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特表2023-538326プロテアソームエンハンサ及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(54)【発明の名称】プロテアソームエンハンサ及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/12 20060101AFI20230831BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20230831BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20230831BHJP
   C07D 235/08 20060101ALI20230831BHJP
   C07D 235/30 20060101ALI20230831BHJP
   C07D 401/10 20060101ALI20230831BHJP
   C07D 413/10 20060101ALI20230831BHJP
   C07D 409/10 20060101ALI20230831BHJP
   C07D 403/10 20060101ALI20230831BHJP
   A61K 31/422 20060101ALI20230831BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20230831BHJP
   A61K 31/4184 20060101ALI20230831BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230831BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20230831BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230831BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20230831BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
C07D401/12 CSP
A61K31/454
A61K31/496
C07D235/08
C07D235/30 B
C07D401/10
C07D413/10
C07D409/10
C07D403/10
A61K31/422
A61K31/5377
A61K31/4184
A61P25/00
A61P25/16
A61P25/28
A61P25/14
A61P21/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509839
(86)(22)【出願日】2021-08-10
(85)【翻訳文提出日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 US2021045440
(87)【国際公開番号】W WO2022035898
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】63/064,262
(32)【優先日】2020-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508007514
【氏名又は名称】ボード オブ トラスティーズ オブ ミシガン ステイト ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF TRUSTEES OF MICHIGAN STATE UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】テペ、ジェッツェ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァネチェク、アリソン
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB09
4C063CC26
4C063CC51
4C063CC92
4C063DD10
4C063DD12
4C063DD25
4C063DD26
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC39
4C086BC67
4C086BC73
4C086GA04
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA12
4C086GA13
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086NA15
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA16
4C086ZA22
4C086ZA94
4C086ZC01
4C086ZC21
(57)【要約】
化合物アステミゾール誘導体、そのような化合物を作製するための方法、並びに癌、炎症性疾患若しくは状態、又はパーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、及びALS等の神経変性疾患の治療におけるそのような化合物の使用方法が本明細書に記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
はアリール又はヘテロアリールであり、
は、H、アルキル、アリール又はヘテロアリールであり、
は、アルキル又はアルケニルであり、
は、N又はCRであり、式中、Rは、存在しないか、水素、アルキル、ヘテロシクリル、又はアリールであり、
は、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり、かつ
は、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールである、前記化合物又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレート。
【請求項2】
がアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が置換アリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が置換フェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
がヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
がベンゾイミダゾリニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
がアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
がC-Cアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
式(I)の化合物が、式(Ia)の化合物:
【化2】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
式中、Rはアリール又はヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
式(I)の化合物が、式(Ib)又は(Ic)の化合物:
【化3】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
式中、nは0、1又は2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
式(I)の化合物が、以下の式の化合物:
【化4】

それらの薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
以下の式の化合物:
【化5】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
はアリール又はヘテロアリールであり、
は、H、アルキル、アリール又はヘテロアリールであり、
は、アルキル又はアルケニルであり、
は、N又はCRであり、式中、Rは、存在しないか、水素、アルキル、ヘテロシクリル、又はアリールであり、
はアリール又はヘテロアリールである、前記化合物又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレート。
【請求項14】
前記化合物が以下の式の化合物であって:
【化6】

式中、qは、0、1、2、又は3であり、
は、アルキル、シクロアルキルアリール、ヘテロアリール、アシル、アミド又はカルバメートであり、かつ
各R10は、独立して、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ若しくはヘテロシクリルであり、又は、
隣接する炭素原子上の2つのR10基は、それらの炭素原子と共に、シクロアルケニル、アリール又はヘテロシクリルを形成可能であり、又は、
及びR10は、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成可能である、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
式(II)及び(IIa)から(IId)の化合物:
【化7】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
式中、qは、0、1、2、又は3であり、
各Xは独立して、アルキル又はアルケニルであり、
及びRは、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキルアリール、ヘテロアリール、アシル、アミド又はカルバメートであり、かつ
Wは、N又はC-R10であり、Xは、N又はC-R10であり、Yは、N又はC-R10であり、Zは、N又はC-R10であり、式中、各R10は、独立して、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はヘテロシクリルであり、又は、
隣接する炭素原子上の2つのR10基は、それらの炭素原子と共に、シクロアルケニル、アリール又はヘテロシクリルを形成可能であり、又は、
及びR10は、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成可能である、前記化合物又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレート。
【請求項16】
が-(CH-であり、式中、nが0、1、又は2である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
10が、式-OR11のアルコキシであり、式中、R11は、アルキル、シクロアルキル又はアリール、ヘテロアリール、アシル、アミド又はカルバメートである、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
前記化合物が以下の式の化合物:
【化8】

【化9】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、請求項15に記載の化合物。
【請求項19】
前記化合物は、式中のR及びR10が、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成可能である、以下の式の化合物:
【化10】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、請求項15に記載の化合物。
【請求項20】
前記化合物が以下の式の化合物:
【化11】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、請求項15に記載の化合物。
【請求項21】
前記化合物が以下の式の化合物:
【化12】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、請求項15に記載の化合物。
【請求項22】
式(III)の化合物:
【化13】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
式中、qは、0、1、2、又は3であり、
は、アルキル又はアルケニルであり、
Wは、N又はC-R10であり、Xは、N又はC-R10であり、Yは、N又はC-R10であり、かつZは、N又はC-R10であり、式中、各R10は、独立して、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はヘテロシクリルであり、又は、
隣接する炭素原子上の2つのR10基は、それらの炭素原子と共に、シクロアルケニル、アリール又はヘテロシクリルを形成可能であり、又は、
及びR10は、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成可能であり、かつ、
12及びR13は、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキルアリール、ヘテロアリール、アシル、アミド又はカルバメートである、前記化合物又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレート。
【請求項23】
が-(CH-であり、式中、nが0、1、又は2である、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
10が、式-OR11のアルコキシであり、式中、R11は、アルキル、シクロアルキル又はアリール、ヘテロアリール、アシル、アミド又はカルバメートである、請求項22に記載の化合物。
【請求項25】
前記化合物が以下の式の化合物:
【化14】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、請求項22に記載の化合物。
【請求項26】
前記化合物は、式中のR及びR10又はR及びR13が、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成する、以下の式の化合物:
【化15】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、請求項22に記載の化合物。
【請求項27】
前記化合物が以下の式の化合物:
【化16】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、請求項22に記載の化合物。
【請求項28】
式(IV)の化合物:
【化17】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
式中、qは、0、1、2、又は3であり、
は、アルキル又はアルケニルであり、
Wは、N又はC-R10であり、Xは、N又はC-R10であり、Yは、N又はC-R10であり、Zは、N又はC-R10であり、式中、各R10は、独立して、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はヘテロシクリルであり、又は、
隣接する炭素原子上の2つのR10基は、それらの炭素原子と共に、シクロアルケニル、アリール又はヘテロシクリルを形成可能であり、又は、
及びR10は、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成可能であり、かつ
14は、アリール若しくはヘテロシクリルであり、又は、
及びR14は、それらが結合している原子と共に、アリール又はヘテロシクリルを形成可能である、前記化合物又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレート。
【請求項29】
が-(CH-であり、式中、nが0、1、又は2である、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
10が、式-OR11のアルコキシであり、式中、R11は、アルキル、シクロアルキル又はアリール、ヘテロアリール、アシル、アミド又はカルバメートである、請求項28に記載の化合物。
【請求項31】
前記化合物が以下の式の化合物:
【化18】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、請求項28に記載の化合物。
【請求項32】
前記化合物は、式中のR及びR10又はR及びR14が、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成する、以下の式の化合物:
【化19】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、請求項28に記載の化合物。
【請求項33】
式(V)の化合物:
【化20】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
式中、qは、0、1、2、又は3であり、
は、アルキル又はアルケニルであり、
は、存在しないか、N又はC-R10であり、
各Wは、N又はC-R10であり、各Xは、N又はC-R10であり、各Yは、N又はC-R10であり、各Zは、N又はC-R10であり、式中、各R10は、独立して、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はヘテロシクリルであり、かつ
隣接する炭素原子上の2つのR10基は、それらの炭素原子と共に、シクロアルケニル、アリール又はヘテロシクリルを形成可能であり、又は、
及びR10は、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成可能である、前記化合物又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレート。
【請求項34】
が-(CH-であり、式中、nが0、1、又は2である、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
10が、式-OR11のアルコキシであり、式中、R11は、アルキル、シクロアルキル又はアリール、ヘテロアリール、アシル、アミド又はカルバメートである、請求項33に記載の化合物。
【請求項36】
前記化合物が以下の式の化合物:
【化21】

【化22】

【化23】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、請求項33に記載の化合物。
【請求項37】
前記化合物は、式中のR及びR10がヘテロシクリル基を形成する、以下の式の化合物:
【化24】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、請求項33に記載の化合物。
【請求項38】
前記化合物が以下の式の化合物:
【化25】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、請求項33に記載の化合物。
【請求項39】
前記化合物が以下の式の化合物:
【化26】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、請求項33に記載の化合物。
【請求項40】
アステミゾール及び請求項1、15、22、28又は33に記載の1つ以上の化合物の内の少なくとも1つと、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項41】
アステミゾール及び請求項1、15、22、28又は33に記載の少なくとも1つの化合物の内の少なくとも1つの治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、神経変性疾患を治療するための方法。
【請求項42】
前記神経変性疾患が、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、及びALSの内の少なくとも1つである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
アステミゾール及び請求項1、15、22、28又は33に記載の少なくとも1つの化合物の内の少なくとも1つの治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、プロテアソームの調節異常を低減、実質的に排除又は排除するための方法。
【請求項44】
アステミゾール及び請求項1、15、22、28又は33に記載の少なくとも1つの化合物の内の少なくとも1つの治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、天然変性タンパク質の蓄積を低減、実質的に排除又は排除するための方法。
【請求項45】
前記天然変性タンパク質がα-synを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
請求項40に記載の組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、神経変性疾患を処置するための方法。
【請求項47】
前記神経変性疾患が、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、及びALSの内の少なくとも1つである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
請求項40に記載の組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、プロテオスタシスの調節異常を低減、実質的に排除又は排除するための方法。
【請求項49】
請求項40に記載の組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、天然変性タンパク質の蓄積を低減、実質的に排除又は排除するための方法。
【請求項50】
前記天然変性タンパク質がα-synを含む、請求項49に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテアソームエンハンサ及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞内でのタンパク質合成、分解、折り畳み、輸送及び凝集の調節は、まとめてプロテオスタシスとして知られている。プロテオスタシスは、タンパク質がそれらのそれぞれの機能を果たすよう適切な位置、量及び形態で存在することを確実にするように働く多様な細胞機構によって維持される。プロテオスタシスに関与する経路の1つが調節異常になると、細胞に対して、さらには隣接細胞に対しても悲惨な影響があり得る。この例は、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、ハンチントン病(HD)及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)等の神経変性疾患に見られ、ますます広がっている。これらの神経変性疾患において、特定の凝集傾向のあるタンパク質(以下、天然変性タンパク質(IDPs)と称する)の蓄積は、それらの制御されない凝集及びオリゴマー化(以下、凝集及びオリゴマー化は互換的に使用される)によって引き起こされる有害なシグナル伝達及びプロテオスタシスの崩壊をもたらす。例えば、IDP α-シヌクレイン(α-syn)及びそのオリゴマーは、PDの病因に関連する。IDPsは、それらが多数のコンフォメーションをとり、かつ複数の結合パートナーと相互作用することを可能にする三次構造の欠如のために命名される。IDPsは、一般に、他の細胞成分に高度に結合して遊離サイトゾルレベルを低く保つ短命のシグナル伝達タンパク質又は転写因子である。さらに、未結合のIDPsは、IDP消化を担うデフォルトプロテアーゼである20Sプロテアソームによって容易に分解される。神経変性疾患において見られるIDPsの蓄積は、それらの正常な調節に対するいくつかの障害(例えば、突然変異、発現の変化、酸化ストレス、老化、プロテアソーム障害等)の内の1つの結果として始まり得る。α-synはPDの唯一の原因ではないかもしれないが、疾患(SNCA遺伝子における突然変異から生じるPDの家族性形態を含む)におけるその重要な役割を支持する強力な証拠が存在する。単量体α-synレベルの上昇は、ニューロンにおいてアポトーシス誘導性凝集を引き起こすことも知られている。さらに、α-syn及び他のIDPsのオリゴマー形態は、プロテアソームを直接阻害し、さらにIDPs濃度を調節するその能力を破壊することが最近示された。これらのデータは、まとめると、α-synの蓄積及びIDPのオリゴマー種の形成が、PDの進行において重要な役割を果たすことを示唆する。画定された結合ポケットの欠如に起因する、α-syn等のIDPs及びそれらの凝集を、伝統的な小分子薬物設計によって標的にすることは困難である。現在、IDP蓄積に関連する神経変性疾患の進行を妨げる有効な治療はない。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、プロテアソーム機能を増強し、障害のあるプロテアソームの活性を回復させる小分子に関する。小分子プロテアソームエンハンサは、凝集傾向のあるタンパク質の有害な蓄積を防止し、凝集傾向のあるタンパク質によって引き起こされる神経細胞死を防止する。従って、本開示は、神経変性疾患を治療するための治療薬としての小分子の使用に関する。神経変性疾患として、アルツハイマー病(AD)及び他の認知症、パーキンソン病(PD)及びPD関連の障害、プリオン病、運動ニューロン病(MND)、ハンチントン病(HD)、脊髄小脳変性症(SCA)、脊髄性筋萎縮症(SMA)を含むが、これらに限定されない。
【0004】
図面は、概して、限定としてではなく、例として、本明細書に議論される様々な実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】本明細書において「化合物1」と称されるアステミゾール、及び本明細書において「化合物2」と称されるアシルアステミゾールの構造である。
図1B】log[M]アステミゾール及びアシルアステミゾールの関数としてのビークルに対する活性倍率(percent fold activation)のプロットであり、各化合物の200%(AC200)の増加活性及び最大倍率増加を記載する2つの表を含む。
図2A】1、3、5、及び10μMアステミゾール(1)の存在下において、20Sプロテアソームによるα-シヌクレインの誘導分解を示す代表的な銀染色である。
図2B】様々な濃度のアステミゾール及び20Sプロテアソームの存在下で残存するα-シヌクレインのパーセントを示す棒グラフである(n=3)。
図2C】20Sプロテアソーム及び様々な濃度のアステミゾールの投与後に残存するα-シヌクレインの定量を示す表である。エラーバーは標準偏差を示す。通常の一元配置ANOVA統計分析を使用して、統計的有意性を決定した(ns=有意でない、p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。
図3A】1、3、5、及び10μMアシルアステミゾール(2)の存在下において、20Sプロテアソームによるα-シヌクレインの誘導分解を示す代表的な銀染色である。
図3B】様々な濃度のアシルアステミゾール及び20Sプロテアソームの存在下で残存するα-シヌクレインのパーセントを示す棒グラフである(n=3)。
図3C】20Sプロテアソーム及び様々な濃度のアシルアステミゾールの投与後に残存するα-シヌクレインの定量を示す表である。エラーバーは標準偏差を示す。通常の一元配置ANOVA統計分析を使用して、統計的有意性を決定した(ns=有意でない、p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。
図4A】アステミゾール濃度の関数としての発光%の表及び付随するプロットである。
図4B】アシルアステミゾール濃度の関数としての発光%の表及び付随するプロットである。
図4C】AV-1-10濃度の関数としての発光%の表及び付随するプロットである。
図5図4Cに記載の化合物AV-1-10の化学構造である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
現在、アルツハイマー病及びパーキンソン病等の神経変性疾患の進行を予防又は遅延させるために利用可能な治療法はない。本開示は、哺乳動物プロテアソームの生物学的に活性なエンハンサであることが本明細書において示されているケモタイプに関する。本明細書に記載されるケモタイプは、アステミゾール及びその誘導体に基づく。
【0007】
本開示は、アステミゾール及びその誘導体、並びに、特に神経変性疾患の進行を予防又は遅延させるためのそれらの使用に関する。従って、本開示が関する化合物は、式(I)の化合物:
【化1】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
は、アリール(例えば、フェニル)又はヘテロアリール(例えば、インドリニル基又はベンゾイミダゾリニル基)であり、
は、H、アルキル、アリール又はヘテロアリールであり、
は、アルキル(例えば、C-Cアルキル)又はアルケニルであり、
は、N又はCRであり、式中、Rが、存在しない(例えば、Xがアルケニルであるとき)、水素、アルキル、ヘテロシクリル、又はアリールであり、
は、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり、及び、
は、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールである、化合物である。
【0008】
式(I)の化合物の別の例は、式(Ia)の化合物:
【化2】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
式中、Rは、アリール又はヘテロアリール(例えば、フェノチアジニル基及びカルバゾリル基等の三環式ヘテロアリール、並びにインドリニル基又はベンゾイミダゾリニル基等の二環式ヘテロアリール)である、化合物である。
【0009】
式(I)の化合物のさらに別の例は、式(Ib)及び(Ic)の化合物:
【化3】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
nは0、1又は2である、化合物である。
【0010】
また、本明細書に想定される化合物は、以下の式の化合物:
【化4】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
式中、Rは、アリール(例えば、フェニル)又はヘテロアリール(例えば、インドリニル基又はベンゾイミダゾリニル基)であり、
は、H、アルキル、アリール又はヘテロアリールであり、
は、アルキル又はアルケニルであり、
は、N又はCRであり、式中、Rが、存在しない(例えば、Xがアルケニルであるとき)、水素、アルキル、ヘテロシクリル、又はアリールであり、及び、
は、アリール又はヘテロアリール(例えば、フェノチアジニル基及びカルバゾリル基等の三環式ヘテロアリール、並びにインドリニル基又はベンゾイミダゾリニル基等の二環式ヘテロアリール)であり、例えば以下の式の化合物であって:
【化5】

式中、qは、0、1、2、又は3であり、
は、アルキル、シクロアルキルアリール、ヘテロアリール、アシル、アミド又はカルバメートであり、及び、
各R10は、独立して、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル(例えば、CF)、アルコキシ(例えば、-OR11、式中、R11は、アルキル、シクロアルキル又はアリール、ヘテロアリール、アシル、アミド又はカルバメートである)又はヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)であり、又は、
隣接する炭素原子上の2つのR10基は、それらの炭素原子と共に、シクロアルケニル、アリール又はヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)を形成可能であり、又は、
及びR10は、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成可能である、化合物である。
【0011】
式(I)及び(Ia)-(Ic)の化合物において、Rは、置換アリール等のアリールであり得る。例えば、Rは、置換又は非置換フェニルであり得る。加えて又は代わりに、RはHであり得る。加えて、又は代わりに、Xは、分岐又は非分岐、置換又は非置換のC-Cアルキル等のアルキルであり得る。
【0012】
式(I)及び(Ia)-(Ic)の化合物において、Rのアリール及びヘテロアリール基は、本明細書に記載されるように置換されていなくてもよく、置換されていてもよい。例えば、Rのアリール又はヘテロアリール基が置換されているとき、それらは、ハロ(例えば、Cl、Br及びF)、アミノ、OR(式中、Rは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はアリールアルキルである)、S(O)(式中、xは0、1又は2である)、アシル、アミド又はヘテロシクリルで置換され得る。
【0013】
式(I)及び(Ia)-(Ic)の化合物において、Rのアルキル、アリール及びヘテロアリール基は、本明細書に記載されるように置換されていなくてもよく、置換されていてもよい。例えば、Rのアルキル、アリール又はヘテロアリール基が置換されているとき、それらは、ハロ(例えば、Cl、Br及びF)、アミノ、OR(式中、Rは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はアリールアルキルである)、S(O)(式中、xは0、1又は2である)、アシル、アミド又はヘテロシクリルで置換され得る。
【0014】
式(I)及び(Ia)-(Ic)の化合物において、Rのアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリール基は、本明細書に記載されるように置換されていなくてもよく、置換されていてもよい。例えば、Rのアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリール基が置換されているとき、それらは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ(例えば、Cl、Br及びF)、アミノ、OR(式中、Rは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はアリールアルキルである)、S(O)(式中、xは0、1又は2である)、アシル、アミド又はヘテロシクリルで置換され得る。
【0015】
式(I)及び(Ia)-(Ic)の化合物において、Rのアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリール基は、本明細書に記載されるように置換されていなくてもよく、置換されていてもよい。例えば、Rのアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリール基が置換されているとき、それらは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ(例えば、Cl、Br及びF)、アミノ、OR(式中、Rは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はアリールアルキルである)、S(O)x(式中、xは0、1又は2である)、アシル、アミド又はヘテロシクリルで置換され得る。
【0016】
式(I)及び(Ia)-(Ic)の化合物において、Rのアリール又はヘテロアリール基は、本明細書に記載されるように置換されていなくてもよく、置換されていてもよい。例えば、Rのアリール又はヘテロアリール基が置換されているとき、それらは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ(例えば、Cl、Br及びF)、アミノ、OR(式中、Rは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はアリールアルキルである)、S(O)x(式中、xは0、1又は2である)、アシル、アミド又はヘテロシクリルで置換され得る。
【0017】
式(I)及び(Ia)-(Ic)の化合物の例としては、限定されないが、以下の式の化合物:
【化6】

その薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートを含む。
【0018】
本開示が関する化合物はまた、式(II)及び(IIa)-(IId)の化合物:
【化7】

【化8】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
式中、qは、0、1、2、又は3であり、
各Xは、独立して、アルキル(例えば、-(CH-、式中、nは、0、1、又は2である)又はアルケニルであり、
及びRは、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキルアリール、ヘテロアリール、アシル、アミド又はカルバメートであり、及び、
Wは、N又はC-R10であり、Xは、N又はC-R10であり、Yは、N又はC-R10であり、Zは、N又はC-R10であり、式中、各R10は、独立して、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル(例えば、CF)、アルコキシ(例えば、-OR11、式中、R11は、アルキル、シクロアルキル又はアリール、ヘテロアリール、アシル、アミド又はカルバメートである)又はヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)であり、又は、
隣接する炭素原子上の2つのR10基は、それらの炭素原子と共に、シクロアルケニル、アリール又はヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)を形成可能であり、又は、
及びR10は、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成可能である、化合物である。
【0019】
一例では、式(II)の化合物において、R及びR10は、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成可能であり、例えば以下の図である。
【化9】

式(II)の化合物の別の変形には、以下の式の化合物が含まれる。
【化10】
【0020】
本開示が関する化合物はまた、式(III)の化合物:
【化11】

【化12】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
式中、qは、0、1、2、又は3であり、
は、アルキル(例えば、-(CH-)又はアルケニルであり、
Wは、N又はC-R10であり、Xは、N又はC-R10であり、Yは、N又はC-R10であり、Zは、N又はC-R10であり、式中、各R10は、独立して、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル(例えば、CF)、アルコキシ(例えば、-OR11、式中、R11は、アルキル、シクロアルキル又はアリール、ヘテロアリール、アシル、アミド又はカルバメートである)又はヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)であり、又は、
隣接する炭素原子上の2つのR10基は、それらの炭素原子と共に、シクロアルケニル、アリール又はヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)を形成可能であり、又は、
及びR10は、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成可能であり、及び、
12及びR13は、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキルアリール、ヘテロアリール、アシル、アミド又はカルバメートである、化合物である。
【0021】
一例では、式(III)の化合物において、R及びR10又はR及びR13は、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成可能であり、例えば以下の図である。
【化13】
【0022】
式(III)の化合物の例は、以下の図の化合物:
【化14】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートを含む。
【0023】
本開示が関する化合物はまた、式(IV)の化合物:
【化15】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
式中、qは、0、1、2、又は3であり、
は、アルキル(例えば、-(CH-)又はアルケニルであり、
Wは、N又はC-R10であり、Xは、N又はC-R10であり、Yは、N又はC-R10であり、Zは、N又はC-R10であり、式中、各R10は、独立して、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル(例えば、CF)、アルコキシ(例えば、-OR11、式中、R11は、アルキル、シクロアルキル又はアリール、ヘテロアリール、アシル、アミド又はカルバメートである)又はヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)であり、又は、
隣接する炭素原子上の2つのR10基は、それらの炭素原子と共に、シクロアルケニル、アリール又はヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)を形成可能であり、又は、
及びR10は、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成可能であり、及び、
14は、アリール(例えば、フェニル)又はヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)であり、又は、
及びR14は、それらが結合している原子と共に、アリール又はヘテロシクリルを形成可能である、化合物である。
【0024】
一例では、式(IV)の化合物において、R及びR10又はR及びR14は、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成可能であり、例えば以下の図である。
【化16】
【0025】
本開示が関する化合物はまた、式(V)の化合物:
【化17】

【化18】

【化19】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
式中、qは、0、1、2、又は3であり、
は、アルキル(例えば、-(CH-)又はアルケニルであり、
は、存在しないか、N又はC-R10であり、
各Wは、N又はC-R10であり、各Xは、N又はC-R10であり、各Yは、N又はC-R10であり、各Zは、N又はC-R10であり、式中、各R10は、独立して、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル(例えば、CF)、アルコキシ(例えば、-OR11、式中、R11は、アルキル、シクロアルキル又はアリール、ヘテロアリール、アシル、アミド又はカルバメートである)又はヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)であり、及び、
隣接する炭素原子上の2つのR10基は、それらの炭素原子と共に、シクロアルケニル、アリール又はヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)を形成可能であり、又は、
及びR10は、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成可能である、化合物である。
【0026】
一例では、式(V)の化合物において、R及びR10は、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成可能であり、例えば以下の図である。
【化20】
【0027】
式(V)の化合物の例は、以下の図の化合物:
【化21】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートを含む。
【0028】
式(V)の化合物の例は、以下の図の化合物、
【化22】

【化23】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートを含む。
【0029】
本開示の化合物は、以下のように、20Sプロテアソームに対する予測/算出された結合親和性を有し得る。
【化24】

【化25】
【0030】
本開示はまた、1つ以上の化合物及び1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を想定する。「医薬組成物」は、対象(例えば、哺乳動物)への投与に適した化学組成物又は生物学的組成物を指す。このような組成物は、口腔、皮膚、表皮、硬膜外、注入、吸入、動脈内、心臓内、脳室内、皮内、筋肉内、鼻腔内、眼内、腹腔内、脊髄内、髄腔内、静脈内、経口、非経口、肺、浣腸又は座薬による直腸、皮下、真皮下、舌下、経皮、及び経粘膜を含むがこれらに限定されないいくつかの経路のうちの1つ以上を介した投与のために特に製剤化され得る。加えて、投与は、カプセル、点滴薬、フォーム、ゲル、ガム、注射、液体、パッチ、丸薬、多孔性袋、粉末、錠剤、又は他の適切な投与手段によって行われ得る。
【0031】
「薬学的賦形剤」又は「薬学的に許容される賦形剤」は、活性治療薬が製剤化される担体であり、時には液体である。賦形剤は、一般に、製剤にいかなる薬理活性も提供しないが、化学的及び/又は生物学的安定性、並びに放出特性を提供し得る。適切な製剤の例は、例えば、Remington,The Science And Practice of Pharmacy,20th Edition,(Gennaro,A.R.,Chief Editor),Philadelphia College of Pharmacy and Science,2000において見出されてもよく、これはその全体が参照により組み込まれる。
【0032】
本明細書中で使用される場合、「薬学的に許容される担体」又は「賦形剤」は、任意の及び全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、生理学的に適合性のある等張剤及び吸収遅延剤を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、担体は非経口投与に適している。代わりに、担体は、静脈内、腹腔内、筋肉内、舌下、又は経口投与に適切であり得る。薬学的に許容される担体は、滅菌水溶液又は分散液、及び滅菌注射用溶液又は分散液の即時調製のための滅菌粉末を含む。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体及び薬剤の使用は、当技術分野で周知である。任意の従来の媒体又は薬剤が活性化合物と不適合である場合を除いて、本発明の医薬組成物におけるその使用が想定される。補助的な活性化合物も組成物中に組み込まれ得る。
【0033】
医薬組成物は、製造及び貯蔵の条件下で無菌かつ安定であり得る。組成物は、溶液、マイクロエマルション、リポソーム、又は高い薬物濃度に適した他の規則構造として製剤化され得る。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール)、並びにそれらの適切な混合物を含有する溶媒又は分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチン等のコーティングの使用によって、分散液の場合には必要な粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって、維持され得る。
【0034】
多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトール等のポリアルコール、又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸塩及びゼラチンを組成物中に含めることによってもたらされ得る。さらに、本明細書に記載の化合物は、持続放出製剤、例えば、徐放性ポリマーを含む組成物に製剤化され得る。活性化合物は、インプラント及びマイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤等の、急速な放出から化合物を保護する担体を用いて調製可能である。例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸及びポリ乳酸、ポリグリコールのコポリマー(PLG)等の生分解性、生体適合性ポリマーが使用され得る。このような製剤の調製のための多くの方法は当業者に周知である。
【0035】
経口投与形態もまた、本明細書において想定される。本発明の医薬組成物は、カプセル(ハード又はソフト)、錠剤(フィルムコート、腸溶コート又は非コート)、粉末又は顆粒(コート又は非コート)又は液体(溶液又は懸濁液)として経口投与され得る。製剤は、当技術分野で周知の方法のいずれかによって好都合に調製可能である。本発明の医薬組成物は、充填剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、希釈剤、流動化剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤、着色剤、甘味料、香味料、及び薬学的に適合性のある担体を含む、1つ以上の適切な製造補助剤又は賦形剤を含み得る。
【0036】
列挙された実施形態の各々について、化合物は、当技術分野で周知の様々な剤形によって投与され得る。当業者に周知の任意の生物学的に許容される剤形、及びそれらの組み合わせが想定される。そのような剤形の例は、チュアブル錠、速溶錠、発泡錠、再構成可能粉末、エリキシル剤、液体、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、多層錠剤、二層錠剤、カプセル、軟ゼラチンカプセル、硬ゼラチンカプセル、カプレット、トローチ剤、チュアブルトローチ剤、ビーズ、粉末、ガム、顆粒、粒子、微粒子、分散性顆粒、カシェ剤、灌注剤、坐剤、クリーム、局所剤、吸入剤、エアロゾル吸入剤、パッチ、粒子吸入剤、インプラント、デポーインプラント、摂取可能物、注射剤(皮下、筋肉内、静脈内、及び皮内を含む)、注入剤、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0037】
混合によって含まれ得る他の化合物は、例えば、錠剤又はカプセルのためのラクトース、デキストローススクロース、セルロース、デンプン又はリン酸カルシウム、軟カプセルのためのオリーブオイル又はオレイン酸エチル、及び懸濁液又はエマルジョンのための水又は植物性油等の医学的に不活性な成分(例えば、固体及び液体希釈剤)、シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸カルシウム及び/又はポリエチレングリコール等の潤滑剤、コロイド状粘土等のゲル化剤、トラガカントゴム又はアルギン酸ナトリウム等の増粘剤、デンプン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルピロリドン等の結合剤、デンプン、アルギン酸、アルギン酸塩又はデンプングリコール酸ナトリウム等の崩壊剤、発泡性混合物、染料、甘味料、レシチン、ポリソルベート又はラウリル硫酸塩等の湿潤剤、及び保湿剤、防腐剤、緩衝剤及び抗酸化剤等の他の治療的に許容される補助成分であり、これらは、このような製剤のための周知の添加剤である。
【0038】
経口投与のための液体分散物は、シロップ、エマルジョン、溶液、又は懸濁液であり得る。シロップは、担体として含有可能であり、例えば、スクロース又はスクロースとグリセロール及び/又はマンニトール及び/又はソルビトールを含み得る。懸濁液及びエマルジョンは、担体を含有可能であり、例えば、天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、又はポリビニルアルコールを含有し得る。
【0039】
本発明の様々な実施形態による治療用組成物中の活性化合物の量は、疾患状態、年齢、性別、体重、患者の病歴、危険因子、疾患に対する素因、投与経路、既存の治療計画(例えば、他の薬剤との可能性のある相互作用)、及び対象の体重等の要因に応じて変動し得る。最適な治療効果をもたらすために、投与計画は調節され得る。例えば、単回ボーラス投与を行うこと、経時的に、数回の分割投与を行うこと、又は治療状況の緊急性によって示されるのに応じて、用量を比例的に減少又は増加させることが可能である。
【0040】
本明細書に使用される「単位投与量」は、治療を受ける哺乳動物の対象のための単位投与量として適切な物理的に別個の単位、すなわち必要な医薬担体に関連して所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性化合物を含む各単位を指す。本発明の単位投与量の仕様は、活性化合物の固有の特徴及び達成すべき特定の治療効果、並びに対象の感受性の治療のために、そのような活性化合物を配合する当技術に内在する制限によって決められ、それらに直接的に依存する。本発明の化合物又はその適切な医薬組成物が有効である哺乳動物(例えば、ヒト)における状態の治療のための治療的使用において、本発明の化合物は、有効量で投与され得る。本発明に適した投与は、組成物、医薬組成物又は本明細書に記載の任意の他の組成物であり得る。
【0041】
列挙された実施形態の各々について、投与は、典型的には、1日1回、2回、又は3回投与されるが、より頻繁な投与間隔が可能である。投与は、毎日、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、及び/又は7日毎(週1回)に投与され得る。一実施形態では、投与は、30日まで、好ましくは7から10日間、毎日投与され得る。別の実施形態では、投与は、1日2回、10日間投与され得る。患者が慢性疾患又は状態の治療を必要とする場合、兆候及び/又は症状が持続する限り、投与され得る。患者は、「維持療法」を必要とすることがあり、この場合、患者は、数ヶ月間、数年間、又は生涯にわたって毎日投与を受ける。加えて、本発明の組成物は、反復症状の予防に有効であり得る。例えば、リスクのある患者、特に無症候性患者における症状の発症を予防するために、投与は1日1回又は2回行われ得る。
【0042】
対象への投与のための単位用量に含まれる所与の化合物の絶対重量は、広く変動し得る。例えば、約0.0001から約1g、又は約0.001から約0.5gの本開示の少なくとも1つの化合物、又は複数の化合物が投与され得る。代わりに、単位投与量は、約0.001gから約2g、約0.005gから約0.5g、約0.01gから約0.25g、約0.02gから約0.2g、約0.03gから約0.15g、約0.04gから約0.12g、又は約0.05gから約0.1gまで変動し得る。
【0043】
化合物の1日投与量も同様に変動し得る。そのような1日投与量は、例えば、約0.01g/日から約10g/日、約0.02g/日から約5g/日、約0.03g/日から約4g/日、約0.04g/日から約3g/日、約0.05g/日から約2g/日、及び約0.05g/日から約1g/日の範囲であり得る。
【0044】
治療における使用のための化合物(複数)の量は、選択される特定の担体だけでなく、投与経路、治療される状態の性質、並びに患者の年齢及び状態によっても変動することが理解されよう。最終的には、付き添いの医療従事者が適切な投与量を決定し得る。
【0045】
本明細書に記載の組成物は、以下の経路(口腔、表皮、硬膜外、注入、吸入、動脈内、心臓内、脳室内、皮内、筋肉内、鼻腔内、眼内、腹腔内、脊髄内、くも膜下腔内、静脈内、経口、非経口、肺、浣腸又は坐剤を介した直腸、皮下、真皮下、舌下、経皮、及び経粘膜)のいずれかで投与可能である。好適な投与経路は、口腔及び経口である。投与は、組成物が疾患、例えば炎症の部位(複数)に直接、近接して、その場所に、その近くに、その場所に、その周囲に、又はその付近に投与される局所的なもの、又は組成物が患者に与えられ、身体を広く通過し、それによって疾患の部位(複数)に到達する全身的なものであり得る。局所投与は、例えば、疾患を包含する、及び/又は疾患によって影響を受ける、及び/又は疾患の兆候及び/又は症状が進行中である、又は発生する可能性がある、組織、器官、及び/又は器官系への投与であり得る。投与は局所効果を伴って局所的であってもよく、組成物は、その作用が所望される場所に直接適用される。所望の効果が全身性(非局所的)である場合、投与は経腸であってもよく、組成物は消化管を介してもたらされる。所望の効果が全身性である場合、投与は非経口であってもよく、組成物は消化管以外の経路によってもたらされる。
【0046】
組成物は、本明細書に記載の化合物を「治療有効量」において含み得る。そのような治療有効量は、癌又は炎症性疾患又は状態の少なくとも1つの症状の低減等の所望の生理学的効果を得るのに十分な量である。
【0047】
本明細書で想定される組成物は、化学療法剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗微生物剤、レナリドミド、ポマリドミドド又はサリドマイド等の免疫調節薬、パノビノスタット等のヒストンデアセチラーゼ阻害剤、防腐剤又はそれらの組み合わせ等の他の成分を含有し得る。
【0048】
本開示はまた、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、及びALS等の神経変性疾患を治療するための方法であって、本明細書に記載の化合物(例えば、アステミゾール又は式(I)、(Ia)-(Ic)、(II)、(IIa)-(IId)、(III)-(V)、及び(Va)の化合物)の内の少なくとも1つの治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを備える方法を含む。本開示はまた、プロテオスタシスの調節異常を低減、実質的に解消又は解消するための方法であって、本明細書に記載の化合物(例えば、アステミゾール又は式(I)、(Ia)-(Ic)、(II)-(V)、及び(Va)の化合物)の内の少なくとも1つの治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを備える方法を含む。本開示はまた、天然変性タンパク質(例えば、α-syn)の蓄積を低減、実質的に解消又は解消するための方法であって、本明細書に記載の化合物(例えば、アステミゾール又は式(I)、(Ia)-(Ic)、(II)-(V)、及び(Va)の化合物)の内の少なくとも1つの治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを備える方法を含む。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「治療する」及び「治療している」は、対象(例えば、患者)が治癒し、疾患が根絶される場合に限定されない。むしろ、単に症状を低減させる、及び/又は疾患進行を遅延させる治療も想定される。
【0050】
本明細書中に開示される医薬組成物は、プロテアソーム阻害及び毒性の低減が所望され又は必要とされる新たな患者の部分を効果的に治療する能力を有し得る。
【0051】
本明細書に記載の化合物及び方法は、予防的又は治療的に使用可能である。用語「予防的」又は「治療的」処置は、疾患又は状態の発症の前又は後に宿主に薬物を投与することを指す。望ましくない状態(例えば、宿主動物の疾患又は他の望ましくない状態)の臨床的兆候前に投与される場合、処置は予防的であり、すなわち、望ましくない状態の発症から宿主を保護し、一方、望ましくない状態の発症後に投与される場合、処置は治療的である(すなわち、既存の望ましくない状態又はそれからの副作用を軽減、改善又は維持することが意図される)。本明細書に記載される化合物(その鏡像異性体及び塩を含む)の投与は、予防的処置(例えば、高齢のために、関節炎、及び癌などのリスクがある高齢患者等の疾患のリスクがある患者に対して)及び治療的処置(例えば、疾患の症状を有する患者又は疾患と診断された患者に対して)の両方において想定される。
【0052】
本明細書で使用される用語「治療有効量」は、研究者、獣医、医師又は他の臨床医によって求められている、組織系、動物又はヒトにおける生物学的又は医学的応答(治療されている疾患又は病気の症状の緩和を含む)を引き起こす、本発明の様々な例の1つ以上の化合物の量を指す。いくつかの例では、治療有効量は、任意の医学的処置に適用可能である妥当なベネフィット/リスク比で疾患又は疾患の症状を治療又は緩和可能な量である。しかし、本明細書に記載の化合物及び組成物の1日の合計使用量は、正当な医学的判断の範囲内で主治医によって決定され得ることが理解されるべきである。任意の特定の患者に対する特定の治療有効量レベルは、治療される状態及びその状態の重症度、採用される特定の化合物の活性、採用される特定の組成物、患者の年齢、体重、全体的な健康、性別及び食事、採用される特定の化合物の投与時間、投与経路、及び排泄率、治療持続期間、採用される特定の化合物と組み合わせで又は同時に使用する薬物、及び研究者、獣医、医師又は他の臨床医に周知される類似の要因を含む様々な要因によって決まる。治療有効量は、本明細書に記載される1つ以上の化合物の投与の間に起こり得る任意の毒性又は他の望ましくない副作用を参照して選択され得ることも理解される。
【0053】
本明細書で使用される用語「アルキル」は、1から20個の炭素原子、10から20個の炭素原子、12から18個の炭素原子、6から約10個の炭素原子、1から10個の炭素原子、1から8個の炭素原子、2から8個の炭素原子、3から8個の炭素原子、4から8個の炭素原子、5から8個の炭素原子、1から6個の炭素原子、2から6個の炭素原子、3から6個の炭素原子、又は1から3個の炭素原子を有する、置換又は非置換の直鎖、分岐及び環状の飽和一価又は二価基を指す。直鎖一価(C-C20)-アルキル基の例は、メチル(すなわち、CH)、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル基等の1から8個の炭素原子を有するものを含む。分岐一価(C-C20)-アルキル基の例は、イソプロピル、イソ-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ネオペンチル、及びイソペンチルを含む。直鎖二価(C-C20)アルキル基の例は、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、及び-CHCHCHCHCH-等の1から6個の炭素原子を有するものを含む。分岐二価アルキル基の例は、-CH(CH)CH-及び-CHCH(CH)CH-を含む。環状アルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、及びビシクロ[2.2.1]ヘプチルを含む。シクロアルキル基は、限定されないが、ノルボルニル基、アダマンチル基、ボルニル基、カンフェニル基、イソカンフェニル基、及びカレニル基等を含む多環シクロアルキル基、並びに、限定されないが、デカリニル等の縮合環をさらに含む。いくつかの実施形態において、アルキルは、置換及び非置換アルキルの組み合わせを含む。例として、アルキル及び(C)アルキルは、メチル及び置換メチルを含む。特定の例として、(C)アルキルはベンジルを含む。さらなる例として、アルキルは、メチル及び置換(C-C)アルキルを含み得る。アルキルはまた、置換メチル及び非置換(C-C)アルキルも含み得る。いくつかの実施形態において、アルキルは、メチル及びC-C直鎖アルキルであり得る。いくつかの実施形態において、アルキルは、メチル及びC-C分岐アルキルであり得る。用語メチルは、置換されていない-CHであると理解される。用語メチレンは、置換されていない-CH-であると理解される。比較のために、用語(C)アルキルは、置換若しくは非置換-CH又は置換若しくは非置換-CH-であると理解される。代表的な置換アルキル基は、本明細書に記載される基のいずれか、例えば、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、アミノ基、ハロアルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、ニトロ基、チオ基、アルコキシ基、及びハロゲン基で1回以上置換され得る。さらなる例として、代表的な置換アルキル基は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、アミノ、アミド、アルキル、アルコキシ、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシカルボニル、アシル、ホルミル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールオキシ、カルボキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ニトロソ、ニトロ、アジド、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、チオ、アルキルチオ、アリールチオール、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、ジアルキルアミノスルホニル、スルホン酸、カルボン酸、ジアルキルアミノ及びジアルキルアミドの1つ以上に置換され得る。いくつかの実施形態では、代表的な置換アルキル基は、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、ニトロ、チオ及びアルコキシを含むが、ハロゲン基を含まない一連の基から置換され得る。従って、いくつかの実施形態では、アルキルは、非ハロゲン基で置換され得る。例えば、代表的な置換アルキル基は、フルオロ基で置換されていても、ブロモ基で置換されていても、ブロモ以外のハロゲンで置換されていても、又はフルオロ以外のハロゲンで置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、代表的な置換アルキル基は、1つ、2つ、又は3つ以上のフルオロ基で置換されてもよく、又はそれらは、1つ、2つ、又は3つ以上の非フルオロ基で置換されてもよい。例えば、アルキルは、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、若しくはフルオロメチルであり得るか、又はアルキルは、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、若しくはフルオロメチル以外の置換アルキルであり得る。アルキルはハロアルキルであってもよく、又はアルキルはハロアルキル以外の置換アルキルであってもよい。用語「アルキル」はまた、一般に、炭素鎖中に1つ以上のヘテロ原子を含み得るアルキル基を指す。従って、例えば、「アルキル」はまた、-[(CHO]H等の基も包含する。
【0054】
本明細書で使用される用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有し、かつ2から20個の炭素原子、10から20個の炭素原子、12から18個の炭素原子、6から約10個の炭素原子、2から10個の炭素原子、2から8個の炭素原子、3から8個の炭素原子、4から8個の炭素原子、5から8個の炭素原子、2から6個の炭素原子、3から6個の炭素原子、4から6個の炭素原子、2から4個の炭素原子、又は2から3個の炭素原子を有する、置換又は非置換の直鎖、分岐及び環状の飽和一価又は二価の基を指す。二重結合は、トランス配向又はシス配向であり得る。二重結合は、末端又は内部であり得る。アルケニル基は、二重結合を含むアルケニル基の部分(例えば、ビニル、プロペン-1-イル及びブテン-1-イル)を介して結合され得るか、又はアルケニル基は、二重結合を含まないアルケニル基の部分(例えば、ペンテン-4-イル)を介して結合され得る。一価の(C-C20)-アルケニル基の例は、例えばビニル基、プロペニル基、プロペン-1-イル基、プロペン-2-イル基、ブテニル基、ブテン-1-イル基、ブテン-2-イル基、sec-ブテン-1-イル基、sec-ブテン-3-イル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基及びオクテニル基等の1から8個の炭素原子を有するものを含む。分岐一価(C-C20)-アルケニル基の例は、イソプロペニル、イソブテニル、sec-ブテニル、t-ブテニル、ネオペンテニル、及びイソペンテニルを含む。直鎖二価(C-C20)アルケニル基の例は、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、及び-CHCHCHCHCH-等の2から6個の炭素原子を有するものを含む。分岐二価アルキル基の例は、-C(CH)CH-及び-CHC(CH)CH-を含む。環状アルケニル基の例は、シクロペンテニル、シクロヘキセニル及びシクロオクテニルを含む。アルケニルはまた、マスクされたアルケニル基、アルケニル基の前駆体又は他の関連する基を含み得ることが想定される。従って、アルケニル基が記載されている場合、アルケニルの炭素-炭素二重結合がエポキシド又はアジリジン環によって置き換えられている化合物も想定される。置換アルケニルはまた、非アルケニル基と実質的に互変異性であるアルケニル基を含む。例えば、置換アルケニルは、2-アミノアルケニル、2-アルキルアミノアルケニル、2-ヒドロキシアルケニル、2-ヒドロキシビニル、2-ヒドロキシプロペニルであり得るが、置換アルケニルはまた、非アルケニル含有基と互変異性であるアルケニル以外の置換アルケニル基の群を含むと理解される。いくつかの実施形態では、アルケニルは、置換及び非置換アルケニルの組み合わせを含むと理解され得る。例えば、アルケニルは、ビニル及び置換ビニルであり得る。例えば、アルケニルは、ビニル及び置換(C-C)アルケニルであり得る。アルケニルはまた、置換ビニル及び非置換(C-C)アルケニルも含み得る。代表的な置換アルケニル基は、本明細書に記載される基のいずれか、例えば、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、アセチル、アミド、カルボキシ、ニトロ、アルキルチオ、アルコキシ、及びハロゲン基で1回以上置換され得る。さらなる例として、代表的な置換アルケニル基は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、アミノ、アミド、アルキル、アルコキシ、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシカルボニル、アシル、ホルミル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールオキシ、カルボキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ニトロソ、ニトロ、アジド、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、チオ、アルキルチオ、アリールチオール、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、ジアルキルアミノスルホニル、スルホン酸、カルボン酸、ジアルキルアミノ及びジアルキルアミドの1つ以上に置換され得る。いくつかの実施形態では、代表的な置換アルケニル基は、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、アセチル、アミド、カルボキシ、ニトロ、アルキルチオ及びアルコキシを含むが、ハロゲン基を含まない一連の基から置換され得る。従って、いくつかの実施形態では、アルケニルは、非ハロゲン基で置換され得る。いくつかの実施形態では、代表的な置換アルケニル基は、フルオロ基で置換されていても、ブロモ基で置換されていても、ブロモ以外のハロゲンで置換されていても、又はフルオロ以外のハロゲンで置換されていてもよい。例えば、アルケニルは、1-フルオロビニル、2-フルオロビニル、1,2-ジフルオロビニル、1,2,2-トリフルオロビニル、2,2-ジフルオロビニル、トリフルオロプロペン-2-イル、3,3,3-トリフルオロプロペニル、1-フルオロプロペニル、1-クロロビニル、2-クロロビニル、1,2-ジクロロビニル、1,2,2-トリクロロビニル又は2,2-ジクロロビニルであり得る。いくつかの実施形態では、代表的な置換アルケニル基は、1つ、2つ、又は3つ以上のフルオロ基で置換されてもよく、又はそれらは、1つ、2つ、又は3つ以上の非フルオロ基で置換されてもよい。
【0055】
本明細書で使用される用語「アルキニル」は、少なくとも1つの三重結合が2つの炭素原子間に存在することを除いて、置換又は非置換の直鎖及び分岐鎖アルキル基を指す。従って、アルキニル基は、2から50個の炭素原子、2から20個の炭素原子、10から20個の炭素原子、12から18個の炭素原子、6から約10個の炭素原子、2から10個の炭素原子、2から8個の炭素原子、3から8個の炭素原子、4から8個の炭素原子、5から8個の炭素原子、2から6個の炭素原子、3から6個の炭素原子、4から6個の炭素原子、2から4個の炭素原子、又は2から3個の炭素原子を有する。例は、エチニル、プロピニル、プロピン-1-イル、プロピン-2-イル、ブチニル、ブチン-1-イル、ブチン-2-イル、ブチン-3-イル、ブチン-4-イル、ペンチニル、ペンチン-1-イル、ヘキシニルを含むが、これらに限定されない。例は、-C≡CH、-C≡C(CH)、-C≡C(CHCH)、-CHC≡CH、-CHC≡C(CH)、及び-CHC≡C(CHCH)等を含むが、これらに限定されない。
【0056】
本明細書で使用される用語「アリール」は、6から20個の炭素原子、10から20個の炭素原子、12から20個の炭素原子、6から約10個の炭素原子、又は6から8個の炭素原子を有する環状芳香族炭化水素であるアレーンから水素原子を除去することによって得られる置換又は非置換の一価基を指す。(C-C20)アリール基の例は、フェニル基、ナフタレニル基、アズレニル基、ビフェニリル基、インダセニル基、フルオレニル基、フェナントレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、ナフタセニル基、クリセニル基、アントラセニル基を含む。例は、置換フェニル基、置換ナフタレニル基、置換アズレニル基、置換ビフェニリル基、置換インダセニル基、置換フルオレニル基、置換フェナントレニル基、置換トリフェニレニル基、置換ピレニル基、置換ナフタセニル基、置換クリセニル基、及び置換アントラセニル基を含む。例はまた、非置換フェニル基、非置換ナフタレニル基、非置換アズレニル基、非置換ビフェニリル基、非置換インダセニル基、非置換フルオレニル基、非置換フェナントレニル基、非置換トリフェニレニル基、非置換ピレニル基、非置換ナフタセニル基、非置換クリセニル基、及び非置換アントラセニル基を含む。アリールは、フェニル基及び非フェニルアリール基も含む。これらの例から、用語(C-C20)アリールは、縮合及び非縮合の多環(C-C20)アリール基を含む単環及び多環(C-C20)アリール基を包含することが明らかである。
【0057】
本明細書に使用される用語「ヘテロシクリル」は、環内に3個以上の原子(そのうちの1つ以上は、限定されないが、N、O、及びS等のヘテロ原子である)を含有する置換芳香族環、非置換芳香族環、置換非芳香族環、及び非置換非芳香族環を指す。従って、ヘテロシクリルは、シクロヘテロアルキル、若しくはヘテロアリール、又は多環である場合、それらの任意の組合せであり得る。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル基は、3から約20個の環員を含むが、他のこのような基は、3から約15個の環員を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル基は、3から8個の炭素原子(C-C)、3から6個の炭素原子(C-C)又は6から8個の炭素原子(C-C)を含むヘテロシクリル基を含む。C-ヘテロシクリルとして表されるヘテロシクリル基は、2個の炭素原子及び3個のヘテロ原子を有する5員環、及び2個の炭素原子及び4個のヘテロ原子を有する6員環等であり得る。同様に、C-ヘテロシクリルは、1個のヘテロ原子を有する5員環、及び2個のヘテロ原子を有する6員環等であり得る。炭素原子の数とヘテロ原子の数の和は、環原子の総数に等しい。ヘテロシクリル環はまた、1つ以上の二重結合を含み得る。ヘテロアリール環は、ヘテロシクリル基の一実施形態である。語句「ヘテロシクリル基」は、縮合した芳香族基及び非芳香族基を含むものを含む縮合環種を含む。代表的なヘテロシクリル基は、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、フラニル基、ピロリジニル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、チオフェニル基、テトラヒドロフラニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ベンゾオキサゾリニル基、及びベンゾイミダゾリニル基を含むが、これらに限定されない。例えば、ヘテロシクリル基は、以下の図に限定されず:
【化26】

式中、XはH、(C-C20)アルキル、(C-C20)アリール又はアミン保護基(例えば、t-ブチルオキシカルボニル基)を表し、ヘテロシクリル基は置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。窒素含有ヘテロシクリル基は、環内の原子として窒素原子を含有するヘテロシクリル基である。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリルは、チオフェン又は置換チオフェン以外である。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリルは、フラン又は置換フラン以外である。
【0058】
本明細書で使用される用語「アルコキシ」は、本明細書で定義されるように、シクロアルキル基を含むアルキル基に結合した酸素原子を指す。直鎖アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、及びヘキシルオキシ等を含むが、これらに限定されない。分岐アルコキシの例は、イソプロポキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、イソペンチルオキシ、及びイソヘキシルオキシ等を含むが、これらに限定されない。環状アルコキシの例は、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、及びシクロヘキシルオキシ等を含むが、これらに限定されない。アルコキシ基は、酸素原子に結合した1から約12-20個又は約12-40個までの炭素原子を含んでもよく、かつ二重結合又は三重結合をさらに含んでもよく、かつヘテロ原子も含んでもよい。従って、アルコキシはまた、アルケニル基に結合した酸素原子及びアルキニル基に結合した酸素原子を含む。例えば、アリルオキシ基は、本明細書で意味する範囲内のアルコキシ基である。メトキシエトキシ基はまた、構造の2つの隣接する原子がそれで置換されている状況におけるメチレンジオキシ基と同様に、本明細書で意味する範囲内のアルコキシ基でもある。
【0059】
本明細書で使用される用語「アリールオキシ」は、本明細書で定義されるアリール基に結合した酸素原子を指す。
【0060】
本明細書で使用される用語「アラルキル」及び「アリールアルキル」は、アルキル基の水素結合又は炭素結合が本明細書で定義されるアリール基への結合で置き換えられている、本明細書で定義されるアルキル基を指す。代表的なアラルキル基は、ベンジル基、ビフェニルメチル基及びフェニルエチル基、並びに縮合(シクロアルキルアリール)アルキル基(例えば、4-エチル-インダニル)を含む。アラルケニル基は、アルキル基の水素結合又は炭素結合が本明細書で定義されるアリール基への結合で置き換えられている、本明細書で定義されるアルケニル基である。
【0061】
用語「ハロ」、「ハロゲン」又は「ハライド」基は、本明細書で使用される場合、それ自体で又は別の置換基の一部として、特に指示がない限り、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を意味する。
【0062】
本明細書で用いられる用語「アミン」及び「アミノ」は、-NH、-NHR、-NR、-NR の形態(式中、各Rは独立して選択される)、及びプロトン化され得ない-NR を除いた各々のプロトン化形態の置換基を指す。従って、アミノ基で置換された任意の化合物は、アミンとみなされ得る。本明細書で意味する範囲内の「アミノ基」は、第一級、第二級、第三級、又は第四級アミノ基であり得る。「アルキルアミノ」基は、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基及びトリアルキルアミノ基を含む。
【0063】
本明細書で使用される用語「アシル」は、カルボニル部分を含有しており、カルボニル炭素原子を介して結合している基を指す。カルボニル炭素原子はまた、置換又は非置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、又はヘテロシクリル基等の一部であり得る別の炭素原子にも結合している。
【0064】
本明細書で使用される用語「ホルミル」は、カルボニル部分を含有しており、カルボニル炭素原子を介して結合している基を指す。カルボニル炭素原子は水素原子にも結合している。
【0065】
本明細書で使用される用語「アルコキシカルボニル」は、カルボニル部分を含有しており、カルボニル炭素原子を介して結合している基を指す。カルボニル炭素原子は、さらにアルキル基に結合している酸素原子にも結合している。アルコキシカルボニルはまた、カルボニル炭素原子が、さらにアルケニル基に結合している酸素原子にも結合している基も含む。アルコキシカルボニルはまた、カルボニル炭素原子が、さらにアルキニル基に結合している酸素原子にも結合している基も含む。さらなる場合において、用語が本明細書で定義されるアルコキシカルボニルの定義に含まれ、用語「アリールオキシカルボニル」にも含まれる場合、カルボニル炭素原子はアルキル基の代わりにアリール基に結合している酸素原子に結合している。
【0066】
本明細書で使用される用語「アリールカルボニル」は、カルボニル部分を含有しており、カルボニル炭素原子を介して結合している基を指す。カルボニル炭素原子はアリール基にも結合している。
【0067】
本明細書で使用される用語「アルキルアミド」は、カルボニル部分を含有しており、カルボニル炭素原子を介して結合している基を指す。カルボニル炭素原子は、1つ以上のアルキル基に結合している窒素基にも結合している。さらなる場合において、用語が本明細書に定義されるアルキルアミドでもある場合、カルボニル炭素原子は、1つ以上のアルキル基の代わりに、又は加えて、1つ以上のアリール基に結合している窒素原子に結合している。さらなる場合において、用語が本明細書に定義されるアルキルアミドでもある場合、カルボニル炭素原子は1つ以上のアルキル基及び/又はアリール基の代わりに、又は加えて、1つ以上のアルケニル基に結合している窒素原子に結合している。さらなる場合において、用語が本明細書に定義されるアルキルアミドでもある場合、カルボニル炭素原子は1つ以上のアルキル基、アルケニル基及び/又はアリール基の代わりに、又は加えて、1つ以上のアルキニル基に結合している窒素原子に結合している。
【0068】
本明細書で使用される用語「カルボキシ」は、カルボニル部分を含有しており、カルボニル炭素原子を介して結合している基を指す。カルボニル炭素原子はカルボン酸又はカルボン酸塩をもたらすように、ヒドロキシ基又は酸素アニオンにも結合している。カルボキシはまた、カルボン酸のプロトン化形態及びその塩形態の両方を含む。例えば、カルボキシは、COOH又はCOHとして理解され得る。
【0069】
本明細書で使用される用語「アミド」は、式C(O)NRRを有する基を指し、式中、Rは、本明細書で定義され、それぞれ独立して、例えば、水素、アルキル、アリールであってもよく、又は各Rは、それらが結合している窒素原子と共に、ヘテロシクリル基を形成してもよい。
【0070】
本明細書で使用される用語「アルキルチオ」は、本明細書で定義されるアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基に結合した硫黄原子を指す。
【0071】
本明細書で使用される用語「アリールチオ」は、本明細書で定義されるアリール基に結合した硫黄原子を指す。
【0072】
本明細書で使用される用語「アルキルスルホニル」は、本明細書で定義されるアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基に結合したスルホニル基を指す。
【0073】
本明細書で使用される用語「アルキルスルフィニル」は、本明細書で定義されるアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基に結合したスルフィニル基を指す。
【0074】
本明細書で使用される用語「ジアルキルアミノスルホニル」は、本明細書に記載するように、2つのアルキル基にさらに結合する窒素に結合したスルホニル基を指し、これらは任意選択で、窒素と環を形成するように共に結合し得る。この用語はまた、窒素がアルキル基の代わりに1つ又は2つのアルケニル基にさらに結合している基を含む。
【0075】
本明細書で使用される用語「ジアルキルアミノ」は、本明細書に定義するように、2つのアルキル基に結合するアミノ基を指し、これらは任意選択で、窒素と環を形成するように共に結合し得る。この用語はまた、窒素がアルキル基の代わりに1つ又は2つのアルケニル基にさらに結合している基を含む。
【0076】
本明細書で使用される用語「ジアルキルアミド」は、本明細書に定義するように、2つのアルキル基に結合するアミド基を指し、これらは任意選択で、窒素と環を形成するように共に結合し得る。この用語はまた、窒素がアルキル基の代わりに1つ又は2つのアルケニル基にさらに結合している基を含む。
【0077】
本明細書で使用する用語「置換」は、限定されないが、以下の基(ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、及びI)、R、OR、ROH(例えば、CHOH)、OC(O)N(R)、CN、NO、NO、ONO、アジド、CF、OCF、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、(C-C20)ヘテロアリール、N(R)、Si(R)、SR、SOR、SOR、SON(R)、SOR、P(O)(OR)、OP(O)(OR)、C(O)R、C(O)C(O)R、C(O)CHC(O)R、C(S)R、C(O)OR、OC(O)R、C(O)N(R)、C(O)N(R)OH、OC(O)N(R)、C(S)N(R)、(CH0-2N(R)C(O)R、(CH0-2N(R)N(R)、N(R)N(R)C(O)R、N(R)N(R)C(O)OR、N(R)N(R)CON(R)、N(R)SOR、N(R)SON(R)、N(R)C(O)OR、N(R)C(O)R、N(R)C(S)R、N(R)C(O)N(R)、N(R)C(S)N(R)、N(COR)COR、N(OR)R、C(=NH)N(R)、C(O)N(OR)R、又はC(=NOR)R(式中、Rは水素、(C-C20)アルキル、(C-C20)アリール、ヘテロシクリル基又はポリアルキレンオキシド基(例えば、式-(CHCHO)-R-OR、-(CHCHCHO)-R-OR、-(CHCHO)(CHCHCHO)-R-OR等のポリアルキレンオキシド基)であって、その各々が順番に、置換されてもよく、置換されなくてもよく、式中、f及びgはそれぞれ独立した1から50の整数(例えば、1から10、1から5、1から3又は2から5)である)であり得る)を含む1つ以上の基に置換される基を指す。置換はまた、限定されないが、以下の基(フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、アミノ、アミド、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルアミド、アルケニル、アルキニル、アルコキシカルボニル、アシル、ホルミル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールオキシ、カルボキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ニトロソ、ニトロ、アジド、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、チオ、アルキルチオ、アリールチオール、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、ジアルキルアミノスルホニル、スルホン酸、カルボン酸、ジアルキルアミノ及びジアルキルアミド)を含む1つ以上の基に置換される基を含む。2個以上の隣接置換基が存在する場合、置換基は、炭素環又は複素環を形成するように結合し得る。そのような隣接基は、ビシナル若しくはジェミナルの関係を有してもよく、又はそれらは、例えば、オルト配置において環上で隣接してもよい。置換の各例は、独立していると理解される。例えば、置換アリールはブロモで置換可能であり、同じ化合物上の置換ヘテロシクリルはアルキルで置換可能である。置換基は、1つ以上の非フルオロ基で置換され得ることが想定される。別の例として、置換基は、1つ以上の非シアノ基で置換され得る。別の例として、置換基は、ハロアルキル以外の1つ以上の基で置換され得る。さらに別の例として、置換基は、tert-ブチル以外の1つ以上の基で置換され得る。さらなる例として、置換基は、トリフルオロメチル以外の1つ以上の基で置換され得る。なおさらなる例として、置換基は、ニトロ以外、メチル以外、メトキシメチル以外、ジアルキルアミノスルホニル以外、ブロモ以外、クロロ以外、アミド以外、ハロ以外、ベンゾジオキセピニル以外、多環ヘテロシクリル以外、多環置換アリール以外、メトキシカルボニル以外、アルコキシカルボニル以外、チオフェニル以外、若しくはニトロフェニル以外の1つ以上の基、又はこのような記載の組み合わせを満たす基で置換され得る。さらに、置換はまた、フルオロ基、シアノ基、ハロアルキル基、tert-ブチル基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、メチル基、メトキシメチル基、ジアルキルアミノスルホニル基、ブロモ基、クロロ基、アミド基、ハロ基、ベンゾジオキセピニル基、多環ヘテロシクリル基、多環置換アリール基、メトキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、チオフェニル基、及びニトロフェニル基を含むと理解される。
【0078】
いくつかの例において、本明細書に記載される化合物(例えば、式(I)、(Ia)-(Ic)、(II)、(IIa)-(IId)、(III)-(V)、及び(Va)の化合物)は、キラル中心を含み得る。本明細書に記載される化合物の全てのジアステレオマー、同様にラセミ体が本明細書において想定される。
【0079】
本明細書中で使用される場合、用語「塩」及び「薬学的に許容される塩」とは、開示される化合物の誘導体を指し、ここで、親化合物は、その酸性塩又は塩基性塩を作製することによって修飾される。薬学的に許容される塩の例は、限定されないが、アミン等の塩基性残基の無機塩又は有機酸塩、及びカルボン酸等の酸性残基のアルカリ又は有機塩を含む。薬学的に許容される塩は、従来の非毒性塩、又は、例えば、非毒性の無機酸又は有機酸から形成される親化合物の第四級アンモニウム塩を含む。例えば、このような従来の非毒性塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等の無機酸から誘導される塩、並びに酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、及びイソチオン酸等の有機酸から調製される塩を含む。
【0080】
薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法によって、塩基性部分又は酸性部分を含む親化合物から合成可能である。いくつかの例において、このような塩は、水又は有機溶媒中、又はその2つの混合液中で、これらの化合物の遊離酸又は遊離塩基形態を、化学量論量の(又はより多くの)適切な塩基又は酸と反応させることによって調製可能であり、一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリル等の非水性媒体が好ましい。適切な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985に見出され、この開示は、本明細書中に参照として組み込まれる。
【0081】
用語「溶媒和物」は、非共有結合性分子間力によって結合された化学量論量又は非化学量論量の溶媒をさらに含む化合物又はその塩を意味する。溶媒が水の場合、その溶媒和物は、水和物である。
【0082】
用語「プロドラッグ」は、生物学的条件下(生体外又は生体内)で加水分解、酸化、又は他の方法で反応して、活性化合物、特に本発明の化合物を提供可能である化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの例は、限定されないが、生加水分解性部分(生加水分解性アミド、生加水分解性エステル、生加水分解性カルバメート、生加水分解性カーボネート、生加水分解性ウレイド及び生加水分解性リン酸アナログ等)を含む本発明の化合物の誘導体及び代謝産物を含む。カルボキシル官能基を有する化合物の特定のプロドラッグは、カルボン酸の低級アルキルエステルである。カルボン酸エステルは、分子上に存在するカルボン酸部分のいずれかをエステル化することによって都合よく形成される。プロドラッグは、典型的には、Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery 6th ed.(Donald J. Abraham ed.,2001,Wiley)and Design and Application of Prodrugs(H.Bundgaard ed.,1985,Harwood Academic Publishers GmbH)に記載されているもの等の周知の方法を使用して調製され得る。
【0083】
本明細書中で使用される場合、用語「対象」又は「患者」は、本明細書中に記載される組成物が、例えば、実験目的、診断目的、予防目的及び/又は治療目的のために投与され得る任意の生物をいう。対象は、本明細書に開示される組成物を受ける哺乳動物、又は開示される方法を受ける対象を指す。「哺乳動物」は、限定されないが、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウサギ、及びモルモットを含むことが、本明細書において理解及び想定される。
【0084】
上述の各実施形態は、本明細書に記載の他の実施形態とそれぞれ組み合わせて適用可能であることが想定される。例えば、式(I)に対応する実施形態は、式(Ia)-(If)に適用可能であることが同様に想定される。さらに、式(II)に対応する実施形態は、式(I)、(Ia)-(Ic)、(IIa)-(IId)、(III)-(V)及び(Va)等の化合物に適用可能であることが同様に想定される。
【0085】
範囲形式で表される値は、範囲の限定として明示的に記載された数値だけでなく、その範囲内に包含される全ての個々の数値又は部分範囲も含めて、各数値及び部分範囲が明示的に記載されているかのように、柔軟に解釈されるべきである。例えば、「約0.1%から約5%」又は「約0.1%から5%」の範囲は、約0.1%から約5%だけでなく、示された範囲内の個々の値(例えば、1%、2%、3%、及び4%)及び部分範囲(例えば、0.1%から0.5%、1.1%から2.2%、3.3%から4.4%)も含むと解釈されるべきである。記述「約XからY」は、別段の指示がない限り、「約Xから約Y」と同じ意味を有する。同様に、記述「約X、Y、又は約Z」は、別段の指示がない限り、「約X、約Y、又は約Z」と同じ意味を有する。
【0086】
本文書において、用語「1つの」、「1つの」、又は「その」は、文脈が明確に他のことを指示しない限り、1つ以上を含むように使用される。用語「又は」は、別段の指示がない限り、非排他的な「又は」を示すために使用される。さらに、本明細書で使用され、他に定義されていない表現又は専門用語は、説明のみを目的としており、限定を目的としていないことを理解されたい。セクションの見出しの任意の使用は、文書の読解を助けることを意図しており、限定するものとして解釈されるべきではなく、セクションの見出しに関連する情報は、その特定のセクションの内部又は外部で生じ得る。さらに、本書類において参照される全ての刊行物、特許、及び特許文献は、参照により個々に組み込まれるように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。参照によりそのように組み込まれた、本文書とそれらの文書との間で使用法が一致しない場合、組み込まれた参照における使用法は、本文書の使用法を補足するものと見なされるべきであり、相容れない不一致については、本文書における使用法を優先する。
【0087】
本明細書で使用される用語「約」は、ある値又は範囲におけるある程度の変動性、例えば、述べられた値又は述べられた範囲の限定の10%以内、5%以内、又は1%以内の変動性を許容可能である。
【0088】
本明細書で使用される用語「実質的に」は、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、又は少なくとも約99.999%以上のような大多数又は大部分を指す。
【0089】
採用される用語及び表現は、用語が限定ではなく説明として使用され、そのような用語及び表現の使用において、示され、記載される特徴又はその部分のいかなる均等物も除く意図はないが、本発明の実施形態の範囲内で、様々な変更が可能であることは認識される。従って、本開示は、特定の実施形態及び任意選択の特徴によって具体的に開示されているが、当業者によって本明細書で開示される概念の変更及び変形が可能であり、そのような変更及び変形は、本開示の実施形態の範囲内であると考えられることを理解されたい。
【0090】
次に、本発明を以下の実施例を参照して説明する。従って、以下の実施例は、例示のみを目的として提供され、本発明の特定の実施形態を具体的に指摘するものであり、本開示の残りの部分をいかなる形でも限定するものとして解釈されるべきではない。従って、実施例は、本明細書で提供される教示の結果として明らかになる任意の及び全ての変形を包含すると解釈されるべきである。
【0091】
「実施例」
本開示は、例示として提供される以下の実施例を参照することによってより良く理解され得る。本開示は、本明細書で与えられる例に限定されない。
【0092】
「序論」
ヒトプロテアソームは、タンパク質分解を調節する細胞機構の一部である。ほとんどのタンパク質は、ユビキチン依存性機構を介して26Sプロテアソームによって分解されるが、天然変性タンパク質(構造化されていない)タンパク質は、ユビキチン非依存性機構を介してプロテアソームの20Sアイソフォームによって分解され得る。天然変性タンパク質(IDPs)は、それらが多数のコンフォメーションをとり、かつ複数の結合パートナーと相互作用することを可能にする三次構造の欠如のために命名される。IDPsの合成がそれらの分解速度を上回るとき、それらは蓄積し、多くのヒト疾患をもたらす毒性シグナル伝達事象を誘導する。
【0093】
ほとんど間違いなく、癌の開始、進行及び再発に関連する最も知られたIDPは、発がん性転写因子、c-MYCである。c-MYCの過剰発現は、多発性骨髄腫、組織球肉腫、骨髄性白血病、膠芽腫、メラノーマ、乳がん、結腸がん、子宮頸がん、小細胞肺がん、及び骨肉種を含む全てのヒトがんの60から70%という驚異的な数のがんの促進力である。小分子20Sプロテアソーム活性化因子は、c-MYCタンパク質レベルを低下させることができ、それにより、c-MYC促進がんにおける開始、進行及び再発を予防可能である。
【0094】
本開示は、神経変性疾患及びII型糖尿病を含むアミロイド生成疾患を治療するための治療剤としての式(I)、(Ia)-(Ic)、(II)-(V)、及び(Va)の小分子20Sプロテアソーム活性化因子に関する。神経変性疾患は以下の疾患(アルツハイマー病(AD)及び他の認知症、パーキンソン病(PD)及びPD関連の障害、プリオン病、運動ニューロン病(MND)、ハンチントン病(HD)、脊髄小脳変性症(SCA)、脊髄性筋萎縮症(SMA))を含む。圧倒的な証拠が、これらの疾患の促進原因として、アミロイド-b、a-シヌクレイン、ポリQ、及びジペプチドリピート(DPR)単位等の天然変性タンパク質(IDP)の蓄積及びその後のオリゴマー化を示している。これらの可溶性オリゴマー形態はまた、プロテアソーム機能の障害の原因であり、これはさらに疾患進行を促進する。強力なデータは、プロテアソーム活性の増強が、IDPsの蓄積を防止し、脳損傷を低減し、認知症を防止し、神経変性疾患を治療するための新しい治療戦略になり得ることを示す。
【0095】
「識別」
抗ヒスタミン剤アステミゾール(図1A、1)は、その20Sタンパク質分解の強い増強のために、20S活性化剤の開発に対する有望な新しい骨格である。アステミゾールの20Sプロテアソーム活性を評価するために、3種類の蛍光ペプチド基質の各々を使用して一連のアッセイを行った。これらの基質は、キモトリプシン様(CT-L)基質、トリプシン様(T-L)基質及びカスパーゼ様(Casp-L)基質であり、プロテアソームの触媒部位のそれぞれに対して1つであった。プロテアソームの活性部位は、それらの個々の基質の存在下で互いにアロステリックに調節することが示されている。従って、3種類のプローブの組み合わせは、全ての触媒部位が相互作用している系において、20S活性化剤の全体的な活性をより正確に表す。アステミゾールは、20Sプロテアソームの3種類全ての触媒部位を活性化し(図1B)、3.3μM(すなわち、AC2003.3μM)のプローブの組み合わせを使用して、ほぼ7倍(すなわち、700%)の最大倍率増加で、活性の倍増(以下、AC200と呼ぶ)を達成した。
【0096】
「アナログの設計」
アステミゾールは、H1受容体アンタゴニストとしての強力な抗ヒスタミン剤である。従って、それは、良好な薬物様特性を有し、血液脳関門(BBB)を効果的に透過することから、それを新規20S活性化剤の開発のための有望な骨格にする。一方で、その活性及び副作用(QTc間隔の延長及びhERGチャネル遮断による関連する不整脈)のために、それは変更することなく治療的別用途に対して使用できない。従って、そのH1受容体活性及び可能性のある副作用を低減させることが知られている構造的変更を準備した。N-アシル化アステミゾール(2)を、フルスピリレンのH1受容体活性を排除するように設計した。この骨格において、ピペリジンのアミンの塩基性は、そのアミドへの変換を介して低減されている。Autodock Vinaを用いて分子ドッキング研究を行った。アステミゾール及びそのアナログは、α1-2サブユニット間ポケットに優先的に結合することを見出した(図2A及び図2B)。この結合モードは、本発明者らが以前に報告した20Sプロテアソーム活性化剤とは異なり、ドッキングしたときに、20Sプロテアソームのα1-2サブユニット間ポケットに優先的に結合する。
【0097】
「合成」
N-アシルアステミゾール(2)をスキーム1)に記載のように調製した。
【化27】
【0098】
化合物3のベンジル化は、KOH及び4-フルオロベンジルブロミドを用いて達成した。異なる求核試薬を使用して、様々な置換基をC-2位に組み込み可能である。例えば、化合物4は、3を4-アミノピペリジンカルボン酸エチルと共に加熱することによって調製した。HBrを用いてカルバミン酸エチルを脱保護することで、化合物7を入手した。ピペリジンを4-メトキシフェニルアセチルクロリドでアシル化することで、N-アシルアステミゾール(2)を入手した。
【0099】
「生体外試験、20S活性」
アステミゾール及びN-アシルアステミゾール(化合物2)の20S活性を、個々の基質の各々並びに3種類の組み合わせを使用して、蛍光ペプチドアッセイにおいてさらに評価した(図1B)。アステミゾールと比較すると、N-アシル化アナログは、3種類のペプチド基質プローブの組み合わせを使用した場合と同様に機能し、AC200は3.9μMである。N-アシル化アナログは、各基質/組み合わせについて同様の最大倍率増加を達成した(ビークルに対して800%より高く増加)。
【0100】
「生体外試験、IDP分解」
精製ヒト20Sプロテアソームを、様々な濃度の化合物、アステミゾール(1)及びN-アシル化アステミゾール(2)と共にインキュベートし、続いてヒトα-syn基質を混合物に添加した。得られた消化物を、銀染色を用いて可視化した。増強された20S活性は、ビークル対照と比較したときに、残存α-synの減少として測定される。図2Aに示すように、アステミゾール及びN-アシル化アステミゾールは両方とも、生体外で20Sプロテアソームによるα-synの分解を効果的に増強可能であった。両方の化合物は、それらのAC200付近の値において、a-synの有意な(図2B、>50%、p<0.001)濃度依存的減少を示した。これらの結果は、この新規な20S活性化剤の骨格がIDPsの分解を誘導し、それらの蓄積を防止するという信頼を与える。
【0101】
「Mycレポーターアッセイ」
安定にトランスフェクトされたMYC-ルシフェラーゼ遺伝子を有するHCT116細胞においてルシフェラーゼレポーターアッセイを使用して、MYC媒介遺伝子転写を調節する化合物の能力を評価した。Myc-Lucレポーター細胞が安定にトランスフェクトされたHCT-116細胞を、白色透明底96ウェルマイクロプレートに25,000細胞/ウェルで、10%FBS及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したMcCoy’s 5A培地中に播種した。プレートを37℃、5%CO2で一晩インキュベートした。翌日、細胞を、0.5%FBS、1%非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したOpti-MEM I中の0.0μM、0.1μM、1.0μM、2.5μM、5.0μM、10μM又は20μMのTCH-165で処置した。プレートを37℃、5%CO2で16時間インキュベートした。ホタル発光を、BPS BiosciencesからのOne-Step Luciferase Assay Systemを使用して測定した。データはn=3として報告し、IC50値は可変勾配のシグモイド曲線の式を用いて計算した。化合物1は、c-MYCの阻害について21.8μMのEC50を有し、化合物2は、19μMのEC50を有した。用量応答は、化合物1については図4Aを、化合物2については図4Bを参照されたい。
【0102】
「NF-κBレポーターアッセイ」
NF-κB-lucレポーター細胞が安定にトランスフェクトされたHCT-116を、白色透明底96ウェルマイクロプレートに、10%FBS及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したMcCoy’s 5A培地中5,000細胞/ウェルで播種した。プレートを37℃、5%CO2で一晩インキュベートした。翌日、細胞に、0.5%FBS、1%非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したOpti-MEM I中の0.0μM、0.1μM、1.0μM、2.5μM、5.0μM、10μM又は20μMのTCH-165で1時間事前処置をした。TNF-α(Gibco、REF#PHC3016)を最終濃度2ng/mLまで添加し、サンプルを5%CO2中37℃で16時間さらにインキュベートした。ホタル発光を、BPS BiosciencesからのOne-Step Luciferase Assay Systemを使用して測定した。NF-κB-Lucレポーター細胞を安定的にトランスフェクションさせたHCT-116細胞を種々の濃度の化合物(0.1から20μM)に16時間曝露し、その後、発光を測定し、ビークル対照と比較した。データはn=3として報告し、IC50値は可変勾配のシグモイド曲線の式を用いて計算した。データはn=3として報告し、IC50値は可変勾配のシグモイド曲線の式を用いて計算した。化合物1は、NF-kB転写の阻害について15.8μMのEC50を有し、化合物2は、18μMのEC50を有した。用量応答は、化合物1については図4Aを、化合物2については図4Bを参照されたい。
【0103】
「材料及び試薬」
ヒト20Sプロテアソーム及び蛍光基質N-スクシニル-Leu-Leu-Val-Tyr-7-アミド-4-メチルクマリン(Suc-LLVY-AMC)、カルボキシルベンジル-Leu-Leu-Glu-7-アミド-4-メチルクマリン(Z-LLE-AMC)、tert-ブチルオキシカルボニル-Leu-Arg-Arg-7-アミド-4-メチルクマリン(Boc-LRR-AMC)、及びボルテゾミブは、Boston Biochem,Inc.(ケンブリッジ,マサチューセッツ州)から入手した。PVDF膜、ClarityウェスタンECL試薬、ブロッキンググレードミルク、及びプレキャストドデシル硫酸ナトリウムゲルは、Bio-Rad(ハーキュリーズ,カリフォルニア州)から入手した。組換え野生型α-シヌクレインは、Abcam(ケンブリッジ,マサチューセッツ州)から入手した。ウサギポリクローナル抗α-シヌクレイン、マウスモノクローナル抗α-シヌクレイン及びヤギ抗ウサギHRP結合抗体は、Santa Cruz Biotechnologies(ダラス,テキサス州)から購入した。抗マウスHRP結合抗体は、Cell Signaling Technology(ダンバース,マサチューセッツ州)から購入した。α-シヌクレイン凝集体は、Novus Biologicals(リトルトン,コロラド州)から入手した。特に明記しない限り、化学物質は商業的供給者から購入し、さらに精製することなく使用した。
【0104】
「分子ドッキング研究」
ミシガン州立大学のサイバーイネーブルド研究所によって提供される計算リソース及びサービスを通じてサポートされるAutoDock Vinaを使用してドッキングを行った。閉門ヒトプロテアソーム(h20S)の結晶構造は、PDBデータベース(PDB ID:4R3O)から入手した。分子をPerkin Elmer’s Chem3Dで生成し、MM2力場を用いて最小化し、PDBに変換した。これらの分子をPyRxにアップロードし、リガンドpdbqtファイルに変換した。次に、低分子リガンドを、h20Sプロテアソームの全体(グリッドボックス153.2×138.0×189.4Å)に対して、網羅性を1000に設定して3回ドッキングさせた。個々のポーズを、Pymol及びBIOVIA Discovery Studio 2020を使用して手動で検査した。
【0105】
「蛍光ペプチド分解20Sプロテアソーム活性アッセイ」
活性アッセイを100μLの反応容量で行った。異なる濃度(1-80μM)の試験化合物を、50mM Tris-HCl(pH 7.8)、100mM NaCl中に1nMのヒト構成的20Sプロテアソームを含有する黒色平坦/透明底96ウェルプレートに添加し、37℃で15分間インキュベートした。次に、蛍光基質を添加し、380-460nmで1時間、1分当たりの蛍光単位の変化を測定することによって、SpectraMax M5e分光計上で、酵素活性を37℃で測定した。ビークル対照の蛍光単位を100%に設定し、ビークル対照に対して設定された薬物処置サンプルの比を用いて、酵素活性の倍率変化を計算した。使用した蛍光基質は以下(Suc-LLVY-AMC(CT-L活性、20μM)、Z-LLE-AMC(Casp-L活性、20μM)、Boc-LRR-AMC(T-L活性、40μM)又はそれぞれ6.67μMの3つの基質の組み合わせ)の内の1つであった。
【0106】
「一般的な実験情報」
反応は、加熱乾燥したガラス器具中において窒素雰囲気下で行った。溶媒及び試薬は商業的供給者から購入し、さらに精製することなく使用した。無水THFは、使用直前にナトリウム及びベンゾフェノン上で蒸留した。全ての反応に磁気撹拌を使用した。収率は、特に断りのない限り、クロマトグラフィ的及び分光学的に純粋な化合物を指す。赤外線スペクトルは、Jasco Series 6600 FTIR分光計で記録した。H及び13C NMRスペクトルは、Varian Unity Plus-500又は600分光計で記録した。化学シフトは、溶媒の残留ピーク(CDCl:1Hについて7.26ppm及び13Cについて77.0ppm)(DMSO-dHについて2.50ppm及び13Cについて39.5ppm)に対して報告する。多重度を示すために以下の略語(s=一重、d=二重、dd=二重の二重、t=三重、及びm=多重)を使用する。HRMSは、ミシガン州立大学の質量分析施設において、Micromass Q-ToF Ultima API LC-MS/MS質量分析計を用いて入手した。
【0107】
「生体外精製α-シヌクレイン分解アッセイ(銀染色)」
α-シヌクレインの消化を、50mM Tris、100mM NaCl(pH 7.8)、0.5μM精製α-シヌクレイン及び15nM精製ヒト20Sプロテアソームからなる50μL反応容量中で行った。簡潔に、20Sプロテアソームを反応緩衝液で17nMに希釈した。試験化合物又はビークル(1μLの50×ストック又はDMSO)を44μLの7.58nM 20Sに添加し、37℃で15分間インキュベートした。5μLの5μM α-シヌクレイン基質を次いで反応混合物に添加し、37℃で2時間インキュベートした。反応を、濃縮ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ローディング緩衝液でクエンチした。10分間煮沸した後、サンプルを4-20%Tris-グリシンSDS-PAGEゲル上で分離した。次に、Pierce Silver Stain Kit(Thermo Scientific,ロックフォード イリノイ州)及び提供された手順を使用して、ゲルを染色した。
【0108】
「MYCレポーターアッセイ」
Mycレポーター(Luc)HCT-116細胞を、白色透明底96ウェルマイクロプレートに、10%FBS及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したMcCoy’s 5A培地中、25,000細胞/ウェルで播種した。プレートを37℃、5%COで一晩インキュベートした。翌日、細胞を、0.5%FBS、1%非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したOpti-MEM中、0.0μM、0.1μM、1.0μM、2.5μM、5.0μM、10μM又は20μMのTCH-165で処置した。プレートを37℃、5%COで16時間インキュベートした。ホタル発光を、BPS BiosciencesからのOne-Step Luciferase Assay Systemを使用して測定した。
【0109】
「実施例1」
2-クロロ-1-(4-フルオロベンジル)-1H-ベンズイミダゾール(3)
2-クロロ-1H-ベンズイミダゾール(13.12mmol、2g)、KOH(18.37mmol、1.03g)及び乾燥アセトニトリル(80mL)を加熱還流し、1時間撹拌した。4-フルオロベンジルブロミド(19.68mmol、2.45mL)を加えた。反応混合物を6時間撹拌しながら還流した。反応混合物を室温まで冷却し、水で洗浄し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を蒸発させ、ジクロロメタン及びヘキサンで再結晶して、化合物2(2.6g、77%)を白色固体として入手した。
【0110】
H NMR(500MHz,Acetone-d)δ 7.68-7.59(m,1H),7.58-7.50(m,1H),7.39-7.30(m,2H),7.31-7.23(m,2H),7.19-7.07(m,2H),5.55(d,J=1.1Hz,2H)。13C NMR(126MHz,cdod)δ 163.87(d,J=245.6Hz),142.30,141.86,136.22,132.89,130.17,130.11,124.93,124.39,119.58,116.85,116.67,111.66,48.04。IR(neat):1602,1506,1233cm-1。m/z:[(M+H)+]計算結果(C1411ClFN )261.0595;実測値261.0599。融点70-74℃。
【0111】
「実施例2」
エチル4-((1-(4-フルオロベンジル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレート(4)
化合物3(0.38mmol、100mg)をジメチルアセトアミド(3mL)に溶解し、続いてエチル4-アミノピペリジンカルボキシレート(3.8mmol、0.65mL)を加えた。反応混合物をシリコーン油浴中155℃で68時間撹拌し、次に室温まで冷却した。次に、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、50%飽和ブライン溶液に注ぎ、次に、ジクロロメタンで抽出した。その粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル;10:90)で精製することで化合物4(69.5mg、45%)を黄色固体として入手した。
【0112】
H NMR(500MHz,Methanol-d)δ 7.35-7.26(m,1H),7.15-7.09(m,2H),7.06-6.98(m,4H),6.93(ddd,J=8.1,7.3,1.1Hz,1H),5.22(s,2H),4.10(qd,J=7.0,4.0Hz,4H),3.95(tt,J=11.0,4.0Hz,2H),2.98(s,1H),2.10-1.98(m,2H),1.45(dd,J=11.9,4.2Hz,2H),1.24(td,J=7.1,3.3Hz,3H)。13C NMR(126MHz,Methanol-d)δ 163.56(d,J=244.6Hz),157.19,155.18,142.92,135.30,133.75,129.56,122.50,120.86,116.52,116.35,116.08,109.13,62.70,51.43,45.24,44.10,33.11,14.96。IR(neat):3275,1694,1220cm-1。m/z:[(M+H)+]計算結果(C2226FNO )397.2040;実測値397.2070。融点120-123℃。
【0113】
「実施例3」
1-(4-フルオロベンジル)-N-(ピペリジン-4-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-アミン(5)
化合物4(0.76mmol、300mg)を48%HBr(10mL)に溶解し、加熱還流し、3時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、固体重炭酸ナトリウムで中和し、水で洗浄し、次にジクロロメタンで抽出した。有機層を蒸発させて、化合物5(204mg、83%)を黄色固体として入手した。
【0114】
H NMR(500MHz,Chloroform-d)δ 7.46(d,J=7.9Hz,1H),7.12-7.04(m,3H),7.02-6.93(m,4H),5.03(s,2H),4.23(s,1H),3.98(s,1H),2.98(dt,J=12.9,3.7Hz,2H),2.68(td,J=12.1,2.6Hz,3H),2.09-2.02(m,2H),1.33-1.25(m,2H)。13C NMR(126MHz,Chloroform-d)δ 162.36(d,J=247.0Hz),153.31,142.32,134.47,131.23,128.24,128.18,121.51,119.73,116.39,116.15,115.97,107.25,50.11,45.14,44.93,33.60。IR(neat):3290,3245,1218cm-1。m/z:[(M+H)+]計算結果(C1922FN )325.1828;実測値325.1826。融点120-126℃。
【0115】
「実施例4」
1-(4-((1-(4-フルオロベンジル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)-2-(4-メトキシフェニル)エタン-1-オン(2)
化合物5(0.15mmol,50mg)及びトリエチルアミン(0.2mmol,0.03mL)をジクロロメタン(2mL)に溶解し、続いて4-メトキシフェニルアセチルクロリド(0.15mmol,0.023mL)を滴下した。反応混合物を室温で4時間撹拌した。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(メタノール/酢酸エチル5:95)によって精製して、化合物2(31.5mg、43%)を無色油状物として入手した。
【0116】
H NMR(500MHz,Methanol-d)δ 7.32(d,J=7.8Hz,1H),7.20-7.16(d,2H),7.13-7.08(m,2H),7.07-6.99(m,4H),6.95(t,J=7.6Hz,1H),6.91-6.84(d,2H),5.49(s,1H),5.22(s,2H),4.52(dq,J=13.4,3.2,2.8Hz,1H),4.06-3.94(m,2H),3.76(s,3H),3.74(d,J=4.5Hz,1H),3.68(d,J=14.9Hz,1H),3.20(ddd,J=14.2,11.9,2.6Hz,1H),2.85(td,J=12.8,12.1,2.7Hz,1H),2.08-2.02(d,1H),1.99(d,J=12.9Hz,1H),1.45-1.37(m,1H),1.19(ddd,J=13.8,7.8,3.3Hz,1H)。13C NMR(126MHz,Methanol-d)δ 172.32,163.57(d,J=244.4Hz),160.06,142.46,133.67(d,J=3.2Hz),130.67,129.58(d,J=8.2Hz),128.29,122.60,121.03,116.44(d,J=21.9Hz),115.98,115.18,109.25,55.64,51.37,46.46,45.27,42.26,40.64,33.52,32.81。IR(neat):3289,1682,1260cm-1。m/z:[(M+H)+]計算結果(C2830FN )473.2353;実測値473.2353。
【0117】
本開示は、以下の例示的な実施形態を提供し、その番号付けは、重要度のレベルを指定するものとして解釈されるべきではない。
【0118】
実施形態1は、式(I)の化合物:
【化28】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
はアリール又はヘテロアリールであり、
は、H、アルキル、アリール又はヘテロアリールであり、
は、アルキル又はアルケニルであり、
は、N又はCRであり、式中、Rは、存在しないか、水素、アルキル、ヘテロシクリル、又はアリールであり、
は、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり、かつ、
は、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールである、化合物に関する。
【0119】
実施形態2は、Rがアリールである、実施形態1の化合物に関する。
【0120】
実施形態3は、Rが置換アリールである、実施形態1から2の化合物に関する。
【0121】
実施形態4は、Rが置換フェニルである、実施形態1から3の化合物に関する。
【0122】
実施形態5は、Rがヘテロアリールである、実施形態1の化合物に関する。
【0123】
実施形態6は、Rがベンゾイミダゾリニルである、実施形態1の化合物に関する。
【0124】
実施形態7は、RがHである、実施形態1から6の化合物に関する。
【0125】
実施形態8は、Xがアルキルである、実施形態1から7の化合物に関する。
【0126】
実施形態9は、XがC-Cアルキルである、実施形態1から8の化合物に関する。
【0127】
実施形態10は、式(I)の化合物が、式(Ia)の化合物:
【化29】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
式中、Rはアリール又はヘテロアリールである、実施形態1から9の化合物に関する。
【0128】
実施形態11は、式(I)の化合物が、式(Ib)又は(Ic)の化合物:
【化30】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
式中、nは0、1又は2である、実施形態1から10の化合物に関する。
【0129】
実施形態12は、式(I)の化合物が、以下の式の化合物:
【化31】

その薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、実施形態1から11の化合物に関する。
【0130】
実施形態13は、以下の式の化合物:
【化32】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
はアリール又はヘテロアリールであり、
は、H、アルキル、アリール又はヘテロアリールであり、
は、アルキル又はアルケニルであり、
は、N又はCRであり、式中、Rは、存在しないか、水素、アルキル、ヘテロシクリル、又はアリールであり、かつ、
はアリール又はヘテロアリールである、化合物に関する。
【0131】
実施形態14は、以下の式の化合物であって:
【化33】

式中、qは、0、1、2、又は3であり、
は、アルキル、シクロアルキルアリール、ヘテロアリール、アシル、アミド又はカルバメートであり、かつ、
各R10は、独立して、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ若しくはヘテロシクリルであり、又は、
隣接する炭素原子上の2つのR10基は、それらの炭素原子と共に、シクロアルケニル、アリール又はヘテロシクリルを形成可能であり、又は、
及びR10は、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成可能である、実施形態13の化合物に関する。
【0132】
実施形態15は、式(II)及び(IIa)から(IId)の化合物:
【化34】

【化35】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
式中、qは、0、1、2、又は3であり、
各Xは独立して、アルキル又はアルケニルであり、
及びRは、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキルアリール、ヘテロアリール、アシル、アミド又はカルバメートであり、かつ
Wは、N又はC-R10であり、Xは、N又はC-R10であり、Yは、N又はC-R10であり、Zは、N又はC-R10であり、式中、各R10は、独立して、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はヘテロシクリルであり、又は、
隣接する炭素原子上の2つのR10基は、それらの炭素原子と共に、シクロアルケニル、アリール又はヘテロシクリルを形成可能であり、又は、
及びR10は、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成可能である、化合物に関する。
【0133】
実施形態16は、Xが-(CH-であり、nが0、1、又は2である、実施形態15の化合物に関する。
【0134】
実施形態17は、R10が、式-OR11のアルコキシであり、式中、R11は、アルキル、シクロアルキル又はアリール、ヘテロアリール、アシル、アミド又はカルバメートである、実施形態15から16の化合物に関する。
【0135】
実施形態18は、以下の式の化合物:
【化36】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、実施形態15から17の化合物に関する。
【0136】
実施形態19は、R及びR10が、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成可能であり、以下の式の化合物:
【化37】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、実施形態15から18の化合物に関する。
【0137】
実施形態20は、以下の式の化合物:
【化38】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、実施形態15から18の化合物に関する。
【0138】
実施形態21は、以下の式の化合物:
【化39】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、実施形態15の化合物に関する。
【0139】
実施形態22は、式(III)の化合物:
【化40】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
式中、qは、0、1、2、又は3であり、
は、アルキル又はアルケニルであり、
Wは、N又はC-R10であり、Xは、N又はC-R10であり、Yは、N又はC-R10であり、Zは、N又はC-R10であり、式中、各R10は、独立して、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はヘテロシクリルであり、又は、
隣接する炭素原子上の2つのR10基は、それらの炭素原子と共に、シクロアルケニル、アリール又はヘテロシクリルを形成可能であり、又は、
及びR10は、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成可能であり、かつ、
12及びR13は、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキルアリール、ヘテロアリール、アシル、アミド又はカルバメートである、化合物に関する。
【0140】
実施形態23は、Xが-(CH-であり、式中、nが0、1、又は2である、実施形態22の化合物に関する。
【0141】
実施形態24は、R10が、式-OR11のアルコキシであり、式中、R11は、アルキル、シクロアルキル又はアリール、ヘテロアリール、アシル、アミド又はカルバメートである、実施形態22から23の化合物に関する。
【0142】
実施形態25は、以下の式の化合物:
【化41】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、実施形態22から24の化合物に関する。
【0143】
実施形態26は、R及びR10又はR及びR13が、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成する、以下の式の化合物:
【化42】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、実施形態22から25の化合物に関する。
【0144】
実施形態27は、以下の式の化合物:
【化43】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、実施形態22から26の化合物に関する。
【0145】
実施形態28は、式(IV)の化合物:
【化44】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
式中、qは、0、1、2、又は3であり、
は、アルキル又はアルケニルであり、
Wは、N又はC-R10であり、Xは、N又はC-R10であり、Yは、N又はC-R10であり、かつZは、N又はC-R10であり、式中、各R10は、独立して、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はヘテロシクリルであり、又は、
隣接する炭素原子上の2つのR10基は、それらの炭素原子と共に、シクロアルケニル、アリール又はヘテロシクリルを形成可能であり、又は、
及びR10は、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成可能であり、かつ
14は、アリール若しくはヘテロシクリルであり、又は
及びR14は、それらが結合している原子と共に、アリール又はヘテロシクリルを形成可能である、化合物に関する。
【0146】
実施形態29は、Xが-(CH-であり、式中、nが0、1、又は2である、実施形態28の化合物に関する。
【0147】
実施形態30は、R10が、式-OR11のアルコキシであり、式中、R11は、アルキル、シクロアルキル又はアリール、ヘテロアリール、アシル、アミド又はカルバメートである、実施形態28から29の化合物に関する。
【0148】
実施形態31は、以下の式の化合物:
【化45】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであり、実施形態28から30の化合物に関する。
【0149】
実施形態32は、R及びR10又はR及びR14が、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成する、以下の式の化合物:
【化46】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、実施形態28から31の化合物に関する。
【0150】
実施形態33は、式(V)の化合物:
【化47】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであって、
式中、qは、0、1、2、又は3であり、
は、アルキル又はアルケニルであり、
は、存在しないか、N又はC-R10であり、
各Wは、N又はC-R10であり、各Xは、N又はC-R10であり、各Yは、N又はC-R10であり、かつ各Zは、N又はC-R10であり、式中、各R10は、独立して、H、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はヘテロシクリルであり、
隣接する炭素原子上の2つのR10基は、それらの炭素原子と共に、シクロアルケニル、アリール又はヘテロシクリルを形成可能であり、又は、
及びR10は、それらが結合している原子と共に、ヘテロシクリル基を形成可能である、化合物に関する。
【0151】
実施形態34は、Xが-(CH-であり、式中、nが0、1、又は2である、実施形態33の化合物に関する。
【0152】
実施形態35は、R10が、式-OR11のアルコキシであり、式中、R11は、アルキル、シクロアルキル又はアリール、ヘテロアリール、アシル、アミド又はカルバメートである、実施形態33から34の化合物に関する。
【0153】
実施形態36は、以下の式の化合物:
【化48】

【化49】

【化50】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、実施形態33から35の化合物に関する。
【0154】
実施形態37は、R及びR10がヘテロシクリル基を形成する、以下の式の化合物:
【化51】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートであり、実施形態33から36の化合物に関する。
【0155】
実施形態38は、化合物が以下の式の化合物:
【化52】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、実施形態33の化合物に関する。
【0156】
実施形態39は、化合物が以下の式の化合物:
【化53】

又はその薬学的に許容される塩、多形体、プロドラッグ、溶媒和物又はクラスレートである、実施形態33の化合物に関する。
【0157】
実施形態40は、実施形態1から39の1つ以上の化合物及び1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0158】
実施形態41は、治療有効量のアステミゾール、実施形態1から39の少なくとも1つの化合物又は実施形態40の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、神経変性疾患を治療するための方法に関する。
【0159】
実施形態42は、神経変性疾患が、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、及びALSの内の少なくとも1つである、実施形態40の方法に関する。
【0160】
実施形態43は、治療有効量のアステミゾール、実施形態1から39の少なくとも1つの化合物又は実施形態40の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、プロテオスタシスの調節異常を低減、実質的に排除又は排除するための方法に関する。
【0161】
実施形態44は、治療有効量のアステミゾール、実施形態1から39の少なくとも1つの化合物又は実施形態40の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、天然変性タンパク質の蓄積を低減、実質的に排除又は排除するための方法に関する。
【0162】
実施形態45は、天然変性タンパク質がα-synを含む、実施形態44の方法に関する。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
【国際調査報告】