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特表2023-538542光干渉断層撮影A走査のデカービングのためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】光干渉断層撮影A走査のデカービングのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20230901BHJP
【FI】
A61B3/10 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509697
(86)(22)【出願日】2021-08-10
(85)【翻訳文提出日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 US2021045327
(87)【国際公開番号】W WO2022035809
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】62/706,417
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520501023
【氏名又は名称】アキュセラ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】窪田 良
(72)【発明者】
【氏名】ワイダー, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ブシェミ, フィリップ エム.
(72)【発明者】
【氏名】フィスター, マティアス
(72)【発明者】
【氏名】シュトラー, ツィリル
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA09
4C316AA25
4C316AB02
4C316AB04
4C316AB11
4C316AB16
4C316FB21
4C316FY06
4C316FY10
4C316FZ03
(57)【要約】
眼の健康監視および診断システムの一部として網膜を測定するためのOCTシステム。OCTシステムは、OCT干渉計を含み、干渉計は、光源または測定ビームと、ビームを患者の眼の網膜上で移動させるためのスキャナと、スキャナに測定ビームを網膜上で走査パターンにおいて移動させるための命令を実行するように構成されているプロセッサとを備えている。測定データは、デカービングプロセスを使用して処理され、ILM層の分解能を高め、網膜厚の決定の改良を提供し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の網膜を測定するための光干渉断層撮影(OCT)システムであって、前記OCTシステムは、
OCT干渉計であって、前記OCT干渉計は、測定ビームを発生させるための光源と、前記測定ビームを前記網膜上で走査パターンにおいて移動させるためのスキャナと、複数の光学要素と、検出器とを備えている、OCT干渉計と、
前記スキャナに動作可能に結合されたプロセッサであって、前記プロセッサは、前記前記測定ビームを前記網膜上で前記走査パターンに沿って移動させ、前記網膜の複数のA走査を発生させることをスキャナに行わせることと、複数のA走査の各々を基準走査と整列させるための整列におけるシフトのための値を決定することとを行うための命令を実行するように構成されている、プロセッサと、
前記OCT干渉計によって発生させられた測定データを記憶するための電子データ記憶装置と
を備えている、OCTシステム。
【請求項2】
前記走査パターンは、複数のローブを画定する軌道を備えている、請求項1に記載のOCTシステム。
【請求項3】
前記複数のA走査は、前記網膜の網膜色素上皮(RPE)および内境界膜(ILM)に対応するデータを備えている、請求項1に記載のOCTシステム。
【請求項4】
前記A走査の各々に関する前記整列におけるシフトは、隣接するA走査のILM層の場所に対する前記ILM層の場所の変動性を減少させ、隣接するA走査のRPE層の場所に対する前記RPE層の場所の変動性を増加させる、請求項1に記載のOCTシステム。
【請求項5】
前記隣接するA走査は、前記走査パターンに沿って前記A走査の前に入手される第1の複数のA走査と、前記走査パターンに沿って前記A走査の後に入手される第2の複数のA走査とを備えている、請求項4に記載のOCTシステム。
【請求項6】
前記基準走査は、複数の組み合わせられたA走査を備えている、請求項1に記載のOCTシステム。
【請求項7】
前記複数の組み合わせられたA走査は、前記軌道に沿った前記A走査から離れた前記走査パターンの複数のA走査を備えている、請求項6に記載のOCTシステム。
【請求項8】
前記基準走査は、前記複数のA走査の各々に関して変化する可変の基準走査を備えている、請求項1に記載のOCTシステム。
【請求項9】
前記基準走査は、前記複数のA走査の加重組み合わせを備え、さらに、前記基準走査は、基準A走査を備えている、請求項8に記載のOCTシステム。
【請求項10】
命令の組をさらに備え、前記命令の組は、前記データ記憶装置からの前記複数のA走査に関する前記測定データにアクセスし、前記データを処理することによって、ILM層またはRPE層のうちの1つ以上の弁別性を高めることを前記システムに行わせ、前記データを処理することは、
前記複数のA走査の各々に関して、
前記整列におけるシフトのための前記決定された値に低域通過フィルタを適用し、フィルタリングされた値を発生させることと、
前記フィルタリングされた値を前記A走査に適用し、前記A走査を前記基準走査に関連してシフトさせることと、
各A走査に関する前記フィルタリングされた値を前記A走査に適用することの結果を前記電子データ記憶要素の中に記憶することと
による、請求項1に記載のOCTシステム。
【請求項11】
前記複数のA走査の各々への前記フィルタリングされた値の適用の後、前記複数のA走査を連結することをさらに含む、請求項10に記載のOCTシステム。
【請求項12】
前記ILMまたは前記RPE層のうちの1つ以上の弁別性を高めるための前記データの処理は、前記ILM層とRPE層との間のコントラストを増加させることをさらに含む、請求項10に記載のOCTシステム。
【請求項13】
前記フィルタリングされた値の適用から結果として生じる前記シフトは、隣接するA走査に対する前記ILMの場所の変動性を減少させ、前記隣接するA走査に対する前記RPE層の場所の変動性を増加させる、請求項10に記載のOCTシステム。
【請求項14】
前記A走査への前記フィルタリングされた値の適用から結果として生じる前記シフトは、前記低域通過フィルタの適用を伴わない前記RPE層の場所と比較して、前記RPE層の場所の変動性を増加させる、請求項10に記載のOCTシステム。
【請求項15】
前記A走査を前記基準走査と整列させるための前記整列におけるシフトのための値を決定することは、前記A走査の前記A走査の複素共役との畳み込みの最大値を決定することと、前記最大値に基づいてシフトの量を決定することとをさらに含む、請求項1に記載のOCTシステム。
【請求項16】
前記基準走査は、複数の以前に測定されたA走査から発生させられる、請求項1に記載のOCTシステム。
【請求項17】
前記低域通過フィルタは、前記整列におけるシフトのための以前に発生させられた値の組の移動平均から発生させられる、請求項10に記載のOCTシステム。
【請求項18】
前記走査パターンは、正弦波を備えている、請求項1に記載のOCTシステム。
【請求項19】
前記走査パターンは、バラ曲線を備えている、請求項18に記載のOCTシステム。
【請求項20】
前記スキャナは、ミラーを備え、前記ミラーは、第1の軸まわり、および第2の軸まわりに旋回し、前記走査パターンに沿って前記測定ビームを移動させる、請求項1に記載のOCTシステム。
【請求項21】
測定データを処理し、前記測定ビームが前記網膜上で移動しているときに取得されたデータの補間を実施することを前記プロセッサに行わせるための命令をさらに備えている、請求項1に記載のOCTシステム。
【請求項22】
前記補間は、走査パターンに対応する測定データの組を生成し、前記走査パターンは、前記走査パターンの中心から半径方向に延びている複数の実質的にまっすぐな線を備えている、請求項21に記載のOCTシステム。
【請求項23】
前記補間は、走査パターンに対応する測定データの組を生成し、前記走査パターンは、前記走査パターンの中心から半径方向に延びている複数のまっすぐな線を備え、前記複数のうちの1つが、前記走査パターンの複数のローブのうちの各ローブ内で中心に置かれている、請求項22に記載のOCTシステム。
【請求項24】
走査パターンに対応する測定データをさらに備え、前記走査パターンは、前記走査パターンの中心から半径方向に延びている複数のまっすぐな線を備え、前記複数のうちの1つが、前記複数のローブのうちの各ローブ間で中心に置かれている、請求項23に記載のOCTシステム。
【請求項25】
前記ミラーの位置は、静電力の前記印加によって改変される、請求項20に記載のOCTシステム。
【請求項26】
前記静電力は、複数の微小電気機械システム(MEMS)要素によって前記ミラーに印加される、請求項25に記載のOCTシステム。
【請求項27】
前記微小電気機械システム(MEMS)要素は、複数のコンデンサを備えている、請求項26に記載のOCTシステム。
【請求項28】
前記ミラーの位置は、電磁力の前記印加によって改変される、請求項20に記載のOCTシステム。
【請求項29】
前記ミラーの位置は、検流計、静電トランスデューサ、または圧電トランスデューサのうちの1つ以上によって改変される、請求項28に記載のOCTシステム。
【請求項30】
前記光源は、放出される波長を変動させるように構成された掃引光源を備えている、請求項1に記載のOCTシステム。
【請求項31】
前記掃引光源は、垂直空洞面発光レーザ(VCSEL)を備えている、請求項30に記載のOCTシステム。
【請求項32】
前記スキャナは、共振周波数を有し、前記第1の軸に対して前記ミラーの位置を改変するための第1の駆動信号と、前記第2の軸に対して前記ミラーの位置を改変するための第2の駆動信号とを入力として受信し、前記第1および第2の駆動信号は、前記共振周波数未満の周波数を備え、随意に、前記第1および第2の駆動信号は、前記スキャナの共振周波数未満の最大周波数を備えている、請求項20に記載のOCTシステム。
【請求項33】
前記走査ミラーは、前記ミラーを用いて前記ビームを走査するために、前記ミラーを2自由度で回転させるための第1の軸と前記第1の軸に対して横向きの第2の軸とを備え、前記整列におけるシフトは、前記ビームの前記ミラーとの整列に関連する、請求項20に記載のOCTシステム。
【請求項34】
前記第1の軸および前記第2の軸は、前記ミラーの2D回転中心を画定し、前記整列におけるシフトは、前記ビームの前記2D回転中心との整列に関連する、請求項33に記載のOCTシステム。
【請求項35】
前記ビームは、前記ビームの中心に対応する軸に沿って延び、さらに、前記ビームの中心は、前記2D回転中心に対して偏心的である、請求項34に記載のOCTシステム。
【請求項36】
眼の網膜を測定するための光干渉断層撮影(OCT)を実施する方法であって、前記方法は、
光源を動作させ、測定ビームを発生させることと、
前記測定ビームを前記網膜上で走査パターンに沿って移動させ、前記網膜の複数のA走査を発生させることと、
前記複数のA走査の各々を基準走査と整列させるための整列におけるシフトのための値を決定することと、
前記複数のA走査の各々に関する測定データを電子データ記憶要素の中に記憶することと
を含む、方法。
【請求項37】
前記走査パターンは、複数のローブを画定する軌道を備えている、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記複数のA走査は、前記網膜の網膜色素上皮(RPE)および内境界膜(ILM)に対応するデータを備えている、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記A走査の各々に関する前記整列におけるシフトは、隣接するA走査のILM層の場所に対する前記ILM層の場所の変動性を減少させ、隣接するA走査のRPE層の場所に対する前記RPE層の場所の変動性を増加させる、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記隣接するA走査は、前記走査パターンに沿って前記A走査の前に入手される第1の複数のA走査と、前記走査パターンに沿って前記A走査の後に入手される第2の複数のA走査とを備えている、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記基準走査は、複数の組み合わせられたA走査を備えている、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記複数の組み合わせられたA走査は、前記軌道に沿った前記A走査から離れた前記走査パターンの複数のA走査を備えている、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記基準走査は、前記複数のA走査の各々に関して変化する可変の基準走査を備えている、請求項36に記載の方法。
【請求項44】
前記基準走査は、前記複数のA走査の加重組み合わせを備え、さらに、前記基準走査は、基準A走査を備えている、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
命令の組をさらに備え、前記命令の組は、前記データ記憶装置からの前記複数のA走査に関する前記測定データにアクセスし、前記データを処理し、ILM層またはRPE層のうちの1つ以上の弁別性を高めることを前記システムに行わせ、前記前記データを処理することは、
前記複数のA走査の各々に関して、
前記整列におけるシフトのための前記決定された値に低域通過フィルタを適用し、フィルタリングされた値を発生させることと、
前記フィルタリングされた値を前記A走査に適用し、前記A走査を前記基準走査に関連してシフトさせることと、
各A走査に関する前記フィルタリングされた値を前記A走査に適用することの結果を前記電子データ記憶要素の中に記憶することと
による、請求項36に記載の方法。
【請求項46】
前記複数のA走査の各々への前記フィルタリングされた値の適用の後、前記複数のA走査を連結することをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ILMまたは前記RPE層のうちの1つ以上の弁別性を高めるための前記データの処理は、前記ILM層とRPE層との間のコントラストを増加させることをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記フィルタリングされた値の適用から結果として生じる前記シフトは、隣接するA走査に対する前記ILMの場所の変動性を減少させ、前記隣接するA走査に対する前記RPE層の場所の変動性を増加させる、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記A走査への前記フィルタリングされた値の適用から結果として生じる前記シフトは、前記低域通過フィルタの適用を伴わない前記RPE層の場所と比較して、前記RPE層の場所の変動性を増加させる、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記A走査を前記基準走査と整列させるための前記整列におけるシフトのための値を決定することは、前記A走査の前記A走査の複素共役との畳み込みの最大値を決定することと、前記最大値に基づいてシフトの量を決定することとをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項51】
前記基準走査は、複数の以前に測定されたA走査から発生させられる、請求項36に記載の方法。
【請求項52】
前記低域通過フィルタは、前記整列におけるシフトのための以前に発生させられた値の組の移動平均から発生させられる、請求項45に記載の方法。
【請求項53】
前記走査パターンは、正弦波を備えている、請求項36に記載の方法。
【請求項54】
前記走査パターンは、バラ曲線を備えている、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記測定ビームは、スキャナによって前記網膜上で移動させられ、前記スキャナは、ミラーを備え、前記ミラーは、第1の軸まわり、および第2の軸まわりに旋回し、前記走査パターンに沿って前記測定ビームを移動させる、請求項36に記載の方法。
【請求項56】
測定データを処理し、前記測定ビームが前記網膜上で移動しているときに取得されたデータの補間を実施すること前記プロセッサに行わせるための命令をさらに備えている、請求項36に記載の方法。
【請求項57】
前記補間は、走査パターンに対応する測定データの組を生成し、前記走査パターンは、前記走査パターンの中心から半径方向に延びている複数の実質的にまっすぐな線を備えている、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記補間は、走査パターンに対応する測定データの組を生成し、前記走査パターンは、前記走査パターンの中心から半径方向に延びている複数のまっすぐな線を備え、前記複数のうちの1つが、前記走査パターンの複数のローブのうちの各ローブ内で中心に置かれている、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
走査パターンに対応する測定データをさらに備え、前記走査パターンは、前記走査パターンの中心から半径方向に延びている複数のまっすぐな線を備え、前記複数のうちの1つが、前記複数のローブのうちの各ローブ間で中心に置かれている、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記ミラーの位置は、前記静電力の印加によって改変される、請求項55に記載の方法。
【請求項61】
前記静電力は、複数の微小電気機械システム(MEMS)要素によって前記ミラーに印加される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記微小電気機械システム(MEMS)要素は、複数のコンデンサを備えている、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記ミラーの位置は、前記電磁力の印加によって改変される、請求項55に記載の方法。
【請求項64】
前記ミラーの位置は、検流計、静電トランスデューサ、または圧電トランスデューサのうちの1つ以上によって改変される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記光源は、放出される波長を変動させるように構成された掃引光源を備えている、請求項36に記載のシステム。
【請求項66】
前記掃引光源は、垂直空洞面発光レーザ(VCSEL)を備えている、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記スキャナは、共振周波数を有し、前記第1の軸に対して前記ミラーの位置を改変するための第1の駆動信号と、前記第2の軸に対して前記ミラーの位置を改変するための第2の駆動信号とを入力として受信し、前記第1および第2の駆動信号は、前記共振周波数未満の周波数を備え、随意に、前記第1および第2の駆動信号は、前記スキャナの共振周波数未満の最大周波数を備えている、請求項55に記載の方法。
【請求項68】
前記走査ミラーは、前記ミラーを用いて前記ビームを走査するために、前記ミラーを2自由度で回転させるための第1の軸と前記第1の軸に対して横向きの第2の軸とを備え、前記整列におけるシフトは、前記ビームの前記ミラーとの整列に関連する、請求項55に記載の方法。
【請求項69】
前記第1の軸および前記第2の軸は、前記ミラーの2D回転中心を画定し、前記整列におけるシフトは、前記ビームの前記2D回転中心との整列に関連する、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記ビームは、前記ビームの中心に対応する軸に沿って延び、さらに、前記ビームの中心は、前記2D回転中心に対して偏心的である、請求項69に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2020年8月14日に出願された「SYSTEM AND METHOD FOR OPTICAL COHERENCE TOMOGRAPHY A-SCAN DECURVING」と題された米国仮特許出願第62/706,417号の35 U.S.C. Section 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張し、該出願は、その全体が参照によって組み込まれる。
【0002】
本願の主題は、2019年12月26日に出願され、「Optical Coherence Tomography Patient Alignment System for Home Based Ophthalmic Applications」と題された米国仮特許出願第62/953,827号(その開示全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に関する。
【背景技術】
【0003】
眼は、視覚に関して重要であり、人々は、見るために必要である。眼は、光を屈折させ、網膜上に画像を形成する角膜および水晶体を有する。網膜は、その上に形成された画像に応答して、電気信号を発生させ、これらの電気信号は、視神経によって脳に伝送される。網膜の中心窩および黄斑は、網膜の他のエリアに関する錐体の増加した密度を有し、鮮明ではっきりした視覚を提供する。残念ながら、網膜の疾患は、たとえ角膜および水晶体等の眼の他の部分が健康でも視覚に悪影響を及ぼし得る。
【0004】
網膜厚は、網膜の健康を診断および監視するために使用されることができる。網膜血管疾患および他の疾患または病状を診断された多くの患者は、上昇した網膜厚を有し、薬剤を服用する、または薬剤で治療される。黄斑浮腫は、多くの場合、糖尿病等の他の疾患に関連する上昇した網膜厚のある例である。黄斑浮腫は、例えば、加齢黄斑変性症、ブドウ膜炎、網膜血管系の閉塞、および緑内障等の他の疾患にも関連し得る。薬剤が効いていないか、再投与を要求するかを迅速に把握することが、役立ち、それによって、治療は、それに応じて修正され、視覚が温存され得る。これを行うための1つの方法は、患者の網膜厚の定期的な測定を行うことによる。網膜厚を測定するために使用される1つの技法は、光干渉断層撮影(OCT)である。
【0005】
残念ながら、多くの以前のOCTシステムは、過度に複雑かつ高価であり、定期的に(毎週または毎日等)網膜厚を監視するためにはあまり好適ではない。眼の以前の標準処置は、網膜厚を測定する医療提供者への受診を伴うが、そのような受診は、スケジューリングおよび予約を要求し、特に毎週または毎日行われる場合、高価になり得る。以前のOCTシステムの多くは、自宅内監視または移動式保健医療にはあまり好適ではない。そのような以前のシステムは、典型的に、人が容易に携行し得るより重さがあり、患者とともに移動するためにはあまり好適ではない。加えて、以前のOCTシステムは、理想的であろうものよりも複雑であり、日常使用のためにあまり好適ではなく、落下等の危険がある。OCTシステムの以前のコストは、典型的患者が支払い得るものを超え得る。さらに、以前のOCTシステムの使用は、訓練を受けたオペレータを要求し得る。上記理由により、網膜厚の自宅内監視は、これまで標準処置として採用されておらず、網膜疾患を患う患者の処置は、多くの事例において理想を下回り得る。
【0006】
本開示に関連する研究は、これまでのOCTシステムのうちのいくつかのものの信号処理が、自宅用OCTシステムにおけるもの等のいくつかのOCTシステムとの使用のために理想的に好適ではないこともあることを示唆する。例えば、いくつかのこれまでのOCTシステムは、内境界膜等の網膜組織の理想的ではない分解能を有し得、内境界膜等の網膜の詳細構造のより良好な分解能を提供するために、改良された信号処理を有することが、役立つであろう。
【0007】
上記に照らして、網膜厚を測定するための改良されたOCTシステムおよび方法を有することが役立つであろう。理想的に、そのようなシステムは、小型で、ハンドヘルド式であり、自宅内監視を提供し、患者自身が測定することを可能にし、患者によって取り扱われるために十分にロバストであろう。さらに、自宅内OCTシステムが、医師によって、OCTの動作およびデバイスによって収集されたデータを変更することに基づいて、眼の種々の疾患または他の病状を診断することを補助するために使用され得る画像およびデータを発生させることが可能であることが望ましい。これは、自宅内OCTシステムの有用性および価値を増大させるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示される光干渉断層撮影(OCT)システムおよび方法は、網膜厚の自宅内および移動監視を可能にする。網膜厚を測定することが具体的に参照されるが、本明細書に開示されるOCTシステムおよび方法は、顕微鏡検査、計量学、航空宇宙、天文学、電気通信、内科的治療、医薬品、皮膚病学、歯科医学、および心臓病学等の多くの分野における用途を見出すであろう。
【0009】
本明細書に開示されるシステム、デバイス、および方法は、識別することが困難であり得る内境界膜(「ILM」)および流体貯留等の組織特徴の改良された認識を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、OCT干渉計は、測定ビームを発生させるための光源と、測定ビームを網膜上で走査パターンにおいて移動させるためのスキャナと、複数の光学要素と、検出器とを備えている。プロセッサが、スキャナに動作可能に結合され、スキャナに測定ビームを網膜上で走査パターンに沿って移動させ、網膜の複数のA走査を発生させ、整列におけるシフトのための値を決定し、複数のA走査の各々を基準走査と整列させるための命令を実行するように構成されている。A走査の各々に関するシフト値を決定することによって、ILM等の組織構造の分解能は、改良されることができる。シフト値は、多くの方法において決定されることができるが、いくつかの実施形態では、シフト値は、複数のA走査のシフト値の低域通過フィルタリングを用いて決定される。いくつかの実施形態では、シフト値の各々は、基準信号との相互相関または自己相関等、基準信号との相関に応答して決定される。基準信号は、近隣するA走査の加重平均等、近隣するA走査を含むA走査の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、A走査の各々に関する整列におけるシフトは、隣接するA走査のILM層の場所に対するILM層の場所の変動性を減少させ、隣接するA走査のRPE層の場所に対するRPE層の場所の変動性を増加させる。このアプローチは、網膜色素上皮(「RPE」)層等のより強力な反射率を伴う他の組織構造より弱い反射率強度を伴うILM等の組織構造の改良された分解能を提供することができる。
【0010】
いくつかの実施形態において、OCTシステムは、測定ビームが、データの収集を可能にし、眼のあるエリアのより精密な測定を提供するための具体的な走査パターンを用いて動作させられ得る。走査パターンは、駆動信号に応答して、OCTシステムの一部であるミラーを移動させることから結果として生じ得る。ミラーは、光源によって発生させられた測定ビームを捕捉し、ミラーの運動に伴って変動する軌道を辿るように、ビームを方向づけ、事前定義された走査パターンを形成する。いくつかの実施形態において、走査パターンを使用することから収集されたデータが、補間、外挿、または別様に処理され、異なる走査パターンを使用することから取得されるであろうデータを取得し得る。これは、医師が、眼の異なる領域内の病状をより深く理解し、患者の眼の健康を監視することの一部として異なる走査パターンを用いて得られた走査を比較することを補助し得る。
【0011】
いくつかの実施形態において、OCTシステムは、干渉計と、位置センサと、3軸平行移動ステージと、具体的な走査パターンを使用して眼を走査するための命令で構成されたプロセッサとを備え、その走査パターンは、連続軌道を含み、複数のローブを含む。光源によって発生させられた測定ビームは、軌道のある区分の間に測定データを発生させるためにオンにされ、軌道の他の区分の間にオフにされ得る。したがって、測定ビームが、所望の走査パターンの上をトレースするにつれて、測定データが、軌道に沿ったいくつかの点において収集され、他の点においては収集されない。いくつかの実施形態において、測定データが、軌道の第1の区分に沿ったより多い数の点において、および軌道の第2の区分に沿ったより少ない点において収集され得る(またはされない)。いくつかの実施形態において、命令は、OCTシステムに、眼の測定された位置に応答して、干渉計の少なくとも一部を眼と整列するように移動させ得、これは、眼の整列を促進することができる。いくつかの実施形態において、OCTシステムは、レンズに結合された固視標的を備え、患者は、レンズを通して固視標的を視認し、レンズは、OCT干渉計の光学要素を備え、OCT測定ビームも伝送する。いくつかの実施形態において、プロセッサは、眼の屈折誤差を補償するためにレンズと固視標的との間の距離を変更するための命令で構成されている。いくつかの実施形態において、プロセッサは、3軸平行移動ステージを移動させ、位置センサを用いて測定される眼の側方位置に応答して、レンズを眼と側方に整列させ、位置センサに応答して、角膜からの標的頂点間距離にレンズを位置付けるための命令で構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態において、プロセッサは、3軸平行移動ステージを用いて固視標的およびレンズを移動させ、レンズを固視標的に対して移動させ、異なる網膜場所上での測定値を取得するように相対固視を変更し、屈折誤差を補償し、レンズと角膜との間の頂点間距離を維持するための命令で構成されている。いくつかの実施形態において、頂点間距離が、レンズを固視標的に向かって移動させることによって維持されている間、固視標的は、眼に向かって移動させられ、近視を矯正する。いくつかの実施形態において、頂点間距離を維持するように、3軸平行移動ステージは、3つのアクチュエータを用いて移動させられ、レンズは、第4のアクチュエータを用いて移動させられる。
【0013】
いくつかの実施形態において、プロセッサは、固視標的およびレンズを複数の屈折誤差に対応する複数の位置まで平行移動させ、複数の場所の各々において眼から反射されるビームの光度を測定するための命令で構成されている。プロセッサは、複数の場所の各々における光度に応答して、屈折誤差の補正に対応するレンズと固視標的との間の距離を決定することができる。いくつかの実施形態において、光度は、測定アームと参照アームとの間の干渉を伴うことなく、検出器において測定されるOCTビームのピーク光度を含む。いくつかの実施形態において、OCT干渉計の測定アームと参照アームとの間の光路差(OPD)が、第5のアクチュエータを用いて調節される。代替として、OCT測定ビームは、レンズおよび固視標的が、平行移動ステージおよびレンズの適切な移動を用いてOCT測定のために位置付けられているとき、OPDを調節することなく、OCT測定を実施するための十分なコヒーレンス長を備え得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、眼の網膜を測定するためのOCTシステムは、OCT測定ビームを伴う干渉計と、ビームに対して複数の位置まで移動するように構成された視覚固視標的と、眼の位置を測定するための位置センサとを備えている。プロセッサが、干渉計、固視標的、および位置センサに動作可能に結合され、その中でプロセッサは、固視標的を複数の位置まで移動させ、複数の位置の各々において眼の位置および網膜データを測定するための命令で構成されている。
【0015】
いくつかの実施形態において、眼の健康監視および診断システムの一部として網膜を測定することにおける使用のためのOCTシステムは、OCT干渉計であって、干渉計は、光源または測定ビームと、ビームを患者の眼の網膜上で移動させるためのスキャナとを備えている、OCT干渉計と、スキャナに測定ビームを網膜上で走査パターンにおいて移動させるための命令を実行するように構成されたプロセッサとを備えている。測定ビームは、測定ビームを捕捉し、その向きを変えるミラーの運動によって、網膜上で移動させられ得る。ミラー位置は、ミラーを軸または複数の軸まわりに回転させることによって駆動信号に対して応答する1つ以上のアクチュエータへの駆動信号の印加によって改変され得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、プロセッサは、OCT干渉計の一部である検出器によって検出された測定データにアクセスするための命令を実行し得る。いくつかの実施形態において、プロセッサは、アクセスされたデータを処理し、異なる走査パターンから結果として生じるであろう測定データを発生させるための命令を実行し得る。これは、網膜厚のより精密な測定値を取得し、患者の眼の健康を評価することにおいてそれらの測定値を使用することを補助し得る。
【0017】
(参照による組み込み)
本明細書に述べられる全ての公開文書、特許、および特許出願は、各個々の公開文書、特許、または特許出願が、参照することによって組み込まれるように具体的かつ個別に示された場合と同じ程度に、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の新規の特徴が、添付の請求項において具体的に記載される。本発明の特徴および利点のより深い理解が、本発明の原理が利用される、例証的実施形態を記載する以下の詳細な説明および付随の図面を参照することによって、取得されるであろう。
【0019】
図1A図1Aは、ヒトの眼の簡略図を示す。
【0020】
図1B図1Bは、いくつかの実施形態によるユーザの眼を測定するための単眼光干渉断層撮影(OCT)デバイスの斜視図を示す。
【0021】
図2図2は、いくつかの実施形態による患者が複数の時点において網膜厚(RT)を測定し、結果を通信することを可能にするシステムの概略図を示す。
【0022】
図3A図3Aは、いくつかの実施形態によるBluetooth(登録商標)通信を利用するハンドヘルド式光干渉断層撮影デバイスを示す。
【0023】
図3B図3Bは、いくつかの実施形態による汎欧州デジタル移動電話方式(GSM(登録商標))を利用するハンドヘルド式OCTデバイスを示す。
【0024】
図4図4は、いくつかの実施形態によるユーザの眼を測定するための両眼OCTデバイスの斜視図を示す。
【0025】
図5図5は、いくつかの実施形態によるハンドヘルド式ユニット本体内の種々の構成要素を図示する両眼OCTデバイスのブロック図を示す。
【0026】
図6図6は、いくつかの実施形態による両眼のOCTとともに実装され得る光学構成の概略図を示す。
【0027】
図7図7は、いくつかの実施形態による光学レイアウト基板上に構成された光学構成のブロック図を示す。
【0028】
図8図8は、いくつかの実施形態によるモジュール式両眼OCTの斜視図を示す。
【0029】
図9図9は、いくつかの実施形態による両眼OCTデバイスの斜視/切り取り内部図を示す。
【0030】
図10図10は、いくつかの実施形態による両眼OCTデバイスの別の斜視/切り取り内部図を示す。
【0031】
図11図11は、いくつかの実施形態による眼球位置センサを備えている両眼OCTデバイスの俯瞰/切り取り内部図を示す。
【0032】
図12A図12Aは、いくつかの実施形態によるOCTデータを収集するために使用され得る(本明細書では「花」パターンと呼ばれる)走査パターンのある例を示す。
【0033】
図12B図12Bは、いくつかの実施形態による図12Aの走査パターンのための時間の関数として、xおよびy方向における測定ビームの位置を示す。
【0034】
図12C図12Cは、いくつかの実施形態によるスキャナの一部であり、測定ビームを患者の網膜上で走査パターンにおいて移動させるために使用され得るミラーのある例を示す。
【0035】
図13図13は、いくつかの実施形態によるOCTデバイスによって図12Aの走査パターンまたは軌道を使用して入手された複数のA走査を示す。
【0036】
図14図14は、いくつかの実施形態によるそれに関するデータが、図12Aの走査パターンから取得されたデータの補間によって取得され得る半径方向走査パターン上に重ね合わせられた図12Aの走査パターンを示す。
【0037】
図15図15は、いくつかの実施形態による患者の眼の中心窩および中心窩の近傍の網膜が、区域または領域に分割され、網膜厚をマップし得る方法を示す。
【0038】
図16A図16Aは、いくつかの実施形態によるA走査の各々を基準A走査と整列させるためのA走査の組のための整列シフトのグラフをその整列シフトデータの組に低域通過フィルタを適用したことの結果に加えて示す。
【0039】
図16B図16Bは、いくつかの実施形態による(0番目のA走査として示される)基準テンプレートおよび(100番目のA走査として示される)現在のA走査を表す、走査の変動を示し、本明細書に説明されるデカービング(decurving)処理において使用され得るような、それらの相対的なx軸シフト(上)、およびピクセル単位で表現されるシフトの量を伴う2つの走査間の相関(下)を示す。
【0040】
図17図17A、17B、および17Cは、いくつかの実施形態によるA走査の組から取得された干渉図データの3つのバージョンを示し、(図17Aに示される)未加工データに対する(図17Bにおけるような「厳密な整列」、および図17Cにおけるような「デカービング」と標識される)2つのタイプの信号または画像処理アプローチの影響を図示する。
【0041】
図18図18は、いくつかの実施形態によるプロセス、方法、動作、または機能を図示するフローチャートまたはフロー図であり、プロセス、方法、動作、または機能は、患者の網膜の走査を実施すること、OCT測定データを発生させること、および信号および画像データに対してデカービングプロセスを実施することを行うためである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の種々の実施形態が、本明細書に示され、説明されているが、そのような実施形態が、例としてのみ提供されることが、当業者に明白であろう。多数の変形例、変更、および代用が、本発明から逸脱することなく、当業者に想起され得る。本明細書に説明される本発明の実施形態に対する種々の代替が、採用され得ることを理解されたい。例えば、網膜等のサンプルの厚さを測定することが参照されるが、本明細書に開示される方法および装置は、身体の他の組織および非組織物質等の多くのタイプのサンプルを測定するために使用されることができる。網膜厚のマップを発生させることが参照されるが、本明細書に開示される方法および装置は、断面または断層撮影画像等の網膜サンプルの画像を発生させるために使用されることができる。
【0043】
本開示されるシステムおよび方法は、以前のOCTアプローチを用いた組み込みのために非常に好適である。OCT干渉計は、時間ドメインOCT干渉計、掃引源OCT干渉計、スペクトルドメインOCT干渉計、または多重反射率OCT干渉計のうちの1つ以上を備え得る。限定された範囲の掃引および複数のVCSELの使用を伴う掃引源VCSELが、参照されているが、光源は、約20nm~約100nm以上の波長の範囲にわたって掃引することが可能であるMEMS同調可能VCSEL等の任意の好適な光源を備え得る。網膜厚マップが、参照されているが、いくつかの実施形態において、OCT測定システムおよび装置は、網膜の3D断層撮影画像を発生させるように構成されている。いくつかの実施形態において、網膜の3D断層撮影画像は、4~25ミクロン範囲内のOCT測定ビームに沿った空間分解能を伴う(例えば、2~10ミクロンの範囲内の分解能を伴う)網膜の高分解能画像を含む。
【0044】
本開示されるシステムおよび方法は、多くの方法において構成されることができる。いくつかの実施形態において、OCTシステムは、両眼デバイスを備え、両眼デバイスにおいて、一方の眼が、測定され、他方の眼が、固視刺激等の刺激を提供される。代替として、OCTシステムは、例えば、単眼デバイスを備え得、単眼デバイスにおいて、一度に一方の眼が測定され、測定された眼のみが、固視刺激を提供され、他方の眼が、遮眼子で覆われ得る。
【0045】
本明細書に開示される小型OCTシステムは、網膜厚の測定等の多くの以前の臨床検査との使用のために非常に好適である。ある場合、OCTシステムは、患者によって、または医療提供者によって使用される。多くの事例において、患者は、自身をシステムと整列させることができるが、別のユーザが、患者をシステムと整列させ、測定を行うこともできる。いくつかの実施形態において、OCTシステムは、以前のソフトウェアおよびシステムと統合され、追加の情報を医療提供者に提供し、網膜厚の変化に応答して、アラートを提供することができる。アラートは、随意に、是正措置(薬剤、投与量、または薬剤を服用するためのリマインダの変更等)がとられるべきであるとき、患者、介護者、および医療提供者に送信される。
【0046】
本明細書で使用されるように、用語「網膜厚(RT)」は、患者の網膜厚を評価するために使用される層間の網膜厚を指す。いくつかの実施形態において、網膜厚は、網膜の内境界膜(「ILM」)と網膜色素上皮(「RPE」)との間の距離に対応する。いくつかの実施形態において、RTは、例えば、網膜の前面と外境界膜との間の網膜厚に対応し得る。
【0047】
本明細書で使用されるように、用語「網膜層厚(RLT)」は、網膜の1つ以上の光学的に検出可能な層の厚さを指す。いくつかの実施形態において、網膜の光学的に検出可能な層は、例えば、内境界膜と網膜色素上皮(RPE)との間に延びている網膜厚を備え得る。
【0048】
図1Aは、ヒトの眼の簡略図を示す。光は、角膜10を通して眼に進入する。虹彩20は、光が水晶体30に進むことを可能にする瞳孔25のサイズを変動させることによって、通過することを可能にされる光の量を制御する。前房40は、房水45を含み、房水45は、眼圧(IOP)を決定する。水晶体30は、結像のために光を集束させる。水晶体の焦点特性は、水晶体を再成形する筋肉によって制御される。集束光は、硝子体液55で充填される硝子体腔を通過する。硝子体液は、眼の全体的形状および構造を維持する。光は、次いで、感光性領域を有する網膜60上に到達する。特に、黄斑65は、視覚面の中心において光を受け取ることに関わる網膜のエリアである。黄斑内で、中心窩70は、光に対して最も敏感な網膜のエリアである。網膜上に到達する光は、視神経80に、次いで、処理のために脳に通される電気信号を発生させる。
【0049】
いくつかの障害が、眼の低減した光学性能を生じさせる。ある場合、眼圧(IOP)は、高すぎるか、または低すぎるかのいずれかである。これは、例えば、前房内の房水の高すぎるまたは低すぎる産生率、または、例えば、前房からの房水の排水によって引き起こされる。他の場合、網膜は、薄すぎるか、または厚すぎる。これは、例えば、網膜内の流体の蓄積に起因して生じる。異常な網膜厚(RT)に関連する疾患は、例えば、緑内障、黄斑変性症、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、および糖尿病性黄斑浮腫を含む。ある場合、RTの健康な範囲は、厚さ175μm~厚さ225μmである。一般に、IOPまたはRTのいずれかまたは両方の異常は、いくつかの眼科疾患のうちの1つの可能な存在を示す。加えて、IOPまたはRTは、眼科治療または他の手技に応答して変動する。したがって、眼科疾患の診断のためにIOPおよび/またはRTを測定し、所与の患者のための治療の有効性を査定するための手段を有することが、望ましい。ある場合、1つ以上の網膜層の厚さ、例えば、複数の層の厚さを測定することが、望ましい。加えて、OCTシステムから取得されたデータを処理し、眼内の流体ポケットまたは領域を識別することを補助することが、これらが、眼の健康の変化を示し得るので、望ましい。
【0050】
本明細書に開示されるシステムおよび方法は、複数の時点においてRTまたはRLTを測定するための光干渉断層撮影(OCT)の使用に関する。例えば、患者は、複数の時点において自身のRTまたはRLTを測定し、経時的に緑内障または黄斑浮腫等の眼科疾患の進行を追跡する。別の例として、患者は、複数の時点において自身のRTまたはRLTを測定し、医薬品または他の治療に対する自身の応答を追跡する。ある場合、システムは、RTまたはRLTの1つ以上の最近の測定値が前の測定値から大きく外れると、アラートを生成する。ある場合、システムは、患者または患者の医師に変化を警告する。いくつかの事例では、この情報は、患者と医師との間の経過観察予約をスケジューリングする(例えば、眼科疾患の治療を試行するために、処方された治療を中断するために、または追加の検査を行うために)ために使用される。
【0051】
図1Bは、いくつかの実施形態によるユーザの眼を測定するための単眼光干渉断層撮影(OCT)デバイス100の斜視図を示す。OCTデバイス100は、ヘッド202と、基部204と、それらの間のネック206とを含む。ヘッド202は、いくつかの実施形態において、ヘッド202の関節運動を可能にする結合具208によってネック206に接続される。ヘッドは、筐体を用いて覆われ、筐体は、光学モジュール、走査モジュール、他の関連する回路網およびモジュールを封入し、それらは、OCTデバイス100がユーザの眼を、一度に一方の眼ずつ測定することを可能にし得る。
【0052】
いくつかの実施形態において、ヘッド202は、レンズ210と、アイカップ212と、1つ以上のLEDライト214とをさらに含む。レンズ210は、ヘッド202内から眼の網膜上に集束するように1つ以上の光源を方向づけるように構成され得る。アイカップ212は、患者の頭部を位置付け、それによって、走査および検査のために患者の眼を位置付けるように構成され得る。アイカップ212は、回転可能であり得、それによって、突出部分216が、患者の眼に隣接して位置付けられ、患者の頭部がOCTデバイス100に対して適切に向けられると、(例えば、患者のこめかみに隣接して)頭部の側面に沿って延び得る。アイカップ212は、アイカップ212の回転向きを検出するように構成されたセンサに結合され得る。いくつかの実施形態において、OCTデバイス100は、アイカップ212の回転向きを検出し、それによって、患者が、走査および測定のためにその右眼または左眼を提供しているかどうかを決定するように構成されている。より具体的に、いくつかの実施形態において、アイカップ212の突出部分216は、患者の右のこめかみまたは左のこめかみのいずれかに隣接するように延び、それによって、測定されている患者の眼を決定し得る。いくつかの実施形態において、アイカップ212は、患者支持体を備えている。患者支持体は、代替として、またはアイカップ212との組み合わせにおいてのいずれかで、ヘッドレストまたは顎レストを備えている。
【0053】
いくつかの実施形態において、結合具208は、ヘッド202をネック206に接続し、結合具を中心とした旋回移動を可能にする。結合具208は、実施形態による固定式、関節運動式、回転式、または旋回式であり得る任意の好適な結合具であり得る。いくつかの事例では、結合具は、ねじ山付き留め具と、ねじ山付きナットとを含み、ヘッドをネックに対して所望の向きにおいて締め付ける。ねじ山付きナットは、手によって動作可能であり得、刻み付きノブ、蝶ナット、星形ナット、またはある他のタイプの手動で動作させられる締め付け機構を備え得る。結合具は、代替として、または加えて、ネックに対するヘッドの角度の調節を可能にする任意の好適な部材を備え得、カム、レバー、戻り止めを含み得、代替として、または加えて、粗面化表面、頂部および谷部、表面テクスチャ等の摩擦増加構造を含み得る。
【0054】
図2は、いくつかの実施形態による患者が複数の時点においてRTまたはRLTを測定し、結果を通信することを可能にするシステムの概略図を示す。患者は、ハンドヘルド式OCTデバイス100を覗き込み、RTまたはRLTの測定値を取得する。いくつかの実施形態において、ハンドヘルド式OCTデバイスは、光学系102と、光学系を制御し、それと通信するための電子機器104と、バッテリ106と、伝送機108とを備えている。いくつかの事例では、伝送機は、有線伝送機である。ある場合、伝送機は、無線伝送機である。ある場合、ハンドヘルド式OCTデバイス100は、無線通信チャネル110によって、患者のスマートフォンまたは他のポータブル電子デバイス等のモバイル患者デバイス120に結果を通信する。ある場合、無線通信は、Bluetooth(登録商標)通信による。いくつかの実施形態において、無線通信は、Wi-Fi通信による。他の実施形態において、無線通信は、当業者に公知である任意の他の無線通信による。無線通信が、参照されているが、いくつかの実施形態において、OCTデバイスは、有線通信によって、患者モバイルデバイスに接続され、患者モバイルデバイスは、無線でクラウドベースのサーバ等の遠隔サーバに接続される。
【0055】
ある場合、結果は、RTの完全に処理された測定値である。ある場合、OCTデータの全ての処理が、ハンドヘルド式OCTデバイス上で実施される。例えば、いくつかの実施形態において、ハンドヘルド式OCTデバイスは、OCT光波形が電子表現に転換されることを可能にするハードウェアまたはソフトウェア要素を含む。ある場合、ハンドヘルド式OCTデバイスは、ハードウェアまたはソフトウェア要素をさらに含み、それらは、電子表現の処理を可能にし、例えば、RTの測定値を抽出する。
【0056】
ある場合、結果は、OCT測定値から取得される未加工光波形の電子表現である。例えば、いくつかの実施形態において、ハンドヘルド式OCTデバイスは、OCT光波形が電子表現に転換されることを可能にするハードウェアまたはソフトウェア要素を含む。ある場合、これらの電子表現は、次いで、例えば、RTの測定値を抽出するためのさらなる処理のために、モバイル患者デバイスに通される。
【0057】
ある場合、患者は、患者モバイルアプリ上でRTまたはRLT測定の結果および分析を受信する。いくつかの実施形態において、結果は、測定の結果が正常または健康の範囲外であることを患者に警告するアラート122を含む。ある場合、結果はまた、測定値124の表示も含む。例えば、ある場合、RTまたはRLTの測定は、257μmの結果を生成する。いくつかの事例では、この結果は、正常または健康の範囲外である。これは、システムにアラートを生成させ、患者モバイルアプリ上に257μmの測定値を表示させる。いくつかの実施形態において、アラートは、治療医師等の医療提供者に伝送される。いくつかの実施形態において、結果は、複数の時点にわたる患者のRTまたはRLTの履歴を示すチャート126も含む。
【0058】
いくつかの事例では、患者モバイルデバイスは、通信手段130によって、測定の結果をクラウドベースまたは他のネットワークベースの記憶および通信システム140に通信する。いくつかの実施形態において、通信手段は、有線通信手段である。いくつかの実施形態において、通信手段は、無線通信手段である。ある場合、無線通信は、Wi-Fi通信による。他の場合、無線通信は、セルラーネットワークによる。なおも他の場合、無線通信は、当業者に公知である任意の他の無線通信による。具体的実施形態において、無線通信手段は、クラウドベースまたは他のネットワークベースの記憶および通信システムへの伝送またはそれからの受信を可能にするように構成されている。
【0059】
クラウドの中に記憶されると、具体的実施形態において、結果は、次いで、他のデバイスに伝送される。ある場合、結果は、第1の通信チャネル132によって、患者のコンピュータ、タブレット、または他の電子デバイス上の患者デバイス150に伝送される。いくつかの実施形態において、結果は、第2の通信チャネル134によって、患者の医師のコンピュータ、タブレット、または他の電子デバイス上の医師デバイス160に伝送される。ある事例では、結果は、第3の通信チャネル136によって、別のユーザのコンピュータ、タブレット、または他の電子デバイス上の分析デバイス170に伝送される。いくつかの実施形態において、結果は、第4の通信チャネル138によって、患者管理システムまたは病院管理システム180に伝送される。ある場合、デバイスの各々は、本明細書に説明されるような関連付けられる機能を実施するための適切なソフトウェア命令を有する。
【0060】
具体的実施形態において、第1の通信チャネルは、有線通信チャネルまたは無線通信チャネルである。ある場合、通信は、イーサネット(登録商標)による。他の場合、通信は、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)による。なおも他の場合、通信は、Wi-Fiによる。さらに他の場合、通信は、当業者に公知である任意の他の有線または無線通信チャネルまたは方法による。いくつかの実施形態において、第1の通信チャネルは、クラウドベースまたは他のネットワークベースの記憶および通信システムへの伝送またはそれからの受信を可能にするように構成されている。ある場合、第1の通信チャネルは、クラウドベースまたは他のネットワークベースの記憶および通信システムからの受信のみを可能にするように構成されている。
【0061】
ある場合、第2の通信チャネルは、有線通信チャネルまたは無線通信チャネルである。いくつかの事例では、通信は、イーサネット(登録商標)による。具体的実施形態において、通信は、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)による。他の実施形態において、通信は、Wi-Fiによる。さらに他の実施形態において、通信は、当業者に公知である任意の他の有線または無線通信チャネルまたは方法による。ある場合、第2の通信チャネルは、クラウドベースまたは他のネットワークベースの記憶および通信システムへの伝送またはそれからの受信を可能にするように構成されている。いくつかの実施形態において、第2の通信チャネルは、クラウドベースまたは他のネットワークベースの記憶および通信システムからの受信のみを可能にするように構成されている。
【0062】
具体的な場合において、第3の通信チャネルは、有線通信チャネルまたは無線通信チャネルである。いくつかの事例では、通信は、イーサネット(登録商標)による。他の事例では、通信は、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)による。なおも他の事例では、通信は、Wi-Fiによる。さらに他の事例では、通信は、当業者に公知である任意の他の有線または無線通信チャネルまたは方法による。いくつかの実施形態において、第3の通信チャネルは、クラウドベースまたは他のネットワークベースの記憶および通信システムへの伝送またはそれからの受信を可能にするように構成されている。ある場合、第3の通信チャネルは、クラウドベースまたは他のネットワークベースの記憶および通信システムからの受信のみを可能にするように構成されている。
【0063】
いくつかの実施形態において、第4の通信チャネルは、有線通信チャネルまたは無線通信チャネルである。ある場合、通信は、イーサネット(登録商標)による。他の場合、通信は、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)による。なおも他の場合、通信は、Wi-Fiによる。さらに他の場合、通信は、当業者に公知である任意の他の有線または無線通信チャネルまたは方法である。いくつかの事例では、第4の通信チャネルは、クラウドベースまたは他のネットワークベースの記憶および通信システムへの伝送またはそれからの受信を可能にするように構成されている。他の場合、第4の通信チャネルは、クラウドベースまたは他のネットワークベースの記憶および通信システムからの受信のみを可能にするように構成されている。
【0064】
RTまたはRLTの決定は、多くの場所において実施されることができる。例えば、RTまたはRLTの決定は、ハンドヘルド式OCTデバイス上で実施され得る。ある場合、RTまたはRLTの決定は、スマートフォンまたは他のポータブル電子デバイスによって等、ハンドヘルド式OCTデバイスに近い場所において実施される。いくつかの実施形態において、RTまたはRLTの決定は、クラウドベースの記憶および通信システム上で実施される。いくつかの事例では、ハンドヘルド式OCTデバイスは、測定データを圧縮し、圧縮された測定データをクラウドベースの記憶および通信システムに伝送するように構成されている。代替として、または組み合わせにおいて、OCTデバイスに動作可能に結合されるモバイルデバイス等、OCTシステムの他の構成要素は、例えば、測定データを圧縮し、圧縮された測定データをクラウドベースの記憶および通信システムに伝送するように構成されることができる。
【0065】
いくつかの実施形態において、患者は、患者デバイス150上でRTまたはRLT測定の結果および分析を受信する。いくつかの事例では、結果は、測定の結果が正常または健康の範囲外であることを患者に警告するアラート152を含む。ある場合、結果は、測定値154の表示も含む。例えば、ある場合、RTまたはRLTの測定は、257μmの結果を生成する。この結果は、正常または健康の範囲外である。ある場合、これは、システムにアラートを生成させ、患者デバイス上に257μmの測定値を表示させる。具体的な場合において、結果は、複数の時点にわたる患者のRTまたはRLTの履歴を示すチャート156も含む。ある場合、患者デバイスは、患者が従うための命令158も表示する。いくつかの事例では、命令は、患者にその医師を受診するように指示する。いくつかの実施形態において、命令は、患者の氏名、直近のRTまたはRLT測定の日付、およびその医師への次のスケジューリングされた受診を含む。他の場合、命令は、より多くの情報を含む。なおも他の場合、命令は、より少ない情報を含む。
【0066】
いくつかの実施形態において、患者の医師は、医師デバイス160上でRTまたはRLT測定の結果および分析を受信する。いくつかの事例では、結果は、測定の結果が正常または健康の範囲外であることを医師に警告するアラート162を含む。ある場合、結果はまた、患者の測定値が正常または健康の範囲外であることを医師に通知するアラート164も含む。いくつかの実施形態において、アラートは、医師が患者に電話し、予約をスケジューリングすること、または医療支援を提供することの示唆を含む。いくつかの実施形態において、結果は、医師の患者の各々に関する直近の測定値および履歴測定値を示す表示166も含む。例えば、いくつかの事例では、RTまたはRLTの測定は、257μmの結果を生成する。この結果は、正常または健康の範囲外である。ある場合、これは、システムにアラートを生成させ、医師アプリ上に257μmの測定値を表示させる。具体的な場合において、医師デバイスは、医師の患者の各々に関する連絡先および履歴情報168も表示する。
【0067】
いくつかの実施形態において、他のユーザは、分析デバイス170上でRTまたはRLT測定の結果および分析を受信する。いくつかの事例では、他のユーザは、新しい形態の治療の有効性を調査する研究者である。他の場合、他のユーザは、特定の医師または介護施設の結果を監視する監査員である。患者のプライバシを保護するために、ある場合、分析デバイスは、所与の患者の情報の一部のみを受信するように制限される。例えば、一部は、所与の患者についてのいかなる個人識別情報も含まないように制限される。ある場合、結果は、多数の異常または不健康な測定値が特定の期間内で取得されていることを警告または示すアラート172を含む。ある場合、結果は、患者の母集団にわたる測定値の1つ以上のグラフ表現174を含む。
【0068】
ある場合、分析デバイス上の結果および分析は、医師が確認した診断等の疾患情報を含む。ある場合、結果および分析は、年齢、性別、遺伝情報、患者の環境についての情報、喫煙歴、患者が罹患した他の疾患等の匿名患者データを含む。ある場合、結果および分析は、処方された薬剤のリスト、治療履歴等の患者のための匿名治療計画を含む。ある場合、結果および分析は、RTまたはRLT測定の結果等の測定結果、視覚機能検査、または治療過程への患者の服薬遵守度を備えている。ある場合、結果および分析は、電子診療記録からのデータを含む。ある場合、結果および分析は、患者の医療提供者によって入手されるOCT走査の結果等の患者の医療提供者への受診からの診断情報を含む。
【0069】
いくつかの実施形態において、患者の臨床、病院、または他の医療提供者は、患者管理システムまたは病院管理システム180上でRTまたはRLT測定の結果および分析を受信する。ある場合、システムは、患者の電子診療記録を含む。ある場合、結果および分析は、患者の医療提供者に、提供者が患者のための治療計画を更新することを可能にするデータを提供する。いくつかの事例では、結果および分析は、提供者が早期外来診療を患者に呼び掛けることを決定することを可能にする。いくつかの事例では、結果および分析は、提供者が外来診療を延期することを決定することを可能にする。
【0070】
いくつかの実施形態において、患者デバイス、医師デバイス、および分析デバイスのうちの1つ以上は、本明細書に説明されるように、それぞれ、患者デバイス、医師デバイス、または分析デバイスの機能を実施するための命令を含むソフトウェアアプリケーションを含む。
【0071】
図3Aは、いくつかの実施形態による近距離無線通信を利用するハンドヘルド式OCTデバイスを示す。いくつかの実施形態において、ハンドヘルド式OCTデバイス100は、光学系102と、光学系104を制御し、それと通信するための電子機器と、バッテリ106と、無線伝送機108とを備えている。ある場合、無線伝送機は、Bluetooth(登録商標)伝送機である。いくつかの事例では、1つ以上のRTまたはRLT測定からの結果は、患者または患者によって指定される別の人物等の認定ユーザが、スマートフォンまたは他のポータブル電子デバイス上の患者モバイルデバイスを開くまで、ハンドヘルド式OCTデバイス上に記憶される。開かれると、患者モバイルデバイスアプリケーションは、ハンドヘルド式OCTデバイスとの無線通信を確立する。ある場合、通信は、Bluetooth(登録商標)無線通信チャネル110による。いくつかの事例では、ハンドヘルド式OCTデバイスは、Bluetooth(登録商標)チャネルによって、結果を患者のスマートフォンまたは他のポータブル電子デバイス上のモバイル患者デバイス120に通信する。
【0072】
いくつかの事例では、結果は、測定の結果が正常または健康の範囲外であることを患者に警告するアラート122を含む。具体的実施形態において、結果はまた、測定値124の表示も含む。例えば、RTまたはRLTの測定は、ある場合、257μmの結果を生成する。この結果は、正常または健康の範囲外である。ある場合、これは、システムにアラートを生成させ、患者モバイルアプリ上に257μmの測定値を表示させる。具体的実施形態において、結果は、複数の時点にわたる患者のRTまたはRLTの履歴を示すチャート126も含む。
【0073】
ある場合、患者モバイルデバイスアプリケーションは、無線通信手段130によって、測定の結果をクラウドベースまたは他のネットワークベースの記憶および通信システム140に通信する。いくつかの事例では、無線通信は、Wi-Fi通信である。他の場合、Wi-Fi通信は、セキュアWi-Fiチャネルによる。なおも他の場合、無線通信は、セルラーネットワークによる。具体的実施形態において、セルラーネットワークは、セキュアセルラーネットワークである。他の実施形態において、伝送された情報が、暗号化される。ある場合、通信チャネルは、クラウドベースまたは他のネットワークベースの記憶および通信システムへの伝送またはそれからの受信を可能にするように構成されている。ある場合、データは、スマートフォンまたは他のポータブル電子デバイスがWi-Fiまたはセルラーネットワークに接続するまで、スマートフォンまたは他のポータブル電子デバイス上に記憶される。
【0074】
ある場合、患者モバイルデバイスアプリケーションは、患者モバイルデバイスアプリケーションが最後に開かれてからあまりに多くの時間が経過したとき、患者または患者によって指定される別の人物に通知する特徴を有する。例えば、ある場合、この通知は、患者が、その医師または他の医療提供者によって設定される測定スケジュールによる要求ほど最近にRTまたはRLTの測定値を入手していないので、生じる。他の場合、通知は、ハンドヘルド式OCTデバイスがあまりに多くの測定の結果を記憶しており、データを患者のスマートフォンに伝送する必要があるので、生じる。具体的実施形態において、患者モバイルデバイスアプリケーションは、クラウドベースまたは他のネットワークベースの記憶および通信システムと通信し、患者データの完全な組を表示する。
【0075】
図3Bは、いくつかの実施形態によるスマートフォン等のユーザデバイスに依拠することなく、クラウドベースの記憶および通信システムと直接通信することが可能であるハンドヘルド式OCTデバイスを示す。いくつかの実施形態において、ハンドヘルド式OCTデバイス100は、光学系102と、光学系104を制御し、それと通信するための電子機器と、バッテリ106と、無線伝送機108とを備えている。ある場合、無線伝送機は、GSM(登録商標)伝送機である。いくつかの事例では、1つ以上のRTまたはRLT測定からの結果が、ハンドヘルド式OCTデバイス上に記憶される。ある場合、GSM(登録商標)伝送機は、無線通信チャネル114によってクラウドベースまたは他のネットワークベースの記憶および通信システム140との無線通信を確立する。特定の場合において、無線通信は、GSM(登録商標)無線通信チャネルによる。他の実施形態において、システムは、第3世代(3G)または第4世代(4G)モバイル通信規格を利用する。そのような場合、無線通信は、3Gまたは4G通信チャネルによる。
【0076】
具体的実施形態において、患者モバイルデバイス120は、クラウドベースまたは他のネットワークベースの記憶および通信システム140から無線通信手段130によって測定の結果を受信する。ある場合、無線通信は、Wi-Fi通信による。ある場合、Wi-Fi通信は、セキュアWi-Fiチャネルによる。他の場合、無線通信は、セルラーネットワークによる。ある場合、セルラーネットワークは、セキュアセルラーネットワークである。具体的事例では、伝送された情報が、暗号化される。いくつかの実施形態において、通信チャネルは、クラウドベースまたは他のネットワークベースの記憶および通信システムへの伝送またはそれからの受信を可能にするように構成されている。
【0077】
クラウドベースまたは他のネットワークベースの記憶および通信システムから取得されると、RTまたはRLT測定の結果は、いくつかの事例では、患者モバイルアプリケーション内で閲覧される。ある場合、結果は、測定の結果が正常または健康の範囲外であることを患者に警告するアラート122を含む。いくつかの事例では、結果は、測定値124の表示も含む。例えば、ある場合、RTまたはRLTの測定は、257μmの結果を生成する。この結果は、正常または健康の範囲外である。具体的実施形態において、これは、システムにアラートを生成させ、患者モバイルアプリケーション上に257μmの測定値を表示させる。いくつかの実施形態において、結果は、複数の時点にわたる患者のRTまたはRLTの履歴を示すチャート126も含む。
【0078】
ある場合、患者モバイルデバイスアプリケーションは、患者モバイルデバイスアプリケーションが最後に開かれてからあまりに多くの時間が経過したとき、患者または患者によって指定される別の人物に通知する特徴を有する。例えば、ある場合、この通知は、その医師または他の医療提供者によって設定される測定スケジュールによる要求ほど最近にRTまたはRLTの測定値を入手していないので、生じる。他の場合、通知は、ハンドヘルド式OCTデバイスがあまりに多くの測定の結果を記憶しており、データを患者のスマートフォンに伝送する必要があるので、生じる。具体的実施形態において、患者モバイルデバイスは、クラウドベースまたは他のネットワークベースの記憶および通信システムと通信し、患者データの完全な組を表示する。
【0079】
ある場合、ハンドヘルド式OCTデバイスは、近距離伝送機と、GSM(登録商標)、3G、または4G伝送機との両方を備えている。いくつかの事例では、近距離伝送機は、Bluetooth(登録商標)伝送機である。ある場合、ハンドヘルド式OCTデバイスは、Bluetooth(登録商標)無線通信チャネルを通して、スマートフォンまたは他のポータブル電子デバイス上の患者モバイルデバイスアプリケーションと直接通信する。いくつかの実施形態において、ハンドヘルド式OCTは、GSM(登録商標)、3G、または4G無線通信チャネルを通して、クラウドベースまたは他のネットワークベースの記憶および通信システムとも通信する。具体的な場合において、クラウドベースのシステムは、次いで、Wi-Fi、セルラー、または他の無線通信チャネルを通して、患者モバイルデバイスアプリケーションと通信する。代替として、Bluetooth(登録商標)伝送機は、ドッキングステーションに組み込まれる。いくつかの事例では、これは、スマートフォンを所持していない患者のためのより古いデバイスの使用を可能にする。ある場合、ドッキングステーションは、ハンドヘルド式OCTデバイスのバッテリを充電するための手段も含む。
【0080】
ある場合、図3Aおよび3Bのハンドヘルド式OCTデバイスは、眼に近接近して保持されるように構成されている。例えば、具体的実施形態において、デバイスは、眼から200mm以下の距離に検出器を伴って眼の正面で保持されるように構成されている。他の実施形態において、デバイスは、眼から150mm以下、100mm以下、または50mm以下の距離に検出器を伴って眼の正面で保持されるように構成されている。具体的事例では、ハンドヘルド式OCTデバイスは、光源、光学要素、検出器、および回路網を支持するための筐体をさらに備えている。ある場合、筐体は、ユーザの手の中で保持されるように構成されている。ある場合、ユーザは、眼の正面でデバイスを保持し、光ビームを眼の中に方向づける。いくつかの事例では、デバイスは、どの眼が測定されているかを判断するためのセンサを含む。例えば、具体的実施形態において、デバイスは、筐体の向きに応答して測定されている眼を決定するための加速度計またはジャイロスコープを含む。デバイスは、随意に、筐体に結合された遮蔽構造と、測定される眼を決定するセンサとを含む。遮蔽構造は、他方の眼が測定されている間、一方の眼を塞ぐ。ある場合、デバイスは、光ビームを網膜の一部と整列させるための視認標的を含む。例えば、具体的実施形態において、デバイスは、光ビームを眼窩と整列させるための視認標的を含む。ある場合、視認標的は、光ビームである。ある場合、視認標的は、発光ダイオードである。他の場合、視認標的は、垂直空洞面発光レーザ(VCSEL)である。なおもさらなる場合、視認標的は、当業者に公知である任意の視認標的である。
【0081】
本明細書に説明される光学構成要素は、当業者によって理解されるであろうように、本明細書に説明されるように縮小された物理的サイズおよび質量をハンドヘルド式OCTデバイスに提供するように、小型化されることが可能である。
【0082】
いくつかの実施形態において、図3Aおよび3Bのハンドヘルド式OCTデバイスは、ユーザによって片手で容易に操作されるために十分に小さく、十分に軽量である。例えば、いくつかの実施形態において、デバイスは、約100グラム~約500グラムの範囲内の質量を有するが、デバイスは、より重くあり得、例えば、約500グラム~約1,000グラムの範囲内の質量を備え得る。いくつかの実施形態において、デバイスは、約200グラム~約400グラムの範囲内の質量を有する。いくつかの実施形態において、デバイスは、約250グラム~約350グラムの範囲内の質量を有する。具体的実施形態において、デバイスは、約80mm~約160mmの範囲内の最大の横断寸法を有する。具体的実施形態において、デバイスは、約100mm~約140mmの範囲内の最大の横断寸法を有する。具体的実施形態において、デバイスは、約110mm~約130mmの範囲内の幅を有する。いくつかの実施形態において、最大の横断寸法は、ある長さを備えている。いくつかの実施形態において、デバイスは、その長さ未満の幅を有する。具体的実施形態において、デバイスは、約40mm~約80mmの範囲内の幅を有する。具体的実施形態において、デバイスは、約50mm~約70mmの範囲内の幅を有する。具体的実施形態において、デバイスは、約55mm~約65mmの範囲内の幅を有する。
【0083】
図4は、いくつかの実施形態によるユーザの眼を測定するための両眼OCTデバイス4900の斜視図を示す。両眼OCTデバイス4900は、OCT測定システムに光学的に結合される第1の調節可能レンズ4916-1と、ハンドヘルド式ユニット本体4903(例えば、筐体)内に構成された第1の固視標的とを備え、それらの両方は、この図では視界から非表示にされている。同様に、第2の調節可能レンズ4916-2が、OCT測定システムおよび第2の固視標的(非表示にされている)に光学的に結合され得る。第1の調節可能レンズ4916-1は、第1の自由空間光学系の一部であり得、第1の自由空間光学系は、固視標的を提供し、ユーザの眼の網膜厚を測定するように構成されている一方、第2の調節可能レンズ4916-2は、第2の自由空間光学系の一部であり得、第2の自由空間光学系は、両眼OCTデバイス4900内の構成要素の数を低減させるように、固視標的のみを提供するように構成されている。例えば、両方の自由空間光学系が、ユーザに固視標的を提供するが、両眼OCTデバイス4900は、ユーザが第1の眼を測定した後、上下逆に方向転換され、すなわち、逆にされ、それによって、ユーザが、他方の眼を測定し得るように、自由空間光学系のうちの一方のみが、網膜厚を測定するために使用される。
【0084】
両眼OCTデバイス4900は、本実施形態において、ハンドヘルド式ユニット本体4903の外部上でアクセス可能である瞳孔間距離(IPD)調節機構4905を備えている。本実施形態において、IPD調節機構4905は、2つの構成要素を備え、第1の構成要素4905-1は、アイカップ4901-1および4901-2がユーザの顔に位置するとき、ユーザがユーザの眼の正面に両眼OCTデバイス4900を設置したとき、ユーザの瞳孔のIPDに合致するように、レンズ4916-1と4916-2との間の距離を調節する。
【0085】
このIPDは、医療従事者によって設定され、ユーザが自宅で網膜厚を測定するための位置に係止されることができる。代替として、IPDは、ユーザ調節可能であり得る。スイッチ4904が、ユーザの屈折、すなわち、眼鏡処方に合致するように、レンズ4916-1および4916-2を調節するために使用され得る。代替として、タブレット等のモバイルデバイスが、患者の各眼の屈折をプログラムするために使用されることができる。例えば、ユーザは、一方の眼で第1の固視標的を固視し、別の眼で第2の固視標的を固視し得、可動レンズは、ユーザの屈折に対して調節され得る。スイッチ4904は、ハンドヘルド式ユニット本体4903内のレンズ4916-1および4916-2のアセンブリを選択的に調節し、レンズ4916-1および4916-2の位置付けを変化させ得る。これらの位置は、医療従事者によってデバイスに入力され、本明細書に説明されるような向きセンサからの向きに加えて、プロセッサ内に記憶されることができる。デバイスは、逆にされることができ、プロセスは、繰り返されることができる。代替として、または加えて、各眼のための処方は、プロセッサ内に記憶されることができ、レンズは、向きセンサの向きに応答して、各眼のための適切な屈折に調節されることができる。
【0086】
構成要素4905-1および4905-5の両方は、医療提供専門家が手動で回転させる1つ以上のホイールとして実装され得る。代替として、IPD調節機構4905は、電動式であり得る。この点について、構成要素4905-1および4905-5は、方向スイッチとして構成され得、それらは、ハンドヘルド式ユニット本体4903内のモータを作動させ、ユーザがスイッチを方向づける方向に基づいて、ハンドヘルド式ユニット本体4903内の歯車を回転させる。
【0087】
スイッチ4904は、両眼OCTデバイス4900の集束を調節するために使用されることができる。例えば、レンズ4916-1および4916-2の調節によってもたらされる焦点変化が、レンズ4916-1および4916-2の調節によって屈折力の慣用単位(例えば、ジオプタ)で測定され得るからである。ジオプタスイッチ4906も、方向スイッチを備え得、それは、ハンドヘルド式ユニット本体4903内のモータを作動させ、医療従事者がスイッチを方向づける方向に基づいて、ハンドヘルド式ユニット本体4903内の歯車を回転させ、両眼OCTデバイス4900の屈折力を調節する。両眼OCTデバイス4900が、電子デバイスを備え得るので、両眼OCTデバイス4900は、両眼OCTデバイス4900の給電を制御するための電源スイッチ4906を備え得る。
【0088】
アイカップ4901-1および4901-2の各々は、測定中の眼の位置の調節を可能にするように、筐体にねじ式に搭載され、結合されることができる。本開示に関連する研究は、アイカップが医療従事者によって調節され、本明細書に説明されるような網膜厚測定のための眼の十分に再現可能な位置付けを可能にするように定位置に係止され得ることを示唆する。代替として、または組み合わせて、プルキニェ画像センサ等の眼球位置センサが、眼からOCT測定システムまでの距離を決定するために使用されることができる。
【0089】
両眼OCTデバイス4900は、自宅内測定のための適切な寸法および重量、およびユーザが両眼OCTシステムを旅行に持って行くための適切なそれらを備え得る。例えば、両眼OCTシステムは、好適な長さと、好適な幅と、好適な高さとを備え得る。長さは、ユーザ視認方向に対応する軸に沿って延びていることができる。長さは、約90mm~約150mmの範囲内、例えば、約130mmであることができる。幅は、長さに対して側方に延びていることができ、約90mm~約150mmの範囲内、例えば、約130mmであることができる。高さは、例えば、約20mm~約50mmの範囲内であることができる。いくつかの実施形態において、長さは、約110mm~210mmの範囲内であり、幅は、約100mm~200mmの範囲内であり、高さは、約50mm~約110mmの範囲内である。いくつかの実施形態において、デバイスを横断した最大距離は、約200mm~約350mmの範囲内、例えば、約300mmである。
【0090】
両眼OCTシステムの重量は、約1ポンド~2ポンド、例えば、0.5kg~約1kgの範囲内であることができる。
【0091】
両眼OCTデバイス4900は、落とされても、依然として正しく機能するように構成されることができる。例えば、両眼OCTデバイスは、約30cmの高さから落とされても、例えば、測定の反復性以下の測定された網膜厚の変化を伴う正確に網膜厚測定を実施するように、依然として機能するように構成されることができる。両眼OCTシステムは、例えば、ガラス破損からの安全上の危険をもたらすことなく、約1メートルの高さから落とされるように構成されることができる。
【0092】
図5は、いくつかの実施形態によるハンドヘルド式ユニット本体4903内の種々の構成要素を図示する両眼OCTデバイス4900のブロック図を示す。例えば、両眼OCTデバイス4900は、自由空間光学系4910-1および4910-2を備えている。自由空間光学系4910-1および4910-2の各々は、そのそれぞれの眼のための固視標的4912を備え、固視標的4912は、ユーザの網膜厚が測定されている間、ユーザが標的を固視/凝視することを可能にし、両眼固視を提供するように、他方の眼を用いた固視を可能にする。固視標的は、LED等の光源を用いて後方照明される開口(例えば、円盤形の照明標的を形成するための円形開口)を備え得るが、十字形または他の好適な固視刺激も、使用され得る。自由空間光学系4910-1および4910-2は、それぞれ、屈折誤差(RE)補正モジュール4911-1および4911-2も備え得、それらは、レンズ4916-1および4916-2を備えている。これらのレンズは、適切な眼の屈折誤差に対応する事前プログラムされた位置まで移動させられることができる。自由空間光学系モジュール4910-1および4910-2内の周辺基板4915-1および4915-2は、それぞれ、電動式ステージ4914-1および4914-2に対する電子制御を提供し、両眼OCTデバイス4900の固視標的を視認するそれぞれの眼の屈折誤差を補正する。
【0093】
本明細書に議論されるように、両眼OCTデバイス4900は、ユーザの顔の上に両眼OCTデバイス4900を快適に置くために使用され得るアイカップ4901-1および4901-2を備え得る。それらは、ユーザが両眼OCTデバイス4900の中を凝視するとき、外部光を遮断するようにも構成され得る。アイカップ4901は、アイカップ調節機構4980-1および4980-2を備え得る、それらは、医療提供専門家、随意に、ユーザが、ハンドヘルド式ユニット本体4903に対してアイカップ4901-1および4901-2を往復して移動させることを可能にし、ユーザの顔の上にアイカップを快適に位置付け、測定のために各眼を適切に位置付ける。
【0094】
いくつかの実施形態において、両眼OCTデバイス4900は、単一のVCSELまたは複数のVCSEL4952を備えているファイバ干渉計モジュール4950を備えている。1つ以上のVCSEL4952は、ファイバマッハ・ツェンダー干渉計4951に光学的に結合されたファイバ分配モジュール4953に光学的に結合されている。複数のVCSEL4952を備えている、実施形態において、VCSELSの各々は、光のスペクトル範囲を拡張するために、複数の中の他のVCSEL4952と異なる波長の範囲を備え得る。例えば、各VCSEL4952は、ある持続時間にわたって波長のある範囲にわたって掃引されるレーザ光をパルス化し得る。各VCSEL4952の掃引範囲は、本明細書に説明されるような複数の中の別のVCSEL4952の隣接掃引範囲に部分的に重複し得る。したがって、複数のVCSEL4952の波長の全体的掃引範囲が、より大きい波長掃引範囲まで拡張され得る。加えて、複数のVCSEL4952からのレーザ光の発射は、連続的であり得る。例えば、複数のVCSEL4952のうちの第1のVCSELが、ある持続時間にわたって第1の波長にわたってレーザパルスを掃引し得る。次いで、複数のVCSEL4952のうちの第2のVCSELが、ある類似した持続時間にわたって第2の波長にわたってレーザパルスを掃引し、次いで、第3のVCSELが掃引する等。
【0095】
VCSEL4952からのレーザ光は、ファイバ分配モジュール4953に光学的に伝達され、そこで、レーザ光の一部が、メイン電子基板4970内の分析のためにファイバコネクタ4960に光学的に伝達される。ファイバコネクタ4960は、ファイバ分配モジュール4953からファイバコネクタモジュール4960まで複数の光ファイバを接続し得る。レーザ光の別の部分が、光路距離補正(OPD)モジュール4940に光学的に伝達され、最終的に、ユーザの眼への送達およびマッハ・ツェンダー干渉計の測定アームの一部を用いたユーザの眼の測定のために自由空間網膜厚光学系4910-1に伝達される。例えば、OPD補正モジュール4940は、電動式ステージ4942を作動させ、ユーザの眼と、マッハ・ツェンダー干渉計の結合器と、1つ以上のVCSEL4952との間の光路距離を変化させるように、メイン電子基板4970によって制御される周辺基板4943を備え得る。OPD補正モジュール4940は、ユーザの眼への送達の前にVCSEL4952からのレーザ光をコリメートするファイバコリメータ4941も備え得、ファイバコリメータは、OPD補正モジュール4940を用いて平行移動させられることができる。
【0096】
コントローラインターフェース4930が、ユーザ入力を受信し、両眼OCT測定システムを制御するために使用され得る。コントローラインターフェースは、第1のコントローラインターフェース4930-1と、第2のコントローラインターフェース4930-2とを備え得る。コントローラインターフェース4930は、本明細書に説明されるように、ユーザが一連のステップを開始し、眼を整列させ、網膜を測定することを可能にするトリガボタン機構を備え得る。代替として、または組み合わせにおいて、デバイスは、デバイスが適切な許容差内で眼に整列させられると、データが自動的に入手されるように、自動捕捉機能で構成され得る。
【0097】
加えて、両眼OCTデバイス4900は、あるパターン(例えば、停止および進行走査パターン、星形走査パターン、連続走査パターン、リサジュー走査パターン、または花走査パターン(バラ曲線))において1つ以上のVCSEL4952からのレーザ光を走査する、スキャナモジュール4990を備え得る。例えば、スキャナモジュール4990の周辺基板4991が、メイン電子基板4970に通信可能に結合され得、周辺基板4991は、制御信号を受信し、制御信号は、ユーザの眼に対して光干渉断層撮影(OCT)を実施するためのパターンでVCSEL4952からのパルスレーザ光を走査するようにスキャナモジュール4992に指示する。走査モジュール4990は、シーリング窓4992を備え得、シーリング窓4992は、ファイバコリメータ4941からレーザ光を受け取り、自由空間2次元スキャナ4993にレーザ光を光学的に伝達し、自由空間2次元スキャナ4993は、レーザ光の走査パターンを提供する。2次元スキャナは、例えば、2軸検流計または2軸静電スキャナ等の本明細書に説明されるようなスキャナを備え得る。存在するとき、シーリング窓4992は、埃および/または湿気がない状態で両眼OCTデバイス4900の内部構成要素を保つために使用され得る。レーザ光は、次いで、走査レーザ光が、自由空間RT光学系4910-1によってユーザの眼に入力され得るように、光学系4994を中継するように光学的に伝達される。この点について、走査レーザ光は、赤外光が、ホットミラー、走査ミラーに向かって後方反射され、コリメーションレンズに結合される光ファイバ先端の中に集束させられ得るように、ホットミラー4913に伝達され得る。ホットミラー4913は、概して、可視光を透過し、赤外光を反射し、ホットミラー4913は、例えば、ダイクロイックショートパスミラーを備え得る。
【0098】
スキャナおよび関連付けられる光学系は、中心窩を備えている領域等、網膜の任意の好適にサイズを決定された領域を走査するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、スキャナは、コントローラ等のプロセッサ上に記憶される命令に応答して、所定の走査パターン等の走査パターンを用いて網膜を走査するように構成されている。例えば、スキャナは、例えば、約1.5~3mmの範囲内の最大寸法を備えているエリアの上を網膜を走査するように構成されることができる。網膜の走査領域は、例えば、眼の測定された位置に基づいてマップを整列させることによって、例えば、整列誤差を補償するために、例えば、OCTシステムに関連する眼の側方位置付けにおいて最大0.5mmの整列のわずかな誤差を考慮するために、網膜厚のマップより大きい面積を備え得る。網膜上のOCT測定ビームのサイズは、約25ミクロン~約75ミクロンの範囲内であり得る。いくつかの実施形態において、ミラーは、秒あたり約10mm~秒あたり約200mmの範囲内の網膜上の走査率に対応する連続軌道を用いて移動させられ、走査率は、秒あたり約50mm~秒あたり約200mmの範囲内であることができる。A走査中のビームの変位は、例えば、約2~10ミクロンの範囲内であり得る。複数のA走査の各々のビームは、重複することができる。いくつかの実施形態において、ミラーは、走査パターンの軌道に対応する1つ以上の回転を伴って連続的に移動し、掃引源VCSELは、ビームのサイズおよび網膜上でのビームの速度に関連して好適な周波数でオンおよびオフになる。いくつかの実施形態において、複数のA走査の各々は、走査パターンの少なくとも一部の中、網膜上で重複する。
【0099】
1つ以上のVCSELが複数のVCSELを備えている実施形態において、複数のVCSELは、複数のVCSELの各々からの測定ビームが、網膜上で以前の走査と重複するように、各A走査に関して連続的に走査されることができる。例えば、第1のA走査からの複数のVCSELの各々からの順次発生させられたビームの各々は、軌道に沿った第2のA走査からの複数のVCSELの各々からの順次発生させられたビームの各々と重複することができる。
【0100】
本明細書に説明されるように、両眼OCTデバイス4900は、構成要素4905-1および/または4905-2によるIPD調節を備え得る。これらの構成要素は、手動平行移動ステージIP調節モジュール4982に通信可能に結合され得、手動平行移動ステージIP調節モジュール4982は、自由空間光学系モジュール間の分離距離を変化させ、IPDを調節するように、自由空間光学系モジュール4910-1および4910-2の作動を実施する。
【0101】
メイン電子基板4970は、種々の構成要素を備え得る。例えば、光検出器4972は、ファイバコネクタ4960を通してVCSEL4952から方向づけられるレーザ光およびユーザの眼から反射される干渉光を受け取るために使用され得る。ファイバコネクタ4960は、複数の光ファイバ、例えば、4本の光ファイバを複数の検出器(例えば、5つの検出器)に結合するモジュール4961を備え得る。ファイバコネクタ4960は、本明細書に示され、説明されるように、ユーザの眼から後方反射される光を位相ラップすることにおいて使用され得る干渉計クロックボックス4962(例えば、エタロン)も備え得る。光検出器4972によって受け取られると、光検出器4972は、光をメイン電子基板4970および/または別の処理デバイス上で処理されるべき電子信号に変換し得る。複数の光検出器は、例えば、ファイバマッハ・ツェンダー干渉計に結合される平衡検出器対の2つの検出器、クロックボックス検出器、および一対の電力測定検出器を備え得る。
【0102】
メイン電子基板4970は、通信電力モジュール4973(例えば、ユニバーサルシリアルバス、すなわち、「USB」)を備え得、通信電力モジュール4973は、両眼OCTデバイス4900を別の処理システムに通信可能に結合すること、電力を両眼OCTデバイス4900に提供すること、および/または、両眼OCTデバイス4900のバッテリを充電することを行い得る。当然ながら、両眼OCTデバイス4900は、例えば、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、イーサネット(登録商標)、FireWire(登録商標)等を含む、両眼OCTデバイス4900から別のデバイスに情報を通信するために使用され得る他のモジュールを備え得る。
【0103】
メイン電子基板4970はまた、VCSEL4952がユーザの眼に向かって発射される方法および時間を指示する、VCSEL駆動電子機器4971を備え得る。メイン電子基板4970上の他の構成要素は、アナログブロック4974およびデジタルブロック4975を備え、それらは、それぞれ、アナログおよびデジタル信号を処理するために、および/または発生させるために使用され得、アナログおよびデジタル信号は、(例えば、外部処理システムから)両眼OCTデバイス4900に伝送され、両眼OCTデバイス4900内の種々の構成要素から受信され、および/または両眼OCTデバイス4900内の種々の構成要素から受信される。例えば、周辺フィードバックボタン4932は、アナログブロック4974および/またはデジタルクロック4975によって処理されるアナログ信号を発生させ得、それは、次に、周辺基板4943によって電動式ステージモジュール4942を刺激するために使用される制御信号を発生させ得る。代替として、または加えて、アナログブロック4974は、光検出器4972からのアナログ信号を処理し得、それによって、それらは、後続のデジタル信号処理(例えば、FFT、位相ラッピング分析等)のためにデジタルブロック4975によってデジタル信号に変換され得る。
【0104】
図6は、いくつかの実施形態による両眼のOCT4900を伴って実装され得る光学構成5100の概略図を示す。光学構成5100は、光学結合器5126によって結合されるファイバである1つ以上のVCSEL4952を備えている。上で議論されるように、1つ以上のVCSEL4952は、発射されるとき、波長のある範囲にわたって掃引され得る。複数のVCSEL4952を用いた実施形態に関して、波長は、VCSEL4952の全体的掃引範囲において増加するように、複数の中の別のVCSEL4952の波長掃引範囲に部分的に重複し得る。ある事例では、この全体的掃引範囲は、約850nmを中心とする。1つ以上のVCSEL4952からのレーザ光は、ファイバ結合器5126を通して光ファイバライン5127に伝搬され、光ファイバライン5127で、別の光学結合器5118が、1つ以上のVCSEL4952からの光学エネルギーの一部を2つの異なる経路に沿って分割する。
【0105】
第1の経路では、光学エネルギーの約95%が、別の光学結合器5119に光学的に伝達され、光学エネルギーの約5%が、光学結合器5120に光学的に伝達される。第2の経路では、光学エネルギーは、光学結合器5120によって、さらにもう一度分割される。この点について、光学結合器5120からの光学エネルギーの約75%が、エタロンを備えているファブリ・ペロー干渉計等の干渉計を通して位相補正検出器5101-1に伝達される。エタロンおよび検出器は、光学クロック5125の構成要素を備え得る。光学クロック5125は、例えば、単一のエタロンを備え得る。エタロンは、実質的に平行な平面を備え、レーザビームの伝搬方向に対して傾けられ得る。表面は、コーティングされた表面、またはコーティングされていない表面を備え得る。材料は、好適な厚さを伴う任意の好適な光透過性材料を備え得る。例えば、エタロンは、約0.25mm~約5mm、例えば、約0.5mm~約4mmの範囲内の厚さを備え得る。エタロン表面の反射率は、約3%~約10%の範囲内であり得る。エタロンは、レーザビーム伝搬方向に対して傾けられる、例えば、約5度~約12度の範囲内の角度で傾けられることができる。エタロンのフィネスは、例えば、約0.5~約2.0の範囲内、例えば、約0.5~1.0の範囲内であり得る。エタロンは、光学ガラス等の任意の好適な材料を備え得る。エタロンの厚さ、屈折率、反射率、および傾斜角は、クロックボックス検出器において実質的に正弦波の光学信号を提供するように構成されることができる。約0.5~2.0の範囲内のフィネスは、本明細書に説明されるような位相補償に非常に適している実質的に正弦波の検出器信号を提供することができるが、より高いフィネス値を伴う実施形態が、効果的に利用されることができる。
【0106】
いくつかの実施形態において、クロックボックスは、複数のエタロンを備え得る。このアプローチは、1つ以上のVCSELが、複数のVCSELを備え、複数のエタロンが、追加の位相およびクロック信号情報を提供する実施形態において役立ち得る。クロックボックスは、光が、第1のエタロン、次いで、第2のエタロンを通して、連続的に伝送されるように配置されるように配置された第1のエタロンおよび第2のエタロン(例えば、直列構成)を備え得、それは、クロックボックス信号の周波数混合を提供し、掃引源の位相を測定するために使用される検出器および関連付けられる回路の数を減少させ得る。代替として、複数のエタロンは、複数の検出器に結合される複数のエタロンを伴う並列構成で配置されることができる。
【0107】
位相補正検出器5101-1は、光学クロック5125からの光信号を使用し、本明細書に説明されるような1つ以上のVCSEL4952からの光の位相ラッピングによって、1つ以上のVCSEL4952の位相を合致させることによって、ユーザの眼5109-1から反射される光の位相を補正し得る。光学結合器5120からの光学エネルギーの残りの25%が、光学的安全性のために検出器5101-2に光学的に伝達され得る。例えば、検出器5101-2は、デバイスの向きに応じて、ユーザの眼5109-1または5109-2に伝達されている光学エネルギーの量を決定するために使用され得る。両眼OCTデバイス4900が、検出器5101-2がユーザの眼を損傷させ得るあまりに多くの光学エネルギーを受け取っていることを決定する場合、両眼OCTデバイス4900は、VCSEL4952を動作停止させる「強制停止スイッチ」として動作し得る。代替として、または、加えて、両眼OCTデバイス4900は、検出器5101-2を監視し、レーザ安全性および/または信号処理のために必要と見なされるようなVCSEL4952からの光学エネルギーを増加または減少させ得る。OCTデバイスは、改良された眼の安全性のために冗長測定を提供するための第2の安全検出器5101-3を備え得る。
【0108】
光学結合器5119に伝達される光学エネルギー(例えば、1つ以上のVCSEL4952からの光学エネルギーの約95%)も、2つの経路に沿って分割され、残りの光学エネルギーの約99%が、ファイバに沿って光学結合要素5122に光学的に伝達され、残りの光学エネルギーの約1%は、両眼OCTデバイス4900のレーザ安全性のために検出器5101-3に光学的に伝達される。光学結合器5122に伝達される光学エネルギーの一部は、光学結合器5122によって、マッハ・ツェンダー干渉計の2つの光路ループ5110と5111との間で、例えば、1つが約50%で分割され得る。光路ループ5110は、干渉計の参照アームを備え、ユーザの眼5109-1の網膜厚測定のための参照光学信号(例えば、光路ループ5111を通してユーザの網膜から反射される測定信号)を提供し得る。
【0109】
光学ループ5111を通して伝達される光学エネルギーの一部は、マッハ・ツェンダー干渉計の測定アームに沿ってユーザの左眼5109-1に伝達される。例えば、ユーザの眼5109-1に伝達されている光学エネルギーは、OPD補正モジュール4940を通過し、両眼OCTデバイス4900に対して適切な干渉計に任意の光路距離補正を実施し得る。この光は、次いで、ユーザの眼5109-1が(例えば、固視経路5106-1に沿って)固視標的4912-1を固視している間にユーザの眼5109-1の網膜厚を測定するように、スキャナモジュール4990の走査ミラー5113によってユーザの眼5109-1の上を走査され得る。
【0110】
固視標的4912-1は、LED5102-1を用いて後方照明されることができ、光は、光学要素5103-1および5105-1と、ホットミラーとを備えているダイクロイックミラー5115を通して、光路5106-1に沿って伝搬され得る。ある事例では、固視の標的は、標的を固視している間に軽減をユーザの眼5109-1に提供するように、照明停止部5104も含み得る。
【0111】
眼5109-1のユーザの網膜に衝突する光は、OPD補正モジュール4940、走査ミラー5113、集束要素5114、ダイクロイックミラー5115、および光学要素4916-1によって確立される経路に沿って、光学ループ5111を通して、光学結合器5122に戻るように、後方反射され得る。この事例では、光学結合器5122は、反射された光学エネルギーを光学ループ5110に分割された光学エネルギーと結合し得る光学結合器5121に反射された光学エネルギーを光学的に伝達し得る。光学結合器5121は、次いで、網膜厚測定が実施され得るように、その光学エネルギーを平衡検出器の5101-4および5101-5に光学的に伝達し得る。そうすることで、光学結合器5121は、干渉信号が平衡検出器上で位相がずれて到着するように、その光学エネルギーを検出器5101-1および5101-4の各々に対する約50%に分割し得る。
【0112】
光は、複数の光学要素5112および5114を通して集束させられ、ダイクロイックミラー5115によってユーザの眼5109-1に方向づけられ、光学要素4916-1によってユーザの網膜上に集束させられ得る。走査ミラー5113からの光およびユーザの眼5109から反射される光の両方は、ダイクロイックミラー5115から反射するように示され、ダイクロイックミラー5115は、概して、赤外光を反射し、可視光を透過させるように構成されるホットミラー4913を備え得る。
【0113】
この例から分かり得るように、ユーザの右眼5109-2は、示される配向を用いて1つ以上のVCSEL4972からいずれの光学エネルギーも受け取らない。むしろ、ユーザの右眼5109-2は、別のLED5102-2を用いて後方照明され得る標的4912-2を用いた両眼固視のために使用される。標的4912-2は、標的4912-1とサイズおよび形状が類似し、両眼固視を提供するように、類似した光学系を用いて眼に提供されることができる。この点について、ユーザの右眼5109-2も、光学要素4916-2、5105-2、5103-2、および照明停止部5104-2を通した光路5106-2に沿って、標的4912-2を固視し得、それは、光路5106-1に沿った光学系と類似した屈折力、分離距離、および寸法を備えている。
【0114】
両眼OCTシステム4900は、光学構成要素を測定されているユーザのためのカスタマイズされた構成まで移動させるように構成されることができる。レンズ4916-1は、屈折、例えば、測定されている眼の眼鏡処方に従って、光路5106-1に沿って調節されることができる。レンズ4916-1は、レンズ4916-1を調節し、固視標的4912-1に焦点を合わせるように、かつOCT干渉計の測定ビームをユーザの網膜上に集束させるように、コンピュータ、ユーザ、または他の制御下で移動させられることができる。例えば、レンズは、矢印5146で示されるように平行移動させられることができる。レンズ4916-2は、レンズ4916-2を調節し、ユーザの網膜上で固視標的4912-2に焦点を合わせるように、コンピュータ、ユーザ、または他の制御下で移動させられることができる。例えば、レンズは、矢印5144で示されるように平行移動させられることができる。OPD補正モジュール4940は、矢印5146で示されるように、ミラー5113に向かって、およびそれから離れるように、軸方向に平行移動させられることができる。OPD補正モジュール4940は、測定されているユーザの眼のために測定アームと参照アームとの間の光路差を適切に位置付けるように、コンピュータ制御下で移動させられることができる。瞳孔間距離は、光路5106-1に向かって、およびそれから離れるように、光路5106-2を平行移動させることによって、調節されることができる。
【0115】
自由空間光学系モジュール4910-2は、LED5101-2、固視標的4912-2、レンズ5103-2、開口5104-2、レンズ5105-2、またはレンズ4916-2等の1つ以上の構成要素を光路5106-2に沿って備え得る。自由空間光学系モジュール4910-2は、矢印5142で示されるように、瞳孔間距離を調節するように、光路5106-1に沿って位置する光学構成要素に向かって、およびそれから離れるように側方に平行移動させられることができる。自由空間網膜厚光学系モジュール4910-1は、LED5102-1、固視標的5103-1、開口5104-1、ミラー5116、レンズ5105-1、ミラー5115、またはレンズ4916-1等の光路5106-1に沿って位置する1つ以上の構成要素を備え得る。OPD補正モジュール5146は、干渉計の測定アームの光ファイバと、光ファイバから光を実質的にコリメートし、網膜から光ファイバの中に光を集束させるためのレンズ5112とを備え得る。
【0116】
図7は、いくつかの実施形態による光学レイアウト基板5150上に構成された光学構成5100のブロック図を示す。例えば、両眼OCTデバイス4900は、ほぼ平面に沿って延びている複数の層で構成され得、それらの層の各々は、特定の機能を実施するように構成され得る。この事例では、光学レイアウト基板5150は、光学構成要素の振動を減少させるために使用され得る光学構成5100のための支持体を提供する。光学基板5150は、本明細書に説明されるように、光ファイバモジュールの筐体内に封入される複数の構成要素を備え得る。筐体5153内に封入され、基板上に支持される複数の構成要素は、結合器5118、結合器5119、結合器5120、結合器5121、結合器5122、光ファイバ5110を備えている参照アーム、およびそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を備え得る。1つ以上のVCSEL4952は、筐体内に封入され得る。結合器5120から延びている複数の光ファイバは、筐体を通して適切な検出器まで延び、例えば、クロックボックス検出器5101-1および安全検出器5101-2に結合することができる。結合器5119から延びている光ファイバは、第2の安全検出器5101-3に結合され、筐体5153を通して延びていることができる。結合器5119から延びている第2の光ファイバは、光学結合器5122を用いてサンプルを測定するように、干渉計に結合されることができる。サンプル測定アームの光ファイバ部分は、結合器5122から、例えば、筐体5153を通して光路差補正モジュール4940まで延び得る。
【0117】
プリント回路基板は、電子機器面に沿って延びている支持層を提供し得、電子機器面において、いくつかの処理デバイス(例えば、駆動電子機器4971を含むメイン電子基板49700)が、ケーブル5151を通して、光学レイアウト基板5150に結合し得、ケーブル5151は、1つ以上のVCSEL4952を駆動するために、光学レイアウト基板5150で構成されたコネクタ5152に接続する。
【0118】
図8は、いくつかの実施形態による両眼OCT4900のモジュール式実施形態の斜視図を示す。例えば、両眼OCT4900のメイン電子基板4970は、プリント回路基板(PCB)5160として実装され得、PCB5160は、光学レイアウト基板5150上の光学構成要素を封入する筐体4953に搭載される。PCB5160は、電力および電子機器を提供し、光学レイアウト基板5150の光学構成5100を制御し得る。PCB5160は、周辺基板4932-1、4932-2、4943、4914-1、および4914-2も含むか、またはそれらに通信可能に結合され得る。両眼OCTデバイス4900は、光学レイアウト基板5150上に搭載され、メイン電子基板4970に通信可能に結合する自由空間光学系モジュールも備え得る。光学系基板上に搭載される自由空間光学系モジュールは、本明細書に説明されるようなモジュール4910-1、モジュール4910-2、またはOPD補正モジュール4940のうちの1つ以上を備え得る。自由空間モジュール4910-2は、光学レイアウト基板5150に関して移動し、瞳孔間距離を調節するように構成されることができる。OPD補正モジュールは、光学レイアウト基板5150に対して移動するように構成されることができる。
【0119】
干渉計モジュール4950は、本明細書に説明されるような光ファイバの結合器と、1つ以上のVCSEL4952とを備え得る。メイン電子基板4970または周辺基板のうちの1つは、VCSEL4952を駆動する電子機器を備え得る。光学レイアウト基板5150上の光ファイバに光学的に結合されている1つ以上のVCSEL4952は、レーザ光を光学レイアウト基板5150上の光ファイバに伝搬する。ユーザの眼4910-1から反射されるレーザ光は、PCB5160に伝搬されることができ、PCB5160において、光検出器4972が、反射レーザ光を検出し、アナログブロック4974による処理のために光を電子アナログ信号に変換する。
【0120】
いくつかの実施形態において、光学レイアウト基板5150は、減衰を両眼OCT4900に提供する。例えば、両眼OCT4900が落とされることになった場合、光学レイアウト基板5150で構成される減衰機構が、両眼OCT4900の衝撃への任意の振動効果を補償し、その構成要素(例えば、光学レイアウト基板5150、PCB5160、干渉計モジュール4950、およびそれぞれの構成要素)を保護し得る。搭載プレート5150は、類似減衰機構を備え得る。
【0121】
図9は、いくつかの実施形態による両眼OCT4900の斜視/切り取り内部図を示す。この図では、光学レイアウト基板5150、PCB5160、および干渉計モジュール4950は、両眼OCT4900の筐体4903内に構成される小型形態で機械的に一緒に結合されている。この図から分かり得るように、固視標的4912-1および4912-2(例えば、LED光)は、ユーザがユーザの眼に近接して両眼OCT4900を設置するとき、それぞれ、レンズ4916-1および4916-2を通してユーザに可視である。VCSELからのレーザ光は、固視標的4912-1と同じ光路の一部に沿って伝搬する。したがって、ユーザが固視標的4912-1および4912-2を凝視するとき、本明細書に説明されるような1つ以上のVCSELからのレーザ光は、ユーザの眼を通して伝搬し、ユーザの網膜厚を決定するための後続の処理のために光学レイアウト基板5150に後方反射するように動作可能である。
【0122】
図10は、いくつかの実施形態による両眼OCT4900の別の斜視/切り取り内部図を示す。この図では、光学レイアウト基板5150が、1つ以上のVCSEL4952、ファイバ結合器5126、検出器5105-1-5105-5、ファブリ・ペロー光学クロック5125、および光学結合器5118-5122の構成を示すように図示される。光学レイアウト基板5150は、スプライス5170も備え得る。
【0123】
図11は、いくつかの実施形態による眼球位置センサを備えている両眼OCTシステム4900を示す。図11は、いくつかの実施形態による眼球位置センサ5610を備えている両眼OCT4900の俯瞰/切り取り内部図を示す。眼球位置センサ5610は、アレイセンサ、線形アレイセンサ、1次元アレイセンサ、2次元アレイセンサ、相補型金属酸化膜(CMOS)2次元アレイセンサ、象限検出器、または位置感受性検出器のうちの1つ以上を備え得る。眼球位置センサ5610は、眼の角膜からの光の反射からのプルキニェ画像等の眼の画像をセンサ上に形成するために、レンズと組み合わせられることができる。眼球位置センサは、図4-10を参照して説明される両眼OCTシステム等の本明細書に開示される実施形態のうちのいずれかに組み込まれることができる。
【0124】
示される図では、光学構成5100は、光ファイバ結合部(例えば、図6のファイバループ5110および5111)および光学結合器5118-5122、および本明細書に説明されるような他のファイバ構成要素の上方の光学レイアウト基板5150上に搭載される。したがって、本明細書に説明されるような1つ以上の自由空間光学構成要素は、それらの下のファイバ構成要素に光学的に結合され得る。
【0125】
示されるように、自由空間光学系モジュール4910-1および4910-2は、概して、それぞれ、ユーザの眼5109-1および5109-2と整列させられる。自由空間光学系モジュール4910-1と4910-2との間の距離は、ユーザのIPDに従って調節され得る。いくつかの実施形態において、この調節は、両眼OCT4900がユーザに保有されている間、ユーザのために維持される。例えば、ユーザは、ある期間にわたる自宅使用のために両眼OCT4900を使用する患者であり得る。ユーザに保有されている間に正しい網膜厚が測定されることを確実にするために、両眼OCT4900は、ユーザがIPDを調節することを防止し得る。同様に、両眼OCT4900は、ユーザがOPD補正モジュール4940によってOPDを調節することも防止し得る。
【0126】
この図(図11)から分かり得るように、固視標的4912-1および4912-2(例えば、LED光標的)は、それらのそれぞれの自由空間光学系モジュール4910-1および4910-2の種々の光学要素を通過する。OPD補正モジュール4940は、本明細書に説明されるように、1つ以上のVCSEL4952からレーザ光を受け取り、走査ミラー4990に向かって光を方向づける。走査ミラー4990からの光は、レンズを通過し、ダイクロイックミラー5115によってレンズ4916-1を通してユーザの眼5109-1に反射される。
【0127】
いくつかの実施形態において、OCT測定ビームは、固視標的の複数の位置の各々における位置センサに対して実質的に固定されたままである。
【0128】
いくつかの実施形態において、網膜厚マップは、固視標的の複数の位置に対応する複数の領域を備えている。
【0129】
いくつかの実施形態において、網膜厚マップは、5~20個の領域を備え、固視標的の複数の場所は、5~20個の領域を備えている。
【0130】
いくつかの実施形態において、OCTシステムは、固視標的の複数の位置の各々に関して患者の網膜の複数の位置にOCTビームを走査するためのスキャナを備えている。例えば、スキャナは、複数の固視標的位置の各々に関して複数の網膜位置で網膜のエリアを走査するように構成されることができ、複数の網膜位置の各々において走査された網膜のエリアは、網膜厚マップまたは網膜画像のうちの1つ以上のエリア未満である。
【0131】
いくつかの実施形態において、OCT測定ビームは、光路距離を補償するために、圧電駆動モータ上に搭載される走査ミラーに伝送される。例えば、OCT測定ビームを反射し、固視標的に伝送するように構成されたホットミラーが、XYZ平行移動ステージの位置が実質的に固定されたままである間、光路差を調節するために平行移動するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、ミラーの平行移動は、固視標的からの光、随意に、ミラーを通して位置センサに伝送される光の経路等、伝送光の経路が実質的に改変されないままであるが、OCT測定ビームを反射し、OPDを調節する。
【0132】
いくつかの実施形態において、OCTビームは、方向およびOPDの両方が調節され得るマイクロミラー/マイクロレンズアセンブリを通して経路を決められる。いくつかの実施形態において、ビーム半径も、変動させられ得る。マイクロ光学系アセンブリは、サブミクロンの分解能を伴う圧電駆動部を含む線形駆動部の組の上に搭載され得る。そのような駆動部は、インターネットにおいて、dtimotors.com上で説明されるように、DTI motorsから商業的に利用可能である。
【0133】
そのようなシステムは、減少させられた駆動力に依拠し得、いくつかの実施形態によると、1Nの駆動力が、十分であり得る。
【0134】
いくつかの実施形態において、駆動力は、0.5ニュートン(N)~2.5Nの範囲内であり、分解能は、0.5ミクロンを超過しない。いくつかの実施形態において、応答時間は、0.1秒あたり1mmまたはそれより速い。このレンズアセンブリは、本明細書に説明されるように、信号対雑音比を増加させるように、マイクロコントローラまたはFPGA等のプロセッサを用いて制御されることができる。いくつかの実施形態において、レンズアセンブリは、網膜上のOCT測定ビームをディザリングするように構成されている。
【0135】
説明されるように、開示されるOCTシステムは、測定ビームに患者の網膜上で走査パターンにおいて移動させるように制御され得るスキャナを含む。走査パターンは、停止および進行走査パターン、星形走査パターン、連続走査パターン、リサジュー走査パターン、または花パターン(時として、バラ曲線と称される)を含む種々のタイプのうちの1つであり得る。さらに詳細に説明されるであろうように、花パターンまたはバラ曲線は、異なる走査パターンから取得されるであろうデータを表すデータを発生させるために処理され得る測定データを発生させるために使用され得る。さらに、花パターンまたはバラ曲線は、網膜の領域内の流体または流体のポケットを検出するための能力を改良する干渉計データを発生させるために処理され得る測定データを発生させるために使用され得る。
【0136】
図12Aは、いくつかの実施形態によるOCTデータを収集するために使用され得る(本明細書において「花」走査パターンと呼ばれる)走査パターンのある例を示す。図に示される走査パターン1200は、バラ曲線とも称され、バラ曲線は、正弦波の極座標表現である。花走査パターン1200は、複数のローブ1210または花弁を備え、各ローブの一端は、中心点または場所1220に接続され、それから半径方向に外向きに延びている。図に示される花パターンは、12個のローブまたは花弁を有するが、異なる数も、走査パターンにおいてあり得る。
【0137】
図は、患者の眼の上における走査パターンの重畳を示し、網膜組織等、眼の組織のいくつかの領域を示す。図内の(破線によって示される)3つの同心リングまたは環状領域1230は、患者の眼の網膜の異なる区域または領域を表す。いくつかの実施形態において、最も内側のリング1232は、患者の眼の中心窩領域の少なくとも一部を表し、中間のリング1234は、患者の眼の黄斑領域を表し、最も外側のリング1236は、中心窩の外側の領域を表す。最も内側のリング1232と中間のリング1234との間のセクタまたは領域は、図では4つの区域に分割される。同様に、中間のリング1234と最も外側のリング1236との間のセクタまたは領域も、図では4つの区域に分割される。いくつかの実施形態において、複数の区域が、合計で、患者の網膜の9つの識別された区域または領域を備えている。いくつかの実施形態において、最も内側のリングは、約1mmの直径を有し、約0.35mmの直径を有し得る中心窩を含む。いくつかの実施形態において、中間のリングは、約2mmの直径を有し、約1.5mmの直径を有し得る黄斑を含む。いくつかの実施形態において、最も外側のリングは、約2.5mmの直径を有し、黄斑の外側の網膜領域を表す。
【0138】
図に示される例示的走査パターンでは、走査軌道に沿った各ドットは、測定が行われ、データが収集される網膜上の場所を表す。測定の密度(すなわち、測定点またはドット間の間隔)が、軌道の異なる領域または区分に沿って変動することに留意されたい。例に示されるように、測定の密度は、最も内側のリング1232内に存在するローブの一部のためのそれ未満である。測定点の密度は、最も内側のリング1232の外側にある走査パターンの一部に関して増加し、リング1232と1234との間の一部に関して増加し、さらに、例では、中間のリング1234の外側にあるローブの端部または先端における部分に関して増加する。したがって、この例では、測定およびデータ収集点の密度は、走査に沿って変動する。いくつかの実施形態において、走査パターンに沿った測定点の密度は、同じA走査入手率を維持しながら、ミラーの走査スピードおよび走査ミラーによって発生させられる走査パターンの幾何学形状を変動させることによって制御され得る。各ローブ1210が、測定ビームのローブまたは走査経路の内側に走査されない領域を伴う実質的に連続的な走査パターンを備えていることに留意されたい。測定点およびそれらの点の密度の変形例によって示されるように、測定ビームおよび/またはデータのサンプルは、連続的ではなく、代わりに、走査プロセス中に変調される(オンおよびオフにされる)。
【0139】
図12Bは、いくつかの実施形態による図12Aの走査パターンのための時間の関数として、xおよびy方向における網膜上の測定ビームの位置を示す。図は、スキャナ内のミラーがビームを患者の網膜上で移動させるために使用される時間の関数として、測定ビームのXおよびY位置を示す。ミラーは、微小電気機械(MEM)デバイス等の1つ以上のアクチュエータに電圧または電流波形を印加することによって、移動させられ得る。いくつかの実施形態において、ミラーは、静電力の印加によって移動させられ得る。静電力は、1つ以上のコンデンサによって提供され得る。
【0140】
いくつかの実施形態において、ミラーの位置または配向は、電磁力の印加によって移動させられ得る。いくつかの実施形態において、電磁力は、検流計、静電トランスデューサ、または圧電トランスデューサのうちの1つ以上によって提供され得る。
【0141】
スキャナミラーを移動させるために動作するアクチュエータまたは他の要素に印加される電圧または電流の波形は、印加された電圧または電流とその軸のうちの1つに沿った方向またはそれまわりの方向におけるスキャナミラーの結果として生じる運動との間の非線形性の結果として、図に示される形態から変動し得る。較正プロセスが、スキャナミラーを所望の走査パターンを生成するであろう様式において移動させ得る入力信号または波形のタイプをより良好に決定するために使用され得る。
【0142】
図12Cは、いくつかの実施形態によるスキャナの一部であり、測定ビームを患者の網膜上で走査パターンにおいて移動させるために使用され得るミラー1260のある例を示す。示される例では、ミラー1260は、X傾斜または回転軸に沿って、またはそれに関して測定されるような幅Wと、Y傾斜または回転軸に沿って、またはそれに関して測定されるような幅Wとを有する。ミラー1260は、X軸まわりに傾斜角αだけ回転させられ、Y軸まわりに傾斜角αだけ回転させられ得る。OCTシステムの動作中、駆動信号または波形(または複数の波形)が、スキャナに入力される。駆動信号は、アクチュエータまたは複数のアクチュエータにミラー1260を移動させるように動作する。これは、ミラーをX軸および/またはY軸まわりに回転させることによって遂行され得る。ミラーが、移動させられると、ミラーから反射される測定ビームが向きを変えさせられ、入力駆動信号または複数の信号によって決定される走査パターンに従って、患者の網膜上で移動させられる。網膜の表面または内部層から反射される光が、測定ビームの基準バージョンに干渉し、検出器によって検出される干渉図を形成する。したがって、1つ以上のアクチュエータに対する駆動信号が、変動させられることによって、測定ビームが網膜上で所望の走査パターンにおいて走査させられることを引き起こし、データが、OCTシステムの他の要素によって検出され、記憶され得る。
【0143】
ミラー1260は、走査パターン、A走査のサンプリング周波数、およびスキャナの共振周波数に関連付けられる駆動周波数に関する好適なパターンを用いて走査するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、MEMS静電スキャナは、第1の旋回軸、および第1の旋回軸に対して横向きの第2の旋回軸まわりに旋回し、測定ビームを走査パターンに沿って移動させるように構成されたミラー1260を備えている。いくつかの実施形態において、プロセッサは、OCTシステムに、約30Hz~約120Hzの範囲内の周波数を用いて複数のローブの各々の測定を実施させる命令で構成され、第1の軸および第2の軸の各々は、80Hz~700Hzの範囲内の共振周波数を備えている。いくつかの実施形態において、スキャナは、第1の旋回軸まわりのミラーの回転のための第1の共振周波数と、第2の旋回軸まわりのミラーの回転のための第2の共振周波数とを備え、第1の共振周波数は、第2の共振周波数と少なくとも約25%異なる。
【0144】
静電MEMS静電スキャナは、Sercalo Microtechnology Limited(Neuchatel,Switzerland)から商業的に利用可能な静電スキャナ等の任意の好適な静電スキャナを含み得る。
【0145】
図12Aに目を向けると、ローブの軌道に沿った各ドットは、A走査データがシステムによって発生させられ、収集される場所を表す。これは、走査パターン中に掃引され、走査パターンの軌道に沿って複数のA走査を発生させる、光源の結果であり得る。いくつかの実施形態において、少なくとも100個のA走査が、走査パターンに沿って発生させられる。いくつかの実施形態において、走査パターンに沿ったA走査の数は、約1,000~4,000個のA走査の範囲内、例えば、単一の走査パターンに関して約2,000個のA走査である。各走査パターンは、好適な回数繰り返され、例えば、5~20回繰り返されることができ、適切な数のA走査、例えば、約5,000~約80,000個の範囲内の数のA走査(例えば、約20,000個のA走査)を提供する。いくつかの実施形態において、光源は、ミラーが連続的に移動し、測定ビームを走査パターンに沿った軌道内で移動させる間、オンおよびオフにされるが、光源は、オンのままであり、連続的に掃引源レーザの波長を掃引し、A走査サンプルを発生させ得る。いくつかの実施形態において、光源の波長を掃引するための信号が、使用され、走査パターンに沿った測定されたA走査データ点の所望の場所及び密度におけるデータを発生させ得る。
【0146】
いくつかの実施形態において、A走査は、約5kHz~約40kHzの範囲内、例えば、約5kHz~約20kHzの範囲内の実質的に固定された周波数において測定され、A走査サンプル間の可変の距離は、ミラーの速度を変動させ、走査パターンに沿った測定ビームの速度を変動させることによって提供される。
【0147】
別の例では、光源は、データが発生させられるようにオンにされ得るが、データは、検出器によってある時間にのみサンプリングされ得、時間は、走査パターンに沿ったある場所に対応する。さらに別の実施形態において、オンおよびオフにされ、可変のサンプリングレートで掃引される光源または測定ビームの組み合わせが、測定ビームが走査パターンに沿って移動するとき、使用され得る。
【0148】
走査パターンにわたる測定ビームの各トレースが、網膜の複数のA走査、例えば、いくつかの実施形態において、少なくとも100個のA走査を発生させる。各A走査は、本明細書に説明されるように、OCTシステムによって、VCSEL等の掃引源レーザの1サイクルに関して発生させられる、干渉図である。走査パターンが、複数回繰り返され得、各繰り返される走査パターンは、各繰り返される走査パターンに沿って複数のA走査を発生させる。各走査パターンは、複数の走査パターンの各々が、全長(例えば、網膜に沿った個々のA走査の各々に関する長さの合計、随意に、網膜に沿った隣接する重複しないA走査間の長さの合計も)有するように、パターンの長さに沿った測定ビーム経路の長さに関連付けられ得る。各走査パターンは、走査が行われる期間(すなわち、測定ビームが走査パターンの単一のサイクルにわたって走査のパターンに沿って移動する期間)にも関連付けられ得る。
【0149】
図13は、いくつかの実施形態によるOCTによって、図12Aの走査パターンを使用して入手されたA走査の組1300を示す。図では、A走査の組が、示される画像を発生させるために、互いの上にスタックされている。いくつかの実施形態において、各A走査は、1つ以上のVCSELが経時的に波長で掃引されているときの干渉図の強度を測定し、測定された干渉図をフーリエ変換することによって発生させられる。この図では、フーリエ変換された干渉図の組が、示され、その中では、各フーリエ変換された干渉図が、A走査に対応する。走査パターンに沿った測定ビームの各A走査は、図において、ピクセルの1つの水平な行を発生させる。したがって、ピクセルの各行は、走査パターンに沿った1つのA走査に対応する。
【0150】
OCTシステムは、網膜の異なる深度およびその関連付けられる組織構造を撮像することが可能である。例えば、図は、図12Aの走査パターンのサイクル中に実施される複数の走査を連結またはスタックすることによって取得された内境界膜(ILM)1310および網膜色素上皮(RPE)1320の画像を示す。
【0151】
いくつかの実施形態において、収集されたデータは、特定の医学的状態の検出能力を高めるためのさらなる処理を受け得る。いくつかの実施形態において、これは、図12Aの走査パターンの結果として入手された測定データを補間し、第2の異なる走査パターンの結果として入手されることが予期されるであろうデータを生成することを伴い得る。例として、図14は、半径方向走査パターン上に重ね合わせられた図12Aの走査パターンを示し、いくつかの実施形態によって、半径方向走査パターンに関するデータが、図12Aの走査パターンから取得されたデータの補間によって取得され得る。この例では、花走査パターン1410に沿った測定ビームの移動によって取得されたデータが、補間または別様に処理され、「星形」または半径方向パターン1420の上での走査を実施することによって予期されるデータを生成し得る。
【0152】
異なる走査パターンに対応するデータを発生させるために使用される補間、外挿、または他の形態の処理は、限定ではないが、とりわけ、線形補間、多項式補間、最近傍補間、またはスプライン補間を含む任意の好適な技法または方法論に基づき得る。
【0153】
補間プロセスは、図12Aの走査パターンの上で測定ビームを移動させることから取得された測定データに適用され、図14の半径方向走査パターン1420を使用することによって発生させられることが予期されるであろう測定データの組を発生させ得る。この能力が、2つのデバイスの感度または他の性能特性を比較する方法等、第1のOCTデバイスを使用して図12Aの走査パターンから取得された測定データと、第2のデバイスを使用して異なる走査パターン(半径方向または星形パターン1420等)から取得されたデータとの比較を可能にすること等、いくつかの目的のために使用され得ることに留意されたい。代替として、または組み合わせにおいて、補間は、12Aの走査パターンのローブの「内側」またはそれらの間の領域に関する測定データを発生させるために使用されることができる。この点について、図14において、半径方向線が、パターンの中心1430から図に示される画像の外側リングまたは環状領域1440まで延びているように示される。図は、(a)中心からローブ内の外側リングまで延びている半径方向線1422と、(b)中心から2つのローブの間の外側リングまで延びている半径方向線1424との両方を示す。これは、医師または他の医療従事者が、走査パターンによって明示的に含まれなかった網膜の領域からの測定データを評価することを可能にし、故に、眼に関連する疾患の診断および治療を改良することができる。また、外側環状領域1440の一部のみが、各走査パターンで覆われているが、本開示に関連する研究は、これが、例えば、図12Aを参照して説明されるように、網膜厚のマップを発生させるために十分であり得ることも示唆する。
【0154】
図14は、星形または半径方向走査パターンを図示するが、花またはバラ曲線走査パターンの使用によって取得される測定データの補間、外挿、または他の処理が、限定ではないが、停止および進行、円形、星形、リサジュー、および他のパターンを含む他のタイプの走査パターンに対応する測定データを発生させるために使用され得ることを理解されたい。
【0155】
図15は、いくつかの実施形態による患者の眼の網膜が、各区域からデータを収集される際に費やされた走査の量または走査時間を比較することによって走査パターンを比較する目的のために、区域または領域に分割され得る方法を示す。図に示されるように、眼の表面が、区域の組、本場合、9つの区域に分割され得る。各区域は、図では、標識Z0、Z1~Z8によって識別される。いくつかの実施形態において、区域の各々は、全体の厚さ、例えば、各区域に関する平均厚が示される網膜厚マップを発生させるために使用されることができる。いくつかの実施形態において、異なる時間における同じ眼の測定からのデータが、比較され、区域の各々に関して、経時的な網膜厚の変化を示すマップを発生させる。
【0156】
ある場合、各区域内における走査時間および/または収集されるデータの量に基づいて、異なる走査パターンを比較することが、望ましくあり得る。これは、他の区域と比較して1つの区域または1組の区域における測定データの収集を卓越して引き起こす所望の走査パターンを選択することにおいて有用であり得る。このタイプの分析は、別の走査パターンのそれから、1つの走査パターンを使用して取得された測定データの信頼性または信頼度を決定するためにも、故に、眼の特定の領域の病状をより深く理解するために依拠されるべきデータの組を決定するためにも使用され得る。
【0157】
例えば、下記の表は、図15に示される眼の区域または領域の各々に関して本明細書に説明される花走査パターンを使用して収集されたデータの割合を示す。表に示されるように、中心領域(または中心窩)Z0は、走査データの32%を収集するための基礎であり、第1の環状リング内の4つの領域(Z1-Z4)の各々は、走査データの13%の源であり、第2の環状リング内の4つの領域(Z5-Z8)の各々は、走査データの4%の源である。花走査パターンを使用するとき、中心エリア(または中心窩)Z0は、あまり重要ではない周辺(区域Z5-Z8)より多いA走査の源である。これは、眼の領域の各々に関して走査データを収集する走査データの量または走査の数に関して、異なる走査パターン間の比較を可能にする。このタイプの比較に基づいて、着目データを収集することにおける異なる走査パターンの有効性が、決定されることができ、特定の患者のために使用するためのパターンまたはOCTデバイスを決定することにおける要因となり得る。
【表1】
【0158】
OCTデバイスから収集されたデータは、多くの方法において入手され、処理されることができる。花パターンまたはバラ曲線等の走査パターンは、測定データを発生させるために使用され得、測定データは、干渉計データを発生させるために処理され得、干渉計データは、網膜の領域内の流体または流体のポケットを検出するための能力を改良する。いくつかの実施形態では、これは、本明細書に説明されるようなデカービングを含む処理技法の使用によって、網膜のRPE層またはILM層のうちの1つ以上の弁別性を高めることによって、遂行される。
【0159】
説明されるように、いくつかの実施形態では、A走査の組から収集されたOCT測定データは、眼または網膜の特徴を区別するための能力を高めるために処理され得る。いくつかの実施形態では、A走査の組は、本明細書に説明されるようなデカービングを含む処理方法を受け、ILMの分解能を高め、網膜厚の改良された測定を可能にし得る。網膜厚の1つの尺度は、図13のILM1310およびRPE1320の境界間の差異に基づくため、ILM層およびRPE層をより明瞭に区別することが可能であることが、結果として、網膜厚のより正確な測定に寄与するであろうこととなる。
【0160】
A走査を整列させるための本開示されるアプローチ、例えば、デカービングは、2019年6月20日に出願され、「MINIATURIZED MOBILE,LOW COST OPTICAL COHERENCE TOMOGRAPHY SYSTEM FOR HOME BASED OPHTHALMIC APPLICATIONS」と題された第PCT/US2019/038270号(その開示全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されるような、停止および進行軌道、星形軌道、連続軌道、またはリサジュー軌道のうちの1つ以上等の多くの走査パターンと共に使用されることができる。
【0161】
OCTシステムによって収集された干渉計データは、網膜上で走査されている測定ビームによって発生させられた干渉パターンからの信号または寄与を含み得、測定システムおよび/また測定中の患者の眼球運動から結果として生じる1つ以上のアーチファクトも含み得る。そのようなデバイスに精通している人によって理解されるように、いくつかの実施例では、干渉図は、(a)可能な病態を伴う網膜厚の所望の「真」の信号符号化と、(b)モーションアーチファクトによって引き起こされると考えられる高周波数成分と、(c)測定期間中の患者の軸上眼球運動の結果であると考えられる低周波数成分と、(d)走査パターンと相関し、スキャナ光路差から結果として生じると考えられる中周波数成分のうちの1つ以上を含み得る。
【0162】
これらのジッタまたは誤差の源の結果は、ILM層およびRPE層の特徴が、全てのA走査に関して同じ場所にないこともあることである。これは、さらなる処理に先立ってA走査の組を互いに整列させることが、網膜厚をより良好に決定するために使用され得ることを示唆する。いくつかの実施形態では、厳密な整列ベクトルが、A走査の組の各々に関して発生させられた後、低域通過フィルタが、整列ベクトルに適用され、各A走査に関する所望の量のシフトを発生させる。このフィルタリングされた量のシフトを適用した後、A走査は、連結またはスタックされ、分析または処理され、さらに測定された網膜厚を決定する干渉図を生成する。
【0163】
図16Aは、いくつかの実施形態による、その走査の信号を基準走査と整列させるためのA走査の組の各々に関する相互相関のピーク値の整列シフトのグラフを示し、その整列シフトデータの組に低域通過フィルタを適用したことの結果も加えて示す。図は、複数のA走査の各々が、基準走査またはテンプレートと整列するために、シフトされ得る量を図示する。いくつかの実施形態では、初期の基準走査は、A走査の第1の組、例えば、10個のA走査の組の平均化を表す。
【0164】
いくつかの実施形態では、新しいA走査に関する不整列の量は、各A走査の相互相関信号(具体的に、RPE層を表すことが予期されるこの結果の最大値)を分析することと、そのピークを基準走査ピークと比較することとによって決定され得る。基準走査またはテンプレートは、より大きい数のA走査を平均化すること、または信頼性メトリックに基づいてA走査の加重測定量を合算することによって、反復的に更新または改良され得る。いくつかの実施形態では、信頼度メトリックは、A走査の基準またはテンプレートの以前のバージョンとの相関の尺度であり得る。
【0165】
図16Aは、(図ではA走査指数と称される)一連のA走査にわたって検査されたときに不整列の尺度の値がどのように変動し得るかを示す。各A走査に関する整列シフトが、鋸歯状の曲線1610によって示される。いくつかの実施形態では、低域通過フィルタが、このデータに適用され、図に示される平滑な曲線1620を生成する。図17を参照して説明されるであろうように、低域通過フィルタを整列ベクトルに適用し、所望のシフトを決定し、次いで、そのシフトを複数のA走査結果の各々に適用することの結果が、ILMを分解し、ILMとRPEとの間の距離を決定し、ある場合、眼中の流体または流体ポケットを識別するための能力を高めるデカービング動作をもたらす。
【0166】
図16Bは、いくつかの実施形態による(0番目のA走査として示される)基準テンプレートおよび(100番目のA走査として示される)現在のA走査を表す走査の変動を示し、それらの相対的なx軸シフト(上)と、2つの走査中の相関(下)とを示し、本明細書に説明されるデカービング処理において使用され得るようなシフトの量は、ピクセルで表現されている。図に示されるように、説明される誤差の源のうちの1つ以上に起因して、特定のA走査(この例では、100番目のA走査1650)は、(図の0番目の走査として識別される)基準走査またはテンプレート1660と異なり得、すなわち、それからオフセットされ得る。(RPE層に対応する)走査1650のピーク値は、基準またはテンプレート走査からある量だけオフセットまたはシフトされ得る。考慮されているA走査に関するシフトの量は、A走査ピークの規定された近傍内(+/-25ピクセル等)の以前の走査(または基準)の整列シフトの最も高い相関値を見出すことによって推定され得る。規定された近傍または局所化の使用は、大きい外れ値(ILM層を表し得る)を除去するために機能する。図16Bの下側の図は、相関値の関数としてピクセルシフトの対応する量を示し、考慮されているA走査の中心に関する示唆される量のシフトを示す。
【0167】
A走査に関するこの予備的シフト値が、次いで、低域通過フィルタリングを受ける。このフィルタリング動作は、A走査整列値の以前の組(例えば、直前の25個の値の組)の移動平均に基づき、RPE層内の深部位置における高周波数ジッタを除去するために機能する。各A走査に関する結果として生じる(再)整列値が、次いで、走査に適用される。説明される整列方法は、本明細書ではデカービングプロセスと称される。
【0168】
整列させられたA走査の組が、次いで、連結と称されるプロセスを使用して組み合わせられ得る。この連結またはスタック手順は、C走査と称されるものを生成する。C走査は、本明細書に説明されるデカービングプロセスの出力を表し、網膜厚のより信頼性のある測定値を提供するために使用され得る。これは、ILM層をより良好に分解するためのC走査のさらなる処理によって、および/または、別の形態の画像または信号処理によって行われ得る。
【0169】
図17A、B、Cは、いくつかの実施形態によるA走査の組から取得された干渉図データの3つのバージョンを示し、(図17Aに示される)未加工データに対する2つのタイプの信号または画像処理アプローチの結果を図示する(図17Bにおけるような「厳密な整列」、および図17Cにおけるような「デカービング」と標識される)。図17Aに示されるように、未加工または未処理データから形成されるC走査は、RPE層1710の明確な湾曲といくぶん拡散したILM層1720とを示す。干渉計データへの厳密な整列プロセスの適用(各A走査が、走査の相互相関信号の最大値を基準走査と比較することから決定された量だけ再整列させられている)が、図17Bをもたらす。この図から分かるように、このタイプの処理は、RPE層信号1712を増強し得るが、ILM層信号1722の変形または汚損等のノイズをもたらし得る。本明細書に説明されるデカービング処理において低域通過フィルタを厳密な整列ベクトルに適用することは、図17Cに示される結果を生成する。その図に示されるように、RPE層信号1714は、わずかにより広いが、依然として、はっきりと明白である一方、ILM層信号1724は、ここで、図17Bにおけるものと異なり、あまり拡散していない。デカービング処理を使用したこの改良は、それから網膜厚のより信頼性があり、正確な測定値が取得され得るC走査を提供する。デカービング処理は、ある場合、そのような流体または流体ポケットが、可視ではない、または未加工データから識別されることが可能ではない、または厳密な整列データから検出されるものと同程度に容易に識別されないような、網膜内の流体または流体ポケットのより明瞭な識別ももたらし得る。
【0170】
いくつかの実施形態では、走査ミラーは、第1の軸と、第1の軸に対して横向きの第2の軸とを備え、ミラーを2自由度で回転させ、ミラーを用いてビームを走査し、整列におけるシフトは、ビームのミラーとの整列に関連する。いくつかの実施形態では、第1の軸および第2の軸は、ミラーの2D回転中心を画定し、整列におけるシフトは、ビームの2D回転中心との整列に関連する。さらに、いくつかの実施形態では、ビームは、ビームの中心に対応する軸に沿って延び、さらに、ビームの中心は、2D回転中心に対して偏心的である。
【0171】
図18は、いくつかの実施形態によるプロセス、方法、動作、または機能を図示するフローチャートまたはフロー図1800であり、方法、動作、または機能は、OCT測定データを発生させるために患者の網膜の走査を実施すること、および信号および画像データに対してデカービングプロセスを実施することを行うためである。図に示されるステップまたは段階は、プログラムされたプロセッサまたは処理ユニットによる命令の組の実行の結果として、全体的または部分的に実施され得る。例えば、いくつかの実施形態では、命令の組の実行は、光源をオンおよびオフするための制御信号を送信すること、および、ミラーを移動させ、測定ビームに患者の網膜上の軌道または走査パターンを横断させるように動作する制御信号も送信することをプロセッサに行わせるであろう。
【0172】
図に示されるように、ステップまたは段階1810において、OCTデバイスが、取得され、デバイスは、測定ビームを発生させるように動作させられ得る光源を含む。説明されるように、いくつかの実施形態では、光源は、種々の波長の掃引光を発生させ得るVCSELであり得る。ステップまたは段階1820において、測定ビームが、患者の網膜上で連続走査パターンにおいて移動させられ、走査パターンは、複数のローブを備えている。測定ビームは、走査パターンまたは軌道の上で移動または走査されているが、ビームは、ステップまたは段階1830によって示されるように、走査パターンに沿った点または場所の第1の組において発生または「オン」にされ、走査パターンに沿った点または場所の異なる組において「オフ」にされる。したがって、いくつかの実施形態では、測定ビームは、これらの点または軌道が、走査パターンに沿った所望の場所に対応するように選択され得る走査パターンの軌道に沿った(全てではないが)いくつかの点または場所において光を提供し、干渉計データを発生させている。
【0173】
測定ビームが「オン」であるときに発生させられる、干渉計データは、軌道または走査パターンに沿った場所の第1の組における網膜の測定値を表す。ステップまたは段階1840において、本データは、OCTデバイスの一部である、検出器によって検出される。ステップまたは段階1850において、検出されたデータは、電子データ記憶要素の中に記憶される。
【0174】
複数の走査に関して記憶されたデータ(例えば、網膜のILM層およびRPE層から取得された干渉計データを示すA走査)は、次いで、アクセスおよび処理され、網膜厚を決定するために使用されるべきデータの能力を改良し得る。述べられるように、いくつかの実施形態では、これは、ILM層の分解能を改良することの結果である。網膜厚の変化は、流体または流体ポケットによって引き起こされ得、流体は、患者にとっての疾患または他の損傷源の指示であり得るので、網膜厚の正確な測定値は、患者の診断および治療にとって重要である。
【0175】
しかしながら、図13、16、および17を参照して説明されるように、(図17Aに示される)OCTシステムによって収集されたA走査データは、ジッタ、眼球運動、ビームとミラーの走査軸の不整列、および誤差の他の源からの寄与を含み得る。これらの誤差は、A走査のRPE内に互いに対するシフトを生成し得、網膜厚の信頼性のある測定値を取得することを困難にし、結果として、診断または治療に過誤をもたらし得る。本明細書に説明されるように、いくつかの実施形態では、さらなる画像および信号処理が、未加工データに適用され、(厳密な整列と称され、図17Bに示される)整列させられたA走査を生成するために各A走査をシフトさせるための量を発生させ、その量は、次いで、低域通過フィルタを受け、網膜厚のより信頼性のある測定値源としての役割を果たし得るA走査の組を発生させる。本明細書に説明されるようなデカービングを用いたA走査データの処理、およびA走査の組にデカービングプロセスを適用し、次いで、処理された走査の組を連結または組み合わせることの結果が、図17Cに示されるもの等の画像を生成する。
【0176】
したがって、いくつかの実施形態では、ステップまたは段階1860に示されるように、複数の走査からのOCTデータが、測定され、記憶された後、各走査からのデータが、アクセスおよび処理され、走査毎のシフトの量を決定し、基準走査と整列させられ得る。述べられるように、これは、各走査に関する厳密な整列データを生成する。ステップまたは段階1870において、厳密な整列データは、本明細書に説明されるように、低域通過フィルタリングを受ける。厳密な整列シフトデータに低域通過フィルタを適用することの結果は、次いで、ステップまたは段階1880に示されるように、未加工データに適用するためのシフトの量として使用される。これは、本明細書では、デカーブされた走査(decurved scan)と称されるものを発生させる。デカーブされた走査の組は、次いで、ステップまたは段階1890に示されるように、本明細書において連結と称されるプロセスにおいて組み合わせられる、またはスタックされる。これは、患者の眼の健康の監視、疾患または病気の診断、または治療の目的のために、網膜厚のより信頼性のある測定値を取得するために使用され得る図17Cに示されるタイプの画像を生成する。
【0177】
図18は、いくつかの実施形態による網膜を測定するプロセスを示すが、当業者は、多くの適合例および変形例を認識するであろう。例えば、ステップのうちのいくつかは、除去されることができ、ステップのうちのいくつかは、繰り返されることができ、ステップのうちのいくつかは、他のステップのサブステップを含み得る。ステップは、任意の好適な順序において実施されることもできる。
【0178】
本明細書に説明されるOCTシステムおよびデバイスは、種々のパラメータ、設定、プログラムされた構成等に従って、動作させられ得る(または実装され得る)。本明細書に提供される例示的動作パラメータまたは特性、またはパラメータの範囲は、システムおよびデバイスを実践する(または説明されるプロセスまたは方法を実装する)ことに関する指針を提供することを意図しており、動作特性に限界を提供する意図はない。当業者に明白であろうように、動作パラメータまたは特性の他の組み合わせまたは値も、可能性として考えられ、本開示に提供される説明内に含まれる。
【0179】
例として、いくつかの実施形態において、走査パターンは、花パターンまたはバラ曲線であり、複数のローブを有する。いくつかの実施形態において、ローブの数は、4~24で変動し得る。いくつかの実施形態において、走査は、デバイスによって、2~20回繰り返され、データを収集し得る。
【0180】
いくつかの実施形態において、単一走査のための走査パターンの測定ビーム経路が、10mm~100mm、随意に、12mm~60mmの範囲内の距離、例えば、約15mm~約50mm,の範囲内、例えば、約25mmに延びている。いくつかの実施形態において、複数回数繰り返される、走査パターンの総測定ビーム経路は、100mm~1,000mm、随意に、120mm~600mmの範囲内、例えば、約130mm~約520mmの範囲内、例えば、約260mmの総組み合わせ距離に延びている。いくつかの実施形態において、複数回数繰り返される走査パターンの総時間は、1~3秒の範囲内であり、随意に、1.5秒~2.5秒の範囲内である。いくつかの実施形態において、スキャナは、ミラーの位置を改変し、網膜上で測定ビームを移動させるための1つ以上のアクチュエータを備えている。いくつかの実施形態において、走査中に軌道に沿って移動する測定ビームの速度は、10mm/秒~400mm/秒、随意に、15mm/秒~300mm/秒の範囲内である。いくつかの実施形態において、プロセッサは、走査パターンの複数のローブの各々に沿って測定ビームを移動させるスキャナを備えている、各A走査を用いて、網膜の複数のA走査を発生させるための命令で構成され、A走査のサンプリングレートは、10kHz~50kHzの範囲内であり、随意に、15kHz~25kHzの範囲内である。
【0181】
本明細書で使用されるように、用語「患者」および「ユーザ」は、同義的に使用される。
【0182】
本明細書で使用されるように、用語「OCTデバイス」および「OCTシステム」は、同義的に使用される。
【0183】
本明細書に説明されるように、本明細書に説明および/または図示されるコンピューティングデバイスおよびシステムは、大まかに、本明細書に説明されるモジュール内に含まれるもの等のコンピュータ読み取り可能な命令を実行することが可能である任意のタイプまたは形態のコンピューティングデバイスまたはシステムを表す。それらの最も基本的構成において、これらのコンピューティングデバイスは、それぞれ、少なくとも1つのメモリデバイスと、少なくとも1つの物理的プロセッサとを備え得る。
【0184】
本明細書で使用されるように、用語「メモリ」または「メモリデバイス」は、概して、データおよび/またはコンピュータ読み取り可能な命令を記憶することが可能である任意のタイプまたは形態の揮発性または不揮発性記憶デバイスまたは媒体を表す。一例では、メモリデバイスは、本明細書に説明されるモジュールのうちの1つ以上を記憶、ロード、および/または維持し得る。メモリデバイスの例は、限定ではないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、光ディスクドライブ、キャッシュ、そのうちの1つ以上の変形例または組み合わせ、または任意の他の好適な記憶メモリを含む。
【0185】
加えて、本明細書で使用されるように、用語「プロセッサ」または「物理的プロセッサ」は、概して、コンピュータ読み取り可能な命令を解釈および/または実行することが可能である任意のタイプまたは形態のハードウェアによって実装される処理ユニットを指す。一例では、物理的プロセッサは、上記に説明されるメモリデバイス内に記憶される1つ以上のモジュールにアクセスする、および/またはそれを修正し得る。物理的プロセッサの例は、限定ではないが、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理ユニット(CPU)、ソフトコアプロセッサを実装するフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、そのうちの1つ以上の一部、そのうちの1つ以上の変形例または組み合わせ、または任意の他の好適な物理的プロセッサを含む。プロセッサは、例えば、並行プロセッサ、またはサーバ等の遠隔プロセッサ、およびそれらの組み合わせを起動する、分散型プロセッサシステムを含み得る。
【0186】
別個の要素として例証されているが、本明細書に説明および/または例証される方法ステップは、単一のアプリケーションの一部を表し得る。加えて、いくつかの実施形態において、これらのステップのうちの1つ以上は、コンピューティングデバイスによって実行されると、コンピューティングデバイスに、方法ステップ等の1つ以上のタスクを実施させ得る1つ以上のソフトウェアアプリケーションまたはプログラムを表す、またはそれに対応し得る。
【0187】
加えて、本明細書に説明されるデバイスのうちの1つ以上は、データ、物理的デバイス、および/または物理的デバイスの表現を1つの形態から別のものに変換させ得る。加えて、または代替として、本明細書に列挙されるモジュールのうちの1つ以上は、コンピューティングデバイス上で実行する、コンピューティングデバイス上でデータを記憶する、および/またはコンピューティングデバイスと別様に相互作用することによって、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、および/または物理的コンピューティングデバイスの任意の他の部分をコンピューティングデバイスの1つの形態からコンピューティングデバイスの別の形態に変換し得る。
【0188】
本明細書において使用されるように、用語「コンピュータ読み取り可能な媒体」は、概して、コンピュータ読み取り可能な命令を記憶または搬送することが可能である任意の形態のデバイス、キャリア、または媒体を指す。コンピュータ読み取り可能な媒体の例は、限定ではないが、搬送波等の伝送タイプ媒体、磁気記憶媒体等の非一過性タイプ媒体(例えば、ハードディスクドライブ、テープドライブ、およびフロッピー(登録商標)ディスク)、光学記憶媒体(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、およびBLU-RAY(登録商標)ディスク)、電子記憶媒体(例えば、固体ドライブおよびフラッシュメディア)、および他の分配システムを含む。
【0189】
当業者は、本明細書に開示されるいかなるプロセスまたは方法も、多くの方法において修正され得ることを認識するであろう。本明細書に説明および/または例証されるプロセスパラメータおよびステップの一続きは、一例として与えられるにすぎず、所望に応じて変動させられ得る。例えば、本明細書に例証および/または説明されるステップは、特定の順序において示される、または議論され得るが、これらのステップは、必ずしも例証または議論される順序において実施される必要があるわけではない。
【0190】
本明細書に説明および/または例証される種々の例示的方法は、本明細書に説明または例証されるステップのうちの1つ以上を省略し得るか、または、開示されるものに加えて、追加のステップを含み得る。さらに、本明細書に開示されるような任意の方法のステップが、本明細書に開示されるような任意の他の方法のうちのいずれか1つ以上のステップと組み合わせられることができる。
【0191】
本明細書に説明されるように、プロセッサは、本明細書に開示される任意の方法の1つ以上のステップを実施するように構成されることができる。代替として、または組み合わせにおいて、プロセッサは、本明細書に開示されるような1つ以上の方法の1つ以上のステップを組み合わせるように構成されることができる。
【0192】
別様に注記されない限り、本明細書および請求項において使用されるように、用語「~に接続される」および「~に結合される」(およびそれらの派生語)は、直接的接続および間接的(すなわち、他の要素または構成要素を介した)接続の両方を可能にするものとして解釈されるものとする。加えて、本明細書および請求項において使用されるように、用語「a」または「an」は、「~のうちの少なくとも1つ」を意味するものとして解釈されるものとする。最後に、使用し易さのために、本明細書および請求項において使用されるように、用語「~を含む(including)」および「~を有する(having)」(およびそれらの派生語)は、同義的であり、単語「~を備えている(comprising)」と同じ意味を有するものとする。
【0193】
本明細書に開示されるようなプロセッサは、本明細書に開示されるように、任意の方法の任意の1つ以上のステップを実施するための命令で構成されることができる。
【0194】
用語「第1」、「第2」、「第3」等が、本明細書では、事象のいかなる特定の順序またはシーケンスに言及することなく、種々の層、要素、構成要素、領域、または区分を説明するために使用され得ることを理解されたい。これらの用語は、1つの層、要素、構成要素、領域、または区分を別の層、要素、構成要素、領域、または区分から区別するために使用されるにすぎない。本明細書において説明されるような第1の層、要素、構成要素、領域、または区分は、本開示の教示から逸脱することなく、第2の層、要素、構成要素、領域、または区分と称され得る。
【0195】
本明細書で使用されるように、用語「または(or)」は、物品を代替として、および組み合わせにおいて、包括的に指すために使用される。
【0196】
本明細書で使用されるように、番号等の文字は、同様の要素を指す。
【0197】
本開示は、以下の付番された付記を含む。
【0198】
付記1.眼の網膜を測定するための光干渉断層撮影(OCT)システムであって、OCTシステムは、測定ビームを発生させるための光源と、前記測定ビームを前記網膜上で走査パターンにおいて移動させるためのスキャナと、複数の光学要素と、検出器とを備えているOCT干渉計と;スキャナに動作可能に結合されたプロセッサであって、プロセッサは、
前記測定ビームを前記網膜上で走査パターンに沿って移動させ、網膜の複数のA走査を発生させることをスキャナに行わせることと、複数のA走査の各々を基準走査と整列させるための整列におけるシフトのための値を決定することとを行うための命令を実行するように構成されている、プロセッサと;OCT干渉計によって発生させられた測定データを記憶するための電子データ記憶装置とを備えている、OCTシステム。
【0199】
付記2.走査パターンは、複数のローブを画定する軌道を備えている、付記1に記載のOCTシステム。
【0200】
付記3.複数のA走査は、網膜の網膜色素上皮(RPE)および内境界膜(ILM)に対応するデータを備えている、付記1に記載のOCTシステム。
【0201】
付記4.A走査の各々に関する整列におけるシフトは、隣接するA走査のILM層の場所に対するILM層の場所の変動性を減少させ、隣接するA走査のRPE層の場所に対するRPE層の場所の変動性を増加させる、付記1に記載のOCTシステム。
【0202】
付記5.隣接するA走査は、走査パターンに沿ってA走査の前に入手される第1の複数のA走査と、走査パターンに沿ってA走査の後に入手される第2の複数のA走査とを備えている、付記4に記載のOCTシステム。
【0203】
付記6.基準走査は、複数の組み合わせられたA走査を備えている、付記1に記載のOCTシステム。
【0204】
付記7.複数の組み合わせられたA走査は、軌道に沿ったA走査から離れた走査パターンの複数のA走査を備えている、付記6に記載のOCTシステム。
【0205】
付記8.基準走査は、複数のA走査の各々に関して変化する可変の基準走査を備えている、付記1に記載のOCTシステム。
【0206】
付記9.基準走査は、複数のA走査の加重組み合わせを備え、さらに、基準走査は、基準A走査を備えている、付記8に記載のOCTシステム。
【0207】
付記10.命令の組をさらに備え、命令の組は、データ記憶装置からの複数のA走査に関する測定データにアクセスし、データを処理し、ILM層またはRPE層のうちの1つ以上の弁別性を高めることを前記システムに行わせ、データを処理することは、複数のA走査の各々に関して、整列におけるシフトのための決定された値に低域通過フィルタを適用することと、フィルタリングされた値を発生させ、フィルタリングされた値をA走査に適用することと、A走査を基準走査に関連してシフトさせることと、各A走査に関するフィルタリングされた値をA走査に適用することの結果を電子データ記憶要素の中に記憶することとによる、付記1に記載のOCTシステム。
【0208】
付記11.複数のA走査の各々へのフィルタリングされた値の適用の後、複数のA走査を連結することをさらに含む、付記10に記載のOCTシステム。
【0209】
付記12.ILMまたはRPE層のうちの1つ以上の弁別性を高めるためのデータの処理は、ILM層とRPE層との間のコントラストを増加させることをさらに含む、付記10に記載のOCTシステム。
【0210】
付記13.フィルタリングされた値の適用から結果として生じるシフトは、隣接するA走査に対するILMの場所の変動性を減少させ、隣接するA走査に対するRPE層の場所の変動性を増加させる、付記10に記載のOCTシステム。
【0211】
付記14.A走査へのフィルタリングされた値の適用から結果として生じるシフトは、低域通過フィルタの適用を伴わないRPE層の場所と比較して、RPE層の場所の変動性を増加させる、付記10に記載のOCTシステム。
【0212】
付記15.A走査を基準走査と整列させるための整列におけるシフトのための値を決定することは、A走査のA走査の複素共役との畳み込みの最大値を決定することと、最大値に基づいてシフトの量を決定することとをさらに含む、付記1に記載のOCTシステム。
【0213】
付記16.基準走査は、複数の以前に測定されたA走査から発生させられる、付記1に記載のOCTシステム。
【0214】
付記17.低域通過フィルタは、整列におけるシフトのための以前に発生させられた値の組の移動平均から発生させられる、付記10に記載のOCTシステム。
【0215】
付記18.走査パターンは、正弦波を備えている、付記1に記載のOCTシステム。
【0216】
付記19.前記走査パターンは、バラ曲線を備えている、付記18に記載のOCTシステム。
【0217】
付記20.スキャナは、第1の軸まわり、および第2の軸まわりに旋回し、走査パターンに沿って測定ビームを移動させるミラーを備えている、付記1に記載のOCTシステム。
【0218】
付記21.測定データを処理し、測定ビームが網膜上で移動しているときに取得されたデータの補間を実施することをプロセッサに行わせるための命令をさらに備えている、付記1に記載のOCTシステム。
【0219】
付記22.補間は、走査パターンに対応する測定データの組を生成し、走査パターンは、走査パターンの中心から半径方向に延びている複数の実質的にまっすぐな線を備えている、付記21に記載のOCTシステム。
【0220】
付記23.補間は、走査パターンに対応する測定データの組を生成し、走査パターンは、走査パターンの中心から半径方向に延びている複数のまっすぐな線を備え、複数のうちの1つが、走査パターンの複数のローブのうちの各ローブ内で中心に置かれている、、付記22に記載のOCTシステム。
【0221】
付記24.走査パターンに対応する測定データをさらに備え、走査パターンは、走査パターンの中心から半径方向に延びている複数のまっすぐな線を備え、複数のうちの1つが、複数のローブのうちの各ローブ間で中心に置かれている、付記23に記載のOCTシステム。
【0222】
付記25.ミラーの位置は、静電力の印加によって改変される、付記20に記載のOCTシステム。
【0223】
付記26.静電力は、複数の微小電気機械システム(MEMS)要素によってミラーに印加される、付記25に記載のOCTシステム。
【0224】
付記27.微小電気機械システム(MEMS)要素は、複数のコンデンサを備えている、付記26に記載のOCTシステム。
【0225】
付記28.ミラーの位置は、電磁力の印加によって改変される、付記20に記載のOCTシステム。
【0226】
付記29.ミラーの位置は、検流計、静電トランスデューサ、または圧電トランスデューサのうちの1つ以上によって改変される、付記28に記載のOCTシステム。
【0227】
付記30.光源は、放出される波長を変動させるように構成された掃引光源を備えている、付記1に記載のOCTシステム。
【0228】
付記31.掃引光源は、垂直空洞面発光レーザ(VCSEL)を備えている、付記30に記載のOCTシステム。
【0229】
付記32.前記スキャナは、共振周波数を有し、前記第1の軸に対して前記ミラーの位置を改変するための第1の駆動信号と、前記第2の軸に対して前記ミラーの位置を改変するための第2の駆動信号とを入力として受信し、前記第1および第2の駆動信号は、前記共振周波数未満の周波数を備え、随意に、前記第1および第2の駆動信号は、前記スキャナの共振周波数未満の最大周波数を備えている、付記20に記載のOCTシステム。
【0230】
付記33.走査ミラーは、ミラーを用いてビームを走査するために、ミラーを2自由度で回転させるための第1の軸と第1の軸に対して横向きの第2の軸とを備え、整列におけるシフトは、ビームのミラーとの整列に関連する、付記20に記載のOCTシステム。
【0231】
付記34.第1の軸および第2の軸は、ミラーの2D回転中心を画定し、整列におけるシフトは、ビームの2D回転中心との整列に関連する、付記33に記載のOCTシステム。
【0232】
付記35.ビームは、ビームの中心に対応する軸に沿って延び、さらに、ビームの中心は、2D回転中心に対して偏心的である、付記34に記載のOCTシステム。
【0233】
付記36.眼の網膜を測定するための光干渉断層撮影(OCT)を実施する方法であって、前記方法は、光源を動作させ、測定ビームを発生させることと、前記測定ビームを前記網膜上で走査パターンに沿って移動させ、網膜の複数のA走査を発生させることと、整列におけるシフトのための値を決定し、複数のA走査の各々を基準走査と整列させることと、複数のA走査の各々に関する測定データを電子データ記憶要素の中に記憶することとを含む、方法。
【0234】
付記37.走査パターンは、複数のローブを画定する軌道を備えている、付記36に記載の方法。
【0235】
付記38.複数のA走査は、網膜の網膜色素上皮(RPE)および内境界膜(ILM)に対応するデータを備えている、付記36に記載の方法。
【0236】
付記39.A走査の各々に関する整列におけるシフトは、隣接するA走査のILM層の場所に対するILM層の場所の変動性を減少させ、隣接するA走査のRPE層の場所に対するRPE層の場所の変動性を増加させる、付記36に記載の方法。
【0237】
付記40.隣接するA走査は、走査パターンに沿ってA走査の前に入手される第1の複数のA走査と、走査パターンに沿ってA走査の後に入手される第2の複数のA走査とを備えている、付記39に記載の方法。
【0238】
付記41.基準走査は、複数の組み合わせられたA走査を備えている、付記36に記載の方法。
【0239】
付記42.複数の組み合わせられたA走査は、軌道に沿ったA走査から離れた走査パターンの複数のA走査を備えている、付記41に記載の方法。
【0240】
付記43.基準走査は、複数のA走査の各々に関して変化する可変の基準走査を備えている、付記36に記載の方法。
【0241】
付記44.基準走査は、複数のA走査の加重組み合わせを備え、さらに、基準走査は、基準A走査を備えている、付記41に記載の方法。
【0242】
付記45.命令の組をさらに備え、命令の組は、データ記憶装置からの複数のA走査に関する測定データにアクセスし、データを処理し、ILM層またはRPE層のうちの1つ以上の弁別性を高めることを前記システムに行わせ、データを処理することは、複数のA走査の各々に関して、整列におけるシフトのための決定された値に低域通過フィルタを適用することと、フィルタリングされた値を発生させ、フィルタリングされた値をA走査に適用することと、A走査を基準走査に関連してシフトさせることと、各A走査に関するフィルタリングされた値をA走査に適用することの結果を電子データ記憶要素の中に記憶することとによる、付記36に記載の方法。
【0243】
付記46.複数のA走査の各々へのフィルタリングされた値の適用の後、複数のA走査を連結することをさらに含む、付記45に記載の方法。
【0244】
付記47.ILMまたはRPE層のうちの1つ以上の弁別性を高めるためのデータの処理は、ILM層とRPE層との間のコントラストを増加させることをさらに含む、付記45に記載の方法。
【0245】
付記48.フィルタリングされた値の適用から結果として生じるシフトは、隣接するA走査に対するILMの場所の変動性を減少させ、隣接するA走査に対するRPE層の場所の変動性を増加させる、付記45に記載の方法。
【0246】
付記49.A走査へのフィルタリングされた値の適用から結果として生じるシフトは、低域通過フィルタの適用を伴わないRPE層の場所と比較して、RPE層の場所の変動性を増加させる、付記45に記載の方法。
【0247】
付記50.A走査を基準走査と整列させるための整列におけるシフトのための値を決定することは、A走査のA走査の複素共役との畳み込みの最大値を決定することと、最大値に基づいてシフトの量を決定することとをさらに含む、付記36に記載の方法。
【0248】
付記51.基準走査は、複数の以前に測定されたA走査から発生させられる、付記36に記載の方法。
【0249】
付記52.低域通過フィルタは、整列におけるシフトのための以前に発生させられた値の組の移動平均から発生させられる、付記45に記載の方法。
【0250】
付記53.走査パターンは、正弦波を備えている、付記36に記載の方法。
【0251】
付記54.前記走査パターンは、バラ曲線を備えている、付記53に記載の方法。
【0252】
付記55.測定ビームは、スキャナによって網膜上で移動させられ、スキャナは、第1の軸まわり、および第2の軸まわりに旋回し、走査パターンに沿って測定ビームを移動させるミラーを備えている、付記36に記載の方法。
【0253】
付記56.測定データを処理し、測定ビームが網膜上で移動しているときに取得されたデータの補間を実施することをプロセッサに行わせるための命令をさらに備えている、付記36に記載の方法。
【0254】
付記57.補間は、走査パターンに対応する測定データの組を生成し、走査パターンは、走査パターンの中心から半径方向に延びている複数の実質的にまっすぐな線を備えている、付記56に記載の方法。
【0255】
付記58.補間は、走査パターンに対応する測定データの組を生成し、走査パターンは、走査パターンの中心から半径方向に延びている複数のまっすぐな線を備え、複数のうちの1つが、走査パターンの複数のローブのうちの各ローブ内で中心に置かれている、付記57に記載の方法。
【0256】
付記59.走査パターンに対応する測定データをさらに備え、走査パターンは、走査パターンの中心から半径方向に延びている複数のまっすぐな線を備え、複数のうちの1つが、複数のローブのうちの各ローブ間で中心に置かれている、付記58に記載の方法。
【0257】
付記60.ミラーの位置は、静電力の印加によって改変される、付記55に記載の方法。
【0258】
付記61.静電力は、複数の微小電気機械システム(MEMS)要素によってミラーに印加される、付記60に記載の方法。
【0259】
付記62.微小電気機械システム(MEMS)要素は、複数のコンデンサを備えている、付記60に記載の方法。
【0260】
付記63.ミラーの位置は、電磁力の印加によって改変される、付記55に記載の方法。
【0261】
付記64.ミラーの位置は、検流計、静電トランスデューサ、または圧電トランスデューサのうちの1つ以上によって改変される、付記63に記載の方法。
【0262】
付記65.光源は、放出される波長を変動させるように構成された掃引光源を備えている、付記36に記載のシステム。
【0263】
付記66.掃引光源は、垂直空洞面発光レーザ(VCSEL)を備えている、付記65に記載の方法。
【0264】
付記67.前記スキャナは、共振周波数を有し、前記第1の軸に対して前記ミラーの位置を改変するための第1の駆動信号と、前記第2の軸に対して前記ミラーの位置を改変するための第2の駆動信号とを入力として受信し、前記第1および第2の駆動信号は、前記共振周波数未満の周波数を備え、随意に、前記第1および第2の駆動信号は、前記スキャナの共振周波数未満の最大周波数を備えている、付記55に記載の方法。
【0265】
付記68.走査ミラーは、ミラーを用いてビームを走査するために、ミラーを2自由度で回転させるための第1の軸と第1の軸に対して横向きの第2の軸とを備え、整列におけるシフトは、ビームのミラーとの整列に関連する、付記55に記載の方法。
【0266】
付記69.第1の軸および第2の軸は、ミラーの2D回転中心を画定し、整列におけるシフトは、ビームの2D回転中心との整列に関連する、付記68に記載の方法。
【0267】
付記70.ビームは、ビームの中心に対応する軸に沿って延び、さらに、ビームの中心は、2D回転中心に対して偏心的である、付記69に記載の方法。
【0268】
本開示の実施形態は、本明細書に記載されるように示され、説明されており、実施例として提供されるにすぎない。当業者は、本開示の範囲から逸脱することのない、多数の適合、変更、変形例、および代用物を認識するであろう。本明細書に開示される実施形態のいくつかの代替物および組み合わせが、本明細書に開示される本開示および発明の範囲から逸脱することなく、利用され得る。したがって、本開示される発明の範囲は、添付の請求項およびそれらの均等物の範囲のみによって定義されるものとする。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17A
【図
図17C
図18
【国際調査報告】