(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】眼圧の測定のための超音波埋め込み及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 3/16 20060101AFI20230901BHJP
【FI】
A61B3/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509705
(86)(22)【出願日】2021-08-10
(85)【翻訳文提出日】2023-04-10
(86)【国際出願番号】 US2021045429
(87)【国際公開番号】W WO2022035889
(87)【国際公開日】2022-02-17
(32)【優先日】2020-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520404344
【氏名又は名称】イオタ バイオサイエンシズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】IOTA BIOSCIENCES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レぺ, ホセ
(72)【発明者】
【氏名】グリーンスパン, ジョセフ ティー.
(72)【発明者】
【氏名】モンテロ ガルニール, ジアナ
(72)【発明者】
【氏名】マハルビズ, ミチェル エム.
(72)【発明者】
【氏名】カルメナ, ホセ エム.
(72)【発明者】
【氏名】阿部 邦武
(72)【発明者】
【氏名】安藤 浩
(72)【発明者】
【氏名】亀岡 千里
(72)【発明者】
【氏名】奥田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】船津 俊之
(72)【発明者】
【氏名】藤田 修平
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA08
4C316AA20
4C316AB14
4C316FA12
4C316FA14
4C316FC04
4C316FC12
(57)【要約】
眼圧を測定するように構成された圧力センサと、圧力センサに電気的に結合され、超音波を受信し圧力センサにより測定された圧力を符号化する超音波後方散乱を放出するように構成された超音波変換器と、圧力センサ及び超音波変換器に取り付けられ、目の上又は内部の表面と接触するように構成された基板とを備える、眼圧を測定するための装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼圧を測定するための装置であって、
前記眼圧を測定するように構成された圧力センサと、
前記圧力センサに電気的に結合され、超音波を受信し前記圧力センサにより測定された圧力を符号化する超音波後方散乱を放出するように構成された超音波変換器と、
前記圧力センサ及び前記超音波変換器に取り付けられた基板であって、目の上又は内部の表面と接触するように構成された基板と、
を備える装置。
【請求項2】
前記基板は、部分的又は完全なリング構造を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記基板は、前記表面に力を加えるように構成される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記基板によって前記表面に加えられる前記力は、半径方向外向きの力である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記装置が、前記目の水晶体嚢内に埋め込まれるように構成される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記基板が、埋め込み中に前記装置をガイドするための外科用ツールを固定するように構成された1つ以上の開口部を備える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記圧力センサ及び前記超音波変換器を封入するように構成されたハウジングを備える、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記ハウジングは前記基板上に装着される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記基板は部分的又は完全なリング構造を有し、前記ハウジングを装着するように構成されたマウントを備える、請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
前記マウントは、前記基板から半径方向に内向き又は半径方向に外向きに延びる、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ハウジングが気密封入されている、請求項7乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記ハウジングが音響窓を備える、請求項7乃至11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記圧力センサは前記ハウジング内に配置され、前記音響窓は前記ハウジング内の圧力を前記ハウジング外の圧力に平衡させるように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ハウジングが、超音波を伝達するように構成された液体又はゲルで充填される、請求項7乃至13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記ハウジングがシリコーンオイルで充填されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
温度センサを備える、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記装置は、前記温度センサによって測定された目の温度を使用して、前記圧力センサによって測定された前記圧力を較正するように構成される、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記超音波変換器が、1mm以下の最長寸法を有する、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記表面が、水晶体嚢、眼内レンズのハプティクス、又はコンタクトレンズを含む、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記表面が虹彩を含む、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記表面が、水晶体被膜、上強膜、又は目の扁平部上若しくはその付近を含む、請求項1乃至20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記基板が、前記基板を前記目の前記表面に取り付けるための1つ以上の締結具を備える、請求項1乃至21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記基板の両端に配置された少なくとも2つの締結具を備える、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記締結具が、眼組織に取り付けられるように構成された側方フックを備える、請求項22又は23に記載の装置。
【請求項25】
前記締結具が、眼組織に入るように構成された垂直フックを備える、請求項22乃至24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記超音波変換器は、埋め込み可能な前記装置に電力を供給する超音波を受信するように構成される、請求項1乃至25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記超音波は、前記装置の外部のインテロゲータによって送信される、請求項1乃至26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記圧力センサ及び前記超音波変換器と電気的に連通する集積回路を備える、請求項1乃至27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記集積回路は、前記圧力センサに電力を供給するように構成される、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記集積回路は、前記超音波後方散乱で前記測定された圧力を符号化するように構成される、請求項28又は29に記載の装置。
【請求項31】
ハウジングが前記集積回路を封入する、請求項28乃至30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記集積回路は、コンデンサを備える電力回路に結合される、請求項28乃至31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記超音波変換器は、前記電力回路によって蓄積される電気エネルギーに変換される超音波を受信するように構成される、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記集積回路は、前記装置を通信モード又は電力蓄積モードで選択的に動作させるように構成される、請求項28乃至33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記超音波変換器が圧電結晶である、請求項1乃至34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
前記装置が、対象の眼内に埋め込まれるように構成される、請求項1乃至35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記装置が、前記目の前眼房内に埋め込まれるように構成される、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記装置は無電池であるように構成される、請求項1乃至37のいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
目の眼圧を測定するシステムであって、前記システムは、
請求項1乃至38のいずれか一項に記載の装置と、
周囲圧力を測定するように構成された圧力センサ、及び
前記超音波を埋め込み可能な装置に送信し、前記埋め込み可能な装置から前記超音波後方散乱を受信するように構成された1つ以上の超音波変換器
を備えるインテロゲータと、
を備える、システム。
【請求項40】
前記インテロゲータは、受信された前記超音波後方散乱を使用して、測定された前記眼圧を決定するように構成される、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記インテロゲータは、測定された前記周囲圧力に基づいて測定された前記眼圧を調整することによって、調整された眼圧を決定するように構成される、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記インテロゲータが、周囲温度を測定するように構成された温度を備える、請求項39乃至41のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項43】
前記インテロゲータは、測定された前記周囲温度を使用して測定された前記周囲圧力を較正するように構成される、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記インテロゲータは、前記装置によって測定された前記目の温度を使用して、前記測定された眼圧を較正するように構成される、請求項39乃至43のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項45】
前記インテロゲータが、前記インテロゲータによって加えられる力を測定するように構成された力計を備える、請求項39乃至44のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項46】
前記インテロゲータは、前記力計が減少する力を測定するとき、複数のIOP測定値を決定するよう前記装置を動作させるように構成される、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記インテロゲータは、測定された最も小さい力のIOP測定値を選択するように構成される、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記インテロゲータの前記超音波変換器は、前記埋め込み可能な装置に電力を供給する超音波を送信するように構成される、請求項39乃至47のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項49】
目の眼圧を測定するためのシステムであって、
周囲圧力を測定するように構成された圧力センサと、
超音波を送信し、前記目の上又は中の装置によって測定された眼圧を符号化する超音波後方散乱を受信するように構成された1つ以上の超音波変換器と、を備えるインテロゲータを備え、
前記インテロゲータは、受信された前記超音波後方散乱に基づいて測定された眼圧を決定し、測定された前記眼圧を測定された前記周囲圧力に基づいて調整することによって調整された眼圧を決定するように構成される、システム。
【請求項50】
前記超音波は前記装置に電力を供給するように構成されている、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
前記超音波は、前記装置をリセットすること、前記装置のための動作モードを指定すること、前記装置のための装置パラメータを設定すること、及び前記装置からのデータ送信シーケンスを開始することのうちの1つ以上のための命令を符号化するように構成される、請求項49又は50に記載のシステム。
【請求項52】
目の眼圧を測定する方法であって、
インテロゲータの1つ以上の超音波変換器から超音波を送信することと、
前記目の内部又は上の装置の1つ以上の超音波変換器において、前記インテロゲータの前記1つ以上の超音波変換器によって送信された前記超音波を受信することと、
前記装置上の圧力センサを使用して眼圧を検出することと、
前記装置の前記超音波変換器からの前記眼圧を符号化する超音波後方散乱を放出することと、
前記インテロゲータの前記1つ以上の超音波変換器において前記超音波後方散乱を受信することと、
前記超音波後方散乱から、測定された前記眼圧を決定することと、
周囲圧力を測定することと、
測定された前記周囲圧力に基づいて測定された前記眼圧を調整することによって、調整された眼圧を決定することと、
を含む、方法。
【請求項53】
前記装置が前記目の水晶体嚢内に埋め込まれる、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記超音波からのエネルギーを前記装置に電力を供給する電気エネルギーに変換することを含む、請求項52又は53に記載の方法。
【請求項55】
前記装置をリセットすること、前記装置の動作モードを指定すること、前記装置のパラメータを設定すること、及び前記装置からのデータ送信シーケンスを開始することのうちの1つ以上を実行するように、前記インテロゲータによって前記装置に命令することを含む、請求項52乃至54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
圧力検出及び測定が、超音波が送信されていない時間の間に生じるように構成される、請求項52乃至55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記インテロゲータの前記1つ以上の超音波変換器を、カプラントを介して前記目のまぶたに結合させることを含む、請求項52乃至56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
まぶたの皮膚、額の骨の上の皮膚、鼻骨の上の皮膚、又は眼窩の上の皮膚と接触するように、前記インテロゲータによる力を加えることと、前記皮膚との接触が失われるまで前記インテロゲータを前記皮膚から遠ざけることと、前記インテロゲータが前記皮膚と接触している間、複数の力の大きさを前記インテロゲータによって測定することとを含む、請求項52乃至57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記インテロゲータによって、前記複数の力の大きさを測定しながら複数の眼圧測定値を受信することを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記インテロゲータによって加えられる最小の力に関連付けられる最終的な眼圧を、前記複数の眼圧測定値から選択することを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記インテロゲータの前記超音波変換器を前記装置へと向くように前記目のまぶたの上に配置することを含む、請求項52乃至60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記インテロゲータの前記超音波変換器を、まぶたの皮膚、額の骨の上の皮膚、鼻骨の上の皮膚、又は眼窩の上の皮膚の上に配置することを含む、請求項52乃至61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
眼内温度を検出することと、検出された前記眼内温度を使用して、前記装置によって検出された前記眼圧を較正することとを含む、請求項52乃至62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記眼内温度は放出された前記超音波後方散乱で符号化され、前記装置によって検出された前記眼圧は前記インテロゲータによって較正される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記装置によって検出される前記眼圧が、前記装置によって較正される、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
眼疾患を有する患者を治療するための方法であって、
請求項39乃至51のいずれか一項に記載のシステムを使用して眼圧を測定することと、
測定された前記眼圧が閾値を上回るかどうかを判定することと、
測定された前記眼圧が前記閾値を上回ると判定されると、治療薬を前記患者に投与することと、
を含む、方法。
【請求項67】
前記眼疾患が緑内障又は高眼圧症である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記治療薬が前記眼圧を低下させる、請求項66又は67に記載の方法。
【請求項69】
前記閾値は、前記眼圧のルーチン測定値に少なくとも部分的に基づいて決定される、請求項66乃至68のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願に関する相互参照]
本出願は2020年8月11日に出願された米国仮出願第63/064,298号に対する優先権の利益を主張し、これは、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、超音波後方散乱通信を使用して、対象の眼圧などの目の状態を検知し、報告するための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
患者の眼圧(IOP)は、典型的には患者が緑内障を発症しているか、又は発症するリスクがあるかどうかを評価するために、アイケアの専門家によってモニターされる。緑内障は視神経に損傷を引き起こし、視力喪失をもたらすことが知られている眼疾患である。視神経は高IOPにより影響を受ける可能性があり、したがって、高IOPの早期検出は、典型的には、高IOPに関連付けられる視力喪失を最小限に抑えるための早期治療オプションを提供するために使用される。一般に、IOPの定期的なモニタリングは、患者のIOP傾向に基づいて異常なIOP読取値を識別するのに役立ち得る。IOPを正確に測定するための広く受け入れられている方法は、麻酔点眼薬、蛍光染料を投与し、専用の眼圧測定装置を使用して眼圧を測定するために、アイケアの専門家の補助を必要とする。この専用の眼圧測定装置は、較正された量の力を加えることによって目の角膜を平坦化するために使用される先端部を含む。IOPモニタリングについてのアイケアの専門家への依存は、IOPモニタリングの頻度を、アイケアの専門家への患者訪問数に制限する。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、眼圧(IOP)測定値のオンデマンド収集を可能にする装置、システム、及び方法が説明される。これらの装置、システム、及び方法は臨床設定の外で使用されてもよく、患者がより頻繁に、かつ所望に応じて眼圧を測定することを可能にする。オンデマンドIOP測定収集の定期的な使用は、眼疾患の進行をモニタリングする際に重要な役割を果たすことができ、迅速な治療応答時間を考慮に入れる。
【0005】
いくつかの実施形態では、眼圧を測定するための装置が、眼圧を測定するように構成された圧力センサと、圧力センサに電気的に結合され、超音波を受信し圧力センサにより測定された圧力を符号化する超音波後方散乱を放出するように構成された超音波変換器と、圧力センサ及び超音波変換器に取り付けられ、目の上又は内部の表面と接触するように構成された基板とを備える。
【0006】
これらの実施形態のいずれかでは、基板は、部分的又は完全な環構造を有していてもよい。いくつかの実施形態では、基板は、半径方向外向きの力などの力を基板に加えるように構成される。いくつかの実施形態では、装置が、目の水晶体嚢内部に埋め込まれるように構成される。これらの実施形態のいずれかでは、基板は、埋め込み中に装置をガイドするための外科用ツールを固定するように構成された1つ以上の開口部を含んでもよい。これらの実施形態のいずれかでは、装置は圧力センサ及び超音波変換器を封入し、基板と接触するように構成されたハウジングを備えてもよい。これらの実施形態のいずれかでは、ハウジングは、基板上に装着されてもよい。これらの実施形態のいずれかでは、基板は、部分的又は完全なリング構造を有することができ、ハウジングを取り付けるように構成されたマウントを含んでもよい。これらの実施形態のいずれかでは、マウントは、基板から半径方向内向き又は半径方向外向きに延びるように構成されてもよい。これらの実施形態のいずれかでは、ハウジングは、気密封入されてもよい。これらの実施形態のいずれかでは、ハウジングは、音響窓を含んでもよい。これらの実施形態のいずれかでは、圧力センサはハウジング内に配置され、音響窓はハウジング内の圧力をハウジング外の圧力に平衡させるように構成されてもよい。これらの実施形態のいずれかでは、ハウジングは、超音波を伝導するように構成された液体又はゲルで充填されてもよい。これらの実施形態のいずれかでは、ハウジングは、シリコーンオイルで充填されてもよい。
【0007】
これらの実施形態のいずれかでは、装置は、温度センサを含んでもよい。いくつかの実施形態では、装置は、温度センサによって測定された目の温度を使用して、圧力センサによって測定された圧力を較正するように構成される。
【0008】
これらの実施形態のいずれかでは、超音波変換器は、1mm以下の最長寸法を有していてもよい。
【0009】
これらの実施形態のいずれかでは、この表面は、水晶体嚢、眼内レンズのハプティクス、又はコンタクトレンズを含んでもよい。
【0010】
これらの実施形態のいずれかでは、この表面は虹彩を含んでもよい。
【0011】
これらの実施形態のいずれかでは、この表面は、水晶体嚢、上強膜、又は目の扁平部上若しくはその付近を含んでもよい。
【0012】
これらの実施形態のいずれかでは、基板は、基板を目の表面に取り付けるための1つ以上の締結具を含んでもよい。これらの実施形態のいずれかでは、装置は、基板の両端に配置された少なくとも2つの締結具を含んでもよい。これらの実施形態のいずれかでは、締結具は、眼組織に取り付けるように構成された側方フックを含んでもよい。これらの実施形態のいずれかでは、締結具は、眼組織に入るように構成された垂直フックを含んでもよい。
【0013】
これらの実施形態のいずれかでは、超音波変換器が、埋め込み可能な装置に電力を供給する超音波を受信するように構成されてもよい。
【0014】
これらの実施形態のいずれかでは、超音波は、装置の外部のインテロゲータによって送信されてもよい。
【0015】
これらの実施形態のいずれかでは、装置は、圧力センサ及び超音波変換器と電気的に連通する集積回路を備えてもよい。これらの実施形態のいずれかでは、集積回路は、圧力センサに電力を供給するように構成されてもよい。これらの実施形態のいずれかでは、集積回路は、超音波後方散乱の測定された圧力を符号化するように構成されてもよい。これらの実施形態のいずれかでは、ハウジングは、集積回路を囲んでもよい。これらの実施形態のいずれかでは、集積回路は、コンデンサを備える電力回路に結合されてもよい。これらの実施形態のいずれかでは、超音波変換器は、電力回路によって蓄積される電気エネルギーに変換される超音波を受信してもよい。これらの実施形態のいずれかでは、集積回路は、通信モード又は電力貯蔵モードで装置を選択的に動作させてもよい。
【0016】
これらの実施形態のいずれかでは、超音波変換器は、圧電結晶であってもよい。
【0017】
これらの実施形態のいずれかでは、装置は、対象の目の内部に埋め込まれるように構成されてもよい。これらの実施形態のいずれかでは、装置は、目の前房内に埋め込まれるように構成されてもよい。
【0018】
これらの実施形態のいずれかでは、装置は、無電池であるように構成されてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、目の眼圧を測定するためのシステムが、これらの実施形態のうちのいずれか1つの装置と、周囲圧力を測定するように構成された圧力センサと、超音波を埋め込み可能な装置に送信し、埋め込み可能な装置から超音波後方散乱を受信するように構成された1つ以上の超音波変換器とを備えるインテロゲータとを備える。
【0020】
これらの実施形態のいずれかでは、インテロゲータは、受信された超音波後方散乱を使用して、測定された眼圧を決定するように構成されてもよい。これらの実施形態のいずれかでは、インテロゲータは、測定された周囲圧力にさらに基づいて測定された眼圧を較正することによって、調整された眼圧を決定するように構成されてもよい。
【0021】
これらの実施形態のいずれかでは、装置は、目の温度を測定するように構成された装置上に配置された温度センサを含んでもよい。装置によって検出された温度は、例えば、装置上の圧力センサによって行われた圧力測定値を較正するために使用されてもよい。これらの実施形態のいずれかでは、インテロゲータは、測定された周囲圧力及び測定された眼の温度に基づいて測定された眼圧を較正することによって、調整された眼圧を決定するように構成されてもよい。
【0022】
これらの実施形態のいずれかでは、インテロゲータが、インテロゲータによって加えられる力を測定するように構成された力計を含んでもよい。これらの実施形態のいずれかでは、インテロゲータが、力計が減少する力を測定するときに、複数のIOP測定値を決定するように装置を動作させるように構成されてもよい。これらの実施形態のいずれかでは、インテロゲータが、最低測定力でIOP測定値を選択するように構成されてもよい。
【0023】
これらの実施形態のいずれかでは、インテロゲータの超音波変換器が、埋め込み可能な装置に電力を供給する超音波を送信するように構成されてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、インテロゲータを備える、目の眼圧を測定するためのシステムは、周囲圧力を測定するように構成された圧力センサと、超音波を送信し、目の上又は内部の装置によって測定された眼圧を符号化する超音波後方散乱を受信するように構成された1つ以上の超音波変換器とを含み、このインテロゲータは受信された超音波後方散乱に基づいて測定された眼圧を決定し、測定された周囲圧力に基づいて測定された眼圧を調整することによって調整された眼圧を決定するように構成される。
【0025】
これらの実施形態のいずれかでは、超音波が装置に電力を供給するように構成されてもよい。
【0026】
これらの実施形態のいずれかでは、超音波は、装置をリセットすること、装置のための動作モードを指定すること、装置のための装置パラメータを設定すること、及び装置からのデータ送信シーケンスを開始することのうちの1つ以上のための命令を符号化するように構成されてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、目の眼圧を測定する方法は、インテロゲータの1つ以上の超音波変換器から超音波を送信することと、目の内部又は上の装置の1つ以上の超音波変換器においてインテロゲータの1つ以上の超音波変換器によって送信された超音波を受信することと、装置上の圧力センサを使用して眼圧を検出することと、装置の超音波変換器から眼圧を符号化する超音波後方散乱を送信することと、インテロゲータの1つ以上の超音波変換器において超音波後方散乱を受信することと、超音波後方散乱から測定された眼圧を決定することと、周囲圧力を測定することと、測定された周囲圧力に基づいて測定された眼圧を調整することによって調整された眼圧を決定することとを含む。
【0028】
これらの実施形態のいずれかでは、装置は、目の水晶体嚢に埋め込まれてもよい。
【0029】
これらの実施形態のいずれかでは、この方法は、超音波からのエネルギーを装置に電力を供給する電気エネルギーに変換することを含んでもよい。
【0030】
これらの実施形態のいずれかでは、この方法は、装置をリセットすること、装置の動作モードを指定すること、装置のパラメータを設定すること、及び装置からのデータ送信シーケンスを開始することのうちの1つ以上を実行するように、インテロゲータによって装置に命令することを含んでもよい。
【0031】
これらの実施形態のいずれかでは、圧力検出及び測定は、超音波が送信されていない時間の間に行われるように構成されてもよい。
【0032】
これらの実施形態のいずれかでは、この方法は、インテロゲータの1つ以上の超音波変換器を、カプラントを介して目のまぶたに結合させることを含んでもよい。
【0033】
これらの実施形態のいずれかでは、この方法は、まぶたの皮膚、額の皮膚、鼻骨の皮膚、又は眼窩の皮膚と接触するように、インテロゲータによる力を加えることと、皮膚との接触が失われるまでインテロゲータを皮膚から遠ざけることと、インテロゲータが皮膚と接触している間、複数の力の大きさをインテロゲータによって測定することとを含んでもよい。これらの実施形態のいずれかでは、この方法は、インテロゲータによって、複数の力の大きさを測定しながら複数の眼圧測定値を受信することを含んでもよい。これらの実施形態のいずれかでは、この方法は、インテロゲータによって加えられる最小の力に関連付けられる最終的な眼圧を、複数の眼圧測定値から選択することを含んでもよい。
【0034】
これらの実施形態のいずれかでは、この方法は、インテロゲータの超音波変換器を、装置へと向くように目のまぶたの上に配置することを含んでもよい。
【0035】
これらの実施形態のいずれかでは、この方法は、インテロゲータの超音波変換器を、まぶたの皮膚、額の上の皮膚、鼻骨の上の皮膚、又は眼窩の上の皮膚の上に配置することを含んでもよい。
【0036】
これらの実施形態のいずれかでは、この方法は、眼内温度を検出することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、検出された眼内温度が装置によって測定された眼圧を較正するために使用される。いくつかの実施形態では、眼内温度は放出された超音波後方散乱で符号化され、装置によって検出された眼圧はインテロゲータによって較正される。いくつかの実施形態では、装置によって検出される眼圧が装置によって較正される。
【0037】
いくつかの実施形態では、眼疾患を有する患者を治療するための方法が、これらの実施形態のうちのいずれか1つのシステムを使用して眼圧を測定することと、測定された眼圧が閾値を上回るかどうかを判定することと、測定された眼圧が閾値を上回ると判定されると、治療薬を患者に投与することとを含む。
【0038】
これらの実施形態のいずれかでは、眼疾患は、緑内障又は高眼圧症であってもよい。
【0039】
これらの実施形態のいずれかでは、治療剤は、眼圧を低下させてもよい。
【0040】
これらの実施形態のいずれかでは、閾値は記眼圧のルーチン測定値に少なくとも部分的に基づいて決定されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】眼圧を測定するための例示的なシステムの例示的な概略図を示す図。
【0042】
【
図2A】いくつかの実施形態による、例示的な装置の概略図を示す図。
【0043】
【
図2B】いくつかの実施形態による、例示的な装置の概略図を示す図。
【0044】
【
図2C】
図2Bの装置の分解図を示す図。この分解図は、いくつかの実施形態による、装置の基板から取り外された装置のハウジングを示す。
【0045】
【
図3A】側方締結具を含む基板を有する例示的な装置を示す図であり、この側方締結具は、開位置に構成される。
【0046】
【
図3B】側方締結具を含む基板を有する例示的な装置を示す図であり、この側方締結具は、閉位置に構成される。
【0047】
【
図4A】垂直締結具を含む基板を有する例示的な装置の斜視図を示す図。
【0048】
【0049】
【
図5A】目の内部に埋め込まれた例示的な装置の例示的な概略図を示す図。
【0050】
【
図5B】例示的な位置で目の内部に埋め込まれた例示的な装置の例示的な断面概略図を示す図。
【0051】
【
図6A】ハウジング内に封入され得る、装置のための例示的な基板組立体を示す図。
【0052】
【
図6B】ハウジング内に封入され得る、装置のための例示的な基板組立体を示す図。
【0053】
【
図7】2つの直交して配置された超音波変換器を含む装置の本体のための基板組立体を示す図。
【0054】
【
図8】装置と通信するインテロゲータを示す図。このインテロゲータは超音波を送信することができる。この装置は、情報を符号化するため、装置によって変調され得る超音波後方散乱を放出する。
【0055】
【
図9A】ハウジングの上部に取り付けることができる音響窓と、ハウジングに音響伝導性材料を充填するために使用され得るポートとを有する例示的なハウジングを示す図。
【0056】
【
図9B】回路基板を収容するように構成され得るハウジングの分解図を示す図。
【0057】
【
図10A】装置と共に使用することができる例示的なインテロゲータを示す図。
【0058】
【
図10B】例示的なインテロゲータの例示的な概略図を示す図。
【0059】
【
図11】装置と共に使用することができる例示的なインテロゲータを示す図。
【0060】
【
図12】IOPを測定するための例示的な方法のフローチャート。
【0061】
【
図13】眼疾患を治療するための例示的な方法のフローチャート。
【0062】
【
図14】IOPをモニタリングするための装置を使用するための方法を実証するフローチャート。
【0063】
【
図15】患者の目の上又は内部に装着された装置及び外部のインテロゲータを用いてIOP測定を行うための方法を示すフローチャート。
【0064】
【
図16】本開示の実施例によるコンピューティング装置の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本明細書に開示される装置はIOPデータを測定及び通信するように構成される。この装置は、基板、センサ及び超音波変換器を含む。基板は、装置を目の上又は内部に装着するためのプラットフォームとして構成される。この装置は、センサを使用してIOPデータを測定し、測定されたIOPデータを装置に搭載された超音波変換器に電気的に通信するように構成される。
【0066】
本明細書に開示されるシステムは、IOPデータを測定及び通信するための装置並びにインテロゲータを含む。この装置は、目の内部に埋め込まれるか、又は目の上に装着されるように構成される。この装置は、その埋め込まれた又は装着された位置から、装置に搭載された1つ以上のセンサを使用してIOPデータを測定し、測定されたIOPデータを超音波後方散乱通信を使用してインテロゲータに通信するように構成される。インテロゲータは、測定されたIOPデータを受信し、環境条件を測定し、測定された環境条件を使用して測定されたIOPデータを調整することによって最終IOP測定値を決定し、最終IOP測定値をインテロゲータ及び装置の両方の外部の受信者に通信するように構成される。この装置、インテロゲータ、及び装置とインテロゲータとの間の超音波通信は、いくつかの実施形態に従って以下でさらに説明される。
【0067】
本明細書に開示される装置、システム、及び方法は、臨床設定の外でのIOPの迅速かつ効率的なモニタリングを可能にし、患者が頻繁に、かつ所望に応じて眼圧を測定することを可能にする。眼圧を頻繁にかつ所望に応じて測定する能力は、異常な眼圧に関連付けられる緑内障、高眼圧症、及び/又は視力喪失の予防並びに管理に向けたオンデマンドIOP測定収集を可能にする。オンデマンドIOP検知の定期的な使用は、異常(高又は低)IOP測定値の早期検出のためのIOPデータにおける傾向を識別するために使用することができる。さらに、この装置の寸法は、縫合を必要としない、又は目に装着される最小侵襲手術を介して、装置が目の内部に埋め込まれることを可能にするように構成される。
【0068】
[定義]
本明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は文脈が明らかにそわないことを指示しない限り、複数の参照を含む。
【0069】
本明細書では、「約」の値又はパラメータへの参照は、その値又はパラメータそれ自体に向けられた変動を含む(及び記載する)。例えば、「約X」を指す記載は「X」の記載を含む。
【0070】
「個人」、「患者」、及び「対象」という用語は同義語として使用され、哺乳動物を指す。
【0071】
本明細書に記載される本発明の態様及び変形は、「それからなる」及び/又は「本質的にそれからなる」態様及び変形を含むことが理解される。
【0072】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の各介在値、及びその状態範囲内の任意の他の明言された値又は介在値は、本開示の範囲内に包含されることが理解されるべきである。記載された範囲が上限又は下限を含む場合、含まれる限界のいずれかを除外する範囲も本開示に含まれる。
【0073】
本明細書で使用される項目見出しは、構成の目的のためでしかなく、記載される主題を制限すると解釈すべきではない。この記載は当業者が本発明を作成及び使用することを可能にするために提示され、特許出願及びその要件の文脈で提供される。記載された実施形態に対する種々の変形は当業者に容易に明らかであり、本明細書での一般的な原理は他の実施形態に適用されてもよい。したがって、本発明は、示された実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に記載された原理及び特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【0074】
図面は、様々な実施形態による処理を示す。例示的な処理ではいくつかのブロックが任意選択的に組み合わされ、いくつかのブロックの順序は任意選択的に変更され、いくつかのブロックは任意選択的に省略される。いくつかの例では、追加の工程が例示的な処理と組み合わせて実行されてもよい。したがって、図示される(及び以下でより詳細に説明される)ように、動作は本質的に例示的なものであり、それ故に限定的であると見なされるべきではない。
【0075】
本開示及び実施形態の以下の説明では、添付の図面に参照がなされ、そこでは例示として、実施することができる特定の実施形態が示されている。開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態及び実施例を実施することができ、変更を行うことができることは理解されたい。
【0076】
[眼圧測定装置]
この装置は、目の上又内部の表面と接触するように構成された基板を含むことができる。目の表面は、目の自然のままの表面、又は目の内部に埋め込まれた若しくは目に装着された工学的表面(例えば、目の内部に埋め込まれた眼内レンズ、目の内部に埋め込まれた有水晶体眼内レンズ、又は目に装着されたコンタクトレンズ)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、基板が目の表面と接触するように構成された可撓性材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、この装置は、装置の基板上に装着され、装置の圧力センサを収容するように構成されたハウジングを含むことができる。このハウジングは、超音波がハウジングの外部及び内部の圧力を貫通し、平衡化することを可能にする音響窓を含むことができる。この圧力の平衡化はハウジング内のセンサを保護しながら、正確なIOP測定を可能にする。この装置は、音響窓を貫通する超音波を受信し、音響窓を通して超音波を放出するための超音波変換器を含んでもよい。いくつかの実施形態では、放出された超音波がこの装置の外部の装置で受信されるように構成された超音波後方散乱を含む。
【0077】
図1は、いくつかの実施形態による、IOPを測定するための例示的なシステム10の例示的な概略図を示す。システム10は、少なくとも2つの種類の患者、すなわち、定期的なIOPモニタリングを必要とする早期から後期の開放隅角緑内障を有する患者、及び頻繁なIOPモニタリングを必要とする視野欠損を有する正常眼圧緑内障を有する患者においてIOPをモニターするように構成されてもよい。このシステムのユーザは、装置を埋め込む又は装着させる外科医、IOP測定を行っている患者の訓練及び支援を行う臨床医、及び患者を含んでもよい。いくつかの実施形態では、システム10は、臨床医がシステム10を使用して患者を監督することができる、制御された臨床環境で使用されてもよい。いくつかの実施形態では、システム10は、臨床環境の外、例えば患者の家庭で使用されてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、システム10は、装置12及び超音波インテロゲータ14を含んでもよい。インテロゲータ14は、IOPデータを処理及び表示するように構成されたコンピュータ又はグラフィカルディスプレイ14aと、埋め込み装置12に超音波結合するように構成されたヘッド14bとを含んでもよい。
図1において、この装置は患者の水晶体被膜(すなわち、水晶体嚢)の内部に埋め込まれる。他の実施形態では、埋め込み可能な装置が目の上若しくは内部の別の表面と接触し、及び/又は別の表面上に装着されてもよい。埋め込まれた装置12は眼圧データを測定し、測定されたデータをインテロゲータ14に通信してもよい。インテロゲータ14は最終IOP測定値をユーザに通信する前に、受信した測定データを処理してもよい。
【0079】
任意で、インテロゲータ14はクラウドバックエンドアプリケーション16から処理されたデータを受信し、グラフィカルユーザインタフェース14aに情報を供給し、超音波インテロゲータ14との限定された相互作用を可能にするように構成されたアプリケーションを含むことができる。クラウドバックエンドアプリケーション16は、データ集約及び分析のために使用されてもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、IOPを測定するためのシステムが複数の動作状態を含んでもよい。例えば、システム10は、オフ状態、レディ状態、サーチ状態、測定収集状態、較正状態、完了状態、又は非アクティブ状態若しくは障害状態を含んでもよい。オフ状態では、すべてのシステム構成要素の電源をオフにすることができる。レディ状態では、インテロゲータ14がアクティブ超音波なしで電源を入れることができる。レディ状態では、インテロゲータ14がユーザコマンドが超音波送信を開始するのを待機することができる。サーチ状態では、インテロゲータ14が装置12をサーチし、発見し、電力を供給することができる。測定収集状態では、インテロゲータは、装置に電力を供給し続けながら、データについて装置12に問い合わせ、測定計算を実行することができる。測定較正状態では、インテロゲータが圧力測定の較正を実行することができる。測定完了状態では、インテロゲータは、物理的及びグラフィカルユーザインタフェースを介して測定が完了したことをユーザに通知することができる。いくつかの実施形態では、測定データがディスプレイ14aを介してユーザに表示されてもよい。インアクティブ状態又は障害状態では、内部インテロゲータ診断は、インテロゲータがオンのままである間、障害を検出し、超音波電力を停止することができる。システムがレディ状態に戻るまではユーザにより超音波をオンにすることができないため、非アクティブ状態又は障害状態はレディ状態とは異なる。これは、検知されたシステム障害がある場合、又はインテロゲータが意図的に超音波電力出力を制限する場合である可能性がある。
【0081】
いくつかの実施形態では、超音波電力出力がアクティブである状態に変更するために、システム10がユーザから手動選択を受信するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、IOP測定が完了すると、システム10が超音波出力を自動的に停止させてもよい。
【0082】
図2Aは、いくつかの実施形態による、例示的な装置12の例示的な概略図を示す。装置12は、システム10に示されるようなIOP測定システムの一部であってもよい。いくつかの実施形態では、装置12が内部構成要素を封入するハウジング14を含んでもよく、ハウジング14は気密封入されてもよい。いくつかの実施形態では、装置12は、ハウジング14に取り付けられ、ハウジング14をを支持するように構成された基板16を含んでもよい。いくつかの実施形態では、基板16が可撓性材料で作成された環状部材16であってもよい。いくつかの実施形態では、基板16がテンションリングとして構成された環状部材16であってもよい。環状部材16は、接触表面に加えられる半径方向外向きの力を及ぼすように構成されてもよい。例えば、環状部材16は、埋め込み中に圧縮され、埋め込み後に弛緩されたときに外向きのばね力を生成してもよい。環状部材16により及ぼされる、結果として生じる外向きの力は、埋め込み後に装置を定位置に安定させるのに役立つことができる。いくつかの実施形態では、環状部材16はポリメチルメタクリレート(PMMA)で作成することができる。いくつかの実施形態では、環状部材16が完全又は部分的なリング構造を有していてもよい。いくつかの実施形態では、環状部材16は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、若しくは少なくとも95%の円、又は完全な円を形成することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、リング構造がハウジング14を装着するように構成されたマウント(例えば、内側に延びる部分)18を含んでもよい。
図2Aに示す例示的な装置上のマウント18は内側に延びるが、他の構成ではマウントが外側に延びてもよく、又は環状部材16の上部に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、環状部材16のサイズが特定の範囲の患者の目のサイズのために構成されてもよい。環状部材16は、埋め込み又は装着中に装置12の位置決めをガイドするために使用することができる複数の開口部19を含んでもよい。いくつかの実施形態では、不完全なリング構造を有する環状部材については、各開口部19は不完全なリング構造の端部に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、開口部19のうちの1つ以上が不完全なリング構造の端部から離間されてもよい。開口部19は、装置12を目の内部に適切に配置するための外部医療器具(フック、鉗子など)によって係合されてもよい。いくつかの実施形態では、装置20が上面13a、底面13b、及び側面13cを含んでもよい。
【0084】
図2Bは、いくつかの実施形態による、例示的な装置20の概略図を示す。装置20は、システム10などのIOP測定システムの一部であってもよい。装置12と同様に、装置20は、ハウジング22と、基板24と、内側に延びる部分26と、複数の開口部28とを含んでもよい。
図2Bは、眼内レンズ30と接触する(例えば、その周りに装着することができる)装置20を示す。目の内部に埋め込まれる場合、眼内レンズ30は、目の内部の表面であってもよい。
【0085】
いくつかの実施形態では、装置20は、眼内レンズ配置のための同じ手術中に患者の目の1つに埋め込まれてもよい。いくつかの実施形態では、装置20は眼内レンズとの共配置を可能としてもよい。装置20と眼内レンズ30との共配置の例が
図2Bに示されている。いくつかの実施形態では、装置20は、装置20の基板が眼内レンズ30のアーム(例えば、ハプティクス32)と接触するように、眼内レンズ(例えば、市販の眼内レンズ)と共置されてもよい。環状部材24は、眼内レンズ30のハプティクス32に対して半径方向外向きの力を及ぼすことができ、これは、装置20を所定の位置に安定させる。環状部材24が眼内レンズと共置されるとき、環状部材24の配置は、目の視線又は眼内レンズの機能を妨げない。いくつかの実施形態では、ハウジング22、基板24、及び複数の開口部28は眼内レンズ30のハプティクス32を妨げないように構成されてもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、装置20は、装置20の上面13aが眼内レンズ30と接触するように、眼内レンズと共置されてもよい。いくつかの実施形態では、装置20は、装置20の底面13bが眼内レンズ30と接触するように、眼内レンズと共置されてもよい。いくつかの実施形態では、装置20は、装置20の側面13cが眼内レンズ30と接触するように、眼内レンズと共置されてもよい。いくつかの実施形態では、装置20は、装置がハプティクスの機能を妨げることなく眼内レンズのハプティクスと接触するように、眼内レンズと共配置されてもよい。他の実施形態では、装置20が目の後眼房及び前眼房などの目の他の領域内に埋め込まれてもよい。装置20は、少なくとも約3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、又はそれ以上の間、埋め込まれた装置として機能的に完全な状態を維持するように構成されてもよい。
【0087】
図2Cは、いくつかの実施形態による、装置20の分解図を図示する。この分解図は、いくつかの実施形態による、基板24から取り外されたハウジング22を示す。
図2Cに示すように、ハウジング22は、対応する機構25(例えば、受けスナップ、内向きに突出する部材など)を介して基板24上に位置決めされたマウント34にハウジング22を固定するための1つ以上の装着機構23(例えば、スナップ、クリップ、外向きに突出する部材など)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、対応する機構25は、ハウジングを取り付けるように構成された半径方向に延びる部分の一部であってもよい。いくつかの実施形態では、この半径方向に延びる部分が、装置20の側壁29を少なくとも部分的に覆うように構成された側壁27を含んでもよい。いくつかの実施形態では、装置20の底面31は、ハウジング22が眼内レンズなどの目の表面上又は表面内部と接触する(例えば、装着される)基板24上に装着されるときに目の表面と接触するように構成されてもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、基板24は環状部材であってもよい。いくつかの実施形態では、基板24がテンションリングである環状部材であってもよい。いくつかの実施形態では、装置20が目の水晶体嚢内部に埋め込まれるとき、環状部材24は水晶体嚢に支持力(すなわち、張力)を加えるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、この支持力は、目の内部の適所にテンションリングを保持するのに十分であってもよい。いくつかの実施形態では、環状部材24は、目の内部の定位置に保持され、そのサイズと目の水晶体嚢内部の目の内部の位置とに基づいてその形状を保持してもよい。いくつかの実施形態では、環状部材24が水晶体嚢の周囲と接触してもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、基板は、基板を眼内の表面に装着するための締結具を含んでもよい。いくつかの実施形態では、この締結具が複数の側方締め金を含んでもよい。
図3A及び
図3Bは、いくつかの実施形態による、基板320、420上に装着されたそれぞれのハウジング310、410を有する例示的な装置300、400を示す。基板は、基板を目の内部の表面又は目に装着するための第1の側面を有していてもよい。例えば、
図3Aは、目の内部又は目に装着するための第1の側面322を有する基板320を示す。目の内部の表面は例えば、虹彩、水晶体嚢、上強膜、目の内部に埋め込まれた眼内レンズ、又は目の内部に埋め込まれた有水晶体眼内レンズであってもよい。基板320、420は、側方締め金を含むことができる。第1の側方締め金330、430は基板320、420の一端に配置することができ、第2の側方締め金340、440は基板320、420の反対側の端に配置することができる。各側方締め金は、基板内のスリットによって成形されてもよく、また、目の内部の表面(虹彩130など)の眼組織がスリット内に配置される開位置と、スリット間に配置される眼組織が基板を目の内部の表面に装着するために留める閉位置とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、スリットが少なくとも約0.1、0.2mm、又は0.4mmであってもよい。いくつかの実施形態では、スリットが最大で約1mm、0.8mm、又は0.6mmであってもよい。いくつかの実施形態では、スリットが約0.1~1mm、0.2~0.8、又は0.4~0.6mmであってもよい。
【0090】
図3Aは、いくつかの実施形態による、目の組織(虹彩組織130など)又は表面の最も外側の部分が、基板320におけるスリット342内に配置され得る、開位置にある側方締め金330、340の例を示す。いくつかの実施形態では、装置300は、装置300の配置中に、外科医がスリット342内の眼組織(虹彩組織130など)に留めるためにスリット壁344を移動させ得るように構成されてもよい。
図3Bは、いくつかの実施形態による、表面の眼組織又は最も外側の部分が、より薄いスリット442内部に留められ得る(例えば、スリット342と比較してより薄い)位置にある側方締め金430、440の例を示す。いくつかの実施形態では、装置400は、装置400の配置中に、外科医が眼組織(虹彩組織130など)をつまんで、つまんだ眼組織をより薄いスリット342を通して供給し得るように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、側方締め金がポリマーから作成されてもよい。いくつかの実施形態では、スリット342、442の配置スリットは虹彩繊維130の半径方向の目に追従するように構成されてもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、各スリットが開位置で互いに離間されたスリット壁を含み、このスリット壁は閉位置で眼組織を留めるために互いに向かって移動可能である。例えば、スリット342のスリット壁344は、眼組織上に留めるように構成され得る。いくつかの実施形態では、側方締め金は、外科的埋め込み又は処置中に加えられる力によって、開放位置(
図3Aの開放位置など)から閉鎖位置に移動するように構成される。この側方締め金は、外科的処置中に加えられる力によって意図的に開位置に移動するまで、閉位置に留まってもよい。いくつかの実施形態では、各スリットは、基板の円形開口部(開口部346など)内に延びてもよい。
【0092】
いくつかの実施形態では、基板は可撓性であってもよく、剛性ハウジングに接合されてもよい。いくつかの実施形態では、ハウジングが基板の外面上に固定されることによって基板に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、ハウジングが基板を通って延びることによって基板に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、基板は、ハウジングの装着可能な側を基板に取り付けるための第2の側を有していてもよい。例えば、
図3Aは、ハウジング310が装着された第2の側面324を有する基板を示す。
【0093】
いくつかの実施形態では、締結具が複数の垂直フックを含んでもよい。
図4A及び
図4Bは、いくつかの実施形態による、垂直フックを有する基板550上に搭載された例示的な装置500の一例を示す。いくつかの実施形態では、垂直フックがインサート成形されてもよい。第1の垂直フック552が基板550の一端に配置されてもよく、第2の垂直フック554が基板550の反対端に配置されてもよい。各垂直フックは、基板550内に垂直フックの第1の部分を保持する基板550の内部チャネル510から延びるように構成されてもよい。各垂直フックの第2の部分は、基板の第1の側面556を通過し基板550の第1の側面556から離れる第1の方向に延びてもよい。各フックの第2の部分は、第1の方向とは異なる第2の方向に延びてフック形状を形成する端部を含んでもよい。例えば、フック554は、眼組織を捕捉するように構成された端部558を含むことができる。フック形状を有する各垂直フックは、基板を目の内部の表面に装着するために眼組織に入るように構成されてもよい。例えば、フック552、554は、眼表面(虹彩表面130など)の組織を通過して、装置500を眼表面に装着するように構成される。フック552、554が眼組織又は眼表面の最も外側の部分を通過するとき、フック552、554は、装置500が眼表面から取り外されることを防止するように構成される。いくつかの実施形態では、垂直フック552、554は眼組織内部に垂直フック552、554を挿入するために、目の内部の表面に向かって押されてもよい。いくつかの実施形態では、垂直フックがポリマーから作成されてもよい。
【0094】
図5A及び
図5Bは、いくつかの実施形態による、装置350を目360の内部に装着するための例示的な基板352(320、420など)と、装置の内部構成要素を収容するための例示的なハウジング354(310、410など)とを有する例示的な装置350(装置300、400など)の概略図を示す。
図5Aは、いくつかの実施形態による、目360内に装着された装置350の例示的な上面図を示す。他の実施形態では、装置350が目に装着されるように構成されてもよい。装置350は、少なくとも約3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、又はそれ以上の間、装着された又は埋め込まれた装置として機能的に完全な状態を維持するように構成されてもよい。
【0095】
図5Aは、装着された装置が目360の視線を妨げないように、装置350を目360の内部に装着するための最小侵襲切開部位370のあり得る例示的な位置を示す。
図5Bは、いくつかの実施形態による、目360の内部の表面380に装着された例示的な装置350を表示する例示的な断面概略図を示す。
図5Bに示されるように、目360の内部の表面380は、目の前房内に位置する虹彩の上面であってもよい。
図5Bに示されるように、目の後眼房に位置する虹彩の底面に装着するのではなく、前眼房に位置する虹彩の上面に装置を装着することは、虹彩の底面に装着することと比較して、埋め込み中に虹彩を損傷するリスクが少ないため有利である。いくつかの実施形態では、この眼内の表面が、目の毛様体の扁平部382上又はその付近にあってもよい。
【0096】
他の実施形態では、この装置が水晶体嚢内に埋め込まれてもよい。例えば、この装置が眼内レンズと共配置されてもよい。
【0097】
この装置は、1つ以上のセンサ、1つ以上の変換器、及び集積回路など、装置の内部構成要素を使用して、IOPデータを測定し、超音波後方散乱を介してIOPデータを符号化するように構成される。超音波によって電力供給され、検出された生理学的条件を符号化する超音波後方散乱を放出することができる例示的な埋め込み可能な装置は、国際公開第2018/009905号及び国際公開第2018/009911号に記載される。
【0098】
この装置の集積回路は、装置の1つ以上のセンサ及び無線通信システム(例えば、1つ以上の超音波変換器)と電気的に接続し連通することができる。この集積回路は、電流中の情報を符号化するために無線通信システム(例えば、1つ以上の超音波変換器)を通って流れる電流を変調する、無線通信システム内の変調回路を含むか、又は動作させることができる。変調された電流は無線通信システムが放射する後方散乱波(例えば、超音波後方散乱波)に影響し、後方散乱波は情報を符号化する。
【0099】
図6Aは、いくつかの実施形態による、ハウジング(ハウジング14、22、310、又は410など)によって囲まれ得、集積回路を含み得る、例示的な装置の例示的な基板組立体の側面図を示す。この装置は無線通信システム(例えば、1つ以上の超音波変換器)602及び集積回路604を含む。図示される実施形態では、集積回路604は、コンデンサ606を含む電力回路を含む。図示される実施形態では、コンデンサは、(集積回路チップ上にはないという点で)「オフチップ」コンデンサであるが、依然として回路に電気的に集積されている。コンデンサは、無線通信システムによって受信されたエネルギー(例えば、超音波)から変換された電気エネルギーを一時的に蓄積することができ、エネルギーを蓄積又は放出するために集積回路604によって動作させることができる。この装置は、1つ以上のセンサ608をさらに含む。この1つ以上のセンサは圧力センサを含むことができる。装置との間で送信される超音波はセンサ測定に影響を及ぼし得るため、この装置の1つ以上のセンサは超音波が送信されていないときにIOPデータを測定するように構成されてもよい。1つ以上の超音波変換器602、集積回路604、コンデンサ606、及び1つ以上のセンサ608は、プリント回路基板であってもよい回路基板610上に装着される。いくつかの実施形態では、1つ以上の超音波変換器602、集積回路604、コンデンサ606、及び1つ以上のセンサ608は回路基板610上に接着される。いくつかの実施形態では、回路基板610がポート612a~dを含んでもよい。
図6Aと同様に、
図6Bは、いくつかの実施形態による、ハウジング内に封入され得る例示的な基板組立体の側面図を示す。
図6Bの基板組立体は、いくつかの実施形態によれば、圧電変換器602bと、回路基板610b上に接着された1つ以上のセンサ608bとを含む。
【0100】
この装置の無線通信システムは、装置を動作させるための命令を受信するように構成することができる。この命令は例えば、インタロゲータなどの別個の装置によって送信されてもよい。例として、この装置によって受信された超音波(例えば、インテロゲータによって送信されたもの)は、埋め込み可能な装置を動作させるための命令を符号化することができる。この命令は、例えば、眼圧を検出するために圧力センサを動作させるように装置に命令するトリガ信号を含んでいてもよい。
【0101】
インテロゲータは、エネルギー波(例えば超音波)を送信することができ、このエネルギー波は、無線通信システムを通って流れる電流を生成する(例えば、超音波変換器を通って流れる電流を生成する)ために、装置の無線通信システムによって受信される。次いで、流れる電流は、無線通信システムによって放出される後方散乱波を発生させることができる。この変調回路は、情報を符号化するために、無線通信システムを流れる電流を変調するように構成することができる。例えば、この変調回路は、インテロゲータから超音波を受信する超音波変換器に電気的に接続されてもよい。受信した超音波によって生成された電流は、情報を符号化するために、変調回路を使用して変調することができ、その結果、情報を符号化するために超音波変換器によって超音波後方散乱波が放出される。変調回路は、オン/オフスイッチ又は電界効果トランジスタ(FET)などの1つ以上のスイッチを含む。埋め込み可能な装置のいくつかの実施形態と共に使用することができる例示的なFETは、金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である。変調回路は、無線通信システムを流れる電流のインピーダンスを変更することができ、この無線通信システムを流れる電流の変動は情報を符号化する。いくつかの実施形態では、後方散乱波で符号化された情報は、装置によって放出された電気パルス、又は装置の1つ以上のセンサによって検出された生理学的状態に関連する情報を含む。いくつかの実施形態では、後方散乱波で符号化された情報は、装置に対する一意の識別子を含む。これは、例えば、複数の埋め込み可能な装置が被験者に埋め込まれたときに、インテロゲータが正しい埋め込み可能な装置と連絡することを確実にするために有用であり得る。いくつかの実施形態では、後方散乱波に符号化された情報は、装置によって放出された電気パルスを検証する検証信号を含む。いくつかの実施形態では、後方散乱波に符号化された情報は、エネルギー蓄積回路(又はエネルギー蓄積回路内の1つ以上のコンデンサ)に格納されたエネルギー量又は電圧を含む。いくつかの実施形態では、後方散乱波に符号化された情報は、検出されたインピーダンスを含む。インピーダンス測定値の変化は、瘢痕組織又は電極の経時的な劣化を識別することができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、変調回路は、情報をデジタル化信号若しくはアナログ信号で能動的に符号化することができるデジタル回路又は混合信号集積回路(集積回路の一部であってもよい)を使用して動作させられる。デジタル回路又は混合信号集積回路は、メモリと、埋め込み型装置を動作させるための1つ以上の回路ブロック、システム、又はプロセッサとを含んでいてもよい。これらのシステムは例えば、搭載マイクロコントローラ若しくはプロセッサ、有限状態機械実装、又はインプラント上に格納された若しくはインテロゲータと埋め込み型装置との間の超音波通信を介して提供された1つ以上のプログラムを実行することができるデジタル回路を含むことができる。いくつかの実施形態では、デジタル回路又は混合信号集積回路は、アナログ-デジタル変換器(ADC)を含み、これは、デジタル回路又は混合信号集積回路によって信号が処理され得るように、インテロゲータから放出される超音波に符号化されたアナログ信号を変換することができる。デジタル回路又は混合信号集積回路は、例えばIOPを検出するように圧力センサを動作させるための電気パルスを生成するように、電力回路を動作させることもできる。いくつかの実施形態では、デジタル回路又は混合信号集積回路は、インテロゲータによって送信された超音波に符号化されたトリガ信号を受信し、そのトリガ信号に応答して電気パルスを放電するように電力回路を動作させる。
【0103】
いくつかの実施形態では、1つ以上のセンサ608がIOPを測定するように構成された圧力センサであってもよい。圧力センサは、容量性又は抵抗性の圧力検知を実装することができる。圧力センサの測定精度は、少なくとも0.1mmHg、0.2mmHg、0.3mmHg、0.4mmHg、又は0.5mmHgであってもよい。圧力センサの測定精度は、最大で1.0mmHg、0.9mmHg、0.8mmHg、0.6mmHg、又は0.7mmHgであってもよい。圧力センサの測定精度は、0.1~1.0mmHg、0.2~0.9mmHg、0.3~0.8mmHg、0.4~0.7mmHg、又は0.5~0.6mmHgであってもよい。いくつかの実施形態では、圧力センサの測定精度が1mmHg~70mmHg、3mmHg~60mmHg、又は5mmHg~50mmHgの範囲にわたってもよい。いくつかの実施形態では、圧力センサが約10μV/V/mmHg、20μV/V/mmHg、又は30μV/V/mmHgの感度を有していてもよい。いくつかの実施形態では、圧力センサが読み出し電子回路の感度に依存する感度要件を有していてもよい。いくつかの実施形態では、圧力センサが読み出し電子回路の感度に依存する測定精度及び感度範囲を有していてもよい。
【0104】
いくつかの実施形態では、圧力センサが温度に高感度であってもよい。圧力センサは、温度センサの温度応答に基づいて較正されてもよい。この較正は、圧力センサの圧力出力の差が圧力の実際の差であり、温度変化のアーチファクトではないことを保証するように構成されてもよい。
【0105】
いくつかの実施形態では、1つ以上のセンサが目の前眼房温度を測定するように構成された温度センサを含んでもよい。いくつかの実施形態では、温度センサが約0.1~1℃、0.2~0.8℃、又は0.3~0.6℃の精度を有していてもよい。いくつかの実施形態では、温度センサが約28℃~46℃、30℃~44℃、又は32℃~40℃の眼内温度範囲をモニターしてもよい。いくつかの実施形態では、温度センサデータが最終圧力測定の精度を高めるための補償目的で使用されてもよい。
【0106】
圧力センサからの圧力データ及び温度センサからの温度データの両方が、外部のインテロゲータに報告されてもよい。報告された圧力データ及び報告された温度データは、対応するセンサからの複数の別個の測定値から取得された平均化された又は処理された結果であってもよい。いくつかの実施形態では、装置における測定圧力を較正するために温度測定が使用され、超音波後方散乱が較正された圧力を伝達することができる。いくつかの実施形態では、装置によって報告される圧力データは、1秒、3秒、又は5秒以下の遅延を有する装置の外側の圧力と等価であってもよい。いくつかの実施形態では、外部のインテロゲータから測定コマンドが受信されてからその測定がインテロゲータに報告されるまでの時間は、2秒、4秒、6秒、又は8秒以下であるべきである。
【0107】
いくつかの実施形態では、無線通信システムは、機械的エネルギーを超音波から電流に、及びその逆に変換するように構成された超音波トランシーバである1つの超音波変換器を含む。この超音波変換器は、外部超音波インテロゲータから発生するエネルギーを収集することができ、外部のインテロゲータによって検出可能な変調度を生成することができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、無線通信システムは、1つ、2つ、又は3つ以上の超音波変換器などの1つ以上の超音波変換器を含む。いくつかの実施形態では、無線通信システムは、第1の偏波軸を有する第1の超音波変換器と、第2の偏波軸を有する第2の超音波変換器とを含み、ここで第2の超音波変換器は第2の偏波軸が第1の偏波軸と直交するように配置され、第1の超音波変換器及び第2の超音波変換器は、装置に電力を供給し超音波後方散乱を放出する超音波を受信するように構成される。いくつかの実施形態では、無線通信システムは、第1の偏波軸を有する第1の超音波変換器と、第2の偏波軸を有する第2の超音波変換器と、第3の偏波軸を有する第3の超音波変換器とを含み、第2の超音波変換器は、第2の偏波軸が第1の偏波軸及び第3の偏波軸に直交するように配置され、第3の超音波変換器は、第3の偏波軸が第1の偏波及び第2の偏波軸に直交するように位置決めされ、第1の超音波変換器及び第2の超音波変換器は、装置に電力を供給し超音波後方散乱を放出する超音波を受信するように構成される。
図7は、2つの直交して配置された超音波変換器を含む装置の基板組立体を示す。この装置は、プリント回路基板などの回路基板702と、コンデンサ706を含む電力回路である集積回路704とを含む。この装置は、集積回路704に電気的に接続された第1の超音波変換器708と、集積回路704に電気的に接続された第2の超音波変換器710とをさらに含む。第1の超音波変換器708は第1の偏波軸712を含み、第2の超音波変換器710は第2の偏波軸714を含む。第1の超音波変換器708及び第2の超音波変換器は、第1の偏波軸712が第2の偏波軸714に直交するように配置される。
【0109】
1つ以上の超音波変換器は、無線通信システムに含まれる場合、容量型微細加工超音波変換器(CMUT)若しくは圧電微細加工超音波変換器(PMUT)などの微細加工超音波変換器とすることができ、又はバルク圧電変換器とすることができる。バルク圧電変換器は、結晶、セラミック、又はポリマーなどの任意の天然又は合成材料とすることができる。例示的なバルク圧電変換器データは、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZO)、窒化アルミニウム(AlN)、水晶、ベルリナイト(AlPO4)、トパズ、ランガサイト(La3Ga5SiO14)、オルトリン酸ガリウム(GaPO4)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、タングステン酸ナトリウム(Na2Wo3)、ビスマスフェライト(BiFeO3)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びニオブ酸鉛マグネシウム-チタン酸鉛(PMN-PT)を含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、バルク圧電変換器はほぼ立方体(すなわち、約1:1:1(長さ:幅:高さ)のアスペクト比)である。いくつかの実施形態では、圧電変換器は、長さ又は幅アスペクトの何れかにおいて、約7:5:1以上、又は約10:10:1以上など、約5:5:1以上のアスペクト比を有する板状である。いくつかの実施形態では、バルク圧電変換器は、約3:1:1以上のアスペクト比で長く狭く、その最長寸法は超音波後方散乱波の方向(すなわち、分極軸)に整列される。
【0111】
いくつかの実施形態では、バルク圧電変換器の1寸法は、変換器の駆動周波数又は共振周波数に対応する波長(λ)の1/2に等しい。この共振周波数において、変換器の何れかの面に衝突する超音波は、逆位相に達するために180°の位相シフトを受け、2つの面の間で最大の変位を引き起こすだろう。いくつかの実施形態では、圧電結晶は、その分極方向が音響窓に垂直であるようにハウジング内に組み立てられてもよい。
【0112】
いくつかの実施形態では、圧電変換器の高さは(約40μm~約400μm、約100μm~約250μm、約250μm~約500μm、又は約500μm~約1000μmなど)約10μm~約1000μmである。いくつかの実施形態では、圧電変換器の高さは(約4mm以下、約3mm以下、約2mm以下、約1mm以下、約500μm以下、約400μm以下、250μm以下、約100μm以下、又は約40μm以下など)約5mm以下である。いくつかの実施形態では、圧電変換器の高さは、長さが(約40μm以上、約100μm以上、約250μm以上、約400μm以上、約500μm以上、約1mm以上、約2mm以上、約3mm以上、又は約4mm以上など)約20μm以上である。いくつかの実施形態では、超音波変換器は、最長寸法において(約4mm以下、約3mm以下、約2mm以下、約1mm以下、約500μm以下、約400μm以下、250μm以下、約100μm以下、又は約40μm以下など)約5mm以下の長さを有する。いくつかの実施形態では、超音波変換器は、最長寸法において(約40μm以上、約100μm以上、約250μm以上、約400μm以上、約500μm以上、約1mm以上、約2mm以上、約3mm以上、又は約4mm以上など)約20μm以上の長さを有する。
【0113】
いくつかの実施形態では、微細加工圧電結晶は、少なくとも約0.3マイクロメートル×0.3マイクロメートル×0.1マイクロメートルの寸法を有することができる。いくつかの実施形態では、この圧電結晶は、最大で約1.2マイクロメートル×1.2マイクロメートル×0.6マイクロメートルの寸法を有することができる。いくつかの実施形態では、この圧電結晶は、約0.3~1.2マイクロメートル×0.3~1.2マイクロメートル×0.1~0.6マイクロメートルの寸法を有することができる。
【0114】
1つ以上の超音波変換器は、無線通信システムに含まれる場合、集積回路との電気通信を可能にするために、2つの電極と接続することができる。第1の電極は変換器の第1の面に取り付けられ、第2の電極は変換器の第2の面に取り付けられ、ここで第1の面及び第2の面は、1つの寸法に沿って変換器の対向する側面である。いくつかの実施形態では、電極は、銀、金、白金、白金黒、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT))、導電性ポリマー(導電性PDMS又はポリイミドなど)、又はニッケルを含む。いくつかの実施形態では、変換器の電極間の軸が変換器の動きと直交する。
【0115】
無線通信システムがエネルギーを無線受信するために使用されてもよく、別個のシステムがエネルギーを受信するように構成されてもよい。例えば、超音波変換器(無線通信システム内に収容される超音波変換器又は異なる超音波変換器であってもよい)は超音波を受信し、その超音波からのエネルギーを電気エネルギーに変換するように構成することができる。電気エネルギーは、装置に電力を供給するために集積回路に送信される。電気エネルギーが装置に直接電力を供給してもよく、集積回路が後の使用のためにエネルギーを蓄積するために電力回路を動作させてもよい。
【0116】
いくつかの実施形態では、この集積回路は、受信された超音波からのエネルギーの収集を制御し、1つ以上のセンサに電力を供給し、後方散乱変調を使用して1つ以上のセンサによって収集された目関連データを符号化するように構成されてもよい。この目関連データの符号化は、1つ以上のセンサによって収集された目関連データをデジタル化することと、外部のインテロゲータとのデジタル後方散乱通信のために装置内の電流の特性を変調することとを含む。いくつかの実施形態では、集積回路(集積回路604、704など)は特定用途向け集積回路(ASIC)である。いくつかの実施形態では、ASIC動作は受動的であってもよい。ASICは外部のインテロゲータによって命令されたときにのみ、電源を入れてメッセージを送信してもよい。いくつかの実施形態では、ASICが装置と外部のインテロゲータとの間の超音波通信を停止することによって電源をオフにすることができるので、ASICのためのオフコマンドはない。超音波通信の停止は、装置のエネルギー蓄積を急速に枯渇させ得る。電力が供給されると、ASICは、超音波通信リンクの状態評価を可能にするために、データビット又は確認応答をインテロゲータに送信してもよい。測定コマンドが受信されると、ASICは、利用可能な電力でコマンドを完了することができる場合、コマンドを実行してもよい。
【0117】
いくつかの実施形態では、超音波変換器の圧電結晶及び装置のASICを使用して、受信された超音波から電力が収集されてもよい。ASICは、AC超音波電力をDC電力に変換してもよく、最小平均電力で装置の動作を維持することが可能であってもよく、また所定の時間量内にIOP測定値を生成してもよい。いくつかの実施形態では、最小平均電力が約10×10-6W、20×10-6W、又は30×10-6Wの平均電力であってもよい。いくつかの実施形態では、この所定の時間は、約1秒未満、3秒未満、又は5秒未満であってもよい。
【0118】
いくつかの実施形態では、集積回路は、エネルギー蓄積回路を含むことのできる電力回路を含む。エネルギー蓄積回路は、蓄電池、又は1つ以上のコンデンサなどの代替エネルギー蓄積装置であってもよい。この装置は無電池であってもよく、1つ以上のコンデンサに依存してもよい。一例として、この装置が(例えば、無線通信システムを通して)受信した超音波からのエネルギーは、電流に変換され、エネルギー蓄積回路に蓄積され得る。このエネルギーは、デジタル回路、変調回路、又は1つ以上の増幅器に電力を供給するなど、装置を動作させるために使用することができ、又は電気パルスを生成するために使用することができる。いくつかの実施形態では、電力回路は例えば、整流器及び/又はチャージポンプをさらに含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、圧電結晶は、キュリー温度、共振周波数、及び共振における抵抗範囲が所定の範囲内に維持されるように、ASIC及び基板に電気的及び機械的に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、キュリー温度が少なくとも約180℃、200℃、又は220℃であってもよい。いくつかの実施形態では、キュリー温度が最大で約260℃、250℃、又は240℃であってもよい。いくつかの実施形態では、キュリー温度が約180~60℃、200~250℃、又は220~240℃であってもよい。いくつかの実施形態では、共振周波数が少なくとも約1.2MHz、1.4MHz、1.6MHz、又は1.8MHzであってもよい。いくつかの実施形態では、共振周波数が最大で約2.8MHz、2.6MHz、2.4MHz、又は2.2MHzであってもよい。いくつかの実施形態では、共振周波数が約1.2~2.8MHz、1.4~2.6MHz、1.6~2.4MHz、又は1.8~2.2MHzであってもよい。いくつかの実施形態では、共振における抵抗範囲が少なくとも約0.1kΩ、0.2kΩ、又は0.3kΩであってもよい。いくつかの実施形態では、共振における抵抗範囲が最大で約1.7kΩ、1.5kΩ、1.3kΩ、又は1.1kΩであってもよい。いくつかの実施形態では、共振における抵抗範囲が約0.1~1.7kΩ、0.2~1.5kΩ、0.3~1.3kΩ、又は0.3~1.1kΩであってもよい。
【0120】
図8は、1つ以上のセンサ810と無線通信システム820とを有する例示的な装置700の概略図を示す。センサ又は電極810は、無線通信システム820と電気的に連通するように構成されてもよい。さらに、無線通信システム820は、通信システムを有する外部装置と通信するように構成されてもよい。例えば、外部装置は、1つ以上の超音波変換器を含む通信システムを有するインテロゲータ830であってもよい。
【0121】
いくつかの実施形態では、ハウジングが、無線通信システム、1つ以上のセンサ、及び集積回路を収容してもよい。装置のハウジングは、基部と、1つ以上の側壁と、装置の内部構成要素を封入するための上部とを含むことができる。いくつかの実施形態では、ハウジングが最大で約0.25mmの高さ、0.5mmの高さ、1mmの高さ、又は2mmの高さであり得る。いくつかの実施形態では、ハウジングが最大で1mm幅、2mm幅、又は3mm幅であってもよい。いくつかの実施形態では、ハウジングが最大で長さ1mm、長さ2mm、長さ3mm、長さ4mm、又は長さ5mmであってもよい。
図9Aは、いくつかの実施形態による、例示的なハウジング940の分解図を示す。ハウジングは、生体不活性金属(例えば、鋼又はチタン)又は生体不活性セラミック(例えば、チタニア又はアルミナ)などの生体不活性材料から作成される。いくつかの実施形態では、ハウジングが、埋め込み処置によって引き起こされるものを超える過剰な反応又は炎症を引き起こす可能性がある鋭い角部又は縁部を有さなくてもよい。このハウジングは、好ましくは気密封入されており、体液が本体に入るのを防止する。いくつかの実施形態では、この気密封入が、少なくとも2×10
-8atm-cc/secの空気、5×10
-8atm-cc/secの空気、又は8×10
-8atm-cc/secの空気の均等物漏出速度を満たすか、又は超えてもよい。気密封入されたハウジングは、ISO 14708-1などの規格によって識別される衝撃、熱サイクル、及び圧力変化設計に耐えることができる。
【0122】
いくつかの実施形態では、ハウジングが、以下のうちの、すなわち(1)超音波が窓を貫通し、装置の圧電結晶に電力を供給することを可能にすることと、(2)MEMS圧力センサに眼圧の変化を伝達することを可能にするコンプライアント膜を提供することと、のうちの少なくとも1つ又は両方を果たす音響窓を含むことができる。このようにして、音響窓は、超音波がハウジングの外部及び内部の圧力を貫通し、平衡化することを可能にする。いくつかの実施形態では、音響窓が、圧力センサの圧力センサ膜のコンプライアンスよりも少なくとも約400倍、600倍、又は800倍大きいコンプライアンスを有していてもよい。いくつかの実施形態では、音響窓が、圧力センサの圧力センサ膜のコンプライアンスよりも最大で約1600倍、1400倍、又は1,200倍大きいコンプライアンスを有していてもよい。いくつかの実施形態では、音響窓が、圧力センサの圧力センサ膜のコンプライアンスよりも最大で約400~1600倍、600~1400倍、又は800~1,200倍大きいコンプライアンスを有していてもよい。いくつかの実施形態では、音響窓が冠状面の前方に配向されてもよい。この圧力の平衡化はハウジング内のセンサを保護しながら、正確なIOP測定を可能にする。例えば、ハウジング940の上部944は音響窓を含むことができる。この音響窓は、音響波が装置の本体内の1つ以上の超音波変換器によって受信され得るように、音響波がハウジング940を貫通することを可能にする、より薄い材料(箔など)である。いくつかの実施形態では、ハウジング(又はハウジングの音響窓)は、超音波がハウジングを貫通することを可能にするように薄くてもよい。いくつかの実施形態では、ハウジング(又はハウジングの音響窓)の厚さは約75マイクロメートル(μm)以下、約50μm以下、約25μm以下、約15μm以下、又は約10μm以下など、約100マイクロメートル以下の厚さである。いくつかの実施形態では、ハウジング(又はハウジングの音響窓)の厚さは、約5μm~約10μm、約10μm~約15μm、約15μm~約25μm、約25μm~約50μm、約50μm~約75μm、又は約75μm~約100μmの厚さである。いくつかの実施形態では、音響窓は金属フィルムから作成することができる。
【0123】
この装置のハウジングは比較的小さく、これは、装置にしばしば関連付けられる組織炎症を制限する一方で、快適かつ長期間の埋め込みを可能にする。いくつかの実施形態では、装置のハウジングの最長寸法は、長さが約8mm以下、約7mm以下、約6m以下、約5mm以下、約4mm以下、約3mm以下、約2mm以下、約1mm以下、約0.5mm以下、約0.3mm以下、約0.1mm以下である。いくつかの実施形態では、装置のハウジングの最長寸法は、装置の最長寸法において、約0.05mm以上、約0.1mm以上、約0.3mm以上、約0.5mm以上、約1mm以上、約2mm以上、約3mm以上、約4mm以上、約5mm以上、約6mm以上、又は約7mm以上である。いくつかの実施形態では、装置のハウジングの最長寸法は、長さ約0.3mm~約8mm、長さ約1mm~約7mm、長さ約2mm~約6mm、又は長さ約3mm~約5mmである。いくつかの実施態様では、埋め込み型装置のハウジングは約10mm3以下(約8mm3以下、6mm3以下、4mm3以下、又は3mm3以下など)の容積を有する。いくつかの実施態様では、埋め込み可能な装置のハウジングは、約0.5mm3~約8mm3、約1mm3~約7mm3、約2mm3~約6mm、又は約3mm3~約5mm3の容積を有する。
【0124】
ハウジングは、音響媒体で充填され、水、水分、又は気泡の空隙があってもよい。音響媒体は、周囲組織とのインピーダンス不整合を回避する密度を有していてもよい。音響媒体は非導電性であってもよい。例えば、ハウジング940は、ポリマー又はオイル(シリコーンオイルなど)で充填されてもよい。この素材はハウジングの外部の組織とハウジング内の組織との間の音響インピーダンス不整合を低減するために、ハウジング内の空きスペースを埋めることができる。したがって、装置の内部は、好ましくは空気がない、又は真空である。ハウジングに、ポート、例えばハウジング940の側壁942の1つを含めることができ、ハウジングを音響媒体で充填することを可能にするためにポート946が存在していてもよい。ハウジング940が材料で充填されると、埋め込み後の材料の漏れを回避するために、ポート946を密閉することができる。
【0125】
図9Bは、いくつかの実施形態による、回路基板610bを収容するように構成されたハウジングを示す例示的なハウジング950の分解図を示す。ハウジング940と同様に、ハウジング950は、側壁952と、ポート956と、頂部954とを含む。
【0126】
いくつかの実施形態ではハウジング940、950は眼の内部又は上の装置の配置及び固定を可能にする、外部に取り付けられた機構を含んでもよい。外部に取り付けられた機構は、超音波送信、圧力送信、又は眼の内部若しくは上への装置の装着を妨げない。例えば、ハウジングは、患者の視線又は眼内レンズ配置(適用可能な場合)を妨げることなく、目の水晶体嚢内への配置及び固定を可能にする、外部に取り付けられた特徴を有していてもよい。いくつかの実施形態では、外部に取り付けられた機構は、装着処置によって引き起こされるものを超える過剰な反応又は炎症を引き起こす可能性がある鋭い角部若しくは縁部、又は装置の正しい機能のために必要とされない粗い表面がなくてもよい。いくつかの実施形態では、外部に取り付けられた任意の機構が、埋め込みの剛性寸法を、高さ0.50mm、幅1.00mm、又は長さ1.50mmを超えて増大させなくてもよい。
【0127】
[インテロゲータ]
いくつかの実施形態では、この装置は、IOP測定動作のために装置の外部の構成要素と無線通信するように構成されてもよい。例えば、装置は、外部のインテロゲータと無線通信するように構成されてもよい。無線通信を介して、インテロゲータは、複数のIOP測定値を収集するように装置に命令するように構成されてもよい。外部のインテロゲータは、1つ以上の変換器、1つ以上のセンサ、及び1つ以上の力計を含んでもよい。
【0128】
いくつかの実施形態による、例示的なインテロゲータ1000が
図10Aに示されている。いくつかの実施形態による、例示的なインテロゲータ1000の例示的な概略図を
図10Bに示す。
図10A~Bのインテロゲータは、装置300、400、及び500などの装置と無線通信するように構成され得る。インテロゲータ1000は、無線通信のための1つ以上の変換器1010と、インテロゲータによって加えられる力を測定するための1つ以上の力計1020と、周囲条件を測定するための1つ以上のセンサ1030とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の変換器1010が超音波変換器を含んでもよい。超音波変換器は、インテロゲータと、目の上又は内部に装着された装置との間の超音波通信を容易にするために、まぶたの皮膚、額の上の皮膚、鼻骨の上の皮膚、又は眼窩の上の皮膚に超音波結合するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、インテロゲータを皮膚に超音波結合するために、超音波結合ゲル又は代替のカプラントが使用されてもよい。
【0129】
超音波変換器を皮膚に超音波結合することは、皮膚上のインテロゲータによって接触力を加えることを含む。このように加えられた接触力は装置からのIOP測定に悪影響を及ぼす可能性があるため、より正確なIOP測定のために、最小量の接触力を使用することが好ましい。いくつかの実施形態では、インテロゲータが、インテロゲータによって皮膚に加えられる力を測定するように構成された力計を含んでもよい。例えば、インテロゲータ1000は、この目的のために1つ以上の力計1020を含んでもよい。いくつかの実施形態では、インテロゲータが、力計が減少する力を測定するとき、複数のIOP測定値を決定するように装置を動作させるように構成される。複数のIOP測定値は、測定された最も小さい力で収集されたIOP測定値を決定するために、対応するゲージ測定値と一致させてもよい。
【0130】
いくつかの実施形態では、インテロゲータが、周囲条件を測定するように構成された1つ以上のセンサを含む。例えば、インテロゲータ1000は、
図10に示されるように、1つ以上のセンサ1030を含んでもよい。インテロゲータの1つ以上のセンサは、周囲圧力を測定するための圧力センサを含んでもよい。任意で、インテロゲータは周囲温度を測定するための温度センサをさらに含んでもよく、この温度センサは、周囲圧力を測定するために使用される圧力センサを較正するために使用することができる。インテロゲータ1000は、(装置100、300、400、500などの)装置の1つ以上のセンサ(1つ以上のセンサ608など)によって収集されたIOP測定値を受信し、インテロゲータ1000の1つ以上のセンサ1030を介して周囲条件を測定し、(必要に応じて)IOP測定値を周囲測定値を用いて補償することによって最終IOP読取値を決定し、インテロゲータ及び装置の両方の外部の受信者に最終IOP測定値を通信するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、インテロゲータは、測定されたIOPと測定された周囲圧力との間の差に基づいてIOP測定値を補償することができる。IOPと周囲圧力との間の差は生物学的に関連する値であるので、いくつかの実施形態では、この補償が単にIOPと周囲圧力との間の差であってもよい。いくつかの実施形態では、インテロゲータは、測定された周囲圧力及び目の内部の測定された温度を使用してIOP測定値を補償してもよい。
【0131】
いくつかの実施形態では、インテロゲータ1000は、超音波受信及び送信回路1040と、データインタフェース1050と、組み込みコントローラ1060と、電源1070とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、この装置は、外部のインテロゲータからの電力送信に依存するように構成されてもよい。インテロゲータからの電力送信は、装置の1つ以上のセンサによって収集されたIOP測定を開始するため装置に電力を供給するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、インテロゲータの超音波変換器が装置に命令を送信するように構成されてもよい。インテロゲータからの命令は、それ自体をリセットする、特定のモードに入る、装置パラメータを設定する、又は送信シーケンスを開始するように装置に命令してもよい。
【0132】
いくつかの実施形態による、例示的なインテロゲータが
図11に示されている。図示されたインテロゲータは、複数の超音波変換器を有する変換器アレイを示す。いくつかの実施形態では、変換器アレイは、1個以上、2個以上、3個以上、5個以上、7個以上、10個以上、15個以上、20個以上、25個以上、50個以上、100個以上、250個以上、500個以上、1000個以上、2500個以上、5000個以上、又は10000個以上の変換器を含む。いくつかの実施形態では、変換器アレイは、100,000個以下、50,000個以下、25,000個以下、10,000個以下、5000個以下、2500個以下、1000個以下、500個以下、200個以下、150個以下、100個以下、90個以下、80個以下、70個以下、60個以下、50個以下、40個以下、30個以下、25個以下、20個以下、15個以下、10個以下、7個以下、又は5個以下の変換器を含む。変換器アレイは、例えば50個以上の超音波変換器画素を備えるチップとすることができる。
【0133】
図11に示されるインテロゲータは単一の変換器アレイを図示するが、このインテロゲータは1つ以上、2つ以上、又は3つ以上の別個のアレイを含むことができる。いくつかの実施形態では、インテロゲータは、(9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個の変換器アレイなど、)10個以下の変換器アレイを含む。この別個のアレイは例えば、対象の異なる地点に位置づけることができ、同じ又は異なる埋め込み可能な装置と通信することができる。いくつかの実施形態では、アレイが埋め込み可能な装置の対向側に設置される。インテロゲータは、特定用途向け集積回路(ASIC)を含むことができ、ASICは、変換器アレイ内の各変換器のためのチャネルを含む。いくつかの実施形態では、チャネルが(「T/Rx」によって
図11に示される)スイッチを含む。このスイッチは、代替的に、超音波を送信するか又は超音波を受信するように、チャネルに接続された変換器を構成することができる。このスイッチは、超音波受信回路を、より高電圧の超音波送信回路から分離することができる。
【0134】
いくつかの実施形態では、チャネルに接続された変換器は、超音波を受信するためだけに、又は超音波を送信するためだけに構成され、スイッチはチャネルから任意に省略される。チャネルは、送信された超音波を制御するように動作する遅延制御部を含むことができる。遅延制御部は例えば、位相シフト、時間遅延、パルス周波数及び/又は波形(振幅及び波長を含む)を制御することができる。遅延制御部は、超音波を送信するために変換器によって使用されるより高い電圧に遅延制御からの入力パルスをシフトする、レベルシフタに接続することができる。いくつかの実施形態では、各チャネルの波形及び周波数を表すデータが、「波テーブル」に格納され得る。これは、各チャネルの送信波形を異ならせることを可能にする。次いで、このデータを変換器アレイへの実際の送信信号へと「流れ」ださせるために、遅延制御及びレベルシフタを使用することができる。いくつかの実施形態では、各チャネルに対する送信波形は、マイクロコントローラ又は他のデジタルシステムの高速シリアル出力によって直接生成され、レベルシフタ又は高電圧増幅器を介して変換器素子に送られることができる。いくつかの実施形態では、ASICは、ASICに供給される第1の電圧を、チャネルに印加されるより高い第2の電圧に変換するために、チャージポンプ(
図11に図示)を含む。チャネルは、遅延制御部を動作させるデジタルコントローラなどのコントローラによって制御することができる。
【0135】
超音波受信回路では、受信した超音波は変換器(受信モードに設定)によって電流に変換され、データ取り込み回路に送信される。いくつかの実施形態では、増幅器、アナログ-デジタル変換器(ADC)、可変利得増幅器、若しくは組織損失を補償する時間利得制御可変利得増幅器、及び/又は帯域通過フィルタが受信回路に含まれる。ASICは、(インテロゲータの着用可能な実施形態に好ましい)電池などの電源から電力を引き出すことができる。
図11に図示される実施形態では、ASICに1.8Vの電源が供給され、これはチャージポンプによって32Vに増加されるが、任意の適切な電圧を使用することができる。いくつかの実施形態では、インテロゲータは、プロセッサと非一時的コンピュータ可読メモリとを含む。いくつかの実施形態では、上述のチャネルがT/Rxスイッチを含まず、代わりに、良好な飽和回復を有する低ノイズ増幅器の形態の高電圧Rx(受信器回路)を有する独立したTx(送信)及びRx(受信)を包含する。いくつかの実施形態では、T/Rx回路はサーキュレーターを含む。いくつかの実施形態では、変換器アレイがインテロゲータ送信/受信回路内の処理チャネルよりも多くの変換器素子を含み、マルチプレクサはパルスごとに送信素子の異なるセットを選択する。例えば、3:1マルチプレクサを介して192個の物理変換器素子に接続された64個の送信受信チャネルであって、64個の変換器素子のみが所与のパルス上でアクティブである。
【0136】
いくつかの実施形態では、インテロゲータが外部装置である(すなわち、埋め込まれていないが、体外表面に取り付けられ、又は保持され得る)。例として、外部のインテロゲータは、ユーザ(装置が目の内部若しくは上に埋め込まれた又は装着された、患者、又は別の人など)によって保持され得るハンドヘルドインテロゲータ(ワンドなど)であり得る。ユーザは、埋め込まれた/装着された装置を操作するために、埋め込まれた/装着された装置を有する目に向けて、ハンドヘルド外部のインテロゲータを動作させることができる。例えば、ハンドヘルドインテロゲータは、まぶたの皮膚、額の上の皮膚、鼻骨の上の皮膚、又は眼窩の上の皮膚に配置されて、IOPの1つ以上の測定値を取得するために、埋め込み/装着された装置を操作してもよい。いくつかの実施形態では、外部のインテロゲータを埋め込まれた/装着された装置に向けることが、IOPの1つ以上の測定値を取得するように装置を動作させる。いくつかの実施形態では、ハンドヘルドインテロゲータが埋め込まれた/装着された装置を1日に1回以上(例えば、1日に2~3回)動作させてもよい。
【0137】
患者の目/まぶたとインテロゲータとの間の物理的接触は、埋め込まれた/装着された装置からインテロゲータが測定値を受信することを可能にする。いくつかの実施形態では、インテロゲータが患者に物理的に固定されてもよい(縫合又は埋め込まれなくてもよい)。例えば、インテロゲータは、ストラップなどを介して、埋め込まれた/装着された装置を有する目を囲む患者の顔又は患者の皮膚に固定されてもよい。目を取り囲む皮膚は、まぶたの皮膚、額の上の皮膚、鼻骨の上の皮膚、又は眼窩の上の皮膚を含んでもよい。インテロゲータを患者に固定することは、インテロゲータが、患者又は別のユーザが装置を所定の位置に保持することを必要とすることなく、IOPを継続的にモニターすることを可能にする。固定されたインテロゲータは、経時的に測定を行うために埋め込まれた/装着された装置を作動させるように設計されたプログラムを実行するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、この固定されたインテロゲータが、患者が睡眠している間にIOPをモニターするために使用されてもよい。
【0138】
変換器アレイの具体的な設計は、アレイ内の個々の変換器の所望の貫通深さ、開口サイズ、及びサイズに依存する。変換器アレイのレイリー距離Rは、次のように計算される。
【数1】
ここで、Dは開口部のサイズであり、λは伝播媒体内の超音波の波長である。当技術分野で理解されるように、レイリー距離は、アレイによって放射されるビームが完全に形成される距離である。すなわち、受信電力を最大にするために、その圧力場は、レイリー距離での自然焦点に収束する。したがって、いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置は、変換器アレイからレイリー距離とほぼ同じ距離にある。
【0139】
変換器アレイ内の個々の変換器は、ビームフォーミング又はビームステアリングの処理を通して、レイリー距離と、変換器アレイによって放出される超音波のビームの位置とを制御するように調整することができる。線形拘束最小分散(LCMV)ビームフォーミングなどの技術は、複数の埋め込み可能な装置を外部の超音波トランシーバと通信させるために使用することができる。例えば、Bertrandらの、Beamforming Approaches for Untethered、Ultrasonic Neural Dust Motes for Cortical Recording(a Simulation Study、IEEE EMBC,2014年8月)を参照されたい。いくつかの実施形態では、ビームステアリングは、アレイ内の変換器によって放射される超音波の電力又は位相を調節することによって行われる。
【0140】
いくつかの実施形態では、インテロゲータは、1つ以上の変換器を使用して超音波をビームステアリングするための命令、1つ以上の埋め込み可能な装置の相対位置を決定するための命令、1つ以上の埋め込み可能な装置の相対移動をモニターするための命令、1つ以上の装置(例えば、目の上又は内部に装着された装置100、300、400、500)の相対移動を記録するための命令、及び複数の埋め込み可能な装置からの後方散乱を逆畳み込みするための命令のうちの1つ以上を含む。
【0141】
任意に、インテロゲータは、モバイル装置(例えば、スマートフォン又はテーブル)などの別個のコンピュータシステムを使用して制御される。コンピュータシステムは、例えばネットワーク接続、無線(RF)接続、又はBluetooth(登録商標)を介して、インテロゲータに無線通信することができる。コンピュータシステムは例えば、インテロゲータをオン又はオフしてもよく、又はインテロゲータによって受信された超音波に符号化された情報を分析してもよい。
【0142】
[超音波通信]
この装置とインテロゲータとは、例えば超音波を使用して互いに無線で通信する。この通信は、一方向通信(例えば、装置に情報を送信するインテロゲータ、又はインテロゲータに情報を送信する装置)であってもよく、又は双方向通信(例えば、装置に情報を送信するインテロゲータ、又はインテロゲータに情報を送信する装置)であってもよい。装置からインテロゲータに送信される情報は例えば、後方散乱通信プロトコルに依存してもよい。例えば、インテロゲータは、情報を符号化する後方散乱波を放出する装置に超音波を送信してもよい。インテロゲータは後方散乱波を受信し、受信された後方散乱波で符号化された情報を解読することができる。
【0143】
いくつかの実施形態では、装置の1つ以上の超音波変換器が、外部のインテロゲータから送信された超音波エネルギーからコマンドを受信するように構成された圧電結晶を含んでもよい。この装置は、外部のインテロゲータから送信されたパルス間隔符号化コマンドを復号してもよく、振幅変調後方散乱通信を介して外部のインテロゲータにデータを受動的に送信してもよい。いくつかの実施形態では、この装置は、埋め込み型装置上の1つ以上の超音波変換器を介してインテロゲータから超音波を受信し、受信した波は、埋め込み型装置を動作させるための命令を符号化することができる。例えば、この装置上の超音波変換器の振動は、この変換器の電気端子間に電圧を生成し、集積回路を含む装置を通して電流が流れる。(例えば、1つ以上の超音波変換器を使用して生成され得る)電流はエネルギ蓄積回路を充電するために使用することができ、このエネルギ蓄積回路は、例えばトリガ信号を受信した後に電気パルスを放出するために使用されるエネルギを格納することができる。このトリガ信号は、インテロゲータから埋め込み型装置に送信され、電気パルスが放射されるべきであるということを知らせることができる。いくつかの実施形態では、トリガ信号は、周波数、振幅、パルス長、又はパルス形状(例えば、交流、直流、又はパルスパターン)など、放出されるべき電気パルスに関する情報を含む。デジタル回路はトリガ信号を解読し、パルスを放出するために電極及び電気蓄積回路を動作させることができる。
【0144】
いくつかの実施形態では、超音波後方散乱が装置に関連する情報を符号化することができる装置から放出される。いくつかの実施形態では、この装置がIOPを記述する生理学的状態を検出するように構成され、検出された生理学的状態に関する情報は超音波後方散乱によってインテロゲータに送信することができる。後方散乱における生理学的状態を符号化するために、装置の超音波変換器を通って流れる電流は、測定された生理学的状態などの符号化された情報の関数として変調される。いくつかの実施形態では、電流の変調はアナログ信号であり得、これは、例えば、検出された生理学的状態によって直接変調され得る。いくつかの実施形態では、電流の変調はデジタル化された信号を符号化し、これは集積回路内のデジタル回路によって制御され得る。後方散乱は、外部のインテロゲータ(初期超音波を送信した外部のインテロゲータと同じであっても異なっていてもよい)によって受信される。したがって、電気生理学的信号からの情報は、後方散乱超音波の振幅、周波数、又は位相の変化によって符号化することができる。
【0145】
いくつかの実施形態において、超音波通信は、埋め込みの表面が2℃の温度上昇を超えるべきでないと規定するISO 14708-01:2014第17節に従って、目のどの部分の温度も常に約1.5℃を超えないようにする。
【0146】
いくつかの実施形態では、超音波通信が装置の圧電結晶がインテロゲータヘッドから約5mm+/20%の距離にあるときに確立されてもよい。いくつかの実施形態では、超音波通信が、圧電結晶の表面がまぶたの皮膚、額の上の皮膚、鼻骨の上の皮膚、又は眼窩の上の皮膚に接触するように構成されたインテロゲータの表面から最大で約3mm、5mm、7mm、又は9mmの距離にあるときに確立されてもよい。いくつかの実施形態では、超音波通信が、圧電結晶の表面がまぶたの皮膚、額の上の皮膚、鼻骨の上の皮膚、又は眼窩の上の皮膚に接触するように構成されたインテロゲータから少なくとも約1mm、2mm、又は3mmの距離にあるときに確立されてもよい。いくつかの実施形態では、超音波通信が、圧電結晶の表面がまぶたの皮膚、額の上の皮膚、鼻骨の上の皮膚、又は眼窩の上の皮膚に接触するように構成されたインテロゲータから約1~9mm、2~7mm、又は3~5mmの距離にあるときに確立されてもよい。確立されると、超音波通信は、典型的な不随意眼球運動を、IOP測定の短い期間許容し得る。
【0147】
図8は、埋め込み可能な装置と通信するインテロゲータを示す。外部の超音波トランシーバは、組織を通過することができる超音波(「搬送波」)を放出する。搬送波は、超音波変換器(例えば、バルク圧電変換器、PUMT、又はCMUT)に機械的振動を生じさせる。超音波変換器の両端に電圧が生成され、これは、埋め込み可能な装置上の集積回路を通して流れる電流を付与する。超音波変換器を通して流れる電流は、埋め込み可能な装置上の変換器に、後方散乱超音波を放出させる。いくつかの実施形態では、集積回路は、情報を符号化するために超音波変換器を通して流れる電流を変調し、結果としてもたらされた超音波後方散乱波が情報を符号化する。後方散乱波は、インテロゲータによって検出することができ、超音波後方散乱に符号化された情報を解釈するために分析することができる。
【0148】
インテロゲータから装置への命令は、超音波キャリアによって搬送することができる。具体的には、インテロゲータの超音波変換器によって生成される超音波キャリアが、様々な数のキャリア周期を有する一連の超音波パルスを含んでもよい。キャリア周期の数は、装置に固有の情報を符号化する。例えば、キャリア周期の数に基づいて、この情報が、装置がデータ送信シーケンスを開始するための命令を含んでもよい。この送信シーケンスはIOPデータを測定し、IOPデータを超音波後方散乱として符号化するための工程を含むことができる。符号化は、電流を変調するために超音波キャリア上のIOPデータを後方散乱することと、インテロゲータへの送信のために変調された電流を超音波後方散乱に変換することとを含む。キャリア周期の数は、装置に関係する他の情報を符号化してもよい。例えば、この情報は、装置がそれ自体をリセットし、特定のモードに入り、又は装置パラメータを設定するための命令を含んでもよい。
【0149】
インテロゲータと埋め込み可能な装置との間の通信は、超音波を送受信するパルスエコー法を使用することができる。パルスエコー法では、インテロゲータが所定の周波数で一連のインテロゲーションパルスを送信し、次いで、埋め込まれた装置から後方散乱エコーを受信する。いくつかの実施形態では、このパルスは、正方形、長方形、三角形、鋸歯状、又は正弦波である。いくつかの実施形態では、出力されるパルスは、2レベル(GND及びPOS)、3レベル(GND、NEG、POS)、5レベル、又は任意の他の複数レベル(例えば、24ビットDACを使用する場合)とすることができる。いくつかの実施形態では、パルスは、動作中にインテロゲータによって連続的に送信される。いくつかの実施形態では、パルスがインテロゲータによって連続的に送信されるとき、そのインテロゲータ上の変換器の一部は超音波を受信するように構成され、そのインテロゲータ上の変換器の一部は超音波を送信するように構成される。超音波を受信するように構成される変換器と、超音波を送信するように構成される変換器とは、インテロゲータの同じ変換器アレイ上にあることができ、異なる変換器アレイ上にあることもできる。いくつかの実施形態では、インテロゲータ上の変換器が超音波を代替的に送信又は受信するように構成することができる。例えば、変換器は、1つ以上のパルスを送信することと、休止期間との間をサイクルすることができる。変換器は、1つ以上のパルスを送信するときに超音波を送信するように構成され、次いで、休止期間中に受信モードに切り替えることができる。
【0150】
いくつかの実施形態では、後方散乱波は、埋め込み可能な装置によってデジタル化される。例えば埋め込み可能な装置は、オシロスコープ又はアナログ-デジタル変換器(ADC)及び/又はメモリを含むことができ、これらは、電流(又はインピーダンス)変動における情報をデジタル的に符号化することができる。情報を符号化することができるデジタル化された電流変動は、無線通信システムによって受信され、これは、次いでデジタル化された超音波を送信する。デジタル化されたデータは、例えば特異値分解(SVD)と最小二乗法に基づく圧縮とを使用することによって、アナログデータを圧縮することができる。いくつかの実施形態では、この圧縮は相関器又はパターン検出アルゴリズムによって行われる。後方散乱信号は、単一の時点で再構成データポイントを生成するために、後方散乱領域の第4順のバターワースバンドパスフィルタ整流積分などの、一連の非線形変換を経てもよい。このような変換は、ハードウェア(すなわち、ハードコーディングされた)又はソフトウェアの何れかで行うことができる。
【0151】
いくつかの実施形態では、デジタル化されたデータが一意の識別子を含むことができる。この一意の識別子は、例えば、複数の埋め込み型装置及び/又は複数の電極対を備える埋め込み型装置を備えるシステムにおいて有用であり得る。例えば一意の識別子は、複数の埋め込み型装置からのものであるとき、例えば埋め込み型装置から(検証信号などの)情報を送信するときに、発端の埋め込み型装置を識別することができる。デジタル化された回路は、どの電極対が電気パルスを放射したかを識別及び/又は検証するために、一意の識別子を符号化することができる。
【0152】
いくつかの実施形態では、デジタル化された信号はアナログ信号のサイズを圧縮する。デジタル化された信号の減少したサイズは、後方散乱で符号化された情報のより効率的な報告を可能にすることができる。デジタル化を通じて送信される情報のサイズを圧縮することによって、潜在的に重複する信号を正確に送信することができる。
【0153】
いくつかの実施形態では、インテロゲータは複数の装置と通信する。これは、例えば、多入力多出力(MIMO)システム理論を使用して行うことができる。例えば、時分割多重化、空間多重化、又は周波数多重化を使用した、インテロゲータと複数の埋め込み可能な装置との間の通信。インテロゲータは、逆畳み込みされ得る複数の埋め込み可能な装置からの結合された後方散乱を受信することができ、それによって、各埋め込み可能な装置から情報を抽出する。いくつかの実施形態では、インテロゲータは、変換器アレイからの送信された超音波を、ビームステアリングを介して特定の埋め込み可能な装置へと集束させる。このインテロゲータは、送信された超音波を第1の装置に集束させ、第1の装置からの後方散乱を受信し、送信された超音波を第2の装置に集束させ、第2の装置からの後方散乱を受信する。いくつかの実施形態では、インテロゲータは超音波を複数の装置に送信し、次いで、複数の装置から超音波を受信する。
【0154】
別個の装置(外部インテロゲータ又は別の装置など)と通信することができる無線通信システム。例えば、無線通信420は、1つ以上のセンサから、測定されたIOPデータに関連付けられる超音波後方散乱を放出するための命令を受信するように構成されてもよい。無線通信システムは、例えば1つ以上の超音波変換器を含むことができる。また、無線通信システムは、別の装置から(例えば、超音波を介して)、埋め込み可能な装置に電力を供給するために使用され得るエネルギーを受信するように構成されてもよい。
【0155】
装置に命令を提供することに加えて、いくつかの実施形態では、インテロゲータからの超音波キャリアが、装置に電力を供給するように構成された振動エネルギーを送信してもよい。すなわち、超音波キャリアの超音波パルスは、ASICに電力を供給するためのエネルギーを与えるのに適した周波数で装置に送達される。
【0156】
いくつかの実施形態では、埋め込み型装置は、無線通信システムを介して、インテロゲータによって受信され得る情報(すなわち、アップリンク通信)を送信するように動作される可能性もある。いくつかの実施形態では、無線通信システムは、情報を符号化する通信信号(例えば、超音波)を能動的に生成するように構成される。いくつかの実施形態では、無線通信システムは、後方散乱波(例えば、超音波後方散乱波)上で符号化された情報を送信するように構成される。後方散乱通信は情報を送信するより低電力の方法を提供し、これは、使用されるエネルギーを最小化するための小型装置にとって特に有益である。例として、無線通信システムは超音波を受信し、埋め込み可能な装置によって送信された情報を符号化することができる超音波後方散乱を放出するように構成された1つ以上の超音波変換器を含んでいてもよい。電流は超音波変換器を通して流れ、情報を符号化するために変調され得る。この電流は、例えば電流を変調するセンサに電流を通すことによって直接的に変調されてもよく、例えば、IOPなどの検出された生理学的条件に基づいて変調回路を使用して電流を変調することによって間接的に変調されてもよい。
【0157】
無線通信システムを使用して無線で送信された情報は、インタロゲータで受信することができる。いくつかの実施形態では、この情報は後方散乱波(例えば、超音波後方散乱)で符号化されることによって送信される。この後方散乱は、インテロゲータによって受信され、例えば符号化された情報を決定するために解読され得る。後方散乱通信に関するさらなる詳細は本明細書で提供され、追加の例はWO2018/009905、WO2018/009908、WO2018/0091010、WO2018/009911、WO2018/009912、国際特許出願第PCT/US2019/028381号、国際特許出願第PCT/US2019/028385号、及び国際特許出願第PCT/2019/048647号で提供され、これらの各々はあらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。この情報は、変調回路を使用して集積回路により符号化することができる。この変調回路は無線通信システムの一部であり、集積回路によって動作させることも、集積回路内に収容することもできる。
【0158】
[眼圧を検出する方法及び/又は眼疾患を治療する方法]
このインテロゲータ及び装置は、オンデマンドIOP検知を可能にするように構成されてもよい。インテロゲータは、IOPを測定するために、目の上又は内部に装着された装置を開始するように構成されてもよい。インテロゲータからの命令に基づいて、装置は、複数のIOP測定値を取得し、IOP測定値で符号化されたメッセージをインテロゲータに送信してもよい。インテロゲータは、メッセージを復号し、インテロゲータによって測定された周囲圧力に基づいてIOP測定値を調整するように構成されてもよい。調整されたIOP測定値は、インテロゲータ及び装置の両方の外部の受信者に通信されてもよい。
【0159】
図12は、目の眼圧を測定する方法1200を示すフローチャートである。ステップ1202において超音波は、インテロゲータからインテロゲータの外部の装置に送信される。この装置は、目の上又は内部に装着されてもよい。インテロゲータ及び装置はそれぞれ、超音波を受信及び送信するための1つ以上の超音波変換器を含んでもよい。ステップ1204において超音波は、装置の1つ以上の超音波変換器によって受信される。この超音波は、圧力センサを介してIOP測定値を収集するように装置を動作させてもよい。ステップ1206においてIOPは、装置上の圧力センサを介して検出される。いくつかの実施形態では、装置が、2つの異なる値をインテロゲータからの各インテロゲーションで収集してもよく、その1つは圧力センサから測定されたIOPに対応し、もう1つは温度センサからの眼内温度(IOT)に対応する。温度センサデータは、例えば、圧力センサを較正することによって、最終的な圧力測定の精度を高めるための補償目的のために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、圧力センサは装置において測定された温度を使用して較正され、装置は較正された温度をインテロゲータに通信する。いくつかの実施形態では、圧力センサ及び温度センサの測定が、測定を完了するために装置に利用可能な電力がある場合に完了されてもよい。いくつかの実施形態では、検出されたIOPが、超音波後方散乱として装置によって符号化される。いくつかの実施形態では、検出されたIOP及びIOTが、超音波後方散乱として装置によって符号化される。ステップ1208において超音波後方散乱は、装置から放出される。ステップ1210において超音波後方散乱は、インテロゲータの1つ以上の超音波変換器によって受信される。ステップ1212において測定されたIOPが、超音波後方散乱から決定される。いくつかの実施形態では、インテロゲータは、装置から測定されたIOPを決定するために超音波後方散乱を復号する。ステップ1214において、周囲圧力がインテロゲータによって測定される。いくつかの実施形態では、この周囲圧力は、本体から離れた圧力である。ステップ1216において、調整されたIOPが、測定された周囲圧力に基づいて測定されたIOPを調整することによって決定される。いくつかの実施形態では、測定された周囲圧力に基づいて調整が必要とされず、その場合、調整されたIOPは測定された周囲圧力に等しい。
【0160】
いくつかの実施形態では、IOP測定動作を実行するために、インテロゲータの超音波変換器は、目の内部に埋め込まれた又は目に装着された装置に向けて目のまぶたの上に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、インテロゲータは、インテロゲータによって皮膚に力を加えることによって、まぶたの皮膚、額の上の皮膚、鼻骨の上の皮膚、又は眼窩の上の皮膚に超音波結合される。いくつかの実施形態では、IOP測定動作を実行するために、インテロゲータが皮膚に接触され、次いで、接触が失われるまで皮膚から離れるように移動される。インテロゲータが皮膚に接触している間、インテロゲータは、インテロゲータによって皮膚に加えられる複数の力の大きさをインテロゲータが測定している間に、複数のIOPを測定するように装置に命令する。いくつかの実施形態では、インテロゲータは、インテロゲータによって加えられる最小の力に関連付けられる複数のIOP測定値から最終IOP測定値を選択する。
【0161】
IOPの定期的なモニタリングは、高IOPに関連する眼疾患、例えば緑内障又は高眼圧症をモニタリング及び予防する際に重要な役割を果たすことができる。所与の患者についての高いIOPは、測定されたIOPが閾値を上回るかどうかに基づいて決定されてもよい。この閾値は、患者のIOP傾向及び標準IOP値のうちの1つ以上に基づいてもよい。したがって、この閾値は患者ごとに異なってもよい。IOPの定期的なモニタリングは、正常よりも高いIOPの早期検出を可能にし、高いIOPに関連付けられる視力喪失を最小限にするための早期治療オプションを受ける機会を患者が得ることを可能にする。
【0162】
高IOPが検出された場合には、患者は、IOPを減少させるために、点眼薬又は他の治療薬について適格となってもよい。眼圧を低下させるために、有効量の治療剤を患者に投与することができる(例えば、眼圧降下剤)。患者及び目の状態に応じて、IOPを低下させるために、2つ以上のタイプの点眼剤を使用してもよい。IOPを低下させることができる治療薬は、例えば、プロスタグランジン、カンナビノイド、β遮断薬、αアドレナリン作動薬、炭酸脱水酵素阻害薬、Rhoキナーゼ阻害薬、及びコリン作動薬の縮瞳薬を含む。緑内障又は高眼圧症を治療するために、又は眼圧を低下させるために使用することができる例示的な治療剤は、アセタゾラミド、アプラクロニジン、ブリモニジン(例えば、酒石酸ブリモニジン)、カルバコール、エコトリフェート(例えば、ヨウ化エコトリフェート)、メタゾラミド、マイトマイシン、ナドロール、ピロカルピン、及びチモロール(又はブリモニジンとチモロールの混合物)を含む。
【0163】
図13は、緑内障又は高眼圧症などの眼疾患を有する患者を治療するための方法1300を示すフローチャートである。ステップ1302においてIOPが測定される。このIOPは例えば、装置(装置12、300、400、500など)及びインテロゲータ(インテロゲータ1000など)を使用して測定することができる。測定されるIOPは、装置によって測定される初期IOPと、インテロゲータによって測定される周囲圧力とに基づいて決定される最終IOPであってもよい。ステップ1304において、測定されたIOPが閾値と比較される。測定されたIOPが閾値を上回る場合、測定されたIOPは高いと判定される。ステップ1306において、測定されたIOPが高いと判定されると、IOPを減少させるために治療薬が患者に投与される。
【0164】
図14は、いくつかの実施形態による、患者のIOPをモニターするために装置を使用するための方法1400を示すフローチャートである。ステップ1410において装置は、手術中に患者の目のうちの1つに埋め込まれてもよい。例えば、装置は、眼内レンズ配置のための手術中に埋め込まれてもよい。ステップ1420において、臨床医の存在下で第1の測定が行われる。患者は、1日1回IOPを測定するように指示されてもよい。ステップ1430において患者は、指示された測定を行うためにインテロゲータを使用する。ステップ1440において、IOP測定値がクラウドにアップロードされ、バックエンドアプリケーションを使用して分析される。医師は、患者が自分の治療についてより多くの情報に基づいて決定するのを助けるために、この情報を使用することができる。
【0165】
いくつかの実施形態では、方法1400が較正工程を含んでもよい。この較正は例えば、センサ読み取りのドリフトを考慮するため、埋め込み後に周期的に行われてもよい。この較正は、眼圧を測定するための眼圧計又は代替標準品を用いて眼圧を記録することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、この較正は、患者の治癒期間の後に、又は精度の問題が疑われる場合に行われてもよい。いくつかの実施形態では、較正が埋め込み前に行われてもよい。
【0166】
図15は、いくつかの実施形態による、患者の目の上又は内部に装着された装置及び外部のインテロゲータを用いてIOP測定を行うための方法1500を示すフローチャートである。方法1500は、セットアップ抗知恵1510と、サーチ工程1520と、IOP測定工程1550と、完了工程1540とを含んでもよい。方法1500は、2、4、6、8、又は10分未満でよい。ステップ1510において、インテロゲータがオンにされ、超音波結合媒体がインテロゲータの先端又はまぶた上に配置される。ステップ1520において、インテロゲータは、患者のまぶたに対して配置され、装置との通信が成功するまで移動させられる。ステップ1530において装置は、IOP測定を行う。ステップ1540において、IOP測定が完了する。
【0167】
[例示的な環境仕様]
装置、装置の包装、及び装置を使用する方法は、標準的な医療処置に準拠する。例えば、この装置のバイオバーデン試験方法は、ISO 11737-1などの標準的な医療記述に準拠することができる。この装置の流体及び組織接触構成要素は、身体接触及び接触期間の性質に基づいて、EN ISO 10993-1の要件を満たすことができる。いくつかの実施形態では、包装された装置が、EN 556の要件に従って少なくとも1/1,000,000の無菌性保証レベル(SAL)に達するために、ISO 11135に従って無菌化されてもよい。いくつかの実施形態では、装置が、ISO 10993-7に従ったエチレンオキシド(EO)滅菌残留要件を満たしてもよい。この装置は、いかなる物理的損傷も材料劣化もなしに、少なくとも5サイクルのEO滅菌に耐えてもよい。製品の無菌包装は、装置の無菌性を最低1年間保持してもよい。
【0168】
この装置は、輸送中又は通常の使用条件の間に生じ得る圧力の変化に耐えるように構成されてもよい。装置の構成部品は、ISO 14708-1で1時間以上適用される、70kPa±3.5kPa及び150kPa±7.5kPaの絶対圧力による不可逆的な変形、分解、又は断裂に耐えるべきである。この装置は、輸送又は保管中にそれらが受ける可能性のある温度の変化によって不可逆的な変化が引き起こされないように構成されてもよい。装置は、滅菌パック内で、IEC 60068-2-14:2009の試験Nbに準拠した試験を受けてもよく、ここで、低温値は-10±3℃であり、高温値は55±2℃である。この温度変化率は1℃/min±0.2℃/minとする。この装置は、非発熱性であってもよい。
【0169】
図16は、(システム10のインテロゲータ14を動作させるためなどの)いくつかの実施形態によるコンピューティング装置1600、又はインテロゲータを使用して方法1200及び1300を実装するためのコンピューティング装置の例を示す。コンピューティング装置1600は、ネットワークに接続されたホストコンピュータとすることができる。コンピューティング装置1600は、クライアントコンピュータ又はサーバとすることができる。
図16に示されるように、コンピューティング装置1600は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバ、又は電話若しくはタブレットなどのハンドヘルドコンピューティング装置(ポータブル電子装置)など、任意の適切な種類のマイクロプロセッサベースの装置とすることができる。コンピューティング装置1600は例えば、プロセッサ1610、入力装置1620、出力装置1630、記憶1640、及び通信装置1660のうちの1つ以上を含むことができる。入力装置1620及び出力装置1630は概して上述のものに対応することができ、コンピュータに接続可能であるか、又はコンピュータと一体化されるかのいずれかであってもよい。
【0170】
入力装置1620は、タッチスクリーン、キーボード若しくはキーパッド、マウス、又は音声認識装置などの、入力を提供する任意の適切な装置とすることができる。出力装置1630は、タッチスクリーン、触覚装置、又はスピーカなどの、出力を提供する任意の適切な装置とすることができる。
【0171】
記憶装置1640は、RAM、キャッシュメモリ、ハードドライブ、若しくはリムーバブル記憶ディスクを含む、電気、磁気、又は光学メモリなどの、記憶装置を提供する任意の適切な装置とすることができる。通信装置1660は、ネットワークインタフェースチップ又は装置など、ネットワークを介して信号を送信及び受信することが可能な任意の適切な装置を含むことができる。コンピュータの構成要素は、物理的バスを介して又は無線などで、任意の適切な手法で接続することができる。
【0172】
記憶装置1640に格納され、プロセッサ1610によって実行することができるソフトウェア1650は、例えば、本開示の機能を具現化する(例えば、上述したような装置において具現化される)プログラミングを含むことができる。
【0173】
ソフトウェア1650はまた、命令実行システム、機器、若しくは装置からソフトウェアに関連付けられた命令をフェッチし、その命令を実行することができる、上述したものなどの命令実行システム、機器、若しくは装置によって使用するための、又はそれに関連して使用するための、任意の非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に格納及び/又は輸送することができる。本開示の文脈では、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、機器、若しくは装置によって使用するための、若しくはそれに関連して使用するためのプログラムを含むか又は格納することができる、記憶装置1640などの任意の媒体とすることができる。
【0174】
ソフトウェア1650はまた、命令実行システム、機器、若しくは装置からソフトウェアに関連付けられた命令をフェッチし、その命令を実行することができる、上述したものなどの命令実行システム、機器、若しくは装置によって使用するための、又はそれに関連して使用するための、任意の輸送媒体内に伝播することができる。本開示の文脈では、輸送媒体は、命令実行システム、機器、若しくは装置によって使用するための、若しくはそれに関連して使用するためのプログラムを通信する、伝播する、又は輸送することができる任意の媒体とすることができる。輸送可読媒体は、電子、磁気、光学、電磁気、又は赤外線有線若しくは無線伝播媒体を含むことができるが、これらに限定されない。
【0175】
コンピューティング装置1600は、任意の適切な種類の相互接続された通信システムとすることができるネットワークに接続されてもよい。このネットワークは、任意の適切な通信プロトコルを実装することができ、任意の適切なセキュリティプロトコルによって保護することができる。このネットワークは、無線ネットワーク接続、T1若しくはT3回線、ケーブルネットワーク、DSL、又は電話回線など、ネットワーク信号の送信及び受信を実装することができる任意の適切な配置のネットワークリンクを備えることができる。
【0176】
コンピューティング装置1600は、ネットワーク上で動作するのに適した任意のオペレーティングシステムを実装することができる。ソフトウェア1650は、C、C++、Java、又はPythonなどの任意の適切なプログラミング言語で書くことができる。様々な実施形態において、本開示の機能を具現化するアプリケーションソフトウェアは、例えばクライアント/サーバ配置において、又はウェブベースのアプリケーション若しくはウェブサービスとしてのウェブブラウザを通して、異なる構成で展開され得る。
【0177】
いくつかの実施形態では、コンピューティング装置1600が、システム構成データ及びシステム較正データを格納してもよい。コンピューティング装置1600はまた、インテロゲータのためのシリアル番号並びにソフトウェア及びファームウェアバージョンを記憶し、ユーザに報告することが可能であってもよい。コンピューティング装置1600は、イベントログを有していてもよい。コンピューティング装置1600は、障害状態をモニターしてもよい。障害状態とは、システムが製品仕様に従って動作できない状態のことである。
【0178】
前述の説明は、説明の目的で、特定の実施形態を参照して説明されている。しかしながら、上記の例示的な議論は、網羅的であること、又は本発明を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。上記の教示に鑑みて、多くの修正及び変形が可能である。実施形態は、技術の原理及びそれらの実際の応用を最も良く説明するために選択、及び説明された。これにより、当業者であれば、想定される特定の用途に適した様々な修正を加えて、本技術及び様々な実施形態を最良に利用することができる。
【0179】
本開示及び実施例は添付の図面を参照して十分に説明されてきたが、様々な変更及び修正が当業者には明らかになることに留意されたい。そのような変更及び修正は、特許請求の範囲によって定義される開示及び実施例の範囲内に含まれているものとして理解されるべきである。
【0180】
本明細書で参照されるすべての刊行物、特許、及び特許出願の開示は、それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる任意の参照が本開示と矛盾する場合、本開示が優先するものとする。
【国際調査報告】