(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】針の引き込み機構を改良した注射器
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20230901BHJP
【FI】
A61M5/32 510H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511943
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(85)【翻訳文提出日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2021073055
(87)【国際公開番号】W WO2022038229
(87)【国際公開日】2022-02-24
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523053048
【氏名又は名称】ロンカデッレ オペレーションズ エスアールエル
【氏名又は名称原語表記】RONCADELLE OPERATIONS SRL
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】エリック リカルツ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD07
4C066EE06
4C066FF05
4C066GG12
4C066HH14
4C066HH18
4C066HH22
4C066KK05
(57)【要約】
本発明は、改良された針引き込み機構を有する注射器に関するものであって、(a)円筒状バレル、(b)針ホルダー、(C)中空のプランジャー、(d)ロッド、(e)抽出器要素、(f)回復用引張又は圧縮ばねを備え、前記抽出器要素は前進位置から引き込み位置へ変位できるように移動可能であり、前記抽出器要素は、前記前進位置で突出して前記針ホルダーの内部空洞と係合して前記抽出器要素を前記針ホルダーに結合する雄突起と、前記プランジャーと前記抽出器要素との間の連結を規定する引っ掛け手段と、を備え、前記プランジャーの軸方向の孔は、前記針ホルダーの上をスライドするように構成された複数の屈曲可能フランジによって画定され、前記屈曲可能フランジは、それによって外側に曲がり前記プランジャーの軸方向の孔を拡張し、それによって前記抽出器要素が前記プランジャーから切り離され、また引き込み位置に向かって引き込まれる、注射器に関するものである。また本発明は、注射器キットに関するものでもあり、その注射器はここに記載されるような改良された針引き込み機構を備えるものである。
【選択図】
図1A、
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
改良された針引き込み機構を有する注射器であって、
a.中空本体(2)及び中空のノーズエンド(3)を含む円筒状バレル(1)と、
b.前記ノーズエンドに配置された針ホルダー(4)であり、内部空洞(5)を含む前記針ホルダーと、
c.前記円筒状バレルの前記中空本体内に配置された中空のプランジャー(6)と、
d.前記円筒状バレルの前記中空本体内に延びたロッドであり、前記ロッド及び前記プランジャーのそれぞれはそれらの内部に延びる軸方向の孔を有している、前記ロッドと、
e.前記プランジャーの前記軸方向の孔及び前記ロッドの前記孔の内側に配置された抽出器要素(8)と、
f.前記抽出器要素に連結された回復用引張ばね又は圧縮ばね(9)と、
を備え、
前記抽出器要素は、一部分が前記針ホルダーの方向へ突出して前記プランジャーによって囲まれた前進位置(A)と、前記ロッドの中に完全に引き込まれ、前記針ホルダー4から離れて位置する引き込み位置(B)と、から変位できるように移動可能であり、
前記抽出器要素は、前記前進位置で突出して前記針ホルダーの内部空洞と係合して前記抽出器要素を針ホルダーに結合する雄突起(10)と、前記プランジャーと前記抽出器要素との間の連結を規定して前記抽出器要素を前記前進位置に維持し、また前記回復用ばねを引張又は圧縮状態に維持する引っ掛け手段(11)と、を有するものである、注射器であって、
前記プランジャーの軸方向の孔は、前記針ホルダーの上をスライドするように構成されている複数の屈曲可能フランジ(12)によって画定され、前記屈曲可能フランジは、それによって外側に曲がり前記プランジャーの軸方向の孔を拡張し、それによって前記抽出器要素が前記プランジャーから切り離され、また引き込み位置に向かって引き込まれる、ことを特徴とする、注射器。
【請求項2】
請求項1に記載の注射器において、前記複数の屈曲可能フランジ(12)は、前記注射器の軸方向の中心線に対して0°~-45°の間における角度にわたって屈曲可能である、ことを特徴とする、注射器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の注射器において、前記複数の屈曲可能フランジ(12)は、少なくとも2つの屈曲可能フランジ、好適には、少なくとも3つの屈曲可能フランジからなる、ことを特徴とする、注射器。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか一項に記載の注射器において、前記引っ掛け手段(11)は、前記中空のプランジャー(6)と前記引込要素(8)の両方から延びる相補的な突起である、ことを特徴とする、注射器。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか一項に記載の注射器において、前記針ホルダー(4)の前記内部空洞(5)は、複数の屈曲可能グリップ(13)によって規定され、これらの屈曲可能グリップは、前記抽出器要素(8)の雄突起(10)の上をスライドするように構成され、前記屈曲可能グリップはそれによって外側に曲がり、それによって前記抽出器要素の雄突起が前記針ホルダーの前記内部空洞内に挿入される、ことを特徴とする、注射器。
【請求項6】
請求項5に記載の注射器において、前記複数の屈曲可能グリップ(13)が、プランジャー(6)の軸方向の孔の内部でスライドするように構成され、前記屈曲可能グリップはそれによって内側に曲がり、それによって前記抽出器要素の雄突起(10)が、前記針ホルダー(4)の内部空洞(5)の内部にロックされる、注射器。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の注射器において、前記複数の屈曲可能グリップ(13)は、前記注射器の軸方向の中心線に対して-20°~20°の間における角度にわたって屈曲可能である、ことを特徴とする、注射器。
【請求項8】
請求項5~7のうちいずれか一項に記載の注射器において、前記複数の屈曲可能グリップ(13)は、少なくとも2つの屈曲可能グリップ、好適には、少なくとも3つの屈曲可能グリップからなる、ことを特徴とする、注射器。
【請求項9】
請求項1~7のうちいずれか一項に記載の注射器において、前記針ホルダー(4)は、前記中空のノーズエンド(3)の内部に気密に構成され、前記中空のノーズエンドの内壁と前記針ホルダーの外壁が相補的な円錐形である、ことを特徴とする、注射器。
【請求項10】
請求項1~9のうちいずれか一項に記載の注射器において、さらに、ガスケット(14)を備え、このガスケットは、針ホルダーの端部でプランジャー(6)を囲んで嵌合するものであって、前記プランジャーの外側と円筒状バレル(1)の中空本体(2)の内側との間に嵌合するものであり、当該ガスケットは、少なくとも部分的に複数の屈曲可能フランジ(12)に重なり合う、注射器。
【請求項11】
請求項1~10のうちいずれか一項に記載の注射器において、前記円筒状バレル(1)の中空本体(2)と中空のノーズエンド(3)が単一のユニットとして提供される、ことを特徴とする、注射器。
【請求項12】
請求項1~11のうちいずれか一項に記載の注射器において、前記円筒状バレル(1)の中空本体(2)と中空のノーズエンド(3)が2つの独立したユニットとして提供され、前記中空本体が軸方向の孔を有する嵌合部(15)において延び、この嵌合部の軸方向の孔は、少なくとも中空のノーズエンドを部分的に受け入れるように収容され、さらにこの嵌合部は中空のノーズエンドを円筒状バレルの中空本体に連結する連結手段(16)を備えるように構成されている、ことを特徴とする、注射器。
【請求項13】
請求項1~12のうちいずれか一項に記載の注射器において、前記抽出器要素(8)は、前記プランジャーの内壁と前記抽出器要素の外壁との間に嵌め込まれたシールリング(16)によって、中空のプランジャー(6)の内部で気密性を有する状態で構成されている、ことを特徴とする、注射器。
【請求項14】
請求項1~13のうちいずれか一項に記載の注射器において、前記抽出器要素(8)は、前記中空のプランジャー(6)の内部で気密性を有する状態で構成され、前記中空のプランジャーの内壁と前記抽出器要素の外壁は相補的な円錐形である、ことを特徴とする、注射器。
【請求項15】
注射器キット、好適には、プレフィルド注射器キットであって、前記注射器キットは、注射器アセンブリ(S)及び注入アセンブリ(I)を含み、
前記注射器アセンブリは、
a.中空本体(2)を含む円筒状バレル(1)であり、当該中空本体は注射用液体(L)で少なくとも一部が満たされている、円筒状バレルと、
b.前記円筒状バレルの前記中空本体内に配置された中空のプランジャー(6)と、
c.ロッドであって、その少なくとも一部が前記円筒状バレルの前記中空本体内に延びており、前記ロッド及び前記プランジャーのそれぞれはそれらの内部に延びる軸方向の孔を有している、前記ロッドと、
d.前記プランジャーの前記軸方向の孔と前記ロッドの前記孔の内側に配置された抽出器要素(8)と、
e.前記抽出器要素に連結された回復用引張ばね又は圧縮ばね(9)と、
を備え、また
前記注入アセンブリは、
a.中空のノーズエンド(3)、及び
b.前記ノーズエンドに配置された針ホルダー(4)であって、内部空洞(5)を含む前記針ホルダー、
を備え、
・前記注射器アセンブリ及び前記注入アセンブリは、それぞれ、第1連結部(19)及び第2連結部(16)を備え、前記第1連結部及び第2連結部は、連結状態のキット構成と非連結状態のキット構成の両方を可能にするように構成され、前記連結状態のキット構成は、前記注射器アセンブリと前記注入アセンブリとを気密に連結し、前記針ホルダーの前記内部空洞と前記円筒状バレルの前記中空本体が注射液の通過を可能にする連続チャネルを形成するように構成され、前記非連結状態のキット構成は、前記注入アセンブリを連結せずに注射器アセンブリの気密性を確保する密閉部を含み、
・前記抽出器要素は、一部分が前記第1連結部の方向へ突出して前記プランジャーによって囲まれた前進位置(A)と、前記ロッドの中に完全に引き込まれ、前記第1連結部から離れて位置している引き込み位置(B)と、から変位できるように移動可能であり、
・前記抽出器要素は、前記前進位置で突出して前記針ホルダーの前記内部空洞と係合して前記抽出器要素を針ホルダーに結合する雄突起(10)と、前記プランジャーと前記抽出器要素との間の連結を規定して前記抽出器要素を前記前進位置に維持し、また前記回復用ばねを引張又は圧縮状態に維持する引っ掛け手段(11)と、を有するものである、
該注射器キットであって、
前記プランジャーの軸方向の孔は、前記針ホルダーの上をスライドするように構成された複数の屈曲可能フランジ(12)によって規定され、前記屈曲可能フランジは、それによって外側に曲がり前記プランジャーの軸方向の孔を拡張し、それによって前記抽出器要素が前記プランジャーから切り離され、また引き込み位置に向かって引き込まれる、ことを特徴とする、注射器キット。
【請求項16】
請求項15に記載の注射器キットにおいて、前記注射器アセンブリ(S)及び前記注入アセンブリ(I)のそれぞれの第1連結部(19)及び第2連結部(16)は、互いに気密に連結されている、注射器キット。
【請求項17】
請求項15に記載の注射器キットにおいて、前記注射器アセンブリ(S)及び前記注入アセンブリ(I)のそれぞれの第1連結部(19)及び第2連結部(16)が互いに切り離されており、前記バレル(1)の中空本体(2)が前記注射器アセンブリの第1連結部に嵌められた封止キャップにより気密に密閉されている、注射器キット。
【請求項18】
請求項15~17のうちいずれか一項に記載の注射器キットにおいて、前記複数の屈曲可能フランジ(12)は、前記注射器の軸方向の中心線に対して0°~-45°の間における角度にわたって屈曲可能である、ことを特徴とする、注射器キット。
【請求項19】
請求項15~18のうちいずれか一項に記載の注射器キットにおいて、前記引っ掛け手段(11)は、前記中空のプランジャー(6)と前記引込要素(8)の両方から延びる相補的な突起である、ことを特徴とする、注射器キット。
【請求項20】
請求項15~19のうちいずれか一項に記載の注射器キットにおいて、前記針ホルダー(4)の前記内部空洞(5)は、複数の屈曲可能グリップ(13)によって画定され、これらの屈曲可能グリップは、前記抽出器要素(8)の雄突起(10)の上をスライドするように構成され、前記屈曲可能グリップはそれによって外側に曲がり、それによって前記抽出器要素の雄突起が前記針ホルダーの前記内部空洞内に挿入される、ことを特徴とする、注射器キット。
【請求項21】
請求項20に記載の注射器キットにおいて、前記複数の屈曲可能グリップ(13)が、プランジャー(6)の軸方向の孔の内部でスライドするように構成され、前記屈曲可能グリップはそれによって内側に曲がり、それによって前記抽出器要素(8)の雄突起(10)が、前記針ホルダー(4)の内部空洞(5)の内部にロックされる、注射器キット。
【請求項22】
請求項20又は21に記載の注射器キットにおいて、前記複数の屈曲可能グリップ(13)は、前記注射器の軸方向の中心線に対して-20°~20°の間における角度にわたって屈曲可能である、ことを特徴とする、注射器キット。
【請求項23】
請求項15~22のうちいずれか一項に記載の注射器キットにおいて、前記針ホルダー(4)は、前記中空のノーズエンド(3)の内部に気密に構成され、前記中空のノーズエンドの内壁と前記針ホルダーの外壁が相補的な円錐形である、ことを特徴とする、注射器キット。
【請求項24】
請求項15~23のうちいずれか一項に記載の注射器キットにおいて、さらに、前記注射器はガスケット(14)を備え、このガスケットは、針ホルダーの端部でプランジャー(6)を囲んで嵌合するものであって、前記プランジャーの外側と円筒状バレル(1)の中空本体(2)の内側との間に嵌合するものであり、当該ガスケットは、少なくとも部分的に複数の屈曲可能フランジ(12)に重なり合う、注射器キット。
【請求項25】
請求項15~24のうちいずれか一項に記載の注射器キットにおいて、前記抽出器要素(8)は、前記プランジャーの内壁と前記抽出器要素の外壁との間に嵌め込まれたシールリング(16)によって、中空のプランジャー(6)の内部で気密性を有する状態で構成されている、ことを特徴とする、注射器キット。
【請求項26】
請求項15~25のうちいずれか一項に記載の注射器キットにおいて、前記抽出器要素(8)は、前記中空のプランジャー(6)の内部で気密性を有する状態で構成され、前記中空のプランジャーの内壁と前記抽出器要素の外壁は相補的な円錐形である、ことを特徴とする、注射器キット。
【請求項27】
請求項1~12のいずれかに記載された、対象における注射液の注射のための注射器キットの使用であって、前記注射器アセンブリ(S)と前記注入アセンブリ(I)が、注射に先立たって互いに連結される、注射器キットの使用。
【請求項28】
注射器キット、好適には、プレフィルドキットを製造する方法であって、
・注射器アセンブリを組み立てる又は準備するステップであって、前記注射器アセンブリは、以下のパーツ、すなわち、
a.中空本体(2)を含む円筒状バレル(1)、
b.前記円筒状バレルの前記中空本体内に配置された中空のプランジャー(6)、
c.ロッド(7)であり、その少なくとも一部が前記円筒状バレルの前記中空本体内に延びており、前記ロッド及び前記プランジャーのそれぞれはそれらの内部に延びる軸方向の孔を有している、前記ロッド、
d.前記プランジャーの前記軸方向の孔及び前記ロッドの前記孔の内側に配置された抽出器要素(8)、及び
e.前記抽出器要素に連結された回復用引張ばね又は圧縮ばね(9)、
のパーツを備えるものである、該注射器アセンブリを組み立てる又は準備するステップと、
・針アセンブリを組み立てる又は準備するステップであって、前記針アセンブリは、以下のパーツ、すなわち、
a.中空のノーズエンド(3)、及び
b.前記ノーズエンドに配置された針ホルダー(4)であって、内部空洞(5)を含む前記針ホルダー、
を備えるものであり、
前記注射器アセンブリと前記注入アセンブリは、それぞれ、第1連結部(19)及び第2連結部(20)を備え、前記第1連結部は前記バレルの前記中空本体の気密性を確保するように密閉可能であり、さらに、前記注入アセンブリの前記第2連結部と気密的に連結可能であって、前記針ホルダーの前記内部空洞と前記円筒状バレルの前記中空本体が注射液の通過を可能にする連続チャネルを形成するように構成され、
前記抽出器要素は、一部分が前記第1連結部の方向へ突出して前記プランジャーによって囲まれた前進位置(A)と、及び前記ロッドの中に完全に引き込まれ、前記第1連結部から離れて位置している引き込み位置(B)と、から変位できるように移動可能であり、
前記抽出器要素は、前記前進位置で突出して前記針ホルダーの前記内部空洞と係合して前記抽出器要素を針ホルダーに結合する雄突起(10)と、前記プランジャーと前記抽出器要素との間の連結を規定して前記抽出器要素を前記前進位置に維持し、また前記回復用ばねを引張又は圧縮状態に維持する引っ掛け手段(11)と、を有するものであり、並びに
前記プランジャーの軸方向の孔は、前記針ホルダーの上をスライドするように構成された複数の屈曲可能フランジ(12)によって画定され、前記屈曲可能フランジは、それによって外側に曲がり前記プランジャーの軸方向の孔を拡張し、それによって前記抽出器要素が前記プランジャーから切り離され、また引き込み位置に向かって引き込まれるものである、該針アセンブリを組み立てる又は準備するステップと、
・前記円筒状バレルの前記中空本体の少なくとも一部を注射用液体で満たすステップと、
・前記円筒状バレルの前記中空本体を気密的に密閉するステップと、
を備える、方法。
【請求項29】
請求項18に記載の方法において、前記注射器キットは、請求項15~26のうちいずれか一項に記載のキットである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き込み可能な針を備えた安全注射器に関するものである。
【0002】
より詳細には、本発明は、針引き込み機構を改良した注射器に関するものである。
【背景技術】
【0003】
医療用注射器はこの分野でよく知られており、多種多様なデザインで構成されており、それぞれに特有の利点と用途を有している。ある種の注射器は、医療従事者やその他の人々を偶発的な針刺し事故から保護し、注射器の再使用を防止する役割を果たす、いわゆる安全注射器に関係する。使用済み注射器の再利用に起因する危険やそれらを公共の場で放置することによる問題はよく知られている。近年、多くの政府や安全当局が針刺し事故や再使用防止に着目し始めたように、安全注射器の重要性が増している。
【0004】
しかし、現在の安全注射器に関連する一般的な問題は、その相対的な複雑さ及び/又は分かりにくい操作にある。安全注射器を操作する医療従事者は、針を後退させる機構及び/又は針を注射器内に安全にロックする機構の係合方法をしばしば理解していない。さらに、たとえ機構が係合したとしても、医療従事者は、針が正しく引き込まれたかどうか、及び/又は、当該引き込みが完全に完了したか否かについて確信が持てない。さらに、現在の引き込み機構は、注射器の設計を不必要に複雑にし、その結果、いくつかの他の欠点、例えば、中途半端な水密性及び/又は気密性や不正確な液体投与などの付随的な欠点が内在することとなる。医療従事者が正確な注入量についてもはや確信を持てないため、これらの欠点によって医療従事者はさらに不安になる。
【0005】
引き込み針を備えた安全注射器は、特許文献1(欧州特許出願公開第0505330号:EP 0505330)に例示されている。この注射器は、実用的な針引き込み機構を備えているが、医療従事者は、注射器を正しく操作する方法について詳細な説明を受ける必要がある。通常の注射器の操作は、注射器が空になるまでプランジャーロッドを押すだけであるのに対し、特許文献1にしたがって設計された注射器は、慎重に取り扱う必要がある。最初の押し出しストロークで、注射器は空になる。しかし、引き込み機構を係合させるために、操作者は2回目の押し出しストロークにおいて、プランジャーロッドを意識的にさらに押す必要がある。この2回目の押し出し操作の必要性は、直感的でないだけでなく、針の引き込みの係合がいつ行われているかについて、また、針の引き込みが完全に完了しているか否かについて、非常に分かりにくい。それに加えて、特許文献1に係る引き込み機構の係合動作は2段階である。まず、針ホルダーが抽出器要素に結合され、第2段階ではじめて引き込み機構が係合して実際に針が引き込まれる。したがって、操作者が、意図的に又は意図せずに、引き込み機構の係合のみを行う可能性がある。
【0006】
別の安全注射器は特許文献2(米国特許第5,190,526号:US 5190526)に開示されている。注射器バレルの壁が複数の球状ベアリングにフィットするように成形されているため、引き込み機構は非常に複雑である。一般的ではない注射器バレルの形状によってプランジャーとバレルとの間のシーリングの水密性及び/又は気密性が低下することは不可避であり、液体投与の量的精度を大幅に低下させる。したがって、特許文献2に係る注射器を操作する医療従事者は、注入された正確な容量について確信が持てないだろう。それに加え、特許文献2の引き込み機構は2段階の引き込みからなるため、操作者は引き込み機構が正しく係合したか否かに確信が持てないだろう。また、特許文献3(国際公開第91/03269号:WO 91/03269)及び特許文献4(欧州特許出願公開第2,229,968号:EP 2229968)は、安全な引き込み機構を有する注射器を記載している。特許文献5(特表平5-503437号:JP H05 503437)には、プレフィルド注射器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0505330号明細書
【特許文献2】米国特許第5,190,526号明細書
【特許文献3】国際公開第91/03269号パンフレット
【特許文献4】欧州特許出願公開第2,229,968号明細書
【特許文献5】特表平5-503437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した問題点や欠点の少なくとも一部を解決することを目的とする。
【0009】
本発明およびその実施形態は、上述した欠点の1つ又は複数に対する解決策を提供するために使える。このため、本発明は、医療従事者、又はその他の人々にとって直感的に操作可能であるという利点を有する、請求項1に記載の改良された針引き込み機構を備えた注射器に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、通常の注射器と同様に操作することができ、注射器が空になるとすぐに、引き込み機構が自動的に係合する。プランジャーに屈曲可能フランジを設けることにより、引き込み機構は、通常の注射器の操作と変わらない1回の流体移動動作で係合可能になる。したがって、本発明に係る注射器は、引き込み係合が正しく及び/又は完全に行われたか否かについて操作者に疑念を抱かせることがなく、また、操作者が注射器を再使用できない状況にする。さらに、バレルに対する量的調整が必要ないため、注射の量的な正確さが最適に維持される。
【0011】
本装置の好ましい実施形態は、請求項2から14のいずれかに示すとおりである。
【0012】
また、本発明は、注射器キット、好ましくは請求項15に記載の針引き込み機構付きプレフィルド注射器キットに関するものであり、この注射器キットは、すぐに使用でき、安全に使用でき、医療従事者やその他の人々にとって直感的に操作可能であるという利点を有している。
【0013】
本発明は、通常の注射器と同様に操作することができ、注射器が空になるとすぐに引き込み機構が自動的に係合するという利点がある。プランジャーに屈曲可能フランジを設けることにより、引き込み機構は、通常の注射器の操作と変わらない1回の流体移動動作で係合可能になる。したがって、本発明に係る注射器キットは、引き込み係合が正しく及び/又は完全に行われたか否かについて操作者に疑念を抱かせることがなく、また、操作者が注射器を再使用できない状況にする。さらに、バレルに対する量的調整が必要ないため、注射の量的な正確さが最適に維持される。注射器キットは、注射器アセンブリと注入アセンブリの2つの部分で構成されており、さらに、この注射器キットを組立と分解の両方が可能なキット構成にできるという利点も有する。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態では、注射器は、プレフィルド注射器である。
【0015】
注射器キットの好ましい実施形態は、従属請求項のいずれかに示されている。
【0016】
また、本発明は、請求項27に記載の注射器キットの使用方法に関するものである。
【0017】
最後の態様として、本発明は、請求項28に記載の注射器キットの製造方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】針引き込み機構の係合前の前進位置における本発明の実施形態に係る注射器の全体図である。
【
図1B】針引き込み機構の係合後の引き込み位置における本発明の実施形態に係る注射器の全体図である。
【
図2A】針引き込み機構の係合前における本発明の実施形態に係る注射器の針引き込み機構を示す詳細図である。
【
図2B】針引き込み機構の係合中における本発明の実施形態に係る注射器の針引き込み機構を示す詳細図である。
【
図2C】針引き込み機構の係合動作がさらに進んだ時点における本発明の実施形態に係る注射器の針引き込み機構を示す詳細図である。
【
図3】抽出器要素と中空のプランジャーとの間に嵌め込まれたシールリングを含む、本発明の実施形態に係る注射器の針引き込み機構を示す詳細図である。
【
図4】抽出器要素と中空のプランジャーの間に嵌め込まれたシールリングと交換可能な針ホルダーのための嵌合部とを含む、本発明の実施形態に係る注射器の針引き込み機構を示す詳細図であり、
【
図5】針引き込み機構の係合前の前進位置における本発明の実施形態に係る注射器キットの全体図を示す。
【
図6】針引き込み機構の係合後の引き込み位置における本発明の実施形態に係る注射器キットの全体図である。
【
図7】針ホルダーの中空のノーズエンドが内部環状リングをさらに備えている本発明の実施形態を示す図である。
【
図8】抽出器要素がデッドスペースフィラーをさらに備え、プランジャーの内面が環状リングを備えている本発明の実施形態を示す図である。
【
図9】複数のばね保持フィンを備えたプランジャーキャップおよび引込要素を示しており、これらのフィンは、回復用引張ばねの近位端及び遠位端をそれぞれプランジャーキャップ及び抽出器要素に保持する。
【
図10】針ホルダーの外面とバレルの中空ノーズの内面との間にガスケットを設けたものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、針引き込み機構を改良した注射器に関するものである。
【0020】
特に定義しない限り、技術用語及び科学用語を含む、本発明を開示する際に使用されるすべての用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるような意味を有する。さらなる指針として、本発明の教示をよりよく理解するために、用語の定義が含まれる。
【0021】
本明細書で使用される以下の用語は、以下の意味を有する。
【0022】
本明細書で使用される「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに異なる場合を除き、単数及び複数の両方を指し示す語である。例として、「a compartment」は、1つ又は2つ以上の区画を指す。
【0023】
本明細書で使用される"comprise"、"comprising"、及び "comprises"、"comprised of "は、"include"、"including"、"includes"、又は "contain"、"containing"、"contains"と同義であり、例えば部品に続くものの存在を特定する包摂的又はオープンエンドな用語であって、当該技術分野で知られているか又はそこに開示されている、追加的で特定されていない部品、特徴、要素、部材、ステップの存在を排除又は除外するものではない。
【0024】
さらに、本明細書及び特許請求の範囲における第1、第2、第3などの用語は、指定されない限り、同様の複数の要素を区別するために使用され、必ずしも逐次的又は経時的な順序を記述するために使用されるわけではない。このように使用される用語は、適当な場合には交換可能であり、ここに記載される本発明の実施形態は、ここに記載又は説明される以外の順序で動作可能であることが理解されよう。
【0025】
境界値で特定された数値範囲の記載は、記載された境界値だけでなく、その範囲に含まれるすべての数値および端数を含む。
【0026】
グループを形成する構成要素のうちの1つ、2つ以上、又は、少なくとも1つなどのように、「1つ又は2つ以上」、「少なくとも1つ」という用語は、それ自体明確であるが、さらなる例示によって、この用語は、特に、前記構成要素のうちの任意の1つ、例えば、前記構成要素のうちの任意の≧3、≧4、≧5、≧6又は≧7などのような、前記構成要素のうちの任意の2つ又は3つ以上を含むものであり、さらに、前記構成要素のすべてまでも含むものであることを意味する。
【0027】
本発明の第1の態様は、改良された針引き込み機構を有する注射器に関するものであり、
a.中空本体及び中空のノーズエンドを含む円筒状バレルと、
b.前記ノーズエンドに配置された針ホルダーであって、内部空洞を含む前記針ホルダーと、
c.前記円筒状バレルの前記中空本体内に配置された中空のプランジャーと、
d.前記プランジャーに連結された、又は、前記プランジャーと一体となった、前記円筒状バレルの前記中空本体内に延びたロッドであって、前記ロッド及び前記プランジャーのそれぞれはそれらの内部に延びる軸方向の孔を有している、前記ロッドと、
e.前記プランジャーの前記軸方向の孔及び前記ロッドの前記孔の内側に配置された抽出器要素と、
f.前記抽出器要素に連結された回復用引張ばね又は圧縮ばねと、
を備え、
前記抽出器要素は、一部分が前記プランジャーの遠位端を越えて突出して又はプランジャーから前記針ホルダーの方向へ突出して前記プランジャーによって囲まれた前進位置と、前記ロッドの中に完全に引き込まれ、前記針ホルダーから離れて位置する引き込み位置と、から変位できるように移動可能であり、前記抽出器要素は、前記前進位置で前記プランジャーの遠位端を越えて突出して又は前記プランジャーから突出して、前記針ホルダーの内部空洞と係合して前記抽出器要素を針ホルダーに結合する雄突起と、前記プランジャーと前記抽出器要素との間の連結を規定して前記抽出器要素を前記前進位置に維持するとともに前記回復用ばねを引張又は圧縮状態に維持する引っ掛け手段を有し、前記プランジャーの軸方向の孔は、前記針ホルダーの上をスライドするように構成された複数の屈曲可能フランジによって画定され、前記屈曲可能フランジは、それによって外側に曲がり前記プランジャーの軸方向の孔を拡張し、それによって前記抽出器要素が前記プランジャーから切り離され、また引き込み位置に向かって引き込まれる、注射器に関するものである。
【0028】
本発明の文脈では、「注射器」という用語は、「バレル」と呼ばれる円筒状のチューブ内にしっかりと嵌められている「プランジャー」又は「ピストン」を含む単純な往復ポンプに関するものである。プランジャーは、バレルの内側に沿って直線的に引いたり押したりすることができ、これにより、注射器がバレルのノーズエンドに位置する吐出オリフィスを通して液体を取り込んだり排出したりすることができるように構成されている。本発明によれば、ノーズエンドには針ホルダーが装着され、この針ホルダーは針、例えば皮下注射針、から構成される。ここに記載されるような注射器は、臨床医学において、注射を行うため、又は、点滴を血流に注入するために頻繁に使用される。
【0029】
「針引き込み機構」という用語は、注射器の再使用を防止し、及び/又は、針刺し事故のリスクを低減するために、注射器内の針を含む針ホルダーを自動的に引き込むことを可能とする全ての機構を指す。
【0030】
「プランジャー」及び「ロッド」という用語、特に「前記ロッドに連結された前記プランジャー」という文言は、1個の要素ないし複数の要素のいずれとも解釈される必要があり、これらはいずれも当該技術分野で知られている。特に、プランジャーとロッドは、1個の要素として提供することができ、一方で、一般的には連結手段を用いて相互連結される独立した要素として構成することもできる。
【0031】
「抽出器要素」という文言は、針を抽出して注射器内に引き入れる引き込み機構の特定の要素に関するものである。本発明によれば、実際の引き込みは、「回復用引張又は圧縮ばね」によって達成され、この構成から、注射器の使用中は、ばねが引っ張られた状態又は圧縮された状態にあり、引き込み機構の係合時に、圧縮又は伸長して休止状態になり、それによって抽出器要素及びそれに結合した針ホルダーが引き込まれることが示される。この文脈では、引き込み前の位置は「前進位置」と呼ばれ、引き込み後の位置は「引き込み位置」と呼ばれる。
【0032】
「引っ掛け手段」という用語は、2つ又は3つ以上の要素を相互連結させ、かつ、元に戻せることができるあらゆる手段に関するものである。具体的な引っ掛け手段としては、相補的な凸部、及び/又は凹部、摩擦や粘着力の高い部分などがある。
【0033】
ここでの「屈曲可能フランジ」という文言は、プランジャーから針ホルダーの方向に延びる任意の屈曲可能な部品に関するものであり、その屈曲の性質は、例えば、変形可能な材料の提供、フランジを所定の薄さにすることなどの結果によるものである。
【0034】
本発明に係る注射器は、針の引き込み機構が大幅に改善されており、医療従事者やその他の人々にとって直感的に操作できるという利点がある。本発明は、通常の注射器と同様に操作することができ、注射器が空になるとすぐに、引き込み機構が自動的に係合する。当該技術分野で知られているセルフロック式注射器は、一般に、機構を係合させるために、操作者が複数のステップ、及び/又は、追加のステップを行うことを必要とする。すなわち、注射器は既に空になっているが、プランジャーをさらに前方に押し出されなければならず、針ホルダーの抽出器要素への結合と抽出器要素のプランジャーからの切り離しを別々の動きとして行うことなどが必要である。しかし、本発明では、プランジャーに屈曲可能フランジを設けることにより、通常の注射器の操作と変わらない1回の流体移動動作で引き込み機構を係合させることができる。抽出器要素の雄突起の遠位端はほぼ円錐形の形状であって、針ホルダーの屈曲可能グリップがスライドできる急角度を構成し、これにより、前記雄突起に係合するために前記屈曲可能グリップが少し曲がるだけで十分である。さらに、前記針ホルダーの屈曲可能グリップによって形成される針ホルダーの空洞への入り口は、雄突起の遠位端に相補的な円錐形のくぼみによって特徴づけられる。このようにして、使用者によって感じられる知覚可能な抵抗は、好都合なことに、最小に保たれる。また、針ホルダーの屈曲可能グリップの外周は、実質的に角度の付いた外面を備えており、これによって、好都合なことに、中空のプランジャーの屈曲可能フランジが針ホルダーの前記角度の付いた外面の上に乗り上げるときに使用者が感じる抵抗をさらに減少させることが可能になる。注射器の操作中に使用者に与えられる唯一の触覚フィードバックは、プランジャーがバレルの端部に到達することと、針の引き込み時に引き込みばねに対する抽出器要素の衝撃である。その結果、本発明に係る注射器が、引き込みが正しく及び/又は完全に行われたか否かについて操作者に疑念を抱かせることはなく、操作者が注射器を再使用する可能性をなくす。その結果、針刺し事故の危険性が排除され、再使用が効果的に防止される。さらに、バレルの量的調整が不要なため、注射の量的な正確さが最適に保たれる。
【0035】
好ましくは、前記複数の屈曲可能フランジは、注射器の軸方向の中心線に対して0°~-45°の間における角度にわたって屈曲可能とする。屈曲可能フランジが前述の角度にわたって屈曲することにより、抽出器要素を1回の流体移動動作でプランジャーから切り離すことが可能となる。屈曲可能フランジが注射器の軸方向の中心線に対して例えば-40°の角度で曲げられることにより、抽出器要素が中空のプランジャーの内部で確実にロックされることになり、そこでは、回復用引張又は圧縮ばねが引張又は圧縮状態に維持される。針ホルダーがプランジャーの軸方向の空洞に実質的に入り、それによって屈曲可能フランジが注射器の軸方向の中心線に対して例えば-5°の角度まで開くとすぐに、抽出器要素はプランジャーから解放される。その結果、回復用引張又は圧縮ばねがそれぞれ圧縮又は伸長し、それぞれ中空のプランジャーの内部の針ホルダーに結合された抽出器要素を引っ張り又は押し、それによって注射器の内部の針を安全にロックアウトする。
【0036】
より好ましくは、前記複数の屈曲可能フランジを、注射器の軸方向の中心線に対して0°~-40°の間における角度にわたって屈曲可能とする、より好適には、注射器の軸方向の中心線に対して0°~-35°、5°~-35°、5°~30°、又は10°~30°の間における角度にわたって屈曲可能とする。
【0037】
さらなる又は別の実施形態によれば、前記複数の屈曲可能フランジは、少なくとも2つの屈曲可能フランジから構成される。2つの屈曲可能フランジが存在することにより、抽出器要素を中空のプランジャーの内部の所定の位置に保持することができる。屈曲可能フランジの間に針ホルダーを入れると、プランジャーの軸方向の孔が均等かつ対称的に拡張され、それによって、注射器内部で抽出器要素と抽出器要素と結合された針ホルダーをまっすぐに引っ込めることができる。ここに記載された構成により、操作者が針引き込み機構を係合することができ、操作者はわずかな抵抗に気づく程度である。したがって、本発明に係る注射器の操作は、通常の注射器の操作と比較して、操作者に顕著な違いを感じさせない。その結果、本発明に係る注射器の操作は、医療従事者または他の人々にとって特に直感的である。
【0038】
好ましくは、前記複数の屈曲可能フランジを、少なくとも3つの屈曲可能なフランジ、より好適には、少なくとも4つの屈曲可能フランジ、少なくとも5つの屈曲可能フランジ、又は、少なくとも6つの屈曲可能フランジから構成する。
【0039】
いくつかの実施形態では、引っ掛け手段は、中空のプランジャーと抽出器要素の両方から延びる相補的な突起である。このような突起を設けることで、屈曲可能フランジを外側に広げることにより中空のプランジャーから抽出器要素を滑らかに切り離すことが可能となる。
【0040】
さらなる又は別の実施形態によれば、針ホルダーの前記内部空洞は、複数の屈曲可能グリップによって規定され、これらのグリップは、抽出器要素の雄突起の上をスライドするように構成され、前記屈曲可能グリップはそれによって外側に曲がり、それによって抽出器要素の雄突起は、針ホルダーの内部空洞の内部に挿入される。抽出器要素の針ホルダーへの連結は特に滑らかであり、そのために、本発明に係る注射器の操作は、通常の注射器の操作と比較して、操作者に顕著な違いを感じさせない。一方で、提供された屈曲可能グリップにより、抽出器要素が針ホルダーに頑丈かつ不可逆的に結合させることができる。したがって、この針引き込み機構により、注射器内の針を含む針ホルダーの効果的な引き込みが確実になる。
【0041】
好ましくは、複数の屈曲可能なグリップを、プランジャーの軸方向の孔の内部をスライドするように構成し、前記屈曲可能グリップがそれによって内側に曲がり、それによって、抽出器要素の雄突起が針ホルダーの内部空洞の内部にロックされる。引き込み機構の係合時に、注射器の内側に向かって屈曲可能グリップが前述のように屈曲することで、針を含む針ホルダーに抽出器要素を頑丈に結合することがさらに確実になる。この結合は、引き込み開始後に特に効果を発揮し、雄突起が針ホルダーの内部空洞から不注意に切り離されることを防止する。
【0042】
さらなる又は別の実施形態によれば、前記複数の屈曲可能グリップは、前記注射器の軸方向の中心線に対して-20°~20°の間における角度にわたって屈曲可能である。前記複数の屈曲可能グリップを前記注射器の軸方向の中心線に対して例えば15°の角度にわたって屈曲可能とすることで、針ホルダーの内部空洞内への抽出器要素の雄突起の円滑な挿入が確実になる。針ホルダーがプランジャーの軸方向の空洞に実質的に入り、それによって屈曲可能フランジが開くとすぐに、フランジは、注射器の軸方向の中心線に対して例えば-15°の角度に曲がって、屈曲可能グリップを押し戻す。これにより、雄突起が不可逆的に結合されることが確実となり、それにより、雄突起が針ホルダーの内部空洞から不注意に切り離されることが防止される。
【0043】
好ましくは、前記複数の屈曲可能グリップを、注射器の軸方向の中心線に対して-15°~15°の間における角度にわたって、より好ましくは注射器の軸方向の中心線に対して-10°~10°、-5°~10°、又は、-5°~5°の間における角度にわたって屈曲可能とする。
【0044】
いくつかの実施形態において、前記複数の屈曲可能グリップは、少なくとも2つの屈曲可能グリップから構成される。2つの屈曲可能グリップが存在することにより、針ホルダーの内部空洞が均等かつ対称的に拡張され、それにより、針ホルダーの内部空洞の内部に雄突起が真っ直ぐに入り込むことができる。加えて、さらに引き込むと、針ホルダーの内部空洞は、雄突起の周りで均等かつ対称的に狭められ、それにより、抽出器要素を針ホルダーに安全に結合させることができる。ここに記載された構成により、操作者が針引き込み機構を係合することができ、操作者はわずかな抵抗に気づく程度である。したがって、本発明に係る注射器の操作は、通常の注射器の操作と比較して、操作者に顕著な違いを感じさせない。その結果、本発明に係る注射器の操作は、医療従事者または他の人々にとって特に直感的である。
【0045】
好ましくは、前記複数の屈曲可能グリップを、少なくとも3つの屈曲可能グリップ、より好ましくは少なくとも4つの屈曲可能グリップ、少なくとも5つの屈曲可能グリップ、又は少なくとも6つの屈曲可能グリップで構成する。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、針ホルダーは中空のノーズエンドの内部で気密に構成され、中空のノーズエンドの内壁と針ホルダーの外壁は相補的な円錐形である。
【0047】
本発明に係る注射器は、いくつかの実施形態によれば、ガスケットを備え、このガスケットは、針ホルダーの端部でプランジャーを囲んで嵌合するものであって、プランジャーの外側と円筒状バレルの中空本体の内側との間に嵌合するものであり、当該ガスケットは、少なくとも部分的に複数の屈曲可能フランジに重なっている。
【0048】
本発明に照らして、「ガスケット」という用語は、2つ又は3つ以上の嵌合面の間の空間を埋めるメカニカルシールに関するものであり、一般的には、圧縮された状態で接合物から又は接合物への漏れを防止するためのものである。本例では、ガスケットはプランジャーの外側と円筒状バレルの中空本体の内側との間に嵌め込まれている。
【0049】
このガスケットは、注射器を水密及び気密にするという基本的な目的を果たす一方で、このガスケットは、さらに、屈曲可能フランジの拡張及び/又は屈曲可能グリップの拡張に対抗して作用する十分な抵抗も提供する。その結果、このガスケットによって、針ホルダー上の屈曲可能フランジの拡張量が適切になるので、及び/又は、抽出器要素の雄突起上の屈曲可能グリップの圧縮量が適切になるので、抽出器要素の針ホルダーへの一段階結合と中空のプランジャー内での上述の2つの構成の引き込みがさらに改善される。
【0050】
いくつかの実施形態では、中空本体と円筒状バレルの中空のノーズエンドは、単一ユニットとして提供される。このような実施形態の場合、注射器は単一のタイプの針ホルダー及び/又は単一のタイプの針だけを装着することが可能になる。とりわけ、このような注射器は、プレフィルド注射器や使い捨て注射器などを含む。前記実施形態は、注射器を実際に壊すことなく針ホルダーを注射器から一切取り外すことができないので、特に好都合である。
【0051】
いくつかの実施形態では、円筒状バレルの中空本体と中空のノーズエンドは、2つの独立したユニットとして提供され、中空本体は軸方向の孔を有する円筒形又は円錐形の嵌合部おいて延び、この嵌合部の軸方向の孔は、少なくとも中空のノーズエンドを部分的に受け入れるように収容され、さらにこの嵌合部は中空のノーズエンドを円筒状バレルの中空本体に連結する連結手段によって構成されている。注射器の使用前に、前記実施形態の場合、注射器の中空のノーズエンドに装着される特定の針ホルダー、特に特定の針を選択することが可能になる。中空のノーズエンドを円筒状バレルの中空本体に結合することにより、一旦結合された針ホルダーを注射器から取り外すことはできないが、注射前であれば操作者に針を選択する余地が残される。
【0052】
さらなる又は別の実施形態によれば、抽出器要素は、プランジャーの内壁と抽出器要素の外壁との間に装着されたシールリングによって、中空のプランジャーの内部で気密に構成されている。プランジャーと抽出器要素の間に装着されたシールリングにより、抽出器要素がプランジャーに結合されている限り、圧力が失われないことを確実とする。注射器が完全に空になり、引き込み機構が係合すると、シールリングがそれらの間に装着されていない状態となり、その結果、圧力が失われる。
【0053】
いくつかの実施形態では、回復用ばねは回復用引張ばねであり、ロッドの孔内に配置され、抽出器要素に連結される。これらの実施形態において、回復用引張ばねは、ロッドの長さに沿って延びていてもよい。あるいは、いくつかの実施形態において、回復用ばねは回復用圧縮ばねである。このような回復用圧縮ばねを、針ホルダーの側で、抽出器要素と中空のプランジャーとの間に装着してもよい。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、屈曲可能フランジは、600~2000N/mm2、より好適には600~2500N/mm2の間における弾性率を有する材料から構成する。この範囲内であれば、望ましい曲げ量が達成され、本発明に係る改良された引き込み機構の円滑な動作が可能になる。ここで、「弾性率」という用語は、応力が加えられたときに、物体又は物質が弾性的に(つまり、半永久的に)変形させられることに対する抵抗を示す尺度として解釈される必要である。物体の弾性率は、弾性変形領域における応力-ひずみ曲線の傾きとして定義される。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態に係る屈曲可能フランジは、少なくとも15N/mm2、より好適には少なくとも20N/mm2の極限引張強度、すなわち破断時の引張強度を有する材料から構成する。このようにすることで、屈曲可能フランジは、引き込み機構によってフランジに加わる様々な応力に対し突き破ることなく耐えることができる。「極限引張強度」又は「破断時の引張強度」という文言は、材料が破断する前に伸張又は引っ張られている間に耐えることができる最大応力として解釈される。極限引張強度は、通常、引張試験を行い、応力-ひずみ曲線を記録することによって決定される。
【0056】
好ましくは、屈曲可能フランジを、600~2000N/mm2、より好適には600~2500N/mm2の間における弾性率を有し、また少なくとも15N/mm2、より好適には少なくとも20N/mm2の極限引張強度を有する材料から構成する。その結果、屈曲可能フランジの曲げ量と極限引張強度の間の最適なバランスが見つかり、そのため、中空のプランジャーからの抽出器要素の円滑な解放が達成される。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、屈曲可能グリップは、600~2000N/mm2、より好適には600~2500N/mm2の間における弾性率を有する材料から構成する。この範囲内であれば、針ホルダーの屈曲可能グリップの望ましい曲げ量が達成され、本発明に係る改良された引き込み機構の円滑な動作が可能になる。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態に係る屈曲可能グリップは、少なくとも15N/mm2、より好適には少なくとも20N/mm2の極限引張強度又は破断時の引張強度を有する材料から構成する。このようにすることで、屈曲可能グリップは、引き込み機構によってグリップに加わる様々な応力に対し突き破ることなく耐えることができる。
【0059】
好ましくは、屈曲可能グリップを、600~2000N/mm2の間における、より好適には600~2500N/mm2の間における弾性率を有する材料から構成し、また少なくとも15N/mm2、より好適には少なくとも20N/mm2の極限引張強度を有する材料から構成する。その結果、屈曲可能グリップの曲げ量と極限引張強度の間の最適なバランスが見つかり、そのため、抽出器要素の雄突起の針ホルダーへの滑らかな結合が達成される。
【0060】
いくつかの実施形態では、抽出器要素は中空のプランジャーの内部で気密に構成されており、中空のプランジャーの内壁と抽出器要素の外壁は相補的な円錐形である。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態では、注射器はプレフィルド注射器である。
【0062】
さらなる態様において、本発明は、注射器キットに関するものであり、好適には、プレフィルド注射器キットに関するものであり、前記注射器キットは、注射器アセンブリ及び注入アセンブリを含み、前記注射器アセンブリは、
a.中空本体を含む円筒状バレルであって、当該中空本体は注射用液体で少なくとも一部が満たされている、円筒状バレルと、
b.前記円筒状バレルの前記中空本体内に配置された中空のプランジャーと、
c.前記プランジャーに連結された、又は、前記プランジャーと一体であり、前記円筒状バレルの前記中空本体内に延びているロッドであって、前記ロッド及び前記プランジャーのそれぞれはそれらの内部に延びる軸方向の孔を有している、前記ロッドと、
d.前記プランジャーの前記軸方向の孔と前記ロッドの前記孔の内側に配置された抽出器要素と、
e.前記抽出器要素に連結された回復用引張ばね又は圧縮ばねと、
を備え、また
前記注入アセンブリは、
a.中空のノーズエンド、及び
b.前記ノーズエンドに配置された針ホルダーであって、内部空洞を含む前記針ホルダー、
を備え、
・前記注射器アセンブリ及び前記注入アセンブリは、それぞれ、第1連結部及び第2連結部を備え、前記第1連結部及び第2連結部は、連結状態のキット構成と非連結状態のキット構成の両方を可能にするように構成され、前記連結状態のキット構成は、前記注射器アセンブリと前記注入アセンブリとを気密に連結し、前記針ホルダーの前記内部空洞と前記円筒状バレルの前記中空本体が注射液の通過を可能にする連続チャネルを形成するように構成され、前記非連結状態のキット構成は、前記注入アセンブリを連結せずに注射器アセンブリの気密性を確保する密閉部を含み、
・前記抽出器要素は、一部分が前記プランジャーの遠位端を越えて突出して又は前記プランジャーから前記第1連結部の方向へ突出して前記プランジャーによって囲まれた前進位置と、前記ロッドの中に完全に引き込まれ、前記第1連結部から離れて位置する引き込み位置と、から変位できるように移動可能であり、
・前記抽出器要素は、前記前進位置で前記プランジャーの遠位端を越えて又は前記プランジャーから突出して、前記針ホルダーの前記内部空洞と係合して前記抽出器要素を針ホルダーに結合する雄突起と、前記プランジャーと前記抽出器要素との間の連結を規定して前記抽出器要素を前記前進位置に維持し、また前記回復用ばねを引張又は圧縮状態に維持する引っ掛け手段と、を有するものである、
該注射器キットであって、
前記プランジャーの軸方向の孔は、前記針ホルダーの上をスライドするように構成された複数の屈曲可能フランジによって規定され、前記屈曲可能フランジは、それによって外側に曲がり前記プランジャーの軸方向の孔を拡張し、それによって前記抽出器要素が前記プランジャーから切り離され、また引き込み位置に向かって引き込まれる。
【0063】
本発明の文脈では、「注射器アセンブリ」および「注入アセンブリ」という用語は、ここで記載される「注射器キット」の2つの異なる部分に関するものである。本発明のキットは、組み立てられたキット構成と分解されたキット構成の両方になり得るので、便宜のため、組み立てられた構成及び/又はその使用時の状態にある注射器キットを「注射器」と称する。
【0064】
本発明に係る注射器キットは、針引き込み機構が大幅に改善されており、すぐに使用でき、安全に使用でき、医療従事者やその他の人々にとって直感的に操作可能であるという利点を有している。本発明は、通常の注射器と同様に操作することができ、注射器が空になるとすぐに、引き込み機構が自動的に係合する。
【0065】
いくつかの実施形態では、それぞれの注射器アセンブリ及び注入アセンブリのそれぞれの第1連結部及び第2連結部は、互いに気密に連結されている。この特定の実施形態は、組み立てられたキットの構成を関するものであり、そのように製造及び/又は供給することができる。特に、注射器製造業者は、注射器アセンブリ及び注入アセンブリを製造し、その後、バレルの中空本体に注射用液体を充填し、注射器アセンブリを注入アセンブリに気密に連結し、それによって注射用液体を連結状態の注射器キット内に閉じ込めることができる。ここに記載の注射器キットは、ある特定の注射液がある特定の針の使用を選好する場合に、特に好都合であり、注射器キットはすぐに使用可能な状態となる。この点で、このキットは、適切な針を既に備えており、針の選択について、及び、キットの操作方法について、使用者に疑念を抱かせることがない。
【0066】
いくつかの実施形態では、それぞれの注射器アセンブリ及び注入アセンブリのそれぞれの第1連結部及び第2連結部は互いに切り離されており、バレルの中空本体は、注射器アセンブリの第1連結部に装着された封止キャップによって気密に密閉されている。この特定の実施形態は、分解されたキットの構成に関するものであり、そのように製造及び/又は供給することができる。特に、注射器製造業者は、注射器アセンブリと多数の注入アセンブリを製造し、その後、バレルの中空本体に注射用液体を充填し、封止キャップによってバレルの中空本体を気密に密閉することができる。ここに記載の注射器キットは、特定の注射液が使用されるが、針の選択がまだ確定していない場合に特に好都合である。こうすることで、針の選択をすぐに決定する必要がないため、製造者とエンドユーザーの両方にさらなる選択の自由が与えられる。特に、注射器キットは、注射器アセンブリと1つの注入アセンブリとして提供することができ、使用者は使用前に封止キャップを取り外し、両方のアセンブリを互いに連結する必要がある。そして、使用者が製造業者から針キットを購入するまで針の選択を遅らせることになる。あるいは、注射器キットは、注射器アセンブリと複数の異なる注入アセンブリとして提供され、使用者は、使用直前に、すなわち、注射器アセンブリと選択した注入アセンブリとを互いに連結することによって、注入アセンブリを選択することが可能である。
【0067】
注射器キットが注射器アセンブリと注入アセンブリを別々に備えている利点として、パッケージの選択肢が多様になり、使用者の使い勝手をさらに向上させる。注射器キットは、1つのパッケージとすることができるし、注射器アセンブリと注入アセンブリを別々にパッケージすることもできる。この点、複数の注射器アセンブリ及び/又は注入アセンブリをいわゆる「ネスト」としてパッケージすることは、安全なパッケージ方法と考えられている。
【0068】
一実施形態において、ここに記載の注射器キットは、キットの文脈で、上記の実施形態の1つに記載され、ここで再掲されると考えられるような針引き込み機構を有する注射器を提供する。
【0069】
本発明はまた、対象における注射液の注射のための(プレフィルド)注射器キットの使用に関するものでもあり、ここで、注射器アセンブリと注入アセンブリは注射に先立って互いに連結される。
【0070】
本発明の最後の態様は、注射器キット、好適にはプレフィルド注射器キットの製造方法に関するものであり、当該製造方法は、
・注射器アセンブリを組み立てる又は準備するステップであって、前記注射器アセンブリは、以下のパーツ、すなわち、
a.中空本体を含む円筒状バレル、
b.前記円筒状バレルの前記中空本体内に配置された中空のプランジャー、
c.前記プランジャーに連結された、又は前記プランジャーと一体となった、前記円筒状バレルの前記中空本体内に延びているロッドであり、前記ロッド及び前記プランジャーのそれぞれはそれらの内部に延びる軸方向の孔を有している、前記ロッド、
d.前記プランジャーの前記軸方向の孔と前記ロッドの前記孔の内側に配置された抽出器要素、及び
e.前記抽出器要素に連結された回復用引張ばね又は圧縮ばね、
のパーツを備えるものである、該注射器アセンブリを組み立てる又は準備するステップと、
・針アセンブリを組み立てる又は準備するステップであって、前記針アセンブリは、以下のパーツ、すなわち、
a.中空のノーズエンド、及び
b.前記ノーズエンドに配置された針ホルダーであって、内部空洞を含む前記針ホルダー、
を備えるものであり、
前記注射器アセンブリと前記注入アセンブリは、それぞれ、第1連結部及び第2連結部を備え、前記第1連結部は前記バレルの前記中空本体の気密性を確保するように密閉可能であり、さらに、前記注入アセンブリの前記第2連結部と気密的に連結可能であって、前記針ホルダーの前記内部空洞と前記円筒状バレルの前記中空本体が注射液の通過を可能にする連続チャネルを形成するように構成され、
前記抽出器要素は、一部分が前記プランジャーの遠位端を越えて突出して又は前記プランジャーから前記第1連結部の方向へ突出して前記プランジャーによって囲まれた前進位置と、前記ロッドの中に完全に引き込まれ、前記第1連結部から離れて位置する引き込み位置と、から変位できるように移動可能であり、
前記抽出器要素は、前記前進位置で前記プランジャーの遠位端を越えて又は前記プランジャーから突出して、前記針ホルダーの前記内部空洞と係合して前記抽出器要素を針ホルダーに結合する雄突起と、前記プランジャーと前記抽出器要素との間の連結を規定して前記抽出器要素を前記前進位置に維持し、また前記回復用ばねを引張又は圧縮状態に維持する引っ掛け手段と、を有するものであり、並びに
前記プランジャーの軸方向の孔は、前記針ホルダーの上をスライドするように構成された複数の屈曲可能フランジによって画定され、前記屈曲可能フランジは、それによって外側に曲がり前記プランジャーの軸方向の孔を拡張し、それによって前記抽出器要素が前記プランジャーから切り離され、また引き込み位置に向かって引き込まれるものである、該針アセンブリを組み立てる又は準備するステップと、
・前記円筒状バレルの前記中空本体の少なくとも一部を注射用液体で満たすステップと、
・前記円筒状バレルの前記中空本体を気密的に密閉するステップと、を備える。
【0071】
本方法は、好ましくは、上述した実施形態の1つに係る注射器キットを製造する。
【0072】
本発明の好適な実施形態では、注射器キットはプレフィルド注射器キットである。
【0073】
特に、充填ステップ及び気密密閉ステップは、複数の注射器アセンブリ及び/又は注入アセンブリがネストされた特定の構成を利用することによって実施することが可能である。いわゆる「ネスト」された構成は、無菌注射器アセンブリを、例えば注射器製造場から注射器充填場へ、安全に出荷するのに特に適している。ネストされた構成は、複数の注射器アセンブリをパッケージ用トレイに配置し、トレイをシート材、例えばTyvekシート、で密閉することからなる。その後、パッケージとその内容物を滅菌してもよい。充填時には、シート材を取り除き、注射器アセンブリを充填ラインに投入する。ここで説明するネストされた構成は、アップサイドダウンの構成でも、ダウンサイドアップの構成のいずれでもよい。いわゆるアップサイドダウンの構成では、バレルの上部の開口部から注射器アセンブリに注射用液体が充填される。その結果、注射器アセンブリは、封止キャップで閉じるか、注入アセンブリで閉じるかのいずれかによることができる。いわゆるダウンサイドアップの構成では、注射器アセンブリはバレルの下部から充填され、そこにプランジャーを挿入することによって閉じることができる。
【0074】
[図の説明]
本発明は、以下の図を用いてさらに説明されるが、これらの図は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を限定する意図はなく、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきものでもない。
【0075】
図1A及び1Bは、本発明の実施形態に係る注射器の全体図である。そこに描かれている注射器は、改良された針引き込み機構を有し、円筒状バレル1を備え、前記バレルは、中空本体2と中空のノーズエンド3とを含んでいる。注射器は、さらに、前記ノーズエンド3に配置された針ホルダー4を備え、前記針ホルダー4には内部空洞5がある。中空のプランジャー6が前記円筒状バレル1の前記中空本体2内に配置され、このプランジャーはロッド7に連結され、このロッドは前記円筒状バレル1の前記中空本体2内に延び、前記ロッド及び前記プランジャーのそれぞれはそれらの内部に延びる軸方向の孔を有している。注射器は、前記プランジャー6の前記軸方向の孔及び前記ロッド7の前記孔の内側に配置された抽出器要素8と、前記ロッド7の前記孔の内側に配置され、前記抽出器要素8に連結された回復用引張ばね9とを備えている。前記抽出器要素8は、一部分が針ホルダー4の方向へ突出してプランジャー6によって囲まれた前進位置と、及び前記ロッド7の中に完全に引き込まれ、前記針ホルダー4から離れて位置する引き込み位置と、から変位できるように移動可能である。また、前記抽出器要素8は、前進位置でプランジャー6から突出して、針ホルダー5の内部空洞と係合し、抽出器要素8を針ホルダー5接合させる雄突起10と、前進位置においてプランジャー6と抽出器要素8との連結を規定し、また回復用ばね9を引っ張った状態に維持する引っ掛け手段11と、を有する。プランジャー6の軸方向の孔は、針ホルダー5の上をスライドするように構成された複数の屈曲可能フランジ12によって画定され、その結果、屈曲可能なフランジ12は外側に屈曲し、プランジャー6の軸方向の孔を拡張し、これにより、抽出器要素8は、プランジャー6から切り離され、また引き込み位置へと引き込まれる。
図1A及び
図1Bは、それぞれ、前進位置と引き込み位置における注射器を示している。ここで示されている注射器は、医療従事者、又はその他の人々にとって直感的に操作可能であるという利点を有する。本発明は、通常の注射器と同様に操作することができ、注射器が空になるとすぐに、引き込み機構が自動的に係合する。特に、屈曲可能フランジ12を設けることにより、引き込み機構は、通常の注射器の操作と変わらない1回の流体移動動作で係合可能になる。さらに、バレル1に対する量的適合化が必要ないため、注射の量的な正確さが最適に確保される。ここに描かれているような屈曲可能フランジ12は、特に、注射器の軸方向中心線に対して0°~-45°の間における角度にわたって曲げることができる。ここに示された注射器は、ガスケット14を備え、このガスケットは、その針ホルダー4の端部においてプランジャー6を取り囲んで嵌合し、当該ガスケット14は、プランジャー6の外側と円筒状バレル1の中空本体2の内側との間に嵌合し、そこで、ガスケット14が複数の屈曲可能フランジ12に少なくとも部分的に重なり合う。ここで示された実施形態では、円筒状バレル1の中空本体2及び中空のノーズエンド3は、単一のユニットとして提供される。抽出器要素8は、プランジャー6の内壁と抽出器要素8の外壁との間にある円錐状嵌合部17によって、中空のプランジャー6の内部で気密性を有する状態で構成されている。
【0076】
図2A、2B、及び2Cは、本発明の実施形態に係る注射器の針引き込み機構が引き込み機構の係合動作によって移動する様子を詳細に示す図である。特に、
図2A~2Cには、中空本体2、中空のノーズエンド3、針ホルダー4、針ホルダー4の内部空洞5、中空のプランジャー6、ロッド7、抽出器要素8、回復引張ばね9、抽出器要素8の雄突起10、プランジャー6と抽出器要素8の間の引っ掛け手段11、及び、中空のプランジャー6の屈曲可能フランジ12からなるバレル1が示されている。さらに、針ホルダー4の内部空洞5は、複数の屈曲可能グリップ13によって画定され、これらのグリップは、抽出器要素8の雄突起10の上をスライドするように構成されており、屈曲可能グリップ13はそれによって外側に曲がり、それによって抽出器要素8の雄突起10は針ホルダー4の内部空洞5の内側に挿入されるようになっている。抽出器要素8の針ホルダー4への連結は特に滑らかであり、そのために、本発明に係る注射器の操作は、通常の注射器の操作と比較して、操作者に顕著な違いを感じさせないものとなっている。一方、設けられた屈曲可能グリップ13は、抽出器要素8を針ホルダー4に頑丈かつ不可逆的に結合できるようになっている。複数の屈曲可能グリップ13は、さらに、プランジャー6の軸方向の孔の内部をスライドするように構成され、屈曲可能グリップ13は、それによって内側に曲がり、それによって、抽出器要素8の雄突起10は、針ホルダー4の内部空洞5の内部にロックされる。引き込み機構の係合時に、上述したように、屈曲可能グリップ13が注射器の内側に向かって屈曲することで、さらに、針21を含む針ホルダー4への抽出器要素8の頑丈な結合が確実となる。ここに描かれている屈曲可能グリップ13は、特に、注射器の軸方向の中心線に対して-20°~20°の間における角度にわたって屈曲可能である。ここに描かれた注射器は、さらに、ガスケット14を備え、このガスケットは、その針ホルダー4の端部においてプランジャー6を取り囲んで嵌合され、当該ガスケット14は、プランジャー6の外側と円筒状バレル1の中空本体2の内側との間に嵌合し、そこで、ガスケット14が複数の屈曲可能フランジ12に少なくとも部分的に重なり合う。ここで示された実施形態では、円筒状バレル1の中空本体2及び中空のノーズエンド3は、単一のユニットとして提供される。抽出器要素8は、プランジャー6の内壁と抽出器要素8の外壁との間にある円錐状嵌合部17によって、中空のプランジャー6の内部で気密性を有する状態で構成されている。特に、
図2Aは、係合直前の引き込み機構を示し、
図2Bは、雄突起10が針ホルダー4の内部空洞5の中にスライドし、それによって抽出器要素8が針ホルダー4に結合される様子を示している。
図2Cは、引き込み機構がさらに進んだ状況を示しており、その際に、中空のプランジャー6の屈曲可能フランジ12が拡張され、それによって抽出器要素8が中空のプランジャー6から解放されており、その間に、屈曲しているグリップ13を内側に曲げることによって雄突起10と針ホルダー4の間の連結を締め付けることが示されている。
【0077】
図3は、本発明の実施形態に係る空の注射器における針引き込み機構の詳細図である。この図には、中空本体2と、中空のノーズエンド3と、針ホルダー4と、針ホルダー4の内部空洞5と、中空のプランジャー6と、ロッド7と、抽出器要素8と、回復用引張ばね9と、抽出器要素8の雄突起10と、プランジャー6と抽出器要素8の間の引っ掛け手段11と、中空のプランジャー6の屈曲可能フランジ12からなるバレル1が示されている。さらに、針ホルダー4の内部空洞5は、複数の屈曲可能グリップ13によって画定され、これらのグリップは、抽出器要素8の雄突起10の上をスライドするように構成されており、前記屈曲可能グリップ13はそれによって外側に曲がり、それによって抽出器要素8の雄突起10は針ホルダー4の内部空洞5の内側に挿入されるようになっている。抽出器要素8の針ホルダー4への連結は特に滑らかであり、そのために、本発明に係る(プレフィルド)注射器キットの操作は、通常の注射器の操作と比較して、操作者に顕著な違いを感じさせないものとなっている。一方、設けられた屈曲可能グリップ13は、抽出器要素8を針ホルダー4に頑丈かつ不可逆的に結合できるようになっている。複数の屈曲可能グリップ13は、さらに、プランジャー6の軸方向の孔の内部をスライドするように構成され、屈曲可能グリップ13は、それによって内側に曲がり、それによって、抽出器要素8の雄突起10は、針ホルダー4の内部空洞5の内部にロックされる。引き込み機構の係合時に、上述したように、屈曲可能グリップ13が注射器の内側に向かって屈曲することで、さらに、針21を含む針ホルダー4への抽出器要素8の頑丈な結合が確実となる。ここに描かれている屈曲可能グリップ13は、特に、注射器の軸方向の中心線に対して-20°~20°の間における角度にわたって屈曲可能である。ここに描かれた(プレフィルド)注射器キットは、さらに、ガスケット14を備え、このガスケットは、その針ホルダー4の端部においてプランジャー6を取り囲んで嵌合され、当該ガスケット14は、プランジャー6の外側と円筒状バレル1の中空本体2の内側との間に嵌合し、そこで、ガスケット14が複数の屈曲可能フランジ12に少なくとも部分的に重なり合う。ここで示された実施形態では、円筒状バレル1の中空本体2及び中空のノーズエンド3は、単一のユニットとして提供される。抽出器要素8は、プランジャー6の内壁と抽出器要素8の外壁との間にある円錐状嵌合部17によって、中空のプランジャー6の内部で気密性を有する状態で構成されている。
【0078】
図4は、交換可能な針ホルダーのための円筒形または円錐形の嵌合部15からなる本発明の実施形態に係る注射器の針引き込み機構の詳細図である。円筒状バレルの中空本体3および中空のノーズエンド2は、2つの独立したユニットとして提供され、中空本体2は、軸方向の孔を有する嵌合部15まで延在している。嵌合部15の軸方向の孔は、中空のノーズエンド3を少なくとも部分的に受け入れるように収容され、この嵌合部15は、さらに、中空のノーズエンド3に一体化した相補的な第2連結部20と連結するための第1連結部19を備え、円筒状バレル1の中空本体2に前記中空のノーズエンド3を連結可能に構成される。これらの構成により、注射器の中空のノーズエンド3に装着される特定の針ホルダー4、特に特定の針21を選択することが可能となる。
【0079】
図5及び
図6は、本発明の実施形態に係る(プレフィルド)注射器キットの全体図である。ここに示されている注射器キットは、(これまでの図に記載されているように)使いやすさと使用時の安全性のために改良された針引き込み機構を有している。注射器キットは、注射器アセンブリSと注入アセンブリIとからなり、後者は、中空のノーズエンド3と、そこに配置された針ホルダー4とから構成されている。針ホルダー4には内部空洞5がある。注射器アセンブリSは、中空本体2を有するバレル1を備え、中空本体2は注射液Lを含み、さらに、前記円筒状バレル1の前記中空本体2の内部に位置する中空のプランジャー6を備え、これはロッド7に連結されており、このロッドは前記円筒状バレル1の中空本体2内に延び、前記ロッド及び前記プランジャーのそれぞれはそれらの内部に延びる軸方向の孔を有している。注射器アセンブリSは、プランジャー6の軸方向の孔とロッド7の孔の内側に配置される抽出器要素8と、前記ロッド7の孔の内部に配置され、抽出器要素8に連結された回復用引張ばね9とを備えている。抽出器要素8は、プランジャー6から一部分が針ホルダー4の方向へ突出してプランジャー6によって囲まれた前進位置と、及び前記ロッド7の中に完全に引き込まれ、前記針ホルダー4から離れて位置する引き込み位置と、から変位できるように移動可能である。また、前記抽出器要素8は、前進位置でプランジャー6から突出して、針ホルダー5の内部空洞と係合し、抽出器要素8を針ホルダー5接合させる雄突起10と、前進位置においてプランジャー6と抽出器要素8との連結を規定し、また回復用ばね9を引っ張った状態に維持する引っ掛け手段11と、を有する。プランジャー6の軸方向の孔は、針ホルダー5の上をスライドするように構成された複数の屈曲可能フランジ12によって画定され、その結果、前記屈曲可能フランジ12は外側に屈曲し、プランジャー6の軸方向の孔を拡張し、これにより、抽出器要素8は、前記プランジャー6から切り離され、また引き込み位置へと引き込まれる。
図5及び
図6は、それぞれ、前進位置及び引き込み位置における注射器キットを示している。ここで示されている注射器キットは、医療従事者、又はその他の人々にとって直感的に操作可能であるという利点を有する。本発明は、通常の注射器と同様に操作することができ、注射器が空になるとすぐに、引き込み機構が自動的に係合する。特に、屈曲可能フランジ12を設けることにより、引き込み機構は、通常の注射器の操作と変わらない1回の流体移動動作で係合可能になる。さらに、バレル1に対する量的適合化が必要ないため、注射の量的な正確さが最適に確保される。ここに描かれているような屈曲可能フランジ12は、特に、注射器の軸方向中心線に対して0°~-45°の間における角度にわたって曲げることができる。ここに示された注射器キットは、ガスケット14を備え、このガスケットは、その針ホルダー4の端部においてプランジャー6を取り囲んで嵌合し、当該ガスケット14は、プランジャー6の外側と円筒状バレル1の中空本体2の内側との間に嵌合し、そこで、ガスケット14が複数の屈曲可能フランジ12に少なくとも部分的に重なり合う。注射器アセンブリS及び注入アセンブリIはそれぞれ、第1連結部19及び第2連結部20を備え、第1連結部19及び第2連結部20は、連結状態のキット構成と非連結状態のキット構成の両方を可能にするように構成され、前記連結状態のキット構成は、注射器アセンブリSを注入アセンブリIに気密性を確保して連結し、針ホルダー4の内部空洞5及び円筒状バレル1の中空本体2は注射液Lの通過を可能にする連続チャネルを形成するよう構成される。さらに、注入アセンブリIは、針21と針キャップ18とから構成されていることが示されている。
【0080】
本発明に係る具体的な実施形態は
図7に示されており、円筒状バレル3の内面には環状リング23が設けられており、このリングは針ホルダー4の外周に接触して支持するように構成されている。
【0081】
本発明に係るさらに別の具体的な実施形態が
図8に示されており、抽出器要素8は、抽出器要素8の遠位端から延びるデッドスペースフィラー22を備えている。前記デッドスペースフィラー22の遠位端は、抽出器要素10の雄突起が突出する基部を提供する。中空のプランジャー6の内面は、この図では、環状リング24を備えて示されており、この環状リング24は、抽出器要素8と中空のプランジャー6の内面との間に接触面を提供するように構成されている。
【0082】
図9は、回復用引張ばね9に取り付けられたプランジャーキャップ25と抽出器要素8を示している。このプランジャーキャップ25と抽出器要素8は、さらに、径方向に延びるばね保持用ばね26を複数備えている。この図では、回復用引張ばね9の近位端は、その最初の2つのコイルがプランジャーキャップ25を取り囲んでいる状態で示されており、これらの2つのコイルは、複数のばね保持用フィン26によって保持されている。また、この図では、同じ回復引張ばね9の遠位端は、その最後の2つのコイルが抽出器要素8の近位端を取り囲んで示されており、この2つのコイルも、複数のばね保持用フィン26によって保持されている。
【0083】
図10は、実質的に円筒形の針ホルダー4が円筒状バレル3の中空のノーズエンドと気密連結されている、さらに別の実施形態を示す図である。前記気密連結は、針ホルダー4の外周と円筒状バレル3の前記中空のノーズエンドの内側の円錐面との間に設けられたガスケット27によって提供される。
【符号の説明】
【0084】
番号が付された部位リスト
S 注射器アセンブリ
I 注入アセンブリ
L 注射液
1 円筒状バレル
2 円筒状バレルの中空本体
3 円筒状バレルの中空のノーズエンド
4 針ホルダー
5 針ホルダーの内部空洞
6 中空のプランジャー
7 ロッド
8 抽出器要素
9 回復用引張ばね
10 抽出器要素の雄突起
11 プランジャーと抽出器要素の間の引っ掛け手段
12 中空のプランジャーの屈曲可能フランジ
13 針ホルダーの屈曲可能グリップ
14 ガスケット
15 バレルの嵌合部
16 シールリング
17 円錐状嵌合部
18 針キャップ
19 第1連結部
20 第2連結部
21 針
22 デッドスペースフィラー
23 中空ノーズの環状リング
24 プランジャーの環状リング
25 プランジャーキャップ
26 ばね保持用フィン
27 針ホルダーガスケット
【国際調査報告】