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特表2023-538625高解像度画像を取得するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】高解像度画像を取得するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   G06V 40/13 20220101AFI20230901BHJP
   A61B 5/1172 20160101ALI20230901BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
G06V40/13
A61B5/1172
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512244
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(85)【翻訳文提出日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 EP2021072550
(87)【国際公開番号】W WO2022038044
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】2008535
(32)【優先日】2020-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513257535
【氏名又は名称】イソルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ,ウィルフリッド
(72)【発明者】
【氏名】デクルー,デルフィーヌ
【テーマコード(参考)】
4C038
4M118
【Fターム(参考)】
4C038FF01
4C038FG01
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA05
4M118CA02
4M118CA14
4M118CB20
4M118GA03
4M118GA04
4M118GA09
4M118GB03
4M118GB07
4M118GB11
4M118GB13
4M118GC07
4M118GD04
4M118GD11
4M118GD20
4M118HA25
(57)【要約】
【解決手段】本明細書は、対象(12)の画像を取得するためのシステム(10)に関し、システムは、厚さ全体が600 μmより小さい層の積層体を備えており、積層体は、光検出器(16)のアレイを有する画像センサ(14)と、400 μmより小さい厚さを有して反対側に位置する第1の表面(22)及び第2の表面(24)を有する、放射光(RF)の光源(20)とを有しており、第2の表面は画像センサに向いており、光源によって第1の表面を通して放射されるエネルギー流束の面密度は100 μW/cm2より大きく、第2の表面及び第1の表面を通って光源により放射されるエネルギー流束の面密度の比が0.4 未満であり、放射光の少なくとも一部に対する光源の透過率が15%より高く、積層体は、画像センサを覆って光源と画像センサとの間に配置されている角度フィルタ(18)を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象(12)の画像を取得するための画像取得システム(10; 115; 120)であって、
厚さ全体が600 μmより小さい層の積層体を備えており、前記積層体は、
光検出器(16)のアレイを有する画像センサ(14)と、
400 μmより小さい厚さを有して反対側に位置する第1の表面(22)及び第2の表面(24)を有する、放射光(RF)の光源と
を有しており、前記光源は、前記画像センサ(14)全体を覆う画素化されていない有機発光ダイオード、又は前記画像センサ(14)全体を覆う導光体を有しており、前記光検出器は、対象によって反射した前記放射光の少なくとも一部を検出するように適合されており、前記第2の表面は、前記画像センサの側に面して前記光検出器のアレイ全体を覆っており、前記光源によって前記第1の表面を通して放射されるエネルギー流束の面密度は100 μW/cm2 より大きく、前記光源によって前記第2の表面を通して放射されるエネルギー流束の面密度対前記光源によって前記第1の表面を通して放射されるエネルギー流束の面密度の比が0.4 未満であり、前記放射光の少なくとも一部に対する前記光源の透過率が15%より高く、
前記積層体は、前記画像センサを覆って、前記光源と前記画像センサとの間に配置されている角度フィルタ(18)を更に有しており、前記角度フィルタは、前記第1の表面に直交する方向に対して閾値より大きな入射角を有する前記放射光の光線を遮断して、前記第1の表面に直交する方向に対して前記閾値より小さな入射角を有する前記放射光の光線を通すように適合されている、画像取得システム。
【請求項2】
前記導光体(20)は、第1のシース(74)と第2のシース(78)との間に配置されているコア(76)を有しており、前記第2のシース(78)は、前記コアと前記角度フィルタ(18)との間に配置されており、前記放射光に関する前記コアの屈折率は、前記放射光に関する前記第1のシース及び前記第2のシースの屈折率より大きい、請求項1に記載の画像取得システム。
【請求項3】
前記第2のシース(78)と前記コア(76)との間に、前記第2のシースから前記コアにレリーフ状に突出しているマイクロメートルサイズのパターン(80)を更に備えている、請求項2に記載の画像取得システム。
【請求項4】
前記導光体(20)は、前記放射光が前記導光体に注入される領域を有しており、
前記第2のシース(78)上の前記パターン(80)の面密度は、前記領域への距離が増大するにつれて増加する、請求項3に記載の画像取得システム。
【請求項5】
前記放射光(RF)は可視域及び/又は赤外域の範囲内にある、請求項1~4のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項6】
前記角度フィルタ(18)は、
マイクロメートルサイズの集束素子(98)のアレイと、
前記放射光を通さず、孔(110) が横切る層(108) と
を有しており、
前記孔に空気又は、前記放射光を少なくとも部分的に通す材料が充填されている、請求項1~5のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項7】
前記第1の表面(22)に垂直に測定された前記孔の高さ対前記第1の表面に平行に測定された前記孔の幅の比が、前記孔(110) 毎に1~10の範囲内である、請求項6に記載の画像取得システム。
【請求項8】
前記孔(110) は行及び列に配置されており、同一の行又は同一の列の隣り合う孔間のピッチは1μm~30μmの範囲内である、請求項6又は7に記載の画像取得システム。
【請求項9】
前記第1の表面(22)に直交する方向に沿って測定された各孔(110) の高さが1μm~1mmの範囲内である、請求項6~8のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項10】
前記第1の表面(22)と平行に測定された各孔(110) の幅が2μm~30μmの範囲内である、請求項6~9のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項11】
前記マイクロメートルサイズの集束素子(98)はマイクロメートルサイズのレンズである、請求項6~10のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項12】
前記光検出器(16)は有機フォトダイオードを有している、請求項1~11のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項13】
前記第1の表面(22)を覆う第1の偏光子(122) を更に備えている、請求項1~12のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項14】
第2の偏光子を更に備えている、請求項13に記載の画像取得システム。
【請求項15】
前記第1の偏光子(122) は前記光源(20)と撮像対象(12)との間に配置されており、前記第2の偏光子は前記光源(20)と前記角度フィルタ(18)との間に配置されている、請求項14に記載の画像取得システム。
【請求項16】
接触撮像によって対象、特にユーザの少なくとも1つの指紋を検出するために、請求項1~15のいずれか1つに記載の画像取得システム(10; 115; 120)を使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、高解像度画像取得システムに関し、より具体的には光源を備えた画像取得システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、対象2 の画像を取得するため、例えば指の指紋を取得するための画像取得システム1 の例を示す部分的な断面略図である。
【0003】
画像取得システム1 は、図1の下から上に、
- 発光タイル3 、
- 発光タイル3 によって与えられる放射光を通す支持体4 、
- 光検出器とも称される感光セル6 のアレイを有している画像センサ5 、及び
- 被覆体7
を備えている。
【0004】
発光タイル3 は前方放射光RFを放射し、前方放射光RFは、撮像対象2 によって反射し、反射した放射光RRは光検出器6 によって取り込まれる。発光タイル3 の使用により、特に周辺光の条件とは無関係に画像を取得することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光検出器6 が前方放射光RFによって飽和するのを回避するために、一般に遮蔽体が感光セル6 と発光タイル3 との間に配置される必要がある。しかしながら、図面に示されている画像取得システム1 の不利点は、入射放射光RIの斜光線が光検出器6 に直接達するのを完全に防ぐことが難しい場合があるということである。
【0006】
図1に示されている画像取得システム1 の別の不利点は、検出対象2 上での入射放射光RIの鏡面反射によって生じる反射した放射光RRに加えて、光検出器6 によって更に取り込まれて画像取得システム1 によって取得された画像を劣化させる拡散によって反射した放射光RDが観察され得るということである。
【0007】
従って、実施形態の目的は、前述した画像取得システムの不利点を少なくとも部分的に克服することである。
【0008】
実施形態の別の目的は、画像取得システムによって取得された画像の質を向上させることである。
【0009】
実施形態の別の目的は、光源から放射される放射光に直接さらされて光検出器が飽和するリスクを減らすことである。
【0010】
実施形態の別の目的は、撮像対象と画像取得システムの高感度部分との距離を1センチメートルより短くすることである。
【0011】
実施形態の別の目的は、画像取得システムを製造する方法を工業規模で実施可能にするということである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
実施形態は、対象の画像を取得するための画像取得システムであって、厚さ全体が600 μmより小さい層の積層体を備えており、前記積層体は、
光検出器のアレイを有する画像センサと、
400 μmより小さい厚さを有して反対側に位置する第1の表面及び第2の表面を有する、放射光の光源と
を有しており、前記光源は、前記画像センサ全体を覆う画素化されていない有機発光ダイオード、又は前記画像センサ全体を覆う導光体を有しており、前記光検出器は、対象によって反射した前記放射光の少なくとも一部を検出するように適合されており、前記第2の表面は、前記画像センサの側に面して前記光検出器のアレイ全体を覆っており、前記光源によって前記第1の表面を通して放射されるエネルギー流束の面密度は100 μW/cm2 より大きく、前記光源によって前記第2の表面を通して放射されるエネルギー流束の面密度対前記光源によって前記第1の表面を通して放射されるエネルギー流束の面密度の比が0.4 未満であり、前記放射光の少なくとも一部に対する前記光源の透過率が15%より高く、
前記積層体は、前記画像センサを覆って、前記光源と前記画像センサとの間に配置されている角度フィルタを更に有しており、前記角度フィルタは、前記第1の表面に直交する方向に対して閾値より大きな入射角を有する前記放射光の光線を遮断して、前記第1の表面に直交する方向に対して前記閾値より小さな入射角を有する前記放射光の光線を通すように適合されている、画像取得システムを提供する。
【0013】
実施形態によれば、前記導光体は、第1のシースと第2のシースとの間に配置されているコアを有しており、前記第2のシースは、前記コアと前記角度フィルタとの間に配置されており、前記放射光に関する前記コアの屈折率は、前記放射光に関する前記第1のシース及び前記第2のシースの屈折率より大きい。
【0014】
実施形態によれば、前記画像取得システムは、前記第2のシースと前記コアとの間に、前記第2のシースから前記コアにレリーフ状に突出しているマイクロメートルサイズのパターンを更に備えている。
【0015】
実施形態によれば、前記導光体は、前記放射光が前記導光体に注入される領域を有しており、前記第2のシース上の前記パターンの面密度は、前記領域への距離が増大するにつれて増加する。
【0016】
実施形態によれば、前記放射光は可視域及び/又は赤外域の範囲内にある。
【0017】
実施形態によれば、前記角度フィルタは、
マイクロメートルサイズの集束素子のアレイと、
前記放射光を通さず、孔が横切る層と
を有しており、
前記孔に空気又は、前記放射光を少なくとも部分的に通す材料が充填されている。
【0018】
実施形態によれば、前記第1の表面に垂直に測定された前記孔の高さ対前記第1の表面に平行に測定された前記孔の幅の比が、前記孔毎に1~10の範囲内である。
【0019】
実施形態によれば、前記孔は行及び列に配置されており、同一の行又は同一の列の隣り合う孔間のピッチは1μm~30μmの範囲内である。
【0020】
実施形態によれば、前記第1の表面に直交する方向に沿って測定された各孔の高さが1μm~1mmの範囲内である。
【0021】
実施形態によれば、前記第1の表面と平行に測定された各孔の幅が2μm~30μmの範囲内である。
【0022】
実施形態によれば、前記マイクロメートルサイズの集束素子はマイクロメートルサイズのレンズである。
【0023】
実施形態によれば、前記光検出器は有機フォトダイオードを有している。
【0024】
実施形態によれば、前記画像取得システムは、前記第1の表面を覆う第1の偏光子を更に備えている。
【0025】
実施形態によれば、前記画像取得システムは、第2の偏光子を更に備えている。
【0026】
実施形態によれば、前記第1の偏光子は前記光源と撮像対象との間に配置されており、前記第2の偏光子は前記光源と前記角度フィルタとの間に配置されている。
【0027】
実施形態は、接触撮像によって対象、特にユーザの少なくとも1つの指紋を検出するために、前述したような画像取得システムを使用する方法を更に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
前述及び他の特徴及び利点は、添付図面を参照して本発明を限定するものではない例として与えられる以下の具体的な実施形態に詳細に記載されている。
【0029】
図1】前述した画像取得システムの例を示す図である。
図2】画像取得システムの実施形態を示す図である。
図3図2の画像取得システムの光源の更に詳細な実施形態を示す図である。
図4図3の光源を示す平面図である。
図5図2の画像取得システムの光源の更に詳細な別の実施形態を示す図である。
図6図5の導光体の実施形態を示す図である。
図7図2の画像取得システムの角度フィルタの実施形態を示す図である。
図8図7の角度フィルタを示す底面略図である。
図9図7の角度フィルタの変形例を示す図である。
図10】画像取得システムの別の実施形態を示す図である。
図11】画像取得システムの別の実施形態を示す図である。
図12図2の画像取得システムで得られた画像を示す図である。
図13図11の画像取得システムで得られた画像を示す図である。
図14A図6の導光体を製造する製造方法の実施形態の工程を示す図である。
図14B】製造方法の別の工程を示す図である。
図14C】製造方法の別の工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
同様の特徴が、様々な図で同様の参照符号によって示されている。特に、様々な実施形態に共通する構造的特徴及び/又は機能的特徴は同一の参照符号を有してもよく、同一の構造特性、寸法特性及び材料特性を有してもよい。更に、本明細書の理解に有用な要素のみが示され説明されている。特に、以下に説明する画像取得システムによって与えられる信号を処理するための手段は当業者の技能の範囲内であり、説明されない。
【0031】
以下の記載では、「前」、「後ろ」、「最上部」、「底部」、「左」、「右」などの絶対位置、若しくは「上方」、「下方」、「上側」、「下側」などの相対位置を限定する用語、又は方向を限定する用語を参照するとき、この用語は図面の向き、又は通常の使用位置にある画像取得システムを指す。特に指定されていない場合、「約」、「略」、「実質的に」及び「程度」という表現は、該当する値の10%の範囲内、好ましくは5%の範囲内を表す。角度の場合、「約」、「略」、「実質的に」及び「程度」という表現は、特に示されていない場合、10%の範囲内を意味する。更に本明細書では、「絶縁」及び「伝導」という用語は「電気絶縁」及び「電気伝導」を夫々意味するとみなされる。
【0032】
以下の記載では、層の内部透過率は、層から出る放射光の強度対層に入る放射光の強度の比に相当する。層の吸収率は、(入射光全体が透過する完全透過率に相当する)1と内部透過率との差である。以下の記載では、層を通る放射光の吸収率が75%未満である場合、この層は放射光を通すとする。以下の記載では、層への放射光の吸収率が75%を超える場合、この層は放射光を吸収する又は通さないとする。放射光が一般に、最大値を有する「ベル」形状、例えばガウス形状のスペクトルを示す場合、放射光の波長、又は放射光の中心波長若しくは主波長は、スペクトルの最大値に達する波長を表す。以下の記載では、材料の屈折率は、画像取得システムの光源によって放射される放射光の波長領域に関する材料の屈折率に相当する。特に示されていない場合、屈折率は、画像取得システムの光源によって放射される放射光の波長領域に亘って実質的に一定とみなされ、例えば、画像取得システムの光源によって放射される放射光の波長範囲に亘る屈折率の平均と等しいとみなされる。
【0033】
更に、以下の記載では、「有用な放射光」とは、画像取得システムの画像センサによって取り込まれる電磁放射線を表し、有用な波長とは、有用な放射光の中心波長を表す。以下の記載では、「可視光線」は、400 nm~700 nmの範囲内の波長を有する電磁放射線を表し、「赤外線」は、700 nm~1mmの範囲内の波長を有する電磁放射線を表す。赤外線では、700 nm~1.4 μmの範囲内の波長を有する近赤外線を特に識別することができる。
【0034】
図2は、対象12の画像取得システム10の実施形態を示す部分的な断面略図である。画像取得システム10は、図2の下から上に、
- 光検出器16のアレイを有する画像センサ14、
- 角度フィルタ18、及び
- 光源20
を備えており、角度フィルタ18は画像センサ14と光源20との間に配置されている。
【0035】
画像取得システム10は、例えばマイクロプロセッサを有する、画像センサ14によって出力される信号を処理するための手段(不図示)を更に備えている。
【0036】
本実施形態では、光源20は、撮像対象12と画像センサ14との間に配置されている。光源20は、対象12の側に面する上面22と、角度フィルタ18の側に面する、上面22と反対側の下面24とを有している。上面22及び下面24は平面で平行であることが好ましい。
【0037】
光源20は上面22を通して前方放射光RFを放射する。前方放射光RFの一部は、対象12によって反射及び/又は拡散し、画像取得システム10に向かって戻る放射光ROを形成する。光源20は、下面24を通して後方放射光を更に放射する。角度フィルタ18に達する、以下に入射放射光RIと称される放射光全体は、光源20から放射される後方放射光と、光源20を横切って戻る放射光ROの一部を含んでいる。
【0038】
実施形態によれば、光源20の厚さ全体、すなわち上面22と下面24との間の距離は400 μmより小さく、好ましくは300 μmより小さく、より好ましくは250 μmより小さい。光源20は、空気又は部分真空が充填された部分を含まないことが好ましい。上面22に直交する方向に沿って見ると、光源の放射表面積全体は2cm2 より大きく、好ましくは5cm2 より大きく、より好ましくは10cm2 より大きく、特には60cm2 より大きい。
【0039】
実施形態によれば、光源20から上面22を通して放射されるエネルギー流束の面密度は、光源20から下面24を通して放射されるエネルギー流束の面密度より大きい。光源20から下面24を通して放射されるエネルギー流束の面密度対光源20から上面22を通して放射されるエネルギー流束の面密度の比は0.4 より小さく、好ましくは0.3 より小さく、より好ましくは0.2 より小さく、特に0.15より小さいことが好ましい。実施形態によれば、光源20から上面22を通して放射されるエネルギー流束の面密度は600 μW/cm2より大きい。
【0040】
実施形態によれば、光源20から上面22を通して放射されるエネルギー流束の面密度は、上面22全体に亘って実質的に均一である。光源20から上面22を通して放射されるエネルギー流束の最大面密度をImaxとし、光源20から上面22を通して放射されるエネルギー流束の最小面密度をIminとし、上面22の面密度の均一性を表す比Uは、以下の関係式に従って定められる。
U=(Imax-Imin)/(Imax+Imin)
【0041】
実施形態によれば、比Uは0.2 より小さく、好ましくは0.15より小さく、より好ましくは0.12より小さい。
【0042】
光源20は、対象12によって戻る放射光を少なくとも部分的に通す。実施形態によれば、有用な波長に対する光源の透過率は15%より高く、好ましくは20%より高く、より好ましくは25%より高い。
【0043】
光源20によって放射される前方放射光は可視光線及び/又は赤外線であってもよい。実施形態によれば、有用な波長は500 nm~550 nmの範囲内であり、例えば略530 nmである。
【0044】
実施形態によれば、画像取得システム10の厚さ全体は600 nmより小さい。このため、可撓性を有する画像取得システム10の形成が可能になる。
【0045】
画像センサ14は、支持体26と、支持体26及び角度フィルタ18間に配置されている光検出器16とを有している。光検出器16は、透明な保護被覆体28で覆われてもよい。画像センサ14は、光検出器16の選択を可能にする不図示の導電性トラック及びスイッチング素子、特にトランジスタを更に有している。光検出器16は有機材料で形成されてもよい。光検出器16は、有機フォトダイオード(OPD) 又は有機フォトレジスタに相当してもよい。角度フィルタ18に対向して光検出器16を含む画像センサ14の表面積は1cm2 より大きく、好ましくは5cm2 より大きく、より好ましくは10cm2 より大きく、特には20cm2 より大きい。
【0046】
特に、各光検出器16が、下面24に垂直な軸芯に対する入射角が最大入射角より小さく、45°より小さく、好ましくは20°より小さく、より好ましくは10°より小さく、更により好ましくは5°より小さく、特に4°より小さい光線のみを受けるように、角度フィルタ18は、下面24に対する放射光の入射角に応じて、光源20から放射される後方放射光、及び光源20を横切る戻り放射光ROの一部を含む入射放射光RIをフィルタ処理するように適合されている。角度フィルタ18は、下面24に垂直な軸芯に対する入射角が最大入射角より大きい入射放射光RIの光線を遮断することができる。
【0047】
図3は、光源20の更に詳細な実施形態を示す画像取得システム10の部分的な断面略図であり、図4は、図3の光源20の部分的な平面略図である。
【0048】
本実施形態では、光源20は発光ダイオード、特に有機発光ダイオード(OLED)を有している。光源20は、第1の電極層40 、アクティブ有機層42及び第2の電極層44を含む層の積層体を有しており、アクティブ有機層42は第1の電極層40と第2の電極層44との間に挟持されている。アクティブ層42は、光源20による電磁放射線の大部分が放射される領域である。光源20は、上面22を画定して第1の電極層40を覆う被覆体46を、アクティブ層42と反対の第1の電極層40の側に更に有してもよく、下面24を画定して第2の電極層44を覆う被覆体48を、アクティブ層42と反対の第2の電極層44の側に更に有してもよい。電極層40, 44及び被覆体46, 48は有用な放射光を通す。
【0049】
光源20は、第1の電極層40の周縁部の一部に亘って第1の電極層40と接する導電性細片50、及び第2の電極層44の周縁部の一部に亘って第2の電極層44と接する導電性細片52を更に有してもよい。導電性細片50, 52は、発光ダイオード20を制御するための回路に接続されるように構成されており、電極層40, 44への電流の注入及び/又は収集を容易にする。導電性細片50, 52は、有用な放射光を通さなくてもよい。
【0050】
図4は、電極層40が電子注入層である場合、導電性細片50及び電極層40を実線で概略的に示して、アクティブ層42を点線で概略的に示す。図4では、電極層40は、第1及び第2の対向する縁部54, 56、並びに第3及び第4の対向する縁部58, 60を含む矩形状である。実施形態によれば、導電性細片50は、電極層40の第1の縁部54全体に亘って延びており、電極層40の第3の縁部58及び第4の縁部60の一部に連続している。例として、導電性細片50は、第3の縁部58及び第4の縁部60の各々の1/6 、1/4 、1/2 、3/4 又は長さ全体に亘って延びてもよい。導電性細片50は第2の縁部56に沿って延びないことが好ましい。
【0051】
電極層40又は電極層44は電子注入層又は正孔注入層に相当してもよい。電極層40又は電極層44の仕事関数は、電極層がカソードの機能を果たすか又はアノードの機能を果たすかに応じて正孔及び/又は電子を遮断、収集又は注入することができる。より正確には、電極層40又は電極層44がアノードの機能を果たす場合、電極層40又は電極層44は、正孔を注入して電子を遮断する層に相当する。そのため、電極層40又は電極層44の仕事関数は4.5 eV以上であり、好ましくは5eV以上である。電極層40又は電極層44がカソードの機能を果たす場合、電極層40又は電極層44は電子を注入して正孔を遮断する層に相当する。そのため、電極層40又は電極層44の仕事関数は4.5 eV以下であり、好ましくは4.2 eV以下である。
【0052】
電極層40又は電極層44が電子注入層の機能を果たす場合、電極層40又は電極層44を形成する材料は、
- 金属酸化物、特に酸化チタン又は酸化亜鉛、
- ホスト/分子ドーパント系、特にNET-5/NDN-1 又はNET-8/MDN-26の商標名でNovaled によって商品化されている製品、
- 導電性ポリマー又はドープされた半導体ポリマー、例えばポリ(3,4)-エチレンジオキシチオフェン及びトシラートの混合物であるPEDOT:トシラートポリマー、
- 炭酸塩、例えばCSCO3
- 高分子電解質、例えばポリ[9,9-bis(3'-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル)-2,7-フルオレン-alt-2,7-(9,9-ジオクチルフルオレン)](PFN) 、ポリ[3-(6-トリメチルアンモニウムヘキシル)チオフェン](P3TMAHT) 、又はポリ[9,9-bis(2-エチルヘキシル)フルオレン]-b-ポリ[3-(6-トリメチルアンモニウムヘキシル)チオフェン](PF2/6-b-P3TMAHT) 、
- ポリエチレンイミン(PEI) ポリマー、又はエトキシ化ポリエチレンイミン(PEIE)ポリマー、プロポキシ化ポリエチレンイミンポリマー及び/若しくはブトキシ化ポリエチレンイミンポリマー、並びに
- これらの材料の2以上の混合物
を含む群から選択されている。
【0053】
電極層40又は電極層44が正孔注入層の機能を果たす場合、電極層40又は電極層44を形成する材料は、
- 導電性ポリマー又はドープされた半導体ポリマー、特にSigma-Aldrich によってPlexcore OC RG-1100 ,Plexcore OC RG-1200 の商標名で商品化されている材料、ポリ(3,4)-エチレンジオキシチオフェン及びポリスチレンスルホン酸ナトリウムの混合物であるPEDOT:PSS ポリマー又はポリアニリン、
- 分子ホスト/ドーパント系、特にNHT-5/NDP-2 又はNHT-18/NDP-9の商標名でNovaled によって商品化されている製品、
- 高分子電解質、例えばナフィオン、
- 金属酸化物、例えば酸化モリブデン、酸化バナジウム、ITO 又は酸化ニッケル、及び
- これらの材料の2以上の混合物
を含む群から選択されている。
【0054】
導電性細片50, 52は金属製であってもよい。
【0055】
アクティブ層42は、少なくとも1つの有機材料を含んでおり、複数の有機材料の積層体又は混合物を含んでもよい。アクティブ層42は、電子供与体ポリマー及び電子受容体分子の混合物を含んでもよい。アクティブ層42の機能領域は、電極層40及び電極層44の重なり部分により画定されている。アクティブ層42の機能領域を横切る電流は、数ピコアンペアから数マイクロアンペアの範囲内であってもよい。
【0056】
アクティブ層42は小分子、オリゴマー又はポリマーを含んでもよい。これらは有機材料であってもよく無機材料であってもよい。アクティブ層42は、両極性半導体材料を含んでもよく、つまり、例えば積層の形態又はバルクヘテロ接合を形成すべくナノメートルスケールで均質な混合物の形態でN型半導体材料及びP型半導体材料の混合物を含んでもよい。
【0057】
アクティブ層42を形成することができるP型半導体ポリマーの例として、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ[N-9'- ヘプタデカニル-2,7- カルバゾール-アルト-5,5-(4,7 -ジ-2 -チエニル-2',1',3'-ベンゾチアジアゾール)](PCDTBT)、ポリ[(4,8 -ビス-(2 -エチルヘキシルオキシ)-ベンゾ[1,2-b;4,5-b']ジチオフェン)-2,6-ジイル-アルト-(4-(2 -エチルヘキサノイル)-チエノ[3,4-b ]チオフェン))-2,6 -ジイル];4,5-b']ジチオフェン)-2,6-ジイル-アルト-(5,5'-ビス(2-チエニル)-4,4,-ジノニル-2,2'-ビチアゾール)-5',5''-ジイル](PBDTTT-C)、ポリ[2-メトキシ-5- (2-エチル-ヘキシルオキシ)-1,4- フェニレン-ビニレン](MEH-PPV )、又はポリ[2,6-(4,4-ビス-(2-エチルヘキシル)-4H-シクロペンタ[2,1-b;3,4-b']ジチオフェン)-アルト-4,7(2,1,3-ベンゾチアジアゾール)](PCPDTBT )がある。
【0058】
アクティブ層42を形成することができるN型半導体材料の例として、フラーレン、特にC60 、[6,6]-フェニル-C61- 酪酸メチルエステル([60]PCBM)、[6,6]-フェニル-C71- 酪酸メチルエステル([70]PCBM)、ペリレンジイミド、酸化亜鉛(ZnO )、又は量子ドットの形成を可能にするナノ結晶がある。
【0059】
被覆体46, 48は、ガラス又はポリマー、特にテトラフルオロエチレン(TFE) に基づき形成されたポリマーで形成されてもよい。
【0060】
図5は、光源20の更に詳細な別の実施形態を示す画像取得システム10の部分的な断面略図であり、この別の実施形態では、光源は、角度フィルタ18を覆って、例えば発光ダイオードを含む放射源70による放射光が注入される導波路又は導光体とも称される光導波路に相当する。放射光は、導波路の周縁部から導波路20の一側又は複数の側に沿って導波路20に注入されてもよい。実施形態によれば、全ての発光ダイオードは同一の中心波長で放射光を放射してもよく、又は、発光ダイオードは異なる中心波長で放射光を放射してもよい。図5に示されている実施形態では、放射光は導波路20の側縁部72から導波路20に注入される。別の実施形態によれば、放射光は、導波路の周縁部で上面22又は下面24を通して、好ましくは下面24を通して導波路20に注入される。
【0061】
図6は、図5の導波路20の実施形態を示す部分的な断面略図である。導波路20は、図6の上から下に、
- 上面22を画定している上側シース74、
- コア76、
- 下面24を画定している下側シース78(コア76は下側シース78と上側シース74との間に挟持されている)、及び
- コア76の側で下側シース78上に載置されているマイクロメートルサイズの凸状のパターン80
を有している。
【0062】
コア76は単層構造を有してもよく又は多層構造を有してもよい。コアが多層構造を有する場合、コア76を形成する全ての層は実質的に同一の屈折率を有する。特に、コア76は、実質的に等しい屈折率を有する異なる材料の図6に示されていない第1及び第2のサブ層の少なくとも1つの積層体を有してもよく、第1のサブ層はコア76の大部分を形成しており、第2のサブ層は下側シース78及びパターン80を覆っており、パターン80の形成を可能にするためにのみ設けられている。上側シース74、下側シース78及びパターン80は、同一の材料で形成されてもよく又は異なる材料で形成されてもよい。パターン80は、下側シース78と同一の材料で形成されてもよい。特に、パターン80及び下側シース78はモノブロック構造を形成してもよい。特に、パターン80及び下側シース78は空気膜に相当してもよい。コア76を形成する材料の屈折率は、上側シース74、下側シース78及びパターン80を形成する材料の屈折率より大きく、上側シース74、下側シース78及び/又はパターン80が異なる材料で形成される場合には上側シース74、下側シース78及びパターン80を形成する材料の屈折率より大きい。
【0063】
上側シース74は、コア76と接する表面82を有している。表面82は平面であり、上面22と平行であることが好ましい。下側シース78は、パターン80が載置されている表面84を有しており、表面84は、パターン80を除いてコア76と接している。表面84は平面であり、下面24と平行であることが好ましい。上側シース74によって、対象12が導波路20に接するときに光の抽出を回避することが特に可能である。上側シース74は、コア76の保護被覆体として更に使用されてもよい。
【0064】
パターン80は、上面22を通して導波路20に注入される放射光の抽出を高める。パターン80は同一の形状又は異なる形状を有してもよい。例として、各パターン80は、上面22に対して傾斜した平面86を有してもよい。例として、各パターン80は角柱形状を有してもよい。表面84上のパターン80の密度は一定でなくてもよい。特に、導波路20への放射光の注入領域までの距離又は導波路20への放射光の注入領域が増大する場合、パターン80の密度は増加してもよい。例として、放射光が導波路の縁部で導波路20に注入される場合、表面84上のパターン80の密度は、この縁部からの距離と共に増加する。パターンの密度の変化によって、上面22を通して放射される前方放射束のスペクトル密度の均一性を維持することが可能である一方、導波路20に伝搬する放射束のスペクトル密度は、導波路20への放射光の注入領域までの距離又は導波路20への放射光の注入領域が増大するにつれて減少する。
【0065】
実施形態によれば、コア76の厚さは100 μm~600 μmの範囲内であってもよい。実施形態によれば、上側シース74の厚さは1μm~150 μmの範囲内であってもよく、好ましくは30μm~80μmの範囲内であってもよい。実施形態によれば、下側シース78の厚さは1μm~150 μmの範囲内であってもよい。表面84に対して測定される各パターン80の最大高さは0.5 μm~6μmの範囲内であってもよく、好ましくは2μm~5μmの範囲内であってもよい。パターン80の幅は夫々20μmより小さくてもよく、好ましくは12μmより小さくてもよく、より好ましくは2μm~6μmの範囲内であってもよい。
【0066】
実施形態によれば、コア76はポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET) 又は環状オレフィンポリマー(COP) で形成されてもよい。実施形態によれば、上側シース74、下側シース78及び/又はパターン80は、光学透明接着剤(OCA) 、特に液状光学透明接着剤(LOCA)、又は低屈折率の材料、又はエポキシ系/アクリル系接着剤、又はガス若しくはガス状混合物の膜で形成されてもよい。実施形態によれば、コア76の屈折率は1.45~1.7 の範囲内であり、上側シース74、下側シース78及びパターン80の屈折率は1~1.55の範囲内である。コア76の屈折率と上側シース74、下側シース78及びパターン80の屈折率との差は0.07より大きく、好ましくは0.1 より大きい。導波路20は、シート毎の方法又はロール毎の方法に従って形成されてもよい。
【0067】
図7は、角度フィルタ18の実施形態を示す部分的な断面略図である。角度フィルタ18は、図7の下から上に、
- 例えば平面で平行な上面92及び下面94を有して開口部を有する層90と、
- 開口部を有する層90を覆う中間層96と、
- マイクロメートルサイズの集束光学素子98のアレイと、
- 被覆体100 と
を有している。
【0068】
マイクロメートルサイズの光学素子98のアレイは、例えば中間層96を覆うマイクロレンズ98のアレイに相当する。中間層96はマイクロレンズ98のアレイの支持体の機能を果たしてもよく、中間層96及びマイクロレンズ98のアレイはモノリシック型構造に相当してもよい。マイクロレンズは、平凸マイクロレンズ又は屈折率分布型マイクロレンズであってもよい。変形例として、マイクロメートルサイズの光学素子98のアレイは、マイクロメートルサイズの回折格子のアレイに相当してもよい。
【0069】
被覆体100 は、例えば複数の層、例えば2つの層102, 104の積層体を有して上面106 を有している。上面106 が平面であり、光源20の下面24と接していることが好ましい。特に、下層104 はマイクロレンズ98上の平坦化層の機能を果たして、マイクロレンズ98の屈折率より小さい屈折率を有してもよく、上層102 は、導波路20との関連付けのためにプラスチックフィルム又は接着フィルムであってもよい。
【0070】
図8は、図7に示されている開口部を有する層90を示す底面図である。本実施形態では、開口部を有する層90は、開口部とも称される孔110 が横切る不透明層108 を有している。孔110 が不透明層108 の厚さ全体に亘って延びているので、孔110 は貫通孔であることが好ましい。別の実施形態によれば、孔110 は不透明層108 の厚さの一部に亘ってのみ延びてもよく、不透明層108 の残り部分が孔110 の底部に残存してもよい。しかしながら、この場合、場合によっては充填された孔110 及び孔110 の底部の不透明層108 の残り部分を有する集合体が有用な放射光を通すとみなされ得るために、孔110 の底部の不透明層108 の残り部分の厚さは十分小さい。
【0071】
実施形態によれば、孔110 の分散はマイクロレンズ98の分散と同一である。例として、図8は、マイクロレンズが正方形のパターンに分散している場合に対応する。しかしながら、マイクロレンズ98の他の配置、例えば六角形のパターンが可能である。貫通孔の場合、孔110 の高さにも相当する層90の厚さを「h」とする。不透明層108 は入射放射光のスペクトルの全て又は一部を通さない。不透明層108 は、有用な放射光を通さなくてもよく、例えば有用な放射光を吸収及び/又は反射してもよい。実施形態によれば、不透明層108 は、可視域若しくは可視域の一部の放射線及び/又は近赤外線及び/又は赤外線を吸収する。
【0072】
図8には、孔110 が円形の断面で示されている。一般に、孔110 は、使用される製造方法に応じて平面視であらゆる断面を有してもよく、例えば円形、楕円形又は多角形、特に三角形、正方形若しくは矩形の断面を有してもよい。更に図7では、孔110 は不透明層108 の厚さ全体に亘って一定の断面で示されている。しかしながら、各孔110 が不透明層108 の厚さに亘って異なる断面を有してもよい。例として、マイクロレンズ98までの距離が増大するにつれて各孔110 の断面が減少してもよい。実施形態によれば、孔110 は実質的に円錐台形状である。実施形態によれば、上面92側の孔110 の直径は2μm~10μmの範囲内であり、下面94側の孔110 の直径は1μm~5μmの範囲内である。実施形態によれば、上面92側の孔110 の直径は10μmより大きく、下面94側の孔110 の直径は5μmより大きい。孔110 がフォトリソグラフィ工程を有する方法によって形成される場合、孔の形状は、照射量、現像時間、フォトリソグラフィの露出源の発散角などの方法パラメータ及びマイクロレンズの形状によって調節されてもよい。
【0073】
実施形態によれば、孔110 は行及び列に配置されている。孔110 の大きさは実質的に同一であってもよい。行方向又は列方向に沿って測定される孔110 の幅を「w」とする。孔の断面が円形である場合、幅wは孔110 の直径に相当する。実施形態によれば、孔110 は行及び列に沿って規則的に配置されている。孔110 の繰返しピッチ、つまり、行又は列の2つの隣り合う孔110 の中心間の平面視での距離を「p」とする。以下に更に詳細に記載されるように、孔の配置はマイクロレンズ98の配置と同一である。
【0074】
h/wの比は1~10の範囲内であってもよく、10を超えてもよい。ピッチpは、1μm~500 μm、好ましくは1μm~100 μm、より好ましくは10μm~50μmの範囲内であってもよく、例えば略15μmである。高さhは、0.1 μm~1mm、好ましくは1μm~130 μm、より好ましくは10μm~130 μm又は1μm~20μmの範囲内であってもよい。幅wは0.1 μm~100 μm、好ましくは1μm~10μmの範囲内であってもよく、例えば略2μmである。全ての孔110 の幅wは同一であってもよい。変形例として、孔110 の幅wは異なってもよい。
【0075】
マイクロレンズ98は集光レンズであり、1μm~100 μm、好ましくは5μm~50μmの範囲内の焦点距離fを夫々有している。実施形態によれば、全てのマイクロレンズ98は実質的に同一である。実施形態によれば、マイクロレンズ98の最大の厚さは1μm~20μmの範囲内である。
【0076】
マイクロレンズ98及び孔110 を組み合わせることにより、2つの重要なパラメータを最適化することが可能になる。より具体的には、このため、視野角を減少させながら、垂直入射での透過率を高めることが可能になる。マイクロレンズ98無しでは、これら2つのパラメータを最適化するために、幅対高さの比が非常に低く充填率が高い開口部が必要であり、実際に実現するのは非常に困難である。マイクロレンズ98を孔110 の上に追加することにより、開口部の形状係数及び充填率に関する制約を取り除くことが可能になる。
【0077】
開口部を有する層90は、単層構造又は多層構造を有してもよい。開口部を有する層90が多層構造を有する場合、孔110 は多層構造の全ての層に延びてもよい。特に、開口部を有する層90は、2つの不透明層間に配置されている透明層を含む3つの層の積層体を有してもよい。一般に、開口部を有する層90は、孔が夫々横切る3以上の不透明層の積層体を有してもよく、隣り合う不透明層の夫々の対の不透明層は一又は複数の透明層によって間隔を置いて配置されてもよく又は間隔を置いて配置されなくてもよい。
【0078】
図9は、角度フィルタ18の変形例を示す断面図であり、この変形例では、被覆体100 は、マイクロレンズ98のアレイに当接する膜に相当する層102 のみを有している。この場合、層102 とマイクロレンズ98との接触領域は減少してもよく、例えばマイクロレンズ98の最上部に限定されてもよい。層102 は、マイクロレンズ98を保護するため、及び/又は実質的に平坦な面を形成して上層との組み立てを簡略化するために使用されてもよい。層102 は更に、角度フィルタ18を上層に組み立てるための接着層であってもよい。
【0079】
光学素子98のアレイを形成する材料の屈折率をn1とする。中間層96を形成する材料の屈折率をn2とする。不透明層108 を形成する材料の屈折率をn3とする。孔110 の充填材料の屈折率をn4とする。不透明層108 の屈折率n3は、マイクロレンズ98のアレイの屈折率n1より小さい。実施形態によれば、不透明層108 の屈折率は1.2 ~1.5 の範囲内であり、マイクロレンズ98の屈折率は1.4 ~1.7 の範囲内である。
【0080】
実施形態によれば、不透明層108 はポジ型レジストで形成されており、すなわち、放射光に露出するレジスト層の部分が現像剤に可溶性になり、放射光に露出しないレジスト層の部分が現像剤に不溶性のままであるレジストで形成されている。不透明層108 は、着色樹脂、例えば着色又は黒色のDNQ-Novolack樹脂又はDUV (深紫外)レジストで形成されてもよい。DNQ-Novolack樹脂は、ジアゾナフトキノン(DNQ )及びノボラック樹脂(フェノールホルムアルデヒド樹脂)の混合物に基づいている。DUV レジストは、ポリヒドロキシスチレンに基づくポリマーを含んでもよい。
【0081】
別の実施形態によれば、孔110 の充填材料はネガ型レジストで形成されており、すなわち、放射光に露出するレジスト層の部分が現像剤に不溶性になり、放射光に露出しないレジスト層の部分が現像剤に可溶性のままであるレジストで形成されている。ネガ型レジストの例として、エポキシポリマー樹脂、例えばSU-8の名称で商品化されている樹脂、アクリル樹脂、及び非化学量論的チオール-エン(OSTE)ポリマーがある。そのため、この樹脂は、入射放射光を通すべきである。
【0082】
別の実施形態によれば、不透明層108 は、レーザで機械加工可能な材料、すなわちレーザ照射の作用下で分解し得る材料で形成されている。レーザで機械加工可能な材料の例として、グラファイト、厚さが小さい(典型的には50nm~100 nmの)金属膜、プラスチック材料、例えばポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS) 、又は着色されたプラスチックフィルム、例えばポリエチレンテレフタレート(PET) 、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN) 、シクロオレフィンポリマー(COP) 及びポリイミド(PI)がある。
【0083】
更に例として、不透明層108 は、可視域及び/又は近赤外域の放射線を吸収する黒色樹脂で形成されてもよい。別の例によれば、不透明層108 は更に、所与の色、例えば青色、緑色若しくはシアン色の可視光線、又は赤外光を吸収する着色樹脂で形成されてもよい。これは、角度フィルタ18が所与の色の光のみを感知可能な画像センサ14と共に使用される場合であってもよい。これは更に、角度フィルタ18が可視光線を感知可能な画像センサ14と共に使用されて、所与の色のフィルタが画像センサ14と撮像対象12との間に配置されている場合であってもよい。
【0084】
開口部を有する層90が少なくとも2つの不透明層の積層体で形成されている場合、各不透明層は前述した材料の内の1つで形成されてもよく、不透明層は異なる材料で形成されてもよい。
【0085】
実施形態によれば、開口部を有する層90は、不透明であるか又は有用な放射光を少なくとも部分的に通す第1の材料で形成されて有用な放射光を通さない、例えば有用な放射光を吸収及び/又は反射する被覆体で覆われた基層を有している。第1の材料は樹脂であってもよい。第2の材料は、金属、例えばアルミニウム(Al)若しくはクロム(Cr)、金属合金又は有機材料であってもよい。材料は、開口部を有する層90の特性に応じて孔110 の壁を覆ってもよく又は覆わなくてもよい。被覆体は、マイクロレンズ98と反対の基層の側で基層を覆ってもよく、又はマイクロレンズ98に面した側で基層を覆ってもよい。被覆体により、斜光線に対する角度フィルタ18の反射又は吸収による遮断を高め得ることが有利である。
【0086】
孔110 に、有用な放射光を少なくとも部分的に通す固体、液体又は気体の材料、特に空気、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)が充填されてもよい。変形例として、有用な放射光の光線の波長をフィルタ処理すべく部分的に吸収する材料が孔110 に充填されてもよい。そのため、角度フィルタ18は波長フィルタの機能を更に果たしてもよい。このため、角度フィルタ18とは異なる色フィルタが設けられている場合に対して画像取得システム10の厚さを減少させることが可能になる。部分的に吸収する充填材料は、PDMSなどの着色樹脂又は着色されたプラスチック材料であってもよい。
【0087】
孔110 の充填材料は、開口部を有する層90に接する中間層96と屈折率を適合させるため、及び/又は構造を堅くして開口部を有する層90の機械抵抗を高めるため、及び/又は垂直入射での透過を高めるために選択されてもよい。更に充填材料は、角度フィルタ18を別のデバイス、例えば画像センサ14に組み立てることを可能にする液体又は固体の接着材料であってもよい。中間層96が封止膜であることを考慮すると、充填材料は更に、光学系が表面に載置されるデバイス、例えば画像センサの封止のために使用されるエポキシ樹脂又はアクリル系接着剤であってもよい。この場合、接着剤が孔110 に充填され、画像センサ114 の表面と接する。接着剤によって、角度フィルタ18を画像センサ14上に積層することが更に可能になる。
【0088】
省略してもよい中間層96は有用な放射光を少なくとも部分的に通す。中間層96は、透明なポリマー、特にPET 、PMMA、COP 、PEN 、ポリイミド、誘電性高分子若しくは無機高分子(SiN, SiO2) の層又は薄いガラス層で形成されてもよい。既に示したように、中間層96及びマイクロレンズ98のアレイはモノリシック型構造に相当してもよい。更に、中間層96は、角度フィルタ18が取り付けられる画像センサ14の保護層に相当してもよい。画像センサが有機材料で形成される場合、中間層96は、有機材料を保護する水密性及び酸素気密性のバリア膜に相当してもよい。例として、この保護層は、開口部を有する層90と接するPET 膜、PEN 膜、COP 膜及び/又はPI膜の表面上の1μm程度のSiN 堆積物に相当してもよい。中間層96の厚さ、又は中間層96が空気膜と取り替えられる場合の空気膜の厚さは、1μm~500 μm、好ましくは5μm~50μmの範囲内である。
【0089】
被覆体100 は、有用な放射光を少なくとも部分的に通す。被覆体100 の最大の厚さは0.1 μm~10mmの範囲内であってもよい。上面106 は実質的に平面であってもよく、又は湾曲した形状を有してもよい。
【0090】
実施形態によれば、下層104 はマイクロレンズ98の形状に沿う層である。下層104 は、光学透明接着剤(OCA) 、特に液状光学透明接着剤(LOCA)、又は低屈折率の材料、又はエポキシ樹脂/アクリル系接着剤、又はガス若しくはガス状混合物、例えば空気の膜から形成されてもよい。下層104 がマイクロレンズ98の形状に沿う場合、下層104 は、マイクロレンズ98の材料の屈折率より低い低屈折率の材料で形成されていることが好ましい。下層104 は、非粘着性の透明な材料の充填材料で形成されてもよい。別の実施形態によれば、下層104 は、マイクロレンズ98のアレイに当接する膜、例えばOCA 膜に相当する。この場合、下層104 とマイクロレンズ98との接触領域は減少してもよく、例えばマイクロレンズの最上部に限定されてもよい。そのため、下層104 は、下層104 がマイクロレンズ98の形状に沿う場合より高い屈折率の材料で形成されてもよい。別の実施形態によれば、下層104 は、マイクロレンズ98のアレイに当接するOCA 膜に相当し、接着剤は、膜104 がマイクロレンズの表面に完全に又は実質的に完全に沿うことを可能にする特性を有する。実施形態によれば、下層104 の屈折率はマイクロレンズ98の屈折率より小さい。実施形態によれば、上層102 は、下層104 に関して既に示された材料の内の1つで形成されてもよい。上層102 は省略されてもよい。上層102 の厚さは1μm~100 μmの範囲内である。
【0091】
図10は、対象12の画像取得システム115 の別の実施形態を示す部分的な断面略図である。画像取得システム115 は、図2に示されている画像取得システム10の全ての要素を備えており、角度フィルタ18と光源20との間に配置されている光学フィルタ116 を更に備えている。光学フィルタ116 は、光源20の下面24から出る放射光の波長をフィルタ処理して、決定された波長に属するスペクトルを有する放射光のみを通すことが可能である。光学フィルタ116 は着色層、特に着色樹脂層に相当してもよい。光学フィルタ116 の厚さは20μm~1.5 mmの範囲内であってもよく、好ましくは20μm~400 μmの範囲内であってもよく、より好ましくは20μm~100 μmの範囲内であってもよい。
【0092】
図11は、対象12の画像取得システム120 の別の実施形態を示す部分的な断面略図である。画像取得システム120 は、図2に示されている画像取得システム10の全ての要素を備えており、偏光子122 を更に備えている。図11に示されている実施形態では、偏光子122 が光源20と撮像対象12との間に配置されている。変形例として、特に光源20から指17に与えられる前方放射光が偏光する場合、偏光子122 は光源20と角度フィルタ18との間に配置されてもよい。画像取得システム120 は、偏光子122 を覆って撮像対象12と接触し得る表面126 を画定する透明な被覆体124 を更に備えてもよい。この被覆体124 は機械的な保護体を形成してもよい。偏光子122 は直線偏光子であることが好ましい。偏光子122 は、偏光子を横切る放射光をフィルタ処理して、所望の方向に沿って偏光した放射光のみを通すように適合されている。偏光子122 は、メタマテリアルに相当して100 nm程度の厚さを有してもよく、又は、例えば二色性染料及びヨウ素染料を含むポリビニルアルコール(PVA) の有機膜若しくは無機膜に相当して35μm~150 μmの範囲内の厚さを有してもよい。
【0093】
不図示の実施形態によれば、画像取得システムは2つの偏光子を備えており、第1の偏光子は光源20と撮像対象12との間に配置されており、第2の偏光子は光源20と角度フィルタ18との間に配置されている。従って、第1の偏光子の偏光方向及び第2の偏光子の偏光方向は実質的に平行である。
【0094】
図11に示されている画像取得システム120 の使用は、谷部130 及び隆起部132 を有する指12の指紋の取得に特に有利であり得る。
【0095】
図12は、図2に示されている画像取得システム10によって取得された指の指紋の画像を示す。この画像は、指紋の薄い色の谷部130 及びより濃い色の隆起部132 を示し、隆起部132 上により薄い色の細孔134 を更に示している。
【0096】
図13は、図11に示されている画像取得システム120 によって取得された指の指紋の画像を示す。図12の画像に対してコントラストを上げた画像の谷部130 及び隆起部132 を識別することができる。指の表面で反射する光は、偏光子122 を横切ることにより得られる偏光を維持する一方、指に入り込む光は偏光子122 を横切ることにより得られる偏光を失い、この偏光子122 を通過する第2の通過中に著しく減衰すると説明される。深さ情報は、隆起部及び谷部の直接信号に干渉しなくなる。図13の画像は指紋認識処理により適合され得ることが有利である。
【0097】
使用される材料に応じて、画像センサ14、角度フィルタ18及び光源20の層を形成する方法は、例えば、所望の位置に材料を含む流体又は粘性混合物の直接印刷によるいわゆるアディティブ処理、例えばインクジェット印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン、フレキソ印刷、スプレーコーティング又はドロップキャストによるアディティブ処理に相当してもよい。使用される材料に応じて、画像センサ14、角度フィルタ18及び光源20の層を形成する方法は、いわゆるサブトラクティブ法に相当してもよく、この方法では、材料を構造全体に堆積させ、その後、例えばフォトリソグラフィ又はレーザアブレーションによって未使用部分を除去する。対象とする材料に応じて、構造全体の堆積を、例えば液相成長法、カソードスパッタリング法又は蒸着法によって行ってもよい。スピンコーティング、スプレーコーティング、ヘリオグラフィ、スロットダイコーティング、ブレードコーティング、フレキソ印刷又はシルクスクリーンなどの方法を特に使用してもよい。実施される堆積法に応じて、堆積材料を乾燥させる工程を行ってもよい。
【0098】
図14A図14Cは、図6に示されている導波路20を製造する方法の別の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。
【0099】
図14Aは、2つの層142, 144を有する積層体140 を含むコア76の形成後に得られた構造を示す。層142 は、例えばポリマーで形成されている。層142 の厚さは、コア76の厚さ全体の少なくとも60%、好ましくはコア76の厚さ全体の少なくとも70%である。層144 は、例えば樹脂で形成されている。層144 の屈折率は層142 の屈折率と実質的に等しい。積層体140 により、好ましくは平面で平行な2つの反対側に位置する表面146, 148が存在する。
【0100】
図14Bは、所望のパターンの形状に相補的な形状を有する窪み150 を表面148 に形成する工程の後に得られた構造を示す。窪み150 は、エッチング工程により、例えば紫外線を感知可能な樹脂の使用又はレーザエッチングにより形成されてもよい。変形例として、窪み150 が熱成形により形成されてもよい。
【0101】
図14Cは、上側シース74、下側シース78及びパターン80を形成した後に得られた構造を示す。これは、積層体140 の2つの反対側に位置する表面146, 148上での層の堆積によって行われてもよく、上側シース74を形成する第1の層を表面146 上に堆積させて、下側シース78を形成する第2の層を表面148 上に堆積させて窪み150 に充填してパターン80を形成する。
【0102】
様々な実施形態及び変形例が記載されている。当業者は、これらの実施形態のある特徴を組み合わせることができると理解し、他の変形例が当業者に容易に想起される。特に、図10及び図11に関連して前述した実施形態は組み合わせられてもよく、画像取得システムは光学フィルタ116 及び偏光子122 を備えてもよい。最後に、記載されている実施形態及び変形例の実際の実施は、上述した機能的な表示に基づく当業者の技能の範囲内である。
【0103】
本特許出願は、参照によって本明細書に組み込まれている仏国特許出願第20/08535 号明細書の優先権を主張している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
【手続補正書】
【提出日】2023-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
象の画像を取得するための画像取得システムであって、
厚さ全体が600 μmより小さい層の積層体を備えており、前記積層体は、
光検出器のアレイを有する画像センサと
400 μmより小さい厚さを有して反対側に位置する第1の表面及び第2の表面を有する、放射光の光源と
を有しており、前記光源は、前記画像センサ全体を覆う導光体を有しており、前記光検出器は、対象によって反射した前記放射光の少なくとも一部を検出するように適合されており、前記第2の表面は、前記画像センサの側に面して前記光検出器のアレイ全体を覆っており、前記光源によって前記第1の表面を通して放射されるエネルギー流束の面密度は100 μW/cm2 より大きく、前記光源によって前記第2の表面を通して放射されるエネルギー流束の面密度対前記光源によって前記第1の表面を通して放射されるエネルギー流束の面密度の比が0.4 未満であり、前記放射光の少なくとも一部に対する前記光源の透過率が15%より高く、
前記積層体は、前記画像センサを覆って、前記光源と前記画像センサとの間に配置されている角度フィルタを更に有しており、前記角度フィルタは、前記第1の表面に直交する方向に対して閾値より大きな入射角を有する前記放射光の光線を遮断して、前記第1の表面に直交する方向に対して前記閾値より小さな入射角を有する前記放射光の光線を通すように適合されており、
前記導光体は、第1のシースと第2のシースとの間に配置されているコアを有しており、前記第2のシースは、前記コアと前記角度フィルタとの間に配置されており、前記放射光に関する前記コアの屈折率は、前記放射光に関する前記第1のシース及び前記第2のシースの屈折率より大きく、
前記導光体は、前記第2のシースと前記コアとの間に、前記第2のシースから前記コアにレリーフ状に突出しているマイクロメートルサイズのパターンを更に有している、画像取得システム。
【請求項2】
前記導光体は、前記放射光が前記導光体に注入される領域を有しており、
前記第2のシース上の前記パターンの面密度は、前記領域への距離が増大するにつれて増加する、請求項に記載の画像取得システム。
【請求項3】
前記放射光は可視域及び/又は赤外域の範囲内にある、請求項1又は2に記載の画像取得システム。
【請求項4】
前記角度フィルタは
マイクロメートルサイズの集束素子のアレイと、
前記放射光を通さず、孔が横切る層と
を有しており、
前記孔に空気又は、前記放射光を少なくとも部分的に通す材料が充填されている、請求項1~のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項5】
前記第1の表面に垂直に測定された前記孔の高さ対前記第1の表面に平行に測定された前記孔の幅の比が、前記孔毎に1~10の範囲内である、請求項に記載の画像取得システム。
【請求項6】
前記孔は行及び列に配置されており、同一の行又は同一の列の隣り合う孔間のピッチは1μm~30μmの範囲内である、請求項又はに記載の画像取得システム。
【請求項7】
前記第1の表面に直交する方向に沿って測定された各孔の高さが1μm~1mmの範囲内である、請求項のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項8】
前記第1の表面と平行に測定された各孔の幅が2μm~30μmの範囲内である、請求項のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項9】
前記マイクロメートルサイズの集束素子はマイクロメートルサイズのレンズである、請求項のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項10】
前記光検出器は有機フォトダイオードを有している、請求項1~のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項11】
前記第1の表面を覆う第1の偏光子を更に備えている、請求項1~10のいずれか1つに記載の画像取得システム。
【請求項12】
第2の偏光子を更に備えている、請求項11に記載の画像取得システム。
【請求項13】
前記第1の偏光子は前記光源と撮像対象との間に配置されており、前記第2の偏光子は前記光源と前記角度フィルタとの間に配置されている、請求項12に記載の画像取得システム。
【請求項14】
接触撮像によって対象、特にユーザの少なくとも1つの指紋を検出するために、請求項1~13のいずれか1つに記載の画像取得システムを使用する方法。
【国際調査報告】