(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】正極集電体、二次電池及び電力使用装置
(51)【国際特許分類】
H01M 4/66 20060101AFI20230901BHJP
【FI】
H01M4/66 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503201
(86)(22)【出願日】2021-09-01
(85)【翻訳文提出日】2023-01-17
(86)【国際出願番号】 CN2021115979
(87)【国際公開番号】W WO2023028919
(87)【国際公開日】2023-03-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】黄起森
(72)【発明者】
【氏名】李▲銘▼▲領▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼向▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】▲ポン▼佳
(72)【発明者】
【氏名】李▲チェン▼
(72)【発明者】
【氏名】秦猛
【テーマコード(参考)】
5H017
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017DD05
5H017DD06
5H017EE01
5H017EE03
5H017EE05
5H017EE07
5H017HH00
5H017HH01
5H017HH03
5H017HH08
(57)【要約】
本願の実施例は、正極集電体、二次電池及び電力使用装置を提供する。正極集電体は、支持層と、支持層の少なくとも1つの表面に位置する導電層とを含み、導電層は、タブに接続されるための第1の金属部を含み、第1の金属部は、導電層の厚さ方向に沿って、3層以上のサブ層を含み、3層以上のサブ層の融点は、支持層に近い方向から支持層から離れる方向への勾配で上昇する。本願の実施例は、第1の金属部が3層以上のサブ層を含み、3層以上のサブ層の融点が支持層に近い方向から支持層から離れる方向への勾配で上昇することによって、導電層と支持層との間の接合力の向上に有利であり、フレーキングや層間剥離が発生しにくい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持層と、
前記支持層の少なくとも1つの表面に位置し、タブに接続されるための第1の金属部を備える導電層と、を含み、
前記第1の金属部は、前記導電層の厚さ方向に沿って、3層以上のサブ層を備え、前記3層以上のサブ層の融点は、前記支持層に近い方向から前記支持層から離れる方向への勾配で上昇する、
正極集電体。
【請求項2】
前記第1の金属部は、金属マトリックス及びドープ元素を含み、
前記金属マトリックスは、アルミニウム又はアルミニウム系合金から選択され、及び/又は
前記ドープ元素は、ベリリウム、カルシウム、カドミウム、セリウム、インジウム、ランタン、リチウム、ネオジム、ニッケル、パラジウム、プラセオジム、サマリウム、スズ、イットリウム、イッテルビウム、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ケイ素、ウラン、マグネシウム及び銅のうちの1種又は複数種から選択される、
請求項1に記載の正極集電体。
【請求項3】
前記第1の金属部の質量含有率Wを100%とした場合、前記ドープ元素の質量含有率W
1は、0.5%~10%であり、前記金属マトリックスの質量含有率W
2は、90%~99.5%である、
請求項2に記載の正極集電体。
【請求項4】
前記支持層は、高分子材料及び高分子系複合材料のうちの1種又は複数種を含み、
前記高分子材料は、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンエチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリアセチレン、シリコーンゴム、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルファイド、ポリエチレングリコール、ポリ窒化硫黄系、ポリフェニル、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピリジン、セルロース、澱粉、蛋白質、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、それらの誘導体、それらの架橋物及びそれらの共重合体のうちの1種又は複数種を備え、
前記高分子系複合材料は、前記高分子材料及び金属材料を備え、選択的に、前記金属材料は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、鉛、亜鉛、スズ、アンチモン、ビスマス、銀及びルテニウムのうちの1種又は複数種を備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載の正極集電体。
【請求項5】
前記高分子系複合材料の質量含有率を100%とした場合、前記金属材料のドープ量は、10%以下であり、選択的に、前記金属材料のドープ量の範囲は、5%以下であり、及び/又は
前記金属材料のD50は、5μm以下であり、選択的に、前記金属材料のD50は、1μm~3μmであり、D50とは、前記金属材料の累積体積分率が50%に達した時に対応する粒径、即ち、体積分布中央粒径である、
請求項4に記載の正極集電体。
【請求項6】
前記第1の金属部の融点と前記支持層の融点との比値は、R
4であり、1.35≦R
4≦10であり、選択的に、2.08≦R
4≦3.88である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の正極集電体。
【請求項7】
前記第1の金属部の融点は、540℃~650℃であり、選択的に、前記第1の金属部の融点は、540℃~620℃であり、及び/又は
前記支持層の融点は、65℃~400℃であり、選択的に、前記支持層の融点は、160℃~260℃である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の正極集電体。
【請求項8】
前記導電層は、正極活物質層に接続されるための第2の金属部を含み、前記第2の金属部の融点は、600℃~660℃であり、選択的に、前記第2の金属部の融点は、620℃~660℃である、
請求項1~7のいずれか1項に記載の正極集電体。
【請求項9】
前記第1の金属部の厚さと前記第2の金属部の厚さとの比値は、Aであり、1.01≦A≦3である、
請求項8に記載の正極集電体。
【請求項10】
前記第1の金属部は、前記導電層の厚さ方向に沿って、第1のサブ層、第2のサブ層及び第3のサブ層を含み、前記第3のサブ層は、前記支持層の表面に位置し、前記第2のサブ層は、前記第3のサブ層における前記支持層から離れる一側に位置し、前記第1のサブ層は、前記第2のサブ層における前記支持層から離れる一側に位置し、
前記第1のサブ層は、第1の金属マトリックスを含み、及び/又は
前記第2のサブ層は、第2の金属マトリックス及び第2のドープ元素を含み、及び/又は
前記第3のサブ層は、第3の金属マトリックス及び第3のドープ元素を含み、
前記第1の金属マトリックス、前記第2の金属マトリックス及び前記第3の金属マトリックスは、それぞれ独立に、アルミニウム又はアルミニウム系合金から選択され、及び/又は
前記第2のドープ元素及び前記第3のドープ元素は、それぞれ独立に、ベリリウム、カルシウム、カドミウム、セリウム、インジウム、ランタン、リチウム、ネオジム、ニッケル、パラジウム、プラセオジム、サマリウム、スズ、イットリウム、イッテルビウム、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ケイ素、ウラン、マグネシウム及び銅のうちの1種又は複数種から選択される、
請求項1~9のいずれか1項に記載の正極集電体。
【請求項11】
前記第1の金属マトリックスは、アルミニウムから選択され、及び/又は
前記第2の金属マトリックスは、アルミニウムから選択され、前記第2のドープ元素は、カルシウム、セリウム、ランタン、リチウム、ネオジム、ニッケル、パラジウム、プラセオジム、サマリウム、イットリウム、イッテルビウム、ウラン及び銅のうちの1種又は複数種から選択され、前記第2のドープ元素は、金属間化合物を形成するためのものであり、前記金属間化合物は、前記第2のサブ層にドープされ、及び/又は
前記第3の金属マトリックスは、アルミニウムから選択され、前記第3のドープ元素は、カルシウム、セリウム、ランタン、リチウム、ネオジム、ニッケル、パラジウム、プラセオジム、サマリウム、イットリウム、イッテルビウム、ウラン及び銅のうちの1種又は複数種から選択され、前記第3のドープ元素は、金属間化合物を形成するためのものであり、前記金属間化合物は、前記第3のサブ層にドープされる、
請求項10に記載の正極集電体。
【請求項12】
前記第1のサブ層の融点と前記第2のサブ層の融点との比値は、R
1であり、1<R
1≦1.1であり、及び/又は
前記第2のサブ層の融点と前記第3のサブ層の融点との比値は、R
2であり、1<R
2≦1.2であり、及び/又は
前記第3のサブ層の融点と前記支持層の融点との比値は、R
3であり、1.35≦R
3≦9.23である、
請求項10又は11に記載の正極集電体。
【請求項13】
前記第1のサブ層の融点は、650℃~660℃であり、
前記第2のサブ層の融点は、600℃~650℃であり、
前記第3のサブ層の融点は、540℃~600℃である、
請求項10~12のいずれか1項に記載の正極集電体。
【請求項14】
前記正極集電体は、保護層をさらに含み、前記保護層は、前記導電層における厚さ方向に対向する2つの表面のうちの少なくとも一方に設けられ、
選択的に、前記第1の金属部は、金属マトリックス及びドープ元素を含み、前記保護層の厚さD
4と前記ドープ元素の質量含有率W
1は、式D
4=(5+W
1*100)nmを満たす、
請求項1~13のいずれか1項に記載の正極集電体。
【請求項15】
正極シート、セパレータ及び負極シートを含み、前記正極シートは、請求項1~14のいずれか1項に記載の正極集電体と、前記正極集電体の少なくとも1つの表面に形成される正極活物質層と、を含む、
二次電池。
【請求項16】
電気エネルギーを供給するための請求項15に記載の二次電池を含む、
電力使用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池の技術分野に関し、特に、正極集電体、二次電池及び電力使用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、エネルギー密度が大きく、出力パワーが高く、サイクル寿命が長く、及び環境汚染が低いなどの利点を有しているため、電気自動車及び消費者向け電子製品に広く適用されている。集電体は、二次電池における重要な構成部分であり、活性材料層を支持すると共に、活性材料層で発生した電流を集めて外部に出力するために用いられる。そのため、集電体は、電極シートや二次電池などの性能に対し重要な影響を有する。現在、通常、「金属-絶縁高分子-金属」というサンドイッチ構造の複合集電体を採用して、二次電池の性能を向上させるが、従来の複合集電体とタブとの溶接には、接合不良などの不具合が存在し、溶接不良品率が高くなってしまう。そのため、従来の複合集電体は、依然として改良の余地がある。
【発明の概要】
【0003】
本願は、上記課題に鑑みなされたものであり、正極集電体、二次電池及び電力使用装置を提供することを目的とする。
【0004】
上記目的を実現するために、本願の第1の態様は、支持層と、支持層の少なくとも1つの表面に位置する導電層とを含む正極集電体を提供し、導電層は、タブに接続されるための第1の金属部を含む。第1の金属部は、導電層の厚さ方向に沿って、3層以上のサブ層を含み、前記3層以上のサブ層の融点は、支持層に近い方向から支持層から離れる方向への勾配で上昇する。
【0005】
これにより、本願の実施例の第1の金属部は、3層以上のサブ層を備え、3層以上のサブ層の融点は、支持層に近い方向から支持層から離れる方向への勾配で上昇し、支持層に接触するサブ層の融点が支持層の融点により近いため、導電層と支持層との複合において、例えば超音波溶接を採用して複合し、導電層は、当該サブ層とより容易に相互に浸透可能であり、冷却後の接合がより強固になり、導電層と支持層との間の接合力の向上に有利であり、導電層と支持層との分離脱落問題を効果的に防止する。また、支持層から離れる距離が最も大きいサブ層の融点が比較的高いため、当該サブ層が溶接機器に粘着される可能性を低下させることができ、溶接の一致性を高める。また、中間層に位置するサブ層は、隣接するサブ層と相互に浸透融着可能であり、支持層に接触するサブ層と、支持層から離れる距離が最も大きいサブ層との融点の差の過大による溶接不良の問題を効果的に防止することができ、各サブ層間の接合力を高める。
【0006】
任意の実施形態において、第1の金属部は、金属マトリックス及びドープ元素を含む。金属マトリックスは、アルミニウム又はアルミニウム系合金から選択される。ドープ元素は、ベリリウム、カルシウム、カドミウム、セリウム、インジウム、ランタン、リチウム、ネオジム、ニッケル、パラジウム、プラセオジム、サマリウム、スズ、イットリウム、イッテルビウム、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ケイ素、ウラン、マグネシウム及び銅のうちの1種又は複数種から選択される。
【0007】
これにより、本願の実施例は、ドープ元素と金属マトリックスの配合によって、第1の金属部の融点を顕著に低下させ、第1の金属部の融点を、勾配的変化を呈するように調整することができる。
【0008】
任意の実施形態において、第1の金属部の質量含有率Wを100%とした場合、ドープ元素の質量含有率W1は、0.5%~10%であり、金属マトリックスの質量含有率W2は、90%~99.5%である。これにより、本願の実施例は、上記質量含有率のドープ元素と金属マトリックスを添加することによって、第1の金属部の導電性及び電気化学環境での安定性を確保することができる。
【0009】
任意の実施形態において、支持層は、高分子材料及び高分子系複合材料のうちの1種又は複数種を含む。高分子材料は、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンエチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリアセチレン、シリコーンゴム、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルファイド、ポリエチレングリコール、ポリ窒化硫黄系、ポリフェニル、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピリジン、セルロース、澱粉、蛋白質、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、それらの誘導体、それらの架橋物及びそれらの共重合体のうちの1種又は複数種を含む。高分子系複合材料は、高分子材料及び金属材料を含み、選択的に、金属材料は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、鉛、亜鉛、スズ、アンチモン、ビスマス、銀及びルテニウムのうちの1種又は複数種を含む。これにより、本願の実施例の支持層は、厚さが小さく、重量が軽いため、二次電池の体積エネルギー密度を顕著に向上させることができる。
【0010】
任意の実施形態において、高分子系複合材料の質量含有率を100%とした場合、金属材料のドープ量は、10%以下であり、選択的に、金属材料のドープ量の範囲は、5%以下である。
【0011】
これにより、本願の実施例は、二次電池の体積エネルギー密度を確保することができると共に、支持層と第1の金属部との間の接合力を向上させることができる。
【0012】
任意の実施形態において、金属材料のD50は、5μm以下であり、選択的に、金属材料のD50は、1μm~3μmであり、D50とは、金属材料の累積体積分率が50%に達した時に対応する粒径、即ち、体積分布中央粒径である。
【0013】
これにより、本願の実施例の高分子材料と金属材料により形成された支持層の厚さは均一である。
【0014】
任意の実施形態において、第1の金属部の融点と支持層の融点との比値は、R4であり、1.35≦R4≦10であり、選択的に、2.08≦R4≦3.88である。これにより、本願の実施例において、第1の金属部は、支持層の融点に近いため、第1の金属部と支持層との間の接合力を高めることができる。
【0015】
任意の実施形態において、第1の金属部の融点は、540℃~650℃である。選択的に、第1の金属部の融点は、540℃~620℃である。本願の実施例の第1の金属部の融点は、比較的低いため、第1の金属部と支持層との間の接合力をさら高めることができる。
【0016】
任意の実施形態において、支持層の融点は、65℃~400℃である。選択的に、支持層の融点は、160℃~260℃である。本願の実施例の支持層の融点は、比較的高いため、第1の金属部と支持層との間の接合力をさらに高めることができる。
【0017】
任意の実施形態において、導電層は、正極活物質層に接続されるための第2の金属部を含み、第2の金属部の融点は、600℃~660℃であり、選択的に、第2の金属部の融点は、620℃~660℃である。本願の実施例の第2の金属部の導電性能は良い。
【0018】
任意の実施形態において、第1の金属部の厚さと第2の金属部の厚さとの比値は、Aであり、1.01≦A≦3である。上記厚さの比値の範囲にある第1の金属部は、第1の金属部の溶接効果を高め、通電容量(current-carrying capacity)及び機械抵抗性を向上させることができ、且つ、正極集電体の一体化加工に有利である。
【0019】
任意の実施形態において、第1の金属部は、導電層の厚さ方向に沿って、第1のサブ層、第2のサブ層及び第3のサブ層を含み、第3のサブ層は、支持層の表面に位置し、第2のサブ層は、第3のサブ層における支持層から離れる一側に位置し、第1のサブ層は、第2のサブ層における支持層から離れる一側に位置し、第1のサブ層は、第1の金属マトリックスを含み、及び/又は第2のサブ層は、第2の金属マトリックス及び第2のドープ元素を含み、及び/又は第3のサブ層は、第3の金属マトリックス及び第3のドープ元素を含み、第1の金属マトリックス、第2の金属マトリックス及び第3の金属マトリックスの材料は、それぞれ独立に、アルミニウム又はアルミニウム系合金から選択され、及び/又は第2のドープ元素及び第3のドープ元素は、それぞれ独立に、ベリリウム、カルシウム、カドミウム、セリウム、インジウム、ランタン、リチウム、ネオジム、ニッケル、パラジウム、プラセオジム、サマリウム、スズ、イットリウム、イッテルビウム、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ケイ素、ウラン、マグネシウム及び銅のうちの1種又は複数種から選択される。
【0020】
これにより、本願の実施例において、第1のサブ層、第2のサブ層及び第3のサブ層の融点は、勾配変化の傾向を呈し、溶融した場合、第2のサブ層は、第1のサブ層及び第3のサブ層とそれぞれ浸透接合可能であり、これによって、各層間の接合力を高め、第1の金属部内の各層のサブ層にフレーキングや層間剥離が発生する可能性を低下させる。
【0021】
任意の実施形態において、前記第1の金属マトリックスは、アルミニウムから選択される。
【0022】
任意の実施形態において、第2の金属マトリックスは、アルミニウムから選択され、前記第2のドープ元素は、カルシウム、セリウム、ランタン、リチウム、ネオジム、ニッケル、パラジウム、プラセオジム、サマリウム、イットリウム、イッテルビウム、ウラン及び銅のうちの1種又は複数種から選択され、前記第2のドープ元素は、金属間化合物を形成するためのものであり、前記金属間化合物は、前記第2のサブ層にドープされる。本願の実施例において、ドープ元素は、ナノ硬さの高い金属間化合物相をインサイツ(In-situ)で形成することができ、金属間化合物相は、第2のサブ層に拡散分布し、第2のサブ層の引張強度の向上に有利である。
【0023】
任意の実施形態において、第3の金属マトリックスは、アルミニウムから選択され、前記第3のドープ元素は、カルシウム、セリウム、ランタン、リチウム、ネオジム、ニッケル、パラジウム、プラセオジム、サマリウム、イットリウム、イッテルビウム、ウラン及び銅のうちの1種又は複数種から選択され、前記第3のドープ元素は、金属間化合物を形成するためのものであり、前記金属間化合物は、前記第3のサブ層にドープされる。本願の実施例において、ドープ元素は、ナノ硬さの高い金属間化合物相をインサイツで形成することができ、金属間化合物相は、第3のサブ層に拡散分布し、第3のサブ層の引張強度の向上に有利である。
【0024】
任意の実施形態において、第1のサブ層の融点と第2のサブ層の融点との比値は、R1であり、1<R1≦1.1である。
【0025】
任意の実施形態において、第2のサブ層の融点と第3のサブ層の融点との比値は、R2であり、1<R2≦1.2である。
【0026】
任意の実施形態において、第3のサブ層の融点と支持層の融点との比値は、R3であり、1.35≦R3≦9.23である。
【0027】
これにより、本願の実施例は、各サブ層の融点の勾配設定によって、第1の金属部と支持層がかしめ構造を形成することに有利であり、溶接における振動による正極集電体の割れや剥離などの問題を低下させることができる。
【0028】
任意の実施形態において、第1のサブ層の融点は、650℃~660℃である。
【0029】
任意の実施形態において、第2のサブ層の融点は、600℃~650℃である。
【0030】
任意の実施形態において、第3のサブ層の融点は、540℃~600℃である。
【0031】
これにより、本願の実施例は、各サブ層の融点を選出することにより、第1の金属部の融点が勾配変化の傾向を形成するようにし、正極集電体の割れや剥離などの問題をさらに防止することができる。
【0032】
任意の実施形態において、正極集電体は、導電層における厚さ方向に対向する2つの表面のうちの少なくとも一方に設けられる保護層をさらに含む。本願の実施例の保護層は、導電層を保護し、正極集電体の機械強度を高くすることができる。
【0033】
任意の実施形態において、第1の金属部は、金属マトリックス及びドープ元素を含み、保護層の厚さD4とドープ元素の含有率百分率W1は、式D4=(5+W1*100)nmを満たす。
【0034】
これにより、本願の実施例は、ドープ元素の質量含有率の増加に従い、保護層の厚さを増加させ、集電体の電気化学安定性を向上させることができる。
【0035】
本願の第2の態様は、正極シート、セパレータ及び負極シートを含む二次電池を提供し、正極シートは、本願の第1の態様の正極集電体と、正極集電体の少なくとも1つの表面に形成される正極活物質層とを含む、。
【0036】
本願の第3の態様は、電気エネルギーを供給するための本願の第2の態様の二次電池を含む電力使用装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、本願の実施例に使用される図面を簡単に紹介し、明らかなように、以下で記述される図面は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的労働をすることなく、図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【
図1】
図1は、本願のいくつかの実施例による正極集電体の構造概略図である。
【
図2】
図2は、本願のいくつかの実施例による正極集電体の構造概略図である。
【
図3】
図3は、本願のいくつかの実施例による正極集電体の構造概略図である。
【
図4】
図4は、本願のいくつかの実施例による二次電池の正極シートの構造概略図である。
【
図5】
図5は、本願のいくつかの実施例による二次電池の構造概略図である。
【
図6】
図6は、
図5に示される本願のいくつかの実施例による二次電池の分解図である。
【
図7】
図7は、本願のいくつかの実施例による電池モジュールの構造概略図である。
【
図8】
図8は、本願のいくつかの実施例による電池パックの構造概略図である。
【
図9】
図9は、
図8に示される本願のいくつかの実施例による電池パックの分解図である。
【
図10】
図10は、本願のいくつかの実施例による電力使用装置の構造概略図である。
【符号の説明】
【0038】
符号の説明は以下の通りである。
【0039】
X-第1の方向
Y-厚さ方向
1-電力使用装置
10-電池パック
11-下ボックス体
12-上ボックス体
20-電池モジュール
30-二次電池
31-トップカバーアセンブリ
32-ケース
40-電極アセンブリ
41-正極シート
42-タブ
50-正極集電体
60-正極活物質層
70-支持層
70a-第1の表面
70b-第2の表面
80-導電層
81-第1の金属部
810-サブ層
811-第1のサブ層
812-第2のサブ層
813-第3のサブ層
82-第2の金属部
90-保護層
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面の簡単な説明を適切に参照しながら、本願の正極集電体、二次電池及び電力使用装置の実施形態を具体的に説明するが、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項に対する詳細な説明、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、図面及び以下の説明は、当業者の本願に対する十分な理解のために提供されるものであり、特許請求の範囲に記載される主題を限定することを意図するものではない。
【0041】
本願に開示される「範囲」は、下限と上限の形式で限定され、所定の範囲は、1つの下限と1つの上限を選定することによって限定されるものであり、選定される下限と上限は、特定範囲の境界を限定する。このように限定される範囲は、境界値を含むか又は境界値を含まないものであってもよく、かつ、任意に組み合わせてもよく、即ち、任意の下限は、任意の上限と組み合わせて1つの範囲を形成してもよい。例えば、特定のパラメータに対して60~120及び80~110の範囲を挙げると、60-110及び80-120の範囲と理解されることも予想される。なお、最小範囲値1、2を挙げると、かつ、最大範囲値3、4及び5を挙げると、1~3、1~4、1~5、2~3、2~4及び2~5の範囲が全部予想可能である。本願において、特段の断りのない限り、「a~b」という数値の範囲は、a~b間の任意の実数の集合の省略形を表し、aとbはいずれも実数である。例えば、「0~5」という数値範囲は、本明細書において既に全部挙げられた「0~5」間の全ての実数を表し、「0~5」は、これらの数値の集合の省略形に過ぎない。なお、あるパラメータが2以上の整数であることを記述する場合、当該パラメータが、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12などの整数であることを開示することに相当する。
【0042】
特別な説明がなければ、本願の全ての実施形態及び選択的な実施形態は、相互に組み合わせられて新しい技術的解決手段を形成することができる。特別な説明がなければ、本願の全ての技術的特徴及び選択的な技術的特徴は、相互に組み合わせられて新しい技術的解決手段を形成することができる。
【0043】
特別な説明がなければ、本願の全てのステップは、順序に行われてもよく、ランダムに行われてもよく、順序に行われることが好ましい。例えば、前記方法は、ステップ(a)、(b)を含み、前記方法が順序に行われるステップ(a)、(b)を含んでもよく、順序に行われるステップ(b)、(a)を含んでもよいことを意味する。例えば、上記に言及された前記方法は、ステップ(c)をさらに含んでもよく、ステップ(c)が任意の順序で前記方法に加えられてもいことを表し、例えば、前記方法は、ステップ(a)、(b)及び(c)を含んでもよく、ステップ(a)、(c)及び(b)を含んでもよく、ステップ(c)、(a)及び(b)などを含んでもよい。
【0044】
特別な説明がなければ、本願で言及される「含む」及び「包含」は、オープン式を示し、クローズ式であってもよい。例えば、前記「含む」及び「包含」は、挙げられない他の成分をさらに含んでもよいが又は包含してもよく、挙げられた成分のみを含んでもよいが又は包含してもよいことを意味することができる。
【0045】
特別な説明がなければ、本願において、「又は」という用語は、包括的なものである。例を挙げると、「A又はB」という文句は、「A、B、又はA及びBの両方」を表す。より具体的には、Aが真(又は存在する)且つBが偽(又は存在しない)であり、Aが偽(又は存在しない)且つBが真(又は存在する)であり、又はA及びBがいずれもが真(又は存在する)であることのうちのいずれか条件は、いずれも「A又はB」という条件を満たす。
【0046】
「第1の」、「第2の」という用語などの関係用語は、1つの実体又は操作を他の実体又は操作と区別するのみに用いられ、これらの実体又は操作の間に任意の実際的な関係又は順序が存在することを必ずしも要求したり示唆したりするものではないことが理解すべきである。
【0047】
本願の上記出願内容は、本願における開示された各実施形態又は各実現形態を記述することを意図するものではない。以下のような記述は、例示的な実施形態をより具体的に例を挙げて説明する。本願全体における複数の箇所において、一連の実施例によってガイダンスが提供され、これらの実施例は、様々な組み合わせで使用可能である。各実施例において、代表的のみとしての組が挙げられ、網羅的なものとして解釈されるべきではない。
【0048】
[正極集電体]
【0049】
本願の第1の態様の実施例は、正極集電体を提供する。
図1を参照されたく、正極集電体50は、支持層70と、支持層70の少なくとも1つの表面に位置する導電層80とを含み、導電層80は、タブに接続されるための第1の金属部81を含み、第1の金属部81は、導電層80の厚さ方向Yに沿って、3層以上のサブ層810を含み、3層以上のサブ層810の融点は、支持層70に近い方向から支持層7から離れる方向への勾配で上昇する。
【0050】
本願の実施例の第1の金属部81は、タブを溶接し、正極活物質層で発生した電流を集めた後、タブによって外部に出力するためのものである。
【0051】
本願の実施例の第1の金属部81とタブとの接続方法は、溶接であってもよい。
【0052】
本願の実施例の導電層80の厚さ方向Yと支持層70の厚さ方向Yは、同一方向であり、本明細書において厚さ方向Yと略称される。
【0053】
本願の実施例の支持層70は、対向する第1の表面70a及び第2の表面70bを厚さ方向Yに有し、導電層80は、支持層70の第1の表面70a及び第2の表面70bのうちのいずれか一方又は両方に設けられてもよい。導電層80と支持層70は、正極集電体50として複合され、導電層80の厚さは、従来技術に通常に使用されるアルミニウム箔金属のような集電体の厚さよりもはるかに小さく、且つ、支持層70は高分子材料又は高分子系複合材料であり、正極集電体50全体の厚さが小さく、重量が軽いため、当該正極集電体50を用いた二次電池の体積エネルギー密度を高めることができる。
【0054】
本願の実施例の正極集電体50によると、第1の金属部81は、3層以上のサブ層810を含み、3層以上のサブ層810の融点は、支持層70に近い方向から支持層70から離れる方向への勾配で上昇する。支持層70に接触するサブ層810の融点は、支持層70の融点により近く、導電層80と支持層70との複合中に、例えば、超音波溶接を採用して複合し、導電層80は、当該サブ層810とより容易に相互に浸透され、冷却後の接合もより強固になり、導電層80と支持層70との間の接合力の向上に有利であり、導電層80と支持層70との分離脱落問題を効果的に防止する。かつ、支持層70から離れる距離が最も大きいサブ層810の融点は、比較的高く、当該サブ層810が溶接機器に粘着される可能性を低下可能であることによって、溶接の一致性を高める。
【0055】
中間層に位置するサブ層810に隣接するサブ層810は、支持層70に接触するサブ層810と支持層70から離れる距離が最も大きいサブ層810である。中間層に位置するサブ層810の融点は、隣接するサブ層810の融点の間に介在し、溶接中に、中間層に位置するサブ層810は、支持層70に接触されるサブ層810と相互に浸透可能であり、かつ、支持層70から離れる距離が最も大きいサブ層810と相互に浸透可能であり、溶接時の各サブ層810間の浸透力を高めることができ、支持層70に接触するサブ層810と支持層70から離れる距離が最も大きいサブ層810の融点の差の過大による溶接不良の問題を効果的に防止することによって、各サブ層810間の接合力を高める。
【0056】
[導電層]
【0057】
本願の実施例の導電層80は、機械的圧延、接着、気相堆積法(vapordeposition)、化学めっき(Electroless plating)、電気めっき(Electroplating)のうちの少なくとも1種の方法によって、支持層70に形成されるものであってもよく、そのうち、気相堆積法又は電気めっき法が好ましく、即ち、導電層80は、気相堆積層又は電気めっき層であることが好ましく、このようにして、導電層80と支持層70との間の密着接合をより良好に実現することができ、支持層70の導電層80に対する支持及び保護作用を効果的に発揮する。
【0058】
本願の実施例の導電層80の厚さは小さく、導電層80の抵抗は大きく、二次電池が異常場合で短絡を発生した時の短絡抵抗をさらに高めて、短絡電流を大幅に減少させ、短絡点に「点断線」を形成することによって、二次電池の安全性能を改善させることができる。導電層80は、第1の金属部81及び第2の金属部82を備える。第1の金属部81は、タブに接続されるためのものであり、第2の金属部82は、正極活物質層に接続されるためのものである。
【0059】
いくつかの実施形態において、第1の金属部81は、金属マトリックス及びドープ元素を含む。金属マトリックスは、アルミニウム又はアルミニウム系合金から選択される。ドープ元素は、ベリリウム、カルシウム、カドミウム、セリウム、インジウム、ランタン、リチウム、ネオジム、ニッケル、パラジウム、プラセオジム、サマリウム、スズ、イットリウム、イッテルビウム、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ケイ素、ウラン、マグネシウム及び銅のうちの1種又は複数種から選択される。上記ドープ元素と金属マトリックスとが配合されることにより、第1の金属部81の融点を顕著に低下させ、第1の金属部81の融点を、勾配的変化を呈するように調整することができる。例示的に、金属マトリックスは、アルミニウム、アルミニウムニッケル合金、アルミニウムチタン合金又はアルミニウム銀合金である。第1の金属部81は、アルミニウムベリリウム合金、アルミニウム、銀及びカルシウムを複合した合金、又はアルミニウム、ベリリウム及びカルシウムを複合した合金である。
【0060】
いくつかの実施形態において、第1の金属部81の質量含有率Wを100%とした場合、ドープ元素の質量含有率W1は、0.5%~10%であり、金属マトリックスの質量含有率W2は、90%~99.5%である。上記質量含有率のドープ元素は、第1の金属部81の融点を顕著に低下させることができ、第1の金属部81を超音波の作用で加熱溶融することに必要なエネルギーは低く、タブとの融着に有利であり、溶接効果を向上させる。ドープ元素の元素種類や含有量分布を調整、制御し、第1の金属部81の各サブ層810間に融点勾配が形成可能である。かつ、上記質量含有率のドープ元素と金属マトリックスとが配合されることにより、第1の金属部81の導電性及び電気化学環境での安定性を確保することができる。
【0061】
ドープ元素の質量含有率は、0.5%~10%であり、例えば、0.5%、0.8%、1.0%、1.2%、1.5%、1.8%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.6%、4.9%、5.0%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、8.0%、8.5%、9.0%、9.5%又は10.0%であってもよく、又は、ドープ元素の質量含有率の範囲は、前述した任意の2つの数値から構成されてもよい。ドープ元素の質量含有率は、選択的に、1.5%~8.0%であり、ドープ元素の質量含有率は、選択的に、5.0%~8.0%である。それに応じて、金属マトリックスの質量含有率は、ドープ元素の質量含有率に合わせて選出される。
【0062】
いくつかの実施形態において、第1の金属部81の融点と支持層70の融点との比値は、R4であり、1.35≦R4≦10である。第1の金属部81と支持層70との融点の比値が上記範囲にある場合、溶接時に、第1の金属部81と支持層70とはより容易に相互に融着され、同士の接合力が強い。
【0063】
第1の金属部81の融点と支持層70の融点との比値R4は、1.35≦R4≦10である。例えば、1.35、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0又は10であってもよく、又はR4の値は、前述した任意の2つの数値から構成されてもよい。選択的に、2≦R4≦7.5である。
【0064】
いくつかの実施形態において、第1の金属部81の融点は、540℃~650℃である。ドープ金属は、金属マトリックスにドープされて、融点勾配を含む第1の金属部81を形成し、第1の金属部81と支持層70との溶接に有利であり、従って、第1の金属部81と支持層70との接合力を高める。第1の金属部81の融点は、上記R4に基づいて選出することができる。
【0065】
第1の金属部81の融点は、540℃~650℃であり、例えば、融点は、540℃、550℃、560℃、570℃、580℃、590℃、600℃、610℃、620℃、630℃、640℃又は650℃であってもよく、又は、第1の金属部81の融点は、前述した任意の2つの数値から構成されてもよい。選択的に、第1の金属部81の融点は、540℃~620℃である。
【0066】
いくつかの実施形態において、導電層80は、正極活物質層に接続されるための第2の金属部82を含み、第2の金属部82の融点は、600℃~660℃である。例示的に、第2の金属部82は、金属マトリックスを含み、金属マトリックスは、アルミニウム又はアルミニウム系合金から選択される。例示的に、金属マトリックスは、アルミニウム、アルミニウムニッケル合金、アルミニウムチタン合金又はアルミニウム銀合金である。第2の金属部82の導電性能を確保した上で、第2の金属部82は、金属マトリックスにドープ金属がドープされてもよく、例示的に、ドープ元素は、ベリリウム、カルシウム、カドミウム、セリウム、インジウム、ランタン、リチウム、ネオジム、ニッケル、パラジウム、プラセオジム、サマリウム、スズ、イットリウム、イッテルビウム、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ケイ素、ウラン、マグネシウム及び銅のうちの1種又は複数種から選択される。
【0067】
第2の金属部82の融点は、600℃~660℃であり、例えば、600℃、610℃、620℃、630℃、640℃、650℃又は660℃であってもよく、又は、第2の金属部82の融点の数値範囲は、前述した任意の2つの数値から構成されてもよい。選択的に、第2の金属部82の融点は、620℃~660℃である。
【0068】
いくつかの実施形態において、第1の金属部81の厚さと第2の金属部82の厚さとの比値は、Aであり、1.01≦A≦3である。上記厚さの比値範囲にある第1の金属部81は、第1の金属部81の溶接効果を高め、通電容量及び機械抵抗性を向上させることができ、且つ、第1の金属部81の厚さは、厚すぎることなく、正極集電体50の一体化加工に有利である。Aが1.01未満であると、第1の金属部81の厚さの増加は明らかでなく、溶接、通電及び機械抵抗性を改善する効果を果たすことができない。Aが3を越えると、第2の金属部82の厚さは厚すぎ、正極集電体50自身の一体化加工に有利ではなく、厚すぎる第1の金属部81が支持層70に複合された場合、大量の熱の放出に伴い、第1の金属部81に対応する支持層70の高温融着及び一部の分解を招きやすく、支持層70の力学性能を低下させ、かつ、正極集電体50の溶接性能を低下させ、正極集電体50が巻き取られる場合、しわの問題が生じやすく、一部の導電層80にクラックが生じ、導電層80の導電能力を低下させると共に、二次電池のエネルギー密度も低下させる。
【0069】
第1の金属部81の厚さと第2の金属部82の厚さとの比値Aは、1.01≦A≦3である。例えば、Aは、1.01、1.05、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9又は3であってもよく、又は、Aの数値範囲は、前述した任意の2つの数値から構成されてもよい。選択的に、1.2≦A≦2である。さらに選択的に、1.25≦A≦1.8である。
【0070】
いくつかの実施形態において、第1の金属部81の厚さD2は、300nm≦D2≦2μmである。第1の金属部81の厚さは適度であり、第1の金属部81は、溶接、通電及び機械抵抗性の効果を効果的に改善させることができる。
【0071】
第1の金属部81の厚さD2は、300nm≦D2≦2μmである。例えば、D2は、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、1.2μm、1.3μm、1.5μm、1.8μm又は2μmであってもよく、又は、第1の金属部81の厚さの範囲は、前述した任意の2つの数値から構成されてもよい。選択的に、500nm≦D2≦1.5μmである。さらに選択的に、800nm≦D2≦1.1μmである。
【0072】
いくつかの実施形態において、第2の金属部82の厚さD3は、300nm≦D3≦2umである。第2の金属部82の厚さは適度であり、第2の金属部82の短絡の内部抵抗の増大に有利であると共に、二次電池の内部短絡に対する抵抗力を改善させることができ、正極集電体50の後続の加工における破損を防止することもできる。
【0073】
第2の金属部82の厚さD3は、300nm≦D3≦2umである。例えば、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、1.2μm、1.3μm、1.5μm、1.8μm、2μmであってもよく、又は、第2の金属部82の厚さの範囲は、前述した任意の2つの数値から構成されてもよい。選択的に、500nm≦D3≦1.5μmである。さらに選択的に、800nm≦D3≦1.1μmである。
【0074】
いくつかの実施形態において、第1の方向Xに沿って、第2の金属部82の寸法と第1の金属部81の寸法との比値Bは、10≦B≦500である。そのうち、本願の実施例における第1の方向Xは、導電層80の幅方向である。第1の方向Xに沿って、第2の金属部82の寸法は、第2の金属部82の幅であり、第1の方向Xに沿って、第1の金属部81の寸法は、第1の金属部81の幅である。第2の金属部82の幅と第1の金属部81の幅との比値が上記範囲にある場合、当該正極集電体50を用いた二次電池のエネルギー密度、サイクル性能及びレート性能の向上に有利である。Bが10未満であると、第1の金属部81の占有率が高すぎ、二次電池のエネルギー密度の向上に有利ではない。Bが500を越えると、第1の金属部81の占有率が低すぎ、第2の金属部82が広すぎ、電流の伝送経路が長すぎ、二次電池の内部の内部抵抗及び発熱が過大となってしまい、二次電池のサイクル性能及びレート性能の向上に有利ではない。
【0075】
第1の方向Xに沿って、第2の金属部82の寸法と第1の金属部81の寸法との比値Bは、10≦B≦500である。例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、180、190、200、240、250、280、300、320、350、380、400、420、450、480又は500であってもよく、又は、Bの範囲は、前述した任意の2つの数値から構成されてもよい。選択的に、50≦B≦200である。さらに選択的に、60≦B≦120である。
【0076】
いくつかの実施形態において、第1の方向Xに沿って、第1の金属部81の寸法C1は、1mm<C1≦20mmである。第1の金属部81の寸法C1が1mm未満であると、第1の金属部81の幅が狭すぎ、溶接面積が小さすぎ、第1の金属部81が受け可能な機械力が小さすぎ、二次電池の溶接信頼性の要求を満たすことが困難である。第1の金属部81の寸法C1が20mmを越えると、第1の金属部81の幅が広すぎ、二次電池の内部の空間利用率の向上に有利ではなく、二次電池のエネルギー密度を低下させてしまい、広すぎる第1の金属部81は、ダイカット時に正極集電体50の無駄を引き起こし、正極集電体50の利用率を低下させ、且つ、タブと正極集電体50が重なるリスクを増加させる。
【0077】
第1の方向Xに沿って、第1の金属部81の寸法は、C1であり、1mm<C1≦20mmであり、例えば、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm又は20mmであってもよく、又は、C1の数値範囲は、前述した任意の2つの数値から構成されてもよい。選択的に、2mm≦C1≦10mmであり、さらに選択的に、3mm≦C1≦5mmである。
【0078】
いくつかの実施形態において、第1の方向Xに沿って、第2の金属部82の寸法C2は、100mm<C2≦800mmである。第2の金属部82の幅は適度であり、第2の金属部82の導電性を高めることができ、二次電池のエネルギー密度を確保することができる。
【0079】
第1の方向Xに沿って、第2の金属部82の寸法C2は、200mm≦C2≦800mmであり、例えば、200mm、300mm、400mm、500mm、600mm、700mm又は800mmであってもよく、又は、第2の金属部82の幅の範囲は、前述した任意の2つの数値から構成されてもよい。選択的に、200mm≦C2≦800mmであり、さらに選択的に、300mm≦C2≦500mmである。
【0080】
いくつかの実施形態において、
図2を参照されたく、第1の金属部81は、厚さ方向Yに沿って、第1のサブ層811、第2のサブ層812及び第3のサブ層813を含む。第3のサブ層813は、支持層70の表面に位置し、第2のサブ層812は、第3のサブ層813における支持層70から離れる一側に位置し、第1のサブ層811は、第2のサブ層812における支持層70から離れる一側に位置する。説明すべきこととして、第1の金属部81は、3層のサブ層を含み、3層のサブ層は、融点勾配が形成されてもよい。当然のことながら、第1の金属部81は、4層、5層以上のサブ層を含み、より多段階の融点勾配を形成してもよい。例示的に、第1の金属部81は、4層のサブ層、即ち、厚さ方向Yに沿って順次に積層配置された第1のサブ層811、第2のサブ層812、第4のサブ層及び第3のサブ層813を含み、第2のサブ層812と第4のサブ層の融点は、同じでもよく、異なってもよい。
【0081】
第1のサブ層811は、第1の金属マトリックスを含み、第1の金属マトリックスは、アルミニウム又はアルミニウム系合金から選択される。第1のサブ層811の融点は、比較的高く、溶融に必要なエネルギーが高く、溶接機器との粘着が発生しにくい。
【0082】
第2のサブ層812は、第2の金属マトリックス及び第2のドープ元素を含み、第2の金属マトリックスは、アルミニウム又はアルミニウム系合金から選択され、第2のドープ元素は、ベリリウム、カルシウム、カドミウム、セリウム、インジウム、ランタン、リチウム、ネオジム、ニッケル、パラジウム、プラセオジム、サマリウム、スズ、イットリウム、イッテルビウム、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ケイ素、ウラン、マグネシウム及び銅のうちの1種又は複数種から選択される。第2のドープ元素は、第2の金属マトリックスにドープされ、第2のサブ層812の融点を適切に低下させることができる。第1のサブ層811、第2のサブ層812及び第3のサブ層813の融点は、勾配変化の傾向を呈し、第1の金属部81が加熱溶融した場合、各層に必要な溶融エネルギーは異なり、特に、第1のサブ層811と第3の
サブ層813に必要な溶融エネルギーの差が大きく、溶融が発生した時に、第2のサブ層812は、第1のサブ層811及び第3のサブ層813とそれぞれ浸透接合可能であり、これによって、各層間の接合力を高め、第1の金属部81内の各層のサブ層810にフレーキングや層間剥離が発生する可能性を低下させる。
【0083】
第3のサブ層813は、第3の金属マトリックス及び第3のドープ元素を含み、第3の金属マトリックスは、アルミニウム又はアルミニウム系合金から選択され、第3のドープ元素は、ベリリウム、カルシウム、カドミウム、セリウム、インジウム、ランタン、リチウム、ネオジム、ニッケル、パラジウム、プラセオジム、サマリウム、スズ、イットリウム、イッテルビウム、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ケイ素、ウラン、マグネシウム及び銅のうちの1種又は複数種から選択される。第3のドープ元素は、第3の金属マトリックスにドープされ、第3のサブ層813の融点を顕著に低下させることができる。第3のサブ層813の溶融に必要なエネルギーは低く、溶融が発生した時に、支持層70と相互に浸透し、冷却後、相互に接合可能であり、第3のサブ層813と支持層70との間の接合力を高めることができる。
【0084】
いくつかの選択的な実施例において、第1の金属マトリックスは、アルミニウムから選択される。第2の金属マトリックスは、アルミニウムから選択され、第2のドープ元素は、カルシウム、セリウム、インジウム、ランタン、リチウム、ネオジム、パラジウム、プラセオジム、サマリウム、スズ、イットリウム、イッテルビウム、亜鉛のうちの1種又は複数種から選択される。第3の金属マトリックスは、アルミニウムから選択され、第3のドープ元素は、ガリウム、ゲルマニウム、ケイ素、マグネシウム、銅のうちの1種又は複数種から選択される。
【0085】
前述した材質の金属マトリックス元素は、良好な導電性を有する。前述したドープ元素と前述した金属マトリックスが合金を形成して、第1の金属部81の融点を低下させ、第1の金属部81と支持層70との間の接合力の更なる向上に有利であることによって、正極集電体50全体の溶接品質を高める。
【0086】
いくつかの選択的な実施例において、第1の金属マトリックスは、アルミニウムから選択される。第2の金属マトリックスは、アルミニウムから選択され、第2のドープ元素は、カルシウム、セリウム、ランタン、リチウム、ネオジム、ニッケル、パラジウム、プラセオジム、サマリウム、イットリウム、イッテルビウム、ウラン及び銅のうちの1種又は複数種から選択される。第3の金属マトリックスは、アルミニウムから選択され、第3のドープ元素は、カルシウム、セリウム、ランタン、リチウム、ネオジム、ニッケル、パラジウム、プラセオジム、サマリウム、イットリウム、イッテルビウム、ウラン及び銅のうちの1種又は複数種から選択される。第1のサブ層811の引張強度が高い。第2のドープ元素は、ナノ硬さの高い金属間化合物相をインサイツで形成することができ、金属間化合物相は、第2のサブ層812に拡散分布し、第2のサブ層812の引張強度の向上に有利である。第3のドープ元素は、ナノ硬さの高い金属間化合物相をインサイツで形成することができ、金属間化合物相は、第3のサブ層813に拡散分布し、第3のサブ層813の引張強度の向上に有利である。第1のサブ層811、第2のサブ層812及び第3のサブ層813の引張強度の向上は、第1の金属部81全体の引張強度の向上に有利である。
【0087】
いくつかの選択的な実施例において、第1の金属マトリックスは、アルミニウムから選択される。第2の金属マトリックスは、アルミニウムから選択され、第2のドープ元素は、セリウム、ランタン、ニッケル、プラセオジム、サマリウム、ウラン、イッテルビウム及びイットリウムのうちの1種又は複数種から選択され、第2のドープ元素は、金属間化合物を形成するために用いられ、第2のサブ層812にドープされる。第3の金属マトリックスは、アルミニウムから選択され、第3のドープ元素は、セリウム、ランタン、ニッケル、プラセオジム、サマリウム、ウラン、イッテルビウム、イットリウムのうちの1種又は複数種から選択され、第3のドープ元素は、金属間化合物を形成するために用いられ、第3のサブ層813にドープされる。上記第2のドープ元素と第3のドープ元素は、金属間化合物相をそれぞれ形成し、サブ層810に分布することができ、且つ、微量のドープだけで第2のサブ層812及び第3のサブ層813の融点を顕著に低下させることができる。かつ、第1のサブ層811の融点が高く、微量のドープ元素のドープによって、第1の金属部81の融点勾配がより容易に形成される。
【0088】
いくつかの実施形態において、第1のサブ層811の融点と第2のサブ層812の融点との比値は、R1であり、1<R1≦1.1である。選択的に、1.05≦R1≦1.1である。
【0089】
第2のサブ層812の融点と第3のサブ層813の融点との比値は、R2であり、1<R2≦1.2である。選択的に、1.1≦R2≦1.2である。
【0090】
第3のサブ層813の融点と支持層70の融点との比値は、R3であり、1.35≦R3≦9.23である。選択的に、2≦R3≦4である。
【0091】
各サブ層の融点の勾配設定は、第1の金属部81と支持層70との相互の浸透融着に有利であり、第1の金属部81と支持層70との間の接合力を高め、第1の金属部81と支持層70の割れを効果的に防止することができる。
【0092】
いくつかの選択的な実施例において、第1のサブ層811の融点は、650℃~660℃である。例えば、650℃、652℃、655℃、658℃又は660℃であってもよく、又は、第1のサブ層811の融点範囲は、前述した任意の2つの数値から構成されてもよい。
【0093】
いくつかの選択的な実施例において、第2のサブ層812の融点は、600℃~650℃である。例えば、600℃、610℃、620℃、630℃、640℃又は650℃であってもよく、又は、第2のサブ層812の融点範囲は、前述した任意の2つの数値から構成されてもよい。
【0094】
いくつかの選択的な実施例において、第3のサブ層813の融点は、540℃~600℃である。例えば、540℃、550℃、560℃、570℃、580℃、590℃又は600℃であってもよく、又は、第3のサブ層813の融点範囲は、前述した任意の2つの数値から構成されてもよい。
【0095】
いくつかの実施形態において、第1のサブ層811の厚さと第2のサブ層812の厚さとの比値は、N1であり、0.8≦N1≦1.2である。例えば、0.8、0.9、1.0、1.1又は1.2であってもよく、又は、N1の数値範囲は、前述した任意の2つの数値から構成されてもよい。選択的に、0.9≦N1≦1.1である。
【0096】
第2のサブ層812の厚さと第3のサブ層813の厚さとの比値は、N2であり、0.8≦N2≦1.2である。例えば、0.8、0.9、1.0、1.1又は1.2であってもよく、又は、N2の数値範囲は、前述した任意の2つの数値から構成されてもよい。選択的に、0.9≦N2≦1.1である。
【0097】
第3のサブ層813の厚さと支持層70の厚さとの比値は、N3であり、0.02≦N3≦0.5である。例えば、0.02、0.05、0.1、0.15、0.18、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45又は0.5であってもよく、又は、N3の数値範囲は、前述した任意の2つの数値から構成されてもよい。選択的に、0.05≦N3≦0.1である。
【0098】
各サブ層の厚さの比値が前述した範囲にある場合、各サブ層の厚さは適度であり、溶接におけるエネルギーの伝達に有利であり、各サブ層の溶接における効果的な融着を確保することができる。
【0099】
第3のサブ層813の厚さと支持層70の厚さとの比値が前述した範囲にある場合、低融点の第3のサブ層813において、溶接中に、十分な含有量の第3のドープ元素が支持層70に浸透し、有効な融着深さが形成されることを確保可能であることによって、溶接の強度を向上させる。
【0100】
いくつかの実施形態において、第1のサブ層811の厚さは、100nm~1000nmである。例えば、第1のサブ層811の厚さは、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、400nm、450nm、500nm、550nm、600nm、650nm、700nm、750nm、800nm、850nm、900nm、950nm又は1000nmであってもよく、又は、第1のサブ層811の厚さの範囲は、前述した任意の2つの数値から構成されてもよい。選択的に、第1のサブ層811の厚さは、200nm~500nmである。
【0101】
第2のサブ層812の厚さは、100nm~1000nmである。例えば、第2のサブ層812の厚さは、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、400nm、450nm、500nm、550nm、600nm、650nm、700nm、750nm、800nm、850nm、900nm、950nm又は1000nmであってもよく、又は、第2のサブ層812の厚さの範囲は、前述した任意の2つの数値から構成されてもよい。選択的に、第2のサブ層812の厚さは、200nm~500nmである。
【0102】
第3のサブ層813の厚さは、100nm~1000nmであり、例えば、第3のサブ層813の厚さは、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、400nm、450nm、500nm、550nm、600nm、650nm、700nm、750nm、800nm、850nm、900nm、950nm又は1000nmであってもよく、又は、第3のサブ層813の厚さの範囲は、前述した任意の2つの数値から構成されてもよい。選択的に、第3のサブ層813の厚さは、200nm~500nmである。
【0103】
第1のサブ層811、第2のサブ層812及び第3のサブ層813の具体的な厚さ値は、前述した各サブ層810間の比値関係に基づいて選出可能であり、各サブ層が溶接中に効果的に融着できることを確保する。
【0104】
[支持層]
【0105】
本願の実施例の支持層70は、導電層80に対し支持及び保護作用を果たすことができ、その抵抗が大きく、二次電池が異常場合で短絡を発生した時の短絡抵抗を高め、短絡電流を大幅に減少させ、短絡点に「点断線」を形成して、二次電池の安全性能を改善させることができる。
【0106】
いくつかの実施形態において、支持層70は、高分子材料及び高分子系複合材料のうちの1種又は複数種を含む。支持層70は、厚さが小さく、重量が軽く、二次電池のエネルギー密度を顕著に向上させることができる。
【0107】
いくつかの選択的な実施例において、高分子材料は、ポリアミド(Polyamide,PAと略称する)、ポリイミド(Polyimide,PIと略称する)、ポリエチレンテレフタレート(poly(ethylene terephthalate),PETと略称する)、ポリブチレンテレフタレート(Polybutylene terephthalat,PBTと略称する)、ポリエチレンナフタレート(Polyethylene naphthalate two formic acid glycol ester,PENと略称する)、ポリカーボネート(Polycarbonate,PCと略称する)、ポリエチレン(Polyethylene,PEと略称する)、ポリプロピレン(Polypropylene,PPと略称する)、ポリプロピレンエチレン(PPEと略称する)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(Acrylonitrile butadiene styrene copolymers,ABSと略称する)、ポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol,PVAと略称する)、ポリスチレン(Polystyrene,PSと略称する)、ポリ塩化ビニル(Polyvinyl chloride,PVCと略称する)、ポリフッ化ビニリデン(Polyvinylidenefluoride,PVDFと略称する)、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene,PTFEと略称する)、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(Poly(sodium-p-styrenesulfonate),PSS)、ポリアセチレン(Polyacetylene)、シリコーンゴム(Silicone rubber)、ポリオキシメチレン(Polyformaldehyde,POMと略称する)、ポリフェニレンエーテル(Polyphenylene Oxide,PPOと略称する)、ポリフェニレンスルファイド(Polyphenylene sulfide,PPSと略称する)、ポリエチレングリコール(Polyethylene glycol,PEGと略記する)、ポリ窒化硫黄系(Polythiaxyl)、ポリフェニル(Polyphenyl)、ポリピロール(Polypyrrple,PPyと略称する)、ポリアニリン(Polyaniline,PANと略称する)、ポリチオフェン(Polythiophene,PTと略称する)、ポリピリジン(Polypyridine,PPYと略称する)、セルロース、澱粉、蛋白質、エポキシ樹脂(Epoxy resin)、フェノール樹脂(Phenol-formaldehyde resin)、それらの誘導体、それらの架橋物及びそれらの共重合体のうちの1種又は複数種を含む。選択的に、高分子材料は、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルファイドのうちの1種又は複数種である。
【0108】
いくつかの選択的な実施例において、高分子系複合材料は、高分子材料及び金属材料を含む。選択的に、金属材料は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、鉛、亜鉛、スズ、アンチモン、ビスマス、銀及びルテニウムのうちの1種又は複数種を含む。金属が高分子材料にドープされた場合、支持層70は、溶融時に第1の金属部81の金属元素と融着することができ、支持層70と第1の金属部81は相互に浸透し、溶接の強度及び良品率を顕著に向上させることができ、接合不良が発生する可能性を低下させることができる。
【0109】
いくつかの選択的な実施例において、高分子系複合材料の質量含有率を100%とした場合、金属材料のドープ量は、10%以下であり、選択的に、金属材料のドープ量の範囲は、5%以下である。上記ドープ量の範囲にある金属材料は、二次電池の体積エネルギー密度を確保することができると共に、支持層70と第1の金属部81との間の接合力を向上させることができる。
【0110】
いくつかの選択的な実施例において、金属材料のD50は、5μm以下である。選択的に、金属材料のD50の範囲は、1μm~3μmであり、D50とは、金属材料の累積体積分率が50%に達した時に対応する粒径、即ち、体積分布中央粒径である。D50は、上記数値範囲を満たし、金属材料の粒度は適度であり、粒子の一部の凝集を防止することができ、金属粒子は、高分子材料に均一にドープされることができ、金属粒子は、基本的に、支持層70から突出すことはなく、高分子材料と金属材料により形成された支持層70の厚さは均一である。
【0111】
いくつかの実施形態において、支持層70の融点は、65℃~400℃である。支持層70の融点は、第1の金属部81における支持層70に近いサブ層の融点に近く、大きい融点の差による加熱変形が大きくなり、溶接引張力が小さくなり、したがって、溶接不良品率が高まることを防止することができる。支持層70と当該サブ層の融点の差は小さく、溶融時に相互に浸透可能であり、冷却後、接合力が強い。支持層70の融点は、上記R4に基づいて選出することができる。
【0112】
支持層70の融点は、65℃~400℃であり、例えば、65℃、70℃、80℃、90℃、100℃、120℃、150℃、180℃、200℃、220℃、250℃、280℃、300℃、350℃又は400℃であってもよく、又は、支持層70の融点は、上記任意の2つの数値から構成された数値範囲にあってもよい。選択的に、支持層70の融点は、150℃~300℃である。さらに選択的に、支持層70の融点は、160℃~260℃である。
【0113】
いくつかの実施形態において、支持層70のビカ軟化温度は、300℃以下であり、選択的に、支持層70のビカ軟化温度は、250℃以下である。ここで、ビカ軟化温度の支持層70は、より容易に溶融して第1の金属部81に接合される。
【0114】
ビカ軟化温度(Vicat Softening Temperature)は、支持層70を、液体伝熱媒体(液体パラフィン/グリセリン/シリコーンオイル)に置き、負荷10N、等速昇温50℃/hの条件で、支持層70が1mm2の押圧ピンのヘッドによって1mmの深さに圧入された時の温度である。
【0115】
いくつかの実施形態において、支持層70の厚さD1は、1μm≦D1≦20μmである。上記厚さの範囲にある支持層70は、機械強度を向上させることができ、加工及び使用中に破断が発生しにくく、導電層80に対し良好な支持及び保護作用を果たして、正極集電体50が良好な機械安定性及び長い使用寿命を有するように確保することができる。支持層70の厚さは、選択的に、20μm以下であり、より選択的に、10μm以下であり、より選択的に、6μm以下であり、二次電池が小さい体積及び重量を有するようにすることに有利であり、したがって、二次電池のエネルギー密度を高める。
【0116】
支持層70の厚さD1は、1μm≦D1≦20μmであり、例えば、1μm、1.5μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、10μm、12μm、15μm、18μm又は20μmであってもよく、又は、支持層70の厚さD1の範囲は、前述した任意の2つの数値から構成されてもよい。選択的に、2μm≦D1≦10μmである。さらに選択的に、2μm≦D1≦6μmである。
【0117】
[保護層]
【0118】
いくつかの実施形態において、
図3を参照されたく、正極集電体50は、保護層90をさらに備え、保護層90は、導電層80における厚さ方向Yに対向する2つの表面のうちの少なくとも一方に設けられる。導電層80は、対向する2つの表面を厚さ方向Yに含み、保護層90は、導電層80の2つの表面のうちのいずれか一方又は両方に積層配置されることにより、導電層80を保護し、導電層80に化学腐食や機械的破壊などの損害が発生することを防止し、正極集電体50が高い動作安定性及び使用寿命を有することを確保する。なお、保護層90は、正極集電体50の機械強度を高くこともできる。
【0119】
保護層90の材料は、金属、金属酸化物及び導電性炭素のうちの1種又は複数種であってもよい。そのうち、金属材料を用いた保護層90は、金属保護層であり、金属酸化物材料を用いた保護層90は、金属酸化物保護層である。上記金属は、例えば、ニッケル、クロム、ニッケル系合金及び銅系合金のうちの1種又は複数種である。前述したニッケル系合金は、純ニッケルをベースとして、1種又は複数種の他の元素を加えて構成された合金であり、ニッケルクロム合金が好ましい。
【0120】
上記金属酸化物は、例えば、酸化アルミニウム、酸化コバルト、酸化クロム及び酸化ニッケルのうちの1種又は複数種である。
【0121】
上記導電性炭素は、例えば、黒鉛、超伝導炭素、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、炭素ドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの1種又は複数種であり、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック及びグラフェンのうちの1種又は複数種が好ましい。
【0122】
いくつかの実施形態において、保護層90の厚さD4とドープ元素の質量含有率W1は、保護層90の厚さD4=(5+W1*100)nmを満たす。ドープ元素の質量含有率の増加に従い、保護層90の厚さを増加させ、二次電池のサイクル性能を向上させることができる。
【0123】
いくつかの実施形態において、保護層90の厚さD4は、5nm以上である。保護層90の厚さは、上記範囲にあり、導電層80に対し効果的な保護作用を果たすと共に、二次電池が良好なサイクル性能を有するようにすることができる。保護層90の厚さD4は、D4=(5+W1*100)nmに基づいて選出することができる。
【0124】
出願者により見出されたように、導電層におけるドープ元素の含有率の増加に従い、正極集電体は、より容易に電解液と化学反応し、従って、正極集電体が腐食されることを招く。かつ、二次電池の充放電を行うことに従い、正極集電体は、繰り返し膨張及び収縮応力を受け、導電層の表面の保護層が徐々に破壊されてしまい、導電層に含まれる金属元素(金属マトリックスとドープ元素)と電解液との接触面積が大きくなることによって、正極集電体の腐食が厳しくなってしまい、深刻な場合、正極集電体の導電能力に影響を与える可能性があり、導電ネットワークが妨害され、従って、二次電池のサイクル性能が急激に悪化してしまう。発明者により見出されたように、二次電池のサイクル性能を向上させるために、本願の実施例において、ドープ元素の含有率の増加に従い、保護層90の厚さを増加させ、二次電池の長期サイクル性能をより確実に確保することができる。
【0125】
保護層90の厚さD4は、5nm以上であり、例えば、D4は、5nm、10nm、20nm、30nm、50nm、80nm、100nm、120nm、150nm、180nm、200nm、220nm、250nm、280nm、300nm又は400nmであってもよい。選択的に、保護層90の厚さD4は、5nm≦D4≦200nmである。
【0126】
なお、以下、図面を適切に参照しながら、本願の電極シート、二次電池、電池モジュール、電池パック及び電力使用装置を説明する。
【0127】
[正極シート]
【0128】
いくつかの実施形態において、
図4を参照されたく、正極シート41は、正極集電体50と、正極集電体50の少なくとも1つの表面に形成される正極活物質層60とを含む。
【0129】
一例として、正極シート41は、積層配置された支持層70、導電層80及び正極活物質層60を含み、支持層70は、対向する第1の表面70a及び第2の表面70bを含み、導電層80は、支持層70の第1の表面70a及び/又は第2の表面70bに積層配置され、正極活物質層60は、導電層80における支持層70から離れる表面に設けられる。理解できることとして、支持層70の対向する2つの表面にいずれも導電層80が設けられた場合、正極集電体50の両面に活物質を塗布して得られた正極シート41は、二次電池に直接に適用可能である。支持層70の1つの表面に導電層80が設けられた場合、正極集電体50の片面に活物質を塗布して得られた正極シート41は、折り曲げられた後、二次電池に適用可能である。
【0130】
いくつかの実施形態において、正極活物質層60に用いられる正極活物質は、本分野の公知の二次電池用の正極活物質であってもよい。一例として、正極活物質は、オリビン構造のリチウム含有リン酸塩、リチウム遷移金属酸化物及びそれら各々の変性化合物のうちの少なくとも1種を含んでもよいが。本願は、これらの材料に限定されず、その他の正極活物質として用いられる従来の材料を使用してもよい。これらの正極活物質は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。そのうち、リチウム遷移金属酸化物の一例として、リチウムコバルト酸化物(例えば、LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(例えば、LiNiO2)、リチウムマンガン酸化物(例えば、LiMnO2、LiMn2O4)、リチウムニッケルコバルト酸化物、リチウムマンガンコバルト酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(例えば、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(NCM333と略称してもよい)、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2(NCM523と略称してもよい)、LiNi0.5Co0.25Mn0.25O2(NCM211と略称してもよい)、LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2(NCM622と略称してもよい)、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2(NCM811と略称してもよい)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(例えば、LiNi0.85Co0.15Al0.05O2)及びその変性化合物などのうちの少なくとも1種を含んでもよいが、これらに限定されない。オリビン構造のリチウム含有リン酸塩の一例として、リン酸鉄リチウム(例えば、LiFePO4(LFPと略称してもよい))、リン酸鉄リチウムと炭素の複合材料、リン酸マンガンリチウム(例えば、LiMnPO4)、リン酸マンガンリチウムと炭素の複合材料、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウムと炭素の複合材料のうちの少なくとも1種を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0131】
いくつかの実施形態において、正極活物質層60は、選択的に、接着剤をさらに含んでもよい。一例として、接着剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-プロピレン三元共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン三元共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体及びフッ素含有アクリル酸エステル樹脂のうちの少なくとも1種を含んでもよい。
【0132】
いくつかの実施形態において、正極活物質層60は、選択的に、導電剤をさらに含んでもよい。一例として、導電剤は、超伝導炭素、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、炭素ドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの少なくとも1種を含んでもよい。
【0133】
いくつかの実施形態において、以下の方法によって正極シート41を製造してもよい。上記の正極シート41を製造するための成分、例えば、正極活物質、導電剤、接着剤及び任意のその他の成分を、溶媒(例えば、N-メチルピロリドン)に分散して、正極スラリーを形成し、正極スラリーを、正極集電体に塗布し、乾燥、冷間プレスなどの工程を経た後、正極シート41を得ることができる。
【0134】
[負極シート]
【0135】
いくつかの実施形態において、負極シートは、負極集電体と、負極集電体の表面に形成された負極活物質層とを含む、負極集電体は、銅箔である。
【0136】
いくつかの実施形態において、負極活物質層における負極活物質は、本分野の公知の二次電池用の負極活物質を採用してよい。一例として、負極活物質は、人造黒鉛、天然黒鉛、軟質炭素、硬質炭素、ケイ素系材料、スズ系材料及びチタン酸リチウム等のうちの少なくとも1種を含んでもよい。ケイ素系材料は、単体ケイ素、ケイ素酸化合物、ケイ素炭素複合体、ケイ素窒素複合体及びケイ素合金のうちの少なくとも1種から選択されてもよい。スズ系材料は、単体スズ、スズ酸化合物及びスズ合金のうちの少なくとも1種から選択されてもよいが、本願は、これらの材料に限定されず、その他の電池の負極活物質として用いられる従来の材料を使用してもよい。これらの負極活物質は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0137】
いくつかの実施形態において、負極活物質層は、選択的に、接着剤をさらに含んでもよい。接着剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸ナトリウム(PAAS)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸ナトリウム(SA)、ポリメタクリル酸(PMAA)及びカルボキシメチルキトサン(CMCS)のうちの少なくとも1種から選択されてもよい。
【0138】
いくつかの実施形態において、負極活物質層は、選択的に、導電剤をさらに含んでもよい。導電剤は、超伝導炭素、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、炭素ドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの少なくとも1種から選択されてもよい。
【0139】
いくつかの実施形態において、負極活物質層は、選択的に、例えば増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na))などのその他の助剤をさらに含んでもよい。
【0140】
いくつかの実施形態において、以下の方法によって負極シートを製造してもよい。上記の負極シートを製造するための成分、例えば、負極活物質、導電剤、接着剤及び任意のその他の成分を、溶媒(例えば、脱イオン水)に分散して、負極スラリーを形成し、負極スラリーを、負極集電体に塗布し、乾燥、冷間プレスなどの工程を経た後、負極シートを得ることができる。
【0141】
[電解質]
【0142】
電解質は、正極シートと負極シートとの間でイオンを伝導する作用を果たす。本願の実施例は、電解質の種類を具体的に限定せず、必要に応じて選択することができる。例えば、電解質は、液体状、ゲル状又は全固体状であってもよい。
【0143】
いくつかの実施形態において、電解質に、電解液が採用される。電解液は、電解質塩及び溶媒を含む。
【0144】
いくつかの実施形態において、電解質塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム、ヘキサフルオロヒ酸リチウム、ビスフルオロスルホニルイミドリチウム、ビストリフルオロメタンスルホニルリチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム、ジフルオロシュウ酸ホウ酸リチウム、ジシュウ酸ホウ酸リチウム、ジフルオロジシュウ酸リン酸リチウム及びテトラフルオロシュウ酸リン酸リチウムのうちの少なくとも1種から選択されてもよい。
【0145】
いくつかの実施形態において、溶媒は、エチリデンカーボネート、プロピリデンカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチリデンカーボネート、フルオロエチリデンカーボネート、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、酪酸メチル、酪酸エチル、1,4-ブチロラクトン、スルホラン、ジメチルスルホン、メチルエチルスルホン及びジエチルスルホンのうちの少なくとも1種から選択されてもよい。
【0146】
いくつかの実施形態において、電解液は、選択的に、添加剤をさらに含んでもよい。例えば、添加剤は、負極成膜添加剤、正極成膜添加剤を含んでもよく、例えば、電池の過充電性能を改善する添加剤、電池の高温又は低温性能を改善する添加剤などの電池のなんらかの性能を改善できる添加剤を含んでもよい。
【0147】
[セパレータ]
【0148】
いくつかの実施形態において、二次電池には、セパレータをさらに含む。本願の実施例は、セパレータの種類を特に限定せず、良好な化学安定性及び機械安定性を有する任意の公知の多孔質構造セパレータを選用してもよい。
【0149】
いくつかの実施形態において、セパレータの材質は、ガラスファイバー、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリフッ化ビニリデンのうちの少なくとも1種から選択されてもよい。セパレータは、単層フィルムであってもよく、多層複合フィルムであってもよく、特に限定はない。セパレータが多層複合フィルムである場合、各層の材料は、同一又は異なってもよく、特に限定はない。
【0150】
いくつかの実施形態において、正極シート、負極シート及びセパレータは、巻回プロセス又は積層プロセスによって電極アセンブリを製造してもよい。
【0151】
いくつかの実施形態において、二次電池は、外装体を含んでもよい。当該外装体は、上記正極シート、負極シート、セパレータ及び電解質を封入することに用いることができる。
【0152】
いくつかの実施形態において、二次電池の外装体は、例えば、硬質プラスチック材質のシェル、アルミニウム材質のシェル、スチール材質のシェルなどのハードシェルであってもよい。二次電池の外装体は、例えば、袋式ソフトパッケージのようなソフトパッケージであってもよい。ソフトパッケージの材質は、プラスチックであってもよく、プラスチックとして、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート及びポリブチレンサクシネートなどが挙げられる。
【0153】
[二次電池]
【0154】
本願の第2の態様の実施例は、二次電池30を提供する。
【0155】
図4~
図6を参照されたく、二次電池30は、トップカバーアセンブリ31及びケース32と、ケース32に収容される電極アセンブリ40及び電解質とを含む。電極アセンブリ40は、正極シート41、負極シート及びセパレータを含む。正極シート41又は負極シートは、タブ42を含む。二次電池30の充放電中に、活性イオンは、正極シート41と負極シートとの間に挿入および脱離を繰り返す。電解質は、正極シート41と負極シートとの間でイオンを伝導する作用を果たす。セパレータは、正極シート41と負極シートとの間に設けられ、正負極の短絡を防止する作用を主に果たすと共に、イオンを通過させることができる。具体的に、当該二次電池30は、巻回式又は積層式の電池、例えば、リチウムイオン二次電池、リチウム一次電池、ナトリウムイオン電池、マグネシウムイオン電池のうちの1種であってもよいが、これに限らない。
【0156】
正極シート41は、本願の第1の態様の実施例の正極集電体50を含む。本願の実施例の二次電池30は、本願の第1の態様の正極集電体50を採用したため、従来の二次電池に比べて、良好な溶接性能を有する。
【0157】
本願は、二次電池の形状を特に限定せず、円筒形、角形又は他の任意の形状であってもよい。例えば、
図5は、一例としての角形構造の二次電池30である。
【0158】
いくつかの実施形態において、
図6を参照されたく、外装体は、ケース32及びトップカバーアセンブリ31を含んでもよい。そのうち、ケース32は、底板と、底板に接続された側板と、底板と側板で囲まれた収容チャンバーとを含んでもよい。ケース32は、収容チャンバーに連通する開口を有し、トップカバーアセンブリ31は、収容チャンバーを密封するように、開口に覆設されることができる。正極シート41、負極シート及びセパレータは、巻回プロセス又は積層プロセスによって電極アセンブリ40を形成してもよい。電極アセンブリ40は、収容チャンバーに封入される。電解液は、電極アセンブリ40に浸潤する。二次電池30に含まれる電極アセンブリ40の数は、1つ又は複数であってもよく、当業者は、具体的な実際の需要に応じて選択してもよい。
【0159】
いくつかの実施形態において、二次電池30は、電池モジュールとして組立てられてもよく、電池モジュールに含まれる二次電池30の数は、1つ又は複数であってもよく、具体的な数は、当業者によって電池モジュールの適用や容量に応じて選択されてもよい。
【0160】
図7は、一例としての電池モジュール20である。
図7を参照されたく、電池モジュール20において、複数の二次電池30は、電池モジュール20の長さ方向に沿って順に並列設置されたものであってもよい。当然のことながら、他の任意の方式で並列配置されてもよい。さらに、当該複数二次電池30を締め具を介して固定してもよい。
【0161】
選択的に、電池モジュール20は、収容空間を有するハウジングをさらに含んでもよく、複数の二次電池30が、当該収容空間に収容されてもよい。
【0162】
いくつかの実施形態において、上記電池モジュール20は、電池パックとして組立てられてもよく、電池パックに含まれる電池モジュール20の数は、1つ又は複数であってもよく、具体的な数は、当業者によって電池パックの適用や容量に応じて選択されてもよい。
【0163】
図8及び
図9は、一例としての電池パックである。
図8及び
図9を参照されたく、電池パック10には、電池ボックスと、電池ボックスに設けられる複数の電池モジュール20とを含んでもよい。電池ボックスは、上ボックス体12及び下ボックス体11を含み、上ボックス体12は、下ボックス体11に覆設されて、電池モジュール20を収容するための密封空間を形成することができる。複数の電池モジュール20は、任意の方法で電池ボックスに並列配置されてもよい。
【0164】
また、本願は、電力使用装置をさらに提供し、
図10を参照されたく、電力使用装置1は、本願により提供された二次電池30、電池モジュール20又は電池パック10のうちの少なくとも1種を含む。二次電池30、電池モジュール20又は電池パック10は、電力使用装置1の電源として用いられてもよく、電力使用装置1のエネルギー蓄積ユニットとして用いられてもよい。電力使用装置1は、携帯機器(例えば、携帯電話、ノートパソコンなど)、電動車両(例えば、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクーター、電動ゴルフカート、電動トラックなど)、電気列車、船舶及び衛星、エネルギー貯蔵システムなどが含まれてもよいが、これらに限らない。
【0165】
電力使用装置1として、その使用の需要に応じて、二次電池30、電池モジュール20又は電池パック10を選択してもよい。
【0166】
図10は、一例としての電力使用装置である。当該電力使用装置1は、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車又はプラグインハイブリッド電気自動車などである。当該電力使用装置1の二次電池30の高パワー及び高エネルギー密度に対する要求を満足するために、電池パック又は電池モジュールを採用してもよい。
【0167】
他の一例としての装置は、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートパソコンなどであってもよい。当該装置は、一般的に薄型化が要求され、二次電池30を電源として採用してもよい。
【0168】
実施例
【0169】
以下、本願の実施例を説明する。以下に記述される実施例は、例示的なものであり、本願を解釈するのみに用いられ、本願に対する限定であると理解すべきではない。実施例において、具体的な技術又は条件が明記されていないものは、本分野の文献に記載されている技術又は条件に従って、或いは製品の説明書に従って実施される。使用される試薬又は機器に生産メーカーが明記されていないものは、いずれも市販で入手できる一般的な製品である。
【0170】
実施例1
【0171】
1、正極集電体の製造
【0172】
6μmの厚さのPET支持層(融点は260℃)を選出して、支持層を表面洗浄処理し、表面洗浄処理された支持層を真空めっき室内に置き、550℃~1500℃の高温で、金属蒸発室内のアルミニウムワイヤ及びドープ金属を溶融して蒸発させ、蒸発された金属は、真空めっき室内の冷却システムにより、支持層の2つの表面に堆積し、導電層を形成する。そのうち、アルミニウムワイヤ及びドープ金属は、幅方向に沿って並べ且つ個別に制御されるいくつかの溶融ユニットからなり(溶融ユニットは、蒸着ボート、ワイヤ送給機構及び加熱電流回路を含む)、溶融ユニットを制御することによって、導電層の第1の金属部及び第2の金属部が得られ、第1の金属部は、2%ケイ素及び98%アルミニウムを含み、第2の金属部は、アルミニウムである。第1の金属部の厚さは、800nmであり、第2の金属部の厚さは、800nmであり、第1の金属部及び第2の金属部の厚さの比値は、1である。第1の金属部は、第1のサブ層、第2のサブ層及び第3のサブ層を含み、第1のサブ層は、アルミニウムであり、第1のサブ層の融点は、660℃であり、第2のサブ層は、0.5%ケイ素及び99.5%アルミニウムを含み、第2のサブ層の融点は、654℃であり、第3のサブ層は、1.5%ケイ素及び98.5%アルミニウムを含み、第3のサブ層の融点は、636℃である。第1の金属部の融点は、645℃である。
【0173】
各サブ層の製造
【0174】
各サブ層は、数回の蒸着堆積によって製造されたものであり、支持層の移動速度(300m/min)及び蒸発源のパラメータ(パワー、電圧380V)を制御することによって、1回のサブ層の堆積量(1回の堆積厚さは50nm程度)を制御する。具体的には、支持層の最初の6回の蒸着中に、アルミニウム溶融ユニットのパワーは、7.5KWに設定され、ケイ素溶融ユニットのパワーは、15.7KWに設定され、ケイ素が堆積したドープ含有率が1.5%の第3のサブ層を製造するために用いられ、総厚さは、300nmであり、次の6回の蒸着中に、アルミニウム溶融ユニットのパワーは、7.5KWに設定され、ケイ素溶融ユニットのパワーは、12.5KWに設定され、ケイ素が堆積したドープ含有率が0.5%である第2のサブ層を製造するために用いられ、総厚さは、300nmであり、最後の4回の蒸着中に、アルミニウム溶融ユニットのパワーは、7.5KWに維持され、ケイ素溶融ユニットの加熱パワーを遮断し、純アルミニウムが堆積した第1のサブ層を製造するために用いられ、総厚さは、200nmである。
【0175】
2、正極シートの製造
【0176】
正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(NCM333)、導電性カーボンブラック、接着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)を、均一な正極スラリーを形成するように、93:2:5の重量比で、適量のN-メチルピロリドン(NMP)溶媒に十分に撹拌して混合させ、正極スラリーを正極集電体の表面に塗布し、乾燥などの工程を経た後、正極シートを得た。
【0177】
3、通常の負極集電体
【0178】
厚さが8μmである銅箔を採用した。
【0179】
4、通常の負極シートの製造
【0180】
負極活物質としての黒鉛、導電性カーボンブラック、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、接着剤としてのスチレンブタジエンゴム乳液(SBR)を、均一な負極スラリーを形成するように、96.5:1.0:1.0:1.5の重量比で、適量の脱イオン水に十分に撹拌して混合させ、負極スラリーを負極集電体に塗布し、乾燥などの工程を経た後、負極シートを得た。
【0181】
5、セパレータ
【0182】
PPフィルムを採用した。
【0183】
6、電解液の調製
【0184】
3:7の体積比のエチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(EMC)を均一に混合し、有機溶媒が得られた後、1mol/LのLiPF6を、上記有機溶媒に均一に溶解した。
【0185】
7、二次電池の製造
【0186】
正極シート、セパレータ、負極シートを、順序に積層配置した後、電池コアとして巻回し、ハウジングに入れ、上記電解液を電池コアに注入した後、封止、静置、熱間及び冷間プレス、化成などの工程を経て、二次電池を得た。
【0187】
実施例2
【0188】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、第1のサブ層、第2のサブ層及び第3のサブ層を含み、第1のサブ層の融点は、660℃であり、第2のサブ層の融点は、630℃であり、第3のサブ層の融点は、660℃であり、支持層の融点は、260℃である。
【0189】
実施例3
【0190】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、第1のサブ層、第2のサブ層及び第3のサブ層を含み、第1のサブ層の融点は、650℃であり、第2のサブ層の融点は、630℃であり、第3のサブ層の融点は、570℃であり、支持層の融点は、260℃である。
【0191】
実施例4
【0192】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、第1のサブ層、第2のサブ層及び第3のサブ層を含み、第1のサブ層の融点は、650℃であり、第2のサブ層の融点は、630℃であり、第3のサブ層の融点は、540℃であり、支持層の融点は、400℃である。
【0193】
実施例5
【0194】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、第1のサブ層、第2のサブ層及び第3のサブ層を含み、第1のサブ層の融点は、650℃であり、第2のサブ層の融点は、630℃であり、第3のサブ層の融点は、600℃であり、支持層の融点は、65℃である。
【0195】
実施例6
【0196】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、第1のサブ層、第2のサブ層及び第3のサブ層を含み、第1のサブ層の融点は、650℃であり、第2のサブ層の融点は、630℃であり、第3のサブ層の融点は、540℃であり、支持層の融点は、260℃である。
【0197】
実施例7
【0198】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、第1のサブ層、第2のサブ層及び第3のサブ層を含み、第1のサブ層の融点は、780℃であり、第2のサブ層の融点は、650℃であり、第3のサブ層の融点は、600℃であり、支持層の融点は、260℃である。
【0199】
実施例8
【0200】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、第1のサブ層、第2のサブ層及び第3のサブ層を含み、第1のサブ層の融点は、650℃であり、第2のサブ層の融点は、630℃であり、第3のサブ層の融点は、540℃であり、支持層の融点は、450℃である。
【0201】
実施例9
【0202】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、第1のサブ層、第2のサブ層及び第3のサブ層を含み、第1のサブ層の融点は、660℃であり、第2のサブ層の融点は、600℃であり、第3のサブ層の融点は、580℃であり、支持層の融点は、260℃である。
【0203】
実施例10
【0204】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、第1のサブ層、第2のサブ層及び第3のサブ層を含み、第1のサブ層の融点は、660℃であり、第2のサブ層の融点は、650℃であり、第3のサブ層の融点は、540℃であり、支持層の融点は、260℃である。
【0205】
実施例11
【0206】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、0.5%ケイ素及び99.5%アルミニウムを含む。
【0207】
実施例12
【0208】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、7%ケイ素及び93%アルミニウムを含む。
【0209】
実施例13
【0210】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、10%ケイ素及び90%アルミニウムを含む。
【0211】
実施例14
【0212】
実施例1との違いとして、支持層は、3%スズ及び97%PETを含む。スズのD50は、3μmである。
【0213】
実施例15
【0214】
実施例1との違いとして、支持層は、5%スズ及び95%PETを含む。スズのD50は、3μmである。
【0215】
実施例16
【0216】
実施例1との違いとして、支持層は、10%スズ及び90%PETを含む。スズのD50は、3μmである。
【0217】
実施例17
【0218】
実施例1との違いとして、支持層は、5%スズ及び95%PETを含む。スズのD50は、5μmである。
【0219】
実施例18
【0220】
実施例1との違いとして、支持層は、5%スズ及び95%PETを含む。スズのD50は、3μmである。
【0221】
実施例19
【0222】
実施例1との違いとして、支持層は、5%スズ及び95%PETを含む。スズのD50は、1μmである。
【0223】
実施例20
【0224】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、99%アルミニウム及び1%ニッケルを含み、支持層は、PIである。
【0225】
実施例21
【0226】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、99%アルミニウム及び1%ニッケルを含み、支持層は、PEである。
【0227】
実施例22
【0228】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、92%アルミニウム及び8%銅を含み、支持層は、PIである。
【0229】
実施例23
【0230】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、92%アルミニウム及び8%銅を含み、支持層は、PEである。
【0231】
実施例24
【0232】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、93%アルミニウム及び7%ケイ素を含み、支持層は、PPである。
【0233】
実施例25
【0234】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、93%アルミニウム及び7%ケイ素を含み、支持層は、PETである。
【0235】
実施例26
【0236】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、92%アルミニウム及び8%銅を含み、支持層は、PPである。
【0237】
実施例27
【0238】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、92%アルミニウム及び8%銅を含み、支持層は、PETである。
【0239】
実施例28
【0240】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、90%アルミニウム及び10%マグネシウムを含み、支持層は、PPである。
【0241】
実施例29
【0242】
実施例1との違いとして、第1の金属部の厚さは、810nmであり、第2の金属部の厚さは、800nmである。
【0243】
実施例30
【0244】
実施例1との違いとして、第1の金属部の厚さは、1200nmであり、第2の金属部の厚さは、800nmである。
【0245】
実施例31
【0246】
実施例1との違いとして、第1の金属部の厚さは、2400nmであり、第2の金属部の厚さは、800nmである。
【0247】
実施例32
【0248】
実施例1との違いとして、第1の金属部の厚さは、900nmであり、第2の金属部の厚さは、800nmである。
【0249】
実施例33
【0250】
実施例1との違いとして、第1の金属部の厚さは、3200nmであり、第2の金属部の厚さは、800nmである。
【0251】
実施例34
【0252】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、0.5%スズ及び99.5%アルミニウムを含み、第1の金属部の表面に保護層が設けられており、保護層の厚さD4は、5.5nmである。
【0253】
保護層の形成は以下の通りである。導電層を有する集電体の表面において、気相堆積法、インサイツ形成法又はコーティング法によって、導電層における支持層から離れる表面に保護層を形成する。
【0254】
実施例35
【0255】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、2%スズ及び98%アルミニウムを含み、第1の金属部の表面に保護層が設けられており、保護層の厚さD4は、7nmである。
【0256】
保護層の形成は以下の通りである。導電層を有する集電体の表面において、気相堆積法、インサイツ形成法又はコーティング法によって、導電層における支持層から離れる表面に保護層を形成する。
【0257】
実施例36
【0258】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、7%スズ及び93%アルミニウムを含み、第1の金属部の表面に保護層が設けられており、保護層の厚さD4は、12nmである。
【0259】
保護層の形成は以下の通りである。導電層を有する集電体の表面において、気相堆積法、インサイツ形成法又はコーティング法によって、導電層における支持層から離れる表面に保護層を形成する。
【0260】
実施例37
【0261】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、10%スズ及び90%アルミニウムを含み、第1の金属部の表面に保護層が設けられており、保護層の厚さD4は、15nmである。
【0262】
保護層の形成は以下の通りである。導電層を有する集電体の表面において、気相堆積法、インサイツ形成法又はコーティング法によって、導電層における支持層から離れる表面に保護層を形成する。
【0263】
実施例38
【0264】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、2%スズ及び98%アルミニウムを含み、第1の金属部の表面に保護層が設けられており、保護層の厚さD4は、20nmである。
【0265】
保護層の形成は以下の通りである。導電層を有する集電体の表面において、気相堆積法、インサイツ形成法又はコーティング法によって、導電層における支持層から離れる表面に保護層を形成する。
【0266】
実施例39
【0267】
実施例1との違いとして、第1の金属部の表面に保護層が設けられており、保護層の厚さD4は、7nmである。
【0268】
保護層の形成は以下の通りである。導電層を有する集電体の表面において、気相堆積法、インサイツ形成法又はコーティング法によって、導電層における支持層から離れる表面に保護層を形成する。
【0269】
比較例1
【0270】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、第1のサブ層、第2のサブ層及び第3のサブ層を含み、第1のサブ層の融点は、650℃であり、第2のサブ層の融点は、650℃であり、第3のサブ層の融点は、600℃であり、支持層の融点は、260℃である。
【0271】
比較例2
【0272】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、第1のサブ層、第2のサブ層及び第3のサブ層を含み、第1のサブ層の融点は、540℃であり、第2のサブ層の融点は、650℃であり、第3のサブ層の融点は、600℃であり、支持層の融点は、260℃である。
【0273】
比較例3
【0274】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、第1のサブ層、第2のサブ層及び第3のサブ層を含み、第1のサブ層の融点は、660℃であり、第2のサブ層の融点は、660℃であり、第3のサブ層の融点は、540℃であり、支持層の融点は、260℃である。
【0275】
比較例4
【0276】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、第1のサブ層、第2のサブ層及び第3のサブ層を含み、第1のサブ層の融点は、660℃であり、第2のサブ層の融点は、600℃であり、第3のサブ層の融点は、660℃であり、支持層の融点は、260℃である。
【0277】
比較例5
【0278】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、第1のサブ層、第2のサブ層及び第3のサブ層を含み、第1のサブ層の融点は、650℃であり、第2のサブ層の融点は、630℃であり、第3のサブ層の融点は、660℃であり、支持層の融点は、65℃である。
【0279】
比較例6
【0280】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、第1のサブ層、第2のサブ層及び第3のサブ層を含み、第1のサブ層の融点は、660℃であり、第2のサブ層の融点は、660℃であり、第3のサブ層の融点は、660℃であり、支持層の融点は、260℃である。
【0281】
比較例7
【0282】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、アルミニウムである。
【0283】
比較例8
【0284】
実施例1との違いとして、第1の金属部は、アルミニウムであり、支持層は、PEである。
【0285】
比較例は、実施例の製造方法と類似して、異なる製品のパラメータを、表1~表14に示す。
【0286】
二、性能パラメータの試験方法
【0287】
1、正極シートの各パラメータの試験
【0288】
(1)第1の金属部/第1のサブ層/第2のサブ層/第3のサブ層/支持層の融点の試験
【0289】
示差走査熱量計(ドイツNETZSCH社製STA449 F3)を用いて、第1の金属部/第1のサブ層/第2のサブ層/第3のサブ層/支持層の融点を試験する。具体的に、30mg~50mgの第1の金属部/第1のサブ層/第2のサブ層/第3のサブ層/支持層のサンプルを秤量して、白金るつぼに入れ、窒素ガスを通気して保護雰囲気を形成し、窒素ガスの流量は、20mL/minに設定され、10℃/min昇温速度で昇温させ、最高温度1000℃まで昇温させ、最大吸熱ピークのピーク値を読み取り、第1の金属部/第1のサブ層/第2のサブ層/第3のサブ層/支持層に対応する融点である。
【0290】
(2)第1の金属部/第2の金属部/保護層の厚さの試験
【0291】
アルゴンイオンエッチング機器(日本電子株式会社製IB19500CP)を用いて、第1の金属部/第2の金属部/保護層の横断面サンプルを製造し、エッチング電圧は、7.5KVであり、エッチング時間は、20minである。走査型電子顕微鏡(Carl ZEISS社製Sigma300)を用いて、サンプルを1000~5000倍に拡大し、サンプルの横断面の二次電子相形態を観察し、第1の金属部/第2の金属部/保護層の厚さを測定し、動作電圧が10KVであり、動作距離が4.5mmであり、最小解像度がナノスケールに達する。
【0292】
(2)正極シートの抵抗の試験
【0293】
正極シートの抵抗の測定方法は、以下の通りである。RTS-9型二重電気測定四探針テスタを用いて、試験環境を、常温23±2℃、相対湿度≦65%とした。試験時に、正極シートを表面洗浄した後、水平に試験ステージに置き、四探針を正極シートの表面に接触させた後、材料の電流レンジを指定するように自動試験モードを調節して、電流レンジ100uA~100mAで、正極シートの抵抗を測定する。
【0294】
(3)正極シートとタブとの溶接個所の溶接引張力の試験
【0295】
高速レールテンショナを用いて、正極シートとタブとの溶接個所の溶接引張力を測定する。正極シートとタブとの溶接領域で、幅が30mmであり、長さが60mmであるサンプルを切断し、サンプルを5mm/minの速度で引っ張り、溶接位置が破断した時の最大引張力値を読み取る。32個のサンプルをランダムに選出して試験する。サンプルの溶接引張力の平均値によって、溶接の機械接合効果を評価する。そのうち、溶接引張力の平均値の計算式は、以下の通りである。
【0296】
溶接引張力の平均値=32個のサンプルの溶接引張力値の和/32。
【0297】
(4)溶接不良品率の試験
【0298】
1000個の二次電池の内部抵抗値を収集し、基準値(60Ah二次電池,基準は≦1.1mΩ)と比較し、基準値を越えた二次電池を不良品と定義する。不良品を解体し、内部抵抗が基準を越えた原因を識別し、そのうちの溶接不良による不良品数を統計する。そのうち、溶接不良品率の定義は、以下の通りである。
【0299】
溶接不良品率=溶接不良品数/1000*100%。
【0300】
(5)金属材料のD50試験
【0301】
レーザー回折粒度分布測定装置(Malvern Mastersizer 3000)を用いて、粒度分布レーザ回折法GB/T19077-2016に準じて、金属材料の粒径分布を測定し、D50を得た。
【0302】
2、電池の各パラメータの試験
【0303】
(1)電池の体積エネルギー密度の試験
【0304】
製作された二次電池に対し、常温で、1Cレートの電流で1回目の充電を行い、充電は、定電流定電圧充電であり、終止電圧は4.2Vであり、カットオフ電流は0.05Cであり、1Cレートの電流で放電を行い、放電終止電圧は2.8Vであり、二次電池が初回サイクル時の放電容量Cb及び放電プラトー電圧Uを記録する。
【0305】
最小目盛り値が1mmである巻き尺又は鋼尺を用いて、電池の長さ(L)、幅(W)及び高さ(H)を測定すれば、二次電池の体積エネルギー密度は、以下のような式によって計算される。
【0306】
体積エネルギー密度=Cb*U/(L*W*H)。
【0307】
(2)電池のサイクル性能の試験
【0308】
サイクル寿命の検出は、以下の通りである。試験条件を常温条件とし、製作された二次電池を、1Cレートで充電し、1Cレートで放電し、二次電池の容量が初期容量の80%に減衰するまで、フル充電及びフル放電サイクルの試験を行い、試験を停止し、サイクルの回数を記録する。
【0309】
三、各実施例、比較例の試験結果
【0310】
上記方法に応じて、実施例及び比較例の二次電池をそれぞれ製造し、二次電池の各項性能パラメータを測定し、結果を表1~表14に示す。
【0311】
説明すべきこととして、実施例Pは、正極集電体P、正極シートP及び電池Pに対応し、例えば、実施例1は、正極集電体1、正極シート1及び電池1に対応する。比較例Pは、比較正極集電体P、比較正極シートP及び比較電池Pに対応し、例えば、比較例1は、比較正極集電体1、比較正極シート1及び比較電池1に対応する。
【0312】
【0313】
【0314】
表1及び表2から明らかなように、電池1~電池10の第1の金属部は、3層のサブ層を含み、各層のサブ層の融点は、いずれも異なり、融点は、勾配変化の傾向を有し、第1の金属部の溶接性能を顕著に改善可能であり、溶接不良品率が低い。比較電池1~比較電池6の第1の金属部は、3層のサブ層を含むが、3層のサブ層は、三つの融点の勾配変化の傾向を呈していなく、第1の金属部の溶接信頼性が比較的低く、溶接不良品率が高い。
【0315】
【0316】
【0317】
表3及び表4から明らかなように、比較電池7の導電層は、アルミニウム箔を採用し、極片の溶接引張力が比較的小さく、溶接の信頼性が低く、溶接不良品率が高い。電池1、電池11~電池13に採用された導電層の第1の金属部には、ドープ金属がドープされており、アルミニウム箔の溶接引張力に比べて、極片の溶接引張力が向上した。
【0318】
【0319】
【0320】
表5及び表6から明らかなように、電池1に比べて、電池14~電池16は、支持層の高分子材料に、適量の金属材料を添加し、二次電池の溶接信頼性を効果的に向上可能であり、かつ、二次電池の溶接不良品率が低い。
【0321】
【0322】
【0323】
表7及び表8から明らかなように、電池1に比べて、電池17~電池19は、支持層の高分子材料に、適切な粒度の金属材料を添加し、二次電池の溶接信頼性を効果的に向上可能であり、かつ、二次電池の溶接不良品率が低い。
【0324】
【0325】
【0326】
表9及び表10から明らかなように、比較電池8に比べて、電池20~電池28の第1の金属部にドープ元素がドープされた場合、極片の溶接性能の信頼性がより良好になることができ、溶接不良品率がより低い。特に、第1の金属部の融点と支持層の融点との比値R4が1.35~10である場合、二次電池の溶接信頼性を効果的に向上可能であり、かつ、二次電池の溶接不良品率が低い。
【0327】
【0328】
【0329】
表11及び表12から明らかなように、電池1に比べて、電池29~電池33は、第1の金属部の溶接性能を顕著に改善することができ、二次電池のエネルギー密度を確保することができる。特に、第1の金属部の厚さと第2の金属部の厚さとの比値Aが1.01~3である場合、二次電池のエネルギー密度が比較的高い。
【0330】
【0331】
【0332】
表13及び表14から明らかなように、電池1に比べて、電池34~電池39の導電層の表面に保護層が設けられており、電池のサイクル性能を顕著に向上可能である。
【0333】
説明すべきこととして、本願は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、例示的なものに過ぎず、本願の技術的解決手段の範囲で、技術的思想と実質的に同等の構成を有し、同等の作用効果を発揮する実施形態は、いずれも本願の技術的範囲に含まれる。なお、本願の主題から逸脱しない限り、実施形態について当業者によって考えられる各種の変形を加え、実施形態における一部の構成要素を組み合わせて構築された他の形態も、本願の範囲に含まれる。
【国際調査報告】