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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】音響出力装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/02 20060101AFI20230901BHJP
   H04R 1/32 20060101ALI20230901BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
H04R1/02 101Z
H04R1/32 310Z
H04R1/10 101Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511847
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 CN2020137595
(87)【国際公開番号】W WO2022126592
(87)【国際公開日】2022-06-23
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.SMALLTALK
3.PYTHON
4.VISUAL BASIC
(71)【出願人】
【識別番号】521080118
【氏名又は名称】シェンツェン・ショックス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】王 力▲維▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 磊
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲風▼云
【テーマコード(参考)】
5D005
5D017
5D018
【Fターム(参考)】
5D005BC00
5D017AD40
5D018AF30
(57)【要約】
本明細書は音響出力装置を開示する。当該音響出力装置は、少なくとも1つの音響ドライバとハウジング構造と少なくとも2つの音導孔とを含んでもよい。少なくとも1つの音響ドライバは、少なくとも2つの音導孔からの位相が逆の音声を出力してもよい。ハウジング構造は、少なくとも1つの音響ドライバを載置するように構成されてもよい。ハウジング構造は、ユーザーに接触するユーザー接触面を含んでもよい。ユーザーが音響出力装置を装着するとき、ユーザー接触面は、ユーザーの身体に接触してもよい。少なくとも2つの音導孔を結ぶ線とユーザー接触面とが形成した夾角は、75°~105°の範囲内にあってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ少なくとも2つの音導孔から外部に放出される位相が逆の1組の音声を発生する少なくとも1つの音響ドライバと、
前記少なくとも1つの音響ドライバを載置するように構成され、ユーザーが前記音響出力装置を装着するとき、ユーザーの身体に接触するように構成されるユーザー接触面を含むハウジング構造とを含み、前記少なくとも2つの音導孔を結ぶ線と前記ユーザー接触面が形成した夾角は、75°~90°の範囲内にある、ことを特徴とする音響出力装置。
【請求項2】
前記少なくとも2つの音導孔は、第1の音導孔と第2の音導孔を含み、前記第1の音導孔から前記ユーザー接触面までの距離は、前記第2の音導孔から前記ユーザー接触面までの距離より小さい、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項3】
前記第1の音導孔から前記ユーザー接触面までの距離は、5mm以下である、ことを特徴とする請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項4】
前記第1の音導孔から前記ユーザー接触面までの距離は、2mm以下である、ことを特徴とする請求項3に記載の音響出力装置。
【請求項5】
前記第1の音導孔と前記第2の音導孔との距離は、2mm以下である、ことを特徴とする請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項6】
前記第1の音導孔と前記第2の音導孔との距離は、0.5mm以下である、ことを特徴とする請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの音響ドライバは、振動膜と磁気回路構造を含み、前記振動膜の前記磁気回路構造に背向する側が前記音響ドライバの正面を形成し、前記磁気回路構造の前記振動膜に背向する側が前記音響ドライバの裏面を形成し、前記振動膜の振動により前記音響ドライバがその正面と裏面からそれぞれ外部に音声を放出する、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの音響ドライバは、第1の振動膜を含む第1の音響ドライバと、第2の振動膜を含む第2の音響ドライバとを含み、前記第1の振動膜の振動により発生した音声と前記第2の振動膜の振動により発生した音声とは、位相が逆であり、それぞれ前記少なくとも2つの音導孔により外部に放出される、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項9】
前記少なくとも2つの音導孔に減衰層が設置される、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項10】
前記減衰層は、金属スクリーン、ガーゼ網である、ことを特徴とする請求項9に記載の音響出力装置。
【請求項11】
それぞれ少なくとも2つの音導孔から外部に放出される位相が逆の1組の音声を発生する少なくとも1つの音響ドライバと、
前記少なくとも1つの音響ドライバを載置するように構成され、ユーザーが前記音響出力装置を装着するとき、ユーザーの身体に接触するように構成されるユーザー接触面を含むハウジング構造とを含み、前記少なくとも2つの音導孔を結ぶ線と前記ユーザー接触面が形成した夾角は、0°~15°の範囲内にある、ことを特徴とする音響出力装置。
【請求項12】
前記少なくとも2つの音導孔は、第1の音導孔と第2の音導孔を含み、前記第1の音導孔又は前記第2の音導孔と前記ユーザー接触面との距離は、5mm以下である、ことを特徴とする請求項11に記載の音響出力装置。
【請求項13】
前記第1の音導孔又は前記第2の音導孔から前記ユーザー接触面までの距離は、2mm以下である、ことを特徴とする請求項12に記載の音響出力装置。
【請求項14】
前記第1の音導孔と前記第2の音導孔との距離は、2mm以下である、ことを特徴とする請求項11に記載の音響出力装置。
【請求項15】
前記第1の音導孔と前記第2の音導孔との距離は、0.5mm以下である、ことを特徴とする請求項14に記載の音響出力装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの音響ドライバは、振動膜と磁気回路構造を含み、前記振動膜の前記磁気回路構造に背向する側が前記音響ドライバの正面を形成し、前記磁気回路構造の前記振動膜に背向する側が前記音響ドライバの裏面を形成し、前記振動膜の振動により前記音響ドライバがその正面と裏面からそれぞれ外部に音声を放出する、ことを特徴とする請求項11に記載の音響出力装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの音響ドライバは、第1の振動膜を含む第1の音響ドライバと、第2の振動膜を含む第2の音響ドライバとを含み、前記第1の振動膜の振動により発生した音声と前記第2の振動膜の振動により発生した音声とは、位相が逆であり、それぞれ前記少なくとも2つの音導孔により外部に放出される、ことを特徴とする請求項13に記載の音響出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、音響の分野に関し、特に音響出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オープンイヤー型音響出力装置は、特定の範囲で音響伝導を実現する携帯型オーディオ出力装置である。従来のインイヤー型イヤホン、ヘッドホンに比べて、オープンイヤー型音響出力装置は、耳道を塞がず、覆わないという特徴を有し、ユーザーが音楽を聴きながら、外部環境の音声情報を取得することができるため、安全性及び快適性を向上させる。オープン型構造の使用により、オープンイヤー型音響出力装置の音漏れは、従来のイヤホンに比べてより深刻であることが多い。現在、オープンイヤー型音響出力装置は、音声のラウドネスが不十分であり、かつ音漏れが大きいという問題を有する可能性がある。
したがって、ユーザーの聴取音量を向上させ、かつ音漏れを低減する効果を同時に達成することができるより効果的な音響出力装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本願の実施例に係る音響出力装置は、それぞれ少なくとも2つの音導孔から外部に放出される位相が逆の1組の音声を発生する少なくとも1つの音響ドライバと、前記少なくとも1つの音響ドライバを載置するように構成され、ユーザーが前記音響出力装置を装着するとき、ユーザーの身体に接触するように構成されるユーザー接触面を含むハウジング構造とを含み、前記少なくとも2つの音導孔を結ぶ線と前記ユーザー接触面が形成した夾角は、75°~90°の範囲内にある。
【0004】
いくつかの実施例では、前記少なくとも2つの音導孔は、第1の音導孔と第2の音導孔を含み、前記第1の音導孔から前記ユーザー接触面までの距離は、前記第2の音導孔から前記ユーザー接触面までの距離より小さい。
【0005】
いくつかの実施例では、前記第1の音導孔から前記ユーザー接触面までの距離は、5mm以下である。
【0006】
いくつかの実施例では、前記第1の音導孔から前記ユーザー接触面までの距離は、2mm以下である。
【0007】
いくつかの実施例では、前記第1の音導孔と前記第2の音導孔との距離は、2mm以下である。
【0008】
いくつかの実施例では、前記第1の音導孔と前記第2の音導孔との距離は、0.5mm以下である。
【0009】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの音響ドライバは、振動膜と磁気回路構造を含み、前記振動膜の前記磁気回路構造に背向する側が前記音響ドライバの正面を形成し、前記磁気回路構造の前記振動膜に背向する側が前記音響ドライバの裏面を形成し、前記振動膜の振動により前記音響ドライバがその正面と裏面からそれぞれ外部に音声を放出する。
【0010】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの音響ドライバは、第1の振動膜を含む第1の音響ドライバと、第2の振動膜を含む第2の音響ドライバとを含み、前記第1の振動膜の振動により発生した音声と前記第2の振動膜の振動により発生した音声とは、位相が逆であり、それぞれ前記少なくとも2つの音導孔により外部に放出される。
【0011】
いくつかの実施例において、前記少なくとも2つの音導孔に減衰層が設置される。
【0012】
いくつかの実施例において、前記減衰層は、金属スクリーン、ガーゼ網である。
【0013】
本願の別の実施例に係る音響出力装置は、それぞれ少なくとも2つの音導孔から外部に放出される位相が逆の1組の音声を発生する少なくとも1つの音響ドライバと、前記少なくとも1つの音響ドライバを載置するように構成され、ユーザーが前記音響出力装置を装着するとき、ユーザーの身体に接触するように構成されるユーザー接触面を含むハウジング構造とを含み、前記少なくとも2つの音導孔を結ぶ線と前記ユーザー接触面が形成した夾角は、0°~15°の範囲内にある。
【0014】
別の実施例では、前記少なくとも2つの音導孔は、第1の音導孔と第2の音導孔を含み、前記第1の音導孔又は前記第2の音導孔と前記ユーザー接触面との距離は、5mm以下である。
【0015】
前記第1の音導孔又は前記第2の音導孔から前記ユーザー接触面までの距離は、2mm以下である。
【0016】
別の実施例では、前記第1の音導孔と前記第2の音導孔との距離は、2mm以下である。
【0017】
別の実施例では、前記第1の音導孔と前記第2の音導孔との距離は、0.5mm以下である。
【0018】
別の実施例では、前記少なくとも1つの音響ドライバは、振動膜と磁気回路構造を含み、前記振動膜の前記磁気回路構造に背向する側が前記音響ドライバの正面を形成し、前記磁気回路構造の前記振動膜に背向する側が前記音響ドライバの裏面を形成し、前記振動膜の振動により前記音響ドライバがその正面と裏面からそれぞれ外部に音声を放出する。別の実施例では、前記少なくとも1つの音響ドライバは、第1の振動膜を含む第1の音響ドライバと、第2の振動膜を含む第2の音響ドライバとを含み、前記第1の振動膜の振動により発生した音声と前記第2の振動膜の振動により発生した音声とは、位相が逆であり、それぞれ前記少なくとも2つの音導孔により外部に放出される。
【0019】
本願は、例示的な実施例の方式でさらに説明し、これらの例示的な実施例を図面により詳細に説明する。これらの実施例は、限定的なものではなく、これらの実施例では、同じ番号が同じ構造を示す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本願のいくつかの実施例に係る2つの音導孔とユーザー接触面又はユーザーの身体部位を示す概略図である。
図2】本願のいくつかの実施例に係る双極子の概略図である。
図3】本願のいくつかの実施例に係る双極子の原理図である。
図4】本願のいくつかの実施例に係る双極子と顔領域の相対位置を示す概略図である。
図5】本願のいくつかの実施例に係るユーザーの顔領域が双極子の音声を反射することを示す等価原理図である。
図6】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の、2つの点音源の間の間隔dが異なり、かつ点音源とユーザーの顔領域との間隔Dが異なる場合の周波数応答曲線図である。
図7】本願のいくつかの実施例に係る2つの点音源の1000Hzの場合の音場エネルギー分布図である。
図8】本願のいくつかの実施例に係る双極子とユーザーの顔領域の相対位置を示す概略図である。
図9】本願のいくつかの実施例に係るユーザーの顔領域が双極子の音声を反射することを示す等価原理図である。
図10】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の、2つの点音源の間の間隔dが異なり、かつ点音源とユーザーの顔領域との間隔Dが異なる場合の周波数応答曲線図である。
図11】本願のいくつかの実施例に係る2つの点音源の1000Hzの場合の音場エネルギー分布図である。
図12】本願のいくつかの実施例に係る2つの音導孔を結ぶ線と、ユーザー接触面又はユーザーの身体部位との夾角が異なる場合の音圧曲線図である。
図13】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
図14】本願のいくつかの実施例に係る別の音響出力装置の概略構成図である。
図15】本願のいくつかの実施例に係る別の音響出力装置の概略構成図である。
図16】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
図17】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本願の実施例の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下の説明される図面は、単に本願のいくつかの例又は実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて本願を他の類似するシナリオに適用することができる。言語環境から明らかではないか又は明記しない限り、図面において同じ符号は同じ構造又は操作を示す。
【0022】
本明細書で使用される「システム」、「装置」、「ユニット」及び/又は「モジュール」が、レベルの異なる様々なアセンブリ、素子、部品、部分又は組立体を区別するための方法であることを理解されたい。しかしながら、他の用語が同じ目的を達成することができれば、上記用語の代わりに他の表現を用いることができる。
【0023】
本願及び特許請求の範囲で使用されるように、文脈が明確に別段の指示をしない限り、「1つ」、「1個」、「1種」及び/又は「該」などの用語は、特に単数形を意味するものではなく、複数形を含んでもよい。一般的には、用語「含む」及び「含有」は、明確に特定されたステップ及び要素を含むことを提示するものに過ぎず、これらのステップ及び要素は、排他的な羅列ではなく、方法又は設備は、他のステップ又は要素を含む可能性がある。
【0024】
本願では、フローチャートを使用して本願の実施例に係るシステムが実行する操作を説明する。先行及び後続の操作が必ずしも順序に従って正確に実行されるとは限らないことを理解されたい。その代わりに、各ステップを、逆の順序で、又は同時に処理してもよい。また、他の操作をこれらのプロセスに追加してもよく、これらのプロセスから1つ以上の操作を除去してもよい。
【0025】
いくつかの実施例では、音響出力装置は、音響ドライバとハウジング構造を含んでもよい。上記音響ドライバは、ハウジング構造の内部に位置する。該音響出力装置のうちの少なくとも1つの音響ドライバが発生した音声は、当該音響ドライバと音響的に結合された少なくとも2つの音導孔により外部に伝播することができる。いくつかの実施例では、同一の音響ドライバと音響的に結合された2つの音導孔は、ユーザーの頭又は顔の同じ側に分布してもよく、この場合にユーザーの頭又は顔をバッフルとほぼ見なしてもよく、該バッフルは、上記2つの音導孔から発した音声を反射することができる。空間において、バッフルにより反射された音声は、音導孔が直接放出された音声と干渉するため、音響出力装置から特定の位置に伝達された音声の振幅を変更する。いくつかの実施例では、音導孔とユーザーの頭又は顔との距離又は角度を設計することにより、音響出力装置が周囲環境において発生した音声の振幅を小さくすることができるため、音響出力装置の周囲環境での音漏れを低減することができるとともに、音響出力装置が発生した音声が該ユーザーの付近の他人に聞かれることを防止することができる。
【0026】
本願は、音響出力装置を提供する。いくつかの実施例では、音響出力装置は、メガネ、ヘッドホン、ヘッドマウントディスプレイ、AR/VRヘルメットなどの製品と組み合わせられてもよく、この場合、音響出力装置は、吊り下げ又はクランプの方式でユーザーの耳の付近に固定されてもよい。ユーザーが上記音響出力装置を装着するとき、上記音響出力装置は、少なくともユーザーの頭の一側に位置し、ユーザーの耳に近接するが、塞がることがない。いくつかの代替的な実施例では、音響出力装置の外表面には、フックが設置されてもよく、フックの形状が耳介の形状に合わせることにより、音響出力装置は、フックによりユーザーの耳に独立して装着されてもよい。独立して装着使用される音響出力装置は、有線又は無線(例えば、ブルートゥース(登録商標))の方式で信号源(例えば、コンピュータ、携帯電話又は他のモバイルデバイス)と通信接続されてもよい。例えば、左右の耳の音響出力装置は、いずれも無線の方式で信号源と直接通信接続されてもよい。また例えば、左右の耳の音響出力装置は、第1の出力装置及び第2の出力装置を含んでもよく、第1の出力装置は、信号源と通信接続することができ、第2の出力装置は、無線方式で第1の出力装置と無線接続することができ、第1の出力装置と第2の出力装置との間は、1つ以上の同期信号によりオーディオ再生の同期を実現する。無線接続の方式は、ブルートゥース(登録商標)、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、無線パーソナルエリアネットワーク、近距離無線通信など又はそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。該音響出力装置は、ユーザーの頭に装着されてもよく(例えば、メガネ、ヘッドバンド又は他の構造方式で装着されたアウトイヤー型のオープンイヤホン)、又はユーザーの身体の他の部位に装着されてもよく(例えばユーザーの首/肩/顔領域)、又は他の方式で(例えば、ユーザーが手で持つ方式で)ユーザーの耳の付近に配置されてもよい。同時に音響ドライバは、ユーザーの耳が開放された状態を維持するように、耳道に近接するが耳道を塞がなくてもよく、ユーザーが音響出力装置から出力される音声を聞こえるだけでなく、外部環境の音声を聞こえる。例えば、音響出力装置は、ユーザーの耳の周側に周設又は部分的に周設されてもよく、かつ空気伝導又は骨伝導の方式で音声を伝達することができる。
【0027】
音響ドライバは、電気信号を受信し、音声信号に変換して出力することができる素子である。いくつかの実施例では、周波数に応じて区別すると、音響ドライバのタイプは、低周波(例えば、30Hz~150Hz)音響ドライバ、中低周波(例えば、150Hz~500Hz)音響ドライバ、中高周波(例えば、500Hz~5kHz)音響ドライバ、高周波(例えば、5kHz~16kHz)音響ドライバ又は全周波(例えば、30Hz~16kHz)音響ドライバ、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。当然のことながら、ここでの低周波、高周波などは、周波数のほぼ範囲のみを表し、異なる応用シーンでは、異なる方式で区別してもよい。例えば、1つのクロスオーバー周波数を決定し、低周波は、クロスオーバー周波数以下の周波数範囲を表し、高周波は、クロスオーバー周波数以上の周波数を表す。該クロスオーバー周波数は、500Hz、600Hz、700Hz、800Hz、1000Hzなどの人の耳の可聴範囲内の任意の値であってもよい。いくつかの実施例では、原理に応じて区別すると、音響ドライバは、可動コイル型、バランスドアーマチュア型、圧電型、静電型、磁歪型などのドライバをさらに含んでもよいが、それらに限定されない。音響ドライバは、1つの振動膜を含んでもよい。振動膜が振動するとき、音声は、それぞれ該振動膜の前側と後側から発することができ、音響ドライバの振動膜の前側から発した音声と音響ドライバの振動膜の後側から発した音声は、振幅が等しく、位相が逆である。この場合、音響ドライバの振動膜の前側と後側から発した音声がそれぞれ対応する音導孔から外部に放出されるとき、これら2つの部分の音声が伝播過程で干渉するため、音響出力装置の遠距離場での音漏れを低減する。いくつかの実施例では、音響ドライバは、振動膜と磁気回路構造を含んでもよく、振動膜と磁気回路構造は、振動膜の振動方向に沿って順に設置され、いくつかの実施例では、振動膜をフレームに取り付けてから、フレームを磁気回路構造に固定してもよい。代替的には、振動膜は、直接磁気回路構造の側壁と固定的に接続されてもよい。上記振動膜の上記磁気回路構造に背向する側は、上記音響ドライバの正面を形成し、上記磁気回路構造の上記振動膜に背向する側は、上記音響ドライバの裏面を形成し、上記振動膜の振動により上記音響ドライバがその正面と裏面からそれぞれ外部に音声を放出する。音響ドライバは、ボイスコイルをさらに含んでもよい。上記ボイスコイルは、振動膜の磁気回路構造に向かう側に固定されるとともに、磁気回路構造によって形成された磁場内に位置してもよい。上記ボイスコイルは、通電されると、磁場の作用で振動するとともに、振動するように振動膜を駆動することにより、音声を発生することができ、振動膜の振動により音響ドライバがその正面と裏面からそれぞれ外部に音声を放出することができる。
【0028】
ハウジング構造は、内部が中空の密閉式又は半密閉式ハウジング構造であってもよく、音響ドライバは、ハウジング構造の内部に位置する。ハウジング構造は、ユーザーの耳の付近に直接掛けることができるように、円環形、楕円形、(規則的又は不規則的な)多角形、U字状、V字状、半円形などの人体の耳に合わせる形状を有してもよい。いくつかの実施例では、ハウジング構造は、1つ以上の固定構造をさらに含んでもよい。上記固定構造は、音響出力装置をユーザーによりよく固定し、ユーザーの使用中に落下することを防止できるように、耳掛け、ヘッドビーム又は弾性バンドを含んでもよい。単に例示的な説明として、例えば、固定構造は、耳掛けであってもよく、耳掛けは、耳領域の周りに装着するように構成されてもよい。また例えば、固定構造は、首/肩領域の周りに装着するように構成されたネックバンドであってもよい。いくつかの実施例では、耳掛けは、一体型フック状物であってもよく、弾性的に引っ張られてユーザーの耳に装着されてもよく、同時に、ユーザーの耳介に圧力を印加することにより、音響出力装置をユーザーの耳又は頭の特定の位置にしっかりと固定することができる。いくつかの実施例において、耳掛けは、別体型帯状物であってもよい。例えば、耳掛けは、剛性部分と可撓性部分を含んでもよく、剛性部分は、剛性材料(例えば、プラスチック又は金属)で製造されてもよく、物理的な接続(例えば、係止、ネジ接続など)の方式で音響出力装置のハウジング構造に固定されてもよい。可撓性部分は、弾性材料(例えば、布地、複合材料又は/及びクロロプレンゴム)で製造されてもよい。
【0029】
ハウジング構造は、少なくとも1つの第1の音導孔と少なくとも1つの第2の音導孔を含む。上記第1の音導孔と第2の音導孔は、それぞれ同一の音響ドライバにおける振動膜の前後両側に結合されてもよい。ユーザーが音響出力装置を装着する場合、ハウジング構造により第1の音導孔と第2の音導孔がユーザーの顔の同じ側に位置することができる。いくつかの実施例では、ハウジング構造内で音響ドライバの(振動膜)正面の位置に音声を伝達する前室が設置される。前室は、第1の音導孔と音響的に結合され、音響ドライバの正面の音声は、前室を介して第1の音導孔から発することができる。ハウジング構造内で音響ドライバの(振動膜)裏面の位置に音声を伝達する後室が設置される。後室は、第2の音導孔と音響的に結合され、音響ドライバの裏面の音声は、後室を介して第2の音導孔から発することができる。いくつかの実施例では、音響ドライバの前側の音導孔と音響ドライバの後側の音導孔から出力された音声が特定の条件を満たすように、前室と後室の構造を調整することができる。例えば、音響ドライバの前側の音導孔と音響ドライバの後側の音導孔から特定の位相関係(例えば、位相が逆である)を有する1組の音声を出力して、音響出力装置の遠距離場での音漏れという問題を効果的に改善するように、前室と後室の長さを設計することができる。いくつかの実施例では、上記音導孔の形状は、方形、円形、プリズムを含むが、これらに限定されない。
【0030】
いくつかのシーンでは、ハウジング構造に、ユーザー接触面が設置される。ユーザーが音響出力装置を装着する場合、ユーザー接触面は、ユーザーの身体部位(例えば、顔、頭)に貼り合わせるか又は近接しもてよい。説明を容易にするために、ユーザー接触面は、ユーザー投影面と呼ばれてもよく、ユーザーの身体部位へのハウジング構造の投影面積が最も大きい面であると理解されてもよく、音響ドライバに対してユーザーの身体により近接する。ユーザーが音響出力装置を装着する場合、ユーザー接触面は、ユーザー接触面と直接接触するか又は正対するユーザーの身体部位(例えば、顔領域)にほぼ平行であると考えることができる。ユーザーが上記音響出力装置を装着する場合、ユーザー接触面がユーザーの身体部位に近接するが接触しないか、又はユーザーの身体部位に密着するかにかかわらず、音響出力装置は、ハウジング構造の音導孔により音声をハウジング構造の外部に出力することができ、これにより音声をユーザーの耳に伝達する。いくつかの実施例では、ユーザー接触面の形状は、円形、楕円形、長方形、三角形、菱形などの他の規則又は不規則な形状であってもよい。いくつかの実施例では、ユーザー接触面の表面は、滑らかな平面であってもよく、1つ以上の突起又は凹み領域を含む面であってもよい。いくつかの実施例では、ユーザー接触面は、シリコーン材料層又は硬質プラスチック材料(例えば、ゴム、プラスチックなど)層を含んでもよく、該シリコーン材料層又は硬質プラスチック材料層は、ハウジング構造の外表面に被覆接着されてもよく、ハウジング構造と一体成形されてもよい。なお、ハウジング構造におけるユーザー接触面の形状及び構造は、上記説明に限定されず、具体的な状況に応じて適応的に調整することができ、ここではさらに限定しない。
【0031】
図1は、本願のいくつかの実施例に係るハウジング構造の2つの音導孔とユーザー接触面を示す概略図である。図1に示すように、いくつかの実施例では、少なくとも2つの音導孔は、第1の音導孔Bと第2の音導孔Bを含んでもよく、第1の音導孔Bと第2の音導孔Bは、双極子又は双極子に類似する方式で音声を外部に放出する。第1の音導孔Bからユーザー接触面(図1において平行四辺形は、ユーザー接触面を示す)までの距離は、第2の音導孔Bから上記ユーザー接触面までの距離より小さい。第1の音導孔Bと第2の音導孔Bとを結ぶ線が位置する直線は、ユーザー接触面と点Aで交差し、ユーザー接触面の点Aでの法線ベクトルは、
【数1】
である。第1の音導孔Bと第2の音導孔Bとを結ぶ線が位置する直線の方向ベクトルは、
【数2】
であり、方向ベクトル
【数3】
の方向は、第1の音導孔Bから第2の音導孔Bへの方向である。第1の音導孔Bと上記第2の音導孔Bとを結ぶ線が位置する直線の方向ベクトル
【数4】
とユーザー接触面の点Aでの法線ベクトル
【数5】
との角度は、γである。
【0032】
いくつかの実施例では、ユーザーが音響出力装置を装着する場合、ユーザー接触面は、ユーザー接触面と直接接触するか又は正対するユーザーの身体部位(例えば、顔領域)にほぼ平行である。説明を容易にするために、以下、ユーザーの顔領域をユーザーの身体部位の例として説明する。つまり、音響出力装置でのユーザー接触面は、顔領域にほぼ平行であり、このとき、上記少なくとも2つの音導孔を結ぶ線と顔領域との角度関係は、少なくとも2つの音導孔を結ぶ線とユーザー接触面との角度関係とほぼ同じである。
【0033】
いくつかの実施例では、少なくとも2つの音導孔を結ぶ線は、顔領域にほぼ垂直であり、すなわち、少なくとも2つの音導孔を結ぶ線は、ユーザー接触面にほぼ垂直である。ここでのほぼ垂直は、第1の音導孔Bと第2の音導孔Bとを結ぶ線が位置する直線と、ユーザー接触面との夾角が75°~90°であることであってもよい。本明細書の実施例では、少なくとも2つの音導孔を結ぶ線と、ユーザー接触面との夾角は、方向ベクトル
【数6】
と、ユーザー接触面の点Aでの法線ベクトル
【数7】
との間で形成された夾角(γ)の余角であってもよい。例えば、第1の音導孔Bと第2の音導孔Bとを結ぶ線が位置する直線と、ユーザー接触面との夾角が75°~90°であれば、第1の音導孔Bと第2の音導孔Bとを結ぶ線が位置する直線の方向ベクトル
【数8】
と、上記ユーザー接触面の点Aでの法線ベクトル
【数9】
との角度γは、0~15°である。単なる例として、ユーザー接触面がユーザーの身体部位と接触する場合、第1の音導孔Bと第2の音導孔Bとを結ぶ線が位置する直線がユーザーの身体の一部にほぼ垂直となるように、第1の音導孔Bと第2の音導孔Bは、ともにハウジング構造のユーザー接触面に垂直又はほぼ垂直な側面に位置してもよい。また例えば、ユーザー接触面がユーザーの身体部位に近接するがユーザーの身体部位に接触しない場合、第1の音導孔Bと第2の音導孔Bとを結ぶ線が位置する直線がユーザーの身体の一部にほぼ垂直となるように、第1の音導孔Bと第2の音導孔Bは、ともにハウジング構造のユーザー接触面に垂直又はほぼ垂直な側面に位置してもよく、又は代替的には、第1の音導孔Bは、ユーザー接触面に位置してもよく、第2の音導孔Bは、ハウジング構造のユーザー接触面と対向する側に位置してもよい。好ましくは、少なくとも2つの音導孔を結ぶ線と、ユーザー接触面との夾角は、90°であり、この場合に第1の音導孔と第2の音導孔とを結ぶ線が位置する直線の方向ベクトル
【数10】
と、上記ユーザー接触面の点Aでの法線ベクトル
【数11】
との角度γは、0°である。少なくとも2つの音導孔を結ぶ線が顔領域にほぼ垂直である場合、上記音響出力装置が少なくとも2つの音導孔から出力した音声は、ユーザーの顔領域により反射される。遠距離場空間において、反射された音声は、音響出力装置が直接放出した音声と干渉し、遠距離場の音声を低減するため、遠距離場での音漏れを改善する。
いくつかの実施例では、音響ドライバの正面又は振動膜とハウジング構造は、第1のキャビティを形成し、音響ドライバの裏面とハウジング構造は、第2のキャビティを形成する。音響ドライバの正面から第1のキャビティに音声を放出し、音響ドライバの裏面から第2のキャビティに音声を放出する。いくつかの実施例では、ハウジング構造は、第1のキャビティと連通する第1の音導孔と、第2のキャビティと連通する第2の音導孔とをさらに含んでもよい。音響ドライバの正面で発生した音声は、第1の音導孔から外部に伝播され、音響ドライバの裏面で発生した音声は、第2の音導孔から外部に伝播される。いくつかの実施例では、磁気回路構造は、振動膜に対向して設置された磁束伝導プレートを含んでもよい。磁束伝導プレートには、振動膜の振動により発生した音声を音響ドライバの裏面から導出するとともに、第2のキャビティから外部に伝播する少なくとも1つの音導孔(減圧孔とも呼ばれる)が形成される。該音響出力装置は、第1の音導孔と第2の音導孔の音声放出により双極子構造に類似する二点音源(又は複数音源)を形成し、一定の指向性のある特定の音場を生成する。
【0034】
いくつかの実施例では、音響ドライバの正面とハウジング構造は、キャビティを形成し、音響ドライバの正面からキャビティに音声を放出し、音響ドライバの裏面から直接音響出力装置の外部に音声を放出する。いくつかの実施例では、ハウジング構造に1つ以上の音導孔が設置される。音導孔は、キャビティと音響的に結合され、かつ音響ドライバの正面からキャビティに放出された音声を音響出力装置の外部に導出する。いくつかの実施例では、磁気回路構造は、振動膜に対向して設置された磁束伝導プレートを含んでもよい。磁束伝導プレートに1つ以上の音導孔(減圧孔とも呼ばれる)が設置される。音導孔は、振動膜の振動により発生した音声を音響ドライバの裏面から音響出力装置の外部に導出する。音響ドライバの正面の音導孔と音響ドライバの裏面の音導孔がそれぞれ振動膜の両側に位置するため、音響ドライバの正面の音導孔と音響ドライバの裏面の音導孔から導出された音声が逆又はほぼ逆の位相を有すると考えることができ、したがって、音響ドライバの正面の音導孔と裏面の音導孔は、1組の二点音源を構成することができる。
【0035】
いくつかの実施例では、音響ドライバの裏面とハウジング構造は、キャビティを形成し、音響ドライバの裏面からキャビティに音声を放出し、音響ドライバの正面から直接音響出力装置の外部に音声を放出する。いくつかの実施例では、磁気回路構造は、振動膜に対向して設置された磁束伝導プレートを含んでもよく、磁束伝導プレートには、1つ以上の音導孔(減圧孔とも呼ばれる)が設置される。音導孔は、振動膜の振動により発生した音声を音響ドライバの裏面からキャビティに導出する。いくつかの実施例では、ハウジング構造に1つ以上の音導孔が設置されてもよい。音導孔は、キャビティと音響的に結合され、かつ音響ドライバからキャビティに放出された音声を音響出力装置の外部に導出する。いくつかの実施例では、1つ以上の音導孔は、ハウジング構造の磁気回路構造に近接する側壁に設置されてもよい。例えば、ユーザーが音響出力装置を装着するとき、振動膜は、人体の耳の位置に対向し、1つ以上の音導孔と振動膜の正面の中心位置とを結ぶ線がユーザーの顔にほぼ垂直である。また例えば、ユーザーが音響出力装置を装着するとき、1つ以上の音導孔と振動膜の正面の中心位置とを結ぶ線がユーザーの顔にほぼ平行となるように、振動膜は、人体の耳の位置に対向せずにハウジング構造の上部又は下部に位置し、1つ以上の音導孔がハウジング構造における振動膜と反対する方向に位置する。いくつかの場合に、振動膜の正面から直接外部に伝播された音声と、音導孔から導出された音声が逆又はほぼ逆の位相を有すると考えることができるため、振動膜の正面と音導孔は、1組の二点音源を構成することができる。
【0036】
いくつかの実施例では、音響出力装置は、第1の音響ドライバ、第2の音響ドライバを含んでもよい。第1の音響ドライバは、第1の振動膜を含んでもよく、第2の音響ドライバは、第2の振動膜を含んでもよく、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバは、第1の電気信号と第2の電気信号をそれぞれ受信することができる。いくつかの実施例では、第1の電気信号と第2の電気信号は、振幅が同じであり、かつ位相が逆である場合(例えば、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバは、それぞれ逆の極性で信号源に電気的に接続され、信号源から送信された同一のオリジナル音声の電気信号を受信する)、第1の振動膜と第2の振動膜は、位相が逆の1組の音声を発生することができる。さらに、ハウジング構造は、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバを載置することができ、第1の振動膜の振動により発生した音声は、ハウジング構造の第1の音導孔から外部に放出することができ、第2の振動膜の振動により発生した音声は、ハウジング構造の第2の音導孔から外部に放出することができる。説明を容易にするために、第1の振動膜の振動により発生した音声は、第1の音響ドライバの正面で発生した音声であってもよく、第2の振動膜の振動により発生した音声は、第2の音響ドライバの正面で発生した音声であってもよい。第1の振動膜の振動により発生した音声と第2の振動膜の振動により発生した音声が直接対応する第1の音導孔と第2の音導孔から外部に放出される場合、第1の音導孔と第2の音導孔を二重音源(例えば、二点音源)とほぼ見なしてもよい。いくつかの実施例では、第1の音導孔と第2の音導孔は、位置が対向する。例えば、ユーザーが音響出力装置を装着するとき、第1の音導孔は、人体の耳の位置に対向し、第1の音導孔と第2の音導孔とを結ぶ線は、ユーザーの顔にほぼ垂直である。また例えば、ユーザーが音響出力装置を装着するとき、音響出力装置の第1の音導孔又は第2の音導孔が位置する側壁に隣接する側壁は、人体の耳の位置に対向し、第1の音導孔と第2の音導孔とを結ぶ線は、ユーザーの顔にほぼ平行である。
【0037】
いくつかの実施例では、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバは、同じ又は類似する音響ドライバであってもよく、このようにして第1の音響ドライバと第2の音響ドライバの全周波数帯域での振幅周波数応答が同じ又は類似することができる。いくつかの実施例では、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバは、異なる音響ドライバであってもよい。例えば、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバは、中高周波での周波数応答が同じ又は類似するが、低周波数帯域で、周波数応答が異なる。
【0038】
いくつかの実施例では、第1の音響ドライバは、第1のキャビティ内に位置し、第1の振動膜を含み、第1の音響ドライバの正面とハウジング構造は、第1のフロントキャビティを形成し、第1の音響ドライバの裏面とハウジング構造は、第1のリアキャビティを形成する。第1の音響ドライバの正面から第1のフロントキャビティに音声を放出し、第1の音響ドライバの裏面から第1のリアキャビティに音声を放出する。第2の音響ドライバは、第2のキャビティ内に位置する。第2の音響ドライバの正面とハウジング構造は、第2のフロントキャビティを形成し、第2の音響ドライバの裏面とハウジング構造は、第2のリアキャビティを形成する。第2の音響ドライバの正面から第2のフロントキャビティに音声を放出し、第2の音響ドライバの裏面から第2のリアキャビティに音声を放出する。いくつかの実施例では、第1のキャビティは、第2のキャビティと同じである。第1のフロントキャビティと第2のフロントキャビティが同じであり、第1のリアキャビティと第2のリアキャビティが同じであるように、第1の音響ドライバと第2の音響ドライバが同じ方式でそれぞれ第1のキャビティと第2のキャビティ内に設置されてもよく、このようにして第1の音響ドライバと第2の音響ドライバの正面又は裏面の音響インピーダンスを同じにすることができる。他の実施例では、第1のキャビティと第2のキャビティが異なってもよく、キャビティの大きさ及び/又は長さを変更するか又は音導管を追加する方式で第1の音響ドライバと第2の音響ドライバの正面又は裏面の音響インピーダンスを同じにすることができる。第1の音響ドライバは、第1の振動膜を含み、第2の音響ドライバは、第2の振動膜を含み、この場合に、第1の振動膜と上記少なくとも2つの音導孔のうちの一方の音導孔との音響インピーダンスは、上記第2の振動膜と上記少なくとも2つの音導孔のうちの他方の音導孔との音響インピーダンスと同じである。
【0039】
いくつかの実施例では、音響ドライバの正面と裏面に対応する周波数応答の振幅を低減して、音響ドライバの裏面又は正面に対応する周波数応答の振幅に接近させるか又は等しくするように、音導孔に音響減衰構造(例えば、金属スクリーン、ガーゼ網、調音メッシュ、調音コットン、音導管などの構造)を設置してもよい。
【0040】
図2は、本願のいくつかの実施例に係る双極子の概略図であり、図3は、本願のいくつかの実施例に係る双極子とユーザー接触面の原理図である。音響出力装置で音導孔の設置の音響出力装置の音声出力効果に対する影響をさらに説明するために、かつ音声が音導孔から外部に伝播されると見なしてもよいことを考慮し、本願において音響出力装置の音導孔を音声を外部に出力する音源と見なして説明してもよい。単に説明を容易にして説明を目的として、音響出力装置の音導孔のサイズが小さい場合、各音導孔を1つの点音源とほぼ見なしてもよい。図2及び図3に示すように、上記音響出力装置の2つの音導孔を2つの点音源と見なしてもよく、それらから放出された音声は、振幅が同じであり、位相が逆であり、それぞれ「+」と「-」で示される。上記2つの音導孔は、双極子を構成するか又は双極子に類似し、外部へ放出された音声は、明らかな指向性を有し、「8」字状の音声放出領域を形成する。音導孔を結ぶ線が位置する直線の方向に、音導孔から放出された音声が最も大きく、他の方向に放出された音声が明らかに小さくなる。空間における異なる点で上記2つの音導孔により発生した音声が異なり、2つの音導孔を結ぶ線の中点と空間における任意の点とを結ぶ線と、2つの音導孔を結ぶ線との間の角度θに基づいて計算することができる。いくつかの実施例では、音響出力装置に形成される音声を出力する任意の音導孔は、該音響出力装置の1つの単一点音源とほぼ見なしてもよい。単一点音源で発生した音場音圧pは以下を満たす。
【0041】
【数12】
ここで、
【数13】
は、音圧振幅であり、ωは、角周波数であり、rは、空間における点と音源との距離であり、kは、波数であり、点音源の音場音圧の大きさは、点音源までの距離に反比例する。
【0042】
音響出力装置に少なくとも2つの音導孔を設置して二点音源を構成することで音響出力装置から周囲環境に放出された音声(すなわち、遠距離場での音漏れ)を低減することができる。いくつかの実施例では、音響出力装置は、少なくとも2つの音導孔、すなわち、二点音源を含み、出力された音声は、一定の位相差を有する。二点音源の間の位置、位相差などが一定の条件を満たす場合、音響出力装置は、近距離場と遠距離場で異なる音声効果を達成することができる。例えば、2つの音導孔に対応する点音源の位相が逆であり、すなわち、2つの点音源の間の位相差の絶対値が180°であるとき、音波の位相が逆であれば相殺されるという原理によれば、遠距離場での音漏れの低減を実現することができる。図2に示すように、音響出力装置の音導孔同士の中心距離は、dであり、双極子を形成し(双極子は、距離がdであり、位相が逆である2つの脈動球の組み合わせと見なされてもよい)、この場合に音響出力装置の空間における目標点での音圧は、以下のように示される。
【0043】
【数14】
ここで、Aは、振動膜の振動強度を示し、
【数15】
は、点音源「+」の強度の大きさを示し、
【数16】
は、点音源「-」の強度の大きさを示し、ωは、角周波数であり、kは、波数であり、rは、目標点と点音源「+」との距離であり、rは、目標点と点音源「-」との距離である。遠距離場の音場のみを考慮する場合、r>>dと仮定すると、2つの点音源から放出された音波が目標点に到達するときの振幅差が小さく、上式における振幅部分rとrの代わりにrを用いることができるが、それらの位相差を無視することができず、以下のような近似関係を有する。
【0044】
【数17】
【0045】
【数18】
ここで、rは、空間における任意の目標点pと二点音源の中心位置との距離であり、dは、2つの点音源の間の間隔であり、θは、該目標点pと二点音源の中心とを結ぶ線と、二点音源が位置する直線との夾角を示す。上式に代入された後、周波数が非常に高くない場合、kd<1、以下のように簡略化することができる。
【0046】
【数19】
式(4)から分かるように、音場における目標点の音圧pの大きさは、目標点と二点音源の中心とを結ぶ線と、二点音源が位置する直線との夾角θ、2つの点音源の間の間隔dに関連する。
【0047】
図4は、本願のいくつかの実施例に係る双極子とユーザーの顔領域の相対位置を示す概略図であり、図5は、本願のいくつかの実施例に係るユーザーの顔領域が双極子の音声を反射することを示す等価原理図である。図4及び図5に示すように、ユーザーが上記音響出力装置を装着するとき、音響出力装置の少なくとも2つの音導孔を二点音源と見なしてもよく、上記2つの単一点音源は、振幅が同じであり、位相が逆である音声(それぞれ符号「+」と「-」で示される)をそれぞれ出力し、双極子を構成する。この場合、ユーザーが位置する環境における任意の空間点を考慮し、該空間点から上記2つの単一点音源までの距離が等しい場合、音声の干渉相殺に基づいて、該点での音量が非常に小さい。該空間点から上記2つの単一点音源までの距離が等しくない場合、距離差が大きければ大きいほど、該点での音量が大きい。2つの単一点音源を結ぶ線と、顔領域(簡略化のために、ユーザーの顔の音響出力装置と直接貼り合わせるか又は正対する領域が位置する平面を顔領域と等価にする)との夾角が75°~90°である場合、2つの単一点音源を結ぶ線は、顔領域にほぼ垂直であると考えることができる。いくつかの実施例では、ユーザーが上記音響出力装置を装着する場合、音響出力装置のハウジング構造のユーザー接触面は、上記顔領域にほぼ垂直である場合に、上記2つの単一点音源もユーザー接触面にほぼ垂直であると見なしてもよい。理解を容易にするために、図4に示すように、顔領域をバッフル410に抽象化することができ、音響出力装置内の少なくとも2つの音導孔により形成された2つの単一点音源の間の距離は、dであり、2つの単一点音源から上記バッフル410までの最も近い距離は、Dである。2つの単一点音源が音声を発生する場合、一部の音声は、直接環境に放出され、他の部分の音声は、まずバッフル410に向いて放出され、バッフル410により反射された後に環境に放出される。理想的な状況で、バッフルが存在する場合、2つの単一点音源の環境に対する音声放出効果を図5に示した原理図と等価にすることができる。図5に示すように、上記音響出力装置の2つの音導孔が形成した二点音源は、双極子を構成し、バッフル510の右側に位置し、上記二点音源の間隔は、dであり、二点音源から上記バッフル510までの距離は、等しくなく、上記二点音源から上記バッフル510までの最も近い距離は、Dである。上記二点音源の中心と空間における任意の観測点Pとを結ぶ線と、上記二点音源が位置する直線との角度は、θであり、上記二点音源の中心から上記観測点Pまでの距離は、rである。二点音源から出力された音声がバッフル510により反射されることを考慮すると、その効果は、バッフルの左側に二点音源と振幅が等しく、位相が逆の2つの仮想単一点音源を形成することに相当する。上記2つの仮想単一点音源は、双極子を構成し、上記仮想二点音源の間の距離は、dであり、上記仮想二点音源と上記バッフル510との最も近い距離は、Dである。上記仮想二点音源を結ぶ線の中心と上記観測点Pとの距離は、rである。上記仮想二点音源と上記二点音源は、二重双極子を構成し、上記観測点と上記二重双極子の中心とを結ぶ線と、上記バッフルとの夾角は、αであり、上記二重双極子の中心と上記観測点との距離は、rである。上記観測点で受けられた音圧は、以下のとおりである。
【0048】
【数20】
遠距離場の条件で、観測点Pの音波の振幅差を無視するが、それらの位相差を保留することができ、観測点と二重双極子の中心点とを結ぶ線と、二重双極子の中心点での法線との角度がαであれば、図から分かるように、
【数21】
、以下のような近似関係がある。
【0049】
【数22】
【0050】
【数23】
式(5)、式(6)及び式(7)により合成された音圧放出を得て、すなわち、バッフルが存在する場合、2つの単一点音源の環境に対する音声放出は、以下のとおりである。
【0051】
【数24】
図6は、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の2つの点音源を図4に示した方式で配置する場合、間隔dが異なり、かつユーザーの顔との間隔Dが異なるときの周波数応答曲線図であり、図7は、本願のいくつかの実施例に係る2つの点音源を図4に示した方式で配置する場合に、1000Hzの場合の音場エネルギー分布図である。図6及び図7に示すように、上記音響出力装置の少なくとも2つの音導孔を結ぶ線は、ユーザーの顔領域に垂直であり(すなわち、ユーザーの顔領域に平行又はほぼ平行なユーザー接触面に垂直である)、遠距離場の観測点が250mm離れており、Dが0.1mm、2mm、3mmであり、対応するdが0.5mm、1mm、1.5mm、2mmであるときの音圧値をそれぞれ測定し、ここで音圧値は、音圧レベル(dB)で示される。図6から分かるように、双極子からバッフルまでの最も近い距離は、0~5mmの範囲内にあり、双極子とバッフルとの距離、双極子の間の距離は、いずれも遠距離場の観測点の音圧に対して影響を与える。さらに、遠距離場の観測点の音圧レベルは、双極子とバッフルとの距離の減少に伴って減少し、双極子の間の距離の減少に伴って減少し、双極子とバッフルとの距離が0であり、双極子の間の距離が0.5である場合、観測点の音圧レベルは、最も小さく、このときの音漏れ低減効果が高い。図7に示すように、上記音響出力装置の少なくとも2つの音導孔を結ぶ線がユーザー身体接触面にほぼ垂直であり、双極子からバッフルまでの最も近い距離が3mmであり、双極子の間隔が0.5mmであり、周波数が1KHzである場合、半径が250mmの半円以外の領域を遠距離音場とすると、遠距離音場の音圧レベルを示す色が薄いことが見られ、すなわち、遠距離音場の音圧レベルが低く、遠距離場の音漏れが小さい。いくつかの実施例では、音導孔とユーザー接触面又はユーザーの顔領域との距離を調整することで音響出力装置の遠距離場の音漏れの音量を低減することができる。上記少なくとも2つの音導孔は、第1の音導孔と第2の音導孔を含んでもよく、第1の音導孔から顔領域又はユーザー接触面までの距離は、第2の音導孔から顔領域又はユーザー接触面までの距離より小さい。好ましくは、第1の音導孔からユーザー接触面までの距離は、5mm以下である。より好ましくは、第1の音導孔からユーザー接触面までの距離は、2mm以下である。さらに好ましくは、第1の音導孔は、ユーザー接触面に位置する。他の実施例では、ユーザーの身体部位は、バッフルの作用を果たすことができ、第1の音導孔、第2の音導孔とユーザー接触面との位置関係は、第1の音導孔、第2の音導孔とユーザーの身体部位(例えば、顔領域)との位置関係についても同様である。例えば、いくつかの実施例では、ユーザーが上記音響出力装置を装着する状況で(すなわち、ハウジング構造のユーザー接触面が顔領域に密着するか又は顔領域に近接する場合)、第1の音導孔からユーザーの身体部位までの距離は、第2の音導孔からユーザーの身体部位までの距離より小さい。好ましくは、第1の音導孔からユーザーの身体部位までの距離は、5mm以下である。より好ましくは、第1の音導孔からユーザーの身体部位までの距離は、2mm以下である。なお、ここでのユーザーの身体部位は、ユーザーが音響出力装置を装着するとき、ユーザーの身体へのユーザー接触面の投影面積が最も大きい部位である。いくつかの実施例では、2つの音導孔の間の距離を調整することで音響出力装置の遠距離場の音漏れ音量を低減することができ、第1の音導孔と第2の音導孔との距離は、5mm以下であり、好ましくは、第1の音導孔と第2の音導孔との距離は、2mm以下であり、より好ましくは、第1の音導孔と第2の音導孔との距離は、0.5mm以下である。
【0052】
図8は、本願のいくつかの実施例に係る双極子とユーザーの顔領域の相対位置を示す概略図であり、図9は、本願のいくつかの実施例に係るユーザーの顔領域が双極子の音声を反射することを示す等価原理図である。図8及び図9に示すように、ユーザーが上記音響出力装置を装着するとき、音響出力装置の少なくとも2つの音導孔を2つの単一点音源と見なしてもよく、二点音源を構成し、上記2つの単一点音源は、振幅が同じであり、位相が逆である音声(それぞれ符号「+」と「-」で示される)をそれぞれ出力し、双極子を構成する。この場合、ユーザーが位置する環境における任意の空間点を考慮し、該空間点から上記2つの単一点音源までの距離が等しい場合、音声の干渉相殺に基づいて、該点での音量が非常に小さい。該空間点から上記2つの単一点音源までの距離が等しくない場合、距離差が大きければ大きいほど、該点での音量が大きい。2つの単一点音源を結ぶ線と、顔領域(簡略化のために、ユーザーの顔の音響出力装置と直接貼り合わせるか又は正対する領域が位置する平面を顔領域と等価にする)との夾角が0~15°である場合、2つの単一点音源を結ぶ線は、顔領域にほぼ平行であると考えることができる。いくつかの実施例では、ユーザーが上記音響出力装置を装着する場合、音響出力装置のハウジング構造のユーザー接触面は、上記顔領域にほぼ平行である場合に、上記2つの単一点音源もユーザー接触面にほぼ平行であると見なしてもよい。理解を容易にするために、図8に示すように、顔領域をバッフルに抽象化することができ、音響出力装置内の少なくとも2つの音導孔により形成された2つの単一点音源の間の距離は、dであり、2つの単一点音源から上記バッフルまでの最も近い距離は、Dである。2つの単一点音源が音声を発生する場合、一部の音声は、直接環境に放出され、他の部分の音声は、まずバッフルに向いて放出され、バッフルにより反射された後に環境に放出される。理想的な状況で、バッフルが存在する場合、2つの単一点音源の環境に対する音声放出効果を図9に示した原理図と等価にすることができる。図9に示すように、上記音響出力装置の2つの音導孔が形成した二点音源は、双極子を構成し、バッフルの右側に位置し、上記二点音源の間隔は、dであり、二点音源から上記バッフルまでの距離は、等しく、上記二点音源から上記バッフルまでの最も近い距離は、Dである。上記二点音源の中心と空間における任意の観測点Pとを結ぶ線と、上記二点音源が位置する直線との角度は、θであり、上記二点音源の中心から上記観測点Pまでの距離は、rである。二点音源から出力された音声がバッフルにより反射されることを考慮すると、その効果は、バッフルの左側に二点音源と振幅が等しく、位相が一致する2つの仮想単一点音源を形成することに相当する。上記2つの仮想単一点音源は、双極子を構成し、上記仮想二点音源の間の距離は、dであり、上記仮想二点音源と上記バッフルとの最も近い距離は、Dである。上記仮想二点音源を結ぶ線の中心と、上記観測点Pとの距離は、rである。上記仮想二点音源と上記二点音源は、二重双極子を構成し、上記観測点と上記二重双極子の中心とを結ぶ線と、上記バッフルとの夾角は、αであり、上記二重双極子の中心と上記観測点との距離は、rである。上記観測点で受けられた音圧は、以下のとおりである。
【0053】
【数25】
遠距離場の条件で、観測点Pの音波の振幅差を無視するが、それらの位相差を保留することができ、二重双極子の中心点を結ぶ線と、二重双極子の中心点での法線との角度がαであれば、図から分かるように、θ≒α、以下のような近似関係がある。
【0054】
【数26】
【0055】
【数27】
式(9)、式(10)及び式(11)により合成された音圧放出を得る:
【0056】
【数28】
図10は、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の2つの点音源を図8に示した方式で配置する場合、間隔dが異なり、かつユーザーの顔との間隔Dが異なるときの周波数応答曲線図であり、図11は、本願のいくつかの実施例に係る2つの点音源を図8に示した方式で配置する場合に、1000Hzの場合の音場エネルギー分布図である。図10及び図11に示すように、上記音響出力装置の少なくとも2つの音導孔を結ぶ線は、ユーザーの顔領域にほぼ平行であり(すなわち、ユーザーの顔領域に平行又はほぼ平行なユーザー接触面に平行である)、遠距離場の観測点が250mm離れており、Dが0.1mm、2mm、3mmであり、対応するdが0.5mm、1mm、1.5mm、2mmであるときの音圧値をそれぞれ測定し、ここで音圧値は、音圧レベル(dB)で示される。なお、第1の音導孔と第2の音導孔とを結ぶ線がユーザーの顔領域又はユーザー接触面にほぼ平行である場合、第1の音導孔からユーザーの顔領域又はユーザー接触面までの距離は、第2の音導孔からユーザーの顔領域又はユーザー接触面までの距離と等しい又はほぼ等しくてもよい。ここで、ほぼ等しいことは、第1の音導孔からユーザーの顔領域又はユーザー接触面までの距離と、第2の音導孔からユーザーの顔領域又はユーザー接触面までの距離との間の差が特定の範囲内にあることである。ここで、特定の範囲は、5mm以下、又は3mm以下、又は1.5mm以下であってもよい。単に例示的な説明として、上記少なくとも2つの音導孔は、第1の音導孔と第2の音導孔を含んでもよく、第1の音導孔から顔領域又はユーザー接触面までの距離は、第2の音導孔から顔領域又はユーザー接触面までの距離に近い。好ましくは、第1の音導孔からユーザー接触面までの距離は、5mm以下である。より好ましくは、第1の音導孔からユーザー接触面までの距離は、2mm以下である。図10から分かるように、双極子からバッフルまでの最も近い距離は、0~5mmの範囲内にあり、双極子の間の距離は、遠距離場の観測点の音圧に対して大きな影響を与える。さらに、遠距離場の観測点の音圧レベルは、双極子の間の距離の減少に伴って減少し、双極子の間の距離が0.5mmである場合、遠距離場の観測点の音圧レベルは、最も小さく、このときの音漏れ低減効果が高い。いくつかの実施例では、音導孔とユーザー接触面又はユーザーの顔領域との距離を調整することで音響出力装置の遠距離場の音漏れの音量を低減することができる。上記少なくとも2つの音導孔は、第1の音導孔と第2の音導孔を含んでもよく、第1の音導孔から顔領域又はユーザー接触面までの距離は、第2の音導孔から顔領域又はユーザー接触面までの距離より小さい。好ましくは、第1の音導孔からユーザー接触面までの距離は、5mm以下である。より好ましくは、第1の音導孔からユーザー接触面までの距離は、2mm以下である。第1の音導孔と第2の音導孔は、ともにユーザー接触面に位置してもよく、或いは、第1の音導孔と第2の音導孔は、ハウジング構造のユーザー接触面に隣接する2つの側壁にそれぞれ位置してもよい。図10に示すように、上記音響出力装置の少なくとも2つの音導孔を結ぶ線がユーザー身体の顔領域にほぼ平行であり、双極子からバッフルまでの最も近い距離が3mmであり、双極子の間隔が0.5mmであり、周波数が1kHzである場合、半径が250mmの半円以外の領域を遠距離音場とすると、近距離音場で半分の8字状の領域に色が濃いことが見られ、すなわち、近距離音場で該領域の音圧レベルが高く、近距離場の音量が大きい。上記双極子を結ぶ線に垂直な方向の一部の領域に色が薄く、すなわち、該領域の音場の音圧レベルが低く、音漏れが小さい。この場合、2つの音導孔の間の距離を調整することで音響出力装置の遠距離場での音漏れ音量を低減することができ、第1の音導孔と第2の音導孔との距離は、2mm以下である。好ましくは、第1の音導孔と上記第2の音導孔との距離は、0.5mm以下である。
【0057】
図12は、本願のいくつかの実施例に係る2つの音導孔を結ぶ線と、ユーザー接触面又はユーザーの身体部位との夾角が異なる場合の音圧曲線図である。図12に対応する音響出力装置内の少なくとも2つの音導孔により構成された双極子からユーザーの身体部位(バッフル)までの最も近い距離は、3mmであり、双極子の間隔は、0.5mmであり、遠距離場領域は、双極子の中心を原点とし、半径が250mmの円以外の領域である。図における横軸は、遠距離場領域の観測点と双極子の中心との角度を示し、縦軸は、該観測点での音圧を示す。図における実線は、上記音響出力装置の少なくとも2つの音導孔を結ぶ線がユーザーの顔領域部にほぼ垂直である場合、遠距離場の観測点の音圧絶対値と、観測角度(観測点と二重双極子の中心点とを結ぶ線と、二重双極子の中心点での法線との間の角度)との関係曲線である。遠距離場領域の観測点の音圧は、観測角度の
【数29】
の範囲内の増加に伴って徐々に増加し、
【数30】
の場合、すなわち、遠距離場の観測点と双極子の中心とを結ぶ線がバッフルに垂直である場合、音圧絶対値は、最も大きく、遠距離場領域の観測点の音圧は、観測点と双極子の中心との角度の
【数31】
の範囲内の増加に伴って徐々に減少する。図における破線は、上記音響出力装置の少なくとも2つの音導孔により構成された双極子がユーザーの顔領域部にほぼ平行である場合、遠距離場の観測点の音圧絶対値と観測角度との関係曲線である。遠距離場領域の観測点の音圧は、観測点と双極子の中心との角度の
【数32】
の範囲内の増加に伴って徐々に減少し、
【数33】
の場合、すなわち、遠距離場の観測点と双極子の中心とを結ぶ線がバッフルに垂直である場合、音圧絶対値は、最も小さく、遠距離場領域の観測点の音圧は、観測点と双極子の中心との角度の
【数34】
の範囲内の増加に伴って徐々に増加する。上記音響出力装置の少なくとも2つの音導孔により構成された双極子がユーザーの顔領域にほぼ垂直であるときの最大音圧絶対値は、上記音響出力装置の少なくとも2つの音導孔により構成された双極子がユーザーの顔領域にほぼ平行であるときの最大音圧絶対値より小さい。
【0058】
図13は、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。いくつかの実施例では、図13における音導孔は、本願において他の箇所に記載された二点音源又は双極子を形成する音導孔についても同様である。図13に示すように、音響ドライバ1220は、振動膜1201と磁気回路構造1222を含んでもよい。音響ドライバ1220は、ボイスコイル(図示せず)をさらに含んでもよい。上記ボイスコイルは、振動膜1201の磁気回路構造1222に向かう側に固定されるとともに、磁気回路構造1222によって形成された磁場内に位置してもよい。上記ボイスコイルは、通電されると、磁場の作用で振動するとともに、振動するように振動膜1201を駆動することにより、音声を発生することができる。説明を容易にするために、振動膜1201の磁気回路構造1222に背向する側(すなわち、図13における振動膜1201の右側)を、音響ドライバ1220の正面と見なしてもよく、磁気回路構造1222の振動膜1201に背向する側(すなわち、図13における磁気回路構造1222の左側)を、音響ドライバ1220の裏面と見なしてもよい。振動膜1201の振動により、音響ドライバ1220は、その正面と裏面からそれぞれ外部に音声を放出することができる。図13に示すように、音響ドライバ1220の正面又は振動膜1201とハウジング構造1210は、第1のキャビティ1211を形成し、音響ドライバ1220の裏面とハウジング構造1210は、第2のキャビティ1212を形成する。音響ドライバ1220の正面から第1のキャビティ1211に音声を放出し、音響ドライバ1220の裏面から第2のキャビティ1212に音声を放出する。いくつかの実施例では、ハウジング構造1210は、第1のキャビティ1211と連通する第1の音導孔1213と、第2のキャビティ1212と連通する第2の音導孔1214とをさらに含んでもよい。音響ドライバ1220の正面で発生した音声は、第1の音導孔1213から外部に伝播され、音響ドライバ1220の裏面で発生した音声は、第2の音導孔1214から外部に伝播される。いくつかの実施例では、磁気回路構造1222は、振動膜に対向して設置された磁束伝導プレート1221を含んでもよい。磁束伝導プレート1221には、振動膜1201の振動により発生した音声を音響ドライバ1220の裏面から導出するとともに、第2のキャビティ1212から外部に伝播する少なくとも1つの音導孔1223(減圧孔とも呼ばれる)が形成される。該音響出力装置は、第1の音導孔1213と第2の音導孔1214の音声放出により双極子構造に類似する二重音源(又は複数音源)を形成し、一定の指向性のある特定の音場を生成する。いくつかの実施例では、音響ドライバ1220は、直接音声を外部に出力してもよく、すなわち、音響出力装置1200には、第1のキャビティ1211及び/又は第2のキャビティ1212が設置されなくてもよく、音響ドライバ1220の正面と裏面で発生した音声を二重音源とすることができる。なお、本明細書の実施例における音響出力装置は、イヤホンへの応用に限定されず、他のオーディオ出力装置(例えば、補聴器、メガホンなど)に適用されてもよい。
【0059】
図14及び図15は、本願のいくつかの実施例に係る別の音響出力装置の概略構成図である。図14に示すように、第1の音響ドライバ1320の第1の音導孔1313と第2の音響ドライバ1330の第2の音導孔1314とを結ぶ線は、ユーザーの身体部位又は音響出力装置のユーザー接触面にほぼ垂直である。第1の音響ドライバ1320及び第2の音響ドライバ1330は、同じ音響ドライバであってもよく、信号処理モジュールは、一定の位相と振幅の条件を満たす音声(例えば、振幅が同じであるとともに位相が逆の音声、振幅が異なるとともに位相が逆の音声など)を生成するように、制御信号(例えば、第1の電気信号と第2の電気信号)により第1の音響ドライバ1320の正面及び第2の音響ドライバ1330の正面を制御することができる。第1の音響ドライバ1320の正面で発生した音声は、第1の音導孔1313から音響出力装置1300の外部に放出され、第2の音響ドライバ1330の正面で発生した音声は、第2の音導孔1314から音響出力装置1300の外部に放出される。第1の音導孔1313と第2の音導孔1314を位相が逆の音声を出力する二重音源と等価にすることができる。音響ドライバの正面と裏面で発生した音声により二重音源を構成する場合と異なり、2つの音響ドライバの正面、すなわち、第1の音響ドライバ1320の正面と第2の音響ドライバ1330の正面により、位相が逆の音声を発生し、かつ第1の音導孔1313と第2の音導孔1314から外部に放出し、第1の音響ドライバ1320から第1の音導孔1313までの音響インピーダンスが第2の音響ドライバ1330から第2の音導孔1314までの音響インピーダンスと等しい又はほぼ等しい場合、音響出力装置1300内の第1の音導孔1313と第2の音導孔1314から発した音声により効果的な二重音源を構成することができ、すなわち、第1の音導孔1313と第2の音導孔1314は、位相が逆の音声をより正確に発することができる。遠距離場で、特に中高周波数帯域(例えば、200Hz~20kHz)で、第1の音導孔1313から発した音声は、第2の音導孔1314から発した音声と互いによく相殺することができるため、音響出力装置の中高周波数帯域での音漏れをよりよく抑制するとともに、音響出力装置1300が発生した音声が該ユーザーの付近の他人に聞かれることを防止することができ、音響出力装置1300の音漏れ低減効果を向上させる。
【0060】
第1の音響ドライバ1320の正面と第2の音響ドライバ1330の正面がハウジング構造の異なる側に位置する場合、第1の音導孔1313と第2の音導孔1314もハウジング構造1310の異なる側に位置するため、ハウジング構造1310は、二重音源(例えば、第1の音導孔1313から発した音声と第2の音導孔1314から発した音声)の間のバッフルの作用を果たす。この場合、ハウジング構造1310は、第1の音導孔1313と第2の音導孔1314のユーザーの耳道までの音響経路が異なるように、第1の音導孔1313と第2の音導孔1314を隔てる。一方で、第1の音導孔1313と第2の音導孔1314をハウジング構造1310の両側に配置することにより第1の音導孔1313と第2の音導孔1314がそれぞれユーザーの耳に音声を伝達する路程差(すなわち、第1の音導孔1313と第2の音導孔1314から発した音声がユーザーの耳道に到達する距離差)を増加させることができるため、ユーザーの耳(すなわち、近距離場)での音声相殺効果を低下させ、さらにユーザーの耳に聞かれる音声(近距離場音声とも呼ばれる)の音量を増加させ、ユーザーに優れた聴覚体験を提供する。他方で、ハウジング構造1310は、音導孔から環境に放出された音声(遠距離場音声とも呼ばれる)に対する影響が小さく、第1の音導孔1313と第2の音導孔1314から発した遠距離場音声は、依然として互いによく相殺することができ、音響出力装置1300の音漏れを一定の程度で抑制することができるとともに、音響出力装置1300が発生した音声が該ユーザーの付近の他人に聞かれることを防止することができる。したがって、上記設置により、音響出力装置1300の近距離場での聴取音量を向上させ、音響出力装置1300の遠距離場での音漏れ音量を低減することができる。
【0061】
図15に示した音響出力装置及び図14に示した音響出力装置は、全体的な構造がほぼ同じであり、相違点として、第1の音響ドライバ1320の正面は、下向きであり、第2の音響ドライバの正面は、上向きであり、ハウジング構造1310の第1の音導孔1313は、第1の音響ドライバ1320の正面で発生した音声を出力し、ハウジング構造1310の第2の音導孔1314は、第2の音響ドライバ1330の正面で発生した音声を出力し、第1の音導孔1313から発した音声と第2の音導孔1314から発した音声により形成された双極子を結ぶ線は、ユーザーの身体部位又は音響出力装置のユーザー接触面にほぼ平行である。
【0062】
いくつかの実施例では、音響出力装置の騒音低減効果を向上させるために、音響出力装置は、少なくとも1つのマイクロホンをさらに含んでもよく、該少なくとも1つのマイクロホンは、外部環境の騒音信号を収集することができ、該騒音信号を音響出力装置の信号処理モジュールに伝達し、信号処理モジュールは、騒音信号のパラメータ(例えば、位相と振幅)に基づいて騒音信号と位相が逆であり、振幅が同じである音声を発することで騒音低減を実現することができる。図16は、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。図16に示すように、音響出力装置1600の2つの音導孔から発した音声(図16に示した「+」、「-」で示される)により形成された双極子を結ぶ線がユーザーの顔領域にほぼ垂直である場合、マイクロホン1601は、音響出力装置1600のハウジング構造1610又は音響ドライバ(例えば、磁気回路構造)に位置してもよい。いくつかの実施例では、マイクロホン1601は、ハウジング構造1610の側壁の外側又は内側に設置されてもよい。いくつかの実施例では、マイクロホン1601は、さらに磁気回路構造の周側のハウジング構造1610の側壁に位置してもよい。いくつかの実施例では、マイクロホン1601が外部環境からのノイズを収集すると同時に、音響出力装置1600自体が発生した音声を低減するために、マイクロホン1601は、音導孔から離れた位置に位置してもよく、例えば、マイクロホン1601は、ハウジング構造1610の音導孔が位置する側壁と異なる側壁に位置してもよい。さらに、音響出力装置1600の2つの音導孔からの音声により形成された双極子を結ぶ線がユーザーの顔領域にほぼ垂直である場合、音響出力装置は、音圧極小値領域(図16における破線及びその付近の領域)を有し、該音圧極小値領域は、音響出力装置から出力された音声の強度が小さい領域であってもよい。例えば、図7における薄色の領域701と領域702である。いくつかの実施例では、マイクロホン1601は、音響出力装置の音圧極小値領域に位置してもよい。具体的には、図16に示すように、音響出力装置1600の少なくとも2つの音導孔により形成された二点音源を結ぶ線がユーザーの顔領域にほぼ垂直である場合、3つの強い音場領域(例えば、図16に示した音場領域1621、音場領域1622及び音場領域1623)を有するとともに、2つの音圧極小値領域を有し、すなわち、図16における破線及びその付近の領域である。図7及び図16を合わせて、上記強い音場領域は、図7に示した3つの濃色の領域(例えば、領域703、領域704及び領域705)に対応し、上記音圧極小値領域は、図7に示した2つの薄色の領域701と領域702に対応する。1つ以上のマイクロホン1601は、図7に示した薄色の領域701と領域702に配置され、好ましくは、1つ以上のマイクロホン1601は、図7における薄色の領域701及び/又は領域702の中心線、すなわち、図16に示した破線の位置に配置される。マイクロホン1601を音響出力装置の音圧極小値領域に設置することにより、マイクロホン1601が外部環境の騒音を収集すると同時に、音響出力装置1600自体が発生した音声をできるだけ少なくすることができるため、マイクロホン1601は、より実際の環境音を提供して後続の音声信号処理に用いることができ、音響出力装置1600の能動騒音低減などの機能を達成する。
【0063】
図17は、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。図17に示すように、音響出力装置1700の2つの音導孔から発した音声(図17に示した「+」、「-」で示される)により形成された双極子を結ぶ線がユーザーの顔領域にほぼ平行である場合、マイクロホン1701は、音響出力装置1700のハウジング構造1710又は音響ドライバ(例えば、磁気回路構造)に位置してもよい。いくつかの実施例では、マイクロホン1701は、ハウジング構造1710の側壁の外側又は内側に設置されてもよい。いくつかの実施例では、マイクロホン1701は、さらに磁気回路構造の周側のハウジング構造1710の側壁に位置してもよい。いくつかの実施例では、マイクロホン1701が外部環境からのノイズを収集すると同時に、音響出力装置1700自体が発生した音声を低減するために、マイクロホン1701は、音導孔から離れた位置に位置してもよく、例えば、マイクロホン1701は、ハウジング構造1710の音導孔が位置する側壁と異なる側壁に位置してもよい。さらに、音響出力装置1700の2つの音導孔からの音声により形成された双極子を結ぶ線がユーザーの顔領域にほぼ平行である場合、音響出力装置は、音圧極小値領域(図17における破線及びその付近の領域)を有し、いくつかの実施例では、マイクロホン1701は、音響出力装置の音圧極小値領域に位置してもよい。具体的には、図17に示すように、音響出力装置1700の少なくとも2つの音導孔により形成された二点音源を結ぶ線がユーザーの顔領域にほぼ平行である場合、2つの強い音場領域(図17に示した領域1721と領域1722)を有するとともに、1つの音圧極小値領域を有し、すなわち、図17における破線及びその付近の領域である。図11及び図17を合わせて、上記強い音場領域1721と音場領域1722は、図11に示した2つの色が濃く音圧値が大きい領域1102と領域1103に対応し、上記音圧極小値領域は、図11に示した薄色の音圧極小値領域1101に対応する。1つ以上のマイクロホン1701は、図17に示した破線及びその付近の領域に位置してもよく、好ましくは、1つ以上のマイクロホン1701は、図17に示した破線の位置に位置してもよい。マイクロホン1701を音響出力装置1700の音圧極小値領域に設置することにより、マイクロホン1701が外部環境の騒音を収集すると同時に音響出力装置1700自体が発生した音声をできるだけ少なくすることができるため、マイクロホン1701は、より実際の環境音を提供して後続の音声信号処理に用いることができ、音響出力装置1700の能動騒音低減などの機能を達成する。
【0064】
なお、上記図16に示した音響出力装置1600と図17に示した音響出力装置1700は、単に例示的な説明とするものに過ぎず、音響出力装置は、また2つの音響ドライバを含む音響出力装置、例えば、図14及び図15に示した音響出力装置であってもよく、つまり、マイクロホン(例えば、マイクロホン1601とマイクロホン1701)の位置の選択条件は、図14及び図15に示した音響出力装置についても同様である。
【0065】
上記で基本概念を説明してきたが、当業者にとっては、上記詳細な開示は、単なる例として提示されているものに過ぎず、本願を限定するものではないことは明らかである。本明細書において明確に記載されていないが、当業者は、本願に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本願によって示唆されることが意図されているため、本願の例示的な実施例の趣旨及び範囲内にある。
【0066】
さらに、本願の実施例を説明するために、本願において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連した特定の特徴、構造又は特性を意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「一実施例」又は「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」の2つ以上の言及は、必ずしもすべてが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されたい。また、本願の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造、又は特性は、適切に組み合わせられてもよい。
【0067】
さらに、当業者には理解されるように、本願の各態様は、任意の新規かつ有用なプロセス、機械、製品又は物質の組み合わせ、又はそれらへの任意の新規かつ有用な改善を含むいくつかの特許可能なクラス又はコンテキストで、例示及び説明され得る。よって、本願の各態様は、完全にハードウェアによって実行されてもよく、完全にソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)によって実行されてもよく、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実行されてもよい。以上のハードウェア又はソフトウェアは、いずれも「データブロック」、「モジュール」、「エンジン」、「ユニット」、「アセンブリ」又は「システム」と呼ばれてもよい。また、本願の各態様は、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードを含む1つ以上のコンピュータ読み取り可能な媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態を取ることができる。
【0068】
コンピュータ記憶媒体は、コンピュータプログラムコードを搬送するための、ベースバンド上で伝播されるか又は搬送波の一部として伝播される伝播データ信号を含んでもよい。該伝播信号は、電磁気信号、光信号又は適切な組み合わせ形態などの様々な形態を含んでもよい。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体以外の任意のコンピュータ読み取り可能な媒体であってもよく、該媒体は、命令実行システム、装置又は機器に接続されることにより、使用されるプログラムの通信、伝播又は伝送を実現することができる。コンピュータ記憶媒体上のプログラムコードは、無線、ケーブル、光ファイバケーブル、RF若しくは類似の媒体、又は上記媒体の任意の組み合わせを含む任意の適切な媒体を介して伝播することができる。
【0069】
本願の各部分の操作に必要なコンピュータプログラムコードは、Java、Scala、Smalltalk、Eiffel、JADE、Emerald、C++、C#、VB.NET、Pythonなどのオブジェクト指向プログラミング言語、C言語、Visual Basic、Fortran 2003、Perl、COBOL 2002、PHP、ABAPなどの従来の手続き型プログラミング言語、Python、Ruby及びGroovyなどの動的プログラミング言語、又は他のプログラミング言語などを含む1つ以上のプログラミング言語でコーディングしてもよい。該プログラムコードは、完全にユーザーコンピュータ上で実行されてもよく、独立したソフトウェアパッケージとしてユーザーコンピュータ上で実行されてもよく、部分的にユーザーコンピュータ上で部分的にリモートコンピュータ上で実行されてもよく、完全にリモートコンピュータ又はサーバ上で実行されてもよい。後者の場合、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)などの任意のネットワーク形態でユーザーコンピュータに接続されてもよく、(例えば、インターネットを介して)外部コンピュータに接続されてもよく、クラウドコンピューティング環境にあってもよく、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)などのサービスとして使用されてもよい。
【0070】
また、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本願に係る処理要素又はシーケンスの列挙した順序、英数字の使用、又は他の名称の使用は、本願の手順及び方法の順序を限定するものではない。上記開示において、発明の様々な有用な実施例であると現在考えられるものを様々な例を通して説明しているが、そのような詳細は、単に説明のためのものに過ぎず、添付の特許請求の範囲は、開示される実施例に限定されないが、逆に、本願の実施例の趣旨及び範囲内にあるすべての修正及び等価な組み合わせをカバーするように意図されることを理解されたい。例えば、上述したシステムアセンブリは、ハードウェアデバイスにより実装されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存のサーバ又はモバイルデバイスに説明されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0071】
同様に、本願の実施例の前述の説明では、本願を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがあることを理解されたい。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるより多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈すべきではない。実際に、実施例の特徴は、上記開示された単一の実施例のすべての特徴より少ない場合がある。
【0072】
いくつかの実施例では、成分及び属性の数を説明する数字が使用されており、このような実施例を説明するための数字は、いくつかの例において修飾語「約」、「ほぼ」又は「概ね」によって修飾されるものであることを理解されたい。特に明記しない限り、「約」、「ほぼ」又は「概ね」は、上記数字が±20%の変動が許容されることを示す。よって、いくつかの実施例において、明細書及び特許請求の範囲に使用されている数値パラメータは、いずれも個別の実施例に必要な特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施例において、数値パラメータについては、規定された有効桁数を考慮すると共に、通常の丸め手法を適用すべきである。本願のいくつかの実施例において、その範囲を決定するための数値範囲及びパラメータは、近似値であるが、具体的な実施例において、このような数値は、可能な限り正確に設定される。
【0073】
本願において参照されているすべての特許、特許出願、公開特許公報、及び、論文、書籍、仕様書、刊行物、文書などの他の資料は、その全ての内容が参照により本願に組み込まれる。本願の内容と一致しないか又は矛盾する出願経過文書、及び(現在又は後に本願に関連する)本願の請求項の最も広い範囲に関して限定的な影響を有し得る文書を除いて、その全体が参照により本願に組み込まれる。なお、本願の添付資料における説明、定義、及び/又は用語の使用が本願に係る内容と一致しないか又は矛盾する場合、本願における説明、定義、及び/又は用語の使用を優先するものとする。
【0074】
最後に、本願に係る実施例は、単に本願の実施例の原理を説明するものであることを理解されたい。他の変形例も本願の範囲内にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例として、本願の実施例の代替構成は、本願の教示と一致するように見なされてもよい。よって、本願の実施例は、本願において明確に紹介して説明された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0075】
1201 振動膜
1222 磁気回路構造
1210 ハウジング構造
1211 第1のキャビティ
1213 第1の音導孔
1214 第2の音導孔
1221 磁束伝導プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14-15】
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2023-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響出力装置であって、
れぞれ少なくとも2つの音導孔から外部に放出される位相が逆の1組の音声を発生する少なくとも1つの音響ドライバと、
前記少なくとも1つの音響ドライバを載置するように構成され、ユーザーが前記音響出力装置を装着するとき、ユーザーの身体に接触するように構成されるユーザー接触面を含むハウジング構造とを含み、前記少なくとも2つの音導孔を結ぶ線と前記ユーザー接触面が形成した夾角は、75°~90°の範囲内にある、ことを特徴とする音響出力装置。
【請求項2】
前記少なくとも2つの音導孔は、第1の音導孔と第2の音導孔を含み、前記第1の音導孔から前記ユーザー接触面までの距離は、前記第2の音導孔から前記ユーザー接触面までの距離より小さい、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項3】
前記第1の音導孔から前記ユーザー接触面までの距離は、5mm以下である、ことを特徴とする請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項4】
前記第1の音導孔から前記ユーザー接触面までの距離は、2mm以下である、ことを特徴とする請求項3に記載の音響出力装置。
【請求項5】
前記第1の音導孔と前記第2の音導孔との距離は、2mm以下である、ことを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項6】
前記第1の音導孔と前記第2の音導孔との距離は、0.5mm以下である、ことを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの音響ドライバは、振動膜と磁気回路構造を含み、前記振動膜の前記磁気回路構造に背向する側が前記音響ドライバの正面を形成し、前記磁気回路構造の前記振動膜に背向する側が前記音響ドライバの裏面を形成し、前記振動膜の振動により前記音響ドライバがその正面と裏面からそれぞれ外部に音声を放出する、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの音響ドライバは、第1の振動膜を含む第1の音響ドライバと、第2の振動膜を含む第2の音響ドライバとを含み、前記第1の振動膜の振動により発生した音声と前記第2の振動膜の振動により発生した音声とは、位相が逆であり、それぞれ前記少なくとも2つの音導孔により外部に放出される、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項9】
前記少なくとも2つの音導孔に減衰層が設置される、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項10】
音響出力装置であって、
れぞれ少なくとも2つの音導孔から外部に放出される位相が逆の1組の音声を発生する少なくとも1つの音響ドライバと、
前記少なくとも1つの音響ドライバを載置するように構成され、ユーザーが前記音響出力装置を装着するとき、ユーザーの身体に接触するように構成されるユーザー接触面を含むハウジング構造とを含み、前記少なくとも2つの音導孔を結ぶ線と前記ユーザー接触面が形成した夾角は、0°~15°の範囲内にある、ことを特徴とする音響出力装置。
【国際調査報告】