部コンポーネントの器具。
〔態様50〕創傷又は切開部を閉鎖する方法であって、
a)2部コンポーネントの医療器具を用意する過程であって、当該2部コンポーネントの医療器具が、
i)創傷エッジとも称される1つのエッジを有する接着剤付きの第1係止部材、前記接着剤付きの第1係止部材の前記創傷エッジから延びる1つ以上の細長い第1連結具、および前記1つ以上の細長い第1連結具と繋がって前記接着剤付きの第1係止部材を創傷又は切開部に向かって並進させるように適合化された1つ以上の第1牽引要素を含む、第1コンポーネント、
ii)創傷エッジとも称される1つのエッジを有する接着剤付きの第2係止部材、前記接着剤付きの第2係止部材の前記創傷エッジから延びる1つ以上の細長い第2連結具、および前記1つ以上の細長い第2連結具と繋がって前記接着剤付きの第2係止部材を前記創傷又は切開部に向かって並進させるように適合化された1つ以上の第2牽引要素を含む、第2コンポーネント、
iii)前記接着剤付きの第1係止部材の接着剤付き面を保護する第1および第2剥離ライナーであって、それぞれ、前記接着剤付きの第1係止部材のうちの対応する当該第1または第2剥離ライナーを剥がすのに用いられるタブ部分を有する、前記接着剤付きの第1係止部材の第1および第2剥離ライナー、
iv)前記接着剤付きの第2係止部材の接着剤付き面を保護する第1および第2剥離ライナーであって、それぞれ、前記接着剤付きの第2係止部材のうちの対応する当該第1または第2剥離ライナーを剥がすのに用いられるタブ部分を有する、前記接着剤付きの第2係止部材の第1および第2剥離ライナー、
v)前記1つ以上の細長い第1連結具を前記接着剤付きの第2係止部材に取り付けることにより、取付後の細長い第1連結具毎に、取付部分および橋渡し部分を形成する、手段、ならびに
vi)前記1つ以上の細長い第2連結具を前記接着剤付きの第1係止部材に取り付けることにより、取付後の細長い第2連結具毎に、取付部分および橋渡し部分を形成する、手段、
を具備しており、前記タブは、前記接着剤付きの第1または第2係止部材と対応する前記第1および第2剥離ライナーを製造するのに用いられた素材の未接着部分であるか、あるいは、別の素材から製造されて前記接着剤付きの第1または第2係止部材と対応する前記第1および第2剥離ライナーに取り付けられたものであり、前記接着剤付きの第1係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1および第2剥離ライナーの各々の接着部分、ならびに前記接着剤付きの第2係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1および第2剥離ライナーの各々の接着部分は、対応する前記接着剤付きの係止部材のうちのタブ部分が延出している前記創傷エッジと平行な境界軸を有しており、各々の境界軸が接着部分の境界を定めていて、前記接着剤付きの第1係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1剥離ライナー、および前記接着剤付きの第2係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1剥離ライナーが、単一のポリマーシートから形成されている、過程と、
b)前記接着剤付きの第1係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1剥離ライナーの部分を剥がす過程と、
c)過程b)により露出した前記接着剤付き面を、前記接着剤付きの第1係止部材の前記創傷エッジが前記創傷又は切開部のうちの1つの側に沿って位置合わせされるように皮膚に接着する過程と、
d)前記接着剤付きの第2係止部材の前記接着剤付き面を保護する前記第1剥離ライナーの部分を剥がす過程と、
e)過程d)により露出した前記接着剤付き面を、前記接着剤付きの第1係止部材の前記創傷エッジが前記創傷又は切開部のうちの2つ目の側に沿って位置合わせされるように皮膚に接着する過程と、
f)前記接着剤付きの第1および第2係止部材の前記創傷エッジを調節して、閉鎖すべき前記創傷又は切開部のエッジ同士を揃える過程と、
g)前記1つ以上の細長い第1連結具を前記接着剤付きの第2係止部材に取り付けることにより、取付後の細長い第1連結具毎に取付部分および橋渡し部分を形成する過程と、
h)前記1つ以上の細長い第2連結具を前記接着剤付きの第1係止部材に取り付けることにより、取付後の細長い第2連結具毎に取付部分および橋渡し部分を形成することで、前記創傷又は切開部を閉鎖する過程と、を備える、方法。
【国際調査報告】