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特表2023-538205画像の取得を最適化する撮像装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(54)【発明の名称】画像の取得を最適化する撮像装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/02 20060101AFI20230831BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20230831BHJP
   A61B 6/04 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
A61B6/02 351C
A61B6/00 350C
A61B6/00 335
A61B6/04 303
A61B6/00 330A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580415
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(85)【翻訳文提出日】2022-12-23
(86)【国際出願番号】 AU2021050668
(87)【国際公開番号】W WO2021258155
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】63/043,994
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/044,090
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522499748
【氏名又は名称】オーストラリアン ラング ヘルス イニシアティブ ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス フォウラス
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン ダスティング
(72)【発明者】
【氏名】ポール チャップマン
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA04
4C093AA08
4C093DA03
4C093EA06
4C093ED07
4C093EE16
4C093FA47
4C093FA52
4C093FA53
4C093FA55
4C093FF24
(57)【要約】
被検体の身体の所定領域の時系列生体内画像を取得するための撮像装置を提供する。撮像装置は、少なくとも1台のエネルギー源と、エネルギー源と検出器との間に位置する被検体の身体の当該領域を通過する少なくとも1台のエネルギー源からのエネルギーを検出するための少なくとも1台の検出器と、被検体の身体の当該領域の時系列生体内画像を取得するように少なくとも1台のエネルギー源及び少なくとも1台の検出器を操作するように構成されたコントローラと、撮像対象の被検体の身体の当該領域に関連する生理学的パラメータをモニタリングする少なくとも1つのセンサと、モニタリングされた生理学的パラメータに少なくとも基づいて画像の取得のタイミングを決定するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、を含む。撮像装置を使用して被検体の身体の所定領域の時系列生体内画像を取得する方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の身体の所定領域の時系列生体内画像を取得する撮像装置であって、
少なくとも1台のエネルギー源と、
少なくとも1台の検出器であって、前記エネルギー源と前記検出器の間に位置する前記被検体の身体の前記領域を通過する前記少なくとも1台のエネルギー源からのエネルギーを検出するための少なくとも1台の検出器と、
前記少なくとも1台のエネルギー源及び前記少なくとも1台の検出器を動作させて前記被検体の身体の前記領域の時系列生体内画像を取得するように構成されたコントローラと、
撮像対象の前記被検体の身体の前記領域に関連する生理学的パラメータをモニタリングするための少なくとも1つのセンサと、
モニタリングされた前記生理学的パラメータに少なくとも基づいて前記画像の取得のタイミングを決定するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、
を含む撮像装置。
【請求項2】
前記生理学的パラメータをモニタリングするための前記少なくとも1つのセンサが、前記被検体の呼吸に関連する生理学的パラメータを検出するように構成された、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記プロセッサが、さらに、
前記生理学的パラメータをモニタリングするための前記少なくとも1つのセンサからのデータを解析して、前記被検体の呼吸パターン及び/又は前記被検体の呼吸の継続時間を検出し、
検出された前記呼吸パターン及び/又は前記被検体の呼吸の継続時間をモニタリングして、反復的呼吸パターンが検出されたかを判定する、
ように構成された、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
反復的呼吸パターンが検出された場合、前記プロセッサが、さらに、
前記反復的呼吸パターンを解析して前記被検体の呼吸サイクルの1以上の特徴を特定し、
前記呼吸サイクルの特定された前記1以上の特徴に基づいて、少なくとも開始時間及び/又は終了時間を含む、画像の取得を開始するトリガ信号を決定する、
ように構成された、請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記生理学的パラメータをモニタリングするための前記少なくとも1つのセンサは、前記被検体の口部付近及び/又は口部内に位置決め可能であり、
前記被検体の口部付近及び/又は口部内の気流変化をモニタリングするための流量計、
前記被検体の口部付近及び/又は口部内の空気の温度変化をモニタリングするためのサーマルセンサ、並びに
前記被検体の口部付近及び/又は口部内の気体の空気含量の変化をモニタリングするためのガスセンサ、
のうちの1以上を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記エネルギー源と前記検出器の間に位置する前記被検体の身体の動作をモニタリングするための少なくとも1つのセンサをさらに含み、前記プロセッサが、さらに、
モニタリングされた前記被検体の身体の動作にも基づいて前記画像の取得のタイミングを決定するように構成された、請求項1から5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記プロセッサが、さらに、
動作をモニタリングするための前記少なくとも1つのセンサからのデータを処理して、前記エネルギー源と前記検出器の間に位置する前記被検体の身体の動作を検出し、
検出された前記動作をモニタリングして、前記被検体が実質的に静止姿勢にあるかを判定し、
前記被検体が実質的に前記静止姿勢にある場合に、少なくとも開始時間を含む、画像の取得を開始するトリガ信号を決定する、
ように構成された、請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
動作をモニタリングするための前記少なくとも1つのセンサは、モーションセンサ、抵抗性センサ、重量センサ、力センサ及び圧力センサのうちの1以上を含む、請求項6又は7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記エネルギー源と前記検出器の間に位置する前記被検体の身体の位置及び/又は向きを検出するための少なくとも1つのセンサをさらに含み、前記プロセッサが、さらに、
前記被検体の身体の検出された前記位置及び/又は向きにも基づいて前記画像の取得のタイミングを決定するように構成された、請求項1から8のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記プロセッサが、さらに、
前記被検体の身体の前記領域の前記画像を取得するための、前記エネルギー源と前記検出器の間の所望の位置への前記被検体の身体の前記位置及び/又は向きの調整内容を決定するように構成された、請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記プロセッサが、さらに、
事前取得データを用いて撮像対象の前記被検体の身体の前記領域の位置を推定し、
推定された前記位置に基づいて前記画像を取得するための前記所望の位置を決定する、
ように構成された、請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記プロセッサが、さらに、
前記被検体の身体の前記領域の1以上の事前取得画像、
前記領域及び/若しくは前記被検体の身体の解剖学的寸法、身長並びに/又は体重を含む群から選択される前記被検体の1以上の体格の特徴、並びに
年齢、性別、可動性、民族性、病状及び/又は病歴を含む群から選択される前記被検体の1以上の属性、
のうちの少なくとも1つを含む前記事前取得データを受信するように構成された、請求項11に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記被検体の身体を前記エネルギー源と前記検出器の間の位置に支持するための支持部材と、
前記支持部材の位置及び/又は向きを調整するために動作可能なアクチュエータと、
をさらに含む請求項10から12のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記コントローラが、さらに、
前記支持部材の前記位置及び/又は向きを調整して、前記画像を取得するための前記所望の位置に前記被検体の身体を支持するように前記アクチュエータを制御するように構成された、請求項13に記載の撮像装置。
【請求項15】
出力デバイスをさらに含み、
前記プロセッサが、さらに、
前記出力デバイスを用いて、オペレータ及び/又は前記被検体に、前記画像を取得するための前記所望の位置に前記被検体の位置及び/又は向きを調整するための指示を出力するように構成された、請求項14に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記位置及び/又は向きを検出するための少なくとも1つのセンサは、カメラ、光センサ、モーションベースのセンサ及びレーザーセンサのうちの1以上を含む、請求項9から15のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項17】
撮像対象の前記領域は、前記被検体の肺の少なくとも一部を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項18】
X線イメージング、超音波イメージング及び磁気共鳴イメージング(MRI)のうちの1以上での使用のために構成された請求項1から17のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項19】
前記被検体の身体の前記領域の3個の時系列生体内画像を取得するための少なくとも3台のエネルギー源及び少なくとも3台の検出器を含み、前記プロセッサが、さらに、
取得された前記3個の時系列画像に基づいて3次元モーションフィールドを再構築するように構成された、請求項1から18のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項20】
被検体の身体の所定領域の時系列生体内画像を取得する方法であって、
少なくとも1台のエネルギー源と、
少なくとも1台の検出器であって、前記エネルギー源と前記検出器の間に位置する被検体の身体の前記領域を通過する前記少なくとも1台のエネルギー源からのエネルギーを検出する少なくとも1台の検出器と、
前記少なくとも1台のエネルギー源及び前記少なくとも1台の検出器を動作させて前記被検体の身体の前記領域の時系列生体内画像を取得するように構成されたコントローラと、
を含む撮像装置を提供するステップと、
少なくとも1つのセンサを用いて、撮像対象の前記被検体の身体の前記領域に関連する生理学的パラメータをモニタリングするステップと、
少なくとも1つのプロセッサを用いて、モニタリングされた前記生理学的パラメータに少なくとも基づいて前記画像の取得のタイミングを決定するステップと、
前記被検体の身体の前記領域の前記時系列生体内画像を取得するように前記コントローラを動作させるステップと、
を含む方法。
【請求項21】
前記生理学的パラメータをモニタリングするための前記少なくとも1つのセンサを用いて、前記被検体の呼吸に関連する生理学的パラメータを検出するステップをさらに含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記プロセッサが、前記生理学的パラメータをモニタリングするための前記少なくとも1つのセンサからのデータを解析して、前記被検体の呼吸パターン及び/又は前記被検体の呼吸の継続時間を検出するステップと、
前記プロセッサが、検出された前記呼吸パターン及び/又は前記被検体の呼吸の継続時間をモニタリングして、反復的呼吸パターンが検出されたかを判定するステップと、
をさらに含む請求項21に記載の方法。
【請求項23】
反復的呼吸パターンが検出された場合、
前記プロセッサが、前記反復的呼吸パターンを解析して前記被検体の呼吸サイクルの1以上の特徴を特定するステップと、
前記プロセッサが、前記呼吸サイクルの特定された前記1以上の特徴に基づいて、少なくとも開始時間及び/又は終了時間を含む、画像の取得を開始するトリガ信号を決定するステップと、
をさらに含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記生理学的パラメータをモニタリングするための前記少なくとも1つのセンサを前記被検体の口部付近及び/又は口部内に位置決めするステップをさらに含み、
以下の、
流量計を用いて、前記被検体の口部付近及び/又は口部内の気流変化をモニタリングするステップ、
サーマルセンサを用いて、前記被検体の口部付近及び/又は口部内の空気の温度変化をモニタリングするステップ、並びに
ガスセンサを用いて、前記被検体の口部付近及び/又は口部内の気体の空気含量の変化をモニタリングするステップ、
のうちの1以上をさらに含む請求項20から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1つのセンサを用いて、前記エネルギー源と前記検出器の間に位置する前記被検体の身体の動作をモニタリングするステップをさらに含み、
前記プロセッサが、モニタリングされた前記被検体の身体の動作にも基づいて前記画像の取得のタイミングを決定するステップ、
をさらに含む請求項20から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記プロセッサが、前記動作をモニタリングするための少なくとも1つのセンサからのデータを処理して、前記エネルギー源と前記検出器の間に位置する前記被検体の身体の動作を検出するステップと、
前記プロセッサが、検出された前記動作をモニタリングして、前記被検体が実質的に静止姿勢にあるかを判定するステップと、
前記プロセッサが、前記被検体が前記実質的に静止姿勢にある場合に、少なくとも開始時間を含む、画像の取得を開始するトリガ信号を決定するステップと、
をさらに含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
撮像対象の前記領域は、前記被検体の肺の少なくとも一部を含む、請求項20から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記撮像装置が、X線イメージング、超音波イメージング及び磁気共鳴イメージング(MRI)のうちの1以上での使用のために構成された、請求項20から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記撮像装置は、前記被検体の身体の前記領域の3個の時系列生体内画像を取得するための少なくとも3台のエネルギー源及び少なくとも3台の検出器を含み、前記プロセッサが、さらに、取得された前記3個の時系列画像に基づいて3次元モーションフィールドを再構築するように構成された、請求項20から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
被検体の身体の所定領域の時系列生体内画像を取得する撮像装置であって、
少なくとも1台のエネルギー源と、
少なくとも1台の検出器であって、前記エネルギー源と前記検出器の間に位置する前記被検体の身体の前記領域を通過する前記少なくとも1台のエネルギー源からのエネルギーを検出するための少なくとも1台の検出器と、
前記少なくとも1台のエネルギー源及び前記少なくとも1台の検出器を動作させて前記被検体の身体の前記領域の時系列生体内画像を取得するように構成されたコントローラと、
前記エネルギー源と前記検出器の間に位置する前記被検体の身体の位置及び/又は向きを検出するための少なくとも1つのセンサと、
前記被検体の身体の検出された前記位置及び/又は向きに少なくとも基づいて前記画像の取得のタイミングを決定するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、
を含む撮像装置。
【請求項31】
被検体の身体の所定領域の時系列生体内画像を取得する方法であって、
少なくとも1台のエネルギー源と、
少なくとも1台の検出器であって、前記エネルギー源と前記検出器の間に位置する前記被検体の身体の前記領域を通過する前記少なくとも1台のエネルギー源からのエネルギーを検出するための少なくとも1台の検出器と、
前記少なくとも1台のエネルギー源及び前記少なくとも1台の検出器を動作させて前記被検体の身体の前記領域の時系列生体内画像を取得するように構成されたコントローラと、
を含む撮像装置を提供するステップと、
少なくとも1つのセンサを用いて、前記エネルギー源と前記検出器の間に位置する前記被検体の身体の位置及び/又は向きを検出するステップと、
少なくとも1つのプロセッサを用いて、前記被検体の身体の検出された前記位置及び/又は向きに少なくとも基づいて前記画像の取得のタイミングを決定するステップと、
前記被検体の身体の前記領域の前記時系列生体内画像を取得するように前記コントローラを動作させるステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年6月25日出願の米国仮特許出願第63/044090号及び2020年6月25日出願の米国仮特許出願第63/043994号の優先権を主張し、この両出願の内容が参照によりここに取り込まれる。
【0002】
本発明は、人間又は動物の被検体の身体の所定領域の時系列生体内(in vivo)画像を取得し、画像の取得を最適化する撮像装置及び方法に関する。それは、特に、ただし排他的にではなく、被検体の肺又は心臓などの臓器の動的な生体内画像にも関する。
【背景技術】
【0003】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、気管支拡張症、嚢胞性線維症(CF)及び肺癌などの肺の病状及び疾患は、大きな社会的及び経済的損失を伴う。全世界で推定10憶人が罹患し、約2秒に1人の死亡が肺の疾患に起因している。そして、全世界で毎年1.4兆米ドル以上が肺の健康に費やされている。オーストラリアでは、7百万人(約3人に1人)が肺の疾病を抱えて生活し、肺の疾病はオーストラリアでは2番目に多い死因であり、それは全健康負担の10パーセント以上を占める。肺の疾病は、人々が人生を楽しみ、活動的かつ生産的であることに著しい影響を与える。これらの疾病を抱えて生きる人々、彼らの家族、医療システム及びより広範なコニュニティには、重大な健康的及び経済的負担がかかる。
【0004】
現在の肺の診断は不十分であり、肺の健康状態の正確な評価を下すことも肺疾患の早期検出又は診断を与えることもできない。早期での肺の疾病又は疾患の信頼性の高い検出及び位置特定は、健康上の良い結果には重要である。ほとんど全ての肺病理学は、原則として、肺の全体を通じる空気の流れにおける局所的な変化と関連付けられるので、それらの局所的変化を全ての肺の位置及び呼吸サイクル全体を通じて検出することが必要となる。特に、現在の肺検査を受けることができない乳児又は幼児について、正確かつ詳細な肺の健康評価がなければ、医療格差は致命的なものとなる。
【0005】
肺気量測定などの既存の肺機能検査法は、疾患に無関係の要因に起因して大きく変動し得る呼気量の包括的な平均測定値を提供するだけの古い技術に基づくものである。包括的な測定は、局所的な変化を肺にわたって平準化するので、関係する疾患が大きく亢進するまで疾患に関連する肺機能の喪失を捉える感度が不足することになる。さらに、標準的な肺機能試験での重大な問題は、乳児及び幼児は呼吸法の指示を理解及び実行することができないために早期及び進行中の肺健康評価から完全に除外されることが多いことである。
【0006】
X線コンピュータ断層(CT)イメージング、磁気共鳴イメージング(MRI)などの現在のイメージング様式は、肺、心臓及び脳などの、患者の臓器の構造及び機能を検査する方法を提供する。しかし、肺の構造的な変化は、発症後に起こることが多く、(例えば、初期嚢胞性線維症における)疾患予防治療の可能性を排除してしまう。高解像度CTイメージングは優れた構造的詳細を与えるが、高コストであり、比較的高いレベルの放射線被曝が懸念される(高解像度CTは70回の胸部X線と同等であることが多い)。イオン化放射線量に起因して、急性呼吸器疾患を含む種々の疾患の検出及び治療のためのX線の使用に基づく技術(特にCT)は、放射線に起因する組織損傷の影響をより受け易い乳児及び幼児などの脆弱な患者には厳しく制限されている。またさらに、固有の測定限界も、全年齢層の患者にわたって急性呼吸器疾患のエビデンスベースの検出及び治療を厳しく制限する。
【0007】
4DMedicalによって開発されたXV技術は、臨床肺機能評価におけるブレークスルーを与えた。XV技術は、特許文献1及び特許文献2として公開された特許出願に開示されている。現在のXV技術は、X線イメージングを独自の流速測定アルゴリズムに一意的に組み合わせて、細かい空間的及び時間的詳細において肺の全ての位置における動作を測定し、肺内における各位置における呼吸サイクルの全体を通じた局所的な肺機能測定を可能とする。このアプローチは、肺構造が疾患に不可逆的に影響を受けるかなり前に、軽微な機能損失の検出さえも可能とし、治療が、それが最大限の効果を与えて最良の成功好機となる早期に適用され得ることを意味する。
【0008】
現在のXV技術はSoftware as a Service(SaaS)モデルを介して臨床用途で使用され、これにより、患者の肺のスキャン画像が既存のX線透視装置を用いて取得される。そして、スキャン画像は、クラウドベースサーバを介して、患者の肺の機能的イメージング解析を経時的に提供するソフトウェアアルゴリズムを用いて処理される。しかし、XV解析の精度及び品質は、患者が静止したままスキャン中には管理された態様で呼吸する必要がある既存の医療用スキャナを用いて取得可能な画像によって制限されてしまう。これは、多くの患者群、例えば、スキャナ内での位置決めの問題及び/又は完遂すべきスキャンのための指示に従うことができないために容易にスキャンできない幼児、高齢者、及び言語、聴覚又は認知障害のある患者を含む患者群の利用を制限してしまう。
【0009】
したがって、患者身体の生体内画像を取得するための医療用スキャナであって、X線放射線被曝を低減する一方でスキャン品質を高めるとともに年齢及び健康状態の異なる広範な患者への利用性を与える医療用スキャナを提供する必要性がある。放射線の負担を低減することは、特に若年者には重要な健康上の結果となり、それは彼らの容易に分裂する細胞における放射線被曝の感受性及びその結果が成人に対するものよりも深刻であるためである。乳児及び幼児を含む患者に、より高頻度でスキャンすることができるようにし、多くの患者群に対して長期間にわたる局所的肺機能の定期的なモニタリング能力を提供する必要性もある。極めて軽微な変化も、検出され、数週間、数か月又は数年にわたって綿密に追跡され、それらの疾患への関与、治療の効果及び幼児の発育について評価され得る。定期的な局所的肺換気データを得ることができれば、肺疾患診断及び治療を大きく向上することになる。
【0010】
したがって、理想的には、X線の使用を減少させるとともにより高頻度に患者をスキャンすることができるようにするXV技術による解析に適し、かつ容易にスキャン可能でない患者を含む多くの患者群にわたって患者身体の生体内画像を取得する撮像装置及び撮像方法が提供できれば望ましい。また、従来技術の1以上の問題又は不都合を改善及び/又は克服する撮像装置及び撮像方法を提供できれば望ましい。
【0011】
従来技術として特定される特許文献又は他の何らかの資料に対するここでの参照は、当該文献若しくは他の資料が公知であったこと又はそれが含む情報が請求項のいずれかの優先日に一般常識の一部であったことを自認するものとして解釈されるべきではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2011/032210号
【特許文献2】国際公開第2015/157799号
【発明の概要】
【0013】
一態様において、本発明は、被検体の身体の所定領域の時系列生体内(in vivo)画像を取得するための撮像装置を提供する。撮像装置は、少なくとも1台のエネルギー源と、エネルギー源と検出器の間に位置する被検体の身体の所定領域を通過する少なくとも1台のエネルギー源からのエネルギーを検出する少なくとも1台の検出器と、少なくとも1台のエネルギー源及び少なくとも1台の検出器を動作させて被検体の身体の当該領域の時系列生体内画像を取得するように構成されたコントローラと、を含む。撮像装置はまた、撮像対象の被検体の身体の当該領域に関連する生理学的パラメータをモニタリングするための少なくとも1つのセンサと、モニタリングされた生理学的パラメータに少なくとも基づいて画像の取得のタイミングを決定するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、を含む。
【0014】
一部の実施形態では、生理学的パラメータをモニタリングするための少なくとも1つのセンサは、被検体の呼吸に関連する生理学的パラメータを検出するように構成される。
【0015】
プロセッサは、さらに、生理学的パラメータをモニタリングするための少なくとも1つのセンサからのデータを解析して、被検体の呼吸パターン及び/又は被検体の呼吸の継続時間を検出し、検出された呼吸パターン及び/又は被検体の呼吸の継続時間をモニタリングして、反復的呼吸パターンが検出されたかを判定するように構成され得る。反復的呼吸パターンが検出された場合、プロセッサは、さらに、反復的呼吸パターンを解析して被検体の呼吸サイクルの1以上の特徴を特定し、呼吸サイクルの特定された1以上の特徴に基づいて、少なくとも開始時間及び/又は終了時間を含む、画像の取得を開始するトリガ信号を決定するように構成され得る。
【0016】
一部の実施形態では、生理学的パラメータをモニタリングするための少なくとも1つのセンサは、被検体の口部付近及び/又は口部内に位置決め可能であり、被検体の口部付近及び/又は口部内の気流変化をモニタリングするための流量計、被検体の口部付近及び/又は口部内の空気の温度変化をモニタリングするためのサーマルセンサ、並びに被検体の口部付近及び/又は口部内の気体の空気含量の変化をモニタリングするためのガスセンサのうちの1以上を含む。
【0017】
撮像装置は、エネルギー源と検出器の間に位置する被検体の身体の動作をモニタリングするための少なくとも1つのセンサをさらに含み得る。プロセッサは、さらに、モニタリングされた被検体の身体の動作にも基づいて画像の取得のタイミングを決定するように構成され得る。
【0018】
一部の実施形態では、プロセッサは、さらに、動作をモニタリングするための少なくとも1つのセンサからのデータを処理して、エネルギー源と検出器の間に位置する被検体の身体の動作を検出し、検出された動作をモニタリングして、被検体が実質的に静止姿勢にあるかを判定し、被検体が実質的に静止姿勢にある場合に、少なくとも開始時間を含む、画像の取得を開始するトリガ信号を決定するように構成される。
【0019】
動作をモニタリングするための少なくとも1つのセンサは、モーションセンサ、抵抗性センサ、重量センサ、力センサ及び圧力センサのうちの1以上を含み得る。モーションセンサは、カメラであり得る。モーションセンサは、被検体の身体の移動を測定するための加速度計、ジャイロスコープ及び/又は磁力計を含み得る。抵抗性センサは、例えば被検体の身体の変位を測定することができる歪ゲージを含み得る。
【0020】
好ましくは、検出及びモニタリングされた動作は、エネルギー源と検出器の間の被検体の身体の非呼吸関連の動作である。理想的には、被検体の呼吸は、画像の取得中に制限も管理もされない。撮像装置は、被検体が呼吸している間の、好ましくは被検体の1回の呼吸の画像を取得するように構成され得る。
【0021】
一部の実施形態では、撮像装置は、エネルギー源と検出器の間に位置する被検体の身体の位置及び/又は向きを検出するための少なくとも1つのセンサをさらに含む。プロセッサは、さらに、被検体の身体の検出された位置及び/又は向きにも基づいて画像の取得のタイミングを決定するように構成される。
【0022】
プロセッサは、さらに、被検体の身体の当該領域の画像を取得するための、エネルギー源と検出器の間の所望の位置への被検体の身体の位置及び/又は向きの調整内容を決定するように構成され得る。
【0023】
一部の実施形態では、プロセッサは、さらに、事前取得データを用いて撮像対象の被検体の身体の当該領域の位置を推定し、推定された位置に基づいて画像を取得するための所望の位置を決定するように構成される。プロセッサは、さらに、被検体の身体の当該領域の1以上の事前取得画像、当該領域及び/若しくは被検体の身体の解剖学的寸法、身長並びに/又は体重を含む群から選択される被検体の1以上の体格の特徴、並びに年齢、性別、可動性、民族性、病状及び/又は病歴を含む群から選択される被検体の1以上の属性のうちの少なくとも1つを含む事前取得データを受信するように構成され得る。
【0024】
撮像装置は、被検体の身体をエネルギー源と検出器の間の位置に支持するための支持部材と、支持部材の位置及び/又は向きを調整するために動作可能なアクチュエータと、をさらに含み得る。コントローラは、さらに、支持部材の位置及び/又は向きを調整して被検体の身体を画像の取得のための所望の位置に支持するようにアクチュエータを制御するように構成され得る。
【0025】
一部の実施形態では、撮像装置は、出力デバイスをさらに含む。プロセッサは、さらに、出力デバイスを用いて、オペレータ及び/又は被検体に、画像を取得するための所望の位置に被検体の位置及び/又は向きを調整させるための指示を出力するように構成され得る。プロセッサは、さらに、出力デバイスを用いて、オペレータ及び/又は被検体に、画像の取得のタイミングについて指示を出力するように構成されてもよく、指示は、画像の取得を開始するトリガ信号を少なくとも含む。
【0026】
位置及び/又は向きを検出するための少なくとも1つのセンサは、カメラ、光センサ、モーションベースのセンサ及びレーザーセンサのうちの1以上を含み得る。
【0027】
撮像対象の当該領域は、被検体の肺の少なくとも一部を含み得る。撮像装置は、被検体の肺全体を撮像し得る。撮像装置はまた、被検体の両肺を撮像し得る。あるいは、撮像対象の当該領域は、被検体の心臓又は脳の一部又は全部を含み得る。
【0028】
撮像装置は、X線イメージング、超音波イメージング及び磁気共鳴イメージング(MRI)のうちの1以上での使用のために構成され得る。X線イメージングは、透視イメージング、コンピュータ断層X線速度(CTXV)イメージング及び/又は4次元コンピュータ断層(4DCT)イメージングを含み得る。
【0029】
撮像装置は、被検体の身体の当該領域の3個の時系列生体内画像を取得するための少なくとも3台のエネルギー源及び少なくとも3台の検出器を含み得る。プロセッサは、さらに、取得された3個の時系列画像に基づいて3次元モーションフィールドを構築するように構成され得る。一部の実施形態では、撮像装置は、被検体の身体の当該領域の4個の時系列生体内画像を取得するための少なくとも4台のエネルギー源及び少なくとも4台の検出器を含み得る。
【0030】
他の態様では、本発明は、被検体の身体の所定領域の時系列生体内画像を取得する方法を提供する。方法は、少なくとも1台のエネルギー源と、エネルギー源と検出器の間に位置する被検体の身体の当該領域を通過する少なくとも1台のエネルギー源からのエネルギーを検出する少なくとも1台の検出器と、少なくとも1台のエネルギー源及び少なくとも1台の検出器を動作させて被検体の身体の当該領域の時系列生体内画像を取得するように構成されたコントローラとを含む撮像装置を提供するステップを含む。方法はまた、少なくとも1つのセンサを用いて、撮像対象の被検体の身体の当該領域に関連する生理学的パラメータをモニタリングするステップと、少なくとも1つのプロセッサを用いて、モニタリングされた生理学的パラメータに少なくとも基づいて画像の取得のタイミングを決定するステップと、被検体の身体の当該領域の時系列生体内画像を取得するようにコントローラを動作させるステップと、を含む。
【0031】
一部の実施形態では、方法は、生理学的パラメータをモニタリングするための少なくとも1つのセンサを用いて、被検体の呼吸に関連する生理学的パラメータを検出するステップをさらに含む。
【0032】
方法は、プロセッサが、生理学的パラメータをモニタリングするための少なくとも1つのセンサからのデータを解析して、被検体の呼吸パターン及び/又は被検体の呼吸の継続時間を検出するステップと、プロセッサが、検出された呼吸パターン及び/又は被検体の呼吸の継続時間をモニタリングして、反復的呼吸パターンが検出されたかを判定するステップと、をさらに含み得る。反復的呼吸パターンが検出された場合、方法は、プロセッサが反復的呼吸パターンを解析して被検体の呼吸サイクルの1以上の特徴を特定するステップと、プロセッサが呼吸サイクルの特定された1以上の特徴に基づいて、少なくとも開始時間及び/又は終了時間を含む、画像の取得を開始するトリガ信号を決定するステップと、をさらに含み得る。
【0033】
一部の実施形態では、方法は、生理学的パラメータをモニタリングするための少なくとも1つのセンサを被検体の口部付近及び/又は口部内に位置決めするステップをさらに含み、方法は、以下の、流量計を用いて、被検体の口部付近及び/又は口部内の気流変化をモニタリングするステップ、サーマルセンサを用いて、被検体の口部付近及び/又は口部内の空気の温度変化をモニタリングするステップ、並びにガスセンサを用いて、被検体の口部付近及び/又は口部内の気体の空気含量の変化をモニタリングするステップのうちの1以上をさらに含む。
【0034】
方法は、少なくとも1つのセンサを用いて、エネルギー源と検出器の間に位置する被検体の身体の動作をモニタリングするステップをさらに含んでいてもよく、方法は、プロセッサが、モニタリングされた被検体の身体の動作にも基づいて画像の取得のタイミングを決定するステップをさらに含んでいてもよい。
【0035】
一部の実施形態では、方法は、プロセッサが、動作をモニタリングするための少なくとも1つのセンサからのデータを処理して、エネルギー源と検出器の間に位置する被検体の身体の動作を検出するステップと、プロセッサが、検出された動作をモニタリングして、被検体が実質的に静止姿勢にあるかを判定するステップと、プロセッサが、被検体が実質的に静止姿勢にある場合に、少なくとも開始時間を含む、画像の取得を開始するトリガ信号を決定するステップと、をさらに含む。
【0036】
動作をモニタリングするための少なくとも1つのセンサは、モーションセンサ、抵抗性センサ、重量センサ、力センサ及び圧力センサのうちの1以上を含み得る。モーションセンサは、カメラであり得る。モーションセンサは、被検体の身体の移動を測定するための加速度計、ジャイロスコープ及び/又は磁力計を含み得る。抵抗性センサは、例えば被検体の身体の変位を測定することができる歪ゲージを含み得る。
【0037】
好ましくは、検出及びモニタリングされた動作は、エネルギー源と検出器の間の被検体の身体の非呼吸関連の動作である。理想的には、被検体の呼吸は、画像の取得中に制限も管理もされない。撮像装置は、被検体が呼吸している間の、好ましくは被検体の1回の呼吸の画像を取得するように構成され得る。
【0038】
一部の実施形態では、方法は、少なくとも1つのセンサを用いて、エネルギー源と検出器の間に位置する被検体の身体の位置及び/又は向きを検出するステップをさらに含み、方法は、プロセッサが、被検体の身体の検出された位置及び/又は向きにも基づいて画像の取得のタイミングを決定するステップをさらに含む。
【0039】
一部の実施形態では、方法は、プロセッサが、被検体の身体の当該領域の画像を取得するためのエネルギー源と検出器の間の所望の位置への被検体の身体の位置及び/又は向きの調整内容を決定するステップをさらに含む。
【0040】
一部の実施形態では、方法は、プロセッサが、事前取得データを用いて撮像対象の被検体の身体の当該領域の位置を推定するステップと、推定された位置に基づいて画像を取得するための所望の位置を決定するステップと、をさらに含む。方法は、プロセッサが、被検体の身体の当該領域の1以上の事前取得画像、当該領域及び/若しくは被検体の身体の解剖学的寸法、身長並びに/又は体重を含む群から選択される被検体の1以上の体格の特徴、並びに年齢、性別、可動性、民族性、病状及び/又は病歴を含む群から選択される被検体の1以上の属性のうちの少なくとも1つを含む事前取得データを受信するステップをさらに含み得る。
【0041】
一部の実施形態では、撮像装置は、被検体の身体をエネルギー源と検出器の間の位置に支持するための支持部材と、支持部材の位置及び/又は向きを調整するために動作可能なアクチュエータと、をさらに含む。方法は、被検体の身体を撮像装置の支持部材上に支持するステップと、被検体の身体を画像の取得のための所望の位置に支持するように、アクチュエータを動作させて支持部材の位置及び/又は向きを調整するステップをさらに含み得る。一部の実施形態では、方法は、画像を取得するための所望の位置に被検体の身体を支持するように、コントローラを動作させてアクチュエータを制御して支持部材の位置及び/又は向きを調整するステップをさらに含み得る。
【0042】
一部の実施形態では、方法は、プロセッサが、撮像装置の出力デバイスを用いて、オペレータ及び/又は被検体に、画像を取得するための所望の位置に被検体の位置及び/又は向きを調整させるための指示を出力するステップをさらに含む。方法は、プロセッサが、撮像装置の出力デバイスを用いて、オペレータ及び/又は被検体に、画像の取得のタイミングについて指示を出力するステップをさらに含んでいてもよく、指示は画像の取得を開始するトリガ信号を少なくとも含む。
【0043】
位置及び/又は向きを検出するための少なくとも1つのセンサは、光センサ、モーションベースのセンサ及びレーザーセンサのうちの1以上を含み得る。
【0044】
一部の実施形態では、撮像対象の領域は、被検体の肺の少なくとも一部を含み得る。方法は、コントローラを動作させて被検体の肺の一部又は肺の全部の画像を取得するステップを含み得る。方法は、コントローラを動作させて被検体の両肺の画像を取得するステップも含み得る。あるいは、撮像対象の当該領域は、被検体の心臓又は脳の一部又は全部を含み得る。
【0045】
撮像装置は、X線イメージング、超音波イメージング及び磁気共鳴イメージング(MRI)のうちの1以上での使用のために構成され得る。X線イメージングは、透視イメージング、コンピュータ断層X線速度(CTXV)イメージング及び/又は4次元コンピュータ断層(4DCT)イメージングを含み得る。
【0046】
撮像装置は、被検体の身体の当該領域の3個の時系列生体内画像を取得するための少なくとも3台のエネルギー源及び少なくとも3台の検出器をさらに含み得る。方法は、プロセッサを用いて、取得された3個の時系列画像に基づいて3次元モーションフィールドを再構築するステップをさらに含み得る。
【0047】
他の態様では、本発明は、被検体の身体の所定領域の時系列生体内画像を取得する撮像装置を提供する。撮像装置は、少なくとも1台のエネルギー源と、エネルギー源と検出器の間に位置する被検体の身体の当該領域を通過する少なくとも1台のエネルギー源からのエネルギーを検出するための少なくとも1台の検出器と、少なくとも1台のエネルギー源及び少なくとも1台の検出器を動作させて被検体の身体の当該領域の時系列生体内画像を取得するように構成されたコントローラと、を含む。撮像装置はまた、エネルギー源と検出器の間に位置する被検体の身体の位置及び/又は向きを検出するための少なくとも1つのセンサと、被検体の身体の検出された位置及び/又は向きに少なくとも基づいて画像の取得のタイミングを決定するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、を含む。
【0048】
一部の実施形態では、プロセッサは、さらに、被検体の身体の当該領域の画像を取得するための、エネルギー源と検出器の間の所望の位置への被検体の身体の位置及び/又は向きの調整内容を決定するように構成される。
【0049】
一部の実施形態では、プロセッサは、さらに、事前取得データを用いて撮像対象の被検体の身体の当該領域の位置を推定し、推定された位置に基づいて画像を取得するための所望の位置を決定するように構成される。プロセッサは、さらに、被検体の身体の当該領域の1以上の事前取得画像、当該領域及び/若しくは被検体の身体の解剖学的寸法、身長並びに/又は体重を含む群から選択される被検体の1以上の体格の特徴、並びに年齢、性別、可動性、民族性、病状及び/又は病歴を含む群から選択される被検体の1以上の属性のうちの少なくとも1つを含む事前取得データを受信するように構成され得る。
【0050】
撮像装置は、被検体の身体をエネルギー源と検出器の間の位置に支持するための支持部材と、支持部材の位置及び/又は向きを調整するために動作可能なアクチュエータと、をさらに含み得る。コントローラは、さらに、支持部材の位置及び/又は向きを調整して、画像を取得するための所望の位置に被検体の身体を支持するようにアクチュエータを制御するように構成され得る。
【0051】
一部の実施形態では、撮像装置は、出力デバイスをさらに含む。プロセッサは、さらに、出力デバイスを用いて、オペレータ及び/又は被検体に、画像を取得するための所望の位置に被検体の位置及び/又は向きを調整させるための指示を出力するように構成され得る。プロセッサは、さらに、出力デバイスを用いて、オペレータ及び/又は被検体に、画像の取得のタイミングについて指示を出力するように構成されてもよく、指示は、画像の取得を開始するトリガ信号を少なくとも含む。
【0052】
位置及び/又は向きを検出するための少なくとも1つのセンサは、カメラ、光センサ、モーションベースのセンサ及びレーザーセンサのうちの1以上を含み得る。
【0053】
撮像装置は、エネルギー源と検出器の間に位置する被検体の身体の動作をモニタリングするための少なくとも1つのセンサをさらに含み得る。プロセッサは、さらに、被検体の身体のモニタリングされた動作にも基づいて画像の取得のタイミングを決定するように構成され得る。
【0054】
プロセッサは、さらに、動作をモニタリングするための少なくとも1つのセンサからのデータを処理して、エネルギー源と検出器の間に位置する被検体の身体の動作を検出し、検出された動作をモニタリングして、被検体が実質的に静止姿勢にあるかを判定し、被検体が実質的に静止姿勢にある場合に、少なくとも開始時間を含む、画像の取得を開始するトリガ信号を決定するように構成され得る。
【0055】
動作をモニタリングするための少なくとも1つのセンサは、モーションセンサ、抵抗性センサ、重量センサ、力センサ及び圧力センサのうちの1以上を含み得る。モーションセンサは、カメラであり得る。モーションセンサは、被検体の身体の移動を測定するための加速度計、ジャイロスコープ及び/又は磁力計を含み得る。抵抗性センサは、例えば被検体の身体の変位を測定することができる歪ゲージを含み得る。
【0056】
好ましくは、検出及びモニタリングされた動作は、エネルギー源と検出器の間の被検体の身体の非呼吸関連の動作である。理想的には、被検体の呼吸は、画像の取得中に制限も管理もされない。撮像装置は、被検体が呼吸している間の、好ましくは被検体の1回の呼吸の画像を取得するように構成され得る。
【0057】
一部の実施形態では、撮像装置は、撮像対象の被検体の身体の当該領域に関連する生理学的パラメータをモニタリングするための少なくとも1つのセンサをさらに含む。プロセッサは、さらに、モニタリングされた生理学的パラメータにも基づいて画像の取得のタイミングを決定するように構成され得る。
【0058】
生理学的パラメータをモニタリングするための少なくとも1つのセンサは、被検体の呼吸に関連する生理学的パラメータを検出するように構成され得る。
【0059】
プロセッサは、さらに、生理学的パラメータをモニタリングするための少なくとも1つのセンサからのデータを解析して、被検体の呼吸パターン及び/又は被検体の呼吸の継続時間を検出し、検出された呼吸パターン及び/又は被検体の呼吸の継続時間をモニタリングして、反復的呼吸パターンが検出されたかを判定するように構成され得る。反復的呼吸パターンが検出された場合、プロセッサは、さらに、反復的呼吸パターンを解析して被検体の呼吸サイクルの1以上の特徴を特定し、呼吸サイクルの特定された1以上の特徴に基づいて、少なくとも開始時間及び/又は終了時間を含む、画像の取得を開始するトリガ信号を決定するように構成される。
【0060】
一部の実施形態では、生理学的パラメータをモニタリングするための少なくとも1つのセンサは、被検体の口部付近及び/又は口部内に位置決め可能であり、被検体の口部付近及び/又は口部内の気流変化をモニタリングするための流量計、被検体の口部付近及び/又は口部内の空気の温度変化をモニタリングするためのサーマルセンサ、並びに被検体の口部付近及び/又は口部内の気体の空気含量の変化をモニタリングするためのガスセンサのうちの1以上を含む。
【0061】
撮像対象の当該領域は、被検体の肺の少なくとも一部を含み得る。撮像装置は、被検体の肺全体を撮像し得る。撮像装置はまた、被検体の両肺を撮像し得る。あるいは、撮像対象の当該領域は、被検体の心臓又は脳の一部又は全部を含み得る。
【0062】
撮像装置は、X線イメージング、超音波イメージング及び磁気共鳴イメージング(MRI)のうちの1以上のために構成され得る。X線イメージングは、透視イメージング、コンピュータ断層X線速度(CTXV)イメージング及び/又は4次元コンピュータ断層(4DCT)イメージングを含み得る。
【0063】
撮像装置は、被検体の身体の当該領域の3個の時系列生体内画像を取得するための少なくとも3台のエネルギー源及び少なくとも3台の検出器を含み得る。プロセッサは、さらに、取得された3個の時系列画像に基づいて3次元モーションフィールドを構築するように構成され得る。一部の実施形態では、撮像装置は、被検体の身体の当該領域の4個の時系列生体内画像を取得するための少なくとも4台のエネルギー源及び少なくとも4台の検出器を含み得る。
【0064】
他の態様では、本発明は、被検体の身体の所定領域の時系列生体内画像を取得する方法を提供する。方法は、少なくとも1台のエネルギー源と、エネルギー源と検出器の間に位置する被検体の身体の当該領域を通過する少なくとも1台のエネルギー源からのエネルギーを検出するための少なくとも1台の検出器と、少なくとも1台のエネルギー源及び少なくとも1台の検出器を動作させて被検体の身体の当該領域の時系列生体内画像を取得するように構成されたコントローラとを含む撮像装置を提供するステップと、を含む。方法はまた、少なくとも1つのセンサを用いて、エネルギー源と検出器の間に位置する被検体の身体の位置及び/又は向きを検出するステップと、少なくとも1つのプロセッサを用いて、被検体の身体の検出された位置及び/又は向きに少なくとも基づいて画像の取得のタイミングを決定するステップと、被検体の身体の当該領域の時系列生体内画像を取得するようにコントローラを動作させるステップと、を含む。
【0065】
一部の実施形態では、方法は、プロセッサが、被検体の身体の当該領域の画像を取得するためのエネルギー源と検出器の間の所望の位置への被検体の身体の位置及び/又は向きの調整内容を決定するステップをさらに含む。
【0066】
一部の実施形態では、方法は、プロセッサが、事前取得データを用いて撮像対象の被検体の身体の当該領域の位置を推定するステップと、推定された位置に基づいて画像を取得するための所望の位置を決定するステップと、をさらに含む。方法は、被検体の身体の当該領域の1以上の事前取得画像、当該領域及び/若しくは被検体の身体の解剖学的寸法、身長並びに/又は体重を含む群から選択される被検体の1以上の体格の特徴、並びに年齢、性別、可動性、民族性、病状及び/又は病歴を含む群から選択される被検体の1以上の属性のうちの少なくとも1つを含む事前取得データを受信するステップをさらに含み得る。
【0067】
一部の実施形態では、撮像装置は、被検体の身体をエネルギー源と検出器の間の位置に支持するための支持部材と、支持部材の位置及び/又は向きを調整するために動作可能なアクチュエータと、をさらに含む。方法は、被検体の身体を撮像装置の支持部材上に支持するステップと、画像を取得するための所望の位置に被検体の身体を支持するように、アクチュエータを動作させて支持部材の位置及び/又は向きを調整するステップをさらに含み得る。一部の実施形態では、方法は、被検体の身体を画像の取得のための所望の位置に支持するように、コントローラを動作させてアクチュエータを制御して支持部材の位置及び/又は向きを調整するステップをさらに含み得る。
【0068】
一部の実施形態では、方法は、プロセッサが、撮像装置の出力デバイスを用いて、オペレータ及び/又は被検体に、画像を取得するための所望の位置に被検体の位置及び/又は向きを調整させるための指示を出力するステップをさらに含む。方法は、プロセッサが、撮像装置の出力デバイスを用いて、オペレータ及び/又は被検体に、画像の取得のタイミングについて指示を出力するステップをさらに含んでいてもよく、指示は画像の取得を開始するトリガ信号を少なくとも含む。
【0069】
位置及び/又は向きを検出するための少なくとも1つのセンサは、カメラ、光センサ、モーションベースのセンサ及びレーザーセンサのうちの1以上を含み得る。
【0070】
方法は、少なくとも1つのセンサを用いて、エネルギー源と検出器の間に位置する被検体の身体の動作をモニタリングするステップをさらに含んでいてもよく、プロセッサが、モニタリングされた被検体の身体の動作にも基づいて画像の取得のタイミングを決定するステップをさらに含む。
【0071】
一部の実施形態では、方法は、プロセッサが、動作をモニタリングするための少なくとも1つのセンサからのデータを処理して、エネルギー源と検出器の間に位置する被検体の身体の動作を検出するステップと、プロセッサが、検出された動作をモニタリングして、被検体が実質的に静止姿勢にあるかを判定するステップと、プロセッサが、被検体が実質的に静止姿勢にある場合に、少なくとも開始時間を含む、画像の取得を開始するトリガ信号を決定するステップと、をさらに含む。
【0072】
動作をモニタリングするための少なくとも1つのセンサは、モーションセンサ、抵抗性センサ、重量センサ、力センサ及び圧力センサのうちの1以上を含む。モーションセンサは、カメラを含み得る。モーションセンサは、被検体の身体の移動を測定するための加速度計、ジャイロスコープ及び/又は磁力計を含み得る。抵抗性センサは、例えば被検体の身体の変位を測定することができる歪ゲージを含み得る。
【0073】
好ましくは、検出及びモニタリングされた動作は、エネルギー源と検出器の間の被検体の身体の非呼吸関連の動作である。理想的には、被検体の呼吸は、画像の取得中に制限も管理もされない。撮像装置は、被検体が呼吸している間の、好ましくは被検体の1回の呼吸の画像を取得するように構成され得る。
【0074】
一部の実施形態では、方法は、少なくとも1つのセンサを用いて、撮像対象の被検体の身体の当該領域に関連する生理学的パラメータをモニタリングするステップと、少なくとも1つのプロセッサを用いて、モニタリングされた生理学的パラメータにも基づいて画像の取得のタイミングを決定するステップと、をさらに含む。
【0075】
方法は、生理学的パラメータをモニタリングするための少なくとも1つのセンサを用いて、被検体の呼吸に関連する生理学的パラメータを検出するステップをさらに含み得る。方法は、プロセッサが、生理学的パラメータをモニタリングするための少なくとも1つのセンサからのデータを解析して、被検体の呼吸パターン及び/又は被検体の呼吸の継続時間を検出するステップと、プロセッサが、検出された呼吸パターン及び/又は被検体の呼吸の継続時間をモニタリングして、反復的呼吸パターンが検出されたかを判定するステップと、をさらに含み得る。反復的呼吸パターンが検出された場合、方法は、プロセッサが反復的呼吸パターンを解析して被検体の呼吸サイクルの1以上の特徴を特定するステップと、プロセッサが、呼吸サイクルの特定された1以上の特徴に基づいて、少なくとも開始時間及び/又は終了時間を含む、画像の取得を開始するトリガ信号を決定するステップと、をさらに含み得る。
【0076】
方法は、生理学的パラメータをモニタリングするための少なくとも1つのセンサを被検体の口部付近及び/又は口部内に位置決めするステップをさらに含み得る。一部の実施形態では、方法は、以下の、流量計を用いて、被検体の口部付近及び/又は口部内の気流変化をモニタリングするステップ、サーマルセンサを用いて、被検体の口部付近及び/又は口部内の空気の温度変化をモニタリングするステップ、並びにガスセンサを用いて、被検体の口部付近及び/又は口部内の気体の空気含量の変化をモニタリングするステップのうちの1以上をさらに含む。
【0077】
一部の実施形態では、撮像対象の領域は、被検体の肺の少なくとも一部を含み得る。方法は、コントローラを動作させて被検体の肺の一部又は肺の全部の画像を取得するステップを含み得る。方法は、コントローラを動作させて被検体の両肺の画像を取得するステップも含み得る。あるいは、撮像対象の当該領域は、被検体の心臓又は脳の一部又は全部を含み得る。
【0078】
撮像装置は、X線イメージング、超音波イメージング及び磁気共鳴イメージング(MRI)のうちの1以上での使用のために構成され得る。X線イメージングは、透視イメージング、コンピュータ断層X線速度(CTXV)イメージング及び/又は4次元コンピュータ断層(4DCT)イメージングを含み得る。
【0079】
撮像装置は、被検体の身体の当該領域の3個の時系列生体内画像を取得するための少なくとも3台のエネルギー源及び少なくとも3台の検出器をさらに含み得る。方法は、プロセッサを用いて、取得された3個の時系列画像に基づいて3次元モーションフィールドを再構築するステップをさらに含み得る。
【0080】
被検体の身体の所定領域の時系列画像を取得する撮像装置も、ここに開示される。撮像装置は、少なくとも1台のエネルギー源と、エネルギー源と検出器の間に位置する被検体の身体の当該領域を通過する少なくとも1台のエネルギー源からのエネルギーを検出するための少なくとも1台の検出器と、少なくとも1台のエネルギー源及び少なくとも1台の検出器を動作させて被検体の身体の当該領域の時系列画像を取得するように構成されたコントローラと、を含む。撮像装置は、撮像対象の被検体の身体の当該領域に関連する生理学的パラメータをモニタリングするための少なくとも1つのセンサと、モニタリングされた生理学的パラメータに少なくとも基づいて画像の取得のタイミングを決定するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、も含む。撮像装置は、被検体の身体の当該領域の生体内撮像を提供し、時系列生体内画像を提供し得る。撮像対象の領域は、被検体の肺の少なくとも一部を含み得る。
【0081】
被検体の身体の所定領域の時系列画像を取得する方法も、ここに開示される。方法は、少なくとも1台のエネルギー源と、エネルギー源と検出器の間に位置する被検体の身体の当該領域を通過する少なくとも1台のエネルギー源からのエネルギーを検出するための少なくとも1台の検出器と、少なくとも1台のエネルギー源及び少なくとも1台の検出器を動作させて被検体の身体の当該領域の時系列画像を取得するように構成されたコントローラと、を含む撮像装置を提供するステップを含む。方法はまた、少なくとも1つのセンサを用いて、撮像対象の被検体の身体の当該領域に関連する生理学的パラメータをモニタリングするステップと、少なくとも1つのプロセッサを用いて、モニタリングされた生理学的パラメータに少なくとも基づいて画像の取得のタイミングを決定するステップと、被検体の身体の当該領域の時系列画像を取得するようにコントローラを動作させるステップと、を含む。方法は、被検体の身体の当該領域の生体内撮像を提供し、時系列生体内画像を取得し得る。撮像対象の領域は、被検体の肺の少なくとも一部を含み得る。
【0082】
被検体の身体の所定領域の時系列画像を取得する撮像装置も、ここに開示される。撮像装置は、少なくとも1台のエネルギー源と、エネルギー源と検出器の間に位置する被検体の身体の当該領域を通過する少なくとも1台のエネルギー源からのエネルギーを検出するための少なくとも1台の検出器と、少なくとも1台のエネルギー源及び少なくとも1台の検出器を動作させて被検体の身体の当該領域の時系列画像を取得するように構成されたコントローラと、を含む。撮像装置はまた、エネルギー源と検出器の間に位置する被検体の身体の位置及び/又は向きを検出するための少なくとも1つのセンサと、被検体の身体の検出された位置及び/又は向きに少なくとも基づいて画像の取得のタイミングを決定するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、を含む。撮像装置は、被検体の身体の当該領域の生体内撮像を提供し、時系列生体内画像を提供し得る。撮像対象の領域は、被検体の肺の少なくとも一部を含み得る。
【0083】
被検体の身体の所定領域の時系列画像を取得する方法も、ここに開示される。方法は、少なくとも1台のエネルギー源と、エネルギー源と検出器の間に位置する被検体の身体の当該領域を通過する少なくとも1台のエネルギー源からのエネルギーを検出するための少なくとも1台の検出器と、少なくとも1台のエネルギー源及び少なくとも1台の検出器を動作させて被検体の身体の当該領域の時系列画像を取得するように構成されたコントローラと、を含む撮像装置を提供するステップを含む。方法はまた、少なくとも1つのセンサを用いて、エネルギー源と検出器の間に位置する被検体の身体の位置及び/又は向きを検出するステップと、少なくとも1つのプロセッサを用いて、被検体の身体の検出された位置及び/又は向きに少なくとも基づいて画像の取得のタイミングを決定するステップと、被検体の身体の当該領域の時系列画像を取得するようにコントローラを動作させるステップと、を含む。方法は、被検体の身体の当該領域の生体内撮像を提供し、時系列生体内画像を取得し得る。撮像対象の領域は、被検体の肺の少なくとも一部を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1】本発明の一部の実施形態に係る、スキャンのために着席した被検体を示す、エネルギー源ユニットに向かって見た撮像装置の斜視図である。
図2】本発明の一部の実施形態に係る、スキャンのために着席した被検体を示す、検出器ユニットに向かって見た図1の撮像装置の斜視図である。
図3】本発明の一部の実施形態に係る、被検体の身体の所定領域を撮像するための検出器及びエネルギー源の内部の位置決めを示す、図2の撮像装置の斜視図である。
図4】明瞭化のために例示的な検出器ユニット及びエネルギー源ユニットを除外した、図3の撮像装置の斜視図である。
図5】明瞭化のために例示的な検出器ユニット及びエネルギー源ユニットを除外した、図3の撮像装置の平面図である。
図6A】本発明の一部の実施形態に係る、スキャンのための着席位置に被検体を支持するための支持部材を示す、図1から図3の検出器ユニットの正面図である。
図6B】本発明の一部の実施形態に係る、支持部材アセンブリの内部構成要素を示す、図6Aの検出器ユニットを示す。
図7】本発明の一部の実施形態に係る、図1から図3の撮像装置の検出器ユニット及びエネルギー源ユニットの構成要素の概略図を示す。
図8】本発明の一部の実施形態に係る、画像の取得のタイミングが、モニタリングされた生理学的パラメータに少なくとも基づく撮像方法におけるステップを示すフローチャートである。
図9】本発明の一部の実施形態に係る、画像の取得のタイミングが、被検体の身体の検出された位置及び/又は向きに少なくとも基づく撮像方法におけるステップを示すフローチャートである。
図10A】本発明の一部の実施形態に係る、スキャンするための所望の位置における被検体の身体の位置決めのための図9の方法におけるステップを示すフローチャートである。
図10B】本発明の一部の実施形態に係る、スキャンするための所望の位置における被検体の身体の位置決めのための図9の方法におけるステップを示すフローチャートである。
図11】本発明の一部の実施形態に係る、被検体の呼吸に基づく取得のためのトリガ信号を定義するための図8の方法におけるステップ並びにXV処理用に画像を取得し、画像データをアップロードするための図8及び図9の両方法におけるステップも示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0085】
添付図面を参照して本発明をより詳細にここに説明する。図面では、同様の構成は同様の符号によって示される。図示する実施形態は例示にすぎず、以降の特許請求の範囲において規定される発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことが理解されるべきである。
【0086】
図面を参照して本発明の実施形態をここに記載する。図面は寸法通りではなく、単に本発明の説明を補助するものである。ここでの被検体との文言は、人間若しくは動物の被検者/被検体、又は医療手順が施され並びに/又は疾患若しくは障害のスクリーニング、モニタリング及び/若しくは診断が行われる人間若しくは動物の患者を含み得る。動物の患者に関して、本発明の実施形態は、獣医学的用途にも適し得る。被検者/被検体及び患者という用語同士、並びに撮像装置及びスキャナという用語同士は、それぞれ説明全体を通じて互換可能に使用され、本発明の実施形態の同じ構成を示すものとして理解されるべきである。ここでは、被検体の身体を通る横断面又は水平面、矢状面又は鉛直面、及び冠状面又は前頭面を含む被検体の身体の解剖学的平面も参照される。
【0087】
本発明の実施形態は、被検体の身体の所定領域の生体内(in vivo)画像を取得し、それらの画像の取得を最適化し、撮像装置及び撮像方法に向けられ、理想的にはスキャン処理におけるX線の使用を低減する。好ましくは、撮像対象の領域は、被検体の肺の少なくとも一部を含み、被検体の片肺又は両肺の全体を含み得る。あるいは、撮像対象の領域は、被検体の心臓又は脳の一部又は全体を含み得る。当業者には分かるように、被検体の身体の呼吸又は他の生理学的過程中の動作、位置及び/又はサイズの変化を含む動的な生体内変化が検出可能なものなど、被検体の身体の他の臓器又は領域も機能的イメージングに適し得る。
【0088】
取得画像は、理想的には、出願人Monash Universityによる2010年9月16日出願の国際出願第PCT/AU2010/001199号及び2011年3月24日公開の国際公開第2011/032210号並びに出願人4Dx Pty Ltd,による2015年4月14日出願の国際出願第PCT/AU2015/000219号及び2015年10月22日公開の国際公開第2015/157799号に記載される技術によるXV処理に適したタイプのものであり、上記両文献の開示全体は参照によりここに取り込まれる。したがって、取得画像は、好ましくは被撮像領域の3空間寸法を経時的に示す被撮像領域の3次元動作フィールドを与えるように、それらの開示に記載されるXV技術を用いて処理され得る。これにより、肺のイメージングの背景において、肺の動作が呼吸サイクル全体を通じて測定可能となり、微細な空間的及び時間的詳細において肺内の各領域における肺機能の評価が可能となる。同様の画像は、心臓若しくは脳、又は動的な生体内変化が検出可能な他の臓器若しくは領域を含む被検体の身体の他の領域について取得され得る。
【0089】
図1から3は、本発明の一部の実施形態に係る、スキャンのために着席した被検体200を示す撮像装置100の斜視図を示す。撮像装置100は、被検体の身体210の領域230(図3参照)の時系列生体内画像を取得するために構成される。撮像装置100は、少なくとも1台のエネルギー源110、及びエネルギー源110と検出器120(図3参照)の間に位置する被検体の身体210の領域230を通過する少なくとも1台のエネルギー源110からのエネルギーを検出するための少なくとも1台の検出器120を含む。撮像装置100は、少なくとも1台のエネルギー源110及び少なくとも1台の検出器120を動作させて被検体の身体210の領域230の時系列生体内画像を取得するように構成されたコントローラ140(図7参照)も含む。撮像装置100は、画像の取得のタイミングを決定するように構成された少なくとも1つのプロセッサ150(図7参照)も含む。
【0090】
第1の発明の態様によると、撮像装置100は、撮像対象の被検体の身体210の領域230に関連する生理学的パラメータをモニタリングするための少なくとも1つのセンサを含む。撮像装置100は、モニタリングされた生理学的パラメータに少なくとも基づいて画像の取得のタイミングを決定するように構成された少なくとも1つのプロセッサ150も含む。画像の取得のタイミングは、モニタリングされた生理学的パラメータに専ら基づいてもよい。この第1の発明の態様及びその有利な効果に関係する構成をここにさらに後述する。
【0091】
第2の発明の態様によると、撮像装置100は、エネルギー源110と検出器120の間に位置する被検体の身体210の位置及び/又は向きを検出するための少なくとも1つのセンサを含む。撮像装置100は、少なくとも被検体の身体210の検出された位置及び/又は向きに基づいて画像の取得のタイミングを決定するように構成された少なくとも1つのプロセッサ150も含む。画像の取得のタイミングは、専ら被検体の身体の検出された位置及び/又は向きに基づいてもよい。この第2の発明の態様及びその有利な効果に関係する構成をここでさらに説明する。
【0092】
とりわけ、一部の好適な実施形態では、第1及び第2の発明の態様は、撮像装置100が、撮像対象の被検体の身体210の領域230に関連する生理学的パラメータをモニタリングするための少なくとも1つのセンサ、並びに被検体の身体210の位置及び/又は向きを検出するための少なくとも1つのセンサを含む。あるいは、撮像装置100は、生理学的パラメータをモニタリングするとともに被検体の身体210の位置及び/又は向きを検出する1つのセンサを含み得る。したがって、プロセッサ150によって決定される画像の取得のタイミングは、モニタリングされた生理学的パラメータ並びに被検体の身体210の検出された位置及び/又は向きの双方に基づき得る。さらに/あるいは、第1及び第2の発明の態様は、画像の取得のタイミングを最適化する1以上の他の態様と別個に組み合わせられてもよい。ここに説明するように、撮像装置100は、被検体の身体210の動作をモニタリングし、被検体の身体210の検出された動作に基づいて画像の取得のタイミングを決定するための少なくとも1つのセンサも含み得る。したがって、画像の取得のタイミングは、被検体の身体210の検出された動作に加えて、モニタリングされた生理学的パラメータ又は被検体の身体210の検出された位置及び/若しくは向きのいずれかに基づき得る。一部の代替実施形態では、単一のセンサが、生理学的パラメータ、被検体の身体210の位置及び/又は向き並びに被検体の身体210の動作のうちの1以上をモニタリングするのに用いられてもよい。画像の取得のタイミングの最適化は、この説明全体を通じて記載される。
【0093】
図1~3に戻ると、撮像装置100は、内部に1以上の検出器120が位置決めされた検出器ユニット122、及び内部に1以上のエネルギー源110が位置決めされたエネルギー源ユニット112を含み得る。これがより詳細に図3に示され、同図は、本発明の一部の実施形態に係る、撮像装置100の斜視図を提供し、撮像対象の被検体の身体210の領域230を通じて検出器120によって取得される投影像により、エネルギー源110によって生成される撮像ビーム116の形態のエネルギーとともに、エネルギー源110及び検出器120の内部位置を示す。
【0094】
撮像装置100は、X線の使用を伴わない他の撮像方法とともに、X線画像技術に適し得る。特に、撮像装置100及び方法300は、X線イメージング、超音波イメージング及び磁気共鳴イメージング(MRI)のうちの1以上のために構成され得る。撮像装置100及び関連する方法300は、静止又は動的X線イメージング技術での使用のために構成され得る。動的X線イメージング技術は、透視イメージング、コンピュータ断層X線速度(CTXV)イメージング及び/又は4次元コンピュータ断層(4DCT)イメージングを含み得る。撮像装置100及び方法300は、好ましくは構成された透視イメージングである。透視法を用いるCTXVイメージング技術は、前述した国際公開第2011/032210号及び国際公開第2015/157799号に、より詳細に記載されている。
【0095】
撮像装置100は、少なくとも1台のエネルギー源110及び少なくとも1台の検出器120を含む。ただし、好ましくは、撮像装置100は、コントローラ140が検出器120及びエネルギー源110を動作させて被検体の身体210の領域230の3個の時系列生体内画像を取得するように構成されるように、少なくとも3台の検出器120及び少なくとも3台のエネルギー源110を含む。XV処理に適した画像を提供するために、少なくとも3個の時系列画像を入力として与えることが望ましい。そして、プロセッサ150は、取得された3個の時系列画像に基づいて3次元モーションフィールドを再構築するように構成され得る。そして、この情報が、プロセッサ150によって処理されて、撮像された領域230(4次元測定値、すなわち、3空間寸法に時間を加えたものとなる)の経時的な3次元(すなわち、3空間寸法)の移動測定値(例えば、変位又は速度測定値)を生成する。さらに、3次元移動測定値は、1成分の速度(3D1C)、2成分の速度(3D2C)又は好ましくは3成分の速度(3D3C)のいずれかを有し得る。プロセッサ150は、前述した国際公開第2011/032210号及び2015/157799号において参照としてここに記載され、取り込まれるXV処理技術を採用し得る。図3に示すように、撮像装置100は、4台のエネルギー源110及び4台の検出器120を含み得る。有利なことに、図3に示すような4台の検出器120及び4台のエネルギー源110の使用は、撮像対象の領域230の3空間寸法を経時的に示す3次元モーションフィールドを生成する際に、より高い精度を与え得る。
【0096】
撮像装置100は、被検体の身体210の領域230の時系列生体内画像を取得するように構成される。望ましくは、発明の装置100によって、撮像処理が完遂される間に、患者(被検体)200がリラックスした状態で通常通り呼吸することが可能となり得る。これは、特に、例えば、幼児、高齢の患者又は言語、聴覚若しくは認知障害のある患者には困難な呼吸操作の指示を患者が理解又は実行する必要がある既存の撮像技術とは対照的である。複数のエネルギー源110及び検出器120、理想的には少なくとも3対の検出器/エネルギー源、及び一部の実施形態では図3~5に示すように4対の検出器/エネルギー源を設けることによって、被検体200の時系列画像が、患者の身体210を通る多数の角度において同時に又は実質的に同時に取得可能となる。タイミングは、被検体の身体210において起こる生理学的過程に基づいて特定の継続時間に制限されてもよい。撮像対象の領域230は被検体200の肺の少なくとも一部を含み、撮像の継続時間は被検体の1回の呼吸に基づいていてもよい。望ましくは、撮像装置100は、被検体200の一部又は1回の呼吸の複数の時系列画像が取得されるのを可能とする。これは、完全な呼吸について吸気、呼気又は吸気及び呼気の両方を含み得る。好ましくは、撮像装置100によって、複数の時系列の被検体200の完全な1回の呼吸が取得可能となる。
【0097】
1回の呼吸の画像を同時に又は実質的に同時に撮影することによって、より少ない独立画像が撮影されるだけでよく、全ての画像が1呼吸内に通常は約4秒を要して取得されるため、発明の装置100は放射線量及びスキャン継続時間を減少させる。比較として、透視装置などの旧式のハードウェアは、各画像についてシステムを再位置決めして4回の独立した呼吸をスキャンする必要があり、長時間を要するとともに4回の異なる呼吸にわたって取得される測定値に起因する不正確さを含むスキャンがもたらされてしまう。4回の独立した呼吸ではなく、完全な1回の呼吸を同時に又は実質的に同時に取得することで、放射線量を低減し、スキャン時間を短縮し、患者200が複数回の呼吸にわたって一貫した呼吸を維持することの要件を除外することにより、3歳を超える幼児などの若年の患者及び高齢の患者による撮像装置100の使用が有利に可能となる。
【0098】
図3の実施形態では、撮像装置100は、例示的なエネルギー源ユニット112において位置決めされる4台のエネルギー源110、及び例示的な検出器ユニット122において位置決めされる4台の検出器120を含む。4台のエネルギー源110及び4台の検出器120の各々は、略菱形状構成において被検体の身体210の周囲に空間的に位置決めされる。被検体の身体210は、スキャナ(撮像装置)100内で真っすぐ着席した位置で配向される。エネルギー源110及び検出器120は、スキャン中は静止したままであり、撮像装置100内の固定位置を適用する。図3~5の実施形態は4台のエネルギー源110及び4台の検出器120の使用を示すが、本発明の実施形態は単一のエネルギー源110及び検出器120しか含まない場合もある。またさらに、他の実施形態は、充分な撮像角度が動的事象の撮像のために取得可能となるように、2台のエネルギー源110及び2台の検出器120、又は好ましくは3台のエネルギー源110及び3台の検出器120を含んでいてもよい。
【0099】
図4は、明瞭化のために例示的な検出器ユニット及びエネルギー源ユニットを除外した、図3の撮像装置の斜視図である。撮像装置100は、4台のエネルギー源110(100A、110Bとして示す)及びエネルギー源110と検出器120の間に位置する被検体の身体210の領域230を通過する4台のエネルギー源110からのエネルギーを検出するための4台の検出器120(120A、120Bとして示す)を含む。2対のエネルギー源及び検出器110A、120Aは、被検体の身体210を通る横断面又は水平面である第1の平面において被検体の身体210の周囲に空間的に位置決めされる。2対のエネルギー源及び検出器110B、120Bは、被検体の身体210を通る矢状面又は鉛直面である第2の平面において被検体の身体210の周囲に空間的に位置決めされる。第1の平面と第2の平面とは、撮像対象の被検体の身体210の領域230を通って交差する。
【0100】
図4は、エネルギー源110Aが第2の弧104に対する第1の弧102の交点の左右に周方向に約40度離間され得ることを示す。またさらに、エネルギー源110Bは、第1の弧102に対する第2の弧104の交点の上下に周方向に約30度離間され得る。同様の周方向の間隔が、第1及び第2の平面内のそれらのそれぞれの共通の弧(例えば、図5の検出器120Aに対する共通の弧103参照)において検出器120A、120Bに関して設けられ得る。
【0101】
図4はエネルギー源及び検出器の各対によって与えられる撮像角度又は視点の間が約60度及び80度の角度を示すが、本発明の実施形態はこれらの角度に限定されることも、平面内の弧において周方向の離間を与えることに限定されることもない。撮像角度は、被検体の身体210の周囲に周方向に180度までさらに離間されてもよい。ただし、より小型のスキャナ100を提供するために、エネルギー源110A、110Bが近接して位置決めされることが好ましい。またさらに、エネルギー源110A、110Bの構成は、領域230を通じて撮像ビーム116によって示す検出器120A、120Bの対応する配置にも反映される。したがって、検出器120A、120Bは、より小型のスキャナ100を提供するために、理想的には近接して位置決めされる。
【0102】
一部の実施形態では、第1の平面内のエネルギー源及び検出器110A、120Aの対によって与えられる撮像角度は、図4に示すような菱形状構成において約45~90度の範囲で、好ましくは80度離間され得る。不図示であるが、追加のエネルギー源及び検出器が設けられる矩形状構成又は楕円若しくは長円形状構成などの、エネルギー源及び検出器の他の種々の構成が設けられ得る。またさらに、不規則形状構成が設けられてもよい。
【0103】
図4の菱形状構成において、各対のエネルギー源及び検出器110A、120Aによって与えられる2つの撮像角度は、約45~70度、約70~90度、約45~60度、約60~70度、約70~80度又は約80~90度の範囲で第1の平面において離間され得る。間隔は、約45度、約50度、約55度、約60度、約65度、約70度、約75度、約80度、約85度又は約90度であり得る。ただし、好ましくは、間隔は、菱形状構成については図4に示すように約80度である。
【0104】
またさらに、エネルギー源及び検出器110B、120Bの対によって与えられる2つの撮像角度は、約45~70度の範囲で第2の平面において離間され得る。好ましくは、間隔は、約45~60度又は約60~70度の範囲である。間隔は、約45度、約50度、約55度、約60度、約65度又は約70度であり得る。好ましくは、間隔は、菱形状構成については図4に示すように約60度である。
【0105】
一部の実施形態では、コントローラ140は、被検体の身体210の領域230を通る少なくとも4個の撮像角度を用いて画像を取得するように構成される。少なくとも2つの撮像角度が被検体の身体210を通る第1の平面に与えられてもよく、少なくとも2つの撮像角度が被検体の身体210を通る第2の平面に与えられてもよい。各対のエネルギー源及び検出器の空間的配置及び位置決めは、図3~5に示すエネルギー源110A、110Bによって生成される撮像ビーム116によって示される、被検体の身体210の領域230を通る4個の撮像角度を与える。
【0106】
本発明の実施形態は、被検体の身体210の領域230の時系列生体内画像を有利に取得する。本発明の実施形態は、少なくとも1対のエネルギー源110及び検出器120、好ましくは3対のエネルギー源110及び検出器120、又は4対のエネルギー源110及び検出器120(図3~5参照)を含む。図3~5の実施形態では、コントローラ140は、4台のエネルギー源110A、110B及び4台の検出器120A、120Bを動作させて被検体の身体210の領域230の時系列生体内画像を取得するように構成される。これにより、スキャン中に少なくとも4個の時系列生体内画像が取得可能となる。複数の角度から時系列の画像を取得することによって、被検体の身体210の動的な撮像を提供することが可能となる。特に、本発明の実施形態は、当業者には分かるように、被検体の身体210の呼吸又は他の生理学的過程中に、臓器又は身体の領域の動作、位置及び/又はサイズの変化を含む動的な生体内変化が検出可能なものなど、機能的イメージングに適し得る。これは、XV技術を用いる発明の方法300及び取得画像の処理との関係において、より詳細に後述される。
【0107】
ここで図3~5の撮像装置100を用いるスキャン処理を説明する。図4に最も良く示すように、各エネルギー源110A、110Bは、撮像対象の領域230を通過する撮像ビーム116を生成し、対応する検出器120A、120Bによって投影像が取得される。各エネルギー源110A、110Bは、異なる角度又は視点からではあるが全てのエネルギー源110A、110Bによって撮像されている着目領域である同じ体積部を通じて撮像ビーム116が受信されるように、撮像対象の領域230に向かって傾斜される。
【0108】
図4及び5の実施形態では、エネルギー源110A、110Bは撮像対象の領域230に向かって傾斜され、対応する検出器120A、120Bは、画像を取得するために、それぞれのエネルギー源110A、110Bに向かって傾斜される。検出器120A、120Bの各々は、それぞれのエネルギー源110A、110Bと実質的に整列され、実際には、それぞれのエネルギー源110A、110Bに直接対向する。検出器120A、120Bは、それぞれのエネルギー源110A、110Bによって生成される撮像ビーム116が検出器120A、120Bに略直角となるように、それぞれのエネルギー源に実質的に整列される。
【0109】
図5は、明瞭化のためにエネルギー源ユニット112及び検出器ユニット122を除外した平面図において、図3の撮像装置100を示す。図5は、エネルギー源110A、110Bによって生成された撮像ビーム116が、単一の交点Pを含み得る交差領域142を通じて交差することを示す。撮像装置100の交差領域142は、撮像対象の被検体の身体210の領域230に対応することになる。交点Pは、エネルギー源110A、110B及び検出器120A、120Bの各々から等距離ではない。図5の実施形態では、交点Pはエネルギー源110A、110Bよりも検出器120A、120Bの近くに位置し、それにより、撮像対象の被検体の身体210の領域230はエネルギー源110A、110Bよりも検出器120A、120Bに近接している(図1~4も参照)。交点Pから検出器120Aの対が位置する共通の弧103までのRで示す曲率半径は、約400mmであり、より詳細には約410mmとなり得る。交点Pからエネルギー源110Aの対が位置する第1の弧102までのRで示す曲率半径は、約1200mmとなり得る。
【0110】
交差領域142を有すること、及びより具体的には交点Pがエネルギー源110A、110Bよりも検出器120A、120Bに近いことの有利な効果は、これが撮像装置100によって取得される画像の誇張を減少させることである。誇張は、撮像されている領域、例えば、被検体200の領域230にエネルギー源110A、110Bが近接しすぎて位置決めされる場合に起こり、撮影された画像は構造物のサイズ及び寸法を誇張する。本発明の実施形態では、撮像対象の領域230のより正確な表示を提供するために、誇張を減少させることが望ましいことがある。領域230が検出器120A、120Bにより近接して位置決めされることによって、より誇張されにくくなるので、前後方向(PA)投影ビームビューによって、特に被検体200の心臓又は肺など、撮像対象の領域230のより正確な表示が可能となる。当業者であれば、曲率半径R及びRは、半径Rが半径Rよりも大きいことが好ましいことには変わりないが撮像装置100の寸法に対して適宜変わり得ることが分かるはずである。
【0111】
図1~3に示すように、検出器ユニット122は、画像の取得中に着席位置にある被検体の身体210を支持するためのシート124の形態の支持部材を含み得る。健常な被検体200は、スキャナ100内に歩いて入り、自身をシート124に位置決めして撮像処理を開始し得る。あるいは、車椅子に収まり又は移動が制限された被検体200は、スキャン処理を開始する前にオペレータ又は技師によって撮像装置100のシート124に移送され得る。他の実施形態では、被検体200は車椅子に配置されてもよく、その後に車椅子は、シート124(不図示)の使用を要することなく、エネルギー源110と検出器120の間のスキャナ100に位置決めされる。車椅子又は他の着席装置は、X線イメージングにおける使用のために、エネルギー源110から検出器120へのX線の透過を可能とする放射線透過性背もたれを含んでいてもよい。あるいは、当業者には分かるように、背もたれは、医療用イメージングのための、これに限られないが、超音波及び磁場を含む各種形態のエネルギーの透過を可能とする任意の適宜の材料で作製され得る。
【0112】
図6A及び6Bは、本発明の実施形態に係る、シート124及び支持部材アセンブリ128の形態の、エネルギー源110と検出器120の間の位置における被検体の身体210を支持するための例示的な支持部材を示す。図6Aは、検出器ユニット122の一部を構成するパネル126に取り付けられたシート124を示す。例示的な支持部材アセンブリ128の内部構成要素を図6Bに示す。シート124は、シート124の位置及び/又は向きを調整するためのアクチュエータによって可動であってもよい。コントローラ140(図7参照)は、アクチュエータを制御して、画像を取得するための所望の位置において被検体の身体210を支持するようにシート124の位置及び/又は向きを調整するよう構成され得る。
【0113】
アクチュエータは、図6Bに示すようなナット134によって支持されるモータ130を含み得る。モータ130は、ネジ132でのシート124を支持するマウントプレート138を鉛直方向に移動させて、ベアリングサポート136に対してシート124を昇降させるように動作可能であり得る。鉛直方向のシート位置調整は、回転を直線動作に変換するとともにモータ130によって動力付与されるこの例示的な回転ネジ機構によって実現され得る。不図示であるが、モータ130はまた、マウントプレート138を水平方向及び/又は傾斜向きに移動させてシート124の位置及び/又は向きを変化させ、結果として被検体の身体210の位置及び体軸を変化させるように動作可能であってもよい。本発明の実施形態はこの支持部材の特定の配置構成に限定されず、当業者であれば、アクチュエータとしてモータ130を含まずに異なる原理で動作して被検体の身体210の位置及び体軸を変更するようにシート124の位置及び/又は向きを変化させる他の多くの配置構成が可能であることが分かるはずである。例えば、回転ネジ機構は、モータ130を除外してもよく、その代わりに手動で動作可能な回転ハンドルをアクチュエータとして含んでいてもよい。
【0114】
他の実施形態では、手動操作又は動力付与される油圧又は空圧システムが、シート124(不図示)を移動させるのに使用され得る。この配置構成では、鉛直方向にシートを移動させてシートを昇降させるのにシリンダが設けられてもよく、シリンダはシリンダ内の空気などの圧縮流体を制御することによって駆動される。一部の実施形態では、撮像装置100は、流体又は空気圧縮機(不図示)に加えて、圧縮流体を制御するための被検体制御システム176(図7参照)を有する被検体支持システム175を含み得る。さらに/あるいは、シート124は、オペレータ又は技師によって手動調整され得る。例えば、予め規定された位置にオペレータ(不図示)によって配置及び固定可能な、手動で再位置決め可能なシートが設けられてもよい。あるいは、手動で動作されるスプリング又は圧縮可能なガス支柱シートが設けられてもよい(不図示)。
【0115】
シート124を含まない実施形態では、撮像装置100は、被検体200を直立した向きで起立させ又は放射線透過性の背もたれを有する車椅子若しくは他の椅子(不図示)において位置決めされ、プラットフォームの形態の支持部材を代替的に含んでいてもよい。プラットフォームは、被検体200を画像の取得のための所望の位置に上昇及び/又は下降させるように鉛直方向及び水平方向に可動であってもよく、被検体の身体210の向き及び/又は体軸を変化させる傾斜機能を含んでいてもよい。被検体200がスキャナ100内に入るように撮像装置100が位置決めされるプラットフォームが、最初に地面又は床上に配置され、その後に鉛直方向、水平方向に移動され及び/又は傾斜されて被検体の身体210を画像の取得のための所望の位置に移動させてもよい。プラットフォームを上昇、下降及び/又は傾斜させるための同様の機構が、シート124との関係で上述したように採用されてもよい。可動プラットフォームを含む実施形態については、患者200を固定し、並びに/又は患者200及び/オペレータがつまずく潜在的な危険性を最小限とするように、追加の安全機構が必要となる。例えば、プラットフォームは、高い摩擦係数並びに/又は患者の履物及び/若しくは車椅子に対するグリップを与えるテクスチャリング加工を有する表面材料を含み得る。プラットフォームはまた、地面又は床に対して上昇された際にプラットフォームからの落下を防止するようにエッジを囲む安全パネルを含んでいてもよい。
【0116】
有利なことに、撮像装置100は、健常な患者200がスキャナ内に歩いて入ることを可能としてもよいし、移動困難な患者200がシート124又は車椅子においてスキャナ内で位置決めされることを可能としてもよい。これは、完遂すべきスキャンのために患者200が横臥する必要があるCTスキャナなどの従来技術のスキャナとは本質的に異なる。通常のCTスキャナ配置構成は、患者身体の周囲の回転のためにエネルギー源及び/又は検出器が取り付けられたリング又はC形状アームを採用する。患者は、彼らの身体の所定領域をスキャンするために必要な位置においてスキャナ内に位置決めされる必要があり、画像を撮影するために微動だにしないままでいなければならない。CTスキャナを用いて肺を撮影する場合、患者は、彼らの肺の構造の静止画を撮影するために彼らの呼吸を保持して微動だにしないままでいることを要求される。さらに、彼らは仰臥位でベッドに横になるため、彼らの肺は重力に逆らう姿勢に配向され、これは患者200が起立又は着席している場合に採用される通常の直立した向きとは異なる。患者200が発明のスキャナ100内に位置決めされてスキャン中に静止保持することが、一層容易となる。発明のスキャナ100によって、患者200がスキャナ100内で直立着席又は起立位置で位置決めされ、彼らの位置及び/又は向きがスキャン前に所望の位置に調整可能となる。さらに、発明のスキャナ100は(機能的情報の抽出を可能とするように)動的な情報を取得するので、患者は彼らの呼吸を保持する必要はない。したがって、発明の撮像装置100は、患者の可動性及び/又は若年性にかかわらず、より利用可能性の高いスキャン手段を提供する。
【0117】
図7は、本発明の一部の実施形態に係る撮像装置100のエネルギー源ユニット112及び検出器ユニット122の構成要素の概略図を示す。検出器ユニット122及びエネルギー源ユニット112を破線で示し、これが、当業者には理解され得るように変わり得る撮像装置100の構成要素及びシステムの例示的配置構成であることを示す。例えば、XV処理部(処理部)186(任意選択的に検出器ユニット122に設けられる)及び被検体センサシステム172は、エネルギー源ユニット112に配置されてもよい。あるいは、XV処理部186は、撮像装置100に含まれなくてもよく、その代わりに、画像データのオフボード処理のためのXV処理アプリケーションを有するクラウドベースのサーバを介して設けられてもよい。またさらに、一部の実施形態では、エネルギー源ユニット112の制御システム152、安全システム182、出力デバイス117及び通信システム188は、検出器ユニット122に配置されてもよい。
【0118】
本発明の実施形態の方法300(図8~11参照)の特定のステップを実現するのに使用され、撮像装置100の機能において実行される図7のプロセッサ150並びに処理部158、174及び186は、無線又は有線接続(不図示)を介するなどして装置100の構成要素又はコンピューティングサーバからデータを受信するように構成されたマイクロプロセッサなどを含み得る。コントローラ140は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)及び/又は埋め込み型PCB(不図示)を含み得る。コントローラ140は、多数の予め規定されたプロトコル又はステップをハードドライブなどの不揮発性メモリに含み又は記憶し得る。プロトコルは、プロセッサ150、処理部158、174及び186によって実行される方法300(図8及び9では方法300A及び300Bとして、図10及び11では方法300として示される)のための多数のステップを実現するようにオペレータによってプログラム可能であってもよいし、予め規定されてもよい。さらに/あるいは、コントローラ140及びプロセッサ150、処理部158、174及び186は、当業者には周知の他の任意の適宜のプロセッサ又はコントローラ装置を含んでいてもよい。プロセッサ150、処理部158、174及び186によって実行されるステップは、当業者には理解され得るように様々な態様で、コントローラ140を通じて並びにさらにはソフトウェア、ファームウェア及び/又はハードウェアで実現されてもよい。
【0119】
図7はまた、図面を簡略化するために、撮像装置100の一部を構成することになる何らかの追加の構成要素及びシステムを除外している。例えば、撮像装置100は、センサデータ、画像データ及び以前に取得された患者データを含む種々のタイプのデータ、並びに画像の取得処理ワークフローを実行するためのソフトウェア命令及びより詳細を後述するような本発明の実施形態のプロセッサ150によって実行されるXV処理及び発明のアルゴリズムを記憶するために1以上のメモリデバイス(不図示)を含み得る。図7の概略図はまた、簡略化のために、種々の構成要素とシステムの間の内部バスラインの一部を省略している。除外された態様は、省略されたソフトウェア、ファームウェア及び/又はハードウェアを容易に提供することができる当業者によって理解され得る。
【0120】
エネルギー源ユニット112は、撮像装置100のための電源184の一部を構成する1以上の電源発生装置114によって給電される1以上のエネルギー源110を含み得る。コントローラ140及びプロセッサ150を有する制御システム152は、被検体の身体210の領域230をスキャンするための検出器ユニット122のエネルギー源110及び検出器120を動作させるように構成され得る。エネルギー源ユニット112は、制御システム152と通信状態にある安全システム182も含み得る。安全システム182は、撮像装置100のソフトウェア又はハードウェア構成要素の形態で緊急停止部180を含んでいてもよい。
【0121】
図1は、被検体200に隣接するエネルギー源ユニット112の表面にある緊急停止部180の実施形態を示す。緊急停止部180は、緊急の場合に撮像装置100を電源オフするための押下型ボタン又はスイッチなどのアクチュエータを含み得る。押下型ボタン又はスイッチは、装置が生成するスキャン開始及びスキャン停止トリガ信号とは独立して、スキャン継続期間に押下された状態を維持するようにしてもよい。緊急停止部180が作動されると、制御システム152のコントローラ140は、不注意による放射線の発生を防止するために、エネルギー源110を介した画像の取得を停止させ、任意選択的に、電源184(不図示)を介する撮像装置100への電源を直接オフするように動作可能であってもよい。
【0122】
第2の発明の態様によると、撮像装置100は、エネルギー源110と検出器120の間に位置する被検体の身体210の位置及び/又は向きを検出するための少なくとも1つのセンサを含み得る。撮像装置100はまた、少なくとも被検体の身体210の検出された位置及び/又は向きに基づいて画像の取得のタイミングを決定するように構成された少なくとも1つのプロセッサ150を含んでいてもよい。
【0123】
位置及び/又は向きを検出するためのセンサは、幾つかを挙げると、カメラ、光センサ、モーションベースのセンサ及びレーザーセンサの1以上を含み得る。図7に示すように、位置及び/又は向きを検出するためのセンサは、本発明の実施形態に係るモーションシステム154をともに構成する、センサデータを処理するための処理部158と併せて、カメラ160の形態の1以上のモーションセンサを含み得る。モーションシステム154からのセンサデータは、少なくとも被検体の身体210の検出された位置及び/又は向きに基づいて画像の取得のタイミングを決定するために制御システム152によって処理及びその後に使用され得る。したがって、撮像装置100は、被検体の身体210の位置及び/又は向きを検出するための1つのセンサ並びに生理学的パラメータをモニタリングするための他のセンサを含んでいてもよく、そのセンサの双方は、被検体200がスキャンのための所望の位置となり、モニタリングされた生理学的パラメータから取得のためのトリガ信号が特定されると、画像の取得のタイミングを決定するのに使用され得る。
【0124】
図1に示すように、被検体200に隣接するエネルギー源ユニット112の表面に、カメラ160が図示される。カメラ160は、可視光又は赤外線によって、エネルギー源110と検出器120の間の被検体の身体210の位置及び/又は向きを視覚的に検出するように動作し得る。好ましくは、カメラ160は、深度情報付きビデオカメラシステム(例えば、LIDAR、Microsoft Kinect型システム、立体カメラセットアップなどと組み合わされたビデオカメラ)であり、それは被検体200の位置及び/又は向き並びに被検体200の移動の可視化を可能とする。カメラ160は、被検体200の背後に位置決めされた基準参照マーカを用いて彼らの頭部の最上部の位置を位置特定するとともに被検体200の周囲の境界を見出し得るリアルタイムモーションベースの視覚システム(モーションシステム)154の一部を構成し得る(不図示)。またさらに、他の実施形態では、Lidar(Light Detection and Ranging)法を用いるなどして、撮像のための被検体200の位置を視覚的に検出するレーザーカーテンを提供するレーザーセンサが、追加的に含まれてもよい(不図示)。さらに/あるいは、超音波エネルギーを介した非接触距離検知を通じて、撮像のための被検体200の位置を検出するように超音波センサが設けられてもよい。
【0125】
例示的実施形態では、モーションシステム154は、撮像装置100の検出器120の視野(FOV)内で被検体200をスキャンのための所望の位置に位置決めするために、カメラ160及び任意選択的にレーザーセンサなどの追加のセンサを含むリアルタイム視覚システムである。視覚システムは、カメラ160及び/又は追加のセンサを用いて2D又は3D画像データを取得し、理想的にはそのデータをリアルタイムで処理して患者の重要な参照点を位置特定してそれを測定し得る。リアルタイム画像処理は、幾つかを挙げると、エッジ検出、姿勢推定及び顔検出などの公知の技術を採用して患者の重要な特徴部を位置特定することができる。被検体200はエネルギー源110と検出器120の間に着席し又は任意選択的に起立しているので、処理部158は、センサデータを処理して被検体200の境界のトレースを作成し、検出器ユニット122(不図示)などにおいて、被検体200が着席又は起立している背後に位置する基準参照マーカに対してこのトレースを較正し得る。撮像のための領域230の位置を推定するために、処理部158は、より詳細を後述するように、利用可能な場合には以前のスキャンから、又は種々の患者の年齢及び寸法についての公開された人体計測的な身体寸法及び肺サイズデータから得られた患者200に対する肺位置参照データなどの事前取得データを受信し得る。患者の重要な特徴部位置及び肺位置参照データは、被検体200をスキャンのための所望の位置に位置決めするのに必要な動作の方向及び/又は大きさを特定するために、固定の基準データと併せて処理部158及び/又はプロセッサ150に入力される。このデータに基づいて、撮像対象の肺位置など、撮像対象の被検体の身体210の領域230の推定現在位置が計算可能となり、スキャナ100によって自律的に又はオペレータの制御によってシート124又はプラットフォームの位置がスキャンのための所望の位置に調整可能となる。
【0126】
有利なことに、被検体の身体210の位置及び/又は向きを検出するためのセンサは、X線の使用を必要としないエネルギー源及び/又は技術を用いる。従来技術は、撮像対象の領域230がスキャナの視野(FOV)内にあるかを判定するために、被検体の身体210のライブの(すなわち、一定の)X線イメージングの実行を必要とする。発明のスキャナ100は、このライブのX線イメージングの実行を必要としないため、スキャン処理におけるX線の使用を低減する。これは、被検体200における放射線の負担を軽減し、より少ない放射線の全体的な負担でより多くのスキャンが完遂されることを可能とする。特に、これは、放射線が彼らの身体に一層のダメージとなる、より若年の患者に対して非常に有益である。
【0127】
代替実施形態では、撮像装置100は、被検体の身体210の予備スキャンを実行して撮像対象の領域230が視野(FOV)内にあるかを判定するように構成され得る。コントローラ140は、被検体200の予備スキャン、例えば、エネルギー源/検出器の対から取得された単一の投影像からの単一のX線画像を取得するように構成され得る。そして、プロセッサ150は、幾つかを挙げると、画像輝度、位置又はバウンディングボックス技術に基づくなどして、画像データを処理して撮像対象の領域230を特定し、時系列の画像を取得するための所望の位置への被検体の身体210の調整を決定するように構成され得る。有益なことに、コントローラ140は、被検体200をスキャンのための所望の位置に、オペレータが被検体200を手動で移動し又は被検体200が指示を与えられるのではなく、シート124又はプラットフォームの位置及び/又は向きを調整することによって自動的に移動する。コントローラ140は、さらに、被検体200がスキャナのための所望の位置に移動されると、被検体200の第2の予備スキャンを取得して、撮像対象の領域230が現在視野(FOV)内にあるかを判定するように構成され得る。
【0128】
エネルギー源ユニット112は、ディスプレイ118及びスピーカ119を含み得るオーディオビジュアルデバイスなどの出力デバイス117も含み得る。図1は、スキャナ100内で位置決めされる場合に被検者の見通し線においてカメラ160の下部に位置するディスプレイ118を示す。不図示であるが、撮像装置100は、エネルギー源ユニット112及び/又は検出器ユニット122において位置決めされたスピーカ119も含み得る。出力デバイス117は、通信が通信システム188を介して被検体200及び/又はオペレータ並びに撮像装置100との間で伝達可能となるように設けられる。例えば、制御システム152は、プロセッサ150を介して、指示を被検体200及び/又はオペレータに出力デバイス117を介して出力し得る。指示は、ディスプレイ118及び/又はスピーカ119に与えられてもよい。与えられる指令は、被検体の身体210をスキャナ100内の画像を取得するための所望の位置に与えるために、スキャナ100内の被検体の位置及び/又は向きに対して行われる調整内容を含み得る。例えば、出力デバイス117は、彼らの身体を伸ばす指示、例えば、スキャナ100内での彼らの着席又は起立位置に対して彼らの身体の傾斜又は角度を左右又は前後に補正する指示を含む身体位置決め指示を被検体200に与えることができる。指令は、画像の取得を開始するためのトリガ信号のように、画像の取得のタイミングに関係することもある。例えば、出力デバイス117は、吸ったり吐いたりする指示、及び好ましくは規則的な呼吸パターンを与えるために特定の速度で呼吸する指示を含む呼吸の指示を被検体200に与え得る。
【0129】
スキャナ100が、本発明の一部の実施形態において、画像を取得するために被検体の身体210の完全自動化された位置決めを与えることは有利となる。例えば、被検体200は、領域230の最適なスキャンのための被検体200の位置、向き(例えば、傾斜/角度)及び/又は体軸をその後に自動調整するシート124に着席することになる。ただし、スキャナ100が完全自動化できない場合、患者200、特に、より若年の患者及び/又は知的能力が低下した者を補助するために有用な通信システム188を設けて、スピーカ119を介した口頭の指示に加えてディスプレイ118上の視覚的指示が与えられることが望ましい。従来技術は、技師又はオペレータが、画像の取得を最適化するためにどのように彼らの位置を変化させるかを患者に説明することを単に必要とする。より若年の患者及び/又は知的能力が低下した者については、彼らは視覚的指示及び/又はアニメーションに対してより積極的に応答し易くなることから、単なる説明は難しいタスクとなる。またさらに、グラフィカルディスプレイ118及び/又はスピーカ119はまた、スキャンが進行するにつれてステップを説明することによって施術中に患者200をより快適とする機会を与える。
【0130】
不図示であるが、撮像装置100は、被検体200及び/又はオペレータからのデータ入力を提供するための入力デバイスも含み得る。データ入力は、被検体200に関連するデータ及び/又は被検体200の代表的特徴を有する一般若しくは一般的集団に関連するデータを含み得る事前取得データを含んでいてもよい。例えば、事前取得データは、撮像対象の被検体の身体210の領域230の1以上の事前取得画像を含み得る。事前取得画像は、被検体の身体210の正確な解剖学的位置及び関連のメタデータを与えるCT画像又は前回のXVスキャンを含み得る。さらに/あるいは、事前取得データは、領域230及び/又は被検体の身体210の解剖学的寸法、被検体200の身長及び/又は体重など、被検体200の1以上の体格の特徴を含み得る。解剖学的寸法は、例えば、肺又は撮像されている肺の特定部分などの被検体200の臓器の寸法を含み得る。またさらに、事前取得データはまた、年齢、性別、可動性、民族性、病状及び/又は病歴を含む被検体200の1以上の属性を含み得る。被検体200の体格の特徴及び属性は、一般又は一般的集団に関連するデータから導出され得る。事前取得データは、より詳細に後述する画像の取得を最適化する処理において使用され得る。
【0131】
図7に示すように、検出器ユニット122は、被検体の身体210の領域230の時系列の生体内画像を取得するための制御システム152のコントローラ140によって動作可能な1以上の検出器120を含む。取得画像は、肺又は心臓などの被検体の身体210の領域230のXV3次元モーションフィールドを生成するために、前述したように、XV処理部186に対する入力として使用され得る。XV処理部186は、一部の実施形態では、代替的にサーバ又はクラウドベースのシステムを介してオフボードで与えられてもよい。
【0132】
検出器ユニット122はまた、前述するとともに図6Bに示したモータ130を含む支持部材アセンブリ128及びアクチュエータによるなどして、支持部材(例えば、図1~3のシート124又はプラットフォーム)の位置決めを制御するための(図7に示す)被検体制御システム176を有する被検体支持システム175を含んでいてもよい。したがって、エネルギー源ユニット112の制御システム152のコントローラ140は、アクチュエータを制御して、任意選択的に自動的に、被検体支持システム175及び制御システム176を介してシート124の位置及び/若しくは向き(例えば、傾斜/角度)又はアライメントを調整するように動作可能となり得る。またさらに、被検体支持システム175は、シート124又はプラットフォームに位置する重量センサ178を含んでいてもよい。重量センサ178は、被検体の身体210がシート124又はプラットフォーム上で位置決めされると被検体の体重を検出するための力若しくは圧力のセンサ又はトランスデューサであり得る。重量センサ178からのセンサデータは、さらに後述するように、画像の取得を最適化する際の使用のためにエネルギー源ユニット112の制御システム152への入力として供給され得る。
【0133】
第1の発明の態様によると、撮像装置100は、撮像対象の被検体の身体210の領域230に関連する生理学的パラメータをモニタリングするための少なくとも1つのセンサを含み得る。撮像装置100はまた、モニタリングされた生理学的パラメータに少なくとも基づいて画像の取得のタイミングを決定するように構成された少なくとも1つのプロセッサ150を含み得る。
【0134】
生理学的パラメータをモニタリングするための少なくとも1つのセンサは、図7に示す被検体センサ170によって示すような検出器ユニット122に配置され得る。被検体センサ170は、エネルギー源ユニット112の制御システム152のプロセッサ150による処理のためのセンサデータを提供するための処理部174も有する被検体センサシステム172によって動作され得る。被検体センサ170は、撮像対象の被検体の身体210の領域230に関連する生理学的パラメータをモニタリングするように構成され得る。生理学的パラメータは、気流又は血圧を含み得る。撮像対象の領域230が肺を含む場合、生理学的パラメータは、標準呼吸曲線に適合するための、口部における気流、肺気量、レーザー生成によるグリッド若しくは画像を用いた胸壁測定値又は胸郭周りのバンドを含み得る。撮像対象の領域230が心臓又は血管を含む場合、生理学的パラメータは血圧又は血流の測定値を含み得る。さらに/あるいは、当業者には分かるように、心臓を撮像するためにECGを用いて血液量の時間的変動を推定するなど、種々の生理学的パラメータに対する他の多数のモニタリング手段が使用され得る。
【0135】
被検体センサ170は、被検体の呼吸に関連する生理学的パラメータを検出するように構成され得る。特に、センサデータは、被検体200の呼吸パターン及び/又は被検体の呼吸の継続時間を検出するためのプロセッサ150によって解析され得る。そして、画像の取得のタイミングが、検出された呼吸パターン及び/又は被検体の呼吸の継続時間に基づいて決定される。より詳細には、画像の取得は、検出された呼吸パターン及び/又は被検体の呼吸の標準的な継続時間をモニタリングして反復的呼吸パターンが検出されるかを判定し、そこから反復的な呼吸パターンを解析して、スキャンを開始するための吸気の開始及びスキャンを停止するための呼気の終了など、呼吸サイクルの1以上の特徴を特定することに基づき得る。このデータは、画像の取得のための呼吸サイクルトリガ信号を生成するのに使用され得る。撮像装置100及び方法300は、一呼吸の一部(例えば、呼吸サイクルの吸気位相のみ又は呼気位相のみ)にわたって又は全呼吸(すなわち、呼吸サイクルの吸気及び呼気の双方の位相)にわたって画像を取得し得る。この処理は、図8~11に示す本発明の実施形態の撮像方法300との関係でより詳細に後述する。
【0136】
図2は、撮像装置100によって与えられる生理学的パラメータをモニタリングするためのセンサ170(不図示)のためのコネクタ190を示す。これにより、一部の実施形態では、センサ170は、撮像装置100の一部として含まれてもよく、その代わりに、コネクタ190を介して装置100に接続してもよい。コネクタ190は、動作のために撮像装置100へのセンサ170の電気的な、機械的な及び/又は気体の接続を可能とし得る。センサ170は、被検体の呼吸に関連する生理学的パラメータを検出するために、被検体の口部付近及び/又は口部内で位置決め可能であり得る。例えば、センサ170は、被検体の呼吸に関連する気流の変化をモニタリングするための流量計であり得る。流量計は、スパイロメーターを含み得る。さらに/あるいは、センサ170は、被検体の呼吸に関連する気体の空気含量の変化をモニタリングするためのガスセンサを含み得る。ガス含量センサは、被検体の口部を出入りする二酸化炭素又は酸素の濃度を検出するように被検体の口部付近に配置され得る。これにより、スキャナ100が被検体の呼吸パターンを検出することが可能となり得る。
【0137】
一部の実施形態では、センサ170は、被検体の口部に向けられるように取り付けられた赤外線サーマルカメラなどのサーマルセンサを含み得る。吸気に応じてより冷えた空気が口部に入り、呼気に応じてより温かい空気が口部を出ることが知られており、理解されるように、サーマルセンサは被検体の呼吸に関連する空気の温度変化をモニタリングし得る。サーマルカメラ測定の精度を向上するために、熱電対、抵抗温度検出器(RTD)又は同様の金属系デバイスなどの温度センサが被検体の口部付近に配置されてもよく、それは呼吸によってもたらされる温度変化に応答することになる。これにより、サーマルカメラが被検体200の吸気及び/又は呼気をより効果的に測定することが可能となり得る。
【0138】
ここで図8~11に戻ると、撮像装置100並びにプロセッサ150、処理部158、174及び/又は186によって実行されるステップを、本発明の一部の好適な実施形態に係る、図8及び9に示す撮像のための例示的方法300A及び300Bとの関係でより詳細にここに説明する。
【0139】
図8及び9は、本発明の一部の好適な実施形態に係る、それぞれ、被検体の身体210の領域230の生体内画像を取得する方法300A及び300Bを示す。方法300A及び300Bは、少なくとも1台のエネルギー源110と、エネルギー源110と検出器120の間に位置する被検体の身体210の領域230を通過する少なくとも1台のエネルギー源110からのエネルギーを検出するための少なくとも1台の検出器120と、少なくとも1台のエネルギー源110及び少なくとも1台の検出器120を動作させて被検体の身体210の領域230の時系列生体内画像を取得するように構成されたコントローラ140とを含む撮像装置100を提供する最初のステップ302を含む。方法300A及び300Bは、コントローラ140を動作させて被検体の身体210の領域230の時系列生体内画像を取得する最後のステップ330も含む。
【0140】
図8は、撮像装置100の上記本発明の実施形態との関連で記載される第1の発明の態様に向けられる。方法300Aは、ステップ302の後に、撮像対象の被検体の身体210の領域230に関連する生理学的パラメータを少なくとも1つのセンサを用いてモニタリングするステップ303を含む。方法は、少なくとも1つのプロセッサ150を用いて、モニタリングされた生理学的パラメータに少なくとも基づいて画像の取得のタイミングを決定するステップ305をさらに含む。画像の取得のタイミングは、モニタリングされた生理学的パラメータに専ら基づき得る。
【0141】
図9は、撮像装置100の上記本発明の実施形態との関連で記載される第2の発明の態様に向けられる。方法300Bは、ステップ302の後に、少なくとも1つのセンサを用いて、エネルギー源110と検出器120の間に位置する被検体の身体210の位置及び/又は向きを検出するステップ304を含む。方法は、少なくとも1つのプロセッサ150を用いて、被検体の身体210の検出された位置及び/又は向きに少なくとも基づいて画像の取得のタイミングを決定するステップ306をさらに含む。画像の取得のタイミングは、検出された位置及び/又は向きに専ら基づき得る。ただし、後述するように、方法300A及び300Bは組み合わされて、第1及び第2の発明の態様の双方を取り入れる方法300(図10及び11の通り)を提供し得る。すなわち、画像の取得のタイミングは、被検体の身体210のモニタリングされた生理学的パラメータ並びに検出された位置及び/又は向きの双方に基づく。
【0142】
図10A及び10Bは、本発明の一部の実施形態に係る、スキャンのための所望の位置への被検体の身体210の位置決めのための図9の方法300Bにおける各ステップを示すフローチャートである。
【0143】
図10Aを参照すると、ステップ308において、方法300は、被検体200を特定するステップ及び被検体200に関連する事前データを取得するステップを含む。被検体200は、手動で、又は彼らの患者タグ若しくはラベルのバーコード若しくはRFIDのスキャンを通じて特定され得る。このステップは、オペレータが事前データを撮像装置100のプロセッサ150への入力として提供することを含み得る。オペレータは、被検体200の彼らの手動評価に基づいて又は事前レポート若しくはデータソースから、事前データを入力し得る。さらに/あるいは、事前データは、プロセッサ150が、撮像装置100を介して、患者データを記憶するデータベースを有するサーバに照会することによって自動的に取得されてもよい。事前取得データは、被検体200に関連するデータ及び/又は被検体200の代表的特徴を有する一般又は一般的集団に関連するデータを含み得る。
【0144】
事前取得データは、年齢、性別、可動性、民族性、病状及び/又は病歴を含む被検体200の属性の1以上を含み得る。事前データは、撮像対象の領域230及び/若しくは被検体の身体210の解剖学的寸法又は被検体の身長及び/若しくは体重など、被検体200の体格の特徴に基づいていてもよい。さらに/あるいは、事前データは、入手可能であれば、CTスキャン又は以前のXV処理スキャンなど、撮像対象の領域230の1以上の事前取得画像を含み得る。特に、事前画像データは、プロセッサ150によって実行されるスキャンを最適化するためのアルゴリズムでの使用のために重要である。前回のスキャンは、スキャン対象の領域230の位置に関する正確な情報及び被検体200の関連するメタデータを含むことが想定される。
【0145】
撮像装置100に入力された事前データは、スキャナセットアップの部分を構成する。例えば、可動性状況は、シート124が必要となるか否か、及び/又は車椅子若しくは他の放射線透過性の背もたれを有するシートが必要となり得るかを特定する。またさらに、被検体200の年齢は、スキャナ100内での被検体の位置及び/又は体軸を調整し、スキャン施術の各種ステップを説明するために通信システム188によって提供されるコミュニケーションのレベルを決定するために重要である。例えば、若年の被検体200には、彼らが画像の取得のために彼らの身体210の位置をどこへどのように調整すべきかについての、より単純な説明又はディスプレイ画面(ディスプレイ)118のグラフィック表示が必要となる。より高齢の患者200は、スピーカ119を介して口頭の指示のみを必要とし得る。通信システム188は、スキャナから患者へのコミュニケーション又は双方向の技師対患者のコミュニケーションを提供し得る。有利なことに、撮像装置100は、通信システム188を利用して、スキャン処理についての患者との対話及び明確な説明を与え、それは、3歳以上の患者など、若年の患者に対して特に有用かつユーザフレンドリーなものとなる。
【0146】
方法300における次のステップ310は、スキャナ100内で被検体200を着席させ、又は起立若しくは直立位置に位置させるものである。健常な患者については、彼らは単にエネルギー源110と検出器120の間の空間を歩いて入り、シート又は椅子124に着席し、あるいは、画像の取得のための起立又は直立位置に自身を位置決めし得る。車椅子又は制限された可動性の患者については、オペレータがシート(椅子)124への移乗を補助してもよいし、放射線透過性背もたれを有する車椅子がスキャナ100内に設けられて位置決めされてもよい。このステップが完了した後、オペレータ又は通信システム188は、スキャンの推定継続時間を被検体200に助言する。
【0147】
方法300Bにおけるステップ304は、少なくとも1つのセンサを用いて被検体の身体210の位置及び/又は向きを検出することを含む。このステップは、スキャナ100への進入に応じて患者の初期位置又は場所に関するデータを取得することを含む。例えば、着席した患者の体重が、被検体支持システム175の重量センサ178を用いて取得され得る。現在のシート位置高さが、支持制御システム176を介して取得されてもよい。この初期データは、スキャンを最適化するためのアルゴリズムを実行するためにプロセッサ150への入力として与えられてもよい。前述したように、被検体の身体210の初期位置及び/又は向きは、第1のセンサ、例えば、図1に示すようなカメラ160及び付随するモーションシステム154を介して検出され得る。カメラビジョンによって、被検体の身体210の位置及び/又は向きの特定が可能となり得る。有利なことに、カメラ160は、好ましくは可視光又は赤外光に基づいて動作する。これは撮像装置100を用いて被検体の身体の予備スキャンを行う必要性を有利に回避する。その予備スキャンは、透視装置などの既存の撮像システムでは、スキャナによって低線量でX線を用いて被検体を手動で位置決めすることを伴う。したがって、発明の撮像装置100及び方法300は、被検体の身体210の位置を特定して調整する目的のX線の使用を回避し、被検体200が所望の場所又は正しい位置決め状態となると、X線の使用をスキャンに限定することができる。
【0148】
被検体の身体210の初期位置及び/又は向きが検出されると、方法300の次のステップ312は、スキャナセットアップからの事前取得データを用いて撮像対象の被検体の身体210の領域230の位置を推定するものである。例えば、領域230が被検体200の肺又は肺の一部である場合、被検体の肺の位置を正確に推定するのに事前画像データが使用され得る。そして、この推定された位置は、被検体の初期位置/向きを示す第1のセンサデータと組み合わされ、方法300のステップ314において、スキャンのための所望の位置を決定するのに使用され得る。一部の実施形態では、患者の肺の位置は、センサ(カメラ)160を介して被検体の身体210の輪郭の特定から、又はモーションシステム154を用いて被検体200の肩部若しくは頭部などの特定の特徴部から推定され得る。
【0149】
図10Bでは、方法300は、プロセッサ150を用いて、被検体の身体210の領域230の画像を取得するための、エネルギー源110と検出器120の間の所望の位置への被検体の身体210の初期位置及び/又は向きの調整内容を決定することを含むステップ316に続く。この調整内容は、被検体の身体210の初期検出位置及び/又は向きと、ステップ312において領域230の推定位置から導出されたステップ314で決定された所望の位置との比較に基づいて決定される。
【0150】
方法300の次のステップは、図9のステップ306のスキャンのための所望の位置に位置決めされている被検体200に到達するための(破線で示す)ステップ318及び320の一方又は両方を含む。ステップ318において、方法300は、オペレータ及び/又は被検体200が、画像を取得するための所望の位置に被検体の位置及び/又は向きを調整するための指示を、ディスプレイデバイス(ディスプレイ)118及び/又はスピーカ119などの出力デバイス117に出力することを含む。この方法300の実施形態では、被検体200は、スキャナ100内で直立若しくは起立位置にあり又は位置決めされた車椅子に位置し得る。オペレータ及び/又は被検体200は、撮像装置100による自動化なしに、被検体の身体210を所望の位置に移動させ得る。さらに/あるいは、被検体200は、シート124内に着席させられ又はプラットフォーム上で位置決めされてもよいし、撮像装置100がステップ320において被検体の位置の鉛直調整を行ってもよい。そして、オペレータ及び/又は被検体200は、被検体の身体210を所望の位置に位置決めするために、水平調整の指示を受け及び/又は体軸を変更し得る。さらに/あるいは、撮像装置100は、スキャナ100内で被検体の姿勢を伸ばすために、被検体の位置の水平方向又は傾斜の左右若しくは前後への調整を与えるように構成され得る。これらは、オペレータ及び/又は被検体200に対して、被検体の身体210をスキャンのための所望の位置に移動させる指示として与えられてもよい。
【0151】
他の実施形態では、ステップ320のみが実行されてもよく、調整ステップは撮像装置100によって完全に自動化される。したがって、コントローラ140は、任意選択的にモータ130を含む支持部材アセンブリ128又はアクチュエータを用いて被検体200が位置決めされるシート124又はプラットフォームの位置及び/又は向きを自動調整して、画像を取得するための所望の位置に被検体の身体210を支持するように構成され得る。シート124又はプラットフォームが設けられない代替の実施形態では、直立した患者の位置が、スキャナ100における設定を調整することによって調整され得る。例えば、プロセッサ150は、スキャナ設定を調整するように、例えば、コリメーション設定を調整してスキャナの視野を変更するように、オペレータに指示を出力してもよい。他の実施形態では、スキャナ100は、オペレータからの入力なしにスキャナ設定を自動調整してもよい。
【0152】
一部の実施形態(不図示)では、方法300は、撮像装置100の倍率を変更するステップを含み得る。このステップは、好ましくは、患者200がスキャンのための所望の位置となると実行される。倍率は、撮像対象の被検体200の領域230(例えば、肺)が検出器120の各々の視野(FOV)に確実に位置決めされるように調整され得る。方法300は、被検体200を検出器120に向けて移動させ(すなわち、倍率を低下させ)又は検出器120から離れる方向に移動させる(すなわち、倍率を増加させる)ステップを含み得る。被検体200は、(例えば、オペレータによって手動で、又はコントローラ140を介して撮像装置100によって自動的に)シート若しくは椅子124を用いることで、又は(例えば、オペレータ若しくは撮像装置100が患者200に指示を与えることによって又はオペレータが患者の身体210を移動させることによって)患者の身体210を移動させることで、移動され得る。
【0153】
エネルギー源110よりも検出器120の近くに位置決めされている患者200は、撮像装置100によって取得される画像の誇張を低下させる。誇張は、撮像されている領域、例えば、被検体200の領域230にエネルギー源110が近接しすぎて位置決めされる場合に起こり、撮影された画像は構造物のサイズ及び寸法を誇張する。本例では、撮像対象の領域230のより正確な表示を提供するために、誇張を減少させることが望ましいことがある。領域230が検出器120により近接して位置決めされることによって、より誇張され難くなるので、前後方向(PA)投影ビームビューによって、特に被検体200の心臓又は肺など、撮像対象の領域230のより正確な表示が可能となる。
【0154】
ここで図11を参照すると、方法300は、被検体200がスキャンを開始するための所望の位置についたことに応じて継続する。方法300は、実際には、被検体200が、例えば、オペレータ又は技師によって決定されるスキャンを開始するための所望の位置につくと、先行するステップの各々をスキップして開始してもよい。図11のフローチャートのステップは、図8の方法300A、すなわち、被検体200の生理学的パラメータに基づいて画像の取得のタイミングを最適化することに関連し得る。また、図示する方法300全体におけるステップは、本発明の一部の実施形態に係る、画像を取得すること及びその後に任意選択的にXV処理のための画像データをアップロードすることを含み得る。
【0155】
ステップ322において、方法300は、図2を参照して前述したように、少なくとも1つのセンサ170、例えば、流量計を用いて被検体の呼吸をモニタリングすることを含む。方法300の最初のステップは、センサ170を撮像装置100にコネクタ190を介して接続することを含み得る。あるいは、第2のセンサ170が、撮像装置100に集積されてもよい。方法300は、被検体の呼吸をモニタリングするために被検体の口部付近又は口部内に被検体センサ170を位置決めすることを含み得る。被検体センサ170が流量計又はスパイロメーターである場合、方法300は被検体の呼吸に関連する気流の変化をモニタリングすることを含み得る。被検体センサ170がサーマルセンサである場合、方法300は被検体の呼吸に関連する空気の温度変化をモニタリングすることを含む。被検体センサ170がガスセンサである場合、方法300は被検体の呼吸に関連する気体の空気含量の変化をモニタリングすることを含む。
【0156】
そして、ステップ324において、画像の取得のためのトリガ信号が、プロセッサ150によって実行されるアルゴリズムによって規定される。被検体センサ170からのデータは、好ましくは、制御システム152によって受信され、被検体200の呼吸パターン及び/又は被検体の呼吸の継続時間を検出するようにプロセッサ150によって処理される。プロセッサ150は、検出された呼吸パターン及び/又は被検体の呼吸の継続時間をモニタリングして反復的呼吸パターンが検出されたかを判定するように構成される。例えば、被検体センサ170は、被検体の呼吸中の気流の変化を検出する流量計であり得る。プロセッサ150は、リラックスした状態での患者の呼吸の所定期間、例えば、1分間にわたって流量計から気流データを受信し得る。プロセッサ150は、信号処理技術を用いて気流データを処理して、解析される各シーケンスにおいて、しゃっくり、くしゃみ、鼻水、咳及び過呼吸とは無関係の反復的呼吸パターンが検出されたかを判定し得る。
【0157】
反復的呼吸パターンが検出されると、プロセッサ150は、さらに反復的呼吸パターンを解析して被検体200の呼吸サイクルの1以上の特徴を特定するように構成され得る。例えば、山及び谷は、吸気の開始及び呼気の終了の表示である気流データにおいて明瞭に表れ、周知の信号処理技術を用いて検出可能である。またさらに、呼吸サイクルの特徴も当業者には周知であり、プロセッサアルゴリズムに入力されてもよい。そして、プロセッサ150は、呼吸サイクルの1以上の特徴に基づいてステップ324において画像の取得を開始するトリガ信号を決定するように構成され得る。プロセッサ150によって規定されるトリガ信号は、通常、データ処理によって特定された吸気の開始に関係する、スキャンを開始する開始時間を少なくとも含み得る。そして、呼気の終了は、呼吸の平均的又は標準的継続時間を用いてスキャンの停止又は終了時間として推定される。
【0158】
一部の実施形態では、プロセッサ150は、反復的呼吸パターンを解析して、気流データから、特に、体積対時間のデータからの呼吸信号の振幅(例えば、山及び谷)を検出するように構成され得る。そして、プロセッサ150は、予め規定された閾値又は値の範囲に対応する呼吸信号の振幅に基づいてステップ324において画像の取得を開始するトリガ信号を決定するように構成され得る。例えば、予め規定された閾値又は値の範囲は、撮像装置100の流量計によって測定されるような被検体のピーク吸気量(又は関連する流量)又はピーク呼気量(又は関連する流量)と相関し得る。したがって、スキャンが開始する開始時間は、被検体の呼吸の位相及び/又は継続時間ではなく信号の振幅に基づいて規定され得る。
【0159】
撮像装置100及び方法300は、呼吸の一部(例えば、呼吸サイクルの吸気位相のみ又は呼気位相のみ)にわたって又は全呼吸(すなわち、呼吸サイクルの吸気位相及び呼気位相の両方)にわたって画像を取得し得る。確実に最適な画像が取得されるようにするために、プロセッサ150は取得の開始点及び終了点を決定するように構成されてもよく、開始点及び終了点はスキャナ100の画像の取得のフレームレートに基づいていてもよい。例えば、スキャナ100は、望ましくは、7フレーム/秒よりも高いフレームレート、好ましくは10フレーム/秒よりも高いフレームレート、例えば、15フレーム/秒のフレームレートで、エネルギー源110及び検出器120を用いて画像を取得し得る。フレームレートは、固定のフレームレートであってもよいし、あるいは、呼吸信号の振幅、例えば、最大ピーク吸気又は呼気量(又は関連する流量)と最小ピーク吸気又は呼気量(又は関連する流量)との間に均等間隔となる多数の点(例えば、7点)に基づいてトリガされてもよい。
【0160】
被検体200の一部又は全部の呼吸にわたる画像の取得について、取得のための開始時間は、取得画像が所望の動的事象を含むことを確実とするように、例えば、1フレーム(又は数フレーム)だけ前にシフトされてもよい。例えば、全呼吸を取得する場合、(全吸気が捕捉されることを確実にするように)画像の取得が吸気の開始の1~2フレーム前に開始するようにシフトされ、(全呼気が捕捉されることを確実にするように)取得の終了が呼気の終了1~2フレーム後にシフトされてもよい。これにより、コントローラ140がエネルギー源110及び検出器120をオンして画像を取得する際の時間遅延が有益にもたらされることになる。
【0161】
一部の実施形態では、プロセッサ150は、気流データからの体積対時間曲線における逐次最大点間若しくは逐次最小点間の時間を測定することによって、及び/又は平均体積対時間曲線を決定してから逐次最大点間若しくは逐次最小点間の時間を測定することによって、又は体積データのスペクトル解析を通じて、画像の取得のための被検体200の予想呼吸長(例えば、1回の呼吸の継続時間)を決定する。プロセッサ150はまた、最小体積時点と最大体積時点の間の時間長を計算することによって予想吸気時間を特定し、最大体積時点と最小体積時点の間の時間長を計算することによって呼気時間を特定する。
【0162】
一部の実施形態では、そして、プロセッサ150は、呼吸長又は吸気時間を用いて、必要となる位相及び/又はフレームの数並びに必要となるフレーム間の時間を計算する。フレームレートは、Nbを呼吸あたりの所望のフレーム数、Tbを被検体200に対する測定呼吸期間として、Nb/Tbとして計算される予想呼吸時間に基づき得る。Nbは、過剰な線量なくCTXVスキャンを成功させるのに最適化された5~15の数であり得る。画像の取得のための開始時間は、画像の取得が吸気の開始の直前(例えば、吸気の開始の1又は2フレーム前)に開始するようにタイミング取りされた上で、吸気の開始に対応する呼吸信号(体積対時間曲線)の振幅に基づいて決定される。画像の取得のための終了時間は、予想呼吸長又は予想吸気時間に基づいて決定され得る。この結果として、画像の取得のためのトリガ信号が決定される。
【0163】
撮像装置100が2台以上のエネルギー源110及び検出器120(例えば、図3~5に示すように4台のエネルギー源110及び検出器120)を含む場合、有利には、複数の時系列画像が、被検体200の呼吸の一部にわたって又は全呼吸にわたって同時に又は実質的に同時に撮像装置100及び方法300によって取得される。好ましくは、時系列画像は、被検体200の1回の完全な呼吸にわたって取得される。複数回の呼吸の(異なる角度からの)単一の時系列を取得するのではなく、1回の呼吸の(異なる角度からの)複数の時系列を取得することで、被検体200が複数回の呼吸にわたって一貫した呼吸を維持することの要件が除外される。コントローラ140は、各エネルギー源110及び対応する検出器120を動作させて、トリガ信号の同一又は実質的に同一の規定の開始点及び終了点において画像を取得する。エネルギー源110及び対応する検出器120を同時に動作させるのではなく、エネルギー源/検出器ペアの動作のための短いタイミングオフセットで画像を逐次取得することが好ましいことがある。これは、有利にX線後方散乱を減少させ、結果として画像品質を向上し得る。プロセッサ150は、データを処理する際に取得された時系列画像間でタイミング差を補正するように構成されてもよい。
【0164】
とりわけ、ステップ324のように画像の取得を開始するトリガ信号は、第1及び第2の発明の態様の一方又は双方に基づいて規定されてもよく、すなわち、画像の取得を開始するトリガ信号は、被検体200がスキャンのための所望の位置(被検体の身体の検出された位置及び/又は向き)にあること及び/又は反復的呼吸パターン(モニタリングされた生理学的パラメータ)の検出に基づいてもよい。あるいは、画像の取得を開始するトリガ信号は、第1又は第2の発明の態様の1つのみに基づいてもよい。
【0165】
またさらに、トリガ信号を規定するための追加の出力は、被検体200の動作を含み得る。特に、画像の取得のタイミングは、被検体200の動作が検出されないこと、又は被検体200が(閾値と比較して)比較的静止した姿勢にあることを示す何らかの動作が検出されたことに基づき得る。好ましくは、動的な肺イメージングのための実施形態では、検出及びモニタリングされた動作は、エネルギー源110と検出器120の間の被検体の身体210の非呼吸関連の動作である。呼気及び吸気中のそれぞれ横隔膜の拡張及び収縮に起因するなどの、いずれかの呼吸関連の動作は、好ましくは解析から除外される。理想的には、被検体の呼吸は、画像の取得中に制限も管理もされない。有利には、撮像装置100は、被検体200が呼吸中のかつ好ましくは1回の呼吸の画像を取得するように構成され得る。
【0166】
この出力は、少なくとも1つのセンサを用いてモニタリングされた被検体200の動作データの使用を通じて実現され得る。センサは、モーションセンサ(例えば、カメラ160)、抵抗性センサ、重量センサ(例えば、センサ178)、力センサ及び圧力センサのうちの1以上を含み得る。モーションセンサは、被検体の身体210の移動を測定するための加速度計、ジャイロスコープ及び/又は磁力計を含み得る。抵抗性センサは、例えば被検体の身体210の変位を測定することができる歪ゲージを含み得る。一部の実施形態では、モーションセンサは、非呼吸関連の動作をモニタリングし、又は被検体200がスキャンのための所望の位置にあるかを判定するのに使用され得るカメラ160を含む。
【0167】
センサデータは、エネルギー源110と検出器120の間に位置する被検体の身体210の動作をモニタリングするためにプロセッサ150によって処理され得る。その動作は、好ましくは、被検体の身体の非呼吸関連の動作である。例えば、多数のセンサ読取り値が、スキャナ100内での被検体の身体210の移動、抵抗値、重量、圧力又は力の変化における複数のデータ点を与える期間にわたって取得され得る。移動の変化は、例えば、カメラ160及び/又は他重量センサ178によってモニタリングされ得る。移動、抵抗値、重量、圧力又は力の変化がプロセッサ150によって検出された場合、出力は、患者200の動作が検出されたこと及びスキャンが開始すべきでないことを含み得る。この事例では、指示は、被検体200及び/又はオペレータに出力デバイス117を介して出力されて、画像の取得を開始するために静止したままで呼吸を通常通りに継続するように被検体200に指示する。そして、プロセッサ150は、センサ読取り値の逐次比較が、動作がないこと又は閾値要件に基づく制限された動作のみしかないことが判明するまで、被検体の動作をモニタリングし続けてもよい。
【0168】
被検体200の動作は、被検体の身体210を支持するための支持部材(例えば、撮像装置100のシート124又はプラットフォーム)に位置する重量センサ178を通じて被検体の重量の変化を検出することによって特定され得る。プロセッサ150は、所定期間にわたって重量センサ178からのセンサデータを受信して、被検体200からの何らかの動作があるか又は閾値要件に基づく制限された動作しかないのかを判定し得る。検出される重量の変動は、被検体200の動作を示し得るものであり、プロセッサ150によってステップ324において画像の取得及びトリガ信号の生成のタイミングを決定するのに使用され得る。
【0169】
トリガ信号が規定されると、方法300のステップ326は、トリガ信号をオペレータ及び/又は被検体200に出力デバイス117を介して出力するものである。そして、トリガ信号及びプロセッサ150からのデータ出力に基づいて、オペレータは、スキャンが開始可能であると判定し、スキャンのためにスキャナ100を装備する。これにより、スキャナ100は、被検体の身体210のスキャンを開始することが可能なスタンバイモードとなる。ステップ328において、スキャナ100は、オペレータから入力として受信された信号を受信すると、スキャン処理を開始する。規定されたトリガ開始時間となると、スキャンが始まり、患者の呼吸の継続時間にわたって、モニタリング段階中に決定され又はオペレータによって制御されるように継続する。撮像装置100は、スキャン進行及び継続の可聴及び/又は視覚的な警告をオペレータ及び/又は被検体200に出力デバイス117を介して提供するようにも構成される。スキャン処理の終了時に、撮像装置100は、スキャン品質確認を行い、ステップ330において取得された画像データを出力する。そのデータは、オペレータが精査して品質確認を行うために出力されてもよい。
【0170】
他の実施形態では、方法300は、ステップ326を除外してもよく、トリガ信号が規定されて要件が充足されると、スキャナは被検体200をスキャンすることに自動的に進むようにしてもよい。任意選択的に、患者の呼吸は、撮像装置100の流量計を用いて画像の取得中にモニタリングされてもよい。プロセッサ150は、気流データを処理して、呼気の終了に対応する呼吸信号(体積対時間曲線)の振幅に基づいて、画像の取得のための終了時間を決定する。ステップ332において、オペレータは全ての必要な画像が取得されるとスキャンを手動で停止してもよいし、又はスキャンはスキャナ100によって自動的に終了されてもよい。
【0171】
スキャンが終了すると、画像データがステップ334においてXV処理部186にアップロードされてもよく、それはオンボードで撮像装置100に配置され、又はクラウドベースサーバ及びXV処理アプリケーションを介してアクセスされる。このステップは、オペレータによって行われるアクションに応じて開始されてもよいし、プロセッサ150が、スキャンが完了すると画像データを自動的にアップロードするように構成されてもよい。方法300の最後のステップ336は、前述の国際公開第2011/032210号及び国際公開第2015/157799号に記載されて参照によりここに取り込まれるXV技術を用いるなどして、3次元モーションフィールドが、プロセッサ150によって又は撮像された被検体の身体210の領域230のオフボードXV処理アプリケーションによって再構築される。
【0172】
本発明の実施形態は、XV技術での使用に適した画像を取得することができ、スキャン処理におけるX線の使用を減少させることができる撮像装置100及び撮像方法300を有利に提供し、放射線の負担の軽減のために、幼児を含む患者をより高頻度にスキャンする能力を与える。発明の装置100及び撮像方法300の実施形態は、より少ない独立した画像しか撮影される必要がないために放射線量を低減することができ、スキャンが患者の1回の呼吸で実行され得るためにより少ないスキャン継続時間しか必要とならない。これにより、放射線量を低減し、スキャン時間を短縮し、患者が彼らの呼吸を保持する要件を除外することによって、3歳を超えるようなより若年の患者による撮像装置100及び撮像方法300の実施形態の使用が有利に可能となる。発明の撮像装置100及び撮像方法300の実施形態はまた、着席又は直立起立位置にある患者のスキャンを可能とし得るウォークインスキャナを提供することによって、幼児及び可動性に障害のある患者など、容易にスキャンできないこれらの患者を含む多くの患者群にわたる使用を促進し得る。
【0173】
種々の変形、付加及び/又は代替が、以降の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく、前述した部分に対してなされ得る。
【0174】
用語「comprise」、「comprises」、「comprised」又は「comprising」のいずれか又は全ては、本明細書(特許請求の範囲を含む)において使用される場合、記載される特徴、完全体、ステップ又は構成要素の存在を指定するものとして解釈されるべきであり、1以上の他の特徴、完全体、ステップ若しくは構成要素又はそれらの群の存在を除外しないものとして解釈されるべきである。
【実施例
【0175】
本発明の一部の実施形態の適用を示す実施例を説明する。実施例はコンテキストを提供し、本発明の実施形態の特徴及び有利な効果を説明するために提供されるものであり、特許請求の範囲に規定される本発明の範囲を限定するものではない。
【0176】
患者200の1回の呼吸にわたって患者の身体210の領域230の時系列生体内画像を取得する撮像装置を使用する方法を、図1~7の撮像装置100を参照して説明する。
【0177】
患者200は、エネルギー源ユニット112と検出器ユニット122の間の撮像装置100に入り、エネルギー源ユニット112に向くシート又は椅子124に着席する。エネルギー源110と検出器120の間の患者の身体210の位置及び/又は向きは、カメラ160、好ましくは、深度情報付きビデオカメラシステムを使用して検出される。深度情報付きビデオカメラシステム(例えば、LIDARと結合したビデオカメラ、Microsoft Kinect型システム、立体カメラセットアップなど)によって、患者200の位置及び/又は向きの可視化並びに患者200の移動及び/又は呼吸の検出が可能となる。モーションベースのシステム154は、患者の身体210の位置及び/又は向きを検出するためにカメラ160からの画像データを使用して重要な患者基準点を位置特定して測定する。
【0178】
プロセッサ150は、患者の身体210の検出された位置及び/又は向きの、スキャン対象の領域230の画像を取得するための所望の位置への調整内容を決定する。調整内容は、履歴照合データ(例えば、他の肺スキャンに基づく体内の肺の位置のモデル)又は患者200の事前取得データ(患者200の以前のスキャンデータ又は体格の特徴/属性など)を使用して、撮像対象の領域230の推定位置にも基づいて決定される。
【0179】
プロセッサ150はまた、患者200が真っすぐ着席せずにその身体が側方又は前後に傾いているかを判定する。これは、カメラ160からのデータを評価することによって達成される。患者200が画像の取得のための所望の位置の外側にいる場合、患者200に対して、調整を実施してスキャンのための所望の位置に移動するための患者の位置決めの方向が与えられる。方向は、通信システム188を介してディスプレイ118及び/又はスピーカ119を介して提供される。スキャン対象の患者の身体210の領域230が視野内にない場合、オペレータは手動でシート124をスキャンのための所望の位置に調整し、又はこれは撮像装置100のコントローラ140が自動的にシート124のアクチュエータを操作することによって行われる。
【0180】
位置確認は、一対のエネルギー源/検出器を介して単一の投影から取得されたX線画像を使用して、患者200の低線量予備スキャンによって任意選択的に実施される。プロセッサ150は、画像データを処理し、撮像対象の領域230を特定し、必要に応じて被検体の身体210の所望の位置への調整内容を決定するように構成される。再度、患者200は所望の位置に移動するよう指示され、及び/又はシート124は(必要に応じて)手動で又は自動的に所望の位置に移動される。さらに、患者200が正しい位置につくと、エネルギー源110/検出器120の倍率は、確実に肺が検出器120の各々の視野(FOV)に正しく位置決めされるように、任意選択的に調整される。これは、患者200を検出器120に向けて(すなわち、倍率を減少させるように)又は検出器120からさらに離れる方向に(すなわち、倍率を増加させるように)移動することによって達成される。患者200は、シート124を使用して(例えば、撮像技師又はオペレータによって手動で又は撮像装置100によって自動的に)又は患者の身体210を移動して(例えば、オペレータ若しくは撮像装置100が患者200に指示を与えることによって、又はオペレータが患者の身体210を移動することによって)移動され得る。
【0181】
そして、患者200は、スキャンが始まる前に、呼吸についての指示を任意選択的に与えられる。指示は、オペレータから又は通信システム188を介してディスプレイ118及び/若しくはスピーカ119に自動的に提供される。患者200は、リラックスして通常通りに呼吸するように指示される。そして、患者の呼吸は、撮像装置100の流量計を使用してモニタリングされる。流量計は、患者の呼吸の間の気流を測定する。プロセッサ150は、所定期間、例えば、リラックス状態における1分間の患者の呼吸にわたって、流量計から気流データを受信する。プロセッサ150は気流データを処理して、体積対時間を決定し、解析された各シーケンスにおいて、アーティファクト(例えば、しゃっくり、くしゃみ、鼻水、咳及び過呼吸)のない充分な反復的呼吸パターンが検出できかを判定する。反復的呼吸パターンが検出されると、プロセッサ150はパターンを解析して被検体200の呼吸サイクルの1以上の特徴を特定する。
【0182】
プロセッサ150は、体積対時間曲線における逐次最大値間の時間若しくは逐次最小値間の時間を測定することによって、及び/又は平均体積対時間曲線を決定してから逐次最高値間若しくは逐次最低値間の時間を測定することによって、又は体積データのスペクトル解析を通じて、画像の取得のための患者200の予想呼吸長を決定する。プロセッサ150はまた、最小体積時点と最大体積時点の間の時間長を計算することによって予想吸気時間を特定し、最大体積時点と最小体積時点の間の時間長を計算することによって呼気時間を特定する。
【0183】
そして、プロセッサ150は、要求される位相及び/又はフレームの数、並びに要求されるフレーム間の時間を、呼吸長又は吸気時間を用いて計算する。予想呼吸時間に基づくフレームレートは、Nbを呼吸あたりの所望のフレーム数、Tbを患者の測定呼吸期間として、Nb/Tbとして計算される。Nbは、過剰な線量なくCTXVスキャンを成功させるのに最適化された5~15の間の数値となる。画像の取得のための開始時間は吸気の開始に対応する呼吸信号(体積対時間曲線)の振幅に基づいて決定され、画像の取得が吸気の開始直前(例えば、吸気の開始の1又は2フレーム前)に開始するようにタイミング取りされる。画像の取得の終了時間は、予想呼吸長又は予想吸気時間に基づいて決定され得る。この結果として、画像の取得のためのトリガ信号が決定される。
【0184】
トリガ信号はまた、任意選択的に、スキャナ100内で実質的静止姿勢にある患者200に基づいて決定される。患者の身体210の非呼吸関連の動作は、好ましくは深度情報付きビデオカメラシステムであるカメラ160を用いて取得されるデータを通じてモニタリングされる。カメラ160からのセンサデータは、スキャナ100内の患者の身体210の動作をモニタリングするようにプロセッサ150によって処理される。多数のセンサ読取り値が所定期間にわたって取得され、スキャナ100内の被検体の身体の移動の変化についての複数のデータ点を提供する。移動の変化がプロセッサ150によって検出された場合、スキャナ100は動作が検出されてスキャンを開始すべきではないことをディスプレイ118及び/又はスピーカ119を介して患者200及び/又はオペレータに出力する。指示は、ディスプレイ118及び/又はスピーカ119を介して被検体200及び/又はオペレータに任意選択的に出力され、画像の取得を開始するために静止したままで呼吸を通常通りに継続するように被検体200に指示する。そして、プロセッサ150は、センサ読取り値についての逐次比較が、動作がないこと又は閾値要件に基づく制限された動作のみしかないことが明白となるまで、被検体の動作をモニタリングし続ける。画像の取得を開始するトリガ信号は、患者200が実質的静止姿勢にある場合、少なくとも開始時間を含み得る。
【0185】
そして、領域230の撮像は、オペレータがスキャナ100を装備してスキャン処理を開始することによって又はプロセッサ150が自動的に撮像を作動させることによって行われる。任意選択的に、患者の呼吸は、撮像装置100の流量計を使用して画像の取得の間にモニタリングされ得る。プロセッサ150は気流データを処理して、呼気の終了に対応する呼吸信号(体積対時間曲線)の振幅に基づいて画像の取得の終了時間を決定し得る。そして、スキャンは、スキャナ100によって自動的に又はオペレータによって手動で終了される。患者の身体210の領域230の時系列生体内画像は、このように患者200の1回の呼吸にわたって取得される。そして、患者200は撮像装置100から出る。
【0186】
画像データは、コンピュータ(例えば、スキャナ100におけるプロセッサ150又はリモートコンピューティングデバイス)に任意選択的にアップロードされ、そして続いてスキャナ100にオフボード配置されたXV処理部186を介してXV処理のためにクラウドにアップロードされる。最後に、XV処理部186は、患者の身体210の領域230の3次元モーションフィールドを任意選択的に再構築する。
【0187】
以下の特許請求の範囲は、例示としてのみ提供され、いずれかの将来の出願において特許請求され得るものの範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。本発明又は複数の本発明をさらに規定又は再規定するように、後日、特許請求の範囲に特徴が追加又は省略され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
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図10A
図10B
図11
【国際調査報告】