(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(54)【発明の名称】乳房生検マーカおよびシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 25/12 20060101AFI20230831BHJP
A61B 90/00 20160101ALI20230831BHJP
【FI】
A61M25/12
A61B90/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580103
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(85)【翻訳文提出日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 US2020039300
(87)【国際公開番号】W WO2021262157
(87)【国際公開日】2021-12-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521442637
【氏名又は名称】バード・ペリフェラル・バスキュラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】カイパー,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】テンプル,カイラ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリス,ザカリー
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA09
4C267BB02
4C267CC30
4C267GG43
(57)【要約】
乳房生検マーカは、カテーテルシャフトおよび生体吸収性バルーンを含む。カテーテルシャフトは、内腔、近位管部分、および遠位管部分を有する。近位管部分は、脆弱リンクによって遠位管部分に接合される。遠位管部分は、内腔内に位置付けられた一方向弁を有する。生体吸収性バルーンは、遠位管部分に固定的に連結されてバルーン組立体を画定する。生体吸収性バルーンは、カテーテルシャフトの遠位管部分の一方向弁よりも遠位の場所で、カテーテルシャフトの内腔と流体連通するように構成される。バルーン組立体は、脆弱リンクを破壊することによってカテーテルシャフトの近位管部分から分離されるように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内腔、近位管部分、および遠位管部分を有するカテーテルシャフトであって、前記近位管部分が、脆弱リンクによって前記遠位管部分に接合され、前記遠位管部分が、前記内腔内に位置付けられた一方向弁を有する、カテーテルシャフトと、
前記遠位管部分に固定的に連結されてバルーン組立体を画定する生体吸収性バルーンであって、前記生体吸収性バルーンが、前記カテーテルシャフトの前記遠位管部分の前記一方向弁よりも遠位の場所で、前記カテーテルシャフトの前記内腔と流体連通するように構成され、前記バルーン組立体が、前記脆弱リンクを破壊することによって前記カテーテルシャフトの前記近位管部分から分離されるように構成される、生体吸収性バルーンと
を備える、乳房生検マーカ。
【請求項2】
前記生体吸収性バルーンが、収縮状態および拡張状態を有し、前記カテーテルシャフトの前記遠位管部分の前記一方向弁を通って前記生体吸収性バルーンへと挿入されて前記生体吸収性バルーンの前記拡張状態をもたらすように構成されたゲル材料を備える、請求項1に記載の乳房生検マーカ。
【請求項3】
第1の端部分を有する前記近位管部分と、
近位端部表面を有する第2の端部分を有する前記遠位管部分と
を備え、
前記近位管部分の前記第1の端部分が前記遠位管部分の前記第2の端部分と半径方向に重なって重複領域を画定し、前記遠位管部分の前記近位端部表面が前記カテーテルシャフトの前記内腔内に近位方向に露出するように、前記遠位管部分の前記第2の端部分が、前記近位管部分の前記第1の端部分の内部に位置決めされる、
請求項1または2に記載の乳房生検マーカ。
【請求項4】
前記近位管部分を前記遠位管部分に接合する前記脆弱リンクが、前記重複領域に位置付けられる、請求項3に記載の乳房生検マーカ。
【請求項5】
前記近位管部分を前記遠位管部分に接合する前記脆弱リンクが、前記遠位管部分の前記第2の端部分の前記近位端部表面および前記近位管部分のそれぞれに連結される、請求項3に記載の乳房生検マーカ。
【請求項6】
前記脆弱リンクが、スポット溶接部である、請求項1から5のいずれか一項に記載の乳房生検マーカ。
【請求項7】
前記脆弱リンクを破壊して前記カテーテルシャフトの前記近位管部分を前記バルーン組立体から分離するために、前記カテーテルシャフトの前記内腔へと挿入されるように構成された、細長いスタイレットを備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の乳房生検マーカ。
【請求項8】
前記生体吸収性バルーンがPGLA材料で作成され、前記PGLA材料に埋め込まれた少なくとも1つの放射線不透過性且つ超音波視認性のマーカ要素をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の乳房生検マーカ。
【請求項9】
前記近位管部分が、非生分解性材料で作成され、前記遠位管部分が、永久的な超音波視認性を提供するように構成された非生分解性構成要素を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の乳房生検マーカ。
【請求項10】
前記近位管部分の前記非生分解性材料が、PEBAX(登録商標)ブランドのポリマーであり、前記遠位管部分の前記非生分解性構成要素が、ポリビニルアルコールである、請求項9に記載の乳房生検マーカ。
【請求項11】
内腔、近位管部分、および遠位管部分を有するカテーテルシャフトであって、前記近位管部分が、脆弱リンクによって前記遠位管部分に接合され、前記遠位管部分が、前記内腔内に位置付けられた一方向弁を有する、カテーテルシャフトと、
前記遠位管部分に固定的に連結されてバルーン組立体を画定する生体吸収性バルーンであって、前記生体吸収性バルーンが、前記カテーテルシャフトの前記遠位管部分の前記一方向弁よりも遠位の場所で、前記カテーテルシャフトの前記内腔と流体連通するように構成される、生体吸収性バルーンと、
ゲル材料を保持するように構成されたシリンジであって、前記シリンジが、前記カテーテルシャフトの前記近位管部分に連結可能な注入ポートを有し、前記シリンジが、前記カテーテルシャフトの前記内腔を通して前記生体吸収性バルーンへと前記ゲル材料を送達するように構成される、シリンジと、
前記シリンジによって送達される前記ゲル材料による前記生体吸収性バルーンの拡張に続いて、前記カテーテルシャフトの前記脆弱リンクを破壊して前記カテーテルシャフトの前記近位管部分を前記バルーン組立体から分離するために、前記カテーテルシャフトの前記内腔へと挿入されるように構成された、細長いスタイレットと
を備える、乳房生検マーカシステム。
【請求項12】
前記生体吸収性バルーンが、収縮状態および拡張状態を有し、前記ゲル材料が、前記カテーテルシャフトの前記遠位管部分の前記一方向弁を通って前記生体吸収性バルーンへと挿入されて前記生体吸収性バルーンの前記拡張状態をもたらすように構成され、前記一方向弁が、前記拡張状態から前記収縮状態への戻りを防止するように構成される、請求項11に記載の乳房生検マーカシステム。
【請求項13】
第1の端部分を有する前記近位管部分と、
近位端部表面を有する第2の端部分を有する前記遠位管部分と
を備え、
前記近位管部分の前記第1の端部分が前記遠位管部分の前記第2の端部分と半径方向に重なって重複領域を画定し、前記遠位管部分の前記近位端部表面が前記カテーテルシャフトの前記内腔内に近位方向に露出するように、前記遠位管部分の前記第2の端部分が、前記近位管部分の前記第1の端部分の内部に位置決めされる、
請求項11または12に記載の乳房生検マーカシステム。
【請求項14】
前記近位管部分を前記遠位管部分に接合する前記脆弱リンクが、前記近位管部分と前記遠位管部分との間の前記重複領域に位置付けられる、請求項13に記載の乳房生検マーカシステム。
【請求項15】
前記近位管部分を前記遠位管部分に接合する前記脆弱リンクが、前記遠位管部分の前記第2の端部分の前記近位端部表面および前記近位管部分のそれぞれに連結される、請求項13に記載の乳房生検マーカシステム。
【請求項16】
前記脆弱リンクが、スポット溶接部である、請求項11から15のいずれか一項に記載の乳房生検マーカシステム。
【請求項17】
前記細長いスタイレットが、前記脆弱リンクを破壊して前記カテーテルシャフトの前記近位管部分を前記バルーン組立体から分離するために、前記カテーテルシャフトの前記内腔へと挿入される細長い管またはロッドとして構成される、請求項11から16のいずれか一項に記載の乳房生検マーカシステム。
【請求項18】
前記生体吸収性バルーンがPGLA材料で作成され、前記PGLA材料に埋め込まれた少なくとも1つの放射線不透過性且つ超音波視認性のマーカ要素をさらに備える、請求項11から17のいずれか一項に記載の乳房生検マーカシステム。
【請求項19】
前記近位管部分が、非生分解性材料で作成され、前記遠位管部分が、永久的な超音波視認性を提供するように構成された非生分解性構成要素を含む、請求項11から18のいずれか一項に記載の乳房生検マーカシステム。
【請求項20】
前記近位管部分の前記非生分解性材料が、PEBAX(登録商標)ブランドのポリマーであり、前記遠位管部分の前記非生分解性構成要素が、ポリビニルアルコールである、請求項19に記載の乳房生検マーカシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]なし
[0002]本発明は乳房生検装置に関し、より詳細には乳房生検マーカおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0003]生検診断および治療は乳房生検などの生検の実施を含むことが多く、生検では、病理学的な検査、試験、および分析のために、生検部位において組織の標本または試料が患者から切除される。生検による組織試料の入手、およびそれに続く検査は、通常は癌および他の悪性腫瘍の診断において利用されるか、または疑わしい病変もしくは腫瘍が悪性ではないことを確認するために利用される。たとえば、乳房生検は、乳房に疑わしいしこりまたは腫れが認められた場合に行われる場合がある。生検によって採取された組織試料の検査は、乳癌の診断および治療において特に重要である。
【0003】
[0004]生検が実施された後、試料の検査の結果が得られるまでに数日または数週間かかる場合があり、適当な治療決定にたどり着くまでにさらに長くかかる場合がある。この決定が手術を含む場合、腫瘍全体および場合によっては周囲の健康な組織を切除することができるように、乳房内において生検手技で腫瘍組織が採取された場所(生検部位)を見つけることが外科医にとって重要である。
【0004】
[0005]医師が生検部位の位置を特定するのを補助するために、患者の皮膚に外部から適用される視認マーカ、クリップやステープルなどの放射線透過写真で(X線で)検出可能な組織マーカ、および超音波で検出可能なマーカを含む、種々のタイプの生検部位マーカが利用可能である。しかし、こうしたマーカは、生検腔を埋めて美容的利益も提供するのに効果的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0006]医師が生検部位の場所を再び捕捉するのを助け、患者の治癒を補助し、かつ/または患者に美容的利益を提供する乳房生検マーカおよびシステムが、当技術分野で必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0007]本発明は、医師が生検部位の場所を再び捕捉するのを助け、患者の治癒を補助し、かつ/または患者に美容的利益を提供する乳房生検マーカおよびシステムを提供する。
【0007】
[0008]一形態では、本発明は、カテーテルシャフトおよび生体吸収性バルーンを含む、乳房生検マーカを対象とする。カテーテルシャフトは、内腔、近位管部分、および遠位管部分を有する。近位管部分は、脆弱リンクによって遠位管部分に接合される。遠位管部分は、内腔内に位置付けられた一方向弁を有する。生体吸収性バルーンは、遠位管部分に固定的に連結されてバルーン組立体を画定する。生体吸収性バルーンは、カテーテルシャフトの遠位管部分の一方向弁よりも遠位の場所で、カテーテルシャフトの内腔と流体連通するように構成される。バルーン組立体は、脆弱リンクを破壊することによってカテーテルシャフトの近位管部分から分離されるように構成される。
【0008】
[0009]別の形態での本発明は、カテーテルシャフト、生体吸収性バルーン、シリンジ、および細長いスタイレットを含む、乳房生検マーカシステムを対象とする。カテーテルシャフトは、内腔、近位管部分、および遠位管部分を有する。近位管部分は、脆弱リンクによって遠位管部分に接合される。遠位管部分は、内腔内に位置付けられた一方向弁を有する。生体吸収性バルーンは、遠位管部分に固定的に連結されてバルーン組立体を画定する。生体吸収性バルーンは、カテーテルシャフトの遠位管部分の一方向弁よりも遠位の場所で、カテーテルシャフトの内腔と流体連通するように構成される。シリンジは、ゲル材料を保持するように構成される。シリンジは、カテーテルシャフトの近位管部分に連結可能な注入ポートを有する。シリンジは、カテーテルシャフトの内腔を通して生体吸収性バルーンへとゲル材料を送達するように構成される。細長いスタイレットは、シリンジによって送達されるゲル材料による生体吸収性バルーンの拡張に続いて、カテーテルシャフトの脆弱リンクを破壊してカテーテルシャフトの近位管部分をバルーン組立体から分離するために、カテーテルシャフトの内腔へと挿入されるように構成される。
【0009】
[0010]本発明の一利点は、乳房生検マーカが、医師が生検部位の場所を再び捕捉するのを助け、患者に美容的利益を提供することである。
【0010】
[0011]本発明の別の利点は、乳房生検マーカが、生検部位において内部に印加される圧力を提供し、周囲が治癒するために、組織のための生分解性の足場/支持体を提供することによって治癒を補助できることである。
【0011】
[0012]本発明の別の利点は、乳房生検マーカが、生検腔を拡張させることによって患者に美容的利益を提供できることである。
【0012】
[0013]別の利点は、マーカ留置のために新しくまたは将来的に切開または穿刺する必要なしに、既存の生検路を通して、生検に続いて乳房生検マーカをすぐに留置および拡張させることができることである。
【0013】
[0014]別の利点は、乳房生検マーカの材料が、複数の撮像モダリティでの短期と長期両方の画像視認性を提供するように選択され得ることである。
【0014】
[0015]添付図面と併せて解釈される本発明の実施形態の以下の説明を参照することにより、本発明の上記その他の特徴および利点、ならびにそれらを得る方式がより明らかになり、本発明がより良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】[0016]マーカカテーテルの生体吸収性バルーンが収縮状態である、本発明の一態様による乳房生検マーカシステムの分解図である。
【
図2】[0017]生体吸収性バルーンが拡張状態である、
図1のマーカカテーテルの側面図である。
【
図3】[0018]
図2の線3-3に沿って切り取られた、
図2のマーカカテーテルの拡大断面図である。
【
図4】[0019]
図3の線4-4-4-4に沿って切り取られた、
図3のマーカカテーテルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0020]対応する参照文字は、いくつかの図を通して対応する部分を示す。本明細書に述べる実例は本発明の少なくとも1つの実施形態を示し、こうした実例はいかなる形でも本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0017】
[0021]図面、より具体的には
図1をここで参照すると、シリンジ12、マーカカテーテル14、および細長いスタイレット16を全体的に含む乳房生検マーカシステム10が示される。
【0018】
[0022]シリンジ12はヒドロゲルなどのゲル材料18を保持するように構成される。シリンジ12は、たとえば、チャンバ20-1を有するシリンダ20と、チャンバ20-1内でゲル材料18よりも近位に配置された、ピストン22-1を有するプランジャ22とを含むことができる。シリンジ12のシリンダ20は、マーカカテーテル14に連結可能な注入ポート20-2を有する。以下により詳細に説明するように、シリンジ12は、ゲル材料18をマーカカテーテル14内へと送達するように構成される。
【0019】
[0023]この実施形態では、シリンジ12はゲル材料18として予め調製されたゲルを保持するように構成された単一のチャンバ20-1を有するものとして示されているが、シリンジ12は、構成成分が組み合わせられた後にゲルを形成するための、構成成分を収容する複数の(たとえば2つの)チャンバを有するように修正されてもよいことが、当業者には認識されよう。したがって、本明細書において、用語「ゲル材料」は、予め調製されたゲル、及び、互いに組み合わせられ、たとえば混合されるとゲルを形成する構成成分の両方を含むように広く解釈されることを意図している。
【0020】
[0024]
図2および
図3も参照すると、マーカカテーテル14は、カテーテルシャフト24および生体吸収性バルーン26を含む。生体吸収性バルーン26は、たとえばポリ(グリコリド-コ-ラクチド)(PGLA)材料などのポリマーから作成されてもよく、任意選択で、複数の撮像モダリティにおける短期と長期両方の画像視認性を提供するために、PGLA材料に埋め込まれた放射線不透過性且つ超音波視認性の少なくとも1つのマーカ要素26-1、たとえばチタンリボンを含むことができる。
【0021】
[0025]カテーテルシャフト24は、内腔28、近位管部分30、および遠位管部分32を含む。近位管部分30は、たとえば非生分解性材料で作成されてもよい。遠位管部分32は、たとえば非生分解性材料で作成されてもよく、永久的な超音波視認性を提供して超音波の下での長期的な画像視認性をもたらす非生分解性構成要素、たとえばエッチングを、任意選択で含むことができる。近位管部分30の非生分解性材料は、たとえばPEBAX(登録商標)ブランドのポリマーでもよい(PEBAXは、Arkema France Corporation Franceの登録商標である)。遠位管部分32の非生分解性材料および構成要素は、たとえばポリビニルアルコールでもよい。
【0022】
[0026]本発明の一態様によれば、近位管部分30は、脆弱リンク34によって遠位管部分32に接合される。遠位管部分32は、内腔28内に位置付けられた枢動可能フラップなどの一方向弁36、たとえば逆止弁と、内腔28と流体連通した側壁オリフィス32-1とを含む。シリンジ12の注入ポート20-2は、カテーテルシャフト24の内腔28へとゲル材料18を送達するのを容易にするために、たとえばルアーまたは摩擦連結によってカテーテルシャフト24の近位管部分30に解放可能に連結可能である。
【0023】
[0027]この実施形態では、
図2~
図4を参照すると、近位管部分30は、第1の端部分30-1およびハブ部分30-2を有し、遠位管部分32は、近位端部表面32-3を有する第2の端部分32-2を有する。近位管部分30の第1の端部分30-1が遠位管部分32の第2の端部分32-2と半径方向に重なって重複領域38を画定するように、遠位管部分32の第2の端部分32-2は、近位管部分30の第1の端部分30-1の内部に位置決めされる。したがって、遠位管部分32の近位端部表面32-3は、カテーテルシャフト24の内腔28内に近位方向に露出する。
【0024】
[0028]脆弱リンク34は、近位管部分30を遠位管部分32に接合し、近位管部分30と遠位管部分32との重複領域38に位置付けられ得る。たとえば、脆弱リンク34は、遠位管部分32の第2の端部分32-2の近位端部表面32-3および近位管部分30のそれぞれに連結される破壊可能連結部により、近位管部分30を遠位管部分32に接合することができる。この実施形態では、たとえば脆弱リンク34はスポット溶接部である。
【0025】
[0029]
図1~
図4を参照すると、生体吸収性バルーン26は、たとえば接着剤、レーザ溶着、またはシュリンクチューブによって遠位管部分32に固定的に連結されて、バルーン組立体40を画定する。シリンジ12は、カテーテルシャフト24の内腔28を通して生体吸収性バルーン26へとゲル材料18を送達するように構成される。生体吸収性バルーン26は収縮状態42(
図1を参照)および拡張状態44(
図2~
図4を参照)を有する。収縮状態42では、マーカカテーテル14のバルーン組立体40を患者の生検腔、たとえば乳房生検腔に挿入することができる。
【0026】
[0030]特に
図2~
図4を参照すると、シリンジ12の注入ポート20-2がカテーテルシャフト24の近位管部分30に連結されたとき、次いでバルーン組立体40の生体吸収性バルーン26はカテーテルシャフト24の内腔28を介してシリンジ12と流体連通するように結合される。したがって、たとえばプランジャ22を押し下げることにより、シリンジ12が作動すると、ゲル材料18が生体吸収性バルーン26へと送達されて、生体吸収性バルーン26を拡張させる。この実施形態では、生体吸収性バルーン26は、カテーテルシャフト24の遠位管部分32の一方向弁36よりも遠位の場所で、カテーテルシャフト24の内腔28と流体連通するように構成される。したがって、ゲル材料18はカテーテルシャフト24の遠位管部分32の一方向弁36および側壁オリフィス32-1を通って生体吸収性バルーン26へと挿入されて、生体吸収性バルーン26の拡張状態44をもたらすことができ、一方向弁36は、拡張状態44から収縮状態42へと戻るのを防止するように構成される。言い換えれば、バルーン組立体40の生体吸収性バルーン26がゲル材料18で拡張されているとき、バルーン組立体40のカテーテルシャフト24の遠位管部分32の一方向弁36によりゲル材料18の逆流が防止され、それにより生体吸収性バルーン26は永久的な拡張状態44で保持される。
【0027】
[0031]細長いスタイレット16は、脆弱リンク34を破壊してカテーテルシャフト24の近位管部分30をバルーン組立体40から分離するために、カテーテルシャフト24の内腔28へと挿入される、たとえば細長い管またはロッドとして構成される。具体的には、細長いスタイレット16は、シリンジ12によって送達されるゲル材料18による生体吸収性バルーン26の拡張に続いて、カテーテルシャフト24の脆弱リンク34を破壊してカテーテルシャフト24の近位管部分30をバルーン組立体40から分離するために、カテーテルシャフト24の内腔28へと挿入されるように構成される。
【0028】
[0032]たとえば、細長いスタイレット16は、カテーテルシャフト24の近位管部分30において内腔28へと挿入されかつ内腔28内を進み、細長いスタイレット16の遠位端部16-1が、遠位管部分32の第2の端部分32-2の近位端部表面32-3および/または脆弱リンク34に係合する。細長いスタイレット16は、次いで、脆弱リンク34を破壊するのに十分な力で、たとえば0.5~2ミリメートルさらに進められてもよく、それによって近位管部分30をバルーン組立体40から分離する。脆弱リンク34が破壊された後、次いで近位管部分30を患者から抜去することができ、拡張状態44のバルーン組立体40は患者の生検腔にとどまる。
【0029】
[0033]生体吸収性バルーン26に収容されたゲル材料18は、生体吸収性バルーン26が再吸収されるにつれて、12~18か月かけて患者の体内で分解されることになる。いくつかの実装形態では、たとえば、ゲル材料18は、たとえばポリエチレングリコール(PEG)ベースのヒドロゲル、ヒアルロン酸ナトリウム(ヒアルロン酸)、またはアロエベラゲルでもよい。ヒアルロン酸ナトリウムは創傷治癒の利益をもたらし、また熱硬化特性を示すように修正することができる。ゲル材料18の熱硬化特性は、材料が拡張のために液体状態にあり、その後材料が体温に達するとゲル状の粘度まで硬化する(thicken)ことを可能にするので、望ましい場合がある。これにより、最小限の圧力の印加によって生体吸収性バルーン26を拡張させることが可能になる。いくつかの実装形態では、その長期の、予測可能な分解タイムライン、およびその超音波視認性特性により、PEGが望ましい材料である場合がある。アロエベラも創傷治癒の利益をもたらすが、熱硬化機能を与えない。
【0030】
[0034]以下の項目も本発明に関する。
【0031】
[0035]一実施形態では、本発明はカテーテルシャフトおよび生体吸収性バルーンを含む、乳房生検マーカ(組立体)に関する。カテーテルシャフトは、内腔、近位管部分、および遠位管部分を有する。近位管部分は、脆弱(破壊可能な)リンク、ならびに/または、破壊、分離および/もしくは接合解除するように構造化されたリンクによって遠位管部分に接合される。遠位管部分は、内腔内に位置付けられた一方向弁を有することができる。生体吸収性バルーンは、遠位管部分に(固定的に)連結されてバルーン組立体を画定する。生体吸収性バルーンは、カテーテルシャフトの遠位管部分の一方向弁よりも遠位の場所で、カテーテルシャフトの内腔と流体連通するように構成され得る。バルーン組立体および/または乳房生検マーカ(組立体)は、脆弱リンクを破壊することによってバルーン組立体がカテーテルシャフトの近位管部分から分離され得るように構成される。
【0032】
[0036]任意の実施形態において、生体吸収性バルーンは、収縮状態および拡張状態を有することができる。別法として、または追加的に、ゲル材料が、カテーテルシャフトの遠位管部分の一方向弁を通って生体吸収性バルーンへと挿入されて生体吸収性バルーンの拡張状態をもたらすように構成され得る。
【0033】
[0037]任意の実施形態において、カテーテルシャフトの近位管部分は、第1の端部分を有する。遠位管部分は、近位端部表面を有する第2の端部分を有する。近位管部分の第1の端部分が遠位管部分の第2の端部分と半径方向に重なって重複領域を画定し、遠位管部分の近位端部表面がカテーテルシャフトの内腔内に近位方向に露出するように、遠位管部分の第2の端部分は、近位管部分の第1の端部分の内部に位置決めされ得る。
【0034】
[0038]段落0033の実施形態において、近位管部分を遠位管部分に接合する脆弱リンクは、重複領域に位置付けられ得る。
【0035】
[0039]段落0033の実施形態において、近位管部分を遠位管部分に接合する脆弱リンクは、遠位管部分の第2の端部分の近位端部表面および近位管部分のそれぞれに連結され得る。
【0036】
[0040]任意の実施形態において、脆弱リンクは、スポット溶接部でもよい。
【0037】
[0041]任意選択で、任意の実施形態と共に使用するために、細長いスタイレットが、脆弱リンクを破壊してカテーテルシャフトの近位管部分をバルーン組立体から分離するために、カテーテルシャフトの内腔へと挿入されるように構成され得る。
【0038】
[0042]任意の実施形態において、生体吸収性バルーンはPGLA材料で作成されてもよく、任意選択で、PGLA材料に埋め込まれた放射線不透過性かつ/または超音波視認性の少なくとも1つのマーカ要素をさらに備える。
【0039】
[0043]任意の実施形態において、近位管部分は、非生分解性材料で作成されてもよく、かつ/または、遠位管部分は、永久的な超音波視認性を提供するように構成された非生分解性構成要素を含むことができる。
【0040】
[0044]段落0039の実施形態において、近位管部分の非生分解性材料は、PEBAX(登録商標)ブランドのポリマーでもよく、かつ/または、遠位管部分の非生分解性構成要素は、ポリビニルアルコールでもよい。
【0041】
[0045]別の実施形態では、本発明は乳房生検マーカシステムに関する。システムは、カテーテルシャフト、生体吸収性バルーン、シリンジ、および細長いスタイレットを含むことができる。カテーテルシャフトは段落0031のカテーテルシャフトでもよく、かつ/または内腔、近位管部分、および遠位管部分を有することができる。近位管部分は、脆弱リンクによって遠位管部分に接合される。遠位管部分は、内腔内に位置付けられた一方向弁を有することができる。生体吸収性バルーンは段落0031の生体吸収性バルーンでもよく、かつ/または遠位管部分に(固定的に)連結されてバルーン組立体を画定することができる。生体吸収性バルーンは、カテーテルシャフトの遠位管部分の一方向弁よりも遠位の場所で、カテーテルシャフトの内腔と流体連通するように構成され得る。シリンジは、ゲル材料を保持するように構成され得る。シリンジは、カテーテルシャフトの近位管部分に連結され得るかまたは連結可能である注入ポートを有することができる。シリンジは、カテーテルシャフトの内腔を通して生体吸収性バルーンへとゲル材料を送達するように構成され得る。細長いスタイレットは、シリンジによって送達されるゲル材料による生体吸収性バルーンの拡張に続いて、カテーテルシャフトの脆弱リンクを破壊してカテーテルシャフトの近位管部分をバルーン組立体から分離するために、カテーテルシャフトの内腔へと挿入されるように構成され得る。システムは、シリンジによって送達されるゲル材料による生体吸収性バルーンの拡張に続いて、カテーテルシャフトの近位管部分をバルーン組立体から分離するために、細長いスタイレットがカテーテルシャフトの脆弱リンクを破壊し得るように構成され得る。
【0042】
[0046]任意のシステム実施形態において、生体吸収性バルーンは、収縮状態および拡張状態を有することができる。別法として、または追加的に、ゲル材料が、カテーテルシャフトの遠位管部分の一方向弁を通って生体吸収性バルーンへと挿入されて生体吸収性バルーンの拡張状態をもたらすように構成され得る。一方向弁は、拡張状態から収縮状態への戻りを防止するように構成され得る。
【0043】
[0047]任意のシステム実施形態において、カテーテルシャフトの近位管部分は、第1の端部分を有する。遠位管部分は、近位端部表面を有する第2の端部分を有することができる。近位管部分の第1の端部分が遠位管部分の第2の端部分と半径方向に重なって重複領域を画定し、遠位管部分の近位端部表面がカテーテルシャフトの内腔内に近位方向に露出するように、遠位管部分の第2の端部分は、近位管部分の第1の端部分の内部に位置決めされ得る。
【0044】
[0048]段落0043のシステム実施形態において、近位管部分を遠位管部分に接合する脆弱リンクは、近位管部分と遠位管部分との重複領域に位置付けられ得る。
【0045】
[0049]段落0043のシステム実施形態において、近位管部分を遠位管部分に接合する脆弱リンクは、遠位管部分の第2の端部分の近位端部表面および近位管部分のそれぞれに連結され得る。
【0046】
[0050]任意のシステム実施形態において、脆弱リンクは、スポット溶接部でもよい。
【0047】
[0051]任意のシステム実施形態において、細長いスタイレットは、脆弱リンクを破壊してカテーテルシャフトの近位管部分をバルーン組立体から分離するために、カテーテルシャフトの内腔へと挿入され得る細長い管またはロッドとして構成され得る。
【0048】
[0052]任意のシステム実施形態において、生体吸収性バルーンはPGLA材料で作成されてもよく、任意選択で、PGLA材料に埋め込むことができる放射線不透過性かつ/または超音波視認性の少なくとも1つのマーカ要素をさらに備えることができる。
【0049】
[0053]任意のシステム実施形態において、近位管部分は、非生分解性材料で作成されてもよく、かつ/または、遠位管部分は、永久的な超音波視認性を提供するように構成された非生分解性構成要素を含むことができる。
【0050】
[0054]段落0053のシステム実施形態において、近位管部分の非生分解性材料は、PEBAX(登録商標)ブランドのポリマーでもよく、かつ/または、遠位管部分の非生分解性構成要素は、ポリビニルアルコールでもよい。
【0051】
[0055]少なくとも1つの実施形態に関して本発明を説明してきたが、本発明は、本開示の趣旨および範囲内でさらに修正されてもよい。したがって、本出願はその一般的原理を使用する本発明の任意の変形形態、使用、または改変形態を包含することを意図している。さらに、本出願は、本発明が関係し、添付の特許請求の範囲に含まれる、当技術分野で知られているかまたは慣行に入る本開示からの逸脱を包含することを意図されている。
【国際調査報告】