IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニーの特許一覧

特表2023-538617複数試験デバイスの並列処理のためのトレイ
<>
  • 特表-複数試験デバイスの並列処理のためのトレイ 図1
  • 特表-複数試験デバイスの並列処理のためのトレイ 図2
  • 特表-複数試験デバイスの並列処理のためのトレイ 図3A
  • 特表-複数試験デバイスの並列処理のためのトレイ 図3B
  • 特表-複数試験デバイスの並列処理のためのトレイ 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】複数試験デバイスの並列処理のためのトレイ
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20230901BHJP
   G01N 21/78 20060101ALI20230901BHJP
   G01N 35/00 20060101ALI20230901BHJP
   G01N 35/08 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
G01N35/02 C
G01N21/78 A
G01N35/00 E
G01N35/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512191
(86)(22)【出願日】2021-08-18
(85)【翻訳文提出日】2023-04-17
(86)【国際出願番号】 US2021046445
(87)【国際公開番号】W WO2022040274
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】63/067,515
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】タイコン,マイケル・オーガスト
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058AA05
2G058CC08
2G058CC17
2G058CC18
2G058CC19
2G058GA06
2G058GC02
2G058GC03
2G058GC05
2G058GD05
2G058GD06
2G058GE01
(57)【要約】
カートリッジ前処理デバイスシステムおよび方法は、アッセイ/分析のためにカートリッジを提出する前に、発現のために免疫測定ラテラルフローアッセイ試験カートリッジを受容する。カートリッジ前処理デバイスは、アッセイ/分析を実施するために使用されるリーダを封鎖することなく、デバイス前処理時間調整ステップを自動化することによって、オペレータの負担の軽減を伴って高アッセイスループットを支援する。前処理デバイスは、walk-a-wayモードで動作される。前処理デバイスは、アッセイカートリッジリーダとは別個であり、最低限のオペレータ監督でアッセイカートリッジの発現を自動的に時間調整することができる。追加的に、本明細書に開示されるデバイスは、アッセイ発現が完了するとき、およびアッセイが、個々のカートリッジと関連付けられた既定のフレックス時間を超えて発現したとき、オペレータに警告することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッセイカートリッジを処理するためのシステムであって、前記システムは、
複数のレーンを備える基部であって、各レーンがアッセイカートリッジを受容するようにサイズ決定される、基部を備え、前記基部は、
カートリッジが前記レーン内に置かれるときに起動されるスイッチと、
前記カートリッジが前記レーン内に置かれるときに前記スイッチによって起動されるタイマと、
前記カートリッジと関連付けられたコードを読み取るリーダであって、前記コードリーダはタイマと通信状態にあり、前記コードリーダは、前記カートリッジが受容される前記レーンと関連付けられたタイマに処理時間を伝える、リーダと、
前記処理カートリッジの少なくとも第1の状態および第2の状態をユーザに示すインジケータであって、前記第1の状態は、前記処理時間が経過していないときであり、前記第2の状態は、前記処理時間が経過したときである、インジケータと、
をさらに備えるシステム。
【請求項2】
前記カートリッジ内のスロットに係合して前記カートリッジを前記レーン内に固定するラッチをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記スイッチは、光スイッチおよび機械スイッチからなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記スイッチは、前記レーン内の前記カートリッジの配置を検出するリーダによって動作される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記コードリーダは、カメラである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
メモリを備えるプロセッサをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記コードリーダ、前記スイッチ、および前記タイマと通信状態にあり、前記プロセッサは、前記カートリッジのためのコード情報に基づいて、前記カートリッジが置かれる前記レーンに処理時間を割り当て、前記タイマに前記処理時間を伝える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記インジケータは、前記処理時間が経過したときに前記ユーザに合図を送る、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記コード情報に基づいて、前記カートリッジが置かれる前記レーンと関連付けられた前記タイマにフレックス時間を伝え、前記フレックス時間は、前記カートリッジの第3の状態と関連付けられる、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記インジケータは、前記処理時間が経過したときに前記ユーザに合図を送る、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記インジケータは、信号光、可聴信号、またはワイヤレス信号のうちの少なくとも1つである、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記インジケータは、第1の色が前記処理カートリッジの前記第1の状態を示し、第2の色が前記処理カートリッジの前記第2の状態を示す、信号光である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記信号光は、LEDである、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記信号光は、複数の信号光であり、各信号光が前記複数の信号光内の他の信号光とは異なる色を発する、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記インジケータは、前記処理カートリッジの前記第1の状態の間不変であり、前記処理カートリッジの前記第2の状態の間点滅する、信号光である、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサが、前記処理時間が経過した後に前記処理カートリッジが前記レーン内に留まると判定する場合、前記プロセッサは、前記インジケータと通信して前記ユーザにエラー表示を提供する、請求項7に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサが、前記フレックス時間が経過した後に前記カートリッジが前記レーン内に留まると判定する場合、前記プロセッサは、前記インジケータと通信して前記ユーザにエラー表示を提供する、請求項9に記載のシステム。
【請求項18】
前記インジケータは、モバイルデバイスに信号を伝える、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサは、前記コード情報に基づいて、前記カートリッジが置かれる前記レーンと関連付けられた前記タイマにフレックス時間を伝え、前記フレックス時間は、前記カートリッジの第3の状態と関連付けられ、前記信号光は、前記第3の状態を示すために第3の色を有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記カートリッジは、バーコードでラベル付けされ、前記リーダは、バーコードリーダである、請求項6または請求項21に記載のシステム。
【請求項21】
前記カートリッジは、RFIDタグと関連付けられ、前記リーダは、RFIDリーダである、請求項6または請求項21に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の記載
本出願は、2020年8月19に提出された米国仮出願第63/067,515号に対する優先権を主張するものであり、その開示は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、アッセイカートリッジのバッチ処理トレイに関する。アッセイカートリッジは、ポイントオブケア(POC)試験および実験室内試験のために広く使用される。収集された患者試料は、アッセイカートリッジ内に取集され、ここで最初から最後までの試料処理が完了される。試料処理は、例えば、ラテラルフローによって達成される。本開示は、試料内の様々な対象分析物を同時に検出するように構成される、複数のそのようなアッセイ試験カートリッジを処理することができるバッチ処理トレイに関する。
【背景技術】
【0003】
ラテラルフローアッセイカートリッジなどのアッセイカートリッジは、免疫測定のために広く使用される。ラテラルフローアッセイは、迅速かつ正確に、試料中の対象分析物の存在または不在を検出すること、および場合によってはこれを数値化することができる。有利には、ラテラルフローアッセイは、低侵襲であり、ポイントオブケア試験システムとして、または実験室内で実行される試験のために、使用され得る。
【0004】
ラテラルフローデバイスは、特定の形態の生体試料(例えば、血清または血漿、尿など)を受容することができる。典型的な容認可能な試料は、限定されるものではないが、デバイスを通る試料の流れを妨害する成分(例えば、赤血球、白血球)、デバイス内での対象分析物の検出を妨げる成分、および対象分析物を正確に検出することを別途損なう成分など、交絡成分の存在を除去または低減するために、試料源(すなわち、患者)からの収集とラテラルフローデバイスへの適用との間に前処理される。場合によっては、免疫測定は、流体試料が通過するアッセイ膜を含む。流体試料は、対象分析物などの対象物を、受容区域から、受容区域の下流の検出または「試験」区域へ運ぶ。
【0005】
場合によっては、アッセイ膜を生の流体試料に曝露することは、アッセイ膜の閉塞を結果としてもたらし得、その結果として、流体試料が、アッセイ膜を通って検出区域まで流れることができないか、またはアッセイ膜を通って検出区域までの流体試料の動きが抑制される。これは、検出区域へ流れる対象分析物が非常にわずかであるか全くないという結果をもたらし得、流体試料が対象分析物について「陰性」であるか、または対象分析物が実際の濃度よりも低い濃度で存在することを示す不正確な試験結果を導く。ラテラルフローアッセイカートリッジは、参照により本明細書に組み込まれるWO2020/033235A1に説明される。
【0006】
試料が陽性であるのか陰性であるのかを判定するために、アッセイカートリッジは、典型的には、何らかの形態のデバイスリーダまたは分析器内に置かれるが、目視検査にも供され得る。典型的には、そのようなリーダは、光学リーダであり、また、試料が、実施されている免疫測定について陽性であるのか陰性であるのかを判定することができるデータ分析器と通信状態にある、光源および光検出器を含む。そのような免疫測定の例としては、インフルエンザ、またはCOVID-19などの他のウイルスのためのアッセイが挙げられる。分析器の一例は、BD(Becton Dickinson and Company)Veritor(商標)Systemである。Veritor(商標)機器は、ラテラルフロー免疫測定試験カートリッジを処理するデジタルリーダである。
【0007】
Veritor(商標)は、患者試料に対してアッセイを実行するためにいくつかの異なるワークフローに対処する。ワークフローは、典型的には、アッセイインキュベーションまたは発現ステップ、これに続くアッセイ読み取りステップを必要とする。第1の可能なワークフローは、手動ワークフローであり、ここでは、調製された試料が、アッセイ試験カートリッジに適用され、タイマ(Veritor(商標)リーダと統合されていない)が、所定の時間間隔(例えば、10分)の間アッセイ発現を監視するために使用される。所定の時間間隔が経過した後、アッセイ試験カートリッジは、分析のために読み取り機器内へ挿入される。このプロセスは、多くの試験カートリッジに迅速な連続形式で適用され得るが、これは、典型的には、カートリッジが、機器内への挿入のために、立て続けに、しかしながら異なる時間に、準備が整うように、アッセイ発現の開始をずらすことを必要とする。このワークフローは、スループットを増大させるが、かなりの試料モニタリング、研究室カウンタースペースの拡大、および追加の研究室タイマを必要とする。
【0008】
代替的なワークフローは、技術者が、調製された試料をアッセイ試験カートリッジに適用し、次いでカートリッジを読み取り機器内へ挿入する自動化「walk-a-way」モードである。本機器は、アッセイ発現を時間調整し、その時間窓が経過したときに分析を自動的に開始する。このワークフローは、オペレータの負担を軽くするが、アッセイ発現の持続時間にわたって機器を拘束するため、バッチ処理を妨げる。かなり小さなクリニックには好適であるが、このワークフローは、より大きいクリニック、またはピーク試験シーズンの間に必要とされるスループットを妨げる。
【0009】
したがって、ラテラルフロー免疫測定カートリッジリーダに対応した改善されたワークフローおよび装置が求められる。
【発明の概要】
【0010】
本明細書に説明される技術は、アッセイ試験カートリッジ発現および分析を促進するためのデバイス、システム、および方法を提供する。本デバイスは、カートリッジ分析器内のスロットを封鎖することなく、(カートリッジ内の試料が分析のために調製された後)カートリッジのインキュベーションまたは発現を自動化することによって、オペレータまたは技術者による監視または監督をほとんど必要としない高アッセイスループットを可能にするバッチ処理トレイである。このワークフローに対応するバッチ処理トレイは、分析器自体(例えば、Veritor(商標))とは別個である。バッチ処理トレイは、バッチ処理トレイが複数のカートリッジの発現を同時に時間調整することができるように、複数のカートリッジレーンを含む。バッチ処理トレイは、カートリッジが異なるアッセイ発現時間ならびに/または異なるアッセイ発現開始および終了時間を有するとしても、複数のカートリッジを同時に処理することができる。
【0011】
先行技術のラテラルフローデバイス100の例が、図1に例証される。デバイス100は、カートリッジ300内に受容または収納されるラテラルフロー試験紙200を含む。カートリッジ300は、基部ハウジング303に結合される上部ハウジング304を含み得る。ハウジング303、304は、射出成形プラスチック、または任意の他の好適な材料で形成され得る。バッファウェル310、試料ウェル320、および読み取り窓330は、上部ハウジング304内に画定される。試験紙200の一部分は、読み取り窓330を通じて見ることができる。
【0012】
図2は、図1に例証されるラテラルフローカートリッジデバイス100の底部を例証する。カートリッジ100は、リブ付き領域340、底部開口350、および側部開口360を有する。リブ付き領域340は、カートリッジがトレイ表面などの容器表面に置かれる、またはそこから取り外されるときなど、オペレータがカートリッジを取り扱うとき、カートリッジが滑らないようにテクスチャを提供する。側部開口360は、容器とカートリッジとの係合のための機序と協働し、カートリッジがトレイまたは他の容器内に固定されることを可能にする。本機序は、側部開口360と協働して、トレイまたは他の容器内のカートリッジを固定および/または解放する。
【0013】
上に記載されるように、カートリッジは、特定のアッセイを実施するように構成される。したがって、1つのアッセイ(例えば、インフルエンザアッセイ)を実施するように構成されるカートリッジは、異なるアッセイ(例えば、Covid-19アッセイ)を実施するように構成されるカートリッジとは異なる前処理/発現/インキュベーションパラメータを有し得る。例えば、インフルエンザアッセイを実施するように構成されるカートリッジは、Covid-19アッセイを実施するカートリッジに必要とされる処理時間とは異なるアッセイ処理時間を必要とし得る。バッチ処理トレイは、バッチ処理トレイのレーン内へのアッセイカートリッジの配置の際に、アッセイカートリッジの発現を自動的に時間調整する。次いで、バッチ処理トレイは、過剰なアッセイ発現を防ぐことを目指して、割り当てられた発現時間を超えて経過した追加の時間の表示を含め、発現が完了するときを示し得る。割り当てられた発現時間を超える追加の時間の量は、本明細書では「フレックス時間」と称される。
【0014】
本明細書に説明されるバッチ処理トレイは、上に説明される先行技術の方法に対するハイブリッド手法に対応する。バッチ処理トレイは、アッセイカートリッジ発現/インキュベーションを自動化し、読み取られる準備がすぐに整わないカートリッジでカートリッジ読み取り機器を封鎖しない。バッチ処理トレイは、技術者/オペレータが、アッセイカートリッジがバッチ処理トレイのレーン内に置かれた後に、そのトレイから離れることを可能にする。バッチ処理トレイは、アッセイカートリッジラベルから、容器内に置かれた個々のカートリッジのためのインキュベーション時間の長さを判定することができる。バッチ処理トレイ内に同時に存在する複数のカートリッジは、同じインキュベーション時間または異なるインキュベーション時間を有し得る。各カートリッジのためのインキュベーション時間は、カートリッジラベルによって伝えられる情報である。そのインキュベーション時間は、読み取られ、カートリッジが置かれるレーン(本明細書では、カートリッジ容器とも称される)と関連付けられる。したがって、カートリッジがレーン内に存在する時間の長さは、特定のカートリッジと関連付けられたインキュベーション時間に依存する。バッチ処理トレイは、過剰なアッセイ発現を防ぐために、アッセイカートリッジ発現の所定の持続時間後に経過した時間(フレックス時間)の表示を含め、時間調整ステップが完了するときにオペレータに示す。
【0015】
バッチ処理トレイは、ラテラルフローアッセイにおいて使用されるラテラルフローカートリッジなどのカートリッジのインキュベーションのためのワークフローを改善する。上に記載されるように、現在のワークフローにおいて、技術者/オペレータは、各カートリッジが異なる開始時間、異なる発現/インキュベーション時間、および異なる終了時間を有し得るとき、マルチタスクを行うこと、ならびに、複数のアッセイカートリッジのインキュベーションを受け入れるために著しい時間およびカウンタースペースを充てることを必要とする。各インキュベーション時間の個々の監視は、異なるインキュベーション時間窓を有する複数のカートリッジのインキュベーションを同時に監視するとき、オペレータが他のタスクを実施することを可能にしない。複数のアッセイカートリッジのインキュベーションを上の様式で管理することは、アッセイカートリッジが過剰にインキュベートされ得る(すなわち、試料によるカートリッジンキュベーションと、読み取り機器内にカートリッジを置くこととの間の時間が長すぎる)可能性を増加させる。複数のカートリッジのインキュベーションを上の様式で管理することはまた、アッセイカートリッジが不十分にインキュベートされ得る(すなわち、試料によるアッセイカートリッジンキュベーションと、読み取り機器内にカートリッジを置くこととの間の時間が短すぎる)可能性を増加させる。アッセイカートリッジが、インキュベーション時間を監視するために個々のタイマとペアリングされなければならないときには、カートリッジ/タイマペアリングにおけるいかなる不整合または途絶も、アッセイカートリッジが所望の時間長さにわたってインキュベートされていない状況につながり得る。そのような不整合は、処理エラーにつながり得る。
【0016】
本明細書に説明されるバッチ処理トレイは、個々のタイマが個々のアッセイカートリッジとペアリングされる必要性を除去する。トレイ内のタイマは、アッセイカートリッジがトレイのレーン内に置かれるときに自動的に開始されるため、オペレータは、監視するのにより少ないステップを有し、その間に追加のアッセイ試料を調製し得る。また、トレイは、個々のカートリッジのために必要なインキュベーション時間を検出することができるが、それは、そのような情報が、バッチ処理トレイによって読み取られるカートリッジ用のバーコードで入手可能であるためである。また、トレイは、自己完結型であり、バッチ試験を実行するのに必要とされる設置面積を低減する。
【0017】
バッチ処理トレイが、アッセイカートリッジのインキュベーションが完了し、アッセイカートリッジがリーダに提供され得ると判定すると、バッチ処理トレイは、カートリッジがバッチ処理トレイからカートリッジリーダ(例えば、Veritor(商標))へ移動されてもよいという表示をオペレータに提供する。これは、リーダが直ちに読み取られる準備の整っているカートリッジのみを受容するため、リーダの使用をより効率的にする。したがって、リーダは、読み取られる準備の整っていないカートリッジによって占有されない。
【0018】
本明細書に説明されるのは、処理アッセイカートリッジのためのシステムである。本システムは、複数のレーンを有する基部を有する。各レーンは、アッセイカートリッジを受容するようにサイズ決定される。基部は、カートリッジがレーン内に置かれるときに起動される、各レーン内のスイッチを有する。タイマは、カートリッジがレーン内に置かれるときにスイッチによって起動される。基部はまた、カートリッジと関連付けられたコードを読み取るリーダを有する。リーダは、タイマと通信状態にある。リーダは、カートリッジが置かれるレーンのためのタイマに処理時間を伝える。基部はまた、処理カートリッジの少なくとも第1および第2の状態をユーザに示すインジケータと関連付けられる。第1の状態は、処理時間が経過していないときであり、第2の状態は、処理時間が経過したときである。任意選択的に、レーンは、カートリッジ内のスロットに係合してカートリッジをレーン内に固定するラッチを有する。
【0019】
任意選択的に、カートリッジは、ラベルを保有する。カートリッジラベルは、従来のリーダを使用して読み取られ得る情報を保有する。1つの例において、カートリッジラベルは、処理時間、および任意選択的に、カートリッジに関する他の情報(例えば、アッセイタイプ、カートリッジタイプなど)を保有するバーコードを保有する。この例では、リーダは、バーコードリーダである。別の例において、カートリッジラベルは、処理時間、および任意選択的に、カートリッジに関する他の情報(例えば、アッセイタイプ、カートリッジタイプなど)を保有するRFIDタグである。
【0020】
任意選択的に、基部内のスイッチは、光検出器であり、バーコードリーダは、カメラである。任意選択的に、本システムは、メモリを伴うプロセッサを有する。本システムがプロセッサを有するそれらの実施形態において、プロセッサは、リーダ、スイッチ、およびタイマと通信状態にあり、プロセッサは、カートリッジのためのコード情報に基づいて、カートリッジが置かれるレーンに処理時間を割り当て、処理時間をタイマに伝える。任意選択的に、インジケータは、処理時間が経過したときに、ユーザ(すなわち、オペレータ)に合図を送る。任意選択的に、プロセッサは、コード情報に基づいて、カートリッジが置かれるレーンと関連付けられたタイマにフレックス時間を伝え、フレックス時間は、カートリッジの第3の状態と関連付けられる。任意選択的に、インジケータは、処理時間が経過したときに、ユーザに合図を送る。任意選択的に、インジケータは、信号光(1つまたは複数の)、可聴信号、またはユーザのモバイルデバイスに伝えられるワイヤレス信号のうちの1つである。任意選択的に、第1の色を有する信号光が、カートリッジの第1の状態を示し、第2の色を有する信号光が、処理時間が経過したときに第2の状態を示す。信号光は、1つの実施形態において、LEDである。任意選択的に、信号光は、複数の信号光であり、各信号光が複数の信号光内の他の信号光とは異なる色を発する。動作の1つの様式において、信号光は、カートリッジの第1の状態の間不変であり、第2のカートリッジ状態の間点滅する。任意選択的に、プロセッサが、処理時間が経過した後にカートリッジがレーン内に留まると判定する場合、プロセッサは、カートリッジがフレックス時間割り当てに入ったという表示をユーザに提供するためにインジケータに伝える。任意選択的に、プロセッサが、フレックス時間が経過した後にカートリッジがレーン内に留まることを検出する場合、プロセッサは、ユーザにエラー表示を提供するためにインジケータに伝える。
【0021】
前述および他の目的および利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を検討する際に明白であるものとし、同様の参照文字は、全体を通して同様の部分に言及する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】先行技術のラテラルフローアッセイカートリッジの上部平面図である。
図2図1の先行技術のラテラルフローカートリッジの底部平面図である。
図3A】1つの実施形態によるバッチ処理トレイ装置を示す図である。
図3B】カートリッジレーンがカバーされた状態の図3Aのバッチ処理トレイを示す図である。
図4】本明細書に説明されるバッチ処理トレイのためのコントローラの1つの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の実施形態は、図面を参照して詳細に説明され、同様の参照番号は、同様または同一の要素を識別する。開示された実施形態は、様々な形態で具現化され得る本開示の例にすぎないということを理解されたい。周知の機能または構造は、本開示を不必要な詳細で不明瞭にすることを避けるために、詳細には説明されない。したがって、本明細書に開示される特定の構造的および機能的詳細は、制限であると解釈されるべきではなく、単に、特許請求のための基礎として、および、本開示を事実上任意の適切に詳述された構造で様々に用いることを当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0024】
開示されたバッチ処理トレイは、参照により本明細書に組み込まれるWO2020/033235A1に説明されるようなアッセイ試験カートリッジを受容するように構成され得る。アッセイカートリッジは、図1および図2に例証され、バッチ処理トレイ250は、図3Aおよび図3Bに例証される。
【0025】
例証されるようなバッチ処理トレイ250は、基部201、隆起したバックパネル202、および複数のレーン210を有し、各レーンがカートリッジ100を受容するように構成される。隆起したバックパネル202は、レーン210の遠位端に位置する。レーン210の近位端は、レーン210内へのカートリッジ挿入およびレーン210からのカートリッジ取り外しを促進するために開いている。任意選択的に、レーン210は、カバー213で被覆され得る(図3B)。カバーは、周囲光から切り離された閉鎖環境でカートリッジがインキュベートされることを可能にする。カバー213の一部分は、これにより被覆されたレーン210を見るために、透視状態で例証される。図2に例証されるカートリッジは、レーンがカートリッジを受容するために適合する底部トポロジを有する。カートリッジはリーダ機器内へ挿入されるようにすでに構成されているため、レーン210は、同様の様式で構成され得る。例えば、図2に例証されるカートリッジを受容するように構成されるリーダ機器は、カートリッジ100を、切り込み360内に置くことによって、リーダ内に固定するばね機序を有する。レーン210は、ばね式の柱211として例証される同様の機序を有し得、これは、カートリッジがレーン内に挿入されると凹み、その後、切り込み360内へ突出してカートリッジをレーン210内に固定する。任意選択的に、レーン210は、カートリッジの前部分が挿入される遠位端において凹部212を有する。別の実施形態において、レーン210は、凹部212(例証の目的のため、レーンのうちの1つにおいて透視状態で示される)を有する。別の実施形態において、レーン210は、基部において凹んでおらず、レーンの遠位端が、カートリッジの遠位端を受容する凹部212を有する。
【0026】
ばね式の柱211は、任意選択的に、機械スイッチ、または機械視覚によって動作されるスイッチとして構成され得る。スイッチは、カートリッジレーン210内のどこにでも(すなわち、レーンの近位端、レーンの遠位端、カートリッジを支持するレーンの底面、またはレーン側面)置かれ得る。スイッチは、カートリッジがレーン210内へ挿入されるとき、押圧される。ばね式の柱211は、すべてのレーン210に例証されないが、レーンがばね式の柱を有する実施形態において、すべてのレーン210が、その中にばね式の柱を有することが企図される。
【0027】
スイッチはまた、光スイッチ231であり得る。光スイッチは、カートリッジをレーン210内へ挿入することによってトリガされる。機械視覚はまた、レーン210内のカートリッジの存在を検出するために使用され得る。光スイッチ231は、例証の目的のためにいくつかのレーンにおいてのみ例証される。そのようなスイッチが配備される場合、それは、すべてのレーン210に配備されることが想起される。
【0028】
バッチ処理トレイ250は、walk-a-wayモードを通じて、読み取り機器を封鎖することなくデバイス時間調整ステップを自動化することによって、最低限のオペレータ入力で高アッセイスループットを可能にする。バッチ処理トレイは、読み取り機器とは別個である。
【0029】
上に記載されるように、各カートリッジが、単一のアッセイを実施するが、アッセイカートリッジは、異なるアッセイを実施するように構成され得る。ある特定のアッセイを実施するように構成されるカートリッジは、本明細書では、アッセイカートリッジタイプと称される。各タイプのアッセイカートリッジは、アッセイのタイプ(すなわち、インフルエンザアッセイ)に固有の特定のインキュベーション時間間隔を有する。一旦レーン内に置かれると、スイッチ231が起動される。これにより特定のレーンにおけるカートリッジの配置を登録する。これはまた、トレイ内へのカートリッジの配置の際にアッセイカートリッジの発現を自動的に時間調整するためにタイマ220を起動する。そのようなタイマは、当業者には周知であり、本明細書では詳細に説明されない。バッチ処理トレイ250は、発現が完了するときを示す(すなわち、赤から緑へ色を変更する)状態光230を有する。状態光230は、レーン210ごとである。タイマ220は、経過した時間を表示するタイマディスプレイを含む(タイマはまた、残りの時間を示すカウントダウンタイマであり得る)。タイマ220は、カートリッジが全発現時間に達した後に経過した時間の量を表示するように構成される。カートリッジが、インキュベーション後に、しかしながらそれが読み取られる前に、「居座る」ことができる時間は、本明細書ではフレックス時間と称される。フレックス時間は、発現したカートリッジをリーダ機器に引き渡すことにおいてオペレータが有する柔軟性の量である。アッセイカートリッジがこの時間窓以内にカートリッジリーダに引き渡されない場合、アッセイは過剰発現され、試験結果は信頼性がない。
【0030】
1つの実施形態において、バッチ処理トレイ250は、1つのタイプのアッセイカートリッジを受容するように構成される。バッチ処理トレイは、横並びのレーン210内に複数のカートリッジを受容することができる。複数のカートリッジレーンのうちの1つへのカートリッジの挿入は、スイッチ(すなわち、機械、光)を押圧して、特定のタイプのアッセイの発現のために構成されるカウントダウンタイマ220を自動的に開始する。1つの実施形態において、カウントダウンは、まず、ゼロへと進む。タイマがゼロに達すると、タイマは、所定のインキュベーション時間が経過した後に経過した時間(すなわち、フレックス時間)を示すことができる。タイマは、オペレータによって手動でプログラムされ得るか、または、タイマは、特定のカートリッジのためのインキュベーション時間を指示するカートリッジと関連付けられたコード化情報から自動的にプログラムされ得る。カートリッジは、カートリッジと関連付けられた機械可読タグまたはラベル内にそのような情報を保有することができる。そのような情報を保有するため、またはそのような情報にアクセスするための、そのようなラベル/タグのプログラミングは、当業者には周知であり、本明細書では詳細に説明されない。
【0031】
任意の従来のディスプレイが、タイマディスプレイ220に好適である。そのようなデジタルタイマディスプレイは、当業者には周知であり、本明細書では詳細に説明されない。例えば、タイマディスプレイは、バッチ処理トレイのレーン内に配設される液晶ディスプレイ(LCD)であり得る。
【0032】
図3Aの例証された実施形態において、バッチ処理トレイは、アッセイ発現時間が経過したときを示す。例証された実施形態において、各レーン210には、状態光230が提供される。状態光は、任意の従来のインジケータであり得、それは、発現が完了するときに「オフ」から「オン」へ切り替わり得るか、または色が変化し得るか、または何らかの他の表示を提供し得る。1つの実施形態において、状態光は、発光ダイオード(LED)である。しかしながら、任意の従来のインジケータが企図される。代替の実施形態において、インジケータは、アッセイインキュベーション時間が経過したことをオペレータに伝えるための可聴インジケータまたは任意の他の従来のインジケータである。1つの実施形態において、状態光は、発現の間光ることまたは点滅することができ、次いで、アッセイが完全に発現されて、バッチ処理トレイから取り外されてリーダ内に置かれる準備が整った後は、安定を保つ。1つの例において、状態光は、発現/インキュベーションの間は常光状態にあり、フレックス時間の間は点滅し、フレックス時間を超過したときにオフになり得る。多色LEDまたは他の光が、同様の表示を提供することができる。他の実施形態において、フレックス時間が経過し、カートリッジが、フレックス時間が経過した後にレーン内に留まる場合、状態光230は、「ユーザエラー」を示すことができる。他の状態光構成が、単一の状態光を越えて企図される。
【0033】
第2の実施形態において、バッチ処理トレイは、第2のタイプのアッセイカートリッジを受容するように構成される。そのような実施形態において、バッチ処理トレイは、特定の発現時間およびフレックス時間をそれぞれが有する第1および第2のアッセイタイプの発現を時間調整するようにプログラムされる。発現時間およびフレックス時間は、同じまたは異なり得る。バッチ処理トレイには、アッセイのタイプを識別し、バッチ処理トレイが検出されたアッセイタイプに対応する発現カウントダウンを開始することを可能にする、各アッセイカートリッジに配設されるラベル(例えば、バーコードラベル、RFIDタグなど)を検出するためにバッチ処理トレイに取り付けられるセンサ240(例えば、カメラ)が提供される。カメラはまた、カートリッジラベルまたはタグ(例えば、アッセイタイプ)上の情報を検出するために使用され得、その情報は、コントローラ/プロセッサに送信され得、そしてこのコントローラ/プロセッサが、アッセイカートリッジのためのインキュベーション時間およびフレックス時間を判定する。代替的に、オペレータは、例えば、「アッセイモード」を選択するために使用されるインターフェース245を用いて、アッセイタイプまたはカウントダウン間隔を手動で入力し得る。インターフェースの位置は、例証の目的のためにすぎない。インターフェースは、物理的に基部に装着され得るか、または基部とワイヤレスで通信し得る。インターフェースは、タッチスクリーンであり得るか、またはユーザとやりとりするためにダイアルもしくはボタンもしくは任意の他のタイプのスイッチを有し得る。他の実施形態において、各レーンが独自のインターフェースを有する。他の実施形態において、バッチ処理トレイは、追加のタイプのアッセイカートリッジを受容するように構成され得る。
【0034】
追加的に、バッチ処理トレイ250は、イーサネットまたはワイヤレス能力を含み得、バッチ処理トレイが遠隔で更新されることを可能にする。そのような能力は、アッセイリーダメニューが経時的に拡張されると、トレイが新しいアッセイタイプのためにアッセイカートリッジを取り扱うことを可能にする。さらには、バッチ処理トレイは、任意選択的に、スマートデバイスアプリケーション(アプリ)に結合され得、バッチ処理トレイからのアッセイカートリッジ状態情報をオペレータに警告する。バッチ処理トレイは、任意選択的に、アッセイカートリッジ状態情報をオペレータに伝えるように構成されるワイヤレス/ブルートゥース(登録商標)送信機を備え得る。そのような能力は、インキュベーション時間、フレックス時間、または両方が経過したか否かを確認するために、オペレータが戻って基部ステーション内のカートリッジの状態についてチェックする必要性をさらに低減する。
【0035】
図3Aを参照すると、カメラ240は、それがレーン210のすべてを検知および撮像することができるように位置付けられる。カメラ240は、その視野内にすべてのレーン210を含むために、その位置から下方に傾けられ得る。任意選択的に、カメラ240は、隆起したバックパネル202から外向きに突出して、その視野内にすべてのレーン210を含むために下方に向けられ得る。別の態様において、カメラ240は、バックパネル240のいずれかの端241、241’において隆起したバックパネル202から突出し、バッチ処理トレイ250のすべてのレーン210を含み得る。さらに別の実施形態において、各レーン210は、独自のカメラ240を有する。さらに別の実施形態において、カメラ240は、バーコードリーダとして構成され、オペレータは、バッチ処理トレイ250のレーン210内に置かれる前に、カートリッジ100のラベル上のバーコードをスキャンすることができる。さらに他の実施形態において、カメラは、独自の支持体を有し、隆起したバックパネル202によって支持されない。隆起したバックパネル202は、それ自体がバッチ処理ユニット250の任意選択的な特徴部である。他の実施形態において、リーダは、カメラと統合されるか、またはカメラとは別個である、RFIDリーダである。
【0036】
図4は、バッチ処理トレイの動作が制御される様式の一例を例証する。コントローラ400は、バッチ処理トレイプロセッサユニット410を含む。バッチプロセッサユニットへの入力420は、1)アッセイカートリッジのタイプ、2)カートリッジがカートリッジレーン内へ挿入されるときのカートリッジスイッチの軌道、3)カートリッジと関連付けられたコード情報、4)アッセイ時間(例えば、インキュベーション時間、フレックス時間など)に関する情報、および5)オペレータ接触方法(例えば、ブルートゥースデバイス、ワイヤレスデバイス、可聴アラート、視覚アラートなど)、を含むがこれらに限定されない。プロセッサユニット410からの出力430は、1)アッセイカートリッジバーコード情報がきちんと読み取られたという確認、2)アッセイインキュベーション/発現時間窓、3)アッセイフレックス時間時間窓、4)インキュベーション/発現時間およびフレックス時間のためのカウントダウンインジケータ、5)アッセイ完了時間のためのインジケータ、6)アッセイ期限切れ時間のためのインジケータ(すなわち、インキュベーション/発現時間およびフレックス時間を超えたタイマ)、ならびに、7)出力表示に関するオペレータ通知、を含むがこれらに限定されない。
【0037】
プロセッサユニットは、特定のエラーまたはノイズ因子440に対処し、これを示すように構成される。バッチ処理トレイの動作に悪影響を及ぼし得る構成要素ノイズは、1)バーコードがきちんと読み取られない、2)カートリッジに構造的な欠陥があり、レーン内に入らない、および、3)スイッチまたはカメラが、カートリッジがレーン内に置かれているという表示を提供しない、を含むがこれらに限定されない。オペレータエラーはまた、プロセッサによって検出され得る。そのようなエラーは、レーンにおけるカートリッジの不適切な配置、インキュベーション/発現カウントダウンの完了前に取り外されるカートリッジ、および、3)オペレータ接触情報が見つからない、を含む。アッセイ発現に悪影響を及ぼし得る環境条件もまた、プロセッサによって検出および使用され得る。例えば、研究室内の光レベルが、思い通りの処理に適合し得るものを超える場合、その情報は、処理エラーを出力するためにプロセッサによって使用され得る。好適なアッセイカートリッジンキュベーションおよび発現のための条件の範囲から外れる温度および湿度の検出もまた、カートリッジのインキュベーション/発現が上手くいかなかったという表示をトリガし得る。
【0038】
プロセッサはまた、いくつかの制御因子450を受信し、それらの例としては、1)バッチ処理トレイ内のカートリッジレーンの数、2)カメラ/バーコードリーダの視野の位置付け、3)ディスプレイ情報(例えば、文字)、4)インジケータ光構成(例えば、光の色、または照明の状態(すなわち、オフ、オン、点滅など)、および各構成と関連付けられた表示、5)アッセイ情報がどのように更新されるべきかに関するプロセッサ受信指示、6)プロセッサが、どのアッセイにバッチ処理トレイが対応するかをプログラムされること、ならびに、7)通信プロトコル(例えば、ワイヤレス、ブルートゥースなど)、が挙げられる。
【0039】
プロセッサは、1)カートリッジが不適切に挿入された、2)バーコードがきちんと読み取られない、3)レーンタイマ誤動作(例えば、早期にタイムアウトする)、4)レーンからのカートリッジの早過ぎる取り外し(すなわち、タイマがタイムアウトする前の取り外し)、および、5)ワイヤレス接続が検出されない、を含むがこれらに限定されない特定のエラー状態460を出力するように構成される。
【0040】
本明細書に説明されるようなバッチ処理トレイは、多くの異なるワークフローに対応する。1つの実施形態において、ワークフローは、オペレータまたは技術者がアッセイカートリッジに患者試料を接種することで始まる。接種されたカートリッジは、バッチ処理ユニットのレーン内へ挿入される。空のレーンが存在する場合、オペレータは、追加のカートリッジが接種されてトレイ内に挿入されるべきかどうかを決定することができる。カートリッジが挿入されると、スイッチが起動され、カメラが、挿入されたアッセイカートリッジからバーコード情報を獲得する。カメラは、この情報をコントローラに送信し、コントローラは、発現/インキュベーション時間およびフレックス時間をそのレーンに割り当てる。プロセッサがバーコード情報を認識しない場合、プロセッサは、読み取り不可能または認識されないバーコード情報を保有するカートリッジが挿入されるレーンと関連付けられた光に関して無効表示を引き起こす。ユニットは、そのレーン内のカートリッジを処理すること停止する。任意選択的に、オペレータは、その特定のカートリッジの中断された処理に関する情報で処理情報を更新する。
【0041】
プロセッサがバーコード情報を認識する場合、レーンのためのタイマは起動される。ディスプレイは、単純に処理を示し得るか、または完了までのカウントダウンタイマを提供し得る。インキュベーション/発現のための時間が経過すると、ディスプレイは、インキュベーション/発現が完了したことを単純に示し得るか、またフレックス時間カウントダウンタイマが起動され得るかのいずれかである。任意選択的に、制御ユニットは、プロセッサが、発現時間が完了したことをオペレータにワイヤレス通信を通じて通知するようにさせ得る。
【0042】
この時点で、オペレータは、レーンをカートリッジから取り外して、カートリッジをリーダ内へ挿入することができる。オペレータがカートリッジを取り外さない場合、フレックス時間タイマが開始する。オペレータがこの時点でカートリッジを取り外す場合、レーンタイマはオフになり、そのレーンのための処理は停止する。他のレーンは通常通りに処理し続ける。オペレータが、フレックス時間カウントダウン前にカートリッジを取り外す場合、レーンタイマはオフになり、そのレーンのための処理は停止する。カートリッジが、フレックス時間がカウントダウンするときに取り外されない場合、その情報は、コントローラへ提供され、コントローラは、そのレーンのためのタイマまたは状態インジケータのいずれかが、期限切れしたカートリッジを示すようにさせ得る。任意選択的に、コントローラは、プロセッサが、アッセイが期限切れしたことをオペレータに伝えるようにさせ得る。ユーザがカートリッジを取り外すと、そのレーンのための処理は、終了する。
【0043】
前述から、および様々な図面を参照して、当業者は、特定の修正もまた、本開示の範囲から逸脱することなく本開示に対してなされ得ることを理解するものとする。本開示のいくつかの実施形態が図面に示されているが、本開示がそれらに限定されることは意図されず、これは、本開示が、当該技術分野が許す範囲と同じくらいに幅広いものであること、および本明細書が同様に読まれることが意図されるためである。したがって、上の説明は、限定としてではなく、単に特定の実施形態の例示と解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付される特許請求の範囲および趣旨内の他の修正形態を想起するものとする。
図1
図2
図3A
図3B
図4
【国際調査報告】