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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(54)【発明の名称】ポリエステル系熱収縮フィルム
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
C08J5/18 CFD
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519082
(86)(22)【出願日】2021-11-15
(85)【翻訳文提出日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 US2021059300
(87)【国際公開番号】W WO2022108854
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】63/116,077
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523012126
【氏名又は名称】ボンセット アメリカ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Bonset America Corporation
(71)【出願人】
【識別番号】000108719
【氏名又は名称】タキロンシーアイ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】523012137
【氏名又は名称】ボンセット ラテン アメリカ ソシエダ アノニマ
【氏名又は名称原語表記】Bonset Latin America S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106404
【弁理士】
【氏名又は名称】江森 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100112977
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 有子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】エボニー ニコール ニール
(72)【発明者】
【氏名】ビクトリア マリー モンカダ ミークス
【テーマコード(参考)】
4F071
【Fターム(参考)】
4F071AA46X
4F071AA82X
4F071AA84X
4F071AA86X
4F071AA87X
4F071AA88X
4F071AB26
4F071AE17
4F071AF30Y
4F071AF61Y
4F071AG28
4F071AH05
4F071AH06
4F071BB06
4F071BB08
4F071BC01
4F071BC12
(57)【要約】
【課題】PETボトルのリサイクル性を阻害せず、かつ、PETボトルの薄肉化にも対応できるように、熱収縮応力等が低いポリエステル系熱収縮フィルムを提供する。
【解決手段】多価カルボン酸と、ポリアルコールとの反応生成物であるポリエステル樹脂に由来したポリエステル系熱収縮フィルムであって、下記特性(A)~(D)を有することを特徴とするポリエステル系熱収縮フィルム。
(A)ポリエステル樹脂のDSCによって測定される融点を190~255℃とする。
(B)~(D)所定条件で測定される、主収縮方向の熱収縮率を45~70%とし、非主収縮方向の熱収縮率を-1~6%とし、主収縮方向における熱収縮応力を16MPa以下とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多価カルボン酸と、ポリアルコールとの反応生成物であるポリエステル樹脂に由来したポリエステル系熱収縮フィルムであって、下記特性(A)~(D)を有することを特徴とするポリエステル系熱収縮フィルム。
(A)前記ポリエステル樹脂のDSCによって測定される融点を190~255℃の範囲内の値とする。
(B)85℃、10秒の熱収縮条件で測定される、主収縮方向における熱収縮率を45~70%の範囲内の値とする。
(C)60~90℃、10秒の熱収縮条件で測定される、主収縮方向に直交する方向における熱収縮率を-1~6%の範囲内の値とする。
(D)85℃の熱収縮条件で測定される、主収縮方向における熱収縮応力を16MPa以下の値とする。
【請求項2】
(C´)70℃、10秒の熱収縮条件で測定される、主収縮方向に直交する方向における熱収縮率を0~3%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系熱収縮フィルム。
【請求項3】
(C´´)85℃、10秒の熱収縮条件で測定される、主収縮方向に直交する方向における熱収縮率を1~5%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系熱収縮フィルム。
【請求項4】
(C´´´)60~90℃、10秒の熱収縮条件で測定される、主収縮方向に直交する方向における熱収縮率が、少なくとも1つの極小値を有し、当該極小値を、-1%以上の値とすることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系熱収縮フィルム。
【請求項5】
(C´´´´)60~90℃、10秒の熱収縮条件で測定される、主収縮方向に直交する方向における熱収縮率が、少なくとも1つの極大値を有し、当該極大値を、0.8%以上の値することを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系熱収縮フィルム。
【請求項6】
フィルム厚さを10~100μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系熱収縮フィルム。
【請求項7】
前記多価カルボン酸が、テレフタル酸を主成分とし、前記ポリアルコールが、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコールの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系熱収縮フィルム。
【請求項8】
収縮前のフィルムのASTM D1003に準拠して測定されるヘイズ値を7%以下の値とすることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系熱収縮フィルム。
【請求項9】
前記ポリエステル系熱収縮フィルムのDSCによって測定される融点における融解ピーク面積に相当する熱量を15~25mJ/mgの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系熱収縮フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル系熱収縮フィルムに関する。
より詳しくは、PETボトルのリサイクル性を阻害せず、かつ、PETボトルの薄肉化にも対応できるように、熱収縮時に発生する熱収縮応力等が低いポリエステル系熱収縮フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料用保存容器や洗剤用保存容器等として、ポリエチレン樹脂(HDPE)製ボトルやポリエステル樹脂(PET)製ボトル(以下、単に、PETボトルと称する場合がある。)が多用されている。
特に、飲料用保存容器として、軽量性や耐久性に優れており、非常に利便性が高いことから、PETボトルが世界的に広く普及している。
一方で、このようなPETボトルが、使用後に河川に廃棄され、それが海洋流出等して、深刻な環境問題となっている。
そこで、このような環境問題を解決するために、このようなPETボトルの回収やリサイクル技術の研究が活発に行われている。
【0003】
又、PETボトルには、その名称や内容物に関する各種情報を表記し、かつ装飾性等を向上させるために、所定の表示ラベルが周囲に被覆されている。
この点、従来は、表示ラベルとして、紙基材のラベルを接着剤で貼付する方法が多くとられていたが、近年では、熱収縮フィルムを用いた表示ラベルを、PETボトルへ全面包装することが主流となっている。
【0004】
しかしながら、かかる熱収縮フィルムを用いた全面包装の場合、その密着構造等の理由から、PETボトルをリサイクルする際に、熱収縮フィルムを用いた表示ラベルを容易に分離することが難しいという事情がある。
そのため、熱収縮フィルムの素材として、PETボトルから容易に分離し、PETボトルのリサイクル工程を阻害しないものが好ましい。より具体的には、塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリスチレン樹脂(PS)、及び変性ポリエステル(PETG)等が多用されている。
【0005】
ここで、飲料用保存容器等の主素材は、基本的にPETであり、その原材料が近似していることから、熱収縮フィルムとして、PETGフィルムが、PETボトルと一緒に、溶融させて、リサイクルできる可能性が高いと言える。
一方、PETGは、基本的に非晶質であることから、熱特性として、融点を有しておらず、かつ、熱収縮フィルムで包装されたPETボトルのリサイクル工程において、リサイクルペレット同士の互着を引き起こし易いという問題があった。
【0006】
すなわち、熱収縮フィルムで包装された状態のPETボトルのリサイクル工程において作成したペレットを乾燥時に、図9(a)に示すように、熱収縮フィルムに起因して熱収縮フィルムを含むリサイクルペレット同士が互着して塊を生じる。その結果、かかる塊が配管の途中で目詰まりを生じさせるという問題が見られた。
従って、熱収縮フィルムを含めてPETボトルをリサイクルした場合に、得られるリサイクルペレット同士が互着せず、ペレタイザーを用いて図9(b)に示すように、所定形状のペレットを効果的かつ安定的に作成するということが、困難であった(以下、単に、リサイクル性問題と称することがある。)。
【0007】
そこで、PETGフィルムの熱特性を調整し、融点を有するポリエステル系熱収縮フィルムを用いることが提案されている(特許文献1及び2)。
特許文献1に開示された融点を有するポリエステル系熱収縮フィルムは、非晶性ポリエステル樹脂の配合量を少なくして、例えば、ジオール成分及びジカルボン酸成分に由来した結晶性の共重合ポリエステル樹脂を含み、かつ、80℃、10秒の熱処理の際、主収縮方向の熱収縮率が30%以上であり、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が170℃以上である、結晶性のポリエステル系熱収縮フィルムである。
【0008】
又、特許文献2に開示された融点を有するポリエステル系熱収縮フィルムは、テレフタル酸を主成分とし、それと反応させるポリアルコールが、所定量のエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコールの少なくとも一つであるネオペンチルグリコールである結晶性のポリエステル系熱収縮フィルムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2020-521823号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】WO2020/076749号(特許請求の範囲等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示された、融点を有するポリエステル系熱収縮フィルムの場合、いずれも熱収縮時に発生する熱収縮応力の値が大きすぎて、PETボトルを変形させやすいという問題が見られた。
又、化石資源の使用量低減や、軽量化のために、PETボトルを構成する壁の薄肉化が行われており、そのため、PETボトル全体の剛性がより低下し、特許文献1や特許文献2に開示された、融点を有するポリエステル系熱収縮フィルムによるPETボトルの変形が加速されやすいという事情も見られた。
更に言えば、特許文献1や特許文献2に開示された、融点を有するポリエステル系熱収縮フィルムの場合であっても、MD方向の熱収縮率の値や、TD方向における熱収縮応力の値について、何ら考慮しておらず、リサイクル性問題を完全に解決できないという問題が見られた。
【0011】
そこで、本発明の発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意努力した結果、多価カルボン酸と、ポリアルコールとの反応生成物であるポリエステル樹脂に由来したポリエステル系熱収縮フィルムであって、少なくとも特性(A)~(D)を有することによって、従来の問題を解決するに至った。
すなわち、本発明は、ポリエステル系熱収縮フィルムが被覆された状態のPETボトルを一緒にリサイクルした場合であっても、所定形状のペレットを効果的かつ安定的に作成することができ、かつ、PETボトルの薄肉化等にも対応できるように、熱収縮時に発生する熱収縮応力等が低いポリエステル系熱収縮フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、多価カルボン酸と、ポリアルコールとの反応生成物であるポリエステル樹脂に由来したポリエステル系熱収縮フィルムであって、下記特性(A)~(D)を有することを特徴とするポリエステル系熱収縮フィルムが提供され、上述した問題を解決できる。
(A)ポリエステル樹脂のDSCによって測定される融点(以下、単に融点と称する場合がある。)を190~255℃の範囲内の値とする。
(B)85℃、10秒の熱収縮条件で測定される、主収縮方向(TD方向と称する場合がある。以下、同様である。)における熱収縮率を45~70%の範囲内の値とする。
(C)60~90℃、10秒の熱収縮条件で測定される、主収縮方向に直交する方向(MD方向と称する場合がある。以下、同様である。)における熱収縮率を-1~6%の範囲内の値とする。
(D)85℃の熱収縮条件で測定される、主収縮方向(TD方向)における熱収縮応力を16MPa以下の値とする。
このように、JIS K7121:2012に準拠して、DSCによって測定される、所定融点を有するポリエステル樹脂(特性A)を用いるとともに、TD方向及びMD方向の熱収縮率(特性B及びC)をそれぞれ所定範囲内の値に制限することによって、ポリエステル系熱収縮フィルムが被覆された状態のPETボトルをリサイクルしたような場合であっても、PETボトルのリサイクル性を阻害することを有効に防止できる。
又、かかるポリエステル系熱収縮フィルムによれば、TD方向の熱収縮応力(特性D)を制御することによって、PETボトルの薄肉化等にも適切に対応できる。
【0013】
又、本発明のポリエステル系熱収縮フィルムを構成するにあたり、特性(C´)として、70℃、10秒の熱収縮条件で測定される、主収縮方向に直交する方向(MD方向)における熱収縮率を0~3%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように所定温度条件のMD方向における熱収縮率についても制限することによって、PETボトルの周囲を被覆し、比較的低温で熱収縮させる際であっても、シワやヒケの発生が少なく、結果として、省エネ加熱であっても、良好な外観や正確な情報性等が得られやすくなる。
しかも、このようにMD方向における熱収縮率について制限することによって、ポリエステル系熱収縮フィルム全体の熱収縮性のバランスをとって、PETボトルと一緒にリサイクルしたとしても、粘着性や流動性等を制御して、ペレットを安定的に得ることができる。
【0014】
又、本発明のポリエステル系熱収縮フィルムを構成するにあたり、特性(C´´)として、85℃、10秒の熱収縮条件で測定される、主収縮方向に直交する方向(MD方向)における熱収縮率を1~5%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように比較的高温のMD方向における熱収縮率を制限することによって、シワやヒケの発生が少なく、結果として、良好な外観や正確な情報性等が得られやすくなる。
しかも、比較的高温でのMD方向における熱収縮率について制限することによって、ポリエステル系熱収縮フィルム全体の熱収縮性のバランスをとって、発生する熱収縮応力を低減させ、かつ、PETボトルと一緒にリサイクルしたとしても、ペレットを更に安定的に得ることができる。
【0015】
又、本発明のポリエステル系熱収縮フィルムを構成するにあたり、特性(C´´´)として、60~90℃、10秒の熱収縮条件で測定される、主収縮方向に直交する方向(MD方向)における熱収縮率が、少なくとも1つの極小値を有し、当該極小値を、-1%以上の値とすることが好ましい。
このように所定温度条件のMD方向における熱収縮率のプロフィールが、所定大きさの極小値を有するように制限することによって、温度条件が多少ばらついたような場合であっても、熱収縮させる際に、良好な外観や正確な情報性等が得られやすいことを、簡易な熱収縮曲線の実測やTMA測定等によって、より明確に判断できる。
しかも、所定温度範囲でのMD方向における熱収縮率を制限することによって、ポリエステル系熱収縮フィルム全体の熱収縮性のバランスをとることができ、発生する熱収縮応力を低減させ、かつ、PETボトルと一緒にリサイクルしたとしても、ペレットを更に安定的に得ることができる。
【0016】
又、本発明のポリエステル系熱収縮フィルムを構成するにあたり、特性(C´´´´)として、60~90℃、10秒の熱収縮条件で測定される、主収縮方向に直交する方向(MD方向)の熱収縮率において、少なくとも1つの極大値を有し、当該極大値を、0.8%以上の値することが好ましい。
このように所定温度条件のMD方向における熱収縮率のプロフィールが、所定大きさの極大値を有するように制限することによって、熱収縮させる際に、良好な外観や正確な情報性等が得られやすく、かつ、発生する熱収縮応力が所定値以下であることを、より明確に判断できる。
なお、熱収縮率のプロフィールにおいて、所定大きさの極大値を有するに際して、更に、上述した所定大きさの極小値を同時に有することが好ましい。
【0017】
又、本発明のポリエステル系熱収縮フィルムを構成するにあたり、フィルム厚さを10~100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このような厚さに制限することによって、熱収縮率がより均一になって、結果として、ポリエステル系熱収縮フィルムの特性(B)及び(C)の値を所定範囲にそれぞれ制御しやすくなる。
【0018】
又、本発明のポリエステル系熱収縮フィルムを構成するにあたり、多価カルボン酸が、テレフタル酸(TPA)を主成分とし、ポリアルコールが、エチレングリコール(EG)、ネオペンチルグリコール(NPG)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、ジエチレングリコール(DEG)の少なくとも一つであることが好ましい。
このような種類の原料成分を用いることによって、ポリエステル樹脂に含まれる結晶性を制御し、その結果、JIS K 7122:2012に準拠して測定したDSC曲線から算出される結晶化度や熱収縮率を所定範囲内の値に容易に調整できる。
【0019】
又、本発明のポリエステル系熱収縮フィルムを構成するにあたり、収縮前のフィルムのASTM D1003に準拠して測定されるヘイズ値を7%以下の値とすることが好ましい。
このようなヘイズ値に制限することによって、PETボトル等に対する位置合わせや内容吟味が容易になり、かつ、熱収縮前はもちろんのこと、熱収縮後であっても、透明性、外観性、更には装飾性等に優れたポリエステル系熱収縮フィルムを含むPETボトルとすることができる。
【0020】
又、本発明のポリエステル系熱収縮フィルムを構成するにあたり、ポリエステル系熱収縮フィルムのDSCによって測定される融点における融解ピーク面積に相当する熱量を15~25mJ/mgの範囲内の値とすることが好ましい。
このようなポリエステル系熱収縮フィルムの融点における融解ピーク面積に相当する熱量(ΔH)を所定範囲内の値に制御することにより、結晶構造の存在量をわずかに制限し、しかも、ブロードな融解領域として備えるように調整することができる。
従って、得られるポリエステル系熱収縮フィルムにおいて、所定の結晶構造によって、主成分としてのポリエステル樹脂における機械的強度や透明性等を維持しながら、所定温度での収縮応力や、それぞれ所定温度における熱収縮率の値を、更に容易かつ安定的に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1(a)~(c)は、それぞれポリエステル系熱収縮フィルムの異なる形態を説明するための図である。
図2図2は、実施例1等及び比較例1等における、ポリエステル系熱収縮フィルムの熱収縮温度と、MD方向の熱収縮率との関係を説明するために供する図である。
図3図3は、実施例1及び比較例2における、ポリエステル系熱収縮フィルムの熱収縮温度と、MD方向の熱収縮率との関係において、MD方向の熱収縮率の極大値と極小値を説明するために供する図である。
図4図4は、実施例3における、ポリエステル系熱収縮フィルムの熱収縮温度と、TD方向及びMD方向の熱収縮率との関係を説明するために供する図である。
図5図5は、実施例7における、ポリエステル系熱収縮フィルムの熱収縮温度と、TD方向及びMD方向の熱収縮率との関係を説明するために供する図である。
図6図6は、比較例1における、ポリエステル系熱収縮フィルムの熱収縮温度と、TD方向及びMD方向の熱収縮率との関係を説明するために供する図である。
図7図7は、比較例2における、ポリエステル系熱収縮フィルムの熱収縮温度と、TD方向及びMD方向の熱収縮率との関係を説明するために供する図である。
図8図8は、比較例5における、ポリ塩化ビニル系熱収縮フィルムの熱収縮温度と、TD方向及びMD方向の熱収縮率との関係を説明するために供する図である。
図9図9(a)は、従来のポリエステル系熱収縮フィルムで被覆されたPETボトルのリサイクル工程後の状態を示す図であり、図9(b)は、本発明のポリエステル系熱収縮フィルムで被覆されたPETボトルのリサイクル工程後のリサイクルPET樹脂を示す図である。
図10図10は、実施例1のポリエステル系熱収縮フィルムにおけるDSC曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、図1(a)等に例示するように、多価カルボン酸と、ポリアルコールとの反応生成物であるポリエステル樹脂に由来したポリエステル系熱収縮フィルムである。
そして、下記特性(A)~(D)を有することを特徴とするポリエステル系熱収縮フィルムが提供され、結晶部分を含むものの、低い熱収縮応力を発揮し、上述した課題を解決できる。
(A)ポリエステル樹脂のDSCによって測定される融点を190~255℃の範囲内の値とする。
(B)85℃、10秒の熱収縮条件で測定される、主収縮方向(TD方向)における熱収縮率を45~70%の範囲内の値とする。
(C)60~90℃、10秒の熱収縮条件で測定される、主収縮方向に直交する方向(MD方向)における熱収縮率を-1~6%の範囲内の値とする。
(D)85℃の熱収縮条件で測定される、主収縮方向における熱収縮応力(TD方向)を16MPa以下の値とする。
以下、第1の実施形態のポリエステル系熱収縮フィルムを各構成要件に分けて、適宜、図面を参照しながら、具体的に説明する。
【0023】
1.多価カルボン酸
ポリエステル樹脂の構成成分(原料成分)の一つとしての多価カルボン酸としては、ポリアルコールと反応し、ポリエステル構造を形成できる化合物であれば特に制限されるものではないが、例えば、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪酸ジカルボン酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、あるいは、これらのエステル形成性誘導体等の少なくとも一つが挙げられる。
【0024】
特に、テレフタル酸であれば、ポリアルコールと反応性が良好であって、結晶性のポリエステル構造を形成しやすく、かつ、比較的安価であって、経済的にも有利なことから好適である。
従って、使用する多価カルボン酸の全体量を100モル%としたときに、テレフタル酸の使用量を90モル%以上の値とすることが好ましく、95~100モル%の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0025】
2.ポリアルコール
(1)種類
又、ポリエステル樹脂の構成成分の一つとしてのポリアルコールは、複数の反応性水酸基を有する化合物であれば特に制限されるものではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、あるいは、1,4-シクロヘキサンジメタノールと異なる脂環式ジオールや、芳香族ジオール等の少なくとも一つを配合することも好ましい。
このようなポリアルコールを用いることによって、多価カルボン酸と適度に反応させ、結晶性等が所定範囲に制御されたポリエステル樹脂が得られやすいためである。
【0026】
又、これらのポリアルコール中、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等から選ばれた1種以上のポリアルコールを用いることがより好ましい。
すなわち、これらの特定ポリアルコールを用いることによって、多価カルボン酸と反応させて得られるポリエステル樹脂の融点、熱収縮率、熱収縮応力等を所定範囲内の値に、更に容易に調整できるためである。
【0027】
従って、使用するポリアルコールの全体量を100モル%としたときに、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等から選ばれた1種以上のポリアルコールの使用量を90モル%以上の値とすることが好ましく、95~100モル%の範囲内の値とすることがより好ましい。
そして、必要に応じ、ポリエステル系熱収縮フィルムの熱特性や機械的特性を変化させるために、他のジカルボン酸及びポリアルコール、あるいはヒドロキシカルボン酸を使用しても良く、それぞれ単独使用であっても、あるいは、混合物としての組み合わせであっても良い。
【0028】
(2)反応量
又、ポリアルコールの反応量も特に制限されるものではないが、通常、テレフタル酸等を80モル%以上含む多価カルボン酸100モルと、ポリアルコール130~220モルの割合で反応させることが好ましく、ポリアルコール150~210モルの割合で反応させることが好ましく、ポリアルコール180~200モルの割合で反応させることが更に好ましく、かつ、これらの反応物を結晶化させてなるポリエステル樹脂であることが好適である。
【0029】
その場合、ポリエステル樹脂における結晶性の目安としては、JIS K 7122:2012に準拠して測定したDSC曲線から算出される結晶化度として、1~15%の範囲内の値とすることが好ましく、2~10%の範囲内の値とすることがより好ましく、3~8%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
すなわち、かかるDSC曲線において、融解ピーク面積から求められる融解熱量(ΔHm)及び結晶化ピーク面積から求められる結晶化熱量(ΔHc)と、結晶化ポリエチレンテレフタレートの完全結晶化熱量(ΔHm0)から、下式(1)に従って、ポリエステル樹脂の結晶化度を算出することができる。
【0030】
【数1】
【0031】
ΔHm:融解熱量(J/g)
ΔHc:結晶化熱量(J/g)
ΔHm0:140.2J/g(結晶化ポリエチレンテレフタレートの完全結晶化熱量)
【0032】
3.ポリエステル樹脂
(1)融点
又、特性(A)として、ポリエステル樹脂の融点を190~255℃の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる融点が190℃未満の値になると、PETボトルをリサイクルする際の乾燥工程において、ポリエステル系熱収縮フィルムを用いた表示ラベルが融解してしまい、PETボトルリサイクル片を互着させてしまう場合があるためである。
一方、かかる融点が、255℃を超えた値になると、ラベルに用いるポリエステル系熱収縮フィルムの原反シートの押出加工及び延伸加工に必要な熱量が高くなりすぎ、加工が困難になる場合があるためである。
【0033】
従って、ポリエステル樹脂の融点を200~250℃の範囲内の値とすることがより好ましく、210~240℃の範囲内の値とすることが更に好ましい。
そして、かかるポリエステル樹脂の融点は、例えば、DSCを用いて得られるプロフィールにおいて、吸熱反応として示される融解熱のピーク温度である融解ピーク温度(Tpm)として測定できる(以下、同様である)。
なお、かかる融解熱のピークにおける面積(ピーク面積)や半値幅等から、ポリエステル樹脂の結晶性を推定することができる。
【0034】
(2)平均分子量
又、ポリエステル樹脂の固有粘度(IV値)を0.65~0.85dL/gの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる固有粘度が、0.65dL/g未満の値になると、溶融粘度が低すぎて、押出成形性に問題が生じる場合があるためである。
一方、かかる固有粘度が、0.85dL/gを超えた値になると、溶融粘度が高すぎて、押出成形性にも問題が生じる場合があるためである。
【0035】
従って、固有粘度を0.68~0.83dL/gの範囲内の値とすることがより好ましく、0.7~0.8dL/gの範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、ポリエステル樹脂の固有粘度は、JIS K 7390に準拠して測定できる(以下、同様である)。
【0036】
(3)添加剤
又、ポリエステル系熱収縮フィルムには、必要に応じて酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、金属石鹸、ワックス、防かび剤、抗菌剤、造核剤、難燃剤、スリップ剤などの添加剤を配合することも好ましい。
特に、フィルム表面の滑り性を向上させるために、炭酸カルシウム系粒子、シリカ系粒子、ガラス系粒子等の無機系スリップ剤を含有することが好ましい。
【0037】
又、添加剤の添加方法は特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。但し、簡便かつ均一混合性に優れていることから、マスターバッチによる添加が好適である。
例えば、アンチブロッキング剤を配合する際のポリエステル樹脂系マスターバッチの具体例(市販品)として、シリカマスターバッチ(Contains:20%Silica、Sukano社製、商品名:G dc S559-E)等が挙げられる。
その他、熱収縮フィルムの物性、特に収縮率や熱収縮応力を損なわない範囲で、他の樹脂を配合することも好ましい。
【0038】
4.熱特性
(1)熱収縮率1
ポリエステル系熱収縮フィルムが、熱収縮率に関する特性として、少なくとも下記特性(B)~(C)を有することを特徴とする。
そして、図2に、後述する実施例1等及び比較例1等における、ポリエステル系熱収縮フィルムの熱収縮温度と、MD方向の熱収縮率との関係を示す。
なお、熱収縮率は、ASTM D2732-08に準拠して測定される。又、熱収縮率測定に際し、所定の前処理として、23℃、50%RHの雰囲気下において、40時間以上放置する処理を行っている(以下、同様である。)。
【0039】
1)特性(B)
特性(B)として、85℃、10秒(例えば、温水中、以下、同様である。)の熱収縮条件で測定される、主収縮方向(TD方向)における熱収縮率を45~70%の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、このように所定温度で熱収縮させた場合のTD方向における熱収縮率を所定範囲内の値に制御することによって、シワになりにくく、かつ、ヒケの発生が少なくなり、結果として、良好な外観が得られやすくなるためである。
又、比較的高温でのTD方向における熱収縮率について制限することによって、ポリエステル系熱収縮フィルム全体の熱収縮性のバランスをとって、発生する熱収縮応力を低減させ、かつ、PETボトルと一緒にリサイクルしたとしても、ペレットを更に安定的に得ることができるためである。
従って、かかるTD方向における熱収縮率を50~65%の範囲内の値とすることがより好ましく、55~63%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0040】
2)特性(C)
特性(C)として、60~90℃、10秒の熱収縮条件で測定される、主収縮方向に直交する方向(MD方向)における熱収縮率を-1~6%の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、所定温度範囲で熱収縮させた場合に、MD方向における熱収縮率を所定範囲に制御することによって、シワになりにくく、かつ、ヒケの発生が少なくなり、結果として、良好な外観が得られやすくなるためである。
又、所定温度でのMD方向における熱収縮率について制限することによって、ポリエステル系熱収縮フィルム全体の熱収縮性のバランスをとって、発生する熱収縮応力を低減させ、かつ、PETボトルと一緒にリサイクルしたとしても、ペレットを更に安定的に得ることができるためである。
従って、特性(C)として、かかるMD方向における熱収縮率を0~5%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5~3%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0041】
(2)熱収縮率2
1)特性(C´)
又、特性(C´)として、70℃、10秒の熱収縮条件で測定される、主収縮方向に直交する方向(MD方向)における熱収縮率を0~3%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、所定温度範囲で熱収縮させた場合に、MD方向における熱収縮率を所定範囲に制御することによって、更にシワの発生やヒケの発生が少なくなり、良好かつ平滑な外観が得られやすくなるためである。
又、比較的高温でのMD方向における熱収縮率について制限することによって、ポリエステル系熱収縮フィルム全体の熱収縮性のバランスをとって、発生する熱収縮応力を低減させ、かつ、PETボトルと一緒にリサイクルしたとしても、ペレットを更に安定的に得ることができるためである。
従って、特性(C´)として、かかるMD方向における熱収縮率を0~2.5%の範囲内の値とすることがより好ましく、0~2%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0042】
2)特性(C´´)
又、特性(C´´)として、85℃、10秒の熱収縮条件で測定される、主収縮方向に直交する方向(MD方向)における熱収縮率を1~5%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、所定温度範囲で熱収縮させた場合に、MD方向における熱収縮率を所定範囲に制御することによって、更にシワの発生やヒケの発生が少なくなり、良好かつ平滑な外観が得られやすくなるためである。
又、比較的高温でのMD方向における熱収縮率について制限することによって、ポリエステル系熱収縮フィルム全体の熱収縮性のバランスをとって、発生する熱収縮応力を低減させ、かつ、PETボトルと一緒にリサイクルしたとしても、ペレットを更に安定的に得ることができるためである。
従って、特性(C´´)として、かかるMD方向における熱収縮率を1.5~4.5%の範囲内の値とすることがより好ましく、2~4%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0043】
3)特性(C´´´)
又、特性(C´´´)として、60~90℃、10秒の熱収縮条件で測定される、主収縮方向に直交する方向(MD方向)における熱収縮率が、少なくとも1つの極小値を有し、当該極小値を、-1%以上の値とすることが好ましい。
この理由は、所定大きさの極小値を有するように制限することによって、熱収縮させる際に、更にシワの発生やヒケの発生が少なくなり、良好かつ平滑な外観が得られやすいことを、熱収縮の実測やTMA等により、明確に判断できるためである。
しかも、所定温度でのMD方向における熱収縮率について、プロフィール形状(極小値)とともに制限することによって、ポリエステル系熱収縮フィルム全体の熱収縮性のバランスをとって、発生する熱収縮応力を確実に低減させ、かつ、PETボトルと一緒にリサイクルしたとしても、ペレットを更に安定的に得ることができるためである。
従って、特性(C´´´)として、かかるMD方向における熱収縮率の極小値を0~5%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5~3%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0044】
ここで、図2図3等における特性曲線において、熱収縮率の極小値は、その極小値に対応した熱収縮温度の前後の範囲で最も小さい熱収縮率であって、熱収縮率の値を微分した場合に、変化点の傾きが0となる箇所(極値)と定義することができる。
より具体的には、図3中の実施例1の場合、極小値は、熱収縮温度80℃における変化点であって、その値は、1.4%である。
それに対して、図3中の比較例2の場合、極小値は、熱収縮温度75℃における変化点であって、その値は、-8.0%である。
【0045】
又、熱収縮させる際に、シワになりにくく、良好な外観が得られやすいことを確実に行うため、特性(C´´´)に関して、MD方向における熱収縮率が、60~90℃の所定温度範囲において、マイナスとならず、プラスとなることがより好ましいと言える。
【0046】
4)特性(C´´´´)
又、特性(C´´´´)として、60~90℃、10秒の熱収縮条件で測定される、主収縮方向に直交する方向(MD方向)における熱収縮率が、少なくとも1つの極大値を有し、当該極大値を、0.8%以上の値することが好ましい。
この理由は、このように所定温度条件のMD方向における熱収縮率のプロフィールが、所定大きさの極大値を有するように制限することによって、熱収縮させる際に、シワになりにくく、良好な外観が得られやすいことを、熱収縮の実測やTMA等により、明確に判断できるためである。
しかも、所定温度でのMD方向における熱収縮率について、プロフィール形状(極大値)とともに制限することによって、ポリエステル系熱収縮フィルム全体の熱収縮性のバランスをとって、発生する熱収縮応力を確実に低減させ、かつ、PETボトルと一緒にリサイクルしたとしても、ペレットを更に安定的に得ることができるためである。
従って、特性(C´´´´)として、かかるMD方向における熱収縮率の極大値を1~8%の範囲内の値とすることがより好ましく、1.2~5%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0047】
ここで、図2図3等における特性曲線において、熱収縮率の極大値は、その極大値に対応した熱収縮温度の前後の範囲で最も大きい熱収縮率であって、熱収縮率の値を微分した場合に、変化点の傾きが0となる箇所と定義することができる。
より具体的には、図3中の実施例1の場合、極大値は、熱収縮温度75℃における変化点であって、その値は、2.1%である。
それに対して、図3中の比較例2の場合、極大値は、熱収縮温度65℃における変化点であって、その値は、2.0%である。
【0048】
(3)熱収縮率3
又、ポリエステル系熱収縮フィルムにおいて、通常、熱収縮条件として、60℃、10秒で測定される、主収縮方向(TD方向)における熱収縮率を0~1%の範囲内の値とし、70℃、10秒で測定される主方向における熱収縮率を0.5~10%の範囲内の値とし、80℃、10秒で測定される主方向における熱収縮率を40~65%の範囲内の値とし、90℃、10秒で測定される主方向における熱収縮率を50~75%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ポリエステル系熱収縮フィルムにおいて、60℃、70℃、80℃、及び90℃、10秒でそれぞれ測定される主収縮方向における熱収縮率が、上述した所定範囲内の値から外れると、ポリ塩化ビニル系熱収縮フィルムと同様の、薄肉から厚肉や、複雑形状の各種PETボトルに対応するという、汎用性が得られない場合があるためである。
【0049】
従って、ポリエステル系熱収縮フィルムにおいて、60℃、10秒で測定される、主収縮方向(TD方向)における熱収縮率を0~0.5%の範囲内の値とし、70℃、10秒で測定される主方向における熱収縮率を1~9%の範囲内の値とし、80℃、10秒で測定される主方向における熱収縮率を45~60%の範囲内の値とし、90℃、10秒で測定される主方向における熱収縮率を55~70%の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0050】
(4)熱収縮応力
又、特性(D)として、85℃の熱収縮条件で測定される、主収縮方向における熱収縮応力を16MPa以下の値とする。
この理由は、85℃で測定される熱収縮応力が16MPaを超えた値になると、ポリ塩化ビニル系熱収縮フィルムと同様の熱収縮応力が得られず、その結果、薄肉から厚肉の各種PETボトルに対応できるという汎用性が得られない場合があるためである。
【0051】
従って、かかる熱収縮応力を3~15MPaの範囲内の値とすることがより好ましく、6~14MPaの範囲内の値とすることが更に好ましい。
又、85℃における熱収縮応力は、ISO14616-1997に準拠したフィルム熱収縮試験機を用いて測定される、長尺状の試験片についての85℃における熱収縮力(N/15mm)を、その試験片の厚みで除して算出できる。
【0052】
(5)厚さ
又、ポリエステル系熱収縮フィルムの厚さは、各種PETボトルの形態に対応させて変更できるが、通常、20~100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるポリエステル系熱収縮フィルムの厚さが20μm未満の値になると、取り使いが困難になって、破断強度等が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかるポリエステル系熱収縮フィルムの厚さが100μmを超えた値になると、所定温度で加熱した場合に、均一に熱収縮しない場合があったり、あるいは、均一な厚さに製造したりすることが困難となる場合があるためである。
従って、ポリエステル系熱収縮フィルムの厚さを25~70μmの範囲内の値とすることがより好ましく、30~50μmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、ポリエステル系熱収縮フィルムの厚さは、ISO4593に準拠して、マイクロメータ((株)ミツトヨ社製、製品名「シックネスゲージ547-401」)を用いて測定できる。
【0053】
(6)機能層
本発明の目的等を損なわない範囲において、ポリエステル系熱収縮フィルムは、必要に応じて各種機能を付与するための機能層を有することも好ましい。
かかる機能層としては、表面滑性、耐汚染性、耐候性等を付与するためのコーティング層、転写層、意匠性を付与するための印刷層等が挙げられる。
そして、これらの中でも、特に、界面活性剤を用いたコーティング層であれば、帯電防止性及び表面滑性の向上に大きく寄与することから、機能層として好ましい態様である。
【0054】
例えば、図1(b)に示すように、これらの各種添加剤の少なくとも一つを含む他の樹脂層10a、10bを、ポリエステル系熱収縮フィルム10の片面、又は両面に、積層することも好ましい。
その場合、ポリエステル系熱収縮フィルムの厚さを100%としたときに、追加で積層する他の樹脂層の単層厚さ又は合計厚さを、通常、0.1~10%の範囲内の値とすることが好ましい。
そして、他の樹脂層を構成する主成分としての樹脂は、ポリエステル系熱収縮フィルムと同様のポリエステル樹脂が好ましいが、あるいは、それとは異なるアクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂等の少なくとも一つであっても良い。
【0055】
更に、ポリエステル系熱収縮フィルムを多層構造にして、耐加水分解性や耐擦傷性を向上させたり、あるいは、図1(c)に示すように、ポリエステル系熱収縮フィルムの収縮率が、面内で均一になったりするように、ポリエステル系熱収縮フィルム10の表面に、収縮率調整層10cを設けることも好ましい。
かかる収縮率調整層は、ポリエステル系熱収縮フィルムの収縮特性に応じて、接着剤、塗布方式、あるいは加熱処理等によって、ポリエステル樹脂等からなる所定層として、積層できる。
【0056】
(7)融解ピーク面積に相当する熱量
又、ポリエステル系熱収縮フィルムの融点における融解ピーク面積に相当する熱量を15~25mJ/mgの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるポリエステル系熱収縮フィルムにおいて、かかる融点における融解ピーク面積に相当する熱量を所定範囲の値に制御することで、結晶構造の存在量をわずかに制限し、しかも、ブロードな融解領域として備えるように調整することができるためである。
従って、得られるポリエステル系熱収縮フィルムにおいて、ブロードな少々の結晶構造によって、主成分としての、ポリエステル樹脂に由来する機械的強度や透明性等を維持しながら、所定温度での収縮応力や、それぞれ所定温度における熱収縮率の値を、更に容易かつ安定的に調整することができる。
逆に言えば、かかるポリエステル系熱収縮フィルムにおいて、融解ピーク面積に相当する熱量が、上述した範囲内の値から外れると、過度に結晶構造を含むことになり、ポリ塩化ビニル系熱収縮フィルム等の熱特性や機械的特性と更に近似させることが困難になる場合があるためである。
従って、かかるポリエステル系熱収縮フィルムのDSCを用いて測定される融解ピーク面積に相当する熱量については、16~24mJ/mgの範囲内の値とすることがより好ましく、17~23mJ/mgの範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0057】
ここで、図10に言及して、ポリエステル系熱収縮フィルムのDSC曲線を説明する。
すなわち、図10は、DSC測定により得られた、実施例1のポリエステル系熱収縮フィルムのDSC曲線を示している。
かかるDSC曲線を得るに際して、通常、Step1(昇温速度10℃/minで、25℃から280℃まで昇温)で一旦高温域まで昇温させる。次いで、図示されていないものの、Step2(降温速度30℃/minで、280℃から25℃まで降温)で一旦低温域まで降温させ、更に、Step3(昇温速度10℃/minで、25℃から280℃まで昇温)で再度高温域に昇温させ、ガラス転移温度を示す熱曲線として得ることができる。
そして、少なくともStep1でのDSC曲線から、補外融解開始温度(以下、単に融解開始温度と称する場合がある。)、融点(融解ピーク温度)、補外融解終了温度(以下、単に融解終了温度と称する場合がある。)、及び融解ピーク面積に相当する熱量を、精度良く測定することができる。
【0058】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態のポリエステル系熱収縮フィルムの製造方法である。
以下、各工程に分けて、具体的に説明する。
【0059】
1.原材料の準備及び混合工程
原材料として、結晶性ポリエステル樹脂ペレット、ゴム系樹脂、帯電防止剤、加水分解防止剤、無機系スリップ剤等の、主剤や添加剤を準備する。
かかる準備の際に、主成分となる結晶性ポリエステル樹脂ペレットを、所定温度(通常、結晶温度から-10℃低い温度)で所定時間(一般に3~10時間)、加熱して、絶乾状態に乾燥することが好ましい。
次いで、攪拌容器内に、秤量しながら、結晶性ポリエステル樹脂ペレット等を投入し、攪拌装置を用いて、均一になるまで、混合攪拌することが好ましい。
【0060】
2.原反シートの作成工程
次いで、典型的には、押し出し成形(T-ダイ法)、あるいは、インフレーション法やキャスト成形法により行い、所定厚さの原反シートを作成することが好ましい。
より具体的には、例えば、押出温度245℃の条件で、押出機により、押し出し成形を行い、所定厚さ(通常、200~300μm)の原反シートを得ることができる。
【0061】
3.ポリエステル系熱収縮フィルムの作成
次いで、得られた原反シートにつき、熱収縮フィルム製造装置(テンター)を用い、ロール上やロール間を移動させながら、加熱押圧して、ポリエステル系熱収縮フィルムを作成する。
但し、かかる収縮性を発現させるための延伸処理方法としては、インフレーション法、ロール延伸法、テンター延伸法及びそれらの組み合わせが知られている。
そして、生産性がより良好なことから、キャスト成形法によるシート成形及びロール延伸とテンター延伸の組み合わせが更に好適である。
【0062】
すなわち、所定の延伸温度、延伸倍率で、フィルム幅を基本的に拡大させながら、加熱押圧しながら、所定方向に延伸することにより、ポリエステル系熱収縮フィルムを構成するポリエステル分子を所定形状に結晶化させることが好ましい。
そして、その状態で固化させることによって、装飾やラベル等として用いられる熱収縮性のポリエステル系熱収縮フィルムを作成できる。
なお、通常、Tダイ法やインフレーション法等によって原反シートを製造した後、かかる原反シートを樹脂のガラス転移温度以上の温度に加熱し、主延伸方向(フィルムの原反シートの幅方向、すなわち、TD方向)に3~8倍、好ましくは4~6倍程度に延伸することが好ましい。
【0063】
4.ポリエステル系熱収縮フィルムの検査工程
作成したポリエステル系熱収縮フィルムにつき、連続的又は間断的に、下記特性等を測定し、所定の検査工程を設けることが好ましい。
すなわち、所定の検査工程によって、下記特性等を測定し、所定範囲内の値に入ることを確認することによって、より均一な収縮特性等を有するポリエステル系熱収縮フィルムとできる。
1)ポリエステル系熱収縮フィルムの外観についての目視検査
2)厚さのばらつき測定
3)引張強度測定(ASTM D882)
4)引張伸び測定(ASTM D882)
5)表面滑り性検査(ASTM D1894)
6)比重測定(ASTM D792)
7)リングクラッシュ試験(TAPPI T882)
8)引裂強度測定(ASTM D1922)
9)DSCによる融点(融解ピーク温度)及び融解ピーク面積に相当する熱量の測定
【実施例
【0064】
以下、本発明を実施例に基づき、詳細に説明する。但し、特に理由なく、本発明の権利範囲が、実施例の記載によって狭められることはない。
又、実施例において用いた結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、及び添加剤は、以下の通りである。
なお、非晶性ポリエステル樹脂の欄に記載した固有粘度(IV値)は、フェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタン(重量比=1/1)の混合溶媒中、温度30℃で、ウベローデ粘度計を用いて測定した。
【0065】
(PET1)
ポリエステル樹脂(Eastman Chemical社製、商品名「Embrace Encore」、ガラス転移温度(Tg):74℃、融点:217℃、密度:1.3g/cm3
【0066】
(PETG1)
ジカルボン酸:テレフタル酸100モル%、ジオール:エチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコールからなる非晶性ポリエステル樹脂(Eastman Chemical社製、商品名「Embrace LV」、ガラス転移温度(Tg):68.2℃、融点無し、固有粘度(IV値):0.7、密度:1.30g/cm3
【0067】
(PETG2)
ジカルボン酸:テレフタル酸100モル%、ジオール:エチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコールからなる非晶性ポリエステル樹脂(Eastman Chemical社製、商品名「Easter Copolyester GN001」、ガラス転移温度(Tg):80℃、融点無し、密度:1.27g/cm3
【0068】
(PVC)
塩化ビニル樹脂(Shintech社製、商品名「SE800」、K値:60.6~62.0)
【0069】
(添加剤(Anti-Blocking Agent))
ポリエチレンテレフタレート樹脂80質量部に対し、シリカを20質量部配合してなるシリカマスターバッチ(Sukano社製、商品名「G dc S559-E」、20重量%のSilica含有品)
【0070】
[実施例1]
1.ポリエステル系熱収縮フィルムの作成
結晶性ポリエステル樹脂として、PET1を準備した。
次いで、攪拌容器内に、準備したPET1を1000g投入した。
又、熱収縮フィルムのアンチブロッキング剤として、所定条件で乾燥させた上述のAnti-Blocking Agentを、PET1を100重量部としたときに、1重量部の割合で配合し、熱収縮フィルム形成用原料とした。
【0071】
次いで、この熱収縮フィルム形成用原料を、ベント式2軸押出機を用いて押出温度245℃の条件で、押出機により、押し出し成形を行い、厚さ250μmの原反シートを得た。
最後に、熱収縮フィルム製造装置を用い、原反シートから、予備加熱温度120℃、延伸温度84℃、アニーリング温度86.5℃、延伸倍率(MD方向:1.06倍、TD方向:5倍)で、厚さ40μmで、当該厚さのばらつきが5%未満のポリエステル系熱収縮フィルムを作成した。
【0072】
2.ポリエステル系熱収縮フィルムの評価
(1)熱収縮率
得られたポリエステル系熱収縮フィルムにつき、ASTM D2732-08に準拠して、熱収縮率を測定した。
すなわち、主収縮方向(TD方向)に沿った長さが100mm、非主収縮方向(MD方向)に沿った長さが100mmの四角形状となるように切断し、それを測定試料とした。
【0073】
次いで、5℃きざみで、60~100℃に温度制御された温水を内部に収容した恒温槽に、それぞれ10秒間浸漬し、熱収縮させた。
次いで、それぞれの温度において、加熱処理前後の寸法変化から、下式(2)に準じて、主収縮方向及び非主収縮方向の熱収縮率(%)をそれぞれ算出した。
【0074】
【数2】
【0075】
(2)熱収縮応力
得られたポリエステル系熱収縮フィルムにつき、ISO14616-1997に準拠して、熱収縮応力を測定した。
すなわち、得られたポリエステル系熱収縮フィルムを、主収縮方向に沿った長さが90mm、非主収縮方向に沿った長さが15mmの短冊状となるように切断し、それを試験片とした。
【0076】
次いで、フィルム熱収縮試験機(Labthink社製、製品名「FST-02」)を用いて、85℃における試験片の熱収縮応力(N/15mm)を測定した。
次いで、得られた収縮力を、厚さ(40μm)で除して、85℃における熱収縮応力(MPa)とした。
【0077】
(3)ヘイズ
得られたポリエステル系熱収縮フィルムにつき、ASTM D1003に準拠して、ヘイズメータ(BYK社製、製品名「haze-gard dual」)を用いてヘイズ値を測定し、下記基準に準じて評価した。
◎:ヘイズ値が7%以下である。
〇:ヘイズ値が10%以下である。
△:ヘイズ値が13%以下である。
×:ヘイズ値が13%を超えている。
【0078】
(4)DSC測定
得られたポリエステル系熱収縮フィルムにつき、DSC装置(株式会社日立ハイテクサイエンス社製、製品名「DSC7000X」)を用い、所定条件下に、融解開始温度、融点(融解ピーク温度)、融解終了温度、融解ピーク面積に相当する熱量をそれぞれ測定した。
より具体的には、ポリエステル系熱収縮フィルムのサンプルをドライオーブンで60℃にて6時間以上乾燥させた。
次いで、当該サンプルを、示差走査熱量計にセットして、Step1(昇温速度10℃/minで、25℃から280℃まで昇温)で一旦高温域まで昇温させた。次いで、Step2(降温速度30℃/minで、280℃から25℃まで降温)で一旦低温域まで降温させた。最後に、Step3(昇温速度10℃/minで、25℃から280℃まで昇温)で再度高温域に昇温させた。そして、Step1で得られたDSC曲線から、融解開始温度、融点(融解ピーク温度)、融解終了温度、及び融解ピーク面積に相当する熱量をそれぞれ測定した。
【0079】
[実施例2~7]
実施例2~7において、表1に示すように、ポリエステル系熱収縮フィルムの厚さ(μm)、予備加熱温度(℃)、延伸温度(℃)、アニーリング温度(℃)、及び延伸倍率(%)等を変えた他は、実施例1と同様に、ポリエステル系熱収縮フィルムを作成し、評価した。それぞれ得られた結果を表2に示す。
又、実施例3及び7については、図4及び図5に、それぞれ熱収縮温度と、TD方向及びMD方向の熱収縮率との関係を説明するための特性曲線を示す。
【0080】
[比較例1]
比較例1において、表1に示すように、ポリエステル系熱収縮フィルムの厚さ(μm)、予備加熱温度(℃)、延伸温度(℃)、アニーリング温度(℃)、及び延伸倍率(%)等を変えた他は、実施例1と同様に、ポリエステル系熱収縮フィルムを作成し、評価した。得られた結果を表2に示す。
【0081】
又、図6に、比較例1における、ポリエステル系熱収縮フィルムの熱収縮温度と、TD方向及びMD方向の熱収縮率との関係を説明するために供する図を示す。
【0082】
[比較例2]
比較例2において、表1に示すように、PET樹脂として、上述したPETG1を用いた以外、実施例1と同様に、ポリエステル系熱収縮フィルムを作成し、評価した。得られた結果を表2に示す。
【0083】
又、図7に、比較例2における、ポリエステル系熱収縮フィルムの熱収縮温度と、TD方向及びMD方向の熱収縮率との関係を説明するために供する図を示す。
【0084】
[比較例3]
比較例3において、表1に示すように、PET樹脂として、上述したPETG1を用いた以外、実施例1と同様に、ポリエステル系熱収縮フィルムを作成し、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例4]
比較例4において、表1に示すように、PET樹脂として、上述したPETG1及びPETG2(配合比=70/30)を用いた以外、実施例1と同様に、ポリエステル系熱収縮フィルムを作成し、評価した。得られた結果を表2に示す。
【0085】
[比較例5]
比較例5において、表1に示すように、上述したポリ塩化ビニル樹脂(PVC)を用いて、ポリ塩化ビニル系熱収縮フィルムを作成した以外は、実施例1と同様に、各温度での熱収縮率等を評価した。得られた結果を表2に示す。
又、図8に、比較例5における、ポリ塩化ビニル系熱収縮フィルムの熱収縮温度と、TD方向及びMD方向の熱収縮率との関係を説明するために供する図を示す。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明によれば、少なくとも特性(A)~(D)を有することによって、ポリエステル系熱収縮フィルムが被覆された状態のPETボトルを一緒にリサイクルした場合であっても、所定形状のペレットを効果的かつ安定的に作成することができ、かつ、PETボトルの薄肉化等にも対応できるように、熱収縮時に発生する熱収縮応力等が低いポリエステル系熱収縮フィルムが提供できるようになった。
従って、本発明のポリエステル系熱収縮フィルムによれば、薄肉であっても、厚肉であっても、更には複雑形状であっても、各種PETボトル等の被覆のみならず、各種PETボトル等と一緒にリサイクルできることから、結果として、汎用性を著しく広げることができ、その産業上の利用可能性は極めて高いと言える。
【符号の説明】
【0089】
10:ポリエステル系熱収縮フィルム
10a:他の樹脂層1
10b:他の樹脂層2
10c:収縮率調整層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】