(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(54)【発明の名称】術者非依存ヒストトリプシデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20230831BHJP
A61N 7/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
A61B17/00 700
A61N7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507307
(86)(22)【出願日】2021-08-09
(85)【翻訳文提出日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 US2021045158
(87)【国際公開番号】W WO2022035731
(87)【国際公開日】2022-02-17
(32)【優先日】2020-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523034058
【氏名又は名称】アミール・イー・ハサン
(71)【出願人】
【識別番号】523034069
【氏名又は名称】ユーセフ・ハサン・アハメド・ハリーリ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119426
【氏名又は名称】小見山 泰明
(72)【発明者】
【氏名】アミール・イー・ハサン
(72)【発明者】
【氏名】ユーセフ・ハサン・アハメド・ハリーリ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE19
4C160JJ33
4C160MM36
(57)【要約】
ヒストトリプシデバイスが、ヒト又は動物の頭蓋へ頭蓋を周って取り付けられるように構成されたヘッドセットと;ヘッドセットへ取り付けられた少なくとも1つのトンランスデューサであって、ヘッドセットが頭蓋へ頭蓋を周って取り付けられた状態で、少なくとも1つのトランスデューサが頭蓋の少なくとも1つの側頭領域又は後頭下領域に亘って当該領域と接触して位置するように配置されていて、超音波周波数又は超音波周波数範囲の集束された照射を発するように構成されている少なくとも1つのトランスデューサと:少なくとも1つのプロセッサと;少なくとも1つのプロセッサに少なくとも1つのトランスデューサを起動させて1ミリ秒又はそれより長いパルス持続時間を有する少なくとも1つの超音波照射のパルスを発生させるための、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令がその中に記憶されている少なくとも1つのメモリと、を含み得る。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒストトリプシデバイスであって、
ヒト又は動物の頭蓋へ取り付けられるように構成されたヘッドセットと、
前記ヘッドセットへ取り付けられた少なくとも1つのトンランスデューサであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記少なくとも1つのトランスデューサが前記頭蓋の少なくとも1つの側頭領域又は後頭下領域に亘って当該領域と接触して位置するように配置されていて、超音波周波数又は超音波周波数範囲の集束された照射を発するように構成されている少なくとも1つのトランスデューサと、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに前記少なくとも1つのトランスデューサを起動させて1ミリ秒(ms)又はそれより長いパルス持続時間を有する少なくとも1つの超音波照射のパルスを発生させるための、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令がその中に記憶されている少なくとも1つのメモリと、
を備えるヒストトリプシデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサが、
前記ヘッドセットへ動作可能に取り付けられた第1のトランスデューサであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記第1のトランスデューサが前記頭蓋の右側頭領域に亘って当該領域と接触して位置するように配置された第1のトランスデューサと、
前記ヘッドセットへ動作可能に取り付けられた第2のトランスデューサであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記第2のトランスデューサが前記頭蓋の左側頭領域に亘って当該領域と接触して位置するように配置された第2のトランスデューサと、
を含んでいる、ヒストトリプシデバイス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサが、前記ヘッドセットへ動作可能に取り付けられた第3のトランスデューサであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記第3のトランスデューサが前記頭蓋の前記後頭下領域に亘って当該領域と接触して位置するように配置された第3のトランスデューサ、を含んでいる、ヒストトリプシデバイス。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記ヘッドセットは、前記頭蓋へ当該頭蓋を周って取り付けられるように構成されたヘッドバンドを含んでいる、ヒストトリプシデバイス。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つの超音波トランスデューサは、各セグメントが大凡10cmの開口と大凡7.5cmの焦点距離を有する球状集束マルチセグメントトランスデューサである、ヒストトリプシデバイス。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサはF値>0.9を有する、ヒストトリプシデバイス。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記超音波周波数は大凡1MHzである、ヒストトリプシデバイス。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記パルス持続時間は1msである、ヒストトリプシデバイス。
【請求項9】
請求項1乃至7の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記パルス持続時間は5msである、ヒストトリプシデバイス。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサによって発生させる各パルスは、大凡35~40MPaの間の範囲の単一の引張相圧力を作り出す、ヒストトリプシデバイス。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサによって発生させる各パルスは、大凡20~30MPaの間の範囲のピーク負圧力を作り出す、ヒストトリプシデバイス。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記メモリに記憶されている前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに前記少なくとも1つのトランスデューサを起動させて大凡500~1000の間のパルスを発生させるための、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を更に含む、ヒストトリプシデバイス。
【請求項13】
請求項12に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記メモリに記憶されている前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに前記少なくとも1つのトランスデューサを起動させて>40Hzのレートで前記パルスを発生させるための、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を更に含む、ヒストトリプシデバイス。
【請求項14】
請求項12又は13に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記メモリに記憶されている前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに前記少なくとも1つのトランスデューサを起動させて大凡20~60秒の間の合計超音波照射時間について前記パルスを発生させるための、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を更に含む、ヒストトリプシデバイス。
【請求項15】
ヒストトリプシデバイスであって、
ヒト又は動物の頭蓋へ取り付けられるように構成されたヘッドセットと、
前記ヘッドセットへ取り付けられた少なくとも1つのトンランスデューサアレイであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記少なくとも1つのトランスデューサアレイが前記頭蓋の少なくとも1つの側頭領域又は後頭下領域に亘って当該領域と接触して位置するように配置されていて、それぞれが約70~165mmの間の焦点距離を有し超音波周波数又は超音波周波数範囲の集束された照射を発するように構成された複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントを含んでいる少なくとも1つのトランスデューサアレイと、
制御信号入力に応えて、パルス化された超音波照射を発生させるように前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントを駆動する制御部回路構成と、
を備えるヒストトリプシデバイス。
【請求項16】
請求項15に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサアレイは、8つのトンランスデューサ又はトランスデューサセグメントを含んでいる、ヒストトリプシデバイス。
【請求項17】
請求項15又は16に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサアレイが、
複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントを含んでいる第1のトランスデューサアレイであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記第1のトランスデューサアレイの前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントが前記頭蓋の右側頭領域に亘って当該領域と接触して位置するように前記ヘッドセットへ取り付けられている第1のトランスデューサアレイと、
複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントを含んでいる第2のトランスデューサアレイであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記第2のトランスデューサアレイの前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントが前記頭蓋の左側頭領域に亘って当該領域と接触して位置するように前記ヘッドセットへ取り付けられている第2のトランスデューサアレイと、
を含んでいる、ヒストトリプシデバイス。
【請求項18】
請求項15乃至17の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサアレイが、
複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントを含んでいる第3のトランスデューサアレイであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記第3のトランスデューサアレイの前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントが前記頭蓋の後頭下領域に亘って当該領域と接触して位置するように前記ヘッドセットへ取り付けられている第3のトランスデューサアレイ、
を含んでいる、ヒストトリプシデバイス。
【請求項19】
請求項15乃至18の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記制御部回路構成は、前記制御信号入力を受信するように構成された入力部と、前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントのうちの異なる各個へそれぞれが電気的に接続されている複数の出力部と、を有するスイッチモードパルス生成部回路を備え、前記スイッチモードパルス生成部回路は、前記制御信号入力を、前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントへ供給される複数のトランスデューサ駆動信号へ変換するように構成されている、ヒストトリプシデバイス。
【請求項20】
請求項19に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記スイッチモードパルス生成部回路は、エネルギー貯蔵部回路へ電気的に接続された高電圧供給部回路であって、前記エネルギー貯蔵部回路を高電圧へ充電するように構成された高電圧供給部回路を含んでおり、
を有する前記スイッチモードパルス生成部回路の前記入力部は、低電圧方形波制御信号の形態をした前記制御信号入力を受信するように構成されていて、更に、前記エネルギー貯蔵部回路の前記高電圧を使用して、前記低電圧方形波制御信号を、前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントを駆動するために供給される複数の高電圧方形波トランスデューサ駆動信号へ変換するように構成されている、ヒストトリプシデバイス。
【請求項21】
請求項15乃至20の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記ヘッドセットは、前記頭蓋へ当該頭蓋を周って取り付けられるように構成されたヘッドバンドを含んでいる、ヒストトリプシデバイス。
【請求項22】
請求項15乃至21の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記制御部回路は、前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントを駆動して1ミリ秒又はそれより長いパルス持続時間を有する前記パルス化された超音波照射を発生させるように構成されている、ヒストトリプシデバイス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
[0001](関連出願の相互参照)本願は、2020年8月11日に出願された米国仮特許出願第63/064,008号の恩典及び優先権を主張するものであり、その開示は参照によりその全体が本明細書に明示的に援用される。
【技術分野】
【0002】
[0002]本開示は、概括的には、急性虚血性脳卒中に起因する血餅を断片化するために超音波を利用する器具及び技法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]急性虚血性脳卒中(AIS)は最も一般的なタイプの脳卒中であり、大血管閉塞(LVO)は最も一般的なタイプのAISの1つである。LVOについて、従来型治療は血栓溶解薬静脈内投与(ITM)及び/又は侵襲性機械的血栓摘出術を含む。超音波血栓溶解療法は、集束させた超音波を使用して、血餅を断片化し又は血栓溶解薬静脈内投与の効力を高める従来型療法である。経頭蓋超音波血栓溶解療法は、以前より術者非依存ヘルメットの形態で実施されており、ITMと併用された。ヒストトリプシは、低周波数(1MHz)パルスを採用し、集束された高強度超音波パルスを使用する制御されたキャビテーションを通じて軟組織を断片化する超音波血栓溶解療法のサブセットである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国仮特許出願第63/064,008号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0004]本開示は、付随の特許請求の範囲に列挙された特徴の1つ又はそれ以上、及び/又は以下の特徴及び特徴の組合せの1つ又はそれ以上を備え得る。1つの態様では、ヒストトリプシデバイスが、ヒト又は動物の頭蓋へ頭蓋を周って取り付けられるように構成されたヘッドセットと;ヘッドセットへ取り付けられた少なくとも1つのトランスデューサであって、ヘッドセットが頭蓋へ頭蓋を周って取り付けられた状態で、少なくとも1つのトランスデューサが頭蓋の少なくとも1つの側頭領域又は後頭下領域に亘って当該領域と接触して位置するように配置されていて、超音波周波数又は超音波周波数範囲の集束された照射を発するように構成されている少なくとも1つのトランスデューサと:少なくとも1つのプロセッサと;少なくとも1つのプロセッサに少なくとも1つのトランスデューサを起動させて1ミリ秒又はそれより長いパルス持続時間を有する少なくとも1つの超音波照射のパルスを発生させるための、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令がその中に記憶されている少なくとも1つのメモリと、を備え得る。
【0006】
[0005]別の態様では、ヒストトリプシデバイスが、ヒト又は動物の頭蓋へ取り付けられるように構成されたヘッドセットと;ヘッドセットへ取り付けられた少なくとも1つのトンランスデューサアレイであって、ヘッドセットが頭蓋へ取り付けられた状態で、少なくとも1つのトランスデューサアレイが頭蓋の少なくとも1つの側頭領域又は後頭下領域に亘って当該領域と接触して位置するように配置されていて、それぞれが約70~165mmの間の焦点距離を有し超音波周波数又は超音波周波数範囲の集束された照射を発するように構成された複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントを含んでいる少なくとも1つのトランスデューサアレイと:制御信号入力に応えて、パルス化された超音波照射を発生させるように複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントを駆動する制御部回路構成と、を備え得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】ヒトの頭蓋へ頭蓋を周って取り付けられた術者非依存ヒストトリプシデバイスの或る実施形態の右前方斜視図である。
【
図1B】頭蓋へ頭蓋を周って取り付けられた
図1Aのデバイスの右後方斜視図である。
【
図1C】頭蓋へ頭蓋を周って取り付けられた
図1A及び
図1Bのデバイスの左後方斜視図である。
【
図2】
図1Aに例示されている制御モジュールの或る実施形態の簡略化された概略線図である。
【
図3】
図1A-
図1Cに例示されているトランスデューサアレイのうちの1つの或る実施形態の簡略化された概略線図である。
【
図4】
図3に例示されているトランスデューサのうちの1つの或る実施形態の斜視図である。
【
図5】
図4に例示されているトランスデューサの、その切断線5-5に沿って見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0013]本開示の原理の理解を促すことを目的に、これより、添付図面に示されている複数の例示としての実施形態を参照することにし、特定の用語遣いを用いて実施形態を説明してゆく。
【0009】
[0014]本開示は、急性虚血性脳卒中(AIS)に起因する血餅及び/又は他の事象又は病態に起因する血餅を断片化するためのヒストトリプシデバイスに関する。開示されているヒストトリプシデバイスは、ポータブルで、術者非依存であり、例示的には、超音波周波数範囲の高強度集束照射をヒト又は動物の頭蓋の中へ発し及び方向決めするように構成された少なくとも1つのトランスデューサアレイを担持するヘッドセットを含んでいる。デバイスは、例示的には、1つ又はそれ以上のトランスデューサアレイの動作を制御するための、ヘッドセットへ動作可能に連結された制御モジュールを更に含んでいる。
【0010】
[0015]これより
図1A-
図1Cを参照すると、AIS又は他の事象/病態に起因する血餅を断片化するためのヒストトリプシデバイス10の或る実施形態が示されている。例示されている実施形態では、デバイス10は、例示的にヒト(描写されている様に)又は動物の頭蓋Cへ頭蓋Cを周って取り付けられるようにサイズ設定され及び構成されたヘッドバンドの形態で提供されている頭部取付型デバイス又はヘッドセット12を含んでいる。幾つかの代替的な実施形態では、ヘッドセット12は、例えば限定するわけではないがヘルメット、バイザーなどを含め、他の形態で提供されていてもよい。幾つかの実施形態では、ヘッドセット12は、何れかの形態で、
図1A-
図1Cに描かれている様に頭蓋Cを完全に周って取り付けられるように構成されていてもよいが、代替的な実施形態では、ヘッドセット12は頭蓋Cの周りに部分的にしか延びないように構成されていてもよい。
【0011】
[0016]例示されている実施形態では、ヘッドセット12は、例示的に、前バンド12Aと前バンド12Bへ動作可能に連結されるように構成された後バンド12Bとを含み、前バンド12Aと後バンド12Bの組合せは
図1A及び
図1Bに例示されている様に頭蓋Cの周りに完全に延びている。前バンド12Aは、例示的に、例えば剛性又は半可撓性プラスチック材料の形態をしたポリマーで形成されていて、頭蓋Cの前部分の周りに例えば略C形状に延び、互いに反対側の端が頭蓋Cの両側の各耳部20A、20B辺りに又は隣接して終端するようにサイズ設定され及び構成されている。例示されている実施形態では、一対の側頭部トランスデューサアレイ16A、16Bが、前バンド12Aの内面へ取り付けられていて、頭部(及び脳)の右側頭領域RTと左側頭領域LTそれぞれ、即ち、個々の耳部20A、20Bの直前の領域に概ね亘って当該領域と接触して定位されるようにバンド12Aに対して配置されている。幾つかの実施形態では、
図1B及び
図1Cに一例として示されている様に、トランスデューサアレイ16A、16Bは、それぞれ、各自の耳部位置合わせ又は定位部材18A、18Bを含んでいてもよい。例示的に、耳部定位部材18A、18Bは、トランスデューサアレイ16A、16Bを患者の頭部の側頭領域RT、LTに亘って適正に位置させるために、耳部20A、20Bの耳介の上(又は前又は後)部分に隣接して配置されるようにサイズ設定され及び構成されている。幾つかの実施形態では、耳部定位部材18A、18Bは、耳部20A、20Bの耳介の一部分の間に配置されるようにサイズ設定され及び構成されていてもよいが、他の実施形態では、耳部定位部材18A、18Bは耳介に隣接して配置されるようにサイズ設定され及び構成されていてもよい。幾つかの実施形態では、トランスデューサアレイ16A、16Bは、前バンド12Aに対して位置を固定されている。代替的な実施形態では、トランスデューサアレイ16A、16Bのどちらか又は両方が前バンド12Aへ取り外し可能に取り付けられていてもよく、その様な実施形態では、1つ又はそれ以上の従来型位置調節構造が前バンド12Aへ組み入れられ又は取り付けられて、前バンド12Aに対する(単数又は複数の)トランスデューサアレイ16A、16Bの位置の軸方向調節及び/又は横方向調節を提供するようになっていてもよい。
【0012】
[0017]後バンド12Bは、例示的に、トランスデューサアレイ担持部14Aと、担持部14A及び前バンド12Aの終端へ動作可能に連結された弾性バンド14Bと、を含んでいる。例示的に、弾性バンド14Bは、ヘッドバンド12が異なるサイズの頭蓋に適応するために、つまり異なるサイズの頭蓋へ頭蓋を周って取り付けられることを可能にするために、伸縮させられるようにサイズ設定されている。幾つかの実施形態では、弾性バンド14Bを長くしたり短くしたりするために1つ又はそれ以上の従来型調節部材が弾性バンド14Bへ連結されていてもよい。何れの場合も、後頭下部トランスデューサアレイ22が、例示的に、トランスデューサアレイ担持部14Aの内側の面へ取り付けられていて、患者の頭部の後頭下領域SOC、即ち頭蓋の後頭領域より下方で第2頸椎のレベルより上方、に概ね亘って当該領域と接触して定位されるように、換言すれば後頭下三角に重なるように、後バンド12Bに対して配置されている。幾つかの実施形態では、トランスデューサアレイ22は、トランスデューサアレイ担持部14Aに対して(及び後バンド12Bに対して)位置を固定されている。代替的な実施形態では、トランスデューサアレイ22はトランスデューサアレイ担持部14Aひいては後バンド12Bに対して、取り外し可能に取り付けられていてもよく、その様な実施形態では、1つ又はそれ以上の従来型位置調節構造がトランスデューサアレイ担持部22へ組み入れられ又は取り付けられて、トランスデューサアレイ担持部22及び/又は後バンド12Bに対するトランスデューサアレイの位置の軸方向調節及び/又は横方向調節を提供するようになっていてもよい。
【0013】
[0018]1つの実施形態では、各トランスデューサアレイ16A、16B、22は、例示的に、10cmの開口及び7.5cmの焦点距離を有し且つ0.9より大きいF値、例えば1.5~1.75の間のF値を有する8セグメント球状集束1MHzトランスデューサを含んでいる。理解しておきたいこととして、代替的な実施形態では、トランスデューサアレイ16A、16B、22のうちの1つ又はそれ以上又はすべてが、より多い又はより少ないトランスデューサセグメントを含み、1MHzより大きい又は小さい周波数及び/又は周波数範囲の照射を発するように、より大きい又はより小さい開口を有するように、より大きい又はより小さい焦点距離を有するように、及び/又はより大きい又はより小さいF値を有するように構成されていてもよい。更に理解しておきたいこととして、デバイス10の代替的な実施形態は、何れの数の側頭部及び/又は後頭下部トランスデューサアレイを含んでいてもよい。同じく理解しておきたいこととして、幾つかの代替的な実施形態では、デバイス10は、側頭部トランスデューサアレイ16A、16Bの一方又は両方しか含んでいない、又は後頭下部トランスデューサアレイ22しか含んでいない、というのであってもよい。更にまた理解しておきたいこととして、幾つかの代替的な実施形態では、デバイス10は、患者の頭蓋(又は脳)、顔、及び/又は首の何れかの(単数又は複数の)領域に亘って当該領域と接触して位置するようにヘッドセット12に対して適切に配置された1つ又はそれ以上のトランスデューサアレイを含んでいてもよい。
【0014】
[0019]ヘッドバンド12は、例示的に、患者の頭蓋Cへ頭蓋Cを周ってヘッドバンド12を締め付け及び緩めるための調節機構を更に含んでいる。例示されている実施形態では、調節機構は、調節ホイール32へ動作可能に連結された前額部パッド28の形態で提供されていて、パッド28とホイール32はどちらも、患者の前額部Fに隣接して配置されるヘッドバンド12の部分に動作可能に連結されていてもよい。前額部パッド28は、前記患者の前額部Fの一部分に接触するようにサイズ設定され及び構成されており、調節ホイール32は、ホイール32が回されると、前額部パッド28を前額部Fの表面に向かって前進させ又は表面から後退させて、前額部パッド28とヘッドバンド12の内側の面との間の距離を増減させ、それによりヘッドバンド12を患者の頭蓋Cへ頭蓋Cを周って締め付け又は緩めるように構成されている。幾つかの実施形態では、
図1Aに一例として示されている様に、調節機構は、前額部パッド28へ連結されていて患者の鼻部Nの鼻梁Bを覆ってパッド28を定位するように構成されている鼻梁位置合わせ又は定位デバイス30、を更に含んでいてもよい。
【0015】
[0020]例示されている実施形態では、ヒストトリプシデバイス10は、ケーブル25を介してヘッドバンド12へ動作可能に連結された制御モジュール26を更に含んでいる。例示的に、ケーブル25の一方の端は、
図1A及び
図1Bに一例として示されている様にヘッドバンド12の前バンド12Aへ機械的に取り付けられており、即ち付着されており、ケーブル25は更に電気伝導体、例えばワイヤを担持していて、それら電気伝導体のうちの1つ又はそれ以上がトランスデューサアレイ16A、16B、22のそれぞれへ動作可能に連結されている。幾つかの実施形態では、ケーブル25はヘッドバンド12と制御モジュール26の間でそれらへ固定されており、例えば制御モジュール26のハウジングへ固定されている。代替的な実施形態では、ケーブル25とヘッドバンド12及び/又はケーブル25と制御モジュール26は、ケーブル25をヘッドバンド12へ及び/又は制御モジュール26へ電気的に接続するための1つ又はそれ以上の適切なコネクタを装備していてもよい。
【0016】
[0021]次に
図2を参照すると、制御モジュール26の或る実施形態の簡略化された実施例が示されている。例示されている実施形態では、制御モジュール26は、少なくとも1つのバッテリ40(及び/又は他の電気パワー源)を含んでいる。幾つかの実施形態では(単数又は複数の)バッテリ40は再充電式であり、その様な実施形態では、モジュール26は、(単数又は複数の)バッテリ40へ電気的に連結されていて外部パワー源へ接続可能な従来型充填ケーブルへ動作可能に接続するように構成されている充電ポート42、を更に含んでいる。何れの場合にも、モジュール26は、例示的には、(単数又は複数の)バッテリ40へ電気的に連結された調整部回路構成44を更に含んでいる。調整部回路構成44は、従来型であり、バッテリ44の電圧を、モジュール26に搭載された制御部回路構成46にパワー供給し及びトランスデューサアレイ16A、16B、22にパワー供給するのに適した1つ又はそれ以上の電圧へ変換するように構成された1つ又はそれ以上の調整部回路を含んでいる。これに関し、調整部回路構成44は、制御部回路構成46へ電気的に連結された少なくとも1つの出力部と、ヘッドバンド12へケーブル25を介して連結された(又は連結されるように構成された)少なくとも1つの出力部と、を有している。
【0017】
[0022]例示されている実施形態では、制御部回路構成46は、少なくとも1つのメモリデバイス50へ動作可能に連結され(又は一体化され)且つ駆動部回路構成52へ動作可能に連結された少なくとも1つのプロセッサ又はコントローラ48を含んでいる。理解しておきたいこととして、本開示に使用される「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語は、単独としてか又は複数部分としてかを問わず、特許請求の範囲及びこの書面による説明の中で特定されている機能を遂行するためのプログラミングを実施することのできる任意のコンピュータ、プロセッサ、マイクロチッププロセッサ、集積回路、又は何れかの他の(単数又は複数の)要素を包括的に含む。これに関し、少なくとも1つのプロセッサ又はコントローラ48は、制御部回路構成46の他の要素と共にプリント回路基板上に常駐する単一のその様な要素であってもよいし、又は、制御部回路構成46の他の要素と共に常駐する及び/又はヘッドバンド12の1つ又はそれ以上の場所に常駐する2つ又はそれ以上の要素であるか又は2つ又はそれ以上の要素を含んでいてもよい。メモリ50は、同じく従来型であり、本明細書に記載の制御モジュール26の様々な機能を実施するためにプロセッサ又はコントローラ48によって実行可能である命令をその中に記憶させて含んでいる。駆動部回路構成52は、従来型であり、トランスデューサアレイ16A、16B、22を駆動する即ち作動させるように構成された1つ又はそれ以上の駆動部回路を含んでいる。これに関し、駆動部回路構成52は、ケーブル25を介してヘッドバンド12へ電気的に連結された(又は連結されるように構成された)少なくとも1つの出力部を有している。
【0018】
[0023]幾つかの代替的な実施形態では、ヘッドセット12は、トランスデューサアレイ16A、16B、22にパワー供給し作動させるためのそれ自身のバッテリ及び駆動部回路構成を担持していてもよい。幾つかのその様な実施形態では、制御モジュール26及びヘッドバンド12は、それぞれ、互いにワイヤレス通信するように構成された従来型回路構成を含んでいてもよく、それにより(単数又は複数の)プロセッサ又はコントローラ48は、その様な実施形態では、トランスデューサアレイ16A、16B、22の動作をワイヤレスに制御していてもよい。
【0019】
[0024]上記背景技術の項で簡単に説明した様に、ヒストトリプシは、比較的低い周波数のパルスを採用し、制御されたキャビテーションを通じて軟組織を断片化する超音波血栓溶解療法のサブセットである。概して、ヒストトリプシには2つの異なるキャビテーションのメカニズムが存在しており、つまり:(1)衝撃散乱(shock-scattering)と(2)内因性閾値(intrinsic threshold)(マイクロトリプシーとしても知られる)である。衝撃散乱は、短い持続時間の高振幅超音波パルスを採用し、複数の正と負の半サイクルが相互作用して、血餅組織を機械的に分解する「バブル雲」と呼ばれることもあるキャビテーション雲を発生させる。一方、内因性閾値ヒストトリプシは、単一の大きな引張相を有するパルスを採用してバブル雲を発生させる。これら2つのキャビテーションのメカニズムは、こうして、異なるパルス持続時間と異なるピーク負パルス圧力を利用している。
【0020】
[0025]以上に簡単に説明した様に、メモリ50は、例示的に、制御モジュール26の様々な機能を実施するためにプロセッサ又はコントローラ48によって実行可能である命令をその中に記憶させて含んでいる。例示的には、メモリ50に記憶されている命令は、上述の内因性閾値メカニズム及び衝撃散乱メカニズムのどちらか又は両方を通じたバブル活動の核とするために1MHzの基本周波数パルスを発生させるようにトランスデューサ16A、16B、及び22を制御するための命令を含む。前者即ち内因性閾値の場合の実施形態では、メモリ50に記憶されている命令は、(単数又は複数の)プロセッサ又はコントローラ48にトランスデューサ16A、16Bのうちの1つ又はそれ以上を制御させて、持続時間1ミリ秒(ms)(但し、この範囲外の周波数パルス持続時間も考えられる)の1MHz基本周波数パルスを発生させるための、(単数又は複数の)プロセッサ又はコントローラ48によって実行可能な命令を含んでいる。後者即ち衝撃散乱の場合の実施形態では、メモリ50に記憶されている命令は、(単数又は複数の)プロセッサ又はコントローラ48にトランスデューサ16A、16Bのうちの1つ又はそれ以上を制御させて、5ms(但し、この範囲外の周波数パルス持続時間も考えられる)の1MHz基本周波数パルスを発生させるための、(単数又は複数の)プロセッサ又はコントローラ48によって実行可能な命令を含んでいる。何れの場合も、ヒストトリプシパルスは、トランスデューサ16A、16B、22によって1MHz又はそれより長いパルス持続時間で生成されるであろう。ヒストトリプシパルスは、35メガパスカル(MPa)を超える単一の引張相を有するであろうし(例えば、大凡35~40MPaの範囲、但しこの範囲外の圧力も考えられる)、パルスのピーク負圧力は大凡20~30MPaの間であるだろう(但し、この範囲外の圧力も考えられる)。1つの実施形態では、各場所にて、即ち各トランスデューサ16A、16B、22に係る場所にて、トランスデューサ16A、16B、22は、(単数又は複数の)プロセッサ又はコントローラ48によって制御されて、20~60秒の間の合計超音波照射時間につき>40Hzのレートで500~1000の間のパルスを生成し、各領域へ適用するだろうが、代替的な実施形態では、何れかの所望の合計超音波照射時間につき、より多い又はより少ないパルスが適用されてもよく、及び/又は40Hz以下で適用されてもよい。
【0021】
[0026]上述の様に動作されるヒストトリプシデバイス10は、補助的な血栓溶解薬静脈内投与(ITM)なしに血餅を断片化することができる。好都合にも、デバイス10はITMとは独立した療法が可能であるので、患者がその様な投薬のリスク及び副作用を回避できるようになるだろう。とはいえ、代替的な実施形態では、ヒストトリプシデバイス10がITMと併用されることもあり得るものと理解されたい。
【0022】
[0027]ヒストトリプシデバイス10は、コンパクト、ポータブル、且つ術者非依存であり、したがって広範に様々な臨床現場で実施できる。例えば、急性虚血性脳卒中(AIS)では毎分大凡200万個のニューロンが失われると推定されており、したがってAIS治療は極めて時間依存である。これに関し、ヒストトリプシデバイス10は即効性があり使い易いので、緊急治療室環境へ統合させることができ、そうすると治療までの時間を大幅に短縮でき、それによって治療成果が改善される可能性がある。そのうえ、ヒストトリプシデバイス10は比較的小さく(例えば、ヘッドバンド又はヘルメットのサイズである)、術者非依存であるので、更に、地方の病院や移動式脳卒中ユニットへ統合させることができるだろう。第1応答者(例えば救命士)又は地方の病院の緊急治療室の臨床医によるヒストトリプシデバイス10の使用が、例えばAIS被害者に対し、従来の療法を使用していて彼らが受けるよりもはるかに早く治療を提供することになり得る。
【0023】
[0028]次に
図3を参照すると、トランスデューサアレイ16A、16B、22のうちの1つの或る実施形態の概略線図が示されている。1つの実施形態では、トランスデューサアレイ16A、16B、22は、
図3に例示されている様に同一に構成されているが、代替的な実施形態では、トランスデューサアレイ16A、16B、22のうちの1つ又はそれ以上は、他のものとは異なる構成であってもよく、例えば、より多い又はより少ないトランスデューサを含むことによって、及び/又は、異なる構成のトランスデューサを有すること、即ち異なる動作特性を有することによって、及び/又は、より多い、より少ない、又は異なるオンボード制御部回路を含むことによって、他のものとは異なる構成にされていてもよい。
図3に例示されている実施形態では、
図2の制御モジュール26を出てゆく電気パワー信号線25
1は高電圧パワー供給部回路60の入力部へ電気的に接続され、パワー供給部60の出力部はエネルギー貯蔵部回路62の入力部へ電気的に接続されている。1つの実施形態では、エネルギー貯蔵部回路は、キャパシタバンクの形態に実施されており、その場合、パワー供給部60は、例示的には、キャパシタ充電用に設計され得るが、代替的な実施形態では、1つ又はそれ以上の他の又は追加のエネルギー貯蔵部回路が使用されていてもよい。エネルギー貯蔵部回路62の出力部は、M個の出力部を有するマルチチャネル出力部回路64のパワー供給入力部へ電気的に接続されており、M個の出力部はそれぞれ対応するM個のトランスデューサ(又はトランスデューサセグメント)66
1-66
Mの異なる1つの入力部へ電気的に接続されており、ここにMは何れかの正の整数とすることができる。1つの実施形態では、上述の様に、M=8であるが、代替的な実施形態ではMは8より大きい又は小さいこともある。例示されている実施形態では、マルチチャネル出力部回路64の複数の出力段は、トランスデューサ66
1-66
Mの電気的入力特性に整合させるためのトランスデューサ整合ネットワークを含んでいる。何れの場合も、
図2の制御モジュール26を出てゆく制御信号線25
2は、マルチチャンネル出力部回路64の制御信号入力部へ電気的に接続されている。
【0024】
[0029]
図2に例示されている実施形態では、トランスデューサ66
1-66
Mの動作周波数は、制御モジュール26のプロセッサ/制御部回路48及び駆動部回路52によって、例示的には低電圧即ち低パワーの方形波制御信号の形態で生成され、この低電圧方形波制御信号は、次いで、
図3に一例として描かれているトランスデューサアレイ16A、16B、22へ送られる。
図3に例示されている実施形態では、制御部回路構成60、62、及び64は、例示的には、制御モジュール26によって供給される低電圧方形波制御信号をトランスデューサ66
1-66
M駆動用の高電圧即ち高パワーの方形波駆動信号へ変換する高電圧スイッチモードパルス生成部として構成されている。出力部回路64によって発生させトランスデューサ66
1-66
Mの各個への入力駆動信号として供給させる各出力パルスのためのエネルギーは、エネルギー貯蔵部回路62に貯蔵され、エネルギー貯蔵部回路62は高電圧供給部回路60によってパルス間に再充電される。制御モジュール26によって供給される低電圧方形波制御信号と、エネルギー貯蔵部回路62に貯蔵された高電圧エネルギーとに基づいて、マルチチャネル出力部回路64はトランスデューサ66
1-66
Mのそれぞれへ高電圧方形波駆動信号を生成し供給する。
【0025】
[0030]1つの例示としての実施形態では、
図2に一例として描かれている制御モジュール26、及び
図3に一例として描かれているトランスデューサアレイ16A、16B、22の制御部回路構成60、62、64は、協働で、以下の特徴を有する高電圧方形波駆動信号、即ち:信号周波数1.5MHz+/-50kHz、出力電圧0~500V
PK、チャンネル当たり出力電流10A、パルス繰り返し周波数1~100Hz、バースト長さ1~30サイクル、の高電圧方形波駆動信号を発生させる。理解しておきたいこととして、代替的な実施形態では、上記値のうちの1つ又はそれ以上はより大きい又はより小さいこともある。
【0026】
[0031]次に
図4及び
図5を参照すると、
図3に概略形態で描かれているトランスデューサ66のうちの1つの或る例示としての実施形態が示されている。トランスデューサ66は、例示的に、ベース70と、ベースへ取り付けられたトランスデューサヘッド72と、を有している。トランスデューサヘッド72の超音波発射面は例示的に凹状である。例示されている実施形態では、ベース70はトランスデューサヘッド72と同じく横断面形状が全体として円筒形であり、トランスデューサヘッド72の凹状超音波発射面はしたがって
図5に最もよく示されているように切頭球である。代替的な実施形態では、ベース及び/又はトランスデューサヘッド72は、非円筒形の横断面形状を有していてもよく、及び/又は、トランスデューサヘッド72の超音波発射面は、非凹状、例えば、平面状、凸状、又は他の形状であってもよい。
【0027】
[0032]例示されている実施形態では、トランスデューサ66は自己集束式であり、大凡1.5MHzの中心周波数を有する超音波パルスを発生させるように構成されているが、代替的な実施形態では、トランスデューサ66は自己集束式でなくてもよく、及び/又は、1.5MHzより大きい又は小さい中心周波数を有する超音波パルスを発生させるように構成されていてもよい。1つの例示としての実施形態例では、
図4及び
図5に一例として描かれている球状の幾何学形状のトランスデューサ66は、以下の構造的特徴、即ち:直径100mm、焦点距離=75mmを有し、以下の超音波パルス信号特性、即ち:1.5MHz+/-50kHzの中心周波数、最小焦点引張圧力=-35MPa、最大表面圧力振幅=300kPa、及び線形焦点ゲイン=120、を有している。理解しておきたいこととして、代替的な実施形態では、上記値のうちの1つ又はそれ以上は、より大きい又はより小さいこともある。幾つかの実施形態では、トランスデューサ66
1-66
Mのうちの1つ又はそれ以上は上記の幾何学的形状及び特性を有し得るのに対し、トランスデューサ66
1-66
Mのうちの他のもの(及び/又は、1つ又はそれ以上の他のトランスデューサアレイ内のトランスデューサ66
1-66
Mのうちの1つ又はそれ以上)は異なる構造的特徴及び/又は異なるパルス信号特徴、例えば、焦点距離=163mm、最小焦点引張圧力=-25MPa、最大表面圧力振幅=500kPa、及び線形焦点ゲイン=49、を有していてもよい。幾つかの代替的な実施形態では、トランスデューサ66
1-66
Mのうちの1つ又はそれ以上(及び/又は、1つ又はそれ以上の他のトランスデューサアレイ内のトランスデューサ66
1-66
Mのうちの1つ又はそれ以上)は、大凡70~165mmの間の範囲内のどこかに焦点距離を有していてもよい。
【0028】
[0033]本開示を、前述の図面及び記述の中で詳細に例示し説明してきたが、それらは本質的に説明目的であり制限を課すものとみなされてはならず、単に発明の例示としての実施形態を示し説明したにすぎず、本開示の精神内に入るあらゆる変更及び修正は保護されることが望まれるものと理解している。例えば、幾つかの実施形態では、トランスデューサアレイ16A、16B、22のうちの1つ又はそれ以上は、上述の様にヘッドバンド12に対して可動であるかどうかを問わず、最初に(単数又は複数の)血餅の厳密な場所を決定するように、そしてその次に場所が突き止められた(単数又は複数の)血餅を上述の様に断片化によって治療するように、構成されることができる。その様な実施形態では、メモリ50は、(単数又は複数の)プロセッサ又はコントローラ48にその様な決定を下させるための、(単数又は複数の)プロセッサ又はコントローラ48によって実行可能な命令を含んでいるだろう。
【符号の説明】
【0029】
10 ヒストトリプシデバイス
12 頭部取付型デバイス又はヘッドセット、ヘッドバンド
12A 前バンド
12B 後バンド
14A トランスデューサアレイ担持部
14B 弾性バンド
16A、16B 側頭部トランスデューサアレイ
18A、18B 耳部位置合わせ又は定位部材
20A、20B 耳部
22 後頭下部トランスデューサアレイ
25 ケーブル
251 電気パワー信号線
252 制御信号線
26 制御モジュール
28 前額部パッド
30 鼻梁位置合わせ又は定位デバイス
32 調節ホイール
40 バッテリ
42 充電ポート
44 調整部回路構成
46 制御部回路構成
48 プロセッサ又はコントローラ
50 メモリデバイス
52 駆動部回路構成
60 高圧電パワー供給部回路
62 エネルギー貯蔵部回路
64 マルチチャネル出力部回路
66、661-66M トランスデューサ(又はトランスデューサセグメント)
70 ベース
72 トランスデューサヘッド
C ヒトの頭蓋
F 前額部
LT 左側頭領域
RT 右側頭領域
SOC 後頭下領域
N 鼻部
B 鼻梁
【手続補正書】
【提出日】2023-02-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒストトリプシデバイスであって、
ヒト又は動物の頭蓋へ取り付けられるように構成されたヘッドセットと、
前記ヘッドセットへ取り付けられた少なくとも1つのトンランスデューサであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記少なくとも1つのトランスデューサが前記頭蓋の少なくとも1つの側頭領域又は後頭下領域に亘って当該領域と接触して位置するように配置されていて、超音波周波数又は超音波周波数範囲の集束された照射を発するように構成されている少なくとも1つのトランスデューサと、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに、前記少なくとも1つのトランスデューサを起動させて1ミリ秒(ms)又はそれより長いパルス持続時間を有する少なくとも1つの超音波照射のパルスを発生させるための、及び前少なくとも1つのトランスデューサを起動させて大凡500~1000の間のパルスを発生させるための、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令がその中に記憶されている少なくとも1つのメモリと、
を備えるヒストトリプシデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサが、
前記ヘッドセットへ動作可能に取り付けられた第1のトランスデューサであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記第1のトランスデューサが前記頭蓋の右側頭領域に亘って当該領域と接触して位置するように配置された第1のトランスデューサと、
前記ヘッドセットへ動作可能に取り付けられた第2のトランスデューサであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記第2のトランスデューサが前記頭蓋の左側頭領域に亘って当該領域と接触して位置するように配置された第2のトランスデューサと、
を含んでいる、ヒストトリプシデバイス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサが、前記ヘッドセットへ動作可能に取り付けられた第3のトランスデューサであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記第3のトランスデューサが前記頭蓋の前記後頭下領域に亘って当該領域と接触して位置するように配置された第3のトランスデューサ、を含んでいる、ヒストトリプシデバイス。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記ヘッドセットは、前記頭蓋へ当該頭蓋を周って取り付けられるように構成されたヘッドバンドを含んでいる、ヒストトリプシデバイス。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つの超音波トランスデューサは、大凡10cmの開口と大凡7.5cmの焦点距離を有する球状集束マルチセグメントトランスデューサである、ヒストトリプシデバイス。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサはF値>0.9を有する、ヒストトリプシデバイス。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記超音波周波数は大凡1MHzである、ヒストトリプシデバイス。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記パルス持続時間は5msである、ヒストトリプシデバイス。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサによって発生させる各パルスは、大凡35~40MPaの間の範囲の単一の引張相圧力を作り出す、ヒストトリプシデバイス。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサによって発生させる各パルスは、大凡20~30MPaの間の範囲のピーク負圧力を作り出す、ヒストトリプシデバイス。
【請求項11】
請求項1に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記メモリに記憶されている前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに前記少なくとも1つのトランスデューサを起動させて>40Hzのレートで前記パルスを発生させるための、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を更に含む、ヒストトリプシデバイス。
【請求項12】
請求項11に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記メモリに記憶されている前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに前記少なくとも1つのトランスデューサを起動させて大凡20~60秒の間の合計超音波照射時間について前記パルスを発生させるための、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を更に含む、ヒストトリプシデバイス。
【請求項13】
ヒストトリプシデバイスであって、
ヒト又は動物の頭蓋へ取り付けられるように構成されたヘッドセットと、
前記ヘッドセットへ取り付けられた少なくとも1つのトンランスデューサアレイであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記少なくとも1つのトランスデューサアレイが前記頭蓋の少なくとも1つの側頭領域又は後頭下領域に亘って当該領域と接触して位置するように配置されていて、それぞれが約70~165mmの間の焦点距離を有し超音波周波数又は超音波周波数範囲の集束された照射を発するように構成された複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントを含んでいる少なくとも1つのトランスデューサアレイと、
制御信号入力に応えて、パルス化された超音波照射を発生させるように前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントを駆動する制御部回路構成と、
を備えるヒストトリプシデバイス。
【請求項14】
請求項13に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサアレイは、8つのトンランスデューサ又はトランスデューサセグメントを含んでいる、ヒストトリプシデバイス。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサアレイが、
複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントを含んでいる第1のトランスデューサアレイであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記第1のトランスデューサアレイの前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントが前記頭蓋の右側頭領域に亘って当該領域と接触して位置するように前記ヘッドセットへ取り付けられている第1のトランスデューサアレイと、
複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントを含んでいる第2のトランスデューサアレイであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記第2のトランスデューサアレイの前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントが前記頭蓋の左側頭領域に亘って当該領域と接触して位置するように前記ヘッドセットへ取り付けられている第2のトランスデューサアレイと、
を含んでいる、ヒストトリプシデバイス。
【請求項16】
請求項13乃至15の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサアレイが、
複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントを含んでいる第3のトランスデューサアレイであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記第3のトランスデューサアレイの前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントが前記頭蓋の後頭下領域に亘って当該領域と接触して位置するように前記ヘッドセットへ取り付けられている第3のトランスデューサアレイ、
を含んでいる、ヒストトリプシデバイス。
【請求項17】
請求項13乃至16の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記制御部回路構成は、前記制御信号入力を受信するように構成された入力部と、前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントのうちの異なる各個へそれぞれが電気的に接続されている複数の出力部と、を有するスイッチモードパルス生成部回路を備え、前記スイッチモードパルス生成部回路は、前記制御信号入力を、前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントへ供給される複数のトランスデューサ駆動信号へ変換するように構成されている、ヒストトリプシデバイス。
【請求項18】
請求項17に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記スイッチモードパルス生成部回路は、エネルギー貯蔵部回路へ電気的に接続された高電圧供給部回路であって、前記エネルギー貯蔵部回路を高電圧へ充電するように構成された高電圧供給部回路を含んでおり、
前記スイッチモードパルス生成部回路の前記入力部は、低電圧方形波制御信号の形態をした前記制御信号入力を受信するように構成されていて、更に、前記エネルギー貯蔵部回路の前記高電圧を使用して、前記低電圧方形波制御信号を、前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントを駆動するために供給される複数の高電圧方形波トランスデューサ駆動信号へ変換するように構成されている、ヒストトリプシデバイス。
【請求項19】
請求項13乃至18の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記ヘッドセットは、前記頭蓋へ当該頭蓋を周って取り付けられるように構成されたヘッドバンドを含んでいる、ヒストトリプシデバイス。
【請求項20】
請求項13乃至19の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記制御部回路は、前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントを駆動して1ミリ秒又はそれより長いパルス持続時間を有する前記パルス化された超音波照射を発生させるように構成されている、ヒストトリプシデバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
[0033]本開示を、前述の図面及び記述の中で詳細に例示し説明してきたが、それらは本質的に説明目的であり制限を課すものとみなされてはならず、単に発明の例示としての実施形態を示し説明したにすぎず、本開示の精神内に入るあらゆる変更及び修正は保護されることが望まれるものと理解している。例えば、幾つかの実施形態では、トランスデューサアレイ16A、16B、22のうちの1つ又はそれ以上は、上述の様にヘッドバンド12に対して可動であるかどうかを問わず、最初に(単数又は複数の)血餅の厳密な場所を決定するように、そしてその次に場所が突き止められた(単数又は複数の)血餅を上述の様に断片化によって治療するように、構成されることができる。その様な実施形態では、メモリ50は、(単数又は複数の)プロセッサ又はコントローラ48にその様な決定を下させるための、(単数又は複数の)プロセッサ又はコントローラ48によって実行可能な命令を含んでいるだろう。
〔態様1〕
ヒストトリプシデバイスであって、
ヒト又は動物の頭蓋へ取り付けられるように構成されたヘッドセットと、
前記ヘッドセットへ取り付けられた少なくとも1つのトンランスデューサであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記少なくとも1つのトランスデューサが前記頭蓋の少なくとも1つの側頭領域又は後頭下領域に亘って当該領域と接触して位置するように配置されていて、超音波周波数又は超音波周波数範囲の集束された照射を発するように構成されている少なくとも1つのトランスデューサと、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに前記少なくとも1つのトランスデューサを起動させて1ミリ秒(ms)又はそれより長いパルス持続時間を有する少なくとも1つの超音波照射のパルスを発生させるための、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令がその中に記憶されている少なくとも1つのメモリと、
を備えるヒストトリプシデバイス。
〔態様2〕
態様1に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサが、
前記ヘッドセットへ動作可能に取り付けられた第1のトランスデューサであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記第1のトランスデューサが前記頭蓋の右側頭領域に亘って当該領域と接触して位置するように配置された第1のトランスデューサと、
前記ヘッドセットへ動作可能に取り付けられた第2のトランスデューサであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記第2のトランスデューサが前記頭蓋の左側頭領域に亘って当該領域と接触して位置するように配置された第2のトランスデューサと、
を含んでいる、ヒストトリプシデバイス。
〔態様3〕
態様1又は2に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサが、前記ヘッドセットへ動作可能に取り付けられた第3のトランスデューサであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記第3のトランスデューサが前記頭蓋の前記後頭下領域に亘って当該領域と接触して位置するように配置された第3のトランスデューサ、を含んでいる、ヒストトリプシデバイス。
〔態様4〕
態様1乃至3の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記ヘッドセットは、前記頭蓋へ当該頭蓋を周って取り付けられるように構成されたヘッドバンドを含んでいる、ヒストトリプシデバイス。
〔態様5〕
態様1乃至4の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つの超音波トランスデューサは、各セグメントが大凡10cmの開口と大凡7.5cmの焦点距離を有する球状集束マルチセグメントトランスデューサである、ヒストトリプシデバイス。
〔態様6〕
態様1乃至5の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサはF値>0.9を有する、ヒストトリプシデバイス。
〔態様7〕
態様1乃至6の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記超音波周波数は大凡1MHzである、ヒストトリプシデバイス。
〔態様8〕
態様1乃至7の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記パルス持続時間は1msである、ヒストトリプシデバイス。
〔態様9〕
態様1乃至7の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記パルス持続時間は5msである、ヒストトリプシデバイス。
〔態様10〕
態様1乃至9の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサによって発生させる各パルスは、大凡35~40MPaの間の範囲の単一の引張相圧力を作り出す、ヒストトリプシデバイス。
〔態様11〕
態様1乃至10の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサによって発生させる各パルスは、大凡20~30MPaの間の範囲のピーク負圧力を作り出す、ヒストトリプシデバイス。
〔態様12〕
態様1乃至11の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記メモリに記憶されている前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに前記少なくとも1つのトランスデューサを起動させて大凡500~1000の間のパルスを発生させるための、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を更に含む、ヒストトリプシデバイス。
〔態様13〕
態様12に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記メモリに記憶されている前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに前記少なくとも1つのトランスデューサを起動させて>40Hzのレートで前記パルスを発生させるための、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を更に含む、ヒストトリプシデバイス。
〔態様14〕
態様12又は13に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記メモリに記憶されている前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに前記少なくとも1つのトランスデューサを起動させて大凡20~60秒の間の合計超音波照射時間について前記パルスを発生させるための、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を更に含む、ヒストトリプシデバイス。
〔態様15〕
ヒストトリプシデバイスであって、
ヒト又は動物の頭蓋へ取り付けられるように構成されたヘッドセットと、
前記ヘッドセットへ取り付けられた少なくとも1つのトンランスデューサアレイであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記少なくとも1つのトランスデューサアレイが前記頭蓋の少なくとも1つの側頭領域又は後頭下領域に亘って当該領域と接触して位置するように配置されていて、それぞれが約70~165mmの間の焦点距離を有し超音波周波数又は超音波周波数範囲の集束された照射を発するように構成された複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントを含んでいる少なくとも1つのトランスデューサアレイと、
制御信号入力に応えて、パルス化された超音波照射を発生させるように前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントを駆動する制御部回路構成と、
を備えるヒストトリプシデバイス。
〔態様16〕
態様15に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサアレイは、8つのトンランスデューサ又はトランスデューサセグメントを含んでいる、ヒストトリプシデバイス。
〔態様17〕
態様15又は16に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサアレイが、
複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントを含んでいる第1のトランスデューサアレイであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記第1のトランスデューサアレイの前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントが前記頭蓋の右側頭領域に亘って当該領域と接触して位置するように前記ヘッドセットへ取り付けられている第1のトランスデューサアレイと、
複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントを含んでいる第2のトランスデューサアレイであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記第2のトランスデューサアレイの前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントが前記頭蓋の左側頭領域に亘って当該領域と接触して位置するように前記ヘッドセットへ取り付けられている第2のトランスデューサアレイと、
を含んでいる、ヒストトリプシデバイス。
〔態様18〕
態様15乃至17の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記少なくとも1つのトランスデューサアレイが、
複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントを含んでいる第3のトランスデューサアレイであって、前記ヘッドセットが前記頭蓋へ取り付けられた状態で、前記第3のトランスデューサアレイの前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントが前記頭蓋の後頭下領域に亘って当該領域と接触して位置するように前記ヘッドセットへ取り付けられている第3のトランスデューサアレイ、
を含んでいる、ヒストトリプシデバイス。
〔態様19〕
態様15乃至18の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記制御部回路構成は、前記制御信号入力を受信するように構成された入力部と、前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントのうちの異なる各個へそれぞれが電気的に接続されている複数の出力部と、を有するスイッチモードパルス生成部回路を備え、前記スイッチモードパルス生成部回路は、前記制御信号入力を、前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントへ供給される複数のトランスデューサ駆動信号へ変換するように構成されている、ヒストトリプシデバイス。
〔態様20〕
態様19に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記スイッチモードパルス生成部回路は、エネルギー貯蔵部回路へ電気的に接続された高電圧供給部回路であって、前記エネルギー貯蔵部回路を高電圧へ充電するように構成された高電圧供給部回路を含んでおり、
を有する前記スイッチモードパルス生成部回路の前記入力部は、低電圧方形波制御信号の形態をした前記制御信号入力を受信するように構成されていて、更に、前記エネルギー貯蔵部回路の前記高電圧を使用して、前記低電圧方形波制御信号を、前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントを駆動するために供給される複数の高電圧方形波トランスデューサ駆動信号へ変換するように構成されている、ヒストトリプシデバイス。
〔態様21〕
態様15乃至20の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記ヘッドセットは、前記頭蓋へ当該頭蓋を周って取り付けられるように構成されたヘッドバンドを含んでいる、ヒストトリプシデバイス。
〔態様22〕
態様15乃至21の何れか一項に記載のヒストトリプシデバイスにおいて、
前記制御部回路は、前記複数のトランスデューサ又はトランスデューサセグメントを駆動して1ミリ秒又はそれより長いパルス持続時間を有する前記パルス化された超音波照射を発生させるように構成されている、ヒストトリプシデバイス。
【国際調査報告】