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特表2023-538440高いタンパク質含有量を有する食品成分
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(54)【発明の名称】高いタンパク質含有量を有する食品成分
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20230831BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20230831BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20230831BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20230831BHJP
   A23J 3/00 20060101ALI20230831BHJP
   A23J 3/20 20060101ALI20230831BHJP
   A23L 17/00 20160101ALI20230831BHJP
   A23C 20/00 20060101ALI20230831BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20230831BHJP
   A23L 2/38 20210101ALI20230831BHJP
【FI】
A23L5/00 K
A23L33/135
A23L29/00
A23L13/00 Z
A23J3/00 502
A23J3/20
A23L17/00 Z
A23C20/00
A23L2/00 F
A23L2/38 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513089
(86)(22)【出願日】2021-08-22
(85)【翻訳文提出日】2023-04-18
(86)【国際出願番号】 IB2021057696
(87)【国際公開番号】W WO2022043847
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】63/069,087
(32)【優先日】2020-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/183,273
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/208,017
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522489082
【氏名又は名称】スーパーブリュード フード、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】トレイシー、ブライアン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】エイヤル、アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ソメク、サス
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル、ダニエル ノックス
(72)【発明者】
【氏名】カーポル、アロン
(72)【発明者】
【氏名】アンケラ-アンダーソン、カーシーク
【テーマコード(参考)】
4B001
4B018
4B035
4B042
4B117
【Fターム(参考)】
4B001AC15
4B001AC22
4B001AC30
4B001AC46
4B001AC99
4B001BC02
4B001BC08
4B001BC12
4B001BC14
4B001BC99
4B001EC05
4B001EC99
4B018LB05
4B018LB06
4B018LB07
4B018LB08
4B018LE03
4B018MD04
4B018MD05
4B018MD06
4B018MD15
4B018MD19
4B018MD20
4B018MD35
4B018MD49
4B018MD57
4B018MD85
4B018ME14
4B018MF02
4B018MF04
4B018MF07
4B018MF13
4B018MF14
4B035LC16
4B035LE01
4B035LG01
4B035LG02
4B035LG12
4B035LG14
4B035LG15
4B035LG26
4B035LG33
4B035LG34
4B035LG50
4B035LP01
4B035LP21
4B035LP24
4B035LP42
4B035LP44
4B035LP59
4B042AD36
4B042AK01
4B042AK06
4B042AK10
4B042AK16
4B042AP02
4B042AP17
4B117LC02
4B117LC04
4B117LG06
4B117LG13
4B117LK01
4B117LK21
(57)【要約】
少なくとも一つの細菌の細胞を含む食品成分が提供され、当該細胞は、当該細胞の総乾燥重量の少なくとも60重量%の粗製タンパク質濃度及び当該細胞の総乾燥重量の約5重量%未満の濃度の核酸を含み、ここで、当該細胞の総数の少なくとも50%は死細胞である。更に、かかる食品成分を含む食品及び飲料並びにそれらの製造方法が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの細菌の細胞を含む食品成分であって、当該細胞が、当該細胞の総乾燥重量の少なくとも60重量%の粗製タンパク質濃度及び当該細胞の総乾燥重量の約5重量%未満の核酸濃度を含み、当該細胞の総数の少なくとも50%が死細胞である、食品成分。
【請求項2】
当該少なくとも一つの細菌が嫌気性菌である、請求項1に記載の食品成分。
【請求項3】
当該少なくとも一つの細菌がグラム陽性菌である、請求項1又は2に記載の食品成分。
【請求項4】
当該グラム陽性菌がクロストリジウム綱である、請求項3に記載の食品成分。
【請求項5】
当該細菌がクロストリジウム・チロブチリカムである、請求項4に記載の食品成分。
【請求項6】
当該粗製タンパク質濃度が少なくとも80重量%である、請求項1に記載の食品成分。
【請求項7】
当該細胞の少なくとも50重量%が無傷細胞である、請求項1に記載の食品成分。
【請求項8】
当該細胞の少なくとも50重量%が溶解細胞である、請求項1に記載の食品成分。
【請求項9】
請求項1に記載の食品成分であって、当該細胞が、当該細胞の総乾燥重量の少なくとも20重量%の濃度の必須アミノ酸を含む、食品成分。
【請求項10】
請求項1に記載の食品成分であって、当該細胞が、当該細胞の総乾燥重量の少なくとも10重量%の濃度の分岐鎖アミノ酸を含む、食品成分。
【請求項11】
20重量%以下の含水量を有する、請求項1に記載の食品成分。
【請求項12】
更に、カルシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、モリブデン、セレン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つのミネラルを含む、請求項1に記載の食品成分。
【請求項13】
約1ミリアンソン単位のプロテアーゼ活性を有する、請求項1に記載の食品成分。
【請求項14】
更に、当該細胞の乾燥重量100グラムあたり約1から約20マイクログラムの濃度のビタミンB12を含む、請求項1に記載の食品成分。
【請求項15】
当該細胞の総乾燥重量の約0.1から約10重量%の濃度のペプチドグリカンを含む、請求項1に記載の食品成分。
【請求項16】
当該食品成分が約1から約150ミクロンの粒子サイズを有する粉末状である、請求項1に記載の食品成分。
【請求項17】
当該細胞の総乾燥重量の約1重量%未満の脂肪濃度を有する、請求項1に記載の食品成分。
【請求項18】
該食品成分の総乾燥重量の約0.001重量%から約1重量%の酪酸濃度を有する、請求項1に記載の食品成分。
【請求項19】
約6.7を超えるpHを有する、請求項18に記載の食品成分。
【請求項20】
当該細菌が自然発生の細菌である、請求項1に記載の食品成分。
【請求項21】
該食品成分の総乾燥重量の0.1重量%未満のカゼインを含む、請求項1に記載の食品成分。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか1項に記載の食品成分を含む食品材料。
【請求項23】
請求項1から21のいずれか1項に記載の食品成分を含む食品又は飲料。
【請求項24】
乳製品類似物である、請求項23に記載の食品又は飲料。
【請求項25】
当該乳製品類似物がチーズ、乳飲料、ヨーグルト、クリーム、ホイップクリーム、アイスクリーム、デザート及びバターからなる群から選択される乳製品の類似物である、請求項24に記載の食品又は飲料。
【請求項26】
当該乳飲料が乳、ミルクシェイク及びプロテインシェイクからなる群から選択される、請求項25に記載の食品又は飲料。
【請求項27】
当該乳飲料が該乳飲料の総重量の少なくとも2重量%のタンパク質濃度を有する、請求項25又は26に記載の食品又は飲料。
【請求項28】
当該乳飲料が更に、コーヒー、ココア、チョコレート及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つを含む、請求項25から27のいずれか1項に記載の食品又は飲料。
【請求項29】
更に香味料を含む、請求項22から28のいずれか1項に記載の食品又は飲料。
【請求項30】
更に果実を含む、請求項23から29のいずれか1項に記載の食品又は飲料。
【請求項31】
更に、該食品又は飲料の総重量の約0.5重量%から約30重量%の脂肪を含む、請求項23に記載の食品又は飲料。
【請求項32】
更に、該食品又は飲料の総重量の約5重量%から約20重量%の炭水化物を含む、請求項23に記載の食品又は飲料。
【請求項33】
当該炭水化物が改変されたデンプンを含む、請求項32に記載の食品又は飲料。
【請求項34】
当該改変されたデンプンがジャガイモデンプンを含む、請求項33に記載の食品又は飲料。
【請求項35】
当該脂肪がココナッツ油、パーム油、キャノーラ油、ヒマワリ油及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項31に記載の食品又は飲料。
【請求項36】
更に少なくとも一つのアミノ酸を含む、請求項23に記載の食品又は飲料。
【請求項37】
当該少なくとも一つのアミノ酸がリジン、メチオニン、トレオニン、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン酸/アスパラギン、グルタミン酸/グルタミン、セリン、グリシン、アルギニン、アラニン、チロシン、バリン、フェニルアラニン、プロリン、システイン、トリプトファン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項36に記載の食品又は飲料。
【請求項38】
当該アミノ酸が必須アミノ酸である、請求項36に記載の食品又は飲料。
【請求項39】
水中油滴型エマルジョンを含み、ここで、当該タンパク質が油滴の境界面で当該エマルジョンを安定化する、請求項23に記載の食品又は飲料。
【請求項40】
ホモジナイズされた製品である、請求項23に記載の食品又は飲料。
【請求項41】
更に食用油を含む、請求項23に記載の食品又は飲料。
【請求項42】
泡を含む、請求項23に記載の食品又は飲料。
【請求項43】
当該細菌の分散粒子を含む、請求項23に記載の食品又は飲料。
【請求項44】
更に少なくとも0.05重量%の酪酸及び/又はブチリンを含む、請求項23に記載の食品又は飲料。
【請求項45】
約6.7を超えるpHを有する、請求項45に記載の食品又は飲料。
【請求項46】
更に、該総タンパク質含有量の重量の約20重量%から約80重量%の濃度の植物タンパク質を含む、請求項23に記載の食品又は飲料。
【請求項47】
当該植物タンパク質が燕麦タンパク質、ナッツタンパク質、大豆タンパク質及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項46に記載の食品又は飲料。
【請求項48】
肉類似物又は魚類似物である、請求項23に記載の食品。
【請求項49】
押し出し肉製品である、請求項48に記載の食品。
【請求項50】
該食品の総重量の少なくとも5重量%のタンパク質濃度を有する、請求項49に記載の食品。
【請求項51】
該食品の総重量の約5重量%から約20重量%の濃度の脂肪を含む、請求項49に記載の食品。
【請求項52】
当該脂肪がココナッツ油、パーム油、キャノーラ油、ヒマワリ油及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項51に記載の食品。
【請求項53】
該食品の総重量の約0.5重量%から約5重量%の濃度の炭水化物を含む、請求項49に記載の食品。
【請求項54】
更に少なくとも一つのアミノ酸を含む、請求項49に記載の食品。
【請求項55】
当該少なくとも一つのアミノ酸がリジン、メチオニン、トレオニン、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン酸/アスパラギン、グルタミン酸/グルタミン、セリン、グリシン、アルギニン、アラニン、チロシン、バリン、フェニルアラニン、プロリン、システイン、トリプトファン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項54に記載の食品。
【請求項56】
更に食用油を含む、請求項49に記載の食品。
【請求項57】
更に、少なくとも0.05重量%の酪酸及び/又はブチリンを含む、請求項49に記載の食品。
【請求項58】
約6.7を超えるpHを有する、請求項57に記載の食品。
【請求項59】
更に、該総タンパク質含有量の重量の約20重量%から約80重量%の濃度の植物タンパク質を含む、請求項49に記載の食品。
【請求項60】
当該植物タンパク質が燕麦タンパク質、ナッツタンパク質、大豆タンパク質及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項59に記載の食品。
【請求項61】
請求項1から21のいずれか1項に記載の食品成分及びオーツミルクを含む、飲料。
【請求項62】
請求項1から21のいずれか1項に記載の食品成分及びアーモンドミルクを含む、飲料。
【請求項63】
請求項1から21のいずれか1項に記載の食品成分の製造方法であって、当該少なくとも一つの細菌の細胞を発酵培地中で培養してバイオマスを含む発酵培地を得ること;当該バイオマスを含有する当該発酵培地から当該バイオマスを分離して分離したバイオマスを得ること;及び当該分離したバイオマスの細胞の少なくとも50%を死滅させることを含む、方法。
【請求項64】
当該分離が精密濾過を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
当該死滅が当該分離したバイオマスを低温殺菌することを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
更に、当該分離したバイオマスを少なくとも135℃の温度まで少なくとも2秒間加熱することを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
更に、当該分離したバイオマスを乾燥させて5重量%以下の含水量を有する乾燥バイオマスを提供することを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
更に、当該乾燥バイオマスを約2ミクロン以下の粒子サイズに製粉することを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
更に、当該分離したバイオマスを洗浄して洗浄された細胞を含む溶液を得ること、及び当該洗浄された細胞を乾燥させて洗浄されたバイオマスを得ることを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項70】
請求項1から21のいずれか1項に記載の食品成分を植物由来の乳と混合して混合物を形成することを含む、飲料の調製方法。
【請求項71】
当該植物由来の乳がオーツミルク及びアーモンドミルクからなる群から選択される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
更に当該混合物をホモジナイズすることを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
請求項1に記載の食品成分を含む食品結合剤。
【請求項74】
請求項73に記載の食品結合剤を含む肉類似物。
【請求項75】
約1重量%未満のメチルセルロース含有量を有する、請求項74に記載の肉類似物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2020年8月23日に出願された米国仮特許出願番号第63/069,087号;2021年5月3日に出願された米国仮特許出願番号第63/183,273号;及び2021年6月8日に出願された米国仮特許出願番号第63/208,017号からの優先権を獲得し、それらは、参照により、完全に本明細書において説明されているかのように組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、少なくともいくつかの実施態様において、高いタンパク質含有量を有する食品成分、より具体的には、少なくとも60重量%の粗製タンパク質濃度を有する細菌細胞を含む食品成分に関し、ここで、当該細胞の少なくとも50%は死細胞であり、当該細胞は約5重量%未満の核酸濃度を有する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
タンパク質は、全ての生体の構造及び機能に不可欠な分子である。タンパク源は、肉、カゼイン及び乳清(乳タンパク質)、ゼラチン、大豆、酵母及び穀物を含む。
【0004】
一般的には植物性タンパク質に基づく、乳製品及び肉製品の類似物は、当該技術分野において既知であり、乳糖不耐症に苦しむ者などの消費者、又は乳業及び食肉産業による動物の利己的利用並びに畜産の環境への影響に関する倫理的配慮のため、需要がだんだん高まりつつある。
【0005】
一般的には植物性タンパク質に基づく、乳成分を含まないチーズ類似物などの乳製品類似物は、当該技術分野において既知であり、乳糖不耐症に苦しむ者などの消費者、又は乳業による動物の利己的利用及び酪農の環境への影響に関する倫理的配慮のため、需要がだんだん高まりつつある。
【0006】
アーモンドミルクのような既知の乳類似物は、動物性乳と比較して低いタンパク質含有量を有するが、既知のチーズ類似物及び肉類似物は、一般に望ましくない風味及び/又は食感を有する。
【発明の概要】
【0007】
本発明のいくつかの実施態様の一面によると、少なくとも一つの細菌の細胞を含む食品成分が提供され、当該細胞は、当該細胞の総乾燥重量の少なくとも60重量%の粗製タンパク質濃度及び当該細胞の総乾燥重量の約5重量%未満の核酸濃度を含み、ここで、当該細胞の総数の少なくとも50%は死細胞である。
【0008】
発明の詳細な説明
本発明は、少なくともそのいくつかの実施態様において、高いタンパク質含有量を有する食品成分、より具体的には、該細胞の総乾燥重量の少なくとも60重量%の粗製タンパク質含有量を有する細菌細胞を含む食品成分に関し、ここで、当該細胞の少なくとも50%は死細胞であり、当該細胞は、該細胞の総乾燥重量の約5重量%未満の核酸濃度を有する。対象の消化器系の微生物バランスに影響を及ぼし得る生きている生菌細胞の使用とは対照的に、死細胞の使用により、細菌タンパク質を対象のマイクロバイオームに影響を及ぼすことなく対象に提供することができる。
【0009】
本明細書において示す詳細は、例としてであり、本発明のさまざまな実施態様の例示的な論議の目的のみのためであり、本発明の原理及び概念的な態様の最も有用で容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示する。この点について、本発明の詳細を、本発明の基本的な理解について必要であるより詳細に示す試みは、何らなされておらず、該説明は、当業者に、本発明のいくつかの態様を実際にいかに具現化し得るかを明らかにする。
【0010】
本発明を、次に、より詳細な実施態様を参照して説明する。本発明は、しかしながら、異なる態様で具現化し得、本明細書において説明する実施態様に限定されるとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施態様は、本開示が、徹底的で完全であり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。
【0011】
他に定義しない限り、本明細書において使用する全ての技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において本発明の説明中で使用する専門用語は、特定の実施態様を説明することのみのためであり、本発明を限定することを意図するものではない。
【0012】
本明細書において使用する用語「食品成分」は、食品又は飲料の添加物;食品又は飲料の材料;又は食品又は飲料に調製される濃縮組成物などの、食品又は飲料の摂取できる成分を指す。
【0013】
本明細書において使用する用語「乳製品類似物」は、通常の乳製品のものと類似した風味及び食感を有する乳成分を含まない又はヴィーガン製品を指す。いくつかの実施態様において、乳製品類似物はチーズの類似物、すなわち乳タンパク質カゼインの凝固によって形成されたチーズの類似物である。
【0014】
本明細書において使用する用語「改変されたデンプン」は、物理的に、酵素学的に、又は化学的に処理され天然のデンプンと比較して少なくとも一つの性質が変化した穀物又は植物から抽出したデンプンを指す。
【0015】
本明細書において使用する用語「天然のデンプン」は、物理的に、酵素学的に、又は化学的に処理されていない穀物又は植物から抽出したデンプンを指す。
【0016】
本明細書において使用する用語「脂肪」は、室温以上の融点を有するトリグリセリドを指すため、該トリグリセリドは室温で固体又は半固体であり、ここで、室温は20~25℃の範囲であると考えられる。
【0017】
本明細書において使用する用語「泡」は、気体セルが液体で囲まれた二相系を指す。
【0018】
本明細書において使用する用語「単細胞タンパク質」は、単細胞生物に起源をもつ粗製の又は精製されたタンパク質を指す。
【0019】
タンパク質に関して本明細書において使用する用語「細胞構造内」は、細胞から排出され得る又は細胞溶解に続いて細胞から遊離し得る細胞外タンパク質とは対照的に、任意の細胞間の場所に存在するタンパク質を指す。
【0020】
本明細書において使用する用語「無傷細胞」は、溶解していない細胞を指す。
【0021】
本明細書において使用する用語「植物性タンパク質」は、植物に存在する又は植物から単離されたタンパク質を指す。
【0022】
他に示していない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用する成分の量、反応条件等を表す全ての数字は、全ての場合において用語「約」によって修飾されているとして理解されるべきである。従って、それとは反対に示していない限り、後に続く明細書及び添付の特許請求の範囲において説明する数値パラメータは、本発明によって得ようとする所望の特性に依存して変化し得る近似値である。最低でも、及び特許請求の範囲の範囲への均等論の適用を限定しようとする試みとしてではなく、各数値パラメータは、有効数字及び通常の丸め手法に照らして解釈されるべきである。
【0023】
本発明の広い範囲を説明する数的範囲及びパラメータが近似値であるにもかかわらず、具体例において説明する数値は、できるだけ正確に報告している。しかしながら、どの数値も、それらのそれぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含有する。本明細書を通して与えられるあらゆる数的範囲は、あらゆるより狭い数的範囲が本明細書において全て明示的に記載されているかのように、そのようなより広い数的範囲内に入る、そのような狭い数的範囲を含むであろう。
【0024】
数値が、用語「約」によって先行されるとき、該用語「約」は、その値の±10%を示すことを意図している。
【0025】
本明細書において使用する用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する」、及びそれらの文法的な変形は、述べる特徴、整数、工程又は成分を指定するとして捉えられるべきであるが、一つ又は複数の追加の特徴、整数、工程、成分又はそれらの群の追加を排除しない。これらの用語は、用語「からなる」及び「実質的にからなる」を包含する。
【0026】
本発明の追加の利点は、一部は後に続く説明の中において説明され、及び、一部は該説明から明らかであろう、又は本発明の実施により学び得る。前述の一般的な説明及び後に続く詳細な説明の両方は、ただ代表的及び説明的であると理解されるべきであり、特許請求の範囲に記載される本発明を制限すると理解されるべきではない。
【0027】
本発明のいくつかの実施態様の一面によると、少なくとも一つの細菌の細胞を含む食品成分が提供され、当該細胞は、当該細胞の総乾燥重量の少なくとも60重量%の粗製タンパク質濃度及び当該細胞の総乾燥重量の約5重量%未満の濃度の核酸を含み、ここで、当該細胞の総数の少なくとも50%は、死細胞である。
【0028】
いくつかの実施態様によると、当該粗製タンパク質濃度は、当該細胞の当該総乾燥重量の少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%である。好ましい実施態様によると、当該粗製タンパク質濃度は、当該細胞の当該総乾燥重量の少なくとも80重量%である。
【0029】
いくつかの実施態様によると、当該食品成分中の細胞の総数の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はさらには100%が、死細胞である。
【0030】
いくつかの実施態様によると、当該核酸濃度は、当該細胞の総乾燥重量の5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、又はさらには0.1重量%未満である。
【0031】
いくつかの実施態様によると、核酸は、例えば、約70℃の温度に約20さらすなどの該細胞の熱処理によって除去される。いくつかの実施態様によると、該細胞は熱処理の後に一度、二度又は三度など、少なくとも一度洗浄される。
【0032】
いくつかの実施態様によると、タンパク質(酵素、構造タンパク質、トランスポーター、チャネルなどのような)の大半は細胞(プロテアーゼを含む)に存在するが、DNAase及びRNAaseを除いて熱処理の後に変性する。いくつかの実施態様によると、該細胞は、DNAase及び/又はRNAase以外の酵素の活性を実質的に欠いている。
【0033】
いくつかの実施態様によると、当該細胞は、約1ミリアンソン単位のプロテアーゼ活性を有し、ここで、1ミリアンソン単位とは、基質としてヘモグロビンを用い、pH7.5及び37℃で1分以内でトリクロロ酢酸(TCA)可溶性の、フォリンポジティブなアミノ酸が1マイクロモル遊離する酵素の量として定義される。
【0034】
いくつかの実施態様によると、当該少なくとも一つの細菌は、嫌気性菌である。
【0035】
いくつかの実施態様によると、当該少なくとも一つの細菌は、グラム陽性菌である。いくつかのそのような実施態様によると、当該グラム陽性菌は、クロストリジウム・チロブチリカムのようなクロストリジウム綱である。
【0036】
いくつかの実施態様によると、当該細胞の少なくとも50重量%は、無傷細胞である。
【0037】
いくつかの実施態様によると、当該細胞の少なくとも50重量%は、溶解細胞である。
【0038】
いくつかの実施態様によると、当該細胞は更に、当該細胞の総乾燥重量の約10重量%から約50重量%の濃度の必須アミノ酸を含む。いくつかのそのような実施態様によると、必須アミノ酸の濃度は、当該細胞の総乾燥重量の少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、又は最大約50重量%までである。
【0039】
いくつかの実施態様によると、当該細胞は更に、当該細胞の総乾燥重量の約10重量%から約25重量%の濃度の分岐鎖アミノ酸を含む。いくつかのそのような実施態様によると、分岐鎖アミノ酸の濃度は、当該細胞の総乾燥重量の約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、又は約25重量%である。
【0040】
いくつかの実施態様によると、当該細胞は、リジン、メチオニン、トレオニン、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン酸/アスパラギン、グルタミン酸/グルタミン、セリン、グリシン、アルギニン、アラニン、チロシン、バリン、フェニルアラニン、プロリン、システイン、トリプトファン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも一つのアミノ酸を含む。いくつかの実施態様によると、当該アミノ酸は必須アミノ酸である。
【0041】
いくつかの実施態様によると、該食品成分は、20重量%以下の含水量を有する。いくつかのそのような実施態様によると、含水量は、総食品成分の20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、又はさらには5重量%未満である。
【0042】
いくつかの実施態様によると、該食品成分は更に、カルシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、モリブデン、セレン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも一つのミネラルを含む。
【0043】
いくつかの実施態様によると、当該細胞は更に、当該細胞の乾燥重量100グラムあたり約1mcg、約2mcg、約3mcg、約4mcg、約mcg、約6mcg、約7mcg、約8mcg、約9mcg、約10mcg、約11mcg、約12mcg、約13mcg、約14mcg、約15mcg、約16mcg、約17mcg、約18mcg、約19mcg又は約20mcgなど、細胞の乾燥重量100グラムあたり約1から約20マイクログラム(mcg)の濃度のビタミンB12を含む。
【0044】
いくつかの実施態様によると、当該細胞は、当該細胞の総乾燥重量の約0.1から約10重量%の濃度のペプチドグリカンを含む。
【0045】
いくつかの実施態様によると、当該食品成分は、粉末状である。いくつかのそのような実施態様によると、当該粉末は、約10ミクロン、約20ミクロン、約30ミクロン、約40ミクロン、約50ミクロン、約100ミクロン、約150ミクロン、約200ミクロン、約250ミクロン、約300ミクロン、約350ミクロン、約400ミクロン、約450ミクロン、又は約500ミクロンなど、約10から約500ミクロンのサイズの粒子を含む。
【0046】
いくつかの実施態様によると、当該食品成分は、該食品成分の総重量の約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、又は約80重量%など、該食品成分の総重量の約20重量%から約80重量%の含水量を有する、部分的に乾燥した製品として提供される。
【0047】
いくつかの実施態様によると、当該細胞は、当該細胞の総乾燥重量の約1重量%未満、約0.5重量%未満、約0.1重量%未満など、当該細胞の総乾燥重量の約1重量%未満の濃度の脂肪を含む。
【0048】
いくつかの実施態様によると、当該細胞は、当該細胞の総重量の約0.01重量%、約0.005重量%、約0.01重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、約0.5重量%、又は約1重量%など、当該細胞の総重量の約0.001重量%から約1重量%の酪酸濃度を有する。いくつかのそのような実施態様によると、該食品成分は、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、又は7.4など、約6.7を超えるpHを有する。いくつかのそのような実施態様によると、該食品又は飲料は、約7.5未満のpHを有する。
【0049】
いくつかの実施態様によると、当該細菌は自然発生の細菌である。
【0050】
いくつかの実施態様によると、当該食品成分は、約0.1重量%未満のカゼインを含む。いくつかの実施態様によると、当該食品成分は、実質的にカゼインを欠いている。
【0051】
いくつかの実施態様によると、当該食品成分は、実質的に望ましくない風味を欠いている。望ましくない風味の存在は、例えば、風味決定をする一人以上の当業のプロの味利きによって決定され得る。
【0052】
いくつかの実施態様によると、該食品成分は、白色である。
【0053】
いくつかの実施態様の一面によると、本明細書に開示されている食品成分を含む食品添加物が提供される。いくつかのそのような実施態様によると、該食品添加物は、例えば、乳食品、乳成分を含まない食品(乳製品類似物を含む)、植物性食品、肉製品などの食品又は飲料への添加のために構成される。該添加物は、例えば、該食品又は飲料の総タンパク質含有量を増加させるために使用され得る。
【0054】
いくつかのそのような実施態様によると、該食品添加物は、粉末状で提供される。いくつかの実施態様によると、該食品添加物は、該食品添加物の総重量の約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、又は約1重量%未満など、該食品添加物の総重量の約10重量%未満の含水量を有する、部分的に乾燥した製品として提供される。
【0055】
いくつかの実施態様によると、該食品添加物は、該食品又は飲料の最終重量の約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約18重量%、又は約20重量%など、該食品又は飲料の最終重量の約1重量%から約20重量%の量で食品又は飲料に添加される。
【0056】
いくつかの実施態様の一面によると、本明細書に開示されている食品成分を含む食品材料が提供される。いくつかの実施態様によると、該食品材料は、最終の食品又は飲料製品を得るために添加される一つ以上の成分とすぐに混ぜられる形状で提供される。いくつかのそのような実施態様によると、該食品材料は、例えば、乳成分を含まない食品又は飲料(乳製品類似物を含む)などの食品又は飲料の調製のための他の成分との組み合わせのために構成される。いくつかのそのような実施態様によると、該食品材料は、粉末状で提供される。いくつかの実施態様によると、該食品材料は、該食品材料の総重量の約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、又は約1重量%未満など、該食品材料の総重量の約10重量%未満の含水量を有する、部分的に乾燥した製品として提供される。いくつかの実施態様によると、該食品材料は、乳、乳類似物又は水など、飲料の調製のための液体ベースとの組み合わせのために構成される。いくつかの実施態様によると、該食品材料は、オーツミルク、ナッツミルク(アーモンドミルクなど)、豆乳、ライスミルク、及びそれらの組み合わせなど、乳類似物との組み合わせのために構成される。
【0057】
いくつかの実施態様によると、該食品材料は、該食品又は飲料の最終重量の約1重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、又は約50重量%など、該食品又は飲料の最終重量の約1重量%から約50重量%の量で食品又は飲料に添加される。
【0058】
本発明のいくつかの実施態様の一面によると、本明細書に開示されている食品成分又は該食品添加物を含む食品結合剤が提供される。いくつかのそのような実施態様によると、該食品結合剤は、肉類似物、魚類似物又は乳製品類似物において結合剤として使用するためのものである。
【0059】
いくつかの実施態様によると、本明細書に開示されている食品結合剤を含む肉類似物が提供される。いくつかのそのような実施態様によると、該食品結合剤は、該肉類似物の総重量の約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、又は約10重量%など、約1重量%から約10重量%の濃度で肉類似物に存在する。
【0060】
本発明の食品成分の肉類似物に対する結合剤としての使用、特に、押し出し肉類似物に対する使用は、かかる適用のためのメチルセルロースなど、既知の結合剤の使用にとってかわるのが好ましいと考えられる。いくつかの実施態様によると、該肉類似物は、約1重量%、約0.9重量%、約0.8重量%、約0.7重量%、約0.6重量%、約0.5重量%、約0.4重量%、約0.3重量%、約0.2重量%、約0.1重量%、又は0.1重量%未満など、該肉類似物の総重量の約1重量%未満のメチルセルロース含有量を有する。
【0061】
いくつかの実施態様の一面によると、本明細書に開示されている食品成分を含む食品又は飲料が提供される。いくつかの実施態様によると、該食品成分は、すぐに飲める飲料又はタンパク質サプリメントを得るための水、乳又は乳成分を含まない乳類似物などの液体ベースに添加される。
【0062】
いくつかの実施態様によると、当該食品成分は、該食品又は飲料に存在する総タンパク質の少なくとも60重量%を提供する。いくつかのそのような実施態様によると、該食品成分は、該食品又は飲料に存在する総タンパク質の少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、又は少なくとも90重量%を提供する。
【0063】
いくつかの実施態様によると、該食品又は飲料は、乳製品類似物である。いくつかのそのような実施態様によると、該乳製品類似物は、ヴィーガン製品である。
【0064】
本発明のいくつかの実施態様の一面によると、高いタンパク質含有量を有する乳製品類似物が提供され、ここで、該乳製品類似物の総タンパク質含有量の少なくとも60重量%が単細胞タンパク質を含む。
【0065】
いくつかの実施態様によると、当該単細胞タンパク質は溶媒抽出単細胞タンパク質である。いくつかの実施態様によると、当該溶媒抽出単細胞タンパク質は、望ましくない風味を欠いている。いくつかの実施態様によると、当該抽出のために使用される該溶媒は、ヘキサン、エタノール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0066】
いくつかの実施態様によると、当該単細胞タンパク質は、製粉された単細胞タンパク質である。いくつかのそのような実施態様によると、当該単細胞タンパク質は、20ミクロン未満、15ミクロン未満、10ミクロン未満、又はさらには5ミクロン未満の平均粒子径まで製粉される。
【0067】
いくつかの実施態様によると、該乳製品類似物の総タンパク質含有量の少なくとも60重量%は、単細胞タンパク質を含む。
【0068】
いくつかの実施態様によると、当該総タンパク質含有量は、3重量%、4重量%、5重量%、10重量%、15重量%、又は20重量%など、該乳製品類似物の総重量の3重量%と20重量%の間である。
【0069】
いくつかの実施態様によると、該乳製品類似物の総タンパク質含有量の少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又はさらには100重量%が、単細胞タンパク質を含む。
【0070】
いくつかの実施態様によると、該乳製品類似物はカゼインを欠いている。
【0071】
いくつかの実施態様によると、当該総タンパク質含有量は、該乳製品類似物の3%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、又は20重量%など、該乳製品類似物の3%と20重量%の間である。
【0072】
いくつかの実施態様によると、当該単細胞タンパク質を産生する単細胞生物の細胞構造内に、当該単細胞タンパク質の50重量%、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又はさらには100重量%など、少なくとも50重量%が提供される。
【0073】
該乳製品類似物がチーズ製品の乳成分を含まない類似物である、いくつかの実施態様によると、該乳製品類似物は更に、改変されたデンプン及び脂肪を含む。
【0074】
現在知られている乳成分を含まないチーズ類似物は、一般的には、乳由来のチーズより風味及び食感並びにすりおろしやすさ、とけやすさなど、調理目的の点で大きく劣ると考えられる。これは主に、植物性タンパク質が強固な架橋を生み出し、その結果豆腐に似た食感になるという事実のためである。
【0075】
とかすのに好適な物性を有する製品を提供するためにデンプンを改変することは知られている。しかしながら、植物性タンパク質と組み合わせる場合、得られた製品は、その形状を保持することができないと見出され、それゆえ、とかす前に柔らかすぎる。
【0076】
本発明者らは、驚いたことに、単細胞タンパク質が乳成分を含まないチーズ類似物における主なタンパク源として改変されたデンプンと共に使用される場合、改変されたデンプンの望ましい特性は保持されると見出した。
【0077】
いかなる一つの理論に縛られることも望むものではないが、本発明者らは、該単細胞タンパク質が改変されたデンプンの望ましい特性に寄与しないのではなく、むしろ植物性タンパク質とは対照的に、該デンプンの特性を妨げないのだと仮定した。
【0078】
いくつかの実施態様によると、当該タンパク質は、当該単細胞タンパク質を産生する単細胞生物の無傷細胞内に提供される。
【0079】
いくつかの実施態様によると、当該生物は、クロストリジウム綱細菌である。
【0080】
いくつかの実施態様によると、当該生物は、70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又はさらには100重量%の粗製タンパク質など、少なくとも70重量%のタンパク質を含む。
【0081】
いくつかの実施態様によると、当該改変されたデンプンは、ジャガイモデンプン、コーンスターチ、米デンプン、小麦デンプン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかのそのような実施態様によると、当該改変されたデンプンは、ジャガイモデンプンを含む。
【0082】
いくつかの実施態様によると、当該改変されたデンプンは、総製品の約15重量%の濃度で該乳製品類似物に存在する。
【0083】
いくつかの実施態様によると、当該脂肪はココナッツ油、パーム油、キャノーラ油、ヒマワリ油、ココアバター、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施態様によると、該乳製品類似物は更に、植物性タンパク質を含む。いくつかの実施態様によると、当該植物性タンパク質は、マメを含むマメ科植物(大豆など)、レンズマメ、ヒヨコマメ及びエンドウマメからなる群から選択される植物から得られるタンパク質を含む。いくつかの実施態様によると、当該植物性タンパク質は、小麦タンパク質を含む。
【0084】
いくつかの実施態様によると、大さじ一杯(15g)の当該食品成分は、少なくとも約10g(約10g、約11g、約12g、約13g、約14g、又はさらには約15gなど)の完全タンパク質;ビタミンB12の推奨一日摂取量(DV)の約100%;女性に対する鉄のDVの少なくとも10%(少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、又は少なくとも15%など)又は男性に対するDVの少なくとも30%(少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、又は少なくとも35%など);ビタミンB2のDVの少なくとも5%(約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、又は約10%など);及び酪酸(butyrate)のDVの約100%を提供する。好ましい実施態様において、大さじ一杯(15g)の当該食品成分は、約12gの完全タンパク質、ビタミンB12のDVの約100%、女性に対する鉄のDVの約15%又は男性に対する鉄のDVの約35%、ビタミンB2のDVの約10%及び酪酸(butyrate)のDVの約100を提供する。
【0085】
いくつかの実施態様によると、当該乳製品類似物は、チーズ(ハードチーズ、ソフトチーズ、セミソフトチーズ及びスプレッドチーズを含む)、乳飲料、ヨーグルト、クリーム(サワークリーム又は甘いクリームを含む)、ホイップクリーム、アイスクリーム、デザート及びバターからなる群から選択される乳製品のヴィーガン類似物である。
【0086】
いくつかの実施態様によると、チーズの当該類似物は、ブロック形状又は細断された形状で提供される。いくつかの実施態様によると、チーズの当該類似物は、スライス状、楔形、キューブ状、三角形状及び他の好適な形状で提供される。
【0087】
ハードチーズの例としては、チェダーチーズ、ゴーダチーズ、パルメザンチーズ、グリュイエールチーズ、エメンタールチーズ、プロボローネチーズ、カチョカヴァロチーズ、オアハカチーズ、スカモルツァチーズ、ラグサーノチーズ、カシュカバルチーズなどが挙げられるが、これらに限定されない。ソフトチーズの例としては、ブリーチーズ、カマンベールチーズ、クリームチーズ、カッテージチーズなどが挙げられるが、これらに限定されない。セミソフトチーズの例としては、モッツァレラチーズが挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施態様によると、乳飲料の当該類似物は、乳、ミルクシェイク及びプロテインシェイクからなる群から選択される飲料の類似物である。
【0088】
いくつかの実施態様によると、乳飲料の当該類似物は、オーツミルク、ナッツミルク(アーモンドミルクなど)、豆乳、ライスミルク、ココナッツミルク、及びそれらの組み合わせなどの乳類似物からなる群から選択される乳類似物を含む。
【0089】
いくつかの実施態様によると、乳飲料の当該類似物は、該飲料の総重量の約2重量%、約4重量%、約6重量%、約8重量%、約10重量%、約12重量%、約14重量%、約16重量%、約18重量%又は約20重量%など、該飲料の総重量の約2重量%から約20重量%のタンパク質濃度を有する。
【0090】
いくつかの実施態様によると、乳飲料の当該類似物は更に、例えば、果実エキス、バニラ、蜂蜜、砂糖又はそれらの組み合わせを含む、天然の又は人工の香味料を含む。
【0091】
いくつかの実施態様によると、乳飲料の当該類似物は更に、コーヒー、ココア、チョコレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも一つを含む。
【0092】
いくつかの実施態様によると、乳飲料の当該類似物は更に、果実を含む。いくつかのそのような実施態様によると、当該果実は果実エキス、果実ジュース濃縮物、果実の固体片などの形で存在する。
【0093】
いくつかの実施態様によると、該食品又は飲料は更に、該食品又は飲料の総重量の約0.5重量%、約1重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、又は約30重量%など、該食品又は飲料の総重量の約0.5重量%から約30重量%の脂肪を含む。いくつかの実施態様によると、当該脂肪は、ココナッツ油、パーム油、キャノーラ油、ヒマワリ油、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0094】
いくつかの実施態様によると、該食品又は飲料は更に、該食品又は飲料の総重量の約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、又は約20重量%など、該食品又は飲料の総重量の約5から約20重量%の炭水化物を含む。いくつかのそのような実施態様によると、当該炭水化物は、改変されたデンプンを含む。いくつかのそのような実施態様によると、当該炭水化物は天然のデンプンを含む。いくつかの実施態様によると、当該デンプン(改変された又は天然の)は、ジャガイモデンプン、コーンスターチ、米デンプン、小麦デンプン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましい実施態様によると、当該デンプンは、ジャガイモデンプンである。
【0095】
いくつかの実施態様によると、該食品又は飲料は更に、少なくとも一つのアミノ酸を含む。いくつかのそのような実施態様によると、当該少なくとも一つのアミノ酸は、リジン、メチオニン、トレオニン、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン酸/アスパラギン、グルタミン酸/グルタミン、セリン、グリシン、アルギニン、アラニン、チロシン、バリン、フェニルアラニン、プロリン、システイン、トリプトファン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施態様によると、当該アミノ酸は、必須アミノ酸である。
【0096】
いくつかの実施態様によると、当該食品又は飲料は、水中油滴型エマルジョンを含み、ここで、当該タンパク質は、油滴の境界面で当該エマルジョンを安定化する。
【0097】
いくつかの実施態様によると、当該食品又は飲料は、ホモジナイズされた製品である。
【0098】
いくつかの実施態様によると、当該食品又は飲料は更に、食用油を含む。いくつかの実施態様によると、当該食用油は、パーム油、キャノーラ油、コーン油、アマニ油、大豆油、ベニバナ油、ヒマワリ油、アボカド油、カラシ油、ピーナッツ油、ゴマ油、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。該食品がハードチーズであるいくつかの実施態様によると、該食用油は外気温で固体である。該食品がソフトチーズ又はセミソフトチーズであるいくつかの実施態様によると、該食用油は外気温で適度なやわらかさである。
【0099】
いくつかの実施態様によると、該食品又は飲料は、泡を含む。
【0100】
いくつかの実施態様によると、該食品又は飲料は、当該細菌の分散粒子を含む。
【0101】
いくつかの実施態様によると、該食品又は飲料は更に、少なくとも0.05重量%の酪酸(butyrate)及び/又はブチリンを含む。いくつかのそのような実施態様によると、該食品又は飲料は、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3又は7.4など、約6.7を超えるpHを有する。いくつかのそのような実施態様によると、該食品又は飲料は、約7.5未満のpHを有する。
【0102】
いくつかの実施態様によると、本明細書に開示されている食品成分は、該食品又は飲料中の総タンパク質の約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、約95重量%、又はさらには約100重量%など、該食品又は飲料の総タンパク質含有量の少なくとも50重量%を提供する。
【0103】
いくつかの実施態様によると、該食品又は飲料は更に、一つの植物の苗の少なくとも一部を発酵させることで得られる植物性タンパク質などの植物タンパク質を、該食品又は飲料の総タンパク質含有量の重量の約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約70重量%、約75重量%、又は約80重量%など、総タンパク質含量の約20重量%から約80重量%の濃度で含む。いくつかのそのような実施態様によると、当該植物タンパク質は、燕麦;小麦;ナッツ(アーモンドなど);マメ(大豆など)を含むマメ科植物、レンズマメ、ヒヨコマメ及びエンドウマメ;米、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される植物から得られる。
【0104】
いくつかの実施態様によると、該食品は、牛肉、鶏肉、七面鳥、又は豚肉の類似物などの肉類似物又は魚類似物である。いくつかの実施態様によると、該肉類似物又は魚類似物は、押し出し肉類似物又は押し出し魚類似物である。いくつかの実施態様によると、該肉類似物又は魚類似物は、ステーキの形で提供され得る。いくつかの実施態様によると、該肉類似物又は魚類似物は、ミートボール又はフィッシュボール、フィッシュスティック、ソーセージ、ステーキ、ハンバーガーなどの類似物など、すぐに調理できる又はすぐに加熱できる(すなわち、前もって調理済みの)形で提供され得る。いくつかの実施態様によると、該肉類似物又は魚類似物は、パン粉の衣、グルテンを含まないパン粉の衣などを更に含むシュニッツェル又はナゲットの形で提供され得る。
【0105】
いくつかの実施態様によると、該肉類似物又は魚類似物は、該食品の総重量の約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、又は約40重量%など、該食品の総重量の約5重量%から約40重量%のタンパク質濃度を有する。
【0106】
いくつかの実施態様によると、該肉類似物又は魚類似物は、該食品の総重量の約5重量%、約10重量%、約15重量%、又は約20重量%など、該食品の総重量の約5重量%から約20重量%の濃度の脂肪を含む。いくつかの実施態様によると、総脂肪の約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、約95重量%、又はさらには約100重量%など、総脂肪の少なくとも50重量%は、飽和脂肪を含む。いくつかのそのような実施態様によると、当該脂肪は、ココナッツ油、パーム油、キャノーラ油、ヒマワリ油、ココアバター、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0107】
いくつかの実施態様によると、該肉類似物又は魚類似物は、約0.5重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、約4.5重量%、又は約5重量%など、該食品の総重量の約0.5重量%から約5重量%の炭水化物の濃度の炭水化物を含む。
【0108】
いくつかの実施態様によると、当該肉類似物又は魚類似物は、少なくとも一つのアミノ酸を含む。いくつかの実施態様によると、当該少なくとも一つのアミノ酸は、リジン、メチオニン、トレオニン、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン酸/アスパラギン、グルタミン酸/グルタミン、セリン、グリシン、アルギニン、アラニン、チロシン、バリン、フェニルアラニン、プロリン、システイン、トリプトファン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施態様によると、当該アミノ酸は、必須アミノ酸である。
【0109】
いくつかの実施態様によると、当該肉類似物又は魚類似物は更に、食用油を含む。
【0110】
いくつかの実施態様によると、当該肉類似物又は魚類似物は更に、該食品の総重量の少なくとも0.05重量%の酪酸(butyrate)及び/又はブチリンを含む。いくつかのそのような実施態様によると、該肉類似物又は魚類似物は、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3又は7.4など、約6.7を超えるpHを有する。いくつかのそのような実施態様によると、該食品又は飲料は、約7.5未満のpHを有する。
【0111】
いくつかの実施態様によると、該肉類似物又は魚類似物は更に、該食品又は飲料の総タンパク質含有量の重量の約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約70重量%、約75重量%、又は約80重量%など、総タンパク質含有量の約20重量%から約80重量%の濃度の植物タンパク質を含む。いくつかのそのような実施態様によると、当該植物タンパク質は、燕麦タンパク質、ナッツタンパク質、大豆タンパク質、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0112】
いくつかの実施態様によると、該食品は、本発明の食品成分を含むケーキ、カップケーキ、マフィン、ビスケット、パン、ロールパン、ピタパンなどの焼いた品目である。
【0113】
いくつかの実施態様によると、該食品は、本発明の食品成分を含むあめ、タフィー、チョコレートなどの菓子品目である。
【0114】
いくつかの実施態様によると、該食品は、本発明の食品成分を含むエネルギーバーである。
【0115】
いくつかの実施態様によると、本明細書に開示されている食品成分及び植物由来の乳を含む乳飲料の類似物が提供される。いくつかの実施態様によると、該植物由来の乳は、オーツミルクである。いくつかの実施態様によると、該植物由来の乳は、アーモンドミルクである。
【0116】
本発明のいくつかの実施態様の一面によると、本明細書に開示されている食品成分の製造方法が提供され、該方法は、細菌の細胞を発酵培地中で培養してバイオマスを含む発酵培地を得ること;当該バイオマスを含有する当該発酵培地から当該バイオマスを分離して分離した当該バイオマスを得ること;及び当該分離したバイオマスの細胞の少なくとも50%を死滅させること、を含む。
【0117】
いくつかの実施態様によると、当該分離は精密濾過を含む。
【0118】
いくつかの実施態様によると、当該死滅は、当該分離したバイオマスを低温殺菌することを含む。
【0119】
いくつかの実施態様によると、該方法は更に、当該細胞を溶解することを含む。いくつかの実施態様によると、溶解は、噴霧乾燥及びフレンチプレス細胞溶解の少なくとも一つを含む。
【0120】
いくつかの実施態様によると、該方法は更に、当該分離したバイオマスを少なくとも135℃の温度まで少なくとも2~3秒間加熱すること(UHT Past)を含む。
【0121】
いくつかの実施態様によると、該方法は更に、当該分離したバイオマスを乾燥させて5重量%以下の含水量を有する乾燥バイオマスを提供することを含む。いくつかのそのような実施態様によると、乾燥は、噴霧乾燥、デュアルドラム乾燥及び凍結乾燥からなる群から選択される方法によって実行される。
【0122】
いくつかの実施態様によると、該方法は更に、当該乾燥バイオマスを約1ミクロン、約5ミクロン、約10ミクロン、約15ミクロン、約20ミクロン、約25ミクロン、約50ミクロン、約75ミクロン、約100ミクロン、約125ミクロン、又は約150ミクロンなど、約1ミクロンから約150ミクロンの粒子サイズまで微粉砕などの製粉することを含む。
【0123】
いくつかの実施態様によると、該方法は更に、当該分離したバイオマスを水で洗浄して洗浄された細胞を含む溶液を得ること、及び当該洗浄された細胞を乾燥させて洗浄されたバイオマスを得ることを含む。
【0124】
いくつかの実施態様によると、該方法は更に、当該食品材料を植物由来の乳と混合して混合物を形成すること、及び任意に当該混合物をホモジナイズすることを含む。
【実施例
【0125】
実施例1:発酵による本発明の食品成分の調製
【0126】
種子発酵は、それぞれがマスターセルバンクからの単一クロストリジウムクライオチューブを接種した成長培地を10mL含有する6本のチューブの中で行う。
【0127】
該発酵は、10mLチューブの該内容物を、それぞれが800mLの成長培地を含有する3ボトルへの接種に使用したあと16時間継続する。
【0128】
該発酵は、3ボトルの該内容物を50L発酵槽への接種に使用したあと8時間継続する。
【0129】
8時間の発酵後、50L発酵槽の該内容物は、1000L容器内での最終種子発酵の接種に使用する。
【0130】
8時間の発酵後、1000L発酵槽の該内容物は、メイン発酵槽である18000L容器の接種に使用する。該発酵は、発酵槽内の全ての糖が枯渇するまで継続する。
【0131】
pH及び温度は、発酵の効率を保証するため継続的にモニターする。該発酵は嫌気性であり、酸素は工程から排除する。糖の消費は、該発酵工程の間モニターする。
【0132】
容認できる範囲が20から40℃の間である該発酵工程の期間の該温度は、30~36℃の設定である。該発酵工程のpHは、5.8の設定であり、5.4から6.5の範囲が容認できると考えられる。pHは、塩酸又は水酸化アンモニウムの添加によって調整する。
【0133】
細胞濃度は、紫外可視分光光度法を使用して光学密度をモニターすることによって測定する。最小の値は、30AUである。また、該発酵工程中の該培地の組成もモニターする。
【0134】
該発酵の終わりに、該発酵培地から細胞集団が分離し、精密濾過によって総固体の15%に濃縮する。該細胞集団は、20分間、70℃まで加熱してプロテアーゼ活性を不活性化し、DNA及びRNAのヌクレオチドへの分解を促進する。次いで、該細胞及び該ヌクレオチドは、水の向流を使用して洗浄し、精密濾過を2段階にわたって行う。次いで、精密濾過で洗浄から該細胞集団を再度分離し、ドラムドライヤー又は噴霧乾燥機で乾燥する。更に粒子サイズを縮小するために、粉末を製粉又は微粉砕する。
【0135】
実施例2:本発明による食品成分の組成
【0136】
大さじ一杯(15g)の本明細書に開示されている食品成分は、以下:
12gの完全タンパク質
ビタミンB12の一日摂取量(DV)の100%
女性に対する鉄のDVの15%/男性に対するDVの35%
ビタミンB2のDVの10%
酪酸(butyrate)のDVの100%
を提供する。
【0137】
実施例3:ハードチーズ類似物の調製
【0138】
本明細書に開示されている食品成分は、ステファン・クッカー(ドイツ、Stephan Machinery社から入手可能なプロセスチーズの工業用調理器)の中など、外気温及び圧力で約5~10分間、目に見える塊がなくなるまで水と混合する。
【0139】
ココナッツ油は、水浴中のビーカー内でゆっくりとけ、次いでガム(レシチンなど)及び着色料と混合する。所望の、デンプン及びいずれかの追加粉末をビーカーに添加する。
【0140】
ビーカーの該内容物は、酸及び香味料を除く任意のその他の所望の成分と共にステファン・クッカーに添加し、約2分間外気温及び圧力で混合する。
【0141】
グリコールバスは、ステファン・クッカーのジャケットに接続し、クッカーの該内容物は、華氏約185度まで加熱する。該ステファン・クッカーは、スピード9に設定し、側面はこすり落とす。該温度は、時々モニターする。一度該温度が華氏約194度まで到達すると、酸及び香味料を添加する。混合は、約1分のさらなる加熱をせずに行う。
【0142】
結果得られた混合物は、好適な容器に注ぎ、表面をプラスチックラップで覆って乾燥を防ぎ、該容器は冷蔵環境に置いて冷却する。
【0143】
実施例4:ソフトチーズ類似物の調製
【0144】
本明細書に開示されている食品成分は、ステファン・クッカーの中など、外気温及び圧力で約5~10分間、目に見える塊がなくなるまで水と混合する。
【0145】
ココナッツ油は、水浴中のビーカー内でゆっくりとけ、次いでガム及び着色料と混合する。所望の、デンプン及びいずれかの追加粉末をビーカーに添加する。
【0146】
ビーカーの該内容物は、酸及び香味料を除く任意のその他の所望の成分と共にステファン・クッカーに添加し、約2分間外気温及び圧力で混合する。
【0147】
グリコールバスは、ステファン・クッカーのジャケットに接続し、クッカーの該内容物は、華氏約185度まで加熱し、次いで所望の酸及び液体香味料を添加する。該ステファン・クッカーは、スピード9に設定し、側面はこすり落とす。該温度は、時々モニターする。一度該温度が華氏約194度まで到達すると、該混合物は冷却し、該冷却された混合物は、パドルミキサーでたたいてふわふわした均一性を提供する。
【0148】
実施例5:本発明による代表的なチーズ類似物の栄養価
【0149】
(a)ソフトチーズ類似物
一人前のサイズ:28g
一人前あたりの量:
カロリー: 70
%一日量
総脂肪 6g 8%
飽和脂肪 6g 30%
トランス脂肪 0g
コレステロール 0mg
ナトリウム 140mg 6%
総炭水化物 4g 1%
食物繊維 0g
総糖 0g
タンパク質 1g
ビタミンD 0g
カルシウム 144mg 10%
鉄 0g
【0150】
(b)ハードチーズ(チェダーチーズ)類似物
一人前のサイズ:28g
一人前あたりの量:
カロリー: 70
%一日量
総脂肪 6g 8%
飽和脂肪 6g 30%
トランス脂肪 0g
コレステロール 0mg
ナトリウム 140mg 6%
総炭水化物 4g 1%
食物繊維 0g
総糖 0g
タンパク質 1g
ビタミンD 0g
カルシウム 144mg 10%
鉄 0g
カリウム 4mg
【0151】
(c)スランピングチーズ類似物
一人前のサイズ:28g
一人前あたりの量:
カロリー: 60
%一日量
総脂肪 5g 6%
飽和脂肪 4.5g 23%
トランス脂肪 0g
コレステロール 0mg
ナトリウム 150mg 7%
総炭水化物 3g 1%
食物繊維 0g
総糖 0g
タンパク質 1g
ビタミンD 0g
カルシウム 147mg 10%
鉄 0g
カリウム 2mg
【0152】
実施例6:本発明による代表的な乳飲料類似物
a.オーツミルク飲料
【0153】
100gあたり85%のタンパク質濃度及び15mcgのビタミンB12濃度を有する本明細書に開示されている食品成分を、粉末状で提供した。また、240mLの一人前あたり2.4grのタンパク質及び0.91mcgのビタミンB12(DVの36%)を有するオーツミルク(Oatly(登録商標)乳類似物、Oatly、スウェーデン)も提供した。該粉末の10.8grを、オーツミルクと混合して一人前あたり11.6grのタンパク質及び2.53mcgのビタミンB12(100DVより多い)を含有する、栄養豊富な製品を形成した。
【0154】
該飲料は、ホモジナイズされて約50ミクロンの粒子サイズを提供した。
【0155】
b.アーモンドミルク飲料
【0156】
100gあたり85%のタンパク質濃度及び15mcgのビタミンB12濃度を有する本明細書に開示されている食品成分を、粉末状で提供した。また、240mLの一人前あたり1grのタンパク質を有しビタミンB12を有さないCalifia(登録商標)アーモンドミルクも提供した。該粉末の16grを、アーモンドミルクと混合して一人前あたり14.7grのタンパク質及び2.4mcgのビタミンB12(100DV)を含有する、栄養豊富な製品を形成した。
【0157】
実施例7:本発明による代表的な乳飲料類似物の味分析
【0158】
実施例6の該オーツミルク飲料及び該アーモンドミルク飲料は、専門の味利きによって、本発明の食品成分を含まないオーツミルク飲料及びアーモンドミルク飲料とそれぞれ比較して分析した。
【0159】
報告された結論は、以下の通りである:
【0160】
a.オーツミルク
【0161】
i.オーツミルクのみ
【0162】
まろやかな風味、少量の乳のノート及び麦のアフターノート。口内では少し薄い。
【0163】
ii.本発明による食品成分を含むオーツミルク
【0164】
乳製品/クリーム又は少量のチーズ(チェダーチーズ)と解釈され得る、より強い香り;風味は、甘い/クリームのノート及び少量のモカをもつ、より強い乳製品のノートをもつ全脂肪乳のものである。少し粉っぽさがあるリーチャーボディ。激しく振ったあとの、口内での本当に素晴らしい、クリーミーなコーティング。
【0165】
b.アーモンドミルク
【0166】
i.アーモンドミルクのみ
【0167】
アーモンドエキスのノートがほとんどない香り;風味は、生のヘーゼルナッツ及びいくつかのグリーンアーモンドにより近く、少し甘くて水っぽい口当たりである。
【0168】
ii.本発明による食品成分を含むアーモンドミルク
【0169】
香ばしい/うまみの強い香りとコーヒー;風味は、甘くまろやかなアーモンド/ヘーゼルナッツのノート及び増加するクリーム乳製品のノートであり、より自然な乳製品風味を提供する。口当たりは、ほとんどヘビークリームのようであるー口内のより重い/より厚い、長引くコーティング。味のあとにうまみが長引く。
【国際調査報告】