(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(54)【発明の名称】ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセル
(51)【国際特許分類】
B01J 13/14 20060101AFI20230831BHJP
C11B 9/00 20060101ALI20230831BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
B01J13/14
C11B9/00 Z
C08G18/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507905
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(85)【翻訳文提出日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 EP2020072205
(87)【国際公開番号】W WO2022028707
(87)【国際公開日】2022-02-10
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511008850
【氏名又は名称】シムライズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114904
【氏名又は名称】小磯 貴子
(74)【代理人】
【識別番号】100134636
【氏名又は名称】金高 寿裕
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルギ,ユリアン,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラム,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ラーベ,ブリッタ
(72)【発明者】
【氏名】ロスト,ベンヤミン
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲル,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】グレゴール,ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】ケップケ,クリスティーナ
【テーマコード(参考)】
4G005
4H059
4J034
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
本発明は、従来技術におけるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルを製造するための方法とは対照的に、ph値に依存せずに実行することができる、少なくとも1種の親油性活性物質、好ましくは香水または芳香を含有するポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルを製造するための方法に関する。本発明は、本発明による方法を用いて製造することができるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルにも関する。別の実施形態では、本発明は、家庭用品、繊維用ケア製品、洗剤、織物柔軟剤、洗浄剤、加香剤、香り付きローション剤およびフレグランス増強剤、化粧品、ボディケア製品、農業製品、医薬品、印刷用紙コーティングなどを製造するための、このタイプのマイクロカプセルまたはマイクロカプセル分散液の使用に関する。本発明は、このタイプのポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルを含む消費者製品にも関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程をこの順序で含む、ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルを調製するための方法:
(a)第1の重合および/または架橋工程を実行する工程であって、
(a1)2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートおよび封入しようとする少なくとも1種の活性成分を含む内部非水相を準備すること、
(a2)少なくとも1種の保護コロイドおよび任意選択で少なくとも1種の乳化剤を含む外部水相を準備すること、
(a3)内部非水相および外部水相を混合して、水中油型エマルジョンまたは分散液を得ること、
(a4)少なくとも1種のアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩および触媒の添加
による工程、
(b)少なくとも1種のヒドロキシル基供与体を添加することにより、第2の重合および/または架橋工程を行う工程、
(c)少なくとも1種の塩基性アミンまたはグアニジニウム基供与体を添加することにより、第3の重合および/または架橋工程を実行して、マイクロカプセル分散液を得る工程、
(d)マイクロカプセル分散液を、少なくとも60℃の温度で少なくとも60分の期間の間硬化する工程、ならびに
(e)任意選択でマイクロカプセルを反応混合物から分離し、任意選択でマイクロカプセルを乾燥させる、または増粘剤を添加することにより、マイクロカプセルスラリーの粘度を調整する工程。
【請求項2】
前記2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートが、脂肪族、脂環式、ヒドロ芳香族、芳香族または複素環ポリイソシアネート、上述の化合物のこれらの置換生成物および混合物からなる群から選択され、特に少なくとも1種のポリイソシアネートが、2つの脂肪族ポリイソシアネートまたは1つの脂肪族および1つの芳香族ポリイソシアネートを含み、特に少なくとも1種のポリイソシアネートが、異なる鎖長を有する少なくとも2種のポリイソシアネートを含み、および/または交互のモノマー、オリゴマーまたはポリマー構造の少なくとも2種のポリイソシアネートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
封入しようとする少なくとも1種の親油性活性物質が、フレグランス、着香料物質、清涼化剤、TRPV1およびTRPV3モジュレーター、辛味または温覚もしくは熱感を皮膚もしくは粘膜に、またはヒリヒリ感を口内もしくは喉に引き起こす物質、あるいは辛味または刺激または収れん作用を有する活性物質、殺有害生物剤、殺生物剤、殺虫剤、忌避剤の群からの物質、食品添加物、化粧品活性成分、医薬品活性成分、染料、染料前駆体、農薬、染料、発光塗料、光学的光沢剤、溶媒、ワックス、シリコーン油、滑剤、印刷用紙コーティング、ならびに上述の活性成分のうちの2つまたはそれよりも多くの混合物からなる群から選択される、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
封入しようとする少なくとも1種の疎水性活性成分が、アルデヒド、カルボン酸またはエステル官能基を有するフレグランスまたは着香料物質からなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1種の保護コロイドが、
- ジオール、特にエタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、異性体ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール、ならびに
- ポリオール、好ましくはトリオール、特にグリセロールおよびそのエトキシ化およびプロポキシ化生成物、トリメチロールプロパンおよびそのエトキシ化およびプロポキシ化生成物、ポリビニルアルコール(PVOH)およびその誘導体、特にアンモニウム官能化ポリビニルアルコールまたはスルホネート官能化ポリビニルアルコール、ポリフェノール、特に1,3,5-トリヒドロキシベンゼン、多糖、特にグルコース、デンプンまたは化学的、機械的および/もしくは酵素的に加工したデンプン、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、特に四級化ヒロドキシエチルセルロース、ならびにカルボキシメチルセルロース、
- ポリビニルピロリドン、マレイン酸ビニルコポリマー、リグノスルホン酸ナトリウム、無水マレイン酸/スチレンコポリマー、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、酸化エチレン、酸化プロピレンおよびポリエトキシル化ソルビトールの酸エステル、ドデシル硫酸ナトリウムのコポリマー、
- 動物および植物ポリマー、特にアラビアゴム(セネガルタイプおよびセイヤルタイプ)、タンパク質、ゼラチン、オリバナム樹脂、シェラック、リグニン、キトサン、サポニン
ならびに上述の化合物の混合物
からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
保護コロイドがデンプンと組み合わせて使用される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1種のアミノ酸が、アルギニン、ヒスチジン、リシン、トリプトファン、オルニチン、アルギニン塩酸塩、ヒスチジン塩酸塩、リシン塩酸塩、トリプトファン塩酸塩、オルニチン塩酸塩、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
触媒が、ジアゾビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、ビスマス触媒、スズ触媒またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ヒドロキシル基供与体が、2つまたはそれよりも多くのヒドロキシル官能基を有するポリオール、特にグリセロール、プロピレングリコール、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン、デンプン、加工デンプン、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、特に四級化ヒドロキシエチルセルロース、もしくはカルボキシメチルセルロース、アラビアガム(セネガルタイプおよびセイヤルタイプ)またはこれらの混合物である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1種の塩基性アミンまたは少なくとも1種のグアニジニウム基供与体が、アルギニン、アルギニン塩酸塩、炭酸グアニジニウム、グアニジニウム塩酸塩、グアニン、グアノシン、クレアチン、クレアチニン、および前記架橋剤の混合物からなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
第3の重合および/または架橋工程が、60~80℃の温度で実行される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11の一つまたは複数の請求項に記載の方法により入手可能なポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセル。
【請求項13】
少なくとも1種の疎水性薬剤を含むコア、ならびに
以下:
- 保護コロイドの存在下での2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有するポリイソシアネートと、少なくとも1種の第1のアミノ酸もしくはアミノ酸塩酸塩および触媒との架橋、
- 少なくとも1種のヒドロキシル基供与体とのさらなる架橋/重合、ならびに
- 少なくとも1種の塩基性アミンおよび/またはグアニジニウム基供与体とのさらなる架橋/重合
の反応生成物を含むカプセルシェル
を含む、ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセル。
【請求項14】
カプセルシェルが、:
(i)2つまたはそれよりも多くのポリイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種の保護コロイドおよび少なくとも1種の第1のアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩との重合および/または架橋から得た第1の架橋マトリックスまたは架橋単位、
(ii)2つまたはそれよりも多くのポリイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種のヒドロキシル基供与体との重合および/または架橋の第2の架橋マトリックスまたは架橋単位、ならびに
(iii)2つまたはそれよりも多くのポリイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種の塩基性アミンおよび/またはグアニジニウム基供与体との重合および/または架橋の第3の架橋マトリックスまたは架橋単位
を含む、請求項13に記載のポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセル。
【請求項15】
家庭用品、繊維用ケア製品、洗剤、織物柔軟剤、洗浄製品、加香剤およびフレグランス促進剤、化粧品、パーソナルケア製品、農業製品、医薬品または紙用印刷コーティングの製造のための、請求項12から14のいずれか一項に記載のポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセル、または請求項12から14のいずれか一項に記載のポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの分散液の使用。
【請求項16】
請求項12から14のいずれか一項に記載のポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセル、または請求項12から14のいずれか一項に記載のポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの分散液を含む、家庭用品、織物ケア製品、洗剤、織物柔軟剤、洗浄製品、加香剤およびフレグランス促進剤、化粧品、パーソナルケア製品、香水組成物、農業製品、医薬品または紙用印刷コーティング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来技術のポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの調製のための方法と比較して、pHに依存せずに実行することができる、少なくとも1種の親油性活性成分、好ましくは香水または芳香を含有するポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの調製のための方法に関する。さらに、本発明は、本発明の方法により入手可能なポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルに関する。さらなる態様では、本明細書に記載される本発明は、家庭用品、繊維用ケア製品、洗濯用洗剤、織物柔軟剤、洗剤、加香剤、香り付きローション剤およびフレグランス促進剤、化粧品、パーソナルケア製品、農業製品、医薬品または印刷用紙コーティングの製造のためのそのようなマイクロカプセルまたはマイクロカプセル分散液の使用に関する。最終的に、本発明は、そのようなポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルを含む消費者製品に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロカプセルは、コアおよびコアを取り囲む壁材料からなる粒子であり、コアはポリマー性の、高密度、浸透性または半浸透性の壁材料に取り囲まれた、固体、液体または気体の物質であることができる。製造中、乳化およびコアセルベーションまたは界面重合の後、出発成分から生成されたポリマーが封入しようとする物質に沈殿し、それにより固定化される。コアは、内相とも呼ばれる。外相、シェル、またはコーティングなどの名称も、それにより固定化される壁のために使用される。マイクロカプセルの直径は、通常は1~1000μmの範囲で様々である。壁の厚さは、通常は0.5~150μmである。通常は、25~95wt.-%の装入が可能であるが、1~99wt.-%の装入も可能である。
【0003】
封入の目的は、とりわけ、封入した物質または活性成分を保護し、特定の時間に目標とした方法でそれらを放出すること、液体を扱いやすい粉末形態に変換すること、揮発性成分の損失を防ぐまたは遅らせること(例えば、フレグランスまたは着香料の場合)、他の混合物成分との早期の化学反応を防ぐこと、または処理前または処理中の優れた取扱いを保証することである。フレグランスまたは着香料などの親油性または疎水性の活性成分は、封入を通して、多くの異なる用途の製剤に容易に組み込むことができる。
【0004】
マイクロカプセルの内容物は、様々な方式で放出することができ、特に以下に記載されている機序:破砕または剪断によるカプセルの機械的破壊;壁材料を溶融することによるカプセルの破壊、壁材料の溶解によるカプセルの破壊またはカプセルの壁を介した活性物質の拡散のうちの1つに基づく。
【0005】
マイクロカプセルの生成のための様々なシェル材料が公知である。シェルは、天然、半合成または合成材料のいずれかからなっていてもよい。天然のシェル材料は、例えば、アラビアガム、寒天-寒天、アガロース、マルトデキストリン、アルギン酸またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸カルシウム、脂肪および脂肪酸、セチルアルコール、コラーゲン、キトサン、レシチン、ゼラチン、アルブミン、セラック、多糖、例えば、デンプンまたはデキストラン、ポリペプチド、タンパク質加水分解物、スクロースおよびワックスである。半合成シェル材料としては、これらに限定されないが、化学的に修飾されたセルロース、特にセルロースエステルおよびセルロースエーテル、例えば、酢酸セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース、およびデンプン誘導体、特にデンプンエーテルおよびデンプンエステルが挙げられる。合成シェル材料は、例えば、ポリマー、例えば、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンである。
【0006】
シェル材料のタイプおよび製造方法に応じて、マイクロカプセルは、直径、サイズ分布ならびに物理的特性および/または化学的特性という点から、異なる特性をもって生成される。
【0007】
ポリイソシアネートおよびポリアミンおよび/またはジオールまたはポリオールから重合および/または架橋により形成されるポリ尿素マイクロカプセルまたはポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルは、香水類を含む様々な技術分野で使用されている既知のカプセルである。
【0008】
2種のポリイソシアネートとポリアミンとを反応させることにより得られるポリ尿素マイクロカプセルは、例えば、WO2011/161229またはWO2011/160733に記載されている。WO2011/161229またはWO2011/160733に従い、ポリ尿素マイクロカプセルは、ポリビニルピロリドン(PVP)の存在下で保護コロイドとして調製される。WO2012/107323は、アニオン性安定剤または界面活性剤、例えば、アニオン性ポリビニルアルコールの存在下でのポリイソシアネートと、グアナゾール(3,5-ジアミノ)-1,2,4-トリアゾール)およびアミノ酸との反応生成物を含むポリ尿素シェルを有するポリ尿素マイクロカプセルを開示している。PCT/EP2019/053600は、保護コロイドおよび触媒の存在下、酸性pHで反応するアミンとの、次いでアルカリ性pHで反応するアミンとの、ポリイソシアネートのいくつかのpH依存性架橋工程により調製されるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの調製のための方法に関する。
【0009】
上述の例示的な従来技術の送達システムは、優れた安定性、すなわち活性成分を保持する能力、したがって、揮発性成分の損失を回避するカプセルの能力、および優れた性能、例えば、フレグランスカプセルの場合にはフレグランス放出の両方を有する。
【0010】
しかし、ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの製造のための方法は、イソシアネート基とアミン(アミノ)基の多段階架橋を実行するには、酸または塩基を加えてpH値を正確に調整する必要があるという欠点がある。さらに、様々な保護コロイド、例えば、多糖には、pH依存性があり、それによりその乳化特性が損なわれることが知られている。さらに、従来技術のポリイソシアネートベースのカプセルシェルの調製のための方法は、主に選択された活性成分を封入するためにのみ使用することができ、その一方で、アルデヒド、カルボン酸、またはエステル官能基を有するフレグランスまたはフレグランス油の封入には適さない。アルカリ性pHでの封入中、カルボン酸が脱プロトン化し、酸化アルデヒド(カルボン酸)が類似して脱プロトン化し、エステルがけん化し、その結果活性成分が失われ、得られるエマルジョンが不安定になる。したがって、そのようなマイクロカプセル化の方法の使用は、活性成分に関して制限され、したがって、例えば、狭い範囲のフレグランスまたは着香料にのみ適しており、一方、そのようなマイクロカプセル化の方法は、アルデヒド、カルボン酸、またはエステル官能基を有するフレグランスまたは着香料には除外される。しかし、アルデヒド、カルボン酸、またはエステル官能基を有するフレグランスまたは着香料は、フレグランスまたはフレグランス油の最も重要な代表の一つである。
【0011】
この背景から、本発明は、それぞれの用途に応じた優れた安定性および優れた放出特性を有するマイクロカプセルを製造することを可能にし、一方で、同時に、カプセル材料の乳化および架橋がpH調整を必要とせず、方法を短縮し簡略化することが可能なポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの製造の方法を提供するという課題に基づいていた。
【0012】
驚くべきことに、この課題は、保護コロイドおよび乳化剤を含む水溶液中でポリイソシアネートおよび封入しようとする活性成分を乳化することにより解決でき、エマルジョンを得た後、それに続く工程で、ポリイソシアネートは、触媒の存在下、アミノ酸またはアミノ酸塩酸塩、ヒドロキシル基供与体、ならびに塩基性アミンおよび/またはグアニジニウム基供与体と段階的に架橋され、個々の架橋工程はpH値の調整を必要としないことが見出された。
【発明の概要】
【0013】
本発明の問題は、特許独立請求項の目的により解決する。好ましい実施形態は、特許従属請求項および以下の説明の表現からもたらされる。
【0014】
本発明の第1の目的は、したがって、ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルを調製するための方法であって、以下の工程:
(a)第1の重合および/または架橋工程を行う工程であって、
(a1)2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートおよび封入しようとする少なくとも1種の活性成分を含む内部非水相を準備すること、
(a2)少なくとも1種の保護コロイドおよび任意選択で少なくとも1種の乳化剤を含む外部水相を準備すること、
(a3)内部非水相および外部水相を混合して、水中油型エマルジョンまたは分散液を得ること、
(a4)少なくとも1種のアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩および触媒の添加
による工程、
(b)少なくとも1種のヒドロキシル基供与体を添加することにより、第2の重合および/または架橋工程を実行する工程、
(c)少なくとも1種の塩基性アミンおよび/またはグアニジニウム基供与体を添加することにより、第3の重合および/または架橋工程を行って、マイクロカプセル分散液を得る工程、
(d)マイクロカプセル分散液を、少なくとも60℃の温度で少なくとも60分の期間の間硬化する工程、ならびに
(e)任意選択でマイクロカプセルを反応混合物から分離し、任意選択でマイクロカプセルを乾燥させる、または増粘剤を添加することにより、マイクロカプセルスラリーの粘度を調整する工程
をこの順で含む、方法に関する。
【0015】
本発明の方法によって調製した少なくとも1種の親油性活性成分を含むポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルを提供することもまた本明細書に記載されている本発明の目的である。
【0016】
本発明の別の態様は、
少なくとも1種の疎水性薬剤を含むコア、ならびに
以下の反応生成物を含むカプセルシェル:
- 少なくとも1種のアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩および触媒を含む保護コロイドの存在下での、2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有するポリイソシアネートの重合および/または架橋、
- 少なくとも1種のヒドロキシ基供与体とのさらなる重合および/または架橋、ならびに
- 少なくとも1種の塩基性アミンおよび/またはグアニジニウム基供与体とのなおさらなる重合および/または架橋
を含む、ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルである。
【0017】
最後に、別の態様では、本発明は、家庭用品、繊維用ケア製品、洗濯用洗剤、織物柔軟剤、洗浄製品、加香剤、香り付きローション剤およびフレグランス促進剤、化粧品、パーソナルケア製品、香水組成物、農業製品、医薬品または印刷用紙コーティング、ならびにそれらから作られる消費者製品の製造のための、本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルまたはポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの分散液の使用に関する。
【0018】
驚くべきことに、本発明の文脈において、マイクロカプセルの製造では、保護コロイドおよび任意選択で乳化剤の存在下でのポリイソシアネートおよび親油性活性成分のエマルジョン形成、エマルジョン形成の後のみの触媒の添加、ならびにその後の少なくとも2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有するポリイソシアネートと、アミノ酸またはアミノ酸塩酸塩との目標とする重合および/または架橋、その後のヒドロキシル基供与体との重合および/または架橋、ならびに塩基性アミンおよび/またはグアニジニウム基供与体とのさらなる重合および/または架橋の組合せが、安定なマイクロカプセルをもたらし、したがって、活性物質の効率的な封入とこれらの活性物質のその後の目標とする放出を保証することができ、ここで、エマルジョン形成ならびにポリイソシアネートの段階的な重合および/または架橋は、pH値の調整を必要としない。
【0019】
本発明による方法の工程を順次実行し、乳化工程の後にのみ触媒を添加することにより、従来技術のポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルと比較してより優れた安定性および官能性能の両方を有するポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルを製造することができる。
【0020】
本発明による方法の工程を順次実施し、乳化工程の後にのみ触媒を添加することは、さらに、従来技術のマイクロカプセルのカプセルシェルまたはカプセル壁の組成と比較して、異なる組成のカプセルシェルまたはカプセル壁をもたらす。
【0021】
本発明のこれらおよび他の態様、特徴および利点は、以下の詳細な説明および請求項を検討することにより当業者には明らかとなる。この関連で、本発明の別の態様では、本発明の一態様からの任意の特徴を使用するまたはこれで置き換えることができる。本明細書の実施例はこれを制限することなく本発明を例示している。
【0022】
「少なくとも1つ」または「1つ以上」または「1つまたは複数」という用語は、本明細書で使用される場合、1またはそれよりも多く、例えば2、3、4、5、6、7、8、9またはそれよりも多くを指す。
【0023】
「および/または」という用語は、連結が存在する、または選択肢が提供されることを表現している。
【0024】
「x~y」という形態で付与された数字による例は、付与された値を含む。複数の好ましい数値域がこのフォーマットに付与されている場合、異なるエンドポイントを組み合わせることにより作り出されるすべての範囲もまた含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明によるマイクロカプセルの光学顕微鏡画像の図である。マイクロカプセルは、ヘキサメチレンジイソシアネートおよび4,4’-メチルジフェニレンジイソシアネートの75:25の比率での組合せから調製された。さらに、リシン*HClを第1のアミノ酸として、グリセロールをヒドロキシル基供与体として、および炭酸グアニジニウムを塩基性アミン/グアニジニウム基供与体として使用した。DABCOを触媒として使用し、アラビアガムタイプセイヤルと乳化剤として四級化ヒドロキシエチルセルロースを保護コロイドとして使用した。光学顕微鏡画像には、Olympus BX51を使用した。示されているバーは、100μmに相当する。
【0026】
【
図2】本発明によるマイクロカプセル、および乳化前に触媒を水相に添加して溶解させたポリ尿素/ポリウレタン構造に基づく従来技術のマイクロカプセルの粒度分布(d(0.5)値)の図表を示す図である。粒度分布の決定のために、MALVERN Mastersizer 3000を使用した。対応する計算は、Mie理論に基づいている。
【0027】
【
図3】従来技術のマイクロカプセルおよび本発明によるカプセルのIR分光分析の結果を示す図表である。分析は、ATR(減衰全反射)赤外分光法を使用して行った。注)
図3では、吸収軸の小数位は、小数点の区切りとしてコンマの代わりにドットで表記している。
【0028】
【
図4】本発明によるマイクロカプセルおよび従来技術のマイクロカプセル、すなわち乳化前に触媒を水相に加えて溶解させておいたポリ尿素/ポリウレタン構造に基づくマイクロカプセルの官能評価の結果を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
第1の態様では、本発明は、ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルを調製するための方法であって、以下の工程:
(a)第1の重合および/または架橋工程を行う工程であって、
(a1)2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートおよび封入しようとする少なくとも1種の活性成分を含む内部非水相を準備すること、
(a2)少なくとも1種の保護コロイドおよび任意選択で少なくとも1種の乳化剤を含む外部水相を準備すること、
(a3)内部非水相および外部水相を混合して、水中油型エマルジョンまたは分散液を得ること、
(a4)少なくとも1種のアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩および触媒の添加
による工程、
(b)少なくとも1種のヒドロキシル基供与体を添加することにより、第2の重合および/または架橋工程を実行する工程、
(c)少なくとも1種の塩基性アミンおよび/またはグアニジニウム基供与体を添加することにより、第3の重合および/または架橋工程を行って、マイクロカプセル分散液を得る工程、
(d)マイクロカプセル分散液を、少なくとも60℃の温度で少なくとも60分の期間の間硬化する工程、ならびに
(e)任意選択でマイクロカプセルを反応混合物から分離し、任意選択でマイクロカプセルを乾燥させる、または増粘剤を添加することにより、マイクロカプセルスラリーの粘度を調整する工程
をこの順で含む、方法に関する。
【0030】
本発明の文脈において、マイクロカプセルは、カプセルシェルまたはカプセル壁および少なくとも1種またはそれよりも多くの活性成分をカプセル内側のコア材として有するマイクロ粒子と考えられている。活性成分は好ましくは親油性または疎水性の活性成分である。このような活性成分は水には非溶解性または難溶解性であるが、脂肪および油に容易に溶解する。「マイクロカプセル」または「カプセル」および「親油性」または「疎水性」という用語は本発明において同義語として使用されている。
【0031】
本発明の文脈において、カプセルシェルまたはカプセル壁は、三次元ネットワークが生成されるように、好ましくはいくつかの架橋単位または架橋マトリックスで構成され、これらは、好ましくは異なる組成を有し、本発明によるマイクロカプセルの製造中にいくつかの方法工程または方法手順または架橋工程により生成される。
【0032】
本発明の文脈において、架橋単位または架橋マトリックスは、マイクロカプセルシェルを構築するための出発成分の複合体またはネットワークであり、これは、出発成分の官能基間および/もしくはマイクロカプセルシェルの他の成分との線状もしくは三次元的重合および/もしくは架橋により構築され、ならびに/または、それにマイクロカプセルシェルの他の成分が埋め込まれている。いくつかの架橋単位または架橋マトリックスは、順番に、本発明による方法の過程でさらなる架橋により互いに架橋され、マイクロカプセルシェルまたはマイクロカプセル壁を構築するための三次元構造を形成することができる。架橋単位または架橋マトリックスは、これら全体でカプセルシェルまたはカプセル壁を形成する。
【0033】
本発明のさらにより好ましい実施形態では、カプセルシェルまたはカプセル壁は、少なくともポリ尿素およびポリウレタン架橋単位または架橋マトリックスを含む。
【0034】
本発明による方法の第1の工程(a)では、第1の架橋および/または重合(a)が実行される。この目的のために、内部非水相が準備され(a1)、この内部非水相は2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有する少なくとも1つのイソシアネートまたはポリイソシアネート、および封入しようとする少なくとも1種の親油性活性物質を含む。
【0035】
本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルは、少なくとも1つまたはそれよりも多くのポリイソシアネートを使用して調製される。
【0036】
ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルを製造するための、本発明による方法において使用される2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有する少なくとも1種のイソシアネートまたはポリイソシアネートは、カプセルシェルまたはカプセル壁を形成する、架橋および/または重合によりポリマーネットワークを形成するために、少なくとも2つのイソシアネート基を有する。
【0037】
ポリイソシアネートはイソシアン酸(HN=C=O)のR置換された有機誘導体(R-N=C=O)である。有機イソシアネートは、イソシアネート基(-N=C=O)が有機基に結合している化合物である。多官能性のイソシアネートまたはポリイソシアネートは、分子中に少なくとも2つまたはそれよりも多くの、すなわち3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、50、100、200またはさらにより多くのイソシアネート基(-N=C=O)を含有する化合物である。2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネートはジイソシアネートとも呼ばれる。
【0038】
ポリイソシアネートは、脂肪族、脂環式、ヒドロ芳香族、芳香族または複素環イソシアネートまたはポリイソシアネートに分類することができる。加えて、本発明によるポリイソシアネートは直鎖または分枝であることができる。
【0039】
ポリイソシアネート、特に芳香族ポリイソシアネートは極めて反応性のある化合物である。ジオールまたはポリオールを有するポリイソシアネートの重付加反応は、ポリウレタン化学反応のベースであり、ポリイソシアネートとアミンとの重付加反応はポリ尿素化学反応のベースである。
【0040】
本発明によると、少なくとも二官能基、好ましくは多官能基ポリイソシアネートが使用される、すなわちすべての脂肪族、脂環式および芳香族イソシアネートが適切であるが、ただしこれらは少なくとも2つの反応性イソシアネート基を有するものとする。
【0041】
脂肪族、脂環式、ヒドロ芳香族、芳香族または複素環ポリイソシアネート、これらの置換生成物および上述のモノマー性またはオリゴマー性化合物の混合物が特に好ましい。上記に特定されたポリイソシアネートの中でも、脂肪族および/または芳香族化合物が使用されることが好ましい。
【0042】
本発明による方法の好ましい実施形態では、ポリイソシアネートは、平均して2~5つの官能基-N=C=O基を含有する。これらは、例えば、脂肪族、脂環式および芳香族ジイソシアネート、トリイソシアネートおよびより高級のポリイソシアネートを含む。
【0043】
上述されたポリイソシアネートの中でも、ジイソシアネートおよび3つの官能性-N-C=O基を有するポリイソシアネートが特に好ましく、したがって、本発明の実施において優先的に適用されることがわかる。一般構造O=C=N-R-N=C=Oを有し、ここで、Rが、脂肪族、脂環式、または芳香族基を意味する、ジイソシアネートが、好ましく使用される。好ましくは、基は、5つまたはそれよりも多くの炭素原子を有する。
【0044】
本発明による方法の好ましい実施形態では、2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネートおよび/または芳香族ポリイソシアネートからなる群から選択される。本発明による方法のさらにより好ましい変形例では、少なくとも1種のポリイソシアネートは、2つの異なる脂肪族ポリイソシアネートの組合せまたは脂肪族ポリイソシアネートおよび芳香族ポリイソシアネートの組合せである。
【0045】
官能基の数により、カプセル壁の最適な架橋またはネットワーキングが達成され、活性成分の長期の遅延放出ならびに消費者製品における良好な安定性を示すマイクロカプセルを提供する。
【0046】
本発明による方法の好ましい変化形では、ポリイソシアネートは脂肪族ポリイソシアネートである。
【0047】
「脂肪族ポリイソシアネート」という用語は、芳香族ではない任意のポリイソシアネート分子を指す。加えて、分子は、同じ脂肪族分子、およびこのような化合物の誘導体の対応する数の異なるC原子に直接結合している少なくとも2つのイソシアネート基、すなわち少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、50、100、200またはそれよりも多くのイソシアネート基を含む。
【0048】
少なくとも2つのイソシアネート基、すなわち少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、50、100、200またはそれよりも多くのイソシアネート基を有する脂肪族ポリイソシアネート分子は、さらに直鎖、分枝または環式であってもよく、例えば、脂肪族置換基、芳香族置換基、1個または複数のヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、リンおよび/もしく硫黄、ハロゲン、例えば、フッ素、塩素、臭素および/もしくはヨウ素ならびに/または他の官能基、例えば、アルコキシ基を含む任意の置換を有してもよい。
【0049】
直鎖脂肪族ポリイソシアネート分子は、C2~C20直鎖アルキル、好ましくはC3~C15直鎖アルキル、C4~C12直鎖アルキル、C5~C10直鎖アルキル、C6~C9直鎖アルキルまたはC7~C8直鎖アルキルから好ましくは選択される。好ましくは、直鎖脂肪族分子は芳香族構造を含まない。
【0050】
分枝脂肪族ポリイソシアネート分子は、C2~C20分枝アルキル、好ましくはC3~C15分枝アルキル、C4~C12分枝アルキル、C5~C10分枝アルキル、C6~C9分枝アルキル、C7~C8分枝アルキルから好ましくは選択される。
【0051】
ポリイソシアネート分子の炭素鎖がより短いほど、反応速度は、より長い鎖のアナログよりも速い。
【0052】
環式脂肪族ポリイソシアネート分子は、少なくとも1つ、すなわち1、2、3、4つまたはそれよりも多くの非芳香族環構造を含み、この環構造自体は好ましくはC原子のみからなる。当然、環構造のC原子は適切な置換基を保持することができる。少なくとも1つの環構造は、好ましくは独立して、3、4、5、6、7または8員環からなる。好ましくは、環式脂肪族分子は、2~20個のC原子、例えば、3~15個のC原子、4~12個のC原子、5~10個のC原子、6~9個のC原子または7~8個のC原子を含む。
【0053】
本発明による方法のさらなる変化形では、ポリイソシアネートは芳香族ポリイソシアネートである。「芳香族ポリイソシアネート」という用語は、2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基が芳香族C原子に直接結合し、例えば、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、またはジフェニル部分を芳香族成分として含む任意のポリイソシアネート化合物ならびにそのようなポリイソシアネート化合物の誘導体を指す。
【0054】
芳香族ポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネートより有意に速く反応し、したがって好ましくは本発明による方法に使用される。
【0055】
直鎖、分枝または環式の脂肪族または芳香族ポリイソシアネートは、モノマーまたはポリマーとして存在し得る。モノマー性ポリイソシアネートは、別の分子に結合していない、特に1種または複数の架橋剤によって結合していない分子である。ポリマー性ポリイソシアネートは、1種または複数の架橋剤で結合された少なくとも2つのモノマーを含む。少なくとも2つのモノマーは必ずしも同じモノマーでなくてもよく、異なってもよい。ポリマー性ポリイソシアネートは、好ましくは少なくとも1種の架橋剤により一緒に結合された、少なくとも2つまたはそれよりも多くのモノマー、すなわち少なくとも2、3、4、5、10、20、30、40、50、100またはそれよりも多くのモノマーを含む。
【0056】
直鎖、分枝または環式の脂肪族または芳香族ポリイソシアネートは好ましくは限定されたサイズ/分子量を有し、これらによって1種または複数の架橋剤との反応が可能となる。適切な分子量の例は、好ましくは約100g/モル~5×104g/モル、好ましくは120g/モル~2×104g/モル、140g/モル~104g/モル、160g/モル~5×103g/モル、180g/モル~2×103g/モル、200g/モル~103g/モル、220g/モル~900g/モル、240g/モル~800g/モル、260g/モル~700g/モル、280g/モル~600g/モル、300g/モル~500g/モル、320g/モル~450g/モルまたは340g/モル~400g/モルを含む。
【0057】
任意の数の異なる直鎖、分枝および/または環式脂肪族および/または芳香族ポリイソシアネートを使用することができる。例えば、少なくとも1つの、すなわち少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10つの異なる直鎖の脂肪族ポリイソシアネートが使用される。例えば、少なくとも1つの、すなわち少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の異なる分枝脂肪族ポリイソシアネートが使用される。例えば、少なくとも1つ、すなわち少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の異なる分枝環式ポリイソシアネートが使用される。
【0058】
好ましくは、直鎖、分枝および/または環式脂肪族ポリイソシアネートの誘導体が使用される。誘導体は、本明細書で使用される場合、化学反応により化合物から誘導された化合物としてその最も広範な意味で理解される。誘導体の例は、上述された直鎖または分枝の脂肪族ポリイソシアネートのオリゴマーおよび/または付加物を含む。好ましいオリゴマーは、ビウレット、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオンであり、好ましい付加体はトリメチロールプロパン付加体である。これらのオリゴマー/付加体は従来技術で周知であり、例えば、US4855490AまたはUS4144268Aにおいて開示されている。
【0059】
好ましくは、脂肪族ポリイソシアネートはモノマー形態および/またはダイマー化形態(イソシアネートとして)またはオリゴマー形態でのみ存在する。
【0060】
直鎖、分枝または環式のポリイソシアネートの誘導体および/またはこれらの混合物はまた、ポリイソシアネートを、ポリアルコール(例えばグリセロール)、ポリアミン、ポリチオール(例えばジメルカプロール)と反応させることにより得ることができる。
【0061】
上記で定義されたイソシアネート化合物は、具体的には、各種異性体があれば、それを単独または組み合わせて含む。例えば、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)は、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、および/または2,2’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)を含む。
【0062】
例示的脂肪族ポリイソシアネートは、市販のもの、例えば、BAYHYDUR N304およびBAYHYDUR N3Q5(ヘキサメチレンジイソシアネートに基づく脂肪族水分散性ポリイソシアネート)、DESMODUR N3600、DESMODUR N3700およびDESMODUR N3900(ヘキサメチレンジイソシアネートに基づく、低粘度の、多官能性脂肪族ポリイソシアネート)、ならびにDESMODUR 3600およびDESMODUR N100(ヘキサメチレンジイソシアネートに基づく脂肪族ポリイソシアネート)を含み、これらはそれぞれBayer Corporation、Pittsburgh、PAから入手可能である。
【0063】
本発明の別の好ましい変化形によると、直鎖または分枝の脂肪族ポリイソシアネートは、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI、例えば、Stabio D-370NまたはD-376N、三井化学株式会社、日本製)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、エチルエステルリシントリイソシアネート、リシンジイソシアネートエチルエステルおよびその誘導体からなる群から選択され、好ましくは、前記誘導体のそれぞれは1つより多くのイソシアネート基を含み、ビウレット、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオンおよびトリメチロールプロパン付加体からなる群から選択される1種または複数の基を任意選択でさらに含み、および/または前記環式脂肪族ポリイソシアネートまたは環式脂肪族ポリイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI、例えば、Takenate)からなる群から選択されるか、または600(三井化学株式会社、日本)、1,2-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナト-メチル)シクロヘキサン、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)およびその誘導体から選択され、好ましくは前記誘導体のそれぞれは、1つより多くのイソシアネート基を含み、ビウレット、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジニオン(iminooxadiazinione)およびH6XDIのトリメチロールプロパン付加体(例えば、TMP付加体)、特に三井化学株式会社、日本のTakenate D-120Nからなる群から選択される1種または複数の基を任意選択でさらに含む。
【0064】
再生可能な原料から得た脂肪族ポリイソシアネート、例えば、PDI(Stabio D-370NまたはD-376N、三井化学株式会社、日本製)が特に好ましい。再生可能な原料から得たこのような脂肪族ポリイソシアネートは、コア-シェルカプセルの品質/特性に影響を与えないことが判明した。
【0065】
他の適切な市販のポリイソシアネートは、平均nが0.7であるLUPRANAT M20(BASF)、平均nが0.7であるPA PI 27(Dow Chemical)、平均nが0.8であるMONDUR MR(Bayer)、平均nが0.8であるMONDUR MR Light(Bayer)、平均nが1.0であるMONDUR 489(Bayer)、ポリ-[(フェニルイソシアネート)-co-ホルムアルデヒド(Aldrich Chemical、Milwaukee、WI)、他のイソシアネートモノマー、例えば、DESMODUR N3200(Bayer)およびTAKENATE D1 10-N(三井化学株式会社、Rye Brook、NY)を含む。他の代表的なポリイソシアネートとしては、TAKENATE D-1 10N(三井)、DESMODUR L75(Bayer)、およびDESMODUR IL(Bayer)が挙げられる。
【0066】
好ましい実施形態では、本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの調製に使用されるポリイソシアネートは、唯一のポリイソシアネート構成成分として、すなわちこれらと異なる他のいかなるポリイソシアネート構成成分の混和物も含まない唯一のポリイソシアネート構成成分として使用される。
【0067】
本発明に従って使用することができ、少なくとも2つのポリイソシアネート基を含むモノマー型ポリイソシアネートの例は、
エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、エチレンジイソチオシアネート、テトラメチレンジイソチオシアネート、ヘキサメチレンジイソチオシアネート、シクロブタン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネートおよび1,4-フェニレンジイソシアネートの混合物、p-フェニレンジイソチオシアネート、キシリレン-1,4-ジイソチオシアネート、2,4-トルイレンジイソシアネート、2,6-トルイレンジイソシアネート、2,4-トルイレンジイソシアネートおよび2,6-トルイレンジイソシアネートの混合物、キシリレン-1,4-ジイソシアネート、キシリレン-1,3-ジイソシアネート、ならびにキシリレン-1,4-ジイソシアネートおよびキシリレン-1,3-ジイソシアネートの混合物、2,4-ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、2,6-ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、2,4-ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネートおよび2,6-ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネートの混合物、ヘキサヒドロ-1,3-フェニレンジイソシアネート、ヘキサヒドロ-1,4-フェニレンジイソシアネート、ヘキサヒドロ-1,4-フェニレンジイソシアネートおよびヘキサヒドロ-1,4-フェニレンジイソシアネートの混合物、1,3-ジイソシアナトベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼン-2,4-ジイソシアネート、1,3,5-トリイソプロピルベンゼン-2,4-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、ナフチレン-1,4-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアネート、トルイレン-2,4,6-トリイソシアネート、ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’-テトライソシアネートまたは上述の化合物の混合物である。
【0068】
少なくとも2つのポリイソシアネート基を含有する重合可能な化合物は、大規模生産されたジイソシアネートおよびポリイソシアネート、例えばTDI:トルイレンジイソシアネート(80:20比での2,4-と2,6-トルイレンジイソシアネートの異性体混合物)、HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート-(1,6)、IPDI:イソホロンジイソシアネートまたはDMDI:ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートが好ましい。
【0069】
他の特に好ましいモノマー性ポリイソシアネート化合物は、ジイソシアネート、例えば、1,4-ジイソシアナトブタン、1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,3-および1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1-ポリイソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-ポリイソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、2,4-および2,6-ジイソシアナトメチルシクロヘキサンおよびこれらの混合物である。原則として、芳香族ポリイソシアネート、例えばトルイレンジイソシアネートまたは4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタンもまた使用し得る。
【0070】
他のジイソシアネートの具体例は、例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水素添加MDI(H12MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXD1)、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ジ-およびテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、任意選択で混合物中のトルイレンジイソシアネート(TDI)の異性体、1-メチル-2,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、1-イソシアナトメチル-3-イソシアナト-1,5,5-トリメチルシクロヘキサン、塩素化および臭素化ジイソシアネート、リン含有ジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトフェニルペルフルオロエタン、テトラメトキシブタン-1,4-ジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサン-1,6-ジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、フタル酸ビスイソシアナトエチルエステル、また反応性ハロゲン原子を有するポリイソシアネート、例えば、1-クロロメチルフェニル-2,4-ジイソシアネート-1、1-ブロモメチルフェニル-2,6-ジイソシアネート、3,3-ビスクロロメチルエーテル-4,4’-ジフェニルジイソシアネートを含む。
【0071】
驚くことに、特に6、7、8、9、10個またはさらにそれよりも多くの炭素原子を有するより長鎖の脂肪族ジイソシアネートの使用は、さらに安定したカプセルシェルまたはカプセル壁の形成に至ることが示されている。
【0072】
特に好ましい実施形態では、内部非水相は、2つまたはそれよりも多くの異なる重合可能なポリイソシアネートの混合物、例えば異なる鎖長を有するポリイソシアネートの混合物を含み、これらはコポリマーを形成することができる。
【0073】
比例して、上述のジイソシアネートまたはこれらの混合物を公知の方法で改変することにより調製することができ、例えば、ウレトジオン、ウレタン、イソシアヌレート、ビウレットおよび/またはアロファネート基を含有するポリイソシアネートの誘導体もまた、本発明による方法で使用することができる。
【0074】
少なくとも2つの異なる、好ましくは脂肪族、ポリイソシアネートの組合せ、または少なくとも1つの脂肪族と少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートの組合せが特に好ましい。
【0075】
このような組合せでは、ポリイソシアネートの異なる反応速度が利用される:芳香族ポリイソシアネートは脂肪族ポリイソシアネートより有意により速く反応し、短鎖の脂肪族ポリイソシアネート、すなわち1~5個の炭素原子、好ましくは3~5個の炭素原子を有する脂肪族ポリイソシアネートに対して、反応速度は、より長鎖のアナログと比較してより高い。
【0076】
本発明のさらに好ましい態様では、脂肪族および/または芳香族ポリイソシアネートが異なると、鎖長も異なる。この文脈において、より長鎖のポリイソシアネートとは、好ましくは6、7,8、9、10、11、12、13、14、20、25個またはそれよりも多くの炭素原子を有し、より好ましくはこれらは6~12個の炭素原子を有し、特に好ましくは6~8個の炭素原子を有する。より短鎖のポリイソシアネートは1~5個の炭素原子を有するポリイソシアネート、好ましくは3~5個の炭素原子を有するポリイソシアネートを意味する。
【0077】
本発明によると、短鎖脂肪族ポリイソシアネート(C1、C2、C3、C4、C5)と、長鎖脂肪族ポリイソシアネート(C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C20、C25またはそれよりも多くの)との組合せ、または短鎖脂肪族ポリイソシアネート(C1、C2、C3、C4、C5)(C1、C2、C3、C4、C5)と、長鎖芳香族ポリイソシアネート(C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C20、C25またはそれよりも多く)との組合せ、または長鎖脂肪族ポリイソシアネート(C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C20、C25またはそれよりも多く)と、短鎖芳香族ポリイソシアネートとの組合せが好ましい。
【0078】
この文脈において、本発明によるマイクロカプセルの生成のための、鎖中に1~12個の炭素原子、好ましくは3~8個の炭素原子、特に好ましくは4~7個の炭素原子の鎖長を有する、2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有する異なる脂肪族ポリイソシアネートの混合物の使用が特に好ましい。
【0079】
この文脈において、バイオベース系とのこれらの化学的関係により、脂肪族ポリイソシアネートが特に好ましい。例えば、リシンも1,5-ジイソシアナトペンタンも同じ分解生成物、1,5-ジアミノペンタンを示し、したがって、環境問題を考慮に入れると、バイオベースおよび生分解性マイクロカプセルの生成における使用に対して特に適切である。
【0080】
主要な実施形態は、より長鎖およびより短鎖のジイソシアネートの任意の混合比での混合物を含む。好ましくは、より長鎖のジイソシアネートの、より短鎖のジイソシアネートに対する混合比は、4:1~1:4、特に好ましくは2:1~1:2の範囲である。
【0081】
少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートと、少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートとの好ましい特定の混合物の例は、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットと、キシリレンジイソシアネートのトリメチロール付加体との混合物、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットと、ジイソシアネートのポリイソシアヌレートとの混合物、またはヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットと、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体との混合物である。
【0082】
本発明によれば、上述の短鎖脂肪族ポリイソシアネートおよび長鎖脂肪族ポリイソシアネートの組合せにおいて、または短鎖脂肪族ポリイソシアネートと長鎖芳香族ポリイソシアネートの組合せにおいて、または長鎖脂肪族ポリイソシアネートと短鎖芳香族ポリイソシアネートの組合せにおいて、ポリイソシアネートが、モノマー形態、またはオリゴマー形態、またはポリマー形態の混合物であれば、さらにより好ましい。
【0083】
よって、好ましくは、短鎖および長鎖に対して以前に記述された定義により、本発明による方法における使用のための以下の組合せが得られる:
- 短鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)と短鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)、
- 短鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)と長鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)、
- 短鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)と短鎖芳香族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)、
- 短鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)と長鎖芳香族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)、
- 長鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)と短鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)、
- 長鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)と長鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)、
- 長鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)と短鎖芳香族ポリイソシアネート(モノマーまたはオリゴマーまたはポリマー)、
- 長鎖脂肪族ポリイソシアネート(モノマー)と長鎖芳香族ポリイソシアネート(オリゴマーまたはポリマー)。
【0084】
異なる鎖長および重合の度合いの少なくとも2種の脂肪族ポリイソシアネートの選択または脂肪族ポリイソシアネートおよび芳香族ポリイソシアネートの混合物の選択は、ポリイソシアネート成分の異なる反応時間、解離、および架橋構造のために、安定性および性能(フレグランスカプセルの場合にはフレグランス放出)の著しい向上をもたらすことが観察され得る。
【0085】
上述されたポリイソシアネートの組合せ、または2種類の脂肪族ポリイソシアネートのポリイソシアネート混合物もしくは1種の脂肪族ポリイソシアネートおよび1種の芳香族ポリイソシアネートのポリイソシアネート混合物により、特に安定で優れた、すなわちより密に分枝した架橋をカプセルシェル内に生成することができる。
【0086】
したがって、本明細書に記載される方法は、直鎖ポリイソシアネートおよび芳香族ポリイソシアネートの混合物から、または2種類の直鎖ポリイソシアネートの混合物から作られる高性能(フレグランス放出)マイクロカプセルを製造するために使用することができる。このようなマイクロカプセルは非常に安定しており、優れたフレグランス貯蔵特性を特徴とし、ひいては、これが、例えばフレグランス封入の分野における、カプセルのより良い性能(フレグランス放出)に反映される。
【0087】
2つの異なるポリイソシアネートの使用は、以下の実施形態に例示されているように、単一のポリイソシアネート系から作製されるマイクロカプセルの安定性も同様に超えるマイクロカプセルを結果として生じる。
【0088】
脂肪族-脂肪族ポリイソシアネート混合物で作製されたマイクロカプセルは、以下の実施形態の実施例に例示されているような脂肪族-芳香族ポリイソシアネート混合物で作製されたマイクロカプセルとまさに同じくらい良好である。したがって、原則として、少なくとも2つの異なる重合可能な(好ましくは脂肪族および/または芳香族)ポリイソシアネートの組合せが本発明では好ましい。
【0089】
本発明によるマイクロカプセルの調製のためのポリイソシアネートの含有量は、内部非水相の総重量に対して0.1~10.0wt.-%、好ましくは0.5~3.0wt.-%である。
【0090】
ポリイソシアネート構成成分の内部非水相に対する割合は好ましくは1:50~1:20の間、さらにより好ましくは1:40~1:30の間である。
【0091】
低い割合のポリイソシアネート構成成分により、絶対的ポリイソシアネートの割合が、封入しようとする少なくとも1種の親油性活性物質を含む全カプセルの50分の1のみである、ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルを本発明に従い生成することが可能である。よって、カプセル壁の総重量に対して、0.6wt.-%のみのポリイソシアネート含有量を有するポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルを本発明による方法により生成することができる。好ましくは、ポリイソシアネート含有量はカプセル壁の約1.8wt.-%である。ポリイソシアネート含有量が低いにもかかわらず、本発明によるマイクロカプセルは高い安定性を特徴とする。
【0092】
本発明によるマイクロカプセルを製造するための方法の工程(a1)では、少なくとも2つまたはそれよりも多くの官能性イソシアネート基を含む少なくとも1つの重合可能なポリイソシアネートは、最初に、封入しようとする少なくとも1種または複数の活性成分と共に、不活性の非水性溶媒または不活性の非水性溶媒の溶媒混合物中に実質的に溶解される。「実質的に溶解される」とは、上述の成分の少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも98重量%、より好ましくは99.9重量%が、本方法で使用することができるように溶媒中または溶媒混合物中に溶解されることが理解される。より好ましくは、少なくとも1種のポリイソシアネートおよび封入しようとする少なくとも1種の活性成分は、溶媒中または溶媒混合物中に完全に溶解される。溶媒がイソシアネートの十分な溶解性を確保しない場合、適切な溶解促進剤を使用することでこの欠点を克服することが可能である。
【0093】
内部非水相に対して好ましい溶媒は、水と不混和性であり、イソシアネート構成成分または活性成分の構成成分と反応せず、使用量において匂いがわずかしか、またはまったくない。
【0094】
本発明の文脈において、「溶媒」という用語は、すべてのタイプの油状体または油成分、特に菜種油、ひまわり油、大豆油、オリーブ油などの植物油、変性植物油、例えば、アルコキシル化ひまわり油または大豆油、C6~C22脂肪酸のモノ-、ジ-およびトリグリセリドの工業用混合物などの合成(トリ)グリセリド、脂肪酸アルキルエステル、例えば、植物油のメチルまたはエチルエステル(Agnique(登録商標)ME 18 RD-F、Agnique(登録商標)ME 18 SD-F、Agnique(登録商標)ME 12C-F、Agnique(登録商標)ME1270)、これらのC6~C22脂肪酸をベースにした脂肪酸アルキルエステル、鉱物油、ならびにこれらの混合物を含む。適切なおよび好ましい親油性溶媒の例は以下である:6~18、好ましくは8~10個の炭素原子を有する脂肪族アルコールに基づくゲルベアルコール、直鎖C6~C22脂肪酸と直鎖もしくは分枝C6~C22脂肪族アルコールのエステル、または分枝C6~C13カルボン酸と直鎖もしくは分枝C6~C22脂肪族アルコールのエステル、例えば、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸ミリスチル、ステアリン酸ミリスチル、イソステアリン酸ミリスチル、オレイン酸ミリスチル、ベヘン酸ミリスチル、エルカ酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、イソステアリン酸セチル、オレイン酸セチル、ベヘン酸セチル、エルカ酸セチル、ミスチリン酸ステアリル、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、イソステアリン酸ステアリル、オレイン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、エルカ酸ステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ベヘン酸イソステアリル、ミリスチン酸オレイル、パルミチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、イソステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ベヘン酸オレイル、エルカ酸オレイル、ミリスチン酸ベヘニル、パルミチン酸ベヘニル、ステアリン酸ベヘニル、イソステアリン酸ベヘニル、オレイン酸ベヘニル、ベヘン酸ベヘニル、エルカ酸ベヘニル、ミリスチン酸エルシル、パルミチン酸エルシル、ステアリン酸エルシル、イソステアリン酸エルシル、オレイン酸エルシル、ベヘン酸エルシルおよびエルカ酸エルシル。
【0095】
直鎖C6~C22脂肪酸と、分枝アルコール、特に2-エチルヘキサノールのエステル、C18~C38アルキルヒドロキシカルボン酸と、直鎖もしくは分枝C6~C22脂肪酸のエステル、特にジオクチラレート(dioctylalate)、直鎖もしくは分枝脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ダイマージオールまたはトリマートリオール)および/またはゲルベアルコールのエステル、C6~C10脂肪酸に基づくトリグリセリド、C6~C18脂肪酸の液体モノ/ジ/トリグリセリド混合物、C6~C22脂肪族アルコールおよび/またはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸、特に安息香酸のエステル、C2~C12ジカルボン酸と1~22個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルコールまたは2~10個の炭素原子を有するポリオールのエステルおよび2~6ヒドロキシル基、植物油、分枝第1級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖もしくは分枝のC6~C22脂肪族アルコールカーボネート、例えば、炭酸ジカプリリル(Cetiol(登録商標)CC);6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を有する脂肪族アルコールに基づくゲルベカーボネート、直鎖もしくは分枝C6~C22アルコールとの安息香酸エステル、アルキル基1つ当たり6~22個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝、対称的もしくは非対称的なジアルキルエーテル、例えば、ジカプリリルエーテル、ポリオールとのエポキシド化脂肪酸エステルの開環生成物、シリコーン油(シクロメチコン、シリコーンメチコン等級など)、脂肪族またはナフテン系炭化水素、例えば、スクワラン、スクアレンもしくはジアルキルシクロヘキサンおよび/または鉱油もまた適切である。
【0096】
好ましい溶媒は特に、直鎖C6~C22脂肪酸と分枝アルコールのエステル、C18~C38アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖もしくは分枝C6~C22脂肪族アルコール、直鎖もしくは分枝C6~C22脂肪族アルコールのエステル、特にリンゴ酸ジオクチル、直鎖もしくは分枝の脂肪酸と、多価アルコール、例えば、プロピレングリコール、ダイマージオールもしくはトリマートリオール、および/またはゲルベアルコールのエステル、C6~C10脂肪酸に基づくトリグリセリド、C6~C18脂肪酸に基づく液体モノ/ジ/トリグリセリド混合物、C6~C22脂肪族アルコールおよび/またはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸、特に安息香酸のエステル、C2~C12ジカルボン酸と、1~22個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝アルコールまたは2~10個の炭素原子および2~6つのヒドロキシル基を有するポリオールのエステル、植物油、分枝第1級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖および分枝のC6~C22脂肪族アルコール炭酸、例えば、炭酸ジカプリリル(Cetiol TM CC)、6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を有する脂肪族アルコールに基づくゲルベカーボネート、安息香酸と直鎖または分枝C6~C22アルコールのエステル、アルキル基1つ当たり6~22個の炭素原子を有する直鎖または分枝の、対称的または非対称的ジアルキルエーテル、例えば、ジカプリリルエーテル(Cetiol(商標)OE)、ポリオールとのエポキシド化脂肪酸エステルの開環生成物、シリコーン油(シクロメチコン、ケイ素メチコンタイプなど)ならびに/あるいは脂肪族またはナフテン系炭化水素、例えば、スクワラン、スクアレンまたはジアルキルシクロヘキサンである。
【0097】
さらに、液体の直鎖および/もしくは分枝および/または飽和もしくは不飽和の炭化水素あるいは任意の所望のこれらの混合物を本発明の範囲内で溶媒として使用することができる。これらは、例えば、4~22個、好ましくは6~18個の炭素原子、または任意のこれらの混合物を有するアルカンであってよい。
【0098】
内部非水相に対して特に有利な不活性溶媒は、アルキル芳香族炭化水素、例えば、ジイソプロピルナフタレンまたは置換ビフェニル、塩素化ジフェニル、パラフィン、塩素化パラフィン、天然植物油、例えば、綿実油、ピーナッツ油、パーム油、リン酸トリクレシル、シリコーン油、フタル酸ジアルキル、ジアルキルアジピン酸塩、部分的水素化テルフェニル、アルキル化ビフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエーテル、アリールアルキルエーテルおよび高級アルキル化ベンゼン、安息香酸ベンジル、ミリスチン酸イソプロピル、ならびにこれらの疎水性溶媒のいずれかの混合物、および単一またはいくつかのこれらの疎水性溶媒と、ケロセン、パラフィンおよび/またはイソパラフィンとの混合物である。好ましくは、植物油、例えば、ヒマワリ油、トリグリセリド、安息香酸ベンジルまたはミリスチン酸イソプロピルが内部非水相を得るために溶媒として使用される。
【0099】
上述の溶媒は、個々にまたは2種またはそれよりも多くの溶媒の混合物として本発明による方法に使用される。
【0100】
本発明による方法の代替法および好ましい変化形では、少なくとも1種のポリイソシアネートは、少なくとも1種の活性成分の溶液、好ましくは1種または複数のフレグランスまたはフレーバーまたは香油の溶液に、直接溶解され、よって、上に記載されているようないかなる溶媒も本発明によるマイクロカプセルのコアに本質的には存在しない。マイクロカプセルコア中の溶媒を回避することは、これによって製造コストが減少し、環境問題に取り組むという意味で有利である。
【0101】
フレグランスまたは着香料は、特に香水または着香料産業で一般に使用される溶媒中に溶解される。アルコールはイソシアネートと反応するので、溶媒は、好ましくはアルコールではない。適切な溶媒の例は、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、Abalyn(登録商標)(ロジン樹脂、Eastmanから入手可能)、安息香酸ベンジル、クエン酸エチル、リモネンまたは他のテルペンまたはイソパラフィンである。好ましくは、溶媒は極めて疎水性である。好ましくは、フレグランスまたは着香料溶液は30%未満の溶媒を含む。より好ましくは、フレグランスまたは着香料溶液は、20%未満、さらにより好ましくは10%未満の溶媒を含み、すべてのこのようなパーセンテージはフレグランスまたは着香料溶液の総重量に対する重量により定義される。最も好ましくは、フレグランスまたは芳香物質は、実質的に溶媒を含まない。
【0102】
本発明によるマイクロカプセルの製造のための封入しようとする活性物質またはコア材料は、基本的に、マイクロカプセルに封入するのに適した任意の材料である。封入しようとする材料は、親油性、水に不溶性、または水に非混和性の液体または固体ならびに懸濁液である。
【0103】
本発明による方法において使用される封入しようとする少なくとも1種の活性成分は、親油性活性成分である。これは、封入しようとする活性成分が、本発明によるマイクロカプセルの製造中に内部非水相にあって、外部水相と混合しないことを保証し、さもなければ、エマルジョンが形成できず、カプセル壁材料の液滴表面への堆積が生じ得ないからである。これにより、カプセル壁構成成分のその後の乳化および架橋の間、親油性活性成分がコア材としてマイクロカプセルの内側に完全に封入されることになる。こうして形成された内部非水相はその有機的に疎水性の、油性の性質を特徴とする。
【0104】
本発明の特に好ましい変形例では、少なくとも1種の親油性または疎水性活性成分は、特に親油性もしくは疎水性のフレグランスもしくは芳香物質または親油性もしくは疎水性の香油もしくは芳香(フレグランスまたは芳香物質混合物)、清涼化剤、TRPV1もしくはTRPV3モジュレーター、辛味または温覚もしくは熱感を皮膚もしくは粘膜に、またはヒリヒリ感もしくはチクチク感を口内もしくは喉に引き起こす物質、あるいは辛味または刺激または収れん作用を有する物質、殺有害生物剤、殺生物剤、殺虫剤、忌避剤の群からの物質、食品添加物、化粧品活性成分、医薬品活性成分、染料、染料前駆体、発光塗料、農薬、光学的光沢剤、溶媒、ワックス、シリコーン油、滑剤、印刷用紙コーティングのための物質、または上述された活性物質のうち2つまたはそれよりも多くの混合物である。
【0105】
本発明の好ましい変形例では、親油性活性成分は、特に親油性のフレグランスもしくは2種もしくはそれよりも多くのフレグランス(香油)のフレグランス混合物、または芳香物質もしくは2種もしくはそれよりも多くの芳香物質(フレーバー)の芳香物質混合物であるか、または生物起源の成分(biogenic principles)でもある。
【0106】
コアが、以下からなる群から選択される1つまたは複数のフレグランスまたは芳香を含むことが特に好ましい:天然原料の抽出物、およびまたその画分、またはそこから分離された構成物質;炭化水素の群からの個々のフレグランス;脂肪族アルコール;脂肪族アルデヒドおよびアセタール;脂肪族ケトンおよびオキシム;脂肪族含硫化合物;脂肪族ニトリル;脂肪族カルボン酸のエステル;非環式テルペンアルコールのギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、イソ酪酸エステル、酪酸エステル、イソ吉草酸エステル、ペンタン酸エステル、ヘキサン酸エステル、クロトン酸エステル、チグリン酸エステル、および3-メチル-2-ブテン酸エステル;非環式テルペンアルデヒドおよびケトンならびにそれらのジメチルおよびジエチルアセタール;環式テルペンアルコールのギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、イソ酪酸エステル、酪酸エステル、イソ吉草酸エステル、ペンタン酸エステル、ヘキサン酸エステル、クロトン酸エステル、チグリン酸エステル、および3-メチル-2-ブテン酸エステル;環式テルペンアルデヒドおよびケトン;環式アルコール;環式および脂環式エーテル;環式および大環状ケトン;脂環式アルデヒド;脂環式ケトン;環式アルコールのエステル;脂環式アルコールのエステル;脂環式カルボン酸のエステル;芳香族炭化水素;芳香脂肪族アルコール;芳香脂肪族アルコールおよび脂肪族カルボン酸のエステル;芳香脂肪族エーテル;芳香族および芳香脂肪族アルデヒド;芳香族および芳香脂肪族ケトン;芳香族および芳香脂肪族カルボン酸ならびにそれらのエステル;窒素含有芳香族化合物;フェニルエーテルおよびフェニルエステル;複素環式化合物;ラクトン;ならびにシェルが臭気物質に対して完全にまたは実質的に不透過性である上述のものの混合物。
【0107】
本発明によるカプセルの製造のための適切なフレグランスおよびフレーバーは、好ましくは、例えば、Steffen Arctander、「Perfume and Flavor Chemicals」中の「Fragrances」、自費出版、Montclair,N.J.1969;H.Surburg,J.Panten、「Common Fragrance and Flavor Materials」、第5版、Wiley-VCH、Weinheim 2006に記載されている。
【0108】
好ましくは、本発明によるマイクロカプセルは、疎水性の単一フレグランスまたは単一アロマの形態のコア材を含み、コア材は以下の群のうちの1種または複数から選択される少なくとも1種の単一フレグランスまたは単一アロマを含む:
- 炭化水素、例えば、3-カレン;α-ピネネン;ベータ-ピネン;アルファテルピネン;ガンマ-テルピネン;p-シメン;ビサボレン;カンフェン;カリオフィレン;セドレン;ファルネセン;リモネン;ロンギホレン;ミルセン;オシメン;バレンセン;(E,Z)-1,3,5-ウンデカトリエン;スチレン;ジフェニルメタン;
- 脂肪族アルコール、例えば、ヘキサノール;オクタノール;3-オクタノール;2,6-ジメチルヘプタノール;2-メチルヘプタノール、2-メチルオクタノール;(E)-2-ヘキセノール;(E)-および(Z)-3-ヘキセノール;1-オクテン-3-オール;3,4,5,6,6-ペンタメチル-3,4-ヘプテン-2-オールと3,5,6,6-テトラメチル-4-メチレンヘプタン-2-オールの混合物;(E,Z)-2,6-ノナジエノール;3,7-ジメチル-7-メトキシオクタン-2-オール;9-デセノール;10-ウンデセノール;4-メチル-3-デセン-5-オール;
- 脂肪族アルデヒドおよびこれらのアセタール、例えば、ヘキサナール;ヘプタナール;オクタナール;ノナナール;デカナール;ウンデカナール;ドデカナール;トリデカナール;2-メチルオクタナール;2-メチルノナナール;(E)-2-ヘキセナール;(Z)-4-ヘプテナール;2,6-ジメチル-5-ヘプテナール;10-ウンデセナール;(E)-4-デセナール;2-ドデセナール;2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール;ヘプタナールジエチルアセタール;1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン;シトロネリルオキシ-アセトアルデヒド;1-(1-メトキシプロポキシ)-(E/Z)-3-ヘキセン;
- 脂肪族ケトンおよびこれらのオキシム、例えば、2-ヘプタノン;2-オクタノン;3-オクタノン;2-ノナノン;5-メチル-3-ヘプタノン;5-メチル-3-ヘプタノンオキシム;2,4,4,7-テトラメチル-6-オクテン-3-オン;6-メチル-5-ヘプテン-2-オン;
- 脂肪族硫黄含有化合物、例えば、3-メチルチオヘキサノール;3-メチルチオヘキシルアセテート;3-メルカプトヘキサノール;3-メルカプトヘキシルアセテート;3-メルカプトヘキシルブチレート;3-アセチルチオヘキシルアセテート;1-メンテン-8-チオール;
- 脂肪族ニトリル、例えば、2-ノネン酸ニトリル;2-トリデセン酸ニトリル;2,12-トリデセン酸ニトリル;3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン酸ニトリル;3,7-ジメチル-6-オクテン酸ニトリル;
- 脂肪族カルボン酸およびこれらのエステル、例えば、(E)-および(Z)-3-ヘキセニルホルメート;アセト酢酸エチル;酢酸イソアミル;酢酸ヘキシル;3,5,5-トリメチルヘキシルアセテート;3-メチル-2-ブテニルアセテート;(E)-2-ヘキセニルアセテート;(E)-および(Z)-3-ヘキセニルアセテート;酢酸オクチル;3-オクチルアセテート;1-オクテン-3-イルアセテート;酪酸エチル;酪酸ブチル;酪酸イソアミル;酪酸ヘキシル;(E)-および(Z)-3-ヘキセニルイソブチレート;クロトン酸ヘキシル;イソ吉草酸エチル;エチル2-メチルペンテノエート;ヘキサン酸エチル;ヘキサン酸アリル;ヘプタン酸エチル;ヘプタン酸アリル;オクタン酸エチル;エチル(E,Z)-2,4-デカジエノエート;特にエチル2-trans-4-cis-デカジエノエート;メチル2-オクチネート;メチル2-ノニネート;アリル2-イソアミルオキシアセテート;メチル3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノエート;4-メチル-2-ペンチルクロトン酸エステル;
- 非環式テルペンアルコール、例えば、シトロネロール;ゲラニオール;ネロール;リナロール;ラバンジュロール;ネロリドール;ファルネソール;テトラヒドロリナロール;テトラヒドロゲラニオール;2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール;2,6-ジメチルオクタン-2-オール;2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール;2,6-ジメチル-5,7-オクタジエン-2-オール;2,6-ジメチル-3,5-オクタジエン-2-オール;3,7-ジメチル-4,6-オクタジエン-3-オール;3,7-ジメチル-1,5,7-オクタトリエン-3-オール;2,6-ジメチル-2,5,7-オクタトリエン-1-オール;およびこれらのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンテノエート、ヘクサノエート、クロトネート、チグリネートまたは3-メチル-2-ブテノエート;
- 非環式テルペンアルデヒドおよびケトン、例えば、ゲラニアール;ネラール;シトロネラール;7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール;7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール;2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール;ゲラニルアセトン;ならびにゲラニアール、ネラール、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールのジメチルおよびジエチルアセタール;特にゲラニアール、ネラールおよび7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール(dimethylactanal)のジメチルおよびジエチルアセタール;
- 環式テルペンアルコール、例えば、メントール;イソプレゴール;アルファ-テルピネオール;テルピネオール-4;メンタン-8-オール;メンタン-1-オール;メンタン-7-オール;ボルネオール;イソボルネオール;リナロールオキシド;ノポール;セドロール;アンブリノール;ベチベロール;グアヤコール(guaiaol);およびこれらのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンテノエート、ヘクサノエート、クロトネート、チグリネートまたは3-メチル-2-ブテノエート;
- 環式テルペンアルデヒドおよびケトン、例えば、メントン;イソメントン;8-メルカプトメンタン-3-オン;カルボン;カンファー;フェンコン;アルファ-イオノン;ベータ-イオノン;アルファ-N-メチルイオノン;ベータ-N-メチルイオノン;アルファ-イソメチルイオノン;ベータ-イソメチルイオノン;アルファ鉄;ベータ鉄;アルファ-ダマセノン;ベータ-ダマセノン;ガンマ-ダマセノン;デルタ-ダマセノン;ガンマ-ダマセノン;1-(2,4,4-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン;1,3,4,6,7,8a-ヘキサヒドロ-1,1,5,5-テトラメチル-2H-2,4a-メタノナフタレン-8(5H)-オン;2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル(yol))-2-ブテナール;ヌートカトン;ジヒドロヌートカトン;4,6,8-メガスチグマトリエン-3-オン;アルファ-シネンサール;ベータ-シネンサール;アセチル化シダーウッド油(メチルセドリルケトン);
- 環式アルコール、例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノール;3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール;3-イソカンフィルシクロヘキサノール;2,6,9-トリメチル-(Z2,Z5,E9)シクロドデカトリエン-1-オール;2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール;脂環式アルコールの群から、例えば、3,3,3-トリメチルシクロヘキシルメタノール;2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)ブタノール;2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-2-ブテン-1-オール;2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-2-ブテン-1-オール;3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-ペンタン-2-オール;3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-4-ペンテン-2-オール;3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-4-ペンテン-2-オール;1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ペンタン-3-オール;1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オール;
- 環式および脂環式エーテル、例えば、シネオール;セドリルメチルエーテル;シクロドデシルメチルエーテル;1,1-ジメトキシシクロドデカン;(エトキシメトキシ)シクロドデカン;アルファ-セドレンエポキシド;3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン;3a-エチル-6,6,9a-トリメチル-ドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン;1,5,9-トリメチル-13-オキサビシクロ[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン;ローズオキシド;2-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサン;
- 環式および大環式ケトン、例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノン;2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン;2-ヘプチルシクロペンタノン;2-ペンチルシクロペンタノン;2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-cis-2-ペンテン-1-イル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-2-ペンチル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-4-シクロペンタデセノン;3-メチル-5-シクロペンタデセノン;3-メチルシクロペンタデカノン;4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサノン;4-tert-ペンチルシクロヘキサノン;5-シクロヘキサデセン-1-オン;6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン;8-シクロヘキサデセン-1-オン;7-シクロヘキサデセン-1-オン;(7/8)-シクロヘキサデセン-1-オン;9-シクロヘプタデセン-1-オン;シクロペンタデカノン;シクロヘキサデカノン;
- 脂環式アルデヒド、例えば、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;2-メチル-4-(2,2,6-トリメチル-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール;4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;4-(4-メチル-3-ペンテン-1-イル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;
- 脂環式ケトン、例えば、1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)-4-ペンテン-1-オン;2,2-ジメチル-1-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-1プロパノン;1-(5,5-ジメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン;2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2-ナフタレニルメチルケトン;メチル-2,6,10-トリメチル-2,5,9-シクロドデカトリエニルケトン;tert-ブチル-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)ケトン;
- 環式アルコールのエステル、例えば、2-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート;4-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート;2-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート;4-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート;3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアセテート;デカヒドロ-2-ナフチルアセテート;2-シクロペンチルシクロペンチルクロトネート;3-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルアセテート;デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-2-ナフチルアセテート;4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または-6-インデニルアセテート;4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または-6-インデニルプロピオネート;4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または-6-インデニルイソブチレート;4,7-メタノオクタヒドロ-5-または-6-インデニルアセテート;
- 脂環式アルコールのエステル、例えば、1-シクロヘキシルエチルクロトネート;
- 脂環式カルボン酸のエステル、例えば、アリル3-シクロヘキシルプロピオネート;アリルシクロヘキシルオキシアセテート;cis-およびtrans-メチルジヒドロジャスモネート;cis-およびtrans-メチルジャスモネート;メチル2-ヘキシル-3-オキソシクロペンタンカルボキシレート;エチル2-エチル-6,6-ジメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート;エチル2,3,6,6-テトラメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート;エチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテート;
- 芳香族炭化水素、例えば、スチレンおよびジフェニルメタン;
- 芳香脂肪族アルコール、例えば、ベンジルアルコール;1-フェニルエチルアルコール;2-フェニルエチルアルコール;3-フェニルプロパノール;2-フェニルプロパノール;2-フェノキシエタノール;2,2-ジメチル-3-フェニルプロパノール;2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパノール;1,1-ジメチル-2-フェニル-エチルアルコール;1,1-ジメチル-3-フェニルプロパノール;1-エチル-1-メチル-3-フェニルプロパノール;2-メチル-5-フェニルペンタノール;3-メチル-5-フェニルペンタノール;3-フェニル-2-プロペン-1-オール;4-メトキシベンジルアルコール;1-(4-イソプロピルフェニル)エタノール;
- 芳香脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、例えば、酢酸ベンジル;ベンジルプロピオネート;ベンジルイソブチレート;ベンジルイソバレレート;2-フェニルエチルアセテート;2-フェニルエチルプロピオネート;2-フェニルエチルイソブチレート;2-フェニルエチルイソバレレート;1-フェニルエチルアセテート;α-トリクロロメチル酢酸ベンジル;a,a-ジメチルフェニルエチルアセテート;a,a-ジメチルフェニルエチルブチレート;シンナミルアセテート;2-フェノキシエチルイソブチレート;4-メトキシベンジルアセテート;
- 芳香脂肪族エーテル、例えば、2-フェニルエチルメチルエーテル;2-フェニルエチルイソアミルエーテル;2-フェニルエチル1-エトキシエチルエーテル;フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール;フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール;ヒドロアトロパアルデヒドジメチルアセタール;フェニルアセトアルデヒドグリセロールアセタール;2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン;4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン;4,4a,5,9b-テトラヒドロ-2,4-ジメチルインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン;
- 芳香族および芳香脂肪族アルデヒド、例えば、ベンズアルデヒド;フェニルアセトアルデヒド;3-フェニルプロパナール;ヒドロアトロパアルデヒド;4-メチルベンズアルデヒド;4-メチルフェニルアセトアルデヒド;3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール;2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)-プロパナール;2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール;3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール;シンナムアルデヒド;a-ブチルシンナムアルデヒド;a-アミルシンナムアルデヒド;a-ヘキシルシンナムアルデヒド;3-メチル-5-フェニルペンタナール;4-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド;3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド;3,4-ジメトキシベンズアルデヒド;2-メチル-3-(4-メトキシフェニル)プロパナール;2-メチル-3-(4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール;
- 芳香族および芳香脂肪族ケトン、例えば、アセトフェノン;4-メチルアセトフェノン;4-メトキシアセトフェノン;4-tert-ブチル-2,6-ジメチルアセトフェノン;4-フェニル-2-ブタノン;4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン;1-(2-ナフタレニル)エタノン;ベンゾフェノン;1,1,2,3,3,6-ヘキサメチル-5-インダニルメチルケトン;6-tert-ブチル-1,1-ジメチル-4-インダニルメチルケトン;1-[2,3-ジヒドロ-1,1,2,6-テトラメチル-3-(1-メチルエチル)-1H-5-インデニル]エタノン;5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-3’,5’,5’,6’,8’,8’-ヘキサメチル-2-アセトナフトン;
- 芳香族および芳香脂肪族カルボン酸ならびにそのエステル、例えば、安息香酸;フェニル酢酸;メチル安息香酸塩;安息香酸エチル;安息香酸ヘキシル;安息香酸ベンジル;フェニル酢酸メチル;フェニル酢酸エチル;フェニル酢酸ゲラニル;フェニル酢酸フェニルエチル;ケイ皮酸メチル;ケイヒ酸エチル;ケイヒ酸ベンジル;ケイ皮酸フェニルエチル;ケイヒ酸シンナミル;フェノキシ酢酸アリル;サルチル酸メチル;サリチル酸イソアミル;サリチル酸ヘキシル;サリチル酸シクロヘキシル;cis-3-ヘキセニルサリチレート;サリチル酸ベンジル;サリチル酸フェニルエチル;メチル2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート;エチル3-フェニルグリシデート;エチル3-メチル-3-フェニルグリシデート;
- 窒素含有芳香族化合物、例えば、2,4,6-トリニトロ-1,3-ジメチル-5-tert-ブチルベンゼン;3,5-ジニトロ-2,6-ジメチル-4-tert-ブチルアセトフェノン;ケイヒ酸ニトリル;5-フェニル-3-メチル-2-ペンテン酸ニトリル;5-フェニル-3-メチルペンタン酸ニトリル;アントラニル酸メチル;N-メチルアントラニル酸メチル;メチルアントラニレートと7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナールまたは2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒドのシッフ塩基;6-イソプロピルキノリン;6-イソブチルキノリン;6-sec-ブチルキノリン;インドール;スカトール;2-メトキシ-3-イソプロピルピラジン;2-イソブチル-3-メトキシピラジン;4-(4,8-ジメチル-3,7-ノナジエニル)-ピリジン;
- フェノール類、フェニルエーテルおよびフェニルエステル、例えば、tarragol;アネトール;オイゲノール;オイゲニルメチルエーテル;イソオイゲノール;イソオイゲニルメチルエーテル;チモール;カルバクロール;ジフェニルエーテル;ベータ-ナフチルメチルエーテル;ベータ-ナフチルエチルエーテル;ベータ-ナフチルイソブチルエーテル;1,4-ジメトキシベンゼン;オイゲニル酢酸;2-メトキシ-4-メチルフェノール;2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール;p-クレシルフェニルアセテート;複素環化合物の群から、例えば、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン;2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-2H-フラン-3-オン;3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン;2-エチル-3-ヒドロキシ-4H-ピラン-4-オン;
- ラクトン、例えば、1,4-オクタノリド;3-メチル-1,4-オクタノリド;1,4-ノナノリド;1,4-デカノリド;8-デセン-1,4-オリド;1,4-ウンデカンオリド;1,4-ドデカノリド;1,5-デカノリド;1,5-ドデカノリド;1,15-ペンタデカノリド;cis-およびtrans-11-ペンタデセン-1,15-オリド;cis-およびtrans-12-ペンタデセン-1,15-オリド;1,16-ヘキサデカノリド;9-ヘキサデセン-1,16-オリド;10-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;11-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;12-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;エチレン-1,12-ドデカンジオエート;エチレン-1,13-トリデカンジオエート;クマリン;2,3-ジヒドロクマリン;オクタヒドロクマリン;
ならびに上述の物質の立体異性体、エナンチオマー、位置異性体、ジアステレオマー、cis/trans異性体またはエピマー、および上述の物質の混合物。
【0109】
本発明による方法のさらなる変形例では、着香料物質は、単一の着香料の形態でコア材料として封入することもでき、ここで、活性物質としてのコア材料は、少なくとも1種の単一の着香料物質またはその混合物を含む。
【0110】
本発明の意味で封入することができる着香料物質または着香料の典型的な例は、以下からなる群から選択される:アセトフェノン;カプロン酸アリル(allyl capronate);アルファイオノン;ベータイオノン;アニスアルデヒド;酢酸アニシル;ギ酸アニシル;ベンズアルデヒド;ベンゾチアゾール;酢酸ベンジル;ベンジルアルコール;安息香酸ベンジル;ベータイオノン;酪酸ブチル;カプロン酸ブチル(butyl capronate);ブチリデンフタリド;カルボン;カンフェン;カリオフィレンン;シネオール;酢酸シンナミル;シトラール;シトロネロール;シトロネラール;酢酸シトロネリル;酢酸シクロへキシル;シメン;ダマスコン;デカラクトン;ジヒドロクマリン;アントラニル酸ジメチル;アントラニル酸ジメチル;ドデカラクトン;酢酸エトキシエチル;エチル酪酸;酪酸エチル;カプリン酸エチル;カプロン酸エチル(ethyl capronate);クロトン酸エチル;エチルフラネオール;エチルグアヤコール;イソ酪酸エチル;イソ吉草酸エチル;乳酸エチル;メチル酪酸エチル;プロピオン酸エチル;ユーカリプトール;オイゲノール;ヘプチル酸エチル;4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン;ガンマ-デカラクトン;ゲラニオール;酢酸ゲラニル;酢酸ゲラニル;グレープフルーツアルデヒド;ジヒドロジャスモン酸メチル(例えば、Hedion(登録商標));ヘリオトロピン;2-ヘプタノン;3-ヘプタノン;4-ヘプタノン;trans-2-ヘプテナール;cis-4-ヘプテナール;trans-2-ヘキセナール;cis-3-ヘキセノール;trans-2-ヘキセン酸;trans-3-ヘキセン酸;酢酸cis-2-ヘキセニル;酢酸cis-3-ヘキセニル;カプロン酸cis-3-ヘキセニル(cis-3-hexenyl capronate);カプロン酸trans-2-ヘキセニル(trans-2-hexenyl capronate);ギ酸cis-3-ヘキセニル;酢酸cis-2-ヘキシル;酢酸cis-3-ヘキシル;酢酸trans-2-ヘキシル;ギ酸cis-3-ヘキシル;パラ-ヒドロキシベンジルアセトン;イソアミルアルコール;イソ吉草酸イソアミル;酪酸イソブチル;イソブチルアルデヒド;イソオイゲノールメチルエーテル;イソプロピルメチルチアゾール;ラウリン酸;レブリン酸(leavulinic acid);リナロール;リナロールオキシド;酢酸リナリル;メントール;メントフラン;アントラニル酸メチル;メチルブタノール;メチル酪酸;酢酸2-メチルブチル;カプロン酸メチル(methyl capronate);ケイ皮酸メチル;5-メチルフルフラール;3,2,2-メチルシクロペンテノロン;6,5,2-メチルヘプテノン;ジヒドロジャスモン酸メチル;ジャスモン酸メチル;2-メチル酪酸メチル;2-メチル-2-ペンテン酸;チオ酪酸メチル;3,1-メチルチオヘキサノール;酢酸3-メチルチオヘキシル;ネロール;酢酸ネリル;trans,trans-2,4-ノナジエナール;2,4-ノナジエノール;2,6-ノナジエノール;2,4-ノナジエノール;ノートカトン;デルタ-オクタラクトン;ガンマ-オクタラクトン;2-オクタノール;3-オクタノール;1,3-オクテノール;酢酸1-オクチル;酢酸3-オクチル;パルミチン酸;パラアルデヒド;フェランドレン;ペンタンジオン;酢酸フェニルエチル;フェニルエチルアルコール;フェニルエチルアルコール;イソ吉草酸フェニルエチル;ピペロナール;プロピオンアルデヒド;酪酸プロピル;プレゴン;プレゴール;シネンサール;スルフロール;テルピネン;テルピネオール;テルピノレン;8,3-チオメンタノン;4,4,2-チオメチルペンタノン;チモール;デルタ-ウンデカラクトン;ガンマ-ウンデカラクトン;バレンセン;吉草酸;バニリン;アセトイン;エチルバニリン;エチルバニリンイソブチレート(3-エトキシ-4-イソブチリルオキシベンズアルデヒド);2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンおよびその誘導体(好ましくは、ホモフラネオール(2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-3(2H)-フラノン)、ホモフロノール(2-エチル-5-メチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンおよび5-エチル-2-メチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノン);マルトールおよびマルトール誘導体(好ましくは、エチルマルトール);クマリンおよびクマリン誘導体;ガンマ-ラクトン(好ましくは、ガンマ-ウンデカラクトン、ガンマ-ノナラクトン、ガンマ-デカラクトン);デルタ-ラクトン(好ましくは、4-メチルデルタデカラクトン、マッソイラクトン;デルタデカラクトン、ツベロラクトン);ソルビン酸メチル;ジバニリン;4-ヒドロキシ-2(または5)-エチル-5(または2)-メチル-3(2H)フラノン;2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテノン;3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン;酢酸イソアミルエステル;酪酸エチルエステル;酪酸n-ブチルエステル;酪酸イソアミルエステル;3-メチル酪酸エチルエステル;n-ヘキサン酸エチルエステル;n-ヘキサン酸アリルエステル;n-ヘキサン酸n-ブチルエステル;n-オクタン酸エチルエステル;エチル3-メチル-3-フェニルグリシデート;2-trans-4-cis-デカジエン酸エチル;4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン;1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキサン;2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アール;フェニルアセトアルデヒド;2-メチル-3-(メチルチオ)フラン;2-メチル-3-フランチオール;ビス(2-メチル-3-フリル)ジスルフィド;フルフリルメルカプタン;メチオナール;2-アセチル-2-チアゾリン;3-メルカプト-2-ペンタノン;2,5-ジメチル-3-フランチオール;2,4,5-トリメチルチアゾール;2-アセチルチアゾール;2,4-ジメチル-5-エチルチアゾール;2-アセチル-1-ピロリン;2-メチル-3-エチルピラジン;2-エチル-3,5-ジメチルピラジン;2-エチル-3,6-ジメチルピラジン;2,3-ジエチル-5-メチルピラジン;3-イソプロピル-2-メトキシピラジン;3-イソブチル-2-メトキシピラジン;2-アセチルピラジン;2-ペンチルピリジン;(E,E)-2,4-デカジエナール;(E,E)-2,4-ノナジエナール;(E)-2-オクテナール;(E)-2-ノネナール;2-ウンデセナール;12-メチルトリデカナール;1-ペンテン-3-オン;4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン;グアヤコール;3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン;3-ヒドロキシ-4-メチル-5-エチル-2(5H)-フラノン;シンナムアルデヒド;ケイ皮アルコール;サリチル酸メチル;イソプレゴールならびに本明細書に明示的に述べられていないこれらの物質の立体異性体、鏡像異性体、位置異性体、ジアステレオ異性体、cis/trans異性体、またはエピマー;ならびにこれらの物質の混合物、これらの物質のエピマー;ならびに上述の物質の混合物。
【0111】
本発明の意味で封入することができる上述の個々のフレグランスのうち、アルデヒド、カルボン酸またはエステル官能基を有するフレグランスが優先される。
【0112】
アルデヒドのフレグランスは、対応するアセタールならびにエステルおよびラクトンも含むことができ、以下の群、すなわち
(i)脂肪族アルデヒドおよびこれらのアセタール、
(ii)脂環式アルデヒド、
(iii)芳香族または芳香脂肪族アルデヒド、
(iv)脂肪族、芳香族または芳香脂肪族エステル、および
(v)ラクトン、
ならびにこれらの混合物に分割することができる。
【0113】
アルデヒド、カルボン酸またはエステル官能基、およびこれらの混合物を有する上述のフレグランスは、以下の群のうちの1種または複数から選択される:
- 脂肪族アルデヒドおよびこれらのアセタール、例えば、ヘキサナール;ヘプタナール;オクタナール;ノナナール;デカナール;ウンデカナール;ドデカナール;トリデカナール;2-メチルオクタナール;2-メチルノナナール;(f)-2-ヘキセナール;(Z)-4-ヘプテナール;2,6-ジメチル-5-ヘプテナール;10-ウンデセナール;(f)-4-デセナール;2-ドデセナール;2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール;ヘプタナールジエチルアセタール;1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン;シトロネリルオキシアセトアルデヒド;
- 脂環式アルデヒド、例えば、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;2-メチル-4-(2,2,6-トリメチル-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール;4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;4-(4-メチル-3-ペンテン-1-イル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;
- 芳香族および芳香脂肪族アルデヒド、例えば、ベンズアルデヒド;フェニルアセトアルデヒド;3-フェニルプロパナール;ヒドロアトロパアルデヒド;4-メチルベンズアルデヒド;4-メチルフェニルアセトアルデヒド;3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール;2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)プロパナール;2-メチル-3-(4-te/t-ブチルフェニル)プロパナール;3-(4-te/t-ブチルフェニル)プロパナール;シンナムアルデヒド;α-ブチルシンナムアルデヒド;α-アミルシンナムアルデヒド;α-ヘキシルシンナムアルデヒド;3-メチル-5-フェニルペンタナール;4-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド;3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド;3,4-ジメトキシベンズアルデヒド;2-メチル3-(4-メトキシフェニル)プロパナール;2-メチル3-(4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール;
- 脂肪族カルボン酸エステル、例えば、(E)-および(Z)-3-ヘキセニルホルメート;アセト酢酸エチル;酢酸イソアミル;酢酸ヘキシル;3,5,5-トリメチルヘキシルアセテート;3-メチル-2-ブテニルアセテート;(f)-2-ヘキセニルアセテート;(E)-および(Z)-3-ヘキセニルアセテート;酢酸オクチル;3-オクチルアセテート;1-オクテン-3-イルアセテート;酪酸エチル;酪酸ブチル;酪酸イソアミル;酪酸ヘキシル;(E)-および(Z)-3-ヘキセニルイソブチレート;クロトン酸ヘキシル;イソ吉草酸エチル;エチル2-メチルペンテノエート;ヘキサン酸エチル;ヘキサン酸アリル;ヘプタン酸エチル;ヘプタン酸アリル;オクタン酸エチル;エチル(E,Z)-2,4-デカジエノエート;メチル2-オクチネート;メチル2-ノニネート;アリル2-イソアミルオキシアセテート;メチル3,7-ジメチル2,6-オクタジエノエート;
- 環式アルコールのエステル、例えば、2-te/t-ブチル酢酸シクロヘキシル;4-te/t-ブチル酢酸シクロヘキシル;2-ieri-ペンチル酢酸シクロヘキシル;4-te/t-ペンチル酢酸シクロヘキシル;デカヒドロ-2-ナフチルアセテート;3-ペンチルテトラヒドロ-2/-/-ピラン-4-イルアセテート;デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-2-ナフチルアセテート;4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または-6-インデニルアセテート;4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または-6-インデニルプロピオネート;4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または-6-インデニルイソブチレート;4,7-メタノオクタヒドロ-5-または-6-インデニルアセテート;
- 芳香脂肪族アルコールおよび脂肪族カルボン酸のエステル、例えば、酢酸ベンジル;プロピオン酸ベンジル;イソ酪酸ベンジル;イソ吉草酸ベンジル;2-酢酸フェニルエチル;2-フェニルエチルプロピオネート;2-フェニルエチルイソブチレート;2-イソ吉草酸フェニルエチル;1-酢酸フェニルエチル;a-トリクロロメチルベンジルアセテート;α,α-ジメチルフェニルエチルアセテート;α,α-ジメチルフェニルエチルブチレート;酢酸シンナミル;2-フェノキシエチルイソブチレート;4-メトキシベンジルアセテート;
- 脂環式カルボン酸のエステル、例えば、アリル3-シクロヘキシルプロピオン酸;アリルシクロヘキシルオキシアセテート;メチルジヒドロジャスモネート;ジャスモン酸メチル;メチル2-ヘキシル-3-オキソシクロペンタンカルボキシレート;エチル2-エチル-6,6-ジメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート;エチル2,3,6,6-テトラメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート;エチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテート;
- 芳香族および芳香脂肪族カルボン酸エステル、例えば、安息香酸メチル;安息香酸エチル;安息香酸ヘキシル;安息香酸ベンジル;フェニル酢酸メチル;フェニル酢酸エチル;フェニル酢酸ゲラニル;フェニル酢酸フェニルエチル;ケイ皮酸メチル;ケイヒ酸エチル;ケイヒ酸ベンジル;ケイ皮酸フェニルエチル;ケイヒ酸シンナミル;フェノキシ酢酸アリル;サルチル酸メチル;サリチル酸イソアミル;サリチル酸ヘキシル;サリチル酸シクロヘキシル;cis-3-ヘキセニルサリチレート;サリチル酸ベンジル;サリチル酸フェニルエチル;メチル2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート;エチル3-フェニルグリシデート;エチル3-メチル-3-フェニルグリシデート。
【0114】
本発明による方法の目的に対して、群(i)~(v)の代表として特に好ましいアルデヒド、アセタール、エステルおよびラクトンを、これらの商品名と共に以下に列挙する:
【0115】
アルデヒド類:2-メチルペンタナール;アルデヒドC12 MNA HM;アルデヒドC4;アルデヒドC5;アルデヒドC6;アルデヒドC7;アルデヒドC8;アルデヒドC9;アルデヒドC10;アルデヒドC11 ISO;アルデヒドC11 MOA PURE;アルデヒドC11 UNDECANAL;アルデヒドC11 UNDEYLENIC;アルデヒドC12;アルデヒドC12 MNA;アルデヒドC13;ALDEHYDE MADARINE;AMYL CINNAMIC ALDEHYDE ALPHA;ANISALALDEHYDE-O;ANISYL ALDEHYDE;BENZALDEHYDE NAT.;BERGAMAL;BORONAL;BOURGENOAL;CAMPHONELIC ALDEHYDE;CITRAL;CITRONELLAL HM;CITRONELLYL OXYACET ALDEHYDE;CITRYLAL;CITROYLAL E HM;CORTEX ALDEHYDE;CORTEX ALDEHYDE 50 PCT PEMOSA;CROTONIC ALDEHYDE;CUMINAL ALDEHYDE;CYCLAMEN ALDEHYDE;DECADIENAL TRANS、TRANS-2,4、DECANAL CIS-4;DECANAL TRANS-2;DECANAL TRANS-2 NAT;DECANAL TRANS-4;DECANAL-9,1;DODECANIENAL 2,6;DODECANAL TRANS-2;DUPICAL;EPOXYDECENAL-4,5-2 10%TRI;ETHYL HEXANAL;FARENAL(登録商標);FLORHYDRAL;GERALDEHYDE;HELIONAL;HELIOPAN;HELIOTROPIN;HEPTADIENAL TRANS、TRANS,2-4;HEPTENAL CIS-4;HEPTENAL TRANS-2;HEXENAL TRANS-2;HEXYL CINNAMIC ALDEHYDE ALPHA;HYDRATROPIC ALDEHYDE;HYDROXY CITRONELLAL;INTRELEVEN ALDEHYDE SPEC.;ISONONYL ALDEHYDE;ISOVALERIC ALDEHYDE;LEMON ALDEHYDE H&R JS I;LILIAL;LINOLAL;LYRAL;MAJANTAL;MANDRINAL;MANDRAINE ALDEHYDE10% IN TEC BHT;MEFRANAL;MELONAL(登録商標);METHODY CITRONELLAL;METHYL BUTYRALDEHYDE;METHYL CINNAMIC ALDEHYDE ALPHA;METHYL PHENYLPENTENAL-4,2,2;METHYL THIO PROPANAL-3;METHYL TRIDECANAL-12 10% VT;METHYL-3-BUTEN-2-AL;METHYL-5-PHENYL-2-HEXENE-2-AL;MUGENAL50 DPG;NEOCYCLO CITRAL;NONADIENAL;TRANS、CIS-2,6;NONENALCIS-6;NONENAL TRANS-2;ONCIDAL(登録商標)3/060251;PENTENAL TRANS-2;PERILLA ALDEHYDE;PHENYLACET ALDEHYDE;PHENYLBUTENAL TRANS-2,2;PHENYLPROPYL ALDEHYDE;PINOACET ALDEHYDE;PROFRANESAL;PROPIONALALDEHYDE 2-(P-TOLYL);PROPIONIC ALDEHYDE;PS-IRALDEIN X NEU;SAFRANAL;SALICYLIC ALDEHYDE FG;SILVIAL;TETRAHYDRO CITRAL;TIGLIC ALDEHYDE-2,2;TOLYL ALDEHYDE PARA FG;TRIDECENAL TRANS-2;TRIFERNAL;UNDECADIENAL-2,4;UNDECENAL TRANS-2;VERNALALDEHYDE;VERTOCITRAL;VERTOMUGAL;VERTIPRENAL;VETRAL ROH;ZIMTALDEHYD NAT.HM;アセタール類:FLOROPAL;HEPTANAL DIETHYL ACETAL;NONANDIENAL DIETHYL ACETAL;OKOUMAL;PHENYLACET ALD.GLYCERINACETAL;PHENYLACETALDEYHDEDIMETHYLACETAL;エステル:JASMAL;JESSEMAL;KHARISMAL;TIRAMISONE(登録商標)。
【0116】
代替の実施形態では、本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルは、封入しようとする活性成分としてまたはコア材料として、フレグランス混合物もしくは香油、または着香料混合物もしくは着香料を使用する。これらは、少なくとも1種のフレグランスまたは1種の着香料物質を含む組成物であり、そのような香油または芳香の製造のために使用することができる。そのような組成物、特に臭気物質混合物または香油は、好ましくは、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれよりも多くの種類の臭気物質を含む。フレグランス混合物または香油は、好ましくは、以下からなる群から選択される:天然原料の抽出物;精油、花香油、アブソリュート、樹脂、レジノイド、バルサム、チンキ、例えばアンバーグリスチンキ;アミリス油;アンジェリカ種子油;アンジェリカ根油;アニス油;アルモアズ油;バレリアン油;バジル油;ツリーモスアブソリュート;ベイ油;ヨモギ油;ベンゾイン樹脂;ベルガモット油;ミツロウアブソリュート;バーチタール油;ビターアーモンド油;セイボリー油;ブチュ葉(bucco leaf)油;カブリューバ(cabreuva)油;カデ(cade)油;カラムス(calmus)油;カンファー油;カナンガ油;カルダモン油;カスカリラ油;カシア油;カッシーアブソリュート;カストリウムアブソリュート;シダーリーフ油;シダーウッド油;シスタス油;シトロネラ油;シトロン油;コパイババルサム;コパイババルサム油;コリアンダー油;コスタス根油;クミン油;サイプレス油;ダバナ油;ディルハーブ油;ディル種子油;オーデブロウツアブソリュート(eau de brouts absolute);オークモスアブソリュート;エレミ油;タラゴン油;ユーカリシトリオドラ油;ユーカリ油;ウイキョウ油;スプルースニードル油;モミ針葉油;ガルバヌム油;ガルバヌム樹脂;ゼラニウム油;グレープフルーツ油;グァヤックウッド油;ガージャンバルサム(gurjun balsam);ガージャンバルサム油;ヘリクリサムアブソリュート;ヘリクリサム油;ジンジャー油;アヤメ根アブソリュート;アヤメ根油;ジャスミンアブソリュート;カラムス油;カモミール油ブルー;カモミール油ローマン;キャロットシード油;カスカリラ油;パインニードル油;カーリーミント油;キャラウェイ油;ラブダナム油;ラブダナムアブソリュート;ラブダナム樹脂;ラバンジンアブソリュート;ラバンジン油;ラベンダーアブソリュート;ラベンダー油;レモングラス油;ロベージ油;蒸留ライム油;圧搾ライム油;リナロール;アオモジ(リツアクベバ)(litsea cubeba)油;ローレル油;ローレルリーフ油;マシス(macis)油;マジョラム油;マンダリン油;マッソイア樹皮(massoi bark)油;ミモザアブソリュート;ムスクグレイン油;ムスクチンキ;マスカットセージ油;ナツメグ油;ミルラアブソリュート;ミルラ油;ミルトル油;クローブリーフ油;クローブブロッサム油;ネロリ油;オリバナムアブソリュート;オリバナム油;オポパナクス油;オレンジブロッサムアブソリュート;オレンジ油;オリガナム油;パルマローザ油;パチョリ油;シソ油;ペルーバルサム油;パセリ葉油;パセリ種子油;プチグレン油;ペパーミント油;ペッパー油;オールスパイス油;パイン油;ポレイ(poley)油;ローズアブソリュート;ローズウッド油;ローズ油;ローズマリー油;セージ油ダルマチアン;セージ油スパニッシュ;サンダルウッド油;セロリ種子油;スパイシーラベンダー油;スターアニス油;スチラックス油;タジェット油;モミ針葉油;ティーツリー油;テレビン油;タイム油;トルーバルサム;トンカアブソリュート;チュベローズアブソリュート;バニラエキス;バイオレットリーフアブソリュート;バーベナ油;ベチバー油;ジュニパーベリー油;ワイン酵母油;ワームウッド油;ウィンターグリーン油;イランイラン油;ヒソップ油;シベットアブソリュート;シナモンリーフ油;シナモンバーク油;およびそれらの画分またはそれらから分離された成分。
【0117】
本発明によるマイクロカプセルの製造において親油性活性成分として使用される例示的な清涼化剤は、以下のうちの1つおよび複数を含む:メントールおよびメントール誘導体(例えば、L-メントール、D-メントール、ラセミメントール、イソメントール、ネオイソメントール、ネオメントール)、メンチルエーテル(例えば、(1-メントキシ)-2-プロパンジオール、(1-メントキシ)-2-メチル-1,2-プロパンジオール、1-メンチルメチルエーテル)、メンチルエステル(例えば、メンチルホルメート、メンチルアセテート、メンチルイソブチレート、メンチルラクテート、L-メンチルL-ラクテート、L-メンチルD-ラクテート、メンチル(2-メトキシ)アセテート、メンチル(2-メトキシエトキシ)アセテート、メンチルピログルタメート)、メンチルカーボネート(例えば、メンチルプロピレングリコールカーボネート、メンチルエチレングリコールカーボネート、メンチルグリセロールカーボネートまたはそれらの混合物)メントールとジカルボン酸の半エステルまたはその誘導体(例えば、コハク酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル、マロン酸モノメンチル、O-メンチルスクシネート-N,N-(ジメチル)アミド、O-メンチルスクシンアミド)、メンタンカルボキサミド(例えば、メンタンカルボン酸-N-エチルアミド[WS3]、N-アルファ-(メタンカルボニル)グリシンエチルエステル[WS5]、メンタンカルボン酸-N-(4-シアノフェニル)アミド、メンタンカルボン酸-N-(アルコキシアルキル)アミド)、メントンおよびメントン誘導体(例えば、L-メントングリセロールケタール)、2,3-ジメチル-2-(2-プロピル)-ブタン酸誘導体(例えば、2,3-ジメチル-2-(2-プロピル)-ブタン酸-N-メチルアミド[WS23])、イソプレゴールまたはそのエステル(1-(-)-イソプレゴール、1-(-)-イソプレゴールアセテート)、メンタン誘導体(例えば、p-メンタン-3,8-ジオール)、クベボールまたはクベボールを含む合成もしくは天然混合物、シクロアルキルジオン誘導体のピロリドン誘導体(例えば、3-メチル)-2-(1-ピロリジニル)-2-シクロペンテン-1-オン)またはテトラヒドロピリミジン-2-オン(例えば、WO2004/026840に記載されているイシリンまたは関連化合物)。他の清涼化剤は、メントール(L-メントール、D-メントール、ラセミメントール、イソメントール、ネオイソメントール、ネオメントール)、L-メンチルメチルエーテル、ギ酸メンチル、酢酸メンチル)、メントン、イソプレゴール、L-(-)-イソプレゴールアセテート)およびクベボールであり、フレーバー効果がある。適切な清涼化剤は、本技術分野で周知であり、例えば、US2017/216802(A1)、US2010/273887(A1)、EP2033688(A2)およびEP1958627(A2)に記載されている。
【0118】
代替の変化形では、TRPV1およびTRPV3モジュレーターが本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルにおいて、封入しようとする活性物質としてまたはコア材として使用される。TRPV1およびTRPV3モジュレーターは従来技術において公知であり、バニロイド(TRPV)サブファミリーのTRP(一過性受容体電位)チャネルに関する。TRPV1モジュレーターはカプサイシンおよびピペリンに関連するスパイシーな味覚および熱い感覚を付与する。TRPV3タンパク質は、温度感覚および血圧調節を含む様々なプロセスにおいて機能する非選択的カチオンチャネルのファミリーに属する。TRPV3チャネルはいくつかの天然化合物、例えば、カルバクロール、チモールおよびオイゲノールにより直接活性化される。温かい感覚を引き起こすか、または皮膚増感剤のいずれかである一部の他のモノテルペノイドもまたチャネルを開くことができる。モノテルペノイドはまたカルシウムに依存しない方式でも、TRPV3チャネルのアゴニストに特異的な脱感作を誘発する。
【0119】
さらなる変化形では、本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルは、封入しようとする活性物質としてまたはコア材として、辛味または温覚もしくは熱感を皮膚もしくは粘膜に、またはヒリヒリ感を口もしくは喉に引き起こす物質、あるいは辛味または刺激性または収れん作用を有する活性物質からなる群から選択される活性物質を使用する。
【0120】
温感剤は、好ましくは、以下からなる群から選択される:パプリカ粉末、チリペッパー粉末、パプリカの抽出物、ペッパーの抽出物、チリペッパーの抽出物、ショウガ根の抽出物、グレインズ・オブ・パラダイス(Aframomum melegueta)の抽出物、オランダセンニチ(ジャンブーオレオレジン;Spilanthes acmella、それぞれSpilanthes oleracea)の抽出物、山椒(Zanthoxylum piperitum)の抽出物、Kaempferia galangaの抽出物、Alpinia galangaの抽出物、ヤナギタデ(Polygonium hydropiper)の抽出物、カプサイシノイド、特にカプサイシン、ジヒドロカプサイシン、またはノニバミド;ジンゲロール、特にジンゲロール-[6]、ジンゲロール-[8]、またはジンゲロール-[10];ショウガオール、特にショウガオール-[6]、ショウガオール-[8]、ショウガオール-[10]、ギンゲルジオン、特にギンゲルジオン-[6]、ギンゲルジオン-[8]、またはギンゲルジオン-[10]、パラドール、特にパラドール-[6]、パラドール-[8]、またはパラドール-[10];デヒドロギンゲルジオン、特にデヒドロギンゲルジオン-[6]、デヒドロギンゲルジオン-[8]、またはデヒドロギンゲルジオン-[10];ピペリン;ピペリン誘導体;エチル2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ-フェニル)アセテートおよび3-フェニルプロピル2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ-フェニル)アセテートならびにこれらの混合物。
【0121】
辛味または刺激性として認知される活性物質は、好ましくは芳香族イソチオシアネート、特にフェニルエチルイソチオシアネート、アリルイソチオシアネート、シクロプロピルイソチオシアネート、ブチルイソチオシアネート、3-メチルチオプロピルイソチオシアネート、4-ヒドロキシベンジルイソチオシアネート、4-メトキシベンジルイソチオシアネートおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0122】
ヒリヒリ感を付与する薬剤は、好ましくは以下からなる群から選択される:2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミド(trans-ペリトリン)、特にWO2004/043906に記載のもの;2E,4Z-デカジエン酸-N-イソブチルアミド(cis-ペリトリン)、特にWO2004/000787に記載のもの;2Z,4Z-デカジエン酸-N-イソブチルアミド;2Z,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミド;2E,4E-デカジエン酸-N-([2S]-2-メチルブチル)アミド;2E,4E-デカジエン酸-N-([2S]-2-メチルブチル)アミド;2E,4E-デカジエン酸-N-([2R]-2-メチルブチルアミド);2E,4Z-デカジエン酸-N-(2-メチルブチル)アミド;2E,4E-デカジエン酸-N-ピペリド(アチルアミド);2E,4E-デカジエン酸-N-ピペリド(サルメンチン);2E-デセン酸-N-イソブチルアミド;3E-デセン酸-N-イソブチルアミド;3E-ノネン酸-N-イソブチルアミド;2E,6Z,8E-デカトリエン酸-N-イソブチルアミド(スピラントール);2E,6Z,8E-デカトリエン酸-N-([2S]-2-メチルブチル)アミド(ホモスピラントール);2E,6Z,8E-デカトリエン酸-N-([2R]-2-メチルブチル)アミド;2E-デセン-4-イン酸-N-イソブチルアミド;2Z-デセン-4-イン酸-N-イソブチルアミド;2E,6Z,8E、10E-ドデカテトラエン酸-N-(2-メチルプロピル)アミド(アルファ-サンショオール);2E,6Z,8E,10E-ドデカテトラエン酸-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)アミド(アルファ-ヒドロキシサンショオール);2E,6E,8E,10E-ドデカテトラエン酸-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)アミド(ガンマ-ヒドロキシサンショオール);2E,4E,8Z,10E、12E-テトラデカペンタエン酸-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)アミド(ガンマ-ヒドロキシサンショオール);2E,4E,8E,10E,12E-テトラデカペンタエン酸-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)アミド(ガンマ-ヒドロキシイソサンショオール);2E,4E,8Z、10E,12E-テトラデカペンタエン酸-N-(2-メチル-2-プロペニル)アミド(ガンマ-デヒドロサンショオール);2E,4E,8Z,10E,12E-テトラデカペンタエン酸-N-(2-メチルプロピル)アミド(ガンマ-サンショオール);2E,4E,8Z,11Z-テトラデカテトラエン酸-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)アミド(ブンゲアノオール);2E,4E,8Z,11E-テトラデカテトラエン酸-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)アミド(イソブンゲアノオール);2E,4E,8Z-テトラデカトリエン酸-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)アミド(ジヒドロブンゲアノオール)および2E,4E-テトラデカジエン酸-N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)アミド(テトラヒドロブンゲアノオール)およびこれらの混合物。
【0123】
収れん作用を有する活性物質は、好ましくは以下からなる群から選択される:カテキン、特にエピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキンおよびこれらのそれぞれの没食子酸エステル、特に没食子酸エピガロカテキンまたは没食子酸エピカテキン、これらのオリゴマー(プロシアニジン、プロアントシアニジン、プロデルフィニジン、プロシアニジン、テアルビジン(thearubigenins)、テオガリン)ならびにこれらのC-グリコシドおよびO-グリコシド;ジヒドロフラボノイド、例えば、ジヒドロミリセチン、タキシフォリン、ならびにこれらのC-グリコシドおよびO-グリコシド、フラボノール、例えば、ミリセチン、ケルセチンならびにこれらのC-グリコシドおよびO-グリコシド、例えば、ケルセトリン、ルチン、炭水化物の没食子酸エステル、例えば、タンニン、ペンタガロイルグルコースまたはこれらの反応生成物、例えば、エラギタンニン(elligatannin)、アルミニウム塩、例えばミョウバン、およびこれらの混合物。
【0124】
本発明による方法のさらなる変化形において、生物起源の成分をコア材として封入することもでき、このコア材は少なくとも1種の生物起源の成分またはこれらの混合物を含む。
【0125】
生物起源の成分は、生物学的活性を有する活性物質、例えばトコフェロール、トコフェロールアセテート、トコフェロールパルミチン酸、アスコルビン酸、カルニチン(carnotine)、カルノシン、カフェイン、(デオキシ)リボ核酸およびそのフラグメント化生成物、β-グルカン、レチノール、ビサボロール、アラントイン、フィタントリオール、パンテノール、AHA酸、アミノ酸、セラミド、プソイドセラミド、エッセンシャルオイル、植物抽出物およびビタミン複合体である。
【0126】
本発明による方法のさらなる変化形では、その開示がその全体において本発明の明細書に参照により組み込まれているUS2800457Aに記載されているように、印刷用紙コーティング用の物質もまた封入しようとする活性成分としてまたはコア材としても使用される。
【0127】
本発明によるマイクロカプセルを調製するための親油性活性成分または親油性活性成分混合物の含有量は、内部非水相の総重量に対して、90.0~99.9重量%、好ましくは97.0~99.5重量%である。
【0128】
1種または複数の活性成分構成成分の内部非水相に対する比は、好ましくは50:1~20:1の間、さらにより好ましくは40:1~30:1の間である。
【0129】
よって、本発明による方法を使用して、活性成分を有する本発明のマイクロカプセルの高い充填量を達成することが可能である。
【0130】
さらに、本発明による方法の第1の重合および/または架橋工程は、少なくとも1種の保護コロイドおよび任意選択で少なくとも1種の乳化剤を含む外部水相を準備すること(a2)を含む。
【0131】
この目的のために、保護コロイドおよび乳化剤を外部水相、好ましくは水性溶媒に溶解する。適切な溶媒は水または水と少なくとも1種の水混和性有機溶媒との混合物である。適切な有機溶媒は、例えばグリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、エタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよび他のアナログである。しかし、好ましくは、溶媒は水である。
【0132】
保護コロイドは、懸濁液または分散液中に、乳化した、懸濁したまたは分散した構成成分が群がる(凝集、凝固、フロキュレーション)ことを阻止するポリマー系である。溶媒和の間、保護コロイドは大量の水と結合し、濃度に応じて、水溶液中で高い粘性を生じる。水中油型エマルジョンの生成の間、保護コロイドはそれ自体その疎水性部分を有する一次粒子に結合し、その極性のある、すなわち親水性の分子部分を水相の方向に向かせる。境界面とのこの結合を介して、保護コロイドは界面張力を低下させ、一次粒子の凝集を阻止する。加えて、保護コロイドはエマルジョンを安定化させ、比較的小さな小滴の形成、よって対応するマイクロカプセルの形成を助ける。
【0133】
本発明による方法では、保護コロイドはまた、上述の特性に加えて乳化特性も示す。保護コロイド、例えば、カルボキシメチルセルロース、酸変性デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールのアンモニウム誘導体、ポリスチレンスルホネート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアクリレートの乳化特性が十分である場合、本発明による方法において、乳化剤の使用は、したがって、有利に省くことができる。
【0134】
本発明による方法において使用される保護コロイドは、
- ジオール、特にエタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、異性体ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール、ならびに
- ポリオール、好ましくはトリオール、特にグリセロールおよびそのエトキシ化およびプロポキシ化生成物、トリメチロールプロパンおよびそのエトキシ化およびプロポキシ化生成物、ポリビニルアルコール(PVOH)およびその誘導体、特にアンモニウム官能化ポリビニルアルコールまたはスルホネート官能化ポリビニルアルコール、ポリフェノール、好ましくは1,3,5-トリヒドロキシベンゼン、多糖、特にグルコース、デンプンまたは化学的、機械的および/もしくは酵素的に加工したデンプン、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、特に四級化ヒロドキシエチルセルロース、ならびにカルボキシメチルセルロース、
- ポリビニルピロリドン、マレイン酸ビニルコポリマー、リグノスルホン酸ナトリウム、無水マレイン酸/スチレンコポリマー、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、酸化エチレン、酸化プロピレンおよびポリエトキシル化ソルビトールの酸エステル、ドデシル硫酸ナトリウムのコポリマー、
- 動物および植物ポリマー、特にアラビアゴム(セネガルタイプおよびセイヤルタイプ)、タンパク質、ゼラチン、オリバナム樹脂、シェラック、リグニン、キトサン、サポニン
ならびに上述の化合物の混合物からなる群から選択される。
【0135】
好ましくは、外部水相は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の保護コロイドを含む。ポリビニルピロリドンが、特に好ましい。市販の標準的なポリビニルピロリドンの分子量は、約2500~750000g/molの範囲である。保護コロイドとして、ポリビニルアルコールまたはそのアンモニウム誘導体、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン(1,3,5-trihydroybenzene)またはデンプン、特に加工デンプン、または動物もしくは植物ポリマーが、本発明によるマイクロカプセルの製造に特に好ましい。
【0136】
デンプン、特に加工デンプン、または動物もしくは植物ポリマーは生分解性の自然発生物質である。よって、本発明の方法は、本明細書に記載されているポリイソシアネートと組み合わせて、バイオベースおよび生分解性カプセルシェルを提供することができる。したがって、本発明による方法では、デンプンならびに動物および植物ポリマーはいわゆるバイオクロスリンカーとしても機能する。
【0137】
本発明による方法に使用されるデンプンは、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、ライムギデンプン、小麦デンプン、オオムギデンプン、カラスムギデンプン、米デンプン、エンドウマメデンプン、タピオカデンプンおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0138】
化学加工デンプンは好ましくは酸加工デンプン、アルカリ加工デンプン、酸化デンプン、アセチル化デンプン、コハク化デンプンまたはアセチルコハク化(ocentylsuccinated)デンプンである。
【0139】
本発明によれば、上記の2つまたはそれよりも多くの異なる保護コロイドの組合せは、本発明によるマイクロカプセルを製造するために使用することもできる。
【0140】
上述された保護コロイドのうちの1種およびデンプンまたは加工デンプンの組合せがさらなる保護コロイドとして外部水相で使用される場合、本発明による方法において特に有利であることが証明されている。このような組合せは、多数のヒドロキシル基によりエマルジョンを安定化させ、他方では、保護コロイドとポリイソシアネートとの間の反応を支持し、これによって保護コロイドとポリイソシアネートとの反応における反応平衡が生成物側、すなわちポリウレタンへとシフトする。デンプン中の多数のヒドロキシル基はまた、空間的に、特に顕著な架橋結合の形成を可能にする。
【0141】
官能基の数および/または保護コロイドのサイズに応じて、上述の保護コロイドの、少なくとも1種のポリイソシアネートのイソシアネート基との反応速度は異なる。例えば、グリセロールは、そのサイズから、例えばデンプンよりもイソシアネート基と速く反応する。したがって、ポリイソシアネートのイソシアネート基との保護コロイドの架橋は、保護コロイドの選択により制御することができる。
【0142】
グリセロールとデンプンもしくは加工デンプンまたはグリセロールと四級化ヒドロキシエチルセルロースもしくはアラビアゴムタイプセイヤルの組合せは、特に有利な組合せであることが証明されている。このような組合せで、一方では、両方の保護コロイドの先に記載した特性、すなわちグリセロールの速い反応速度を利用し、もう一方では、他の保護コロイドのいくつかの重合可能な官能基を利用する。
【0143】
本発明による方法において使用される保護コロイドは、2つの機能を有する。一方では、上述のように保護コロイドとして機能し、乳化した、懸濁した、または分散した成分の集塊作用を防ぎ、その後形成されるエマルジョンを安定化させ、小さな液滴の形成を促進し、最終的に形成されるマイクロカプセル分散液を安定化させる。
【0144】
他方では、保護コロイドは、例えば官能基、特にOH基の重合可能な特性により、重合下で少なくとも1つまたはそれよりも多くのポリイソシアネートと架橋結合する。少なくとも1つのポリイソシアネートとの架橋により、ポリマー層が、乳化工程(a3)の間に既に形成され、これが、カプセル壁またはカプセルシェルの構造に寄与し、その不可欠な一部となる。
【0145】
驚くべきことに、保護コロイド、好ましくは、ポリオールの存在下で、外部水相における内部非水相の乳化または懸濁中に既に、本発明によるマイクロカプセルのコアを形成する封入しようとする活性物質の乳化されたまたは懸濁された疎水性液滴と、外部相との境界面での界面重合により、コア付近に架橋が形成されることを見出した。架橋は、ポリイソシアネートと保護コロイド、好ましくはポリオールとの重付加反応に基づき、以下の式に従いポリウレタンのカプセルシェルまたはカプセル壁を形成する:
nO=C=N-R1-N=C=O+nHO-R2-OH- → (-R2-O-CO-NH-R1-NH-CO-O-)n
【0146】
これは気体発生および二酸化炭素の放出により示される。
【0147】
乳化工程中に既にポリマー層を形成することにより、封入しようとする活性成分、特にアルデヒド、カルボン酸、またはエステル官能基を有する活性成分は、必要に応じて、特にその後の方法工程で脱プロトン化、酸化またはけん化を防ぐまたは少なくとも最小化することができ、その結果親油性活性成分の損失を低減またはなくすことができるように保護される。そのような分解生成物は、通常、エマルジョンの不安定性にも寄与する。
【0148】
本発明に従い使用される保護コロイドの水相に対する量の比は、好ましくは1:50~1:10の範囲、より好ましくは1:40~1:30の範囲である。
【0149】
外部水相中の保護コロイドの内部非水相中のポリイソシアネートに対する比は、1:5~1:2の範囲、好ましくは1:2~1:1の範囲である。
【0150】
よって、使用される保護コロイドの量、または使用される保護コロイドの組合せの量は、外部水相の総重量に対して、1~8重量%の範囲、好ましくは2~4重量%の範囲、さらにより好ましくは3~4重量%の範囲である。
【0151】
少なくとも1種の保護コロイドはカプセルシェルの構成成分であってもなくてもよい。特に、上に記載されているような高い反応性を有する保護コロイドは、ポリイソシアネート構成成分のイソシアネート基とさらに急速にまたは容易に反応し、よってカプセルシェルまたはカプセル壁の一部であるポリウレタン架橋単位を、カプセルの重量に対して、0.1~最大15重量%、好ましくは1~5重量%の範囲、さらにより好ましくは1.5~3重量%の量で形成する。
【0152】
内部非水相および外部水相のエマルジョンの形成を促進するため、形成されたエマルジョンを安定化させるため、内部非水相(油性/有機/疎水性)と、外部水相(親水性)との分離を阻止するため、本発明による方法において、乳化剤または乳化補助剤を外部水相に任意選択で加える。乳化剤の添加は、保護コロイドが乳化特性を有さない、または低く不十分な乳化特性しか有さないときに、任意選択で実行される。乳化性保護コロイドを使用する場合、乳化剤の使用は、有利に省略することができる。
【0153】
本発明による方法では、乳化剤は、内部非水相の油滴を外部水相に均一に分散させエマルジョンを安定化させるO/W乳化剤が好ましく使用される。これが、こうして得られた懸濁液を安定化させるために、外部水相中の固体の不溶性活性成分を混合するのにも適用される。
【0154】
適切な乳化剤は、例えば、以下の群の少なくとも1種からの非イオン性界面活性剤と考えられる:
- 酸化エチレン2~30モルおよび/または酸化プロピレン0~5モルの、炭素原子8~22個を有する直鎖脂肪アルコール、炭素原子12~22個を有する脂肪酸、アルキル基に8~15個の炭素原子を有するアルキルフェノール、およびアルキル基に8~22個の炭素原子を有するアルキルアミンへの付加生成物;
- アルキル(アルケニル)部分に炭素原子8~22個を有するアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシドおよびそのエトキシ化類似体;
- 酸化エチレン1~15モルのヒマシ油および/または水素添加ヒマシ油への付加生成物;
- 酸化エチレン15~60モルのヒマシ油および/または水素添加ヒマシ油への付加生成物;
- グリセロールおよび/またはソルビタンと、12~22個の炭素原子を有する不飽和、直鎖もしくは飽和、分枝の脂肪酸および/または3~18個の炭素原子を有するヒドロキシカルボン酸の部分エステル、ならびに酸化エチレン1~30モルとのそれらの付加物;
- ポリグリセロール(平均自己縮合度2~8)、ポリエチレングリコール(分子量400~5000)、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、アルキルグルコシド(例えば、メチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)およびポリグルコシド(例えば、セルロース)と、飽和および/もしくは不飽和、12~22個の炭素原子を有する直鎖または分枝脂肪酸、ならびに/または3~18個の炭素原子を有するヒドロキシカルボン酸の部分エステル、ならびに酸化エチレン1~30モルとのそれらの付加物、好ましくは、Cremophor(登録商標);
- ペンタエリトリトール、脂肪酸、クエン酸、および脂肪アルコールの混合エステル、ならびに/または6~22個の炭素原子を有する脂肪酸、メチルグルコース、およびポリオール、好ましくは、グリセロールもしくはポリグリセロールの混合エステル;
- モノ-、ジ-およびトリアルキルホスフェート、ならびにモノ-、ジ-および/またはトリ-PEG-アルキルホスフェート、ならびにそれらの塩;
- ウールワックスアルコール;
- ポリシロキサン-ポリアルキル-ポリエーテルコポリマーまたは対応する誘導体;ブロックコポリマー、例えば、ポリエチレングリコール-30ジポリヒドロキシステアレート;ポリマー乳化剤、例えば、GoodrichからのPemulenタイプ(TR-1、TR-2)またはCognisからのCosmedia(登録商標)SP;
- ポリアルキレングリコールおよびグリセリンカーボネート。
【0155】
イソシアネートベースのマイクロカプセルの生成のために本発明の方法に使用することができる典型的なアニオン性乳化剤は、12~22個の炭素原子を有する、脂肪族脂肪酸、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸またはベヘン酸、ならびに12~22個の炭素原子を有するジカルボン酸、例えば、アゼライン酸またはセバシン酸である。
【0156】
さらに、双性イオン界面活性剤は、本発明の方法において、イソシアネートベースのマイクロカプセルの生成のため、乳化剤として使用することができる。双性イオン界面活性剤という用語は、分子中に少なくとも1つの第四級アンモニウム基および少なくとも1つのカルボキシレート基および1つのスルホネート基を有する表面活性化合物について記載するために使用される。特に適切な双性イオン界面活性剤は、いわゆるベタイン、例えば、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、ココナツアルキルジメチルアンモニウムグリシネート(coconutalkyldimethylammonium glycinate)、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、ココナツアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート(coconutacylaminopropyl dimethylammoniumglycinate)、およびアルキル基またはアシル基にそれぞれ8~18個のC原子を有する2-アルキル-3-カルボキシルメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン、ならびにココナツアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネート(coconutacylaminoethylhydroxyethylcarboxymethyl glycinate)である。CTFA命名ココアミドプロピルベタインとして公知の脂肪酸アミド誘導体が特に好ましい。
【0157】
両面界面活性剤もまた適切な乳化剤である。両面界面活性剤は、分子内のC8/18アルキルまたはアシル基に加えて、少なくとも1つの遊離アミノ基および少なくとも1つの-COOHまたは-SO3H基を含有し、分子内塩を形成することが可能な表面活性化合物である。適切な両性界面活性剤の例は、それぞれアルキル基に約8~18個の炭素原子を有するN-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸、およびアルキルアミノ酢酸である。特に好ましい両性界面活性剤は、N-ココナツアルキルアミノプロピオネート(N-coconutalkylaminopropionate)、ココナツアシルアミノエチルアミノプロピオネート(coconutacylaminoethylaminopropionate)およびC12/18-アシルサルコシンである。
【0158】
最後に、カチオン性界面活性剤はエステルクワットタイプのものを有する乳化剤と考えることもでき、好ましくはメチル四級化ジ脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩、四級化ヒドロキシエチルセルロース、プロピレングリコールを有し、エピクロロヒドリンで四級化された修飾キトサン、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド(DSDMAC)、塩化ベンズアルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルアルコニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム(臭化セトリモニウム)、塩化デカリニウムが特に好ましい。
【0159】
乳化剤は、外部水相に、それぞれ外部水相の総重量に対して、約0.5%~約10重量%、好ましくは約1重量%~約5重量%の量で加えることができる。
【0160】
水性保護コロイド乳化剤溶液は、好ましくは撹拌しながら保護コロイドおよび乳化剤を逐次的に外部水相に(または逆の順序で)添加することにより、または保護コロイドおよび乳化剤を同時に外部水相に添加することにより調製される。
【0161】
本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの調製に対して、外部水相が任意選択で安定剤を溶解または分散して含有することによって、内部非水相(油性)および外部水相の分離を阻止すれば、それは有利となり得る。
【0162】
本発明によるイソシアネートベースのマイクロカプセルの生成に対して好ましい安定剤は主に、スルホネート基を有するアクリル酸コポリマーである。アクリルアミドとアクリル酸のコポリマー、アクリル酸アルキルとN-ビニルピロリドンのコポリマー、例えば、LUVISKOL(登録商標)K15、K30またはK90(BASF);ポリカルボン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ビニルおよびメチルビニルエーテル-無水マレイン酸コポリマーならびにエチレン、イソブチレンまたはスチレン-無水マレイン酸コポリマー、微結晶性セルロース(例えば、名称VIVAPUR(登録商標)で市販されている)、ジウタンガム、キサンタンガムまたはカルボキシメチルセルロースも適切である。
【0163】
使用する安定剤の量は、外水相に対して、いずれの場合も0.01~10重量%、特に0.1~3重量%の範囲であることが可能である。
【0164】
水中油型エマルジョンは、本発明による方法において、内部非水相および外部水相を混合することにより調製される(a3)。内部非水相と外部水相の重量比は、好ましくは2:1~1:10の範囲、より好ましくは1:2~1:4の範囲である。
【0165】
液体活性成分の場合のエマルジョン形成、または固体活性成分の場合の懸濁液形成、すなわち外部水相または親水性相における内部非水相または油性相の乳化または懸濁は、高い乱流または強いせん断の下で行われる。得たマイクロカプセルの直径は、乱気流または剪断の強度で決定することができる。小滴サイズは光散乱測定または顕微鏡法でチェックすることができる。マイクロカプセルの生成は連続的または不連続的であることができる。水相の粘度が増加すると共にまたは油相の粘度が低減すると共に、結果として得られるカプセルのサイズは普通低減する。
【0166】
ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの生成のための本発明による方法は、例えば、「インライン」技術により強制作動させた定量ポンプを介して、または撹拌しながら従来の分散装置または乳化装置を介して行うことができる。
【0167】
外部水相中の内部非水相の乳化または分散は、本発明によるマイクロカプセルの生成のため、乳化タービン(IKA Eurostar20高速撹拌棒)の手段により行われる。本発明による方法の工程(a3)乳化方法は、30秒~20分間、好ましくは1~4分間の時間の間、1000rpm~5000rpm、好ましくは3000rpm~4000rpmの撹拌スピードで有利に行われる。
【0168】
乳化または分散工程(a3)の完了後、水中油型エマルジョンが存在し、その中で封入しようとする活性成分を有する内部油性相が液滴の形態で外部水相に微細に分散または乳化されている。
【0169】
本発明による方法のその後の工程(a4)では、カプセルシェルまたはカプセル壁の材料の第1の重合および/または架橋も撹拌しながら実行される。第1の重合および/または架橋は、少なくとも1種のアミノ酸または少なくとも1種のアミノ酸塩酸塩を、好ましくは水溶液の形態で添加することにより、および触媒を添加することにより、実行される。
【0170】
少なくとも1種の第1のアミノ酸は、アルギニン、ヒスチジン、リシン、トリプトファン、オルニチンおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0171】
アミノ酸を塩酸塩として使用することが有利である場合が多い。アミノ酸の塩酸塩は、より水に溶けやすい。さらに、アミノ酸の塩酸塩として使用すると、反応混合物のpHが酸性に変化し、それにより、溶解性の改善に加えて、少なくとも1種のポリイソシアネートと第1のアミノ酸の間の反応性が増加し、したがってこれらの2つの成分の間の重合および/または架橋が増加することが期待され、より水に溶けやすい。
【0172】
少なくとも1種のアミノ酸塩酸塩は、アルギニン塩酸塩、ヒスチジン塩酸塩、リシン塩酸塩、トリプトファン塩酸塩、オルニチン塩酸塩、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0173】
アミノ酸アルギニン、リシンおよびオルニチンまたは対応するアミノ酸塩酸塩は、側鎖に2つのアミノ基を有する化合物である。アミノ酸ヒスチジンおよびトリプトファンまたはそれぞれ対応する塩酸塩は、側鎖に1つのアミノ基および1つのNH官能基を有する。したがって、上述のアミノ酸またはこれらのアミノ酸塩酸塩は少なくとも1種のポリイソシアネートとの重合に対して多官能性を示す。少なくとも1種のポリイソシアネートおよび少なくとも1種のアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩の官能基の間の架橋により、第1の架橋単位または第1の架橋マトリックスが形成され、これがカプセルシェルまたはカプセル壁の一部となる。
【0174】
上述のアミノ酸の中でも、塩基反応性のアミノ酸アルギニンまたはその塩酸塩アナログがその水溶性、高い反応性およびpHのため、アミノ酸としても、塩酸塩としても架橋剤として特に好ましい。
【0175】
アミノ酸またはアミノ酸塩酸塩の架橋剤としての使用は、生分解性および生体適合性に関する環境の観点から特に有利である。
アミノ酸またはアミノ酸塩酸塩、すなわち第1の架橋剤は、エマルジョンに、例えば、固体として、または好ましくは水溶液の形態で加える。アミノ酸またはアミノ酸塩酸塩は水溶液中に0.5~2モル/l、好ましくは1モル/lの濃度で存在する。
【0176】
少なくとも1種のアミノ酸または少なくとも1種のアミノ酸塩酸塩の量は、通常、イソシアネート基1モルに対して、アミノ基1~3モル、好ましくはアミノ基1~2モルが添加されるように調整される。
【0177】
本発明による方法における第1の架橋は、約10分~20分の期間、好ましくは約12~18分の期間、最も好ましくは約15分の期間実行される。
【0178】
少なくとも1種のポリイソシアネートまたは複数のポリイソシアネートと第1のアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩との間で重合を誘発するために、特定の作用は必要とされない。反応は、アミノ酸またはアミノ酸塩酸塩の水中油型エマルジョンまたは分散液への添加直後に開始し、第1の架橋単位または第1の架橋マトリックスを形成する。少なくとも1種のポリイソシアネートまたは複数のポリイソシアネートと、第1のアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩との間の反応は十分速いので、触媒を必要としない。
【0179】
本発明による方法における第1の架橋単位または第1の架橋マトリックスの形成は、ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートとアミノ酸もしくはアミノ酸塩酸塩の重付加反応に基づいている。カプセルシェルまたはカプセル壁を形成する第1の架橋単位はポリ尿素構造に基づく。ポリ尿素連結またはポリ尿素構造は、少なくとも1つのアミノ酸または少なくとも1つのアミノ酸塩酸塩のアミノ基(-NH2)の、少なくとも1つポリイソシアネートのイソシアネート基への重付加により形成される:
nO=C=N-R1-N=C=O+nH2N-R2- → (-O-NH-R1-NH-CO-NH-R2-)n
【0180】
本発明による方法では、第1の架橋単位、特にポリ尿素架橋単位は、封入しようとする親油性活性成分を含む乳化されたまたは懸濁された油滴の境界面での界面重合により形成される。第1の架橋単位の形成を通して、活性成分を有する乳化されたまたは分散された油滴は、その外側が境界面で架橋単位により囲まれ、これがカプセル壁を生成し、それにより封入活性成分の拡散をより困難にする。
【0181】
エマルジョンまたは懸濁液への触媒の添加は、ポリイソシアネートおよびアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩の間の反応を促進し、ポリ尿素架橋マトリックスの形成に有利な反応を触媒する。
【0182】
本発明による方法の特徴は、触媒が、乳化工程の前に、外部水相に既に添加されておらず、触媒が、工程(a3)からの水中油型エマルジョンが得られた後にのみエマルジョンまたは懸濁液に添加されるということである。
【0183】
驚くべきことに、触媒の添加の順序が異なると、以下の実施形態および
図3に示すように、カプセルシェルまたはカプセル壁の組成が異なる。
【0184】
驚くべきことに、触媒の添加は、マイクロカプセルのサイズ分布および安定性に大きな影響があることが見出された。乳化工程の前に水相に触媒が添加される従来技術のマイクロカプセルの安定性は、著しく低い。本発明によるマイクロカプセルは、以下の実施形態に示されるように、触媒が外部水相に直接添加され、乳化または懸濁工程で既に添加されている従来技術のカプセルと比較して、50℃で10日間後でも著しく高い安定性と、遊離香油の著しい減少を示す。
【0185】
触媒が、乳化工程の後に第1のアミノ酸と共に添加されるか、または触媒が第1のアミノ酸とは別に添加されるか、すなわち第1のアミノ酸が添加される前かまたは第1のアミノ酸が添加された後にのみ添加されるかは重要ではない。触媒の添加方法が異なるにも関わらず、以下の実施形態に示されるように、一貫した品質、すなわち安定性を有する一貫したマイクロカプセルが得られる。有利には、触媒はまず水に分散または溶解され、それからエマルジョンまたは懸濁液に添加される。
【0186】
本発明による方法において添加される触媒は好ましくはジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)である、これはまたトリエチレンジアミン(TEDA)とも呼ばれ、二環式第三級アミンである。DABCOは一般的に、ポリウレタンプラスチックの生成に対して触媒として使用される。自由電子対を有する第三級アミンは、内部非水相中の少なくとも1種の重合可能なポリイソシアネートおよび外部水相中のアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩のアミノ基の間の反応を促進する。
【0187】
DABCOに加えて、例えば、ビスマスまたはスズに基づく触媒もまた、第1の架橋、例えば、その開示がその全体において参照により本明細書に組み込まれているK.C.Frisch&L.P.Rumao、Catalysis in Isocyanate Reactions、Polymer Reviews、1970年、5巻:1号、103~149頁、DOI:10.1080/15583727008085365に記載されているように、ビスマス(II)塩またはビスマス(III)塩に基づく触媒の触媒作用のために使用される。
【0188】
ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)が触媒として特に好ましい。
【0189】
本発明によると、DABCOと、上述の触媒のうちの1種の組合せが好ましい。このような混合物は、その開示がその全体において本明細書に組み込まれている、K.C.Frisch&L.P.Rumao、Catalysis in Isocyanate Reactions、Polymer Reviews、1970年、5巻:1号、103~149頁、DOI:10.1080/15583727008085365に記載されているように、反応性の増大をもたらす。
【0190】
本発明による方法では、DABCOおよび上述の触媒は、好ましくは、2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有する少なくとも1種の重合可能なポリイソシアネートおよびジオールまたはポリオールの間のポリウレタン反応を触媒する。
【0191】
触媒ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)を用いると、特に安定なマイクロカプセルを製造することができる。
【0192】
触媒がエマルジョンまたは懸濁液に添加される量は、エマルジョンまたは懸濁液の総重量を基準として、0.01~1重量%の範囲、および好ましくは0.05~0.2重量%の範囲である。遅い重合反応の場合、触媒の必要量は適宜調整することができる。
【0193】
エマルジョンまたは懸濁液中の触媒と内部非水相中の少なくとも1種のポリイソシアネートの比は、好ましくは1:20~1:50の範囲である。
【0194】
触媒は最初に水に分散または溶解し、次いでエマルジョンまたは分散液に撹拌しながら加えることが有利であると示されている。
【0195】
本発明による方法におけるアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩および触媒の添加は、好ましくは500rpm~2000rpm、特に好ましくは1000rpm~1500rpmの撹拌速度で、および20℃~30℃の温度、好ましくは22℃~25℃の温度で実行される。
【0196】
本発明による方法における第1の重合および/または架橋は、約10分間~20分間の期間、好ましくは12~18分間の期間、最も好ましくは約15分間の期間の間行われる。
【0197】
驚くことに、乳化または分散工程後の触媒の添加は、カプセル安定性に著しい増加をもたらす。このようにして製造されたカプセルは、触媒の添加なしで製造された比較のカプセルと比較して、50℃で10日間後でも著しく高い安定性と、遊離香油の著しい減少を示す。
【0198】
特に安定したカプセルは、触媒ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)を用いて生成される。
【0199】
本発明による方法における第1の重合および/または架橋工程(a)の後に、カプセルシェルまたはカプセル壁をさらに架橋するために、水中油型エマルジョンの少なくとも1種のヒドロキシル基供与体を添加することにより、さらなる、すなわち第2の重合および/または架橋工程(b)が続く。
【0200】
少なくとも1つのヒドロキシル基供与体は好ましくは、2つまたはそれよりも多くのヒドロキシル官能基を有し、40℃より上の温度で水溶性が良好~非常に良好なポリオールである。
【0201】
ヒドロキシル基供与体は、グリセロール、プロピレングリコール、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン、デンプン、加工デンプン、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、特に四級化ヒドロキシエチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロース、アラビアガム(セネガルタイプおよびセイヤルタイプ)およびこれらの混合物からなる群から選択される。グリセロールおよびデンプンが好ましい。グリセロールが最も好ましい。
【0202】
本発明による方法において使用されるデンプンは、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、ライムギデンプン、小麦デンプン、オオムギデンプン、カラスムギデンプン、米デンプン、エンドウマメデンプン、タピオカデンプンおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0203】
化学的に加工したデンプンは、好ましくは酸変性デンプン、アルカリ変性デンプン、酸化デンプン、アセチル化デンプン、コハク酸化デンプン、またはオセンチルスクシネイティドスターチ(ocentylsuccinated starches)である。
【0204】
本発明によれば、上述されたヒドロキシル基供与体のうち2種類の組合せを、本発明によるマイクロカプセルの製造に使用することもできる。有利には、グリセロールまたはデンプンとの組合せが使用される。
【0205】
それらのサイズに応じて、上述されたヒドロキシル基供与体は、少なくとも1種のポリイソシアネートのイソシアネート基との反応速度が異なる。例えば、グリセロールは、そのサイズから、例えばデンプンよりもイソシアネート基と速く反応する。
【0206】
グリセロールとデンプンもしくは加工デンプンまたはグリセロールと四級化ヒドロキシエチルセルロースおよびアラビアゴムタイプセイヤルの組合せは、特に有利な組合せであることが証明されている。このような組合せで、一方では、両方のヒドロキシル基供与体の先に記載した特性、すなわちグリセロールの速い反応速度を利用し、もう一方では、他のヒドロキシル基供与体のいくつかの重合可能な官能基を利用する。
【0207】
少なくとも1種のポリイソシアネートとヒドロキシル基供与体のヒドロキシル基の反応を通じて、カプセルシェルまたはカプセル壁の構築または形成のために、さらなる、すなわち第2の架橋単位または第2の架橋マトリックスが形成され、その構造は、上述のように、ポリイソシアネートおよび保護コロイドからポリウレタン架橋単位と類似に誘導され得る。
【0208】
少なくとも1種のポリイソシアネートと、ヒドロキシル基供与体との重付加反応は、ヒドロキシル基供与体のヒドロキシル基(-OH)を、ポリイソシアネート基の炭素-窒素結合(-N=C=O)の炭素原子に添加することによって、ウレタン架橋(-NH-CO-C-)の形成を結果として生じる。
【0209】
そのようなさらなるポリウレタン架橋単位を形成することにより、第1の重合および/または架橋工程(a4)において形成された第1のポリ尿素架橋単位が圧縮される。
【0210】
特に効率的な、高密度のおよび安定した架橋結合を得るために、ヒドロキシル基供与体との第2の重合および/または架橋工程が40℃~60℃の間の温度、好ましくは45℃~55℃の間の温度、さらにより好ましくは45℃~50℃の間の温度で行われる。
【0211】
さらに、ヒドロキシル基供与体を900rpm~1700rpm、好ましくは1000rpm~1300rpmの撹拌スピードで添加することによってさらなる架橋の工程が行われることが好ましい。
【0212】
この文脈において、ヒドロキシル基供与体を水性形態で添加することは、特に安定した架橋をもたらし、したがって特に安定したカプセルシェルまたはカプセル壁をもたらすことが判明した。水溶液中でのヒドロキシル基供与体の濃度は好ましくは10%~70%であり、さらにより好ましくは水溶液中のヒドロキシル基供与体の濃度は40%~60%である。
【0213】
本発明による方法における第2の重合および/または架橋工程(b)の後に、さらなる、すなわち第3の重合および/または架橋工程(c)が続く。この第3の重合および/または架橋工程では、架橋工程(b)で得られた水中油型エマルジョンに、少なくとも1種の塩基性アミンまたはグアニジニウム基供与体が第3の架橋剤として添加される。塩基性アミンおよびグアニジニウム基供与体は、アルギニン、アルギニン塩酸塩、炭酸グアニジニウム、グアニジニウム塩酸塩、グアニン、グアノシン、クレアチン、クレアチニン、および2つの群からの前記架橋剤の混合物からなる群から選択される。
【0214】
アルギニン(NH
2 -C(=NH)-R)およびグアニジニウム基供与体
【化1】
の両方は、それらの構造およびアミノ基の数から、少なくとも1種のポリイソシアネートとの重合に対して高い反応性および官能性を有している。
【0215】
第3の架橋剤は、そのまま、例えば固体として、または好ましくは水溶液の形態で、エマルジョンまたは懸濁液に添加される。二番目は、水溶液中に0.5~2モル/l、好ましくは1モル/lの濃度で存在する。
【0216】
第3の架橋剤を添加することにより、第3の架橋マトリックスまたは第3の架橋単位が本発明による方法において形成される。これらの第3の架橋単位は、ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートとアミノ基の、個々のポリマーまたはオリゴマーの重付加反応に基づき、ポリ尿素構造に基づくカプセルシェルまたはカプセル壁を形成する。ポリ尿素結合またはポリ尿素構造の形成は、少なくとも1種の塩基性アミンおよび/またはグアニジニウム基供与体のアミノ基(-NH2)の少なくとも1種のポリイソシアネートのイソシアネート基への重付加により達成される:
n O=C=N-R1 -N=C=O + n H2 N-R2 - +→ (-O-NH-R1 -NH-CO-NH-R2 -)n
【0217】
このようなさらなるポリ尿素架橋単位を形成することによって、第1のおよび第2の重合および/または架橋工程(a4)および(b)において形成されたポリ尿素架橋単位およびポリウレタン架橋単位はさらに架橋され、高密度化される。
【0218】
本発明による方法において第3の架橋は、約10分間~20分間の期間、好ましくは約12~18分間の期間、最も好ましくは約15分間の期間の間行われる。
【0219】
第3の架橋工程は、60~80℃、好ましくは65~75℃の範囲の温度で実行される。
【0220】
ポリイソシアネートおよび第1のアミノ酸の間の第1の架橋工程、ポリイソシアネートおよびヒドロキシル基供与体の間の第2の架橋工程、ならびにポリイソシアネートおよび塩基性アミンまたはグアニジニウム基供与体の間の第3の架橋工程の組合せにより、ポリ尿素およびポリウレタン架橋単位または架橋マトリックスを生成し、カプセルシェルまたはカプセル壁を構築することが可能である。第1、第2、および第3のポリ尿素およびポリウレタン架橋単位は、連続架橋工程により、本発明による方法の間に、さらに互いに空間的に架橋される。
【0221】
架橋性官能基の数が多いほど、空間的な架橋が多くなり、得られるマイクロカプセルのカプセルシェルまたはカプセル壁がより安定になる。例えば、デンプンではヒドロキシル基の数が多いため、空間的に特に顕著な架橋の形成が可能である。官能基の数に加えて、個々のカプセルシェルまたはカプセル壁成分の鎖長も、マイクロカプセルの機械的特性、すなわち安定性に重大な影響を与え、長鎖カプセルシェルまたはカプセル壁成分、例えばポリイソシアネートは、より安定なカプセルシェルまたはカプセル壁の形成につながる。
【0222】
架橋工程の間、撹拌出力は、カプセルシェルを形成する架橋単位を直ちに破壊しないよう、好ましくは約800~1200rpmの撹拌スピードに減少させる。
【0223】
第3の重合および/または架橋工程ならびに完全な架橋およびカプセルシェルまたはカプセル壁の形成後、本発明の方法に従い生成されたカプセルは、粗製マイクロカプセルとして水性分散液またはスラリーの形態で存在する。
【0224】
架橋後、スラリー中のマイクロカプセルは、特に安定しておらず、したがって簡単に壊れて開く柔軟性のあるシェルをさらに有する。この目的のために、マイクロカプセルのシェルを硬化する。硬化は、マイクロカプセル分散液を少なくとも60℃の温度に、好ましくは60~65℃の範囲の温度に、最大マイクロカプセル分散液の沸点まで徐々に上昇させることによって好ましくは行われる。硬化は普通、少なくとも60分間、好ましくは2~4時間の期間にわたり行われる。
【0225】
加えて、硬化のために外部水相に物質を添加するのが有利である。この目的のために、タンニン種の天然植物タンニンが使用され、化学的観点から、このタンニンは、特に熱帯および亜熱帯地方の双子葉植物の低木、茂みおよび葉に見出されるプロアントシアニジンである。テルペンは普通、500~3000KDaの範囲の分子量を有する。適切なタンニンの好ましい例はコリアリイン(corigallin)である。硬化のため、タンニンの水性調製物を粗製マイクロカプセルを含有する水性分散液に加える。通常、タンニンは、マイクロカプセルに対して、約0.1重量%~約2重量%、好ましくは約0.5重量%~約1.5重量%の量で加える。
【0226】
硬化後、本発明の方法に従い生成されたマイクロカプセルは、水中分散液として存在し、これはマイクロカプセル分散液またはマイクロカプセルスラリーとも呼ばれる。この形態では、マイクロカプセルは基本的にすでに市販可能である。
【0227】
このような懸濁液が分離またはクリーム状になることを阻止し、したがって高い貯蔵安定性を達成するためには、懸濁液は12~1500mPasの粘度を有することが有利であると証明されている。懸濁液の所望の粘度を得るために、増粘剤を使用することが好ましい。
【0228】
キサンタンガム、ジウタン(diuthan)ガム;カルボキシメチルセルロース(CMC)、微結晶性セルロース(MCC)またはグアーガムが増粘剤として好ましくは使用される。
【0229】
貯蔵寿命を改善するために、1種または複数の保存剤をマイクロカプセルスラリーに任意選択で加えるか、またはマイクロカプセルスラリーを乾燥させる。
【0230】
好ましくは1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオールまたはパルメトールを保存剤として使用する。
【0231】
代わりに、マイクロカプセルは、保存目的のために分離および乾燥させる。
【0232】
原則として、凍結乾燥などのプロセスをこのために使用することができるが、噴霧乾燥、例えば、流動層内での噴霧乾燥が好ましい。さらなる多糖、好ましくはデキストリンおよび特にマルトデキストリンを、分散液に、約20~約50℃の温度、好ましくは約40℃で添加することが有利なことが証明されている。これらの多糖は、乾燥プロセスを助け、このプロセスの間カプセルを保護する。使用する多糖の量は、分散液中のカプセル質量を基準にして約50~約150重量%、好ましくは約80~約120重量%であり得る。
【0233】
噴霧乾燥それ自体は、連続的にまたはバッチ方式で、従来のスプレー系で、入り口温度約170~約200℃、好ましくは約180~185℃および出口温度約70~約80℃、好ましくは約72~78℃で行うことができる。
【0234】
マイクロカプセルの有用性に対する重要な判定基準は、コア材のカプセル壁材料に対する重量比である。目的は、一方では、カプセルができるだけ有用となるよう、コア材の割合を可能な限り高くすることであるが、他方ではカプセルの安定性を保証するだけ十分な割合のカプセル壁材料をカプセルが依然として有することが必要である。
【0235】
本発明によれば、マイクロカプセルが、コア材料とカプセル壁材料の重量比が50:50~90:10、好ましくは70:30~80:20であるように構成されていることが特に有利であることが示されている。
【0236】
本発明による方法で生成されたマイクロカプセルは、これらのサイズ分布d(0.5)値を特徴とすることができる、すなわち生成されたカプセルの50%はこの値より大きく、カプセルの50%はこの値より小さい。
【0237】
本発明によるマイクロカプセルは、80:20の比のヘキサメチレンジイソシアネートおよび4,4’-メチルジフェニレンジイソシアネートからなるイソシアネート混合物から調製された。さらに、リシン*HClを第1のアミノ酸として、グリセロールをヒドロキシル基供与体として、および炭酸グアニジニウムを第2のアミノ酸/グアニジニウム基供与体として使用した。DABCOを触媒として使用し、アラビアガムタイプセイヤルおよび乳化剤として四級化ヒドロキシエチルセルロースを保護コロイドとして使用した。封入しようとする相としてTomCapを使用した。触媒は、乳化工程の後にのみ反応混合物に添加した。
【0238】
従来技術のマイクロカプセルは、80:20の比のヘキサメチレンジイソシアネートおよび4,4’-メチルジフェニレンジイソシアネートからなるイソシアネート混合物を使用することにより調製された。リシン*HClを第1のアミノ酸として、グリセロールをヒドロキシル基供与体として、および炭酸グアニジニウムを第2のアミノ酸/グアニジニウム基供与体として使用した。DABCOを触媒として使用し、ポリビニルアルコールを保護コロイドとして使用した。封入しようとする相としてTomCapを使用した。触媒は、乳化前に水相に添加して溶解させた。
【0239】
粒子サイズを決定するために、本発明によるマイクロカプセルおよび従来技術のマイクロカプセルを動的プロセスで水に分散させ、それからレーザー回折によって粒度を決定した。カプセルのサイズに応じて、レーザービームは異なって屈折し、したがってサイズに変換することができる。Mie理論をこれに使用した。MALVERN Mastersizer3000を粒子測定に使用した。
【0240】
本発明によるマイクロカプセルは、これらは、10μm~80μmのd(0.5)値、好ましくは20μm~65μmのd(0.5)値において粒径分布を有することを特徴とする。本発明によるマイクロカプセルおよび従来技術のマイクロカプセルの対応する粒度分布を
図2に示す。
【0241】
マイクロカプセルの直接比較は、本発明による方法が、従来技術により製造したマイクロカプセルと比較して著しく良好な粒度分布を有するマイクロカプセルを製造できることを示す。
【0242】
図3は、本発明によるマイクロカプセルおよび従来技術のマイクロカプセルのIR画像を示している。
【0243】
本発明によるマイクロカプセルは、75:25の比のヘキサメチレンジイソシアネートおよび4,4’-メチルジフェニレンジイソシアネートの組合せから調製された。さらに、架橋のために、リシン*HClを第1のアミノ酸として、グリセロールをヒドロキシル基供与体として、および炭酸グアニジニウムを塩基性アミン/グアニジニウム基供与体として使用した。DABCOを触媒として使用し、アラビアガムタイプセイヤルを保護コロイドとして使用し、四級化ヒドロキシエチルセルロースを乳化剤として使用した。触媒は、乳化工程の後にのみ添加した。
【0244】
従来技術のマイクロカプセルは、80:20の比のヘキサメチレンジイソシアネートおよび4,4’-メチルジフェニレンジイソシアネートの組合せから調製された。さらに、リシン*HClを第1のアミノ酸として、および炭酸グアニジニウムを塩基性アミン/グアニジニウム基供与体として架橋のために使用した。DABCOを触媒として、ポリビニルアルコールを保護コロイドとして使用した。触媒は、乳化前に水相に添加して溶解させた。
【0245】
グラフは、バンド、特にフィンガープリント領域に明らかな違いがあることを示している。1050cm-1に、最新従来技術のものと比較してはるかに強いバンドがあり、これはポリウレタンおよびポリエステル(例えばアラビアガムから生じる)も指している。さらに、1500cm-1に、C=C結合を指す新しいバンドがあり、これは例えば、芳香族イソシアネートにたどり着くことができる。1750cm-1の振動は、カルボニル炭素原子の割合が著しく増加したことを示している。IRスペクトルの比較は、本発明によるマイクロカプセルが、従来技術のマイクロカプセルと、それらの組成において異なることを示している。IRスペクトルの比較はまた、本発明によるマイクロカプセルおよび従来技術のマイクロカプセルの両方が、ポリ尿素/ポリウレタンネットワークまたはポリマーからなることを示している。
【0246】
ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの製造のための本発明による方法は、有利には、個々の方法工程の実施、特に個々の架橋工程の実施が、pH非依存性であるという事実により特徴付けられる。したがって、本発明による方法は、従来技術による封入方法と比較して、実施がより単純で短い。
【0247】
実行するのがより単純で短いのにも関わらず、本発明による方法は、マイクロカプセルが、より良好な性能で、すなわち、マイクロカプセルの機能性、例えば、嗅覚特性および正の二次的な特性、例えば高い安定性、すなわち活性成分を保持する能力を損失または低下させることなく製造されるのを可能にする。
【0248】
架橋工程のpH非依存的な実行により、有利には、アルデヒド、カルボン酸またはエステル官能基を有する親油性活性成分の封入も可能になる。従来技術のポリイソシアネートベースのカプセルシェルでは、通常、選択された活性成分のみを封入することができる。しかし、従来技術によるポリイソシアネートを用いた封入は、アルデヒド、カルボン酸、またはエステル官能基を有するフレグランスまたはフレグランス油を封入するのには適さない。アルカリ性pHでの封入中、カルボン酸が脱プロトン化し、酸化アルデヒド(カルボン酸)が類似して脱プロトン化し、エステルがけん化し、その結果親油性活性成分が失われ、得られるエマルジョンが不安定になる。したがって、そのようなマイクロカプセル化の使用は、活性成分に関して制限され、したがって、例えば、狭い範囲のフレグランスまたはフレグランス油にのみ適しており、一方、そのようなマイクロカプセル化の方法は、アルデヒド、カルボン酸、またはエステル官能基を有するフレグランスまたはフレグランス油には除外される。しかし、アルデヒド、カルボン酸、またはエステル官能基を有するフレグランスは、フレグランスまたはフレグランス油の最も重要な代表の一つである。本発明による方法におけるpH値非依存性架橋工程は、結果として、そのような親油性香水化合物または香油の効果的な封入を可能にする。
【0249】
本発明による方法では、界面重合により、親油性活性成分を含むコアの周りに、定義されたポリ尿素およびポリウレタンベースの架橋単位を交互に堆積させて、それにより安定なカプセル壁またはカプセルシェルの構造を作り出すことが可能である。カプセルシェルまたはカプセル壁の主な成分は、基本的にポリ尿素またはポリウレタンの架橋マトリックスまたは架橋単位である。架橋単位は、次に、方法の間に互いに架橋して三次元ネットワークを形成することで、カプセルシェルまたはカプセル壁の安定性に寄与する。さらに、保護コロイド(例えば、デンプン)が、ポリウレタン結合を介してカプセルシェルまたはカプセル壁に存在することができる。
【0250】
別の態様では、本発明は、本発明による方法により製造されるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルに関する。
【0251】
ポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルは、それが
少なくとも1種の疎水性薬剤を含むコア、ならびに
以下の反応生成物を含むカプセルシェル:
- 保護コロイドの存在下での2つまたはそれよりも多くのイソシアネート基を有するポリイソシアネートと、少なくとも1種のアミノ酸もしくはアミノ酸塩酸塩および触媒との架橋、
- 少なくとも1種のヒドロキシル基供与体とのさらなる架橋/重合、ならびに
- 少なくとも1種の塩基性アミンおよび/またはグアニジニウム基供与体とのさらなる架橋/重合
から構成される、またはこれらを含むという点で特徴付けられる。
【0252】
3つの架橋工程におけるポリイソシアネート単位と官能性アミノ基またはヒドロキシル基との連続的な架橋は、線状架橋だけでなく、三次元的、すなわち空間的架橋を含み、ポリウレタンおよびポリ尿素に基づく、定義され密で、したがって安定な架橋マトリックスまたは架橋単位が交互になる安定なカプセル壁となる。
【0253】
好ましい実施形態では、本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルのカプセルシェルは、
(i)2つまたはそれよりも多くのポリイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種の保護コロイドおよび少なくとも1種の第1のアミノ酸またはアミノ酸塩酸塩との重合および/または架橋から得た第1の架橋マトリックスまたは架橋単位、
(ii)2つまたはそれよりも多くのポリイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種のヒドロキシル基供与体との重合および/または架橋の第2の架橋マトリックスまたは架橋単位、ならびに
(iii)2つまたはそれよりも多くのポリイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種の塩基性アミンおよび/またはグアニジニウム基供与体との重合および/または架橋の第3の架橋マトリックスまたは架橋単位
を含む。
【0254】
本発明によるマイクロカプセルのカプセルシェルの第1の架橋マトリックスまたは単位はポリ尿素ベースのネットワークである。第2の架橋マトリックスまたは単位は、ポリウレタンベースのネットワーク、および第3の架橋マトリックスまたは単位はさらなるポリ尿素ベースのネットワークである。好ましくは、第1の架橋マトリックスおよび/または第2の架橋マトリックスおよび/または第3の架橋マトリックスは、それらの成分の官能基を介して互いにさらに架橋される。
【0255】
ポリ尿素およびポリウレタン架橋単位の組成は、使用するポリイソシアネートおよび架橋剤、すなわち保護コロイド、アミノ酸、ヒドロキシル基供与体、および塩基性アミンまたはグアニジニウム基供与体によって決まる。架橋工程の間に生成された架橋単位は、本発明による方法の過程において遊離官能基を介してさらに架橋し、したがって三次元的に架橋した、または空間的に架橋したカプセルシェルまたはカプセル壁を形成する。
【0256】
上記に記載されているポリウレタン形成およびポリ尿素形成に加えて、上記に記載されている架橋工程は、その開示がその全体において参照により本明細書に組み込まれている、M.F.Sonnenschein、Introduction to Polyurethane Chemistry、Polyurethanes:Science、Technology、Markets、and Trends、第1版、2015年、John Wiley&Sons、105~126頁に記載されているように、ポリイソシアネート、例えば、尿素、アロファネート、ビウレット、ウレチジオン、カルボジイミド、ウレトンイミンなどの反応性により副産物を生成する。これら副産物はカプセルシェルまたはカプセル壁の一部である。
【0257】
驚くことに、本発明の方法に従い生成されたポリ尿素/ポリウレタンフレグランスカプセルは、以下の実施形態に示されているように、より高い安定性および望ましくないフレグランスオイルの漏れの削減を示し、これらは特にフレグランスのさらに効率的な封入に起因し得る。
【0258】
驚くべきことに、本発明による方法は、以下の実施形態に示されるように、従来技術のポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルと比較して、少なくとも1.1倍、好ましくは1.3倍、さらにより好ましくは1.5倍のより優れた安定性を有するマイクロカプセルを製造するために使用することができることが見出された。
【0259】
本発明によるマイクロカプセルは、遊離の疎水性活性物質の含有量が0.5wt.-%以下、好ましくは0.3wt.-%以下、さらにより好ましくは0.2wt.-%である。
【0260】
本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルはまた、従来技術のカプセルと比較して、少なくとも1.1倍~少なくとも1.5倍の官能性能(フレグランス放出)の著しい改善を示し、これは、安定した活性成分の封入およびそれに伴う活性成分の損失の低さに起因している可能性がある。したがって、本発明によるマイクロカプセルは、
図4に例示されているように、機械的摩擦の手段によりまたは圧力によりカプセルを開くことによりフレグランスが放出された場合、有意に高い官能強度を示す。
【0261】
さらに、本発明によるマイクロカプセルは、現在の技術水準によれば、アルデヒド、カルボン酸またはエステル官能基を有するフレグランスまたは着香料でさえも、広範囲のフレグランスまたは着香料を封入することができる万能なカプセルであるので、個々の活性成分に対する制限がない。
【0262】
これらの有利な特性により、特にこれらの安定性および活性成分の標的とされる放出により、本発明によるマイクロカプセルは、広範囲な用途に対して、特に家庭用品、繊維用ケア製品、洗剤、織物柔軟剤、洗浄剤、加香剤、香り付きローション剤および香り促進剤、化粧品、パーソナルケア製品、農業製品、医薬品、印刷用紙コーティングなどにおける使用に対して適切である。
【0263】
別の態様では、本発明は、したがって、家庭用品、繊維用ケア製品、洗剤、織物柔軟剤、洗浄製品、加香剤、香り付きローション剤および香り促進剤、化粧品、パーソナルケア製品、農業製品、医薬品、印刷用紙コーティングなどの製造のための、本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルまたは本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの分散液の使用に関する。
【0264】
最後に、本発明は、本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルまたは本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルの懸濁液を含む、家庭用品、繊維用ケア製品、洗濯用洗剤、織物柔軟剤、洗浄製品、加香剤、香り付きローション剤およびフレグランス促進剤、化粧品、パーソナルケア製品、農業製品、医薬品、印刷用紙コーティングなどに関する。
【実施例】
【0265】
本発明によるポリ尿素/ポリウレタンマイクロカプセルおよびこれらの有利な特性は以下の実施例を参照してさらに詳細に記載されている。
【0266】
実施例1-カプセル安定性
【0267】
以下の安定性データは、市販の製剤、例えば加香剤または織物柔軟剤における50℃での試験を指す。
【0268】
選択された従来技術のカプセルは、全般的に、カプセル壁もポリ尿素/ポリウレタンネットワークに起因するものであった。従来技術のカプセルは、80:20の比のヘキサメチレンジイソシアネートおよび4,4’-メチルジフェニレンジイソシアネートからなるイソシアネート混合物を使用することにより調製された。リシン*HClを第1のアミノ酸として、グリセロールをヒドロキシル基供与体として、および炭酸グアニジニウムを第2のアミノ酸/グアニジニウム基供与体として使用した。DABCOを触媒として使用し、ポリビニルアルコールを保護コロイドとして使用した。封入しようとする相としてTomCapを使用した。触媒は、乳化前に水相に添加して溶解させた。
【0269】
本発明によるマイクロカプセルは、80:20の比のヘキサメチレンジイソシアネートおよび4,4’-メチルジフェニレンジイソシアネートからなるイソシアネート混合物を使用することにより調製された。さらに、リシン*HClを第1のアミノ酸として、グリセロールをヒドロキシル基供与体として、および炭酸グアニジニウムを第2のアミノ酸/グアニジニウム基供与体として使用した。DABCOを触媒として、アラビアガムタイプセイヤルを保護コロイドとして、および四級化ヒドロキシエチルセルロースを乳化剤として使用した。封入しようとする相としてTomCapを使用した。触媒は、乳化工程の後にのみ反応混合物に添加した。
【0270】
遊離油は、スラリーをイソプロパノール中で30秒間静置させ、それからマイクロカプセル中の残存油を固相マイクロ抽出(SPME)後にGC/MSにより決定した。
【0271】
【0272】
本発明によるマイクロカプセルは、従来技術のマイクロカプセルと比較して、著しく安定であり、著しく良好なサイズ分布を有する。本発明によるマイクロカプセルのカプセル安定性は、優れたサイズ分布を維持しながら、高いままである。本発明によるマイクロカプセルのサイズ分布および従来技術のマイクロカプセルのサイズ分布を
図2に示す。
【0273】
実施例2-方法の簡素化
【0274】
例1:
75:25の比のヘキサメチレンジイソシアネートおよび4,4’-メチルジフェニレンジイソシアネートからなるイソシアネート混合物を使用した本発明によるマイクロカプセルの製造。さらに、リシン*HClを第1のアミノ酸として、グリセロールをヒドロキシル基供与体として、および炭酸グアニジニウムを第2のアミノ酸/グアニジニウム基供与体として使用した。DABCOを触媒として、アラビアガムタイプセイヤルを保護コロイドとして、および四級化ヒドロキシエチルセルロースを乳化剤として使用した。封入しようとする相としてTomCapを使用した。触媒は、乳化工程の後に別に添加した。
【0275】
例2:
75:25の比のヘキサメチレンジイソシアネートおよび4,4’-メチルジフェニレンジイソシアネートからなるイソシアネート混合物を使用した本発明によるマイクロカプセルの調製。さらに、リシン*HClを第1のアミノ酸として、グリセロールをヒドロキシル基供与体として、および炭酸グアニジニウムを第2のアミノ酸/グアニジニウム基供与体として使用した。アラビアガムタイプセイヤルを保護コロイドとして使用し、四級化ヒドロキシエチルセルロースを乳化剤として使用した。封入しようとする相としてTomCapを使用した。触媒は、乳化工程の後に第1のアミノ酸リシン*HClと同時に、すなわち一緒に添加した。
本発明による例1および例2のマイクロカプセルを、上述のように従来技術のマイクロカプセルと比較した。
【0276】
【0277】
表2の値が示すように、触媒の添加は、マイクロカプセルのサイズ分布および安定性に重大な影響を与える。乳化工程の前に水相に触媒が添加される従来技術のマイクロカプセルの安定性は、著しく低い。これに対し、乳化工程の後に触媒が添加される本発明によるマイクロカプセルの安定性は、著しく高い。触媒が、乳化工程の後に第1のアミノ酸と共に添加されるか、または触媒が第1のアミノ酸とは別に添加されるか、すなわち第1のアミノ酸の添加の前か、または後かは重要ではない。添加方法が異なるにも関わらず、一貫した品質、すなわち安定性を有する一貫したマイクロカプセルが得られる。
【0278】
実施例3-ポリイソシアネート組成に相関するカプセルの安定性(単一のポリイソシアネートと2種類のポリイソシアネートの組合せの比較)
【0279】
本発明によるマイクロカプセルは、異なる単一のポリイソシアネートまたは2種類のポリイソシアネートの組合せ、炭酸グアニジニウム、保護コロイドとしてポリビニルアルコール、および香油としてTomCapを使用して調製した。
【0280】
【0281】
2種類のイソシアネートの組合せを使用すると、単一のイソシアネート系の安定性を再び超えるマイクロカプセルが生じた。そのため、2種類のイソシアネートの混合物の使用が好ましい。
【0282】
実施例4-ヒドロキシル基供与体に相関するカプセル安定性
【0283】
本発明によるマイクロカプセルは、80:20の比のヘキサメチレンジイソシアネートおよび4,4’-メチルジフェニレンジイソシアネートからなるイソシアネート混合物を使用することにより調製された。さらに、リシン*HClを第1のアミノ酸として、グリセロールまたは1,3,5-トリヒドロキシベンゼンをヒドロキシル基供与体として、および炭酸グアニジニウムを第2のアミノ酸/グアニジニウム基供与体として使用した。DABCOを触媒として、オセンチルスクシネイティドスターチを保護コロイドとして使用した。封入しようとする相としてTomCapを使用した。触媒は、乳化工程の後にのみ反応混合物に添加した。
【0284】
【表4】
グリセロールをヒドロキシル基供与体として使用すると、1,3,5-トリヒドロキシベンゼンを使用するよりも安定なマイクロカプセルがもたらされる。グリセロールは、そのサイズから、芳香族ヒドロキシル基供与体と比較して反応性が高い。
【0285】
実施例5-官能試験
【0286】
官能評価のために、本発明によるマイクロカプセルを、上述の従来技術からのマイクロカプセル、すなわち、乳化工程の前に水相に触媒が添加されるポリ尿素/ポリウレタン構造に基づくマイクロカプセルと比較した。
【0287】
本発明によるマイクロカプセルは、75:25の比のヘキサメチレンジイソシアネートおよび4,4’-メチルジフェニレンジイソシアネートから調製された。さらに、リシン*HClを第1のアミノ酸として、グリセロールをヒドロキシル基供与体として、および炭酸グアニジニウムを第2のアミノ酸/グアニジニウム基供与体として使用した。DABCOを触媒として、アラビアガムタイプセイヤルを保護コロイドとして、および四級化ヒドロキシエチルセルロースを乳化剤として使用した。封入しようとする相としてTomCapを使用した。
【0288】
官能評価を以下の通り行った:上記マイクロカプセルを0.2wt.-%の油濃度を有する織物柔軟剤にそれぞれ加え、次いで洗浄した。コットンおよびポリエステルで作製された混合繊維布で臭いを嗅いだ。
【0289】
12人の試験者が、洗浄後、混合繊維布の香り強度を1(香りなし)から9(非常に強い香り)のスケールで評定した。香り評定は3つの工程で行った。第1の工程では、未処理の布の臭いを記載する。第2の工程では軽く混錬した布の臭いを記載する。この目的のために、布を手の間で数回前後に動かすことで布にわずかな機械的ストレスを与え、カプセルの破損を引き起こした。第3の工程では、布を強く擦り、したがってカプセルが破壊した後の臭いを記載する。
【0290】
官能試験の結果を
図4に示す。本発明によるマイクロカプセルは、著しく良好な性能(フレグランス放出)を有する。これは、系の具体的な改変に起因している可能性がある。乳化工程の後にのみ触媒を添加することにより、より強く香る、著しく安定なマイクロカプセルが得られる。
【国際調査報告】