(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(54)【発明の名称】X線回折分析装置用X線検出器
(51)【国際特許分類】
G01N 23/207 20180101AFI20230831BHJP
G01T 7/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
G01N23/207
G01T7/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513148
(86)(22)【出願日】2021-08-24
(85)【翻訳文提出日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 EP2021073425
(87)【国際公開番号】W WO2022043340
(87)【国際公開日】2022-03-03
(32)【優先日】2020-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503310327
【氏名又は名称】マルバーン パナリティカル ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デ フリース,ルーロフ
(72)【発明者】
【氏名】ウイヤール,サンデル
【テーマコード(参考)】
2G001
2G188
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA23
2G001CA01
2G001DA01
2G001DA08
2G001DA09
2G001DA10
2G001FA03
2G001GA13
2G001GA16
2G001HA05
2G001HA06
2G001HA16
2G001JA13
2G001JA14
2G001QA01
2G001SA07
2G001SA14
2G188BB02
2G188CC29
2G188CC32
2G188DD04
2G188DD05
2G188DD13
2G188DD30
2G188EE12
(57)【要約】
X線回折分析装置用のX線検出器であって、センサと、読出し回路と、プロセッサと、表示デバイスに表示信号を通信する表示出力部とを備えるX線検出器である。センサは、センサに入射するX線光子をセンサ出力信号に変換することにより、X線光子を検出する。読出し回路は、センサからセンサ出力信号を受信し、センサ出力信号をカウントすることによりX線光子のカウント数を決定する。プロセッサは、X線光子のカウント数を用いてX線強度値を計算し、且つ、X線強度値を表す画像を表示するための表示信号を生成するように構成されている。表示出力部は、X線強度値を表示するための表示デバイスに、表示信号を通信するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線回折分析装置用のX線検出器であって、
センサであって、該センサに入射するX線光子をセンサ出力信号に変換するセンサと、
前記センサ出力信号をカウントすることによりX線光子のカウント数を決定するように構成されている読出し回路と、
前記X線光子のカウント数を用いてX線強度値を決定するように、且つ、前記X線強度値を表す画像を表示するための表示信号を生成するように構成されているプロセッサと
を備え
該X線検出器は表示出力部をさらに備え、
前記表示出力部は、前記X線強度値を表す前記画像を表示するための表示デバイスに、前記表示信号を通信するように構成されている、
X線検出器。
【請求項2】
請求項1に記載のX線検出器であって、
前記X線検出器は、
環境パラメータを測定するように構成されている環境センサと、
不揮発性メモリと
をさらに備え、
前記X線検出器は、前記環境センサによって得られる複数の測定値を環境データとして保存するように構成されており、
前記プロセッサは、前記環境データを表示するための表示信号を生成するように構成されている、
X線検出器。
【請求項3】
請求項2に記載のX線検出器であって、
前記環境センサは、前記X線検出器の温度を測定するための温度センサを有する、
X線検出器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のX線検出器であって、
前記X線検出器は、前記X線強度値を表す前記画像を表示するように構成されている表示デバイスをさらに備え、
好ましくは、前記画像はグラフィック画像である、
X線検出器。
【請求項5】
請求項4に記載のX線検出器であって、
前記表示デバイスは、タッチスクリーン、又は、液晶表示デバイス、又は、その両方である、
X線検出器。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のX線検出器であって、
前記X線検出器は、ハウジングを備え、
前記ハウジングは、前記センサと、前記読出し回路と、前記プロセッサとを収容し、
前記表示デバイスは、前記ハウジングに取付けられている
X線検出器。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のX線検出器であって、
前記センサは、複数の検出セルの配列を有し、且つ、
前記センサは、位置を感知する態様でX線光子を検出するように構成されている、
X線検出器。
【請求項8】
請求項7に記載のX線検出器であって、
前記プロセッサは、
複数のX線強度値を決定するように、且つ、
前記複数のX線強度値の相対的な大きさを表す画像を出力するように
構成されており、
前記複数のX線強度値はそれぞれ、各検出セルが対応する
X線検出器。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のX線検出器であって、
前記センサは、複数の検出セルを有するマイクロストリップ検出器であり、
前記複数の検出セルはそれぞれ、対応するストリップ電極を有する、
X線検出器。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のX線検出器であって、
前記X線検出器は、固体検出器である、
X線検出器。
【請求項11】
X線分析装置であって、
筺体と、
請求項1~10のいずれか1項に記載のX線検出器と、
X線源と前記X線検出器とを支持するためのゴニオメータと
を備え、
前記ゴニオメータと前記X線検出器は、前記筺体の内部に配置されている、
X線分析装置。
【請求項12】
請求項11に記載のX線分析装置であって、
前記ゴニオメータに装着されているX線源と、
前記X線源に対する前記X線検出器の位置を変更するための位置合わせ調整機構と
をさらに備える
X線分析装置。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のX線分析装置であって、
前記筺体は、X線保護用覗き窓をさらに有する、
X線分析装置。
【請求項14】
請求項11~13のいずれか1項に記載のX線分析装置を使用する方法であって、
前記X線検出器を照射するためのX線を生成するステップと、
前記X線源からのX線を前記X線検出器にて受光するステップと、
X線強度値を表す画像を表示するステップと
を含む方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記X線源又は前記X線検出器の位置を、前記表示された画像に基づいて変更するステップ
をさらに含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料を分析するためのX線回折分析装置用X線検出器、X線回折分析装置、及び、X線回折分析装置を使用する方法に関する。特に、本発明は、X線回折情報を表示するためのX線検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
X線回折分析装置には筺体を備えるものがあり、この筺体には、X線源と、試料台と、ゴニオメータと、X線検出器とが収容されている。筺体は、動作中に使用者をX線から保護するように設計されており、この保護は、試料又はX線回折分析装置により散乱されるX線が筺体から放出されないようにすることで実現させている。通常、X線回折分析装置の製造時に、X線分析装置の様々な構成要素が当業者により筺体内に組付けられる。これにより、確実に、X線分析装置の構成要素同士が適切に位置合わせされる。X線検出器とX線源との適切な位置合わせを確実にすることが特に重要である。
【0003】
X線分析装置は、コリメータ又はフィルタ等の他の構成要素を備えてもよい。これらの構成要素は、X線ビームの内外へ構成要素を移動させるためのアクチュエータに装着されてもよい。
【0004】
X線回折分析装置の構成要素は有線接続により集中システムコントローラに接続される。システムコントローラは、構成要素を制御し、X線検出器により出力される信号を処理する。システムコントローラ(一次)は、X線検出器(二次)を含む各構成要素のそれぞれを、一方向に制御する。システムコントローラは、X線検出器からの信号を処理して測定データを獲得し、この測定データを保存する。また、システムコントローラは、測定データを外部コンピュータ(例えばPC)に通信する。つまり、システムコントローラは、測定データを、筺体の外部にあるコンピュータに通信する。使用者は、コンピュータ上にインストールされたX線分析ソフトウェア頼りで、測定データを表示させ且つ必要に応じてこの測定データを解釈する。X線分析ソフトウェアは、測定データを(例えば結晶相に対応するピークの組を特定することにより)分析し、分析結果を使用者に対して表示することができる。
【0005】
システムが正しく作動していない場合、システムの異常の理由を迅速かつ確実に特定できることが望ましいであろう。エラーの潜在的な原因としては、X線分析装置の構成要素(例えばX線源、X線検出器、又はシステムコントローラ)のうちの1つ又は複数に異常があることや、構成要素のいずれかとシステムコントローラとの間の接続に欠陥があることや、システムコントローラと外部コンピュータとの間の接続に欠陥があることが挙げられる。
【0006】
簡便に位置合わせ可能なX線分析装置を提供することも望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の或る態様によれば、X線回折分析装置用X線検出器を提供する。このX線検出器は、センサに入射するX線光子をセンサ出力信号に変換するセンサと、センサ出力信号をカウントすることによりX線光子のカウント数を決定するように構成されている読出し回路と、X線光子のカウント数を用いてX線強度値を決定するように、且つ、X線強度値を表す画像を表示するための表示信号を生成するように構成されているプロセッサとを備える。X線検出器は表示出力部をさらに備え、この表示出力部は、X線強度値を表す画像を表示するための表示デバイスに、表示信号を通信するように構成されている。
【0008】
X線強度値はX線検出器により決定され、表示信号はX線検出器にて生成され、この表示信号はX線検出器から表示デバイスに直接出力することができる。X線検出器は表示デバイスを備えてもよい。または、これの代わりに、X線検出器は表示デバイスを備えなくてもよい。これにより、X線検出器が正しく機能しているかどうかを(X線検出器により出力される測定データが、別体のシステムコントローラを経由することなく)、使用者が直接判定することが可能とある。また、これに加えて、測定値のフィードバックを非常に迅速に得ることが可能である。これは、操作者が、X線検出器と、X線源等の他のX線分析装置の構成要素とを位置合わせしやすくするのに役立つことができる。光子がセンサに入射すると、センサは電流を発生し、これによりパルス(即ちセンサ出力信号)が生じる。読出し回路は、パルスをカウントするためのデジタルカウンタを有してもよい。プロセッサは、読出し回路により出力されるカウント数に基づいて、X線強度値(例えばカウント毎秒)を決定してもよい。X線強度値を表す画像は、X線強度値の大きさを、文字ではなくグラフィック画像として表してもよい。または、これの代わりに、画像は、文字にしたものであってもよい。
【0009】
X線検出器は、環境パラメータを測定するように構成されている環境センサと、不揮発性メモリとをさらに備えてもよい。このとき、X線検出器は、環境センサによって得られる複数の測定値を環境データとして保存するように構成されており、プロセッサは、環境データを表示するための表示信号を生成するように構成されている。
【0010】
環境センサは、単一の環境パラメータを測定するように構成されていてもよく、又は、複数の環境パラメータを測定するように構成されていてもよい。X線検出器は複数の環境センサを備えてもよく、この複数の環境センサはそれぞれ、異なる環境パラメータを測定する。代わりの実施形態においては、X線検出器は、第1環境パラメータを測定するように構成された第1環境センサと、1つ又は複数のさらなる環境パラメータを測定するように構成された第2環境センサとを備えてもよい。環境要因は、検出器の性能や精度に影響を与えることがある。一部の実施形態においては、環境センサにより取得される測定値は、X線検出器への電力供給がオフに切り替えられた後であっても環境データにアクセスできるように、不揮発性メモリ内に保存される。このようにして、X線検出器にて環境データの履歴を保存することが可能である。さらに、使用者がこれらの測定値にX線検出器から直接アクセスすることが可能である。環境パラメータは、温度、湿度、又は大気圧であってもよい。
【0011】
環境センサは、X線検出器の温度を測定するための温度センサを有してもよい。温度センサは、X線分析測定が実行される際に温度を測定するように構成されていてもよい。X線検出器は、長期間(例えば1カ月又は1年)にわたって温度を測定し記録するように構成されていてもよい。X線検出器は複数の温度センサを備えてもよい。一部の実施形態においては、X線検出器は、温度センサ、湿度センサ、大気圧測定用センサのうちの少なくとも1つを備えてもよい。
【0012】
X線検出器は、X線強度値を表す画像を表示するように構成されている表示デバイスをさらに備えてもよい。好ましくは、画像はグラフィック画像である。X線検出器の表示出力部は、プロセッサが生成する表示信号を表示デバイスに通信する。これによって、表示デバイスは、X線強度値を表す画像を表示する。表示デバイスは、表示出力部に接続することができるため、プロセッサからの表示信号を受信して、X線強度値を表す画像を表示することができる。表示デバイスは、環境データを表示するようにも構成されていてもよい。表示デバイスは、グラフィック情報又は英数字情報又はその両方を表示するように構成されていてもよい。表示デバイスは、グラフィック画像を表示するように構成されている場合、好ましくは少なくとも(128×64)画素を有する。
【0013】
表示デバイスは、タッチスクリーン、又は、液晶ディスプレイ、又は、その両方を有してもよい。タッチスクリーンは、表示デバイスを制御するように構成されていてもよく、例えば表示デバイスをオン/オフしたり、表示デバイスに表示される内容を制御したりするように構成されていてもよい。例えば、異なる内容を表示する複数の表示画面同士の間を、使用者がスクロールすることを可能にしてもよい。設けられている場合は、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)デバイスは、画素の配列を有する。画素配列のサイズは少なくとも5cm2であってもよい。好適な実施形態においては、表示デバイスは少なくとも(128×64)画素を有する。
【0014】
X線検出器はハウジングを備えてもよく、このハウジングは、センサと、読出し回路と、プロセッサとを収容し、このとき、表示デバイスはハウジングに取付けられている。一部の実施形態においては、表示デバイスはハウジングに一体化されていてもよい。他の実施形態において、表示デバイスはハウジングから取り外し可能であってもよい。センサ、読出し回路、プロセッサは、ハウジング内に収容されていてもよく、表示デバイスは、ハウジングの外部に取付けられてもよい。
【0015】
センサは、複数の検出セルの配列を有してもよく、位置を感知する態様でX線光子を検出するように構成されていてもよい。検出セルの一次元配列は、配列の方向において位置を感知する。二次元配列は、配列を規定する二方向において位置を感知する。
【0016】
プロセッサは、複数のX線強度値を決定するように、且つ、複数のX線強度値の相対的な大きさを表す画像を出力するように構成されてもよく、複数のX線強度値はそれぞれ、各検出セルが対応する。
【0017】
X線検出器は、複数の検出セルを有するマイクロストリップ検出器であってもよく、この複数の検出セルはそれぞれ、ストリップ電極を有する。相対的な大きさとは、画像内の他の検出セルに関する値と比較した、X線強度値の相対的な大きさのことである。画像は、検出セルのサブセットの画像であってもよい。例えば、画像は、センサの中央領域における検出セルの画像であってもよい。検出セルの中央領域の画像は、X線検出器の傾き校正の実行を支援してもよい。
【0018】
プロセッサは、センサにより受信される、X線光子の総カウント数を決定するように構成されていてもよい。例えば、プロセッサは、読出し回路により出力される、X線光子のカウント数を合計して、X線検出器が最初に使用されてからのX線光子の総カウント数を決定するように構成されていてもよい。プロセッサは、使用者がセンサの残りの寿命を判定するのを支援してもよい。プロセッサは、この情報を表す画像を出力するように構成されてもよく、又は、これの代わりに、プロセッサは、X線の計算された総カウント数の値に基づいて残りのセンサ寿命を判定して、残りのセンサ寿命を表す画像を出力するように構成されていてもよい。
【0019】
X線検出器は、複数の検出セルを有するマイクロストリップ検出器であってもよく、複数の検出セルはそれぞれ、対応するストリップ電極を有する。
【0020】
X線検出器は、固体検出器であってもよい。
【0021】
センサは、半導体を含み得る感知素子を有してもよい。X線光子が感知素子に入射すると、X線光子は複数の電荷担体を生成する。センサに電場が印加されると電荷担体は電極に向かって駆動される。
【0022】
感知素子は、高度にドープされたシリコンを含んでもよい。センサは、シリコンマイクロストリップ検出器であってもよい。
【0023】
或る実施形態において、X線分析装置であって、筺体と、上述したようなX線検出器と、X線源とX線検出器とを支持するためのゴニオメータとを備えており、ゴニオメータとX線検出器は、筺体の内部に配置されている、X線分析装置が提供される。
【0024】
X線分析装置のX線検出器が表示デバイスを備えている場合は、表示デバイスは筺体の内部にある。
【0025】
X線分析装置は、ゴニオメータに装着されているX線源と、X線源に対するX線検出器の位置を変更するための位置合わせ調整機構とをさらに備えてもよい。
【0026】
位置合わせ調整部材は、X線検出器又はX線源を固定するためのねじ付部材を有してもよい。位置合わせ調整機構は、X線検出器を移動させるように動作可能であってもよく、又は、X線源を移動させるように動作可能であってもよい。使用者がX線源とX線検出器の両方の位置を別々に調整できるようにするために、位置合わせ調整機構は、X線源位置合わせ構造体とX線検出器位置合わせ構造体とを有してもよい。
【0027】
筺体は、X線保護用覗き窓をさらに有してもよい。X線保護用覗き窓は鉛ガラスを有してもよい。
【0028】
本発明の別の態様によれば、上述したようなX線分析装置を使用する方法であって、X線検出器を照射するためのX線を生成するステップと、X線源からのX線をX線検出器にて受光するステップと、X線強度値を表す画像を表示するステップとを含む方法が提供される。
【0029】
本方法は、X線源から直接受信するステップを含んでもよい。この場合、X線は、線状のX線ビームを形成してもよい。または、これの代わりに、本方法は、試料を照射するステップであって、X線検出器が、X線源から、試料により回折されたX線を受光するステップを含んでもよい。
【0030】
本方法は、X線源又はX線検出器の位置を、表示された画像に基づいて変更するステップをさらに含んでもよい。
【0031】
本方法は、複数のX線強度値を決定するステップであって、この複数のX線強度値はそれぞれ、検出セルに対応しているステップと、X線強度値の相対的な大きさを表す画像を表示するステップとをさらに含んでもよい。X線源/X線検出器の位置は、X線強度値の相対的な大きさを表す画像に基づいて調整されてもよい。
【0032】
次に、本発明の実施形態を添付の図面を参照し、例示して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の或る実施形態におけるX線検出器を図説する概略図を斜視図で示している。
【
図2】
図1のX線検出器の電子機器を図説する概略図である。
【
図3】本発明の別の実施形態におけるX線検出器の電子機器を図説する概略図である。
【
図4】本発明の或る実施形態におけるX線回折分析装置を図説する概略図である。
【
図5】
図5A~
図5Dは、X線検出器における2つの異なる位置合わせ状態での、検出セルの配列と、これに対応する画像であって検出セルにより測定されたX線強度値を表す画像を概略的に図説する。
【
図6】X線回折分析装置を使用する方法を図説する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
これらの図は、図式的なものであり、縮尺通りに描いていないことに留意すべきである。これらの図の一部の相対的寸法及び比率は、図面における明確さ及び利便性のため、大きさを誇張して又は縮小して示している。
【0035】
図1は、本発明の或る実施形態におけるX線回折分析装置用X線検出器を図説する。
【0036】
X線検出器4は、ハウジング2と、X線を感知するためのセンサ(即ちX線センサ)(図示せず)を備え、このセンサは、固体X線センサ等であり、ハウジング2の内部に配置されている。X線検出器4は、表示デバイス5も備える。表示デバイス5は、液晶ディスプレイ(LCD)であり、ハウジング2に一体化されている。
【0037】
使用中、X線検出器は、試料によって回折されるX線を受光するように配置される。回折X線は、検出窓3を通してX線検出器に進入し、X線センサを照射する。X線センサは、半導体感知素子、例えばシリコンを有する。動作中、感知素子はバイアス下にあるため、感知素子上にX線光子が入射すると、感知素子は電気パルスを生成する。X線センサは、電気パルスをセンサ出力信号として出力する。センサが出力するパルスをカウントすることにより、回折X線の強度(カウント毎秒、cps:counts per second)を計算できる。
【0038】
X線検出器は、読出し回路及びプロセッサを備える(いずれも
図1では不図示)。読出し回路は、センサからのセンサ出力信号を受信して、電気パルス(X線光子を表す)をカウントし、X線光子のカウント数を出力するように構成されている(即ち、読出し回路は、センサが出力した電気パルスの数を出力するように構成されている)。プロセッサは、X線光子のカウント数を受信し、X線光子のカウント数に基づいてX線強度値を計算し、X線強度値を保存する。この処理は、X線強度値を様々な回折角で得るためにX線検出器が異なる位置に移動されると繰り返される。例えば、X線分析装置を使用して試料のX線分析を反射での位置関係(geometry)において行っている際に、試料の表面に対する入射X線ビームの角度θが変化するにつれて、X線検出器も、2θの位置が変わることを介して移動することができる。2θは、(
図4において図説するように)入射X線ビームと回折X線との間の角度である。
【0039】
保存されたX線強度値に基づいて、プロセッサにより表示信号が生成される。表示デバイス5は、表示信号を受信すると、X線強度値を表す画像を表示する。例えば、
図1において、表示デバイスは、異なる角度2θにわたって得られた一揃いの測定値について、相対的なX線強度を示す画像を示す。表示信号が、中心にあるX線分析装置制御システムではなくX線検出器4で生成されるため、X線検出器4が正常に動作しているかどうかをX線検出器4から直接判定することが可能である。それ故に、X線分析装置が正しく機能していない場合において、使用者は、X線検出器4がX線を感知しているかどうかを、迅速に且つ簡便に判定することができる。それに比べると、集中X線分析制御システムによりX線検出器が制御されるX線分析装置では、X線検出器がX線を検出しているかどうかを判定可能となる前に、X線検出器と集中制御システムとの間の接続が正しく作動しているかどうか、又は、別の構成要素が集中制御システムに異常を引き起こしているかどうかを明確にすることが必要なこともあるであろう。
【0040】
表示デバイス5は、X線回折測定データに加えて、他の種類の情報も表示することができる。例えば、表示デバイス5は、周囲温度、動作環境の相対湿度や、大気圧等の動作条件に関する情報を示すように構成されていてもよい。X線検出器4は、この情報を獲得するための環境センサを備えていてもよく、又は、情報を外部の情報源から獲得してもよい。さらに、X線検出器4は、X線検出器を特定する情報、エラーメッセージ、X線検出器がコンピュータネットワークに接続されているかどうかを示す情報、X線検出器が接続されているIPアドレス等を示す情報を表示するように構成されていてもよい。
【0041】
表示デバイス5は、様々な画面を表示するように構成されており、これらの画面は、制御ボタン7を使用してスクロールできる。これの代わりに、表示デバイス5はタッチスクリーンであってもよく、タッチ入力に応答して様々な画面をスクロール可能となる。
【0042】
図2は、
図1のX線検出器の電子機器の感知及び処理を図説する概略図である。
【0043】
感知を行う電子機器は、X線センサ9と、読出し回路11とを有しており、この読出し回路は、X線センサ9の感知素子10に入射するX線光子をカウントするためのカウンタを有する。
【0044】
感知素子10は、検出セル8の線状の配列を有する。或る実施形態においては、X線検出器はマイクロストリップX線検出器である。感知素子10は、半導体材料の本体部24を有し、本体部24の表面に、線状の配列になったストリップ形の電極23を備えている。検出セル8はそれぞれ、ストリップ電極23を有する。
【0045】
X線センサ9の検出セル8がX線光子により照射されることに応答して、センサ9は感知信号12を出力する。感知信号とは、X線光子により(バイアス下にある)感知素子に自由電荷が生成されるが、この自由電荷流れにより引き起こされる過渡電流パルスのことである。読出し回路11は、X線光子により生成された電流パルスを、電流パルスの時間積分に比例する(従ってX線光子エネルギーに比例する)電圧パルスに変換するための電子機器を有する。パルスがX線光子に対応するかどうかを判定するために、電圧パルスは比較装置に送信される。この比較装置は、パルスが所定のエネルギー窓内にあるかどうかを判定するように構成されている。(X線光子のエネルギーに対応する)電圧パルスの振幅が第1閾値よりも大きく第2閾値を下回る場合は、カウンタは数を1つ追加する。読出し回路は、検出セルごとにX線光子のカウント数13を出力するものであり、例えば320ナノ秒ごとに出力する。
【0046】
プロセッサ14は、検出セル8ごとにX線光子のカウント数13を受信し、且つ、合計のX線光子のカウント数と、読出し回路11がX線光子のカウント数13を出力するレートとに基づいて、X線強度計算器15にてX線強度値16を決定する。X線検出器4がX線回折測定の測定角度範囲にわたって移動するにつれて、様々な角度位置に対応するX線強度値がメモリ18内に保存される。
【0047】
マイクロストリップ検出器を使用する利点の1つは、2θ角度を複数同時に測定することが可能であることである。X線検出器が2θの弧を通って移動するにつれて、検出セル(又は「ストリップ」)は、測定対象の2θ位置(例えば0~60°)を通過する。特定の2θ位置にある間に検出セルそれぞれから得られる測定値は、その位置の最終的な測定値に寄与する。例えば、X線検出器が移動しつつ、第1ストリップにおける(第1測定周期内の)2θの角度(例えば15°)にてX線強度が測定される。15°である2θの位置へ隣接するストリップが移動すると、X線検出器は(第2測定周期内の)X線強度を測定する。第3ストリップ及び後続のストリップについてもこれが続く。
【0048】
画像生成器19は、メモリ18からX線強度データ20を受信し、X線強度値を表す画像を表示するための表示信号21を生成する。例えば、画像は、軸(測定中にX線検出器の角度位置が変化する際にX線検出器の2θ位置を表し得るもの)に対する相対的なX線強度値(単位cps)を示してもよい。表示デバイス5は、画像生成器により出力される表示信号21を受信し、画像を表示する。画像生成器19は、測定が実行されるときに新たな画像を生成してもよい。例えば、画像生成器19は、新たなX線強度値が計算されるたびに新たな画像を生成して画像を更新してもよい。このようにして、X線測定データは「リアルタイム」で視認することができる。これの代わりに、画像生成器19は新たな画像を、より少ない頻度で生成してもよく、例えば秒ごとに生成してもよい。X線検出器がマイクロストリップ検出器である実施形態においては、画像生成器19は定められた数の測定周期の後に新たな画像を生成してもよく、例えば測定周期5~10回ごとの後に新たな画像を生成してもよい。一旦測定が完了すれば、画像生成器19は、結果を表示するための表示信号を、測定が完了したことを示すメッセージと共に生成してもよい。
【0049】
代わりの実施形態においては、画像生成器19は、測定が完了した後(即ち、一旦測定の角度範囲にわたりX線強度値が獲得されれば)画像を生成するだけでよい。この場合、測定結果を表示する画像は、測定が完了したことを示すメッセージも含んでもよい。
【0050】
さらに、プロセッサ14は、動作エラーを特定して、これらのエラーを特定する情報を表示デバイス5に表示するように構成されてもよい。例えば、X線分析装置における別の構成要素からX線検出器4への接続に欠陥がある場合、X線検出器の表示デバイス5は、接続エラーがあることを示すエラーメッセージを表示してもよい。これらのエラーメッセージはX線検出器4の不揮発性メモリに保存されてもよく、エラーメッセージを表す画像を表示デバイスに表示するための表示信号を生成するように画像生成器19が構成されていてもよい。
【0051】
プロセッサ14は、電源がオンである間におけるセンサの各検出セルの漏れ電流を測定し且つこの情報を画像生成器19に出力するように構成されていてもよい。画像生成器19は、漏れ電流情報を受信し且つこの情報を表す画像を表示デバイス5に表示するための表示信号を生成してもよい。
【0052】
図3は、本発明の別の実施形態における、X線検出器4の電子機器の感知及び処理を図説する概略図である。この実施形態において、X線検出器は、
図2に関連して上に述べた電子機器の感知及び処理を含む。さらには、X線検出器4は、この実施形態では温度センサ31として示された環境センサと、温度安定化制御回路33とを備える。温度センサ31は、X線センサ10の温度を測定するように配置される。
【0053】
温度センサ31は、温度示度数を出力し、この温度示度数が不揮発性メモリ22内に保存される。画像生成器19は、不揮発性メモリ22から温度示度数35を受信して、温度示度数を表示するための表示信号(図示せず)を生成するように構成されている。温度示度数をX線検出器の不揮発性メモリ22内に保存することにより、且つ、温度示度数を表示するための表示信号を生成するように構成される画像生成器19を提供することにより、X線検出器の温度履歴記録にX線検出器から直接アクセスすることが可能となる。これにより、使用者がX線検出器の問題を診断するのを支援可能となる。
【0054】
画像生成器19は、X線検出器の現在の温度に関する情報を表示するように構成されていてもよい。現在の温度が所望の範囲内にあるかどうかを示すように構成されていてもよい。例えば、温度が所望の範囲の外である又は範囲内であることを示すアイコンを表示したり、又は、温度が所望の範囲内にあるときと比較して、温度が所望の範囲の外であれば温度を異なる色で表示したりする。
【0055】
温度安定化回路33は、温度センサから温度示度数を受信してこの温度示度数を処理し、温度が所定の範囲内、例えば24~25℃、にあるかどうかを判定するように構成されている。
【0056】
温度安定化回路は、ファン及びペルチェ素子を有する。温度示度数が高すぎる場合、温度安定化回路33は、X線検出器を冷却するよう、ファン及びペルチェ素子の少なくとも一方に制御信号を送信する。温度示度数が低すぎる場合、温度安定化回路33は、X線検出器を加熱するよう、ペルチェ素子に制御信号を送信する。X線検出器の温度をこのようにして安定化することにより、X線検出器によって得られるX線回折結果が、より信頼できるものになる。
【0057】
図4は、本発明の或る実施形態におけるX線回折分析装置40を断面図で図説する。X線回折分析装置40は、筺体41を備え、この筺体41には、X線源42と、試料46を保持する試料ホルダ43と、X線検出器44とが収容される。筺体は、動作中にX線が筺体から漏出しないように、X線吸収材を使用して構築されている。筺体は、筺体にアクセスするための扉を有してもよい。扉が開放しているときは(即ち筺体が開放状態にあるときは)、使用者は、試料46を挿入し、X線分析装置の任意の構成要素を再位置決めすることができる。閉鎖構成においては、使用者は筺体にアクセスできないようになり、X線は筺体から漏出できないようになる。
【0058】
筺体は窓(図示せず)を有してもよく、この窓は、X線に対して不透明であるが、これにより筺体の閉鎖時でも使用者がX線分析装置を視認可能となる。
【0059】
図4に示すように、X線源42及びX線検出器44は、ゴニオメータ49に装着される。X線検出器は、位置合わせ調整部材48によってゴニオメータに装着される。X線検出器は、X線検出器を支持する台に装着され、この台は、ねじ48によりゴニオメータに装着される。これにより、X線検出器の位置が調整できるようになる。
【0060】
使用中、X線源42は、X線で、試料46を、試料の表面に対して或る角度θにて照射する。X線は、試料46によって回折され、X線検出器44にて受信される。X線検出器は、ゴニオメータにより、2θ位置のところに位置決めされる(即ち、X線検出器は、角度2θにて回折されたX線を受光することができ、この角度2θは、入射X線と、回折されたX線との間の角度である)。X線検出器44は、X線を検出して、X線強度データを示す画像を生成する。この画像は、一体化されているディスプレイ45に表示される。
【0061】
正確で再現可能な結果を得るには、試料にて測定を実行する前に、X線検出器44とX線源42とが適切に位置合わせすることが重要である。X線源42とX線検出器44とを位置合わせするために、X線源42は、線状焦点モードで動作するX線源によってX線検出器44を照射するように配置される(即ち、試料にて見られるX線ビームは線状である)。このようにして、X線源42は、X線検出器のセンサの矩形状の領域を照射する。X線検出器44とX線源42とが良好に位置合わせされれば、連続する2つの検出セルにおいて測定されたX線強度はほぼ同じになる。
【0062】
図5は、表示デバイスに表示される画像が、X線源とX線検出器とを位置合わせすることをどのように支援することができるのかを図説する。この実施例において、X線検出器は、検出セル50の二次元配列を有する。そのため、X線検出器は「二次元的」(「2D」)になる。X線検出器は、二方向において(検出セルの配置される方向において)位置感度がある。
【0063】
図5Aは、X線検出器とX線源とが良好に位置合わせされている場合における、X線ビーム52によって照射される検出セル50の配列を示している。
【0064】
図5Bは、X線検出器とX線源とが良好には位置合わせされていない場合における、X線ビーム52によって照射される検出セル50の配列を示している。
【0065】
図5Cは、
図5Aにおいて得られる見込みの強度測定値に基づいてX線検出器のディスプレイに表示される画像を示している。画像において、検出セルをそれぞれ、四角形55で表している。検出セルに対応する強度測定値の大きさは、色や濃淡によって表している。
図5Cにおいて、最も濃く見える検出セルはX線強度値が高いことを表し、薄めの検出セルはX線強度値が相対的に低いことを表す。良好に位置合わせされている検出器を示す
図5Cでは、強度パターンは対称的であり、中央の検出セルから減少している。
【0066】
図5Dは、
図5Bにおいて得られる見込みの強度測定値に基づいてX線検出器のディスプレイに表示される画像を示している。
図5Dにおいて、強度パターンは対称ではなく、強度範囲はより広くなっている。
【0067】
図6は、本発明の或る実施形態におけるX線分析装置を使用する方法を図説する。この実施形態においては、X線検出器は、検出セルの二次元線状配列を有する。照射ステップ60において、X線源は、X線検出器を照射するためのX線ビームを生成する。検出ステップ62において、X線検出器は、X線源からのX線を受光する。X線検出器は、検出セルそれぞれに関するX線強度値を決定し、このX線強度値を表す画像を表示するための表示信号を生成する。例えば、X線検出器は、X線検出器の検出セルを表す画像を生成してもよく、このとき、検出セルの画像には、検出セルそれぞれに関する強度値が表される。例えば、画像は、検出セルの、相対的な強度値を表してもよい。表示ステップ64において、X線検出器は、画像を表示する。X線検出器が良好に位置合わせされていないことを、検出セルに関するX線強度値が示している場合には、X線検出器の位置を調整するべきである。この調整は、位置合わせステップ66において、X線検出器又はX線源又はその両方の位置を変更することにより実行されてもよい。
【0068】
一部の実施形態においては、感知素子はシリコンを含まなくてもよい。代わりに、感知素子は、例えば、テルル化カドミウム、又は、X線を感知可能なその他の任意の材料を含んでもよい。
【0069】
一部の実施形態においては、X線検出器はマイクロストリップ検出器でなくてもよい。これらの実施形態のうちの少なくとも一部においては、各検出セルは、X線検出器の画素(正方形の検出セル)である。
【0070】
一部の実施形態においては、X線検出器は一次元X線検出器である。他の実施形態においては、X線検出器は、検出セルの二次元配列を有する二次元X線検出器である。例えば、X線検出器は、マイクロストリップ検出器である場合には(2×n)個の検出セル(ここにn≧2)の配列を有してもよい。例えば、X線検出器は、(2×128)個の検出セルの配列を有してもよい。
【0071】
一部の実施形態においては、X線検出器は検出セルの二次元配列を有してもよく、このとき、X線検出器は、複数の検出セルのサブセットのみがアクティブになるよう検出セルを制御するように構成されている。このようにして、X線検出器は、一次元の態様で又はゼロ次元の態様で動作することができる。
【0072】
一部の実施形態においては、表示デバイスは、X線検出器のハウジングに一体化されなくてもよい。代わりに、表示デバイスは、X線検出器のハウジングに取付け可能であってもよい。これの代わりに、表示デバイスは、X線検出器とは別体になっていてもよく、X線検出器の表示出力部に、有線接続により又は無線接続により接続することができる。
【0073】
一部の実施形態においては、表示信号は、表示デバイスに英数字画像を表示させてもよい。
【0074】
これに加えて又はこれの代わりに、画像生成器はグラフィック画像を生成するように構成されていてもよく、表示デバイスはグラフィック画像を表示するように構成されてもよい。
【0075】
表示デバイスは、少なくとも(128×64)画素の配列を有してもよい。画素配列は、少なくとも5cm2の面積、好ましくは50cm2未満の面積に及んでもよい。
【0076】
一部の実施形態においては、表示デバイスは、薄膜トランジスタLCDディスプレイ(TFT LCD)を有する。一部の実施形態においては、表示デバイスは、LCD型表示デバイスではない。これの代わりに、表示デバイスは、その他の任意の種類の表示デバイスであってもよい。例えば、OLED表示デバイス等のLED表示デバイスが挙げられる。
【0077】
一部の実施形態においては、環境センサは、温度センサではない。代わりに、環境センサは、湿度センサ又は大気圧センサ等、環境動作条件を感知するための任意の種類のセンサであってもよい。
【0078】
一部の実施形態においては、表示デバイスは、タッチスクリーンである。そのため、表示デバイスは、使用者のタッチを検出することにより使用者の入力を受信するように構成されていてもよい。例えば、表示デバイスは、画面上のスクロール位置に静電容量式タッチボタンを有してもよい。その場合、表示デバイスは、使用者がスクロール位置に触れると画面同士の間でスクロールするように構成されている。
【0079】
なお、上で言及した実施例は本発明を限定するよりむしろ図説するものであり、当業者は代わりとなる多くの実施例を、添付の請求項の範囲から逸脱することなく設計できる。請求項において、括弧内に記載された任意の参照符号が請求項を限定するものと解してはならない。語「備える、含む(comprising)」は、請求項に記載されたもの以外の要素やステップの存在を除外するものではない。構成要素に先行する「a」又は「an」は、複数のこのような構成要素の存在を除外するものではない。実施例は、幾つかの別個の構成要素を有するハードウェアによって実施されてもよい。幾つかの手段を列挙する装置クレームにおいては、これらの手段の幾つかは、1つのハードウェアの同じものにより実現されてもよい。複数のある手段が互いに異なる従属請求項に記載されているということだけで、これらの手段の組み合わせを有利に使用できないということにはならない。さらに言えば、添付の請求項において、「A、B、Cのうちの少なくとも1つ」を含む列記は、(A又はB又はC又はこれらの組み合わせと解釈されるべきである。
【0080】
さらに、一般に、種々の実施例は、ハードウェア若しくは特殊用途の回路、ソフトウェア、ロジック、又は、これらの任意の組み合わせにおいて実施されてもよい。例えば、幾つかの態様はハードウェアにおいて実施されてもよく、一方で、他の態様が、コントローラ、マイクロプロセッサ又は他の演算素子により実行され得るファームウェア又はソフトウェアにおいて実施されてもよい。ただし、これらは限定的な実施例ではない。本明細書に記載する種々の態様は、ブロック図、フローチャート、又は、他の何らかの図的表現によって図説し記載することができるが、これらのブロック、装置、システム、技術、又は本明細書に記載する方法は、非限定的な実施例として、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、特殊用途向け回路若しくはロジック、汎用ハードウェア若しくはコントローラ若しくはその他演算素子、又は、それらの何らかの組み合わせにおいて実施してもよいことがよく理解される。
【0081】
メモリは、ローカルの技術環境にとって適切であれば種類はいずれでもよく、且つ、適切なデータ保存技術であれば、半導体ベースのメモリデバイス、磁気メモリデバイス及びシステム、光学メモリデバイス及びシステム、固定メモリ、リムーバブルメモリ等のいずれを実装してもよい。データプロセッサは、ローカルの技術環境にとって適切であれば種類はいずれでもよい。また、データプロセッサは、非限定的な実施例として、汎用コンピュータ、特殊用途向けコンピュータ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、マルチコアプロセッサアーキテクチャを基にしたゲートレベル回路及びプロセッサ、これらのうちの1つ又は複数を備えてもよい。
【0082】
本明細書において検討するような実施例が、集積回路モジュール等の種々のコンポーネントにおいて実施されてもよい。集積回路の設計は、概して高度に自動化された工程である。論理レベル設計を、半導体基板上にエッチングして形成できるようになっている半導体回路設計に変換するために、複雑で強力なソフトウェアツールが利用可能である。
【国際調査報告】