(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(54)【発明の名称】ビーガン用サーモン類似物の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 17/00 20160101AFI20230831BHJP
A23L 29/256 20160101ALI20230831BHJP
A23L 29/244 20160101ALI20230831BHJP
【FI】
A23L17/00 Z
A23L29/256
A23L29/244
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023510397
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(85)【翻訳文提出日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2021073084
(87)【国際公開番号】W WO2022038244
(87)【国際公開日】2022-02-24
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ヌスリ, オリヴァー
(72)【発明者】
【氏名】メリナ, シルヴィ, ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ユ‐ジエ
(72)【発明者】
【氏名】ヒンリッヒ, カタリーナ
【テーマコード(参考)】
4B041
4B042
【Fターム(参考)】
4B041LC03
4B041LC10
4B041LD01
4B041LH08
4B041LH10
4B041LK02
4B041LK03
4B041LK11
4B041LK15
4B041LK25
4B041LK33
4B041LK37
4B041LK43
4B041LK50
4B041LP01
4B041LP04
4B041LP09
4B041LP12
4B041LP16
4B041LP25
4B042AC04
4B042AC05
4B042AC10
4B042AD36
4B042AK01
4B042AK06
4B042AK08
4B042AK09
4B042AK10
4B042AK12
4B042AK13
4B042AK15
4B042AK16
4B042AK20
4B042AP02
4B042AP14
4B042AP18
4B042AP19
4B042AP21
4B042AP30
(57)【要約】
本発明は、ビーガン用サーモン類似物の製造方法に関し、該方法は、植物タンパク質源、グルコマンナン源、カラギーナン源を含む混合物を水和するステップと、該混合物を加熱して、グルコマンナン及びカラギーナンから可溶性繊維を抽出するステップと、任意に香料、油、及び着色料を添加するステップと、該混合物を冷却して、少なくとも1900mPa・sの粘度を有する第1の層を形成するステップと、任意に不溶性繊維源及びカルシウム塩を含む第2の層を、第1の層の表面上に適用するステップと、を含む。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーモン類似物の製造方法であって、
a.植物タンパク質源、グルコマンナン源、カラギーナン源、及びカリウム塩を含む混合物を水和するステップと、
b.前記混合物を加熱するステップと、
c.任意に香料、油、及び着色料を添加するステップと、
d.前記混合物を80℃未満に冷却して、第1の層を形成するステップと、
e.任意に、不溶性繊維源及びカルシウム塩を含む第2の層を、前記第1の層の表面上に適用するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の層が、最大10重量%の植物タンパク質源を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記植物タンパク質が、大豆タンパク質、乳清タンパク質、微細藻類、及びマイコプロテインから選択され、好ましくは大豆タンパク質である、請求項1及び2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の層が、0.3~1重量%のカラギーナン源を含む、請求項1~3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の層が、0.5~1.5重量%のグルコマンナン源を含む、請求項1~4に記載の方法。
【請求項6】
前記グルコマンナン源が、コンニャクグルコマンナンである、請求項1~5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の層が、塩化ナトリウム(NaCl)を更に含む、請求項1~6に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(i)における前記混合物が、少なくとも30分間、好ましくは少なくとも60分間水和される、請求項1~7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(ii)における前記混合物が、pH6以上である、請求項1~8に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(ii)における前記混合物が、少なくとも75℃、好ましくは75~90℃の温度まで、好ましくは約20分間加熱される、請求項1~9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の層における前記不溶性繊維源が、80重量%超の不溶性繊維を含む、請求項1~10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の層における前記不溶性繊維源が、竹繊維、小麦繊維、オート麦繊維、セルロース粉末、又はそれらの混合物であり、好ましくは竹繊維である、請求項1~11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の層における前記不溶性繊維源が、60~200μmのD90粒径を有する、請求項1~12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の層における前記カルシウム塩が、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はクエン酸三カルシウムであり、好ましくは炭酸カルシウムである、請求項1~13に記載の方法。
【請求項15】
第1の層及び第2の層を含むサーモン類似物であって、前記第1の層は、植物タンパク質、グルコマンナン源、カラギーナン源、カリウム塩、ナトリウム塩を含み、前記第2の層は、不溶性繊維源及びカルシウム塩を含む、サーモン類似物。
【請求項16】
100g当たり30カロリー未満を含む、請求項15に記載のサーモン類似物。
【請求項17】
前記植物タンパク質源が、変性、加水分解、及び/又は均質化されている、請求項15及び16に記載のサーモン類似物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
イントロダクション
魚類の乱獲は、世界中の海産魚類資源にとって重大な脅威である。世界経済フォーラム(World Economic Forum)の推定によると、2018年に世界中の資源の90%が限界まで利用され、過剰に利用され、又は枯渇した。
【0002】
公衆衛生の観点から、重金属及び微小プラスチックの魚への蓄積についての認識及び関心も高まっている。世界人口の約2%がシーフードアレルギーに罹患していると考えられている。
【0003】
消費者に対して魚類似物への切り替えが奨励された場合、持続可能性及び公衆衛生の問題に対処するのに役立ち得る。最も人気のあるタイプの魚の1つは、多くの国で楽しまれているサーモンである。サーモン類似製品は存在しているものの、一般に非常に低品質であり、本物のサーモンの味、テクスチャー、及び栄養分を十分に有しない。
【0004】
持続可能性及び公衆衛生の問題に対処し、本物のサーモンの品質により類似したサーモン類似製品を消費者に提供する明確なニーズが存在する。
【0005】
[発明の概要]
本発明者らは、生の魚のようなテクスチャー及び外観を模した粘弾性かつ半透明のゲルを形成するための、繊維の低温硬化ゲル化のための方法を開発した。不溶性繊維とミネラルとの特定の組み合わせを使用して、生のサーモンに見られる様子を模した白色層を作製する。選択されたタンパク質、繊維、塩、及びゲルテクスチャー調節のためのプロセスもまた、魚のような、口中で融解する知覚を模するために使用される。
【0006】
したがって、本発明は、グルコマンナン源及びカラギーナン源を含む混合物を水和するステップと、該混合物を加熱し、次いで冷却するステップと、を含む、魚類似物の製造方法に関する。
【0007】
特に、本方法は、植物タンパク質源、グルコマンナン源、及びカラギーナン源を含む混合物を水和するステップと、該混合物を加熱するステップと、任意に香料、油、及び着色料を添加するステップと、該混合物を冷却して、第1の層を形成するステップと、を含む。
【0008】
特に、本発明は、サーモン類似物の製造方法に関し、該方法は、
a.植物タンパク質源、グルコマンナン源、カラギーナン源、及びカリウム塩を含む混合物を水和するステップと、
b.該混合物を加熱するステップと、
c.任意に香料、油、及び着色料を添加するステップと、
d.該混合物を80℃未満に冷却して、第1の層を形成するステップと、
e.任意に不溶性繊維源及びカルシウム塩を含む第2の層を、第1の層の表面上に適用するステップと、を含む。
【0009】
特に、本発明は、サーモン類似物の製造方法に関し、該方法は、
a.植物タンパク質源、グルコマンナン源、カラギーナン源、及びカリウム塩を含む混合物を水和するステップと、
b.該混合物を加熱するステップと、
c.任意に香料、油、及び着色料を添加するステップと、
d.該混合物を80℃未満に冷却して、少なくとも1900mPa・sの粘度を有する第1の層を形成するステップと、
e.任意に不溶性繊維源及びカルシウム塩を含む第2の層を、第1の層の表面上に適用するステップと、を含む。
【0010】
特に、本方法は、植物タンパク質源、グルコマンナン源、カラギーナン源を含む混合物を水和するステップと、該混合物を加熱して、グルコマンナン及びカラギーナンから可溶性繊維を抽出するステップと、任意に香料、油、及び着色料を添加するステップと、該混合物を冷却して、少なくとも1900mPa・sの粘度を有する第1の層を形成するステップと、任意に不溶性繊維源及びカルシウム塩を含む第2の層を、第1の層の表面上に適用するステップと、を含む。
【0011】
特に、本発明は、サーモン類似物の製造方法に関し、該方法は、
a.植物タンパク質源、グルコマンナン源、カラギーナン源、及びカリウム塩を含む混合物を水和するステップと、
b.該混合物を加熱するステップと、
c.任意に香料、油、及び着色料を添加するステップと、
d.該混合物を80℃未満に冷却して、第1の層を形成するステップと、
e.任意に不溶性繊維源及びカルシウム塩を含む第2の層を、第1の層の表面上に適用するステップと、を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、混合物は、可溶性繊維がグルコマンナン及びカラギーナンから抽出されるよう加熱される。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1の層は、最大10重量%、例えば0.5~10重量%、又は0.5~7重量%の植物タンパク質源を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、植物タンパク質源は、大豆タンパク質、乳清タンパク質、微細藻類、及びマイコプロテインから選択される。好ましいタンパク質源は大豆タンパク質である。
【0015】
いくつかの実施形態では、カラギーナン源及びグルコマンナン源は、約1:1.25の比で存在する。単一カラギーナンゲルへのグルコマンナンの添加は、ゲルの強度、特にゲルの弾性を何倍も改善することができる。ゲルのシネレシスはグルコマンナンによって減少させることができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1の層は、0.3~1重量%のカラギーナン源、例えば約0.4重量%のカラギーナンを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1の層は、0.5~1.5重量%のグルコマンナン源を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、グルコマンナン源はコンニャクグルコマンナンである。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の層は、繊維源、例えばジャガイモ繊維を更に含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の層は、塩化ナトリウム(NaCl)、好ましくは約2重量%のNaClを更に含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、ステップ(i)における混合物は、少なくとも30分間、好ましくは少なくとも60分間水和される。
【0022】
いくつかの実施形態では、ステップ(i)における混合物は、水、乳、又は弱ブライン液で水和される。
【0023】
いくつかの実施形態では、ステップ(ii)における混合物は、pH6以上である。
【0024】
いくつかの実施形態では、ステップ(ii)における混合物は、少なくとも75℃、好ましくは75~90℃の温度まで、好ましくは約20分間加熱される。
【0025】
いくつかの実施形態では、ステップ(ii)における混合物は、約4℃まで1時間冷却される。
【0026】
いくつかの実施形態では、混合物は、80℃未満に冷却されて、少なくとも1900mPa・sの粘度を有する第1の層を形成する。
【0027】
いくつかの実施形態では、第2の層における不溶性繊維源は、80重量%超の不溶性繊維を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、不溶性繊維源は、竹繊維、小麦繊維、オート麦繊維、セルロース粉末、又はそれらの混合物であり、好ましくは竹繊維である。
【0029】
いくつかの実施形態では、第2の層中の不溶性繊維源は、60~200μmのD90粒径を有する。
【0030】
いくつかの実施形態では、第2の層におけるカルシウム塩は、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はクエン酸三カルシウムであり、好ましくは炭酸カルシウムである。
【0031】
本発明はまた、本明細書に記載の方法によって製造されるサーモン類似物に関する。
【0032】
本発明はまた、変性植物タンパク質、グルコマンナン源、カラギーナン源、及びカリウム塩を含む第1の層を含むサーモン類似物に関する。
【0033】
本発明はまた、第1の層及び第2の層を含むサーモン類似物に関し、第1の層は、変性植物タンパク質、グルコマンナン源、カラギーナン源、カリウム塩を含み、第2の層は、繊維源及びカルシウム塩を含む。本発明のサーモン類似物は、好ましくは、動物性製品を含まない。
【0034】
いくつかの実施形態では、該サーモン類似物は、1重量%未満の脂質を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、該サーモン類似物は、オメガ3脂肪酸、好ましくはデコサヘキサン酸(decosahexanoic acid)を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、該サーモン類似物は、100g当たり1.5g超の繊維を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、該サーモン類似物は、100g当たり30カロリー未満を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、植物タンパク質源は、変性、加水分解、及び/又は均質化されている。
【0039】
定義
本明細書で使用するとき、単数形「1つの」(「a」、「an」及び「the」)には、別段の指示がない限り、複数の参照物も含まれる。したがって、例えば、「1つの不溶性繊維源(an insoluble fiber source)」又は「その不溶性繊維源(the insoluble fiber source)」に言及する場合は、2つ以上の不溶性繊維源が含まれる。
【0040】
用語「含む/備える(comprise)」、「含む/備える(comprises)」、及び「含んでいる/備えている(comprising)」という単語は、排他的にではなく、他を含み得るものとして解釈される。同様にして、用語「含有する(include)」、「含有する(including)」及び「又は(or)」は全て、このような解釈が文脈から明確に妨げられない限りは他を含み得るものであると解釈されるべきである。
【0041】
本明細書に開示される組成物には、具体的に開示されない任意の要素が存在しない場合がある。したがって、用語「含む/備える(comprising)」を用いて提示される実施形態の開示は、特定されている構成要素「を本質的に含む(consisting essentially of)」実施形態、及び特定されている構成要素「を含む(consisting of)」実施形態の開示を含む。同様にして、本明細書で開示される方法には、本明細書において具体的に開示されない任意の工程が存在しない場合がある。したがって、「を含んでいる」という用語を用いた実施形態の開示は、特定されている工程「を本質的に含む」実施形態、及び特定されている工程「を含む」実施形態の開示を含む。
【0042】
「X及び/又はY」の文脈で使用される用語「及び/又は」は、「X」、又は「Y」、又は「X及びY」と解釈されるべきである。本明細書において使用する場合、用語「例(example)」及び「などの(such as)」は、特に後に用語の掲載が続く場合は、単に例示的なものであり、かつ説明のためのものであり、排他的又は包括的なものであると判断すべきではない。別途記載のない限り、本明細書で開示される任意の実施形態を、本明細書で開示される任意の別の実施形態と組み合わせることができる。
【0043】
本明細書で使用するとき、「約(about)」及び「およそ(approximately)」は、数値範囲内、例えば、参照されている数の-10%から+10%の範囲、好ましくは参照されている数の-5%から+5%の範囲内、より好ましくは、参照されている数の-1%から+1%の範囲内、最も好ましくは参照されている数の-0.1%から+0.1%の範囲内の数を指すものと理解される。
【0044】
本明細書で使用するとき、ある原材料を「実質的に含まない」製品とは、その原材料が製品にそれ自体として添加されないこと、及び任意のそのような原材料の存在は、他の原材料中に存在する微量の持ち込み物又は不純物に由来することを意味する。
【0045】
ビーガン用製品は、動物製品を含まないもの、例えば、乳製品及び肉製品を含まないものと定義される。本発明のビーガン用サーモン類似物製品は、本物のサーモンに近い外観、味、及びテクスチャーを有する。
【0046】
以下、本発明を複数の実施例により説明するが、かかる実施例は本明細書に記載の本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0047】
実施例1
ベースゲルの開発及びテクスチャー分析
ベースゲルは、κカラギーナン(KC)、コンニャクグルコマンナン(KGM)、ジャガイモ繊維(PF)、塩化カリウム(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)及び水を組み合わせることによって開発した。サーモンのテクスチャーに近い特性を有するベースゲルを開発し、ゲル系における特定の原材料の役割を理解するために、原材料の異なる濃度及び組み合わせを試験した。多糖/繊維(KC、KGM、PF)、ミネラル(KCl、NaCl)及び天然ミネラル水Vittel又はMilliQ水のいずれかを使用することによって、単一多糖ゲル(1つのゲル化剤)並びに混合多糖ゲル(2つのゲル化剤)のための配合物を作製した。表1は、単一多糖ゲル(0.4KC、0.8KC、0.4KC_0.4KClと称する)及び混合多糖ゲル(KC/KGMと称する)、並びにNaClを含む及び含まないベースゲルについての配合を[重量%]で示す(KC:κカラギーナン、KGM:コンニャクグルコマンナン、PF:ジャガイモ繊維、KCl:塩化カリウム、NaCl:塩化ナトリウム)。
【0048】
【0049】
全てのゲルをThermomix TM6中で調製した。乾燥原材料を室温で水中に60分間分散及び水和させ、続いて85℃で15分間加熱した。原材料及び温度の均一な分布を確保するために、全プロセス中、Thermomixのレベル1で配合物を撹拌した。撹拌による空気の導入を最小限にした。加熱後、高粘性の高温混合物を適切な容器(テクスチャー分析用の正方形のプラスチック製の箱、テクスチャープロファイル分析用の50mlファルコンチューブ、シネレシス試験及び顕微鏡検査用の丸いガラス製成形型)にて成形し、それらを室温で少なくとも3時間冷却した。その後、それぞれの分析まで覆いをして、それらを6℃の冷蔵庫に保存した。
【0050】
テクスチャー分析方法
ゲルのテクスチャーを、破壊的機器テクスチャー分析(TA)及び非破壊的機器テクスチャープロファイル分析(TPA)によって特性評価した。いずれも、5kgのロードセルを有するTA-XT2 Texture Analyzer(Stable Micro Systems,Surrey,England)によって行った。力距離曲線(TA)又は力時間曲線(TPA)を分析する試験に特化したマクロにより試験セットアップ並びにデータ分析を可能にするソフトウェアEXPONENT Connect Version 7.0.3.0を使用して、コンピュータによって機器を制御した。
【0051】
破壊的TAは、切断(CUT)及び貫通試験(PEN)をもたらす異なる2つのプローブ形状を用いて行った。切断試験は、単一ブレードHDP/BS及びその対応するスロット付きベースを用いて行われ、貫通は、円筒形プローブP/6(φ6mm)及びスロットなしの通常のベースによって行った。試料形状として、幅30mm、高さ20mmの直方体を使用した。
【0052】
TPAについては、円筒形プローブ(φ45mm)を使用して、高さ15mm及び直径20mmの円筒形試料に対して2回の30%圧縮サイクルを行い、2回の圧縮サイクルの間に5秒の休止を設けた。試料表面に触れることにより、0.05Nのトリガー力で全ての試験についてデータ記録を開始した。
【0053】
表2は、CUT試験、PEN試験及び30%圧縮のTPAについてのプローブ及び試料の幾何学的形状及び試験パラメータを示す。試料は、各方法を用いて、試料当たり6連超で少なくとも2回分析した。
【0054】
【0055】
破壊的TA
CUT試験又はPEN試験のいずれかで得られた典型的な力-距離曲線の例を作成した。曲線は、ピークに達するまで距離全体で力が増加し、その後、力が急激に減少することを示した。ピークはゲル破壊に対応した。曲線分析から得られた以下の値は、ゲルテクスチャーを定義するのに有用である:「硬度」は、ゲルを破壊するために必要とされるピーク力を定義し、一方、「変形」は、その破壊点におけるプローブの距離を表す。最大に達するまでの曲線下面積は、ゲルを破壊するのに必要なエネルギーを表し、したがって「ゲル強度」と呼ばれる。剛性は、開始点からピーク力までの勾配と定義する。
【0056】
テクスチャープロファイル分析
試料への力の印加が1回だけ起こるTAとは対照的に、テクスチャープロファイル分析(TPA)は、試料の回復レベルを含めるために繰り返し圧縮サイクルを使用する。7つの基本的なテクスチャーパラメータ(破砕性、堅さ、接着性、凝集性、ガム性、弾力性及び噛み応え)を、TPA測定の記録された力-時間曲線から得ることができる。これにより、テクスチャーの機器評価と官能評価との間のつながり(bridge)を提供することができた。
【0057】
凝集性
凝集性は、第2の円における正のピーク面積(d+e)と第1のサイクルにおける正のピーク面積(a+b)との無次元比である。この比により、第1の圧縮下での耐性と比較して、第2の圧縮に試料がどれだけよく耐えるかを評価する。凝集性=1である場合、その試料構造は、2つのサイクル間の休止中に完全に再生することができ、これは、試料がその強度並びにその耐性を回復し、第1の変形と同様に第2の変形に耐えることができたことを意味する。対照的に、凝集性<1は、第1のサイクルにおける部分的に回復不能な変形を表し、それに続いて第2のサイクルにおけるより低い耐性を表す。
【0058】
ガム性
ガム性は、凝集性と硬度の積である。ガム性は、嚥下され得るまで半固体食品を崩壊させるのに必要なエネルギーを表す。
【0059】
弾力性
弾力性は、距離2と距離1の商であり、2回の圧縮サイクルにおけるダウンストロークによる変形を表す。この比は、圧縮後に試料が元の高さに戻る程度に対応し、すなわち、材料が圧縮された後に元の高さを回復する能力を表すことを意味する。距離が等しいことは、元の高さを完全に回復することと同義である。
【0060】
レジリエンス
レジリエンスは、第1のダウンストロークの面積(面積a)に対する第1のアップストロークの面積(面積b)によって定義される。それは、試料がその元の形状及びサイズを回復するためにどれだけ反発するかを表し、言い換えれば、レジリエンスは、試料がダウンストローク後にプローブにエネルギーを戻す程度である。それは、距離だけでなく、試料が初期変形に対抗する力及び速度も含む試料の弾性を表す。レジリエンス=1は、ダウンストローク中にプローブによって試料に与えられる全ての仕事が、アップストローク中に試料によって戻されることを意味する。一方、レジリエンス<1は、圧縮と比較して、厚さ(高さ)又はより小さい力若しくは速度のいずれかに関して回復が不完全であることと同等である。
【0061】
ゲルのテクスチャー及び視覚特性を実際の動物ベンチマークと比較するために、生サーモンの切り身を地元のスーパーマーケットから購入した。ノノルウェー西海岸(Norwegian west coast)産の、皮及び骨を外した高品質のバックロインフィレ180gを、テクスチャー分析に選択した。テクスチャー分析のために、ゲル試料と同じ寸法の小片を、ナイフ又はクッキーカッター(φ2.5cm)を用いてサーモンの切り身から切り出した。4つのサーモンの切り身を、各方法を用いて4連で分析した。生サーモン切り身の栄養価(g/100g)は以下のとおりであった:タンパク質(湿潤基準):20g、脂質:16g、炭水化物0g、灰分:0g。ゲル調製は、全ての実験について少なくとも二連で行った。データは平均±標準偏差として表す。必要に応じて、データを一元配置分散分析(ANOVA)及びTukey事後検定に供し、差の有意性を両側についてP<0.05で定義した。
【0062】
試験は、κ-カラギーナン(KC)が系における主要なゲル化剤として適切であると考えられることを示した。開始点として、0.4重量%のKC、0.3重量%のKCl、及び2.0重量%のNaClを含むゲル(0.4KCと呼ぶ)を定義した。ゲル強度に対する塩の影響を研究するために、初期ゲルについて2つの変量を調べた:一方は0.8重量%のKCを含有し、KClを0.3重量%で一定に維持し(0.8KCと呼ぶ)、他方はKCを0.4重量%に維持し、但しKCl含量を0.4重量%に増加させた(0.4KC-0.4KClと呼ぶ)。3つのゲル全てについて、NaCl含量は2重量%のレベルで一定のままである。調製の1日後、ゲルのテクスチャーを異なるテクスチャー分析法(CUT、PEN、TPA)によって分析した。
【0063】
結果を表3に示し、テクスチャー分析の間に記録された力-変形(CUT、PEN)及び力-時間(TPA)曲線から得られたテクスチャーパラメータの平均値、並びにシネレシスについての平均値を示す。円筒形プローブ(PEN)、ブレードプローブ(CUT)及び30%圧縮(TPA)は、KC濃度が0.4%から0.8%に倍増されたとき、全てのパラメータについて有意に高い値(P<0.05)を示したことを観察することができる。ゲル強度及び硬度は、KC濃度を2倍にすると3倍超高くなるが、堅さは2倍になる。変形並びにレジリエンス、凝集性及び弾力性(TPA)の増加は、4~50%程度のより小さい増加を示した。結論として、ゲル化剤濃度の倍増はゲル硬度を増加させ、すなわち、ゲルを破壊するためにはより大きな力が必要であることを意味する。更に、ゲルはより弾性になる、すなわち、変形、凝集性、レジリエンス、弾力性、ガム性が増加する。しかしながら、より高いKC濃度では、ゲル硬度がゲル弾性よりも増加する。
【0064】
0.4%の一定のKC濃度での0.3%から0.4%へのKCl含量の増加に関して、有意な増加は、少なくとも20%のはるかに低い範囲で破壊的方法PEN及びCUTについてのみ観察可能であり、一方、非破壊的TPAのパラメータは有意に変化しない(P<0.05)。
【0065】
したがって、圧縮試験(TPA)は、破壊的方法と比較して、レシピの小さな変更に対しての感受性が低い。より高いKC含量では、より多くのヘリックスが存在し、これらは冷却時に凝集してより密なネットワークを形成し、一方、より高いKCl濃度は、特定の数のヘリックスを連結するためのより多くの材料を提供する。いずれもゲル強度を高める一方で、架橋の増加は、ゲルの脆性特性に対応した鎖柔軟性の低下、及び変形が硬度と同程度に増加しないという事実をもたらす。
【0066】
【0067】
要約すると、純粋なKC及びイオンからのこの単一多糖ゲルは、サーモンのテクスチャーと比較して弱すぎて弾性が低く、又は逆に脆すぎる。
【0068】
予備試験の結果を参照して、単一KCゲルに添加する第2の多糖にはコンニャクグルコマンナンを選択し、混合多糖ゲルを作製した。この混合ゲルについて、単一多糖ゲルと同じ分析アプローチ(テクスチャー分析)を行い、0.4KCゲルと比較した。0.4KCゲルへの0.5重量%KGMの添加について(以下、KC/KGMゲルと称する)、PEN及びCUTの全てのテクスチャーパラメータの有意な増加が記録された(表4)。貫通又は切断のいずれかによってゲルを破壊するのに必要なエネルギーを表すKC/KGMゲル強度は、0.71 N・mmから15.3 N・mm(20倍の増分)(PEN)及び0.45 N・mmから53.2 N・mm(CUT)(約120倍の増分)に増加する。ゲル強度には、ゲル特性をより脆性の低いものにシフトさせる、硬度及び変形の増加が含まれる。一方、TPAパラメータの増加は少なく、最大1.5倍の上昇を示している。堅さについては、KGM添加によって有意に変化しない。
【0069】
【0070】
このことは、試料(25.0mm)よりも直径が大きい(45.0mm)プローブを用いた、より低くより均一に分布した非破壊的な力の適用(30%圧縮)、は破壊的な方法よりもゲルテクスチャーに関して感受性が低いことを改めて示唆する(単一のKCゲル試験の結果が確認される)。
【0071】
要約すると、単一KCゲルへのKGMの添加は、ゲル強度、特にゲル弾性を何倍も改善することができる。更に、ゲルシネレシスは、KGMの添加によって、更にはジャガイモ繊維(PF)の添加によって減少させることができる。
【0072】
配合物を評価及び改善するために、得られたテクスチャーデータを本物のサーモンと比較する(表4)。本物のサーモンについては、KC/KGM/PFゲルよりもわずかに低いTPA値が報告され得るが、ただし凝集性及びレジリエンスは、それぞれのゲル値のわずか65%であった。CUT法及びPEN法によって決定されたパラメータについては、標準偏差を考慮しても、実際の生のサーモン及びKC/KGM/PFゲルについて同等の値が測定された。
【0073】
要約すると、サーモンのテクスチャーの範囲内のテクスチャーを有するゲル系が、複数の多糖及びイオンの適切な比率での混合物によって確立され得るということである。テクスチャー及びシネレシス試験を分析するために選択した方法は、ゲルにおける差異を識別することができ、ゲルの全体的なテクスチャーに対する各原材料の寄与を理解することを可能にした。ゲル硬度は主にKC及びカチオンに由来する一方で、弾性と変形に対する耐性とはKGMに関連し、KGMは系を粘性化することによってシネレシスを低減する。PFは水の結合に寄与し、半透明性を許容可能なレベルまで低下させる。選択した全ての原材料は、完全な透明(KC)から半透明に減少した場合でも、ゲルの半透明性を維持することができた。
【0074】
テクスチャーパラメータの同等の値が魚テクスチャー及びKC/KGM/PFゲルテクスチャーについて見出されたが、本発明者らは、開発された混合ゲルが、官能評価において、柔らかく、クリーミーであり、口の中で溶ける本物の生のサーモンと比較すると、あまりにもガム質であり、均質であることを実感した。
【0075】
実施例2
ベースゲルへのタンパク質の添加-異なるタンパク質源及び濃度
タンパク質ゲルを、異なるタンパク質源(大豆、乳清、微細藻類、マイコプロテイン)に基づいて調製した。4通りの大豆タンパク質濃度を試験した(1重量%、3重量%、5重量%、7重量%)。乳清及び微細藻類を含むタンパク質ゲルは、3重量%のタンパク質の添加だけで調製し、マイコプロテインは、1.5重量%のレベルで添加した。低い濃度のマイコプロテインを選択したのは、この材料の組成上の理由からである(繊維含量が高い)。予備試験の結果は、3重量%の添加が過度に高いゲル強度をもたらすことを示した。
【0076】
タンパク質源の特性に関する仕様及び更なる説明を以下に示す。表5は、供給業者の仕様に基づくそれぞれのタンパク質源(マイコプロテイン、微細藻類、WPH、WPI)の水分含量[wt%]及び栄養素量[wt%]を示す。栄養素の仕様は、材料(微細藻類:クロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris)、WPI:乳清タンパク質分離物、WPH:乳清タンパク質加水分解物)の湿潤基準及び乾燥基準で示した。
【0077】
【0078】
以下の表6は、複数種の大豆タンパク質(SPI_37、SPI_548、SPH)の水分含量[重量%]及び栄養素量[重量%]を示す。栄養素の仕様は、材料(SPI:大豆タンパク質分離物、SPH:大豆タンパク質加水分解物)の湿潤基準及び乾燥基準で示した。
【0079】
【0080】
大豆タンパク質
複数種の大豆タンパク質を使用した。SPI_37(大豆タンパク質分離物SUPRO EX 37 HG IP-DuPont Nutrition Biosciences ApS)は、多種多様な肉系においてテクスチャー及びエマルジョン安定性を提供するために推奨される機能性大豆タンパク質である。このタンパク質は、クリーンでニュートラルな風味プロファイルを有し、非常に高粘性、高ゲル化及び急速硬化として記載されている。SPI_37と比較して、SPI SUPRO 548 IP(DuPont Nutrition Biosciences ApS)は粘度が低く、中程度から低い程度のゲル化特性を有する。更に、このタンパク質はSPI_37より透明なゲルを形成する。SPH(Soy protein hydrolysate ProDiem Refresh Soy 1307-Kerry Ingredients & Flavours Ltd)は、酵素処理した大豆タンパク分離物から製造されたものである。このタンパク質は、味がよく水に可溶性である。10%溶液はpH4~5を有する。
【0081】
乳清タンパク質
乳清タンパク質分離物(WPI)BIPRO(登録商標)9500を使用した(Agropur Ingredients)。乳清タンパク質加水分解物(WPH)Lacprodan(登録商標)DI-3091(Arla Foods Ingredients)は、高度に加水分解されており、ジペプチド及びトリペプチドの含有量が高い(DH 21~27%)。この加水分解物は、同様の加水分解度の加水分解物と比較して苦味が低い。これは、中性pH液体用途での使用が進められている。
【0082】
微細藻類
海藻風味の噴霧乾燥された緑色微細藻類クロレラ・ブルガリス粉末(Allmicroalgae)の場合、剤栄養素の仕様は、組成が成長条件に従って変動することから、範囲で与えられた。タンパク質含量(湿潤基準)は、54%~65%の範囲に指定されることから、中間(60%)を以降の全ての計算の基準として選択した。
【0083】
マイコプロテイン
マイコプロテインは、糸状菌フサリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)に由来する単細胞タンパク質であり、食品グレードの炭水化物基質を使用して、連続的な無菌発酵プロセスによって製造される。マイコプロテインは、脂質及び炭水化物が少ないが、繊維が豊富な高品質タンパク質源として特徴付けることができる。脂質部分は主に不飽和脂肪酸からなり、一方、繊維は主に不溶性であり、1/3のキチン及び2/3のβ-グルカンから構成される。ABUNDA(登録商標)Mycoprotein Fulica 4F01バッチ6を使用した(3F BioTM Ltd)。
【0084】
タンパク質ゲルの調製
タンパク質ゲルを、ベースゲルと同様に調製した(水和、加熱、成形)が、タンパク質が分散するまで、タンパク質と水(配合物の水の全量)との事前混合を行い(混合時間:約10分)、その後、他の乾燥原材料を添加して、ベースゲルについて記載した水和ステップ(60分、室温)を開始した。マイコプロテインは水に溶解しないため、Ultra Turrax T 25ベーシック(22.000rpm/3分)、(IKA(登録商標)-Werke GmbH & CO. KG)による均質化ステップを追加した後に水和した。概して、予備試験では、酸性であったSPH溶液を除いて、ベースゲル及び異なるタンパク質ゲルの両方について中性pHを示したため、タンパク質水和後のタンパク質分散液のpH調整を行わなかった。このため、SPH溶液を、室温でマグネティックスターラーによる撹拌を行いながら4M NaOHを添加することによって、pH7に中和した。
【0085】
ベースゲルへのタンパク質の添加に起因して、ゲル化剤及び塩にとって利用可能な水分に変化が生じることを回避するために、全てのタンパク質ゲルについて、タンパク質の添加は、ベースゲルの配合物(したがって100%に等しい)に加えて計算される3重量%(タンパク質源のタンパク質含量に基づく)などの濃度として表す。換言すれば、多糖及びイオンと水との比を一定に保った。このことは、タンパク質ゲルとベースゲルとのより良好な比較に有利であり、系へのタンパク質導入の直接的な影響を調べるのに役立つ。ベースゲル(左欄)及び低減されたNaCl含量を有する2通りのベースゲル変形例について、タンパク質ゲルの配合例を表7に示す。タンパク質を添加したベースゲル(0%、1%、2%NaCl)の配合[wt%]を示す。
【0086】
【0087】
異なるタンパク質ゲル配合物についての、(100gのベースゲルに添加する)水の量及びタンパク質粉末の添加、並びに所望の濃度を計算し、それぞれのタンパク質源のそれらの特定の水分及びタンパク質含量を考慮に入れて調整し、各タンパク質の最終配合物とした(表5及び表6)。表8は、ベースゲルとの比較性を維持するために、複数種のタンパク質ゲル(WPH、WPI、マイコプロテイン、微細藻類)について、水[g]及びタンパク質粉末[g]を調整した配合を示す。(示されるタンパク質含量[重量%]は、粉末中の100%タンパク質に相当する)。(微細藻類:クロレラ・ブルガリス、WPI:乳清タンパク質分離物、WPH:乳清タンパク質加水分解物)。
【0088】
【0089】
表9は、ベースゲルとの比較性を維持するために、複数種タンパク質ゲル(SPI_37、SPI_548、SPH)について、水[g]及びタンパク質粉末[g]を調整した配合を示す。(示されるタンパク質含量[重量%]は、粉末中の100%タンパク質に相当する)。(SPI:大豆タンパク質分離物、SPH:大豆タンパク質加水分解物)
【0090】
【0091】
タンパク質ゲルテクスチャー
破壊的方法CUT及びPENのいずれも(
図1)が、ベースゲルへのSPI(SPI_37、SPI_548)の添加において、硬度及び変形の両方を低減することによる、ゲル強度及び剛性の有意な低減を示す。微細藻類クロレラ・ブルガリスの添加によっても同様の低減が生じるが、更に大きな変形の減少を伴い、ゲルの脆弱化を促進する。乳清タンパク質加水分解物(WPH)及び乳清タンパク質分離物(WPI)は、ベースゲルと比較して、硬度、変形、ゲル強度及び剛性を有意に変化させない。CUT法は、2.4倍高い硬度(28.8 N)、約1.5倍高い変形(18.1mm)及び剛性(1.6 N/mm)を有するマイコプロテインゲルをもたらす。いずれも、わずか1.5重量%のタンパク質添加というより低い濃度であっても、3.6倍高いゲル強度(164.5N)をもたらした。対照的に、PEN法は、約1.2倍までの硬度及び剛性の増加を示すが、変形及びゲル強度は、ベースゲルと比較して有意に変化しない。
【0092】
図1は、ベースゲル及び添加タンパク質(3重量%のSPI、WPH、WPIのタンパク質、微細藻類、1.5重量%のマイコプロテイン)を含むベースゲルについて、CUT法及びPEN法によって得られたテクスチャー特性を示す。バーは、標準偏差を伴う平均値を示す(xバー±sd、n=3)。(SPI:大豆タンパク質分離物、WPI:乳清タンパク質分離物、WPH:乳清タンパク質加水分解物、微細藻類:噴霧乾燥した緑色クロレラ・ブルガリス粉末)。
【0093】
対照的に、異なるタイプのタンパク質についてのTPAパラメータ(
図2)を、CUT又はPENによって得られたパラメータでは可能であったように識別することは困難である。堅さは、微細藻類を除く全てのタイプのタンパク質についてベースゲルと異ならず、50%増加する。SPIではガム性が低下するが、他はベースゲルと同じ値のままである。凝集性は、60%に減少する微細藻類を除き、異なる全てのタンパク質について約75%で一定である。同じ例外がレジリエンスにも当てはまり、他のタンパク質並びに参照では約40%という一定レベルであるのに対して、微細藻類では30%の値に低下する。弾力性は、ゲルに関係なく、93%の一定値のままである。
【0094】
ゲルテクスチャーは、力を加えたときのゲル微細構造の巨視的な結果である。したがって、異なるタンパク質ゲルのテクスチャーにおいて観察された差異の理由を、顕微鏡による微細構造観察の結果を参照して考察する。
【0095】
図2は、ベースゲルと、添加タンパク質(3重量%のSPI、WPH、WPIのタンパク質、微細藻類、1.5重量%のマイコプロテイン)を含むベースゲルとについてTPA法によって得られたテクスチャー特性を示す。(SPI:大豆タンパク質分離物、WPI:乳清タンパク質分離物、WPH:乳清タンパク質加水分解物、微細藻類:噴霧乾燥した緑色クロレラ・ブルガリス粉末)。
【0096】
タンパク質ゲル微細構造
ゲルのテクスチャー特性の評価に加えて、ゲル微細構造をCLSM(confocal laser scanningmicroscopy、共焦点レーザー走査顕微鏡法)及びcryoSEM(Cryo Scanning electron Microscopy、クライオ走査電子顕微鏡法)によって可視化した。CryoSEMは、多糖ネットワークによって構築されたゲル三次元構造の可視化を可能にし、一方、CLSMは、ゲル中のタンパク質サイズ、形状及び分布の特異的イメージングを可能にした。これらの2つの方法は、その元の微細構造を破壊することなくゲル内部を観察することを可能にした。
【0097】
異なるタンパク質ゲルのタンパク質微細構造を、Airyscan検出器でアップグレードされたCLSM 710によって分析した。タンパク質ゲル片の表面に10μLの1重量/体積%Fast Green FCFを滴下することにより、タンパク質を蛍光着色した。次いで、イメージングスペーサー1×9×0.12mmを顕微鏡スライド76×21×1mmの上に配置し、着色したゲル試料を中心に置いた。24×46mmのカバーガラスを、試料と接触させてスペーサーの上に配置した。タンパク質は、633nmの励起波長及び645nmの発光波長によって可視化することができた。画像解析は、Zen 2.1ソフトウェアによって行った。
【0098】
CLSMは、ゲルに組み込まれた蛍光着色タンパク質を可視化することを可能にする。SPI_37は、不規則な多分散巨大凝集体(>50μm)を形成したが、SPI_548の凝集体は、直径がより小さく(約20μm)、サイズがより均質であった。WPIの構造はSPI_548に類似しているようであったが、拡大画像は、タンパク質がリッチなゾーン及びタンパク質が乏しいその他のゾーンが存在することを示した。これは、半透明ゲルに組み込まれた白色粒子状凝集体を示すゲル外観と一致する。それに対して、WPHの場合、初期ゲルの半透明性は顕著に変化しない。これは、タンパク質凝集体のサイズが可視光の波長よりも小さいためであることを示している可能性がある。しかしながら、これは、CLSMによって決定された<10μmのより大きなサイズを示すWPHタンパク質サイズと一致しない。染色は、CLSM画像において実際よりも拡大された外観を生じると言えるが、このような大きな違いを説明することはできない。
【0099】
微細藻類ゲルは、単一の完全に丸い球(<3μm)並びに>50μmの直径に達し得るこれらの球のクラスターとしてタンパク質を示した。
【0100】
マイコプロテインの構造は、他のタンパク質の立体構造とは完全に異なっていた。このタンパク質は鎖状構造を有し、部分的に分岐し、互いにねじれ/絡み合って(entrapped)おり、規則的な間隔で一種の収縮を有する。糸の直径は<5μmと推定することができる。
【0101】
ゲルテクスチャーに対するタンパク質含量の影響
D_SPI_37(比較的大きい凝集体)及びSPI_548(比較的小さい凝集体)の相対硬度及び変形(ベースゲル=0重量%のタンパク質=100%)を、0重量%~7重量%の濃度についてプロットした(
図3)。
【0102】
図3は、ベースゲルに添加されたタンパク質量(0~7重量%)に対してプロットされたD_SPI_37及びSPI_548についての相対硬度[%](左)及び相対変形[%](右)を示す。バーは標準偏差を示す。点線は、見やすさのために書き加えたものである。(SPI:大豆タンパク質分離物、D_SPI:予熱したSPI、90℃/5分)。
【0103】
いずれのタンパク質でも、濃度の増加は硬度の減少を引き起こすが、変形に対する効果はタンパク質の種類に特異的である。SPI_548の硬度は、0重量%から3重量%へのタンパク質含量の増加によって100%から70%へ低下し、その後、更なるタンパク質含量増加において一定のままであった。対照的に、充填剤含量が増加するにつれて、D_SPI_37ゲルの硬度は徐々に低下する。3重量%では、初期値(0重量%タンパク質)の約50%に低下し、更に7重量%では20%未満に低下した。
【0104】
D_SPI_37の変形は、7重量%タンパク質で初期値(0重量%タンパク質)の50%に減少した。一方、SPI_548の変形は、タンパク質濃度によって影響を受けず、全ての濃度について初期値を維持する。興味深いことに、ゲル硬度(それぞれの変形)の増加が、1重量%の含量のD_SPI_37で生じた(データ>100%を参照)。おそらく、タンパク質添加による乾燥分増加による安定化効果が、粒径の妨害効果よりも優れていることに起因して、ネットワークが増強された可能性が高い。
【0105】
タンパク質含量に関係なくSPI_548の初期変形が維持されることは、他の傾向と一致しない。凝集体サイズの増加に伴う変形低下の結果に基づき、D_SPI_37の場合のようにタンパク質含量の増加について同じことが示されるはずである。この現象を説明する1つのアプローチは、タンパク質材料が、周囲のゲルネットワークと同様に変形されるのに十分に柔らかく、より高いタンパク質含量でより高い乾燥分となることに起因して、変形に必要な力を単に増加させる、ということである。
【0106】
要約すると、より小さい粒子でより多量のタンパク質を導入することが可能であり、タンパク質凝集体のサイズ及び量の両方がゲル強度に関与することが確認される。このことは、1つのタンパク質タイプによってベースゲル特性を調整するための2つのツールをもたらす。これらの知見は、ゲルのタンパク質含量を増加させて栄養価を高めるために重要であり得る。
【0107】
実施例3
タンパク質を含むゲルのテクスチャーに影響を与えるパラメータ--NaCl濃度、水和、熱処理、及び均質化
構造を調節するために、異なる物理的処理、すなわち予熱処理(変性)、均質化及びその両方の組み合わせ、を用いた大豆タンパク質分離物のそれぞれの立体構造を選択した。ゲル調製プロセスの1時間の水和ステップを開始する前に、前処理を大豆タンパク質分離物分散液に適用した。
【0108】
大豆タンパク質分離物の分散液を予熱するために、タンパク質粉末を、室温で機械的撹拌(200rpm、マグネティックスターラー IKA Ret basic C)下で水で30分間水和させ、続いてマイクロ波NN-B756Bで5分間/1000W又は7分間/1000Wのいずれかで加熱した。選択した熱処理は、それぞれ90℃及び95℃の温度をもたらす。タンパク質分散液を氷水浴中で室温まで冷却した後、残りの乾燥原材料をタンパク質分散液に添加し、次いで、前述のゲル調製プロセスをThermomix中で開始した。タンパク質溶液をマイクロ波によって95℃に加熱し、次いで、蓋をしたポットに移し、規定の時間(15分間)同様の温度に維持することによって、長時間の熱処理を行った。
【0109】
タンパク質凝集体のより均質なサイズ分布を得るために、SPI_37(熱処理)及びSPI_548(非熱処理)の大豆タンパク質分散液を、PandaPlus Homogenius 2000を使用して均質化(ダブルパス)した。2段階の均質化を200バール(第1段階)及び50バール(第2段階)の圧力で適用し、250バールの全圧力をもたらした。タンパク質分散液の均質化後、通常のゲル調製プロセスをThermomix中で開始した。
【0110】
Mastersizer 3000を用いた静的光散乱によって、3重量%の大豆タンパク質分散液(Vittel水中のSPI_37、SPI_548、SPH)中のタンパク質凝集体のサイズを分析した。機器は、300mmの有効共焦点長さを有する逆フーリエレンズ、He-Ne赤色光源(λ=632.8nm)及びLED青色光源(λ=470nm)を有する。Milli-Q水を充填したHydro MV試料分散ユニットへの試料添加は、レーザーのオブスキュレーションが5~7%に達するまで1滴ずつ行った。1.54(タンパク質)及び1.33(水)の屈折率を定義した。タンパク質凝集体の不規則な形状を考慮して、タンパク質の吸収指数を0.01に設定した。結果は、測定された粒子を完全な球として記述するMie理論に基づいて、Malvern 3000 Software 21 CFR Part 11によって計算した。各試料を、各タンパク質分散液について2連内で3回測定した。体積平均径D[4;3](De Brouckere平均直径)及び体積/表面平均D[3;2](Sauter平均直径)を記録して平均し、並びにD90、D50及びD10からスパンを算出し、分布幅を推定した。
【0111】
タンパク質サイズに対する熱処理及び均質化の効果
CLSM画像は、前処理あり及び前処理なしの両方のSPIで作成した。SPI_37については、予熱によるタンパク質凝集体サイズの減少を観察することができるが、予熱されていないSPI_548と予熱されたSPI_548とを区別することは難しい。既に予熱されたSPI_37又は予熱されていないD_SPI_548に均質化を更に適用した場合、粒径の有意な減少を観察することができたが、多分散性も減少した。特に、均質化されたD_SPI_37については、タンパク質凝集体の形状は楕円形に変化したが、これは典型的には、均質化中に起こるようなせん断力の適用のためである。CLSMによりゲル中のタンパク質凝集体サイズの定性的変化を検証するために、定量的SLSを使用して、対応するタンパク質溶液の凝集体サイズを決定した。
【0112】
表10の結果は、体積及び面積加重粒径及びD90、D50及びD10から計算されたスパンを示す。更に、
図4は、異なる前処理を受けたSPI_37(左)及びSPI_548水性分散液(右)(3重量%)の体積加重粒径分布曲線を示す。(3重量%)(SPI:大豆タンパク質分離物、D_SPI:予熱されたSPI、90℃/5分、SPI_Homog.:250バールで均質化されたSPI、D_SPI_Homog.:予熱され均質化されたSPI)。
【0113】
【0114】
いずれのSPIについても、均質化によるより小さいスケールの粒子へのシフトを識別することができ、CLSM画像によって検出された定性的な傾向を証明する。予熱が適用された場合、同様のシフト方向がSPI_37について観察される(D_SPI_37についての曲線を参照)。熱の適用は、大豆タンパク質凝集体の脱凝集を誘導する傾向がある。それに対して、SPI_548の場合、平均体積直径の有意な変化(表10)並びに分布曲線の顕著なシフトは記録されない。両方の定量的知見は、定性的CLSM観察に対応する。
【0115】
タンパク質凝集体サイズとテクスチャーパラメータとの相関
要約すると、いずれの物理的処理方法も、タンパク質凝集体サイズを減少させるのに成功している。ゲル強度は充填剤粒径に依存すると仮定されることから、サイズの減少はひいてはゲル強度を制御することを可能にする。硬度及び変形についての仮説を試験するために、未予熱のSPI、予熱後のSPI及び均質化されたSPIのいずれについても、ゲルの強度及び剛性をそれぞれの粒径に対してプロットした(
図5)。
【0116】
図5は、異なる前処理に供されたSPI_37及びSPI_548の水性分散液(3重量%)の体積平均D[4,3]と、テクスチャーパラメータである硬度、変形、ゲルの強度及び剛性との相関を示す。バーは標準偏差を示す。点線は、見やすさのために書き加えたものである。(3重量%)(SPI:大豆タンパク質分離物、D_SPI:予熱されたSPI、90℃/5分、SPI_Homog.:250バールで均質化されたSPI、D_SPI_Homog.:予熱され均質化されたSPI)。
【0117】
D[4,3]とテクスチャーパラメータとの線形相関が見出された。図中の点線は、見やすさのために書き加えたものである。タンパク質凝集体が小さければ小さいほど、タンパク質充填ゲルのゲル強度は高くなり、逆もまた同様であり、より少ないベースゲルが離断(interrupted)/弱化される。同じことが、変形の増加についても言える。より高度に架橋された(より小さな空隙(タンパク質)による)ゲルネットワークの変形は、より長い程度まで変形に耐えることができる。
【0118】
ベースゲル及びタンパク質含有ベースゲルに対するNaCl含量の影響
ベースゲル及びタンパク質含有ゲルに対するNaCl濃度(0重量%、1重量%、2重量%)の影響についての試験を行い、ベースゲル配合物(表7)を調整し、前述のようにタンパク質及び水の含量を計算した。NaCl(及びKCl)を、タンパク質溶液へ2重量%(それぞれ0.3重量%)のレベルで直接添加することは、タンパク質の沈殿に影響を及ぼす。ベースゲル及びそれぞれのタンパク質ゲルの塩含量を変更することによって、NaClの影響を試験することを選択した。
図6は、NaCl濃度に対してプロットされたベースゲル、D_SPI_37及びSPI_548の硬度、変形、ゲル強度及び剛性を示す。
【0119】
特に、異なる濃度のNaCl(0重量%、1重量%、2重量%)で調製されたベースゲル、D_SPI_37及びSPI_548についてCUT法によって得られたテクスチャー特性を示す。バーは標準偏差を示す。(SPI:大豆タンパク質分離物、D_SPI:予熱したSPI、90℃/5分)。ベースゲルの初期硬度は、2重量%から0重量%へのNaCl含量の減少で、12Nから24Nへと2倍になる。ゲル強度についても同様の倍増が得られ、変形は約12mmから15mmに上昇するだけであり、剛性の増加も少ない。これは、NaCl含量の減少に伴い、硬度の大幅な上昇、並びに変形性及びそれぞれの弾性の中程度の上昇によって、ベースゲルがより強化されることを意味する。
【0120】
実施例4
ビーガン用サーモン類似物の調製
ビーガン用サーモン類似物は、以下の表11に記載の配合に従って調製した。
【0121】
【0122】
最初にタンパク質を予熱して小さな凝集体を作製することによって、オレンジ色の層を調製した。タンパク質を水に懸濁し、混合しながら室温で30分間水和させる。懸濁液を85℃で15分間加熱し、次いで20~40℃に冷却した。予熱したタンパク質懸濁液にコンニャク粉末、カラギーナン、ジャガイモ繊維、KCl、NaCl、及びスクロースを添加し、室温で1時間撹拌を続ける。この工程は、繊維を塩で水和するのに役立つ。次いで、混合物を85℃で15分間、絶えず撹拌しながら加熱して、繊維を可溶化した。混合が強すぎないことが重要であり、そうでなければ、相分離及び過剰な発泡が発生した。香料、DHA油、次いで着色料を添加し、十分に混合する。次に、成形のために混合物を80℃で保持した。
【0123】
白色層は、乾燥粉末形態の白色不溶性繊維によって調製した。竹繊維、ニンジン繊維、サイリウムハスクを含むEmulfiberを使用した。次いで、水を用いて15%炭酸カルシウム懸濁液を調製し、予熱し、冷却した。
【0124】
成形ステップでは、オレンジ色のペースト(80℃の温度に保持)を厚さ1cmの型に加えた。白色粉末の薄層を第1のオレンジ色の層の熱い表面上に散布した。これは、表面が熱い間に行わなければならなかった。炭酸カルシウム懸濁液を白色粉末上に噴霧して、粉末をわずかに水和させた。オレンジ色のペーストの別の層を上に注いだ。オレンジ色の層が5層超になるまで、層形成を繰り返した。最終層はオレンジ色の層であった。オレンジ色のペーストは、層形成のために高温(65℃~85℃)とする必要があった。次いで、ゲルを室温で30分間冷却し、次いで冷蔵庫に保存した。
【0125】
以下のゲル試料を表12に従って調製した。
【0126】
【0127】
試料番号2~7については、タンパク質ゲルは、3%のタンパク質(タンパク質源のタンパク質含量に基づく)を含んでいた。試料番号8及び試料番号9については、タンパク質ゲルは2%タンパク質を含んでいた。
【0128】
ゲル調製のために、混合物を最初に1時間水和し、次いで15分間85℃に加熱した(Thermomix)。得られたゲルを成形し、室温で冷却した。測定は室温で1日目に行った。
【0129】
【0130】
【0131】
カッパ-カラギーナン(KC)、コンニャクグルコマンナン(KGM)、及びジャガイモ繊維(PF)の異なる効果を試験するために、貫通試験を行った。結果を
図7に示し、以下のように要約することができる。
【0132】
【図面の簡単な説明】
【0133】
【
図1】
図1は、ベースゲル及び添加タンパク質(3重量%のSPI、WPH、WPIのタンパク質、微細藻類、1.5重量%のマイコプロテイン)を含むベースゲルについて、CUT法及びPEN法によって得られたテクスチャー特性を示す。
【
図2】
図2は、ベースゲルと、添加タンパク質(3重量%のSPI、WPH、WPIのタンパク質、微細藻類、1.5重量%のマイコプロテイン)を含むベースゲルとについてTPA法によって得られたテクスチャー特性を示す。
【
図3】
図3は、ベースゲルに添加されたタンパク質量(0~7重量%)に対してプロットされたD_SPI_37及びSPI_548についての相対硬度[%](左)及び相対変形[%](右)を示す。
【
図4】
図4は、異なる前処理を受けたSPI_37(左)及びSPI_548水性分散液(右)(3重量%)の体積加重粒径分布曲線を示す。
【
図5】
図5は、異なる前処理に供されたSPI_37及びSPI_548の水性分散液(3重量%)の体積平均D[4,3]と、テクスチャーパラメータである硬度、変形、ゲルの強度及び剛性との相関を示す。
【
図6】
図6は、NaCl濃度に対してプロットされたベースゲル、D_SPI_37及びSPI_548の硬度、変形、ゲル強度及び剛性を示す。
【国際調査報告】