(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(54)【発明の名称】中間チャンバを有する冷却システム
(51)【国際特許分類】
F24F 1/24 20110101AFI20230831BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20230831BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
F24F1/24
F25B1/00 321K
H05K7/20 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023510400
(86)(22)【出願日】2021-08-11
(85)【翻訳文提出日】2023-03-13
(86)【国際出願番号】 US2021045587
(87)【国際公開番号】W WO2022035985
(87)【国際公開日】2022-02-17
(32)【優先日】2020-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521301840
【氏名又は名称】ジョンソン・コントロールズ・タイコ・アイピー・ホールディングス・エルエルピー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119426
【氏名又は名称】小見山 泰明
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,キャメロン・スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】コプコ,ウィリアム・レスリー
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322BA01
5E322BA05
5E322BB03
5E322BB08
5E322EA11
(57)【要約】
本開示は、暖房、換気、空調、及び冷房(HVAC&R)システムの冷却システムに関する。冷却システムは、流体チャンバを画定する筐体を含み、筐体は、流体チャンバ内の液体流体と熱連通し、かつ筐体に結合された電子部品と熱連通するように構成された蒸発面であって、液体流体が流体チャンバ内で蒸気流体に遷移するように、電子部品から液体流体に熱エネルギーを伝達するように構成されている、蒸発面を含み、かつ蒸気流体が流体チャンバ内で液体流体に凝縮するように、蒸気流体から熱エネルギーを吸収するように構成された凝縮面を含む。冷却システムはまた、筐体の外面に結合された排熱システムを含み、排熱システムは、凝縮面から熱エネルギーを吸収するように構成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房、換気、空調、及び冷房(HVAC&R)システムの冷却システムであって、
流体チャンバを画定する筐体であって、
前記流体チャンバ内の液体流体と熱連通し、かつ前記筐体に結合された電子部品と熱連通するように構成された蒸発面であって、前記液体流体が前記流体チャンバ内で蒸気流体に遷移するように、前記電子部品から前記液体流体に熱エネルギーを伝達するように構成されている、蒸発面、及び
前記蒸気流体が前記流体チャンバ内で前記液体流体に凝縮するように、前記蒸気流体から熱エネルギーを吸収するように構成された凝縮面を備える、筐体と、
前記筐体の外面に結合された排熱システムであって、前記排熱システムが、前記凝縮面から熱エネルギーを吸収するように構成されている、排熱システムと、を備える、冷却システム。
【請求項2】
前記排熱システムが、複数のフィンを備える、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記複数のフィンにわたって空気を強制するように構成されたファンを備える、請求項2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記複数のフィンにわたって空気を案内するように構成された追加の筐体を備え、前記冷却システムの少なくとも一部が、前記追加の筐体内に配設されている、請求項2に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記筐体内に位置決めされた複数のバッフルを備え、前記複数のバッフルが、前記蒸気流体を前記凝縮面に向けて誘導するように構成されている、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記複数のバッフルの各バッフルが、前記凝縮面に向かって下向きの角度で傾斜している、請求項5に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記流体チャンバ内に位置決めされており、前記流体チャンバ内に前記液体流体のカラムを作り出し、かつ前記液体流体を前記蒸発面に向けて誘導するように構成されている、バッフルを備える、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記バッフルが、重力に対して前記筐体の底面の上方に配設されて、前記バッフルと前記底面との間に間隙を形成する、請求項7に記載の冷却システム。
【請求項9】
暖房、換気、空調、及び冷房(HVAC&R)システムの冷却システムであって、
排熱システムと、
内部に流体を包有するように構成された流体チャンバを画定する筐体と、を備え、前記筐体が、
前記筐体に結合された電子部品と熱連通するように構成された第1の表面であって、前記第1の表面が、前記電子部品から前記流体に熱エネルギーを伝達して、前記筐体内で前記流体を気化させるように構成されている、第1の表面と、
前記排熱システムと熱連通している第2の表面であって、前記第2の表面が、前記流体から前記排熱システムに熱エネルギーを伝達して、前記筐体内で前記流体を凝縮するように構成されている、第2の表面と、を備える、冷却システム。
【請求項10】
前記排熱システムが、前記筐体の横側面上の前記筐体の外面に結合された複数のフィンを備える、請求項9に記載の冷却システム。
【請求項11】
前記複数のフィンにわたって空気流を誘導するように構成されたファンを備え、前記冷却システムが、前記流体チャンバ内で気化された流体を第1の方向に誘導するように構成されており、前記冷却システムが、前記第1の方向とは反対の第2の方向に、前記流体チャンバ内で凝縮された流体を誘導するように構成されており、前記ファンが、前記第1の方向に前記複数のフィンにわたって前記空気流を誘導するように構成されている、請求項10に記載の冷却システム。
【請求項12】
前記流体チャンバ内の前記流体の動作パラメータを検出し、かつ前記動作パラメータを示すフィードバックを出力するように構成されたセンサと、
前記センサ及び前記ファンに通信可能に結合されたコントローラであって、前記コントローラが、前記フィードバックに応答して前記ファンの動作を調整するように構成されている、コントローラと、を備える、請求項11に記載の冷却システム。
【請求項13】
前記第1の表面が、前記筐体の底面であり、前記第2の表面が、前記第1の表面に対して交差方向に延在する、請求項9に記載の冷却システム。
【請求項14】
前記筐体に結合された前記電子部品を備え、前記第1の表面が、開口部を備え、前記電子部品は、前記電子部品の少なくとも一部が、前記第1の表面の少なくとも一部を形成して、前記電子部品と前記流体との間の直接接触を可能にするように、前記開口部と整列している、請求項9に記載の冷却システム。
【請求項15】
前記筐体が、前記流体チャンバに対して前記第2の表面に対向する第3の表面を備え、前記第3の表面が、前記第1の表面から前記第2の表面に向けて蒸気流体を誘導するように、前記第2の表面に向けて角度が付けられている、請求項9に記載の冷却システム。
【請求項16】
暖房、換気、空調、及び冷房(HVAC&R)システムであって、
前記HVAC&Rシステムの動作中に熱を発生させるように構成された電子部品と、
前記電子部品に結合された冷却システムと、を備え、前記冷却システムが、
液体流体を包有するように構成された流体チャンバを画定する筐体と、
前記電子部品と熱連通している前記筐体の蒸発面であって、前記蒸発面が、前記電子部品から前記流体チャンバ内の前記液体流体に熱エネルギーを伝達して、前記液体流体を蒸気流体に気化させるように構成されている、蒸発面と、
前記冷却システムの排熱システムと熱連通するように構成された前記筐体の凝縮面であって、前記凝縮面が、前記蒸気流体から前記排熱システムに熱エネルギーを伝達して、前記蒸気流体を前記液体流体に凝縮するように構成されている、凝縮面と、
前記筐体内に配設されており、前記蒸発面から前記凝縮面に向けて前記蒸気流体を誘導するように構成されているバッフルと、を備える、暖房、換気、空調、及び冷房(HVAC&R)システム。
【請求項17】
前記蒸発面が、前記筐体の第1の側面上に配設されており、前記凝縮面が、前記筐体の前記第1の側面に対向する第2の側面上に配設されている、請求項16に記載のHVAC&Rシステム。
【請求項18】
前記筐体内、かつ前記蒸発面と前記凝縮面との間に位置決めされた追加のバッフルを備え、前記追加のバッフルが、前記追加のバッフルと前記凝縮面との間に前記液体流体のカラムを作り出し、かつ前記凝縮面から前記蒸発面に向けて前記液体流体を誘導するように構成されている、請求項17に記載のHVAC&Rシステム。
【請求項19】
前記筐体が、所定の閾値を超える前記筐体内の圧力に応答して作動するように構成された圧力解放装置を備える、請求項16に記載のHVAC&Rシステム。
【請求項20】
前記排熱システムを備え、前記排熱システムが、前記筐体に結合された複数のフィンを備え、前記複数のフィンが、前記凝縮面から、前記複数のフィンにわたって誘導される空気流に熱エネルギーを伝達するように構成されている、請求項16に記載のHVAC&Rシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、あらゆる目的のために全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年8月11日に出願された、「HEAT SINK WITH INTERMEDIATE CHAMBER」と題する米国仮特許出願第63/064,311号からの優先権及びその利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
本項は、以下に記載される本開示の様々な態様に関連し得る、当該技術の様々な態様を読者に紹介することを意図する。本考察は、本開示の様々な態様のより良い理解を容易にするために、読者に背景情報を提供するのに役立つと考えられる。したがって、これらの記載は、この観点から読むべきものであって、先行技術を承認するものとして読むべきものではないと、理解すべきである。
【0003】
熱を発生させる電子機器は、例えば、様々な熱交換器(例えば、コイル、シェル及びチューブ、ラウンドチューブプレートフィン、マイクロチャネル、ヒートシンク、ヒートパイプ、並びに/又はフィン付き熱交換器)と併せて、空気、冷媒、水、及びグリコールなどの様々な流体のうちのいずれかを使用して冷却され得る。熱交換器の設計は、コスト、熱交換器のサイズ、及び効率などの他の要因に加えて、除去される熱量に基づき得る。ヒートシンクは、比較的コンパクトな設計及び低コストであり得るため、ヒートシンクは小型電子部品で利用される一般的なタイプの熱交換器である。多くのヒートシンクは、対流冷却のためにフィンを利用している。しかしながら、ヒートシンクを形成するために典型的に使用される金属材料は、所望の効率レベルで電子部品を動作させることも可能にする一方、熱の拡散を可能にするのに十分な熱伝導性特性を有さない場合がある。
【0004】
冷却電子機器のための他の熱交換器ソリューションには、伝導によって電子部品からの熱の拡散を可能にするチューブ又はパイプを通して冷却流体の流れを誘導するヒートパイプが含まれる。典型的には、冷却流体は、ヒートパイプの内面上のウィック構造によって生成され得る毛管効果によってチューブ又はパイプを通って流れる。しかしながら、ヒートパイプソリューションは、冷却流体に作用する摩擦及びせん断力のために制限され得、これは、ヒートパイプによって電子部品から除去される熱の量を減少させ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示されるある特定の実施形態の概要が、以下に記載されている。これらの態様は、これらのある特定の実施形態の簡潔な概要を読者に提供するために提示されているだけであり、これらの態様は、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。実際、本開示は、以下に記載されない可能性のある様々な態様を包含し得る。
【0006】
一実施形態では、暖房、換気、空調、及び冷房(HVAC&R)システムの冷却システムは、流体チャンバを画定する筐体を含み、筐体は、流体チャンバ内の液体流体と熱連通し、かつ筐体に結合された電子部品と熱連通するように構成された、蒸発面を含み、ここで、蒸発面は、液体流体が流体チャンバ内で蒸気流体に遷移するように、電子部品から液体流体に熱エネルギーを伝達するように構成されており、かつ筐体は、蒸気流体が流体チャンバ内で液体流体に凝縮するように、蒸気流体から熱エネルギーを吸収するように構成された凝縮面を含む。冷却システムはまた、筐体の外面に結合された排熱システムを含み、ここで、排熱システムは、凝縮面から熱エネルギーを吸収するように構成されている。
【0007】
別の実施形態では、暖房、換気、空調、及び冷房(HVAC&R)システムの冷却システムは、排熱システムと、内部に流体を包有するように構成された流体チャンバを画定する筐体と、を含む。筐体は、筐体に結合された電子部品と熱連通するように構成された第1の表面であって、第1の表面が、電子部品から流体に熱エネルギーを伝達して、筐体内で流体を気化させるように構成されている、第1の表面と、排熱システムと熱連通している第2の表面であって、第2の表面が、流体から排熱システムに熱エネルギーを伝達して、筐体内で流体を凝縮するように構成されている、第2の表面と、を含む。
【0008】
更なる実施形態では、暖房、換気、空調、及び冷房(HVAC&R)システムは、HVAC&Rシステムの動作中に熱を発生させるように構成された電子部品と、電子部品に結合された冷却システムと、を含む。冷却システムは、液体流体を包有するように構成された流体チャンバを画定する筐体と、電子部品と熱連通している筐体の蒸発面であって、蒸発面が、電子部品から流体チャンバ内の液体流体に熱エネルギーを伝達して、液体流体を蒸気流体に気化させるように構成されている、蒸発面と、冷却システムの排熱システムと熱連通するように構成された筐体の凝縮面であって、凝縮面が、蒸気流体から排熱システムに熱エネルギーを伝達して、蒸気流体を液体流体に凝縮するように構成されている、凝縮面と、筐体内に配設されており、蒸発面から凝縮面に向けて蒸気流体を誘導するように構成された、バッフルと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の様々な態様は、以下の詳細な説明を読み、図面を参照することによってより良く理解され得る。
【0010】
【
図1】本開示の一態様による、商業的環境において暖房、換気、空調、及び冷房(HVAC&R)システムを利用し得る建物の一実施形態の斜視図である。
【
図2】本開示の一態様による、蒸気圧縮システムの一実施形態の斜視図である。
【
図3】本開示の一態様による、蒸気圧縮システムの一実施形態の概略である。
【
図4】本開示の一態様による、蒸気圧縮システムの一実施形態の概略である。
【
図5】本開示の一態様による、中間流体チャンバを有する冷却システムの一実施形態の概略斜視図である。
【
図6】本開示の一態様による、中間流体チャンバを有する冷却システムの一実施形態の概略断面側面図である。
【
図7】本開示の態様による、電子部品を冷却するように構成された冷媒回路を含む冷却システムの一実施形態の概略である。
【
図8】本開示の一態様による、電子部品を冷却するように構成された熱交換器の一実施形態の斜視図である。
【
図9】本開示の一態様による、電子部品と結合されており、電子部品を冷却するように構成された、熱交換器の一実施形態の斜視図である。
【
図10】本開示の一態様による、電子部品に結合された中間流体チャンバを冷却するように構成された冷媒回路を含む冷却システムの一実施形態の概略である。
【
図11】本開示の一態様による、電子部品に結合されたヒートパイプを冷却するように構成された冷媒回路を含む冷却システムの一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の1つ以上の特定の実施形態について以下で説明する。説明するこれらの実施形態は、本開示の技術の例である。加えて、これらの実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実装例のある特定の特徴が本明細書で説明されていない場合がある。任意のそのような実際の実装例の開発においては、任意のエンジニアリング又は設計プロジェクトにおけるように、開発者固有の目標を達成するためには、システム関連及び業界関連の制約への準拠など、実装例ごとに異なり得る多くの実装例固有の決定が行われることを理解されたい。更に、そのような開発努力は、複雑かつ時間がかかるものであり得るが、それにもかかわらず、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては、設計、製作、及び製造の決まりきった仕事となることを理解されたい。
【0012】
本開示の様々な実施形態の要素を導入するとき、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、要素のうちの1つ以上が存在することを意味することが意図される。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、包括的であることが意図され、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。加えて、本開示の「一実施形態(one embodiment)」又は「一実施形態(an embodiment)」への言及は、列挙された特徴を同様に組み込む追加の実施形態の存在を除外するものとして解釈されることを意図するものではないことを理解されたい。
【0013】
暖房、換気、空調、及び冷房(HVAC&R)システムは、建物、住居、又は他の好適な構造内の空間を熱的に調整するために使用され得る。例えば、HVAC&Rシステムは、冷媒などの熱伝達流体と、空気又は水などの調整される流体との間で熱エネルギーを伝達する蒸気圧縮システムを含み得る。蒸気圧縮システムは、導管を介して互いに流体結合された凝縮器及び蒸発器を含み得る。圧縮器を使用して、導管を通して流体を循環させ、したがって、凝縮器と蒸発器との間の熱エネルギーの伝達を可能にし得る。
【0014】
多くの場合、HVAC&Rシステムの圧縮器は、モータによって駆動され得る。モータは、可変速ドライブ(VSD)を含み得る制御システムに通信可能に結合され得る。各VSDは、比較的高い熱流束(例えば、1平方メートル当たり1メガワット(MW/m2))を生成し得る、プリント回路基板などの複数の電子部品を含み得る。これらの電子部品を効率的に動作させるために、冷却システムを利用して、電子部品からの、及び電子部品によって発生した熱を除去し、それによって電子部品の過熱を回避し得る。典型的な冷却システムは、それぞれ液体及び空気の流れを介して電子部品からの熱を排除する、液冷構成及び空冷構成を含む。例えば、液冷冷却システムは、電子部品と熱連通しているチューブを通して流体を循環させるヒートパイプを含み得る。空冷冷却システムは、電子部品の表面にわたって空気流を強制するファン、及び/又は電子部品に取り付けられたヒートシンクを含み得る。したがって、異なる冷却システムを使用して、VSD内の個々の電子部品を冷却し得る。残念ながら、従来の冷却システムには、サイズ、冷却容量、及び/又はコストに関連する欠点がある。
【0015】
本開示の実施形態は、流体チャンバ及びフィンなどの排熱システム(例えば、ヒートシンク)を含む改善された冷却システムを対象とする。例えば、改善された冷却システムは、電子部品に結合された流体チャンバを含み得、電子部品は、流体チャンバ内に配設された流体(例えば、HVAC&Rシステムの冷媒、専用又は隔離された冷媒、水など)と熱連通している。加えて、排熱システムは、流体と熱連通して流体を冷却し得る。ある特定の実施形態では、排熱システム(例えば、ヒートシンク)は、流体チャンバの一部に結合されたフィンを含み、流体を(例えば、フィンを取り囲む)流体チャンバの外部の空気又は他の流体流と熱連通するように流体を位置付けし得る。いくつかの実施形態では、空気は、フィンにわたって(例えば、ファンを介して)流れるように強制されて、流体の冷却を促進し、したがって、冷却システムの流体によって提供される冷却量を増加させ得る。流体チャンバは、蒸発面(例えば、電子部品と熱連通している)及び凝縮面(例えば、フィンと熱連通している)を含み得る。よって、流体チャンバ内の流体は、蒸発面で電子部品から熱(例えば、熱エネルギー)を吸収し得る。流体が熱を吸収するにつれて、流体は蒸発して流体チャンバ内で凝縮面に向かって流れ得る。特に、液体流体は、蒸発面を介して電子部品から熱を吸収し、蒸気流体に蒸発し、かつ流体チャンバ内で上昇して凝縮面に向かって流れ得る。蒸気流体は、凝縮面に接触して、蒸気流体からフィンに熱を伝達し、それによって液体流体に戻って凝縮し得る。加えて、フィンは、外部空気(例えば、流体チャンバを取り囲む空気)に熱を伝達し得、それによって、冷却システムからの熱を排除する。フィンは、自然又は強制対流を介して外部空気に熱を伝達し得る。よって、改善された冷却システムは、伝導及び対流の両方を利用して、従来の冷却システムと比較して、電子部品の冷却を改善し得る。
【0016】
追加的又は代替的な実施形態では、冷却システムは、流体チャンバ内の流体を冷却するように構成された異なる排熱システムを含み得る。例として、冷却システムは、追加の流体(例えば、冷媒、水)を循環させ得る冷媒システム(例えば、蒸気圧縮システム、冷媒回路、空冷チラー)を含み得る。冷媒システムは、追加の流体を冷却し、追加の流体を、凝縮面においてなど、流体チャンバ内の流体と熱連通するように位置付けし得る。このようにして、冷却システムは、流体チャンバ内の流体に対して、フィン又は他のヒートシンクによって提供される冷却以外の、追加的又は代替的な冷却を提供し得る。
【0017】
ここで図面に目を向けると、
図1は、典型的な商業的環境のための建物12内の暖房、換気、空調、及び冷房(HVAC&R)システム10の環境の一実施形態の斜視図である。HVAC&Rシステム10は、建物12を冷却するために使用され得る、冷やされた液体を供給する蒸気圧縮システム14(例えば、チラー、ヒートポンプ、空気ハンドリングユニット、空調機、冷却機、冷凍機)を含み得る。HVAC&Rシステム10はまた、建物12を暖房するために暖かい液体を供給するためのボイラ16と、建物12を通して空気を循環させる空気分配システムと、を含み得る。空気分配システムはまた、空気戻りダクト18、空気供給ダクト20、及び/又は空気ハンドラ22を含み得る。いくつかの実施形態では、空気ハンドラ22は、導管24によってボイラ16及び蒸気圧縮システム14に接続されている熱交換器を含み得る。空気ハンドラ22内の熱交換器は、HVAC&Rシステム10の動作モードに応じて、ボイラ16からの加熱された液体、又は蒸気圧縮システム14からの冷やされた液体のいずれかを受容し得る。HVAC&Rシステム10は、建物12の各フロアに別個の空気ハンドラを伴って示されているが、他の実施形態では、HVAC&Rシステム10は、フロア間で共有され得る空気ハンドラ22及び/又は他の構成要素を含み得る。
【0018】
図2及び
図3は、HVAC&Rシステム10内で使用され得る蒸気圧縮システム14の実施形態を示している。蒸気圧縮システム14は、圧縮器32から始まる回路を通して冷媒を循環させ得る。回路はまた、凝縮器34と、膨張バルブ又は膨張装置36と、液体チラー又は蒸発器38と、を含み得る。蒸気圧縮システム14は、アナログ-デジタル(A/D)変換器42、マイクロプロセッサ44、不揮発性メモリ46、及び/又はインターフェースボード48を有する、制御パネル40を更に含み得る。
【0019】
蒸気圧縮システム14内で冷媒として使用され得る流体のいくつかの例は、ハイドロフルオロカーボン(HFC)系冷媒、例えば、R-410A、R-407、R-134a、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、アンモニア(NH3)、R-717、二酸化炭素(CO2)、R-744、若しくは炭化水素系冷媒のような「天然」冷媒、水蒸気、又は任意の他の好適な冷媒である。いくつかの実施形態では、蒸気圧縮システム14は、R-134aなどの中圧冷媒と比較して、低圧冷媒とも称される、1大気圧で摂氏約19度(華氏66度)の標準沸点を有する冷媒を効率的に利用するように構成され得る。本明細書で使用される場合、「標準沸点」は、1大気圧で測定される沸点温度を指し得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、蒸気圧縮システム14は、可変速ドライブ(VSD)52、モータ50、圧縮器32、凝縮器34、膨張バルブ若しくは膨張装置36、及び/又は蒸発器38のうちの1つ以上を使用し得る。モータ50は、圧縮器32を駆動し得、可変速ドライブ(VSD)52によって電力を供給され得る。VSD52は、交流(AC)電源からの特定の固定回線電圧及び固定回線周波数を有するAC電力を受電し、可変電圧及び周波数を有する電力をモータ50に提供する。他の実施形態では、モータ50は、AC電源又は直流(DC)電源から直接電力供給され得る。モータ50は、VSDによって、又はAC若しくはDC電源から直接電力供給され得る任意のタイプのモータ、例えば、スイッチトリラクタンスモータ、誘導モータ、電子整流式永久磁石モータ、又は別の好適なモータを含み得る。
【0021】
圧縮器32は、冷媒蒸気を圧縮し、蒸気を、排出通路を通して凝縮器34に送達する。いくつかの実施形態では、圧縮器32は、遠心式圧縮器であり得る。圧縮器32によって凝縮器34に送達される冷媒蒸気は、凝縮器34内の冷却流体(例えば、水又は空気)に熱を伝達し得る。冷媒蒸気は、冷却流体との熱伝達の結果として、凝縮器34内の冷媒液に凝縮し得る。凝縮器34からの液体冷媒は、膨張装置36を通って蒸発器38に流れ得る。
図3の例示される実施形態では、凝縮器34は水冷式であり、冷却流体を凝縮器34に供給する冷却塔56に接続されたチューブ束54を含む。
【0022】
蒸発器38に送達された液体冷媒は、別の冷却流体からの熱を吸収し得、この冷却流体は、凝縮器34で使用されるのと同じ冷却流体であってもなくてもよい。蒸発器38内の液体冷媒は、液体冷媒から冷媒蒸気への相変化を受け得る。
図3の例示される実施形態に示されるように、蒸発器38は、冷却負荷62に接続された供給ライン60S及び戻りライン60Rを有する、チューブ束58を含み得る。蒸発器38の冷却流体(例えば、水、エチレングリコール、塩化カルシウムブライン、塩化ナトリウムブライン、又は任意の他の好適な流体)は、戻りライン60Rを介して蒸発器38に入り、供給ライン60Sを介して蒸発器38を出る。蒸発器38は、冷媒との熱伝達を介して、チューブ束58内の冷却流体の温度を低減させ得る。蒸発器38内のチューブ束58は、複数のチューブ及び/又は複数のチューブ束を含み得る。いずれにしても、蒸気冷媒は、蒸発器38を出て、吸込みラインによって圧縮器32に戻り、サイクルを完了する。
【0023】
図4は、凝縮器34と膨張装置36との間に組み込まれた中間回路64を有する蒸気圧縮システム14の一実施形態の概略である。中間回路64は、凝縮器34に直接流体接続された入口ライン68を有し得る。他の実施形態では、入口ライン68は、凝縮器34に間接的に流体結合され得る。
図4の例示される実施形態に示されるように、入口ライン68は、中間容器70の上流に位置決めされた第1の膨張装置66を含む。いくつかの実施形態では、中間容器70は、フラッシュタンク(例えば、フラッシュインタークーラ)であり得る。他の実施形態では、中間容器70は、熱交換器又は「表面エコノマイザ」として構成され得る。
図4の例示される実施形態では、中間容器70は、フラッシュタンクとして使用されており、第1の膨張装置66は、凝縮器34から受容した液体冷媒の圧力を低下させる(例えば、膨張させる)ように構成されている。膨張プロセス中、液体の一部を気化させることができ、ひいては、中間容器70を使用して、第1の膨張装置66から受容された液体から蒸気を分離することができる。
【0024】
加えて、中間容器70は、液体冷媒が中間容器70に入るときに経る圧力低下のために(例えば、中間容器70に入るときに経る容積の急激な増加のために)、液体冷媒の更なる膨張をもたらし得る。中間容器70内の蒸気は、圧縮器32の吸込みライン74を通して、圧縮器32によって引き出され得る。他の実施形態では、中間容器内の蒸気は、(例えば、吸込みステージではなく)圧縮器32の中間ステージに引き込まれ得る。中間容器70に集まる液体は、膨張装置66及び/又は中間容器70内での膨張のために、凝縮器34を出る液体冷媒よりも低いエンタルピーであり得る。次いで、中間容器70からの液体が、ライン72内を、第2の膨張装置36を通して蒸発器38に流れ得る。
【0025】
本明細書に記載の特徴のうちのいずれかは、蒸気圧縮システム14の一実施形態又は任意の他の好適なHVAC&Rシステムに組み込まれ得ることを理解されたい。上で考察されるように、様々な電子部品は、VSD52内に位置し得る。実際、HVAC&Rシステム10の他の部分はまた、HVAC&Rシステム10のコントローラなどの電子部品を含み得る。本実施形態によれば、改善された冷却システムは、HVAC&Rシステム10の電子部品から熱を除去するため、及びHVAC&Rシステム10から電子部品によって発生した熱を排除するために含まれる。
【0026】
例えば、
図5は、排熱システム101と、排熱システム101と熱連通している流体チャンバ108(例えば、中間流体チャンバ、コンテナ、容器、タンクなど)と、を有する冷却システム100の一実施形態の概略である。図示の実施形態では、排熱システム101は、流体チャンバ108に結合(例えば、熱結合)されたフィン110(例えば、ヒートシンク)を含む。冷却システム100は、上述のVSD52の電子部品などのHVAC&Rシステム10の電子部品112から熱を除去するように構成されている。流体チャンバ108は、一般に、その中に流体106を包有するように構成された容器、ハウジング、又は他の筐体105によって画定されている。以下で考察されるように、いくつかの実施形態では、流体106は冷媒であり得る。筐体105及び/又は流体チャンバ108は、筐体105上に、又は筐体105によって(例えば、流体チャンバ108の内部中に)形成された蒸発面102及び凝縮面104を含む。フィン110は、凝縮面104の背中合わせ側にある筐体105の外面111上に配設されている。凝縮面104及びフィン110は、(例えば、筐体105の)冷却システム100の特定の側面上に図示されているが、凝縮面104及びフィン110は、冷却システム100の任意の他の好適な側面上に位置決めされ得ることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、凝縮面104及び/又はフィン110は、冷却システム100の頂部側面又は上側面など、蒸発面102に対向する冷却システム100(例えば、筐体105)の側面上に配設され得る。
【0027】
図示の実施形態では、筐体105は、流体チャンバ108を一般に画定する長方形の箱又はコンテナ(例えば、長方形のプリズム)として形成されており、銅、アルミニウム、鋼、又は別の好適な金属などの金属材料から形成され得る。他の実施形態では、筐体105は、任意の他の好適な形状又はプロファイルを有し得る。例えば、筐体105及び/又は流体チャンバ108は、球形、立方体、円筒形、三角形、台形、六角形、又は任意の他のタイプの形状であり得る。いずれにしても、筐体105のサイズ、内部容積、及び/又は形状は、電子部品112によって拒絶される予想される熱密度、HVAC&Rシステム10のサイズ制約、流体チャンバ108内に包有される流体106のタイプ、流体チャンバ108内に包有される流体106の量、又は他の動作パラメータに基づいて、流体チャンバ108内に維持される流体の目標圧力に基づいて選ばれかつ/又は選択され得る。実際、流体チャンバ108及び/又は筐体105のサイズは、流体チャンバ108の容積(例えば、連続容積、開放容積)内で流体106が循環して(例えば、凝縮面104と蒸発面102との間で)、流体チャンバ108内で流体106(例えば、液体流体)を誘導するために毛管構造(例えば、ウィック)及び導管などのある特定の追加の特徴を組み込むことなく、電子部品112を冷却することを可能にするように選択され得る。よって、流体106によって提供される冷却量は、流体チャンバ108内(例えば、筐体105の容積内で)での流体106の循環中に流体106に付与される摩擦力又はせん断力によって制限されないこととなり得る。
【0028】
筐体105は、流体チャンバ108内から筐体105を取り囲む環境への流体106の流れを遮断するための密閉された(例えば、ハーメチックシールされた)コンテナであり得る。理解されるように、流体チャンバ108内の流体106の隔離は、(例えば、流体チャンバ108内で流体106を循環させるためのポンプに電力を供給するために)追加の電力を利用することなく、冷却システム100が動作することを可能にする。いくつかの実施形態では、筐体105は、流体チャンバ108内への流体106の流れを選択的に可能にする(例えば、流体チャンバ108を流体106で満たす、かつ/又はそれ以外の場合、流体チャンバ108内の流体106の量を調節する)充填ポート113を含み得る。例えば、充填ポート113は、凝縮面104及び/又はフィン110を含まない筐体105の側面上に位置し得る。充填ポート113の位置はまた、流体106(例えば、液体状態の流体106)が蒸発面102の全体又は実質的に全体の表面積を覆い、被さり、かつ/又は完全に接触するように、流体チャンバ108が流体106で少なくとも部分的に満たされる(例えば、充填ポート113を介した流体チャンバ108から出る流体106の望ましくない流れを遮断する)、ことを可能にするように選択され得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、流体チャンバ108は、最初に、充填ポート113を介して流体106で満たされ得、その後、充填ポート113は、流体106が流体チャンバ108から流出するのを遮断するために、ろう付けされるか、又はそうでなければ機械的にシールされて封鎖され得る。他の実施形態では、充填ポート113は、流体チャンバ108(例えば、筐体105の内部容積)への将来の選択的アクセスを可能にするバルブ又はプラグなどのシーリング要素を含み得る。このようにして、充填ポート113は、例えば、流体チャンバ108を追加の流体106で定期的に満たすため、及び/又はそれ以外の場合、流体チャンバ108内の流体106の量を調節するために利用され得る。更に、筐体105は、例えば、追加の流体106を追加すべきかどうか、かつ/又は流体106が流体チャンバ108に追加されるときに充填ポート113が閉鎖されるべきか、又はシールされるべきかどうかを判定するために、流体チャンバ108内の流体106の量を観察し、監視するためのサイトグラス(図示せず)を含み得る。
【0030】
1つ以上の実施形態では、筐体105及び/又は流体チャンバ108は、圧力解放装置115(例えば、圧力解放バルブ)を含み得る。圧力解放装置115は、流体チャンバ108内の流体106の圧力がある特定の圧力閾値(例えば、閾値圧力値)に達するか、又はそれを超えるときなどに、流体チャンバ108からの流体106の排出を自動的に可能にするように構成されたバルブ、ディスク、又は任意の他のタイプの圧力解放装置であり得る。例えば、圧力解放装置115は、筐体105の側面又は表面(例えば、筐体105の頂面並びに/又は凝縮面104及び/若しくはフィン110を含まない側面表面)上に配設されたバーストディスクを含み得る。そのような実施形態では、バーストディスクは、流体チャンバ108内の圧力が所定の閾値を超えたときに作動(例えば、バースト)し得、それによって、流体チャンバ108からの流体106の排出を可能にし、流体チャンバ108内の圧力を減少させる。換言すれば、圧力解放装置115は、流体チャンバ108(例えば、筐体105の内部容積)に流体結合又はさらされ得、また、筐体105を取り囲む環境に流体結合又はさらされ得る。結果として、圧力解放装置115が作動されたとき、流体チャンバ108は、圧力解放装置115を介して、筐体105を取り囲む環境に流体結合されることになり、それによって、流体チャンバ108内の圧力を減少させるために、流体チャンバ108から出る流体106の流れを可能にする。
【0031】
流体チャンバ108内の流体106は、水、グリコール、アルコール、R-1233zd、R-123、R-1234ze、R-1234yf、R-134a、R-410A、R-32などの任意の好適なタイプの流体、又はHVAC&Rシステム及び/又は熱伝達のために使用される別の好適なタイプの冷媒であり得る。冷却システム100の動作中、流体106は、液体状態、気体状態又は蒸気状態、二相状態などの様々な状態の間で交互に変化し得る。流体チャンバ108内の流体106は、沸点温度及び/又は圧力などの流体106の動作パラメータに基づいて選択され得る。追加的又は代替的に、流体106は、電子部品112によって発生する熱の目標又は予想される量に基づいて、並びに筐体105及び/又は流体チャンバ108の1つ以上のパラメータ、例えば、筐体105及び/又は流体チャンバ108のサイズ、形状、及び/又は材料に基づいて選択され得る。一部の場合では、比較的低い温度及び/又は比較的低い圧力で蒸発(例えば、沸騰)する流体が、流体チャンバ108内で利用され得る。実際には、流体106が冷却システム100の動作中に熱を伝達するように機能するときに、流体106の実質的に均一な圧力を達成するために、流体106のタイプ及び/又は量が選択され得る。いずれにしても、流体106は、冷却システム100の動作中に流体チャンバ108内の様々な相(例えば、液体及び蒸気)間で繰り返し遷移し得る。
【0032】
上述のように、筐体105及び/又は流体チャンバ108は、筐体105の側面114(例えば、底面)上の蒸発面102を含む。蒸発面102は、流体チャンバ108内部の流体106と部分的又は完全に接触している。このようにして、電子部品112と流体106との間の熱連通は、蒸発面102を介して可能にされる。より具体的には、筐体105及び/又は流体チャンバ108は、(例えば、流体チャンバ108内に液体プール107を形成する)流体チャンバ108内の液相中の流体106が、電子部品112が熱的に接続されている(例えば、伝導による)蒸発面102を部分的又は完全に覆い得るように配置又は構成されている。この目的のために、蒸発面102は、流体チャンバ108の(例えば、重力に対して)底部又は下部に形成又は位置決めされている。電子部品112は、側面114上において筐体105に結合(例えば、装着)され得、流体チャンバ108の外部に配設され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、蒸発面102は、銅又は別の導体材料を含む。実際、いくつかの実施形態では、蒸発面102は、筐体105の他の部分とは異なる材料を含み得る。更に、蒸発面102は、電子部品112と流体106との間の熱伝達を促進するテクスチャ、溝、フィン、空洞、細孔、又は他のタイプの表面強化によって強化され得る。例えば、蒸発面102は、電子部品112に対してシールされ得、電子部品112と液体流体106との間の何らかの直接接触を可能にするために、多孔質であり得る(例えば、1つ以上の穴を含む)。このようにして、電子部品112と液体流体106との間の熱伝達の抵抗が減少するのは、液体流体106が、蒸発面102を通って全ての熱を伝達するのではなく、電子部品112と直接熱を交換し得るためである。
【0034】
動作中、蒸発面102は、電子部品112から流体106に熱を伝達し、それによって、流体106に温度の上昇、蒸発、及び液体状態から蒸気状態への遷移をもたらす。次いで、蒸気流体106は、蒸発面102から、及び蒸発面102に隣接する流体チャンバ108内に収集された液体プール107から、方向116(例えば、重力に対して上方向)に流れ得る。実際、蒸気流体106は、流体チャンバ108の底部にある液体プール107内の液体流体106と比較して、より密度が低く、したがって浮力があるため、蒸気流体106は方向116に流れ得る(例えば、流体チャンバ108内で上昇し得る)。
【0035】
上述のように、流体チャンバ108は、電子部品112に隣接している。つまり、筐体105及び電子部品112は、互いに結合されている(例えば、装着されている、固定されている)。電子部品112は、熱を発生させる又は放出するHVAC&Rシステム10の任意のタイプの電子装置であり得る。例えば、電子部品112は、VSD52又はその構成要素(例えば、マイクロプロセッサ又は制御基板)であり得る。他の実施形態では、電子部品112は、電源パネル、制御パネル、ソリッドステートスタータ、及び/又は他の装置若しくはシステムであり得る。いずれにしても、電子部品112は、流体チャンバ108の蒸発面102と接触している。例えば、蒸発面102は、重力の結果として液体流体106が集まる筐体105の側面114(例えば、底面)上に位置し得る。いくつかの実施形態では、筐体105は、電子部品112を受容するか、又は電子部品112と流体連通する(例えば、直接流体連通している)ように構成された開口部126を含み得る。例えば、電子部品112は、電子部品112が(例えば、重複する配置で)開口部126と整列するように、筐体105に装着され得る。そのような実施形態では、電子部品112の少なくとも一部は、電子部品112が流体チャンバ108内の流体106(例えば、液体流体)と直接接触しているときに、蒸発面102の一部又は全部を形成し得る。
【0036】
加えて、筐体105及び/又は流体チャンバ108は、筐体105の側面118(例えば、横側面)上に配設された凝縮面104を含む。しかしながら、凝縮面104及び/又は追加の凝縮面はまた、頂面などの筐体105の別の表面上に位置してもよい。1つ以上の実施形態では、凝縮面104は、蒸発面102と同じ側面114上にはない。凝縮面104は、流体106と冷却システム100のフィン110との間の熱伝達の増加を可能にするために、蒸発面102よりも大きくてもよい(例えば、より大きな表面積を有する)。流体106(例えば、蒸気流体)が凝縮面104に接触し、凝縮面104(したがって、フィン110)に熱を伝達すると、蒸気流体106は、液体流体106に凝縮し得る。例えば、蒸気流体106は、凝縮面104に接触し、液相に遷移し得、それによって、熱が流体106から凝縮面104に伝達されると、流体106の密度を増加させる。いくつかの実施形態では、凝縮された流体106は、凝縮面104上に集まり得、凝縮面104に沿って流れ得る。実際、液体流体106は、液体流体106の密度の増加及び液体流体106に付与される重力のために、方向116と反対の方向117に流れ得る。いくつかの実施形態では、凝縮面104は、流体106と凝縮面104との間の熱伝達を強化し得る、テクスチャ、溝、フィン、空洞、細孔、及び/又は任意の他のタイプの表面特徴を含み得る。例えば、凝縮面104は、凝縮面104上に凝縮された流体106を、流体チャンバ108及び/又は筐体105のベース部分120(例えば、下部領域、液体流体部分)に向かって再誘導する排水チャネルとして機能するように配置されたフィン又は溝を含み得る。
【0037】
上述のように、冷却システム100の排熱システム101は、流体チャンバ108にさらされた凝縮面104と背中合わせ側にある筐体105の外面111上に配設されたフィン110を含み得る。フィン110は、平面、長方形、三角形、オフセットストリップ、ピン、スタッド、環状、波状、ルーバ、穿孔、並びに/又は外面111から延在する任意の他のタイプの突起及び/若しくは延在部などの任意の好適な幾何学的形状を有し得る。いくつかの実施形態では、フィン110は、筐体105と同じ材料から形成されている。他の実施形態では、フィン110は、筐体105とは異なる材料(例えば、筐体105の材料よりも高い熱伝導性を有する材料)を含み得る。フィン110は、凝縮面104の背中合わせ側の外面111上に位置決めされているため、フィン110は、凝縮面104からの熱(例えば、流体106から凝縮面104に伝達される熱)を吸収し得る。強制対流又は自然対流を使用して、フィン110を介して流体106及び凝縮面104から吸収された熱を、筐体105の外側にある外部空気に伝達し得る。例えば、ファン148又は他の空気移動装置は、フィン110を通る、わたる、かつ/又はフィン110に向かうように空気を強制して、強制対流を介してフィン110から外部空気への熱伝達を強化し得る。いくつかの実施形態では、ファン148は、凝縮面104上で凝縮され、かつ重力によって液体プール107に向かって流れる液体流体106の過冷却を可能にするために、方向116(例えば、上向き)にフィン110にわたって空気を強制し得る。そのような配置では、フィン110からの空気吸収熱は、それがフィン110を通って流れるにつれて浮力が増加し得、それによって、方向116における空気のより効率的な流れを容易にする。
【0038】
別の例では、冷却システム100及び/又は排熱システム101は、フィン110がHVAC&Rシステム10の空気流経路(例えば、別の空気流がそこを通るように誘導されるHVAC&Rシステム10の既存の空気流経路)内に配設されるように位置決めされ得る。例として、ファン148は、冷却システム100のフィン110に加えて、HVAC&Rシステム10の別の熱交換器又は電子部品などの別の装置にわたって空気を誘導するように構成され得る。追加的又は代替的に、冷却システム100は、冷却システム100のいくつか又は全ての構成要素の周りに配設された、シュラウド又は筐体146を含み得る。例えば、シュラウド又は筐体146は、フィン110に隣接して配設され得、冷却システム100の冷却容量を増加させるために、フィン110を通ってかつ/若しくはフィン110の間で空気の増加した又は集中した流れを誘導するように構成され得る。他の実施形態では、フィン110は、冷却システム100を取り囲む周囲環境など、比較的低温を有する環境内に位置決めされ得る。そのような実施形態では、シュラウド又は筐体146の一部は、一般に、フィン110が周囲環境内に配設され、かつ筐体105及び/又は電子部品112が、筐体105及び/又は電子部品112を環境から保護するためにシュラウド又は筐体146内に位置決めされるように、筐体105(例えば、凝縮面104)とフィン110との間及び/又は電子部品112とフィン110との間に延在し得る。このようにして、フィン110は、自然対流を介して環境に熱を伝達し得る。他の実施形態では、筐体146(例えば、HVAC&Rシステム10のハウジング又はセクション)は、フィン110を含む冷却システム100を取り囲んでもよく、周囲空気の流れを受容し、周囲空気の流れをフィン110にわたって誘導し、かつ周囲空気の流れを筐体146から排出するように構成されてもよい。
【0039】
図6に目を向けると、冷却システム100の一実施形態の断面側面立面図が示されている。図示の実施形態に示すように、冷却システム100は、多角形状又はプロファイルを有し、流体チャンバ108を画定しかつ凝縮面104及び蒸発面102を有する、筐体105を含む。図示の実施形態では、凝縮面104及び蒸発面102は、流体チャンバ108に対して互いに反対側に配設されており、電子部品112は示されていない。冷却システム100はまた、筐体105に取り付けられたフィン110を有する排熱システム101を含む。
図6の冷却システム100はまた、筐体105の流体チャンバ108内に配設された、複数の第1のバッフル130と、第2のバッフル132と、を含む。バッフル130、132は、筐体105に結合され得、又はそれ以外の場合、筐体105によって支持され得、バッフル130、132は、流体チャンバ108内の流体106の流れを誘導又は再誘導して、流体106によってもたらされる冷却を促進し得る。バッフル130、132は、図示の冷却システム100内で実質的に直線的であるが、バッフル130、132のうちのいずれかは、湾曲及び/又は多区分化されたプロファイルを有するなど、追加的又は代替的な実施形態では異なる形状を有し得る。これらの構成要素は、以下で更に詳細に説明される。
【0040】
複数の第1のバッフル130は、凝縮面104に近接して(例えば、液体プール107を包有する下部に対向する流体チャンバ108の上部内で)流体チャンバ108内(例えば、筐体105内)に配設され得る。上記のように、冷却システム100は、蒸発面102を介して、電子部品112から吸収された熱によって流体106を蒸発させ得る(例えば、液体流体から蒸気流体への遷移)。複数の第1のバッフル130は、流体チャンバ108内の蒸気流体106の流れを凝縮面104に向けて誘導するために流体チャンバ108に含まれ得る。すなわち、複数の第1のバッフル130は、蒸気流体106の流れ方向を方向116から凝縮面104に向かう方向133に再誘導し得る。複数の第1のバッフル130は、蒸発面102から流れる蒸気流体106と、凝縮面104で凝縮する液体流体106との間の混合量を減少させ得る。複数の第1のバッフル130は、筐体105又は任意の他の好適な材料と同じ材料であり得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、複数の第1のバッフル130は、蒸気を(例えば、筐体105の表面136から)凝縮面104に向けて誘導するために、角度134(例えば、水平、凝縮面104、筐体105の別の表面などに対して下向きの角度)に位置決めされたプレートを含み得る。いくつかの実施形態では、複数の第1のバッフル130の角度134は、(例えば、重力によって)蒸発面102に向かう、蒸気流体106と混合された若しくは蒸気流体106中に取り込まれた液体流体106の任意の液滴の流れを促進するために、かつ/又は蒸気流体106中の液体流体106の取り込みを減少させるために、凝縮面104に向かって下向きに傾斜し得る。いくつかの実施形態では、複数の第1のバッフル130は、筐体105の1つ以上の側面(例えば、横側面)から流体チャンバ108に結合され得、かつ/又はそれ以外の場合、流体チャンバ108内に延在し得る。例えば、流体チャンバ108は、筐体105の第1の側面138(例えば、横側面)から、筐体105の第1の側面138に対向する第2の側面(例えば、横側面)まで延在する複数の第1のバッフル130を含み得る。ある特定の実施形態では、筐体105の表面136は、複数の第1のバッフル130に向かって蒸気流体106を偏向させ、かつ蒸気流体106を凝縮面104に向けて誘導することを促進するように、(例えば、垂直に対して)角度137で位置決めされ得る。上で考察されるように、液相と気相との間の流体106の密度の変化は、流体チャンバ108内の流体106の流れ(例えば、方向116、方向133、方向117、及び方向149)を駆動し得る。したがって、流体106は、流体チャンバ108内の圧力差又は毛管力によって駆動されることなく、浮力、動的推進力、表面張力、表面接着、及び/又は重力に起因して、流体チャンバ108内を流れ得る。
【0042】
冷却システム100はまた、流体チャンバ108内(例えば、複数の第1のバッフル130を有する上部と反対の下部内)に配設された第2のバッフル132を含み得る。第2のバッフル132は、筐体105又は任意の他の好適な材料と同じ材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、第2のバッフル132は、筐体105の凝縮面104及び/又は筐体105の蒸発面102と共通軸に沿って延在するプレートである。例えば、図示の実施形態では、第2のバッフル132は、凝縮面104と同様に、実質的に垂直向きに配置されている。更に、第2のバッフル132は、筐体105の2つの対向する側面140、142(例えば、横側面、垂直側面)に沿って(例えば、平行に)延在し得る。加えて、第2のバッフル132は、筐体105の底面144に対して実質的に交差方向であり得、底面144の上方に(例えば、重力に対して)吊り下げられ得る)。他の実施形態では、第2のバッフル132は、2つの対向する側面140、142、凝縮面104、底面144、及び/又は蒸発面102に対して角度を付けて位置決めされ得る。更に、第2のバッフル132は、筐体105の第1の側面138と、第1の側面138に対向する筐体105の第2の側面(図示せず)との間に延在するプレートであり得る。いずれにしても、第2のバッフル132は、凝縮面104から排水される液体流体106が、底面144の近くの流体チャンバ108内に蓄積する(例えば、液体プール107を形成する)ことを可能にし得、かつ流体106を蒸発面102に向けて誘導し得る。より具体的には、底面144の近くに集まる液体流体106は、第2のバッフル132と側面142との間に蓄積して、凝縮面104を介して凝縮された液体流体106のカラム又は「スタック」を作り出すことができる。次いで、この流体106は、(例えば、第2のバッフル132と底面144との間に形成された隙間又は開口部150を介して)方向149で、液体プール107から蒸発面102に向けて誘導され得る。
図6に示されるように、第2のバッフル132は、主に液体流体106(例えば、凝縮面104を介して凝縮された流体106)を包有する第1の部分と、主に蒸気流体106(例えば、蒸発面102を介して気化された流体106)を包有する第2の部分との、流体チャンバ108の分離を可能にする。
【0043】
本明細書に記載の冷却システム100の実施形態は、電子部品112のより効率的な冷却を可能にするための追加の特徴を含み得る。例えば、冷却システム100は、電子部品112に結合され、流体チャンバ108内に配設され、フィン110に結合された、又はそれらの任意の組み合わせの、温度及び/又は圧力センサ152を含み得る。1つ以上のセンサ152からのフィードバックに基づいて、HVAC&Rシステム10及び/又は冷却システム100の動作が制御され得る。例えば、センサ152は、流体106の動作パラメータ(例えば、温度、圧力など)、蒸発面102の温度、筐体105の温度、又は冷却システム100の別の構成要素の他の動作パラメータを検出するように構成され得る。HVAC&Rシステム10は、メモリ156及び処理回路158を含み得るコントローラ154(例えば、制御パネル40、電子コントローラ、自動化コントローラ)を含み得る。メモリ156は、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリ、並びに/又は読み取り専用メモリ(ROM)、光学ドライブ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、若しくは実行されたときに、HVAC&Rシステム10及び/又は冷却システム100の動作を制御する命令を格納する任意の他の非一時的コンピュータ可読媒体などの不揮発性メモリを含み得る。処理回路158(例えば、マイクロプロセッサ)は、メモリ156に格納された命令を実行するように構成され得る。一例として、処理回路158は、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、1つ以上の汎用プロセッサ、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、コントローラ154は、(例えば、流体106、筐体105などの動作パラメータを示す)センサ152によって出力されたフィードバックに基づいて、ファン148又は他の装置の動作を調整して電子部品112の熱交換又は冷却の速度を制御し得る。実際、いくつかの実施形態では、HVAC&Rシステム10及び/又は冷却システム100のコントローラ(例えば、コントローラ154)は、センサ152フィードバックに基づき、例えば、閾値レベル又は値を超える流体チャンバ108内の圧力に基づいて、HVAC&Rシステム10又はその構成要素の動作を一時停止し得る。センサ152フィードバックはまた、流体チャンバ108の充填レベル(例えば、流体チャンバ108内に包有された流体106の量)を判定するために利用され得る。
【0044】
排熱システム101は、フィン110に加えて、又はフィン110の代替としての特徴を含み得ることに留意されたい。例えば、排熱システム101は、冷媒回路(例えば、蒸気圧縮システム)、冷やされた流体回路(例えば、水、空気、又はグリコールを循環させるように構成された)、熱サイフォン、ヒートパイプ、及び/又は筐体105内の流体106の冷却を可能にするように構成された任意の他の好適なシステムを含み得る。追加的又は代替的に、筐体105は、電子部品102から排熱システム101に熱を伝達し、それによって電子部品102を冷却するために、電子部品102と排熱システム101との間で流体106を受動的に循環させるように構成された別の構成要素(例えば、熱サイフォン、ヒートパイプ)の配置を含み得る。本明細書では、電子部品を冷却するための本技術を組み込んだ代替的特徴の様々な実施形態について更に考察する。
【0045】
例えば、本明細書に開示される技術は、1つ以上の空冷チラーを有する実施形態でも利用され得る。一例として、
図7は、電子部品228(例えば、パワーエレクトロニクス)を冷却するために冷媒を循環させる冷媒システム198(例えば、蒸気圧縮システム14、冷媒回路、熱サイフォン)を利用する冷却システム100の一実施形態の概略である。いくつかの実施形態では、冷媒システム198はまた、同じ冷媒を循環させて、冷媒システム198によってサービスされる空間を冷却するために供給される調整空気流及び/又は調整流体(例えば、水)を冷却し得る。つまり、冷媒システム198は、冷媒を介して空間及び電子部品228の両方を冷却するために使用され得る。よって、ある特定の追加の構成要素(例えば、専用の圧縮器、専用のポンプ、関連する配管及び配線)は、電子部品228の適切な冷却を提供するために冷却システム100に組み込まれ得ず、それによって、例えば、他の従来のシステム(例えば、関連するポンプ、配管、及び配線を伴うグリコール冷却コイルに伴う)と比較して、電子部品228を冷却することに関連する複雑さ及び/又はコストを低減する。更なる実施形態では、冷媒システム198は、電子部品228を冷却するための専用の冷房システム(例えば、空間を冷却するために使用される冷房システムから流体的に分離している)であり得る。
【0046】
冷媒システム198は、凝縮器コイル232(例えば、ラウンドチューブプレートフィン凝縮器コイル、マイクロチャネル凝縮器コイル、シェルアンドチューブ熱交換器)を含み得る。例えば、凝縮器コイル232は、電子部品228(例えば、電子部品228を含む電気パネル)に隣接して位置決めされて、導管の長さ又は量及び/又は電子部品228を冷却するための冷媒システム198の動作中の冷媒の圧力低下を低減し、それによって、冷媒システム198及び/又は冷却システム100の効率的な製造及び/又は動作を改善し得る。いくつかの実施形態では、冷媒システム198の動作中に、冷媒蒸気200は、冷媒システム198内の圧力差(例えば、凝縮器コイル232の比較的高い圧力上流、凝縮器コイル232の比較的低い圧力下流)によって、圧縮器199又は冷媒システム198のポンプの排出から凝縮器コイル232に駆動される。冷媒システム198内の圧力差は、(例えば、冷媒システム198を介して別の作動流体を冷却するための圧縮器199の動作と比較して)圧縮器199の動作能力(例えば、加圧)の実質的な増加なしに、冷媒の流れを駆動して電子部品228を冷却し得、それによって、圧縮器199の動作に関連する電力消費を低減する。他の実施形態では、圧縮器199は省略されてもよく、冷媒システム198は、凝縮器コイル232を有する熱サイフォンであってもよい。そのような実施形態では、冷媒は、熱サイフォン効果又はサイクルを介して、凝縮器コイル232から電子部品228に向けて誘導され得る。更なる実施形態では、冷媒システム198は、エコノマイザ、フラッシュタンク、他の熱交換器など、冷媒システム198内で冷媒圧力差を生成するように構成された他の構成要素を含み得る。
【0047】
冷媒蒸気200は、凝縮器コイル232の第1のヘッダ202に入り、凝縮器コイル232の第1のパス210を通って流れて、少なくとも部分的に液体214に凝縮し得る。すなわち、液体214は、単相であり得、又は液体が豊富な二相冷媒であり得る。例えば、凝縮器コイル232は、第1のパス210を通って流れる冷媒蒸気200を冷却し、冷媒蒸気200を液体214に凝縮するために、第1のパス210にわたって空気流を誘導するように構成されたファン215を含み得る。液体214は、第1のパス210から、電子部品228と熱連通している(例えば、電子部品228に取り付けられている)第1の蒸発器216(例えば、熱交換器、ヒートパイプ)に流れる。液体214は、第1の蒸発器216を介して電子部品228から熱を吸収し得、それによって電子部品228を冷却し、液体214を加熱する。例えば、液体214は、電子部品228からの熱を吸収すると部分的に気化し得、それによって、第1の二相冷媒234(例えば、液体が豊富な二相冷媒234)を形成する。
【0048】
第1の二相冷媒234は、第1の蒸発器216から第2の蒸発器218(例えば、熱交換器、ヒートパイプ)に流れ、第2の蒸発器218は、第2の蒸発器218にわたって誘導された空気流226と熱連通している。空気流226はまた、電子部品228が冷媒システム198の他の構成要素(例えば、ファン215)から分離又は隔離され得るように、電子部品228を収容又は包有する筐体230(例えば、電気筐体)内を流れ得る。筐体230は、電子部品228を冷媒システム198のある特定の構成要素から遮蔽又は覆い隠して、電子部品228の動作に対する冷媒システム198内の冷媒流の潜在的な望ましくない影響を低減し得る。例えば、蒸発器216、218は、筐体230内に配設され得、圧縮器199及び/又は凝縮器コイル232は、筐体230の外側に配設され得る。第1の二相冷媒234は、第2の蒸発器218を介して空気流226から熱を吸収し得、それによって空気流226を冷却し、第1の二相冷媒234を加熱する。空気流226は、筐体230内の電子部品228及び/又は他のパワーエレクトロニクスなどの他の電子部品を冷却するために使用され得る。第1の二相冷媒234の加熱は、冷媒を更に気化させ、第2の二相冷媒220(例えば、蒸気が豊富な二相冷媒220)を形成し得る。
【0049】
第2の蒸発器218から、第2の二相冷媒220は、凝縮器コイル232の第2のパス212を通って流れる。第2のパス212では、二相冷媒220は凝縮して、過冷却液222を形成する。例として、ファン215及び/又は追加のファンは、第2のパス212を通って流れる第2の二相冷媒220を冷却するために、第2のパス212にわたって空気流を誘導し得る。次いで、過冷却液222は、凝縮器コイル232を出て、冷媒システム198の他の構成要素に向かって流れ得る。いくつかの実施形態では、凝縮器コイル232は、電子部品228に対して(例えば、共通の高さで、より高い高さで)位置決めされて、低負荷状態の間など、冷媒の所望の流れを可能にし得る。例えば、凝縮器コイル232は、液体214が重力を介して第1のパス210から第1の蒸発器216及び電子部品228に流れるように、第1の蒸発器216及び/又は電子部品232に対して物理的に高くにあってもよく、液体214よりも浮力が高くあり得る第2の二相冷媒220は、第2の蒸発器218から凝縮器コイル232の第2のパス212により容易に流れ得る。
【0050】
ある特定の実施形態では、過冷却液222は、他の構成要素を冷却するように(例えば、空間を冷却するための調整流体及び/又は空気流と熱連通している熱交換器に)誘導され得、それによって、過冷却液222を加熱及び蒸発させる。次いで、気化した冷媒は、加圧及び第1のパス210への排出のために(例えば、冷媒蒸気200として)冷媒システム198の圧縮器199に戻るように誘導され得る。追加的又は代替的な実施形態では、圧縮器199は省略されてもよく、蒸気冷媒は、冷媒蒸気200として凝縮器コイル232に戻るように循環され得る。冷媒システム198は、例えば、冷媒システム198によって循環される追加の冷媒流を使用することによって、他の構成要素を冷却するためにも使用され得る追加の凝縮器コイルを含み得る。例として、冷媒システム198によって循環される冷媒の全量又は全流れの一部を使用して、電子部品228を冷却し得、冷媒システム198によって循環される冷媒の全量の残りを使用して、他の構成要素を冷却し得る。したがって、凝縮器コイル232を出る過冷却液222は、圧縮器199への、又は凝縮器コイル232の第1のパス210への吸入のためなど、冷媒システム198を通って更に循環する前に、冷媒システム198の追加の凝縮器を出る、又は通過する冷媒流と合流するように誘導され得る。
【0051】
図示の実施形態では、凝縮器コイル232の第1のヘッダ202は、第1のバッフル206を含み、凝縮器コイル232の第2のヘッダ204は、第2のバッフル208を含み、これらは各々、冷媒が第1及び第2のヘッダ202及び204を通って流れるときに、第1及び第2のパス210及び212を通って流れる冷媒を分離するように構成されている。図示された冷却システム100は、冷媒のための直列流配置を有するが、他の配置又は構成、例えば、平行流配置(例えば、冷媒は、第1のパス210から蒸発器216、218を通って平行流で流れる)、又は図示された直列流配置に沿って、示された方向とは反対の方向に冷媒を誘導する流れ配置が利用され得る。加えて、冷却システム100は、電子部品228を冷却するための冷媒システム198の動作を促進するために、換気目的のための追加のファン(例えば、筐体230内に位置決めされ、パス210、212に隣接して位置決めされている)、凝縮器コイル232のための追加のパスなどの他の構成要素を含み得る。
【0052】
ある特定の実施形態では、冷却システム100は、電子部品の各サブセットのための専用の冷媒流など、様々な電子部品を冷却するための別個の冷媒流を利用し得る。例えば、冷却システム100(例えば、冷媒システム198)は、それぞれの電子部品を冷却するように構成された別個の蒸発器(例えば、熱交換器、ヒートパイプ)を含み得、蒸発器の各々は、同一の凝縮器コイル232(例えば、同一の凝縮器コイル232の同一の又は異なるパス)からの冷媒流(例えば、平行冷媒流)、及び/又は異なる凝縮器コイルからの冷媒流など、別個の冷媒流を受容するように構成され得る。各蒸発器が異なる凝縮器コイルから冷媒流を受容するように構成された実施形態では、別個のファンを使用して、それぞれの凝縮器コイル内の冷媒流(例えば、冷媒蒸気200)を冷却し得、冷却システム100の制御システムは、それぞれのファンの各々を動作させ(例えば、独立して動作させ)て、冷媒流を冷却し、冷媒流によって電子部品に提供される所望の冷却を可能にし得るように構成され得る。したがって、冷却システム100は、複数の冷媒流を使用して電子部品の適切な冷却をもたらし得る。
【0053】
更に、冷却システム100は、互いに流体的に分離されている複数の冷媒システム198(例えば、独立して動作可能な蒸気圧縮システム、熱サイフォンなど)を含み得る。各冷媒システム198は、その関連する電子部品228を冷却するように動作し得る。いくつかの実施形態では、冷媒システム198のサブセットは、共通の若しくは共有電子部品228を含み得るか、又は共通の若しくは共有電子部品228を介して動作され得る。この理由から、共通の電子部品228に関連付けられた各冷媒システム198からのそれぞれの冷媒は、共通の電子部品228を冷却するように誘導され得る。したがって、任意の1つ以上の冷媒システム198が動作していないとき、動作している冷媒システム198からの冷媒を使用して、共通の電子部品228の冷却をもたらし得る。したがって、動作している電子部品228は、冷媒システム198のうちのいずれかが動作している間に適切に冷却され得る。
【0054】
また更に、冷媒システム198は、電子部品228を冷却するための冷媒システム198の動作を促進し得る追加の装置を含み得る。例えば、冷媒システム198は、(例えば、蒸発器216、218内への)冷媒の流れを駆動するように構成された専用のポンプ(例えば、圧縮器199の代わりに、又はそれに加えて)、及び冷媒を冷媒システム198の異なる構成要素(例えば、冷媒を介して調整流体又は空気流を冷却するように構成された蒸発器)から蒸発器216、218のうちのいずれかの中に誘導するように構成された追加の導管などを含み、冷媒システム198によって電子部品228にもたらされる冷却を促進し得る。実際、冷媒システム198は、冷媒システム198によって循環される冷媒が、冷媒システム198の起動中など、電子部品228の適切な冷却をもたらす状態にない(例えば、冷媒が十分に低温にない)ときに、電子部品228の冷却を促進するための特徴を含み得る。いくつかの実施形態では、冷媒システム198は、冷媒システム198の起動中などに、冷媒システム198が電子部品228をより容易に冷却することを可能にするために、電子部品228の冷却をもたらすように構成された熱サイフォン又はヒートパイプ、並びに冷媒液体流内に蒸気又は他の流体を生成又は注入して、(例えば、蒸発器216、218に向かう)冷媒液体の圧力及び流量を増加させるように構成された装置(例えば、ジェットポンプ)などを含み得る。冷媒システム198は、追加的又は代替的に、冷媒が凝縮器232の第1のパス210から蒸発器216、218内に十分に流れていないとき(例えば、起動中)など、別の構成要素(例えば、別の熱交換器)から蒸発器216、218のうちのいずれかの中に冷媒を誘導するように構成された特徴を含み得る。
【0055】
冷媒システム198は、冷媒システム198を通る冷媒の流れを調節するように構成された排水バルブ及び導管を更に含み得る。一例として、排水バルブ及び導管は、電子部品228の冷却を促進又は可能にしない冷媒システム198のある特定の構成要素(例えば、冷媒を介して調整流体又は空気流を冷却するように構成された蒸発器)をバイパスするように冷媒を蒸発器216、218から誘導するように構成され得る。したがって、排水バルブ及び導管は、電子部品228を冷却するための専用の冷媒流の供給を可能にし得る。別の例として、排水バルブ及び導管は、電子部品228の冷却をバイパスするように(例えば、筐体230を通る流れをバイパスするように)冷媒を誘導するように構成され得る。例えば、排水バルブ及び導管は、筐体230内での凝縮の生成を回避するなど、筐体230から離れた冷媒流を迂回して、電子部品228を過剰に冷却することを回避するように作動され得る(例えば、電子部品228がセンサによって検出された閾値温度未満であるとき、センサによって検出された周囲温度が閾値温度未満であるとき、電子部品228の動作を開始する際の所定の時間枠中)。冷媒システム198の排水バルブのうちのいずれかの動作は、周囲温度、電子部品228の温度、冷却システム100の動作時間などの冷却システム100の動作パラメータに基づいて制御され得る。
【0056】
図示された冷媒システム198は、電子部品228を冷却するために、冷媒システム198の動作中に蒸発し、かつ凝縮するように構成された冷媒を循環させるように構成されているが、冷媒システム198は、電子部品228を冷却するために、異なる冷やされた流体(例えば、水、グリコール)を使用してもよい。例えば、冷媒システム198は、電子部品228と熱連通している熱交換器又は導管(例えば、ヒートパイプ又は熱サイフォン)を含み得、冷媒システム198は、(例えば、冷却塔からの、冷やされた流体源からの、チラーからの、ポンプからの)冷やされた流体を熱交換器に誘導し得る。冷やされた流体は、熱交換器を介して電子部品228から熱を吸収して、電子部品228を冷却し得る(例えば、物質の相を変化させることなく)。
【0057】
図8は、冷媒システム(例えば、冷媒システム198)を介して電子部品302の冷却及び/又は電子部品302からの排熱を可能にするように構成された蒸発器300(例えば、熱交換器、ヒートパイプ)の一実施形態を示す、冷却システム100の一実施形態の斜視図である。例として、電子部品302は、チラーの圧縮器を駆動するための三相インバータとして機能するように構成された電子機器モジュールであり得る。しかしながら、上で考察されるように、電子部品302は、冷却システム100によって排除される熱を発生させる任意の電子装置又は部品であり得る。蒸発器300(例えば、第1の蒸発器216)は、冷媒流(例えば、液体214)を、凝縮器(例えば、凝縮器コイル232)などから受容するように構成され得る蒸発器コイル304(例えば、チューブ、パイプ)を含み得る。図示の実施形態では、支持体306(例えば、中間支持体、ブロック、ベース、装着セグメント)が、蒸発器コイル304に結合されている。例えば、支持体306は、蒸発器コイル304を捕捉する(例えば、個別に捕捉する)ように構成された複数の部分及びセグメント308を含み得る。支持体306は、電子部品302に結合し、かつ電子部品302を、蒸発器300を通って流れる冷媒と熱連通するように位置付けするように構成され得る。支持体306は、その中に形成された第1の穴310を含み得、これは、電子部品302の第2の穴312と整列するように構成されている。例えば、第2の穴312は、電子部品302を支持するように構成されたベース構造(例えば、基板)内に形成され得る。次いで、それぞれの締結具が、電子部品302と支持体306とを互いに固定し、蒸発器コイル304、支持体306、及び電子部品302の間の熱連通を確立するために、整列された穴310、312内に挿入され得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、蒸発器300(例えば、ヒートパイプ、熱サイフォン)は、圧縮器又はポンプの動作なしに、蒸発器300内で冷媒又は他の作動流体を受動的に循環させるように構成され得る。例えば、冷媒は、入口導管314を介して蒸発器コイル304内に流入する、及び出口導管316を介して蒸発器コイル304から流出するなど、浮力、毛管力、動的推進力、及び/又は重力に起因して、蒸発器300内で流れ得る。実際、蒸発器300は、蒸発器コイル304の反対側の蒸発器300の一部又は端部などで冷媒を冷却するように構成された排熱システム(例えば、排熱システム101)を含み得るか、又はそれと熱連通し得る。排熱システムは、能動的に動作される排熱システム(例えば、蒸気圧縮システム、冷やされた流体回路、ファン)及び/又は受動的な排熱システム(例えば、フィン、熱サイフォン)を含み得る。蒸発器コイル304で電子部品302を介して冷媒を加熱することにより、冷媒が(例えば、自然な力を介して)蒸発器コイル304から冷媒が冷却され得る排熱システムに向かって離れるように移動し得る。次いで、排熱システムを介して冷媒を冷却することにより、冷却された冷媒が蒸発器コイル304に向かって(例えば、自然な力を介して)移動して電子部品302を冷却し得る。したがって、冷媒は、冷媒を誘導する別の構成要素(例えば、ポンプ又は圧縮器)の能動的な動作なしに、排熱システムと蒸発器コイル304との間を継続的に循環し得る。しかしながら、冷媒は、追加的又は代替的に、圧縮器及び/又はポンプを介してなど、蒸発器300を通じて能動的に循環され得る。一例として、蒸発器300は、冷媒回路又は冷やされた流体回路の一部であり得、冷媒は、(例えば、圧縮器を介して、ポンプを介して)蒸発器コイル304、及び別の冷却流体(例えば、冷媒、水、グリコール)と熱連通するように冷媒を位置付けし、次に蒸発器コイル304に戻るように構成された他の構成要素に能動的に誘導され得る。
【0059】
図9は、電子部品302を、蒸発器300を通って流れる冷媒と熱連通するように位置付けするために、支持体306を介して蒸発器300(例えば、熱交換器、ヒートパイプ)に結合された電子部品302を示す、冷却システム100の一実施形態の斜視図である。一例として、電子部品302(例えば、電子部品302の基板又はベース構造)は、電子部品302が支持体306に固定されているときに、蒸発器コイル304に当接し得る。図示の構成における蒸発器300の動作中、熱は、電子部品302から蒸発器コイル304及び/又は支持体306に、並びに蒸発器コイル304を通って流れる冷媒に伝達され得、それによって電子部品302を冷却する。支持体306は、電子部品302からの熱吸収を増加させるために導体材料で作製され得る。このようにして、支持体306は、追加の熱質量を提供して、電子部品302から熱を吸収し、したがって電子部品302を冷却し得る。例えば、蒸発器300が、冷媒を介して電子部品302を実質的に冷却していないとき(例えば、蒸発器300が動作していないとき、蒸発器コイル304を通って流れる冷媒の温度が上昇したとき、蒸発器コイル304を通って流れる冷媒が一時停止されているとき)、例えば、蒸発器300を通って冷媒が流れる前の冷却システム100の起動中に、支持体306は、ヒートシンクとして動作して、電子部品302から熱を吸収し、(例えば、対流を介して)周囲環境に熱を排出することによって、電子部品302の冷却量を提供し得る。
【0060】
冷媒システム198はまた、フィン110を介して提供される流体106の冷却に加えて、又はそれに代わるものとして、流体チャンバ108内の流体106を冷却するように構成され得る。例えば、冷媒システム198の第1の蒸発器216は、筐体105の凝縮面104と熱連通し得る。このようにして、冷媒システム198によって循環される冷媒は、流体チャンバ108内の流体106を冷却するように構成され得、したがって、流体チャンバ108内の流体106は、電子部品228を冷却するように調整され得る。
【0061】
これを念頭に置いて、
図10は、流体チャンバ108内の流体106を冷却するように構成された冷媒システム198を示す、冷却システム100の一実施形態の概略である。このようにして、冷媒システム198は、上述した排熱システム101のシステムとして組み込まれ得る。図示の冷却システム100では、第1の蒸発器216は、同様に上述した筐体105の凝縮面104と熱連通している(例えば、結合されている、当接している、装着されている)。したがって、第1の蒸発器216を通るように誘導される冷媒(例えば、液体214)は、流体チャンバ108内の流体106から熱を吸収して流体106を冷却し得る。実際、図示の冷媒システム198は、上記の技術のうちのいずれかを使用して動作し得る。更に、筐体105の蒸発面102は、電子部品228と熱連通していてもよい。このようにして、流体チャンバ108内の流体106(例えば、第1の蒸発器216を通るように誘導された冷媒によって冷却された流体106)は、蒸発面102を介して電子部品228を冷却するように構成され得る。
【0062】
凝縮面104は、蒸発面102の側面に対向する筐体105の側面に位置決めされているが、凝縮面104及び/又は蒸発面102は、流体チャンバ108内に流体106を包有する筐体105の任意の好適な側面に位置決めされてもよい。例えば、凝縮面104は、筐体105の頂部側面に、又はその上に配設され得、蒸発面102は、筐体105の底部側面に、又はその上に配設され得る、などである。更に、第1の蒸発器216は、流体チャンバ108内の流体106の流れ方向に対する特定の流れ方向に、冷媒(例えば、液体214)を第1の蒸発器216を通して誘導する(例えば、凝縮面104に沿って、流体106を蒸気から液体に遷移させる)ために、流体チャンバ108及び/又は筐体105に対して、任意の好適な様式で配向され得る。例えば、第1の蒸発器216内の冷媒の流れ方向は、流体チャンバ108内の凝縮面104に沿った流体106の流れ方向と実質的に同じ方向(例えば、平行に)であってもよく、第1の蒸発器216内の冷媒の流れ方向は、流体チャンバ108内の凝縮面104に沿った流体106の流れ方向と反対であってもよく(例えば、逆流配置で)、かつ第1の蒸発器216内の冷媒の流れ方向は、流体チャンバ108内の凝縮面104に沿った流体106の流れ方向に対して交差方向であってもよい、などである。
【0063】
冷媒システム198はまた、電子装置228を冷却するように構成された別の構成要素を冷却するように構成され得る。一例として、
図11は、電子部品228を冷却するように構成されたヒートパイプ330(例えば、蒸発器300)を含む、冷却システム100の一実施形態の概略である。例えば、ヒートパイプ330は、蒸発器216に結合し、蒸発器216に固定し、かつ/又は蒸発器216に当接し得る凝縮面332を含み得る。例えば、ヒートパイプ330は、蒸発器216との接触及び熱連通を維持するために、蒸発器216の一部に(例えば、物理的に接触して)埋め込まれ得る。したがって、蒸発器216を通って流れる冷媒(例えば、液体214)は、凝縮面332を介してヒートパイプ330内で循環される流体(例えば、冷媒)から熱を吸収するように構成され得、それによって、ヒートパイプ330内で流体を冷却し、流体を液体に凝縮させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、ヒートパイプ330は、凝縮された流体を吸収し得る毛管構造(例えば、ウィック)を含み得る。毛管構造は毛管力によって、ヒートパイプ330の蒸発面336に向かう第1の方向334に毛管構造を通って流れるように、冷却した液体流体を駆動し得る。蒸発面336は、電子部品228と熱連通していてもよい。したがって、冷却した液体流体は、蒸発面336を介して電子部品228から熱を吸収し得、それによって電子部品228を冷却する。結果として、流体は加熱され得、蒸発面336から(例えば、ヒートパイプ330によって画定された開放容積を介して)凝縮面332に第2の方向338に流れ得、流体は、上記の様式で再冷却され得る。したがって、ヒートパイプ330内の流体は、冷媒システム198の動作中に凝縮面332と蒸発面336との間を継続的に循環して電子部品228を冷却し得る。実際、流体は、ヒートパイプ330内を受動的に循環し得(例えば、流体の移動を駆動する圧縮器又はポンプの動作なしで)、それによって、例示された冷却システム100を動作することに関連するコストを削減する。
【0064】
図示の冷却システム100では、凝縮面332から蒸発面336へのヒートパイプ330内の流体流の第1の方向334は、第1の蒸発器216を通る冷媒の流れの方向と反対であり得る(例えば、逆流配置)。しかしながら、追加的又は代替的な実施形態では、凝縮面332から蒸発面336へのヒートパイプ330を通る流体の流れは、第1の蒸発器216を通る冷媒の流れに対して、実質的に同じ方向(例えば、平行な流れ配置)又は交差方向などの任意の好適な方向であり得る。更に、ヒートパイプ330は、凝縮面332が第1の蒸発器216と熱連通するように、任意の好適な様式で配向され得る。例えば、凝縮面332は、第1の蒸発器216の横側面、頂部側面、及び/又は底部若しくは下側上に配設され得る。実際、ヒートパイプ330は、任意の好適な様式で第1の蒸発器216に結合されて、浮力、重力、毛管力、及び/又は動的推進力を利用してヒートパイプ330内で流体を循環させ得、流体は、冷媒との熱交換を促進するために、垂直方向及び/又は水平方向など、重力に対して任意の好適な方向にヒートパイプ330を通って流れ得る。この目的のために、凝縮面332はまた、長さに沿って(例えば、軸方向に)又は長さに対して交差方向に(例えば、横断して)など、第1の蒸発器216の長さに対して任意の好適な方向に延在し得る。また更に、図示のヒートパイプ330の凝縮面332は直線的に延在するが、追加的又は代替的な実施形態では、凝縮面332は、任意の好適な様式で延在し得る。例として、凝縮面332は、第1の蒸発器216に沿った方向を湾曲又は変更し得(例えば、ジグザグ)、かつ/又は凝縮面332は、第1の蒸発器216(例えば、第1の蒸発器216の円筒プロファイル)を捕捉するように構成された複数のループ又はコイルを形成し得る。
【0065】
更なる実施形態では、凝縮面332は、第1の蒸発器216の内部に挿入され、第1の蒸発器216の内部を通って延在し得る。よって、ヒートパイプ330の一部は、液体214のプールなど、第1の蒸発器216内に包有された液体214内に浸漬されて、自由対流又はプール沸騰を介してヒートパイプ330を冷却し得る。そのような実施形態では、バッフルは、蒸発器216内に配設され得、かつ/又は蒸発器216の表面(例えば、内面)は、冷媒を第1の蒸発器216内の凝縮面332にわたって誘導するために、強化された表面(例えば、フィン付き表面)を含み得る。更に、冷却システム100は、電子部品228を冷却するための任意の好適な数のヒートパイプ330を含み得る。例えば、ヒートパイプ330は、平行な配置(例えば、ヒートパイプ330の各々の流体が、電子部品228及び第1の蒸発器216を通って流れる冷媒と並んで又はエンドツーエンドの配置で熱連通している)、又は直列の配置(ヒートパイプ330のサブセット内の流体が、互いに熱連通している)で位置決めされ得る。ヒートパイプ330はまた、異なる量及び/又はタイプの流体を利用して、互いをかつ/又は電子部品228を冷却し得る。
【0066】
ある特定の特徴及び実施形態のみを図示及び説明してきたが、当業者であれば、特許請求の範囲に列挙された主題の新規の教示及び利点から実質的に逸脱することなく、様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状、及び比率、温度及び圧力などのパラメータの値、装着配置、材料の使用、色、並びに向きなどにおける変形形態などの多くの修正及び変更を想到し得る。任意のプロセス又は方法ステップの順番又はシーケンスは、代替実施形態に従って、変更又は再順序付けされ得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の趣旨に収まる全てのそのような修正及び変更を包含することが意図されていることを理解すべきである。更に、例示的な実施形態の簡潔な説明を提供するために、現在考えられている最良の形態に関係しないもの、又は有効化に関係しないものなど、実際の実装例の全ての特徴が説明されていない場合がある。任意のエンジニアリング又は設計プロジェクトにおけるように、任意のそのような実際の実装例の開発では、多くの実装例固有の決定がなされ得ることを理解されたい。そのような開発努力は、複雑かつ時間がかかるものであり得るが、それにもかかわらず、過度の実験をすることなく、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては、設計、製作、及び製造の決まりきった仕事となる。
【0067】
本明細書に提示及び特許請求される技術は、本技術分野を明らかに改善する実用的な性質の材料物体及び具体的な例に参照及び適用され、よって、抽象的、無形的、又は純粋に理論的ではない。更に、本明細書の最後に添付された任意の請求項が、「[機能]を[実行]するための手段」又は「[機能]を[実行]するためのステップ」として指定された1つ以上の要素を包有する場合、そのような要素は、米国特許法第112条(f)に基づいて解釈されるべきであることが意図される。しかしながら、他の様式で指定された要素を包有する任意の請求項については、そのような要素は、米国特許法第112条(f)に基づいて解釈されるべきではないことが意図される。
【国際調査報告】