IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルコン インコーポレイティドの特許一覧

特表2023-538219閉塞後サージ軽減のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(54)【発明の名称】閉塞後サージ軽減のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
A61F9/007 130G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502929
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(85)【翻訳文提出日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 IB2021057141
(87)【国際公開番号】W WO2022034439
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】63/065,699
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】ビンセント エー.バクスター
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド デュク
(72)【発明者】
【氏名】サティシュ ヤラマンチリ
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル ゴードン
(57)【要約】
特定の実施形態によれば、眼科手術システム用の手術カセットは、ハンドピースと流体連通しており手術部位に向かって流体を搬送する、点滴導管を備える。吸引導管は、ハンドピースと流体連通しており、手術部位から離れて流体を搬送する。吸引ポンプは、吸引導管内に真空圧を発生させて、吸引導管を通して排出リザーバに向かって流体を引き込む。リザーバは、圧力-真空源と結合して、リザーバ圧力を管理する。バルブは、吸引導管及びリザーバと流体連通しており、吸引導管とリザーバとの間に1つ以上のチャネルを提供する。各センサは、手術部位に関連する圧力を検出する。コンピュータは、圧力又は容積変化を軽減するために、1つ以上の圧力センサによって検出された圧力に応じてバルブを制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科手術システムであって、
ハンドピースと流体連通しており、手術部位に向かって流体を搬送するように構成された、点滴導管と、
前記ハンドピースと流体連通しており、前記手術部位から離れて流体を搬送するように構成された、吸引導管と、
前記吸引導管内に真空圧を発生させて、前記吸引導管を通して排出リザーバに向かって流体を引き込むように構成された、吸引ポンプと、
流体を保持し、圧力-真空源と結合されて、リザーバのリザーバ圧力を管理するように構成された、リザーバと、
前記吸引導管及び前記リザーバと流体連通しており、前記吸引導管と前記リザーバとの間に1つ以上のチャネルを提供するように構成された、バルブと、
前記手術部位に関連する圧力を検出するように構成された第1の圧力センサと、
圧力変化又は容積変化を軽減するために、前記1つ以上の圧力センサによって検出された前記圧力に応じて前記バルブを制御するように構成されたコンピュータと
を備える、眼科手術システム。
【請求項2】
前記コンピュータが、
前記手術部位に関連する前記圧力が第1の圧力閾値未満であるときに、前記吸引導管内の前記真空圧を減少させるように前記バルブを制御する、ように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コンピュータが、
前記リザーバから前記吸引導管まで流体を通過させる前記1つ以上のチャネルを提供するように前記バルブを制御することによって、前記真空圧を減少させるように前記バルブを制御する、ように更に構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コンピュータが、
前記リザーバから前記吸引ポンプまでの第1のチャネル、又は前記リザーバから吸引コネクタまでの第2のチャネルを提供することによって、前記1つ以上のチャネルを提供するように前記バルブを制御する、ように更に構成され、前記吸引コネクタが前記ハンドピースに結合するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記コンピュータが、
前記リザーバから前記吸引ポンプまでの第1のチャネル、及び前記リザーバから吸引コネクタまでの第2のチャネルを提供することによって、前記1つ以上のチャネルを提供するように前記バルブを制御する、ように更に構成され、前記吸引コネクタが前記ハンドピースに結合するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の圧力閾値が、0~207mmHgの範囲内の値を有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の圧力センサが、前記手術部位に関連する前記圧力が前記第1の圧力閾値未満であるときを検出する、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の圧力センサが、前記点滴導管内の点滴圧力を検出するように構成された点滴圧力センサを備える、請求項7に記載の手術カセット。
【請求項9】
前記第1の圧力センサが、前記手術部位における点滴圧力を検出するように構成された点滴圧力センサを備える、請求項7に記載の手術カセット。
【請求項10】
前記第1の圧力センサが、前記ハンドピースに配置されている、請求項7に記載の手術カセット。
【請求項11】
前記コンピュータが、
所定の期間後に前記流体の通過を停止するように前記バルブを制御することによって、前記吸引導管内の前記真空圧の前記減少を停止するように前記バルブを制御する、ように更に構成されている、請求項2に記載の手術カセット。
【請求項12】
前記コンピュータが、
前記バルブの分流器が閉鎖角度に達したときに前記流体の通過を停止するように前記バルブを制御することによって、前記吸引導管内の前記真空圧の前記減少を停止するように前記バルブを制御する、ように更に構成されている、請求項2に記載の手術カセット。
【請求項13】
前記コンピュータが、
前記手術部位に関連する前記圧力が第2の圧力閾値に達したときに前記流体の通過を停止するように前記バルブを制御することによって、前記吸引導管内の前記真空圧の前記減少を停止するように前記バルブを制御する、ように更に構成されている、請求項2に記載の手術カセット。
【請求項14】
前記第2の圧力閾値が、0~760mmHgの範囲内の値を有する、請求項13に記載の手術カセット。
【請求項15】
第2の圧力センサを更に備え、前記第2の圧力センサが、前記手術部位に関連する前記圧力が前記第2の圧力閾値に達するときを検出する、請求項13に記載の手術カセット。
【請求項16】
前記第2の圧力センサが、前記吸引導管内の吸引圧力を検出するように構成された吸引圧力センサを備える、請求項15に記載の手術カセット。
【請求項17】
前記圧力-真空源が、前記リザーバの前記リザーバ圧力を0~500mmHgの範囲内の値を有する特定の圧力に維持するように構成されている、請求項1に記載の手術カセット。
【請求項18】
前記バルブが、前記リザーバに配置されている、請求項1に記載の手術カセット。
【請求項19】
前記バルブが、前記吸引導管に沿って、吸引コネクタと前記リザーバとの間に配置されており、前記吸引コネクタが、前記ハンドピースに結合するように構成されている、請求項1に記載の手術カセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼科手術システム及び方法に関し、より具体的には、眼科手術中の閉塞後サージを軽減するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
白内障手術では、白内障の水晶体を取り除き、その水晶体を人工の眼内レンズ(IOL)に置換する。白内障の水晶体は、通常、水晶体を断片化し、水晶体の断片を眼から外に吸引することによって取り除かれる。水晶体は、例えば水晶体、超音波乳化吸引術用ハンドピース、レーザハンドピース、又は他の適切なハンドピースを使用して断片化され得る。処置の間、ハンドピースは、(例えば、超音波振動又はレーザエネルギーを使用して)水晶体を断片化し、断片は、例えば針を通して眼から外へ吸引される。処置全体を通して、点滴液が眼内にポンプ圧送されて眼内圧力(IOP)を維持し、眼球の虚脱を防止する。
【0003】
断片化プロセス中の一般的な合併症は、針の遮断又は閉塞から生じる。点滴液及び乳化した組織が中空の切断針を通して吸引されると、針の穴よりも大きい組織片がチップを詰まらせる場合がある。チップが詰まると、チップ内に真空圧が形成される。閉塞破壊は、詰まりが取り除かれたときに発生し、例えば、組織が自由に壊れて針を通って移動する。詰まりが取り除かれると、前房内の真空圧が急激に低下し、閉塞後サージがもたらされる。場合によっては、閉塞後サージにより、比較的大量の流体及び組織が眼から外に急速に吸引されて、眼が潰れ、及び/又は水晶体嚢が裂ける可能性がある。
【0004】
このサージを軽減するために、様々な技法が設計されている。しかしながら、閉塞後サージを軽減すると共に、様々な流れ条件を通して安定したIOPを維持する、改善された眼科システムの必要性が残存している。本開示は、先行技術の1つ以上の欠陥に対処するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
特定の実施形態では、眼科手術システム用の手術カセットは、点滴導管、吸引導管、吸引ポンプ、リザーバ、バルブ、1つ以上の圧力センサ、及びコンピュータを備える。点滴導管は、ハンドピースと流体連通しており、手術部位に向かって流体を搬送する。吸引導管は、ハンドピースと流体連通しており、手術部位から離れて流体を搬送する。吸引ポンプは、吸引導管内に真空圧を発生させて、吸引導管を通して排出リザーバに向かって流体を引き込む。リザーバは流体を保持し、圧力-真空源と結合して、リザーバのリザーバ圧力を管理する。バルブは、吸引導管及びリザーバと流体連通しており、吸引導管とリザーバとの間に1つ以上のチャネルを提供する。各センサは、手術部位に関連する圧力を検出する。コンピュータは、圧力及び/又は容積変化を軽減するために、1つ以上の圧力センサによって検出された圧力に応じてバルブを制御する。
【0006】
実施形態は、以下の特徴のうちの、いずれをも含まなくてもよく、又は1つ、いくつか、若しくは全てを含んでいてもよい。
【0007】
特定の実施形態では、コンピュータは、手術部位に関連する圧力が第1の圧力閾値未満であるとき、吸引導管内の真空圧を減少させるようにバルブを制御する。
【0008】
特定の実施形態では、コンピュータは、リザーバから吸引導管まで流体を通過させる1つ以上のチャネルを提供するようにバルブを制御することによって、真空圧を減少させるようにバルブを制御する。特定の場合では、コンピュータは、リザーバから吸引ポンプまでの第1のチャネル、又はリザーバから吸引コネクタまでの第2のチャネルを提供することによって、1つ以上のチャネルを提供するようにバルブを制御し、吸引コネクタはハンドピースに結合するように構成される。他の場合では、コンピュータは、リザーバから吸引ポンプまでの第1のチャネル、及びリザーバから吸引コネクタまでの第2のチャネルを提供することによって、1つ以上のチャネルを提供するようにバルブを制御し、吸引コネクタはハンドピースに結合するように構成される。
【0009】
特定の実施形態では、第1の圧力閾値は、0~207mmHgの範囲内の値を有し得る。
【0010】
特定の実施形態では、第1の圧力センサは、手術部位に関連する圧力が第1の圧力閾値未満であるときを検出する。特定の場合では、第1の圧力センサは、点滴導管内の点滴圧力を検出するように構成された点滴圧力センサを備える。他の場合では、第1の圧力センサは、手術部位における点滴圧力を検出するように構成された点滴圧力センサを備える。更に他の場合では、第1の圧力センサは、ハンドピースに配置されたハンドピース圧力センサを備える。
【0011】
特定の実施形態では、コンピュータは、手術部位に関連する圧力が第1の圧力閾値未満であるときに、吸引導管内の真空圧を減少させるようにバルブを制御する。特定の場合では、コンピュータは、所定の期間後に流体の通過を停止するようにバルブを制御することによって、吸引導管内の真空圧の減少を停止するようにバルブを制御する。他の場合では、コンピュータは、バルブの分流器が閉鎖角度に達したときに流体の通過を停止するようにバルブを制御することによって、吸引導管内の真空圧の減少を停止するようにバルブを制御する。
【0012】
コンピュータは、手術部位に関連する圧力が第2の圧力閾値に達したときに流体の通過を停止するようにバルブを制御することによって、吸引導管内の真空圧の減少を停止するようにバルブを制御する。特定の場合では、第2の圧力閾値は、0~760mmHgの範囲内の値を有する。特定の場合では、第2の圧力センサは、手術部位に関連する圧力が第2の圧力閾値に達するときを検出する。第2の圧力センサは、吸引導管内の吸引圧力を検出する吸引圧力センサを備え得る。
【0013】
特定の実施形態では、手術カセットは、点滴導管及びリザーバと流体連通している点滴ポンプを更に備える。点滴ポンプは、リザーバに点滴液圧力を供給する。
【0014】
特定の実施形態では、圧力-真空源は、リザーバのリザーバ圧力を、0~500mmHgの範囲内の値を有する特定の圧力に維持する。
【0015】
特定の実施形態では、バルブは、リザーバに配置される。
【0016】
特定の実施形態では、バルブは、吸引導管に沿って、吸引コネクタとリザーバとの間に配置される。吸引コネクタは、ハンドピースに結合され得る。
【0017】
特定の実施形態では、眼科手術システム用の手術カセットは、点滴導管、吸引導管、吸引ポンプ、リザーバ、バルブ、1つ以上の圧力センサ、及びコンピュータを備える。点滴導管は、ハンドピースと流体連通しており、手術部位に向かって流体を搬送する。吸引導管は、ハンドピースと流体連通しており、手術部位から離れて流体を搬送する。吸引ポンプは、吸引導管内に真空圧を発生させて、吸引導管を通して排出リザーバに向かって流体を引き込む。リザーバは流体を保持し、圧力-真空源と結合して、リザーバのリザーバ圧力を管理する。バルブは、吸引導管、及びリザーバ、並びに吸引ポンプと流体連通しており、吸引導管とリザーバと吸引ポンプとの間に1つ以上のチャネルを提供する。各センサは、手術部位に関連する圧力を検出する。コンピュータは、圧力及び/又は容積変化を軽減するために、1つ以上の圧力センサによって検出された圧力に応じてバルブを制御する。
【0018】
特定の実施形態では、眼科手術システムにおけるサージ軽減のための方法は、点滴導管によって、手術部位に向かって流体を搬送することであって、点滴導管がハンドピースと流体連通している、ことと、吸引導管によって、手術部位から離れて流体を搬送することであって、吸引導管がハンドピースと流体連通している、ことと、吸引ポンプによって、吸引導管内に真空圧を発生させて、吸引導管を通して排出リザーバに向かって流体を引き込むことと、バルブによって、吸引導管とリザーバとの間に1つ以上のチャネルを提供することであって、リザーバが、リザーバのリザーバ圧力を管理するために圧力-真空源と結合されるように構成され、バルブが吸引導管及びリザーバと流体連通している、ことと、1つ以上の圧力センサによって、手術部位に関連する圧力を検出することと、コンピュータによって、1つ以上の圧力センサによって検出された圧力に応じてバルブを制御して、圧力及び/又は容積変化を軽減することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、眼に対して眼科処置を実行するために使用され得る眼科手術システムの一例を示す図である。
図2図2は、図1の眼科手術システム用の手術コンソールのブロック図である。
図3図3は、図1及び図2の手術コンソールと共に使用され得る流体サブシステムを示す概略図である。
図4A-4C】図4A-4Cは、図3の流体サブシステムのバルブが実行し得る動作の例を示す図である。
図4D-4F】図4D-4Fは、図3の流体サブシステムのバルブが実行し得る動作の例を示す図である。
図5A-5C】図5A-5Cは、図4A図4Cのバルブの動作を実行するように制御され得るバルブの動作の例をそれぞれ示す図である。
図5D-5F】図5D-5Fは、図4D図4Fのバルブの動作を実行するように制御され得るバルブの動作の例をそれぞれ示す図である。
図6】閉塞後サージを軽減するために図3の流体サブシステムによって使用され得る方法の一例を示す図である。
図7】閉塞後サージを軽減するために図3の流体サブシステムによって使用され得る方法の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の原理の理解を促すために、ここで、図面に示す実施形態を参照し、及びそれを説明するために特定の言語を使用する。それにもかかわらず、本開示の範囲の限定を意図するものではないことを理解されたい。説明するデバイス、機器、方法に対する任意の代替形態及び更なる修正形態並びに本開示の原理の任意の更なる適用は、開示が関連する技術分野の当業者が通常想到してもよいように完全に想定される。特に、1つの実施形態に関して説明される特徴、コンポーネント、及び/又はステップは、本開示の他の実施形態に関して説明される特徴、コンポーネント、及び/又はステップと組み合わされてもよいことは、完全に想定される。しかしながら、簡潔にするために、これらの組み合わせの多数の反復は、別々に説明されるわけではない。簡略化のために、場合によっては、図面全体を通して同一の参照番号を用いて同一又は類似部分を参照する。
【0021】
本開示は、一般に、水晶体断片化処置を実行するためのデバイス、システム、及び方法に関する。断片化の間、閉塞後サージを軽減することは、処置の成功にとって重要であり得る。本明細書で開示されるデバイス、システム、及び方法は、閉塞後サージを軽減するためのバルブ及びリザーバを含む。閉塞破壊が検出されると、バルブがリザーバからの流れを通過させて流体の容積を増加させ、ハンドピース及びポンプに接続された吸引経路内の真空圧を減少させ、それによって閉塞後サージを低減又は防止する。そのような方法で、バルブは、包括的な「又は」を用いて、圧力又は容積変化として表され得る、圧力及び/又は容積変化を軽減することができる。リザーバを加圧することにより、より応答性の高い軽減を可能にすることができる。更に、バルブは、リザーバから1つ以上のチャネルを通る流れを通過させることができる。圧力が十分に回復すると、バルブは、真空圧の減少を停止することができる。
【0022】
図1は、眼に対して眼科治療を実行するために使用され得る眼科手術システム10の一例を示している。図示の例では、システム10は、図2を参照してより詳細に示されて説明されるように結合されている、コンソール100、ハウジング102、表示スクリーン104、フットペダル108、流体サブシステム110、及びハンドピース112を含む。
【0023】
図2は、図1のコンソール100のサブシステムのブロック図である。コンソール100は、コンピュータ103、コンポーネント108、112、109、及び122を支持するサブシステム106、110、116、及び120を収容するハウジング102を含む。フットペダルサブシステム106は、フットペダル108から入力を受け取る。流体サブシステム110は、ハンドピース112、点滴カニューレ109、及び硝子体切除手術用ハンドピース122のための流体制御を提供する。ハンドピースサブシステム116は、ハンドピース112を支持する。例えば、サブシステム116は、超音波乳化術(フェイコ)ハンドピースのための超音波振動を管理することができ、又はレーザハンドピースにレーザエネルギーを供給することができる。空気圧硝子体切除手術用切断器サブシステム120は、硝子体切除手術用ハンドピース122を制御する。表示スクリーン104は、コンピュータ103によって提供されるデータを表示する。
【0024】
図3は、図1及び図2の手術コンソール100と共に使用され得る流体サブシステム110を示す概略図である。一般に、コンピュータ103は、眼科処置中に(0~110ミリメートル水銀(mmHg)の範囲内の値を有し得る)眼の目標眼内圧力(IOP)を維持するために流体サブシステム110の一部を制御する。コンピュータ103は、眼の手術部位に関連する圧力、すなわち「手術部位圧力」の測定値からIOPを判定することができる。手術部位圧力は、眼の眼内圧力(IOP)を示す圧力(必ずしも手術部位において測定される必要はない)である。例えば、流体サブシステム110は、眼の位置において又は眼の内部に、眼のIOPを直接測定することができるセンサを含み得る。次いで、流体サブシステム110は、センサから手術部位圧力の測定値を受信することができる。別の例として、点滴導管において測定された点滴圧力、及び/又は吸引導管において測定された吸引圧力が、IOPを示すことができる。手術部位圧力はIOPと同じでない場合があり、より高い手術部位圧力がより高いIOPを示し、より低い手術部位圧力がより低いIOPを示すという点でIOPに対応し得る。流体サブシステム110は、手術部位圧力を測定することができる様々なセンサ330、365(後述される)を有する。
【0025】
手術部位圧力は、眼の目標IOPに対応する目標範囲を有し得る。例えば、点滴圧力は、0~110mmHgの目標範囲(例えば、0~30、30~70、又は70~110mmHgの範囲内の値)を有し得、又は吸引圧力は、-760~110mmHgの目標範囲(例えば、-760~-300、-300~-100、又は-100~110mmHgの範囲内の値)を有し得る。コンピュータ103が、手術部位圧力が目標範囲外であり、IOPもまた目標範囲外であることを示していると判定した場合、コンピュータ103は、流体サブシステム110を制御して圧力を目標範囲に戻す。例えば、閉塞後サージを軽減するために、第1の圧力閾値は、手術部位圧力が例えば、閉塞破壊に応じて第1の閾値を下回るときを示すことができ、第2の圧力閾値は、手術部位圧力が許容可能であるときを示して、手術部位圧力が回復したことを示すことができる。特定の実施形態では、コンピュータ103は、手術部位圧力が第1の圧力閾値未満であるときに吸引導管内の真空圧を減少させるようにバルブを制御し、手術部位圧力が第2の圧力閾値に達したとき、特定の期間が経過した後、又はバルブの分流器が閉鎖角度に達した後に、真空圧を減少させることを停止するようにバルブを制御する。
【0026】
図示の例では、流体サブシステム110は、手術カセットとして手術コンソール100によって収容され得るカセット本体301を有する。流体サブシステム110は、コントローラ360などのコンピュータ103によって制御される、点滴システム300及び吸引システム305を含む。点滴システム300及び吸引システム305は、ハンドピース112と流体連通している。互いに流体連通している部分は、流体が部分間を(部分に/部分から)流れることができる部分である。
【0027】
コンソール100は、超音波駆動フェイコハンドピース、レーザハンドピース、及び/又は他の適切なハンドピースを含む、1つ以上のハンドピース112を含み得る。特定の実施形態では、ハンドピース112は、超音波駆動フェイコハンドピースであり得る。図示の例では、フェイコハンドピース112は、点滴部分320、切断針355、及びハンドピース圧力センサ(HPS)365を含む。点滴部分320は、手術部位に流体を提供し、針355を取り囲む点滴チップ又は点滴スリーブであり得る。切断針355は、一定の周波数で振動して組織を破壊する中空針である。流体及び組織は、針355を通して吸引され得る。
【0028】
特定の実施形態では、ハンドピース112は、レーザハンドピースであり得る。レーザハンドピースは、水晶体超音波乳化吸引術プロセスを容易にするために、レーザエネルギーを使用して水晶体を断片化する。実施形態では、流体サブシステム110は、フェイコハンドピースと同様の方法で(例えば、点滴及び吸引機能を提供する)レーザハンドピースを支持する。特定の実施形態では、レーザハンドピースは、手術部位圧力を測定して閉塞後の軽減のための測定値を提供するセンサを含み得る。
【0029】
HPS365は、点滴導管302内の点滴圧力を検出する点滴圧力センサである。図示の例では、HPS365は、手術部位に近いハンドピース112上、例えば、手術部位から12インチ未満に配置されている。手術部位に近接していることにより、(閉塞破壊中に発生し得る)圧力の変化の迅速な検出が可能になり、リアルタイムのサージ抑制が可能になる。いくつかの例では、HPS365は、IOPが過度に悪影響を受ける前にコントローラ360が圧力偏差に応答することを可能にし得る、閉塞破壊の50ミリ秒以内に圧力変化を検出する。一般に、点滴圧力センサは、ハンドピース112の任意の適切な場所(例えば、近位端部、遠位端部、又は点滴部分320の近傍)、点滴導管に沿った任意の適切な場所、又は手術部位と流体連通している任意の適切なコンポーネント(例えば、別個のチューブ若しくはプローブ内)に配置され得る。
【0030】
吸引システム305は、吸引導管303内に真空圧(又は負圧)を生成及び維持することによって、手術部位から離れて排出リザーバ340に向かって流体を搬送する。真空圧は、負圧と記述することができる。したがって、真空圧を増加させることは、負圧を増加させること又は圧力を減少させることと記述することができ、真空圧を減少させることは、負圧を減少させること又は圧力を増加させることと記述することができる。
【0031】
吸引システム305は、図示されるように吸引経路に沿って流体連通している吸引導管303、バルブ337、リザーバ333、圧力-真空源336、吸引圧力センサ(APS)330、吸引ポンプ335、及び排出リザーバ340を含む。吸引導管303は、吸引システム305とハンドピース112との間に流体連通を提供する。図示の例では、吸引導管303は、ハンドピース112の針355から吸引する。リザーバ333は、サージ軽減に使用され得る流体を貯蔵する。圧力-真空源336は、リザーバ333のリザーバ圧力を維持及び調整する。サージ軽減のために、リザーバ圧力は、0~500mmHgの範囲内(例えば、0~100、100~400、又は400~500mmHgの範囲内の値)であり得る。リザーバ333の例には、ベンチュリ、排出、ベント、灌注、及び他の適切なリザーバが含まれ、リザーバ333は、1つ以上のリザーバとして実装されてもよい。
【0032】
バルブ337は、ハンドピース112のためにリザーバ333への、及び/又はリザーバ333からの流れを制御する。バルブ337は、閉塞後サージの影響を軽減するために、チャネルを開放及び/又は閉鎖することによって吸引導管303内の真空圧を制御する。バルブ337の例には、ベント、排出、ロータリ、可変真空リリーフ、及び他の適切なバルブが含まれ、バルブ337は、1つ以上のバルブとして実装されてもよい。バルブ337は、流体サブシステム110の任意の適切な場所に配置され得る。例えば、バルブ337は、例えば吸引コネクタに近接してなど、眼の近くに配置されてもよく、これにより軽減性能を改善することができる。別の例として、バルブ337は、リザーバ333の位置に、又は吸引コネクタとリザーバ333との間の吸引導管303に沿って配置され得る。バルブの動作は、図4A図4Fを参照してより詳細に説明される。
【0033】
APS330は、吸引導管303内の吸引圧力を検出する。吸引ポンプ335は、ポンプ335と眼との間の吸引導管303内に真空圧を生成し、手術部位から排出リザーバ340内に流体を引き込む。ポンプ335は、例えば、デュアルセグメントエラストマーポンプであり得る。排出リザーバ340は、手術部位から流体を受容する。排出リザーバ340は、カセット本体301内の流体を受容する袋、又は導管の交差部であってもよい。
【0034】
コントローラ360は、手術部位において目標圧力を維持するために、導管302、303内の圧力を制御するように、圧力センサ(例えば、330、365、眼の位置又は眼の内部のセンサ)に応じて、バルブ(例えば、337)及びポンプ(例えば、335)などの流体サブシステム110の部分を制御するコンピュータである。特定の実施形態では、コントローラ360は、バルブ337を制御して閉塞後サージを軽減する。この実施形態では、コンピュータ103は、手術部位圧力が第1の圧力閾値未満であるときに吸引導管内の真空圧を減少させるようにバルブ337を制御し、手術部位圧力が第2の圧力閾値に達したとき、特定の期間が経過した後、又はバルブの分流器が閉鎖角度に達した後に、真空圧を減少させることを停止するようにバルブを制御する。
【0035】
コントローラ360は、バルブ337のチャネルを開放及び/又は閉鎖して、吸引導管303内の真空圧を調整することができる。チャネルの通路をより大きくすることにより、チャネルが開放される。最大流量を可能にするために開放されるチャネルは完全に開放されており、そうでない場合は、チャネルは部分的に開放されている。チャネルの通路をより小さくすることにより、チャネルは閉鎖される。流体が通過しないように閉じられるチャネルは完全に閉鎖されており、そうでない場合は、チャネルは部分的に閉鎖されている。
【0036】
いくつかの実施形態では、コントローラ360は、検出された圧力と目標圧力との間の偏差に基づいて、チャネルが開放又は閉鎖される量(すなわち、チャネルの通路のサイズ)を調節する。例えば、偏差がより大きい場合、通路をより大きくしてより多くの流体を通過させることができる。偏差がより小さい場合、通路を小さくしてより少ない流体を通過させることができる。これらの例では、検出された圧力が目標圧力に達するにつれて偏差が減少するため、通路をより小さくすることができる。
【0037】
特定の実施形態では、コントローラ360は、1つ以上の圧力閾値を記憶するメモリへのアクセスを有することができ、検出された圧力が圧力閾値に達することに応じてアクションを実行することができる。例えば、検出された圧力が圧力閾値に達すると、コントローラ360は、バルブを制御して圧力を調整する。特定の実施形態では、第1の圧力閾値は、閉塞破壊に応じてなど、手術部位に関連する圧力が許容できないレベルまで急速に減少したことを示すことができる。これに応じて、コントローラ360は、吸引導管303内の真空圧を減少させて、手術部位圧力の急速な減少を軽減する。第2の圧力閾値は、手術部位圧力が回復したことを示すことができる。これに応じて、コントローラ360は、吸引導管303内の真空圧を減少させることを停止する。
【0038】
コントローラは、1つ以上の適切なセンサから手術部位圧力を判定することができる。特定の実施形態では、点滴圧力の減少は、例えば、閉塞破壊に応じて、手術部位圧力の減少を示すことができる。図示の例では、1つ以上の点滴圧力センサ(例えば、HPS365)は、点滴導管302内の点滴圧力を検出する。第1の圧力閾値は、コントローラ360が真空圧を減少させるべき点滴圧力を定義することができ、任意の適切な値、例えば、0~207mmHgの範囲内の値(例えば、0~35、35~100、又は100~207mmHgの範囲内の値)を有し得る。
【0039】
特定の実施形態では、吸引圧力は、閉塞後サージを軽減することに応じて、許容可能な手術部位圧力に達したときを示すことができる。図示の例では、吸引圧力センサ330は、吸引圧力を検出する。第2の圧力閾値は、コントローラ360が真空圧の減少させることを停止すべき吸引圧力を定義することができ、任意の適切な値、例えば、0~760mmHgの範囲内の値(例えば、0~30、30~300、又は300~760mmHgの範囲内の値)を有し得る。いくつかの実施形態では、第2の圧力閾値は、コントローラ360が減少させることを停止するように動作した後、真空圧が通常は少しの間減少し続けるため、目標IOP範囲に到達する前にコントローラ360が真空圧を減少させることを停止するように選択することができる。
【0040】
上記の例では、点滴圧力の観点から定義された第1の圧力閾値と、吸引圧力の観点から定義された第2の圧力閾値とを使用しているが、第1及び第2の閾値は、手術部位における圧力を示す任意の適切なセンサからの適切なタイプの圧力(例えば、吸引圧力、点滴圧力、又は眼内圧力)の使用の観点から定義されてもよい。加えて、第1及び/又は第2の閾値は、同じ又は異なるタイプの圧力に関して定義され得、例えば、両方の閾値は、吸引圧力に関して定義され得る。
【0041】
図4A図4Fは、バルブ337などのバルブが実行するように制御され得る動作の例を示している。特定の実施形態では、コントローラは、回転バルブのチャネルを開放するために、分流器を開口角度まで移動させることができる。流体がチャネルを通って流れ、圧力が減少されると、分流器は、反対方向に移動することができる。分流器が所望の圧力までの減少を示す閉鎖角度に達すると、コントローラはチャネルを閉鎖することができる。開放及び閉鎖角度は、特定の流体サブシステム110における特定のバルブの動作、特に、分流器が特定の流体サブシステム110において特定の角度にあるときに達成される圧力に基づいて、選択されてもよい。これらの角度は、分流器を流体サブシステム110において異なる角度で動作させ、結果として生じる圧力に注目することによって判定することができる。
【0042】
(1)リザーバのベント。(例えば、サージ軽減のための)ベントの間、リザーバ333から吸引ポンプ335までのチャネル、及び/又はリザーバ333から吸引コネクタへのチャネルは、開放され得る。図4Aは、リザーバ通路390を介してリザーバ333からポンプ通路392を介して吸引ポンプ335までのチャネル、及びリザーバ通路390を介してリザーバ333から吸引コネクタ通路394を介して吸引コネクタまでの、デュアルベント用のチャネルを示している。図4Bは、リザーバ通路390を介してリザーバ333からポンプ通路392を介して吸引ポンプ335までの、リザーバ排出用、又はリザーバ駆動による吸引経路への還流用のチャネルを示している。図4Cは、リザーバ通路390を介したリザーバ333から吸引コネクタ通路394を介した吸引コネクタまでの、吸引用、又はリザーバ駆動による還流用のチャネルを示している。
【0043】
開放すべきチャネルの選択は、任意の適切な要因に従って行われ得る。例えば、検出された圧力と圧力閾値との間に大きな偏差が存在する場合、両方のチャネルを開放して流れを増加させ、貯蔵された真空をより迅速にベントすることができる。大きな偏差は、例えば、0~35mmHgの値(例えば、0~10、10~20、又は20~35mmHgの範囲内の値)を有し得る。
【0044】
(2)リザーバのメンテナンス。バルブ337が異なるチャネルで異なる流れを支持するように、リザーバ333内の流体レベルを維持する一例では、吸引コネクタからリザーバ333までのチャネル、及びリザーバ333から吸引ポンプ335までのチャネルが開放され得る。圧力-真空源336は、吸引コネクタからの流れを容易にするために、リザーバ333内の真空を可能にすることができる。図4Dは、吸引コネクタ通路394を介した吸引コネクタからリザーバ通路390を介したリザーバ333までのチャネル、及びリザーバ通路390を介したリザーバ333からポンプ通路392を介した吸引ポンプ335までの、排出ポンプを用いたリザーバ駆動による吸引用のチャネルを示している。
【0045】
(3)吸引ポンプ-コネクタチャネル。吸引コネクタと吸引ポンプ335との間(例えば、吸引コネクタから吸引ポンプ335まで、及び/又は吸引ポンプ335から吸引コネクタまで)のチャネルが開放され得る。図4Eは、吸引コネクタ通路394を介した吸引コネクタからポンプ通路392を介した吸引ポンプ335までの、ポンプ圧送によって直接駆動される吸引用のチャネルを示している。図4Fは、ポンプ通路392を介した吸引ポンプ335から吸引コネクタ通路394を介した吸引コネクタまでの、ポンプ駆動による還流用のチャネルを示している。特定の実施形態では、流体がリザーバ333に入るか、又はリザーバ333から出るのを防止するために、リザーバ333までの任意のチャネルが閉鎖されてもよく、及び/又は圧力-真空源336が無効化されてもよい。
【0046】
図5A図5Fは、図4A図4Fのバルブの動作を実行するように制御され得るバルブ337aの動作の例をそれぞれ示している。バルブ337aは、任意の適切なバルブ、例えば、二重経路を提供し得る単一チャネルバルブであってもよい。
【0047】
図6は、閉塞後サージを軽減するために図3の流体サブシステム110によって使用され得る方法410の一例を示している。方法は、ステップ412において開始し、ここでコントローラ360は、手術部位に関連する圧力を監視する。コントローラ360は、ステップ412及び418において手術部位圧力を測定するために、任意の適切なセンサ、例えば、流体サブシステム110のセンサ、又は眼のIOPを直接測定する眼の又は眼の内部のセンサを使用することができる。特定の例では、コントローラ360は、点滴センサ(例えば、HPS365)を使用して、点滴圧力を手術部位圧として測定することができる。コントローラ360は、ステップ414において、手術部位圧力が第1の圧力閾値を下回ったかどうかを判定して、例えば、閉塞破壊が発生したことを示す。そのような減少が存在しない場合、方法は、ステップ412に戻り、そこでコントローラ360は、手術部位圧力の監視を継続する。そのような減少が存在する場合、方法は、ステップ416に進む。
【0048】
コントローラ360は、ステップ416において真空圧を減少させて、手術部位圧力を目標範囲に戻すことを開始する。特定の例では、コントローラ360は、バルブ337の1つ以上のチャネルを開放して、流体がリザーバ333から吸引導管303まで流れることを可能にすることによって、真空圧を減少させることができる。コントローラ360は、ステップ418において、手術部位圧力を監視する。特定の例では、コントローラ360は、手術部位圧として、吸引圧力センサ330を使用して吸引圧力を測定してもよい。
【0049】
ステップ420において、コントローラ360は、手術部位圧力が第2の圧力閾値に達したかどうか(例えば、それと等しいか又はそれより大きいか)を判定する。手術部位圧力が第2の圧力閾値に達していない場合、方法は、ステップ418に戻って手術部位圧力の監視を継続する。手術部位圧力が第2の圧力閾値に達している場合、方法は、ステップ422に進み、コントローラは、ステップ410において真空圧を減少させることを停止する。特定の実施例では、コントローラ360は、1つ以上のチャネルを閉鎖して真空圧を減少させることを停止する。その後、閉塞後サージを軽減するための方法は終了する。
【0050】
図7は、閉塞後サージを軽減するために図3の流体サブシステム110によって使用され得る方法510の別の例を示す図である。ステップ512及び514は、図5のステップ412及び414に類似している。
【0051】
特定の実施形態では、流体サブシステム110は、ステップ516a及び518aを実行し、他の実施形態では、流体サブシステム110は、ステップ516b及び518bを実行する。特定の実施形態では、ステップ516aにおいて、コントローラ360は、真空圧を減少させるために、流体が流れるのを通過させるようにバルブ337の1つ以上のチャネルを開放する。コントローラ360は、所定の期間後に、ステップ518aにおいて1つ以上のチャネルを閉鎖する。所定の期間は、任意の適切な値、例えば、1ミリ秒~10秒の値を有し得る。
【0052】
他の実施形態では、ステップ516bにおいて、コントローラ360は、真空圧を減少させるために、流体が流れるのを通過させるように1つ以上のチャネルを開放するように、バルブ337の分流器を回転方向に開放角度に移動させる。圧力が減少すると、分流器は、反対方向に移動する。コントローラ360は、分流器が閉鎖角度に達した後、ステップ518bにおいて1つ以上のチャネルを閉鎖する。開放及び閉鎖角度は、特定の流体サブシステム110における特定のバルブ337の動作に基づいて、具体的には、分流器が流体サブシステム110において特定の角度にあるときに達成される圧力に基づいて、選択され得る。
【0053】
コントローラ360は、ステップ520において通常動作を継続する前に、待機期間だけ待機する。待機期間により、閉塞破壊後に流体サブシステム110が正常化することを可能にする。待機期間は、任意の適切な値、例えば、10秒未満の値を有し得る。その後、閉塞後サージを軽減するための方法は終了する。
【0054】
本明細書に開示のシステム及び装置の(コンピュータ103又はコントローラ360などの)コンポーネントは、インターフェース、ロジック、及び/又はメモリを含んでいてもよく、これらのうちの任意のものは、ハードウェア及び/又はソフトウェアを含み得る。インターフェースは、コンポーネントへの入力を受信し、コンポーネントから出力を送信し、且つ/又は入力及び/若しくは出力を処理し得る。ロジックは、コンポーネントの動作を実行することができる。ロジックは、データを処理する、例えば命令を実行して入力から出力を生成する、1以上の電子デバイスを含み得る。そのような電子デバイスの例には、コンピュータ、プロセッサ、又はマイクロプロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU))、及びコンピュータチップが含まれる。ロジックは、動作を実行するために電子デバイスによって実行できる命令をエンコードするコンピュータソフトウェアを含み得る。コンピュータソフトウェアの例には、コンピュータプログラム、アプリケーション、及びオペレーティングシステムが含まれる。
【0055】
メモリは、情報を記憶することができ、有形のコンピュータ可読及び/又はコンピュータ実行可能な記憶媒体を含み得る。メモリの例には、コンピュータメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は読み出し専用メモリ(ROM))、マスストレージ媒体(例えば、ハードディスク)、リムーバブルストレージ媒体(例えば、コンパクトディスク(CD)又はデジタルビデオ若しくは多用途ディスク(DVD))、データベース及び/若しくはネットワークストレージ(例えば、サーバ)、並びに/又は他のコンピュータ可読媒体、が含まれる。特定の実施形態は、コンピュータソフトウェアを用いてエンコードされたメモリを対象とすることができる。
【0056】
本開示は、特定の実施形態に関して説明されているが、実施形態の修正形態(変更、置換、追加、省略、及び/又は他の改変など)は、当業者に対して明らかであろう。したがって、本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態に対する修正形態がなされ得る。例えば、本明細書で開示されたシステム及び装置に対する修正形態がなされ得る。システム及び装置のコンポーネントは、統合若しくは分離され得、又はシステム及び装置の動作は、より多い、より少ない若しくは他のコンポーネントによって実行され得る。別の例として、本明細書で開示された方法に対する修正形態がなされ得る。方法は、より多い、より少ない又は他のステップを含み得、ステップは、任意の適当な順序で実行され得る。
【0057】
特許庁及び読者がクレームを解釈するのを支援するために、出願人は、特定のクレームにおいて「means for」又は「step for」という単語が明示的に使用されていない限り、クレーム又はクレーム要素のいずれもが、35 U.S.C.§112(f)を想起することを意図していないことを言及しておきたい。請求項内の他の用語(例えば、「機構」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「コンポーネント」、「要素」、「部材」、「装置」、「機械」、「システム」、「プロセッサ」、又は「コントローラ」)の使用は、出願人により、関連技術における当業者に知られている構造を指すと理解され、35 U.S.C.§112(f)を想起することを意図していない。
図1
図2
図3
図4A-4C】
図4D-4F】
図5A-5C】
図5D-5F】
図6
図7
【国際調査報告】