(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(54)【発明の名称】ヘテロ環化合物およびそれを含む有機発光素子
(51)【国際特許分類】
C07D 471/14 20060101AFI20230831BHJP
C07D 519/00 20060101ALI20230831BHJP
H10K 50/16 20230101ALI20230831BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20230831BHJP
H10K 50/17 20230101ALI20230831BHJP
H10K 50/18 20230101ALI20230831BHJP
H10K 50/19 20230101ALI20230831BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20230831BHJP
【FI】
C07D471/14 101
C07D471/14 CSP
C07D519/00 311
H10K50/16
H10K50/15
H10K50/17
H10K50/18
H10K50/19
H10K85/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505415
(86)(22)【出願日】2021-07-29
(85)【翻訳文提出日】2023-01-25
(86)【国際出願番号】 KR2021009890
(87)【国際公開番号】W WO2022035100
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】10-2020-0099811
(32)【優先日】2020-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513298491
【氏名又は名称】エルティー・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LT Materials Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】113-19, Dangha-Ro, Namsa-Myeon, Cheoin-Gu, Yongin-si, Gyeonggi-do 17118, korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】イ,ギ-ベク
(72)【発明者】
【氏名】ラ,ヒョン-ジュ
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ウォン-ジャン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン-ジュン
【テーマコード(参考)】
3K107
4C065
4C072
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC04
3K107CC12
3K107CC21
3K107DD52
3K107DD72
3K107DD75
3K107DD78
4C065AA04
4C065AA19
4C065BB09
4C065CC05
4C065DD03
4C065EE03
4C065HH01
4C065HH02
4C065JJ01
4C065KK02
4C065KK05
4C065LL01
4C065PP03
4C065QQ02
4C072MM02
(57)【要約】
本明細書は、化学式1で表されるヘテロ環化合物およびそれを含む有機発光素子に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1のヘテロ環化合物:
【化32】
前記化学式1において、
X1およびX2は、それぞれ独立して、N;またはCRであり、X1およびX2のうち少なくとも1つはNであり、
R、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;置換または非置換のシリル基;置換または非置換のホスフィンオキシド基;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
rは1~4の整数であり、2以上の場合、R2は同一または異なる。
【請求項2】
前記化学式1は、下記化学式1-1または化学式1-2で表されるものである、請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化33】
【化34】
前記化学式1-1および1-2において、
R1、R2およびrの定義は、化学式1における定義と同一であり、
L1およびL2は、それぞれ独立して、直接結合;置換または非置換のC6 ~C60のアリーレン基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であり、
Z1およびZ2は、それぞれ独立して、ハロゲン基;シアノ基;置換または非置換のシリル基;置換または非置換のホスフィンオキシド基;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
mは1~5の整数であり、2以上の場合、L1は、互いに同一または異なり、
nは1~5の整数であり、2以上の場合、Z1は、互いに同一または異なり、
pは1~5の整数であり、2以上の場合、L2は、互いに同一または異なり、
qは1~5の整数であり、2以上の場合、Z2は、互いに同一または異なる。
【請求項3】
前記Z1およびZ2は、それぞれ独立して、置換または非置換のホスフィンオキシド基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基である、請求項2に記載のヘテロ環化合物。
【請求項4】
前記化学式1は、下記化学式4-1~化学式4-4のいずれかで表されるものである、請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
前記化学式4-1~4-4において、
X11およびX12のいずれかはNであり、残りはCRであり、
R、R1、R2およびrの定義は、それぞれ化学式1における定義と同一である。
【請求項5】
前記RおよびR1は、それぞれ独立して、水素;重水素;置換または非置換のホスフィンオキシド基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基である、請求項1に記載のヘテロ環化合物。
【請求項6】
前記R2は、水素;重水素;置換または非置換のC6~C30のアリール基;または置換または非置換のC2~C30のヘテロアリール基である、請求項1に記載のヘテロ環化合物。
【請求項7】
前記化学式1は、下記化合物のいずれかで表されるものである、請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化39】
【請求項8】
第1電極;第2電極;および前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた有機物層を含む有機発光素子であって、
前記有機物層は、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のヘテロ環化合物を1種以上含むものである、有機発光素子。
【請求項9】
前記有機物層は電子輸送層を含み、
前記電子輸送層は、前記ヘテロ環化合物を含むものである、請求項8に記載の有機発光素子。
【請求項10】
前記有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子阻止層および正孔阻止層からなる群から選択される1層をさらに含むものである、請求項8に記載の有機発光素子。
【請求項11】
前記有機物層は、第1発光層を含む第1スタック、前記第1スタック上に設けられる電荷生成層、および前記電荷生成層上に設けられ、第2発光層を含む第2スタックを含むものである、請求項8に記載の有機発光素子。
【請求項12】
前記電荷生成層は、前記ヘテロ環化合物を含むものである、請求項11に記載の有機発光素子。
【請求項13】
前記電荷生成層は、N型電荷生成層を含み、前記N型電荷生成層は、前記ヘテロ環化合物を含むものである、請求項11に記載の有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、ヘテロ環化合物およびそれを含む有機発光素子に関する。
【0002】
本出願は、2020年8月10日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2020-0099811号の出願日の利益を主張し、その内容すべては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
電界発光素子は、自発光型表示素子の一種であり、視野角が広く、コントラストに優れるだけでなく、応答速度が速いという利点を有している。
【0004】
有機発光素子は、2つの電極の間に有機薄膜を配置した構造を有している。このような構造の有機発光素子に電圧が印加されると、2つの電極から注入された電子と正孔が有機薄膜で結合して対をなした後、消滅することで光を発することになる。前記有機薄膜は、必要に応じて単層または多層で構成されることがある。
【0005】
有機薄膜の材料は、必要に応じて発光機能を有することができる。例えば、有機薄膜材料としては、それ自体が単独で発光層を構成することのできる化合物が用いられてもよいし、またはホスト-ドーパント系発光層のホストまたはドーパントの役割を果たし得る化合物が用いられてもよい。他にも、有機薄膜の材料として、正孔注入、正孔輸送、電子遮断、正孔遮断、電子輸送、電子注入などの役割を果たすことのできる化合物が用いられてもよい。
【0006】
有機発光素子の性能、寿命または効率を向上させるために、有機薄膜の材料の開発が絶えず要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書は、ヘテロ環化合物およびそれを含む有機発光素子を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書の一実施形態において、下記化学式1のヘテロ環化合物を提供する。
【0009】
【化1】
前記化学式1において、
X1およびX2は、それぞれ独立して、N;またはCRであり、X1およびX2の少なくとも1つはNであり、
R、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;置換または非置換のシリル基;置換または非置換のホスフィンオキシド基;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
rは1~4の整数であり、2以上の場合、R2は同一または異なる。
【0010】
また、本出願の一実施形態によれば、第1電極;前記第1電極と対向して設けられた第2電極;および前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層は、前記化学式1のヘテロ環化合物を少なくとも1種含む有機発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本明細書に記載のヘテロ環化合物は、有機発光素子の有機物層材料として使用することができる。前記ヘテロ環化合物は、有機発光素子において正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、電子輸送材料、電子注入材料、電荷生成材料などの役割を果たすことができる。特に、前記ヘテロ環化合物を有機発光素子の電子輸送層または電荷生成層の材料として用いることができる。
【0012】
前記化学式1は、フェナントロリンにNを含む二環のヘテロ環が縮合したコア構造を有することにより、フェナントロリン骨格に電子引っ張り特性を強化して電子が注入されたときに生成されるアニオンラジカルを安定化することができ、バンドギャップ(band gap)および三重項状態(Triple state)のエネルギー準位値(T1)の調節を通じて電子伝達能力および電荷生成能力を向上させることができる。
【0013】
また、有機発光素子の電子輸送層または電荷生成層の材料として前記化学式1のヘテロ環化合物を用いる場合、素子の駆動電圧を下げ、光効率を向上させ、素子の寿命特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、それぞれ本明細書の一実施形態による有機発光素子の積層構造を例示的に示す図である。
【
図2】
図2は、それぞれ本明細書の一実施形態による有機発光素子の積層構造を例示的に示す図である。
【
図3】
図3は、それぞれ本明細書の一実施形態による有機発光素子の積層構造を例示的に示す図である。
【
図4】
図4は、それぞれ本明細書の一実施形態による有機発光素子の積層構造を例示的に示す図である。
【0015】
100:基板
200:陽極
300:有機物層
301:正孔注入層
302:正孔輸送層
303:発光層
304:電子輸送層
305:電子注入層
400:陰極
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0017】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」と言う場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0018】
本明細書において、T1値は三重項状態(Triple state)のエネルギー準位値を意味する。
【0019】
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合された水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置、すなわち置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0020】
本明細書において、「置換または非置換の」とは、重水素;ハロゲン;シアノ基;C1~C60のアルキル基;C2~C60のアルケニル基;C2~C60のアルキニル基;C3~C60のシクロアルキル基;C2~C60のヘテロシクロアルキル基;C6~C60のアリール基;C2~C60のヘテロアリール基;シリル基;ホスフィンオキシド基;およびアミン基からなる群から選択された少なくとも1つの置換基で置換または非置換されるか、または前記例示された置換基の中から選択される少なくとも2つの置換基が連結された置換基で置換または非置換されたことを意味する。
【0021】
本明細書において、「化学式または化合物構造に置換基が示されていない場合」とは、炭素原子に水素原子が結合されたことを意味する。ただし、重水素(2H、Deuterium)は水素の同位元素であるため、一部の水素原子は重水素であってもよい。
【0022】
本出願の一実施形態において、「化学式または化合物構造に置換基が示されていない場合」は、置換基として来ることのできる位置が全て水素または重水素であることを意味することができる。すなわち、重水素の場合、水素の同位元素であり、一部の水素原子は同位元素である重水素であってもよく、このとき重水素の含量は0%~100%であってもよい。
【0023】
本出願の一実施形態において、「化学式または化合物構造に置換基が示されていない場合」において、重水素の含量が0%、水素の含量が100%、置換基は全て水素など重水素を明示的に排除しない場合には、水素と重水素は化合物において混在して使用されてもよい。
【0024】
本出願の一実施態様において、重水素は水素の同位元素(isotope)の一つであって、プロトン(proton)1つと中性子(neutron)1つからなる重陽子(deuteron)を原子核(nucleus)として有する元素であり、水素‐2で表すことができ、元素記号はDまたは2Hで表すことができる。
【0025】
本出願の一実施態様において、同位元素は原子番号(atomic number,Z)は同一であるが、質量数(mass number,A)が異なる原子を意味する同位元素は、同数のプロトン(proton)を有するが、中性子(neutron)の数が異なる元素としても解釈することができる。
【0026】
本出願の一実施態様において、特定置換基の含量T%の意味は、基本となる化合物が有し得る置換基の総数をT1と定義し、そのうち特定の置換基の数をT2と定義する場合、T2/T1×100=T%と定義することができる。
【0027】
すなわち、一例において、
【化2】
で表されるフェニル基において重水素の含量20%というのは、フェニル基が有し得る置換基の総個数は5(式中T1)個であり、そのうち重水素の個数が1(式中T2)である場合、20%と表示されることができる。すなわち、フェニル基において重水素の含量が20%であることは、下記構造式で表されることができる。
【0028】
【化3】
また、本出願の一実施形態において、「重水素の含量が0%のフェニル基」の場合、重水素原子が含まれない、すなわち水素原子5つを有するフェニル基を意味することができる。
【0029】
本明細書において、前記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であってもよい。
【0030】
本明細書において、前記アルキル基は直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルキル基の炭素数は、1~60、具体的には1~40、より具体的には1~20であってもよい。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、1-メチル-ブチル基、1-エチル-ブチル基、ペンチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、ヘプチル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、オクチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、n-ノニル基、2,2-ジメチルヘプチル基、1-エチル-プロピル基、1,1-ジメチル-プロピル基、イソヘキシル基、2-メチルペンチル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0031】
本明細書において、前記アルケニル基は直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルケニル基の炭素数は、2~60、具体的には2~40、より具体的には2~20であってもよい。具体例としては、ビニル基、1-プロぺニル基、イソプロぺニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、アリル基、1-フェニルビニル-1-イル基、2-フェニルビニル-1-イル基、2,2-ジフェニルビニル-1-イル基、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル基、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル基、スチルベニル基、スチレニル基などがあるが、これらに限定されない。
【0032】
本明細書において、前記アルキニル基は直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルキニル基の炭素数は、2~60、具体的には2~40、より具体的には2~20であってもよい。
【0033】
本明細書において、前記シクロアルキル基は単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、シクロアルキル基が他の環基と直接連結されるか縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、シクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えばヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記シクロアルキル基の炭素数は、3~60、具体的には3~40、さらに具体的には5~20であってもよい。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などがあるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書において、前記ヘテロシクロアルキル基は、ヘテロ原子としてO、S、Se、NまたはSiを含み、単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、ヘテロシクロアルキル基が他の環基と直接連結されるか縮合した基を意味する。ここで、他の環基とはヘテロシクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えばシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記ヘテロシクロアルキル基の炭素数は、2~60、具体的には2~40、さらに具体的には3~20であってもよい。
【0035】
本明細書において、前記アリール基は単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、アリール基が他の環基と直接連結されるか縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、アリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えばシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記アリール基はスピロ基を含む。前記アリール基の炭素数は、6~60、具体的には6~40、より具体的には6~25であってもよい。前記アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基(terpenyl)、ナフチル基、アントリル基、クリセニル基、フェナントレニル基、フェリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、フェナレニル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、フルオレニル基、インデニル基、アセナフチレニル基、ベンゾフルオレニル基、スピロビフルオレニル基、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル基、それらの縮合環基などが挙げられるが、これだけに限定されるものではない。
【0036】
本明細書において、前記ターフェニル基は、以下の構造から選択されてもよい。
【0037】
【化4】
本明細書において、前記フルオレニル基は置換されてもよく、隣接する置換基が互いに結合して環を形成してもよい。
【0038】
前記フロオレニル基が置換される場合、
【化5】
などであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0039】
本明細書において、前記ヘテロアリール基は、ヘテロ原子としてO、S、SO2、Se、NまたはSiを含み、単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、前記多環とは、ヘテロアリール基が他の環基と直接連結されるか縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロアリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えばシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基などであってもよい。前記ヘテロアリール基の炭素数は、2~60、具体的には2~40、さらに具体的には3~25であってもよい。前記ヘテロアリール基の具体例としては、ピリジル基、ピロリル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、フラニル基、チオフェン基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、フラザニル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ジチアゾリル基、テトラゾリル基、ピラニル基、チオピラニル基、ジアジニル基、オキサジニル基、チアジニル基、ジオキシニル基、トリアジニル基、テトラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、イソキナゾリニル基、キノゾリリル基、ナフチリジル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、イミダゾピリジニル基、ジアザナフタレニル基、トリアザインデン基、インドリル基、インドリジニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ジベンゾカルバゾリル基、フェナジニル基、ジベンゾシロール基、スピロビ(ジベンゾシロール)、ジヒドロフェナジニル基、フェノキサジニル基、フェナントリジル基、イミダゾピリジニル基、チエニル基、インドロ[2,3-a]カルバゾリル基、インドロ[2,3-b]カルバゾリル基、インドリニル基、10,11-ジヒドロ-ジベンゾ[b、f]アゼピン基、9,10-ジヒドロアクリジニル基、フェナントラジニル基、フェノチアチアジニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル基、5,10-ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザシリニル、ピラゾロ[1,5-c]キナゾリニル基、ピリド[1,2-b]インダゾリル基、ピリド[1,2-a]イミダゾ[1,2-e]インドリニル基、ベンゾフロ[2,3-d]ピリミジル基;ベンゾチエノ[2,3-d]ピリミジル基;ベンゾフロ[2,3-a]カルバゾリル基、ベンゾチエノ[2,3-a]カルバゾリル基、1,3-ジヒドロインドロ[2,3-a]カルバゾリル基、ベンゾフロ[3,2-a]カルバゾリル基、ベンゾチエノ[3,2-a]カルバゾリル基、1,3-ジヒドロインドロ[3,2-a]カルバゾリル基、ベンゾフロ[2,3-b]カルバゾリル基、ベンゾチエノ[2,3-b]カルバゾリル基、1,3-ジヒドロインドロ[2,3-b]カルバゾリル基、ベンゾフロ[3,2-b]カルバゾリル基、ベンゾチエノ[3,2-b]カルバゾリル基、1,3-ジヒドロインドロ[3,2-b]カルバゾリル基、ベンゾフロ[2,3-c]カルバゾリル基、ベンゾチエノ[2,3-c]カルバゾリル基、1,3-ジヒドロインドロ[2,3-c]カルバゾリル基、ベンゾフロ[3,2-c]カルバゾリル基、ベンゾチエノ[3,2-c]カルバゾリル基、1,3-ジヒドロインドロ[3,2-c]カルバゾリル基、1,3-ジヒドロインデノ[2,1-b]カルバゾリル基、5,11-ジヒドロインデノ[1,2-b]カルバゾリル基、5,12-ジヒドロインデノ[1,2-c]カルバゾリル基、5,8-ジヒドロインデノ[2、1-c]カルバゾリル基、7,12-ジヒドロインデノ[1,2-a]カルバゾリル基、11,12-ジヒドロインデノ[2,1-a]カルバゾリル基などが挙げられるが、これだけに限定されるものではない。
【0040】
本明細書において、シリル基はSiを含み、前記Si原子がラジカルとして直接連結される置換基であり、-SiR101R102R103で表され、R101~R103は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;およびヘテロアリール基の少なくとも1つからなる置換基であってもよい。シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0041】
本明細書において、ホスフィンオキシド基は-P(=O)R104R105で表され、R104およびR105は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;およびヘテロアリール基の少なくとも1つからなる置換基であってもよい。前記ホスフィンオキシド基は、具体的にアリール基で置換されてもよく、前記アリール基は、前述の例が適用されてもよい。例えば、ジメチルホスフィンオキシド基、ジフェニルホスフィンオキシド基、ジナフチルホスフィンオキシドなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
本明細書において、アミン基は-NR106R107で表され、R106およびR107は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;およびヘテロアリール基の少なくとも1つからなる置換基であってもよい。具体的に、前記アミン基は-NH2;モノアルキルアミン基;モノアリールアミン基;モノヘテロアリールアミン基;ジアルキルアミン基;ジアリールアミン基;ジヘテロアリールアミン基;アルキルアリールアミン基;アルキルヘテロアリールアミン基;およびアリールヘテロアリールアミン基からなる群から選択されてもよく、炭素数は特に限定されないが、1~30であることが好ましい。前記アミン基の具体例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、ジビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9-メチルーアントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基、ビフェニルナフチルアミン基、フェニルビフェニルアミン基、ビフェニルフルオレニルアミン基、フェニルトリフェニレニルアミン基、ビフェニルトリフェニレニルアミン基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
本明細書において、前記アリーレン基は、アリーレン基が2価基であることを除いて、前述のアリール基の例示が適用されてもよい。
【0044】
本明細書において、前記ヘテロアリーレン基は、ヘテロアリーレン基が2価基であることを除いて、上述のヘテロアリーレン基の例示が適用されてもよい。
【0045】
本明細書において、「隣接する基」とは、対応する置換基が置換された原子に直接連結された原子に置換された置換基、当該置換基に立体構造的に最も近い位置にある置換基、または当該置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味してもよい。例えば、ベンゼン環においてオルソ(ortho)位置で置換された2つの置換基および脂肪族環で同一炭素に置換された2つの置換基は、互いに「隣接する基」と解釈されることができる。
【0046】
隣接する基が形成することのできる脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環、脂肪族ヘテロ環、または芳香族ヘテロ環は、一価基ではないことを除いて、それぞれ前述のシクロアルキル基、アリール基、シクロヘテロアルキル基およびヘテロアリール基として例示した構造を適用することができる。
【0047】
本明細書の一実施形態において、前記化学式1で表されるヘテロ環式化合物を提供する。
【0048】
本明細書の一実施形態において、前記X1およびX2は、それぞれ独立して、N;またはCRであり、X1およびX2のうち少なくとも1つはNである。
【0049】
本明細書の一実施形態において、前記X1はNであり、X2はCRである。
【0050】
本明細書の一実施形態において、前記X1はCRであり、X2はNである。
【0051】
本明細書の一実施形態において、前記RおよびR1は、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;置換または非置換のシリル基;置換または非置換のホスフィンオキシド基;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0052】
本明細書の一実施形態において、前記RおよびR1は、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;置換または非置換のシリル基;置換または非置換のホスフィンオキシド基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0053】
本明細書の一実施形態において、前記RおよびR1は、それぞれ独立して、水素;重水素;置換または非置換のホスフィンオキシド基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0054】
本明細書の一実施形態において、前記RおよびR1は、それぞれ独立して、水素;重水素;置換または非置換のホスフィンオキシド基;置換または非置換のC6~C30のアリール基;または置換または非置換のC2~C30のヘテロアリール基である。
【0055】
本明細書の一実施形態において、前記Rは、水素;重水素;置換または非置換のホスフィンオキシド基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0056】
本明細書の一実施形態において、前記Rは、水素;重水素;置換または非置換のホスフィンオキシド基;置換または非置換のC6~C30のアリール基;または置換または非置換のC2~C30のヘテロアリール基である。
【0057】
本明細書の一実施形態において、前記Rは、置換または非置換のホスフィンオキシド基;置換または非置換のC6~C30のアリール基;または置換または非置換のC2~C30のヘテロアリール基である。
【0058】
本明細書の一実施形態において、前記R1は、水素;重水素;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0059】
本明細書の一実施形態において、前記R1は、水素;重水素;置換または非置換のC6~C30のアリール基;または置換または非置換のC2~C30のヘテロアリール基である。
【0060】
本明細書の一実施形態において、前記R1は、水素;重水素;置換または非置換のフェニル基;置換または非置換のナフチル基;または置換または非置換のフェナントロリン基である。
【0061】
本明細書の一実施形態において、前記R1は置換または非置換のC6~C30のアリール基;または置換または非置換のC2~C30のヘテロアリール基である。
【0062】
本明細書の一実施形態において、前記R1は、置換または非置換のフェニル基;置換または非置換のナフチル基;または置換または非置換のフェナントロリン基である。
【0063】
本明細書の一実施形態において、前記R2は、水素;重水素;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0064】
本明細書の一実施形態において、前記R2は、水素;重水素;置換または非置換のC6~C30のアリール基;または置換または非置換のC2~C30のヘテロアリール基である。
【0065】
本明細書の一実施形態において、前記R2は、水素;重水素;置換または非置換のC6~C20のアリール基;または置換または非置換のC2~C20のヘテロアリール基である。
【0066】
本明細書の一実施形態において、前記R2は、水素;重水素;置換または非置換のフェニル基;置換または非置換のナフチル基;置換または非置換のピリジン基;置換または非置換のピリミジン基;置換または非置換のトリアジン基;または置換または非置換のフェナントロリン基である。
【0067】
本明細書の一実施形態において、前記R2は、水素;重水素;ヘテロアリール基で置換または非置換のC6~C20のアリール基;または、アリール基またはヘテロアリール基で置換または非置換のC2~C20のヘテロアリール基である。
【0068】
本明細書の一実施形態において、前記R1およびR2は、水素;または重水素である。
【0069】
本明細書の一実施形態において、前記R1は、置換または非置換のC6~C30のアリール基;または置換または非置換のC2~C30のヘテロアリール基であり、前記R2は、水素;または重水素である。
【0070】
本明細書の一実施形態において、前記R1は、置換または非置換のフェニル基;置換または非置換のナフチル基;または置換または非置換のフェナントロリン基であり、前記R2は、水素;または重水素である。
【0071】
本明細書の一実施形態において、前記R1は水素であり、前記R2は置換または非置換のC6~C30のアリール基;または置換または非置換のC2~C30のヘテロアリール基である。
【0072】
本明細書の一実施形態において、前記R1は水素であり、前記R2は置換または非置換のフェニル基;置換または非置換のナフチル基;または置換または非置換のフェナントロリン基である。
【0073】
本明細書の一実施形態において、前記R1およびR2は、それぞれ独立して、置換または非置換のC6~C30のアリール基;または置換または非置換のC2~C30のヘテロアリール基である。
【0074】
本明細書の一実施形態において、前記化学式1は、下記化学式1-1または化学式1-2で表される。
【0075】
【化6】
【化7】
前記化学式1-1および1-2において、
R1、R2およびrの定義は、化学式1における定義と同一であり、
L1およびL2は、それぞれ独立して、直接結合;置換または非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であり、
Z1およびZ2は、それぞれ独立して、ハロゲン基;シアノ基;置換または非置換のシリル基;置換または非置換のホスフィンオキシド基;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
mは1~5の整数であり、2以上の場合、L1は同一または異なり、
nは1~5の整数であり、2以上の場合、Z1は、互いに同一または異なり、
pは1~5の整数であり、2以上の場合、L2は、互いに同一または異なり、
qは1~5の整数であり、2以上の場合、Z2は、互いに同一または異なる。
【0076】
本明細書の一実施形態において、前記化学式1は、下記化学式2-1~2-4のいずれかで表される。
【0077】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
前記化学式2-1~2-4において、R1およびR2の定義は化学式1における定義と同一であり、
L1およびL2は、それぞれ独立して、直接結合;置換または非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であり、
Z1およびZ2は、それぞれ独立して、ハロゲン基;シアノ基;置換または非置換のシリル基;置換または非置換のホスフィンオキシド基;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
mは1~5の整数であり、2以上の場合、L1は、互いに同一または異なり、
nは1~5の整数であり、2以上の場合、Z1は、互いに同一または異なり、
pは1~5の整数であり、2以上の場合、L2は、互いに同一または異なり、
qは1~5の整数であり、2以上の場合、Z2は、互いに同一または異なる。
【0078】
本明細書の一実施形態において、前記L1およびL2は、それぞれ独立して、直接結合;置換または非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基である。
【0079】
本明細書の一実施形態において、前記L1およびL2は、それぞれ独立して、直接結合;置換または非置換のC6~C30のアリーレン基;または置換または非置換のC2~C30のヘテロアリーレン基である。
【0080】
本明細書の一実施形態において、前記L1およびL2は、それぞれ独立して、直接結合;置換または非置換のフェニレン基;置換または非置換のアントラセニレン基;置換または非置換の二価のピリジン基;置換または非置換の二価のピリミジン基;置換または非置換の二価のトリアジン基;または置換または非置換の二価のフェナントロリン基である。
【0081】
本明細書の一実施形態において、前記Z1およびZ2は、それぞれ独立して、置換または非置換のホスフィンオキシド基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0082】
本明細書の一実施形態において、前記Z1およびZ2は、それぞれ独立して、置換または非置換のホスフィンオキシド基;置換または非置換のC6~C30のアリール基;または置換または非置換のC2~C30のヘテロアリール基である。
【0083】
本明細書の一実施形態において、前記Z1およびZ2は、それぞれ独立して、置換または非置換のホスフィンオキシド基;置換または非置換のフェニル基;置換または非置換のビフェニル基;置換または非置換のターフェニル基;置換または非置換のナフチル基;置換または非置換のアントラセン基;置換または非置換のフェナントレン基;置換または非置換のトリフェニレン基;置換または非置換のフルオレニル基;置換または非置換のピリジン基;置換または非置換のピリミジン基;置換または非置換のトリアジン基;または置換または非置換のフェナントロリン基である。
【0084】
本明細書の一実施形態において、前記Z1およびZ2は、それぞれ独立して、アリール基で置換または非置換のホスフィンオキシド基;アリール基またはヘテロアリール基で置換または非置換のフェニル基;ビフェニル基;ターフェニル基;ナフチル基;アリール基で置換または非置換のアントラセン基;フェナントレン基;置換または非置換のトリフェニレン基;9,9’-スピロビ[フルオレン];アリール基またはヘテロアリール基で置換または非置換のピリジン基;アリール基で置換または非置換のピリミジン基;アリール基で置換または非置換のトリアジン基;またはアリール基で置換または非置換のフェナントロリン基である。
【0085】
本明細書の一実施形態において、前記Z1およびZ2は、それぞれ独立して、下記化学式A~Cのいずれかで表されることができる。
【0086】
【化12】
【化13】
【化14】
前記化学式A~Cにおいて、
R11は、水素;重水素;置換または非置換のシリル基;置換または非置換のホスフィンオキシド基;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;あるいは、置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であるか、隣接する基は結合して置換または非置換の炭化水素環を形成してもよく、
r11は1~5の整数であり、2以上の場合、R11は、互いに同一または異なり、
Y1~Y5は、それぞれ独立して、NまたはCR12であり、少なくとも1つはNであり、隣接する基は互いに結合してヘテロ環を形成してもよく、
R12~R14は、それぞれ独立して、水素;重水素;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0087】
本明細書の一実施形態において、前記R11は、水素;重水素;置換または非置換のホスフィンオキシド基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;あるいは、置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であるか、隣接する基は結合して置換または非置換の炭化水素環を形成してもよい。
【0088】
本明細書の一実施形態において、前記R11は、水素;重水素;置換または非置換のホスフィンオキシド基;置換または非置換のC6~C30のアリール基;あるいは、置換または非置換のC2~C30のヘテロアリール基であるか、隣接する基は結合して置換または非置換の炭化水素環を形成してもよい。
【0089】
本明細書の一実施形態において、前記R11のうち隣接する基は結合して置換または非置換のC6~C30の炭化水素環を形成してもよい。
【0090】
本明細書の一実施形態において、前記R11のうち隣接する基は結合して
【化15】
環を形成してもよく、前記環はアリール基またはヘテロアリール基でさらに置換されてもよい。
【0091】
本明細書の一実施形態において、前記Y1~Y5は、それぞれ独立して、NまたはCR12であり、少なくとも1つはNであり、隣接する基は互いに結合してヘテロ環を形成してもよい。
【0092】
本明細書の一実施形態において、前記Y1~Y5は、それぞれ独立して、NまたはCR12であり、少なくとも2つはNであってもよい。
【0093】
本明細書の一実施形態において、前記Y1~Y5は、それぞれ独立して、NまたはCR12であり、少なくとも3つはNであってもよい。
【0094】
本明細書の一実施形態において、前記Y1~Y5は、それぞれ独立して、NまたはCR12であり、少なくとも1つはNであり、隣接する基は互いに結合してC2~C30のヘテロ環を形成してもよい。
【0095】
本明細書の一実施形態において、前記Y1~Y5は、それぞれ独立して、NまたはCR12であり、少なくとも1つはNであり、隣接する基は互いに結合して
【化16】
環を形成してもよく、前記環はアリール基またはヘテロアリール基でさらに置換されてもよい。
【0096】
本明細書の一実施形態において、前記R12~R14は、それぞれ独立して、水素;重水素;置換または非置換のC6~C60のアリール基;あるいは、置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0097】
本明細書の一実施形態において、前記R12~R14は、それぞれ独立して、水素;重水素;置換または非置換のC6~C30のアリール基;または置換または非置換のC2~C30のヘテロアリール基である。
【0098】
本明細書の一実施形態において、前記化学式1は、下記化学式3-1~化学式3-4のいずれかで表される。
【0099】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
前記化学式3-1~3-4において、各置換基の定義は化学式1における定義と同一である。
【0100】
本明細書の一実施形態において、前記化学式1は、下記化学式4-1~化学式4-4のいずれかで表される。
【0101】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
前記化学式4-1~4-4において、
X11およびX12のいずれかはNであり、残りはCRであり、
R、R1、R2およびrの定義は、それぞれ化学式1における定義と同一である。
【0102】
本明細書の一実施形態において、前記X11はNであり、前記X12はCRである。
【0103】
本明細書の一実施形態において、前記X11はCRであり、前記X12はNである。
【0104】
本明細書の一実施形態において、前記化学式1は、下記化合物のいずれかで表されることができるが、これに限定されるものではない。
【0105】
【化25】
また、前記化学式1の構造に様々な置換基を導入することにより、導入された置換基の固有特性を有する化合物を合成することができる。例えば、有機発光素子の製造時に用いられる正孔注入層物質、正孔輸送層物質、発光層物質、電子輸送層物質および電荷生成層物質に主に用いられる置換基を前記コア構造に導入することにより、各有機物層で要求される条件を満たす物質を合成することができる。
【0106】
また、前記化学式1の構造に様々な置換基を導入することにより、エネルギーバンドギャップを微細に調節することを可能とし、一方で有機物の間の界面での特性を向上させ、物質の用途を多様にすることができる。
【0107】
本明細書の一実施形態において、第1電極;第2電極;および第1電極と第2電極との間に設けられた1層以上の有機物層を含み、前記有機物層のうち1層以上は前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を1種以上含む有機発光素子を提供する。
【0108】
本明細書の一実施形態において、前記有機物層の少なくとも1層は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を1種含む。
【0109】
本明細書の一実施形態において、前記第1電極は陽極であり、前記第2電極は陰極であってもよい。
【0110】
本明細書の他の実施形態において、前記第1電極は陰極であり、前記第2電極は陽極であってもよい。
【0111】
本明細書の一実施形態において、前記有機発光素子は、青色有機発光素子であってもよく、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物は、前記青色有機発光素子の材料として使用されてもよい。例えば、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物は、青色有機発光素子の電子輸送層または電荷生成層に含まれてもよい。
【0112】
本明細書の一実施形態において、前記有機発光素子は、緑色有機発光素子であってもよく、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物は、前記緑色有機発光素子の材料として使用されてもよい。例えば、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物は、緑色有機発光素子の電子輸送層または電荷生成層に含まれてもよい。
【0113】
本明細書の一実施形態において、前記有機発光素子は、赤色有機発光素子であってもよく、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物は、前記赤色有機発光素子の材料として使用されてもよい。例えば、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物は、赤色有機発光素子の電子輸送層または電荷生成層に含まれてもよい。
【0114】
本明細書の有機発光素子は、上述のヘテロ環化合物を用いて1層以上の有機物層を形成することを除いては、通常の有機発光素子の製造方法および材料によって製造されてもよい。
【0115】
前記化合物は、有機発光素子の製造時に真空蒸着法だけでなく、溶液塗布法によって有機物層に形成されてもよい。ここで、溶液塗布法とは、スピンコーティング、ディップコーティング、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、スプレー法、ロールコーティングなどを意味するが、これらに限定されるものではない。
【0116】
本明細書の有機発光素子の有機物層は単層構造からなってもよいが、2層以上の有機物層が積層された多層構造から構成されてもよい。例えば、本発明の有機発光素子は、有機物層として正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などを含む構造を有してもよい。しかしながら、有機発光素子の構造はこれに限定されず、より少ない数の有機物層を含んでもよい。
【0117】
本明細書の有機発光素子において、前記有機物層は電子輸送層を含み、前記電子輸送層は前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を含んでもよい。
【0118】
本明細書の有機発光素子において、前記有機物層は電荷生成層を含み、前記電荷生成層は前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を含んでもよい。
【0119】
本発明の有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子阻止層および正孔阻止層からなる群から選択される1層または2層以上をさらに含んでもよい。
【0120】
図1~
図3に、本明細書の一実施形態に係る有機発光素子の電極と有機物層との積層順序を例示した。しかしながら、これらの図によって本出願の範囲が限定されることを意図したものではなく、当技術分野で知られている有機発光素子の構造が本出願にも適用され得る。
【0121】
図1によれば、基板100上に陽極200、有機物層300、および陰極400が順次積層された有機発光素子が示される。しかし、このような構造に限定されるものではなく、
図2のように、基板上に陰極、有機物層および陽極が順次積層された有機発光素子が具現されてもよい。
【0122】
図3は、有機物層が多層である場合を例示したものである。
図3に係る有機発光素子は、正孔注入層301、正孔輸送層302、発光層303、電子輸送層304および電子注入層305を含む。しかしながら、このような積層構造によって本出願の範囲が限定されるものではなく、必要に応じて発光層を除いた残りの層は省略されてもよく、必要な他の機能層をさらに追加してもよい。
【0123】
前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を含む有機物層は、必要に応じて他の物質をさらに含んでもよい。
【0124】
さらに、本明細書の一実施形態において、第1電極;第2電極;および第1電極と第2電極との間に設けられた1層以上の有機物層を含み、前記有機物層は、第1発光層を含む第1スタック、前記第1スタック上に設けられた電荷生成層および前記電荷生成層に設けられ、第2発光層を含む第2スタックを含み、前記電荷生成層は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を含む。
【0125】
本明細書の一実施形態に係る有機発光素子において、前記電荷生成層はN型電荷生成層を含み、前記N型電荷生成層は前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を含む。
【0126】
本明細書の一実施形態による有機発光素子において、前記電荷生成層は、P型電荷生成層をさらに含んでもよい。
【0127】
本明細書の一実施形態による有機発光素子として、2‐スタックタンデム構造の有機発光素子を下記の
図4に例示的に示す。
【0128】
このとき、下記
図4の2‐スタックタンデム構造の有機発光素子において、必要に応じて第1正孔注入層、第1電子阻止層、第1正孔阻止層、第2電子阻止層、第2正孔阻止層、およびP型電荷生成層などが追加されてもよい。
【0129】
本明細書の一実施形態に係る有機発光素子において、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物以外の材料を以下に例示するが、これらは例示のためのものであり、本願の範囲を限定するものではなく、当技術分野に公知の材料で置き換えてもよい。
【0130】
陽極材料としては、比較的仕事関数の大きい材料を用いることができ、透明導電性酸化物、金属または導電性高分子などを用いることができる。前記陽極材料の具体例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金などの金属またはそれらの合金;酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)などの金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO2:Sbなどの金属と酸化物の組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性高分子などがあるが、これらに限定されない。
【0131】
陰極材料としては、比較的仕事関数の低い材料を用いることができ、金属、金属酸化物、または導電性高分子などを用いることができる。前記陰極材料の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、錫、鉛などの金属またはそれらの合金;LiF/AlまたはLiO2/Alなどの多層構造物質などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0132】
正孔注入材料としては、公知の正孔注入材料を用いることもでき、例えば、米国特許第4,356,429号に開示された銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物または文献[Advanced Material、6、p.677(1994)]に記載されているスターバースト型アミン誘導体類、例えばトリス(4-カルバゾイル-9-イルフェニル)アミン(TCTA)、4,4’,4’’-トリ[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン(m-MTDATA)、1,3,5-トリス[4-(3-メチルフェニルフェニルアミノ)フェニル]ベンゼン(m-MTDAPB)、溶解性のある導電性高分子であるポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid)またはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(4-styrenesulfonate))、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Polyaniline/Camphor sulfonic acid)またはポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Polyaniline/Poly(4-styrenesulfonate))などを用いることができる。
【0133】
正孔輸送材料としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン系誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などを用いてもよく、低分子または高分子材料が用いられてもよい。
【0134】
電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8-ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体などが使用されてもよく、低分子物質だけでなく、高分子物質も使用することができる。
【0135】
電子注入材料としては、例えば、LiFが当技術分野で代表的に使用されるが、本出願はこれに限定されない。
【0136】
発光材料としては、赤色、緑色または青色の発光材料を用いることができ、必要に応じて、2以上の発光材料を混合して使用してもよい。このとき、2つ以上の発光材料を別々の供給源から蒸着して使用するか、予備混合して1つの供給源から蒸着して使用してもよい。また、発光材料として蛍光材料を用いることもできるが、燐光材料として用いてもよい。発光材料としては、単独で陽極と陰極からそれぞれ注入された正孔と電子を結合して発光させる材料が用いられてもよく、ホスト材料とドーパント材料が共に発光に関与する材料を用いることもできる。
【0137】
発光材料のホストを混合して使用する場合には、同一系列のホストを混合して使用してもよく、異なる系列のホストを混合して使用してもよい。例えば、n型ホスト材料またはp型ホスト材料のいずれか2種類以上の材料を選択して発光層のホスト材料として用いることができる。
【0138】
本明細書の一実施形態による有機発光素子は、使用される材料に応じて、前面発光型、後面発光型、または両面発光型であってもよい。
【0139】
本明細書の一実施形態による化合物は、有機太陽電池、有機感光体、有機トランジスタなどを含む有機電子素子においても有機発光素子に適用されるのと類似な原理で作用することができる。
【0140】
以下では、実施例を通じて本明細書をより詳細に説明するが、これらは本出願を例示するためのものであり、本出願の範囲を限定するものではない。
【0141】
【0142】
1)化合物14-2の製造
2-ブロモ-1,10-フェナントロリン(2-bromo-1,10-phenanthroline)(A)(20g、0.077mol、1eq)、2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン(2-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)aniline)(B)(20.3g、0.092mol、1.2eq)、K3PO4(49.1g、0.23mol、3eq)、Pd(PPh3)4(テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))(4.45g、0.0038mol、0.05)eq)に1,4-ジオキサン(1,4-Dioxane)(400ml)、H2O(100ml)を加え、100℃で6時間撹拌した。水を入れて反応を終結させた後、メチレンクロリド(MC)と水を用いて抽出した。その後、MgSO4で水分を除去した後、シリカゲル(Silicagel)カラムで分離して化合物14-2 16gを76%の収率で得た。
【0143】
2)化合物14-3の製造
化合物14-2(16g、0.058mol、1eq)、トリエチルアミン(Triethylamine)(7.1g、0.70mol、1.2eq)をMC(160ml)に溶かした後、0℃で4-ブロモベンゾイルクロリド(4-bromobenzoyl chloride)(C)(15.5g、0.092mol、1.2eq)をゆっくりと入れた後、室温(RT)で4時間撹拌した。水を入れて反応を終結させた後、MCと水を用いて抽出した。その後、MgSO4で水分を除去した後、シリカゲル(Silicagel)カラムで分離して化合物14-3 18gを67%の収率で得た。
【0144】
3)化合物14-4の製造
化合物14-3(18g、0.039mol、1eq)、POCl3(18.2g、0.118mol、3eq)にニトロベンゼン(nitrobenzene)(180ml)を入れ、160℃で12時間撹拌した。水を入れて反応を終結させた後、MCと水を用いて抽出した。その後MgSO4で水分を除去した後、シリカゲル(Silicagel)カラムで分離して化合物14-4 11gを64%の収率で得た。
【0145】
4)化合物14-5の製造
化合物14-4(11g、0.025mol、1eq)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-bi(1,3,2-ジオキサボロラン)(4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-octamethyl-2,2’-bi(1,3,2-dioxaborolane))(9.6g、0.038mol、1.5eq)、KOAc(ポタシウムアセテート)(7.4g、0.075mol、3eq)、Pd(dppf)Cl2([1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II))(1.8g、0.0025mol、0.1eq)に1,4-ジオキサン(110ml)を加え、100℃で8時間攪拌した。水を入れて反応を終結させた後、MCと水を用いて抽出した。その後、無水MgSO4で水分を除去した後、シリカゲル(Silicagel)カラムで分離して化合物14-5 10gを82%の収率で得た。
【0146】
5)化合物14の製造
化合物14-5(10g、0.02mol、1eq)、4-クロロ-2,6-ジフェニルピリミジン(4-chloro-2,6-diphenylpyrimidine)(D)(5.8g、0.021mol、1.05eq)、K3PO4(13.1g、0.062mol、3eq)、Pd(PPh3)4(1.19g、0.001mol、0.05eq)に1,4-ジオキサン(200ml)、H2O(50ml)を加えて100℃で6時間撹拌した。水を入れて反応を終結させた後、MCと水を用いて抽出した。その後、MgSO4で水分を除去した後、シリカゲル(Silicagel)カラムで分離して化合物14 9gを74%の収率で得た。
【0147】
前記製造例において、2-ブロモ-1,10-フェナントロリン(A)、2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン(B)、4-ブロモベンゾイルクロリド(C)および4-クロロ-2,6-ジフェニルピリミジン(D)の代わりに、下記表1の中間体A、B、CおよびDを用いて同様の方法で化合物を合成した。
【0148】
【表1】
前記製造例と同様の方法で化合物を製造し、その合成確認結果を表2および表3に示した。表2は
1H NMR(CDCl
3、200MZ)の測定値であり、表3はFD-質量分析計(FD-MS:Field desorption mass spectrometry)の測定値である。
【0149】
【0150】
[実験例]
<実験例1>
1)有機発光素子の作製
比較例1-1
OLED用ガラス(サムスン-コーニング社製)から得られた透明電極インジウムチンオキシド(ITO)薄膜をトリクロロエチレン、アセトン、エタノール、蒸留水を順次用いて各5分間超音波洗浄を行った後、イソプロパノールに入れて保管した後、使用した。次に真空蒸着装備の基板フォルダにITO基板を設置し、真空蒸着装備内のセルに下記4,4’,4’’-トリス(N,N-(2-ナフチル)-フェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4’’-tris(N,N-(2-naphthyl)-phenylamino)triphenyl amine:2-TNATA)を入れた。
【0151】
【化27】
次いでチャンバ内の真空度が10
-6torrに達するまで排気した後、セルに電流を印加して2-TNATAを蒸発させてITO基板上に600Å厚さの正孔注入層を蒸着した。真空蒸着装備内の他のセルに下記のN,N’-ビス(α-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジアミン(N,N’-bis(α-naphthyl)-N,N’-diphenyl-4,4’-diamine:NPB)を入れ、セルに電流を印加して蒸発させて正孔注入層上に300Å厚さの正孔輸送層を蒸着した。
【0152】
【化28】
このように正孔注入層および正孔輸送層を形成した後、その上に発光層として以下の構造の青色発光材料を蒸着させた。具体的には、真空蒸着装備内の一方のセルに青色発光ホスト材料であるH1を200Å厚さに真空蒸着させ、その上に青色発光ドーパント材料であるD1をホスト材料に対して5%真空蒸着させた。
【0153】
【化29】
続いて、電子輸送層として下記構造式E1の化合物を300Åの厚さに蒸着した。
【0154】
【化30】
電子注入層としてリチウムフルオリド(litium fluoride:LiF)を10Å厚さに蒸着し、Al陰極を1,000Åの厚さにしてOLED素子を作製した。一方、OLED素子の作製に必要な全ての有機化合物は、材料別にそれぞれ10
-8~10
-6torr下で真空昇華精製してOLED作製に使用した。
【0155】
比較例1-2、1-3および実施例1-1~1-19
前記比較例1-1で電子輸送層形成の時に用いられたE1の代わりに下記表4に示された化合物を用いることを除いては、比較例1-1と同様に行って有機電界発光素子を作製した。
【0156】
2)有機発光素子の駆動電圧と発光効率の測定
前記のように製造された有機電界発光素子に対して、マックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもってマックサイエンス社で製造された寿命測定装置(M6000)を通じて基準輝度が3,500cd/m2のとき、T95を測定した。本発明に従って製造された青色有機発光素子の駆動電圧、発光効率、色座標(CIE)、寿命を測定した結果は表4のとおりであった。
【0157】
【表4】
前記表4の結果から分かるように、本発明の青色有機発光素子の電子輸送層材料を用いた有機発光素子は、比較例1-1~1-3に比べて駆動電圧が低く、発光効率および寿命が著しく改善された。
【0158】
これらの結果の原因は、適切な長さと強度および平坦な特性を有する化合物が電子輸送層として用いられたとき、特定条件下で電子を受けて励起された状態の化合物を作り、特に、化合物のヘテロ骨格部位の励起された状態が形成されると、励起されたヘテロ骨格部位が他の反応をする前に励起されたエネルギーが安定した状態に移動し、比較的安定した化合物は化合物の分解または破壊は起こらず、電子を効率的に伝達することができるためと判断される。ちなみに、励起されたときに安定した状態を有するものは、アリールまたはアセン類の化合物または多員環ヘテロ化合物であると考えられる。
【0159】
したがって、本発明の化合物が向上された電子‐輸送特性または改善された安定性を向上させ、駆動電圧、発光効率、寿命のすべての面で優れた性能をもたらすと判断される。
【0160】
<実験例2>
1)有機発光素子の作製
実施例2-1~2-19および比較例2-1~2-3
1500Åの厚さでITOが薄膜コーティングされたガラス基板を蒸留水超音波で洗浄した。蒸留水洗浄が終わったら、アセトン、メタノール、イソプロピルアルコールなどの溶剤で超音波洗浄を行い、乾燥させた後、UV洗浄機でUVを用いて5分間UVO処理した。その後、基板をプラズマ洗浄機(PT)に移送させた後、真空状態でITO仕事関数および残膜除去のためにプラズマ処理を行い、有機蒸着用熱蒸着装置に移送した。
【0161】
前記ITO透明電極(陽極)上に2スタックWOLED(White Organic Light Device)構造で有機物を形成した。第1スタックはまずTAPCを300Åの厚さに熱真空蒸着して正孔輸送層を形成した。正孔輸送層を形成させた後、その上に発光層を次のように熱真空蒸着させた。発光層はホストであるTCz1に青色燐光ドーパントとしてFIrpicを8%ドーピングして300Å蒸着した。電子輸送層はTmPyPBを用いて400Åを形成した後、電荷生成層として下記表5に記載の化合物にCs2CO3を20%ドーピングして100Å形成した。
【0162】
第2スタックはまずMoO3を50Åの厚さに熱真空蒸着して正孔注入層を形成した。共通層である正孔輸送層をTAPCにMoO3を20%ドーピングして100Å形成した後、TAPCを300Å蒸着して形成した。その上に発光層はホストであるTCz1に緑色燐光ドーパントであるIr(ppy)3を8%ドーピングして300Å蒸着後、電子輸送層としてTmPyPBを用いて600Åを形成した。最後に、電子輸送層上にリチウムフルオリド(lithium fluoride:LiF)を10Å厚さに蒸着して電子注入層を形成した後、電子注入層上にアルミニウム(Al)陰極を1,200Åの厚さに蒸着して陰極を形成することにより、有機電界発光素子を作製した。
【0163】
一方、OLED素子の作製に必要な全ての有機化合物は、材料別にそれぞれ10-8~10-6torr下で真空昇華精製してOLED作製に使用した。
【0164】
【0165】
2)有機発光素子の駆動電圧および発光効率の測定
前記のように製造された有機電界発光素子に対して、マックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもってマックサイエンス社で製造された寿命測定装置(M6000)を通じて基準輝度が3,500cd/m2のとき、T95を測定した。本発明により製造された白色有機電界発光素子の駆動電圧、発光効率、外部量子効率、色座標(CIE)を測定した結果は表5のとおりであった。
【0166】
【表5】
前記表5の結果から分かるように、本発明の2-スタック白色有機電界発光素子の電荷生成層材料を用いた有機電界発光素子は、比較例2-1~2-3に比べて駆動電圧が低く、寿命および発光効率が改善された。
【0167】
このような結果が出た理由は、適切な長さと強度および平坦な特性を有する発明された骨格とメタルと結合することのできる適切なヘテロ化合物から構成されたN型電荷生成層として使用された本発明の化合物がアルカリ金属またはアルカリ土類金属をドーピングしてN型電荷生成層内にギャップステートが形成されたものと推定され、P型電荷生成層から生成された電子がN型電荷生成層内で生成されたギャップステートを介して電子輸送層へ電子の注入が容易に行われたものと判断される。
【0168】
したがって、P型電荷生成層は、N型電荷生成層へと電子注入と電子伝達がうまく行われ、このため有機発光素子の駆動電圧が低くなり、効率と寿命が改善されたと判断される。
【国際調査報告】