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特表2023-538301ダイマー酸およびダイマーアミンを含む脂肪族および半芳香族ポリアミド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(54)【発明の名称】ダイマー酸およびダイマーアミンを含む脂肪族および半芳香族ポリアミド
(51)【国際特許分類】
   C08G 69/48 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
C08G69/48
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509666
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(85)【翻訳文提出日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 US2021045897
(87)【国際公開番号】W WO2022036189
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】63/065,281
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】509354042
【氏名又は名称】アセンド・パフォーマンス・マテリアルズ・オペレーションズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ASCEND PERFORMANCE MATERIALS OPERATIONS LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】レイ,ジェイコブ・ジー
(72)【発明者】
【氏名】スパークス,ブラッドリー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ラマクリシュナン,ラメシュ
(72)【発明者】
【氏名】ソーマシリ,ナナヤッカーラ・エル
【テーマコード(参考)】
4J001
【Fターム(参考)】
4J001DA01
4J001EA07
4J001EA08
4J001EB08
4J001EB09
4J001EB10
4J001EB36
4J001EB37
4J001EC08
4J001EC09
4J001FA03
4J001FB03
4J001FB06
4J001FC03
4J001FC06
4J001GA12
4J001GB02
4J001GB03
4J001GE16
4J001JB06
4J001JB07
4J001JB08
4J001JB17
4J001JB21
4J001JB22
4J001JB32
(57)【要約】
ポリアミドポリマーを45重量%~95重量%、C18~44ダイマー酸もしくはC18~44ダイマーアミンまたはこれらの組合せを含む変性剤を5重量%~55重量%含む、ポリアミド組成物。ポリアミドポリマーの数平均分子量は30,000g/mol未満である。ポリアミド組成物は、3.0重量%未満の重量損失をもたらす、58℃で14日間のHCl(10%)への曝露によって測定される耐化学性、およびRH95%で水分約2.0重量%未満の吸湿性を有する。ポリアミド組成物を調製する方法も開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミドポリマーを45重量%~95重量%、
18~44ダイマー酸もしくはC18~44ダイマーアミンまたはこれらの組合せを含む変性剤を5重量%~55重量%、
含む、ポリアミド組成物であって、
ポリアミド組成物が、
30,000g/mol未満であるポリアミドポリマーの数平均分子量、
3.0重量%未満の重量損失をもたらす、58℃で14日間のHCl(10%)への曝露によって測定される耐化学性、および
RH95%で水分約2.0重量%未満の吸湿性
を有する、ポリアミド組成物。
【請求項2】
ポリアミドポリマーが、PA10、PA11、PA12、PA6,6、PA6,9、PA6,10、PA6,11、PA6,12、PA6,13、PA6,14、PA6,15、PA6,16、PA6,17、PA6,18、PA10,10、PA10,12、PA12,12、PA9T、PA10T、PA11T、PA12T、PA6T/66、PA6T/6I、PA6T/6I/66、PA6T/DT、PA6,T/6,10、PA6,T/6,12、PA6,T/6,13、PA6,T/6,14、PA6,T/6,15、PA6,T/6,16、PA6,T/6,17、PA6,T/6,18、PA6,C/6,10、PA6,C/6,12、PA6,C/6,13、PA6,C/6,14、PA6,C/6,15、PA6,C/6,16、PA6,C/6,17もしくはPA6,C/6,18またはこれらの組合せを含む、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項3】
ポリアミドポリマーが、PA6,10、PA6,12またはこれらの組合せを含む、請求項2に記載のポリアミド組成物。
【請求項4】
組成物が、単一のダイマー酸または単一のダイマーアミンのいずれかを含む単一の変性剤を含む、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項5】
ポリアミド組成物が、165℃~270℃または170℃~215℃の溶融温度を有する、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項6】
ポリアミド組成物が、変性剤を20重量%~45重量%含む、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項7】
ポリアミド組成物が、6:1~15:1または9:1~15:1の範囲のメチル/アミド比を有する、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項8】
ポリアミドポリマーの数平均分子量が、10,000g/mol~25,000g/molの範囲である、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項9】
ポリアミドポリマーが、10μeq/g~110μeq/gまたは35μeq/g~80μeq/gの範囲のアミン末端基含有量を有する、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項10】
5重量%超の量で存在するガラス繊維、
0.3重量%超の量で存在する潤滑剤、および
3重量%超の量で存在する衝撃変性剤
のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項11】
ポリアミドポリマーがPA6,12を含み、ダイマー変性剤が、15重量%~50重量%の範囲の量で存在し、
ダイマー変性剤が単一のダイマーアミンであり、ポリアミド組成物が、少なくとも50%の引張伸びを示す場合と、
ダイマー変性剤が単一のダイマー酸であり、ポリアミド組成物が、少なくとも20%の引張伸びを示す場合
のいずれか一方である、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項12】
ポリアミドポリマーがPA6,12を含み、ダイマー変性剤が、35重量%~55重量%の範囲の量で存在する単一のダイマーアミンであり、ポリアミド組成物が、4.5kJ/m超である23℃でのノッチ付きシャルピー衝撃エネルギー損失を示す、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項13】
ポリアミドポリマーがPA6,12を含み、ダイマー変性剤が、約20重量%の量であり、ポリアミド組成物が、3.5kJ/m超である23℃でのノッチ付きシャルピー衝撃エネルギー損失、50MPa超の引張強度および1950MPa超の引張係数を示す、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項14】
ポリアミドポリマーを45重量%から95重量%、
18~44ダイマー酸もしくはC18~44ダイマーアミンまたはこれらの組合せを含む変性剤を5重量%~55重量%、
含むポリアミド組成物を含む、成形品であって
成形品組成物が:
30,000g/mol未満であるポリアミドポリマーの数平均分子量、
3.0重量%未満の重量損失をもたらす、58℃で14日間のHCl(10%)への曝露によって測定される耐化学性、および
RH95%で水分約2.0重量%未満の吸湿性
を有する、成形品。
【請求項15】
ポリアミド組成物を調製する方法であって、
高固体モノマー溶液を水性塩中で調製するステップであって、固形分が80%超である、ステップと、
高固体モノマー溶液を蒸発器で蒸発させるステップであって、開始濃度が60重量%超である、ステップと、
18~44ダイマー酸もしくはC18~44ダイマーアミンまたはこれらの組合せを含む変性剤を添加して、単一の混合物を形成するステップであって、変性剤が蒸発器を迂回する、ステップ
を含み、
ポリアミド組成物が、
30,000g/mol未満であるポリアミドポリマーの数平均分子量、
3.0重量%未満の重量損失をもたらす、58℃で14日間のHCl(10%)への曝露によって測定される耐化学性、および
RH95%で水分約2.0重量%未満の吸湿性
を示す、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2020年8月13日に出願された米国仮特許出願第63/065,281号に対する優先権を主張する。
【0002】
[0002]本開示は全般的に、機械的特性および耐温度性を維持しながら、耐化学性の改善および吸湿性の低下を有するポリアミド組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]多種多様な天然および人工ポリアミドは、その高い耐久性および強度により様々な用途での使用が見出されている。一部のポリアミド組成物は、高い融点、高い再結晶化温度、速い射出成形サイクル時間、高い流動性、靭性、弾性、耐化学性、固有の難燃性および/または耐摩耗性を有するように配合され得る。これらの望ましい化学的および機械的特性は、ポリアミド組成物を、管材、ケーブルタイ、スポーツ用品およびスポーツウェア、銃床(gun stocks)、窓断熱層(window thermal breaks)、エアルゾル弁、自動車/車両部品、テキスタイル、工業用繊維、カーペットならびに電気/電子部品などの多様な製品を構築する上での使用に適したものにすることができる。
【0004】
[0004]一例として、自動車産業には、排気ガスを低減し、燃料消費の効率を高める環境的必要性がある。これらの目標を達成する1つの手法は、金属部品を熱可塑性のものと置き換えることによって、全体的な車両重量を低減することである。しばしば、ポリアミド組成物は、エンジンルームにおけるこのような重量の低減を提供するために使用されてきた。これらのポリアミド組成物の一部は、前述の耐熱性、機械的強度および全体の外観により自動車用に特によく適していることも見出された。例示的な用途としては、オイルおよびガス用の管材もしくは外被または化学用途、航空宇宙用途、ワイヤおよびケーブル用途、ソーラー産業用のバックパネル、様々な消費者用途ならびに自動車用途を挙げることができる。用途としては、中でも、優れた耐加水分解性を必要とする、食洗器のラックおよびショッピングカート用の粉末コーティング、オイルおよびガス用途用の柔軟な管材またはホース、電気コネクタならびにソーラーバックパネルシアー(solar backpanel sheer)も挙げられる。用途、例えばラジエータエンドタンクまたはアンダーボディ部品は、耐CaCl性などの耐化学性も必要とし得る。
【0005】
[0005]米国特許出願公開第2019/0194392号は、少なくとも1種のコポリアミドを含むポリマーフィルムを開示する。コポリアミドは、少なくとも1種のC~C12ジカルボン酸および少なくとも1種のC~C12ジアミンを含有する第1のモノマー混合物(M1)、ならびに少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸および少なくとも1種のC~C12ジアミンを含有する第2のモノマー混合物(M2)を重合することによって調製される。用途はさらに、ポリマーフィルムを製造するための方法、および高い耐引き裂き伝播性を示す包装フィルムなどの高温用途のためのポリマーフィルムとしての使用のためのコポリアミドに関する。コポリアミドは、2種の別個のモノマー混合物を重合することによって調製され、得られたフィルムは220℃~290℃の範囲の溶融温度を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]フィルム用の従来のポリアミド組成物(上記を参照のこと)は必然的に、一般に高度の耐化学性および吸湿性の低下、例えば寸法変化の最小化、ならびに機械的強度を必要とする非フィルム用途のための特性を欠く。したがって、既存の技術分野を考慮しても、非フィルム用途に好適な機械的強度および耐温度性と耐化学性および吸湿性の低下の両方を効率的に発揮する改善されたポリアミド組成物に対する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]一実施形態では、開示は、ポリアミドポリマーを45重量%~95重量%および変性剤を5重量%~55重量%含むポリアミド組成物についてのものである。変性剤は、ダイマー酸もしくはダイマーアミンまたはこれらの組合せを含む。ポリアミド組成物は、3.0重量%未満の重量損失をもたらす、58℃で14日間のHCl(10%)への曝露によって測定される耐化学性、および/またはRH95%で水分約2.0重量%未満の吸湿性を示すことができる。ある特定の実施形態では、ポリアミド組成物は、6:1~15:1の範囲のメチル/アミド比を有する。ある特定の実施形態では、ポリアミド組成物は、9:1~15:1の範囲のメチル/アミド比を有する。ある特定の実施形態では、ポリアミド組成物は、ダイマー酸もしくはダイマーアミンまたはこれらの組合せを含む変性剤を20重量%~45重量%含む。場合によっては、ポリアミド組成物は、RH95%で水分約1.6重量%未満の吸湿性を示すことができる。ある特定の実施形態では、ポリアミドポリマーは、PA10、PA11、PA12、PA6,6、PA6,9、PA6,10、PA6,11、PA6,12、PA6,13、PA6,14、PA6,15、PA6,16、PA6,17、PA6,18、PA10,10、PA10,12、PA12,12、PA9T、PA10T、PA11T、PA12T、PA6T/66、PA6T/6I、PA6T/6I/66、PA6T/DT、PA6,T/6,10、PA6,T/6,12、PA6,T/6,13、PA6,T/6,14、PA6,T/6,15、PA6,T/6,16、PA6,T/6,17、PA6,T/6,18、PA6,C/6,10、PA6,C/6,12、PA6,C/6,13、PA6,C/6,14、PA6,C/6,15、PA6,C/6,16、PA6,C/6,17、PA6,C/6,18またはこれらの組合せを含む。ある特定の実施形態では、ポリアミドポリマーはPA6,6を含む。ある特定の実施形態では、ポリアミドポリマーはPA6,10を含む。ある特定の実施形態では、ポリアミドポリマーはPA6,12を含む。ある特定の実施形態では、ポリアミドポリマーは、PA6T/66、PA6T/6I、PA6T/6I/66、PA6T/DT、PA6,T/6,10、PA6,T/6,12、PA6,T/6,13、PA6,T/6,14、PA6,T/6,15、PA6,T/6,16、PA6,T/6,17、PA6,T/6,18またはこれらの組合せを含む。ある特定の実施形態では、ポリアミドポリマーの数平均分子量は、9,000g/mol~60,000g/molの範囲である。ある特定の実施形態では、ポリアミドポリマーの数平均分子量は、20,000g/mol~45,000g/molの範囲である。ある特定の実施形態では、ポリアミドポリマーの数平均分子量は、12,000g/mol~20,000g/molの範囲である。ある特定の実施形態では、ポリアミドポリマーは、10μeq/g~110μeq/gの範囲のアミン末端基含有量を有する。ある特定の実施形態では、ポリアミドポリマーは、35μeq/g~80μeq/gの範囲のアミン末端基含有量を有する。ある特定の実施形態では、ポリアミド組成物は、ガラス繊維を最大60重量%さらに含む。ある特定の実施形態では、ポリアミド組成物は、潤滑剤を最大2重量%さらに含む。ある特定の実施形態では、ポリアミド組成物は、ニグロシン染料、銅含有化合物、可塑剤もしくは難燃剤またはこれらの組合せから選択される添加剤をさらに含む。ある特定の実施形態では、ポリアミド組成物は、炭酸カルシウム、タルク、水酸化マグネシウム、カオリン粘土またはこれらの組合せから選択される鉱物添加剤を最大30重量%さらに含む。ある特定の実施形態では、ポリアミド組成物は、変性オレフィン、未変性オレフィン、無水マレイン酸変性オレフィン、無水マレイン酸未変性オレフィン、アクリレートもしくはアクリルまたはこれらの組合せから選択される衝撃変性剤をさらに含む。一部の実施形態では、ポリアミドポリマーはPA6,12を含み、ダイマー変性剤は、15重量%~50重量%の範囲の量で存在するダイマーアミンであり、ポリアミド組成物は、少なくとも50%の引張伸びを示す。一部の実施形態では、ポリアミド組成物は、ポリアミドポリマーPA6,12を含み、ダイマー変性剤は、15重量%~50重量%の範囲の量で存在するダイマー酸であり、ポリアミド組成物は、少なくとも20%の引張伸びを示す。一部の実施形態では、ポリアミド組成物は、ポリアミドポリマーPA6,12を含み、ダイマー変性剤は、35重量%~55重量%の範囲の量で存在するダイマーアミンであり、ポリアミド組成物は、4.5kJ/m2超である23℃でのノッチ付きシャルピー衝撃エネルギー損失を示す。一部の実施形態では、ポリアミド組成物は、ポリアミドポリマーPA6,12を含み、ダイマー変性剤は、約20重量%の量であり、ポリアミド組成物は、3.5kJ/m2超である23℃でのノッチ付きシャルピー衝撃エネルギー損失、50MPa超の引張強度および1950MPa超の引張係数を示す。ある特定の実施形態では、ポリアミド組成物は、30%超の引張伸びを示す。ある特定の実施形態では、ポリアミド組成物は、3kJ/m2超である23℃でのノッチ付きシャルピー衝撃エネルギー損失を示す。ある特定の実施形態では、ポリアミド組成物は、650MPa超の引張係数を示す。ある特定の実施形態では、ポリアミド組成物は、13%超の引張伸びを示す。ある特定の実施形態では、ポリアミド組成物は、参照PA6,12材料または参照PA12材料のものを超える耐摩耗性を示す。
【0008】
[0008]別の実施形態では、開示は、射出成形品についてのものである。物品は、提供されるポリアミド組成物のいずれかを含む。
【0009】
[0009]さらに別の実施形態では、開示は物品についてのものである。物品は、提供されるポリアミド組成物のいずれかを含む。物品は、押出品、異形押出品、モノフィラメントまたは繊維であってよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】[0010]ホモポリマーPA6,12およびPA12と比較した、本明細書の一部の実施形態によるポリアミドの温度の関数としての貯蔵係数を例示するプロットである。
図2】[0011]ホモポリマーPA6,12およびPA12と比較した、本明細書の一部の実施形態によるポリアミドの温度の関数としてのTanδのピークとして示される、ガラス転移T挙動を例示するプロットである。
図3】[0012]ホモポリマーPA6,12およびPA12と比較した、本明細書の一部の実施形態によるポリアミドの吸湿性を例示する棒グラフである。
図4】[0013]ホモポリマーPA6,12およびPA12と比較した、本明細書の一部の実施形態によるポリアミドの重量損失を例示するプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0014]本開示は全般的に、例えば(非フィルム)押出および射出成形用途で使用した場合、耐化学性と吸湿性の低下の両方の有利な改善を提供するポリアミド組成物に関する。例えば、ポリアミド組成物から製造された押出または成形熱可塑性部品は、高い耐化学性を示し、これらの部品を、金属と置き換えることができる軽量建設材料を必要とする様々な用途において使用することを可能にすることが見出された。このような成形プラスチック部品は、吸湿性の低下を示し、材料が気候と無関係の不要な経時的寸法変化を最小限に抑えることを可能にする。本明細書に記載されるように、高レベルの耐化学性および低い吸湿性を有しながら、より柔軟な材料を相乗的に可能にするようにダイマー含有量を介して係数を調整する能力は、独特である。製造コストの低下に加えて、これらの利点は、本明細書に記載のポリアミド組成物によって達成された。
【0012】
[0015]典型的なポリアミド樹脂および組成物は、これらの需要を同時に満たすことができなかった。この1つの理由は、耐化学性の向上または吸湿性の低下を目的としてポリアミド組成物になされる従来の変性が、材料の機械的特性に悪影響を与えることが当技術分野で公知であるためである。場合によっては、建設用途を対象とする典型的なポリアミド調製物は、さらなる補強を供給するためにガラス繊維などの充填剤を含んでいた。しかし、ガラス繊維の添加は、自動車および他の用途に所望される、伸びおよび衝撃強度などの機械的特性の低下をもたらした。
【0013】
[0016]当技術分野で周知であるように、フィルムのためのポリマー配合物は、非フィルム用途に使用されるものとかなり異なるように開発される。いくつかの例として、フィルム配合物は、望ましくはより低い結晶化度、より低い結晶化速度およびより高い分子量を示し、分子量については、フィルム用途は、典型的には、25,000g/mol超または25,000g/mol超の数平均分子量(M)値を有する。対照的に、成形または押出化合物は、典型的には、とりわけ長鎖ポリアミド、例えば(PA6,10、PA6,12、PA11、PA12など)に基づくポリアミドについては、10,000g/mol~25,000g/molのM値を有するため、これらの特性は、本明細書に記載の組成物などの非フィルム用途には望ましくない。成形品については、高いレベルの結晶化度および速い結晶化速度の調整は、速いサイクル時間に望ましい。加えて、フィルム配合物は、本明細書に記載の組成物の一部の実施形態において企図される高いレベルの潤滑剤(例えば1000ppm超)、衝撃変性剤、可塑剤、着色剤、ガラスを企図しない。さらに、フィルム配合物へのこれらの成分の添加は、さらなるコストおよび複雑な処理が加わるだけで、ほとんどまたは全く利益がない。
【0014】
[0017]よりさらに、フィルム配合物は、典型的には、本質的に高い吸湿性値を有するPA6ベースの配合物(またはPA6,6)に基づく。したがって、従来のPA6ベースの配合物は、良好な吸湿性の性能を提供するための変性剤を不要とする。有利には、これらから製造される開示の配合物および部品は、PA-6含有量を有さずに、優れた耐化学性および耐加水分解性を達成することができる。
【0015】
[0018]本明細書に開示されるように、ポリアミド組成物での、例えば(長鎖および/または高温)ポリアミド組成物でのダイマー酸および/またはダイマーアミンの使用は、驚くべきことに、依然として強度および高温性能を維持しながら、耐化学性の向上と吸湿性の低下の両方を示す材料を提供する。さらに、一部の態様では、耐化学性および/または吸湿性の特性は、全体的な機械的性能と共に相乗的に改善できる。詳細には、本発明者らは、ある一定のタイプ、量および比のポリアミドポリマー、ダイマー変性剤、ガラス繊維、衝撃変性剤、溶融安定剤(潤滑剤)および任意選択の熱安定剤が、組み合わされて、機械的特性および衝撃特性を維持しながら、驚くべき耐化学性および吸湿性の低下を有する組成物を製造できることを見出した。理論に拘束されずに、ダイマー変性剤、例えばダイマー酸およびダイマーアミンは、他の成分と作用して、係数、耐温度性、耐衝撃性、耐化学性および寸法安定性に関連する用途要件を相乗的に満たすと考えられる。
【0016】
[0019]一般に、ダイマー酸またはダイマーアミンは、引張強度に有害な影響を有することが公知であった。しかし、開示の変性剤が、前述のポリアミド組成物の成分と一緒に使用される場合、予想外のバランスが取られ、引張性能の損失がほとんどまたは全く観察されず、驚くべきことに、耐化学性および吸湿性が著しく改善される。場合によっては、開示の配合物は、前述の性能利点を達成するために、単一のダイマー変性剤またはダイマー変性剤の組合せを含有することができる。
【0017】
[0020]対照的に、従来の配合物、例えば米国特許出願第2019/0194392号などのフィルム配合物は、少なくとも2種のモノマー混合物それぞれに異なるジアミンを必要とし、強度特性を維持しながら、耐化学性および吸湿性の性能を有することはない。やはり、これらの特性は、フィルムには望ましくないが、成形部品、例えば自動車部品には望ましい。
【0018】
[0021]とりわけ、有利な耐化学性および吸湿性の特性を同時に可能にする上での(本明細書に開示されるものなどの)成分比の重要性は、以前は認識されていなかった。加えて、吸湿性とメチル/アミド比の反比例の直線関係は、以前は認識されていなかった。メチル/アミド比はまた、引張伸び、耐摩耗性およびシャルピー衝撃に対して比例的に増加する。別の利点は、とりわけ軽量が所望される用途での使用については、メチル/アミド比の増加による密度の低下である。
【0019】
[0022]一態様では、ポリアミド組成物が開示される。組成物は、ポリアミドポリマーおよびダイマー酸もしくはダイマーアミンまたはこれらの組合せを含み得る変性剤を含む。以下により詳細に記載されるように、場合によっては、組成物は、好ましくはポリアミドポリマーを45重量%~95重量%および変性剤を5重量%~55重量%含む。ポリマー組成物中でこれらの成分を(任意選択で本明細書に開示される濃度および比で)使用することによって、改善された耐化学性および吸湿性の特性を示すポリアミド組成物、例えば酸、塩基および様々な化学物質に対する改善された耐化学性、ならびに/または相対湿度(RH)95%で水分約2.0重量%未満の吸湿性を示すポリアミド組成物が提供される。本明細書に開示されるポリアミド組成物は、高い引張伸び、23℃でのノッチ付きシャルピー衝撃エネルギー損失により測定される高い耐衝撃性、高い引張係数および高い耐摩耗性を含む、有利な機械的特性も示す。
【0020】
[0023]次に、ポリアミド組成物の成分が、個々に考察される。これらの成分は、前述のポリアミド組成物を形成するために互いに使用され得ることが企図される。
【0021】
ポリアミドポリマー
[0024]開示の組成物のポリアミドは様々であってよく、1種のポリアミドポリマーまたは2種以上のポリアミドポリマーを含むことができる。例示的なポリアミドおよびポリアミド組成物は、Kirk-Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、第18巻、328~371頁(Wiley 1982)に記載されており、その開示は参照により組み込まれる。簡単に言えば、ポリアミドは、ポリマー主鎖の不可欠な部分として反復アミド基を含有する生成物である。直鎖ポリアミドに特に関心があり、これは、当技術分野で周知であるように、二官能性モノマーの縮合から形成され得る。ポリアミドはしばしばナイロンと称される。特定のポリアミドポリマーおよびコポリマーならびにこれらの調製物は、例えば米国特許第2,071,250号、第2,071,251号、第2,130,523号、第2,130,948号、第2,241,322号、第2,312,966号、第2,512,606号、第3,236,914号、第3,472,916号、第3,373,223号、第3,393,210号、第3,984,497号、第3,546,319号、第4,031,164号、第4,320,213号、第4,346,200号、第4,713,415号、第4,760,129号、第4,981,906号、第5,504,185号、第5,543,495号、第5,698,658号、第6,011,134号、第6,136,947号、第6,169,162号、第6,197,855号、第7,138,482号、第7,381,788号および第8,759,475号に記載されており、これらはそれぞれ、あらゆる目的のために全体が参照により組み込まれる。
【0022】
[0025]本開示のポリアミドは、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、ポリフタルアミドおよびこれらの組合せを含む。ポリアミド組成物は、PA10、PA11、PA12、PA6,6、PA6,9、PA6,10、PA6,11、PA6,12、PA6,13、PA6,14、PA6,15、PA6,16、PA6,17、PA6,18、PA10,10、PA10,12、PA12,12、PA9T、PA10T、PA11T、PA12T、PA6T/66、PA6T/6I、PA6T/6I/66、PA6T/DT、PA6,T/6,10、PA6,T/6,12、PA6,T/6,13、PA6,T/6,14、PA6,T/6,15、PA6,T/6,16、PA6,T/6,17、PA6,T/6,18、PA6,C/6,10、PA6,C/6,12、PA6,C/6,13、PA6,C/6,14、PA6,C/6,15、PA6,C/6,16、PA6,C/6,17もしくはPA6,C/6,18またはこれらの組合せなどの1種または複数のポリアミドを含むことができる。一部の実施形態では、本明細書に開示されるポリアミドは、PA6および/またはPA6,6を欠くかまたは実質的に欠き、例えばPA-6を5重量%未満、例えば3重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.1重量%未満含有するか、またはPA-6を全く含有しない。
【0023】
[0026]場合によっては、組成物の1種または複数のポリアミドポリマーは、強度および耐温度性で公知である、PA6,6、PA6,10およびPA6,12などの脂肪族系を含む。組成物の1種または複数のポリアミドポリマーは、ポリヘキサメチレンアジパミド(PA6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(PA6,10)、ポリヘキサメチレンドデカンジアミド(PA6,12)または他の脂肪族ナイロンなどの脂肪族ポリアミド、パラフェニレンジアミンおよびテレフタル酸などの芳香族成分を含むポリアミド、ならびにアジピン酸と2-メチルペントメチレンジアミンなどのコポリマー、およびそのナトリウムサルタネート(sodium sultanate)の塩の形態の3,5-ジカルボキシベンゼンスルホン酸またはスルホイソフタル酸を含むことができる。ポリアミドは、ポリアミノウンデカン酸、ならびにビス-パラアミノシクロヘキシルメタンおよびウンデカン酸のポリマーを含むことができる。他のポリアミドは、ポリ(アミノドデカノアミド)、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリ(p-キシレンアゼルアミド)、ポリ(m-キシレンアジパミド)およびビス(p-アミノシクロヘキシル)メタンとアゼラインとセバシンと同族の脂肪族ジカルボン酸からのポリアミドを含む。本明細書で使用する用語「PA6,12ポリマー」および「PA6,12ポリアミドポリマー」は、PA6,12が主成分であるコポリマーも含む。本明細書で使用する用語「PA6,6ポリマー」および「PA6,6ポリアミドポリマー」は、PA6,6が主成分であるコポリマーも含む。一部の実施形態では、PA-6,6/6I、PA-6I/6TもしくはPA-6,6/6Tなどのコポリマーまたはこれらの組合せは、ポリアミドポリマーとしての使用が企図される。場合によっては、これらのポリマーの物理的ブレンド、例えば溶融ブレンドが企図される。一実施形態では、ポリアミドポリマーは、PA6,12もしくはPA12またはこれらの組合せを含む。
【0024】
[0027]上述のように、長鎖ポリアミドが全般的に企図される。場合によっては、PA6,10、PA6,12、PA10および/またはPA12が前述のダイマー変性剤と共に特に相乗的な結果を示す。多くのフィルム配合物の参考文献はポリアミドを広範に開示する場合が多いが、これらの長鎖ポリアミドは重視されない。従来の配合物は、本明細書で見出され、示された、長鎖ポリアミドによって示される相乗的利点を企図していない。
【0025】
[0028]一部の実施形態では、ポリアミド組成物は、ラクタムの共重合および/または共重縮合を含む、開環重合または重縮合により製造されるポリアミドを含む。これらのポリアミドは、例えばプロプリオラクタム、ブチロラクタム、バレロラクタムおよびカプロラクタムから製造されるものを含むことができる。例えば、一部の実施形態では、組成物は、カプロラクタムの重合に由来するポリアミドポリマーを含む。一部の実施形態では、ポリアミド組成物はラウロラクタムまたはPA12を含むことができる。場合によっては、これらのラクタム成分は、任意選択と考慮され得る。
【0026】
[0029]場合によっては、開示の組成物は、例えば特許請求の範囲の言語によって、この項の前述の添加剤のうちの1つまたは複数を明確に除外し得る。例えば、特許請求の範囲の言語は、開示の組成物、方法などが、前述のラクタムのうちの1つまたは複数を利用しないかまたは含まないことを列挙するように変更され得る。これは、本明細書に開示される多くの添加剤および/または成分に適用可能である。
【0027】
[0030]ポリアミド組成物は、場合によっては、高い強度、高い耐温度性、ならびに長期の熱曝露に対する適切な耐性および絶縁耐力で公知である半芳香族ポリアミドを含む。ポリアミド組成物は、PA6T/66、PA6T/6IおよびPA6T/DTなどのポリフタルアミドを含むことができる。ポリフタルアミドは、テレフタル酸および/またはイソフタル酸の残留物が、ASTMD5336によって分類されるように、繰り返し単位を少なくとも55モルパーセント含む、半芳香族ポリアミドとして定義される。例えば、ポリアミドは、PA-4T/4I、PA-4T/6I、PA-5T/5I、PA-6、PA-6,6、PA-6,6/6、PA-6,6/6T、PA-6T/6I、PA-6T/6I/6、PA-6T/6、PA-6T/6I/66、PA-6T/MPDMT(MPDMTは、ジアミン成分としてヘキサメチレンジアミンおよび2-メチルペンタメチレンジアミン、ならびに二酸成分としてテレフタル酸の混合物に基づくポリアミドである)、PA-6T/66、PA-6T/610、PA-10T/612、PA-10T/106、PA-6T/612、PA-6T/10T、PA-6T/10I、PA-9T、PA-10T、PA-12T、PA-10T/10I、PA-10T/12、PA-10T/11、PA-6T/9T、PA-6T/12T、PA-6T/10T/6I、PA-6T/6I/6、PA-6T/61/12およびこれらの組合せから選択されるポリフタルアミドを含むことができる。
【0028】
[0031]ポリアミド組成物全体の1種または複数のポリアミドポリマーの濃度は、例えば45重量%~95重量%、例えば45重量%~55重量%、50重量%~60重量%、55重量%~65重量%、60重量%~70重量%、65重量%~75重量%、70重量%~80重量%、75重量%~85w%、80重量%~90重量%、85重量%~95重量%の範囲またはこれらの任意の部分範囲であってよい。一部の実施形態では、1種または複数のポリアミドポリマーの濃度は、50重量%~85重量%の範囲である。ある特定の態様では、1種または複数のポリアミドポリマーの濃度は、45重量%~65重量%の範囲である。上限に関して、組み合わせたポリアミドポリマーの濃度は、95重量%未満、例えば90重量%未満、85重量%未満、80重量%未満、75重量%未満、70重量%未満、65重量%未満、60重量%未満、55重量%または50重量%未満であってよい。下限に関して、組み合わせたポリアミドポリマーの濃度は、45重量%超、例えば50重量%超、55重量%超、60重量%超、65重量%超、70重量%超、75重量%超、80重量%超、85重量%超または90重量%超であってよい。より低い濃度、例えば45重量%未満およびより高い濃度、例えば95重量%超も企図される。これらの範囲および限度は、個々のポリアミドに同様に適用可能であり得る。
【0029】
[0032]本明細書で使用する「超(greater than)」および「未満(less than)」は、それに関連する数字も含むことができる。別の言い方をすれば、「超」および「未満」は、「以上(greater than or equal to)」および「以下(less than or equal to)」として解釈されてもよい。この言語は、その後、「等しい(or equal to)」を含むように特許請求の範囲において変更されてもよいことが企図される。例えば、「4.0超」は、「4.0以上」と解釈されてもよく、その後特許請求の範囲において変更されてもよい。
【0030】
[0033]場合によっては、1種または複数のポリアミドポリマーについて開示された範囲および限度は、PA6,6に適用可能である。場合によっては、1種または複数のポリアミドポリマーについて開示された範囲および限度は、PA6,10に適用可能である。場合によっては、1種または複数のポリアミドポリマーについて開示された範囲および限度は、PA6,12に適用可能である。場合によっては、1種または複数のポリアミドポリマーについて開示された範囲および限度は、PA6T/66、PA6T/6I、PA6T/6I/66、PA6T/DT、PA6,T/6,10、PA6,T/6,12、PA6,T/6,13、PA6,T/6,14、PA6,T/6,15、PA6,T/6,16、PA6,T/6,17もしくはPA6,T/6,18またはこれらの組合せに適用可能である。
【0031】
[0034]ある特定の態様では、1種または複数のポリアミドポリマーは、PA6,6ポリマーを含む。PA6,6は、高温で高い強度および剛性、ならびに低温でも良好な衝撃強度を有し、強度、耐温度性、靭性および耐化学性を含む特性のバランスを求める広範囲の用途での使用に対する顕著な利点を伝達する。さらに、PA6,6ポリマーの速い結晶化速度と相まって高い結晶化度は、PA6,6を含むポリアミドポリマーを射出成形方法に望ましいものにする。1種または複数のポリアミドポリマー中のPA6,6ポリマーの濃度は、例えば0重量%~100重量%、例えば0重量%~60重量%、10重量%~70重量%、20重量%~80重量%、30重量%~90重量%、25重量%~100重量%または40重量%~100重量%の範囲であってよい。上限に関して、1種または複数のポリアミドポリマー中のPA6,6ポリマーの濃度は、100重量%未満、例えば90重量%未満、80重量%未満、70重量%未満、60重量%未満、50重量%未満、40重量%未満、30重量%未満、20重量%未満または10重量%未満であってよい。下限に関して、1種または複数のポリアミドポリマー中のPA6,6ポリマーの濃度は、0重量%超、例えば10重量%超、20重量%超、30重量%超、40重量%超、50重量%超、60重量%超、70重量%超、80重量%超または90重量%超であってよい。一部の実施形態では、本明細書に開示されるポリアミドは、PA6,6を欠くかまたは実質的に欠き、例えばPA6,6を5重量%未満、例えば3重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.1重量%未満含有するか、またはPA6,6を全く含有しない。
【0032】
[0035]ある特定の態様では、1種または複数のポリアミドポリマーは、PA6,10ポリマーを含む。PA6,10は、PA6またはPA6,6と比較した場合、吸水性が低く、PA11、PA12またはPA6,12よりはるかに強く、強度、耐温度性、吸湿性の低下および耐化学性を含む特性のバランスを必要とする用途での使用に対する顕著な利点を伝達する。1種または複数のポリアミドポリマー中のPA6,10ポリマーの濃度は、例えば0重量%~100重量%、例えば0重量%~60重量%、10重量%~70重量%、20重量%~80重量%、30重量%~90重量%または40重量%~100重量%の範囲であってよい。一部の実施形態では、1種または複数のポリアミドポリマーは、PA6,10ポリマーを25重量%~100重量%含む。上限に関して、1種または複数のポリアミドポリマー中のPA6,10ポリマーの濃度は、100重量%未満、例えば90重量%未満、80重量%未満、70重量%未満、60重量%未満、50重量%未満、40重量%未満、30重量%未満、20重量%未満または10重量%未満であってよい。下限に関して、1種または複数のポリアミドポリマー中のPA6,10ポリマーの濃度は、0重量%超、例えば10重量%超、20重量%超、30重量%超、40重量%超、50重量%超、60重量%超、70重量%超、80重量%超または90重量%超であってよい。
【0033】
[0036]ある特定の態様では、1種または複数のポリアミドポリマーはPA6,12ポリマーを含む。1種または複数のポリアミドポリマー中のPA6,12ポリマーの濃度は、例えば0重量%~100重量%、例えば0重量%~60重量%、10重量%~70重量%、20重量%~80重量%、30重量%~90重量%または40重量%~100重量%の範囲であってよい。一部の実施形態では、1種または複数のポリアミドポリマーは、PA6,12ポリマーを0重量%~75重量%含む。上限に関して、1種または複数のポリアミドポリマー中のPA6,12ポリマーの濃度は、100重量%未満、例えば90重量%未満、80重量%未満、70重量%未満、60重量%未満、50重量%未満、40重量%未満、30重量%未満、20重量%未満または10重量%未満であってよい。下限に関して、1種または複数のポリアミドポリマー中のPA6,12ポリマーの濃度は、0重量%超、例えば10重量%超、20重量%超、30重量%超、40重量%超、50重量%超、60重量%超、70重量%超、80重量%超または90重量%超であってよい。
【0034】
[0037]ある特定の態様では、1種または複数のポリアミドポリマーは、PA6T/66、PA6T/6I、PA6T/6I/66、PA6T/DT、PA6,T/6,10、PA6,T/6,12、PA6,T/6,13、PA6,T/6,14、PA6,T/6,15、PA6,T/6,16、PA6,T/6,17、PA6,T/6,18のうちの1つまたはこれらの組合せを含み、例えば0重量%~100重量%、例えば0重量%~60重量%、10重量%~70重量%、20重量%~80重量%、30重量%~90重量%または40重量%~100重量%の範囲であってよい。一部の実施形態では、1種または複数のポリアミドポリマーは、これらのポリアミドポリマーのうちの1つを0重量%~75重量%含む。上限に関して、これらのポリアミドポリマーの濃度は、100重量%未満、例えば90重量%未満、80重量%未満、70重量%未満、60重量%未満、50重量%未満、40重量%未満、30重量%未満、20重量%未満または10重量%未満であってよい。下限に関して、1種または複数のポリアミドポリマー中のPA6T/66、PA6T/6I、PA6T/6I/66、PA6T/DT、PA6,T/6,10、PA6,T/6,12、PA6,T/6,13、PA6,T/6,14、PA6,T/6,15、PA6,T/6,16、PA6,T/6,17、PA6,T/6,18のうちの1つまたはこれらの組合せのポリマーの濃度は、0重量%超、例えば10重量%超、20重量%超、30重量%超、40重量%超、50重量%超、60重量%超、70重量%超、80重量%超または90重量%超であってよい。
【0035】
[0038]ポリアミド組成物は、ポリアミドの組合せを含むことができる。様々なポリアミドを組み合わせることによって、最終的な組成物は、ポリアミドの各成分の望ましい特性、例えば機械的特性を組み込むことができる。ポリアミドの組合せは、いくつもの公知のポリアミドを含むことができる。一部の実施形態では、ポリアミド組成物は、好ましくは本明細書で考察される量で存在する先に記載のポリアミドのいずれかの組合せを含む。例示的な態様では、ダイマー酸および/またはダイマーアミンを含むポリアミド組成物6T/612は、約50/50である6T/612の比を有することができる。ポリアミド組成物は、本明細書に記載されるように0重量%~100重量%、例えば0重量%~60重量%、10重量%~70重量%、20重量%~80重量%、30重量%~90重量%または40重量%~100重量%の範囲でポリマーのいずれかの組合せを含むこともできる。
【0036】
[0039]一部の実施形態では、1種または複数の低い溶融温度のポリアミドが利用され、例えばポリアミドは、270℃以下、例えば265℃以下、250℃以下、240℃以下、230℃以下、220℃以下、215℃以下、210℃以下、200℃以下、190℃以下、180℃以下または175℃以下の溶融温度を有する。1種または複数のポリアミドの溶融温度は、それぞれ独立して、例えば165℃~270℃、例えば165℃~220℃、170℃~215℃、175℃~215℃、180℃~215℃、185℃~225℃、205℃~245℃、225℃~265℃または240℃~270℃の範囲であってよい。下限に関して、ポリアミドそれぞれの溶融温度は、165℃超、例えば170℃超、175℃超、185℃超、195℃超、205℃超、215℃超、225℃超、235℃超、245℃超または255℃超であってよい。より高い溶融温度、例えば265℃超およびより低い溶融温度、例えば165℃未満も企図される。一部の実施形態では、1種または複数の非晶質ポリアミド、例えば定義された融点を有さないポリアミドが利用される。
【0037】
[0040]ダイマー酸もしくはダイマーアミンまたはこれらの組合せの変性剤を含むポリアミド組成物の溶融温度は、165℃~270℃の範囲であってよい。一部の実施形態では、PA6,12および本明細書に記載の変性剤を含むポリアミド組成物は、165℃~270℃の範囲の溶融温度を有する。他の実施形態では、例えばPA6,10および変性剤を含むポリアミド組成物は、165℃~270℃の範囲の溶融温度を有する。さらに他の実施形態では、例えばPA6,6および変性剤を含むポリアミド組成物は、240℃~270℃の範囲の溶融温度を有する。
【0038】
[0041]一部の実施形態では、1種または複数の低い結晶化温度のポリアミド、例えば250℃以下、240℃以下、230℃以下、220℃以下、210℃以下、200℃以下、190℃以下、180℃以下または175℃以下の結晶化温度を有するポリアミドが利用される。1種または複数のポリアミドの結晶化温度は、それぞれ独立して、例えば100℃~240℃、例えば110℃~230℃、110℃~200℃、110℃~190℃、110℃~180℃、150℃~230℃、160℃~230℃または170℃~230℃の範囲であってよい。下限に関して、ポリアミドそれぞれの結晶化温度は、100℃超、例えば110℃超、120℃超、130℃超、140℃超、150℃超、160℃超または170℃超であってよい。より高い結晶化温度、例えば250℃超およびより低い結晶化温度、例えば100℃未満も企図される。1種または複数の低い結晶化温度のポリアミドは、例えばPA6,10および/もしくはPA6,12については110℃~180℃または例えばPA6,6については170℃~230℃の範囲を有することができる。
【0039】
[0042]一部の実施形態では、1種または複数のポリアミドポリマーはそれぞれ、結晶性または半結晶性である。一部の実施形態では、1種または複数のポリアミドポリマーはそれぞれ、結晶性である。一部の実施形態では、1種または複数のポリアミドポリマーはそれぞれ、半結晶性である。
【0040】
[0043]一部の実施形態では、2種の成分(コポリマー)を有するポリアミドは、3種の成分(ターポリマー)または4種の成分(テトラポリマー)のポリアミドと比較して、より高いレベルの結晶化度を提供するために利用される。結晶化度のレベルは、示唆走査熱量計(DSC)によって測定される融解熱および/または上記の結晶化温度によって決定できる。一部の実施形態では、ポリアミドは、2種の成分(2つの繰り返し単位)を有するコポリマーである。コポリマーは、より高いレベルの結晶化度および/またはより高い融点を必要とする用途に好ましい。他の実施形態では、ポリアミドは、3種の成分(3つの繰り返し単位)を有するターポリマーである。一部の実施形態では、ポリアミドは、4種の成分(4つの繰り返し単位)を有するテトラポリマーである。テトラポリマーは、より低い係数およびより低いレベルの結晶化度が所望される用途、例えば管材に好ましい。
【0041】
[0044]一部の実施形態では、本明細書のポリアミド組成物は、単一の変性剤、例えば以下に記載のダイマーアミンまたはダイマー酸のみを含む。一部の実施形態では、ポリアミドは、1種以下の変性剤を含み、変性剤はダイマー酸またはダイマーアミンである。結晶化度のレベルはまた、ポリアミド組成物中に2種の変性剤を提供した場合と比較して、単一の変性剤を有することによって影響を受け得る。例えば、1種の変性剤のみの利用は、より高いレベルの結晶化度、ならびに有益な耐化学性、寸法安定性およびガスバリア特性などの管材に好適な他の利点を維持できる。
【0042】
[0045]他の実施形態では、単一のダイマー酸および単一のダイマーアミンの組合せが、ポリアミド組成物で利用される。
【0043】
[0046]ポリアミド組成物中の1種または複数のポリアミドポリマーの数平均分子量(M)は、それぞれ独立して、例えば9,000g/mol~60,000g/mol、例えば9,000g/mol~12,000g/mol、9,000g/mol~15,000g/mol、9,000g/mol~20,000g/mol、9,000g/mol~24,000g/mol、9,000g/mol~25,000g/mol、9,000g/mol~45,000g/mol、10,000g/mol~20,000g/mol、10,000g/mol~25,000g/mol、10,000g/mol~30,000g/mol、10,000g/mol~45,000g/mol、12,000g/mol~20,000g/mol、12,000g/mol~45,000g/mol、13,000g/mol~18,000g/mol、13,000g/mol~25,000g/mol、15,000g/mol~30,000g/mol、20,000g/mol~25,000g/mol、20,000g/mol~35,000g/mol、20,000g/mol~45,000g/mol、30,000g/mol~45,000g/mol、35,000g/mol~50,000g/mol、40,000g/mol~55,000g/molまたは45,000g/mol~60,000g/molの範囲であってよい。これらのようなより低いMのポリアミドの使用は、典型的には従来のフィルム配合物では企図されず、これは典型的には25,000g/mol~50,000g/mol(またはそれ以上)の範囲である。一部の実施形態では、提供されるポリアミド組成物のいずれかを含む射出成形品が提供され、数平均分子量は9,000g/mol~20,000g/molであってよい。他の実施形態では、提供されるポリアミド組成物のいずれかの押出品が提供され、異形押出品、モノフィラメント、繊維であってよく、数平均分子量は、20,000g/mol~45,000g/molであってよい。
【0044】
[0047]上限に関して、1種または複数のポリアミドポリマーは、60,000g/mol未満、例えば55,000g/mol未満、50,000g/mol未満、45,000g/mol未満、40,000g/mol未満、35,000g/mol未満、30,000g/mol未満、25,000g/mol未満、24,000g/mol未満、20,000g/mol未満、18,000g/mol未満、15,000g/mol未満、12,000g/mol未満または10,000g/mol未満の数平均分子量を有することができる。下限に関して、1種または複数のポリアミドポリマーは、9,000g/mol超、例えば10,000g/mol超、12,000g/mol超、13,000g/mol超、15,000g/mol超、20,000g/mol超、25,000g/mol超、30,000g/mol超、35,000g/mol超、40,000g/mol超、45,000g/mol超、50,000g/mol超または55,000g/mol超の数平均分子量を有することができる。より高い分子量、例えば60,000g/mol超およびより低い分子量、例えば9,000g/mol未満も企図される。
【0045】
[0048]1種または複数のポリアミドは、それぞれ独立して、特定の構造の末端基、例えばアミン末端基、カルボン酸末端基、ならびにモノカルボン酸、モノアミン、不活性イミン末端基を形成できる低級ジカルボン酸、フタル酸およびこれらの誘導体を含むいわゆる不活性末端基を有する。一部の態様では、ポリマー末端基は、具体的には組成物の変性剤と相互作用するように選択でき、分散および得られた機械的特性に影響を与えることが見出された。本開示のポリアミドポリマーは、例えば10μeq/g~110μeq/g、例えば20μeq/g~100μeq/g、30μeq/g~90μeq/gまたは35μeq/g~80μeq/gの範囲のアミン末端基含有量を有することができる。上限に関して、ポリアミドポリマーは、110μeq/g未満、例えば100μeq/g未満、90μeq/g未満または85μeq/g未満のアミン末端基含有量を有することができる。下限に関して、ポリアミドポリマーは、10μeq/g超、例えば20μeq/g超、25μeq/g超または30μeq/g超のアミン末端基含有量を有することができる。1種または複数のポリアミドの数平均分子量が高い、すなわち約30,000g/mol超である一部の実施形態では、アミン末端基の濃度はより低くてよい。一般に、数平均分子量が増加すると、アミン末端基含有量が低下する。
【0046】
[0049]ポリアミド混合物の組成構成に加えて、1種または複数のアミドポリマーの相対粘度が、性能と処理の両方で驚くべき利点を提供できることも発見された。例えば、アミドポリマーの相対粘度がある一定の範囲および/または限界内である場合、生産速度および引張強度(および任意選択で衝撃弾性)が改善される。本明細書に記載される「相対粘度」または「RV」は、ギ酸中のポリマー溶液の粘度とギ酸自体の粘度との比較を指し、標準的なプロトコルASTM D789-18(2018)に従ってギ酸90%およびガラス毛細管ウベローデ粘度計を使用して測定される。ガラス繊維または他の充填剤を含有する試料について、溶解される試料の重量は、ギ酸100mlあたりニートな樹脂11.0gの必要量を提供するように充填剤の量によって補正される。このような充填剤を含有する溶液は、粘度計に装填する前に濾過される。
【0047】
[0050]1種または複数のポリアミドの相対粘度は、それぞれ独立してまたは合計で、例えば25~250、例えば25~160、25~90、35~80、35~70、47.5~182.5、70~205、92.5~227.5または115~250の範囲であってよい。上限に関して、ポリアミドの相対粘度は、250未満、例えば227.5未満、205未満、182.5未満、160未満、137.5未満、115未満、92.5未満、90未満、80未満、70未満、65未満、61未満、57未満、53未満、49未満、45未満、41未満、37未満、33未満または29未満であってよい。下限に関して、ポリアミドの相対粘度は、25超、例えば29超、33超、35超、37超、41超、45超、49超、53超、57超、61超、65超、70超、92.5超、115超、137.5超、160超、182.5超、205超、227.5超であってよい。より高い相対粘度、例えば250超およびより低い相対粘度、例えば25未満も企図される。フィルム配合物(およびフィルム)は従来、鋳造されるかまたはブローされるかに応じて、80~280の範囲のより高いRVを有する。対照的に、本明細書に記載の成形および/または押出品を含む配合物および物品は、はるかに低い相対粘度、例えば80未満を有する。
【0048】
[0051]1種または複数のポリアミドの、例えば長鎖ポリアミドおよび高温ポリフタルアミドの硫酸中で測定される粘度数は、それぞれ独立してまたは合計で、例えば65~350cm/g、例えば65~160cm/g、85~200cm/g、100~250cm/g、150~300cm/gまたは200~350cm/gの範囲であってよい。上限に関して、ポリアミド粘度数は、350cm/g未満、例えば325cm/g未満、300cm/g未満、275cm/g未満、250cm/g未満、225cm/g未満、220cm/g未満、215cm/g未満、210cm/g未満、205cm/g未満、200cm/g未満または195cm/g未満であってよい。下限に関して、ポリアミド粘度数は、65cm/g超、例えば70cm/g超、75cm/g超、80cm/g超、85cm/g超、90cm/g超、95cm/g超、100cm/g超、105cm/g超、110cm/g超、115cm/g超、120cm/g超、125cm/g超、130cm/g超、135cm/g超、140cm/g超、145cm/g超、150cm/g超、155cm/g超であってよい。より高い粘度数、例えば350cm/g超およびより低い粘度数、例えば65cm/g未満も企図される。
【0049】
ダイマー酸/ダイマーアミン変性剤
[0052]本開示のポリアミド組成物は変性剤を含む。本開示の変性剤は、ダイマー酸もしくはダイマーアミンまたはこれらの組合せを含むことができる。ダイマー酸はジカルボン酸であってよい。場合によっては、ダイマー酸または二量化脂肪酸は、トール油から得られる不飽和脂肪酸を、通常は粘土触媒上で二量化することによって調製されるジカルボン酸である。ダイマー酸は、ベントナイトまたはモントモリロナイト粘土などの触媒の存在下で不飽和脂肪酸(例えばオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リチノレン酸)を二量化することによって製造される化学中間体を含むことができる。市販のダイマー脂肪酸は、通常、二量化生成物が優勢である生成物の混合物である。一部の市販のダイマー酸は、トール油脂肪酸を二量化することによって製造される。ダイマー脂肪酸は、36個の炭素および2個のカルボン酸基を有することができる。これらは、飽和であっても、不飽和であってもよい。ダイマー酸またはダイマーアミンは、場合によっては、より良好な性能のために不飽和を取り除くために水素化される。
【0050】
[0053]ダイマー脂肪酸の例としては、二量化オレイン酸、三量化オレイン酸、二量化リノール酸、三量化リノール酸、二量化リノレン酸、三量化リノレン酸またはこれらの混合物が挙げられる。場合によっては、ダイマー酸は主に、C36ダイマー酸とも称されるステアリン酸のダイマーであってよい。ポリアミド組成物は、アジピン酸などの1種または複数のダイマー酸を含んでいてもよく、アジピン酸を欠いていてももしくはアジピン酸を実質的に欠いていてもよい。本開示のポリアミドポリマーは、例えば少なくとも18個、好ましくは18~44個の炭素を含有し、C18(18個の炭素を含む)~C44(44個の炭素を含む)、例えばC18~C40、C20~C38またはC22~C36の範囲である系の1種または複数のダイマー酸を含むことができる。上限に関して、ポリアミドポリマーは、鎖にC44系またはそれ以下のCの1種または複数のダイマー酸、例えばC44ダイマー酸、C42ダイマー酸、C40ダイマー酸、C38ダイマー酸またはC36ダイマー酸を含むことができる。下限に関して、ポリアミドポリマーは、鎖にC18系またはそれ以上のCの1種または複数のダイマー酸、例えばC18ダイマー酸、C20ダイマー酸、C22ダイマー酸、C24ダイマー酸、C26ダイマー酸、C28ダイマー酸、C30ダイマー酸、C32ダイマー酸またはC34ダイマー酸を含むことができる。より大きい炭素数のダイマー酸、例えばC44超およびより小さい炭素数のダイマー酸、例えばC18未満も企図される。
【0051】
[0054]ダイマー酸は、アンモニアとの反応およびその後の還元によってダイマーアミンに変換されてもよく、炭化水素可溶性重合脂肪酸のアミンまたはアミン誘導体、特に、少なくとも12個、好ましくは19~60個の炭素を含有するジカルボン酸から誘導されるダイマーアミンのクラスであってもよい。ポリアミド組成物は、約570g/molの分子量を有するPRIPOL(商標)1009などのC36不飽和水素化ダイマー酸および/または約540g/molの分子量を有するC36PRIAMINE(商標)1074もしくはPRIAMINE(商標)1075(それぞれCroda Inc.、USAから入手できる)などのダイマーアミンなど、非限定的例と同様に1種または複数のダイマー酸および/またはダイマーアミンを含むことができる。
【0052】
[0055]ダイマー酸および/またはダイマーアミンの使用は、上記のポリアミドの元の所望の機能性を維持しながら、ポリアミド組成物全体に調整可能な機能性を提供することが見出された。所望の特性を獲得するために、単一のダイマー酸または単一のダイマーアミンが、ポリアミド組成物に利用されてもよい。一部の実施形態では、ポリアミド組成物は、単一のダイマー酸を含む。一部の実施形態では、ポリアミド組成物は、単一のダイマーアミンを含む。他の実施形態では、ポリアミド組成物は、少なくとも1種のダイマー酸もしくは少なくとも1種のダイマーアミンまたはこれらの組合せを含む。
【0053】
[0056]ポリアミド組成物全体の変性剤の濃度は、例えば5重量%~55重量%、例えば5重量%~10重量%、15重量%~20重量%、20重量%~30重量%、25重量%~35重量%、30重量%~40重量%、15重量%~50重量%、20重量%~45重量%、35重量%~55重量%、35重量%~45重量%、40重量%~50重量%、45重量%~55重量%の範囲またはその任意の部分範囲であってよい。上限に関して、変性剤の濃度は、55重量%未満、例えば50重量%未満、45重量%未満、40重量%未満、35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満または10重量%未満であってよい。下限に関して、組み合わせたポリアミドポリマーの濃度は、5重量%超、例えば10重量%超、15重量%超、20重量%超、25重量%超、30重量%超、35重量%超、40重量%超、45重量%超または50重量%超であってよい。より低い濃度、例えば5重量%未満およびより高い濃度、例えば55重量%未満も企図される。
【0054】

[0057]ある特定の実施形態では、ポリアミド組成物は、以下の式(1)~(6)のポリアミドのうちの1つまたは複数を含む:
【0055】
【化1】
【0056】
[0058]上記の式(1)および(2)において、コポリマーについてはX+Y=100重量%。上記の式(3)~(6)において、ターポリマーについてはX+Y+Z=100重量%。上記の式(1)~(6)において、a=2~18、b=2~18およびd=2~18。他の実施形態では、4種の別個のモノマー(2種の酸および2種のアミン)が使用され、テトラポリマーをもたらす。代替的には、さらに他の実施形態では、配合物は、同じポリマー中にダイマーアミンおよびダイマー酸を含むことができる。
【0057】
[0059]一部の実施形態では、ポリアミド組成物は、AA-BBタイプのポリアミドを含有する。一部の実施形態では、ポリアミド組成物は、ダイマー酸および/またはダイマーアミン繰り返し単位を5~55重量%ならびにAA-BB繰り返し単位を45~95重量%含有する。ポリアミド組成物は、例えば5重量%~55重量%、例えば5重量%~15重量%、10重量%~20重量%、15重量%~25重量%、20重量%~30重量%、25重量%~35重量%、30重量%~40重量%、35重量%~45重量%、40重量%~50重量%、45重量%~55重量%の範囲またはこれらの任意の部分範囲でダイマー酸および/またはダイマーアミン繰り返し単位を含有することができる。一部の実施形態では、ポリアミド組成物は、15重量%~50重量%、20重量%~45重量%、35重量%~55重量%の範囲またはこれらの任意の部分範囲でダイマー酸および/またはダイマーアミン繰り返し単位を含有することができる。上限に関して、ポリアミド組成物は、例えば55重量%未満、例えば50重量%未満、45重量%未満、40重量%未満、35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満または10重量%未満の量でダイマー酸および/またはダイマーアミン繰り返し単位を含有することができる。下限に関して、ポリアミド組成物は、例えば5重量%超、例えば10重量%超、15重量%超、20重量%超、25重量%超、30重量%超、35重量%超、40重量%超、45重量%超または50重量%超の量でダイマー酸および/またはダイマーアミン繰り返し単位を含有することができる。より少量のダイマー酸および/またはダイマーアミン繰り返し単位、例えば5重量%未満、およびより大量、例えば55重量%超も企図される。
【0058】
[0060]ポリアミド組成物は、例えば45~95重量%、例えば45重量%~55重量%、50重量%~60重量%、55重量%~65重量%、60重量%~70重量%、65重量%~75重量%、70重量%~80重量%、75重量%~85重量%、80重量%~90重量%、85重量%~95重量%の範囲またはその任意の部分範囲でAA-BB繰り返し単位を含有することができる。上限に関して、ポリアミド組成物は、例えば95重量%未満、例えば90重量%未満、85重量%未満、80重量%未満、75重量%未満、70重量%未満、65重量%未満、60重量%未満、55重量%未満または50重量%未満の量でAA-BB繰り返し単位を含有することができる。下限に関して、ポリアミド組成物は、例えば45重量%超、例えば50重量%超、55重量%超、60重量%超、65重量%超、70重量%超、75重量%超、80重量%超、85重量%超または90重量%超の量でAA-BB繰り返し単位を含有することができる。より少量のAA-BB繰り返し単位、例えば45重量%未満およびより大量、例えば95重量%超も企図される。
【0059】
[0061]AA-BB繰り返し単位は、ジカルボン酸およびジアミンから調製される生成物から選択でき、それだけに限らないがPA6,6、PA6,9、PA6,10、PA6,12、PA6,18、PA9,6、PA10,6、PA10,9、PA10,10およびPA10,12を含む。加えて、繰り返し単位は、ポリフタルアミドから調製される生成物から選択でき、それだけに限らないがPA6,T/6,6、PA6,T/6,IおよびPA6,T/D,Tを含む。
【0060】
[0062]PA6,12水素化ダイマー酸およびPA6,12水素化ダイマーアミンの分子構造は、以下で各々式(A)および(B)に示される。
【0061】
【化2】
【0062】
メチル/アミド比
[0063]ダイマー酸もしくはダイマーアミンまたはこれらの組合せの変性剤を含むポリアミド組成物は、メチル/アミド比によって測定されるダイマー濃度を有することができる。骨格をアミド間により多くのCH(メチレン)基を有する脂肪族のものにすることによって、得られた鎖が、アミド結合に拘束されず、鎖が示す自由な運動の範囲によってはるかに高い柔軟性を有するので、メチル/アミド比は重要であると考えられる。言い換えれば、アミド機能性が低下すると、鎖のブラウニアン運動が増加する。加えて、メチル基は、疎水性であり、水と会合しない。フィルムは吸湿性と関係しておらず、本明細書の非フィルム用途のためのポリアミド組成物は、驚くほど有益であり、低い吸湿性および高い耐化学性を提供するメチル/アミド比を有する。さらに、ポリアミド組成物が非常に塩基性または非常に酸性の環境のいずれかに対処して、特定の環境において最良の耐化学性を提供することができるように、メチル/アミド比は調整されてもよい。したがって、アミド比が希薄であればあるほど、吸湿性の可能性は低くなる。ポリアミドポリマーをダイマー酸および/またはダイマーアミンと組み合わせることによって、メチル/アミド比は操作される。メチル/アミド比を増加させることによって、得られたポリアミド組成物は、柔軟性の増加、耐化学性の向上および吸湿性の低下を有すると考えられる。ポリアミド組成物は、例えば6:1~15:1、例えば6:1~9:1、6:1~12:1、9:1~12:1、9:1~15:1または12:1~15:1のメチル/アミド比の範囲を有することができる。6:1~15:1の範囲のメチル/アミド比を有するポリアミド組成物は、例えばPA6,6またはPA6,12であってよい。これは、骨格構造から説明および計算できる。PA6,6の場合、各繰り返し単位に2つのアミド結合および12個の炭素が存在し、12/2または6:1の比を提供する。PA6,12の場合、各繰り返し単位に2つのアミド結合および18個の炭素が存在し、18/2または9:1の比を提供する。PA6,12-s-PA6,36系を有する実施形態では、メチル/アミド比は各成分のmol%から計算できる。例えば、75/25のPA6,12対PA6,36組成物の場合、メチル/アミド比は12:1である。
【0063】
[0064]ポリアミド組成物は、約6:1以上のメチル/アミド比を有するPA6,6であってよい。他の実施形態では、ポリアミド組成物は、9:1~15:1の範囲のメチル/アミド比を有する。ポリアミド組成物は、約9:1以上の範囲のメチル/アミド比を有するPA6,12であってよい。本発明者らは、驚くべきことに、例えば、最大約45重量%のダイマー変性剤含有量を有するPA6,12を含むポリアミド組成物が、9:1(変性剤なし)から12:1に増加するメチル/アミド比をもたらすことができることを見出した。本明細書に開示のポリアミドポリマーのいずれかが使用でき、6:1~15:1のメチル/アミド比を有することができる。ダイマー酸および/またはダイマーアミンの変性剤の量が増加すると、メチル/アミド比も増加する。メチル/アミド比の増加は、耐化学性の向上、吸湿性の低下、機械的特性(すなわち、伸び、衝撃弾性、耐摩耗性)の向上、より良好な透明性、耐UV性などの利点をもたらす。
【0064】
ガラス繊維
[0065]ポリアミド組成物は、任意選択で、補強充填剤、例えばガラス繊維を含む。ガラス繊維は、ケイ酸ソーダ石灰、ケイ酸ジルコニウム、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸アルミナカルシウム、アルミノケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸マグネシウムまたはこれらの組合せを含むことができる。ガラス繊維は、長繊維、例えば6mm超、短繊維、例えば6mm未満またはこれらの組合せを含むことができる。ガラス繊維は粉砕されてもよい。
【0065】
[0066]他の組成成分の量に対するポリアミド組成物中のガラス繊維の量は、材料の延性に悪影響を与えずに、さらなる強度を有利に提供するように選択できる。ポリアミド組成物中のガラス繊維の濃度は、例えば0重量%~60重量%、例えば0重量%~30重量%、5重量%~35重量%、10重量%~40重量%、15重量%~45重量%、20重量%~50重量%、25重量%~55重量%または30重量%~60重量%の範囲であってよい。一部の実施形態では、ガラス繊維の濃度は、20重量%~40重量%、例えば25重量%~35重量%、27重量%~33重量%、28重量%~32重量%または29重量%~31重量%の範囲である。ある特定の態様では、ガラス繊維の濃度は20重量%~40重量%の範囲である。上限に関して、ガラス繊維の濃度は、60重量%未満、例えば55重量%未満、50重量%未満、45重量%未満、40重量%未満、35重量%未満、33重量%未満、32重量%未満または31重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満または5重量%未満であってよい。下限に関して、ガラス繊維の濃度は、0重量%超、例えば5重量%超、10重量%超、15重量%超、20重量%超、25重量%超、27重量%超、28重量%超、29重量%超、30重量%超、35重量%超、40重量%超、45重量%超、50重量%超または55重量%超であってよい。より高い濃度、例えば60重量%超も企図される。態様では、ポリアミド組成物中のガラス繊維の濃度は、5重量%超の量で存在する。
【0066】
[0067]補強充填剤、例えばガラス繊維は、押出品、異形押出品、モノフィラメントまたは繊維などの得られた物品の強度および性能に寄与するため、補強充填剤の添加剤は、本明細書に記載のポリアミド組成物に重要である。対照的に、フィルム用途のためのポリアミドは、ガラスを含まず、ガラスおよび/またはガラス繊維を欠くかまたは実質的に欠く。
【0067】
溶融安定剤/潤滑剤
[0068]ポリアミド組成物は1種または複数の溶融安定剤(潤滑剤)を含むことができる。溶融安定剤のタイプおよび相対量は、組成物の処理を改善し、材料の同時の高い強度および延性に寄与するように選択できる。ポリアミド組成物中の潤滑剤の濃度は、例えば0重量%~2重量%、例えば0.1重量%~0.5重量%、0.1重量%~0.6重量%、0.1重量%~1.0重量%、0.1重量%~1.5重量%、0.1重量%~2.0重量%、0.5重量%~1.0重量%、0.5重量%~1.5重量%または0.5重量%~2.0重量%の範囲であってよい。上限に関して、潤滑剤の濃度は、2.0重量%未満、例えば1.8重量%未満、1.6重量%未満、1.5重量%未満、1.4重量%未満、1.2重量%未満、1.0重量%未満、0.8重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満または0.1重量%未満であってよい。下限に関して、潤滑剤の濃度は、0重量%超、例えば0.1重量%超、0.2重量%超、0.3重量%超、0.4重量%超、0.5重量%超、0.6重量%超、0.8重量%超、1.0重量%超、1.2重量%超、1.4重量%超、1.5重量%超、1.6重量%超または1.8重量%超であってよい。より高い濃度、例えば2.0重量%超も企図される。
【0068】
[0069]一部の実施形態では、溶融安定剤は、飽和脂肪酸を含む。例えば、溶融安定剤は、ステアリン酸、ベヘン酸またはこれらの組合せもしくはこれらの塩を含むことができる。場合によっては、溶融安定剤はステアリン酸塩を含む。溶融安定剤は、場合によっては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ジステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、N,N’エチレンビスステアラミド、ステアリルエルカミドを含むことができる。場合によっては、溶融安定剤は、ワックス、例えばけん化エステルワックスと組み合わせたステアリン酸塩である。一部の実施形態では、溶融安定剤は、イオン性潤滑剤を含まない。
【0069】
[0070]一部の実施形態では、溶融安定剤はワックスであってよい。一部の実施形態では、溶融安定剤はワックスからなる。一部の実施形態では、ワックスは脂肪酸を含む。一部の実施形態では、溶融安定剤は脂肪酸からなる。一部の実施形態では、ワックスは飽和脂肪酸を含む。一部の実施形態では、溶融安定剤は飽和脂肪酸からなる。一部の実施形態では、ワックスは、ステアリン酸、ベヘン酸またはこれらの塩もしくは組合せを含む。一部の実施形態では、ワックスは、ステアリン酸、ベヘン酸またはこれらの塩もしくは組合せからなる。一部の実施形態では、ワックスは、けん化エステルワックスである。例えば、約824g/molの分子量を有する、けん化された二量化アルキル鎖を含むけん化エステルワックスであるモンタンワックスが、ポリアミド組成物に好適である。
【0070】
[0071]場合によっては、ワックスは、ステアリン酸塩と組み合わせたけん化エステルワックスである。一部の実施形態では、ワックスはモンタンワックスであり、ジステアリン酸アルミニウムまたはステアリン酸亜鉛などのステアリン酸金属とさらに組み合わされる。
【0071】
[0072]場合によっては、組成物は、ステアリン酸塩より著しく長い、例えば40%長いアルキル部分または尾部を有するワックスを使用する。例えば、より長い鎖長は、ワックスをより長い鎖のポリマーを含むより効果的な潤滑剤にするため、C28部分を有するモンタンワックスは、本明細書のポリアミド組成物に望ましい。一部の実施形態では、潤滑剤は、C18超、C20超、C22超、C24超、C26超またはC28超の鎖長を含む。一部の実施形態では、C28潤滑剤は、本明細書のポリアミド組成物で使用される。ステアリン酸塩、例えば、ジステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムまたはこれらの組合せは、単独での使用には好適ではないが、例えば上記の別の潤滑剤との組合せに好適であり得る。
【0072】
[0073]具体的には、ポリアミド組成物は、一部の実施形態では、Akrowax(登録商標)として市販され、約593g/molの分子量を有し、C18鎖長を有するエチレンビスステアラミド(EBS)などのステアリン酸ワックスを含まない。具体的には、ポリアミド組成物は、一部の実施形態では、ステアリン酸を含まない。一部の実施形態では、ポリアミド組成物は、ステアリルエルカミドを含まない。一部の実施形態では、ポリアミド組成物は、C18ステアリン酸塩を含まない。これは、より短い鎖のC18ステアリン酸塩が、より長い鎖のポリマーを利用する本明細書の成形品または押出品よりフィルム用途のためのPA6またはPA6,6配合物と相溶性が高いためである。重要なことに、C18ステアリン酸ワックス/潤滑剤、例えばEBSワックスは、フィルムモノマーとの相溶化剤として必要である。EBSワックスは、EBSワックスを欠く本明細書のポリアミド組成物に適さない。これは、EBSが、フィルム配合物にまたはPA6タイプのポリマーに有用であり得、EBSワックスがより疎水性の長鎖ポリマーを有する本明細書に開示される非フィルム配合物に適さないため重要である。EBSワックスは単純に、本明細書の長鎖ポリアミドの表面とブレンドしない。本明細書のポリアミド組成物は、EBSワックス、ステアリルエルカミドおよび/またはC18ステアリン酸塩を欠くかまたは実質的に欠く。一部の実施形態では、本明細書に開示されるポリアミド組成物は、より短い鎖長の潤滑剤、EBSワックス、ステアリルエルカミド、C18ステアリン酸塩およびこれらの組合せを欠くかまたは実質的に欠き、例えばより短い鎖長の潤滑剤、EBSワックス、ステアリルエルカミド、C18ステアリン酸塩およびこれらの組合せを5重量%未満、3重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.1重量%未満含有するか、またはこれらを全く含有しない。場合によっては、溶融安定剤は、ステアリルエルカミド、ジステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムまたはこれらの組合せを含まず、例えば1.0重量%未満、0.5重量%未満、0.1重量%であるか、またはこれらを全く含まない。場合によっては、ステアリルエルカミド、ジステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムまたはこれらの組合せは、モンタンワックスなどの別のワックス潤滑剤との組合せでのみ存在する。
【0073】
[0074]一部の実施形態では、ポリアミド組成物は、例えば600g/mol~1200g/mol、例えば600g/mol~800g/mol、800g/mol~1000g/molまたは1000g/mol~1200g/molの分子量範囲を有する潤滑剤または溶融安定剤を含む。上限に関して、潤滑剤または溶融安定剤の分子量は、1200g/mol未満、例えば1100g/mol未満、1000g/mol未満、900g/mol未満、800g/mol未満または700g/mol未満であってよい。下限に関して、潤滑剤または溶融安定剤の分子量は、600g/mol超、例えば700g/mol超、800g/mol超、900g/mol超、1000g/mol超または1100g/mol超であってよい。より低い分子量、例えば600g/mol未満および分子量、例えば1200g/mol超も企図される。一部の実施形態では、本明細書に開示されるポリアミド組成物は、800g/mol未満または700g/mol未満または600g/mol未満の分子量を有し、例えばより低い分子量の潤滑剤を5重量%未満、例えば3重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.1重量%未満の分子量を有する潤滑剤を欠くかまたは実質的に欠くか、もしくはこれを全く含まない。
【0074】
[0075]他の性能の改善に加えて、開示の溶融安定剤は、ポリマーのマトリックス中の成分の分散、例えばポリアミドマトリックス中の衝撃変性剤の分散も著しく改善し、これは衝撃性能を有益に改善する。
【0075】
[0076]ポリアミド組成物中の溶融安定剤、例えばステアリン酸またはその塩の濃度は、例えば0.01重量%~0.7重量%、例えば0.01重量%~0.1重量%、0.05重量%~0.2重量%、0.1重量%~0.3重量%、0.1重量%~0.6重量%、0.2重量%~0.4重量%、0.3重量%~0.5重量%、0.4重量%~0.6重量%または0.5重量%~0.7重量%の範囲であってよい。上限に関して、溶融安定剤の濃度は、0.7重量%未満、例えば0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、0.03重量%未満または0.02重量%未満であってよい。下限に関して、ステアリン酸または塩の濃度は、0.01重量%超、例えば0.02重量%超、0.03重量%超、0.05重量%超、0.1重量%超、0.2重量%超、0.3重量%超、0.4重量%超、0.5重量%超または0.6重量%超であってよい。より高い濃度、例えば0.7重量%超およびより低い濃度、例えば0.01重量%未満も企図される。好適な溶融安定剤または潤滑剤は、N,N’エチレンビスステアラミド、ステアリルエルカミド、ジステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、モンタンワックスまたはこれらの組合せから選択できる。潤滑剤の組合せを使用するある特定の実施形態では、例えばステアリルエルカミド0.3~0.4重量%は、ステアリン酸アルミニウムまたは亜鉛0.1~0.2重量%と混合される。より少量またはより大量の潤滑剤が、使用でき、使用用途に調整できる。
【0076】
[0077]一部の好ましい実施形態では、ステアリン酸塩またはステアリン酸金属、例えばジステアリン酸アルミニウムおよび/またはステアリン酸亜鉛は、潤滑剤としてけん化エステルワックス、例えばモンタンワックスと混合される。
【0077】
[0078]態様では、本明細書のポリアミド組成物は、潤滑剤が、0.1重量%超または0.2重量%超または0.3重量%超の量で存在することを含む。本明細書に開示される組成物は、潤滑剤を少なくとも約0.3重量%含むことができ、これはフィルム組成物には典型的でなく、そこに存在しない。射出成形の場合、潤滑剤の量は好ましくは約0.3~約0.6%である。
【0078】
[0079]潤滑剤または溶融安定剤、例えばガラス繊維は、押出品、異形押出品、モノフィラメントまたは繊維などの得られた物品の強度および性能に寄与するため、潤滑剤または溶融安定剤の添加剤は、本明細書に記載のポリアミド組成物に重要である。対照的に、フィルム用途のためのポリアミドは、より高い分子量の潤滑剤を含まず、より高い分子量の潤滑剤を欠くかまたは実質的に欠く。
【0079】
カラーパッケージ(ニグロシン/カーボンブラック)
[0080]ポリアミド組成物は、1種または複数の着色剤、例えばニグロシン(0.5%、30%活性)または溶媒ブラック7などの可溶性染料を含むことができる。ポリアミド組成物中のニグロシンの濃度は、例えば0.1~5重量%、例えば0.1重量%~1重量%、0.15重量%~1.5重量%、0.22重量%~2.3重量%、0.32重量%~3.4重量%または0.48重量%~5.0重量%の範囲であってよい。一部の実施形態では、ニグロシンの濃度は、1.0重量%~2.0重量%、例えば1.0重量%~1.6重量%、1.1重量%~1.7重量%、1.2重量%~1.8重量%、1.3重量%~1.9重量%または1.4重量%~2.0重量%の範囲である。上限に関して、ニグロシンの濃度は、5.0重量%未満、例えば3.4重量%未満、2.3重量%未満、2.0重量%未満、1.9重量%未満、1.8重量%未満、1.7重量%未満、1.6重量%未満、1.5重量%未満、1.4重量%未満、1.3重量%未満、1.2重量%未満、1.1重量%未満、1.0重量%未満、0.71重量%未満、0.48重量%未満、0.32重量%未満、0.22重量%未満または0.15重量%未満であってよい。下限に関して、ニグロシンの濃度は、0.1重量%超、例えば0.15重量%超、0.22重量%超、0.32重量%超、0.48重量%超、0.71重量%超、1.0重量%超、1.1重量%超、1.2重量%超、1.3重量%超、1.4重量%超、1.5重量%超、1.6重量%超、1.7重量%超、1.8重量%超、1.9重量%超、2.0重量%超、2.3重量%超または3.4重量%超であってよい。より低い濃度、例えば0.1重量%未満およびより高い濃度、例えば5.0重量%超も企図される。場合によっては、ニグロシンはマスターバッチ中で提供され、マスターバッチ中および得られた組成物中のニグロシンまたは染料の濃度は簡単に計算できる。
【0080】
[0081]ポリアミド組成物は、カーボンブラック(0.5%、35%活性)などの1種または複数の粒子を含むことができる。ポリアミド組成物中のカーボンブラックの濃度は、例えば0.1~5.0重量%、例えば0.1重量%~1.0重量%、0.15重量%~1.5重量%、0.22重量%~2.3重量%、0.32重量%~3.4重量%または0.48重量%~5.0重量%の範囲であってよい。一部の実施形態では、カーボンブラックの濃度は、1.0重量%~2.0重量%、例えば1.0重量%~1.6重量%、1.1重量%~1.7重量%、1.2重量%~1.8重量%、1.3重量%~1.9重量%または1.4重量%~2.0重量%の範囲である。上限に関して、カーボンブラックの濃度は、5.0重量%未満、例えば3.4重量%未満、2.3重量%未満、2.0重量%未満、1.9重量%未満、1.8重量%未満、1.7重量%未満、1.6重量%未満、1.5重量%未満、1.4重量%未満、1.3重量%未満、1.2重量%未満、1.1重量%未満、1.0重量%未満、0.71重量%未満、0.48重量%未満、0.32重量%未満、0.22重量%未満または0.15重量%未満であってよい。下限に関して、カーボンブラックの濃度は、0.1重量%超、例えば0.15重量%超、0.22重量%超、0.32重量%超、0.48重量%超、0.71重量%超、1.0重量%超、1.1重量%超、1.2重量%超、1.3重量%超、1.4重量%超、1.5重量%超、1.6重量%超、1.7重量%超、1.8重量%超、1.9重量%超、2.0重量%超、2.3重量%超または3.4重量%超であってよい。より低い濃度、例えば0.1重量%未満およびより高い濃度、例えば5.0重量%超も企図される。場合によっては、カーボンブラックはマスターバッチ中で提供され、マスターバッチ中および得られた組成物中のカーボンブラックの濃度は簡単に計算できる。
【0081】
[0082]ポリアミド組成物中の1種または複数のポリアミドポリマーとニグロシンおよび/またはカーボンブラックの重量比は、例えば1~85、例えば1~14、1.6~22、2.4~35、3.8~55または5.9~85の範囲であってよい。上限に関して、1種または複数のポリアミドポリアミドポリマーとニグロシンの比は、85未満、例えば55未満、35未満、22未満、14未満、9.2未満、5.9未満、3.8未満、2.4未満または1.6未満であってよい。下限に関して、1種または複数のポリアミドポリアミドポリマーとニグロシンの比は、1超、例えば1.6超、2.4超、3.8超、5.9超、9.2超、14超、22超、35超または55超であってよい。より高い比、例えば55超およびより低い比、例えば1未満も企図される。
【0082】
[0083]ポリアミド組成物は、カーボンブラックなどの1種または複数の顔料を含むことができる。ポリアミド組成物中のカーボンブラックの濃度は、例えば0.1~5.0重量%、例えば0.1重量%~1.05重量%、0.15重量%~1.55重量%、0.22重量%~2.29重量%、0.32重量%~3.38重量%または0.48重量%~5.0重量%の範囲であってよい。一部の実施形態では、カーボンブラックの濃度は、0.2重量%~0.8重量%の範囲である。上限に関して、カーボンブラックの濃度は、5.0重量%未満、例えば3.4重量%未満、2.3重量%未満、1.5重量%未満、1.0重量%未満、0.71重量%未満、0.48重量%未満、0.32重量%未満、0.22重量%未満または0.15重量%未満であってよい。一部の実施形態では、カーボンブラックの濃度は3.0重量%未満である。下限に関して、カーボンブラックの濃度は、0.1重量%超、例えば0.15重量%超、0.22重量%超、0.32重量%超、0.48重量%超、0.71重量%超、1.0重量%超、1.5重量%超、2.3重量%超または3.4重量%超であってよい。より低い濃度、例えば0.1重量%未満およびより高い濃度、例えば5.0重量%超も企図される。
【0083】
[0084]態様では、ポリアミド組成物中の着色剤の濃度は0.1重量%超の量で存在する。
【0084】
[0085]着色剤、例えばニグロシンおよび/またはカーボンブラックは、押出品、異形押出品、モノフィラメントまたは繊維などの得られた物品の性能に寄与するため、着色剤の添加剤は、本明細書に記載のポリアミド組成物に重要である。対照的に、フィルム用途は透明度に関係しているため、フィルム用途のためのポリアミドは、着色剤を含まない。
【0085】
鉱物充填剤
[0086]ポリアミド組成物は任意選択で、充填剤、例えば無機である鉱物充填剤を含む。無機鉱物充填剤は、ドロマイト、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、タルク、バーミキュライト、珪藻土、パーライト、ウォラストナイト、フライアッシュ、カオリン粘土、雲母または二酸化チタンのうちの1つまたは複数を含むことができ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、タルク、ウォラストナイト、フライアッシュまたはこれらの組合せを含むことができる。
【0086】
[0087]他の組成成分の量に対するポリアミド組成物中の鉱物充填剤の量は、有利には溶融強度と成形性のバランスが取れるように選択できる。ポリアミド組成物中の鉱物充填剤の濃度は、例えば0重量%~30重量%、例えば0重量%~10重量%、5重量%~15重量%、10重量%~20重量%、15重量%~25重量%または20重量%~30重量%の範囲であってよい。上限に関して、鉱物充填剤の濃度は、30重量%未満、例えば25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満または5重量%未満であってよい。下限に関して、鉱物充填剤の濃度は、0重量%超、例えば5重量%超、10重量%超、15重量%超、20重量%超、25重量%超または30重量%超であってよい。より高い濃度、例えば30重量%超も企図される。
【0087】
衝撃変性剤
[0088]本明細書に開示されるポリアミド組成物は、1種または複数の衝撃変性剤を含む。場合によっては、衝撃変性剤は、オレフィン、アクリレートもしくはアクリルまたはこれらの組合せを含み、ポリオレフィンまたはポリアクリレートなどのこれらの化合物のポリマーを含む。これらの化合物は、変性されていなくても、変性されていてもよく、例えば無水マレイン酸で変性(グラフト化)されていてもよい。一部の実施形態では、衝撃変性剤は、無水マレイン酸変性オレフィン、無水マレイン酸未変性オレフィン、アクリレートもしくはアクリルまたはこれらの組合せを含む。場合によっては、衝撃変性剤は、変性オレフィン、例えば無水マレイン酸変性オレフィンを含む。衝撃変性剤は、無水マレイン酸変性エチレンオクテンおよび/またはエチレンアクリレートを含むことができる。
【0088】
[0089]一部の実施形態では、衝撃変性剤は、0℃~-100℃、例えば-5℃~-80℃、-10℃~-70℃、-20℃~-60℃または-25℃~-55℃の範囲のガラス転移温度を有する。下限に関して、衝撃変性剤は、-100℃超、例えば-80℃超、-70℃超、-60℃超または-55℃超のガラス転移温度を有することができる。上限に関して、衝撃変性剤は、0℃未満、例えば-5℃未満、-10℃未満、-15℃未満または-25℃未満のガラス転移温度を有することができる。このようなガラス転移温度を有する衝撃変性剤は、エネルギー散逸特性、例えば耐衝撃性を相乗的に改善すると考えられる。これらの特定の衝撃変性剤は、開示のポリアミドおよびガラス繊維と作用して、とりわけ所望の温度範囲、例えば-10℃~-70℃において改善された衝撃性能を達成する温度範囲のガラス転移温度を有する。
【0089】
[0090]一部の実施形態では、衝撃変性剤は、アクリレート-ブタジエン-スチレンまたはメチルメタクリレート-ブタジエン-スチレンなどのスチレンコポリマーを含むことができる。衝撃変性剤は、アクリルポリマーまたは塩素化ポリエチレンなどのポリエチレンポリマーを含むことができる。一部の実施形態では、衝撃変性剤は、エチレン-オクテンコポリマーを含む。場合によっては、(任意選択で開示の量および比での)衝撃変性剤および溶融安定剤の組合せは、性能特性の驚くべき相乗的組合せ、例えば引張/曲げ性能と耐衝撃性を提供する。
【0090】
[0091]ポリアミド組成物中の衝撃変性剤の濃度は、例えば3重量%~30重量%、例えば3重量%~19.2重量%、3重量%~25重量%、3重量%~20重量%、5.7重量%~21.9重量%、4.0重量%~15重量%、5.5重量%~14重量%、6.0重量%~11.5重量%、8.4重量%~24.6重量%、11.1重量%~27.3重量%または13.8重量%~30重量%の範囲であってよい。一部の実施形態では、衝撃変性剤の濃度は、6重量%~20重量%、例えば6重量%~14.4重量%、7.4重量%~15.8重量%、8.8重量%~17.2重量%、10.2重量%~18.6重量%または11.6重量%~20重量%の範囲である。上限に関して、衝撃変性剤の濃度は、30重量%未満、例えば27.3重量%未満、25.0重量%未満、24.6重量%未満、21.9重量%未満、20重量%未満、18.6重量%未満、17.2重量%未満、15.8重量%未満、15重量%未満、14重量%未満、14.4重量%未満、13重量%未満、11.6重量%未満、11.5重量%未満、10.2重量%未満、8.8重量%未満、7.4重量%未満、6重量%未満または5.4重量%未満であってよい。下限に関して、衝撃変性剤の濃度は、3重量%超、4.0重量%超、5.5重量%超、5.4重量%超、6重量%超、7.4重量%超、8.8重量%超、10.2重量%超、11.6重量%超、13重量%超、14.4重量%超、15.8重量%超、17.2重量%超、18.6重量%超、20重量%超、21.9重量%超、24.6重量%超、25.0重量%超または27.6重量%超であってよい。より低い濃度、例えば3重量%未満およびより高い濃度、例えば30重量%超も企図される。
【0091】
[0092]態様では、ポリアミド組成物中の衝撃変性剤の濃度は、3重量%超の量で存在する。場合によっては、(任意選択で開示の量および比での)衝撃変性剤および溶融安定剤の組合せは、性能特徴、例えば引張/曲げ性能および耐衝撃性の驚くべき相乗的組合せを提供する。
【0092】
[0093]衝撃変性剤、例えばオレフィン、アクリレートもしくはアクリルまたはこれらの組合せは、自動車および他の用途で所望される押出品、異形押出品、モノフィラメントまたは繊維などの得られた物品の伸びおよび衝撃強度を含む機械的性能ならびに係数の低下に寄与するため、衝撃変性剤の添加剤は、本明細書に記載のポリアミド組成物に重要である。対照的に、フィルム用途のためのポリアミドは、衝撃変性剤を含まず、衝撃変性剤を欠くかまたは実質的に欠く。
【0093】
他の添加剤
[0094]ポリアミド組成物は、1種または複数の連鎖停止剤、粘度調整剤、可塑剤、UV安定剤、触媒、他のポリマー、難燃剤、艶消し剤、抗菌剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、増量剤、加工助剤、銅含有化合物および当業者に公知の他の一般的に使用される添加剤も含むことができる。さらに好適な添加剤は、Plastics Additives、An A-Z reference、Geoffrey Pritchard編(1998)中に見出され得る。添加剤分散液への安定剤の任意選択の添加は、例示的な実施形態中に存在する。添加剤分散液に好適な安定剤としては、それだけに限らないがポリエトキシレート(ポリエトキシル化アルキルフェノールTriton X-100など)、ポリプロポキシレート、ブロックコポリマーポリエーテル、長鎖アルコール、ポリアルコール、硫酸アルキル、スルホン酸アルキル、ベンゼンスルホン酸アルキル、リン酸アルキル、ホスホン酸アルキル、ナフタレンスルホン酸アルキル、カルボン酸およびペルフルオロ酸塩が挙げられる。詳細には、非フィルム用途のための本明細書のポリアミド組成物は、ある量の追加の添加剤を含み、これはフィルム組成物には典型的でなく、そこに存在しない。例えば、ポリアミド組成物は可塑剤を含むことができる。
【0094】
[0095]ポリアミド組成物中の可塑剤の濃度は、例えば0.01重量%~10重量%、例えば0.01重量%~0.1重量%、0.05重量%~0.2重量%、0.1重量%~0.3重量%、0.2重量%~0.4重量%、0.3重量%~0.5重量%、0.4重量%~0.6重量%または0.5重量%~0.7重量%、0.1~1.0重量%、0.2~2.0重量%、0.3~3.0重量%、0.4~4.0重量%、0.5~5.0重量%、0.6~6.0重量%、0.7~7.0重量%、0.8~8.0重量%、0.9~9.0重量%、1.0~10重量%の範囲であってよい。上限に関して、可塑剤の濃度は、10重量%未満、例えば9.0重量%未満、8.0重量%未満、7.0重量%未満、6.0重量%未満、5.0重量%未満、4.0重量%未満、3.0重量%未満、2.0重量%未満、1.0重量%未満、0.7重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、0.03重量%未満または0.02重量%未満であってよい。下限に関して、可塑剤は、0.01重量%超、例えば0.02重量%超、0.03重量%超、0.05重量%超、0.1重量%超、0.2重量%超、0.3重量%超、0.4重量%超、0.5重量%超、0.6重量%超、0.7重量%超、0.8重量%超、0.9重量%超、1.0重量%超、2.0重量%超、3.0重量%超、4.0重量%超、5.0重量%超、6.0重量%超、7.0重量%超、8.0重量%超または9.0重量%超であってよい。より高い濃度、例えば10重量%超およびより低い濃度、例えば0.01重量%未満も企図される。態様では、ポリアミド組成物中の可塑剤の濃度は、0.1重量%超の量で存在する。
【0095】
[0096]可塑剤は、押出品、異形押出品、モノフィラメントまたは繊維などの得られた物品の流動および熱特性、例えばガラス転移温度(T)の低下ならびに弾性係数に寄与するため、可塑剤の添加剤は、本明細書に記載のポリアミド組成物に重要である。対照的に、フィルム用途のためのポリアミドは、可塑剤を含まず、可塑剤を欠くかまたは実質的に欠く。
【0096】
[0097]一部の実施形態では、非フィルム用途のためのポリアミド組成物は、ある量の添加剤、例えば流動およびレベリング剤を含むことができ、これはフィルム組成物には典型的でなく、そこに存在しない。これらの添加剤は、粉末コーティングおよび3D印刷用途などの非フィルム用途に有用である。
【0097】
[0098]一次および/または二次酸化防止剤などの添加剤が、本明細書で企図される一部のガラス充填または衝撃変性組成物中に含まれていてもよい。一次酸化防止剤は、ヒンダードフェノールを含み、二次酸化防止剤は、リンをベースとするものを含む。一部の実施形態では、銅をベースとする熱安定剤は、用途要件に応じて添加される。
【0098】
[0099]一部の実施形態では、ポリアミド組成物の耐汚染性は、ポリアミド前駆体を5-スルホイソフタル酸またはこれらの塩もしくは他の誘導体などのカチオン染料変性剤と塩ブレンドすることによって改善できる。
【0099】
[0100]鎖延長剤がポリアミド組成物中に含まれていてもよい。好適な鎖延長剤化合物は、ビス-N-アシルビスラクタム化合物、イソフタロイルビス-カプロラクタム(IBC)、アジポリルビス-カプロラクタム(ABC)、テルフタロイルビス-カプロラクタム(TBS)およびこれらの混合物を含む。
【0100】
[0101]ポリアミド組成物は、抗ブロック剤も含むことができる。通常珪藻土の形態の無機固体は、開示のポリアミド組成物に添加できる、あるクラスの材料を代表する。非限定的な例としては、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムカリウムが挙げられ、二酸化ケイ素は好適な抗ブロック剤の例である。
【0101】
[0102]開示のポリアミド組成物は、透明度および酸素バリアをさらに改善し、酸素バリアを高めるための造核剤も含むことができる。典型的には、これらの剤は、微結晶開始のための表面を提供する不溶性の高融点種である。造核剤を組み込むことによって、本質的に小さいより多くの結晶が開始される。より多くの微結晶またはより高い結晶化度%は、さらなる補強/より高い引張強度および酸素フラックスのより蛇行した経路(バリアの増加)と相関し、より小さい微結晶は光散乱を減少させ、これは透明度の改善と相関する。非限定的な例としては、フッ化カルシウム、炭酸カルシウム、タルクおよびナイロン2,2が挙げられる。
【0102】
[0103]ポリアミド組成物は、それだけに限らないがIrganox 1010、Irganox 1076およびIrganox 1098などのヒンダードフェノールの形態の有機抗酸化剤;それだけに限らないがIrgafos 168およびUltranox 626などの有機亜リン酸塩;芳香族アミン、周期表のIB、IIB、IIIおよびIV族からの金属塩、ならびにアルカリおよびアルカリ土類金属の金属ハロゲン化物も含むことができる。
【0103】
[0104]これらの成分の一部または全部は、任意選択と考慮され得る。場合によっては、開示の組成物は、例えば特許請求の範囲の言語によって、前述の成分のうちの1つまたは複数を明確に除外することができる。例えば、特許請求の範囲の言語は、開示の組成物、方法などが前述の添加剤のうちの1つまたは複数を利用しないか、またはこれを含まないことを列挙するように変更されてもよい。
【0104】
機械的性能の特性
[0105]ポリアミド組成物は、例えば650MPa~2500MPa、例えば650MPa~850MPa、650MPa~1050MPa、650MPa~1250MPa、650MPa~1500MPa、650MPa~1750MPa、650MPa~1950MPa、650MPa~2000MPa、650MPa~2250MPa、850MPa~1050MPa、850MPa~1250MPa、850MPa~1500MPa、850MPa~1750MPa、850MPa~1950MPa、850MPa~2000MPa、850MPa~2250MPa、850MPa~2500MPa、1050MPa~1250MPa、1050MPa~1500MPa、1050MPa~1750MPa、1050MPa~1950MPa、1050MPa~2000MPa、1050MPa~2250MPa、1050MPa~2500MPa、1250MPa~1500MPa、1250MPa~1750MPa、1250MPa~1950MPa、1250MPa~2000MPa、1250MPa~2250MPa、1250~2500MPa、1500MPa~1750MPa、1500MPa~1950MPa、1500MPa~2000MPa、1500MPa~2250MPa、1500~2500MPa、1750MPa~1950MPa、1750MPa~2000MPa、1750MPa~2250MPa、1750~2500MPa、2000MPa~2250MPa、2000~2500MPaまたは2250~2500MPaの範囲である引張係数を示すことができる。上限に関して、引張係数は、2500MPa未満、例えば2250MPa未満、2000MPa未満、1950MPa未満、1750MPa未満、1500MPa未満、1250MPa未満、1050MPa未満または850MPa未満であってよい。下限に関して、引張係数は、650MPa超、例えば850MPa超、1050MPa、1250MPa超、1500MPa超、1750MPa超、1950MPa超、2000MPa超または2250MPa超であってよい。より高い引張係数、例えば2500MPa超およびより低い引張係数、例えば650MPa未満も企図される。ポリアミド組成物の引張係数は、ISO527-1(2019)などの標準的なプロトコルを使用して測定できる。
【0105】
[0106]ポリアミド組成物は、例えば35MPa~75MPa、例えば35MPa~45MPa、40MPa~50MPa、45MPa~55MPa、50MPa~60MPa、55MPa~65MPa、60MPa~70MPaまたは65MPa~75MPaの範囲である破断引張強度を示すことができる。上限に関して、破断引張強度は、75MPa未満、例えば70MPa未満、65MPa未満、60MPa未満、55MPa未満、50MPa未満、45MPa未満または40MPa未満であってよい。下限に関して、破断引張強度は、35MPa超、例えば40MPa超、45MPa超、50MPa超、55MPa超、60MPa超、65MPa超または70MPa超であってよい。より高い引張強度、例えば75MPa超およびより低い引張強度、例えば35MPa未満も企図される。ポリアミド組成物の破断引張強度は、ISO527-1(2019)などの標準的なプロトコルを使用して測定できる。
【0106】
[0107]ポリアミド組成物は、例えば15%~350%、例えば15%~35%、25%~45%、35%~55%、45%~65%、55%~75%、65%~85%、75%~95%、85%~105%、100%~150%、125%~175%、150%~200%、175%~225%、200%~250%、225%~275%、250%~300%、275%~325%または300%~350%の範囲である破断伸び(引張)を示すことができる。上限に関して、破断伸びは、350%未満、例えば325%未満、300%未満、275%未満、250%未満、225%未満、200%未満、175%未満、150%未満、125%未満、105%未満、100%未満、95%未満、85%未満、75%未満、65%未満、55%未満、45%未満、35%未満または25%未満であってよい。下限に関して、破断伸びは、15%超、例えば25%超、35%超、45%超、55%超、65%超、75%超、85%超、95%超、100%超、105%超、125%超、150%超、175%超、200%超、225%超、250%超、275%超、300%超または325%超であってよい。より大きい伸び、例えば350%超およびより小さい伸び、例えば15%未満も企図される。ポリアミド組成物の破断伸びは、ISO527-1(2019)などの標準的なプロトコルを使用して測定できる。
【0107】
[0108]ポリアミド組成物は、例えば3kJ/m~17kJ/m、例えば3kJ/m~5kJ/m、3.5kJ/m~5.5kJ/m、4kJ/m~6kJ/m、4.5kJ/m~6.5kJ/m、5kJ/m~7kJ/m、6kJ/m~8kJ/m、7kJ/m~9kJ/m、8kJ/m~10kJ/m、9kJ/m~11kJ/m、10kJ/m~12kJ/m、11kJ/m~13kJ/m、12kJ/m~14kJ/m、13kJ/m~15kJ/m、14kJ/m~16kJ/mまたは15kJ/m~17kJ/mの範囲である23℃でのシャルピーノッチ付き衝撃エネルギー損失を示すことができる。上限に関して、23℃でのシャルピーノッチ付き衝撃エネルギー損失は、17kJ/m未満、例えば16kJ/m未満、15kJ/m未満、14kJ/m未満、13kJ/m未満、12kJ/m未満、11kJ/m未満、10kJ/m未満、9kJ/m未満、8kJ/m未満、7kJ/m未満、6kJ/m未満、5kJ/m未満、4.5kJ/m未満、4kJ/mまたは3.5kJ/m未満であってよい。下限に関して、23℃でのシャルピーノッチ付き衝撃エネルギー損失は、3kJ/m超、例えば4kJ/m超、5kJ/m超、6kJ/m超、7kJ/m超、8kJ/m超、9kJ/m超、10kJ/m超、11kJ/m超、12kJ/m超、13kJ/m超、14kJ/m超、15kJ/m超または16kJ/m超であってよい。より高いシャルピー衝撃エネルギー損失、例えば17kJ/m超およびより低いシャルピー衝撃エネルギー損失、例えば3kJ/m未満も企図される。ポリアミド組成物のシャルピーノッチ付き衝撃エネルギー損失は、ISO179-1(2010)などの標準的なプロトコルを使用して測定できる。
【0108】
[0109]ポリアミド組成物は、例えばRH95%で水分0重量%~2重量%、例えば0重量%~0.2重量%、0.1重量%~0.3重量%、0.2重量%~0.4重量%、0.3重量%~0.5重量%、0.4重量%~0.6重量%、0.5重量%~0.7重量%、0.6重量%~0.8重量%、0.9重量%~1.1重量%、1.0重量%~1.2重量%、1.1重量%~1.3重量%、1.2重量%~1.4重量%、1.3重量%~1.5重量%、1.4重量%~1.6重量%、1.5重量%~1.7重量%、1.6重量%~1.8重量%、1.7重量%~1.9重量%または1.8重量%~2.0重量%の範囲である吸湿性を示すことができる。上限に関して、吸湿性は、RH95%で水分2.0重量%未満、例えば1.9重量%未満、1.8重量%未満、1.7重量%未満、1.6重量%未満、1.5重量%未満、1.4重量%未満、1.3重量%未満、1.2重量%未満、1.1重量%未満、1.0重量%未満、0.9重量%未満、0.8重量%未満、0.7重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満または0.1重量%未満であってよい。下限に関して、吸湿性は、RH95%で水分0重量%超、例えば0.1重量%超、0.2重量%超、0.3重量%超、0.4重量%超、0.5重量%超、0.6重量%超、0.7重量%超、0.8重量%超、0.9重量%超、1.0重量%超、1.1重量%超、1.2重量%超、1.3重量%超、1.4重量%超、1.5重量%超、1.6重量%超、1.7重量%超、1.8重量%超または1.9重量%超であってよい。より高い吸湿性、例えばRH95%で水分2.0重量%超も企図される。ポリアミド組成物の吸湿性は、制御環境下でペレットまたは部品の吸湿性を測定するためのISO62:2008などの標準的なプロトコルを使用して測定できる。
【0109】
[0110]ポリアミド組成物は、膨張、溶解、重量損失および他の特性を評価することによって、例えば様々な酸、塩基、溶媒などに抵抗する耐化学性を示すことができる。ポリアミド組成物は耐摩耗性を示すことができ、これは、例えばPA6,12および/またはPA12のもの以上の耐摩耗性を示す。
【0110】
好ましい組成物
[0111]一実施形態では、ポリアミド組成物はPA6,12を含み、ダイマー変性剤は、15重量%~50重量%の範囲の量で存在するダイマーアミンであり、ポリアミド組成物は、少なくとも50%の引張伸び、0.8重量%未満の重量損失をもたらす、例えば58℃で14日間のHCl(10%)への曝露によって測定される耐化学性、およびRH95%で水分約2.0重量%未満の吸湿性を示す。PA6,12は、50重量%~85重量%の範囲の量で存在し得る。
【0111】
[0112]一実施形態では、ポリアミドポリマー組成物はPA6,12を含み、ダイマー変性剤は、15重量%~50重量%の範囲の量で存在するダイマー酸であり、ポリアミド組成物は、少なくとも20%の引張伸び、0.8重量%未満の重量損失をもたらす、例えば58℃で14日間のHCl(10%)への曝露によって測定される耐化学性、およびRH95%で水分約2.0重量%未満の吸湿性を示す。PA6,12は、50重量%~85重量%の範囲の量で存在し得る。
【0112】
[0113]一実施形態では、ポリアミドポリマー組成物はPA6,12を含み、ダイマー変性剤は、35重量%~55重量%の範囲の量で存在するダイマーアミンであり、ポリアミド組成物は、4.5kJ/m超である23℃でのノッチ付きシャルピー衝撃エネルギー損失、2.8重量%未満の重量損失をもたらす、例えば58℃で14日間のHCl(10%)への曝露によって測定される耐化学性、およびRH95%で水分約2.0重量%未満の吸湿性を示す。PA6,12は、45重量%~65重量%の範囲の量で存在し得る。
【0113】
[0114]一実施形態では、ポリアミドポリマー組成物はPA6,12を含み、ダイマー変性剤は、約20重量%の量であり、ポリアミド組成物は、3.5kJ/m超である23℃でのノッチ付きシャルピー衝撃エネルギー損失、50MPa超の引張強度、1950MPa超の引張係数、2.8重量%未満の重量損失をもたらす、例えば58℃で14日間のHCl(10%)への曝露によって測定される耐化学性、およびRH95%で水分約2.0重量%未満の吸湿性を示す。PA6,12は、約80重量%の量で存在し得る。
【0114】
調製方法
[0115]本開示は、提供されるポリアミド組成物を製造する方法にも関する。方法は、1種または複数のポリアミドポリマー、ダイマー酸もしくはダイマーアミンまたはこれらの組合せを含む変性剤、ならびに任意選択のガラス繊維、鉱物充填剤、衝撃変性剤および1種もしくは複数の熱安定剤または他の添加剤を提供するステップを含む。方法は、1種または複数のポリアミドポリマーならびにダイマー酸もしくはダイマーアミンまたはこれらの組合せを含む変性剤のタイプおよび相対量を選択して、得られたポリアミド組成物に所望の耐化学性、吸湿性の低下および機械的特性を提供するステップをさらに含むことができる。方法は、1種または複数のポリアミドポリマー、ならびにダイマー酸もしくはダイマーアミンまたはこれらの組合せを含む変性剤を組み合わせて、ポリアミド組成物を製造するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、ニグロシンなどの1種もしくは複数の染料、カーボンブラックなどの1種もしくは複数の顔料、1種もしくは複数の鉱物充填剤および/または1種もしくは複数の溶融安定剤/潤滑剤をさらに含む。
【0115】
[0116]ポリアミド組成物の成分は、ポリアミド組成物を製造するために一緒に混合およびブレンドされてもよく、適当な反応物を使用してインサイチュで形成されてもよい。さらなる説明なしの用語「添加する」または「組み合わせる」は、組成物への材料自体の添加または組成物中の材料のインサイチュ形成のいずれかを包含することが意図される。一部の実施形態では、ポリアミド組成物は、個々の水性塩からではなく個々の成分からの高固体手法を使用して調製される。ポリマー成分を含有する第1の溶液の固形分は80%超である。溶液は、その場合には蒸発器で蒸発され得る。変性剤は蒸発器を迂回し、次いで添加されて単一の混合物を形成することができる。変性剤は、ダイマー酸もしくはダイマーアミンまたはこれらの組合せを含み、変性剤は18~44個の炭素原子を含む。高固体法は、高度に疎水性である水素化ダイマー材料、例えば水素化ダイマー酸または水素化ダイマーアミンを使用する場合に有利である。
【0116】
[0117]他の実施形態では、パイロット、スケールアップまたは商業操作に好適である、水溶性ナイロン塩(例えばPA6,6、PA6,10、PA6,12など)は、固形分を40重量%~50重量%の開始範囲から75重量%~90重量%の範囲まで増加させるために蒸発ステップによって処理される。蒸発後、次いで、塩が反応容器にポンプで送り込まれ、水素化変性剤、例えば水素化ダイマー酸または水素化ダイマーアミンと組み合わされる。次いで、容器中の温度は、185psia~270psiaの範囲の圧力下で220℃~270℃の範囲の温度に昇温させる。次いで、圧力は、温度を250℃~270℃で維持しながら30分~90分間にわたって大気圧まで減圧される。圧力が大気圧に達したら、次いで、仕上げが大気圧または真空下のいずれかで行われる。真空が印加される場合、圧力は2psia~10psiaの範囲である。仕上げ時間は、所望の粘度/分子量に応じて10分~60分の範囲であってよい。仕上げ後、窒素ヘッド圧が印加され、溶融ポリマーが円形の金型から押し出され、ストランドトレーの水面下に浸され、ストランドペレタイザーに送られる。ペレット化後、表面の水分は、スピンドライヤーからの残留熱および空気によりペレットから除去され、ペレットは、箔で裏打ちされた容器に回収される。
【0117】
[0118]別の実施形態では、組成物と組み合わされる2種以上の材料は、マスターバッチによって同時に添加される。
【0118】
成形品
[0119]本開示は、提供されるポリアミド組成物のいずれかを含む物品にも関する。物品は、例えば従来の射出成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形、圧縮成形またはガスアシスト成形技術によって製造できる。開示の組成物および物品との使用に好適な成形方法は、米国特許第8,658,757号、第4,707,513号、第7,858,172号および第8,192,664号に記載されており、それぞれその全体が、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。提供されるポリアミド組成物で製造できる物品の例としては、電気および電子用途で使用されるもの(例えばそれだけに限らないが回路遮断機、端子ブロック、コネクタなど)、自動車用途(例えばそれだけに限らないが空気処理システム、ラジエータエンドタンク、ファン、シュラウドなど)、家具および家電部品、ならびにケーブルタイなどのワイヤ位置決め装置で使用されるものが挙げられる。
【0119】
[0120]一部の実施形態では、提供されるポリアミド組成物のいずれかを含む射出成形品が提供される。他の実施形態では、提供されるポリアミド組成物のいずれかの押出品が提供され、これは異形押出品、モノフィラメントまたは繊維であってよい。
【実施例
【0120】
[0121]例1~8を、表2に列挙される配合物を使用して調製した。表1は、ダイマー酸またはダイマーアミンに基づく全繰り返し単位の分子量に関して、例1~8およびさらに例9~11のダイマー酸/アミン含有量を示す。例えば、例1は、ダイマー酸繰り返し単位を20重量%有し、例5は、ダイマー酸繰り返し単位を10重量%およびダイマーアミン繰り返し単位を10重量%有していた。例1~11はそれぞれ、30,000g/mol未満のMを有する。
【0121】
【表1】
【0122】
[0122]例1~8を、表2に示す成分を組み合わせ、オートクレーブ中での重合法を使用して混合物を調合することにより調製し、ここで成分を反応器に投入した。成分を、括弧内に示した分子量および該当する場合供給元を含む以下から選択した:PA6,12(100%固体、MW346.5)、ヘキサメチレンジアミン(50%水性、MW116)、ドデカン二酸(MW230、Acme Hardesty)、ダイマー酸(MW570、Pripol 1009、Croda)、ダイマージアミン(MW540、Priamine 1075、Croda)、アジピン酸(MW146)、フェノール系酸化防止安定剤(MW531、Irganox(登録商標)1098、Sigma Aldrich)および次亜リン酸ナトリウム(2重量%)(MW88)。添加剤を溶融物に添加した。バッチあたりの目標は固体500gであった。例の組成物を140℃~160℃に加熱した後、撹拌を20psia~45psiaの圧力で開始した。撹拌時および最初の蒸発が観察されたら、次いで、反応容器を200psia~265psiaに加圧した。20psia~45psiaの圧力を、220℃~250℃の温度に達するまで維持し、次いで該温度に達した時点で、圧力を30分±10%間にわたって減圧した。温度は、圧力が大気状態に達したとき245℃~265℃であった。大気圧に達した後、真空を30分±10%間かけ、その後圧力を5psia±10%で維持した。次いで、ストランドを10分~30分間にわたって押し出し、ペレット化して窒素(N)ブランケット下の容器に入れた。
【0123】
[0123]すべてのコポリマー配合物を、(上記のパイロット、スケールアップまたは商業操作の方法と同様に水性塩からではなく)個々の成分から成功裏に製造した。水素化ダイマー材料が高度に疎水性であるため、この高固体法は重要である。したがって、最初の製法で存在する大量の水は、水性塩に依存する配合物と同様に、不均一混合物をもたらし、これは特に蒸発および圧力のステップにおける処理に支障をきたす。加えて、撹拌は、混合物の温度がドデカン二酸の融点を上回る140℃に達するまで回避される。この温度を満たしたら、ドデカン二酸は、C36モノマーを溶媒和し、ジアミン、二酸および添加剤の均一な反応混合物をもたらす。使用した方法は、データに例示されるように高度に繰り返し可能である(例えば表8にあるような融点)。さらに、高固体法は、本明細書に記載のダイマー酸および/またはダイマーアミンの変性の範囲での様々なレベルのC36の変性にとってロバストな方法であることが分かる。
【0124】
【表2】
【0125】
[0124]上記のように、表1の例1~8のダイマー酸および/またはダイマーアミンのパーセンテージは、ダイマー酸またはダイマーアミンに基づく全繰り返し単位の分子量を表す。各ポリアミドの製造で使用した純粋なダイマー酸および/またはダイマーアミンの実際の量は少なかった。例えば、例1のダイマー酸繰り返し単位20%および例2のダイマー酸繰り返し単位45%で、製造で使用したダイマー酸の実際のパーセンテージは、表2に示すポリマーの各々約12.1重量%および約28.6重量%である。例4Aは、ダイマー酸を例4と同じパーセンテージ有し、アジピン酸を、例4Aの配合物で使用しなかったことが異なる。同様に、例8は、ダイマー酸およびダイマーアミンを例7と同じパーセンテージ有し、アジピン酸を例7Aの配合物で使用しなかったことが異なる。ポリアミドの特性は、ポリアミドに組み込まれるダイマー酸および/またはダイマーアミンの量を変更することによって調整できる。より多くのダイマー酸および/またはダイマーアミンを組み込むことによって、例えば、衝撃弾性および破断伸びが向上した、靭性が高くより柔軟な(低い係数を有する)材料が実現できる。
【0126】
[0125]表3~5に示すように、ダイマー酸および/またはダイマーアミンを反応させてPA6,12に組み込み、引張強度、係数、伸び、衝撃強度、耐化学性および吸湿性などの特性を提供することで、特性のバランスが取れたハイブリッド系をもたらした。未変性PA6,12および未変性PA12を比較例として提供する。この手法は、PA6,12とPA12の特性間に属する特性のスペクトルと相関する特性を有するハイブリッド系を生成すると考えられる。
【0127】
[0126]比較例は、比較例A(ダイマー含有量なしのPA6,12)および比較例B(ダイマー含有量なしのPA12)を含む。
【0128】
[0127]例9~11も、ダイマー変性剤を反応させてPA6,12に組み込み、各例を提供することによって、表2にあるような例1~8の配合物と同様の方式で調製した。例9は、ダイマー酸繰り返し単位を15重量%含み、例10は、ダイマー酸繰り返し単位を35重量%含み、例11は、ダイマーアミン繰り返し単位を35重量%含む。
【0129】
[0128]表3は、ダイマー酸を45重量%含む例2およびダイマー酸を15重量%含む例9対比較例Bの比較を示す。例2の23℃およびRH50%での平衡吸湿性は、比較例B(未変性PA12)のものに匹敵し、有利には、例2は、未変性PA12ポリアミドより高い融点を有する。さらに表3に示すように、ダイマー酸を15重量%含む例9の引張強度および引張係数は、比較例B(未変性PA12)のものより高く、例9は、有利には、未変性PA12ポリアミドより高い溶融温度も有する。
【0130】
【表3】
【0131】
[0129]表4を参照すると、引張強度、引張係数、伸び、衝撃強度および融点のデータが、例1~4、10および11について、ならびに比較例AおよびBについて提供される。
【0132】
【表4】
【0133】
[0130]表4に示すように、例1は、比較例Aのものと同様の引張強度を示した。有利には、耐化学性および耐湿性の向上も、試験中に観察された。以下の考察を参照のこと。例10は、耐温度性の向上の追加された利点と共に、比較例Bのものと同様の引張強度を有する材料をもたらした。ダイマー酸の変性は、ダイマーアミンの変性ほど引張強度に影響を与えなかった。ダイマーアミンは、ポリマー鎖内により均一に分布し、それにより、結晶化度、したがって引張強度に影響を与えると考えられる。
【0134】
[0131]さらに表4に示したように、例1~4、10および11の引張係数および伸びの測定値は、引張係数については約650MPa~約2200MPaおよび約15%~100%(または最大300%以上)の間に、骨格を変性することにより反応器外で直接調整できる。別の言い方をすれば、ダイマー含有量は、性能を所望の結果に調整するための組成変数として使用できる。有利には、例4は、約650MPaの引張係数で非常に柔軟であることが見出され、可塑化または強化PA6,12用途のための係数要件も満たすはずである。例4は、PA12より優れた衝撃弾性および伸びも示す。
【0135】
[0132]引張伸び要件は、コモノマーのタイプおよびダイマー変性剤の量を補正することによっても調整できる。場合によっては、ダイマーアミンは、ダイマー酸より引張係数および伸びにより顕著な影響を与える。ダイマーアミンは、結晶化度に影響を与える均一な分布によって、伸びに対するより顕著な効果を有すると考えられる。
【0136】
[0133]再び表4を参照すると、ダイマー酸および/またはダイマーアミンを含むポリアミド組成物試料は、比較例AおよびBより高い衝撃強度を示す。例4は、特に良好であり、他の実施例、例えば例1、2、3、10および11より少なくとも3倍さらに良好、ならびに比較例AおよびBより良好な衝撃強度を示す。
【0137】
[0134]耐化学性データを、上記のように組み込まれたダイマー繰り返し単位を有する例1~4について表5に要約する。耐化学性は、様々な酸、塩基および溶媒への曝露後の様々な配合物の重量増加/損失を評価することによって決定できる。比較例Aおよび比較例Bを比較として使用し、未変性PA12参照材料は、Grilamid L 25A NZ(EMS-GRIVORY)であった。化学試薬試験は、例1~4ならびに比較例Aおよび比較例Bを以下の化学試薬それぞれに曝露するステップを含んでいた:58℃で14日間のHCl(10%);室温で1日のHSO(38%);および室温で7日間のメタノール。
【0138】
[0135]表5のデータは、時限曝露による重量損失のパーセンテージを示し、重量損失が少なければ少ないほど、耐化学性が高いことを示す。例1~4それぞれの重量損失は、58℃で14日間のHCL(10%)曝露については比較例Bの重量損失を下回り、優れた耐化学性を示す。例1および例2は、ダイマーアミンを組み込んだ例3および例4と比較した場合でも、特にHCl曝露に対する耐性の改善を示した。例1~4のポリアミドは、一般に、室温で1日のHSO(38%)への曝露に不適合であり、媒体が、試料ポリアミドを膨張、攻撃または溶解することを意味する。表5のデータは、例1~4が、比較例Bと比較して、メタノールに対して良好またはより良好な耐化学性を有することをさらに示す。
【0139】
【表5】
【0140】
[0136]表6を参照すると、PA6,6を、ダイマー酸および/またはダイマーアミンを含む変性剤と反応させて、ダイマー酸繰り返し単位を10重量%含む例12、ダイマー酸繰り返し単位を20重量%含む例13およびダイマー酸繰り返し単位を20重量%含む例14を提供した。PA6,6へのダイマーの組込みは、熱特性を維持しながら、靭性および耐化学性の改善を提供することが観察された。
【0141】
【表6】
【0142】
[0137]特性データの概要を例1および例4について表7に示す。比較例Aおよび比較例Bのデータも表7に示す。結果は、開示のポリアミド組成物が、吸湿性を低下させながら、耐化学性の向上と共に機械的特性を調整するために異なる量でダイマー酸またはダイマーアミンおよびこれらの組合せを組み込むように変性され得ることを示す。例1は、未変性PA6,12に関しては同様の熱および機械的特性を提供し、吸湿性の低下および耐化学性の改善の追加の利点と共に、高い強度、剛性stiffnessおよび耐温度性を必要とする用途に好適であり得る。例えばダイマーアミンによるPA6,12の変性(例4)は、軟性/柔軟性の向上を提供し、例えば管材、粉末コーティングなどのための、高い柔軟性および靭性を必要とする広範な用途に好適であり得る。
【0143】
【表7】
【0144】
[0138]次いで、例1~8は、熱についての熱分析、ならびに吸湿性分析およびテーバー摩耗を受けた。
【0145】
[0139]2Lクレーブから製造したペレットを、T(MTPT)およびT(REXC)について熱分析した。圧縮成形から製造した試料を、TA Q800 DMAを使用して、3℃/分の傾斜率で50℃~200℃の温度スイープに対して周波数1Hzにて引張モードで行われる動的機械分析(DMA)で使用した。
【0146】
[0140]ISO527-2による引張特性およびISO179/1eAによるノッチ付きシャルピー衝撃を、圧縮成形から製造した棒を使用して分析した。
【0147】
[0141]吸湿性分析を試料に対して行った。分析を、蒸気吸着分析装置、TA Instrumentsを使用して行った。最大の吸湿性を、23℃、RH50%および23℃、RH95%で測定した。
【0148】
[0142]テーバー摩耗分析を、圧縮成形から製造した3mm厚のシートで行った。試験は、真空密封のための真空に取り付けられた5130摩耗試験機およびCS-17 Calibraseホイールを使用して行った。試料を、イソプロピルアルコールできれいに拭き取ることにより調製し、湿度50%+10%および23℃+2℃で40時間調節した後、この湿度および温度制御環境で天秤上で秤量した。試料を、試験前後にこの環境で貯蔵した。試験前およびその結果としてすべての試料を試験した後、ホイールを、摩耗用リフェーシングディスクを使用して調節した。ディスクを装填し、50サイクル作動させた。終了したら、リフェーシングディスクを廃棄し、ホイールリフェーシングの残部を吸引した後、試料を装填した。試料は重量1kgで1000回転作動させた。試料を、湿度および温度制御環境に最低40時間放置した後、重量損失測定のために再度秤量した。
【0149】
【表8】
【0150】
[0143]表8の例1~4および8について、データを、示された複数の試料について回収した。表8に示すように、例1~8は、172℃~213℃の範囲の融点を有し、これは未変性PA12およびPA6,12各々の下点および上点に密接に対応している。水素化ダイマー酸または水素化ダイマーアミンの添加の増加によって融点が低下することが観察された。さらに、水素化ダイマーアミンを含む系は、ダイマー酸を含む系より融点の過度の低下を有する。押出圧力は、PA6,12ホモポリマーの基準粘度(例えばVN約110~130mL/g)に沿ったものであり、したがって、所望の分子量が達成された。
【0151】
[0144]C36二酸およびC36ジアミンについて融点の影響は、表8に示す結果から明らかである。C36二酸は、例2によって示されるダイマー酸%の組込み45%でも200℃以上の融点を維持する。この時点で、メチル対アミド比は実質的にPA12と一致するが、例2は、PA12のものより約25℃高い融点を有する。さらに、ダイマーアミンの変性を、各々例4および4Aのように化学量論的バランスを維持するアジピン酸ありまたはなしで行った。例4のようにC36ジアミンの機能性のバランスを維持するためのアジピン酸ありの場合、例4AのようにC36ジアミンと単に追加のドデカン二酸とのバランスを取った場合と比較して、平均174℃のはるかに低い融点が測定された。この差が見られる理由は、アジピン酸を系に添加した場合、骨格の複雑性が増すためであり、この場合、2種のジアミン(HMDおよびC36ジアミン)および2種の二酸(アジピン酸およびドデカン二酸)が存在する。これは、存在する4種のモノマーを同等とし、4つの可能な繰り返し単位(6,12、6,36、36,6および36,12)をもたらし、したがってテトラポリマーが形成されると考えられる。骨格のこの複雑性は、結晶化度が2つの可能な繰り返し単位を有する系(例えば6,12および36、12の可能な繰り返し単位を含む例4)を上回るのを防ぐ。
【0152】
【表9】
【0153】
[0145]表9に示すように、コポリマーは、最終ポリマー中でのダイマーモノマーのタイプおよびダイマーモノマーの濃度に基づき各々170℃~220℃(例えばPA12とPA6,12の間の融点の連続体)および25℃~60℃の範囲のTまたはTを有するように調整できる。結晶化温度も、ダイマーモノマーのタイプおよび濃度に基づき大幅に変更できる。ポリマー中で高濃度のダイマー酸またはダイマーアミンは、著しく低いT値を示し、これは粉末コーティングおよび3D印刷などの用途に有利な特徴であるより緩慢な結晶化速度に置き換えられる。とりわけ、例1のPA6,12+ダイマー酸配合物20%は、PA6,12(比較例A)と同様のTおよびTを有していた。したがって、例1の配合物は、PA6,12と射出成形については酷似した処理を行う。例えば、例1の配合物は、PA6,12と比較して耐湿性および耐化学性の改善などの特性利点を有しながら、同様の処理条件およびサイクル時間を有する。
【0154】
[0146]図1は、DMA分析から得られる温度の関数としての貯蔵係数を例示する。プロット100は、比較例A(PA6,12)および比較例B(PA12)と比較した例1、2、3、4および6のコポリマー組成物を示す。これらのデータは、貯蔵係数が、モノマーPA6,12またはPA12のものと一致するまたはそれをしのぐように調整できることを示す。より大量のダイマー酸またはダイマーアミンは、比較例A(PA6,12)および比較例B(PA12)と比較して、例2および4に示されるように、要素110を指定する-50~150℃の温度範囲にわたってより低い貯蔵係数を有するポリマーをもたらした。(例えば要素120によって指定される150℃を上回る)昇温で、例1、2、3および6は、比較例B(PA12)と比較してより高い貯蔵係数を保持し、これはPA12と比較してコポリマーのより高いサービス温度または使用温度に置き換えられると考えられる。
【0155】
[0147]図2においてプロット200に例示されるように、温度の関数としてTanδのピークとして示されるガラス転移T挙動を、DMA分析を使用してさらに示す。例1、2、3、4および6は、比較例A(PA6,12)および比較例B(PA12)と比較して、より広いα転移(ガラス転移)およびより高いピーク強度を示し、したがって例1、2、3、4および6が、減衰特性および靭性の向上を有することを示す。
【0156】
[0148]吸湿性結果を図3および表10に示す。グラフ300は、例1および2ならびに比較例A(PA6,12)および比較例B(PA12)の吸湿性を23℃およびRH95%(模様付き棒で表される)、23℃およびRH50%(中実の棒で表される)で示す。表10は、同じデータセットについてデータを数値で示す。図3および表10は、例1および2において例示される優れた耐湿性を示す。例1と同様にPA6,12へのダイマー酸の添加20%では、結果は、PA12のものと等しい耐湿性を示すコポリマーを示す。コポリマーのダイマー相が、成形品の表皮になり得(またはその表面に近づき得)、ダイマー相の疎水性がその場合にはコポリマーに優れた防湿バリアを付与すると考えられる。さらに、例2と比較して比較例B(PA12)と同等のメチル/アミド比で、例2は、さらにより低い吸湿性を示す。この特性は、それだけに限らないが柔軟な管材、天然ガスパイプおよび粉末コーティングなど、機械的特性に高い寸法安定性および水分不活性を必要とする多くの用途に魅力的である。
【0157】
【表10】
【0158】
[0149]図4は、テーバー試験によって分析された試料がすべて、良好な耐摩耗性、例えば重量損失0.1%未満を示したことを示す。耐摩耗性は、材料の結晶化度のパーセンテージと相関し、結晶化度が高いほど、耐摩耗性が良好である。比較例A(PA6,12)は、その結晶化度のパーセンテージが最も高いため、最良の耐摩耗性(最も低い重量損失%)を示した。ダイマー酸の組込み20%の例1は、比較例B(PA12)のものよりわずかに良好な耐摩耗性を示した。有利には、テーバー試験は、試験したポリアミドすべてが、高い耐摩耗性を示し、1000ppm未満の重量損失をもたらし、とりわけ、本明細書で使用したテーバー試験は、テーバー摩耗試験の中で最も摩耗性の高いCalibraseホイールのうちの1つを使用した。添加剤によるさらなる最適化が、摩擦係数を低下させ、且つ/または分子量を増加させることが企図される。
【0159】
[0150]耐化学性を、表11に概説される様々な試薬と比較して測定した。結果は、より高いレベルのダイマー酸またはアミンの変性が、酸、塩基、塩ならびに極性(メタノール)および非極性(ヘキサン)溶媒に対して確かな性能をもたらすことを示した。具体的には、ダイマー酸の組込み45%の例2は、HCl、NAOHおよびZnCl中で非常に良好に機能し、耐酸性でPA12を明らかにしのぐが、ダイマーアミンの組込み45%の例4は、試薬に対して良好な耐性を有するが、NAOH中で最もよく機能した。例2と4はいずれも、比較例A(PA6,12)と比較してNAOHおよびZnCl中でより良好に機能した。さらに、より高いダイマー酸またはダイマーアミン含有量を有する例は、比較例Aまたは比較例Bより炭化水素溶媒(ヘキサン)に対してより良好な耐性で機能した。
【0160】
【表11】
【0161】
[0151]本明細書に記載されるように、ダイマー酸および/またはダイマーアミンによる変性は、広範な用途に調整可能な有益な特性を提供する。表4および7を参照すると、機械的特性も、ダイマー酸および/またはダイマーアミンの添加によって高度に調整可能である。例えば、引張係数は、第2の調合ステップにおいて何らかの衝撃変性剤または可塑剤の添加なしに約700MPa~約2200MPa(表4に示すように)に調整できる。
【0162】
[0152]より大量のダイマー酸またはダイマーアミン(例えば例2および4のようにコモノマー含有量45%)は、低い係数の材料をもたらす。これらの同じより高いダイマー含有量のコポリマーは、非常に高いノッチ付きシャルピー衝撃強度値も示す。例えば、14.3KJ/mの平均衝撃強度を有する表4の例4を参照のこと。より高いダイマー酸および/またはダイマーアミンの変性を有する例は、靭性および柔軟性を提供するが、優れた耐化学性および耐温度性も提供し、これらを管材および3D印刷などの用途に好適なものにする。これらの組成物は、ダイマー変性剤の添加が、PA-6,12、例えばPA12の吸湿性の性能を有益にはさらに下回る吸湿性の性能を有するコポリマーを提供することを示す。PA12は、製造に費用がかかり、且つ製造が難しいことが公知である。これは、PA12組成物よりさらに良好である安定した機械的特性および寸法安定性を有する水分不活性材料を提供するPA12の代替物を得るという業界における長年にわたる切実な必要性を満たす。
【0163】
[0153]より少量のダイマー酸またはダイマーアミン(例えば例1または3のようにコモノマー含有量20%)において、良好またはさらに改善された特性が、PA6,12と比較して(より低い製造コストで)実現され、有利には同様の引張特性が、PA6,12については維持されるが、表4に示すように靭性はより高い。より低いダイマー酸および/またはダイマーアミンの変性を有する例は、PA12のものに匹敵する優れた耐湿性および耐化学性、ならびに広範な用途に好適な特性の全体的バランスを提供する。
【0164】
実施形態
[0154]以下の実施形態が企図される。特徴および実施形態のすべての組合せが企図される。
【0165】
[0155]実施形態1:ポリアミドポリマーを45重量%~95重量%、ダイマー酸もしくはダイマーアミンまたはこれらの組合せを含む変性剤を5重量%~55重量%含むポリアミド組成物であって、ポリアミド組成物が、3.0重量%未満の重量損失をもたらす、58℃で14日間のHCl(10%)への曝露によって測定される耐化学性、およびRH95%で水分約2.0重量%未満の吸湿性を示す、ポリアミド組成物。
【0166】
[0156]実施形態2:ポリアミド組成物が、6:1~15:1の範囲のメチル/アミド比を有する、実施形態1の実施形態。
【0167】
[0157]実施形態3:ポリアミド組成物が、9:1~15:1の範囲のメチル/アミド比を有する、実施形態1または2の実施形態。
【0168】
[0158]実施形態4:ポリアミド組成物が、ダイマー酸もしくはダイマーアミンまたはこれらの組合せを含む変性剤を20重量%~45重量%含む、実施形態1~3の実施形態のいずれかの実施形態。
【0169】
[0159]実施形態5:ポリアミド組成物が、RH95%で水分約1.6重量%未満の吸湿性を示す、実施形態1~4の実施形態のいずれかの実施形態。
【0170】
[0160]実施形態6:ポリアミドポリマーが、PA6、PA10、PA11、PA12、PA6,6、PA6,9、PA6,10、PA6,11、PA6,12、PA6,13、PA6,14、PA6,15、PA6,16、PA6,17、PA6,18、PA10,10、PA10,12、PA12,12、PA9T、PA10T、PA11T、PA12T、PA6T/66、PA6T/6I、PA6T/6I/66、PA6T/DT、PA6,T/6,10、PA6,T/6,12、PA6,T/6,13、PA6,T/6,14、PA6,T/6,15、PA6,T/6,16、PA6,T/6,17、PA6,T/6,18、PA6,C/6,10、PA6,C/6,12、PA6,C/6,13、PA6,C/6,14、PA6,C/6,15、PA6,C/6,16、PA6,C/6,17、PA6,C/6,18またはこれらの組合せを含む、実施形態1~5の実施形態のいずれかの実施形態。
【0171】
[0161]実施形態7:ポリアミドポリマーがPA6,6を含む、実施形態1~6の実施形態のいずれかの実施形態。
【0172】
[0162]実施形態8:ポリアミドポリマーがPA6,10を含む、実施形態1~7の実施形態のいずれかの実施形態。
【0173】
[0163]実施形態9:ポリアミドポリマーがPA6,12を含む、実施形態1~8の実施形態のいずれかの実施形態。
【0174】
[0164]実施形態10:ポリアミドポリマーが、PA6T/66、PA6T/6I、PA6T/6I/66、PA6T/DT、PA6,T/6,10、PA6,T/6,12、PA6,T/6,13、PA6,T/6,14、PA6,T/6,15、PA6,T/6,16、PA6,T/6,17、PA6,T/6,18またはこれらの組合せを含む、実施形態1~9の実施形態のいずれかの実施形態。
【0175】
[0165]実施形態11:ポリアミドポリマーの数平均分子量が、9,000g/mol~60,000g/molの範囲である、実施形態1~10の実施形態のいずれかの実施形態。
【0176】
[0166]実施形態12:ポリアミドポリマーの数平均分子量が、20,000g/mol~45,000g/molの範囲である、実施形態1~11の実施形態のいずれかの実施形態。
【0177】
[0167]実施形態13:ポリアミドポリマーの数平均分子量が、12,000g/mol~20,000g/molの範囲である、実施形態1~11の実施形態のいずれかの実施形態。
【0178】
[0168]実施形態14:ポリアミドポリマーが、10μeq/g~110μeq/gの範囲のアミン末端基含有量を有する、実施形態1~13の実施形態のいずれかの実施形態。
【0179】
[0169]実施形態15:ポリアミドポリマーが、35μeq/g~80μeq/gの範囲のアミン末端基含有量を有する、実施形態1~14の実施形態のいずれかの実施形態。
【0180】
[0170]実施形態16:ガラス繊維を最大60重量%さらに含む、実施形態1~15の実施形態のいずれかの実施形態。
【0181】
[0171]実施形態17:潤滑剤を最大2重量%さらに含む、実施形態1~16の実施形態のいずれかの実施形態。
【0182】
[0172]実施形態18:ニグロシン染料、銅含有化合物、可塑剤もしくは難燃剤またはこれらの組合せから選択される添加剤をさらに含む、実施形態1~17の実施形態のいずれかの実施形態。
【0183】
[0173]実施形態19:炭酸カルシウム、タルク、水酸化マグネシウム、カオリン粘土またはこれらの組合せから選択される鉱物添加剤を最大30重量%さらに含む、実施形態1~18の実施形態のいずれかの実施形態。
【0184】
[0174]実施形態20:変性オレフィン、未変性オレフィン、無水マレイン酸変性オレフィン、無水マレイン酸未変性オレフィン、アクリレートもしくはアクリルまたはこれらの組合せから選択される衝撃変性剤をさらに含む、実施形態1~19の実施形態のいずれかの実施形態。
【0185】
[0175]実施形態21:ポリアミドポリマーがPA6,12を含み、ダイマー変性剤が、15重量%~50重量%の範囲の量で存在するダイマーアミンであり、ポリアミド組成物が、少なくとも50%の引張伸びを示す、実施形態1~20の実施形態のいずれかの実施形態。
【0186】
[0176]実施形態22:ポリアミドポリマーがPA6,12を含み、ダイマー変性剤が、15重量%~50重量%の範囲の量で存在するダイマー酸であり、ポリアミド組成物が、少なくとも20%の引張伸びを示す、実施形態1~21の実施形態のいずれかの実施形態。
【0187】
[0177]実施形態23:ポリアミドポリマーがPA6,12を含み、ダイマー変性剤が、35重量%~55重量%の範囲の量で存在するダイマーアミンであり、ポリアミド組成物が、4.5kJ/m2超である23℃でのノッチ付きシャルピー衝撃エネルギー損失を示す、実施形態1~22の実施形態のいずれかの実施形態。
【0188】
[0178]実施形態24:ポリアミドポリマーがPA6,12を含み、ダイマー変性剤が、約20重量%の量であり、ポリアミド組成物が、3.5kJ/m2超である23℃でのノッチ付きシャルピー衝撃エネルギー損失、50MPa超の引張強度および1950MPa超の引張係数を示す、実施形態1~23の実施形態のいずれかの実施形態。
【0189】
[0179]実施形態25:ポリアミド組成物が、30%超の引張伸びを示す、実施形態1~24の実施形態のいずれかの実施形態。
【0190】
[0180]実施形態26:ポリアミド組成物が、3kJ/m2超である23℃でのノッチ付きシャルピー衝撃エネルギー損失を示す、実施形態1~25の実施形態のいずれかの実施形態。
【0191】
[0181]実施形態27:ポリアミド組成物が、650MPa超の引張係数を示す、実施形態1~26の実施形態のいずれかの実施形態。
【0192】
[0182]実施形態28:任意の先のまたはその後の態様のポリアミド組成物であって、ポリアミド組成物が、13%超の引張伸びを示す、実施形態1~27の実施形態のいずれかの実施形態。
【0193】
[0183]実施形態29:ポリアミド組成物が、参照PA6,12材料または参照PA12材料のものより高い耐摩耗性を示す、実施形態1~28の実施形態のいずれかの実施形態。
【0194】
[0184]実施形態30:実施形態1~29の実施形態のいずれかのポリアミド組成物を含む、射出成形品。
【0195】
[0185]実施形態31:物品が押出品、異形押出品、モノフィラメントまたは繊維である、実施形態1~29の実施形態のいずれかの実施形態のポリアミド組成物を含む物品。
【0196】
[0186]実施形態32:ポリアミド組成物が、ポリアミドポリマーを45重量%から95重量%、C18~44ダイマー酸もしくはC18~44ダイマーアミンまたはこれらの組合せを含む変性剤を5重量%~55重量%含み、ポリアミド組成物が、30,000g/mol未満であるポリアミドポリマーの数平均分子量、3.0重量%未満の重量損失をもたらす、58℃で14日間のHCl(10%)への曝露によって測定される耐化学性およびRH95%で水分約2.0重量%未満の吸湿性を有する、実施形態1~31の実施形態のいずれかの実施形態。
【0197】
[0187]実施形態33:ポリアミドポリマーが、PA10、PA11、PA12、PA6,6、PA6,9、PA6,10、PA6,11、PA6,12、PA6,13、PA6,14、PA6,15、PA6,16、PA6,17、PA6,18、PA10,10、PA10,12、PA12,12、PA9T、PA10T、PA11T、PA12T、PA6T/66、PA6T/6I、PA6T/6I/66、PA6T/DT、PA6,T/6,10、PA6,T/6,12、PA6,T/6,13、PA6,T/6,14、PA6,T/6,15、PA6,T/6,16、PA6,T/6,17、PA6,T/6,18、PA6,C/6,10、PA6,C/6,12、PA6,C/6,13、PA6,C/6,14、PA6,C/6,15、PA6,C/6,16、PA6,C/6,17もしくはPA6,C/6,18またはこれらの組合せを含む、実施形態1~32の実施形態のいずれかの実施形態。
【0198】
[0188]実施形態34:ポリアミドポリマーが、PA6,10、PA6,12またはこれらの組合せを含む、実施形態1~33の実施形態のいずれかの実施形態。
【0199】
[0189]実施形態35:変性剤が、単一のダイマー酸または単一のダイマーアミンのいずれかを含む単一の変性剤である、実施形態1~34の実施形態のいずれかの実施形態。
【0200】
[0190]実施形態36:ポリアミド組成物が、165℃~270℃の溶融温度を有する、実施形態1~35の実施形態のいずれかの実施形態。
【0201】
[0191]実施形態37:ポリアミド組成物が、170℃~215℃の溶融温度を有する、実施形態1~36の実施形態のいずれかの実施形態。
【0202】
[0192]実施形態38:ポリアミド組成物が、ダイマー酸もしくはダイマーアミンまたはこれらの組合せを含む変性剤を20重量%~45重量%含む、実施形態1~37の実施形態のいずれかの実施形態。
【0203】
[0193]実施形態39:ポリアミドポリマーの数平均分子量が、10,000g/mol~25,000g/molの範囲である、実施形態1~38の実施形態のいずれかの実施形態。
【0204】
[0194]実施形態40:ポリアミドポリマーが、10μeq/g~110μeq/gの範囲のアミン末端基含有量を有するか、またはポリアミドポリマーが、35μeq/g~80μeq/gの範囲のアミン末端基含有量を有する、実施形態1~39の実施形態のいずれかの実施形態。
【0205】
[0195]実施形態41:ポリアミド組成物が、5重量%超の量で存在するガラス繊維を含む、実施形態1~40の実施形態のいずれかの実施形態。
【0206】
[0196]実施形態42:ポリアミド組成物が、0.3重量%超の量で存在する潤滑剤を含む、実施形態1~41の実施形態のいずれかの実施形態。
【0207】
[0197]実施形態43:ポリアミド組成物が、3重量%超の量で存在する衝撃変性剤を含む、実施形態1~42の実施形態のいずれかの実施形態。
【0208】
[0198]実施形態44:ポリアミドポリマーがPA6,12を含み、ダイマー変性剤が15重量%~50重量%の範囲の量で存在し、ダイマー変性剤が単一のダイマーアミンであり、ポリアミド組成物が、少なくとも50%の引張伸びを示す場合と、ダイマー変性剤が単一のダイマー酸であり、ポリアミド組成物が、少なくとも20%の引張伸びを示す場合のいずれか一方である、実施形態1~43の実施形態のいずれかの実施形態。
【0209】
[0199]実施形態45:ポリアミドポリマーがPA6,12を含み、ダイマー変性剤が、35重量%~55重量%の範囲の量で存在する単一のダイマーアミンであり、ポリアミド組成物が、4.5kJ/m超である23℃でのノッチ付きシャルピー衝撃エネルギー損失を示す、実施形態1~44の実施形態のいずれかの実施形態。
【0210】
[0200]実施形態46:ポリアミドポリマーがPA6,12を含み、ダイマー変性剤が、約20重量%の量であり、ポリアミド組成物が、3.5kJ/m超である23℃でのノッチ付きシャルピー衝撃エネルギー損失、50MPa超の引張強度および1950MPa超の引張係数を示す、実施形態1~45の実施形態のいずれかの実施形態。
【0211】
[0201]実施形態47:物品が、ポリアミドポリマーを45重量%から95重量%、C18~44ダイマー酸もしくはC18~44ダイマーアミンまたはこれらの組合せを含む変性剤を5重量%~55重量%含むポリアミド組成物を含み、成形品組成物が、30,000g/mol未満であるポリアミドポリマーの数平均分子量、3.0重量%未満の重量損失をもたらす、58℃で14日間のHCl(10%)への曝露によって測定される耐化学性、およびRH95%で水分約2.0重量%未満の吸湿性を有する、実施形態1~46いずれかの成形品。
【0212】
[0202]実施形態48:方法が、高固体モノマー溶液を水性塩中で調製するステップであって、固形分が80%超である、ステップと、高固体モノマー溶液を蒸発器で蒸発させるステップであって、開始濃度が60重量%超である、ステップと、C18~44ダイマー酸もしくはC18~44ダイマーアミンまたはこれらの組合せを含む変性剤を添加して、単一の混合物を形成するステップであって、変性剤が蒸発器を迂回する、ステップを含み、ポリアミド組成物が、3.0重量%未満の重量損失をもたらす、58℃で14日間のHCl(10%)への曝露によって測定される耐化学性、およびRH95%で水分約2.0重量%未満の吸湿性を示す、実施形態1~47の実施形態のいずれかの方法。
【0213】
[0203]実施形態49:ポリアミドポリマーが、PA6,10、PA6,12またはこれらの組合せを含む、実施形態1~48の実施形態のいずれかの実施形態。
【0214】
[0204]実施形態50:変性剤が、単一のC18~44ダイマー酸または単一のC18~44ダイマーアミンのいずれかを含む単一の変性剤である、実施形態1~50の実施形態のいずれかの実施形態。
【0215】
[0205]開示を詳細に記載してきたが、本開示の精神および範囲内での変更は、当業者には容易に明らかである。前述の考察、当技術分野での関連する知識、ならびに背景技術および詳細な説明に関連して上で考察された参考文献を考慮して、開示は参照により本明細書にすべて組み込まれる。加えて、様々な実施形態ならびに以下におよび/または添付の特許請求の範囲に列挙される様々な特徴は、全体的にまたは部分的に組み合わされてもよく、交換されてもよい。様々な実施形態の前述の説明において、別の実施形態を指すこれらの実施形態は、当業者に理解されるように他の実施形態と適切に組み合わされてもよい。さらに、当業者は、前述の説明は例示にすぎず、開示を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】