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特表2023-538278中等度から重度の喘息の治療におけるデクスプラミペキソールの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(54)【発明の名称】中等度から重度の喘息の治療におけるデクスプラミペキソールの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/428 20060101AFI20230831BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20230831BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230831BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20230831BHJP
   A61K 31/56 20060101ALI20230831BHJP
   A61K 31/58 20060101ALI20230831BHJP
   A61K 31/538 20060101ALI20230831BHJP
   A61K 31/439 20060101ALI20230831BHJP
   A61K 31/4704 20060101ALI20230831BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20230831BHJP
   A61K 31/167 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
A61K31/428
A61P11/06
A61P43/00 121
A61K31/573
A61K31/56
A61K31/58
A61K31/538
A61K31/439
A61K31/4704
A61K31/137
A61K31/167
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507920
(86)(22)【出願日】2021-08-05
(85)【翻訳文提出日】2023-04-03
(86)【国際出願番号】 US2021044719
(87)【国際公開番号】W WO2022031956
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】63/061,226
(32)【優先日】2020-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/136,933
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/147,024
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/174,938
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523039019
【氏名又は名称】アレテイア セラピューティクス、インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】プルシン、カルマン フィリップ
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC28
4C086BC74
4C086BC84
4C086CB17
4C086DA08
4C086DA10
4C086DA12
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA05
4C086ZA59
4C086ZC75
4C206FA14
4C206GA31
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA72
4C206NA05
4C206ZA59
4C206ZC75
(57)【要約】
本明細書に開示されるのは、デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の約75mg~約300mgの1日用量で、それを必要とするヒト対象の好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療する方法、およびデクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の約150mg~約300mgの1日用量で、それを必要とするヒト対象の好酸球性表現型の重度の喘息を治療する方法である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とするヒト対象の好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療する方法であって、前記方法は、デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の約75mg~約300mgの1日用量を前記対象に経口投与する工程を含み、前記対象が既に少なくとも2つの喘息薬を投与されており、それによって前記対象における前記好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療する、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記少なくとも2つの喘息薬は、吸入コルチコステロイド(ICS)および長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)である、方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、前記吸入コルチコステロイド(ICS)は、ベクロメタゾン、フルチカゾン、シクレソニド、モメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項4】
請求項2記載の方法において、前記長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)は、硫酸アルブテロール、フマル酸ホルモテロール、サルメテロール、キシナフォ酸サルメテロール、酒石酸アルフォルモテロール、オロダテロール、ウメクリジニウム、ビランテロール、インダカテロール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記対象における前記好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療することは、絶対血中好酸球のレベルを低減することである、方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、前記絶対血中好酸球のレベルが少なくとも約50%減少する、方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、前記対象における前記好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療することは、1秒間の努力肺活量(FEV)、喘息コントロール質問票(ACQ)のスコア、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコア、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される測定値を改善することである、方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、前記対象における前記好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療することは、鼻好酸球ペルオキシダーゼのレベル、咽頭好酸球ペルオキシダーゼのレベル、血中好塩基球のレベル、血中好酸球前駆体集団のレベル、呼気中一酸化窒素濃度及びこれらの組み合わせからなる群から選択される症状を減少させることである、方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、前記対象における前記好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療することは、喘息増悪の頻度を減少させることである、方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、前記対象における前記好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療することは、1秒間の努力肺活量(FEV)、努力肺活量(FVC)、年換算CompExイベント率、朝のピーク呼気流量(PEF)、喘息制御質問票(ACQ)のスコア、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコア、および、その組み合わせからなる群から選択される測定値を改善することである、方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、前記対象における前記好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療することは、最初の増悪までの時間、鼻好酸球ペルオキシダーゼのレベル、血中好酸球のレベル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される症状を減少させることである、方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、前記デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の前記1日用量は、1日あたり約150mgである、方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、前記デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の前記1日用量は、1日2回、75mgで投与される、方法。
【請求項14】
請求項1記載の方法において、前記デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の前記1日用量は、1日あたり約300mgである、方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、前記デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の前記1日用量は、1日2回、150mgで投与される、方法。
【請求項16】
請求項1記載の方法において、前記対象は、12歳を超え、および、75歳未満である、方法。
【請求項17】
請求項1記載の方法において、前記対象は、約18歳以上である、方法。
【請求項18】
請求項1記載の方法において、前記対象は、約12歳から約17歳である、方法。
【請求項19】
血液学的レスポンダーヒト対象の好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療する方法であって、前記方法は、デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の約75mg~約300mgの1日用量を前記血液学的レスポンダーヒト対象に経口投与する工程を含み、前記血液学的レスポンダーヒト対象が既に少なくとも2つの喘息薬を投与されており、それによって前記血液学的レスポンダーヒト対象における前記好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療するものであり、および、FEVが少なくとも150mlまたは少なくとも5%改善する、方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法において、前記血液学的レスポンダーヒト対象は、AECが100細胞/μl未満に減少する、方法
【請求項21】
請求項19記載の方法において、前記少なくとも2つの喘息薬は、吸入コルチコステロイド(ICS)および長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)である、方法。
【請求項22】
請求項21記載の方法において、前記吸入コルチコステロイド(ICS)は、ベクロメタゾン、フルチカゾン、シクレソニド、モメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項23】
請求項21記載の方法において、前記長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)は、硫酸アルブテロール、フマル酸ホルモテロール、サルメテロール、キシナフォ酸サルメテロール、酒石酸アルフォルモテロール、オロダテロール、ビランテロール、インダカテロール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項24】
請求項19記載の方法において、前記絶対血中好酸球のレベルが約90%減少する、方法。
【請求項25】
請求項19記載の方法において、前記血液学的レスポンダーヒト対象における前記好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療することは、1秒間の努力肺活量(FEV)、喘息コントロール質問票(ACQ)のスコア、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコア、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される測定値を改善することである、方法。
【請求項26】
請求項19記載の方法において、前記血液学的レスポンダーヒト対象における前記好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療することは、鼻好酸球ペルオキシダーゼのレベル、咽頭好酸球ペルオキシダーゼのレベル、血中好塩基球のレベル、血中好酸球前駆体集団のレベル、呼気中一酸化窒素濃度及びこれらの組み合わせからなる群から選択される症状を減少させることである、方法。
【請求項27】
請求項19記載の方法において、前記血液学的レスポンダーヒト対象における前記好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療することは、喘息増悪の頻度を減少させることである、方法。
【請求項28】
請求項19記載の方法において、前記血液学的レスポンダーヒト対象における前記好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療することは、1秒間の努力肺活量(FEV)、努力肺活量(FVC)、年換算CompExイベント率、朝のピーク呼気流量(PEF)、喘息制御質問票(ACQ)のスコア、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコア、および、その組み合わせからなる群から選択される測定値を改善することである、方法。
【請求項29】
請求項19記載の方法において、前記血液学的レスポンダーヒト対象における前記好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療することは、最初の増悪までの時間、鼻好酸球ペルオキシダーゼのレベル、血中好酸球のレベル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される症状を減少させることである、方法。
【請求項30】
請求項19記載の方法において、前記デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の前記1日用量は、1日あたり約150mgである、方法。
【請求項31】
請求項30記載の方法において、前記デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の前記1日用量は、1日2回、75mgで投与される、方法。
【請求項32】
請求項19記載の方法において、前記デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の前記1日用量は、1日あたり約300mgである、方法。
【請求項33】
請求項32記載の方法において、前記デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の前記1日用量は、1日2回、150mgで投与される、方法。
【請求項34】
請求項19記載の方法において、前記血液学的レスポンダーヒト対象は、12歳を超え、および、75歳未満である、方法。
【請求項35】
請求項19記載の方法において、前記血液学的レスポンダーヒト対象は、約18歳以上である、方法。
【請求項36】
請求項19記載の方法において、前記血液学的レスポンダーヒト対象は、約12歳から約17歳である、方法。
【請求項37】
それを必要とするヒト対象の好酸球性表現型の十分にコントロールされていない軽度、中等度、及び重度の喘息を治療する方法であって、前記方法は、デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の約75mg~約300mgの1日用量を前記対象に経口投与する工程を含み、前記対象が既に少なくとも2つの喘息薬を投与されており、それによって前記対象における前記好酸球性表現型の十分にコントロールされていない軽度、中等度、及び重度の喘息を治療する、方法。
【請求項38】
請求項37記載の方法において、前記少なくとも2つの喘息薬は、吸入コルチコステロイド(ICS)および長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)である、方法。
【請求項39】
請求項40記載の方法において、前記吸入コルチコステロイド(ICS)は、ベクロメタゾン、フルチカゾン、シクレソニド、モメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項40】
請求項40記載の方法において、前記長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)は、硫酸アルブテロール、フマル酸ホルモテロール、サルメテロール、キシナフォ酸サルメテロール、酒石酸アルフォルモテロール、オロダテロール、ウメクリジニウム、ビランテロール、インダカテロール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項41】
請求項37記載の方法において、前記好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度、及び重度の喘息を治療することは、前記絶対血中好酸球のレベルを減少させることである、方法。
【請求項42】
請求項43記載の方法において、前記絶対血中好酸球のレベルが少なくとも約50%減少する、方法。
【請求項43】
請求項37記載の方法において、前記好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度、及び重度の喘息を治療することは、1秒間の努力肺活量(FEV)、喘息コントロール質問票(ACQ)のスコア、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコア、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される測定値を改善することである、方法。
【請求項44】
請求項37記載の方法において、前記好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度、及び重度の喘息を治療することは、鼻好酸球ペルオキシダーゼのレベル、咽頭好酸球ペルオキシダーゼのレベル、血中好塩基球のレベル、血中好酸球前駆体集団のレベル、呼気中一酸化窒素濃度及びこれらの組み合わせからなる群から選択される症状を減少させることである、方法。
【請求項45】
請求項37記載の方法において、前記好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度、及び重度の喘息を治療することは、喘息増悪の頻度を減少させることである、方法。
【請求項46】
請求項37記載の方法において、前記好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度、及び重度の喘息を治療することは、1秒間の努力肺活量(FEV)、努力肺活量(FVC)、年換算CompExイベント率、朝のピーク呼気流量(PEF)、喘息制御質問票(ACQ)のスコア、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコア、および、その組み合わせからなる群から選択される測定値を改善することである、方法。
【請求項47】
請求項37記載の方法において、前記好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度、及び重度の喘息を治療することは、最初の増悪までの時間、鼻好酸球ペルオキシダーゼのレベル、血中好酸球のレベル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される症状を減少させることである、方法。
【請求項48】
請求項37記載の方法において、前記デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の前記1日用量は、1日あたり約150mgである、方法。
【請求項49】
請求項50記載の方法において、前記デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の前記1日用量は、1日2回、75mgで投与される、方法。
【請求項50】
請求項37記載の方法において、前記デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の前記1日用量は、1日あたり約300mgである、方法。
【請求項51】
請求項52記載の方法において、前記デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の前記1日用量は、1日2回、150mgで投与される、方法。
【請求項52】
請求項37記載の方法において、前記対象は、12歳を超え、および、75歳未満である、方法。
【請求項53】
請求項37記載の方法において、前記対象は、約18歳以上である、方法。
【請求項54】
請求項37記載の方法において、前記対象は、約12歳から約17歳である、方法。
【請求項55】
それを必要とするヒト対象の好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息を治療する方法であって、前記方法は、デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の約75mg~約300mgの1日用量を前記対象に経口投与する工程を含み、前記対象が既に少なくとも2つの喘息薬を投与されており、それによって前記対象における前記好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息を治療するものであり、前記対象は、最低1日の中用量ICS+LABA治療を必要とすること、1年に2回以上の喘息増悪、ACQスコア≧1.5、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの基準を示すものである、方法。
【請求項56】
請求項57記載の方法において、前記少なくとも2つの喘息薬は、吸入コルチコステロイド(ICS)および長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)である、方法。
【請求項57】
請求項60記載の方法において、前記吸入コルチコステロイド(ICS)は、ベクロメタゾン、フルチカゾン、シクレソニド、モメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項58】
請求項60記載の方法において、前記長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)は、硫酸アルブテロール、フマル酸ホルモテロール、サルメテロール、キシナフォ酸サルメテロール、酒石酸アルフォルモテロール、オロダテロール、ウメクリジニウム、ビランテロール、インダカテロール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項59】
請求項57記載の方法において、前記対象における前記好酸球性表現型の前記コントロールされていない重度の喘息を治療することは、前記絶対血中好酸球のレベルを減少させることである、方法。
【請求項60】
請求項63記載の方法において、前記絶対血中好酸球のレベルが少なくとも約50%減少する、方法。
【請求項61】
請求項57記載の方法において、前記対象における前記好酸球性表現型の前記コントロールされていない重度の喘息を治療することは、1秒間の努力肺活量(FEV)、喘息コントロール質問票(ACQ)のスコア、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコア、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される測定値を改善することである、方法。
【請求項62】
請求項57記載の方法において、前記対象における前記好酸球性表現型の前記コントロールされていない重度の喘息を治療することは、鼻好酸球ペルオキシダーゼのレベル、咽頭好酸球ペルオキシダーゼのレベル、血中好塩基球のレベル、血中好酸球前駆体集団のレベル、呼気中一酸化窒素濃度及びこれらの組み合わせからなる群から選択される症状を減少することである、方法。
【請求項63】
請求項57記載の方法において、前記対象における前記好酸球性表現型の前記コントロールされていない重度の喘息を治療することは、喘息増悪の頻度を減少させることである、方法。
【請求項64】
請求項57記載の方法において、前記対象における前記好酸球性表現型の前記コントロールされていない重度の喘息を治療することは、1秒間の努力肺活量(FEV)、努力肺活量(FVC)、年換算CompExイベント率、朝のピーク呼気流量(PEF)、喘息制御質問票(ACQ)のスコア、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコア、および、その組み合わせからなる群から選択される測定値を改善することである、方法。
【請求項65】
請求項57記載の方法において、前記対象における前記好酸球性表現型の前記コントロールされていない重度の喘息を治療することは、最初の増悪までの時間、鼻好酸球ペルオキシダーゼのレベル、血中好酸球のレベル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される症状を減少させることである、方法。
【請求項66】
請求項57記載の方法において、前記デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の前記1日用量は、1日あたり約150mgである、方法。
【請求項67】
請求項70記載の方法において、前記デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の前記1日用量は、1日2回、75mgで投与される、方法。
【請求項68】
請求項57記載の方法において、前記デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の前記1日用量は、1日あたり約300mgである、方法。
【請求項69】
請求項72記載の方法において、前記デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の前記1日用量は、1日2回、150mgで投与される、方法。
【請求項70】
請求項57記載の方法において、前記対象は、12歳を超え、および、75歳未満である、方法。
【請求項71】
請求項57記載の方法において、前記対象は、約18歳以上である、方法。
【請求項72】
請求項57記載の方法において、前記対象は、約12歳から約17歳である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2020年8月5日に出願された米国仮出願第63/061,226号及び2021年1月13日に出願された米国仮出願第63/136,933号、2021年2月8日に出願された米国仮出願第63/147,024号及び2021年4月14日に出願された米国仮出願第63/174,938号の利益を主張するものである。これらの出願の各々の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0002】
本発明の実施形態は、それを必要とするヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療するための方法であって、前記方法は、対象に約75mg~約300mgのデクスプラミペキソール、またはその薬学的に許容される塩の1日用量を経口投与する工程を含み、前記対象は既に少なくとも2つの喘息薬の投与を受けているものであり、それによりヒト対象における好酸球性表現型の中度から重度の喘息を治療する、方法に関する。いくつかの実施形態では、前記少なくとも2つの喘息薬は、吸入コルチコステロイド(ICS)及び長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)である。本明細書に記載の実施形態では、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息は、絶対血中好酸球のレベル、組織好酸球のレベル、気道の粘液栓の量、喀痰好酸球ペルオキシダーゼのレベル、鼻好酸球ペルオキシダーゼのレベル、咽頭好酸球ペルオキシダーゼのレベル及びこれらの組み合わせからなる群から選択される症状の1つ以上を低減することによって治療される。本明細書に記載の実施形態では、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息は、喘息増悪の頻度、経口コルチコステロイドの使用、吸入コルチコステロイドの使用、長時間作用型ベータアゴニスト、短時間作用型ベータアゴニストの使用、救助薬の使用、1秒間の平均努力肺活量(FEV)、努力肺活量(FVC)、喘息コントロール質問票(ACQ)のスコア、喘息コントロールテスト(ACT)(商標)のスコア、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコア及びこれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の症状を改善することによって治療される。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1図1は、試験設計の描写を提供する。
図2図2Aは、24週目までの幾何平均(SE)血中絶対好酸球数をグラフで示したものである。図2Bは、12週目のプラセボに対して補正した好酸球数比をグラフで示したものである。
図3図3は、すべての用量群において、デクスプラミペキソールがFEVを改善したことを示している。
図4図4は、すべての用量群において、デクスプラミペキソールがFVCを改善したことを示している。
図5図5は、AECが50%以上減少したデクスプラミペキソールサブグループ(12週目に測定、血液学的レスポンダー)で見られた、ベースライン後のすべての試験時点におけるFEVの有意な増加を示している。
図6図6は、FEV、肺機能に対するデクスプラミペキソール、ベンラリズマブ、メポリズマブの効果の比較を提供する。
図7図7は、ベースラインのAECが400/μL以上のサブグループにおいて、FEVが大幅に改善されたことを示している。
図8図8は、12週目におけるデクスプラミペキソールによる組織EPXの有意な低下を示している。
図9図9は、デクスプラミペキソールによる血中好酸球低下と鼻腔組織EPX低下との相関関係を示している。
図10図10は、AECが50%以上減少したサブグループにおいて、ACQ-6の改善がより大きいことを示している。
図11図11は、ΔΔFEVが100mL以上のサブグループにおいて、ACQ-6の改善が大きいことを示している。
【発明を実施するための形態】
【0004】
デクスプラミペキソール((6R)-2-アミノ-4,5,6,7-テトラヒドロ-6-(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール)は、以下の構造を有する合成アミノベンゾチアゾール誘導体である。
【化1】
【0005】
本明細書で使用する場合、デクスプラミペキソールは、遊離塩基または薬学的に許容される塩、好ましくは二塩酸塩として投与され得る。本明細書で使用する場合、デクスプラミペキソールは、鏡像異性的に99.9%~100%純粋である。医薬組成物に含まれるデクスプラミペキソールは、少なくとも99.5%、好ましくは少なくとも99.6%、好ましくは少なくとも99.7%、好ましくは少なくとも99.8%、好ましくは少なくとも99.9%、好ましくは少なくとも99.95%、より好ましくは少なくとも99.99%のデクスプラミペキソールに対するキラル純度を有し得る。いくつかの実施形態では、デクスプラミペキソールに対するキラル純度は100%である。いくつかの実施形態では、組成物は、99.9%以上のデクスプラミペキソールに対するキラル純度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、99.95%以上のデクスプラミペキソールに対するキラル純度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、99.99%以上のデクスプラミペキソールに対するキラル純度を有する。本明細書で使用されるプラミペキソールの高いキラル純度、デクスプラミペキソールは、広範な個人および1日の用量範囲を有し得る治療用組成物を可能にする。
【0006】
本明細書に記載の医薬組成物におけるデクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の量、キラル純度、および剤形に関するすべての実施形態は、簡潔にするために別々に提供されるが、任意の適切な組み合わせで結合することが可能である。
【0007】
本明細書に記載されたものと類似または同等の任意の方法および材料を、本発明の実施形態の実践または試験に使用することができるが、例示的な方法、装置、および材料について、今、説明する。
【0008】
本明細書に記載の各実施形態において、本方法は、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソール、またはその薬学的に許容される塩の1日用量を経口投与することからなる場合がある。より好ましくは、本方法は、約150mg~約300mgのデクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の1日用量を経口投与することからなる場合がある。デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩は、37.5mg、75mg、または150mgとして1日2回投与することができる。
【0009】
用語「含む(comprising)」は、「含むが、それに限定されない」ことを意味する。用語「本質的にから成る(consisting essentially of)」は、方法または組成物が、具体的に言及されたステップまたは成分を含み、本発明の基本的かつ新規な特性に実質的に影響しないものを含むこともできることを意味する。「からなる(consisting of)」という用語は、方法または組成物が、具体的に言及されたステップまたは構成要素のみを含むことを意味する。様々な組成物及び方法は、様々な成分またはステップを「含む(comprising)」という用語で記載されているが、任意の実施形態において、組成物または方法は、記載された成分またはステップに関して「本質的にからなる(consisting essentially of)」または「からなる(consisting of)」を利用することもできるが、そのような実施形態は、簡潔さ、明確さ及び効率のために明示的に記載されていないが、含まれている。
【0010】
本発明の組成物及び方法を説明する前に、本発明は、これらが変化し得るので、説明された特定の工程、組成物、または方法論に限定されないことを理解されたい。さらに、特定の実施形態に記載されたプロセス、組成物、および方法論は、交換可能である。したがって、例えば、特定の実施形態に記載される組成物、投与レジメン、投与経路などは、他の特定の実施形態に記載される方法のいずれにおいても使用することができる。また、本明細書で使用される用語は、特定のバージョンまたは実施形態を説明するためだけのものであり、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載する方法と類似または同等の任意の方法を、本発明の実施形態の実践または試験において使用することができるが、好ましい方法を今、記載する。本明細書に記載された全ての出版物及び参考文献は、参照により組み込まれる。本明細書のいかなる内容も、本発明が先行発明によりかかる開示に先行する権利を有しないことを認めるものとして解釈されるものではない。
【0011】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限の間の各介在値およびその述べられた範囲内の他の記載または介在値が開示内に包含されることが意図される。例えば、1mg~8mgの範囲が記載されている場合、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mgも明示的に開示され、1mg以上の値の範囲、8mg以下の値の範囲、2mg~5mgまたは3mg~5mgなどの範囲も開示されることが意図されている。
【0012】
すべてのパーセント、割合および比率は、特に指定しない限り、口腔用組成物の総重量に基づき、行われたすべての測定は約25℃で行われた。
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数形の参照を含むことに留意しなければならない。
【0014】
本明細書において、用語「約」は、それが使用されている数値のプラス10%またはマイナス10%を意味する。したがって、約50%とは、45%~55%の範囲にあることを意味する。
【0015】
治療薬と共に使用される場合の「投与する」とは、治療薬を直接または間接的に標的組織に投与し、治療薬が標的組織に正の影響を与えるように、患者に治療薬を投与することを意味する。組成物を「投与する」ことは、当該技術分野で現在知られている任意の処方で経口投与することにより達成され得る。「投与する」ことには、自己投与または医療従事者などの他の人による投与の行為が含まれ得る。
【0016】
本明細書において、「ベースライン」という用語は、デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の投与及び治療前の対象の状態を意味するが、対象は、喘息の治療のために他の薬物を投与されている場合がある。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「好酸球」は、好酸球顆粒球を指す。いくつかの実施形態では、用語「好酸球」は、ヒト好酸球前駆体(hEoP)を指す。いくつかの実施形態では、用語「好酸球」は、好酸球系統適合前駆体(EoP)を指す。いくつかの実施形態では、用語「好酸球」は、ヒト共通骨髄系前駆体(hCMP)を指す。いくつかの実施形態では、用語「好酸球」は、好酸球顆粒球、ヒト好酸球前駆体(hEoP)、好酸球系統適合前駆体(EoP)、及びヒト共通骨髄系前駆体(hCMP)の任意の組合せを指す。いくつかの実施形態では、用語「好酸球」は、CD34+CD125+前駆細胞を指す。いくつかの実施形態では、用語「好酸球」は、骨髄、全身循環系、及び/または骨髄、肺、及び気道を含む器官組織内に存在する好酸球を意味する。いくつかの実施形態では、器官組織は、肺、皮膚、心臓、脳、眼、消化管、胸腺、脾臓、腎臓、膀胱、耳、鼻、副鼻腔、口腔、上気道、骨髄、またはこれらの組み合わせである。
【0018】
「改善する」という用語は、本発明が、それが提供、適用または投与される組織の形態、特性、構造、機能および/または物理的属性のいずれかを変えることを伝えるために使用される。「改善する」はまた、活性剤が投与された個体の全体的な物理的状態を指すこともある。例えば、活性剤の投与によって疾患、状態、または障害の1つ以上の症状が緩和される場合、個人の全体的な身体的状態は「改善」され得る。
【0019】
本明細書に開示される各実施形態において、化合物及び方法は、「それを必要とする」とも呼ばれ得るそのような治療を必要としている対象と共に、または対象に対して利用され得る。本明細書で使用される場合、「それを必要とする」という句は、対象が特定の方法または治療の必要性を有すると同定されたこと、及びその治療がその特定の目的のために対象に与えられていることを意味する。
【0020】
「好酸球性表現型の中等度から重度の喘息」を有するヒト対象は、デクスプラミペキソール、またはその薬学的に許容される塩のいずれかの投与前に、例えば、吸入コルチコステロイド(ICS)と長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)など少なくとも2つの喘息薬で既に治療を受けていても、1マイクロリットルあたり少なくとも300細胞の末梢血中の好酸球レベルを有する。
【0021】
本明細書では、症状、徴候、またはバイオマーカーを総称して「症状」と呼ぶ。
【0022】
「任意の」または「任意に」は、その後に記述される構造、事象または状況が発生してもしなくてもよいこと、および、記述されることが、事象が発生する例と発生しない例を含むことを意味すると解釈される場合がある。
【0023】
本明細書で使用される用語「患者」および「対象」は交換可能であり、本発明の化合物で治療され得る任意の生体を意味すると見なすことができる。このように、用語「患者」及び「対象」は、任意のヒトを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、「患者」または「対象」は、成人、子ども、または幼児である。いくつかの実施形態では、「患者」または「対象」は、ヒトである。
【0024】
本明細書において、「治療薬」という用語は、患者の望ましくない疾患、状態、または障害を治療、闘病、改善、または予防するために利用される薬剤を意味する。
【0025】
本明細書で使用する「治療有効量」または「治療用量」という用語は互換性があり、研究者、獣医師、医師、または他の臨床専門家が求めている組織、系統、動物、個体、またはヒトにおいて臨床、生物学、または医薬の反応を誘発する活性剤、医薬化合物、または組成物の量を指すことがある。臨床的、生物学的、または医学的反応には、例えば、疾患、状態、または障害の病理学的または症状を経験または示している個体における疾患、状態、または障害を抑制すること、または疾患、状態、または障害の病理学的および/または症状のさらなる発展を阻止すること、または疾患、状態、または障害の病理学的または症状を経験または示している個体の疾患、状態、または障害を改善すること、または個体が経験または示す病理学的および/または症状を逆転させることが含まれてもよい。
【0026】
「予防する」という用語は、特定の障害、疾患、または状態の予防を意味すると捉えられてもよい。いくつかの実施形態では、この用語は、疾患、状態または障害の素因を有し得るが、疾患、状態または障害の病理または症状をまだ経験または表していない個体において、疾患、状態または障害を予防することを意味する。
【0027】
「治療する」という用語は、特定の障害、疾患、または状態に関連する症状の緩和及び/または特定の障害、疾患、または状態に関連する症状の悪化の予防を意味すると捉えられてもよい。いくつかの実施形態では、この用語は、障害、疾患、または状態の進行を遅らせることまたは阻止することを意味する。いくつかの実施形態では、この用語は、特定の障害、疾患、または状態に関連する症状を緩和することを指す。いくつかの実施形態では、この用語は、特定の障害、疾患、または状態に関連する症状を緩和することを指す。いくつかの実施形態では、この用語は、特定の障害、疾患、または状態のために損なわれたまたは失われた機能を回復させることを指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「鏡像異性体」、「立体異性体」、および「光学異性体」は互換的に使用され、非対称またはキラル中心を含み、互いの鏡像である分子を指す場合がある。さらに、用語「鏡像異性体」、「立体異性体」、または「光学異性体」は、所定の立体配置において、その鏡像に重ね合わせることができない分子を表す。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「光学的に純粋な」または「鏡像異性的に純粋な」は、組成物が化合物の単一の光学異性体を少なくとも99.95%含むことを示すと見なし得る。用語「鏡像異性的に濃縮された」は、組成物の少なくとも51%が単一の光学異性体または鏡像異性体であることを示すと解釈してもよい。本明細書で使用される「鏡像異性体濃縮」という用語は、他方に比べて一方の鏡像異性体の量が増加することを意味する。2アミノ4,5,6,7テトラヒドロ6(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの「ラセミ」混合物は、2アミノ4,5,6,7テトラヒドロ6(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの(6R)及び(6S)鏡像異性体のほぼ等量の混合物である。
【0030】
本開示を通じて、単語「プラミペキソール」は、特に指定されない限り、2アミノ4,5,6,7テトラヒドロ6(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの(6S)鏡像異性体を指すであろう。
【0031】
用語「医薬組成物」は、少なくとも1つの有効成分を含む組成物を意味し、それによって組成物は、ヒトにおける特定の有効な結果について調査することが可能であるものとする。当業者であれば、当業者の必要性に基づいて有効成分が所望の効能を有するかどうかを決定するために適切な技術を理解し、理解するであろう。医薬組成物は、例えば、有効成分としてデクスプラミペキソールまたはデクスプラミペキソールの薬学的に許容される塩を含有し得る。あるいは、医薬組成物は、有効成分としてデクスプラミペキソールまたはデクスプラミペキソールの薬学的に許容される塩を含んでもよい。
【0032】
「薬学的に許容される塩」とは、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずに患者の組織と接触して使用するのに適しており、妥当な利益/リスク比に見合った塩を示すことを意味する。薬学的に許容される塩は、当技術分野でよく知られている。例えば、Berge et al. (1977) J. Pharm. Sciences, Vol 6. 1 19に、薬学的に許容される塩が詳細に記載されている。薬学的に許容される「塩」は、任意の酸付加塩、好ましくは薬学的に許容される酸付加塩であり、例えば、臭化水素酸塩、塩酸塩、フッ化水素酸塩およびヨウ化水素酸塩などのハロゲン酸塩;例えば、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩およびリン酸塩などの無機酸塩;例えばスルホン酸塩(メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸またはpトルエンスルホン酸、酢酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、ベンゾニックグルコン酸、乳酸、マンデル酸、ムチン酸、パモ酸、パントテン酸、シュウ酸およびマレイン酸塩)のような有機酸塩およびアスパラギン酸塩、グルタミン酸塩などのアミノ酸塩があるが、これらに限定されるわけではない。酸付加塩は、ジヒドロハロゲン酸塩、二硫酸塩、二リン酸塩、二有機酸塩などのモノ酸付加塩または二酸付加塩であってもよい。すべての場合において、酸付加塩は、本開示の生成物の特定の光学異性体との相互作用またはその沈殿に対する予想されるまたは既知の優先順位に基づいて選択されないアキラル試薬として使用される。
【0033】
本明細書で使用する場合、用語「1日用量」は、患者に投与される1日あたりのデクスプラミペキソール、または薬学的に許容される塩の量を意味する。この量は、複数の単位用量で、または単一の単位用量で、日中の単一の時間に、または日中の複数の時間に投与され得る。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「血液学的レスポンダーヒト対象」は、デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の投与後に、絶対血中好酸球レベルがベースラインから50%以上減少した、中等度から重度の喘息を有するヒト対象を意味する。
【0035】
喘息は、不均一な疾患であり、通常、慢性の気道炎症によって特徴づけられる。喘鳴、息切れ、胸部圧迫感、咳などの呼吸器症状が、呼気流量制限とともに時間的、強度的に変化する病歴により定義される。喘息は、気道平滑筋の収縮と粘膜の腫れにより、気道が狭くなる疾患である。気道内腔の粘液産生が増加すると、さらに気流が阻害され、喘息症状の悪化につながる。その結果、呼吸が困難になり、咳、喘鳴、息切れが誘発されることがある。喘息は、人によっては些細な悩みの種である。しかし、日常生活に支障をきたし、生命を脅かす喘息発作または喘息増悪につながる可能性のある重大な問題である人もいる。現在の治療法では喘息を完治させることはできないが、一部の患者では症状を抑えることができる。
【0036】
喘息の症状には、息切れ、胸の圧迫感や痛み、息切れによる睡眠障害、咳や喘鳴(喘鳴は小児の喘息によくみられる徴候である)、運動不耐性などがある。このような症状は、風邪やインフルエンザなどのウイルス性上気道感染症によって悪化することが一般的である。喘息患者は、喘息症状の増加からなる喘息の増悪を経験する。喘息増悪は喘息罹患の主な原因であり、喘息医療費の大きな部分を占めている。
【0037】
喘息症状のコントロールは、通常、患者のFEV 、呼気ピーク流量、夜間の覚醒、短時間作用型気管支拡張薬の救助薬使用、または吸入コルチコステロイド(ICS)または経口コルチコステロイド(OCS)の用量増加を必要とする他の症状に基づいて臨床医が評価する。喘息の重症度は、症状や増悪をコントロールするために必要な治療レベルによって分類される。Global Initiative for Asthma(GINA)では、治療の強度を高める5つのステップ(GINAステップ1~5)を定めている。軽症喘息、中等症喘息、重症喘息は、それぞれGINAステップ1~2、3、4~5に相当する。喘息用に開発された薬の多くは、吸入により服用する。喘息用に開発された薬の中には、注射を必要とするものもある。現在の治療薬にはモノクローナル抗体、例えばベンラリズマブは4週間ごとに皮下投与する必要があり、メポリズマブは4週間ごとに2回、その後8週間皮下投与する必要があり、レスリズマブは4週間ごとに静脈内投与されるものである。
【0038】
したがって、医療介入を必要とする増悪の数を減少させるなど、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の症状を軽減または除去できる経口薬剤、特に経口投与され、単独または標準治療(ICSとしばしば呼ばれる吸入コルチコステロイド)、長時間作用型ベータ-2アゴニスト(しばしばLABAと呼ばれる)またはそれらの組み合わせと組み合わせて長期管理薬として使用できる薬物は有益であるだろう。本明細書では、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療において、デクスプラミペキソール、またはその薬学的に許容される塩を使用する方法を説明する。
【0039】
理論に縛られることを望まないが、炎症は喘息の病因において重要な要素である。IL-5は、好酸球の成長、増殖、分化、募集、活性化、生存に関与する主要なサイトカインである。現在の喘息薬は、様々な方法で作用している。IL-5のシグナル伝達を阻害することで、好酸球の産生と生存の減少が見られる。その他のメカニズムとしては、ナチュラルキラー(NK)細胞などの免疫エフェクター細胞上のFcl_263受容体に結合し、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を介して好酸球のアポトーシスを導き、好酸球レベルを低下させることが挙げられる。しかし、好酸球の減少が必ずしもすべての好酸球性疾患における臨床的成功の予測因子とはならない。鼻ポリープを伴う好酸球性慢性鼻副鼻腔炎を1日2回150mgのデクスプラミペキソールで治療することを目的とした以前の臨床試験では、血中AECの大きく有意な変化にもかかわらず、総ポリープスコア(TPS)は影響を受けなかったことが観察されている。鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎は好酸球性疾患であると理解されており、メポリズマブなど他の好酸球低下剤も有効性を示している。KNS-760704-CS201臨床試験は、鼻ポリープを伴う好酸球性慢性鼻副鼻腔炎の16名を対象に、デクスプラミペキソール150mgを1日2回投与する6ヶ月間の非盲検1群多施設共同試験として実施された。本試験では、ベースラインから6ヶ月目までのAECおよびTPSの変化を主要評価項目とし、臨床的および組織学的な評価項目も追加している。本試験は、最初の共同主要評価項目を達成し、6ヶ月後にAECが94%低下したことを示した。血中AECの大幅かつ有意な変化とは対照的に、TPSは3ヶ月または6ヶ月いずれの時点でも影響を受けなかった(ベースライン5.29、3ヶ月5.50、6ヶ月5.42[平均値])。また、SNOT-22(鼻副鼻腔炎症状)、副鼻腔CTスコア、Sniffin(登録商標)Sticks嗅覚検査など、慢性鼻副鼻腔炎の疾患活動性に関する他の指標にも改善は認められなかった。喘息の既往がある対象12名では、デクスプラミペキソールによる治療でACQ6とFEV1値に変化はなかった。Laidlaw, et al. Dexpramipexole Depletes Blood and Tissue Eosinophils in Nasal Polyps With No Change in Polyp Size, The Laryngoscope, 2019 Feb; 129(2):E61-E66 (Epub 2018 Oct. 4)も参照のこと。
【0040】
驚くべきことに、デクスプラミペキソールは、末梢血のみならず肺や鼻腔の組織においても好酸球のレベルをさらに減少させ、例えば、血中絶対好酸球数の減少、増悪回数の減少、FEV1の増加、FVCの増加、最大呼気流量の増加、年換算CompExイベント率の改善、および/または対象ACQ-7、ACQ-6およびAQLQスコアの改善によって、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息に対して優れた治療効果を発揮することがわかった。中等度から重度の喘息の病態には、対象の気道に粘液栓が生じ、実質的に一方通行の弁を形成し、肺に空気を入れることはできても肺から効率的に出すことができず、空気の閉じ込めと努力肺活量(FVC)および総肺活量に対する残気量の比率(RV/TLC)の減少につながることも含まれる。デクスプラミペキソールは、これらの粘液栓を治療し、肺活量を向上させ、医学的介入を必要とする増悪を減少させる。鼻腔内の好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)測定値は、喀痰(組織)の好酸球レベルと直接相関しており、組織病変のレベルおよび治療の成功を迅速かつ容易に評価する方法として利用できる。
【0041】
実施形態は、それを必要とするヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療するための方法であって、前記対象に約75mg~約300mgのデクスプラミペキソール、またはその薬学的に許容される塩を1日用量経口投与する工程を含み、前記対象は既に少なくとも2つの喘息薬を投与されており、それにより前記対象における好酸球性表現型の中度から重度の喘息を治療する、方法に関する。本明細書に記載の実施形態では、少なくとも2つの喘息薬は、吸入コルチコステロイド(ICS)及び長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)である。いくつかの実施形態では、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息は、中等度の喘息である。いくつかの実施形態では、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息は、重度の喘息である。
【0042】
好ましい実施形態は、それを必要とするヒト対象における好酸球性表現型の重度の喘息を治療するための方法であって、前記対象に約150mg~約300mgのデクスプラミペキソール、またはその薬学的に許容される塩を1日用量経口投与する工程を含み、前記対象は既に少なくとも2つの喘息薬を投与されており、それによって対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療する、方法に関する。本明細書に記載の実施形態では、少なくとも2つの喘息薬は、吸入コルチコステロイド(ICS)及び長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)である。
【0043】
驚くべきことに、デクスプラミペキソールを服用した対象では、ベータ-アドレナリン作動薬の気管支拡張作用の可逆性が維持されている。つまり、デクスプラミペキソールは、ほぼ全ての喘息患者が使用しているベータアゴニストとは異なる作用機序で臨床的有用性を発揮するのである。したがって、デクスプラミペキソールは、他の喘息薬との併用により、相加的な効果を発揮する。
【0044】
いくつかの実施形態では、対象は、喘息重症度がGINA 3であり、中等度の喘息を有すると診断された。いくつかの実施形態では、対象は、中等度の喘息と診断されており、症状を制御し、増悪を防止するために低用量の吸入コルチコステロイド及び長時間作用型気管支拡張薬(ICS/LABA)を必要とする。
【0045】
いくつかの実施形態では、対象は、GINA4~5の喘息重症度と診断され、重度の喘息を有すると診断された。いくつかの実施形態では、対象は、重度の喘息と診断されており、症状を制御し、増悪を防止するために、中用量の吸入コルチコステロイド及び長時間作用型気管支拡張薬(ICS/LABA)を必要とする。いくつかの実施形態では、対象は、重度の喘息と診断されており、症状を制御し、増悪を防止するために、高用量の吸入コルチコステロイド及び長時間作用型気管支拡張薬(ICS/LABA)を必要とする。
【0046】
吸入コルチコステロイド(ICS)は、ベクロメタゾン、フルチカゾン、シクレソニド、モメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。吸入コルチコステロイドは、低高用量吸入コルチコステロイド、中用量ICS、または高用量ICSであってもよい。長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)は、硫酸アルブテロール、フマル酸ホルモテロール、サルメテロール、キシナフォ酸サルメテロール、酒石酸アルフォルモテロール、オロダテロール、ビランテロール、インダカテロール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。対象が服用している吸入コルチコステロイドの量は、低用量、中用量、または高用量であってよい。
【0047】
本明細書に記載の実施形態では、対象は、酢酸コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される経口コルチコステロイド(OCS)を更に服用してもよい。維持用経口コルチコステロイド(OCS)は、典型的には、1日当たり最大20mgのプレドニゾンまたは相当量で処方される。本明細書に記載の実施形態では、対象は、ウメクリジニウム、アクリジニウム、ギコピロニウム、グリコピロレート、チオトロピウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)をさらに服用していてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、対象は、18歳以上である。いくつかの実施形態では、対象は、12歳~約17歳である。いくつかの実施形態では、対象は、約6歳~約11歳である。いくつかの実施形態では、対象は、約2歳~約5歳である。本明細書に記載される実施形態では、対象は成人または青年である。本明細書に記載される実施形態では、青年は、12歳から18歳までである。本明細書に記載される実施形態では、対象は、18歳未満である。本明細書に記載される実施形態では、対象は、12歳未満の子どもである。本明細書に記載される実施形態では、対象は、18歳以上である。本明細書に記載される実施形態では、対象は、18歳~75歳の間である。本明細書に記載される実施形態では、対象は、12歳~75歳の間である。本明細書に記載される実施形態では、対象は、12歳以上である。
【0049】
いくつかの実施形態では、対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息が治療され、前記対象は、デクスプラミペキソール投与前のレベルと比較して、絶対血好酸球のレベルの減少を有する。
【0050】
いくつかの実施形態では、対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息が治療され、前記対象は、1秒間の努力肺活量(FEV)、喘息コントロール質問票(ACQ)のスコア、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコア、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される測定値の改善を示す。
【0051】
いくつかの実施形態では、対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息が治療され、前記対象は、鼻好酸球ペルオキシダーゼのレベル、咽頭好酸球ペルオキシダーゼのレベル、血中好塩基球のレベル、血中好酸球前駆体集団のレベル、呼気中一酸化窒素濃度及びこれらの組み合わせからなる群から選択される症状の減少を有する。
【0052】
いくつかの実施形態では、対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息が治療され、前記対象は、喘息増悪の頻度の減少において改善を示す。
【0053】
いくつかの実施形態では、対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息が治療され、前記対象は、1秒間の努力肺活量(FEV)、努力肺活量(FVC)、年換算CompExイベント率、朝のピーク呼気流量(PEF)、喘息制御質問票(ACQ)のスコア、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコア、セントジョージ呼吸器質問票のスコア及びその組み合わせからなる群から選択される測定値の改善を示している。
【0054】
いくつかの実施形態では、対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息が治療され、前記対象は、最初の増悪までの時間、鼻好酸球ペルオキシダーゼのレベル、血中好酸球のレベル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される症状の1つ以上における減少を有している。
【0055】
いくつかの実施形態では、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息が治療され、前記対象は、絶対血中好酸球のレベル、組織好酸球のレベル、気道の粘液栓の量、鼻好酸球ペルオキシダーゼのレベル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される症状の1つ以上における低減を有する。
【0056】
米国食品医薬品局(FDA)は、医薬品開発に用いられるバイオマーカーを定義した臨床リソース「BEST(Biomarkers,EndpointS,and other Tools)」を開発した。薬力学的/応答バイオマーカーとは、医薬品に曝露された個体において生物学的反応が生じたことを示すバイオマーカーであり、そのバイオマーカーに関連する1つ以上の予想される臨床事象が合理的に予想され得るように定義される。特定の実施形態では、対象の血中絶対好酸球数を薬力学/応答バイオマーカーとして使用することができ、12週目の時点で臨床応答がまだ明らかでない場合でも、12週目の治療後に好酸球数が減少していれば、対象はデクスプラミペキソールによる治療を継続するべきである。特定の実施形態では、対象の鼻好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)のレベルは、薬力学的/応答バイオマーカーとして使用することができ、対象は、たとえ12週目までに臨床応答がまだ明白でなくても、12週目にEPXのレベルが減少していれば、デクスプラミペキソールで治療を継続するべきである。これらの肯定的な薬力学的/反応バイオマーカーの結果は、患者の血中好酸球数または鼻EPXレベルのいずれかが、中等度から重度の喘息の治療においてデクスプラミペキソールを管理するツールとして使用できることを示唆している。
【0057】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の経口投与による好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、12週間、8週間、6週間、4週間、3週間または2週間からなる群から選択される期間までに末梢血中の好酸球レベルが1マイクロリットルあたり300細胞未満まで減少することをもたらす。
【0058】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の経口投与による好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、12週間、8週間、6週間、4週間、3週間、または2週間からなる群から選択される期間までに末梢血中の好酸球のレベルが1マイクロリットルあたり250細胞未満まで減少することをもたらす。
【0059】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の経口投与による好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、12週間、8週間、6週間、4週間、3週間、または2週間からなる群から選択される期間までに末梢血中の好酸球のレベルが1マイクロリットルあたり200細胞未満まで減少することをもたらす。
【0060】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の経口投与による好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、12週間、8週間、6週間、4週間、3週間、または2週間からなる群から選択される期間までに末梢血中の好酸球のレベルが1マイクロリットルあたり150細胞未満まで減少することをもたらす。
【0061】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の経口投与による好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、12週間、8週間、6週間、4週間、3週間、または2週間からなる群から選択される期間までに末梢血中の好酸球のレベルが1マイクロリットルあたり100細胞未満まで減少することをもたらす。
【0062】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の経口投与による好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、12週間、8週間、6週間、4週間、3週間、または2週間からなる群から選択される期間までに末梢血中の好酸球のレベルが1マイクロリットルあたり50細胞未満まで減少することをもたらす。
【0063】
ある実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、少なくとも約90%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、少なくとも約50%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、約80%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約150mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、約70%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約75mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、約60%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。
【0064】
ある実施形態では、約150mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型の重度の喘息の治療は、少なくとも約90%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約150mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型の重度の喘息の治療は、少なくとも約50%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型の重度の喘息の治療は、約80%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約150mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型の重度の喘息の治療は、約70%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約75mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型の重度の喘息の治療は、約60%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。
【0065】
いくつかの実施形態では、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療することは、組織中の好酸球のレベルの減少をもたらす。特定の実施形態では、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療することは、肺組織、鼻組織、骨髄、及びそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない組織における好酸球のレベルの減少をもたらす。特定の実施形態では、組織中の好酸球のレベルは、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%減少される。特定の実施形態では、レベルは正常まで減少される。特定の実施形態では、レベルは、検出レベル内でゼロに減少される。
【0066】
いくつかの実施形態では、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療すると、気道の粘液栓の量の減少がもたらされる。理論に拘束されることを望まないが、粘液栓は、重度の喘息における慢性的な気流閉塞に寄与し、好酸球は、システインチオール基を酸化する活性酸素種を生成する好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)を放出し、これがムチンタンパク質の架橋につながり、粘液をより硬くして気管支(気道)における粘液栓形成を促進させる。本明細書に記載の実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソール、またはその薬学的に許容される塩の1日用量を経口投与すると、組織好酸球のレベルが低下するので、気道好酸球ペルオキシダーゼが減少し、その結果、気道の粘液栓の量が減少し、その全てが肺機能の改善及び運動耐性の向上につながる。
【0067】
いくつかの実施形態では、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息が治療されるものであり、誘導喀痰好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)、鼻好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)、または咽頭好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)の濃度が低下する。好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)は、好酸球が特異的に分泌する顆粒タンパク質で、酵素免疫吸着測定法(ELISA)を用いて検出および定量することができる。EPXは、粘膜スワブまたは喀痰試料から測定される。いくつかの実施形態では、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を有する対象が治療され、鼻EPXレベルは正常レベルまで低下する。実施形態において、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与後の鼻及び喀痰EPXレベルは、健康で非喘息の対照対象における鼻及び喀痰EPXレベルのレベルまで低減される。実施形態において、正常な鼻EPXレベルは、総タンパク質の約10ng/mg未満であるが、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息は、総タンパク質の約10ng/mgより大きい鼻EPXレベルを有すると診断され得る。いくつかの実施形態では、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を有する対象が治療され、誘導喀痰EPXレベルは、健康で非喘息の対照対象において観察されるレベルまで低下する。正常な誘導喀痰EPXレベルは、約200ng/mL/g回収喀痰未満であり得るが、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息は、約200ng/mL/g回収喀痰を超える誘導喀痰EPXレベルを有すると診断される。特定の実施形態では、約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、約89%の鼻EPXのレベルの減少をもたらす。特定の実施形態では、約150mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の処置は、約83%の鼻EPXのレベルの減少をもたらす。特定の実施形態では、約75mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、約36%の鼻EPXのレベルの減少をもたらす。
【0068】
いくつかの実施形態では、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息は、尿中好酸球顆粒タンパク質のレベルが低下するように治療される。特定の実施形態では、好酸球顆粒タンパク質は、MBP-1(好酸球主要塩基性タンパク質-1)、EDN(好酸球由来神経毒、RNase-2)、ECP(好酸球カチオン性タンパク質、RNase-3)、EPX(好酸球ペルオキシダーゼ)、シャルコー-ライデン結晶タンパク質(Gal-10/CLC)及びその組み合わせからなる群から選択される。
【0069】
いくつかの実施形態では、血中好酸球の減少は、組織好酸球バイオマーカーの減少と相関する。いくつかの実施形態では、組織好酸球バイオマーカーは、IL-5、IL-13、IL-33、ST2(IL1RL1)、CCL2、CCL3、CCL4、CCL11、CCL17、CCR3、及びこれらの組み合わせを含む2型炎症関連メディエーターからなる群から選択される。好酸球の発達は、GM-CSF、IL-3、及びIL-5などのβc関連サイトカインを含む様々なサイトカインによって支援され、これらは、血中好酸球の減少を評価するためのバイオマーカーとしても使用することができる。いくつかの実施形態では、血中好酸球の減少は、血中好酸球前駆体集団の減少に相関する。好酸球は、造血幹細胞(HSC)に由来し、好酸球及び好塩基球の両方は、骨髄系前駆細胞に由来する。
【0070】
いくつかの実施形態では、それを必要とするヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療する方法は、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量を経口投与する工程を含み、血中好塩基球のレベルが減少する。
【0071】
いくつかの実施形態では、それを必要とするヒト対象における好酸球性表現型の重度の喘息を治療する方法は、約150mg~約300mgのデクスプラミペキソール1日用量を経口投与する工程を含み、血中好塩基球のレベルが減少する。
【0072】
いくつかの実施形態では、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息が治療され、前記対象は、喘息増悪の頻度の低減、経口コルチコステロイドの使用の低減、吸入コルチコステロイドの使用の低減、長時間作用型ベータアゴニストの使用の低減、1秒間の平均努力肺活量(FEV)の改善、努力肺活量(FVC)の改善、総肺活量に対する残気量の比率(RV/TLC)の低下、喘息コントロール質問票(ACQ)のスコア改善、喘息コントロールテスト(ACT)(商標)のスコア改善、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコア改善またはこれらの組合せからなる群から選択される測定値の1つ以上における改善を示す。
【0073】
いくつかの実施形態では、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を有する対象は、過去12ヶ月間に少なくとも1回の増悪または少なくとも2回の増悪を経験した。重度の喘息増悪は、全身性コルチコステロイドの使用及び/または入院及び/または医学的介入及び/または救急部(ED)訪問を必要とする喘息の悪化と定義される。特定の実施形態では、医学的介入は、以下:1)1秒間の努力肺活量(FEV)がベースラインから20%以上減少、2)ピーク呼気流量(PEFR)が2日連続でベースラインから30%以上減少、または3)事象の医師評価による症状または他の臨床徴候の増悪、のうち少なくとも1つによって裏付けられた。少なくとも3日間連続して経口または静脈内全身性コルチコステロイドの使用を必要とする喘息症状の増加は、重度の喘息増悪の証拠とみなされる;IMコルチコステロイド(長時間作用型)の場合、1回の投与で十分である。実施形態において、増悪は、少なくとも3日間経口/全身性コルチコステロイドの使用を必要とする喘息症状及び肺機能の悪化と定義される。実施形態において、経口コルチコステロイドを維持している対象にとって、経口/全身コルチコステロイドを必要とする増悪は、既存の用量の少なくとも2倍の経口/全身コルチコステロイドを、少なくとも3日間使用することと定義される。実施形態において、増悪の頻度は、8週間、12週間、24週間、26週間、36週間、または52週間などの特定の定義された単位時間当たりの増悪の数として定義される。本明細書に記載の実施形態では、全身性コルチコステロイド(例えば、OCS)の使用を必要とする増悪、並びに入院または救急室訪問をもたらす増悪が、それぞれ減少した。
【0074】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、1年当たりの増悪の数の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、単位時間当たりのより少ない増悪、または次の後続の増悪間の時間の延長のいずれかによって測定される増悪の改善である。いくつかの実施形態では、増悪率は、年間2未満、年間1未満、または年間0であるように低減される。いくつかの実施形態では、最初の重度の喘息増悪までの時間が延長された。いくつかの実施形態では、最初の重度の喘息増悪までの時間は、前回の増悪から1年以内に発生しなかった。
【0075】
いくつかの実施形態では、約150mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型の重度の喘息の治療は、1年当たりの増悪の回数の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、単位時間当たりのより少ない増悪、または次の後続の増悪間の時間の延長のいずれかによって測定される増悪の改善である。いくつかの実施形態では、増悪率は、年間2未満、年間1未満、または年間0であるように低減される。いくつかの実施形態では、最初の重度の喘息増悪までの時間が延長された。いくつかの実施形態では、最初の重度の喘息増悪までの時間は、前回の増悪から1年以内に発生しなかった。
【0076】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療すると、対象の年換算CompExイベント率の改善がもたらされる。年換算CompExイベント率は、喘息増悪の定義を拡張し、日記ベースのイベントと従来から定義されている重度の増悪とを組み合わせた測定値である。日記イベントは、ピーク呼気流量の悪化、発作治療薬の使用、および朝夕と夜間の覚醒を評価した喘息症状の客観的な測定に基づいている。悪化の定義は、少なくとも2日間連続してベースラインからの変化量(閾値)に達するか、少なくとも5日間にわたる全変数の悪化に加えて、少なくとも1つの変数が少なくとも2日間連続して閾値の基準に達するかのいずれかである。日記イベントの基準を満たすには、少なくとも2つの同時基準の悪化が必要である。
【0077】
いくつかの実施形態では、約150mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって好酸球性表現型の重度の喘息を治療すると、対象の年換算CompExイベント率の改善がもたらされる。年換算CompExイベント率は、喘息増悪の定義を拡張し、日記ベースのイベントと従来から定義されている重度の増悪とを組み合わせた測定値である。日記イベントは、ピーク呼気流量の悪化、発作治療薬の使用、および朝夕と夜間の覚醒を評価した喘息症状の客観的な測定に基づいている。悪化の定義は、少なくとも2日間連続してベースラインからの変化量(閾値)に達するか、少なくとも5日間にわたる全変数の悪化に加えて、少なくとも1つの変数が少なくとも2日間連続して閾値の基準に達するかのいずれかである。日記イベントの基準を満たすには、少なくとも2つの同時基準の悪化が必要である。
【0078】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療すると、経口コルチコステロイド用量の減少がもたらされる。いくつかの実施形態では、経口コルチコステロイド用量は、約90%~約100%、約75%~約90%、約50%~約75%、または約10%~約50%低減される。いくつかの実施形態では、経口コルチコステロイドの用量は、ゼロまで低減される。いくつかの実施形態では、経口コルチコステロイドの使用頻度は、90~100%の減少、75~90%の減少、50~75%の減少、または少なくとも50%の減少など、ベースラインから減少される。本明細書に記載される実施形態では、経口コルチコステロイドの使用は、1日おきに減らされる。本明細書に記載される実施形態において、経口コルチコステロイドの用量の減少は、漸進的であり、医師の監督下で実施される。本明細書に記載の実施形態において、経口コルチコステロイドの用量及び頻度の減少は、喘息のコントロールを維持しながら行われる。
【0079】
いくつかの実施形態では、約150mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって好酸球性表現型の重度の喘息を治療すると、経口コルチコステロイド用量の減少がもたらされる。いくつかの実施形態では、経口コルチコステロイド用量は、約90%~約100%、約75%~約90%、約50%~約75%、または約10%~約50%低減される。いくつかの実施形態では、経口コルチコステロイドの用量は、ゼロまで低減される。いくつかの実施形態では、経口コルチコステロイドの使用頻度は、90~100%の減少、75~90%の減少、50~75%の減少、または少なくとも50%の減少など、ベースラインから減少される。本明細書に記載される実施形態では、経口コルチコステロイドの使用は、1日おきに減らされる。本明細書に記載される実施形態において、経口コルチコステロイドの用量の減少は、漸進的であり、医師の監督下で実施される。本明細書に記載の実施形態において、経口コルチコステロイドの用量及び頻度の減少は、喘息のコントロールを維持しながら行われる。
【0080】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療すると、吸入コルチコステロイド用量の減少がもたらされる。いくつかの実施形態では、吸入コルチコステロイド用量は、約90%~約100%、約75%~約90%、約50%~約75%、または約10%~約50%低減される。いくつかの実施形態では、吸入コルチコステロイドの用量は、ゼロまで低減される。いくつかの実施形態では、吸入コルチコステロイドの使用頻度は、90~100%の減少、75~90%の減少、50~75%の減少、または少なくとも50%の減少など、ベースラインから減少される。本明細書に記載される実施形態では、吸入コルチコステロイドの使用は、週3回未満に低減される。本明細書に記載の実施形態において、吸入コルチコステロイドの用量の減少は、漸進的であり、医師の監督下で行われる。本明細書に記載の実施形態では、吸入コルチコステロイドの用量及び頻度の減少は、喘息のコントロールを維持しながら行われる。
【0081】
いくつかの実施形態では、約150mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって好酸球性表現型の重度の喘息を治療すると、吸入コルチコステロイド用量の減少がもたらされる。いくつかの実施形態では、吸入コルチコステロイド用量は、約90%~約100%、約75%~約90%、約50%~約75%、または約10%~約50%低減される。いくつかの実施形態では、吸入コルチコステロイドの用量は、ゼロまで低減される。いくつかの実施形態では、吸入コルチコステロイドの使用頻度は、90~100%の減少、75~90%の減少、50~75%の減少、または少なくとも50%の減少など、ベースラインから減少される。本明細書に記載される実施形態では、吸入コルチコステロイドの使用は、週3回未満に低減される。本明細書に記載の実施形態において、吸入コルチコステロイドの用量の減少は、漸進的であり、医師の監督下で行われる。本明細書に記載の実施形態では、吸入コルチコステロイドの用量及び頻度の減少は、喘息のコントロールを維持しながら行われる。
【0082】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療すると、長時間作用型ベータアゴニスト用量の低減がもたらされる。いくつかの実施形態では、長時間作用型ベータアゴニスト用量は、約90%~約100%、約75%~約90%、約50%~約75%、または約10%~約50%低減される。いくつかの実施形態では、長時間作用型ベータアゴニストの用量は、ゼロに低減される。いくつかの実施形態では、長時間作用型ベータアゴニストの使用頻度は、90~100%の減少、75~90%の減少、50~75%の減少、または少なくとも50%の減少など、ベースラインから減少される。本明細書に記載される実施形態では、長時間作用型ベータアゴニストの使用は、1日1回未満に低減される。本明細書に記載される実施形態において、長時間作用型ベータアゴニストの用量の減少は、漸進的であり、医師の監督下で実施される。本明細書に記載の実施形態では、長時間作用型ベータアゴニストの用量及び頻度の低減は、喘息のコントロールを維持しながら行われる。
【0083】
いくつかの実施形態では、約150mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって好酸球性表現型の重度の喘息を治療すると、長時間作用型ベータアゴニスト用量の減少がもたらされる。いくつかの実施形態では、長時間作用型ベータアゴニスト用量は、約90%~約100%、約75%~約90%、約50%~約75%、または約10%~約50%低減される。いくつかの実施形態では、長時間作用型ベータアゴニストの用量は、ゼロに低減される。いくつかの実施形態では、長時間作用型ベータアゴニストの使用頻度は、90~100%の減少、75~90%の減少、50~75%の減少、または少なくとも50%の減少など、ベースラインから減少される。本明細書に記載される実施形態では、長時間作用型ベータアゴニストの使用は、1日1回未満に低減される。本明細書に記載される実施形態において、長時間作用型ベータアゴニストの用量の減少は、漸進的であり、医師の監督下で実施される。本明細書に記載の実施形態では、長時間作用型ベータアゴニストの用量及び頻度の低減は、喘息のコントロールを維持しながら行われる。
【0084】
本明細書に記載の実施形態は、それを必要とするヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療方法であって、デクスプラミペキソールの約75mg~約300mgの1日用量を経口投与する工程を含み、肺機能が改善される方法に関するものである。肺機能は、肺活量測定を行うことによって測定され、これは、1秒間の努力肺活量(FEV)、呼気の最初の1秒間で移動した空気の体積を測定するものであり、これは喘息のよく知られた尺度である。努力肺活量(FVC)は、努力肺活量(FEV)検査全体の間に吐き出された空気の総量である。FEV/FVC比は、空気捕捉などのプロセスとは無関係に、気管支収縮のより具体的な測定値を提供する可能性のある計算された測定値である。肺機能検査は、気管支拡張前(気管支拡張薬がすべてなくなるまで十分な時間を置いた後)または気管支拡張後、通常はアルブテロールなどの短時間作用型気管支拡張薬を吸入してから15~30分後に検査することが可能である。気管支拡張薬の可逆性(BDR)は、気管支拡張薬の投与前後のFEVを分析し、その変化を絶対値(ml)と変化率の両方で計算し評価するものである。
【0085】
本明細書に記載の実施形態は、それを必要とするヒト対象における好酸球性表現型の重度の喘息を治療する方法であって、約150mg~約300mgのデクスプラミペキソールを1日用量経口投与する工程を含み、肺機能が改善される方法に関するものである。肺機能は、肺活量測定を行うことによって測定され、これは、1秒間の努力肺活量(FEV)、呼気の最初の1秒間で移動した空気の体積を測定するものであり、これは喘息のよく知られた尺度である。努力肺活量(FVC)は、努力肺活量(FEV)検査全体の間に吐き出された空気の総量である。FEV/FVC比は、空気捕捉などのプロセスとは無関係に、気管支収縮のより具体的な測定値を提供する可能性のある計算された測定値である。肺機能検査は、気管支拡張前(気管支拡張薬がすべてなくなるまで十分な時間を置いた後)または気管支拡張後、通常はアルブテロールなどの短時間作用型気管支拡張薬を吸入してから15~30分後に検査することが可能である。気管支拡張薬の可逆性(BDR)は、気管支拡張薬の投与前後のFEVを分析し、その変化を絶対値(ml)と変化率の両方で計算し評価するものである。
【0086】
本明細書に記載の実施形態は、それを必要とするヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療する方法であって、デクスプラミペキソールの約75mg~約300mgの日用量を経口投与する工程を含み、FEVが改善される、方法に関するものである。特定の実施形態では、対象は、ベースラインで約1.9L~約2.2LのベースラインFEVを有し、これは正常/予測から約60%の減少である。いくつかの実施形態では、FEVは、約5%~約20%増加する。より好ましくは、FEVは、約10%~約20%増加する。いくつかの実施形態では、FEVの体積は、約150ml~約300ml増加する。より好ましくは、FEVは、約200ml~約300ml増加する。
【0087】
本明細書に記載の実施形態は、それを必要とするヒト対象における好酸球性表現型の重度の喘息を治療する方法であって、デクスプラミペキソール約150mg~約300mgの1日用量を経口投与する工程を含み、FEVが改善される、方法に関するものである。特定の実施形態では、対象は、ベースラインで約1.9L~約2.2LのベースラインFEVを有し、これは正常/予測から約60%の減少である。いくつかの実施形態では、FEVは、約5%~約20%増加する。より好ましくは、FEVは、約10%~約20%増加する。いくつかの実施形態では、FEVの体積は、約150ml~約300ml増加する。より好ましくは、FEVは、約200ml~約300ml増加する。
【0088】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、約12週間、約8週間、約6週間、約4週間、約3週間、または約2週間でFEVの体積の増加をもたらす。
【0089】
いくつかの実施形態では、約150mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、約12週間、約8週間、約6週間、約4週間、約3週間、または約2週間でFEVの体積の増加をもたらす。
【0090】
本明細書に記載の実施形態は、それを必要とするヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療する方法であって、デクスプラミペキソールの約75mg~約300mgの1日用量を経口投与する工程を含み、FVCが改善される、方法に関するものである。特定の実施形態では、対象は、ベースラインで約3.0L~約3.3LのベースラインFVCを有し、これは正常/予測から約74%~80%の減少である。いくつかの実施形態では、FVCは約2%~約12%増加する。より好ましくは、FVCは、約8%~約12%増加する。いくつかの実施形態では、FVCの体積は、約20ml~約450ml増加する。より好ましくは、FVCの体積は、約200ml~約450ml増加する。
【0091】
本明細書に記載される実施形態は、それを必要とするヒト対象における好酸球性表現型の重度の喘息の治療方法であって、デクスプラミペキソールの約150mg~約300mgの1日用量を経口投与する工程を含み、FVCが改善される、方法に関するものである。特定の実施形態では、対象は、ベースラインで約3.0L~約3.3LのベースラインFVCを有し、これは、正常/予測からの約74%~80%の減少である。いくつかの実施形態では、FVCは約2%~約12%増加する。より好ましくは、FVCは、約8%~約12%増加する。いくつかの実施形態では、FVCの容積は、約20ml~約450ml増加する。より好ましくは、FVCの体積は、約200ml~約450ml増加する。
【0092】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、約12週間、約8週間、約6週間、約4週間、約3週間、または約2週間でFVCの体積の増加をもたらす。
【0093】
いくつかの実施形態では、約150mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型の重度の喘息の治療は、約12週間、約8週間、約6週間、約4週間、約3週間、または約2週間でFVCの体積の増加をもたらす。
【0094】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療すると、朝のピーク呼気流量(PEF)が増加する。ピークフローゾーンとは、ピークフローメーターで測定される領域のことである。ピークフローゾーンの目的は、コントロールされていない喘息の初期症状を示すことである。グリーンゾーンは、対象のピークフロー最高値の80%~100%である。イエローゾーンは、対象のピークフロー最高値の50%~80%である。このゾーンの測定値は、大きな気道が狭まり始めている徴候であり、対象は咳、疲労感、息切れ、または胸の圧迫感などの軽い症状を持ち始めるかもしれない。レッドゾーンは、対象の最高ピークフロー測定値の50%未満である。このゾーンの測定値は、大きな気道の重度の狭窄を意味し、これは医学的緊急事態である。いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療すると、朝のピーク呼気流を測定する際に対象がグリーンゾーンに留まることができるようになる。
【0095】
いくつかの実施形態では、約150mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって好酸球性表現型の重度の喘息を治療すると、朝のピーク呼気流量(PEF)が増加することになる。ピークフローゾーンとは、ピークフローメーターで測定される領域のことである。ピークフローゾーンの目的は、コントロールされていない喘息の初期症状を示すことである。グリーンゾーンは、対象のピークフロー最高値の80%~100%である。イエローゾーンは、対象のピークフロー最高値の50%~80%である。このゾーンの測定値は、大きな気道が狭まり始めている徴候であり、対象は咳、疲労感、息切れ、または胸の圧迫感などの軽い症状を持ち始めるかもしれない。レッドゾーンは、対象の最高ピークフロー測定値の50%未満である。このゾーンの測定値は、大きな気道の重度の狭窄を意味し、これは医学的緊急事態である。いくつかの実施形態では、約150mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって好酸球性表現型の重度の喘息を治療すると、朝のピーク呼気流を測定する際に対象がグリーンゾーンに留まることができるようになる。
【0096】
気道の炎症は、FeNO検査(呼気中一酸化窒素分画濃度測定法)により評価することも可能であり、ゆっくりと吐き出した空気の中の一酸化窒素の濃度をppbで測定する。呼気中の一酸化窒素濃度が正常値より高いと、一般に気道が炎症を起こしていることを意味し、喘息の徴候となる。子どもで約20ppb未満、成人で約25ppb未満が正常値とされている。子どもで約35ppb、成人で約50ppbを超えると、異常と見なされる。
【0097】
本明細書に記載の実施形態は、それを必要とするヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療方法であって、デクスプラミペキソールの約75mg~約300mgの1日用量を経口投与する工程を含み、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息がコントロールされる、方法に関する。喘息がコントロールされているかどうかを評価するために、喘息コントロール質問票(ACQ)、及び/または喘息コントロールテスト(ACT)(商標)を使用することができる。特定の実施形態では、対象は、ACQで約1.9~約2.3のベースラインスコア、及びAQLQで約4.5~約5.4のベースラインスコアを有していた。
【0098】
本明細書に記載の実施形態は、それを必要とするヒト対象における好酸球性表現型の重度の喘息の治療方法であって、約150mg~約300mgのデクスプラミペキソールの日用量を経口投与する工程を含み、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息がコントロールされる、方法に関する。喘息がコントロールされているかどうかを評価するために、喘息コントロール質問票(ACQ)、及び/または喘息コントロールテスト(ACT)(商標)を使用することができる。特定の実施形態では、対象は、ACQで約1.9~約2.3のベースラインスコア、及びAQLQで約4.5~約5.4のベースラインスコアを有していた。
【0099】
良好にコントロールされた喘息のACQカットオフは約0.75のスコアであり、コントロールされていない喘息のACQカットオフは約≧1.5のスコアである。≧0.5のACQスコアの変化は、臨床的に有意であるとみなされる。本明細書に記載される実施形態では、対象は、少なくとも0.5ポイントのACQスコアの変化を有する。本明細書に記載される実施形態では、対象は、ACQのスコアの改善を有し、スコアは0.75以下である。
【0100】
喘息コントロールテスト(ACT)(商標)を使用すると、19未満のスコアは、個人の喘息が十分にコントロールされていない可能性を示し、15未満のスコアは、個人の喘息が非常に十分にコントロールされていない可能性を示す。本明細書に記載される実施形態では、対象は、少なくとも0.5ポイントのACTスコアの変化を有する。本明細書に記載の実施形態では、対象は、喘息コントロールテスト(ACT)(商標)のスコアの改善を有し、スコアは19より大きい。
【0101】
AQLQは、喘息の患者にとって最も重要な機能障害を測定するために設計された32項目の喘息専用質問紙である。AQLQの32の質問は、活動制限、症状、感情機能、環境刺激の4つのドメインに分かれている。各質問は均等に重み付けされている。AQLQの総合スコアは、32の質問それぞれに対する回答の平均値であり、1~7の範囲である。スコア7.0は、患者が喘息による障害を有しないことを示し、スコア1.0は、重度の障害を示す。本明細書に記載の実施形態は、それを必要とするヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療方法であって、デクスプラミペキソールの約75mg~約300mgの1日用量を経口投与する工程を含み、前記対象のQOLが改善される方法に関する。本明細書に記載の実施形態は、それを必要とするヒト対象における好酸球性表現型の重度の喘息の治療方法であって、デクスプラミペキソールの約150mg~約300mgの1日用量を経口投与する工程を含み、対象のQOLが改善される方法に関する。喘息のQOL質問票(AQLQ)は、個人のQOLを評価するために使用することができ、スコアは1~7の範囲であり、より高いスコアはより良いQOLを示す。本明細書に記載される実施形態では、対象は、少なくとも0.5ポイントのAQLQスコアの変化を有する。本明細書に記載される実施形態では、対象は、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコアの改善を有し、スコアは3.5より大きい。
【0102】
本明細書に記載される実施形態において、対象は、セントジョージ呼吸器質問票のスコアの改善を有する。
【0103】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、対象の全病的状態の改善をもたらす。いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、対象の全体的な死亡リスクの改善をもたらす。
【0104】
いくつかの実施形態では、約150mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型の重度の喘息の治療は、対象の全病的状態の改善をもたらす。いくつかの実施形態では、約150mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって好酸球性表現型の重度の喘息を治療することは、対象の全体的な死亡リスクの改善をもたらす。
【0105】
血液学的レスポンダー
【0106】
実施形態は、血液学的レスポンダーヒト対象に、血液学的レスポンダーヒト対象の好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療する方法であって、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の1日用量を経口投与する工程を含み、前記血液学的レスポンダーヒト対象は、既に少なくとも2つの喘息薬を服用しているものであり、それによって血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療し、および、FEVを少なくとも150mlまたは少なくとも5%改善する、方法に関する。特定の実施形態では、前記血液学的レスポンダーヒト対象は、デクスプラミペキソールによる治療の約4週目までに、FEVの改善を経験する。
【0107】
いくつかの実施形態において、血液学的レスポンダーヒト対象は、100細胞/μl未満への絶対好酸球数の減少を有する。
【0108】
吸入コルチコステロイド(ICS)は、ベクロメタゾン、フルチカゾン、シクレソニド、モメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。吸入コルチコステロイドは、中高用量吸入コルチコステロイドまたは高用量ICSであってもよい。長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)は、硫酸アルブテロール、フマル酸ホルモテロール、サルメテロール、キシナフォ酸サルメテロール、酒石酸アルフォルモテロール、オロダテロール、ビランテロール、インダカテロール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。対象が服用している吸入コルチコステロイドの量は、低用量、中用量、または高用量であってもよい。
【0109】
本明細書に記載の実施形態において、血液学的レスポンダーヒト対象は、酢酸コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される経口コルチコステロイド(OCS)をさらに摂取していてもよい。維持用経口コルチコステロイド(OCS)(1日当たり最大10mgのプレドニゾンまたは同等物)。本明細書に記載の実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象は、ウメクリジニウム、アクリジニウム、ギコピロニウム、グリコピロレート、チオトロピウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)をさらに摂取していてもよい。
【0110】
いくつかの実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象は、18歳以上である。いくつかの実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象は、12歳~約17歳である。いくつかの実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象は、約6歳~約11歳である。いくつかの実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象は、約2歳~約5歳である。本明細書に記載される実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象は、成人または青年である。本明細書に記載される実施形態では、青年は、12歳から18歳までである。本明細書に記載される実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象は、18歳未満である。本明細書に記載される実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象は、12歳未満の子どもである。本明細書に記載される実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象は、18歳以上である。本明細書に記載の実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象は、18歳~75歳の間である。本明細書に記載される実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象は、12歳~75歳の間である。本明細書に記載される実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象は、12歳以上である。
【0111】
いくつかの実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息が治療され、前記血液学的レスポンダーヒト対象は、1秒間の努力肺活量(FEV)、喘息コントロール質問票(ACQ)のスコア、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコア、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される測定値の改善を示す。
【0112】
いくつかの実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息が治療され、対象は、鼻好酸球ペルオキシダーゼのレベル、咽頭好酸球ペルオキシダーゼのレベル、血中好塩基球のレベル、血中好酸球前駆体集団のレベル、呼気中一酸化窒素濃度の分量及びこれらの組み合わせからなる群から選択される症状の減少を有する。
【0113】
いくつかの実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息が治療され、対象は喘息増悪の頻度の減少において改善を示す。
【0114】
いくつかの実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息が治療され、対象は、1秒間の努力肺活量(FEV1)、努力肺活量(FVC)、年換算CompExイベント率、朝のピーク呼気流量(PEF)、喘息制御質問票(ACQ)のスコア、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコア、セントジョージ呼吸器質問票のスコア及びその組み合わせからなる群から選択される測定値の改善を示している。
【0115】
いくつかの実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息が治療され、対象は、最初の増悪までの時間、鼻好酸球ペルオキシダーゼのレベル、血中好酸球のレベル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される症状の1つ以上における減少を有している。
【0116】
いくつかの実施形態では、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息が治療され、血液学的レスポンダーヒト対象は、絶対血中好酸球のレベル、組織好酸球のレベル、気道の粘液栓の量、鼻好酸球ペルオキシダーゼのレベル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される症状の1つ以上における低減を有する。
【0117】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の経口投与による血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、12週間、8週間、6週間、4週間、3週間または2週間からなる群から選択される期間までに、末梢血中の好酸球レベルが1マイクロリットルあたり300細胞未満まで減少することをもたらす。
【0118】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の経口投与による血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、12週間、8週間、6週間、4週間、3週間または2週間からなる群から選択される期間までに末梢血中の好酸球レベルが1マイクロリットルあたり250細胞未満まで減少することをもたらす。
【0119】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の経口投与による血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、12週間、8週間、6週間、4週間、3週間または2週間からなる群から選択される期間までに、末梢血中の好酸球レベルが1マイクロリットルあたり200細胞未満まで減少することをもたらす。
【0120】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の経口投与による血液学的レスポンダーヒト対象の好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、12週間、8週間、6週間、4週間、3週間または2週間からなる群から選択される期間までに、末梢血中の好酸球レベルが1マイクロリットルあたり150細胞未満まで減少することをもたらす。
【0121】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の経口投与による血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、12週間、8週間、6週間、4週間、3週間または2週間からなる群から選択される期間までに、末梢血中の好酸球レベルが1マイクロリットルあたり100細胞未満まで減少することをもたらす。
【0122】
一部の実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、少なくとも約90%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、少なくとも約50%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、約80%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約150mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、約70%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約75mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、約60%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。
【0123】
一部の実施形態では、約150mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の重度の喘息の治療は、少なくとも約90%の絶対血好酸球のレベルの減少をもたらす。特定の実施形態では、約150mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の重度の喘息の治療は、少なくとも約50%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の重度の喘息の治療は、約80%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約150mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の重度の喘息の治療は、約70%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約75mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の重度の喘息の治療は、約60%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。
【0124】
一部の実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療することは、組織中の好酸球のレベルの低下をもたらす。特定の実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療することは、肺組織、鼻組織、骨髄、及びそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない組織における好酸球のレベルの減少をもたらす。特定の実施形態では、組織中の好酸球のレベルは、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%減少される。特定の実施形態では、レベルは正常まで低減される。特定の実施形態では、レベルは、検出レベル内でゼロに減少される。
【0125】
いくつかの実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療すると、気道の粘液栓の量の減少がもたらされる。理論に拘束されることを望まないが、粘液栓は、重度の喘息における慢性的な気流閉塞に寄与し、好酸球は、システインチオール基を酸化する活性酸素種を生成する好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)を放出し、これがムチンタンパク質の架橋につながり、粘液をより硬くして気管支(気道)における粘液栓形成を促進させる。本明細書に記載の実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソール、またはその薬学的に許容される塩の1日用量を経口投与すると、組織好酸球のレベルが低下するので、気道好酸球過酸化酵素が減少し、その結果、気道の粘液栓の量が減少し、その全てが肺機能の改善及び運動耐性の向上につながる。
【0126】
いくつかの実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息が治療されるものであり、誘導喀痰好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)、鼻好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)、または咽頭好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)の濃度が低下する。好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)は、好酸球が特異的に分泌する顆粒タンパク質で、酵素免疫吸着測定法(ELISA)を用いて検出および定量することができる。EPXは、粘膜スワブまたは喀痰試料から測定される。いくつかの実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息が治療され、鼻のEPXレベルが正常レベルまで低下する。実施形態において、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与後の鼻および喀痰EPXレベルは、健康で非喘息の対照対象における鼻および喀痰EPXレベルのレベルまで低減される。実施形態において、正常な鼻EPXレベルは、総タンパク質の約10ng/mg未満であるが、血液学的レスポンダーヒト対象として同定された好酸球性表現型の中等度から重度の喘息は、総タンパク質の約10ng/mgを超える鼻EPXレベルを有すると診断され得る。いくつかの実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息が治療され、誘導喀痰EPXレベルは、健康で非喘息の対照対象において観察されるレベルまで減少する。正常な誘導喀痰EPXレベルは、約200ng/mL/g回収喀痰未満であり得るが、血液学的レスポンダーヒト対象として特定される好酸球性表現型の中等度から重度の喘息は、約200ng/mL/g回収喀痰を超える誘導喀痰EPXレベルを有すると診断される。特定の実施形態では、約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、約89%の鼻EPXのレベルの減少をもたらす。特定の実施形態では、約150mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、約83%の鼻EPXのレベルの減少をもたらす。特定の実施形態では、約75mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、約36%の鼻EPXのレベルの減少をもたらす。
【0127】
いくつかの実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息は、尿中好酸球顆粒タンパク質のレベルが低下するように治療される。特定の実施形態では、好酸球顆粒タンパク質は、MBP-1(好酸球主要塩基性タンパク質-1)、EDN(好酸球由来神経毒、RNase-2)、ECP(好酸球カチオン性タンパク質、RNase-3)、EPX(好酸球ペルオキシダーゼ)、シャルコー-ライデン結晶タンパク質(Gal-10/CLC)及びその組み合わせからなる群から選択される。
【0128】
いくつかの実施形態では、血中好酸球の減少は、組織好酸球バイオマーカーの減少と相関する。いくつかの実施形態では、組織好酸球バイオマーカーは、IL-5、IL-13、IL-33、ST2(IL1RL1)、CCL2、CCL3、CCL4、CCL11、CCL17、CCR3、及びこれらの組み合わせを含む2型炎症関連メディエーターからなる群から選択される。好酸球の発達は、GM-CSF、IL-3、及びIL-5などのβc関連サイトカインを含む様々なサイトカインによって支援され、これらは、血中好酸球の減少を評価するためのバイオマーカーとしても使用することができる。いくつかの実施形態では、血中好酸球の減少は、血中好酸球前駆体集団の減少に相関する。好酸球は、造血幹細胞(HSC)に由来し、好酸球及び好塩基球の両方は、骨髄系前駆細胞に由来する。
【0129】
いくつかの実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療する方法は、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソール1日用量を経口投与する工程を含み、血中好塩基球のレベルが減少する。
【0130】
いくつかの実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息が治療され、前記血液学的レスポンダーヒト対象は、喘息増悪の頻度の減少、経口コルチコステロイドの使用量の減少、吸入コルチコステロイドの使用量の減少、長時間作用型ベータアゴニストの使用量の減少、1秒間の平均努力肺活量(FEV)の改善、努力肺活量(FVC)の改善、喘息コントロール質問票(ACQ)のスコア改善、喘息コントロールテスト(ACT)(商標)のスコア改善、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコア改善またはそれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の測定値における改善を示す。
【0131】
いくつかの実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を有する対象は、過去12ヶ月間に少なくとも1回または少なくとも2回の増悪を経験した。重度の喘息増悪は、全身性コルチコステロイドの使用及び/または入院及び/または医学的介入及び/または救急部(ED)訪問を必要とする喘息の悪化と定義される。特定の実施形態では、医学的介入は、以下:1)1秒間の努力肺活量(FEV)がベースラインから20%以上減少、2)ピーク呼気流量(PEFR)が2日連続でベースラインから30%以上減少、または3)事象の医師評価による症状または他の臨床徴候の増悪、のうち少なくとも1つによって裏付けられた。全身性コルチコステロイドの使用は、静脈内経路または経口経路の場合、少なくとも3日間連続して服用すれば、重度の喘息増悪の証拠とみなされる;IM経路の場合、1回の服用で十分である。実施形態において、増悪は、少なくとも3日間経口/全身性コルチコステロイドの使用を必要とする喘息症状及び肺機能の悪化と定義される。実施形態において、経口コルチコステロイドを維持している対象にとって、経口/全身コルチコステロイドを必要とする増悪は、既存の用量の少なくとも2倍の経口/全身コルチコステロイドを、少なくとも3日間使用することと定義される。実施形態において、増悪の頻度は、8週間、12週間、24週間、26週間、36週間、または52週間などの特定の定義された単位時間当たりの増悪の数として定義される。本明細書に記載の実施形態では、全身性コルチコステロイド(例えば、OCS)の使用を必要とする増悪、並びに入院または救急室訪問をもたらす増悪が、それぞれ減少した。いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、1年当たりの増悪の数の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、単位時間当たりのより少ない増悪、または次の後続の増悪間の時間の延長のいずれかによって測定される増悪の改善である。いくつかの実施形態では、増悪率は、年間2未満、年間1未満、または年間0であるように低減される。いくつかの実施形態では、最初の重度の喘息増悪までの時間が延長された。いくつかの実施形態では、最初の重度の喘息増悪までの時間は、前回の増悪から1年以内に発生しなかった。
【0132】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与により、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療すると、対象の年換算CompExイベント率が改善される。年換算CompExイベント率は、喘息増悪の定義を拡張し、日記ベースのイベントと従来から定義されている重度の増悪を組み合わせた測定値である。日記イベントは、ピーク呼気流量の悪化、発作治療薬の使用、および朝夕と夜間の覚醒を評価した喘息症状の客観的な測定に基づいている。悪化の定義は、少なくとも2日間連続してベースラインからの変化量(閾値)に達するか、少なくとも5日間にわたる全変数の悪化に加えて、少なくとも1つの変数が少なくとも2日間連続して閾値の基準に達するかのいずれかである。日記イベントの基準を満たすには、少なくとも2つの同時の基準の悪化が必要である。
【0133】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療すると、経口コルチコステロイド用量の減少がもたらされる。いくつかの実施形態では、経口コルチコステロイド用量は、約90%~約100%、約75%~約90%、約50%~約75%、または約10%~約50%低減される。いくつかの実施形態では、経口コルチコステロイドの用量は、ゼロまで低減される。いくつかの実施形態では、経口コルチコステロイドの使用頻度は、90~100%の減少、75~90%の減少、50~75%の減少、または少なくとも50%の減少など、ベースラインから減少される。本明細書に記載される実施形態では、経口コルチコステロイドの使用は、1日おきに減らされる。本明細書に記載される実施形態において、経口コルチコステロイドの用量の減少は、漸進的であり、医師の監督下で実施される。本明細書に記載の実施形態において、経口コルチコステロイドの用量及び頻度の減少は、喘息のコントロールを維持しながら行われる。
【0134】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療すると、吸入コルチコステロイド用量の減少がもたらされる。いくつかの実施形態では、吸入コルチコステロイド用量は、約90%~約100%、約75%~約90%、約50%~約75%、または約10%~約50%低減される。いくつかの実施形態では、吸入コルチコステロイドの用量は、ゼロまで低減される。いくつかの実施形態では、吸入コルチコステロイドの使用頻度は、90~100%の減少、75~90%の減少、50~75%の減少、または少なくとも50%の減少など、ベースラインから減少される。本明細書に記載される実施形態では、吸入コルチコステロイドの使用は、週3回未満に低減される。本明細書に記載の実施形態において、吸入コルチコステロイドの用量の減少は、漸進的であり、医師の監督下で行われる。本明細書に記載の実施形態では、吸入コルチコステロイドの用量及び頻度の減少は、喘息のコントロールを維持しながら行われる。
【0135】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療すると、長時間作用型ベータアゴニスト用量の低減がもたらされる。いくつかの実施形態では、長時間作用型ベータアゴニスト用量は、約90%~約100%、約75%~約90%、約50%~約75%、または約10%~約50%低減される。いくつかの実施形態では、長時間作用型ベータアゴニストの用量は、ゼロに低減される。いくつかの実施形態では、長時間作用型ベータアゴニストの使用頻度は、90~100%の減少、75~90%の減少、50~75%の減少、または少なくとも50%の減少など、ベースラインから減少される。本明細書に記載される実施形態では、長時間作用型ベータアゴニストの使用は、1日1回未満に低減される。本明細書に記載される実施形態において、長時間作用型ベータアゴニストの用量の減少は、漸進的であり、医師の監督下で実施される。本明細書に記載の実施形態では、長時間作用型ベータアゴニストの用量及び頻度の低減は、喘息のコントロールを維持しながら行われる。
【0136】
本明細書に記載の実施形態は、血液応答者ヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療方法であって、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量を経口投与する工程を含み、肺機能が改善される方法に関するものである。肺機能は、肺活量測定を行うことによって測定され、これは、1秒間の努力肺活量(FEV)、呼気の最初の1秒間で移動した空気の体積を測定するものであり、これは喘息のよく知られた尺度である。努力肺活量(FVC)は、努力肺活量(FEV)検査全体の間に吐き出された空気の総量である。FEV/FVC比は、空気捕捉などのプロセスとは無関係に、気管支収縮のより具体的な測定値を提供する可能性のある計算された測定値である。肺機能検査は、気管支拡張前(気管支拡張薬がすべてなくなるまで十分な時間を置いた後)または気管支拡張後、通常はアルブテロールなどの短時間作用型気管支拡張薬を吸入してから15~30分後に検査することが可能である。気管支拡張薬の可逆性(BDR)は、気管支拡張薬の投与前後のFEVを分析し、その変化を絶対値(ml)と変化率の両方で計算し評価するものである。
【0137】
本明細書に記載の実施形態は、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療方法であって、デクスプラミペキソール約75mg~約300mgの日用量を経口投与する工程を含み、FEVが改善される、方法に関するものである。特定の実施形態では、対象は、ベースラインで約1.9L~約2.2LのベースラインFEVを有し、これは正常/予測から約60%の減少である。いくつかの実施形態では、FEVは、約5%~約20%増加する。より好ましくは、FEVは、約10%~約20%増加する。いくつかの実施形態では、FEVの体積は、約150ml~約300ml増加する。より好ましくは、FEVは、約200ml~約300ml増加する。
【0138】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による、血液学的レスポンダーヒト対象の好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、約12週間、約8週間、約6週間、約4週間、約3週間、または約2週間でFEVの体積の増加をもたらす。
【0139】
本明細書に記載の実施形態は、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療方法であって、デクスプラミペキソール約75mg~約300mgの1日用量を経口投与する工程を含み、FVCが改善される、方法に関するものである。特定の実施形態では、対象は、ベースラインで約3.0L~約3.3LのベースラインFVCを有し、これは正常/予測から約74%~80%の減少である。いくつかの実施形態では、FVCは約2%~約12%増加する。より好ましくは、FVCは、約8%~約12%増加する。いくつかの実施形態では、FVCの体積は、約20ml~約450ml増加する。より好ましくは、FVCの体積は、約200ml~約450ml増加する。
【0140】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、約12週間、約8週間、約6週間、約4週間、約3週間、または約2週間でFVCの体積の増加をもたらす。
【0141】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療すると、朝のピーク呼気流量(PEF)が増加する。ピークフローゾーンとは、ピークフローメーターで測定される領域のことである。ピークフローゾーンの目的は、コントロールされていない喘息の初期症状を示すことである。グリーンゾーンは、対象のピークフロー最高値の80%~100%である。イエローゾーンは、対象のピークフロー最高値の50%~80%である。このゾーンの測定値は、大きな気道が狭まり始めている徴候であり、対象は咳、疲労感、息切れ、または胸の圧迫感などの軽い症状を持ち始めるかもしれない。レッドゾーンは、対象の最高ピークフロー測定値の50%未満である。このゾーンの測定値は、大きな気道の重度の狭窄を意味し、これは医学的緊急事態である。いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって好酸球性表現型の中等度から重度の喘息を治療すると、朝のピーク呼気流を測定する際に対象がグリーンゾーンに留まることができるようになる。
【0142】
気道の炎症は、FeNO検査(呼気中一酸化窒素分画濃度測定法)により評価することも可能であり、ゆっくりと吐き出した空気の中の一酸化窒素の濃度をppbで測定する。呼気中の一酸化窒素濃度が正常値より高いと、一般に気道が炎症を起こしていることを意味し、喘息の徴候となる。子どもで約20ppb未満、成人で約25ppb未満が正常値とされている。子どもで約35ppb、成人で約50ppbを超えると、異常と見なされる。
【0143】
本明細書に記載の実施形態は、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療方法であって、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量を経口投与する工程を含み、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息は、コントロールされる、方法に関する。喘息がコントロールされているかどうかを評価するために、喘息コントロール質問票(ACQ)、及び/または喘息コントロールテスト(ACT)(商標)を使用することができる。特定の実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象は、ACQで約1.9~約2.3のベースラインスコア、及びAQLQで約4.5~約5.4のベースラインスコアを有していた。
【0144】
コントロールされた喘息のACQカットオフは約0.75のスコアであり、コントロールされていない喘息のACQカットオフは約≧1.5のスコアである。≧0.5のACQスコアの変化は、臨床的に有意であるとみなされる。本明細書に記載される実施形態では、対象は、少なくとも0.5ポイントのACQスコアの変化を有する。本明細書に記載される実施形態では、対象は、ACQのスコアの改善を有し、スコアは0.75以下である。
【0145】
喘息コントロールテスト(ACT)(商標)を使用すると、19未満のスコアは、個人の喘息が十分にコントロールされていない可能性を示し、15未満のスコアは、個人の喘息が非常に十分にコントロールされていない可能性を示す。本明細書に記載される実施形態では、対象は、少なくとも0.5ポイントのACTスコアの変化を有する。本明細書に記載の実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象は、喘息コントロールテスト(ACT)(商標)のスコアの改善を有し、スコアは19より大きい。
【0146】
AQLQは、喘息の患者にとって最も重要な機能障害を測定するために設計された32項目の喘息専用質問紙である。AQLQの32の質問は、活動制限、症状、感情機能、環境刺激の4つのドメインに分かれている。各質問は均等に重み付けされている。AQLQの総合スコアは、32の質問それぞれに対する回答の平均値であり、1~7の範囲である。スコア7.0は、患者が喘息による障害を有しないことを示し、スコア1.0は、重度の障害を示す。本明細書に記載の実施形態は、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療方法であって、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量を経口投与する工程を含み、対象のQOLが改善される方法に関する。喘息のQOL質問票(AQLQ)は、個人のQOLを評価するために使用することができ、スコアは1~7の範囲であり、より高いスコアはよりQOLが良好であることを示す。本明細書に記載される実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象は、少なくとも0.5ポイントのAQLQスコアの変化を有する。本明細書に記載の実施形態では、血液学的レスポンダーヒト対象は、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコアの改善を有し、そのスコアは3.5より大きい。
【0147】
本明細書に記載の実施形態において、血液学的レスポンダーヒト対象は、セントジョージ呼吸器質問票のスコアの改善を有する。
【0148】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による、血液学的レスポンダーヒト対象の好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、対象の全病的状態の改善をもたらす。いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による、血液学的レスポンダーヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息の治療は、対象の全体的な死亡リスクの改善をもたらす。
【0149】
十分にコントロールされていない軽度、中等度および重度の喘息
【0150】
実施形態は、ヒト対象における好酸球性表現型の十分にコントロールされていない軽度、中等度、または重度の喘息を治療するための方法であって、十分にコントロールされていない喘息ヒト対象に、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の1日用量を経口投与する工程を含み、十分にコントロールされていない喘息ヒト対象は、既に少なくとも2つの喘息薬を服用しているものであり、それによって十分にコントロールされていない喘息ヒト対象の好酸球性表現型の軽度、中等度、および重度の喘息を治療する、方法に関する。
【0151】
一部の実施形態では、好酸球性表現型の十分にコントロールされていない中等度から重度の喘息ヒト対象は、Global Initiative for Asthma(GINA)ステップ3~5の持続性喘息で、少なくとも長時間作用型ベータアゴニストと組み合わせた低用量の吸入コルチコステロイドを必要とし、12ヶ月以上喘息の医師の診断があり、0.30x10細胞/L以上のAEC上昇した対象である、と定義されている。いくつかの実施形態では、好酸球性表現型の十分にコントロールされていない中等度から重度の喘息は、実施例2の包含基準及び除外基準(段落[0179]、[0181]、及び[0182])により定義される。いくつかの実施形態では、好酸球性表現型の十分にコントロールされていない重度の喘息ヒト対象は、実施例4の包含基準及び除外基準によって定義される(表15)。好ましい実施形態では、好酸球性表現型ヒト対象の十分に制御されていない軽度の喘息患者は、必要に応じて(毎日ではない)喘息治療を必要とする、または毎日低用量ICS治療を行わない、ACQスコア≧1.5、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の以下の基準を示す。好ましい実施形態では、好酸球性表現型ヒト対象の十分に制御されていない中等度の喘息患者は、毎日の低用量ICS+LABAまたは他の長期管理治療薬を必要とすること、ACQスコア≧1.5、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の以下の基準を示す。好ましい実施形態では、好酸球性表現型ヒト対象の十分に制御されていない重度の喘息患者は、最低1日の中用量ICS+LABA治療を必要とすること、1年に2回以上の喘息増悪、ACQスコア≧1.5、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の以下の基準を示す。
【0152】
吸入コルチコステロイド(ICS)は、ベクロメタゾン、フルチカゾン、シクレソニド、モメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。吸入コルチコステロイドは、中高用量吸入コルチコステロイドまたは高用量ICSであってもよい。長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)は、硫酸アルブテロール、フマル酸ホルモテロール、サルメテロール、キシナフォ酸サルメテロール、酒石酸アルフォルモテロール、オロダテロール、ビランテロール、インダカテロール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。対象が服用している吸入コルチコステロイドの量は、低用量、中用量、または高用量であってよい。低用量ICSは、約100μg~約200μgベクロメタゾン、約320μgフルニソリド、製剤に依存する約88μg~約300μgフルチカゾン、約200μgモメタゾン、約200μg~約400μgブデソニド、および約80μg~約160μgシクレソニドを指す。中用量ICSは、約300μg~約400μgベクロメタゾン、約320μg~約640μgフルニソリド、製剤に依存する約300μg~約500μgフルチカゾン、約400μgモメタゾン、約600μg~約1200μgブデソニド、および約240μg~約320μgシクレソニドを指す。高用量ICSは、約40μgを超えるベクロメタゾン、約640μgを超えるフルニソリド、製剤に依存する約500μgを超えるフルチカゾン、約400μgを超えるモメタゾン、約1200μgを超えるブデソニド、および約400μg~約640μgのシクレソニドを指す。
【0153】
本明細書に記載の実施形態において、好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度、及び重度の喘息患者は、酢酸コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される経口コルチコステロイド(OCS)をさらに摂取していてもよい。維持用経口コルチコステロイド(OCS)(1日当たり最大10mgのプレドニゾンまたは同等物)。本明細書に記載の実施形態において、好酸球性表現型対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息患者は、ウメクリジニウム、アクリジニウム、ギコピロニウム、グリコピロレート、チオトロピウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)をさらに摂取していてもよい。
【0154】
いくつかの実施形態では、好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度、及び重度の喘息患者は、18歳以上である。いくつかの実施形態では、好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度、及び重度の喘息患者は、12歳~約17歳である。いくつかの実施形態では、好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息患者は、約6歳~約11歳である。いくつかの実施形態では、好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息患者は、約2歳~約5歳である。本明細書に記載される実施形態では、好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息患者は、成人または青年である。本明細書に記載される実施形態では、青年は、12~18歳である。本明細書に記載される実施形態では、好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息患者は、18歳未満である。本明細書に記載される実施形態では、好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息患者は、12歳未満の子どもである。本明細書に記載される実施形態では、好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息患者は、18歳以上である。本明細書に記載される実施形態では、好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息患者は、18歳~75歳の間である。本明細書に記載される実施形態では、好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息患者は、12歳~75歳の間である。本明細書に記載される実施形態では、好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息患者は、12歳以上である。
【0155】
いくつかの実施形態では、好酸球性表現型ヒト対象における十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息が治療され、前記好酸球性表現型ヒト対象における十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息患者は、1秒間の努力肺活量(FEV)、喘息コントロール質問票(ACQ)のスコア、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコア、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される測定値の改善を示す。
【0156】
いくつかの実施形態では、好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息患者が治療され、対象は、鼻好酸球ペルオキシダーゼのレベル、咽頭好酸球ペルオキシダーゼのレベル、血中好塩基球のレベル、血中好酸球前駆体集団のレベル、呼気中一酸化窒素濃度の分量及びこれらの組み合わせからなる群から選択される症状の減少を有する。
【0157】
いくつかの実施形態では、好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息患者が治療され、対象は喘息増悪の頻度の減少において改善を示す。
【0158】
いくつかの実施形態では、好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息患者が治療され、対象は、1秒間の努力肺活量(FEV1)、努力肺活量(FVC)、年換算CompExイベント率、朝のピーク呼気流量(PEF)、喘息制御質問票(ACQ)のスコア、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコア、セントジョージ呼吸器質問票のスコア及びその組み合わせからなる群から選択される測定値の改善を示している。
【0159】
いくつかの実施形態では、好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息患者が治療され、対象は、最初の増悪までの時間、鼻好酸球ペルオキシダーゼのレベル、血中好酸球のレベル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される症状の1つ以上における減少を有している。
【0160】
いくつかの実施形態では、好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息患者は、絶対血中好酸球のレベル、組織好酸球のレベル、気道の粘液栓の量、鼻好酸球ペルオキシダーゼのレベル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される症状の1つ以上における低減を有する。
【0161】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の経口投与による好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息の治療は、12週間、8週間、6週間、4週間、3週間または2週間からなる群から選択される期間までに、末梢血中の好酸球のレベルが1マイクロリットルあたり300細胞未満まで減少することをもたらす。
【0162】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の経口投与による好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息の治療は、12週間、8週間、6週間、4週間、3週間または2週間からなる群から選択される期間までに、末梢血中の好酸球レベルが1マイクロリットルあたり250細胞未満まで減少することをもたらす。
【0163】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の経口投与による好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息の治療は、12週間、8週間、6週間、4週間、3週間または2週間からなる群から選択される期間までに、末梢血中の好酸球レベルが1マイクロリットルあたり200細胞未満まで減少することをもたらす。
【0164】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の経口投与による好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息の治療は、12週間、8週間、6週間、4週間、3週間または2週間からなる群から選択される期間までに、末梢血中の好酸球レベルが1マイクロリットルあたり150細胞未満まで減少することをもたらす。
【0165】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の経口投与による好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息の治療は、12週間、8週間、6週間、4週間、3週間または2週間からなる群から選択される期間までに、末梢血中の好酸球レベルが1マイクロリットルあたり100細胞未満まで減少することをもたらす。
【0166】
一部の実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息患者の治療は、少なくとも約90%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息患者の治療は、少なくとも約50%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息の治療は、約80%の血中好酸球の絶対値の低減をもたらす。特定の実施形態では、約150mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息の治療は、約70%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約75mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息の治療は、約60%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。
【0167】
一部の実施形態では、約150mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息の治療は、少なくとも約90%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約150mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息の治療は、少なくとも約50%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息の治療は、約80%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約150mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息の治療は、約70%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約75mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息患者を治療すると、約60%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。
【0168】
いくつかの実施形態では、好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息患者を治療することは、組織中の好酸球のレベルの減少をもたらす。特定の実施形態では、好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息を治療することは、肺組織、鼻組織、骨髄、及びそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない組織における好酸球のレベルの減少をもたらす。特定の実施形態では、組織中の好酸球のレベルは、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%減少される。特定の実施形態では、レベルは正常まで低減される。特定の実施形態では、レベルは、検出レベル内でゼロに減少される。
【0169】
いくつかの実施形態では、好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息を治療すると、気道の粘液栓の量の減少がもたらされる。理論に拘束されることを望まないが、粘液栓は、重度の喘息における慢性的な気流閉塞に寄与し、好酸球は、システインチオール基を酸化する活性酸素種を生成する好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)を放出し、これがムチンタンパク質の架橋につながり、粘液をより硬くして気管支(気道)における粘液栓形成を促進させる。本明細書に記載の実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソール、またはその薬学的に許容される塩の1日用量を経口投与すると、組織好酸球のレベルが低下するので、気道好酸球過酸化酵素が減少し、その結果、気道の粘液栓の量が減少し、その全てが肺機能の改善及び運動耐性の向上につながる。
【0170】
いくつかの実施形態では、好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息が治療されるものであり、誘導喀痰好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)、鼻好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)、または咽頭好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)の濃度が低下する。好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)は、好酸球が特異的に分泌する顆粒タンパク質で、酵素免疫吸着法(ELISA法)を用いて検出および定量することができる。EPXは、粘膜スワブまたは喀痰試料から測定される。いくつかの実施形態では、ヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息が治療され、鼻のEPXレベルが正常レベルまで低下する。実施形態において、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与後の鼻および喀痰EPXレベルは、健康で非喘息の対照対象における鼻および喀痰EPXレベルのレベルまで低減される。実施形態において、正常な鼻EPXレベルは、総タンパク質の約10ng/mg未満であるが、好酸球性表現型ヒト対象の中等度から重度の喘息は、総タンパク質の約10ng/mgを超える鼻EPXレベルを有すると診断され得る。いくつかの実施形態では、治療され、誘導喀痰EPXレベルは、健康で非喘息の対照対象において観察されるレベルまで低下する。正常な誘導喀痰EPXレベルは、約200ng/mL/g回収痰未満であり得るが、好酸球性表現型ヒト対象の中等度から重度の喘息は、約200ng/mL/g回収痰を超える誘導喀痰EPXレベルを有するものとして診断される。特定の実施形態では、約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息の治療は、約89%の鼻EPXのレベルの減少をもたらす。特定の実施形態では、約150mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息の治療は、約83%の鼻EPXのレベルの減少をもたらす。特定の実施形態では、約75mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息患者の治療は、約36%の鼻EPXのレベルの減少をもたらす。
【0171】
いくつかの実施形態では、尿中好酸球顆粒タンパク質のレベルが低下するように治療される。特定の実施形態では、好酸球顆粒タンパク質は、MBP-1(好酸球主要塩基性タンパク質-1)、EDN(好酸球由来神経毒、RNase-2)、ECP(好酸球カチオン性タンパク質、RNase-3)、EPX(好酸球ペルオキシダーゼ)、シャルコー-ライデン結晶タンパク質(Gal-10/CLC)及びその組み合わせからなる群から選択される。
【0172】
いくつかの実施形態では、血中好酸球の減少は、組織好酸球バイオマーカーの減少と相関する。いくつかの実施形態では、組織好酸球バイオマーカーは、IL-5、IL-13、IL-33、ST2(IL1RL1)、CCL2、CCL3、CCL4、CCL11、CCL17、CCR3、及びこれらの組み合わせを含む2型炎症関連メディエーターからなる群から選択される。好酸球の発達は、GM-CSF、IL-3、及びIL-5などのβc関連サイトカインを含む様々なサイトカインによって支援され、これらは、血中好酸球の減少を評価するためのバイオマーカーとしても使用することができる。いくつかの実施形態では、血中好酸球の減少は、血中好酸球前駆体集団の減少に相関する。好酸球は、造血幹細胞(HSC)に由来し、好酸球及び好塩基球の両方は、骨髄系前駆細胞に由来する。
【0173】
いくつかの実施形態では、好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息を治療する方法は、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソール1日用量を経口投与する工程を含み、血中好塩基球のレベルが低減される。
【0174】
いくつかの実施形態では、十分にコントロールされていない好酸球性表現型の軽度、中等度から重度の喘息のヒト対象が治療され、十分にコントロールされていない喘息のヒト対象は、喘息増悪の頻度の減少、経口コルチコステロイドの使用量の減少、吸入コルチコステロイドの使用量の減少、長時間作用型ベータアゴニストの使用量の減少、1秒間の平均努力肺活量(FEV)の改善、努力肺活量(FVC)の改善、喘息コントロール質問票(ACQ)のスコア改善、喘息コントロールテスト(ACT)(商標)のスコア改善、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコア改善またはそれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の測定値における改善を示す。
【0175】
いくつかの実施形態では、好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息患者は、過去12ヶ月間に少なくとも1回または少なくとも2回の増悪を経験した。重度の喘息増悪は、全身性コルチコステロイドの使用及び/または入院及び/または医学的介入及び/または救急部(ED)訪問を必要とする喘息の悪化と定義される。特定の実施形態では、医学的介入は、以下:1)1秒間の努力肺活量(FEV)がベースラインから20%以上減少、2)ピーク呼気流量(PEFR)が2日連続でベースラインから30%以上減少、または3)事象の医師評価による症状または他の臨床徴候の増悪、のうち少なくとも1つによって裏付けられた。全身性コルチコステロイドの使用は、静脈内経路または経口経路の場合、少なくとも3日間連続して服用すれば、重度の喘息増悪の証拠とみなされる;IM経路の場合、1回の服用で十分である。実施形態において、増悪は、少なくとも3日間経口/全身性コルチコステロイドの使用を必要とする喘息症状及び肺機能の悪化と定義される。実施形態において、経口コルチコステロイドを維持している対象にとって、経口/全身コルチコステロイドを必要とする増悪は、既存の用量の少なくとも2倍の経口/全身コルチコステロイドを、少なくとも3日間使用することと定義される。実施形態において、増悪の頻度は、8週間、12週間、24週間、26週間、36週間、または52週間などの特定の定義された単位時間当たりの増悪の数として定義される。本明細書に記載の実施形態では、全身性コルチコステロイド(例えば、OCS)の使用を必要とする増悪、並びに入院または救急室訪問をもたらす増悪が、それぞれ減少した。いくつかの実施形態では、好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息の、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による治療は、1年当たりの増悪の数の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、単位時間当たりのより少ない増悪、または次の後続の増悪間の時間の延長のいずれかによって測定される増悪の改善である。いくつかの実施形態では、増悪率は、年間2未満、年間1未満、または年間0であるように低減される。いくつかの実施形態では、最初の重度の喘息増悪までの時間が延長された。いくつかの実施形態では、最初の重度の喘息増悪までの時間は、前回の増悪から1年以内に発生しなかった。
【0176】
いくつかの実施形態では、好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息を、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの日用量の投与によって治療すると、その対象の年換算CompExイベント率の改善がもたらされる。年換算CompExイベント率は、喘息増悪の定義を拡張し、日記ベースのイベントと従来から定義されている重度の増悪とを組み合わせた測定値である。日記イベントは、ピーク呼気流量の悪化、発作治療薬の使用、および朝夕と夜間の覚醒を評価した喘息症状の客観的な測定に基づいている。悪化の定義は、少なくとも2日間連続してベースラインからの変化量(閾値)に達するか、少なくとも5日間にわたる全変数の悪化に加えて、少なくとも1つの変数が少なくとも2日間連続して閾値の基準に達するかのいずれかである。日記イベントの基準を満たすには、少なくとも2つの同時の基準の悪化が必要である。
【0177】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって、好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息を治療すると、経口コルチコステロイド用量の減少がもたらされる。いくつかの実施形態では、経口コルチコステロイド用量は、約90%~約100%、約75%~約90%、約50%~約75%、または約10%~約50%低減される。いくつかの実施形態では、経口コルチコステロイドの用量は、ゼロまで低減される。いくつかの実施形態では、経口コルチコステロイドの使用頻度は、90~100%の減少、75~90%の減少、50~75%の減少、または少なくとも50%の減少など、ベースラインから減少される。本明細書に記載される実施形態では、経口コルチコステロイドの使用は、1日おきに減らされる。本明細書に記載される実施形態において、経口コルチコステロイドの用量の減少は、漸進的であり、医師の監督下で実施される。本明細書に記載の実施形態において、経口コルチコステロイドの用量及び頻度の減少は、喘息のコントロールを維持しながら行われる。
【0178】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって、好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息を治療すると、吸入コルチコステロイド用量の減少がもたらされる。いくつかの実施形態では、吸入コルチコステロイド用量は、約90%~約100%、約75%~約90%、約50%~約75%、または約10%~約50%低減される。いくつかの実施形態では、吸入コルチコステロイドの用量は、ゼロまで低減される。いくつかの実施形態では、吸入コルチコステロイドの使用頻度は、90~100%の減少、75~90%の減少、50~75%の減少、または少なくとも50%の減少など、ベースラインから減少される。本明細書に記載される実施形態では、吸入コルチコステロイドの使用は、週3回未満に低減される。本明細書に記載の実施形態において、吸入コルチコステロイドの用量の減少は、漸進的であり、医師の監督下で行われる。本明細書に記載の実施形態では、吸入コルチコステロイドの用量及び頻度の減少は、喘息のコントロールを維持しながら行われる。
【0179】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって、好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息を治療すると、長時間作用型ベータアゴニスト用量の低減がもたらされる。いくつかの実施形態では、長時間作用型ベータアゴニスト用量は、長時間作用型ベータアゴニスト用量は、約90%~約100%、約75%~約90%、約50%~約75%、または約10%~約50%低減される。いくつかの実施形態では、長時間作用型ベータアゴニストの用量は、ゼロに低減される。いくつかの実施形態では、長時間作用型ベータアゴニストの使用頻度は、90~100%の減少、75~90%の減少、50~75%の減少、または少なくとも50%の減少など、ベースラインから減少される。本明細書に記載される実施形態では、長時間作用型ベータアゴニストの使用は、1日1回未満に低減される。本明細書に記載される実施形態において、長時間作用型ベータアゴニストの用量の減少は、漸進的であり、医師の監督下で実施される。本明細書に記載の実施形態では、長時間作用型ベータアゴニストの用量及び頻度の低減は、喘息のコントロールを維持しながら行われる。
【0180】
本明細書に記載の実施形態は、好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息を治療する方法であって、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量を経口投与する工程を含み、肺機能が改善される、方法に関する。肺機能は、肺活量測定を行うことによって測定され、これは、1秒間の努力肺活量(FEV)、呼気の最初の1秒間で移動した空気の体積を測定するものであり、これは喘息のよく知られた尺度である。努力肺活量(FVC)は、努力肺活量(FEV)検査全体の間に吐き出された空気の総量である。FEV/FVC比は、空気捕捉などのプロセスとは無関係に、気管支収縮のより具体的な測定値を提供する可能性のある計算された測定値である。肺機能検査は、気管支拡張前(気管支拡張薬がすべてなくなるまで十分な時間を置いた後)または気管支拡張後、通常はアルブテロールなどの短時間作用型気管支拡張薬を吸入してから15~30分後に検査することが可能である。気管支拡張薬の可逆性(BDR)は、気管支拡張薬の投与前後のFEVを分析し、その変化を絶対値(ml)と変化率の両方で計算し評価するものである。
【0181】
本明細書に記載の実施形態は、好酸球性表現型の軽症、中等症から重症のコントロールされていない喘息患者の治療方法であって、デクスプラミペキソール約75mg~約300mgの1日用量を経口投与する工程を含み、FEVが改善される、方法に関する。特定の実施形態では、十分にコントロールされていない喘息ヒト対象は、ベースラインで約1.9L~約2.2LのベースラインFEVを有し、これは正常/予測から約60%の減少である。いくつかの実施形態では、FEVは、約5%~約20%増加する。より好ましくは、FEVは、約10%~約20%増加する。いくつかの実施形態では、FEVの体積は、約150ml~約300ml増加する。より好ましくは、FEVは、約200ml~約300ml増加する。
【0182】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による、好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息の治療は、約12週間、約8週間、約6週間、約4週間、約3週間、または約2週間でFEVの体積の増加をもたらす。
【0183】
本明細書に記載の実施形態は、好酸球性表現型の軽症、中等症から重症の制御されていない喘息患者を治療する方法であって、デクスプラミペキソールの約75mg~約300mgの1日用量を経口投与する工程を含み、FVCが改善される、方法に関するものである。特定の実施形態では、十分にコントロールされていない喘息ヒト対象は、ベースラインで約3.0L~約3.3LのベースラインFVCを有し、これは正常/予測から約74%~80%の減少である。いくつかの実施形態では、FVCは約2%~約12%増加する。より好ましくは、FVCは、約8%~約12%増加する。いくつかの実施形態では、FVCの体積は、約20ml~約450ml増加する。より好ましくは、FVCの体積は、約200ml~約450ml増加する。
【0184】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による、好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息の治療は、約12週間、約8週間、約6週間、約4週間、約3週間、または約2週間でFVCの体積の増加をもたらす。
【0185】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって、好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息を治療すると、朝のピーク呼気流量(PEF)が増加する。ピークフローゾーンとは、ピークフローメーターで測定される領域のことである。ピークフローゾーンの目的は、コントロールされていない喘息の初期症状を示すことである。グリーンゾーンは、対象のピークフロー最高値の80%~100%である。イエローゾーンは、対象のピークフロー最高値の50%~80%である。このゾーンの測定値は、大きな気道が狭まり始めている徴候であり、対象は咳、疲労感、息切れ、または胸の圧迫感などの軽い症状を持ち始めるかもしれない。レッドゾーンは、対象の最高ピークフロー測定値の50%未満である。このゾーンの測定値は、大きな気道の重度の狭窄を意味し、これは医学的緊急事態である。いくつかの実施形態では、好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息を、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって治療すると、朝のピーク呼気流を測定する際に対象がグリーンゾーンに留まることができるようになる。
【0186】
気道の炎症は、FeNO検査(呼気中一酸化窒素分画濃度測定法)により評価することも可能であり、ゆっくりと吐き出した空気の中の一酸化窒素の濃度をppbで測定する。呼気中の一酸化窒素濃度が正常値より高いと、一般に気道が炎症を起こしていることを意味し、喘息の徴候となる。子どもで約20ppb未満、成人で約25ppb未満が正常値とされている。子どもで約35ppb、成人で約50ppbを超えると、異常と見なされる。
【0187】
本明細書に記載の実施形態は、好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息を治療する方法であって、デクスプラミペキソール約75mg~約300mgの1日用量を経口投与する工程を含み、好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息は、コントロールされる、方法に関する。喘息がコントロールされているかどうかを評価するために、喘息コントロール質問票(ACQ)、及び/または喘息コントロールテスト(ACT)(商標)を使用することができる。特定の実施形態では、十分にコントロールされていない喘息ヒト対象は、ACQで約1.9~約2.3のベースラインスコア、及びAQLQで約4.5~約5.4のベースラインスコアを有していた。
【0188】
コントロールされた喘息のACQカットオフは約0.75のスコアであり、コントロールされていない喘息のACQカットオフは約≧1.5のスコアである。≧0.5のACQスコアの変化は、臨床的に有意であるとみなされる。本明細書に記載される実施形態では、十分にコントロールされていない喘息ヒト対象は、少なくとも0.5ポイントのACQスコアの変化を有する。本明細書に記載される実施形態では、対象は、ACQのスコアの改善を有し、スコアは0.75以下である。
【0189】
喘息コントロールテスト(ACT)(商標)を使用すると、19未満のスコアは、個人の喘息が十分にコントロールされていない可能性を示し、15未満のスコアは、個人の喘息が非常に十分にコントロールされていない可能性を示している。本明細書に記載される実施形態において、十分にコントロールされていない喘息ヒト対象は、少なくとも0.5ポイントのACTスコアの変化を有する。本明細書に記載される実施形態において、十分にコントロールされていない喘息患者ヒト対象は、喘息コントロールテスト(ACT)(商標)のスコアの改善を有し、スコアは19より大きい。
【0190】
AQLQは、喘息の患者にとって最も重要な機能障害を測定するために設計された32項目の喘息専用質問紙である。AQLQの32の質問は、活動制限、症状、感情機能、環境刺激の4つのドメインに分かれている。各質問は均等に重み付けされている。AQLQの総合スコアは、32の質問それぞれに対する回答の平均値であり、1~7の範囲である。スコア7.0は、患者が喘息による障害を有しないことを示し、スコア1.0は、重度の障害を示す。本明細書に記載の実施形態は、デクスプラミペキソールの約75mg~約300mgの1日用量を経口投与する工程を含む、好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息の治療方法であって、対象のQOLが改善される方法に関する。喘息のQOL質問票(AQLQ)は、個人のQOLを評価するために使用することができ、スコアは1~7の範囲であり、スコアが高いほどQOLが良好であることを示す。本明細書に記載される実施形態において、十分にコントロールされていない喘息ヒト対象は、少なくとも0.5ポイントのAQLQスコアの変化を有する。本明細書に記載される実施形態において、十分にコントロールされていない喘息患者ヒト対象は、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコアの改善を有し、そのスコアは3.5より大きい。
【0191】
本明細書に記載される実施形態において、十分にコントロールされていない喘息ヒト対象は、セントジョージ呼吸器質問票のスコアの改善を有する。
【0192】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって、好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息を治療することは、対象の全病状を改善する結果をもたらす。いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって、好酸球性表現型のヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息患者を治療することは、対象の全体的な死亡リスクの改善をもたらす。
【0193】
コントロールされていない重度の喘息
【0194】
実施形態は、ヒト対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息を治療するための方法であって、コントロールされていない喘息のヒト対象に、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソール、またはその薬学的に許容される塩の1日用量を経口投与する工程を含み、コントロールされていない喘息のヒト対象は、既に少なくとも2つの喘息薬を服用しているものであり、それによってコントロールされていない喘息のヒト対象の好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息を治療する、方法に関する。
【0195】
いくつかの実施形態では、コントロールされていない重度のヒト対象は、GINAステップ4及び5によって定義されている重症の喘息を有する対象のように、長時間作用型β2アゴニストと組み合わせた少なくとも中用量の吸入コルチコステロイドによる毎日の治療を、少なくとも3ヶ月および安定した用量で少なくとも1ヶ月要すること、FEVが<1%であるより定義される症候性重度の喘息患者として定義される。予測値の80%未満であり、アルブテロール吸入後15~25分のFEVが12%以上かつ200mL以上改善されることで証明されるように、FEVが予測値の<80%であること、気管支拡張前FEV≧40%であること、ACQ-6≧1.5であること、及び全身性コルチコステロイド(筋肉内、静脈内、または経口)による治療を必要とする喘息増悪の、過去12ヶ月間に、全身性コルチコステロイド(筋肉内、静脈内、または経口)による治療を必要とする2回以上の喘息増悪の記録された履歴、によって定義される。いくつかの実施形態では、好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息は、実施例4の包含基準及び除外基準(表15)により定義される。好ましい実施形態では、重要基準は、喘息コントロールを維持するために最低1日の中用量ICS+LABA治療を必要とすること、1年に2回以上の重度の喘息増悪、ACQスコア≧1.5、及びAEC≧0.30x10細胞/Lからなる群から選択される1つ以上を含む。
【0196】
吸入コルチコステロイド(ICS)は、ベクロメタゾン、フルチカゾン、シクレソニド、モメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。吸入コルチコステロイドは、中高用量吸入コルチコステロイドまたは高用量ICSであってもよい。長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)は、硫酸アルブテロール、フマル酸ホルモテロール、サルメテロール、キシナフォ酸サルメテロール、酒石酸アルフォルモテロール、オロダテロール、ビランテロール、インダカテロール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。対象が服用している吸入コルチコステロイドの量は、低用量、中用量、または高用量であってもよい。
【0197】
本明細書に記載の実施形態では、対象の好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息は、酢酸コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される経口コルチコステロイド(OCS)をさらに摂取していてもよい。維持用経口コルチコステロイド(OCS)(1日当たり最大10mgのプレドニゾンまたは同等物)。本明細書に記載の実施形態では、対象の好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息は、ウメクリジニウム、アクリジニウム、ギコピロニウム、グリコピロレート、チオトロピウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される長時間作用型ムスカリン拮抗薬(LAMA)をさらに摂取していてもよい。
【0198】
いくつかの実施形態では、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息は、18歳以上である。いくつかの実施形態では、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息は、12歳~約17歳である。いくつかの実施形態では、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重篤な喘息は、約6歳~約11歳である。いくつかの実施形態では、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重篤な喘息は、約2歳~約5歳である。本明細書に記載される実施形態では、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息は、成人または青年である。本明細書に記載される実施形態では、青年は、12~18歳までである。本明細書に記載される実施形態では、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重症の喘息は、18歳未満である。本明細書に記載される実施形態では、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息は、12歳未満の子どもである。本明細書に記載される実施形態では、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重篤な喘息は、18歳以上である。本明細書に記載の実施形態では、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息は、18歳~75歳の間である。本明細書に記載される実施形態では、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息は、12歳~75歳の間である。本明細書に記載される実施形態では、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息は、12歳以上である。
【0199】
いくつかの実施形態では、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息が治療され、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息は、1秒間の努力肺活量(FEV)、喘息コントロール質問票(ACQ)のスコア、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコア、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される測定値の改善を示す。
【0200】
いくつかの実施形態では、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息が治療され、対象は、鼻好酸球ペルオキシダーゼのレベル、咽頭好酸球ペルオキシダーゼのレベル、血中好塩基球のレベル、血中好酸球前駆体集団のレベル、呼気中一酸化窒素濃度の分量及びこれらの組み合わせからなる群から選択される症状の減少を有する。
【0201】
いくつかの実施形態では、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息が治療され、対象は、喘息増悪の頻度の減少において改善を示す。
【0202】
いくつかの実施形態では、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息が治療され、対象は、1秒間の努力肺活量(FEV1)、努力肺活量(FVC)、年換算CompExイベント率、朝のピーク呼気流量(PEF)、喘息制御質問票(ACQ)のスコア、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコア、セントジョージ呼吸器質問票のスコア及びその組み合わせからなる群から選択される測定値の改善を示している。
【0203】
いくつかの実施形態では、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息が治療され、対象は、最初の増悪までの時間、鼻好酸球ペルオキシダーゼのレベル、血中好酸球のレベル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される症状の1つ以上における減少を有している。
【0204】
いくつかの実施形態では、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息は、絶対血中好酸球のレベル、組織好酸球のレベル、気道の粘液栓の量、鼻好酸球ペルオキシダーゼのレベル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される症状の1つ以上における低減を有する。
【0205】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の経口投与による対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息の治療は、12週間、8週間、6週間、4週間、3週間または2週間からなる群から選択される期間までに、末梢血中の好酸球のレベルが1マイクロリットルあたり300細胞未満まで減少することをもたらす。
【0206】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の経口投与による対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息の治療は、12週間、8週間、6週間、4週間、3週間または2週間からなる群から選択される期間までに、末梢血中の好酸球レベルが1マイクロリットルあたり250細胞未満まで減少することをもたらす。
【0207】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の経口投与による対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息の治療は、12週間、8週間、6週間、4週間、3週間または2週間からなる群から選択される期間までに、末梢血中の好酸球レベルが1マイクロリットルあたり200細胞未満まで減少することをもたらす。
【0208】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の経口投与による対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息の治療は、12週間、8週間、6週間、4週間、3週間または2週間からなる群から選択される期間までに、末梢血中の好酸球レベルが1マイクロリットルあたり150細胞未満まで減少することをもたらす。
【0209】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の経口投与による対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息の治療は、12週間、8週間、6週間、4週間、3週間または2週間からなる群から選択される期間までに、末梢血中の好酸球レベルが1マイクロリットルあたり100細胞未満まで減少することをもたらす。
【0210】
一部の実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息の治療は、少なくとも約90%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息の治療は、少なくとも約50%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息の治療は、約80%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約150mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息の治療は、約70%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約75mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息の治療は、約60%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。
【0211】
一部の実施形態では、約150mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息の治療は、少なくとも約90%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約150mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息の治療は、少なくとも約50%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息の治療は、約80%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約150mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息の治療は、約70%の血中好酸球の絶対値の減少をもたらす。特定の実施形態では、約75mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息の治療は、約60%の絶対的血中好酸球のレベルの減少をもたらす。
【0212】
一部の実施形態では、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息を治療することは、組織中の好酸球のレベルの減少をもたらす。特定の実施形態では、好酸球性表現型ヒト対象の十分にコントロールされていない軽度、中等度から重度の喘息を治療することは、肺組織、鼻組織、骨髄、及びそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない組織における好酸球のレベルの減少をもたらす。特定の実施形態では、組織中の好酸球のレベルは、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%減少される。特定の実施形態では、レベルは正常まで低減される。特定の実施形態では、レベルは、検出レベル内でゼロに減少される。
【0213】
いくつかの実施形態では、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息を治療すると、気道の粘液栓の量の減少がもたらされる。理論に拘束されることを望まないが、粘液栓は、重度の喘息における慢性的な気流閉塞に寄与し、好酸球は、システインチオール基を酸化する活性酸素種を生成する好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)を放出し、これがムチンタンパク質の架橋につながり、粘液をより硬くして気管支(気道)における粘液栓形成を促進させる。本明細書に記載の実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソール、またはその薬学的に許容される塩の1日用量を経口投与すると、組織好酸球のレベルが低下するので、気道好酸球過酸化酵素が減少し、その結果、気道の粘液栓の量が減少し、その全てが肺機能の改善及び運動耐性の向上につながる。
【0214】
いくつかの実施形態では、対象の好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息が治療されるものであり、誘導喀痰好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)、鼻好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)、または咽頭好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)の濃度が低下する。好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)は、好酸球が特異的に分泌する顆粒タンパク質で、酵素免疫吸着法(ELISA法)を用いて検出および定量することができる。EPXは、粘膜スワブまたは喀痰試料から測定される。いくつかの実施形態では、ヒト対象における好酸球性表現型の中等度から重度の喘息が治療され、鼻のEPXレベルが正常レベルまで低下する。実施形態において、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与後の鼻および喀痰EPXレベルは、健康で非喘息の対照対象における鼻および喀痰EPXレベルのレベルまで低減される。実施形態において、正常な鼻EPXレベルは、総タンパク質の約10ng/mg未満であるが、好酸球性表現型ヒト対象の中等度から重度の喘息は、総タンパク質の約10ng/mgを超える鼻EPXレベルを有すると診断され得る。いくつかの実施形態では、治療され、誘導喀痰EPXレベルは、健康で非喘息の対照対象において観察されるレベルまで低下する。正常な誘導喀痰EPXレベルは、約200ng/mL/g回収痰未満であり得るが、好酸球性表現型ヒト対象の中等度から重度の喘息は、約200ng/mL/g回収痰を超える誘導喀痰EPXレベルを有するものとして診断される。特定の実施形態では、約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による対象の好酸球性表現型のコントロールされていない重篤な喘息の治療は、約89%の鼻EPXのレベルの減少をもたらす。特定の実施形態では、約150mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息の治療は、約83%の鼻EPXのレベルの減少をもたらす。特定の実施形態では、約75mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息の治療は、約36%の鼻EPXのレベルの減少をもたらす。
【0215】
いくつかの実施形態では、尿中好酸球顆粒タンパク質のレベルが低下するように処置される。特定の実施形態では、好酸球顆粒タンパク質は、MBP-1(好酸球主要塩基性タンパク質-1)、EDN(好酸球由来神経毒、RNase-2)、ECP(好酸球カチオン性タンパク質、RNase-3)、EPX(好酸球ペルオキシダーゼ)、シャルコー-ライデン結晶タンパク質(Gal-10/CLC)及びその組み合わせからなる群から選択される。
【0216】
いくつかの実施形態では、血中好酸球の減少は、組織好酸球バイオマーカーの減少に相関する。いくつかの実施形態では、組織好酸球バイオマーカーは、IL-5、IL-13、IL-33、ST2(IL1RL1)、CCL2、CCL3、CCL4、CCL11、CCL17、CCR3、及びこれらの組み合わせを含む2型炎症関連メディエーターからなる群から選択される。好酸球の発達は、GM-CSF、IL-3、及びIL-5などのβc関連サイトカインを含む様々なサイトカインによって支援され、これらは、血中好酸球の減少を評価するためのバイオマーカーとしても使用することができる。いくつかの実施形態では、血中好酸球の減少は、血中好酸球前駆体集団の減少に相関する。好酸球は、造血幹細胞(HSC)に由来し、好酸球及び好塩基球の両方は、骨髄系前駆細胞に由来する。
【0217】
いくつかの実施形態では、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息を治療する方法は、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソール1日用量を経口投与する工程を含み、血中好塩基球のレベルが低減される。
【0218】
いくつかの実施形態では、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息が治療され、コントロールされていない喘息ヒト対象は、喘息増悪の頻度の減少、経口コルチコステロイドの使用量の減少、吸入コルチコステロイドの使用量の減少、長時間作用型ベータアゴニストの使用量の減少、1秒間の平均努力肺活量(FEV)の改善、努力肺活量(FVC)の改善、喘息コントロール質問票(ACQ)のスコア改善、喘息コントロールテスト(ACT)(商標)のスコア改善、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコア改善またはそれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の測定値における改善を示す。
【0219】
いくつかの実施形態では、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息は、過去12ヶ月間に少なくとも1回または少なくとも2回の増悪を経験した。重度の喘息増悪は、全身性コルチコステロイドの使用及び/または入院及び/または医学的介入及び/または救急部(ED)訪問を必要とする喘息の悪化と定義される。特定の実施形態では、医学的介入は、以下:1)1秒間の努力肺活量(FEV)がベースラインから20%以上減少、2)ピーク呼気流量(PEFR)が2日連続でベースラインから30%以上減少、または3)事象の医師評価による症状または他の臨床徴候の増悪、のうち少なくとも1つによって裏付けられた。全身性コルチコステロイドの使用は、静脈内経路または経口経路の場合、少なくとも3日間連続して服用すれば、重度の喘息増悪の証拠とみなされる;IM経路の場合、1回の服用で十分である。実施形態において、増悪は、少なくとも3日間経口/全身性コルチコステロイドの使用を必要とする喘息症状及び肺機能の悪化と定義される。実施形態において、経口コルチコステロイドを維持している対象にとって、経口/全身コルチコステロイドを必要とする増悪は、既存の用量の少なくとも2倍の経口/全身コルチコステロイドを、少なくとも3日間使用することと定義される。実施形態において、増悪の頻度は、8週間、12週間、24週間、26週間、36週間、または52週間などの特定の定義された単位時間当たりの増悪の数として定義される。本明細書に記載の実施形態では、全身性コルチコステロイド(例えば、OCS)の使用を必要とする増悪、並びに入院または救急室訪問をもたらす増悪が、それぞれ減少した。いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息を治療すると、1年当たりの増悪の数の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、単位時間当たりのより少ない増悪、または次の後続の増悪間の時間の延長のいずれかによって測定される増悪の改善である。いくつかの実施形態では、増悪率は、年間2未満、年間1未満、または年間0であるように低減される。いくつかの実施形態では、最初の重度の喘息増悪までの時間が延長された。いくつかの実施形態では、最初の重度の喘息増悪までの時間は、前回の増悪から1年以内に発生しなかった。
【0220】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息を治療すると、対象の年換算CompExイベント率が改善されることになる。年換算CompExイベント率は、喘息増悪の定義を拡張し、日記ベースのイベントと従来から定義されている重度の増悪とを組み合わせた測定値である。日記イベントは、ピーク呼気流量の悪化、発作治療薬の使用、および朝夕と夜間の覚醒を評価した喘息症状の客観的な測定に基づいている。悪化の定義は、少なくとも2日間連続してベースラインからの変化量(閾値)に達するか、少なくとも5日間にわたる全変数の悪化に加えて、少なくとも1つの変数が少なくとも2日間連続して閾値の基準に達するかのいずれかである。日記イベントの基準を満たすには、少なくとも2つの同時の基準の悪化が必要である。
【0221】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息を治療すると、経口コルチコステロイド用量が低減されることになる。いくつかの実施形態では、経口コルチコステロイド用量は、約90%~約100%、約75%~約90%、約50%~約75%、または約10%~約50%低減される。いくつかの実施形態では、経口コルチコステロイドの用量は、ゼロまで低減される。いくつかの実施形態では、経口コルチコステロイドの使用頻度は、90~100%の減少、75~90%の減少、50~75%の減少、または少なくとも50%の減少など、ベースラインから減少される。本明細書に記載される実施形態では、経口コルチコステロイドの使用は、1日おきに減らされる。本明細書に記載される実施形態において、経口コルチコステロイドの用量の減少は、漸進的であり、医師の監督下で実施される。本明細書に記載の実施形態において、経口コルチコステロイドの用量及び頻度の減少は、喘息のコントロールを維持しながら行われる。
【0222】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息を治療すると、吸入コルチコステロイド用量が低減されることになる。いくつかの実施形態では、吸入コルチコステロイド用量は、約90%~約100%、約75%~約90%、約50%~約75%、または約10%~約50%低減される。いくつかの実施形態では、吸入コルチコステロイドの用量は、ゼロまで低減される。いくつかの実施形態では、吸入コルチコステロイドの使用頻度は、90~100%の減少、75~90%の減少、50~75%の減少、または少なくとも50%の減少など、ベースラインから減少される。本明細書に記載される実施形態では、吸入コルチコステロイドの使用は、週3回未満に低減される。本明細書に記載の実施形態において、吸入コルチコステロイドの用量の減少は、漸進的であり、医師の監督下で行われる。本明細書に記載の実施形態では、吸入コルチコステロイドの用量及び頻度の減少は、喘息のコントロールを維持しながら行われる。
【0223】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息を治療すると、長時間作用型ベータアゴニスト用量の低減がもたらされる。いくつかの実施形態では、長時間作用型ベータアゴニスト用量は、長時間作用型ベータアゴニスト用量は、約90%~約100%、約75%~約90%、約50%~約75%、または約10%~約50%低減される。いくつかの実施形態では、長時間作用型ベータアゴニストの用量は、ゼロに低減される。いくつかの実施形態では、長時間作用型ベータアゴニストの使用頻度は、90~100%の減少、75~90%の減少、50~75%の減少、または少なくとも50%の減少など、ベースラインから減少される。本明細書に記載される実施形態では、長時間作用型ベータアゴニストの使用は、1日1回未満に低減される。本明細書に記載される実施形態において、長時間作用型ベータアゴニストの用量の減少は、漸進的であり、医師の監督下で実施される。本明細書に記載の実施形態では、長時間作用型ベータアゴニストの用量及び頻度の低減は、喘息のコントロールを維持しながら行われる。
【0224】
本明細書に記載の実施形態は、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息を治療する方法であって、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量を経口投与する工程を含み、肺機能が改善される、方法に関する。肺機能は、肺活量測定を行うことによって測定され、これは、1秒間の努力肺活量(FEV)、呼気の最初の1秒間で移動した空気の体積を測定するものであり、これは喘息のよく知られた尺度である。努力肺活量(FVC)は、努力肺活量(FEV)検査全体の間に吐き出された空気の総量である。FEV/FVC比は、空気捕捉などのプロセスとは無関係に、気管支収縮のより具体的な測定値を提供する可能性のある計算された測定値である。肺機能検査は、気管支拡張前(気管支拡張薬がすべてなくなるまで十分な時間を置いた後)または気管支拡張後、通常はアルブテロールなどの短時間作用型気管支拡張薬を吸入してから15~30分後に検査することが可能である。気管支拡張薬の可逆性(BDR)は、気管支拡張薬の投与前後のFEVを分析し、その変化を絶対値(ml)と変化率の両方で計算し評価するものである。
【0225】
本明細書に記載の実施形態は、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息を治療する方法であって、デクスプラミペキソール約75mg~約300mgの1日用量を経口投与する工程を含み、FEVが改善される、方法に関する。特定の実施形態では、コントロールされていない喘息ヒト対象は、ベースラインで約1.9L~約2.2LのベースラインFEVを有し、これは正常/予測から約60%の減少である。いくつかの実施形態では、FEVは、約5%~約20%増加する。より好ましくは、FEVは、約10%~約20%増加する。いくつかの実施形態では、FEVの体積は、約150ml~約300ml増加する。より好ましくは、FEVは、約200ml~約300ml増加する。
【0226】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの日用量の投与による、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息の治療は、約12週間、約8週間、約6週間、約4週間、約3週間、または約2週間でFEVの体積の増加をもたらす。
【0227】
本明細書に記載の実施形態は、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息を治療する方法であって、デクスプラミペキソールの約75mg~約300mgの1日用量を経口投与する工程を含み、FVCが改善される、方法に関するものである。特定の実施形態では、コントロールされていない喘息ヒト対象は、ベースラインで約3.0L~約3.3LのベースラインFVCを有し、これは正常/予測から約74%~80%の減少である。いくつかの実施形態では、FVCは約2%~約12%増加する。より好ましくは、FVCは、約8%~約12%増加する。いくつかの実施形態では、FVCの体積は、約20ml~約450ml増加する。より好ましくは、FVCの体積は、約200ml~約450ml増加する。
【0228】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与による、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息の治療は、約12週間、約8週間、約6週間、約4週間、約3週間、または約2週間でFVCの体積の増加をもたらす。
【0229】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息を治療すると、朝のピーク呼気流量(PEF)が増加する。ピークフローゾーンとは、ピークフローメーターで測定される領域のことである。ピークフローゾーンの目的は、コントロールされていない喘息の初期症状を示すことである。グリーンゾーンは、対象のピークフロー最高値の80%~100%である。イエローゾーンは、対象のピークフロー最高値の50%~80%である。このゾーンの測定値は、大きな気道が狭まり始めている徴候であり、対象は咳、疲労感、息切れ、または胸の圧迫感などの軽い症状を持ち始めるかもしれない。レッドゾーンは、対象の最高ピークフロー測定値の50%未満である。このゾーンの測定値は、大きな気道の重度の狭窄を意味し、これは医学的緊急事態である。いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息を治療すると、朝のピーク呼気流を測定する際に、対象がグリーンゾーンに留まることができるようになる。
【0230】
気道の炎症は、FeNO検査(呼気中一酸化窒素分画濃度測定法)により評価することも可能であり、ゆっくりと吐き出した空気の中の一酸化窒素の濃度をppbで測定する。呼気中の一酸化窒素濃度が正常値より高いと、一般に気道が炎症を起こしていることを意味し、喘息の徴候となる。子どもで約20ppb未満、成人で約25ppb未満が正常値とされている。子どもで約35ppb、成人で約50ppbを超えると、異常と見なされる。
【0231】
本明細書に記載の実施形態は、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息を治療する方法であって、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量を経口投与する工程を含み、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息がコントロールされる、方法に関する。喘息が制御されているかどうかを評価するために、喘息コントロール質問票(ACQ)、及び/または喘息コントロールテスト(ACT)(商標)を使用することができる。特定の実施形態では、コントロールされていない喘息ヒト対象は、ACQで約1.9~約2.3のベースラインスコア、及びAQLQで約4.5~約5.4のベースラインスコアを有していた。
【0232】
コントロールされた喘息のACQカットオフは約0.75のスコアであり、コントロールされていない喘息のACQカットオフは約≧1.5のスコアである。≧0.5のACQスコアの変化は、臨床的に有意であるとみなされる。本明細書に記載される実施形態では、十分にコントロールされていない喘息ヒト対象は、少なくとも0.5ポイントのACQスコアの変化を有する。本明細書に記載される実施形態では、対象は、ACQのスコアの改善を有し、スコアは0.75以下である。
【0233】
喘息コントロールテスト(ACT)(商標)を使用すると、19未満のスコアは、個人の喘息が十分にコントロールされていない可能性を示し、15未満のスコアは、個人の喘息が非常に十分にコントロールされていない可能性を示している。本明細書に記載される実施形態において、十分にコントロールされていない喘息ヒト対象は、少なくとも0.5ポイントのACTスコアの変化を有する。本明細書に記載される実施形態において、十分にコントロールされていない喘息患者ヒト対象は、喘息コントロールテスト(ACT)(商標)のスコアの改善を有し、スコアは19より大きい。
【0234】
AQLQは、喘息の患者にとって最も重要な機能障害を測定するために設計された32項目の喘息専用質問紙である。AQLQの32の質問は、活動制限、症状、感情機能、環境刺激の4つのドメインに分かれている。各質問は均等に重み付けされている。AQLQの総合スコアは、32の質問それぞれに対する回答の平均値であり、1~7の範囲である。スコア7.0は、患者が喘息による障害を有しないことを示し、スコア1.0は、重度の障害を示す。本明細書に記載の実施形態は、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量を経口投与する工程を含む、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息を治療する方法であって、対象のQOLが改善される方法に関する。喘息のQOL質問票(AQLQ)は、個人のQOLを評価するために使用することができ、スコアは1~7の範囲であり、スコアが高いほどQOLが良好であることを示す。本明細書に記載される実施形態では、コントロールされていない喘息ヒト対象は、少なくとも0.5ポイントのAQLQスコアの変化を有する。本明細書に記載される実施形態において、十分にコントロールされていない喘息患者ヒト対象は、喘息のQOL質問票(AQLQ)のスコアの改善を有し、そのスコアは3.5より大きい。
【0235】
本明細書に記載される実施形態において、コントロールされていない喘息ヒト対象は、セントジョージ呼吸器質問票のスコアの改善を有する。
【0236】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息を治療することは、対象の全病状を改善する結果をもたらす。いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量の投与によって、対象における好酸球性表現型のコントロールされていない重度の喘息を治療することは、対象の全体的な死亡リスクの改善をもたらす。
【0237】
投与量およびタイミング
【0238】
本明細書に記載の実施形態において、デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩は、約75mg/日の1日用量でヒト対象に投与され得る。
【0239】
本明細書に記載の実施形態において、デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩は、約150mg/日の1日用量でヒト対象に投与され得る。
【0240】
本明細書に記載の実施形態において、デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩は、約300mg/日の1日用量でヒト対象に投与され得る。
【0241】
本明細書に記載の実施形態において、デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩は、1日2回、約37.5mgの用量でヒト対象に投与され得る。
【0242】
本明細書に記載の実施形態において、デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩は、1日2回、約75mgの用量でヒト対象に投与され得る。
【0243】
本明細書に記載の実施形態において、デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩は、1日2回、約300mgの用量でヒト対象に投与され得る。
【0244】
本明細書に記載される実施形態では、デクスプラミペキソールは、1日1回、最大24週間投与される。本明細書に記載の実施形態では、デクスプラミペキソールは、1日1回、最大12週間投与される。本明細書に記載の実施形態では、デクスプラミペキソールは、1日1回、最大8週間投与される。本明細書に記載される実施形態では、デクスプラミペキソールは、1日1回、最大6週間投与される。本明細書に記載される実施形態では、デクスプラミペキソールは、1日1回、最大4週間投与される。本明細書に記載の実施形態では、デクスプラミペキソールは、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息が解決されるまで、1日1回投与される。本明細書に記載の実施形態では、デクスプラミペキソールは、対象の生涯にわたって1日1回投与される。
【0245】
本明細書に記載される実施形態では、デクスプラミペキソールは、1日2回、最大24週間投与される。本明細書に記載される実施形態では、デクスプラミペキソールは、1日2回、最大12週間投与される。本明細書に記載の実施形態では、デクスプラミペキソールは、1日2回、最大8週間投与される。本明細書に記載される実施形態では、デクスプラミペキソールは、1日2回、最大6週間投与される。本明細書に記載の実施形態では、デクスプラミペキソールは、1日2回、最大4週間投与される。本明細書に記載の実施形態では、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息が解決されるまで、デクスプラミペキソールを1日2回投与する。本明細書に記載の実施形態では、デクスプラミペキソールは、対象の生涯にわたって1日2回投与される。
【0246】
いくつかの実施形態では、血中好酸球の減少は、治療の1週間以内、治療の2週間以内、治療の3週間以内、治療の4週間以内、治療の5週間以内、治療の6週間以内、治療の7週間以内、治療の8週間以内、治療の9週間以内、治療の10週間以内、治療の11週間以内、または治療の12週間以内において低減される。いくつかの実施形態では、血中好酸球の減少は、対象が12週間治療される場合に減少する。
【0247】
驚くべきことに、デクスプラミペキソールによる治療は、寛解効果をもたらす。特定の実施形態では、好酸球性表現型の中等度から重度の喘息は、デクスプラミペキソールが約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、または約12週間中止された後でも制御が維持される。特定の実施形態では、デクスプラミペキソールが約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、または約12週間中止された後も、血中好酸球のレベルは低下したままである。
【0248】
特定の実施形態では、デクスプラミペキソールは、レバルブテロール、イプラトロピウムブロミド、ブデソニド/ホルモテロール、イプラトロピウム、フルチカソン/サルメテロール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される気管支拡張薬と組み合わせて投与される。特定の実施形態では、デクスプラミペキソールは、ジリュートン、ザフィルルカスト、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される抗炎症剤と組み合わせて投与される。
【0249】
特定の実施形態では、デクスプラミペキソールは、メポリズマブ(NUCALA(登録商標))に代えて投与される。特定の実施形態では、デクスプラミペキソールは、レスリズマブ(CINQAIR(登録商標))に代えて投与される。特定の実施形態では、デクスプラミペキソールは、ベンラリズマブ(FASENRA(登録商標))に代えて投与される。特定の実施形態では、デクスプラミペキソールは、デュピルマブ(DUPIXENT(登録商標))に代えて投与される。特定の実施形態では、デクスプラミペキソールは、テゼペルマブに代えて投与される。
【0250】
当業者であれば、それを必要とするヒト対象に投与される用量及びタイミングを理解し、理解するであろう。処置の用量及び期間は変化してもよく、肺組織及び非肺組織の改善を監視及び測定することに基づく当業者による評価に基づいてもよい。この評価は、喘鳴の減少または息切れの減少などの改善の外見的な物理的徴候、または内部の生理学的徴候またはマーカーに基づいて行われてもよい。投与量はまた、治療される状態または疾患、治療される状態または疾患の程度、さらに対象の年齢、体重、体格指数および体表面積に依存することができる。
【0251】
いくつかの実施形態では、デクスプラミペキソールの治療有効量、1日用量、または単位用量は、1日1回または1日複数回、例えば1~5回、1日2回または1日3回または隔日に投与されてもよい。
【0252】
実施形態はまた、本明細書に開示される状態を治療するためにデクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩を経口投与するための投与レジメンに向けられる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、1つ以上の単位用量での初期用量として等量のデクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩を有する複数の日用量を含むことができる用量レジメンを含んでいてもよい。他の実施形態では、投与レジメンは、1つ以上の単位用量でのデクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の初期用量、次に1つ以上の単位用量での初期用量としてのより低い量のデクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩を有する複数の毎日の用量を含んでもよい。投与レジメンは、初回投与に続いて、1回以上の維持用量を投与してもよい。初回投与に続く複数回の投与は、維持投与であってもよい。
【0253】
そのような実施形態は、初回投与量及び毎日の投与量によって制限されない。例えば、特定の実施形態では、初回投与量及び複数の1日用量の各々は、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールであってよい。好ましい実施形態では、初回投与量は、約37.5mgを1日2回、または約150mgを1日2回である。
【0254】
いくつかの実施形態では、約37.5mgの2つの単位用量が毎日投与され、ここで、各単位用量は、実質的に等しくてもよい。いくつかの実施形態では、約37.5mgの3つの単位用量が毎日投与され、ここで、各単位用量は実質的に等しくてもよい。
【0255】
いくつかの実施形態では、約75mgの2つの単位用量が毎日投与され、ここで、各単位用量は実質的に等しくてもよい。いくつかの実施形態では、約75mgの3つの単位用量が毎日投与され、ここで、各単位用量は実質的に等しくてもよい。
【0256】
いくつかの実施形態では、約150mgの2つの単位用量が毎日投与され、ここで、各単位用量は実質的に等しくてもよい。いくつかの実施形態では、約150mgの3つの単位用量が毎日投与され、ここで、各単位用量は実質的に等しくてもよい。
【0257】
一定期間の初期投与に続いて、維持投与は、それぞれ37.5mgまたは150mgの錠剤として1日2回投与される75mg~約300mgの初期1日用量未満の投与、または1日1回の1日用量の投与を含み得る。好ましい実施形態において、維持用量は、75mgを1日1回または300mgを1日1回である。
【0258】
さらなる実施形態において、本方法は、初期投与レジメン及び維持投与レジメンを含んでもよい。特定の実施形態では、初期投与レジメンは、デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の維持投与レジメンよりも高い用量を、単回投与として、またはデクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の維持投与レジメンを始める前の限定期間、増加した用量を投与することにより、投与することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、維持投与レジメンを受ける対象は、維持投与レジメン中の1回または複数回に、1回または複数回の高用量治療を投与され得る。
【0259】
いくつかの実施形態では、初期投与レジメン及び維持投与レジメンは、デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩を1日1回、または1日2回投与することを含んでもよい。そのような実施形態では、投与レジメンは、1、2、3、4、5、6または7日間、最大4週間、最大8週間または最大12週間、初期投与量を投与し続けることができる。いくつかの実施形態では、初回投与量及び/または維持投与量を投与するための用量レジメンは、長期間にわたって継続してもよい。様々な実施形態は、維持用量が漸増または他の方法で投与レジメンを変更することなく長期間維持される、デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩の投与レジメンに向けられる。そのような実施形態では、延長された期間は、約12週間以上、約6ヶ月以上、約1年以上、2、3、4、5、または10年以上、及び特定の実施形態では、不定期間であってよい。
【0260】
いくつかの実施形態では、約75mg~約300mgのデクスプラミペキソールの1日用量による治療は、ドーパミンアゴニズムに関連する有害な副作用がない。
【0261】
デクスプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩を固形剤で含む経口医薬組成物としては、ソフトゲル、錠剤、カプセル、カシェット、ペレット、丸薬、粉末および顆粒が挙げられるが、これらに限定されない;その他の経口剤形としては、溶液、懸濁液、乳濁液および乾燥粉末が挙げられるが、これらに限定されない。
【0262】
最後に、本明細書に開示された本発明の実施形態は、本発明の原理を例示するものであることが理解されるであろう。採用され得る他の改変は、本発明の範囲内である。したがって、限定ではなく例として、本発明の代替的な構成が、本明細書の教示に従って利用され得る。したがって、本発明は、まさに図示および説明されたとおりに限定されるものではない。
【0263】
実施例
実施例1-剤形の説明
【0264】
デクスプラミペキソール二塩酸塩一水和物150mgを含有する経口投与用の錠剤は、表Aに記載のとおり製剤化されている。
【表A】
【0265】
12.5、20、37.5、75、125、150、および200mgのデクスプラミペキソール二塩酸塩一水和物を含有する錠剤のまとめを表Bに提供する。125mg、150mg、または200mgの錠剤は同じ相対製剤を構成するが、錠剤の大きさは投与用量に比例する。
【表B】
【0266】
実施例2-第2相臨床試験-KNS-760704-AS201「好酸球性喘息を有する対象における好酸球に対するデクスプラミペキソールの効果に関する無作為化、二重盲検、プラセボ対照の用量範囲バイオマーカー試験」
【0267】
本臨床試験の主要目的は、好酸球性喘息を有する対象の血中好酸球数の減少に対するデクスプラミペキソールの有効性を評価することであった。副次的目的は、好酸球性喘息の対象に12週間投与されたデクスプラミペキソールの安全性および忍容性の評価、肺機能、喘息コントロールおよびクオリティ・オブ・ライフに対するデクスプラミペキソールの有効性の評価、ならびに75mg/日、150mg/日および300mg/日のデクスプラミペキソールの血中好酸球数に対する相対効果の評価であった。また、臨床試験では、組織好酸球バイオマーカーの減少に対するデクスプラミペキソールの有効性、血中好塩基球数の減少に対するデクスプラミペキソールの有効性、血中好酸球前駆細胞集団に対するデクスプラミペキソールの効果、血中好酸球数低下の発現、デクスプラミペキソール中止後の血中好酸球数回復の評価、喘息血清バイオマーカーに対するデクスプラミペキソールの効果の評価、肺機能の変化による好酸球低下と喘息コントロールとの相関を評価し、試験で使用した用量範囲全体におけるデクスプラミペキソールの曝露を評価し、デクスプラミペキソール曝露と好酸球低下反応の関係を調べ、血液レスポンダーを特定するための潜在的な予測バイオマーカーを検討した。
【0268】
臨床試験で使用した評価項目は、表1のとおりである。
【表1】
【0269】
臨床試験では、デクスプラミペキソール錠75mg/日、150mg/日、300mg/日をBIDで12週間経口投与した場合と、プラセボとの比較試験が行われた。臨床試験では、約100名の対象をプラセボ、デクスプラミペキソール75mg/日、150mg/日、300mg/日(各群25名)に約1:1:1:1で無作為に割り付け、試験を実施した。表2は、臨床試験に選ばれた対象の概要である。プロトコルは、GINAステップ3~5で定義された中等度から重症の症候性好酸球性喘息患者(18~75歳)を登録した。対象は、スクリーニングおよびベースライン時のFEV1が予測値の80%未満であり、スクリーニング時のアルブテロール吸入後の気管支拡張薬FEV1可逆率が12%以上かつ200ml以上である必要がある。
【表2】
【0270】
この臨床試験は、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群、用量範囲、多施設共同試験である。対象は、本試験の導入期間中に非盲検プラセボを受け、本試験の主要評価期間中に二重盲検試験薬を受けた。図1参照。
【0271】
治療期間と追跡調査には以下を含む:1)導入期間:ベースライン開始までのスクリーニング。対象は、適格基準を満たすかどうかを評価するためのスクリーニング評価を受けた。対象を導入期間(少なくとも12日間)に参加させ、安定した喘息投薬レジメンを確認し、投与スケジュールの順守を評価した後、適格対象を無作為化した。2)主要評価期間:ベースラインから12週目終了まで。ベースライン評価の収集後、対象に12週間の治験薬の投与を開始した。対象は、4週目、8週目、12週目に施設訪問を行い、2週目と6週目にCBCを採取した(施設または遠隔)。12週目の訪問は、本試験の主要アウトカム訪問であった。対象は12週目の訪問時に試験薬の最後の用量を服用した。3)好酸球回復期:12週目の評価終了から24週目まで。主要評価期間の後、対象は好酸球回復期間に入った。この期間中、対象は16週目または18週目のいずれかに施設で受診した。特定の施設は、その施設に登録された対象の16週または18週目の診察を行うように指定された。20週目および24週目の診察は、施設または指定された遠隔の検査施設で行われた。
【0272】
試験集団:本試験では、Global Initiative for Asthma(GINA)ステップ3~5の持続性喘息(長時間作用型ベータアゴニストと組み合わせた低用量の吸入コルチコステロイドを少なくとも必要とする)を有する対象に対し、既存の喘息治療にデクスプラミペキソールを追加投与した。試験集団は、医師による喘息の診断が12ヶ月以上あり、本明細書に記載の適格基準を有する対象に限定された。好酸球性喘息の定義におけるその役割に加え、血中絶対好酸球数(AEC)は、喘息増悪の大きなリスクに関連するバイオマーカーでもある。さらに、AECの上昇は、抗好酸球療法に対する臨床的改善が大きい患者を予測することができる。したがって、本試験の適格基準では、AEC≧0.30x10/Lであることが要求されている。この適格基準は、承認された好酸球減少生物製剤の添付文書と同等の喘息集団を選択することを意図したものである。
【0273】
試験設計: 喘息患者の約半数は、典型的には吸入コルチコステロイドと長時間作用型ベータアゴニストからなる承認済みの喘息治療を行っても、喘息症状および増悪の十分な制御を達成できない。原因となる要因のいくつかは、最適以下の服薬アドヒアランスおよび吸入技術の低さなど、修正可能なものもあるが、利用可能な喘息薬物療法の本質的な欠陥が反映されているものもある。この欠陥は、特に重度の喘息増悪を起こしやすい患者において顕著に見られる。メポリズマブ、レスリズマブ、およびベンラリズマブなどの好酸球低下生物製剤は、血中および/または組織の好酸球を大幅に低下させると、喘息増悪の軽減および喘息症状の改善をもたらすことを明確に示している。しかし、これらの生物製剤はすべて非経口投与を必要とする。したがって、好酸球性喘息の管理のために、デクスプラミペキソールなどの経口好酸球低下薬の必要性と機会が存在する。第4アームの用量範囲プラセボ対照設計は、薬物曝露の範囲を提供するために選択された。血中好酸球の減少は、今後の臨床開発で使用する最小有効量の特定を容易にするために、主要評価項目として選択された。12週間の主要評価期間は、好酸球減少のような薬力学的評価項目と、好酸球減少の結果として改善する可能性のある臨床的評価項目(FEV1、FVC、ACQ-6、ACQ-7、およびAQLQ)の両方を観察するのに十分な時間を確保するために選択された。12週間の好酸球回復期は、ほとんどの対象でベースライン付近まで回復すると予想されることに基づいて選択された。
【0274】
患者の包含/除外基準。この試験に参加するためには、候補者は以下の条件を満たしている必要がある。
1. インフォームドコンセントに署名していること。
2. 同意時の年齢が18歳以上75歳未満の男性または女性。
3. インフォームドコンセントの時点から試験薬最終投与後1ヶ月(女性)または3ヶ月(男性)まで、1つの有効性の高い避妊方法または2つのプロトコルで許容される避妊方法を同時に実践する意思を有すること。
4. Global Initiative for Asthma(GINA)2018ガイドラインに基づく、12ヶ月以上(ベースラインと比較して)の医師による喘息の診断。
5. 最低でも低用量の吸入コルチコステロイドと長時間作用型β2アゴニスト(GINAステップ3~5)の併用による治療を必要とする喘息で、スクリーニングの少なくとも1ヶ月前から安定した用量で治療を受けている者。長時間作用型β2アゴニストを使用せず、他のコントローラーを使用している対象は、本試験に適格ではない。
6. 気管支拡張薬の可逆性:スクリーニング時にアルブテロール吸入後15~25分でFEV1が12%以上かつ200mL以上改善することで証明される。
7. スクリーニングおよびベースラインの気管支拡張前FEV1が予測値の40%以上かつ80%未満であること。
8. スクリーニング訪問時にAEC≧0.30x10/Lであること。初期値が0.25~0.29x10/Lの場合、1回繰り返すことができる。2回目のAECは0.30x10/L以上でなければならない。
9. スクリーニング時にACQ-7≧1.5。
10. ベースライン時の妊娠検査が陰性であること。
11. スマートボトルで記録された導入期間(最低12日間のアドヒアランスデータ)の1日2回プラセボ服用によるアドヒアランスが85%以上であること。
【0275】
除外基準。ベースライン時までに以下のいずれかが記録されている候補者は、試験登録から除外された。
1. ベースライン時に治験責任医師によって不安定と判断された喘息。
2. ベースライン訪問前8週間以内の喘息増悪の治療。
3. 本試験結果の解釈を混乱させる可能性のある、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、多発性血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症、好酸球性消化器疾患、好酸球増多症候群または肺疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患、特発性肺線維症)の現在における診断。
4. ベースライン前4週間以内の、副鼻腔および中耳を含む上気道または下気道の感染。
5. スクリーニング前の8週間の全身性コルチコステロイドによる治療。
6. ベースライン前の30日間または5半減期前のいずれか長い期間での治験薬による治療。
7. ベースライン前の5半減期以内の、ベンラリズマブ、デュピルマブ、メポリズマブ、レスリズマブ、オマリズマブ、またはTNF阻害剤を含むモノクローナル抗体療法による治療。
8. ベースラインから4週間以内のプラミペキソールによる治療。
9. 好中球減少の実質的なリスクがあることが知られている特定の薬剤による治療。
10. 試験実施中に計画された外科的処置。
11. 悪性腫瘍の既往歴。基底細胞癌、皮膚の限局性扁平上皮癌、または子宮頸部の上皮内癌を有する対象は、対象が寛解状態にあり、スクリーニングの12ヶ月以上前に治癒的治療が完了していることを条件として、除外されない。他の悪性腫瘍を有する対象は、対象が寛解状態にあり、治癒的治療がスクリーニングの5年以上前に完了していることを条件として、除外されない。
12. ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の既往歴。
13. B型またはC型肝炎の活動性感染症。C型肝炎の既往があり、1年以上ウイルス量が検出されない対象は除外しない。
14. スクリーニング時の推定糸球体濾過率(eGFR)<60mL/分/1.73m2と定義(慢性腎臓病疫学共同研究[CKD-EPI]の方程式を使用する)される、腎機能障害。
15. 不安定または重篤な心疾患、肝疾患、腎疾患、その他医学的に重要な疾病の既往歴。
16. 対象が試験評価を受けること、訪問スケジュールを順守すること、または治験の要求事項を順守することを妨げる可能性のある医学的またはその他の状態。
17. ベースライン前6ヶ月以内の蠕虫感染症。
18. スクリーニング前1年以内の喫煙または吸入式ニコチン送達装置の使用、または年間10パック以上の喫煙歴。
19. アルコールまたはその他の薬物乱用の既知または疑いがあること。
20. 試験投与スケジュールの非順守の既知または疑いがあること。
21. 咽頭または鼻腔スワブを含む、プロトコルに概説された手順に従う意思がない、または従えないこと。
22. スクリーニング時の絶対好中球数が2.0x10/L未満、または絶対好中球数が2.0x10/L未満の記録された既往歴。
23. QT延長症候群または不整脈の既往歴。
24. スクリーニング訪問時またはベースライン時の投与前に、Fridericiaの心拍補正式(QTcF)で算出したQTc間隔>450msの延長を示す心電図。QTcF間隔は3回の測定の平均として算出される。
25. スクリーニングまたはベースライン時の安静時心電図に臨床的に重要な異常があり、以下のいずれかを含む:
a)PR間隔>210ms;
b)QRS>110ms;
c)心拍数<45bpmまたは>100bpm(3回の評価の平均値)。
26. 妊娠中または授乳中の女性。
【0276】
併用療法。併用療法とは、スクリーニング訪問から対象の最終検査までの間に投与された薬物または物質である。すべての併用療法は、対象の情報源文書と症例報告書(CRF)に記録された。
【0277】
併用療法の制限。吸入コルチコステロイド:吸入または経鼻副腎皮質ステロイドの投与量は、試験薬初回投与前の少なくとも4週間は安定で、試験期間中は一定であった。全身性コルチコステロイド:試験中に発生した喘息増悪の治療のために、医学的適応のある全身性コルチコステロイドの使用が試験中に許可された。治験薬:治験期間中、治験薬の使用は禁止された。モノクローナル抗体療法:ベンラリズマブ、デュピルマブ、メポリズマブ、レスリズマブ、オマリズマブ、またはTNF阻害剤を含むモノクローナル抗体療法の使用は、試験期間中禁止された。プラミペキソール:本試験期間中、プラミペキソールの使用は禁止された。好中球減少の実質的なリスクがあることが知られている薬剤を選択した。好中球減少の実質的なリスクがあることが知られている薬剤は、試験期間中、使用が禁止された。
【0278】
安全性の評価:身体検査、バイタルサイン(収縮期および拡張期血圧、呼吸数、心拍数、体温)、体重、12誘導心電図、臨床検査値(血液学、血液化学、尿検査)、妊娠検査、有害事象モニタリングおよび併用薬のモニタリングは、試験期間中継続的に実施された。好中球減少はデクスプラミペキソールで特に注目される有害事象であるため、好中球数は中央検査室で報告され、試験担当のメディカルモニターによってモニタリングされた。好中球減少症の症例報告書が試験中に利用され、好中球減少症のあらゆる実験室の事象と同時に詳細な臨床情報が記録された。アルブテロールとデクスプラミペキソールの潜在的な心臓の薬物相互作用を評価するため、8週目の心電図は、デクスプラミペキソール血漿濃度のおおよそCmaxと一致するように時間を設定された。
【0279】
有効性の評価:血中好酸球数、肺機能(FEV1)の変化、喘息コントロール質問票(ACQ-6)、喘息コントロール質問票(ACQ-7)、喘息のQOL質問票(AQLQ)、呼気中一酸化窒素、咽頭および鼻の好酸球過酸化酵素は試験中定期的に採取された。
【0280】
薬物動態の評価:血漿中薬物濃度は、4週目(トラフ)、8週目(トラフおよび投与後2時間)および12週目(トラフ)の各訪問時に採血した。デクスプラミペキソールのトラフ血漿中濃度は、デクスプラミペキソールの曝露と好酸球減少作用の関係を評価するために使用された。
【0281】
統計:本試験では、試験実施施設ごとに層別化されたブロック無作為化を用いた。安全性解析には安全性サンプル集団が、有効性解析には修正ITT集団が用いられた。有効性解析には、少なくとも1回の試験薬投与を受け、有効性評価項目の少なくとも1つについて無作為化後評価を受けたすべての対象からなる修正ITT集団を用いた。
【0282】
本試験の主要評価項目は、ベースラインから12週目までの血中絶対好酸球数の変化であった。絶対好酸球数はlog10スケールに変換された。ゼロの対数を取らないように、ゼロは従来の単位では5細胞/μL、国際単位系(SI)では定量化の下限の50%である0.005×10/Lに置き換えた。有効性解析に使用するベースラインの好酸球数は、スクリーニングからベースライン訪問までの間に得られた全好酸球数の幾何平均値を使用した。分散分析(ANOVA)に基づいて各デクスプラミペキソール治療群をプラセボと比較するp値とともに、各訪問時に観察された値の幾何平均と標準偏差を治療群別に示した。
【0283】
主要分析は、ベースライン、カテゴリー変数としてGINA治療ステップの3段階、固定効果としての治療、訪問、訪問による治療の相互作用、訪問によるベースラインの相互作用、ランダム効果として対象を用いた反復測定による混合効果モデル(MMRM)を用いて行った。非構造化共分散が用いられた。
【0284】
12週目のデクスプラミペキソール群治療効果および治療群対プラセボ効果は、MMRM内の対比で検定された。治療効果の推定LS平均および各訪問時の治療効果の推定差は、治療効果の推定幾何平均および治療効果の幾何平均の比を95%CIとともに示すために、元の尺度に逆変換された。
【0285】
プールされた150mg/日と300mg/日群とプラセボ群の12週目の治療効果を検証するために対比を作成した。12週目の対数線形用量反応の治療効果をテストするために、対比を作成した。
【0286】
主要評価項目に関する3つの用量群対プラセボを試験するため、および、FEV1を試験するためのαレベルを制御するために、以下の順序で閉じた階層的検定手順を使用した:1.まず、300mg/日用量群は、血中絶対好酸球数の変化についてプラセボと比較試験し、これが<0.05レベルに達した場合、2.150mg/日用量群は、血中絶対好酸球数の変化について0.05レベルでプラセボと比較試験し、これが<0.05レベルに達した場合、3.その後、3.プールされた150mg/日用量群と300mg/日用量群について、12週目のFEV1の変化をプラセボと比較して0.05レベルで試験し、4.75mg/日用量群について血中絶対好酸球数の変化をプラセボと比較して0.05レベルで試験し、これが<0.05レベルに達した場合。
【0287】
全ての対象が12週目の訪問(主要アウトカム訪問)が完了した時点で有効性の中間解析を行った。12週目の訪問後、対象は試験薬を中止し、主要評価項目の評価を完了したため、中間解析におけるp値調整は行わなかった。12週目以降の訪問の主な目的は、試験薬中止後の好酸球の回復を観察し、対象の安全性をモニターすることであった。
【0288】
サンプルサイズ:本試験の主要評価項目は、ベースラインから12週目までの血中絶対好酸球数の変化であった。鼻ポリープを伴う慢性鼻副鼻腔炎患者を対象としたデクスプラミペキソールの非盲検試験(KNS-760704-CS201)において、デクスプラミペキソールは好酸球を94%減少(ベースラインに対する評価項目の比=対数底eスケールで-2.81)させた。ベースラインに対する評価項目の比率の標準偏差は、対数底eスケールで1.82であった。
【0289】
デクスプラミペキソールで血中好酸球の真の減少が85%、プラセボで10%であれば、アームあたり19人の対象で約84%の検出力が得られた。血中好酸球の真の減少がデクスプラミペキソールで90%、プラセボで10%であれば、検出力は95%であった。サンプルサイズは、2標本のt検定の方法論を用いて計算された。血中好酸球の最終観察が行われなかった対象の脱落率を約20%と仮定すると、アームごとに無作為化された25名の対象のサンプルサイズが得られる。
【0290】
臨床試験の結果、主要評価項目である好酸球減少率は極めて有意であり、この極めて有意な用量反応傾向は、すべての用量レベルにおいて絶対好酸球数(AEC)に有意な影響を与えることが示された。AECが505以上減少した対象、またはAECが100細胞/μL未満に減少した対象と定義される血液学的レスポンダーの増加につながる。FEV1の増加は好酸球数の減少と高い相関があり、血液学的レスポンダーはFEV1で測定した肺機能が臨床的に重要かつ統計的に有意に改善された。
【0291】
完全を期すために、表3に、試験アームごとの試験を完了した対象の最終的な数を示す。
【表3】
【0292】
本試験の主要評価項目は達成された:12週目の血中好酸球数がベースラインと比較して極めて有意に減少することが確認された。表4に見られるように、AECの最大80%の減少が観察された。図2A及び図2Bは、12週目まで用量依存的にAECが低下し、12週目のデクスプラミペキソール中止後も継続し、その後の13~24週目でベースラインAECに戻る。
【表4】
【0293】
プラセボと比較して、デクスプラミペキソールによる鼻腔組織EPXのベースラインに対する比率の有意な低下が、150mg/日及び300mg/日のデクスプラミペキソール用量群の両方で12週目に観察された(図8)。さらに、図9は、鼻腔組織好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)の減少および血中絶対好酸球数(AEC)の減少との強い相関を示した。
【0294】
表5および図3は、臨床試験で得られた、プラセボと比較して有意に改善されたFEV1のデータを3つの用量群ごとに示したものである。
【表5】
【0295】
300mg/日デクスプラミペキソール群における肺機能のデータは、表6A~6Eに、すべての時点で観察されたプラセボに対する気管支拡張前のFEV1改善として記載されている。これは、デクスプラミペキソールのFEV1に対する薬力学的効果が持続し、投薬中止後も観察されることを示すものである。
【表6A】
【表6B】
【表6C】
【表6D】
【表6E】
【0296】
FEVデータのプール解析により、デクスプラミペキソールで治療された対象に見られる改善の大きさの証拠を提供する、表7を参照。
【表7】
【0297】
肺機能の有意な改善は、FVCの体積の増加においても観察される。全ての用量群における気管支拡張前のFVCに関するデータは、表8、9、および図4に提供されている。FVCにおけるこのデクスプラミペキソールの改善は、喘息患者における病的状態および死亡率の減少につながる空気捕捉および粘液栓に対する効果を示している。
【表8】
【表9】
【0298】
表10は、気管支拡張薬の可逆性、アルブテロール気管支拡張薬の前/後(同日)でのFEVの%改善を解析するためのデータを提供する。試験参加基準では、スクリーニング時に≧12%かつ≧200mLが必要であった。これらの値は、喘息の診断において認められている。
【0299】
12週目では、可逆率は様々な試験アームで同様であり、3つのDEX群対プラセボでも同様である。これは、DEXによって気管支拡張薬の可逆性が保持され、DEXのFEV 効果がアルブテロールの気管支拡張効果に相加的に作用していることを示している。アルブテロールと長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)はいずれもベータアドレナリン受容体を介して作用することから、DEXによるLABA治療の有用性が示唆された。
【表10】
【0300】
本試験ではさらに、12週目の血中好酸球数が50個/μL以下の対象として定義された血液学的レスポンダーを特定した。血液学的レスポンダーの数は、デクスプラミペキソール治療群でプラセボに比べ有意に増加し、用量依存的であった。表10を参照。さらに、デクスプラミペキソール治療群では、AECがベースラインから50%以上減少した対象の数が、プラセボ投与群と比較して有意に多かった。表11を参照。
【表11】
【0301】
表12及び図5は、これらの血液学的レスポンダーが、ベースライン後の全ての時点においてFEV1の有意な増加を示したことを実証している。FEV1の改善は、400/μL未満を有するサブグループで見られ、ベースラインAEC≧400/μLのサブグループにおけるFEV1の改善は、図7に示すプラセボと比較してさらに大きいことが示された。
【表12】
【0302】
結論:デクスプラミペキソールによる中等度から重度の喘息の治療は、対象において非常に有意で用量依存的な好酸球の低下反応を示した。この治療法は、好酸球の減少と相関する肺機能をさらに改善した。驚くべきことに、デクスプラミペキソールで治療した対象の約60%が、絶対好酸球数(AEC)が50%以上減少し、FEV1が有意に増加したことが確認された。最後に、デクスプラミペキソールは、すべての用量レベルで良好な忍容性を示した。デクスプラミペキソールのFEV1のベースラインからの改善の大きさおよび統計的有意性(表5および図3に示す)は、ベンラリズマブおよびメポリズマブの第2相臨床試験で示されたものと同等またはそれ以上であった。図6に見られるように、デクスプラミペキソールのFEV1改善能力および肺機能に対する効果は、メポリズマブおよびベンラリズマブと高い競争力を有している。
【0303】
表13に示すように、デクスプラミペキソールの投与により、複数の用量群でACQ-6スコアの改善が認められ、喘息治療の改善と喘息コントロールの改善の両方が示された。
【表13】
【0304】
AECが50%以上のサブグループにおけるより大きなACQ-6の改善、およびΔΔFEV1≧100mLのサブグループにおけるより大きなACQ-6の改善を、それぞれ図10および図11に示す。
【0305】
実施例3.T2-HIGH重度の喘息表現型(血中好酸球レベルを使用)に層別化された患者を対象とした無作為化、二重盲検、プラセボ対照、プラットフォーム臨床試験。
【0306】
BEAT-SA T2-HIGH試験(概要を表14に示す)では、デクスプラミペキソール投与患者における血中好酸球の低下が、対応するプラセボと比較して、重症増悪の抑制と関連しているかどうかを検証する。100名の参加者を募集し、50名をデクスプラミペキソール投与群、50名をプラセボ投与群に無作為に割り付ける。
【表14】
【0307】
参加資格基準
【0308】
包含基準:
●18歳以上、80歳未満の男女。
●文書によるインフォームドコンセントが可能であること。
●ATS/ERS重度の喘息ガイドラインに基づく重度の喘息の診断(参加者は、過去に高用量のICS投与により副作用が生じた場合、治験責任医師の判断により、ATS/ERS基準で承認されたよりも現在のICSの低用量で参加することができる)。
●スクリーニング前に少なくとも1ヶ月、安定した喘息治療を受けていること。
●MDTの最初の事前スクリーニングレビューから12ヶ月以内に2回以上の重度の増悪として定義される「増悪しやすい喘息」の病歴。喘息症状の悪化により、以下のうち1つ以上を必要とするものと定義される:
●3日以上の全身性ステロイド(錠剤、懸濁液、注射)の使用、または全身性ステロイドの増量(安定した維持ステロイドを使用している場合)。
●喘息が原因で新たに抗生物質を処方された日が3日以上ある場合。
●(i)および(ii)の両方。
●喘息による入院、または全身性ステロイド剤(錠剤、懸濁液、注射)、抗生物質を必要とする救急科の入院。
●上記のいずれかが7日以上離れて確認された場合、これらは別の/新たな増悪事象と定義されるであろう。
●研究プロトコルの要件を順守する意思と能力があること。
【0309】
除外基準
●スクリーニング時に、現在、治験薬または治験機器の試験に参加していること。
●治験期間中に21日以上の連休を予定している患者。
●スクリーニング前4ヶ月以内または半減期5回以内(いずれか長い方)にオマリズマブ、メポリズマブ、レスリズマブ、ベンラリズマブ、デュピルマブなどの生物製剤による治療を受けたことがある。
●スクリーニングから6ヶ月以内にすべての熱形成術の治療が完了したものと定義される、気管支熱形成術による最近の治療。
●スクリーニング訪問後4週間以内に入院した、または、高用量(≧10mgのプレドニゾロン/日)の経口コルチコステロイド(OCS)療法を新たに処方する必要があった患者。
●最近(スクリーニングから4週間以内)または現在、抗生物質を必要とする下気道感染症(喘息増悪以外の他の目的で服用した抗生物質は除く)。
●喘息以外の急性疾患で、治験開始時に患者の健康状態または治験の評価項目評価を損なう可能性があると治験責任医師が判断した場合。
●不安定または重篤な心疾患、肝疾患、腎疾患、あるいは治験責任医師が試験参加に禁忌と考えるその他の医学的に重要な疾患の既往歴がある。
●過去1年以内の現在の喫煙歴、または年間15パック年以上の喫煙歴(電子タバコを除く)。
●BMI(ボディマス指数)が17以下または45kg/m以上の患者。
●ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎またはC型肝炎の既往歴がある。
●局所再発または転移の有無にかかわらず、現在または過去5年以内に治療または未治療を問わず、任意の臓器系の悪性腫瘍(限局性皮膚基底細胞癌を除く)の既往歴がある。
●スクリーニングから2年以内に精神障害の診断および統計マニュアル(第5版)物質使用障害ガイドラインで定義されているアルコールまたは薬物乱用の既往(またはその疑いのある既往)があること。
●QT延長症候群の既往歴、あるいはスクリーニングまたはベースライン時にQTcF間隔(Fridericiaのもの)が450ミリ秒を超える延長をしている。
●女性の場合、妊娠中または授乳中であるか、あるいは試験期間中に妊娠する予定である。ここで、妊娠とは、受胎後、妊娠が終了するまでの女性の状態をいい、hCG検査陽性により確認される。
●試験薬投与中および治療後1ヶ月間、有効性の高い2種類の避妊法を使用していない限り、生理的に妊娠可能なすべての女性として定義される妊娠の可能性のある女性。
●治験薬投与中および最終投与後少なくとも3ヶ月間、有効な避妊方法を使用する意思のない男性。
●スクリーニング時に臨床的に重要な臨床検査異常(試験適応に関連しない)を有する患者(ただし、これらに限定されない)。
●スクリーニング時のASTまたはALT>2.0×正常上限(ULN)または総ビリルビン>1.3×ULN(ギルバート症候群の患者を除き、組み入れの適否は現地研究者の裁量に委ねられる)。
●スクリーニング時のMDRD方程式による推定糸球体濾過量(eGFR)<55mL/分/1.73m
●ベースラインから4週間以内のプラミペキソール(Mirapex(登録商標))による治療。
●臨床医により蠕虫寄生虫の未治療の感染症が疑われる患者。
●著しい好中球減少を伴うことが知られている薬剤の併用。
●スクリーニング時の絶対好中球数が2.0x10/L未満、またはスクリーニング後2年以内に現地治験責任医師が利用できるNHS電子病理システムで絶対好中球数が2.0x10/L未満の記録された履歴。
●好中球減少性疾患(好中球減少性敗血症など)の既往歴がある。
【0310】
試験的治療:参加者はデクスプラミペキソール150mg(または対応するプラセボ)を1日2回、最長52週間経口投与するよう無作為化される。
【0311】
評価:
【0312】
1.質問票
【0313】
ジュニパー喘息コントロール6点質問票(ACQ-6)-ベースラインおよび5、8、11、14回目の訪問時。ACQ-6は、喘息の症状コントロールの改善を評価するために使用される(6)。ACQ-6は、もともと17歳から90歳までの喘息患者を対象に検証された(2、3、GINAガイドラインで推奨されているいくつかの喘息コントロール指標の一つ)。ACQ-6は、症状評価に関する5項目と、救助用気管支拡張薬の使用に関する1項目の6項目から構成されている。ACQ-6は、最小の重要な差異(MID)または臨床的に重要と考えられる最小の変化(0.5)を含め、完全に検証されている。ACQ-6は、クリニックで自己記入する(質問1~6のみ)ので、数分で完了する。参加者は、過去1週間の体調を尋ねられ、0は「完全にコントロールされている」、6は「非常にコントロールされていない」ことを示す6段階評価で各項目を点数化する。合計得点は、すべての質問の平均値として計算される。この質問表は、他の評価の前に必ず完了する必要がある。
【0314】
ジュニパー喘息のQOL質問票(AQLQ S)-ベースラインおよび5、8、11、14回目の訪問時。試験参加者の健康関連QOLを測定するために、疾患別標準化版喘息のQOL質問票(AQLQ)が使用される。この尺度は、もともと17歳から70歳の喘息患者を対象に検証されたものである(7)。AQLQは、喘息患者にとって最も重要な機能的障害を測定するために設計された32項目の質問票である。症状、感情機能、環境刺激、活動制限の4つの領域から構成されている。最小の重要な差異(MID)または臨床的に重要と考えられる最小の変化(0.5)を含め、完全に検証されている。AQLQはクリニックで自己記入し、4~5分程度で完了する。AQLQはACQ-6とともに実施され、ACQ-6は1週間の回想法であるため、AQLQの記入者は過去1週間の体験も思い出し、各項目を7段階(7=全く障害なし~1=重度障害)で採点するよう求められる。AQLQは領域固有のスコアと合計スコアをもたらし、これは全32問に対する平均応答である。
【0315】
副鼻腔内アウトカム検査(SNOT-22)-ベースラインおよび5、8、11、14回目の訪問時。このテストは、身体的問題、機能的制限、感情的影響など、健康や健康に関連するQOLの幅広い問題を通じて、慢性鼻副鼻腔炎が参加者のQOLに与える影響を明らかにする(8)。質問は全部で22問あり、参加者は過去2週間の問題点を思い出し、評価するよう求められる。採点は、問題なし(0)、非常に軽度の問題(1)、軽度または軽微な問題(2)、中等度の問題(3)、重度の問題(4)、可能な限り悪い問題(5)の6つのバンドに分かれている。
【0316】
EuroQOL-5D-5L質問票-ベースラインおよび14回目の訪問時。EuroQOL-5D(EQ-5D-5L)は、臨床評価のためのシンプルで一般的な健康状態の尺度を提供するために標準化された健康状態の評価である(9,10)。5つの側面(可動性、セルフケア、普段の活動、痛み/不快感、不安/抑うつ)をカバーする2ページからなり、参加者はこれらの各側面でどの程度の容易さまたは困難さを有しているか、最もよく表す付属文を選択する(1を問題/痛み/不安/抑うつなし、5をできない/極度の不安/抑うつとして採点する)。また、アンケートでは、その日の健康状態を1~100のスケールで、1=想像できる最悪の健康状態、100=想像できる最高の健康状態として回答してもらう。
【0317】
労働生産性および活動障害質問票(WPAI)-ベースラインおよび14回目の訪問時。WPAIは、有給および無給の活動の障害を測定するために使用される6項目の質問紙である。参加者は、雇用されているかどうか、過去7日間に健康問題やその他の理由で休んだ時間、実際に働いた時間、健康状態が仕事中の生産性にどの程度影響したか、健康状態が通常の無給の活動の生産性にどの程度影響したか(0=影響なし、10=強い影響)を思い出すよう質問される。結果はパーセンテージに変換される。
【0318】
肺機能検査
【0319】
呼気中一酸化窒素分画(FeNO)-ベースラインおよび5、8、11、14回目の訪問時。呼気中一酸化窒素分画(FeNO)は、気道炎症の非侵襲的マーカーとして広く受け入れられている。呼気中一酸化窒素分画は、ATSおよびERSによる呼気中一酸化窒素の測定に適した機器の校正を含む標準化技術に関する最近発表されたガイドラインに従って測定される(12)。肺活量測定操作により呼気NO濃度が一時的に低下することが示されているため、FeNO測定は肺活量測定評価の前に実施する必要がある。FeNO測定は、個々の試験参加者について、試験会場で同じ時間帯に実施されなければならない。再現性のある呼気を繰り返し行い、互いの測定値が10%以内に収まるようにする必要がある。呼気NOはこれら2つの値の平均値である。呼気の持続時間は、安定したNOプラトーを得るために十分でなければならない(最大10秒)。患者を疲れさせないために、呼気を繰り返す間に休ませるため、少なくとも30秒間の周期性呼吸をさせる。参加者は、適切な高さと位置に機器を設置し、快適に着席している必要がある。参加者は、測定の少なくとも2時間前に飲食を控える。参加者は、測定の1時間前から激しい運動を避ける必要がある。FeNO値は気道閉塞の程度や気管支拡張後に変化することがあるため、最後に気管支拡張薬を投与した時間を記録しておく必要がある。呼吸器感染症は、喘息における呼気中NO濃度の上昇につながる可能性があるため、参加者の医療ファイル(およびCRFにAEとして)に記録する必要がある。息止めはNOの蓄積を招き、呼気NOの対時間プロファイルにNOピークを生じさせるので、FeNOの前に行うべきではない。
【0320】
肺活量測定ベースラインおよび5、8、11、14回目の訪問時。機器。肺活量計は、米国胸部学会(ATS)/ERSの肺活量測定の標準化で推奨されている仕様と性能基準を満たしている必要がある。肺活量計はFVCトレーシングを印刷する能力を有していなければならない。(Global Lung Function Initiative[GLI]に沿って)肺活量測定評価は適切に行われ、すべての値はZスコア正規化値としてGLI国際肺活量測定参照式に従って報告されなければならない。較正スパイロメーターは、毎朝、試験のための肺活量測定を行う前に較正する必要がある。較正値は記録され、ソースデータとして施設に保存される。
【0321】
実施例4:重症好酸球性喘息における喘息増悪に対するデクスプラミペキソールの効果に関する無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験
【表15】
【0322】
本明細書で引用した各特許、特許出願、刊行物およびアクセッション番号の開示内容は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【0323】
本開示は、様々な実施形態を参照して開示されてきたが、本開示の真の精神及び範囲から逸脱することなく、これらの他の実施形態及び変形が当業者によって考案され得ることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような実施形態及び同等の変形を含むように解釈されることを意図している。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】