(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】ソノトロード
(51)【国際特許分類】
A61N 7/00 20060101AFI20230901BHJP
【FI】
A61N7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023502904
(86)(22)【出願日】2021-07-15
(85)【翻訳文提出日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 IB2021056408
(87)【国際公開番号】W WO2022013815
(87)【国際公開日】2022-01-20
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512021667
【氏名又は名称】アルマ レーザーズ エルティディ.
【氏名又は名称原語表記】ALMA LASERS LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】ブリツバ,アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ディベリン,アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ペンズ,エフゲニー
(72)【発明者】
【氏名】トレダノ,オハッド
(72)【発明者】
【氏名】ブレンナー-ラヴィ,ハニト
(72)【発明者】
【氏名】ベロゼルチェフ,アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ファープシュタイン,アヴィ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ22
4C160JJ33
4C160MM32
(57)【要約】
皮下組織に超音波振動を経皮的に誘起すること及び/又は光等の電磁放射線によるエネルギーを皮下組織に経皮的に供給することによって、皮下組織の処置に適した装置が開示される。いくつかの実施形態では、皮下組織の処置は、その中の皮下脂肪の量を減少させるのに有効である。いくつかの実施形態では、エネルギーの経皮的な放射線供給及び皮下組織における超音波振動の経皮的な誘起は、同時に、交互に、又は無関係な様式で行うことができる。いくつかの実施形態では、装置は、皮下組織において超音波横振動及び超音波縦振動の両方を同時に経皮的に誘起する。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮下組織を処置するのに適した装置(72、132、142、146)であって:
a.近位面(14)及び遠位面(18)を有する超音波振動の生成のための超音波トランスデューサ(12)と;
b.ソノトロード軸(28)を有するソノトロード(74、118、126、128、134)と、を備え、当該ソノトロードは:
i.前記超音波トランスデューサ(12)の前記遠位面(18)と接触し、音響的に結合された近位面(56)と、
ii.より小さな半径の近位端(78)及びより大きな半径の遠位端(80)を有する円錐部分(76)であって、前記円錐部分(76)が、外側円錐表面(84)及び内側円錐表面(86)を有する円錐壁(82)によって画定され、内側円錐表面(86)が少なくとも部分的に中空(88)を画定する円錐部分と、
iii.リング状の近位面(92)及びリング状の遠位面を有する前記円錐部分(76)の前記遠位端(80)から径方向外側に伸びるリング部分(90)であって、前記リング状の遠位面がソノトロード(74)の作用面(94)であり、前記作用面(94)の孔(96)が前記中空(88)の開放端を構成しているリング部分(90)と、を含む装置。
【請求項2】
前記ソノトロード(74、128、134)の前記作用面(94)の前記孔(96)を通して皮膚表面に吸引を印加するように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記吸引の引用と前記ソノトロードの作動とを同時に可能にして、皮下組織に超音波振動を誘起するように構成された、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ソノトロード(118、134)の前記作用面(94)の前記孔(96)を通して見える皮膚表面に電磁放射線を照射するように構成された、請求項1に記載の装置(132、142、146)。
【請求項5】
皮膚表面の前記照射と前記ソノトロードの作動とを同時に可能にして、皮下組織に超音波振動を誘起するように構成された、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ソノトロード(134)の前記作用面(94)の前記孔(96)を通して皮膚表面に吸引を印加するように更に構成された、請求項4~5の何れか1項に記載の装置。
【請求項7】
皮膚表面の前記照射;吸引の前記印加;及び前記ソノトロードの作動からなる群から選択された少なくとも2つの機能の同時作動を可能にして、皮下組織に超音波振動を誘起するように構成された、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記超音波トランスデューサは、遠位端及び近位端を有する軸ボルトを含むランジュバン型トランスデューサである、請求項1~7の何れか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記軸ボルト(75)は、前記軸ボルト(75)の前記遠位端と前記近位端との間に軸方向通路(108)を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記孔(96)の直径は、前記リング部分(90)の直径の10%~70%の間である、請求項1~9の何れか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記ソノトロードは、ステム(104)を更に備え、前記ステムは、前記ソノトロードの前記近位面(56)である近位面と、前記円錐壁(82)の前記近位端(78)である遠位端と、を有する、請求項1~10の何れか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記ソノトロードは、前記トランスデューサ(12)の付近の前記中空(88)と前記ソノトロードの外側との間に近位チャネル(112)を備える、請求項1~10の何れか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記超音波トランスデューサ(12)が、前記軸ボルト(75)の遠位端と近位端との間に軸方向通路(108)を有する軸ボルト(75)を含むランジュバン型トランスデューサであり、
前記ソノトロードは、前記軸ボルト(75)の前記遠位端を係合するためのボア(106)を備え、
前記ソノトロードの前記近位チャネル(112)と前記軸ボルトの前記軸方向通路(108)とが共に、前記中空(88)と前記軸ボルト(75)の前記近位端との間の連通を提供するようになっている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ソノトロードは、前記円錐壁(82)を通して前記中空(88)と前記ソノトロードの外側との間の連通を提供する非軸貫通チャネル(130)を備える、請求項1~13の何れか1項に記載の装置。
【請求項15】
皮下組織を処置するのに適した装置(72、132、142、146)であって:
a.近位面(14)及び遠位面(18)を有する超音波振動の生成のための超音波トランスデューサ(12)と;
b.ソノトロード軸(28)を有するソノトロード(74、118、134)と、を備え、当該ソノトロードは:
i.前記超音波トランスデューサ(12)の前記遠位面(18)と接触し、音響的に結合された近位面(56)と、
ii.前記ソノトロードにおける開放端の中空(88)と、
ii.遠位面と、を含み、前記遠位面は、前記ソノトロードの作用面(94)であって、前記作用面(94)の孔(96)は、前記中空(88)の開放端を構成し、
前記ソノトロード(118、134)の前記作用面(94)の前記孔(96)を通して見える皮膚表面に電磁放射線を照射するよう構成された装置。
【請求項16】
皮膚表面の前記照射と前記ソノトロードの作動とを同時に可能にして、皮下組織に超音波振動を誘起するように構成された、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記中空は、前記中空の前記開放端における断面積が、前記中空の近位端における断面積より大きい、請求項15~16の何れか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記放射線は、UV光、可視光、IR光、テラヘルツ放射線及びマイクロ波放射線からなる群から選択される範囲の波長を有する、請求項15~17の何れか1項に記載の装置。
【請求項19】
レーザー、ダイオードレーザー、固体レーザー、半導体レーザー、非コヒーレント光源、LED、フラッシュランプ及びIPL(int intense pulsed light)源からなる群から選択される光源をさらに備える、請求項15~18の何れか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記放射線は、前記中空(88)の近位端から前記作用面(94)の前記孔(96)に向かって軸方向に伝播するように構成された、請求項15~19の何れか1項に記載の装置(72、132、142)。
【請求項21】
皮下組織を処置するのに適した装置(72、132、142、146)であって:
a.近位面(14)及び遠位面(18)を有する超音波振動の生成のための超音波トランスデューサ(12)と;
b.ソノトロード軸(28)を有するソノトロード(74、118、134)と、を備え、当該ソノトロードは:
i.前記超音波トランスデューサ(12)の前記遠位面(18)と接触し、音響的に結合された近位面(56)と、
ii.前記ソノトロードにおける開放端の中空(88)と、
ii.遠位面と、を含み、前記遠位面は、前記ソノトロードの作用面(94)であって、前記作用面(94)の孔(96)は、前記中空(88)の開放端を構成し、
前記超音波トランスデューサは、遠位端及び近位端を有する軸ボルト(75)と、前記軸ボルト(75)の前記遠位端及び前記近位端の間の軸方向通路(108)とを含むランジュバン型のトランスデューサである、装置。
【請求項22】
前記ソノトロードは、前記ソノトロードの近位端の付近で前記中空(88)と前記ソノトロードの外側との間の連通を提供する近位チャネル(112)を含み、
前記ソノトロードは、前記軸ボルト(75)の前記遠位端を係合するためのボア(106)を含み、
前記ソノトロードの前記近位チャネル(112)は、前記中空(88)と前記ボア(106)との間の連通を提供し、
それによって、前記軸ボルト(75)の前記軸方向通路(108)と前記ソノトロードの前記近位チャネル(112)とが共に、前記中空(88)と前記軸ボルト(75)の前記近位端との間の連通を提供する、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
超音波振動で組織を処置するための装置(162、164)であって:
i.作用面(26)を有するソノトロード(20)と;
ii.前記ソノトロード(26)に機能的に関連付けられた、超音波トランスデューサ(12)と、
iii.前記超音波トランスデューサ(12)に機能的に関連付けられた、超音波駆動周波数で発振する交流電流を供給して前記超音波トランスデューサ(12)を駆動するように構成された超音波電源(34)と、
iv.前記作用面(26)を超音波周波数で振動させるためのユーザコマンドを受信し、そのようなコマンドの受信に続いて、前記作用面(26)を1秒当たり少なくとも2パルスの速度で周期的に超音波振動させるために装置(162、164)の他の構成要素を作動させるように構成されたコントローラ(160)であって、各パルスが250ミリ秒未満の持続時間を有し、任意の2つの前記パルスが少なくとも10ミリ秒の休止位相によって分離されるコントローラ(160)と、を備える装置。
【請求項24】
前記パルスの持続時間と前記休止位相の持続時間との比率が、動作の1秒の間に、30%パルス/70%休止位相~70%パルス/30%休止位相の間である、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記超音波電源(34)によって提供される前記駆動交流電流の波形は、矩形波である、請求項23~24の何れか1項に記載の装置。
【請求項26】
前記パルスの周波数は、20Hz以下である、請求項23~25の何れか1項に記載の装置。
【請求項27】
前記パルスの周波数は、3Hz以上である、請求項23~26の何れか1項に記載の装置。
【請求項28】
前記パルスの周波数は、約5Hz以上、約10Hz以下である、請求項23~25の何れか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本願は、2020年7月16日に出願された米国仮特許出願63/052,828及び2021年4月9日に出願された英国特許出願GB 2105076.0から優先権を獲得し、これらの両方は、本明細書に十分示されるかのように参照によって含まれる。
【0002】
[発明の分野及び背景]
本発明は、いくつかの実施形態において、エネルギーによる体組織の処置に関し、より詳細には、皮下組織に超音波振動を経皮的に誘起すること、及び/又は皮下組織に光等の電磁放射線によるエネルギーを経皮的に供給することによる皮下組織の処置のための装置に関するが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、皮下組織の処置は、その中の皮下脂肪の量を減少させるのに有効である。いくつかの実施形態では、エネルギーの経皮的な放射線供給及び皮下組織における超音波振動の経皮的な誘起は、同時に、交互に又は無関係な様式で実行することができる。いくつかの実施形態では、装置は、皮下組織において超音波横振動及び縦振動の両方を同時に経皮的に誘起する。
【背景技術】
【0003】
当該技術分野では、例えばボディスカルピングの分野において、皮膚表面に超音波振動を印加して超音波振動を経皮的に誘起し、皮下脂肪組織層等の皮下組織に音響的にエネルギーを供給して脂肪細胞に損傷を与えることが知られている。
【0004】
表面への超音波振動の印加は、典型的には、音響反射器16と機能的に関連付けられた近位面14及び遠位面18を有する超音波縦振動生成用の超音波トランスデューサ12(例えば、圧電素子のスタックと軸ボルト17によって一緒に保持された音響反射器16とからなるランジュバン型トランスデューサ)と、近位面22、音響放射面を構成するソノトロード20の作用面26を画定する遠位端24及びソノトロード軸28を有する遠位ソノトロード20とを含む装置10(
図1参照)によって実施され、ここで、ソノトロード20の近位面22は、超音波トランスデューサ12の遠位面18に音響結合される。典型的には、音響反射器16及びソノトロード20の何れか又は両方は、使用中にこれらの構成要素を冷却するために、冷却構成要素、例えば水循環式冷却ジャケットによって少なくとも部分的に取り囲まれている。
【0005】
使用にあたっては、ソノトロード20の作用面26が(例えば、直接接触により、又は結合物質、例えば、液体又はゲルを介した間接接触により)媒体32の表面30に音響的に結合されている間、超音波駆動周波数で発振する交流電流(AC)が超音波電源34から供給されて超音波トランスデューサ12が駆動される。超音波トランスデューサ12の圧電素子は、交流電位の発振に応じて駆動周波数で伸縮し、これにより駆動周波数の周波数で超音波縦振動を発生させる。発生した超音波縦振動は、ソノトロードの近位面22から作用面26までソノトロード20内を軸28と平行に伝播する。作用面26は、超音波縦振動を表面30に印加し、媒体32に超音波縦振動を誘起させる。
【0006】
実用化のためには、超音波縦振動の振幅(即ち、遠位作用面26の最大変位)を、ソノトロード20の近位面22で比較的小さいものから作用面26で実質的により大きいものにし、典型的には10~150μmにする音響振幅変換器として機能するようにソノトロードを構成することが有利である。このような構成は、ソノトロードの全長36(近位面22から作用面26まで)がλlongitudinal/2の整数倍であることを含み、λlongitudinalは、ソノトロードの超音波縦振動の波長であり、ソノトロードが半波長共振器として機能する。長さλlongitudinal/2の正確な値は、駆動周波数と、ソノトロード20の軸28に沿った縦方向の音速とに依存する。
【0007】
音響振幅変換器として機能するようにソノトロードを構成する追加の態様は、ソノトロードが、大きな断面の近位端22から作用面26に近い小さな断面まで遠位にテーパーを付けることである。最も一般的なこのようなテーパー付き音響振幅変換器の構成は、
図2に側断面で概略的に示されている:
図2Aは直線状テーパーソノトロード38a、
図2Bは指数関数状テーパーソノトロード38b、
図2Cは階段状テーパーソノトロード38cである。
【0008】
図1、2A、2B又は2Cにそれぞれ示されているようなソノトロード20、38a、38b又は38cが使用される場合、媒体32内に誘起される、ソノトロード内の超音波振動は、全てではないにしても、ソノトロードの軸28と同一線上に伝播する縦振動が主体となっている。超音波縦振動によって経皮的に供給されるエネルギーの生物学的効果は、主に組織の加熱、特に真皮の加熱から生じる。
【0009】
本明細書に十分示されるかのように参照により含まれる特許公開US2011/0213279において、発明者の一部は、「きのこ型」ソノトロードを開示した。
図2Dにおいて、そのようなキノコ形ソノトロード38dは、上述のように音響振幅変換器として機能するテーパー付きステム40(特に、
図2Cに示された階段状テーパーソノトロード38cに類似する)及びより広い遠位キャップ42を有する側面断面で概略的に示される。遠位キャップ42は、湾曲した裏面44と凸状の作用面26とを有するレンズに似た側断面において、レンズ状である。ソノトロード38dの作用面26はまた、同心円状の横波伝達隆起46を含む。
【0010】
US2011/0213279に詳述されているように、38dのようなソノトロードは、作用面26が皮膚と音響的に結合されたときに、駆動周波数の値に応じて、皮下組織に超音波縦振動又は超音波横振動を経皮的に誘起するように動作する。
【0011】
いかなる1つの理論にも拘束されることを望むことなく、ある駆動周波数では、超音波トランスデューサ12によって生成された超音波縦振動は、近位面22から作用面26まで38dのようなキノコ型ソノトロードの軸28と平行に優先的に伝播することが、現在、信じられている。これらの超音波縦振動は、主にソノトロード38dの超音波縦振動を導き、作用面26と音響的に結合した皮膚表面へと作用面26によって印加され、皮下組織に超音波縦振動を経皮的に誘起させる。
【0012】
しかしながら、いくつかの他の異なる駆動周波数では、超音波トランスデューサ12によって生成された超音波縦振動は、ソノトロード38dのキャップ42において優先的に超音波せん断波振動を生成し、超音波せん断波振動はステム40における縦振動に対して垂直である。即ち、トランスデューサ12によってソノトロード38dに伝達されるエネルギーのより大きな割合は、軸28と平行な超音波縦振動よりも、軸28と垂直なキャップ42内の超音波せん断波振動にある。その結果、作用面26は実質的に横方向に振動し、おそらくは交互に径が大きくなったり小さくなったりする。振動する作用面26が皮膚表面に適用されると、超音波せん断波振動は、作用面26の凸形状により、及び皮膚及び組織を物理的に横方向に動かすと考えることができる同心円状の横波伝達隆起46により、皮下組織に超音波横波振動を誘起する。38dのようなソノトロードを含む装置は、2つの動作モードを提供し:
音響振幅変換器として作用するように構成されるソノトロード38dの波長λLに関連する第1の駆動周波数において、作用面26を介して皮下組織に経皮的に供給されるエネルギーが主に皮膚表面に垂直な超音波縦振動による、第1の「ホット」又は「縦」モードと、
第1の駆動周波数とは異なる第2の駆動周波数において、作用面26を介して皮下組織に経皮的に供給されるエネルギーが主に皮膚表面に平行な超音波横振動による、第2の「コールド」又は「横」モードと、を提供する。US2011/0213279に記載されているように、比較的低エネルギーの「コールド」超音波横波は、脂肪細胞の細胞膜を繰り返し伸ばし、その後これらを弛緩させることによって、明らかに脂肪細胞を破壊するが、周囲の非脂肪組織には実質的に付帯的な損傷を引き起こさない。
【0013】
US2011/0213279に記載されたいくつかの好ましい実施形態では、第1モードの超音波縦波振動と第2モードの超音波せん断波振動とが、38dのようなキノコ型ソノトロードを介して交互に印加される。超音波縦振動は、作用面26によって皮膚表面に印加され(典型的には約5秒の持続時間)、真皮等の皮下組織を加熱する超音波縦波が経皮的に誘起される。その後、超音波せん断波振動が作用面26によって皮膚表面に印加され(典型的には約15秒の持続時間)、超音波横振動が誘起されて脂肪細胞を破壊する。超音波縦振動による先行加熱のため、超音波横振動はより深く及び/又はより効果的に浸透し、及び/又はエネルギーのより大きな割合が脂肪組織の所定の深さまで浸透し、及び/又は加熱された組織は改善されたエネルギー吸収特性を有する。
【0014】
ボディスカルピングの分野では非常に効果的であるが、US2011/0213279に記載されているようなソノトロードは、せん断波振動が連続的に印加されないため、2つの異なる駆動周波数の生成及び切り替えに必要な複雑さが追加されるため、及びユーザが作用面を被処置対象の異なる部分上であまりにも速く動かすと、処置の結果が理想的ではないと考えられる場合があるため、いくつかの用途では理想的ではないと考えられることがある。
【0015】
本明細書に十分示されるかのように参照によって含まれる特許公開US2019/0091490において、発明者の一部は、皮下組織において超音波横振動及び超音波縦振動の両方を同時に経皮的に誘起するソノトロードを開示し、振動の両方のモードは、実質的エネルギーを供給する十分な強度を有して、所望の生体効果、例えば、誘起縦振動による組織の実質的加熱及び誘起横振動による脂肪細胞の実質的破壊を達成する。更に、2つのモードの各1つによって供給されるエネルギーは、「バランスが取れている」、即ち、当該技術分野の通常の技能を有するボディスカルピング技術者による通常の使用中に、誘起超音波横振動は、US2011/0213279に記載されているように、脂肪細胞を効果的に破壊するために十分に強く、同時に誘起超音波縦振動は、十分に皮下組織を加熱するために十分に強く、体組織の潜在的な破局的過熱(例えば、やけど、瘢痕化)を容易に引き起こすほど強くならずに誘起超音波横振動の効力を増加する。発明者は、横振動及び縦振動の両方を連続的かつ同時に誘起することが、例えば、皮下組織の脂肪の減少のために、US2019/0091490に開示されたソノトロードの特定の効力を導くものであると信じている。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、いくつかの実施形態において、エネルギーによる体組織の処置に関し、より詳細には、皮下組織に超音波振動を経皮的に誘起すること、及び/又は皮下組織に光等の電磁放射線によるエネルギーを経皮的に供給することによる皮下組織の処置のための装置に関するが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、皮下組織の処置は、その中の皮下脂肪の量を減少させるのに有効である。いくつかの実施形態では、エネルギーの経皮的な放射線供給及び皮下組織における超音波振動の経皮的な誘起は、同時に、交互に又は無関係な様式で実行することができる。いくつかの実施形態では、装置は、皮下組織において超音波横振動及び超音波縦振動の両方を同時に経皮的に誘起する。
【0017】
[円錐部を有するソノトロードを備えた装置]
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、皮下組織を処置するのに適した装置が提供され、それは、
a.近位面及び遠位面を有する超音波振動の生成のための超音波トランスデューサと;
b.ソノトロード軸を有するソノトロードと、を備え、それは:
i.超音波トランスデューサの遠位面と接触し、音響的に結合された近位面と、
ii.より小さな半径の近位端及びより大きな半径の遠位端を有する円錐部分であって、円錐部分が外側円錐表面及び内側円錐表面を有する円錐壁によって画定され、内側円錐表面が少なくとも部分的に中空を画定する円錐部分と、
iii.リング状の近位面及びリング状の遠位面を有する円錐部分の遠位端から径方向外側に伸びるリング部分であって、前記リング状の遠位面がソノトロードの作用面であり、作用面の孔が中空の開放端を構成しているリング部分と、を備える。
【0018】
いくつかの実施形態では、装置は、ソノトロードの作用面の孔を通して見える皮膚表面に電磁放射線を照射するように構成されている。照射のための構成は、放射線が中空の内部から中空の開放端に向かって来るようになっている。ここで用いられるような、作用面の孔を通して見える皮膚表面とは、作用面が皮膚表面に接触したときに、ソノトロードの作用面の孔によって取り囲まれる皮膚表面の面積を示す。
【0019】
いくつかの実施形態では、超音波トランスデューサは、遠位端と近位端とを有する軸ボルトを含むランジュバン型トランスデューサである。いくつかのそのような実施形態では、軸ボルトは、ボルトの遠位端と近位端との間に軸方向通路を含む。いくつかのそのような実施形態では、軸方向通路は、ボルトの遠位端と近位端との間の(例えば、空気の)流体連通を提供する。加えて又は代替的に、いくつかの実施形態では、軸方向通路は、ボルトの遠位端と近位端との間の(例えば、光等の電磁放射線の)光連通を提供する。加えて又は代替的に、いくつかの実施形態では、軸方向通路は、ボルトの遠位端と近位端との間の物理的構成要素の通路(例えば、光ファイバーを例とする導光体等の導波管、吸引導管、材料供給導管)を提供する。
【0020】
いくつかの実施形態では、作用面の孔の直径は、リング部分の直径の10%以上70%以下である。
【0021】
いくつかの実施形態において、ソノトロードは、ステムを更に備え、ステムは、ソノトロードの近位面である近位面と、円錐壁の近位端である遠位端とを有する。
【0022】
[ソノトロードに中空を設けた装置]
本発明のいくつかの実施形態は、中空を有する任意の形状を有する中空ソノトロードに関する。したがって、本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、皮下組織を処置するのに適した装置が提供され、それは、
a.近位面及び遠位面を有する超音波振動の生成のための超音波トランスデューサと;
b.ソノトロード軸を有するソノトロードと、を備え、それは、:
i.超音波トランスデューサの遠位面に接触し、音響的に結合された近位面と、
ii.前記ソノトロードにおける開放端の中空と、
iii.遠位面と、を含み、前記遠位面は、ソノトロードの作用面であって、作用面の孔は、中空の開放端を構成する。
中空ソノトロードは、外壁面及び内壁面を有するソノトロード壁を備え、その内壁面は、少なくとも部分的に中空を画定している。いくつかの実施形態では、作用面はリング状である。
【0023】
いくつかのそのような実施形態では、中空を設けたソノトロードを有する装置は、ソノトロードの作用面の孔を通して見える皮膚表面に電磁放射線を照射するように構成される。照射のための構成は、放射線が中空内部から中空の開放端に向かって照射されるようになっている。中空の形状は、任意の適切な形状である。好ましい実施形態では、中空は、例えば、本明細書に記載される円錐形の中空等、中空の近位端(トランスデューサの遠位面付近)における(ソノトロードの軸に垂直な)断面積より大きい中空の開放端における(ソノトロードの軸に垂直な)断面積を有する。このような形状は、任意の1つの瞬間に照射される皮膚の表面積をより大きくすることを可能にする。
【0024】
皮膚を照射するための構成に加えて又は代替的に、いくつかの実施形態では、超音波トランスデューサは、遠位端と近位端とを有する軸ボルトを含むランジュバン型トランスデューサである。いくつかのそのような実施形態では、軸ボルトは、ボルトの遠位端と近位端との間に軸方向通路を含む。いくつかのそのような実施形態では、軸ボルトは、ボルトの遠位端と近位端との間に軸方向通路を含む。いくつかのそのような実施形態では、軸方向通路は、ボルトの遠位端と近位端との間の(例えば、空気の)流体連通を提供する。加えて又は代替的に、いくつかの実施形態では、軸方向通路は、ボルトの遠位端と近位端との間の(例えば、光等の電磁放射線の)光連通を提供する。加えて又は代替的に、いくつかの実施形態では、軸方向通路は、ボルトの遠位端と近位端との間の物理的構成要素の通路(例えば、光ファイバーを例とする導光体等の導波管、吸引導管及び/又は医薬品若しくは化粧品処置用組成物等の材料の供給のための材料供給導管)を提供する。
【0025】
[近位チャネル]
いくつかの実施形態では、中空を有するソノトロードを備える本明細書に教示の装置において(円錐部分を有するか否かに拘らず)、ソノトロードは、ソノトロードの近位端の近く、例えばソノトロードの近位面において中空とソノトロードの外側との間に近位チャネルを更に備える。いくつかのそのような実施形態では、近位チャネルは、中空とソノトロードの外側との間の(例えば、空気の)流体連通を提供する。加えて又は代替的に、いくつかの実施形態では、近位チャネルは、中空とソノトロードの外側との間の(例えば、光等の電磁放射線の)光連通を提供する。加えて又は代替的に、いくつかの実施形態では、近位チャネルは、中空とソノトロードの外側との間の物理的構成要素の通路(例えば、光ファイバーを例とする導光体等の導波管、吸引導管及び/又は材料供給導管)を提供する。いくつかの実施形態では、超音波トランスデューサは、軸ボルトの遠位端と近位端との間に軸方向通路を有する軸ボルトを含むランジュバン型トランスデューサであり、ソノトロードは、軸ボルトの遠位端と係合するためのボアを備え、ソノトロードの近位チャネルと軸ボルトの軸方向通路が共にソノトロードの中空と軸ボルトの近位端との間に連通を提供するようになっている。
【0026】
いくつかの実施形態では、連通は、中空と軸ボルトの近位端との間の(例えば、空気の)流体連通である。
【0027】
加えて又は代替的に、いくつかの実施形態では、そのときの連通は、中空と軸ボルトの近位端との間の(例えば、光等の電磁放射線の)光連通である。
【0028】
加えて又は代替的に、いくつかのそのような実施形態では、連通は、中空と軸ボルトの近位端との間の物理的構成要素の通路(例えば、光ファイバーを例とする導光体等の導波管、吸引導管及び/又は材料供給導管)の提供である。
【0029】
[非軸貫通チャネル]
いくつかの実施形態では、中空を有するソノトロードを備える本明細書に教示の装置において(円錐部分を有するか否か、中空と軸ボルトの近位端との間に連通を有するか否かに拘らず)、ソノトロードは、内面が中空を画定する壁(例えば、いくつかの実施形態では円錐壁)及び/又は存在すればステムを介して中空とソノトロードの外側との間に非軸貫流チャネルを備える。いくつかの実施形態では、非軸貫通チャネルは、中空と外側との間の(例えば、空気の)流体連通を提供する。加えて又は代替的に、いくつかの実施形態では、非軸貫通チャネルは、中空と外側との間の(例えば、光等の電磁放射線の)光連通を提供する。加えて又は代替的に、いくつかのそのような実施形態では、非軸貫通チャネルは、中空と外側との間の物理的構成要素の通路(例えば、光ファイバーを例とする導光体等の導波管、吸引導管、材料供給導管)を提供する。
【0030】
[吸引の印加]
いくつかの実施形態では、中空を有するソノトロードを備える本明細書に教示の装置において(円錐部分を有するか否かに拘らず)、ソノトロードの作用面の孔を通して見える皮膚表面に吸引を付与するように構成される。いくつかのそのような実施形態では、装置は、吸引発生器(例えば、真空ポンプ)と、中空及び吸引発生器の間に流体連通を提供する導管とに機能的に関連付けられ、吸引発生器の作動がチャネルを通して中空からの空気の排出をもたらすようにし:作用面が皮膚表面に接触すると、吸引発生器による中空からの空気の排出が中空内の部分真空をもたらし、それによって孔を通して見える皮膚表面に吸引を印加する。いくつかの実施形態において、機能的に関連付けられた吸引発生器及び/又は導管は、装置の構成要素である。あるいは、いくつかの実施形態では、機能的に関連付けられた吸引発生器及び/又は導管は、装置の構成要素ではない。
【0031】
いくつかのそのような実施形態では、装置は、トランスデューサの作動と同時に、作用面の孔を通して見える皮膚表面への吸引の印加を可能にするように構成されて、皮下組織に超音波振動を誘起する。
【0032】
加えて又は代替的に、いくつかのそのような実施形態において、装置は、トランスデューサの作動と交互に、作用面の孔を通して見える皮膚表面への吸引の印加を可能にするように構成されて、皮下組織に超音波振動を誘起する。
【0033】
加えて又は代替的に、いくつかのそのような実施形態において、装置は、トランスデューサの作動とは独立して、作用面の孔を通して見える皮膚表面への吸引の印加を可能にするよう構成されている。
【0034】
このような機能を同時に、交互に及び/又は独立して作動させるための構成は、当業者であれば明らかであり、スイッチ、配線、電源、及び適切に構成されたコントローラのうちの1つ以上を含む。
【0035】
[照射]
いくつかの実施形態では、中空を有するソノトロードを備える本明細書に教示の装置は(円錐部分を有するか否かに拘らず)、ソノトロードの作用面の孔を通して見える皮膚表面に電磁放射線を照射できるように構成される
【0036】
以下により詳細に論じるように、いくつかのそのような実施形態では、装置は、開口部を含む放射線源と機能的に関連付けられ、この開口部は、(いくつかの実施形態では導波管を介して)中空と光連通される。放射線源の作動は、放射線源からの電磁放射線によるソノトロードの作用面の孔を通して見える皮膚表面の照射をもたらす。いくつかの実施形態では、機能的に関連付けられた放射線源及び/又は任意の導波管は、装置の構成要素である。あるいは、いくつかの実施形態では、機能的に関連付けられた放射線源及び/又は任意の導波管は、装置の構成要素ではない。
【0037】
いくつかのそのような実施形態では、装置は、トランスデューサの作動と同時に、作用面の孔を通して見える皮膚表面の照射を可能にするように構成されて、皮下組織に超音波振動を誘起する。
【0038】
加えて又は代替的に、いくつかのそのような実施形態において、装置は、トランスデューサの作動と交互に、作用面の孔を通して見える皮膚表面の照射を可能にするように構成されて、皮下組織に超音波振動を誘起する。
【0039】
加えて又は代替的に、いくつかのそのような実施形態において、装置は、トランスデューサの作動とは独立して、作用面の孔を通して見える皮膚表面の照射を可能にするように構成されている。
【0040】
このような機能を同時に、交互に及び/又は独立して作動させるための構成は、当業者であれば明らかであり、スイッチ、配線、電源、及び適切に構成されたコントローラのうちの1つ以上を含む。
【0041】
いくつかのそのような実施形態では、装置は、少なくとも3つの機能のために構成され、それは:
ソノトロードの作用面の孔を通して見える皮膚表面の電磁放射線による照射を可能にすること;
作用面の孔を通して見える皮膚表面への吸引の印加を可能にすること;及び
トランスデューサの作動時に皮下組織において超音波振動を誘起すること、である。
【0042】
いくつかの実施形態では、このような装置は:皮膚表面の照射;吸引の印加;及びトランスデューサの作動、からなる群から選択された少なくとも2つの機能の同時作動を可能にするように構成される。
【0043】
加えて又は代替的に、いくつかの実施形態では、このような装置は:皮膚表面の照射、吸引の印加、及びトランスデューサの作動、からなる群から選択された少なくとも2つの機能の交互の作動を可能にするように構成される。
【0044】
加えて又は代替的に、いくつかの実施形態では、このような装置は:皮膚表面への照射、吸引の印加、及びトランスデューサの作動、からなる群から選択された少なくとも2つの機能の独立した作動を可能にするように構成される。
【0045】
このような機能を同時に、交互に及び/又は独立して作動させるための構成は、当業者であれば明らかであり、スイッチ、配線、電源、及び適切に構成されたコントローラのうちの1つ以上を含む。
【0046】
装置が、ソノトロードの作用面の孔を通して見える皮膚表面を電磁放射線で照射するように構成されている実施形態では(円錐部分を有するか否かに拘らず)、照射は、任意の適切な範囲に波長を有する電磁放射線である。いくつかの実施形態では、範囲は、以下からなる群から選択される:
紫外光(10~400nmの範囲の波長を有する);
可視光(400~750nmの範囲の波長を有する);
赤外光(750nm~15μmの範囲の波長を有する);
テラヘルツ波(10μm~1mm(30~0.3THz)の範囲の波長を有する);
マイクロ波(1mm~1m(300GHz~0.3GHz)の範囲の波長を有する)。
【0047】
UV光による照射のために構成された実施形態において、好ましいUV光は、UV-C(100~280nm)、UV-B(280~315nm)及び/又はUV-A(315~400nm)である。
【0048】
IR光による照射のために構成された実施形態において、好ましいIR光は、NIR光(750nm~1.4μmの範囲の波長を有する);短IR光(1.4μm~3μmの範囲の波長を有する);中波IR光(3μm~8μmの範囲の波長を有する);及び長波IR光(8μm~15μmの範囲の波長を有する)である。
【0049】
いくつかのそのような実施形態では、作用面の孔を通して見える皮膚表面に放射線を照射することは、作用面の孔を通して見える皮膚表面を光(即ち、IR光、可視光、UV光)で照射することである。
【0050】
電磁放射線の波長は、典型的には、経皮的な皮下組織処置の技術分野において知られる波長、例えば1060nmを有する光等、体組織に対して有用な効果を有する波長として選択される。
【0051】
いくつかの実施形態において、装置は、放射線が、中空の近位端から中空の開放端である作用面の孔に向かって軸方向に伝播するように構成されている。いくつかの代替的な実施形態において、装置は、放射線が、中空の近位端とは異なる場所から非軸方向に中空の中に入るように構成される。
【0052】
いくつかの実施形態では、このような照射のための装置の構成は、装置が、放射線源の開口部(放射線が出現する放射線源の部分)に関連付けられる近位端を有する導波管を備え、導波管の遠位端がソノトロードの中空内部に通じていて、導波管が放射線源から中空内部への光連通を提供する。その結果、導波管の近位端に機能的に関連付けられた放射線源によって生成された放射線は、導波管によって、関連付けられた放射線源の開口部からソノトロードの中空内に向けられる。そのような実施形態では、適切な導波管が存在する限り、任意の寸法を有する任意の放射線源を使用することができ、本明細書に記載されるような装置の構成要素とすることができる。いくつかのそのような実施形態では、放射線源は、装置の構成要素である。あるいは、いくつかのそのような実施形態では、放射線源は、装置の構成要素ではない。以下においてより詳細に論じられるように、いくつかの実施形態において、導波管の一部は、ソノトロード軸と平行に装置の構成要素(例えば、トランスデューサ)を通過し、いくつかのそのような実施形態において、その近位端から中空に入る。あるいは、いくつかの実施形態では、導波路の一部は、内面が中空を画定する壁(いくつかの実施形態では円錐壁である)を通して中空とソノトロードの外側との間の連通を提供する非軸貫通チャネルを通過する。光放射線のために、適切な導波路は、光ファイバーや光パイプを含む。マイクロ波及びテラヘルツ放射線のために、適切な導波管は、例えば、誘電体導波管又はFairview Microwave社(米国テキサス州ルイスビル)から入手可能な導波管等の、可撓性の小寸法導波管である。
【0053】
あるいは、いくつかの実施形態において、このような照射のための装置の構成は、装置が放射線源を更に備え、導波管を欠くことである。いくつかのそのような実施形態では、放射線源は、中空の内部に配置されている。いくつかのそのような実施形態では、放射線源は、ソノトロードの物理的構成要素の内部に配置されている。いくつかの実施形態では、放射線源の開口部は、ソノトロードの中空内に向けられる。いくつかの実施形態では、放射線源の開口部は、中空の近位端からソノトロードの中空内に向けられる。あるいは、いくつかの実施形態では、放射線源の開口部は、内面が中空を画定する壁(いくつかの実施形態では円錐壁である)を通して中空とソノトロードの外側との間の連通を提供する非軸貫通チャネルを通してソノトロードの中空内に向けられる。いくつかの実施形態では、開口部からの放射線は、ソノトロードの軸と平行に伝播する。いくつかの実施形態では、開口部からの放射線は、ソノトロードの軸と平行でなく伝播する。
【0054】
[放射線源]
放射線源は、装置の一部であるか否かにかかわらず、任意の適切な放射線源である。
【0055】
光放射線(UV、可視、IR)のために、任意の適切な光放射線源が使用されてよい。いくつかのそのような実施形態において、好適な光源は、所望の波長の光を生成するためのダイオードレーザー、固体レーザー又は半導体レーザー等のレーザーを含む。いくつかの実施形態において、好適な光源は、LED、フラッシュランプ(例えば、Xe又はKr等のハロゲンランプ)又は他の強パルス光(IPL)源等の非コヒーレント光源を備える。
【0056】
マイクロ波放射線のために、任意の適切なマイクロ波放射線源が使用されてよい。いくつかのそのような実施形態において、適切な放射線源は、所望の波長のマイクロ波放射線を生成するためのマグネトロン、好ましくは小型マグネトロン(中国広東省のSunchonglic社から入手可能なもの等)を備える。
【0057】
テラヘルツ放射線のために、任意の好適なテラヘルツ放射線源が使用されてよい。いくつかのそのような実施形態において、好適な放射線源は、テラヘルツ源、好ましくは、所望の波長を有するテラヘルツ放射線を生成するための小型源(米国カリフォルニア州サンノゼのTeraSense Group社から入手可能なもの等)を備える。
【0058】
[反射表面]
いくつかの実施形態では、中空の内面(例えば、内側円錐表面)の少なくとも一部は、放射線に対して反射性(拡散反射性及び/又は鏡面反射性)であるように構成され、いくつかの実施形態では、中空の内面の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%及び少なくとも90%は、反射性である。いくつかの実施形態において、反射性とは、表面の反射性部分の反射率が、通常の入射で少なくとも60%、より好ましくは通常の入射で少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、更には少なくとも95%の反射率であることを意味する。このような実施形態では、中空の内面に接触した放射線が反射されて、作用面の孔を通して見える皮膚表面を潜在的に照射する。当業者であれば、過度の実験をすることなく、特定の波長の放射線に対して所望の程度までソノトロードの中空の内面を反射性にするのに適した材料について熟知している。例えば、いくつかの実施形態では、放射線が光である場合、例えば、アルミニウムソノトロードの内面を研磨又はコーティングすることによって、例えば、銀等の反射性金属層の銀化、メッキ、蒸着、電子ビーム蒸着、イオンアシスト電子ビーム蒸着によって、必要ならば、非反射性酸化物層の形成を防ぐための保護層でのコーティングによって、中空部の内面が鏡面化される。いくつかの実施形態において、反射性となるように構成された中空の内面の部分の少なくとも一部は、銀鏡である。加えて又は代替的に、いくつかの実施形態では、反射性となるように構成された中空の内面の部分の少なくとも一部は、アルミニウム鏡である。つまり、好ましい実施形態では、中空の内面は拡散反射性である。
【0059】
[光学素子]
装置がソノトロードの作用面の孔を通して見える皮膚表面を電磁放射線で照射するように構成されている実施形態では(円錐部分を有するか否かにかかわらず)、装置は、放射線を屈折させる少なくとも1つの光学素子を更に備える。典型的には、光学素子は、放射線を屈折させるように構成されていて:
放射線の少なくとも一部を中空の開放端へと向けて;
放射線の少なくとも一部を中空の内面から離して向けて;
放射線を中空の開放端で所望の方法で分配する。
例えば、いくつかの実施形態では、光学素子は、放射線源からの放射線のビームを広げて、例えば、光のための凹面レンズのように、中空の開放端の領域に亘ってより均一に分配されるように構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、光学素子は、放射線のビームの方向を、中空の内面へと向けられることから、中空の開放端へと向けられることに変更するように構成される。いくつかのそのような実施形態では、光学素子は、ソノトロードの中空の内部及び/又はソノトロードの物理的構成要素の内部にある。光放射線のために、適切な光学素子は、レンズ、プリズム及び回折格子を含む。マイクロ波放射線のために、適切な光学素子は、遅延レンズ、高速レンズ、誘電体レンズ、拘束レンズ、フレネルゾーンレンズ、ルネブルグレンズ等のレンズアンテナを含む。テラヘルツ放射線のために、適切な光学素子は、独国プラネックのMenlo Systems有限会社から入手可能なようなテラヘルツレンズを含む。
【0060】
[パルス式超音波治療器]
本明細書に教示のいくつかの実施形態の態様によれば、超音波振動で組織を処置するための装置も提供され、この装置は:
i.作用面を有するソノトロードと;
ii.ソノトロードに機能的に関連付けられた超音波トランスデューサと、
iii.超音波トランスデューサに機能的に関連付けられ、超音波駆動周波数で発振する交流電流(AC)を供給して超音波トランスデューサを駆動するように構成された超音波電源と、
iv.作用面を超音波周波数で振動させるためのユーザコマンドを受信し、そのようなコマンドの受信に続いて、作用面を1秒当たり少なくとも2パルスの速度で周期的に超音波振動させるために装置の他の構成要素を作動するように構成されたコントローラであって、各パルスが250ミリ秒未満の持続時間を有し、任意の2パルスが少なくとも10ミリ秒の休止位相によって分離されるコントローラと、
を備える。
【0061】
本明細書に教示のいくつかの実施形態の態様によれば、超音波振動で組織を処置するための方法も提供され、この方法は:
ソノトロードの作用面を組織表面と音響的に結合することと;
処置持続時間の間、作用面を超音波周波数で1秒当たり少なくとも(超音波振動の)2パルスの速度で周期的に振動させることであって、各パルスは250ミリ秒未満の持続時間を有し、任意の2パルスが少なくとも10ミリ秒の休止位相によって分離されることと、
を含み、
ここで、パルスの強度及び処置持続時間が所望の結果を得るのに十分である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図を参照して本明細書で説明される。説明は、図と共に、本発明のいくつかの実施形態がどのように実施され得るかを、当業者に対して明らかにしている。図は、例示的な説明のためのものであり、本発明の基本的な理解に必要な以上に詳細に実施形態の構造的な詳細を示すことは試みられていない。明確にするために、図に示されたいくつかのものは、縮尺通りではない。
【0063】
【
図1】(先行技術)媒体の表面を通して媒体に超音波振動を印加する装置を概略的に示す。
【
図2A】(先行技術)音響振幅変換器として機能するように構成されたソノトロード(直線状テーパーソノトロード)を概略的に示す。
【
図2B】(先行技術)音響振幅変換器として機能するように構成されたソノトロード(指数関数状テーパーソノトロード)を概略的に示す。
【
図2C】(先行技術)音響振幅変換器として機能するように構成されたソノトロード(階段状テーパーソノトロード)を概略的に示す。
【
図2D】(先行技術)音響振幅変換器として機能するように構成されたソノトロード(US2011/0213279によるキノコ型テーパーソノトロード)を概略的に示す。
【
図3】(先行技術)US2019/0091490によるソノトロードの一実施形態を概略的に示す図である。
【
図4A】皮膚表面への吸引の印加のために構成された本明細書に教示の一実施形態による装置及びソノトロードを概略的に示す、装置の側面図である。
【
図4B】皮膚表面への吸引の印加のために構成された本明細書に教示の一実施形態による装置及びソノトロードを概略的に示す、ソノトロードの側面図である。
【
図4C】皮膚表面への吸引の印加のために構成された本明細書に教示の一実施形態による装置及びソノトロードを概略的に示す、ソノトロードの側断面図である。
【
図4D】皮膚表面への吸引の印加のために構成された本明細書に教示の一実施形態による装置及びソノトロードを概略的に示す、ソノトロードを底面から作用面に向かって見た斜視図である。
【
図5】放射線で皮膚を照射し、具体的には光で皮膚を照射するために構成された本明細書に教示の一実施形態によるソノトロードの一実施形態を概略的に示す。
【
図6】本明細書に教示の一実施形態によるソノトロードの一実施形態を概略的に示す。
【
図7】皮膚表面への吸引の印加のために構成された本明細書の教示によるソノトロードの一実施形態を概略的に示す。
【
図8A】放射線での皮膚の照射、具体的には、光での皮膚の照射と、皮膚表面への吸引の印加との両方のために構成された本明細書の教示による装置の一実施形態を概略的に示す、装置の側面図である。
【
図8B】放射線での皮膚の照射、具体的には、光での皮膚の照射と、皮膚表面への吸引の印加との両方のために構成された本明細書の教示による装置の一実施形態を概略的に示す、装置のソノトロードの側断面図である。
【
図9A】放射線で皮膚を照射するために構成された本明細書の教示による装置の一実施形態を側断面で概略的に示す。
【
図9B】放射線で皮膚を照射するために構成された本明細書の教示による装置の一実施形態を側断面で概略的に示す。
【
図10A】超音波振動による組織の処置に適した装置の一実施形態を概略的に示す。
【
図10B】超音波振動による組織の処置に適した装置の一実施形態を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本発明は、いくつかの実施形態において、エネルギーによる体組織の処置に関し、より詳細には、限定しないが、皮下組織に超音波振動を経皮的に誘起し、及び/又は皮下組織に光等の電磁放射線によるエネルギーを経皮的に供給することによって皮下脂肪を処置するための装置に関する。いくつかの実施形態では、皮下組織の処置は、その中の皮下脂肪の量を減少させるのに有効である。いくつかの実施形態では、エネルギーの経皮的な放射線供給及び皮下組織における超音波振動の経皮的な誘起は、同時に、交互に又は無関係な(独立した)様式で実行することができる。いくつかの実施形態では、装置は、皮下組織において超音波横振動及び超音波縦振動の両方を同時に経皮的に誘起する。
【0065】
本明細書に教示の原理、用途及び実施は、添付の説明及び図を参照することにより、よりよく理解され得る。本明細書に提示された説明及び図を熟読すると、当業者は、過度の努力又は実験なしに本発明を実施することができる。図において、同様の参照数字は、全体を通して同様の部品を指す。
【0066】
少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、本明細書に記載された構成要素及び/又は方法の構造の詳細及び配置に必ずしも限定されないことが理解されよう。本発明は、他の実施形態、又は様々な方法で実施又は実行することが可能である。本明細書で採用される語句及び用語は、説明のためのものであり、限定的なものと見なすべきではない。
【0067】
上述したように、特許公開US2019/0091490において、発明者の一部は、皮下組織の処置に特に有効であることが判明したソノトロードを開示している。発明者は、そのソノトロードの有効性が、皮下組織において超音波横振動及び超音波縦振動の両方を同時に誘起し、音響的にエネルギーを供給して組織を処置するソノトロードに少なくとも部分的に起因すると考えている。
【0068】
最近まで、発明者は、2つのモードが所望の生物学的効果を達成するためにバランスを取られた実質的なエネルギーを提供するのに十分な強度で、超音波横振動及び超音波縦振動の両方を同時に誘起することは、US2019/0091490の教示に従って構成されたソノトロードでのみ可能であると信じていた。
【0069】
ここに、円錐部分とリング状の作用面とを有するソノトロードを含む、皮下組織の処置のための装置及びその装置を使用する方法が開示される。本明細書の教示のそのような実施形態による装置が、皮下組織の処置に特に効果的であることが、驚くべきことに見出された。いかなる1つの理論にも拘束されることを望むことなく、その効力は、皮下組織において超音波横振動及び超音波縦振動の両方を同時に誘起し、音響的にエネルギーを供給して皮下組織を処置するソノトロードに少なくとも部分的に起因すると、現在、考えられている。現在開示されているソノトロードがUS2019/0091490のソノトロードと全く異なるにもかかわらず、US2019/0091490に開示されている装置に匹敵し、更に超える方法で、所望の生物学的効果、例えば、組織の実質的加熱及び脂肪細胞の実質的破壊を達成するために実質的エネルギーを供給するのに、振動の両方の誘起モードが十分な強度を有すると、現在、考えられている。
【0070】
US2019/0091490の教示による装置を操作する際の課題は、超音波トランスデューサによって発生する縦波が、ソノトロードの作用面の中央部分の温度を上昇させることである。中央部分の温度は、被処置対象に不快感又は損傷を与えることができる程度まで上昇するかもしれない。その結果、このような装置の操作者は、トランスデューサによって発生する超音波振動の電力を制限して作用面の加熱の程度を抑え、また、被処置対象に不快感又は損傷を与えないように装置の使用時に特に注意する必要がある。これに対して、本明細書の教示の装置のソノトロードのリング状の作用面は、中央部分を有さず、孔のみを有するので、そのような加熱に悩まされることはない。本明細書に開示される装置及びソノトロードのいくつかの実施形態は、以下に開示されるような追加の利点を有する。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、皮下組織を処置するのに適した装置が提供され、それは、
a.近位面及び遠位面を有する超音波振動の生成のための超音波トランスデューサと;
b.ソノトロード軸を有するソノトロードと、を備え、それは:
i.超音波トランスデューサの遠位面と接触し、音響的に結合された近位面と、
ii.より小さな半径の近位端及びより大きな半径の遠位端を有する円錐部分であって、円錐部分が外側円錐表面及び内側円錐表面を有する円錐壁によって画定され、内側円錐表面が少なくとも部分的に中空を画定する円錐部分と、
iii.リング状の近位面及びリング状の遠位面を有する円錐部分の遠位端から径方向外側に伸びるリング部分であって、前記リング状の遠位面がソノトロードの作用面であり、作用面の孔が中空の開放端を構成しているリング部分と、を備える。
【0072】
要約部において、本明細書の教示のこの態様及び追加の態様が説明され、追加の態様のうちの2つは、開放端の中空を有する超音波トランスデューサ及びソノトロードを備える装置、及び中空の軸ボルトを有するトランスデューサを備える装置に関する。当業者にとって明らかなように、本明細書の詳細な説明及び図は、本明細書の教示のこの態様の構成要素及び動作を説明している。
【0073】
本明細書の教示による装置の代表的な実施形態である装置72は、
図4A~4Dに概略的に示され:
図4A(超音波トランスデューサ12及びソノトロード74を有する側面図の装置72)、
図4B(側面図のソノトロード74)、
図4C(側断面図のソノトロード74)及び
図4D(底面からの斜視図のソノトロード74)である。装置72は、以下に更に詳細に説明するように、作用面の孔を通した吸引の同時、交互又は独立した印加と共にトランスデューサ12が作動されるときに、ソノトロード74の作用面を通して皮下組織内に超音波振動を経皮的に誘起するように構成される。
【0074】
超音波トランスデューサ12は、近位面14と遠位面18とを有する。超音波トランスデューサ12は、56kHzから60kHzの間の超音波縦周波数を生成するように構成された4つの6mm直径ディスクのスタックを含むランジュバン型の(45N/mから100N/mの間での)プレストレスのトランスデューサであり、軸ボルト75によって、音響反射器16とソノトロード74と共に保持されている。
【0075】
ソノトロード74は、ソノトロード軸28を有し、それは、:
i.超音波トランスデューサ12の遠位面18に接触し、音響的に結合された近位面56と、
ii.半径の小さい近位端78及び半径の大きい遠位端80を有する円錐部分76であって、円錐部分76が外側円錐表面84及び内側円錐表面86を有する円錐壁82によって画定され、内側円錐表面86が少なくとも部分的に中空88を画定する円錐部分76と、
iii.円錐部分76の遠位端80から径方向外側に延びるリング部分90であって、リング状の近位面92と、ソノトロード74及び装置72の作用面94であるリング状の遠位面とを有し、作用面94の孔96が中空88の開放端を構成しているリング部分90と、を含む。
【0076】
[ソノトロードの材料]
ソノトロード74は、すべての構成要素が一体的に形成されるように、アルミニウム6061(合金元素としてマグネシウム及びシリコンを含むアルミニウムの合金)のモノリシックブロックである。ソノトロード74の作用面94は、厚さ10μmの軟質陽極酸化層を含む。
【0077】
[リング部分]
リング部分は、リング状の近位面(
図4中92)と、ソノトロードの作用面であるリング状の遠位面(
図4中94)と、周壁(
図4中98)とを有する。
【0078】
好ましい実施形態では、ソノトロードのリング部分の形状は、(ソノトロード軸と平行に見たときに)円であり、好ましくは、ソノトロード軸を中心とした円である。ソノトロード74のリング部分90の外周は、ソノトロード軸28と平行に見たときに、円である。いくつかの代替的な実施形態では、リング部分は、楕円又は長円のような異なる形状を有する。
【0079】
好ましい実施形態では、リング部分の直径(ソノトロード軸に垂直なリング部分の最大寸法)は、20mm~300mm(及びいくつかの実施形態では200mmまで)であり、特に、意図された使用(身体のどの部分を処置するか、腕は好ましくはより小さい直径で処置する、太ももは好ましくはより大きい直径のリング部分で処置する)及び後述のように選択した駆動周波数に基づいて典型的に選択される。ソノトロード74のリング部分90は、90mmの直径を有する。
【0080】
好ましい実施形態では、作用面の表面積の少なくとも80%、更には少なくとも90%が、ソノトロード軸に対して垂直である。
図2において、ソノトロード74の作用面94の90%以上がソノトロード軸28に対して垂直であり、周壁98との交差部付近の小さな周辺部分のみが、処置される人を引っ掻き、傷つけ、又は不快感を与えることを避けるために近位方向に上向きに湾曲している。いくつかの代替的な実施形態では、作用面の90%未満がソノトロード軸に垂直である。いくつかのそのような代替的な実施形態では、作用面の一部(少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、更には少なくとも70%)は、ソノトロード軸に平行な断面で、リング部分が凸のレンズ形状を有するように近位方向に凸状に湾曲している。いくつかのそのような代替的な実施形態では、作用面の一部(少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、更には少なくとも70%)は、断面において(ソノトロード軸に垂直に見たときに)作用面の一部が直線となるように、平坦であるがソノトロード軸に平行でない。
【0081】
好ましい実施形態では、表面積近位面の少なくとも90%が、ソノトロード軸に垂直である。ソノトロード74の近位面92の100%は、ソノトロード軸28に対して垂直である。いくつかの代替的な実施形態では、近位面の90%未満が、ソノトロード軸に対して垂直である。いくつかのそのような代替的な実施形態では、ソノトロード軸に垂直な断面において、リング部分がレンズ形状を有するように、一部(少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、更には少なくとも70%)が遠位方向に凸に湾曲している。いくつかのそのような代替的な実施形態では、近位面の一部(少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、更には少なくとも70%)は、断面において(ソノトロード軸に垂直に見たときに)近位面の一部が直線となるように、平坦であるが、ソノトロード軸に平行でない。
【0082】
いくつかの実施形態では、作用面と周壁との交差部は湾曲していない。あるいは、いくつかの好ましい実施形態では、作用面と周壁との交差部は、使用中に皮膚表面を擦るか又は引っ掻く機会を減少させるように湾曲している。ソノトロード74では、作用面94と周壁98の交差部は湾曲している。
【0083】
いくつかの実施形態では、近位面の周壁との交差部は湾曲していない。あるいは、いくつかの好ましい実施形態では、近位面と周壁との交差部は、湾曲している。ソノトロード74では、近位面92と周壁98との交差部は、90°であって、湾曲していない。
【0084】
いくつかの実施形態では、周壁の少なくとも一部は、ソノトロード軸に平行であり、好ましくは、周壁の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、更には少なくとも50%が、ソノトロード軸に平行である。ソノトロード74では、周壁98の60%がソノトロード軸28と平行である。いくつかの実施形態では、周壁の中央部分は、ソノトロード軸に平行である。ソノトロード74において、周壁98の中央部分は、ソノトロード軸28に平行である。いくつかの代替的な実施形態では、周壁の中央部分は、ソノトロード軸に平行でない。いくつかのそのような代替的な実施形態では、周壁の中央部分は湾曲している(例えば、周壁全体が湾曲している)。そのような代替的な実施形態では、近位面の直径が遠位面の直径より大きいか、又は遠位面の直径が近位面の直径より大きいように、周辺壁の中央部分は直線であり、ソノトロード軸と平行でない。
【0085】
いくつかの好ましい実施形態では、作用面及び近位面の表面積の少なくとも70%、少なくとも80%、更には少なくとも90%が平行である(及び好ましくはソノトロード軸に垂直である)。そのような実施形態では、平行部分で測定される作用面の厚さ(ソノトロード軸に平行な寸法)は、任意の適切な厚さ、好ましくは少なくとも1mmであり10mm以下である。いくつかの実施形態では、リング部分の堅牢性を高めるために、厚さは少なくとも2mmであり、更には少なくとも3mmである。いくつかの実施形態では、厚さは8mm以下であり、更には7mm以下である。ソノトロード74において、作用面94及び近位面92の表面の少なくとも90%が平行であり、リング部分の厚さは5mmである。いくつかの代替的な実施形態では、作用面及び近位面の表面積の70%未満が平行であり、例えば、1つ又は両方の面が湾曲し、及び/又は1つ以上の面が平らであるが平行ではない場合である。そのような代替的な実施形態において、最も厚い部分及び最も薄い部分におけるリング部分の厚さは、好ましくは、少なくとも1mm及び20mm以下(及びいくつかの実施形態では10mm以下)であり、ここで、最も厚い部分の厚さと最も薄い部分の厚さの差が7mm以下、5mm以下、3mm以下、2mm以下、更には1mm以下である。
【0086】
[作用面の孔]
作用面はリング状で、中空部の開放端を構成する孔を有する。ソノトロードが使用されるいくつかの例では、作用面は皮膚表面のリング状部分に接触し、通常の方法で皮下組織に振動を誘起することができる。皮膚表面のリング状部分によって包囲される皮膚表面の異なる部分は、ソノトロードの作用面の孔で見えるようになり、皮膚の異なる部分は、外気との流体連通から中空を閉鎖する。
【0087】
好ましい実施形態では、孔の形状は、(ソノトロード軸と平行に見たときに)円であり、好ましくはソノトロード軸を中心とする。ソノトロード74のリング部分90の孔96の形状は、ソノトロード軸28と平行に見たときに、円である。ソノトロード74の孔96は、ソノトロード軸28を中心とする。いくつかの代替的な実施形態では、孔は、楕円又は長円のような異なる形状を有し、及び/又は、ソノトロード軸を中心としない。
【0088】
好ましい実施形態では、孔の直径(ソノトロード軸に垂直な孔の最大寸法)は、リング部分の直径の10%~70%の間、より好ましくは20%~50%の間、更により好ましくは25%~40%の間である。ソノトロード74の孔96は、30mmの直径を有する円であり、リング部分90の90mmの直径の33%である。
【0089】
[円錐表面及び中空]
本明細書の教示によるソノトロードは、より小さな半径の近位端及びより大きな半径の遠位端を有する円錐部分を有し、円錐部分は、外側円錐表面及び内側円錐表面を有する円錐壁によって画定され、内側円錐表面は少なくとも部分的に中空を画定している。この説明から明らかなように、円錐部分は、中空の円錐部分であり、即ち、中空を有し、中空は、内側円錐表面によって少なくとも部分的に画定されている。
【0090】
好ましい実施形態では、外側円錐表面及び内側円錐表面は、円錐壁の厚さが一定となるように平行である。そのような実施形態では、円錐壁の厚さは、任意の適切な厚さ、典型的には2mm~10mmの間、いくつかの好ましい実施形態では、2mm~6mmの間である。ソノトロード74において、外側円錐表面84及び内側表面86は平行であり、円錐壁82は、3.3mmの一定の厚さを有する。いくつかの代替的な実施形態では、外側表面及び内側表面は平行ではなく、円錐壁の厚さは一定ではない。好ましいそのような代替的な実施形態では、円錐壁の厚さは、2mm~10mmの範囲内で変化し、好ましくは、より近位部分がより遠位部分よりも厚い。
【0091】
内側表面の円錐角は、任意の適切な角度である。好ましい実施形態では、孔の形状が円であり、内側表面が直円錐の一部を画定するとき、好ましくは70°~95°の間、より好ましくは75°~90°の間、更に好ましくは78°~86°の間の単一の円錐角度が存在する。ソノトロード74において、孔96は円であり、内側表面86は直円錐を画定するので、82°の単一の円錐角100が存在する。いくつかの代替的な実施形態では、例えば、孔の形状が円でない場合、例えば、楕円又は長円である場合、又は内側表面が斜円錐の一部を画定する場合、最小の円錐角から最大の円錐角までの複数の円錐角が存在する。好ましいそのような代替的な実施形態では、最小の円錐角と最大の円錐角の両方は、70°~95°の間である。好ましい実施形態では、内側表面は、円錐の(仮想)頂点と孔の中心との間の線が孔の平面(孔が円であるか否かにかかわらず)に対して垂直である直円錐の部分を画定する。いくつかの実施形態では、内側表面は、直円錐ではない円錐の部分を画定する:そのような実施形態では、円錐の(仮想)頂点と孔の中心との間の線の間の角度が、垂直に近く(90°)、好ましくは70°以上、75°以上、80°以上、更には85°以上である。
【0092】
いくつかの実施形態では、円錐形の内側表面は作用面まで延びていて、ソノトロードの孔を画定する。ソノトロード74において、円錐形の内側表面86は、作用面94まで延びていて、それによって孔96を画定している。いくつかの代替的な実施形態では、内側表面の遠位部分は円錐形ではない。いくつかのそのような実施形態において、リング部分の内部を画定する内側表面の遠位部分は、ソノトロード軸に平行である。
【0093】
いくつかの実施形態では、内側円錐表面は、尖った又は湾曲した頂点で終わる完全な円錐である。そのような実施形態では、内側円錐表面によって画定される中空の部分は、真の円錐である(
図6及び7を参照)。代替的な実施形態では、内側円錐表面及び内側円錐表面によって画定される中空の部分は、切頭円錐である。ソノトロード74において、円錐内側表面86及び円錐内側表面86によって画定された中空88の部分は、切頭直円錐である。円錐形の内側表面によって画定される中空の部分の高さ(ソノトロード軸に平行な寸法)は、任意の適切な高さであり、ソノトロードの他の特徴の寸法によって画定される。ソノトロード74では、円錐内側表面86によって画定される中空88の部分の高さは12mmである。
【0094】
内側円錐表面及び内側円錐表面によって画定される中空の部分が切頭円錐であるいくつかの実施形態では、中空の少なくとも一部が真の切頭円錐であるように、作用面に対して垂直な近位中空壁が存在する。あるいは、いくつかの実施形態では、円錐内側表面の近位端の上にある中空の部分は、任意の適切な形状である。ソノトロード74において、円錐内側表面86の近位端の上にある中空88の部分は、近位部分102である。中空88の近位部分102は、7mmの直径(ソノトロード軸28に垂直な寸法)及び5mmの高さ(ソノトロード軸28に平行な寸法)を有する曲線状の縁を有するほぼ円筒形の体積である。
【0095】
[ステム]
上述したように、ソノトロードは、超音波トランスデューサの遠位面に接触し、音響的に結合される近位面を有する。
【0096】
いくつかの実施形態では、円錐壁の近位端は、ソノトロードの近位面を画定する。
【0097】
好ましい実施形態では、ソノトロードはステムを備え、ステムは、ソノトロードの近位面である近位面と、円錐壁の近位端である遠位端とを有する。ソノトロード74は、ソノトロード74の近位面56と、円錐壁82の近位端78である遠位端とを含むステム104を備える。ソノトロードの技術分野において知られるように、(ソノトロード軸に垂直な)断面において、ステムは好ましくは円形であるが、断面において、いくつかの実施形態では、ステムは異なる形状、例えば、楕円又は楕円を有する。
【0098】
典型的には、ステムは、ソノトロードをトランスデューサに音響的に結合することを可能にする1つ以上の特徴を有する。ソノトロード74において、ステム104は、軸ボルト75と嵌合するように構成された直径10mmのねじ穴106を含む。装置72がランジュバン型トランスデューサの通常の方法で組み立てられると、反射器16、トランスデューサ12の構成要素及びソノトロード74は、ボルト75にねじ込まれる。ボルト75は、ランジュバン型トランスデューサの技術分野で知られるように、接触及びその音響的結合を確実にするために、ねじ穴106に(例えば、45~100N/mのトルクで)きつくねじ込まれて構成要素を一緒に圧縮する。
【0099】
当該技術分野では、ランジュバン型トランスデューサの軸ボルトは、超音波振動及び付随する加熱の条件下でトランスデューサ構成要素を一緒に圧縮するために必要な機械的特性を有する通常の固体ボルトである。本明細書の教示のいくつかの実施形態において、軸ボルトは、ボルトの近位端と遠位端との間の軸方向通路(例えば、空気のような流体連通、物理的構成要素の通路、及び/又は光の光連通)を含む。好ましい実施形態では、軸方向通路は、ソノトロードの軸と共線である。あるいは、いくつかの実施形態では、軸方向通路は、ソノトロード軸と平行であるが、ソノトロード軸と共線でない。あるいは、いくつかの実施形態では、軸方向通路は、ソノトロード軸と平行ではない。このような軸方向通路の有用性については、本明細書で後述する。ソノトロード74において、軸ボルト75は、ソノトロード軸28と共線的である軸方向通路108を含む。いくつかの実施形態では、軸ボルトは、1つ以上の軸方向通路、例えば、典型的には互いに流体連通しない2つ、3つ、又は更に多くの軸方向通路を含み、例えば、2つ、3つ、又は更に多くの軸方向通路は、いくつかの実施形態では、すべてソノトロード軸と平行である。
【0100】
ステムを備える実施形態では、ステムは、任意の適切な形状を有することができる。好ましい実施形態において、ソノトロード及びステムは、選択された超音波周波数に対して音響振幅変換器として機能するように一緒に構成される。そのような実施形態では、選択された超音波周波数に対する音響振幅変換器として機能するようにソノトロードを構成するための当該技術分野で知られるようなステム及びソノトロードの任意の構成が、
図2A~Dを参照して序文で説明されたようにテーパー状のステムを有することによって使用可能である。
【0101】
ソノトロード74は、ステム104を段付きテーパー状ステムとして構成することによって、選択された超音波周波数に対する音響振幅変換器として機能するように構成される(
図2C及び
図2Dを参照)。具体的には、ソノトロード74のステム104は、トランスデューサ12の遠位面18の直径である42mmの直径を有する広直径の近位ステム部分52を含む。近位ステム部分52は、ソノトロード74の近位面56(「入力面」とも呼ばれる)を担持する。ステム104は、14mmの直径を有する細径の遠位ステム部分110を更に含む。近位ステム部分52から遠位ステム部分110への移行は急激ではなく、むしろエッジと移行は、機械的強度を高め、操作者を痛め、又は傷つける可能性のある鋭いエッジを避けるために丸みを帯びている。
【0102】
ソノトロード72の長さ(軸方向における寸法)は、50mmである。近位ステム部分52の長さは24mmであり、ソノトロード72の長さの48%である。遠位ステム部分110の長さ(近位ステム部分52の遠位端から円錐壁82の近位端78bまでの長さ)は、13.2mmである。当業者に知られるように、ソノトロードの段付きテーパー状ステムの場合、広径近位ステム部分がソノトロードの長さの45%~55%、好ましくは46%~54%、更に好ましくは47%~53%であることが有利である。
【0103】
[皮下組織処置用ソノトロードの使用]
当該技術分野で知られ、序文で説明されたように、皮下組織を処置するための本明細書の教示のソノトロードの使用のために、作用面は、(例えば、皮膚との直接接触によって、又は結合物質、例えば、液体又はゲルを介して間接的に接触することによって)皮膚表面と音響的に結合される。超音波駆動周波数で発振する交流電流が超音波電源(例えば、
図4Aの電源34)から供給され、超音波トランスデューサを駆動する。トランスデューサは、駆動周波数の周波数で超音波縦振動を発生する。発生した縦振動は、ソノトロードを介して作用面に伝播する。いかなる1つの理論にも拘束されることを望むことなく、発生した縦振動はステムを通過し、円錐形の壁を通過し、その通過によって作用面は縦振動とある種の横振動(例えば、せん断波、ラム波)との両方で振動する。作用面の超音波振動は、経皮的に皮下組織の超音波の縦振動と横振動との両方を誘起し、それによって組織を処置する。
【0104】
駆動周波数は、任意の適切な超音波周波数であり、好ましくは30kHz~200kHz、より好ましくは40kHz~100kHz、更に好ましくは40kHz~80kHzの間である。しかしながら、所定のソノトロードが任意の駆動周波数によって駆動される場合、皮下における振動の経皮的誘起は、対象の処置がより長くかかり、より効率的ではなく、より快適でなく、及び/又はより効果的でないかもしれない。
【0105】
いくつかの好ましい実施形態において、ソノトロードは、少なくとも1つの選択された超音波駆動周波数で動作するように構成され、超音波トランスデューサは、選択された駆動周波数で交番する駆動電流によって駆動されたときに、選択された駆動周波数を発生するように構成される。
【0106】
いくつかの実施形態において、選択された超音波駆動周波数で動作する構成とは、ソノトロードが、例えば、上述したように、テーパー状のステムを含むことによって、選択された超音波周波数に対して音響振幅変換器として機能するように構成されることである。
【0107】
代替的に又は好ましくは加えて、いくつかの実施形態において、選択された超音波駆動周波数で動作する構成は、近位面(56)から作用面(94)までのソノトロードの長さが:
nλlongitudinal/2
であって、ここで、nは0より大きい正の整数であり;及び
λlongitudinalはソノトロードの超音波縦波の波長であって、主にソノトローブが作られる材料により決定される。ソノトロード74の長さは、50mmである。いくつかの実施形態では、ソノトロードの長さは、室温(25℃)でのソノトロードを通る縦方向の音速に基づいて設定される。いくつかの代替的な実施形態では、ソノトロードの長さは、予想される動作温度(例えば、36℃~40℃)までのソノトロードを通る縦方向の音速に基づいて設定される。
【0108】
代替的に又は好ましくは加えて、選択された超音波駆動周波数で動作するための構成は、リング部分(90)の直径が:
nλtransverse/2
であって、ここで、nは0より大きい正の整数であり;及び
λtransverseはソノトロードの超音波横波の波長であって、主にソノトロードが作られる材料により決定される。ソノトロード74のリング部分90の直径は、90mmである。いくつかの実施形態では、リング部分の直径は、室温(25℃)でのソノトロードを通る横方向の音速に基づいて設定される。いくつかの代替的な実施形態では、リング部分の直径は、予想される動作温度(例えば、36℃~40℃)までのソノトロードを通る音の横方向の速度に基づいて設定される。
【0109】
典型的には、本明細書の教示による特定のソノトロードを設計する者は、まず、操作者によって実際的かつ便利に取り扱うことができ、また身体の特定の部分(例えば、腹部、大腿部、顔、顎下)の処置に適している、おおよそ所望のソノトロードの寸法及びソノトロードが作られる材料について決定する。好ましい実施形態では、ソノトロードの長さは20mm~200mmの間であり、リング部分の直径は20mm~200mmの間である。次に、設計者は、例えば、規制要件、コスト、又は電源/トランスデューサーの利用可能性に基づいて、所望の選択された駆動周波数を選択する。選択された駆動周波数が選択されると、設計者は、おおよそ所望のソノトロードの寸法に近い正確なソノトロードの長さとリング部分の直径を特定することができる。
【0110】
[近位チャネル]
いくつかの実施形態では、本明細書の教示によるソノトロードは、ソノトロードの近位面の近くで中空とソノトロードの外側との間に、好ましい実施形態では、中空とソノトロードの近位面との間に、近位チャネルを更に備える。いくつかの実施形態では、近位チャネルは、ソノトロードの近位端付近の中空と外側との間の(例えば、空気又は他の流体の)流体連通を提供する。代替的に又は加えて、いくつかの実施形態では、近位チャネルは、中空と外側との間の物理的構成要素の通路(例えば、光ファイバーのような導光体等の導波路)を提供する。以下に詳述するように、いくつかの実施形態では、近位チャネルは、真空ポンプなどの吸引発生器に接続するように構成され、近位チャネルを介した吸引の印加によって、装置の動作中に中空から空気を排出することを可能にする。いくつかの実施形態では、近位チャネルは、光ファイバーのような導光体等の導波路の通過を可能にするように構成され、中空内部からソノトロードの作用面の孔を通して見える皮膚表面の光で照明することを可能にする。
【0111】
図4Cに見られるように、ソノトロード74は、軸28と同軸で、中空88の近位部分102とソノトロード74の近位面56との間の流体連通を提供する、集合的に112と番号付けられた3分割の近位チャネルを含む。全長に沿って、近位チャネル112は、円形の断面を有し:
a 1mm直径×3.1mm長の遠位部分112a、
a 3mm直径×11.1mm長の中間部分112b、及び
a 中間部分112bからの移行部で3mm直径から、ねじ付きボア106への移行部で10mmまで広がる1.8mm長の円錐形近位部分112c、
とを含む。
【0112】
[吸引を適用するための近位チャネル]
いくつかの実施形態では、装置は、装置の動作中に中空から空気を排出することによって、ソノトロードの作用面の孔を通して皮膚表面に吸引を印加するように構成されている。近位チャネルを含むいくつかのそのような実施形態では、近位チャネルは、真空ポンプ等の吸引発生器に接続されるように構成され、近位チャネルは、吸引発生器の作動によって装置の動作中に中空から空気を排出させることを可能にする。
【0113】
図4に示された装置72は、近位チャネル112を軸ボルト75の軸方向通路108を介して真空ポンプ等の吸引発生器に接続できるコネクタ114(
図4A参照)を含むことによって、動作中に作用面の孔を通して皮膚表面に吸引を印加するように構成される。装置72は、ソノトロード74の近位面56に軸28と同軸の直径14mm/深さ2mmの円筒形孔116を有することによって、皮膚表面に吸引を印加するように更に構成される。トランスデューサ12及びソノトロード74が軸ボルト75によって一緒に保持されるとき、適切なサイズのシリコンゴムOリング(図示せず)が孔116内に着座し、孔116の壁、軸ボルト75の外側表面及びトランスデューサ12の遠位面18の中で圧縮されて、空気がトランスデューサ/ソノトロードインターフェースから漏れるのを防ぐ気密シールが作られる。孔116は、任意に、近位チャネル112の最も近位にある部分であると考えることができる。
【0114】
使用のために、装置72は、トランスデューサ12を電源34と機能的に関連付け、コネクタ114をベンチュリーポンプ等の吸引発生器(図示せず)に接続することを含む、ソノトロードの技術分野において知られる通常の方法で準備される。ミネラルオイル等の潤滑剤が、処置されるべき皮膚の領域に塗布される。電源34及び吸引発生器は作動され、作用面94は、経皮的皮下組織処置の技術分野において知られるように、連続的な往復運動又は円運動で、処置されるべき皮膚の表面に接触される。吸引発生器は、コネクタ114、ボルト75内の軸方向通路108、近位チャネル部分112c、中間チャネル部分112b、遠位チャネル部分112aを通って、中空88から空気を吸引し、中空88内に低圧力を発生させ、典型的には、中空88内の圧力が525mmHg(70kPa)未満、好ましくは450mmHg(60kPa)未満だが100mmHg(13.4kPa)より大きく、更には200mmHg(27kPa)より大きくになるようにする。いくつかの好ましい実施形態では、中空88内の圧力は、200mmHg(27kPa)~300mmHg(40kPa)である。いくつかの代替の好ましい実施形態では、中空88内の圧力は、250mmHg(33kPa)~350mmHg(47kPa)、例えば、約300mmHg(40kPa)である。中空88内の圧力が低い結果、作用面94は処置される皮膚との接触が良くなり、それによって皮下組織に超音波振動をより効率的かつ一貫して誘起する。更に、ソノトロード74が移動している間に孔96に位置する皮膚の部分に印加される吸引は、対象の処置すべき欲求を高める心地よいマッサージ効果を有し、皮下組織の処置部分の血液循環を改善し、それによって組織内に放出される有害因子の除去が増加し、処置の有効性と治癒速度を増加させると考えられる。
【0115】
装置72は、皮下組織の処置に成功するように、実際に構成され、試験され、証明された。具体的には、50歳以上のヒト女性の対象の顎のたるみ(顎と下顎の輪郭の下の皮膚のたるみ)を、装置72を用いて、顎のたるみに超音波振動を経皮的に誘起し、同時に真空(中空の300mmHg)を印加して処置した。週3回、1回10分のセッションの後、顎のたるみは見られなくなった。
【0116】
[作用面の孔から見える皮膚を照射するための近位チャネル]
いくつかの実施形態では、装置は、ソノトロードの作用面の孔を通して見える皮膚表面に放射線を照射し、例えば、ソノトロードの作用面の孔を通して見える皮膚表面を処置用光で照射するように構成されている。近位チャネルを含むいくつかのそのような実施形態では、近位チャネルは、近位チャネルへの放射線用導波管(例えば、光用光ファイバーのような導光体)の通過を可能にするように構成され、導波管を使用して中空に導かれる外部放射線源から生成される放射線で、作用面の孔を通して見える皮膚表面を照射することを可能にする。
【0117】
このような装置の一実施形態のソノトロードであるソノトロード118は、
図5に側断面図で概略的に示される。ソノトロード118は、装置72のソノトロード74と実質的に類似しているが、幾つかの相違点がある。第1の相違点は、中空88の近位部分102に光学素子である凹レンズ120が存在することである。第2の相違点は、光ファイバー122が、ボルト75の軸方向通路108を通り、次に近位チャネル(112c、112b及び112a)を通り、光ファイバー122の遠位先端124がレンズ120に向けられた中空88の近位部分102に配置されるようにすることである。第3の相違点は、ソノトロード118には、Oリングを着座させるためのホールドがないことである。
【0118】
使用のために、装置は、トランスデューサを電源と機能的に関連付け、光ファイバー122を光源(皮膚処置の技術分野で知られるレーザー等)に接続することを含めて、通常のように準備される。ミネラルオイル等の潤滑剤が、処置されるべき皮膚の領域に塗布される。作用面94は、皮下脂肪処置の技術分野で知られるように、連続的な往復運動又は円運動で、処置されるべき皮膚の表面に接触される。
【0119】
第1のモードでは、超音波電源が作動され、作用面94を介して超音波振動で皮下組織を経皮的に処置する。
【0120】
第2のモードでは、光源は、作用面94の孔96に位置する皮膚表面を照射するように作動される。光源からの光は、光ファイバー122によって導かれ、遠位先端124から出射されて、レンズ120を通過する。レンズ120は、光ファイバー122からの光を発散させて、作用面94の孔96を通して見える皮膚の少なくとも一部、好ましくは全部を照射する。光の任意の波長又は波長の組み合わせが使用されてよい。いくつかの好ましい実施形態では、(例えば、1060nmの波長を有する光を生成するように構成されたレーザーを含む光源からの)1060nmの波長を有する光が、皮下組織の経皮的処置におけるその有用性のために知られる。
【0121】
いくつかの実施形態では、第1のモード又は第2のモードの何れかが作動される。いくつかの実施形態では、第1のモード及び第2のモードは、単一の処置セッションの間、例えば、10秒の第1のモード及び10秒の第2のモードで、交互に作動される。いくつかの実施形態では、2つのモードは、処置セッションの時間の少なくとも一部の間、同時に作動される。
【0122】
[空気の排出又は光の照射を行わない実施形態]
いくつかの実施形態では、装置は、ソノトロード74を備えた装置72のように、装置の動作中に中空から空気を排出するように構成されている。
【0123】
いくつかの実施形態では、ソノトロード118を備える装置のように、作用面の孔を通して見える皮膚表面を光で照明するように構成されている。
【0124】
いくつかの実施形態では、装置は、中空からの空気の排出や皮膚への照明なしに、ソノトロードの技術分野で知られるように、超音波振動で皮下組織を経皮的に処置するように構成されている。このような装置の一実施形態のソノトロード126は、
図6に側断面図で概略的に示される。
【0125】
ソノトロード126は、ソノトロード74及び118と実質的に類似しているが、いくつかの相違点がある。ソノトロード126は、近位チャネルを欠いている。軸方向通路108を有する軸ボルト75の代わりに、ソノトロード126は、中実軸ボルト17を有するトランスデューサ及び反射器と関連付けられている。更に、内側円錐表面86及び中空88は、中空88の近位部分102に円錐形の頂点を有する完全な右円錐である。
【0126】
[空気の排出を伴う追加的な実施形態]
上述のように、いくつかの実施形態では、装置は、装置の動作中に中空から空気を排出するように構成される。いくつかのそのような実施形態では、装置は、ステム及び/又は円錐壁を通る非軸貫通チャネルを備える。いくつかの実施形態では、貫通チャネルは、中空と外側との間の(例えば、空気の)流体連通を提供する。代替的又は加えて、いくつかの実施形態では、貫通チャネルは、中空と外側との間の物理的構成要素の通路(例えば、光ファイバーのような導光体)を提供する。
【0127】
非軸貫通チャネルを介して中空から空気を排出するように構成された、このような装置の一実施形態のソノトロード128は、
図7に側断面図で概略的に示される。
【0128】
ソノトロード128は、ソノトロード126と実質的に類似しているが、いくつかの相違点がある。ソノトロード128は、直径2mmの非軸貫通チャネル130と、機能的に関連付けられたコネクタ114とを含む。コネクタ114は、装置72のコネクタ114と同様であり、非軸貫通チャネル130をポンプ等の吸引発生器に接続することを可能にする。
【0129】
ソノトロード128を含む装置の動作は、ソノトロード74を含む装置72の動作と実質的に同一であり、超音波振動による皮下組織の処置と、非軸貫通チャネル130を介した装置の動作中の中空からの空気の排出を含む。
【0130】
[空気の排出及び皮膚の照射を伴う実施形態]
いくつかの実施形態において、装置は、作用面の孔を通して見える皮膚表面の光による照明(
図5に示されたソノトロード118を備える装置と同様)及び中空からの空気の排出(
図4に示されたソノトロード74を備える装置72及び
図7に示されたソノトロード128を備える装置と同様)の両方を行うように構成されている。このような装置の一実施形態である、ソノトロード134を備える装置132は、
図8Aに側面図で概略的に示され、ソノトロード134は
図8Bに概略的な側断面図で示される。
【0131】
図8Bに見られるように、ソノトロード134は、ソノトロード128について説明したように、非軸貫通チャネル130とそれに機能的に関連付けられたアダプタ114とを追加したソノトロード118と実質的に類似している。
【0132】
図8Aでは、光ファイバー122の近位端とレーザーとの接続を可能にする標準接続部品136、上部冷却ジャケット138及び下部冷却ジャケット140を含む装置132の追加の特徴が見られる。
【0133】
装置132の動作は、装置72の空気排出及びソノトロード128を備える装置118の動作と同一であり、簡潔さのためにここでは繰り返さない。
【0134】
[皮膚に照射するために構成された更なる実施形態]
上述のように、いくつかの実施形態では、本明細書の教示による装置は、ソノトロードの作用面の孔を通して見える皮膚表面に電磁放射線を照射するように構成されている。照射のための構成は、放射線が中空内部から中空の開放端に向かって来るようになっている。
【0135】
例示的なそのような実施形態は:
図5を参照して説明されたソノトロード118を備える装置、及び
図8A及び
図8Bを参照して説明された装置132を含む。このような装置では、光ファイバー122が、軸ボルト75の軸方向通路108を通り、ソノトロードの軸方向近位チャネル112を通って、光ファイバー122の遠位先端が中空88の近位部分102内に配置される。光ファイバー122の近位端に機能的に関連付けられた光源からの光は、光ファイバー122によって導かれて、光ファイバー122の遠位先端からレンズ120に向かって出射される。レンズ120は、光ファイバー122の遠位先端からの光を発散させて、作用面94の孔96を通して見える皮膚の少なくとも一部、好ましくは全部を照射する。
【0136】
いくつかの代替的であるが類似の実施形態では、装置は、光ファイバー122を欠いている。いくつかのそのような実施形態では、装置は、本明細書で直前に説明されたようなソノトロード118又は装置132を含む装置に類似している。しかしながら、光ファイバー122の代わりに、放射線源の一部(例えば、レーザー又はレーザーの開口部)が、軸ボルト75の軸方向通路108の内部及び/又は軸方向近位チャネル112に少なくとも部分的に配置される。そのような実施形態において、放射線源は、通路108及び/又はチャネル112の内部に配置され、放射線源の開口部から出る放射線が作用面94の孔96に向かって軸方向に移動し、放射線源が作動したときに、孔96を通して見える皮膚表面が放射線で照射される。
【0137】
図9Aでは、
図8A及び
図8Bに示された装置132と同様の装置142が概略的に示される。装置142において、構成要素122は、放射線源144によって生成された放射線をソノトロード134の中空に導き、作用面94の孔を通して見える皮膚表面を照射するための導波管である。いくつかの実施形態では、放射線源144は、装置142の構成要素である。いくつかの代替的な実施形態では、放射源144は、装置142の構成要素ではない。
【0138】
いくつかの実施形態において、導波管122は、光源144(例えば、レーザー、ダイオードレーザー、固体レーザー、半導体レーザー、非コヒーレント光源、LED、フラッシュランプ又はIPL源からなる)からの光(例えば、IR、UV、可視線)を案内して作用面142の孔を通して見える皮膚を照射するための光ファイバーである。
【0139】
いくつかの実施形態では、導波管122は、(例えば、マグネトロンからなる)マイクロ波源144からのマイクロ波を案内して、作用面142の孔を通して見える皮膚をマイクロ波放射で照射するためのマイクロ波導波管である。いくつかのそのような実施形態では、レンズ122(
図8Bに示される)に類似する光学素子があり、それは、例えば、いくつかの実施形態では、孔を通して見える皮膚表面のほとんど又はすべてが同時に照射されるように、導波管122から中空に出射されるマイクロ波の少なくとも一部の方向を変更するための光学素子である。
【0140】
いくつかの実施形態では、導波管122は、テラヘルツ源144からのテラヘルツ放射線を案内して、作用面142の孔を通して見える皮膚にテラヘルツ放射線を照射するためのテラヘルツ導波管である。いくつかのそのような実施形態では、レンズ122(
図8Bに示される)に類似する光学素子があり、それは、例えば、いくつかの実施形態では、孔を通して見える皮膚表面のほとんど又はすべてが同時に照射されるように、導波管122から中空に出射されるテラヘルツ放射線の少なくとも一部の方向を変更するための光学素子である。
【0141】
図9Bでは、装置146が概略的に示される。装置146は、
図9Aに示された装置142に類似しているが、多くの相違点がある。第1の相違点は、導波管122が、装置142におけるように、軸方向通路及び軸方向近位チャネルを介してソノトロードの中空との軸方向光連通を提供しないことである。その代わりに、装置146において、導波管122は、コネクタ114に接続され、それによって、非軸貫通チャネル(
図8Bに示された構成要素130と実質的に同一)を介して、ソノトロード134の外側からその中空に光連通を提供する。
図9Bには示されていないが、ソノトロード134の中空の内側表面は、導波管122によって中空に導かれる光又は他の放射線に対して完全に拡散反射性であり、(中空に位置する)導波管122の遠位端は、(導波管122を通して非軸方向に中空に入る)光を作用面94の孔に向けるための光学構成要素と機能的に関連付けられる。
図9Bに示された構成要素148、150、152及び154は、本明細書において説明される。
【0142】
[超音波トランスデューサ]
上述のように、いくつかの実施形態において、本明細書の教示による装置は、超音波縦振動を発生させるための超音波トランスデューサを備え、
図4において、超音波トランスデューサ12では、遠位面18が超音波トランスデューサ12の放射面である。
【0143】
本明細書の教示による装置の超音波トランスデューサは、本明細書の教示の実施を可能にするために、十分に強力な超音波縦振動を発生させることができることが必要である。トランスデューサが十分に強力でない場合、装置は効果がなく、一方、トランスデューサが強力すぎる場合、処置される対象が傷つけられる可能性がある。
【0144】
したがって、本明細書の教示による装置の超音波トランスデューサは、使用中に、適切な電力の選択された周波数の超音波電力出力、いくつかの実施形態では40ワット~120ワットの間の超音波電力出力、いくつかの実施形態では45ワット~100ワットの間の超音波電力出力を有することが可能である超音波トランスデューサである。つまり、超音波トランスデューサは、50ワット~80ワットの間、更には60ワット~70ワットの間の選択された周波数の超音波電力出力を有することが好ましいことが判明している。
【0145】
任意の適切なタイプの超音波トランスデューサは、本明細書の教示を実施する際に使用されてもよく、例えば、プレストレスのランジュバン型超音波トランスデューサである。適切なそのようなトランスデューサは、様々な商業的供給源から入手可能である。
【0146】
[音響反射器]
いくつかの実施形態において、本明細書の教示による装置は、超音波トランスデューサの近位面を介して超音波トランスデューサと機能的に関連付けられた音響反射器を更に備える。
図4において、装置72は、近位面14を介して超音波トランスデューサ12と機能的に関連付けられた音響反射器16を備える。音響反射器は、様々な供給源から商業的に入手可能な当該技術分野でよく知られた構成要素である。いくつかの音響反射器は、流体充填されたステンレス鋼の筐体である。
図4に示される装置72のようないくつかの実施形態では、音響反射器は、冷却アセンブリの一部として構成され、例えば、冷却流体入口66及び冷却流体出口68を含む。
【0147】
[超音波用電源]
当該技術分野において知られるように、超音波トランスデューサを駆動して超音波振動を発生させるためには、超音波駆動周波数で発振する交流電流が必要である。このような交流電流は、典型的には、超音波トランスデューサに機能的に関連付けられた超音波電源によって提供される。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書の教示による装置は、超音波トランスデューサに機能的に関連付けられた超音波電源装置を備え、作動されると、超音波トランスデューサに交流電流を提供するように構成される。
図4において、装置72は、超音波トランスデューサ12と機能的に関連付けられた超音波電源34を備える。
【0148】
本明細書の教示を実施するのに適した超音波電源は、上述したように超音波トランスデューサが所望の電力出力を有するように、十分な電力を有して動作するように構成されたソノトロードのために、選択された超音波周波数で発振する交流電流を提供するように構成されているのが好ましい。したがって、いくつかの実施形態では、超音波電源は、超音波トランスデューサが40ワット~120ワットの間、いくつかの実施形態では45ワット~100ワットの間、いくつかの実施形態では50ワット~80ワットの間、いくつかの実施形態では更に60ワット~70ワットの間の電力出力を有するように、電力を有する選択された超音波周波数で発振する交流電流を提供するように構成される。
【0149】
上述したように、ソノトロードの長さ及びリング部分の直径は、特定の駆動周波数と動作温度を選択することによって、少なくとも部分的に決定される。具体的には、最大電力出力を得るためには、ソノトロードの長さ及びソノトロードのリング部分の外径の両方が駆動周波数と共振に近づくべきであり:共振に近ければ近いほど、最大電力出力に近づけることができる。
【0150】
nλlongitudinal/2のソノトロード長は、νlongitudinal(ソノトロードの縦方向の音速)が駆動周波数×λlongitudinalとすると、駆動周波数と共振している。
【0151】
nλtransverse/2のリング部分直径は、νtransverse(ソノトロードの横方向の音速)が駆動周波数×λtransverseとすると、駆動周波数と共振している。
【0152】
好ましい実施形態では、本明細書の教示による特定のソノトロードの長さ及びリング部分の直径は、特定の温度(例えば、室温又は予想動作温度、例えば、36°~40℃)でソノトロードが作られる材料における音の縦速度及び音の横速度に基づいて決定される。
【0153】
当業者に知られるように、ソノトロードのような物体の寸法及びソノトロードが作られる材料における音速は、温度の変化に応じて変化する。使用中のソノトロードの典型的な温度範囲における温度依存性の変化(寸法及び音速)の複合効果は、単一の不変の駆動周波数を処置セッション中に使用した場合、ソノトロードの電力出力を著しく低下させるのに十分であることが判明している。
【0154】
この出力電力の損失を克服するために、いくつかの実施形態では、超音波電源は、電源が提供できる周波数の範囲内に入る、選択された超音波周波数で発振する交流電流を提供するように構成される。
【0155】
いくつかのそのような実施形態では、装置及び/又は電源及び/又は装置に関連付けられたコントローラは、電源が提供することができる周波数の範囲内に入る、電源によって提供される特定の駆動周波数を操作者が手動で選択できるように構成される。処置セッションの最初及び/又は最中に、ユーザは、出力電力が理論最大値に近くなるように、駆動周波数を、チューニングの瞬間にソノトロード長及びリング部分直径と共振に近づくように「チューニング」することができる。
【0156】
加えて又は代替的に、いくつかのそのような実施形態では、装置及び/又は電源及び/又は装置に関連付けられたコントローラは、電源が提供することができる周波数の範囲内に入る、電源が提供する特定の駆動周波数を自動的に選択するように構成される。処置セッションの最初及び/又は最中に、駆動周波数は、出力電力が理論的最大値に近くなるように、チューニングの瞬間にソノトロード長及びリング部分直径と共振に近づくように自動的に「チューニング」される。
【0157】
このような駆動周波数のチューニングは、好ましくは2~4分毎、好ましくは2.5~3.5分毎、例えば処置セッション中に3分毎に行われ、処置セッション中に変化する可能性のあるソノトロード温度等の要因を考慮して駆動周波数を調整できることが判明している。
【0158】
縦方向の音速及びソノトロードの長さの温度依存性の変化、横方向の音速及びソノトロードのリング部分の直径の温度依存性の変化とが十分に異なるため、ソノトロードの通常の動作温度の範囲で各温度で適切な電力出力を提供する単一の駆動周波数を選択することは不可能であろうという懸念もある。当初の懸念にもかかわらず、15℃~40℃の間のある温度で同じ駆動周波数と共振する特定の長さ及びリング部分直径を有するソノトロードに対して、15℃~40℃の間の任意の温度で、長さ及びリング部分直径と共振に十分に近づいて横モード及び縦モードの両方で十分な電力出力が得られる、異なる駆動周波数を見つけることが可能であることが判明している。
【0159】
[ソノトロードの構造及び材料]
本明細書の教示による装置のソノトロードは、任意の適切な方法を用いて製造される。つまり、ソノトロードの振動伝達特性を潜在的に損なう可能性のある不完全性、継ぎ目及び界面を避けるために、いくつかの実施形態では、ソノトロードの全ての構成要素が一体的に形成される。
【0160】
本明細書の教示による装置のソノトロードは、任意の適切な材料で作られる。低い音響損失、高い動的疲労強度、キャビテーション侵食に対する耐性、及び化学的不活性の必要性のために、適切な材料は、チタン、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム合金、アルミニウム青銅、又はステンレス鋼を含む。したがって、いくつかの実施形態では、ソノトロードは、チタン、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム合金、アルミニウム青銅及びステンレス鋼からなる群から選択される材料で作られている。
【0161】
列挙された材料のうち、アルミニウム及びアルミニウム合金は、皮膚の音響インピーダンスに最も近い音響インピーダンスを有するので、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるソノトロードは、皮膚に対して優れた音響伝達特性を有する。したがって、いくつかの好ましい実施形態では、ソノトロードは、アルミニウム及びアルミニウム合金からなる群から選択される材料で作られている。
【0162】
いくつかのそのような実施形態では、作用面は酸化アルミニウムでコーティングされるが、そのような実施形態は、処置された皮膚表面に酸化アルミニウムの残留物を残す可能性があるので、あまり好ましくない。いくつかの実施形態において、作用面は、酸化アルミニウム層上に音響整合層(例えば、PVDF又はPTFE)でコーティングされる。そのような二重層コーティングは、作用面の組織との音響的結合を改善する。このような実施形態では、酸化アルミニウム層は、75μm以下の厚さ、50μm以下の厚さ、40μm以下の厚さ、更には5μm~15μm(例えば、10μm)の間であり、一方、酸化アルミニウム層(例えば、PVDF又はPTFE)の表面に適用される音響整合層は、典型的には1~50μmの厚さ、好ましくは5~20μmの厚さである。
【0163】
ソノトロードがアルミニウムで作られているいくつかの実施形態では、作用面の硬質陽極酸化層は、明らかに硬質陽極酸化層が皮膚の音響インピーダンスとは異なる音響インピーダンスを有し、悪い結果をもたらすことがある。対照的に、作用面の軟質陽極酸化層は許容できる結果をもたらす。したがって、いくつかの実施形態では、ソノトロードの作用面は、5~20μmの厚さ、いくつかの実施形態では、8~12μmの厚さ、例えば、10μmの厚さの軟質陽極酸化層から構成される。
【0164】
[冷却アセンブリ]
当業者には周知のように、超音波トランスデューサの動作中、関連付けられたソノトロードは、ソノトロードの作用面への皮膚の接触を不快にし、あるいは有害にさえする温度に加熱されることがある。更に、皮下組織の加熱は、皮膚の過剰な加熱につながることがある。
【0165】
装置が使用されるときのそのような望ましくない効果の発生を低減するために、いくつかの実施形態では、装置は、作用面の少なくとも一部を積極的に冷却するように構成されている。この目的のために、いくつかの実施形態では、装置は、作動されると、(例えば、作用面と熱的に連通しているトランスデューサの遠位部分又はソノトロードを冷却することによって)作用面の少なくとも一部を直接又は間接的に冷却するように構成された冷却アセンブリを更に備える。いくつかの実施形態では、装置は、作用面と熱的に連通する冷却流体チャネルを更に備え、例えば、冷却流体チャネルは、ソノトロードと熱的に連通している。
【0166】
装置の使用中、このような冷却流体チャネルは、冷却流体チャネルを通して冷却流体を駆動する、適切に構成された冷却装置又は冷却アセンブリと機能的に関連付けられることが可能であり、それによって作用面を冷却する。いくつかの実施形態では、装置は、作動されると、冷却流体チャネルを通して冷却流体を駆動するように構成された、冷却流体チャンネルに機能的に関連付けられた冷却アセンブリを更に備え、それによって作用面を冷却する。
【0167】
ソノトロードと共に使用するのに適した冷却アセンブリは周知であり、例えば、本出願人のUS9,545,529に記載された冷却アセンブリを参照し、それは、本明細書に十分示されるかのように参照によって含まれる。
【0168】
[チャネル及び/又は通路の追加的な使用]
上述したように、本明細書の教示によるいくつかの装置は、ソノトロードの外側から中空への連通を提供する1つ以上のチャネル/通路、例えば、1つ以上の軸方向通路及び/又は1つ以上の非軸貫通チャネルを含む。このようなチャネルは、吸引を印加し、及び/又はソノトロードの作用面の孔を通して見える皮膚表面に電磁放射線を照射するための装置を構成するために有用である。いくつかの実施形態では、そのようなチャネル又は通路は、追加的及び/又は代替的な機能性のために本明細書の教示による装置を構成するのに有用である。
【0169】
いくつかの実施形態では、本明細書の教示による装置は、中空内部からソノトロードの作用面の孔を通して見える皮膚表面の画像を取得するために更に構成される。いくつかのそのような実施形態では、装置は、カメラを更に備え、カメラの開口は、作動されると、カメラが中空内部から作用面の孔を通して見かけ上の皮膚表面の画像を取得するように、ソノトロードの通路及び/又はチャネルと光学的に関連付けられる。カメラは任意の適切なカメラであり、いくつかの実施形態では、カメラは、光カメラ(例えば、反射光の画像を取得するカメラ)及びテラヘルツイメージングカメラ及びスキャナー(例えば、米国カリフォルニア州サンノゼのTeraSense Group社から)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、カメラは、ソノトロードに直接取り付けられ、ソノトロードの作用面の孔を通して見える皮膚表面から反射された放射線がカメラのレンズを通してカメラ開口に直接入るように、導波管を伴わない通路及び/又はチャネルに関連付けられる。あるいは、いくつかの実施形態では、画像取得のための装置の構成は、装置が、カメラの開口に関連付けられる近位端を有する導波管を備え、導波管の遠位端がソノトロードの中空内部につながり、導波管が中空内部から導波管の近位端への光連通を提供するというものである。いくつかの実施形態では、導波管は、通路及び/又は貫通チャネルを通過する。その結果、ソノトロードの作用面の孔を通してみえる皮膚表面から反射される光又はテラヘルツ放射線等の放射線は、導波管によってカメラの開口部へと向けられる。いくつかのそのような実施形態では、装置は、プリズム、ミラー、及びレンズのうちの1つ以上のような光学素子を更に備え、改善された画像取得を可能にする方法で、孔を通して見える皮膚表面から反射される放射線を向ける。好ましいそのような実施形態では、装置は、画像取得の目的のために孔を通して見える皮膚表面を照射するように追加的に構成される。
【0170】
いくつかの実施形態では、本明細書の教示による装置は、中空内部からソノトロードの作用面の孔を通して見える皮膚表面の温度を決定するために更に構成される。皮膚表面の温度を決定するための任意の適切な装置又は構成要素は、皮膚表面の温度を決定できるように、本明細書の教示による装置と組み合わせ又は統合されてよく、例えば、米国コロラド州デンバーのAdvanced Energy Industries株式会社から入手可能なような光ファイバー温度センサがある。好ましくは、そのような構成要素又は装置の少なくとも一部は、通路及び/又はチャネルを通過する。
【0171】
いくつかの実施形態では、本明細書の教示による装置は、さらに、中空内部からソノトロードの作用面の孔を通して見える皮膚表面への物質の投与のために構成される。典型的な物質は、医薬品又は化粧品であり、任意の適切な形態、例えば、粉末、液体、エアロゾル又はスプレーとして投与される。中空内部からソノトロードの作用面の孔を通して見える皮膚表面に物質を投与するための任意の適切な装置又は構成要素は、本明細書の教示による装置と組み合わせ又は統合されてよい。
【0172】
いくつかのそのような実施形態では、通路及び/又は貫通チャネルが、ダイヤフラムと機能的に関連付けられる。物質の投与のために、針の先端がダイヤフラムを貫通するために使用され、その後、所望の物質が、例えば、注射器の助けを借りて、針を通して投与される。
【0173】
いくつかのそのような実施形態では、通路及び/又は貫通チャネルは、物質供給導管の通過又は接続を可能にするように構成される。いくつかのそのような実施形態では、通路及び/又は貫通チャネルを通過する、又は通路及び/又は貫通チャネルに接続される物質供給導管は、装置の構成要素である。
【0174】
図9Bに示された装置146は、上述のように軸方向通路及び軸方向近接チャネルを介してソノトロード134の中空を軸方向に通過する光ファイバーを介してソノトロード134の中空と機能的に関連付けられたカメラ148を備え、それによってカメラ148とソノトロード134の中空との間に軸方向の光連通を提供する。作動されると、カメラ148は、作用面94の孔を通して見える皮膚表面の画像(動画又は静止画)を取得し、この画像は、当該技術分野で知られるような適切な装置にリアルタイムで保存又は表示される。カメラ148による画像取得の間、作用面94の孔を通して見える皮膚表面は、中空内部に位置し、カメラ148に関連付けられた光ファイバーと平行に通過するワイヤを通して電力を受け取るLEDからの光で照射される。
【0175】
図9Bに示された装置146は、上述のように軸方向通路及び軸方向近接チャネルを介してソノトロード134の中空を軸方向に通過する光ファイバーを介してソノトロード134の中空と機能的に関連付けられた温度計150を備え、それによって温度計150とソノトロード134の中空との間に軸方向の光連通を提供する。作動されると、温度計150は、作用面94の孔を通して見える皮膚表面の温度を取得し、この温度は、当該技術分野で知られるような適切な装置にリアルタイムで保存又は表示される。
【0176】
図9Bに示された装置146は、更に、中空内部から作用面94の孔を通して見える皮膚表面への物質の投与のために構成されている。具体的には、リザーバ/ポンプ152は、物質供給導管154を介して中空の内部と機能的に関連付けられる。リザーバ/ポンプ152のポンプが作動されると、液体医薬等の物質がリザーバ/ポンプ152のリザーバから取り出され、遠位端が開口する導管154を通して中空内に強制的に出される。物質は、軸方向に向けられるが作用面94の孔を通して見える皮膚表面の大部分を覆うために十分に発散するスプレーとして、導管154の遠位端から強制的に出される。
【0177】
図9Bに示された装置146は、導管158とソノトロード134の中空との間の流体連通を提供する図示しないコネクタを介して吸引導管158を通して真空ポンプ156と機能的に関連付けられる、コネクタは、
図9Bに示されたように装置146の背面側に配置される。真空ポンプ156が作動されると、真空ポンプ156は、導管158を通して中空から空気を排出し、装置146は、作用面94の孔を通して見える皮膚に吸引を印加するために使用することができる。
【0178】
図9Bに示された装置146は、装置146の動作を制御するためにソフトウェア的及びハードウェア的に修正された汎用コンピュータであるコントローラ160を更に備える。具体的には、コントローラ160は、装置146の他の全ての構成要素の、同時に、交互に(例えば、ひと続きに、連続的に)及び独立した動作を、任意の組み合わせ及び並べ替えで可能にし、それは:
超音波電源34を作動させて、超音波トランスデューサ12を駆動することと;
放射線源144を作動させて、作用面94の孔を通して見える皮膚表面を放射線で照射することと;
カメラ148を作動させて、作用面94の孔を通して見える皮膚表面の画像を取得することと;
温度計150を作動させて、作用面94の孔を通して見える皮膚表面の温度を決定することと;
リザーバ/ポンプ152のポンプを作動させて、作用面94の孔を通して見える皮膚表面に物質を投与することと;
真空ポンプ156を作動させて、作用面94の孔を通して皮膚表面に吸引を印加することと、
を含む。
【0179】
[パルス式超音波処置]
序文で述べたように、当該技術分野では、ソノトロードと機能的に関連付けられた超音波トランスデューサを使用して組織を処置することが知られる。ソノトロードの作用面は組織の表面に音響的に結合され、超音波駆動周波数で発振する交流電流(AC)が超音波電源から供給され、超音波トランスデューサを駆動する。超音波トランスデューサの圧電素子は、交流電位の発振に応じて駆動周波数で伸縮し、それによって駆動周波数の周波数で超音波縦振動を発生させる。発生した超音波縦振動は、ソノトロードを軸方向に通して作用面に伝播する。作用面は超音波振動を表面に印加し、組織に超音波縦振動を誘起する。
【0180】
当該技術分野では、皮下組織の処置、例えばその中の皮下脂肪の量を減らすためのセッションの間、少なくとも10秒間、典型的には5~20分間、超音波振動を連続的に印加することが知られる。
【0181】
本発明者は、本明細書において、例えば皮下組織の処置のために、例えばその中の皮下脂肪の量を減らすための優れた結果が、皮下組織の処置、例えばその中の皮下脂肪の量を減らすためのセッション中に、超音波振動パルスを1秒当たり少なくとも2パルスの速度で周期的に印加することによって達成され、各パルスが250ミリ秒未満の持続時間を有し、任意の2パルスが少なくとも10ミリ秒分離される。いかなる1つの理論にも拘束されることを望むことなく、現在、各パルスの始まりが皮下組織に衝撃波を発生させ、その衝撃波が優れた結果をもたらすと考えられている。
【0182】
したがって、本明細書の教示のいくつかの実施形態の態様によれば、超音波振動で組織を処置するための装置が提供され、この装置は;
i.作用面を有するソノトロードと;
ii.ソノトロードに機能的に関連付けられた超音波トランスデューサと;
iii.超音波トランスデューサに機能的に関連付けられ、超音波駆動周波数で発振する交流電流(AC)を供給して超音波トランスデューサを駆動するように構成された超音波電源と、
iv.作用面を超音波周波数で振動させるためのユーザコマンドを受信し、そのようなコマンドの受信に続いて、作用面を1秒当たり少なくとも2パルスの速度で周期的に超音波振動させるために装置の他の構成要素を作動するように構成されたコントローラであって、各パルスが250ミリ秒未満の持続時間を有し、任意の2パルスが少なくとも10ミリ秒の休止位相によって分離されるコントローラと、
を備える。
【0183】
図10A及び
図10Bでは、2つのそのような装置、
図10Aの装置162及び
図10Bの装置164が概略的に示される。両方の装置は、超音波トランスデューサ12と機能的に関連付けられた作用面26を有するソノトロード20を含む。超音波トランスデューサ12は、超音波電源34と機能的に関連付けられている。両装置は、上記の特徴に従ってソフトウェア的及びハードウェア的に修正された汎用コンピュータであるコントローラ60を更に備える。
【0184】
いくつかの実施形態では、電源は、作動されると連続的に動作するように構成され、装置は、超音波トランスデューサと超音波電源との間の電気的連通を提供するコントローラ制御スイッチを更に備え、スイッチは、少なくとも2つの状態:
電源によって提供される交流電流が超音波トランスデューサに向けられ、超音波トランスデューサを駆動する閉状態と;
電源によって提供される交流電流が超音波トランスデューサに向けられず、超音波トランスデューサを駆動する開状態と、
を有し、
コントローラは、スイッチを閉状態にしてパルスを提供し、また、スイッチを開状態にして休止位相を提供するように構成される。
【0185】
図10Aに示された装置162は、上記の特徴に従って、(図示された)開状態及び閉状態を有するコントローラ制御スイッチ166を備える。
【0186】
加えて又は代替的に、電源は、少なくとも2つの状態:
電源が交流電流を提供して超音波トランスデューサを駆動する「オン」状態と、
電源が交流電流を提供しないで超音波トランスデューサを駆動する「オフ」状態と、
を有し、
コントローラは、電源をオン状態に向けてパルスを提供し、また、電源をオフ状態に向けて休止位相を提供するように構成される。
【0187】
図10Bに示された装置164の電源34は、「オン」状態及び「オフ」状態の少なくとも2つの状態を有し、コントローラ160は、上記特徴に従って、電源をオン状態に向けてパルスを提供し、また、電源をオフ状態に向けて休止位相を提供するように構成される。
【0188】
上述したように、本装置は、超音波振動で組織を処置するための装置である。本明細書で使用されるように、組織は、生物の生体組織であり、好ましい実施形態では、ヒトのような動物である。いくつかの実施形態では、装置は、超音波振動による組織の経皮的処置のためのものであり、装置の構成要素は、当業者に知られるようにそのために構成される。いくつかの実施形態において、装置は、皮下組織の経皮的処置のためのものであり、装置の構成要素は、当業者に知られるようにそのために構成される。
【0189】
パルスの強度は、所望の効果を達成するのに十分な任意の適切な強度である。典型的には、強度は、当該技術分野で知られるように、超音波振動の連続的な印加を用いた類似の超音波処置の強度の少なくとも50%である。
【0190】
ソノトロードは、当該技術分野で知られる任意の適切なソノトロードを含む、任意の適切なソノトロードである。いくつかの実施形態では、ソノトロードは、本明細書に記載されるソノトロードのうちの何れか1つである。
【0191】
超音波トランスデューサは、当該技術分野で知られる任意の好適な超音波トランスデューサを含む、任意の好適な超音波トランスデューサである。いくつかの実施形態では、超音波トランスデューサは、本明細書に記載される超音波トランスデューサのうちの何れか1つである。
【0192】
超音波電源は、選択されたトランスデューサ及びソノトロードと共に使用するのに適した、当該技術分野で知られる任意の適切な超音波電源を含む、任意の適切な超音波電源である。
【0193】
上述したように、コントローラは、作用面を1秒当たり少なくとも2パルスの速度で周期的に超音波振動させるように構成され、各パルスは250ミリ秒未満の持続時間を有し、任意の2パルスが少なくとも10ミリ秒の休止位相によって分離される。
【0194】
パルスの持続時間と休止位相の持続時間との比率は、任意の適切な比率である。いくつかの実施形態では、動作の1秒の間、比率は、30%パルス/70%休止位相~70%パルス/30%休止位相の間である。
【0195】
いくつかの実施形態では、動作の1秒の間、比率は、30%パルス/70%休止位相~70%パルス/30%休止位相の間、いくつかの実施形態では、30%パルス/70%休止位相~60%パルス/40%休止位相の間、いくつかの実施形態では更に30%パルス/70%休止位相~50%パルス/50%休止位相の間である。いくつかの好ましい実施形態では、動作の1秒の間、比率は、35%パルス/65%休止位相~45%パルス/55%休止位相の間、好ましくは37%パルス/63%休止位相~43%パルス/57%休止位相の間、例えば、40%パルス/60%休止位相である。
【0196】
超音波電源から供給される駆動交流電流(AC)の波形(即ち、関数時間としての強度)は、任意の適切な波形である。好ましい実施形態では、波形は矩形波である。
【0197】
パルスの周波数は、上述したように、1秒当たり少なくとも2パルス(2Hz)である、任意の適切な周波数である。いくつかの実施形態では、パルスの周波数は、20Hz以下であり、更には15Hz以下である。いくつかの実施形態では、パルスの周波数は、3Hz以上、更には4Hz以上である。いくつかの好ましい実施形態では、パルスの周波数は、約5Hz以上、約15Hz以下である。いくつかの好ましい実施形態では、パルスの周波数は、約5Hz、約10Hz及び約15Hzの群から選択される。
【0198】
トランスデューサにおける駆動電流の立ち上がり時間は、任意の適切な立ち上がり時間(あるパルスに対して、トランスデューサにおける電流が0から最大電流になるまでの時間)である。一般に、立ち上がり時間は短い方が好ましい。いくつかの実施形態では、立ち上がり時間は、パルス幅の約10%以下、約8%以下、更にはパルス幅の約5%以下である。
【0199】
いくつかの実施形態では、装置のコントローラは、(上記した)超音波振動のパルス的な印加を、(当該技術分野で知られる)超音波振動の連続的な印加と交互に行うことを可能にするように構成される。いくつかのそのような実施形態において、パルス的な超音波印加による処置持続時間は、約5秒~約60秒の間であり、約5秒~約60秒の間の連続的な超音波印加による処置持続時間と交互に行われる。いくつかの実施形態では、両方の処置持続時間は、約10秒~約30秒の間、例えば、約15秒~約25秒の間である。
【0200】
本明細書の教示のいくつかの実施形態の態様によれば、超音波振動で組織を処置するための方法も提供され、この方法は:
ソノトロードの作用面を組織表面と音響的に結合することと;
処置持続時間の間、作用面を超音波周波数で1秒当たり少なくとも(超音波振動の)2パルスの速度で周期的に振動させることであって、各パルスは250ミリ秒未満の持続時間を有し、任意の2パルスが少なくとも10ミリ秒の休止位相によって分離されることと、
を含み、
ここで、パルスの強度及び処置持続時間が所望の結果を得るのに十分である。
【0201】
組織表面は、任意の組織表面である。いくつかの実施形態では、組織表面は、皮膚、特にヒトの皮膚である。
【0202】
本方法は、超音波振動を用いた組織の処置方法である。本明細書で使用されるように、組織は、生物の生体組織であり、好ましい実施形態では、ヒトのような動物である。いくつかの実施形態では、本方法は、超音波振動による組織の経皮的処置のためのものである。いくつかの実施形態では、本方法は、皮下組織の経皮的処置のためのものである。いくつかの実施形態では、方法は、パルスの強度及び処置持続時間が、表面の下にある皮下脂肪の体積の減少を達成するのに十分であるように、皮下脂肪の体積を経皮的に減少させるためのものである。
【0203】
パルスの強度は、所望の効果を達成するのに十分な任意の適切な強度である。典型的には、強度は、当該技術分野で知られるような超音波振動の連続的な印加を用いた類似の超音波処置の強度の少なくとも50%である。
【0204】
処置持続時間は、任意の適切な処置持続時間である。いくつかの実施形態では、処置持続時間は、当該技術分野で知られるような超音波振動の連続的な印加を使用する類似の超音波処置の持続時間の少なくとも50%である。典型的には、持続時間は、約1分~約1時間の間である。
【0205】
任意の適切な装置又は装置の組み合わせ、特に本明細書の教示による装置は、本方法の実施形態を実施するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、皮下脂肪の経皮的処置のための既知の装置のような既知の装置が、本方法の実施態様の実施のために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、本方法の実施形態を実施するために、既知の装置がソフトウェア的に変更される。
【0206】
本方法のいくつかの実施形態では、パルスの持続時間と休止位相の持続時間の比率は、任意の適切な比率である。いくつかの実施形態では、動作の1秒の間に、比率は、30%パルス/70%休止位相~70%パルス/30%休止位相の間である。
【0207】
本方法のいくつかの実施形態において、1秒の間、比率は、30%パルス/70%休止位相~70%パルス/30%休止位相の間、いくつかの実施形態において、30%パルス/70%休止位相~60%パルス/40%休止位相の間、いくつかの実施形態において更には30%パルス/70%休止位相~50%パルス/50%休止位相の間である。いくつかの好ましい実施形態では、1秒の間、比率は、35%パルス/65%休止位相~45%パルス/55%休止位相の間、好ましくは37%パルス/63%休止位相~43%パルス/57%休止位相の間、例えば40%パルス/60%休止位相である。
【0208】
パルスの周波数は、上述したように、1秒当たり少なくとも2パルス(2Hz)である、任意の適切な周波数である。いくつかの実施形態では、パルスの周波数は、20Hz以下であり、更には15Hz以下である。いくつかの実施形態では、パルスの周波数は、3Hz以上であり、更には4Hz以上である。いくつかの好ましい実施形態では、パルスの周波数は、約5Hz以上、約10Hz以下である。
【0209】
トランスデューサにおける駆動電流の立ち上がり時間は、任意の適切な立ち上がり時間(あるパルスに対して、トランスデューサにおける電流が0から最大電流になるまでの時間)である。一般に、立ち上がり時間は短い方が好ましい。いくつかの実施形態では、立ち上がり時間は、パルス幅の約10%以下、約8%以下、更にはパルス幅の約5%以下である。
【0210】
所定の処置セッションは、典型的には、約5分~約30分の間である。とはいえ、25分より長い処置、更には20分より長い処置は、特に吸引が皮膚に印加される場合、処置を行う人にとって退屈で疲れるものになり得る。従って、処置セッションは、典型的には、5分~20分の間である。
【0211】
いくつかの実施形態では、(上記した)超音波振動のパルス的印加は、単一の処置セッション中に、(当該技術分野で知られる)超音波振動の連続的印加と交互に行われる。いくつかのそのような実施形態では、パルス的な超音波印加による処置持続時間は、約5秒~約60秒の間であり、約5秒~約60秒の間の連続的な超音波印加による処置持続時間と交互に行われる。いくつかの実施形態では、両方の処置持続時間は、約10秒~約30秒の間、例えば、約15秒~約25秒の間である。
【0212】
上記の説明では、いくつかの実施形態において、放射線源、カメラ、温度計、リザーバ/ポンプ152等の投与構成要素、及び真空ポンプ156等の吸引構成要素を含む、様々な構成要素の1つ以上がソノトロードの中空内部と連通していることを説明した。簡潔さ及び明瞭さのために、すべての選択肢及び並べ替えが本明細書に示されないが、本明細書の説明を熟読すれば当業者には明らかなように、存在するそのような構成要素のうちのどれも、いくつか又はすべてが、中空と、例えば軸ボルトの軸チャネルを通して軸方向に連通し、加えて又は代替的に、存在するそのような構成要素のうちのどれも、いくつか又はすべてが、中空と、例えば非軸貫通して軸方向に連通する。
【0213】
本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、他に定義されない限り、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者が一般に理解するのと同じ意味を有する。矛盾が生じた場合は、定義を含む本明細書が優先される。
【0214】
本明細書で使用される場合、用語「備える」、「含む」、「有する」及びその文法的変形は、記載された特徴、整数、ステップ又は構成要素を特定するものとみなされるが、1以上の追加の特徴、整数、ステップ、構成要素又はそれらの群の追加を排除するものではない。本明細書で使用される場合、不定冠詞「a」及び「an」は、文脈によって明らかに指示されない限り、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味する。
【0215】
本明細書で使用される場合、数値の前に「約」という用語がある場合、「約」という用語は、±10%を示すことを意図する。本明細書で使用される場合、「A及び/又はB」という形式のフレーズは、(A)、(B)又は(A及びB)からなる群からの選択を意味する。本明細書で使用される場合、「A、B及びCの少なくとも1つ」という形式のフレーズは、(A)、(B)、(C)、(A及びB)、(A及びC)、(B及びC)又は(A及びB及びC)からなる群からの選択を意味する。
【0216】
明確にするために、別々の実施形態の文脈で記載されている本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されることもできることが理解される。逆に、簡潔さのために、単一の実施形態の文脈で説明されている本発明の様々な特徴はまた、別々に、又は任意の適切なサブコンビネーションで、又は本発明の任意の他の説明された実施形態において好適に提供されてもよい。様々な実施形態の文脈で説明される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは動作不能である場合を除き、それらの実施形態の本質的な特徴と見なされるべきでははない。
【0217】
本発明は、その特定の実施形態と関連して説明されてきたが、多くの代替案、修正及び変形が当業者に明らかであることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の範囲内に入るそのような代替案、修正及び変形をすべて包含することが意図される。
【0218】
本出願における任意の文献の引用又は特定は、当該文献が本発明の先行技術として利用可能であることを認めるものと解釈されるべきではない。
【0219】
本明細書では、明細書の理解を容易にするために節見出しが使用されるが、必ずしも限定的に解釈されるべきものではない。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮下組織を処置するのに適した装置(72、132、142、146)であって:
a.近位面(14)及び遠位面(18)を有する超音波振動の生成のための超音波トランスデューサ(12)と;
b.ソノトロード軸(28)を有するソノトロード(74、118、126、128、134)と、を備え、当該ソノトロードは:
i.前記超音波トランスデューサ(12)の前記遠位面(18)に接触し、音響的に結合された近位面(56)と、
ii.より小さな半径の近位端(78)及びより大きな半径の遠位端(80)を有する円錐部分(76)であって、前記円錐部分(76)が、外側円錐表面(84)及び内側円錐表面(86)を有する円錐壁(82)によって画定され、内側円錐表面(86)が少なくとも部分的に中空(88)を画定する円錐部分と、
iii.リング状の近位面(92)及びリング状の遠位面を有する前記円錐部分(76)の前記遠位端(80)から径方向外側に伸びるリング部分(90)であって、前記リング状の遠位面がソノトロード(74)の作用面(94)であり、前記作用面(94)の孔(96)が前記中空(88)の開放端を構成しているリング部分(90)と、を含む装置。
【請求項2】
前記ソノトロード(74、128、134)の前記作用面(94)の前記孔(96)を通して皮膚表面に吸引を印加するように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記吸引の引用と前記ソノトロードの作動とを同時に可能にして、皮下組織に超音波振動を誘起するように構成された、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ソノトロード(118、134)の前記作用面(94)の前記孔(96)を通して見える皮膚表面に電磁放射線を照射するように構成された、請求項1に記載の装置(132、142、146)。
【請求項5】
皮膚表面の前記照射と前記ソノトロードの作動とを同時に可能にして、皮下組織に超音波振動を誘起するように構成された、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ソノトロード(134)の前記作用面(94)の前記孔(96)を通して皮膚表面に吸引を印加するように更に構成された、請求項4~5の何れか1項に記載の装置。
【請求項7】
皮膚表面の前記照射;吸引の前記印加;及び前記ソノトロードの作動からなる群から選択された少なくとも2つの機能の同時作動を可能にして、皮下組織に超音波振動を誘起するように構成された、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記超音波トランスデューサは、遠位端及び近位端を有する軸ボルトを含むランジュバン型トランスデューサである、請求項1~7の何れか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記軸ボルト(75)は、前記軸ボルト(75)の前記遠位端と前記近位端との間に軸方向通路(108)を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記孔(96)の直径は、前記リング部分(90)の直径の10%~70%の間である、請求項1~9の何れか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記ソノトロードは、ステム(104)を更に備え、前記ステムは、前記ソノトロードの前記近位面(56)である近位面と、前記円錐壁(82)の前記近位端(78)である遠位端と、を有する、請求項1~10の何れか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記ソノトロードは、前記トランスデューサ(12)の付近の前記中空(88)と前記ソノトロードの外側との間に近位チャネル(112)を備える、請求項1~10の何れか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記超音波トランスデューサ(12)が、前記軸ボルト(75)の遠位端と近位端との間に軸方向通路(108)を有する軸ボルト(75)を含むランジュバン型トランスデューサであり、
前記ソノトロードは、前記軸ボルト(75)の前記遠位端を係合するためのボア(106)を備え、
前記ソノトロードの前記近位チャネル(112)と前記軸ボルトの前記軸方向通路(108)とが共に、前記中空(88)と前記軸ボルト(75)の前記近位端との間の連通を提供するようになっている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ソノトロードは、前記円錐壁(82)を通して前記中空(88)と前記ソノトロードの外側との間の連通を提供する非軸貫通チャネル(130)を備える、請求項1~13の何れか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記孔(96)の直径は、前記リング部分(90)の直径の10%~70%の間である、請求項1~14の何れか1項に記載の装置。
【国際調査報告】