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特表2023-538590がんの処置のための骨髄由来抑制細胞機能の免疫調節
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  • 特表-がんの処置のための骨髄由来抑制細胞機能の免疫調節 図1
  • 特表-がんの処置のための骨髄由来抑制細胞機能の免疫調節 図2A
  • 特表-がんの処置のための骨髄由来抑制細胞機能の免疫調節 図2B
  • 特表-がんの処置のための骨髄由来抑制細胞機能の免疫調節 図3
  • 特表-がんの処置のための骨髄由来抑制細胞機能の免疫調節 図4
  • 特表-がんの処置のための骨髄由来抑制細胞機能の免疫調節 図5
  • 特表-がんの処置のための骨髄由来抑制細胞機能の免疫調節 図6
  • 特表-がんの処置のための骨髄由来抑制細胞機能の免疫調節 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】がんの処置のための骨髄由来抑制細胞機能の免疫調節
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20230901BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230901BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20230901BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230901BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 31/407 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 31/202 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 38/05 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 31/155 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 38/55 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 31/395 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 31/41 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P35/00
A61P35/04
A61P43/00 121
A61K47/34
A61K47/36
A61K31/519
A61K31/454
A61K31/506
A61K31/407
A61K31/202
A61K38/05
A61K31/4439
A61K31/53
A61K31/155
A61K39/395 N
A61K38/55
A61K31/437
A61K31/395
A61K31/41 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512048
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(85)【翻訳文提出日】2023-04-11
(86)【国際出願番号】 US2021046392
(87)【国際公開番号】W WO2022040246
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】63/066,806
(32)【優先日】2020-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/066,807
(32)【優先日】2020-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523055396
【氏名又は名称】サージ・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SURGE Therapeutics, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドバーグ,マイケル ソロモン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076EE23
4C076EE30
4C076EE37
4C076FF31
4C084AA02
4C084AA17
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA09
4C084BA14
4C084BA23
4C084BA44
4C084NA12
4C084NA14
4C084ZB072
4C084ZB112
4C084ZB261
4C084ZC202
4C084ZC412
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE05
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC38
4C086BC39
4C086BC58
4C086BC60
4C086BC62
4C086BC82
4C086CB03
4C086CB05
4C086CB06
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA10
4C086GA12
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086NA05
4C086NA12
4C086ZB26
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA07
4C206HA31
4C206MA02
4C206MA05
4C206NA05
4C206NA12
4C206ZB26
4C206ZC75
(57)【要約】
本開示は、各々が生体材料調製物及び骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーター(例えば、好中球機能のモジュレーター)を含む組成物ならびにがん処置のためのその使用に関する技術を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体材料調製物及び骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターの組み合わせをがんに罹患している対象の腫瘍切除部位に手術時投与するステップを含む方法。
【請求項2】
前記骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターが、好中球機能のモジュレーターであるか、またはそれを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記好中球機能のモジュレーターが、(i)好中球の動員を阻害する、(ii)好中球の生存及び/または増殖を阻害する、及び/または(iii)好中球に関連するエフェクター機能を調節する薬剤であるか、またはそれを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
好中球に関連するエフェクター機能を調節する前記薬剤が、1種以上の免疫調節性サイトカイン及び/またはケモカインの生成及び/または分泌を調節する能力を特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
好中球に関連するエフェクター機能を調節する前記薬剤が、1種以上の免疫抑制性サイトカイン及び/またはケモカインの生成及び/または分泌を阻害する能力を特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
好中球に関連するエフェクター機能を調節する前記薬剤が、1種以上の免疫賦活性サイトカイン及び/またはケモカインの生成及び/または分泌を刺激する能力を特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
好中球に関連するエフェクター機能を調節する前記薬剤が、前記腫瘍切除部位での好中球による細胞外マトリックスの修飾を阻害する能力を特徴とする、請求項3~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記好中球機能のモジュレーターが、カテプシンG阻害剤、エラスターゼ阻害剤、CD74阻害剤、CD47阻害剤、アデノシン経路(CD39、CD73、A2AR、A2BR)阻害剤、ADAR1阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤、タンパク質アルギニンデイミナーゼ4(PAD4)阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、アポトーシス阻害タンパク質(IAP)阻害剤、ブルトンチロシンキナーゼ(BTK)阻害剤、プリン受容体P2X7(P2RX7)阻害剤、コロニー刺激因子1受容体(CSF1R)阻害剤、ホスホジエステラーゼ-5(PDE5)阻害剤、特異的炎症収束性メディエーター(SPM)の活性化因子、TGFβR1阻害剤、CCケモカイン阻害剤(例えば、CCR阻害剤、CCL阻害剤)、CXCケモカイン阻害剤(例えば、CXCR阻害剤、CXCL阻害剤)、メトホルミン、TREM-1及び/またはTREM-2阻害剤、インターロイキン34(IL-34)シグナル伝達阻害剤、プリン受容体P2X4(P2RX4)阻害剤、インターロイキン1α(IL-1α)シグナル伝達阻害剤、ドーパミン作動性受容体阻害剤及び/または抗精神病薬、好中球減少を引き起こす薬剤、TAMファミリー受容体型チロシンキナーゼシグナル伝達経路阻害剤、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR-1)阻害剤、白血球免疫グロブリン様受容体(LILR)関連シグナル伝達経路モジュレーター、c-Kit関連シグナル伝達経路阻害剤、MET関連シグナル伝達経路阻害剤、インターロイキン-4受容体(IL-4R)シグナル伝達阻害剤、モノアミンオキシダーゼA(MAO-A)阻害剤、補体成分C5a及び/またはC5a受容体阻害剤、コルチコステロイド、グルタミン酸依存性クロライドチャネル活性化因子、及び/またはP2RX4、P2RX7、及び/またはα7ニコチン性アセチルコリン受容体(α7 nAChR)の正のアロステリックエフェクター、β-アドレナリン作動性受容体アンタゴニスト、レニン-アンジオテンシン系阻害剤、アンジオポエチンシグナル伝達モジュレーター、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項2~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記生体材料調製物が1種以上のポリマーを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記生体材料調製物が温度応答性である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記温度応答性生体材料調製物が20~39℃の臨界ゲル化温度(CGT)を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記温度応答性生体材料がポロキサマーを含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記温度応答性生体材料が、ポロキサマー、及びポロキサマーではない第2のポリマー成分を含む、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記ポロキサマーが、12.5%(w/w)以下の濃度で生体材料調製物中に存在する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のポリマー成分が、炭水化物ポリマーであるか、またはそれを含む、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記生体材料調製物中の前記炭水化物ポリマーが、約5%(w/w)未満の濃度で存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記炭水化物ポリマーが、ヒアルロン酸であるか、またはそれを含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記ヒアルロン酸が約50kDa~約2MDaの分子量を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記炭水化物ポリマーが、キトサンまたは修飾キトサンであるか、またはそれを含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項20】
前記修飾キトサンが、カルボキシメチルキトサンであるか、またはそれを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記組み合わせが前記腫瘍切除部位に、またはその2cm以内に投与される、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記腫瘍切除部位が総残存腫瘍抗原の欠如を特徴とする、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記生体材料調製物がポリマーネットワーク状態で投与される、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
ポリマーネットワーク状態の前記生体材料調製物がハイドロゲルである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ポリマーネットワーク状態の前記生体材料調製物が粘性溶液またはコロイドである、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記生体材料調製物が前駆状態で投与され、前記腫瘍切除部位に投与された際に前記前駆状態がポリマーネットワーク状態に移行する、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記投与が移植によるものである、請求項23~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記投与が注射によるものである、請求項23~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記前駆状態の前記生体材料調製物が注射により投与される時、前記腫瘍切除部位に投与された際に前記前駆状態が前記ポリマーネットワーク状態に移行する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記投与が腹腔鏡検査と同時に、またはその後に実行される、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記投与が最小侵襲手術と同時に、またはその後に実行される、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記投与がロボット手術と同時に、またはその後に実行される、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記生体材料調製物が、約100Pa~約50,000Paの貯蔵弾性率を特徴とする、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記投与ステップが、(i)前記対象へのT細胞の養子移入、(ii)前記対象への腫瘍抗原の投与、及び/または(iii)前記対象への微小粒子の投与を含まない、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記がんが転移がんである、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記投与後に前記対象における少なくとも1つの転移部位をモニタリングするステップを更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記組み合わせが追加の免疫調節剤ペイロードを更に含む、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記免疫調節剤ペイロードが、自然免疫のモジュレーターであるか、またはそれを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記免疫調節剤ペイロードが、骨髄性細胞の機能のモジュレーターであるか、またはそれを含む、請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
前記免疫調節剤ペイロードが、適応免疫のモジュレーターであるか、またはそれを含む、請求項37~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記免疫調節剤ペイロードが、炎症のモジュレーターであるか、またはそれを含む、請求項37~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記生体材料調製物がインビボで生分解性である、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記生体材料調製物が、前記生体材料調製物をマウス対象の乳房脂肪パッドに投与することによりインビボで試験される場合に、前記投与後に前記生体材料調製物のうちの10%以下がインビボで4ヵ月間残存することを特徴とする、請求項1~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記組み合わせが、前記組み合わせを腫瘍切除部位に有する、自然転移がある試験動物群が、前記投与の2ヵ月または3ヵ月後に評価される場合に、前記骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターを含有しない生体材料調製物を腫瘍切除部位に有する比較可能な試験動物群より高い生存率を有することを特徴とする、請求項1~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記生体材料調製物の前記ポリマーネットワーク状態が、前記組み合わせをPBS(pH7.4)中に配置することによりインビトロで試験される場合に、前記骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターのうちの100%未満が3時間以内に前記生体材料調製物から放出されることを特徴とする、請求項24または25に記載の方法。
【請求項46】
前記生体材料調製物の前記ポリマーネットワーク状態が、前記組み合わせをPBS(pH7.4)中に配置することによりインビトロで試験される場合に、前記骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターのうちの少なくとも10%が12時間以内に前記生体材料調製物から放出されるか、または前記骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターのうちの少なくとも40%が48時間以内に前記生体材料調製物から放出されることを特徴とする、請求項24、25、または45に記載の方法。
【請求項47】
前記生体材料調製物の前記ポリマーネットワーク状態が、前記組み合わせをマウス対象の乳房脂肪パッドに投与することによりインビボで試験される場合に、前記骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターのうちの50%以下が前記投与の8時間後にインビボで放出されることを特徴とする、請求項24~25及び45~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記生体材料調製物の前記ポリマーネットワーク状態が、それが前記骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターの放出を延長し、その結果、投与の24時間後に評価される場合に、前記骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターが溶液で投与される場合に観察されるのと比べてより多くの骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターが前記腫瘍切除部位に存在することを特徴とする、請求項24~25及び45~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
がんに罹患している対象の腫瘍を切除するステップと、
骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターの徐放性単独療法ポリマー生体材料製剤を前記腫瘍切除部位に投与するステップと、を含み、
前記投与ステップが、(i)前記対象へのT細胞の養子移入、(ii)前記対象への腫瘍抗原の投与、及び(iii)前記対象への微小粒子の投与を含まない、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年8月17日に出願された米国仮出願第63/066806号及び2020年8月17日に出願された米国仮出願第63/066807号の利益を主張し、これらの内容はその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
薬物、栄養剤、または他の物質の循環系への全身投与は、全身に影響を及ぼす。全身投与経路としては、経腸投与(例えば、消化管を通した薬物の吸収をもたらす経口投与)及び非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、及び皮下注射)が挙げられる。免疫治療薬の投与は、通常、これらの全身投与経路に依存しており、これは、望ましくない副作用をもたらし得る。幾つかの例において、ある種の有望な治療薬は、付随する毒性ならびに現在の投与方法及び投与システムの限界に起因して、開発することが極めて困難である。
【0003】
手術は、多くの場合、固形腫瘍がんの第1選択処置であり、一般に、抗がん療法の全身投与と組み合わせて使用される。しかしながら、手術により誘発される免疫抑制は、種々の代謝反応及び内分泌反応における変化に起因する手術後の感染性合併症の発症及び腫瘍転移に関係付けられており、これらは、最終的に多くの患者の死亡をもたらす (Hiller,J.G.et al.Nature Reviews Clinical Oncology,2018,15,205-218)。
【発明の概要】
【0004】
免疫療法の全身投与は、有害な副作用、例えば、非がん性細胞及び/または組織、例えば、非腫瘍特異的免疫細胞に対する望ましくない毒性の誘発、及び/または標的部位で治療反応を引き起こすのに十分な濃度を達成するために高用量を必要とすることをもたらし得、腫瘍の外科的切除は、免疫抑制をもたらし得る。手術は細胞ストレスも誘発し得、これは、例えば、損傷後の創傷治癒を促進する1つ以上の生理的反応の活性化を伴い得る。かかる反応としては、例えば、神経シグナル伝達経路、炎症性シグナル伝達経路、及び/または血管新生促進シグナル伝達経路の活性化が挙げられ、これらは、がんの成長及び/または転移拡散を促進し得る。腫瘍切除後の手術部位で起こり得る炎症性変化としては、例えば、免疫細胞種及び/または炎症細胞種(複数可)の動員及び/または液性因子(複数可)の放出が挙げられ得る。腫瘍切除後の手術部位で発生し得る免疫応答のかかる変化は、休眠中の微小転移巣の活性化及び/または残存がん細胞の増殖を助長または促進し得、これにより、がん再発のリスクを増加させる。
【0005】
本発明の発明者は、とりわけ、腫瘍切除を受けたか、または受けている対象に投与される場合に、非常に有用であり得る、免疫調節剤ペイロードに依存しない免疫調節性生体材料を含む様々なシステム(例えば、2020年5月1日に出願され、現在WO2020/223698として公開されているPCT/US20/31169を参照のこと)または生体材料及び免疫調節剤ペイロードの組み合わせ(例えば、WO2018/045058またはWO2019/183216を参照のこと)を以前に記載した。このシステムの特質は、例えば、がん処置の特定の従来手法が含まれる、ある特定の従来技術に関連する1つ以上の問題の原因を解決した。例えば、このシステムは、免疫治療薬剤の全身投与に関連し得るある特定の有害事象(例えば、皮疹、肝炎、下痢、大腸炎、下垂体炎、甲状腺炎、及び副腎不全)を低減及び/または回避し得る。とりわけ、このシステムは、全身投与された免疫治療薬(複数可)への、及び/または全身投与が腫瘍での所望の反応を引き起こすのに十分な濃度を達成するためにしばしば必要とされる高用量のかかる薬物(複数可)への非腫瘍特異的免疫細胞の曝露を低減または除去し得る。とりわけ、このシステムは、腫瘍切除後の局所的免疫調節(例えば、自然免疫の局所的アゴニズム)を提供し得、これにより、とりわけ、免疫調節効果が必要とされる所での免疫調節効果を集中させることにより有効性を改善し得る。追加的または代替的に、切除術後の局所的免疫調節(例えば、自然免疫のアゴニズム)を提供するかかるシステムは、とりわけ、がんに対する局所免疫寛容を破ることができ、全身での抗腫瘍免疫の発生を可能にし、これにより、例えば、幾つかの実施形態では、播種性疾患の根絶をもたらし得る。
【0006】
本開示は、切除術後の免疫細胞の動員、生存、及び/または免疫エフェクター機能の局所的調節が、例えば、本明細書に記載されるように、特に有用であり得、及び/または特定の有益な効果を提供し得るという更なる驚くべき洞察を提供する。
【0007】
ある特定の態様では、特定の理論に拘束されるものではないが、本開示は、外科的腫瘍切除で起こる炎症性変化が、多数の免疫細胞種及び/または炎症細胞種の動員及び/または液性因子の放出を誘発し得、これにより、腫瘍捕獲(tumor capture)及び腫瘍成長を促進し、更に、動員された免疫細胞(例えば、MDSC、好中球、及び/またはマクロファージ)が、がんの成長及び/または播種を促進することが公知である因子(例えば、VEGF及びマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP))を分泌し得ることに注目する。例えば、Hiller et al.“Perioperative events influence cancer recurrence risk after surgery” Nature Reviews:Clinical Oncology(2018)15:205-218、及びTohme et al.“Surgery for Cancer:A Trigger for Metastases” Cancer Research(2017)77:1548-1552(これらの内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。更に、ある特定の態様では、特定の理論に拘束されるものではないが、本開示は、動員された好中球が、例えば、循環腫瘍細胞の捕獲及び蓄積を促進する好中球細胞外トラップを形成することにより腫瘍切除部位周辺の損傷組織に反応し得、更に、かかるクモの巣状の好中球細胞外DNAトラップが、外科的に処置された部位における腫瘍細胞の捕捉及び/または転移巣の成長の増強に有用である種々の分子(例えば、炎症誘発性分子)を含有し得ることに注目する。同文献を参照のこと。
【0008】
本開示は、とりわけ、腫瘍切除部位での好中球免疫エフェクター機能(複数可)の手術時の調節が、がん処置に特に有用であり得、及び/または効果的であり得るという洞察を提供する。幾つかの実施形態では、かかる調節は、腫瘍再発及び/または腫瘍再成長を低減するのに有用であり得、及び/または効果的であり得る。幾つかの実施形態では、かかる調節は、腫瘍転移を低減するのに有用であり得、及び/または効果的であり得る。実際、とりわけ本開示は、生体材料(例えば、幾つかの実施形態では、ポロキサマーを含み得るポリマー生体材料)及び骨髄由来抑制細胞(MDSC)のモジュレーターの組み合わせ、より具体的には生体材料(例えば、幾つかの実施形態では、ポロキサマーを含み得るポリマー生体材料)及び本明細書に記載されるような好中球のモジュレーターの組み合わせの腫瘍切除部位での手術時投与が、有益な治療効果(例えば、本明細書に記載されるもの)を提供し得ることを教示する。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される技術に有用である、MDSC及びより具体的には好中球のかかるモジュレーターは、かかる免疫細胞の動員及び/または生存を阻害し得る。追加的または代替的に、幾つかの実施形態では、本明細書に記載される技術に有用である、MDSC及びより具体的には好中球のかかるモジュレーターは、エフェクター機能を調節し得、例えば、幾つかの実施形態では、ある特定の腫瘍形成促進因子の生成を阻害し、及び/または幾つかの実施形態では、ある特定の抗腫瘍形成因子の生成を誘発する。
【0009】
幾つかの態様では、生体材料(例えば、ポリマー生体材料)及び骨髄由来抑制細胞(例えば、MDSC、好中球、マクロファージ、単球など)のモジュレーターを含む組成物を、がんに罹患している対象の標的部位に(例えば、腫瘍切除部位またはその付近に)手術時投与することを含む方法が提供される。幾つかの実施形態では、生体材料(例えば、ポリマー生体材料)は、1種以上のポリマーを含み得、そのうちの少なくとも1種は、ポロキサマーであるか、またはそれを含む。
【0010】
幾つかの実施形態では、本開示は、骨髄由来抑制細胞の1種以上のモジュレーター、例えば、MDSCのモジュレーター及び/またはより具体的には好中球のモジュレーターの送達を標的部位に(例えば、化学療法または放射線により、腫瘍が除去され、及び/または癌細胞が処置されたか、もしくは死滅させられた部位またはその付近に)限局し得、これにより、かかるモジュレーターの作用を必要とする標的部位にかかるモジュレーターの作用を集中させる組成物を提供する。かかる組成物は、がんを処置するのに特に有用であり得る。特に、本明細書に記載される組成物は、幾つかの実施形態では、有害な副作用及び/または全身曝露を最小限にしながら、例えば、腫瘍再発及び/または転移を予防すること(例えば、その発症を遅延させること、その程度を低減すること)などにより、例えば、がんの処置のための腫瘍切除後の、MDSC及び/または好中球の1つ以上の特性、例えば、好中球の動員、生存、及び/または免疫エフェクター機能に作用する(例えば、それを調節する)1種以上の治療薬を送達し得る。
【0011】
本明細書において提供される一態様は、生体材料調製物及び骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターの組み合わせをがんに罹患している対象の腫瘍切除部位に手術時投与するステップを含む方法に関する。特定の実施形態では、骨髄由来抑制細胞機能のこのようなモジュレーターは、好中球機能のモジュレーターであるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、好中球機能のこのようなモジュレーターは、(i)好中球の生存及び/または増殖を阻害し、及び/または(ii)好中球に関連するエフェクター機能を調節する薬剤であるか、またはそれを含む。
【0012】
ある特定の実施形態では、投与される本明細書に記載される組成物は、好中球により生成される1種以上の免疫調節分子の生成及び/または分泌を調節する能力を特徴とする1種以上の薬剤を送達し得る。ある特定の実施形態では、投与される本明細書に記載される組成物は、例えば、幾つかの実施形態では、好中球により生成される、1種以上の免疫調節性サイトカイン及び/またはケモカインの生成及び/または分泌を調節する能力を特徴とする1種以上の薬剤を送達し得る。ある特定の実施形態では、好中球機能のこのようなモジュレーターは、例えば、幾つかの実施形態では、好中球により生成される、1種以上の免疫抑制性サイトカイン及び/またはケモカインの生成及び/または分泌を阻害する能力を有することを特徴とする。ある特定の実施形態では、好中球機能のこのようなモジュレーターは、例えば、幾つかの実施形態では、好中球により生成される、1種以上の免疫賦活性サイトカイン及び/またはケモカインの生成及び/または分泌を刺激する能力を有することを特徴とする。
【0013】
ある特定の実施形態では、本開示による有用な好中球機能のモジュレーターは、好中球の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)への動員、生存、及び/または増殖を調節する能力を有することを特徴とする。例えば、幾つかの実施形態では、このようなモジュレーターは、免疫細胞(例えば、好中球が含まれる)により生成される1種以上のサイトカイン及び/またはケモカインの生成及び/または分泌を調節する能力を特徴とする。
【0014】
ある特定の実施形態では、本開示による有用な好中球機能のモジュレーターは、好中球に関連するエフェクター機能を調節する能力を有することを特徴とする。例えば、幾つかの実施形態では、このようなモジュレーターは、好中球による細胞外マトリックスの修飾を阻害することを、それを必要がある対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)で行う能力を特徴とする。ある特定の実施形態では、このようなモジュレーターは、(例えば、NETosisによる)腫瘍関連細胞の局在化を促進する好中球細胞外トラップ(NET)の形成を阻害する能力を特徴とする。
【0015】
ある特定の実施形態では、本開示に従って有用であり得るMDSC及び/または好中球の機能のモジュレーターは、以下のうちの少なくとも1つであるか、またはそれを含む:カテプシンG阻害剤、エラスターゼ阻害剤、CD74阻害剤、CD47阻害剤、アデノシン経路(CD39、CD73、A2AR、A2BR)阻害剤、ADAR1阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤、タンパク質アルギニンデイミナーゼ4(PAD4)阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、アポトーシス阻害タンパク質(IAP)阻害剤、ブルトンチロシンキナーゼ(BTK)阻害剤、プリン受容体P2X7(P2RX7)阻害剤、コロニー刺激因子1受容体(CSF1R)阻害剤、ホスホジエステラーゼ-5(PDE5)阻害剤、特異的炎症収束性メディエーター(SPM)の活性化因子、TGFβR1阻害剤、CCケモカイン阻害剤(例えば、CCR阻害剤、CCL阻害剤)、CXCケモカイン阻害剤(例えば、CXCR阻害剤、CXCL阻害剤)、メトホルミン、TREM-1及び/またはTREM-2阻害剤、インターロイキン34(IL-34)シグナル伝達阻害剤、プリン受容体P2X4(P2RX4)阻害剤、インターロイキン1α(IL-1α)シグナル伝達阻害剤、ドーパミン作動性受容体阻害剤及び/または抗精神病薬、好中球減少症を引き起こす薬剤、TAMファミリー受容体型チロシンキナーゼシグナル伝達経路阻害剤、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR-1)阻害剤、白血球免疫グロブリン様受容体(LILR)関連シグナル伝達経路モジュレーター、c-Kit関連シグナル伝達経路阻害剤、MET関連シグナル伝達経路阻害剤、インターロイキン-4受容体(IL-4R)シグナル伝達阻害剤、モノアミンオキシダーゼA(MAO-A)阻害剤、補体成分C5a及び/またはC5a受容体阻害剤、コルチコステロイド、グルタミン酸依存性クロライドチャネル活性化因子、及び/またはP2RX4、P2RX7、及び/またはα7ニコチン性アセチルコリン受容体(α7 nAChR)の正のアロステリックエフェクター、β-アドレナリン作動性受容体アンタゴニスト、レニン-アンジオテンシン系阻害剤、アンジオポエチンシグナル伝達モジュレーター、またはそれらの任意の組み合わせ。
【0016】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物に含まれる生体材料調製物は、1種以上のポリマーを含む。ある特定の実施形態では、このような生体材料調製物は、温度応答性である。例えば、ある特定の実施形態では、温度応答性生体材料調製物は、18~39℃または20~39℃の臨界ゲル化温度(CGT)を特徴とし得る。ある特定の実施形態では、温度応答性生体材料調製物は、ポロキサマー(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む。ある特定の実施形態では、温度応答性生体材料調製物は、12.5%(w/w)以下(例えば、11%(w/w)、10.5%(w/w)、10%(w/w)、9%(w/w)、8%(w/w)、7%(w/w)、6%(w/w)、5%(w/w)、4%(w/w)、またはそれ以下)の濃度でポロキサマー(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む。幾つかの実施形態では、ポロキサマーは、4%(w/w)~11%(w/w)または4%(w/w)~10.5%(w/w)または4%(w/w)~10%(w/w)の濃度で温度応答性生体材料調製物中に存在する。幾つかの実施形態では、ポロキサマーは、5%(w/w)~11%(w/w)または5%(w/w)~10.5%(w/w)または5%(w/w)~10%(w/w)の濃度で温度応答性生体材料調製物中に存在する。幾つかの実施形態では、ポロキサマーは、6%(w/w)~11%(w/w)または6%(w/w)~10.5%(w/w)または6%(w/w)~10%(w/w)の濃度で温度応答性生体材料調製物中に存在する。幾つかの実施形態では、本開示による有用なポロキサマーは、ポロキサマー407であるか、またはそれを含む。
【0017】
ある特定の実施形態では、温度応答性生体材料調製物は、ポロキサマー(例えば、本明細書に記載されるもの)及びポロキサマーではない少なくとも1種の第2のポリマー成分(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む。ある特定の実施形態では、このような第2のポリマー成分は、炭水化物ポリマーであるか、またはそれを含む。このような炭水化物ポリマーの例としては、限定されるものではないが、ヒアルロン酸、キトサン(例えば、修飾キトサンが含まれる)、及びそれらの組み合わせが挙げられ得る。ある特定の実施形態では、少なくとも1種の第2のポリマー成分(例えば、少なくとも1種の炭水化物ポリマー)は、約5%(w/w)未満の濃度で温度応答性生体材料調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、少なくとも1種の第2のポリマー(例えば、少なくとも1種の炭水化物ポリマー)は、0.5%(w/w)~10%(w/w)または0.5%(w/w)~5%(w/w)または1%(w/w)~10%(w/w)または1%(w/w)~5%(w/w)または2%~10%(w/w)の濃度で温度応答性生体材料調製物中に存在し得る。
【0018】
第2のポリマー成分がヒアルロン酸であるか、またはそれを含むある特定の実施形態では、かかるヒアルロン酸は、約50kDa~約2MDaの平均分子量を有することができる。幾つかの実施形態では、かかるヒアルロン酸は、100kDa~500kDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、かかるヒアルロン酸は、125kDa~375kDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、かかるヒアルロン酸は、100kDa~400kDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、かかるヒアルロン酸は、500kDa~1.5MDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、ヒアルロン酸の分子量は、重量平均分子量によって特徴付けられる。幾つかの実施形態では、ヒアルロン酸の分子量は、粘度平均分子量によって特徴付けられ、これは、幾つかの実施形態では、例えば、マルク-ホウインクの式を使用してヒアルロン酸の固有粘度を平均分子量に変換することにより決定され得る。幾つかの実施形態では、ヒアルロン酸の分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー-多角度レーザー光散乱法(SEC-MALLS)により測定され得る。
【0019】
幾つかの実施形態では、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び/または分散度(多分散性指数によって特徴付けられる)は、SEC-MALLSを使用して決定され得る。
【0020】
第2のポリマー成分がキトサンまたは修飾キトサンであるか、またはそれを含むある特定の実施形態では、カルボキシメチルキトサンが使用され得る。
【0021】
ある特定の実施形態では、生体材料調製物は、約100Pa~約50,000Paの貯蔵弾性率を有する。ある特定の実施形態では、本開示による有用な生体材料調製物は、ポリマーネットワーク状態で投与される。幾つかの実施形態では、ポリマーネットワーク状態の生体材料調製物は、ハイドロゲルである。幾つかの実施形態では、ポリマーネットワーク状態の生体材料調製物は、粘性溶液またはコロイドである。ある特定の実施形態では、本開示による有用な生体材料調製物は、腫瘍切除部位に投与された際に前駆状態がポリマーネットワーク状態に移行するように、当該前駆状態で投与される。
【0022】
ある特定の実施形態では、生体材料調製物は、インビボで生分解性である。ある特定の実施形態では、生体材料調製物は、インビボで生分解性である少なくとも1種のポリマー成分を含む。ある特定の実施形態では、このような生体材料調製物は、当該生体材料調製物をマウス対象の乳房脂肪パッドに投与することによりインビボで試験される場合に、投与後に生体材料(例えば、ポリマー生体材料)のうちの10%以下がインビボで4ヵ月間残存することを特徴とする。
【0023】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、マトリックスまたはデポーを形成する生体材料調製物及び当該生体材料調製物中に存在する骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターを含む。ある特定の実施形態では、骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーター(例えば、好中球機能のモジュレーター)は、投与後に標的部位(例えば、腫瘍切除部位)で拡散により生体材料調製物から放出される。例えば、ある特定の実施形態では、生体材料調製物のポリマーネットワーク状態は、生体材料及び骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターを含む組成物をPBS(pH7.4)中に配置することによりインビトロで試験される場合に、当該骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターのうちの100%未満が3時間以内に当該生体材料調製物から放出されることを特徴とし得る。ある特定の実施形態では、生体材料調製物のポリマーネットワーク状態は、生体材料及び骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターを含む組成物をPBS(pH7.4)中に配置することによりインビトロで試験される場合に、当該骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターのうちの少なくとも40%が12時間以内に当該生体材料調製物から放出されることを特徴とする。ある特定の実施形態では、生体材料調製物のポリマーネットワーク状態は、生体材料及び骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターを含む組成物をマウス対象の乳房脂肪パッドに投与することによりインビボで試験される場合に、当該骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターのうちの50%以下が投与の8時間後にインビボで放出されることを特徴とする。ある特定の実施形態では、生体材料調製物のポリマーネットワーク状態は、それが当該生体材料調製物中に存在する骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターの放出を延長し、その結果、投与の24時間後に評価される場合に、当該骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターが溶液で投与される場合に観察されるのと比べてより多くの骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターが標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に存在することを特徴とする。
【0024】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、なんらの他の治療薬も存在せずに骨髄由来抑制細胞機能の単一のモジュレーターが存在する単独治療組成物である。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、幾つかの実施形態では、免疫調節剤ペイロードであり得るか、またはそれを含み得る追加の治療薬を更に含み得る。このような追加の免疫調節剤ペイロードの例としては、限定されるものではないが、自然免疫のモジュレーター、骨髄性細胞機能のモジュレーター、適応免疫のモジュレーター、炎症のモジュレーター、及び/またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0025】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、腫瘍切除部位の2cm以内に投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、総残存腫瘍抗原の欠如を特徴とする腫瘍切除部位に送達される。
【0026】
幾つかの実施形態では、投与は、移植により実行され得る。例えば、幾つかの実施形態では、ポリマーネットワーク状態の生体材料調製物(例えば、ハイドロゲル)を含む組成物は、移植により投与され得る。
【0027】
幾つかの実施形態では、投与は、注射により実行され得る。幾つかの実施形態では、注射は、ロボットアームにより実行され得る。例えば、幾つかの実施形態では、前駆状態(例えば、液体状態または注射可能な状態)の生体材料調製物を含む組成物が注射により投与され、ここで、当該前駆状態は、投与された際にポリマーネットワーク状態(例えば、より粘性の溶液またはコロイド状態またはハイドロゲル)に移行する。
【0028】
幾つかの実施形態では、投与は、腹腔鏡検査と同時に、またはその後に実行され得る。幾つかの実施形態では、投与は、最小侵襲手術(MIS)、例えば、腫瘍切除のためのロボット支援MIS、ロボット手術、及び/または腹腔鏡手術と同時に、またはそれらの後に実行され得る。
【0029】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される方法は、T細胞の養子移入を、それを必要とする対象に施すことを含まない。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される方法は、腫瘍抗原を、それを必要とする対象に投与することを含まない。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される方法は、微小粒子を、必要とする対象に投与することを含まない。
【0030】
本明細書において提供される技術は、がんを有する患者に適している。ある特定の実施形態では、このようながんは、転移性である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物を投与されたがん(例えば、転移がんを有する)対象は、その後に転移の徴候についてモニタリングされ得る。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書において提供される方法は、提供される組成物の投与後に、少なくとも1つの転移部位をモニタリングすることを、それを必要とする対象において行うステップを更に含み得る。
【0031】
本開示により包含されるこれらの態様及び他の態様は、以下で及び特許請求の範囲においてより詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】腫瘍切除され、ポリマー生体材料(例えば、ポロキサマー、例えば、P407と低分子量(例えば、約187kDaの)ヒアルロン酸(HA)との組み合わせを含む)及び例えば、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤(例えば、ザヌブルチニブ)などの骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターを含む例示的な組成物を投与された動物のインビボでの生存データを示すグラフ図を示す。10w/w%のポロキサマー407及び3w/w%の187kDaのHAを含み、BTK阻害剤(例えば、ザヌブルチニブ、例えば、幾つかの実施形態では、1.25mg/マウスの用量のザヌブルチニブ)を含有する組成物、10%のポロキサマー407及び3%の187kDaのHAを含み、BTK阻害剤を含有しない対照組成物、ならびに15%のポロキサマー407を含む対照組成物による結果を示す。x軸は腫瘍接種後の時間を示す。腫瘍切除が腫瘍接種後の10日目に実行され、腫瘍切除後に例示的な組成物が投与された。
図2A】腫瘍切除され、ポリマー生体材料(例えば、ポロキサマー、例えば、P407と低分子量(例えば、約187kDaの)ヒアルロン酸(HA)との組み合わせを含む)ならびに例えば、COX1及び/またはCOX2阻害剤(例えば、ケトロラク)などの骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターを含む例示的な組成物を投与された動物のインビボでの生存データを示すグラフ図を示す。10w/w%のポロキサマー407及び3w/w%の187kDaのHAを含み、COX1及び/またはCOX2阻害剤(例えば、ケトロラク)を含有する組成物、10%のポロキサマー407及び3%の187kDaのHAを含み、COX1及び/またはCOX2阻害剤を含有しない対照組成物、ならびに15%のポロキサマー407を含む対照組成物による結果を示す。10w/w%のポロキサマー407及び3w/w%の187kDaのHAを含み、COX1及び/またはCOX2阻害剤(例えば、ケトロラク、例えば、幾つかの実施形態では、6mg/マウスの用量のケトロラク)を含有する組成物。x軸は腫瘍接種後の時間を示す。腫瘍切除が腫瘍接種後の10日目に実行され、腫瘍切除後に例示的な組成物が投与された。
図2B】腫瘍切除され、ポリマー生体材料(例えば、ポロキサマー、例えば、P407と低分子量(例えば、約187kDaの)ヒアルロン酸(HA)との組み合わせを含む)ならびに例えば、COX1及び/またはCOX2阻害剤(例えば、ケトロラク)などの骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターを含む例示的な組成物を投与された動物のインビボでの生存データを示すグラフ図を示す。10w/w%のポロキサマー407及び3w/w%の187kDaのHAを含み、COX1及び/またはCOX2阻害剤(例えば、ケトロラク)を含有する組成物、10%のポロキサマー407及び3%の187kDaのHAを含み、COX1及び/またはCOX2阻害剤を含有しない対照組成物、ならびに15%のポロキサマー407を含む対照組成物による結果を示す。10w/w%のポロキサマー407及び3w/w%の187kDaのHAを含み、COX1及び/またはCOX2阻害剤(例えば、ケトロラク、例えば、幾つかの実施形態では、9mg/マウスの用量のケトロラク)を含有する組成物。x軸は腫瘍接種後の時間を示す。腫瘍切除が腫瘍接種後の10日目に実行され、腫瘍切除後に例示的な組成物が投与された。
図3】腫瘍切除され、ポリマー生体材料(例えば、ポロキサマー、例えば、P407と高分子量(例えば、約766kDaの)ヒアルロン酸(HA)との組み合わせを含む)ならびに例えば、COX1及び/またはCOX2阻害剤(例えば、ケトロラク)などの骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターを含む例示的な組成物を投与された動物のインビボでの生存データを示すグラフ図を示す。9w/w%のポロキサマー407及び2.2w/w%の766kDaのHAを含み、COX1及び/またはCOX2阻害剤(例えば、ケトロラク、例えば、幾つかの実施形態では、1.2mg/マウスの用量のケトロラク)を含有する組成物、ならびに9%のポロキサマー407及び2.2%の766kDaのHAを含み、COX1及び/またはCOX2阻害剤を含有しない対照組成物による結果を示す。x軸は腫瘍接種後の時間を示す。腫瘍切除が腫瘍接種後の10日目に実行され、腫瘍切除後に例示的な組成物が投与された。
図4】腫瘍切除され、ポリマー生体材料(例えば、ポロキサマー、例えば、P407と低分子量(例えば、約187kDaの)ヒアルロン酸(HA)との組み合わせを含む)及び例えば、特異的炎症収束性メディエーター(例えば、レゾルビンD2(RvD2))などの骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターを含む例示的な組成物を投与された動物のインビボでの生存データを示すグラフ図を示す。10w/w%のポロキサマー407及び3w/w%の187kDaのHAを含み、特異的炎症収束性メディエーター(例えば、レゾルビンD2(RvD2)、例えば、幾つかの実施形態では、2.5μg/マウスの用量のレゾルビンD2(RvD2))を含有する組成物、10%のポロキサマー407及び3%の187kDaのHAを含み、特異的炎症収束性メディエーターを含有しない対照組成物、ならびに15%のポロキサマー407を含む対照組成物による結果を示す。x軸は腫瘍接種後の時間を示す。腫瘍切除が腫瘍接種後の10日目に実行され、腫瘍切除後に例示的な組成物が投与された。
図5】腫瘍切除され、ポリマー生体材料(例えば、ポロキサマー、例えば、P407と低分子量(例えば、約187kDaの)ヒアルロン酸(HA)との組み合わせを含む)及び例えば、CXCR4/CXCL12シグナル伝達阻害剤(例えば、プレリキサホル)などの骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターを含む例示的な組成物を投与された動物のインビボでの生存データを示すグラフ図を示す。10w/w%のポロキサマー407及び3w/w%の187kDaのHAを含み、CXCR4/CXCL12シグナル伝達阻害剤(例えば、プレリキサホル、例えば、幾つかの実施形態では、1.25mg/マウスの用量のプレリキサホル)を含有する組成物、10%のポロキサマー407及び3%の187kDaのHAを含み、CXCR4/CXCL12シグナル伝達阻害剤を含有しない対照組成物、ならびに15%のポロキサマー407を含む対照組成物による結果を示す。x軸は腫瘍接種後の時間を示す。腫瘍切除が腫瘍接種後の10日目に実行され、腫瘍切除後に例示的な組成物が投与された。
図6】腫瘍切除され、ポリマー生体材料(例えば、ポロキサマー、例えば、P407と低分子量(例えば、約187kDaの)ヒアルロン酸(HA)との組み合わせを含む)ならびに例えば、A2A及び/またはA2Bアデノシン受容体阻害剤(例えば、AB928、別名エトルマデナント)などの骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターを含む例示的な組成物を投与された動物のインビボでの生存データを示すグラフ図を示す。10w/w%のポロキサマー407及び3w/w%の187kDaのHAを含み、A2A及び/またはA2Bアデノシン受容体阻害剤(例えば、AB928、例えば、幾つかの実施形態では、1.25mg/マウスの用量のAB928)を含有する組成物、10%のポロキサマー407及び3%の187kDaのHAを含み、A2A及び/またはA2Bアデノシン受容体阻害剤を含有しない対照組成物、ならびに15%のポロキサマー407を含む対照組成物による結果を示す。x軸は腫瘍接種後の時間を示す。腫瘍切除が腫瘍接種後の10日目に実行され、腫瘍切除後に例示的な組成物が投与された。
図7】腫瘍切除され、ポリマー生体材料(例えば、ポロキサマー、例えば、P407と高分子量(例えば、約766kDaの)ヒアルロン酸(HA)との組み合わせを含む)及び例えば、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト(例えば、バルサルタン)などの骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターを含む例示的な組成物を投与された動物のインビボでの生存データを示すグラフ図を示す。11w/w%のポロキサマー407及び1.8w/w%の766kDaのHAを含み、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト(例えば、バルサルタン、例えば、幾つかの実施形態では、1mg/マウスの用量のバルサルタン)を含有する組成物、ならびに11%のポロキサマー407及び1.8%の766kDaのHAを含み、アンジオテンシンII受容体アンタゴニストを含有しない対照組成物による結果を示す。x軸は腫瘍接種後の時間を示す。腫瘍切除が腫瘍接種後の10日目に実行され、腫瘍切除後に例示的な組成物が投与された。
【発明を実施するための形態】
【0033】
ある特定の定義
本明細書に記載される生体材料調製物中の個々のポリマー成分の濃度は、それぞれ%(w/w)または重量%で表現されることに留意されたい。本明細書で使用する場合、生体材料調製物中のポリマー成分の濃度である%(w/w)は、(i)生体材料調製物中に存在する全ての個々のポリマー成分の総質量または総重量及び(ii)生体材料調製物に使用された溶媒の総質量または総重量の合計に対する当該ポリマー成分の質量または重量に基づいて決定される。
【0034】
適応免疫応答の活性化因子:用語「適応免疫応答の活性化因子」は、薬剤であって、対象(例えば、それが投与され、及び/またはそうでなければ投与される必要がある対象)の適応免疫系(及び/または適応免疫系の1つ以上の特徴)を、当該薬剤が存在しない場合と比較して活性化する(例えば、その活性を増加させる)、当該薬剤を指す。かかる活性化は、例えば、抑制性免疫チェックポイントを中和することにより、及び/または共刺激受容体を作動させることにより抗腫瘍機能を回復させるか、または増強することができ、最終的に、がん細胞により発現される免疫原性抗原に対するヘルパー及び/またはエフェクターT細胞応答を生じさせ、記憶B細胞及び/またはT細胞集団を生成させる。ある特定の実施形態では、適応免疫応答の活性化因子は、適応免疫応答及び/または白血球輸送の調節に関与する。適応免疫応答の活性化因子の例としては、例えば、WO2018/045058に記載されるものが挙げられ、その内容は本明細書に記載される目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0035】
自然免疫応答の活性化因子:用語「自然免疫応答の活性化因子」は、薬剤であって、対象(例えば、それが投与され、及び/またはそうでなければ投与される必要がある対象)の自然免疫系(及び/または自然免疫系の1つ以上の特徴)を、当該薬剤が存在しない場合と比較して活性化する(例えば、その活性を増加させる)、当該薬剤を指す。かかる活性化は、炎症性応答(例えば、免疫賦活性の炎症性応答)を開始させ、及び/または適応免疫応答を誘発するのに役立つ1種以上の作用物質を刺激することができ(例えば、その発現レベル及び/または活性を増加させることができ)、これにより、例えば、抗原特異的獲得免疫の発達をもたらす。幾つかの実施形態では、自然免疫系の活性化は、例えば、限定されるものではないが、好中球、好塩基球、好酸球、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞、単球、及びマクロファージが含まれる関連する免疫細胞の動員、サイトカイン産生、白血球の増殖及び/または生存、ならびに例えば、抗原提示細胞による抗原の提示及び/または共刺激分子の発現レベル及び/または活性を増加させることによるT細胞プライミングの改善をもたらすことができる。自然免疫応答の活性化因子の例としては、例えば、WO2018/045058に記載されるものが挙げられ、その内容は本明細書に記載される目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0036】
投与:本明細書で使用する場合、用語「投与する」、「投与すること」、または「投与」は、通常、組成物であるか、またはそれに含まれる薬剤またはペイロードの標的部位または処置される部位への送達を達成するための対象への組成物の投与を指す。当業者は、適切な状況において、対象、例えば、ヒトへの異なる薬剤の投与のために利用され得る種々の経路を知っているであろう。例えば、用語「投与する」、「投与すること」、または「投与」は、移植すること、吸収すること、摂取すること、注入すること、吸入すること、非経口投与、または別様に本明細書に記載されるように組成物を導入することを指すが、本明細書に記載される組成物を含む組成物の投与の文脈において、投与することは、幾つかの実施形態では、移植すること、または幾つかの実施形態では、注入することを指し得る。
【0037】
薬剤:本明細書で使用する場合、用語「薬剤」は、物理的実体または物理現象を指し得る。幾つかの実施形態では、薬剤は、特定の特徴及び/または効果を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、薬剤は、例えば、低分子、ポリペプチド、核酸、糖類、脂質、金属、またはそれらの組み合わせもしくは複合体が含まれる、任意の化学的分類の化合物、分子、または実体であり得る。幾つかの実施形態では、用語「薬剤」は、ポリマーを含む化合物、分子、または実体を指し得る。幾つかの実施形態では、この用語は、1つ以上のポリマー部分を含む化合物または実体を指し得る。幾つかの実施形態では、用語「薬剤」は、特定のポリマーまたはポリマー部分を実質的に含まない化合物、分子、または実体を指し得る。幾つかの実施形態では、この用語は、いずれのポリマーまたはポリマー部分も欠くか、または実質的に含まない化合物、分子、または実体を指し得る。
【0038】
アゴニスト:用語「アゴニスト」は、作用物質、状態、または事象であって、その存在、レベル、程度、種類、または形態が、別の作用物質(すなわち、刺激される作用物質)のレベル及び/または活性の増加及び/または1つ以上の生物学的事象の増加もしくは誘導と相関する、当該作用物質、状態、または事象を指すために使用され得ることを当業者は理解するであろう。一般に、アゴニストは、例えば、低分子、ポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質、金属、無機結晶、及び/または関連する活性化活性を示す任意の他の物質が含まれる、種々の化学的分類の作用物質であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、アゴニストは、直接的であり得る(この場合、それは直接的に標的に影響を及ぼす)。幾つかの実施形態では、アゴニストは、間接的であり得る(この場合、標的への結合以外により、例えば、当該標的のレベルまたは活性が変化されるように当該標的の調節因子と相互作用することにより、その影響を及ぼす)。部分アゴニストは、その標的及び/またはその調節因子と相互作用するために完全アゴニストと競合し、これにより、完全アゴニストのみで観察されるのと比較して、(i)別の薬剤の1つ以上の効果の減少、及び/または(ii)1つ以上の生物学的事象の減少引き起こすため、完全アゴニストの存在下で競合的アンタゴニストとして作用し得る。
【0039】
アンタゴニスト:用語「アンタゴニスト」は、作用物質、状態、または事象であって、その存在、レベル、程度、種類、または形態が、別の作用物質(すなわち、拮抗された作用物質)のレベル及び/または活性の減少及び/または1つ以上の生物学的事象の減少もしくは抑制と関連する、当該作用物質、状態、または事象を指し得ることを当業者は理解するであろう。一般に、アンタゴニストとしては、例えば、低分子、ポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質、金属、及び/または関連する阻害活性を示す任意の他の物質が含まれる、種々の化学的分類の作用物質が挙げられ得る。幾つかの実施形態では、アンタゴニストは、標的に直接結合するという点で「直接的アンタゴニスト」であり得る。幾つかの実施形態では、アンタゴニストは、その標的に直接結合する以外の手段により、例えば、当該標的のレベルまたは活性が変化されるように当該標的の調節因子と相互作用することにより、その影響を及ぼすという点で「間接的アンタゴニスト」であり得る。
【0040】
抗体:本明細書で使用する場合、用語「抗体」は、特定の標的抗原への特異的結合を付与するのに十分なカノニカル免疫グロブリン配列エレメントを含むポリペプチドを指す。当技術分野で公知の通り、天然に産生されるインタクト抗体は、「Y字形」構造と一般的に称される構造になるよう互いに会合した、2本の同一重鎖ポリペプチド(それぞれ約50kD)及び2本の同一軽鎖ポリペプチド(それぞれ約25kD)で構成された、およそ150kD四量体作用物質である。各重鎖は、アミノ末端可変(VH)ドメイン(Y構造の先端に存在する)、これに続くCH1、CH2、及びカルボキシ末端CH3(Yの幹部分の基部に存在する)の3つの定常ドメインの少なくとも4つのドメイン(それぞれ約110アミノ酸長)から構成される。「スイッチ」として公知の短い領域は、重鎖可変領域及び重鎖定常領域を連結する。「ヒンジ」は、CH2ドメイン及びCH3ドメインを抗体の残部に連結する。このヒンジ領域における2つのジスルフィド結合は、インタクト抗体において2本の重鎖ポリペプチドを互いに連結する。各軽鎖は、別の「スイッチ」により互いに隔てられた、アミノ末端可変(VL)ドメイン、これに続くカルボキシ末端定常(CL)ドメインの2つのドメインから構成される。インタクトな抗体四量体は、単一のジスルフィド結合により重鎖及び軽鎖が互いに連結されている2つの重鎖-軽鎖二量体から構成される。2つの他のジスルフィド結合は、二量体が互いに連結され、四量体が形成されるように、重鎖ヒンジ領域を互いに連結する。また天然に産生される抗体は、典型的にはCH2ドメインがグリコシル化されている。天然抗体における各ドメインは、圧縮された逆平行βバレルに互いに束ねられた2つのβシート(例えば、3、4、または5本鎖シート)により形成される「免疫グロブリンフォールド」を特徴とする構造を有する。各可変ドメインは、「相補性決定領域」として公知の3つの超可変ループ(CDR1、CDR2、及びCDR3)及び4つのやや不変な「フレームワーク」領域(FR1、FR2、FR3、及びFR4)を含有する。天然抗体が折り畳まれると、FR領域は、ドメインのための構造的フレームワークを提供するベータシートを形成し、重鎖及び軽鎖の両方のCDRループ領域は、Y構造の先端に位置する単一の超可変抗原結合部位を生じるように、三次元空間に集合される。天然に存在する抗体のFc領域は、補体系の成分に結合し、例えば、細胞傷害性を媒介するエフェクター細胞が含まれる、エフェクター細胞上の受容体にも結合する。当該技術分野において公知のように、Fc受容体に対するFc領域の親和性及び/または他の結合特性は、グリコシル化または他の修飾により調節され得る。幾つかの実施形態では、本発明に従って生成及び/または利用される抗体は、かかるグリコシル化が改変または操作されたFcドメインが含まれる、グリコシル化されたFcドメインを含む。本発明のために、ある特定の実施形態では、天然抗体に見出される十分な免疫グロブリンドメイン配列を含む任意のポリペプチドまたはポリペプチドの複合体は、かかるポリペプチドが、天然に生成される(例えば、抗原に反応する生物により生成される)か、または組換え工学、化学合成、もしくは他の人工の系もしくは方法論により生成されるかにかかわらず、「抗体」と称され得、及び/または抗体として使用され得る。幾つかの実施形態では、抗体は、ポリクローナルである。幾つかの実施形態では、抗体は、モノクローナルである。幾つかの実施形態では、抗体は、マウス、ウサギ、霊長類、またはヒト抗体に特徴的な定常領域配列を有する。幾つかの実施形態では、抗体配列エレメントは、当該技術分野において周知のように、ヒト化されたもの、霊長類化されたもの、キメラなどである。更に、用語「抗体」は、本明細書で使用する場合、適切な実施形態では(特に明記しない限りまたはそれ以外のことが文脈から明らかでない限り)、代替的提供において抗体の構造的及び機能的特徴を利用するための当該技術分野において公知のまたは開発された構築物またはフォーマットのいずれかを指し得る。例えば、幾つかの実施形態では、本発明に従って利用される抗体は、限定されるものではないが、インタクトなIgA、IgG、IgE、及びIgM抗体;二重特異性抗体または多特異性抗体(例えば、Zybodies(登録商標)など);抗体断片、例えば、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fd’断片、Fd断片、及び単離されたCDRまたはそのセット;単鎖Fv;ポリペプチド-Fc融合物;単一ドメイン抗体、代替足場または抗体ミメティック(例えば、アンチカリン、FN3モノボディ、DARPin、Affibody、Affilin、Affimer、Affitin、Alphabody、Avimer、Fynomer、Im7、VLR、VNAR、Trimab、CrossMab、Trident);ナノボディ、バイナノボディ、F(ab’)2、Fab’、ジsdFv、単一ドメイン抗体、三官能性抗体、ダイアボディ、及びミニボディなどから選択されるフォーマットである。幾つかの実施形態では、適切なフォーマットは、以下であり得るか、または以下が挙げられ得る:Adnectin(登録商標);Affibody(登録商標);Affilin(登録商標);Anticalin(登録商標);Avimer(登録商標);BiTE(登録商標);ラクダ様抗体;Centyrin(登録商標);アンキリンリピートタンパク質またはDARPIN(登録商標);二重親和性再ターゲティング(DART)薬剤;Fynomer(登録商標);IgNARなどのサメ単一ドメイン抗体;免疫動員性抗がんモノクローナルT細胞受容体(ImmTAC);KALBITOR(登録商標);MicroProtein;Nanobody(登録商標)、ミニボディ;マスクされた抗体(例えば、Probody(登録商標));mall odular mmunoharmaceutical(「SMIP(商標)」);単鎖またはタンデムダイアボディ(TandAb(登録商標));TCR様抗体;Trans-body(登録商標);TrimerX(登録商標);VHH。幾つかの実施形態では、抗体は、天然に生成される場合に有する共有結合による修飾(例えば、グリカンの結合)を欠いていてもよい。幾つかの実施形態では、抗体は、共有結合による修飾(例えば、グリカン、ペイロード[例えば、検出可能部分、治療用部分、触媒部分など]、または他のペンダント基[例えば、ポリエチレングリコールなど]の結合)を含有し得る。
【0041】
生体接着剤:用語「生体接着剤」は、標的表面、例えば、組織表面に付着することができる生体適合性の薬剤を指す。幾つかの実施形態では、生体接着剤は、標的表面、例えば、組織表面に付着することができ、例えば、一定期間、標的表面に保持することができる。幾つかの実施形態では、生体接着剤は、生分解性であり得る。幾つかの実施形態では、生体接着剤は、例えば、単離または合成により調製または取得されてもよい、天然の薬剤であり得る。幾つかの実施形態では、生体接着剤は、当業者によって理解されるように、例えば、人の手によって、例えば、薬剤に応じて処理、合成、及び/または組換え生産により設計及び/または製造されてもよい、非天然の薬剤であり得る。幾つかの特定の実施形態では、生体接着剤は、例えば、複数のモノマー、例えば、糖から構成され得るか、またはそれを含有し得る、ポリマー物質であり得るか、またはそれを含み得る。ある特定の例示的な生体接着剤としては、種々のFDA認可の薬剤、例えば、シアノアクリレート(Dermabond、2-オクチルシアノアクリレート;Indermil、n-ブチル-2-シアノアクリレート;Histoacryl及びHistoacryl Blue、n-ブチル-2-シアノアクリレート)、アルブミン及びグルタルアルデヒド(BioGlue(商標)、ウシ血清アルブミン及び10%グルタルアルデヒド)、フィブリン糊(Tisseel(商標)、プールされたヒト血漿フィブリノゲン及びトロンビン;Evicel(商標)、プールされたヒト血漿フィブリノゲン及びトロンビン;Vitagel(商標)、自己血漿フィブリノゲン及びトロンビン;Cryoseal(商標)システム、自己血漿フィブリノゲン及びトロンビン)、ホルムアルデヒド及び/またはグルタルアルデヒドにより架橋されたゼラチン及び/またはレゾルシノール、多糖ベースの接着剤(例えば、アルギナート、キトサン、コラーゲン、デキストラン、及び/またはゼラチン)、PEG、アクリレート、ポリアミン、もしくはウレタンバリアント(イソシアネート末端プレポリマー)、及び/またはそれらの組み合わせなどが挙げられる。例えば、Mehdizadeh and Yang “Design Strategies and Applications of Tissue Bioadhesives” Macromol Biosci 13:271-288(2013)に記載されているような当技術分野において公知である生体接着剤の他の例が、本明細書に記載の方法のために使用され得る。幾つかの実施形態では、生体接着剤は、分解性の生体接着剤であり得る。このような分解性の生体接着剤の例としては、限定されるものではないが、フィブリン糊、ゼラチン-レゾルシノール-ホルムアルデヒド/グルタルアルデヒド接着剤、ポリ(エチレングリコール)(PEG)ベースのヒドロゲル接着剤、多糖接着剤、ポリペプチド接着剤、ポリマー接着剤、生体模倣生体接着剤、及びBhagat and Becker “Degradable Adhesives for Surgery and Tissue Engineering” Biomacromolecules 18:3009-3039(2017)に記載のものが挙げられる。
【0042】
生体適合性:本明細書で使用する場合、用語「生体適合性」は、例えば、インビボで生体組織と接触して配置された場合に、かかる組織に対する顕著な害をもたらさない物質を指す。物質の生体適合性は、このような物質が国際標準化機構(ISO)規格番号10993及び/または米国薬局方(USP)23及び/または「Use of International Standard ISO-10993,Biological Evaluation of Medical Devices Part-1:Evaluation and Testing.」と題される米国食品医薬品局(FDA)ブルーブック覚書#G95-1に記載される生体適合性試験を通過する性能により評価され得る。典型的には、これらの試験は、物質の毒性、感染性、発熱原性、刺激性、反応性、溶血活性、発癌性、及び/または免疫原性を測定する。ある特定の実施形態では、物質は、その用途のインビボ環境においてそれら自体が細胞に有毒でない場合、「生体適合性」である。ある特定の実施形態では、物質は、それらのインビトロでの細胞への添加が20%以下の細胞死をもたらす場合、及び/またはそれらのインビボでの投与が、本明細書に記載される目的にとって臨床的に望ましくない顕著に重篤な炎症もしくは他のかかる有害作用を誘発しない場合、「生体適合性」である。当業者によって理解されるように、かかる顕著に重篤な炎症は、手術または生体への異物の導入に通常伴う一過性の軽度炎症と区別可能である。更に本開示を読む当業者は、幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物及び/またはその個々のポリマー成分は、既定の一定期間にわたる免疫調節(例えば、自然免疫アゴニズム)の程度が、例えば、抗腫瘍免疫をもたらすために、臨床的に有益であり、及び/または望ましい場合、生体適合性であることを理解するであろう。
【0043】
生分解性:本明細書で使用する場合、用語「生分解性」は、細胞に導入される場合に、細胞に対する顕著な毒性作用を伴わずに、細胞が再利用できるか、または取り除くことができるかのいずれかである成分に(例えば、細胞機構により、例えば、酵素的分解により、加水分解により、及び/またはそれらの組み合わせにより)分解される物質を指す。当業者により理解されるように、用語「生分解性」は、幾つかの実施形態では、部分的な生分解性を指し、幾つかの実施形態では、完全な生分解性を指す。ある特定の実施形態では、生分解性物質の分解により生成される構成成分は生体適合性であり、従って、本明細書に記載される目的にとって臨床的に望ましくない顕著に重篤な炎症及び/または他の有害作用をインビボで誘発しない。幾つかの実施形態では、生分解性ポリマー物質は、それらの構成モノマーに分解される。幾つかの実施形態では、生分解性ポリマー物質は、例えば、酵素活性または細胞機構によって、場合によっては、例えば、(例えば、相対的に低いpHを有する)リゾチームへの曝露によって、または単純な加水分解によって生物により分解され得る。幾つかの実施形態では、生分解性物質(例えば、生分解性ポリマー物質が含まれる)の分解は、エステル結合の加水分解を伴う。代替的にまたは追加的に、幾つかの実施形態では、生分解性物質(例えば、生分解性ポリマー物質が含まれる)の分解は、ウレタン結合の切断を伴う。例示的な生分解性ポリマーとしては、例えば、限定されるものではないが、ポリ(ヒドロキシル酸)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸-グリコール酸共重合体)(PLGA)、及びPEGとのコポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(ラクチド-カプロラクトン共重合体)、それらの混合物及びコポリマーが含まれる、乳酸及びグリコール酸などのヒドロキシ酸のポリマーが挙げられる。例えば、タンパク質、例えば、アルブミン、コラーゲン、ゼラチン、及びプロラミン(例えば、ゼイン)、ならびに多糖、例えば、アルギナート、セルロースバリアント、及びポリヒドロキシアルカノエート、例えば、ポリヒドロキシ酪酸、それらの混合物及びコポリマーが含まれる、多数の天然に存在するポリマーも生分解性である。当業者は、いつかかるポリマーが生体適合性、及び/またはその生分解性バリアント(例えば、当該技術分野において公知であるように、特定の化学基の置換または付加の点でのみ異なる実質的に同一の構造により親ポリマーに関連する)であるかを理解するか、または決定することができるであろう。
【0044】
生物学的製剤:用語「生物学的製剤」、「生物学的薬物」、及び「生物学的生成物」は、広範囲の生成物、例えば、ワクチン、血液及び血液成分、アレルギー誘発物質、体細胞、遺伝子治療、組織、核酸、ならびにタンパク質を指す。生物学的製剤は、糖、タンパク質、もしくは核酸、もしくはこれらの物質の複雑な組み合わせを含み得るか、または細胞及び組織などの生命体であり得る。生物学的製剤は、種々の天然の供給源(例えば、ヒト、動物、微生物)から単離され得、及び/または生物工学的方法及び/または他の技術により生成され得る。
【0045】
生体材料調製物:用語「生体材料調製物」は、(健全な医学的判断により)容認できない反応を誘発することなく医療目的(例えば、治療、診断)のために対象に投与することができることを特徴とする生体適合性の組成物を指す。生体材料調製物中の成分(複数可)は、自然界から得られ得るか、もしくは自然界に由来し得るか、または合成され得る。幾つかの実施形態では、生体材料調製物は、ポリマー生体材料であり得るか、またはそれを含み得る。例えば、幾つかの実施形態では、ポリマー生体材料は、少なくとも1種または複数種の(例えば、少なくとも2種以上の)ポリマー成分を含み得る。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物は、単一のポリマー成分(例えば、ヒアルロン酸)の生体材料である。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物は、第1のポリマー成分及び第2の第1のポリマー成分を含むポリマー生体材料であり、ここで、当該第1のポリマー成分は、少なくとも1種のポロキサマーであるか、またはそれを含み、当該第2のポリマー成分は、ポロキサマーではないポリマーであるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、生体材料調製物は、ポリマーネットワーク状態であり得る。幾つかの実施形態では、生体材料調製物は、注射可能な形態、例えば、前駆状態(例えば、粘性溶液)であり得る。例えば、生体材料の前駆体は、(例えば、対象に投与されると)生体内原位置で形成される当該生体材料の前駆体成分を含み得る。幾つかの実施形態では、生体材料調製物は、液体であり得る。幾つかの実施形態では、生体材料調製物は、粘性溶液である。幾つかの実施形態では、生体材料調製物は、コロイドである。幾つかの実施形態では、生体材料調製物は、固体であり得る。幾つかの実施形態では、生体材料調製物は、結晶(例えば、無機結晶)であり得る。幾つかの実施形態では、生体材料は、核酸ではない。幾つかの実施形態では、生体材料は、ポリペプチドではない。
【0046】
がん:用語「がん」は、悪性新生物を指す(Stedman’s Medical Dictionary,25th ed.;Hensyl ed.;Williams & Wilkins:Philadelphia,1990)。本開示の幾つかの実施形態の文脈において特に対象となるのは、細胞殺傷及び/または除去療法(例えば、外科的切除及び/または特定の化学療法薬療法、例えば、細胞傷害性療法など)により処置されるがんである。幾つかの実施形態では、本開示に従って処置されるがんは、外科的に切除されたもの(すなわち、少なくとも1つの腫瘍が外科的に切除されたもの)である。幾つかの実施形態では、本開示に従って処置されるがんは、切除術が標準治療であるものである。幾つかの実施形態では、本開示に従って処置されるがんは、転移したものである。ある特定の実施形態では、例示的ながんとしては、聴神経腫;腺癌;副腎癌;肛門癌;血管肉腫(例えば、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、血管肉腫);虫垂癌;良性単クローン免疫グロブリン症;胆道癌(例えば、胆管癌);胆管癌;膀胱癌;骨癌;乳房癌(例えば、乳房の腺癌、乳房の乳頭状癌、乳癌、乳房の髄様癌);脳癌(例えば、髄膜腫、神経膠芽腫、神経膠腫(例えば、星細胞腫、乏突起膠腫)、髄芽腫);気管支癌;カルチノイド腫瘍;心臓腫瘍;子宮頸癌(例えば、子宮頚部腺癌);絨毛癌;脊索腫;頭蓋咽頭腫;結腸直腸癌(例えば、結腸癌、直腸癌、結腸直腸腺癌);結合組織癌;上皮性癌;乳管内上皮内癌;上衣腫;内皮肉腫(例えば、カポシ肉腫、多発性特発性出血性肉腫);子宮内膜癌(例えば、子宮癌、子宮肉腫);食道癌(例えば、食道の腺癌、バレット腺癌);ユーイング肉腫;眼癌(例えば、眼球内黒色腫、網膜芽細胞腫);家族性過好酸球増加症;胆嚢癌;胃癌(例えば、胃腺癌);胃腸管間質腫瘍(GIST);胚細胞癌;頭頚部癌(例えば、頭頚部扁平上皮癌)、口腔癌(例えば、口腔扁平上皮癌)、咽喉癌(例えば、咽頭(laryngeal)癌、咽頭(pharyngeal)癌、上咽頭癌、中咽頭癌);造血器癌(例えば、白血病、例えば、急性リンパ球性白血病(ALL)(例えば、B細胞ALL、T細胞ALL)、急性骨髄性白血病(AML)(例えば、B細胞AML、T細胞AML)、慢性骨髄性白血病(CML)(例えば、B細胞CML、T細胞CML)、及び慢性リンパ球性白血病(CLL)(例えば、B細胞CLL、T細胞CLL));リンパ腫、例えば、ホジキンリンパ腫(HL)(例えば、B細胞HL、T細胞HL)及び非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、B細胞NHL、例えば、びまん性大細胞型リンパ腫(DLCL)(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(例えば、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯B細胞リンパ腫)、縦隔原発B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(すなわち、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症)、毛様細胞性白血病(HCL)、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、及び中枢神経系原発(CNS)リンパ腫;ならびにT細胞NHL、例えば、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)(例えば、皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)(例えば、菌状息肉腫、セーザリー症候群)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、節外性ナチュラルキラーT細胞リンパ腫、腸症型T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、及び未分化大細胞リンパ腫);上記の通りの1つ以上の白血病/リンパ腫の組み合わせ;多発骨髄腫;重鎖病(例えば、α鎖病、γ鎖病、μ鎖病);血管芽腫;組織球増加症;下咽頭癌;炎症性筋線維芽細胞性腫瘍;免疫細胞アミロイドーシス;腎臓癌(例えば、腎芽腫(別名ウィルムス腫瘍)、腎細胞癌);肝臓癌(例えば、肝細胞癌(HCC)、悪性ヘパトーマ);肺癌(例えば、気管支原性癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺の腺癌);平滑筋肉腫(LMS);肥満細胞症(例えば、全身性肥満細胞症);黒色腫;正中線癌;多発性内分泌腫瘍症候群;筋肉癌;骨髄異形成症候群(MDS);中皮腫;骨髄増殖性疾患(MPD)(例えば、真正多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)、原因不明骨髄様化生(AMM)(別名骨髄線維症(MF))、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、好酸球増加症候群(HES));鼻咽頭癌;神経芽細胞腫;神経線維腫(例えば、1型または2型神経線維腫症(NF)、神経鞘腫症);神経内分泌癌(例えば、膵消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)、カルチノイド腫瘍);骨肉腫(例えば、骨癌);卵巣癌(例えば、嚢胞腺癌、卵巣胎児性癌、卵巣腺癌);乳頭状腺癌;膵臓癌(例えば、膵臓腺癌、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、膵島細胞腫瘍);副甲状腺癌;乳頭状腺癌;陰茎癌(例えば、陰茎及び陰嚢のパジェット病);咽頭癌;松果体腫;下垂体癌;胸膜肺芽腫;原始神経外胚葉性腫瘍(PNT);形質細胞腫瘍;腫瘍随伴症候群;上皮内腫瘍;前立腺癌(例えば、前立腺腺癌);直腸癌;横紋筋肉腫;網膜芽細胞腫;唾液腺癌;皮膚癌(例えば、扁平上皮癌(SCC)、ケラトアカントーマ(KA)、黒色腫、基底細胞癌(BCC));小腸癌(例えば、虫垂癌);軟部組織肉腫(例えば、悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫);脂腺癌;胃癌;小腸癌;汗腺癌;滑膜腫;精巣癌(例えば、精上皮腫、精巣胎児性癌);胸腺癌;甲状腺癌(例えば、甲状腺の乳頭癌、甲状腺乳頭癌(PTC)、甲状腺髄様癌);尿道癌;子宮癌;膣癌;ならびに外陰癌(例えば、外陰部パジェット病)のうちの1つ以上が挙げられ得る。
【0047】
炭水化物ポリマー:用語「炭水化物ポリマー」は、例えば、炭水化物骨格を有する1種以上の炭水化物であるか、またはそれを含むポリマーを指す。例えば、幾つかの実施形態では、炭水化物ポリマーは、多糖もしくはオリゴ糖、または共有結合により連結された複数の単糖単位を含有するポリマーを指す。単糖単位は、全て同一であってもよく、または場合によっては、炭水化物ポリマー内に2つ以上の種類の単糖単位が存在してもよい。ある特定の実施形態では、炭水化物ポリマーは、天然に存在する。ある特定の実施形態では、炭水化物ポリマーは、合成である(すなわち、天然に存在しない)。幾つかの実施形態では、炭水化物ポリマーは、化学修飾を含み得る。幾つかの実施形態では、炭水化物ポリマーは、線状ポリマーである。幾つかの実施形態では、炭水化物ポリマーは、分枝ポリマーである。
【0048】
化学療法薬:用語「化学療法薬」は、癌の化学療法に有用であることが公知の治療薬を指す。例えば、幾つかの実施形態では、化学療法薬は、急速に増殖するがん細胞の増殖を阻害し得、及び/またはがん細胞を死滅させ得る。かかる化学療法薬の例としては、限定されるものではないが、アルキル化剤、代謝拮抗薬、トポイソメラーゼ阻害剤、及び/または有糸分裂阻害剤が挙げられる。
【0049】
併用療法:本明細書で使用する場合、用語「併用療法」は、対象が2つ以上の治療計画(例えば、2種以上の治療薬)に同時に曝露される状況を指す。幾つかの実施形態では、2つ以上の治療計画が同時に施され得る。幾つかの実施形態では、かかる治療計画が逐次的に施され得る(例えば、第1の治療計画の全ての「用量」が、第2の治療計画の任意の用量の投与前に投与される)。幾つかの実施形態では、かかる薬剤が部分的に重なる投与計画で投与される。幾つかの実施形態では、併用療法の「投与」は、1種以上の薬剤(複数可)または治療法(複数可)の、他の薬剤(複数可)または治療法(複数可)を投与されている対象への組み合わせでの投与を含み得る。明確にするために記すと、併用療法は、個々の薬剤が単一の組成物で一緒に(または更には必ず同時に)投与されることを必要としないが、幾つかの実施形態では、2種以上の薬剤またはその活性部分が、混合組成物として一緒に、または更には化合物の組み合わせとして(例えば、単一の化学的複合体または共有結合体の一部として)投与され得る。
【0050】
コロイド:本明細書で使用する場合、用語「コロイド」は、分散媒(例えば、水性緩衝液系)中に分散した粒子(例えば、ポリマー粒子)の均質溶液または懸濁液を指す。幾つかの実施形態では、コロイドは、エマルションである。幾つかの実施形態では、コロイドは、ゾルである。幾つかの実施形態では、コロイドは、ゲルである。
【0051】
比較可能(comparable):本明細書で使用する場合、用語「比較可能(comparable)」は、2つ以上の薬剤、実体、状況、条件のセットなどであって、互いに同一でなくてもよいが、観察される差または類似性に基づいて結論が合理的に導かれ得ることを当業者が理解するように、それらの間の比較を可能にするほど十分に類似する、当該2つ以上の薬剤、実体、状況、条件のセットなどを指す。幾つかの実施形態では、比較可能な条件、状況、個体、または集団のセットは、複数の実質的に同一の特徴及び1つまたは少数の変化する特徴を特徴とする。当業者は、文脈における任意の所与の状況で、2つ以上のかかる薬剤、実体、状況、条件のセットなどが比較可能とみなされるために、どの程度の同一性が必要とされるかを理解するであろう。例えば、当業者は、状況、個体、または集団のセットは、異なる状況、個体、または集団のセットの下で、またはそれらを用いて得られた結果または観察された現象の差が、様々なそれらの特徴の差異により引き起こされるか、または様々なそれらの特徴の差異の存在を示すという合理的な結論を保証するための十分な数及び種類の実質的に同一の特徴を特徴とする場合に、互いに比較可能であることを理解するであろう。当業者は、用語「同等(comparable)」が2つ以上の値の比較の文脈で使用される場合、かかる値は、値の差が治療結果、例えば、抗腫瘍免疫の誘導及び/または腫瘍再成長及び/または転移の発生率の実質的な差をもたらさないように互いに同等であることも理解するであろう。例えば、幾つかの実施形態では、同等の放出率は、48時間にわたる15%以内のかかる放出率の値を指す。幾つかの実施形態では、同等の放出率は、48時間にわたる20%以内のかかる放出率の値を指す。幾つかの実施形態では、同等の放出率は、24時間にわたる15%以内のかかる放出率の値を指す。
【0052】
臨界ゲル化温度:本明細書で使用する場合、「CGT」と省略される用語「臨界ゲル化温度」は、閾値温度であって、この温度またはこれを超える温度で生体材料調製物の前駆状態(例えば、本明細書に記載されるもの)が本明細書に記載されるポリマーネットワーク状態(例えば、ハイドロゲル状態)に移行する、当該閾値温度を指す。幾つかの実施形態では、臨界ゲル化温度は、ゾル-ゲル転移温度に対応し得る。幾つかの実施形態では、臨界ゲル化温度は、下限臨界溶液温度に対応し得る。熱応答性ゲルの一般的説明について、Taylor et al.,“Thermoresponsive Gels” Gels (2017) 3:4(この内容は本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。本開示において記載されるように、本明細書に記載される生体材料調製物の特定の実施形態は、約35~40℃の温度に曝露されると、ポリマーネットワーク状態を形成することが実証される。本開示を読む当業者は、かかる生体材料調製物が、必ずしも約35~40℃のCGTを有するわけではなく、むしろ35~40℃未満のCGTを有し得ることを理解するであろう。例えば、幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物は、約20~28℃のCGTを有し得る。
【0053】
架橋:本明細書で使用する場合、用語「架橋」は、網状組織を形成するための1つの実体と別の実体との間の相互作用及び/または結合を指す。例えば、幾つかの実施形態では、ポリマーネットワークに存在する架橋は、分子内架橋、分子間架橋、またはその両方であり得るか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、架橋は、ポリマーネットワークを形成するための1つのポリマー鎖(複数可)と別のポリマー鎖(複数可)との間の相互作用及び/または結合を含み得る。幾つかの実施形態では、架橋は、例えば、1つ以上の環境トリガー及び/または生理化学的相互作用が含まれる、1つ以上の物理的架橋手法を使用して達成され得る。環境トリガーの例としては、限定されるものではないが、pH、温度、及び/またはイオン強度が挙げられる。生理化学的相互作用の非限定的な例としては、疎水性相互作用、電荷相互作用、水素結合相互作用、ステレオコンプレックス形成、及び/または超分子化学が挙げられる。幾つかの実施形態では、架橋は、化学反応に基づく(例えば、2つの実体間の結合が共有結合であるか、またはそれを含む)1つ以上の共有結合による架橋手法を使用して達成され得、例えば、幾つかの実施形態では、これには、アルデヒド及びアミンのシッフ塩基を形成する反応、アルデヒド及びヒドラジドのヒドラジンを形成する反応、及び/またはアクリル酸及び一級アミンもしくはチオールのいずれかの二級アミンもしくはスルフィドを形成するミカエル反応が挙げられ得る。かかる共有結合による架橋手法の例としては、限定されるものではないが、低分子架橋及びポリマー-ポリマー架橋が挙げられる。ポリマー鎖の物理的架橋及び共有結合による架橋のための各種の方法は、例えば、Hoare and Kohane,“Hydrogels in drug delivery:Progress and challenges” Polymer (2008) 49:1993-2007(この全内容は本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように当技術分野において公知である。
【0054】
架橋剤:本明細書で互換的に使用される、用語「架橋剤」または「橋かけ剤」は、1つの実体(例えば、1つのポリマー鎖)を別の実体(例えば、別のポリマー鎖)に連結する薬剤を指す。幾つかの実施形態では、2つの実体間の結合(すなわち、「架橋」)は、共有結合であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、2つの実体間の結合は、イオン結合またはイオン相互作用であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、架橋剤は、化学架橋剤であり、例えば、幾つかの実施形態では、これは、アルデヒド基とアミノ基との間の共有結合形成を誘発するための低分子(例えば、ジアルデヒドまたはゲニピン)であり得るか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、架橋剤は、感光性官能基を含む。幾つかの実施形態では、架橋剤は、pH感受性官能基を含む。幾つかの実施形態では、架橋剤は、熱感受性官能基を含む。
【0055】
有効量:「有効量」は、所望の生物学的反応、例えば、対象が罹患している可能性のある状態の処置を誘発するのに十分な量である。当業者によって理解されるように、組成物または当該組成物中に含まれる薬剤の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、当該組成物中の薬剤の物理的、化学的、及び/または生物学的特徴(例えば、薬物動態及び/または分解)、処置されている状態、ならびに対象の年齢及び健康状態のような要因に応じて異なり得る。幾つかの実施形態では、量は治療処置に有効であり得る。代替的にまたは追加的に、幾つかの実施形態では、量は予防処置に有効であり得る。例えば、がんの処置において、有効量は、腫瘍再成長を予防し得るか、腫瘍負荷を低減し得るか、または腫瘍の成長もしくは広がりを停止させ得る。有効量は単一剤形に含有される必要はないことを当業者は理解するであろう。むしろ、有効量の投与は、場合により経時的な、(例えば、投与計画に従った)複数回の投与を必要とし得る。例えば、幾つかの実施形態では、有効量は、適切な集団に投与される場合に、統計的有意差を伴って特定の結果を達成することが確立された投与計画で投与される量であり得る。
【0056】
水和物:本明細書で使用する場合、用語「水和物」は、当該技術分野において理解されている意味を有し、化合物(例えば、当該化合物の塩形態であり得る)及び1つ以上の水分子の凝集体を指す。通常、化合物の水和物に含有される水分子の数は、水和物における化合物分子の数に対する一定の比率である。従って、化合物の水和物は、例えば、一般式R×xH2Oにより表され得、式中、Rは化合物であり、xは0を超える数である。所与の化合物は、例えば、一水和物(xは1である)、より低次の水和物(xは0より大きく、1未満の数である(例えば、半水和物(R×0.5H2O)))、及び多水和物(xは1を超える数である(例えば、二水和物(R×2H2O)及び六水化物(R×6H2O)))が含まれる、2つ以上の種類の水和物を形成し得る。
【0057】
ヒドロゲル:用語「ヒドロゲル」は、当該技術分野において理解されている意味を有し、場合により、水相が分散媒であるコロイドゲルとして見い出される、親水性ポリマー鎖の網状組織から形成される物質を指す。幾つかの実施形態では、ヒドロゲルは、吸収性が高い(例えば、90%超の水分を吸収及び/または保持することができる)天然または合成のポリマーネットワークである。幾つかの実施形態では、ヒドロゲルは、例えば、それらの顕著な含水量に起因する天然組織と同程度の柔軟度を有する。
【0058】
免疫療法:用語「免疫療法」は、免疫応答を誘発するか、増強するか、または抑制することにより疾患の処置を促進する治療薬を指す。免疫応答を誘発または増幅するように設計された免疫療法は、活性化免疫療法に分類される一方で、免疫応答を低減または抑制する免疫療法は、抑制免疫療法に分類される。免疫療法は、通常は生物学的薬物であるがそうでない場合もある。多数の免疫療法ががんを処置するために使用される。これらとしては、限定されるものではないが、モノクローナル抗体、養子細胞移入、サイトカイン、ケモカイン、ワクチン、核酸、低分子阻害剤、及び低分子アゴニストが挙げられる。例えば、有用な免疫療法としては、限定されるものではないが、I型インターフェロンの誘導因子、インターフェロン、インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)のアゴニスト、TLR7/8アゴニスト、IL-15スーパーアゴニスト、COX阻害剤(例えば、COX-1阻害剤及び/またはCOX-2阻害剤)、抗PD-1抗体、抗CD137抗体、及び抗CTLA-4抗体が挙げられ得る。幾つかの実施形態では、本明細書において提供されるある特定の生体材料調製物は、それ自体が免疫療法の非存在下で(例えば、抗腫瘍免疫を誘発するのに十分)免疫調節性であり、従って、本明細書に記載されるかかる免疫療法の投与を含まない。
【0059】
免疫調節剤ペイロード:本明細書で使用する場合、用語「免疫調節剤ペイロード」は、生体材料調製物(例えば、本明細書において提供及び/または利用されるもの)により保持され得るか、または生体材料調製物中に分散され得る別個の免疫調節剤(例えば、低分子、ポリペプチド(例えば、サイトカインが含まれる)、核酸など)を指し、ここで、当該免疫調節剤は、対象における免疫応答の1つ以上の側面を調節するか、または変化させる(例えば、誘発する、増強する、または抑制するなど)治療効果を提供する。免疫調節剤ペイロードの例としては、限定されるものではないが、適応免疫応答の活性化因子、自然免疫応答の活性化因子、炎症誘発性経路の阻害剤、免疫調節性サイトカイン、または免疫調節治療薬、ならびにWO2018/045058及びWO2019/183216に記載されるもの、ならびにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。上述の特許出願の内容は、本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる。幾つかの実施形態では、免疫調節剤ペイロードは、自然免疫調節ペイロード(例えば、自然免疫及び/または自然免疫の1つ以上の特徴を誘発または刺激する免疫調節剤ペイロード)であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、自然免疫調節ペイロードは、自然免疫応答の活性化因子であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、免疫調節剤ペイロードは、適応免疫調節ペイロード、例えば、適応免疫応答の活性化因子であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、免疫調節剤ペイロードは、炎症誘発性経路の阻害剤、例えば、p38マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路により媒介される炎症誘発性免疫応答の阻害剤であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、免疫調節剤ペイロードは、免疫調節性サイトカインであるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、免疫調節剤ペイロードは、免疫調節治療薬であるか、またはそれを含む。当業者によって理解されるように、免疫調節剤ペイロードは、(例えば、本明細書において記載及び/または利用される)生体材料調製物の成分(例えば、前駆体成分)及び/または例えば、化学反応、酵素反応、及び/または例えば、分解などの生物学的反応により生成される副生成物を含まない。
【0060】
移植:用語「移植可能」、「移植」、「移植すること」、及び「移植片」は、対象の特定の位置に、例えば、腫瘍切除部位内またはセンチネルリンパ節に、典型的には一般的な外科的方法により、関心対象の組成物を配置することを指す。
【0061】
増加、誘発、または低減:本明細書で使用する場合、これらの用語または文法的に同等の比較用語は、比較可能な参照測定値に対して相対的である値を示す。例えば、対象において達成された評価値は、異なる条件(例えば、事象の前もしくは後;または本明細書において記載及び/または利用される組成物もしくは調製物の投与などの事象の存在もしくは不存在)下での同一の対象において、または異なる比較可能な対象において(例えば、条件への事前の曝露において関心対象の対象と異なる、例えば、本明細書において記載及び/または利用される組成物または調製物が投与されない、比較可能な対象において)得られた評価値と比較して「増加」していてもよい。幾つかの実施形態では、比較用語は、統計的に関連のある差(例えば、統計的関連性を達成するのに十分な発生率及び/または大きさのもの)を指す。当業者は、所与の文脈において、かかる統計的有意差を達成するのに必要であるか、または十分な差の程度及び/または発生率を知っているか、または容易に決定することができるであろう。
【0062】
阻害:用語「阻害」または「阻害する」は、完全阻害のみに限定されない。従って、幾つかの実施形態では、部分阻害または相対的低減が、用語「阻害」の範囲内に含まれる。例えば、標的のレベル(例えば、発現及び/または活性)の調節の文脈において、この用語は、幾つかの実施形態では、標的のレベル(例えば、発現及び/または活性)の、例えば、標的のベースラインレベルであり得る最初のレベルまたは他の適切な参照レベルと比べて再現性よく及び/または統計的に有意に低いレベルまでの減少を指す。幾つかの実施形態では、この用語は、標的のレベル(例えば、発現及び/または活性)の、例えば、標的のベースラインレベルであり得る最初のレベルの75%未満、50%未満、40%未満、30%未満、25%未満、20%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.01%未満、0.001%未満、または0.0001%未満であるレベルまでの減少を指す。腫瘍再発及び/または転移のリスク及び/または発生率の文脈において、この用語は、幾つかの実施形態では、例えば、本明細書に記載の組成物の投与の非存在下での、または投与前の腫瘍再発及び/または転移のリスクまたは発生率のベースラインレベルであり得る最初のレベルまたは他の適切な参照レベルと比べて再現的及び/または統計的に有意に低い水準までの腫瘍再発及び/または転移のリスクまたは発生率の低減を指す。幾つかの実施形態では、この用語は、例えば、本明細書に記載の組成物の投与の非存在下での、または投与前の腫瘍再発及び/または転移のリスクまたは発生率のベースラインレベルであり得る最初のレベルの75%未満、50%未満、40%未満、30%未満、25%未満、20%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.01%未満、0.001%未満、または0.0001%未満である水準までの腫瘍再発及び/または転移のリスクまたは発生率の低減を指す。免疫細胞機能の(例えば、標的の活性及び/または発現を阻害することによる)調節の文脈において、この用語は、幾つかの実施形態では、例えば、本明細書に記載される組成物の投与の非存在下での、または投与前の標的の活性及び/または発現のベースラインレベルであり得る最初のレベルまたは他の適切な参照レベルと比べて再現的及び/または統計的に有意に低い水準までの当該標的の活性及び/また発現の低減を指す。
【0063】
阻害剤:本明細書で使用する場合、用語「阻害剤」は、その存在またはレベルが、調節される標的のレベルまたは活性の減少と関連する薬剤を指す。幾つかの実施形態では、阻害剤は、直接的に作用し得る(この場合、例えば、標的に結合することにより、直接的に当該標的に対する影響を及ぼす)。幾つかの実施形態では、阻害剤は、間接的に作用し得る(この場合、阻害剤は、標的のレベル及び/または活性が低減されるように当該標的の調節因子と相互作用すること、及び/または別様にそれを変化させることにより、その影響を及ぼす)。幾つかの実施形態では、阻害剤は、その存在またはレベルが、特定の参照レベルまたは活性(例えば、適切な参照条件下、例えば、既知の阻害剤の存在下または本明細書において開示される阻害剤の非存在下などで観察されるもの)と比較して低減されている標的のレベルまたは活性と相関するものである。幾つかの実施形態では、阻害剤は、低分子、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、多糖類、ポリペプチド、タンパク質、抗体、及び/またはそれらの機能部分であり得る。
【0064】
異性体:同じ分子式を有するが、それらの原子の結合の性質もしくは順序または空間内のそれらの原子の配置が異なる化合物は、「異性体」と称されることも理解されたい。空間内のそれらの原子の配置が異なる異性体は、「立体異性体」と称される。
【0065】
転移:用語「転移」、「転移性」、または「転移する」は、原発腫瘍または最初の腫瘍から別の器官または組織へのがん細胞の拡散または遊走を指し、典型的には、続発性(転移性)腫瘍が位置する器官または組織のものではない、原発腫瘍または元の腫瘍の組織型の「続発性腫瘍」または「続発性細胞塊」の存在により同定可能である。例えば、骨に移動した前立腺癌は、転移性前立腺癌と言われ、骨組織中で増殖するがん性の前立腺癌細胞を含む。
【0066】
微小粒子:本明細書で使用する場合、用語「微小粒子」は、1マイクロメートル~1000マイクロメートル(μm)の最長寸法(例えば、直径)を有する粒子を指す。幾つかの実施形態では、微小粒子は、1μm~500μmの最長寸法(例えば、直径)を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、微小粒子は、1μm~100μmの最長寸法(例えば、直径)を特徴とし得る。多数の実施形態では、微小粒子の集団は、約1,000μm未満、約500μm未満、約100μm未満、約50μm未満、約40μm未満、約30μm未満、約20μm未満、または約10μm未満かつ多くの場合、約1μm超の平均サイズ(例えば、最長寸法)を特徴とする。多数の実施形態では、微小粒子は、ほぼ球状であり得る(例えば、その結果、最長寸法はその直径であり得る)。
【0067】
単糖:本明細書で使用する場合、用語「単糖」は、当該技術分野において使用されるその通常の意味を付与され、より小さな糖構成単位または部分に更に分解することができない単一の糖単位からなる単純な形態の糖を指す。単糖の一般的な例としては、例えば、グルコース(デキストロース)、フルクトース、ガラクトース、マンノース、リボースなどが挙げられる。単糖は、炭水化物の炭素原子の数に従って、分類され得る。例えば、3個の炭素原子を有するトリオース、例えば、グリセルアルデヒド及び/またはジヒドロキシアセトン;4個の炭素原子を有するテトロース、例えば、エリスロース、トレオース、及び/またはエリトルロース;5個の炭素原子を有するペントース、例えば、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、リブロース、及び/またはキシルロース;6個の炭素原子を有するヘキソース、例えば、アロース、アルトロース、ガラクトース、グルコース、グロース、イドース、マンノース、タロース、フルクトース、プシコース、ソルボース、及び/またはタガトース;7個の炭素原子を有するヘプトース、例えば、マンノヘプツロース及び/またはセドヘプツロース;8個の炭素原子を有するオクトース、例えば、2-ケト-3-デオキシ-マンノ-オクトネート;9個の炭素原子を有するノノース、例えば、シアロース(sialose);及び10個の炭素原子を有するデコース。上記の単糖は、D-単糖及びL-単糖を包含する。あるいは、単糖は、糖単位が水酸基以外の1つ以上の置換基(例えば、デオキシ、H置換基、ヘテロ原子置換基(例えば、S、Cl、Fなど)など)を含む単糖バリアントであり得る。かかるバリアントは、限定されるものではないが、エーテル、エステル、アミド、酸、ホスフェート、及びアミンであり得る。アミンバリアント(すなわち、アミノ糖)としては、例えば、グルコサミン、ガラクトサミン、フルクトサミン、及び/またはマンノサミンが挙げられる。アミドバリアントとしては、例えば、糖のN-アセチル化アミンバリアント(例えば、N-アセチルグルコサミン及び/またはN-アセチルガラクトサミン)が挙げられる。
【0068】
モジュレーター:本明細書で使用する場合、用語「モジュレーター」は、関心対象の活性が観察される系におけるその存在またはレベルが、その活性のレベル及び/または性質の、モジュレーターが存在しない場合の別の比較可能な条件下で観察されるレベル及び/または性質と比較した変化と相関する実体であり得るか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、モジュレーターは、その存在下で関心対象の活性が、モジュレーターが存在しない場合の別の比較可能な条件下で観察される活性と比較して増加するという点で活性化因子またはアゴニストである。幾つかの実施形態では、モジュレーターは、その存在下で関心対象の活性が、モジュレーターが存在しない場合の別の比較可能な条件と比較して減少するという点でアンタゴニストまたは阻害剤である。幾つかの実施形態では、モジュレーターは、活性が関心対象である標的実体と直接的に相互作用する。幾つかの実施形態では、モジュレーターは、活性が関心対象である標的実体と間接的に相互作用する(例えば、標的実体と相互作用し、及び/または標的実体に関連する1つ以上の実体と相互作用する)。幾つかの実施形態では、モジュレーターは、関心対象の標的実体のレベルに影響を及ぼす。代替的にまたは追加的に、幾つかの実施形態では、モジュレーターは、関心対象の標的実体のレベルに影響を及ぼすことなく当該標的実体の活性に影響を及ぼす。幾つかの実施形態では、モジュレーターは、関心対象の標的実体のレベル及び活性の両方に影響を及ぼし、その結果、観察された活性の差は、観察されたレベルの差によって完全に説明されないか、または観察されたレベルの差に見合わない。幾つかの実施形態では、モジュレーターは、低分子、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、多糖類、ポリペプチド、タンパク質、抗体、及び/またはそれらの機能部分であり得る。
【0069】
好中球機能のモジュレーター:本明細書において互換的に使用される用語「好中球のモジュレーター」及び「好中球機能のモジュレーター」は、好中球の1つ以上の生物学的機能及び/または表現型のモジュレーターを指す。例えば、幾つかの実施形態では、好中球機能のモジュレーターは、好中球の動員、生存、及び/または増殖を阻害し得る。追加的または代替的に、幾つかの実施形態では、好中球機能のモジュレーターは、限定されるものではないが、1種以上の免疫調節分子(例えば、免疫調節性サイトカイン及び/またはケモカイン)の生成及び/または分泌の調節が挙げられ得る、好中球に関連するエフェクター機能を調節し得、及び/または細胞外マトリックスを変化させる好中球の能力を変化させ得る。幾つかの実施形態では、好中球機能(例えば、本明細書に記載されるもの)のモジュレーターは、好中球のみに作用し得るか、または好中球のみを標的とし得る。幾つかの実施形態では、好中球機能(例えば、本明細書に記載されるもの)のモジュレーターは、好中球及び少なくとも1種類の追加の免疫細胞、例えば、骨髄由来抑制細胞(MDSC)、マクロファージ、及び/または単球の他のサブセットに作用し得る。当業者は、好中球の少なくともあるサブセットは、MDSCの1つ以上のある特定のサブセットと同様の免疫活性を示し得、従って、多形核MDSC及び/または顆粒球型MDSCとみなされ得るということを理解するであろう(例えば、Mehmeti-Ajradini et al.,“Human G-MDSCs are neutrophils at distinct maturation stages promoting tumor growth in breast cancer” Life Science Alliance,September 21,2020、及びBrandau et al.,“A subset of mature neutrophils contains the strongest PMN-MDSC activity in blood and tissue of patients with head and neck cancer” The Journal of Immunology,May 1,2020(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている)。
【0070】
ナノ粒子:本明細書で使用する場合、用語「ナノ粒子」は、1000ナノメートル(nm)未満の最長寸法(例えば、直径)を有する粒子を指す。幾つかの実施形態では、ナノ粒子は、300nm未満の最長寸法(例えば、直径)を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、ナノ粒子は、100nm未満の最長寸法(例えば、直径)を特徴とし得る。多数の実施形態では、ナノ粒子は、約1nm~約100nmまたは約1nm~約500nmまたは約1nm~1,000nmの最長寸法を特徴とし得る。多数の実施形態では、ナノ粒子の集団は、約1,000nm未満、約500nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約40nm未満、約30nm未満、約20nm未満、または約10nm未満かつ多くの場合、約1nm超の平均サイズ(例えば、最長寸法)を特徴とする。多数の実施形態では、ナノ粒子は、ほぼ球状であり得、その結果、その最長寸法はその直径であり得る。幾つかの実施形態では、ナノ粒子は、国立衛生研究所により定義されるように100nm未満の直径を有する。
【0071】
新生物及び腫瘍:用語「新生物」及び「腫瘍」は、本明細書において互換的に使用され、組織の異常な塊であって、当該塊の増殖が、正常組織の成長を上回り、これと協調しない、組織の異常な当該塊を指す。新生物または腫瘍は、以下の特徴に応じて「良性」または「悪性」であり得る:細胞分化の程度(形態学及び機能が含まれる)、成長速度、局所浸潤、及び転移。「良性新生物」は、一般に高分化であり、悪性新生物よりも特徴的に遅い成長を有し、発生部位に局在したままである。加えて、良性新生物は、遠位の部位に浸潤、侵入、または転移する能力を有さない。例示的な良性新生物としては、限定されるものではないが、脂肪腫、軟骨腫、腺腫、アクロコルドン、老年性血管腫、脂漏性角化症、黒子、及び皮脂腺過形成が挙げられる。場合によっては、ある特定の「良性」腫瘍は、後に悪性新生物を生じさせ得、これは、腫瘍の腫瘍細胞の亜集団における更なる遺伝子の変化の結果として生じ得、これらの腫瘍は、「前悪性新生物」と称される。前悪性新生物の一例は、奇形腫である。対照的に、「悪性新生物」は、一般に、低分化(退形成)であり、進行性の浸潤、侵入、及び周囲組織の破壊を伴う特徴的に急速な成長を有する。更に悪性新生物は、一般に、遠位の部位に転移する能力を有する。
【0072】
ペイロード:一般に、本明細書で使用する場合、用語「ペイロード」は、本明細書に記載される生体材料調製物に組み込まれ得る薬剤を指す。幾つかの実施形態では、ペイロードは、例えば、低分子、ペプチド、ポリペプチド、核酸、糖類(例えば、多糖類)、脂質、金属、またはそれらの組み合わせもしくは複合体が含まれる、任意の化学的分類の化合物、分子、または実体を指し得る。幾つかの実施形態では、ペイロードは、生物学的修飾因子、検出可能な薬剤(例えば、色素、フルオロフォア、放射標識など)、検出試薬、栄養素、治療薬、ミネラル、増殖因子、サイトカイン、抗体、ホルモン、細胞外マトリックスタンパク質(例えば、コラーゲン、ビトロネクチン、フィブリンなど)、細胞外マトリックス糖、化学誘引物質、ポリヌクレオチド(例えば、DNA、RNA、アンチセンス分子、プラスミドなど)、微生物(例えば、ウイルス)など、またはそれらの組み合わせであり得るか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、ペイロードは、治療薬であるか、またはそれを含む。治療薬の例としては、限定されるものではないが、鎮痛剤、抗生物質、抗体、抗凝固剤、制吐剤、細胞、凝固剤、サイトカイン、増殖因子、ホルモン、免疫調節剤、ポリヌクレオチド(例えば、DNA、RNA、アンチセンス分子、プラスミドなど)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。幾つかの実施形態では、ペイロードは、細胞もしくは生物、またはそれらの画分、抽出物、もしくは成分であり得るか、またはそれを含み得る。代替的にまたは追加的に、幾つかの実施形態では、ペイロードは、それが天然に見出され、及び/または天然に得られるという点で天然産物であり得るか、またはそれを含み得る。代替的にまたは追加的に、幾つかの実施形態では、この用語は、それが人の手の行いにより設計、操作、及び/または生成され、及び/または天然に見出されないという点で人工である1つ以上の実体を指すために使用され得る。幾つかの実施形態では、ペイロードは、単離された形態または純粋形態の薬剤であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、このような薬剤は、粗製形態であり得る。
【0073】
薬学的に許容される塩:用語「薬学的に許容される塩」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激作用、アレルギー応答などを伴わずに、例えば、ヒト及び/または動物の組織と接触させて使用するのに好適であり、妥当な利益/リスク比に見合う塩を指す。薬学的に許容される塩は、当該技術分野において周知である。例えば、Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19(その内容は本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)において薬学的に許容される塩を詳細に記載している。本開示の特定の実施形態に従って利用され得る薬学的に許容される塩としては、例えば、好適な無機及び有機の酸及び塩基から誘導されるものが挙げられる。薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例は、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及び過塩素酸により、または有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸により、またはイオン交換などの当該技術分野において公知の他の方法を使用することにより形成される、アミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリル酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、及びN(C1~アルキル) 塩が挙げられる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。更に薬学的に許容される塩としては、適切な場合には、対イオンを使用して形成される無毒性のアンモニウム、第4級アンモニウム、及びアミンカチオン、例えば、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩、及びアリールスルホン酸塩が挙げられる。
【0074】
ポロキサマー:本明細書で使用する場合、用語「ポロキサマー」は、1種以上のポロキサマーのポリマー調製物または1種以上のポロキサマーを含むポリマー調製物を指す。幾つかの実施形態では、ポリマー調製物中のポロキサマーは、コンジュゲートされていなくてもよく、修飾されていなくてもよく、例えば、これは、通常、ポリオキシエチレン(ポリエチレングリコール、PEG)の2つの親水性鎖に挟まれたポリオキシプロピレン(ポリプロピレングリコール、PPG)の疎水性鎖を含むトリブロックコポリマーである。幾つかの実施形態では、1種以上のポロキサマーのポリマー調製物または1種以上のポロキサマーを含むポリマー調製物は、濾過されてなくてもよい(例えば、このようなポリマー調製物は、不純物及び/または濾過されている同等のポリマー調製物と比較して相対的に低分子量のポリマー分子を含有し得る)。ポロキサマーの例としては、限定されるものではないが、ポロキサマー124(P124、Pluronic L44 NFとしても公知)、ポロキサマー188(P188、Pluronic F68 NFとしても公知)、ポロキサマー237(P237、Pluronic F87 NFとしても公知)、ポロキサマー338(P338、Pluronic F108 NFとしても公知)、ポロキサマー407(P407、Pluronic F127 NFとしても公知)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0075】
ポリマー:用語「ポリマー」は、当該技術分野において使用されるその通常の意味を付与され、すなわち、共有結合により連結された1つ以上の反復単位(モノマー)を含む分子構造である。反復単位は、全て同一であってもよく、または場合によっては、ポリマー(例えば、コポリマー)中に存在する2つ以上の種類の反復単位が存在してもよい。ある特定の実施形態では、ポリマーは、天然に存在する。ある特定の実施形態では、ポリマーは、合成である(すなわち、天然に存在しない)。幾つかの実施形態では、ポリマーは、線状ポリマーである。幾つかの実施形態では、ポリマーは、分枝ポリマーである。幾つかの実施形態では、本開示に従って使用するためのポリマーは、ポリペプチドではない。幾つかの実施形態では、本開示に従って使用するためのポリマーは、核酸ではない。
【0076】
ポリマー生体材料:「ポリマー生体材料」は、本明細書に記載されるように、少なくとも1種のポリマーまたは少なくとも1種のポリマー部分であるか、またはそれを含み、生体適合性である材料である。多数の実施形態において、ポリマー生体材料は、少なくとも1種のポリマーであるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、ポリマーは、コポリマーであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、ポリマー生体材料は、少なくとも2種の異なるポリマー成分の調製物(例えば、ポロキサマー及びポロキサマーではない第2のポリマー成分を含有する調製物)であるか、またはそれを含む。当業者は、ある特定のポリマーが、種々の形態(例えば、長さ、分子量、電荷、トポグラフィー、界面化学、修飾の程度及び/または種類、例えば、アルキル化、アシル化、四級化、ヒドロキシアルキル化、カルボキシアルキル化、チオール化、リン酸化、グリコシル化など)で存在し得、及び/または利用可能であり得ることを知っているであろう。幾つかの実施形態では、かかるポリマーの調製物は、指定されたレベル及び/または分布のかかる形態または複数の形態を含み得る。追加的または代替的に、幾つかの実施形態では、ポリマー生体材料の1つ以上の免疫調節性特性が、例えば、Mariani et al.“Biomaterials:Foreign Bodies or Tuners for the Immune Response?” International Journal of Molecular Sciences,2019,20,636(これらの内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、例えば、ポリマー生体材料の界面化学(例えば、ポリマー生体材料の疎水性部分及び/または親水性部分、化学部分、及び/または電荷特性により調節される)及び/またはポリマー生体材料のトポグラフィー(例えば、サイズ、形状、及び/または表面質感により調節される)が含まれる、ポリマー生体材料の生体材料特性(複数可)により調整され得ることを当業者は理解するであろう。
【0077】
ポリマーネットワーク:用語「ポリマーネットワーク」は、互いに相互作用しているポリマー鎖の集まりを表現するために本明細書において使用される。幾つかの実施形態では、ポリマーネットワークは、三次元構造材料を形成する。幾つかの実施形態では、ポリマーネットワークは、(例えば、本明細書に記載される)架橋剤を使用してポリマー鎖を連結することにより形成され得る(「架橋型ポリマーネットワーク」)。幾つかの実施形態では、ポリマーネットワークは、前駆状態が臨界ゲル化温度以上の温度に曝露される場合に、前駆状態から移行され、ここで、当該ポリマーネットワーク状態は、当該前駆状態の粘性を実質的に超える(例えば、少なくとも50%以上)粘性を有し、当該ポリマーネットワーク状態は、当該前駆状態に存在しない架橋を含む。幾つかの実施形態では、ポリマーネットワークは、ポリマー鎖の非共有結合性または非イオン性分子間結合により、例えば、水素結合により形成され得る。幾つかの実施形態では、ポリマーネットワークは、ポリマー鎖の化学架橋及びポリマー鎖の非共有結合性または非イオン性分子間結合の組み合わせにより形成され得る。
【0078】
炎症性サイトカイン:本明細書で使用する場合、用語「炎症性サイトカイン」は、炎症応答を誘発する細胞(例えば、免疫系の細胞)により分泌されるタンパク質または糖タンパク質分子を指す。当業者によって理解されるように、炎症は、生物学的文脈に応じて免疫賦活性または免疫抑制性であり得る。
【0079】
炎症誘発性免疫応答:本明細書で使用する場合、用語「炎症誘発性免疫応答」は、例えば、炎症性サイトカインの産生(例えば、限定されるものではないが、CXCL10、IFN-α、IFN-β、IL-1β、IL-6、IL-18、及び/またはTNF-αが含まれる)、Th1細胞の活性及び/または増殖の増加、骨髄性細胞の動員などが含まれる、炎症を誘発する免疫応答を指す。幾つかの実施形態では、炎症誘発性免疫応答は、急性炎症及び慢性炎症の一方または両方であり得るか、またはそれを含み得る。
【0080】
増殖性疾患:「増殖性疾患」は、細胞の増殖による異常成長または異常拡張により起こる疾患を指す(Walker,Cambridge Dictionary of Biology;Cambridge University Press:Cambridge,UK,1990)。増殖性疾患は、1)通常静止している細胞の病的増殖;2)細胞の正常な場所からの病的遊走(例えば、新生細胞の転移);3)マトリックスメタロプロテイナーゼなどのプロテアーゼ(例えば、コラゲナーゼ、ゼラチナーゼ、及びエラスターゼ)の病的発現;または4)増殖網膜症及び腫瘍転移におけるような病的血管新生に関連し得る。例示的な増殖性疾患としては、がん(すなわち、「悪性新生物」)、良性新生物、血管新生または血管新生に関連する疾患、炎症性疾患、自己炎症性疾患、及び自己免疫疾患が挙げられる。
【0081】
予防上有効量:「予防上有効量」は、状態を予防するのに十分な量である(例えば、状態の1つ以上の症状または特性の発生または再発を顕著に遅延させ、例えば、その結果、それ/それらが、当該量の投与がない場合に予想される時点で検出されない)。組成物の予防上有効量は、状態の予防において予防効果を提供する、単独または他の薬剤との組み合わせでの治療薬(複数可)の量を意味する。用語「予防上有効量」は、予防全体を改善するか、または別の予防剤の予防効力を増強する量を包含し得る。予防上有効量は単一剤形に含有される必要はないことを当業者は理解するであろう。むしろ、有効量の投与は、場合により経時的な、(例えば、投与計画に従った)複数回の投与を必要とし得る。
【0082】
リスク:文脈から理解されるように、疾患、障害、及び/または状態の「リスク」は、特定の個体が当該疾患、障害、及び/または状態を発症する可能性を指す。幾つかの実施形態では、リスクは、百分率として表現される。幾つかの実施形態では、リスクは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、最高100%である。幾つかの実施形態では、リスクは、参照試料または参照試料群に関連するリスクと比較したリスクとして表現される。幾つかの実施形態では、参照試料または参照試料群は、疾患、障害、状態、及び/または事象の既知のリスクを有する。幾つかの実施形態では、参照試料または参照試料群は、特定の個体と比較可能な個体に由来するものである。幾つかの実施形態では、相対リスクは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上である。幾つかの実施形態では、リスクは、例えば、個体の特定の疾患、障害、及び/または状態の発症の素因となり得る(またはならない)1つ以上の遺伝的特性を反映し得る。幾つかの実施形態では、リスクは、1つ以上のエピジェネティクス事象もしくはエピジェネティクス特性及び/または1つ以上の生活様式もしくは環境事象もしくは環境特性を反映し得る。
【0083】
塩:本明細書で使用する場合、用語「塩」は、あらゆる塩を指し、薬学的に許容される塩を包含する。
【0084】
試料:本明細書で使用する場合、用語「試料」は、本明細書に記載されるように、通常、関心対象の供給源から取得されるか、またはそれに由来する物質のアリコートを指す。幾つかの実施形態では、関心対象の供給源は、生物学的供給源または環境源である。幾つかの実施形態では、関心対象の供給源は、細胞または生物、例えば、微生物、植物、または動物(例えば、ヒト)であり得るか、またはそれらを含み得る。幾つかの実施形態では、関心対象の供給源は、生体組織もしくは生体液であるか、またはそれらを含む。幾つかの実施形態では、生物組織または生体液は、羊水、房水、腹水、胆汁、骨髄、血液、母乳、脳脊髄液、耳垢、乳糜、消化粥、射出精液、内リンパ、滲出液、糞便、胃酸、胃液、リンパ液、粘液、囲心腔液、外リンパ、腹膜液、胸膜液、膿、粘膜分泌物、唾液、皮脂、精液、血清、恥垢、痰、滑液、汗、涙液、尿、膣分泌物、硝子体液、嘔吐物、及び/またはそれらの組み合わせもしくは成分(複数可)であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、生体液は、細胞内液、細胞外液、血管内液(血漿)、間質液、リンパ液、及び/または細胞透過液であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、生体液は、植物滲出液であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、生物組織または生体試料は、例えば、吸引、生検(例えば、細針生検または組織生検)、スワブ(例えば、口腔スワブ、鼻腔スワブ、皮膚スワブ、または膣スワブ)、擦過、外科手術、洗浄または洗浄液(例えば、気管支肺胞洗浄もしくは洗浄液、管洗浄もしくは洗浄液、鼻洗浄もしくは洗浄液、眼洗浄もしくは洗浄液、口腔洗浄もしくは洗浄液、子宮洗浄もしくは洗浄液、膣洗浄もしくは洗浄液、または他の洗浄もしくは洗浄液)により取得され得る。幾つかの実施形態では、生体試料は、個体から取得される細胞であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、試料は、任意の適切な手段により関心対象の供給源から直接取得される「一次試料」である。幾つかの実施形態では、文脈から明らかであるように、用語「試料」は、一次試料を処理することによって(例えば、一次試料の1つ以上の成分を除去することによって、及び/または1つ以上の薬剤を添加することによって)取得される調製物を指す。例えば、半透膜を使用した濾過。かかる「処理された試料」には、例えば、試料から抽出されるか、または一次試料を、例えば、核酸の増幅もしくは逆転写、ある特定の成分の単離及び/または精製などの1つ以上の技術に供することによって取得される核酸またはタンパク質が含まれ得る。
【0085】
低分子:用語「低分子」または「低分子治療薬」は、天然に存在するか、または人工的に作製される(例えば、化学合成により)かにかかわらず、相対的に低い分子量を有する分子を指す。典型的には、低分子は、有機化合物である(すなわち、それは炭素を含有する)。低分子は、複数の炭素-炭素結合、立体中心、及び他の官能基(例えば、アミン、ヒドロキシル、カルボニル、及び複素環など)を含有し得る。ある特定の実施形態では、低分子の分子量は、約1,000g/mol以下、約900g/mol以下、約800g/mol以下、約700g/mol以下、約600g/mol以下、約500g/mol以下、約400g/mol以下、約300g/mol以下、約200g/mol、または約100g/mol以下である。ある特定の実施形態では、低分子の分子量は、少なくとも約100g/mol、少なくとも約200g/mol、少なくとも約300g/mol、少なくとも約400g/mol、少なくとも約500g/mol、少なくとも約600g/mol、少なくとも約700g/mol、少なくとも約800g/mol、または少なくとも約900g/mol、または少なくとも約1,000g/molである。上記の範囲の組み合わせ(例えば、少なくとも約200g/molかつ約500g/mol以下)も可能である。ある特定の実施形態では、低分子は、薬物などの治療効果のある薬剤(例えば、米国連邦規則集(C.F.R.)に掲示されるような米国食品医薬品局により承認された分子)である。低分子は、1個以上の金属原子及び/または金属イオンと錯体を形成していてもよい。この例では、低分子は、「有機金属低分子」とも称される。好ましい低分子は、それらが動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトにおいて、生物学的効果をもたらすという点で生物学的に活性である。低分子としては、限定されるものではないが、放射性核種及びイメージング剤が挙げられる。ある特定の実施形態では、低分子は、薬物である。好ましくは、必ずしもではないが、薬物は、適切な政府機関または規制機関により、ヒトまたは動物における使用について安全かつ有効であると既にみなされているものである。例えば、ヒトでの使用が承認されている薬物は、参照により本明細書に組み込まれる、21C.F.R.§§330.5、331~361、及び440~460に基づきFDAにより列記されており、獣医学的使用のための薬物は、21C.F.R.§§500~589(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている)に基づきFDAにより列記されている。かかる列挙される薬物は、通常、本開示による使用について許容可能とみなされる。
【0086】
溶媒和物:本明細書で使用する場合、用語「溶媒和物」は、当該技術分野において理解されている意味を有し、化合物(例えば、当該化合物の塩形態であり得る)及び1つ以上の溶媒原子または分子の凝集体を指す。幾つかの実施形態では、溶媒和物は、液体である。幾つかの実施形態では、溶媒和物は、固体形態(例えば、結晶形態)である。幾つかの実施形態では、固体形態の溶媒和物は、単離に適している。幾つかの実施形態では、溶媒和物中の溶媒原子(複数可)と化合物との間の会合は、非共有結合性の会合である。幾つかの実施形態では、かかる会合は、水素結合、ファンデルワールス相互作用、またはそれらの組み合わせであるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、溶媒であって、その原子(複数可)が溶媒和物に含まれる当該溶媒は、水、メタノール、エタノール、酢酸、DMSO、THF、ジエチルエーテルなどのうちの1つ以上であり得るか、またはそれを含み得る。好適な溶媒和物は、薬学的に許容される溶媒和物であり得る。幾つかの特定の実施形態では、溶媒和物は、水和物、エタノール付加物、またはメタノール付加物である。幾つかの実施形態では、溶媒和物は、化学量論的溶媒和物または非化学量論的溶媒和物であり得る。
【0087】
対象:投与が企図される「対象」としては、限定されるものではないが、ヒト(すなわち、任意の年齢群の男性または女性、例えば、小児の対象(例えば、乳幼児、児童、青年)または成人の対象(例えば、若年成人、中年成人、または高齢成人))及び/または非ヒト動物、例えば、哺乳動物(例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル);飼育動物、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、及び/またはイヌ;及び/または鳥類(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、及び/またはシチメンチョウ))が挙げられる。ある特定の実施形態では、動物は、(例えば、任意の発生段階の)哺乳動物である。幾つかの実施形態では、動物(例えば、非ヒト動物)は、トランスジェニック動物または遺伝子操作された動物であり得る。幾つかの実施形態では、対象は、腫瘍切除術の対象、例えば、最近腫瘍切除を受けた対象である。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、本明細書に記載の組成物を投与される72時間未満(例えば、48時間未満、24時間未満、12時間未満、6時間未満、またはより短時間が含まれる)前に腫瘍切除を受けた対象である。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、本明細書に記載の組成物を投与される48時間未満前に腫瘍切除を受けた対象である。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、本明細書に記載の組成物を投与される24時間未満前に腫瘍切除を受けた対象である。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、本明細書に記載の組成物を投与される12時間未満前に腫瘍切除を受けた対象である。
【0088】
実質的:本明細書で使用する場合、用語「実質的に」は、完全またはほぼ完全な程度または度合の関心対象の特徴または特性を示す質的状態を指す。当業者は、関心対象の薬剤が、あるとしても、絶対の結果を達成または回避すること、例えば、関心対象の薬剤は、免疫応答、例えば、炎症に対する効果を実際には持たないことを理解するであろう。従って、用語「実質的に」は、多数の生物学的効果及び化学的効果に内在する絶対性の欠如の可能性を表現するために本明細書において使用される。
【0089】
持続:本明細書において互換的に使用されるように、「延長」または「持続」という用語は、通常、効果及び/またはプロセスを所望の一定時間にわたって長引かせることを指す。例えば、(例えば、本明細書において記載され、及び/または本明細書において利用される組成物または調製物の存在下での)持続する免疫調節の文脈において、このような免疫調節効果は、生体材料調製物を含む組成物の文脈において、及びそれ以外では、本明細書に記載されるように、特定の免疫調節剤ペイロードの投与後に、このような生体材料調製物の非存在下での同じペイロードの投与により観察されるものと比較してより長い間観察され得る。本明細書に記載される組成物からの一定時間にわたる関心対象の1種以上の薬剤(例えば、本明細書に記載される生体材料調製物に組み込まれた骨髄由来抑制細胞機能の1種以上のモジュレーター)の持続放出の文脈において、かかる放出は、約30分から数週間以上までの範囲内の時間尺度で生じ得る。幾つかの実施形態では、持続放出または徐放の程度は、インビトロまたはインビボで特徴付けられ得る。例えば、幾つかの実施形態では、放出動態は、本明細書に記載される調製物及び/または組成物を水性緩衝液(例えば、pH7.4のPBS)中に入れることによりインビトロで試験され得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される組成物が水性緩衝液(例えば、pH7.4のPBS)中に入れられる場合、100%未満またはそれ以下(例えば、90%以下、80%以下、70%以下、50%以下、またはそれ以下が含まれる)の関心対象の1種以上の薬剤(例えば、本明細書に記載される生体材料調製物に組み込まれた骨髄由来抑制細胞機能の1種以上のモジュレーター)が、生体材料から3時間以内に放出される。幾つかの実施形態では、放出動態は、例えば、動物対象(例えば、マウス対象)の標的部位(例えば、乳房脂肪パッド)に組成物を投与すること(例えば、移植すること)によりインビボで試験され得る。幾つかの実施形態では、組成物が動物対象(例えば、マウス対象)の標的部位(例えば、乳房脂肪パッド)に投与される(例えば、移植される)場合に、70%以下またはそれ以下(例えば、60%以下、50%以下、40%未満、30%未満、またはそれ以下が含まれる)の関心対象の1種以上の薬剤(例えば、本明細書に記載される生体材料調製物に組み込まれた骨髄由来抑制細胞機能の1種以上のモジュレーター)が、移植の8時間後にインビボで放出される。
【0090】
標的薬:用語「標的薬」は、抗がん剤に関して使用される場合、がんの成長、進行、及び/または拡散に関与する特定の分子(「分子標的」)に干渉することによりがんの成長及び拡散を阻止するものを意味する。標的薬は、場合により、「標的がん治療」、「分子標的薬」、「分子標的療法」、または「精密医療」と称される。標的薬は、標的薬が、通常、がん及び/または特定の腫瘍もしくは腫瘍型、ステージなどに特に関連する特定の分子標的に作用する一方で、多数の化学療法薬が(例えば、細胞が癌性であるか否かにかかわらず、)全ての急速に分裂する細胞に作用するという点で従来の化学療法と異なる。標的薬は、それらの標的と相互作用するように計画的に選択または設計されるが、多数の標準的な化学療法は、それらが細胞を死滅させるという理由で同定される。
【0091】
互変異性体:用語「互変異性体」または「互変異性」は、水素原子の少なくとも1つのホルマール移動及び少なくとも1つの結合価の変化(例えば、単結合から二重結合、三重結合から二重結合、またはその逆)により生じる2つ以上の相互変換可能な化合物を指す。互変異性体の正確な比率は、温度、溶媒、及びpHが含まれる、幾つかの因子に依存する。互変異性化(すなわち、互変異性対をもたらす反応)は、酸または塩基により触媒され得る。例示的な互変異性化としては、ケトからエノール、アミドからイミド、ラクタムからラクチム、エナミンからイミン、及びエナミンから(異なる)エナミンへの互変異性化が挙げられる。
【0092】
試験対象:本明細書で使用する場合、用語「試験対象」は、本明細書において提供される技術が、例えば、生体材料の分解、及び/または抗腫瘍免疫における本明細書に記載される組成物及び/または調製物の有効性を評価するための実験的研究のために適用される対象を指す。幾つかの実施形態では、試験対象は、ヒト対象またはヒト対象の集団であり得る。例えば、幾つかの実施形態では、ヒト試験対象は、正常な健常対象であり得る。幾つかの実施形態では、ヒト試験対象は、腫瘍切除術の対象であり得る。幾つかの実施形態では、試験対象は、哺乳類の非ヒト動物または哺乳類の非ヒト動物の集団であり得る。かかる哺乳類の非ヒト動物の非限定的な例としては、マウス、ラット、イヌ、ブタ、ウサギなどが挙げられ、これらは、幾つかの実施形態では、正常な健常対象であり得る一方で、幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象であり得る。幾つかの実施形態では、哺乳類の非ヒト動物は、トランスジェニック動物または遺伝子操作された動物であり得る。
【0093】
治療薬:用語「治療薬」は、所望される通常有益な生理学的効果をもたらす1つ以上の特性を有する薬剤を指す。例えば、治療薬は、疾患を処置、改善、及び/または予防し得る。本開示を読む当業者は、本明細書で使用する場合、用語「治療薬」は、規制機関が規制目的で薬剤を「治療効果がある」とみなすのに必要とされ得るような特定のレベルまたは種類の治療活性を必要としないことを理解するであろう。本開示を読む当業者によって理解されるように、幾つかの実施形態では、(免疫調節剤ペイロードの非存在下での)本明細書に記載されるある特定の生体材料調製物は、所望の生理作用に寄与し、及び/またはそれを達成する1つ以上の特性を有し得、従って、(かかる生体材料が、任意の特定の規制機関により薬学的活性があるとみなされるか、またはみなされないか否かにかかわらず)「治療薬」であるとみなされ得、これは本明細書で使用される用語「治療薬」と同様である。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載される生体材料調製物を必要とする)本明細書に記載される調製物、組成物、及び/または方法において利用され得る治療薬は、免疫調節剤ペイロードであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載される生体材料調製物を必要とする)本明細書に記載される調製物、組成物、及び/または方法において利用され得る治療薬は、例えば、生物学的製剤、低分子、核酸、ポリペプチド、またはそれらの組み合わせを含む非免疫調節性ペイロードであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載される生体材料調製物を必要とする)本明細書に記載される調製物、組成物、及び/または方法において利用され得る治療薬は、幾つかの実施形態では、細胞毒性剤であり得るか、またはそれを含み得る、化学療法薬であり得るか、またはそれを含み得る。
【0094】
治療上有効量:「治療上有効量」は、状態の処置において治療効果を提供するのに十分な量であり、当該治療効果は、例えば、頻度及び/または重症度の低減及び/または当該状態に関連する1つ以上の特徴もしくは症状の発生の遅延であり得るか、またはそれを含み得る。治療上有効量は、状態の処置において治療効果を提供する、単独または他の治療法との組み合わせでの治療薬の量(複数可)を意味する。用語「治療上有効量」は、治療全体を改善するか、状態の症状もしくは原因を低減もしくは回避するか、または別の治療薬の治療有効性を増強する量を包含し得る。治療上有効量は単一剤形に含有される必要はないことを当業者は理解するであろう。むしろ、有効量の投与は、場合により経時的な、(例えば、投与計画に従った、特に、適切な集団に適用される場合に、所望の程度の統計的信頼性を伴って適切な効果を提供することが確立された投与計画に従った)複数回の投与を必要とし得る。
【0095】
温度応答性:本明細書で使用する場合、温度応答性ポリマーまたは生体材料(例えば、ポリマー生体材料)の文脈において、用語「温度応答性」は、特性のうちの1つ以上における臨界温度(例えば、臨界ゲル化温度)での瞬時変化または断続的変化を示すポリマーまたは生体材料(例えば、ポリマー生体材料)を指す。例えば、幾つかの実施形態では、かかる特性のうちの1つ以上は、特定の溶媒におけるポリマーまたは生体材料の溶解性であるか、またはそれを含む。単に一例として、幾つかの実施形態では、温度応答性ポリマーまたは生体材料(例えば、ポリマー生体材料)は、臨界温度(例えば、臨界ゲル化温度)未満では安定している均質のポリマー溶液またはコロイドであり、臨界温度(例えば、臨界ゲル化温度)に達したか、またはそれを超過した際に瞬時にポリマーネットワーク(例えば、ハイドロゲル)を形成することを特徴とする。幾つかの実施形態では、温度応答性ポリマーまたは生体材料(例えば、ポリマー生体材料)は、温度可逆性であり得、ここで、例えば、幾つかの実施形態では、ポリマー溶液は、臨界ゲル化温度またはそれを超える温度でポリマーネットワークを瞬時に形成し得、このような得られたポリマーネットワークは、温度が臨界ゲル化温度未満まで低下する際に均質のポリマー溶液に瞬時に戻り得る。
【0096】
処置:用語「処置」、「処置する」、及び「処置すること」は、本明細書に記載される「病態」(例えば、疾患、障害、または状態であって、それらの1つ以上の徴候または症状を含む、当該疾患、障害、または状態)、例えば、がんまたは腫瘍を後退させること、軽減すること、その発症を遅延させること、またはその進行を阻害することを指す。幾つかの実施形態では、処置は、1つ以上の徴候または症状が発症したか、または観察された後で投与され得る。処置は、例えば、再発及び/または拡散を遅延させるか、または予防するために、症状が消退した後も継続され得る。
【0097】
腫瘍:用語「腫瘍」及び「新生物」は、本明細書において互換的に使用され、組織の異常な塊であって、当該塊の増殖が、正常組織の成長を上回り、これと協調しない、組織の異常な当該塊を指す。新生物または腫瘍は、以下の特徴に応じて「良性」または「悪性」であり得る:細胞分化の程度(形態学及び機能が含まれる)、成長速度、局所浸潤、及び転移。「良性新生物」は、一般に高分化であり、悪性新生物よりも特徴的に遅い成長を有し、発生部位に局在したままである。加えて、良性新生物は、遠位の部位に浸潤、侵入、または転移する能力を有さない。例示的な良性新生物としては、限定されるものではないが、脂肪腫、軟骨腫、腺腫、アクロコルドン、老年性血管腫、脂漏性角化症、黒子、及び皮脂腺過形成が挙げられる。場合によっては、ある特定の「良性」腫瘍は、後に悪性新生物を生じさせ得、これは、腫瘍の腫瘍細胞の亜集団における更なる遺伝子の変化の結果として生じ得、これらの腫瘍は、「前悪性新生物」と称される。前悪性新生物の一例は、奇形腫である。対照的に、「悪性新生物」は、一般に、低分化(退形成)であり、進行性の浸潤、侵入、及び周囲組織の破壊を伴う特徴的に急速な成長を有する。更に悪性新生物は、一般に、遠位の部位に転移する能力を有する。
【0098】
腫瘍除去:本明細書で使用する場合、用語「腫瘍除去」は、がん治療、例えば、外科的切除の結果としてもたらされ得る腫瘍の部分的または完全な除去を包含する。幾つかの実施形態では、腫瘍除去は、手術(すなわち、「腫瘍切除」)による腫瘍の一部または全体の物理的除去を指す。幾つかの実施形態では、腫瘍除去は、外科的腫瘍切除及びアジュバント療法(例えば、化学療法、免疫療法、及び/または放射線治療)の結果としてもたらされ得る。幾つかの実施形態では、アジュバント療法は、外科的腫瘍切除後に、例えば、外科的腫瘍切除の少なくとも24時間以上後に投与され得る。
【0099】
腫瘍切除術の対象:本明細書で使用する場合、用語「腫瘍切除術の対象」は、腫瘍切除術を受けているか、または最近受けた対象を指す。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、腫瘍総重量のうちの少なくとも70%以上(少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはそれ以上(100%が含まれる)が含まれる)が外科的切除により除去された対象である。場合によっては、腫瘍総重量のうちの全てが明らかに除去されたことを肉眼による肉眼検査が示す場合であっても、可視的な切除断端に顕微鏡的に存在する多少の残存がん細胞が存在し得ることを当業者は理解するであろう。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、切除断端陰性(すなわち、例えば、腫瘍切除部位を囲む組織の組織学的評価に基づいて、顕微鏡的に切除断端にがん細胞がみられない)であると判定され得る。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、切除断端陽性(すなわち、例えば、腫瘍切除部位を囲む組織の組織学的評価に基づいて、顕微鏡的に切除断端にがん細胞がみられる)であると判定され得る。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、手術に対する生理的反応により進行/増殖するように促進され得る、微小転移巣及び/または休眠中の播種性がん細胞を有し得る。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、腫瘍切除術が実行された直後に、(例えば、本明細書において記載及び/または利用される)組成物を投与される(例えば、手術時投与)。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、手術後の24時間以下以内(例えば、18時間以内、12時間以内、6時間以内、3時間以内、2時間以内、1時間以内、30分以内、またはより短時間以内が含まれる)に、(例えば、本明細書において記載及び/または利用される)組成物を投与される。
【0100】
腫瘍切除部位:用語「腫瘍切除部位」は、一般に、腫瘍切除により腫瘍の一部または全体が除去されたか、または除去されている部位を意味する。幾つかの実施形態では、用語「腫瘍切除部位」は、腫瘍総重量のうちの少なくとも70%以上(少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはそれ以上(100%が含まれる)が含まれる)が外科的切除により除去されている部位を指す。場合によっては、腫瘍総重量のうちの全てが明らかに除去されたことを肉眼による肉眼検査が示すが、可視的な切除断端に顕微鏡的に存在する多少の残存がん細胞が存在し得ることを当業者は理解するであろう。幾つかの実施形態では、腫瘍切除部位は、切除断端陰性(すなわち、例えば、腫瘍切除部位を囲む組織の組織学的評価に基づいて、顕微鏡的に切除断端にがん細胞がみられない)であると判定され得る。幾つかの実施形態では、腫瘍切除部位は、切除断端陽性(すなわち、例えば、腫瘍切除部位を囲む組織の組織学的評価に基づいて、顕微鏡的に切除断端にがん細胞がみられる)であると判定され得る。
【0101】
バリアント:本明細書で使用する場合、用語「バリアント」は、参照物質との顕著な構造的同一性を示すが、当該参照物質と比較して、1つ以上の化学部分の存在またはレベルにおいて当該参照物質と構造的に異なる物質を指す。多数の実施形態では、バリアントは、その参照物質と機能的にも異なる。一般に、特定の物質が適切に参照物質の「バリアント」であるとみなされるかどうかは、当該参照物質との構造的同一性の程度に基づく。当業者によって理解されるように、任意の生物学的または化学的な参照物質は、ある特定の特徴的な構造要素を有する。定義上、バリアントは、1つ以上のかかる特徴的な構造要素を共有する異なる化学物質である。少数の例のみを挙げると、低分子は、特徴的なコア構造要素(例えば、大員環コア)及び/または1つ以上の特徴的なペンダント部分を有していてもよく、そのため、低分子のバリアントは、コア構造要素及び特徴的なペンダント部分を共有するが、他のペンダント部分及び/またはコア内に存在する結合の種類(単対二重、E対Zなど)が異なるものであり、ポリペプチドは、線状もしくは3次元空間において互いに指定される位置を有し、及び/または特定の生物学的機能に寄与する複数のアミノ酸から構成される特徴的な配列要素を有していてもよく、核酸は、線状または3次元空間において互いに指定される位置を有する複数のヌクレオチド残基から構成される特徴的な配列要素を有していてもよい。例えば、バリアント生体材料(例えば、バリアントポリマーまたはバリアントポリマーを含むポリマー生体材料)は、1種以上の構造的修飾(例えば、限定されるものではないが、化学部分の付加、除去、及び/または修飾、及び/またはグラフト化)の結果として参照生体材料(例えば、参照ポリマーまたは参照ポリマー生体材料)と異なり得、ただし、当該バリアント生体材料(例えば、バリアントポリマーまたはこのようなバリアントポリマーを含むポリマー生体材料)は、当該参照生体材料の所望の特性(複数の特性)及び/または機能(複数可)(例えば、免疫調節及び/または温度応答性)を保持し得る。例えば、免疫調節性生体材料のバリアントは、1種以上の構造的修飾(例えば、限定されるものではないが、化学部分の付加、除去、及び/または修飾、及び/またはグラフト化)の結果として免疫調節性参照生体材料(例えば、参照ポリマーまたは参照ポリマー生体材料)と異なり得、ただし、バリアント生体材料(例えば、バリアントポリマーまたはこのようなバリアントポリマーを含むポリマー生体材料)は、例えば、本明細書に記載される方法において使用される場合に、(例えば、自然免疫を刺激することにより)免疫系に作用し得る。幾つかの実施形態では、免疫調節性バリアント生体材料(例えば、バリアントポリマーまたはバリアントポリマーを含むポリマー生体材料)は、このような免疫調節性バリアント生体材料(例えば、バリアントポリマーまたはバリアントポリマーを含むポリマー生体材料)の対象の標的部位への投与の24時間後に評価される場合に、当該対象の当該標的部位で、及び/または体循環中に観察される1種以上の炎症性サイトカイン(例えば、限定されるものではないが、CXCL10、IFN-α、IFN-β、IL-1β、IL-6、IL-18、及び/またはTNF-α)の量が、参照生体材料(例えば、参照ポリマーまたは参照ポリマー生体材料)が当該標的部位に投与される場合に観察される量の少なくとも60%またはそれ以上(例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または最高100%が含まれる)であることを特徴とする。幾つかの実施形態では、免疫調節性バリアント生体材料(例えば、バリアントポリマーまたはバリアントポリマーを含むポリマー生体材料)は、このようなバリアント生体材料(例えば、バリアントポリマーまたはバリアントポリマーを含むポリマー生体材料)の対象の標的部位への投与の24時間後に評価される場合に、当該対象の当該標的部位で、及び/または体循環中に観察される1種以上の炎症性サイトカイン(例えば、限定されるものではないが、CXCL10、IFN-α、IFN-β、IL-1β、IL-6、IL-18、及び/またはTNF-α)の量が、参照生体材料(例えば、参照ポリマー生体材料)が当該標的部位に投与される場合に観察される量の少なくとも1.1倍またはそれ以上(例えば、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、またはそれ以上が含まれる)であることを特徴とする。
【0102】
幾つかの実施形態では、バリアント生体材料(例えば、バリアントポリマー生体材料)は、参照生体材料(例えば、参照ポリマー生体材料)のものと異なる少なくとも1つの物理的特性を示す。例えば、幾つかの実施形態では、バリアント生体材料(例えば、バリアントポリマー生体材料)は、参照生体材料(例えば、参照ポリマー生体材料)の(例えば、生理的pHでの)水溶性と比較して増加した水溶性を示し得る。幾つかの実施形態では、バリアントは、参照と比較して10種、9種、8種、7種、6種、5種、4種、3種、2種、または1種の構造的修飾を有する。幾つかの実施形態では、バリアントは、少数(例えば、5種未満、4種、3種、2種、または1種)の構造的修飾(例えば、アルキル化、アシル化、四級化、ヒドロキシアルキル化、カルボキシアルキル化、チオール化、リン酸化、グリコシル化など)を有する。幾つかの実施形態では、バリアントは、参照と比較して、5種、4種、3種、2種、または1種を超えない化学部分の付加または欠失を有し、幾つかの実施形態では、付加または欠失を有さない。幾つかの実施形態では、バリアントは、化学的操作により参照から生成され得る物質である。幾つかの実施形態では、バリアントは、参照を生成するものと実質的に類似する(例えば、複数のステップを共有する)合成プロセスの実行により生成され得る物質である。
【0103】
ある特定の実施形態の詳細な説明
本開示は、とりわけ、例えば、本明細書に記載されるように特に有用であり得、及び/または特定の有益な効果を提供し得る、例えば、各々が生体材料調製物及び骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーター(例えば、好中球機能のモジュレーター)を含む組成物が含まれる技術及び使用方法を提供する。幾つかの実施形態では、かかる組成物は、単独療法に特に有用である。幾つかの実施形態では、かかる組成物は、併用療法に有用であり得る。
【0104】
とりわけ、本開示は、切除術後の免疫細胞の動員、生存、及び/または免疫エフェクター機能の局所的調節が、例えば、本明細書に記載されるように、特に有用であり得、及び/または特定の有益な効果を提供し得るという洞察を提供する。
【0105】
ある特定の態様では、特定の理論に拘束されるものではないが、本開示は、外科的腫瘍切除で起こる炎症性変化が、多数の免疫細胞種及び/または炎症細胞種の動員及び/または液性因子の放出を誘発し得、これにより、腫瘍捕獲(tumor capture)及び腫瘍成長を促進し、更に、動員された免疫細胞(例えば、MDSC、好中球、及び/またはマクロファージ)が、がんの成長及び/または播種を促進することが公知である因子(例えば、VEGF及びマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP))を分泌し得ることに注目する。例えば、Hiller et al.“Perioperative events influence cancer recurrence risk after surgery” Nature Reviews:Clinical Oncology(2018)15:205-218、及びTohme et al.“Surgery for Cancer:A Trigger for Metastases” Cancer Research(2017)77:1548-1552(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。更なる態様では、特定の理論に拘束されるものではないが、本開示は、動員された好中球が、例えば、循環腫瘍細胞の捕獲及び蓄積を促進する好中球細胞外トラップを形成することにより腫瘍切除部位周辺の損傷組織に反応し得、更に、かかるクモの巣状の好中球細胞外DNAトラップが、外科的に処置された部位における腫瘍細胞の捕捉及び/または転移巣の成長の増強に有用である種々の分子(例えば、炎症誘発性分子)を含有し得ることに注目する。同文献を参照のこと。
【0106】
幾つかの実施形態では、本開示は、とりわけ、腫瘍切除部位での好中球免疫エフェクター機能の手術時の調節が、がん処置に特に有用であり得、及び/または効果的であり得るという洞察を提供する。幾つかの実施形態では、かかる調節は、腫瘍再発及び/または腫瘍再成長を低減するのに有用であり得、及び/または効果的であり得る。幾つかの実施形態では、かかる調節は、腫瘍転移を低減するのに有用であり得、及び/または効果的であり得る。実際、幾つかの実施形態では、本開示は、とりわけ生体材料(例えば、ポリマー生体材料)及び骨髄由来抑制細胞(MDSC)のモジュレーターの組み合わせ、より具体的には生体材料(例えば、ポリマー生体材料)及び本明細書に記載されるような好中球のモジュレーターの組み合わせの標的部位(例えば、腫瘍切除部位)での手術時投与が、有益な治療効果(例えば、本明細書に記載されるもの)を提供し得ることを教示する。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される技術に有用である、MDSC及びより具体的には好中球のかかるモジュレーターは、かかる免疫細胞の動員及び/または生存を阻害し得る。追加的または代替的に、幾つかの実施形態では、本明細書に記載される技術に有用である、MDSC及びより具体的には好中球のかかるモジュレーターは、エフェクター機能を調節し得、例えば、幾つかの実施形態では、ある特定の腫瘍形成促進因子の生成を阻害し、及び/または幾つかの実施形態では、ある特定の抗腫瘍形成因子の生成を誘発する。
【0107】
幾つかの態様では、生体材料(例えば、ポリマー生体材料)及び骨髄由来抑制細胞(例えば、MDSC、好中球、マクロファージ、単球など)のモジュレーターを含む組成物を、がんに罹患している対象の標的部位に(例えば、腫瘍切除部位またはその付近に)手術時投与することを含む方法が提供される。
【0108】
幾つかの実施形態では、本開示は、骨髄由来抑制細胞の1種以上のモジュレーター、例えば、MDSCのモジュレーター及び/またはより具体的には好中球のモジュレーターの送達を標的部位に(例えば、化学療法または放射線により、腫瘍が除去され、及び/または癌細胞が処置されたか、もしくは死滅させられた部位またはその付近に)限局し得、これにより、かかるモジュレーターの作用を、それを必要とする標的部位に集中させる組成物を提供する。かかる組成物は、がんを処置するのに特に有用であり得る。特に、本明細書に記載される組成物は、幾つかの実施形態では、有害な副作用及び/または全身曝露を最小限にしながら、例えば、腫瘍再発及び/または転移を予防すること(例えば、その発症を遅延させること、その程度を低減すること)などにより、例えば、がんの処置のための腫瘍切除後の、MDSC及び/または好中球の1つ以上の特性、例えば、好中球の動員、生存、及び/または免疫エフェクター機能に作用する(例えば、それを調節する)1種以上の治療薬を送達し得る。
【0109】
I.提供される組成物
幾つかの実施形態では、本開示は、とりわけ、生体材料調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)及び少なくとも1種(例えば、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種以上が含まれる)の免疫エフェクター細胞機能のモジュレーター、より具体的には少なくとも1種(例えば、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種以上が含まれる)の骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターを含む組成物を提供する。幾つかの実施形態では、組成物は、生体材料調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)及び骨髄由来抑制細胞機能の単一のモジュレーターを含む。多数の実施形態では、免疫細胞機能のモジュレーター(例えば、骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーター)は、骨髄由来抑制細胞(例えば、好中球)の動員、生存、増殖、及び/またはエフェクター機能を阻害するのに有効な量で投与される。従って、幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるモジュレーターは、他の治療状況で通常使用される量より多い量で投与され得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるモジュレーターは、他の治療状況で通常使用される量より少ない量で投与され得る。幾つかの実施形態では、生体材料調製物及び本明細書に記載される骨髄由来抑制細胞機能の単一のモジュレーターを含むか、またはそれからなる組成物は、当該組成物になんらの他の治療薬も含まれず、腫瘍切除後の単独療法としてがん処置に特に有用である。幾つかの実施形態では、このような組成物は、1種以上の追加の治療薬を含み得る。
【0110】
骨髄由来抑制細胞(MDSC)及び好中球の例示的なモジュレーター
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される組成物に存在する免疫エフェクター細胞のモジュレーターは、骨髄由来抑制細胞(MDSC)のモジュレーターであるか、またはそれを含む。MDSCは、通常、免疫抑制能を有する骨髄性細胞の不均一な集団を指し、MDSCとしては、顆粒球型または多形核MDSC(g-MDSCまたはPMN-MDSC)及び単球型MDSC(m-MDSC)が挙げられる。これらの細胞は、リンパ球及びリンパ球増殖に対する阻害効果を有すると考えられている。MDSCは、腫瘍が存在する場合に血液循環中に蓄積することが示されており、MDSCの数は、一般に予後の悪さと相関する。従って、MDSCは、例えば、幾つかの実施形態では、T細胞の増殖及び/または活性化能力を阻害または低減することなどにより、抗腫瘍免疫応答を抑制することにより、癌に関連する免疫浸潤だけでなく腫瘍の進行及び転移も促進する要因の1つであると考えられている。例えば、Kumar et al.,“The nature of myeloid-derived suppressor cells in the tumor microenvironment” Trends Immunology(2016)37(3):208-220(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0111】
通常、g-MDSCまたはPMN-MDSC及び好中球(例えば、成熟好中球)は、同様の形態及び細胞表面マーカーの発現を共有するが、m-MDSCは、単球と同様である。例えば、成熟好中球は、CD14(-)、CD15(+)、CD66b(+)、CD16(+)の細胞表面タンパク質発現パターンにより定義され得るが、PMN-MDSCは主に、CD14(-)、CD15(+)、CD66b(+)、CD16(+)、CD11b(+)、CD33(+)、HLA-DRと称される。g-MDSCまたはPMN-MDSCと好中球(例えば、成熟好中球)との間の表現型及び形態における類似性、及び好中球がある特定の生物学的文脈において免疫抑制能を発揮することができるという最近の指摘のため、例えば、ある特定の好中球がMDSCとして免疫抑制能を示す幾つかの実施形態では、ある特定の生物学的文脈下の好中球がMDSCとみなされ得ることを当業者は理解するであろう。従って、幾つかの実施形態では、本明細書に記載される骨髄由来抑制細胞(MDSC)のモジュレーターは、好中球のモジュレーターとして有用であり得、及び/または効果的であり得る。例えば、Shaul & Fridlender “Tumour-associated neutrophils in patients with cancer” Nature Reviews:Clinical Oncology(2019)16:601-620(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0112】
好中球は、循環白血球の中で最も豊富に存在する細胞種であり、自然免疫応答の一部として侵入病原体に対する防御の第一線を構成する。好中球は、非常に多能な多形核細胞であり、その機能としては、限定されるものではないが、ファゴサイトーシス及び殺傷が挙げられる。例えば、幾つかの実施形態では、好中球は、例えば、ファゴサイトーシス、細胞傷害性分子の生成、細胞傷害性酵素の放出、及び/または循環腫瘍細胞を捕獲するクモの巣状のDNAの細胞外排出を通常含む好中球細胞外トラップの形成により、感染に対する一次防御に関与する。幾つかの実施形態では、好中球は、炎症応答及び/または免疫応答の調節及び/または連鎖的発生において役割を果たし得る。幾つかの実施形態では、好中球は、様々なサイトカイン及び/またはケモカインの生成及び/または認識を介して免疫応答を調節し得る。
【0113】
循環腫瘍関連好中球(TAN)は、一定の機能的可塑性を保持することが可能であり、腫瘍微小環境(TME)において見出される様々なキューに曝露される場合に、抗腫瘍特性(例えば、腫瘍細胞に対する細胞傷害性及び/または転移の阻害)または腫瘍進行促進特性(例えば、血管形成スイッチ、腫瘍細胞の運動性、遊走、及び/または浸潤の促進)を付与する「代替的活性化」を受け得ることが報告されている。例えば、トランスフォーミング増殖因子-β(TGFβ)の存在は、腫瘍促進表現型(N2様表現型)を促進することが実証されているのに対して、インターフェロン-β(IFNβ)の存在またはTGFβシグナル伝達の阻害は、抗腫瘍表現型(N1様表現型)のTANをもたらす。例えば、Fridlender et al.,“Polarization of Tumor-Associated (TAN) Phenotype by TGFβ:“N1” versus “N2” TAN” Cancer Cell(2009)16(3):183-194、及びGranot “Neutrophils as a Therapeutic Target in Cancer” frontiers in Immunology(2019)10:1710(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0114】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される技術に有用である、MDSC及びより具体的には好中球のモジュレーターは、かかる免疫細胞の動員及び/または生存を阻害し得る。追加的または代替的に、本明細書に記載される技術に有用である、MDSC及びより具体的には好中球のかかるモジュレーターは、エフェクター機能を調節し得、例えば、幾つかの実施形態では、ある特定の腫瘍形成促進因子の生成を阻害し、及び/または幾つかの実施形態では、ある特定の抗腫瘍形成因子の生成を誘発する。
【0115】
A)MDSC及び/または好中球の動員、生存、及び/または増殖の阻害
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、生体材料(例えば、ポリマー生体材料)、ならびにMDSC、より具体的には、好中球の走化性及び/または動員を調節するMDSC、より具体的には、好中球のモジュレーターを含む。幾つかの実施形態では、好中球及び/またはMDSCのこのようなモジュレーターは、好中球及び/またはMDSCの走化性及び/または動員の阻害剤であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、腫瘍切除部位への好中球及び/またはMDSCの動員を阻害するのに有用である。
【0116】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、コロニー刺激因子1(CSF-1)及び/またはCSF-1受容体(CSF-1R)シグナル伝達の阻害剤であるか、またはそれを含む。特定の理論に拘束されるものではないが、好中球がCSF-1及びCSF-1Rの主要な供給源であり、これらの分子の生成を抑えることにより、免疫細胞の走化性が低減されると考えられている。例えば、Tang et al.,“Neutrophil and Macrophage Cell Surface Colony-Stimulating Factor 1 Shed by ADAM17 Drive mouse Macrophage Proliferation in Acute and Chronic Inflammation” Mol Cell Biol(2018)38(17):e00103-18、及びCannarile et al.,“Colony-stimulating factor 1 receptor (CSF1R) inhibitors in cancer therapy” Journal for ImmunoTherapy of Cancer(2017)5,53、及びXun et al.,“Small-Molecule CSF1R Inhibitors as Anticancer Agents” Curr Med Chem.(2020)27(23):3944-3966(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの実施形態では、CSF-1/CSF-1Rシグナル伝達の阻害剤は、ペキシダルチニブ(PLX3397)、リニファニブ(ABT-869)、OSI-930、CEP-32496(RXDX-105)、Ki20227、PLX5622、MCS-110、FPA008、RG7155、IMC-CS4、AMG820、UCB6352、GW2580、BLZ945、エディコチニブ、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0117】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、インターロイキン34(IL-34)シグナル伝達の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、IL-34に対して指向され得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、IL-34受容体(例えば、コロニー刺激因子1受容体(CSF-1R)及び/またはプロテインチロシンホスファターゼζ(PTP-ζ))に対して指向され得る。特定の理論に拘束されるものではないが、IL-34シグナル伝達は、好中球動員を促進すると考えられている。例えば、Baek et al.“IL-34 mediates acute kidney injury and worsens subsequent chronic kidney disease” The Journal of Clinical Investigation 125(8):3198-3214(これらの内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの実施形態では、IL-34シグナル伝達の阻害剤は、抗IL-34抗体、抗CSF-1R抗体、抗PTP-ζ抗体、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0118】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球の動員のモジュレーターは、CD47-シグナル調節タンパク質α(SIRPα)シグナル伝達経路の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、CD47-SIRPαシグナル伝達は、MDSC/好中球の運動性を促進し得るのに対して、このようなシグナル伝達の阻害は、それらの運動性を低減し得ると考えられている。ある特定の実施形態では、CD47-SIRPαシグナル伝達経路の阻害剤は、限定されるものではないが、Hu5F9-G4、IBI188、SRF231、TTI-621、CC-90002、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0119】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球の動員のモジュレーターは、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)/CD74シグナル伝達の阻害剤であるか、またはそれを含む。ある特定の実施形態では、MIF/CD74シグナル伝達経路の阻害剤は、限定されるものではないが、Orita-13、抗CD74モノクローナル抗体、BTZO-1、ISO-1、Alam-4b、ISO-66、Jorgensen-3g、Jorgensen 3h、Dziedzic-3bb(Cisneros-3i)、Cisneros-3j、4-IPP、BITC、NVS-2、MIF098(Alissa-5)、K664-1、T-614、Kok-10、Kok-17、CPSI-2705、CPSI-1306、SCD-19、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。例えば、Kok et al.,“Small molecule inhibitors of macrophage migration inhibitory factor (MIF) as emerging class of therapeutics for immune disorders” Drug Discovery Today(2018),23(11):1910-1918(これらの内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0120】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、1つ以上のC-Cモチーフケモカインシグナル伝達経路及び/またはC-X-Cモチーフケモカインシグナル伝達経路の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員の阻害剤は、CCL2/CCR2シグナル伝達経路、CCL3/CCR1シグナル伝達経路、CCL3/CCR4シグナル伝達経路、CCL3/CCR5シグナル伝達経路、CCL4/CCR5シグナル伝達経路、CCL4/CCR8シグナル伝達経路、CCL5/CCR1シグナル伝達経路、CCL5/CCR3シグナル伝達経路、CCL5/CCR5シグナル伝達経路、CCL8/CCR1シグナル伝達経路、CCL8/CCR2シグナル伝達経路、CCL8/CCR3シグナル伝達経路、CCL8/CCR5シグナル伝達経路、及び/またはCXCL12/CXCR4シグナル伝達経路の阻害剤であり得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、CCR1、CCR2、CCR2B、CCR3、CCR4、CCR5、CCR8、CXCR2、CXCR4、及び/またはそれらの組み合わせに対して指向され得る。ある特定の実施形態では、かかる阻害剤は、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CCL8、CXCL12、及び/またはそれらの組み合わせに対して指向され得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、例えば、限定されるものではないが、CXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL4、CXCL5、CXCL6、CXCL8、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL15、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CCL7、CCL9、CCL12、CCL17、CCL18、CCL19、CCL20、CCL22、及び/またはそれらの組み合わせが含まれる、1種以上の好中球由来ケモカインに対して指向され得る。例えば、本明細書に記載される目的のために全体が参照により本明細書に組み込まれる、Tecchio and Cassatella,“Neutrophil-derived chemokines on the road to immunity” Seminars in Immunology(2016)28:119-128を参照のこと。
【0121】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、CCR2、CCR5、CXCR2、CXCR4、CXCL12、及び/またはCCL2の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員の阻害剤は、CCR5、CXCR2、CXCL12、及び/またはCCL2の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。
【0122】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、CCR2の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、CCR2は、好中球の組織浸潤に必須であると考えられている。例えば、Souto et al.,“Essential role of CCR2 in neutrophil tissue infiltration and multiple organ dysfunction in sepsis” Am J Respir Crit Care Med.(2011):183(2):234-242(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。ある特定の実施形態では、CCR2シグナル伝達経路の阻害剤は、限定されるものではないが、PF-04136309、CCX872-B、MLN1202、BMS-813160、BMS CCR2 22、MK-0812、プロザリズマブ、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0123】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球の動員及び/または機能のモジュレーターは、CCR5の阻害剤であり得る。特定の理論に拘束されるものではないが、CCR5は、骨髄からの未熟好中球の放出及び腫瘍形成組織へのそれらの動員を促進すると考えられている。ある特定の実施形態では、CCR5シグナル伝達経路の阻害剤は、限定されるものではないが、マラビロク、DAPTA、GSK706769、INCB009471、GW873140、ビクリビロク、PRO140、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0124】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、CCR2及びCCR5の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。ある特定の実施形態では、CCR2及びCCR5シグナル伝達経路の阻害剤は、限定されるものではないが、PF-04634817、セニクリビロック、BMS-813160、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0125】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、CXCR4/CXCL12シグナル伝達の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、CXCR4は、健康状態及び疾患における好中球輸送のマスター調節因子として機能すると考えられている。例えば、Filippo and Rankin “CXCR4,the master regulator of neutrophil trafficking in homeostasis and disease” European J of Clinical Investigation(2018)(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。ある特定の実施形態では、CXCR4/CXCL12により媒介されるシグナル伝達の阻害剤は、限定されるものではないが、プレリキサホル(AMD-3100)、抗CXCR4抗体(例えば、ウロクプルマブ)、ブリキサホル(TG-0054)、TG0054、AMD070、AMD3465、AMD11070、LY2510924、MSX-122、CTCE-9908、POL6326、CX-01、X4P-001、BL-8040、USL311、SP01A、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0126】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、CCL2の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に限定されるものではないが、CCL2は、好中球動員を媒介し、がん転移を促進し、及び/または血管新生を促進すると考えられている。例えば、Reichel et al.,“Ccl2 and Ccl3 mediate neutrophil recruitment via induction of protein synthesis and generation of lipid mediators” Arterioscler Thromb Vasc Biol.(2009)29(11):1787-93、及びBonapace et al.,“Cessation of CCL2 inhibition accelerates breast cancer metastasis by promoting angiogenesis” Nature(2014)515,130-133、及びMora et al.,“Bindarit:an anti-inflammatory small molecule that modulates the NFκB pathway” Cell Cycle(2012)11(1)159-169(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。ある特定の実施形態では、CCL2の阻害剤は、ビンダリットであり得るか、またはそれを含み得る。
【0127】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、CXCR2及び/またはCXCR2リガンドの阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に限定されるものではないが、CXCR2は、好中球を腫瘍に局在化させ、顆粒球増加を減弱させ、血管透過性を増加させると考えられている。例えば、Zarbock et al.,“Therapeutic inhibition of CXCR2 by Reparixin attenuates acute lung injury in mice” British Journal of Pharmacology(2008):155(3):357-364(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。ある特定の実施形態では、CXCR2により媒介されるシグナル伝達の阻害剤は、限定されるものではないが、レパリキシン、ナバリキシン、ダニリキシン、AZD5069、DF2156A、SB-656933、QBM076、SB225002、Humax IL8、ABX-IL8、ラダリキシン、SX-682、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0128】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、CXCL1により媒介されるシグナル伝達経路の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。ある特定の実施形態では、CXCL1により媒介されるシグナル伝達経路の阻害剤は、限定されるものではないが、低分子、オリゴヌクレオチド、ポリペプチド、及び/またはタンパク質であり得る。ある特定の実施形態では、CXCL1の阻害剤は、抗CXCL1中和抗体であり得るか、またはそれを含み得る。
【0129】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、NF-κBシグナル伝達経路の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、NF-κBシグナル伝達は、CXCL1、CXCL2、及び/またはCXCL8の発現、及び/またはその後の好中球動員に必要である可能性があると考えられている。ある特定の実施形態では、NF-κBにより媒介されるシグナル伝達経路の阻害剤は、限定されるものではないが、ビチオノール、ボルテゾミブ、カンタリジン、クロモマイシンA3、ダウノルビシナム(Daunorubicinum)、ジギトキシン、エクチナサイジン743、エメチン、フルオロサラン、マニジピン塩酸塩、ナラシン、レストールチニブ、ウワバイン、トシル酸ソラフェニブ、リンゴ酸スニチニブ、チオコナゾール、トリブロンサラン、トリクラベンダゾール、ザフィルルカスト、BAY11-7082、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0130】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、Janusキナーゼ(JAK)関連シグナル伝達経路の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、JAKの阻害により、CXCL1発現が低減され、喘息などの病態のアレルゲン特異的免疫療法の有効性が改善され得ると考えられている。ある特定の実施形態では、JAKにより媒介されるシグナル伝達経路の阻害剤は、限定されるものではないが、ルキソリチニブ(INC424)、トファシチニブ(CP-690,550)、INCB052793、AZD4205、TD-1473、ジビノスタット(ITF2357)、パクリチニブ、デセルノチニブ(VS-509)、バリシチニブ、レスタウルチニブ(CEP-701)、BMS-911543、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0131】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MEK)シグナル伝達の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、MEKの阻害により、CXCL1により誘発されるERK1/2リン酸化が阻害され、このことが細胞増殖の低減をもたらし得ると考えられている。ある特定の実施形態では、このような阻害剤は、PD98059及び/またはU0126であり得るか、またはそれを含み得る。
【0132】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、核内因子κBキナーゼ(IKK)シグナル伝達の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、IKKの阻害は、CXCL1、CXCL2、及び/またはCXCL8の生成を減少させ得、がん細胞のクローン性増殖を抑制する可能性があると考えられている。ある特定の実施形態では、IKK関連シグナル伝達経路を介して作用するMDSC/好中球動員の阻害剤は、TPCA-1、IKK16、Bay65-1942、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0133】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、TGFβシグナル伝達経路の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、TGFβは、MDSC/好中球の強力な化学誘引物質として機能すると考えられており、幾つかの実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、TGFβの阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。例えば、Reibman et al.,“Transforming growth factor beta 1,a potent chemoattractant for human neutrophils,bypasses classic signal-transduction pathways” Proc Natl Acad Sci USA(1991)88(15):6805-6809、及びBrandes et al.,“Type I transforming growth factor-beta receptors on neutrophils mediate chemotaxis to transforming growth factor-beta” Journal of Immunology(1991)147(5):1600-1606(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、限定されるものではないが、TGFβR1キナーゼ阻害剤(例えば、ガルニセルチブ)及び/またはTGFβシグナル伝達経路阻害剤(例えば、バクトセルチブ、RepSox、GW788388、LY364947、SB505124、SB525334、K02288、及び/またはLDN-193189)が含まれる、TGFβシグナル伝達経路阻害剤を含み得る。幾つかの実施形態では、TGFβシグナル伝達経路阻害剤は、抗TGFβ抗体(例えば、フレソリムマブ)であり得るか、またはそれを含み得る。
【0134】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、低分子量タンパク質-7(LMP7)の阻害剤であり得るか、またはそれを含む。特定の理論に拘束されるものではないが、LMP7阻害により、CXCL1、CXCL2、及び/またはCXCL3の発現が低減され得ると考えられている。幾つかの実施形態では、LMP7の阻害剤は、ONX-0914であり得るか、またはそれを含み得る。
【0135】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員の阻害剤は、少なくとも2種以上(例えば、少なくとも3種、少なくとも4種以上が含まれる)の本明細書に記載されるサイトカイン及び/またはケモカインの1種以上の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、サイトカイン全般及び/または複数のサイトカインの阻害は、好中球の蓄積及び/または動員を減少させ得ると考えられている。ある特定の実施形態では、このような阻害剤は、サイトカイン放出阻害剤、例えば、JTE-607であり得るか、またはそれを含み得る。
【0136】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、NEDD化の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、NEDD化は、CXCL1の生成を促進し、細胞のアポトーシスを阻害し得ると考えられている。ある特定の実施形態では、NEDD化の阻害剤は、MLN4924であり得るか、またはそれを含み得る。
【0137】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、プロテインキナーゼCζ(PKCζ)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、PKCζは、CXCL1の生成を促進すると考えられている。ある特定の実施形態では、PKCζの阻害剤は、MA130であり得るか、またはそれを含み得る。
【0138】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、c-JunN末端キナーゼ(JNK)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、JNKシグナル伝達は、CXCL1及び/またはCXCL2の発現を促進すると考えられている。ある特定の実施形態では、JNKシグナル伝達の阻害剤は、SP600125であり得るか、またはそれを含み得る。
【0139】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、プリン受容体P2Y12(P2YR12)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、P2YR12シグナル伝達は、CXCL1の発現及び放出を促進すると考えられている。ある特定の実施形態では、P2Y12受容体の阻害剤は、PSB0739であり得るか、またはそれを含み得る。
【0140】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、NAMPTは、CXCL1及び/またはCXCL2の発現及び放出を促進すると考えられている。ある特定の実施形態では、NAMPTの阻害剤は、FK866であり得るか、またはそれを含み得る。
【0141】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、プロテインチロシンキナーゼ(PTK)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、PTKシグナル伝達は、CXCL1の発現及び放出を促進すると考えられている。ある特定の実施形態では、PTKの阻害剤は、PP2であり得るか、またはそれを含み得る。
【0142】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、プロテアソームの阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、プロテアソームにより媒介されるタンパク質分解は、CXCL1の発現及び放出を促進し得ると考えられている。ある特定の実施形態では、プロテアソームの阻害剤は、MG132及び/またはボルテゾミブであり得るか、またはそれを含み得る。
【0143】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、上皮成長因子受容体(EGFR)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、CXCL1及び/またはCXCL8は、EGFRのリン酸化及び細胞増殖を誘発し得るのに対して、EGFR及び/またはEGFRキナーゼの阻害は、CXCL1及び/またはCXCL8により誘発される細胞増殖を制限し得ると考えられている。ある特定の実施形態では、EGFRの阻害剤は、PD153035及び/またはAG1478であり得るか、またはそれを含み得る。
【0144】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、Rhoキナーゼの阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、Rhoキナーゼ阻害は、CXCL1及び/またはCXCL2の形成を低減し得、炎症を減弱し得ると考えられている。ある特定の実施形態では、Rhoキナーゼ阻害剤は、ファスジル及び/またはY-27632であり得るか、またはそれを含み得る。
【0145】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、ファルネシルトランスフェラーゼ(FTアーゼ)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、FTアーゼ阻害剤は、RET/PTC3がん遺伝子により誘発されるCXCL1生成を阻害すると考えられている。ある特定の実施形態では、FTアーゼ阻害剤は、ケトメリン酸A、クラバリン酸、FTI-276トリフルオロ酢酸塩、FTI-277トリフルオロ酢酸塩、GGTI-297、L-744,832二塩酸塩、LNK-754、SCH66336(ロナファルニブ)、マヌマイシンA、R115777(ザルネストラ、チピファルニブ)、ギンゲロール、グリオトキシン、α-ヒドロキシファルネシルホスホン酸、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0146】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、B細胞リンパ腫2(Bcl-2)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、Bcl-2の阻害は、CXCL1及び/またはCXCL8の発現を減少させ、ケモカイン関連血管新生を低減すると考えられている。ある特定の実施形態では、Bcl-2阻害剤は、ベネトクラクス、ナビトクラクス(ABT-263)、ABT-199、ABT-737、オバトクラクス(GX-15-070)、BL-193、TW37、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0147】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、P2ヌクレオチド受容体の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、P2ヌクレオチド受容体の阻害は、CXCL1の阻害により好中球の遊走を抑止すると考えられている。ある特定の実施形態では、P2ヌクレオチド受容体の阻害剤は、クロピドグレル、プラスグレル、チクロピジン、チカグレロル、PPADS、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0148】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、トランスロケータータンパク質(TSPO)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、TSPOのアゴニズムは、CXCL1の生成を阻害し得ると考えられている。ある特定の実施形態では、TSPOのアゴニストは、Ro5-4864であり得るか、またはそれを含み得る。
【0149】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、CXCL1発現及び/またはシグナル伝達を阻害し、及び/または弱めるように作用するマイクロRNAであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、CXCL1のマイクロRNAベースの阻害剤は、miR-146a及び/またはMiR181bであり得るか、またはそれを含み得る。
【0150】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)シグナル伝達及び/またはdachshundファミリー転写因子1(DACH1)シグナル伝達の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、AMPK-DACH1シグナル伝達及び/またはAMPK-DACH1の発現の乱れにより、CXCL1の生成が低減され得ると考えられている。ある特定の実施形態では、AMPK-DACH1シグナル伝達の阻害剤は、メトホルミン及び/またはその誘導体もしくはバリアントであり得る。
【0151】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、AMPKの活性化は、がん細胞株からのCXCL8分泌を阻害し得、がん細胞の遊走を減少させ得ると考えられている。ある特定の実施形態では、AMPKの活性化因子は、AICARであり得るか、またはそれを含み得る。
【0152】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、これまでのところ明らかにされていないメカニズムにより作用するCXCL1の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員の阻害剤は、半夏写心湯(HST)、デキスメデトミジン、IMT504オリゴヌクレオチド 、Hes1転写抑制因子、シグリタゾン、フドステイン、レイノシン、クルクミン、DK-139(合成カルコン)、アンジオテンシノーゲン-アンチセンスオリゴヌクレオチド、ホルミルペプチド受容体2のアネキシンA1リガンド、デキサメタゾン(コルチコステロイド)、及びそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0153】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、CXCL2により媒介されるシグナル伝達経路の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。ある特定の実施形態では、CXCL2により媒介されるシグナル伝達経路の阻害剤は、低分子、オリゴヌクレオチド、ポリペプチド、及び/またはタンパク質であるか、またはそれを含む。ある特定の実施形態では、CXCL2の阻害剤は、抗CXCL2中和抗体であり得るか、またはそれを含み得る。
【0154】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、プロテインキナーゼB(AKT/PKB)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、AKTシグナル伝達の乱れにより、CXCL2及び/またはCXCL8のプロモーター活性が低減され得ると考えられている。ある特定の実施形態では、AKT阻害剤は、MK2206であり得るか、またはそれを含み得る。
【0155】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、マイトジェン及びストレス活性化キナーゼ1(MSK1)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、MSK1の阻害は、CXCL2により誘発される好中球の接着を増強し得、好中球の遊走を遅らせ得、及び/または潜在的にCXCL3発現を阻害し得ると考えられている。ある特定の実施形態では、MSK1阻害剤は、SB-747651A及び/またはH89であり得るか、またはそれを含み得る。
【0156】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、シグナル伝達性転写因子3(STAT3)及び/またはSTAT3により媒介されるシグナル伝達経路の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、STAT3シグナル伝達は、CXCL1、CXCL2、及び/またはCXCL8などの炎症性遺伝子の発現を促進し得ると考えられている。ある特定の実施形態では、STAT3シグナル伝達経路阻害剤は、クリプトタンシノン、カプサイシン、クルクミン、ククルビタシン1、セラストロール、アトリプリモド(Atriprimod)、PD153035、オレアノール酸、ブレビリンA、トファシチニブ(CP-690,550)、ソラフェニブ、AZD1480、アチプリモド、オーラノフィン、サンギナリン、ククルビタシン1(JSI-124)、ククルビタシンB、ククルビタシンE、セラストロール、エモジン、ダサチニブ、コーヒー酸、CADPE、AG490、WP1066、TG101209、FLL32、アビシンD、E738、MLS-2384、CYT387(モメロチニブ)、エルゴステロール過酸化物、PP2、ポナチニブ、イソチオシアン酸ベンジル、CNTO-328(シルツキシマブ)、トシリズマブ、セツキシマブ、KDI1/KDI3/KDI4、キサントフモール、PYLKTK(-mts)、PYL、ISS610、PDP/ホスホドデカペプチド(-mts)、Ac-YLPQTV、ヒドロシンナモイル-Tyr(P03H2)-L-cis-3,4-メタノPQ-NHBn、CJ-1383、PM-73G、APTSTAT3-9R、組換えSTAT3阻害性ペプチドアプタマー(rS3-PA)、DD1/DD2/DD3、ジピコリルアミン銅錯体1,2,3、S31-M2001、STA-21、LL-3、LL-12、Stattic、S31-201/NSC 74859、S31-201.1066/SF-1006、BP-1-102/17o、SH4-54、SH5-07、S31-V3-31/32/33/34、C188、C188-9、クリプトタンシノン、STX-0119、C48、ピペルロングミン、OPB-31121、ウィタクニスチン、XZH-5、T2-T3-セレコキシブ、HJC0123、Ly5、T40214/T40231、デコイODN CTTCCCGTTAC(はホスホロチオエート化部位を意味する)、13410/13410A/SeqD、CPA-7、IS3295、inS3-54、inS3-54A18、HO-3867、ガリエララクトン、BDB-1/BDB-1-9R、Hel2k-Pen/ST3-HA2A、AdCN305-cppSOCS3、カリクリンA、SC-1/SC-43/SC-49、TPA、PF4(血小板第4因子)、アンチセンスAZD9150(70、NCT01839604)、CTLA4apt-STAT3 siRNA、カプサイシンN-バニリル-8-メチル-1-ノネナミド、ML116、それらの誘導体もしくは機能部分、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0157】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、ゲラニルゲラニルトランスフェラーゼ(GGTase-1)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、GGTase-1の阻害は、CXCL2レベルを低減し得ると考えられている。ある特定の実施形態では、GGTase-1阻害剤は、GGTI-2133であり得るか、またはそれを含み得る。
【0158】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、PI3K-γの阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、PI3K-γの阻害は、CXCL2の発現を低減し得ると考えられている。ある特定の実施形態では、PI3K-γの阻害剤は、AS252424及び/またはIPI-549であり得るか、またはそれを含み得る。
【0159】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、PI3K/AKTの阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、PI3K/AKTシグナル伝達は、CXCL1及び/またはCXCL2の分泌を促進し得ると考えられている。ある特定の実施形態では、PI3K/AKT阻害剤は、LY294002であり得るか、またはそれを含み得る。
【0160】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、汎PI3Kシグナル伝達経路の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、PI3Kシグナル伝達は、CXCL8の放出ならびにそれに続く増殖及び血管新生を促進し得ると考えられている。ある特定の実施形態では、PI3Kシグナル伝達経路阻害剤は、GDC-0941、ウォルトマンニン、3-メチルアデニン(3-MA)、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0161】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、活性化T細胞(NFAT)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、NFATの阻害は、タウロコール酸塩により誘発されるCXCL2の増加を低減し得、及び/またはCXCL5の発現を低減し得、及び/または免疫系により誘発される組織損傷を潜在的に減弱し得ると考えられている。幾つかの実施形態では、NFAT阻害剤は、A-285222であり得るか、またはそれを含み得る。
【0162】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、ケモカイン、例えば、C-X-Cモチーフケモカイン発現及び/またはシグナル伝達を阻害し、及び/またはそれに拮抗するマイクロRNAであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、好中球動員の阻害剤は、CXCL2発現及び/またはシグナル伝達を阻害し、及び/またはそれに拮抗するマイクロRNAである。幾つかの実施形態では、CXCL2のマイクロRNAベースの阻害剤は、miR-532-5pであり得るか、またはそれを含み得る。ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員の阻害剤は、CXCL3発現及び/またはシグナル伝達を阻害し、及び/またはそれに拮抗するマイクロRNAであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、CXCL3のマイクロRNAベースの阻害剤は、miR-155であり得るか、またはそれを含み得る。
【0163】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、アンチトロンビンIIIを含む促進因子、アゴニスト、部分アゴニスト、ミメティック、またはペプチドであり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に限定されるものではないが、アンチトロンビンIIIは、抗炎症的に好中球動員を低減し得ると考えられている。ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、Thrombate及び/またはアンチトロンビンIIIであり得るか、またはそれを含み得る。
【0164】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、スフィンゴシン1-リン酸受容体(S1PR)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、S1PRは、CXCL5発現を促進し得ると考えられている。ある特定の実施形態では、SIPRの阻害剤は、FTY720であり得るか、またはそれを含み得る。
【0165】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、Rafキナーゼファミリータンパク質の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、Rafキナーゼは、ある特定のがんにおいてCXCL8発現を促進し得、細胞増殖及び血管新生を促進し得ると考えられている。ある特定の実施形態では、Rafキナーゼの阻害剤は、ソラフェニブ/ネクサバール(BAY-43-9006)、AZ628、PLX4032、Raf265、ZM336372、MCP110、LBT613、ISIS5132、LErafAON、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。例えば、Khazak et al.,“Selective Raf Inhibition in Cancer Therapy” Expert Opin Ther Targets(2007)11(12):1587-1609(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0166】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ2(ROCK2)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、ROCK2は、NF-κBにより誘発されるCXCL8の生成を促進し得ると考えられている。ある特定の実施形態では、ROCK2の阻害剤は、Y-27632、KD025、RXC007、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0167】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)1及び/または2の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、ERKシグナル伝達は、CXCLシグナル伝達により促進される様式でがん増殖を促進すると考えられている。ある特定の実施形態では、ERK1/2阻害剤は、PD98059及び/またはU0126であり得るか、またはそれを含み得る。
【0168】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、ラパマイシンキナーゼの機構的標的(mTOR)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、mTORは、p38、ERK1/2、及びNFκBのリン酸化を促進し、これらの全てがCXCL8発現に寄与すると考えられている。ある特定の実施形態では、mTORの阻害剤は、ラパマイシン及び/またはテムシロリムスであり得るか、またはそれを含み得る。
【0169】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、rasホモログファミリーメンバーA(RHOA)、細胞分裂周期42(CDC42)、及び/またはracファミリー低分子GTPアーゼ1(RAC)シグナル伝達経路の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、RHOA、CDC42、及びRACシグナル伝達は、NF-κBリン酸化及びCXCL8合成を促進すると考えられている。ある特定の実施形態では、RHOA、CDC42、及び/またはRACシグナル伝達の阻害剤は、TcdB-10463であり得るか、またはそれを含み得る。
【0170】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、Srcファミリーチロシンキナーゼにより促進されるシグナル伝達の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。理論に拘束されるものではないが、Srcキナーゼは、CXCL8/CXCR2により媒介されるMDSC/好中球の走化性を促進すると考えられている。ある特定の実施形態では、Scrキナーゼ阻害剤は、非受容体型プロテインチロシンキナーゼの阻害剤(例えば、PP1及び/またはPP2)及び/またはSU6656であり得るか、またはそれを含み得る。
【0171】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、CXCL8の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得、中和抗体またはその機能部分である。ある特定の実施形態では、CXCL8中和抗体は、ABX-IL8、HuMab 10F8、及び/またはHumax IL8であり得るか、またはそれを含み得る。ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、CXCL8発現及び/またはシグナル伝達を阻害し、及び/またはそれに拮抗するように作用するマイクロRNAであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、CXCL8のマイクロRNAベースの阻害剤は、miR-146a、miR-708、及び/またはmiR-140-3pであり得るか、またはそれを含み得る。ある特定の実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、CXCL8の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。ある特定の実施形態では、CXCL8の阻害剤は、IFN-γ二量体可溶性サイトカイン、ビスフェノールA(BPA)、ピペリン、ある特定のNSAIDS、TSG-6分泌糖タンパク質、ルテオリン天然フラボン、S1P血清由来の生理活性脂質T細胞、エストラジオールエストロゲンステロイドホルモン、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0172】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、IL-8及び/またはCXCR1/2シグナル伝達経路の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。例えば、Zarbock et al.,“Therapeutic inhibition of CXCR2 by Reparixin attenuates acute lung injury in mice” British Journal of Pharmacology(2008):155(3):357-364(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの実施形態では、IL-8及び/またはCXCR1/2シグナル伝達経路の阻害剤は、ラダリキシン(LDX)、SX-682、レパリキシン、AZD-8309、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0173】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、LTB関連シグナル伝達経路のモジュレーターであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、LTB関連シグナル伝達経路のモジュレーターは、限定されるものではないが、リポキシン(LXA)、レゾルビン、プロテクチン、及び/またはマレシンなどの特異的炎症収束性メディエーターを含み得る。
【0174】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、プリン受容体P2X4(P2RX4)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、P2RX4は、好中球動員を促進し得ると考えられている。幾つかの実施形態では、P2RX4阻害剤は、インドファゴリン、5-BDBD、BAY-1797、BX430、CTP、NP-1815-PX、PSB-12054、PSB-12062、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0175】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、インターロイキン1α(IL-1α)シグナル伝達の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、IL-1αに対して指向され得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、インターロイキン-1受容体1型(IL-1R1)及び/またはインターロイキン-1受容体アクセサリータンパク質(IL-1R3)に対して指向され得る。特定の理論に拘束されるものではないが、IL-1αシグナル伝達は、好中球動員を促進すると考えられている。例えば、Lee et al.“IL-1α modulates neutrophil recruitment in chronic inflammation induced by hydrocarbon oil” The Journal of Immunology(2011)186:1747-1754、及びPaolo and Shayakhmetov et al.“Interleukin 1α and the inflammatory process” Nature Immunology(2016)17(8):906-913(これらの各々の全ての内容は、本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの実施形態では、IL-1αシグナル伝達の阻害剤は、抗IL-1α抗体、抗IL-1R1抗体、抗IL-1R3抗体、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0176】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のモジュレーターは、MDSC/好中球の生存を減少させ、及び/またはMDSC/好中球の枯渇を促進するモジュレーターであり得るか、またはそれを含み得る。例えば、幾つかの実施形態では、MDSC/好中球生存の阻害剤及び/またはMDSC/好中球枯渇の刺激因子(例えば、アゴニスト)は、アポトーシス阻害因子(IAP)ファミリーメンバーの阻害剤を含む。理論に拘束されるものではないが、IAPは、MDSC/好中球のアポトーシスを阻害し得ると考えられている。例えば、Hasegawa et al.,“Expression of the inhibitor of apoptosis (IAP) family members in human neutrophils:up-regulation of cIAP2 by granulocyte colony-stimulating factor and overexpression of cIAP2 in chronic neutrophilic leukemia” Blood(2003)101(3):1164-1171(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの実施形態では、IAPの阻害剤は、LCL161、SM-164、SM-406、GDC-0152、ASTX660、AZD5582、ビリナパント、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0177】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球生存の阻害剤、及び/またはMDSC/好中球枯渇の刺激因子は、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。BTKは好中球の発生及び機能に影響を及ぼし、BTKの阻害は、好中球数の減少をもたらし得ると考えられている。例えば、Fiedler et al.,“Neutrophil development and function critically depend on Bruton Tyrosine Kinase in a mouse model of X-linked agammaglobulinemia” Blood(2011);117(4):1329-39(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの実施形態では、BTKの阻害剤は、イブルチニブ、スペブルチニブ、ブラネブルチニブ、フェネブルチニブ、エボブルチニブ、CNX-774、PCI29732、ザヌブルチニブ、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0178】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球生存の阻害剤、及び/またはMDSC/好中球枯渇の刺激因子は、チロシンキナーゼの阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。チロシンキナーゼ、例えば、BCR/abl、Src、c-Kit、及び/またはエフリン受容体は、成熟ヒト好中球の炎症誘発機能を阻害するように機能し得ると考えられている。例えば、Futosi et al.,“Dasatinib inhibits proinflammatory functions of mature neutrophils” Blood(2012);119(21):4981-4991(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの実施形態では、チロシンキナーゼの阻害剤は、ダサチニブであり得るか、またはそれを含み得る。
【0179】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球生存の阻害剤、及び/またはMDSC/好中球枯渇の刺激因子は、ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン含有-1及び/または-2(NOD1/2)のアゴニスト及び/または活性化因子であり得るか、またはそれを含み得る。好中球は、NOD様受容体(NLR)を発現し、NOD1シグナル伝達は、好中球の遊走能及びファゴサイトーシス能を調節し、NOD1のライゲーションが好中球におけるNFκB及びMAPKの活性化をもたらすと考えられている。例えば、Ekman and Cardell “The expression and function of Nod-like receptors in neutrophils” Immunology(2010)130(1):55-63、Jeong et al.,“Nod2 and Rip2 contribute to innate immune responses in mouse neutrophils” Immunology(2014)143(2):269-276、及びAjendra et al.,“NOD2 dependent neutrophil recruitment is required for early protective immune responses against infectious Litomosoides sigmodontis L3 larvae” Scientific Reports(2016)6,39648(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。ある特定の実施形態では、NOD1/2のアゴニストは、M-TriDAP[N-アセチル-ムラミル-L-Ala-γ-D-Glu-メソ-ジアミノピメリン酸]、DAP及びアシル化誘導体(例えば、C12-iE-DAP)が含まれる誘導体(例えば、iE-DAP)、MDP[N-アセチルムラミル-L-アラニン-D-イソグルタミン、別名MurNAc-L-Ala-D-isoGln、別名ムラミルジペプチド]及びアシル化誘導体(例えば、L18-MDP)、N-グリコシル化MDP、ムラブチド、M-TriLYSが含まれる誘導体、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、このようなアゴニストは、好中球の動員及び/または生存を阻害するのに有効な量で投与され得る。
【0180】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球生存の阻害剤、及び/またはMDSC/好中球枯渇の刺激因子は、TNF関連アポトーシス誘導リガンド受容体(TRAIL-R)シグナル伝達のアゴニストであり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、TRAIL-Rシグナル伝達の刺激は、MDSC/好中球のアポトーシス及び組織からのクリアランスを引き起こし得ると考えられている。ある特定の実施形態では、TRAIL-Rアゴニストは、マパツムマブ、AMG951、TRM-1、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0181】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球生存の阻害剤及び/またはMDSC/好中球枯渇の刺激因子は、ドーパミン作動性受容体の阻害剤及び/または抗精神病薬であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、ドーパミン受容体D2に対して指向され得る。特定の理論に拘束されるものではないが、ドーパミン作動性受容体の阻害剤及び/または抗精神病薬は、好中球の生存を低減し、及び/または好中球の枯渇を促進すると考えられている。例えば、コンパジン(処方情報)、Research Triangle Park,NC:GlaxoSmithKline;July 2004(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの実施形態では、ドーパミン作動性受容体の阻害剤及び/または抗精神病薬は、ブチロフェノン(例えば、ベンペリドール、ブロムペリドール、ドロペリドール、ハロペリドール、モペロン、ピパンペロン、チミペロン、メルペロン、及びルマテペロン)、ジフェニルブチルピペリジン(例えば、フルスピリレン、ペンフルリドール、及びピモジド)、フェノチアジン(例えば、アセプロマジン、クロルプロマジン、シアメマジン、ジキシラジン、フルフェナジン、レボメプロマジン、メソリダジン、ペラジン、ペリシアジン、ペルフェナジン、ピポチアジン、プロクロルペラジン、プロマジン、プロメタジン、プロチペンジル、チオプロペラジン、チオリダジン、トリフルオロペラジン、及びトリフルプロマジン)、チオキサンテン(例えば、クロルプロチキセン、クロペンチキソール、フルペンチキソール、チオチキセン、及びズクロペンチキソール)、ベンズアミド(例えば、スルピリド、スルトプリド、ベラリプリド、アミスルピリド、ネモナプリド、レモキシプリド、及びスルトプリド)、三環系(例えば、カルピプラミン、クロカプラミン、クロロテピン、クロチアピン、ロクサピン、モサプラミン、アセナピン、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、及びゾテピン)、ベンズイソオキサゾール/ベンズイソチアゾール(例えば、イロペリドン、ルラシドン、パリペリドン、パルミチン酸パリペリドン、ペロスピロン、リスペリドン、及びジプラシドン)、フェニルピペラジン/キノリノン(例えば、アリピプラゾール、アリピプラゾールラウロキシル、ブレクスピプラゾール、及びカリプラジン)、他の薬剤(例えば、ブロナンセリン、ピマバンセリン、及びセルチンドール)、またはそれらの組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0182】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球生存の阻害剤及び/またはMDSC/好中球枯渇の刺激因子は、好中球減少症を引き起こす薬剤であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、好中球減少症を引き起こす薬剤は、アバカビル、アセトアミノフェン、アセトスルフォン、アシトレチン、アジマリン、アロプリノール、アミノグルテチミド、アミノピリン、アモジアキン、アモキサピン、アルキル化剤、アモキシシリン、アンピシリン、アミグダリン、アプリンジン、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アントラサイクリン、抗不整脈薬、代謝拮抗薬、ベノキサプロフェン、ベプリジル、ベザフィブラート、ブシラミン、ベンジルペニシリン、ドベシル酸カルシウム、カプトプリル、カルベニシリン、カンプトセシン、カルバマゼピン、カルビマゾール、セファマンドール、セフェピム、セフトリアキソン、セホタキシム、セフロキシム、セファレキシン、セファロチン、セファピリン、セファゾリン、セフラジン、クロラムフェニコール、クロログアニド、クロルフェニラミン、クロルプロマジン、クロルプロパミド、クロルタリドン、シメチジン、クラリスロマイシン、クロミプラミン、クロピドグレル、クロキサシリン、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、クロザピン、コトリモキザゾール、シアナミド、ダプソン、デフェリプロン、デシプラミン、ジクロフェナク、ジフルニサル、ジピロン、ジソピラミド、ドチエピン、ドキセピン、ドキシサイクリン、エナラプリル、エリスロマイシン、エピポドフィロトキシン、ファモチジン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルコナゾール、フルシトシン、フルオキセチン、フルタミド、フシジン酸、ゲンタマイシン、金、H2遮断薬、ヒドロキシクロロキン、ヒドロキシ尿素、イブプロフェン、インフリキシマブ、イマチニブ、イミペネム/シラスタチン、イミプラミン、インダルピン、インジナビル、インフリキシマブ、インターフェロンα、インターロイキン12、イソニアジド、イソトレチノイン、ラモトリジン、レバミゾール、レベチラセタム、リネゾリド、リンコマイシン、マプロチリン、メベンダゾール、メブヒドロリン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メフロキン、メプロバメート、メサラジン、メタカロン、メタゾラミド、メトトリメプラジン、メチルドパ、メチアミド、メトクロプラミド、メトラゾン、メズロシリン、ミアンセリン、ミノサイクリン、モキサラクタム、メロペネム、メタミゾール、メチマゾール、マイトマイシンC、メトロニダゾール、ナファモスタット、ナフシリン、ナプロキセン、ニフェジピン、ニフロキサジド、ニルタミド、ニトロフラントイン、ノルフロキサシン、オランザピン、オメプラゾール、オキサシリン、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ノルアミドピリン、オランザピン、オキサシリン、ペニシラミン、ペンタミジン、ペンタゾシン、ペントバルビタール、ペラジン、フェニンジオン、フェニルブタゾン、フェニトイン、ペニシリンG、ピペラシリン・タゾバクタム、プロカインアミド、プロピルチオウラシル、ピレンゼピン、ピロキシカム、ポビドンヨード、プレドニゾン、プロメタジン、プロパフェノン、プロプラノロール、プロピルチオウラシル、ピラゾロン誘導体、ピリチオキシン、ピリチルジオン、アスクエチアピン(asquetiapine)、キニジン/キニーネ、ラミプリル、ラニチジン、リファブチン、リルゾール、リスペリドン、リトドリン、ロキシスロマイシン、リツキシマブ、サラゾピリン、スルファサラジン、セルトラリン、スピロノラクトン、スルファグアニジン、スリンダク、スラミン、タモキシフェン、テルビナフィン、チオプロニン、タクロリムス、タキサン、テイコプラニン、チアマゾール、チオリダジン、チオチキセン、チカルシリン、トカイニド、トルブタミド、トルメチン、トラゾドン、トリメトプリム、チオナミド、チクロピジン、トリメトプリム/スルファメトキサゾール、トブラマイシン、トルセミド、バルプロ酸、バンコマイシン、ベスナリノン、バルガンシクロビル、ベンラファキシン、ビンブラスチン、ヨヒンビン、ジドブジン、ジプラシドン、ゾメピラク、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。例えば、Moore “Drug-induced neutropenia” P&T(2016)41(12):765-768、Curtis “Non-chemotherapy drug-induced neutropenia:key points to manage the challenges” Hematology The American Society of Hematology Education Program(2017)2017(1):187-193、及びhttp://adverse-effects.com/documents/case_reports_agranulocytosis.pdf(その内容は本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0183】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球の2種以上の(例えば、本明細書に記載される)モジュレーターが、本明細書に記載される組成物に含まれ得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載される)MDSC/好中球のモジュレーターは、他の治療薬と組み合わせて使用され得る。
【0184】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるモジュレーターは、MDSC/好中球の動員及び/または生存を阻害するのに有効な量で投与される。従って、幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるモジュレーターは、他の治療状況で通常使用される量より多い量で投与され得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるモジュレーターは、他の治療状況で通常使用される量より少ない量で投与され得る。
【0185】
B)MDSC/好中球のエフェクター機能の調節
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、生体材料(例えば、ポリマー生体材料)、及びMDSC、より具体的には、好中球のエフェクター機能を調節するMDSC、より具体的には、好中球のモジュレーターを含む。幾つかの実施形態では、好中球及び/またはMDSCのこのようなモジュレーターは、幾つかの実施形態では、がん細胞及び/または他の免疫賦活性細胞種(例えば、NK細胞、T細胞、γδT細胞、樹状細胞、好中球、及び/またはマクロファージ)の動員及び/または生存を促進し得(例えば、Benigni et al.,“CXCR3/CXCL10 Axis Regulates Neutrophil-NK Cell Cross-Talk Determining the Severity of Experimental Osteoarthritis” The Journal of Immunology,(2017)、Minns et al.,“Orchestration of Adaptive T Cell Response by Neutrophil Granule Contents” Mediators of Inflammation(2019)、Leleifeld et al.,“How neutrophils shape adaptive immune responses” Frontiers in Immunology(2015)、Li et al.,“The regulatory roles of neutrophils in adaptive immunity” Cell Communication and Signaling(2019)、及びLaban “Vasodilator-stimulated phosphoprotein regulates leukocyte infiltration,polarization and metabolism during vascular repair in the ischemic hindlimb” Thesis - Goethe-Universitat Frankfurt am Main(2018) 図6(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)、及び/または幾つかの実施形態では、他の免疫抑制細胞種の枯渇を促進し得る、(例えば、上記のサイトカイン及びケモカインなどの)免疫調節因子の好中球及び/またはMDSCによる生成及び/または分泌を調節し得る。幾つかの実施形態では、好中球及び/またはMDSCのこのようなモジュレーターは、好中球及び/またはMDSCの抗腫瘍表現型への誘導を促進し得る。幾つかの実施形態では、好中球及び/またはMDSCのこのようなモジュレーターは、好中球及び/またはMDSCの細胞外マトリックスを修飾する能力を調節し得る。
【0186】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、本明細書に記載されるMDSC/好中球の動員を阻害し、及び/またはその枯渇を刺激するように作用するMDSC/好中球の1種以上のモジュレーターであり得るか、またはそれを含み得る。例えば、幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、1種以上の好中球由来ケモカイン、例えば、本明細書に記載されるC-Cモチーフケモカインシグナル伝達経路及び/またはC-X-Cモチーフシグナル伝達経路の阻害剤である。幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、抗CD47抗体、抗CSF1抗体、抗CSF1R抗体、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。ある特定の実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、SRF231、Hu5F9-G4、CC-900002、TTI-621(抗CD47抗体)、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。ある特定の実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、MCS-110(抗CSF1抗体)であり得る。ある特定の実施形態では、好中球エフェクター機能のモジュレーターは、FPA008、RG7155、IMC-CS4、AMG820、UCB6352(抗CSF1R抗体)、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。ある特定の実施形態では、好中球エフェクター機能のモジュレーターは、CSF1Rの低分子阻害剤であり得る。ある特定の実施形態では、好中球エフェクター機能のモジュレーターは、BLZ945、GW2580、PLX3397(CSF1Rの低分子阻害剤)、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。ある特定の実施形態では、好中球エフェクター機能のモジュレーターは、BTK阻害剤(例えば、ザヌブルチニブ)、ITK阻害剤、PI3K阻害剤、PI3Kγ阻害剤、PI3Kδ阻害剤、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0187】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、TGFβシグナル伝達経路の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、トランスフォーミング増殖因子-β(TGFβ)の存在は、腫瘍促進表現型(N2様表現型)を促進することが実証されている。例えば、Giannelli et al.,“Biomarkers and overall survival in patients with advanced hepatocellular carcinoma treated with TGF-βRI inhibitor galunisertib” PLOS One(2020)、及びFridlender et al.,“Polarization of Tumor-Associated Neutrophil (TAN) Phenotype by TGF-β:“N1” versus “N2” TAN” Cancer Cell(2009)16(3):183-194(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。加えて、特定の理論に拘束されるものではないが、TGFβは、MDSC/好中球の強力な化学誘引物質として機能すると考えられており、幾つかの実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、TGFβの阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。例えば、Reibman et al.,“Transforming growth factor beta 1,a potent chemoattractant for human neutrophils,bypasses classic signal-transduction pathways” Proc Natl Acad Sci USA(1991)88(15):6805-6809、及びBrandes et al.,“Type I transforming growth factor-beta receptors on neutrophils mediate chemotaxis to transforming growth factor-beta” Journal of Immunology(1991)147(5):1600-1606(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの実施形態では、TGFβシグナル伝達経路の阻害剤は、TGFβR1キナーゼ阻害剤(例えば、ガルニセルチブ)、抗TGFβモノクローナル抗体(例えば、フレソリムマブ)、TGFβシグナル伝達経路阻害剤(例えば、バクトセルチブ、RepSox、GW788388、LY364947、SB505124、SB525334、K02288、及び/またはLDN-193189)、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0188】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球エフェクターの機能及び/または動員のモジュレーターは、アデノシン代謝及び/またはアデノシン認識経路のモジュレーターであり得る。特定の理論に限定されるものではないが、細胞外アデノシンは、アデノシン受容体サブタイプA及びAを介して好中球の走化性及びファゴサイトーシスを促進するように作用し得るが、高濃度では、アデノシンは、より低親和性のA2A及びA2B受容体に作用して、好中球の輸送及びエフェクター機能、例えば、酸化バースト、炎症性メディエーター生成、及び/または顆粒放出を阻害し得ると考えられている。例えば、Barletta et al.,“Regulation of neutrophil function by adenosine” Arterioscler Thromb Vasc Biol(2012)32(4):856-864(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。更に、特定の理論に限定されるものではないが、アデノシン受容体アンタゴニスト(例えば、テオフィリン)は、好中球の走化性を低減し得、好中球アポトーシスを誘発し得ると考えられている。例えば、Mehta et al.“Theophylline alters neutrophil function in preterm infants” Biology of the Neonate(2002)81:176-181、及びYasui et al.“Theophylline induces neutrophil apoptosis through adenosine A2A receptor antagonism” Journal of Leukocyte Biology(2000)67:529-535(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。ある特定の実施形態では、アデノシン関連経路の阻害剤は、A2A及び/またはA2Bアデノシン受容体の阻害剤であり得る。ある特定の実施形態では、A2A及び/またはA2Bアデノシン受容体の阻害剤は、エトルマデナント(AB928)、MRS-1754、PSB-0788、CGH-2466、イストラデフィリン、AZD4635、MK-3814、ZM-241385、ANR-94、SCH-442416、SCH-58261、TC-G1004、8-(3-クロロスチリル)カフェイン、CPI-444、PBF-509、アロキサジン、PSB-1115、PSB-603、GS-6201、カフェイン、BAY-545、テオフィリン、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。例えば、Leone & Emens “Targeting adenosine for cancer immunotherapy” J Immunother Cancer(2018)6:57(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0189】
ある特定の実施形態では、アデノシン関連経路の阻害剤は、CD39及び/またはCD73の阻害剤であり得る。ある特定の実施形態では、CD39及び/またはCD73シグナル伝達経路の阻害剤は、抗CD39抗体、抗CD73抗体、POM1、IPH52、AB680、BMS-986179、MEDI9447、PSB-12379、CD73-IN-1、MethADP、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0190】
ある特定の実施形態では、アデノシン関連経路の阻害剤は、プリン受容体P2X7(P2RX7)のモジュレーター(例えば、アゴニストまたはアンタゴニスト)であり得る。ある特定の実施形態では、P2RX7の阻害剤は、GSK1482160、JNJ-5417544、JNJ-479655、CE-224535、A-804598、ブリリアントブルーG(BBG)、AZD9056、KN-62、AZ-11645373、AZ-10606120、GW791343、GSK314181A、AFC-5128、EVT-401、またはそれらの組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。例えば、Savio et al.,“The P2X7 Receptor in Inflammatory Diseases:Angel or Demon?” Frontiers in Pharmacology,(2018)(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。ある特定の実施形態では、P2RX7のアゴニストは、限定されるものではないが、BzATPを含み得る。
【0191】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、毛細血管拡張性失調症変異(ATM)キナーゼの阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、ATMキナーゼの阻害は、CXCL1により付与される腫瘍の放射線抵抗性を低減し得ると考えられている。例えば、Zhang et al.,“CAF-secreted CXCL1 conferred radioresistance by regulating DNA damage response in a ROS-dependent manner in esophageal squamous cell carcinoma” Cell Death Disc.(2017)8:e2790(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。ある特定の実施形態では、ATMキナーゼの阻害剤は、Ku55933であり得るか、またはそれを含み得る。
【0192】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、RNAアデノシンデアミナーゼ-1(ADAR1)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に限定されるものではないが、ADAR1酵素活性は、インターフェロン誘導性RNA種を編集し、これにより、プロテインキナーゼR(PKR)及び黒色腫分化関連タンパク質5(MDA5)自然免疫活性の基質を低減すると考えられている。例えば、Ishizuka et al.,“Loss of ADAR1 in tumours overcomes resistance to immune checkpoint blockade” Nature(2019)565,43-48(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、ADAR1の阻害剤であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、ADAR1活性の阻害剤は、8-アザアデノシンであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、ADAR1発現の阻害剤は、zesteホモログ2のエンハンサー(EZH2)の阻害剤(例えば、GSK126)であり得るか、またはそれを含み得る。
【0193】
ある特定の実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、ホスホイノシチド3キナーゼ(PI3K)関連経路の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に限定されるものではないが、PI3K経路は、MDSC/好中球により媒介されるT細胞の阻害を促進し得ると考えられている。幾つかの実施形態では、MDSC/好中球動員のモジュレーターは、PI3Kの阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、PI3Kシグナル伝達の阻害剤は、ブパルリシブであり得るか、またはそれを含み得る。
【0194】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、COX1及び/またはCOX2により媒介されるシグナル伝達経路の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、PGE2(COX経路における末端プロスタグランジン)は、損傷部位の好中球の抗炎症表現型を促進し、及び/またはインビボで炎症を調節すると考えられている。例えば、Loynes et al.,“PGE2 production at sites of tissue injury promotes an anti-inflammatory neutrophil phenotype and determines the outcome of inflammation resolution in-vivo” Science Advances(2018):Vol.4,no.9,eaar8320、及びTurcotte et al.,“The Endocannabinoid Metabolite Prostaglandin E 2 (PGE2)-Glycerol Inhibits Human Neutrophil Functions:Involvement of Its Hydrolysis into PGE2 and EP Receptors” Journal Immunology(2017);198:3255-3263(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの実施形態では、PGE2は、好中球のある特定の炎症誘発機能、例えば、ロイコトリエンB4(LTB)生合成、活性酸素種(ROS)生成、及び/または好中球遊走の阻害剤として機能すると考えられている。ある特定の実施形態では、COX1及び/またはCOX2の阻害剤は、限定されるものではないが、(i)サリチル酸塩(例えば、アセチルサリチル酸、ジフルニサル、サリチル酸、及び他のサリチル酸、及び/またはサルサラート)、(ii)プロピオン酸誘導体(例えば、イブプロフェン、カルプロフェン、デキシブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、デキスケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、及び/またはロキソプロフェン)、(iii)酢酸誘導体(例えば、インドメタシン、トルメチン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク(例えば、限定されるものではないが、例えば、ケトロラクトロメタミンが含まれる、ケトロラクの塩)、ジクロフェナク、アセクロフェナク、アンフェナク、及び/またはナブメトン)、(iv)エノール酸(オキシカム)誘導体(例えば、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、イソキシカム、及び/またはフェニルブタゾン)、(v)アントラニル酸誘導体またはフェナメート(例えば、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、及び/またはトルフェナム酸)、(vi)選択的COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、及び/またはフィロコキシブ)、(vii)スルホンアニリド(例えば、ニメスリド);(viii)その他(例えば、クロニキシン、SC-560、TFAP、リコフェロン[例えば、リポキシゲナーゼ(LOX)及びCOXを阻害することにより作用する]、H-ハルパギド)、またはそれらの組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0195】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、特異的炎症収束性メディエーター(SPM)(例えば、アラキドン酸(AA)由来のリポキシン及びドコサヘキサエン酸(DHA)由来のレゾルビン、例えば、レゾルビンD2(RvD2)及び/またはLXA4)を含む促進因子、アゴニスト、部分アゴニスト、ミメティック、またはペプチドであり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、SPMは、過剰な炎症を予防し、及び/または急性炎症応答を消退させるための協調的な収束プログラムに関与する、長鎖脂肪酸由来の脂質メディエーターである。特定の理論に拘束されるものではないが、レゾルビンD2(RvD2)は、好中球の方向性を復元し、好中球の浸潤を制限し、及び/または好中球により惹起される二次的臓器損傷からの保護を媒介すると考えられている。例えば、Kurihara et al.,“Resolvin D2 restores neutrophil directionality and improves survival after burns” FASEB Journal(2013):27(6):2270-2281、及びSerhan & Levy “Resolvins in inflammation:emergence of the pro-resolving superfamily of mediators” The Journal of Clin Investigation(2018)、Cai et al.,“MerTK cleavage limits proresolving mediator biosynthesis and exacerbates tissue inflammation” PNAS,113:6526-6531(2016)、Sulciner et al.,“Resolvins suppress tumor growth and enhance cancer therapy” J Exp Med 215:115-140(2018)、及びSerhan et al.,“Novel anti-inflammatory - Pro-resolving mediators and their receptors” Curr Top Med Chem 11:629-647(2011)(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、レゾルビンを含み、幾つかの実施形態では、当該レゾルビンは、限定されるものではないが、RvD1、RvD2、RvD3、RvD4、RvD5、RvD6、17R-RvD1、17R-RvD2、17R-RvD3、17R-RvD4、17R-RvD5、17R-RvD6、RvE1、18S-RvE1、RvE2、RvE3、RvT1、RvT2、RvT3、RvT4、RvD1n-3、RvD2n-3、RvD5n-3、及び/またはそれらの組み合わせであり得る。幾つかの実施形態では、骨髄由来抑制細胞のモジュレーターとして有用であり得るSPMは、リポキシン(例えば、LxA4、LxB4、15-エピ-LxA4、及び/または15-エピ-LxB4が含まれる)、プロテクチン/ニューロプロテクチン(例えば、DHA由来のプロテクチン/ニューロプロテクチン及び/またはn-3 DPA由来のプロテクチン/ニューロプロテクチン)、マレシン(例えば、DHA由来のマレシン及び/またはn-3 DPA由来のマレシン)、他のDPA代謝産物、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0196】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、ホスホジエステラーゼ-5(PDE5)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に限定されるものではないが、PDE5の阻害は、N1様TANにおけるARG1、NOS2、及び/またはIL-4Rαの発現を低減し得、及び/またはPDE5により誘発される好中球の脱顆粒刺激を阻害し得ると考えられている。例えば、Puzzo et al.,“Role of phosphodiesterase 5 in synaptic plasticity and memory” Neuropsychiatr Dis Treat(2008):4(2):371-387、及びNoel et al.,“PDE5 inhibitors as potential tools in the treatment of cystic fibrosis” Frontiers in Pharmacology(2012)(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。ある特定の実施形態では、PDE5の阻害剤は、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ウデナフィル、アバナフィル、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0197】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、メトホルミン(ジメチルビグアニドとしても公知)であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、メトホルミンは、MDSC及び/または好中球のT細胞を抑制する能力を減じ得、腫瘍内低酸素状態を低減し得、及び/または自然免疫により媒介される炎症を調節し得ると考えられている。例えば、Oliveira et al.,“Metformin modulates innate immune-mediated inflammation and early progression of NAFLD associated hepatocellular carcinoma in zebrafish” Journal of Hepatology(2019),70,710-721、Sharping et al.,“Efficacy of PD-1 Blockade is Potentiated by Metformin-Induced Reduction of Tumor Hypoxia” Cancer Immunology Research(2017)、及びBaumann et al.,“Regulatory myeloid cells paralyze T cells through cell-cell transfer of the metabolite methylglyoxal” Nature Immunology(2020)21,555-566(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0198】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能及び/または動員のモジュレーターは、ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体(TREM)タンパク質(例えば、TREM-1及び/またはTREM-2)のモジュレーターであり得るか、またはそれを含み得る。いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、多形核好中球上でのTREM-1の発現及び/または活性化(例えば、ライゲーション)は、おそらくホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)の機能を介して、感染状態及び非感染状態における自然免疫活性化を調節し、ここで、経路の活性化は、好中球の全てのエフェクター機能を引き起こし得ると考えられている。例えば、Fortin et al.,“Effects of TREM-1 activation in human neutrophils:activation of signaling pathways,recruitment into lipid rafts and association with TLR4” Int Immunology(2007)19(1):41-50、及びBaruah et al.,“TREM-1 regulates neutrophil chemotaxis by promoting NOX-dependent superoxide production” J Leukoc Biol(2019)105(6)1195-1207、及びAlflen et al.,“Idelalisib impairs TREM-1 mediated neutrophil inflammatory responses” Scientific reports(2018)8:5558(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。TREM-1は、12kDaのDNAX活性化タンパク質(DAP12)と非共有結合的に会合している。DAP12のリン酸化は、炎症応答の更なる刺激及び増幅のための受容体複合体を形成するためのSrc相同性2(SH2)ドメインの結合をもたらす。特定の理論に限定されるものではないが、TREM-1は、炎症性腸疾患、急性膵臓炎、痛風関節炎、及びアテローム硬化症などの幾つかの疾患において重要な役割を果たすと考えられている。例えば、Feng et al.,“Therapeutic Effect of Modulating TREM-1 via Anti-inflammation and Autophagy in Parkinson’s disease” Frontiers in Neuroscience(2019)(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。一方で、特定の理論に限定されるものではないが、TREM-2の正確な役割はあまり発表されておらず、TREM-2は、微生物への曝露における炎症性サイトカイン生成の阻害に関与し、ある特定のがんでは、腫瘍抑制因子として機能し得ると考えられており、腫瘍関連骨髄性細胞のランドスケープの再構築において機能すると考えられており、一般に免疫抑制性MDSC/好中球で発現されるとも考えられている。例えば、Tang et al.,“TREM-2 acts as a tumor suppressor in hepatocellular carcinoma by targeting the PI3K/Akt/β-catenin pathway” Oncogenesis(2019),8:9、及びMolgora et al.,“TREM-2 Modulation Remodels the Tumor Myeloid Landscape Enhancing Anti-PD-1 Immunotherapy” Cell(2020)(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0199】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、TREM-1阻害剤を含み得、ここで、当該TREM-1阻害剤は、抗TREM-1抗体(PY159、Pionyr Immunotherapeutics)、TLT-1-CDR2(SAVDRRAPAGRR)、TLT-1-CDR3(CMVDGARGPQILHR)、LR17(LQEEDAGEYGCMVDGAR)、LR6-1(LQEEDA)、LR6-2(EDAGEY)、LR6-3(GEYGCM)(例えば、国際公開WO2017/007712A1(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている)、LR12(LQEEDAGEYGCM)(例えば、Tammaro et al.,“TREM-1 and its potential ligands in non-infectious diseases:from biology to clinical perspectives” Pharmacology & Therapeutics(2017),Vol 177,81-95(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている)、SCHOOLペプチド(例えば、本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる、Shen & Sigalov “Novel TREM-1 Inhibitors Attenuate Tumor Growth and Prolong Survival in Experimental Pancreatic Cancer” Mol.Pharmaceutics(2017)14,12,4572-4582に記載されている)、LP17(LQVTDSGLYRCVIYHPP)(例えば、Feng et al.,“Therapeutic Effect of Modulating TREM-1 via Anti-inflammation and Autophagy in Parkinson’s Disease” Frontiers in Neuroscience(2019)(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている)、GF9(GFLSKSLVF)、GE31(GFLSKSLVFPYLDDFQKKWQEEM(O)ELYRQKVE)、GA31(GFLSKSLVFPLGEEM(O)RDRARAHVDALRTHLA)(例えば、Tornai et al.,“Inhibition of Triggering Receptor Expressed on Myeloid Cells 1 Ameliorates Inflammation and Macrophage and Neutrophil Activation in Alcoholic Liver Disease in Mice” Hepatology Communications(2019)3(1)(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている)、LSKSLVF(例えば、Gibot et al.,“Triggering Receptor Expressed on Myeloid Cells-1 Inhibitor Targeted to Endothelium Decreases Cell Activation” Frontiers in Immunology(2019)10:2314(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている)、M3(RGFFRGG)(例えば、Denning et al.,“Extracellular CIRP as an endogenous TREM-1 ligand to fuel inflammation in sepsis” JCI Insight(2020)(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている)、それらのプロドラッグ、それらのコンジュゲートされたバージョン、それらの重水素化形態、非天然アミノ酸を含むそれらの類似体、異なるアミノ酸配列を含むが、TREM-1阻害活性を保持するそれらの機能的バリアント、各アミノ酸がそれぞれDもしくはL異性体であり得るそれらの類似体、及びそれらのL-アイソフォームとD-アイソフォームとの組み合わせ、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0200】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、TREM-1阻害剤を含み得、ここで、当該TREM-1阻害剤は、PI3Kシグナル伝達経路阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、PI3Kシグナル伝達の阻害剤は、ダクトリシブ(BEZ235)、ピクチリシブ(GDC-0941)、LY294002、イデラリシブ(CAL-101、GS1101)、ブパルリシブ(BKM120)、SRX3207、PI-103、NU7441(KU-57788)、TGX-221、IC-87114、ウォルトマンニン、XL147アナログ、ZSTK474、アルペリシブ(BYL719)、AS-605240、PIK-75 HCl、リゴセルチブ(ON-01910)、3-メチルアデニン(3-MA)、A66、ボクスタリシブ(XL765)類似体、オミパリシブ(GSK2126458)、PIK-90、AZD6482、PF-04691502、アピトリシブ(GDC-0980)、GSK1059615、デュベリシブ(IPI-145)、ゲダトリシブ(PKI-587)、TG100-115、AS-252424、BGT226マレイン酸塩(NVP-BGT226マレイン酸塩)、フィメピノスタット(CUDC-907)、PIK-294、AS-604850、GSK2636771、コパンリシブ(BAY 80-6946)、CH5132799、CAY10505、PIK-293、PKI-402、TG100713、VS-5584(SB2343)、タセリシブ(GDC0032)、CZC24832、AMG319、GSK2292767、パキサリシブ(GDC-0084)、MTX-211、セレタリシブ(UCB-5857)、GDC-0326、HS-173、SF2523、レニオリシブ(CDZ173)、セラベリシブ(TAK-117)、IPI-549、ケルセチン、ビミラリシブ(PQR309)、VPS34阻害剤1(化合物19)、ボクスタリシブ(XL765)、オートフィニブ、GNE-317、ノトギンセノシドR1、テナリシブ(RP6530)、ウムブラリシブ(TGR-1202)、アカリシブ(GS-9820)、ネミラリシブ(GSK2269557)、サモトリシブ(LY3023414)、VPS34-IN1、2-D08、IPI-3063、SAR405、PIK-III、PI-3065、ケルセチン二水和物、ピララリシブ(XL147)、AZD8835、デグエリン、選択的PI3Kδ阻害剤1(化合物7n)、PF-4989216、AZD8186、GNE-477、オロキシンB、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0201】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、TREM-1阻害剤を含み得、ここで、当該TREM-1阻害剤は、限定されるものではないが、マイクロRNA294、ヒトカテリシジンLL-37、ヒトIgGのFc部分(AdTREM-1Ig)、TREM-1及び/またはsTREM-1またはTREM-1及び/またはsTREM-1リガンドに対して指向される抗体ならびに同様にTREM-1を阻害するそれらの断片、TREM-1の機能、活性、または発現を阻害する低分子、TREM-1に対して指向されるsiRNA、TREM-1に対して指向されるshRNA、TREM-1に対して指向されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、TREM-1に対して指向されるリボザイム、TREM-1に結合し、それを阻害するアプタマー、ヒトIgGl定常領域とマウスTREM-1の細胞外ドメインまたはヒトTREM-1の細胞外ドメインとの間の融合タンパク質(例えば、国際公開WO2017/007712A1(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている)、ならびにそれらの任意の組み合わせを含む群から選択され得る。
【0202】
特定の理論に拘束されるものではないが、TREM-2と、細胞質の免疫受容体活性化チロシンモチーフ(ITAM)により脾臓チロシンキナーゼ(SYK)を動員する12kDaのDNAX活性化タンパク質(DAP12)としても公知のTYROプロテインチロシンキナーゼ結合タンパク質(TYROBP)との会合によるTREM-2シグナルと考えられている。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、TREM-2モジュレーターを含み、その結果としてDAP12及び/またはSYKに対する調節効果を含み得る。
【0203】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、TREM-2モジュレーターを含み得、ここで、当該モジュレーターは、TREM-2を発現する細胞の阻害剤及び/または枯渇薬である。ある特定の実施形態では、TREM-2を発現する細胞の阻害剤及び/または枯渇薬は、抗TREM-2(PY314、Pionyr Immunotherapeutics)であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、TREM-2モジュレーターを含み得、ここで、当該TREM-2モジュレーターは、限定されるものではないが、TREM-2に対して指向される抗体及び同様にTREM-2を調節するその断片、TREM-2の機能、活性、または発現を調節する低分子、TREM-2及び/またはTREM-2のネガティブレギュレーターに対して指向されるsiRNA、TREM-2及び/またはTREM-2のネガティブレギュレーターに対して指向されるshRNA、TREM-2及び/またはTREM-2のネガティブレギュレーターに対して指向されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、TREM-2及び/またはTREM-2のネガティブレギュレーターに対して指向されるリボザイム、TREM-2に結合し、それを調節するアプタマー、ヒトIgG1定常領域とマウスTREM-2の細胞外ドメインまたはヒトTREM-2の細胞外ドメインとの間の融合タンパク質、ならびにそれらの任意の組み合わせから選択され得る。
【0204】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、TAMファミリー受容体型チロシンキナーゼ関連シグナル伝達の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、1種以上のTAMファミリー受容体型チロシンキナーゼに対して指向され得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、TYRO3、AXL、MER(MERTK)、及び/またはそれらの組み合わせに対して指向され得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、1種以上のTAMファミリー受容体型チロシンキナーゼリガンドに対して指向され得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、GAS6及び/またはプロテインSに対して指向され得る。特定の理論に拘束されるものではないが、TAMファミリー受容体型チロシンキナーゼは、MDSCの抑制性酵素能、T細胞抑制活性、及び腫瘍流入領域リンパ節への遊走を促進すると考えられている。例えば、Holtzhausen et al.,“TAM family receptor kinase inhibition reverses MDSC-mediated suppression and augments anti-PD-1 therapy in melanoma” Cancer Immunology Research(2019):7(10):1672-1686(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。一方で、特定の理論に限定されるものではないが、AXL及びMERは、好中球の数及び動員に拮抗し、アポトーシス好中球及び老化好中球のクリアランスを促進すると考えられている。例えば、Fujimori et al.,“The Axl receptor tyrosine kinase is a discriminator of macrophage function in the inflamed lung” Mucosal Immunology(2015):8(5):1021-1030、Li et al.,“The role of endothelial MERTK during the inflammatory response in lungs” PLOS One(2019):14(12):e0225051、Bosurgi et al.,“Paradoxical role of the proto-oncogene Axl and Mer receptor tyrosine kinases in colon cancer” PNAS(2013):110(32):13091-6、及びHong et al.,“Coordinate regulation of neutrophil homeostasis by liver X receptors in mice” The Journal of Clinical Investigation(2012):122(1):337-347(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。更に、特定の理論に拘束されるものではないが、MERは、腫瘍内のアポトーシスがん細胞のクリアランスを促進し、これにより、腫瘍免疫原性の抑制及び抗腫瘍免疫の抑制をもたらすと考えられている。幾つかの実施形態では、TAMファミリー受容体型チロシンキナーゼシグナル伝達経路の阻害剤は、アムバチニブ(MP-470、HK-56)、ベムセンチニブ(R428、BGB-324)、ボスチニブ(SKI-606)、カボザンチニブ(BMS-907351)、デュベルマチニブ(TP-0903)、フォレチニブ(EXEL-2880、GSK-1363089)、ギルテリチニブ(APS-2215)、グレサチニブ(MGCD265)、メレスチニブ(LY-2801653)、ニンゲチニブ(CT053PTSA)、シトラバチニブ(MGCD516)、2-D08、BMS-777607、BPI-9016M、CEP-40783、CJ-2360、DS-1205B、LDC1267、MRX-2843、NPS-1034、ONO-7475、RU-301、RXDX-106、S49076、SGI-7079、TUN-00562、UNC569、UNC2025、UNC2250、UNC2541、UNC2881、UNC3133、UNC4203、UNC5293、抗AXL抗体(例えば、YW327.6S2)、AXLデコイ受容体(例えば、GL2I.T)、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0205】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、白血球関連免疫グロブリン様受容体(LAIR)-1関連シグナル伝達経路の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、LAIR-1に対して指向され得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、LAIR-1リガンドに対して指向され得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、コラーゲン及び/またはC1qに対して指向され得る。特定の理論に拘束されるものではないが、LAIR-1は、好中球動員、好中球細胞外トラップ(NET)の形成、及び好中球により引き起こされる炎症を抑制すると考えられている。例えば、Kumawat et al.,“LAIR-1 limits neutrophilic airway inflammation” Frontiers in Immunology(2019):10:842、Besteman et al.,“Signal inhibitory receptor on leukocytes (SIRL)-1 and leukocyte-associated immunoglobulin-like receptor (LAIR)-1 regulate neutrophil function in infants” Clinical Immunology(2020):211:108324、及びGuo et al.,“Role and mechanism of LAIR-1 in the development of autoimmune diseases,tumors,and malaria:a review” Current Research in Translational Medicine(2020):68(3):119-124(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。更に、特定の理論に拘束されるものではないが、LAIR-1は、骨髄性免疫抑制を促進すると考えられている。幾つかの実施形態では、LAIR-1の阻害剤は、抗LAIR-1抗体(例えば、NC410)であり得るか、またはそれを含み得る。
【0206】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、白血球免疫グロブリン様受容体(LILR)(別名免疫グロブリン様転写物(ILT))関連シグナル伝達経路のモジュレーターであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、かかるモジュレーターは、LILRA1、LILRA2、LILRA3、LILRA4、LILRA5、LILRA6、LILRB1(別名ILT2)、LILRB2(別名ILT4)、LILRB3、LILRB4(別名ILT3)、及び/またはLILRB5に対して指向され得る。幾つかの実施形態では、かかるモジュレーターは、活性化受容体のLILRA2、LILRA3、LILRA5、またはそれらの組み合わせに対して指向され得る。幾つかの実施形態では、かかるモジュレーターは、活性化受容体のLILRA2、LILRA3、LILRA5、またはそれらの組み合わせの阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、かかるモジュレーターは、抑制性受容体のLILRB1、LILRB2、LILRB3、またはそれらの組み合わせに対して指向され得る。幾つかの実施形態では、かかるモジュレーターは、抑制性受容体のLILRB1、LILRB2、LILRB3、またはそれらの組み合わせのアゴニストであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、かかるモジュレーターは、ヒト白血球抗原G(HLA-G)に対して指向され得る。特定の理論に拘束されるものではないが、LILRは、好中球機能を刺激または阻害し得ると考えられている。例えば、Marffy and McCarth “Leukocyte immunoglobulin-like receptors (LILRs) on human neutrophils:modulators of infection and immunity” Frontiers in Immunology(2020)11:857(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。加えて、特定の理論に拘束されるものではないが、場合によっては、ILT4(及び/またはILT2)は、HLA-Gとの相互作用により機能し得、場合によっては、ILT4及びHLA-Gは、好中球のファゴサイトーシス及び呼吸バーストを抑制し得、及び/または場合によっては、ILT4とHLA-Gとの間の相互作用は、好中球機能を阻害し得、及び/または骨髄性抑制細胞などの免疫抑制細胞を誘導し得ると考えられている。例えば、Shiroishi et al.“Human inhibitory receptors Ig-like transcript 2 (ILT2) and ILT4 compete with CD8 for MHC class I binding and bind preferentially to HLA-G” Proc Natl Acad Sci USA(2003):100(15):8856-8861、Baudhuin et al.“Exocytosis acts as a modulator of the ILT4-mediated inhibition of neutrophil functions” Proc Natl Acad Sci USA(2013):110(44):17957-17962、Rouas-Freiss et al.“The dual role of HLA-G in cancer” Journal of Immunology Research(2014):2014:359748、及びRouas-Freiss et al.“Intratumor heterogeneity of immune checkpoints in primary renal cell cancer:focus on HLA-G/ILT2/ILT4” OncoImmunology(2017):6(9):e1342023(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの実施形態では、LILR関連シグナル伝達経路のモジュレーター(例えば、阻害剤)は、抗ILT2抗体、抗ILT3抗体、抗ILT4抗体、抗HLA-G抗体、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0207】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、c-Kit関連シグナル伝達経路の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、c-Kitに対して指向され得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、c-Kitリガンドに対して指向され得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、幹細胞因子(SCF)に対して指向され得る。特定の理論に拘束されるものではないが、c-Kitは、腫瘍により誘発される好中球の酸化表現型を促進し、このことが腫瘍成長を促進すると考えられている。例えば、Rice et al.,“Tumour-elicited neutrophils engage mitochondrial metabolism to circumvent nutrient limitations and maintain immune suppression” Nature Communications(2018):9(1):5099、及びMackey et al.,“Neutrophil maturity in cancer” Frontiers in Immunology(2019):10:1912(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの実施形態では、c-Kit関連シグナル伝達経路の阻害剤は、抗c-Kit抗体、抗SCF抗体、アゲラフェニブ(RXDX-105)、アムバチニブ(HPK-56、MP-470)、アパチニブ(YN968D1)、アバプリチニブ(BLU-285)、アキシチニブ(AG-13736)、カボザンチニブ(BMS-907351、XL-184)、セジラニブ(AZD-2171)、ダサチニブ(BMS-354825)、ドビチニブ(TKI-258)、エルダフィチニブ(JNJ-42756493)、イマチニブ(CGP-57148B)、レンバチニブ(E-7080)、マシチニブ(AB-1010)、モテサニブ(AMG-706)、パゾパニブ(GW-786034)、ペキシダルチニブ(CML-261、PLX-3397)、リプレチニブ(DCC-2618)、レゴラフェニブ(BAY-73-4506)、シトラバチニブ(MGCD516)、ソラフェニブ(BAY-43-9006)、スニチニブ(SU-11248)、タンデュチニブ(CT 53518、MLN518)、テラチニブ(BAY-57-9352)、チボザニブ(AV-951、KIL-8951、KRN-951)、AST-487、AZD2932、AZD3229、CS-2660(JNJ-38158471)、ISCK03、Ki20227、OSI-930、SU5614、UNC2025、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0208】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、MET関連シグナル伝達経路の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、METに対して指向され得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、METリガンドに対して指向され得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、肝細胞増殖因子(HGF)に対して指向され得る。特定の理論に拘束されるものではないが、METは、好中球動員及びT細胞の免疫抑制を促進すると考えられている。例えば、Glodde et al.,“Reactive neutrophil responses dependent on the receptor tyrosine kinase c-MET limit cancer immunotherapy” Immunity(2017):47(4):789-802.e9(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。一方で、特定の理論に拘束されるものではないが、METは、好中球動員及び一酸化窒素の放出を促進して、がん細胞の殺傷を促進すると考えられている。例えば、Finisguerra et al.,“MET is required for the recruitment of anti-tumoural neutrophils” Nature(2015):522(7556):349-353(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの実施形態では、MET関連シグナル伝達経路の阻害剤は、抗MET抗体、抗HGF抗体、アルチラチニブ(DCC-2701)、アムバチニブ(HPK-56、MP-470)、ボジチニブ(PLB-1001、CBT-101)、カボザンチニブ(BMS-907351)、カプマチニブ(INCB-28060)、クリゾチニブ(PF-02341066)、エンサルチニブ(X-396)、フォレチニブ(GSK-1363089)、グレサチニブ(MGCD-265)、グルメチニブ(SC-C244)、ゴルバチニブ(E-7050)、メレスチニブ(LY-2801653)、ニンゲチニブ(CT053PTSA)、Norleual、パムフェチニブ(TAS-115)、サボリチニブ(AZD6094、HMPL-504)、シトラバチニブ、テポチニブ(EMD-1214063)、チバンチニブ(ARQ-197)、AMG-1、AMG-208、AMG-337、AMG-458、ARRY-300、BAY-474、BMS-777607、BMS-794833、BPI-9016M、CBT-101、CT-711、DS-1205b、EMD-1204831、GNE-203、JNJ-38877605、JNJ-38877618(OMO-1)、MK-2461、MK-8033、NPS-1034、NVP-BVU972、PF-04217903、PHA-665752、RXDX-106(CEP-40783)、S49076、SAR125844、SCR-1481B1、SGX-523、SJF-8240、SOMCL-863、SOMG-833、SU11271、SU11274、SU11606、SYN1143、TPX-0022、及び/またはUNC2025、X-376、XL092、XL184、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0209】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、インターロイキン-4(IL-4)受容体(IL-4R)シグナル伝達の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、IL-4Rに対して指向され得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、IL-4Rリガンドに対して指向され得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、IL-4に対して指向され得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、JAK、Tyk2、及び/またはSTAT6に対して指向され得る。例えば、本明細書に記載される目的のために全体が参照により本明細書に組み込まれる、Bankaitis and Fingleton “Targeting IL4/IL4R for the treatment of epithelial cancer metastasis”(2015):32(8):847-856を参照のこと。特定の理論に拘束されるものではないが、IL-4Rシグナル伝達は、好中球の遊走、及び好中球細胞外トラップ(NET)の生成が含まれるエフェクター機能を阻害すると考えられている。例えば、Heeb et al.“Evolution and function of interleukin-4 receptor signaling in adaptive immunity and neutrophils” Genes & Immunity(2020):21:143-149、及びImpellizzieri et al.“IL-4 receptor engagement in human neutrophils impairs their migration and extracellular trap formation” Translational and Clinical Immunology(2019):144(1):267-279.E4(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの実施形態では、IL-4Rシグナル伝達の阻害剤は、抗IL-4抗体、抗IL-4R抗体、JAK阻害剤、Tyk2阻害剤、及び/またはSTAT6阻害剤(例えば、レフルノミド及びボリノスタット)、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0210】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、モノアミンオキシダーゼA(MAO-A)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、MAO-Aは、ケモカイン(例えば、CXCL8及びCCL2)の発現を促進することにより好中球の動員を促進し、抗炎症性サイトカイン(例えば、IL-10)の抑制により好中球により引き起こされる炎症を促進すると考えられている。例えば、Ostadkarampour and Putnins “Monoamine oxidase inhibitors:a review of their anti-inflammatory therapeutic potential and mechanisms of action” Frontiers in Pharmacology(2021)12:676239(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。一方で、特定の理論に拘束されるものではないが、MAO-Aは、腫瘍関連マクロファージ(TAM)を介して、及び抗腫瘍T細胞免疫の抑制を介して腫瘍成長を促進すると考えられている。例えば、Wang et al.“Targeting monoamine oxidase A-regulated tumor-associated macrophage polarization for cancer immunotherapy” Nature Communications(2021)12:3530、及びWang et al.“Targeting monoamine oxidase A for T cell-based cancer immunotherapy” Science Immunology(2021)6(59):eabh2383(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの実施形態では、MAO-Aの阻害剤は、アミフラミン(FLA-336)、ベフロキサトン(MD-370503)、ビフェメラン(MCI-2016)、ブロファロミン(CGP-11305A)、クロルジリン、コプチジン、エプロベミド、エスプロン(LU-43839)、ハルミン、イソカルボキサジド(Ro5-0831)、ミナプリン、モクロベミド、ノルハルマン、パルジリン(NSC43798)、フェネルジン、ピルリンドール、テトリンドール、トロキサトン(MD69276)、BW-1370U87、CX-157、Ro41-1049、RS-8359、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0211】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、補体成分C5a及び/またはC5a受容体(C5aR)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、C5a及びC5aRは、好中球のアクチン細胞骨格の重合及び再構築を調節することにより好中球の動員及び活性を促進すると考えられている。例えば、Denk et al.“Complement C5a-induced changes in neutrophil morphology during inflammation” Scandinavian Journal of Immunology(2017)86(3):143-155、及びSchreiber et al.“C5a receptor mediates neutrophil activation and ANCA-induced glomerulonephritis” Journal of the American Society of Nephrology(2009)20(2):289-298(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。一方で、特定の理論に拘束されるものではないが、C5aは、TNFα生成の抑制により好中球エフェクター機能を抑制すると考えられている。例えば、Riedemann et al.“Regulation by C5a of neutrophil activation during sepsis” Immunity(2003)19(2):193-202(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの実施形態では、C5a及び/またはC5aRの阻害剤は、抗C5a抗体及び/または抗C5aR抗体であり得るか、またはそれを含み得る。
【0212】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、コルチコステロイドであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、コルチコステロイドは、糖質コルチコイド(例えば、デキサメタゾン)である。幾つかの実施形態では、コルチコステロイドは、コルチコステロイドプロドラッグまたはコルチコステロイド代謝産物である。特定の理論に拘束されるものではないが、糖質コルチコイドは、好中球細胞表面のCD62L発現を下方調節することにより調節することにより不適切な好中球蓄積を防止し、NADPH依存的なROS生成の抑制ならびにCOX及びiNOS活性の低減により好中球活性化を低減すると考えられている。例えば、Ronchetti et al.“How glucocorticoids affect the neutrophil life” International Journal of Molecular Sciences(2018)19(12):4090(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。一方で、特定の理論に拘束されるものではないが、糖質コルチコイドは、好中球の成熟及び動員を促進し、これにより、好中球増多症をもたらし、幾つかのメカニズム(例えば、アポトーシス促進性の表面Fas受容体の下方調節、生存促進性のIAPタンパク質ファミリーの上方調節、抗アポトーシス性のMcl-1タンパク質の上方調節、及びGR-βアイソフォームのレベルの増加)により好中球生存を促進し、IL-1β受容体の発現の上方調節及びロイコトリエン受容体(例えば、BLT1)の発現の上方調節により炎症を促進すると考えられている。例えば、Ronchetti et al.(2018)、及びSaffar et al.“The molecular mechanisms of glucocorticoids-mediated neutrophil survival” Current Drug Targets(2011)12(4):556-562(これらの内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。更に、特定の理論に拘束されるものではないが、コルチコステロイドの急性局所投与が好中球の蓄積を低減し得、好中球の活性を抑制し得る一方で、全身曝露によるコルチコステロイドの慢性使用は、好中球増多症を促進し得、好中球に関連する炎症を促進し得ると考えられている。幾つかの実施形態では、コルチコステロイドは、アムシノニド、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、プロピオン酸ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、吉草酸ベタメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、プロピオン酸クロベタゾール、酪酸クロベタゾン、酢酸コルチゾン、酢酸コルチゾン、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸フルプレドニデン、フルニソリド、フルオコルトロン、カプロン酸フルオコルトロン、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸フルチカゾン、フルランドレノリド、フルチカゾンアセトニド、フルオロメトロン、ハルシノニド、ハロベタゾール、ハロメタゾン、ハルシノニド、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、アセポン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンブテプレート、酪酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、アセポン酸メチルプレドニゾロン、モメタゾン、フロ酸モメタゾン、プレドニカルバート、プレドニゾン、プレドニゾロン、ピバル酸チキソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンアルコール、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0213】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、グルタミン酸作動性クロライドチャネルの活性化因子及び/またはプリン受容体P2X4(P2RX4)、プリン受容体P2X7(P2RX7)、及び/またはα7ニコチン性アセチルコリン受容体(α7 nAChR)の正のアロステリックエフェクター(例えば、イベルメクチン)であり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、イベルメクチンは、MDSC/好中球のエフェクター機能の抑制により少なくとも部分的に抗腫瘍活性を促進し得ると考えられている。一方で、特定の理論に拘束されるものではないが、イベルメクチンは、好中球によるエラスターゼの放出を促進し、インビトロにて好中球の非存在下でがん細胞を死滅させることができると考えられている。例えば、Njoo et al.“Neutrophil activation in ivermectin-treated onchocerciasis patients” Clinical & Experimental Immunology(1993)94(2):330-333、及びDraganov et al.“Modulation of P2X4/P2X7/Pannexin-1 sensitivity to extracellular ATP via ivermectin induces a non-apoptotic and inflammatory form of cancer cell death” Science Reports(2015)10(5):16222(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの実施形態では、グルタミン酸作動性クロライドチャネルの活性化因子及び/またはP2RX4、P2RX7、及び/またはα7 nAChRの正のアロステリックエフェクターは、アベルメクチン、ドラメクチン、ミルベマイシン、セラメクチン、イベルメクチン、A-867744、PNU120596、NS1738、またはそれらの任意の組み合わせであるか、またはそれを含む。
【0214】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、β-アドレナリン作動性受容体アンタゴニスト(β遮断薬)であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、かかるモジュレーターは、β-1及び/またはβ-2アドレナリン作動性受容体に対して指向され得る。特定の理論に拘束されるものではないが、β-アドレナリン作動性受容体シグナル伝達は、免疫抑制性であり得、β遮断薬による処置は、抗腫瘍活性を有し得ると考えられている。例えば、Kokolus et al.“Beta blocker use correlates with better overall survival in metastatic melanoma patients an improves the efficacy of immunotherapies in mice” OncoImmunology(2018)7(3):e1405205(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。更に、特定の理論に拘束されるものではないが、β遮断薬は、好中球の遊走及び動員を阻害し、好中球対リンパ球比(NLR)を低減し、好中球による活性酸素種(ROS)の放出を抑制し、好中球性炎症応答を抑制すると考えられている。例えば、Garcia-Prieto et al.“Neutrophil stunning by meoprolol reduces infarct size” Nature Communications(2017)8:14780、Hussain “Nebivolol attenuates neutrophil lymphocyte ratio:a marker of subclinical inflammation in hypertensive patients” International Journal of Hypertension(2017)7643628、Djanani et al.“Inhibition of neutrophil migration and oxygen free radical release by metipranolol and timolol” Pharmacology(2003)68(4):198-203、Maglie et al.“Propranolol off-target:a new therapeutic option in neutrophil-dependent dermatoses?” Journal of Investigative Dermatology(2020)140(12):2326-2329、Wrobel et al.“Propranolol induces a favourable shift of anti-tumor immunity in a murine spontaneous model of melanoma” Oncotarget(2016)7(47):77825-77837(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの実施形態では、β遮断薬は、プロプラノロール、塩酸プロプラノロール、チモロール、マレイン酸チモロール、アンカロロール、アルプレノロール、塩酸アルプレノロール、アロチノロール、ベフノロール、ブチリルチモロール、ボメトロール塩酸塩、塩酸カルテオロール、カラゾロール、カルベジロール、リン酸カルベジロール半水和物、ジアセトロール、塩酸エスモロール、ラベタロール塩酸塩、レボブノロール塩酸塩、レボベタキソロール塩酸塩、メイプラノロール塩酸塩(meipranolol hydrochloride)、メチプラノロール塩酸塩、ナドロール、ペンブトロール、硫酸ペンブトロール、ピンドロール、プロパフェノン、塩酸プロネタロール、テオプロロール、トドララジン、トドララジン塩酸塩、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、ブシンドロール、セリプロロール、ランジオロール、メトプロロール、ネビボロール、タリノロール、またはそれらの任意の組み合わせであるか、またはそれを含む。
【0215】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、レニン-アンジオテンシン系(RAS)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)に対して指向され得る。幾つかの実施形態では、かかる阻害剤は、アンジオテンシンII受容体に対して指向され得る。特定の理論に拘束されるものではないが、RASシグナル伝達は、腫瘍促進性免疫細胞の浸潤を促進し得、ACEは、NOX2活性及び/または好中球の細胞活性化に関連するROS生成を促進すると考えられている。例えば、Peter and Jain “Targeting the renin-angiotensin system to improve cancer treatment:implications for immunotherapy” Science Translational Medicine(2017)9(410):eaan5616、及びKhan et al.“Angiotensin-converting enzyme enhances the oxidative response and bactericidal activity of neutrophils” Blood 130(3):328-339(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。一方で、特定の理論に拘束されるものではないが、ACEは、MDSC表現型を有する細胞の数を低減し、抗腫瘍反応を増強するように機能すると考えられている。例えば、Peter and Jain Science Translational Medicine(2017)(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。特定の理論に拘束されるものではないが、アンジオテンシンII受容体阻害剤による処置は、好中球減少を引き起こし得、好中球対リンパ球比(NLR)を低減し得、白血球による活性酸素種(ROS)の生成を抑制し得ると考えられている。例えば、DIOVAN(バルサルタン)(処方情報)、East Hanover,NJ:Novartis Pharmaceuticals Corp,January 2017、Karaman et al.“The comparative effects of valsartan and amlodipine on vWf levels and N/L ratio in patients with newly diagnosed hypertension” Clinical and Experimental Hypertension(2013)35(7):516-522、及びDandona et al.“Angiotensin II receptor blocker valsartan suppresses reactive oxygen species generation in leukocytes,nuclear factor-κB,in mononuclear cells of normal subjects:evidence of an anti-inflammatory action” The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism(2003)88(9):4496-4501(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。更に、特定の理論に拘束されるものではないが、ACE阻害剤及び/またはアンジオテンシンII受容体阻害剤による処置は、好中球の抗腫瘍表現型への分極化を促進し得ると考えられている。例えば、Shrestha et al.“Angiotensin converting enzyme inhibitors and angiotension II receptor antagonist attenuate tumor growth via polarization of neutrophils toward an antitumor phenotype” OncoImmunology(2016)5(1):e1067744(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの実施形態では、ACE阻害剤は、アラセプリル、アルファラシン(HOE 409)、ベナゼプリル、ベナゼプリラト(CGS-14831)、カプトプリル(SQ-14225)、セロナプリル、シラザプリル(Ro31-2848)、デラプリル、デセルピジン、エナラプリル、ファシドトリル、フォシノプリル、ホロキシミチン、イミダプリル、インドラプリル、リベンザプリル、リシノプリル(MK-521)、メチルシラノールアセチルチロシン、モエキシプリル、モベルチプリル、ペントプリル、ペリンドプリル(S-9490)、ピバロプリル、ピボプリル、ラミプリル(HOE-498)、レンチアプリル(SA-446)、キナプリル、ペリンドプリル、スピラプリル、テモカプリル、トランドラプリル(RU44570)、ウチバプリル、ビセニン2、ビセニン3、ゾフェノプリル、BRL-36378、BW-A-575C、CI-925、CL-242817、CV-5975、GF-109、MDL-100240、REV-5975、REV-6134、Ro31-2201、Ro31-8472、SQ-27786、SQ-28854、及び/またはWF-10129であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、アンジオテンシンII受容体阻害剤は、バルサルタン、アビテサルタン、アリサルタン、アジルサルタン(TAK-536)、カンデサルタン、エリサルタン(HN-12206)、エムブサルタン、エプロサルタン、フィマサルタン(BR-A-657)、フォンサルタン、イルベサルタン(BMS-186295)、ロサルタン、ミルファサルタン、オルメサルタン(RNH-6270)、オロダンリガン(EMA-401)、プラトサルタン、リピサルタン、サプリサルタン、スパルセンタン(RE-021)、タソサルタン、テルミサルタン、ゾラサルタン、A81988、BIBS-39、BIBS-222、BMS183920、BMS-248360、CGP-48369、CGP-42112、Dmp811、DuP-532、E-4177、EMD-66684、EEXP-3174、EXP3892、EXP6803、EXP9270、L-158338、L-159282、LCZ-696、LY285434、ME-3221、MK-996、PD-123319、SC51316、TA-606、TD-0212、WL19、YM-358、ZD-6888、ZD-7155、またはそれらの組み合わせであるか、またはそれを含む。
【0216】
i)がん細胞の播種及び血管新生の促進
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、好中球により誘発されるがん細胞(例えば、腫瘍切除部位の残存がん細胞)の播種に関係付けられる経路のモジュレーターであるか、またはそれを含む。原発性腫瘍部位からのがん細胞の播種は、がん転移における重要な段階である。特定の理論に拘束されるものではないが、細胞外マトリックスを修飾する好中球及び/またはMDSCの能力は、がん細胞の増殖及び転移の重要な要因であると考えられている。
【0217】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、好中球細胞外トラップ(NET)の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、好中球及び/またはMDSCの細胞現象のモジュレーターは、NETosisの阻害剤であり得る。ある特定の実施形態では、NETosisの阻害剤は、DNアーゼ及び/またはDNアーゼ類似体(例えば、DNアーゼI及び/またはDNアーゼ1様3)であり得るか、またはそれを含み得る。
【0218】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)のモジュレーターであり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に限定されるものではないが、MMPの活性は、がんの発生及び進行と関連し、ここで、MMPは、組織リモデリング、腫瘍の進行、及び転移を促進するように作用すると考えられている。例えば、Fields “The Rebirth of Matrix Metalloproteinase Inhibitors:Moving Beyond the Dogma” Cells(2019)8(9):984(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。ある特定の実施形態では、MMP機能のモジュレーターは、JNJ0966([N-(2-((2-メトキシフェニル)アミノ)-4’-メチル-[4,5’-ビチアゾール]-2’-イル)アセトアミド])、NSC405020([3,4-ジクロロ-N-(1-メチルブチル)ベンズアミド])、N-(4-フルオロフェニル)-4-(4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロキナゾリン-2-イルチオ)ブタンアミド、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、R-ND-336、三重螺旋ペプチド阻害剤(THPI)、マウスmAb REGA-3G12、AB0041、AB0046、GS-5745/アンデカリキシマブ、DX-2400、mAb 9E8、ペプチドP3(P3a、FPGVPLDTHDVFQYREK)、IS4(アセチル-VMDGYPMP-NH2)、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0219】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、好中球エラスターゼタンパク質のモジュレーターであり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に限定されるものではないが、好中球エラスターゼ機能は、多数のがん種において上方調節されており、予後不良と相関し、ここで、エラスターゼは腫瘍及び転移を促進する様式で作用すると考えられている。ある特定の実施形態では、好中球の細胞機能のモジュレーターは、シベレスタット、EPI-hNE4、プロラスチン、KRP-109、DX-890、プレエラフィン、MNEI、BAY85-8501、POL6014、α1-アンチトリプシン、HCH6-1、ロイペプチンヘミ硫酸塩、PF-429242、トラネキサム酸、AKBA、カルバクロール、デメチルノビレチン、AZD9668、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0220】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、プロテインアルギニンデイミナーゼ4(PAD4)のモジュレーターであり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に限定されるものではないが、PAD4の機能は、多数のがん種において上方調節されており、予後不良と相関し、ここで、PAD4は、マウス及びヒトNET形成を促進することにより腫瘍及び転移を促進する様式で作用すると考えられている。ある特定の実施形態では、PAD4の阻害剤は、F-アミジンであり得るか、またはそれを含み得る。ある特定の実施形態では、PAD4の阻害剤は、Cl-アミジンであり得るか、またはそれを含み得る。ある特定の実施形態では、PAD4の阻害剤は、GSK199、GSK484、BMS-P5、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0221】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、カテプシンG(CatG)のモジュレーターであり得るか、またはそれを含み得る。特定の理論に拘束されるものではないが、CatGは、好中球の脱顆粒の際に放出され、がん細胞の播種及び転移を促進するキモトリプシン様プロテアーゼであると考えられている。ある特定の実施形態では、CatGの阻害剤は、低分子ポリペプチド(例えば、粘液プロテイナーゼ阻害剤、エグリンc、及び/またはアプロチニン)であり得るか、またはそれを含み得る。ある特定の実施形態では、CatGの阻害剤は、セリンプロテアーゼ阻害剤(例えば、α1-アンチキモトリプシン)であり得るか、またはそれを含み得る。ある特定の実施形態では、CatGの阻害剤は、負に荷電した高分子(例えば、0.5kbより短いポリアニオンDNA分子)及び/または短鎖核酸断片の混合物(例えば、デフィブロチド)であり得るか、またはそれを含み得る。
【0222】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、好中球により誘発される血管新生に関係付けられる経路のモジュレーターであり得るか、またはそれを含む。血管新生ならびに腫瘍関連組織への血液及び/または栄養素の供給は、がんの生存及び/または転移における重要な段階である。特定の理論に拘束されるものではないが、細胞外マトリックスを修飾する好中球及び/またはMDSCの能力は、血管新生、免疫細胞の遊走/浸潤、CXCL1発現、がん細胞の増殖及び転移の重要な要因であると考えられている。幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、VEGF/VEGFR関連シグナル伝達経路のモジュレーターであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、好中球及び/またはMDSCにより助長される血管新生の促進の阻害剤は、VEGF及び/またはVEGFR阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、VEGF及び/またはVEGFR阻害剤は、r84、RAFL-2、GU81、パクリタキセル、ベバシズマブ、アフリベルセプト、パゾパニブ、カボザンチニブ、スニチニブ、アキシチニブ、レンバチニブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、ポナチニブ、バンデタニブ、ラムシルマブ、ブリバニブアラニネート(BMS-582664)、セジラニブ(Recentin;Astrazeneca)、モテサニブ(AMG706、Amgen)、リニファニブ(ABT869、Abbott)、それらの機能的誘導体、またはそれらの任意の組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0223】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、肝細胞増殖因子(HGF)及び/またはc-METシグナル伝達のモジュレーターであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、HGFシグナル伝達の阻害剤は、AM7、SU11274、BMS-777607、PF-02341066、AMG-458、JNJ-38877605、PF-04217903、トリアゾロピラジン、MK-2461、チバンチニブ(ARQ197)、XL184、GSK/1363089/XL880、E7050、INCB28060、またはそれらの組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0224】
幾つかの実施形態では、MDSC/好中球のエフェクター機能のモジュレーターは、アンジオポエチンシグナル伝達のモジュレーターであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、かかるモジュレーターは、アンジオポエチンに対して指向され得る。幾つかの実施形態では、かかるモジュレーターは、ANG1(ANGPT1)及び/またはANG2(ANGPT2)に対して指向され得る。幾つかの実施形態では、かかるモジュレーターは、アンジオポエチン受容体に対して指向され得る。幾つかの実施形態では、かかるモジュレーターは、TIE2に対して指向され得る。特定の理論に拘束されるものではないが、アンジオポエチンシグナル伝達は、好中球の走化性及び好中球細胞外トラップ(NET)の合成を促進し、これらは炎症誘発活性及び血管新生促進活性に寄与し得ると考えられている。例えば、Lavoie et al.,“Synthesis of human neutrophil extracellular traps contributes to angiopoietin-mediated in vitro proinflammatory and proangiogenic activities” The Journal of Immunology(2018):200(11):3801-3813(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの実施形態では、アンジオポエチンシグナル伝達のモジュレーターは、アンジオポエチンの阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、アンジオポエチンシグナル伝達のモジュレーターは、抗ANG2抗体(例えば、MEDI3617)、アルチラチニブ(DCC-2701)、カボザンチニブ(BMS-907351、XL-184)、ペクスメチニブ(ARRY-614)、ポナチニブ、レバスチニブ(DCC-2036、DP-1919)、レゴラフェニブ(BAY73-4506)、リプレチニブ(DCC-2618)、トレバナニブ(AMG-386)、2-MT63、BAW2881、BAY-826、BI836880、CE-245677、CEP-11981、EOC317(ACTB-1003)、GW768505A、ODM-203、SB-633825、またはそれらの組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。
【0225】
例示的な生体材料調製物
本明細書に記載される骨髄由来抑制細胞の機能の少なくとも1種のモジュレーター(例えば、好中球機能のモジュレーター)を含む組成物は、少なくとも1種の生体材料調製物を含む。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物は、組成物中の骨髄由来抑制細胞機能の少なくとも1種のモジュレーター(例えば、好中球機能のモジュレーター)の足場またはデポーとして機能し得るポリマーネットワークを形成し得る。
【0226】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される組成物に含まれる生体材料調製物は、1種以上のポリマー(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物に含まれる生体材料調製物は、1種以上の正に荷電したポリマーを含み得る。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物に含まれる生体材料調製物は、1種以上の負に荷電したポリマーを含み得る。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物に含まれる生体材料調製物は、1種以上の中性ポリマーを含み得る。ある特定の実施形態では、生体材料調製物は、以下から選択される1種以上のポリマー成分を含む:ヒアルロン酸、アルギナート、キトサン、キチン、コンドロイチン硫酸、デキストラン、ゼラチン、コラーゲン、デンプン、セルロース、多糖類、フィブリン、ポリ-L-リジン、メチルセルロース、エチレン酢酸ビニル(EVA)、乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGジアクリレート(PEGDA)、ジスルフィド含有PEGDA(PEGSSDA)、PEGジメタクリレート(PEGDMA)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリ(メタクリル酸2-ヒドロキシエチル)(pHEMA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(β-アミノエステル)(PBAE)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、ポリ(アスパラギン酸)、ポリ(グルタミン酸)、ポリ(フマル酸プロピレン)(PPF)、ポリ(セバシン酸無水物)(PSA)、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリ(デスアミノチロシルチロシンアルキルエステルカーボネート)(PDTE)、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]、ポリオキシメチレン、単層カーボンナノチューブ、ポリホスファゼン、ポリアンヒドリド、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)(PVP)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(メタアクリル酸)(PMA)、ポリアセタール、ポリ(αエステル)、ポリ(オルトエステル)、ポリホスホエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリセロール、ポリグルクロン酸、及び/またはそれらの組み合わせ及び/またはそれらの誘導体。
【0227】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物は、温度応答性であり、これにより、レシピエント及び/または生体材料に含まれ得るか、もしくは生体材料と共に含まれ得るペイロードに対する毒性を有し得るか、または別様に悪影響を及ぼし得る架橋処理(例えば、UV照射及び/または化学架橋剤の導入)の非存在下での標的部位の生体内原位置でのゲル化が可能となる。単に一例として、幾つかの実施形態では、本明細書に記載される温度応答性の生体材料調製物は、このような生体材料調製物が当該生体材料調製物の臨界ゲル化温度(CGT)以上の温度に曝露されると、前駆状態(例えば、液体状態または注射可能な状態)から当該前駆状態の粘性及び/または貯蔵弾性率を実質的に超える粘性及び/または貯蔵弾性率を有するポリマーネットワーク状態(例えば、より粘性の状態またはハイドロゲル)に移行することを特徴とする。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物のCGTは、少なくとも10℃以上(例えば、少なくとも10℃、少なくとも11℃、少なくとも12℃、少なくとも13℃、少なくとも14℃、少なくとも15℃、少なくとも16℃、少なくとも17℃、少なくとも18℃、少なくとも19℃、少なくとも20℃、少なくとも21℃、少なくとも22℃、少なくとも23℃、少なくとも24℃、少なくとも25℃、少なくとも26℃、少なくとも27℃、少なくとも28℃、少なくとも29℃、少なくとも30℃、少なくとも31℃、少なくとも32℃、33℃、少なくとも34℃、少なくとも35℃、少なくとも36℃、少なくとも37℃、少なくとも38℃、少なくとも39℃、少なくとも40℃、またはそれ以上が含まれる)である。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物のCGTは、約10℃~約15℃である。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物のCGTは、約12℃~約17℃である。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物のCGTは、約14℃~約19℃である。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物のCGTは、約16℃~約21℃である。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物のCGTは、約18℃~約23℃である。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物のCGTは、約20℃~約25℃である。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物のCGTは、約22℃~約27℃である。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物のCGTは、約24℃~約29℃である。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物のCGTは、約26℃~約31℃である。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物のCGTは、約28℃~約33℃である。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物のCGTは、約30℃~約35℃である。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物のCGTは、約32℃~約37℃である。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物のCGTは、約34℃~約39℃である。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物のCGTは、約35℃~約39℃である。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物のCGTは、このような生体材料調製物を投与される対象(例えば、ヒト対象)の生理的温度であるか、またはその付近である。
【0228】
幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物は、温度可逆性である。例えば、幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物は、このような生体材料調製物が当該生体材料調製物の臨界ゲル化温度(CGT)以上の温度に曝露されると、前駆状態(例えば、液体状態または注射可能な状態)から当該前駆状態の粘性及び/または貯蔵弾性率を実質的に超える粘性及び/または貯蔵弾性率を有するポリマーネットワーク状態(例えば、より粘性の状態またはハイドロゲル)に移行することを特徴とし、当該生体材料調製物は、当該ポリマーネットワーク状態から当該ポリマーネットワーク状態の粘性及び/または貯蔵弾性率よりも実質的に低い粘性及び/または貯蔵弾性率を有する状態(例えば、液体状態または提供される生体材料調製物の元の状態)に戻り得る。
【0229】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物は、化学架橋剤を含まない。当業者は、幾つかの実施形態では、化学架橋剤は、ポリマー鎖間の共有結合による架橋の形成を促進することを特徴とすることを理解するであろう。幾つかの実施形態では、化学架橋剤は、天然の供給源に由来し得るか、または合成され得る低分子架橋剤であるか、またはそれを含む。低分子架橋剤の非限定的な例としては、ゲニピン、ジアルデヒド、グルタルアルデヒド、グリオキサール、ジイソシアネート、グルタル酸、コハク酸、アジピン酸、アクリル酸、ジアクリレートなどが挙げられる。幾つかの実施形態では、化学架橋剤は、チオール(例えば、EXTRACEL(登録商標)、HYSTEM(登録商標))、メタクリレート、ヘキサデシルアミド(例えば、HYMOVIS(登録商標))、及び/またはチラミン(例えば、CORGEL(登録商標))を使用する架橋に関与し得る。幾つかの実施形態では、化学架橋剤は、ホルムアルデヒド(例えば、HYLAN-A(登録商標))、ジビニルスルホン(DVS)(例えば、HYLAN-B(登録商標))、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)(例えば、RESTYLANE(登録商標))、グルタルアルデヒド、及び/またはゲニピンを使用する架橋に関与し得る(例えば、Khunmanee et al.“Crosslinking method of hyaluronic-based hydrogel for biomedical applications” J Tissue Eng.8:1-16(2017)(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。従って、幾つかの実施形態では、前駆状態からポリマーネットワーク状態に移行する間に形成される架橋は、共有結合による架橋を含む。
【0230】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される温度応答性の生体材料調製物は、ポロキサマーまたはそのバリアントであるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、ポロキサマーまたはそのバリアントは、12.5%(w/w)以下(例えば、12%(w/w)以下、11.5%(w/w)以下、11%(w/w)以下、10.5%(w/w)以下、10%(w/w)以下、9.5%(w/w)以下、9%(w/w)以下、8%(w/w)以下、7%(w/w)以下、6%(w/w)以下、5%(w/w)以下、または4%(w/w)以下が含まれる)の濃度で、提供される生体材料調製物中に存在する。幾つかの実施形態では、ポロキサマーまたはそのバリアントは、5%(w/w)~12.5%(w/w)または8%(w/w)~12.5%(w/w)または5%(w/w)~11%(w/w)または5%(w/w)~10%(w/w)または6%(w/w)~10%(w/w)または8%(w/w)~10%(w/w)の濃度で、提供される生体材料調製物中に存在する。幾つかの実施形態では、ポロキサマーまたはそのバリアントは、4%(w/w)~12.5%(w/w)または4%(w/w)~11%(w/w)または4%(w/w)~10.5%(w/w)または4%(w/w)~10%(w/w)の濃度で、提供される生体材料調製物中に存在する。幾つかの実施形態では、ポロキサマーまたはそのバリアントは、5%(w/w)~12.5%(w/w)または5%(w/w)~11%(w/w)または5%(w/w)~10.5%(w/w)または5%(w/w)~10%(w/w)の濃度で、提供される生体材料調製物中に存在する。幾つかの実施形態では、ポロキサマーまたはそのバリアントは、6%(w/w)~12.5%(w/w)または6%(w/w)~11%(w/w)または6%(w/w)~10.5%(w/w)または6%(w/w)~10%(w/w)の濃度で、提供される生体材料調製物中に存在する。
【0231】
(i)例示的なポロキサマー
ポロキサマーは、通常、ポリオキシエチレン(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)及び/またはポリ(エチレンオキシド)(PEO))の2つの親水性鎖に挟まれたポリオキシプロピレン(例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)及び/またはポリ(プロピレンオキシド)(PPO))の疎水性鎖を含むブロックコポリマーである。ポロキサマーは、Synperonic、Pluronic、及び/またはKolliphorの商品名で知られている。一般に、ポロキサマーは、幾つかの実施形態では、良好な可溶化能力、低毒性、及び/または細胞、体液、及び広範囲の化学物質との高い適合性を有し得る非イオン性界面活性剤である。
【0232】
幾つかの実施形態では、本開示に従って使用されるポロキサマーは、当該技術分野において公知のポロキサマーであり得る。例えば、当業者により理解されるように、一般にポロキサマーは、3つの数字が続く(ポロキサマーにちなんだ)文字Pを用いて名付けられ、100で乗算された最初の2つの数字は、ポリオキシプロピレン鎖のおおよその分子質量を示し、10で乗算された最後の数字は、ポリオキシエチレン含有率を示す。単に一例として、P407は、4000g/molのポリオキシプロピレン分子質量及び70%のポリオキシエチレン含有量を有するポロキサマーを指す。当業者は、Pluronic及びSynperonicの商品名では、かかるポロキサマーの符号化は、室温での物理的形態を示す文字(例えば、L=液体、P=ペースト、F=フレーク(固体))で始まり、これに2つまたは3つの数字が続き、ここで、数字の記号における300で乗算された最初の数字(3桁の数字における2つの数字)は、ポリオキシプロピレン鎖のおおよその分子量を示し、10で乗算された最後の数字は、ポリオキシエチレン含有率を示すことも理解するであろう。単に一例として、L61は、1800g/molのポリオキシプロピレン分子質量及び10%のポリオキシエチレン含有量を有するポロキサマーの液体調製物を指す。更に、当業者に明らかであるように、ポロキサマー181(P181)は、Pluronic L61及びSynperonic PE/L61に相当する。
【0233】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物に含まれ得るポロキサマーは、ポロキサマー124(例えば、Pluronic L44 NF)、ポロキサマー188(例えば、Pluronic F68 NF)、ポロキサマー181(例えば、Pluronic L61)、ポロキサマー182(例えば、Pluronic L62)、ポロキサマー184(例えば、Pluronic L64)、ポロキサマー237(例えば、Pluronic F87 NF)、ポロキサマー338(例えば、Pluronic F108 NF)、ポロキサマー331(例えば、Pluronic L101)、ポロキサマー407(例えば、Pluronic F127 NF)、またはそれらの組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物は、少なくとも2種以上の異なるポロキサマーを含み得る。Russo and Villa “Poloxamer Hydrogels for Biomedical Applications” Pharmaceutics (2019) 11(12):671(その内容は本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)の表1に記載される追加のポロキサマーも本明細書に記載される生体材料調製物に有用であり得る。
【0234】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物に含まれ得るポロキサマーは、ポロキサマー407(P407)であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、P407は、2つの親水性PEOブロックに挟まれた疎水性PPOブロックを有するトリブロックコポリマーであるポロキサマーである。2つのPEOブロックのおおよその長さが、通常、101反復単位である一方で、PPOブロックのおおよその長さは56反復単位である。幾つかの実施形態では、P407は、約12,600Daの平均分子量を有し、このうちの約70%がPEOに相当する。幾つかの実施形態では、P407は、濃度及び周囲温度に依存して直ちに自己集合して、ミセルを形成し得る。特定の理論に拘束されるものではないが、PEOブロックの水和と疎水性PPOブロックの脱水との組み合わせは、球状ミセルの形成をもたらし得、その後のミセル構造の充填は、ポロキサマーハイドロゲルの主要構造を構成する3D立方格子をもたらす。またそれらは非毒性であり、かつ安定しており、従って、治療薬の放出制御の用途に好適である。当業者により理解されるように、ポロキサマー/水の二成分混合物を主成分とするハイドロゲル製剤中のP407濃度は、通常、16~20%w/vの範囲であり、約18%w/vの値が最も多く使用される。例えば、Pereia et al.“Formulation and Characterization of Poloxamer 407(R):Thermoreversible Gel Containing Polymeric Microparticles and Hyaluronic Acid” Quim.Nova,Vol.36,No.8,1121-1125(2013)(その内容は本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0235】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物に含まれ得るポロキサマーは、2021年7月17日に出願された国際特許出願第PCT/US21/42110号(その全内容は本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるようなポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る。
【0236】
幾つかの実施形態では、提供される温度応答性生体材料調製物は、第1のポリマー成分(例えば、本明細書に記載されるポロキサマー)及びポロキサマーではない第2のポリマー成分を含む。幾つかの実施形態では、第2のポリマー成分は、15%(w/w)以下の濃度で、提供される生体材料調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、第2のポリマー成分は、10%(w/w)以下の濃度(例えば、10%(w/w)、9%(w/w)、8%(w/w)、7%(w/w)、6%(w/w)、5%(w/w)、4%(w/w)、3%(w/w)、2%(w/w)、1%(w/w)、0.5%(w/w)、またはそれ以下の濃度が含まれる)で、提供される生体材料調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、第2のポリマー成分は、少なくとも0.1%(w/w)(例えば、少なくとも0.2%(w/w)、少なくとも0.3%(w/w)、少なくとも0.4%(w/w)、少なくとも0.5%(w/w)、少なくとも0.6%(w/w)、少なくとも0.7%(w/w)、少なくとも0.8%(w/w)、少なくとも0.9%(w/w)、少なくとも1%(w/w)、少なくとも1.5%(w/w)、少なくとも2%(w/w)、少なくとも2.5%(w/w)、少なくとも3%(w/w)、少なくとも3.5%(w/w)、少なくとも4%(w/w)、少なくとも4.5%(w/w)、少なくとも5%(w/w)、少なくとも6%(w/w)、少なくとも7%(w/w)、少なくとも8%(w/w)、少なくとも9%(w/w)、少なくとも10%(w/w)、またはそれ以上が含まれる)の濃度で、提供される生体材料調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物中の第2のポリマー成分は、0.1%(w/w)~10%(w/w)または0.1%(w/w)~8%(w/w)または0.1%(w/w)~5%(w/w)または1%(w/w)~5%(w/w)の濃度で存在し得る。幾つかの実施形態では、第2のポリマー成分は、0.5%(w/w)~10%(w/w)または0.5%(w/w)~5%(w/w)または1%(w/w)~10%(w/w)または1%(w/w)~5%(w/w)または2%~10%(w/w)の濃度で、提供される生体材料調製物中に存在し得る。
【0237】
幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物に含まれる第2のポリマー成分は、少なくとも1種(例えば、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、またはそれ以上が含まれる)の生体適合性及び/または生分解性のポリマー成分であり得るか、またはそれを含み得る。このような生体適合性及び/または生分解性のポリマー成分の例としては、限定されるものではないが、免疫調節性ポリマー、炭水化物ポリマー(例えば、限定されるものではないが、キトサン、アルギナート、ヒアルロン酸、及び/またはそのバリアントが含まれる、炭水化物、例えば、炭水化物骨格であるか、またはそれを含むポリマー)、ポリアクリル酸、シリカゲル、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリホスファゼン、及び/またはそれらのバリアント、セルロース、キチン、コンドロイチン硫酸、コラーゲン、デキストラン、ゼラチン、エチレン酢酸ビニル(EVA)、フィブリン、乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGジアクリレート(PEGDA)、ジスルフィド含有PEGDA(PEGSSDA)、PEGジメタクリレート(PEGDMA)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリ(メタクリル酸2-ヒドロキシエチル)(pHEMA)、ポリカルボキシベタイン(PCB)、ポリスルホベタイン(PSB)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(β-アミノエステル)(PBAE)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、ポリ(アスパラギン酸)、ポリ(グルタミン酸)、ポリ(フマル酸プロピレン)(PPF)、ポリ(セバシン酸無水物)(PSA)、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリ(デスアミノチロシルチロシンアルキルエステルカーボネート)(PDTE)、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]、ポリオキシメチレン、単層カーボンナノチューブ、ポリアンヒドリド、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)(PVP)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(メタアクリル酸)(PMA)、ポリアセタール、ポリ(αエステル)、ポリ(オルトエステル)、ポリホスホエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリセロール、ポリグルクロン酸、デンプン、それらのバリアント、及び/またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0238】
幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物に含まれる第2のポリマー成分は、免疫調節性ポリマー、例えば、免疫応答の1つ以上の側面を調節するポリマー(例えば、自然免疫アゴニズムを誘発するポリマー)であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、免疫調節性ポリマーは、2020年5月1日に出願された国際特許出願第PCT/US20/31169号(WO2020/223698A1として公開された)(その全内容は本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるような自然免疫のポリマーアゴニストであり得るか、またはそれを含み得る。
【0239】
幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物に含まれる第2のポリマー成分は、炭水化物ポリマー、例えば、限定されるものではないが、ヒアルロン酸、キトサン、及び/またはそれらのバリアントが含まれる、炭水化物、例えば、炭水化物骨格であるか、またはそれを含むポリマーであり得るか、またはそれを含み得る。
【0240】
(ii)例示的なヒアルロン酸及びそのバリアント
幾つかの実施形態では、温度応答性ポリマー成分(例えば、ポロキサマー)を含む提供される生体材料調製物に含まれる炭水化物ポリマーは、ヒアルロン酸またはそのバリアントであるか、またはそれを含む。ヒアルロナンまたはヒアルロナートとしても公知のヒアルロン酸(HA)は、身体組織に幅広く分布するグリコサミノグリカン(GAG)として公知のポリマーのクラスの硫酸化されていないメンバーである。HAは、細胞表面上の細胞周囲コートを形成する組織の細胞外マトリックスの成分として見出される。幾つかの実施形態では、HAは、(C1421NO11の分子式を有する多糖(幾つかの実施形態では、塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、及び/またはカルシウム塩として存在し得る)であり、式中、nは、供給源、単離手法、及び/または測定方法により異なり得る。
【0241】
幾つかの実施形態では、本開示に従って有用であり得るHAは、多数の天然の供給源から単離され得るか、またはそれに由来しうる。例えば、幾つかの実施形態では、HAは、例えば、ヒトの臍帯、鶏冠、及び/または脊椎動物の結合組織マトリックスから単離され得るか、またはそれに由来しうる。幾つかの実施形態では、HAは、Streptococcus属などの細菌の莢膜成分から単離され得るか、またはそれに由来しうる。例えば、Kendall et al,(1937),Biochem.Biophys.Acta,279,401-405(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。幾つかの実施形態では、HA及び/またはそのバリアントは、微生物発酵により生成され得る。幾つかの実施形態では、HA及び/またはそのバリアントは、例えば、グラム陽性及び/またはグラム陰性細菌(例えば、限定されるものではないが、Bacillus属菌、Lactococcus lactis、Agrobacterium属菌、及び/またはEscherichia coliが含まれる)を宿主として使用して生成される、組換えHAまたはそのバリアントであり得る。
【0242】
幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物に含まれ得るHAまたはそのバリアントは、低分子量、例えば、500kDa以下(例えば、450kDa、400kDa、350kDa、300kDa、250kDa、200kDa、150kDa、100kDa、50kDa、またはそれ以下が含まれる)の平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物に含まれ得るHAまたはそのバリアントは、約100kDa~約150kDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物に含まれ得るHAまたはそのバリアントは、約250kDa~約350kDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物に含まれ得るHAまたはそのバリアントは、約300kDa~約400kDaの平均分子量を有し得る。
【0243】
幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物に含まれ得るHAまたはそのバリアントは、高分子量、例えば、500kDa超またはそれ以上(例えば、550kDa、600kDa、650kDa、700kDa、750kDa、800kDa、850kDa、900kDa、950kDa、1MDa、1.1MDa、1.2MDa、1.3MDa、1.4MDa、1.5MDa、1.6MDa、1.7MDa、1.8MDa、1.9MDa、2MDa、2.5MDa、3MDa、3.5MDa、4MDa、4.5MDa、またはそれ以上が含まれる)の平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、本開示に従って有用であり得るHAまたはそのバリアントは、約600kDa~約900kDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、本開示に従って有用であり得るHAまたはそのバリアントは、約700kDa~約900kDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、本開示に従って有用であり得るHAまたはそのバリアントは、約500kDa~約800kDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、本開示に従って有用であり得るHAまたはそのバリアントは、約600kDa~約900kDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、本開示に従って有用であり得るHAまたはそのバリアントは、約700kDa~約800kDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、本開示に従って有用であり得るHAまたはそのバリアントは、約1MDa~約3MDaの平均分子量を有し得る。
【0244】
幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物は、ヒアルロン酸バリアントを含む。幾つかの実施形態では、ヒアルロン酸バリアントは、水溶性である。幾つかの実施形態では、ヒアルロン酸バリアントは、化学修飾ヒアルロン酸であり得、例えば、幾つかの実施形態では、ヒアルロン酸は、エステル化されている。ヒアルロン酸への化学修飾の例としては、限定されるものではないが、チオール、ハロアセテート、ブタンジオール、ジグリシジル、エーテル、ジヒドラジド、アルデヒド、グリカン、及び/またはチラミン官能基の付加が挙げられる。追加のヒアルロン酸修飾及びヒアルロン酸バリアントは、当技術分野において公知である。例えば、Highley et al.,“Recent advances in hyaluronic acid hydrogels for biomedical applications” Curr Opin Biotechnol(2016) Aug 40:35-40、Burdick & Prestwich,“Hyaluronic acid hydrogels for biomedical applications” Advanced Materials(2011)、Prestwhich,“Hyaluronic acid-based clinical biomaterials derived for cell and molecule delivery in regenerative medicine” J.Control Release(2011) Oct 30;155(2):193-199(これらの各々は本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0245】
幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物は、2021年7月17日に出願された国際特許出願第PCT/US21/42110号(その全内容は本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるようなヒアルロン酸またはそのバリアントを含む。
【0246】
幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物は、12.5%(w/w)以下の濃度で存在する(例えば、本明細書に記載されるような)少なくとも1種のポロキサマー、及びヒアルロン酸またはそのバリアントであり得るか、またはそれを含み得る第2のポリマー成分を含む。幾つかのかかる実施形態では、HAまたはそのバリアントは、約10%(w/w)以下(例えば、9%(w/w)、8%(w/w)、7%(w/w)、6%(w/w)、5%(w/w)、4%(w/w)、3%(w/w)、2%(w/w)、もしくは1%(w/w)、または以下が含まれる)の濃度で、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、HAまたはそのバリアントは、約0.5%(w/w)~約5%(w/w)の濃度で、例えば、0.5%(w/w)、0.6%(w/w)、0.7%(w/w)、0.8%(w/w)、0.9%(w/w)、1%(w/w)、1.5%(w/w)、2%(w/w)、2.5%(w/w)、3%(w/w)、3.5%(w/w)、4%(w/w)、4.5%(w/w)、または5%(w/w)の濃度で、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)低分子量を有するHAまたはそのバリアントは、少なくとも約1.5%(w/w)以上(例えば、少なくとも2%(w/w)、少なくとも2.5%(w/w)、少なくとも3%(w/w)、少なくとも4%(w/w)、少なくとも5%(w/w)、少なくとも6%(w/w)、少なくとも7%(w/w)、少なくとも8%(w/w)、少なくとも9%(w/w)、またはそれ以上が含まれる)の濃度で、提供される生体材料調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)低分子量を有するHAまたはそのバリアントは、約1.5%(w/w)~約5%(w/w)の濃度で、提供される生体材料調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)低分子量を有するHAまたはそのバリアントは、約0.5%(w/w)~約10%(w/w)の濃度で、提供される生体材料調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)低分子量を有するHAまたはそのバリアントは、約1%(w/w)~約10%(w/w)または約1.5%(w/w)~約10%(w/w)の濃度で、提供される生体材料調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)低分子量を有するHAまたはそのバリアントは、約0.7%(w/w)~約4%(w/w)または約1.5%(w/w)~約4%(w/w)の濃度で、提供される生体材料調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)低分子量を有するHAまたはそのバリアントは、約3%(w/w)~約7%(w/w)の濃度で、提供される生体材料調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)高分子量を有するHAまたはそのバリアントは、2%(w/w)以下(例えば、1.5%(w/w)、1.25%(w/w)、1%(w/w)、またはそれ以下が含まれる)の濃度で、提供される生体材料調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)高分子量を有するHAまたはそのバリアントは、約0.5%(w/w)~約3%(w/w)の濃度で、提供される生体材料調製物中に存在し得る。
【0247】
(iii)例示的なキトサン及びそのバリアント
幾つかの実施形態では、温度応答性ポリマー(例えば、本明細書に記載されるポロキサマー)を含む提供される生体材料調製物に含まれる炭水化物ポリマーは、キトサンまたはそのバリアントであり得るか、またはそれを含み得る。本明細書に記載される生体材料調製物に含まれ得るキトサン及び/またはそのバリアントの例としては、限定されるものではないが、キトサン、キトサン塩(例えば、キトサンHCl、塩化キトサン、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、キトサングルタミン酸塩)、アルキルキトサン、芳香族キトサン、カルボキシアルキルキトサン(例えば、カルボキシメチルキトサン)、ヒドロキシアルキルキトサン(例えば、ヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシエチルキトサン)、アミノアルキルキトサン、アシル化キトサン、リン酸化キトサン、チオール化キトサン、四級アンモニウムキトサン(例えば、N-(2-ヒドロキシル)プロピル-3-トリメチルアンモニウムキトサンクロリド)、グアニジルキトサン、キトサンオリゴ糖、糖化キトサン(例えば、N-ジヒドロガラクトキトサン)、キトサンポリ(スルホンアミド)、キトサン-フェニルコハク酸(例えば、フェニルコハク酸無水物またはそのバリアント(例えば、2-フェニルコハク酸無水物、2-フェニルコハク酸誘導体、2-O-アセチル-L-リンゴ酸無水物などが含まれる)及びキトサンの反応により形成される生成物)(例えば、開環アミドカルボン酸誘導体であるキトサンフェニルコハク酸ヘミアミド)、及びそれらのバリアントまたは組み合わせが挙げられる。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)ポロキサマーを含む提供される生体材料調製物に含まれる炭水化物ポリマーは、カルボキシアルキルキトサン(例えば、カルボキシメチルキトサン)であり得るか、またはそれを含み得る。
【0248】
場合によっては、キトサン及び/またはそのバリアントは、キチンの脱アセチルにより生成され得ることを当業者は理解するであろう。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)ポロキサマーを含む生体材料調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、少なくとも70%以上(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれ以上(最高100%が含まれる)が含まれる)の脱アセチルの程度(すなわち、除去されたアセチル基のパーセント)を特徴とする。幾つかの実施形態では、キトサンまたはそのバリアントは、99%以下、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、またはそれ以下の脱アセチルの程度を特徴とする。上述の範囲の組み合わせも可能である。例えば、キトサンまたはそのバリアントは、80%~95%、70%~95%、または75%~90%の脱アセチルの程度によって特徴付けられ得る。当業者によって理解されるように、脱アセチルの程度(%DA)は、当該技術分野において公知の様々な方法によって、例えば、場合によっては、NMR分光法によって決定され得る。
【0249】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、少なくとも5kDa以上(例えば、少なくとも10kDa以上が含まれる(例えば、少なくとも20kDa、少なくとも30kDa、少なくとも40kDa、少なくとも50kDa、少なくとも60kDa、少なくとも70kDa、少なくとも80kDa、少なくとも90kDa、少なくとも100kDa、少なくとも110kDa、少なくとも120kDa、少なくとも130kDa、少なくとも140kDa、少なくとも150kDa、少なくとも160kDa、少なくとも170kDa、少なくとも180kDa、少なくとも190kDa、少なくとも200kDa、少なくとも210kDa、少なくとも220kDa、少なくとも230kDa、少なくとも240kDa、少なくとも250kDa、少なくとも260kDa、少なくとも270kDa、少なくとも280kDa、少なくとも290kDa、少なくとも300kDa、少なくとも350kDa、少なくとも400kDa、少なくとも500kDa、少なくとも600kDa、少なくとも700kDa、またはそれ以上が含まれる))の平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、750kDa以下またはそれ以下(例えば、700kDa以下、600kDa以下、500kDa以下、400kDa以下、300kDa以下、200kDa以下、100kDa以下、50kDa以下、またはそれ以下が含まれる)の平均分子量を有し得る。上述の範囲の組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、10kDa~700kDaまたは20kDa~700kDaまたは30kDa~500kDaまたは150kDa~600kDaまたは150kDa~400kDaまたは50kDa~150kDaまたは10kDa~50kDaの平均分子量を特徴とする。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、20kDa~700kDaまたは30kDa~500kDaの平均分子量を特徴とする。本明細書において述べたように、平均分子量は、数平均分子量、重量平均分子量、またはピーク平均分子量であり得る。
【0250】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、10kDa~700kDaまたは20kDaまたは700kDaまたは30kDa~500kDaまたは150kDa~600kDaまたは150kDa~400kDaまたは50kDa~150kDaまたは10kDa~50kDaの範囲の分子量分布を特徴とする。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、20kDa~700kDaまたは30kDa~500kDaの範囲の分子量分布を特徴とする。
【0251】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、3500mPa・s以下またはそれ以下(例えば、3000mPa・s以下、2500mPa・s以下、2000mPa・s以下、1500mPa・s以下、1000mPa・s以下、500mPa・s以下、250mPa・s以下、200mPa・s以下、150mPa・s以下、100mPa・s以下、75mPa・s以下、50mPa・s以下、25mPa・s以下、20mPa・s以下、15mPa・s以下、10mPa・s以下、またはそれ以下が含まれる)の粘性を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、キトサンまたはそのバリアントは、少なくとも5mPa・sまたはそれ以上(例えば、少なくとも10mPa・s、少なくとも20mPa・s、少なくとも30mPa・s、少なくとも40mPa・s、少なくとも50mPa・s、少なくとも60mPa・s、少なくとも70mPa・s、少なくとも80mPa・s、少なくとも90mPa・s、少なくとも100mPa・s、少なくとも125mPa・s、少なくとも150mPa・s、少なくとも175mPa・s、少なくとも250mPa・s、少なくとも500mPa・s、少なくとも1000mPa・s、少なくとも1500mPa・s、少なくとも2000mPa・s、少なくとも2500mPa・sまたはそれ以上が含まれる)の粘性を特徴とし得る。上述の範囲の組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、キトサンもしくはそのバリアントのこのような粘性ポリマー溶液またはキトサンもしくはそのバリアントを含むこのような粘性ポリマー溶液は、5mPa・s~3000mPa・s、または5mPa・s~300mPa・s、5mPa・s~200mPa・s、または20mPa・s~200mPa・s、または5mPa・s~20mPa・sの粘性を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるキトサンまたはそのバリアントの粘性は、20℃の1%酢酸中にて1%で測定される。
【0252】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物は、少なくとも1種以上(例えば、1種、2種、3種、またはそれ以上)のキトサン及び/またはそのバリアント(例えば、修飾されたキトサン及び/またはキトサンもしくは修飾されたキトサンの塩、例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩が含まれる)を含む。例えば、幾つかの実施形態では、キトサン及び/またはそのバリアント(例えば、修飾されたキトサン及び/またはキトサンもしくは修飾されたキトサンの塩、例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩が含まれる)は、70%~95%または75%~90%または80%~95%または90%超の脱アセチルの程度によって特徴付けられ得る。幾つかの実施形態では、キトサン及び/またはそのバリアント(例えば、修飾されたキトサン及び/またはキトサンもしくは修飾されたキトサンの塩、例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩が含まれる)は、10kDa~700kDa、20kDa~600kDa、30kDa~500kDa、150kDa~400kDa、または200kDa~600kDaの平均分子量(例えば、キトサンまたはキトサン塩、例えば、キトサン酢酸塩として測定される)を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、キトサン及び/またはそのバリアント(例えば、修飾されたキトサン及び/またはキトサンもしくは修飾されたキトサンの塩、例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩が含まれる)は、10kDa~700kDa、20kDa~600kDa、30kDa~500kDa、150kDa~400kDa、または200kDa~600kDaの範囲の分子量分布(例えば、キトサンまたはキトサン塩、例えば、キトサン酢酸塩として測定される)を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、キトサン及び/またはそのバリアント(例えば、その塩、例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩が含まれる)は、5~3000mPa・sまたは5~300mPa・sまたは20~200mPa・sの範囲の粘性を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、かかるキトサン及び/またはそのバリアント(例えば、その塩、例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩が含まれる)は、PROTASAN(商標) UltraPure塩化キトサン及び/またはキトサングルタミン酸塩(例えば、FMC Health and Nutritionの事業単位であるNovoMatrix(登録商標)から入手(現在はDu Pontの一部;製品番号:CL 113、CL 114、CL 213、CL 214、G 113、G 213、G 214))であり得るか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、かかるキトサン及び/またはそのバリアント(例えば、その塩、例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩が含まれる)は、例えば、Heppe Medical Chitosan GMBHから入手される、キトサン、キトサンオリゴマー、及び/またはそれらのバリアント(例えば、キトサンHCl、カルボキシメチルキトサン、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩が含まれる)(例えば、Chitoceuticals(登録商標)またはChitoscience(登録商標))であり得るか、またはそれを含む。
【0253】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、以下の特性のうちの少なくとも1つまたは全てを特徴とする、カルボキシアルキルキトサン(例えば、カルボキシメチルキトサン)であるか、またはそれを含む:(1)80%~95%の脱アセチルの程度、(ii)30kDa~500kDaの平均分子量、または30kDa~500kDaの分子量分布、及び(iii)5~300mPa・sの範囲の粘性。
【0254】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、(例えば、本明細書に記載されるような)キトサンのバリアントであるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、このようなキトサンのバリアントは、キトサン鎖の1つ以上の化学部分、例えば、ヒドロキシル及び/またはアミノ基の化学修飾(複数可)を含み得る。幾つかの実施形態では、このようなキトサンのバリアントは、例えば、限定されるものではないが、糖化キトサンなどの修飾されたキトサン(例えば、その遊離アミノ基のうちの1つ以上に1つ以上の単糖またはオリゴ糖側鎖を付加することにより修飾されたキトサン)であるか、またはそれを含む。本明細書において有用である例示的な糖化キトサンとしては、例えば、限定されるものではないが、US5,747,475、US6,756,363、WO2013/109732、US2018/0312611、及びUS2019/0002594(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものが挙げられる。
【0255】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、水性環境中でのキトサンの溶解性を増加させるポリマー(例えば、ポリエチレングリコールなどの親水性ポリマー)とコンジュゲートされたキトサンであるか、またはそれを含む。
【0256】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、チオール化キトサンであるか、またはそれを含む。例えば、Ahmadi et al.Res Pharm Sci.,10(1):1-16(2015)(その内容は本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているような、キトサンに対する様々な修飾、例えば、限定されるものではないが、カルボキシル化、ペグ化、ガラクトシル化(または他のグリコシル化)、及び/またはチオール化が当技術分野において公知である。本開示を読む当業者は、他の修飾されたキトサンが、方法が実施される特定用途に有用であり得ることを理解するであろう。
【0257】
幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物は、2021年7月17日に出願された国際特許出願第PCT/US21/42110号(その全内容は本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるようなキトサンまたはそのバリアントを含む。
【0258】
幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物は、12.5%以下の濃度で存在する(例えば、本明細書に記載されるような)少なくとも1種のポロキサマー、及びキトサンまたはそのバリアントであり得るか、またはそれを含み得る第2のポリマー成分を含む。幾つかのかかる実施形態では、キトサンまたはそのバリアントは、約10%(w/w)以下(例えば、9%(w/w)、8%(w/w)、7%(w/w)、6%(w/w)、5%(w/w)、4%(w/w)、3%(w/w)、2%(w/w)、1%(w/w)、0.5%(w/w)、0.4%(w/w)、0.3%(w/w)、0.2%(w/w)、0.1%(w/w)、またはそれ以下が含まれる)の濃度で、提供される生体材料調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、キトサンまたはそのバリアントは、0.1%(w/w)~10%(w/w)または0.1%(w/w)~8%(w/w)または0.1%(w/w)~5%(w/w)または1%(w/w)~5%(w/w)または約1%(w/w)~約3%(w/w)の濃度で、提供される生体材料調製物中に存在し得る。
【0259】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物は、2021年7月17日に出願された国際特許出願第PCT/US21/42110号(その全内容は本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるようなポリマーの組み合わせ調製物であり得るか、またはそれを含み得る。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物は、ポロキサマー(例えば、P407)及びヒアルロン酸を含み得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物は、ポロキサマー(例えば、P407)、ヒアルロン酸、及びキトサンまたはそのバリアントを含み得る。
【0260】
(iv)提供される生体材料組成物の例示的な特徴及び/または特性
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に送達される場合に、骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーター(例えば、好中球機能のモジュレーター)の放出を、溶液中の骨髄由来抑制細胞機能の同じモジュレーター(例えば、好中球機能のモジュレーター)の投与と比較して延長し得る生体材料を含む。ある特定の実施形態では、生体材料(例えば、本明細書に記載されるポリマー生体材料)は、腫瘍切除部位での骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーター(例えば、好中球機能のモジュレーター)の放出を、溶液中の骨髄由来抑制細胞機能の同じモジュレーター(例えば、好中球機能のモジュレーター)の投与と比較して少なくとも5分間、10分間、20分間、30分間、40分間、50分間、60分間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、18時間、24時間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、2週間、3週間、または4週間延長する。幾つかの実施形態では、生体材料(例えば、本明細書に記載されるポリマー生体材料)は、骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーター(例えば、好中球機能のモジュレーター)の放出を延長し、その結果、投与後の特定の時点で評価される場合、溶液中の当該骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーター(例えば、好中球機能のモジュレーター)が投与される場合に観察されるレベルと比較してより多くの骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーター(例えば、好中球機能のモジュレーター)が腫瘍切除部位に存在する。例えば、幾つかの実施形態では、投与の24時間後に評価される場合、腫瘍切除部位に放出され、存在する骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーター(例えば、好中球機能のモジュレーター)の量は、溶液中の当該骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーター(例えば、好中球機能のモジュレーター)が投与される場合に観察されるのと比べて少なくとも30%(例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)多い。幾つかの実施形態では、投与の48時間後に評価される場合、腫瘍切除部位に放出され、存在する骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーター(例えば、好中球機能のモジュレーター)の量は、溶液中の当該骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーター(例えば、好中球機能のモジュレーター)が投与される場合に観察されるのと比べて少なくとも30%(例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)多い。幾つかの実施形態では、投与の3日後に評価される場合、腫瘍切除部位に放出され、存在する骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーター(例えば、好中球機能のモジュレーター)の量は、溶液中の当該骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーター(例えば、好中球機能のモジュレーター)が投与される場合に観察されるのと比べて少なくとも30%(例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)多い。幾つかの実施形態では、投与の5日後に評価される場合、腫瘍切除部位に放出され、存在する骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーター(例えば、好中球機能のモジュレーター)の量は、溶液中の当該骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーター(例えば、好中球機能のモジュレーター)が投与される場合に観察されるのと比べて少なくとも30%(例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)多い。
【0261】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物(例えば、前駆状態またはポリマーネットワーク状態のポリマー生体材料)を含む組成物は、25,000mPa・s以下またはそれ以下(例えば、24,000mPa・s以下、23,000mPa・s以下、22,000mPa・s以下、21,000mPa・s以下、20,000mPa・s以下、19,000mPa・s以下、18,000mPa・s以下、17,000mPa・s以下、16,000mPa・s以下、15,000mPa・s以下、14,000mPa・s以下、13,000mPa・s以下、12,000mPa・s以下、11,000mPa・s以下、10,000mPa・s以下、9,000mPa・s以下、8,000mPa・s以下、7,000mPa・s以下、6,000mPa・s以下、5,000mPa・s以下、4,000mPa・s以下、3,500mPa・s以下、3,000mPa・s以下、2,500mPa・s以下、2,000mPa・s以下、1,500mPa・s以下、1,000mPa・s以下、500mPa・s以下、250mPa・s以下、200mPa・s以下、150mPa・s以下、100mPa・s以下、75mPa・s以下、50mPa・s以下、25mPa・s以下、20mPa・s以下、15mPa・s以下、10mPa・s以下、またはそれ以下が含まれる)の粘性を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物(例えば、前駆状態または例えば、粘性溶液などのポリマーネットワーク状態のポリマー生体材料)を含む組成物は、少なくとも5mPa・sまたはそれ以上(例えば、少なくとも10mPa・s、少なくとも20mPa・s、少なくとも30mPa・s、少なくとも40mPa・s、少なくとも50mPa・s、少なくとも60mPa・s、少なくとも70mPa・s、少なくとも80mPa・s、少なくとも90mPa・s、少なくとも100mPa・s、少なくとも125mPa・s、少なくとも150mPa・s、少なくとも175mPa・s、少なくとも250mPa・s、少なくとも500mPa・s、少なくとも1,000mPa・s、少なくとも1,500mPa・s、少なくとも2,000mPa・s、少なくとも2,500mPa・s、少なくとも3,000mPa・s、少なくとも4,000mPa・s、少なくとも5,000mPa・s、少なくとも6,000mPa・s、少なくとも7,000mPa・s、少なくとも8,000mPa・s、少なくとも9,000mPa・s、少なくとも10,000mPa・s、少なくとも11,000mPa・s、少なくとも12,000mPa・s、少なくとも13,000mPa・s、少なくとも14,000mPa・s、少なくとも15,000mPa・s、少なくとも16,000mPa・s、少なくとも17,000mPa・s、少なくとも18,000mPa・s、少なくとも19,000mPa・s、少なくとも20,000mPa・s、少なくとも21,000mPa・s、少なくとも22,000mPa・s、少なくとも23,000mPa・s、少なくとも24,000mPa・s、またはそれ以上が含まれる)の粘性を特徴とし得る。上述の範囲の組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物(例えば、前駆状態または例えば、粘性溶液などのポリマーネットワーク状態のポリマー生体材料)を含む組成物は、5mPa・s~10,000mPa・sまたは10mPa・s~5,000mPa・sまたは5mPa・s~200mPa・sまたは20mPa・s~100mPa・sまたは5mPa・s~20mPa・sまたは3mPa・s~15mPa・sの粘性を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物(例えば、前駆状態または例えば、粘性溶液などのポリマーネットワーク状態)は、蜂蜜と同程度の粘性を有する(例えば、蜂蜜と同程度のmPa・s及び/またはセンチポアズ、例えば、約2,000~10,000mPa・sを有する)粘性溶液であり得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物(例えば、前駆状態または例えば、粘性溶液などのポリマーネットワーク状態)は、天然のシロップ(例えば、樹液由来のシロップ、糖蜜由来のシロップなど)と同程度の粘性を有する(例えば、天然のシロップと同程度のmPa・s及び/またはセンチポアズ、例えば、約15,000~20,000mPa・sを有する)粘性溶液であり得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物(例えば、前駆状態または例えば、粘性溶液などのポリマーネットワーク状態)は、ケチャップと同程度の粘性を有する(例えば、ケチャップ、例えば、トマトケチャップと同程度のmPa・s及び/またはセンチポアズ、例えば、約5,000~20,000mPa・sを有する)粘性溶液であり得る。本開示を読む当業者は、場合によっては、本明細書に記載される生体材料調製物を含む組成物の粘性が、例えば、投与経路(例えば、注射か移植か)、注射量及び/または注射時間、及び/または免疫調節の影響期間に基づいて選択または調整され得ることを理解するであろう。また当業者により理解されるように、生体材料調製物の粘性は、例えば、温度及び実験試料中のポリマーの濃度に依存する。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物を含む組成物の粘性は、例えば、1000s-1の剪断速度で20℃にて測定され得る。
【0262】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物を含む組成物がポリマーネットワーク状態である場合、このようなポリマーネットワーク状態は、少なくとも100Pa、少なくとも200Pa、少なくとも300Pa、少なくとも400Pa、少なくとも500Pa、少なくとも600Pa、少なくとも700Pa、少なくとも800Pa、少なくとも900Pa、少なくとも1000Pa、少なくとも1100Pa、少なくとも1200Pa、少なくとも1300Pa、少なくとも1400Pa、少なくとも1500Pa、少なくとも1600Pa、少なくとも1700Pa、少なくとも1800Pa、少なくとも1900Pa、少なくとも2000Pa、少なくとも2100Pa、少なくとも2200Pa、少なくとも2300Pa、少なくとも2400Pa、少なくとも2500Pa、少なくとも2600Pa、少なくとも2700Pa、少なくとも2800Pa、少なくとも2900Pa、少なくとも3000Pa、少なくとも3500Pa、少なくとも4000Pa、少なくとも4500Pa、少なくとも5000Pa、少なくとも6000Pa、少なくとも7000Pa、少なくとも8000Pa、少なくとも9000Pa、またはそれ以上の貯蔵弾性率を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、ポリマーネットワークでの生体材料調製物は、10kPa以下、9kPa以下、8kPa以下、7kPa以下、6kPa以下、またはそれ以下の貯蔵弾性率を特徴とし得る。上述の範囲の組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、ポリマーネットワークでの生体材料調製物は、100Pa~10kPaまたは200Pa~5000Paまたは300Pa~2500Paまたは500Pa~2500Paまたは100Pa~500Paの貯蔵弾性率を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物のポリマーネットワーク状態は、1,000Pa~10,000Paまたは2,000Pa~10,000Paまたは3,000Pa~10,000Paまたは4,000Pa~10,000Paまたは5,000Pa~10,000Paまたは6,000Pa~10,000Paの貯蔵弾性率を特徴とし得る。当業者は、(例えば、Weng et al.,“Rheological Characterization of in situ Crosslinkable Hydrogels Formulated from Oxidized Dextran and N-Carboxyethyl Chitosan” Biomacromolecules,8:1109-1115(2007)(その内容は、本明細書に記載される目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているような)様々な流動学的特徴付け方法が物質の貯蔵弾性率を測定するために使用され得ること、及び場合によっては、物質の貯蔵弾性率が、レオメーター及び/または動的機械分析(DMA)により測定され得ることを理解するであろう。当業者は、流動学的特徴付けが、周囲条件、例えば、温度及び/またはpHによって異なり得ることも理解するであろう。
【0263】
本明細書に記載される組成物に有用な生体材料調製物は、生体適合性である。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される組成物に有用な生体材料調製物は、インビボで生分解性である。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物中の少なくとも1種のポリマー成分は、インビボで生分解性であり得る。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物中の少なくとも1種のポリマー成分は、(例えば、酵素及び/または酸化メカニズムによる)生物分解に対する耐性を示し得る。幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物中の少なくとも1種のポリマー成分は、化学的に酸化され得る。従って、幾つかの実施形態では、生体材料調製物は、生理学的環境内、例えば、対象の身体内、例えば、対象の標的部位で化学的及び/または生物学的に分解されることが可能である。本開示を読む当業者は、提供される生体材料調製物の分解速度が、例えば、ポリマー成分(複数可)の選択、及びそれらの材料特性、及び/またはそれらの(例えば、本明細書に記載されるような)濃度に基づいて異なり得ることを理解するであろう。例えば、提供される生体材料調製物の半減期(生体材料調製物の50%が単量体及び/または他の非ポリマー部分に分解される時間)は、およそ数日、数週間、数ヶ月、または数年程度であり得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物は、例えば、酵素活性または細胞機構によって、例えば、(例えば、相対的に低いpHを有する)リゾチームへの曝露によって、または単純な加水分解によって生物学的に分解され得る。幾つかの例では、提供される生体材料調製物は、細胞に対して非毒性である単量体(例えば、ポリマーの単量体)及び/または非ポリマー部分に分解され得る。当業者によって理解されるように、提供される生体材料調製物は、このような提供される生体材料調製物がインビボでのより遅い分解速度を有する場合、投与に際した標的部位(例えば、腫瘍切除部位)でのより長い残留時間を有する。
【0264】
幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物は、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような提供されるポリマーネットワーク状態の生体材料調製物のうちの少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)が投与の2日以上後にインビボで当該標的部位に残存することを特徴とする。幾つかの実施形態では、このような提供されるポリマーネットワーク状態の生体材料調製物のうちの90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、またはそれ以下が投与の2日以上後にインビボで標的部位に残存する。上述したものの組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物は、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような提供されるポリマーネットワーク状態の生体材料調製物のうちの30%~80%または40%~70%が投与の2日以上後にインビボで当該標的部位に残存することを特徴とする。
【0265】
幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物は、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような提供されるポリマーネットワーク状態の生体材料調製物のうちの少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)が投与の3日以上後にインビボで当該標的部位に残存することを特徴とする。幾つかの実施形態では、このような提供されるポリマーネットワーク状態の生体材料調製物のうちの90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、またはそれ以下が投与の3日以上後にインビボで標的部位に残存する。上述したものの組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物は、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような提供されるポリマーネットワーク状態の生体材料調製物のうちの30%~80%または40%~70%が投与の3日以上後にインビボで当該標的部位に残存することを特徴とする。
【0266】
幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物は、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような提供されるポリマーネットワーク状態の生体材料調製物のうちの少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)が投与の5日以上後にインビボで当該標的部位に残存することを特徴とする。幾つかの実施形態では、このような提供されるポリマーネットワーク状態の生体材料調製物のうちの90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、またはそれ以下が投与の5日以上後にインビボで標的部位に残存する。上述したものの組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物は、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような提供されるポリマーネットワーク状態の生体材料調製物のうちの30%~80%または40%~70%が投与の5日以上後にインビボで当該標的部位に残存することを特徴とする。
【0267】
幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物は、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような提供されるポリマーネットワーク状態の生体材料調製物のうちの少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)が投与の7日以上後にインビボで当該標的部位に残存することを特徴とする。幾つかの実施形態では、このような提供されるポリマーネットワーク状態の生体材料調製物のうちの90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、またはそれ以下が投与の7日以上後にインビボで標的部位に残存する。上述したものの組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物は、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような提供されるポリマーネットワーク状態の生体材料調製物のうちの30%~80%または40%~70%が投与の7日以上後にインビボで当該標的部位に残存することを特徴とする。
【0268】
幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物は、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような提供されるポリマーネットワーク状態の生体材料調製物のうちの少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)が投与の14日以上後にインビボで当該標的部位に残存することを特徴とする。幾つかの実施形態では、このような提供されるポリマーネットワーク状態の生体材料調製物のうちの90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、またはそれ以下が投与の14日以上後にインビボで標的部位に残存する。上述したものの組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物は、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような提供されるポリマーネットワーク状態の生体材料調製物のうちの30%~80%または40%~70%が投与の14日以上後にインビボで当該標的部位に残存することを特徴とする。
【0269】
幾つかの実施形態では、提供される生体材料調製物は、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような提供されるポリマーネットワーク状態の生体材料調製物のうちの10%以下またはそれ以下(例えば、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、またはそれ以下が含まれる)が投与の10日以上後にインビボで標的部位に残存することを特徴とする。
【0270】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、マトリックスまたはデポーを形成する生体材料調製物及び当該生体材料調製物中に存在する骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターを含む。ある特定の実施形態では、骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーター(例えば、好中球機能のモジュレーター)は、投与後に標的部位(例えば、腫瘍切除部位)で拡散により生体材料調製物から放出される。例えば、ある特定の実施形態では、生体材料調製物のポリマーネットワーク状態は、生体材料及び骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターを含む組成物をPBS(pH7.4)中に配置することによりインビトロで試験される場合に、当該骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターのうちの100%未満(例えば、95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、70%未満、50%未満、またはそれ以下が含まれる)が3時間以内に当該生体材料調製物から放出されることを特徴とし得る。
【0271】
ある特定の実施形態では、生体材料調製物のポリマーネットワーク状態は、生体材料及び骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターを含む組成物をPBS(pH7.4)中に配置することによりインビトロで試験される場合に、当該骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターのうちの少なくとも30%(例えば、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、またはそれ以上が含まれる)が12時間以内に当該生体材料調製物から放出されることを特徴とする。
【0272】
ある特定の実施形態では、生体材料調製物のポリマーネットワーク状態は、生体材料及び骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターを含む組成物をマウス対象の乳房脂肪パッドに投与することによりインビボで試験される場合に、当該骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターのうちの60%以下(例えば、50%以下、40%以下などが含まれる)が投与の8時間後にインビボで放出されることを特徴とする。
【0273】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される組成物は、このような組成物を腫瘍切除部位に有する、自然転移がある試験動物群が、投与の2ヵ月後に評価される場合に、骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターを含有しない生体材料調製物を腫瘍切除部位に有する比較可能な試験動物群の生存率より高い生存率を有することを特徴とする。幾つかのかかる実施形態では、提供される組成物を腫瘍切除部位に有する、自然転移がある試験動物群において観察される生存率の増加は、投与の2ヵ月後に評価される場合に、骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターを含有しない生体材料調製物を腫瘍切除部位に有する比較可能な試験動物群の生存率と比較して少なくとも30%以上(少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)である。
【0274】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される組成物は、このような組成物を腫瘍切除部位に有する、自然転移がある試験動物群が、投与の3ヵ月後に評価される場合に、骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターを含有しない生体材料調製物を腫瘍切除部位に有する比較可能な試験動物群の生存率より高い生存率を有することを特徴とする。幾つかのかかる実施形態では、提供される組成物を腫瘍切除部位に有する、自然転移がある試験動物群において観察される生存率の増加は、投与の3ヵ月後に評価される場合に、骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターを含有しない生体材料調製物を腫瘍切除部位に有する比較可能な試験動物群の生存率と比較して少なくとも10%以上(少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)である。
【0275】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される生体材料調製物は、架橋剤の添加により、または架橋剤の添加なしにポリマーネットワークを形成し得る。ある特定の実施形態では、ポリマーネットワークは、架橋される。ポリマーネットワーク(例えば、ハイドロゲル)は、当該技術分野において公知の任意の方法、例えば、化学架橋法(例えば、天然の供給源に由来し得るか、または合成され得る低分子架橋剤を使用することによる)、高分子電解質架橋(例えば、ポリマーと反対電荷を含む第2のポリマーとの混合)、熱誘起架橋、光誘起架橋(例えば、ビニルスルホン、メタクリレート、アクリル酸を使用する)、pH誘起架橋、及び酵素触媒による架橋を使用して架橋され得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる、Parhi,Adv Pharm Bull.,Review 7(4):515-530(2017)に記載されている1つ以上架橋法がポリマーネットワーク(例えば、ハイドロゲル)を形成させるのに使用され得る。
【0276】
(v)任意の追加の治療薬
幾つかの実施形態では、骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーター(例えば、好中球機能のモジュレーター)を含む組成物は、1種以上の追加の治療薬を更に含み得る。例えば、幾つかの実施形態では、このような治療薬は、化学療法薬であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、このような治療薬は、免疫調節剤ペイロードであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、免疫調節剤ペイロードは、炎症のモジュレーターであるか、またはそれを含む。当業者によって理解されるように、炎症は、生物学的文脈に応じて免疫賦活性または免疫抑制性であり得る。従って、幾つかの実施形態では、免疫調節剤ペイロードは、免疫刺激性の炎症のモジュレーターであるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、免疫調節剤ペイロードは、免疫抑制性の炎症のモジュレーターであるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、免疫調節剤ペイロードは、自然免疫及び/または適応免疫のモジュレーターであるか、またはそれを含む。幾つかのかかる実施形態では、自然免疫及び/または適応免疫のモジュレーターは、自然免疫及び/または適応免疫のアゴニストであるか、またはそれを含む。
【0277】
幾つかの実施形態では、免疫調節剤ペイロードは、国際特許公開第WO2018/045058号(例えば、限定されるものではないが、自然免疫応答の活性化因子、適応免疫応答の活性化因子、免疫調節性サイトカイン、マクロファージエフェクター機能のモジュレーターなどの例が挙げられる)及び同WO2019/183216号(例えば、限定されるものではないが、例えば、p38-マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路などにより媒介される、免疫抑制性の炎症の阻害剤が挙げられる)に記載されるような免疫調節剤であるか、またはそれを含み、これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる。幾つかの実施形態では、免疫調節剤ペイロードは、自然免疫応答の活性化因子であるか、またはそれを含み、例えば、幾つかの実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)アゴニスト、Toll様受容体(TLR)アゴニスト、及び/または国際特許公開第WO2018/045058号(その内容は本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるような自然免疫応答の活性化因子であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、免疫調節剤ペイロードは、免疫抑制性の炎症の阻害剤であるか、またはそれを含み、例えば、幾つかの実施形態では、免疫抑制性の炎症の阻害剤は、国際特許公開第WO2019/183216号(その内容は本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるような、p38-マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPS)経路により媒介される免疫抑制性の炎症の阻害剤であり得るか、またはそれを含み得る。
【0278】
II.提供される組成物の例示的実施形態
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)の阻害剤を含む。
【0279】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びザヌブルチニブを含む。
【0280】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びCSF-1の阻害剤を含む。
【0281】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びCSF1-Rの阻害剤を含む。
【0282】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びエディコチニブを含む。
【0283】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにBCR/Abl、Src、c-Kit、及び/またはエフリン受容体などのチロシンキナーゼの無差別阻害剤を含む。
【0284】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びダサチニブを含む。
【0285】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにCOX-1及び/またはCOX-2により媒介されるシグナル伝達経路の阻害剤を含み得る。
【0286】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びCOX-1の阻害剤を含み得る。
【0287】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びケトロラクを含み得る。
【0288】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びロルノキシカムを含み得る。
【0289】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びホスホジエステラーゼ5型(PDE5)阻害剤を含み得る。
【0290】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びシルデナフィルを含み得る。
【0291】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びアポトーシス阻害因子(IAP)阻害剤を含み得る。
【0292】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びビリナパントを含み得る。
【0293】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びミエロイド細胞に発現するトリガー受容体1(TREM-1)の阻害剤を含む。
【0294】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及び抗TREM-1(PY159)を含む。
【0295】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びミエロイド細胞に発現するトリガー受容体1(TREM-2)の阻害剤を含む。
【0296】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及び抗TREM-2(PY314)を含む。
【0297】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びCD47の阻害剤を含む。
【0298】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びHu5F9-G4を含み得る。
【0299】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びマトリックスメタロペプチダーゼの阻害剤を含む。
【0300】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、幾つかの実施形態では、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにJNJ0966、BMS-P5、GSK199、GSK484、アプロチニン、Hu5F9-G4、及び/またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0301】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びマトリックスメタロペプチダーゼ9の阻害剤を含む。
【0302】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びJNJ0966を含む。
【0303】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びエラスターゼの阻害剤を含む。
【0304】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びアプロチニンを含む。
【0305】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びNETosisの阻害剤を含む。
【0306】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにBMS-P5、GSK199、GSK484、及び/またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0307】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びDNアーゼ(例えば、DNアーゼI及び/またはDNアーゼI様3)を含む。
【0308】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにVEGF、VEGFR、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、及び/またはそれらの任意の組み合わせの阻害剤を含み得る。
【0309】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにHGF及び/またはHGFRシグナル伝達の阻害剤を含む。
【0310】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びHGFRの阻害剤を含む。
【0311】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びメトホルミンを含む。
【0312】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにTGFβ、TGF-βR、TGF-βR1、TGF-βR2、TGF-βR3、及び/またはそれらの任意の組み合わせの阻害剤を含み得る。
【0313】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びガルニセルチブを含み得る。
【0314】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びアルギナーゼの阻害剤を含み得る。
【0315】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びLTBの阻害剤を含み得る。
【0316】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及び特異的炎症収束性メディエーターの活性化因子を含み得る。
【0317】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びレゾルビンを含み得る。
【0318】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びRvD2を含み得る。
【0319】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びLXAを含み得る。
【0320】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにCXCR1及び/またはCXCR2の阻害剤を含み得る。
【0321】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びレパリキシンを含み得る。
【0322】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びCCR2阻害剤を含み得る。
【0323】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにBMS-813160、BMS CCR2 22、MK-0812、CCX872、PF-04136309、及び/またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0324】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びCCL2阻害剤を含み得る。
【0325】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びビンダリットを含み得る。
【0326】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにCCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CCL8、及び/またはそれらの任意の組み合わせの阻害剤を含み得る。
【0327】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにCCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR8、及び/またはそれらの任意の組み合わせの阻害剤を含み得る。
【0328】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにCCL2/CCR2シグナル伝達及び/またはCCL2/CCR4シグナル伝達の阻害剤を含み得る。
【0329】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにCCL3/CCR1シグナル伝達、CCL3/CCR4シグナル伝達、CCL3/CCR5シグナル伝達、及び/またはそれらの任意の組み合わせの阻害剤を含み得る。
【0330】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにCCL4/CCR1シグナル伝達及び/またはCCL4/CCR5シグナル伝達の阻害剤を含み得る。
【0331】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにCCL5/CCR1シグナル伝達、CCL5/CCR3シグナル伝達、CCL5/CCR4シグナル伝達、CCL5/CCR5シグナル伝達、及び/またはそれらの任意の組み合わせの阻害剤を含み得る。
【0332】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにCCL8/CCR2シグナル伝達、CCL8/CCR3シグナル伝達、CCL8/CCR5シグナル伝達、及び/またはそれらの任意の組み合わせの阻害剤を含み得る。
【0333】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにCXCR4及び/またはCXCL12の阻害剤を含み得る。
【0334】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びプレリキサホルを含み得る。
【0335】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びマクロファージ遊走阻止因子(MIF)の阻害剤を含む。
【0336】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びCD74の阻害剤を含む。
【0337】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及び4-IPPを含む。
【0338】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及び抗CD74モノクローナル抗体を含む。
【0339】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにアデノシンA2A受容体及び/またはA2B受容体の阻害剤を含み得る。
【0340】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びテオフィリンを含み得る。
【0341】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びエトルマデナント(AB928)を含み得る。
【0342】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにイストラデフィリン、AZD4635、MK-3814、及び/またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0343】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びアロキサジンを含み得る。
【0344】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びCD39の阻害剤を含み得る。
【0345】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びCD73の阻害剤を含み得る。
【0346】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにAB680、BMS-986179、MEDI9447、及び/またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0347】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びP2RX7シグナル伝達の阻害剤を含む。
【0348】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにGSK1482160、JNJ-5417544、JNJ-479655、及び/またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0349】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びADAR1の阻害剤を含む。
【0350】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及び8-アザアデノシンを含む。
【0351】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びアンジオポエチンシグナル伝達のモジュレーターを含む。
【0352】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びアンジオポエチン-2の阻害剤を含む。
【0353】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びカテプシンGの阻害剤を含む。
【0354】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びIL-34シグナル伝達の阻害剤を含む。
【0355】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びP2RX4の阻害剤を含む。
【0356】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びIL-1αシグナル伝達の阻害剤を含む。
【0357】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにドーパミン作動性受容体の阻害剤及び/または抗精神病薬を含む。
【0358】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びプロクロルペラジンを含む。
【0359】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及び好中球減少を引き起こす薬剤を含む。
【0360】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びTAMファミリー受容体型チロシンキナーゼ関連シグナル伝達経路の阻害剤を含む。
【0361】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにカボザンチニブ、メレスチニブ、BMS-777607、S49076、ONO-7475、RXDX-106、LDC1267、シトラバチニブ、UNC2025、及び/またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0362】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びLDC1267を含む。
【0363】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びシトラバチニブを含む。
【0364】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びLAIR-1の阻害剤を含む。
【0365】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリメラーゼを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びLILR関連シグナル伝達経路のモジュレーターを含む。
【0366】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリメラーゼを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びILT2のモジュレーターを含む。
【0367】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリメラーゼを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及び抗ILT2抗体を含む。
【0368】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリメラーゼを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びILT3のモジュレーターを含む。
【0369】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリメラーゼを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及び抗ILT3抗体を含む。
【0370】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリメラーゼを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びILT4のモジュレーターを含む。
【0371】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリメラーゼを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及び抗ILT4抗体を含む。
【0372】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びc-Kit関連シグナル伝達経路の阻害剤を含む。
【0373】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びMET関連シグナル伝達経路の阻害剤を含む。
【0374】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びIL-4Rシグナル伝達の阻害剤を含む。
【0375】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びボリノスタットを含む。
【0376】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びMAO-Aの阻害剤を含む。
【0377】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにフェネルジン、クロルジリン、モクロベミド、ピルリンドール、及び/またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0378】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにC5a及び/またはC5aRの阻害剤を含む。
【0379】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びコルチコステロイドを含む。
【0380】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及び糖質コルチコイドを含む。
【0381】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びデキサメタゾンを含む。
【0382】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物ならびにグルタミン酸作動性クロライドチャネルの活性化因子及び/またはP2RX4、P2RX7、α7 nAChR、及び/またはそれらの任意の組み合わせの正のアロステリックエフェクターを含む。
【0383】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びイベルメクチンを含む。
【0384】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びβ-アドレナリン作動性受容体アンタゴニストを含む。
【0385】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びプロプラノロールを含む。
【0386】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びチモロールを含む。
【0387】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びレニン-アンジオテンシン系の阻害剤を含む。
【0388】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びACE阻害剤を含む。
【0389】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びアンジオテンシンII受容体阻害剤を含む。
【0390】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、(例えば、1種以上のポリマーを含み、そのうちの1種が本明細書に記載されるポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る)生体材料調製物及びバルサルタンを含む。
【0391】
III.医薬組成物
幾つかの実施形態では、提供される組成物は、(例えば、本明細書に記載されるような)投与する必要がある対象への投与のための医薬組成物として、定型的な手順に従って製剤化され得る。幾つかの実施形態では、このような医薬組成物は、薬学的に許容される担体または賦形剤を含み得、本明細書で使用する場合、これらとしては、所望の特定の剤形に適したあらゆる溶媒、分散媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散助剤または懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、防腐剤、固体結合剤、滑沢剤などが挙げられる。Remington’s The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,A.R.Gennaro(Lippincott,Williams & Wilkins,Baltimore,MD,2006、参照により本明細書に組み入れられる)は、医薬組成物を製剤化する際に使用される様々な賦形剤及びその調製のための既知の技術を開示している。好適な薬学的に許容される担体としては、限定されるものではないが、水、塩溶液(例えば、NaCl)、生理食塩水、緩衝食塩水、グリセロール、糖、例えば、マンニトール、ラクトース、トレハロース、スクロース、またはその他、デキストロース、脂肪酸エステルなど、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0392】
医薬組成物は、必要に応じて、活性化合物と有害な反応を起こさないか、またはそれらの活性に干渉しない補助剤(例えば、滑沢剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝剤、着色剤、香味料、及び/または芳香剤など)と混合され得る。幾つかの実施形態では、医薬組成物は、無菌であり得る。好適な医薬組成物は、必要に応じて、少量の湿潤剤または乳化剤またはpH緩衝剤を含有し得る。医薬組成物は、液体溶液、懸濁液、またはエマルションであり得る。
【0393】
医薬組成物は、定型的な手順に従って、ヒトへの投与に適合した医薬組成物として製剤化され得る。医薬組成物の調製は、投与様式に適していなければならない。例えば、幾つかの実施形態では、注射用の医薬組成物は、通常、無菌の水性等張緩衝液を含み得る。必要な場合、医薬組成物は、注射部位の痛みを緩和するための局所麻酔薬も含み得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載される)医薬組成物の成分は、別々に供給されるか、または単回使用型に、例えば、生体材料調製物及び骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーター(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む組成物の量を示す気密密閉された容器、例えば、アンプルもしくはサッシェ中もしくは無菌のシリンジ中の乾燥した凍結乾燥粉末もしくは水分のない濃縮物として一緒に混合される。医薬組成物が注射により投与される場合には、幾つかの実施形態では、生体材料調製物及び骨髄由来抑制細胞の機能のモジュレーター(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む乾燥した凍結乾燥粉末組成物は、水性緩衝液で再構成され得、次いで、注入される必要がある対象の標的部位に注入され得る。幾つかの実施形態では、生体材料調製物及び骨髄由来抑制細胞の機能のモジュレーター(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む液状組成物は、注射及び/またはロボット手術システム(例えば、da Vinci System)による投与のためにシリンジ中に提供され得る。
【0394】
幾つかの実施形態では、生体材料調製物及び骨髄由来抑制細胞の機能のモジュレーター(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む液状組成物は、針、カニューレ、またはトロカールを用いるか、または用いない投与のためにシリンジ中に提供され得る。
【0395】
幾つかの実施形態では、生体材料調製物及び骨髄由来抑制細胞の機能のモジュレーター(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む液状組成物は、噴霧により投与され得る。
【0396】
幾つかの実施形態では、生体材料調製物及び骨髄由来抑制細胞の機能のモジュレーター(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む液状組成物の投与は、最小侵襲手術に使用するためにガスにより支援され得る。
【0397】
幾つかの実施形態では、生体材料調製物及び骨髄由来抑制細胞の機能のモジュレーター(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む液状組成物の投与は、各バレルが別個のポリマー成分調製物を含有し、共有されるプランジャーが押し下げられると複数のポリマー成分調製物が組み合わされるマルチバレルシリンジを使用することにより達成され得る。
【0398】
本明細書において提供される医薬組成物の説明は、主にヒトへの医療向け投与(ethical administration)に好適な医薬組成物を対象とするが、かかる組成物は、一般に、あらゆる種類の動物またはインビトロもしくはエクスビボの細胞への投与に好適であることが当業者により理解されるであろう。ヒトへの投与に好適な医薬組成物を様々な動物またはインビトロもしくはエクスビボの細胞への投与に好適なものにするための当該組成物の改変はよく理解されており、当業者、例えば、獣医薬理学者は、たとえ行うにしても、通常の実験を行うだけで、かかる改変を設計及び/または実行し得る。
【0399】
本明細書に記載される医薬組成物の製剤は、薬理学の分野において公知であるか、または今後開発される任意の方法により調製され得る。例えば、かかる準備方法は、生体材料調製物及び骨髄由来抑制細胞の機能のモジュレーター(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む提供される組成物の成分を希釈剤もしくは別の賦形剤及び/または1種以上の他の補助的成分と混合し、次いで、必要とされ、及び/または望ましい場合、生成物を所望の単回使用ユニットまたは複数回使用ユニットに成形及び/またはパッケージングするステップを含む。あるいは、かかる準備方法は、生成物を所望の単回使用ユニットまたは複数回使用ユニットに成形及び/またはパッケージングする前に、生体材料調製物及び骨髄由来抑制細胞の機能のモジュレーター(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む組成物でポリマーネットワーク状態(例えば、ハイドロゲル)を事前に作るステップも含み得る。
【0400】
本開示による医薬組成物は、単回使用ユニットとして、及び/または複数の単回使用ユニットとして調製され得、パッケージングされ得、及び/またはまとめて販売され得る。本明細書で使用する場合、「単回使用ユニット」は、個別の量の本明細書に記載の医薬組成物である。例えば、医薬組成物の単回使用ユニットは、幾つかの実施形態では、骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーター(例えば、本明細書に記載されるもの)を含有する、生体材料調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)の事前に形成されたポリマーネットワークであり得るか、もしくはそれを含み得るか、または幾つかの実施形態では、組成物(例えば、本明細書に記載されるもの)の個々の成分の液体混合物もしくはコロイド混合物であり得るか、もしくはそれを含み得る、所定の量の本明細書に記載される組成物を含む。
【0401】
提供される組成物の個々の成分ならびに任意により、本明細書に記載される医薬組成物中の任意の追加の薬剤、例えば、薬学的に許容される賦形剤及び/または任意の追加の成分の相対量は、例えば、ポリマー生体材料の所望の材料特性、標的部位のサイズ、注射量、処置される対象の健康状態及び医学的状態、及び/またはがんの種類に応じて異なり得、更にこのような医薬組成物が投与される経路にも依存し得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載される)骨髄由来抑制細胞の機能のモジュレーターは、目的の治療効果(例えば、限定されるものではないが、少なくとも1つ以上の側面での抗腫瘍免疫の誘導、例えば、好中球の動員及び/または生存及び/または増殖の阻害、及び/または好中球に関連するエフェクター機能の調節)を提供するための有効量で医薬組成物中に提供される。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載される)骨髄由来抑制細胞の機能のモジュレーターは、がんを処置するための有効量で医薬組成物中に提供され得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載される)骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターは、腫瘍再発及び/または転移を阻害するか、またはそのリスクもしくは発生率を低減するための有効量で医薬組成物中に提供される。ある特定の実施形態では、有効量は、(例えば、本明細書に記載される)生体材料調製物及び骨髄由来抑制細胞の機能のモジュレーターの治療上有効量である。ある特定の実施形態では、有効量は、(例えば、本明細書に記載される)生体材料調製物及び骨髄由来抑制細胞の機能のモジュレーターの予防上有効量である。
【0402】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、細胞を含まない。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、養子移入される細胞を含まない。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、T細胞を含まない。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、腫瘍抗原を含まない。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、エクスビボでロードされる腫瘍抗原を含まない。
【0403】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、液体形態(例えば、溶液またはコロイド)である。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、固体形態(例えば、ゲル形態)である。ある特定の実施形態では、液体形態から固体形態への移行が十分な架橋により対象の体外で発生し得、その結果、得られる物質は、物理的に操作され、外科的処置において移植されるのを可能にする固体形態と一致する貯蔵弾性率を有する。従って、幾つかの実施形態では、固体形態は、本開示の使用目的(例えば、外科移植)を実施するのに適していてもよい。ある特定の実施形態では、液体形態から固体形態への移行が熱架橋により生体内原位置で(例えば、対象の体内で)発生し得、その結果、得られる物質は固体形態と一致する貯蔵弾性率を有する。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、懸濁液である。
【0404】
IV.治療使用
本明細書において提供される技術は、がんの処置に有用である。幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、がんの発症を遅延させるか、その進行を遅らせるか、またはその1つ以上の症状を改善するのに有用である。幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、原発性腫瘍の再成長を低減または阻害するのに有用である。幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、腫瘍再発及び/または転移の発生を低減または阻害するのに有用である。幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、抗腫瘍免疫を誘発するのに有用である。
【0405】
従って、本明細書において提供される幾つかの態様は、投与の必要がある対象の標的部位に本明細書に記載される生体材料調製物を含む組成物を投与する方法に関する。幾つかの実施形態では、このような組成物を投与される対象は、(例えば、外科的腫瘍切除による)腫瘍除去を受けていてもよく、または腫瘍除去を受けたことがあってもよい。幾つかの実施形態では、このような組成物を投与される対象は、腫瘍再発及び/または転移を有し得る。幾つかのかかる実施形態では、方法は、本明細書に記載される生体材料調製物を含む組成物の対象の腫瘍切除部位での手術時投与を含む。幾つかの実施形態では、本開示の方法において利用されるこのような提供される組成物は、本明細書に記載の医薬組成物として製剤化され得る。
【0406】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される方法は、提供される組成物を投与する必要がある対象の標的部位に、腫瘍の除去後に、例えば、当該対象の腫瘍重量に対して50%以上またはそれ以上(例えば、当該対象の腫瘍重量に対して55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上が含まれる)の除去後に投与することを含む。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される方法は、提供される組成物を投与する必要がある対象の標的部位に、当該対象の腫瘍容量に対して50%以上またはそれ以上(例えば、当該対象の腫瘍容量に対して55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上が含まれる)の除去後に投与することを含む。幾つかの実施形態では、本明細書において提供される方法は、提供される組成物の投与前に、腫瘍切除を実行して対象の腫瘍を除去することを含む。
【0407】
幾つかの実施形態では、本明細書において記載及び/または利用される組成物は、腫瘍切除術の対象の腫瘍が外科的腫瘍切除により除去された直後に、当該対象の標的部位に投与される。幾つかの実施形態では、本明細書において記載及び/または利用される組成物は、腫瘍切除術の対象の標的部位に手術時投与される。幾つかの実施形態では、本明細書において記載及び/または利用される組成物は、腫瘍切除術の対象の腫瘍が外科的腫瘍切除により除去された後の24時間以下以内(例えば、18時間以内、12時間以内、6時間以内、3時間以内、2時間以内、1時間以内、30分以内、またはそれ以下以内が含まれる)に当該対象の標的部位に手術後に投与される。幾つかの実施形態では、本明細書において記載及び/または利用される組成物は、外科的介入から12ヵ月以下以内(例えば、外科的介入の11ヵ月以内、10ヵ月以内、9ヵ月以内、8ヵ月以内、7ヵ月以内、6ヵ月以内、5ヵ月以内、4ヵ月以内、3ヵ月以内、2ヵ月以内、または1ヵ月以内が含まれる)の1つ以上の時点で1つ以上の標的部位に手術後に1回以上投与される。幾つかの実施形態では、本明細書において記載及び/または利用される組成物は、外科的介入の31日以内(例えば、30日以内、29日以内、28日以内、27日以内、26日以内、25日以内、24日以内、23日以内、22日以内、21日以内、20日以内、19日以内、18日以内、17日以内、16日以内、15日以内、14日以内、13日以内、12日以内、11日以内、10日以内、9日以内、8日以内、7日以内、6日以内、5日以内、4日以内、3日以内、2日以内、または1日以内が含まれる)の1つ以上の時点で1つ以上の標的部位に手術後に1回以上投与される。
【0408】
幾つかの実施形態では、投与の標的部位は、腫瘍切除部位であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、このような腫瘍切除部位は、総残存腫瘍抗原の欠如を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、このような腫瘍切除部位は、切除断端陰性(すなわち、例えば、腫瘍切除部位を囲む組織の組織学的評価に基づいて、顕微鏡的に切除断端にがん細胞がみられない)を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、このような腫瘍切除部位は、切除断端陽性(すなわち、例えば、腫瘍切除部位を囲む組織の組織学的評価に基づいて、顕微鏡的に切除断端にがん細胞がみられる)を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、このような腫瘍切除部位は、総残存腫瘍抗原の存在を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、投与の標的部位は、腫瘍切除部位に近接する部位であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、投与の標的部位は、腫瘍切除部位の4インチ以内(例えば、3.5インチ以内、3インチ以内、2.5インチ以内、2インチ以内、1.5インチ以内、1インチ以内、0.5インチ以内、0.4インチ以内、0.3インチ以内、0.2インチ以内、0.1インチ以内、またはそれ以下以内が含まれる)の部位であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、投与の標的部位は、腫瘍切除部位の10センチメートル以内(例えば、9センチメートル以内、8センチメートル以内、7センチメートル以内、6センチメートル以内、5センチメートル以内、4センチメートル以内、3センチメートル以内、2センチメートル以内、1センチメートル以内、0.5センチメートル以内、またはそれ以下以内が含まれる)の部位であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、投与の標的部位は、センチネルリンパ節であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、投与の標的部位は、流入領域リンパ節であるか、またはそれを含む。
【0409】
当業者により理解されるように、本開示に従って有用である組成物は、当該技術分野において公知の適切な送達手法を使用して、投与する必要がある対象の標的部位に投与され得る。例えば、幾つかの実施形態では、提供される技術は、注射による投与に適用できてもよい。幾つかの実施形態では、提供される技術は、例えば、通常、1つ以上の小切開を伴う最小侵襲手術(MIS)、例えば、ロボット支援MIS、ロボット手術、及び/または腹腔鏡手術による投与に適していてもよい。幾つかの実施形態では、提供される技術は、到達しやすい切除及び/または皮膚切除の状況における投与に適していてもよい。幾つかの実施形態では、提供される技術は、低侵襲的処置、例えば、最小侵襲手術(MIS)、例えば、ロボット支援MIS、ロボット手術、及び/または腹腔鏡手術、及び/または1つ以上の到達しやすい切除及び/または皮膚切除を伴う処置の一部としての手術中の(例えば、注射による)投与に適していてもよい。幾つかの実施形態では、提供される技術は、例えば、幾つかの実施形態では、低侵襲投与のためにロボット手術システム(例えば、da Vinci System)を必要とする、(例えば、注射による)投与に適していてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、注射に有用であり得、及び/または低侵襲的処置、例えば、最小侵襲手術(MIS)、例えば、ロボット支援MIS、ロボット手術、及び/または腹腔鏡手術、及び/または1つ以上の到達しやすい切除及び/または皮膚切除を伴う処置の状況において有用であり得る組成物は液体であり、このような組成物中に提供される生体材料調製物は、対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に注射されると、液体溶液状態からポリマーネットワーク状態(例えば、ハイドロゲル)に移行し、幾つかの実施形態では、このような移行が当該対象の体温への曝露により引き起こされるポリマー溶液(例えば、粘性ポリマー溶液)であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、構造的完全性に悪影響を及ぼすことなく圧縮可能である事前に形成されたポリマーネットワーク生体材料の生体材料調製物は、例えば、低侵襲的処置、例えば、最小侵襲手術(MIS)、例えば、ロボット支援MIS、ロボット手術、及び/または腹腔鏡手術及び/または腹腔鏡処置により注入され得る。
【0410】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、移植による投与に適用できてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、本開示による組成物中に提供される生体材料調製物は、事前に形成されたポリマーネットワーク生体材料である。例示的なポリマーネットワーク生体材料は、ヒドロゲルであるか、またはそれを含む。例えば、幾つかの実施形態では、提供される組成物は、外科移植により腫瘍切除部位(例えば、腫瘍切除により生じた空洞容量)に投与され得る。幾つかの実施形態では、提供される組成物は、外科移植により腫瘍切除部位に投与され得、生体接着剤により固定され得る。幾つかの実施形態では、投与は、手術中に(すなわち、腫瘍切除の直後に)実行され得る。
【0411】
幾つかの実施形態では、例えば、抗腫瘍免疫などの所望の治療効果(複数可)を達成するための生体材料調製物及び/またはそれに組み込まれる治療薬の量は、例えば、対象の性別、年齢、及び全身状態、がんの種類及び/または重症度、提供される組成物の有効性などに応じて対象によって異なり得る。
【0412】
幾つかの実施形態では、本開示は、生体材料調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)及び骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーター(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む組成物の投与が抗腫瘍免疫を提供するのに十分であり、従って、例えば、(例えば、本明細書に記載される)投与の必要がある対象への腫瘍抗原の投与及び/または免疫細胞(例えば、T細胞)の養子移入を必ずしも必要としないような技術を提供する。従って、幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、対象が本明細書において記載及び/または利用される組成物を投与された後の、例えば、1ヵ月以下以内(例えば、3週間以内、2週間以内、1週間以内、5日以内、3日以内、1日以内、12時間以内、6時間以内が含まれる)に当該対象に腫瘍抗原を投与することを含まない。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、対象が本明細書において記載及び/または利用される組成物を投与された後の、例えば、1ヵ月以下以内(例えば、3週間以内、2週間以内、1週間以内、5日以内、3日以内、1日以内、12時間以内、6時間以内が含まれる)の当該対象への免疫細胞(例えば、T細胞)の養子移入を含まない。
【0413】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、対象のがんの処置に有用である。幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、切除可能な腫瘍の処置に使用される。幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、固形腫瘍(例えば、限定されるものではないが、芽細胞腫、がん腫、胚細胞腫瘍、及び/または肉腫)の処置に使用される。幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、脾臓またはリンパ系以外の組織、例えば、甲状腺または胃に存在するリンパ腫の処置に使用される。
【0414】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、限定されるものではないが、聴神経腫;腺癌;副腎癌;肛門癌;血管肉腫(例えば、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、血管肉腫);虫垂癌;良性単クローン免疫グロブリン症;胆道癌(例えば、胆管癌);胆管癌;膀胱癌;骨癌;乳房癌(例えば、乳房の腺癌、乳房の乳頭状癌、乳癌、乳房の髄様癌);脳癌(例えば、髄膜腫、神経膠芽腫、神経膠腫(例えば、星細胞腫、乏突起膠腫)、髄芽腫);気管支癌;カルチノイド腫瘍;心臓腫瘍;子宮頚癌(例えば、子宮頚部腺癌);絨毛癌;脊索腫;頭蓋咽頭腫;結腸直腸癌(例えば、結腸癌、直腸癌、結腸直腸腺癌);結合組織癌;上皮性癌;乳管内上皮内癌;上衣腫;内皮肉腫(例えば、カポシ肉腫、多発性特発性出血性肉腫);子宮内膜癌(例えば、子宮癌、子宮肉腫);食道癌(例えば、食道の腺癌、バレット腺癌);ユーイング肉腫;眼癌(例えば、眼球内黒色腫、網膜芽細胞腫);家族性過好酸球増加症;胆嚢癌;胃癌(例えば、胃腺癌);胃腸管間質腫瘍(GIST);胚細胞癌;頭頚部癌(例えば、頭頚部扁平上皮癌)、口腔癌(例えば、口腔扁平上皮癌)、咽喉癌(例えば、咽頭(laryngeal)癌、咽頭(pharyngeal)癌、上咽頭癌、中咽頭癌);造血器癌(例えば、リンパ腫、原発性肺リンパ腫、気管支関連リンパ組織リンパ腫、脾リンパ腫、節性辺縁帯リンパ腫、小児B細胞非ホジキンリンパ腫);血管芽腫;組織球増加症;下咽頭癌;炎症性筋線維芽細胞性腫瘍;免疫細胞アミロイドーシス;腎臓癌(例えば、腎芽腫(別名ウィルムス腫瘍)、腎細胞癌);肝臓癌(例えば、肝細胞癌(HCC)、悪性ヘパトーマ);肺癌(例えば、気管支原性癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺の腺癌);平滑筋肉腫(LMS);黒色腫;正中線癌;多発性内分泌腫瘍症候群;筋肉癌;中皮腫;鼻咽頭癌;神経芽細胞腫;神経線維腫(例えば、1型または2型神経線維腫症(NF)、神経鞘腫症);神経内分泌癌(例えば、膵消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)、カルチノイド腫瘍);骨肉腫(例えば、骨癌);卵巣癌(例えば、嚢胞腺癌、卵巣胎児性癌、卵巣腺癌);乳頭状腺癌;膵臓癌(例えば、膵臓腺癌、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、膵島細胞腫瘍);副甲状腺癌;乳頭状腺癌;陰茎癌(例えば、陰茎及び陰嚢のパジェット病);咽頭癌;松果体腫;下垂体癌;胸膜肺芽腫;原始神経外胚葉性腫瘍(PNT);形質細胞腫瘍;腫瘍随伴症候群;上皮内腫瘍;前立腺癌(例えば、前立腺腺癌);直腸癌;横紋筋肉腫;網膜芽細胞腫;唾液腺癌;皮膚癌(例えば、扁平上皮癌(SCC)、ケラトアカントーマ(KA)、黒色腫、基底細胞癌(BCC));小腸癌(例えば、虫垂癌);軟部組織肉腫(例えば、悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫);脂腺癌;胃癌;小腸癌;汗腺癌;滑膜腫;精巣癌(例えば、精上皮腫、精巣胎児性癌);胸腺癌;甲状腺癌(例えば、甲状腺の乳頭癌、甲状腺乳頭癌(PTC)、甲状腺髄様癌);尿道癌;子宮癌;膣癌;外陰癌(例えば、外陰部パジェット病)、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる、がんを処置するのに有用である。
【0415】
ある特定の実施形態では、がんは、乳癌である。ある特定の実施形態では、がんは、皮膚癌である。ある特定の実施形態では、がんは、黒色腫である。ある特定の実施形態では、がんは、肺癌である。ある特定の実施形態では、がんは、腎臓癌である。ある特定の実施形態では、がんは、肝臓癌である。ある特定の実施形態では、がんは、膵臓癌である。ある特定の実施形態では、がんは、結腸直腸癌である。ある特定の実施形態では、がんは、膀胱癌である。ある特定の実施形態では、がんは、リンパ腫である。ある特定の実施形態では、がんは、前立腺癌である。ある特定の実施形態では、がんは、甲状腺癌である。ある特定の実施形態では、がんは、脳癌である。ある特定の実施形態では、がんは、胃癌である。ある特定の実施形態では、がんは、食道癌である。
【0416】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、腺癌、副腎癌、肛門癌、血管肉腫、虫垂癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳癌、乳癌、気管支癌、カルチノイド腫瘍、心臓腫瘍、子宮頸癌、絨毛癌、脊索腫、結腸直腸癌、結合組織癌、頭蓋咽頭腫、乳管内上皮内癌、内皮肉腫、子宮内膜癌、上衣腫、上皮性癌、食道癌、ユーイング肉腫、眼癌、家族性過好酸球増加症、胆嚢癌、胃癌、消化管カルチノイド腫瘍、胃腸管間質腫瘍(GIST)、胚細胞癌、頭頸部癌、血管芽腫、組織球増加症、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、上皮内腫瘍、免疫細胞アミロイドーシス、カポジ肉腫、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、平滑筋肉腫(LMS)、黒色腫、正中線癌、多発性内分泌腫瘍症候群、筋肉癌、中皮腫、骨髄増殖性疾患(MPD)、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、神経線維腫、神経内分泌癌、非ホジキンリンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、腫瘍随伴症候群、副甲状腺癌、乳頭状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、松果体腫、下垂体癌、胸膜肺芽腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNT)、形質細胞腫瘍、前立腺癌、直腸癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、脂腺癌、皮膚癌、小腸癌(small bowel cancer)、小腸癌(small intestine cancer)、軟部組織肉腫、胃癌、汗腺癌、滑膜腫、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮癌、膣癌、血管癌、外陰癌、またはそれらの組み合わせを処置するのに有用である。
【0417】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される方法は、提供される組成物を(例えば、本明細書に記載される)腫瘍切除術の対象の標的部位に投与すること、及び任意に、投与後に、例えば、投与後の3ヵ月またはより長期間毎(例えば、6ヵ月毎、9ヵ月毎、1年毎、またはより長期間毎が含まれる)に当該対象における腫瘍再成長または腫瘍増殖(tumor outgrowth)のリスクまたは発生について腫瘍切除部位または遠位部位をモニタリングすること、を含み得る。モニタリングレポートに基づいて対象が腫瘍再発のリスクまたは発生を有すると判定される場合、幾つかの実施形態では、対象は、(例えば、本明細書に記載される)第2の組成物を投与され得、及び/または異なる治療計画(例えば、化学療法)を実施され得る。
【0418】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、転移がんに罹患している対象を処置するのに有用であり得る。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書において提供される方法は、腫瘍切除(例えば、原発性腫瘍の外科的切除)を受けた1つ以上の転移に罹患している対象の(例えば、本明細書に記載される)標的部位に投与すること、及び任意に、投与後に、例えば、投与後の3ヵ月またはより長期間毎(例えば、6ヵ月毎、9ヵ月毎、1年毎、またはより長期間毎が含まれる)に当該対象における少なくとも1つの転移部位をモニタリングすること、を含み得る。モニタリングレポートの結果に基づいて、幾つかの実施形態では、対象は、(例えば、本明細書に記載される)第2の組成物を投与され得、及び/または異なる治療計画(例えば、化学療法)を実施され得る。
【0419】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、提供される組成物を腫瘍切除前に投与することを含まない。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法は、提供される組成物を腫瘍切除前に投与することを含む。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、提供される組成物を腫瘍切除と同時に腫瘍切除部位に投与することを含む。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、提供される組成物を腫瘍切除後に腫瘍切除部位に投与することを含む。
【0420】
必ずしも必要ではないが、本明細書に記載の組成物が1種以上の追加の医薬品と組み合わせて投与され得ることも理解されるであろう。例えば、組成物は、それらの代謝を低減及び/または修飾し、それらの排泄を阻害し、及び/または身体内でのそれらの分布を修飾する追加の医薬品と組み合わせて投与され得る。用いられる追加の治療法は、同一の障害について所望の効果を達成し得、及び/または異なる効果を達成し得ることも理解されるであろう。ある特定の実施形態では、追加の医薬品は、養子移入細胞ではない。ある特定の実施形態では、追加の医薬品は、T細胞ではない。ある特定の実施形態では、追加の医薬品は、本明細書に記載の組成物の投与の複数日または複数週間後に投与される。
【0421】
ある特定の実施形態では、治療される対象は、哺乳動物である。ある特定の実施形態では、対象は、ヒトである。ある特定の実施形態では、対象は、腫瘍切除されるヒト対象である。ある特定の実施形態では、対象は、(術前)ネオアジュバント療法を受けたヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、ネオアジュバント療法を受けていないヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、(術前)ネオアジュバント化学療法を受けたヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、ネオアジュバント放射線療法を受けたヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、(術前)ネオアジュバント化学療法を受けていないヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、ネオアジュバント化学療法及び/または放射線療法を受けたヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、ネオアジュバント放射線療法を受けていないヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、ネオアジュバント分子標的療法を受けたヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、ネオアジュバント分子標的療法を受けていないヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、ネオアジュバント化学療法を受けていないヒト患者である。幾つかの実施形態では、対象は、免疫チェックポイント遮断薬療法を受けているか、受けたか、または受ける予定である。ある特定の実施形態では、対象は、免疫チェックポイント遮断薬療法を受けている。幾つかの実施形態では、対象は、ある特定の他のがん治療(例えば、限定されるものではないが、同時刺激、腫瘍溶解性ウイルス、CAR T細胞、トランスジェニックTCR、TIL、ワクチン、BiTE、ADC、サイトカイン、自然免疫のモジュレーター、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる)を受けているか、受けたか、または受ける予定である。ある特定の実施形態では、対象は、免疫チェックポイント遮断薬(例えば、抗CTLA-4、抗PD-1、及び/または抗PD-L1)が含まれるネオアジュバント免疫療法を受けたヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、免疫チェックポイント遮断薬(例えば、抗CTLA-4、抗PD-1、及び/または抗PD-L1)が含まれるネオアジュバント免疫療法を受けておらず、及び/または受ける予定がないヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、腫瘍がネオアジュバント療法に客観的に(固形がん効果判定基準(RECIST)または免疫関連効果判定基準(irRC)により定義されるように)反応しなかった(例えば、安定疾患、進行)ヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、標的病変がネオアジュバント療法に客観的に反応した、及び/または客観的に反応している(例えば、部分奏効、完全奏効)ヒト患者である。非標的病変は、不完全反応、安定疾患、または進行を示し得る。ある特定の実施形態では、対象は、(術後)補助療法として免疫療法を受けるのに適しているヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、家畜化された動物、例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、またはヤギである。ある特定の実施形態では、対象は、伴侶動物、例えば、イヌまたはネコである。ある特定の実施形態では、対象は、家畜動物、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、またはヤギである。ある特定の実施形態では、対象は、動物園動物である。別の実施形態では、対象は、研究動物、例えば、げっ歯類、ブタ、イヌ、または非ヒト霊長類である。ある特定の実施形態では、対象は、非ヒトトランスジェニック動物、例えば、トランスジェニックマウスまたはトランスジェニックブタである。
【0422】
V.キット
本開示は、本明細書において提供される技術を実施するのに有用であるキットも提供する。幾つかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の組成物または医薬組成物及び容器(例えば、バイアル、アンプル、ボトル、シリンジ、及び/またはディスペンサー容器、または他の好適な容器)を含む。幾つかの実施形態では、キットは、単回使用物品及び/または複数回使用物品として提供され得る送達技術、例えば、シリンジ、バッグなど、またはそれらの構成要素を含む。幾つかの実施形態では、本明細書に記載の組成物または医薬組成物の1種以上の成分(複数可)は、1つ以上の容器中に別々に提供される。例えば、組成物(例えば、本明細書に記載されるもの)の個々の成分は、幾つかの実施形態では、別個の容器で提供され得る。幾つかのかかる実施形態では、生体材料の個々の成分(例えば、本明細書に記載されるもの、例えば、限定されるものではないが、ヒアルロン酸、キトサン、ポロキサマーなど)は、それぞれ独立して、乾燥した凍結乾燥粉末、乾燥粒子、または液体として提供され得る。幾つかの実施形態では、組成物の個々の成分は、容器内の単一の混合物として提供され得る。幾つかのかかる実施形態では、単一の混合物は、乾燥した凍結乾燥粉末、乾燥粒子、または液体(例えば、均質の液体)として提供され得る。
【0423】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、容器内の(骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターが組み込まれた)事前に形成されたポリマーネットワーク生体材料として提供され得る。幾つかの実施形態では、このような事前に形成されたポリマーネットワーク生体材料(例えば、ハイドロゲル)は、乾燥状態で提供され得る。幾つかの実施形態では、(粘性ポリマー溶液の形態の)このような事前に形成されたポリマーネットワーク生体材料は、容器で提供され得る。
【0424】
幾つかの実施形態では、提供されるキットは、本明細書に記載の組成物または医薬組成物の希釈または懸濁のための医薬品賦形剤を含む容器を任意に含み得る。幾つかの実施形態では、提供されるキットは、水溶液を含む容器を含み得る。幾つかの実施形態では、提供されるキットは、緩衝液を含む容器を含み得る。
【0425】
幾つかの実施形態では、提供されるキットは、本明細書に記載される治療薬などのペイロードを含み得る。例えば、幾つかの実施形態では、ペイロードは、対象への投与前にそれを(例えば、本明細書に記載される)生体材料調製物の液体混合物に添加できるように別個の容器で提供され得る。幾つかの実施形態では、ペイロードは、本明細書に記載される生体材料調製物に組み込まれ得る。
【0426】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるキットは、本明細書に記載される方法を実施するための使用説明書を更に含む。本明細書に記載されるキットは、必要に応じて、米国食品医薬品局(FDA)などの規制機関による情報も含み得る。ある特定の実施形態では、本明細書において提供されるキットに含まれる情報は、例えば、がんの処置のための処方情報である。使用説明書は、種々の形態でキットに存在し得、これらのうちの1つ以上がキットに存在し得る。これらの使用説明書が存在し得る1つの形態は、好適な媒体または基材に印刷された情報、例えば、キットのパッケージング、添付文書などの情報が印刷されている紙または複数の紙としてである。更に別の手段は、使用説明情報が記録されたコンピュータ可読媒体、例えば、ディスケット、CD、USBドライブなどであり得る。存在し得る更に別の手段は、使用説明情報にアクセスするためにインターネットを介して使用され得るウェブサイトアドレスである。任意の便利な手段がキットに存在し得る。
【0427】
本発明の他の特徴は、以下の代表的実施形態の説明を通じて明らかとなるであろう。それらの代表的実施形態は、本発明の説明のために提供するものであり、本発明を限定することを意図しない。
【実施例
【0428】
本明細書に記載される本発明をより完全に理解することができるように、以下の実施例が記載される。これらの実施例は、例示目的にすぎず、本発明を如何様にも制限するものとして解釈するべきではないことを理解すべきである。
【0429】
実施例1.骨髄由来抑制細胞のモジュレーターの組み込み及び放出のための例示的な組成物の特徴付け。
幾つかの実施形態では、例示的な組成物は、その中に組み込まれた1種以上のペイロード(例えば、骨髄由来抑制細胞のモジュレーター)の一定期間にわたる放出を提供するのに有用であり得る。本実施例は、(例えば、ポロキサマー及び/または炭水化物ポリマー、例えば、ヒアルロン酸及び/またはキトサンもしくはそのバリアントを含み得る)本明細書に記載される生体材料組成物を含むある特定の試験組成物の、その中に組み込まれた骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターの一定期間にわたる放出についての特徴付けを記載する。幾つかの実施形態では、組み込まれた骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターは、親水性薬剤であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかのかかる実施形態では、組み込まれた骨髄由来抑制細胞機能の親水性モジュレーターのうちの少なくとも10%(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、またはそれ以上が含まれる)が、6時間、12時間、18時間、24時間、48時間、72時間、またはより長時間にわたって放出され得る。幾つかの実施形態では、組み込まれた骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターは、親油性薬剤であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかのかかる実施形態では、組み込まれた骨髄由来抑制細胞機能の親油性モジュレーターのうちの少なくとも10%(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、またはそれ以上が含まれる)が、6時間、12時間、18時間、24時間、48時間、72時間、またはより長時間にわたって放出され得る。
【0430】
幾つかの実施形態では、例示的な組成物からの組み込まれた骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターの放出動態がインビトロで評価され得る。ある特定の実施形態では、PBS(pH7.4)中の例示的な骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターのインビトロでの放出率が37℃で評価され得る。幾つかの実施形態では、例示的な骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターのうちの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%が組成物調製物の試験の開始時点から約12時間以内に放出される。幾つかの実施形態では、例示的な骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターのうちの100%未満、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、または10%未満が組成物調製物の試験開始時点から約3時間以内に放出される。
【0431】
幾つかの実施形態では、例示的な組成物からの組み込まれた骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターの放出動態がインビボで評価され得る。ある特定の実施形態では、例示的な骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターのインビボでの放出率がマウス対象の乳房脂肪パッドに組成物を投与することにより評価され得る。幾つかの実施形態では、例示的な骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターのうちの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%が組成物移植時点から約12時間以内にインビボで放出される。幾つかの実施形態では、例示的な組成物の容量及び/または重量のうちの100%未満、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、または10%未満が組成物移植時点から約4ヵ月以内に存在する。
【0432】
実施例2.本明細書に記載される例示的な組成物の調製及び使用
本実施例は、特に、腫瘍切除を受けた1つ以上の対象の生存を延長する能力を評価することによる、ポリマー生体材料及び骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターを含む例示的な組成物の識別及び/または特徴付けを記載する。従って、本実施例は、(例えば、本明細書に記載されるように)がん処置に有用であり得る、ポリマー生体材料及び骨髄由来抑制細胞のモジュレーターを含む例示的な組成物の識別及び/または特徴付けも記載する。幾つかの実施形態では、ポリマー生体材料及び骨髄由来抑制細胞のモジュレーターを含むこのような例示的な組成物は、骨髄由来抑制細胞(例えば、好中球)を阻害し得、調節し得、及び/または枯渇させ得る。
【0433】
幾つかの実施形態では、ポリマー生体材料及び骨髄由来抑制細胞のモジュレーターを含む組成物の腫瘍切除後の標的部位への投与は、腫瘍切除を受けた対象の生存期間を、このような組成物が投与されない場合(例えば、骨髄由来抑制細胞のモジュレーターを含有しないポリマー生体材料)に観察される生存期間と比較して延長させる。
【0434】
幾つかの実施形態では、がんの動物モデルが、ポリマー生体材料及び骨髄由来抑制細胞のモジュレーターを含む組成物を識別し、及び/または特徴付けるために使用され得る。例えば、腫瘍切除が担腫瘍マウスに実行され、本明細書に記載される組成物、例えば、ポリマー生体材料及び骨髄由来抑制細胞のモジュレーターを含む組成物が腫瘍切除部位に投与される。次いで、処置された対象の生存がモニタリングされる。幾つかの実施形態では、ポリマー生体材料及び骨髄由来抑制細胞のモジュレーターを含む組成物は、それが本実施例に記載されるようにインビボで試験される場合に、処置された対象の生存期間を、対照標準(例えば、ポリマー生体材料及び骨髄由来抑制細胞のモジュレーターを含む組成物が投与されない対照)において観察される生存期間比較して、例えば、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも2ヵ月、少なくとも3ヵ月、少なくとも4ヵ月、少なくとも5ヵ月、少なくとも6ヵ月、またはより長期間延長することを特徴とする場合、本開示に基づき有用であるとみなされ、及び/または決定される。例えば、幾つかの実施形態では、対照標準は、骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターの非存在下でのポリマー生体材料の投与であり得る。幾つかの実施形態では、対照標準は、溶液中の骨髄由来抑制細胞機能のモジュレーターの投与であり得る。あるいは、幾つかの実施形態では、生体材料調製物及び骨髄由来抑制細胞のモジュレーターを含む提供される組成物は、このような組成物が、腫瘍切除部位への投与後に、腫瘍切除後(例えば、試験対象がマウス対象である場合、腫瘍切除の少なくとも1ヵ月後、または試験対象がヒト対象である場合、腫瘍切除の少なくとも3ヵ月後)の腫瘍再発及び/または転移の発生率を、(例えば、上記のような)対照標準において観察される発生率と比較して、例えば、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)低減する場合に、本開示によるがんの処置(例えば、腫瘍再発または転移の予防またはその可能性の低減が含まれる)に有用であるとみなされ、及び/または決定される。
【0435】
幾つかの実施形態では、雌のBALB/cJマウスに、100,000個の乳癌細胞(例えば、4T1-Luc2細胞)が同所性に接種される。10日後に腫瘍が外科的に切除され、(i)本明細書に記載される組成物、例えば、ポリマー生体材料及び骨髄由来抑制細胞のモジュレーターを含む組成物、(ii)ポリマー生体材料を含み、骨髄由来抑制細胞のモジュレーターを含有しない組成物、及び/または(iii)陰性対照組成物(例えば、このような組成物を含有しない緩衝液)のいずれかが切除空洞に投与される。抗腫瘍免疫の誘発について調査するために、動物の生存がモニタリングされ得る。幾つかの実施形態では、ポリマー生体材料及び骨髄由来抑制細胞のモジュレーターを含む組成物が、例えば、骨髄由来抑制細胞(例えば、好中球)の動員及び/または生存及び/または増殖を調節することにより、機構的に機能することを確認するために、動物の生存が骨髄由来抑制細胞(例えば、好中球)の動員及び/または生存及び/または増殖の阻害後にモニタリングされ得る。幾つかの実施形態では、ポリマー生体材料及び骨髄由来抑制細胞のモジュレーターを含む投与された組成物が骨髄由来抑制細胞のエフェクター機能を調節することにより機構的に機能することを確認するために、動物の生存が(例えば、本明細書に記載される)骨髄由来抑制細胞のエフェクター機能の調節後にモニタリングされ得る。
【0436】
投与された組成物が抗腫瘍適応免疫応答を誘発するかどうかを評価するために、動物の生存が特定の白血球サブセット(例えば、NK細胞、CD4T細胞、またはCD8T細胞)の枯渇後にモニタリングされ得る。
【0437】
例示的な液体調製物:幾つかの実施形態では、ポリマー生体材料及び骨髄由来抑制細胞のモジュレーターを含む組成物の液体調製物は、以下の通りに調製される。例えば、一例では、1~5重量パーセント(重量%)のキトサン(例えば、限定されるものではないが、カルボキシメチルキトサン)及び12.5%以下(例えば、幾つかの実施形態では、6~11%)の濃度のポロキサマー407(P407)が、注射投与に適切な緩衝系中に調製される。幾つかの実施形態では、2.5重量パーセント(重量%)のカルボキシメチルキトサン(CMCH)(例えば、Heppe Medical Chitosanから入手、製品番号43002、ロット番号312-210519-02)及び12.5%以下の濃度のポロキサマー407(P407)(例えば、幾つかの実施形態では、6~11重量%)が、注射投与に適切な緩衝系中に調製される。別の例では、5重量%のCMCH(例えば、Heppe Medical Chitosanから入手、製品番号43002、ロット番号312-210519-02)及び12.5%以下(例えば、幾つかの実施形態では、6~11重量%)の濃度のP407が、注射投与に適切な緩衝系中に調製される。別の例では、1~10重量%の低分子量(500kDa未満(例えば、幾つかの実施形態では、100~200kDa))のヒアルロン酸(HA)及び6~11重量%(例えば、幾つかの実施形態では、10重量%)の濃度のP407が、注射投与に適切な緩衝系中に調製される。別の例では、1~5重量%の高分子量(500kDa超(例えば、幾つかの実施形態では、700~800kDa))のヒアルロン酸(HA)及び6~11重量%(例えば、幾つかの実施形態では、9重量%)の濃度のP407が、注射投与に適切な緩衝系中に調製される。別の例では、1~5重量%の高分子量(500kDa超(例えば、幾つかの実施形態では、700~800kDa))のヒアルロン酸(HA)及び6~11重量%(例えば、幾つかの実施形態では、11重量%)の濃度のP407が、注射投与に適切な緩衝系中に調製される。例えば、幾つかの実施形態では、このような緩衝系は、生理的pHを有する。液体調製物は、投与用の1mLのシリンジに充填される。骨髄由来抑制細胞のモジュレーター(複数可)は、ポリマー生体材料組成物と混合される。
【0438】
例示的なマウス腫瘍モデル:幾つかの実施形態では、動物実験は、6~8週齢の雌性BALB/cマウス(Jackson Laboratories、#000651)を使用して実行される。動物生存試験のために、約10個の4T1-Luc2細胞が、マウスの第4乳房脂肪パッドに同所性に接種される。腫瘍サイズがカリパスにより測定される。サイズを一致させた後、マウスが処置群に無作為に割り当てられ、腫瘍接種の10日後に手術が実行される。原発腫瘍切除のために、マウスが2%のイソフルランで麻酔をかけられ、腫瘍が切除され、ポリマー生体材料及び骨髄由来抑制細胞のモジュレーターを含む組成物が手術時に腫瘍切除部位に投与される。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及び骨髄由来抑制細胞のモジュレーターを含む組成物は、体温でゲル化し、手術時に腫瘍切除部位に投与される。
【0439】
実施例3.BTK阻害剤を含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びBTK阻害剤(例えば、ザヌブルチニブ)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、BTK阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較してより長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びBTK阻害剤(例えば、ザヌブルチニブ)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、BTK阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較してより高い生存率を示す。
【0440】
図1に示すように、10w/w%のポロキサマー407及び3w/w%の187kDaのHAのポリマー生体材料をBTK阻害剤(例えば、ザヌブルチニブ、例えば、幾つかの実施形態では、1.25mg/マウスの用量のザヌブルチニブ)と共に含む組成物を腫瘍切除部位に投与された腫瘍切除マウス群は、10w/w%のポロキサマー407及び3w/w%の187kDaのHAを含み、BTK阻害剤を含有しない組成物を投与された対照群、ならびに15w/w%のポロキサマー407を含む組成物を投与された対照群と比較して、より長期間にわたり生存した。
【0441】
実施例4.CSF1R阻害剤を含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びCSF1R阻害剤(例えば、エディコチニブ)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、CSF1R阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びCSF1R阻害剤(例えば、エディコチニブ)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、CSF1R阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0442】
実施例5.チロシンキナーゼ阻害剤を含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、ダサチニブ)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、チロシンキナーゼ阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、ダサチニブ)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、チロシンキナーゼ阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0443】
実施例6.COX1及び/またはCOX2阻害剤を含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料ならびにCOX1及び/またはCOX2阻害剤(例えば、ケトロラク)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、COX1及び/またはCOX2阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料ならびにCOX1及び/またはCOX2阻害剤(例えば、ケトロラク)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、COX1及び/またはCOX2阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0444】
図2A及び2Bに示すように、10w/w%のポロキサマー407及び3w/w%の187kDaのHAのポリマー生体材料をCOX1及び/またはCOX2阻害剤(例えば、ケトロラク、例えば、幾つかの実施形態では、6mg/マウスまたは9mg/マウスの用量のケトロラク)と共に含む組成物を腫瘍切除部位に投与された腫瘍切除マウス群は、COX1及び/またはCOX2阻害剤を含有しない10w/w%のポロキサマー407及び3w/w%の187kDaのHAの組成物を投与された対照群、ならびに15w/w%のポロキサマー407を含む組成物を投与された対照群と比較して、より長期間にわたり生存した。図3に示すように、COX1及び/またはCOX2阻害剤(例えば、限定されるものではないが、ケトロラクトロメタミンなどのケトロラクの塩が含まれる、ケトロラク、例えば、幾つかの実施形態では、1.2mg/マウスの用量のケトロラク)を含有する、9w/w%のポロキサマー407及び2.2w/w%の766kDaのHAのポリマー生体材料の組成物を腫瘍切除部位に投与された腫瘍切除マウス群は、9w/w%のポロキサマー407及び2.2w/w%の766kDaのHAを含み、COX1及び/またはCOX2阻害剤を含有しない組成物を投与された対照群と比較して、より長期間にわたり生存した。
【0445】
ある特定の実施形態では、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、ポリマー生体材料(例えば、ポロキサマーを含む)ならびにCOX1及び/またはCOX2阻害剤(例えば、ロルノキシカム)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与され得る。幾つかの実施形態では、このような腫瘍切除マウス群は、COX1及び/またはCOX2阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存し得る。加えて、ポリマー生体材料ならびにCOX1及び/またはCOX2阻害剤(例えば、ロルノキシカム)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、COX1及び/またはCOX2阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示し得る。
【0446】
実施例7.特異的炎症収束性メディエーターを含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、ポリマー生体材料(例えば、ポロキサマーを含む)及び特異的炎症収束性メディエーター(例えば、RvD2)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与され得る。幾つかの実施形態では、このような腫瘍切除マウス群は、特異的炎症収束性メディエーターを含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存し得る。加えて、ポリマー生体材料及び特異的炎症収束性メディエーター(例えば、RvD2)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、特異的炎症収束性メディエーターを含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示し得る。
【0447】
図4に示すように、10w/w%のポロキサマー407及び3w/w%の187kDaのHAのポリマー生体材料を特異的炎症収束性メディエーター(例えば、レゾルビンD2(RvD2)、例えば、幾つかの実施形態では、2.5μg/マウスの用量のレゾルビンD2(RvD2))と共に含む組成物を腫瘍切除部位に投与された腫瘍切除マウス群は、特異的炎症収束性メディエーターを含有しない10w/w%のポロキサマー407及び3w/w%の187kDaのHAの組成物を投与された対照群、ならびに15w/w%のポロキサマー407を含む組成物を投与された対照群と比較して、より長期間にわたり生存した。
【0448】
ある特定の実施形態では、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、ポリマー生体材料(例えば、ポロキサマーを含む)及び特異的炎症収束性メディエーター(例えば、LXA)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与され得る。幾つかの実施形態では、このような腫瘍切除マウス群は、特異的炎症収束性メディエーターを含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存し得る。加えて、ポリマー生体材料及び特異的炎症収束性メディエーター(例えば、LXA)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、特異的炎症収束性メディエーターを含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示し得る。
【0449】
実施例8.PDE5阻害剤を含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びPDE5阻害剤(例えば、シルデナフィル)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、PDE5阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びPDE5阻害剤(例えば、シルデナフィル)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、PDE5阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0450】
実施例9.IAP阻害剤を含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びIAP阻害剤(例えば、ビリナパント)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、IAP阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びIAP阻害剤(例えば、ビリナパント)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、IAP阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0451】
実施例10.TGFβR1阻害剤を含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びTGFβR1阻害剤(例えば、ガルニセルチブ)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、TGFβR1阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びTGFβR1阻害剤(例えば、ガルニセルチブ)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、TGFβR1阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0452】
実施例11.C-Cモチーフケモカインシグナル伝達経路及び/またはC-X-Cモチーフケモカインシグナル伝達経路の阻害剤を含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びCCR2阻害剤(例えば、BMS-813160)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、CCR2阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びCCR2阻害剤(例えば、BMS-813160)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、CCR2阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0453】
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びCCR2阻害剤(例えば、BMS CCR2 22)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、CCR2阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びCCR2阻害剤(例えば、BMS CCR2 22)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、CCR2阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0454】
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びCCR2阻害剤(例えば、MK-0812)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、CCR2阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びCCR2阻害剤(例えば、MK-0812)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、CCR2阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0455】
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びCCR2阻害剤(例えば、CCX872)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、CCR2阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びCCR2阻害剤(例えば、CCX872)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、CCR2阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0456】
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びCCR2阻害剤(例えば、PF-04136309)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、CCR2阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びCCR2阻害剤(例えば、PF-04136309)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、CCR2阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0457】
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びCCL2阻害剤(例えば、ビンダリット)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、CCL2阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びCCL2阻害剤(例えば、ビンダリット)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、CCL2阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0458】
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びCXCR1/2阻害剤(例えば、レパリキシン)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、CXCR1/2阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びCXCR1/2阻害剤(例えば、レパリキシン)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、CXCR1/2阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0459】
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びCXCR4/CXCL12シグナル伝達阻害剤(例えば、プレリキサホル)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、CXCR4/CXCL12シグナル伝達阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びCXCR4/CXCL12シグナル伝達阻害剤(例えば、プレリキサホル)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、CXCR4/CXCL12シグナル伝達阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0460】
図5に示すように、CXCR4/CXCL12シグナル伝達阻害剤(例えば、プレリキサホル、例えば、幾つかの実施形態では、1.25mg/マウスの用量のプレリキサホル)を含有する、10w/w%のポロキサマー407及び3w/w%の187kDaのHAを含むポリマー生体材料の組成物を腫瘍切除部位に投与された腫瘍切除マウス群は、CXCR4/CXCL12シグナル伝達阻害剤を含有しない10w/w%のポロキサマー407及び3w/w%の187kDaのHAの組成物を投与された対照群、ならびに15w/w%のポロキサマー407の組成物を投与された対照群と比較して、より長期間にわたり生存した。
【0461】
実施例12.メトホルミンを含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びメトホルミンを含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、メトホルミンを含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びメトホルミンを含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、メトホルミンを含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0462】
実施例13.NOD1/2阻害剤を含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びNOD1/2阻害剤(例えば、M-TriDAP)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、NOD1/2阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びNOD1/2阻害剤(例えば、M-TriDAP)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、NOD1/2阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0463】
実施例14.TREM-1及び/またはTREM-2阻害剤を含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びTREM-1阻害剤(例えば、PY159)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、TREM-1阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びTREM-1阻害剤(例えば、PY159)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、TREM-1阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0464】
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びTREM-2阻害剤(例えば、PY314)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、TREM-2阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びTREM-2阻害剤(例えば、PY314)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、TREM-2阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0465】
実施例15.カテプシンG阻害剤を含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びカテプシンG阻害剤(例えば、アプロチニン)を含む本明細書に記載される組成物をカテプシンG阻害剤(例えば、アプロチニン)投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、カテプシンG阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びカテプシンG阻害剤(例えば、アプロチニン)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、カテプシンG阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0466】
実施例16.エラスターゼ阻害剤を含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びエラスターゼ阻害剤(例えば、BMS-P5)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、エラスターゼ阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びエラスターゼ阻害剤(例えば、BMS-P5)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、エラスターゼ阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0467】
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びエラスターゼ阻害剤(例えば、GSK199)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、エラスターゼ阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びエラスターゼ阻害剤(例えば、GSK199)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、エラスターゼ阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0468】
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びエラスターゼ阻害剤(例えば、GSK484)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、エラスターゼ阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びエラスターゼ阻害剤(例えば、GSK484)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、エラスターゼ阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0469】
実施例17.CD47阻害剤を含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びCD47阻害剤(例えば、マグロリマブ)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、CD47阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びCD47阻害剤(例えば、マグロリマブ)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、CD47阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0470】
実施例18.MMP阻害剤を含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びMMP阻害剤(例えば、JNJ0966)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、MMP阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びMMP阻害剤(例えば、JNJ0966)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、MMP阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0471】
実施例19.アデノシン経路阻害剤を含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料ならびにA2A及び/またはA2Bアデノシン受容体阻害剤(例えば、AB928、別名エトルマデナント)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、A2A及び/またはA2B受容体阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料ならびにA2A及び/またはA2Bアデノシン受容体阻害剤(例えば、AB928)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、A2A及び/またはA2B受容体阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0472】
図6に示すように、10w/w%のポロキサマー407及び3w/w%の187kDaのHAを含むポリマー生体材料をA2A及び/またはA2Bアデノシン受容体阻害剤(例えば、AB928、例えば、幾つかの実施形態では、1.25mg/マウスの用量のAB928)と共に含む組成物を腫瘍切除部位に投与された腫瘍切除マウス群は、10w/w%のポロキサマー407及び3w/w%の187kDaのHAを含み、A2A及び/またはA2Bアデノシン受容体阻害剤を含有しない組成物を投与された対照群、ならびに15w/w%のポロキサマー407を含む組成物を投与された対照群と比較して、より長期間にわたり生存した。
【0473】
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料ならびにA2A及び/またはA2Bアデノシン受容体阻害剤(例えば、テオフィリン)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、A2A及び/またはA2B受容体阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料ならびにA2A及び/またはA2B受容体阻害剤(例えば、テオフィリン)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、A2A及び/またはA2B受容体阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0474】
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びA2A阻害剤(例えば、イストラデフィリン、AZD4635、MK-3814、及び/またはそれらの任意の組み合わせ)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、A2A阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びA2A阻害剤(例えば、イストラデフィリン、AZD4635、MK-3814、及び/またはそれらの任意の組み合わせ)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、A2A阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0475】
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びA2B阻害剤(例えば、アロキサジン)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、A2B阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びA2B阻害剤(例えば、アロキサジン)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、A2B阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0476】
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びCD73阻害剤(例えば、AB680、BMS-986179、MEDI9447、及び/またはそれらの任意の組み合わせ)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、CD73阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びCD73阻害剤(例えば、AB680、BMS-986179、MEDI9447、及び/またはそれらの任意の組み合わせ)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、CD73阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びP2RX7シグナル伝達阻害剤(例えば、GSK1482160、JNJ-5417544、JNJ-479655、及び/またはそれらの任意の組み合わせ)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、P2RX7シグナル伝達阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びP2RX7シグナル伝達阻害剤(例えば、GSK1482160、JNJ-5417544、JNJ-479655、及び/またはそれらの任意の組み合わせ)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、P2RX7シグナル伝達阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0477】
実施例20.ADAR1阻害剤を含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びADAR1阻害剤(例えば、8-アザアデノシン)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、ADAR1阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びADAR1阻害剤(例えば、8-アザアデノシン)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、ADAR1シグナル伝達阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0478】
実施例21.アンジオテンシンII受容体アンタゴニストを含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びアンジオテンシンII受容体アンタゴニスト(例えば、バルサルタン)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、アンジオテンシンII受容体アンタゴニストを含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びアンジオテンシンII受容体アンタゴニスト(例えば、バルサルタン)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、アンジオテンシンII受容体アンタゴニストを含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0479】
図7に示すように、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト(例えば、バルサルタン、例えば、幾つかの実施形態では、1mg/マウスの用量のバルサルタン)を含有する、11w/w%のポロキサマー407及び1.8w/w%の766kDaのHAのポリマー生体材料の組成物を腫瘍切除部位に投与された腫瘍切除マウス群は、アンジオテンシンII受容体アンタゴニストを含有しない、11w/w%のポロキサマー407及び1.8%の766kDaのHAの組成物を投与された対照群と比較して、より長期間にわたり生存した。
【0480】
実施例22.ドーパミン作動性受容体阻害剤及び/または抗精神病薬を含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料ならびにドーパミン作動性受容体阻害剤及び/または抗精神病薬(例えば、プロクロルペラジン)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、ドーパミン作動性受容体阻害剤及び/または抗精神病薬を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料ならびにドーパミン作動性受容体阻害剤及び/または抗精神病薬(例えば、プロクロルペラジン)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、ドーパミン作動性受容体阻害剤及び/または抗精神病薬を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0481】
実施例23.TAMファミリー受容体型チロシンキナーゼシグナル伝達経路阻害剤を含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びTAMファミリー受容体型チロシンキナーゼシグナル伝達経路阻害剤(例えば、カボザンチニブ、メレスチニブ、BMS-77607、S49076、ONO-7476、RXDX-106、LDC1267、シトラバチニブ、UNC2025、及び/またはそれらの任意の組み合わせ)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、TAMファミリー受容体型チロシンキナーゼシグナル伝達経路阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びTAMファミリー受容体型チロシンキナーゼシグナル伝達経路阻害剤(例えば、カボザンチニブ、メレスチニブ、BMS-77607、S49076、ONO-7476、RXDX-106、LDC1267、シトラバチニブ、UNC2025、及び/またはそれらの任意の組み合わせ)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、TAMファミリー受容体型チロシンキナーゼシグナル伝達経路阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0482】
実施例24.IL-4Rシグナル伝達阻害剤を含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びインターロイキン-4受容体(IL-4R)シグナル伝達阻害剤(例えば、ボリノスタット)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、IL-4Rシグナル伝達阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びIL-4Rシグナル伝達阻害剤(例えば、ボリノスタット)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、IL-4Rシグナル伝達阻害剤を含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0483】
実施例25.コルチコステロイドを含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びコルチコステロイド(例えば、デキサメタゾン)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、コルチコステロイドを含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びコルチコステロイド(例えば、デキサメタゾン)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、コルチコステロイドを含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0484】
実施例26.グルタミン酸作動性クロライドチャネル活性化因子、及び/またはP2RX4、P2RX7、及び/またはα7 nAChRの正のアロステリックエフェクターを含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料ならびにグルタミン酸作動性クロライドチャネル活性化因子、及び/またはプリン受容体P2X4(P2RX4)、プリン受容体P2X7(P2RX7)、及び/またはα7ニコチン性アセチルコリン受容体(α7 nAChR)の正のアロステリックエフェクター(例えば、イベルメクチン)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、グルタミン酸作動性クロライドチャネル活性化因子、及び/またはP2RX4、P2RX7、及び/またはα7 nAChRの正のアロステリックエフェクターを含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料ならびにグルタミン酸作動性クロライドチャネル活性化因子、及び/またはP2RX4、P2RX7、及び/またはα7 nAChRの正のアロステリックエフェクター(例えば、イベルメクチン)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、グルタミン酸作動性クロライドチャネル活性化因子、及び/またはP2RX4、P2RX7、及び/またはα7 nAChRの正のアロステリックエフェクターを含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0485】
実施例27.β-アドレナリン作動性受容体アンタゴニストを含む例示的な本明細書に記載される組成物の調製及び使用
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料及びβ-アドレナリン作動性受容体アンタゴニスト(例えば、プロプラノロール及び/またはチモロール)を含む本明細書に記載される組成物を腫瘍切除部位に投与される、(例えば、実施例2に記載される通りに準備される)腫瘍切除マウス群は、β-アドレナリン作動性受容体アンタゴニストを含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より長期間(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上)にわたり生存する。加えて、ポリマー生体材料及びβ-アドレナリン作動性受容体アンタゴニスト(例えば、プロプラノロール)を含む上記組成物を投与される腫瘍切除マウス群は、β-アドレナリン作動性受容体アンタゴニストを含有しない対照標準組成物を投与される対照腫瘍切除マウスと比較して、より高い生存率を示す。
【0486】
等価物及び範囲
請求項において、「a」、「and」、及び「the」は、反対の規定がない限り、または他のことが文脈から明らかでない限り、1つまたは2つ以上を意味し得る。ある群の1つ以上のメンバー間に「または」を含む請求項または記載は、反対の規定がない限り、または他のことが文脈から明らかでない限り、当該群のメンバーのうちの1つ、2つ以上、または全てが所与の製品またはプロセスに存在するか、用いられるか、またはそうでなければそれらに関連する場合に該当するとみなされる。本発明は、群のうちの厳密に1つの成員が所与の製品またはプロセスに存在するか、用いられるか、またはそうでなければそれらに関連する実施形態を含む。本発明は、群の成員のうちの2つ以上または全てが所与の製品またはプロセスに存在するか、用いられるか、またはそうでなければそれらに関連する実施形態を含む。
【0487】
更に本発明は、列挙された請求項のうちの1つ以上からの1つ以上の限定、要素、節、記述用語が別の請求項に導入されている全ての変形形態、組み合わせ、及び順列を包含する。例えば、別の請求項に従属する任意の請求項が、同じ基本請求項に従属する任意の他の請求項に見出される1つ以上の限定を含むように改変され得る。要素が、例えば、マーカッシュ群形式で列挙して提示される場合、要素の各下位群もまた開示されており、いずれの要素(複数可)も群から除去され得る。一般的に、本発明または本発明の態様が特定の要素及び/または特徴を含むと見なされる場合、本発明の特定の実施形態または本発明の態様は、かかる要素及び/または特徴からなるか、または本質的にそれらからなることを理解すべきである。簡潔さのために、それらの実施形態は、本明細書においてこの通りの言葉で具体的に記載されていない。用語「含む(comprising)」及び「含有する(containing )」は、オープンであることを意図し、追加の要素またはステップの包含を容認することにも留意されたい。範囲が与えられている場合、端点が含まれる。更に、特に明記しない限り、または文脈及び当業者の理解から他のことが明らかでない限り、範囲として表現される値は、文脈が明らかに別様に指示しない限り、範囲の下限の単位の10分の1までの、本発明の異なる実施形態において明示される範囲内の任意の特定の値または部分範囲を想定し得る。
【0488】
当業者は、本明細書に記載される本発明の具体的な実施形態の多くの均等物を理解するか、または定型的に過ぎない実験を使用して確認することができるであろう。特に明記しない限り、または矛盾もしくは不整合が起こることが当業者に明白でない限り、本発明は、列挙された請求項のうちの1つ以上からの1つ以上の限定、要素、節、記述用語などが、同じ基本請求項に従属する別の請求項(または関連する任意の他の請求項)に導入されている全ての変形形態、組み合わせ、及び順列を包含することを理解されたい。更に、特定の除外が本明細書において記載されているかどうかにかかわらず、本発明の任意の実施形態または態様が特許請求の範囲から明示的に除外され得ることも理解すべきである。本発明の範囲は、上記の発明の詳細な説明に限定されることを意図せず、むしろ以下の特許請求の範囲に記載される通りである。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
2023538590000001.app
【国際調査報告】