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特表2023-538405新規N-複素環BETブロモドメイン阻害剤、その調製方法及び医薬応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(54)【発明の名称】新規N-複素環BETブロモドメイン阻害剤、その調製方法及び医薬応用
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20230831BHJP
   C07D 409/04 20060101ALI20230831BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20230831BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230831BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230831BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230831BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20230831BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230831BHJP
   C07F 5/02 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
C07D471/04 104Z
C07D409/04 CSP
A61K31/437
A61P35/00
A61P35/02
A61P31/12
A61P37/06
A61P29/00
C07F5/02 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512426
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-02-17
(86)【国際出願番号】 CN2021134454
(87)【国際公開番号】W WO2022116968
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】202011386289.7
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011558334.2
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110167605.X
(32)【優先日】2021-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523058043
【氏名又は名称】成都苑▲東▼生物制▲薬▼股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】祝 ▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲済▼兵
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 新▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】舒 天波
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 涛
(72)【発明者】
【氏名】向 ▲瑶▼
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲穎▼
【テーマコード(参考)】
4C063
4C065
4C086
4H048
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB02
4C063CC92
4C063DD06
4C063DD07
4C063DD14
4C063DD15
4C063EE05
4C065AA05
4C065BB04
4C065CC01
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH09
4C065JJ04
4C065KK08
4C065LL01
4C065PP09
4C065PP18
4C065PP19
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZB33
4H048AA01
4H048AA03
4H048AB20
4H048AB84
4H048VA20
4H048VA22
4H048VA30
4H048VA32
4H048VB10
(57)【要約】
本出願は、癌、炎症性疾患、自己免疫疾患などを含む疾患及び症状の治療に薬剤として使用できる、式(I)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、その調製方法及び医学的応用を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化1】
(式中、
A環は、5~8員の飽和又は不飽和のN含有複素環であり、A環は隣接するベンゼン環と縮合環を形成し、
Xは、O又はSであり、
mは、0、1、2、3、4、5、又は6であり、
nは、0、1、2、3、又は4であり、
1は、水素又はC1-C6アルキルであり、
2は、水素又はC1-C6アルキル又はC3-C6シクロアルキルであり、
3は、水素、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2NRx1y1、-N(Rx)S(O)2y又は-NRx1y1であり、
4は、水素、-C(CH32OH、-CH2C(CH32OH、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2x、-S(O)2NRx1y1、又は-N(Rx)S(O)2yであり、
5は、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、C1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C3アルコキシ又はC1-C3ハロアルキルであり、
6は、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C3アルコキシ、C1-C3ハロアルキルであり、又は同じ炭素原子上の2つのR6が一緒にC3-C8スピロ環基を形成することができ、
7は、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、C1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C3アルコキシ、C1-C3ハロアルキル、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2NRx1y1、-N(Rx)S(O)2y又は-NRx1y1であり、
x及びRyは、それぞれ独立して水素、C1-C6アルキル又はC3-C6シクロアルキルから選択され、
x1及びRy1は、それぞれ独立して水素、C1~C6アルキル、C1~C6ヘテロアルキルから選択されるか、又はRx1及びRy1はN原子と結合して3~8員環を形成する。)
【請求項2】
式中、
A環は、5~6員の飽和又は不飽和のN含有複素環であり、
好ましくは、A環とそれに隣接するベンゼン環とによって形成される縮合環は、
【化2】
から選択される、
請求項1に記載の式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
式中、
1は、水素又はC1-C4アルキルであり、好ましくは水素又はC1-C3アルキルであり、より好ましくは水素、メチル、エチル、n-プロピル又はイソプロピルである、
請求項1又は2に記載の式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
式中、
2は、水素又はC1-C3アルキル、好ましくは水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、又はシクロプロピルである、
請求項1~3のいずれか一項に記載の式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
式中、
3は、水素、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2NRx1y1、-N(Rx)S(O)2y又は-NRx1y1であり、
x及びRyは、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル又はシクロプロピルから選択され、且つ
x1及びRy1は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピルから選択されるか、又はRx1及びRy1はN原子と結合して以下の環を形成する:
【化3】
好ましくは、R3は水素、-C(O)ORx、-C(O)NHRx又は-C(O)NRx1y1であり、Rxは水素又はC1~C6アルキルから選択され、且つRx1及びRy1はそれぞれ独立して水素又はC1-C6アルキルから選択され、又は
好ましくは、R3は、水素、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2NRx1y1、-N(Rx)S(O)2y又は-NRx1y1であり、
x及びRyは、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル又はシクロプロピルから選択され、且つ
x1及びRy1は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピルから選択される、
請求項1~4のいずれか一項に記載の式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
式中、
4は、水素、-C(CH32OH、-CH2C(CH32OH、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2x、-S(O)2NRx1y1又は-N(Rx)S(O)2yであり、
x及びRyは、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル又はシクロプロピルから選択され、且つ
x1及びRy1は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピルから選択されるか、又はRx1及びRy1はN原子と結合して以下の環を形成する:
【化4】
好ましくは、R4は、水素、-C(CH32OH、-CH2C(CH32OH、-C(O)ORx又は-C(O)NHRxであり、且つRxは水素又はメチルであり、又は
好ましくは、R4は、水素、-C(CH32OH、-CH2C(CH32OH、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2x、-S(O)2NRx1y1又は-N(Rx)S(O)2yであり、
x及びRyは、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル又はシクロプロピルから選択され、且つ
x1及びRy1は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル又はシクロプロピルから選択される、
請求項1~5のいずれか一項に記載の式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
式中、
5は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ又はトリフルオロメチルであり、好ましくは、水素、ヒドロキシ、アミノ、メチル又はメトキシである、
請求項1~6のいずれか一項に記載の式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
式中、
6は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチルであるか、又は同一炭素原子上の2つのR6は、C3~C6スピロ環を形成し、
好ましくは、R6は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4アルキル、C3-C4シクロアルキル、C1-C3アルコキシであるか、又は同一炭素原子上の2つのR6はC3-C4スピロ環を形成し、
さらに好ましくは、R6は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、メチル、シクロプロピル、メトキシであるか、又は同一炭素原子上の2つのR6はC3スピロ環を形成する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
式中、
7は、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、C1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C3アルコキシ、C1-C3ハロアルキル、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2NRx1y1、-N(Rx)S(O)2y又は-NRx1y1であり、
好ましくは水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2NRx1y1、-N(Rx)S(O)2y又は-NRx1y1であり、
x及びRyは、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル又はシクロプロピルから選択され、且つ
x1及びRy1は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピルであるか、又はRx1及びRy1はN原子と結合して以下の環を形成する:
【化5】
好ましくは、R7は、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ、C1-C3ハロアルキル、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx又は-C(O)NRx1y1であり、Rxは水素、メチル又はエチルであり、且つ、Rx1及びRy1は独立して水素又はメチルであり、
好ましくは、R7は、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ又はC1-C3ハロアルキルであり、
又は好ましくは、R7は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ又はトリフルオロメチルである、
請求項1~8のいずれか一項に記載の式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
式中、
XはSである、
請求項1~9のいずれか一項に記載の式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
式中、
1は、水素、メチル、エチル、n-プロピル又はイソプロピルであり、
2は、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル又はシクロプロピルであり、
3は、水素、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2NRx1y1、-N(Rx)S(O)2y又は-NRx1y1であり、
4は、水素、-C(CH32OH、-CH2C(CH32OH、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2x、-S(O)2NRx1y1、又は-N(Rx)S(O)2yであり、
5は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ又はトリフルオロメチルであり;
6は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチルであるか、又は同一炭素原子上の2つのR6は、C3-C6スピロ環を形成し、
7は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2NRx1y1、-N(Rx)S(O)2y又は-NRx1yであり、
x及びRyは、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル又はシクロプロピルから選択され、
x1及びRy1は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピルから選択されるか、又はRx1及びRy1はN原子に結合して以下の環を形成する:
【化6】
mは0、1、2、3、4、5又は6であり、
nは0、1、2、3又は4であり、
または、
A環は、5~6員の飽和又は不飽和のN含有複素環であり、
Xは、O又はSであり、
1は、水素又はC1-C4アルキルであり、
2は、水素又はC1-C3アルキルであり、
3は、水素、-C(O)ORx、-C(O)NHRx又は-C(O)NRx1y1であり、
4は、水素、-C(CH32OH、-CH2C(CH32OH、-C(O)ORx又は-C(O)NHRxであり、
5は、水素、ヒドロキシ、アミノ、メチル又はメトキシであり、
6は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4アルキル、C3-C4シクロアルキル、C1-C3アルコキシであり、又は同一炭素原子上の2つのR6はC3-C4スピロ環を形成し、
7は、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ、C1-C3ハロアルキル、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx又は-C(O)NRx1y1であり、
xは、水素又はC1-C6アルキルから選択され、
x1及びRy1は、それぞれ独立して水素又はC1-C6アルキルから選択され、
mは0、1、2又は3であり、
nは0、1、2又は3であり、
好ましくは、
XはO又はSであり、
1は、水素、メチル、エチル、n-プロピル又はイソプロピルであり、
2は、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル又はシクロプロピルであり、
3は-C(O)NHRxであり、
4は、-CH2C(CH32OH、-C(CH32OH又は-C(O)ORxであり、
xは、水素、メチル、エチル、イソプロピル又はシクロプロピルから選択され、
5は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ又はトリフルオロメチルであり、
6は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチルであるか、又は同一炭素原子上の2つのR6はC3スピロ環を形成し、
7は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ又はトリフルオロメチルであり、
mは0、1又は2であり、
nは0、1又は2であり、
好ましくは、
XはSであり、
1はメチルであり、
2は水素又はシクロプロピルであり、
3は、-C(O)NHCH3又は-C(O)NHCH2CH3であり、
4は、-CH2C(CH32OH、-C(O)OCH2CH3又は-C(CH32OHであり、
5は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素又はメチルであり、
6は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピルであるか、又は同一炭素原子上の2つのR6はC3スピロ環を形成し、
7は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ又はトリフルオロメチルであり、
mは0、1又は2であり、
nは0、1又は2であり、
より好ましくは、
A環は、5~6員の飽和又は不飽和のN含有複素環であり、
XはSであり、
1はメチルであり、
2は水素又はシクロプロピルであり、
3は、-C(O)NHCH3又は-C(O)NHCH2CH3であり、
4は、-CH2C(CH32OH、-C(O)OCH2CH3又は-C(CH32OHであり、
5は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素又はメチルであり、
6は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピルであるか、又は同一炭素原子上の2つのR6はC3スピロ環を形成し、
7は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ又はトリフルオロメチルであり、
mは0、1又は2であり、
nは0、1又は2であり、
より好ましくは、
XはSであり、
1はメチルであり、
2は水素であり、
3は、-C(O)NHCH2CH3であり、
4は-C(CH32OHであり、
5は水素であり、
6は水素であり、
7は、水素、フッ素、シアノ、メチル又はトリフルオロメチルであり、
mは0又は1であり、
nは0又は1であり、
さらに好ましくは、
XはSであり、
1はメチルであり、
2は水素であり、
3は、-C(O)NHCH2CH3であり、
4は、-C(CH32OHであり、
5は水素であり、
6は水素であり、
7は水素又はフッ素であり、
mは0又は1であり、
nは0又は1である、
請求項1に記載の式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
前記化合物は以下:
【化7】


から選択される、
請求項1~11のいずれか一項に記載の式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
【化8】
式(Ia)の化合物と式(Ib)の化合物と、又は式(Ic)の化合物式と(Id)の化合物とを触媒カップリング反応させることにより、式(I)で表される化合物を得ることを含み、各基の定義は請求項1~12のいずれか一項に記載のとおりであり、R8はCl、Br又はIから選択され、
好ましくは、前記触媒カップリング反応は、配位子、無機塩基及びパラジウム触媒の存在下で、1,4-ジオキサン中で実施され、
好ましくは、前記触媒カップリング反応は、不活性雰囲気中、80~120℃で、6~10時間実施される、
請求項1~12のいずれか一項に記載の式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩の合成方法。
【請求項14】
下記式(Ib)又は式(Id)で表される構造を有する中間体。
【化9】
(式中、
各基の定義は請求項1~12のいずれか一項に記載のとおりであり、R8はCl、Br又はIから選択される。)
【請求項15】
請求項1~12のいずれか一項に記載の式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項16】
BETタンパク質関連疾患を予防及び/又は治療するための、
好ましくは、前記BETタンパク質関連疾患は、腫瘍疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、ウイルス感染から選択され、
好ましくは、前記腫瘍疾患には、急性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病(単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄単球性白血病及び前骨髄球性白血病を含む)、急性T細胞性白血病、B-細胞性急性リンパ芽球性白血病、血管肉腫、星細胞腫、基底細胞がん、胆管がん、膀胱がん、脳がん、乳がん、気管支がん、前立腺がん、子宮頸がん、軟骨肉腫、脊索腫、絨毛がん、慢性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病及び慢性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸がん、結腸直腸がん、非小細胞肺がんなどの非固形腫瘍、固形腫瘍が含まれる、
請求項1~12のいずれか一項に記載の式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩、又は請求項15に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、生物医学の技術分野に属し、具体的には新規N-複素環BETブロモドメイン阻害剤、その調製方法及び医薬応用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒストンのアセチル化は、エピジェネティックな研究の重要な部分である。アセチル化されたヒストンは、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、及び転写因子の作用を通じて遺伝子転写を活性化できる。ブロモドメイン及びウルトラターミナルドメイン(BET)ファミリーは、ブロモドメインタンパク質ファミリー(bromodomain proteins、BRDs)に属し、進化的に高度に保存されたタンパク質であり、ヒストンのテールにあるアセチル化リジン残基を認識して結合し、クロマチン調節関連タンパク質、転写因子、クロマチンリモデリング因子などを動員することが可能であり、それによって遺伝子転写及びクロマチンリモデリングの調節に重要な役割を果たし、細胞の成長、増殖分化、アポトーシス壊死などの様々な生物学的プロセスに関連し、プロセス関連及び重要なエピジェネティックな「リーダー」である。
【0003】
これまで、ヒトゲノムは計61種類のブロモドメインをコードし、46種類の異なるタンパク質に分布していることが発見された。BRDsファミリーは、BRD2、BRD3、BRD4、及びBRDTの4つのサブタイプで構成され、そのすべてに2つのタンデムブロモドメイン(BD1、BD2)及び1つの末端外(ET)ドメインが含まれている。2つのブロモドメインは主にアセチル化リジン残基の認識及び結合に関与し、ETドメインは補因子と相互作用する。BETタンパク質の異常な発現は、様々な疾患に関連し、BETファミリーの4つのメンバーは類似した構造を有しているが、その生物学的機能には依然として違いがあり、特にBRD4は、癌及び炎症などの様々な疾患に密接に関連する(Jung Mなど、Epigenomics、2015、7(3):487-501)。
【0004】
BETタンパク質を標的とすることは、癌、炎症、及びウイルスを標的とする新しい治療戦略の開発に有益である。現在、BETタンパク質に対する低分子阻害剤は、主にがんや自己免疫疾患の治療に使用される前臨床及び臨床研究段階に入っている。例えば:Picaudなど(Picaud Sなど、Nature、2010、468 (7327):1067-1073)が、2010年に開発したBET低分子阻害剤JQ1は、関連する生物学的実験によると、JQ1は癌、心血管疾患、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染及び炎症などの疾患に、潜在的な治療価値がある;GSK社の報告(WO2011054553A)によると、BET低分子阻害剤I-BET762(GSK525762、Nicodeme Eなど、Nature、2010、468、7327)は明らかな抗がん効果があり、現在はすでに第I/II相臨床試験に入っている;Resverlogix Corp社によって開発されたRVX-208(McLure KGなど、PLoS One、2013.8.12:e83190)は、選択的にBD2に作用するキナゾリノン阻害剤であり、臨床データによると、冠動脈症候群、アテローム性動脈硬化症及び糖尿病などの疾患に明らかな効果があり、現在すでに第III相臨床試験に入っている;OncoEthix社によって開発されたOTX015(Brand Mなど、ACS Chem Biol、2015、10 (1):22-39)は、小児及び青年の精巣核タンパク質(NUT)正中線がん(NMC)、前立腺がんなどの固形がんに作用し、現在すでに第II相臨床試験に入っている。Incyte社は特許出願CN106414442Aで化合物INCB-057643を開示し、これは第I相臨床試験段階にあり、Abbive社は特許出願WO2017177955A1で選択的BETタンパク質阻害剤のクラスを開示し、化合物ABBV-744は前臨床試験でより優れた安全性を示し、現在第I相臨床試験中である。
【0005】
上記から分かるように、BETタンパク質阻害剤は医薬品開発として良好な応用の展望があり、高効率で低毒性の新規BETタンパク質阻害剤の開発に対する臨床的需要は継続的である。
【発明の概要】
【0006】
本出願は、ベンズN-複素環を母核とする一連の新規BETブロモドメイン阻害剤を設計し、新しい母核を構築することにより、得られた一連の化合物は良好な生物学的活性及び創薬可能性を示す。具体的には、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する:
【化1】
式中、
A環は、5~8員の飽和又は不飽和のN含有複素環であり、A環は隣接するベンゼン環と縮合環を形成し、
Xは、O又はSであり、
mは、0、1、2、3、4、5又は6であり、
nは、0、1、2、3又は4であり、
1は、水素又はC1-C6アルキルであり、
2は、水素又はC1-C6アルキル又はC3-C6シクロアルキルであり、
3は、水素、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2NRx1y1、-N(Rx)S(O)2y又は-NRx1y1であり、
4は、水素、-C(CH32OH、-CH2C(CH32OH、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2x、-S(O)2NRx1y1、又は-N(Rx)S(O)2yであり、
5は、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、C1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C3アルコキシ又はC1-C3ハロアルキルであり、
6は、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C3アルコキシ、C1-C3ハロアルキルであり、又は同じ炭素原子上の2つのR6が一緒にC3-C8スピロ環基を形成することができ、
7は、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、C1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C3アルコキシ、C1-C3ハロアルキル、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2NRx1y1、-N(Rx)S(O)2y又は-NRx1y1であり、
x及びRyは、それぞれ独立して水素、C1-C6アルキル又はC3-C6シクロアルキルから選択され、
x1及びRy1は、それぞれ独立して水素、C1-C6アルキル、C1-C6ヘテロアルキルから選択されるか、又はRx1及びRy1はN原子と結合して3~8員環を形成する。
【0007】
いくつかの好ましい実施形態において、A環は、5~6員の飽和又は不飽和のN含有複素環であり、例えば、A環はピロール、ジヒドロピロール、テトラヒドロピロール、ピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジンなどでもよい。
【0008】
いくつかの好ましい実施形態において、A環とそれに隣接するベンゼン環とによって形成される縮合環は、
【化2】
から選択される。
【0009】
いくつかの好ましい実施形態において、mが2、3、4、5又は6の場合、複数のR6は同一でも異なってもよく、nが2、3又は4の場合、複数のR7は同一でも異なってもよい。
【0010】
いくつかの好ましい実施形態において、R1は、水素又はC1-C4アルキルであり、好ましくは水素又はC1-C3アルキルである。
【0011】
いくつかの好ましい実施形態において、R1は、水素、メチル、エチル、n-プロピル又はイソプロピルである。
【0012】
いくつかの好ましい実施形態において、R2は、水素又はC1-C3アルキルである。
【0013】
いくつかの好ましい実施形態において、R2は、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、又はシクロプロピルである。
【0014】
いくつかの好ましい実施形態において、R3は、水素、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2NRx1y1、-N(Rx)S(O)2y又は-NRx1y1であり、
x及びRyは、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル又はシクロプロピルから選択され、
x1及びRy1は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピルから選択されるか、又はRx1及びRy1はN原子と結合して以下の環を形成する:
【化3】
【0015】
いくつかの好ましい実施形態において、R3は、水素、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2NRx1y1、-N(Rx)S(O)2y又は-NRx1y1であり、
x及びRyは、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル又はシクロプロピルから選択され、
x1及びRy1は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピルから選択される。
【0016】
いくつかの好ましい実施形態において、R3は水素、-C(O)ORx、-C(O)NHRx又は-C(O)NRx1y1であり、Rxは水素又はC1-C6アルキル(例えばC1-C4アルキル)から選択され、Rx1及びRy1はそれぞれ独立して水素又はC1-C6アルキル(例えばC1-C4アルキル)から選択される。
【0017】
いくつかの好ましい実施形態において、R4は、水素、-C(CH32OH、-CH2C(CH32OH、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2x、-S(O)2NRx1y1又は-N(Rx)S(O)2yであり、
x及びRyは、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル又はシクロプロピルから選択され、
x1及びRy1は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピルから選択されるか、又はRx1及びRy1はN原子と結合して以下の環を形成する:
【化4】
【0018】
いくつかの好ましい実施形態において、R4は、水素、-C(CH32OH、-CH2C(CH32OH、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2x、-S(O)2NRx1y1又は-N(Rx)S(O)2yであり、
x及びRyは、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル又はシクロプロピルから選択され、
x1及びRy1は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル又はシクロプロピルから選択される。
【0019】
いくつかの好ましい実施形態において、R4は、水素、-C(CH32OH、-CH2C(CH32OH、-C(O)ORx又は-C(O)NHRxであり、Rxは水素又はメチルである。
【0020】
いくつかの好ましい実施形態において、R5は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ又はトリフルオロメチルである。
【0021】
いくつかの好ましい実施形態において、R5は、水素、ヒドロキシ、アミノ、メチル又はメトキシである。
【0022】
いくつかの好ましい実施形態において、R6は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチルであるか、又は同一炭素原子上の2つのR6は、C3-C6スピロ環を形成する。
【0023】
いくつかの好ましい実施形態において、R6は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4アルキル、C3-C4シクロアルキル、C1-C3アルコキシであるか、又は同一炭素原子上の2つのR6はC3-C4スピロ環を形成する。
【0024】
いくつかの好ましい実施形態において、R6は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、メチル、シクロプロピル、メトキシであるか、又は同一炭素原子上の2つのR6はC3スピロ環を形成する。
【0025】
いくつかの好ましい実施形態において、R7は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2NRx1y1、-N(Rx)S(O)2y又は-NRx1y1であり、
x及びRyは、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル又はシクロプロピルから選択され、
x1及びRy1は、独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピルであるか、又はRx1及びRy1はN原子と結合して以下の環を形成する:
【化5】
【0026】
いくつかの好ましい実施形態において、R7は、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ、C1-C3ハロアルキル、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx又は-C(O)NRx1y1であり、Rxは水素、メチル又はエチルであり、Rx1及びRy1は独立して水素又はメチルである。
【0027】
いくつかの好ましい実施形態において、R7は、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ又はC1-C3ハロアルキルである。
【0028】
いくつかの好ましい実施形態において、R7は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ又はトリフルオロメチルである。
【0029】
いくつかの好ましい実施形態において、XはSである。
【0030】
いくつかの好ましい実施形態において、R3は、水素、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2NRx1y1、-N(Rx)S(O)2y又は-NRx1y1であり、
4は、水素、-C(CH32OH、-CH2C(CH32OH、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2x、-S(O)2NRx1y1又は-N(Rx)S(O)2yであり、
7は、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、C1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C3アルコキシ、C1-C3ハロアルキル、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2NRx1y1、-N(Rx)S(O)2y又は-NRx1y1であり、
x及びRyは、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル又はシクロプロピルから選択され、
x1及びRy1は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピルであるか、又はRx1及びRy1はN原子と結合して以下の環を形成する:
【化6】
【0031】
いくつかの好ましい実施形態において、R1は、水素、メチル、エチル、n-プロピル又はイソプロピルであり、
2は、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル又はシクロプロピルであり、
3は、水素、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2NRx1y1、-N(Rx)S(O)2y又は-NRx1y1であり、
4は、水素、-C(CH32OH、-CH2C(CH32OH、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2x、-S(O)2NRx1y1、又は-N(Rx)S(O)2yであり、
5は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ又はトリフルオロメチルであり;
6は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチルであるか、又は同一炭素原子上の2つのR6は、C3-C6スピロ環を形成し、
7は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx、-C(O)NRx1y1、-S(O)2NRx1y1、-N(Rx)S(O)2y又は-NRx1yであり、
x及びRyは、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル又はシクロプロピルから選択され、
x1及びRy1は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピルから選択されるか、又はRx1及びRy1はN原子に結合して以下の環を形成する:
【化7】
mは0、1、2、3、4、5又は6であり、
nは0、1、2、3又は4であり、
mが2、3、4、5又は6の場合、複数のR6は同一でも異なってもよく、
nが2、3又は4の場合、複数のR7は同一でも異なってもよい。
【0032】
いくつかの好ましい実施形態において、Xは、O又はSであり、
1は、水素、メチル、エチル、n-プロピル又はイソプロピルであり、
2は、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル又はシクロプロピルであり、
3は-C(O)NHRxであり、
4は、-CH2C(CH32OH、-C(CH32OH又は-C(O)ORxであり、
xは、水素、メチル、エチル、イソプロピル又はシクロプロピルから選択され、
5は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ又はトリフルオロメチルであり、
6は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチルであるか、又は同一炭素原子上の2つのR6はC3スピロ環を形成し、
7は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ又はトリフルオロメチルであり、
mは0、1又は2であり、
nは0、1又は2である。
【0033】
いくつかの好ましい実施形態において、XはSであり、
1はメチルであり、
2は水素又はシクロプロピルであり、
3は、-C(O)NHCH3又は-C(O)NHCH2CH3であり、
4は、-CH2C(CH32OH、-C(O)OCH2CH3又は-C(CH32OHであり、
5は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素又はメチルであり、
6は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピルであるか、又は同一炭素原子上の2つのR6はC3スピロ環を形成し、
7は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ又はトリフルオロメチルであり、
mは0、1又は2であり、
nは0、1又は2である。
【0034】
いくつかの好ましい実施形態において、A環は5~6員飽和又は不飽和のN含有複素環であり、好ましくは、ピロール、ジヒドロピロール、テトラヒドロピロール、ピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジンであり、より好ましくは、A環とその隣接するベンゼン環とによって形成される結合環は、
【化8】
から選択され、
XはO又はSであり、
1は、水素又はC1-C4アルキルであり、好ましくは、水素又はC1-C3アルキルであり、
2は、水素又はC1-C3アルキルであり、
3は、水素、-C(O)ORx、-C(O)NHRx又は-C(O)NRx1y1であり、
4は、水素、-C(CH32OH、-CH2C(CH32OH、-C(O)ORx又は-C(O)NHRxであり、
5は、水素、ヒドロキシ、アミノ、メチル又はメトキシであり、
6は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4アルキル、C3-C4シクロアルキル、C1-C3アルコキシであり、又は同一炭素原子上の2つのR6はC3-C4スピロ環を形成し、好ましくは、R6は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、メチル、シクロプロピル、メトキシであるか、又は同一炭素原子上の2つのR6はC3スピロ環を形成し、
7は、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ、C1-C3ハロアルキル、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)NHRx又は-C(O)NRx1y1であり、好ましくは、R7は、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ、又はC1-C3ハロアルキルであり、
xは、水素又はC1-C6アルキルから選択され、好ましくは水素又はC1-C4アルキルから選択され、
x1及びRy1は、それぞれ独立して水素又はC1-C6アルキルから選択され、好ましくは水素又はC1-C4アルキルから選択され、
mは0、1、2又は3であり、
nは0、1、2又は3である。
【0035】
いくつかの好ましい実施形態において、A環は5~6員飽和又は不飽和のN含有複素環であり、
XはSであり、
1はメチルであり、
2は水素又はシクロプロピルであり、
3は、-C(O)NHCH3又は-C(O)NHCH2CH3であり、
4は、-CH2C(CH32OH、-C(O)OCH2CH3又は-C(CH32OHであり、
5は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素又はメチルであり、
6は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピルであるか、又は同一炭素原子上の2つのR6はC3スピロ環を形成し、
7は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ又はトリフルオロメチルであり、
mは0、1又は2であり、
nは0、1又は2である。
【0036】
いくつかの好ましい実施形態において、A環は5~6員飽和又は不飽和のN含有複素環であり、
XはSであり、
1はメチルであり、
2は水素であり、
3は、-C(O)NHCH2CH3であり、
4は-C(CH32OHであり、
5は水素であり、
6は水素であり、
7は、水素、フッ素、シアノ、メチル又はトリフルオロメチルであり、
mは0又は1であり、
nは0又は1である。
【0037】
いくつかの好ましい実施形態において、A環は5~6員飽和又は不飽和のN含有複素環であり、
XはSであり、
1はメチルであり、
2は水素であり、
3は、-C(O)NHCH2CH3であり、
4は、-C(CH32OHであり、
5は水素であり、
6は水素であり、
7は水素又はフッ素であり、
mは0又は1であり、
nは0又は1である。
【0038】
本出願は、さらに上記各実施形態及び好ましい実施形態の任意の組み合わせに関する。
【0039】
いくつかの好ましい実施形態において、前記化合物は以下の式から選択される:
【化9】


【0040】
別の態様において、本出願は、さらに以下の工程を含むがこれらに限定されない、式(I)で表される化合物の調製方法を提供する。
【化10】
【0041】
式(Ia)の化合物と式(Ib)の化合物と、又は式(Ic)の化合物と式(Id)の化合物とを触媒カップリング反応させることにより、式(I)で表される化合物を得、各基の定義は上記のとおりであり、R8はCl、Br又はIから選択される。
【0042】
いくつかの好ましい実施形態において、前記触媒カップリング反応は、配位子(例えば、Xphos、Xantphos)、無機塩基(例えば、炭酸セシウム)及びパラジウム触媒(例えば、Pd2(dba)3触媒)の存在下で、1,4-ジオキサン中で実施される。
【0043】
いくつかの好ましい実施形態において、前記触媒カップリング反応は、不活性雰囲気(例えば、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気)中、80~120℃(例えば、105℃)で、6~10時間(例えば、8時間)実施される。
【0044】
別の態様において、本出願は、さらに式(Ib)で表される中間体を提供する。
【化11】
式中、各基の定義は上記のとおりであり、R8はCl、Br又はIから選択される。
【0045】
別の態様において、本出願は、さらに式(Id)で表される中間体を提供する。
【化12】
式中、各基の定義は上記のとおりである。
【0046】
別の態様において、本出願は、さらに上記式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物に関する。いくつかの実施形態において、本出願の医薬組成物は、さらに少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤を含む。
【0047】
別の態様において、本出願は、さらにBETタンパク質関連疾患の予防及び/又は治療のための薬物の調製における、上記式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩、又は上記医薬組成物の用途に関する。
【0048】
別の態様において、本出願は、さらにBETタンパク質関連疾患の予防及び/又は治療における、上記式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩、又は上記医薬組成物の用途に関する。
【0049】
別の態様において、本願は、さらに需要とする被験者に上記式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩、又は上記医薬組成物を投与することを含む、BETタンパク質関連疾患の予防及び/又は治療のための方法に関する。
【0050】
別の態様において、本出願は、さらにBETタンパク質関連疾患の予防及び/又は治療における、上記式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩、又は上記医薬組成物に関する。
【0051】
別の態様において、本出願は、さらにBETタンパク質阻害剤の調製における、上記式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩、又は上記医薬組成物の用途に関する。
【0052】
別の態様において、本出願は、さらにBETタンパク質阻害剤として使用される、上記式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩、又は上記医薬組成物に関する。
【0053】
いくつかの実施形態において、前記BETタンパク質関連疾患には、腫瘍疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、及びウイルス感染が含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
いくつかの実施形態において、前記腫瘍疾患には、非固形腫瘍(例えば、白血病)、固形腫瘍(癌腫及び肉腫)が含まれるが、これらに限定されない。例えば、急性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病(単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄単球性白血病及び前骨髄球性白血病を含む)、急性T細胞性白血病、B-細胞性急性リンパ芽球性白血病、血管肉腫、星細胞腫、基底細胞がん、胆管がん、膀胱がん、脳がん、乳がん、気管支がん、前立腺がん、子宮頸がん、軟骨肉腫、脊索腫、絨毛がん、慢性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病及び慢性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸がん、結腸直腸がん、非小細胞肺がん。
【0055】
本出願は、式(I)で表される化合物に示される構造を有する全く新しい構造のBETタンパク質阻害剤を発見し、それは良好なBETタンパク質阻害活性及び良好な薬物動態特性を有し、同時に、優れたインビボ腫瘍阻害活性及び低リスクのhERG心毒性を示すことができ、高効率で低毒性の新世代のBETタンパク質阻害剤である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下では、本出願の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明するが、明らかに、説明された実施例は、本出願の実施例の一部にすぎず、すべての実施例ではない。本出願の実施例に基づいて、当業者が創造的な努力をすることなく得た他のすべての実施形態は、すべて本出願の保護範囲に属する。
【0057】
定義及び説明
特に明記しない限り、本出願で使用される以下の用語は、以下の意味を有する。特定の用語は、特に定義しない限り、不確定又は不明確と見なされるべきではなく、当技術分野における通常の意味に従って理解されるべきである。本明細書に商品名が現れる場合、それは、対応する商品名又はその有効成分を指すことを意図している。
【0058】
本出願の一部の構造単位又は基の共有結合が特定の原子に結合していない場合、原子価の規則に違反しない限り、該共有結合は該構造単位又は基の任意の原子に結合できることを意味する。
【0059】
本明細書では、特に明記しない限り、用語「N含有複素環」は、1個以上(例えば、1~3個又は1~2個)の窒素原子を含有する非芳香族炭素環式又はシクロアルカンを含み、前記「N含有複素環」は、任意的に1個以上(例えば、1~3個)の適切な置換基(例えば、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C1~C6アルキルなど)によって置換される。例として、「N含有複素環」には、1個の窒素原子を含む5~10員の非芳香族炭素環又はシクロアルカンが含まれ、任意的に部分的又は完全に飽和していてもよい。
【0060】
本明細書では、特に明記しない限り、「A環は隣接するベンゼン環と縮合環を形成する」とは、N含有複素環であるA環が隣接するベンゼン環と共に環系構造を形成することを意味し、前記N含有複素環及びベンゼン環は、それぞれ独立して、任意的に1つ以上(例えば、1~3個)の適切な置換基(例えば、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C1-C6アルキルなど)によって置換される。例として、前記縮合環は以下を含む:
【化13】
【0061】
本明細書では、特に明記しない限り、用語「Cm-Cn」は、該用語によって修飾された部分にm~n個の炭素原子(nはmより大きく、両方とも整数である)があることを意味する。例えば、C1-C6は、修飾部分に1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、4個の炭素原子、5個の炭素原子、又は6個の炭素原子など、1個~6個の炭素原子が含まれていることを意味する。
【0062】
本明細書では、特に明記しない限り、用語「アルキル」は、炭素原子及び水素原子のみから構成される飽和炭化水素基を指し、C1-C6アルキル、C1-C5アルキル、C1-C4アルキル、C1-C3アルキル、C1-C2アルキル及びC1アルキルを含むがこれに限定されない。アルキル基の非限定的な例として、以下の直鎖又は分枝飽和炭化水素基を挙げることができる:メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル及びその他の7つの異性体、n-ヘキシル及びその他の16つの異性体。例えば、C1-C7アルキルには、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、及びそれらのすべての異性体が含まれる。
【0063】
本明細書では、特に明記しない限り、用語「シクロアルキル」は、完全に飽和し、且つ単環式、架橋環、又はスピロ環として存在可能な炭素環を意味する。特に明記しない限り、本明細書におけるシクロアルキル基は、3員環、4員環、5員環又は6員環などの3~10員環であってもよい。シクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
本明細書では、特に明記しない限り、用語「アルコキシ」は、-O-アルキルを意味する。
【0065】
本明細書では、特に明記しない限り、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
【0066】
本明細書では、特に明記しない限り、用語「ハロアルキル」は、1個以上、好ましくは1~5個(例えば、1、2、3、4又は5個)のハロゲン原子によって置換された上記定義のアルキル基を意味する。ハロアルキルには、クロロメチル、ジクロロメチル、ジフルオロメチル、ジブロモメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロ-1,1-ジクロロエチル等のモノハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、パーハロアルキル等が含まれる。
【0067】
本明細書では、特に明記しない限り、用語「ヘテロアルキル」は、アルカン鎖がN、O又はSから選択されるヘテロ原子に結合している上記で定義したアルキル基を意味する。例えば、C1ヘテロアルキルは、アルカン鎖がN、OまたはSから選択されるヘテロ原子に結合している、1個の炭素原子を含むアルキル基を表すことができる。
【0068】
本明細書で使用される、用語「置換される」は、指定された原子の現在の状況における通常の原子価を超えておらず、且つ、前記置換が安定した化合物を生成することを条件として、指定された原子上の1つ又は複数(例えば、1つ、2つ、3つ、又は4つ)の水素が、示された群からの選択によって置換されることを意味する。置換基及び/又は変数の組み合わせは、そのような組み合わせが安定した化合物を生成する場合にのみ許容される。
【0069】
置換基が「任意置換」と記載されている場合、その置換基は、(1)置換されなくてもよい、又は(2)置換されてもよい。置換基の炭素が、置換基リストの1つ又は複数で任意に置換されると記載されている場合、炭素上の1つ又は複数の水素は、個別及び/又は独立して、選択された置換基に任意に置換されることができる。
【0070】
本明細書において、用語「被験者」は、「患者」及び「個体」と等価であり、ヒト又はヒト以外の動物(哺乳動物、例えば霊長類、齧歯類など)を意味する。「哺乳動物」には、ヒト及び家畜(ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウサギ等の実験用哺乳動物及び家庭用ペット等)、及び野生の哺乳動物などの家畜化されていない哺乳動物が含まれる。
【0071】
用語「治療」は、疾患又は前記疾患に関連する1つ又は複数の症状を改善又は排除するために、本出願に記載の化合物又は製剤を投与することを意味し、疾患又は障害の進行を阻害すること、及び疾患又は障害を軽減することを含む。
【0072】
用語「予防」は、疾患又は前記疾患に関連する1つ又は複数の症状を予防するために、本出願に記載の化合物又は製剤を投与することを意味し、特にそのような被験者が該疾患又は該症状に患いやすいが、まだ該疾患又は症状と診断されていない場合に、被験者における疾患又は症状の発生を予防することを含む。
【0073】
用語「治療有効量」は、(i)疾患、状態又は障害を治療又は予防する、(ii)疾患、状態又は障害の1つ又は複数の症状を緩和、改善、又は排除する、又は(iii)疾患、状態又は障害の1つ又は複数の症状の発症を遅延するのに十分な本出願による化合物の投与量を意味する。「治療有効量」は、化合物、疾患及びその重篤度、投与様式、及び治療対象の被験者状況に依存し、当業者は自身の知識及び本開示の内容に基づいて決定することができる。
【0074】
用語「薬学的に許容される」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、その他の問題又は合併症を伴わずに、合理的な利益/リスク比で、ヒト及び動物の組織と接触して使用するのに適する、それらの化合物、材料、組成物及び/又は剤形に対することを意味する。
【0075】
薬学的に許容される塩としては、例えば、式(I)で表される化合物と薬学的に許容される遊離酸又は遊離塩基との酸付加塩又は塩基付加塩が挙げられる。例えば、塩酸塩、硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、亜硝酸塩、亜リン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、グルコン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩又はマグネシウム塩などである。
【0076】
用語「医薬組成物」は、本出願による化合物又はその塩及び薬学的に許容される添加剤の混合物を指す。医薬組成物の目的は、生物への本出願による化合物の投与を容易にすることである。
【0077】
用語「薬学的に許容される添加剤」は、生物に対して明らかな刺激効果がなく、生物活性及び活性化合物の性能を損なわない薬学的添加剤を指す。本明細書に記載の添加剤は薬学的に許容可能な任意の添加剤であり、例えば、溶媒、噴射剤、可溶化剤、共溶媒、乳化剤、着色剤、崩壊剤、充填剤、潤滑剤、湿潤剤、浸透圧調節剤、安定剤、流動促進剤、香料、防腐剤、懸濁剤、抗酸化剤、浸透促進剤、pH調整剤、界面活性剤、希釈剤などであるが、これに限定されない。他の入手可能な薬学的に許容される薬学的添加剤については、「医薬品添加剤ハンドブック」(第4版)(RC Luoら著、鄭沢民訳、2005年、中国化学工業出版社)を参照されたい。
【0078】
「含む」、「有する」及び「含有」という言葉、及びそれらの等価物は、オープンで非排他的な意味、即ち、「含むがこれらに限定されない」と理解されるべきであり、列挙された要素、コンポーネント、及びステップに加えて、その他の特定されていない要素、コンポーネント、及びステップも含まれる場合がある。
【0079】
本出願による化合物は、立体異性形態で存在し得る。特に明記しない限り、本明細書における立体異性体への言及は、幾何異性体及びエナンチオマーを含む。すべてのそのような異性体、ならびにそれらの混合物は、本出願の範囲内に属する。
【0080】
本出願による医薬組成物及び化合物は、任意の適切な製剤、例えば、錠剤、丸薬、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、乳剤、懸濁液、坐剤、注射剤、吸入剤、ジェル、ミクロスフェア、エアロゾルなどの固体、半固体、液体又は気体の製剤に調製することができる。前記製剤は、従来の混合、溶解、打錠、造粒、糖衣錠製造、粉砕、乳化、凍結乾燥などの当技術分野で周知の方法によって調製することができる。
【0081】
本出願による化合物又はその薬学的に許容される塩、又はその薬学的組成物の典型的な投与経路には、経口、直腸、局所、吸入、非経口、舌下、膣内、鼻腔内、眼内、腹腔内、筋肉内、皮下、静脈内投与が含まれる。
【0082】
本明細書では、文脈上明確に別段の指示がない限り、単数形の用語は複数形の指示対象を含み、その逆も同様である。同様に、文脈上明らかに別段の指示がない限り、「又は」という単語は「及び」を含む意図している。
【0083】
特に明記しない限り、本明細書において、成分の量又は物理化学的特性又は反応条件などを表すパラメータ値は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものと理解されるべきである。用語「約」で本出願を説明する場合、用語「約」は、存在する誤差値を示し、例えば特定の値の±5%、例えば±1%又は±0.1%の範囲内で変化が起こることを意味する。
【0084】
すべての特許、特許出願、及びその他の特定された刊行物は、説明及び開示の目的で参照により本明細書に明示的に組み込まれている。これらの刊行物は、本出願の出願日より前のものであることを理由としてのみ提供されている。これらの文書の日付又はこれらの文書の内容の表現に関するすべての記述は、出願人が入手できる情報に基づいており、これらの文書の日付又はこれらの文書の内容の正確性についての承認を構成するものではない。さらに、本明細書でのこれらの刊行物の引用は、その刊行物がいかなる国における該分野の共通の一般知識の一部を形成することを認めるものではない。
【0085】
一般的な反応工程1
【化14】
式(I)で表される化合物は、一般的な反応スキーム1(Scheme 1)に従って調製することができ、式中、R1~R7、m、n及びA環は上記で定義したとおりであり、R8はCl、Br又はIから選択される。一般的な反応スキーム1に示すように、中間体(Ia)(WO2017177955A1に記載の方法によって合成)及び中間体(Ib)のホウ酸エステル又はホウ酸を、鈴木-宮浦カップリング条件(N. Miyama and A. Suzuki, Chem. Rev. 1995, 95: 2457-2483, J. Organomet. Chem. 1999, 576: 147-148)下で反応させ、式(I)で表される化合物を得る。
【0086】
一般的な反応工程2
【化15】
或いは、式(I)で表される化合物は、一般的な反応スキーム2(Scheme 2)に従って調製することもでき、式中、R1~R7、m、n及びA環は上記で定義したとおりであり、R8はCl、Br又はIから選択される。一般的な反応スキーム2に示すように、中間体(Ic)(WO2017177955A1に記載の方法によって合成)及び中間体(Id)のホウ酸エステル又はホウ酸を、鈴木-宮浦カップリング条件(N. Miyama and A. Suzuki, Chem. Rev. 1995, 95: 2457-2483, J. Organomet. Chem. 1999, 576: 147-148)下で反応させ、式(I)で表される化合物を得る。
【0087】
化合物の構造は、質量分析(MS)又は水素核磁気共鳴スペクトル(1H NMR)により決定される。
【0088】
水素核磁気共鳴スペクトル(1H NMR)シフト(δ)は、100万分の1(ppm)単位で表され、水素核磁気共鳴スペクトル(1H NMR)の測定は、Bruker AVANCE-400核磁気装置により行われ、測定溶媒は重ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)、内部標準物質はテトラメチルシラン(TMS)、化学シフトは10-6(ppm)単位で表される。
【0089】
質量分析(MS)の測定は、FINNIGAN LCQAd(ESI)質量分析計(メーカー:Therm、型式:Finnigan LCQ engagemax MAX)により行われる。
【0090】
薄層シリカゲルクロマトグラフィー(TLC)は、中国煙台黄海HSGF254又は中国青島GF254シリカゲルプレートを使用した。
【0091】
カラムクロマトグラフィーは、一般的に中国煙台黄海シリカゲル200~300メッシュのシリカゲルを担体として使用した。
【0092】
本出願における用語「窒素保護」は、例えば、反応瓶を容積1Lの窒素バルーンに接続し、窒素雰囲気下で反応を行うことを指す。
【0093】
本出願において、特に明記しない限り、本出願による実施例の反応において言及される溶液は、水溶液である。
【0094】
本出願における用語「室温」は、10℃~25℃の間の温度を指す。
【0095】
中間体の合成(Ia-1)
ルートは次のとおりである。
【化16】
【0096】
ステップ1:2-(5-ブロモ-2-メトキシ-3-ニトロピリジン-4-イル)-N,N-ジメチルメチレン-2-アミン(Ia-1-1)
5-ブロモ-2-メトキシ-4-メチル-3-ニトロピリジン(100.15g、397.2mmol)を、2500mLの三口フラスコに入れてから、DMF(500mL)を加え、攪拌して溶解し、氷浴で0℃にし、窒素保護下で、ナトリウムメトキシド(10.9g、198.6mmol)を数回に分けて添加し、添加完了後、温度を90℃に上昇させ、撹拌しながら30分間反応させる。反応溶液の温度が自然に80℃以下になると、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(386.4g、3.178mol)を数回に分けて加え、昇温させ90℃に保持し、1時間反応させる。TLCで反応の進行をモニターし(PE/EA=10/1)、原料の反応完了後、反応溶液を室温まで冷却し、氷水(1L)に注ぎ、沈殿した固体生成物を回収し、水(500mL×3)で洗浄し、50℃で減圧乾燥して、中間体Ia-1-1(96.30g、収率76.2%)を得る。
ESI-MS m/z:302/304[M+H]+
【0097】
ステップ2:4-ブロモ-7-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン(Ia-1-2)
前記中間体Ia-1-1(143.5g、466.5mmol)を、2000mLの三つ口フラスコに入れてから、AcOH(400mL)を加え、十分撹拌し、氷浴で0℃まで冷却し、窒素保護下で、還元鉄粉(159.9g、2.798mol)を数回に分けて添加し、添加完了後、温度を110℃に上昇させ、撹拌しながら4時間反応させる。原料の反応完了後、酢酸エチル800mLを加えて反応液を希釈し、飽和食塩水を加えて洗浄抽出し、有機層に無水硫酸ナトリウムを加えて一晩乾燥した後、乾燥剤をろ過し、減圧下でろ液から溶媒を回収し、カラムクロマトグラフィーで精製し、処理により中間体Ia-1-2(83.6g、収率71.0%)を得る。
ESI-MS m/z:227/229[M+H]+
【0098】
ステップ3:4-ブロモ-7-メトキシ-1-p-トルエンスルホニル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン(Ia-1-3)
前記中間体Ia-1-2(81.6g、352.3mmol)を、1500mLの三つ口フラスコに入れてから、THF(500mL)を加え、十分撹拌し、氷浴で0℃まで冷却し、窒素保護下で、水素ナトリウム(60%、28.20g、704.6mmol)を数回に分けて添加し、添加完了後、氷浴冷却を保持し、撹拌しながら30分間反応させる。次に、塩化p-トルエンスルホニル(76.18g、422.7mmol)を添加し、自然に室温まで昇温させ、撹拌しながら1時間反応させる。TLCで反応の進行をモニターし、原料の反応完了後、反応液を室温まで冷却し、氷塩化アンモニウム溶液を加えて反応を停止させ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥した後、乾燥剤をろ過し、減圧下でろ液から溶媒を回収し、カラムクロマトグラフィーで精製し、処理により中間体Ia-1-3(107.30g、収率71.9%)を得る。
ESI-MS m/z:381/383[M+H]+
【0099】
ステップ4:4-ブロモ-7-メトキシ-1-p-トルエンスルホニル-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボン酸プロピル(Ia-1-4)
前記中間体Ia-1-3(106.2g、273.9mmol)を、1500mLの三つ口フラスコに入れてから、THF(600mL)を加え、撹拌して溶解し、ドライアイス浴で-60℃以下に冷却し、窒素保護下で、LDAのTHF溶液(2M、208.0mL、410.8mmol)を数回に分けて滴下し、添加完了後、ドライアイス浴による冷却を保持し、撹拌しながら1時間反応させ、次にクロロギ酸プロピル(51.35g、410.8mmol)を加え、2時間撹拌しながら反応させる。TLCで反応進行をモニターし、原料の反応完了後、飽和塩化アンモニウム溶液を滴下して反応を停止させ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥した後、乾燥剤をろ過し、減圧下でろ液から溶媒を回収し、カラムクロマトグラフィーで精製し、処理により中間体Ia-1-4(107.50g、収率75.8%)を得る。
ESI-MS m/z:467/469[M+H]+
【0100】
ステップ5:4-ブロモ-7-オキソ-1-p-トルエンスルホニル-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボン酸プロピルエステル(Ia-1-5)
前記中間体Ia-1-4(104.2g、219.1mmol)を、1500mLの三口フラスコに入れてから、アセトニトリル溶媒(500mL)を加え、撹拌して溶解し、氷浴で-5℃以下に冷却し、窒素保護下で、ヨウ化ナトリウム(50.3g、328.7mmol)、Me3Si-Cl(36.4g、328.7mmol)を数回に分けて添加し、添加完了後、温度を自然に室温まで上昇させ、撹拌しながら1時間反応させ、次いで温度を60℃に上昇させ、1時間撹拌しながら反応させる。TLCで反応進行をモニターし、原料の反応完了後、チオ硫酸ナトリウム溶液を加えて反応を停止させ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥させ、乾燥剤をろ過し、減圧下でろ液から溶媒を回収し、カラムクロマトグラフィーで精製し、処理により中間体Ia-1-5(86.9g、収率79.0%)を得る。
ESI-MS m/z:453/455[M+H]+
【0101】
ステップ6:4-ブロモ-6-メチル-7-オキソ-1-p-トルエンスルホニル-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボン酸プロパンエステル(Ia-1-6)
前記中間体Ia-1-5(85.0g、184.3mmol)を、1500mLの三口フラスコに入れてから、DMF(400mL)を加え、撹拌して溶解し、室温でCs2CO3(91.9g、276.4mmol)を加え、10分間プレミックスし、氷浴で0℃以下に冷却し、ヨードメタン(29.36g、202.7mmol)を数回に分けて加え、自然に室温まで昇温させ、3時間撹拌しながら反応させる。TLCで反応進行をモニターし、原料の反応完了後、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥させ、乾燥剤をろ過し、減圧下でろ液から溶媒を回収し、カラムクロマトグラフィーで精製し、処理により中間体Ia-1-6(70.8g、収率74.2%)を得る。
ESI-MS:m/z=467/469(M+H)+
1H NMR (400MHz、 d6- DMSO) δ 8.29 (d、J = 8.4 Hz、1H)、7.95 (m、2H)、7.52 (d、J = 8.0 Hz、2H)、7.04 (s、1H)、4.31 (t、J = 6.4 Hz、2H)、3.45 (s、3H)、2.43 (s、3H)、1.79 - 1.70 (m、2H)、0.97 (t、J = 7.2 Hz、3H)。
【0102】
ステップ7:4-ブロモ-6-メチル-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリミジン-2-カルボン酸(Ia-1-7)
前記中間体Ia-1-6(68.1g、143.2mmol)を、1500mLの三口フラスコに入れてから、メタノール/水(3:1)混合溶媒(500mL)を加え、攪拌して溶解し、室温でLiOH(6.58g、358.1mmol)を加え、反応物を室温で6時間撹拌しながら反応させる。TLCで反応進行をモニターし、原料の反応完了後、メタノールを回収し、残りの反応液を酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥させ、乾燥剤をろ過し、減圧下でろ液から溶媒を回収し、カラムクロマトグラフィーで精製し、処理により中間体Ia-1-7(31.2g、収率72.6%)を得る。
ESI-MS:m/z=271/273(M+H)+
【0103】
ステップ8:4-ブロモ-N-エチル-6-メチル-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド(Ic-1)
前記中間体Ia-1-7(30.5g、110.7mmol)を、500mLの三口フラスコに入れてから、アセトニトリル溶媒(180mL)を加え、撹拌して溶解し、室温でHOBt(30.2g、223.5mmol)、縮合剤EDCI(43.31g、221.4mmol)、エチルアミン溶液を加え、室温で8時間撹拌しながら反応させる。TLCで反応進行をモニターし、原料の反応完了後、室温まで冷却し、水及び酢酸エチルを加えて抽出し、飽和食塩水を加えて洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥させ、乾燥剤をろ過し、減圧下でろ液から溶媒を回収し、カラムクロマトグラフィーで精製し、処理により中間体Ic-1(23.8g、収率65.4%)を得る。
ESI-MS:m/z=298/300(M+H)+
【0104】
ステップ9:N-エチル-6-メチル-7-オキソ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド(Ia-1)
前記中間体Ic-1(20.6g、67.90mmol)、ピナコールジボロネート(26.4g、101.9mmol)、配位子Xphos(1.65g、3.4mmol)、酢酸カリウム(8.17g、81.5mmol)を、500mLの三口フラスコに入れてから、1,4-ジオキサン溶媒(150mL)を加え、攪拌して均一に混合し、窒素置換を3回行い、窒素気流下で、Pd2(dba)3触媒(3.15g、3.4mmol)を加えた後、窒素保護下で100℃まで昇温させてから、3時間反応させる。TLCで反応進行をモニターし、原料の反応完了後、酢酸エチルを加えて希釈し、水で洗浄して抽出し、飽和食塩水を加えて洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥させ、乾燥剤をろ過し、減圧下でろ液から溶媒を回収し、カラムクロマトグラフィーで精製し、処理により中間体Ia-1(14.7g、収率56.4%)を得る。
ESI-MS:m/z=346.2(M+H)+
1H NMR (400 MHz、DMSO-d6) δ 12.12 (s、1H)、9.39 (br-s、1H)、7.60 (s、1H)、7.05 (s、1H)、3.51 (s、3H)、3.29-3.25 (m、2H)、1.31 (s、12H)、1.13 (t、J = 3.2Hz、3H)。
【0105】
<実施例1:N-エチル-4-(5-(2-ヒドロキシプロピル-2-イル)-3-(インドリン-1-イル)チオフェン-2-イル)-6-メチル-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド(1)の合成>
合成ルート:
【化17】
【0106】
ステップ1:4-(インドリン-1-イル)チオフェン-2-カルボン酸エチル(1-1)
4-ブロモチオフェン-2-カルボン酸エチル(2.52g、10.55mmol)、インドリン(1.92g、13.72mmol)、酢酸カリウム(1.26g、12.66mmol)、配位子Xantphos(187mg、0.3mmol)、トルエン(50mL)を、50mlの三口フラスコに入れてから、窒素置換を3回行い、窒素気流下でPd2(dba)3触媒(295mg、0.3mmol)を添加し、窒素保護下で、85℃まで昇温させ、2時間反応させた。TLCでモニターし(PE/EA=10/1)、原料の反応完了後、反応液を室温まで冷却した後、水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥させ、乾燥剤をろ過し、減圧下でろ液から溶媒を回収し、カラムクロマトグラフィーで精製して、オフホワイトの固体1-1(1.96g、収率61.2%)を得た。
ESI-MS m/z:274.1(M+H)+
【0107】
ステップ2:2-(4-(インドリン-1-イル)チオフェン-2-イル)プロパン-2-オール(1-2)
上記のステップにおける中間体1-1(1.92g、6.89mmol)を、50mLの三口フラスコに入れてから、THF(30mL)を加えて攪拌して溶解し、氷浴で-5℃以下に冷却し、窒素保護下で、臭化メチルマグネシウムのTHF溶液(2M、7.58mL、15.16mmol)を数回に分けて滴下した後、氷浴による冷却を保持し、2時間攪拌しながら反応し続け、次いで自然に室温まで昇温させ、2時間攪拌しながら反応させた。TLCで反応進行をモニターし、原料の反応完了後、飽和塩化アンモニウム溶液を滴下して反応を停止させ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥させ、乾燥剤をろ過し、減圧下でろ液から溶媒を回収し、カラムクロマトグラフィーで精製し、処理により中間体1-2(1.53 g、収率77.1%)を得た。
ESI-MS m/z:260.1(M+H)+
【0108】
ステップ3:2-(5-ブロモ-4-(インドリン-1-イル)チオフェン-2-イル)プロパン-2-オール(1-3)
上記のステップにおける中間体1-2(1.85g、7.00mmol)を50mLの三口フラスコに入れてから、THF(40mL)を加えて攪拌して溶解し、ドライアイス浴で-65℃以下に冷却し、窒素保護下で、n-ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液(2.5M、6.2mL、15.4mmol)を滴下し、滴下後、ドライアイス浴による冷却を保持し、1時間攪拌しながら反応させ、次いで、N-ブロモスクシンイミド(1.39g、7.8mmol)を加え、3時間撹拌しながら反応させた。TLCで反応進行をモニターし、原料の反応完了後、飽和塩化アンモニウム溶液を滴下して反応を停止させ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥させ、乾燥剤をろ過し、減圧下でろ液から溶媒を回収し、カラムクロマトグラフィーで精製し、処理により中間体1-3(1.66g、収率63.3%)を得た。
ESI-MS m/z:338/340[M+H]+
【0109】
ステップ4:N-エチル-4-(5-(2-ヒドロキシプロピル-2-イル)-3-(インドリン-1-イル)チオフェン-2-イル)-6-メチル-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド(1)
上記のステップにおける中間体1-3(0.53g、1.54mmol)、中間体Ia-1(0.59g、1.70mmol)、配位子Xphos(27mg、0.04mmol)、炭酸セシウム(0.77g、2.31mmol)を50mlの三口フラスコに入れてから、1,4-ジオキサン溶媒(15mL)を加え、撹拌して均一に混合し、窒素置換を3回行い、窒素気流下でPd2(dba)3触媒(43.0mg、0.04mmol)を加え、窒素置換を再度2回行い、窒素保護下で、温度を105℃に上昇させ、8時間反応させた。TLCで反応進行をモニターし、原料の反応完了後、酢酸エチルを加えて希釈し、水で洗浄、抽出し、飽和食塩水を加えて洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥させ、乾燥剤をろ過し、減圧下でろ液から溶媒を回収し、フラッシュカラムにより精製し、有機溶媒の大部分を回収し、凍結乾燥して、目的化合物1(305mg、収率40.9%)を得た。
ESI-MS:m/z=477.2(M+H)+
1H NMR (400 MHz, d 6 -DMSO) δ 12.27 (s, -NH, 1H), 8.37 (s, -NH, 1H), 7.34 (s ,1H), 7.05 (s, 1H), 7.01 (m, 1H), 6.92 (s, 1H), 6.55 (m, 1H), 6.35 (m, 1H)、6.33 (m、1H)、5.53 (s、-OH、1H)、3.72 (t、J = 2.4 Hz、2H)、3.34 (s、3H)、3.24 (s、2H)、2.96 (m、2H)、1.53 (m、6H)、1.13 (m、3H)。
【0110】
<実施例2:N-エチル-4-(3-(7-フルオロインドリン-1-イル)-5-(2-ヒドロキシプロピル-2-イル)チオフェン-2-イル)-6-メチル-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド(2)>
合成ルート:
【化18】
【0111】
ステップ1:4-(7-フルオロ-インドリン-1-イル)チオフェン-2-カルボン酸エチル(2-1)
4-ブロモチオフェン-2-カルボン酸エチル(2.0g、8.37mmol)、7-フルオロインドリン(1.75g、12.56mmol)、酢酸カリウム(1.0g、10.05mmol)、配位子Xantphos(148mg、0.25mmol)及びトルエン(50mL)を、50mLの三口フラスコに入れてから、窒素置換を3回行い、窒素気流下でPd2(dba)3触媒(295mg、0.25mmol)を加え、窒素保護下で、温度を90℃まで上昇させ、1時間反応させた。TLCでモニターし(PE/EA=10/1)、原料の反応完了後、反応溶液を室温まで冷却した後、水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥させ、乾燥剤をろ過し、減圧下でろ液から溶媒を回収し、カラムクロマトグラフィーで精製して中間体2-1(1.71g、収率63.1%)を得た。
ESI-MS m/z:292.1(M+H)+
【0112】
ステップ2:2-(4-(7-フルオロ-インドリン-1-イル)チオフェン-2-イル)プロパン-2-オール(2-2)
上記のステップにおける中間体2-1(1.62g、5.45mmol)を、50mLの三口フラスコに入れてから、THF(30mL)を加えて攪拌して溶解し、氷浴で-5℃以下に冷却し、窒素保護下で、臭化メチルマグネシウムのTHF溶液(2M、6.0mL、12.0mmol)を数回に分けて滴下し、滴下終了後、氷浴による冷却を保持し、撹拌しながら2時間反応させ、室温まで自然に昇温させ、2時間攪拌しながら反応させた。TLCで反応進行をモニターし、原料の反応完了後、飽和塩化アンモニウム溶液を滴下して反応を停止させ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥させ、乾燥剤をろ過し、減圧下でろ液から溶媒を回収し、カラムクロマトグラフィーで精製し、処理により中間体2-2(1.24g、収率73.8%)を得た。
ESI-MS m/z:278.1(M+H)+
【0113】
ステップ3:2-(4-(7-フルオロ-インドリン-1-イル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-塩基)チオフェン-2-イル)プロパン-2-オール(2-3)
上記のステップにおける中間体2-2(1.2g、4.24mmol)を、50mLの三口フラスコに入れてから、THF(25mL)を加え、攪拌して溶解し、ドライアイス浴で-65℃以下に冷却し、窒素保護下で、n-ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液(2.5M、3.7mL、9.3mmol)を滴下し、滴下終了後、氷浴による冷却を保持し、1時間攪拌しながら反応させてから、-40℃に昇温させ、撹拌しながら2時間反応させた。窒素保護下で、ピナコールジボレート(1.31g、5.09mmol)を数回に分けて加え、反応を1時間継続し、自然に温度を室温に上げ、撹拌しながら3時間反応させ、TLCで反応進行をモニターし、原料の反応完了後、飽和塩化アンモニウム溶液を滴下し、反応を停止させ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥させ、乾燥剤をろ過し、減圧下でろ液から溶媒を回収し、カラムクロマトグラフィーで精製し、処理により中間体2-3(1.0g、収率53.8%)を得た。
ESI-MS m/z:404.2(M+H)+
【0114】
ステップ4:N-エチル-4-(3-(7-フルオロインドリン-1-イル)-5-(2-ヒドロキシプロピル-2-イル)チオフェン-2-イル)-6-メチル-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド(2)
上記のステップにおける中間体2-3(0.48g、1.17mmol)、中間体Ic-1(0.53g、1.75mmol)、配位子Xantphos(20.6mg、0.04mmol)、炭酸セシウム(0.58g、1.75mmol)、を50mLの三口フラスコに入れてから、1,4-ジオキサン溶媒(15mL)を加え、攪拌して均一に混合し、窒素置換を3回行い、窒素気流下でPd2(dba)3触媒(32.7mg、0.04mmol)を加え、窒素置換を再度2回行い、窒素保護下で105℃まで昇温させ、8時間反応させた。TLCで反応進行をモニターし、原料の反応完了後、酢酸エチルを加えて希釈し、水で洗浄、抽出し、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥させ、乾燥剤をろ過し、減圧下でろ液から溶媒を回収し、フラッシュカラムにより精製し、有機溶媒の大部分を回収し、凍結乾燥して、目的化合物2(261mg、収率44.4%)を得た。
ESI-MS:m/z=495.2(M+H)+
1H NMR (400 MHz、d6-DMSO) δ 12.30 (s, -NH, 1H), 8.44 (s, -NH, 1H), 7.28 (s, 1H), 7.24 (s, 1H), 7.20 (m, 1H), 7.13-7.16 (m、1H)、6.89 (s、1H)、6.60 (s、1H)、4.89 (br-s、-OH、1H)、4.01 (t、J = 2.4 Hz、2H)、3.69 (s、3H)、3.43-3.38 (m, 4H), 1.60 (m, 6H), 1.28 (m, 3H)。
【0115】
<実施例3:N-エチル-4-(5-(2-ヒドロキシプロピル-2-イル)-3-(7-メチルインドリン-1-イル)チオフェン-2-イル)-6-メタンイル-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド(3)>
【化19】
実施例1の調製方法を参考に、反応基質として、インドリンの代わりに、7-メチルインドリンを使用し、実施例1に記載の方法で精製して、目的化合物3を得た。
ESI-MS:m/z=491.2(M+H)+
1 H NMR (400 MHz, d6-DMSO) δ 12.32 (s, -NH, 1H), 8.42 (s, -NH, 1H), 7.32 (s, 1H), 6.95 (s, 1H), 6.79 (m, 1H), 6.68 (m, 1H), 6.66 (m, 1H), 6.64 (m, 1H)、5.05 (s、-OH、1H)、3.58 (br-s、2H)、3.56 (s、3H)、3.20 (m、2H)、2.96 (m、2H)、1.86 (m, 3H), 1.50 (m, 6H), 1.15 (m, 3H)。
【0116】
<実施例4:N-エチル-4-(3-(5-フルオロインドリン-1-イル)-5-(2-ヒドロキシプロピル-2-イル)チオフェン-2-イル)-6-メチル-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド(4)>
【化20】
【0117】
実施例1の調製方法を参考に、反応基質として、インドリンの代わりに、5-フルオロインドリンを使用し、実施例1に記載の方法で精製して、目的化合物4を得た。
ESI-MS:m/z=495.2(M+H)+
1H NMR (400 MHz、d6-DMSO) δ 12.35 (s, 1H), 8.45 (s, -NH, 1H), 7.72 (m, 1H), 7.28 (m, 1H), 6.98-7.02 (m, 2H), 6.74 (m, 1H)、6.32 (m、1H)、5.61 (s、1H)、3.82 (m、2H)、3.57 (s、3H)、3.34 (m、2H)、3.03 (t、J = 3.5 Hz、2H)、1.62 (s、6H)、1.20 (t, J = 4.2 Hz, 3H)。
【0118】
<実施例5:N-エチル-4-(5-(2-ヒドロキシプロピル-2-イル)-3-(5-トリフルオロメチルインドリン-1-イル)チオフェン-2-イル)-6-メチル-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド(5)>
【化21】
【0119】
実施例1の調製方法を参考に、反応基質として、インドリンの代わりに、5-トリフルオロメチルインドリンを使用し、実施例1に記載の方法で精製して、目的化合物5を得た。
ESI-MS:m/z=545.2(M+H)+
【0120】
<実施例6:N-エチル-4-(5-(2-ヒドロキシプロピル-2-イル)-3-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)チオフェン-2-イル)-6-メチル-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド(6)>
【化22】
【0121】
実施例1の調製方法を参考に、反応基質として、インドリンの代わりに、6-フルオロ-3,4-ジヒドロキノリンを使用し、実施例1に記載の方法で精製して、目的化合物6を得た。
ESI-MS:m/z=509.2(M+H)+
1H NMR (400 MHz、d6-DMSO) δ 12.28 (br-s、-NH、1H)、8.36 (s、-NH、1H)、 7.25 (s, 1H), 6.95 (s, 1H), 6.86 (m, 1H), 6.78 (m, 1H), 6.66 (m, 1H), 6.33 (m, 1H), 5.56 (s,-OH, 1H), 3.44 (s, 3H), 3.25 (m, 4H), 2.68 (m, 2H), 1.80 (m, 2H), 1.52 (m, 6H), 1.10 (m, 3H)。
【0122】
<実施例7:N-エチル-4-(5-(2-ヒドロキシプロピル-2-イル)-3-(7-(トリフルオロメチル)インドリン-1-イル)チオフェン-2-イル)-6-メチル-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド(7)>
【化23】
【0123】
実施例1の調製方法を参考に、反応基質として、インドリンの代わりに、7-トリフルオロメチルインドリンを使用し、実施例1に記載の方法で精製して、目的化合物7を得た。
ESI-MS:m/z=545.2(M+H)+
1H NMR (400 MHz、d6-DMSO) δ 12.10 (s, -NH, 1H), 8.64 (s, -NH, 1H), 7.48 (s, 1H), 7.34 (s, 1H), 7.25 (m, 1H)、 7.19 (m、1H)、6.82 (s、1H)、6.63 (s、1H)、4.86 (br-s、-OH、1H)、4.03 (t、J = 2.4 Hz、2H)、3.62 (s、3H)、 3.42 (m、4H)、1.63 (m、6H)、1.20 (m、3H)。
【0124】
<実施例8:4-(3-(5-シアノインドリン-1-イル)-5-(2-ヒドロキシプロピル-2-イル)チオフェン-2-イル)-N-エチル-6-メチルイル-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキサミド(8)>
【化24】
【0125】
実施例1の調製方法を参考に、反応基質として、インドリンの代わりに、5-シアノインドリンを使用し、実施例1に記載の方法で精製して、目的化合物8を得た。
ESI-MS:m/z=502.2(M+H)+
【0126】
残りの化合物9~38は、「一般的反応スキーム1」に示される方法によって調製され、それらの質量分析データは以下の表に示す。
【0127】
【化25】


【0128】
<実施例9:細胞実験(MV4-11細胞増殖実験)>
CCK-8試薬による細胞生存率の測定
1日目:細胞のプレーティング
1)培養フラスコ内のMV4-11細胞懸濁液を15mLの遠沈管に回収し、細胞懸濁液を1000rpmで4分間遠心分離した。
2)遠沈管の上清を除去し、新鮮な完全培地(IMDM+10%FBS+1%P/S)を適量加え、細胞を再懸濁した。20μLの細胞懸濁液を取り、20μLのトリパンブルーを加え、CounterStarで計数した。
3)生細胞密度及び必要な播種細胞数に基づいて、必要な細胞懸濁液量及び完全培地量を計算した。MV4-11細胞は1×104細胞/ウェル、100μL/ウェルの密度でプレーティングした。
4)上記細胞懸濁液100μLを、電動ピペットで吸い取り、96ウェルプレートに添加した。空白の対照ウェルに150μLの完全培地を追加した。液体の蒸発を防ぐために、96ウェルプレートの周辺ウェルにPBSを追加した。96ウェルプレートをインキュベーターで一晩培養した。
【0129】
2日目:化合物の準備
1)DMSOに溶解した本出願による化合物及び陽性対照ABBV-744を取り出し、グラジエント希釈(96ウェルPCRプレートにおいて希釈し、左から右への順で、カラムA、カラムB、カラムJ)を行った。
カラムAの溶液の初期濃度は10mMである。
カラムB:カラムAの溶液2μLを8μLのDMSOで希釈し、最終濃度2000μMを得た。
カラムC:カラムBの溶液2μLを8μLのDMSOで希釈し、最終濃度400μMを得た。
カラムD:カラムCの溶液2μLを8μLのDMSOで希釈し、最終濃度80μMを得た。
カラムE:カラムDの溶液2μLを8μLのDMSOで希釈し、16μMの最終濃度を得た。
カラムF:カラムEの溶液2μLを8μLのDMSOで希釈し、3.2μMの最終濃度を得た。
カラムG:カラムFの溶液2μLを8μLのDMSOで希釈し、0.64μMの最終濃度を得た。
カラムH:カラムGの溶液2μLを8μLのDMSOで希釈し、0.128μMの最終濃度を得た。
カラムI:カラムHの溶液2μLを8μLのDMSOで希釈し、0.0256μMの最終濃度を得た。
カラムJ:カラムIの溶液2μLを8μLのDMSOで希釈し、0.00512μMの最終濃度を得た。
低速遠心機を用いて、1000rpmで1分間遠心分離した。
2)3×化合物の調製(96ウェル細胞培養プレートによる希釈)
10μLの手動ピペットを用いて、カラムB~Jの溶液各3μLを、197μLの完全培地に添加し、最終濃度30000、6000、1200、240、48、9.6、1.92、0.384、及び0.0768nMの3×化合物溶液を得た。コントロール用として、3μLのDMSOを197μLの完全培地に添加し、得られた96ウェル細胞培養プレートを、シェーカーで500rpmで30分間振とうした。
【0130】
化合物の処理:
1)手動ピペットを用いて、容量を50μLに設定し、準備した上記各濃度の3×化合物溶液を取り、1日目の一晩培養後の96ウェルプレートの対応するウェルに添加し、各ウェルの総培養液量は150μlであった。96ウェルプレート中の化合物の最終濃度は、10μM、2μM、400nM、80nM、16nM、3.2nM、0.64nM、0.128nM、0.0256nMであった。得られた96ウェルプレートを、シェーカーで500rpmで10分間振とうした。
2)96ウェルプレートをCO2インキュベーターに入れて72時間培養した。
【0131】
5日目:結果の検出
1)排気ガンを用いて、容量を15μLに設定し、CCK-8検出溶液を、15μL/ウェルの量で96ウェル細胞培養プレートに添加した。
2)96ウェル細胞培養プレートを、CO2インキュベーターに入れ、4時間インキュベートした。
3)MDマイクロプレートリーダーを用いて、450nmの吸光度を読み取り、阻害率を算出し、GraphPadでIC50値を算出した。
【0132】
本出願の例示的な化合物の細胞増殖試験結果は、表1に示すとおりである。
【0133】
【表1】
【0134】
表に示すように、本出願による化合物は、陽性対照ABBV-744に比べて、MV4-11細胞の増殖を阻害する活性が同等又はそれ以上の活性を示すことができる。
【0135】
<実施例10:本出願による化合物の薬物動態試験>
SDラットを被験動物とし、本出願による化合物を胃内投与又は尾静脈注射した後、LC/MS/MS法を用いて、血漿中の薬物濃度を時間ごとに測定し、ラットにおける本出願による化合物の薬物動態特性を研究した。
【0136】
SDラットの由来:中国成都大朔実験動物有限公司
投与方法:単回胃内投与及び単回尾静脈注射投与
投与量及び濃度: 2mg/kgラット体重; 0.5mg/mL
製剤処方:20% β-シクロデキストリン溶液
サンプリングポイント: 5分、15分、30分、45分、1時間、1.5時間、2時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、24時間
検量線の作成及びサンプルの処理: 被験サンプル10mgを正確に量り、1mLのDMSOを加えて溶解し、原液として使用した。原液を50%(v/v)のメタノール水で希釈して、10、20、50、100、200、500、1000、2000ng/mLの標準作業溶液を作成した。それぞれ45μLのブランクラット血漿を取り、それに5μLの標準作業溶液を加えて、1.00、2.00、5.00、10.00、20.00、50.00、100.00、200.00 ng/mLの検体濃度を含む標準サンプルを調製し、それぞれ200μLのメタノール(内部標準メマンチン塩酸塩5ng/mLを含む)を添加し、3分間ボルテックスした後、12000rpm、4℃で10分間遠心分離し、上清液100mLを取ってLC-MS/MS分析を行った。実験結果は、Analyst(登録商標)ソフトウェアを使用して計算した。
精度管理液の調製及びサンプルの処理: 被験サンプル10mgを精秤し、1mLのDMSOを加えて溶解し、原液として使用した。原液を50%(v/v)のメタノール水で希釈して、30、600、1600ng/mLの精度管理作業溶液を作成した。それぞれ45μLのブランクラット血漿を取り、それに5μLの精度管理作業溶液を加えて、3.00、60.00、及び160.00ng/mLの検体濃度を含む精度管理サンプルを調製し、それぞれ200μLのメタノール(内部標準メマンチン塩酸塩5ng/mLを含む)を添加し、3分間ボルテックスした後、12000rpm、4℃で10分間遠心分離し、上清液100mLを取ってLC-MS/MS分析を行った。実験結果は、Analyst(登録商標)ソフトウェアを使用して計算した。
【0137】
本出願の例示的な実施例1による化合物の薬物動態パラメータは表2に示すとおりである。
【0138】
【表2】
【0139】
本出願による化合物は、優れた薬物動態特性を示すことができ、胃内投与後の吸収が良好であり、胃内投与と尾静脈注射との曲線面積の比率(絶対バイオアベイラビリティ)は76.35%に達する。
【0140】
<実施例11:本出願による化合物のインビボ薬効試験>
目的:ヌードマウスにおけるMV4-11白血病異種移植腫瘍の増殖に対する試験化合物の阻害効果を試験する。
方法:NOD-SCIDマウスに、MV4-11細胞を皮下接種し、MV4-11マウス異種移植腫瘍モデルを確立した。接種の16日後(d16)、平均腫瘍体積は約210mm3であった。腫瘍体積に応じて、担癌マウスをランダムブロック法によりグループに分け、溶媒対照群、ABBV-744対照群、被験サンプル群を含む各群6匹マウスのグループとした。投与量は5mg/kgマウス体重、投与体積はいずれも10mL/kgマウス体重とし、1日1回投与した。各群は14日間連続して胃内投与され、溶媒対照群にはブランク溶媒(20%β-シクロデキストリン溶液)が投与された。試験薬投与開始後、腫瘍体積を週2回測定し、実験後に動物を安楽死させた。
【0141】
本出願の例示的な実施例1による化合物の動物体内での薬効結果は表3に示すとおりである。
【0142】
【表3】
【0143】
溶媒対照群に比べて、ABBV-744対照群及び本出願による化合物の投与群(試験サンプル群)は、いずれも優れたインビボ抗腫瘍活性(P<0.01)を示すことができ、且つ、本出願による化合物のインビボ抗腫瘍活性は、ABBV-744対照群より良好である。
【0144】
<実施例12:hERGに対する本出願による化合物の阻害効果の試験>
全細胞パッチクランプ法を用いてhERG電流を記録した。hERGイオンチャネルを安定的に発現するHEK293細胞懸濁液を、35mmの培養皿に添加し、倒立顕微鏡のステージに配置し、細胞が壁に付着した後、細胞外液(10mMのHEPES、145mMのNaCl、4.0mMのKCl、2.0mMのCaCl2、1.0mMのMgCl2及び10mMのGlucoseを、水酸化ナトリウムで、pH7.3~7.4、浸透圧290~310mOsmに調整し、濾過した後、4℃で保存する)により灌流し、流速は1.0~2.0mL/分であった。ガラス微小電極は、微小電極プラーによって2つのステップで引っ張られ、電極の内部溶液(120mMのKCl、31.25mMのKOH、5.374mMのCaCl2、1.75mMのMgCl2、10mMのEGTA、10mMのHEPES及び4.0mMのNa2-ATPを、水酸化カリウムで、pH7.2~7.3、浸透圧290~310mOsmに調整し、ろ過した後、小分けして-20℃で保存する)を充填した後の耐水性値は2~5MΩであった。全細胞記録モードを確立した後、クランプ電位を-80mVに保持し、脱分極電圧を+60mVまで850ms与え、その後、-50mVまで1275ms再分極してhERGテール電流を引き出した。実験中、パルスプログラムはずっと15秒ごとに繰り返された。電流が安定すると、低濃度から高濃度へ、連続細胞外灌流投与法を採用し、低濃度から始め、薬効が安定するまで灌流を継続し、安定すると次の濃度の灌流を行った。
【0145】
実験後、PatchMaster ソフトウェアを介して、刺激の放出及び信号の取得を行った。Graphpad Prism 8.0などを使用して、さらなるデータ分析及びカーブフィッティングを行った。各化合物の濃度別効果は、テールフローの阻害率で表し、阻害率=(投与前のピークテール電流ピーク値-投与後のピークテール電流ピーク値)/投与前のピークテール電流ピーク値×100%。試験サンプルの最大半阻害濃度のIC50値は、Hill式フィッティング分析によって得られた。
【0146】
【表4】
【0147】
実施例1による化合物のhERGに対するIC50値は26.771μMであり、ABBV-744対照化合物のhERGに対するIC50値は3.117μMである。したがって、ABBV-744対照化合物に比べて、本出願による化合物のhERG心毒性のリスクはより低い(P<0.05)。
【0148】
前述した詳細な説明及び添付の実施例は単なる例示であり、本出願の範囲を限定するものと解釈されるべきではなく、該範囲は付随する特許請求の範囲及びそれらの均等物によってのみ定義されるものであることを理解されたい。当業者は開示された実施形態に対する様々な変更及び修正を容易に理解することができ、その精神及び範囲から逸脱することなく行われるこのような変更及び修正は、本出願の化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成法、製剤及び/又は使用方法に関連するものを含むがこれらに限定されるものではなく、これらの修正、変更又は異なる実施形態の変形又は組み換えはすべて本出願の保護範囲内に属する。本明細書で引用されたすべての刊行物、特許、及び特許出願は、様々な目的のために、その全文を引用して本明細書に組み込む。
【国際調査報告】