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特表2023-538273生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセル
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  • 特表-生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(54)【発明の名称】生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセル
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/14 20060101AFI20230831BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20230831BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
B01J13/14 ZBP
C11B9/00 Z
C08G18/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507904
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(85)【翻訳文提出日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 EP2020072204
(87)【国際公開番号】W WO2022028706
(87)【国際公開日】2022-02-10
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511008850
【氏名又は名称】シムライズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114904
【弁理士】
【氏名又は名称】小磯 貴子
(74)【代理人】
【識別番号】100134636
【弁理士】
【氏名又は名称】金高 寿裕
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルギ,ユリアン,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ラーベ,ブリッタ
(72)【発明者】
【氏名】ロスト,ベンヤミン
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲル,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラム,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴール,ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】ケップケ,クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】バルクステン,シュテファニー
【テーマコード(参考)】
4G005
4H059
4J034
【Fターム(参考)】
4G005AA01
4G005AB02
4G005AB14
4G005BA02
4G005BB02
4G005BB05
4G005BB06
4G005BB08
4G005BB12
4G005DA11W
4G005DB05W
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4G005DB19W
4G005DB22X
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4G005DC09Y
4G005DC18W
4G005DC18Y
4G005DC26Y
4G005DC41Y
4G005DC42Y
4G005DC46Y
4G005DD12Y
4G005DD15Y
4G005DD38Z
4G005DD39Z
4G005DD57W
4G005DD57Y
4G005DD62Y
4G005DD78Y
4G005EA01
4G005EA02
4G005EA03
4G005EA05
4G005EA06
4G005EA07
4G005EA08
4H059BB51
4H059BC10
4H059BC23
4H059CA54
4H059DA09
4H059EA36
4J034CA05
4J034CA15
4J034CA22
4J034CB03
4J034CB04
4J034CB07
4J034CC12
4J034CC28
4J034CC29
4J034CC44
4J034CC54
4J034CC61
4J034CC62
4J034HA01
4J034HA07
4J034HA14
4J034HB07
4J034HB08
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC22
4J034HC25
4J034HC26
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA28
4J034RA02
4J034RA03
4J034RA07
(57)【要約】
本発明は、従来技術におけるマイクロカプセルと比較して生分解性が向上した生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセル、好ましくは香水含有ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルを製造するための方法に関する。本発明は、本発明による方法を用いて製造することができる、少なくとも1種の親油性活性物質を含む生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルにも関する。別の実施形態では、本発明は、家庭用品、繊維用ケア製品、洗剤、織物柔軟剤、洗浄剤、加香剤、香り付きローション剤またはフレグランス増強剤、化粧品、ボディケア製品、農業製品、医薬品または印刷用紙コーティングを製造するための、本発明によるマイクロカプセルを含むこのタイプのマイクロカプセルまたはマイクロカプセル分散液の使用に関する。本発明は、このタイプのマイクロカプセルまたはマイクロカプセル分散液を含む消費者製品にも関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルを調製するための方法であって、以下の工程:
(a)第1の重合および/または架橋工程を実行する工程であって、
(a1)2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートおよび封入しようとする少なくとも1種の親油性活性物質を含む内部非水相を準備すること、
(a2)少なくとも1種の保護コロイドおよび任意選択で乳化剤を含む外部水相を準備すること、
(a3)内部非水相および外部水相を混合して、水中油型エマルジョンを得ること、
(a4)少なくとも1種の第1のアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩および触媒の添加
を含む工程、
(b)少なくとも1種のヒドロキシル基供与体を添加することにより、第2の重合および/または架橋工程を実行する工程、
(c)少なくとも1種の第2のアミノ酸を、特に少なくとも60℃の温度で添加することによって、第3の重合および/または架橋工程を実行して、マイクロカプセル分散液を得る工程、
(d)マイクロカプセル分散液を、少なくとも60℃の温度で少なくとも60分の期間の間硬化する工程、
(e)少なくとも1種の剥離剤を添加し、剥離剤をマイクロカプセルシェルに組み込む工程、
(f)工程(f)で得たポリ尿素マイクロカプセルを後硬化する工程、
ならびに任意選択で:
(g)マイクロカプセルをマイクロカプセル分散液から分離し、必要であれば、マイクロカプセルを乾燥させる工程
をこの順で含む、方法。
【請求項2】
2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートが、脂肪族、脂環式、ヒドロ芳香族、芳香族または複素環ポリイソシアネート、これらの置換生成物ならびに上述の化合物の混合物からなる群から選択され、特に少なくとも1種のポリイソシアネートが、2つの脂肪族ポリイソシアネートまたは1つの脂肪族および1つの芳香族ポリイソシアネートを含み、特に少なくとも1種のポリイソシアネートが、異なる鎖長を有する、交互のモノマー、オリゴマーまたはポリマー構造のポリイソシアネートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
封入しようとする少なくとも1種の親油性活性物質が、フレグランス化合物、着香料、清涼化剤、TRPV1およびTRPV3モジュレーター、辛味または温覚もしくは熱感を皮膚もしくは粘膜に、またはヒリヒリ感を口内もしくは喉に引き起こす物質、あるいは辛味または刺激または収れん作用を有する活性物質、殺有害生物剤、殺生物剤、殺虫剤、忌避剤の群からの物質、食品添加物、化粧品活性成分、医薬品活性成分、染料、染料前駆体、農薬、染料、発光塗料、光学的光沢剤、溶媒、ワックス、シリコーン油、滑剤、印刷用紙コーティングのための物質、ならびに上述の活性成分のうちの2つまたはそれよりも多くの混合物からなる群から選択される、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
封入しようとする少なくとも1種の親油性活性成分が、アルデヒド、カルボン酸またはエステル官能基を有するフレグランス化合物または着香剤からなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
保護コロイドが、
- ジオール、特にエタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、異性体ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール、ならびに
- ポリオール、好ましくはトリオール、特にグリセロールおよびそのエトキシ化およびプロポキシ化生成物、トリメチロールプロパンおよびそのエトキシ化およびプロポキシ化生成物、ポリビニルアルコール(PVOH)およびその誘導体、特にアンモニウム官能化ポリビニルアルコールまたはスルホネート官能化ポリビニルアルコール、ポリフェノール、好ましくは1,3,5-トリヒドロキシベンゼン、多糖、特にグルコース、デンプンまたは化学的、機械的および/もしくは酵素的に加工したデンプン、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、特に四級化ヒドロキシエチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロース、
- ポリビニルピロリドン、マレイン酸ビニルコポリマー、リグノスルホン酸ナトリウム、無水マレイン酸/スチレンコポリマー、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、酸化エチレン、酸化プロピレンおよびポリエトキシル化ソルビトールの酸エステル、ドデシル硫酸ナトリウムのコポリマー、
- 動物および植物ポリマー、特にアラビアゴム(セネガルタイプおよびセイヤルタイプ)、タンパク質、ゼラチン、オリバナム樹脂、セラック、リグニン、キトサン、サポニン、
ならびに上述の化合物の混合物
からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
保護コロイドがデンプンと組み合わせて使用される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1種の第1のアミノ酸が、アルギニン、ヒスチジン、リシン、トリプトファン、オルニチン、アルギニン塩酸塩、ヒスチジン塩酸塩、リシン塩酸塩、トリプトファン塩酸塩、オルニチン塩酸塩、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
触媒が、ジアゾビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、ビスマス触媒、スズ触媒、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ヒドロキシル基供与体が、2つまたはそれよりも多くのヒドロキシル官能基を有するポリオール、特にグリセロール、プロピレングリコール、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン、デンプン、加工デンプン、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、特に四級化ヒドロキシエチルセルロース、もしくはカルボキシメチルセルロース、もしくはアラビアゴム(セネガルタイプおよびセイヤルタイプ)またはこれらの混合物である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1種の第2のアミノ酸が、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、リシン、グリシン、アラニン、プロリン、システイン、グルタミン、ロイシン、セリン、トリプトファン、バリン、スレオニン、オルニチン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1種の剥離剤が、
- 12~30個のC原子を有する長鎖、脂肪族、直鎖または分枝の、飽和または不飽和カルボン酸(脂肪酸)、特にラウリン酸(12:0)、トリデシル酸(13:0)、ミリスチン酸(14:0)、ペンタデカン酸(15:0)、パルミチン酸(16:0)、マルガリン酸(17:0)、ステアリン酸(18:0)、ノナデカン酸(19:0)、アラキジン酸(20:0)、ヘンイコシル酸(21:0)、ベヘン酸(22:0)、リグノセリン酸(24:0)、セロチン酸(26:0)、モンタン酸(28:0)およびメリシン酸(30:0);ミリストレイン酸(14:1)、パルミトレイン酸(16:1)、マルガロレイン酸(17:1)、ペトロセリン酸(18:1)、オレイン酸(18:1)、エライジン酸(18:1)、バクセン酸(18:1)、ガドレイン酸(20:1)、ゴンド酸(20:1)、セトレイン酸(22:1)、エルカ酸(22:1)、ネルボン酸(24:1)、リノール酸(18:2)、アルファリノレン酸(18:3)、ガンマリノレン酸(18:3)、カレンジン酸(18:3)、プニカ酸(18:3)、アルファエレオステアリン酸(eloeostearic acid)(18:3)、ベータエレオステアリン酸(18:3)、ステアリドン酸(18:4)、アラキドン酸(20:4)、エイコサペンタエン酸(20:5)、ドコサテトラエン酸(ADA)(22:4)、ドコサペンタエン酸(DPA-3)(22:5)、ドコサヘキサエン酸(22:6)およびテトラコサヘキサエン酸(24:6)、フィタン酸、
- 12~30個のC原子を有する長鎖、脂肪族、直鎖または分枝の、飽和または不飽和第1級アルコール(脂肪族アルコール)、特にラウリルアルコール(12:0)、ミリスチルアルコール(14:0)、パルミチルアルコール(16:0)、マルガリルアルコール(17:0)、ステアリルアルコール(18:0)、アラキジルアルコール(20:0)ベヘニルアルコール(22:0)、リグノセリルアルコール(24:0)、セリルアルコール(26:0)、モンタニルアルコール(28:0)およびメリシルアルコール(30:0);パルミトレイルアルコール(16:1)、オレイルアルコール(18:1)、エライジルアルコール(elaedyl alcohol)(18:1)、リノレイルアルコール(18:2)、ガンマ-リノレニルアルコール(18:3)、
- 12~30個のC原子を有する長鎖、脂肪族飽和したカルボン酸と、12~30個のC原子を有する長鎖、脂肪族第1級アルコールとのエステル、特にパルミチン酸ラウリル、パルミチン酸ミリシル、アラキジン酸セチルおよびベヘン酸ステアリル、ならびに
- 動物および植物ワックス、特にウールワックス、チャイナワックス、蜜ろう、ヒマワリ種子ワックス、米ぬかワックス、カルナバワックス、ピノヴァワックス、ナタネワックス、ダイズワックス、キャンデリラワックス、ホホバ油、コルクワックス、グアルマワックス、コットンワックス、アマワックス、ピートワックス、バラワックス、ジャスミンワックス、トウガン由来のペサワックス、ならびにギンバイカワックス(シロヤマモモ(Myrica cerifera))、イチジクワックス、ベリーワックス、
ならびに上述の剥離剤の混合物
からなる群から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法により入手可能な生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルまたはマイクロカプセル分散液。
【請求項13】
(i)少なくとも1種の疎水性薬剤を含むコア、ならびに
(ii)以下を含むカプセルシェル:
- 保護コロイドの存在下での、2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種の第1のアミノ酸もしくはアミノ酸塩酸塩との重合および/または架橋、少なくとも1種のヒドロキシル基供与体とのさらなる重合および/または架橋、ならびに少なくとも1種の第2のアミノ酸とのさらなる重合および/または架橋の反応生成物、ならびに
- 少なくとも1種の剥離剤
を含む、生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセル。
【請求項14】
カプセルシェルが、
(α)2つまたはそれよりも多くのポリイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種の保護コロイドおよび少なくとも1種の第1のアミノ酸との重合および/または架橋から得た第1の架橋マトリックスまたは第1の架橋単位、
(β)2つまたはそれよりも多くのポリイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種のヒドロキシル基供与体との架橋から得た第2の架橋マトリックスまたは第2の架橋単位、
(γ)2つまたはそれよりも多くのポリイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種の第2のアミノ酸との架橋から得た第3の架橋マトリックスまたは第3の架橋単位、ならびに
(δ)少なくとも1種の剥離剤
を含む、請求項13に記載の生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセル。
【請求項15】
28日後、OECD 301 Fに従い、≧20%の生分解性を有し、および/または≦0.3重量%の遊離疎水性活性成分含有量を有する、請求項12から14のいずれか一項に記載の生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセル。
【請求項16】
液体形態または固体形態での家庭用品、繊維用ケア製品、洗剤、織物柔軟剤、洗浄剤、加香剤、香り付きローション剤または香り促進剤、化粧品、パーソナルケア製品、香水組成物、農業製品、医薬品または印刷用紙コーティングの製造のための、請求項12から15のいずれか一項に記載の生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセル、または請求項12から15のいずれか一項に記載のポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの分散液の使用。
【請求項17】
請求項12から15のいずれか一項に記載の生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセル、または請求項12から15のいずれか一項に記載のポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの分散液を含む、家庭用品、繊維用ケア製品、洗剤、織物柔軟剤、洗浄剤、加香剤、香り付きローション剤および香り促進剤、化粧品、パーソナルケア製品、香水組成物、農業製品、医薬品または印刷用紙コーティング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の親油性活性成分を封入している生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセル、好ましくは香水含有もしくはアロマ含有ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルを調製するための方法であって、従来技術のマイクロカプセルと比較して生分解性、安定性および性能のバランスを有するマイクロカプセルに関する。加えて、本発明は、本発明の方法により入手可能な少なくとも1種の親油性活性剤を含む生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルに関する。別の態様では、本明細書に記載されている本発明は、家庭用品、繊維用ケア製品、洗剤、織物柔軟剤、洗浄製品、加香剤、香り付きローション剤もしくは香り促進剤、化粧品、パーソナルケア製品、農業製品、医薬品または印刷用紙コーティングの製造のための、本発明によるマイクロカプセルまたはこのようなマイクロカプセルを含むマイクロカプセル分散液の使用に関する。最終的に、本発明は、このようなマイクロカプセルまたはマイクロカプセル分散液を含む消費者製品に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロカプセルは、コアおよびコアを取り囲む壁材料からなる粒子であり、コアはポリマー性の、高密度、浸透性または半浸透性の壁材料に取り囲まれた、固体、液体または気体の物質であることができる。製造中、乳化およびコアセルベーションまたは界面重合の後、出発成分からのポリマーが封入しようとする物質に堆積し、それにより固定化される。コアは内側相とも呼ばれる。外側相、シェルまたはコーティングなどの名称もまた壁に対して使用される。マイクロカプセルの直径は通常1~1000μmの範囲で変動する。壁厚は通常0.5~150μmである。25~95重量%の充填量が通常可能であるが、1~99重量%の充填量もまた可能である。
【0003】
封入の目的は、とりわけ、封入された物質または活性成分を保護すること、これらを特定の時間に放出すること、液体を管理しやすい粉末形態に変換すること、揮発性構成成分の損失を遅らせること(例えば、フレグランスまたは着香料の場合)、他の混合物の構成成分との早期化学反応を阻止すること、または加工前もしくは加工中の取扱い易さを確実にすることにある。フレグランスまたは着香料などの親油性または疎水性の活性成分は、封入を通して、多くの異なる用途の製剤に容易に組み込むことができる。
【0004】
マイクロカプセルの内容物は、様々な方式で放出することができ、特に以下に記載されている機序:破砕または剪断によるカプセルの機械的破壊;壁材料を溶融することによるカプセルの破壊、壁材料の溶解によるカプセルの破壊またはカプセルの壁を介した活性物質の拡散のうちの1つに基づく。
【0005】
マイクロカプセルの生成のための様々なシェル材料が公知である。シェルは、天然、半合成または合成材料のいずれかからなっていてもよい。天然のシェル材料は、例えば、アラビアゴム、寒天-寒天、アガロース、マルトデキストリン、アルギン酸またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸カルシウム、脂肪および脂肪酸、セチルアルコール、コラーゲン、キトサン、レシチン、ゼラチン、アルブミン、セラック、多糖、例えば、デンプンまたはデキストラン、ポリペプチド、タンパク質加水分解物、スクロースおよびワックスである。半合成シェル材料としては、これらに限定されないが、化学的に修飾されたセルロース、特にセルロースエステルおよびセルロースエーテル、例えば、酢酸セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース、およびデンプン誘導体、特にデンプンエーテルおよびデンプンエステルが挙げられる。合成シェル材料は、例えば、ポリマー、例えば、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンである。
【0006】
シェル材料のタイプおよび製造方法に応じて、マイクロカプセルは、直径、サイズ分布ならびに物理的特性および/または化学的特性という点から、異なる特性をもって生成される。
【0007】
ポリイソシアネートと、ポリアミンおよび/またはジオールもしくはポリオールとの間の重合により形成されるポリ尿素マイクロカプセルまたはポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルは、香水製造業を含む様々な技術分野で使用されている公知のカプセルである。
【0008】
2種のポリイソシアネートとポリアミンとを反応させることにより得られるポリ尿素マイクロカプセルは、例えば、WO2011/161229またはWO2011/160733に記載されている。WO2011/161229またはWO2011/160733に従い、ポリ尿素マイクロカプセルは、ポリビニルピロリドン(PVP)の存在下で保護コロイドとして調製される。WO2012/107323は、アニオン性安定剤または界面活性剤、例えば、アニオン性ポリビニルアルコールの存在下でのポリイソシアネートと、グアナゾール(3,5-ジアミノ)-1,2,4-トリアゾール)およびアミノ酸との反応生成物を含むポリ尿素シェルを有するポリ尿素マイクロカプセルを開示している。EP0537467Bは、安定剤、例えば、ポリビニルアルコールの存在下でポリエチレンオキシド基を含有するポリイソシアネートから調製したマイクロカプセルについて記載している。WO2007/096592によると、マイクロカプセル化は、界面活性剤系、例えば、ポリビニルアルコールまたはこれらのカルボキシル化およびスルホン化誘導体で全般的に安定させた連続水相中で乳化させた油相中で行うことができる。
【0009】
上述の例示的な従来技術の送達システムは、優れた安定性、すなわち活性成分を保持する能力、したがって、揮発性成分の損失を回避するカプセルの能力、および優れた性能、例えば、フレグランスカプセルの場合にはフレグランス放出の両方を有する。
【0010】
しかし、上記に記載されている従来技術のマイクロカプセルは、ポリマー性カプセル壁またはカプセルシェル材料が十分な安定性を確実に得られ、あまりに重大な活性成分の損失を被らないようにするため、高いポリマー含有量を必要とするという欠点がある。加えて、マイクロカプセル化によりプラスチックが環境に導入されると、「マイクロプラスチック」としての問題を引き起こす可能性がある。
【0011】
プラスチック粒子はこれらの環境に対する影響に関して次第に国民の批判の対象となり、着実に増加する環境面に関する社会的圧力により、バイオベースおよび生分解性の溶液に対する需要が増大していることから、マイクロカプセル化のための新規材料を開発して、環境におけるマイクロプラスチックの削減を達成する必要がある。ここでは、バイオベースおよび生分解性の材料が焦点となる。
【0012】
したがって、この背景に対して、それぞれの用途に対して優れた安定性および放出特性を有するポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルである一方、他方では、主にまたはほぼ完全に生分解性であるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの提供が必要となる。
【0013】
しかし、環境内のマイクロプラスチックの量を削減するために生分解性材料を使用するというこの任務は、マイクロカプセル化の場合ささいなことではない。なぜなら、マイクロカプセルに望まれる機能性、例えば、嗅覚特性およびプラスの2次特性、例えば、高い安定性、毒物学的安定性は、多くの用途において急速な生分解性に対する必要条件と矛盾するからである。
【0014】
良好な安定性も良好な活性成分の放出も有するマイクロカプセルを生成するのは特に困難である。活性成分を滞留させる能力、よって、カプセルが揮発性構成成分の損失を回避させる能力は、特に製品基材におけるカプセルの安定性に依存する。しかし、良好な安定性を有するカプセルは特に良好な生分解性を自動的に示すわけではない。
【0015】
架橋度が増加するにつれて、マイクロカプセルの安定性は増加するが、同時にカプセルシェルを生分解する能力は低減する。非常に安定したマイクロカプセルでは、圧力、摩擦などにより破損して開き、活性成分を放出するマイクロカプセルの数が低減するにつれて、性能、例えば官能的性能は低下する。マイクロカプセルがあまりに不安定であると、貯蔵中すでに破壊してしまい、これもまたうまく機能しない。
【0016】
この背景から、本発明は、一方では、より低いポリマー含有量を有し、同時に、高い安定性ならびに封入された活性物質の優れた放出挙動を示し、可能であれば、生分解性特性を有するマイクロカプセルを提供することを可能にする、マイクロカプセルの製造のための方法を提供するという複雑な課題に基づいていた。
【0017】
驚くべきことに、この課題は、アミノ酸およびマイクロカプセルシェルに埋め込む剥離剤(Trennmittelまたはrelease agent)を使用してポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルを製造することにより解決できることが見出された。
【発明の概要】
【0018】
本発明の問題は、特許独立請求項の目的により解決する。好ましい実施形態は、特許従属請求項および以下の説明の表現からもたらされる。
【0019】
本発明の第1の目的は、したがって、生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルを調製するための方法であって、以下の工程:
(a)第1の重合および/または架橋工程を実行する工程であって、
(a1)2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートおよび封入しようとする少なくとも1種の親油性活性物質を含む内部非水相を準備すること、
(a2)少なくとも1種の保護コロイドおよび任意選択で乳化剤を含む外部水相を準備すること、
(a3)内部非水相および外部水相を混合して、水中油型エマルジョンを得ること、
(a4)少なくとも第1のアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩および触媒の添加
を含む工程、
(b)少なくとも1種のヒドロキシル基供与体を添加することにより、第2の重合および/または架橋工程を実行する工程、
(c)少なくとも1種の第2のアミノ酸を、特に少なくとも60℃の温度で添加することによって、第3の重合および/または架橋工程を実行して、マイクロカプセル分散液を得る工程、
(d)マイクロカプセル分散液を、少なくとも60℃の温度で少なくとも60分の期間の間硬化する工程、
(e)少なくとも1種の剥離剤を添加し、剥離剤をマイクロカプセルシェルに組み込む工程、
(f)工程(e)で得たマイクロカプセルを後硬化する工程、
ならびに任意選択で:
(g)マイクロカプセルをマイクロカプセル分散液から分離し、任意選択で、マイクロカプセルを乾燥させる、または増粘剤を添加することにより、マイクロカプセルスラリーの粘度を調整する工程
をこの順で含む、方法に関する。
【0020】
本発明の方法に従い調製した少なくとも1種の親油性活性成分を含む生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルを提供することもまた本明細書に記載されている本発明の目的である。
【0021】
本発明の別の態様は、
(i)少なくとも1種の疎水性薬剤を含むコア、ならびに
(ii)以下を含むカプセルシェル:
- 少なくとも1種の保護コロイドの存在下での、2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種の第1のアミノ酸もしくはアミノ酸塩酸塩との重合および/または架橋、少なくとも1種のヒドロキシル基供与体とのさらなる重合および/または架橋、ならびに少なくとも1種の第2のアミノ酸とのまたさらなる重合および/または架橋の反応生成物、ならびに
- 少なくとも1種の剥離剤
を含む、生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルである。
【0022】
最後に、別の態様では、本発明は、家庭用品、繊維用ケア製品、洗剤、織物柔軟剤、洗浄剤、加香剤、香り付きローション剤もしくは香り促進剤、化粧品、パーソナルケア製品、香水組成物、農業製品、医薬品または印刷用紙コーティング、およびこれらから作製される消費者製品の製造のための、本発明による生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルまたはポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの分散液の使用に関する。
【0023】
驚くべきことに、本発明の文脈において、マイクロカプセルの製造では、少なくとも2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有するポリイソシアネートと、第1のアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩との目標とする重合および/または架橋、その後のヒドロキシル基供与体との重合および/または架橋、ならびに第2のアミノ酸とのなおさらなる重合および/または架橋、ならびに剥離剤の添加および剥離剤のマイクロカプセルシェルへの組み込みの組合せが、安定なマイクロカプセルをもたらし、したがって、活性物質の効率的な封入とこれらの活性物質のその後の目標とする放出を保証することができ、一方で同時に、マイクロカプセルは、アミノ酸および剥離剤などの、バイオベースおよび生分解性の構成要素のために、優れた生分解性を示すことを見出した。
【0024】
アミノ酸および剥離剤を使用することにより、マイクロカプセル壁の安定性に影響を与えることなく、カプセル壁またはカプセルシェル材料のポリマー含有量も低減することができる。剥離剤のマイクロカプセルシェルへの組込みもまたカプセル壁またはカプセルシェル材料の生分解性を促進する。
【0025】
本発明のこれらおよび他の態様、特徴および利点は、以下の詳細な説明および請求項を検討することにより当業者には明らかとなる。この関連で、本発明の別の態様では、本発明の一態様からの任意の特徴を使用するまたはこれで置き換えることができる。本明細書の実施例はこれを制限することなく本発明を例示している。
【0026】
「少なくとも1つ」または「1つ以上」または「1つまたは複数」という用語は、本明細書で使用される場合、1またはそれよりも多く、例えば2、3、4、5、6、7、8、9またはそれよりも多くを指す。
【0027】
「および/または」という用語は、連結が存在する、または選択肢が提供されることを表現している。
【0028】
「x~y」という形態で付与された数字による例は、付与された値を含む。複数の好ましい数値域がこのフォーマットに付与されている場合、異なるエンドポイントを組み合わせることにより作り出されるすべての範囲もまた含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明によるマイクロカプセルの光顕微鏡画像である。マイクロカプセルは、75:25の比のヘキサメチレンジイソシアネートと4,4’-メチルジフェニレンジイソシアネートから調製した。さらに、リシン*HClを第1のアミノ酸として、グリセロールをヒドロキシル基供与体として、およびアルギニンを第2のアミノ酸として使用した。DABCOを触媒として、加工デンプンを保護コロイドとして使用した。蜜ろうを分離剤として加えた。Olympus BX51を光顕微鏡画像に使用した。示されているバーは100μmに対応する。
【0030】
図2】本発明によるマイクロカプセルおよび剥離剤を含まないポリ尿素/ポリウレタン構造に基づく従来技術のマイクロカプセルの粒径分布(d(0.5)値)の図を示している。MALVERN Mastersizer 3000を使用して粒径分布を決定した。対応する計算はMie理論に基づく。
【0031】
図3】本発明によるマイクロカプセルおよび従来技術のマイクロカプセル、すなわち剥離剤を含まないポリ尿素/ポリウレタン構造に基づくマイクロカプセルのIR分光分析の結果を示す図である。分析は、ATR(減衰全反射)赤外分光法により行った。注)図3では、吸収軸の小数位は、小数点の区切りとしてコンマの代わりにドットで表記している。
【0032】
図4】安息香酸ナトリウムおよび毒性制御を比較した(本発明によるマイクロカプセルと安息香酸ナトリウムとの混合物)、OECD 301 Fによるマイクロカプセルの生分解性を示す図である。
【0033】
図5】本発明によるマイクロカプセルおよび従来技術のマイクロカプセル、すなわち剥離剤なしのポリ尿素/ポリウレタン構造に基づくマイクロカプセルの官能評価の結果を示す図表である。注)図5では、強度軸の小数位は、小数点の区切りとしてコンマの代わりにドットで表記している。
【0034】
図6】マイクロカプセルの安定性、性能および生分解性の間の一般的な相関関係を架橋度の関数として示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
第1の態様では、本発明は、生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルを調製するための方法、好ましくはフレグランスカプセルを調製するための方法であって、以下の工程:
(a)第1の重合および/または架橋工程を実行する工程であって、
(a1)2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートおよび封入しようとする少なくとも1種の親油性活性物質を含む内部非水相を準備すること、
(a2)少なくとも1種の保護コロイドおよび任意選択で乳化剤を含む外部水相を準備すること、
(a3)内部非水相および外部水相を混合して、水中油型エマルジョンを得ること、
(a4)少なくとも1種の第1のアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩および触媒の添加
を含む工程、
(b)少なくとも1種のヒドロキシル基供与体を添加することにより、第2の重合および/または架橋工程を実行する工程、
(c)少なくとも1種の第2のアミノ酸を、特に少なくとも60℃の温度で添加することによって、第3の重合および/または架橋工程を実行して、マイクロカプセル分散液を得る工程、
(d)マイクロカプセル分散液を、少なくとも60℃の温度で少なくとも60分の期間の間硬化する工程、
(e)少なくとも1種の剥離剤を添加し、剥離剤をマイクロカプセルシェルに組み込む工程、
(f)工程(e)で得たマイクロカプセルを後硬化する工程、
ならびに任意選択で:
(g)マイクロカプセルをマイクロカプセル分散液から分離し、任意選択で、マイクロカプセルを乾燥させる、または増粘剤を添加することにより、マイクロカプセルスラリーの粘度を調整する工程
をこの順で含む、方法に関する。
【0036】
本発明の文脈において、マイクロカプセルは、カプセルシェルまたはカプセル壁および少なくとも1種またはそれよりも多くの活性成分をカプセル内側のコア材として有するマイクロ粒子と考えられている。活性成分は好ましくは親油性または疎水性の活性成分である。そのような活性剤は、水に溶けないまたは溶けにくいが、油脂には容易に溶ける。「マイクロカプセル」または「カプセル」および「親油性」または「疎水性」という用語は本発明において同義語として使用されている。
【0037】
本発明の文脈において、カプセルシェルまたはカプセル壁は好ましくはいくつかの架橋マトリックスまたは架橋単位で構成され、これらは好ましくは異なる組成を有し、本発明によるマイクロカプセルの生成中、いくつかの方法工程または方法順序で、特に架橋工程により生成されることによって、三次元ネットワークが形成される。
【0038】
本発明の文脈において、架橋マトリックスまたは架橋単位は、マイクロカプセルシェルを構築するための開始構成成分の複合体またはネットワークであり、これは、最初の構成成分の官能基間の、および/またはマイクロカプセルシェルの他の構成成分との線形もしくは三次元の重合および/もしくは架橋により構築され、ならびに/またはここにマイクロカプセルシェルの他の構成成分が埋め込まれる。いくつかの架橋マトリックスは、ひいては本発明による方法の過程でさらなる架橋により互いに架橋し、マイクロカプセルシェルまたはマイクロカプセル壁を構築するための三次元構造を形成することができる。架橋単位または架橋マトリックスは、これら全体でカプセルシェルまたはカプセル壁を形成する。
【0039】
本発明のさらにより好ましい実施形態では、カプセルシェルまたはカプセル壁は、少なくともポリ尿素およびポリウレタンの架橋マトリックスまたは架橋単位と、カプセルシェルまたはカプセル壁に組み込まれた剥離剤とを含む。
【0040】
本発明による方法の第1の工程(a)において、第1の重合および/または架橋(a)が行われる。この目的のために、内部非水相が準備され(a1)、この内部非水相は2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有する少なくとも1つのイソシアネートまたはポリイソシアネート、および封入しようとする少なくとも1種の親油性活性物質を含む。
【0041】
本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルは、少なくとも1つまたはそれよりも多くのポリイソシアネートを使用して調製される。
【0042】
2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有する少なくとも1つのイソシアネートまたはポリイソシアネートは、生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの調製のために本発明の方法において使用され、重合によりポリマーネットワークを形成するために少なくとも2つのイソシアネート基を有し、カプセルシェルまたはカプセル壁を形成する。
【0043】
ポリイソシアネートはイソシアン酸(HN=C=O)のR置換された有機誘導体(R-N=C=O)である。有機イソシアネートは、イソシアネート基(-N=C=O)が有機基に結合している化合物である。多官能性のイソシアネートまたはポリイソシアネートは、分子中に少なくとも2つまたはそれよりも多くの、すなわち3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、50、100、200またはさらにより多くのイソシアネート基(-N=C=O)を含有する化合物である。2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネートはジイソシアネートとも呼ばれる。
【0044】
ポリイソシアネートは、脂肪族、脂環式、ヒドロ芳香族、芳香族または複素環イソシアネートまたはポリイソシアネートに分類することができる。加えて、本発明によるポリイソシアネートは直鎖または分枝であることができる。
【0045】
ポリイソシアネート、特に芳香族ポリイソシアネートは極めて反応性のある化合物である。ジオールまたはポリオールを有するポリイソシアネートの重付加反応は、ポリウレタン化学反応のベースであり、ポリイソシアネートとアミンとの重付加反応はポリ尿素化学反応のベースである。
【0046】
本発明によると、少なくとも二官能基、好ましくは多官能基ポリイソシアネートが使用される、すなわちすべての脂肪族、脂環式および芳香族イソシアネートが適切であるが、ただしこれらは少なくとも2つの反応性イソシアネート基を有するものとする。
【0047】
脂肪族、脂環式、ヒドロ芳香族、芳香族または複素環ポリイソシアネート、これらの置換生成物および上述のモノマー性またはオリゴマー性化合物の混合物が特に好ましい。上記に特定されたポリイソシアネートの中でも、脂肪族および/または芳香族化合物が使用されることが好ましい。
【0048】
本発明による方法の好ましい実施形態では、ポリイソシアネートは、平均して2~5つの官能基-N=C=O基を含有する。これらは、例えば、脂肪族、脂環式および芳香族ジイソシアネート、トリイソシアネートおよびより高級のポリイソシアネートを含む。
【0049】
上述のポリイソシアネートの中でも、3つの官能基-N-C=O基を有するジイソシアネートおよびポリイソシアネートが特に好ましく、したがって本発明の実施に優先用途を見出す。一般構造O=C=N-R-N=C=Oを有し、ここで、Rが、脂肪族、脂環式、または芳香族基を意味する、ジイソシアネートが、好ましく使用される。好ましくは、基は、5つまたはそれよりも多くの炭素原子を有する。
【0050】
本発明による方法の好ましい実施形態では、2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネートおよび/または芳香族ポリイソシアネートからなる群から選択される。本発明による方法のさらにより好ましい変化形では、少なくとも1種のポリイソシアネートは2種の異なる脂肪族ポリイソシアネートの組合せまたは脂肪族と芳香族ポリイソシアネートの組合せである。
【0051】
官能基の数により、カプセル壁の最適な架橋またはネットワーキングが達成され、活性成分の長期の遅延放出ならびに消費者製品における良好な安定性を示すマイクロカプセルを提供する。
【0052】
本発明による方法の好ましい変化形では、ポリイソシアネートは脂肪族ポリイソシアネートである。
【0053】
「脂肪族ポリイソシアネート」という用語は、芳香族ではない任意のポリイソシアネート分子を指す。加えて、分子は、同じ脂肪族分子、およびこのような化合物の誘導体の対応する数の異なるC原子に直接結合している少なくとも2つのイソシアネート基、すなわち少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、50、100、200またはそれよりも多くのイソシアネート基を含む。
【0054】
少なくとも2つのイソシアネート基、すなわち少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、50、100、200またはそれよりも多くのイソシアネート基を有する脂肪族ポリイソシアネート分子は、さらに直鎖、分枝または環式であってもよく、例えば、脂肪族置換基、芳香族置換基、1個または複数のヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、リンおよび/もしく硫黄、ハロゲン、例えば、フッ素、塩素、臭素および/もしくはヨウ素ならびに/または他の官能基、例えば、アルコキシ基を含む任意の置換を有してもよい。
【0055】
直鎖脂肪族ポリイソシアネート分子は、C2~C20直鎖アルキル、好ましくはC3~C15直鎖アルキル、C4~C12直鎖アルキル、C5~C10直鎖アルキル、C6~C9直鎖アルキルまたはC7~C8直鎖アルキルから好ましくは選択される。好ましくは、直鎖脂肪族分子は芳香族構造を含まない。
【0056】
分枝脂肪族ポリイソシアネート分子は、C2~C20分枝アルキル、好ましくはC3~C15分枝アルキル、C4~C12分枝アルキル、C5~C10分枝アルキル、C6~C9分枝アルキル、C7~C8分枝アルキルから好ましくは選択される。
【0057】
ポリイソシアネート分子の炭素鎖がより短いほど、反応速度は、より長い鎖のアナログよりも速い。
【0058】
環式脂肪族ポリイソシアネート分子は、少なくとも1つ、すなわち1、2、3、4つまたはそれよりも多くの非芳香族環構造を含み、この環構造自体は好ましくはC原子のみからなる。当然、環構造のC原子は適切な置換基を保持することができる。少なくとも1つの環構造は、好ましくは独立して、3、4、5、6、7または8員環からなる。好ましくは、環式脂肪族分子は、2~20個のC原子、例えば、3~15個のC原子、4~12個のC原子、5~10個のC原子、6~9個のC原子または7~8個のC原子を含む。
【0059】
本発明による方法のさらなる変化形では、ポリイソシアネートは芳香族ポリイソシアネートである。「芳香族ポリイソシアネート」という用語は、2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基が芳香族C原子に直接結合し、例えば、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、またはジフェニル部分を芳香族成分として含む任意のポリイソシアネート化合物ならびにそのようなポリイソシアネート化合物の誘導体を指す。
【0060】
芳香族ポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネートより有意に速く反応し、したがって好ましくは本発明による方法に使用される。
【0061】
直鎖、分枝または環式の脂肪族または芳香族ポリイソシアネートは、モノマーまたはポリマーとして存在し得る。モノマー性ポリイソシアネートは、別の分子に結合していない、特に1種または複数の架橋剤によって結合していない分子である。ポリマー性ポリイソシアネートは、1種または複数の架橋剤で結合された少なくとも2つのモノマーを含む。少なくとも2つのモノマーは必ずしも同じモノマーでなくてもよく、異なってもよい。ポリマー性ポリイソシアネートは、好ましくは少なくとも1種の架橋剤により一緒に結合された、少なくとも2つまたはそれよりも多くのモノマー、すなわち少なくとも2、3、4、5、10、20、30、40、50、100またはそれよりも多くのモノマーを含む。
【0062】
直鎖、分枝または環式の脂肪族または芳香族ポリイソシアネートは好ましくは限定されたサイズ/分子量を有し、これらによって1種または複数の架橋剤との反応が可能となる。適切な分子量の例は、好ましくは約100g/モル~5×10g/モル、好ましくは120g/モル~2×10g/モル、140g/モル~10g/モル、160g/モル~5×10g/モル、180g/モル~2×10g/モル、200g/モル~10g/モル、220g/モル~900g/モル、240g/モル~800g/モル、260g/モル~700g/モル、280g/モル~600g/モル、300g/モル~500g/モル、320g/モル~450g/モルまたは340g/モル~400g/モルを含む。
【0063】
任意の数の異なる直鎖、分枝および/または環式脂肪族および/または芳香族ポリイソシアネートを使用することができる。例えば、少なくとも1種、すなわち少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10種類の直鎖脂肪族ポリイソシアネートが使用される。例えば、少なくとも1種、すなわち少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10種類の分枝脂肪族ポリイソシアネートが使用される。例えば、少なくとも1種、すなわち少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10種類の分枝環式ポリイソシアネートが使用される。
【0064】
好ましくは、直鎖、分枝および/または環式脂肪族ポリイソシアネートの誘導体が使用される。誘導体は、本明細書で使用される場合、化学反応により化合物から誘導された化合物としてその最も広範な意味で理解される。誘導体の例としては、上述の直鎖または分枝の脂肪族ポリイソシアネートのオリゴマーおよび/または付加体が挙げられる。好ましいオリゴマーは、ビウレット、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオンであり、好ましい付加体はトリメチロールプロパン付加体である。これらのオリゴマー/付加体は従来技術で周知であり、例えば、US4855490AまたはUS4144268Aにおいて開示されている。
【0065】
好ましくは、脂肪族ポリイソシアネートはモノマー形態および/またはダイマー化形態(イソシアネートとして)またはオリゴマー形態でのみ存在する。
【0066】
直鎖、分枝または環式のポリイソシアネートの誘導体および/またはこれらの混合物はまた、ポリイソシアネートを、ポリアルコール(例えばグリセロール)、ポリアミン、ポリチオール(例えばジメルカプロール)と反応させることにより得ることができる。
【0067】
上で定義されたようにイソシアネート化合物は、存在する場合、様々な異性体を、具体的には単独でまたは組み合わせて含む。例えば、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)は、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)および/または2,2’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)を含む。
【0068】
例示的脂肪族ポリイソシアネートは、市販のもの、例えば、BAYHYDUR N304およびBAYHYDUR N3Q5(ヘキサメチレンジイソシアネートに基づく脂肪族水分散性ポリイソシアネート)、DESMODUR N3400、DESMODUR N3600、DESMODUR N3700およびDESMODUR N3900(ヘキサメチレンジイソシアネートに基づく、低粘度の、多官能性脂肪族ポリイソシアネート)、ならびにDESMODUR 3600およびDESMODUR N100(ヘキサメチレンジイソシアネートに基づく脂肪族ポリイソシアネート)を含み、これらはそれぞれBayer Corporation、Pittsburgh、PAから入手可能である。
【0069】
本発明の別の好ましい変化形によると、直鎖または分枝の脂肪族ポリイソシアネートは、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI、例えば、Stabio D-370NまたはD-376N、三井化学株式会社、日本製)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、エチルエステルリシントリイソシアネート、リシンジイソシアネートエチルエステルおよびその誘導体からなる群から選択され、好ましくは、前記誘導体のそれぞれは1つより多くのイソシアネート基を含み、ビウレット、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオンおよびトリメチロールプロパン付加体からなる群から選択される1種または複数の基を任意選択でさらに含み、および/または前記環式脂肪族ポリイソシアネートまたは環式脂肪族ポリイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI、例えば、Takenate)からなる群から選択されるか、または600(三井化学株式会社、日本)、1,2-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナト-メチル)シクロヘキサン、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)およびその誘導体から選択され、好ましくは前記誘導体のそれぞれは、1つより多くのイソシアネート基を含み、ビウレット、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジニオン(iminooxadiazinione)およびH6XDIのトリメチロールプロパン付加体(例えば、TMP付加体)、特に三井化学株式会社、日本のTakenate D-120Nからなる群から選択される1種または複数の基を任意選択でさらに含む。
【0070】
再生可能な原料から得た脂肪族ポリイソシアネート、例えば、PDI(Stabio D-370NまたはD-376N、三井化学株式会社、日本製)が特に好ましい。再生可能な原料から得たこのような脂肪族ポリイソシアネートは、コア-シェルカプセルの品質/特性に影響を与えないことが判明した。
【0071】
他の適切な市販のポリイソシアネートとしては、LUPRANAT M20(BASF)(平均nが0.7である);PA PI 27(Dow Chemical)(平均nが0.7である);MONDUR MR(Bayer)(平均nが0.8である);MONDUR MR Light(Bayer)(平均nが0.8である);MONDUR 489(Bayer)(平均nが1.0である);ポリ-[(フェニルイソシアネート)-co-ホルムアルデヒド(Aldrich Chemical、Milwaukee、WI)、他のイソシアネートモノマー、例えば、DESMODUR N3200(Bayer)およびTAKENATE D1 10-N(Mitsui Chemicals Corporation、Rye Brook、NY)が挙げられる。他の代表的ポリイソシアネートとしては、TAKENATE D-1 10N(Mitsui)、DESMODUR L75(Bayer)およびDESMODUR IL(Bayer)と命名されたポリイソシアネートが挙げられる。
【0072】
好ましい実施形態では、本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの調製に使用されるポリイソシアネートは、唯一のポリイソシアネート構成成分として、すなわちこれらと異なる他のいかなるポリイソシアネート構成成分の混和物も含まない唯一のポリイソシアネート構成成分として使用される。
【0073】
本発明に従い使用することができ、少なくとも2つのポリイソシアネート基を含有するモノマー性ポリイソシアネートの例は以下である:
エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチルジイソシアネート、エチレンジイソチオシアネート、テトラメチレンジイソチオシアネート、ヘキサメチレンジイソチオシアネート、シクロブタン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネートと1,4-フェニレンジイソシアネートの混合物、p-フェニレンジイソチオシアネート、キシリレン-1,4-ジイソチオシアネート、2,4-トルイレンジイソシアネート、2,6-トルイレンジイソシアネート、2,4-トルイレンジイソシアネートと2,6-トルイレンジイソシアネートの混合物、キシリレン-1,4-ジイソシアネート、キシリレン-1,3-ジイソシアネートおよびキシリレン-1,4-ジイソシアネートとキシリレン-1,3-ジイソシアネートの混合物、2,4-ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、2,6-ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、2,4-ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネートと2,6-ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネートの混合物、ヘキサヒドロ-1,3-フェニレンジイソシアネート、ヘキサヒドロ-1,4-フェニレンジイソシアネート、ヘキサヒドロ-1,4-フェニレンジイソシアネートとヘキサヒドロ-1,4-フェニレンジイソシアネートの混合物、1,3-ジイソシアナトベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼン-2,4-ジイソシアネート、1,3,5-トリイソプロピルベンゼン-2,4-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、ナフチレン-1,4-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアネート、トルエン-2,4,6-トリイソシアネート、ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’-テトライソシアネートまたは上述の化合物の混合物。
【0074】
少なくとも2つのポリイソシアネート基を含有する重合可能な化合物は、大規模生産されたジイソシアネートおよびポリイソシアネート、例えばTDI:トルイレンジイソシアネート(80:20比での2,4-と2,6-トルイレンジイソシアネートの異性体混合物)、HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート-(1,6)、IPDI:イソホロンジイソシアネートまたはDMDI:ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートが好ましい。
【0075】
他の特に好ましいモノマー性ポリイソシアネート化合物は、ジイソシアネート、例えば、1,4-ジイソシアナトブタン、1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,3-および1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1-ポリイソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-ポリイソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、2,4-および2,6-ジイソシアナトメチルシクロヘキサンおよびこれらの混合物である。原則として、芳香族ポリイソシアネート、例えばトルイレンジイソシアネートまたは4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタもまた使用し得る。
【0076】
ジイソシアネートの他の具体例は、例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水素化MDI(H12MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXD1)4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネートおよびテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート(TDI)の異性体、任意選択で混合物での、1-メチル-2,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、1-イソシアナトメチル-3-イソシアナト-1,5,5-トリメチルシクロヘキサン、塩素化および臭素化ジイソシアネート、リン含有ジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトフェニルパーフルオロエタン、テトラメトキシブタン-1,4-ジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、フタル酸ビスイソシアナトエチルエステル、また反応性ハロゲン原子を有するポリイソシアネート、例えば、1-クロロメチルフェニル-2,4-ジイソシアネート-1,2-br3,3-ビスクロロメチルエーテル-4,4’-ジフェニルジイソシアネートを含む。
【0077】
驚くことに、特に6、7、8、9、10個またはさらにそれよりも多くの炭素原子を有するより長鎖の脂肪族ジイソシアネートの使用は、さらに安定したカプセルシェルまたはカプセル壁の形成に至ることが示されている。
【0078】
特に好ましい実施形態では、内部非水相は、2つまたはそれよりも多くの異なる重合可能なポリイソシアネートの混合物、例えば異なる鎖長を有するポリイソシアネートの混合物を含み、これらはコポリマーを形成することができる。
【0079】
比例して、上述のジイソシアネートまたはこれらの混合物を公知の方法で改変することにより調製することができ、例えば、ウレトジオン、ウレタン、イソシアヌレート、ビウレットおよび/またはアロファネート基を含有するポリイソシアネートの誘導体もまた、本発明による方法で使用することができる。
【0080】
少なくとも2つの異なる、好ましくは脂肪族、ポリイソシアネートの組合せ、または少なくとも1つの脂肪族と少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートの組合せが特に好ましい。
【0081】
このような組合せでは、ポリイソシアネートの異なる反応速度が利用される:芳香族ポリイソシアネートは脂肪族ポリイソシアネートより有意により速く反応し、短鎖の脂肪族ポリイソシアネート、すなわち1~5個の炭素原子、好ましくは3~5個の炭素原子を有する脂肪族ポリイソシアネートに対して、反応速度は、より長鎖のアナログと比較してより高い。
【0082】
本発明のさらに好ましいさらなる実施形態では、異なる脂肪族および/または芳香族ポリイソシアネートは、したがって、異なる鎖長も有する。この文脈において、より長鎖のポリイソシアネートとは、好ましくは6、7,8、9、10、11、12、13、14、20、25個またはそれよりも多くの炭素原子を有し、より好ましくはこれらは6~12個の炭素原子を有し、特に好ましくは6~8個の炭素原子を有する。より短鎖のポリイソシアネートは1~5個の炭素原子を有するポリイソシアネート、好ましくは3~5個の炭素原子を有するポリイソシアネートを意味する。
【0083】
本発明によれば、短鎖脂肪族ポリイソシアネート(C1、C2、C3、C4、C5)および長鎖脂肪族ポリイソシアネート(C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C20、C25またはそれよりも多い)の組合せ、または短鎖脂肪族ポリイソシアネート(C1、C2、C3、C4、C5)(C1、C2、C3、C4、C5)と長鎖芳香族ポリイソシアネート(C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C20、C25またはそれよりも多い)の組合せ、または長鎖脂肪族ポリイソシアネート(C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C20、C25またはそれよりも多い)(C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C20、C25またはそれよりも多い)と短鎖芳香族ポリイソシアネートの組合せが好ましい。
【0084】
この文脈において、本発明による生分解性マイクロカプセルの生成のための、鎖中に1~12個の炭素原子、好ましくは3~8個の炭素原子、特に好ましくは4~7個の炭素原子の鎖長を有する、2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有する異なる脂肪族ポリイソシアネートの混合物の使用が特に好ましい。
【0085】
この文脈において、バイオベース系とのこれらの化学的関係により、脂肪族ポリイソシアネートが特に好ましい。例えば、リシンも1,5-ジイソシアナトペンタンも同じ分解生成物、1,5-ジアミノペンタンを示し、したがって、環境問題を考慮に入れると、バイオベースおよび生分解性マイクロカプセルの生成における使用に対して特に適切である。
【0086】
主要な実施形態は、より長鎖およびより短鎖のジイソシアネートの任意の混合比での混合物を含む。好ましくは、より長鎖のジイソシアネートの、より短鎖のジイソシアネートに対する混合比は、4:1~1:4、特に好ましくは2:1~1:2の範囲である。
【0087】
少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートと、少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートとの好ましい特定の混合物の例は、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットと、キシリレンジイソシアネートのトリメチロール付加体との混合物、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットと、ジイソシアネートのポリイソシアヌレートとの混合物、またはヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットと、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体との混合物である。
【0088】
本発明によると、上記に記載されている短鎖脂肪族ポリイソシアネートと長鎖脂肪族ポリイソシアネートとの組合せ、または短鎖脂肪族ポリイソシアネートと長鎖芳香族ポリイソシアネートとの組合せ、または長鎖脂肪族ポリイソシアネートと短鎖芳香族ポリイソシアネートとの組合せにおいて、ポリイソシアネートがモノマー性またはオリゴマー性またはポリマー形態の混合物であれば、それはさらに好ましい。
【0089】
よって、好ましくは、短鎖および長鎖に対して以前に記述された定義により、本発明による方法における使用のための以下の組合せが得られる:
- 短鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)と短鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)、
- 短鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)と長鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)、
- 短鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)と短鎖芳香族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)、
- 短鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)と長鎖芳香族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)、
- 長鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)と短鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)、
- 長鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)と長鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)、
- 長鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)と短鎖芳香族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)、
- 長鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマー)と長鎖芳香族ポリイソシアネート(オリゴマーまたはポリマー)。
【0090】
異なる鎖長および重合度の少なくとも2つの脂肪族ポリイソシアネートの選択または脂肪族と芳香族ポリイソシアネートの混合物の選択は、ポリイソシアネート構成成分の異なる反応速度、解離および架橋構造により、安定性および性能(フレグランスカプセルの場合、フレグランスの放出)における著しい増加をもたらすことが見て取れる。
【0091】
上述されたポリイソシアネートの組合せ、または2種類の脂肪族ポリイソシアネートのポリイソシアネート混合物もしくは1種の脂肪族ポリイソシアネートおよび1種の芳香族ポリイソシアネートのポリイソシアネート混合物により、特に安定で優れた、すなわちより密に分枝した架橋をカプセルシェル内に生成することができる。
【0092】
よって、本明細書に記載されている方法を用いて、高性能な(フレグランス放出)マイクロカプセルを生成することができ、このマイクロカプセルは、脂肪族と芳香族ポリイソシアネートの混合物から、または2つの異なる脂肪族ポリイソシアネートの混合物から作製される。このようなマイクロカプセルは非常に安定しており、優れたフレグランス貯蔵特性を特徴とし、ひいては、これが、例えばフレグランス封入の分野における、カプセルのより良い性能(フレグランス放出)に反映される。
【0093】
2つの異なるポリイソシアネートの使用は、以下の実施形態に例示されているように、単一のポリイソシアネート系から作製されるマイクロカプセルの安定性も同様に超えるマイクロカプセルを結果として生じる。
【0094】
脂肪族-脂肪族ポリイソシアネート混合物で作製されたマイクロカプセルは、以下の実施形態の実施例に例示されているような脂肪族-芳香族ポリイソシアネート混合物で作製されたマイクロカプセルとまさに同じくらい良好である。したがって、原則として、少なくとも2つの異なる重合可能な(好ましくは脂肪族および/または芳香族)ポリイソシアネートの組合せが本発明では好ましい。
【0095】
本発明によるマイクロカプセルを調製するためのポリイソシアネートの含有量は、内部非水相の総重量を基準として、0.1~10.0重量%、好ましくは0.5~3.0重量%である。
【0096】
ポリイソシアネート構成成分の内部非水相に対する割合は好ましくは1:50~1:20の間、さらにより好ましくは1:40~1:30の間である。
【0097】
ポリイソシアネート成分の割合が低いことから、本発明によれば、絶対的なポリイソシアネートの割合が、封入しようとする少なくとも1種の親油性活性成分を含むカプセル全体のたった1/50であるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルを製造することが可能である。したがって、カプセル壁の総重量を基準として、たった0.6重量%のポリイソシアネート含有量を有するポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルを、本発明による方法により製造することができる。好ましくは、ポリイソシアネート含有量は、カプセル壁の重量に基づき約1.8%である。ポリイソシアネート含有量が少ないにも関わらず、本発明によるマイクロカプセルは、それにも関わらず、高い安定性により特徴付けられる。
【0098】
本発明によるマイクロカプセルを製造するための方法の工程(a1)では、少なくとも2つまたはそれよりも多くのイソシアネート官能基を含む少なくとも1種の重合可能なポリイソシアネートは、最初に、封入しようとする少なくとも1種または複数の活性成分と共に、不活性の非水性溶媒または不活性の非水性溶媒の溶媒混合物中に実質的に溶解される。「実質的に溶解される」とは、上述の成分の少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも98重量%、より好ましくは99.9重量%が、本方法で使用することができるように溶媒中または溶媒混合物中に溶解されることが理解される。より好ましくは、少なくとも1種のポリイソシアネートおよび封入しようとする少なくとも1種の活性成分は、溶媒中または溶媒混合物中に完全に溶解される。溶媒がイソシアネートの十分な溶解性を確保しない場合、適切な溶解促進剤を使用することでこの欠点を克服することが可能である。
【0099】
内部非水相に対して好ましい溶媒は、水と不混和性であり、イソシアネート構成成分または活性成分の構成成分と反応せず、使用量において匂いがわずかしか、またはまったくない。
【0100】
本発明の文脈において「溶媒」という用語は、すべてのタイプの油体または油の構成成分、特に植物油、例えば、ナタネ油、ヒマワリ油、ダイズ油、オリーブ油など、変性植物性油類、例えばアルコキシ化ヒマワリ油またはダイズ油、合成(トリ)グリセリド、例えば、C6~C22脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドの技術的混合物、脂肪酸アルキルエステル、例えば、植物油のメチルまたはエチルエステル、例えば、C6~C22脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドの技術的混合物、脂肪酸アルキルエステル、例えば植物油のメチルまたはエチルエステル(Agnique(登録商標)ME 18RD-F、Agnique(登録商標)ME 18 SD-F、Agnique(登録商標)ME 12C-F、Agnique(登録商標)ME1270)、これらのC6~C22脂肪酸に基づく脂肪酸アルキルエステル、鉱油およびこれらの混合物を含む。適切なおよび好ましい親油性溶媒の例は以下である:6~18、好ましくは8~10個の炭素原子を有する脂肪族アルコールに基づくゲルベアルコール、直鎖C6~C22脂肪酸と直鎖もしくは分枝C6~C22脂肪族アルコールのエステル、または分枝C6~C13カルボン酸と直鎖もしくは分枝C6~C22脂肪族アルコールのエステル、例えば、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸ミリスチル、ステアリン酸ミリスチル、イソステアリン酸ミリスチル、オレイン酸ミリスチル、ベヘン酸ミリスチル、エルカ酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、イソステアリン酸セチル、オレイン酸セチル、ベヘン酸セチル、エルカ酸セチル、ミスチリン酸ステアリル、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、イソステアリン酸ステアリル、オレイン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、エルカ酸ステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ベヘン酸イソステアリル、ミリスチン酸オレイル、パルミチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、イソステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ベヘン酸オレイル、エルカ酸オレイル、ミリスチン酸ベヘニル、パルミチン酸ベヘニル、ステアリン酸ベヘニル、イソステアリン酸ベヘニル、オレイン酸ベヘニル、ベヘン酸ベヘニル、エルカ酸ベヘニル、ミリスチン酸エルシル、パルミチン酸エルシル、ステアリン酸エルシル、イソステアリン酸エルシル、オレイン酸エルシル、ベヘン酸エルシルおよびエルカ酸エルシル。
【0101】
直鎖C6~C22脂肪酸と、分枝アルコール、特に2-エチルヘキサノールのエステル、C18~C38アルキルヒドロキシカルボン酸と、直鎖もしくは分枝C6~C22脂肪酸のエステル、特にジオクチラレート(dioctylalate)、直鎖もしくは分枝脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ダイマージオールまたはトリマートリオール)および/またはゲルベアルコールのエステル、C6~C10脂肪酸に基づくトリグリセリド、C6~C18脂肪酸の液体モノ/ジ/トリグリセリド混合物、C6~C22脂肪族アルコールおよび/またはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸、特に安息香酸のエステル、C2~C12ジカルボン酸と1~22個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルコールまたは2~10個の炭素原子を有するポリオールのエステルおよび2~6ヒドロキシル基、植物油、分枝第1級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖もしくは分枝のC6~C22脂肪族アルコールカーボネート、例えば、炭酸ジカプリリル(Cetiol(登録商標)CC);6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を有する脂肪族アルコールに基づくゲルベカーボネート、直鎖もしくは分枝C6~C22アルコールとの安息香酸エステル、アルキル基1つ当たり6~22個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝、対称的もしくは非対称的なジアルキルエーテル、例えば、ジカプリリルエーテル、ポリオールとのエポキシド化脂肪酸エステルの開環生成物、シリコーン油(シクロメチコン、シリコーンメチコン等級など)、脂肪族またはナフテン系炭化水素、例えば、スクワラン、スクアレンもしくはジアルキルシクロヘキサンおよび/または鉱油もまた適切である。
【0102】
好ましい溶媒は特にまた、直鎖C6~C22脂肪酸と分枝アルコールのエステル、C18~C38アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖もしくは分枝C6~C22脂肪族アルコール、直鎖もしくは分枝C6~C22脂肪族アルコールのエステル、特にリンゴ酸ジオクチル、直鎖もしくは分枝の脂肪酸と、多価アルコール、例えば、プロピレングリコール、ダイマージオールもしくはトリマートリオール、および/またはゲルベアルコールのエステル、C6~C10脂肪酸に基づくトリグリセリド、C6~C18脂肪酸に基づく液体モノ/ジ/トリグリセリド混合物、C6~C22脂肪族アルコールおよび/またはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸、特に安息香酸のエステル、C2~C12ジカルボン酸と、1~22個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝アルコールまたは2~10個の炭素原子および2~6つのヒドロキシル基を有するポリオールのエステル、植物油、分枝第1級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖および分枝のC6~C22脂肪族アルコール炭酸、例えば、炭酸ジカプリリル(Cetiol TM CC)、6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を有する脂肪族アルコールに基づくゲルベカーボネート、安息香酸と直鎖または分枝C6~C22アルコールのエステル、アルキル基1つ当たり6~22個の炭素原子を有する直鎖または分枝の、対称的または非対称的ジアルキルエーテル、例えば、ジカプリリルエーテル(Cetiol(商標)OE)、ポリオールとのエポキシド化脂肪酸エステルの開環生成物、シリコーン油(シクロメチコン、ケイ素メチコンタイプなど)ならびに/あるいは脂肪族またはナフテン系炭化水素、例えば、スクワラン、スクアレンまたはジアルキルシクロヘキサンである。
【0103】
さらに、液体の直鎖および/もしくは分枝および/または飽和もしくは不飽和の炭化水素あるいは任意の所望のこれらの混合物を本発明の範囲内で溶媒として使用することができる。これらは、例えば、4~22個、好ましくは6~18個の炭素原子、または任意のこれらの混合物を有するアルカンであってよい。
【0104】
内部非水相に対して特に有利な不活性溶媒は、アルキル芳香族炭化水素、例えば、ジイソプロピルナフタレンまたは置換ビフェニル、塩素化ジフェニル、パラフィン、塩素化パラフィン、天然植物油、例えば、綿実油、ピーナッツ油、パーム油、リン酸トリクレシル、シリコーン油、フタル酸ジアルキル、ジアルキルアジピン酸塩、部分的水素化テルフェニル、アルキル化ビフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエーテル、アリールアルキルエーテルおよび高級アルキル化ベンゼン、安息香酸ベンジル、ミリスチン酸イソプロピル、ならびにこれらの疎水性溶媒のいずれかの混合物、および単一またはいくつかのこれらの疎水性溶媒と、ケロセン、パラフィンおよび/またはイソパラフィンとの混合物である。好ましくは、植物油、例えば、ヒマワリ油、トリグリセリド、安息香酸ベンジルまたはミリスチン酸イソプロピルが内部非水相を得るために溶媒として使用される。
【0105】
上述の溶媒は、個々にまたは2種またはそれよりも多くの溶媒の混合物として本発明による方法に使用される。
【0106】
本発明による方法の代替法および好ましい変化形では、少なくとも1種のポリイソシアネートは、少なくとも1種の活性成分の溶液、好ましくは1種または複数のフレグランスまたはフレーバーまたは香油の溶液に、直接溶解され、よって、上に記載されているようないかなる溶媒も本発明によるマイクロカプセルのコアに本質的には存在しない。マイクロカプセルコア中の溶媒を回避することは、これによって製造コストが減少し、環境問題に取り組むという意味で有利である。
【0107】
フレグランス化合物または着香料は、香水または着香料業界で一般的に使用されている溶媒中に特に溶解する。アルコールはイソシアネートと反応するので、溶媒は、好ましくはアルコールではない。適切な溶媒の例は、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、Abalyn(登録商標)(ロジン樹脂、Eastmanから入手可能)、安息香酸ベンジル、クエン酸エチル、リモネンまたは他のテルペンまたはイソパラフィンである。好ましくは、溶媒は極めて疎水性である。好ましくは、フレグランスまたは着香料溶液は30%未満の溶媒を含む。より好ましくは、フレグランスまたは着香料溶液は、20%未満、さらにより好ましくは10%未満の溶媒を含み、すべてのこのようなパーセンテージはフレグランスまたは着香料溶液の総重量に対する重量により定義される。最も好ましくは、フレグランスまたは着香料は溶媒を実質的に含まない。
【0108】
本発明によるマイクロカプセルの製造のための封入しようとする活性物質またはコア材料は、基本的に、マイクロカプセルに封入するのに適した任意の材料である。封入しようとする材料は、親油性、水に不溶性、または水に非混和性の液体または固体ならびに懸濁液である。これは、封入しようとする活性成分が、本発明のマイクロカプセルが製造されるときに内部非水相にあって、外部水相と混合しないことを保証し、さもなければ、エマルジョンが形成できず、カプセル壁材料の液滴表面への堆積が生じ得ない。これにより、カプセル壁構成成分のその後の乳化および架橋の間、親油性活性成分がコア材としてマイクロカプセルの内側に完全に封入されることになる。こうして形成された内部非水相はその有機的に疎水性の、油性の性質を特徴とする。
【0109】
本発明の特に好ましい変形例では、少なくとも1種の親油性または疎水性活性物質は、特に親油性もしくは疎水性のフレグランスもしくは芳香物質または親油性もしくは疎水性の香油もしくは芳香(フレグランスまたは芳香混合物)、清涼化剤、TRPV1もしくはTRPV3モジュレーター、辛味または温覚もしくは熱感を皮膚もしくは粘膜に、またはヒリヒリ感もしくはチクチク感を口内もしくは喉に引き起こす物質、あるいは辛味または刺激または収れん作用を有する活性物質、殺有害生物剤、殺生物剤、殺虫剤、忌避剤の群からの物質、食品添加物、化粧品活性成分、医薬品活性成分、染料、染料前駆体、発光塗料、農薬、光学的光沢剤、溶媒、ワックス、シリコーン油、滑剤、印刷用紙コーティングのための物質、または上述された活性物質のうち2つまたはそれよりも多くの混合物である。
【0110】
本発明の好ましい変化形では、親油性活性成分は特に親油性フレグランス化合物または2種またはそれよりも多くのフレグランス(香油)もしくは着香料のフレグランス混合物、または2種もしくはそれよりも多くの着香料(アロマ)の着香料混合物、または生物起源の成分である。
【0111】
コアが、以下からなる群から選択される1つまたは複数のフレグランスまたは芳香を含むことが特に好ましい:天然原料の抽出物、およびまたその画分、またはそこから分離された構成物質;炭化水素の群からの個々のフレグランス;脂肪族アルコール;脂肪族アルデヒドおよびアセタール;脂肪族ケトンおよびオキシム;脂肪族含硫化合物;脂肪族ニトリル;脂肪族カルボン酸のエステル;非環式テルペンアルコールのギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、イソ酪酸エステル、酪酸エステル、イソ吉草酸エステル、ペンタン酸エステル、ヘキサン酸エステル、クロトン酸エステル、チグリン酸エステル、および3-メチル-2-ブテン酸エステル;非環式テルペンアルデヒドおよびケトンならびにそれらのジメチルおよびジエチルアセタール;環式テルペンアルコールのギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、イソ酪酸エステル、酪酸エステル、イソ吉草酸エステル、ペンタン酸エステル、ヘキサン酸エステル、クロトン酸エステル、チグリン酸エステル、および3-メチル-2-ブテン酸エステル;環式テルペンアルデヒドおよびケトン;環式アルコール;環式および脂環式エーテル;環式および大環状ケトン;脂環式アルデヒド;脂環式ケトン;環式アルコールのエステル;脂環式アルコールのエステル;脂環式カルボン酸のエステル;芳香族炭化水素;芳香脂肪族アルコール;芳香脂肪族アルコールおよび脂肪族カルボン酸のエステル;芳香脂肪族エーテル;芳香族および芳香脂肪族アルデヒド;芳香族および芳香脂肪族ケトン;芳香族および芳香脂肪族カルボン酸ならびにそれらのエステル;窒素含有芳香族化合物;フェニルエーテルおよびフェニルエステル;複素環式化合物;ラクトン;ならびにシェルがフレグランス化合物に対して完全にまたは実質的に不透過性である上述のものの混合物。
【0112】
本発明によるカプセルの生成に対して適切なフレグランス化合物および着香料は、好ましくは、例えば、「Fragrances」、Steffen Arctanderにおいて,「Perfume and Flavor Chemicals」自己出版、Montclair、N.J.1969年;H.Surburg、J.Pantenの「Common Fragrance and Flavor Materials」第5版、Wiley-VCH、Weinheim 2006年に記載されている。
【0113】
好ましくは、本発明によるマイクロカプセルは、疎水性の単一フレグランスまたは単一アロマの形態のコア材を含み、コア材は以下の群のうちの1種または複数から選択される少なくとも1種の単一フレグランスまたは単一アロマを含む:
- 炭化水素、例えば、3-カレン;α-ピネネン;ベータ-ピネン;アルファテルピネン;ガンマ-テルピネン;p-シメン;ビサボレン;カンフェン;カリオフィレン;セドレン;ファルネセン;リモネン;ロンギホレン;ミルセン;オシメン;バレンセン;(E,Z)-1,3,5-ウンデカトリエン;スチレン;ジフェニルメタン;
- 脂肪族アルコール、例えば、ヘキサノール;オクタノール;3-オクタノール;2,6-ジメチルヘプタノール;2-メチルヘプタノール、2-メチルオクタノール;(E)-2-ヘキセノール;(E)-および(Z)-3-ヘキセノール;1-オクテン-3-オール;3,4,5,6,6-ペンタメチル-3,4-ヘプテン-2-オールと3,5,6,6-テトラメチル-4-メチレンヘプタン-2-オールの混合物;(E,Z)-2,6-ノナジエノール;3,7-ジメチル-7-メトキシオクタン-2-オール;9-デセノール;10-ウンデセノール;4-メチル-3-デセン-5-オール;
- 脂肪族アルデヒドおよびこれらのアセタール、例えば、ヘキサナール;ヘプタナール;オクタナール;ノナナール;デカナール;ウンデカナール;ドデカナール;トリデカナール;2-メチルオクタナール;2-メチルノナナール;(E)-2-ヘキセナール;(Z)-4-ヘプテナール;2,6-ジメチル-5-ヘプテナール;10-ウンデセナール;(E)-4-デセナール;2-ドデセナール;2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール;ヘプタナールジエチルアセタール;1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン;シトロネリルオキシ-アセトアルデヒド;1-(1-メトキシプロポキシ)-(E/Z)-3-ヘキセン;
- 脂肪族ケトンおよびこれらのオキシム、例えば、2-ヘプタノン;2-オクタノン;3-オクタノン;2-ノナノン;5-メチル-3-ヘプタノン;5-メチル-3-ヘプタノンオキシム;2,4,4,7-テトラメチル-6-オクテン-3-オン;6-メチル-5-ヘプテン-2-オン;
- 脂肪族硫黄含有化合物、例えば、3-メチルチオヘキサノール;3-メチルチオヘキシルアセテート;3-メルカプトヘキサノール;3-メルカプトヘキシルアセテート;3-メルカプトヘキシルブチレート;3-アセチルチオヘキシルアセテート;1-メンテン-8-チオール;
- 脂肪族ニトリル、例えば、2-ノネン酸ニトリル;2-トリデセン酸ニトリル;2,12-トリデセン酸ニトリル;3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン酸ニトリル;3,7-ジメチル-6-オクテン酸ニトリル;
- 脂肪族カルボン酸およびこれらのエステル、例えば、(E)-および(Z)-3-ヘキセニルホルメート;アセト酢酸エチル;酢酸イソアミル;酢酸ヘキシル;3,5,5-トリメチルヘキシルアセテート;3-メチル-2-ブテニルアセテート;(E)-2-ヘキセニルアセテート;(E)-および(Z)-3-ヘキセニルアセテート;酢酸オクチル;3-オクチルアセテート;1-オクテン-3-イルアセテート;酪酸エチル;酪酸ブチル;酪酸イソアミル;酪酸ヘキシル;(E)-および(Z)-3-ヘキセニルイソブチレート;クロトン酸ヘキシル;イソ吉草酸エチル;エチル2-メチルペンテノエート;ヘキサン酸エチル;ヘキサン酸アリル;ヘプタン酸エチル;ヘプタン酸アリル;オクタン酸エチル;エチル(E,Z)-2,4-デカジエノエート;特にエチル2-trans-4-cis-デカジエノエート;メチル2-オクチネート;メチル2-ノニネート;アリル2-イソアミルオキシアセテート;メチル3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノエート;4-メチル-2-ペンチルクロトン酸エステル;
- 非環式テルペンアルコール、例えば、シトロネロール;ゲラニオール;ネロール;リナロール;ラバンジュロール;ネロリドール;ファルネソール;テトラヒドロリナロール;テトラヒドロゲラニオール;2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール;2,6-ジメチルオクタン-2-オール;2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール;2,6-ジメチル-5,7-オクタジエン-2-オール;2,6-ジメチル-3,5-オクタジエン-2-オール;3,7-ジメチル-4,6-オクタジエン-3-オール;3,7-ジメチル-1,5,7-オクタトリエン-3-オール;2,6-ジメチル-2,5,7-オクタトリエン-1-オール;およびこれらのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンテノエート、ヘクサノエート、クロトネート、チグリネートまたは3-メチル-2-ブテノエート;
- 非環式テルペンアルデヒドおよびケトン、例えば、ゲラニアール;ネラール;シトロネラール;7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール;7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール;2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール;ゲラニルアセトン;ならびにゲラニアール、ネラール、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールのジメチルおよびジエチルアセタール;特にゲラニアール、ネラールおよび7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール(diemthylactanal)のジメチルおよびジエチルアセタール;
- 環式テルペンアルコール、例えば、メントール;イソプレゴール;アルファ-テルピネオール;テルピネオール-4;メンタン-8-オール;メンタン-1-オール;メンタン-7-オール;ボルネオール;イソボルネオール;リナロールオキシド;ノポール;セドロール;アンブリノール;ベチベロール;グアヤコール(guaiaol);およびこれらのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンテノエート、ヘクサノエート、クロトネート、チグリネートまたは3-メチル-2-ブテノエート;
- 環式テルペンアルデヒドおよびケトン、例えば、メントン;イソメントン;8-メルカプトメンタン-3-オン;カルボン;カンファー;フェンコン;アルファ-イオノン;ベータ-イオノン;アルファ-N-メチルイオノン;ベータ-N-メチルイオノン;アルファ-イソメチルイオノン;ベータ-イソメチルイオノン;アルファ鉄;ベータ鉄;アルファ-ダマセノン;ベータ-ダマセノン;ガンマ-ダマセノン;デルタ-ダマセノン;ガンマ-ダマセノン;1-(2,4,4-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン;1,3,4,6,7,8a-ヘキサヒドロ-1,1,5,5-テトラメチル-2H-2,4a-メタノナフタレン-8(5H)-オン;2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル(yol))-2-ブテナール;ヌートカトン;ジヒドロヌートカトン;4,6,8-メガスチグマトリエン-3-オン;アルファ-シネンサール;ベータ-シネンサール;アセチル化シダーウッド油(メチルセドリルケトン);
- 環式アルコール、例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノール;3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール;3-イソカンフィルシクロヘキサノール;2,6,9-トリメチル-(Z2,Z5,E9)シクロドデカトリエン-1-オール;2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール;脂環式アルコールの群から、例えば、3,3,3-トリメチルシクロヘキシルメタノール;2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)ブタノール;2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-2-ブテン-1-オール;2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-2-ブテン-1-オール;3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-ペンタン-2-オール;3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-4-ペンテン-2-オール;3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-4-ペンテン-2-オール;1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ペンタン-3-オール;1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オール;
- 環式および脂環式エーテル、例えば、シネオール;セドリルメチルエーテル;シクロドデシルメチルエーテル;1,1-ジメトキシシクロドデカン;(エトキシメトキシ)シクロドデカン;アルファ-セドレンエポキシド;3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン;3a-エチル-6,6,9a-トリメチル-ドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン;1,5,9-トリメチル-13-オキサビシクロ[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン;ローズオキシド;2-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサン;
- 環式および大環式ケトン、例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノン;2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン;2-ヘプチルシクロペンタノン;2-ペンチルシクロペンタノン;2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-cis-2-ペンテン-1-イル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-2-ペンチル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-4-シクロペンタデセノン;3-メチル-5-シクロペンタデセノン;3-メチルシクロペンタデカノン;4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサノン;4-tert-ペンチルシクロヘキサノン;5-シクロヘキサデセン-1-オン;6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン;8-シクロヘキサデセン-1-オン;7-シクロヘキサデセン-1-オン;(7/8)-シクロヘキサデセン-1-オン;9-シクロヘプタデセン-1-オン;シクロペンタデカノン;シクロヘキサデカノン;
- 脂環式アルデヒド、例えば、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;2-メチル-4-(2,2,6-トリメチル-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール;4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;4-(4-メチル-3-ペンテン-1-イル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;
- 脂環式ケトン、例えば、1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)-4-ペンテン-1-オン;2,2-ジメチル-1-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-1プロパノン;1-(5,5-ジメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン;2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2-ナフタレニルメチルケトン;メチル-2,6,10-トリメチル-2,5,9-シクロドデカトリエニルケトン;tert-ブチル-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)ケトン;
- 環式アルコールのエステル、例えば、2-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート;4-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート;2-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート;4-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート;3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアセテート;デカヒドロ-2-ナフチルアセテート;2-シクロペンチルシクロペンチルクロトネート;3-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルアセテート;デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-2-ナフチルアセテート;4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または-6-インデニルアセテート;4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または-6-インデニルプロピオネート;4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または-6-インデニルイソブチレート;4,7-メタノオクタヒドロ-5-または-6-インデニルアセテート;
- 脂環式アルコールのエステル、例えば、1-シクロヘキシルエチルクロトネート;
- 脂環式カルボン酸のエステル、例えば、アリル3-シクロヘキシルプロピオネート;アリルシクロヘキシルオキシアセテート;cis-およびtrans-メチルジヒドロジャスモネート;cis-およびtrans-メチルジャスモネート;メチル2-ヘキシル-3-オキソシクロペンタンカルボキシレート;エチル2-エチル-6,6-ジメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート;エチル2,3,6,6-テトラメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート;エチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテート;
- 芳香族炭化水素、例えば、スチレンおよびジフェニルメタン;
- 芳香脂肪族アルコール、例えば、ベンジルアルコール;1-フェニルエチルアルコール;2-フェニルエチルアルコール;3-フェニルプロパノール;2-フェニルプロパノール;2-フェノキシエタノール;2,2-ジメチル-3-フェニルプロパノール;2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパノール;1,1-ジメチル-2-フェニル-エチルアルコール;1,1-ジメチル-3-フェニルプロパノール;1-エチル-1-メチル-3-フェニルプロパノール;2-メチル-5-フェニルペンタノール;3-メチル-5-フェニルペンタノール;3-フェニル-2-プロペン-1-オール;4-メトキシベンジルアルコール;1-(4-イソプロピルフェニル)エタノール;
- 芳香脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、例えば、酢酸ベンジル;ベンジルプロピオネート;ベンジルイソブチレート;ベンジルイソバレレート;2-フェニルエチルアセテート;2-フェニルエチルプロピオネート;2-フェニルエチルイソブチレート;2-フェニルエチルイソバレレート;1-フェニルエチルアセテート;α-トリクロロメチル酢酸ベンジル;a,a-ジメチルフェニルエチルアセテート;a,a-ジメチルフェニルエチルブチレート;シンナミルアセテート;2-フェノキシエチルイソブチレート;4-メトキシベンジルアセテート;
- 芳香脂肪族エーテル、例えば、2-フェニルエチルメチルエーテル;2-フェニルエチルイソアミルエーテル;2-フェニルエチル1-エトキシエチルエーテル;フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール;フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール;ヒドロアトロパアルデヒドジメチルアセタール;フェニルアセトアルデヒドグリセロールアセタール;2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン;4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン;4,4a,5,9b-テトラヒドロ-2,4-ジメチルインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン;
- 芳香族および芳香脂肪族アルデヒド、例えば、ベンズアルデヒド;フェニルアセトアルデヒド;3-フェニルプロパナール;ヒドロアトロパアルデヒド;4-メチルベンズアルデヒド;4-メチルフェニルアセトアルデヒド;3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール;2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)-プロパナール;2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール;3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール;シンナムアルデヒド;a-ブチルシンナムアルデヒド;a-アミルシンナムアルデヒド;a-ヘキシルシンナムアルデヒド;3-メチル-5-フェニルペンタナール;4-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド;3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド;3,4-ジメトキシベンズアルデヒド;2-メチル-3-(4-メトキシフェニル)プロパナール;2-メチル-3-(4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール;
- 芳香族および芳香脂肪族ケトン、例えば、アセトフェノン;4-メチルアセトフェノン;4-メトキシアセトフェノン;4-tert-ブチル-2,6-ジメチルアセトフェノン;4-フェニル-2-ブタノン;4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン;1-(2-ナフタレニル)エタノン;ベンゾフェノン;1,1,2,3,3,6-ヘキサメチル-5-インダニルメチルケトン;6-tert-ブチル-1,1-ジメチル-4-インダニルメチルケトン;1-[2,3-ジヒドロ-1,1,2,6-テトラメチル-3-(1-メチルエチル)-1H-5-インデニル]エタノン;5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-3’,5’,5’,6’,8’,8’-ヘキサメチル-2-アセトナフトン;
- 芳香族および芳香脂肪族カルボン酸ならびにそのエステル、例えば、安息香酸;フェニル酢酸;メチル安息香酸塩;安息香酸エチル;安息香酸ヘキシル;安息香酸ベンジル;フェニル酢酸メチル;フェニル酢酸エチル;フェニル酢酸ゲラニル;フェニル酢酸フェニルエチル;ケイ皮酸メチル;ケイヒ酸エチル;ケイヒ酸ベンジル;ケイ皮酸フェニルエチル;ケイヒ酸シンナミル;フェノキシ酢酸アリル;サルチル酸メチル;サリチル酸イソアミル;サリチル酸ヘキシル;サリチル酸シクロヘキシル;cis-3-ヘキセニルサリチレート;サリチル酸ベンジル;サリチル酸フェニルエチル;メチル2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート;エチル3-フェニルグリシデート;エチル3-メチル-3-フェニルグリシデート;
- 窒素含有芳香族化合物、例えば、2,4,6-トリニトロ-1,3-ジメチル-5-tert-ブチルベンゼン;3,5-ジニトロ-2,6-ジメチル-4-tert-ブチルアセトフェノン;ケイヒ酸ニトリル;5-フェニル-3-メチル-2-ペンテン酸ニトリル;5-フェニル-3-メチルペンタン酸ニトリル;アントラニル酸メチル;N-メチルアントラニル酸メチル;メチルアントラニレートと7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナールまたは2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒドのシッフ塩基;6-イソプロピルキノリン;6-イソブチルキノリン;6-sec-ブチルキノリン;インドール;スカトール;2-メトキシ-3-イソプロピルピラジン;2-イソブチル-3-メトキシピラジン;4-(4,8-ジメチル-3,7-ノナジエニル)-ピリジン;
-フェノール類、フェニルエーテルおよびフェニルエステル、例えば、tarragol;アネトール;オイゲノール;オイゲニルメチルエーテル;イソオイゲノール;イソオイゲニルメチルエーテル;チモール;カルバクロール;ジフェニルエーテル;ベータ-ナフチルメチルエーテル;ベータ-ナフチルエチルエーテル;ベータ-ナフチルイソブチルエーテル;1,4-ジメトキシベンゼン;オイゲニル酢酸;2-メトキシ-4-メチルフェノール;2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール;p-クレシルフェニルアセテート;複素環化合物の群から、例えば、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン;2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-2H-フラン-3-オン;3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン;2-エチル-3-ヒドロキシ-4H-ピラン-4-オン;
- ラクトン、例えば、1,4-オクタノリド;3-メチル-1,4-オクタノリド;1,4-ノナノリド;1,4-デカノリド;8-デセン-1,4-オリド;1,4-ウンデカンオリド;1,4-ドデカノリド;1,5-デカノリド;1,5-ドデカノリド;1,15-ペンタデカノリド;cis-およびtrans-11-ペンタデセン-1,15-オリド;cis-およびtrans-12-ペンタデセン-1,15-オリド;1,16-ヘキサデカノリド;9-ヘキサデセン-1,16-オリド;10-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;11-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;12-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;エチレン-1,12-ドデカンジオエート;エチレン-1,13-トリデカンジオエート;クマリン;2,3-ジヒドロクマリン;オクタヒドロクマリン;
ならびに上述の物質の立体異性体、エナンチオマー、位置異性体、ジアステレオマー、cis/trans異性体またはエピマー、および上述の物質の混合物。
【0114】
本発明による方法のさらなる変化形では、着香物質もまた、単一の着香料の形態でコア材として封入することができ、このコア材は少なくとも1種の単一の着香物質またはこれらの混合物を活性物質として含む。
【0115】
本発明という意味で封入することができる着香物質または着香料の典型的な例は、以下からなる群から選択される:アセトフェノン;カプロン酸アリル;アルファイオノン;ベータイオノン;アニスアルデヒド;酢酸アニシル;ギ酸アニシル;ベンズアルデヒド;ベンゾチアゾール;酢酸ベンジル;ベンジルアルコール;安息香酸ベンジル;ベータイオノン;酪酸ブチル;カプロン酸ブチル;ブチリデンフタリド;カルボン;カンフェン;カリオフィレン;シネオール;酢酸シンナミル;シトラル;シトロネロール;シトロネラール;酢酸シトロネリル;酢酸シクロヘキシル;シメン;ダマスコン;デカラクトン;ジヒドロクマリン;ジメチルアントラニレート;ジメチルアントラニレート;ドデカラクトン;エトキシエチルアセテート;エチル酪酸;酪酸エチル;カプリン酸エチル;カプロン酸エチル;クロトン酸エチル;エチルフラネオール;エチルグアヤコール;イソ酪酸エチル;イソ吉草酸エチル;乳酸エチル;エチルメチルブチレート;プロピオン酸エチル;ユーカリプトール;オイゲノール;ヘプタン酸エチル;4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン;ガンマ-デカラクトン;ゲラニオール;酢酸ゲラニル;酢酸ゲラニル;グレープフルーツアルデヒド;メチルジヒドロジャスモネート(例えばHedion(登録商標));ヘリオトロピン;2-ヘプタノン;3-ヘプタノン;4-ヘプタノン;trans-2-ヘプテナール;cis-4-ヘプテナール;trans-2-ヘキセナール;cis-3-ヘキセノール;trans-2-ヘキセン酸;trans-3-ヘキセン酸;cis-2-ヘキセニルアセテート;cis-3-ヘキセニルアセテート;cis-3-ヘキセニルカプロネート;trans-2-ヘキセニルカプロネート;cis-3-ヘキセニルホルメート;cis-2-ヘキシルアセテート;cis-3-ヘキシルアセテート;trans-2-ヘキシルアセテート;cis-3-ヘキシルホルメート;パラ-ヒドロキシベンジルアセトン;イソアミルアルコール;イソ吉草酸イソアミル;酪酸イソブチル;イソブチルアルデヒド;イソオイゲノールメチルエーテル;イソプロピルメチルチアゾール;ラウリン酸;レブリン酸;リナロール;リナロールオキシド;酢酸リナリル;メントール;メントソフラン;アントラニル酸メチル;メチルブタノール;メチル酪酸;2-メチルブチルアセテート;カプロン酸メチル;ケイ皮酸メチル;5-メチルフルフラール;3,2,2-メチルシクロペンタノロン;6,5,2-メチルヘプテノン;メチルジヒドロジャスモネート;ジャスモン酸メチル;2-メチルメチルブチレート;2-メチル-2-ペンテン酸;チオ酪酸メチル;3,1-メチルチオヘキサノール;3-メチルチオヘキシルアセテート;ネロール;酢酸ネリル;trans,trans-2,4-ノナジエナール;2,4-ノナジエノール;2,6-ノナジエノール;2,4-ノナジエノール;ヌートカトン;デルタ-オクタラクトン;ガンマ-オクタラクトン;2-オクタノール;3-オクタノール;1,3-オクテノール;1-オクチルアセテート;3-オクチルアセテート;パルミチン酸;パラアルデヒド;フェランドレン;ペンタンジオン;酢酸フェニルエチル;フェニルエチルアルコール;フェニルエチルアルコール;イソ吉草酸フェニルエチル;ピペロナール;プロピオンアルデヒド;酪酸プロピル;プレゴン;プレゴール;シネンサール;スルフロール;テルピネン;テルピネオール;テルピノレン;8,3-チオメンタノン;4,4,2-チオメチルペンタノン;チモール;デルタ-ウンデカラクトン;ガンマ-ウンデカラクトン;バレンセン;バレリアン酸;バニリン;アセトイン;エチルバニリン;エチルバニリンイソブチレート(3-エトキシ-4-イソブチリルオキシベンズアルデヒド);2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンおよびその誘導体(好ましくはホモフラネオール(2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-3(2H)-フラノン)、ホモフロノール(2-エチル-5-メチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンおよび5-エチル-2-メチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノン);マルトールおよびマルトール誘導体(好ましくはエチルマルトール);クマリンおよびクマリン誘導体;ガンマ-ラクトン(好ましくはガンマ-ウンデカラクトン、ガンマ-ノナラクトン、ガンマ-デカラクトン);デルタ-ラクトン(好ましくは4-メチルデルタデカラクトン、マッソイラクトン、デルタデカラクトン、ツベロラクトン);ソルビン酸メチル;ジバニリン;4-ヒドロキシ-2(または5)-エチル-5(または2)-メチル-3(2H)フラノン;2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテノン;3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン;酢酸イソアミルエステル;酪酸エチルエステル;酪酸n-ブチルエステル;酪酸イソアミルエステル;3-メチル酪酸エチルエステル;n-ヘキサン酸エチルエステル;n-ヘキサン酸アリルエステル;n-ヘキサン酸n-ブチルエステル;n-オクタン酸エチルエステル;エチル3-メチル-3-フェニルグリシデート;エチル2-trans-4-cis-デカジエノエート;4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン;1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキサン;2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アール;フェニルアセトアルデヒド;2-メチル-3-(メチルチオ)フラン;2-メチル-3-フランチオール;ビス(2-メチル-3-フリル)ジスルフィド;フルフリルメルカプタン;メチオナール;2-アセチル-2-チアゾリン;3-メルカプト-2-ペンタノン;2,5-ジメチル-3-フランチオール;2,4,5-トリメチルチアゾール;2-アセチルチアゾール;2,4-ジメチル-5-エチルチアゾール;2-アセチル-1-ピロリン;2-メチル-3-エチルピラジン;2-エチル-3,5-ジメチルピラジン;2-エチル-3,6-ジメチルピラジン;2,3-ジエチル-5-メチルピラジン;3-イソプロピル-2-メトキシピラジン;3-イソブチル-2-メトキシピラジン;2-アセチルピラジン;2-ペンチルピリジン;(E,E)-2,4-デカジエナール;(E,E)-2,4-ノナジエナール;(E)-2-オクテナール;(E)-2-ノネナール;2-ウンデセナール;12-メチルトリデカナール;1-ペンテン-3-オン;4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン;グアヤコール;3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン;3-ヒドロキシ-4-メチル-5-エチル-2(5H)-フラノン;シンナムアルデヒド;シンナムアルコール;サルチル酸メチル;イソプレゴールならびに本明細書に明示的に記述されていないこれらの物質の立体異性体、エナンチオマー、位置異性体、ジアステレオマー、cis/trans異性体またはエピマー;ならびに上述の物質の混合物。
【0116】
本発明の意味において封入することができる上述の個々のフレグランスのうち、アルデヒド、カルボン酸またはエステル官能基を有するフレグランス化合物が好ましい。
【0117】
アルデヒドのフレグランスは、対応するアセタールならびにエステルおよびラクトンも含むことができ、以下の群、すなわち
(i)脂肪族アルデヒドおよびこれらのアセタール、
(ii)脂環式アルデヒド、
(iii)芳香族または芳香脂肪族アルデヒド、
(iv)脂肪族、芳香族または芳香脂肪族エステル、および
(v)ラクトン、
ならびにこれらの混合物に分割することができる。
【0118】
アルデヒド、カルボン酸またはエステル官能基、およびこれらの混合物を有する上述のフレグランスは、以下の群のうちの1種または複数から選択される:
- 脂肪族アルデヒドおよびこれらのアセタール、例えば、ヘキサナール;ヘプタナール;オクタナール;ノナナール;デカナール;ウンデカナール;ドデカナール;トリデカナール;2-メチルオクタナール;2-メチルノナナール;(f)-2-ヘキセナール;(Z)-4-ヘプテナール;2,6-ジメチル-5-ヘプテナール;10-ウンデセナール;(f)-4-デセナール;2-ドデセナール;2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール;ヘプタナールジエチルアセタール;1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン;シトロネリルオキシアセトアルデヒド;
- 脂環式アルデヒド、例えば、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;2-メチル-4-(2,2,6-トリメチル-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール;4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;4-(4-メチル-3-ペンテン-1-イル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;
- 芳香族および芳香脂肪族アルデヒド、例えば、ベンズアルデヒド;フェニルアセトアルデヒド;3-フェニルプロパナール;ヒドロアトロパアルデヒド;4-メチルベンズアルデヒド;4-メチルフェニルアセトアルデヒド;3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール;2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)プロパナール;2-メチル-3-(4-te/t-ブチルフェニル)プロパナール;3-(4-te/t-ブチルフェニル)プロパナール;シンナムアルデヒド;α-ブチルシンナムアルデヒド;α-アミルシンナムアルデヒド;α-ヘキシルシンナムアルデヒド;3-メチル-5-フェニルペンタナール;4-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド;3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド;3,4-ジメトキシベンズアルデヒド;2-メチル-3-(4-メトキシフェニル)プロパナール;2-メチル-3-(4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール;
- 脂肪族カルボン酸エステル、例えば、(E)-および(Z)-3-ヘキセニルホルメート;アセト酢酸エチル;酢酸イソアミル;酢酸ヘキシル;3,5,5-トリメチルヘキシルアセテート;3-メチル-2-ブテニルアセテート;(f)-2-ヘキセニルアセテート;(E)-および(Z)-3-ヘキセニルアセテート;酢酸オクチル;3-オクチルアセテート;1-オクテン-3-イルアセテート;酪酸エチル;酪酸ブチル;酪酸イソアミル;酪酸ヘキシル;(E)-および(Z)-3-ヘキセニルイソブチレート;クロトン酸ヘキシル;イソ吉草酸エチル;エチル2-メチルペンテノエート;ヘキサン酸エチル;ヘキサン酸アリル;ヘプタン酸エチル;ヘプタン酸アリル;オクタン酸エチル;エチル(E,Z)-2,4-デカジエノエート;メチル2-オクチネート;メチル2-ノニネート;アリル2-イソアミルオキシアセテート;メチル3,7-ジメチル2,6-オクタジエノエート;
- 環式アルコールのエステル、例えば、2-te/t-ブチル酢酸シクロヘキシル;4-te/t-ブチル酢酸シクロヘキシル;2-ieri-ペンチル酢酸シクロヘキシル;4-te/t-ペンチル酢酸シクロヘキシル;デカヒドロ-2-ナフチルアセテート;3-ペンチルテトラヒドロ-2/-/-ピラン-4-イルアセテート;デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-2-ナフチルアセテート;4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または-6-インデニルアセテート;4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または-6-インデニルプロピオネート;4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または-6-インデニルイソブチレート;4,7-メタノオクタヒドロ-5-または-6-インデニルアセテート;
- 芳香脂肪族アルコールおよび脂肪族カルボン酸のエステル、例えば、酢酸ベンジル;プロピオン酸ベンジル;イソ酪酸ベンジル;イソ吉草酸ベンジル;2-酢酸フェニルエチル;2-フェニルエチルプロピオネート;2-フェニルエチルイソブチレート;2-イソ吉草酸フェニルエチル;1-酢酸フェニルエチル;a-トリクロロメチルベンジルアセテート;α,α-ジメチルフェニルエチルアセテート;α,α-ジメチルフェニルエチルブチレート;酢酸シンナミル;2-フェノキシエチルイソブチレート;4-メトキシベンジルアセテート;
- 脂環式カルボン酸のエステル、例えば、アリル3-シクロヘキシルプロピオン酸;アリルシクロヘキシルオキシアセテート;メチルジヒドロジャスモネート;ジャスモン酸メチル;メチル2-ヘキシル-3-オキソシクロペンタンカルボキシレート;エチル2-エチル-6,6-ジメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート;エチル2,3,6,6-テトラメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート;エチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテート;
- 芳香族および芳香脂肪族カルボン酸エステル、例えば、安息香酸メチル;安息香酸エチル;安息香酸ヘキシル;安息香酸ベンジル;フェニル酢酸メチル;フェニル酢酸エチル;フェニル酢酸ゲラニル;フェニル酢酸フェニルエチル;ケイ皮酸メチル;ケイヒ酸エチル;ケイヒ酸ベンジル;ケイ皮酸フェニルエチル;ケイヒ酸シンナミル;フェノキシ酢酸アリル;サルチル酸メチル;サリチル酸イソアミル;サリチル酸ヘキシル;サリチル酸シクロヘキシル;cis-3-ヘキセニルサリチレート;サリチル酸ベンジル;サリチル酸フェニルエチル;メチル2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート;エチル3-フェニルグリシデート;エチル3-メチル-3-フェニルグリシデート。
【0119】
本発明による方法の目的に対して、群(i)~(v)の代表として特に好ましいアルデヒド、アセタール、エステルおよびラクトンを、これらの商品名と共に以下に列挙する:
【0120】
アルデヒド類:2-メチルペンタナール;アルデヒドC12 MNA HM;アルデヒドC4;アルデヒドC5;アルデヒドC6;アルデヒドC7;アルデヒドC8;アルデヒドC9;アルデヒドC10;アルデヒドC11 ISO;アルデヒドC11 MOA PURE;アルデヒドC11 UNDECANAL;アルデヒドC11 UNDEYLENIC;アルデヒドC12;アルデヒドC12 MNA;アルデヒドC13;ALDEHYDE MADARINE;AMYL CINNAMIC ALDEHYDE ALPHA;ANISALALDEHYDE-O;ANISYL ALDEHYDE;BENZALDEHYDE NAT.;BERGAMAL;BORONAL;BOURGENOAL;CAMPHONELIC ALDEHYDE;CITRAL;CITRONELLAL HM;CITRONELLYL OXYACET ALDEHYDE;CITRYLAL;CITROYLAL E HM;CORTEX ALDEHYDE;CORTEX ALDEHYDE 50 PCT PEMOSA;CROTONIC ALDEHYDE;CUMINAL ALDEHYDE;CYCLAMEN ALDEHYDE;DECADIENAL TRANS、TRANS-2,4、DECANAL CIS-4;DECANAL TRANS-2;DECANAL TRANS-2 NAT;DECANAL TRANS-4;DECANAL-9,1;DODECANIENAL 2,6;DODECANAL TRANS-2;DUPICAL;EPOXYDECENAL-4,5-2 10%TRI;ETHYL HEXANAL;FARENAL(登録商標);FLORHYDRAL;GERALDEHYDE;HELIONAL;HELIOPAN;HELIOTROPIN;HEPTADIENAL TRANS、TRANS,2-4;HEPTENAL CIS-4;HEPTENAL TRANS-2;HEXENAL TRANS-2;HEXYL CINNAMIC ALDEHYDE ALPHA;HYDRATROPIC ALDEHYDE;HYDROXY CITRONELLAL;INTRELEVEN ALDEHYDE SPEC.;ISONONYL ALDEHYDE;ISOVALERIC ALDEHYDE;LEMON ALDEHYDE H&R JS I;LILIAL;LINOLAL;LYRAL;MAJANTAL;MANDRINAL;MANDRAINE ALDEHYDE10% IN TEC BHT;MEFRANAL;MELONAL(登録商標);METHODY CITRONELLAL;METHYL BUTYRALDEHYDE;METHYL CINNAMIC ALDEHYDE ALPHA;METHYL PHENYLPENTENAL-4,2,2;METHYL THIO PROPANAL-3;METHYL TRIDECANAL-12 10% VT;METHYL-3-BUTEN-2-AL;METHYL-5-PHENYL-2-HEXENE-2-AL;MUGENAL50 DPG;NEOCYCLO CITRAL;NONADIENAL;TRANS、CIS-2,6;NONENALCIS-6;NONENAL TRANS-2;ONCIDAL(登録商標)3/060251;PENTENAL TRANS-2;PERILLA ALDEHYDE;PHENYLACET ALDEHYDE;PHENYLBUTENAL TRANS-2,2;PHENYLPROPYL ALDEHYDE;PINOACET ALDEHYDE;PROFRANESAL;PROPIONALALDEHYDE 2-(P-TOLYL);PROPIONIC ALDEHYDE;PS-IRALDEIN X NEU;SAFRANAL;SALICYLIC ALDEHYDE FG;SILVIAL;TETRAHYDRO CITRAL;TIGLIC ALDEHYDE-2,2;TOLYL ALDEHYDE PARA FG;TRIDECENAL TRANS-2;TRIFERNAL;UNDECADIENAL-2,4;UNDECENAL TRANS-2;VERNALALDEHYDE;VERTOCITRAL;VERTOMUGAL;VERTIPRENAL;VETRAL ROH;ZIMTALDEHYDE NAT.HM;アセタール類:FLOROPAL;HEPTANAL DIETHYL ACETAL;NONANDIENAL DIETHYL ACETAL;OKOUMAL;PHENYLACET ALD.GLYCERINACETAL;PHENYLACETALDEYHDEDIMETHYLACETAL;エステル:JASMAL;JESSEMAL;KHARISMAL;TIRAMISONE(登録商標)。
【0121】
代替の実施形態では、本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルは、封入しようとする活性成分としてまたはコア材料として、フレグランス混合物もしくは香油、または着香料混合物もしくは着香料を使用する。これらは、少なくとも1種のフレグランス化合物または1種の着香料を含む組成物であり、そのような香油または芳香の製造のために使用することができる。そのような組成物、特にフレグランス混合物または香油は、好ましくは、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれよりも多くの種類のフレグランス化合物を含む。フレグランス混合物または香油は、好ましくは、以下からなる群から選択される:天然原料の抽出物;精油、花香油、アブソリュート、樹脂、レジノイド、バルサム、チンキ、例えばアンバーグリスチンキ;アミリス油;アンジェリカ種子油;アンジェリカ根油;アニス油;アルモアズ油;バレリアン油;バジル油;ツリーモスアブソリュート;ベイ油;ヨモギ油;ベンゾイン樹脂;ベルガモット油;ミツロウアブソリュート;バーチタール油;ビターアーモンド油;セイボリー油;ブチュ葉(bucco leaf)油;カブリューバ(cabreuva)油;カデ(cade)油(ジュニパータール油);カラマス(calmus)油;カンファー油;カナンガ油;カルダモン油;カスカリラ油;カシア油;カッシーアブソリュート;カストリウムアブソリュート;シダーリーフ油;シダーウッド油;シスタス油;シトロネラ油;シトロン油;コパイババルサム;コパイババルサム油;コリアンダー油;コスタス根油;クミン油;サイプレス油;ダバナ油;ディルハーブ油;ディル種子油;オーデブロウツアブソリュート(eau de brouts absolute);オークモスアブソリュート;エレミ油;タラゴン油;ユーカリシトリオドラ油;ユーカリ油;ウイキョウ油;スプルースニードル油;モミ針葉油;ガルバヌム油;ガルバヌム樹脂;ゼラニウム油;グレープフルーツ油;グァヤックウッド油;グルジュンバルサム(gurjun balsam);グルジュンバルサム油;ヘリクリサムアブソリュート;ヘリクリサム油;ジンジャー油;アヤメ根アブソリュート;アヤメ根油;ジャスミンアブソリュート;カラムス油;カモミール油ブルー;カモミール油ローマン;キャロットシード油;カスカリラ油;パインニードル油;カーリーミント油;キャラウェイ油;ラブダナム油;ラブダナムアブソリュート;ラブダナム樹脂;ラバンジンアブソリュート;ラバンジン油;ラベンダーアブソリュート;ラベンダー油;レモングラス油;ロベージ油;蒸留ライム油;圧搾ライム油;リナロール(linalool);アオモジ(litsea cubeba)油;ローレル油;ローレルリーフ油;メース(macis)油;マジョラム油;マンダリン油;マッソイア樹皮(massoi bark)油;ミモザアブソリュート;ムスクグレイン油;ムスクチンキ;マスカットセージ油;ナツメグ油;ミルラアブソリュート;ミルラ油;ミルトル油;クローブリーフ油;クローブブロッサム油;ネロリ油;オリバナムアブソリュート;オリバナム油;オポパナクス油;オレンジブロッサムアブソリュート;オレンジ油;オリガナム油;パルマローザ油;パチョリ油;シソ油;ペルーバルサム油;パセリ葉油;パセリ種子油;プチグレン油;ペパーミント油;ペッパー油;オールスパイス油;パイン油;ポレイ(poley)油;ローズアブソリュート;ローズウッド油;ローズ油;ローズマリー油;セージ油ダルマチアン;セージ油スパニッシュ;サンダルウッド油;セロリ種子油;スパイシーラベンダー油;スターアニス油;スチラックス油;タジェット油;モミ針葉油;ティーツリー油;テレビン油;タイム油;トルーバルサム;トンカ油;チュベローズアブソリュート;バニラエキス;バイオレットリーフアブソリュート;バーベナ油;ベチバー油;ジュニパーベリー油;ワイン酵母油;ワームウッド油;ウィンターグリーン油;イランイラン油;ヒソップ油;シベット油;シナモンリーフ油;シナモンバーク油;およびそれらの画分またはそれらから分離された成分。
【0122】
本発明によるマイクロカプセルの製造に親油性活性成分として使用される例示的な清涼化剤は、メントールおよびメントール誘導体(例えば、L-メントール、D-メントール、ラセミメントール、イソメントール、ネオイソメントール、ネオメントール)、メンチルエーテル(例えば(1-メントキシ)-2-プロパンジオール、(1-メントキシ)-2-メチル-1,2-プロパンジオール、1-メンチルメチルエーテル)、メンチルエステル(例えばギ酸メンチル、酢酸メンチル、イソ酪酸メンチル、乳酸メンチル、L-メンチルL-ラクテート、L-メンチルD-ラクテート、メンチル(2-メトキシ)アセテート、メンチル(2-メトキシエトキシ)アセテート、メンチルピログルタメート)、メンチル炭酸(例えば、メンチルプロピレングリコールカーボネート、メンチルエチレングリコールカーボネート、メンチルグリセロールカーボネートまたはこれらの混合物)、メントールとジカルボン酸の半エステルまたはその誘導体(例えば、コハク酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル、マロン酸モノメンチル、O-メンチルスクシネート-N,N-(ジメチル)アミド、O-メンチルスクシンアミド)、メンタンカルボキサミド(例えば、メンタンカルボン酸-N-エチルアミド[WS3]、N-アルファ-(メタンカルボニル)グリシンエチルエステル[WS5]、メンタンカルボン酸-N-(4-シアノフェニル)アミド、メンタンカルボン酸-N-(アルコキシアルキル)アミド)、メントンおよびメントン誘導体(例えば、L-メントングリセロールケタール)、2,3-ジメチル-2-(2-プロピル)-ブタン酸誘導体(例えば、2,3-ジメチル-2-(2-プロピル)-ブタン酸-N-メチルアミド[WS23])、イソプレゴールまたはそのエステル(1-(-)-イソプレゴール、1-(-)-イソプレゴールアセテート)、メンタン誘導体(例えば、p-メンタン-3,8-ジオール)、キューブボルまたはキューブボルを含有する合成もしくは天然混合物、シクロアルキルジオン誘導体のピロリドン誘導体(例えば3-メチル)-2-(1-ピロリジニル)-2-シクロペンテン-1-オン)またはテトラヒドロピリミジン-2-オン(例えば、WO2004/026840に記載されているイシリンまたは関連化合物)のうちの1種または複数を含む。他の清涼化剤はメントール(L-メントール、D-メントール、ラセミメントール、イソメントール、ネオイソメントール、ネオメントール)、L-メンチルメチルエーテル、ギ酸メンチル、酢酸メンチル)、メントン、イソプレゴール、L-(-)-イソプレゴールアセテート)およびキューブボルであり、これらは清涼味を有する。適切な清涼化剤は当技術分野で周知であり、例えば、US2017/216802(A1)、US2010/273887(A1)、EP2033688(A2)およびEP1958627(A2)に記載されている。
【0123】
代替の変形例では、本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルにおいて、TRPV1またはTRPV3モジュレーターが、封入しようとする活性物質として、またはコア材料として使用される。TRPV1およびTRPV3モジュレーターは従来技術において公知であり、バニロイド(TRPV)サブファミリーのTRP(一過性受容体電位)チャネルに関する。TRPV1モジュレーターはカプサイシンおよびピペリンに関連するスパイシーな味覚および熱い感覚を付与する。TRPV3タンパク質は、温度感覚および血圧調節を含む様々なプロセスにおいて機能する非選択的カチオンチャネルのファミリーに属する。TRPV3チャネルはいくつかの天然化合物、例えば、カルバクロール、チモールおよびオイゲノールにより直接活性化される。温かい感覚を引き起こすか、または皮膚増感剤のいずれかである一部の他のモノテルペノイドもまたチャネルを開くことができる。モノテルペノイドはまたカルシウムに依存しない方式でも、TRPV3チャネルのアゴニストに特異的な脱感作を誘発する。
【0124】
さらなる変化形では、本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルは、封入しようとする活性物質としてまたはコア材として、辛味または温覚もしくは熱感を皮膚もしくは粘膜に、またはヒリヒリ感を口もしくは喉に引き起こす物質、あるいは辛味または刺激性または収れん作用を有する活性物質からなる群から選択される活性物質を使用する。
【0125】
熱を誘発するまたは辛味の活性成分は、好ましくは以下からなる群から選択される:パプリカ粉末、トウガラシ粉末、パプリカ抽出物、コショウ抽出物、トウガラシ抽出物、ショウガ根抽出物、グレインズオブパラダイス(Aframomum melegueta)抽出物、オランダセンニチ抽出物(Jambu oleoresin;Spilanthes acmella、またはSpilanthes oleracea)、サンショウ抽出物(Zanthoxylum piperitum)、Kaempferia galanga抽出物、Alpinia galanga抽出物、ヤナギタデ(Polygonium hydropiper)抽出物、カプサイシノイド、特にカプサイシン、ジヒドロカプサイシンまたはノニバミド;ギンゲロール、特にギンゲロール-[6]、ギンゲロール-[8]、またはギンゲロール-[10];ショウガオール、特にショウガオール-[6]、ショウガオール-[8]、ショウガオール-[10];ギンゲルジオン、特にギンゲルジオン-[6]、ギンゲルジオン-[8]またはギンゲルジオン-[10];パラドール、特にパラドール-[6]、パラドール-[8]またはパラドール-[10];デヒドロギンゲルジオン、特にデヒドロギンゲルジオン-[6]、デヒドロギンゲルジオン-[8]またはデヒドロギンゲルジオン-[10];ピペリン;ピペリン誘導体;エチル2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ-フェニル)アセテートおよび3-フェニルプロピル2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ-フェニル)アセテートならびにこれらの混合物。
【0126】
辛味または刺激性として認知される活性物質は、好ましくは芳香族イソチオシアネート、特にフェニルエチルイソチオシアネート、アリルイソチオシアネート、シクロプロピルイソチオシアネート、ブチルイソチオシアネート、3-メチルチオプロピルイソチオシアネート、4-ヒドロキシベンジルイソチオシアネート、4-メトキシベンジルイソチオシアネートおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0127】
刺激剤(tingling agent)は、好ましくは、以下からなる群から選択される:2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミド(trans-ペリトリン(pellitorin))、特にWO2004/043906に記載されているもの;2E,4Z-デカジエン酸-N-イソブチルアミド(cis-ペリトリン(pellitorin))、特にWO2004/000787に記載されているもの;2Z,4Z-デカジエン酸-N-イソブチルアミド;2Z,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミド;2E,4E-デカジエン酸-N-([2S]-2-メチルブチル)アミド;2E,4E-デカジエン酸-N-([2S]-2-メチルブチル)アミド;2E,4E-デカジエン酸-N-([2R]-2-メチルブチルアミド);2E,4Z-デカジエン酸-N-(2-メチルブチル)アミド;2E,4E-デカジエン酸-N-ピペリド(アチルアミド(achilleamide));2E,4E-デカジエン酸-N-ピペリド(サルメンチン(sarmentin));2E-デセン酸-N-イソブチルアミド;3E-デセン酸-N-イソブチルアミド;3E-ノネン酸-N-イソブチルアミド;2E,6Z,8E-デカトリエン酸-N-イソブチルアミド(スピラントール);2E,6Z,8E-デカトリエン酸-N-([2S]-2-メチルブチル)アミド(ホモスピラントール(homospilanthol));2E,6Z,8E-デカトリエン酸-N-([2R]-2-メチルブチル)アミド;2E-デセン-4-イン酸-N-イソブチルアミド;2Z-デセン-4-イン酸-N-イソブチルアミド;2E,6Z,8E,10E-ドデカテトラエン酸-N-(2-メチルプロピル)アミド(アルファ-サンショオール);2E,6Z,8E,10E-ドデカテトラエン酸-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)アミド(アルファ-ヒドロキシサンショオール);2E,6E,8E,10E-ドデカテトラエン酸-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)アミド(ガンマ-ヒドロキシサンショオール);2E,4E,8Z,10E,12E-テトラデカペンタエン酸-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)アミド(ガンマ-ヒドロキシサンショオール);2E,4E,8E,10E,12E-テトラデカペンタエン酸-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)アミド(ガンマ-ヒドロキシイソサンショオール);2E,4E,8Z,10E,12E-テトラデカペンタエン酸-N-(2-メチル-2-プロペニル)アミド(ガンマ-デヒドロサンショオール);2E,4E,8Z,10E,12E-テトラデカペンタエン酸-N-(2-メチルプロピル)アミド(ガンマ-サンショオール);2E,4E,8Z,11Z-テトラデカテトラエン酸-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)アミド(ブンゲアノオール);2E,4E,8Z,11E-テトラデカトリエン酸-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)アミド(イソブンゲアノオール);2E,4E,8Z-テトラデカトリエン酸-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)アミド(ジヒドロブンゲアノオール)および2E,4E-テトラデカジエン酸-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)アミド(テトラヒドロブンゲアノオール)ならびにこれらの混合物。
【0128】
収れん作用を有する活性物質は、好ましくは以下からなる群から選択される:カテキン、特にエピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキンおよびこれらのそれぞれの没食子酸エステル、特に没食子酸エピガロカテキンまたは没食子酸エピカテキン、これらのオリゴマー(プロシアニジン、プロアントシアニジン、プロデルフィニジン、プロシアニジン、テアルビジン(thearubigenins)、テオガリン)ならびにこれらのC-グリコシドおよびO-グリコシド;ジヒドロフラボノイド、例えば、ジヒドロミリセチン、タキシフォリン、ならびにこれらのC-グリコシドおよびO-グリコシド、フラボノール、例えば、ミリセチン、ケルセチンならびにこれらのC-グリコシドおよびO-グリコシド、例えば、ケルセトリン、ルチン、炭水化物の没食子酸エステル、例えば、タンニン、ペンタガロイルグルコースまたはこれらの反応生成物、例えば、エラギタンニン(elligatannin)、アルミニウム塩、例えばミョウバン、およびこれらの混合物。本発明によるマイクロカプセルの製造において、親油性活性成分として使用される例示的な温感剤は、含む。
【0129】
本発明による方法のさらなる変化形において、生物起源の成分をコア材として封入することもでき、このコア材は少なくとも1種の生物起源の成分またはこれらの混合物を含む。
【0130】
生物成分(biogenic principles)は、生物活性を有する活性成分、例えば、トコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェロール、アスコルビン酸、カルノチン(carnotine)、カルノシン、カフェイン、(デオキシ)リボ核酸およびその断片化生成物、β-グルカン、レチノール、ビサボロール、アラントイン、フィタントリオール、パンテノール、AHA酸、アミノ酸、セラミド、疑似セラミド、精油、植物エキス、ならびにビタミン複合体である。
【0131】
本発明による方法のさらなる変化形では、その開示がその全体において本発明の明細書に参照により組み込まれているUS2800457Aに記載されているように、印刷用紙コーティング用の物質もまた封入しようとする活性成分としてまたはコア材としても使用される。
【0132】
本発明によるマイクロカプセルを調製するための親油性活性成分または親油性活性成分混合物の含有量は、内部非水相の総重量に対して、90.0~99.9重量%、好ましくは97.0~99.5重量%である。
【0133】
1種または複数の活性成分構成成分の内部非水相に対する比は、好ましくは50:1~20:1の間、さらにより好ましくは40:1~30:1の間である。
【0134】
よって、本発明による方法を使用して、活性成分を有する本発明のマイクロカプセルの高い充填量を達成することが可能である。
【0135】
さらに、本発明による方法の第1の重合および/または架橋工程(a)は、少なくとも1種の保護コロイドおよび任意選択で乳化剤(a2)を含む外部水相を準備する工程を含む。
【0136】
この目的のために、保護コロイドおよび任意選択で乳化剤を外部水相、好ましくは水性溶媒に溶解する。適切な溶媒は水または水と少なくとも1種の水混和性有機溶媒との混合物である。適切な有機溶媒は、例えばグリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、エタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよび他のアナログである。しかし、好ましくは、溶媒は水である。
【0137】
保護コロイドは、懸濁液または分散液中に、乳化した、懸濁したまたは分散した構成成分が群がる(凝集、凝固、フロキュレーション)ことを阻止するポリマー系である。溶媒和の間、保護コロイドは大量の水と結合し、濃度に応じて、水溶液中で高い粘性を生じる。水中油型エマルジョンの生成の間、保護コロイドはそれ自体その疎水性部分を有する一次粒子に結合し、その極性のある、すなわち親水性の分子部分を水相の方向に向かせる。境界面とのこの結合を介して、保護コロイドは界面張力を低下させ、一次粒子の凝集を阻止する。加えて、保護コロイドはエマルジョンを安定化させ、比較的小さな小滴の形成、よって対応するマイクロカプセルの形成を助ける。
【0138】
本発明による方法では、保護コロイドはまた、上述の特性に加えて乳化特性も示す。保護コロイド、例えば、カルボキシメチルセルロース、酸変性デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールのアンモニウム誘導体、ポリスチレンスルホネート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアクリレートの乳化特性が十分である場合、したがって有利には、本発明による方法における乳化剤の使用を省くことさえ可能である。
【0139】
本発明による方法において使用される保護コロイドは、
- ジオール、特にエタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、異性体ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール、および
- ポリオール、好ましくはトリオール、特にグリセロールおよびそのエトキシ化およびプロポキシ化生成物、トリメチロールプロパンおよびそのエトキシ化およびプロポキシ化生成物、ポリビニルアルコール(PVOH)およびその誘導体、特にアンモニウム-またはスルホネート官能化ポリビニルアルコール、ポリフェノール、好ましくは1,3,5-トリヒドロキシベンゼン、多糖、特にグルコース、デンプンまたは化学的、機械的および/もしくは酵素的に加工したデンプン、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、特に四級化ヒドロキシエチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロース、
- ポリビニルピロリドン、マレイン酸ビニルコポリマー、リグノスルホン酸ナトリウム、無水マレイン酸/スチレンコポリマー、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、酸化エチレン、酸化プロピレンおよびポリエトキシル化ソルビトールの酸エステル、ドデシル硫酸ナトリウムのコポリマー、
- 動物および植物ポリマー、特にアラビアゴガム(セネガルタイプおよびセイヤルタイプ)、タンパク質、ゼラチン、オリバナム樹脂、セラック、リグニン、キトサン、サポニン
ならびに上述の化合物の混合物
からなる群から選択される。
【0140】
好ましくは、外部水相はポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1種の保護コロイドを含む。ポリビニルピロリドンは特に好ましい。市販の標準的ポリビニルピロリドンは約2500~750000g/モルの範囲の分子量を有する。保護コロイドとして、ポリビニルアルコールまたはそのアンモニウム誘導体、1,3,5-トリヒドロキシベンゼンまたはデンプン、特に加工デンプン、または動物もしくは植物ポリマーが本発明によるマイクロカプセルの生成に特に好ましい。
【0141】
デンプン、特に加工デンプン、または動物もしくは植物ポリマーは生分解性の自然発生物質である。よって、本発明の方法は、本明細書に記載されているポリイソシアネートと組み合わせて、バイオベースおよび生分解性カプセルシェルを提供することができる。したがって、本発明による方法では、デンプンならびに動物および植物ポリマーはいわゆるバイオクロスリンカーとしても機能する。
【0142】
本発明による方法に使用されるデンプンは、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、ライムギデンプン、小麦デンプン、オオムギデンプン、カラスムギデンプン、米デンプン、エンドウマメデンプン、タピオカデンプンおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0143】
化学加工デンプンは好ましくは酸加工デンプン、アルカリ加工デンプン、酸化デンプン、アセチル化デンプン、コハク化デンプンまたはアセチルコハク化(ocentylsuccinated)デンプンである。
【0144】
本発明に従い、2種またはそれよりも多くの異なる保護コロイドの組合せを使用して、本発明によるマイクロカプセルを生成することもできる。
【0145】
上述の保護コロイドのうちの1種とデンプンの組合せがさらなる保護コロイドとして外部水相に使用された場合、本発明による方法に特に有利であることが立証されている。このような組合せは、多数の官能ヒドロキシル基によりエマルジョンを安定化させ、他方では、保護コロイドとポリイソシアネートとの間の反応を支持し、これによって保護コロイドとポリイソシアネートとの反応における反応平衡が生成物側、すなわちポリウレタンへとシフトする。デンプン中の多数の官能ヒドロキシル基はまた、空間的に、特に顕著な架橋結合の形成を可能にする。
【0146】
官能基の数および/または保護コロイドのサイズに応じて、上述の保護コロイドの、少なくとも1種のポリイソシアネートのイソシアネート基との反応速度は異なる。例えば、グリセロールは、例えば、そのサイズにより、デンプンより速くイソシアネート基と反応する。したがって、ポリイソシアネートのイソシアネート基との保護コロイドの架橋は、保護コロイドの選択により制御することができる。
【0147】
グリセロールとデンプンもしくは加工デンプンまたはグリセロールと四級化ヒドロキシエチルセルロースもしくはアラビアゴムタイプセイヤルの組合せは、特に有利な組合せであることが証明されている。このような組合せで、一方では、両方の保護コロイドの先に記載した特性、すなわちグリセロールの速い反応速度を利用し、もう一方では、デンプンのいくつかの重合可能な官能基を利用する。
【0148】
本発明による方法において使用される保護コロイドは二重の機能を有する。一方では、これらは保護コロイドとして作用し、よって乳化した、懸濁したまたは分散した構成成分の凝集を阻止し、続いて形成されたエマルジョンを安定化させ、小さな小滴の形成を促進し、最終的に形成されるマイクロカプセル分散液を安定化させる。
【0149】
他方では、保護コロイドは、例えば官能基、特にOH基の重合可能な特性により、重合下で少なくとも1つまたはそれよりも多くのポリイソシアネートと架橋結合する。少なくとも1種のポリイソシアネートとの架橋により、ポリマー層は乳化工程(a3)の間にすでに形成され、これがカプセル壁の構造に寄与し、その構成成分となる。
【0150】
驚くべきことに、保護コロイド、好ましくは、ポリオールの存在下で、外部水相における内部非水相の乳化または懸濁中に既に、本発明によるマイクロカプセルのコアを形成する封入しようとする活性物質の乳化されたまたは懸濁された疎水性液滴と、外部相との境界面での界面重合により、コア付近に重合および/または架橋が形成されることを見出した。重合および/または架橋は、ポリイソシアネートと保護コロイド、好ましくはポリオールとの重付加反応に基づき、以下の式に従いポリウレタンのカプセルシェルまたはカプセル壁を形成する:
nO=C=N-R-N=C=O+nHO-R-OH- → (-R-O-CO-NH-R-NH-CO-O-)
【0151】
これは気体発生および二酸化炭素の放出により示される。
【0152】
乳化工程中に既にポリマー層を形成することにより、封入しようとする活性成分、特にアルデヒド、カルボン酸、またはエステル官能基を有する活性成分は、必要に応じて、特にその後の方法工程で脱プロトン化、酸化またはけん化を防ぐまたは少なくとも最小化することができ、その結果親油性活性成分の損失を低減またはなくすことができるように保護される。そのような分解生成物は、通常、エマルジョンの不安定性にも寄与する。
【0153】
本発明によれば、使用される保護コロイドまたはコロイドの水相に対する量の比率は、好ましくは1:50~1:10の範囲内、より好ましくは1:40~1:30の範囲内である。
【0154】
外部水相中の保護コロイドの内部非水相中のポリイソシアネートに対する比は、1:5~1:2の範囲、好ましくは1:2~1:1の範囲である。
【0155】
使用する保護コロイドの量または使用する保護コロイドの組合せの量は、したがって、外部水相の総重量を基準として、1~8wt.%の範囲、好ましくは2~4wt.%の範囲、さらにより好ましくは3~4wt.%の範囲である。
【0156】
少なくとも1種の保護コロイドは、カプセルシェルの成分であっても、そうでなくてもよい。特に、上述のような高い反応性を有する保護コロイドは、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基とより迅速にまたは容易に反応し、したがってカプセルシェルまたはカプセル壁の一部であるポリウレタン架橋単位を、カプセルの重量を基準として、0.1~最大15wt.%の量で、好ましくは1~5wt.%、さらにより好ましくは1.5~3wt.%の範囲で形成する。
【0157】
内部非水相および外部水相からのエマルジョンの形成を促進し、形成されたエマルジョンを安定化し、内部非水(油性/有機性/疎水性)相および外部水(親水性)相の分離を防ぐために、本発明による方法では、乳化剤または乳化助剤が外部水相に任意選択で添加される。乳化剤の添加は、保護コロイドが乳化特性を有さないまたは低い乳化特性しか有さない、すなわち乳化特性が不十分な場合に任意選択で行われる。保護コロイドの乳化が使用される場合、本発明による方法において乳化剤の使用を有利に省略することもできる。
【0158】
本発明による方法では、乳化剤としてO/W乳化剤が好ましくは使用され、これにより内部非水相の油滴を外部水相に均一に分散させて、エマルジョンを安定化させることができる。これが、こうして得られた分散液を安定化させるために、外部水相中の固体の不溶性活性物質を混合するのにも適用される。
【0159】
適切な乳化剤としては、例えば、以下の群の少なくとも1種からの非イオン性界面活性剤が挙げられる:
- 酸化エチレン2~30モルおよび/または酸化プロピレン0~5モルの、C-原子8~22個を有する直鎖脂肪アルコール、C原子12~22個を有する脂肪酸、アルキル基に8~15個のC-原子を有するアルキルフェノール、ならびにアルキル基に8~22個の炭素原子を有するアルキルアミンへの付加生成物;
- アルキル(アルケニル)基に炭素原子8~22個を有するアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシドならびにそのエトキシ化類似体;
- 酸化エチレン1~15モルのヒマシ油および/または水素添加ヒマシ油への付加生成物;
- 酸化エチレン15~60モルのヒマシ油および/または水素添加ヒマシ油への付加生成物;
- グリセロールおよび/またはソルビタンと、12~22個の炭素原子を有する不飽和、直鎖もしくは飽和、分枝の脂肪酸および/または3~18個の炭素原子を有するヒドロキシカルボン酸の部分エステル、ならびに酸化エチレン1~30モルとのそれらの付加物;
- ポリグリセロール(平均自己縮合度2~8)、ポリエチレングリコール(分子量400~5000)、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、アルキルグルコシド(例えば、メチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)およびポリグルコシド(例えば、セルロース)と、飽和および/もしくは不飽和、12~22個の炭素原子を有する直鎖または分枝脂肪酸、ならびに/または3~18個の炭素原子を有するヒドロキシカルボン酸の部分エステル、ならびに酸化エチレン1~30モルとのそれらの付加物、好ましくは、Cremophor(登録商標);
- ペンタエリトリトール、脂肪酸、クエン酸、および脂肪アルコールの混合エステル、ならびに/または6~22個の炭素原子を有する脂肪酸、メチルグルコース、およびポリオール、好ましくは、グリセロールもしくはポリグリセロールの混合エステル;
- モノ-、ジ-およびトリアルキルホスフェート、ならびにモノ-、ジ-および/またはトリ-PEG-アルキルホスフェート、ならびにそれらの塩;
- ウールワックスアルコール;
- ポリシロキサン-ポリアルキル-ポリエーテルコポリマーまたは対応する誘導体;ブロックコポリマー、例えば、ポリエチレングリコール-30ジポリヒドロキシステアレート;ポリマー乳化剤、例えば、GoodrichからのPemulenタイプ(TR-1、TR-2)またはCognisからのCosmedia(登録商標)SP;
- ポリアルキレングリコールおよびグリセリンカーボネート。
【0160】
イソシアネートベースのマイクロカプセルの生成のために本発明の方法に使用することができる典型的なアニオン性乳化剤は、12~22個の炭素原子を有する、脂肪族脂肪酸、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸またはベヘン酸、ならびに12~22個の炭素原子を有するジカルボン酸、例えば、アゼライン酸またはセバシン酸である。
【0161】
さらに、双性イオン界面活性剤は、本発明の方法において、イソシアネートベースのマイクロカプセルの生成のため、乳化剤として使用することができる。双性イオン界面活性剤という用語は、分子中に少なくとも1つの第四級アンモニウム基および少なくとも1つのカルボキシレート基および1つのスルホネート基を有する表面活性化合物について記載するために使用される。特に適切な双性イオン界面活性剤は、いわゆるベタイン、例えば、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、ココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、それぞれアルキルまたはアシル基中に8~18個のC原子を有するココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート、および2-アルキル-3-カルボキシルメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリンならびにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。CTFA命名ココアミドプロピルベタインとして公知の脂肪酸アミド誘導体が特に好ましい。
【0162】
両面界面活性剤もまた適切な乳化剤である。両面界面活性剤は、分子内のC8/18アルキルまたはアシル基に加えて、少なくとも1つの遊離アミノ基および少なくとも1つの-COOHまたは-SO3H基を含有し、分子内塩を形成することが可能な表面活性化合物である。適切な両面界面活性剤の例は、アルキル基中にそれぞれ約8~18個の炭素原子を有するN-アルキルグリシネス、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシネス、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸である。特に好ましい両面界面活性剤はN-ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12/18-アシルサルコシンである。
【0163】
最後に、カチオン性界面活性剤も乳化剤として考えることができ、エステルクアット(esterquat)タイプのもの、好ましくはメチル-四級化ジ脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩、四級化ヒロドキシエチルセルロース、プロピレングリコールにより修飾されエピクロロヒドリンにより四級化されたキトサン、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド(DSDMAC)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルアルコニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム(臭化セトリモニウム)、デカリニウム塩化物が特に好ましい。
【0164】
乳化剤は、外部水相に、それぞれ外部水相の総重量に対して、約0.5~約10重量%、好ましくは約1~約5重量%の量で加えることができる。
【0165】
水性保護コロイド乳化剤溶液は、好ましくは撹拌しながら保護コロイドおよび任意選択で乳化剤を逐次的に外部水相に(または逆の順序で)添加することにより、または保護コロイドおよび任意選択で乳化剤を同時に外部水相に添加することにより調製される。
【0166】
本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの調製に対して、外部水相が任意選択で安定剤を溶解または分散して含有することによって、内部非水相(油性)および外部水相の分離を阻止すれば、それは有利となり得る。
【0167】
本発明によるイソシアネートベースのマイクロカプセルの生成に対して好ましい安定剤は主に、スルホネート基を有するアクリル酸コポリマーである。アクリルアミドとアクリル酸のコポリマー、アクリル酸アルキルとN-ビニルピロリドンのコポリマー、例えば、LUVISKOL(登録商標)K15、K30またはK90(BASF);ポリカルボン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ビニルおよびメチルビニルエーテル-無水マレイン酸コポリマーならびにエチレン、イソブチレンまたはスチレン-無水マレイン酸コポリマー、微結晶性セルロース(例えば、名称VIVAPUR(登録商標)で市販されている)、ジウタンガム、キサンタンガムまたはカルボキシメチルセルロースも適切である。
【0168】
使用する安定剤の量は、外水相に対して、いずれの場合も0.01~10wt.%、特に0.1~3wt.%の範囲であることが可能である。
【0169】
水中油型エマルジョンは、内部非水相と外部水相を混合することによって調製される。内部非水相と外部水相の重量比は、好ましくは2:1~1:10の範囲、より好ましくは1:2~1:4の範囲である。
【0170】
液体活性成分の場合のエマルジョンの形成または固体活性成分の場合の分散液の形成、すなわち外部水相または親水性相中の内部非水相または油相の乳化または分散は、高い乱気流または強い剪断下で起きる。得たマイクロカプセルの直径は、乱気流または剪断の強度で決定することができる。小滴サイズは光散乱測定または顕微鏡法でチェックすることができる。マイクロカプセルの生成は連続的または不連続的であることができる。水相の粘度が増加すると共にまたは油相の粘度が低減すると共に、結果として得られるカプセルのサイズは普通低減する。
【0171】
ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの生成のための本発明による方法は、例えば、「インライン」技術により強制作動させた定量ポンプを介して、または撹拌しながら従来の分散装置または乳化装置を介して行うことができる。
【0172】
外部水相中の内部非水相の乳化または分散は、本発明によるマイクロカプセルの生成のため、乳化タービン(IKA Eurostar20高速撹拌棒)の手段により行われる。本発明による方法の工程(a3)乳化方法は、30秒~20分間、好ましくは1~4分間の時間の間、1000rpm~5000rpm、好ましくは3000rpm~4000rpmの撹拌スピードで有利に行われる。
【0173】
乳化または分散工程(a3)の完了後、水中油型エマルジョンまたは分散液が存在し、その中で封入しようとする活性成分を有する内部油性相が液滴の形態で外部水相に微細に分散または乳化されている。
【0174】
本発明による方法のその後の工程(a4)では、カプセルシェルまたはカプセル壁の材料の第1の重合および/または架橋も撹拌下で実行される。第1の架橋は、触媒の存在下、少なくとも1種の第1のアミノ酸または少なくとも1種のアミノ酸塩酸塩を、好ましくは水溶液の形態で添加することにより行われる。アミノ酸またはアミノ酸塩酸塩および触媒の添加は20~30℃の温度で好ましくは行われる。
【0175】
少なくとも1種の第1のアミノ酸は、アルギニン、ヒスチジン、リシン、トリプトファン、オルニチンおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0176】
多くの場合、アミノ酸を塩酸塩として使用することが有利である。上述のアミノ酸塩酸塩は水にさらに簡単に溶解し、よって外部水相にさらに簡単に溶解する。さらに、アミノ酸の塩酸塩としての使用は反応混合物のpHを酸性にシフトさせ、これによって、改善された溶解度に加えて、少なくとも1種のポリイソシアネートと第1のアミノ酸との間の反応性を増加させ、したがって、これら2種の構成成分の間の重合および/または架橋の増加が予想できる。
【0177】
少なくとも1種のアミノ酸塩酸塩は、アルギニン塩酸塩、ヒスチジン塩酸塩、リシン塩酸塩、トリプトファン塩酸塩、オルニチン塩酸塩、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0178】
アミノ酸アルギニン、リシンおよびオルニチンまたは対応するアミノ酸塩酸塩は、側鎖に2つのアミノ基を有する化合物である。アミノ酸ヒスチジンおよびトリプトファンまたはそれぞれ対応する塩酸塩は、側鎖に1つのアミノ基および1つのNH官能基を有する。したがって、上述のアミノ酸またはこれらのアミノ酸塩酸塩は少なくとも1種のポリイソシアネートとの重合に対して多官能性を示す。
【0179】
少なくとも1種のポリイソシアネートの官能基と少なくとも1種のアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩との間の架橋により、第1の架橋単位または第1の架橋マトリックスが形成され、これがカプセルシェルまたはカプセル壁の一部となる。
【0180】
上述のアミノ酸のうち、塩基性-反応性アミノ酸アルギニンまたはその塩酸塩類似体は、アミノ酸としても塩酸塩としても、その水溶性、高い反応性およびpHのために、架橋剤として特に好ましい。
【0181】
アミノ酸またはアミノ酸塩酸塩の架橋剤としての使用は、生分解性および生体適合性に関する環境の観点から特に有利である。
【0182】
アミノ酸またはアミノ酸塩酸塩、すなわち第1の架橋剤は、エマルジョンに、例えば、固体として、または好ましくは水溶液の形態で加える。アミノ酸またはアミノ酸塩酸塩は水溶液中に0.5~2モル/l、好ましくは1モル/lの濃度で存在する。
【0183】
少なくとも1種のアミノ酸または少なくとも1種のアミノ酸塩酸塩の量は、1~3モルのアミノ基、好ましくは1~3モルのアミノ基がイソシアネート基の各モルに対して加えられるように調整する。
【0184】
本発明による方法における第1の架橋は、約10分~20分の期間、好ましくは12~18分の期間、最も好ましくは約15分の期間実行される。
【0185】
少なくとも1種のアミノ酸または少なくとも1種のアミノ酸塩酸塩の量は、通常、イソシアネート基1モルに対して、アミノ基1~3モル、好ましくはアミノ基1~2モルが添加されるように調整される。
【0186】
少なくとも1種のポリイソシアネートまたは複数のポリイソシアネートと第1のアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩との間で重合を誘発するために、特定の作用は必要とされない。反応は、アミノ酸またはアミノ酸塩酸塩の水中油型エマルジョンまたは分散液への添加直後に開始し、第1の架橋単位または第1の架橋マトリックスを形成する。少なくとも1種のポリイソシアネートまたは数種のポリイソシアネートおよびアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩の間の反応は十分に速いため、触媒を必要としない。
【0187】
本発明による方法における第1の架橋単位の形成は、ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートと、アミノ酸またはアミノ酸塩酸塩との重付加反応に基づく。カプセルシェルまたはカプセル壁を形成する第1の架橋単位はポリ尿素構造に基づく。ポリ尿素連結またはポリ尿素構造は、少なくとも1つのアミノ酸または少なくとも1つのアミノ酸塩酸塩のアミノ基(-NH)の、少なくとも1つポリイソシアネートのイソシアネート基への重付加により形成される:
nO=C=N-R-N=C=O+nHN-R-→ (-O-NH-R-NH-CO-NH-R-)
【0188】
本発明による方法では、カプセルシェルまたはカプセル壁の構築のための第1の架橋マトリックスまたは第1の架橋単位、特にポリ尿素架橋単位は、封入しようとする親油性活性物質を含む乳化されたまたは懸濁された油滴の境界面での界面重合により形成される。
【0189】
第1の架橋マトリックスまたは第1の架橋単位を形成することにより、コア材料、すなわち封入活性成分を有する乳化されたまたは分散された油滴は、境界面において外側の架橋マトリックスまたは架橋単位により封入され、したがってカプセル壁を生成し、それにより封入活性成分の拡散をより困難にする。
【0190】
エマルジョンまたは分散液への触媒の添加は、ポリイソシアネートおよびアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩の間の反応を促進し、ポリ尿素架橋マトリックスの形成に有利な反応を触媒する。
【0191】
本発明による方法において添加される触媒は好ましくはジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)である、これはまたトリエチレンジアミン(TEDA)とも呼ばれ、二環式第三級アミンである。DABCOは一般的に、ポリウレタンプラスチックの生成に対して触媒として使用される。自由電子対を有する第三級アミンは、内部非水相中の少なくとも1種の重合可能なポリイソシアネートおよびアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩のアミノ基の間の反応を促進する。
【0192】
DABCOに加えて、例えば、ビスマスまたはスズに基づく触媒もまた、第1の架橋、例えば、その開示がその全体において参照により本明細書に組み込まれているK.C.Frisch&L.P.Rumao、Catalysis in Isocyanate Reactions、Polymer Reviews、1970年、5巻:1号、103~149頁、DOI:10.1080/15583727008085365に記載されているように、ビスマス(II)塩またはビスマス(III)塩に基づく触媒の触媒作用のために使用される。
【0193】
ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)が触媒として特に好ましい。
【0194】
本発明によると、DABCOと、上述の触媒のうちの1種の組合せが好ましい。このような混合物は、その開示がその全体において本明細書に組み込まれている、K.C.Frisch&L.P.Rumao、Catalysis in Isocyanate Reactions、Polymer Reviews、1970年、5巻:1号、103~149頁、DOI:10.1080/15583727008085365に記載されているように、反応性の増大をもたらす。
【0195】
本発明による方法では、DABCOおよび上述の触媒は、2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有する少なくとも1つの重合可能なポリイソシアネートと、ジオールまたはポリオールとの間のポリウレタン反応を好ましくは触媒する。
【0196】
エマルジョンまたは分散液に添加される触媒の量は、エマルジョンまたは分散液の総重量を基準として、0.01~1wt.%の範囲、好ましくは0.05~0.2wt.%の範囲である。重合反応が緩やかな場合は、必要な触媒の量を適宜調整することができる。
【0197】
エマルジョンまたは分散液中の触媒と、内部非水相の少なくとも1種のポリイソシアネートまたはイソチオシアネートの比は、好ましくは1:20~1:50の範囲である。
【0198】
触媒は最初に水に分散または溶解し、次いでエマルジョンまたは分散液に撹拌しながら加えることが有利であると示されている。
【0199】
アミノ酸またはアミノ酸塩酸塩および触媒は、好ましくは500rpm~2000rpm、特に好ましくは1000rpm~1500rpmの撹拌速度で、および20℃~30℃の温度、好ましくは22℃~26℃の温度で添加される。
【0200】
本発明による方法における第1の重合および/または架橋は、約10分間~20分間の期間、好ましくは12~18分間の期間、最も好ましくは約15分間の期間の間行われる。
【0201】
驚くべきことに、乳化または懸濁工程の後に触媒を添加すると、カプセルの安定性が著しく向上する。このようにして製造されたカプセルは、触媒の添加なしで製造されたマイクロカプセルと比較して、50℃で10日間後でも著しく高い安定性を示し、比較のカプセルに関して遊離香油の著しい減少を示す。
【0202】
特に安定したカプセルは、触媒ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)を用いて生成される。
【0203】
本発明による方法における第1の重合および/または架橋工程(a)の後には、さらなる、すなわち、少なくとも1つのヒドロキシル基供与体を、方法工程(a4)で得た水中油型エマルジョンまたは分散液に添加することにより、第2の重合および/または架橋工程(b)を行い、カプセルシェルまたはカプセル壁をさらに作り上げる工程が続く。
【0204】
少なくとも1つのヒドロキシル基供与体は好ましくは、2つまたはそれよりも多くのヒドロキシル官能基を有し、40℃より上の温度で水溶性が良好~非常に良好なポリオールである。
【0205】
ヒドロキシル基供与体は、グリセロール、プロピレングリコール、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン、デンプン、加工デンプン、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、特に四級化ヒドロキシエチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロース、アラビアゴム(セネガルタイプおよびセイヤルタイプ)、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される。グリセロールおよびデンプンが好ましく、グリセロールが最も好ましい。
【0206】
本発明による方法において使用されるデンプンは、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、ライムギデンプン、小麦デンプン、オオムギデンプン、カラスムギデンプン、米デンプン、エンドウマメデンプン、タピオカデンプンおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0207】
加工デンプンは好ましくは化学加工デンプン、すなわち酸加工デンプン、アルカリ加工デンプン、酸化デンプン、アセチル化デンプン、コハク化デンプンまたはアセチルコハク化デンプンである。
【0208】
本発明に従い、上述のヒドロキシル基供与体の2つの異なる供与体の組合せを使用して、本発明によるマイクロカプセルを生成することもできる。
【0209】
これらのサイズに応じて、上述のヒドロキシル基供与体は、少なくとも1種のポリイソシアネートのイソシアネート基と異なる反応速度を有する。例えば、グリセロールは、例えば、そのサイズにより、デンプンより速くイソシアネート基と反応する。
【0210】
したがって、特に有利な組合せは、グリセロールとデンプンもしくは加工デンプンまたはグリセロールと四級化ヒドロキシエチルセルロースもしくはアラビアゴムタイプセイヤルの組合せであることが、証明されている。このような組合せで、一方では、両方のヒドロキシル基供与体の先に記載した特性、すなわちグリセロールの速い反応速度を利用し、もう一方では、デンプンのいくつかの重合可能な官能基を利用する。
【0211】
少なくとも1種のポリイソシアネートおよび/またはイソチオシアネートとヒドロキシル基供与体のヒドロキシル基の反応を通じて、カプセルシェルまたはカプセル壁の構築または形成のために、さらなる、すなわち第2の架橋マトリックスまたは第2の架橋単位が形成され、その構造は、上述のように、ポリイソシアネートおよび保護コロイドから第1の架橋単位と類似に誘導され得る。
【0212】
少なくとも1種のポリイソシアネートと、ヒドロキシル基供与体との重付加反応は、ヒドロキシル基供与体のヒドロキシル基(-OH)を、ポリイソシアネート基の炭素-窒素結合(-N=C=O)の炭素原子に添加することによって、いわゆるウレタン架橋(-NH-CO-C-)の形成を結果として生じる。
【0213】
このようなさらなるポリウレタン架橋単位を形成することによって、第1の重合および/または架橋工程(a4)で形成された第1のポリ尿素架橋単位はさらに架橋され、高密度化される。
【0214】
特に効率的な、高密度のおよび安定した架橋結合を得るために、ヒドロキシル基供与体との第2の重合および/または架橋工程(b)が40℃~60℃の間の温度、好ましくは45℃~55℃の間の温度、さらにより好ましくは45℃~50℃の間の温度で行われる。
【0215】
さらに、ヒドロキシル基供与体を900rpm~1700rpm、好ましくは1000rpm~1300rpmの撹拌スピードで添加することによってさらなる架橋の工程が行われることが好ましい。
【0216】
この文脈において、ヒドロキシル基供与体を水性形態で添加することは、特に安定した架橋をもたらし、したがって特に安定したカプセルシェルまたはカプセル壁をもたらすことが判明した。水溶液中でのヒドロキシル基供与体の濃度は好ましくは10%~70%であり、さらにより好ましくは水溶液中のヒドロキシル基供与体の濃度は40%~60%である。
【0217】
本発明による方法における第2の架橋工程(b)の後には、さらなる、すなわち第3の重合および/または架橋工程(c)が続く。この第3の架橋工程では、少なくとも1つのさらなる、すなわち第2のアミノ酸を架橋工程(b)で得た水中油型エマルジョンに加える。
【0218】
少なくとも1種の第2のアミノ酸は、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、リシン、グリシン、アラニン、プロリン、システイン、グルタミン、ロイシン、セリン、トリプトファン、バリン、スレオニン、オルニチン、尿酸、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0219】
上述のアミノ酸は、側鎖に少なくとも1つのアミノ基を有する化合物であり、したがって少なくとも1種のポリイソシアネートとの重合および/または架橋に対して官能性を示す。
【0220】
上述のアミノ酸のうち、塩基性-反応性アミノ酸、例えば、ヒスチジン、リシン、もしくはアルギニン、またはその塩酸塩類似体は、アミノ酸としても塩酸塩としても、その高い反応性およびpH値のために、特に好ましい。
【0221】
その水への溶解度により、本発明による方法における架橋剤としてアルギニンが特に好ましい。
【0222】
アミノ酸またはアミノ酸塩酸塩の架橋剤としての使用は、生分解性および生体適合性に関して環境の観点から特に有利である。
【0223】
第2のアミノ酸は、そのまま、例えば固体として、または好ましくは水溶液の形態で、エマルジョンまたは懸濁液に添加される。二番目のものは、水溶液中に0.5~2モル/l、好ましくは1モル/lの濃度で存在する。
【0224】
少なくとも1種の第2のアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩の量は、1~3モルのアミノ基、好ましくは1~2モルのアミノ基がイソシアネート基の各モルに対して加えられるように、通常調整される。
【0225】
第2のアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩の添加は、500rpm~2000rpm、より好ましくは1000rpm~1500rpmの撹拌スピード、および60~80℃、好ましくは60℃の温度で好ましくは行われる。
【0226】
第2のアミノ酸の添加により、カプセルシェルまたはカプセル壁の構築のために、第3の架橋マトリックスまたは第3の架橋単位が本発明による方法において形成される。これらの第3の架橋単位は、ポリ尿素構造に基づくカプセルシェルまたはカプセル壁を形成するための、ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートの個々のポリマーまたはオリゴマーとアミノ酸との重付加反応に基づく。ポリ尿素連結またはポリ尿素構造の形成は、少なくとも1種のアミノ酸のアミノ基(-NH)の、少なくとも1種のポリイソシアネートのイソシアネート基への重付加により達成される:
nO=C=N-R-N=C=O+nHN-R-+ → (-O-NH-R-NH-CO-NH-R-)
【0227】
このようなさらなるポリ尿素架橋単位を形成することによって、第1のおよび第2の重合および/または架橋工程(a4)および(b)において形成されたポリ尿素架橋単位およびポリウレタン架橋単位はさらに架橋され、高密度化される。
【0228】
本発明による方法において第3の架橋は、約10分間~20分間の期間、好ましくは約12~18分間の期間、最も好ましくは約15分間の期間の間行われる。
【0229】
第3の架橋工程は、60~80℃、好ましくは60℃の温度で実行される。
【0230】
ポリイソシアネートと、第1のアミノ酸との間の第1の重合または架橋工程、ポリイソシアネートとヒドロキシル基供与体との間の第2の重合または架橋工程、ならびにポリイソシアネートと第2のアミノ酸との間の第3の重合または架橋工程の組合せは、カプセルシェルまたはカプセル壁を作り上げるポリ尿素およびポリウレタン架橋単位または架橋マトリックスの生成を可能にする。本発明の方法において、第1、第2および第3のポリ尿素およびポリウレタン架橋単位は、連続的な架橋工程により、互いにおよび互いの中でさらに空間的に架橋される。
【0231】
架橋官能基の数が多いほど、マイクロカプセルの生成されるカプセルシェルまたはカプセル壁の空間的架橋はより大きく、さらに安定している。官能基の数に加えて、個々の構成ブロックの鎖長はカプセルの機械的特性、すなわち安定性に有意に影響を与える。例えば、デンプンではヒドロキシル基の数が多いため、空間的に特に顕著な架橋の形成が可能である。長鎖カプセルシェルまたはカプセル壁の構成要素、例えばポリイソシアネートは、より安定なカプセルシェルまたはカプセル壁の形成をもたらす。
【0232】
上記に記載されている架橋工程の間、撹拌出力は、カプセルシェルを形成する架橋単位を直ちに粉砕しないよう、好ましくは約800~1200rpmの撹拌スピードに減少させる。
【0233】
第3の重合または架橋工程ならびに完全な架橋およびカプセルシェルまたはカプセル壁の形成後、本発明の方法に従い生成されたカプセルは、粗製マイクロカプセルとして水性分散液またはスラリーの形態で存在する。
【0234】
架橋後、スラリー中のマイクロカプセルは、特に安定しておらず、したがって簡単に壊れて開く柔軟性のあるシェルをさらに有する。この目的のために、マイクロカプセルのシェルを硬化する。硬化は、マイクロカプセル分散液を少なくとも60℃の温度に、好ましくは60~65℃の範囲の温度に、最大マイクロカプセル分散液の沸点まで徐々に上昇させることによって好ましくは行われる。硬化は普通、少なくとも60分間、好ましくは2~4時間の期間にわたり行われる。
【0235】
加えて、硬化のために外部水相に物質を添加するのが有利である。この目的のために、タンニン種の天然植物タンニンが使用され、化学的観点から、このタンニンは、特に熱帯および亜熱帯地方の双子葉植物の低木、茂みおよび葉に見出されるプロアントシアニジンである。テルペンは普通、500~3000KDaの範囲の分子量を有する。適切なタンニンの好ましい例はコリアリイン(corigallin)である。硬化のため、タンニンの水性調製物を粗製マイクロカプセルを含有する水性分散液に加える。通常、タンニンは、マイクロカプセルに対して、約0.1~約2重量%、好ましくは約0.5~約1.5重量%の量で加える。
【0236】
本発明による方法の硬化工程(d)の後、さらなる方法工程(e)において、少なくとも1種の剥離剤をマイクロカプセル分散液またはマイクロカプセルスラリーに加え、剥離剤は、マイクロカプセルシェルまたはマイクロカプセル壁に引き込まれるか、または好ましくはマイクロカプセルシェルまたはマイクロカプセル壁に組み込まれる。
【0237】
剥離剤は慣例的に2種の材料の間の接着を阻止する液体またはペースト様物質である。本発明の場合、これらはマイクロカプセルシェルまたはマイクロカプセル壁に組み込まれ、官能基、例えば、OH基またはCOOH基を介してカプセル材料の既存の架橋構造とイオン結合またはさらに共有結合を形成する物質である。
【0238】
本発明による方法に使用される少なくとも1種の剥離剤は、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸エステルおよび動物および植物ワックスからなる群から選択される。
【0239】
脂肪酸は、主に非分枝炭素鎖を有する脂肪族モノカルボン酸である。脂肪酸は、炭素原子の数(鎖長)が異なり、不飽和脂肪酸の場合には、二重結合の数および位置が異なる。これらの鎖長に基づき、脂肪酸は短鎖脂肪酸(6~8個までのC原子)、中鎖脂肪酸(8~12個のC原子)および長鎖脂肪酸(13~21個のC原子)に分割することができる。
【0240】
脂肪族アルコールは脂肪族、長鎖、一価の、主に第1級アルコールである。炭化水素残基は多くの場合、天然脂肪族アルコールにおいて非分枝であり、合成脂肪族アルコールはまた多くの場合分枝である。炭素鎖は6~30個の炭素原子を有し、一価または多価不飽和であることもできる。脂肪族アルコールは、カルボン酸エステルとして結合している天然ワックス、例えば、ウールワックスまたは鯨ろうに見出され、多くの場合ワックスアルコールと呼ばれる。
【0241】
ワックスは、約40℃超で溶融し、次いで低い粘度の液体を形成する有機化合物である。ワックスは、これらの化学組成および起源において大きく変動し得る。これらの混合物の主成分は、脂肪酸と、長鎖の、脂肪族第1級アルコール、いわゆる脂肪族アルコールとのエステルである。これらのエステルは、脂肪および脂肪油とはこれらの構造において異なり、脂肪酸とのトリグリセリドである。加えて、これらのワックスはまた遊離の、長鎖、脂肪族カルボン酸、ケトン、アルコールおよび炭化水素も含有する。ワックスは動物または植物起源のものであってもよい。
【0242】
本発明による方法において少なくとも1種の剥離剤は好ましくは、
- 12~30個のC原子を有する長鎖、脂肪族、直鎖または分枝の、飽和または不飽和カルボン酸(脂肪酸)、特にラウリン酸(12:0)、トリデシル酸(13:0)、ミリスチン酸(14:0)、ペンタデカン酸(15:0)、パルミチン酸(16:0)、マルガリン酸(17:0)、ステアリン酸(18:0)、ノナデカン酸(19:0)、アラキジン酸(20:0)、ヘンイコシル酸(21:0)、ベヘン酸(22:0)、リグノセリン酸(24:0)、セロチン酸(26:0)、モンタン酸(28:0)およびメリシン酸(30:0);ミリストレイン酸(14:1)、パルミトレイン酸(palmitolic acid)(16:1)、マルガロレイン酸(17:1)、ペトロセリン酸(18:1)、オレイン酸(18:1)、エライジン酸(18:1)、バクセン酸(18:1)、ガドレイン酸(20:1)、ゴンド酸(20:1)、セトレイン酸(22:1)、エルカ酸(22:1)、ネルボン酸(24:1)、リノール酸(18:2)、アルファリノレン酸(18:3)、ガンマリノレン酸(18:3)、カレンジン酸(18:3)、プニカ酸(18:3)、アルファエレオステアリン酸(18:3)、ベータエレオステアリン酸(18:3)、ステアリドン酸(18:4)、アラキドン酸(20:4)、エイコサペンタエン酸(20:5)、ドコサテトラエン酸(ADA)(22:4)、ドコサペンタエン酸(DPA-3)(22:5)、ドコサヘキサエン酸(22:6)およびテトラコサヘキサエン酸(24:6)、フィタン酸、
- 12~30個のC原子を有する長鎖、脂肪族、直鎖または分枝の、飽和または不飽和第1級アルコール(脂肪族アルコール)、特にラウリルアルコール(12:0)、ミリスチルアルコール(14:0)、パルミチルアルコール(16:0)、マルガリルアルコール(17:0)、ステアリルアルコール(18:0)、アラキジルアルコール(20:0)ベヘニルアルコール(22:0)、リグノセリルアルコール(24:0)、セリルアルコール(26:0)、モンタニルアルコール(28:0)およびメリシルアルコール(30:0);パルミトレイルアルコール(16:1)、オレイルアルコール(18:1)、エライジルアルコール(18:1)、リノレイルアルコール(18:2)、ガンマ-リノレニルアルコール(18:3)、
- 12~30個のC原子を有する長鎖、脂肪族飽和したカルボン酸と、12~30個のC原子を有する長鎖、脂肪族第1級アルコールとのエステル、特にパルミチン酸ラウリル、パルミチン酸ミリシル、アラキジン酸セチルおよびベヘン酸ステアリル、
- 動物および植物ワックス、特にウールワックス、チャイナワックス、蜜ろう、ヒマワリ種子ワックス、米ぬかワックス、カルナバワックス、ピノヴァワックス、ナタネワックス、ダイズワックス、キャンデリラワックス、ホホバ油、コルクワックス、グアルマワックス、コットンワックス、アマワックス、ピートワックス、バラワックス、ジャスミンワックス、トウガン由来のペサワックス、ならびにギンバイカワックス(シロヤマモモ(Myrica cerifera))、イチジクワックス、ベリーワックス、
ならびに上記剥離剤のうちの2種またはそれよりも多くの混合物
からなる群から選択される。
【0243】
上記に列挙されたカルボン酸のうち、飽和脂肪酸が好ましい。これらの融点がより低く、マイクロカプセルシェルまたはマイクロカプセル壁への組込みを促進することから上記に特定された動物および植物ワックスの使用が本発明による方法において最も好ましい。
【0244】
少なくとも1種の剥離剤は二重官能基を有する:剥離剤のマイクロカプセルシェルまたはマイクロカプセル壁への組込み、および剥離剤の、架橋単位または架橋マトリックスとのイオン結合または共有結合の形成は、一方では、マイクロカプセルシェルのさらなる安定化を引き起こす。他方では、剥離剤をマイクロカプセルシェルまたはマイクロカプセル壁に組み込むことは、マイクロカプセルシェルの分解性に対して既定の破壊点を生成する、すなわち、これは、マイクロカプセル材料の分解がそこで最初に起きるように設計されたマイクロカプセル壁の中の点である。これによりマイクロカプセルシェルまたはマイクロカプセル壁の分解が促進される。マイクロカプセルシェルまたはマイクロカプセル壁を安定化させる剥離剤の使用はまた、生分解性が低い、または生分解性がまったくない他のカプセル壁材料を減少させることも可能にする。
【0245】
剥離剤は、マイクロカプセル分散液またはマイクロカプセルスラリーに、カプセルシェルに対して1~10重量%の量で加える。好ましくは、剥離剤は、カプセルシェルに対して、2~5重量%の量で加える。
【0246】
少なくとも1種の剥離剤は、マイクロカプセル分散液またはマイクロカプセルスラリーに、少なくとも60℃の温度で、最大マイクロカプセル分散液の沸点まで、好ましくは80℃の温度で加える。この温度では、剥離剤は液体または融解形態で存在するため、マイクロカプセルシェルの既存の架橋構造に容易に融解して組み込むことができる。
【0247】
少なくとも1種の剥離剤の添加後、工程(f)で得たポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルを、好ましくは少なくとも60℃~100℃の温度で、60~240分間のある期間の間、後硬化する工程が行われる。
【0248】
硬化後、本発明の方法に従い生成されたマイクロカプセルは、水中分散液として存在し、これはマイクロカプセル分散液またはマイクロカプセルスラリーとも呼ばれる。この形態では、マイクロカプセルは基本的にすでに市販可能である。
【0249】
このような懸濁液が分離またはクリーム状になることを阻止し、したがって高い貯蔵安定性を達成するためには、懸濁液は12~1500mPasの粘度を有することが有利であると証明されている。懸濁液の所望の粘度を得るために、増粘剤を使用することが好ましい。
【0250】
キサンタンガム、ジウタン(diuthan)ガム;カルボキシメチルセルロース(CMC)、微結晶性セルロース(MCC)またはグアーガムが増粘剤として好ましくは使用される。
【0251】
貯蔵寿命を改善するために、1種または複数の保存剤をマイクロカプセルスラリーに任意選択で加えるか、またはマイクロカプセルスラリーを乾燥させる。
【0252】
好ましくは1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオールまたはパルメトールを保存剤として使用する。
【0253】
代わりに、マイクロカプセルは、保存目的のために分離および乾燥させる。
【0254】
原則として、凍結乾燥などのプロセスをこのために使用することができるが、噴霧乾燥、例えば、流動層内での噴霧乾燥が好ましい。さらなる多糖、好ましくはデキストリンおよび特にマルトデキストリンを、分散液に、約20~約50℃の温度、好ましくは約40℃で添加することが有利なことが証明されている。これらの多糖は、乾燥プロセスを助け、このプロセスの間カプセルを保護する。分散液において使用する多糖の量は、カプセルの質量を基準にして、約50~約150重量%、好ましくは約80~約120重量%であり得る。
【0255】
噴霧乾燥それ自体は、連続的にまたはバッチ方式で、従来のスプレー系で、入り口温度約170~約200℃、好ましくは約180~185℃および出口温度約70~約80℃、好ましくは約72~78℃で行うことができる。
【0256】
マイクロカプセルの有用性に対する重要な判定基準は、コア材のカプセル壁材料に対する重量比である。目的は、一方では、カプセルができるだけ有用となるよう、コア材の割合を可能な限り高くすることであるが、他方ではカプセルの安定性を保証するだけ十分な割合のカプセル壁材料をカプセルが依然として有することが必要である。
【0257】
本発明によると、マイクロカプセルは、コア材のカプセル壁材料に対する重量比50:50~90:10、好ましくは70:30~80:20を有するように設計されていることが特に有利と示されている。
【0258】
本発明による方法で生成されたマイクロカプセルは、これらのサイズ分布d(0.5)値を特徴とすることができる、すなわち生成されたカプセルの50%はこの値より大きく、カプセルの50%はこの値より小さい。
【0259】
本発明によるマイクロカプセルは、75:25の比のヘキサメチレンジイソシアネートおよび4,4’-メチルジフェニレンジイソシアネートから調製された。さらに、リシンHClを第1のアミノ酸として、グリセロールをヒドロキシル基供与体として、およびアルギニンを第2のアミノ酸として使用した。DABCOを触媒としておよび加工デンプンを保護コロイドとして使用した。蜜ろうを分離剤として加えた。
【0260】
粒径を決定するため、本発明によるマイクロカプセルは動的プロセスの一部として水に分散し、次いでレーザー回折の手段により粒径を決定する。カプセルのサイズに応じて、レーザービームは異なって屈折し、したがってサイズに変換することができる。Mie理論をこれに使用した。MALVERN Mastersizer3000を粒子測定に使用した。
【0261】
本発明によるマイクロカプセルは、これらは、10μm~100μmのd(0.5)値、好ましくは20μm~65μmのd(0.5)値において粒径分布を有することを特徴とする。本発明によるマイクロカプセルおよび従来技術のマイクロカプセルの対応する粒径分布が図2に例示されている。
【0262】
マイクロカプセルの直接比較は、本発明による方法が、剥離剤なしのポリ尿素/ポリウレタン構造に基づく従来技術のマイクロカプセルと同じ粒径分布を有するマイクロカプセルを達成することができることを示す。
【0263】
図3は、本発明によるマイクロカプセルおよび従来技術のマイクロカプセルのIR画像を示している。
【0264】
本発明によるマイクロカプセルは、75:25の比のヘキサメチレンジイソシアネートおよび4,4’-メチルジフェニレンジイソシアネートから調製した。さらに、リシンHClを第1のアミノ酸として、グリセロールをヒドロキシル基供与体として、およびアルギニンを第2のアミノ酸として使用した。DABCOを触媒として使用し、加工デンプンを保護コロイドとして使用し、蜜ろうを剥離剤として添加した。従来技術のマイクロカプセルは、剥離剤なしのポリ尿素/ポリウレタンベースのマイクロカプセルである。
【0265】
グラフは、バンド、特にフィンガープリント領域に明らかな違いがあることを示している。1050cm-1に、最新技術のものと比較して明らかに強いバンドが確認でき、これはポリウレタンおよびポリエステルにも起因する。ポリエステルは、一方ではオセンチルスクシネイティドスターチ(ocentylsuccinated starches)のエステル結合から生じ、もう一方では剥離剤(例えばワックス)のエステル結合から生じる。1170cm-1のバンドは、ポリエステルに帰属することができる。2500~3000cm-1の範囲にある二重の振動は、剥離剤に起因する炭素鎖の割合の増加を示している。IRスペクトルの比較はまた、本発明によるマイクロカプセルおよび従来技術のマイクロカプセルの両方が、ポリ尿素/ポリウレタンポリマーからなることを示している。
【0266】
ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの製造のための本発明による方法は、とりわけ、個々の架橋工程がpH値に依存せずに実行されるという事実により、有利に特徴付けられる。したがって、本発明による方法は、従来技術による封入方法と比較して、実行するのがより容易である。
【0267】
実行するのがより単純で短いのにも関わらず、本発明による方法は、マイクロカプセルが、より良好な性能で、すなわち、マイクロカプセルの機能性、例えば、嗅覚特性および正の二次的な特性、例えば高い安定性、すなわち活性成分を保持する能力を損失または低下させることなく製造されるのを可能にする。
【0268】
架橋工程のpH非依存的な実行により、有利には、アルデヒド、カルボン酸またはエステル官能基を有する親油性活性成分の封入も可能になる。従来技術のポリイソシアネートベースのカプセルシェルでは、通常、選択された活性成分のみを封入することができる。一方で、従来技術によるポリイソシアネートを用いた封入は、アルデヒド、カルボン酸、またはエステル官能基を有するフレグランス化合物またはフレグランス油を封入するのには適さない。アルカリ性pHでの封入中、カルボン酸が脱プロトン化し、酸化アルデヒド(カルボン酸)が類似して脱プロトン化し、エステルがけん化し、その結果親油性活性成分が失われ、得られるエマルジョンが不安定になる。したがって、そのようなマイクロカプセル化の使用は、活性成分に関して制限され、したがって、例えば、狭い範囲のフレグランス化合物またはフレグランス油にのみ適しており、一方、そのようなマイクロカプセル化の方法は、アルデヒド、カルボン酸、またはエステル官能基を有するフレグランス化合物またはフレグランス油には除外される。しかし、アルデヒド、カルボン酸、またはエステル官能基を有するフレグランス化合物は、フレグランス化合物またはフレグランス油の最も重要な代表の一つである。本発明による方法におけるpH非依存性架橋工程は、結果として、そのような親油性香水または香油の効果的な封入を可能にする。
【0269】
本発明による方法を用いて、交互に規定されたポリ尿素ベースおよびポリウレタンベースの架橋単位または架橋マトリックスを、親油性活性成分を含むコア周辺で、界面重合により堆積させることが可能であり、これによって、安定したカプセル壁またはカプセルシェルの構造を生成する。カプセルシェルまたはカプセル壁の主成分は基本的にポリ尿素またはポリウレタン架橋マトリックスまたは架橋単位である。さらに、保護コロイド(例えばデンプン)はまた、ポリウレタン連結を介してカプセルシェルまたはカプセル壁に存在し得る。剥離剤のカプセルシェルまたはカプセル壁への組込みはカプセルシェルまたはカプセル壁をさらに安定化させる。
【0270】
さらに、本発明による方法は、保護コロイド、アミノ酸、ヒドロキシル基供与体が主成分として、およびポリイソシアネートが好ましくは特異的に触媒される機序を介してポリマー化され、および/または架橋され、したがって生体適合性ポリマーに基づく、バイオベースおよび生分解性マイクロカプセルの生成を可能にするという事実を特徴とする。ポリイソシアネートがカプセルシェル材料の大きな割合を占める従来技術のマイクロカプセルとは異なり、このケースはまったく反対である。ポリイソシアネートは、本発明によるマイクロカプセルでは主要材料としてもはや機能せず、アミノ酸および上述の他の構成成分に対する架橋剤として独占的に機能する。
【0271】
本発明による方法は、したがって、ポリイソシアネートの一部を生分解性壁材料、例えば保護コロイド、アミノ酸、ヒドロキシル基供与体、および剥離剤などに置き換えて、したがって、マイクロカプセルの機能性、例えば、嗅覚特性などおよび正の二次的な特性、例えば高い安定性、すなわち活性物質を保持する能力などを損失または低下させることなく、ポリイソシアネート含有量を低減することを可能にする。したがって、本発明による方法は、一方で優れた機能性を有し、もう一方で容易に生分解可能なマイクロカプセルを製造するために使用することができる。
【0272】
驚くことに、本発明による方法を使用して、以下の実施形態に示されているように、得られたマイクロカプセルの安定性のいかなる損失または劣化なしに、ポリイソシアネートの量を60%まで減少させたマイクロカプセルを生成することができることが判明した。したがって、マイクロカプセルは、同じ量の封入しようとする活性成分を維持しながら、開始物質イソシアネートの量を減少させて生成することができる。
【0273】
別の態様では、本発明は、本発明の方法に従い生成された生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルに関する。
【0274】
生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルは、これらが以下で構成されるまたは以下を含むことを特徴とする:
(i)少なくとも1種の疎水性薬剤を含むコア、ならびに
(ii)以下を含むカプセルシェル:
- 2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートとの、少なくとも1種の第1のアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩を有する少なくとも1種の保護コロイドの存在下での重合および/または架橋、少なくとも1種のヒドロキシル基供与体とのさらなる重合および/または架橋、ならびに少なくとも1種の第2のアミノ酸とのさらなる重合および/または架橋の反応生成物、ならびに
- 少なくとも1種の剥離剤。
【0275】
官能性アミノ基またはヒドロキシル基を有するポリイソシアネート単位の交互の重合および/または架橋により、ポリウレタンおよびポリ尿素に基づく、定義され密で、したがって安定な架橋マトリックスまたは架橋単位が交互になる安定なカプセル壁となる。
【0276】
好ましい実施形態では、本発明による生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルのカプセル壁は、以下を含むまたは以下からなる:
(α)2つまたはそれよりも多くのポリイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種の保護コロイドおよび少なくとも1種の第1のアミノ酸との重合および/または架橋から得た第1の架橋マトリックスまたは第1の架橋単位、
(β)2つまたはそれよりも多くのポリイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種のヒドロキシル基供与体との架橋から得た第2の架橋マトリックスまたは第2の架橋単位、
(γ)2つまたはそれよりも多くのポリイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種の第2のアミノ酸との架橋から得た第3の架橋マトリックスまたは第3の架橋単位、ならびに
(δ)少なくとも1種の剥離剤。
【0277】
本発明によるマイクロカプセルのカプセルシェルの第1の架橋マトリックスまたは架橋単位はポリ尿素ベースのネットワークである。第2の架橋マトリックスまたは架橋単位は、ポリウレタンベースのネットワーク、および第3の架橋マトリックスまたは架橋単位はさらなるポリ尿素ベースのネットワークである。ポリ尿素および/またはポリウレタン架橋マトリックスまたは架橋単位の組成は、使用されるポリイソシアネートおよび架橋剤、すなわち保護コロイド、第1のアミノ酸、ヒドロキシル基供与体および第2のアミノ酸に依存する。
【0278】
上記に記載されているポリウレタン形成およびポリ尿素形成に加えて、上記に記載されている架橋工程は、その開示がその全体において参照により本明細書に組み込まれている、M.F.Sonnenschein、Introduction to Polyurethane Chemistry、Polyurethanes:Science、Technology、Markets、and Trends、第1版、2015年、John Wiley&Sons、105~126頁に記載されているように、ポリイソシアネート、例えば、尿素、アロファネート、ビウレット、ウレチジオン、カルボジイミド、ウレトンイミンなどの反応性により副産物を生成する。これら副産物はカプセルシェルまたはカプセル壁の一部である。
【0279】
カプセル壁の構造により、いくつかの個々の規定されたおよび交互の架橋マトリックスまたは架橋単位に基づき、同時にシェル構成成分の著しい削減を可能にしながら、優れた官能的性能を有する特に安定したマイクロカプセルを生成することが可能である。最後に、カプセルシェルの安定性は剥離剤の組込みによりさらに促進される。
【0280】
驚くことに、本発明の方法に従い生成されたポリ尿素/ポリウレタンフレグランスカプセルは、以下の実施形態に示されているように、より高い安定性および望ましくないフレグランスオイルの漏れの削減を示し、これらは特にフレグランスのさらに効率的な封入に起因し得る。
【0281】
驚くことに、以下の実施形態に例示されているように、本発明による方法を使用して、従来技術のポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルと比較して、少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍より良い安定性を示すマイクロカプセルを生成することができることが判明した。
【0282】
本発明によるマイクロカプセルは、0.5重量%またはこれ未満の遊離疎水性活性物質含有量、好ましくは含有量≦0.3重量%またはこれ未満、さらにより好ましくは含有量≦0.2重量%をさらに有する。
【0283】
本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルはまた、従来技術のカプセルと比較して、官能的性能(フレグランス放出)における著しい改善を示し、これは、活性成分の安定した封入およびこれに伴う低い活性成分損失に起因することができる。したがって、本発明によるマイクロカプセルは、図5に例示されているように、機械的摩擦の手段によりまたは圧力によりカプセルを開くことによりフレグランスが放出された場合、有意に高い官能強度を示す。本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルは、官能的性能(フレグランス放出)において、従来技術のカプセルと比較して、少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも1.75倍、さらにより好ましくは少なくとも2倍の著しい改善を示す。
【0284】
架橋度の増加、すなわちポリイソシアネート含有量の増加に伴い、マイクロカプセルの安定性は向上するが、同時に、実施形態例に示されるように、カプセル壁を生分解する能力が低下する。図6は、一般に、マイクロカプセルの安定性、性能、および生分解性の間の相関を、架橋度の関数として示す。例えば、非常に安定なマイクロカプセルの場合、摩擦、圧力などにより割れて活性成分を放出するマイクロカプセルの数が減るため、性能、例えば官能的性能は、より低い。
【0285】
本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルは、以下の実施形態に示されているように、封入しようとする活性成分を有するマイクロカプセルの安定性または充填量においていかなる損失または劣化なしに、従来技術のポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルと比較して、ポリイソシアネートの量を60%まで減少させている。従来技術のマイクロカプセルと対照的に、イソシアネートはもはやカプセルシェルまたはカプセル壁の主要な材料として機能しないが、もっぱら、アミノ酸およびカプセルシェルの他の主要成分、例えば保護コロイド、ヒドロキシル基供与体の架橋剤としての役割を果たす。本明細書に記載されているマイクロカプセルの絶対ポリイソシアネート含有量は、活性成分を含む全カプセルの1/60のみである。原料が定量的に反応すると仮定して、100%の壁材料では、壁材料の正確に1/5がポリイソシアネートからなり、それが表す量は少量のため、これは架橋剤のみと考えることができることが想定できる。
【0286】
カプセルシェルまたはカプセル壁中の低いポリイソシアネート含有量および剥離剤の使用のために、本発明によるマイクロカプセルは、従来技術のカプセルよりも生分解性が高い。剥離剤を使用して製造された本発明によるマイクロカプセルは、以下の実施形態に示すように、著しく良好な生分解性を示す。
【0287】
生分解性は、規定された温度、酸素および湿気条件下、微生物または真菌の存在下で、特定された時間の後、有機物質が分解されて、水、二酸化炭素(CO)およびバイオマスとなる能力である。
【0288】
OECD 301Fによると、マイクロカプセルは、60%超の壁材料が28日後に分解された場合、直ちに生分解性があると考えられる。
【0289】
本発明によるマイクロカプセルは、28日後、OECD 301 Fに従い、≧20%の生分解性、好ましくは≧50%の生分解性、さらにより好ましくは≧70%の生分解性、および最も好ましくは≧90%の生分解性を有する。
【0290】
さらに、本発明によるマイクロカプセルは、極めて一般的なカプセルであり、本発明の最新技術に従い、広範囲のフレグランス化合物または着香料を封入することができ、アルデヒド、カルボン酸またはエステル官能基を有するフレグランス化合物または着香料でさえ封入することができるので、個々の活性成分に対するいかなる制限も存在しない。
【0291】
これらの有利な特性により、特にこれらの安定性および活性成分の標的とされる放出により、本発明によるマイクロカプセルは、広範囲な用途に対して、特に家庭用品、繊維用ケア製品、洗剤、織物柔軟剤、洗浄剤、加香剤、香り付きローション剤および香り促進剤、化粧品、パーソナルケア製品、農業製品、医薬品、印刷用紙コーティングなどにおける使用に対して適切である。
【0292】
したがって、さらなる態様では、本発明は、液体または固体形態の家庭用品、繊維用ケア製品、洗剤、織物柔軟剤、洗浄剤、加香剤、香り付きローション剤または香り促進剤、化粧品、パーソナルケア製品、農業製品、医薬品、印刷用紙コーティングなどの製造のための、本発明による生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルまたは本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの分散液の使用に関する。
【0293】
最後に、本発明は、本発明による生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルまたは本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの分散液を含む、家庭用品、繊維用ケア製品、洗剤、織物柔軟剤、洗浄剤、加香剤、香り付きローション剤および香り促進剤、化粧品、パーソナルケア製品、農業製品、医薬品、印刷用紙コーティングなどに関する。
実施形態の実施例
【0294】
本発明による生分解性ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルおよびこれらの有利な特性は以下の実施例を参照してさらに詳細に記載されている。
【0295】
実施形態の実施例1
壁材料の比較
【0296】
【表1】
【0297】
本発明によるマイクロカプセルは、60%まで有意に低いポリイソシアネート含有量を有する。従来技術のマイクロカプセルとは対照的に、イソシアネートは、もはや主要材料として機能せず、カプセル材料のアミノ酸および他の構成成分に対する架橋剤としてのみ機能する。
【0298】
実施形態の実施例2
カプセル安定性
【0299】
以下の安定性データは、市販の製剤、例えば加香剤または織物柔軟剤における40℃での試験を指す。
【0300】
カプセル壁がもっぱらポリ尿素ネットワークに起因するカプセルを従来技術のカプセルとして選択した。これらのカプセルの製造では、通常は触媒を使用せず、合成はpH9で実行した。ポリビニルアルコールを保護コロイドとして使用した。
【0301】
遊離油は、スラリーをイソプロパノール中で30秒間放置することにより決定した。油含有量は、その後SPMEを使用して決定した。
【0302】
実施例1
剥離剤に依存するカプセル安定性
【0303】
遊離油の挙動を、剥離剤を変えることにより決定した。本発明によるマイクロカプセルは、75:25の比のヘキサメチレンジイソシアネートおよび4,4’-メチルジフェニレンジイソシアネートからなるイソシアネート混合物を使用することにより調製された。さらに、リシン*HClを第1のアミノ酸として、グリセロールをヒドロキシル基供与体として、およびアルギニンを第2のアミノ酸として使用した。DABCOを触媒として、加工デンプンを保護コロイドとして使用した。封入しようとする相としてTomCapを使用した。使用したワックスを以下の表に示す。使用するデンプンは、スクシネートの形態である。
【0304】
【表2】
【0305】
ワックスの使用は、明らかに、抽出溶媒に対する耐性を向上させる。カプセルは、遊離油<1%で安定であると考えられる。遊離油含有量が低いほど、カプセルはより安定である。
【0306】
実施例2
ポリイソシアネート組成の関数としてのカプセル安定性(単一のポリイソシアネートと、2種の異なるポリイソシアネートの組合せとの比較)
【0307】
本発明によるマイクロカプセルは、異なる単一のポリイソシアネートまたは2種類のポリイソシアネートの組合せ、炭酸グアニジニウム、保護コロイドとしてポリビニルアルコールと香油としてTomCapを使用して調製した。
【0308】
【表3】
【0309】
2種の異なるイソシアネートの組合せの使用は、単一のイソシアネート系の安定性を超えるマイクロカプセルをもたらした。これにより、2種の異なるイソシアネートの混合物の使用が好ましい。
【0310】
実施例3
ポリイソシアネート組成の関数としてのカプセル安定性(脂肪族-脂肪族ポリイソシアネート混合物と脂肪族-芳香族ポリイソシアネート混合物との比較)
【0311】
脂肪族-脂肪族ポリイソシアネート混合物および脂肪族-芳香族ポリイソシアネート混合物を使用して、以下の通り本発明によるマイクロカプセルを調製した:
【0312】
脂肪族-脂肪族ポリイソシアネート混合物:50:50の比のペンタメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネート。
脂肪族-芳香族イソシアネート混合物:75:25の比のヘキサメチレンジイソシアネートと4,4’-メチル-ジフェニレンジイソシアネート
さらに、リシンHClを第1のアミノ酸として、グリセロールをヒドロキシル基供与体としておよびアルギニンを第2のアミノ酸として使用した。DABCOを触媒としておよび加工デンプンを保護コロイドとして使用した。TomCapを封入しようとする相として使用した。蜜ろうをワックスとして使用した。使用したデンプンはコハク酸塩の形態である。
【表4】

両方の試料中の遊離油は1%をはるかに下回っており、これは両方のカプセルが安定していると考えられることを意味する。脂肪族-脂肪族ポリイソシアネート混合物で作製されたマイクロカプセルは、脂肪族-芳香族ポリイソシアネート混合物で作製されたマイクロカプセルと同じくらい安定している。
【0313】
実施形態の実施例3
架橋剤(イソシアネート)の量との関連での生分解性および遊離油
【0314】
遊離油含有量は上に記載されているように決定した。
【0315】
OECD 301Fによる生分解性は以下の通り決定した:マノメーター呼吸(酸素消費)により測定した、予め適合させていない接種材料中での壁材料の分解性。
【0316】
【表5】
【0317】
イソシアネート(架橋剤)の量が減ると、生分解性が高くなる。この場合、驚くべきは、遊離油の増加は非常に小さく、これはカプセルが安定であると推測することができることを意味する。
【0318】
実施形態の実施例4
剥離剤を含むおよび含まない生分解性の比較
【0319】
【表6】
【0320】
本発明によるカプセルは96%の生分解性が存在することを示し、これは、壁材料が直ちに生分解性があると考えることができることを意味する。
【0321】
実施形態の実施例6
硫酸ナトリウムおよび毒性制御に関連した生分解性の比較
【0322】
本発明による実施形態の実施例5のマイクロカプセルを用いて、壁材料の生分解性をOECD 301 Fに従って試験した。この目的のために、安息香酸ナトリウムをプロセス制御として、および本発明によるマイクロカプセルと安息香酸ナトリウムの混合物を毒性制御として使用した。
【0323】
試験の繰り返し1および2=本発明によるカプセル
手順制御の繰り返し1および2=硫酸ナトリウム
毒性制御=毒物学的作用を制御するための本発明によるカプセルと硫酸ナトリウムの組合せ。
試験結果は図4に示されている。
【0324】
本発明によるカプセルは、2種の試料の平均した生分解性96%を示し、これは、壁材料が直ちに生分解性であると考えることができることを意味する。毒性制御もまた分解性を示し、本発明によるカプセルの壁材料は持続性がないことを証明している。
【0325】
実施形態の実施例7
ワックスを用いた場合と用いなかった場合の生分解性の比較
【0326】
75:25の比のヘキサメチレンジイソシアネートと4,4’-メチルジフェニレンジイソシアネートとからなるイソシアネート混合物を使用することによって、本発明によるマイクロカプセルを調製した。さらに、リシンHClを第1のアミノ酸として、グリセロールをヒドロキシル基供与体としておよびアルギニンを第2のアミノ酸として使用した。DABCOを触媒としておよび加工デンプンを保護コロイドとして使用した。続いて、遠心分離、回転式エバポレーターおよび真空乾燥オーブンを使用して、壁材料を分離した。酢酸エチルを封入しようとする相として使用した。使用したワックスは以下の表に付与されている。使用したデンプンはコハク酸塩の形態である。
【0327】
【表7】
【0328】
OECD 301Fに従い、両方のカプセルとも、ワックスの使用により生分解性があると考えられる。ワックスは少量であるにもかかわらず、ワックスの使用により生分解性が不均衡に増加するという意味で驚くべきことである。
【0329】
実施形態の実施例8
官能試験
【0330】
官能評価のために、本発明によるマイクロカプセルを、従来技術のマイクロカプセル、すなわち、剥離剤なしのポリ尿素/ポリウレタン構造に基づくマイクロカプセルと比較した。
【0331】
マイクロカプセルを、75:25の比のヘキサメチレンジイソシアネートおよび4,4’-メチルジフェニレンジイソシアネートから調製した。さらに、リシンHClを第1のアミノ酸として、グリセロールをヒドロキシル基供与体としておよびアルギニンを第2のアミノ酸として使用した。DABCOを触媒としておよび加工デンプンを保護コロイドとして使用した。蜜ろうを分離剤として加えた。
【0332】
官能評価を以下の通り行った:上記マイクロカプセルを0.2重量%の油濃度を有する織物柔軟剤にそれぞれ加え、次いで洗浄した。コットンおよびポリエステルで作製された混合繊維布で臭いを嗅いだ。
【0333】
12人の試験者が、洗浄後、混合繊維布の香り強度を1(香りなし)から9(非常に強い香り)のスケールで評定した。香り評定は3つの工程で行った。第1の工程では、未処理の布の臭いを記載する。第2の工程では軽く混錬した布の臭いを記載する。この目的のために、布を手の間で数回前後に動かすことで布にわずかな機械的ストレスを与え、カプセルの破損を引き起こした。第3の工程では、布を強く擦り、したがってカプセルが破壊した後の臭いを記載する。
【0334】
本発明によるマイクロカプセルは、図5に示されるように、著しく良好な性能を有する。これは、系の具体的な改変に起因している可能性がある。なぜなら、架橋単位の異なるポリマーの堆積および剥離剤の使用が、定義されたシェル構造をもたらし、これによりカプセルが付着しより良く香るためである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】