(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】眼内にマーカを作成するレーザ手術システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 9/008 20060101AFI20230901BHJP
【FI】
A61F9/008 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507322
(86)(22)【出願日】2021-08-03
(85)【翻訳文提出日】2023-02-01
(86)【国際出願番号】 IB2021057118
(87)【国際公開番号】W WO2022043799
(87)【国際公開日】2022-03-03
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】マリオ アーブラハム
(57)【要約】
特定の実施形態では、角膜内にマーカを作成するための眼科手術システムは、制御可能なコンポーネント、カメラ、及びコンピュータを含む。制御可能なコンポーネントには、レーザ源、スキャナ、対物レンズが含まれる。レーザ源は、レーザビームを生成する。スキャナは、レーザビームの焦点を横方向及び縦方向に向ける。対物レンズは眼の方に焦点を合わせる。カメラは眼の動きを撮像する。コンピュータは、焦点を角膜の周辺領域の方に向けるようにスキャナに指示すること、及び、周辺領域にマーカを作成するように制御可能なコンポーネントに指示することによって、マーカを作成する。コンピュータはまた、マーカの動きが許容できない量の動きを示すアラート範囲内にあると判断し、マーカの動きがアラート範囲内にあると判断することに応答して、通知を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術のために眼の角膜にマーカを作成するための眼科手術システムであって、
複数の制御可能なコンポーネントであって、
複数の超短パルスを有するレーザビームを生成するように構成されたレーザ源と、
前記レーザビームの焦点を横方向及び縦方向に向けるように構成されたスキャナと、
患者インタフェースを介して前記眼の方に焦点を合わせるように構成された対物レンズと、
を備える、複数の制御可能なコンポーネントと、
前記眼の動きを撮像するように構成されたカメラと、
コンピュータであって、
前記角膜に、前記眼の回転運動を示すことができる形状を有する前記マーカを作成することであって、
前記焦点を前記角膜の周辺領域の方に横方向及び縦方向に向けるように前記スキャナに指示することと、
前記角膜の前記周辺領域に前記マーカを作成するように前記制御可能なコンポーネントの1つ又は複数に指示することと、
によって、作成することと、
前記マーカの動きが、前記マーカの許容できない量の動きを示すアラート範囲内にある、と判断することと、
前記マーカの前記動きが前記アラート範囲内にあると判断することに応答して、1つ又は複数の通知を提供することと、
を行うように構成されたコンピュータと、
を備える、眼科手術システム。
【請求項2】
前記マーカの形状が、多角形、線、複数の線、一点で交差する複数の線、複数の点で交差する複数の線、線のある円、楕円、及び1つ又は複数の英数字、のうちの1つ又は複数から選択される、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項3】
前記コンピュータが、
前記外科手術に対応する前記マーカを識別し、
前記識別されたマーカを前記角膜に作成する、
ように構成されている、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項4】
前記外科手術がレンチキュール抽出手術であり、
前記コンピュータが、
前記マーカが抽出されるレンチキュールの外側境界の外部にあって近接している、ということを識別し、
前記外側境界の外部に近接して前記マーカを作成する、
ように構成されている、請求項3に記載の眼科手術システム。
【請求項5】
前記外科手術がフラップ作成手術であり、
前記コンピュータが、
前記マーカが作成されるフラップの外側境界の外部にあって近接している、ということを識別し、
前記外側境界の外部に近接して前記マーカを作成する、
ように構成されている、請求項3に記載の眼科手術システム。
【請求項6】
前記外科手術が白内障除去手術であり、
前記コンピュータが、
前記マーカが前記眼の水晶体嚢の輪郭を描く、ということを識別し、
前記眼の前記水晶体嚢の輪郭を描く前記マーカを作成する、
ように構成されている、請求項3に記載の眼科手術システム。
【請求項7】
前記1つ又は複数の通知のうちのある通知が音声通知である、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項8】
前記1つ又は複数の通知のうちのある通知が視覚的通知である、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項9】
前記アラート範囲が、前記アラート範囲の区分を形成する複数の重複しない部分集合アラート範囲を含み、
前記コンピュータが、複数の通知を提供するように構成され、各通知は部分集合アラート範囲に対応し、第1の部分集合アラート範囲に関する第1の通知は、第2の部分集合アラート範囲に関する第2の通知とは異なる、
請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項10】
前記第1の通知が、前記第2の通知の第2の視覚的特徴とは異なる第1の視覚的特徴を有する、請求項9に記載の眼科手術システム。
【請求項11】
前記第1の通知が、前記第2の通知の第2の音声的特徴とは異なる第1の音声的特徴を有する、請求項9に記載の眼科手術システム。
【請求項12】
前記複数の部分集合アラート範囲のうちのある部分集合アラート範囲が終了アラート範囲であり、
前記コンピュータが、前記マーカの前記動きが前記終了アラート範囲内にあると判断することに応答して、前記外科手術を終了するように構成されている、
請求項9に記載の眼科手術システム。
【請求項13】
前記眼科手術システムが、ディスプレイ画面をさらに備え、
前記コンピュータが、
複数のアラートレベルを含む通知アイコンを前記ディスプレイ画面に表示することであって、少なくとも1つのアラートレベルは部分集合アラート範囲に対応する、表示することと、
前記マーカの前記動きが前記対応する部分集合アラート範囲内にあると判断することに応答して、前記少なくとも1つのアラートレベルを視覚的に強調することと、
を行うように構成されている、請求項9に記載の眼科手術システム。
【請求項14】
前記コンピュータが、前記外科手術に対応する前記アラート範囲を判断するようにさらに構成されている、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項15】
前記外科手術がレンチキュール抽出手術であり、
前記アラート範囲が50~150ミクロンの最大許容距離を有する、
請求項14に記載の眼科手術システム。
【請求項16】
前記外科手術がフラップ作成手術であり、
前記アラート範囲が100~500ミクロンの最大許容距離を有する、
請求項14に記載の眼科手術システム。
【請求項17】
前記外科手術が白内障除去手術であり、
前記アラート範囲が100~500ミクロンの最大許容距離を有する、
請求項14に記載の眼科手術システム。
【請求項18】
外科手術のために眼の角膜にマーカを作成する方法であって、
コンピュータによって、前記角膜内に、眼の回転運動を示すことができる形状を有する前記マーカを作成することであって、
複数の超短パルスを有するレーザビームの焦点を前記角膜の周辺領域の方に横方向及び縦方向に向けるようにスキャナに指示することと、
前記角膜の前記周辺領域に前記マーカを作成するように制御可能なコンポーネントのセットの1つ又は複数に指示することであって、前記制御可能なコンポーネントのセットは、前記レーザビームを生成するように構成されたレーザ源を備え、前記スキャナは、前記レーザビームの前記焦点を横方向及び縦方向に向けるように構成されており、対物レンズは、患者インタフェースを介して前記眼の方に前記焦点を合わせるように構成されている、指示することと、
によって、作成することと、
前記コンピュータによって、前記マーカの動きが、前記マーカの許容できない量の動きを示すアラート範囲内にある、と判断することと、
前記コンピュータによって、前記マーカの前記動きが前記アラート範囲内にあると判断することに応答して、1つ又は複数の通知を提供することと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記外科手術に対応する前記マーカを識別することと、
前記識別されたマーカを前記角膜に作成することと、
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記アラート範囲が、前記アラート範囲の区分を形成する複数の重複しない部分集合アラート範囲を含み、
複数の通知を提供することであって、各通知は部分集合アラート範囲に対応し、第1の部分集合アラート範囲に関する第1の通知は、第2の部分集合アラート範囲に関する第2の通知とは異なる、提供することと、
複数のアラートレベルを含む通知アイコンをディスプレイ画面に表示することであって、少なくとも1つのアラートレベルは部分集合アラート範囲に対応する、表示することと、
前記マーカの前記動きが前記対応する部分集合アラート範囲内にあると判断することに応答して、前記少なくとも1つのアラートレベルを視覚的に強調することと、
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、レーザ手術システム及び方法に関し、より詳細には、眼内にマーカを作成するレーザ手術システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の眼科レーザ手術システムは、パルスレーザビームを生成して、眼に対して外科手術を行う。いくつかの手術では、レーザビームは、治療パターンに従って眼の特定のポイントで光切断を生じさせる。パターンに正確に一致する光切断を生じさせるために、レーザビームは手術全体で眼と正しく位置合わせする必要がある。
【0003】
患者インタフェース(PI)が通常、手術中に眼を所定の位置に保持するために使用される。患者インタフェースは、典型的には真空によって眼に固定され、眼を適所に固定して、手術中に眼と治療パターンとの適切な位置合わせを容易にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
特定の実施形態では、外科手術のために角膜内にマーカを作成するための眼科手術システムは、制御可能なコンポーネント、カメラ、及びコンピュータを含む。制御可能なコンポーネントには、レーザ源、スキャナ、対物レンズが含まれる。レーザ源は、超短パルスを有するレーザビームを生成する。スキャナは、レーザビームの焦点を横方向及び縦方向に向ける。対物レンズは、患者インタフェースを介して眼の方に焦点を合わせる。カメラは眼の動きを撮像する。マーカは、眼の回転運動を示す形状をしている。コンピュータは、焦点を角膜の周辺領域の方に横方向及び縦方向に向けるようにスキャナに指示すること、及び、角膜の周辺領域にマーカを作成するように制御可能なコンポーネントの1つ又は複数に指示することによって、マーカを作成する。コンピュータはまた、マーカの動きが許容できない量の動きを示すアラート範囲内にあると判断し、マーカの動きがアラート範囲内にあると判断することに応答して、1つ又は複数の通知を提供する。
【0005】
実施形態は、以下の特徴のうちの、いずれも含まないか、1つ、いくつか、若しくはすべてを含んでもよい。
【0006】
*マーカの形状は、次のうちの1つ又は複数から選択される:多角形、線、複数の線、一点で交差する複数の線、複数の点で交差する複数の線、線のある円、楕円、及び1つ又は複数の英数字。
【0007】
*コンピュータは、外科手術に対応するマーカを識別し、識別されたマーカを角膜に作成する。特定の実施形態では、外科手術がレンチキュール抽出処置である場合、コンピュータは、マーカが抽出されるレンチキュールの外側境界の外部にあって近接している、ということを識別し、外側境界の外部に近接してマーカを作成する。特定の実施形態では、外科手術がフラップ作成手術である場合、コンピュータは、マーカが作成されるフラップの外側境界の外部にあって近接している、ということを識別し、外側境界の外部に近接してマーカを作成する。特定の実施形態では、外科手術が白内障除去手術である場合、コンピュータは、マーカが眼の水晶体嚢の輪郭を描くということを識別し、眼の水晶体嚢の輪郭を描くマーカを作成する。
【0008】
*通知は音声通知であってもよい。
【0009】
*通知は視覚的通知であってもよい。
【0010】
*アラート範囲は、アラート範囲の区分を形成する複数の重複しない部分集合アラート範囲を含む。コンピュータは複数の通知を提供する。各通知は部分集合アラート範囲に対応し、第1の部分集合アラート範囲の第1の通知は、第2の部分集合アラート範囲の第2の通知とは異なる。特定の実施形態では、第1の通知は、第2の通知の第2の視覚的特徴とは異なる第1の視覚的特徴を有する。特定の実施形態では、第1の通知は、第2の通知の第2の音声的特徴とは異なる第1の音声的特徴を有する。特定の実施形態では、部分集合アラート範囲は終了アラート範囲であり、コンピュータは、マーカの動きが終了アラート範囲内にあると判断することに応答して外科手術を終了する。特定の実施形態では、眼科手術システムはディスプレイ画面を含む。コンピュータは、ディスプレイ画面上にアラートレベルを含む通知アイコンを表示し、アラートレベルは部分集合アラート範囲に対応し、マーカの動きが対応する部分集合アラート範囲内にあると判断することに応答してアラートレベルを視覚的に強調する。
【0011】
*コンピュータは、外科手術に対応するアラート範囲を判断する。特定の実施形態では、外科手術がレンチキュール抽出手術である場合、アラート範囲は、50~150ミクロンの最大許容距離を有する。特定の実施形態では、外科手術がフラップ作成手術である場合、アラート範囲は、100~500ミクロンの最大許容距離を有する。特定の実施形態では、外科手術が白内障除去手術である場合、アラート範囲は、100~500ミクロンの最大許容距離を有する。
【0012】
特定の実施形態では、外科手術のために眼の角膜にマーカを作成する方法は、コンピュータによって角膜にマーカを作成することを含む。マーカは、眼の回転運動を示すことができる形状をしている。コンピュータは、レーザビームの焦点を角膜の周辺領域の方に横方向及び縦方向に向けるようにスキャナに指示し、角膜の周辺領域にマーカを作成するように制御可能なコンポーネントのセットの1つ又は複数に指示する。制御可能なコンポーネントのセットは、レーザビームを生成するように構成されたレーザ源、レーザビームの焦点を横方向及び縦方向に向けるように構成されたスキャナ、及び焦点を患者インタフェースを通して眼の方に焦点を合わせるように構成された対物レンズを含む。コンピュータはまた、マーカの動きが、マーカの許容できない量の動きを示すアラート範囲内にあると判断し、マーカの動きがアラート範囲内にあると判断することに応答して、1つ又は複数の通知を提供する。
【0013】
実施形態は、システムに関して上記で説明された特徴のいずれも含まないか、1つ、いくつか、又はすべてを含んでもよく、及び/又は以下の特徴のいずれも含まないか、1つ、いくつか、又はすべてを含んでもよい。
【0014】
*この方法は、外科手術に対応するマーカを識別すること、及び角膜内に識別されたマーカを作成することをさらに含む。
【0015】
*アラート範囲は、アラート範囲の区分を形成する複数の重複しない部分集合アラート範囲を含む。この方法はさらに、複数の通知を提供することであって、各通知は部分集合アラート範囲に対応し、第1の部分集合アラート範囲に関する第1の通知は第2の部分集合アラート範囲に関する第2の通知とは異なる、提供することと、複数のアラートレベルを含む通知アイコンをディスプレイ画面上に表示することであって、少なくとも1つのアラートレベルは部分集合アラート範囲に対応する、表示することと、マーカの動きが対応する部分集合アラート範囲内にあると判断することに応答して、アラートレベルを視覚的に強調することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、特定の実施形態による、眼の角膜にマーカを作成するように構成された眼科手術システムの一例を示す。
【
図2A-2B】
図2A-2Bは、眼に作成されたマーカの例を示す。
【
図7】
図7は、
図1のシステムによって使用され得る交通信号機通知アイコンの例を示す。
【
図8】
図8は、
図1のシステムによって使用され得るメータ通知アイコンの例を示す。
【
図9】
図9は、
図1のシステムによって実行され得る、眼にマーカを作成するための方法の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、説明及び図面を参照して、開示される装置、システム、及び方法の例示的な実施形態が詳細に示される。説明及び図面は、網羅的であることを意図するものではなく、又はそうでなければ、特許請求の範囲を、図面において示され、説明において開示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。図面は可能な実施形態を表すが、図面は必ずしも縮尺通りではなく、実施形態をよりよく示すために特定の特徴部を簡略化、誇張、削除、又は部分的に分割している場合がある。
【0018】
特定の眼科外科手術では、眼を治療パターンに適切に位置合わせするために、患者インタフェース(PI)を備えた手術システムに眼が結合される。眼が患者インタフェースに対して、ひいては治療パターンに対して動く可能性があるという問題が発生する可能性がある。例えば、神経質な患者は眼を激しく動かし、眼が患者インタフェースに対して動くのに十分な剪断力を生み出したり、インタフェースから切り離されたりすることさえあり得る。別の例として、経験の浅い外科医が不注意に患者インタフェースに対して眼を動かしたり、眼を患者インタフェースに適切に接続できずに眼がインタフェースに対して動くようになったりすることがある。患者インタフェースに対する眼の動きにより、眼が治療パターンとずれることがある。本明細書に記載の実施形態は、この問題に対処することができる。
【0019】
図1は、特定の実施形態による、眼22の角膜にマーカを作成するように構成された眼科手術システム10の例を示す。この実施形態では、システム10は、角膜内にマーカを作成し、マーカの動きを追跡し、動きがアラート範囲内にある場合、眼が患者インタフェースに対して動いたことを示す通知を提供する。したがって、システム10を使用して、眼22が患者インタフェースに対して移動し、治療パターンとずれてしまうという問題に対処することができる。
【0020】
図示の例では、システム10は、図示のように結合されたレーザ装置15、患者インタフェース20、カメラ38、及び制御コンピュータ30を含む。レーザ装置15は、図示のように結合されたレーザ源12、スキャナ16、1つ又は複数の光学要素17、及び/又は集束対物レンズ18などの制御可能なコンポーネントを含む。患者インタフェース20は、図示のように結合された接触部分24(当接面26を有する)及びスリーブ28を含む。コンピュータ30は、図示のように結合されたロジック31、メモリ32(コンピュータプログラム34を格納する)、及びディスプレイ36を含む。
【0021】
概観すると、システム10は、以下の動作例に従ってマーカを作成し、追跡することができる。レーザ源12は、超短パルスを有するレーザビームを生成する。スキャナ16は、横方向及び縦方向にレーザビームの焦点を制御する。対物レンズ18は、患者インタフェース20を通して眼22の方に焦点を合わせる。カメラ38は眼22の動きを撮像する。コンピュータ30は、焦点を角膜の周辺領域の方に向けるようにスキャナ12に指示し、周辺領域にマーカを作成するように制御可能なコンポーネントに指示することにより、角膜にマーカを作成する。次に、コンピュータ30は、マーカの動きが、マーカの許容できない動きを表すアラート範囲内にあるかどうかを判断する。そうである場合、コンピュータ30は、動きがアラート範囲内にあるという1つ又は複数の通知を提供する。
【0022】
システム10の部品に目を向けると、レーザ源12は、超短パルスを有するレーザビームを生成する。超短パルスとは、ピコ秒、フェムト秒、又はアト秒のオーダーなど、ナノ秒未満の持続時間を有する光パルスを指す。レーザビームは、300~1500ナノメートル(nm)の範囲の波長、例えば、300~650、650~1050、1050~1250、及び/又は1250~1500nm、例えば340~350nmの範囲の波長、例えば347nm±1nmの任意の適切な波長を有することができる。レーザビームの焦点は、組織(例えば、角膜)内にレーザ誘起光学破壊(LIOB)を生じさせて、組織内に光切断をもたらし得る。レーザビームは正確に焦点を合わせて、正確な光切断をもたらすことができ、他の組織の不必要な切断を低減又は回避できる。
【0023】
スキャナ16は、レーザビームの焦点を横方向及び縦方向に向ける。縦方向は、z方向としても知られるレーザビームの伝播方向を指す。横方向とは、xy平面としても知られる、ビーム伝搬方向に直交する方向を指す。特定の実施形態では、患者インタフェース20の当接面26は、z=0におけるxy平面として選択される。
【0024】
スキャナ16は、任意の適切な方法でレーザビームを横方向に向けることができる。例えば、スキャナ16は、互いに垂直な軸に対してチルトすることができる、一対のガルバノメトリック駆動型スキャナミラーを含み得る。別の例として、スキャナ16は、レーザビームを電気光学的に操縦できる電気光学結晶を含むことができる。スキャナ16は、任意の適切な方法でレーザビームを縦方向に向けることができる。例えば、スキャナ16は、縦方向に調整可能なレンズ、可変屈折力のレンズ、又はビーム焦点のz位置を制御できる変形可能なミラーを含むことができる。スキャナ16のコンポーネントは、ビーム経路に沿って任意の適切な方法で、例えば同じ又は異なるモジュラーユニットに配置することができる。
【0025】
1つ(又は複数)の光学要素17は、レーザビームを集束対物レンズ18の方に向ける。光学要素17は、レーザビームに作用する(例えば、透過、反射、屈折、回折、コリメート、調整、成形、集束、変調、及び/又は作用する)ことができる。光学要素の例には、レンズ、プリズム、ミラー、回折光学要素(DOE)、ホログラフィック光学要素(HOE)、及び空間光変調器(SLM)が含まれる。この例では、光学要素17はミラーである。集束対物レンズ18は、患者インタフェース20を介して眼22のポイントの方にレーザビームの焦点を集束させる。この例では、集束対物レンズ18は対物レンズ、例えばfシータ対物レンズである。
【0026】
患者インタフェース20は、眼22の角膜とインタフェースして、眼22をレーザ装置15に結合する。この例では、患者インタフェース20は、接触部分24に結合されたスリーブ28を有する。スリーブ28は、集束対物レンズ18に取り外し可能に結合する。接触部分24は、レーザビームに対して半透明又は透明であり得、角膜と接合する当接面26を有する。特定の実施形態では、当接面26は平面であり、角膜上に平面領域を形成し、これはxy平面を画定することができる。他の実施形態では、当接面26は平面である必要はなく、例えば、凸状又は凹状であってもよい。
【0027】
カメラ38は、眼22内に作成されたマーカの動きを含む、眼22の動きの画像を記録する。カメラ38の例には、ビデオ、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)、又は視線追跡カメラが含まれる。カメラ38は、眼22の記録された画像を表す画像データをコンピュータ30に送達する。コンピュータ30は、画像データに対して画像処理を実行して、マーカの動きを判断する。画像処理は、記録された画像内のマーカを認識し、マーカの位置を判断し、異なる時間に撮像されたマーカの位置を比較してマーカの動きを判断することを含む。
【0028】
コンピュータ30は、コンピュータプログラム34に従って、制御可能なコンポーネント(例えば、レーザ源12、スキャナ16、光学要素17、及び/又は集束対物レンズ18)を制御する。コンピュータプログラム34は、角膜の領域にレーザビームを集束させ、その領域の少なくとも一部を光破壊して角膜にマーカを作成するように制御可能なコンポーネントに指示するコンピュータコードを含む。マーカは一時的なもので、それ自体が消える。マーカは、
図2A~6を参照してより詳細に説明される。
【0029】
図2A及び2Bは、眼22に作成されたマーカ50(50a)の例を示す。
図2Aは、瞳孔42、虹彩44、水晶体(図示せず)、及び周辺領域48を有する角膜46を有する眼22を示す。一般に、虹彩44及び角膜46はそれぞれ、10~13ミリメートル(mm)の範囲の外径を有する。角膜46は、角膜46の外周に最も近い角膜46の環状領域である周辺領域48を有する。周辺領域48は、Rcの外半径及びRc×qの内半径を有することができ、Rcは角膜46の外半径を表し、qは任意の適切なパーセンテージ、例えば、50~60、60~70、70~80、80~90、及び/又は90~95パーセントである。
【0030】
内半径は、外科手術に従って判断することができる。場合によっては、内半径は、周辺領域48が手術の治療領域に干渉しない(例えば、外側にある)ようなものであってもよい。例えば、典型的なレンチキュールの直径は約5~7mmであり、典型的なフラップの直径は約7~10mmである。内半径は、周辺領域48がレンチキュール又はフラップ領域の外側になるように選択することができる。他の場合では、内半径は、周辺領域48が外科手術のための境界を含むか、又は境界を形成するようなものであり得る。例えば、マーカ50は、約9~10mmの直径を有する水晶体嚢の輪郭を描くために使用され得る。内半径は、水晶体嚢の半径よりも小さいか、又はその半径と一致するように選択され得る。
【0031】
マーカ50は、任意の適切なサイズ及び形状を有することができる。特定の実施形態では、マーカ50は、眼22の平行移動及び/又は回転を容易に示すことができるサイズ及び形状を有する。例えば、マーカ50は、カメラ38がマーカ50の動きを容易に検出できるように十分に大きいサイズを有するが、眼22の光切断を最小限に抑えるために十分に小さいサイズを有する。別の例として、マーカ50は、カメラ38がマーカ50の平行移動及び/又は回転を検出できるような形状を有する。
【0032】
マーカ50は、周辺領域48の任意の適切な位置に置くことができる。特定の実施形態では、マーカ50の位置は、治療ゾーン及び/又は手術の視野に対してなど、外科手術に従って判断され得る。例えば、レンチキュール抽出手術では、治療ゾーン、すなわちレンチキュールは、直径が約8ミリメートル(mm)までであり、視野は、直径約12mmであり得る。マーカ50は、レンチキュールの外側境界の外部にあって近接している(例えば、0.015mmなどの0.010~2mm以内にある)が、視野内にあり得る。別の例として、フラップ作成手術では、マーカ50は、フラップの外側境界の外部にあって近接していてもよい。さらに別の例として、白内障除去手術では、マーカ50は眼の水晶体嚢の輪郭を描くことができる。
【0033】
形状の例には、多角形(例えば、三角形又は正方形)、線、複数の線(例えば、等号)、一点で交差する複数の線(例えば、プラス記号、十字、又はアスタリスク)、複数の点で交差する複数の線(例えば、星)、線のある円、楕円形、及び1つ又は複数の英数字(例えば、任意の言語の文字、数字、及び/又は記号を含むテキスト)が含まれる。図示の例では、マーカ50aは等号のような形状である。
図2Aは、等号が水平になるようにゼロ回転のマーカ50aを示す。
図2Bは、等号がある角度で傾くように、5度回転されたマーカ50aを示す。
【0034】
図3~6は、異なるタイプのマーカ50を示している。
図3は、マーカ50b(50b-1、50b-2)を含むマーカ50を示しており、各マーカ50bは線を伴う円である。マーカ50b-1の線は、眼22の中心(例えば、瞳孔中心、眼の頂点、又は眼の頭頂)を通る垂直線と位置合わせされ、マーカ50b-2の線は、中心を通る水平線と位置合わせされる。
【0035】
図4は、英数字を含むマーカ50cを示す。特定の実施形態では、文字は、タイムスタンプ、患者識別子、又は会社名などの情報を提供することができる。
【0036】
図5は、マーカ50d(50d-1~50d-8)を含むマーカ50を示す。各マーカ50dは、眼22の中心を通る線と位置合わせされた線である。例えば、マーカ50d-1及び50d-5は、中心を通る垂直線に位置合わせされ、マーカ50d-3及び50d-7は、中心を通る水平線に位置合わせされる。
【0037】
図6は、マーカ50d及びマーカ50eを含むマーカ50を示す。マーカ50eは、治療領域の境界を提供することができる、例えば、レンチキュール、フラップ、又は水晶体嚢の輪郭を提供することができる円である。
【0038】
図1に戻って、コンピュータ30は、マーカ50を作成するようにレーザ装置15の制御可能なコンポーネントに命令することを想起されたい。特定の実施形態では、コンピュータ30は、外科手術に対応するマーカ50を識別することによって、作成するマーカ50のタイプを決定する。この実施形態では、マーカ50の特定の特徴(例えば、サイズ、形状、場所、及び/又は位置)は、特定の外科手術に対してより適切であり得る。例えば、コンピュータ30は、(1)レンチキュール抽出手術の場合、マーカ50は、レンチキュールの外側境界の外部にあって近接していてもよい、(2)フラップ作成手術の場合、マーカ50は、フラップの外側境界の外部にあって近接していてもよい、及び/又は(3)白内障除去処置の場合、マーカ50は眼の水晶体嚢の輪郭を描いてもよい、ということを判断することができる。
【0039】
また、コンピュータ30は、マーカ50の動きがアラート範囲内にあるときを判断し、その判断に応答して通知を提供することを想起されたい。アラート範囲は、眼22の許容できない移動量を表すマーカ50の許容できない移動量を表す。許容できない動きは、通知が提供され、及び/又は手術が終了されるべきであるように、眼22を治療パターンとずらす動きであり得る。アラート範囲は、最大許容距離Qよりも大きい距離dの移動として表すことができ、{d|d>Q}として集合の表記で表され、Qは任意の適切な数、例えば50~500ミクロンである。
【0040】
特定の実施形態では、アラート範囲は、アラート範囲の区分を形成する複数の重複しない部分集合アラート範囲を含む。集合の区分は、部分集合の結合が集合に等しい、集合の互いに素な部分集合の集まりである。例えば、アラート範囲{d|d>Q}は{d|Q1<d≦Q2,Q2<d≦Q3,...,Qn<d}に区分でき、ここで、Q=Q1である。最大許容距離Qにより近い部分集合アラート範囲は、最大許容距離Qからさらに離れた部分集合アラート範囲よりもずれが少ないことを示す。したがって、最大許容距離Qにより近い部分集合アラート範囲内での移動は、さらに離れた範囲内での移動よりも緊急性が低いものであり得る。特定の実施形態では、部分集合アラート範囲は、手術が終了されるべきであるような許容できない動きを表す終了アラート範囲であってもよい。
【0041】
特定の実施形態では、コンピュータ30は、外科手術に対応するアラート範囲を判断する。特定の手術(例えば、レンチキュールの作成)では、他の手術(例えば、フラップの作成)よりも高い精度が必要になる場合がある。例えば、レンチキュールは屈折特性を備えた形状であるため、レンチキュラーの切開は治療パターンと正確に位置合わせする必要がある。フラップには通常、屈折特性のないフラットベッドの切開があるため、位置合わせはそれほど正確である必要はない。したがって、アラート範囲の最大許容距離Qは、より精度が必要な手術ではより厳密になる場合がある。例えば、レンチキュール抽出手術の場合、最大許容距離Qは50~150ミクロンの範囲であり得る。別の例として、フラップ作成手術の場合、最大許容距離Qは100~500ミクロンの範囲であり得る。さらに別の例として、白内障の除去手術の場合、最大許容距離Qは50~500の範囲であり得る。
【0042】
コンピュータ30は、任意の適切な通知、例えば音声及び/又は視覚的通知を提供することができる。音声通知の例には、電子スピーカなどのインタフェースを介して提供され得るビープ音や話し言葉が含まれる。視覚的通知の例には、ディスプレイ36などのインタフェース(例えば、ディスプレイ画面)上に表示され得るライト及びグラフィックアイコンが含まれる。
【0043】
特定の実施形態では、コンピュータ30は、複数の部分集合アラート範囲について複数の通知を提供する。いくつかの例では、各通知は特定の部分集合アラート範囲に対応し、コンピュータ30は異なる部分集合アラート範囲に対して異なる通知を提供し、例えば、第1の部分集合アラート範囲の第1の通知は、第2の部分集合アラート範囲の第2の通知とは異なる。例えば、第1の通知は、第2の通知の第2の視覚的特徴とは異なる第1の視覚的特徴を有し得る。別の例として、第1の通知は、第2の通知の第2の音声的特徴とは異なる第1の音声的特徴を有することができる。特定の実施形態では、コンピュータ30は、マーカの動きが終了アラート範囲内にあると判断することに応答して、外科手術を終了する。
図7及び8を参照して、複数の部分集合アラート範囲の視覚的通知アイコンの例を説明する。
【0044】
図7は、
図1のシステム10によって使用され得る交通信号機通知アイコン70(70a)の例を示す。通知アイコン70は、マーカ50の動きがアラート範囲に到達したときに通知を提供するグラフィック要素(ディスプレイ36を介して提示され得る)である。特定の実施形態では、通知アイコン70は、アラートレベル72(72a、72b、72c)を含む。アラートレベル72は、部分集合アラート範囲に対応し得る。マーカ50の動きが部分集合アラート範囲に入る場合、アイコン70は、対応するアラートレベル72を視覚的に強調する(例えば、点灯する、指し示す、点滅する、輪郭を描く、又は他の方法で強調する)ことができる。
【0045】
図示の例では、アラートレベル72aは緑色の光であり、アラートレベル72bは黄色の光であり、アラートレベル72cは赤色の光である。動きが部分集合アラート範囲に入ると、アイコン70は、対応する光を強調する(例えば、明るくする、又はより輝かせる)ことができる。緑色のアラートレベル72aは、マーカ50の動きがないこと、又はアラートレベルに達していない動き、すなわち動きが許容範囲内にあることに対応し得る。黄色のアラートレベル72bは、最小アラート値に最も近い部分集合アラート範囲に対応し得る、すなわち、動きは許容できないが、手術の終了を必要とするほどではない。赤色のアラートレベル72cは、終了アラート範囲である部分集合アラート範囲に対応し得る、すなわち、移動は手術の終了を必要とする。
【0046】
図8は、
図1のシステム10によって使用され得るメータ通知アイコン70(70b)の例を示す。通知アイコン70bは、アラートレベル72(72a~72e)を含む。図示の例では、アラートレベル72aは緑色であり、アラートレベル72bは黄緑色であり、アラートレベル72cは黄色であり、72dはオレンジ色であり、アラートレベル72eは赤色である。
【0047】
特定のアラートレベル72は、部分集合アラート範囲に対応し得る。マーカ50の動きが部分集合アラート範囲に入ると、アイコン70は、対応するレベル72を強調する(例えば、指し示す)ことができる。緑色のアラートレベル72aは、マーカ50の動きがないこと、又はアラートレベルに達していない動き、すなわち動きが許容範囲内にあることに対応し得る。黄緑色のアラートレベル72bは、最小アラート値に最も近い部分集合アラート範囲に対応し得る、すなわち、動きは許容できないが許容可能に近い。黄色のアラートレベル72cは、次に最も近い部分集合アラート範囲に対応し得る、すなわち、動きは許容できないが、手術の終了を必要とするほどではない。オレンジ色のアラートレベル72dは、次に最も近い部分集合アラート範囲に対応し得る、すなわち、動きは許容できず、手術の終了が必要なポイントに近づいている。赤色のアラートレベル72eは、終了アラート範囲である部分集合アラート範囲に対応し得る、すなわち、移動は手術の終了を必要とする。
【0048】
図9は、
図1のシステム10によって実行され得る、眼22にマーカ50を作成するための方法の例を示す。特定の実施形態では、コンピュータ30は、方法の動作を実行するようにシステム10の部品に命令することによって方法を実行する。マーカ50は、外科手術中、例えばレンチキュール抽出、フラップ作成、又は白内障除去手術中に作成され得る。この方法は、ステップ100で開始し、ここで、コンピュータ30は、眼40の角膜46にマーカ50を作成する要求を受信する。マーカ50は、眼22の平行移動及び/又は回転運動を示すことができる形状を有し得る。特定の実施形態では、要求は、システム10のユーザ(例えば、外科医)から受け取ることができるか、又は自動化された外科手術のためのコンピュータプログラム34から受け取ることができる。
【0049】
コンピュータ30は、ステップ110で、要求されたマーカ50を識別する。特定の実施形態では、コンピュータ30は、外科手術に対応するマーカ50を識別し得る。例えば、レンチキュール抽出手術は、抽出されるレンチキュールの外側境界の外部にあって近接しているマーカ50を使用することができる。別の例として、フラップ作成手術は、作成されるフラップの外側境界の外部にあって近接しているマーカ50を使用することができる。さらに別の例として、白内障手術は、白内障の水晶体の水晶体嚢の輪郭を描くマーカ50を使用することができる。
【0050】
ステップ112で、コンピュータ30はアラート範囲を判断する。特定の実施形態では、コンピュータ30は、外科手術に対応するアラート範囲を判断することができる。例えば、レンチキュール抽出手術は、50~150ミクロンの最大許容距離Qを有するアラート範囲を使用することができる。別の例として、フラップ作成手術は、100~500ミクロンの最大許容距離Qを有するアラート範囲を使用することができる。さらに別の例として、白内障手術は、50~500ミクロンの最大許容距離Qを有するアラート範囲を使用することができる。
【0051】
コンピュータ30は、ステップ114で、レーザビームを生成するようにレーザ源12に指示し、ビームの焦点を角膜46の周辺領域48の方に向けるようにスキャナ16に指示する。制御可能なコンポーネントは、ステップ116で、周辺領域48にマーカ50を作成する。コンピュータ30は、カメラ38を使用してステップ118でマーカ50の動きを監視する。
【0052】
外科手術は、ステップ120で完了することができる。手術が完了している場合、方法はステップ128に進み、コンピュータ30は手術を終了する。手術が完了していない場合、方法はステップ122に進む。
【0053】
ステップ122で、コンピュータ30は、マーカ50の動きがアラート範囲内にあるかどうかをチェックする。動きがアラート範囲内にない場合、方法はステップ118に戻り、そこでコンピュータ30はマーカ50の動きを監視し続ける。動きがアラート範囲内にある場合、方法はステップ124に進む。
【0054】
ステップ124で、コンピュータ30は、アラート範囲が終了アラート範囲であるかどうかをチェックする。終了アラート範囲は、外科手術をいつ終了すべきかを示す。例えば、終了範囲は、眼の位置が非常にずれているために治療が効果的でないことを示すことができる。アラート範囲が終了アラート範囲でない場合、方法はステップ126に進む。
【0055】
ステップ126で、コンピュータ30は、動きがアラート範囲内にあるという通知を提供する。特定の実施形態では、アラート範囲は、アラート範囲の区分を形成する複数の重複しない部分集合アラート範囲を有し、コンピュータ30は、部分集合アラート範囲ごとに通知を提供する。特定の場合には、コンピュータ30は、異なる部分集合範囲に対して別個の通知を提供する。例えば、第1の部分集合アラート範囲に関する第1の通知は、第2の部分集合アラート範囲に関する第2の通知とは異なり得る。通知は、視覚的に区別できる(例えば、第1の通知は、第2の通知の第2の視覚的特徴とは異なる第1の視覚的特徴を有する)、又は聴覚的に区別できる(例えば、第1の通知は、第2の通知の第2の通知の音声的特徴とは異なる第1の音声的特徴を有する)。その後、方法はステップ118に戻り、そこでコンピュータ30はマーカ50の動きを監視し続ける。
【0056】
ステップ124でアラート範囲が終了アラート範囲である場合、方法はステップ128に進み、そこでコンピュータ30は手術を終了する。これで、方法は終了する。
【0057】
本明細書に開示のシステム及び装置のコンポーネント(例えば、制御コンピュータ30)は、インタフェース、ロジック、及び/又はメモリを含んでいてもよく、これらのうちの任意のものは、コンピュータハードウェア及び/又はソフトウェアを含み得る。インタフェース(例えば、ディスプレイ36)は、コンポーネントへの入力を受信し、及び/コンポーネントから出力を送信することができ、通常、例えばソフトウェア、ハードウェア、周辺機器、ユーザ、及びこれらの組み合わせの間で情報を交換するために使用される。ユーザインタフェース(例えば、グラフィカルユーザインタフェース(GUI))は、ユーザがコンピュータと対話するために利用できるインタフェースの一種である。インタフェースの例には、ディスプレイ画面、タッチスクリーン、キーボード、マウス、ジェスチャセンサ、マイク、スピーカが含まれる。
【0058】
ロジック(例えば、ロジック31)は、コンポーネントの動作を実行することができる。ロジックは、データを処理する、例えば命令を実行して入力から出力を生成する、1つ又は複数の電子デバイスを含み得る。そのような電子デバイスの例には、コンピュータ、プロセッサ、マイクロプロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU))、及びコンピュータチップが含まれる。ロジックは、動作を実行するために電子デバイスによって実行できる命令をエンコードするコンピュータソフトウェアを含み得る。コンピュータソフトウェアの例には、コンピュータプログラム、アプリケーション、及びオペレーションシステムが含まれる。
【0059】
メモリ(例えば、メモリ32)は、情報を記憶することができ、有形のコンピュータ可読及び/又はコンピュータ実行可能な記憶媒体を含み得る。メモリの例には、コンピュータメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は読み出し専用メモリ(ROM))、マスストレージ媒体(例えば、ハードディスク)、リムーバブルストレージ媒体(例えば、コンパクトディスク(CD)又はデジタルビデオ若しくは多用途ディスク(DVD))、データベース、ネットワークストレージ(例えば、サーバ)、及び/又は他のコンピュータ可読媒体、が含まれる。特定の実施形態は、コンピュータソフトウェアを用いてエンコードされたメモリを対象とすることができる。
【0060】
本開示は、特定の実施形態に関して説明されているが、実施形態の修正形態(例えば、変更、置換、追加、省略、及び/又は他の修正形態)は、当業者にとって明らかであろう。したがって、本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態に対する修正形態がなされ得る。例えば、修正は、本明細書で開示されたシステム及び装置に対して行われてもよい。当業者には明らかであるように、システム及び装置のコンポーネントは、統合若しくは分離されてもよく、又はシステム及び装置の動作は、より多い、より少ない、若しくは他のコンポーネントによって実行されてもよい。別の例として、本明細書において開示されている方法に対して変更を実施することができる。当業者には明らかであるように、方法は、より多い、より少ない、又は他のステップを含んでもよく、ステップは、任意の適切な順序で実行されてもよい。
【0061】
特許庁及び読者が請求項を解釈するのを助けるために、出願人は、特定の請求項において「のための手段(means for)」又は「のためのステップ(step for)」という単語が明示的に使用されていない限り、請求項又は請求項要素のいずれもが、35U.S.C.§112(f)を想起することを意図していないことを言及しておく。請求項内の他の用語(例えば、「機構」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「コンポーネント」、「要素」、「部材」、「装置」、「機械」、「システム」、「プロセッサ」、又は「コントローラ」)の使用は、出願人により、関連技術における当業者に知られている構造を指すと理解され、35U.S.C.§112(f)を想起することを意図していない。
【国際調査報告】