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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】患者リフト用の駆動システム
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/14 20060101AFI20230901BHJP
   B66D 1/12 20060101ALI20230901BHJP
   B66D 1/46 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
A61G7/14
B66D1/12
B66D1/46 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511973
(86)(22)【出願日】2021-08-16
(85)【翻訳文提出日】2023-04-07
(86)【国際出願番号】 EP2021072703
(87)【国際公開番号】W WO2022038084
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】2050957-6
(32)【優先日】2020-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511070053
【氏名又は名称】アリオ・アイピー・ホールディング・アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル・ボッセ
【テーマコード(参考)】
4C040
【Fターム(参考)】
4C040AA08
4C040HH01
4C040JJ02
4C040JJ07
4C040JJ08
(57)【要約】
患者リフト用の駆動システム(100)。駆動システムは、荷重負担部材(12)を介して患者リフトの患者支持体設置デバイス(11)の垂直方向の移動を制御するように構成されたドラム(321)と、ドラム(321)を駆動するように適合された少なくとも1つのモータ(270)であって、各モータ(270)がモータシャフトギア227に接続されている、少なくとも1つのモータ(270)と、モータ(270)とドラム(321)を接続する変速装置(228)であって、モータ(270)からドラム(321)にトルクを伝達するように適合されている変速装置(228)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者リフト用の駆動システム(100)であって、荷重負担部材(12)を介して前記患者リフトの患者支持体設置デバイス(11)の垂直方向の移動を制御するように構成されたドラム(321)と、前記ドラム(321)を駆動するように適合された少なくとも1つのモータ(270)であって、各モータ(270)が出力モータシャフト(274)を介してモータシャフトギア(227)に接続されている、少なくとも1つのモータ(270)と、前記モータ(270)と前記ドラム(321)を接続する変速装置(228)であって、前記モータ(270)から前記ドラム(321)にトルクを伝達するように適合されており、これにより、前記モータシャフトギア(227)と相互作用するように適合された変速装置インターフェース(220)を備える変速装置(228)とを備え、前記変速装置インターフェース(220)は、少なくとも2つの構成で前記モータシャフトギア(227)を受け入れるように構成され、各構成は、前記出力モータシャフト(274)の前記変速装置インターフェース(220)に対する配向に関連付けられている、駆動システム(100)。
【請求項2】
前記変速装置インターフェース(220)は、前記モータシャフトギア(227)と相互作用するように適合された入力変速装置ギア(323)を備える、請求項1に記載の駆動システム(100)。
【請求項3】
前記モータシャフトギア(227)及び前記入力変速装置ギア(323)は、ウォーム駆動装置を形成する、請求項2に記載の駆動システム(100)。
【請求項4】
前記モータシャフトギア(227)は、ウォームギアであり、前記入力変速装置ギア(323)は、ウォームホイールである、請求項3に記載の駆動システム(100)。
【請求項5】
前記変速装置(228)は、前記ドラム(321)に固定される出力ギア(322)をさらに備え、前記出力ギア(322)は、前記モータシャフトギア(227)からトルクを受け取るために前記変速装置インターフェース(220)に接続されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の駆動システム(100)。
【請求項6】
前記出力ギア(322)は、前記ドラム(321)に固定されるリング歯車を備える、請求項5に記載の駆動システム(100)。
【請求項7】
少なくとも1つのモータ(270)にロック構成(200)が備わっており、前記少なくとも1つのロック構成(200)は、前記モータシャフトギア(227)を選択的にロックするように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の駆動システム(100)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのロック構成(200)は、前記モータ(270)が動作している状態から無力の状態に切り替わることに応答して、前記少なくとも1つのロック構成(200)が前記モータシャフトギア(227)をロックしない非係合モードから、前記少なくとも1つのロック構成(200)が前記モータシャフトギア(227)をロックする係合モードに切り替わるように構成される、請求項7に記載の駆動システム(100)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのロック構成(200)は、前記モータが前記無力の状態から前記動作している状態に切り替わることに応答して、前記係合モードから前記非係合モードに切り替わるように構成される、請求項8に記載の駆動システム(100)。
【請求項10】
前記出力モータシャフト(274)は、前記少なくとも2つの構成で前記ドラム(321)に対して直角である配向を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の駆動システム(100)。
【請求項11】
前記出力モータシャフト(274)は、前記構成のうちの別の1つでは前記出力モータシャフト(274)に対する前記構成のうちの1つにおいて平行に配向される、請求項10に記載の駆動システム(100)。
【請求項12】
前記出力モータシャフト(274)は、前記構成のうちの別の1つでは前記出力モータシャフト(274)に対して前記構成のうちの1つにおいて直角に配向される、請求項10又は11に記載の駆動システム(100)。
【請求項13】
第1のモータ及び第2のモータ(270)を備え、前記変速装置インターフェース(220)は、第1の出力モータシャフト(274)を介して前記第1のモータ(270)に接続された第1のモータシャフトギア(227)及び第2の出力モータシャフト(274)を介して前記第2のモータ(270)に接続された第2のモータシャフトギア(227)と相互作用するように適合される、請求項1から12のいずれか一項に記載の駆動システム(100)。
【請求項14】
前記変速装置インターフェース(220)は、前記第1の出力モータシャフト及び前記第2の出力モータシャフト(274)の第1の配向及び第2の配向と関連付けられた構成で前記第1のモータシャフトギア及び前記第2のモータシャフトギア(227)をそれぞれ受け入れ、前記第1の配向は前記第2の配向に平行である、請求項13に記載の駆動システム(100)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の駆動システムと患者支持体設置デバイス(11)と荷重負担部材(12)とを備える患者リフトであって、前記患者支持体設置デバイス(11)は、前記荷重負担部材(12)を介して前記駆動システムに接続されている、患者リフト。
【請求項16】
患者支持体設置デバイス(11)の垂直方向の移動を制御するように構成された駆動システム(100)に含まれる少なくとも2つのモータ(270)の各々によって及ぼされるトルクを制御するための方法(400)であって、
前記モータ(270)の各々によって及ぼされるトルクを入手するステップ(410)と、
前記モータ(270)の各々によって及ぼされる前記トルク間の差として少なくとも1つのトルク差分値を決定するステップ(420)と、
決定された少なくとも1つの前記トルク差分値を補正するために、前記モータ(270)の少なくとも1つによって及ぼされる前記トルクを調整するステップ(430)と、
を含む方法(400)。
【請求項17】
前記駆動システム(100)は、請求項1から14のいずれか一項に記載の駆動システムであり、前記少なくとも2つのモータ(270)は、同じ速度で動作している、請求項16に記載の方法(400)。
【請求項18】
決定するステップ(420)の後に、前記少なくとも2つのモータ(270)の各々について、調整された電力レベルを示すAPLを更新するステップ(425)をさらに含み、任意選択で、前記調整するステップ(430)は、前記モータ(270)の少なくとも1つと関連付けられた前記APLで前記モータ(270)の前記少なくとも1つによって及ぼされる前記トルクを拡大縮小することによって行われる、請求項16又は17に記載の方法(400)。
【請求項19】
前記モータ(270)の各々について前記トルクを入手するステップ(410)は、それぞれの前記モータ(270)を制御するために提供される平均電流及びパルス幅変調(PWM)デューティサイクルの設定に基づいている、請求項16から18のいずれか一項に記載の方法(400)。
【請求項20】
速度制限が前記駆動システム(100)に適用され、前記方法(400)は、調整するステップ(430)の前に、前記速度制限に関連付けられたターゲット電流及び/又はターゲットPWMデューティサイクルを決定するステップ(427)、及び前記モータ(270)の少なくとも1つが前記ターゲット電流及び/又は前記ターゲットPWMデューティサイクルに達するまで、その少なくとも1つのモータを制御するステップ(429)をさらに含む、請求項16から19のいずれか一項に記載の方法(400)。
【請求項21】
前記制御するステップ(429)は、1つのモータ(270)のみに適用される、請求項20に記載の方法(400)。
【請求項22】
前記モータ(270)についてトルクを入手するステップ(410)は、少なくともPWMに基づいており、調整するステップ(430)は、前記モータ(270)の各々について前記PWMデューティサイクルが10%を超えるまで、好ましくは20%を超えるまで、及び最も好ましくは25%を超えるまで実行されない、請求項16から21のいずれか一項に記載の方法(400)。
【請求項23】
前記方法(400)は、実質的に継続して繰り返され、調整するステップ(430)は、決定された(420)少なくとも1つのトルク差分値の積部、整数部及び導関数部を含む制御パラメータに基づいている、請求項16から22のいずれか一項に記載の方法(400)。
【請求項24】
決定するステップ(420)は、どのモータ(270)が最も小さいトルクを与えるかを決定するステップをさらに含み、調整するステップ(430)は、他のモータ(270)の各々によって及ぼされる前記トルクを、最も小さいトルクを与える前記モータ(270)によって与えられる前記トルクと実質的に同じになるように減少させるステップを含む、請求項16から23のいずれか一項に記載の方法(400)。
【請求項25】
制御モジュールによって実行されるとき、少なくとも2つのモータ(270)の各々によって及ぼされるトルクを制御するための、請求項16から24のいずれか一項に記載の方法(400)を実行するように構成されたコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者リフト用の駆動システムに関する。本発明は、そのような駆動システムを備える患者リフトにさらに関する。さらに、本発明は、駆動システムに含まれる少なくとも2つのモータの各々によって及ぼされるトルクを制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者リフトは、患者ホイストとも呼ばれ、身体に障害を負った患者、又はそれ以外で可動性の問題を有する患者を持ち上げたり、降ろしたり、移動させたりするのに一般に使用される。患者リフトの2つの一般的なタイプは、スタンションが設置されたリフトであり、これはまた、フロアリフト及び天井リフトとも呼ばれる。フロアリフトは、スタンションの上端部に配設され得るホイスト組立体を有することが多い。スタンションは、車輪付きの台座を有し、これは、リフトが地面に沿って異なる場所に移動されることを可能にする。
【0003】
2点装着スプレッダバー、3点装着スプレッダバー、4点装着スプレッダバー、5点装着スプレッダバー又はスプレッダバーの角度を調整するため、患者のハーネス又はつり包帯を支持するための動力付きスプレッダバーなどのスプレッダバーの形態であり得る持ち上げ部材が、ホイスト組立体からストラップ又はケーブルの上に下降する。ストラップ又はケーブルは、患者のハーネス又はつり包帯を上げ下げするために電動式ドラムの周りに巻き付けられる。
【0004】
例えば、リフトは、ホイスト組立体及び持ち上げ部材を患者の上に、又は患者の近くに位置決めするために回転されてよい。持ち上げ部材はその後、患者を収容するために下げられ、その後、持ち上げ部材及び患者を上に上げることで、それらが下げられ配置されるべきいかなる場所にも回転されてよい。天井リフトは、同様のやり方で利用されてよいが、ホイスト組立体は、ホイスト組立体が場所から場所に軌道の周りを移動することができるように、天井に設置された軌道に可動式に係合される。
【0005】
天井リフトは、レールに沿って移動可能なモータユニットとして説明されてよく、可撓性部材がスプレッダバーに装着される。モータユニットは一般に、変速装置、バッテリ及び制御モジュールを備える。
【0006】
変速装置は、いくつかの課題を負う。例えば、変速装置は、患者を持ち上げ、患者を特定の時間の間規定された高さに維持し、患者を下に降ろすことができることを必要とする。さらに、変速装置は、およそ450kgの重量を持ち上げ支持することが可能であることを必要とする。
【0007】
そのような大きな重量を支持するために、大きなトルクを提供することが可能な大型モータが使用されることが多い。そのようなモータは、さらに重い荷重を扱う可能性もある。しかしながら大型モータは通常費用がかかり、大量の電力を消費する。
【0008】
コスト及び電力をセーブするために、一部の製造者は、高いRPMを送達することが可能なより小型のモータを使用する。より小型のモータがより高い荷重を支持し持ち上げることを可能にするために、異なるタイプの変速装置を利用することによってRPMが低減され、トルクが増大される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そのような変速装置システムは、複雑であり、空間を消費することが多い。さらに、固定変速装置システムに対する依存のために、モータユニットは、異なる用途に対して、すなわち異なるタイプの患者リフトに対して適合可能であるという点において適応性を欠いている場合がある。上記に照らして、低コスト及び高効率ならびに適応性に関連付けられた変速装置システムに対する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様によると、駆動システムが提供される。駆動システムは、患者リフト用である。駆動システムは、荷重負担部材を介して患者リフトの患者支持体設置デバイスの垂直方向の移動を制御するように構成されたドラムを備える。駆動システムは、ドラムを駆動するように適合された少なくとも1つのモータをさらに備え、各モータは、出力モータシャフトを介してモータシャフトギアに接続されている。
【0011】
また、駆動システムは、モータとドラムを接続する変速装置を備える。変速装置は、モータからドラムにトルクを伝達するように適合される。
【0012】
変速装置は、モータシャフトギアと相互作用するように適合された変速装置インターフェースを備える。変速装置インターフェースは、少なくとも2つの構成でモータシャフトギアを受け入れるように構成される。各々の構成は、出力モータシャフトの変速装置インターフェースに対する配向に関連付けられる。
【0013】
一態様によると、患者リフトが提供される。患者リフトは、駆動システムと、患者支持体設置デバイスと、荷重負担部材とを備える。患者支持体設置デバイスは、荷重負担部材を介して駆動システムに接続される。
【0014】
一態様によると、方法が提供される。方法は、駆動システムに含まれる少なくとも2つのモータの各々によって及ぼされるトルクを制御するためのものである。駆動システムは、患者支持体設置デバイスの垂直方向の移動を制御するように構成される。
【0015】
方法は、モータの各々によって及ぼされるトルクを入手するステップと、モータの各々によって及ぼされるトルク間の差として少なくとも1つのトルク差分値を決定するステップと、モータの少なくとも1つによって及ぼされるトルクを調節して、決定された少なくとも1つのトルク差分値を補正するステップとを含む。
【0016】
一態様によると、コンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータプログラム製品は、制御モジュールによって実行されるとき、少なくとも2つのモータの各々によって及ぼされるトルクを制御するための方法を実行するように構成される。
【0017】
本発明のさらなる目的及び特徴は、本発明の実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0018】
本発明を、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1a】患者リフトシステムの要素の斜視図である。
図1b】患者リフトシステムの要素の斜視図である。
図2】患者リフトシステムに実装される一実施形態による駆動システムの図である。
図3】一実施形態による駆動システムの部分長手方向断面図である。
図4】一実施形態による駆動システムの分解組立図である。
図5a】一実施形態による駆動システムの斜視図である。
図5b】一実施形態による駆動システムの斜視図である。
図5c】一実施形態による駆動システムの斜視図である。
図6a】一実施形態による駆動システムの斜視図である。
図6b】一実施形態による駆動システムの斜視図である。
図6c】一実施形態による駆動システムの斜視図である。
図7】一実施形態による駆動システムの概略図である。
図8】一実施形態による駆動システムのロック構成及びモータの斜視図である。
図9】本発明の実施形態による駆動システムのブロック図である。
図10】本発明の実施形態による少なくとも2つのモータの各々によって及ぼされるトルクを制御するための方法の概略的なフローチャートである。
図11a】本発明の実施形態によるモータに提供されるパルス幅変調の時間プロットである。
図11b】本発明の実施形態による2つのモータによって及ぼされるトルクの時間プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1a及び図1bは、患者リフトを備えた患者を扱うシステムの要素の非限定的な例を示す。患者リフトは、患者天井リフトの形態であってよい。患者支持体設置デバイス11は、図1aでは荷重負担部材12を介して持ち上げデバイス13に接続される。持ち上げデバイス13は、軌道14に沿って可動であるように構成されてよい。持ち上げデバイス13はよって、軌道14と係合した状態であってよい、例えば、可動式に軌道14に接続されてもよい。持ち上げデバイス13は、軌道14に沿って、好ましくは両方向に移動してよい。持ち上げデバイス13は、前記軌道14に沿って可動なトロリーの形態であってよい。
【0021】
患者リフトは、駆動システムを備えてよく、これは図2図7を参照してさらに説明される。持ち上げデバイスは、荷重負担部材12を巻き取るためのドラムと、前記ドラムを駆動するためのモータ及び変速装置とを備えてよい。荷重負担部材12は、患者支持体設置デバイス11を上げ下げするために前記ドラムの周りに巻き付けられてよい。駆動システムは、持ち上げデバイスに含まれてもよい。
【0022】
一実施形態において、持ち上げデバイス13は、軌道14と噛み合うための車輪を備える。一実施形態において、持ち上げデバイス13は、軌道14に摺動式に接続される。
【0023】
患者支持体設置デバイス11は、スプレッダバー又はハンガーバーであってよい。荷重負担部材12は、ストラップなどの可撓性部材であってよい。患者支持体15は、図1bに示されるように、つり包帯であってもよい。患者支持体設置デバイス11は、接続ユニット26を利用して荷重負担部材12に接続されてよい。接続ユニット26は、クイックコネクタであってもよく、すなわち接続ユニット26は、解放可能なやり方で荷重負担部材12を受け入れるように適合される。
【0024】
患者支持体設置デバイス11は、患者支持体15を患者支持体設置デバイス11に装着するための装着要素19を備えてよい。装着要素は、ラッチを備えたフックを備えてもよい。
【0025】
持ち上げデバイス13は、患者支持体設置デバイス11を前記持ち上げデバイス13により近くなるように置かれる上昇位置と、前記持ち上げデバイス13からより遠くに配置される下降位置との間で移動させるように構成される。持ち上げデバイス13はよって、患者支持体設置デバイス11を前記上昇位置と前記下降位置との間で垂直方向に移動させるように構成されてよい。
【0026】
図1aから図1bの患者リフトは、天井患者リフトとして描かれているが、患者リフトは、床を横切るようにリフトを移動させるために一セットの車輪を備える台座を備えたフロアリフトであってもよい。
【0027】
図2図7は、図1に描かれる患者リフトに実装するための駆動システムの実施形態の態様を開示する。
【0028】
図2図4は、一実施形態による駆動システムを描く。駆動システム100は、ハウジング213の内部に含まれてよいドラム及び変速装置を備える。駆動システム100はよって、ケーシング213を備える。駆動システム100は、少なくとも1つのモータ270をさらに備える。図3は、ケーシング213の一部がない駆動システム100を開示する。変速装置及び出力モータシャフト274の一部は、ケーシング213の内部に配置される。駆動システムは、図8を参照してさらに説明されるロック構成200を備える。
【0029】
図4は、駆動システムの分解組立図を開示する。駆動システムはドラム321を備える。ドラムは、荷重負担部材12を介して患者支持体設置デバイス11の垂直方向の移動を制御するように構成される。患者支持体設置デバイス11は、前記荷重負担部材12を介して持ち上げデバイス13に接続される。先に記載したように、ドラム321は、荷重負担部材12を巻き取ったりほどいたりするように適合される。よって、ドラムは、荷重負担部材12に接続されるように適合される。荷重負担部材は、ワイヤ、ケーブル又はロープなどの可撓性部材であってよい。
【0030】
駆動システム100は、少なくとも1つのモータ270をさらに備える。少なくとも1つのモータ270は、ドラム321を駆動するように適合される。描かれるように、モータは、ドラム321に対して直角に配置されてよい。少なくとも1つのモータ270の各々は、出力モータシャフト274を介してモータシャフトギア227に接続される。
【0031】
出力モータシャフト274は、モータシャフトギア227とモータ270との間に配置される。一実施形態において、モータシャフトギア227は、追加の伝動装置を利用してモータ270に接続される。一実施形態において、モータシャフトギア227は、モータに直接接続されてもよい。よって、モータ270は、入力モータシャフトに直接接続されてもよく、前記入力モータシャフトはギアを備えており、それ故モータシャフトギア227を形成している。一実施形態において、モータシャフトギア227は、モータに直接接続された入力シャフトに接続されてもよい。
【0032】
駆動システムは、変速装置228を備える。変速装置228は、モータ270とドラム321を接続する。よって、モータ270とドラム321は、変速装置228を利用して接続される。変速装置228は、モータ270からドラム321にトルクを伝達するように適合される。
【0033】
変速装置228は、変速装置インターフェース220を備える。変速装置インターフェース220は、モータシャフトギア227と相互作用するように適合される。換言すると、変速装置インターフェースは、ドラム321がモータ270によって駆動されるように、モータシャフトギア227と相互作用するように適合される。
【0034】
変速装置228は、変速装置インターフェース220を備える。変速装置インターフェース220は、モータシャフトギア227と相互作用するように適合される。変速装置インターフェース220は、少なくとも2つの構成でモータシャフトギア227を受け入れるように構成される。各構成は、出力モータシャフト274の変速装置インターフェース220に対する配向に関連付けられる。
【0035】
患者リフトの分野において、駆動システムに対する要件は、患者リフトの用途ならびに患者リフトによって担持されるべき患者の重量及び可動性に応じて大きく変動する場合がある。変速装置は潜在的に、2つ以上のやり方で少なくとも1つのモータからトルクを受け取ることが可能であり、すなわち構成は、2つ以上のモータが利用されてよい、又は利用可能な空間に応じてモータの位置決めを変えることができるモジュール式の解決策を可能にする。よって、用法の点で適応性を高めることを可能にする駆動システムが達成される。
【0036】
構成は、本明細書では、モータシャフトギア227が、変速装置インターフェース220と噛み合う位置として定義される。その結果、モータシャフトギア227の変速装置インターフェース220に対する位置は、出力モータシャフト274の変速装置インターフェース220に対する対応する配向(すなわち方向及び位置)を利用して提供される。
【0037】
変速装置インターフェース220はよって、モータシャフトギア227と直接係合されるように適合される、すなわちモータシャフトギア227に直接接続されるように適合される。
【0038】
変速装置インターフェース220は、1つもしくは複数のギア又はベルト駆動車輪などの形態であってよい。
【0039】
一実施形態において、変速装置インターフェース220は、入力変速装置ギアを備える。入力変速装置ギア323は、モータシャフトギア227と相互作用するように適合される。
【0040】
一実施形態において、駆動システム100が、2つ以上のモータ270を備える場合、入力変速装置ギア323は、第1のモータに接続された第1のモータシャフトギア227及び第2のモータに接続された第2のモータシャフトギア227と相互作用するように適合される。これは、設置するのが簡単でスペース効率が高く、患者リフト用の他のモジュール式駆動システムと比べてあまり複雑ではない駆動システムを可能にする。
【0041】
別の実施形態において、変速装置インターフェース220は、複数の入力変速装置ギア323を備えてもよい。よって、第1の入力変速装置ギア323は、第1のモータ270に接続された第1のモータシャフトギア227と相互作用するように適合されてよい。第2の入力変速装置ギア323は、第2のモータ270に接続された第2のモータシャフトギア227と相互作用するように適合されてよい。
【0042】
一実施形態において、入力変速装置ギア323は、ドラム321に対して直角に配置されてよい。よって、入力変速装置ギア323の係合部分は、ドラム321に対して直角に延在してよい。図4に描かれるように、入力変速装置ギアは、植込み歯車であってよい。植込み歯車の周辺部はよって、ドラム321に対して直角に延在してよい。
【0043】
さらに図4を参照すると、モータシャフトギア227及び入力変速装置ギアは、ウォーム駆動装置を形成してもよい。当業者によく知られるように、ウォーム駆動装置は、ウォームギアとウォームホイールとによって形成される。ウォームホイールはウォームギアに対して直角に配置される。
【0044】
一実施形態において、モータシャフトギア227は、ウォームギアであってよい。入力変速装置ギア323はよって、ウォームホイールであってよい。一実施形態において、モータシャフトギア227は、入力変速装置ギア323に対して直角に配置されてよい。これは、入力変速装置ギア323がスペース効率が高く複雑でないやり方で異なる構成でモータシャフトギア227を受け入れることを可能にする。
【0045】
代替の実施形態において、モータシャフトギア227は、ウォームホイールであってよく、入力変速装置ギア323はよって、ウォームギアであってもよい。
【0046】
変速装置228は、出力ギア322をさらに備えてもよい。出力ギア322は、ドラム321に固定される。出力ギア322は、モータシャフトギア227からトルクを受け取るために変速装置インターフェース220に接続される。よって、出力ギアは、変速装置インターフェース220とドラム321との間でトルクを伝達するために、前記変速装置インターフェース220と前記ドラム321との間に配置される。
【0047】
出力ギア322は、リング歯車を備えてもよい。リング歯車は、ドラム321に固定される。よってよりコンパクトな駆動システムが達成される。
【0048】
出力ギア322はドラム321と同軸であってもよい。
【0049】
一実施形態において、リング歯車はドラム321の一体化された部品であってもよい。
【0050】
一実施形態において、変速装置228は、遊星大歯車326を備えてもよい。遊星大歯車326は、リング歯車322と噛み合う。遊星大歯車326は、変速装置インターフェース220とリング歯車322との間に配置される。
【0051】
図5a~図5cは、駆動システムの種々の実施形態を描く。図面に見られるように、変速装置インターフェース220は、少なくとも2つの構成でモータシャフトギア227を受け入れるように構成される。各構成は、出力モータシャフト274の変速装置インターフェース220に対する配向と関連付けられる。
【0052】
図5aは、変速装置インターフェース220が少なくとも2つの構成のうちの構成のうちの1つにおいてモータシャフトギアを受け入れる駆動システムを描く。出力モータシャフト274は、少なくとも2つの構成でドラム321に対して直角である配向を有してよい。前記図5aに見られるように、変速装置インターフェース及びモータシャフトギアの描かれる構成に関連付けられた出力モータシャフト274の配向は、ドラムに対して実質的に直角である。
【0053】
代替の一実施形態において、出力モータシャフト274の配向は、変速装置インターフェース220に対する任意の他の配向を有してもよいが、そのような解決法は、追加の伝動装置を必要とし、さほど有益ではない。
【0054】
図5bは、変速装置インターフェース220が少なくとも2つの構成の別の1つでモータシャフトギアを受け入れる駆動システムを描く。前記図5bに見られるように、出力モータシャフト274は、1つの構成において、別の1つの構成での出力モータシャフト274に対して直角に配向される。よって、図5aに描かれる第1の構成は、出力モータシャフトの配向に対して直角である出力モータシャフトの配向に関連付けられ、第2の構成は、出力モータシャフトの前記配向に関連付けられている。
【0055】
図5cは、2つのモータを備える駆動システムを描く。第1のモータの入力モータギアシャフト227は、第1の配向を有し、第2のモータの入力モータギアシャフト227は、第2の配向を有する。入力モータギアシャフトの配向は、実質的に平行である。よって、出力モータシャフト274は、構成のうちの別の1つでは出力モータシャフト274に対する構成のうちの1つにおいて平行に配向される。したがって、変速装置インターフェース220は、少なくとも2つの構成でモータシャフトギア227を受け入れるように構成される。少なくとも2つの構成の1つは、出力モータシャフト274の配向に関連付けられる。少なくとも2つの構成の他の1つは、出力モータシャフト274の配向に関連付けられ、前記配向は、第1の出力モータシャフト274における出力モータシャフトの配向に平行である。図5cの駆動システムは、2つのロック構成200を備えるように図示されるが、これは1つの実施形態であり、2つのモータ270を備える駆動システムは、いずれのロック構成200もなしで、又は1つのロック構成200のみで確実に形成され得ることが言及されるべきである。例えば、1つのモータ270のみにロック構成200に備わっている場合がある。第2のモータ270には代わりに、前記ロック構成200に置き換わるスペーサが備わっていてもよい。モータの一方に設けられた単一のロック構成200はよって、モータの前記1つに接続されたモータシャフトギアをロックすることによって、複数のモータを備える駆動システムを制動するのに使用されてよい。
【0056】
駆動システムは、第1のモータ及び第2のモータ270を備えてもよい。変速装置インターフェース220はよって、第1のモータ270に接続された第1のモータシャフトギア227及び第2のモータ270に接続された第2のモータシャフトギア227と相互作用するように適合される。第1のモータシャフトギア227は、第1の出力モータシャフト274を介して第1のモータ270に接続される。第2のモータシャフトギア227は、第2の出力モータシャフト274を介して第2のモータ270に接続される。変速装置インターフェース220は、第1のモータ270に接続された第1のモータシャフトギア227と相互作用するように適合される。変速装置インターフェース220は、第2のモータ270に接続された第2のモータシャフトギア227と相互作用するようにさらに適合される。
【0057】
ドラムを駆動し制御するために2つのモータを有することは、いくつかの利点に関連付けられる。それは、ドラムに対して高いトルクを提供するために1つのより大型のモータの代わりにより小型のモータを利用することを可能にする。さらに、より小型のモータを有することは、より安価なモータの利用を可能にする。また、2つのモータを有することは、回路基板などより小型の電気部品が複数の用途に使用され得るモジュール式システムを可能にする。単一の大型の電気モータを有することは、より大型の電気部品を必要とし、これは、全ての実装に対して適合することができない場合がある。
【0058】
一実施形態において、第1のモータシャフトギア227及び第2のモータシャフトギア227は平行である。よって、変速装置インターフェース220は、第1のモータシャフトギア227及び第2のモータシャフトギア227を第1の出力モータシャフト274及び第2の出力モータシャフト274の第1の配向及び第2の配向に関連付けられた構成でそれぞれ受け入れる。第1の配向は、第2の配向に平行である。これは、スペース効率の高いやり方での2つのモータの実装を可能にする。
【0059】
一実施形態において、第1の配向及び第2の配向は平行かつ反対方向であってもよい。よって、第1の出力モータシャフトは、第2の出力モータシャフトに対して反対方向に延在してよい。
【0060】
一実施形態において、第1の配向及び第2の配向は平行かつ同一方向であってもよい。よって、第1の出力モータシャフトは、第2の出力モータシャフトと同一方向に、かつそれに平行に延在してよい。
【0061】
第1のモータ270は、変速装置インターフェース220に対して第1の側に配置されてよく、第2のモータ270は、変速装置インターフェース220に対して第2の側に配置されてよい。第2の側は、第1の側の反対側であってよい。
【0062】
図6a~図6cを参照すると、モータ270は、異なるサイズ及び能力を有してもよい。よって、変速装置インターフェース220は、モータ270に接続された入力モータギアシャフト227を交互に受け入れるように適合されてよい。これは、システムの適応性のために患者リフトの幅広の配列に実装され得る駆動システムを可能にする。このことから、モータ270、出力モータシャフト274及びモータシャフトギア227は、モータモジュールを形成するように配置されてよい。変速装置インターフェース220は、モータモジュールを交互に受け入れるように適合されてよい。
【0063】
図7は、一実施形態による駆動システムをより詳細に概略的に描く。
【0064】
モータシャフトギア227は、変速装置インターフェースと噛み合う。変速装置インターフェース220は、入力変速装置ギア323を備える。
【0065】
変速装置228は、入力変速装置ギア323に接続された第1のギア325を備えてよい。第1のギア325は、入力変速装置ギアに対して同軸であってよい。一実施形態において、第1のギア325は、リング歯車322と同軸であってもよい。一実施形態において第1のギア325、入力変速装置ギア323及びリング歯車322は同軸であってもよい。変速装置の同軸設計は、十分なトルクをドラムに伝達することを可能にするよりコンパクトな変速装置を可能にする。
【0066】
変速装置228は、入力変速装置シャフト431を備えてよい。入力変速装置シャフト431は、入力変速装置ギア323から第1のギア325にトルクを伝達するように配置されている。第1のギア325及び入力変速装置ギア323は共に、入力変速装置シャフト431に設置されてよい。
【0067】
第1のギア325は、中間伝動装置を介してリング歯車322に接続されてよい。中間伝動装置は、第1のギア325からリング歯車322にトルクを伝達するように適合される。
【0068】
一実施形態において、中間伝動装置は、第1の中間ギア324を備える。第1の中間ギア324は、第1のギア325と噛み合う。
【0069】
中間伝動装置は、第2の中間ギア326をさらに備えてよい。第2の中間ギア326は、第1の中間ギア324に接続されてよい。第2の中間ギア326は、第1の中間ギア324からリング歯車322にトルクを伝達するように適合されてよい。一実施形態において、第1の中間ギア及び第2の中間ギアは同軸であってよい。一実施形態において第2の中間ギア326は、リング歯車322と噛み合ってもよい。
【0070】
一実施形態において、中間伝動装置は、中間シャフト432を備える。中間シャフト432は、第1の中間ギア324から第2の中間ギア326にトルクを伝達するように適合されてよい。第1の中間ギア及び第2の中間ギアは、中間シャフト432に設置されてよい。
【0071】
図7をさらに参照すると、制動要素329が、リング歯車322及び/又はドラム321に固定式に設置されてよい。制動要素329は、リング歯車322と同軸であってよい。一実施形態において、制動要素329は、入力変速装置ギア323、第1のギア325及び中間シャフト431のいずれか、又はその全てと同軸であってもよい。
【0072】
一実施形態において、変速装置228は、遊星伝動装置を備えてもよい。よって、第1のギア325は、遊星伝動装置のサンギアであってよい。さらに、中間伝動装置は、遊星ギアを備えてもよい。一実施形態において、第1の中間ギア324は、サンギア、すなわち第1のギア325と噛み合う遊星ギアである。
【0073】
一実施形態において、少なくとも1つのモータ270のうちの少なくとも1つのモータ270にロック構成200が備わっている。ロック構成200は、モータシャフトギア227を選択式にロックするように構成される。
【0074】
一実施形態において、少なくとも1つのモータ270の各々のモータ270にロック構成200が備わっていてもよい。ロック構成200は、モータシャフトギア227を選択式にロックするように構成される。
【0075】
図8は、より綿密な詳細のロック構成を描く。ロック構成200は、ロック構成200がモータシャフトギア227をロックしていない非係合モードから、ロック構成200がモータシャフトギア227をロックする係合モードに切り替わるように構成されてよい。これは、モータ270が動作している状態から無力の状態に切り替わることに応答して生じてよい。
【0076】
一実施形態において、ロック構成200は、モータ270が無力の状態から動作している状態に切り替わることに応答して、係合モードから非係合モードに切り替わるように構成されてよい。
【0077】
一実施形態において、ロック構成は、形状記憶合金要素251と、ロックデバイス250とを備えてよい。形状記憶合金要素は、前記ロックデバイス250に接続され、前記ロックデバイス250を選択式に作動させて、係合部材273に対するロック力を制御するように構成される。係合部材273は、患者リフトのモータ270及び荷重負担部材12に、すなわち患者リフトのモータ270及び患者リフトの荷重負担部材12に機械的に接続される。前記モータ270は、患者支持体設置デバイス11を上げ下げするように構成される。
【0078】
係合モードでは、形状記憶合金要素251は、第1の構成にあり、ロックデバイス250は、係合部材273にロック力を及ぼし、それにより患者支持体設置デバイス11の垂直方向の移動を阻止するための係合位置にある。
【0079】
非係合モードでは、形状記憶合金要素251は、ロックデバイス250を係合部材273に対する非係合位置に作動させ、これにより患者支持体設置デバイス11の垂直方向の移動を可能にする第2の構成にある。
【0080】
ロックウォームギア変速装置を実装する既知の患者リフトと比べて、これは、より大きな荷重が患者支持体設置デバイス11を利用して吊り下げられたときでも、クリーピングなしでロックすることを可能にする。さらに、形状記憶合金は、ソレノイド作動の機械的ブレーキと比べて、よりコスト効果が高く、より電力消費が少ない解決策を可能にする。さらに、これは、ロックデバイス及びモータが単一モジュールを形成することを可能にする。このことから、駆動システムの適合性は、モータ及びロック機能性が共に1つのモジュールの形態で提供されることにより、さらに高められる。
【0081】
形状記憶合金は、従来技術で知られるように、低温で変形させることができるが、加熱されたとき事前に変形前の形状に戻る合金である。形状記憶合金はまた、形状記憶金属、形状記憶合金、スマート金属、スマート合金又はマッスルワイヤとしても従来技術で知られている。
【0082】
形状記憶合金要素251は、Ag-Cd合金、Au-Cd合金、Co-Ni-Al合金、Co-Ni-Ga合金、Cu-Al-Ni合金、Cu-Al-Ni合金、Cu-Al-Ni-Hf合金、Cu-Sn合金、Cu-Zn合金、Cu-Zn-Si合金、Cu-Zn-Al合金、Cu-Zn-Sn合金、Fe-Mn-Si合金、Fe-Pt合金、Mn-Cu合金、Ni-Fe-Ga合金、Ni-Ti合金、Ni-Ti-Hf合金、Ni-Ti-Pd合金、Ni-Mn-Ga合金、Ti-Nb合金のうちの1つであってよい。
【0083】
形状記憶合金要素251は、二方向記憶効果要素であってよい。第1の構成では、形状記憶合金要素251は、ロックデバイス250が係合部材273に対して係合位置になることを可能にする形状を形成する。第2の構成では、形状記憶合金要素251は、ロックデバイスを係合部材273に関して非係合位置に押しやるように構成された形状を形成する。
【0084】
ロックデバイス250はよって、形状記憶合金要素251を利用することで可動であってよい。したがって、形状記憶合金要素251は、ロックデバイス250を係合位置と非係合位置との間で移動させるように構成されてよい。形状記憶合金要素251は、ロックデバイス250に直接装着されてもよい。
【0085】
一実施形態において、形状記憶合金要素251は、マッスルワイヤである。
【0086】
形状記憶合金要素251は、第1の構成と第2の構成との間を選択式に移行するために少なくとも1つの電源340に電気接続されるように構成されてよい。
【0087】
ロック構成は、電力がモータ270に提供されないことに応答して非係合モードから係合モードに切り替わるように構成される。ロック構成はよって、患者リフトに電力が供給されていないことに応答して作動される緊急ブレーキとして機能してよい。電力がモータ270に供給されるとすぐに、ロック構成は、係合モードから非係合モードに切り替わり、これは、患者リフトの通常の動作を可能にする。
【0088】
一態様によると、患者リフトが提供される。患者リフトは、先に記載した実施形態のいずれか1つによる駆動システムを備える。患者リフトは、患者支持体設置デバイス11及び荷重負担部材12をさらに備える。患者支持体設置デバイスは、荷重負担部材を介して駆動システムに接続される。
【0089】
図9を参照すると、駆動システム100の簡素化されたブロック図が示される。駆動システム350の実施形態では、少なくとも1つのモータ270は、コントローラ350によって制御される。コントローラ350は、駆動システム100に含まれてよい、又は外部制御モジュール350として設けられてもよい。制御モジュールは、任意の好適なコントローラであってもよく、本発明は、制御モジュール350に関する詳細によって制限されない。制御モジュール350は典型的には、電源340及びモータ270に動作可能に接続される。電源340はまた、駆動システム100に含まれてよい、又は駆動システム100の外部にあってもよいことが言及されるべきである。電源340は、任意の好適な電源340であってよく、当業者は、任意のレベルの直流、DC、交流、AC、電流源又は電圧源で機能するように開示される発明をどのように実現するか、かつ/又はどのように適合させるかを知るであろう。制御モジュール350はさらに、例えば、ドラム321からトルク読み取り値を入手するために、駆動システム100の任意の又は全ての他の部品に動作可能に接続されてよい。制御モジュール350はさらに、患者支持体設置デバイス11を制御するためにユーザインターフェースに動作可能に接続されてよい。制御モジュール350は、単一の制御システムを使用して実現されてよい、又は駆動システム100及び/又は患者リフト全体に分散されたセンサ及び/又はコントローラを備えた分散システムを使用して実現されてもよい。動作可能に接続されるという用語は、任意の好適な接続を意味することになり、直接接続、有線接続、無線接続、BUSを介した接続、又はアクティブ回路もしくは論理を介した接続であってもよい。
【0090】
本開示を行った発明者らは、開示される駆動システム100でのケースであり得るように、共通のドラム321を駆動している2つ以上のモータ270を制御する場合に問題が生じる場合があることをさらに認識している。全てのモータが実質的に同じ量のトルクをドラム321に伝達していない場合、最も多くのトルクを提供しているモータ270が、駆動システム100内の任意の他のモータ270を実際に駆動してよい。その結果、各モータ270によって与えられるトルクは、各モータ270からのトルクの伝達に機械的な複雑さが加えられなければ、駆動システム内の全てのモータ270についておおよそ同一であるべきである。
【0091】
典型的には、駆動システム100のモータ270は、電源340からそれらに提供される電流によって制御される。モータ270を制御する最も簡素な方法は、全てのモータ270に対して同じ制御された電流を使用することである。好ましい代替形態は、例えば電流及び安全性の規制が各モータ270に適用されることを可能にするために、モータ270の各々を個別に制御することである。一方、共通のドラム321を駆動する2つ以上のモータ270を有することは、モータ270がドラム321の駆動に対して異なるように寄与し得る場合に問題を招く可能性がある。1つのモータ270が、ドラム321を駆動するほとんど全てのトルクを及ぼしてよく、他のモータは、トルクの寄与に関しては、事実上アイドル状態である場合がある。これは、ドラム321の駆動に対して最も寄与するモータ270に追加の摩耗を生じさせる可能性がある。この場合、モータ270の各々を個別に制御することが同様に好ましい。
【0092】
各モータ270が個別に制御される場合、各モータ270には、モータ270に提供される電圧Vin及び電流Iinの生成物として計算することができる入力電力Pinが備わっている。モータ270からの電力出力Poutは、モータ270によって提供されるトルクTに速度、毎分回転数、RPM、モータ270の回転数を掛けたものとして説明することができる。駆動システム100のモータ270は、一緒に結合されるため、それらは全て同じ速度を有する。その結果、全てのモータ270が同じ効率であると仮定すると、モータ270間の入力電力Pinにおけるいかなる差も、それらがドラム321に提供するトルクのモータ270間の差に起因すると考えることができる。
【0093】
これらの問題を軽減するために、駆動システム100に含まれる少なくとも2つのモータ270の各々によって及ぼされるトルクを制御するための方法400が図9図11を参照して説明される。方法400は、別のモータ制御法、例えば、ソフト起動のための方法、制御された制動など、の上に、それに加えて、又はその拡張として行われてよい。方法400の概念的な理念は、ドラム321を駆動する労力が、駆動システム100の全てのモータ270間で実質的に均等に共有されることを保証することである。これは、例えば1つのモータシャフトギア227が他のモータシャフトギア227よりも多くのストレスを受けないため、モータ270及び駆動システム100の寿命を延ばすことになる。当然のことながら、この理由は、駆動システム100の全ての部品に適用される。
【0094】
各モータ270によって提供されるトルクを均等にするために、各モータ270によって提供されるトルクが取得される(ステップ410)。ステップ410において、トルクは、例えば、ニュートンメータを使用して直接取得されるが、そのような計器はコストがかかり、モータ270及び/又は駆動システム100のコストを増加させる。ステップ410におけるトルク取得の代替として好ましい方法は、モータ270に提供される電流に基づいてそれを推定することである。多くの場合、モータに提供される電流Iinは、電源340のパルス幅変調、PWMによって制御される。これ以降、用語PWMは、具体的に述べられていないが、典型的にはPWMのデューティサイクルを意味しており、これは当業者には明白である。電源340は典型的には、モータ270の誘導負荷の入力電力Pinを正確に制御することができるように、PWMによって効果的に低減される電圧Vinを供給する電圧源である。全てのモータ270の速度は同一であるため、発明者らは、ステップ410において、モータ270のトルクに比例するメトリックは、PWMのデューティサイクルによってモータ270に提供される平均電流を分割することによって取得されることを認識する。以後、PWMを変更する、調整する、又はそれ以外で適合させることは、PWMのデューティサイクルを変更することを意味する。入力電流Iinを測定し平均化するための方法は、当業者に知られており、電流のアナログ平均化、例えばローパスフィルタリング、又はデジタル平均化が共に使用されてよい。N個のモータ270を備える駆動システムでは、それぞれのモータ270に提供される平均電流は、Iで表され、対応するPWMのデューティサイクルは、PWMで表される。電流Iの各々は、関連付けられたPWMによって、以下の式1に示されるようにトルクメトリックTに分割される。
=I/PWM式1
【0095】
トルクエラーen,mは、式2に従ってモータnと別のモータmとの差として決定することができる(ステップ420)。
n,m=T-T=I/PWM-I/PWM式2
ここで、n及びmは、n個のモータ270のうちの特定のモータ270を参照する。nは、1から無限大の間のいずれの数字でもあってよく、すなわち任意の数字であってよく、その結果n及びmは、1からnの間のいずれの数字でもあってよい。
【0096】
換言すると、駆動システム100が3つのモータ270を備える場合、2つのトルクエラーen,mは典型的には、各モータ270に関して計算されることになり、それはe1,2、e1,3、e2,1、e2,3、e3,1及びe3,2である。
【0097】
一実施形態では、上記の式2におけるnは、最も弱いトルクを有するモータを常に指しており、すなわちT≦Tである。この実施形態では、ドラム321に最も小さいトルクを与えるモータ270は、マスターとみなされ、他のモータ270はスレーブとみなされる。マスターのトルクは、次のセクションに詳細に記載されるように、他のモータ270、すなわちスレーブがトルクを制御する際にターゲットトルクとして使用するトルクである。この実施形態では、トルクエラーは、最も弱いトルクTを参照して決定されるだけでよい。例証するために、3つのモータ270を備える駆動システムでは、モータ#1は、ドラム321に最も少ないトルクを与えると仮定されたい。これは、この実施形態では、e1,2、e1,3トルクエラーのみを計算する必要があることを意味する。マスターであると特定されたモータ270は、例えば、スレーブのうちの1つに関して、PWMが最大であり、トルクがマスターのトルクより低い場合、制御の間に変更することができることに留意されたい。
【0098】
トルクエラーはまた、トルク差分値として参照されてもよい。
【0099】
トルクエラーen,mから、各モータ270がどのようにドラム321の駆動に寄与するかを判定することが可能である。異なる制御方法が利用されてよく、最も多くのトルクを与えているモータ270が、そのトルクを減少させる、又は最も少ないトルクを与えているモータ270が、そのトルクを増大させるかのいずれかである。あるいは、各モータのトルクが中間トルクに集まるように、方法は、組み合わされてもよく、最も多くのトルクを与えるモータ270は、そのトルクを減少させ、最も少ないトルクを与えるモータ270が、そのトルクを増大させる。異なる制御方法が、使用ケースによって利用されてよい。例えば、ドラム321が患者を降ろすプロセスにある場合、超えてはならない速度限界値が典型的には存在し、これは典型的には、PWMデューティサイクルの上限に関連付けられる。モータ270の1つがPWM限界値に達した場合、他のモータは、それらが同じトルクを提供するように、又はPWM限界値に達するように制御される。トルクを同じにすることなく他のモータがPWM限界値に達した場合、最初にPWM限界値に達するモータ270は、トルクが他のモータと実質的に同じになるまでそのトルクを減少させるように制御される。
【0100】
制御のための必要性を明確にするために、さらなる説明が、図11a~図11bを参照して提供される。この説明は、2つのモータ270で提示されるが、当業者は、本開示を読んだ後に、3つ以上のモータ270を制御するように本教示を拡張することが可能であろう。モータ270は、同一モデルであり、共通の仕様に従って供給されると仮定される。駆動システム100は、例えば患者などの荷重が持ち上げられるようにドラム321を回転させるように制御される。加速は、加速が停止し速度が一定に維持される地点で所望の速度が達成されるまで、制御され線形経路になるべきである。速度は、所望の速度に対応するターゲットPWMを有することによって制御されてよい。図11aは、ドラムが第1の期間Aにわたって加速され、その後速度は、第3の期間Dの間最終的に減速されるまで第2の期間Sの間一定であるときに、PWMがどのように経時的変化し得るかを図示する。図11aに図示されるようなPWMが、両方のモータ270に適用され、図11bでは、モータ270の各々によって及ぼされるトルクT1、T2が図示される。図11bでは点線であるトルクT1を及ぼすモータ270は、図11bでは実線であるトルクT2を及ぼすモータ270より低いトルクを及ぼすように図示される。これらのトルクT1、T2は、式1において教示されるように、そのそれぞれの電流及びPWMに比例する。同一のPWMが両方のモータ270に供給されるため、この例では、各モータ270に提供される電流は、図11bに図示されるトルクT1、T2のものと同様の挙動を呈するであろう。電流及びその結果のトルクが異なることの理由は、例えば経年変化、機能不全、個々の差異などであり得る。先に言及したように、両方のモータ270は同じ速度で動作しているため、図11bに見られる差は、第1のモータ270がドラム321へトルクをあまり与えず、結果として第2のモータ270にさらに摩耗を与えることになる。図11bを続けて参照すると、代わりに各モータ270は個々のPWMによって制御され、第2のモータ270のPWMを低減させることは、第2のトルクT2を減少させ、第1のモータのPWMを増大させることは、第1のトルクT1を増大させる。その結果、トルクに基づいてPWMを制御することによって、又は式2を参照して説明したように、むしろトルクエラーen,mに基づいてPWMを制御することによって、全てのモータ270がドラム321に実質的に同じトルクを与えるように、PWMを変更することが可能である。
【0101】
方法400及び図10に戻ると、ステップ420において決定されたトルクエラーは、先のセクションで説明したように、モータ270の少なくとも1つによって及ぼされるトルクを調整するステップ430に使用される。トルクは、先のセクションから理解されるように、PWMを調整することによって制御されてよい。調整ステップ430は、調整された電力レベル、APLによって達成されてよく、これは、制御されるべきモータ270に関連付けられたPWMに適用される。APLは、PWMに対する因子として使用され、APLは、制御方法に応じて制限されてよく、例えば増大が許可されない場合、APLは、その最大値として1,0で制限されてよく、減少が許可されない場合、APLは、その最小値として、1,0で制限されてよい。好ましくは、駆動システム100の各モータ270と関連付けられた1つのAPLが存在する。この開示では、1,0のAPLは典型的には、補正なしに対応し、1,0を下回るAPLはPWMの減少に対応し、1,0を超えるAPLは、PWMの増大に対応する。これは、限定因子とみなされるべきではなく、当業者は、例えば、PWMをAPLで割ることによって、逆の関係が達成されることを認識する。初期値として、APLは好ましくは1,0であり、その後、トルクエラーen,mに基づいて補正される。APLは、現在のAPLから関連付けられたトルクエラーen,mを単に引くことによって更新されてよいが、好ましくはトルクエラーen,mは、当分野では全て知られたP、PI、PD又はPIDコントローラによって処理される。
【0102】
図10を参照し、及び、駆動システム100に含まれる少なくとも2つのモータ270の各々によって及ぼされるトルクを制御するための方法400。方法400は、実施形態では、継続して、あるいは事前に定義された、もしくは構成可能な回数だけ実行されてよい。方法400は、例えば駆動システム100の作動によって開始されるか、又はモータ270の1つの移動を検出して開始される。言及したように、モータ270の各々によって及ぼされるトルクが取得される(ステップ410)。取得されたトルクを使用して、前記少なくとも2つのモータ270の第1のモータ270によって及ぼされるトルクと、少なくとも2つのモータ270の他方の各々によって及ぼされるトルクの差としてトルクエラーを決定する(ステップ420)。これは、式1及び式2を参照して上記に記載されたように行われてよい。決定されたトルクエラーに基づいて、モータ270の少なくとも一方によって及ぼされたトルクが調整される(ステップ430)。トルクは、ステップ420において決定されたトルクエラーを補正するために調整される。方法400がどのように実施されるかに応じて、全エラーが補正されてもよいが、好ましくは、方法400を何回か繰り返す間にトルクエラーをスムーズに補正するために、コントローラ、例えば、P、PI、PD又はPIDコントローラが利用される。
【0103】
方法の一実施形態において、それは、決定するステップ420の後に、又はその一部として、駆動システム100のモータ270の少なくとも1つに対して先に開示されたAPLを更新するステップ425をさらに含む。2つ以上のモータ270を備える駆動システム100に対して実行される方法400の好ましい実施形態では、APLは、これらのモータ270の各々に対して更新される。
【0104】
さらに任意選択の実施形態では、調整するステップ430は、モータ270の前記少なくとも1つと関連付けられたAPLでモータ270の少なくとも1つによって及ぼされるトルクを拡大縮小することによって行われる。
【0105】
方法400の任意選択の実施形態では、各モータのAPLは、1,0の最大値に制限される。このことから、ドラム321に最も小さいトルクを与えるモータ270のトルクがターゲットトルクとして使用される、すなわちより多くのトルクを与えるモータ270がAPL<1,0と関連付けられ、その結果、そのPWM及び与えられるトルクを減少させることになる。これは、どのモータ270が最も小さいトルクを与えるかを決定するステップと、他のモータ270によって与えられるトルクを、最も小さいトルクを与えるモータ270のものと実質的に同レベルのトルクになるまで減少させることを意味する。
【0106】
方法400の別の任意選択の実施形態では、速度制限及び/又は速度ターゲットが駆動システム100に適用される。速度制限及び/又は速度ターゲットは典型的には、ドラム321の結果として生じる回転速度と関連付けられるが、モータ270によって影響を受ける任意の速度であってもよい。この実施形態では、方法400は、速度制限及び/又は速度ターゲットと関連付けられたターゲット電流及び/又はターゲットPWMを決定するステップ427をさらに含む。これは、例えば、事前に定義された、もしくは構成可能な式又はルックアップテーブルを通して達成されてよい。
【0107】
さらに任意選択の実施形態では、モータ270の各々は、モータ270の1つがターゲット電流及び/又はターゲットPWMに達するまで、ステップ427において決定されたターゲット電流及び/又はターゲットPWMに基づいて制御される(ステップ429)。モータ270の1つがターゲット電流及び/又はターゲットPWMに達したとき、調整するステップ430が他のモータ270だけに、すなわちターゲット電流及び/又はターゲットPWMに達していない駆動システム100のモータに適用される。ターゲットを決定するステップ427及びモータを制御するステップ429は、方法400に組み込まれて行われてよい、又は方法400と並行して行われてもよい。
【0108】
あるいは、速度を制御するときに、モータ270の全てが、ステップ427において決定されたターゲット電流及び/又はターゲットPWMに達するように制御されるわけではない。決定された427ターゲット電流及び/又はターゲットPWMに達することを目標としていないいずれのモータ270も、ドラムに対する制動効果を効果的に有してよく、(モータ270の選択されたタイプに基づいて)発電機として作用してよい。これは、例えばステップ427において決定されたターゲット電流及び/又はターゲットPWMに達することを目標としていないモータに対してPWM又は電流を加えないことによって、あるいはターゲット電流/PWMより低いPWM又は電流を加えることによって達成されてよい。
【0109】
方法400の1つの任意選択の実施形態では、モータの各々についてのPWMが10%を超えるまで、好ましくは20%を超えるまで、最も好ましくは25%を超えるまで、トルクの差の調整は行われない。これは、測定された平均電流がPWMで割り算されるため、有利であり、電流のいずれの測定誤差も、より低いPWMデューティサイクルに関して、計算されたトルクエラーen,mにより多くの影響を与える。
【0110】
方法400の1つの任意選択の実施形態では、APLの制御はゆっくりである。これは、APL又はトルクエラーen,mが駆動システム100の動作の蓄積期間である期間にわたって平均化されることを意味し得る。この文脈において、駆動システム100の動作は、モータ270の少なくとも1つの動作、すなわちモータの少なくとも1つに0より大きいデューティサイクルを有するPWMを提供することを意味することになる。それは、動作の蓄積期間は、例えばPWMがPWM閾値を上回る、もしくは下回るとき、又はPWM限界値が実質的に一定であるとき、すなわちドラム321の加速がないときのみ蓄積されることであってよい。方法400のさらなる実施形態では、トルクエラーは、30秒より長い、好ましくは60秒より長い、最も好ましくは120秒より長い駆動システム100の動作の蓄積期間にわたって平均化される。さらに別の実施形態では、動作の蓄積期間は、PWMが10%を超えたとき、好ましくは20%を超えたとき、最も好ましくは25%を超えたときのみ蓄積される。
【0111】
方法400の任意選択での実施形態では、各モータ270に関連付けられAPLは、例えば停電後に、再び復旧され得るように、持続的なやり方で蓄積される。方法400の代替の実施形態では、各モータに関連付けられたAPLは、電力が失われる毎に1,0にリセットされる。
【0112】
方法400は、多くの方法で、変更される、調整される、又は適合されてよく、上記の提示は、概念の一般的な発想を提供することが仮定されており、全ての考え得る変形形態を詳細に記載することは意図されていない。上記に提示される実施形態は、任意の好適な方法で組み合わされてもよい。本開示を読んだ後、当業者は、PWMの減少のみが許可されるように、例えば、APLを1,0に制限することができることを認識するであろう。モータ270の1つがマスターとして選択されてよく、他のモータは、マスターのトルクにできるだけ近くなるようにそのそれぞれのトルクを調整するように制御される。
【0113】
方法400は、任意の好適な電気回路によって実行されてよく、又は方法400を実施するソフトウェアコードを実行する好適なコントローラによって行われてもよい。
【0114】
記載されるトルクエラーen,m又は提示されるAPLは、全てのモータ270がドラム321のトルクに等しく寄与するのを保証する以外に、さらなる使用が可能である。APLが1,0とはほど遠い場合、これは、システムの機能不全又は摩耗の兆候である可能性がある。1,0とはほど遠いという用語は漠然としており、当業者は、本開示を読んだ後に、どの差、エラーen,m又はAPLがシステムの健全性を判定するのに重要であるとみなされるべきかを知るであろう。あるシステムではAPLにおいて1,0から10%の偏差は重大であり、別のシステムでは、25%の偏差が重大である場合がある。駆動システム100は、APL又はエラーen,mにおける有意な差に対して作用するように構成されてよい。作用するために限界値は、事前に決定される、又は構成可能であってよく、取られる行動は、例えば、警告を生成する、又は駆動システム100を停止させるなど任意の好適な行動であってよい。駆動システム100は、統計学的分析をデータに対して行うことができるように、及ぼされるトルク、エラーen,m、APL及び/又は駆動システム100における任意の他のパラメータに関連するデータを追跡する、収集する及び/又は記録するようにさらに構成されてよい。
【0115】
一態様によると、コンピュータプログラムが提供される。コンピュータプログラム製品は、制御モジュールによって実行されるとき、上記の実施形態のいずれかの少なくとも2つのモータの各々によって及ぼされるトルクを制御するための方法を実行するように構成される。
【0116】
[条項]
本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲において定義され、以下の条項は、本発明の例示の実施形態とみなされるべきである。
【0117】
[条項1]
患者リフト用の駆動システム(100)であって、
荷重負担部材(12)を介して前記患者リフトの患者支持体設置デバイス(11)の垂直方向の移動を制御するように構成されたドラム(321)と、
前記ドラム(321)を駆動するように適合された少なくとも1つのモータ(270)であって、各モータ(270)がモータシャフトギア(227)に接続されている、少なくとも1つのモータ(270)と、
前記少なくとも1つのモータ(270)及び電源(340)に動作可能に接続された制御モジュール(350)と、
前記モータ(270)と前記ドラム(321)を接続する変速装置(228)であって、前記モータ(270)から前記ドラム(321)にトルクを伝達するように適合されており、
これにより、前記モータシャフトギア(227)と相互作用するように適合された変速装置インターフェース(220)を備える、変速装置(228)と
を備える駆動システム(100)。
【0118】
[条項2]
前記変速装置インターフェース(220)は、少なくとも2つの構成で前記モータシャフトギア(227)を受け入れるように構成され、各構成は、出力モータシャフト(274)の前記変速装置インターフェース(220)に対する配向に関連付けられている、条項1に記載の駆動システム(100)。
【0119】
[条項3]
前記制御モジュール(350)は、前記電源(340)から前記少なくとも1つのモータ(270)に供給される電力を制御することによって前記少なくとも1つのモータ(270)によって及ぼされるトルクを制御するように構成される、条項1又は2に記載の駆動システム(100)。
【0120】
[条項4]
コントローラは、前記少なくとも1つのモータ(270)に提供される平均電流及びパルス幅変調、PWM、デューティサイクル設定に基づいて、前記少なくとも1つのモータ(270)によって及ぼされるトルクを入手するようにさらに構成される、条項3に記載の駆動システム(100)。
【0121】
[条項5]
前記制御モジュール(350)は、前記電源(340)から前記少なくとも1つのモータ(270)に供給される前記電力を実質的に継続して制御するように構成される、条項3又は条項4に記載の駆動システム(100)。
【0122】
[条項6]
前記制御モジュール(350)は、積部を含む制御パラメータに基づいて、前記少なくとも1つのモータ(270)に供給される前記電力を制御するようにさらに構成される、条項5に記載の駆動システム(100)。
【0123】
[条項7]
前記制御パラメータは、整数部をさらに含む、条項6に記載の駆動システム(100)。
【0124】
[条項8]
前記制御パラメータは、導関数部をさらに含む、条項6又は条項7に記載の駆動システム(100)。
【0125】
[条項9]
速度制限が、前記駆動システム(100)に適用され、前記制御モジュール(350)は、
前記速度制限と関連付けられたターゲット電流及び/又はターゲットPWMデューティサイクルを決定し、
少なくとも1つのモータ270が前記ターゲット電流及び/又は前記ターゲットPWMデューティサイクルに達するまで前記少なくとも1つのモータ(270)を制御するようにさらに構成される、条項4から条項8のいずれか一項に記載の駆動システム(100)。
【0126】
[条項10]
前記少なくとも1つのモータ(270)の1つのみが、前記ターゲット電流及び/又は前記ターゲットPWMデューティサイクルに達するまで制御される、条項9に記載の駆動システム(100)。
【0127】
[条項11]
少なくとも2つのモータ(270)を備え、前記少なくとも2つのモータ(270)の各々に関連付けられた前記シャフトギア(227)は、実質的に同数の毎分回転数、RPMで回転される、条項1から10のいずれか一項に記載の駆動システム(100)。
【0128】
[条項12]
前記制御モジュール(350)は、
前記少なくとも2つのモータ(270)の各々によって及ぼされる前記トルクを入手する、
前記少なくとも2つのモータ(270)の各々によって及ぼされる前記トルク間の差として、少なくとも1つのトルク差分値を決定し、
前記決定された少なくとも1つのトルク差分値を補正するために、前記少なくとも2つのモータ(270)の少なくとも1つによって及ぼされる前記トルクを調整するようにさらに構成される、条項10に記載の駆動システム(100)。
【0129】
[条項13]
前記制御モジュール(350)は、前記少なくとも2つのモータ(270)の各々について、前記少なくとも1つのトルク差分値を決定する前に、調整された電力レベル、APLを更新するようにさらに構成される、条項11に記載の駆動システム(100)。
【0130】
[条項14]
前記制御モジュール(350)は、前記モータ(270)の少なくとも1つに関連付けられたAPLで、前記モータの(270)の前記少なくとも1つによって及ぼされる前記トルクを拡大縮小することによって、前記少なくとも2つのモータ(270)の少なくとも1つによって及ぼされる前記トルクを調整するように構成される、条項12に記載の駆動システム(100)。
【0131】
[条項15]
前記制御モジュール(350)は、前記少なくとも1つのモータ(270)が前記ターゲット電流及び/又は前記ターゲットPWMデューティサイクルに達したとき、前記ターゲット電流及び/又は前記ターゲットPWMデューティサイクルに最初に達する前記少なくとも1つのモータ(270)を除いた全てのモータ(270)によって及ぼされる前記トルクを調整するようにさらに構成される、条項10から条項13のいずれか一項に記載の駆動システム(100)。
【0132】
[条項16]
前記制御モジュール(350)は、どのモータ(270)が最も小さいトルクを与えるかを決定し、他のモータ(270)の各々によって及ぼされる前記トルクを、最も小さいトルクを与える前記モータ(270)によって与えられる前記トルクと実質的に同じになるように減少させるように調整するようにさらに構成される、条項10から条項14のいずれか一項に記載の駆動システム(100)。
【0133】
[条項17]
前記モータ(270)の各々によって及ぼされる前記トルクは、少なくとも前記PWMデューティサイクルに基づいて前記制御モジュール(350)によって制御され、前記制御モジュール(350)は、前記モータの各々についての前記PWMデューティサイクルが、10%を超えたとき、好ましくは20%を超えたとき、及び最も好ましくは25%を超えたとき、前記少なくとも2つのモータ(270)の少なくとも1つによって及ぼされる前記トルクの調整を開始するようにさらに構成される、条項10から条項16のいずれか一項に記載の駆動システム(100)。
【0134】
本発明は、その実施形態を参照して詳細に上記に説明されている。しかしながら当業者によって容易に理解されるように、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、他の実施形態が本発明の範囲内で等しく可能である。
【符号の説明】
【0135】
11 患者支持体設置デバイス
12 荷重負担部材
13 持ち上げデバイス
14 軌道
15 患者支持体
26 接続ユニット
100 駆動システム
200 ロック構成
213 ハウジング、ケーシング
220 変速装置インターフェース
227 モータシャフトギア
228 変速装置
250 ロックデバイス
251 形状記憶合金要素
270 モータ
273 係合部材
274 出力モータシャフト
321 ドラム
322 出力ギア、リング歯車
323 入力変速装置ギア
324 第1の中間ギア
325 第1のギア
326 遊星大歯車、第2の中間ギア
329 制動要素
340 電源
350 コントローラ、制御モジュール
400 方法
410 トルクを取得する
420 トルクエラーを決定する
425 APLを更新する
427 ターゲット電流及び/又はターゲットPWMを決定する
429 決定されたターゲット電流及び/又はターゲットPWMに基づいてモータを制御する
430 トルクエラーに基づいてトルクを調整する
431 入力変速装置シャフト、中間シャフト
432 中間シャフト
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
【国際調査報告】