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2023-538535半導体デバイス用の、選択された分極を有する誘電体材料を形成する方法
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  • -半導体デバイス用の、選択された分極を有する誘電体材料を形成する方法 図1
  • -半導体デバイス用の、選択された分極を有する誘電体材料を形成する方法 図2A
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  • -半導体デバイス用の、選択された分極を有する誘電体材料を形成する方法 図2C
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  • -半導体デバイス用の、選択された分極を有する誘電体材料を形成する方法 図3
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  • -半導体デバイス用の、選択された分極を有する誘電体材料を形成する方法 図6A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】半導体デバイス用の、選択された分極を有する誘電体材料を形成する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20230901BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20230901BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20230901BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L29/78 301G
C23C16/40
C23C16/44 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509574
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(85)【翻訳文提出日】2023-02-09
(86)【国際出願番号】 US2021043952
(87)【国際公開番号】W WO2022035618
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】63/063,840
(32)【優先日】2020-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】トリヨソ,ディーナ エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,ロバート ディー.
(72)【発明者】
【氏名】コンシグリオ,スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】タピリー,カンダバラ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F058
5F140
【Fターム(参考)】
4K030AA11
4K030AA16
4K030AA18
4K030BA10
4K030BA22
4K030BA42
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4K030EA03
4K030FA10
4K030HA01
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4K030JA10
4K030LA02
4K030LA15
5F058BA01
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5F058BB01
5F058BC03
5F058BC04
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5F058BD06
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5F058BF29
5F058BF31
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5F140AC36
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5F140BA03
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5F140BD01
5F140BD11
5F140BD17
5F140BE09
5F140CB08
(57)【要約】
半導体デバイス用の誘電体膜及びその形成方法。処理方法は、原子層堆積の第1の複数サイクルを実行することにより、第1の誘電体材料の第1の膜を基板上に形成し、その後、第1の膜を熱処理することを含み、第1の膜の厚さは、第1の誘電体材料における自発分極のために必要な閾値厚さ未満である。処理方法は、原子層堆積の第2の複数サイクルを実行することにより、第2の誘電体材料の第2の膜を基板上に形成し、その後、第2の膜を熱処理することを更に含み、第2の膜の厚さが第1の膜の厚さよりも大きく、第2の膜は強誘電体又は反強誘電体である。第1の誘電体材料及び第2の誘電体材料は、少なくとも1種の金属酸化物、例えば、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、又はそれらの積層体若しくは混合物を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子層堆積の第1の複数サイクルを実行することにより、第1の誘電体材料の第1の膜を基板上に形成し、その後、前記第1の膜を熱処理することであって、前記第1の膜の厚さが、前記第1の誘電体材料における自発分極のために必要な閾値厚さ未満である、ことと、
原子層堆積の第2の複数サイクルを実行することにより、第2の誘電体材料の第2の膜を基板上に形成し、その後、前記第2の膜を熱処理することであって、前記第2の膜の厚さは、前記第1の膜の前記厚さよりも大きく、前記第2の膜は、強誘電体又は反強誘電体である、ことと
を含む基板処理の方法。
【請求項2】
前記第2の膜は、前記第1の膜上に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の膜は、前記第2の膜上に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の誘電体材料及び前記第2の誘電体材料は、少なくとも1種の金属酸化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1種の金属酸化物は、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、又はそれらの積層体若しくは混合物を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の膜の前記厚さは、約1.5nm以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の膜は、外部電界の存在下で線形分極を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の膜を形成することを繰り返して、前記第1の膜上に追加の膜を形成することを更に含み、前記追加の膜は、自発分極を欠いている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の誘電体材料を熱処理する前に、前記第2の膜上にキャップ層を堆積させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の膜を熱処理すること、及び前記第2の膜を熱処理することは、不活性ガスの存在下で約650℃~約900℃の基板温度で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
原子層堆積の第1の複数サイクルを実行することにより、第1の酸化ジルコニウム材料の第1の膜を基板上に形成し、その後、前記第1の膜を熱処理することであって、前記第1の膜の厚さが、前記第1の酸化ジルコニウム材料における自発分極のために必要な閾値厚さ未満である、ことと、
原子層堆積の第2の複数サイクルを実行することにより、第2の酸化ジルコニウム材料の第2の膜を前記基板上に形成し、その後、前記第2の膜を熱処理することであって、前記第2の膜の厚さは、前記第1の膜の前記厚さよりも大きく、前記第2の膜は、強誘電体又は反強誘電体である、ことと、
を含む基板処理の方法。
【請求項12】
基板上の、第1の誘電体材料を含有する第1の膜であって、前記第1の膜の厚さが、前記第1の誘電体材料における自発分極のために必要な閾値厚さ未満である、第1の膜と、
前記基板上の、第2の誘電体材料を含有する第2の膜であって、前記第2の膜の厚さが前記第1の膜の前記厚さよりも大きく、前記第2の膜は強誘電体又は反強誘電体である、第2の膜と、を含む半導体デバイス。
【請求項13】
前記第2の膜は、前記第1の膜上に形成されている、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第1の膜は、前記第2の膜上に形成されている、請求項12に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第1の誘電体材料及び前記第2の誘電体材料は、少なくとも1種の金属酸化物を含む、請求項12に記載のデバイス。
【請求項16】
前記少なくとも1種の金属酸化物は、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、又はそれらの積層体若しくは混合物を含む、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記第1の膜の前記厚さは、約1.5nm以下である、請求項12に記載のデバイス。
【請求項18】
前記第1の膜は、外部電界の存在下で線形分極を示す、請求項12に記載のデバイス。
【請求項19】
前記第1の膜上に追加の膜を更に含み、前記追加の膜は自発分極を欠いている、請求項12に記載のデバイス。
【請求項20】
前記第1の膜は、正方晶系(111)の結晶方位を有する、請求項12に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に援用される、2020年8月10日に申請された米国仮特許出願第63/063,840号明細書に関連し、その優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、半導体処理及び半導体デバイスに関し、より具体的には、選択された分極を有する誘電体材料を薄膜気相堆積により形成するための基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0003】
誘電体材料が、電界効果トランジスタ(FET)デバイス及びダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)デバイスを含むCMOS関連の用途のために使用される。選択された分極を有する誘電体材料を薄膜気相堆積により形成するための新規な方法が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、半導体デバイス及び他のデバイスにおいてコンデンサ及びメモリセルとして使用される場合がある高k膜を含む、誘電体膜の構造を、基板上に形成するための方法を含む。一実施形態によれば、方法は、原子層堆積の第1の複数サイクルを実行することにより、第1の誘電体材料の第1の膜を基板上に形成し、その後、第1の膜を熱処理することを含み、第1の膜の厚さは、第1の誘電体材料における自発分極のために必要な閾値厚さ未満である。方法は、原子層堆積の第2の複数サイクルを実行することにより、第2の誘電体材料の第2の膜を基板上に形成し、その後、第2の膜を熱処理することを更に含み、第2の膜の厚さが第1の膜の厚さよりも大きく、第2の膜は強誘電体又は反強誘電体である。
【0005】
一実施形態によれば、半導体デバイスは、基板上の、第1の誘電体材料の第1の膜であって、第1の膜の厚さが、第1の誘電体材料における自発分極のために必要な閾値厚さ未満である、第1の膜と、基板上の、第2の誘電体材料の第2の膜であって、第2の膜の厚さが第1の膜の厚さよりも大きく、第2の膜は強誘電体又は反強誘電体である、第2の膜とを含む。
【0006】
添付の図面は、この明細書に組み入れられ、この明細書の一部を構成するが、それらは、本発明の実施形態を例示し、上記の本発明の全般的な説明、及び下記の詳細な説明と共に、本発明を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態による、誘電体膜構造を製造する例示的な方法のフローチャートである。
図2A】本発明の一実施形態による、例示的な誘電体膜構造の断面図を示す。
図2B】本発明の一実施形態による、例示的な誘電体膜構造の断面図を示す。
図2C】本発明の一実施形態による、例示的な誘電体膜構造の断面図を示す。
図2D】本発明の一実施形態による、例示的な誘電体膜構造の断面図を示す。
図2E】本発明の一実施形態による、例示的な誘電体膜構造の断面図を示す。
図3】本発明の一実施形態による、例示的な誘電体膜構造の断面図を示す。
図4】本発明の一実施形態による、例示的な誘電体膜構造の断面図を示す。
図5】本発明の一実施形態による、例示的な誘電体膜構造の断面図を示す。
図6A】本発明の実施形態による、半導体デバイス用の例示的な膜構造の断面図を概略的に示す。
図6B】本発明の実施形態による、半導体デバイス用の例示的な膜構造の断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、様々な実施形態において参照番号を繰り返す。この繰り返しは、単純化及び明確化を目的とし、繰り返される参照番号は、特に記載がない限り、様々な実施形態にわたって類似のフィーチャを示す。
【0009】
図1及び図2A図2Eに概略的に示される一実施形態では、フローチャート1における方法は、100においてプロセスチャンバに基板200を提供することを含む。一実施例では、プロセスチャンバは、基板200上で誘電体材料の原子層堆積(ALD)を実行するように構成されてもよい。基板200は、例えば、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコンゲルマニウム、ガリウムヒ素リン化物、ガリウムインジウムリン化物、炭化ケイ素、ガリウムヒ素、インジウムヒ素、又はインジウムリン化物を含む、半導体材料を含んでもよい。一実施例では、基板200は、バルク半導体の上を覆うエピタキシャル層を有してもよい。更には、基板200はセミコンダクタオンインシュレータ(SOI)構造を含んでもよい。また更に、基板200は金属層を含んでもよい。
【0010】
基板200はまた、イオン注入及び/又は拡散などのプロセスにより実現される様々なp型ドープ領域及び/又はn型ドープ領域を含んでもよい。それらのドープ領域は、相補型金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(CMOSFET)、撮像センサ、及び/又は発光ダイオード(LED)などの様々な集積回路(IC)デバイスを形成するように構成された、n型ウェル、p型ウェル、ライトドープ領域(LDD)、及び様々なチャネルドーピングプロファイルを含むことができる。
【0011】
基板200はまた、様々な分離領域を含んでもよい。分離領域は、基板200における様々なデバイス領域を分離する。分離領域は、異なる処理技術を使用して形成された異なる構造を含む。例えば、分離領域は、シャロートレンチアイソレーション(STI)領域を含んでもよい。STI領域の形成は、基板200のトレンチをエッチングすること、及び酸化ケイ素、窒化ケイ素、及び/又は酸窒化ケイ素などの絶縁材料でトレンチを充填することを含んでもよい。充填されたトレンチは、多層構造、例えば熱酸化物ライナ層及びトレンチを充填する窒化ケイ素、を有してもよい。化学的機械的研磨(CMP)を実施して、過剰な絶縁性材料を研磨し、分離フィーチャの上面を平坦化してもよい。
【0012】
本方法は、110において、原子層堆積(ALD)の第1の複数サイクルを実行することにより、第1の誘電体材料の第1の膜220を基板200上に形成することを更に含む。これは、図2Bに概略的に示されている。いくつかの実施形態によれば、第1の膜220は、SiOの誘電率(k≒4)よりも大きい誘電率を有する高誘電率(高k)材料を含む。金属酸化物の実施例では、ALDは、金属含有前駆体及び酸化剤による飽和ガス曝露の交番サイクルを含むことができ、各サイクルは、金属含有前駆体の1回の曝露と、それに続く酸化剤の1回の曝露とを含む。各サイクルは、金属酸化物の1原子層又はそれ未満を堆積し、サイクル数は、膜厚を正確に制御するために選択されてもよい。金属含有前駆体及び酸化剤における配位子の立体障害、並びに限定された数の結合部位が、基板表面上での化学吸着を制限する可能性があり、したがって、サイクル当たりの膜成長は、1原子層未満のままであり得る。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、第1の膜220は、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ハフニウム(HfO)、又はこれらの積層体若しくは混合物を含むことができる。HfOは、アルミニウム(Al)、ガドリニウム(Gd)、ランタン(La)、シリコン(Si)、ストロンチウム(Sr)、又はイットリウム(Y)のドーパントによりドープされてもよい。
【0014】
一実施例では、ZrOを含む第1の膜220が、ジルコニウム含有前駆体及び酸化剤のガス曝露の交番サイクルを使用するALDにより堆積されてもよい。別の実施例では、ZrO及びHfOの混合物を含む第1の膜220が、ジルコニウム含有前駆体及び酸化剤、並びにハフニウム含有前駆体及び酸化剤のガス曝露の交番サイクルを使用するALDを使用して堆積されてもよい。更に別の実施例では、ドープされたHfOを含む第1の膜220が、ハフニウム含有前駆体、ドーパントガス、及び酸化剤のガス曝露の交番サイクルを使用するALDを使用して堆積されてもよい。ドーパント濃度は、例えば、約0.1原子%~約20原子%、約0.1原子%~約10原子%、又は、約0.1原子%~約1原子%であり得る。
【0015】
本発明の実施形態は、気相堆積のための多種多様なジルコニウム(Zr)及びハフニウム(Hf)の前駆体を利用してもよい。例えば、代表的な実施例は、Zr(OBu)(ジルコニウムtert-ブトキシド、ZTB)、Zr(NEt(テトラキス(ジエチルアミド)ジルコニウム、TDEAZ)、Zr(NMeEt)(テトラキス(エチルメチルアミド)ジルコニウム、TEMAZ)、Zr(NMe(テトラキス(ジメチルアミド)ジルコニウム、TDMAZ)、Hf(OBu)(ハフニウムtert-ブトキシド、HTB)、Hf(NEt(テトラキス(ジエチルアミド)ハフニウム、TDEAH)、Hf(NEtMe)(テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウム、TEMAH)、及びHf(NMe(テトラキス(ジメチルアミド)ハフニウム、TDMAH)を含む。いくつかの実施例では、Air LiquideからHyALD(商標)として入手可能なトリス(ジメチルアミノシクロペンタジエニルハフニウム(HfCp(NMe)がハフニウム前駆体として使用されてもよく、Air LiquideからZyALD(商標)として入手可能なトリス(ジメチラミノシクロペンタジエニルジルコニウム(ZrCp(NMe)がジルコニウム前駆体として使用されてもよい。酸化剤は、プラズマ励起されたO、水(HO)、又はオゾン(O)を含む、酸素含有ガスを含んでもよい。
【0016】
Al、Gd、La、Si、Sr及びYドーパント元素は、十分な反応性、熱安定性、及び揮発性を有する任意のドーパントガスを使用して提供することができる。
【0017】
Al前駆体の例は、AlMe、AlEt、[Al(O(sBu))、Al(CHCOCHCOCH、AlBr、AlI、Al(O(iPr))、[Al(NMe、Al(iBu)Cl、Al(iBu)、Al(iBu)H、AlEtCl、EtAl(O(sBu))、及びAl(THD)を含む。
【0018】
Gd前駆体の例は、Gd(N(SiMe、((iPr)Cp)Gd、CpGd、Gd(THD)、Gd[OOCCH(C)C、Gd(O(iPr))、及びGd(acac)を含む。
【0019】
La前駆体の例は、La(N(SiMe、La(N(iPr)、La(N(tBu)SiMe、La(TMPD)、((iPr)Cp)La、CpLa、CpLa(NCCH、La(MeNCCp)、La(THD)、La[OOCCH(C)C、La(C1119・CH(OCHCHOCH、La(C1119・CH(OCHCHOCH、La(O(iPr))、La(OEt)、La(acac)、La(((tBu)N)CMe)、La(((iPr)N)CMe)、La(((tBu)N)C(tBu))、La(((iPr)N)C(tBu))、及びLa(FOD)を含む。
【0020】
シリコン前駆体の例は、シラン(SiH)、ジシラン(Si)、モノクロロシラン(SiClH)、ジクロロシラン(SiHCl)、トリクロロシラン(SiHCl)、ヘキサクロロジシラン(SiCl)、ジエチルシラン(EtSiH)、及びアルキルアミノシラン化合物を含む。アルキルアミノシラン化合物の例は、ジイソプロピルアミノシラン(HSi(NPr))、ビス(tert-ブチルアミノ)シラン(C(H)N)SiH)、テトラキス(ジメチルアミノ)シラン((Si(NMe)、テトラキス(エチルメチルアミノ)シラン(Si(NEtMe))、テトラキス(ジエチルアミノ)シラン(Si(NEt)、トリス(ジメチルアミノ)シラン(HSi(NMe)、トリス(エチルメチルアミノ)シラン(HSi(NEtMe))、トリス(ジエチルアミノ)シラン(HSi(NEt)、及びトリス(ジメチルヒドラジノ)シラン(HSi(N(H)NMe)、ビス(ジエチルアミノ)シラン(HSi(NEt)、ビス(ジイソプロピルアミノ)シラン(HSi(NPr)、トリス(イソプロピルアミノ)シラン(HSi(NPr)、及び(ジイソプロピルアミノ)シラン(HSi(NPr)を含むが、これらに限定されない。
【0021】
Sr前駆体の例は、ビス(tert-ブチルアセトアミジナート)ストロンチウム(TBAASr)、Sr-C、Sr-D、Sr(N(SiMe、Sr(THD)、Sr(THD)(テトラグリム)、Sr(iPrCp)、Sr(iPrCp)、及びSr(MeCp)を含む。
【0022】
Y前駆体の例は、Y(N(SiMe、Y(N(iPr)、((iPr)Cp)Y、CpY、Y(THD)、Y[OOCCH(C)C、Y(O(iPr))、Y(acac)、(CMeY、Y(hfac)、及びY(FOD)を含む。
【0023】
上述した前駆体、並びに以下に述べる前駆体について、以下の共通の略称が使用される:Si:シリコン;Me:メチル;Et:エチル;iPr:イソプロピル;nPr:n-プロピル;Bu:ブチル;nBu:n-ブチル;sBu:sec-ブチル;iBu:イソ-ブチル;tBu:tert-ブチル;Cp:シクロペンタジエニル;THD:2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート;TMPD:2,2,6,6-テトラメチルピペリジド;acac:アセチルアセトナート;hfac:ヘキサフルオロアセチルアセトナート;及び、FOD:6,6,7,7,8,8,8-ヘプタフルオロ-2,2-ジメチル-3,5-オクタンジオナート。
【0024】
基板200上での第1の膜220の堆積に続いて、第1の膜220上に、所定の基板温度及び期間を使用して熱処理プロセスが実施されて、熱処理された第1の膜221が形成される。これは、図2Cに概略的に示されている。熱処理は、第1の膜220における原子要素を組織化し、膜応力を減らし、第1の誘電体材料の結晶方位を固定する。第1の膜220に対する熱処理は、約500℃以下、約200℃~約500℃、約200℃~約300℃、約300℃~約400℃、又は約400℃~約500℃の基板温度で実施されてもよい。一実施例では、熱処理は、第1の膜220の堆積と同じプロセスチャンバで実施されてもよい。別の例では、熱処理は、第1の膜220の堆積とは異なるプロセスチャンバで形成されてもよい。熱処理は、不活性ガス、例えばアルゴン(Ar)又は窒素(N)の存在下で真空条件下で実施されてもよい。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、熱処理された第1の膜221の厚さは、約1.5nm又はそれ未満であり得る。金属酸化物を含む第1の誘電体材料の場合、この厚さは、金属酸化物の単一原子層の数層に対応し、この厚さは、金属酸化物中の自発分極のために必要な閾値厚さ未満である。この結果、外部電界の存在下で線形分極が可能な金属酸化物膜になる。一実施例では、熱処理された第1の膜221は、(111)結晶方位を有する、テクスチャを有する正方晶系ZrOを含む。
【0026】
一実施形態によれば、堆積ステップ及び熱処理ステップを少なくとも1回繰り返すことにより、誘電体材料の追加の熱処理された膜が、熱処理された第1の膜221上に形成されてもよい。これは、図3に概略的に示され、堆積ステップ及び熱処理ステップを2回繰り返すことにより、追加の熱処理された膜223、225が、熱処理された基板200上の第1の膜221上に形成される。一般に、任意の数の追加の熱処理された膜が形成されてもよい。熱処理された第1の膜221及び追加の熱処理された膜223、225は、集合的に、線形分極が可能な誘電体材料230を形成する。
【0027】
図1を再び参照すると、本方法は、120において、ALDの第2の複数サイクルを実施することにより、第2の誘電体材料の第2の膜240を基板200上に形成することを更に含む。これは、図2Dに概略的に示されている。本発明の実施形態によれば、第2の膜240の厚さは、第1の熱処理された第1の膜221の厚さよりも大きい。第2の膜240は、高k材料を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、第2の膜240は、ZrO、HfO、又はこれらの積層体若しくは混合物を含むことができる。HfOは、Al、Gd、La、Si、Sr又はYのドーパントによりドープされてもよい。一実施例では、熱処理された第1の膜220及び第2の膜240は、同じ金属酸化物を含むことができる。
【0028】
第2の膜240の堆積に続いて、所定の基板温度及び期間を使用して熱処理プロセスが実施されて、熱処理された第2の膜241が形成される。これは、図2Eに概略的に示されている。熱処理は、第2の膜240における原子要素を組織化し、膜応力を減らし、第2の誘電体材料の結晶方位を固定する。熱処理された第2の膜241及び熱処理された第1の膜221は、異なる結晶方位を有することができる。
【0029】
第2の膜240に対する熱処理は、約500℃以下、約200℃~約500℃、約200℃~約300℃、約300℃~約400℃、又は約400℃~約500℃の基板温度で実施されてもよい。一実施形態によれば、熱処理の前に、キャップ層(図示せず)が第2の膜240上に堆積されてもよい。一実施例では、キャップ層は、窒化チタン(TiN)を含むことができる。
【0030】
一実施例では、第2の膜240の熱処理は、第2の膜240の堆積と同じプロセスチャンバで実施されてもよい。別の例では、熱処理は、第2の膜240の堆積とは異なるプロセスチャンバで形成されてもよい。熱処理は、不活性ガス、例えばAr又はNの存在下で真空条件下で実施されてもよい。
【0031】
通常、熱処理された第2の膜241の厚さは熱処理された第1の膜221の厚さよりも大きく、熱処理された第2の膜241は強誘電体又は反強誘電体である。いくつかの実施例では、熱処理された第2の膜241の厚さは約5nm以上である。
【0032】
本発明の別の実施形態によれば、熱処理された第2の膜241が基板200上に形成され、その後、熱処理された第2の膜241上に、熱処理された第1の膜221が形成される。これは、図4に概略的に示されている。
【0033】
一実施形態によれば、堆積ステップ及び熱処理ステップを少なくとも1回繰り返すことにより、追加の熱処理された誘電体材料が、熱処理された第1の膜221上に形成されてもよい。これは図5に概略的に示され、追加の熱処理された膜223、225が、熱処理された第1の膜221上に形成される。一般に、任意の数の追加の熱処理された膜が形成されてもよい。熱処理された第1の膜221及び追加の熱処理された膜223、225は、集合的に、線形分極が可能な誘電体材料231を形成する。
【0034】
本明細書で説明される実施形態は、基板上に誘電体材料を形成するための方法を提供し、この方法は、CMOS関連の用途のために、例えば、電界効果トランジスタ(FET)デバイス又はダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)デバイス用の負性容量(NC)ゲートスタックを形成するために利用されてもよい。誘電体材料は、例えば、超低電力コンピューティング用の極短チャネル長を有する金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)にて使用するための、選択され調整された分極を有するように形成されてもよい。
【0035】
図6Aは、半導体デバイス用の膜構造60の断面図を概略的に示し、膜構造60は、第1の導電層600、第1の誘電体材料を含む第1の膜602、第2の誘電体材料を含む第2の膜604、及び第2の膜604上の第2の導電層606を含む。第1及び第2の導電層600、606は、金属含有材料、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、プラチナ(Pt)、これらの合金、又は窒化チタン(TiN)若しくは窒化タンタル(TaN)などの金属化合物、を含んでもよい。第1及び第2の導電層600、606はまた、金属シリサイド又はドープドシリコンを含んでもよい。一実施例では、第1及び第2の導電層600、606は、n型及びp型FETに対して適合性を有するように選択されてもよい。第1の膜602は、熱処理された第1の膜221に関して上述したように形成されてもよい。第1の膜602は、第1の誘電体材料における自発分極のために必要な閾値厚さ未満の厚さを有することができる。したがって、第1の膜602は、外部電界の存在下で線形分極が可能であってもよい。第2の膜604は、熱処理された第2の膜241に関して上述したよう形成されてもよい。第2の膜604は第1の膜602の厚さよりも大きい厚さを有することができ、第2の誘電体材料は自発分極を有する。自発分極は、強誘電体又は反強誘電体であり得る。半導体構造60の静電容量Cは、図6Aに示す膜及び層の静電容量からなる。
【0036】
第1の膜602は、ZrO、HfO、又はこれらの積層体若しくは混合物を含むことができる。HfOは、Al、Gd、La、Si、Sr又はYのドーパントによりドープされてもよい。第1の膜602及び第2の膜604を形成する例示的な方法が図1図5で説明される。
【0037】
図6Bにおける膜構造61は膜構造60に類似しており、第1の導電層600、第2の誘電体材料を含む第2の膜604、第1の誘電体材料を含む第1の膜602、及び第1の膜602上の第2の導電層606を含む。
【0038】
膜構造60、61は、更なるCMOS又はMOS技術の処理を受けて、当該技術分野において既知の様々なフィーチャ及び領域が形成されてもよい。例えば、その後に続く処理が、従来のビア又はコンタクトなどの垂直相互接続と、金属ラインなどの水平相互接続とを含む、多層相互接続を形成してもよい。様々な相互接続フィーチャが、銅、タングステン及び/又はシリサイドを含む様々な導電性材料を実装して、基板における様々なデバイスを入力/出力電力及び信号に結合させるための電気配線を提供してもよい。
【0039】
選択された分極を有する誘電体材料を薄膜気相堆積により形成するための複数の実施形態を説明してきた。本発明の実施形態の上述の説明は、例示及び説明を目的として提示されている。この説明は、網羅的であること又は開示されているまさにその形態に本発明を限定することを意図するものではない。本明細書及び以下の特許請求の範囲は、説明目的でのみ使用され、限定するものとして解釈されるべきではない用語を含む。関連する技術分野の当業者であれば、上記の教示に照らして多くの修正形態及び変形形態が可能であることを理解し得る。当業者は、図面に示されている様々な構成要素の様々な等価な組み合わせ及び置換形態を認識するであろう。したがって、本発明の範囲は、この詳細な説明によってではなく、むしろ本明細書に添付された特許請求の範囲によって限定されることを意図している。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5
図6A
図6B
【国際調査報告】