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特表2023-538350再使用可能な振動センサを備えた窓ガラス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(54)【発明の名称】再使用可能な振動センサを備えた窓ガラス
(51)【国際特許分類】
   G01H 1/00 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
G01H1/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511685
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(85)【翻訳文提出日】2023-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2021073026
(87)【国際公開番号】W WO2022038223
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】20192215.0
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】イセレンタント, アルノー
(72)【発明者】
【氏名】レロン, ヘルマン
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AB01
2G064AB02
2G064BA02
2G064BD02
2G064CC02
(57)【要約】
本発明は、窓ガラスに関し、より具体的には、窓ガラスの振動を検出するための再使用可能な感知デバイスを含む窓ガラスに関する。このような再使用可能な感知デバイスは、窓ガラスが交換される必要がある場合、窓ガラスから除去されて別の窓ガラスに非恒久的に固定され得る。本発明の再使用可能な感知デバイスに関連する電子機器は、消費を可能な限り低く維持することを可能にする。本発明は、再使用可能な感知デバイス自体にも関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓ガラスであって、前記窓ガラスは、前記窓ガラスの振動を検出するための再使用可能な感知デバイスを含み、前記再使用可能な感知デバイスは、
a.前記窓ガラスの振動を捕捉し、且つアナログ信号に変換することができる少なくとも1つの振動センサ(1)、
b.前記アナログ信号を処理することができる少なくとも1つの演算増幅器(2)、
c.前記アナログ信号が最小閾値未満又は最大閾値超であるかを判断することができる少なくとも1つのウィンドウコンパレータ(3)、
d.前記少なくとも1つの演算増幅器(2)のそれぞれから受信された前記アナログ信号をデジタルデータに変換することができるマイクロコントローラ(4)であって、前記少なくとも1つのウィンドウコンパレータ(3)のそれぞれによって活性化され得るマイクロコントローラ(4)
を含む、窓ガラスにおいて、前記再使用可能な感知デバイスは、
i.前記少なくとも1つのウィンドウコンパレータ(3)のそれぞれに接続されたS入力、前記マイクロコントローラ(4)に接続されたR入力、及び前記少なくとも1つの演算増幅器(2)のそれぞれに接続されたQ出力を備えたSRラッチ(5)
をさらに含むことを特徴とする窓ガラス。
【請求項2】
前記再使用可能な感知デバイスは、前記アナログ信号を前処理することができる少なくとも1つのフィルタ(6)をさらに含み、前記少なくとも1つのフィルタ(6)は、前記少なくとも1つの振動センサ(1)の後且つ前記少なくとも1つの演算増幅器(2)及び前記少なくとも1つのウィンドウコンパレータ(3)の両方の前に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の窓ガラス。
【請求項3】
前記再使用可能な感知デバイスは、両方とも前記アナログ信号を前処理することができる第1のフィルタ(6a)及び第2のフィルタ(6b)をさらに含み、前記第1のフィルタ(6a)は、前記少なくとも1つの振動センサ(1)の後且つ前記少なくとも1つの演算増幅器(2)の前に配置され、前記第2のフィルタ(6b)は、前記少なくとも1つの振動センサ(1)の後且つ前記少なくとも1つのウィンドウコンパレータ(3)の前に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の窓ガラス。
【請求項4】
前記再使用可能な感知デバイスは、前記少なくとも1つのウィンドウコンパレータ(3)のそれぞれと、前記SRラッチ(5)の前記S入力との間に接続された少なくとも1つのスイッチ(7)をさらに含み、前記少なくとも1つのスイッチ(7)は、前記マイクロコントローラ(4)によって制御されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の窓ガラス。
【請求項5】
前記マイクロコントローラ(4)による取得持続時間は、2ms~10ms、好ましくは3ms~6ms、より好ましくは4ms~5msであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の窓ガラス。
【請求項6】
前記マイクロコントローラ(4)による取得持続時間は、前記少なくとも1つのウィンドウコンパレータ(3)のそれぞれが少なくとも4ms、好ましくは少なくとも3ms、より好ましくは少なくとも2msにわたって前記少なくとも1つの振動センサ(1)からさらなる信号を受信しないと停止されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の窓ガラス。
【請求項7】
窓ガラスの振動を検出するための再使用可能な感知デバイスであって、
a.前記窓ガラスの振動を捕捉し、且つアナログ信号に変換することができる少なくとも1つの振動センサ(1)、
b.前記アナログ信号を処理することができる少なくとも1つの演算増幅器(2)、
c.前記アナログ信号が最小閾値未満又は最大閾値超であるかを判断することができる少なくとも1つのウィンドウコンパレータ(3)、
d.前記少なくとも1つの演算増幅器(2)のそれぞれから受信された前記アナログ信号をデジタルデータに変換することができるマイクロコントローラ(4)であって、前記少なくとも1つのウィンドウコンパレータ(3)のそれぞれによって活性化され得るマイクロコントローラ(4)
を含む再使用可能な感知デバイスにおいて、
ii.前記少なくとも1つのウィンドウコンパレータ(3)のそれぞれに接続されたS入力、前記マイクロコントローラ(4)に接続されたR入力、及び前記少なくとも1つの演算増幅器(2)のそれぞれに接続されたQ出力を備えたSRラッチ(5)
をさらに含むことを特徴とする再使用可能な感知デバイス。
【請求項8】
前記再使用可能な感知デバイスは、前記アナログ信号を前処理することができる少なくとも1つのフィルタ(6)をさらに含み、前記少なくとも1つのフィルタ(6)は、前記少なくとも1つの振動センサ(1)の後且つ前記少なくとも1つの演算増幅器(2)及び前記少なくとも1つのウィンドウコンパレータ(3)の両方の前に配置されることを特徴とする、請求項7に記載の再使用可能な感知デバイス。
【請求項9】
前記再使用可能な感知デバイスは、両方とも前記アナログ信号を前処理することができる第1のフィルタ(6a)及び第2のフィルタ(6b)をさらに含み、前記第1のフィルタ(6a)は、前記少なくとも1つの振動センサ(1)の後且つ前記少なくとも1つの演算増幅器(2)の前に配置され、前記第2のフィルタ(6b)は、前記少なくとも1つの振動センサ(1)の後且つ前記少なくとも1つのウィンドウコンパレータ(3)の前に配置されることを特徴とする、請求項7に記載の再使用可能な感知デバイス。
【請求項10】
前記再使用可能な感知デバイスは、前記少なくとも1つのウィンドウコンパレータ(3)のそれぞれと、前記SRラッチ(5)の前記S入力との間に接続された少なくとも1つのスイッチ(7)をさらに含み、前記少なくとも1つのスイッチ(7)は、前記マイクロコントローラ(4)によって制御されることを特徴とする、請求項7~9のいずれか一項に記載の再使用可能な感知デバイス。
【請求項11】
前記マイクロコントローラ(4)による取得持続時間は、2ms~10ms、好ましくは3ms~6ms、より好ましくは4ms~5msであることを特徴とする、請求項7~10のいずれか一項に記載の再使用可能な感知デバイス。
【請求項12】
前記マイクロコントローラ(4)による取得持続時間は、前記少なくとも1つのウィンドウコンパレータ(3)のそれぞれが少なくとも4ms、好ましくは少なくとも3ms、より好ましくは少なくとも2msにわたって前記少なくとも1つの振動センサ(1)からさらなる信号を受信しないと停止されることを特徴とする、請求項7~10のいずれか一項に記載の再使用可能な感知デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感知デバイスを備えた窓ガラスに関し、特に、窓ガラスの振動を検出するための再使用可能な感知デバイスを含む窓ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、自動車窓ガラス上の衝撃を解析することを可能にする感知デバイスを備えた窓ガラスが特に自動車において大いに使用されている(米国特許出願公開第20100163675号明細書又は国際公開第2019101884号パンフレットなど)。衝撃に起因する窓ガラスの振動の解析に基づき、感知デバイスは、衝撃が窓ガラス自体に亀裂を引き起こし得たかどうかを判断することを可能にする。
【0003】
このような感知デバイスは、低減された電力消費を有することが好ましい。電力消費を低減する1つの方法は、感知デバイスを必要に応じてのみ(窓ガラス上の衝撃を記録する必要がある場合のみを意味する)オンにすることである。そうするために、感知デバイスは、通常振動(例えば、感知デバイスが固定された車両の移動又は感知デバイスが固定された車両のドアの閉鎖に起因する)と、窓ガラス上の衝撃に起因する異常振動とを判別できなければならない。欧州特許出願公開第19187269号明細書は、感知デバイスがオン又はオフにされる必要があるときを知るために、感知デバイスと組み合わされた加速度計の使用を提案している。
【0004】
このような感知デバイスは、通常、振動センサと、振動センサからのアナログ信号をデジタル信号に変換するためのマイクロコントローラとを含む。電力消費を低減するために、マイクロコントローラは、ほとんどの時間にわたってスリープ状態であるが、窓ガラスが窓ガラス上の衝撃に起因して振動しているとき、振動センサからのアナログ信号を記録する必要がある。通常、ウィンドウコンパレータがこの目的のために使用される。ウィンドウコンパレータは、振動センサに由来するアナログ信号を照査する。アナログ信号が最小閾値未満又は最大閾値超である場合、ウィンドウコンパレータは、マイクロコントローラをトリガする論理信号を出力する。アナログ信号は、μCに到達する前にアナログデジタル変換のために前処理段にも送信される。このタイプの処理段は、一般的に、演算増幅器に基づく。しかし、アナログ信号は、急激に変動するため、演算増幅器は、高スルーレート及び広帯域を有する必要がある。演算増幅器のスルーレートは、演算増幅器が入力レベルの突然の変化に応答し得る最大レートである。このような演算増幅器は、活性状態である場合に重大な静的消費を有する。
【0005】
したがって、消費制約を遵守する一方、いくつかの信号仕様に従うことができるこのような演算増幅器を使用するための解決策を見出す必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、窓ガラスであって、窓ガラスの振動を検出するための再使用可能な感知デバイスを含む窓ガラスに関する。再使用可能な感知デバイスは、窓ガラスの振動を捕捉し、且つアナログ信号に変換することができる振動センサを含む。再使用可能な感知デバイスは、アナログ信号を処理することができる演算増幅器も含む。再使用可能な感知デバイスは、アナログ信号が最小閾値未満又は最大閾値超であるかを判断することができるウィンドウコンパレータも含む。再使用可能な感知デバイスは、演算増幅器から受信されたアナログ信号をデジタルデータに変換することができるマイクロコントローラも含み、マイクロコントローラは、ウィンドウコンパレータによって活性化され得る。再使用可能な感知デバイスは、ウィンドウコンパレータに接続されたS入力、マイクロコントローラに接続されたR入力、及び演算増幅器に接続されたQ出力を備えたSRラッチをさらに含むことを特徴とする。
【0007】
本発明は、本明細書において上に説明された窓ガラスの振動を検出するための再使用可能な感知デバイスにも関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明は、添付図面を参照して例としてさらに説明され、添付図面では、同様の参照符号は、様々な図における同様の要素を指す。これらの例は、例示として提供され、限定として提供されるものではない。添付図面は、概略図であり、原寸に比例しない。添付図面は、決して本発明を限定しない。より多くの利点がいくつかの例によって説明される。
【0009】
図1】本特許出願によって特許請求される再使用可能な感知デバイスの一般的な実施形態を示す。
図2】窓ガラス上の衝撃によって生成される典型的なアナログ信号を示す。
図3a】振動センサ毎に追加フィルタの特徴を備える、本特許出願によって特許請求される再使用可能な感知デバイスの一実施形態を示す。
図3b】振動センサ毎に2つの追加フィルタの特徴を備える、本特許出願によって特許請求される再使用可能な感知デバイスの一実施形態を示す。
図4】追加スイッチの特徴を備える、本特許出願によって特許請求される再使用可能な感知デバイスの一実施形態を示す。
図5】複数の振動センサを備える、本特許出願によって特許請求される再使用可能な感知デバイスの一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、特定の実施形態に関して且ついくつかの図面を参照して説明されるが、本発明は、それらに限定されず、特許請求の範囲のみによって限定される。
【0011】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれる特徴のいくつかを含み、他の特徴を含まないが、様々な実施形態の特徴の組み合わせは、当業者によって理解されるように、本発明の範囲内にあり、様々な実施形態を形成することを意図される。例えば、以下の特許請求の範囲では、特許請求される実施形態の任意のものが任意の組み合わせで使用され得る。
【0012】
本発明は、窓ガラスの振動を検出するための再使用可能な感知デバイスを含む窓ガラスを提案する。窓ガラスは、限定されないが、自動車窓ガラス、より具体的には自動車のフロントガラスであり得る。自動車は、車、バン、大型トラック、モータバイク、バス、路面電車、列車、飛行機、ヘリコプタなどを含む。窓ガラスは、ガラス、より具体的にはソーダ石灰シリカタイプガラス、アルミノケイ酸塩タイプガラス、ホウケイ酸塩タイプガラスで作られ得る。窓ガラスは、ガラスとプラスチックとの結合で作られ得る。
【0013】
再使用可能な感知デバイスは、感知デバイスが窓ガラスから除去されて別の窓ガラスに非恒久的に固定され得ることを意味する。このようにして、感知デバイスは、窓ガラスが交換される必要がある場合に再使用され得る。
【0014】
再使用可能な感知デバイスは、窓ガラスの振動を捕捉し、且つアナログ信号に変換することができる振動センサを含む。振動は、窓ガラス上の衝撃から生じ得る。振動センサは、機械的力を電気信号に変換する、例えば圧電ベンダーであり得る。再使用可能な感知デバイスは、2つ以上の振動センサを含み得る。例えば、再使用可能な感知デバイスは、2つの振動センサ又は信号の三角測量を可能にする3つの振動センサを含み得る。
【0015】
再使用可能な感知デバイスは、アナログ信号を処理することができる演算増幅器も含む。再使用可能な感知デバイスは、振動センサと同じ数の演算増幅器を含む。
【0016】
再使用可能な感知デバイスは、アナログ信号が最小閾値未満又は最大閾値超であるかを判断することができるウィンドウコンパレータも含む。これらの閾値は、その信号を雑音から判別するように判断される。アナログ信号が最小閾値未満又は最大閾値超である場合、再使用可能な感知デバイスは、活性モードに設定される。そうでなければ、再使用可能な感知デバイスは、スリープモードに設定される。再使用可能な感知デバイスは、振動センサと同じ数のウィンドウコンパレータを含む。
【0017】
再使用可能な感知デバイスは、マイクロコントローラも含む。マイクロコントローラは、演算増幅器から受信されたアナログ信号をデジタルデータに変換する。マイクロコントローラは、アナログ信号が最小閾値未満又は最大閾値超になると、ウィンドウコンパレータによって活性化される。
【0018】
再使用可能な感知デバイスは、SR(セット/リセット)ラッチも含む。電子機器では、ラッチは、その2つの状態の一方が活性状態を表し、他方が非活性状態を表す単一ビット(2進数)のデータを格納するデバイスである。このようなデータ格納は、状態の格納のために使用され得、このような回路は、電子機器における順序論理として説明される。
【0019】
SRラッチは、制御信号とは独立して機能し、S及びR入力の状態のみに依存する。SRラッチは、たすき掛けNOR又はNAND論理ゲートの対から構築され得る。SRラッチのセット線が活性化されると、Q出力が活性化される。しかし、このフィードバック機構は、S入力が非活性状態になった場合でもQ出力が活性化されたままであることを意味する。このようにして、ラッチは、メモリデバイスとしての役割を果たす。逆に、リセット線が活性化されると、Q出力は、非活性化され、ラッチの「記憶」を効果的にリセットする。両方の入力が非活性化されると、ラッチは、「ラッチする」- それは、その以前にセットされた状態又はリセットされた状態に留まる。
【0020】
本発明に関して、S入力は、ウィンドウコンパレータに接続される。したがって、アナログ信号が最小閾値未満又は最大閾値超である場合、ウィンドウコンパレータは、そのS入力を介してSRラッチを活性化する。
【0021】
SRラッチのR入力は、マイクロコントローラに接続され、これは、マイクロコントローラのみがそのR入力を介してSRラッチをリセットし得ることを意味する。
【0022】
SRラッチのQ出力は、演算増幅器に接続される。したがって、活性化されると、SRラッチは、振動センサから受信されたアナログ信号を演算増幅器が処理することを可能にする。
【0023】
本発明の1つの関心は、マイクロコントローラ、SRラッチ及び演算増幅器がウィンドウコンパレータの要求のみに応じてトリガされるため、消費をスリープモード及び活性モードの両方で可能な限り低く維持することである。SRラッチの使用は、消費を著しく低減するシャットダウンの選択肢を演算増幅器に追加することを可能にする。
【0024】
本発明の関心は、平行トラック:第1のトラック上にウィンドウコンパレータ及びマイクロコントローラを、且つ第2のトラック上にウィンドウコンパレータ、SRラッチ、演算増幅器及びマイクロコントローラを有することでもある。このようにして、ウィンドウコンパレータは、マイクロコントローラをトリガし、マイクロコントローラが活性化されるのに特定の時間がかかる。並行して、ウィンドウコンパレータは、SRラッチ及び事実上、演算増幅器もトリガし、次に、演算増幅器は、処理されたアナログ信号をマイクロコントローラに送信することになる。この間、マイクロコントローラは、このような処理されたアナログ信号を取得する準備ができている。
【0025】
再使用可能な感知デバイスは、アナログ信号を前処理することができるフィルタをさらに含み得る。フィルタは、マイクロコントローラの要件に適合するようにオフセットをアナログ信号に設定するか、又は高域通過フィルタ及び/若しくは低域通過フィルタを振動センサからの生信号に適用するために使用され得る。
【0026】
本発明の一実施形態によると、再使用可能な感知デバイスは、ウィンドウコンパレータとSRラッチのS入力との間に接続されたスイッチをさらに含み得る。このスイッチは、マイクロコントローラによって制御される。これは、マイクロコントローラがシステムのマスタとして留まることを可能にする。これは、ウィンドウコンパレータがSRラッチをトリガしたとしても、マイクロコントローラがSRラッチを非活性状態に維持することを意味する。このような実施形態は、例えば、霰に起因する窓ガラス上の複数の衝撃の場合に有用であり得る。
【0027】
本発明の一実施形態によると、マイクロコントローラによる取得持続時間は、2ms~10ms、好ましくは3ms~6ms、より好ましくは4ms~5msである。
【0028】
本発明の別の実施形態によれば、マイクロコントローラによる取得持続時間は、ウィンドウコンパレータが少なくとも4ms、好ましくは少なくとも3ms、より好ましくは少なくとも2msにわたって振動センサからさらなる信号を受信しないと停止される。
【0029】
本発明は、上記で説明した窓ガラスの振動を検出するための再使用可能な感知デバイスも提案する。
【0030】
本発明による再使用可能な感知デバイスを概略的に表す図1を参照すると、振動センサ(1)は、振動センサが固定された窓ガラスの振動を捕捉し、且つアナログ信号に変換する。
【0031】
このアナログ信号は、アナログ信号を処理することができる演算増幅器(2)に送信される。このアナログ信号は、ウィンドウコンパレータ(3)にも送信される。ウィンドウコンパレータ(3)は、このアナログ信号を解析し、非活性状態又は活性状態のいずれかを意味する論理信号を出力する。アナログ信号が最小閾値未満又は最大閾値超である場合、ウィンドウコンパレータ(3)は、マイクロコントローラ(4)をトリガする活性状態を出力する。そうでなければ、ウィンドウコンパレータ(3)は、非活性状態を出力する。
【0032】
図2に示すように、ウィンドウコンパレータ(3)に送信されるアナログ信号(実線)は、急激に変動する。したがって、ウィンドウコンパレータ(3)は、最小閾値又は最大閾値(両方とも点線)のいずれかを横切るアナログ信号に続いて一連の活性化状態及び非活性状態を出力する。
【0033】
図1に戻ると、ウィンドウコンパレータ(3)によって受信されたアナログ信号が最小閾値未満又は最大閾値超である場合、ウィンドウコンパレータ(3)は、活性状態を出力する。したがって、ウィンドウコンパレータ(3)は、そのS入力を介してSRラッチ(5)をトリガする。
【0034】
活性化されると、SRラッチ(5)は、そのQ出力を介して演算増幅器(2)が動作して、したがってアナログ信号を処理することを可能にする。次に、この処理されたアナログ信号は、ウィンドウコンパレータ(3)により、この間にトリガされたマイクロコントローラ(4)に送信される。
【0035】
マイクロコントローラ(4)は、演算増幅器(2)から受信された処理されたアナログ信号をデジタルデータに変換する。信号を取得することを終了すると、マイクロコントローラ(4)は、そのR入力を介してSRラッチ(5)をリセットする。したがって、SRラッチ(5)は、そのQ出力を介して演算増幅器(2)を非活性化する。
【0036】
ウィンドウコンパレータ(3)のみがSRラッチ(5)をセットし得る。また、マイクロコントローラ(4)のみがSRラッチ(5)をリセットし得る。
【0037】
アナログ信号が最大閾値未満且つ最小閾値超に低下する場合、ウィンドウコンパレータ(3)は、非活性状態をSRラッチ(5)のS入力に出力する。しかし、マイクロコントローラ(4)のみがSRラッチ(5)をリセットし得るため、SRラッチ(5)は、そのQ出力を不変状態に維持することにより、演算増幅器(2)をイネーブル状態に維持する。マイクロコントローラ(4)は、演算増幅器(2)によって送信された処理された信号を依然として取得する。
【0038】
SRラッチ(5)のリセットは、マイクロコントローラ(4)のみによって行われ得る。マイクロコントローラ(4)は、専用の時間後、例えば取得の5ミリ秒後に取得することを停止するようにプログラムされ得る。マイクロコントローラ(4)は、特定の持続時間、例えば、2ミリ秒間にわたり、ウィンドウコンパレータ(3)からさらなるアナログ信号を受信しないと取得を停止するようにプログラムされ得る。
【0039】
処理されたアナログ信号の取得を終了すると、マイクロコントローラ(4)は、そのR入力を介してSRラッチ(5)をリセットする。したがって、SRラッチ(5)は、そのQ出力を介して演算増幅器(2)を停止する。再使用可能な感知デバイスは、その元の状態に戻り、ウィンドウコンパレータ(3)によって活性化されるのを待つ。
【0040】
図3aに示すように、再使用可能な感知デバイスは、振動センサ(1)の後且つ演算増幅器(2)及びウィンドウコンパレータ(3)の前に置かれた少なくとも1つのフィルタ(6)をさらに含み得る。このフィルタ(6)は、振動センサ(1)からのアナログ信号を前処理するために使用され得る。このフィルタ(6)は、例えば、アナログ信号が正又は負であり得る場合及びマイクロコントローラ(4)が正値のみを受理する場合、マイクロコントローラ(4)の要件に適合するためにオフセットをアナログ信号に設定するために使用され得る。このフィルタ(6)は、高域通過フィルタ及び/又は低域通過フィルタを振動センサ(1)からの生信号に適用するためにも使用され得る。
【0041】
図3bに示すように、再使用可能な感知デバイスは、振動センサ(1)とウィンドウコンパレータ(3)との間及び振動センサ(1)と演算増幅器(2)との間にそれぞれに置かれた少なくとも2つのフィルタ(6a及び6b)をさらに含み得る。これらのフィルタ(6a及び6b)は、振動センサ(1)からのアナログ信号を前処理するために使用され得る。これらは、アナログ信号が正又は負である場合及びマイクロコントローラ(4)が正値のみを受理する場合、マイクロコントローラ(4)の要件に適合するためにオフセットをアナログ信号に設定するために使用され得る。これらのフィルタ(6a及び6b)は、高域通過フィルタ及び/又は低域通過フィルタを振動センサ(1)からの生信号に適用するためにも使用され得る。例えば、第1のフィルタ(6a)は、ドアを閉めることに起因するウィンドウコンパレータ(3)の尚早な且つ望ましくないトリガに起因する周波数を濾過するために使用され得る一方、第2のフィルタ(6b)は、アナログ信号をその周波数領域に制約するために使用され得る。
【0042】
図4に示すように、再使用可能な感知デバイスは、ウィンドウコンパレータ(3)とSRラッチ(5)のS入力との間に接続されたスイッチ(7)をさらに含み得る。このスイッチ(7)は、マイクロコントローラ(4)によって制御される。この接続は、ウィンドウコンパレータ(3)がSRラッチ(5)をトリガしても、マイクロコントローラがSRラッチ(5)に非活性状態に留まることを強制し得るように、ウィンドウコンパレータ(3)とSRラッチ(5)との間の接続に優先する。
【0043】
図5に示すように、再使用可能な感知デバイスは、2つ以上の振動センサ(1)を含み得る。この場合、再使用可能な感知デバイスは、振動センサ(1)と同じ数の演算増幅器(2)及びウィンドウコンパレータ(3)を含む。しかし、再使用可能な感知デバイスは、1つのマイクロコントローラ(4)及び1つのSRラッチ(5)を依然として含む。追加の演算増幅器(2)及びウィンドウコンパレータ(3)は、マイクロコントローラ(4)及びSRラッチ(5)に関して上記で説明したように接続される。
【0044】
本発明は、添付図面及び上記の説明で示され、詳細に説明されたが、このような図及び説明は、説明的又は例示的なものであり、したがって限定的でないと考えるべきである。上記の説明は、本発明のいくつかの実施形態を詳述している。しかし、上記の内容が文章においてどのように詳細に記載されているとしても、本発明は、多くの方法で実施され得ることが理解される。本発明は、開示された実施形態に限定されない。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
【国際調査報告】