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特表2023-538607飲料調製機械用のポーションカプセル基体及びポーションカプセル並びに対応する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】飲料調製機械用のポーションカプセル基体及びポーションカプセル並びに対応する方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20230901BHJP
   B65D 85/804 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
A47J31/06 310
B65D85/804 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512156
(86)(22)【出願日】2021-08-16
(85)【翻訳文提出日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 EP2021072695
(87)【国際公開番号】W WO2022038082
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】20191803.4
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507163714
【氏名又は名称】チボ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テルニテ,リュディガー
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA16
4B104BA02
4B104BA44
4B104BA65
4B104EA08
4B104EA40
(57)【要約】
ポーションカプセル基体(2)は、指向軸(A)を画定し、抽出材料で充填可能である。これは、
-底部領域(5)と、
-底部領域(5)に隣接し、外面(6a)を有する周方向側壁(6)と、
-側壁(6)に隣接し、開口部(8)を画定する周方向カラー領域(7)と、を有する。
軸(A)は、底部領域(5)及び開口部(8)を通って中心に延び、底部領域(5)から開口部(8)を通って向く軸方向を画定する。軸(A)に垂直に測定された距離は軸方向距離(r)と呼ばれ、側壁(6)は、外面(6a)の軸方向距離(r)が軸方向に沿って増加する少なくとも1つの傾斜領域(11)を画定する少なくとも1つの傾斜要素(10)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指向軸(A)を画定し、抽出材料で充填可能なポーションカプセル基体(2)であって、
-底部領域(5)と、
-前記底部領域(5)に隣接し、外面(6a)を有する周方向側壁(6)と、
-前記側壁(6)に隣接し、開口部(8)を画定する周方向カラー領域(7)と、を備え、
前記軸(A)は、前記底部領域(5)及び前記開口部(8)を通って中心に延び、前記底部領域(5)から前記開口部(8)を通る軸方向を画定し、前記軸(A)に垂直に測定された距離は軸方向距離(r)と呼ばれ、前記側壁(6)は、前記外面(6a)の前記軸方向距離(r)が前記軸方向に沿って増加する少なくとも1つの傾斜領域(11)を画定する少なくとも1つの傾斜要素(10)を備える、ポーションカプセル基体(2)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの傾斜領域(11)は、前記側壁(6)のカラー領域側端部に配置され、特に、前記少なくとも1つの傾斜領域(11)は、前記カラー領域(7)に隣接している、請求項1に記載のポーションカプセル基体(2)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの傾斜要素(10)は、前記側壁(6)の周囲の一部のみにわたって延びる、請求項1~2のいずれか1項に記載のポーションカプセル基体(2)。
【請求項4】
前記側壁(6)は、前記少なくとも1つの傾斜要素(10)に周方向に隣接する2つの側壁領域(61、62)を備え、前記少なくとも1つの傾斜要素(11)は、前記2つの側壁領域(61、62)に対して外側に突出する、請求項1~3のいずれか1項に記載のポーションカプセル基体(2)。
【請求項5】
前記側壁(6)は、前記軸(A)に関して互いに対向して配置された少なくとも第1及び第2の傾斜要素(10)を有し、特に、前記第2の傾斜要素(10)の前記傾斜領域(11)は、前記第1の傾斜要素(10)の前記傾斜領域(11)と同一に設計されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のポーションカプセル基体(2)。
【請求項6】
前記側壁(6)は、少なくとも2対の傾斜要素(10)を備え、前記第1の対は、前記軸(A)を含む平面(E)に関して前記第2の対に対して鏡面反転して配置され、特に、前記第2の第1の対の第1の傾斜要素(10)の前記傾斜領域(11)は、前記第2の対の第1の傾斜要素(10)の前記傾斜領域(11)と同一に形成され、前記第2の対の第2の傾斜要素(10)の前記傾斜領域(11)は、前記第1の対の第2の傾斜要素(10)の前記傾斜領域(11)と同一に形成される、請求項1~5のいずれか1項に記載のポーションカプセル基体(2)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの傾斜要素(10)は、前記軸(A)に垂直なすべての方向について、前記カラー領域(7)によって外側に突出しているか、又は前記カラー領域(7)と同じ程度まで外側に最大限に突出している、請求項1~6のいずれか1項に記載のポーションカプセル基体(2)。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の抽出材料で充填されたポーションカプセル基体(2)と、前記カラー領域(7)内で前記ポーションカプセル基体(2)に密封接続された蓋(3)とを備える、ポーションカプセル(1)。
【請求項9】
カプセルカラー(4)を備え、前記少なくとも1つの傾斜要素(10)は、前記軸(A)に垂直なすべての方向について、前記カプセルカラー(4)によって外側に突出しているか、又は前記カプセルカラー(4)と同じ程度まで外側に最大限に突出している、請求項8に記載のポーションカプセル(1)。
【請求項10】
請求項8~9のいずれか1項に記載のポーションカプセル(1)と、前記ポーションカプセル(1)を受け入れるための飲料調製機とを備え、前記飲料調製機は、注入器(42)及び排出ユニット(44)を備えるブリューイングチャンバ(40)を備える、組合せ。
【請求項11】
前記ブリューイングチャンバ(40)は、前記ブリューイングチャンバ(40)内の前記ポーションカプセル(1)の移動を制御するための、前記少なくとも1つの傾斜要素(10)と協働するために設けられた少なくとも1つの機械的制御要素(45、46)を備え、特に、前記少なくとも1つの機械的制御要素(45)は、前記注入器(42)及び/又は前記排出ユニット(44)に対して前記軸(A)に平行又は前記軸(A)と逆平行な前記ポーションカプセル(1)の移動を引き起こすために設けられる、請求項12に記載の組合せ。
【請求項12】
前記ブリューイングチャンバ(40)は、前記ブリューイングチャンバ内に前記ポーションカプセル(1)を保持するように適合され、前記保持されたポーションカプセル(1)の、前記軸(A)に平行又は逆平行な前記注入器(42)に対する、及び/又は前記排出ユニット(44)に対する相対移動を実行するための駆動装置を備え、前記ブリューイングチャンバ(40)は、前記少なくとも1つの機械的制御要素(45)が前記相対移動中に前記少なくとも1つの傾斜領域(11)に沿って移動するように構成されている、請求項11に記載の組合せ。
【請求項13】
前記機械的制御要素(45)は動作領域(45a)を備え、前記ブリューイングチャンバ(40)は、前記機械的制御要素(45)が前記保持されたポーションカプセル(1)に関して前記軸(A)に平行に移動する、前記駆動装置によって引き起こされる相対移動中に、前記機械的制御要素(45)の前記動作領域(45a)が機械的予張力で前記外壁(6a)を外向きに押し、前記相対移動の過程において、前記傾斜領域(11)に沿って移動しながら、前記軸(A)からますます離れるように押されるように構成されている、請求項12に記載の組合せ。
【請求項14】
ブリューイングチャンバ(40)内のポーションカプセル(1)の移動を制御するための少なくとも1つの機械的制御要素(45、46)を有する前記ブリューイングチャンバ(40)を備える飲料調製機を動作させる方法であって、前記機械的制御要素(45)は動作領域(45a)を備え、前記方法は、
-ポーションカプセル(1)を前記ブリューイングチャンバ(40)に挿入するステップであって、前記ポーションカプセル(1)は、少なくとも1つの傾斜領域(11)を画定する少なくとも1つの傾斜要素(10)を有する側壁(6)を備え、前記ポーションカプセル(1)は、前記ポーションカプセル(1)を通って中央に延びる軸(A)を画定する、挿入するステップと、
-前記ブリューイングチャンバ(40)内に前記ポーションカプセル(1)を保持するステップと、
-前記少なくとも1つの機械的制御要素(45)と前記ポーションカプセル(1)との間に前記軸(A)に平行な相対移動を生成するステップであって、その間に前記動作領域(45a)は外部から前記側壁(6)を機械的予張力で押し、その過程において、
-前記動作領域(45a)は、前記傾斜領域(11)の前記外側に沿って移動しながら、前記軸(A)からますます離れるように押される、及び/又は
-側壁(6)は、前記機械的制御要素(45)によってますます変形され、
特に、前記ポーションカプセル(1)は、請求項1~7のいずれか1項に記載のポーションカプセル(1)である、生成するステップと、を含む、方法。
【請求項15】
前記ポーションカプセル(1)はカプセルカラー(4)を備え、前記相対移動のさらなる過程において、前記動作領域(45)は前記カプセルカラー(4)と接触する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記相対移動のなおさらなる過程において、前記動作領域(45a)は再び前記軸(A)に向かって移動する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
飲料調製機のブリューイングチャンバ(40)内での前記ポーションカプセル(1)の相対移動を生成するために加えられる最大力を低減するための、請求項8~9のいずれか1項に記載のポーションカプセル(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル(ポーションカプセル)に収容された抽出材料、例えば挽いたコーヒーからの飲料などの調製に関する。本発明は、特許請求の範囲の冒頭部分に記載の装置及び方法、特にポーションカプセル、ポーションカプセル基体、並びにポーションカプセルと飲料調製機との組合せ、並びに飲料調製機を操作する方法、並びにポーションカプセルの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポーションパッケージ内に存在する抽出材料から飲料などを調製するための飲料調製機が知られており、コーヒー又はエスプレッソ機が含まれるが、これらに限定されない。飲料の調製のための抽出プロセスのために、それらは抽出装置と呼ぶこともできる。多くの対応するシステムでは、ポーションパッケージはカプセル(ポーションカプセル)として具現化され、抽出材料は、例えば気密に封止される。抽出のために、カプセルは、例えば2つの対向する側面に穿刺される。次いで、抽出液(通常は温水)が、第1の側(注入器側)に導入される。第2の側(排出側又は抽出器側)では、抽出生成物はカプセルから排出される。これは、いわゆるブリューイングモジュールで行われる。そのようなモジュールは、カプセルが収容されるブリューイングチャンバを備える。調製される飲料及びシステムに応じて、ブリューイングプロセス中にカプセルの内側にかなりの圧力が存在しなければならない。ポーションカプセルが穿刺されるシステムの代替として、例えば、ブリューイングプロセスの前に除去又は分解される保護フィルムによって覆われる穿孔が既に設けられたカプセルを有するシステムもある。
【0003】
カプセルが挿入され、例えば操作レバー又はモータによってブリューイングチャンバが閉じられるブリューイングモジュールが特に一般的であり、ブリューイングプロセス後にブリューイングチャンバが再び開かれると、カプセルはブリューイングチャンバから自動的に除去され、カプセル容器に排出される。自動カプセル排出を伴うそのようなブリューイングモジュールは、通常、水平ブリューイングモジュールとして設計されており、すなわち、カプセルは上方から挿入され、ブリューイングチャンバは2つのブリューイングモジュール部分(注入器及び排出ユニット)の水平方向の相対移動によって閉じられ、ブリューイング液は主に水平方向に流れ、カプセル容器はブリューイングチャンバの下に組み込まれる。
【0004】
この種のブリューイングモジュールの場合、挿入されたカプセルは、ブリューイングチャンバが閉じられるまで保持されるが、ブリューイングプロセス後にブリューイングチャンバが再び開かれると落下することが保証されなければならない。
【0005】
国際公開第2015/048914号パンフレットは、抽出器(排出装置、第1のブリューイングモジュール部分)と、これに対して移動可能な注入器(第2のブリューイングモジュール部分)とを備えるブリューイングモジュールを記載しており、抽出器は、カプセルカラーのための第1及び第2の経路を画定する横方向案内手段として具現化された機械的制御要素を有するヘッドを備え、抽出器は、カプセルカラーが第1の経路上にあるときにカプセルの下方移動を制限する支持体をさらに形成する。さらに、横方向案内手段はヘッドに接続され、注入器は、ブリューイングチャンバを開く際にカプセルカラーに係合してこれを第2の経路内に移動させるように適合された後退要素として具現化された機械的制御要素を備える。
【0006】
アルミニウム及びプラスチック、例えばポリプロピレンは、カプセル材料として特によく知られている。アルミニウムカプセルは、抽出材料に非常に良好な貯蔵寿命(芳香保護)を提供するが、それらの製造に関して非常にエネルギー集約的である。ポリプロピレンカプセルは、エネルギー消費及び廃棄に関して有利であるが、穿刺機構及び芳香保護に対してより高い要求を課す。アルミニウム及びプラスチックの両方は、カプセル材料として批判されており、前者は特に製造中の高いエネルギー消費のため、後者は特に廃棄物の問題のためである。
【0007】
国際公開第2010/118543号パンフレットから、コーヒーポーションカプセルが知られており、これは、ほぼ立方体形状であり、プラスチック製であり、既知のカップ形状カプセルとは異なり、上部カバー表面の平面内に周方向カラーを有さない。他の既知のカプセルシステムでは、そのような周方向カラーは、とりわけ、蓋として機能する箔によってカプセルを閉じるために必要とされる。超音波溶接による封止のために、カラーはエネルギーディレクタを収容する必要がある。カプセルが熱シールによって閉じられる場合、カラーは、蓋が十分に大きな表面上に載置されることを確実にするために必要とされる。これとは対照的に、上述の国際公開第2010/118543号パンフレットによれば、ドーム型の蓋が使用され、封止は、例えば超音波切断及び封止によって達成される。国際公開第2010/118543号パンフレットの教示に従って製造されたカプセルは、カプセル基体(底部領域、側壁及びカラー領域を有する)及び蓋から構成され、したがって、その(「立方体」)形状に関係なく、下蓋表面及び上蓋表面によって画定される平面の間に配置された周方向溶接ブロウを有し、これは最小のカラーのみを形成するが、その延伸/横方向突出部は、既知のカプセルのカラーと比較して大幅に低減される。
【0008】
いわゆるバイオプラスチックもカプセル材料として議論されている。一方で、再生可能な原材料から作られたプラスチック(いわゆるバイオベースプラスチック)は、そのようなバイオプラスチックと呼ばれる。一方、バイオプラスチックは、生分解性のプラスチック(いわゆる生分解性プラスチック)とすることができる。ポーションカプセルの製造のために提案されたプラスチックは生分解性であり、一部にはバイオベースプラスチックのシェアが含まれる。
【0009】
本明細書において、「生分解性」は、EN13432規格(2019年末現在)に従って生分解性であることを意味し、「バイオベース」は、「化石系ではなく再生可能な原材料から作られる」を意味する。
【0010】
利用可能なバイオプラスチック、特に生分解性プラスチックは、比較的低い温度で既に軟化しており、したがって、低い温度(低いガラス転移温度)で既に一定の流動性を有するという特性を有するが、それでもなお、それらが完全に流動性になるまでかなり高く加熱されなければならない(すなわち、溶融温度は、定義される限り、特に低くはない)。既に比較的低い温度での軟化は、高温液体によるブリューイングプロセス中のカプセルの機械的安定性の喪失を伴う。また、ブリューイングプロセス中にカプセル内にかなりの圧力がある場合、カプセルは、その機械的安定性が十分に大きくなるように設計されなければならない。
【0011】
国際公開第2017/017704号パンフレットには、カプセルへの高い内圧の印加を可能にするカプセルの機械的安定性を保証するための補強手段を有する生分解性材料製のカプセルが記載されている。例えば、フィラメント状材料をカプセルの側壁の外面に螺旋状に塗布することができる。
【0012】
補強手段を有するカプセルは、国際公開第2016/087981号パンフレットからも知られている。そこでは、カプセルの側壁に、カプセル軸に平行に延びる形状部が設けられている。
【0013】
さらに、ほとんどの利用可能なバイオプラスチック、特に生分解性プラスチックは、カプセル材料として従来使用されているプラスチックの弾性率よりも著しく大きい室温での弾性率を有する。例えば、ポリプロピレンの弾性率は、典型的には1000Pa~2000Paの範囲であるが、一部のバイオプラスチックの弾性率は4000Paを超える。したがって、このようなバイオプラスチックから作製された同一形状のカプセルは、室温で、ポリプロプリレンから作製されたカプセルよりも低い成形性を示す。
【0014】
さらに、ほとんどの利用可能なバイオプラスチック、特に生分解性プラスチックは、カプセル材料として従来使用されているプラスチックよりも室温でより大きな脆性を示す。
【0015】
したがって、バイオプラスチック製のカプセルを設計する場合、これらの特性を考慮に入れなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の可能な目的は、比較的脆い及び/又は比較的高い弾性率を有するプラスチックで作製することができるポーションカプセル及びポーションカプセル基体を提供することであり、特に、ポーションカプセルは、既存の飲料調製機で使用可能である。
【0017】
本発明の別の可能な目的は、加えられる最大力が比較的低い飲料調製機のブリューイングチャンバ内でのポーションカプセルの移動を可能にするポーションカプセル及びポーションカプセル基体を提供することである。
【0018】
本発明の別の可能な目的は、ブリューイングチャンバ内でのポーションカプセルの移動を手動で生成するユーザが、特に円滑なユーザ体験及び/又はほとんどぎくしゃくしないユーザ体験を有するポーションカプセル及びポーションカプセル基体を提供することである。
【0019】
本発明の別の可能な目的は、特に手で、ブリューイングチャンバ内のポーションカプセルの移動を特に円滑に及び/又はほとんどぎくしゃくせずに生成することができるポーションカプセル及びポーションカプセル基体を提供することである。
【0020】
本発明の別の可能な目的は、比較的低い最大力を有する駆動装置、例えば電気モータを使用することを可能にするポーションカプセル及びポーションカプセル基体を提供することである。
【0021】
本発明の別の可能な目的は、ポーションカプセルと飲料調製機とを備える対応する組合せを提供することである。
【0022】
本発明の別の可能な目的は、飲料調製機を動作させるための対応する方法を提供することである。
【0023】
本発明の別の可能な目的は、飲料調製機のブリューイングチャンバ内でのポーションカプセルの相対移動を生成するために加えられる最大力を低減するためのポーションカプセルの使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
これらの目的の少なくとも1つは、特許請求の範囲による装置、方法、及び使用によって少なくとも部分的に解決される。
【0025】
飲料調製機のブリューイングチャンバ内のポーションカプセルの移動を制御するために、機械的制御要素の動作領域が突出したカプセルカラー上を移動するまで、機械的制御要素、例えば機械的に予め組み込まれたレバーアームをポーションカプセルの側壁上で移動させることが有用であり得る。そのような動作は、例えば、冒頭で述べた国際公開第2015/048914号パンフレットに記載されているような飲料調製機で行うことができる。例えば、機械的制御要素は、ポーションカプセルをブリューイング位置から排出位置に後退させることを可能にする後退要素とすることができる。
【0026】
カプセルカラーを横切って機械的制御要素を移動させることができるようにするためには、通常、それに先立つポーションカプセル基体の側壁に沿った機械的制御要素の動作領域の移動のためよりも大きな力(最大力)が必要とされる。この最大力を低減することにより、より弱い又はより小さい寸法のモータを使用すること、及び/又は手動操作の場合にユーザが加えなければならない力の量を低減することが可能になる。
【0027】
カプセル材料及び/又は設計に応じて、機械的制御要素の動作領域がポーションカプセル基体の側壁に沿って動かされるとき、及び/又は機械的制御要素の動作領域が突出したカプセルカラーを横切って動かされるとき、ポーションカプセルは、機械的制御要素の機械的予張力に起因して、多かれ少なかれ変形することができる。これにより、必要な最大力を低減することができる。
【0028】
ポーションカプセルが比較的高い弾性率を有する材料で作製され、したがって記載された状況下で比較的ほとんど変形しない場合、必要な最大力は比較的大きくなる。したがって、比較的強いモータが必要となり、ユーザは、それぞれ手動操作の場合により大きな力を加えなければならない。
【0029】
本発明者らは、これらの相互関係を認識し、その解決策も見出した。
少なくとも1つの傾斜要素がポーションカプセル上に、より正確にはポーションカプセル基体上に設けられる。傾斜要素なしで、カプセルカラーによって形成された完全な突出部によって機械的制御要素を「突然」移動させなければならない代わりに、機械的制御要素は傾斜要素によって既に外方に押すことができ、それにより、カプセルカラーに到達したときに、一方では機械的制御要素は既に外方に大きく押され、及び/又は他方ではポーションカプセル基体の側壁は既にいくらか圧縮されている。両方の効果は、(特にカプセルカラーを横切って機械的制御要素の動作領域を移動させるときに)移動に必要な最大力が、傾斜要素がない場合よりも低いという効果をもたらす。
【0030】
特に、ポーションカプセル基体は、指向軸を画定することができ、抽出材料で充填可能とすることができ、
-底部領域と、
-底部領域に隣接し、外面を有する周方向側壁と、
-側壁に隣接し、開口部を画定する周方向カラー領域と、を備え、
軸は、底部領域及び開口部を通って中心に延び、底部領域から開口部を通る軸方向を画定し、軸に垂直に測定された距離は軸方向距離と呼ばれ、側壁は、軸方向に沿った外面の軸方向距離が連続的又は不連続的に増加する少なくとも1つの傾斜領域を画定する少なくとも1つの傾斜要素を備える。
【0031】
軸方向距離は連続的に増加することができる。他の実施形態では、軸方向距離は不連続的に増加している。
【0032】
傾斜領域の外面は、機械的制御要素のための摺動面を形成することができる。
傾斜要素は、(充填され密閉されたポーションカプセルの)カプセルカラー上への、及びカプセルカラーを横切る機械的制御要素の移動を容易にするため、又はそうするために必要な最大力を低減するための傾斜を形成することができる。
【0033】
カラー領域は、少なくともカラー領域に隣接して傾斜要素が設けられていない側壁に関して外側に(すなわち、軸から離れて)突出することができる。
【0034】
傾斜領域は、軸方向に対して逆平行な方向に先細にすることができる。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの傾斜領域は、側壁のカラー領域側端部に配置される。特に、少なくとも1つの傾斜領域は、カラー領域に隣接することができる。
【0035】
傾斜要素は、カラー領域の近くに配置することができる。これは、カラー領域に隣接することができ、特に、カラー領域に直接隣接することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、傾斜要素は円周状である。
いくつかの他の実施形態では、傾斜要素は、側壁の周縁の一部のみにわたって延びる。1つ又は複数の傾斜要素が各々そのような扇形傾斜要素であるそのような場合、側壁の周方向に隣接する部分は、傾斜要素を含まなくてもよく、特に傾斜要素が、例えば他の機械的制御要素とポーションカプセルとの相互作用を妨げることによってそこに干渉する場合、他の方法で構成することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの傾斜要素は、その軸方向延長部(軸に沿った延長部)に関して、側壁の一部のみにわたって延長される。特に、底部領域から離間させることができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、側壁は、少なくとも1つの傾斜要素に周方向に隣接する2つの側壁領域を備え、少なくとも1つの傾斜要素(特に、同一の軸方向位置の場合)は、2つの側壁領域に対して外側に突出する、すなわち、側壁領域よりも外側でより大きな軸方向距離を有する。少なくとも1つの傾斜要素は、2つの側壁領域の間に円周方向に配置することができる。
【0039】
本明細書において、「外向き」/「外側に」は、「軸方向距離が増大する方向に」と同程度を意味する。
【0040】
いくつかの実施形態では、側壁は、少なくとも1つの傾斜要素に円周方向に隣接する2つの側壁領域を有し、そこで外面は、少なくとも1つの傾斜領域でよりも小さい軸方向距離を有する。
【0041】
いくつかの実施形態では、カラー領域は、少なくとも1つの傾斜要素の領域の外面に対して、カラー領域が少なくとも1つの傾斜要素の外側の領域に有する、特に、カラー領域が少なくとも1つの傾斜要素に隣接する領域に有する(外向きの)突出部よりも小さい(外向きの)突出部を有する。
【0042】
いくつかの実施形態では、側壁は、軸に関して互いに対向して配置された少なくとも第1及び第2の傾斜要素を備える。特に、第2の傾斜要素の傾斜領域は、第1の傾斜要素の傾斜領域と同一に形成することができる。例えば、第2の傾斜要素の傾斜領域を、軸を中心とした180°の回転によって第1の傾斜要素の傾斜領域に変換することができるようにすることができる。及び/又は、第2の傾斜要素の傾斜領域を、軸を含む平面での反射によって第1の傾斜要素の傾斜領域に変換することができるようにすることができる。傾斜領域のそのような配置及び設計(実施形態)は、傾斜要素にも提供することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、側壁は少なくとも2つの傾斜要素を備え、傾斜要素は各々、軸を含む平面に関して互いに対向する対で配置される。
【0044】
いくつかの実施形態では、側壁は、少なくとも2対の傾斜要素を備え、第1の対は、軸を含む平面に関して第2の対に対して鏡面反転して配置される。特に、第2の対の第1の傾斜要素の傾斜領域は、第1の対の第1の傾斜要素の傾斜領域と同一に構成することができ、第2の対の第2の傾斜要素の傾斜領域は、第1の対の第2の傾斜要素の傾斜領域と同一に構成することができる。特に、対の傾斜要素は、第1の対の傾斜要素の傾斜領域が、軸を中心とした180°の回転によって第2の対の傾斜要素の傾斜領域に変換され得るように具現化することができる。傾斜領域のそのような配置及び設計(実施形態)は、傾斜要素にも提供することができる。傾斜要素の対のすべての傾斜領域、及び必要に応じて傾斜要素自体も同一に設計されるようにすることができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、ポーションカプセル基体は、少なくとも4つの傾斜要素を備え、傾斜領域、及び任意選択的に傾斜要素は、それらが軸を中心とした90°の回転によって互いに変換され得るように配置され、具現化される。そのような4つの対称性は、特に、ユーザが、挿入中のカプセルの特定の向きに、傾斜要素に注意を払う必要がないか、又は傾斜要素に起因してさらなる注意を払う必要がないという点で、飲料調製機及びブリューイングモジュールへのカプセルの挿入をそれぞれ単純化することを可能にすることができる。これは、例えば、軸に垂直な平面内にほぼ正方形のフットプリントを有するポーションカプセル基体又はポーションカプセルの場合に、少なくともほぼ4つの対称性を有するポーションカプセル基体及びポーションカプセルにとって特に有利であり得る。例えば、少なくとも1つの傾斜要素とは別に、ポーションカプセルは、国際公開第2010/118543号パンフレットに関して上述したように形成することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの傾斜要素は、軸に垂直なすべての方向について、カラー領域によって外側に突出するか、又はカラー領域と同じ程度まで外側に最大限に突出する。
【0047】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの傾斜領域内の軸に垂直なすべての方向について、傾斜領域内の外面の最大軸方向距離は、最大でもカラー領域内の最大軸方向距離に等しい。
【0048】
いくつかの実施形態では、カプセルカラーは、0である、及び/又はカプセルカラーが少なくとも1つの傾斜要素の外側の範囲内に有する、特に、カラー領域が少なくとも1つの傾斜要素に隣接する範囲内に有する(外向きの)突出部よりも小さい、少なくとも1つの傾斜領域の範囲内の外面に対する(外向きの)突出部を備える。
【0049】
いくつかの実施形態では、カプセルカラーは、0である、及び/又はカプセルカラーが少なくとも1つの傾斜要素の外側の範囲内に有する、特に、カラー領域が少なくとも1つの傾斜要素に隣接する範囲内に有する(外向きの)突出部の1/2未満、特に1/3未満の、少なくとも1つの傾斜領域の範囲内の外面に対する(外向きの)突出部を有する。
【0050】
開口部は、特に挽いたコーヒーなどの抽出材料を充填するための充填開口部とすることができる。
【0051】
軸は、中心軸とも称され得る。
傾斜領域における軸方向距離の連続的又は不連続的な増加は、特に、軸に垂直な1つの同じ方向における軸方向距離の増加を指すことができる。
【0052】
不連続に増加する場合、例えば、軸方向に関して連続して配置された多数の突起を設けることができる。その中で、個々の突起のそれぞれの最大軸方向距離は、それぞれの突起がカラー領域に近いほど大きくなるようにすることができる。したがって、各々が最大軸方向距離を有するいくつかの突起を設けることができ、これらのそれぞれの最大軸方向距離は、(突起から突起へ)軸方向に平行な方向に増加する。突出部は、ビーズとして具現化することができる。突出部は、軸に沿って互いに離間することができる。あるいは、それらは連続していてもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、ポーションカプセル基体はバイオプラスチックで作製される。
【0054】
いくつかの実施形態では、ポーションカプセル基体は、単一部品として形成される。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの傾斜要素は、ポーションカプセル基体の残りの部分と全く同じ製造プロセスで製造される。これにより、効率的で費用効果の高い製造が可能になる一方で、代替的な、すなわち傾斜要素とポーションカプセル基体の残りの部分との別個の製造も可能であるが、一般的にはより費用がかかる。
【0055】
いくつかの実施形態では、ポーションカプセル基体は、深絞りによって製造される。
いくつかの実施形態では、ポーションカプセル基体は射出成形によって製造される。単一成分射出成形に加えて、特に少なくとも1つの傾斜要素が、例えばポーションカプセル基体の残りの部分とは異なる材料で作製されている場合、2成分以上の射出成形も考慮することができる。後者は、例えば、少なくとも1つの傾斜要素がポーションカプセル基体の残りの部分とは異なる機械的特性を有する場合、例えば、少なくとも1つの傾斜要素が変形しやすい場合に有利であり得る。
【0056】
ポーションカプセルは、抽出材料で充填された本明細書に記載のタイプのポーションカプセル基体と、カラー領域内でポーションカプセル基体に密封接続された蓋とを備えることができ、特に蓋は気密に密封接続されている。
【0057】
特に、蓋は、例えば上述の国際公開第2010/118543号パンフレットについて上述したように、ドーム型蓋とすることができる。
【0058】
ポーションカプセルは、カプセルカラーを有することができる。特に、少なくとも1つの傾斜要素は、軸に垂直なすべての方向について、カプセルカラーによって外側に突出することができ、又はカプセルカラーと同じ程度まで外側に最大限に突出することができる。
【0059】
少なくとも1つの傾斜領域内の軸に垂直なすべての方向について、傾斜領域内の外面の最大軸方向距離は、最大でも等しく大きく、特にカプセルカラーの最大軸方向距離と等しく大きいことを適用することができる。
【0060】
カプセルカラーは、円周状であってもよい。
カプセルカラーにおいて、蓋は、ポーションカプセル基体に密封接続することができる。
【0061】
カプセルカラーは、(蓋によって形成された)ポーションカプセルの上面と例えば、国際公開第2010/118543号パンフレットについて上述したように、(ポーションカプセル基体の)底部領域との間に設けることができる。
【0062】
特に、ポーションカプセルは、少なくとも1つの傾斜要素から離れて、国際公開第2010/118543号パンフレットについて上述した形状を有することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、カプセルカラーの(傾斜要素の外側の軸に垂直な)突起は、0.5mm~2.5mm、特に0.8mm~2mm、例えば1mm~1.5mmになる。したがって、これは、傾斜要素のない領域における外面に対する突起である。
【0064】
組合せは、本明細書に記載の種類のポーションカプセルと、ポーションカプセルを受け入れるための飲料調製機とを含むことができ、これに関して、飲料調製機は、注入器と排出ユニットとを備えるブリューイングチャンバを含むことができる。
【0065】
抽出ユニットは、カプセルから抽出生成物を抽出するために設けることができる。
抽出液をポーションカプセル内に導入するための注入器を設けることができる。抽出液は、例えば、温水とすることができる。
【0066】
飲料調製機は、例えば、国際公開第2010/118543号パンフレットについて上述したものとすることができる。特に、ブリューイングチャンバは、国際公開第2010/118543号パンフレットについて上述した特徴を示すことができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、ブリューイングチャンバは、ブリューイングチャンバ内のポーションカプセルの移動を制御するための少なくとも1つの機械的制御要素を備える。これは、少なくとも1つの傾斜要素と協働するために設けることができる。特に、少なくとも1つの機械的制御要素は、注入器及び/又は排出ユニットに対して、軸に平行又は軸に逆平行なポーションカプセルの移動を引き起こすために設けることができる。
【0068】
機械的制御要素は、例えば、レバーとすることができる。
機械的制御要素は、例えば、国際公開第2015/048914号パンフレットについて上述したように、例えば、それによってポーションカプセルをブリューイング位置から排出位置に後退させることができる後退要素とすることができる。
【0069】
特に、機械的制御要素は、軸に向かって、特に軸に垂直な機械的予張力を有することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、ブリューイングチャンバは、ブリューイングチャンバ内にポーションカプセルを保持するように構成され、飲料調製機は、注入器及び/又は排出ユニットに対して、軸に平行又は反平行に保持されたポーションカプセルの相対移動を引き起こすための駆動装置を備える。その中で、ブリューイングチャンバは、少なくとも1つの機械的制御要素が相対移動中に少なくとも1つの傾斜領域に沿って移動するように構成することができる。機械的制御要素の移動は、傾斜要素によって、特に傾斜領域によって案内することができる。
【0071】
傾斜領域に沿って機械的制御要素(特に、機械的制御要素の動作領域)を移動させることは、例えば、傾斜領域上の機械的制御要素に沿った摺動とすることができる。
【0072】
例えば、軸に関して互いに対向して配置された2つの機械的制御要素は各々、軸を含む平面に関して互いに対向して配置された2つの傾斜要素のうちの1つと協働することができる。
【0073】
少なくとも1つの機械的制御要素(より正確には、機械的制御要素の動作領域)は、傾斜領域上の移動中及び移動に起因して、傾斜要素によって外側に(すなわち、軸から離れる方向に、)押すことができる。
【0074】
ポーションカプセルの保持は、例えば、別の機械的制御要素にクランプすることによって、又はポーションカプセルが別の機械的制御要素によって重力に抗して案内され支持されることによって実現することができる。これは、例えば、国際公開第2015/048914号パンフレットについて上述したように実現することができる。
【0075】
駆動装置は、例えば電気モータを備える電気駆動装置であってもよく、及び/又は手動で操作される駆動装置であってもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、機械的制御要素は動作領域を有し、ブリューイングチャンバは、機械的制御要素が保持されたポーションカプセルに関して軸に平行に移動する、駆動装置によって引き起こされる相対移動中に、機械的制御要素の動作領域が機械的予張力で外壁を外向きに押し、相対移動の過程において、傾斜領域に沿って移動し、軸からますます遠くに、特に軸から連続的又は不連続的にますます離れるように押されるように構成される。
【0077】
このようにして、動作領域の軸方向距離は、機械的制御要素と傾斜要素との相互作用により、連続的又は不連続的に増加することができる。
【0078】
これにより、機械的制御要素の機械的張力を増大させることができる(内向きの構成要素、すなわち軸に向かう構成要素による)。これにより、カプセルカラーを横切って機械的制御要素を移動させるのに必要な力を低減することができるが、これは、機械的制御要素によって、ポーションカプセルの側壁が変形され、すなわち(わずかに)押し下げられる、その結果、これを機械的張力に抗して軸からかなり遠くに押す必要がないためである。
【0079】
代替的又は追加的に、カプセルカラーを横切って機械的制御要素を移動させるのに必要な力は、機械的制御要素がそれほど大きな段を克服する必要がないという事実によって低減される。機械的制御要素は、カプセルカラーを最終的に克服するために、少しだけ外向きに押すだけでよい。これは、傾斜要素に沿って(より正確には、傾斜領域上を)移動している間に、機械的制御要素が既に外向きに(どんどん)押されているためである。
【0080】
移動する間、一方では動作領域と、他方では傾斜要素の外壁及び傾斜領域との間にそれぞれ直接的な機械的接触があり得る。
【0081】
相対移動のさらなる過程において、特に傾斜領域に沿って移動した後に、動作領域がカプセルカラーと接触するようにすることができる。
【0082】
相対移動のさらなる過程において(特に動作領域がカプセルカラーと接触した後に)、動作領域が軸に向かって戻るようにすることもできる。これにより、動作領域の軸方向距離を再び減少させることができる。例えば、機械的制御要素は、その後、例えば方向反転後にポーションカプセルをブリューイング位置から排出位置に移動させるために、例えばこれを軸方向に向かって移動させるために、係合位置に係合することができる。
【0083】
飲料調製機を動作させる方法は、以下のステップを含むことができ、飲料調製機は、ブリューイングチャンバ内のポーションカプセルの移動を制御するための少なくとも1つの機械的制御要素を有するブリューイングチャンバを備え、機械的制御要素は動作領域を備える。
-任意選択的に、ポーションカプセルをブリューイングチャンバに挿入するステップであって、ポーションカプセルは、少なくとも1つの傾斜領域を画定する少なくとも1つの傾斜要素を有する側壁を有し、ポーションカプセルは、ポーションカプセルを通って中心に延びる軸を画定する、ステップ
-ブリューイングチャンバ内にポーションカプセルを保持するステップ
-少なくとも1つの機械的制御要素とポーションカプセルとの間に軸に平行な相対移動を生成するステップであって、その間、動作領域は側壁を外向きに機械的予張力で押し、その過程において、
動作領域は、傾斜領域の外側に沿って移動しながら、軸からますます離れるように、特に軸から連続的又は不連続的にますます離れるように押される、及び/又は
側壁は、機械的制御要素によってますます変形され、特に内側に変形される、ステップ。
【0084】
例えば、ポーションカプセルは、本明細書に記載のタイプのポーションカプセルとすることができる。
【0085】
側壁の変形は、側壁の窪みとすることができる。
側壁の変形は、より正確には、動作領域によって引き起こされ得る。
【0086】
側壁の変形は、傾斜領域内で起こり得る。
典型的には、両方の効果は相対移動の過程において生じる。つまり、動作領域は外向きに押され、側壁は、たとえ効果のうちの1つがごくわずかにしか生じないとしても、機械的制御要素によって変形される。一例では、例えば、非常に剛性の機械的制御要素及び比較的良好に変形可能な側壁の場合、動作領域が外向きに押される距離は、側壁が内向きに押される距離よりもはるかに小さい。しかしながら、境界の場合、例えば、機械的制御要素が極めて剛性であり、側壁が非常に容易に変形可能である場合、2つの効果のうちの一方のみが生じる、すなわち、例えば、動作領域が外向きに押されないことがあり得る。
【0087】
飲料調製機は、例えば、前記国際公開第2010/118543号パンフレットについて上述した飲料調製機とすることができる。
【0088】
ポーションカプセルをブリューイングチャンバ内に保持することは、例えば、少なくとも1つの第2の機械的制御要素によって達成することができる。
【0089】
例えば、少なくとも1つの機械的制御要素をブリューイングチャンバの注入器に組み込むことができ、少なくとも1つの第2の機械的制御要素をブリューイングチャンバの排出ユニットに組み込むことができる。あるいは、他の実施形態では、少なくとも1つの機械的制御要素をブリューイングチャンバの出口ユニットに統合することができ、少なくとも1つの第2の機械的制御要素をブリューイングチャンバの注入器に統合することができる。
【0090】
相対移動は、駆動装置によって、例えば本明細書に記載のタイプの駆動装置によって達成することができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、ポーションカプセルはカプセルカラーを備え、相対移動のさらなる過程において、動作領域はカプセルカラーと接触する。これは、傾斜領域に沿って移動した後の場合であり得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、相対移動のなおさらなる過程において、動作領域は軸に向かって戻る。したがって、動作領域の軸方向距離はそれに応じて減少する。
【0093】
その後、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの機械的制御要素は係合位置に係合することができる。
【0094】
本明細書に記載のタイプのポーションカプセルを使用して、飲料調製機のブリューイングチャンバ内でのポーションカプセルの相対移動を生成するために加えられる(必要とされる)最大力を低減することができる。
【0095】
既に説明したように、相対移動は、ブリューイングチャンバの一部に対する、特にブリューイングチャンバの機械的制御要素に対するポーションカプセルの移動であってもよく、機械的制御要素は、例えば、ブリューイングチャンバの注入器の機械的制御要素、あるいはブリューイングチャンバの排出ユニットの機械的制御要素とすることができる。
【0096】
本発明は、記載された方法又は使用の特徴に対応する特徴を有する装置を含み、逆に、記載された装置の特徴に対応する特徴を有する方法及び使用も含む。
【0097】
さらなる実施形態及び利点は、従属請求項及び図面から明らかになる。
以下、実施例及び添付の図面を参照して、本発明の主題をより詳細に説明する。図面は以下を概略的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0098】
図1】ポーションカプセルの側面図である。
図2図1のポーションカプセルのポーションカプセル基体の斜視図である。
図3A】2つの傾斜要素が軸に関して互いに対向して配置された、カプセルカラーの直下のポーションカプセル基体を通る断面図である。
図3B】そのうちの2つが軸に関して互いに対向して配置された4つの傾斜要素を有する、カプセルカラーの直下のポーションカプセル基体を通る断面図である。
図4A】2対の傾斜要素が互いに鏡面反転して配置された、カプセルカラーの直下のポーションカプセル基体を通る断面図である。
図4B】そのうちの2つが互いに対して鏡面反転して配置され、さらに他の2つが互いに対して鏡面反転して配置された4対の傾斜要素を有する、カプセルカラーの直下のポーションカプセル基体の断面図であり、各対の傾斜要素は互いに対して鏡面反転して配置されている。
図5A】各々がポーションカプセル基体の半分を通る、強く概略化された断面図である。
図5B】各々がポーションカプセル基体の半分を通る、強く概略化された断面図である。
図5C】各々がポーションカプセル基体の半分を通る、強く概略化された断面図である。
図5D】各々がポーションカプセル基体の半分を通る、強く概略化された断面図である。
図5E】各々がポーションカプセル基体の半分を通る、強く概略化された断面図である。
図5F】各々がポーションカプセル基体の半分を通る、強く概略化された断面図である。
図5G】各々がポーションカプセル基体の半分を通る、強く概略化された断面図である。
図5H】各々がポーションカプセル基体の半分を通る、強く概略化された断面図である。
図5I】各々がポーションカプセル基体の半分を通る、強く概略化された断面図である。
図5J】各々がポーションカプセル基体の半分を通る、強く概略化された断面図である。
図6A】機械的制御要素と傾斜要素を有するポーションカプセルとの相対移動の強く概略化された断面図である。
図6B】機械的制御要素と傾斜要素を有するポーションカプセルとの相対移動の強く概略化された断面図である。
図6C】機械的制御要素と傾斜要素を有するポーションカプセルとの相対移動の強く概略化された断面図である。
図7A】機械的制御要素と、傾斜要素を含まないポーションカプセルとの相対移動の強く概略化された断面図である。
図7B】機械的制御要素と、傾斜要素を含まないポーションカプセルとの相対移動の強く概略化された断面図である。
図7C】機械的制御要素と、傾斜要素を含まないポーションカプセルとの相対移動の強く概略化された断面図である。
図8】傾斜要素を有する挿入されたポーションカプセルを備えたブリューイングチャンバの強く概略化された図である。
【発明を実施するための形態】
【0099】
本発明を理解するために必須ではない部分は、部分的に示されていない。記載された実施形態は、本発明の主題の例であるか、又はそれを説明するのに役立ち、限定する効果を有さない。
【0100】
図1は、ポーションカプセル1の側面図である。ポーションカプセル1は、ポーションカプセル基体2と、外側に湾曲した蓋3とを備え、これらは、周方向外側に突出するカプセルカラー4の領域で互いに密封接続されている。
【0101】
図2は、図1のポーションカプセル1のポーションカプセル基体2を斜視図で示す。
ポーションカプセル1は、ほぼ立方体形状であり、底部領域5から蓋3に向けられた中心軸Aを有する。軸Aに垂直な距離を軸方向距離rと呼ぶ。
【0102】
底部領域5は、周方向側壁6に接続され、その外面には符号6aが付されている。
ポーションカプセル基体2は、例えばポーションカプセル基体2に例えば挽いたコーヒーを充填するために使用することができる開口部8を有する。開口部8は、ポーションカプセル1のカプセルカラー4よりもさらに突出することができるポーションカプセル基体2のカラー領域7によって境界付けられる。
【0103】
さらに、ポーションカプセル基体2は、図2では見えない2つの傾斜要素10を備え、各々が傾斜領域11を有する。
【0104】
図3A図3B図4A図4Bは各々、カラー領域7(又はカプセルカラー4-明示的にラベル付けせず)の直下のポーションカプセル基体2を通る(又は同様に、対応するポーションカプセル1を通る)断面を示す。傾斜要素10の様々な例示的な配置が示されている。傾斜要素は扇形傾斜要素であり、それらの各々は、側壁の円周の一部のみにわたって延びる。
【0105】
カラー領域7(又は同様に、カプセルカラー4-明示的にラベル付けせず)は破線で示されている。
【0106】
カラー領域7及びカプセルカラー4の直下の図示された断面において、それぞれ傾斜要素10は、カラー領域7及びカプセルカラー4によって(横方向外側に)突出している。
【0107】
図示の台形断面の代わりに、傾斜要素10はまた、例えば長方形又は丸みを帯びた他の断面を呈することができる。
【0108】
各傾斜要素10の周方向両側に、側壁6は、それぞれの傾斜要素に隣接し、外面6が傾斜領域11の外面が有する(軸方向距離r0)よりも小さい軸方向距離r1を有する、側壁領域61、62を備える。及び/又は、カラー領域7並びにカプセルカラー4は、側壁領域61、62よりも傾斜領域11において側壁6を越えて突出する(横方向外側に)。
【0109】
図示のように、すべての傾斜要素を同一に設計する選択肢がある。
個々の図について記載する。
【0110】
図3Aは、軸Aに関して互いに対向して配置された2つの傾斜要素10の場合を示す。図3Aは、例えば、図1及び図2のそれぞれポーションカプセル1及びポーションカプセル基体2を通る断面であり得る。
【0111】
図4Aでは、軸Aを含む平面E(破線)に関して、互いに鏡面反転して配置された2対の傾斜要素10が設けられている。
【0112】
図3A及び図4Aでは、傾斜要素10は、平面Eに関して鏡面反転して配置されている。
【0113】
圧力が傾斜要素10に加えられるとき、それらが互いに打ち消し合うと有利であり得る。図3A図4A又は図3B図4Bに示すような実施形態は、この目的によく適している。
【0114】
図3Bでは、ポーションカプセル基体2及びポーションカプセル1はそれぞれ、軸Aを含む平面E(破線)に関して、互いに鏡面反転して配置された2対の傾斜要素10を備える。
【0115】
図4Bでは、ポーションカプセル基体2及びポーションカプセル1は、それぞれ4対の傾斜要素10を備え、そのうちの2つは、互いに対して鏡面反転して配置され(平面E)、さらに他の2つは、互いに対して鏡面反転して配置され(平面E)、各対の傾斜要素10は、互いに対して鏡面反転して配置されている(平面E)。
【0116】
図3B及び図4Bは、一般に、傾斜要素10を、軸Aを中心とした90°の回転によって互いに交換されるように配置することができるという事実の例である。これは、(軸Aに垂直な)ほぼ正方形の断面を有するポーションカプセル1の図示されたケースにおいて、傾斜要素10が設けられないケースと比較して、傾斜要素10のために挿入中にポーションカプセル1の向きにさらに注意を払う必要がないため、ポーションカプセル1の(飲料調製機への)挿入を単純化することができる。
【0117】
図5A図5Jは、強く概略化された断面を表し、いずれの場合もポーションカプセル基体2の半分を通り、断面平面は傾斜要素10の傾斜領域11を通過する。同様に、図5A図5Jは、ポーションカプセル1を通る断面として理解されるべきであり、その場合、カラー領域7はカプセルカラー4と見なされ、蓋3は対応する図には示されていない。
【0118】
傾斜領域11は、図5A及び図5Jに例示的に示すように、(完全に)直線状とすることができる。
【0119】
傾斜領域11は、図5Bに例示され、図5Dにも示されるように、凹形状とすることができる。
【0120】
傾斜領域11は、ビーズ、特に図5Cに例示されるように丸みを帯びたビーズとして具現化することができる。
【0121】
傾斜領域11は、図5D図5E図5F、及び図5Hに例示されるように、複数の段を有することができる。その中で、個々の段は、例えば図5D図5Hに示すように、それぞれ直線状であってもよく、又は湾曲していてもよい(例えば、図5E図5F)。
【0122】
傾斜領域11は、図5C図5G図5H及び図5Iに例示されるように、凸形状とすることができる。
【0123】
傾斜領域11内の外面6aは、図5A図5B図5D図5G図5H図5Jに例示的に示されるように、(軸Aに平行に)連続的に増加する軸方向距離rを有することができる。
【0124】
傾斜領域11の外面6aは、図5E図5Fに例示的に示されるように、不連続的に増加する軸方向距離rを有することができる。
【0125】
傾斜要素10は、図5B図5D図5G図5H図5Jに例示されるように、カプセルカラー4及びカラー領域7それぞれに直接延びることができる。
【0126】
傾斜要素10、特に傾斜領域11は、図5B図5D図5F図5G図5Hに例示されるように、カラー領域7及びカプセルカラー4のそれぞれの最大軸方向距離と同じ最大軸方向距離rを呈することができる。
【0127】
傾斜要素10、特に傾斜領域11は、図5A図5C図5E図5F図5I図5Jに例示されるように、カラー領域7及びカプセルカラー4のそれぞれの最大軸方向距離よりも小さい最大軸方向距離rを呈することができる。
【0128】
傾斜要素10、特に傾斜領域11は、図5C図5E図5F図5Iに例示的に示されるように、カプセルカラー4又はカラー領域7から距離を有することができる。この(軸方向の)距離は、例えば、図5C図5E図5F図5Iに例示的に示されるように、側壁6、特に傾斜領域10の軸方向の延長の20%未満、特に10%未満とすることができる。
【0129】
傾斜要素10は、図5A図5Jに例示されるように、側壁6の軸方向範囲の一部のみにわたって延びることができる。
【0130】
ポーションカプセル基体2は、傾斜要素10の領域内に、図5A図5B図5C図5D図5F図5G図5Hに例示的に示されるように、内側側壁部分を有することができる。これらの場合、傾斜要素10の領域では、側壁の内面6bは傾斜要素10によって形成されず、前記側壁部分によって形成される。
【0131】
傾斜要素10の範囲では、図5E図5I図5Jに例示的に示されるように、側壁6の外面6a及び内面6bの両方を傾斜要素10によって形成することができる。
【0132】
ポーションカプセル基体2は、図5E及び図5Iに例示的に示されるように、傾斜要素10の領域において厚くすることができる。
【0133】
ポーションカプセル基体2は、図5Jに例示的に示されるように、傾斜要素10の領域において、隣接する側壁領域と同じ側壁厚さを有することができる。
【0134】
傾斜要素10は、ポーションカプセル基体2の他の部分、特にポーションカプセル基体2の残りの部分と同じ材料によって形成することができる。これは、オプションとして、記載された実施形態のいずれにも適用され得る。
【0135】
傾斜要素10は、ポーションカプセル基体2の他の部分(例えば、ポーションカプセル基体2の残りの部分)とは異なる材料によって形成することができる。これは、オプションとして、記載された実施形態のいずれにも適用され得る。
【0136】
例えば、傾斜要素10が形成される材料は、より容易に変形可能な材料とすることができ、特に材料は弾性とすることができる。このような実施形態は、図5E図5Fのように、外面6aの軸方向距離rが軸方向に沿って不連続的に増加する実施形態に特に有利であり得る。
【0137】
図6A図6Cは、動作領域45aを有する機械的制御要素45と傾斜要素10を有するポーションカプセル1との相対移動の断面図を強く概略的に示す。
【0138】
同様に、図7A図7Cは、ポーションカプセル1が傾斜要素10を有さない場合のそのような移動を示す。
【0139】
図6A図6C及び図7A図7Cは、図5Aのものに対応するポーションカプセル基体2を備えるポーションカプセル1を示す。異なる設計のポーションカプセル基体2、例えば、図5B図5Jに示すもの又は本明細書に記載されているその他のもののうちの1つを使用することもできる。
【0140】
相対移動の過程において、図示の例では、動作領域45aは、その軸方向位置に関して、カプセルカラー4の一方の側(基体側)からカプセルカラー4の他方の側(蓋側)に、すなわち軸Aに平行に(軸Aに反平行ではなく)移動する。
【0141】
図6A図7Aは、初期位置を示す。機械的制御要素45の動作領域45aは、傾斜要素10のない(軸方向の)領域において、機械的予張力で側壁6を外向きに押す。
【0142】
図6Bでは、動作領域45aは傾斜領域11と直接機械的に接触している。2つの効果の少なくとも一方が生じる。一方、動作領域45aは、傾斜要素がない場合(図7B)よりも外向きに押される。一方、側壁6は、機械的制御要素45によって、より正確には動作領域45aによって窪んでいる(内向きに変形している)。図6Bでは、側壁6が、少なくとも傾斜領域11の領域において、機械的制御要素45がポーションカプセル1(より正確には、側壁6上)に及ぼす内向きの力に起因して変形することが、点線で示されている。
【0143】
相対移動のさらなる過程において、動作領域45aはいずれのケースにおいてもカプセルカラー45を飛び越えるが、傾斜要素がないケース(図7A図7C)においては、機械的制御要素45の動作領域45aをこの距離にわたって必要に応じて外向きに押すために、比較的短い軸方向距離内で比較的高い力を加えなければならない。これは、電気モータであれ、手動で操作される駆動装置であれ、駆動装置によって大きな力を加えることを必要とする。他方(図6A図6C)、傾斜要素10では、必要とされる最大力は著しく低く、これは、傾斜領域11に沿って既に移動している間に、動作領域45aがさらに外方にさらに押され、及び/又は側壁6がさらにさらに窪むため、カプセルカラー4を克服するためにそのような高い力をもはや加える必要がないからである。
【0144】
したがって、傾斜要素10を設けることによって、相対移動を実行するために加えられる最大力の低減を達成することができる。
【0145】
図6C図7Cは、カプセルカラー4が克服された後の相対移動の最終状態を示し、動作領域45aの軸方向距離rは既に再び減少しており、側壁6の変形も、ここで再び小さくすることができ、又は場合によっては完全に停止することができる。この位置で、機械的制御要素45はカプセルカラーに係合される。動作領域45aの形状に起因して、すなわち軸方向に対して逆平行な成分を有する方向を向く表面を有することに起因して、ポーションカプセル1は、(前述の相対移動に対する)方向反転後に、機械的制御要素45によって、より正確には前記表面によって(軸方向に対して逆平行な方向に)後退させることができ、それによって動作領域45は後退フックとして作用することができる。
【0146】
図8は、傾斜要素10を有する挿入されたポーションカプセル1を備えたブリューイングチャンバ8の強く概略化された図を示す。ブリューイングチャンバは、注入器42及び排出ユニット44を有する。注入器42には、上述したものと同一とすることができる機械的制御要素45が接続されている。排出ユニット44には、これによってポーションカプセル1が保持される第2の機械的制御要素46が接続されている。図8に示す状況は、図6Bに示す状況に対応することができ、ここでは、側壁6の変形がないか、又は少なくともそのような変形は図8に示されていない。
【0147】
破線の矢印は、注入器42が、ポーションカプセル1(及び排出ユニット44)に対して軸方向に平行に機械的制御要素45と共に移動することを表す。
【0148】
白抜きの矢印は、内側を向く力が、機械的制御要素45によってポーションカプセル1の外面6a、特に傾斜領域に加えられることを表す。
【0149】
塗りつぶされた矢印は、動作領域45aが、相対移動及び傾斜要素10のために任意選択的に外向きに押されることを表す。
【0150】
上記から明らかなように、特にブリューイングユニット40内の移動を制御するためにそれぞれ電動モータ及び駆動装置を使用する場合に、上述の傾斜要素10を設けることにより、ユーザはエネルギーを節約すること、及び/又は傾斜要素なしで同じカプセルを有する同じブリューイングユニットに必要とされるよりも小さい最大力を生成するように制限された駆動装置を使用することが可能になる。また、ブリューイングチャンバ内の移動が手動で駆動される場合、ユーザは、より少ない労力で飲料調製機を操作することができ、及び/又はユーザは、例えば、移動を実行するときにぎくしゃくしにくく、及び/又はより滑らかに感じられるため、より快適なユーザ体験を有する。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
【国際調査報告】