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特表2023-538360封止ストリップ、呼吸マスク、及び封止ストリップの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(54)【発明の名称】封止ストリップ、呼吸マスク、及び封止ストリップの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20230831BHJP
   A62B 18/08 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
A41D13/11 H
A62B18/08 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511881
(86)(22)【出願日】2021-08-16
(85)【翻訳文提出日】2023-02-16
(86)【国際出願番号】 IB2021057525
(87)【国際公開番号】W WO2022038488
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】202010825606.4
(32)【優先日】2020-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】チェン,フイ ジュアン
(72)【発明者】
【氏名】シュー,トーマス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】キアン,ヨウ サン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,シュジュン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ジガン
【テーマコード(参考)】
2E185
3B211
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA04
2E185CC32
3B211CB00
(57)【要約】
本発明は、封止ストリップ、呼吸マスク、及び封止ストリップの製造方法に関する。封止ストリップは、本体部を含み、本体部は、上面、下面、第1の側面、及び第1の側面とは反対側の第2の側面を有する。本体部は、曲面部を含む。曲面部は、第1の凸部及び第2の凸部を含み、第1の凸部と第2の凸部は、封止ストリップの長手方向で互いに接続されて、それらの間に位置する凹部を画定する。凹部は、着用者の鼻を収容するように構成される。第1の凸部と第2の凸部は、凹部に関して対称である。曲面部の第1の側面が、封止ストリップの長手方向に延びる振幅一定の正弦曲面である。本発明による封止ストリップ、呼吸マスク、及び封止ストリップの製造方法により、封止ストリップの製造過程を簡略化することができ、材料の最大利用率を達成することができ、呼吸マスクと着用者の顔との間の封止を改善することができ、呼吸マスクの着用快適性を高めることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面、下面、第1の側面、及び前記第1の側面とは反対側の第2の側面を有する本体部を備え、
前記第2の側面が、前記第1の側面が着用者に面するように、前記呼吸マスクの呼吸マスク本体に取り付けられ、前記封止ストリップが、前記着用者の顔に接触すべき前記呼吸マスク本体の周縁部の少なくとも一部を覆い、
前記本体部が、曲面部を含み、前記曲面部が、第1の凸部及び第2の凸部を含み、前記第1の凸部と前記第2の凸部が、前記封止ストリップの長手方向で互いに接続されて前記第1の凸部と前記第2の凸部との間に位置する凹部を画定し、前記凹部が、前記着用者の鼻を収容するように構成され、前記第1の凸部と前記第2の凸部が、前記凹部に関して対称であり、前記曲面部の第1の側面が、前記封止ストリップの長手方向に延びる振幅一定の正弦曲面である、呼吸マスク用の封止ストリップ。
【請求項2】
前記曲面部の前記第1の側面と前記第2の側面との間の距離が、前記曲面部の厚さであり、前記封止ストリップの前記長手方向の両端部における前記曲面部の最小厚さが、前記凹部における前記曲面部の最小厚さに等しい、請求項1に記載の呼吸マスク用の封止ストリップ。
【請求項3】
前記本体部が、前記封止ストリップの前記長手方向で前記曲面部の両側にそれぞれ位置する第1の延長部及び第2の延長部を更に含み、前記第1の延長部が、前記第1の凸部から前記封止ストリップの第1の端部に延び、前記第2の延長部が、前記第2の凸部から前記封止ストリップの第2の端部に延び、
前記第1の延長部及び/又は前記第2の延長部の前記第1の側面と前記第2の側面との間の距離が、一定又は可変である、請求項1に記載の呼吸マスク用の封止ストリップ。
【請求項4】
前記第1の延長部と前記第2の延長部が、同じ輪郭を有する、請求項3に記載の呼吸マスク用の封止ストリップ。
【請求項5】
前記第1の延長部、前記曲面部及び前記第2の延長部が、一体に形成される、又は
前記第1の延長部、前記曲面部及び前記第2の延長部が、別々に形成され、互いに取り付けられる、請求項3に記載の呼吸マスク用の封止ストリップ。
【請求項6】
前記曲面部の上面と下面との間の距離が、6mm~14mmである、かつ/又は
前記封止ストリップの前記長手方向における前記曲面部の長さが、90mm~130mmである、かつ/又は
前記凹部において、前記曲面部の前記第1の側面と前記第2の側面との間の最小距離が、1mm~6mmである、かつ/又は
前記第1の凸部及び前記第2の凸部の前記第1の側面と前記第2の側面との間の最大距離が、前記曲面部の前記第1の側面と前記第2の側面との間の最小距離よりも4mm~10mmだけ大きい、請求項1~5のいずれか一項に記載の呼吸マスク用の封止ストリップ。
【請求項7】
前記封止ストリップが、気密層及び固定層を更に備え、前記気密層が、前記固定層によって前記本体部の前記上面及び前記下面の一方に固定され、前記封止ストリップが前記呼吸マスクに取り付けられるとき、前記封止ストリップの前記気密層が、外周側に位置する、請求項1~5のいずれか一項に記載の呼吸マスク用の封止ストリップ。
【請求項8】
呼吸マスク本体を備える呼吸マスクであって、請求項1~7のいずれか一項に記載の呼吸マスク用の封止ストリップを更に備え、前記封止ストリップが、着用者の顔に接触すべき前記呼吸マスク本体の周縁部の少なくとも一部を覆うように、前記呼吸マスク本体に取り付けられる、呼吸マスク。
【請求項9】
封止ストリップの製造方法であって、
第1の材料片を準備する工程と、
上面、下面、第1の側面、及び前記第1の側面とは反対側の第2の側面を有する前記封止ストリップの本体部を準備するために前記第1の材料片を切断する工程であって、前記第2の側面が、前記第1の側面が着用者に面するように、前記呼吸マスクの呼吸マスク本体に取り付けられ、前記封止ストリップが、前記着用者の顔に接触すべき前記呼吸マスク本体の周縁部の少なくとも一部を覆うように、切断する工程と、を含み、
前記本体部が、曲面部を有するように切断され、前記曲面部が、第1の凸部及び第2の凸部を含み、前記第1の凸部と前記第2の凸部が、前記封止ストリップの長手方向で互いに接続されて前記第1の凸部と前記第2の凸部との間に位置する凹部を画定し、前記凹部が、前記着用者の鼻を収容するように構成され、前記第1の凸部と前記第2の凸部が、前記凹部に関して対称であり、前記曲面部の前記第1の側面が、前記封止ストリップの前記長手方向に延びる振幅一定の正弦曲面である、封止ストリップの製造方法。
【請求項10】
前記第1の材料片を切断する前記工程が、第1の切断線、第2の切断線及び第3の切断線にそれぞれ沿って前記第1の材料片を切断し、前記第2の切断線に沿って互いに合わさる第1のストリップ及び第2のストリップを形成する工程を含み、
前記第1の切断線と前記第3の切断線が、互いに平行な直線であり、前記第2の切断線が、前記第1の切断線と前記第3の切断線との間に位置し、前記第2の切断線が、1つ又は複数の正弦曲線区間を含み、前記第1のストリップ及び前記第2のストリップがそれぞれ、前記曲面部と同じ輪郭を有する少なくとも1つの曲面区間を含み、
前記第1の材料片を切断する前記工程が、前記第1のストリップ及び前記第2のストリップを切断して、前記曲面部を含む前記封止ストリップを形成する工程を更に含む、請求項9に記載の封止ストリップの製造方法。
【請求項11】
前記曲面部の前記第1の側面と前記第2の側面との間の距離が、前記曲面部の厚さであり、前記封止ストリップの前記長手方向の両端部における前記曲面部の最小厚さが、前記凹部における前記曲面部の最小厚さに等しい、請求項10に記載の封止ストリップの製造方法。
【請求項12】
前記1つ又は複数の正弦曲線区間の周期が、一定である、請求項10に記載の封止ストリップの製造方法。
【請求項13】
前記第2の切断線が、前記正弦曲線区間と交互する別の線区間を更に含む、請求項10に記載の封止ストリップの製造方法。
【請求項14】
前記本体部が、前記封止ストリップの前記長手方向で前記曲面部の両側にそれぞれ位置する第1の延長部及び第2の延長部を更に含み、前記第1の材料片を切断する前記工程が、
前記第1のストリップ及び前記第2のストリップから前記本体部をそれぞれ切り出すことで、前記第1の延長部、前記曲面部及び前記第2の延長部が一体に形成される工程を更に含む、請求項13に記載の封止ストリップの製造方法。
【請求項15】
前記本体部が、前記封止ストリップの前記長手方向で前記曲面部の両側にそれぞれ位置する第1の延長部及び第2の延長部を更に含み、前記第1の材料片を切断する前記工程が、
前記本体部の前記曲面部を形成するように、前記第1のストリップ及び前記第2のストリップから前記曲面区間を切り出す工程と、
1つ又は複数の第1の延長部及び1つ又は複数の第2の延長部を形成するように、前記第1の材料片を切断する工程と、を更に含み、
前記封止ストリップの前記製造方法が、前記曲面部が前記マスク本体に取り付けられる前又は取り付けられた後に、前記第1の延長部及び前記第2の延長部を前記曲面部の両側にそれぞれ取り付ける工程を更に含む、請求項10に記載の封止ストリップの製造方法。
【請求項16】
前記封止ストリップの前記製造方法が、前記第1の材料片を切断する前に、前記封止ストリップが、固定層によって前記本体部の前記上面及び前記下面の一方に固定された気密層を更に備えるように、前記第1の材料片に前記気密層及び前記固定層を設ける工程を更に含む、請求項9~15のいずれか一項に記載の封止ストリップの製造方法。
【請求項17】
前記気密層が、
前記第1の材料片の一方の側面に完全には硬化していない気密フィルムを取り付け、前記気密フィルムを硬化させて、前記気密層及び前記固定層を前記第1の材料片と一体に形成すること、並びに
前記第1の材料片の一方の側面及び/又は気密部材の一方の側面に固定層材料を吹き付け、前記固定層材料によって前記気密部材を前記第1の材料片に合わせることであって、前記固定層材料が、硬化されて前記固定層を形成し、前記気密部材が、前記固定層によって前記第1の材料片に固定されて前記気密層を形成する、前記気密部材を前記第1の材料片に合わせることのうちの一方の方法で、
前記第1の材料片に形成される、請求項16に記載の封止ストリップの製造方法。
【請求項18】
封止ストリップであって、請求項9~17のいずれか1項に記載の封止ストリップの製造方法を使用して製造される封止ストリップ。
【請求項19】
呼吸マスクであって、呼吸マスク本体を備え、請求項18に記載の封止ストリップを更に備える呼吸マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体保護の分野に関し、特に、封止ストリップ、封止ストリップを備えた呼吸マスク、及び封止ストリップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この部分の内容は、本発明に関連する背景情報を提供するだけであり、先行技術を必ずしも構成しない。
【0003】
一般的に使用される保護物品として、呼吸マスクは、埃、煙霧、細菌などから保護するためにしばしば使用され、特定の作業環境及び日常生活で広く使用される。呼吸マスクが着用されるとき、呼吸マスクは、着用者の顔の輪郭にフィットして呼吸マスクと着用者の顔との間に良好な封止を形成することができるのが理想的である。しかし、装着者の顔の輪郭は、規則的な輪郭でなく、着用者の個人差が大きい。特に、鼻の輪郭は複雑であり、変動するので、多くの場合、呼吸マスクとの良好な封止を形成することが困難であり、多くの場合、呼吸マスクと着用者の鼻領域との間に隙間が存在し、封止効果が不十分になる。その結果、一方では、着用者が位置する環境内の塵、煙霧又は細菌が、隙間を通って着用者に接触し、着用者によって吸入され、よって、呼吸マスクの保護効果に影響を及ぼす。他方では、着用者の呼気も、この隙間を通って上方に排出される。着用者が眼鏡を着用する場合、呼吸マスク内の温度が周囲温度よりも高い場合に、呼気が眼鏡を曇らせ、着用者の着用体験に影響を及ぼす。
【0004】
したがって、呼吸マスクの保護効果を向上させ、着用体験を向上させるために、呼吸マスクが着用者の顔の輪郭にフィットでき、また呼吸マスクと着用者の顔との間の良好な封止を達成できることが期待される。既存の呼吸マスクでは、記憶効果を有する金属又はプラスチックのノーズストリップが使用される。このタイプの呼吸マスクが着用されるとき、呼吸マスクのこの部分に圧力を加えることにより、呼吸マスクのノーズストリップが着用者の鼻の輪郭にフィットするように変形することで、呼吸マスクが、着用者の顔に押し付けられ、フィットし、よって、呼吸マスクと着用者の鼻との間の封止が改善する。しかし、そのような呼吸マスクのノーズストリップによって着用者の鼻に加えられる圧力により、着用者に不快感が生じる傾向にあり、着用者の顔にへこみや外傷さえ容易に生じてしまう。この状況は、呼吸マスクが長時間着用されるときに特に顕著である。
【0005】
したがって、呼吸マスクの着用快適性及び封止性能を改善することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、呼吸マスクの着用快適性を改善し、封止ストリップの封止性能を改善し、呼吸マスクと着用者の顔との間の封止を改善するように、改良された封止ストリップ及び封止ストリップを備えた呼吸マスクを提供することである。本発明の別の目的は、封止ストリップの製造を簡略化し、呼吸マスクの着用快適性を改善し、呼吸マスクと着用者の顔との間の封止性能を改善し、着用者の眼鏡の曇り問題を緩和し、封止ストリップの原材料の利用率を改善するように、封止ストリップの製造方法、それによって製造される封止ストリップ、及び呼吸マスクを提供することである。
【0007】
本発明の一態様は、呼吸マスク用の封止ストリップを提供することである。封止ストリップは、本体部を備え、本体部は、上面、下面、第1の側面、及び第1の側面とは反対側の第2の側面を有する。第2の側面は、第1の側面が着用者に面するように、呼吸マスクの呼吸マスク本体に取り付けられ、封止ストリップは、着用者の顔に接触すべき呼吸マスク本体の周縁部の少なくとも一部を覆う。本体部は、曲面部を含み、曲面部は、第1の凸部及び第2の凸部を含み、第1の凸部と第2の凸部は、封止ストリップの長手方向で互いに接続されて、第1の凸部と第2の凸部との間に位置する凹部を画定する。凹部は、着用者の鼻を収容するように構成され、第1の凸部と第2の凸部は、凹部に関して対称であり、曲面部の第1の側面が、封止ストリップの長手方向に延びる振幅一定の正弦曲面である。好ましくは、曲面部は、一体に形成される。
【0008】
曲面部の第1の側面と第2の側面との間の距離が、曲面部の厚さであり、封止ストリップの長手方向の両端部における曲面部の最小厚さが、凹部における曲面部の最小厚さに等しい。
【0009】
一実施形態では、本体部は、封止ストリップの長手方向で曲面部の両側にそれぞれ位置する第1の延長部及び第2の延長部を更に含み、第1の延長部は、第1の凸部から封止ストリップの第1の端部に延び、第2の延長部は、第2の凸部から封止ストリップの第2の端部に延びる。第1の延長部及び/又は第2の延長部の第1の側面と第2の側面との間の距離が、一定又は可変である。
【0010】
一実施形態では、第1の延長部と第2の延長部は、同じ輪郭を有する。
【0011】
第1の延長部、曲面部及び第2の延長部は、一体に形成される。代替的に、第1の延長部、曲面部及び第2の延長部は、別々に形成され、互いに取り付けられる。
【0012】
一実施形態では、第1の延長部、曲面部及び第2の延長部は、着用者の顔に接触すべきマスク本体の周縁部全体を集合的に覆う。
【0013】
好ましくは、曲面部の上面と下面との間の距離が、6mm~14mmである。好ましくは、封止ストリップの長手方向における曲面部の長さが、90mm~130mmである。好ましくは、凹部において、曲面部の第1の側面と第2の側面との間の最小距離が、1mm~6mmである。好ましくは、第1の凸部及び第2の凸部の第1の側面と第2の側面との間の最大距離が、曲面部の第1の側面と第2の側面との間の最小距離よりも4mm~10mmだけ大きい。
【0014】
一実施形態では、封止ストリップは、気密層及び固定層を更に備え、気密層は、固定層によって本体部の上面及び下面の一方に固定され、封止ストリップが呼吸マスクに取り付けられるとき、封止ストリップの気密層は、外周側に位置する。
【0015】
本発明の別の態様は、呼吸マスクであって、呼吸マスク本体を備える呼吸マスクを提供することである。呼吸マスクは、本発明による呼吸マスク用の封止ストリップを更に備え、封止ストリップは、着用者の顔に接触すべき呼吸マスク本体の周縁部の少なくとも一部を覆うように呼吸マスク本体に取り付けられる。
【0016】
本発明のまた別の態様は、封止ストリップの製造方法であって、第1の材料片を準備する工程と、封止ストリップの本体部を調製するように第1の材料片を切断する工程と、を含み、本体部は、上面、下面、第1の側面、及び第1の側面とは反対側の第2の側面を有する、製造方法を提供することである。第2の側面は、第1の側面が着用者に面するように、呼吸マスクの呼吸マスク本体に取り付けられ、封止ストリップは、着用者の顔に接触すべき呼吸マスク本体の周縁部の少なくとも一部を覆う。本体部は、曲面部を有するように切断され、曲面部は、第1の凸部及び第2の凸部を含み、第1の凸部と第2の凸部は、封止ストリップの長手方向で互いに接続され、第1の凸部と第2の凸部との間に位置する凹部を画定し、凹部は、着用者の鼻を収容するように構成され、第1の凸部と第2の凸部は、凹部に関して対称であり、曲面部の第1の側面が、封止ストリップの長手方向に延びる振幅一定の正弦曲面である。好ましくは、曲面部は、一体に形成される。
【0017】
第1の材料片を切断する工程は、第1の切断線、第2の切断線及び第3の切断線にそれぞれ沿って第1の材料片を切断し、第2の切断線に沿って互いに合わさる第1のストリップ及び第2のストリップを形成する工程を含む。第1の切断線と第3の切断線は、互いに平行な直線であり、第2の切断線は、第1の切断線と第3の切断線との間に位置し、第2の切断線は、1つ又は複数の正弦曲線区間を含み、第1のストリップ及び第2のストリップはそれぞれ、曲面部と同じ輪郭を有する少なくとも1つの曲面区間を備える。第1の材料片を切断する工程は、第1のストリップ及び第2のストリップを切断して、曲面部を含む封止ストリップを形成する工程を更に含む。
【0018】
一実施形態では、曲面部の第1の側面と第2の側面との間の距離が、曲面部の厚さであり、封止ストリップの長手方向の両端部における曲面部の最小厚さが、凹部における曲面部の最小厚さに等しい。
【0019】
一実施形態では、正弦曲線区間の周期が一定である。
【0020】
一実施形態では、第2の切断線は、正弦曲線区間と交互する別の線区間を更に含む。
【0021】
一実施形態では、本体部は、封止ストリップの長手方向で曲面部の両側にそれぞれ位置する第1の延長部及び第2の延長部を更に含み、第1の材料片を切断する工程は、第1の延長部、曲面部及び第2の延長部が一体に形成されるように、第1のストリップ及び第2のストリップから本体部をそれぞれ切り出す工程を更に含む。
【0022】
一実施形態では、本体部は、封止ストリップの長手方向で曲面部の両側にそれぞれ位置する第1の延長部及び第2の延長部を更に含み、第1の材料片を切断する工程は、本体部の曲面部を形成するように第1のストリップ及び第2のストリップから曲面区間を切り出す工程と、1つ又は複数の第1の延長部及び1つ又は複数の第2の延長部を形成するように第1の材料片を切断する工程と、を更に含む。封止ストリップの製造方法は、曲面部がマスク本体に取り付けられる前又は取り付けられた後に、第1の延長部及び第2の延長部を曲面部の両側にそれぞれ取り付ける工程を更に含む。
【0023】
一実施形態では、封止ストリップの製造方法は、第1の材料片を切断する前に、封止ストリップが、固定層によって本体部の上面及び下面の一方に固定された気密層を更に備えるように、第1の材料片に気密層及び固定層を設ける工程を更に含む。
【0024】
気密層は、第1の材料片の一方の側面に完全には硬化していない気密フィルムを取り付け、硬化させて、気密層を第1の材料片と一体に形成すること、並びに第1の材料片の一方の側面及び/又は気密部材の一方の側面に固定層材料を吹き付け、固定層材料によって気密部材を第1の材料片に合わせることであって、固定層材料が、硬化されて固定層を形成し、気密部材が、固定層によって第1の材料片に固定されて気密層を形成する、気密部材を第1の材料片に合わせることのうちの一方で、第1の材料片に形成される。
【0025】
本発明のまた別の態様は、封止ストリップであって、本発明による封止ストリップの製造方法を使用することによって製造される封止ストリップを提供することである。
【0026】
本発明のまた別の態様は、呼吸マスクであって、呼吸マスク本体を備え、本発明による封止ストリップの製造方法を使用することによって製造される封止ストリップを更に備える呼吸マスクを提供することである。
【0027】
本発明では、改良された封止ストリップ、呼吸マスク、及び封止ストリップの製造方法が提供される。本発明による封止ストリップ、呼吸マスク、及び封止ストリップの製造方法により、封止ストリップの製造を簡略化することができ、封止ストリップの製造品質を改善することができ、材料の最大利用率を達成することができ、呼吸マスクと着用者の顔との間の封止を改善することができ、呼吸マスクの着用快適性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の実施形態について、添付図面を参照して例としてのみ後述する。添付図面では、同じ特徴又は構成要素が同じ参照番号で表されており、添付図面は、必ずしも縮尺どおりに描かれていない。さらに、添付図面では、
図1】本発明の第1の実施形態による封止ストリップの斜視図である。
図2図1の封止ストリップの切断を示す模式図である。
図3図1の封止ストリップの上面図である。
図4図1の封止ストリップの正面図である。
図5】本発明の第1の実施形態による封止ストリップを備えた第1の呼吸マスクの側面図である。
図6】第1の呼吸マスクの封止ストリップが示されている、図5の第1の呼吸マスクの斜視図である。
図7】本発明の第1の実施形態による封止ストリップを備えた第2の呼吸マスクの正面図である。
図8】第2の呼吸マスクの封止ストリップが示されている、図7の第2の呼吸マスクの斜視図である。
図9】本発明の第2の実施形態による封止ストリップの斜視図である。
図10図9の封止ストリップの上面図である。
図11図9の封止ストリップの正面図である。
図12】本発明の第2の実施形態による封止ストリップを備えた第3の呼吸マスクの模式図である。
図13】第3の呼吸マスクの封止ストリップが示されている、図12の第3の呼吸マスクの別の模式図である。
図14】本発明の第2の実施形態による封止ストリップを備えた第4の呼吸マスクの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の説明は、実質的に単なる例示であり、本発明、適用及び用途を限定することを意図しない。添付図面の全てにおいて、同様の参照番号が、同じ又は同様の部品及び特徴を表すことを理解されたい。添付図面は、本発明の実施形態の概念及び原理を例示的に示しているが、本発明の各実施形態の特定のサイズ及びその縮尺を必ずしも示していない。特定の添付図面のいくつかの部分では、本発明の実施形態の関連する詳細又は構造が、誇張して示される場合がある。
【0030】
本発明の実施形態の説明では、「上」、「下」、「左」及び「右」などの関連する方向用語を、添付図面に示される図の上、下、左及び右の位置を説明するために使用する。実際の適用では、本明細書で使用する「上」、「下」、「左」及び「右」の位置関係は、実際の状況に応じて定義されてもよく、これらの関係が逆になる場合もある。
【0031】
図1は、本発明の第1の実施形態による封止ストリップ10の斜視図である。図1に示すように、封止ストリップ10は、可撓性本体部11及び気密層12を含む、一体構造を有する。本体部11は、可撓性の多孔質材料、例えば発泡体で作られる。発泡体は、例えば、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレン酢酸ビニル、ゴム、又はそれらの組み合わせであってもよい。気密層12は、高さ方向(図1に両矢印Bで示す方向)で本体部11の上面又は下面に設けられる。図1では、気密層12は、本体部11の上面に設けられている。気密層12は、封止ストリップ10が切断形成される前に、本体部11に形成される。例えば、封止ストリップ10が形成される前に、気密層が、封止ストリップ10の本体部11を製造するために使用する発泡体の一方の側面に形成されてもよく、気密層は、発泡体と一体に形成される。発泡体に形成される気密層の厚さ(本体部11の高さ方向のサイズ)は、封止ストリップ10の適用要件に応じて設定されてもよい。気密層が、本体部11を製造するために使用する材料片に固定層によって固定されるように、気密層及び固定層が、本体部11を製造するために使用する材料片(例えば、発泡体)に設けられてもよい。固定層の材料は、気密層の材料と同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、完全には硬化していない気密フィルムが、発泡体の一方の側面に取り付けられ、硬化されて気密層及び固定層を発泡体と一体に形成してもよい。気密フィルムは、例えば、ポリウレタンフィルムであってもよい。代替的に、気密部材が、固定層材料によって発泡体に合わさるように、固定層材料が、気密部材及び/又は発泡体の一方の側面に吹き付けられてもよい。固定層材料は、硬化されて固定層を形成し、気密部材は、固定層によって発泡体に固定されて気密層を形成する。
【0032】
封止ストリップ10は、封止ストリップ10の長手方向(図1に両矢印Aで示す方向)に延びる第1の側面13と、第1の側面13とは反対側の第2の側面14とを有する。図1に両矢印Dで示す方向は、封止ストリップ10の厚さ方向であり、第1の側面13と第2の側面14との間の距離が、封止ストリップ10の厚さである。封止ストリップ10の本体部11は、曲面部として形成され、好ましくは、本体部11は、第1の凸部131及び第2の凸部133を含む曲面部として一体に形成される。第1の凸部131と第2の凸部133は、封止ストリップ10の長手方向で互いに接続され、第1の凸部131と第2の凸部133との間に位置する凹部132を画定する。第1の凸部131と第2の凸部132は、凹部132に関して互いに対称であり、凹部132における本体部11の最小厚さ部分が、本体部11の長手方向の中間位置に位置し、曲面部の第1の側面(すなわち、封止ストリップ10の第1の側面13)が、封止ストリップ10の長手方向で振幅一定の正弦状輪郭を有する曲面である。曲面部の第2の側面(すなわち、封止ストリップ10の第2の側面14)が、対象製品への封止ストリップ10の取り付けを容易にするために、実質的に平坦な面である。対象製品は、例えば、呼吸マスクであってもよい。封止ストリップ10は、様々な呼吸マスクのノーズストリップとして使用されてもよく、呼吸マスクは、例えばマスクであってもよい。封止ストリップ10が呼吸マスクに取り付けられるとき、第2の側面14は、呼吸マスクの呼吸マスク本体に取り付けられ、第1の側面13は着用者に面し、気密層12は上側に位置し、凹部132は、着用者の鼻を収容するように構成される。例えば、接着剤が、封止ストリップ10の第2の側面14を呼吸マスク本体に取り付けるように、封止ストリップ10が設置される呼吸マスク本体上の位置及び/又は封止ストリップ10の第2の側面14に吹き付け又は塗布される。
【0033】
封止ストリップ10が上述のような輪郭を有するように構成されることで、封止ストリップ10を人間工学に適合するように着用者の鼻にフィットさせながら、封止ストリップ10を製造するための材料の最大利用率を達成することができる。図2は、第1の材料片Mを使用した封止ストリップ10の調製を示す模式図である。例えば、第1の材料片Mは、発泡体であってもよい。図2に示すように、第1の材料片Mの一方の側面に気密層Sが形成された後、気密層Sに実質的に垂直な方向(すなわち、図2で紙面に垂直な方向)で、気密層Sを備えた第1の材料片Mは、第1の切断線L1、第2の切断線L2及び第3の切断線L3にそれぞれ沿って切断される。第1の切断線L1と第3の切断線L3は、互いに実質的に平行な直線である。第2の切断線L2は、第1の切断線L1と第3の切断線L3との間に位置し、正弦曲線である。正弦曲線は、封止ストリップの長手方向で封止ストリップ10の第1の側面13の正弦状輪郭と同じ振幅及び周期を有する。第1の材料片Mは、第1の切断線L1、第2の切断線L2及び第3の切断線L3に沿って切断され、第2の切断線L2に沿って互いに合わさる第1のストリップM1及び第2のストリップM2を得る。第1のストリップM1と第2のストリップM2は、相補的な形状であり、第1の切断線L1、第2の切断線L2及び第3の切断線L3の延長方向で互いに接続された複数の曲面区間をそれぞれ含む。各曲面区間は、封止ストリップ10と同じ輪郭を有する。図2に模式的に示すように、第1のストリップM1は、第1の曲面区間M11、第2の曲面区間M12、第3の曲面区間M13及び第4の曲面区間M14を含み、第2のストリップM2は、第1の曲面区間M21、第2の曲面区間M22、第3の曲面区間M23及び第4の曲面区間M24を含む。第1のストリップM1の第1の曲面区間M11及び第4の曲面区間M14は、完全には示されておらず、第2のストリップM2の第1の曲面区間M21及び第4の曲面区間M24も、完全には示されていない。次に、上記の曲面区間は、第1のストリップM1及び第2のストリップM2から切り出され、複数の封止ストリップ10を得る。なお、ここで、上記の切断工程の順序は必須でなく、本発明による封止ストリップの製造方法の他の例では、上記の切断工程は、入れ替えられてもよく、又は同時に行われてもよい。上記の好適な例では、第2の切断線L2は、封止ストリップの長手方向で封止ストリップ10の第1の側面13の正弦状輪郭と同じ振幅及び周期を有する連続する正弦曲線である。代替的に、第2の切断線L2は、正弦曲線区間と他の線区間とが交互する曲線であってもよい。すなわち、第2の切断線L2の一部が、振幅及び周期が封止ストリップ10の第1の側面の正弦状輪郭の振幅及び軸と同じである正弦曲線区間であり、第2の切断線L2の残りの部分が、正弦曲線区間と交互する他の線区間、例えば直線又は他の曲線である。
【0034】
上記の例では、封止ストリップの切断過程は、第1のストリップM1及び第2のストリップM2の切断のみを例として説明している。なお、ここで、封止ストリップの実際の切断過程の間に、第1の材料片は、複数のストリップを同時に切り出すために複数の切断線に沿って同時に切断されてもよい。例えば、1組又は複数組の第4の切断線(図示せず)と第5の切断線(図示せず)が、第1の切断線L1の他方の側に交互に設けられてもよく、1組又は複数組の第6の切断線(図示せず)と第7の切断線(図示せず)が、第3の切断線L3の他方の側に交互に設けられてもよい。第4の切断線及び第6の切断線は、第2の切断線L2と同じであってもよく、第5の切断線及び第7の切断線は、第1の切断線L1又は第3の切断線L3と同じであってもよい。第1の材料片は、複数のストリップを同時に切り出すために、全ての切断線に沿って同時に切断されてもよい。
【0035】
図3及び図4は、封止ストリップ10の好適なサイズパラメータを示す。図3は、図1の封止ストリップ10の上面図であり、図4は、第1の側面13が位置する側から見た封止ストリップ10の側面図である。好ましくは、封止ストリップ10の長さA1が、90mm~130mmの範囲で設定されてもよく、凹部132における封止ストリップ10の曲面部の最小厚さD1(すなわち、第1の側面13と第2の側面14との間の最小距離)が、1mm~6mmの範囲で設定されてもよい。より好ましくは、最小厚さD1は、2mm~5mmの範囲で設定されてもよい。特に好ましくは、凹部132における封止ストリップ10の曲面部の最小厚さD1は、長手方向の両端部における封止ストリップ10の曲面部の最小厚さD2に等しい。好ましくは、第1の凸部131及び第2の凸部133が凹部132の最小厚さ位置から突出する最大距離C1が、4mm~10mmに設定される。好ましくは、封止ストリップ10の高さH1(すなわち、封止ストリップ10の上面と下面との間の距離)が、6mm~14mmの範囲で設定される。好適な例では、封止ストリップ10の長さA1は110mmであり、最小厚さD1は3mmであり、距離C1は6mmであり、高さH1は10mmであり、気密層12の高さ(図1に矢印Bで示す方向のサイズ、すなわち、高さH1と同じ方向のサイズ)は10μm~100μmである。
【0036】
封止ストリップ10が上記の正弦状輪郭を有するので、第1のストリップM1と第2のストリップM2は、相補的な形状である。特に、凹部132における封止ストリップ10の曲面部の最小厚さD1が、長手方向の両端部における封止ストリップ10の曲面部の最小厚さD2に等しい構成では、第1の材料片Mは、封止ストリップ10を調製するために最大限に使用することができ、よって、材料の最大利用率を達成する。加えて、封止ストリップ10の気密層12が、第1の材料片Mが切断される前に第1の材料片Mの一方の側面に形成されるので、各封止ストリップ10を調製するときに、気密層12を別途に設ける必要がない。したがって、封止ストリップ10の製造が簡略化され、第1の材料片Mが切断されるときの、気密層の変位による封止ストリップ10の気密層12の位置ずれを防止することができ、よって、封止ストリップ10の気密層12の正確な配置を確実にするのに役立つ。
【0037】
加えて、上記の気密層12を設けることにより、封止ストリップ10を調製するための材料を自由に選択することができる。例えば、25%のへこみを発生させる場合、目標圧力が40N~500Nの範囲、好ましくは60N~400Nの範囲、より好ましくは80N~350Nの範囲である発泡体が、封止ストリップ10を調製するために使用されてもよい。封止ストリップ10を調製するために使用できる異なるパラメータを有する異なるタイプの発泡体サンプルを、以下に示す表1に列挙する。表1に列挙されたサンプル1~サンプル5に気密層を形成することにより、本発明による封止ストリップ10を調製するために、全てのサンプルを使用することができ、封止ストリップ10の上記の有益な態様の全てを達成することができる。なお、ここで、表1に列挙した発泡体サンプルは例示にすぎず、封止ストリップ10を調製するために、表1に列挙したサンプル以外の他のタイプの発泡体も使用してもよい。
【0038】
【表1】
【0039】
封止ストリップ10の上記の構造、輪郭及びサイズパラメータの設計によって、封止ストリップ10の調製を簡略化することができ、封止ストリップ10の製造品質を保証することができ、材料の最大利用率を達成することができる。その上、封止ストリップ10を製造するために使用する主な材料の制約を減らすことができ、よって、材料選択における自由度が増す。
【0040】
本発明の第1の実施形態による封止ストリップ10は、呼吸マスクのノーズストリップとして使用されてもよく、様々な呼吸マスク、例えば、様々な耳ひも式呼吸マスク、頭部装着式呼吸マスクなどに適用されてもよい。
【0041】
図5は、封止ストリップ10を備えた第1の呼吸マスク100の側面図であり、第1の呼吸マスク100の外側が示されている。図6は、第1の呼吸マスク100の斜視図であり、第1の呼吸マスク100の着用者に面する側(すなわち、内側)が示されている。図5及び図6に示すように、第1の呼吸マスク100は、耳ひも式呼吸マスクである。図面に示す例では、第1の呼吸マスク100は、折り畳み可能な耳ひも式マスクである。しかし、本発明はこれに限定されず、他の例では、封止ストリップ10は、折り畳み不能な耳ひも式マスク又は他の呼吸マスクに適用されてもよい。第1の呼吸マスク100の製造過程では、本発明の第1の実施形態による封止ストリップ10は、第1の呼吸マスク100の呼吸マスク本体50の内側に取り付けられ、気密層12は上側に位置する。第1の呼吸マスク100が着用されるとき、第1の呼吸マスク100の第1の吊りひもT11及び第2の吊りひもT12が、着用者の左耳及び右耳にそれぞれ掛けられる。第1の呼吸マスク100は、着用者の鼻が封止ストリップ10の凹部132に収容されるように調整され、封止ストリップ10の第1の側面13は、着用者の鼻の周囲に密着するように着用者の顔の輪郭に適合することができ、よって、呼吸マスクと着用者の鼻との間の隙間を減らし、又は無くしさえする。上記の気密層12を設けることにより、第1の呼吸マスク100と着用者の鼻の周囲との間の封止性能を大幅に改善することができる。したがって、第1の呼吸マスク100と着用者の顔との間に過大な圧力を発生させる必要なく、第1の呼吸マスク100と着用者の顔との間の良好な封止を達成することができる。その上、第1の封止ストリップ10の材料は、第1の呼吸マスク100の呼吸マスク本体50の材料よりも柔らかいことが多い。したがって、着用者の顔の輪郭にフィットするように第1の呼吸マスク100を調整する過程の間に、封止ストリップ10は、大きな変形を有することができる。一方で、第1の呼吸マスク100は、顔の輪郭が異なる着用者に適合させることができる。他方で、封止ストリップ10の変形は、着用者の顔に作用する力を和げることができ、それによって着用者の不快感を減らす。加えて、第1の呼吸マスク100の内側に、気密層12を有する封止ストリップ10が設けられるので、着用者の呼気が第1の呼吸マスク100と着用者の鼻との間から上方に排出されず、着用者の眼鏡が曇る状況を完全に緩和すること、又は回避することさえできる。
【0042】
図7は、封止ストリップ10を備えた第2の呼吸マスク200の正面図であり、第2の呼吸マスク200の外側が示されている。図8は、第2の呼吸マスク200の斜視図であり、第2の呼吸マスク200の着用者に面する側(すなわち、内側)が示されている。図7及び図8に示すように、第2の呼吸マスク200は、頭部装着式呼吸マスクである。図示の例では、第2の呼吸マスク200は、折り畳み不能なカップ状頭部装着式マスクである。しかし、本発明はこれに限定されず、封止ストリップ10は、折り畳み可能な頭部装着式マスク又は他の呼吸マスクに適用されてもよい。第2の呼吸マスク200を製造する過程では、本発明の第1の実施形態による封止ストリップ10は、第2の呼吸マスク200の呼吸マスク本体60の内側に取り付けられ、気密層12は上側に位置する。第2の呼吸マスク200が着用されるとき、着用者の頭は、第1の吊りひもT21及び第2の吊りひもT22を着用者の頭又は首に掛けるように、第2の呼吸マスク200の第1の吊りひもT21及び第2の吊りひもT22をそれぞれ通過する。第2の呼吸マスク200は、着用者の鼻が封止ストリップ10の凹部132に収容されるように調整され、封止ストリップ10の第1の側面13は、着用者の鼻の周囲に密着するように着用者の鼻の周りの輪郭に適合することができ、よって、第2の呼吸マスク200と着用者の鼻との間の良好な封止を達成する。封止ストリップ10を備えた第2の呼吸マスク200は、上述の第1の呼吸マスク100と同様の有益な効果を達成することができる。
【0043】
以上、本発明の第1の実施形態による封止ストリップ10、及びその製造方法、並びに封止ストリップ10を備えた様々な呼吸マスクについて説明した。本発明の第1の実施形態による封止ストリップ10は、振幅一定の正弦状輪郭を有し、気密層12を備え、これにより、封止ストリップの製造を簡略化し、材料の十分な使用を満たし、封止ストリップの材料選択の自由度を高めることができる。その上、封止ストリップ10を備えた呼吸マスクは、着用者の顔に大きな力を加える必要なく、呼吸マスクと着用者の顔との間の封止性能を改善することができ、よって、着用者の不快感を回避し、呼吸マスクの着用快適性を改善する。
【0044】
本発明の第2の実施形態による封止ストリップ20について、添付図面を参照して後述する。本発明の第2の実施形態による封止ストリップ20は、本発明の第1の実施形態による封止ストリップ10と材料及び調製方法が実質的に同じであり、封止ストリップ20の全体的な輪郭形状及び全体的なサイズのみが異なる。添付図面及び以下では、封止ストリップ10と同じ部分には、同一又は類似の参照番号を付し、その説明を省略する。以下では、封止ストリップ20と封止ストリップ10との相違点のみを説明する。
【0045】
図9は、本発明の第2の実施形態による封止ストリップ20の斜視図である。図10は、封止ストリップ20の上面図である。図11は、封止ストリップ20の側面図である。なお、ここで、これらの添付図面は、実際の縮尺で描かれておらず、模式的なものにすぎない。
【0046】
封止ストリップ20は、封止ストリップ20の高さ方向で一体に形成された本体部21及び気密層22を含み、気密層22は、高さ方向で本体部21の上面又は下面に設けられる。図9では、気密層22は、本体部21の上面に設けられている。封止ストリップ20の本体部21及び気密層22は、封止ストリップ10の本体部11及び気密層12と同じ材料で作られてもよい。例えば、封止ストリップ20は、封止ストリップ20の輪郭に従って、図2に示す気密層Sを備えた第1の材料片Mを切断することによって作られてもよく、気密層Sを備えていない第1の材料片Mの部分は、封止ストリップ20の本体部分21を構成し、第1の材料片Mに設けられた気密層Sは、封止ストリップ20の気密層22を構成する。
【0047】
封止ストリップ20の本体部21は、封止ストリップ20の長手方向(図9に両矢印Aで示す方向)に延びる第1の側面23と、第1の側面23とは反対側の第2の側面24とを有する。第1の側面23は、封止ストリップ20の長手方向に延びる曲面であり、第2の側面24は、実質的に平坦な面である。本体部21は曲面部25を有し、曲面部25は、一体に形成された第1の凸部251及び第2の凸部253を含む。第1の凸部251と第2の凸部253は、封止ストリップ20の長手方向で互いに接続され、第1の凸部251と第2の凸部253との間に位置する凹部252を画定する。第1の凸部251と第2の凸部253は、凹部252に関して対称であり、凹部132における曲面部25の最小厚さ部分が、曲面部25の長手方向の中間位置に位置し、曲面部25の第1の側面(すなわち、曲面部25における第1の側面23の部分)が、封止ストリップ20の長手方向に振幅一定の正弦状輪郭を有する曲面である。好ましくは、曲面部25の長さA22が、90mm~130mmの範囲で設定されてもよい。好ましくは、凹部232における曲面部25の最小厚さD3(曲面部25の第1の側面23と第2の側面24との間の最小距離)が、1mm~6mmの範囲で設定されてもよい。より好ましくは、最小厚さD1は、2mm~5mmの範囲で設定されてもよい。特に好ましくは、凹部232における曲面部25の最小厚さD3は、長手方向の両端部における曲面部25の最小厚さD4に等しい。好ましくは、第1の凸部251及び第2の凸部252が凹部252の最小厚さ位置から突出する最大距離C2が、4mm~10mmの範囲で設定される。好ましくは、曲面部25の高さH2(すなわち、図9に矢印Bで示す方向における曲面部25の上面と下面との間の距離)が、6mm~14mmの範囲である。封止ストリップ20の曲面部25は、封止ストリップ10と同じ構造を有してもよい。すなわち、曲面部25の第1の凸部251、凹部252及び第2の凸部253は、本発明の第1の実施形態による封止ストリップ10の第1の凸部131、凹部132及び第2の凸部133と同じ輪郭及びサイズを有してもよい。
【0048】
加えて、図9及び図10に示すように、封止ストリップ20は、封止ストリップ20の長手方向で曲面部25の両側に位置する第1の延長部26及び第2の延長部27を更に含む。第1の延長部26は、曲面部25の第1の凸部251から封止ストリップ20の第1の端部(図9及び図10の左端部)に延び、第2の延長部27は、第2の凸部253から封止ストリップ20の第2の端部(図9及び図10の右端部)に延びる。図9図11に示す例では、上面と下面との間の第1の延長部26及び第2の延長部27の高さが、曲面部25の高さと同じであり、第1の延長部26及び第2の延長部27は両方とも、一定の厚さを有し、その厚さは、凹部232における曲面部25の最小厚さD3と同じである。しかし、本発明はこれに限定されず、本発明による他の例では、第1の延長部26及び第2の延長部27の高さは、曲面部25の高さと異なっていてもよく、第1の延長部26及び/又は第2の延長部27は、可変の厚さを有してもよい。図9図11に示す例では、第1の延長部26、曲面部25及び第2の延長部27は、一体に切り出され、第1の延長部26の長さA21は、第2の延長部27の長さA23と同じである。しかし、本発明は、これに限定されない。本発明による他の例では、第1の延長部26の長さA21と第2の延長部27の長さA23は異なっていてもよく、かつ/又は、第1の延長部26、曲面部25及び第2の延長部27は、別々に切り出され、互いに接続されてもよい。
【0049】
第1の延長部26、曲面部25及び第2の延長部27が別々に切り出される例では、例えば、図2に示すように、気密層Sを備えた第1の材料片Mの場合、第1の材料片Mは、第1のストリップM1及び第2のストリップM2を得るために、図2に示す第1の切断線L1、第2の切断線L2及び第3の切断線L3に沿って切断されてもよく、様々な曲面区間が、複数の曲面部25を得るために、第1のストリップM1及び第2のストリップM2から切り出される。加えて、1つ又は複数の第1の延長部26及び1つ又は複数の第2の延長部27が、第1の材料片Mから切り出される。例えば、第1の材料片Mは、第3のストリップ(図示せず)を形成するように、第1の延長部26及び第2の延長部27の厚さに従って2つの真っ直ぐな切断線(図示せず)に沿って切断され、第3のストリップは、第1の延長部26の長さA21及び第2の延長部27の長さA23に従って、第1の延長部26及び第2の延長部27にそれぞれ対応する複数のセクションに切断され、それによって複数の第1の延長部26及び複数の第2の延長部27が得られる。そして、封止ストリップ20が呼吸マスクに取り付けられる前又は取り付けられた後に、切断によって得られた第1の延長部26、曲面部25及び第2の延長部27は、互いに接続されて封止ストリップ20を形成する。第1の延長部26、曲面部25及び第2の延長部27が別々に切り出されるこの例では、切断によって得られる第1のストリップM1と第2のストリップM2は、相補的な形状であり、第3のストリップは、第1の材料片Mの長手方向又は幅方向で規則的な形状の直方体ストリップに切断されてもよく、よって、切断過程で発生する廃棄材料を減らし、したがって、第1の材料片Mの最大利用率も達成することができる。
【0050】
この例では、封止ストリップ20の曲面部25が、封止ストリップ10と同じ輪郭及びサイズを有するので、封止ストリップ20の曲面部25は、封止ストリップ10を形成するための方法を使用して形成されてもよい。しかし、本発明は、これに限定されない。封止ストリップ20の曲面部25の曲面輪郭の振幅及び/又は周期が、封止ストリップ10のそれらと異なる場合でも、図2の第2の切断線L2の曲線(例えば、正弦曲線の振幅及び周期)が、封止ストリップの長手方向で封止ストリップ20の曲面部25の輪郭と同じように構成される限り、上記と同様の方法を使用して曲面部25を依然として形成することができる。
【0051】
第2の実施形態による封止ストリップ20は、本発明の第1の実施形態による封止ストリップ10と同じ有益な効果を達成することができる。
【0052】
加えて、封止ストリップ10と比較して、封止ストリップ20は、曲面部25の両側に位置する第1の延長部26及び第2の延長部27も備える。本発明の第2の実施形態による封止ストリップ20は、様々な呼吸マスクの顔封止ストリップとして使用されてもよく、着用者の顔に接触する呼吸マスクの周縁部の少なくとも一部を覆うように構成されてもよい。封止ストリップ20が呼吸マスクに取り付けられるとき、第1の側面23は、着用者の顔に面し、第2の側面24は、呼吸マスクの呼吸マスク本体に取り付けられる。封止ストリップ10と比較して、封止ストリップ20は、呼吸マスクの周縁部のより広い範囲を覆うことができ、よって、呼吸マスクと着用者の顔との間のより広い範囲の封止をもたらすことができ、着用快適性を改善することができる。
【0053】
図12及び図13は、本発明の第2の実施形態による封止ストリップ20を備えた第3の呼吸マスク300を示し、第3の呼吸マスク300の外側及び内側がそれぞれ示されている。図12及び図13に示す第3の呼吸マスク300は、耳ひも式呼吸マスクである。しかし、本発明はこれに限定されず、本発明の第2の実施形態による封止ストリップ20は、頭部装着式呼吸マスクに適用されてもよい。図13に示すように、第3の呼吸マスク300の呼吸マスク本体70の内側には、着用者の顔に接触する第3の呼吸マスク300の周縁部全体を覆うように封止ストリップ20が設けられ、気密層22は、その外周側に、すなわち、鼻領域では上側に向けて、頬領域では外側に向けて設けられる。第3の呼吸マスク300が着用されるとき、第1の吊りひもT31及び第2の吊りひもT32が、着用者の左右の耳にそれぞれ掛けられ、第3の呼吸マスク300は、封止ストリップ20の曲面部25が着用者の鼻の周りの輪郭に適合し、第1の延長部26及び第2の延長部27がそれぞれ着用者の左右の頬の輪郭に適合するように、調整される。封止ストリップ20が上記の気密層22を備えることにより、第3の呼吸マスク300の周縁部は、着用者の顔に大きな圧力を加える必要なく、着用者の顔に密着することができ、よって、着用不快感を減らし、着用者の顔上に明らかなへこみ又は外傷ができることさえ回避し、着用快適性を大きく改善することができる。
【0054】
図14は、本発明の第2の実施形態による封止ストリップ20を備えた第4の呼吸マスク400を示す。第4の呼吸マスク400は、図14に示すように、封止ストリップ20が、着用者の顔に接触する第4の呼吸マスク400の周縁部の一部のみを覆うことを除いて、第3の呼吸マスク300と実質的に同じである。第4の呼吸マスク400は、上述の第3の呼吸マスク300と実質的に同じ有益な効果をもたらすことができる。
【0055】
以上、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態による封止ストリップ、本発明による封止ストリップを備えた様々な呼吸マスク、及び封止ストリップの製造方法について説明した。本発明による封止ストリップ、封止ストリップを備えた呼吸マスク、及び封止ストリップの製造方法は、封止ストリップの製造を簡略化し、材料利用率を改善し、呼吸マスクと着用者の顔との間の封止性能を改善し、着用者の顔上にへこみ又は外傷ができることを緩和又は回避することができ、呼吸マスクの着用快適性を改善する。
【0056】
上記の例では、第2の切断線L2は、振幅一定の正弦曲線であり、第1の材料片Mを切断することによって得られる第1のストリップM1及び第2のストリップM2の複数の曲面区間は、同じ輪郭を有する。しかし、本発明は、これに限定されない。本発明による他の実施形態では、第2の切断線L2は、振幅可変の正弦曲線であるようにも構成されてもよく、第1の材料片M1を切断することによって得られる第1のストリップ及び第2のストリップはそれぞれ、輪郭が異なる複数の曲面区間を含んでもよい。輪郭が異なる複数の曲面区間は、異なるサイズの封止ストリップの曲面部として使用されてもよい。したがって、様々なタイプの封止ストリップの曲面部を1回の切断で切り出すことができ、材料の最大利用率を依然として達成することができる。
【0057】
上記の実施形態では、本発明による封止ストリップの呼吸マスクへの適用が、呼吸マスクを対象製品として使用することによって示されている。しかし、本発明による封止ストリップは、呼吸マスク以外の対象製品にも適用され得ることを理解されたい。
【0058】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は詳細に上述した特定の実施形態に限定されるものでないことを理解されたい。当業者は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変形及び変更を行うことができる。これらの変形及び変更は全て、本発明の範囲内に含まれる。その上、ここに記載された構成要素は全て、他の技術的に等価な構成要素によって置き換えることができる。
図1
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【国際調査報告】