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特表2023-538506眼と眼科用レーザデバイスの患者インタフェースとを整合させるためのシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】眼と眼科用レーザデバイスの患者インタフェースとを整合させるためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/009 20060101AFI20230901BHJP
   A61B 3/13 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
A61F9/009
A61B3/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507280
(86)(22)【出願日】2021-08-23
(85)【翻訳文提出日】2023-02-01
(86)【国際出願番号】 IB2021057712
(87)【国際公開番号】W WO2022043854
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】63/071,768
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】マリオ アーブラハム
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ビットネベル
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA03
4C316AB14
4C316AB16
4C316FA06
4C316FB15
4C316FC12
4C316FZ01
(57)【要約】
特定の実施形態では、眼とレーザデバイスの患者インタフェースとを整合させるためのシステムは、カメラと、ディスプレイ画面と、コンピュータとを含む。カメラは、レーザデバイスの患者インタフェースを介して眼の画像を記録する。液体が患者インタフェースと眼の外面との間に配置され、患者インタフェースと眼の外面とに接触する。画像は液体の輪郭を含む。ディスプレイ画面は眼の画像を表示する。コンピュータは、カメラから受け取った画像内で液体の輪郭を識別し、輪郭に従って眼の不整合を決定し、不整合の説明を表示するようにディスプレイ画面に指示することによって眼と患者インタフェースとを整合させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼とレーザデバイスの患者インタフェースとを整合させるためのシステムであって、
前記レーザデバイスの前記患者インタフェースを介して前記眼の複数の画像を記録するように構成されたカメラであって、前記患者インタフェースと前記眼の外面との間に液体が配置され、前記液体は前記患者インタフェースと前記眼の前記外面とに接触し、前記画像は前記液体の輪郭を含む、カメラと、
前記眼の前記画像を表示するように構成されたディスプレイ画面と、
前記眼と前記レーザデバイスのレーザビームとを整合させるために前記眼と前記患者インタフェースとを整合させるように構成されたコンピュータであって、前記眼は、治療パターンに従って前記眼に処置を行うために整合され、前記コンピュータは、
前記カメラから受け取った画像内で前記液体の前記輪郭を識別し、
前記輪郭に従って前記眼の不整合を決定し、
前記不整合の説明を表示するように前記ディスプレイ画面に指示すること
によって前記眼と前記患者インタフェースとを整合させるように構成されている、
コンピュータと、
を含む、システム。
【請求項2】
前記コンピュータは、
前記輪郭の形状が楕円形であることを識別し、
前記眼の軸が前記レーザデバイスのz軸に対して角度を成していると決定すること
により、前記輪郭に従って前記眼の前記不整合を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コンピュータは、
前記輪郭の形状の重心が前記レーザデバイスの中心点にないと決定すること、及び
前記眼が前記レーザデバイスの前記中心点に対して横方向にずれていると決定すること
により、前記輪郭に従って前記眼の前記不整合を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コンピュータは、
前記不整合を実質的に補償する調整を決定するように構成されている
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記コンピュータは、
前記輪郭の形状が楕円形であることを識別し、
前記形状の識別に応答して、前記眼の軸が前記レーザデバイスのz軸に対して角度を成していると決定し、
前記眼を回転させると前記不整合が実質的に補償されると決定すること
により、前記不整合を実質的に補償する前記調整を決定するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記コンピュータは、
前記輪郭の形状の重心が前記レーザデバイスの中心点にないと決定することと、
前記眼が前記レーザデバイスの前記中心点に対してある距離だけ横方向にずれていると決定することと、
前記眼を前記決定された距離だけ前記中心点に向けて並進させると前記不整合が実質的に補償されると決定することと
により、前記不整合を実質的に補償する前記調整を決定するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記コンピュータは、
前記調整の説明を表示するように前記ディスプレイ画面に指示するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記コンピュータは、
前記不整合を補償するための前記調整に従って前記患者インタフェース又は前記眼を調整するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記コンピュータは、
前記不整合を補償するための前記調整に従って前記治療パターンを調整するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項10】
前記コンピュータは、
前記眼と前記患者インタフェースとを整合させる前記輪郭の所望の位置及び所望の形状を示す整合オーバレイを生成し、
前記整合オーバレイを前記画像上に配置し、
前記画像を前記整合オーバレイとともに表示するように前記ディスプレイ画面に指示する
ように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記コンピュータは、
前記眼の角膜トポグラフィの描写を受け取り、
前記眼と前記患者インタフェースとを整合させる前記輪郭の前記所望の位置及び前記所望の形状を前記眼の前記角膜トポグラフィに従って決定する
ように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記コンピュータは、
各整合オーバレイが前記眼と前記患者インタフェースとの間の特定距離に対応する複数の整合オーバレイを決定し、
前記眼と前記患者インタフェースとの間の前記距離を決定し、
前記決定された距離に対応する前記整合オーバレイを生成する
ように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記コンピュータは、
前記眼と前記患者インタフェースとの間の距離を前記輪郭の大きさに従って決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記コンピュータは、前記眼と前記患者インタフェースとの間の前記距離を表示するように前記ディスプレイ画面に指示するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記コンピュータは、前記眼と前記患者インタフェースとの間の前記決定された距離に応じて前記患者インタフェースからの前記眼の前記距離を調整するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記コンピュータは、
前記患者インタフェースを前記眼から離し、
前記患者インタフェースを前記眼に近づけること
により、前記液体を再分配するための液体分配処置を実施するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記眼の前記外面上に追加の液体を分与するように構成されたディスペンサを更に含み、
前記コンピュータは、前記眼の前記外面上に前記追加の液体を分与するように前記ディスペンサに指示するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記追加の液体は、前記液体の表面張力を変化させることができる物質を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記追加の液体は、前記液体の視認性を高める物質を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記眼の前記外面から前記液体の少なくとも一部を除去するように構成された吸引デバイスを更に含み、
前記コンピュータは、前記眼の前記外面から前記液体の少なくとも前記一部を除去するように前記吸引デバイスに指示するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的に、眼科用レーザデバイスに関し、より具体的には、眼と眼科用レーザデバイスの患者インタフェースとを整合させることに関する。
【背景技術】
【0002】
特定の眼科用レーザ手術システムは、眼に外科的処置を行うためのパルスレーザビームを発生させるレーザデバイスを有する。いくつかの処置においては、レーザビームは、治療パターンに従って眼の特定のポイントに光切断を生じさせる。パターンと正確に一致する光切断を生じさせるために、レーザビームは眼と適切に整合されるべきである。処置中にレーザビームと眼とを整合させるために、レーザデバイスに結合された患者インタフェース(PI)が、通常、使用される。患者インタフェースは、典型的には、眼を所定の位置に固定し、眼を治療パターンに対して適切に配置するために、吸着によって眼に取り付けられる。
【0003】
眼と患者インタフェースとを整合させてインタフェースを眼上の適切な位置に結合する、すなわち、インタフェースを眼上に「ドッキング」させることは容易ではない。ある既知のドッキングプロセスによれば、患者はレーザビームと同軸の固視光を注視することが求められ、その後、外科医はインタフェースを眼上に手作業で配置する。しかしながら、患者は、特に、インタフェースが眼と一旦接触すると固視光を注視することが困難なことが多く、整合の精度が低下する。別の既知のドッキングプロセスによれば、眼の瞳孔を画像化し、患者インタフェースと眼とを整合させるために使用することができる。しかしながら、いくつかの種類の患者インタフェースは、インタフェースが眼上に配置される際に瞳孔を歪ませることがあり、整合の精度が低下する。これらの既知のプロセスは、例えば、レーザビームが眼の中心にない及び/又は眼の軸に対して角度を成すなどのような、眼上におけるインタフェースの不完全な配置をもたらすことがある。特定の処置においては、不整合は次善の結果をもたらすことがある。例えば、角膜片摘出術において、整合していないレーザビームを用いて作成された角膜片は眼の中心にない及び/又は眼の軸に対して角度を成していることがあり、次善の視力矯正につながる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
特定の実施形態では、眼とレーザデバイスの患者インタフェースとを整合させるためのシステムは、カメラと、ディスプレイ画面と、コンピュータとを含む。カメラは、レーザデバイスの患者インタフェースを介して眼の画像を記録する。液体が患者インタフェースと眼の外面との間に配置される。液体は、患者インタフェースと眼の外面とに接触する。画像は液体の輪郭を含む。ディスプレイ画面は眼の画像を表示する。コンピュータは、眼とレーザデバイスのレーザビームとを整合させるために眼と患者インタフェースとを整合させる。眼は、治療パターンに従って眼に処置を行うために整合される。コンピュータは、カメラから受け取った画像内で液体の輪郭を識別し、輪郭に従って眼の不整合を決定し、不整合の説明を表示するようにディスプレイ画面に指示することによって眼と患者インタフェースとを整合させる。
【0005】
実施形態は、以下の特徴のうちの、いずれをも含まなくてもよく、又は1つ、いくつか、若しくは全てを含んでいてもよい。
【0006】
コンピュータは、輪郭の形状が楕円形であることを識別し、眼の軸がレーザデバイスのz軸に対して角度を成していると決定することにより、輪郭に従って眼の不整合を決定する。
【0007】
コンピュータは、輪郭の形状の重心がレーザデバイスの中心点にないと決定すること、及び眼がレーザデバイスの中心点に対して横方向にずれていると決定することにより、輪郭に従って眼の不整合を決定する。
【0008】
コンピュータは、不整合を実質的に補償する調整を決定する。例えば、コンピュータは、輪郭の形状が楕円形であることを識別し、形状の識別に応答して、眼の軸がレーザデバイスのz軸に対して角度を成していると決定し、眼を回転させると不整合が実質的に補償されると決定することにより、不整合を実質的に補償する調整を決定する。例えば、コンピュータは、輪郭の形状の重心がレーザデバイスの中心点にないと決定することと、眼がレーザデバイスの中心点に対してある距離だけ横方向にずれていると決定することと、眼を決定された距離だけ中心点に向けて並進させると不整合が実質的に補償されると決定することとにより、不整合を実質的に補償する調整を決定する。特定の実施形態では、コンピュータは、調整の説明を表示するようにディスプレイ画面に指示する。特定の実施形態では、コンピュータは、不整合を補償するための調整に従って患者インタフェース又は眼を調整する。特定の実施形態では、コンピュータは、不整合を補償するための調整に従って治療パターンを調整する。
【0009】
コンピュータは、眼と患者インタフェースとを整合させる輪郭の所望の位置及び所望の形状を示す整合オーバレイを生成し、整合オーバレイを画像上に配置し、画像を整合オーバレイとともに表示するようにディスプレイ画面に指示する。特定の実施形態では、コンピュータは、眼の角膜トポグラフィの描写を受け取り、眼と患者インタフェースとを整合させる輪郭の所望の位置及び所望の形状を眼の角膜トポグラフィに従って決定する。特定の実施形態では、コンピュータは、各整合オーバレイが眼と患者インタフェースとの間の特定距離に対応する複数の整合オーバレイを決定し、眼と患者インタフェースとの間の距離を決定し、決定された距離に対応する整合オーバレイを生成する。
【0010】
コンピュータは、眼と患者インタフェースとの間の距離を輪郭の大きさに従って決定する。特定の実施形態では、コンピュータは、眼と患者インタフェースとの間の距離を表示するようにディスプレイ画面に指示する。特定の実施形態では、コンピュータは、眼と患者インタフェースとの間の決定された距離に応じて患者インタフェースからの眼の距離を調整する。
【0011】
コンピュータは、患者インタフェースを眼から離し、患者インタフェースを眼に近づけることにより、液体を再分配するための液体分配処置を実施する。
【0012】
システムは、眼の外面上に追加の液体を分与するように構成されたディスペンサを更に含む。コンピュータは、眼の外面上に追加の液体を分与するようにディスペンサに指示する。特定の実施形態では、追加の液体は、液体の表面張力を変化させることができる物質を含む。特定の実施形態では、追加の液体は、液体の視認性を高める物質を含む。
【0013】
システムは、眼の外面から液体の少なくとも一部を除去するように構成された吸引デバイスを更に含む。コンピュータは、眼の外面から液体の少なくとも一部を除去するように吸引デバイスに指示する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、特定の実施形態による、眼と患者インタフェースとを整合させるように構成された眼科手術システムの一例を示す。
図2A-2B】図2A-2Bは、眼と患者インタフェースとの間に配置された液体の一例を示す。
図3図3は、液体の輪郭の形状の例を示す。
図4A-4B】図4A-4Bは、眼が患者インタフェースと整合していることを円形輪郭がどのように示すことができるかの一例を示す。
図5A-5B】図5A-5Bは、眼軸がインタフェース軸に対して傾いていることを楕円形輪郭がどのように示すことができるかの一例を示す。
図6A-6B】図6A-6Bは、輪郭をどのように使用して横方向の不整合を補正することができるかの一例を示す。
図7A-7B】図7A-7Bは、いびつな輪郭の一例を示す。
図8図8は、輪郭の整合オーバレイをどのように使用して回転、横方向、及び/又はねじれ不整合を補正することができるかの一例を示す。
図9A-9C】図9A-9Bは、不整合及び不整合を補正するための調整を描写するグラフィカル要素の例を示す。
図10A-10B】図10A-10Bは、不整合及び不整合を補正するための調整を描写するグラフィカル要素の更なる例を示す。
図11A-11B】図11A-11Bは、輪郭と、患者インタフェースと眼との間の距離との間の関係の例を示す。
図12A-12C】図12A-12Cは、輪郭と、患者インタフェースと眼との間の距離との間の関係の更なる例を示す。
図13図13患者インタフェースと眼との間の異なる距離に関する異なる整合オーバレイを示す。
図14図14は、図1のシステムによって実施され得る、眼と患者インタフェースとを整合させる方法の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、説明及び図面を参照して、開示される装置、システム、及び方法の例示的な実施形態が詳細に示される。説明及び図面は、網羅的であること、或いは、特許請求の範囲を、図面において示され、説明において開示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。図面は可能な実施形態を表すが、図面は必ずしも縮尺通りではなく、実施形態をよりよく示すために特定の特徴部を簡略化、誇張、削除、又は部分的に分割している場合がある。
【0016】
特定の眼科手術処置においては、眼を治療パターンと適切に整合させるために、患者インタフェース(PI)を用いて眼を手術システムに結合させる。インタフェースを眼に取り付けるために眼と患者インタフェースとを整合させることが困難な場合があるという課題が生じることがある。特定の実施形態はこの課題に対処することができる。
【0017】
図1は、特定の実施形態による、眼22と患者インタフェース20とを整合させるように構成された眼科手術システム10の一例を示す。実施形態では、システム10は、患者インタフェース20と眼22との間に配置された液体(図示せず)を画像化する。液体の輪郭は、患者インタフェース20に対する眼22の整合を示す。システム10は、ドッキングプロセス中に、液体の輪郭を使用して眼22とインタフェース20とを整合させる。したがって、システム10は、眼が治療パターンと整合するように患者インタフェース20を眼22に取り付けるという課題に対処することができる。
【0018】
一般に、眼22と患者インタフェース20とを整合させるとは、インタフェース20が眼22に取り付けられているときにインタフェース20を通過するレーザビームが治療パターンに従って眼22の適切なポイントに及び適切な角度で眼22に当たるように、眼22を患者インタフェース20に対して(又は患者インタフェース20を眼22に対して)位置決めすることを指す。「眼22と患者インタフェース20とを整合させること」は、患者インタフェース20と眼22とを整合させることも含まれることに留意されたい。特定の実施形態では、整合は、中心のレーザビームがz軸を画定し、患者インタフェース20の当接面がz=0におけるxy平面を画定するシステム10のレーザデバイスのxyz座標系に従って説明される場合がある。実施形態では、患者インタフェース20の(したがってレーザデバイス15の)中心点(x,y,z)=(0,0,0)及び中心軸z=0(又はz軸)は、眼22のそれぞれ中心点(例えば、瞳孔中心、眼の頂点(apex)又は眼の頂点(vertex))及び中心軸(例えば、光軸又は視軸)と整合する。しかしながら、レーザビームが治療パターンに従って眼22の適切な部分に当たるように、患者インタフェース20の任意の適切な特徴は眼の任意の適切な特徴と整合されてもよい。
【0019】
不整合は、いくつかの異なる態様で起こり得る。(1)眼22は、x方向及び/又はy方向の横方向のずれによって横方向に不整合となり得る、(2)眼22は、眼22の軸とインタフェース20の軸が整合しない、すなわち、これらの軸が互いに対してゼロ度を超えて(例えば、3度を超えて)角度を成すような回転不整合を有し得る、(3)眼22は、z軸の周りの回転的なずれによってねじれて不整合となり得る、及び(4)眼22は、z方向の長手方向のずれによって長手方向に不整合となり得る。
【0020】
図示される例では、システム10は、図示されるように結合された、レーザデバイス15と、患者インタフェース20(及び軸25を有する)と、カメラ38と、液体ディスペンサ/吸引器40と、制御用コンピュータ30とを含む。レーザデバイス15は、図示されるように結合された、レーザソース12、スキャナ16、1つ以上の光学要素17、及び/又は収束対物レンズ18などの制御可能構成要素を含む。患者インタフェース20は、図示されるように結合された接触部24(当接面26を有する)及びスリーブ28を含む。コンピュータ30は、図示されるように結合された、ロジック31と、メモリ32(コンピュータプログラム34を格納する)と、ディスプレイ36とを含む。眼22は軸27を有する。
【0021】
概要として、システム10は、以下の動作例に従って眼22と患者インタフェース20とを整合させ、レーザデバイス15のレーザビームが治療パターンに従って眼22に処置を行うことを可能にする。カメラ38は、患者インタフェース20を介して眼22の画像を記録する。液体(例えば涙液膜)が患者インタフェース20と眼22の外面との間に配置され、液体は患者インタフェース20と外面とに接触する。画像は液体の輪郭を含む。ディスプレイ36は眼の画像を表示する。コンピュータ30は、カメラ38から受け取った画像内で液体の輪郭を識別し、輪郭に従って眼22の不整合を決定し、不整合の説明を表示するようにディスプレイ36に指示する。
【0022】
システム10の部品を参照すると、レーザソース12は超短パルスのレーザビームを発生させる。超短パルスは、ピコ秒、フェムト秒、又はアト秒のオーダーなどのナノ秒未満の持続時間を有する光パルスを指す。レーザビームは、任意の適切な波長、例えば、300~1500ナノメートル(nm)の範囲の波長、例えば、300~650、650~1050、1050~1250、及び/又は1250~1500nm、例えば、340~350nm、例えば、347nm±1nmの範囲の波長を有し得る。レーザビームの焦点は、組織(例えば角膜)にレーザ誘起光学破壊(LIOB)を生じさせ、組織の光切断をもたらすことができる。レーザビームは精密な光切断をもたらすために正確に収束させることができ、他の組織の不必要な破壊を低減又は回避することができる。
【0023】
スキャナ16は、レーザビームの焦点を短手方向及び長手方向に誘導する。長手方向とは、z方向としても知られるレーザビームの伝搬方向を指す。短手方向とは、xy平面としても知られるビームの伝搬方向に直交する方向を指す。特定の実施形態では、レーザデバイス15のxyz座標系は、患者インタフェース20の当接面26がz=0におけるxy平面、当接面26の中心が(x,y)=(0,0)におけるz軸、と定義される。他の適切なxyz座標系を使用してもよい。
【0024】
スキャナ16は、レーザビームを任意の適切な手法で短手方向に誘導することができる。例えば、スキャナ16は、相互に垂直な軸の周りでチルトすることができる一対のガルバノメトリック作動式スキャナミラーを含んでもよい。別の例として、スキャナ16は、レーザビームを電気光学的に操作することができる電気光学結晶を含んでもよい。スキャナ16は、レーザビームを任意の適切な手法で長手方向に誘導することができる。例えば、スキャナ16は、長手方向に調節可能なレンズ、可変屈折力レンズ、又はビーム焦点のz位置を調整することができる変形可能ミラーを含んでもよい。スキャナ16の構成要素は、例えば同じ又は異なるモジュラユニット内にビームパスに沿って任意の適切な手法で配置されてもよい。
【0025】
1つ(又は複数の)光学要素17がレーザビームを収束対物レンズ18に向けて誘導する。光学要素17は、レーザビームに作用(例えば、伝送、反射、屈折、回折、コリメート、適応、成形、収束、調整、及び/又は他の手法で作用)することができる。光学要素の例には、レンズ、プリズム、ミラー、回折光学要素(DOE)、ホログラフィック光学要素(HOE)、及び空間光変調器(SLM)が含まれる。この例では、光学要素17はミラーである。収束対物レンズ18は、患者インタフェース20を通してレーザビームの焦点を眼22のあるポイントに向けて収束させる。この例では、収束対物レンズ18は対物レンズ、例えばfθ対物レンズである。
【0026】
患者インタフェース20は、眼22をレーザデバイス15に結合するために眼22の角膜と接続する。この例では、患者インタフェース20は、接触部24に結合されたスリーブ28を有する。スリーブ28は、収束対物レンズ18に着脱可能に結合する。接触部24は、レーザビームに対して半透明又は透明であってもよく、角膜と接続する当接面26を有する。特定の実施形態では、当接面26は平坦であり、xy平面を画定し得る平坦領域を角膜上に形成する。他の実施形態では、当接面26は平坦である必要はなく、例えば、凸状であっても凹状であってもよい。特定の実施形態では、患者インタフェース20は、眼22の軸27と整合し得る軸25に対して回転対称性を有する。
【0027】
カメラ38は、患者インタフェース20を介して眼22の画像を記録する。カメラ38の例としては、ビデオカメラ、アイトラッキングカメラ、又は光干渉トポグラフィ(OCT)カメラが挙げられる。カメラ38は、記録された眼22の画像である画像データをコンピュータ30に提供する。コンピュータ30は、画像データに対して画像処理を行い、患者インタフェース20と眼22との間に配置された液体の輪郭を識別する。画像処理は、記録された画像内で液体を認識し、液体の輪郭を決定し、輪郭の形状を識別することを含む。
【0028】
液体ディスペンサ/吸引器40は、ディスペンサ及び/又は吸引デバイスを含む。ディスペンサは、眼22の外面上に追加の液体を分与する。追加の液体は、人工涙液などの任意の適切な物質であってもよい。特定の場合においては、追加の液体は、眼22とインタフェース20との間の液体の表面張力を変化させる物質を含んでもよい。例えば、表面張力は、液体膜がインタフェース20上でより容易に広がるように減少させてもよい。別の例として、表面張力は、液体の輪郭を小さくするために増加させてもよい。特定の場合においては、追加の液体は、眼22用薬、例えば、不快感又は痛みを減少させる物質を含んでもよい。特定の場合においては、追加の液体は、輪郭の視認性を高める物質を含んでもよい。例えば、追加の液体は、液体の色をより見やすい色に変化させる色素、又は蛍光トレーサを含む色素を含んでもよい。
【0029】
吸引デバイスは、典型的には吸引を用いて眼22の外面から液体の少なくとも一部を除去する。液体ディスペンサ/吸引器40は、液体を分与及び/又は除去するためのノズル42(42a、42b)を有してもよい。図示される例では、ノズル42aは液体を分与し、ノズル42bは液体を除去する。
【0030】
コンピュータ30は、システム10のコンポーネントをコンピュータプログラム34に従って制御する。例えば、コンピュータ30は、レーザデバイス15のレーザビームを眼22に収束させ、眼22の少なくとも一部分を治療パターンに従って光切断するようにコンポーネント(例えば、レーザソース12、スキャナ16、光学要素17、及び/又は収束対物レンズ18)を制御する。眼22を首尾よく処置するために、眼22はレーザビームと適切に整合されていなければならない。レーザビームと適切に整合させるために、眼22は患者インタフェース20に適切に取り付けられていなければならず、これには、ドッキング中の眼22とインタフェース20との適切な整合が必要である。
【0031】
特定の実施形態では、コンピュータ30は、患者インタフェース20を介してカメラ38で記録された眼の画像を受け取る。液体(例えば涙液膜)が患者インタフェース20と眼22の外面との間に配置され、液体はインタフェース20と外面とに接触する。液体は、カメラ38によって画像化される輪郭を形成する。(眼20とインタフェース20との間の液体の例については図2Aしかし(though)図3を参照)。
【0032】
特定の実施形態では、コンピュータ30は、カメラ38から受け取った画像内で液体の輪郭の形状を識別し、輪郭に従って眼22の不整合を決定することにより、患者インタフェース20に対する眼22の整合を容易にする。その後、コンピュータ30は、不整合の説明を表示するようにディスプレイ36に指示する。例えば、コンピュータ30は、輪郭が楕円形であることを識別し、眼軸27がインタフェース軸25(又はレーザデバイス15のz軸)に対して角度を成していると決定してもよい。別の例として、コンピュータ30は、輪郭の重心がレーザデバイス15の中心点にないと決定してもよく、したがって、眼22がレーザデバイス15の中心点に対して横方向にずれていると決定してもよい。液体の輪郭と眼22の整合との間の関係の例を、図4A図7Bを参照しながら説明する。
【0033】
特定の実施形態では、コンピュータ30は、不整合を実質的に補償する調整を決定する。例えば、眼軸27がインタフェース軸25(又はレーザデバイス15のz軸)に対して角度を成している場合、コンピュータ30は、眼22を回転させると不整合が実質的に補償されると決定することがある。別の例として、眼22がレーザデバイス15の中心点に対してある距離だけ横方向にずれている場合、コンピュータ30は、以下、すなわち、患者インタフェースを並進させる、眼を並進させる、及び/又は治療パターンを並進させると不整合が実質的に補償されると決定することがある。
【0034】
特定の実施形態では、コンピュータ30は、調整の決定後に、任意の適切な操作を実施してもよい。例えば、コンピュータ30は、調整の説明を表示するようにディスプレイ36に指示してもよい。調整の説明の例を、図9A図10Bを参照しながら説明する。別の例として、コンピュータ30は、不整合を補償するための調整に従って患者インタフェース20を調整するようにレーザデバイス15に指示してもよい。別の例として、コンピュータ30は、不整合を補償するための調整に従って眼22が移動するように、患者の位置を変更するように自動患者ベッドに指示してもよい。別の例として、コンピュータ30は、不整合を補償するための調整に従って治療パターンを調整してもよい。
【0035】
特定の実施形態では、コンピュータ30は、眼22と患者インタフェース20とを整合させる液体の輪郭の所望の位置及び形状を示す整合オーバレイを生成し、整合オーバレイを記録された眼22の画像上に配置することにより、眼22と患者インタフェース20との整合を容易にする。その後、コンピュータ30は、画像を整合オーバレイとともに表示するようにディスプレイ36に指示する。
【0036】
実施形態では、整合オーバレイは、眼22がインタフェース22と整合されているときの輪郭の所望の位置及び/又は所望の形状(「整合位置及び/又は整合形状」又は「予測位置及び/又は予測形状」とも呼ばれ得る)を示す。整合オーバレイは、輪郭の所望の位置及び/又は所望の形状を示す任意の適切な形状又は大きさを有し得る。例えば、整合オーバレイは、液体の輪郭の中心のマーカとして機能する1つ以上の形状であってもよい。眼22を整合させるために、液体の輪郭の中心がマーカに来るまで眼22をインタフェース20に対して移動させてもよい(又はインタフェース20を眼22に対して移動させる)。別の例として、整合オーバレイは、液体の所望の輪郭を縁取る複数のマーカ、円、又は他の形状であってもよい。眼22を整合させるために、液体の輪郭がオーバレイによって縁取られるまで眼22をインタフェース20に対して移動させてもよい(又はインタフェース20を眼22に対して移動させる)。図8を参照しながら整合オーバレイの例を説明する。特定の実施形態では、コンピュータ30は、眼22の角膜トポグラフィから整合オーバレイを決定する。図13を参照しながらそのような整合オーバレイの生成の例を説明する。
【0037】
特定の実施形態では、コンピュータ30は、各整合オーバレイが眼22と患者インタフェース20との間の距離に対応する複数の整合オーバレイを決定する。ドッキングプロセスがある距離に達すると、決定された距離に対応する整合オーバレイが画像上に配置される。そのようなオーバレイの例を、図11A図13を参照しながら説明する。
【0038】
特定の実施形態では、コンピュータ30は、眼22と患者インタフェース20との間の距離を液体の輪郭の大きさから決定する。距離を決定後、コンピュータ30は任意の適切な操作を実施してもよい。例えば、コンピュータ30は、距離を表示するようにディスプレイ36に指示してもよい。別の例として、コンピュータ30は、決定された距離に応じて実際の距離を調整するようにレーザデバイス15に指示してもよい。例えば、コンピュータ30は、患者インタフェース20が眼22に接近しすぎていると決定することがあり、インタフェースを眼22から離すようにレーザデバイス15に指示してもよい。別の例として、コンピュータ30は、決定された距離に対応する整合オーバレイを画像上に配置してもよい。
【0039】
特定の実施形態では、コンピュータ30は、液体を再分配するための液体分配処置を実施する。コンピュータ30は、任意の適切な手法で処置を実施してもよい。例えば、コンピュータ30は、患者インタフェースを眼22に近づける及び/又は眼22から離すようにユーザ及び/又はレーザデバイス15に指示してもよい。別の例として、コンピュータ30は、眼22の外面上に追加の液体を分与するように液体ディスペンサ/吸引器40に指示してもよい。別の例として、コンピュータ30は、眼22の外面から液体の一部を除去するように液体ディスペンサ/吸引器40の吸引デバイスに指示してもよい。
【0040】
図2A及び図2Bは、眼22と患者インタフェース20との間に配置された液体50の例を示す。図2Aは、眼22と患者インタフェース20との間に配置された液体50を示す。液体50は、患者インタフェース20の当接面26と接触していない。カメラ38は、患者インタフェース20の接触部24を介して眼22の画像を記録する。
【0041】
図2Bは、当接面26と接触した液体50を示す。液体50が当接面26に付着してカメラ38で画像化できる輪郭52を形成するように、当接面26に対する液体50の付着力は水分子間の凝集力よりも強い(「毛細管作用」としても知られる)。輪郭52の形状は、眼22と患者インタフェース20との整合の影響を受けるため、形状は、眼22と患者インタフェース20との整合を示すことができる。輪郭52は、眼22自体と当接面との間の接触より以前に当接面26上に形成され得るため、眼22と患者インタフェースとの整合は接触より以前に開始し得る。輪郭52の形状の例を、図3を参照しながら説明する。
【0042】
図3は、輪郭52(52a、52b、52c)の形状の例を示す。輪郭52aは円形を有し、これは眼22が患者インタフェース20と整合していることを示し得る。輪郭52bは楕円形を有し、これは眼軸27がインタフェース軸25に対して傾いていることを示し得る。輪郭52cは円形でも楕円形でもない形状を有する。すなわち、これらはいびつな形状を有し、これは、眼22の角膜が正常な球形を有しない、すなわち形状が不規則であることを示し得る。輪郭52の形状と、眼22と患者インタフェース20との整合との間の関係を、図4A図5Bを参照しながらより詳細に説明する。
【0043】
図4A及び図4Bは、眼22が患者インタフェース20と整合していることを円形輪郭52aがどのように示すことができるかの一例を示す。円形輪郭52aは、患者インタフェース20と眼22との間の距離が輪郭52aのポイントの(全部ではないにしても)ほとんどでほぼ同じである、すなわち、患者インタフェース20は、眼22の軸27が患者インタフェース20の軸25と整合するように角膜の中心(例えば、頂点)の周りで対称に整合していることを示す。
【0044】
図5A及び図5Bは、眼軸27がインタフェース軸25に対してゼロ度を超えた(例えば、3度を超えた)角度だけ傾いていることを楕円形輪郭52bがどのように示すことができるかの一例を示す。角膜は、患者インタフェース20が角膜の頂点の周りで対称に整合しておらず、眼軸27がインタフェース軸25と整合していない、すなわち眼22が回転不整合を有し得ることを楕円形輪郭52bが示すような形状である。眼22の形状(例えば、長球又は扁球)も楕円形の形状に影響することに留意されたい。輪郭52が円形を有するまで眼22を患者インタフェース20に対して(又は患者インタフェース20を眼22に対して)回転させると回転不整合を補償することができる。
【0045】
図6A及び図6Bは、輪郭52をどのように使用して横方向の不整合を補正することができるかの一例を示す。特定の実施形態では、輪郭52は、レーザデバイス15のxyz座標系の(x,y)=(0,0)と整合すべき中心点54を有し、当接面26の中心55は(x,y)=(0,0)である。場合によっては、中心点54は、輪郭52の形状の全ポイントの算術平均位置である輪郭52の重心であってもよい。図示される例では、輪郭52は円形輪郭52aであるため、中心点54が輪郭52aの円の重心すなわち中心である。
【0046】
図示される例では、中心点54が当接面の中心55にないため、患者インタフェース20は眼22と横方向に不整合である。横方向の不整合を補正するために、眼22を患者インタフェース20に対して横方向に移動させてもよい(又は患者インタフェース20を眼22に対して横方向に移動させてもよい)。
【0047】
図7A及び図7Bは、いびつな輪郭52cの一例を示す。いびつな輪郭52cは、眼22の角膜が不規則な形状を有することを示す。特定の実施形態では、コンピュータ30は、眼22の角膜トポグラフィから、患者インタフェース20が眼22と整合しているときを示す所望の輪郭52を決定する。例えば、コンピュータ30は、患者インタフェース20と眼22とが整合しているときの角膜トポグラフィに従って患者インタフェース20のポイントと角膜のポイントとの間の距離を計算してもよく、その後、この距離に従って流体50の所望の輪郭52を決定してもよい。特定の実施形態では、コンピュータ30は、ドッキングの異なる段階、例えば、ドッキングが開始し、眼22が患者インタフェース20から離れるとき、ドッキングが進み、眼22が患者インタフェース20に近づく際、及び患者インタフェース20が眼22に取り付けられてドッキングが終了するときの異なる所望の輪郭52を決定してもよい。これについて、図13を参照しながらより詳細に説明する。
【0048】
図8は、輪郭52cの整合オーバレイ56をどのように使用して回転、横方向、及び/又はねじれ不整合を補正することができるかの一例を示す。特定の実施形態では、コンピュータ30は、所望の輪郭50に対応する整合オーバレイ56を生成してもよい。整合オーバレイ56は、記録された画像上にオーバレイとして表示することができ、これにより、カメラ38及び/又はユーザが不整合を検出及び/又は補正することを可能にしてもよい。場合によっては、コンピュータ30は整合オーバレイ56にセンタリング点57を付加する。センタリング点57は、当接面の中心55に位置してもよく、カメラ38及び/又はユーザが横方向の不整合を検出及び/又は補正することを可能にしてもよい。場合によっては、整合オーバレイ56は、カメラ38及び/又はユーザがねじれ不整合を識別及び/又は補正することを可能にする形状を有してもよい。そうでなければ、コンピュータ30は、カメラ38及び/又はユーザがねじれ不整合を検出及び/又は補正することを可能にする1つ以上のマーカを整合オーバレイ56に付加してもよい。
【0049】
図9A図10Bは、不整合及び不整合を補正するための調整を描写するグラフィカル要素58、59、60の例を示す。特定の実施形態では、コンピュータ30は、眼22と患者インタフェース20との整合又は不整合を描写するグラフィカル要素58(58a~58c)、59(59a~59c)を表示する。グラフィカル要素58、59は、眼22と患者インタフェース20との整合又は不整合をユーザに対して示すことができる任意の適切な大きさ又は形状を有してもよい。図示される例では、グラフィカル要素58(58a~58c)は、インタフェース20に対する眼22の側面図を示し、グラフィカル要素59(59a~59c)は、インタフェース20に対する液体50の輪郭52の頂面図を示す。
【0050】
特定の実施形態では、コンピュータ30は、不整合を補正するための又はドッキングプロセスを継続するための調整を描写するグラフィカル要素60(60a~60e)を表示する。グラフィカル要素60(60a~60e)は、眼22と患者インタフェース20とを整合させる際にユーザを支援することができる。グラフィカル要素60は、患者インタフェース20及び/又は眼22の移動をユーザに対して示すことができる任意の適切なサイズ又は形状を有してもよい。グラフィカル要素60の例としては、移動の方向を指すポインタ(例えば、矢印、線、又は三角形若しくは他の多角形)、回転の方向を示す湾曲したポインタ、並びに/又は移動及び/若しくは回転の方向を説明する文字が挙げられる。
【0051】
図9Aは、眼軸27とインタフェース軸25とを整合させて回転不整合を補正するために眼22を回転させる回転運動を表す湾曲した矢印であるグラフィカル要素60aを示す。図9Bは、輪郭52の中心点を当接面の中心55に向けて移動させる並進運動を表す矢印であるグラフィカル要素60bを示す。図9Cは、眼22を患者インタフェース20に近づける長手方向の運動を表す矢印であるグラフィカル要素60cを示す。
【0052】
図10Aは、2種類の運動を示すグラフィカル要素60dを示す。直線矢印は、輪郭52の中心点54を整合オーバレイ56のセンタリング点57に向けて移動させる並進運動を表し、湾曲した矢印は、ねじれ不整合を補正するためのxy平面内の回転運動を表す。図10Bは、輪郭52の中心点54を整合オーバレイ56のセンタリング点57に向けて移動させる並進運動を表す矢印であるグラフィカル要素60eを示す。
【0053】
図11A図13は、液体50の輪郭52と、患者インタフェース20と眼22との間の距離dとの間の関係の例を示す。この例では、患者インタフェース20は平坦な当接面を有する。異なる形状の当接面を有する患者インタフェース20は、異なる形状及び/又は大きさの輪郭52をもたらすことがある。
【0054】
図11A及び図11Bは、距離d1及び距離d2における輪郭52を示し、d1>d2である。距離dは、任意の適切な手法で測定されてもよい。例えば、距離dは、患者インタフェース20(例えば当接面16)と角膜の基部(角膜が強膜に接する場所)又は角膜の他の適切な部分との間の距離として測定されてもよい。概して、輪郭52は距離dが大きくなると小さくなり、距離dが減少するにつれて大きくなる。すなわち、輪郭52は、眼22とインタフェース20とが互いに近づくにつれて大きくなる。この例では、輪郭52は、距離d1において小さく、距離d2において大きい。輪郭52の大きさは、任意の適切な手法で測定されてもよい。例えば、輪郭52の大きさは、例えば輪郭52によって区切られた面積又は輪郭52の直径から計算してもよい。
【0055】
図12A図12Cは、距離d1、距離d2、及び距離d3における輪郭52を示し、d1>d2>d3である。この例では、輪郭52は距離d1において小さく、距離d2において大きく、距離d3において更に大きい。この例では、距離d1は、眼22とインタフェース20との間の接触以前の距離であり得る。
【0056】
特定の実施形態では、コンピュータ30は、距離dを輪郭52の大きさから計算する。例えば、コンピュータ30は、輪郭52の大きさと距離dとの間の関係を決定する。関係は、例えば、大きさ及び距離の以前の測定値の平均値から、又は眼22の角膜トポグラフィから決定されてもよい。その後、コンピュータ30は、輪郭の大きさを測定し、大きさ及び関係から距離を決定する。
【0057】
図13は、患者インタフェース20と眼22との間の異なる距離dに関する異なる整合オーバレイ56を示す。特定の実施形態では、コンピュータ30は、眼22の角膜トポグラフィから所望の輪郭52(患者インタフェース20が眼22と整合しているときを示す)を決定する。眼22の角膜トポグラフィは、一般に、角膜の前方形状を描写する。異なるz値に対する角膜の表面のxy座標を決定することができるように、この形状はレーザデバイス15のxyz座標系に変換することができる。この情報を用いて、コンピュータ30は、ドッキング中に当接板26が角膜に圧力をかける際に当接板26に接する角膜の表面の場所を予測する。予測された輪郭52が、当接板26に接する角膜の表面の場所を区切る。予測された輪郭は、所望の輪郭52として機能し得る。
【0058】
特定の実施形態では、コンピュータ30は、ドッキングの異なる段階、例えば、ドッキングが開始し、患者インタフェース20が眼22から離れるとき、ドッキングが進み、患者インタフェース20が眼22に近づく際、及び患者インタフェース20が眼22に取り付けられてドッキングが終了するときの異なる所望の輪郭52を決定してもよい。例えば、コンピュータ30は、眼22の角膜トポグラフィに従い、患者インタフェース20と眼22との間の各距離dに対して、当接板26に接する角膜の表面の場所を区切る輪郭52を予測してもよい。
【0059】
コンピュータ30はまた、ドッキングの異なる段階の最中の各距離dにおける所望の輪郭52に対応する整合オーバレイ56(56a~56d)を表示してもよい。図示される例では、整合オーバレイ56aは、眼が患者インタフェース20と最初に接触したときの距離d1における所望の輪郭52を表す。整合オーバレイ56bは、眼が患者インタフェース20により近づいたときの距離d2における所望の輪郭52を表す。整合オーバレイ56cは、患者インタフェース20による眼の圧平が進んだときの距離d3における所望の輪郭52を表す。整合オーバレイ56dは、ドッキングが完了したときの距離d4における所望の輪郭52を表す。
【0060】
他の例では、輪郭52は、眼22自体と当接面との間の接触より以前に当接面26上に形成され得る。例では、コンピュータ30は、所望の輪郭52に対応する整合オーバレイ56を接触より以前に決定するため、眼22と患者インタフェース20との整合は接触より以前に開始することができる。
【0061】
図14は、図1のシステム10によって実施され得る、眼22と患者インタフェース20とを整合させる方法の一例を示す。方法は、カメラ38が患者インタフェース20を介して液体50とともに眼22の画像を記録する工程100から開始される。液体(例えば涙液膜)50が患者インタフェース20と眼22の外面との間に配置され、患者インタフェース20と外面とに接触する。画像は、液体50の輪郭52を含む。
【0062】
工程102において、液体50は再分配され得る。例えば、輪郭52をカメラ38で画像化することができない場合、液体50は再分配され得る。液体50が再分配されない場合、方法は工程106に進む。液体50が再分配される場合、方法は、液体50が再分配される工程104に進む。コンピュータ30は、液体50を再分配するために液体分配処置を任意の適切な手法で実施してもよい。例えば、コンピュータ30は、患者インタフェース20を眼22に近づける及び/又は眼22から離すようにユーザ及び/又はレーザデバイス15に1回以上指示してもよい。別の例として、コンピュータ30は、眼22の外面上に追加の液体を分与するようにユーザ及び/又は液体ディスペンサ/吸引器40のディスペンサに指示してもよい。別の例として、コンピュータ30は、眼22の外面から液体の一部を除去するようにユーザ及び/又は液体ディスペンサ/吸引器40の吸引デバイスに指示してもよい。液体50が再分配された後、方法は工程106に進む。
【0063】
コンピュータ30は、工程106において眼22の画像を監視し、工程108において患者インタフェース20と眼22との間の距離dを決定する。特定の実施形態では、コンピュータ30は、距離dを輪郭52の大きさから決定してもよい。特定の実施形態では、コンピュータ30は、距離dを表示するようにディスプレイ画面36に指示してもよい。特定の実施形態では、コンピュータ30は、決定された距離dに応じて距離dを調整してもよい。
【0064】
コンピュータ30は、工程110において、整合オーバレイ56を生成する。特定の実施形態では、コンピュータ30は、液体の所望の輪郭52を表す整合オーバレイ56を生成してもよい。特定の実施形態では、コンピュータ30は、眼22の角膜トポグラフィから整合オーバレイ56を決定する。特定の実施形態では、コンピュータ30は、各整合オーバレイ56が眼22と患者インタフェース20との間の距離dに対応する複数の整合オーバレイ56を決定する。ドッキングプロセスが特定の距離に達すると、この距離に対応する整合オーバレイ56が画像上に配置される。コンピュータ30は、工程112において、眼22の画像を整合オーバレイ56とともに表示するようにディスプレイ36に指示する。工程114において、眼22を患者インタフェース20に向けて移動させる、又は患者インタフェース20を眼22に向けて移動させる。相対運動は任意の適切な手法で行われてもよい。例えば、相対運動は、xy方向に、ねじれて、及び/又はz方向に任意の適切な順序で行われてもよい。
【0065】
工程116において、不整合が存在し得る。特定の実施形態では、コンピュータ30は、画像内で輪郭52を識別し、輪郭52から眼22の不整合を決定する。例えば、コンピュータ30は、輪郭52が楕円形であることを識別し、眼軸27がインタフェース軸25に対して角度を成していると決定してもよい。別の例として、コンピュータ30は、輪郭52の重心がレーザデバイス15の中心点にないと決定してもよく、したがって、眼22がレーザデバイス15の中心点に対して横方向にずれていると決定してもよい。
【0066】
不整合がない場合、方法は工程128に進み、圧平は完了され得る。不整合がある場合、コンピュータ30は、工程118において、不整合58、59の説明を表示するようにディスプレイ36に指示する。コンピュータ30は、工程120において、不整合を補償する調整を決定する。特定の実施形態では、コンピュータ30は、不整合を実質的に補償する調整を決定する。例えば、眼軸27がインタフェース軸25に対して角度を成している場合、コンピュータ30は、眼22を回転させると不整合が実質的に補償されると決定することがある。別の例として、眼22がレーザデバイス15の中心点に対してある距離だけ横方向にずれている場合、コンピュータ30は、以下、すなわち、患者インタフェース20を決定された距離だけ並進させる、眼22を決定された距離だけ中心点に向けて並進させる、及び/又は治療パターンを決定された距離だけ並進させる、の1つ以上により不整合が実質的に補償されると決定することがある。
【0067】
コンピュータ30は、工程124において、調整60の説明を表示する。工程126において、不整合を補償するための調整が行われ得る。例えば、コンピュータ30は、不整合を補償するための調整に従って患者インタフェース20を調整するようにレーザデバイス15に指示してもよい。別の例として、コンピュータ30は、不整合を補償するための調整に従って眼22が移動するように、患者の位置を変更するように自動患者ベッドに指示してもよい。別の例として、コンピュータ30は、不整合を補償するための調整に従って治療パターンを調整してもよい。
【0068】
工程128において、圧平は完了し得る。圧平が完了しない場合、方法は工程102に戻り、液体50を分配することが必要な場合がある。圧平が完了した場合、方法は工程130に進み、ドッキング手順が完了する。これで、方法は終了する。
【0069】
本明細書に開示のシステム及び装置のコンポーネント(例えばコンピュータ30)は、インタフェース、ロジック、及び/又はメモリを含んでいてもよく、これらのうちの任意のものは、コンピュータハードウェア及び/又はソフトウェアを含み得る。インタフェース(例えばディスプレイ36)は、コンポーネントへの入力を受信し、及び/又はコンポーネントから出力を送信することができ、通常、ソフトウェア、ハードウェア、周辺機器、ユーザ、及びこれらの組み合わせなどの間で情報を交換するために使用される。ユーザインタフェース(例えば、グラフィカルユーザインタフェース(GUI))は、ユーザがコンピュータと対話するために利用できるインタフェースの一種である。ユーザインタフェースの例には、ディスプレイ画面、タッチスクリーン、キーボード、マウス、ジェスチャセンサ、マイク、スピーカが含まれる。
【0070】
ロジックは、コンポーネントの動作を実行することができる。ロジックは、データを処理する、例えば命令を実行して入力から出力を生成する、1つ以上の電子デバイスを含み得る。そのような電子デバイスの例には、コンピュータ、プロセッサ、マイクロプロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU))、及びコンピュータチップが含まれる。ロジックは、動作を実行するために電子デバイスによって実行できる命令をエンコードするコンピュータソフトウェアを含み得る。コンピュータソフトウェアの例には、コンピュータプログラム、アプリケーション、及びオペレーティングシステムが含まれる。
【0071】
メモリは、情報を記憶することができ、有形のコンピュータ可読及び/又はコンピュータ実行可能な記憶媒体を含み得る。メモリの例には、コンピュータメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は読み出し専用メモリ(ROM))、マスストレージ媒体(例えば、ハードディスク)、リムーバブルストレージ媒体(例えば、コンパクトディスク(CD)又はデジタルビデオ若しくは多用途ディスク(DVD))、データベース、ネットワークストレージ(例えば、サーバ)、及び/又は他のコンピュータ可読媒体、が含まれる。特定の実施形態は、コンピュータソフトウェアを用いてエンコードされたメモリを対象とすることができる。
【0072】
本開示は、特定の実施形態に関して説明されているが、実施形態の修正形態(例えば、変更、置換、追加、省略、及び/又は他の修正形態)は、当業者にとって明らかであろう。したがって、本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態に対する修正形態がなされ得る。例えば、本明細書で開示されたシステム及び装置に対する修正形態がなされ得る。当業者には明らかであるように、システム及び装置のコンポーネントは、統合又は分離されてもよく、又はシステム及び装置の動作は、より多い、より少ない、若しくは他のコンポーネントによって実行されてもよい。別の例として、本明細書で開示された方法に対する修正形態がなされ得る。当業者には明らかであるように、方法は、より多い、より少ない、又は他の工程を含んでもよく、工程は、任意の適当な順序で実行されてもよい。
【0073】
特許庁及び読者が請求項を解釈するのを助けるために、出願人は、特定の請求項において「のための手段(means for)」又は「のための工程(step for)」という単語が明示的に使用されていない限り、請求項又は請求項要素のいずれもが、35U.S.C.§112(f)を想起することを意図していないことを言及しておく。請求項内の他の用語(例えば、「機構」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「コンポーネント」、「要素」、「部材」、「装置」、「機械」、「システム」、「プロセッサ」、又は「コントローラ」)の使用は、出願人により、関連技術における当業者に知られている構造を指すと理解され、35U.S.C.§112(f)を想起することを意図していない。
図1
図2A-2B】
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11A-11B】
図12A-12C】
図13
図14
【国際調査報告】