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特表2023-538503腫瘍の放射線療法と化学療法を併用する塞栓治療とイメージングに利用可能な多機能マイクロスフェア製剤およびその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】腫瘍の放射線療法と化学療法を併用する塞栓治療とイメージングに利用可能な多機能マイクロスフェア製剤およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/16 20060101AFI20230901BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 51/06 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 47/69 20170101ALI20230901BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 31/136 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
A61K9/16
A61P35/00
A61K47/32
A61K51/06 200
A61K47/69
A61K31/704
A61K31/136
A61K31/4745
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506501
(86)(22)【出願日】2021-08-09
(85)【翻訳文提出日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 CN2021111509
(87)【国際公開番号】W WO2022042279
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】202010863646.8
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516022770
【氏名又は名称】フダン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チエン,ユイ
(72)【発明者】
【氏名】ル,ウェイ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE16A
4C076EE45A
4C076FF02
4C076FF68
4C076GG08
4C085HH03
4C085JJ11
4C085KA29
4C085KB18
4C085KB68
4C085LL18
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB22
4C086EA10
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA38
4C086MA41
4C086NA10
4C086ZB26
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA31
4C206KA05
4C206MA02
4C206MA05
4C206NA10
4C206ZB26
(57)【要約】
本発明は、腫瘍の放射線療法と化学療法を併用する塞栓治療と核医学イメージングに利用可能なマイクロスフェア製剤およびその調製方法を提供する。このマイクロスフェアは、ポリビニルアルコール誘導体を骨格材料とし、N-アクリロイルアミノ酸モノマーと重合架橋して硬化してできた。これは放射性核種ヨウ素で標識できるだけでなく、化学療法剤を吸着して担持することもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロスフェア製剤であり、その特徴は、以下の式(1)に示すようなN-アクリロイルアミノ酸モノマーと式(2)に示すようなポリビニルアルコール誘導体高分子モノマーと一定の比例で重合架橋してできることにある。
【化1】

そのうち、Rは次の構造の1つまたは複数であり、
【化2】

そのうち、分子量の範囲は10 kDa ~ 1000 kDaであり、N-(2,2-ジメトキシエチル)-2-アクリルアミドとポリビニルアルコールのヒドロキシ基がアセタール反応を起こしてできる。N-(2,2-ジメトキシエチル)-2-アクリルアミドの置換度の範囲は0.1% ~ 40%である;
前記N-アクリロイルアミノ酸モノマーとポリビニルアルコール誘導体高分子モノマーとのモル比範囲は50:1~1000:1である;
前記マイクロスフェア製剤は放射性核種ヨウ素で標識でき、同時に化学療法剤も担持できる。
【請求項2】
請求項1に記載のマイクロスフェア製剤の調製方法のように、その特徴は、下記の手順が含まれていることにあり、
(a) N-アクリロイルアミノ酸モノマー水溶液、ポリビニルアルコール誘導体高分子モノマー水溶液と誘起剤の硫酸カリウム水溶液をそれぞれ調製する;
(b) 乳化剤あるいは分散剤を含む油相溶液を調製する。油相は液体パラフィン、酢酸ブチル、大豆油あるいはシリコーン油であり、乳化剤はスパン-80またはスパン-60であり、分散剤は酢酸酪酸セルロースである;
(c) 水相溶液を1滴ずつ油相に加えて乳剤を形成する;
(d) 触媒のN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンアミンを含む水溶液を乳剤に加え、重合架橋反応が触媒化され、硬化してマイクロスフェアを形成する;
(e) マイクロスフェアを洗浄後に篩い分けし、異なる粒径範囲のマイクロスフェアを回収する;
【請求項3】
請求項1に記載のマイクロスフェア製剤の特徴は、前記標識に用いられた放射性核種ヨウ素は以下ヨウ素の放射性同位元素のうちの1つまたは複数であることにある: ヨウ素-123、ヨウ素-125、ヨウ素-131。
【請求項4】
請求項1に記載のマイクロスフェア製剤の特徴は、前記放射性核種ヨウ素で標識された後の標識率が81%~99.5%であり、その標識手順は以下のように、
(a) マイクロスフェアをリン酸塩緩衝液に懸濁させる;
(b) 請求項3に記載の放射性核種のヨウ素を含むヨウ化ナトリウム溶液を(a)のマイクロスフェア懸濁液に加え、均一に混ぜ合わせる;
(c) クロラミン-Tを含むリン酸塩緩衝液を(b)の混合溶液に加え、軽く振って混ぜ合わせる;
(d) 反応液を25~45℃の水浴中で10~60分間反応させる;
(e) (d)のマイクロスフェア懸濁液を遠心洗浄し、その沈殿物は放射性核種ヨウ素標識マイクロスフェアである。
【請求項5】
請求項1に記載のマイクロスフェア製剤の特徴は、前記化学療法剤は以下の薬物の1つまたは複数であり:塩酸アドリアマイシン、エピルビシン、ダウノルビシン、ミトキサントロン、イリノテカン、トポテカン。
【請求項6】
請求項1または請求項4に記載のマイクロスフェア製剤の特徴は、前記マイクロスフェアあるいは調製された放射性核種ヨウ素標識マイクロスフェアが、イオン交換または吸着により、請求項5に記載の化学療法剤を担持することにある。その薬物担持量は10%~60%である。その担持手順は以下のように、
(a) 化学療法剤を超純水に溶解し、化学療法剤の溶液を調製する;
(b) (a)の溶液を調製されたマイクロスフェア懸濁液または調製された放射性核種ヨウ素標識マイクロスフェ懸濁液に加え、数回振動し、5~30分間待つ;
(c) (b)の混合溶液を遠心分離し、上清を除き、薬物を担持したマイクロスフェアを得る。
【請求項7】
請求項1に記載のマイクロスフェア製剤の特徴は、その粒径範囲は20~1300 μmである。
【請求項8】
請求項1に記載のマイクロスフェア製剤の特徴は、前記マイクロスフェア製剤に2-アクリルアミド-2-メチルプロピルスルホン酸モノマーも加えることにある。その中に、加えたN-アクリロイルアミノ酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロピルスルホン酸とポリビニルアルコール誘導体高分子モノマーの3つのモル比の範囲は50:50:1 ~ 1000:1000:1である。
【請求項9】
請求項1に記載のマイクロスフェア製剤の特徴は、前記マイクロスフェア製剤にN,N'-メチレンジアクリルアミドモノマーも加えることにある。その中に、加えたN-アクリロイルアミノ酸、N,N'-メチレンジアクリルアミドとポリビニルアルコール誘導体高分子モノマーの3つのモル比の範囲は50:0:1 ~ 1000:200:1である。
【請求項10】
請求項3に記載のマイクロスフェア製剤の特徴は、前記125Iおよび/または131Iで標識されたマイクロスフェア製剤が、腫瘍の塞栓療法、化学療法、放射線療法およびエミッションコンピュータトモグラフィーまたは単一光子放射型コンピュータ断層撮影に用いられることにある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物製剤分野に属し、具体的には腫瘍の放射線療法と化学療法を併用する塞栓治療と核医学イメージングに使用できるマイクロスフェア製剤およびその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の技術は、悪性腫瘍の発生率が年々増加する傾向を示している。相関統計によって、悪性腫瘍による死亡者の数は、世界中で心血管疾患に次いで2番目に多い。現在、悪性腫瘍の治療法の中では、外科的切除、放射線療法と化学療法が主流である。研究によって、ほとんどの悪性腫瘍は血管系が豊富で、これらの血管系は腫瘍の成長に必要な栄養素を提供するだけでなく、腫瘍の後期転移においても重要な役割を果たしていることがわかる。腫瘍の塞栓治療は、腫瘍特異的供血血管を閉塞することによって腫瘍の栄養素供給を遮断し、腫瘍を「餓死」しようとすることを指す。塞栓治療する時に、化学療法剤または放射性治療核種を併用することで治療効果を高めることができる。
【0003】
腫瘍の化学療法塞栓治療に一般的に用いられる塞栓剤は、リピオドールおよびDC BeadTMである。化学療法剤水溶液とリピオドールを相互に押し戻して安定したW/O乳剤を形成した後、肝臓がんの化学療法塞栓治療に使用したら患者の生存期間をある程度延ばすことができる。相関実践により、リピオドールが腫瘍血管を塞栓する時間が短く、また、リピオドール中の化学療法剤が急速に放出されることが深刻な問題で、正常組織で毒性反応を引き起こしやすいことがわかる。DC BeadTMは固体塞栓マイクロスフェアとして、リピオドールが化学療法塞栓治療における多くの欠点を克服した。DC BeadTM は永久的な塞栓を形成して塞栓時間を延長することができ、且つその中に含まれている薬物を徐々に放出することもできるために、腫瘍部位の薬物濃度を高く維持させると同時に周囲血中の薬物濃度を下げてシステム毒性の発生を避ける。
【0004】
治療用核種131Iは、半減期が8日でβ線を放射し、最大放射エネルギーは0.81 MeV、最大透過深度は2 mmという理想的な内照射核種であるが、同時にγ線も放射し、その放射線の最大エネルギーは364 keVで、エミッションコンピュータトモグラフィーまたは単一光子放射型コンピュータ断層撮影に使用することができる。131I標識リピオドールは、臨床的に肝臓がんの内照射放射線塞栓治療に使用され、一定の治療効果を得た。しかし、リピオドールは肺に沈着し、肺損傷などの副反応を引き起こしやすいために、その臨床応用が制限される。現在、131I標識リピオドール製品は、ヨーロッパの生産者によって撤回された。
【0005】
化学療法塞栓治療も放射線療法塞栓治療も、患者の生存期間をある程度延ばすことができるが、治療効果には限界がある。化学療法塞栓と外照射治療を併用すると患者の生存期間をさらに延ばすことができるという臨床試験の結果もあるが、外照射による非腫瘍領域の放射線損傷は患者への副作用が大きいために、塞栓療法、化学療法と内照射放射線療法の3つを組み合わせる療法が腫瘍の治療効果を高めながら投与量と副作用を減らすことが望まれる。
【0006】
一方、リピオドールが化学療法塞栓製剤および放射線療法塞栓製剤としての不足に対して、塞栓、化学療法および内照射放射線療法の3つの併用を実現する必要がある。そのために、放射性核種ヨウ素に対する標識の安定化、化学療法剤に対する包摂の安定化および腫瘍血管に対する永久的な塞栓作用を形成する新型マイクロスフェア製剤の設計およびその調製が必要となる。同時に、放射性核種から放射されたγ線を用いて、エミッションコンピュータトモグラフィーまたは単一光子放射型コンピュータ断層撮影を行い、マイクロスフェアのin vivo分布をリアルタイムに動的にモニタリングすることで、診断と治療を一体化した製剤を得ることができる。
【0007】
既存技術の基礎と現状に対して、本発明は、化学療法、内照射放射線療法および塞栓治療を一体化し、エミッションコンピュータトモグラフィーまたは単一光子放射型コンピュータ断層撮影に使用できる診断と治療を一体化したマイクロスフェア塞栓剤を提供とするものである。このマイクロスフェア制剤は多種の化学療法剤を担持でき、放射性核種のヨウ素で標識することもでき、その標識の安定性が高い。化学療法塞栓マイクロスフェアまたは放射線療法塞栓マイクロスフェア製剤と比較し、本発明で開示された化学療法と放射線療法を併用する塞栓製剤は、同等の治療効果を達成する場合に、送達される必要がある化学療法剤と治療用核種の用量を有意に減少した。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、既存技術の基礎と現状に対して、腫瘍の放射線療法と化学療法を併用する塞栓治療とイメージングに利用可能な多機能マイクロスフェア製剤およびその調製方法を提供することにある。このマイクロスフェアは、ポリビニルアルコール誘導体を骨格材料とし、N-アクリロイルアミノ酸モノマーと重合架橋して硬化してできた。このマイクロスフェアは放射性核種ヨウ素で標識できるだけでなく、化学療法剤を吸着することもできる。この多機能マイクロスフェア製剤は腫瘍の塞栓治療および放射線療法と化学療法を併用する治療を可能にし、同時にエミッションコンピュータトモグラフィーあるいは単一光子放射型コンピュータ断層撮影を行うことができる。
【0009】
本発明に係るマイクロスフェア製剤に用いられるポリビニルアルコール誘導体モノマーは以下の式に従った構造を備え、
【0010】
【化1】
【0011】
そのうち、分子量の範囲は10 kDa ~1000 kDaであり、好ましくは75 kDaである。このポリビニルアルコール誘導体モノマーはN-(2,2-ジメトキシエチル)-2-アクリルアミドとポリビニルアルコールのヒドロキシ基がアセタール反応を起こして形成された。N-(2,2-ジメトキシエチル)-2-アクリルアミドの置換度範囲は0.1~40%であリ、好ましくは10%~15%である。
【0012】
本発明に係るマイクロスフェア製剤に加えられたN-アクリロイルアミノ酸モノマーは以下の式に従った構造を備え、
【0013】
【化2】
【0014】
そのうち、Rは次の構造の1つまたは複数であり、
【0015】
【化3】
【0016】
好ましくはN-アクリロイルチロシンである。
【0017】
本発明に係るマイクロスフェア製剤に含まれているN-アクリロイルアミノ酸モノマーとポリビニルアルコール誘導体高分子モノマーとのモル比範囲は50:1~1000:1であり、好ましくは245:1~260:1である。
【0018】
本発明は、所述マイクロスフェア製剤の調製方法を提供し、その調製手順は次の通りである。
(1) N-アクリロイルアミノ酸モノマー水溶液、ポリビニルアルコール誘導体高分子モノマー水溶液と誘起剤の硫酸カリウム水溶液をそれぞれ調製する;
(2) 乳化剤を含む油相溶液を調製する。油相は液体パラフィン、酢酸ブチル、大豆油あるいはシリコーン油であり、乳化剤はスパン-80、スパン-60あるいは酢酸酪酸セルロースである;
(3)水相溶液を1滴ずつ油相に加えて乳剤を形成する;
(4)触媒のN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンアミンを含む水溶液を乳剤に加え、重合架橋反応が触媒化され、硬化させてマイクロスフェアを形成する;
(5) マイクロスフェアを洗浄後に篩い分けし、異なる粒径範囲のマイクロスフェアを回収する;
その中に:
ステップ(1)のN-アクリロイルアミノ酸モノマーを含む溶液の調製手順は: 水酸化ナトリウム溶液を用いてN-アクリロイルアミノ酸を溶解し、水酸化ナトリウム溶液の濃度は200~400 mg/mLが好ましく、その体積は0.1~20 mLが好ましく、それに濃塩酸でpHを中性に調節する; N-アクリロイルアミノ酸の質量は0.1~20 gが好ましい。
【0019】
ステップ(1)のポリビニルアルコール誘導体高分子モノマー溶液の濃度は7.5~20%が好ましく、その体積は、2~200 mLが好ましい。
【0020】
ステップ(1)の過硫酸カリウム溶液の濃度は100~200 mg/mLが好ましく、その体積は0.05~10 mLが好ましい。
【0021】
ステップ(2)の油相は液体パラフィン、大豆油あるいはシリコーン油で、好ましくは液体パラフィンである。液体パラフィンの使われた体積は10~1000 mLが好ましい。乳化剤はスパン-80またはスパン-60であり、好ましくはスパン-80である。スパン-80の用量は0.05~15 gが好ましい。
【0022】
ステップ(4)のN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンアミン溶液の体積は0.2~20 mLが好ましく、その濃度は、5%~15%(v/v)が好ましい。
【0023】
ステップ(4)に重合架橋反応を触媒する温度は25~60℃が好ましく、その反応時間は2~12時間が好ましい。
【0024】
ステップ(5)の洗浄手順は: 酢酸エチル、無水エタノール、超純水の順で、各溶剤ごとに2回洗浄した。
【0025】
ステップ(5)にマイクロスフェアを篩い分けした後マイクロスフェアの粒径範囲は20~120μm、120~200 μm、200~300 μm、300~500 μm、500~700 μm、700~900 μm、900~1100 μm、1100~1300 μmであり、好ましくは20~120 μmである。
【0026】
本発明に係るマイクロスフェア製剤は、同時に以下の放射性核種ヨウ素のうちの1つまたは複数で標識することができる:ヨウ素-123、ヨウ素-125、ヨウ素-131であり、好ましくはヨウ素-131である。
【0027】
本発明において、放射性核種ヨウ素の標識手順は次の通りである。
マイクロスフェアをリン酸塩緩衝液に懸濁させる;
放射性核種ヨウ素のヨウ化ナトリウム溶液をステップ(1)のマイクロスフェア懸濁液に加え、均一に混ぜ合わせる;
クロラミン-Tを含むリン酸塩緩衝液をステップ(2)の混合溶液に加え、軽く振って均一に混ぜ合わせる;
反応液を25~45℃の水浴中で10~60 分間反応させる;
ステップ(4)のマイクロスフェア懸濁液を遠心洗浄し、その沈殿物は放射性核種ヨウ素標識マイクロスフェアである。
【0028】
その中に、ステップ(1)のリン酸塩緩衝液のpHは7.4であり、その体積は0.1~10 mLが好ましく、マイクロスフェア粉末の質量は5~500 mgが好ましい。
【0029】
ステップ(2)の放射性核種ヨウ素溶液の活度は10~100 mCi/mLが好ましく、加えた放射性ヨウ素溶液の体積は0.01~10 mLが好ましい。
【0030】
ステップ(3)に加えたクロラミン-T溶液の体積は0.01~10 mLが好ましく、その濃度は1~10 mg/mLが好ましい。
【0031】
ステップ(4)の水浴温度は25~45℃が好ましく、標識時間は10~60分間が好ましい。
【0032】
本発明に係るマイクロスフェア製剤は、前記の放射性ヨウ素で標識した後の標識率が81%~99.5%である。
【0033】
本発明に係るマイクロスフェア制剤は、イオン交換または吸着により、以下の化学療法剤のうち1または数種類を担持することができる:塩酸アドリアマイシン、エピルビシン、ダウノルビシン、ミトキサントロン、イリノテカン、トポテカン、好ましくは塩酸アドリアマイシンである。
【0034】
本発明に係るマイクロスフェア製剤および放射性ヨウ素で標識された放射性マイクロスフェアが化学療法剤を担持する手順は次の通りである。
【0035】
(1)化学療法剤を超純水に溶解し、化学療法剤の溶液を調製する。
【0036】
(2)ステップ(1)に得られた溶液を前記した方法により調製したマイクロスフェア懸濁液または放射性核種ヨウ素標識マイクロスフェア懸濁液に加え、数回振働し、5 ~ 30 分間待つ。
【0037】
(3)ステップ(2)の混合溶液を遠心分離した後、上清を除去して薬物を担持したマイクロスフェアを得る。
【0038】
前記の手順によって化学療法剤を本発明に係るマイクロスフェア製剤および放射性核種ヨウ素で標識された放射性マイクロスフェアに担持し、塩酸アドリアマイシンを10% ~ 60%、エピルビシンを7%~45%、ダウノルビシンを10% ~43%、ミトキサントロンを9%~35%、イリノテカンを8% ~30%、トポテカンを5% ~25% 担持する。
【0039】
本発明に係るマイクロスフェア制剤は、その単量体の組成成分に2-アクリルアミド-2-メチルプロピルスルホン酸モノマーも含まれる。その中に、加えたN-アクリロイルアミノ酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロピルスルホン酸とポリビニルアルコール誘導体高分子モノマーの3つのモル比範囲について、好ましくは50:50:1 ~ 1000:1000:1である。
【0040】
本発明が所述したマイクロスフェア製剤の調製手順は次の通りである。
N-アクリロイルアミノ酸溶液を調製する;
2-アクリルアミド-2-メチルプロピルスルホン酸溶液を調製する;
(3) ポリビニルアルコール誘導体高分子モノマー溶液を調製する;
(4) 過硫酸カリウム溶液を調製する;
(5) ステップ(1)、(2)、(3)、(4)の溶液を均一に混ぜ合わせ、水相とする;
(6) ステップ(5)の水相を分散剤を含む油相に加え、窒素下で攪拌する;
(7) N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン溶液を調製する;
(8) 窒素下でステップ(7)の溶液をステップ(6)の混合溶液に加え、引き続き1~10時間反応させる。
(9) ステップ(8)の反応液を遠心分離した後、沈殿を洗浄して超純水に分散させる;
(10) ステップ(9)の沈殿溶液を湿式方法で篩い分けした後、異なる粒径範囲のマイクロスフェアを得る。
【0041】
ステップ(1)では、好ましくは200 ~400 mg/mLの水酸化ナトリウム溶液でN-アクリロイルアミノ酸を溶解し、水酸化ナトリウム溶液の体積は0.1~ 20 mLが好ましく、濃塩酸でpHを中性に調節する;N-アクリロイルアミノ酸の質量は、0.1~20 gが好ましい。
【0042】
ステップ(2)では、2-アクリルアミド-2-メチルプロピルスルホン酸の質量は0.1~20 gが好ましく、超純水で溶解し、その使われた体積は0.1~20 mLが好ましい。
【0043】
ステップ(3)では、ポリビニルアルコール誘導体高分子モノマー溶液の濃度は10%~21%が好ましく、その使われた体積は1~ 200 mLが好ましい。
【0044】
ステップ(4)の過硫酸カリウム溶液の濃度は100~200 mg/mLが好ましく、その使われた体積は0.05~10 mLが好ましい。
【0045】
ステップ(6) の油相は酢酸ブチルが好ましく、酢酸ブチルの使われた体積は30~3000 mLが好ましく、分散剤は酢酸酪酸セルロースが好ましく、酢酸酪酸セルロースの使用量は0.3~30 gが好ましい。
【0046】
ステップ(7)では、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンアミン溶液の使われた体積は0.3 ~25 mLが好ましく、その濃度は6% ~ 17% (v/v) が好ましい。
【0047】
ステップ(8)の水浴温度は45 ~ 65℃が好ましい。
【0048】
ステップ(9) の洗浄手順について、好ましくは酢酸エチル、無水エタノール、超純水の順で、2回順次洗浄する。
【0049】
ステップ(10)で篩い分けした後、マイクロスフェアの粒径範囲は20 ~120 μm、120 ~200 μm、200 ~300 μm、300 ~ 500 μm、500 ~ 700 μm、700 ~900 μm、900 ~1100 μm、1100 ~1300 μmであり、好ましくは20 ~ 120 μmである。
【0050】
本発明に係るマイクロスフェア制剤は、その単量体の組成成分にN,N'-メチレンジアクリルアミドも含まれ、その中、N-アクリロイルアミノ酸、N,N'-メチレンジアクリルアミドおよびポリビニルアルコール誘導体高分子モノマーの3つのモル比範囲は、50:5:1 ~ 1000:200:1が好ましい。所述マイクロスフェア製剤の調製手順は次の通りである。
【0051】
(1) N-アクリロイルアミノ酸溶液を調製する;
(2) N,N'-メチレンジアクリルアミド溶液を調製する;
(3)ポリビニルアルコール誘導体高分子モノマー溶液を調製する;
(4) 過硫酸カリウム溶液を調製する。
【0052】
(5) ステップ(1)、(2)、(3)、(4)の溶液を均一に混ぜ合わせ、水相とする;
(6)ステップ(5)の水相を乳化剤を含む油相に加え、窒素下で撹拌して乳化する;
(7) N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンアミン溶液を調製する;
(8) 窒素下でステップ(7)の溶液をステップ(6)の乳液に加え、水浴下で引き続き6 時間~24 時間反応させる;
(9) ステップ(8)の乳液を遠心分離した後、沈殿を洗浄して超純水に分散させる;
(10)ステップ(9) の沈殿溶液を湿式方法で篩い分け、異なる粒径範囲のマイクロスフェアを得る。
【0053】
ステップ(1)では、好ましくは200 ~400 mg/mLの水酸化ナトリウム溶液でN-アクリロイルアミノ酸を溶解し、水酸化ナトリウム溶液の体積は0.1 ~ 20 mLが好ましく、濃塩酸でpHを中性に調節する;N-アクリロイルアミノ酸の質量は、0.1 ~ 20 gが好ましい。
【0054】
ステップ(2)では、N,N ' -メチレンジアクリルアミドの質量は0.01 ~5 gが好ましく、超純水で分散させた後、その体積は0.1 ~ 15 mLが好ましい。
【0055】
ステップ(3)のポリビニルアルコール誘導体高分子モノマー溶液の濃度は7.5% ~ 20%が好ましく、その使われた体積は1 ~ 200 mLが好ましい。
【0056】
ステップ(4)の過硫酸カリウム溶液の濃度は100 ~ 200 mg/mLが好ましく、その使われた体積は0.05 ~ 10 mLが好ましい。
【0057】
ステップ(6)の油相は液体パラフィン、大豆油、あるいはシリコーン油であり、好ましくは液体パラフィンである;使われた液体パラフィンの体積は10 ~1000 mLが好ましい;乳化剤はスパン-80、またはスパン-60、好ましくはスパン-80であり、その用量は0.05 ~ 15 gが好ましい。
【0058】
ステップ(7)で使われたN,N,N ',N ' -テトラメチルエチレンアミン溶液の体積は0.2~ 20 mLが好ましく、その濃度は5 ~ 15% (v/v) が好ましい。
【0059】
ステップ(8)の水浴温度は30 ~ 50℃が好ましい。
【0060】
ステップ(9)の洗浄手順は、酢酸エチル、無水エタノール、超純水の順で、2回順次洗浄する。
【0061】
ステップ(10)でマイクロスフェアを篩い分けした後の粒径範囲は20 ~120 μm、120 ~200 μm、200 ~300 μm、300~500 μm、500 ~700 μm、700 ~900 μm、900 ~ 1100 μm、1100 ~1300 μm、好ましくは20 ~120 μmである。
【0062】
本発明に係る放射性核種ヨウ素-125またはヨウ素-131で標識されたマイクロスフェア製剤は、肝臓がん、肝転移腫瘍、子宮筋腫、腎臓がんまたは膵臓がんの塞栓療法、放射線療法と化学療法の併用治療に使用でき、同時に放射性核種ヨウ素-131はエミッションコンピュータトモグラフィーまたは単一光子放射型コンピュータ断層撮影を行うことができる。
【0063】
本発明に係る放射性核種ヨウ素-123で標識されたマイクロスフェア製剤は、肝臓がん、肝転移腫瘍、子宮筋腫、腎臓がんまたは膵臓がんの塞栓療法と化学療法の併用治療に使用でき、同時に放射性核種ヨウ素-123はエミッションコンピュータトモグラフィーまたは単一光子放射型コンピュータ断層撮影を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】DOX-NAT-PVAマイクロスフェア(A)とその断面(B)のフィールドエミッション走査電子顕微鏡図である。
図2】DOX-NAT-PVAマイクロスフェアの粒径分布図である。
図3131I-DOX-NAT-PVAマイクロスフェアのラジオ薄層クロマトグラフィー走査図形であり: (A) 131I-DOX-NAT-PVAマイクロスフェアを標識した後、すぐにサンプルをペーパーにつける、(B) 131I-DOX-NAT-PVAマイクロスフェアを標識した後、遠心洗浄してサンプルをペーパーにつけ、その標識率は92.39% ± 1.51%である。
図4131I-NAT-PVAマイクロスフェアと131I-DOX-NAT-PVAマイクロスフェアはリン酸緩衝液(PBS)と50% 胎児牛血清(FBS)の中での標識安定性を示した図である。
図5】72時間インキュベートした後、DOX-NAT-PVAマイクロスフェアと131 I-DOX-NAT-PVAマイクロスフェアのDOXのIC50値の測定と比較を示した図(A、 B)である; 131I-NAT-PVAマイクロスフェアと131I-DOX-NAT-PVAマイクロスフェアの131IのIC50値の測定と比較を示した図(C、D)である(mean ± SD、 n= 3、 **p<0.01)。
図6】酸素欠乏の場合、DOX-NAT-PVAマイクロスフェアと131I-DOX-NAT-PVAマイクロスフェアのDOXのIC50値の測定と比較を示した図(A、B)である; 131I-NAT-PVAマイクロスフェアと131I-DOX-NAT-PVAマイクロスフェアの131IのIC50値の測定と比較を示した図(C、D)である(mean ± SD、 n= 3、 ***p<0.001)。
図7】肝動脈塞栓後の所定時間にモデルラットのSPECT/CT画像図である(矢印はマイクロスフェアの位置を示す)。 h、時間; d、日。
図8】(A)各治療群の肝臓がん同所移植モデルラットは肝動脈塞栓前(Pre)および肝動脈塞栓後1、3、7、14日目にそれぞれ尾静脈に18F-FDGを注射し、腫瘍部位に18F-FDGの摂取変化結果をモニターした小動物PET/CT画像図である(矢印は腫瘍位置を示し、各治療群の投与量は以下の通りであり、 Control群に0.2 mL生理食塩水を、NAT-PVA群に0.2 mL NAT-PVAマイクロスフェア懸濁液(0.04 mLマイクロスフェアを含む)を、131Ilow-NAT-PVA群に0.2 mL131I-NAT-PVAマイクロスフェア懸濁液(0.04 mLマイクロスフェア、200μCi 131Iを含む)を、131Ihigh-NAT-PVA群に0.2 mL131I-NAT-PVAマイクロスフェア懸濁液(0.04 mLマイクロスフェア、500μCi 131Iを含む)を、DOXlow-NAT-PVA群に0.2 mL DOX-NAT-PVAマイクロスフェア懸濁液(0.04 mLマイクロスフェア、0.5 mg DOXを含む)を、DOXhigh-NAT-PVA群に0.2 mL DOX-NAT-PVAマイクロスフェア懸濁液(0.04 mLマイクロスフェア、2.5 mg DOXを含む)を、131Ilow -DOXlow-NAT-PVA群に0.2 mL 131I-DOX-NAT-PVAマイクロスフェア懸濁液(0.04 mLマイクロスフェア、0.5 mg DOX、200μCi 131Iを含む)を注射した);(B)各治療群の腫瘍部位に18F-FDGの最大摂取値(SUVmax)の経時変化曲線である(mean ± SD、 n= 5、*p<0.05、**p<0.01、 ***p<0.001);(C)各治療群の経肝動脈塞栓した14日後の腫瘍の体外写真である。d、日。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下に、実施例と図面を併せ用いて本発明をさらに説明する。
【実施例1】
【0066】
120 mg N-アクリロイルチロシン(NAT)を取り、120 μL 400 mg/mLの水酸化ナトリウム溶液に溶解し、濃塩酸でpHを中性に調節した。40 mg N,N'-メチレンジアクリルアミドを取り、超音波で150 μL超純水に分散させ、さらに1.334 mL 7.5%ポリビニルアルコール誘導体(ポリビニルアルコールの分子量:75 kDa、 N-(2,2-ジメトキシエチル)-2-アクリルアミドの置換度:12%~13%)を加え、引き続き超音波で溶解した。N-アクリロイルチロシン溶液をポリビニルアルコール誘導体溶液に加え、均一に混ぜ合わせた後、87 μL 150 mg/mL過硫酸カリウム溶液を加え、均一に混ぜ合わせた後、0.12 g スパン-80を含む8 mL液体パラフィンに加え、37℃の水浴中で、窒素下で600 rpmで10 分間撹拌して乳化した。その後、200 μL 10%(v/v)のN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンアミン水溶液を一滴ずつ加えた。反応液を窒素下でさらに12時間攪拌した。反応終了後、反応液は5000 rpmで5分間遠心分離して液体パラフィンを除き、下層の沈殿物を酢酸エチル、無水エタノール、超純水の順で、2回順次洗浄した。その後、少量の超純水で沈殿物を分散させ、それぞれ順に篩目70 μmおよび40 μmの篩で篩い分けし、70 μm篩残分と40 μm篩通過分を濾過した。40 ~ 70 μm篩の間の沈殿物を集め、さらにアセトンで2回脱水遠心分離した後、真空乾燥器の中で室温下で一晩中乾燥させ、乾燥したNAT-PVAマイクロスフェアの粉末を得た。
【0067】
5 mgマイクロスフェアを取り、100 μL 0.01 M pH 7.4のPBS中に懸濁させた。10 μL 10 mCi /mL Na 131I溶液を取ってマイクロスフェア懸濁液に加え、均一に混ぜ合わせた後、10 μL 10 mg/mLクロラミン-T PBS溶液を加え、軽く振って混ぜ合わせた後、マイクロスフェア懸濁液を37℃の水浴中に入れ、30分間標識した。標識終了後、5μLマイクロスフェア溶液を取ってラジオペーパークロマトグラフィーによってマイクロスフェアの標識率を測定した。残りの標識したマイクロスフェアは5000 rpmで5 分間遠心分離し、上清を除き、下層の沈殿物に引き続き超純水を加え、上清で放射性が検出されなかったまで洗浄し、更に5μLマイクロスフェア溶液を取ってラジオペーパークロマトグラフィーにより洗浄後のマイクロスフェアの放射化学的純度を測定した。
【0068】
15 mg 131I-NAT-PVAマイクロスフェアを調製し、200 μL超純水で懸濁させた。約7.5 mgの塩酸アドリアマイシンを取り、200 μL超純水に溶解した。アドリアマイシン溶液をマイクロスフェア懸濁液に加え、軽く振って懸濁させ、十分に混合させた。その後、静置し、5分間隔ごとに1回振動し、約15分後、上清の色が変化しなくなり、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を回収した。沈殿はさらに超純水で三回繰り返し洗浄した。
【0069】
フィールドエミッション走査電子顕微鏡下におけるマイクロスフェアは、均一な大きさと丸い表面を持っていた(図1)。マイクロスフェアの平均粒径は51.4 ± 3.3 μmぐらいであった(図2)。測定により、マイクロスフェアの薬物担持量と封入率はそれぞれ33.25% ± 1.73%と99.76% ± 0.18%であった。ラジオペーパークロマトグラフィーの実験結果により、マイクロスフェアの標識率は92.59% ± 1.51%、放射化学的純度は99.46% ± 0.47%であった(図3)。in vitro標識安定性の考察では、31日目にも85%以上の放射化学的純度を維持した(図4)。
【0070】
正常酸素環境下で131I-DOX-NAT-PVAマイクロスフェアとN1S1ラットの肝臓がん細胞を共に72時間インキュベートした後のDOXと131IのIC50を測定し、それぞれは3.74 ± 0.240 ng/mLと8.15 ± 0.521 μCi /mLで、対照群DOX-NAT-PVAマイクロスフェアのDOXのIC50は9.26 ± 0.127 ng/mL、対照群131I-NAT-PVAマイクロスフェアの131IのIC50は19.56 ± 1.190 μCi/mL、その結果により、131I-DOX-NAT-PVAマイクロスフェアのDOX化学療法と131I放射線療法は相乗効果を持つことが示唆され、その相乗指数は0.82であった(図5)。酸素欠乏環境下で131I-DOX-NAT-PVAマイクロスフェアとN1S1細胞を72時間インキュベートした後、DOXと131IのIC50を測定し、それぞれは4.20 ± 1.14 ng/mLと6.68 ± 1.25 μCi/mLであり、対照群DOX-NAT-PVAマイクロスフェアのDOXのIC50は37.98 ± 2.58 ng/mLであり、対照群131I-NAT-PVAマイクロスフェアの131IのIC50は57.12 ± 7.41 μCi/mLであり、その結果により、131I-DOX-NAT-PVAマイクロスフェアのDOX化学療法と131I放射線療法は相乗効果を持つことが示唆され、その相乗指数は0.23であった(図6)。
【0071】
in vivo動物実験の結果により、肝動脈を介して131I-NAT-PVAマイクロスフェアをN1S1同所移植肝臓がんラットに注射し、小動物SPECT/CT画像下でマイクロスフェアがモデルラットにの分布が正確に監視され、注射後31日目まで正確な肝腫瘍画像を提供できたことが示唆された(図7)。18F-FDGを静脈注射し、小動物PET/CT画像を用いてN1S1同所移植肝臓がんラットの腫瘍を様々な手段で治療した後の成長状況を監視した。その結果により、治療を受けなかった群のラット生存期間の中央値は20日(n = 5)であることが示唆された。131I-DOX-NAT-PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131Iの線量は200 μCi、DOXの用量は1.67 mg/kg、併用治療) を用いて塞栓治療した14日後、腫瘍組織18F-FDGのイメージは陰性と示した。さらに60日まで観察を続けてラットの死亡が見られなかった(n = 5)。対照群131I-NAT-PVA放射線治療塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131I放射線の線量は500 μCi、高線量放射線療法)を用いて塞栓治療した14日後、腫瘍組織18F-FDGのイメージは陰性と示した。さらに60日まで観察を続けてラットの死亡が見られなかった(n = 5)。対照群131I-NAT-PVA放射線治療塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131I放射線の線量は200 μCi、低用量放射線治療)を用いて塞栓治療した14日後、腫瘍組織18F-FDGのイメージは腫瘍の再発と示し、生存期間の中央値は23日であった(n=5)。対照群NAT-PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg)を単独用いて塞栓治療した14日後、腫瘍組織18F-FDGのイメージは腫瘍の再発と示し、生存期間の中央値は22日であった(n=5)。この結果は、131I-DOX-NAT-PVAマイクロスフェアは生体内で良好的な放射線療法と化学療法を併用する腫瘍治療効果を持ち、200 μCi 131Iおよび1.67 mg/kg DOXの投与量で500 μCiの放射線療法塞栓または8.35 mg/kgの化学療法塞栓と同等の治療効果を持ち、放射線療法および化学療法の投与量を有意に減少することを確認した(図8)。
【0072】
また、131I-リピオドール(リピオドールの用量は0.67 mL/kg、131Iの線量は500 μCi)を用いて塞栓治療後、ラットの生存期間の中央値は21日であった(n= 5);リピオドール-DOX乳剤(リピオドールの用量は0.67 mL/kg、DOXの用量は8.35 mg/kg)を用いて塞栓治療した後、ラットの生存期間の中央値は22日であった(n = 5)。DC beadTM化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.18 mL/kg、粒径は75-150 μm、DOXの用量は8.35 mg/kg) を用いて塞栓治療した後、ラットの生存期間の中央値は45日であった(n=5)。
【実施例2】
【0073】
150 mg N-アクリロイルヒスチジン(NAH) を取り、150 μL 400 mg/mLの水酸化ナトリウム溶液に溶解し、濃塩酸でpHを中性に調節した。35 mg N,N'-メチレンジアクリルアミドを取り、超音波で150 μL超純水に分散させ、さらに1.334 mL 7.5%ポリビニルアルコール誘導体(ポリビニルアルコールの分子量:75 kDa、 N-(2,2-ジメトキシエチル)-2-アクリルアミドの置換度:12%~13%)溶液を加え、引き続き超音波で溶解した。N-アクリロイルヒスチジン溶液をポリビニルアルコール誘導体溶液に加え、均一に混ぜ合わせた後、100 μL 150 mg/mL過硫酸カリウム溶液を加え、均一に混ぜ合わせた後、0.12 g スパン-80を含む8 mL液体パラフィンに加え、40℃の水浴中で、窒素雰囲気下で600 rpmで10分間攪拌して乳化した。その後、200 μL 10% (v/v)のN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンアミン水溶液を一滴ずつ加えた。反応液を窒素下でさらに12時間攪拌した。反応終了後、反応液は5000 rpmで5分間遠心分離して液体パラフィンを除き、下層の沈殿物を酢酸エチル、無水エタノール、超純水の順で、2回順次洗浄した。その後、少量の超純水で沈殿物を分散させ、それぞれ順に篩目70 μmおよび40 μmの篩で篩い分けし、70 μm篩残分と40 μm篩通過分を濾過した。40 ~ 70 μm篩の間の沈殿物を集め、さらにアセトンで2回脱水遠心分離した後、真空乾燥器の中で室温下で一晩中乾燥させ、乾燥したNAH-PVAマイクロスフェアの粉末を得た。
【0074】
10 mgマイクロスフェアを取り、100 μL 0.01 M pH 7.4のPBS中に懸濁させた。20 μL 10 mCi/mL Na 131I溶液を取ってマイクロスフェア懸濁液に加え、均一に混ぜ合わせた後、15 μL 10 mg/mLクロラミン-T PBS溶液を加え、軽く振って混ぜ合わせた後、マイクロスフェア懸濁液を40℃の水浴中に入れ、35 分間標識した。標識終了後、マイクロスフェアの標識率は90.13% ± 3.11%と測定された。残りの標識マイクロスフェア溶液に1 mL超純水を加え、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を除き、下層の沈殿物に引き続き超純水を加え、上清で放射性が検出されなかったまで洗浄した。下層のマイクロスフェアの放射化学的純度は99.75% ± 1.63%と測定された。
【0075】
15 mg 131I-NAH-PVAマイクロスフェアを調製し、200 μL超純水で懸濁させた。約5.5 mgの塩酸アドリアマイシンを取り、200 μL超純水に溶解した。アドリアマイシン溶液をマイクロスフェア懸濁液に加え、軽く振って懸濁させ、十分に混合させた。その後、静置し、5分間隔ごとに1回振動し、約15分後、上清の色が変化しなくなり、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を回収した。沈殿はさらに超純水で三回繰り返し洗浄した。
【0076】
フィールドエミッション走査電子顕微鏡下におけるマイクロスフェアは、均一な大きさと丸い表面を持っていた。マイクロスフェアの平均粒径は54.9 ± 5.7 μmぐらいであった。測定により、マイクロスフェアの薬物担持量と封入率はそれぞれ25.39% ± 2.37%と94.23% ± 0.35%であった。in vitro標識安定性の考察では、31日目にも80%以上の放射化学的純度を維持した。
【0077】
in vivo動物実験の結果により、肝動脈を介して131I-DOX-NAH-PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131Iの線量は220 μCi、DOXの用量は1.82 mg/kg)をN1S1同所移植肝臓がんラットに注射し、塞栓治療後60日内にラットの死亡が見られなかった(n=5)。対照群131I-NAH-PVA放射線療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131Iの線量は650 μCi、高線量放射線療法)を用いて塞栓治療後60日内にラットの死亡は見られなかった(n=5)。対照群DOX-NAH-PVA化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、DOXの用量は8.65 mg/kg、高用量化学療法)を用いて塞栓治療後60日内にラットの死亡は見られなかった(n =5)。対照群131I-NAH-PVA放射線療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131Iの線量は220 μCi、低線量放射線療法)を用いて塞栓治療後ラットの生存期間の中央値は23日であった(n = 5)。対照群DOX-NAH-PVA化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、DOXの用量は1.82 mg/kg、低用量化学療法)を用いて塞栓治療後ラットの生存期間の中央値は22日であった(n = 5)。対照群NAH-PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg)を単独用いて塞栓治療後ラットの生存期間の中央値は22日であった(n = 5)。この結果は、131I-DOX-NAH-PVAマイクロスフェアは生体内で良好的な放射線療法と化学療法を併用する腫瘍治療効果を持ち、220 μCi 131Iおよび1.82 mg/kg DOXの投与量で、650 μCiの放射線療法塞栓または8.65 mg/kgの化学療法塞栓と同等の治療効果を持ち、放射線療法および化学療法の投与量を有意に減少することを確認した。また、131I-リピオドール(リピオドールの用量は0.67 mL/kg、131Iの線量は650 μCi)を用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は21日であった(n = 5)。リピオドール-DOX乳剤(リピオドールの用量は0.67 mL/kg、DOXの用量は8.65 mg/kg) を用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は21日であった(n = 5)。DC beadTM化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.18 mL/kg、粒径は75-150 μm、DOXの用量は8.65 mg/kg)を用いて塞栓治療後、ラットの生存期間の中央値は46日であった(n = 5)。
【実施例3】
【0078】
150 mg N-アクリロイルトリプトファン(NATP)を取り、170 μL 400 mg/mLの水酸化ナトリウム溶液に溶解し、濃塩酸でpHを中性に調節した。45 mg N,N'-メチレンジアクリルアミドを取り、超音波で200 μL超純水に分散させ、さらに1.334 mL7.5%ポリビニルアルコール誘導体(ポリビニルアルコールの分子量:75 kDa、 N-(2,2-ジメトキシエチル)-2-アクリルアミドの置換度:12%~13%)溶液を加え、引き続き超音波で溶解した。N-アクリロイルトリプトファン溶液をポリビニルアルコール誘導体溶液に加え、均一に混ぜ合わせた後、95 μL 150 mg/mL過硫酸カリウム溶液を加え、均一に混ぜ合わせた後、0.12 g スパン-80を含む8 mL液体パラフィンに加え、45℃の水浴中で、窒素雰囲気下で600 rpmで10分間攪拌して乳化した。その後、200μL 10% (v/v) のN,N,N’,N'-テトラメチルエチレンアミン水溶液を一滴ずつ加えた。反応液を窒素下でさらに12 時間攪拌した。反応終了後、反応液は5000 rpmで5分間遠心分離して液体パラフィンを除去し、下層の沈殿物を酢酸エチル、無水エタノール、超純水の順で、2回順次洗浄した。その後、少量の超純水で沈殿物を分散させ、それぞれ順に篩目70 μmおよび40 μmの篩で篩い分けし、70 μm篩残分と40 μm篩通過分を濾過した。40 ~ 70 μm篩の間の沈殿物を集め、さらにアセトンで2回脱水遠心分離した後、真空乾燥器の中で室温下で一晩中乾燥させ、乾燥したNATP-PVAマイクロスフェアの粉末を得た。
【0079】
15 mgマイクロスフェアを取り、100 μL 0.01 M pH 7.4のPBS中に懸濁させた。20 μL 10 mCi/mL Na 131I溶液を取ってマイクロスフェア懸濁液に加え、均一に混ぜ合わせた後、20 μL 10 mg/mLクロラミン-T PBS溶液を加え、軽く振って混ぜ合わせた後、マイクロスフェア懸濁液を40℃の水浴中に入れ、40分間標識した。標識終了後、マイクロスフェアの標識率は89.24% ± 1.27%と測定された。残りの標識マイクロスフェア溶液に1 mL超純水を加え、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を除き、下層の沈殿物に引き続き超純水を加え、上清で放射性が検出されなかったまで洗浄した。下層のマイクロスフェアの放射化学的純度は99.64% ± 1.42%と測定された。
【0080】
25 mg 131I-NATP-PVAマイクロスフェアを調製し、200 μL超純水で懸濁させた。約12mgの塩酸アドリアマイシンを取り、200 μL超純水に溶解した。アドリアマイシン溶液をマイクロスフェア懸濁液に加え、軽く振って懸濁させ、十分に混合させた。その後、静置し、5分間隔ごとに1回振動し、約15分後、上清の色が変化しなくなり、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を回収した。沈殿はさらに超純水で三回繰り返し洗浄した。
【0081】
フィールドエミッション走査電子顕微鏡下におけるマイクロスフェアは、均一な大きさと丸い表面を持っていた。マイクロスフェアの平均粒径は45.29± 5.9 μmぐらいであった。測定により、マイクロスフェアの薬物担持量と封入率はそれぞれ30.13% ± 1.73%と92.76% ± 0.18%であった。in vitro標識安定性の考察では、31日目にも80%以上の放射化学的純度を維持した。
【0082】
in vivo動物実験の結果により、肝動脈を介して131I-DOX-NATP-PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131lの線量は252 μCi、DOXの用量は1.89 mg/kg)をN1S1同所移植肝臓がんラットに注射し、塞栓治療後60日内にラットの死亡が見られなかった(n=5)。対照群131I-NATP-PVA放射線療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131Iの線量は642 μCi、高線量放射線療法)を用いて塞栓治療後60日内にラットの死亡は見られなかった(n=5)。対照群DOX-NATP-PVA化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、DOXの用量は9.25 mg/kg、高用量化学療法)を用いて塞栓治療後60日内にラットの死亡は見られなかった(n=5)。対照群131I-NATP-PVA放射線療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131Iの線量は252 μCi、低線量放射線療法)を用いて塞栓治療後ラットの生存期間の中央値は23日であった(n = 5)。対照群DOX-NATP-PVA化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、DOXの用量は1.89 mg/kg、低用量化学療法)を用いて塞栓治療後ラットの生存期間の中央値は22日であった(n = 5)。対照群NATP-PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの投与量は0.14 mL/kg)を単独用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は22日であった(n = 5)。この結果は、131I-DOX-NATP-PVAマイクロスフェアは生体内で良好的な放射線療法と化学療法を併用する腫瘍治療効果を持ち、252 μCi 131Iおよび1.89 mg/kg DOXの投与量で、642 μCiの放射線療法塞栓または9.25 mg/kgの化学療法塞栓と同等の効果を持ち、放射線療法および化学療法の投与量を有意に減少することを確認した。また、131I-リピオドール(リピオドールの用量は0.67 mL/kg、131Iの線量は642 μCi)を用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は21日であった(n=5)。DC beadTM化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.18 mL/kg、粒径は75-150 μm、DOXの用量は9.25 mg/kg) を用いて塞栓治療後、ラットの生存期間の中央値は46日であった(n=5)。
【実施例4】
【0083】
170 mg N-アクリロイルチロシン(NAT)を取り、170 μL 400 mg/mLの水酸化ナトリウム溶液に溶解し、濃塩酸でpHを中性に調節した。150 mg 2-アクリルアミド-2-メチルプロピルスルホン酸を取り、超音波で200 μL超純水に溶解した。N-アクリロイルチロシン溶液と2-アクリルアミド-2-メチルプロピルスルホン酸溶液を5 mL 15%ポリビニルアルコール誘導体(ポリビニルアルコールの分子量:67 kDa、N-(2,2-ジメトキシエチル)-2-アクリルアミドの置換度:12%~13%)溶液に加え、均一に混ぜ合わせた後、60 μL 150 mg/mL過硫酸カリウム溶液を加え、均一に混ぜ合わせた後、0.3 g酢酸酪酸セルロースを含む30 mL酢酸ブチルに加え、55℃の水浴中で、窒素雰囲気下で1000 rpmで10分間攪拌して乳化した。その後、200 μL 10% (v/v)のN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンアミン水溶液を一滴ずつ加えた。反応液を窒素下でさらに4時間攪拌した。反応終了後、反応液は5000 rpmで5 分間遠心分離して上清を除き、下層の沈殿物を酢酸エチル、無水エタノール、超純水の順で、2回順次洗浄した。その後、少量の超純水で沈殿物を分散させ、それぞれ順に篩目70 μmおよび40 μmの篩で篩い分けし、70 μm篩残分と40 μm篩通過分を濾過した。40 ~ 70 μm篩の間の沈殿物を集め、さらにアセトンで2回脱水遠心分離した後、真空乾燥器の中で室温下で一晩中乾燥させ、乾燥したNAT-AMPS-PVAマイクロスフェアの粉末を得た。
【0084】
5 mgマイクロスフェアを取り、100 μL 0.01 M pH 7.4のPBS中に懸濁させた。5 μL 10 mCi/mL Na 131I溶液を取ってマイクロスフェア懸濁液に加え、均一に混ぜ合わせた後、5 μL 10 mg/mLクロラミン-T PBS溶液を加え、軽く振って混ぜ合わせた後、マイクロスフェア懸濁液を37℃の水浴中に入れ、30分間標識した。標識終了後、マイクロスフェアの標識率は85.41% ± 2.54%と測定された。残りの標識マイクロスフェア溶液に1 mL超純水を加え、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を除き、下層の沈殿物に引き続き超純水を加え、上清で放射性が検出されなかったまで洗浄した。下層のマイクロスフェアの放射化学的純度は99.27% ± 0.62%と測定された。
【0085】
15 mg 131I-NAT-AMPS-PVAマイクロスフェアを調製し、200 μL超純水で懸濁させた。約15 mgの塩酸アドリアマイシンを取り、200 μL超純水に溶解した。アドリアマイシン溶液をマイクロスフェア懸濁液に加え、軽く振って懸濁させ、十分に混合させた。その後、静置し、5分間隔ごとに1回振動し、約15分後、上清の色が変化しなくなり、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を回収した。沈殿はさらに超純水で三回繰り返し洗浄した。
【0086】
フィールドエミッション走査電子顕微鏡下におけるマイクロスフェアは、均一な大きさと丸い表面を持っていた。マイクロスフェアの平均粒径は49.3 ± 6.5 μmぐらいであった。測定により、マイクロスフェアの薬物担持量と封入率はそれぞれ40.13% ± 2.72%と80.2% ± 0.38%であった。in vitro標識安定性の考察では、31日目にも82%以上の放射化学的純度を維持した。
【0087】
in vivo動物実験の結果により、肝動脈を介して131I-DOX-NAT-AMPS-PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131lの線量は282 μCi、DOXの用量は2.41 mg/kg)をN1S1同所移植肝臓がんラットに注射し、塞栓治療後60日内にラットの死亡が見られなかった(n = 5)。対照群131I-NAT-AMPS-PVA放射線療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131Iの線量は629 μCi、高線量放射線療法)を用いて塞栓治療後60日内にラットの死亡は見られなかった(n=5)。対照群DOX-NAT-AMPS-PVA化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、DOXの用量は9.42mg/kg、高用量化学療法)を用いて塞栓治療後60日内にラットの死亡は見られなかった(n =5)。対照群131I-NAT-AMPS-PVA放射線療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131Iの線量は282 μCi、低線量放射線療法)を用いて塞栓治療後ラットの生存期間の中央値は23日であった(n=5)。対照群DOX-NAT-AMPS-PVA化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、DOXの用量は2.41 mg/kg、低用量化学療法)を用いて塞栓治療後ラットの生存期間の中央値は23日であった(n=5)。対照群NAT-AMPS-PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの投与量は0.14 mL/kg)を単独用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は22日であった(n = 5)。この結果は、131I-DOX-NAT-AMPS-PVAマイクロスフェアは生体内で良好的な放射線療法と化学療法を併用する腫瘍治療効果を持ち、282 μCi 131Iおよび2.41 mg/kg DOXの投与量で、629 μCiの放射線療法塞栓または9.42 mg/kgの化学療法塞栓と同等の効果を持ち、放射線療法および化学療法の投与量を有意に減少することを確認した。また、131I-リピオドール(リピオドールの用量は0.67 mL/kg、131Iの線量は629 μCi)を用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は22日であった(n = 5)。リピオドール-DOX乳剤(リピオドールの用量は0.67 mL/kg、DOXの用量は9.42 mg/kg)を用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は23日であった(n=5)。DC beadTM化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.18 mL/kg、粒径は75-150 μm、DOXの用量は9.42mg/kg)を用いて塞栓治療後、ラットの生存期間の中央値は46日であった(n=5)。
【実施例5】
【0088】
190 mg N-アクリロイルヒスチジン(NAH)を取り、190 μL 400 mg/mLの水酸化ナトリウム溶液に溶解し、濃塩酸でpHを中性に調節した。150 mg 2-アクリルアミド-2-メチルプロピルスルホン酸を取り、超音波で500 μL超純水に溶解した。N-アクリロイルヒスチジン溶液と2-アクリルアミド-2-メチルプロピルスルホン酸溶液を5 mL 15%ポリビニルアルコール誘導体(ポリビニルアルコールの分子量:67 kDa、N-(2,2-ジメトキシエチル)-2-アクリルアミドの置換度:12%~13%)溶液に加え、均一に混ぜ合わせた後、80 μL 150 mg/mL過硫酸カリウム溶液を加え、均一に混ぜ合わせた後、0.3 g酢酸酪酸セルロースを含む30 mL酢酸ブチルに加え、55℃の水浴中で、窒素雰囲気下で1000 rpmで10 分間攪拌して乳化した。その後、200 μL 10% (v/v)のN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンアミン水溶液を一滴ずつ加えた。反応液を窒素下でさらに5時間攪拌した。反応終了後、反応液は5000 rpmで5 分間遠心分離して上清を除き、下層の沈殿物を酢酸エチル、無水エタノール、超純水の順で、2回順次洗浄した。その後、少量の超純水で沈殿物を分散させ、それぞれ順に篩目70 μmおよび40 μmの篩で篩い分けし、70 μm篩残分と40 μm篩通過分を濾過した。40 ~ 70 μm篩の間の沈殿物を集め、さらにアセトンで2回脱水遠心分離した後、真空乾燥器の中で室温下で一晩中乾燥させ、乾燥したNAH-AMPS-PVAマイクロスフェアの粉末を得た。
【0089】
10 mgマイクロスフェアを取り、100 μL 0.01 M pH 7.4のPBS中に懸濁させた。15 μL 10 mCi/mL Na 131I溶液を取ってマイクロスフェア懸濁液に加え、均一に混ぜ合わせた後、15 μL 10 mg/mLクロラミン-T PBS溶液を加え、軽く振って混ぜ合わせた後、マイクロスフェア懸濁液を40℃の水浴中に入れ、40分間標識した。標識終了後、マイクロスフェアの標識率は92.62% ± 1.71%と測定された。残りの標識マイクロスフェア溶液に1 mL超純水を加え、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を除き、下層の沈殿物に引き続き超純水を加え、上清で放射性が検出されなかったまで洗浄した。下層のマイクロスフェアの放射化学的純度は99.41% ± 1.22%と測定された。
【0090】
15 mg 131I-NAH-AMPS-PVAマイクロスフェアを調製し、200 μL超純水で懸濁させた。約15mgの塩酸アドリアマイシンを取り、200 μL超純水に溶解した。アドリアマイシン溶液をマイクロスフェア懸濁液に加え、軽く振って懸濁させ、十分に混合させた。その後、静置し、5分間隔ごとに1回振動し、約15分後、上清の色が変化しなくなり、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を回収した。沈殿はさらに超純水で三回繰り返し洗浄した。
【0091】
フィールドエミッション走査電子顕微鏡下におけるマイクロスフェアは、均一な大きさと丸い表面を持っていた。マイクロスフェアの平均粒径は56.2 ± 3.8 μmぐらいであった。測定により、マイクロスフェアの薬物担持量と封入率はそれぞれ50.1% ± 0.26%と99.58% ± 0.15%であった。in vitro標識安定性の考察では、31日目にも88%以上の放射化学的純度を維持した。
【0092】
in vivo動物実験の結果により、肝動脈を介して131I-DOX-NAH-AMPS-PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131lの線量は282 μCi、DOXの用量は2.41 mg/kg)をN1S1同所移植肝臓がんラットに注射し、塞栓治療後60日内にラットの死亡が見られなかった(n = 5)。対照群131I-NAH-AMPS-PVA放射線療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131Iの線量は648 μCi、高線量放射線療法)を用いて塞栓治療後60日内にラットの死亡は見られなかった(n=5)。対照群DOX-NAT-AMPS-PVA化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、DOXの用量は10.27 mg/kg、高用量化学療法)を用いて塞栓治療後60日内にラットの死亡は見られなかった(n =5)。対照群131I-NAH-AMPS-PVA放射線療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131Iの線量は282 μCi、低線量放射線療法)を用いて塞栓治療後ラットの生存期間の中央値は23日であった(n=5)。対照群DOX-NAH-AMPS-PVA化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、DOXの用量は2.41 mg/kg、低用量化学療法)を用いて塞栓治療した後ラットの生存期間の中央値は23日であった(n=5)。対照群NAH-AMPS-PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの投与量は0.14 mL/kg)を単独用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は22日であった(n=5)。この結果は、131I-DOX-NAH-AMPS-PVAマイクロスフェアは生体内で良好的な放射線療法と化学療法を併用する腫瘍治療効果を持ち、282 μCi 131Iおよび2.41 mg/kg DOXの投与量で、648 μCiの放射線療法塞栓または10.27 mg/kgの化学療法塞栓と同等の効果を持ち、放射線療法および化学療法の投与量を有意に減少することを確認した。また、131I-リピオドール(リピオドールの用量は0.67 mL/kg、131Iの線量は648 μCi)を用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は21日であった(n=5)。リピオドール-DOX乳剤(リピオドールの用量は0.67 mL/kg、DOXの用量は10.27 mg/kg)を用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は23日であった(n=5)。DC beadTM化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.18 mL/kg、粒径は75-150 μm、DOXの用量は10.27 mg/kg)を用いて塞栓治療後、ラットの生存期間の中央値は48日であった(n=5)。
【実施例6】
【0093】
200 mg N-アクリロイルトリプトファン(NATP)を取り、200 μL 400 mg/mLの水酸化ナトリウム溶液に溶解し、濃塩酸でpHを中性に調節した。230 mg 2-アクリルアミド-2-メチルプロピルスルホン酸を取り、超音波で500 μL超純水に溶解した。N-アクリロイルトリプトファン溶液と2-アクリルアミド-2-メチルプロピルスルホン酸溶液を5 mL 15%ポリビニルアルコール誘導体(ポリビニルアルコールの分子量:67 kDa、N-(2,2-ジメトキシエチル)-2-アクリルアミドの置換度:12%~13%)溶液に加え、均一に混ぜ合わせた後、60 μL 150 mg/mL過硫酸カリウム溶液を加え、均一に混ぜ合わせた後、0.3 g酢酸酪酸セルロースを含む30 mL酢酸ブチルに加え、55℃の水浴中で、窒素雰囲気下で1000 rpmで10分間攪拌して乳化した。その後、200 μL 10% (v/v)のN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンアミン水溶液を一滴ずつ加えた。反応液を窒素下でさらに5 時間攪拌した。反応終了後、反応液は5000 rpmで5 分間遠心分離して上清を除き、下層の沈殿物を酢酸エチル、無水エタノール、超純水の順で、2回順次洗浄した。その後、少量の超純水で沈殿物を分散させ、それぞれ順に篩目70 μmおよび40 μmの篩で篩い分けし、70 μm篩残分と40 μm篩通過分を濾過した。40 ~ 70 μm篩の間の沈殿物を集め、さらにアセトンで2回脱水遠心分離した後、真空乾燥器の中で室温下で一晩中乾燥させ、乾燥したNATP-AMPS-PVAマイクロスフェアの粉末を得た。
【0094】
15 mgマイクロスフェアを取り、100 μL 0.01 M pH 7.4のPBS中に懸濁させた。25 μL 10 mCi/mL Na 131I溶液を取ってマイクロスフェア懸濁液に加え、均一に混ぜ合わせた後、20 μL 10 mg/mLクロラミン-T PBS溶液を加え、軽く振って混ぜ合わせた後、マイクロスフェア懸濁液を40℃の水浴中に入れ、40分間標識した。標識終了後、マイクロスフェアの標識率は85.62% ± 3.72%と測定された。残りの標識マイクロスフェア溶液に1 mL超純水を加え、5000 rpmで5 分間遠心分離し、上清を除き、下層の沈殿物に引き続き超純水を加え、上清で放射性が検出されなかったまで洗浄した。下層のマイクロスフェアの放射化学的純度は99.62% ± 1.92%と測定された。
【0095】
25 mg 131I-NATP-AMPS-PVAマイクロスフェアの粉末を調製し、200 μL超純水で懸濁させた。約30mgの塩酸アドリアマイシンを取り、200 μL超純水に溶解した。アドリアマイシン溶液をマイクロスフェア懸濁液に加え、軽く振って懸濁させ、十分に混合させた。その後、静置し、5分間隔ごとに1回振動し、約15分後、上清の色が変化しなくなり、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を回収した。沈殿はさらに超純水で三回繰り返し洗浄した。
【0096】
フィールドエミッション走査電子顕微鏡下におけるマイクロスフェアは、均一な大きさと丸い表面を持っていた。マイクロスフェアの平均粒径は53.58 ± 3.94 μmぐらいであった。測定により、マイクロスフェアの薬物担持量と封入率はそれぞれ51.4% ± 4.23%と83.76% ± 3.62%であった。in vitro標識安定性の考察では、31日目にも85%以上の放射化学的純度を維持した。
【0097】
in vivo動物実験の結果により、肝動脈を介して131I-DOX-NATP-AMPS-PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131lの線量は282 μCi、DOXの用量は2.41 mg/kg)をN1S1同所移植肝臓がんラットに注射し、塞栓治療後60日内にラットの死亡が見られなかった(n = 5)。対照群131I-NATP-AMPS-PVA放射線療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131Iの線量は629 μCi、高線量放射線療法)を用いて塞栓治療後60日内にラットの死亡は見られなかった(n=5)。対照群DOX-NATP-AMPS-PVA化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、DOXの用量は9.42mg/kg、高用量化学療法)を用いて塞栓治療後60日内にラットの死亡は見られなかった(n=5)。対照群131I-NATP-AMPS-PVA放射線療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131Iの線量は282 μCi、低線量放射線療法)を用いて塞栓治療後ラットの生存期間の中央値は23日であった(n=5)。対照群DOX-NATP-AMPS-PVA化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、DOXの用量は2.41 mg/kg、低用量化学療法) を用いて塞栓治療した後ラットの生存期間の中央値は22日であった(n = 5)。対照群NATP-AMPS-PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの投与量は0.14 mL/kg) を単独用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は22日であった(n=5)。この結果は、131I-DOX-NATP-AMPS-PVAマイクロスフェアは生体内で良好的な放射線療法と化学療法を併用する腫瘍治療効果を持ち、282 μCi 131Iおよび2.41 mg/kg DOXの投与量で、629 μCiの放射線療法塞栓または9.42 mg/kgの化学療法塞栓と同等の効果を持ち、放射線療法および化学療法の投与量を有意に減少することを確認した。また、131I-リピオドール(リピオドールの用量は0.67 mL/kg、131Iの線量は629 μCi)を用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は22日であった(n=5)。リピオドール-DOX乳剤(リピオドールの用量は0.67 mL/kg、DOXの用量は9.42 mg/kg)を用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は22日であった(n=5)。DC beadTM化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.18 mL/kg、粒径は75-150 μm、DOXの用量は9.42 mg/kg)を用いて塞栓治療後、ラットの生存期間の中央値は46日であった(n=5)。
【実施例7】
【0098】
170 mg N-アクリロイルチロシン(NAT)を取り、170 μL 400 mg/mLの水酸化ナトリウム溶液に溶解し、濃塩酸でpHを中性に調節した。2 mL 7.5% ポリビニルアルコール誘導体(ポリビニルアルコールの分子量:75 kDa、 N-(2,2-ジメトキシエチル)-2-アクリルアミドの置換度:12%~13%)溶液に加え、均一に混ぜ合わせた後、100 μL 150 mg/mL過硫酸カリウム溶液を加え、よく混ぜた後、0.15 g スパン-80を含む10 mL液体パラフィンに加え、55℃の水浴中で、窒素雰囲気下で600 rpmで10 分間攪拌して乳化した。その後、200 μL 20% (v/v)のN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンアミン水溶液を一滴ずつ加えた。反応液を窒素下でさらに4時間攪拌した。反応終了後、反応液は5000 rpmで5 分間遠心分離して液体パラフィンを除き、下層の沈殿物を酢酸エチル、無水エタノール、超純水の順で、2回順次洗浄した。その後、少量の超純水で沈殿物を分散させ、それぞれ順に篩目70 μmおよび40 μmの篩で篩い分けし、70 μm篩残分と40 μm篩通過分を濾過した。40 ~ 70 μm篩の間の沈殿物を集め、さらにアセトンで2回脱水遠心分離した後、真空乾燥器の中で室温下で一晩中乾燥させ、乾燥したNAT/PVAマイクロスフェアの粉末を得た。
【0099】
5 mgマイクロスフェアを取り、100 μL 0.01 M pH 7.4のPBS中に懸濁させた。10 μL 10 mCi/mL Na 131I溶液を取ってマイクロスフェア懸濁液に加え、均一に混ぜ合わせた後、10 μL 10 mg/mLクロラミン-T PBS溶液を加え、軽く振って混ぜ合わせた後、マイクロスフェア懸濁液を37℃の水浴中に入れ、30分間標識した。標識終了後、マイクロスフェアの標識率は94.37% ± 1.71%と測定された。残りの標識マイクロスフェア溶液に1 mL超純水を加え、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を除き、下層の沈殿物に引き続き超純水を加え、上清で放射性が検出されなかったまで洗浄した。下層のマイクロスフェアの放射化学的純度は99.68% ± 1.29%と測定された。
【0100】
15 mg 131I-NAT/PVAマイクロスフェアを調製し、200 μL超純水で懸濁させた。約7.5 mgの塩酸アドリアマイシンを取り、200 μL超純水に溶解した。アドリアマイシン溶液をマイクロスフェア懸濁液に加え、軽く振って懸濁させ、十分に混合させた。その後、静置し、5分間隔ごとに1回振動し、約15分後、上清の色が変化しなくなり、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を回収した。沈殿はさらに超純水で三回繰り返し洗浄した。
【0101】
フィールドエミッション走査電子顕微鏡下におけるマイクロスフェアは、均一な大きさと丸い表面を持っていた。マイクロスフェアの平均粒径は55.3 ± 6.3 μmぐらいであった。測定により、マイクロスフェアの薬物担持量と封入率はそれぞれ32.51% ± 2.52%と97.51% ± 1.63%であった。in vitro標識安定性の考察では、31日目にも81%以上の放射化学的純度を維持した。
【0102】
in vivo動物実験の結果により、肝動脈を介して131I-DOX-NAT/PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131lの線量は240 μCi、DOXの用量は1.74 mg/kg)をN1S1同所移植肝臓がんラットに注射し、塞栓治療後60日内にラットの死亡が見られなかった(n = 5)。対照群131I-NAT/PVA放射線療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131Iの線量は540 μCi、高線量放射線療法)を用いて塞栓治療後60日内にラットの死亡は見られなかった(n=5)。対照群DOX-NAT/PVA化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、DOXの用量は8.73 mg/kg、高用量化学療法)を用いて塞栓治療後60日内にラットの死亡は見られなかった(n=5)。対照群131I-NAT/PVA放射線療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131Iの線量は240 μCi、低線量放射線療法)を用いて塞栓治療後ラットの生存期間の中央値は23日であった(n = 5)。対照群DOX-NAT/PVA化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、DOXの用量は1.74 mg/kg、低用量化学療法)を用いて塞栓治療した後ラットの生存期間の中央値は22日であった(n=5)。対照群NAT/PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの投与量は0.14 mL/kg) を単独用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は22日であった(n=5)。この結果は、131I-DOX-NAT/PVAマイクロスフェアは生体内で良好的な放射線療法と化学療法を併用する腫瘍治療効果を持ち、240 μCi 131Iおよび1.74 mg/kg DOXの投与量で、540 μCiの放射線療法塞栓または8.73 mg/kgの化学療法塞栓と同等の効果を持ち、放射線療法と化学療法の投与量を有意に減少することを確認した。また、131I-リピオドール(リピオドールの用量は0.67 mL/kg、131Iの線量は540 μCi) を用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は21日であった(n=5)。リピオドール-DOX乳剤(リピオドールの用量は0.67 mL/kg、DOXの用量は8.73 mg/kg)を用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は22日であった(n=5)。DC beadTM化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.18 mL/kg、粒径は75-150 μm、DOXの用量は8.73 mg/kg)を用いて塞栓治療後、ラットの生存期間の中央値は46日であった(n=5)。
【実施例8】
【0103】
200 mg N-アクリロイルヒスチジン(NAH)を取り、200 μL 400 mg/mLの水酸化ナトリウム溶液に溶解し、濃塩酸でpHを中性に調節した。2.5 mL 7.5% ポリビニルアルコール誘導体(ポリビニルアルコールの分子量:75 kDa、N-(2,2-ジメトキシエチル)-2-アクリルアミドの置換度:12%~13%)溶液に加え、均一に混ぜ合わせた後、150 μL 150 mg/mL過硫酸カリウム溶液を加え、よく混ぜた後、0.15 g スパン-80を含む10 mL液体パラフィンに加え、40℃の水浴中で、窒素雰囲気下で600 rpmで10 分間攪拌して乳化した。その後、250 μL 10% (v/v)のN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンアミン水溶液を一滴ずつ加えた。反応液を窒素下でさらに12時間攪拌した。反応終了後、反応液は5000 rpmで5 分間遠心分離して液体パラフィンを除き、下層の沈殿物を酢酸エチル、無水エタノール、超純水の順で、2回順次洗浄した。その後、少量の超純水で沈殿物を分散させ、それぞれ順に篩目70 μmおよび40 μmの篩で篩い分けし、70 μm篩残分と40 μm篩通過分を濾過した。40~70 μm篩の間の沈殿物を集め、さらにアセトンで2回脱水遠心分離した後、真空乾燥器の中で室温下で一晩中乾燥させ、乾燥したNAH/PVAマイクロスフェアの粉末を得た。
【0104】
10 mgマイクロスフェアを取り、100 μL 0.01 M pH 7.4のPBS中に懸濁させた。20 μL 10 mCi/mL Na 131I溶液を取ってマイクロスフェア懸濁液に加え、均一に混ぜ合わせた後、15 μL 10 mg/mLクロラミン-T PBS溶液を加え、軽く振って混ぜ合わせた後、マイクロスフェア懸濁液を40 ℃の水浴中に入れ、35分間標識した。標識終了後、マイクロスフェアの標識率は92.13% ± 2.03%と測定された。残りの標識マイクロスフェア溶液に1 mL超純水を加え、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を除き、下層の沈殿物に引き続き超純水を加え、上清で放射性が検出されなかったまで洗浄した。下層のマイクロスフェアの放射化学的純度は95.89% ± 2.43%と測定された。
【0105】
15 mg 131I-NAH/PVAマイクロスフェアを調製し、200 μL超純水で懸濁させた。約6.5 mgの塩酸アドリアマイシンを取り、200 μL超純水に溶解した。アドリアマイシン溶液をマイクロスフェア懸濁液に加え、軽く振って懸濁させ、十分に混合させた。その後、静置し、5分間隔ごとに1回振動し、約15分後、上清の色が変化しなくなり、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を回収した。沈殿はさらに超純水で三回繰り返し洗浄した。
【0106】
フィールドエミッション走査電子顕微鏡下におけるマイクロスフェアは、均一な大きさと丸い表面を持っていた。マイクロスフェアの平均粒径は57.7 ± 2.7 μmぐらいであった。測定により、マイクロスフェアの薬物担持量と封入率はそれぞれ25.39% ± 2.37%と84.23% ± 3.41%であった。in vitro標識安定性の考察では、31日目にも80%以上の放射化学的純度を維持した。
【0107】
in vivo動物実験の結果により、肝動脈を介して131I-DOX-NAH/PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131lの線量は245 μCi、DOXの用量は1.96 mg/kg)をN1S1同所移植肝臓がんラットに注射し、塞栓治療後60日内にラットの死亡が見られなかった(n = 5)。対照群131I-NAH/PVA放射線療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131Iの線量は635 μCi、高線量放射線療法)を用いて塞栓治療後60日内にラットの死亡は見られなかった(n=5)。対照群DOX-NAH/PVA化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、DOXの用量は9.25 mg/kg、高用量化学療法)を用いて塞栓治療後60日内にラットの死亡は見られなかった(n=5)。対照群131I-NAH/PVA放射線療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131Iの線量は245 μCi、低線量放射線療法)を用いて塞栓治療後ラットの生存期間の中央値は23日であった(n = 5)。対照群DOX-NAH/PVA化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、DOXの用量は1.96 mg/kg、低用量化学療法)を用いて塞栓治療後ラットの生存期間の中央値は22日であった(n=5)。対照群NAH/PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの投与量は0.14 mL/kg)を単独用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は22日であった(n=5)。この結果は、131I-DOX-NAH/PVAマイクロスフェアは生体内で良好的な放射線療法と化学療法を併用する腫瘍治療効果を持ち、245 μCi 131Iおよび1.96 mg/kg DOXの投与量で、635 μCiの放射線療法塞栓または9.25 mg / kgの化学療法塞栓と同等の効果を持ち、放射線療法と化学療法の投与量を有意に減少することを確認した。また、131I-リピオドール(リピオドールの用量は0.67 mL/kg、131Iの線量は635 μCi)を用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は21日であった(n = 5)。リピオドール-DOX乳剤(リピオドールの用量は0.67 mL/kg、DOXの用量は9.25 mg/kg) を用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は22日であった(n = 5)。DC beadTM化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.18 mL/kg、粒径は75-150 μm、DOXの用量は9.25 mg/kg)を用いて塞栓治療後、ラットの生存期間の中央値は46日であった(n = 5)。
【実施例9】
【0108】
250 mg N-アクリロイルトリプトファン(NATP)を取り、250 μL 400 mg/mLの水酸化ナトリウム溶液に溶解し、濃塩酸でpHを中性に調節した。3 mL 7.5% ポリビニルアルコール誘導体(ポリビニルアルコールの分子量:75 kDa、 N-(2,2-ジメトキシエチル)-2-アクリルアミドの置換度:12%~13%)溶液に加え、均一に混ぜ合わせた後、145 μL 150 mg/mL過硫酸カリウム溶液を加え、よく混ぜた後、0.20 g スパン-80を含む15 mL液体パラフィンに加え、45℃の水浴中で、窒素雰囲気下で600 rpmで10 分間攪拌して乳化した。その後、300 μL 10% (v/v)ののN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンアミン水溶液を一滴ずつ加えた。反応液を窒素下でさらに12 時間攪拌した。反応終了後、反応液は5000 rpmで5分間遠心分離して液体パラフィンを除き、下層の沈殿物を酢酸エチル、無水エタノール、超純水の順で、2回順次洗浄した。その後、少量の超純水で沈殿物を分散させ、それぞれ順に篩目70 μmおよび40 μmの篩で篩い分けし、70 μm篩残分と40 μm篩通過分を濾過した。40 ~ 70 μm篩の間の沈殿物を集め、さらにアセトンで2回脱水遠心分離した後、真空乾燥器の中で室温下で一晩中乾燥させ、乾燥したNATP/PVAマイクロスフェアの粉末を得た。
【0109】
20 mgマイクロスフェアを取り、100 μL 0.01 M pH 7.4のPBS中に懸濁させた。15 μL 10 mCi /mL Na 131I溶液を取ってマイクロスフェア懸濁液に加え、均一に混ぜ合わせた後、20 μL 10 mg/mLクロラミン-T PBS溶液を加え、軽く振って混ぜ合わせた後、マイクロスフェア懸濁液を40 ℃の水浴中に入れ、30分間標識した。標識終了後、マイクロスフェアの標識率は86.24% ± 1.82%と測定された。残りの標識マイクロスフェア溶液に1 mL超純水を加え、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を除き、下層の沈殿物に引き続き超純水を加え、上清で放射性が検出されなかったまで洗浄した。下層のマイクロスフェアの放射化学的純度は96.58% ± 1.63%と測定された。
【0110】
15 mg 131I-NATP/PVAマイクロスフェアを調製し、200 μL超純水で懸濁させた。約5 mgの塩酸アドリアマイシンを取り、200 μL超純水に溶解した。アドリアマイシン溶液をマイクロスフェア懸濁液に加え、軽く振って懸濁させ、十分に混合させた。その後、静置し、5分間隔ごとに1回振動し、約15分後、上清の色が変化しなくなり、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を回収した。沈殿はさらに超純水で三回繰り返し洗浄した。
【0111】
フィールドエミッション走査電子顕微鏡下におけるマイクロスフェアは、均一な大きさと丸い表面を持っていた。マイクロスフェアの平均粒径は49.29 ± 2.9 μmぐらいであった。測定により、マイクロスフェアの薬物担持量と封入率はそれぞれ20.43% ± 1.73%と81.72% ± 2.31%であった。in vitro標識安定性の考察では、31日目にも85%以上の放射化学的純度を維持した。
【0112】
in vivo動物実験の結果により、肝動脈を介して131I-DOX-NATP/PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131lの線量は270 μCi、DOXの用量は1.95 mg/kg)をN1S1同所移植肝臓がんラットに注射し、塞栓治療後60日内にラットの死亡が見られなかった(n = 5)。対照群131I-NATP/PVA放射線療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131Iの線量は650 μCi、高線量放射線療法) を用いて塞栓治療後60日内にラットの死亡は見られなかった(n=5)。対照群DOX-NATP/PVA化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、DOXの用量は8.90 mg/kg、高用量化学療法)を用いて塞栓治療後60日内にラットの死亡は見られなかった(n=5)。対照群131 I-NATP/PVA放射線療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、131Iの線量は270 μCi、低線量放射線療法)を用いて塞栓治療後ラットの生存期間の中央値は23日であった(n = 5)。対照群DOX-NATP/PVA化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、DOXの用量は1.95 mg/kg、低用量化学療法)を用いて塞栓治療後ラットの生存期間の中央値は22日であった(n=5)。対照群NATP/PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの投与量は0.14 mL/kg)を単独用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は22日であった(n = 5)。この結果は、131I-DOX-NATP/PVAマイクロスフェアは生体内で良好的な放射線療法と化学療法を併用する腫瘍治療効果を持ち、270 μCi 131Iおよび1.95 mg / kg DOXの投与量で、650 μCiの放射線療法塞栓または8.90 mg / kgの化学療法塞栓と同等の効果を持ち、放射線療法と化学療法の投与量を有意に減少することを確認した。また、131I-リピオドール(リピオドールの用量は0.67 mL/kg、131Iの線量は650 μCi)を用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は21日であった(n = 5)。リピオドール-DOX乳剤(リピオドールの用量は0.67 mL/kg、DOXの用量は8.90 mg/kg)を用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は21日であった(n=5)。DC beadTM化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.18 mL/kg、粒径は75-150 μm、DOXの用量は8.90 mg/kg)を用いて塞栓治療後、ラットの生存期間の中央値は46日であった(n = 5)。この結果は、131I-DOX-NATP/PVAマイクロスフェアは生体内で良好的な放射線療法と化学療法を併用する腫瘍治療効果を持ち、放射線療法と化学療法の投与量を有意に減少することを確認した。
【実施例10】
【0113】
120 mg N-アクリロイルチロシン(NAT)を取り、120 μL 400 mg/mLの水酸化ナトリウム溶液に溶解し、濃塩酸でpHを中性に調節した。40 mg N,N'-メチレンジアクリルアミドを取り、超音波で150 μL超純水に分散させ、さらに1.334 mL 7.5%ポリビニルアルコール誘導体(ポリビニルアルコールの分子量:75 kDa、 N-(2,2-ジメトキシエチル)-2-アクリルアミドの置換度:12%~13%)を加え、引き続き超音波で溶解した。N-アクリロイルチロシン溶液をポリビニルアルコール誘導体溶液に加えて均一に混ぜ合わせ、それに87 μL 150 mg/mL過硫酸カリウム溶液を加え、よく混ぜた後、0.12 g スパン-80を含む8 mL液体パラフィンに加え、37℃の水浴中で、窒素雰囲気下で600 rpmで10 分間攪拌して乳化した。その後、200 μL 10% (v/v)のN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンアミン水溶液を一滴ずつ加えた。反応液を窒素下でさらに12 時間攪拌した。反応終了後、反応液は5000 rpmで5分間遠心分離して液体パラフィンを除き、下層の沈殿物を酢酸エチル、無水エタノール、超純水の順で、2回順次洗浄した。その後、少量の超純水で沈殿物を分散させ、それぞれ順に篩目70 μmおよび40 μmの篩で篩い分けし、70 μm篩残分と40 μm篩通過分を濾過した。40 ~ 70 μm篩の間の沈殿物を集め、さらにアセトンで2回脱水遠心分離した後、真空乾燥器の中で室温下で一晩中乾燥させ、乾燥したNAT/PVAマイクロスフェアの粉末を得た。
【0114】
5 mgマイクロスフェアを取り、100 μL 0.01 M pH 7.4のPBS中に懸濁させた。10 μL 10 mCi /mL Na 123I溶液を取ってマイクロスフェア懸濁液に加え、均一に混ぜ合わせた後、10 μL 10 mg/mLクロラミン-T PBS溶液を加え、軽く振って混ぜ合わせた後、マイクロスフェア懸濁液を40 ℃の水浴中に入れ、35分間標識した。標識終了後、マイクロスフェアの標識率は94.59% ± 1.31%と測定された。残りのマイクロスフェア標識液に1 mL超純水を加え、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を除き、下層の沈殿物に引き続き超純水を加え、上清で放射性が検出されなかったまで洗浄した。下層のマイクロスフェアの放射化学的純度は96.62% ± 2.92%と測定された。
【0115】
15 mg 123I-NAT-PVAマイクロスフェアを調製し、200 μL超純水で懸濁させた。約7.5 mgの塩酸アドリアマイシンを取り、200 μL超純水に溶解した。アドリアマイシン溶液をマイクロスフェア懸濁液に加え、軽く振って懸濁させ、十分に混合させた。その後、静置し、5分間隔ごとに1回振動し、約15分後、上清の色が変化しなくなり、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を回収した。沈殿はさらに超純水で三回繰り返し洗浄した。
【0116】
フィールドエミッション走査電子顕微鏡下におけるマイクロスフェアは、均一な大きさと丸い表面を持っていた。マイクロスフェアの平均粒径は51.2 ± 2.5 μmぐらいであった。測定により、マイクロスフェアの薬物担持量と封入率はそれぞれ31.35% ± 2.42%と98.16% ± 0.41%であった。in vitro標識安定性の考察では、31日目にも83%以上の放射化学的純度を維持した。
【0117】
in vivo動物実験の結果により、小動物SPECT/CT画像下でモデルラットに123I-DOX-NAT-PVAマイクロスフェアの分布が正確に監視され、肝動脈を介して123I-DOX-NAT-PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、DOXの用量は8.61 mg/kg)をN1S1同所移植肝臓がんラットに注射し、塞栓治療後60日内にラットの死亡が見られなかった(n=5)。対照群NAT-PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg)を単独用いて塞栓治療後ラットの生存期間の中央値は22日であった(n = 5)。また、リピオドール-DOX乳剤(リピオドールの用量は0.67 mL/kg、DOXの用量は8.61 mg/kg)を用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は21日であった(n=5)。DC beadTM化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.18 mL/kg、粒径は75-150 μm、DOXの用量は8.61 mg/kg)を用いて塞栓治療後、ラットの生存期間の中央値は46日であった(n=5)。
【実施例11】
【0118】
170 mg N-アクリロイルチロシン(NAT)を取り、170 μL 400 mg/mLの水酸化ナトリウム溶液に溶解し、濃塩酸でpHを中性に調節した。150 mg 2-アクリルアミド-2-メチルプロピルスルホン酸を取り、超音波で200 μL超純水に溶解した。N-アクリロイルチロシン溶液と2-アクリルアミド-2-メチルプロピルスルホン酸溶液を5 mL 15%ポリビニルアルコール誘導体(ポリビニルアルコールの分子量:67 kDa、 N-(2,2-ジメトキシエチル)-2-アクリルアミドの置換度:12%~13%)溶液に加えて均一に混ぜ合わせた後、60 μL 150 mg/mL過硫酸カリウム溶液を加え、よく混ぜた後、0.3 g酢酸酪酸セルロースを含む30 mL酢酸ブチルに加え、55℃の水浴中で、窒素雰囲気下で1000 rpmで10分間攪拌して乳化した。その後、200 μL 10% (v/v)のN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンアミン水溶液を一滴ずつ加えた。反応液を窒素下でさらに4時間攪拌した。反応終了後、反応液は5000 rpmで5分間遠心分離して上清を除き、下層の沈殿物を酢酸エチル、無水エタノール、超純水の順で、2回順次洗浄した。その後、少量の超純水で沈殿物を分散させ、それぞれ順に篩目70 μmおよび40 μmの篩で篩い分けし、70 μm篩残分と40 μm篩通過分を濾過した。40~70 μm篩の間の沈殿物を集め、さらにアセトンで2回脱水遠心分離した後、真空乾燥器の中で室温下で一晩中乾燥させ、乾燥したNAT-AMPS-PVAマイクロスフェアの粉末を得た。
【0119】
5 mgマイクロスフェアを取り、100 μL 0.01 M pH 7.4のPBS中に懸濁させた。5 μL 10 mCi/mL Na 123I溶液を取ってマイクロスフェア懸濁液に加え、均一に混ぜ合わせた後、5 μL 10 mg/mLクロラミン-T PBS溶液を加え、軽く振って混ぜ合わせた後、マイクロスフェア懸濁液を37 ℃の水浴中に入れ、30分間標識した。標識終了後、マイクロスフェアの標識率は85.82% ± 1.63%と測定された。残りのマイクロスフェア標識液に1 mL超純水を加え、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を除き、下層の沈殿物に引き続き超純水を加え、上清で放射性が検出されなかったまで洗浄した。下層のマイクロスフェアの放射化学的純度は96.53% ± 2.14%と測定された。
【0120】
15 mg 123I-NAT-AMPS-PVAマイクロスフェアを調製し、200 μL超純水で懸濁させた。約15 mgの塩酸アドリアマイシンを取り、200 μL超純水に溶解した。アドリアマイシン溶液をマイクロスフェア懸濁液に加え、軽く振って懸濁させ、十分に混合させた。その後、静置し、5分間隔ごとに1回振動し、約15分後、上清の色が変化しなくなり、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を回収した。沈殿はさらに超純水で三回繰り返し洗浄した。
【0121】
フィールドエミッション走査電子顕微鏡下におけるマイクロスフェアは、均一な大きさと丸い表面を持っていた。マイクロスフェアの平均粒径は52.7 ± 3.5 μmぐらいであった。測定により、マイクロスフェアの薬物担持量と封入率はそれぞれ45.43% ± 2.61%と90.86% ± 1.29%であった。in vitro標識安定性の考察では、31日目にも84%以上の放射化学的純度を維持した。
【0122】
in vivo動物実験の結果により、小動物SPECT/CT画像下でモデルラットに123I-DOX-NAT-AMPS-PVAマイクロスフェアの分布が正確に監視され、肝動脈を介して123I-DOX-NAT-AMPS-PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、DOXの用量は9.21 mg/kg)をN1S1同所移植肝臓がんラットに注射し、塞栓治療後60日内にラットの死亡が見られなかった(n = 5)。対照群NAT-AMPS-PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg)を単独用いて塞栓治療後ラットの生存期間の中央値は22日であった(n = 5)。また、リピオドール-DOX乳剤(リピオドールの用量は0.67 mL/kg、DOXの用量は9.21 mg/kg)を用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は21日であった(n = 5)。DC beadTM化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.18 mL/kg、粒径は75-150 μm、DOXの用量は9.21 mg/kg)を用いて塞栓治療後、ラットの生存期間の中央値は46日であった(n = 5)。
【実施例12】
【0123】
170 mg N-アクリロイルチロシン(NAT)を取り、170 μL 400 mg/mLの水酸化ナトリウム溶液に溶解し、濃塩酸でpHを中性に調節した。2 mL 7.5% ポリビニルアルコール誘導体(ポリビニルアルコールの分子量:75 kDa、 N-(2,2-ジメトキシエチル)-2-アクリルアミドの置換度:12%~13%)溶液に加え、均一に混ぜ合わせた後、100 μL 150 mg/mL過硫酸カリウム溶液を加え、よく混ぜた後、0.15 g スパン-80を含む10 mL液体パラフィンに加え、55℃の水浴中で、窒素雰囲気下で600 rpmで10 分間攪拌して乳化した。その後、200 μL 20% (v/v)のN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンアミン水溶液を一滴ずつ加えた。反応液を窒素下でさらに4 時間攪拌した。反応終了後、反応液は5000 rpmで5分間遠心分離して液体パラフィンを除き、下層の沈殿物を酢酸エチル、無水エタノール、超純水の順で、2回順次洗浄した。その後、少量の超純水で沈殿物を分散させ、それぞれ順に篩目70 μmおよび40 μmの篩で篩い分けし、70 μm篩残分と40 μm篩通過分を濾過した。40 ~ 70 μm篩の間の沈殿物を集め、さらにアセトンで2回脱水遠心分離した後、真空乾燥器の中で室温下で一晩中乾燥させ、乾燥したNAT/PVAマイクロスフェアの粉末を得た。
【0124】
5 mgマイクロスフェアを取り、100 μL 0.01 M pH 7.4のPBS中に懸濁させた。10 μL 10 mCi/mL Na 123I溶液を取ってマイクロスフェア懸濁液に加え、均一に混ぜ合わせた後、10 μL 10 mg/mLクロラミン-T PBS溶液を加え、軽く振って混ぜ合わせた後、マイクロスフェア懸濁液を40 ℃の水浴中に入れ、35分間標識した。標識終了後、マイクロスフェアの標識率は95.39% ± 0.62%と測定された。残りのマイクロスフェア標識液に1 mL超純水を加え、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を除き、下層の沈殿物に引き続き超純水を加え、上清で放射性が検出されなかったまで洗浄した。下層のマイクロスフェアの放射化学的純度は99.52% ± 2.53%と測定された。
【0125】
15 mg 123I-NAT/PVAマイクロスフェアの粉末を調製し、200 μL超純水で懸濁させた。約7.5 mgの塩酸アドリアマイシンを取り、200 μL超純水に溶解した。アドリアマイシン溶液をマイクロスフェア懸濁液に加え、軽く振って懸濁させ、十分に混合させた。その後、静置し、5分間隔ごとに1回振動し、約15分後、上清の色が変化しなくなり、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を回収した。沈殿はさらに超純水で三回繰り返し洗浄した。
【0126】
フィールドエミッション走査電子顕微鏡下におけるマイクロスフェアは、均一な大きさと丸い表面を持っていた。マイクロスフェアの平均粒径は54.4 ± 3.4 μmぐらいであった。測定により、マイクロスフェアの薬物担持量と封入率はそれぞれ33.26% ± 3.31%と96.26% ± 2.37%であった。in vitro標識安定性の考察では、31日目にも83%以上の放射化学的純度を維持した。
【0127】
in vivo動物実験の結果により、小動物SPECT/CT画像下でモデルラットに123I-NAT/PVAマイクロスフェアの分布が正確に監視され、肝動脈を介して123I-DOX-NAT/PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、DOXの用量は8.97 mg/kg)をN1S1同所移植肝臓がんラットに注射し、塞栓治療後60日内にラットの死亡が見られなかった(n = 5)。対照群NAT/PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg)を単独用いて塞栓治療後ラットの生存期間の中央値は22日であった(n = 5)。また、リピオドール-DOX乳剤(リピオドールの用量は0.67 mL/kg、DOXの用量は8.97 mg/kg)を用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は22日であった(n = 5)。DC beadTM化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.18 mL/kg、粒径は75-150 μm、DOXの用量は8.97 mg/kg)を用いて塞栓治療後、ラットの生存期間の中央値は45日であった(n = 5)。
【実施例13】
【0128】
120 mg N-アクリロイルチロシン(NAT)を取り、120 μL 400 mg/mLの水酸化ナトリウム溶液に溶解し、濃塩酸でpHを中性に調節した。40 mg N,N'-メチレンジアクリルアミドを取り、超音波で150μL超純水に分散させ、さらに1.334 mL 7.5%ポリビニルアルコール誘導体(ポリビニルアルコールの分子量:75 kDa、 N-(2,2-ジメトキシエチル)-2-アクリルアミドの置換度:12%~13%)を加え、引き続き超音波で溶解した。N-アクリロイルチロシン溶液をポリビニルアルコール誘導体溶液に加え、均一に混ぜ合わせた後、87 μL 150 mg/mL過硫酸カリウム溶液を加え、均一に混ぜ合わせた後、0.12 g スパン-80を含む8 mL液体パラフィンに加え、37℃の水浴中で、窒素雰囲気下で600 rpmで10 分間攪拌して乳化した。その後、200μL 10% (v/v)のN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンアミン水溶液を一滴ずつ加えた。反応液を窒素下でさらに12時間攪拌した。反応終了後、反応液は5000 rpmで5分間遠心分離し、液体パラフィンを除き、下層の沈殿物を酢酸エチル、無水エタノール、超純水の順で、2回順次洗浄した。その後、少量の超純水で沈殿物を分散させ、それぞれ順に篩目70 μmおよび40 μmの篩で篩い分けし、70 μm篩残分と40 μm篩通過分を濾過した。40 ~ 70 μm篩の間の沈殿物を集め、さらにアセトンで2回脱水遠心分離した後、真空乾燥器の中で室温下で一晩中乾燥させ、乾燥したNAT-PVAマイクロスフェアの粉末を得た。
【0129】
5 mgマイクロスフェアを取り、100 μL 0.01 M pH 7.4のPBS中に懸濁させた。10 μL 10 mCi/mL Na 125I溶液を取ってマイクロスフェア懸濁液に加え、均一に混ぜ合わせた後、10 μL 10 mg/mLクロラミン-T PBS溶液を加え、軽く振って混ぜ合わせた後、マイクロスフェア懸濁液を37℃の水浴中に入れ、30分間標識した。標識終了後、マイクロスフェアの標識率は90.41% ± 2.61%と測定された。残りのマイクロスフェア標識液に1 mL超純水を加え、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を除き、下層の沈殿物に引き続き超純水を加え、上清で放射性が検出されなかったまで洗浄した。下層のマイクロスフェアの放射化学的純度は98.96% ± 2.51%と測定された。
【0130】
15 mg 125I-NAT-PVAマイクロスフェアの粉末を調製し、200 μL超純水で懸濁させた。約7.5 mgのイリノテカンを取り、200 μL超純水に溶解した。イリノテカン溶液をマイクロスフェア懸濁液に加え、軽く振って懸濁させ、十分に混合させた。その後、静置し、5分間隔ごとに1回振動し、約30分後、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を回収した。沈殿はさらに超純水で三回繰り返し洗浄した。
【0131】
フィールドエミッション走査電子顕微鏡下におけるマイクロスフェアは、均一な大きさと丸い表面を持っていた。マイクロスフェアの平均粒径は52.7 ± 4.6 μmぐらいであった。測定により、マイクロスフェアの薬物担持量と封入率はそれぞれ20.15% ± 2.11%と61.27% ± 2.71%であった。in vitro標識安定性の考察では、31日目にも85%以上の放射化学的純度を維持した。
【0132】
in vivo動物実験では、小動物SPECT/CT画像下でモデルラットに125I-IRI-NAT-PVAマイクロスフェアの分布が正確に監視され、肝動脈を介して125I-IRI-NAT-PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、IRIの用量は25.61 mg/kg)をN1S1同所移植肝臓がんラットに注射し、塞栓治療後60日内にラットの死亡が見られなかった(n = 5)。対照群NAT-PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg) を単独用いて塞栓治療後ラットの生存期間の中央値は22日であった(n = 5)。また、リピオドール-IRI乳剤(リピオドールの用量は0.67 mL/kg、IRIの用量は25.61 mg/kg)を用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は21日であった(n = 5)。DC beadTM化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.18 mL/kg、粒径は75-150 μm、IRIの用量は25.61 mg/kg)を用いて塞栓治療後60日内にラットの死亡は見られなかった(n =5)。
【実施例14】
【0133】
170 mg N-アクリロイルチロシン(NAT)を取り、170 μL 400 mg/mLの水酸化ナトリウム溶液に溶解し、濃塩酸でpHを中性に調節した。150 mg 2-アクリルアミド-2-メチルプロピルスルホン酸を取り、超音波で200 μL超純水に溶解した。N-アクリロイルチロシン溶液と2-アクリルアミド-2-メチルプロピルスルホン酸溶液を5 mL 15% ポリビニルアルコール誘導体(ポリビニルアルコールの分子量:67 kDa、N-(2,2-ジメトキシエチル)-2-アクリルアミドの置換度:12%~13%)溶液に加えて均一に混ぜ合わせた後、60 μL 150 mg/mL過硫酸カリウム溶液を加え、よく混ぜた後、0.3 g酢酸酪酸セルロースを含む30 mL酢酸ブチルに加え、55℃の水浴中で、窒素雰囲気下で1000 rpmで10分間攪拌して乳化した。その後、200 μL 10% (v/v)のN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンアミン水溶液を一滴ずつ加えた。反応液を窒素下でさらに4時間攪拌した。反応終了後、反応液は5000 rpmで5分間遠心分離して上清を除き、下層の沈殿物を酢酸エチル、無水エタノール、超純水の順で、2回順次洗浄した。その後、少量の超純水で沈殿物を分散させ、それぞれ順に篩目70 μmおよび40 μmの篩で篩い分けし、70 μm篩残分と40 μm篩通過分を濾過した。40~70 μm篩の間の沈殿物を集め、さらにアセトンで2回脱水遠心分離した後、真空乾燥器の中で室温下で一晩中乾燥させ、乾燥したNAT-AMPS-PVAマイクロスフェアの粉末を得た。
【0134】
5 mgマイクロスフェアを取り、100 μL 0.01 M pH 7.4のPBS中に懸濁させた。5 μL 10 mCi/mL Na 125I溶液を取ってマイクロスフェア懸濁液に加え、均一に混ぜ合わせた後、5 μL 10 mg/mLクロラミン-T PBS溶液を加え、軽く振って混ぜ合わせた後、マイクロスフェア懸濁液を37℃の水浴中に入れ、30分間標識した。標識終了後、マイクロスフェアの標識率は89.54 % ± 2.71%と測定された。残りのマイクロスフェア標識液に1 mL超純水を加え、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を除き、下層の沈殿物に引き続き超純水を加え、上清で放射性が検出されなかったまで洗浄した。下層のマイクロスフェアの放射化学的純度は96.59% ± 3.62%と測定された。
【0135】
15 mg125I-NAT-AMPS-PVAマイクロスフェアを調製し、200 μL超純水で懸濁させた。約15 mgのイリノテカンを取り、200 μL超純水に溶解した。イリノテカン溶液をマイクロスフェア懸濁液に加え、軽く振って懸濁させ、十分に混合させた。その後、静置し、5分間隔ごとに1回振動し、約30分後、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を回収した。沈殿はさらに超純水で三回繰り返し洗浄した。
【0136】
フィールドエミッション走査電子顕微鏡下におけるマイクロスフェアは、均一な大きさと丸い表面を持っていた。マイクロスフェアの平均粒径は55.27 ± 0.31 μmぐらいであった。測定により、マイクロスフェアの薬物担持量と封入率はそれぞれ32.69% ± 3.51%と65.4% ± 2.74%であった。in vitro標識安定性の考察では、31日目にも80%以上の放射化学的純度を維持した。
【0137】
in vivo動物実験では、小動物SPECT/CT画像下でモデルラットに125I-IRI-NAT-AMPS-PVAマイクロスフェアの分布が正確に監視され、肝動脈を介して125I-IRI-NAT-AMPS-PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、IRIの用量は29.77 mg/kg)をN1S1同所移植肝臓がんラットに注射し、塞栓治療後60日内にラットの死亡が見られなかった(n = 5)。対照群NAT-AMPS-PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg)を単独用いて塞栓治療後ラットの生存期間の中央値は22日であった(n = 5)。また、リピオドール-IRI乳剤(リピオドールの用量は0.67 mL/kg、IRIの用量は29.77 mg/kg)を用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は21日であった(n = 5)。DC beadTM化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.18 mL/kg、粒径は75-150 μm、IRIの用量は29.77 mg/kg)を用いて塞栓治療後60日内にラットの死亡は見られなかった(n =5)。
【実施例15】
【0138】
170 mg N-アクリロイルチロシン(NAT)を取り、170 μL 400 mg/mLの水酸化ナトリウム溶液に溶解し、濃塩酸でpHを中性に調節した。2 mL 7.5% ポリビニルアルコール誘導体(ポリビニルアルコールの分子量:75 kDa、 N-(2,2-ジメトキシエチル)-2-アクリルアミドの置換度:12%~13%)溶液に加えて均一に混ぜ合わせた後、100 μL 150mg/mL過硫酸カリウム溶液を加え、よく混ぜた後、0.15 g スパン-80を含む10 mL液体パラフィンに加え、55℃の水浴中で、窒素雰囲気下で600 rpmで10 分間攪拌して乳化した。その後、200 μL 20% (v/v)のN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンアミン水溶液を一滴ずつ加えた。反応液を窒素下でさらに4時間攪拌した。反応終了後、反応液は5000 rpmで5分間遠心分離して液体パラフィンを除き、下層の沈殿物を酢酸エチル、無水エタノール、超純水の順で、2回順次洗浄した。その後、少量の超純水で沈殿物を分散させ、それぞれ順に篩目70 μmおよび40 μmの篩で篩い分けし、70 μm篩残分と40 μm篩通過分を濾過した。40 ~ 70 μm篩の間の沈殿物を集め、さらにアセトンで2回脱水遠心分離した後、真空乾燥器の中で室温下で一晩中乾燥させ、乾燥したNAT/PVAマイクロスフェアの粉末を得た。
【0139】
5 mgマイクロスフェアを取り、100 μL 0.01 M pH 7.4のPBS中に懸濁させた。10 μL 10 mCi/mL Na 125I溶液を取ってマイクロスフェア懸濁液に加え、均一に混ぜ合わせた後、10 μL 10 mg/mLクロラミン-T PBS溶液を加え、軽く振って混ぜ合わせた後、マイクロスフェア懸濁液を37℃の水浴中に入れ、45分間標識した。標識終了後、マイクロスフェアの標識率は92.02% ± 3.98%と測定された。残りのマイクロスフェア標識液に1 mL超純水を加え、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を除き、下層の沈殿物に引き続き超純水を加え、上清で放射性が検出されなかったまで洗浄した。下層のマイクロスフェアの放射化学的純度は98.22% ± 3.81%と測定された。
【0140】
15 mg125I-NAT/PVAマイクロスフェアの粉末を調製し、200 μL超純水で懸濁させた。約7.5 mgのイリノテカンを取り、200 μL超純水に溶解した。イリノテカン溶液をマイクロスフェア懸濁液に加え、軽く振って懸濁させ、十分に混合させた。その後、静置し、5分間隔ごとに1回振動し、約35分後、5000 rpmで5分間遠心分離し、上清を回収した。沈殿はさらに超純水で三回繰り返し洗浄した。
【0141】
フィールドエミッション走査電子顕微鏡下におけるマイクロスフェアは、均一な大きさと丸い表面を持っていた。マイクロスフェアの平均粒径は53.0 ± 2.5 μmぐらいであった。測定により、マイクロスフェアの薬物担持量と封入率はそれぞれ19.03% ± 2.31%と58.81% ± 4.81%であった。in vitro標識安定性の考察では、31日目にも80%以上の放射化学的純度を維持した。
【0142】
in vivo動物実験では、小動物SPECT/CT画像下でモデルラットに125I-IRI-NAT/PVAマイクロスフェアの分布が正確に監視され、肝動脈を介して125I-IRI-NAT/PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg、IRIの用量は35.8 mg/kg)をN1S1同所移植肝臓がんラットに注射し、塞栓治療後60日内にラットの死亡が見られなかった(n = 5)。対照群NAT/PVAマイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.14 mL/kg)を単独用いて塞栓治療後ラットの生存期間の中央値は22日であった(n = 5)。また、リピオドール-IRI乳剤(リピオドールの用量は0.67 mL/kg、IRIの用量は35.8 mg/kg)を用いて塞栓治療後のラットの生存期間の中央値は22日であった(n = 5)。DC beadTM化学療法塞栓マイクロスフェア(マイクロスフェアの用量は0.18 mL/kg、粒径は75-150 μm、IRIの用量は35.8 mg/kg)を用いて塞栓治療後60日内にラットの死亡は見られなかった(n =5)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】