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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(54)【発明の名称】最適混合のためのバイアル幾何形状
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/145 20060101AFI20230831BHJP
   A61M 5/178 20060101ALI20230831BHJP
   A61M 5/24 20060101ALI20230831BHJP
   A61J 1/20 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
A61M5/145 500
A61M5/178 510
A61M5/24 502
A61M5/24 530
A61J1/20 314
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580324
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(85)【翻訳文提出日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 US2020039592
(87)【国際公開番号】W WO2021262175
(87)【国際公開日】2021-12-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521442637
【氏名又は名称】バード・ペリフェラル・バスキュラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ヘバート,キャシー・タイラー
(72)【発明者】
【氏名】シストラプ,アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】シモンズ,ブランドン・デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ライト,マーク・ニコラス
【テーマコード(参考)】
4C047
4C066
【Fターム(参考)】
4C047AA07
4C047CC04
4C047DD02
4C047GG01
4C047HH03
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066EE14
4C066LL08
(57)【要約】
バイアルアセンブリは、バイアルと、少なくとも1つのポートを有する針とを含む。バイアルは、微粒子材料、セプタム、第1の幅を含むネック領域、および第1の幅よりも大きい第2の幅を含む微粒子領域を含む。バイアルアセンブリは、係止位置へ移動するように構成される。針は、係止位置にあるときネック領域内にあるように構成される少なくとも1つのポートによりセプタムを穿刺するように構成され得る。少なくとも1つのポートは、第1の方向におけるバイアル係合機構の作動の際に、微粒子材料と混合するためにバイアルアセンブリ内へ流体を注入するように、および第1の方向とは反対の第2の方向におけるバイアル係合機構の作動の際に、結果として生じる混合流体をバイアルアセンブリから受容するように構成され得る。
【選択図】図12A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイアルアセンブリであって、当該バイアルアセンブリは、
微粒子材料、セプタム、第1の幅を含むネック領域、および前記第1の幅よりも大きい第2の幅を含む微粒子領域を備えるバイアルと、
少なくとも1つのポートを備える針と、を備え、
前記バイアルアセンブリは、係止位置へ移動するように構成され、
前記針は、前記バイアルアセンブリが前記係止位置にあるとき、前記バイアルアセンブリの前記セプタムを穿刺するように構成され、
前記少なくとも1つのポートは、前記バイアルアセンブリが前記係止位置にあるとき、前記バイアルアセンブリの前記ネック領域内にあるようにさらに構成され、
前記少なくとも1つのポートは、第1の方向におけるバイアル係合機構の作動の際に、流体を、前記微粒子材料と混合するために前記バイアルアセンブリ内へ注入し、結果として生じる混合流体を、前記第1の方向とは反対の第2の方向における前記バイアル係合機構の作動の際に、前記バイアルアセンブリから受容するように構成される、バイアルアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のバイアルアセンブリであって、前記第2の幅は、前記第1の幅よりも少なくとも2倍大きい、バイアルアセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載のバイアルアセンブリであって、前記ネック領域は、円筒形状を含む、バイアルアセンブリ。
【請求項4】
請求項3に記載のバイアルアセンブリであって、前記円筒形状は、断面において、互いに対して平行であり、前記第1の幅において離間される、一対の側壁を含む、バイアルアセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載のバイアルアセンブリであって、セプタム幅は、前記ネック領域の前記第1の幅の約1.2倍~10.0倍の範囲にある、バイアルアセンブリ。
【請求項6】
請求項1に記載のバイアルアセンブリであって、前記ネック領域は、円錐形状を含む、バイアルアセンブリ。
【請求項7】
請求項6に記載のバイアルアセンブリであって、前記円錐形状は、断面において、互いに対して近位および外向き方向にテーパ状になる一対の側壁を含む、バイアルアセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載のバイアルアセンブリであって、前記ネック領域および前記微粒子領域に隣接する接続壁は、前記バイアルの長手方向軸に対して角度付けされている、バイアルアセンブリ。
【請求項9】
請求項8に記載のバイアルアセンブリであって、前記接続壁は、前記長手方向軸に対して約20度~約90度の範囲で角度付けされている、バイアルアセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載のバイアルアセンブリであって、前記ネック領域および前記微粒子領域に隣接する接続壁は、前記バイアルの長手方向軸に対して傾きを有している、バイアルアセンブリ。
【請求項11】
請求項1に記載のバイアルアセンブリであって、前記セプタムは、前記ネック領域に近位に隣接して配設されるように構成され、前記微粒子領域は、前記ネック領域に遠位に隣接して配設される、バイアルアセンブリ。
【請求項12】
請求項11に記載のバイアルアセンブリであって、前記セプタムは、前記バイアルアセンブリのセプタム領域内に配設されるように構成され、前記セプタム領域は、前記第1の幅よりも大きい第3の幅を含み、前記ネック領域は、前記セプタム領域と前記微粒子領域との間に配設される、バイアルアセンブリ。
【請求項13】
請求項12に記載のバイアルアセンブリであって、前記セプタムは、矩形であり、前記セプタム領域は、前記セプタムを気密シール内に収納するようにサイズおよび形状が決められている矩形構成を含む、バイアルアセンブリ。
【請求項14】
請求項1に記載のバイアルアセンブリであって、前記ネック領域の少なくとも一部分は、前記セプタムの少なくとも一部分を収納するように構成される、バイアルアセンブリ。
【請求項15】
請求項1に記載のバイアルアセンブリであって、前記バイアルは、外壁であって、外壁幅、前記外壁と前記微粒子領域との間の微粒子領域厚、および前記外壁と前記ネック領域との間のネック領域厚を含む、外壁を備え、前記ネック領域厚は、前記微粒子領域厚よりも大きい、バイアルアセンブリ。
【請求項16】
請求項15に記載のバイアルアセンブリであって、前記ネック領域厚は、前記微粒子領域厚よりも少なくとも1.5倍大きい、バイアルアセンブリ。
【請求項17】
請求項15に記載のバイアルアセンブリであって、前記ネック領域厚は、前記微粒子領域厚よりも少なくとも2倍大きい、バイアルアセンブリ。
【請求項18】
請求項1に記載のバイアルアセンブリであって、微粒子材料アセンブリをさらに備え、前記微粒子材料アセンブリは、
バイアル収容領域を含むコンソールと、
前記バイアル収容領域内の前記コンソールから延在するバイアル係合機構であって、前記バイアル係合機構は、前記バイアルアセンブリに係合し、前記バイアルアセンブリを前記係止位置へ移動させるように構成される、バイアル係合機構と、を備える、バイアルアセンブリ。
【請求項19】
バイアルであって、当該バイアルは、
微粒子材料と、
セプタムと、
第1の幅を含むネック領域であって、前記ネック領域は、円錐形状を含む、ネック領域と、
前記第1の幅よりも大きい第2の幅を含む微粒子領域と、
外壁であって、外壁幅、前記外壁と前記微粒子領域との間の微粒子領域厚、および前記外壁と前記ネック領域との間のネック領域厚を含む外壁と、を備え、前記ネック領域厚は、前記微粒子領域厚よりも大きい、バイアル。
【請求項20】
請求項19に記載のバイアルであって、
バイアルアセンブリであって、
前記バイアルであって、前記バイアルアセンブリは、前記バイアルを係止位置へ移動させるように構成される、前記バイアル、および
前記バイアルアセンブリが前記係止位置にあるとき、前記バイアルアセンブリの前記セプタムを穿刺するように構成される、少なくとも1つのポートを備える針であって、前記少なくとも1つのポートは、前記バイアルアセンブリが前記係止位置にあるとき、前記バイアルアセンブリの前記ネック領域内にあるようにさらに構成される、針を備える、バイアルアセンブリと、
微粒子材料アセンブリであって、
バイアル収容領域を含むコンソール、および
前記バイアル収容領域内の前記コンソールから延在するバイアル係合機構であって、前記バイアル係合機構は、前記バイアルアセンブリに係合し、前記バイアルアセンブリを前記係止位置へ移動させるように構成される、バイアル係合機構、を備える、微粒子材料アセンブリと、をさらに備える、バイアル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、概して、がんを治療するための医療デバイスの構成要素に、およびより詳細には、経動脈的放射線塞栓療法などの手技において患者の身体内の治療領域に放射性化合物を送達するように構成され、またそのように動作可能である医療デバイスのバイアルアセンブリ構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]放射線療法を伴うガン治療において、放射性治療薬からの放射線への不用意または過剰な曝露は、患者または医療従事者にとって有害であり得、死を招く可能性もあり得る。したがって、放射線療法のための医療機器は、患者の身体の特定の領域への放射性物質の送達を局部にとどめながら、その他の領域が不必要に放射線に曝露されることから守るように構成されなければならない。
【0003】
[0003]経動脈的放射線塞栓療法は、画像下治療によって実施される経カテーテル動脈内手技であり、一般的には、悪性腫瘍の治療のために用いられる。この医療手技の間、マイクロカテーテルが、患者の肝臓内へナビゲートされ、そこでイットリウム-90(90Y)などの放射性化合物で充填された放射線塞栓ミクロスフェアが、標的腫瘍へ送達される。このミクロスフェアが、腫瘍に供給する血管を閉塞すると同時に、腫瘍細胞を殺すために放射線を送達する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]一般的には、放射性化合物を手動で投与するための注射器と共に動作するバイアルアセンブリ構成要素は、バイアル内での混合からの一貫性のない流量および圧力が生じやすく、微粒子が留まって沈降し、バイアル内の流体と完全に混合されないということを可能にする。そのような沈降は、バイアルアセンブリ構成要素および/または接続された構成要素の洗浄を必要とし得、これは、不十分な注入速度および/または効率の悪い送達を引き起こして、減少したビーズ分散を生じ得る。そのような減少したビーズ分散は、治療の効能に影響を及ぼし得る。
【0005】
[0005]したがって、そのような混合および送達の間の微粒子沈降を防ぐ、または低減しながら、一定の流量および圧力の放射性化合物を患者の身体へ投与するための単純な設計および一貫した手段を組み込む放射線塞栓療法を実施するように構成される、およびそのように動作可能である医療デバイスのバイアルアセンブリ構成要素が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]本開示の実施形態によると、バイアルアセンブリは、バイアルおよび針を含み得る。バイアルは、微粒子材料、セプタム、第1の幅を含むネック領域、および第1の幅よりも大きい第2の幅を含む微粒子領域を含み得る。針は、少なくとも1つのポートを含み得る。バイアルアセンブリは、係止位置へ移動するように構成され得、針は、バイアルアセンブリが係止位置にあるとき、バイアルアセンブリのセプタムを穿刺するように構成される。少なくとも1つのポートは、バイアルアセンブリが係止位置にあるとき、バイアルアセンブリのネック領域内にあるようにさらに構成される。少なくとも1つのポートは、第1の方向におけるバイアル係合機構の作動の際に、微粒子材料と混合するためにバイアルアセンブリ内へ流体を注入するように、および第1の方向とは反対の第2の方向におけるバイアル係合機構の作動の際に、結果として生じる混合流体をバイアルアセンブリから受容するように構成される。
【0007】
[0007]別の実施形態において、バイアルは、微粒子材料、セプタム、ネック領域、微粒子領域、および外壁を含み得る。ネック領域は、ネック領域第1の幅を含み得る。ネック領域は、円錐形状であり得る。微粒子領域は、第1の幅よりも大きい第2の幅を含み得る。外壁は、外壁幅、外壁と微粒子領域との間の微粒子領域厚、および外壁とネック領域との間のネック領域厚を含み得る。ネック領域厚は、微粒子領域厚よりも大きくてもよい。
【0008】
[0008]本明細書に説明される実施形態によって提供されるこれらおよび追加の特徴は、図面と併せて、以下の詳細な説明を考慮してより完全に理解されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】[0009]本発明に示され説明される1つまたは複数の実施形態に従う、防護遮蔽体およびバイアル摺動部を含む送達デバイスの斜視図である。
図2】[0010]本発明に示され説明される1つまたは複数の実施形態に従う、図1のバイアル摺動部の、図1の線2-2に沿った断面図である。
図3】[0011]本発明に示され説明される1つまたは複数の実施形態に従う、係合ヘッドを含むバイアルアセンブリの斜視図である。
図4】[0012]図4のバイアルアセンブリの、図3の線4-4に沿って取られた部分断面図である。
図5】[0013]本発明に示され説明される1つまたは複数の実施形態に従う、一連の送達管路がバイアル摺動部に結合された状態の、図3のバイアルアセンブリが中に受容されている図1のバイアル摺動部の斜視図である。
図6】[0014]本発明に示され説明される1つまたは複数の実施形態に従う、図3のバイアルアセンブリが中に挿入された状態の図1のバイアル摺動部の斜視図である。
図7A】[0015]初期係止位置にある、図3のバイアル摺動部に挿入された図3のバイアルアセンブリの、図6の線7-7に沿って取られた部分断面図である。
図7B】[0016]完全係止位置にある、図1のバイアル摺動部に挿入された図3のバイアルアセンブリの、図5の線7-7に沿って取られた部分断面図である。
図8】[0017]本発明に示され説明される1つまたは複数の実施形態に従う、レバーアームが図3のバイアルアセンブリに結合された状態の図1の送達デバイスに結合されたバイアル摺動部の部分斜視図である。
図9】[0018]本発明に示され説明される1つまたは複数の実施形態に従う、レバーアームが図3のバイアルアセンブリに結合され、延伸位置まで並進された状態の、図1の送達デバイスに結合されたバイアル摺動部の斜視図である。
図10】[0019]本発明に示され説明される1つまたは複数の実施形態に従う、レバーアームが図3のバイアルアセンブリに結合され、下位位置まで並進された状態の、図1の送達デバイスに結合されたバイアル摺動部の斜視図である。
図11A】[0020]本発明に示され説明される1つまたは複数の実施形態に従う、バイアルの斜視図である。
図11B】[0021]図11Aのバイアルの側面図である。
図11C】[0022]図11Bのバイアルの近位端の近位縁の詳細図である。
図11D】[0023]図11Aのバイアルの上部遠位図である。
図12A】[0024]図11Aのバイアルの、図11Bの線12A-12Bに沿って取られた断面図である。
図12B】[0025]遠位端における図12Aのバイアルのネック領域の詳細図である。
図12C】[0026]図12Aのバイアルの下部近位図である。
図12D】[0027]本発明に示され説明される1つまたは複数の実施形態に従う、図12Aのバイアル、バイアルのネック領域内に配設される針、およびバイアル内の混合流体を含み、針が第1の位置にある、バイアルアセンブリの立面図である。
図12E】[0028]針が第2の位置にある、図12Dのバイアルアセンブリを示す図である。
図12F】[0029]針が第3の位置にある、図12Dのバイアルアセンブリを示す図である。
図13A】[0030]本発明に示され説明される1つまたは複数の実施形態に従う、図11Aのバイアルの別の実施形態の、図11Bの線12A-12Bに沿って取られた断面図である。
図13B】[0031]遠位端における図13Aのバイアルのネック領域の詳細図である。
図13C】[0032]図13Aのバイアルの下部近位図である。
図13D】[0033]本発明に示され説明される1つまたは複数の実施形態に従う、図13Aのバイアル、バイアルのネック領域内に配設される針、およびバイアル内の混合流体を含み、針が第1の位置にある、バイアルアセンブリの立面図である。
図14A】[0034]本発明に示され説明される1つまたは複数の実施形態に従う、図11Aのバイアルの別の実施形態の、図11Bの線12A-12Bに沿って取られた断面図である。
図14B】[0035]遠位端における図14Aのバイアルのネック領域の詳細図である。
図14C】[0036]図14Aのバイアルの下部近位図である。
図14D】[0037]本発明に示され説明される1つまたは複数の実施形態に従う、図14Aのバイアル、バイアルのネック領域内に配設される針、およびバイアル内の混合流体を含み、針が第1の位置にある、バイアルアセンブリの立面図である。
図14E】[0038]本発明に示され説明される1つまたは複数の実施形態に従う、図14Aのバイアルの別の円錐実施形態、バイアルのネック領域内に配設される針、およびバイアル内の混合流体を含み、針が第1の位置にある、バイアルアセンブリの立面図である。
図15A】[0039]本発明に示され説明される1つまたは複数の実施形態に従う、図11Aのバイアルの1つの他の実施形態の、図11Bの線12A-12Bに沿って取られた断面図である。
図15B】[0040]遠位端における図15Aのバイアルのネック領域の詳細図である。
図15C】[0041]図15Aのバイアルの下部近位図である。
図16】[0042]本発明に示され説明される1つまたは複数の実施形態に従う、図12D図13D図14D、および図14Eのバイアルアセンブリについて、経時的な注入体積に対する残っているミクロスフェアの量のグラフである。
図17】[0043]本発明に示され説明される1つまたは複数の実施形態に従う、図12D図13D図14D、および図14Eのバイアルアセンブリについて、経時的な注入体積に対する残っているミクロスフェアの体積のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0044]これより、患者に放射性化合物を投与するための送達デバイスの様々な実施形態について詳細に言及し、これらの実施形態の例は、添付の図面に例証される。可能な場合、同じ参照番号が、同じまたは同様の部分に言及するために図面全体を通して使用される。本明細書で使用されるような方向の用語、例えば、上、下、右、左、前、後、上部、下部、遠位、および近位は、描写されるような図に関連してのみ用いられるものであり、絶対的な配向を示唆することは意図されない。
【0011】
[0045]範囲は、本明細書では、“約”1つの特定の値から、および/または“約”別の特定の値まで、として表現され得る。そのような範囲が表現されるとき、別の実施形態は、1つの特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、値が、先行する“約”の使用により近似値として表現されるとき、その特定の値が別の実施形態を形成するということを理解されたい。範囲の各々の終点は、他の終点に関連して、および他の終点とは独立して、有意であるということをさらに理解されたい。
【0012】
[0046]別途明示的に記載のない限り、本明細書に明記されるいかなる方法も、そのステップが特定の順序で実施されること、または任意の装置固有の配向が必要とされることを必要とすると解釈されることはいかようにも意図されない。したがって、方法クレームがそのステップに適用されるべき順序を実際に列挙しない場合、または、任意の装置クレームが、個々の構成要素に対する順序もしくは配向を実際に列挙しない場合、または、ステップが特定の順序に限定されるべきであることが特許請求の範囲もしくは説明に別途具体的に記載されない場合、または、装置の構成要素に対する特定の順序もしくは配向が列挙されない場合、順序または配向が推測されることはいかようにも一切意図されない。これは、ステップの配置、動作フロー、構成要素の順序、または構成要素の配向に関する論理的な事柄、文法的な機構または句読点から導き出される明白な意味、および本明細書に説明される実施形態の数またはタイプを含む、解釈についての可能性のあるあらゆる不明確な基準に当てはまる。
【0013】
[0047]別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本開示が属する当業者によって共通して理解されるものと同じ意味を有する。本明細書内の説明で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定することは意図されない。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形“a”、“an”、および“the”は、文脈が別段に明確に示さない限りは、複数形も同様に含むことが意図される。
【0014】
[0048]本明細書で使用される場合、用語“水平”、“垂直”、“遠位”、および“近位”は、単に相対的な用語であり、単に全体的な相対配向を示し、必ずしも垂直度を示さない。これらの用語はまた、図内で使用される配向に言及するために便宜上使用され得、このような配向は、単に慣例として使用され、示されるデバイスの特性としては意図されない。本明細書に説明されることになる本開示およびその実施形態は、任意の所望の配向で使用され得る。さらには、水平および垂直の壁は、単に、交差する壁であることが概して必要であり、直角である必要はない。本明細書で使用される場合、単数形“a”、“an”、および“the”は、文脈が別段に明確に示さない限り、複数指示対象を含む。したがって、例えば、“1つの(a)”構成要素への言及は、文脈が別段に明確に示さない限り、2つ以上のそのような構成要素を有する態様を含む。
【0015】
[0049]本明細書に説明される実施形態において、微粒子材料送達アセンブリは、放射線塞栓療法送達デバイスを含み得る。放射線塞栓療法送達デバイスは、経動脈的放射線塞栓療法などの手技において患者の身体内の治療領域に放射性化合物を送達するように構成される医療デバイスを備える。放射性化合物は、バイアルアセンブリのバイアル内で混合される生理食塩水および放射性ミクロスフェア(すなわち、微粒子)の混合溶液であり得る。針は、注射器またはカテーテル線からなど、放射性ミクロスフェアを含むバイアル内へ流体(すなわち、生理食塩水)を注入して混合溶液を生成するための出口として、および混合溶液を患者へ送達するための入口として、1つまたは複数のポートを含み得る。
【0016】
[0050]下に説明される図1図10は、微粒子660を送達するための送達デバイス500の実施形態を対象とし、さらに下でより詳細に説明される図11A図17は、微粒子660を含むバイアルとして、例えば、微粒子660を送達するための送達デバイス600と共に利用され得る、1つまたは複数のバイアル600の実施形態を対象とする。いくつかの実施形態において、下により詳細に説明されるように、送達デバイス500は、放射線塞栓療法送達デバイスであり、微粒子660は、複数の放射線塞栓療法ビーズであり、流体は、生理食塩水溶液であり、結果として生じる混合流体(例えば、混合流体溶液)は、放射線塞栓療法ビーズ-生理食塩水溶液である。針559は、正圧方向におけるバイアル係合機構520の作動の際など、放射線塞栓療法送達デバイスを通じて放射線塞栓療法ビーズ-生理食塩水溶液を混合流体溶液として送達するように構成され得る。いくつかの実施形態において、流体は、造影剤を含む造影剤-生理食塩水溶液であり、結果として生じる混合流体(例えば、混合流体溶液)は、放射線塞栓療法ビーズ-造影剤-生理食塩水溶液である。針559は、放射線塞栓療法送達デバイスを通じて放射線塞栓療法ビーズ-造影剤-生理食塩水溶液を混合流体溶液として送達するように構成され得る。いくつかの実施形態において、送達デバイス500は、化学塞栓療法送達デバイスであり、微粒子660は、複数の化学塞栓療法ビーズであり、混合流体溶液は、ビーズ-生理食塩水溶液またはビーズ-造影剤-生理食塩水溶液である。
I.取り外し可能な摺動部アセンブリを有する機械的送達デバイス
[0051]図1図10は、送達デバイス500の使用中に放射線放出を低減しながら放射性物質(例えば、放射線塞栓ビーズ)を送達するように構成され、またそのように動作可能である送達デバイス500の実施形態を示す。送達デバイス500は、送達デバイス500と共に利用されるバイアル600に関することを除いて、本明細書にその全体が組み込まれる2019年5月17日に提出された、国際PCT出願第PCT/2019/033001号に説明されるように、ならびに図11A図17に関して下により詳細に、および本明細書内の1つまたは複数の実施形態において説明されるように動作し得る。
【0017】
[0052]最初に図1を参照すると、送達デバイス500は、コンソールを含むコンソールアセンブリ510を備える。送達デバイス500は、コンソールアセンブリ510に対して結合状態および分離状態の間で遷移するように動作可能である摺動部アセンブリ540を含み得る。送達デバイス500のコンソールアセンブリ510は、近位端514および遠位端516によって画定され、かつそれらの間に延在する基部512を備える。基部512の近位端514は、コンソールアセンブリ510に移動可能に結合されるハンドル(送達ハンドル)528、およびコンソールアセンブリ510上に位置付けられるインターフェースディスプレイ530を含む。
【0018】
[0053]基部512の近位端514は、外部デバイスをコンソールアセンブリ510の基部512にしっかりと保持するように構成される装着デバイス538をさらに含む。装着デバイス538は、手技中に送達デバイス500と共に使用するためのコンソールアセンブリ510への補完デバイスの装着を促進するように動作可能である。
【0019】
[0054]依然として図1を参照すると、コンソールアセンブリ510の遠位端516は、本明細書により詳細に説明されるように、コンソールアセンブリ510を中に受容するようにサイズ決定および成形されるバイアル収容領域518を画定する。コンソールアセンブリ510は、遠位端516に隣接する基部512から延在するバイアル係合機構520をさらに含む。特に、バイアル係合機構520は、遠位端516の方へコンソールアセンブリ510の基部512から外向きに横方向に延在する。バイアル係合機構520は、コンソールアセンブリ510のバイアル収容領域518内に位置付けられ、ハンドル528に移動可能に結合される。特に、コンソールアセンブリ510のハンドル528は、ハンドル528の作動に応答して、バイアル係合機構520をバイアル収容領域518内で移動させる、および特に、並進させるように動作可能である。
【0020】
[0055]コンソールアセンブリ510は、ハンドル528の手動の動きをバイアル係合機構520の対応する直線変位に変換するように構成され、またそのように動作可能である、基部512内に配設される機械的アセンブリを含む。本例では、機械的アセンブリは、ハンドル528およびバイアル係合機構520に結合され、その結果として、近位端514におけるハンドル528の選択的作動が、遠位端516におけるバイアル係合機構520の同時の作動を引き起こす。
【0021】
[0056]摺動空間532は、摺動部アセンブリ540を中に受容するようにサイズ決定および成形される。本明細書により詳細に説明されるように、摺動部アセンブリ540は、そこを通じて治療用粒子(例えば、放射性ビーズ、ミクロスフェア、媒体)を格納および投与するように構成される。特に、摺動部アセンブリ540は、手技中に送達デバイス500から患者へ治療用粒子を投与するため、バイアルアセンブリ580を中に部分的に受容するように構成される。
【0022】
[0057]実施形態において、および図2を参照すると、送達デバイス500の流量センサは、送達デバイス500の管セット、ならびに特に、針559、マニホールド555A、555B、および/またはポート556のうちの1つもしくは複数と一直線に位置付けられ得、そこを通過する流体(例えば、治療用粒子が流体媒体と効果的に混合された後の懸濁液)の量を測定するように構成され得る。図1に戻って参照すると、バイアル係合機構520は、バイアル係合機構520のネック524から外向きに延在する一対のレバーアーム522を備え、このネック524は、コンソールアセンブリ510の基部512から外向きに横方向に延在する。バイアル係合機構520のネック524は、バイアル係合機構520の一対のレバーアーム522のみが保護カバー525を通って延在するように、保護カバー525内に配設される。保護カバー525は、コンソールアセンブリ510の1つまたは複数の内部構成要素を、コンソールアセンブリ510の外側から、および特に、バイアル収容領域518から遮蔽するように動作可能である。
【0023】
[0058]一対のレバーアーム522は、コンソールアセンブリ510のハンドル528の作動に応答して、バイアル係合機構520のネック524と共に同時に移動可能である。さらに、一対のレバーアーム522は、一対のレバーアーム522の間に形成される空間が相対的に固定されるように、互いに対して固定される。バイアル係合機構520の一対のレバーアーム522は、それらの間に、および特に、一対のレバーアーム522によって形成される空間内に、バイアルアセンブリ580をしっかりと係合するように構成される。したがって、バイアル係合機構520は、バイアル収容領域518においてバイアルアセンブリ580をコンソールアセンブリ510にしっかりと取り付けるように動作可能である。バイアル係合機構520は、一対のレバーアーム522を含むものとして本明細書に示され説明されるが、バイアル係合機構520は、バイアルアセンブリ580を係合するのに好適な様々な他の構造的構成を含み得るということを理解されたい。
【0024】
[0059]依然として図1を参照すると、コンソールアセンブリ510は、バイアル収容領域518に沿って基部512の遠位端516に固着される安全遮蔽体526をさらに含む。特に、安全遮蔽体526は、コンソールアセンブリ510に固着されるとき、コンソールアセンブリ510のバイアル収容領域518を包囲するようにサイズ決定および成形される保護カバーである。安全遮蔽体526は、基部512の遠位端516に選択的に装着可能であり、また、安全遮蔽体526は、バイアル収容領域518内に格納される1つまたは複数の放射線量からの放射線放出を抑制するように構成される材料で形成される。
【0025】
[0060]コンソールアセンブリ510の遠位端516は、摺動体540を中に受容するようにサイズ決定および成形される摺動空間532をさらに含む。摺動空間532は、その中に延在する一対の位置決め部534を含み、この位置決め部534は、摺動体540の対応位置決め部(例えば、位置決めリブ554)に適合するようにサイズ決定および成形され、それにより、摺動空間532内での摺動体540とコンソールアセンブリ510の基部512との結合が容易に行えるようにする。
【0026】
[0061]依然として図1を参照すると、摺動体540は、治療用粒子(例えば、放射性流体媒体)を送達デバイス500から患者へ投与するため、バイアルアセンブリ580を中に部分的に受容するように構成される。特に、摺動体540は、近位端542および遠位端544を備え、その間に一対の側壁546が延在する。摺動体540の近位端542は、そこから近位に延在するハンドル552を含む。ハンドル552は、摺動体540の移動、特に、コンソールアセンブリ510の摺動空間532内への摺動体540の挿入を簡単にできるように構成される。近位端542は、1つまたは複数の送達管路(すなわち、管)を摺動体540に結合するための1つまたは複数のポート556をさらに含む。1つまたは複数の送達管路がポート556の反対側の線の端において1つまたは複数の外部デバイスにさらに結合されるため、ポート556は、摺動体540を1つまたは複数の外部デバイスに、そこに接続される送達管路を介して流体的に結合するように効果的に機能する。摺動体540の一対の側壁546は、そこから外向きに横方向に延在する少なくとも1つの位置決めリブ554を含み、この位置決めリブ554は、コンソールアセンブリ510の一対の位置決め部534と適合し、かつこれに嵌合するようにサイズ決定および成形される。したがって、一対の位置決めリブ554は、遠位端544が基部512の摺動空間532内に摺動自在に受容されるとき、摺動体540のコンソールアセンブリ510との位置合わせおよび係合を容易に行えるように構成される。
【0027】
[0062]摺動体540は、近位端542および遠位端544から延在し、かつ一対の側壁546の間に位置付けられる上表面548をさらに含む。摺動体の上表面548は、凹んだ領域549および係止システム550を含む。凹んだ領域549は、上表面548に沿って凹部および/または腔を形成するようにサイズ決定および成形され、この凹んだ領域549は、例えば、送達デバイス500の使用中の様々な流体媒体の漏出を含め、様々な材料を中に受容および/または回収することが可能である。摺動体540の係止システム550は、プライミングアセンブリ560およびバイアルアセンブリ580など、1つまたは複数のデバイスを中に受容するようにサイズ決定および成形される、上表面548に開口部を形成する。いくつかの実施形態において、摺動体540には、係止システム550内に配設されるプライミングアセンブリ560が予め装填されている。プライミングアセンブリ560は、摺動体540の係止システム550から外向きに延在するプライミング導管562を含む。プライミングアセンブリ560は、手技において送達デバイス500を利用する前に、送達デバイス500から空気をパージする役割を果たす。
【0028】
[0063]これより図2を参照すると、係止システム550は、そこから外向きに延在する環状配列の突起551を含み、突起551は、特に、上表面548に沿って係止システム550によって形成されるアパーチャ内へ横方向に延在する。環状に配列された突起551は、係止システム550の内周の中に形成され、少なくとも2つの連続して配置された列に沿って延在する。係止システム550に包含された環状配列の突起551は、バイアルアセンブリ580の対応する係止特徴部586(図3を参照されたい)に係合し、それによりバイアルアセンブリ580を摺動体540にしっかりと留めるように構成される。係止システム550の突起551の複数の列は、摺動部アセンブリ540、および特に、摺動部アセンブリ540の針559が、手技における送達デバイス500の使用中にバイアルアセンブリ580のセプタム592(図3を参照されたい)を介してしっかりと維持されることを確実にするように、二重係止システムを提供する役割を果たすということを理解されたい。
【0029】
[0064]摺動体540は、プライミングアセンブリ560およびバイアルアセンブリ580をそれぞれ中に受容するようにサイズ決定および成形されるバイアルチャンバ558をさらに含む。言い換えると、バイアルチャンバ558は、プライミングアセンブリ560およびバイアルアセンブリ580の両方を互いから分離して個々に受容するようにサイズ決定される。バイアルチャンバ558は、バイアルチャンバ558の周りに配設される防護チャンバまたは遮蔽体557に封入される。防護遮蔽体557は、例えば、金属など、放射線放出がバイアルチャンバ558から外側に放出することを抑制するように構成される材料で形成される。加えて、摺動体540は、防護遮蔽体557を通って、およびバイアルチャンバ558内へ延在する針をバイアルチャンバ558の下端部に沿って含む。針559は、バイアルチャンバ558に対してしっかりと固着され、その結果として、係止システム550のアパーチャを通じて、およびバイアルチャンバ558内へ受容されるいかなるデバイスも、針559(例えば、プライミングアセンブリ560、バイアルアセンブリ580、および同様のもの)と接触し、これと相互作用することになる。
【0030】
[0065]依然として図2を参照すると、針559は、摺動体540内に配設される遠位マニホールド555Aおよび近位マニホールド555Bに結合され、特に、マニホールド555A、555Bは、バイアルチャンバ558および防護遮蔽体557の下に位置付けられる。近位マニホールド555Bは、針559に流体的に結合され、遠位マニホールド555Aは、摺動体540の1つまたは複数のポート556に流体的に結合される。近位マニホールド555Bは、遠位マニホールド555Aと、それらの間に配設される一方向逆止弁553を通じて流体連通している。
【0031】
[0066]したがって、近位マニホールド555Bは、遠位マニホールド555Aを介して1つまたは複数のポート556と流体連通しているが、1つまたは複数のポート556は、マニホールド555A、555Bの間に配設される一方向逆止弁553の位置に起因して、近位マニホールド555Bとは流体連通していない。したがって、針559は、1つまたは複数のポート556において摺動体540に結合される1つまたは複数の送達管路および/またはデバイスと、それらの間に固着されるマニホールド555A、555Bを介して流体連通している。摺動部アセンブリ540の1つまたは複数のポート556は、バッグ(例えば、生理食塩水バッグ)、注射器、カテーテル、および/または同様のものに、それらに結合される1つまたは複数の送達管路を介して結合され得る。他の実施形態において、針559は、カニューレ、カテーテル、または同様の機構であり得、これを通じて、本明細書に説明されるように流体および/または溶液を注入および受容する。
【0032】
[0067]依然として図2を参照すると、摺動体540は、遠位端544に沿って摺動体540に結合される取り外し可能なバッテリパック570を含む。取り外し可能なバッテリパック570は、バッテリ572、電気接点574、および取り外し可能なタブ576を備える。送達デバイス500のバッテリ572は、取り外し可能なバッテリパック570内のバッテリ572の場所に起因して、1つまたは複数の流路および放射線源から隔離される。
【0033】
[0068]取り外し可能なバッテリパック570の電気接点574は、取り外し可能なバッテリパック570から外向きに延在し、摺動体540が摺動空間532において基部512に結合されるとき、コンソールアセンブリ510の対応する電気接点511(図1を参照されたい)と接触し、またこれと相互作用するように動作可能である。したがって、取り外し可能なバッテリパック570は、摺動体540がコンソールアセンブリ510に結合されるとき、送達デバイス500、および特に、コンソールアセンブリ510に、電力を提供するように動作可能である。
【0034】
[0069]加えて、本明細書により詳細に説明されるように、いくつかの実施形態において、係止システム550は、少なくとも1つの平面壁を、係止システム550のその他の円形構成に対して含み得る。この場合、摺動体540の上表面548を通って係止システム550によって形成されるアパーチャは、上に示され説明されるような円形形状ではなく、不規則な形状にされる。この場合、バイアルアセンブリ580は、係止システム550、および特に、少なくとも1つの平面壁に対応する形状およびサイズを有する係止特徴部586を含み、その結果として、バイアルアセンブリ580は、バイアルアセンブリ580の向きが係止特徴部586および係止システム550の向きと対応するときにのみ、摺動体540内に受容される。言い換えると、係止特徴部586の対応する平面壁586A(図3を参照されたい)は、バイアルアセンブリ580が摺動体540の係止システム550によって形成されるアパーチャ内に受容可能であるように、係止システム550の平面壁と揃えなければならない。
【0035】
[0070]これより図3を参照すると、送達デバイス500のバイアルアセンブリ580が描写される。バイアルアセンブリ580は、係合ヘッド582、プランジャ584、係止特徴部586、およびバイアル本体589を備える。特に、バイアルアセンブリ580の係合ヘッド582は、係止特徴部586およびバイアル本体589の反対側のプランジャ584の終端に位置付けられる。係合ヘッド582は、そこから下方に延在するプランジャ584の長手方向の長さに対して外向きに横方向に延在する一対のアーム581を含む。本例では、係合ヘッド582は、プランジャ584と一体に形成されるが、他の実施形態では、係合ヘッド582およびプランジャ584は、相互にしっかりと固定できる別個の特徴部であってもよいということを理解されたい。いずれの場合においても、係合ヘッド582およびプランジャ584は、係合ヘッド582およびプランジャ584が、係止特徴部586およびバイアル本体589を通って摺動自在に並進可能であるように、係止特徴部586およびバイアル本体589に対して移動可能である。特に、本明細書により詳細に説明されるように、プランジャ584は、係合ヘッド582が一対のレバーアーム522に固着されるとき、バイアル係合機構520の直線並進運動に応答して、バイアル本体589の内部チャンバ588の内外に並進し得る。
【0036】
[0071]プランジャ584は、プランジャ584の長手方向の長さに沿って位置付けられる複数の標識および/または目盛り583を含む。複数の目盛り583は、係止特徴部586およびバイアル本体589からの係合ヘッド582およびプランジャ584の相対的延長を示す。上に簡単に記されるように、係合ヘッド582は、バイアルアセンブリ580をバイアル係合機構520に装着するように構成される。特に、係合ヘッド582の一対のアーム581は、バイアルアセンブリ580が摺動体540内に受容され、摺動体がコンソールアセンブリ510の摺動空間532内に挿入されるとき、バイアル係合機構520の一対のレバーアーム522と結合するようにサイズ決定および成形される。本明細書により詳細に説明されるように、一対のレバーアーム522は、バイアル係合機構520に印加される既定の並進力に応答して、係合ヘッド582の一対のアーム581とプランジャ584との間に受容される。係合ヘッド582およびプランジャ584は、限定されるものではないが、金属、プラスチック、および/または同様のものを含む、様々な材料で形成され得る。
【0037】
[0072]依然として図3を参照すると、バイアルアセンブリ580は、相対的に係止特徴部586の上および係合ヘッド582の下にプランジャ584に結合される安全タブ585をさらに含み、その結果として、安全タブ585は、プランジャ584の長手方向の長さに沿って位置付けられる。安全タブ585は、例えば、プラスチックなどの様々な材料で形成され得、送達デバイス500の使用の前に、バイアルアセンブリ580に予め組み立てられる。安全タブ585は、プランジャ584に取り外し可能に留められ、プランジャ584がバイアル本体589に対して並進することを抑制する。特に、安全タブ585は、プランジャ584をバイアル本体589内へ相対的に下方に並進させるためのプランジャ584に対する直線力の印加に応答して、係止特徴部586に当接する。この場合、安全タブ585は、プランジャ584の不用意に動いてしまうこと、およびそれに応じた、バイアル本体589の内部チャンバ588内に格納される流体媒体(例えば、治療用粒子、放射線塞栓ビーズ)の不用意な送達を抑制するように構成される。本明細書により詳細に説明されるように、安全タブ585は、バイアルアセンブリ580とバイアル係合機構520との結合、および特に、一対のレバーアーム522と係合ヘッド582との係合に応答して、プランジャ584から選択的に取り外される。
【0038】
[0073]図3に戻って参照すると、係止特徴部586は、バイアル本体589の上端の周りに延在する。本例では、バイアルアセンブリ580の係止特徴部586は、係止特徴部586の外周に沿って外向きに横方向に延在する側縁587を画定するブッシュ(軸受筒)を備える。係止特徴部586の側縁587は、バイアルアセンブリ580が摺動体540のバイアルチャンバ558内に受容されるときに、係止システム550の環状配置の突起551に係合するようにサイズ決定および成形される。本明細書により詳細に説明されるように、係止特徴部586、特に、係止特徴部586の側縁587は、バイアルアセンブリ580を係止システム550にしっかりと留めて、手技における送達デバイス500の使用中に摺動体540のバイアルチャンバ558からのバイアル本体589の取り外しを抑制するように構成される。いくつかの実施形態において、上に簡単に説明されるように、係止特徴部586は、係止特徴部586が不規則な形状を備えるように、少なくとも1つの平面壁586Aを含む。少なくとも1つの平面壁586Aは、係止システム550の平面壁550Aに対応するように構成され、その結果として、平面壁550Aと586Aとの位置合わせをするには、バイアルアセンブリ580が係止システム550によって形成されるアパーチャを通って受容されることを必要とされる。
【0039】
[0074]依然として図3を参照すると、バイアル本体589は、係止特徴部586から相対的に下方に延在し、プランジャ584の長手方向の長さの少なくとも一部分を中に受容するようにサイズ決定される長手方向の長さを有する。単に例として、バイアル本体589の長手方向の長さは、約8ミリメートル~約10ミリメートルであり得、また本例では、9ミリメートルを含む一方、プランジャ584の長手方向の長さは、約9ミリメートル~約11ミリメートルであり得、また本例では、10ミリメートルを含む。したがって、いくつかの実施形態において、プランジャ584の長手方向の長さは、バイアル本体589の長手方向の長さを超え、その結果として、バイアル本体589の内部チャンバ588内へのプランジャ584の並進運動により、そこに格納される流体媒体がバイアル本体589から外へ送られることになる。本明細書により詳細に説明されるように、バイアル本体589の内部チャンバ588を通じたプランジャ584の並進運動により、バイアル本体589内に格納される流体媒体をバイアルアセンブリ580から外への投与できるようになっている。バイアル本体589は、例えば、熱可塑性ポリマー、コポリエステル、ポリカーボネート、生体適合性プラスチック、ポリスルホン、セラミック、金属、および/または同様のものを含む、様々な材料で形成され得る。
【0040】
[0075]本例のバイアル本体589は、バイアル本体589の内部チャンバ588内に格納される流体媒体からの放射線放出を抑制するように構成される材料で形成される。例えば、バイアル本体589は、ポリカーボネートなどのプラスチックで形成され得、また、およそ9ミリメートル(mm)の幅を有し得る。バイアル本体589の密度と材料組成との組み合わせにより、内部チャンバ588内に格納される電子粒子からのベータ放射線放出を抑制できるようになっている。本例では、バイアル本体589のプラスチックの化学組成は、9mmの壁厚との組み合わせで、バイアル本体589内に配設される複数の原子を設けるものであり、そのような複数の原子は、電子を発生するベータ放射線に対処し、バイアルアセンブリ580からの上記放射線の放出を低減することができるものである。したがって、バイアルアセンブリ580は、オペレータが、ベータ放射線に曝露されることなく、バイアル本体589内に格納される放射性物質を取り扱うことを可能にする。他の実施形態では、様々な他の材料および/または壁区域が、本開示の範囲から逸脱することなく、バイアルアセンブリ580のバイアル本体589内に組み込まれ得るということを理解されたい。
【0041】
[0076]依然として図3を参照すると、バイアルアセンブリ580のバイアル本体589は、係止特徴部586によって第1の終端598において密閉される。バイアルアセンブリ580は、係止特徴部586の反対側のバイアル本体589の対向する終端に位置付けられるキャップ590をさらに含み、その結果として、キャップ590が、バイアルアセンブリ580のバイアル本体589の第2の終端を密閉する。追加的に、バイアルアセンブリ580はセプタム592を含む、セプタム592はキャップ590に隣接して位置付けられ、かつ係止特徴部586の反対側のバイアル本体589の終端と流体連通している。セプタム592は、バイアル本体589の終端に対してシールを形成し、キャップ590が、セプタム592を中に保持する。セプタム592は、例えば、エラストマ、シリコーン、ブロモブチルエラストマ、ゴム、ウレタン、および/または同様のものを含む、様々な材料で形成され得る。セプタム592は、バイアル本体589のための気密シールを提供し、それにより、中に格納された流体媒体(例えば、放射線塞栓ビーズ)の放出を抑制するように構成される。本明細書により詳細に説明されるように、バイアルアセンブリ580のセプタム592は、バイアルアセンブリ580がバイアルチャンバ558内に受容されるときに摺動体540の針559によって穿刺され、それにより、バイアル本体589と摺動体540との間の流体連通を確立するように構成される。他の実施形態において、セプタム592の代わりに、例えば、弁システム、針注入ポート、および/または同様のものなど、代替のデバイスを使用することもできる。
【0042】
[0077]図4を参照すると、バイアルアセンブリ580は、係合ヘッド582の反対側のプランジャ584の終端に固定的に結合されるストッパ594をさらに含む。この場合、プランジャ584がバイアル本体589の内部チャンバ588に結合され、またそれを通って摺動自在に並進可能であるため、ストッパ594は、バイアル本体589内で効果的に配設される。したがって、ストッパ594は、バイアル本体589の内部チャンバ588のサイズ(例えば、直径)に従ってサイズ決定および成形されるということを理解されたい。ストッパ594はプランジャ584に固定されており、ストッパ594が、バイアル本体589を通るプランジャ584の並進運動に応答して、バイアル本体589を通って摺動自在に並進可能になっている。ストッパ594は、外向きに横方向に延在する2つ以上のリブ593と、少なくとも2つのリブ593の間に画定される1つまたは複数のくぼみ595と、によって画定される。
【0043】
[0078]ストッパ594は、バイアル本体589の内部チャンバ588に対する液密シールを形成するように構成され、既定の粘弾性を有する様々なポリマーで形成される。例えば、いくつかの実施形態において、ストッパ594は、エラストマ、シリコーン、ゴム、ウレタン、プラスチック、ポリエチレン、ポリプロピレン、および/または同様のもので形成される。この場合、ストッパ594は、バイアル本体589内に格納された流体媒体が、ストッパ594を過ぎてバイアル本体589の外へ拡散する(すなわち、漏出する)ことを抑制するように動作可能である。特に、ストッパ594の2つ以上のリブ593は、バイアル本体589の内部チャンバ588に当接し、かつこれに沿ってシールを形成し、それにより、流体媒体がリブ593を越えることを抑制する。ストッパ594の2つ以上のリブ593の間に形成される1つまたは複数のくぼみ595は、ストッパ594のリブ593を不用意に越えて拡散(すなわち、漏出)し得るいかなる流体媒体も受容するように、より具体的には、捕捉するように構成される。したがって、1つまたは複数のくぼみ595は、流体媒体が、バイアル本体589内に維持され、バイアルアセンブリ580を越えて曝露されないことを確実にするために、バイアルアセンブリ580の安全機構としての役割を果たす。
【0044】
[0079]依然として図4を参照すると、ストッパ594の2つ以上のリブ593は、追加的に、プランジャ584の並進運動に応答して、バイアル本体589内に格納された流体媒体をバイアル本体589内で1つまたは複数の方向に(例えば、キャップ590の方へ)押圧ように構成される。ストッパ594のリブ593がバイアル本体589の内部チャンバ588に対して押圧された状態で、プランジャ584の並進運動が、バイアル本体589の内部チャンバ588に対する、またこれに沿った、リブ593の並進運動をもたらし、その結果として、ストッパ594の前(すなわち、下)に位置するいかなる流体媒体も、プランジャ584およびストッパ594の進行の方向に、バイアル本体589内で効果的に再び向けられる。バイアルアセンブリ580は、バイアル本体589内に配設される環状座金596をさらに含む。特に、環状座金596は、ストッパ594に隣接してプランジャ584にしっかりと固定され、このストッパ594は、係合ヘッド582の反対側の終端においてプランジャ584に固着される。したがって、環状座金596は、プランジャ584に固着され、ストッパ594に隣接してバイアル本体589内に配設される。環状座金596がストッパ594に隣接してプランジャ584に固着されているため、環状座金596は、バイアル本体589内に効果的に配設される。
【0045】
[0080]これより図5を参照すると、バッテリ572が十分な量の電力を含むこと、または他の電源がこれを提供することを決定することに応答して、1つまたは複数の送達管路が、1つまたは複数のポート556を介して摺動部アセンブリ540に結合される。特に、用量送達管路10Aは、送達ポート556Aにおいて摺動体540に結合され、造影剤導管10Bは、造影剤ポート556Bにおいて摺動体540に結合され、フラッシング導管10Cは、フラッシングポート556Cにおいて摺動体540に結合される。用量送達管路10Aの反対端は、最初、例えば、回収ボウルなどの流体リザーバに結合される。本明細書により詳細に説明されるように、一旦摺動体540が造影剤導管10Bを介して流体媒体によって効果的にプライムされると、用量送達管路10Aは、続いて、カテーテルなどの外部デバイスに結合され得る。フラッシング導管10Cの反対端は、例えば、注射器などの外部デバイスに結合される。用量送達管路10Aおよびフラッシング導管10Cの両方が摺動体540に結合された状態で、摺動体540は、フラッシング導管10Cに結合された注射器からの流体媒体(例えば、生理食塩水)でフラッシングされる。この場合、流体媒体は、フラッシング導管10Cを通って、摺動体540の遠位マニホールド555A内へ注入されて、用量送達管路10Aを通って摺動体540の外へ出る。したがって、流体媒体は、最終的には、用量送達管路10Aによって、回収ボウルに受容され、またそこに配置(または、そこで処理)される。
【0046】
[0081]摺動体540の遠位マニホールド555Aが、近位マニホールド555Bから、それらの間に配設される一方向弁553によって分離されているため、注射器から(フラッシングポート556Cを介して)遠位マニホールド555Aを通ってフラッシングされる流体媒体は、近位マニホールド555Bおよびそこに結合される針559を通過することを防がれる。むしろ、注射器からフラッシング導管10Cを通って注入される流体媒体は、フラッシングポート556Cにおいて受容され、フラッシングポート556Cと流体連通している遠位マニホールド555Aに通され、一方向弁553によって、用量送達管路10Aに結合される用量送達ポート556Aの方へ再び誘導される。この場合、用量送達管路10Aは、流体媒体を受容して、そこに結合された回収ボウルへ輸送し、その結果として、流体媒体は、一方向弁553を越えて、および針559と流体連通している近位マニホールド555B内へは、向けられない。
【0047】
[0082]造影剤導管10Bは、造影剤ポート556Bにおいて摺動体540に結合される。造影剤導管10Bの反対端は、例えば、装着デバイス538によりコンソールアセンブリ510に固着されるバッグなど、流体媒体供給部に結合される。本例では、バッグは、生理食塩水バッグであり、そのため、そこに格納される流体媒体は、生理食塩水である。この場合、プライミングアセンブリ560を含む摺動体540がバイアルチャンバ558内に位置付けられ、針端部568が針559と流体連通している状態で、注射器は、プライミングアセンブリ560のプライミング導管562に流体的に結合され、注射器のプランジャは引き戻され、それによって、生理食塩水バッグから、造影剤導管10B、造影剤ポート556B、摺動体540、プライミング導管562を通じて、注射器内へと生理食塩水を引き入れる。注射器のプランジャは、その後、内向きに押されて、引き入れた生理食塩水を、プライミング導管562、中央本体部564、細長シャフト566、およびプライミングアセンブリ560の針端部を通じて反対方向に送り、その結果として、生理食塩水は、摺動体540の針559内へ受容される。したがって、摺動体540のマニホールド555A、555Bは、プライミングアセンブリ560から生理食塩水を受容した針559がマニホールド555A、555Bと流体連通しているため、注射器からの生理食塩水で効果的にプライムされる。マニホールド555A、555Bが送達ポート556Aを介して用量送達管路10Aとさらに流体連通しているため、生理食塩水は、用量送達管路10Aに結合された回収ボウルに効果的に供給される。
【0048】
[0083]これより図5を参照すると、摺動体540は、1つまたは複数のポート556を介して1つまたは複数の外部デバイスに結合される。特に、摺動体540は、摺動体540の送達ポート556Aに結合される用量送達管路10Aを介してカテーテル(例えば、マイクロカテーテル)に流体的に結合される。この場合、カテーテルは、用量送達管路10Aを介して摺動体540と流体連通している。さらに、ステップ718において、摺動体540は、例えば、装着デバイス538(図1を参照されたい)を介してコンソールアセンブリ510に固着される生理食塩水バッグなど、造影剤源に流体的に結合される。摺動体540は、摺動体540の造影剤ポート556Bに結合される造影剤導管10Bを介して生理食塩水バッグと流体連通している。この場合、生理食塩水バッグは、造影剤ポート556Bに固着される造影剤導管10Bを介して摺動体540と流体連通している。
【0049】
[0084]造影剤ポート556Bは、近位マニホールド555Bと流体連通している一方、送達ポート556Aは、遠位マニホールド555Aと流体連通している。本明細書により詳細に説明されるように、造影剤ポート556Bが、近位マニホールド555Bから間に配設される一方向逆止弁553によって分離される遠位マニホールド555Aではなく、近位マニホールド555Bに結合されるため、生理食塩水バッグからの生理食塩水は、摺動体540の針559を通って、バイアルアセンブリ580のバイアル本体589内へ引き出され得る。
【0050】
[0085]これより図6を参照すると、バイアルアセンブリ580は、摺動部アセンブリ540内へ摺動自在に挿入される。バイアルアセンブリ580のキャップ590は、摺動体540の上表面548における係止システム550によって画定されるアパーチャを通じて挿入され、バイアルアセンブリ580は、そこを通じて、係止特徴部586が係止システム550に接触するまで徐々に挿入される。
【0051】
[0086]これより図7Aを参照すると、バイアルアセンブリ580は、バイアルアセンブリ580内に配設されるものとして図示されており、特に、バイアル本体589は、針559に近接して位置付けられるキャップ590と共にバイアルチャンバ558内に挿入される。この場合、係止特徴部586の側縁587は、係止システム550の環状配置の突起551の第1の列に接触または当接する。摺動体540内へのバイアルアセンブリ580の継続した前進は、第1の列に沿って位置付けられた環状配置の突起551を、側縁587によってそこに生成される力の印加に応答して、外側に曲げる。言い換えると、係止特徴部586の側縁587は、バイアルアセンブリ580がバイアルチャンバ558内に受容されることに応答して、環状配置の突起551を外側へ押圧する。
【0052】
[0087]係止システム550の環状配置の突起551が、その中に配設される側縁587に対して外側に曲がると、バイアルチャンバ558内へのバイアルアセンブリ580の継続した並進運動は、係止特徴部586の側縁587を環状配置の突起551の第1の列を越えて前進させ、その結果として、側縁587からそこへの印加された力が除去される。この場合、第1の列に沿った環状配置の突起551は、内側に曲がって初期位置へと戻ることが可能になり、側縁587が突起551の第1の列の下に位置付けられた状態にある。いくつかの実施形態において、側縁587が環状配置の突起551を通って延長されると、環状配置の突起551によってフィードバックが生成され(例えば、可聴クリック音)、それにより、バイアルアセンブリ580が係止システム550と係合されることをオペレータに示す。したがって、突起551の第1の列が係止特徴部586の側縁587を覆って位置付けられた状態で、係止システム550は、突起551の第1の列によって形成される障害物に起因により、摺動体540のバイアルチャンバ558からのバイアルアセンブリ580が引き抜かれることを防止する。この場合、針559は、キャップ590に対して位置付けられ、および/またはキャップ590を通って受容されるが、セプタム592とは接触していない。
【0053】
[0088]これより図7Bを参照すると、摺動体540のバイアルチャンバ558内へのバイアルアセンブリ580の継続した並進運動により、係止特徴部586の側縁587と係止システム550とがその後の係合することになる。特に、側縁587は、係止システム550の環状配置の突起551の第2の列に接合する。摺動体540内へのバイアルアセンブリ580の継続した前進により、第2の列に沿って位置付けられた突起551が、側縁587によってそこに生成される力の印加に応答して、外側に曲がる。側縁587が突起551を過ぎて前進すると、側縁587は、係止特徴部586の側縁587が突起551の第2の列を超えて前進して係止位置Lを達成するまで突起551を外側に押圧する(図12D)。
【0054】
[0089]この場合、側縁587からの印加された力は除去され、第2の列に沿った環状配置の突起551は、内側に曲がって初期位置へと戻ることが可能になり、側縁587が突起551の第2の列の下に位置付けられた状態にある。したがって、突起551の第2の列が係止特徴部586の側縁587を覆って位置付けられるため、係止システム550は、突起551の第2の列によって形成される障害物に起因して、摺動体540のバイアルチャンバ558からバイアルアセンブリ580が引き出されることを防止する。この場合、係止位置Lにおいて、針559は、キャップ590およびセプタム592に対して位置付けられ、かつこれらを通って受容される。より詳細には、針559は、バイアルアセンブリ580のセプタム592を穿刺し、その結果として、摺動体540は、針559を通じてバイアルアセンブリ580のバイアル本体589と流体連通している。
【0055】
[0090]これより図1および図8を参照すると、バイアルアセンブリ580が摺動体540にしっかりと結合された状態で、摺動体540は、摺動体540の近位端542をコンソールアセンブリ510の遠位端516の方へ、またその中へ並進させることによって、コンソールアセンブリ510に結合される。特に、摺動体540の近位端542は、摺動体540の位置決めリブ554をコンソールアセンブリ510の位置決め部534と位置合わせすることによって、コンソールアセンブリ510の摺動空間532内へ向けられる。一旦、摺動体540の遠位端544および近位端542がコンソールアセンブリ510の摺動空間532内に完全に密閉されると、取り外し可能なバッテリパック570の電気接点574(図2)は、コンソールアセンブリ510の対応する電気接点511(図1)と相互作用する。この場合、バッテリ572からの電力は、電気接点574を介してコンソールアセンブリ510に伝送され、それにより、送達デバイス500のコンソールアセンブリ510が作動する。この場合、コンソールアセンブリ510のインターフェースディスプレイ530が作動して、手技中、送達デバイス500に関する適切なリアルタイム情報を表示する。
【0056】
[0091]図8に戻って参照すると、摺動体540の遠位端544が摺動空間532内に完全に密閉され、バイアル係合機構520が下方位置まで並進された状態で、一対のレバーアーム522が、バイアルアセンブリ580の安全タブ585に係合し、それにより、安全タブ585をプランジャ584から切り離す。言い換えると、摺動体540が、近位端542においてハンドル552に沿って印加される力に応答して摺動空間532内へ並進されると、バイアル係合機構520のレバーアーム522の位置は、バイアルアセンブリ580の安全タブ585と合わせられ、またこれに接合する。したがって、摺動空間532内への摺動体540の継続した並進運動は、一対のレバーアーム522によるプランジャ584からの安全タブ585の離脱をもたらす。この場合、バイアルアセンブリ580のプランジャ584は、そこに結合されるバイアル係合機構520の作動に応答してバイアル本体589の内部チャンバ588内および/また外へ並進することを妨げられない。
【0057】
[0092]これより図9を参照すると、コンソールアセンブリ510のハンドル528が作動され(例えば、相対的に下方に並進され)、それにより、バイアル収容領域518内のバイアル係合機構520を、摺動空間532およびそこに受容される摺動体540から離れる方へ遠位に動かす(例えば、直線的に並進させる)。この場合、バイアル係合機構520の一対のレバーアーム522がバイアルアセンブリ580のプランジャ584の周りに位置付けられているため、ネック524および一対のレバーアーム522の並進運動は、一対のレバーアーム522を、係合ヘッド582、および特に一対のアーム581の下端部に係合させる。安全タブ585の取り外しにより、プランジャ584は、バイアル係合機構520の並進運動に応答して、上方に、およびバイアルアセンブリ580のバイアル本体589から外へ並進するように動作可能である。したがって、プランジャ584は、ハンドル528の作動に応答して、係合ヘッド582の一対のアーム581が一対のレバーアーム522によって上方に引っ張られることに起因して、バイアル係合機構520の並進運動と同時に上方に並進する。
【0058】
[0093]この場合、バイアル係合機構520の一対のレバーアーム522は、係合ヘッド582の一対のアーム581にしっかりと結合されない。むしろ、一対のレバーアーム522は、単に一対のアーム581の下に位置付けられ、その結果として、バイアル係合機構520のネック524の並進運動により、一対のレバーアーム522が一対のアーム581に当接し、またこれを上方に引っ張ることを引き起こす。バイアル係合機構520が、バイアルアセンブリ580のプランジャ584をバイアル収容領域518内で相対的に上方に引っ張るとき、係止システム550の環状配置の突起551は、摺動体540のバイアルチャンバ558からのバイアルアセンブリ580、および特にバイアル本体589の運動および/または上方の並進運動を抑制するということを理解されたい。加えて、バイアル係合機構520が、摺動体540内に格納されたバイアルアセンブリ580をバイアル収容領域518内で相対的に上方に引っ張るとき、コンソールアセンブリ510の位置決め部534は、コンソールアセンブリ510の摺動空間532からの摺動体540の運動および/または上方の並進運動を抑制するということをさらに理解されたい。
【0059】
[0094]依然として図9を参照すると、コンソールアセンブリ510のハンドル528の継続した作動により、環状座金596が係止特徴部586の位置に来る(図4を参照されたい)まで、バイアル係合機構520の、および結果としてプランジャ584の、継続した並進運動をもたらす。この場合、環状座金596は、コンソールアセンブリ510のハンドル528の継続した作動にもかかわらず、プランジャ584がバイアル本体589に対してさらに並進することを防止する。バイアルアセンブリ580の環状座金596が係止特徴部586に当接し、それによりプランジャ584がバイアル本体589の内部チャンバ588(および係止システム550によって形成されるアパーチャ)から外へさらに並進することを抑制している状態で、ハンドル528を継続して作動させると、係合ヘッド582の一対のアーム581がプランジャ584に対して外側に曲がる。これは、バイアル係合機構520が上方に並進し、プランジャ584がさらに動くことを抑制されることに応答して、そこに一対のレバーアーム522によって印加される上方の力に起因するものである。
【0060】
[0095]言い換えると、一対のレバーアーム522が係合ヘッド582の一対のアーム581に対して圧迫された状態で、バイアル係合機構520のネック524の継続した並進運動は、一対のレバーアーム522を上方に並進させ、それにより係合ヘッド582の一対のアーム581に対して力を印加する。係合ヘッド582が、プランジャ584と一体的に形成されており、プランジャ584が、環状座金596と係止特徴部586との間に形成される障害物に起因してバイアル本体589に対してさらに並進することが抑制されるため、係合ヘッド582の一対のアーム581は、一対のレバーアーム522の上方並進運動を受け入れるように外側に拡張するように柔軟に変形される。その結果、バイアル係合機構520の一対のレバーアーム522は、スナップ式係合により係合ヘッド582の一対のアーム581にしっかりと結合され、それによりバイアル係合機構520をバイアルアセンブリ580に係止する。
【0061】
[0096]再び図5を参照すると、バイアル係合機構520およびプランジャ584がバイアル収容領域518内で同時に並進されると、ストッパ594の引き込みに起因して、バイアル本体589の内部チャンバ588内に負圧が発生する。この場合、生理食塩水バッグが造影剤導管10Bおよび造影剤ポート556Bを介して摺動体540に結合された状態で、生理食塩水バッグからの生理食塩水は、近位マニホールド555Bおよび針559を通って、バイアル本体589の内部チャンバ588内へ引き込まれる。したがって、バイアル本体589に放射性流体媒体(例えば、放射線塞栓ミクロスフェア)が予め充填されている場合、生理食塩水は、プランジャ584が内部チャンバ588から引き込まれ、負圧が送達デバイス500を通じて発生すると、バイアル本体589内の放射性流体媒体と効果的に混合される。
【0062】
[0097]これより図10を参照すると、反対方向におけるハンドル528の作動(例えば、基部512に対して下方に並進および/または枢動される)は、バイアル係合機構520の同時運動(例えば、直線並進運動)をもたらす。この場合、ネック524は、摺動空間532の方へ下方に並進し、それにより、係合ヘッド582の一対のアーム581とバイアル係合機構520の一対のレバーアーム522とのしっかりとした係合に起因して、プランジャ584をバイアル本体589内へ並進させる。ストッパ594がバイアル本体589内に移動可能に配設されるため、プランジャ584の並進運動は、バイアル本体589を通るストッパ594の同時並進運動を引き起こし、それによりその中に正圧を発生させる。その結果、内部チャンバ588内に格納される生理食塩水および放射性流体媒体混合物の用量が、針559を通じて、および近位マニホールド555B内へ、バイアル本体589の外に輸送される。一方向逆止弁553が近位マニホールド555Bから遠位マニホールド555Aへの流体連通を可能にするように構成されるため、この用量は、そこを通って、および用量送達ポート556Aを介して用量送達管路10A内へ送達される。
【0063】
[0098]図5に戻って参照すると、摺動体540は、造影剤導管10Bおよびフラッシング導管10Cに沿って一方向逆止弁553Aをさらに含む。特に、一方向逆止弁553Aは、造影剤ポート556Bおよびフラッシングポート556Cからマニホールド555A、555B内への流体連通を可能にするように構成され、マニホールド555A、555Bから造影剤ポート556Bおよびフラッシングポート556Cへの流体連通を防ぐようにさらに構成される。したがって、バイアル本体589からマニホールド555A、555Bへ送達される用量を造影剤導管10Bまたはフラッシング導管10C内へ向けることは、その中に位置付けられる一方向逆止弁553Aがあるため、不可能であるということを理解されたい。このように、用量は、用量送達ポート556Aへ向けられ、用量送達管路10Aによって流体的に結合されたカテーテルにおいて受容される。言い換えると、一方向逆止弁553Aは、摺動体540および/またはそこに結合されるバイアルアセンブリ580内への流体の逆流を防ぐ。
II.バイアルアセンブリ実施形態
[0099]上に簡単に記述されるように、本明細書に説明される送達デバイス500は、バイアルアセンブリ580を含み得、その実施形態は、図11A図17に関して下により詳細に説明される。図11Aを参照すると、バイアル600が示される。バイアルは、遠位端604と近位端606との間に配設されるバイアル本体602を含む。遠位端604は、アパーチャ609を画定する上部遠位面608を含む。
【0064】
[00100]図11Bを参照すると、近位端606は、下部近位面610を含む。バイアル本体602は、遠位端604と近位端606との間に配設される長さ612を含む。実施形態において、長さ612は、8.3693cm(3.295インチ)である。
【0065】
[00101]さらに、遠位端604は、リップのリップ厚614および縁厚616を含む。縁厚616を有する遠位端604の近位縁の図11C内の詳細図に示されるように、近位縁の下の湾曲レッジは、曲率半径618を含む。実施形態において、上部遠位面608から延在するリップ縁は、45度の角度で延在してリップに到達し得、リップ厚614は、0.09906cm(0.039インチ)であり得、湾曲レッジの曲率半径618は、0.0508cm(0.020インチ)であり得る。図11Dを参照すると、上部遠位面608を含む遠位端604は、直径620を含む。実施形態において、直径620は、3.29946cm(1.299インチ)であり得る。
【0066】
[00102]図12Aを参照すると、図11Bのバイアル600の線12A-12Aに沿って取られた、図11Aのバイアル600の実施形態の断面図が、バイアル600Aとして示される。バイアル600Aは、遠位端604に沿った遠位側壁622および近位端606に沿った近位側壁624を含む。近位側壁624は、例えば、セプタム592を近位端606においてバイアル600Aに保持するために留め具を受容するように構成される1つまたは複数の留め具機構626としてアパーチャを画定する。遠位側壁622は、バイアル600Aの内側の微粒子領域628を画定する。近位側壁624は、バイアル600Aの内側のネック領域630Aおよびセプタム領域632を画定する。セプタム領域632は、セプタム592を保持するように構成される。
【0067】
[00103]微粒子領域628は、バイアル600Aの長手方向軸636と共同整列される微粒子領域長さ634を有する。微粒子領域628およびネック領域630Aは、長手方向軸636に対して角度638で角度付けされる接続壁を介して接続される。接続壁の第1の遠位部分は、曲率半径640を有し、接続壁の第2のより遠位の部分は、曲率半径642Aを有する。実施形態において、微粒子領域長さ634は、7.33044cm(2.886インチ)であり、角度638は、63度であり、曲率半径640は、0.254cm(0.10インチ)であり、曲率半径642Aは、0.2032cm(0.08インチ)である。上部遠位面608のアパーチャ609は、プラスマイナス約0.00508cm(0.002インチ)の範囲で1.44272cm(0.568インチ)の直径を有し得る。
【0068】
[00104]図12Bにおいて、バイアル600Aのネック領域630Aがより詳細に示される。ネック領域630Aは、直径644Aを含む。セプタム領域632は、内径646A、外径648、セプタム領域厚650、セプタム領域曲率半径652を含む。実施形態において、ネック領域630Aの直径644Aは、0.508cm(0.200インチ)であり、セプタム領域632の内径646Aは、0.67056cm(0.264インチ)であり、セプタム領域632の外径648は、1.4224cm(0.560インチ)である。セプタム領域厚650は、プラスマイナス0.00508cm(0.002インチ)の範囲で0.0889cm(0.035インチ)であり得る。曲率半径652は、0.0254cm(0.01インチ)であり得る。
【0069】
[00105]図12B内のセプタム領域632のさらなる詳細図は、セプタム領域632内にセプタム592への緩衝を提供するように構成されるセプタム緩衝領域を示す。セプタム緩衝領域は、第1の緩衝壁と第2の緩衝壁との間の接続緩衝壁の緩衝厚654、および接続緩衝壁の緩衝角度656を含む。実施形態において、緩衝厚654は、0.0127cm(0.005インチ)であり得、緩衝角度656は、30度であり得る。
【0070】
[00106]図12Cを参照すると、近位面610を含むバイアル600Aの近位端606の下部近位図が示される。近位面610は、留め具間隔直径658を画定する。実施形態において、留め具間隔直径658は、2.38506cm(0.939インチ)であり得、近位面610によって画定される貫通穴は、ネック領域630Aの直径644Aに一致するように0.508cm(0.200インチ)であり、1つまたは複数の留め具機構626のうちの4つは、近位面610の周りに等間隔にされ得、#6-32 UNC 2bのタイプのねじであり得る。本明細書内のこのおよび他の実施形態において、使用のための留め具の他のタイプまたは当業者に理解されるような留め具機構626が本開示の範囲内であることが企図される。
【0071】
[00107]図12Dを参照すると、バイアルアセンブリ580Aの実施形態が、図12Aのバイアル600A、第1の位置P1においてバイアル600Aのネック領域630A内に配設される針559、バイアル600A内の混合流体662を含んで示される。本明細書に説明されるバイアル600のこのおよび他の実施形態における針559は、バイアル600A内の微粒子660と混合して、微粒子領域628およびネック領域630A内で混合流体662を生成するために生理食塩水などの流体を注入するように構成される少なくとも1つのポート561を含む。図12Dに示される微粒子660および本明細書において混合流体662と共に示される同様のバイアルアセンブリ実施形態は、混合流体662を生成するための注入流体との混合後の、微粒子660の懸濁を表すものである。微粒子660は、例えば、放射線塞栓療法のための放射性スフィアまたは化学塞栓療法のための化学塞栓療法スフィアとして使用され得る。下に説明される図15A図15Cのバイアル600Dに関しては示されないが、図12D図12Fに示されるものなどのバイアル600内の針599の位置のいずれかは、図13Aのバイアル600B、図14Aおよび図14Dの600C、図14Eの600C1、ならびに図15Aの600Dなど、本明細書に説明されるバイアル600のうちのいずれかと一緒に使用され得るこということを理解されたい。少なくとも1つのポート561は、本明細書に説明されるような治療のために送達すべき混合流体662を受容するようにさらに構成される。第1の位置P1において、針559は、少なくとも1つの針ポート561がネック領域630の側壁を向いた状態で、ネック領域630A内に中央に配設される。
【0072】
[00108]図12Eは、針599が第2の位置P2においてバイアル600Aのネック領域630A内に配設された状態のバイアルアセンブリ580Aを示す。第2の位置P2において、針559は、少なくとも1つのポート561が針559から離れた第2の側壁に面した状態で、ネック領域630の第1の側壁により近く第2の側壁から離れた第1の側に向かって付勢される。付勢を画定するための第1の側壁に近い第1の側と針との間の間隙距離は、例えば、0.5mmであり得る。
【0073】
[00109]図12Fは、針599が第3の位置P3においてバイアル600Aのネック領域630内に配設された状態のバイアルアセンブリ580Aを示す。第3の位置P3において、針559は、少なくとも1つのポート561が針559により近い第1の側壁に面し、第2の側壁と反対の側を向いた状態で、ネック領域630の第1の側壁により近く第2の側壁から離れた第1の側に向かって付勢される。本明細書に説明されるようなバイアル600の実施形態のいずれかにおけるネック領域630の側壁近くの少なくとも1つの針ポート561の配置は、乱流および効率的な混合を可能にするように構成される。付勢を画定するための第1の側壁に近い第1の側と針との間の間隙距離は、例えば、0.5mmであり得る。図12D図12Fの各々におけるバイアル600A内の混合流体662は、3秒の時間値において混合流体662であり得る。
【0074】
[00110]図13Aを参照すると、図11Bのバイアル600の線12A-12Aに沿って取られた、図11Aのバイアル600の別の実施形態の断面図が、バイアル600Bとして示される。バイアル600Bは、遠位端604に沿った遠位側壁622および近位端606に沿った近位側壁624を含む。近位側壁624は、例えば、セプタム592を近位端606においてバイアル600Bに保持するために留め具を受容するように構成される1つまたは複数の留め具機構626としてアパーチャを画定する。遠位側壁622は、バイアル600Bの内側の微粒子領域628を画定する。近位側壁624は、バイアル600Bの内側のネック領域630Bおよびセプタム領域632を画定する。セプタム領域632は、セプタム592を保持するように構成される。
【0075】
[00111]微粒子領域628は、バイアル600Bの長手方向軸636と共同整列される微粒子領域長さ634を有する。微粒子領域628およびネック領域630Bは、長手方向軸636に対して角度638で角度付けされる接続壁を介して接続される。接続壁の第1の遠位部分は、曲率半径640を有し、接続壁の第2のより遠位の部分は、曲率半径642Bを有する。実施形態において、微粒子領域長さ634は、7.33044cm(2.886インチ)であり、角度638は、63度であり、曲率半径640は、0.254cm(0.10インチ)であり、曲率半径642Aは、0.381cm(0.15インチ)である。上部遠位面608のアパーチャ609は、プラスマイナス約0.00508cm(0.002インチ)の範囲で1.44272cm(0.568インチ)の直径を有し得る。
【0076】
[00112]図13Bにおいて、バイアル600Bのネック領域630Bがより詳細に示される。ネック領域630Bは、直径644Bを含む。セプタム領域632は、内径646B、外径648、セプタム領域厚650、セプタム領域曲率半径652を含む。実施形態において、ネック領域630Bの直径644Bは、0.29972cm(0.118インチ)であり、セプタム領域632の内径646Bは、0.46228cm(0.182インチ)であり、セプタム領域632の外径648は、1.4224cm(0.560インチ)である。セプタム領域厚650は、プラスマイナス0.00508cm(0.002インチ)の範囲で0.0889cm(0.035インチ)であり得る。曲率半径652は、0.0254cm(0.01インチ)であり得る。
【0077】
[00113]図13B内のセプタム領域632のさらなる詳細図は、セプタム領域632内にセプタム592への緩衝を提供するように構成されるセプタム緩衝領域を示す。セプタム緩衝領域は、第1の緩衝壁と第2の緩衝壁との間の接続緩衝壁の緩衝厚654、および接続緩衝壁の緩衝角度656を含む。実施形態において、緩衝厚654は、0.0127cm(0.005インチ)であり得、緩衝角度656は、30度であり得る。
【0078】
[00114]図13Cを参照すると、近位面610を含むバイアル600Bの近位端606の下部近位図が示される。近位面610は、留め具間隔直径658を画定する。実施形態において、留め具間隔直径658は、2.38506cm(0.939インチ)であり得、近位面610によって画定される貫通穴は、ネック領域630Bの直径644Bに一致するように0.29972cm(0.118インチ)であり、1つまたは複数の留め具機構626のうちの4つは、近位面610の周りに等間隔にされ得、#6-32 UNC 2bのタイプのねじであり得る。
【0079】
[00115]図13Dを参照すると、バイアルアセンブリ580の実施形態が、図13Aのバイアル600B、第1の位置P1においてバイアル600Bのネック領域630B内に配設される針559、バイアル600B内の混合流体662を含んで示される。実施形態において、円筒であるネック領域630Bは、針559の直径に近く、これよりわずかに大きい直径を有するように構成され得る。バイアル600B内の混合流体662は、3秒の時間値において混合流体662であり得る。
【0080】
[00116]図14Aを参照すると、図11Bのバイアル600の線12A-12Aに沿って取られた、図11Aのバイアル600の実施形態の断面図が、バイアル600Cとして示される。バイアル600Cは、遠位端604に沿った遠位側壁622および近位端606に沿った近位側壁624を含む。近位側壁624は、例えば、セプタム592を近位端606においてバイアル600Cに保持するために留め具を受容するように構成される1つまたは複数の留め具機構626としてアパーチャを画定する。遠位側壁622は、バイアル600Cの内側の微粒子領域628を画定する。近位側壁624は、バイアル600Cの内側の、円錐形状を含むネック領域630D、およびセプタム領域632を画定する。セプタム領域632は、セプタム592を保持するように構成される。
【0081】
[00117]微粒子領域628は、バイアル600Cの長手方向軸636と共同整列される微粒子領域長さ634を有する。微粒子領域628およびネック領域630Cは、長手方向軸636に対して角度638で角度付けされる接続壁を介して接続される。接続壁の第1の遠位部分は、曲率半径640を有し、接続壁の第2のより遠位の部分は、曲率半径642Cを有する。実施形態において、微粒子領域長さ634は、7.33044cm(2.886インチ)であり、角度638は、63度であり、曲率半径640は、0.254cm(0.10インチ)であり、曲率半径642Cは、0.1524cm(0.06インチ)である。上部遠位面608のアパーチャ609は、プラスマイナス約0.00508cm(0.002インチ)の範囲で1.44272cm(0.568インチ)の直径を有し得る。
【0082】
[00118]図14Bにおいて、バイアル600Cのネック領域630Cがより詳細に示される。ネック領域630Cは、直径644Cおよび遠位円錐直径670を含み、遠位円錐直径670から、テーパ状(換言すれば、先細り)の遷移(換言すれば、移行)壁672が、長手方向軸636に対して角度674でテーパ状になるように近位に延在する。セプタム領域632は、内径646C、外径648、セプタム領域厚650、およびセプタム領域曲率半径652を含む。実施形態において、ネック領域630Cの直径644Cは、0.508cm(0.200インチ)であり、セプタム領域632の内径646Cは、0.82296cm(0.324インチ)であり、セプタム領域632の外径648は、1.4224cm(0.560インチ)である。セプタム領域厚650は、プラスマイナス0.00508cm(0.002インチ)の範囲で0.0889cm(0.035インチ)であり得る。曲率半径652は、0.0254cm(0.01インチ)であり得る。遠位円錐直径670は、0.62992cm(0.248インチ)であり得、テーパ状の遷移壁672は、0.0508cm(0.02インチ)の遠位曲率半径を有し得、角度674は、10度であり得る。テーパ状の遷移壁672の遠位部分と近位部分との間の長さ676は、0.67564cm(0.266インチ)であり得る。
【0083】
[00119]図14Cを参照すると、近位面610を含むバイアル600Cの近位端606の下部近位図が示される。近位面610は、留め具間隔直径658を画定する。実施形態において、留め具間隔直径658は、2.38506cm(0.939インチ)であり得、近位面610によって画定される貫通穴は、ネック領域630Cの直径644Cに一致するように0.508cm(0.200インチ)であり、1つまたは複数の留め具機構626のうちの4つは、近位面610の周りに等間隔にされ得、#6-32 UNC 2bのタイプのねじであり得る。
【0084】
[00120]図14Dを参照すると、バイアルアセンブリ580の実施形態が、図12Aのバイアル600C、第1の位置P1においてバイアル600Cのネック領域630C内に配設される針559、およびバイアル600C内の混合流体662を含んで示される。バイアル600C内の混合流体662は、3秒の時間値において混合流体662であり得る。
【0085】
[00121]図14Eを参照すると、バイアルアセンブリ580の別の実施形態が、ネック領域630C1のための異なる円錐形状を有するバイアル600C1を含んで示される。針559は、第1の位置P1においてバイアル600C1のネック領域630C1内に配設され、混合流体662は、バイアル600C1内に示される。バイアル600C1内の混合流体662は、3秒の時間値において混合流体662であり得る。
【0086】
[00122]図15Aを参照すると、図11Bのバイアル600の線12A-12Aに沿って取られた、図11Aのバイアル600の実施形態の断面図が、バイアル600Dとして示される。バイアル600Dは、遠位端604に沿った遠位側壁622および近位端606に沿った近位側壁624を含む。近位側壁624は、例えば、セプタム592を近位端606においてバイアル600Dに保持するために留め具を受容するように構成される1つまたは複数の留め具機構626としてアパーチャを画定する。遠位側壁622は、バイアル600Dの内側の微粒子領域628を画定する。近位側壁624は、バイアル600Dの内側のネック領域630Dおよびセプタム領域632を画定する。セプタム領域632は、セプタム592を保持するように構成される。
【0087】
[00123]微粒子領域628は、バイアル600Dの長手方向軸636と共同整列される微粒子領域長さ634Dを有する。微粒子領域628およびネック領域630Dは、長手方向軸636に対して角度638に沿って傾きを有する接続壁を介して接続される。接続壁の遠位部分は、曲率半径642Dを有する。実施形態において、微粒子領域長さ634Dは、7.89686cm(3.109インチ)であり、角度638は、63度であり、曲率半径642Dは、0.2032cm(0.08インチ)である。上部遠位面608のアパーチャ609は、プラスマイナス約0.00508cm(0.002インチ)の範囲で1.44272cm(0.568インチ)の直径を有し得る。
【0088】
[00124]図15Bにおいて、バイアル600Dのネック領域630Dがより詳細に示される。ネック領域630Dは、直径644Dを含む。セプタム領域632は、内径646D、外径648、セプタム領域厚650、およびセプタム領域曲率半径652を含む。実施形態において、ネック領域630Dの直径644Dは、0.50038cm(0.197インチ)であり、セプタム領域632の内径646Dは、0.66294cm(0.261インチ)であり、セプタム領域632の外径648は、1.4224cm(0.560インチ)である。セプタム領域厚650は、プラスマイナス0.00508cm(0.002インチ)の範囲で0.0889cm(0.035インチ)であり得る。曲率半径652は、0.0254cm(0.01インチ)であり得る。
【0089】
[00125]図15B内のセプタム領域632のさらなる詳細図は、セプタム領域632内にセプタム592への緩衝を提供するように構成されるセプタム緩衝領域を示す。セプタム緩衝領域は、第1の緩衝壁と第2の緩衝壁との間の接続緩衝壁の緩衝厚654、および接続緩衝壁の緩衝角度656を含む。実施形態において、緩衝厚654は、0.0127cm(0.005インチ)であり得、緩衝角度656は、30度であり得る。
【0090】
[00126]図15Cを参照すると、近位面610を含むバイアル600Dの近位端606の下部近位図が示される。近位面610は、留め具間隔直径658を画定する。実施形態において、留め具間隔直径658は、2.38506cm(0.939インチ)であり得、近位面610によって画定される貫通穴は、ネック領域630Aの直径644Dに一致するように0.508cm(0.200インチ)であり、1つまたは複数の留め具機構626のうちの4つは、近位面610の周りに等間隔にされ得、#6-32 UNC 2bのタイプのねじであり得る。
【0091】
[00127]図15A図15Cのバイアル600Dは、セプタム592がセプタム領域632内、および部分的または完全にネック領域630D内の両方に収納される平底実施形態として構成され得る。セプタム592が、セプタム領域632内および完全にネック領域630D内の両方に収納されるとき、針559の少なくとも1つのポート561は、実施形態において、微粒子領域628内に配設され得る。代替的に、セプタム592は、セプタム領域632内に収納され得、ネック領域630D内には収納されなくてもよい。
【0092】
[00128]本明細書に説明される実施形態において、バイアルアセンブリ580、580は、バイアル600および針559を含む。非限定的な例において、バイアルアセンブリ580、580Aは、位置P1において図12D図13D図14D、および図14Eのバイアル600A、600B、600C、および600C1を含み得る。各バイアル600は、微粒子材料(例えば、微粒子660)、セプタム592、および第1の幅644(例えば、図12B図13B図14B、および図15Bの直径644A、644B、644C、および644Dに対応する第1の幅)を含むネック領域630(例えば、図12A図13A図14A図14E、および図15Aのネック領域630A、630B、630C、630C1、および630D)、および第1の幅644よりも大きい第2の幅609(例えば、図12A図13A図14A、および図15Aのアパーチャ609と関連付けられた直径に対応する第2の幅)を含む微粒子領域628を含み得る。
【0093】
[00129]実施形態において、第2の幅609は、第1の幅644よりも少なくとも2倍大きくてもよい。セプタム592は、ネック領域630に近位に隣接して配設されるように構成され得、微粒子領域628は、ネック領域630に遠位に隣接して配設され得る。セプタム592は、バイアル600のセプタム領域632内に配設されるように構成され得る。セプタム領域632は、ネック領域630の第1の幅644よりも大きい第3の幅(例えば、本明細書に説明されるようなセプタム領域632の外径648に対応する)を含み得、ネック領域630は、セプタム領域632と微粒子領域628との間に配設され得る。セプタム592は、矩形であり得、セプタム領域632は、セプタム592を気密シール内に収納するようにサイズおよび形状が決定される矩形構成を含み備え得る。ネック領域630の少なくとも一部分は、セプタム592の少なくとも一部分を収納するように構成され得る。
【0094】
[00130]実施形態において、バイアル600は、外壁を含み得、当該外壁は、バイアル本体602によって画定され、外壁幅(例えば、図11Dに示されるようなバイアル600の上部遠位面608の直径620に対応する)、外壁と微粒子領域628との間の微粒子領域厚、および外壁とネック領域630との間のネック領域厚を含み、ネック領域厚は、微粒子領域厚よりも大きい。ネック領域厚は、微粒子領域厚よりも少なくとも1.5倍または少なくとも2倍大きくてもよい。バイアルアセンブリ580、580Aは、微粒子材料アセンブリをさらに含み得、微粒子材料アセンブリは、バイアル収容領域518を含むコンソール(例えば、図1のコンソールアセンブリ510に対応する)、およびバイアル収容領域518内でコンソールから延在するバイアル係合機構520を備え、バイアル係合機構520は、本明細書に説明されるように、バイアルアセンブリ580、580Aに係合し、バイアルアセンブリ580、580Aを係止位置Lへ移動させるように構成され得る。
【0095】
[00131]ネック領域630および微粒子領域628に隣接する接続壁は、バイアル600の長手方向軸636に対して角度付けされ得る。接続壁は、長手方向軸636に対して63度の角度で角度付けされ得る。実施形態において、接続壁は、長手方向軸636に対して約20度~約90度の範囲で角度付けされ得る。代替的に、ネック領域630および微粒子領域628に隣接する接続壁は、図15Aのバイアル600Dにおいて示されるもののように、バイアル600の長手方向軸636に対して傾きを有し(sloped)得る。実施形態において、傾き構成を含む接続壁は、微粒子660が微粒子領域628の四隅および/または縁内へ沈降するのを防ぎ得る。
【0096】
[00132]いくつかの実施形態において、ネック領域630は、図12A図13A、および図15A内のネック領域630A、630B、および630Dにおいて示されるもののように、円筒形状を含み得る。円筒形状は、断面において、互いに対して平行であり、第1の幅において離間される、一対の側壁を含み得る。セプタム幅648(例えば、セプタム領域632の外径648に対応するセプタム幅)は、ネック領域630の第1の幅644の約2.8倍~3.08倍の範囲にあり得る。実施形態において、セプタム幅648は、ネック領域630の第1の幅644の約1.2倍~10.0倍の範囲にあり得る。
【0097】
[00133]いくつかの実施形態において、ネック領域630は、図14A図14D、および図14E内のネック領域630C、630C1において示されるものなど、円錐形状を含み得る。円錐形状は、図14Bのテーパ状の遷移壁672により示されるもののように、断面において、互いに対して近位および外向き方向にテーパ状になる一対の側壁を含み得る。図14A図14Eの実施形態に示されるように、バイアル600C、600C1は、微粒子材料(例えば、微粒子660)、セプタム592、第1の幅644Cを含みかつ円錐形状を含むネック領域630C、第1の幅644Cよりも大きい第2の幅609を含む微粒子領域628、およびバイアル本体602の外面によって画定される外壁を含み得る。外壁は、外壁幅(例えば、アパーチャ609の直径に対応する)、外壁と微粒子領域628との間の微粒子領域厚、および外壁とネック領域630Cとの間のネック領域厚を含み得る。ネック領域厚は、微粒子領域厚よりも大きくてもよい。バイアル600Cは、さらに、例えば本明細書に説明される送達デバイス500を介して微粒子材料を送達するために、バイアルアセンブリ580および微粒子材料アセンブリに付属し得る。バイアルアセンブリ580は、バイアル600Cおよび針559を含み得、バイアル600Cを係止位置Lへ移動させるように構成され得る。針559は、バイアルアセンブリ580が係止位置Lにあるとき、バイアルアセンブリ580のセプタムを穿刺するように構成される少なくとも1つのポート561を含み得る。図14D図14Eに示されるように、少なくとも1つのポート561は、バイアルアセンブリ580が係止位置Lにあるとき、バイアルアセンブリ580のネック領域630C、630C1内にあるようにさらに構成され得る。微粒子材料アセンブリは、バイアル収容領域518を含む(例えば、コンソールアセンブリ510の)コンソール、およびバイアル収容領域518内でコンソールから延在するバイアル係合機構520を含み得、バイアル係合機構520は、本明細書に説明されるように、バイアル600Cを含むバイアルアセンブリ580に係合し、バイアル600Cを含むバイアルアセンブリ580を係止位置Lへ移動させるように構成され得る。
【0098】
[00134]針は、図12D図12F図13D、および図14D図14Eに示されるように、少なくとも1つのポート561を含み得る。バイアルアセンブリ580、580Aは、係止位置L(例えば、図12D図13D図14D、および図14Eの位置P1、図12Eの位置P2、ならびに図12Fの位置P3に示されるものなど)へ移動するように構成される。針559は、バイアルアセンブリ580、580Aが係止位置Lにあるとき、バイアルアセンブリ580、580Aのセプタム592を穿刺するように構成される。少なくとも1つのポート561は、バイアルアセンブリ580、580Aが係止位置Lにあるとき、バイアルアセンブリ580、580Aのネック領域630内にあるようにさらに構成される。少なくとも1つのポート561は、第1の方向におけるバイアル係合機構(例えば、図1のバイアル係合機構520)の作動の際に、微粒子材料と混合するために流体をバイアルアセンブリ580、580A内へ注入するように、および第1の方向とは反対の第2の方向におけるバイアル係合機構520の作動の際に、結果として生じる混合流体662をバイアルアセンブリ580、580Aから受容するように構成される。
【0099】
[00135]実施例
[00136]図11A図15Cに関して説明されるものなど、本明細書に説明されるバイアル600の実施形態は、ミクロスフェア再懸濁を防ぎ、かつ流量および送達性能を改善しながら、バイアル600の微粒子領域628およびネック領域630内のミクロスフェア(例えば、微粒子660)の分離した体積を低減および/または最小限にするように構成される。本明細書に説明されるように混合のためにバイアル600内に流体を注入する流量は、3秒などの時間期間にわたって1.0mL/s(例えば、1.0mL/sで3秒)であり得るか、または、10.0mL/sで0.3秒、5.0mL/sで0.6秒、もしくは2mL/sで1.5秒など、バイアル600との使用に好適と見なされる他の流量であり得る。下に説明される図16および図17の実施例のシミュレーションは、1000kg/mの注入流体としての生理食塩水濃度および0.001kg/m-sの粘度、ならびに1100kg/mのミクロスフェア密度および0.0035kg/m-sの粘度のパラメータを利用した。
【0100】
[00137]実施形態において、バイアル600の流体ドメインは、ミクロスフェアで74%充填されるように設定され得、流体ドメイン内のミクロスフェアの初期体積は、1.53mLの総流体ドメインであり得る。故に、現在の流体ドメインの推定(extrapolation)は、下に示されるように計算され得る。流体ドメインが、流体ドメイン100%に対してミクロスフェア74%で充填されるように設定されるには、ミクロスフェアの初期体積が1.53mLに設定されている場合、ミクロスフェアの体積は、下の式あたり1.132mLであり得、これは74%×1.53mLである。
【0101】
【数1】





【0102】
[00138]10mLバイアル600では、推定において同じ体積のミクロスフェアは、推定体積分率が11.32%(1.132mLを10mLで除算)であるように、10mLバイアル体積内に広がると仮定される。故に、10mLバイアル上での均質な混合の場合、ミクロスフェアの体積分率は、11.32%になる。図16および図17のシミュレーションにおいて、流体ドメインは、3mLである。
【0103】
[00139]図16は、位置P1における、図12D図13D図14D、および図14Eのバイアル600A、600B、600C、および600C1を含むバイアルアセンブリ580、580Aについて、経時的な注入体積に対する残留ミクロスフェアの量のシミュレーションのグラフ700を示す。微粒子660と混合されると混合溶液662を生成する、3秒にわたる1.0mL/sの注入体積に対するバイアル600A、600B、600C、および600C1の各々の中に残留するミクロスフェア(例えば、微粒子660)の量は、これらのバイアルの各々について100%から減少し、およそ約2%~約10%の範囲で終了することが示される。残留ミクロスフェアの量を決定するために利用され得る式は、下に明記される。
【0104】
【数2】





【0105】
[00140]例えば、式2、時間tは、nとして3.0秒に設定され得、ミクロスフェア量および時間=0秒は、時間=3.0秒におけるミクロスフェア体積によって除算され、100によって乗算されて、3.0秒後に残留しているミクロスフェアの%をもたらす。
【0106】
[00141]図17は、位置P1における、図12D図13D図14D、および図14Eのバイアル600A、600B、600C、および600C1を含むバイアルアセンブリ580、580Aについて、経時的な注入体積に対する残留ミクロスフェアの体積のシミュレーションのグラフ800を示す。微粒子660と混合されると混合溶液662を生成する、3秒にわたる1.0mL/sの注入体積に対するバイアル600A、600B、600C、および600C1の各々の中に残留するミクロスフェア(例えば、微粒子660)の量は、それぞれのバイアル内でおよそ52%の初期体積から減少し、およそ約22%~約32%の範囲で終了することが示される。
【0107】
[00142]残留ミクロスフェアの体積を決定するために利用され得る式は、下に明記されるような体積積分に基づく。
【0108】
【数3】





【0109】
【数4】





【0110】
[00143]例えば、式3は、混合後のバイアル600内の微粒子660の量の体積積分を決定し、式4において、それを総体積で除算して、総体積の百分率として総体積と比較した混合百分率後のミクロスフェアの残留体積を反映する。
III.態様リスト
[00144]態様1.バイアルおよび針を備えるバイアルアセンブリ。バイアルは、微粒子材料、セプタム、第1の幅を含むネック領域、および第1の幅よりも大きい第2の幅を含む微粒子領域を備える。針は、少なくとも1つのポートを備える。バイアルアセンブリは、係止位置へ移動するように構成される。針は、バイアルアセンブリが係止位置にあるとき、バイアルアセンブリのセプタムを穿刺するように構成される。少なくとも1つのポートは、バイアルアセンブリが係止位置にあるとき、バイアルアセンブリのネック領域内にあるようにさらに構成される。少なくとも1つのポートは、第1の方向におけるバイアル係合機構の作動の際に、微粒子材料と混合するためにバイアルアセンブリ内へ流体を注入するように、および第1の方向とは反対の第2の方向におけるバイアル係合機構の作動の際に、結果として生じる混合流体をバイアルアセンブリから受容するように構成される。
【0111】
[00145]態様2.第2の幅は、第1の幅よりも少なくとも2倍大きい、態様1のバイアルアセンブリ。
[00146]態様3.ネック領域は、円筒形状を含む、態様1または態様2のバイアルアセンブリ。
【0112】
[00147]態様4.円筒形状は、断面において、互いに対して平行であり、第1の幅において離間される、一対の側壁を含む、態様3のバイアルアセンブリ。
[00148]態様5.セプタム幅は、ネック領域の第1の幅の約1.2倍~10.0倍の範囲にある、態様4のバイアルアセンブリ。
【0113】
[00149]態様6.ネック領域は、円錐形状を含む、態様1または態様2のバイアルアセンブリ。
[00150]態様7.円錐形状は、断面において、互いに対して近位および外向き方向にテーパ状になる一対の側壁を含む、態様6のバイアルアセンブリ。
【0114】
[00151]態様8.ネック領域および微粒子領域に隣接する接続壁は、バイアルの長手方向軸に対して角度付けされる、態様1~態様7のいずれかのバイアルアセンブリ。
[00152]態様9.接続壁は、長手方向軸に対して約20度~約90度の範囲で角度付けされる、態様8のバイアルアセンブリ。
【0115】
[00153]態様10.ネック領域および微粒子領域に隣接する接続壁は、バイアルの長手方向軸に対して傾きを有している、態様1~態様7のいずれかのバイアルアセンブリ。
[00154]態様11.セプタムは、ネック領域に近位に隣接して配設されるように構成され、微粒子領域は、ネック領域に遠位に隣接して配設される、態様1~態様10のいずれかのバイアルアセンブリ。
【0116】
[00155]態様12.セプタムは、バイアルアセンブリのセプタム領域内に配設されるように構成され、セプタム領域は、第1の幅よりも大きい第3の幅を含み、ネック領域は、セプタム領域と微粒子領域との間に配設される、態様11のバイアルアセンブリ。
【0117】
[00156]態様13.セプタムは、矩形であり、セプタム領域は、セプタムを気密シール内に収納するようにサイズ決定および成形される矩形構成を含む、態様12のバイアルアセンブリ。
【0118】
[00157]態様14.ネック領域の少なくとも一部分は、セプタムの少なくとも一部分を収納するように構成される、態様1~態様13のいずれかのバイアルアセンブリ。
[00158]態様15.バイアルは、外壁であって、外壁幅、外壁と微粒子領域との間の微粒子領域厚、および外壁とネック領域との間のネック領域厚を含む、外壁を備え、ネック領域厚は、微粒子領域厚よりも大きい、態様1~態様14のいずれかのバイアルアセンブリ。
【0119】
[00159]態様16.ネック領域厚は、微粒子領域厚よりも少なくとも1.5倍大きい、態様15のバイアルアセンブリ。
[00160]態様17.ネック領域厚は、微粒子領域厚よりも少なくとも2倍大きい、態様15のバイアルアセンブリ。
【0120】
[00161]態様18.微粒子材料アセンブリをさらに備え、微粒子材料アセンブリは、バイアル収容領域を含むコンソール、およびバイアル収容領域内のコンソールから延在するバイアル係合機構を備え、バイアル係合機構は、バイアルアセンブリに係合し、バイアルアセンブリを係止位置へ移動させるように構成される、態様1~態様17のいずれかのバイアルアセンブリ。
【0121】
[00162]態様19.微粒子材料、セプタム、第1の幅を含むネック領域、第1の幅よりも大きい第2の幅を含む微粒子領域、および外壁を備えるバイアル。ネック領域は、円錐形状を含む。外壁は、外壁幅、外壁と微粒子領域との間の微粒子領域厚、および外壁とネック領域との間のネック領域厚を含む。ネック領域厚は、微粒子領域厚よりも大きい。
【0122】
[00163]態様20.バイアルアセンブリおよび微粒子材料アセンブリをさらに備える、態様19のバイアル。バイアルアセンブリは、バイアルおよび針を備える。バイアルアセンブリは、バイアルを係止位置へ移動させるように構成される。針は、バイアルアセンブリが係止位置にあるとき、バイアルアセンブリのセプタムを穿刺するように構成される少なくとも1つのポートを備える。少なくとも1つのポートは、バイアルアセンブリが係止位置にあるとき、バイアルアセンブリのネック領域内にあるようにさらに構成される。微粒子材料アセンブリは、バイアル収容領域を含むコンソール、およびバイアル収容領域内でコンソールから延在するバイアル係合機構を備える。バイアル係合機構は、バイアルアセンブリに係合し、バイアルアセンブリを係止位置へ移動させるように構成される。
【0123】
[00164]用語“実質的に”および“約”は、任意の数量比較、値、測定値、または他の表現に起因し得る不確実性の本質的な度合いを表すために本明細書では利用され得るということに留意されたい。これらの用語はまた、量的表現が、問題となっている主題の基本機能における変化を結果として生じることなく、記載した参照から変化し得る度合いを表すために本明細書では使用される。
【0124】
[00165]本開示を説明および規定する目的のため、用語“実質的に”は、任意の数量比較、値、測定値、または他の表現に起因し得る不確実性の本質的な度合いを表すために本明細書では使用されるということに留意されたい。用語“実質的に”もまた、量的表現が、問題となっている主題の基本機能における変化を結果として生じることなく、記載した参照から変化し得る度合いを表すために本明細書では使用される。そのようなものとして、それは、理論上は正確な一致または挙動を提示することが期待されるものの、実際には正確にはわずかに満たないものを具現し得る要素または特徴の配置に関して、任意の数量比較、値、測定値、または他の表現に起因し得る不確実性の本質的な度合いを表すために本明細書では使用される。
【0125】
[00166]特定の実施形態が本明細書に例証および説明されているが、様々な他の変更および修正が、特許請求された主題の趣旨および範囲から逸脱することなくなされ得るということを理解されたい。さらには、特許請求された主題の様々な態様が本明細書に説明されているが、そのような態様は、組み合わせて利用される必要はない。したがって、添付の特許請求の範囲は、特許請求された主題の範囲内にあるすべてのそのような変更および修正を網羅することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図15A
図15B
図15C
図16
図17
【国際調査報告】