(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(54)【発明の名称】カメラ、Aピラー構成、及び車両
(51)【国際特許分類】
H04N 23/90 20230101AFI20230831BHJP
H04N 23/52 20230101ALI20230831BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20230831BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
H04N23/90
H04N23/52
H04N23/50
H04N7/18 J
H04N7/18 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512214
(86)(22)【出願日】2021-08-02
(85)【翻訳文提出日】2023-04-17
(86)【国際出願番号】 EP2021071522
(87)【国際公開番号】W WO2022037926
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】102020121700.5
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】トシュテン、マイアー
(72)【発明者】
【氏名】ベルント、ビールマン
【テーマコード(参考)】
5C054
5C122
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054CE04
5C054EA01
5C054EA07
5C054FF02
5C054GB01
5C054HA30
5C122DA14
5C122EA01
5C122FB11
5C122GE06
5C122GE11
(57)【要約】
(カメラ、カメラを有するAピラー構成及び車両)車両(1)のためのカメラ(3、103、203)であって、当該カメラが、車両(1)おAピラー(7、107、207)の内側に少なくとも部分的に設けられるように、車両81)の前方のエアリアに関する画像データを記録するように、及びAピラー(7、107、207)の内側でカメラ(3、103、203)によって占められるスペース(24、124、224)が、カメラ(3、103、203)の視線(14、114、228)と平行に、Aピラー(7、107、207)の長手方向(L)に平行なその最大寸法(A2、A4、A6)よりも小さい最大寸法(A1、A3、A5)を有するように、Aピラー(7、107、207)に配置されるように、設計される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)のためのカメラ(3、103、203)であって、
前記車両(1)のAピラー(7、107、207)の内側に少なくとも部分的に設けられるように、
前記車両(1)の前方におけるエリアの画像データを記録するように、及び
前記Aピラー(7、107、207)の内側で前記カメラ(3、103、203)によって占められるスペース(24、124、224)が、前記カメラ(3、103、203)の視線(14、114、228)と平行に、前記Aピラー(7、107、207)の長手方向(L)と平行であるその最大寸法(A2、A4、A6)よりも小さい最大寸法(A1、A3、A5)を有するように、前記Aピラー(7、107、207)の内側に配置されるように、
構成されるカメラ(3、103、203)。
【請求項2】
前記カメラ(3、103、203)は、望遠レンズ(13、113、213)を有し、前記車両(1)の前方における長距離の画像データを記録するように構成される、請求項1に記載のカメラ(3、103、203)。
【請求項3】
ハウジング(12、112、212)と、
対物レンズ(13、113、213)と、
前記ハウジング(12、112、212)に取り付けられ、且つ、車両側接続要素(18)に対する前記カメラの接続のために構成される接続要素(17、117、217)と、を有し、
前記Aピラー(7、107、207)の内側で前記ハウジング(12、112、212)、前記対物レンズ(13、113、213)及び前記接続要素(17、117、217)によって占有されるスペース(24、124、224)が、前記カメラ(3、103、203)の視線(14、114、228)に平行に、前記Aピラー(7、107、207)の長手方向(L)に平行であるその最大寸法(A2、A4、A6)よりも小さな最大寸法(A1、A3、A5)を有するように、前記カメラ(3、103、203)が前記Aピラー(7、107、207)の内側に配置されるように構成される
請求項1又は2に記載のカメラ(3、103、203)。
【請求項4】
前記カメラ(3、103)の対物レンズ(13、113)が前記Aピラー(7、107)から前記車両方向に前方へ突出するように、前記カメラ(3、103)が前記Aピラー(7、107)に配置されるように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のカメラ(3、103)。
【請求項5】
ハウジング(12、112)と、
第1ハウジング壁(22、122)に配置される対物レンズ(13、113)と、
前記カメラ(3、103)を車両側接続要素(18)に接続するための接続要素(17、117)であって、前記接続要素(17、117)が第2ハウジング壁(23、123)に配置され、前記第2ハウジング壁(23、123)が前記第1ハウジング壁(22、122)と角度(α、β)を形成する、接続要素(17、117)と、
を有する請求項1~4のいずれか一項に記載のカメラ(3、103)。
【請求項6】
ハウジング(12、112)と、
対物レンズ(13、113)と、
前記ハウジング(12、112)に配置される第1回路基板(30)と、
前記第1回路基板(30)に配置されるイメージセンサ(15)であって、前記第1回路基板(30)の主延在面が前記対物レンズの光軸(14、114)に対して垂直に配置され、前記イメージセンサ(15)が前記対物レンズ(13、113)のビーム路に配置される、イメージセンサ(15)と、
前記ハウジング(12、112)に配置され且つ前記第1回路基板(30)に電気的に接続される第2回路基板(16)であって、前記第2回路基板(16)は、前記イメージセンサ(15)に対して前記第1回路基板(30)の背後に配置され、前記対物レンズ(13、113)の前記光軸(14、114)に対して前記第1回路基板(30)に関して上方にオフセットされる、第2回路基板(16)と、
を有する請求項1~5のいずれか一項に記載のカメラ(3、103)。
【請求項7】
前記カメラ(203)の対物レンズ(213)の光軸(214)が前記Aピラー(207)の長手方向(L)に沿って配置されるように、前記カメラ(203)は前記Aピラー(207)に配置されるように構成され、
前記カメラ(203)は、前記対物レンズ(213)の前方において配置される偏向ミラー(227)を有し、
前記偏向ミラー(227)は、前記車両(1)の前方における被写体(4)から入射した光ビームを、前記対物レンズ(213)上に偏向させるように構成される
請求項1~6のいずれか一項に記載のカメラ(203)。
【請求項8】
前記カメラ(3、103、203)によって記録される画像データを、前記カメラ(3、103、203)の外側に配置されるイメージプロセッサ(19)に伝送するために、前記カメラ(3、103、203)によって記録される画像データを前記カメラ(3、103、203)の外側に配置されるメモリ(20)に保存するために、前記カメラ(3、103、203)の外側に配置される制御ユニット(21)の制御コマンドを受けるために、及び/又は前記カメラ(3、103、203)に電力を供給するために、前記カメラ(3、103、203)は、車両側接続要素(18)に接続されるように構成される接続要素(17、117、217)を有する、
請求項1~7のいずれか一項に記載のカメラ(3、103、203)。
【請求項9】
車両(1)のためのAピラー構成(2、102、202)であって、
Aピラー(7、107、207)と、
請求項1~8のいずれか一項に記載のカメラ(3、103、203)と、を有し、
前記Aピラー(7、107、207)の内側で前記カメラ(3、103、203)によって占有されるスペース(24、124、224)が、前記カメラ(3、103、203)の視線(14、114、228)に平行に、前記Aピラー(7、107、207)の長手方向(L)に平行であるその最大寸法(A2、A4、A6)よりも小さい最大寸法(A1、A3、A5)を有するように、前記カメラ(3、103、203)は設計されて前記Aピラー(7、107、207)の内側に配置される、
Aピラー構成(2、102、202)。
【請求項10】
透明カバー(8、208)を有し、前記カメラ(3、103、203)が前記透明カバー(8、208)を通じて前記車両(1)の前方におけるエリアの画像を記録するように構成される
請求項9に記載のAピラー構成。
【請求項11】
前記透明カバー(8、208)は、低い光学歪みを有する、
請求項10に記載のAピラー構成。
【請求項12】
前記透明カバー(8)がドーム形状である、請求項10又は11に記載のAピラー構成。
【請求項13】
前記透明カバー(8、208)が外側表面(25、225)を有し、前記Aピラー構成が、前記透明カバー(8、208)の前記外側表面(25、225)の少なくとも一部を洗浄するための洗浄装置(26)を有する、請求項10~12のいずれか一項に記載のAピラー構成。
【請求項14】
請求項9~13のいずれか一項に記載のAピラー構成を少なくとも1つ有する車両(1)。
【請求項15】
請求項9~13のいずれか一項に記載の2つのAピラー構成(2、102、202)であって、前記Aピラー(7、107、207)の内側に設けられる前記カメラ(3、103、203)が各々、望遠レンズ(13、113、213)を有する、2つのAピラー構成(2、102、202)と、
通常の対物レンズ又は広角の対物レンズを有する、中央に設けられるフロントカメラ(29)と、
を有する請求項14に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ、カメラを有するAピラー構成、及びAピラー構成を有する車両に関する。
【発明の概要】
【0002】
車両は、典型的には、車両の前方における被写体を取得するように、車両の前方領域に設置されたフロントカメラを備える。そのようなフロントカメラは、典型的には、車両のフロントガラスの背後の上部中央位置に取り付けられる。代替的に、フロントカメラは、車両のラジエーターグリルの底部中央位置に取り付けられることも可能である。
【0003】
フロントカメラを車両のラジエーターグリルに取り付けることは、近くにある高さの低い被写体によって視界が隠されうるため、フロントカメラによって遠方を見るには不向きである。フロントカメラがフロントガラスの背後に取り付けられる場合、画像はフロントガラスを介して記録される。この場合、フロントガラスの不十分な光学的品質に起因して、画質が損なわれうる。例えば、光学的な歪みが発生しうる。また、フロントガラス上での高反射及びフロントガラスを通じた低透過が、特にカメラ視野のエッジエリアにおいて、画質を低下させうる。また、フロントガラスの汚れに起因して、フロントガラスワイパーで覆われていないフロントガラスのそれらのエリアを通じた画像記録が、損なわれうる。
【0004】
Aピラーによって隠されたエリアをモニターするように車両のAピラーにカメラを組み込むことは、CN203681400Uから知られている。しかし、Aピラーにカメラを取り付けるには、Aピラーの桁構造体の一部を取り除いてカメラのためのスペースを作る必要がある。これは、Aピラーの安定性を低下させ、したがって乗員安全の理由で不利である。代替的に、車両のAピラーにカメラを搭載するために、Aピラーがより広くされることも可能である。しかし、それによってAピラーによって隠されるエリアが広がるため、ドライバーの視界がより厳しく制限されることになる。
【0005】
この背景に対し、本発明の目的は、車両のAピラーのための改良されたカメラ、カメラを有するAピラー構成、及びAピラー構成を有する車両を作ることである。
【0006】
その目的を達成するために、第1態様によれば、車両のためのカメラが提案される。そのカメラは、車両のAピラーの内側に少なくとも部分的に取り付けられるように構成され、車両の前方におけるエリアの画像データを記録するように構成される。更に、Aピラーの内側のカメラによって占められるスペースが、Aピラーの長手方向と平行であるその最大寸法よりも、カメラの視線(line of sight)と平行に小さな最大寸法を有するように、カメラがAピラーに配置されるように構成される。
【0007】
Aピラーの内側のカメラによって占められるスペースが、Aピラーの長手方向に平行なその最大寸法よりも小さなカメラの視線に平行な最大寸法を有するため、AピラーにおけるカメラはAピラーの断面に対して小さなスペースを占める。そのため、断面図において、カメラのためのスペースを作るために、カメラの桁構造体の小さな部分のみが取り除かれる必要がある。そのため、統合されたカメラにもかかわらず、Aピラーを狭くすることができ、同時に安定させることができる。狭いAピラーによって、視界の隠蔽角(死角)が有利には小さく、ドライバーの視界がAピラーによって比較的小さく制限される。更なる利点は、安定したAピラーが、良好な乗員保護を可能にすることである。
【0008】
更に、Aピラーに統合されたカメラにより、車両の前方における、特に車両の前方に位置する中央エリアの、エリアをモニターするためのフロントカメラの代替配置が作られる。周囲の画像は、フロントガラスの背後に配置されるフロントカメラとは対照的に、ここではフロントガラスを通して記録されず、それはフロントガラスの好ましくない光学的特性が画質を損なうことを防ぐ。
【0009】
カメラは、車両の前方におけるエリアの画像データを記録するように構成される。カメラは、例えば、車両の前方において中央に位置するエリアの画像データを記録するように構成される。特に、カメラは、車両の前方におけるエリアの画像及び/又は動画を記録するように構成される。特に、カメラは、車両の前方における監視エリアをモニターするように構成される。特に、車両の前方周囲における静止被写体又は移動被写体が取得されることができ、例えば、車両、人物、動物、植物、障害物、道路凹凸(例えば穴(potholes)や石)、道路境界、交通標識、又は空きスペース(例えば駐車スペース)などが挙げられる。
【0010】
カメラは、例えば、様々な運転支援機能のために使用されることが可能であり、例えば速度アシスト(アダプティブクルーズコントロール、ディスタンスコントロール、ACC:アダプティブクルーズコントロール)、照明アシスト、ハイビームアシスト、レーンアシスト、レーンキープアシスト(LKA:レーンキープアシスト)、レーンチェンジアシスト、緊急ブレーキアシスト(AEB.自動緊急ブレーキ)、ステアリングアシスト、緊急ステアリングアシスト(AES:自動緊急ステアリング)、渋滞アシスト(TJA:渋滞アシスト)、渋滞パイロット(TJP:渋滞パイロット)、高速道路アシスト(HWA:ハイウェイアシスト)、及び/又は渋滞パイロット(TJP:渋滞パイロット)のために使用されることが可能である。
【0011】
カメラは、例えば、SAE自動化レベル1、2、3、4、又は5の各種運転支援機能のために使用されることができる。カメラは、例えば、自律走行又は半自律走行のための運転支援機能のために使用されることができ、それにおいて車両は半自動的に又は全自動的に運転され/制御される。
【0012】
SAE分類システムは、6つの異なる自動化のレベルに基づいており、自動車の標準化団体であるSAEインターナショナルによって2014年にJ3016、「Taxonomy and Definitions for Terms Related to On-Road Motor Vehicle Automated Driving Systems」として公表された。それは、必要とされるドライバーの注意力及びシステムの介入のレベルを考慮する。SAE自動化レベルは、完全に手動的なシステムに相当するレベル0から、ドライバーの必要性を排除する完全に自動化されたシステムに相当するレベル5まである。自律走行車(ドライバーレスカー、自動運転車、ロボットカーとも知られている)は、人間の入力なしにその周囲の状況を感知して航行することができる車両であり、SAE自動化レベル5に適合する。
【0013】
特に、Aピラーの内部でカメラが占めるスペースが、Aピラーの長手方向に平行なその最大寸法よりも小さなカメラの視線に平行な最大寸法を有するように、カメラは、Aピラーに配置されるように構成されるように、設計される。
【0014】
例えば、カメラは、車両のAピラーの内側に完全に配置される。この場合、Aピラーの内側のカメラが占めるスペースは、カメラの外形によって区切られる。あるいは、Aピラーの内側に一部だけカメラが配置される。この場合、Aピラーの内側のカメラが占めるスペースは、Aピラーの内側に位置するカメラの部分の外形によって区切られる。
【0015】
カメラの視線は、例えば、カメラの対物レンズの光軸である。また、車両の外側の被写体から入射した光線を対物レンズに向けて偏向させる偏向装置を有する場合、カメラの視線は対物レンズの光軸に対してある角度を形成する。
【0016】
車両は、例えば、乗用車、トラック、及び/又はバスである。また、カメラは、自律的に又は少なくとも半自律的に動作することができる車両において使用されることができる。
【0017】
カメラは、光学系を、特に対物レンズ、レンズ等を、有する。カメラは、例えば、ハウジングと、対物レンズと、ハウジングに配置され且つ対物レンズのビーム路に配置されるイメージセンサと、を有する。
【0018】
カメラは、例えば、高解像度カメラ(高精細度カメラ(HDカメラ))である。
【0019】
更に、カメラは、例えば、接続要素を有する。接続要素は、例えば、カメラを車両側接続要素に接続するために使用される。カメラの接続要素は、例えば、プラグコネクタである。車両側接続要素は、例えば、車両側プラグコネクタである。
【0020】
カメラは、例えば、いわゆる「衛星カメラ」であり、当該衛星カメラはそのハウジングにおいて、撮像光学ユニット及びイメージセンサを有するだけであり、画像/動画プロセッサを有しておらず、メモリを有しておらず、制御ユニットを有していない。そのため、カメラをコンパクトに設計することができる。カメラによって記録される画像の画像データは、この場合、カメラからデータラインを介して、カメラの外部(特にAピラーの外側)に配置される画像/動画プロセッサ及び/又はメモリに伝送される。更に、カメラの外側(特にAピラーの外側)に配置される制御ユニットにより、データラインを介してカメラが制御される。カメラの外側に配置される画像/動画プロセッサ、カメラの外側に配置されるメモリ、及び/又はカメラの外側に配置される制御ユニットは、例えば、車両に、例えば、車両の中央電子制御ユニット(ECU)に配置される。或いは、これらのユニットのうちの1つ、複数、又はすべてをクラウドベースのやり方で実装することも可能である。この場合、カメラは、接続要素として、例えば、無線でデータを送信及び受信するためのトランスミッター及び/又はレシーバー(例えば、RFIDトランシーバ、無線周波数識別部)を有する。
【0021】
カメラは、例えば、1又は複数の回路基板を有する。イメージセンサは、例えば、回路基板に取り付けられる。
【0022】
Aピラーは、車両のルーフとボディ構造とをつなぐ耐荷重性のある車両ピラーである。特に、Aピラーは、車両ルーフとボディ構造との間の接続支柱である。Aピラーは、車両の左Aピラー又は右Aピラーである。特に車両は、車両前方から見てフロントガラスの左右に配置される2つのAピラーを有する。Aピラーは、例えば、フロントガラスのための取り囲み部を有する。運転席ドア及び助手席ドアのヒンジもAピラーに固定することができる。
【0023】
Aピラーは、とりわけ、事故の場合に車内を保護するために使用される。特に、車両の側面衝突又は横転が起きた場合に、Aピラーは乗員室を、ひいては乗員を保護するための機能を有する。Aピラーは、この目的のために、桁構造体又は補強構造体を有する。例えば、Aピラーは、例えば金属板によって形成される、キャビティを有し、当該キャビティにおいて補強構造体が収容される。補強構造体は、例えば、補強チューブである。
【0024】
Aピラーは、例えば、車両の側面視において、路面又は車両の水平面に対して斜めに配置される。特に、Aピラーの長手軸は、路面又は車両の水平面に対し、側面視において傾斜している。特に、Aピラーは、Aピラーの上端部がAピラーの下端部よりも車両長手方向の更に後方に位置するように、傾斜している。
【0025】
第1態様の一実施形態によれば、カメラは、望遠レンズを有し、車両の前方における遠距離の画像データを記録するように構成される。
【0026】
そのため、車両の前方における長い距離をカメラによってモニターすることが可能である。
【0027】
望遠レンズは、例えば、80mm以上、135mm以上、180mm以上、及び/又は200mm以上の焦点距離を有する。
【0028】
第1態様の更なる実施形態によれば、カメラは、ハウジングと、対物レンズと、ハウジングに取り付けられ且つ車両側接続要素に対するカメラの接続のために構成される接続要素と、を有する。更に、Aピラーの内側でハウジング、対物レンズ、及び接続要素が占めるスペースの、カメラの視線と平行な方向の最大寸法が、Aピラーの長手方向と平行な方向のその最大寸法よりも小さくなるように、カメラがAピラーに配置されるように構成される。
【0029】
特に、Aピラーの内側でハウジング、対物レンズ、及び接続要素によって占められるスペースが、Aピラーの長手方向に平行なその最大寸法よりも小さいカメラの視線に平行な最大寸法を有するように、カメラはAピラーに配置されるように構成されるように設計される。
【0030】
Aピラーの内側のハウジング、対物レンズ、及び接続要素が占めるスペースは、ハウジング、対物レンズ、及び接続要素を合わせた外形寸法に関係する。つまり、Aピラーの内側のハウジング、対物レンズ、及び接続要素が占めるスペースは、これらの要素の外側包絡線に関係する。
【0031】
カメラが車両のAピラーの内側に完全に配置される場合、Aピラーの内側のハウジング、対物レンズ、及び接続要素が占めるスペースは、ハウジング、対物レンズ、及び接続要素を合同で包む包囲形状によって、区切られる。カメラがAピラーの内側に部分的にしか配置されない場合、Aピラーの内側のハウジング、対物レンズ、及び接続要素が占めるスペースは、Aピラーの内側に位置するハウジング、対物レンズ、及び接続要素の部分を合同で包む包囲形状によって区切られる。
【0032】
第1態様の更なる実施形態によれば、カメラの対物レンズが車両方向にAピラーから前方へ突出するように、カメラはAピラーに配置されるように構成される。
【0033】
すなわち、カメラの一部のみがAピラーの内側に配置される一方で、カメラの残りの部分が、特に対物レンズ又は対物レンズの一部が、車両方向にAピラーから前方に突出する。そのため、カメラはAピラーの内側のより小さいスペースを占める。特に、Aピラーの断面(Aピラーの長手方向に垂直な断面)に対して、カメラはより小さなスペースを占める。そのため、カメラが統合されているにもかかわらず、Aピラーを細くすることができ、同時に安定させることができる。
【0034】
第1態様の更なる実施形態によれば、カメラは、ハウジングと、第1ハウジング壁に配置される対物レンズとを有する。更に、カメラは、カメラを車両側接続要素に接続するための接続要素を有する。接続要素は、第2ハウジング壁に配置され、第2ハウジング壁は、第1ハウジング壁とある角度を形成する。
【0035】
カメラハウジングから部分的に突出するカメラ側接続要素、カメラ側接続要素に接続される車両側接続要素、及び/又は車両側接続要素のケーブル出口部は、Aピラーに有利に配置されることができ、それによってそれらがAピラーの断面に対して小さなスペースを占めるだけである。
【0036】
特に、カメラハウジングの第2ハウジング壁は、第1ハウジング壁と平行ではない。例えば、第1ハウジング壁は、車両の鉛直方向と平行であり、及び/又は、カメラ対物レンズの光軸と垂直である。例えば、第2ハウジング壁は、Aピラーの長手方向軸に対して垂直である。例えば、第2ハウジング壁は、第1ハウジング壁に対して垂直である。
【0037】
第1態様の更なる実施形態によれば、カメラは、ハウジングと対物レンズを有する。更に、カメラは第1回路基板を有し、当該第1回路基板はハウジングに配置される。更に、カメラは第1回路基板に取り付けられるイメージセンサを有し、第1回路基板の延在の主面が対物レンズの光軸に対して垂直に配置され、イメージセンサが対物レンズのビーム路に配置される。更に、カメラは、ハウジングに配置され且つ第1回路基板と電気的に接続される第2回路基板を有し、第2回路基板は、イメージセンサに対して第1回路基板の背後に配置され、第1回路基板に対して対物レンズの光軸に関し上方にオフセットされる。
【0038】
カメラは、イメージセンサを有する第1回路基板の背後に配置される第2回路基板を有するので、また電子部品を第2回路基板に配置することができる。また、イメージセンサを有する第1回路基板は、第2回路基板が、それと、例えば車両側プラグコネクタへの接続のためのプラグコネクタとの間に配置されるため、位置ズレからより良好に保護される。イメージセンサを有する回路基板のカメラ対物レンズに対する高い位置精度は、特に高解像度カメラの場合に、撮像品質に関して重要である。
【0039】
第2回路基板は第1回路基板に対して上方にオフセットして配置されるので、第2回路基板を有するカメラを使用することができ、それにもかかわらずAピラーの内側のカメラによって占められるスペースを、Aピラーの断面に対して小さいままにすることができる。
【0040】
第1態様の更なる実施形態によれば、カメラは、カメラの対物レンズの光軸がAピラーの長手方向に沿って位置合わせされるように、Aピラーに配置されるように構成される。更に、カメラは、対物レンズの前方に配置される偏向ミラーを有し、偏向ミラーは、車両の前方における被写体から入射した光線を対物レンズ上で偏向するように構成される。
【0041】
カメラは、特にカメラの対物レンズとその光軸とは、Aピラーの長手方向に沿って配置され、カメラは偏向ミラーを有するので、例えばより長い対物レンズ(例えば望遠レンズ)を使用することができ、それにもかかわらずAピラーの内側のカメラによって占有されるスペースはAピラーの断面に対して小さく保つことができる。
【0042】
第1態様の更なる実施形態によれば、カメラは接続要素を有し、当該接続要素は、カメラによって記録された画像データをカメラの外側に配置されるイメージプロセッサに送信するため、カメラによって記録された画像データをカメラの外側に配置されるメモリに保存するため、カメラの外側に配置される制御ユニットの制御コマンドを受信するため、及び/又はカメラに電力を供給するために、車両側接続要素に接続されるように構成される。
【0043】
画像/動画プロセッサ、メモリ、及び/又はカメラを制御するための制御ユニットがカメラの外側に、特にAピラーの外側に、配置されるため、カメラを小型に維持することができ、Aピラーの内側のカメラによって占有されるスペースを小さく維持できる。
【0044】
第2態様によれば、車両のためのAピラー構成が提案される。Aピラー構成は、上述したように、Aピラー及びカメラを有する。更に、Aピラーの内側でカメラが占めるスペースが、カメラの視線に平行に、Aピラーの長手方向に平行なその最大寸法よりも小さい最大寸法を有するように、カメラが設計されてAピラーに配置される。
【0045】
第2態様の一実施形態によれば、Aピラー構成は透明カバーを有し、カメラは、透明カバーを通して車両の前方におけるエリアの画像を記録するように構成される。
【0046】
第2態様の更なる実施形態によれば、透明カバーは、低い光学歪みを有する。
【0047】
そのため、透明カバーを通して、高画質な画像を記録することができる。特に高解像度カメラの場合、透明カバーの良好な光学特性が有利となる。
【0048】
実施形態において、透明カバーは、高い光透過率及び/又は低い反射率を有する。
【0049】
特に、従来のフロントガラスにおける場合よりも、透明カバーの透過率が高く、及び/又は、透明カバーの反射率及び光学歪みが低い。
【0050】
第2態様の更なる実施形態によれば、透明カバーは、ドーム型である。
【0051】
カメラの一部は、特に対物レンズの一部は、このようにAピラーから突出することができる。また、空力的な側面から有利な透明カバーの形状を実現することができる。
【0052】
第2態様の更なる実施形態によれば、透明カバーは、外側表面を有する。更に、Aピラー構成は、透明カバーの外側表面の少なくとも一部を洗浄するための洗浄装置を有する。
【0053】
それにより、透明カバー上の汚れを回避及び/又は除去することができる。そのため、良好な画質に必要な透明カバーの清浄度を確保することができる。
【0054】
第3態様によれば、上記のような少なくとも1つのAピラー構成を有する車両が提案される。
【0055】
第3態様の一実施形態によれば、車両は2つのAピラー構成を有し、Aピラーの内側に搭載されるカメラは各々望遠レンズを有する。更に、車両は、通常の対物レンズ又は広角の対物レンズを持つ中央に取り付けられるフロントカメラを有する。
【0056】
車両は、Aピラーに設置される2つの狭角カメラと、中央に設置される広角カメラ又は通常角度カメラとの両者を有するため、3つのカメラによって遠距離及び近距離の車両の前方における環境をモニターすることができる。
【0057】
中央に設置される広角カメラ又は通常角カメラは、例えば、中程度のスペース分解能のカメラである。それは、例えば、フロントガラスの背後に搭載される。その2つの狭角カメラは、例えば高解像度カメラである。
【0058】
提案されたカメラについて説明される実施形態及び特徴は、説明されるAピラー構成及び車両に適宜適用され、その逆もまた然りである。
【0059】
制御ユニット、画像/動画プロセッサ、及びメモリなどのここで言及されるユニットは、各々、ハードウェア及び/又はソフトウェアで実装されうる。ハードウェア実装の場合、対応するユニットは、装置の形態であってもよいし、装置の一部の形態であってもよく、例えば、コンピュータの形態であってもよいし、或いはマイクロプロセッサの形態であってもよい。更に、制御ユニット、画像/動画プロセッサ、及びメモリなどの1つ又は複数のユニットは、単一のハードウェアデバイスにおいて一緒に実装されてもよいし、それらは、例えば、メモリ、インタフェースなどを共有してもよい。また、制御ユニット、画像/動画プロセッサ、及びメモリなどのユニットは、別々のハードウェアコンポーネントで実装されてもよい。ソフトウェア実装の場合、それぞれのユニット(制御ユニット、画像/動画プロセッサ、及びメモリなど)は、コンピュータプログラム製品の形態、関数の形態、計算ルーチンの形態、アルゴリズムの形態、プログラムコードの一部の形態、又は実行可能オブジェクトの形態であってよい。
【0060】
コンピュータプログラム手段などのコンピュータプログラム製品は、メモリカード、USBスティック、CD-ROM、DVDなどの記憶媒体として、あるいはネットワークにおいてサーバからダウンロード可能なファイルの形態で、提供されること又は供給されることができる。これは、例えば、無線通信ネットワークにおいて、コンピュータプログラム製品又はコンピュータプログラム手段を含む対応のファイルを送信することによって、行われてもよい。
【0061】
発明の更に可能な実装は、例示的な実施態様に関して上述又は後述される特徴又は実施態様の明示的には言及されていない組み合わせも含む。当業者は、この場合にも、発明のそれぞれの基本的な形態に対する改良又は追加として、個々の態様を加える。
【0062】
発明の更に有利な構成及び態様は、従属請求項の主題及び以下に説明される発明の例示的な実施形態の主題である。以下、添付の図を参照し、好ましい実施形態に基づいて発明がより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図2】
図2は、第1実施形態による
図1からの車両のAピラー構成の部分断面図を示す。
【
図3】
図3は、
図2からのAピラー構成のAピラーの内側のカメラが占めるスペースを示す。
【
図4】
図4は、第2実施形態による
図1からの車両のAピラー構成の部分断面図を示す。
【
図5】
図5は、
図4からのAピラー構成のAピラーの内側のカメラが占めるスペースを示す。
【
図6】
図6は、第3実施形態による
図1からの車両のAピラー構成の部分断面図を示す。
【
図7】
図7は、
図6からのAピラー構成のAピラーの内側のカメラが占めるスペースを示す。
【
図8】
図8は、
図1からの車両の電子制御ユニットの機能コンポーネントの概略図を示す。
【
図9】
図9は、2つのAピラー構成を有する車両の正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図において、同一又は機能的に同一の要素には、特に断りのない限り、同一の参照符号が与えられる。
【0065】
図1は、動力車両1を示す。動力車両1は、例における乗用車である。他の例において、動力車両1は、トラック、バス、又は他の動力車両でありうる。動力車両1は、2つのAピラー構成2、102、202を有する。Aピラー構成2、102、202の各々には、カメラ3、103、203が統合されている。
図1の側面図において、カメラ3、103、203を有するドライバー視点からの左Aピラー構成2、102、202のみが見えている。カメラ3、103、203は、車両1の前方に位置するエリアをモニターするように構成される。
図1の例において、カメラ3、103、203は、カメラ3、103、203の視野で、車両1の前方に位置する木4を取得する。また、カメラ3、103、203は、例えば、車両1の前方の中央に位置するエリアをモニターするように構成される。
【0066】
カメラ3、103、203は、例えば、被写体認識、レーンキープアシスト、レーン変更支援、ハイビーム支援、高速道路支援、及び渋滞パイロットなどの各種運転支援機能に用いられることができる。
【0067】
以下、
図1で見えるドライバーの視点から左Aピラー構成2、102、202におけるカメラ3、103、203について説明し、当該カメラは、右Aピラー構成2、102、202においても同様に設計されることができる。
【0068】
図1に示すように、カメラ3、103、203は、例えば、データライン5を介して、車両1の制御ユニット6に接続されている。制御ユニット6は、例えば、中央電子制御ユニット(ECU)の一部である。
【0069】
図2は、第1実施形態による
図1からの車両1のAピラー構成2を示す。Aピラー構成2は、Aピラー7と、Aピラー7の内側に部分的に取り付けられたカメラ3と、透明カバー8とを備える。
【0070】
Aピラー7は、外側構造体9を有する。外側構造体9は、例えば、対応する形状の金属板を有し、当該金属板がキャビティ10を形成する。キャビティ10には、桁構造体11が配置されている。桁構造体は、例えば側面衝突を伴う事故の場合に、乗員を怪我から守るために、Aピラー7に安定性を与える。桁構造体11は、もっぱら
図2において模式的に示されており、任意の既知の桁構造体を桁構造体11として使用することができる。
【0071】
カメラ3は、ハウジング12を有する。更に、カメラ3は、対物レンズ13を有する。参照符号14は、対物レンズ13の光軸を示す。カメラ3は、更に、そのハウジング12の内側において第1回路基板14を有する。イメージセンサ15は、対物レンズ13に向いている第1回路基板14に取り付けられている。イメージセンサ15は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ又はCMOSセンサである。例として、イメージセンサ15は、CMOS技術を用いて作られたアクティブピクセルセンサ(CMOS-APS、CMOS active pixel sensor)である。対物レンズ13は、例えば、レンズホルダ(図示せず)によって第1回路基板14に機械的に固定され、それによってそれがイメージセンサ15の前方に配置される。
【0072】
カメラ3は、例えば、第2回路基板16を有し、当該第2回路基板16は第1回路基板14と電気的に接続される。第2回路基板16は、イメージセンサ15に対して第1回路基板14の背後に配置される。更に、第2回路基板16は、第1回路基板14に対して上方にオフセットして(光軸14に対して上方にオフセットして)配置されている。
【0073】
更に、カメラ3は、カメラ3を車両側接続要素18に電気的に接続するためのカメラ側接続要素17を有する。カメラ側接続要素17及び車両側接続要素18は、例えば、各々がプラグコネクタである。
【0074】
カメラ3は、例えば、いわゆる「衛星カメラ」であり、当該衛星カメラは、そのハウジング12において、撮像光学ユニット(対物レンズ13)及びイメージセンサ15を有するのみで、画像/動画プロセッサ、メモリ、又は制御ユニットを有していない。そのため、カメラ3を小型化することができる。カメラ3によって記録された画像の画像データは、この場合、データライン5を介して、カメラ3の外側且つAピラー7の外側に配置される画像/動画プロセッサ19に伝送され、そこで処理される(
図8)。また、カメラ3の画像データは、カメラ3の外側且つAピラー7の外側に配置されるメモリ20に格納される。更に、カメラ3は、カメラ3の外側且つAピラー7の外側に配置される制御ユニット21により、データライン5を介して制御される。外側画像/動画プロセッサ19、外側メモリ20、及び外側制御ユニット21は、車両1において、例えば車両1の中央電子制御ユニット6(
図8)において、配置される。
【0075】
図2に示す第1実施形態において、対物レンズ13はカメラ3の第1ハウジング壁22上に配置され、カメラ側接続要素17は第2ハウジング壁23上に配置される。第2ハウジング壁23は、第1ハウジング壁22に対して傾斜しており、それによってそれらの間に角度αが形成される。例えば、接続要素17を有する第2ハウジング壁23は、Aピラー7の長手方向Lに対して垂直に配置される。このようにして、カメラ3(接続要素17、18、ケーブル5)からのケーブル出口部は、Aピラー7の長手方向に沿って作り出されることができる。
【0076】
カメラ3が「衛星カメラ」であり、第2回路基板16が第1回路基板14に対して上方にオフセットされており、カメラ3からのケーブル出口部がAピラー7の長手方向Lに沿って作られているので、Aピラー7(
図2、
図3)の内側でカメラ3が占めるスペース24は、カメラ3の視線(ここでは光軸14)と平行な寸法A1がAピラー7の長手方向Lと平行なその寸法A2より小さくなることができる。
【0077】
図3は、Aピラー7の内側でカメラ3によって占有されているこのスペース24を示す。スペース24は、カメラ側接続要素17、カメラハウジング12、及び対物レンズ13のうちAピラー7の内側に位置する部分の包囲形状によって定められる。
【0078】
カメラ3を設置するための桁構造体11のくり抜きは、Aピラー7におけるカメラ3のこの有利な設計及び配置によって、低減されることができる。このように、統合されたカメラ3にもかかわらず、Aピラー7は安定した状態を保つ。また、ドライバーのより大きな死角をもたらすであろうAピラー7を広くすることは、必要ではない。
【0079】
Aピラー構成2の透明カバー8は、
図2に見られるように、ドーム形状である。それはAピラー7の外側構造体9に固定される。透明カバー8は、外側表面25を有し、当該外側表面25は、洗浄装置26によって洗浄されることができる。洗浄装置26は、例えば、1つ以上のスプレーノズルを有する。
【0080】
図4は、第2実施形態による
図1からの車両1のAピラー構成102を示す。第2実施形態のAピラー構成102(
図4、
図5)は、第1及び第2ハウジング壁122、123の異なる配置に起因して、第1実施形態のAピラー構成2(
図2、
図3)と相違する。第2実施形態において、接続要素117を有する第2ハウジング壁123は、対物レンズ113が配置される第1ハウジング壁122に対して相対的に、直角βで、配置されている。更に、第2ハウジング壁123は、第1ハウジング壁122に直接的に隣り合う。
【0081】
図5は、Aピラー107の内側において第2実施形態のカメラ103が占めるスペース124を示す。このスペース124の、視線(ここでは光軸14)に平行な方向の寸法A3は、このスペース124の、Aピラー107の長手方向Lに平行な方向の寸法A4よりも、小さい。
【0082】
第2実施形態の他の特徴は、第1実施形態の対応する特徴と同様であり、ここではその繰り返しの説明が省略される。
【0083】
図6は、第3実施形態による
図1からの車両1のAピラー構成202を示す。第3実施形態のAピラー構成202(
図6、
図7)は、カメラ203が偏向ミラー227を有する点で及びカメラ203の光軸214の異なる配置のために、第1実施形態のAピラー構成2(
図2、
図3)と相違している。
【0084】
カメラ203の対物レンズ213は、その光軸214がAピラー207の長手方向Lと平行に延びるように、配置される。長い対物レンズ213、例えば望遠レンズ、を用いても、カメラ203は、このように、Aピラー207の直径に対して(すなわち、Aピラー207の長手方向Lに垂直なAピラーの断面に対して)小型化されることができる。カメラ203によって車両1の前方における被写体(例えば
図1の木4)を取得するために、カメラ203は、対物レンズ213の前方に配置される偏向ミラー227を有する。偏向ミラー227は、車両1の前方の被写体4から視線228に従って入射した光線を、対物レンズ213上に偏向させるのに使用される。偏向ミラー227は、対物レンズ213の光軸214に対して、例えば45°の角度で配置される。偏向ミラー227は、例えば、対物レンズ213上にホルダ(図示せず)によって固定される。あるいは、偏向ミラーはAピラー207の内側に固定されることもできる。
【0085】
図7は、Aピラー207の内側で第3実施形態のカメラ203が占めるスペース224を示す。この実施形態において、カメラ203は、Aピラー207の内側に完全に配置されている(
図6)。したがって、Aピラー207の内側でカメラ203が占めるスペース224は、ハウジング212、接続要素217、対物レンズ213、偏向ミラー227、及び場合によっては偏向ミラー227のホルダーを合同で包む包囲形状によって、区切られる。
図7から分かるように、視線228と平行なこのスペース224の寸法A5は、Aピラー207の長手方向Lと平行なこのスペース224の寸法A6より小さい。
【0086】
そのため、Aピラー207の内側でカメラ203が占めるスペース224は、例えばより長い対物レンズ(例えば望遠レンズ)が用いられたとしても、Aピラー207の断面に対して(すなわち、Aピラー207の長手方向Lに垂直なAピラーの断面に対して)小さく保つことができる。
【0087】
第3実施形態のAピラー構成202は、透明カバー208を有する。透明カバー208の外側表面225を洗浄するために、第3実施形態のAピラー構成202は、第1実施形態及び第2実施形態の洗浄装置26と同様の洗浄装置を有することもできる。
【0088】
第3実施形態の他の特徴は、第1実施形態の対応する特徴と同様であり、ここではその繰り返しの説明を省略する。
【0089】
図9は、2つのAピラー構成を有する車両1の正面図を示す。車両1は、例えば、自律的に又は半自律的に運転する車両である。
図9における2つのAピラー構成の各々は、第1実施形態によるAピラー構成2(
図2、
図3)、第2実施形態によるAピラー構成102(
図4、
図5)、又は第3実施形態によるAピラー構成202(
図6、
図7)とすることができる。
【0090】
図9におけるAピラー構成2、102、202のAピラー7、107、207の内側に取り付けられるカメラ3、103、203は、各々、例えば、車両1の前方における長距離を、特に車両1の前方の中央も、モニターするための望遠レンズを有する高解像度カメラである。
【0091】
更に、
図9における車両1は、車両1の前方における近距離を、特に車両1の前方の中央も、モニターするための通常対物レンズ又は広角対物レンズを有する中央に搭載されるフロントカメラ29を有する。中央に搭載されるフロントカメラ29は、例えば、車両1のフロントガラスの背後に取り付けられる。中央に搭載されるフロントカメラ29は、例えば、中程度のスペース分解能のカメラである。
【0092】
図9における車両1は、Aピラー構成2、102、202のAピラーに設置される2つの狭角カメラと、中央に搭載される広角又は通常角カメラ29と、の両者を有するので、車両1の前方における環境を、遠距離及び近距離の両者で、3つのカメラによってモニターすることができる。
【0093】
本発明は例示的な実施形態に基づいて説明されているが、それは多くの点で変更されてもよい。
【0094】
参照符号のリスト
1 車両
2、102、202 Aピラー構成
3、103、203 カメラ
4 被写体
5 データライン
6 制御デバイス
7、107、207 Aピラー
8、208 透明カバー
9 外側構造体
10 キャビティ
11 桁構造体
12、112、212 ハウジング
13、113、213 対物レンズ
14、114、214 光軸
15 イメージセンサ
16 回路基板
17、117、217 接続要素
18 接続要素
19 イメージプロセッサ
20 メモリ
21 制御ユニット
22、122ハウジング壁
23、123 ハウジング壁
24、124、224 スペース
25、225 表面
26 洗浄装置
227 偏向ミラー
228 視線
29 カメラ
30 回路基板
A1-A6 寸法
L 長手方向
【国際調査報告】