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特表2023-538315冗長性を用いた磁気ターンカウンタエラーを検出するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(54)【発明の名称】冗長性を用いた磁気ターンカウンタエラーを検出するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
G01D5/245 R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509804
(86)(22)【出願日】2021-07-26
(85)【翻訳文提出日】2023-02-10
(86)【国際出願番号】 EP2021070798
(87)【国際公開番号】W WO2022033849
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】16/991,788
(32)【優先日】2020-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519383544
【氏名又は名称】アナログ・ディヴァイシス・インターナショナル・アンリミテッド・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー・リチャード・ゴーボルド
(72)【発明者】
【氏名】ギャヴィン・パトリック・コスグレイヴ
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA04
2F077NN02
2F077NN17
2F077NN19
2F077QQ06
2F077TT16
(57)【要約】
冗長性を用いた磁気ターンカウンタエラーを検出するためのシステム及び方法が提供される。一態様では、磁界ターンセンサシステムは、正弦ブリッジ及び余弦ブリッジを有する磁界角センサと、正弦ブリッジ及び余弦ブリッジからの出力を比較するように構成された第1の比較器、第2の比較器、及び第3の比較器とを含む。システムは、第1の比較器、第2の比較器、及び第3の比較器の各々からの出力を受信し、第1の比較器、第2の比較器、及び第3の比較器からの出力の組み合わせが無効な状態に対応すると判定し、かつ第1の比較器、第2の比較器、及び第3の比較器からの出力の組み合わせが無効な状態に対応すると判定することに応答して、異常を示すように構成されたプロセッサを更に含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁界ターンセンサシステムであって、
正の出力及び負の出力を有する第1のブリッジと正の出力及び負の出力を有する第2のブリッジとを有する、磁界角センサと、
前記第1のブリッジの前記正の出力と前記負の出力とを比較するように構成された第1の比較器と、
前記第2のブリッジの前記正の出力と前記負の出力とを比較するように構成された第2の比較器と、
前記第1のブリッジの前記正の出力及び前記負の出力のうちの第1の出力を、前記第2のブリッジの前記正の出力及び前記負の出力のうちの第1の出力と比較するように構成された第3の比較器と、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサは、
前記第1の比較器、前記第2の比較器、及び前記第3の比較器の各々からの出力を受信し、
前記第1の比較器、前記第2の比較器、及び前記第3の比較器からの前記出力の組み合わせが無効な状態に対応すると判定し、かつ
前記第1の比較器、前記第2の比較器、及び前記第3の比較器からの前記出力の前記組み合わせが前記無効な状態に対応すると判定することに応答して、異常を示すように構成されている、磁界ターンセンサシステム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記第1の比較器及び前記第2の比較器からの前記出力に少なくとも部分的に基づいて、前記磁界角センサの四分円を判定するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記受信された出力は、第1の時間に受信された第1の出力を含み、前記プロセッサは、
第2の時間に、前記第1の比較器、前記第2の比較器、及び前記第3の比較器の各々からの第2の出力を受信し、
前記第1の出力の組み合わせを含む第1の状態と、前記第2の出力の組み合わせを含む第2の状態との間の遷移が無効な遷移に対応すると判定し、かつ
前記遷移が無効な遷移に対応すると判定することに応答して、前記異常を示すように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のブリッジは、正弦ブリッジを含み、前記第2のブリッジは、余弦ブリッジを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記正弦ブリッジの前記正の出力及び前記負の出力のうちの第2の出力を、前記余弦ブリッジの前記正の出力及び前記負の出力のうちの第2の出力と比較するように構成された第4の比較器を更に備え、
前記プロセッサは、
前記第4の比較器からの出力を受信するように更に構成されており、
前記出力の前記組み合わせが前記無効な状態に対応するという前記判定は、前記第4の比較器からの前記出力に更に基づく、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記正弦ブリッジの前記正の出力及び前記負の出力のうちの前記第2の出力は、前記正弦ブリッジの前記正の出力及び前記負の出力のうちの前記第1の出力と同じであり、前記余弦ブリッジの前記正の出力及び前記負の出力のうちの前記第2の出力は、前記余弦ブリッジの前記正の出力及び前記負の出力のうちの前記第1の出力と異なる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記第1の比較器、前記第2の比較器、前記第3の比較器、及び前記第4の比較器からの前記出力に少なくとも部分的に基づいて、前記磁界角センサの八分円を判定するように更に構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記受信された出力は、第1の時間に受信された第1の出力を含み、前記プロセッサは、
第2の時間に、前記第1の比較器、前記第2の比較器、前記第3の比較器、及び前記第4の比較器の各々からの第2の出力を受信し、
前記第1の出力の組み合わせを含む第1の状態と、前記第2の出力の組み合わせを含む第2の状態との間の遷移が無効な遷移に対応すると判定し、かつ
前記遷移が無効な遷移に対応すると判定することに応答して、前記異常を示すように更に構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の比較器は、
前記第1のブリッジの前記正の出力及び前記負の出力と、チョップ信号とを受信するように構成されたチョップスイッチと、
前記チョップスイッチからの出力を受信し、かつ前記第1のブリッジの前記正の出力及び前記負の出力のどちらがより大きい値を有するかを表すデジタル信号を出力するように構成されたチョップ比較器と、
前記チョップ比較器から出力された前記デジタル信号を反転させるように構成された反転器と、
前記デジタル信号、前記反転したデジタル信号、及び前記チョップ信号を受信し、かつ前記チョップ信号に基づいて、前記デジタル信号及び前記反転したデジタル信号のうちの一方を出力するように構成された多重変換器と、を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
車両を制御するように構成されたモータ制御システムであって、
前記車両のステアリングホイールに接続されたシャフトと、
磁界ターンセンサシステムであって、正の出力及び負の出力を有する第1のブリッジと正の出力及び負の出力を有する第2のブリッジとを有する、磁界角センサと、前記第1のブリッジの前記正の出力と前記負の出力とを比較するように構成された第1の比較器と、前記第2のブリッジの前記正の出力と前記負の出力とを比較するように構成された第2の比較器と、前記第1のブリッジの前記正の出力及び前記負の出力のうちの第1の出力を前記第2のブリッジの前記正の出力及び前記負の出力のうちの第1の出力と比較するように構成された第3の比較器と、プロセッサと、を備え、前記プロセッサは、
前記第1の比較器、前記第2の比較器、及び前記第3の比較器の各々からの出力を受信し、
前記第1の比較器、前記第2の比較器、及び前記第3の比較器からの前記出力の組み合わせが無効な状態に対応すると判定し、かつ
前記第1の比較器、前記第2の比較器、及び第3の比較器からの前記出力の前記組み合わせが前記無効な状態に対応すると判定することに応答して、異常を示すように構成されている、磁界ターンセンサシステムと、を備える、モータ制御システム。
【請求項11】
前記プロセッサは、
前記第1の比較器及び前記第2の比較器からの前記出力に少なくとも部分的に基づいて、前記磁界角センサの四分円を判定するように更に構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記受信された出力は、第1の時間に受信された第1の出力を含み、前記プロセッサは、
第2の時間に、前記第1の比較器、前記第2の比較器、及び前記第3の比較器の各々からの第2の出力を受信し、
前記第1の出力の組み合わせを含む第1の状態と、前記第2の出力の組み合わせを含む第2の状態との間の遷移が無効な遷移に対応すると判定し、かつ
前記遷移が無効な遷移に対応すると判定することに応答して、前記異常を示すように更に構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のブリッジは、正弦ブリッジを含み、前記第2のブリッジは、余弦ブリッジを含み、前記磁界ターンセンサシステムは、
前記正弦ブリッジの前記正の出力及び前記負の出力のうちの第2の出力を、前記余弦ブリッジの前記正の出力及び前記負の出力のうちの第2の出力と比較するように構成された第4の比較器を更に備え、
前記プロセッサは、
前記第4の比較器からの出力を受信するように更に構成されており、
前記出力の前記組み合わせが前記無効な状態に対応するという前記判定は、前記第4の比較器からの前記出力に更に基づく、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記正弦ブリッジの前記正の出力及び前記負の出力のうちの前記第2の出力は、前記正弦ブリッジの前記正の出力及び前記負の出力のうちの前記第1の出力と同じであり、前記余弦ブリッジの前記正の出力及び前記負の出力のうちの前記第2の出力は、前記余弦ブリッジの前記正の出力及び前記負の出力のうちの前記第1の出力と異なる、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサは、
前記第1の比較器、前記第2の比較器、前記第3の比較器、及び前記第4の比較器からの前記出力に少なくとも部分的に基づいて、前記磁界角センサの八分円を判定するように更に構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記受信された出力は、第1の時間に受信された第1の出力を含み、前記プロセッサは、
第2の時間に、前記第1の比較器、前記第2の比較器、前記第3の比較器、及び前記第4の比較器の各々からの第2の出力を受信し、
前記第1の出力の組み合わせを含む第1の状態と、前記第2の出力の組み合わせを含む第2の状態との間の遷移が無効な遷移に対応すると判定し、かつ
前記遷移が無効な遷移に対応すると判定することに応答して、前記異常を示すように更に構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
磁界ターンセンサシステムにおけるエラーを検出するための方法であって、
第1の比較器、第2の比較器、及び第3の比較器の各々からの出力を受信することであって、前記磁界ターンセンサシステムは、正の出力及び負の出力を有する第1のブリッジと正の出力及び負の出力を有する第2のブリッジとを有する、磁界角センサを備え、前記第1の比較器は、前記第1のブリッジの前記正の出力と前記負の出力とを比較するように構成されており、前記第2の比較器は、前記第2のブリッジの前記正の出力と前記負の出力とを比較するように構成されており、第3の比較器は、前記第1のブリッジの前記正の出力及び前記負の出力のうちの第1の出力を、前記第2のブリッジの前記正の出力及び前記負の出力のうちの第1の出力と比較するように構成されている、受信することと、
前記第1の比較器、前記第2の比較器、及び前記第3の比較器からの前記出力の組み合わせが無効な状態に対応すると判定することと、
前記第1の比較器、前記第2の比較器、及び前記第3の比較器からの前記出力の前記組み合わせが前記無効な状態に対応すると判定することに応答して、異常を示すことと、を含む、方法。
【請求項18】
前記第1の比較器及び前記第2の比較器からの前記出力に少なくとも部分的に基づいて、前記磁界角センサの四分円を判定することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記受信された出力は、第1の時間に受信された第1の出力を含み、前記方法は、
第2の時間に、前記第1の比較器、前記第2の比較器、及び前記第3の比較器の各々からの第2の出力を受信することと、
前記第1の出力の組み合わせを含む第1の状態と、前記第2の出力の組み合わせを含む第2の状態との間の遷移が無効な遷移に対応すると判定することと、
前記遷移が無効な遷移に対応すると判定することに応答して、前記異常を示すことと、を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のブリッジは、正弦ブリッジを含み、前記第2のブリッジは、余弦ブリッジを含み、前記磁界ターンセンサシステムは、前記正弦ブリッジの前記正の出力及び前記負の出力のうちの第2の出力を、前記余弦ブリッジの前記正の出力及び前記負の出力のうちの第2の出力と比較するように構成された第4の比較器を更に備え、前記方法は、
前記第4の比較器からの出力を受信することを更に含み、
前記出力の前記組み合わせが前記無効な状態に対応するという前記判定は、前記第4の比較器からの前記出力に更に基づく、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子システムに関し、より詳細には、磁気ターンカウンタ感知素子を通してセンサエラーを検出するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気センサは、自動車ステアリングシステムを含む様々な用途において、シャフトなどの機械構成要素の線形又は円形の位置又は角度の情報を取得するために実装することができる。磁気角センサに使用される磁気感知素子は、例えば、温度変化に起因する感度レベルの変化及び非線形性エラーに悩まされることが多く、磁気センサのセンサエラー検出機構を実装することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
記載の技術の方法及びデバイスには各々、いくつかの態様を有し、そのうちの単一の態様が単独でその望ましい属性を担うものはない。
【0004】
一態様では、磁界ターンセンサシステムであって、磁界ターンセンサシステムは、正の出力及び負の出力を有する第1のブリッジと正の出力及び負の出力を有する第2のブリッジとを有する、磁界角センサと、第1のブリッジの正の出力と負の出力とを比較するように構成された第1の比較器と、第2のブリッジの正の出力と負の出力とを比較するように構成された第2の比較器と、第1のブリッジの正の出力及び負の出力のうちの第1の出力を、第2のブリッジの正の出力及び負の出力のうちの第1の出力と比較するように構成された第3の比較器と、プロセッサと、を備え、プロセッサは、第1の比較器、第2の比較器、及び第3の比較器の各々からの出力を受信し、第1の比較器、第2の比較器、及び第3の比較器からの出力の組み合わせが無効な状態に対応すると判定し、かつ第1の比較器、第2の比較器、及び第3の比較器からの出力の組み合わせが無効な状態に対応すると判定することに応答して、異常を示すように構成されている、磁界ターンセンサシステムが提供される。
【0005】
プロセッサは、第1の比較器及び第2の比較器からの出力に少なくとも部分的に基づいて、磁界角センサの四分円を判定するように更に構成することができる。
【0006】
受信された出力は、第1の時間に受信された第1の出力を含むことができ、プロセッサは、第2の時間に、第1の比較器、第2の比較器、及び第3の比較器の各々からの第2の出力を受信し、第1の出力の組み合わせを含む第1の状態と、第2の出力の組み合わせを含む第2の状態との間の遷移が無効な遷移に対応すると判定し、かつ遷移が無効な遷移に対応すると判定することに応答して、異常を示すように更に構成することができる。
【0007】
第1のブリッジは、正弦ブリッジを含むことができ、第2のブリッジは、余弦ブリッジを含むことができる。
【0008】
本システムは、正弦ブリッジの正の出力及び負の出力のうちの第2の出力を、余弦ブリッジの正の出力及び負の出力のうちの第2の出力と比較するように構成された第4の比較器を更に備えることができ、プロセッサは、第4の比較器からの出力を受信するように更に構成されており、出力の組み合わせが無効な状態に対応するという判定は、第4の比較器からの出力に更に基づく。
【0009】
正弦ブリッジの正の出力及び負の出力のうちの第2の出力は、正弦ブリッジの正の出力及び負の出力のうちの第1の出力と同じであることがあり、余弦ブリッジの正の出力及び負の出力のうちの第2の出力は、余弦ブリッジの正の出力及び負の出力のうちの第1の出力と異なることがある。
【0010】
プロセッサは、第1の比較器、第2の比較器、第3の比較器、及び第4の比較器からの出力に少なくとも部分的に基づいて、磁界角センサの八分円を判定するように更に構成することができる。
【0011】
受信された出力は、第1の時間に受信された第1の出力を含むことができ、プロセッサは、第2の時間に、第1の比較器、第2の比較器、第3の比較器、及び第4の比較器の各々からの第2の出力を受信し、第1の出力の組み合わせを含む第1の状態と、第2の出力の組み合わせを含む第2の状態との間の遷移が無効な遷移に対応すると判定し、かつ遷移が無効な遷移に対応すると判定することに応答して、異常を示すように更に構成することができる。
【0012】
システムは、電動アシストステアリング(ePAS)システムの診断構成要素に提供される電力消費バジェットよりも少ない電力を消費するように構成することができる。
【0013】
別の態様は、車両を制御するように構成されたモータ制御システムであり、モータ制御システムは、車両のステアリングホイールに接続されたシャフトと、磁界ターンセンサシステムであって、正の出力及び負の出力を有する第1のブリッジと正の出力及び負の出力を有する第2のブリッジとを有する、磁界角センサと、第1のブリッジの正の出力と負の出力とを比較するように構成された第1の比較器と、第2のブリッジの正の出力と負の出力とを比較するように構成された第2の比較器と、第1のブリッジの正の出力及び負の出力のうちの第1の出力を第2のブリッジの正の出力及び負の出力のうちの第1の出力と比較するように構成された第3の比較器と、プロセッサと、を備え、プロセッサは、第1の比較器、第2の比較器、及び第3の比較器の各々からの出力を受信し、第1の比較器、第2の比較器、及び第3の比較器からの出力の組み合わせが無効な状態に対応すると判定し、かつ第1の比較器、第2の比較器、及び第3の比較器からの出力の組み合わせが無効な状態に対応すると判定することに応答して、異常を示すように構成されている、磁界ターンセンサシステムと、を備える。
【0014】
プロセッサは、第1の比較器及び第2の比較器からの出力に少なくとも部分的に基づいて、磁界角センサの四分円を判定するように更に構成することができる。
【0015】
受信された出力は、第1の時間に受信された第1の出力を含むことができ、プロセッサは、第2の時間に、第1の比較器、第2の比較器、及び第3の比較器の各々からの第2の出力を受信し、第1の出力の組み合わせを含む第1の状態と、第2の出力の組み合わせを含む第2の状態との間の遷移が無効な遷移に対応すると判定し、かつ遷移が無効な遷移に対応すると判定することに応答して、異常を示すように更に構成することができる。
【0016】
第1のブリッジは、正弦ブリッジを含むことができ、第2のブリッジは、余弦ブリッジを含むことができ、磁界ターンセンサシステムは、正弦ブリッジの正の出力及び負の出力のうちの第2の出力を、余弦ブリッジの正の出力及び負の出力のうちの第2の出力と比較するように構成された第4の比較器、を更に備えることができ、プロセッサは、第4の比較器からの出力を受信するように更に構成されており、出力の組み合わせが無効な状態に対応するという判定は、第4の比較器からの出力に更に基づく。
【0017】
正弦ブリッジの正の出力及び負の出力のうちの第2の出力は、正弦ブリッジの正の出力及び負の出力のうちの第1の出力と同じであることがあり、余弦ブリッジの正の出力及び負の出力のうちの第2の出力は、余弦ブリッジの正の出力及び負の出力のうちの第1の出力と異なることがある。
【0018】
プロセッサは、第1の比較器、第2の比較器、第3の比較器、及び第4の比較器からの出力に少なくとも部分的に基づいて、磁界角センサの八分円を判定するように更に構成することができる。
【0019】
受信された出力は、第1の時間に受信された第1の出力を含むことができ、プロセッサは、第2の時間に、第1の比較器、第2の比較器、第3の比較器、及び第4の比較器の各々からの第2の出力を受信し、第1の出力の組み合わせを含む第1の状態と、第2の出力の組み合わせを含む第2の状態との間の遷移が無効な遷移に対応すると判定し、かつ遷移が無効な遷移に対応すると判定することに応答して、異常を示すように更に構成することができる。
【0020】
本システムは、電動パワーステアリング(ePAS)システムの診断構成要素に提供される電力消費予算よりも少ない電力を消費するように構成することができる。
【0021】
更に別の態様は、磁界ターンセンサシステムにおけるエラーを検出するための方法であり、本方法は、第1の比較器、第2の比較器、及び第3の比較器の各々からの出力を受信することであって、磁界ターンセンサシステムは、正の出力と負の出力を有する第1のブリッジと正の出力及び負の出力を有する第2のブリッジとを有する、磁界角センサを備え、第1の比較器は、第1のブリッジの正の出力と負の出力とを比較するように構成されており、第2の比較器は、第2のブリッジの正の出力と負の出力とを比較するように構成されており、第3の比較器は、第1のブリッジの正の出力及び負の出力のうちの第1の出力を、第2のブリッジの正の出力及び負の出力のうちの第1の出力と比較するように構成されている、受信することと、第1の比較器、第2の比較器、及び第3の比較器からの出力の組み合わせが無効な状態に対応すると判定することと、第1の比較器、第2の比較器、及び第3の比較器からの出力の組み合わせが無効な状態に対応すると判定することに応答して、異常を示すことと、を含む。
【0022】
本方法は、第1の比較器及び第2の比較器からの出力に少なくとも部分的に基づいて、磁界角センサの四分円を判定すること、を更に含むことができる。
【0023】
受信された出力は、第1の時間に受信された第1の出力を含むことができ、本方法は、第2の時間に、第1の比較器、第2の比較器、及び第3の比較器の各々からの第2の出力を受信することと、第1の出力の組み合わせを含む第1の状態と、第2の出力の組み合わせを含む第2の状態との間の遷移が無効な遷移に対応すると判定することと、遷移が無効な遷移に対応すると判定することに応答して、異常を示すことと、を更に含むことができる。
【0024】
第1のブリッジは、正弦ブリッジを含むことができ、第2のブリッジは、余弦ブリッジを含むことができ、磁界ターンセンサシステムは、正弦ブリッジの正の出力及び負の出力のうちの第2の出力を、余弦ブリッジの正の出力及び負の出力のうちの第2の出力と比較するように構成された第4の比較器を更に備えることができ、本方法は、第4の比較器からの出力を受信することを更に含み、出力の組み合わせが無効な状態に対応するという判定は、第4の比較器からの出力に更に基づく。
【0025】
本明細書におけるこれらの図面及びその関連する記載は、本発明の特定の実施形態を例示するために提供され、限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A】ある特定の実施形態による、エラー検出システムの例示的な実装形態の概略図である。
図1B】ある特定の実施形態による、エラー検出システムの例示的な実装形態の概略図である。
図2A】一実施形態による、第1のセンサの例示的な実装形態の図を示す。
図2B】本開示の態様による、シャフト角が現在位置する四分円を判定するために使用することができる複数の比較器の構成を例示するブロック図である。
図2C】本開示の態様による、第1の比較器及び第2の比較器に供給される、正弦ブリッジ及び余弦ブリッジからの第1の出力及び第2の出力の実施例を例示する。
図2D】本開示の態様による、第1の比較器及び第2の比較器に供給される、正弦ブリッジ及び余弦ブリッジからの第1の出力及び第2の出力の実施例を例示する。
図3】本開示の態様による、ターンカウントにおけるエラーを検出するように構成された磁界ターンセンサシステムの例示的な実装形態のブロック図である。
図4】本開示の態様による、シャフト角が現在位置する四分円を判定するために使用することができる複数の比較器の例示的な構成を例示するブロック図である。
図5】本開示の態様による、シャフト角が現在位置する四分円を判定するために使用することができる複数の比較器の別の例示的な構成を例示するブロック図である。
図6】本開示の態様による、正弦ブリッジ及び余弦ブリッジのシャフト角に対する正規化された出力を例示するグラフである。
図7】本開示の態様による、比較器におけるエラーを検出するための方法の例示的な実装態様のフローチャートである。
図8】本開示の態様による、磁界ターンセンサシステムにおいて使用することができるチョッピングを用いる比較器の実施形態を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
新規なシステム、装置、及び方法の様々な態様が、添付の図面を参照して以下により十分に記載される。しかしながら、本開示の態様は、多くの異なる形態で具現化され得、本開示を通して提示される任意の特定の構造又は機能に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの態様は、本開示が徹底的かつ完全であり、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。本明細書の教示に基づいて、当技術分野の当業者には、本開示の範囲が、任意の他の態様とは独立して実装されるか又は任意の他の態様と組み合わせて実施されるかにかかわらず、本明細書に開示される新規なシステム、装置、及び方法の任意の態様を網羅することを意図していることを諒解されたい。例えば、本明細書に記載の任意の数の態様を使用して、装置が実装され得るか、又は方法が実施され得る。加えて、本範囲は、本明細書に記載の様々な態様に加えて、又はそれらの態様以外に、他の構造を使用して、他の機能を使用して、又は他の構造と機能を使用して実施されるそのような装置又は方法を包含することを意図している。本明細書に開示の任意の態様は、特許請求の範囲の1つ以上の要素によって具現化され得ることを理解されたい。
【0028】
特定の態様が本明細書に記載されているが、これらの態様の多くの変形形態及び置換形態が本開示の範囲内にある。好ましい態様のいくつかの利益及び利点が言及されているが、本開示の範囲は、特定の利益、用途、又は目的に限定されることを意図するものではない。むしろ、本開示の態様は、異なる有線及び無線技術、システム構成、光学ネットワークを含むネットワーク、ハードディスク、及び伝送プロトコルに広く適用可能であることが意図されており、それらのうちのいくつかは、実施例として図面及び好ましい態様の以下の記載に例示されている。詳細な記載及び図面は、限定するのではなく、本開示の例示にすぎず、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその同等物によって定義される。
【0029】
この記載では、図面が参照され、図面では、同じ参照番号が同一の又は機能的に類似した要素を示すことがある。図に例示する要素は、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。また、ある特定の実施形態は、図面に例示されるよりも多くの要素及び/又は図面に例示される要素のサブセットを含むことがあることを理解されたい。更に、いくつかの実施形態は、2つ以上の図面からの特徴の任意の好適な組み合わせ組み込むことがある。
【0030】
磁界ターンセンサシステムの概要
図1A及び1Bは、ある特定の実施形態による、エラー検出システムの例示的な実装形態の概略図である。例示する実装形態100は、シャフト106、磁石104、磁界ターンセンサシステム又は感知回路102、及び回路基板108を含む。感知回路102の実施形態は、以下で図2~3に関連して更に記載される。磁石104は、回転シャフト106に取り付けることができる。回転シャフト106は、ある特定の実装形態では、自動車のステアリングホイールに関連付けることができる。感知回路102は、磁石104の位置の変化を感知し、回転シャフト106の回転の示唆を提供することができる。図1A及び1Bに例示する感知回路102と磁石104との位置関係は、例示のためのものである。別の実施形態では、実装形態は、磁石104がシャフト106の端部に位置する双極子磁石とすることができ、かつ感知回路102が磁石104の下に位置することができる、シャフト端部構成を使用することができる。位置関係は異なることがある。一実施形態では、感知回路102は、2つのセンサ、すなわち、第1のセンサ及び第2のセンサを含むことができる。第2のセンサは、第1のセンサと同じでも異なっていてもよい。例えば、第2のセンサは、堅牢性を確保するために、異なる感知原理及び異なるシグナルチェーン設計を使用することができる。
【0031】
実施形態では、開示の装置及び/又は方法を実装するために、異方性磁気抵抗(AMR)センサ、巨大磁気抵抗(GMR)センサ、若しくはトンネル磁気抵抗(TMR)センサ、又は任意の他の好適な磁気抵抗(XMR)センサなどの磁気センサを使用することができる。いくつかの実施形態では、磁気センサは、磁気抵抗センサ内の自由層の磁化方向に比例する抵抗率の変化を測定することができる。AMRセンサ及びTMRセンサなどの磁気センサ、並びに磁気センサの感知素子の様々な組み合わせを使用することによって、エラーを検出することができる。
【0032】
ある特定のモータ制御用途では、モータコントローラの電源がオフにされているときでも、シャフト106が回転するターン数をモニタリングすることが有益である。そのようなシステムは、システムの電源がオフにされている間に、シャフト106が外力によって移動される可能性がある場合に生じることがある。この課題に対処するために、低電力回路(感知回路102の一部として含むことができる)は、モータ制御システムの残りの部分が電源切断されている間にシャフト106の回転を連続的にモニタリングするように構成することができる。
【0033】
シャフト106の回転又はターン数をモニタリングすることが有益であることがあるシステムの実施例は、自動車における電動パワーステアリング(ePAS)システムである。多くのePASシステムでは、シャフト106の角度は、システムが正常に動作しているときにモータ制御機能の一部としてモニタリングされる。低電力感知回路102はまた、正常動作中にシャフト106のターンを追跡するために使用することができる。
【0034】
モータシャフト106が回転したターン数は、ある特定の車両機能にとって重要な変数であり得る。例えば、ステアリングホイールシャフトのターン数測定値におけるエラーは、誤ったステアリングル角度を検出する結果をもたらすことがあり、これは、危険な状況につながることがある。したがって、ターンカウントを正確に測定し、角度測定におけるあらゆるエラーをモータ制御システムにフラグを立てることが重要になり得る。低電力ターンカウンタに診断カバレッジを提供することは、典型的な診断技術が追加の電力を消費し得るため、困難である。例えば、低電力回転感知回路102は、自動車の電源がオフになっている間にあまりにも多くの電力を消費することが、自動車バッテリを時期尚早に消耗させ得るため、限定された電力消費バジェットを有し得る。これにより、あまりにも多くの追加電力を消費するエラー検出診断を追加することは、感知回路102の電力使用量が電力消費バジェットを超える結果となることがある。
【0035】
本開示では、感知回路102は、感知回路によって測定された四分円間の遷移角をモニタリングするために、より多くの信号処理経路のうちの1つからの角度測定値を使用することができる。感知回路102の構成要素におけるエラーは、測定された遷移角を予想される遷移角と比較することによって検出することができる。例えば、感知回路102の構成要素におけるある特定のエラーは、感知回路102が四分円間で遷移する特定の角度に影響を及ぼすことになり、これは、測定された遷移角を所定の予想される遷移角と比較することによって検出することができる。
【0036】
本開示の態様は、例えば、感知回路102を含む磁気角センサに実装することができる。そのような磁気センサとしては、AMR感知素子及びTMR感知素子、シグナルコンディショニングエレクトロニクス及びインターフェースを挙げることができる。実装形態に応じて、インターフェースは、シリアルペリフェラルインターフェース(SPI)、シングルエッジニブル伝送(SENT)インターフェース、PAS4などのペリフェラルアクセラレーションセンサ(PAS)インターフェースなどのうちの1つ以上を含み得る。一用途では、インターフェースは、ホスト電子制御ユニット(ECU)との通信のために、車両内でのエアバッグ展開に使用されるリモート加速度計のためのPAS4インターフェースなどのPASインターフェースとすることができる。磁気角センサは、自動車のePASシステムに実装することができる。そのようなシステムは、道路車両の機能安全規格であるISO-26262に従って定義された機能安全仕様を有する。本明細書で考察される原理及び利点は、機能的安全仕様を満たすために、感知回路102がePASシステムにおいて低電力モードで動作している間に、シャフト106(例えば、ステアリングホイールに関連付けられ得る)のターンカウント測定値においてエラーを検出するために実装することができる。他の事例では、例示する実装100は、他の仕様若しくは規格に準拠する他のシステム、又は低電力ターンカウント用途でエラー検出を必要とするシステムにおいて使用することができる。
【0037】
本明細書に記載のように、磁気センサは、典型的には、2つのフルブリッジ、例えば、余弦ブリッジ及び正弦ブリッジを含む。余弦ブリッジ及び正弦ブリッジの各々は、電圧、すなわち、VCOS及びVSINをそれぞれ出力する。例えば、単一の双極子磁石を使用するAMRセンサでは、「電気角」は、arctan(VSIN/VCOS)から計算される角度として理解することができ、本明細書でANGLEMAGとして表される「磁気角」は、「電気角」を2で除算することによって計算することができる。2つのブリッジが互いに約45°で回転するAMRの場合、2つのブリッジの出力は、約90°の相対位相シフトを有する正弦であり、センサの電気応答は、磁気角の2倍である。別の実施例では、TMRセンサの場合、「電気角」は、「磁気角」と同じとすることができる。更に、「機械角」は、磁石設計に基づいて判定された角度として理解することができ、これは機械-磁気角伝達関数に反映することができる。「機械角」及び「磁気角」は、互いに同じであっても異なっていてもよい。例えば、単一の極対磁石を使用するある特定の実施形態では、「機械角」及び「磁気角」は同じである。しかしながら、この実施形態及び他の実施形態では、「機械角」及び「磁気角」は、例えば、磁気ゼロ角が所望の機械ゼロ角に対して回転される場合、異なり得る。多極磁石、そのような極リングを使用する実施形態では、「機械角」は、(ANGLEMAG/N)として表すことができ、ここで、Nは、極対の数である。
【0038】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示するシステム及び方法は、双極子磁石又はリング磁石などの1つ以上の磁性素子を含み得る、回転シャフトを有する装置に適用され得る。感知素子による磁界の測定値は、シャフトの回転角を判定するために使用することができる。
【0039】
磁界ターンセンサシステム及びエラー検出技術の実施例
図2Aは、一実施形態による、第1のセンサ110の例示的な実装形態の図を示している。第1のセンサ110は、1つ以上のハーフブリッジを備えている。2つ以上のハーフブリッジを含むセンサ110は、1つ以上のフルブリッジとして構成することができる。図2Aに例示する例示的な第1のセンサ110は、4つのハーフブリッジのシステムとして構成された8つの感知素子R1~R8を含む。図2Aに例示するように、第1のセンサ110は、出力V1を有する第1のハーフブリッジを形成する感知素子R1及びR3と、第2の出力V2を有する第2のハーフブリッジを形成する感知素子R2及びR4と、出力V3を有する第3のハーフブリッジを形成する感知素子R5及びR7と、出力V4を有する第4のハーフブリッジを形成する感知素子R6及びR8とを含む。
【0040】
ハーフブリッジシステムの複数のハーフブリッジ(又は対になったハーフブリッジであるフルブリッジ)は、互いに対してある角度で配向され、異なる方向の磁界を感知するように構成することができる。図2Aでは、感知素子R1~R4を含むフルブリッジと、感知素子R5~R8を含むフルブリッジとは、互いに対して角度αで配向される。例示の実施形態では、α=約45°である。実施形態では、二対のハーフブリッジ(フルブリッジである)の各々は、個々のチャネル、すなわち、第1のチャネル及び第2のチャネルを形成することができ、それらのチャネルの各々は、第1のセンサとインターフェースとの間の経路である。ここで、一方のフルブリッジは、余弦ブリッジに対応することができ、他方のブリッジは、正弦ブリッジに対応することができる。例えば、余弦ブリッジは、感知素子R1~R4を含むことができ、正弦ブリッジは、感知素子R5~R8を含むことができ、ここで、V2~V1=VCOS及びV4~V3=VSINである。正弦ブリッジ及び余弦ブリッジのうちの一方のブリッジは、第1のセンサ110からインターフェースまでの第1の経路である、第1のチャネルに含めることができる。正弦ブリッジ及び余弦ブリッジのうちの他方のブリッジは、第1のセンサ110からインターフェースまでの第2の経路である、第2のチャネルに含めることができる。第1の経路は、第2の経路とは異なる、かつ/又は別個である。他の実施形態では、ハーフブリッジのシステムは、図2Aに例示する実施形態よりも多く又は少ないハーフブリッジを含み得る。
【0041】
図2Bは、本開示の態様による、シャフト106の角度が現在位置する四分円を判定するために使用することができる複数の比較器126の構成を例示するブロック図である。例えば、この構成は、正弦フルブリッジ203a及び余弦フルブリッジ203bを例示し、これらは、図2Aに例示するフルブリッジに類似し得る。正弦ブリッジ203aは、正の出力207P及び負の出力207Mを生成するように構成され、余弦ブリッジ203bも、正の出力205P及び負の出力205Mを生成するようにも構成されている。正弦ブリッジ203a及び余弦ブリッジ203bからの出力205P、205M、207P、及び207Mは、シャフト106上の磁石104の現在の配向に応じて変化することになる。より詳細には、余弦ブリッジ203bからの正の出力205P及び負の出力205Mは、第1の比較器126aに提供される一方、正弦ブリッジ203aからの正の出力207P及び負の出力207Mは、第2の比較器126bに提供される。図2Bは、正弦ブリッジ203a及び余弦ブリッジ203bを例示するが、本開示の態様は、それに限定されない。例えば、いくつかの実装形態では、構成は、第1のブリッジ及び第2のブリッジを含み、それらの間に、15°、30°、45°、60°、75°、120°、135°、又は任意の他のオフセットなどのオフセットを有し得る。
【0042】
図2C及び2Dは、本開示の態様による、第1の比較器126a及び第2の比較器126bに供給される、正弦ブリッジ203a及び余弦ブリッジ203bからの出力205P、205M、207P、及び207Mの実施例を例示している。図2Cに示すように、出力205P、205M、207P、及び207Mの各々は、シャフト106が360°回転するにつれて変化する。余弦ブリッジ203bからの正の出力205P及び負の出力205Mを例にとると、シャフト106が180°だけ分離された2つの点で回転すると、出力205P及び205Mが互いに交差する。正弦ブリッジ203aからの正の出力207P及び負の出力207Mはまた、180°だけ分離された2つの点で互いに交差し、2つの点は、余弦ブリッジ203bからの出力205P及び205Mから90°だけオフセットされている。図2B及び2Dを参照すると、第1の比較器126aは、余弦ブリッジ203bからの出力205Pの値と出力205Mの値とを比較して、第1のデジタル出力209(信号表現及びデジタル表現の両方で例示されている)を生成し、第2の比較器126bは、正弦ブリッジ203aからの出力207Pの値と出力207Mの値とを比較して、第2のデジタル出力211(これも信号表現及びデジタル表現で示されている)を提供する。プロセッサは、第1のデジタル出力209及び第2のデジタル出力211を使用して、シャフト角が現在どの四分円に位置するかを識別することができる。
【0043】
図3は、本開示の態様による、ターンカウントにおけるエラーを検出するように構成された磁界ターンセンサシステム102の例示的な実装形態のブロック図である。特に、磁界ターンセンサシステム102は、第1の信号処理経路111と、第2の信号処理経路113と、ターンカウント経路115と、第1の信号処理経路111及び第2の信号処理経路113並びにターンカウント経路115の各々に接続されたプロセッサ117と、メモリ119と、論理ゲート121とを含む。第1の信号処理経路111は、第1のセンサ110、増幅器112、アナログ-デジタル変換器(ADC)114、及び角度計算器116を含む。第2の信号処理経路113は、第2のセンサ118、増幅器120、ADC122、及び角度計算器124を含む。ある特定の実施形態では、第1の信号処理経路111及び第2の信号処理経路113の構成要素は、実質的に同じであり得る。ターンカウント経路115は、1つ以上の比較器126及び四分円計算器128を含む。図3に示すように、比較器126は、第2の信号処理経路113の第2のセンサ118からの出力を受信するように構成されている。しかしながら、他の実施形態では、比較器126は、第1のセンサ110からか、又は第1のセンサ110及び第2のセンサ118の両方からの出力を受信するように構成され得る。
【0044】
メモリ119は、比較器126のうちの1つ以上の有効な出力の組み合わせを記憶するように構成することができる。いくつかの実施形態では、有効な出力の組み合わせは、メモリ119ではなく論理ゲート121に記憶され得る。有効な出力の組み合わせは、比較器126におけるエラーを検出するために使用することができ、本明細書で詳細に記載されている。
【0045】
プロセッサ117は、第1の処理経路111及び第2の処理経路113の各々からの角度測定値を受信し、ターンカウント経路115からの四分円測定値を受信するように構成されている。プロセッサ117は、第1の処理経路111及び第2の処理経路113から受信した角度測定値に基づいて、シャフト106の角度を判定することができる。プロセッサ117はまた、ターンカウント経路115からの四分円測定値を経時的に追跡することによって、ターンカウント(例えば、「ゼロ」ターン位置として定義され得るニュートラル位置に対してシャフト106が回転されたターン数)を判定することができる。
【0046】
磁界ターンセンサシステム102内にエラーが発生し得るいくつかの潜在的な場所がある。具体的には、プロセッサ117によって判定されたターンカウントに最終的に影響を及ぼし得るエラーは、第2のセンサ118、比較器126、四分円計算器128、及び/又はプロセッサ117自体内において発生するエラーを含む。そのため、プロセッサ117がターンカウントにおける潜在的なエラーをモータ制御システムにフラグを立てるために、本開示の態様は、比較器126、第1のセンサ110、第2のセンサ118、及び/又はこれらの構成要素間の接続性において発生する、ある特定のエラーを検出するために使用することができるシステム及び技術に関する。
【0047】
第2のセンサ118及び四分円計算器128におけるエラーの検出は、磁界ターンセンサシステム102における可能なエラーの検出のための重要な構成要素であるが、本開示の態様は、主に、比較器126内のエラーの検出に焦点を当て、同様に、ある特定の他のエラーを検出することが可能であり得る(例えば、第2のセンサ118におけるある特定のエラーは、スタックした又は反転された比較器126と同様の出力をもたらし得る)。
【0048】
図2B~2Dを参照すると、四分円計算器128は、第1の比較器126a及び第2の比較器126bの出力に基づいて、シャフト106が現在配向されている四分円を判定することができる。図2Bに示すように、第1の比較器126aは、余弦ブリッジ203bから出力205を受信し、第2の比較器126bは、正弦ブリッジ203aから出力207を受信する。第1の比較器126a及び第2の比較器126bからの出力00、01、10、11の組み合わせは、四分円計算器が、シャフト106が配向され得る四分円を区別することを可能にする。四分円における変化は、ターンカウンタをインクリメント及び/又はデクリメントするために、(例えば、プロセッサ117が)使用することができる。
【0049】
第1の比較器126a及び第2の比較器126bにエラーが存在しない場合、シャフト106が四分円Q1~Q4を通って回転するときの第1の比較器126a及び第2の比較器126bの出力を以下の表に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
しかしながら、第1の比較器126aにおいて、第1の比較器の出力を高い値(例えば、「1」)で「スタックさせた」エラーがあり得る。いくつかの事例では、第1の比較器126aは、機能しなくなり得、その結果、第1の比較器126の出力は変化しない、例えば、比較器126a自体にエラーがあり得、正弦ブリッジ203a若しくは余弦ブリッジ203bにエラーがあり得、及び/又は正弦ブリッジ203a若しくは余弦ブリッジ203bと比較器126aとの間の接続が切断されることがあり得る。しかしながら、比較器126aの出力にエラーを引き起こすことがある他の機能障害も存在し得る。そのようなエラーは、シャフト106が、以下の表に示す四分円Q1~Q4を通して回転されると、第1の比較器126a及び第2の比較器126bの出力をもたらし得る。
【0052】
【表2】
【0053】
上記に示すように、第1の比較器126aが表2に示す高い値でスタックしているときにシャフト106が四分円Q1~Q4を通って回転される場合の第1の比較器126a及び第2の比較器126bの出力は、表1に示すように、シャフトが四分円Q1から四分円Q2に回転され、次いで四分円Q1に回転して戻される場合の第1の比較器126a及び第2の比較器126bの有効な出力と区別できない場合がある。
【0054】
第1の比較器126a及び第2の比較器126bのうちの一方において発生するエラーが磁界ターンセンサシステム102によって検出されない場合、これは、いくつかのシステム(例えば、ステアリングホイールのターンカウントを検出するために磁界ターンセンサシステム102を使用する車両)において危険な結果をもたらし得る。
【0055】
本開示のある特定の態様では、磁界ターンセンサシステム102は、比較器126のうちの1つがスタックした出力を有する結果となる潜在的なエラーを検出するために、1つ以上の追加の比較器を更に含むことができる。図4は、本開示の態様による、シャフト角が現在位置する四分円を判定するために使用することができる、複数の比較器の例示的な構成を例示するブロック図である。図2Bの実施形態と同様に、図4の実施形態では、構成は、正弦フルブリッジ203a及び余弦フルブリッジ203bを例示している。余弦ブリッジ203bからの2つの第1の出力205が第1の比較器126aに提供され、正弦ブリッジ203aからの2つの第2の出力207が第2の比較器126bに提供される。この構成は、正弦ブリッジ203aからの出力205のうちの1つ及び余弦ブリッジ203bの出力207のうちの1つに接続することができる第3の比較器126cを更に含む。図4の実施形態では、第3の比較器126cは、正弦ブリッジ203a及び余弦ブリッジ203bの各々の負の出力205M及び207Mに接続されている。しかしながら、第3の比較器126cは、実装形態に応じて、正弦ブリッジ203a及び余弦ブリッジ203bの異なる出力205及び207に接続することができる。例えば、第3の比較器126は、正弦ブリッジ203a及び余弦ブリッジ203bからの出力の以下の組み合わせ、すなわち、負の出力205M及び207M、正の出力205P及び207P、正の正弦出力207P及び負の余弦出力205M、並びに負の正弦出力207M及び正の余弦出力205Pのうちの1つを受信することができる。
【0056】
図4に示す構成に第3の比較器126cを追加することによって、比較器126にエラーがないときの3つの比較器126a~126cの出力は、シャフト106が四分円Q1~Q4を通って回転する場合に、以下の表3に示す出力を提供する。
【0057】
【表3】
【0058】
表3に示すように、第3の比較器126cの出力213は、第2の比較器126bの出力から45°だけオフセットされ、それにより、第3の比較器126cの出力は、第1の四分円Q1、及び第3の四分円Q3のほぼ中間に変化する結果をもたらす。詳細には、表3は、八分円Q1a~Q4bと、第1の比較器126a、第2の比較器126b、及び第3の比較器126cの各々からの対応する出力を例示している。表3に示す出力の有効な組み合わせからの逸脱を検出するために、有効な出力の組み合わせがメモリ119に記憶され得る。
【0059】
比較器126a~126cのうちの1つが所与の出力においてスタックしているとき、第1の比較器126a、第2の比較器126b、及び第3の比較器126cからの出力の組み合わせは、有効ではない(例えば、表3に示すエラーのない出力/遷移に存在しない)組み合わせ及び/又は組み合わせ間の遷移をもたらす。例えば、表4には、第1の比較器126a、第2の比較器126b、及び第3の比較器126cの出力のパターンを例示しており、第1の比較器126aが高い値でスタックした出力を有している。
【0060】
【表4】
【0061】
シャフト106が完全に1回転されると、八分円Q3bにおける出力の無効な組み合わせを検出することによって、スタックした第1の比較器126を検出することができる。これにより、プロセッサ117は、シャフト106が完全に1回転される場合に、比較器126のうちの1つがスタックしているエラーを検出することが可能である。いくつかの実装形態では、ターンカウントは、ニュートラル位置からのシャフト106の完全な1回転の数を示す値である。シャフトの完全な1回転内のエラーを検出することによって、第3の比較器126bを追加することにより、エラーがターンカウント値を誤検出する結果となる前に、このタイプのエラーを検出することが可能になる。
【0062】
いくつかの実装形態では、プロセッサ117によって検出され得る出力の追加の無効な組み合わせ及び無効な遷移を提供するために、第4の比較器を更に追加することができる。図5は、本開示の態様による、シャフト角が現在位置する四分円を判定するために使用することができる複数の比較器の別の例示的な構成を例示するブロック図である。特に、図5の構成は、図4に関連して上述したものと同様の構成要素を含み得るが、第4の比較器126dが追加されている。第4の比較器126dは、余弦ブリッジ203bの負の出力205M、及び正弦ブリッジ203aの正の出力207Pに接続されている。これにより、第4の比較器126dによって検出された四分円間の遷移は、第3の比較器126cによって検出された遷移から180°オフセットされる。次の表は、シャフトがエラーなしに八分円Q1a~Q4bを通って完全に1回転する場合の、図5の4つの比較器の出力のパターンを例示している。
【0063】
【表5】
【0064】
第1の比較器に異常が存在すると、以下のパターンの出力が生じることがある。
【0065】
【表6】
【0066】
表6から分かるように、八分円Q3b及びQ4aの出力の各々は、無効な組み合わせである。これにより、プロセッサ117は、これらの出力のパターンの各々を、比較器126のうちの1つにおけるエラーから生じたものとして検出することができる。表5に例示する出力の有効な組み合わせからの逸脱を検出するために、有効な出力の組み合わせがメモリ119に記憶され得る。他の実施形態では、有効な出力の組み合わせは、複数の論理ゲート121を介して実装され得る。
【0067】
加えて、第3の比較器126c、及び第4の比較器126dに提供される出力のある特定の選択に対して、比較器126a~126dのうちの1つが、高出力又は低出力のいずれかでスタックしていることに伴って、有効な出力の組み合わせ間の無効な遷移をもたらし得る。これにより、2つの有効な状態間の遷移を検出したことに応答して、プロセッサ117はまた、遷移が有効であるかどうかを判定するように構成することができる。例えば、遷移に対応する出力が、シャフト106が最初に八分円Q4aに行かずに八分円Q3bから八分円Q4bに進んだことを示す場合、プロセッサ117は、エラーが発生したと判定することができる。有効な出力の組み合わせ間の無効な遷移の検出は、異なる数の比較器126(例えば、2つ、3つ、5つ、又はそれ以上の比較器126)を有するシステムにも適用することができる。
【0068】
図6は、本開示の態様による、正弦ブリッジ203a及び余弦ブリッジ203bのシャフト角に対する正規化された出力を例示するグラフである。特に、線302は正の正弦出力207Pであり、線304は負の余弦出力205Mであり、線306は負の正弦出力207Mであり、線308は正の余弦出力205Pである。図5を参照すると、第1の比較器126aは、正の余弦出力205P及び負の余弦出力205Mを受信し、第2の比較器126bは、正の正弦出力207P及び負の正弦出力207Nを受信する。比較器126のうちの1つがスタックしているときに無効な状態を有する出力のパターンを提供するために、第3の比較器126c、及び第4の比較器126dへの入力は、第1の比較器126a及び第2の比較器126bから、かつ互いからオフセットされるべきである。これにより、ある特定の実装形態では、第3の比較器126cは、正の正弦出力207P及び正の余弦出力205P、又は負の正弦出力207M及び負の余弦出力205Mのうちの一方を受信することができ、一方、第4の比較器126dは、正の正弦出力207P及び負の余弦出力205M、又は負の正弦出力207M及び正の余弦出力205Pのうちの一方を受信することができる。他の実装形態では、第3の比較器126c、及び第4の比較器126dへの入力は逆にすることができる。
【0069】
図7は、本開示の態様による、比較器126におけるエラーを検出するための方法400の例示的な実装態様のフローチャートである。方法400は、磁界ターンセンサシステム102のプロセッサ117によって実行され得る。しかしながら、他の実施形態では、方法400のある特定のブロックは、代わりに、例えば、回路基板108上に位置し得る他の構成要素によって実行され得る。加えて、ブロックは特定の順序で例示され、記載されているが、ある特定のブロックは、本開示の態様から逸脱することなく、他の順序で実行され得る。
【0070】
方法400は、ブロック401において開始する。ブロック402において、プロセッサ117は、磁界ターンセンサシステム102の少なくとも3つの比較器126a~126cのそれぞれからの出力を受信する。実装形態に応じて、少なくとも3つの比較器126a~126dは、図4又は5のうちの一方に示すように構成することができる。ブロック404において、プロセッサ117は、比較器のうちの少なくとも2つからの出力に少なくとも部分的に基づいて、例えば、第1の比較器126a及び第2の比較器126bの出力に基づいて、磁界角センサ102の四分円を判定する。
【0071】
ブロック406において、プロセッサ117は、少なくとも3つの比較器126a~126cからの出力の組み合わせが無効な状態に対応すると判定する。例えば、第1の比較器126a、第2の比較器126b、及び第3の比較器126cからの出力の組み合わせが有効な値の所定の組み合わせに一致しないとき、プロセッサ117は、出力の組み合わせが無効な状態に対応すると判定し得る。3つの比較器126a~126cを含む実装形態では、有効な状態の組み合わせは、表3に示す値と同様であり得る。4つの比較器126a~126dを含む実装形態では、有効な状態の組み合わせは、表5に示す値に同様であり得、3つの比較器126a~126dを含む実装形態と比較して、プロセッサ117によって検出され得るより多くの可能な無効な状態を提供し得る。例えば、有効な出力の組み合わせは、プロセッサ117が、出力の任意の所与の組み合わせが有効な状態に対応するか又は無効な状態に対応するかを判定することができるように、メモリ119に記憶され得る。チョッピングを用いる比較器回路を使用する実装形態(例えば、図8に関連して以下で考察するような)など、いくつかの実装形態では、プロセッサ117はまた、第1の状態と第2の状態との間の遷移が連続した時点で取られた少なくとも3つの比較器の出力に基づいて、無効な遷移に対応すると判定することができる。
【0072】
いくつかの実装形態では、ブロック404及び406の順序は逆にすることができる。例えば、プロセッサ117は、最初に、少なくとも3つの比較器126a~126cからの出力の組み合わせが有効な状態に対応すると判定し得る(例えば、上述のブロック406と同様に)。出力の組み合わせが有効な状態に対応すると判定することに応答して、プロセッサ117は、比較器のうちの少なくとも2つからの出力に少なくとも部分的に基づいて、磁界角センサ102の四分円を判定し得る(上記のブロック404と同様に)。
【0073】
ブロック408において、プロセッサ117は、少なくとも3つの比較器からの出力の組み合わせが無効な状態に対応すると判定することに応答して、異常を示す。いくつかの実装形態では、プロセッサ117はまた、遷移が無効な遷移に対応すると判定することに応答して、異常を示すことができる。方法400は、ブロック410において終了する。
【0074】
本開示の態様はまた、チョッピングを用いる比較器126eを有する磁界ターンセンサシステム102に適用することができる。図8は、本開示の態様による、磁界ターンセンサシステム102において使用することができるチョッピングを用いる比較器126eの実施形態を例示するブロック図である。例えば、図8に例示する比較器126eは、ある特定の実装形態において、図4及び5に例示する比較器126a~126dの各々の代わりに使用することができる。
【0075】
上述の比較器126a~126dと同様に、図8の比較器126eは、正弦ブリッジ203a及び/又は余弦ブリッジ203bから2つの出力信号205P、205M、207P、及び207Mを受信することができる。例示する実施例では、比較器126eは、余弦ブリッジ203bから正の出力205P及び負の出力205Mを受信する。比較器126eは、正の出力205P及び負の出力205Mと、チョップ信号231とを受信するように構成されたチョップスイッチ232を含む。比較器233は、チョップスイッチ232からの出力を受信し、正の出力205P及び負の出力205Mのうちのいずれがより大きい値を有するかを表すデジタル信号を出力するように構成されている。例えば、比較器233はチョッピングスイッチ232及びチョップ信号231の状態によって制御されるように、205Pが正の入力に進み、205Mが負の入力に進むとき、1つの入力信号又は磁気角に対して「1」又は高出力を提供し、チョップ信号231の反対の状態に対してチョッピングスイッチによって制御されるように、205Pが比較器233の負の入力に進み、205Mが正の入力に進むとき、同じ入力信号又は磁気角に対して「0」又は低出力を提供する。
【0076】
比較器126eは、比較器233からの出力と、反転器235とを通した反転信号を受信するように構成された多重変換器237を更に含む。多重変換器237は、チョップ信号231に基づいて、比較器233の出力又は反転された比較器233の出力のうちの一方を選択するように構成されている。多重変換器237は、比較器233からの出力のチョッピングの一部を提供する。いくつかの実装形態では、比較器126eは、多重変換器237を含まなくてもよく、代わりに、比較器233からの出力及び反転された出力は、デジタル形式でプロセッサ117に直接提供することができる。
【0077】
図8の比較器126eなどのチョッピングを用いる4つの比較器を含む、磁界ターンセンサシステム102の第1の比較器上に異常が存在する場合(例えば、比較器は、図5に示すように配置することができる)、表6に示す以下の出力のパターンが生じることがある。表6では、左側のサブカラムは高チョップの比較器出力を表し、右側のサブカラムは低チョップの比較器出力を表している。
【0078】
【表7】
【0079】
表6において、有効な状態/遷移行では、無効な状態を有する出力の組み合わせは「0」でマークされ、状態間の無効な遷移は「X」でマークされ、有効な状態は「1」でマークされている。表6から分かるように、スタックした出力を有する単一の比較器は、多数の無効な状態及び遷移を生成し、その結果、シャフト106を360°完全に回転しなくても、スタックした比較器エラーを検出することができる。
【0080】
結論
本開示の態様は、様々な電子デバイスにおいて実装することができる。電子デバイスの実施例としては、家電製品、家電製品の部品、電子試験装置、車両電子システムなどが挙げられるが、これらに限定されない。電子デバイスの実施例としては、コンピューティングデバイス、通信デバイス、家庭用電化製品、自動車電子システムなどが挙げられるが、これらに限定されない。更に、電子デバイスには、未完成の製品を含むことができる。
【0081】
文脈上明らかに別様に解すべき場合を除き、記載及び特許請求の範囲を通して、「備える(comprise)」、「備えること(comprising)」、「含むこと(include)」、「含む(including)」などの用語は、排他的又は網羅的な意味ではなく、包括的な意味で、すなわち、「含むが、それに限定されない」という意味で解釈されるべきである。加えて、「本明細書で」、「上で(above)」、「下で(below)」という用語、及び同様の意味の用語は、本出願で使用される場合、本出願の任意の特定の部分を指すものではなく、本出願全体を指すものとする。文脈が許す場合、単数形又は複数形を使用した上記のある特定の実施形態の詳細な説明における用語はまた、それぞれ複数形又は単数形を含み得る。文脈が許す場合、2つ以上の項目のリストを参照する「又は(or)」という用語は、用語の以下の解釈を全て、すなわち、リスト内の項目のいずれか、リスト内の項目の全て、及びリスト内の項目の任意の組み合わせ、を網羅することが意図される。
【0082】
更に、とりわけ、「できる(can)」、「できる(could)」、「あり得る(might)」、「あり得る(may)」、「例えば(e.g.)」、「例えば(for example)」、「などの(such as)」などの、本明細書で使用される条件付きの言葉は、特に明記しない限り、又は使用される文脈内で別様に理解されない限り、ある特定の実施形態が、ある特定の特徴、要素、及び/又は状態を含むが、他の実施形態は含まないことを伝えることが一般に意図される。これにより、そのような条件付き言語は、一般に、特徴、要素及び/又は状態が1つ以上の実施形態に任意の形で必要とされること、又は1つ以上の実施形態が、作者の入力若しくはプロンプトの有無にかかわらず、これらの特徴、要素及び/又は状態が任意の特定の実施形態に含まれるか、又は実行されるべきであるかを判定するための論理を必然的に含むことを暗示することは意図されていない。
【0083】
前述の記載及び特許請求の範囲は、一緒に「接続された」又は「結合された」要素又は特徴に言及され得る。本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「接続された」とは、1つの要素/特徴が別の要素/特徴に直接的又は間接的に接続されていることを意味し、必ずしも機械的に接続されている必要はない。同様に、特に明記しない限り、「結合された」とは、1つの要素/特徴が別の要素/特徴に直接的又は間接的に結合されていることを意味し、必ずしも機械的に結合されている必要はない。これにより、図に示される様々な概略図は、要素及び構成要素の例示的な配置を図示しているが、実際の実施形態では、追加の介在要素、デバイス、特徴、又は構成要素が実際の実施形態に存在し得る(図示される回路の機能性が悪影響を受けないと仮定する)。
【0084】
本明細書で使用される場合、「判定すること」という用語は、多種多様なアクションを包含する。例えば、「判定すること」は、計算すること、演算すること、処理すること、導出すること、調査すること、ルックアップすること(例えば、テーブル、データベース、又は別のデータ構造においてルックアップすること)、確認することなどを含み得る。また、「判定すること」は、受信すること(例えば、情報を受信すること)、アクセスすること(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)などを含み得る。また、「判定すること」」は、解決すること、選択すること、選ぶこと、確立することなどを含み得る。更に、本明細書で使用される場合、「チャネル幅」は、ある特定の態様において帯域幅を包含し得るか、又は帯域幅とも称され得る。
【0085】
上述の方法の様々な動作は、様々なハードウェア及び/又はソフトウェア構成要素、回路、及び/又はモジュールなど、動作を実行できる任意の好適な手段によって実行され得る。一般に、図に例示するいずれの動作も、動作を実行することが可能な対応する機能的手段によって実行され得る。
【0086】
本開示に関連して記載する様々な例示的な論理ブロック、モジュール、及び回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ信号(FPGA)又は他のプログラマブルロジックデバイス(PLD)、個別ゲート又はトランジスタ論理、個別ハードウェア構成要素、又は本明細書に記載の機能を実行するように設計されたそれらの任意の組み合わせで実装又は実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、代替的に、プロセッサは、任意の市販のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又は状態マシンであり得る。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えばDSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つ以上のマイクロプロセッサ、又は任意の他のそのような構成として実装され得る。
【0087】
本明細書に開示する方法は、記載の方法を達成するための1つ以上のステップ又はアクションを含む。本方法のステップ及び/又はアクションは、特許請求の範囲から逸脱することなく、互いに交換され得る。言い換えれば、ステップ又はアクションの特定の順序が指定されない限り、特定のステップ及び/又はアクションの順序及び/又は使用は、特許請求の範囲から逸脱することなく修正され得る。
【0088】
実装形態は、上記に例示した正確な構成及び構成要素に限定されないことを理解されたい。様々な修正、変更、及び変形が、実装形態の範囲から逸脱することなく、上記の方法及び装置の配置、動作、及び詳細において行われ得る。
【0089】
本発明をある特定の実施形態に関して記載してきたが、本明細書に掲げる特徴及び利点の全てを提供しない実施形態を含む、当業者に明らかである他の実施形態もまた、本発明の範囲内である。更に、上記の様々な実施形態を組み合わせて、更なる実施形態を提供することができる。更に、一実施形態の文脈で示したある特定の特徴は、他の実施形態にも組み込むことができる。
【符号の説明】
【0090】
100 実装形態
102 磁界ターンセンサシステム又は感知回路
104 磁石
106 シャフト
108 回路基板
110 第1のセンサ
111 第1の信号処理経路
112 増幅器
113 第2の信号処理経路
114 アナログ-デジタル変換器(ADC)
115 ターンカウント経路
116 角度計算器
117 プロセッサ
118 第2のセンサ
119 メモリ
120 増幅器
121 論理ゲート
122 ADC
124 角度計算器
126 比較器
126a 第1の比較器
126b 第2の比較器
126c 第3の比較器
126d 第4の比較器
126e 比較器
128 四分円計算器
203a 正弦フルブリッジ
203b 余弦フルブリッジ
205P、207P 正の出力
205M、207M 負の出力
209 第1のデジタル出力
211 第2のデジタル出力
213 出力
231 チョップ信号
232 チョップスイッチ
233 比較器
235 反転器
237 多重変換器
R1~R8 感知素子
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】