(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】展開可能な椎体間インプラント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20230901BHJP
【FI】
A61F2/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023508064
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(85)【翻訳文提出日】2023-02-06
(86)【国際出願番号】 US2021043419
(87)【国際公開番号】W WO2022031489
(87)【国際公開日】2022-02-10
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507280675
【氏名又は名称】アルファテック スパイン, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】レイメルズ,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ゼメゾナック,マックス シー.
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA10
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC01
4C097CC03
4C097CC05
4C097CC12
4C097CC18
4C097FF05
4C097MM10
(57)【要約】
【解決手段】本開示は、上側シェル及び下側シェルと、上側シェル及び下側シェル間に上側シェル及び下側シェルの内部に配置されている制御集合体とを備えている展開可能な椎体間インプラントに関する。制御集合体は、調節ねじを用いて互いに動作可能に連結されている入れ子状のケージを有している。調節ねじの回転により、ケージを互いに対して平行移動させ、次に上側シェル及び下側シェルを開く、つまり展開させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開可能な椎体間インプラントであって、
近位端部及び遠位端部を有する上側シェルであって、前記近位端部から前記遠位端部に延びて、第1の脊椎体の下面と係合するように構成されている上面を画定する前記上側シェルであって、2つの側壁を有して少なくとも1つの側壁が少なくとも1つの角度の付いたチャネルを有している前記上側シェルと、
近位端部及び遠位端部を有する下側シェルであって、第2の脊椎体の上面と係合するように構成されている下面を画定する前記下側シェルであって、2つの側壁を有して少なくとも1つの側壁が少なくとも1つの角度の付いたチャネルを有している前記下側シェルと、
連動する近位ケージ及び遠位ケージを有する制御部材であって、前記近位ケージ及び前記遠位ケージと係合するように構成されて長手軸芯を有する調節ねじを更に有している前記制御部材と
を備えており、
前記近位ケージは、前記上側シェル及び前記下側シェルの少なくとも1つの角度の付いたチャネルの1つと係合するように夫々構成されている少なくとも1つの上側の横突出部及び少なくとも1つの下側の横突出部を有しており、
前記遠位ケージは、前記上側シェル及び前記下側シェルの少なくとも1つの角度の付いたチャネルの1つと係合するように夫々構成されている少なくとも1つの上側の横突出部及び少なくとも1つの下側の横突出部を有しており、
前記調節ねじの回転により、前記遠位ケージは前記近位ケージに対して長手方向に移動し、次に前記椎体間インプラントは前記長手軸芯を横切る方向に展開又は収縮する、展開可能な椎体間インプラント。
【請求項2】
前記上側シェル及び前記下側シェルは、遠位側及び近位側の角度の付いた表面を夫々更に有しており、前記遠位ケージ及び前記近位ケージは、前記上側シェル及び前記下側シェルの角度の付いた表面と係合する上側及び下側の角度の付いた表面を更に夫々有している、請求項1に記載の展開可能な椎体間インプラント。
【請求項3】
前記近位ケージ及び前記遠位ケージの角度の付いた表面の少なくとも1つは、前記上側シェル及び/又は前記下側シェルの対応する角度の付いた表面との線状の接触点を実現すべく、丸みを帯びた表面又は円筒形状の表面を画定している、請求項2に記載の展開可能な椎体間インプラント。
【請求項4】
前記円筒形状の表面はピンを含んでいる、請求項3に記載の展開可能な椎体間インプラント。
【請求項5】
前記ピンは、前記ピンが固定されているケージの材料とは異なる材料を含んでいる、請求項4に記載の展開可能な椎体間インプラント。
【請求項6】
前記ピンの材料は、前記ピンの材料が前記ケージの材料と同一である場合に得られる前記ピンと前記上側シェル及び/又は前記下側シェルの角度の付いた表面との摩擦係数より低い摩擦係数を得るべく選択されている、請求項5に記載の展開可能な椎体間インプラント。
【請求項7】
前記横突出部の一又は複数が、前記近位ケージ及び/又は前記遠位ケージに固定されたピンを有しており、前記ピンの少なくとも1つの端部が、少なくとも1つの角度の付いたチャネルに沿って摺動するように構成されている、請求項1~6のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【請求項8】
前記ピンは、前記ピンが固定されているケージの材料とは異なる材料を含んでいる、請求項7に記載の展開可能な椎体間インプラント。
【請求項9】
前記ピンの材料は、前記ピンの材料が前記ケージの材料と同一である場合に得られる前記ピンと前記上側シェル及び/又は前記下側シェルのチャネルとの摩擦係数より低い摩擦係数を得るべく選択されている、請求項8に記載の展開可能な椎体間インプラント。
【請求項10】
前記調節ねじは、前記遠位ケージと螺合して係合し、前記近位ケージに対して一定の長手方向の向きにある、請求項1~9のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【請求項11】
前記調節ねじは、前記近位ケージと螺合して係合し、前記遠位ケージに対して一定の長手方向の向きにある、請求項1~10のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【請求項12】
前記調節ねじは、前記近位ケージ及び前記遠位ケージの両方と螺合して係合する、請求項1~11のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【請求項13】
前記調節ねじは、近位ねじ及び遠位ねじを有する対のねじを含み、前記近位ねじは遠位端部で開口して前記遠位ねじを螺合して受けるように構成されているねじ孔を有している、請求項1~12のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【請求項14】
前記上側シェル及び前記下側シェルの両方は、折り畳まれた構成であるときに前記椎体間インプラントの遠位端部を少なくとも部分的に囲む弾丸状の鼻形状を有するように、夫々の遠位端部で互いに向かって湾曲している、請求項1~13のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【請求項15】
展開された構成であるとき、前記上側シェル、前記下側シェル、前記近位ケージ及び前記遠位ケージは、骨成長のためのチャネルを画定するように前記上側シェルの上面から前記下側シェルの下面に延びている開口部を夫々有している、請求項1~14のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【請求項16】
前記上側シェル、前記下側シェル、前記近位ケージ、前記遠位ケージ及び前記調節ねじの少なくとも1つは多孔質材料を含んでいる、請求項1~15のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【請求項17】
前記多孔質材料は、均一な材料を形成すべく拡散接合されている多孔質シートの層を含んでいる、請求項16に記載の展開可能な椎体間インプラント。
【請求項18】
前記上面は第1の面を画定しており、前記下面は、前記椎体間インプラントが折り畳まれた構成であるときに前記第1の面と実質的に平行な第2の面を画定している、請求項1~17のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【請求項19】
前記椎体間インプラントが展開された構成であるとき、前記第1の面は前記第2の面と実質的に平行である、請求項18に記載の展開可能な椎体間インプラント。
【請求項20】
前記椎体間インプラントが展開された構成であるとき、前記第1の面は前記第2の面と実質的に平行ではない、請求項18に記載の展開可能な椎体間インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、脊椎椎体間デバイス及び椎間体デバイスなどの展開可能なインプラントに関し、より具体的には脊柱に配置した後に展開可能な脊椎椎体間インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
固定ケージ、及び他のタイプの椎体間インプラント及びデバイスは、脊椎手術で椎骨内又は夫々の椎骨間の椎間板腔(椎体間)に使用されることが多い。椎体間デバイスを用いると、隣り合う椎骨の支持及び固定促進のために一又は複数のこのような脊椎体が椎骨間に置かれる。このような固定は、疾患、損傷、一般的な劣化又は先天性の問題が原因で必要になる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ほとんどの脊椎手術の目標は手術自体の外傷を最小限に抑えることである。外傷を最小限に抑える1つの方法は、手術部位に達するために可能な限り小さなアクセスポートを設けることであるが、小さなアクセスポートは、アクセスポートを通過し得るツール及びインプラントの大きさを制限する。
【0004】
しかしながら、幾つかの椎体間デバイスは現在、展開可能に形成されている。展開可能な椎体間インプラントが椎間板腔に更に容易に挿入される及び/又は埋め込まれることができるように、展開可能な椎体間インプラントは、最初は従来の展開不可能な(静的)椎体間インプラントより小さい。展開可能な椎体間インプラントは、椎間板腔に配置されると、特定の患者に必要な展開量を達成するために望ましい大きさに展開される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、上側シェル及び下側シェルと、上側シェル及び下側シェル間に上側シェル及び下側シェルの内部に配置されている制御集合体とを備えている展開可能な椎体間インプラントに関する。制御集合体は、上側シェル及び下側シェルの展開又は収縮を制御するように構成されている。上側シェルは近位端部及び遠位端部を有しており、近位端部から遠位端部に延びて、第1の脊椎体の下面と係合するように構成されている上面を画定している。上側シェルは、近位側に角度の付いたチャネル及び遠位側に角度の付いたチャネルを夫々有する2つの側壁を更に有している。下側シェルは近位端部及び遠位端部を有しており、第2の脊椎体の上面と係合するように構成されている下面を画定している。下側シェルは、近位側に角度の付いたチャネル及び遠位側に角度の付いたチャネルを夫々有する2つの側壁を有している。制御部材は、連動する近位ケージ及び遠位ケージと、長手軸芯を有する調節ねじとを有している。調節ねじは、近位ケージ及び遠位ケージと係合するように構成されている。近位ケージは、上側シェル及び下側シェルの対の近位側に角度の付いたチャネルと係合するように夫々構成されている一対の上側の横突出部及び一対の下側の横突出部を有している。同様に、遠位ケージは、上側シェル及び下側シェルの対の遠位側に角度の付いたチャネルと係合するように夫々構成されている一対の上側の横突出部及び一対の下側の横突出部を有している。調節ねじの回転により、遠位ケージは近位ケージに対して長手方向に移動し、次に椎体間インプラントは長手軸芯を横切る方向に展開又は収縮する。
【0006】
上側シェル及び下側シェルは、遠位側及び近位側の角度の付いた表面を有してもよく、遠位ケージ及び近位ケージは、上側シェル及び下側シェルの角度の付いた表面と係合する上側及び下側の角度の付いた表面を更に有してもよい。近位ケージ及び遠位ケージの角度の付いた表面の少なくとも1つは、上側シェル及び/又は下側シェルの対応する角度の付いた表面との線状の接触点を実現するように、丸みを帯びた表面又は円筒形状の表面を画定してもよい。円筒形状の表面はピンであってもよく、ピンは、ピンが固定されているケージ又はその一部の材料とは異なる材料であってもよい。ピンの材料は、ピンの材料がケージの材料と同一である場合に得られるピンと上側シェル及び/又は下側シェルの傾斜部との摩擦係数より低い摩擦係数を得るべく選択されてもよい。
【0007】
制御集合体の調節ねじは、遠位ケージに螺合して係合してもよく、近位ケージに対して一定の長手方向の向きにあってもよい。調節ねじは近位ケージと螺合して係合してもよく、遠位ケージに対して一定の長手方向の向きにあってもよい。調節ねじは、近位ケージ及び遠位ケージの両方と螺合して係合してもよい。
【0008】
遠位ケージと近位ケージとの相対的な動きが、近位ケージ及び遠位ケージの角度の付いた表面によって上側シェル及び下側シェルの角度の付いた表面に加えられる力によって上側シェル及び下側シェルに移されてもよい。遠位ケージと近位ケージとの相対的な動きが、横突出部と横方向のチャネルとの相互作用によって上側シェル及び下側シェルに移されてもよい。
【0009】
上側シェル及び下側シェルの少なくとも1つは、椎体間インプラントの遠位端部で湾曲してもよい。上側シェル及び下側シェルは、折り畳まれた構成であるときに椎体間インプラントの遠位端部を少なくとも部分的に囲む弾丸状の鼻形状を有するように、夫々の遠位端部で互いに向かって湾曲してもよい。
【0010】
展開された構成であるとき、上側シェル、下側シェル、近位ケージ及び遠位ケージは、骨成長のためのチャネルを画定するように上側シェルの上面から下側シェルの下面に延びている開口部を夫々有してもよい。
【0011】
本明細書に開示されている椎体間インプラントは、少なくとも一部にチタン合金を含んでもよく、又は完全にチタン合金で構成されてもよい。上側シェル、下側シェル、近位ケージ、遠位ケージ及び調節ねじの少なくとも1つは多孔質材料を含んでもよい。多孔質材料は、均一な材料を形成すべく拡散接合されている多孔質シートの層で構成されてもよい。
【0012】
上側シェルの上面及び/又は下側シェルの下面に、多孔質材料の層を含む切り欠き又は凹部が設けられてもよく、多孔質材料は、焼結処理、積層造形処理、又は材料の2以上の多孔質シートの拡散接合の結果であってもよい。多孔質材料は、チタン又は別の適切な金属又はポリマーを含んでもよい。
【0013】
上面は第1の面を画定してもよく、下面は、椎体間インプラントが折り畳まれた構成であるときに第1の面と実質的に平行な第2の面を画定してもよい。椎体間インプラントが展開された構成であるとき、第1の面は第2の面と実質的に平行であってもよい。椎体間インプラントが展開された構成であるとき、第1の面は第2の面と実質的に平行でなくてもよい。上面は第1の面を画定してもよく、下面は第2の面を画定してもよく、椎体間インプラントが折り畳まれているとき、及び椎体間インプラントが展開されているとき、第1の面及び第2の面は互いに実質的に平行であってもよい。
【0014】
上側シェル及び下側シェルは、椎体間インプラントが折り畳まれた構成であるとき、少なくとも部分的に互いに入れ子になるように構成されてもよい。近位ケージ及び遠位ケージは、椎体間インプラントを構造的に支持すべく上側シェル及び下側シェルの側壁の夫々の内面と接するように構成されてもよい。上側シェル又は下側シェルのいずれかの側壁の縁部は突出部を有してもよく、他方のシェルの側壁の縁部は突出部を受けるように凹部を有してもよく、このため、椎体間インプラントが折り畳まれた構成であるときに椎体間インプラントに、より優れた構造的な完全性が与えられる。
【0015】
近位ケージ及び遠位ケージは、上面及び/又は下面を越えて延びている一又は複数の突出部を有してもよく、突出部は、展開可能な椎体間インプラントが展開された構成であるとき、より大きい安定性を上側シェル及び/又は下側シェルに与えてもよい。近位ケージ及び遠位ケージの横突出部は、椎体間インプラントが展開された構成であるときに上面及び下面を通って延びてもよい。
【0016】
本明細書に開示されているような展開可能な椎体間インプラントを埋め込む方法が、本明細書に更に開示されている。このような方法は、挿入体を用いて、折り畳まれた構成の椎体間インプラントを椎間板腔内に配置する工程、挿入体の制御ハンドルを回転させて、次に調節ねじを回転させることにより、椎体間インプラントを展開する工程、及び展開した椎体間インプラントを挿入体から解放する工程を有する。この方法は、展開した椎体間インプラントを挿入体から解放する前に、骨成長を促す材料を、椎体間インプラントの近位端部の開口部を通して椎体間インプラントに注入する工程を更に有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図面に示されている実施形態は本来例示的且つ典型的なものであり、特許請求の範囲によって定義されている主題を限定することを意図するものではない。例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、同様の構造には同様の参照符号が示されている以下の図面と共に読まれるとより理解され得る。
【0018】
【
図1】折り畳まれた構成の展開可能な椎体間インプラントの遠位端部から椎体間インプラントの実施形態を示す斜視図である。
【
図2】椎体間インプラントの近位端部から
図1の実施形態を示す斜視図である。
【
図3】展開された構成で遠位端部から
図1の実施形態を示す斜視図である。
【
図5A】
図4に示されているケージを示す斜視図である。
【
図5B】
図4に示されているケージを示す斜視図である。
【
図6】
図1の実施形態の2つのシェルの一方を示す斜視図である。
【
図7】折り畳まれた構成の展開可能な椎体間インプラントの遠位端部から椎体間インプラントの別の実施形態を示す斜視図である。
【
図8】展開された構成で遠位端部から
図7の実施形態を示す斜視図である。
【
図10】挿入体及び
図7の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、損傷、病気及び/又はその他のために不安定等になる椎骨間又は椎骨内の支持、安定化及び/又は骨成長の促進のために、椎体間固定ケージ又はデバイス、椎体間/椎体内/身体安定化デバイス及び/又はその他(以降(一又は複数の)脊椎デバイスと総称する)として使用されても使用されなくてもよい展開可能な及び/又は動的な(隣り合う椎骨間の)椎体間デバイス、(椎骨内の)椎体内デバイス及び/又は脊椎安定化デバイスに関する。特に、本開示は、人間の脊柱に使用可能である動的な(展開可能な及び/又は展開可能且つ引込可能な)椎体間/椎体内デバイスの様々なバージョンを提供する。
【0020】
図1は、典型的で動的な脊椎椎体間デバイス又は展開可能なインプラント又は椎体間インプラント100 を示す。
図1は、椎体間インプラント100 が展開されていない状態、つまり折り畳まれた状態で椎体間インプラント100 を遠位端部から示す斜視図である。椎体間インプラント100 は上側シェル105 及び下側シェル110 を備えている。上側シェル105 の上面が、第1の脊椎体の下面と接して第1の脊椎体の下面を支持するように構成されている。同様に、下側シェル110 の下面が、第2の脊椎体の上面と接して第2の脊椎体の上面によって支持されるように構成されている。この図示されている実施形態では、上側シェル105 及び下側シェル110 は、第1の椎骨及び第2の椎骨間の椎間腔に置かれた後に椎体間インプラント100 の動きに抵抗するか又はこの動きを最小限に抑えるように構成されている突起部又は歯状体115 を有している。ある実施形態では、被覆及び/又は表面処理で実現され得る粗面が更に又は代わりに設けられている。第1の椎骨及び第2の椎骨は、例えば人間の脊柱のL1-L2, L2-L3, L3-L4, L4-L5又はL5-S1を表すことができる。しかしながら、椎体間インプラント100 は、代わりに胸椎又は頸椎に使用され得る。
【0021】
椎体間インプラント100 は、上側シェル105 及び下側シェル110 の夫々の遠位端部で構成されている遠位端部120 を備えている。遠位端部120 は、先細になっているか又は弾丸の鼻部のような形状を有するように図示されている。遠位端部の先細部分は、椎体間インプラント100 を椎間板腔に挿入する際に役立ち得るが、ある実施形態では、椎体間インプラント100 の遠位端部は全く先細ではない。ある実施形態では、このような先細部分は相対的にまっすぐであるが角度の付いた表面で構成されることができ、ある実施形態では、このような先細部分は一又は複数の湾曲部分を含むことができる。遠位端部120 は、実質的に突起部又は歯状体115 を有さないように図示されている。ある実施形態では、遠位端部120 は完全に滑らかである。ある実施形態では、遠位端部120 は、
図1に示されている突起部又は歯状体115 より多くの突起部又は歯状体を有している。
【0022】
図1は、上側シェル105 及び下側シェル110 の縁部が、以下に更に詳細に説明される制御集合体200 を囲む閉じたシェルを形成するように、展開されていない状態で互いに接することを示している。このような閉じたシェルの構成は、椎体間インプラント100 の構造強度を高めることができ、椎体間インプラントの安定性は、椎体間インプラント100 を患者の椎間板腔に埋め込む場合に望まれる場合がある。しかしながら、ある実施形態では、このような閉じたシェルの構成は望ましくない場合があり、上側シェル105 及び下側シェル110 は、椎体間インプラント100 が折り畳まれた構成であっても、上側シェル105 及び下側シェル110 間に一又は複数の間隙を有してもよい。ある実施形態では、椎体間インプラント100 が折り畳まれた構成であるとき、上側シェル105 及び下側シェル110 は互いに完全に分離されている。
【0023】
図1には、上側シェル105 及び下側シェル110 が水平面及び夫々の側壁の両方を夫々有していることが示されている。図示されていないが、ある実施形態では、側壁の縁部は突出部及び突出部を受けるための対応する孔又はスロットを有し得る。例えば、上側シェル105 の側壁の下面は、展開されていない状態のときに下側シェル110 の側壁の上面の対応する孔によって受けられる一又は複数の突出部を有し得る。このような構成により、展開されていない状態であるときに椎体間インプラント100 の構造的な完全性又は安定性を高めることができ、これは、椎体間インプラント100 が椎間腔に挿入されて、正確に配置されるために圧縮力を受け得る場合に特に有用で有り得る。
【0024】
図1は、上側シェル105 が移植窓125 を有していることを更に示す。同様の移植窓が下側シェル110 及び制御集合体200 に設けられている。これらの移植窓によって、椎体間インプラント100 が埋め込まれた後に椎体間インプラント100 を通した骨成長が可能になる。ある実施形態では、椎体間インプラント100 が展開された構成であるときのみ、制御機構に設けられている移植窓は、上側シェル105 及び下側シェル110 の移植窓と実質的に整列する。これらの移植窓によって、骨成長を引き起こす又は促す材料が、椎体間インプラント100 に挿入されるか又は押し込まれて椎体間インプラント100 から少なくとも部分的に流出し、場合によっては上側椎体及び下側椎体の骨表面と接して相互作用することが更に可能である。ある実施形態では、椎体間インプラント100 は1つの移植窓のみを有するか又は移植窓を有さない。ある実施形態では、椎体間インプラント100 は3以上の移植窓を有し、これらの移植窓は
図1に示されている位置以外の位置で椎体間インプラント100 に配置されてもよい。ある実施形態では、椎体間インプラント100 は、骨成長促進材料が通過し得る多孔質材料を含んでいる。このような多孔質材料によって、椎体間インプラント100 への骨成長を更に可能にし得る。ある実施形態では、以下により詳細に記載されるように、椎体間インプラント100 は、貫通成長の代わりに又は貫通成長に加えて新たな骨の内部成長を達成することが可能である。
【0025】
図2は、上側シェル105 及び下側シェル110 の両方によって形成された近位孔130 を示す椎体間インプラント100 の背面斜視図である。近位孔130 が横スロット135 と共に設けられているため、挿入体を椎体間インプラント100 に固定することが可能であってもよい。近位孔130 によって更に、骨成長促進材料は、場合によっては一又は複数の移植窓125 を通して椎体間インプラント100 内へ通過し得る。挿入体が、以下に更に詳細に記載される制御集合体200 の近位端部に固定する係合部分を更に備えてもよい。横スロット135 は、挿入中、及び椎体間インプラント100 が挿入体に固定されるか又は挿入体から解放されるときに椎体間インプラント100 の回転を防止する又はこの回転に抵抗する。
【0026】
図3は、展開された状態の椎体間インプラント100 を示し、椎体間インプラント100 が展開されたときに上側シェル105 の上面及び下側シェル110 の下面が互いに実質的に平行なままであるように、展開された状態では上側シェル105 及び下側シェル110 が相対的に平行に互いに分離されている。ある実施形態では、制御集合体200 、上側シェル105 及び下側シェル110 の相互作用により、椎体間インプラント100 が展開し、椎体間インプラント100 が完全に展開するときに上面及び下面が平行にならなくなる。
【0027】
椎体間インプラント100 を展開することにより、制御集合体200 が上側シェル105 及び下側シェル110 間で上側シェル105 及び下側シェル110 の内側に配置されていることが部分的に見える。制御集合体200 は、(
図4に示されている)近位ケージ205 、遠位ケージ210 及び調節ねじ215 を有している。近位ケージ205 及び遠位ケージ210 は、椎体間インプラント100 の近位端部及び遠位端部間に延びている長手軸芯に沿った近位ケージ205 及び遠位ケージ210 の相対的な動き又は平行移動を可能にすべく、
図4に更に詳細に示されているように互いに連動するように構成されている。
【0028】
図示されている実施形態では、近位ケージ205 の近位端部を遠位ケージ210 の遠位端部に近づけて、本質的に2つのケージをより近くに共に入れ子にするように調節ねじ215 を回転させるとき、椎体間インプラント100 が展開されていない状態から展開された状態に展開する。ケージの移動により、上側シェル105 及び下側シェル110 の一又は複数の内面に力が加えられ、
図3に示されているように2つのシェルを分離させる。
【0029】
ある実施形態では、近位ケージ205 及び遠位ケージ210 は、互いに離れることにより展開を実現する。このような展開は、上側シェル105 及び下側シェル110 に設けられている(以下に更に詳細に記載される)チャネルを調節することによって、近位ケージ205 及び遠位ケージ210 の移動を本質的に反転させることによって実現される。
【0030】
図2は、近位ケージ205 が、
図10に示されているような挿入体を螺合して受けるように構成されているねじ孔130 を近位端部に有していることを示す。ある実施形態では、挿入体は、椎体間インプラント100 とあらゆる数の他の適した係合手段で係合する。係合手段は、例えば、近位ケージを通した挿入体管の通過を可能にする同様のキー形状の孔に挿入されて、次に内壁に固定されるべく部分的に回転する一又は複数の突出する出張り部を有する挿入体管である。
【0031】
椎体間インプラント100 は、幅並びに非展開高さ及び展開高さより大きい長さを有するように示されている。ある実施形態では、椎体間インプラント100 の幅は図示されている幅より大きく、椎体間インプラントの長さ(又は深さ)に近づく及び/又はこの長さ(又は深さ)を超えてもよい。椎体間インプラント100 の長さ(若しくは深さ)及び/又は幅は、約5mm~約30mm、約10mm~約25mm、又は約15mm~約20mmである。椎体間インプラント100 の非展開高さは、約4mm~約20mm、約6mm~約15mm、又は約7mm~約12mmであり、展開高さは、約12mm~約30mm、約15mm~約25mm、又は約17mm~約20mmである。
【0032】
ある実施形態では、椎体間インプラント100 は部分展開の一又は複数の状態になるように構成されている。例えば、完全に展開すると高さが20mmになる場合、椎体間インプラント100 のある実施形態では、約13mm、約15mm、約17mm又はこれらの値間の値の部分的な高さを占めるように構成される。椎体間インプラント100 は、圧縮力で折り畳まれることなく、これらの部分展開値を維持するように構成されている。これは、調節ねじ215 の回転、又は上側シェル105 及び/若しくは下側シェル110 に対する近位ケージ205 及び/若しくは遠位ケージ210 の動きを制限又は限定する様々な抵抗手段を使用することにより実現され得る。
【0033】
図4は、この実施形態では制御集合体200 が調節ねじ215 を近位ケージ205 に対して固定された関係で保持する保持ピン220 を更に有していることを示す椎体間インプラント100 の分解図である。しかしながら、調節ねじ215 の回転により、調節ねじ215 が近位ケージ205 に対して平行移動するように、調節ねじ215 は近位ケージ205 と螺合して係合してもよいことが理解される。
【0034】
調節ねじ215 のねじ部分が近位ケージ205 の遠位側に延びるように調節ねじ215 は近位ケージ205 の遠位開口部240 を通して挿入され、このポイントで、保持ピン220 が、少なくとも部分的に調節ねじ215 のカラー部分の周りで近位ケージ205 に挿入されることにより、調節ねじ215 が回転し得る。ある実施形態では、保持ピン220 は、調節ねじ215 の望ましくない回転を限定又は防止するように調節ねじ215 の回転に抵抗力を与える。
【0035】
ある実施形態では、調節ねじ215 は、遠位ねじ部分及び近位ねじ部分を有する対のねじであり、遠位ねじ部分は近位ねじ部分のねじ孔内で螺合して係合する。言い換えれば、遠位開口部240 は、場合によってはねじ孔を有してもよい。このようなある実施形態では、遠位ケージ210 はねじ孔を有さないが、代わりに調節ねじ215 の遠位端部と係合する及び/又はこの遠位端部を固定するように構成されている特徴を有している。
【0036】
保持ピン220 は、あらゆる数の適した材料、例えば金属(例えば鋼、チタン、その合金など)又はポリマー(ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリジメチルシロキサン、パリレン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリル酸メチル、シリコーン、ポリイミド、PEEK、ポリウレタン、又はその組み合わせ)を含み得る。ある実施形態では保持ピン220 は内部にねじ込まれ、ある実施形態では保持ピン220 は内部にねじ込まれず、調節ねじ215 に摩擦力を単に加えるだけである。
【0037】
調節ねじ215 の回転によって遠位ケージ210 を近位ケージ205 に対して移動させるように、近位ケージ205 を越えて延びる調節ねじ215 のねじ部分は遠位ケージ210 のねじ山付き遠位開口部又はねじ孔235 と螺合して係合する。ある実施形態では、調節ねじ215 は、遠位ケージ210 に対して固定されて近位ケージ205 と螺合して係合する。ある実施形態では、調節ねじ215 は、2つのケージの夫々の遠位端部ではなく、2つのケージの夫々の近位端部と係合する。
【0038】
図4及び
図6は、下側シェル110 の一方の側壁がチャネル140 及びチャネル145 を有しており、チャネルの1つが遠位側に角度の付いた(チャネル140 )であり、チャネルの1つが近位側に角度の付いた(チャネル145 )であることを示している。下側シェル110 の反対側の側壁は、チャネル140 及びチャネル145 を反映するチャネルを有している。当業者によって理解されるように、これらのチャネルの位置及び角度は、椎体間インプラントの様々なタイプの展開を得るべく調節されてもよい。例えば、ある実施形態では、ケージの逆平行移動が椎体間インプラントの展開を得るために必要であるように、チャネルの位置を逆にすることができる。
【0039】
当業者は、本明細書に記載されて図示されているチャネルが、シェルを内面から外面に貫いて延びるスロットであってもよいことを認識する。当業者は、4つのチャネルが上側シェル及び下側シェルの各々に図示されて記載されているが、4未満のチャネルで同様の結果が得られてもよいことを更に認識する。例えば、場合によっては、上側シェル及び下側シェルの各々のチャネル又はスロットの数は2である。
【0040】
下側シェル110 は、遠位傾斜部150 及び近位傾斜部155 を更に有している。この実施形態における各組の傾斜部は近位斜面及び遠位斜面を有している。上側シェル105 は、同様のチャネル及び傾斜部を有している。ある実施形態では、上側シェル105 及び下側シェル110 は、全体的な形状だけでなく内面及び外面も同一である。ある実施形態では、内面のみが同一であり、外面は異なる。チャネル140 及びチャネル145 は、下側シェル110 に凹部として図示されている。ある実施形態では、チャネルの代わりにシェルを貫通するスロットが使用されてもよい。
【0041】
図4、
図5A及び
図5Bは、近位ケージ205 及び遠位ケージ210 の様々な態様を示している。この図示されている実施形態の各ケージは近位端部及び遠位端部を有しており、近位端部及び遠位端部は、ねじ山付きであってもねじ山付きでなくてもよい開口部又は穿孔を夫々有している。この実施形態の各ケージは、近位ケージ205 及び遠位ケージ210 が共に嵌合することを可能にして2つのケージ間で並進運動を可能にするように構成されている側壁を更に有している。各ケージは4つの横延長部分225 を更に有しており、2つは上側に配置されており、2つは下側に配置されている。近位ケージ205 の上側の横延長部分225 は、上側シェル105 の近位側に角度の付いたチャネルに嵌合して前記チャネルに沿って摺動するように構成されており、遠位ケージ210 の上側の横延長部分225 は、上側シェル105 の遠位側に角度の付いたチャネルに嵌合して前記チャネルに沿って摺動するように構成されている。近位ケージ205 及び遠位ケージ210 の下側の横延長部分225 は、下側シェル110 の近位側及び遠位側に角度の付いた夫々のチャネル145 及びチャネル140 に嵌合して前記チャネルに沿って摺動するように同様に設計されて構成されている。近位ケージ205 及び遠位ケージ210 の長手方向の平行移動により、様々な横延長部分225 が角度の付いたチャネルに沿って摺動し、ある実施形態では上側シェル105 及び下側シェル110 の角度の付いたチャネルに力を加えることにより、2つのシェル部品を分離させる。
【0042】
図4、
図5A及び
図5Bは、近位ケージ205 及び遠位ケージ210 は夫々の遠位端部及び近位端部で傾斜面又は角度の付いた表面を夫々有していることを更に示す。これらの傾斜面又は角度の付いた表面は、上側シェル105 及び下側シェル110 に設けられている夫々の近位傾斜部及び遠位傾斜部と相互作用するように設計されて構成されている。近位ケージ205 及び遠位ケージ210 の長手方向の平行移動により、様々な傾斜面が上側シェル105 及び下側シェル110 の傾斜面に接して、ある実施形態では上側シェル105 及び下側シェル110 の傾斜面に力を加えることにより、2つのシェル部品を分離させる。これらの様々な表面の接触は、椎体間インプラント100 が展開される及び/又は折り畳まれるときに椎体間インプラント100 に全体的な安定性を与えるのに更に役立つ。
【0043】
ある実施形態では、近位ケージ205 及び遠位ケージ210 の様々な傾斜面の一又は複数が、丸みを帯びた表面を有しているか若しくは丸みを帯びた表面で構成されているか、又はある実施形態ではケージと2つのシェルの傾斜面との摩擦を低減するピン若しくは円筒形状要素を有しているか若しくはピン若しくは円筒形状要素で構成されている(例えば、
図9に示されている実施形態参照)。ピン又は円筒形状要素が使用されているある実施形態では、このような要素の材料はケージを構成する材料の摩擦係数より低い摩擦係数を有するように選択されてもよい。ある実施形態では、ピン又は円筒形状要素の表面は、より低い摩擦係数を示すように処理又は調製されている。
【0044】
図示されていないが、ピンは横延長部分225 としての機能を更に果たしてもよい。言い換えれば、近位ケージ205 及び/又は遠位ケージ210 に固定された一又は複数のピンの端部が上側シェル105 及び/又は下側シェル110 の一又は複数のチャネル又はスロットに延びるように、一又は複数のピンは、椎体間インプラント100 の一方の側面又は他方の側面に少なくとも部分的に延びてもよい。
【0045】
図4及び
図5Aは、近位ケージ205 の近位端部に設けられている凹部又は切り欠き250 を更に示している。
図10に示されているように、このような切り欠きは、挿入体を椎体間インプラントにより効果的に固定するだけでなく、椎体間インプラントが展開されているときに椎体間インプラントの回転を更に防止するように挿入器具の一部を受けるように構成されている。
【0046】
図5Aは、近位ケージ205 がねじ山付きの近位孔245 を有していることを示している。この実施形態では、ねじ孔、つまり近位孔245 は、挿入体の係合部材を受けるように構成されており、係合部材はねじ孔、つまり近位孔245 に螺合する。螺合して係合すると、展開ツールが、調節ねじ215 の近位端部を係合して回転させるように係合部材を通過することができ、調節ねじ215 が遠位ケージ210 の遠位端部に設けられている(
図4及び
図5Bに示されている)ねじ孔235 と螺合して係合するので、調節ねじ215 の回転により、遠位ケージ210 が近位ケージ205 に対して移動することにより、椎体間インプラント100 は、調節ねじ215 が回転する方向に応じて折り畳まれるか又は展開する。
【0047】
ある実施形態では、上側シェル105 及び下側シェル110 の一方又は両方が多孔質材料を含んでおり、多孔質材料は金属、ポリマー又はこれら2つの組み合わせとすることが可能である。ある実施形態では、上側シェル105 及び下側シェル110 の一方又は両方が、一又は複数の外面に切り欠き又は凹部を有し、切り欠き又は凹部は、一又は複数の外面の切り欠き又は凹部を占めるように構成されている多孔質材料の層を収容する。ある実施形態では、多孔質材料の層は、椎体間インプラント100 の上面及び/又は下面に単に取り付けられているか又は固定されており、切り欠きを使用しないか又は必要としない。ある実施形態では、多孔質材料は、多孔質シートの一又は複数の層、例えば多孔質チタンのシートの一又は複数の層である。多孔質チタンの一又は複数の層は、上側シェル105 及び/又は下側シェル110 の一又は複数の外面に且つ互いに拡散接合され得る。ある実施形態では、多孔質材料は移植窓の一方又は両方を囲んでいるか、移植窓の一方又は両方に隣り合っているか、或いは移植窓の一方又は両方と取り換えられる。ある実施形態では、多孔質材料は、椎体間インプラント100 の上面若しくは下面に加えて又は椎体間インプラント100 の上面若しくは下面の代わりに一又は複数の側壁に配置されている。
【0048】
図4に示されている構成要素は、一若しくは複数の金属又は一若しくは複数のポリマーなどのあらゆる適した材料で形成され得る。このような材料には、チタン、鋼、コバルト、金、白金、銀、イリジウム、タンタル、タングステン、これらの合金、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリジメチルシロキサン、パリレン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリイミド、PEEK、ポリウレタン及びこれらのあらゆる組み合わせが含まれる。ある実施形態では、
図4に示されている構成要素の一又は複数は多孔質材料を含んでいる。多孔質材料には、多孔質金属、多孔質ポリマー、又はこれら2つの混合物が含まれ得る。例えば、ある実施形態では、一又は複数の構成要素は多孔質チタンを含んでいるか又は多孔質チタンから製造されている。ある実施形態では、多孔質チタンには、一体物を形成すべく互いに拡散接合された多孔質チタンの層状シートが含まれる。ある実施形態では、上側シェル105 、下側シェル110 、遠位ケージ210 及び近位ケージ205 の一又は複数は、互いに拡散接合された多孔質チタンの層状シートから製造されているか又は前記層状シートを含んでいる。このような多孔質の構成要素を使用することにより、存在すれば単に移植窓を通してではなく、椎体間インプラント100 自体を通して及び/又は椎体間インプラント100 自体への骨成長が可能になる。
【0049】
図7は、上述した椎体間インプラント100 と略同様に動作する展開可能な椎体間インプラント300 の別の実施形態を示すが、椎体間インプラント300 は前湾展開のタイプを実現する。椎体間インプラント300 は上側シェル305 及び下側シェル310 を備えており、上側シェル305 及び下側シェル310 は遠位端部及び近位端部を夫々有している。両方のシェルの遠位端部は、先細端部又は弾丸状の鼻部に形成されている。
【0050】
上側シェル305 は上面を有しており、下側シェル310 は下面を有している。
図7は、椎体間インプラント300 が折り畳まれた構成である場合に上側シェル及び下側シェルの上面及び下面が平行ではないことを示している。
図8は、展開されている構成の椎体間インプラント300 を示す。この実施形態では、2つのシェルの上面及び下面間の角度は、折り畳まれた構成と展開された構成との間で相対的に一定のままである。ある実施形態では、上面及び下面間の角度は、折り畳まれた構成と展開された構成との間で同一ではない。上面及び下面間の角度のこのような変化は、上側シェル305 及び下側シェル310 の様々な角度の付いたチャネルの角度を調節することによって実現されてもよい。
【0051】
ある実施形態では、展開された構成における上面及び下面間の角度は、約1度より大きく、約3度より大きく、約5度より大きく、約10度より大きく、約15度より大きく、又は約25度より大きい。ある実施形態では、展開された構成における上面及び下面間の角度は、約40度より小さく、約35度より小さく、約30度より小さく、約25度より小さく、約20度より小さく、又は約15度より小さい。ある実施形態では、展開された構成における上面及び下面間の角度は、約1度~約10度の範囲内であり、約5度~約15度の範囲内であり、約10度~約20度の範囲内であり、約15度~約25度の範囲内であり、又は約20度~約30度の範囲内である。
【0052】
図8は、椎体間インプラント300 が、近位ケージ405 、遠位ケージ410 及び調節ねじ(不図示)を有している制御集合体400 を含んでいることを示す。制御集合体200 と同様に、制御集合体400 の調節ねじの回転により、近位ケージ405 及び遠位ケージ410 が互いに平行移動し、次に上側シェル305 及び下側シェル310 が展開する。
【0053】
様々な実施形態によって示されているように、本開示に係る展開可能な椎体間インプラントは、ほとんど又は全く前湾角又は実質的な前湾角を示さない場合がある。言い換えれば、上側シェルの上面と下側シェルの下面との間の角度は、(椎体間インプラント100 によって示されているように)略平行であるか若しくは約0°であってもよく、又は、この角度は、(椎体間インプラント300 によって示されているように)0°より大きくてもよく、例えば約5°~約40°の範囲内であってもよい。
【0054】
椎体間インプラント300 のある実施形態では、上側シェル305 の上面と下側シェル310 の下面との間の角度は、約4°~約11°の範囲内であり、約9°~約16°の範囲内であり、約14°~約21°の範囲内であり、約19°~約26°の範囲内であり、約24°~約31°の範囲内であり、約29°~約36°の範囲内であり、又は約34°~約41°の範囲内である。ある実施形態では、この角度は、約45°より小さく約2°より大きく、約35°より小さく5°より大きく、約30°より小さく約10°より大きく、又は約25°より小さく約15°より大きい。
【0055】
ある実施形態では、上側シェル305 の上面と下側シェル310 の下面との間の最初の角度(つまり、椎体間インプラント300 が折り畳まれているか又は展開されていない状態であるとき)は、最終の角度(つまり、椎体間インプラント300 が展開された状態であるとき)と実質的に同一である。ある実施形態では、最初の角度及び最終の角度は同一ではない。例えば、制御集合体400 は、例えば横突出部の位置を調節する及び/又はシェルの様々な角度の付いたチャネルの角度を調節することにより、上側シェル305 及び下側シェル310 が展開されたときに上側シェル305 及び下側シェル310 の角度を変えるように上側シェル305 及び下側シェル310 と相互作用するように構成されてもよい。同様に、制御集合体200 は、上側シェル105 及び下側シェル110 が展開されたときに上側シェル105 及び下側シェル110 の角度を変えるように上側シェル105 及び下側シェル110 と相互作用するように構成されてもよい。このような実施形態では、最初の角度と最終の角度との差は、約1°及び約20°を含んで約1°~約20°の間のあらゆる値であってもよい。ある実施形態では、角度差は約2°~約6°の範囲内、約5°~約9°の範囲内、約8°~約12°の範囲内、約11°~約15°の範囲内、又は約14°~約18°の範囲内である。
【0056】
図9は、この実施形態では制御集合体400 が調節ねじ415 を近位ケージ405 に対して固定された関係で保持する保持ピン420 を更に有していることを示す椎体間インプラント300 の分解図である。調節ねじ415 のねじ部分が近位ケージ405 の遠位側に延びるように調節ねじ415 は近位ケージ405 の遠位開口部を通して挿入され、このポイントで、保持ピン420 が、少なくとも部分的に調節ねじ415 のカラー部分の周りで近位ケージ405 に挿入されることにより、調節ねじ415 が回転し得る。ある実施形態では、保持ピン420 は、調節ねじ415 の望ましくない回転を限定又は防止するように調節ねじ415 の回転に抵抗力を与える。
【0057】
調節ねじ415 の回転によって遠位ケージ410 を近位ケージ405 に対して移動させるように、近位ケージ405 を越えて延びる調節ねじ415 のねじ部分は遠位ケージ410 のねじ山付き遠位開口部と螺合して係合する。ある実施形態では、調節ねじ415 は、遠位ケージ410 に対して固定されて近位ケージ405 と螺合して係合する。ある実施形態では、調節ねじ415 は、2つのケージの夫々の遠位端部ではなく、2つのケージの夫々の近位端部と係合する。
【0058】
図9は、下側シェル310 の一方の側壁がチャネル340 及びチャネル345 を有しており、チャネルの1つが遠位側に角度の付いた(チャネル345 )であり、チャネルの1つが近位側に角度の付いた(チャネル340 )であることを示している。下側シェル310 の反対側の側壁は、チャネル340 及びチャネル345 を反映するチャネルを有している。当業者によって理解されるように、これらのチャネルの位置及び角度は、椎体間インプラントの様々なタイプの展開を得るべく調節されてもよい。例えば、ある実施形態では、ケージの逆平行移動が椎体間インプラントの展開を得るために必要であるように、チャネルの位置を逆にすることができる。ある実施形態では、チャネルは、シェルを完全に貫いて延びているスロットであってもよい。
【0059】
図9は、近位ケージ405 及び遠位ケージ410 の様々な態様を示している。この図示されている実施形態の各ケージは近位端部及び遠位端部を有しており、近位端部及び遠位端部は、ねじ山付きであってもねじ山付きでなくてもよい開口部又は穿孔を夫々有している。この実施形態の各ケージは、近位ケージ405 及び遠位ケージ410 が共に嵌合することを可能にして2つのケージ間で並進運動を可能にするように構成されている側壁を更に有している。各ケージは4つの横延長部分を更に有しており、2つは上側に配置されており、2つは下側に配置されている。近位ケージ405 の上側の横延長部分は、上側シェル305 の近位側に角度の付いたチャネルに嵌合して前記チャネルに沿って摺動するように構成されており、遠位ケージ410 の上側の横延長部分は、上側シェル305 の遠位側に角度の付いたチャネルに嵌合して前記チャネルに沿って摺動するように構成されている。近位ケージ405 及び遠位ケージ410 の下側の横延長部分は、下側シェル310 の近位側及び遠位側に角度の付いた夫々のチャネルに嵌合して前記チャネルに沿って摺動するように同様に設計されて構成されている。近位ケージ405 及び遠位ケージ410 の長手方向の平行移動により、様々な横延長部分が角度の付いたチャネルに沿って摺動し、ある実施形態では上側シェル305 及び下側シェル310 の角度の付いたチャネルに力を加えることにより、2つのシェルを分離させる。
【0060】
図9は、近位ケージ405 及び遠位ケージ410 が夫々の遠位端部及び近位端部で傾斜面又は角度の付いた表面を夫々有していることを更に示す。これらの傾斜面又は角度の付いた表面は、上側シェル305 及び下側シェル310 に設けられている夫々の近位傾斜部及び遠位傾斜部と相互作用するように設計されて構成されている。近位ケージ405 及び遠位ケージ410 の長手方向の平行移動により、様々な傾斜面が上側シェル305 及び下側シェル310 の傾斜面に接して、ある実施形態では上側シェル305 及び下側シェル310 の傾斜面に力を加えることにより、2つのシェル部品を分離させる。これらの様々な表面の接触は、椎体間インプラント300 が展開される及び/又は折り畳まれるときに椎体間インプラント300 に全体的な安定性を与えるのに更に役立つ。
【0061】
図9は、制御集合体400 がピン455 を有していることを示している。ある実施形態では、ピン455 は、丸みを帯びた表面と取り替えられている。ピン455 は、近位ケージ及び遠位ケージと2つのシェルの傾斜面との摩擦を低減するように構成されてもよい。ピン455 の材料は、近位ケージ及び遠位ケージを構成する材料の摩擦係数より低い摩擦係数を有するように選択されてもよい。ある実施形態では、ピン455 の表面は、より低い摩擦係数を示すように処理又は調製されている。
【0062】
ピン455 の一又は複数は、チャネル340, 345及び図示されていない他のチャネルの一又は複数で摺動するように更に構成されてもよい。このような配置では、一又は複数のピンは、チャネルに沿って摺動する横延長部分と取り替えられることになる。
【0063】
図10は、椎体間インプラント300 と共に使用され得る挿入体500 を示す。同様の挿入体が椎体間インプラント100 と共に使用されてもよい。挿入体500 は、ハンドル部分505 、細長部分510 及び係合部分515 を備えており、係合部分515 は、係合機構520 及び係合突起体525 を有する係合集合体を含んでおり、係合機構520 及び係合突起体525 の両方は、椎体間インプラント300 の近位端部の対応する特徴と対になって係合するように構成されている。具体的には、この実施形態における係合機構520 は、近位ケージ405 のねじ部分と螺合して係合するねじ部分を有している。同時的に、係合突起体525 は、椎体間インプラント300 の近位端部に設けられている凹部又はキャビティと係合する。凹部又はキャビティは、上側シェル305 及び下側シェル310 に形成されてもよく、或いは、夫々のシェルのキャビティに加えて、キャビティが近位ケージ405 に形成されてもよい。このような構成により、挿入体500 は、近位ケージ405 に挿入力全体を受けさせるのではなく、挿入力又は圧縮力をシェル部分に分配することが可能である。
【0064】
当業者は、(図示されていない)展開ツールが椎体間インプラント300 (又は椎体間インプラント100 )内に延びて制御集合体400 (又は制御集合体200 )と係合するように挿入体500 を通って挿入され得るべく、係合機構520 が挿入体500 の長さ分延びている管腔又はカニューレ構造の遠位端部を表すことを認識する。このような展開ツールの回転により、制御集合体400 は椎体間インプラント300 を展開させるか又は折り畳む。挿入体500 の長さ分延びている管腔により、椎体間インプラント300 が椎間板腔に望ましく配置されて望ましい程度に展開されると、骨成長促進材料が挿入体500 を通って椎体間インプラント300 に入ることが更に可能になる。
【0065】
椎体間インプラント300 への取り付け及び椎体間インプラント300 からの取り外しは、制御ノブ530 を回転させて、次に取付機構520 を回転させることにより行われ得る。ある実施形態では、挿入体500 は、椎体間インプラント300 によって得られる展開度に関する情報をユーザに与える(上述した展開ツールと共に動作する)展開インジケータを更に備えている。展開インジケータは、椎体間インプラント300 (又は椎体間インプラント100 )が椎間腔に挿入されたときに展開が見えない場合があるので外科医にとって特に有用であり得る。更に、透視画像は、その位置で得られる展開度に関する正確な情報を外科医に与える可能性が低い。展開インジケータが、展開率の値を与えてもよく、及び/又は、椎体間インプラントが達する高さを示してもよい。例えば、椎体間インプラント300 が、完全に展開されたときに10mmの最終の高さに達するように構成されている場合、展開インジケータは、その高さの何パーセント又はどの部分に達したかを示す。椎体間インプラントが(挿入される前の)展開されていない状態であるとき、展開インジケータは、0%の展開率又は達した高さが0mmであることを示す。最終の展開高さが10mmであり、最初の非展開高さが5mmであると仮定すると、椎体間インプラントが約7.5 mmに展開された場合に展開インジケータは50%の展開率を示し、椎体間インプラントが約10mmに展開されると、展開インジケータは100 %の展開率を示す。
【0066】
椎体間インプラント100 (及び椎体間インプラント300 )は、任意の数の適した方法を使用して患者に外科的に埋め込まれてもよい。ある実施形態では、椎体間インプラント100 を埋め込む方法は、挿入体500 の遠位端部を近位ケージ205 の近位端部に係合する最初の工程を有する。この工程は、挿入体500 の係合機構520 を近位ケージ205 の近位端部と接触させて係合ノブ530 を回転させ、次に係合機構520 を回転させて係合機構520 のねじを近位ケージ205 のねじ孔、つまり近位孔130 のねじ山と係合させることによって行われる。係合突起体525 が、近位ケージ205 の近位端部並びに上側シェル105 及び下側シェル110 の夫々の側壁の近位端部に形成された椎体間インプラント100 の近位端部の夫々のスロットに完全に進むまで係合ノブ530 を回転させる。挿入体500 が椎体間インプラント100 と係合している状態で、展開ツールが挿入体500 を通して挿入されて、展開ツールの遠位端部を調節ねじ215 と係合させることが可能である。ある実施形態では、挿入体500 が椎体間インプラント100 と係合する前に展開ツールは挿入体500 内の所定の位置に既に存在する。
【0067】
椎体間インプラント100 が挿入体500 に固定されている状態で、椎体間インプラント100 は椎間板腔内に配置されて所望通りに配置される。椎体間インプラント100 の所望の場所への配置は、X線透視を使用して行われ得る。このために、椎体間インプラント100 の構成要素の一又は複数が少なくとも部分的にX線不透過性を有することができる。ある実施形態では、椎体間インプラント100 は一又は複数のX線不透過性マーカを備えており、X線不透過性マーカの主な目的は、椎間板腔への椎体間インプラント100 の適切な配置を支援することである。ある実施形態では、椎体間インプラント100 が椎間板腔内に適切に配置されるまで、展開ツールは挿入体500 を通して挿入されない。展開ツールを挿入する前に椎体間インプラント100 が配置される実施形態では、挿入体500 の近位端部は、椎体間インプラント100 を適切に配置するために必要とされ得るハンマーブローを受けて耐えるように構成され得る。
【0068】
椎体間インプラント100 が適切に配置されている状態で、この段階で挿入体500 を通して挿入される必要が有り得る展開ツールを回転させて、調節ねじ215 を回転させることにより、制御集合体200 が椎体間インプラント100 を展開させる。この展開は、近位ケージ205 及び遠位ケージ210 が互いに対して長手方向に移動するときに行われる。2つのケージを移動させることにより、上側シェル105 及び下側シェル110 に外向きの圧力が加えられる。ある実施形態では、この外向きの圧力は、角度の付いたチャネル140, 145に沿って摺動する横延長部分225 から生じる。ある実施形態では、この外向きの圧力は、上側シェル105 及び下側シェル110 の内部の傾斜面に押し付ける近位ケージ205 及び遠位ケージ210 の先細面又は角度の付いた表面から生じる。ある実施形態では、この外向きの圧力は、これらの構造的相互作用の組み合わせから生じる。
【0069】
所望の展開量に達するまで展開ツールを回転させ続けることにより、椎体間インプラント100 は展開する。展開量は、展開インジケータを使用して又はX線透視を使用して観察され得る。
【0070】
所望の展開量に達すると、展開ツールが挿入体500 から外される。ある実施形態では、次に、生物製剤又は骨成長を促す材料を挿入体500 のカニューレ構造を介して注入することにより、生物製剤又は骨成長を促す材料を椎体間インプラント100 に注入する。ある実施形態では、挿入体が椎体間インプラント100 から外された後にこのような材料を椎体間インプラント100 又は椎体間インプラント100 を囲む空間に注入する。椎体間インプラント100 の配置に影響を及ぼすことなく、挿入体500 の遠位先端部が外科的空間から自由に引き出され得るまで係合ノブ530 を回すことにより、挿入体が外される。
【0071】
図示されていないが本開示の更に別の実施形態では、他の実施形態の同一の部品及び構成の多くが使用される。しかしながら、近位ケージの遠位開口部はねじ山付きであり、調節ねじの雄ねじと螺合して係合する。更に、ある実施形態では、調節ねじは、遠位端部で開口しているねじ孔を有する近位ねじと、近位ねじのねじ孔に螺合して係合する遠位ねじとを有する対のねじであるため、近位ねじの回転により、遠位ケージとの係合によって回転が防止されている遠位ねじが、近位ねじ単独で達する量より大きい量、平行移動する。このような実施形態では、遠位ねじの遠位端部が、遠位ねじを回転させて固定する方法で遠位ケージと係合する。このような方法は、非円形の遠位端部を遠位ケージの非円形孔に単に嵌合することにより、及び/又は、展開するように遠位ケージを平行移動させるだけではなく椎体間インプラントを折り畳むように逆に平行移動させるクロスピン又は他の手段を用いて遠位ねじの遠位端部を遠位ケージと固定することにより行われ得る。
【0072】
本明細書に記載されているように対のねじの使用には幾つもの利点が有り得るが、本開示の執筆者らは、このような構成が椎体間インプラントでの摩擦を低減し、より少ないトルクが、椎間板腔内の圧力下で椎体間インプラントを展開するために使用され得ることを発見した。
【0073】
実施形態
以下の実施形態は、本開示の執筆者らが検討している特定の構成、材料、配置などの例としてのみ提供されている。
【0074】
実施形態1.展開可能な椎体間インプラントであって、
近位端部及び遠位端部を有する上側シェルであって、近位端部から遠位端部に延びて、第1の脊椎体の下面と係合するように構成されている上面を画定する上側シェルであって、近位側に角度の付いたチャネル及び遠位側に角度の付いたチャネルを夫々有する2つの側壁を有する上側シェルと、
近位端部及び遠位端部を有する下側シェルであって、第2の脊椎体の上面と係合するように構成されている下面を画定する下側シェルであって、近位側に角度の付いたチャネル及び遠位側に角度の付いたチャネルを夫々有する2つの側壁を有する下側シェルと、
連動する近位ケージ及び遠位ケージを有する制御部材であって、近位ケージ及び遠位ケージと係合するように構成されて長手軸芯を有する調節ねじを更に有している制御部材と
を備えており、
近位ケージは、上側シェル及び下側シェルの対の近位側に角度の付いたチャネルと係合するように夫々構成されている一対の上側の横突出部及び一対の下側の横突出部を有しており、
遠位ケージは、上側シェル及び下側シェルの対の遠位側に角度の付いたチャネルと係合するように夫々構成されている一対の上側の横突出部及び一対の下側の横突出部を有しており、
調節ねじの回転により、遠位ケージは近位ケージに対して長手方向に移動し、次に椎体間インプラントは長手軸芯を横切る方向に展開又は収縮する、展開可能な椎体間インプラント。
【0075】
実施形態2.展開可能な椎体間インプラントであって、
近位端部及び遠位端部を有する上側シェルであって、近位端部から遠位端部に延びて、第1の脊椎体の下面と係合するように構成されている上面を画定する上側シェルであって、2つの側壁を有し、少なくとも1つの側壁が少なくとも1つの角度の付いたチャネルを有している上側シェルと、
近位端部及び遠位端部を有する下側シェルであって、第2の脊椎体の上面と係合するように構成されている下面を画定する下側シェルであって、2つの側壁を有し、少なくとも1つの側壁が少なくとも1つの角度の付いたチャネルを有している下側シェルと、
連動する近位ケージ及び遠位ケージを有する制御部材であって、近位ケージ及び遠位ケージと係合するように構成されて長手軸芯を有する調節ねじを更に有している制御部材と
を備えており、
近位ケージは、上側シェル及び下側シェルの少なくとも1つの角度の付いたチャネルの1つと係合するように夫々構成されている少なくとも1つの上側の横突出部及び少なくとも1つの下側の横突出部を有しており、
遠位ケージは、上側シェル及び下側シェルの少なくとも1つの角度の付いたチャネルの1つと係合するように夫々構成されている少なくとも1つの上側の横突出部及び少なくとも1つの下側の横突出部を有しており、
調節ねじの回転により、遠位ケージは近位ケージに対して長手方向に移動し、次に椎体間インプラントは長手軸芯を横切る方向に展開又は収縮する、展開可能な椎体間インプラント。
【0076】
実施形態3.上側シェル及び下側シェルは、遠位側及び近位側の角度の付いた表面を夫々更に有しており、遠位ケージ及び近位ケージは、上側シェル及び下側シェルの角度の付いた表面と係合する上側及び下側の角度の付いた表面を更に夫々有している、実施形態1又は2に記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0077】
実施形態4.近位ケージ及び遠位ケージの角度の付いた表面の少なくとも1つは、上側シェル及び/又は下側シェルの対応する角度の付いた表面との線状の接触点を実現するように、丸みを帯びた表面又は円筒形状の表面を画定している、実施形態3に記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0078】
実施形態5.円筒形状の表面はピンを含んでいる、実施形態4に記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0079】
実施形態6.ピンは、ピンが固定されているケージの材料とは異なる材料を含んでいる、実施形態5に記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0080】
実施形態7.ピンの材料は、ピンの材料がケージの材料と同一である場合に得られるピンと上側シェル及び/又は下側シェルの角度の付いた表面との摩擦係数より低い摩擦係数を得るべく選択されている、実施形態6に記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0081】
実施形態8.横突出部の一又は複数が、近位ケージ及び/又は遠位ケージに固定されたピンを有しており、ピンの少なくとも1つの端部が、少なくとも1つの角度の付いたチャネルに沿って摺動するように構成されている、実施形態1~7のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0082】
実施形態9.ピンは、ピンが固定されているケージの材料とは異なる材料を含んでいる、実施形態8に記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0083】
実施形態10.ピンの材料は、ピンの材料がケージの材料と同一である場合に得られるピンと上側シェル及び/又は下側シェルのチャネルとの摩擦係数より低い摩擦係数を得るべく選択されている、実施形態9に記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0084】
実施形態11.調節ねじは、遠位ケージと螺合して係合し、近位ケージに対して一定の長手方向の向きにある、実施形態1~10のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0085】
実施形態12.調節ねじは、近位ケージと螺合して係合し、遠位ケージに対して一定の長手方向の向きにある、実施形態1~10のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0086】
実施形態13.調節ねじは、近位ケージ及び遠位ケージの両方と螺合して係合する、実施形態1~10のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0087】
実施形態14.調節ねじは、近位ねじ及び遠位ねじを有する対のねじを含み、近位ねじは、遠位端部で開口して遠位ねじを螺合して受けるように構成されているねじ孔を有している、実施形態1~13のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0088】
実施形態15.遠位ケージと近位ケージとの相対的な動きが、近位ケージ及び遠位ケージの角度の付いた表面によって上側シェル及び下側シェルの角度の付いた表面に加えられる力によって上側シェル及び下側シェルに移される、実施形態3~14のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0089】
実施形態16.遠位ケージと近位ケージとの相対的な動きが、横突出部と横方向のチャネルとの相互作用によって上側シェル及び下側シェルに移される、実施形態1~15のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0090】
実施形態17.上側シェル及び下側シェルの少なくとも1つは遠位端部で湾曲している、実施形態1~16のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0091】
実施形態18.上側シェル及び下側シェルの両方は、折り畳まれた構成であるときに椎体間インプラントの遠位端部を少なくとも部分的に囲む弾丸状の鼻形状を有するように、夫々の遠位端部で互いに向かって湾曲している、実施形態1~17のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0092】
実施形態19.展開された構成であるとき、上側シェル、下側シェル、近位ケージ及び遠位ケージは、骨成長のためのチャネルを画定するように上側シェルの上面から下側シェルの下面に延びている開口部を夫々有している、実施形態1~18のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0093】
実施形態20.チタン合金を含んでいる、実施形態1~19のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0094】
実施形態21.チタン合金で構成されている、実施形態1~19のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0095】
実施形態22.上側シェル、下側シェル、近位ケージ、遠位ケージ及び調節ねじの少なくとも1つは多孔質材料を含んでいる、実施形態1~21のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0096】
実施形態23.多孔質材料は、均一な材料を形成すべく拡散接合されている多孔質シートの層を含んでいる、実施形態22に記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0097】
実施形態24.上面は第1の面を画定しており、下面は、椎体間インプラントが折り畳まれた構成であるときに第1の面と実質的に平行な第2の面を画定している、実施形態1~23のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0098】
実施形態25.展開可能な椎体間インプラントが展開された構成であるとき、第1の面は第2の面と実質的に平行である、実施形態24に記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0099】
実施形態26.展開可能な椎体間インプラントが展開された構成であるとき、第1の面は第2の面と実質的に平行ではない、実施形態24に記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0100】
実施形態27.上面は第1の面を画定しており、下面は第2の面を画定しており、展開可能な椎体間インプラントが折り畳まれた構成であるとき、及び展開可能な椎体間インプラントが展開された構成であるとき、第1の面及び第2の面は互いに実質的に平行である、実施形態1~23のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0101】
実施形態28.展開可能な椎体間インプラントが折り畳まれた構成であるとき、上側シェル及び下側シェルは、少なくとも部分的に互いに入れ子になるように構成されている、実施形態1~27のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0102】
実施形態29.近位ケージ及び遠位ケージは、椎体間インプラントを構造的に支持すべく上側シェル及び下側シェルの側壁の夫々の内面と接するように構成されている側壁を更に有している、実施形態1~28のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0103】
実施形態30.上側シェル又は下側シェルのいずれかの側壁の縁部は突出部を有しており、他方のシェルの側壁の縁部は、椎体間インプラントが折り畳まれた構成であるとき、より優れた構造的な完全性を椎体間インプラントに与えるべく突出部を受けるように構成されている凹部を有している、実施形態1~29のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0104】
実施形態31.上側シェルの上面及び/又は下側シェルの下面に、多孔質材料の層を含む切り欠き又は凹部が設けられている、実施形態1~30のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0105】
実施形態32.多孔質材料の層は、多孔質チタン合金の一又は複数の拡散接合されたシートを含んでいる、実施形態31に記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0106】
実施形態33.近位ケージ及び遠位ケージの少なくとも1つは、展開可能な椎体間インプラントが展開された構成であるとき、より大きい安定性を上側シェル及び/又は下側シェルに与えるように上面及び/又は下面を越えて延びている一又は複数の突出部を有している、実施形態1~32のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0107】
実施形態34.近位ケージ及び遠位ケージの横突出部は、椎体間インプラントが展開された構成であるときに上面及び下面を通って延びている、実施形態1~32のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0108】
実施形態35.近位ケージの近位端部は、骨成長促進材料を受けるための開口部を有している、実施形態1~34のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0109】
実施形態36.上側シェル及び下側シェルの近位端部は、挿入体を係合するように構成されている挿入体係合面を有している、実施形態1~35のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラント。
【0110】
実施形態37.実施形態1~36のいずれか1つに記載の展開可能な椎体間インプラントを埋め込む方法であって、
挿入体を用いて、折り畳まれた構成の椎体間インプラントを椎間板腔内に配置し、
挿入体の制御ハンドルを回転させて、次に調節ねじを回転させることにより、椎体間インプラントを展開し、
展開した椎体間インプラントを挿入体から解放する、方法。
【0111】
実施形態38.展開した椎体間インプラントを挿入体から解放する前に、骨成長を促す材料を、椎体間インプラントの近位端部の開口部を通して椎体間インプラントに注入する、実施形態37に記載の方法。
【0112】
特定の実施形態が本明細書に示されて記載されているが、請求する主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び調整がなされ得ることを理解されたい。更に、請求する主題の種々の態様が本明細書に記載されているが、このような態様は組み合わせて利用される必要はない。
【0113】
特に示されていない限り、明細書及び特許請求の範囲に使用されている成分の量、例えば分子量、反応条件などの特性を表す全ての数は、「約」という用語によって全ての例で変更されると理解されるべきである。従って、反対に示されていない限り、明細書及び添付された特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本開示の実施形態によって得ようとされている所望の特性に応じて異なってもよい近似である。少なくとも、特許請求の範囲の均等物の原則の適用を制限しようとすることなく、各数値パラメータは、記載された有効数字の数を考慮して通常の丸め手法を適用することにより少なくとも解釈されるべきである。本開示の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータが近似であるにもかかわらず、具体的な例に記載されている数値は可能な限り正確に記載されている。しかしながら、あらゆる数値は、夫々のテスト測定で得られた標準偏差から必然的に生じるある誤差を本質的に含む。一実施形態では、「約」及び「略」という用語は、示された範囲の10%内の数値パラメータを表す。
【0114】
本開示の実施形態を記載するという観点で(特に以下の特許請求の範囲の観点で)使用される「a」、「an」、「the 」という用語及び同様の言及は、本明細書に特に示されていない限り、又は明らかに文脈と矛盾していない限り、単数及び複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、この範囲内にある夫々の別個の値を個々に参照する簡単な方法として機能することを単に意図している。本明細書に特に示されていない限り、夫々の個々の値は、本明細書に個々に記載されているかのように明細書に組み込まれる。本明細書に記載されている全ての方法は、本明細書に特に示されていない限り、又は明らかに文脈と矛盾していない限り、あらゆる適切な順序で行われ得る。本明細書に記載されているあらゆる全ての例又は例示的な文言(例えば「など」)の使用は、本開示の実施形態を更に明らかにすることを単に意図しており、本開示の範囲に制限を与えるものではない。本明細書に記載されている文言は、本開示の実施形態の実施に不可欠な、あらゆる請求されていない要素を示すと解釈されるべきではない。
【0115】
本明細書に開示されている代替の要素又は実施形態のグループ化は制限と解釈されるべきではない。各グループメンバーは、個々に、又はグループの他のメンバー若しくは本明細書に記載されている他の要素とのあらゆる組み合わせで参照されて請求され得る。グループの一又は複数のメンバーが、簡便性及び/又は特許性のためのグループに含まれてもよく又はこのようなグループから削除されてもよいと予測される。このようなあらゆる包含又は削除が生じると、明細書は、添付の特許請求の範囲に使用されている全てのマーカッシュグループの記載を満たすように変更されたグループを含むとみなされる。
【0116】
本開示の一又は複数の執筆者が本開示の実施形態を実施するために知られている最善の方法を含む、ある実施形態が本明細書に記載されている。言うまでもなく、これらの記載された実施形態の変形例が、上記の記載を読むと当業者に明らかになる。本開示の一又は複数の執筆者は、当業者が、このような変形例を適切に採用することを予想し、本開示の実施形態が本明細書に具体的に記載されている方法以外の方法で実施されることを意図している。従って、本開示は、適用可能な特許法で許可されているように、本願に添付されている特許請求の範囲に記載されている主題の全ての変更及び均等物を含む。更に、全ての可能な変形例の上述した要素のあらゆる組み合わせは、本明細書に特に示されていない限り、又は明らかに文脈と矛盾していない限り、本開示に含まれる。
【0117】
本明細書に開示されている具体的な実施形態は、「で構成されている」又は「で本質的に構成されている」という文言を使用して特許請求の範囲において更に限定されてもよい。特許請求の範囲に使用される場合、出願されるか又は補正毎に追加されるかに関わらず、「で構成されている」という移行句は、特許請求の範囲に特定されていないあらゆる要素、工程又は成分を除外する。「で本質的に構成されている」という移行句は、特許請求の範囲を、特定されている材料又は工程、及び一又は複数の基本的で新規な特性に著しく影響を及ぼさない材料又は工程に限定する。このように請求された本開示の実施形態は、本明細書に本質的又は明示的に記載されて可能になる。
【0118】
更に、本開示を通して任意の参照が特許及び刊行物になされた場合、これらの参照及び刊行物の各々は、全体が参照によって本明細書に個々に組み込まれる。
【0119】
最後に、本明細書に開示されている実施形態は本開示の原理の実例であると理解されるべきである。採用されてもよい他の変更は本開示の範囲内である。従って、限定することなく例として、本開示の実施形態の代替的な構成が、本明細書の教示に従って使用されてもよい。従って、本開示は、示されて記載されているもの自体に限定されない。
【0120】
関連出願
本願は、2020年8月7日付で出願された米国仮出願第63/062663号、2021年3月3日付で出願された米国出願第17/190768号、及び2021年3月3日付で出願された米国出願第17/190798号の優先権を主張しており、これらの内容全体が参照によって本明細書に組み込まれている。
【国際調査報告】