(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】ピラゾールボロン酸化合物、それを含有する医薬組成物、及びそれらの使用
(51)【国際特許分類】
C07F 5/02 20060101AFI20230901BHJP
A61K 31/69 20060101ALI20230901BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230901BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230901BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20230901BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230901BHJP
A61K 33/06 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
C07F5/02 C CSP
A61K31/69
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P11/06
A61P25/28
A61K33/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512421
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(85)【翻訳文提出日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 CN2021113533
(87)【国際公開番号】W WO2022037648
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】202010835794.9
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523057954
【氏名又は名称】ベイジン ソングラン ファーマシューティカル テクノロジー シーオー.,エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】BEIJING SONGRUN PHARMACEUTICAL TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 1526, 10th Floor, New Material Entrepreneurship Building, No. 7, Fenghui Middle Road, Haidian District, Beijing 100094 China
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【氏名又は名称】田中 真理
(72)【発明者】
【氏名】リー、ルンタオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ユアンチアン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、リチアン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ジアンジアン
(72)【発明者】
【氏名】グー、ゼメイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シン
【テーマコード(参考)】
4C086
4H048
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086DA43
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA16
4C086ZA59
4C086ZB26
4C086ZB38
4C086ZC20
4H048AA01
4H048AA03
4H048AB20
4H048AB21
4H048AB28
4H048VA11
4H048VA20
4H048VA30
4H048VA32
4H048VA40
4H048VB10
(57)【要約】
本出願は、下記式Iで表されるピラゾールボロン酸化合物、その薬学的に許容される塩又はそれらの立体異性体、それらを含有する医薬組成物及びそれらの使用に関する。化合物、その薬学的に許容される塩又はそれらの立体異性体、及びそれらを含有する医薬組成物は、プロテアソーム阻害剤を調製するために使用され得る。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iによって表される化合物、その薬学的に許容される塩又はそれらの立体異性体であって、
【化1】
式中、R
1は、H、フェニル、C
1-4アルキル、N若しくはO若しくはSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員ヘテロシクリル、又は
【化2】
から選択され、
前記フェニルは、ハロゲン、C
1-4ハロアルキル及び/又はC
1-4アルキルで任意に置換され、
前記Z
1は、C
1-10鎖状炭化水素基又はC
1-10鎖状炭化水素基の1つ以上の炭素原子をO、S又はNから選択されるヘテロ原子で置換することによって得られるヘテロ鎖状炭化水素基であり、且つ
前記R
a及びR
bは、それぞれ独立して、H若しくはC
1-4アルキルから選択されるか、又はR
a及びR
bは、それらが結合しているN原子と5員~10員飽和ヘテロシクリルを形成し、
前記5員~10員飽和ヘテロシクリルは、N原子に加えてN、O又はSから選択される0~3個のヘテロ原子を含有し、前記5員~10員飽和ヘテロシクリルは、C
1-4アルキル、フェニル、又は1~3個のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員ヘテロシクリルで任意に置換されており、
R
2及びR
3は、それぞれ独立して、OH、C
1-4アルキル若しくはO(O)C
1-4アルキルから選択されるか、又はR
2及びR
3は、それらが結合するB原子と4~15員環
【化3】
を形成し、
前記R
c及びR
dは、それぞれ独立して、O、S、NH、NR
e、-CO、-NHCO、-NR
fCO、-OS(O)
2、-NHS(O)
2又は-NR
g-SO
2から選択され、且つ
前記Z
2は、C
1-10鎖状炭化水素基、又はC
1-10鎖状炭化水素基の1つ以上の炭素原子をO、S若しくはNから選択されるヘテロ原子で置換することによって得られるヘテロ鎖状炭化水素基、或いは1つ以上のR
c及び/又はR
dであり、
前記R
e、R
f及びR
gは、それぞれ独立して、ハロゲン、C
1-10アルキル、C
1-10アルコキシ、又はC
1-10ハロアルキルから選択され、
R
4は、C
1-4アルキル、フェニル、又はN若しくはO若しくはSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員ヘテロシクリルから選択され、且つ前記フェニルは、ハロゲン、シアノ、C
1-4アルキル、C
1-4アルコキシ、フェニル、C
1-4アルキルスルホニル及び/又はフェニルC
1-4アルコキシで任意に置換されており、
Xは、NH、O、S、-OS(O)
2-、又は-NHS(O)
2-から選択される、
化合物、その薬学的に許容される塩又はそれらの立体異性体。
【請求項2】
R
1は、H、フェニル、ハロゲン化フェニル、C
1-4ハロアルキルフェニル、C
1-4アルキルフェニル、N若しくはO若しくはSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員不飽和ヘテロシクリル、又は
【化4】
から選択され、
前記Z
1は、C
1-10アルキルであり、前記R
a及びR
bは、それぞれ独立して、C
1-4アルキルから選択されるか、又は前記R
a及びR
bが、それらが結合しているN原子と5員~7員飽和ヘテロシクリルを形成し、
前記5員~7員飽和ヘテロシクリルは、C
1-4アルキル又はフェニルで任意に置換されている、
請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容される塩又はそれらの立体異性体。
【請求項3】
R
1は、H、フェニル、ハロゲン化フェニル、C
1-4ハロアルキルフェニル、C
1-4アルキルフェニル、
【化5】
から選択され、
前記Z
1は、C
1-6アルキルであり、前記R
a及びR
bは、それぞれ独立して、C
1-4アルキル基から選択されるか、又は前記R
a及びR
bは、それらが結合しているN原子と5員又は6員飽和ヘテロシクリルを形成し、
前記5員又は6員飽和ヘテロシクリルは、C
1-4アルキル又はフェニルで任意に置換されている、
請求項1又は2に記載の化合物、その薬学的に許容される塩又はそれらの立体異性体。
【請求項4】
R
1は、H、C
1-4ハロアルキルフェニル、フルオロフェニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、C
1-4アルキルフェニル、
【化6】
から選択され、
nは、1~6から選択される整数であり、
m及びm’は、同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立して、0~3から選択される整数であり、
【化7】
は、C
1-4アルキル又はフェニルで任意に置換されている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩又はそれらの立体異性体。
【請求項5】
R
2及びR
3は、それぞれ独立して、OH、C
1-3アルキル若しくはO(O)C
1-3アルキルから選択されるか、又はR
2及びR
3は、それらが結合するB原子と6~10員環
【化8】
を形成し、
前記R
c及びR
dは、それぞれ独立して、O、S、-CO又は-OS(O)
2から選択され、且つ
前記Z
2は、C
1-5鎖状炭化水素基、又はC
1-5鎖状炭化水素基の1~3個の炭素原子を、O、S又はNから選択されるヘテロ原子で置換することによって得られるヘテロ鎖状炭化水素基である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩又はそれらの立体異性体。
【請求項6】
R
2及びR
3は、それぞれ独立して、OH、C
1-3アルキル若しくはO(O)C
1-3アルキルから選択されるか、又はR
2及びR
3は、結合されたB原子と
【化9】
を形成する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩又はそれらの立体異性体。
【請求項7】
R
4は、C
1-4アルキル、フェニル、ハロゲン化フェニル、C
1-4ハロアルキルフェニル、C
1-4アルキルフェニル、シアノフェニル、C
1-4アルコキシフェニル、ビフェニル、C
1-4アルキルスルホニルフェニル、フェニルC
1-4アルコキシフェニル、又はN若しくはO若しくはSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員不飽和ヘテロシクリルから選択される、
請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩又はそれらの立体異性体。
【請求項8】
R
4は、C
1-4アルキル、フェニル、フルオロフェニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、C
1-4フルオロアルキルフェニル、C
1-4クロロアルキルフェニル、C
1-4ブロモアルキルフェニル、C
1-4アルキルフェニル、シアノフェニル、C
1-4アルコキシフェニル、ビフェニル、C
1-4アルキルスルホニルフェニル、フェニルC
1-4アルコキシフェニル、又はN若しくはO若しくはSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員不飽和ヘテロシクリルから選択される、
請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩又はそれらの立体異性体。
【請求項9】
R
4は、C
1-4アルキル、フェニル、フルオロフェニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、C
1-4フルオロアルキルフェニル、C
1-4クロロアルキルフェニル、C
1-4ブロモアルキルフェニル、C
1-4アルキルフェニル、シアノフェニル、C
1-4アルコキシフェニル、ビフェニル、C
1-4アルキルスルホニルフェニル、フェニルC
1-4アルコキシフェニル、
【化10】
から選択される、
請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩又はそれらの立体異性体。
【請求項10】
R
1は、H、フルオロメチルフェニル、クロロメチルフェニル、ブロモメチルフェニル、フルオロエチルフェニル、クロロエチルフェニル、ブロモエチルフェニル、フルオロプロピルフェニル、クロロプロピルフェニル、ブロモプロピルフェニル、フルオロフェニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、
【化11】
から選択され、
nは、1~5から選択される整数であり、
m及びm’は、同じであるか又は異なり、且つそれぞれ独立して、0~2から選択される整数であり、
【化12】
は、メチル、エチル、プロピル又はフェニルで任意に置換されており、
R
2及びR
3は、それぞれ独立してOHから選択されるか、又はR
2及びR
3は、それらが結合するB原子と
【化13】
を形成し、
R
4は、メチル、エチル、プロピル、フェニル、フルオロフェニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、シアノフェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、プロポキシフェニル、ビフェニル、メチルスルホニルフェニル、エチルスルホニルフェニル、プロピルスルホニルフェニル、フェニルメトキシフェニル、フェニルエトキシフェニル、フェニルプロポキシフェニル、
【化14】
から選択され、
Xは、O、S、-OS(O)
2-、又は-NHS(O)
2-から選択される、
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩又はそれらの立体異性体。
【請求項11】
前記化合物は、
(1)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸;
(2)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(2-(((4-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸;
(3)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(2-(((2-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸;
(4)(R)-(1-(2-(3-(2-(((3-フルオロフェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)-アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(5)(R)-(1-(2-(3-(2-(((3-クロロフェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)-アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(6)(R)-(1-(2-(3-(2-(((3-ブロモフェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)-アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(7)(R)-(1-(2-(3-(2-(((2,5-ジクロロフェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)-アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(8)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(2-((m-トリルスルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸;
(9)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(2-((チオフェン-2-イルスルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸;
(10)(R)-(1-(2-(3-(2-((ピリジン-2-イルスルホニル)オキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(11)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(3-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸;
(12)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(4-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸;
(13)(R)-(1-(2-(5-(4-ブロモフェニル)-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(14)(R)-(1-(2-(5-(3-ブロモフェニル)-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(15)(R)-(1-(2-(5-(2-ブロモフェニル)-3-(2-(((3-トリフルオロメチルフェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)イソブチル)ボロン酸;
(16)(R)-(1-(2-(5-(4-フルオロフェニル)-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(17)(R)-(1-(2-(5-(4-クロロフェニル)-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(18)(R)-(1-(2-(5-(4-シアノフェニル)-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(19)(R)-(1-(2-(5-(4-(メチルスルホニル)フェニル)-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(20)(R)-(1-(2-(5-(4-メチル-フェニル)-3-(2-(((3-トリフルオロメチルフェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)イソブチル)ボロン酸;
(21)(R)-(1-(2-(5-(4-メトキシフェニル)-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(22)(R)-(1-(2-(5-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(23)(R)-(1-(2-(5-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(24)(R)-(1-(2-(5-(フラン-2-イル)-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(25)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-(チオフェン-2-イル)-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸;
(26)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-メチル-3-(3-(((3-トリフルオロメチルフェニル)スルホンアミド)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)イソブチル)ボロン酸;
(27)(R)-(1-(2-(3-(3-ヒドロキシフェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)3-メチルブチル)ボロン酸;
(28)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(3-((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸;
(29)(R)-(1-(2-(3-(3-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸塩酸塩;
(30)(R)-(3-メチル-1-(2-(3-(3-(2-モルホリノエトキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)-アセトアミド)ブチル)ボロン酸塩酸塩;
(31)(R)-(3-メチル-1-(2-(3-(3-(3-モルホリノプロポキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸塩酸塩;
(32)(R)-(1-(2-(3-(N,N-ジエチルエトキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)イソブチル)ボロン酸塩酸塩;
(33)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(3-(2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)イソブチル)ボロン酸塩酸塩;
(34)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(3-(2-(ピペリジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)イソブチル)ボロン酸塩酸塩;
(35)(R)-(3-メチル-1-(2-(3-(3-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ)フェニル)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸塩酸塩;
(36)((1R)-1-(2-(3-(3-(2-(2,6-ジメチルモルホリノ)エトキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸塩酸塩;
(37)((1R)-1-(2-(3-(3-(2-(S,S-2,6-ジメチルモルホリノ)エトキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸塩酸塩;
(38)((1R)-1-(2-(3-(3-(2-(S,R-2,6-ジメチルモルホリノ)エトキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸塩酸塩;
(39)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(3-(2-(4-フェニルピペラジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸塩酸塩;
(40)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(3-(3-(4-フェニルピペラジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸二塩酸塩;
(41)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(3-(4-(4-フェニルピペラジン-1-イル)ブトキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸二塩酸塩;又は
(42)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(3-((5-(4-フェニルピペラジン-1-イル)ペンチル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-アシル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸二塩酸塩
から選択される、
請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩又はそれらの立体異性体。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩又はそれらの立体異性体と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む医薬組成物。
【請求項13】
前記薬学的に許容される賦形剤は、溶媒、噴射剤、可溶化剤、共溶媒、乳化剤、着色剤、崩壊剤、充填剤、潤滑剤、湿潤剤、浸透圧調整剤、安定剤、流動促進剤、香味剤、保存剤、懸濁化剤、酸化防止剤、浸透促進剤、pH調整剤、界面活性剤、又は希釈剤から選択される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
プロテアソーム関連疾患の治療又は緩和における使用のための、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩若しくはそれらの立体異性体、又は請求項12若しくは13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記プロテアソーム関連疾患は、腫瘍、プラスモディウム感染症、喘息、又はアルツハイマー病である、請求項14に記載のプロテアソーム関連疾患の治療又は緩和における使用のための、化合物、その薬学的に許容される塩若しくはそれらの立体異性体、又は医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、医薬分野に属し、具体的には、式Iで表されるピラゾールボロン酸化合物、その薬学的に許容される塩又はそれらの立体異性体、及びそれらを含む医薬組成物、並びにプロテアソーム阻害剤の調製におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞内タンパク質の加水分解のための主要部位として、プロテアソームは、細胞周期調節、細胞ストレス応答及び免疫応答において重要な役割を果たす。したがって、プロテアソームは、癌、プラスモディウム(plasmodium)症、喘息等を含む様々な疾患の治療のための理想的な標的となっている。
【0003】
現在、ボルテゾミブ、MLN9708(商品名ニンラーロ;31)、カルフィルゾミブ及びNPI0052(商品名マリゾミブ)等の多くのプロテアソーム阻害剤が市販されている。しかし、不十分な生物学的選択性、インビボ及びインビトロにおける不十分な安定性、不十分な固形腫瘍阻害効果、並びに大きな毒性及び副作用等の既存のプロテアソーム阻害剤の欠点は、それらの臨床適用を制限する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願は、式Iによって表される化合物、その薬学的に許容される塩又はそれらの立体異性体に関し、
【化1】
式中、R
1は、H、フェニル、C
1-4アルキル、N若しくはO若しくはSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員ヘテロシクリル、又は
【化2】
から選択され、
フェニルは、ハロゲン、C
1-4ハロアルキル及び/又はC
1-4アルキルで任意に置換され、
Z
1は、C
1-10鎖状炭化水素基又はC
1-10鎖状炭化水素基の1つ以上の炭素原子をO、S又はNから選択されるヘテロ原子で置換することによって得られるヘテロ鎖状炭化水素基であり、且つ
R
a及びR
bは、それぞれ独立して、H若しくはC
1-4アルキルから選択されるか、又はR
a及びR
bは、それらが結合しているN原子と5員~10員飽和ヘテロシクリルを形成し、
5員~10員飽和ヘテロシクリルは、N原子に加えてN、O又はSから選択される0~3個のヘテロ原子を含有することができ、且つ5員~10員飽和ヘテロシクリルは、C
1-4アルキル、フェニル、又は1~3個のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員ヘテロシクリルで任意に置換されており、
R
2及びR
3は、それぞれ独立して、OH、C
1-4アルキル若しくはO(O)C
1-4アルキルから選択されるか、又はR
2及びR
3は、それらが結合するB原子と4~15員環
【化3】
を形成し、
R
c及びR
dは、それぞれ独立して、O、S、NH、NR
e、-CO、-NHCO、-NR
fCO、-OS(O)
2、-NHS(O)
2又は-NR
g-SO
2から選択され、且つ
Z
2は、C
1-10鎖状炭化水素基、又はC
1-10鎖状炭化水素基の1つ以上の炭素原子をO、S若しくはNから選択されるヘテロ原子で置換することによって得られるヘテロ鎖状炭化水素基、或いは1つ以上のR
c及び/又はR
dであり、
R
e、R
f及びR
gは、それぞれ独立して、ハロゲン、C
1-10アルキル、C
1-10アルコキシ、又はC
1-10ハロアルキルから選択され、
R
4は、C
1-4アルキル、フェニル、又はN若しくはO若しくはSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員ヘテロシクリルから選択され、
フェニルは、ハロゲン、シアノ、C
1-4アルキル、C
1-4アルコキシ、フェニル、C
1-4アルキルスルホニル及び/又はフェニルC
1-4アルコキシで任意に置換されており、
Xは、NH、O、S、-OS(O)
2-、又は-NHS(O)
2-から選択される。
【0005】
別の態様では、本出願は、上記の式Iで表される化合物、その薬学的に許容される塩又はそれらの立体異性体と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0006】
別の態様では、本出願は、プロテアソーム阻害剤の調製における、上記の式Iで表される化合物、その薬学的に許容される塩若しくはそれらの立体異性体、又は上記の医薬組成物の使用に関する。好ましくは、プロテアソーム阻害剤は、腫瘍、プラスモディウム感染症、喘息又はアルツハイマー病等のプロテアソーム関連疾患の治療又は緩和に使用され得る。あるいは、本出願の別の態様は、プロテアソーム関連疾患を治療又は緩和する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の上記の式Iで表される化合物、その薬学的に許容される塩若しくはそれらの立体異性体、又は上記の医薬組成物を投与することを含む方法に関する。あるいは、本出願の別の態様は、プロテアソーム関連疾患の治療又は緩和に使用するための、上記の式Iで表される化合物、その薬学的に許容される塩若しくはそれらの立体異性体、又は上記の医薬組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
当業者は、以下の実施形態が例示目的のためにのみ与えられ、且つ決して本出願の保護範囲を限定することを意図しないことを理解することができる。本出願は、以下の複数の実施形態の任意の組合わせ、又は異なる実施形態の複数の特徴の任意の組合わせを網羅することができる。
【0008】
本明細書における用語「Cm-n」は、用語によって修飾された部分が有するm~n個の炭素原子を指す(nは、mより大きく、且つ両方とも整数である)。例えば、C1-10は、それによって修飾された部分が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、4個の炭素原子、5個の炭素原子、6個の炭素原子、7個の炭素原子、8個の炭素原子、9個の炭素原子又は10個の炭素原子等の1~10個の炭素原子を有することを示す。
【0009】
特に明記しない限り、本明細書における用語「鎖状炭化水素基」は、C1-10、C1-9、C1-8、C1-7、C1-6、C1-5、C1-4、C1-3、C1-2及びC1鎖状炭化水素基を含むがこれらに限定されない、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和の炭化水素基を含有する、C及びHからなる鎖状基を指す。特に明記しない限り、本明細書における用語「ヘテロ鎖状炭化水素基」は、例えば、鎖状炭化水素基中の1~3又は1~5又は1~10個の炭素原子のうちの1つ以上(2、3、4、5、6、7、8、9、10等)の炭素原子を、N、O又はSから選択されるヘテロ原子で置換することによって形成される鎖状基を指す。
【0010】
特に明記しない限り、本明細書で使用される用語「アルキル」は、C1-10アルキル、C1-9アルキル、C1-8アルキル、C1-7アルキル、C1-6アルキル、C1-5アルキル、C1-4アルキル、C1-3アルキル、C1-2アルキル及びC1アルキルを含むがこれらに限定されない、炭素原子及び水素原子のみからなる飽和炭化水素基を指す。アルキルの非限定的な例として、以下の直鎖又は分岐飽和炭化水素基:メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-アミル及びその他の7つの異性体、n-ヘキシル及びその他の16個の異性体が列挙され得る。例えば、C1-7アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル、ヘプチル及びそれらの全ての異性体を含む。
【0011】
特に明記しない限り、本明細書における用語「ヘテロシクリル」は、脂肪族ヘテロシクリル及び芳香族ヘテロシクリルを含み、炭素原子(複数可)及びN、O又はSから独立して選択される1~3個のヘテロ原子からなる飽和又は不飽和環系を指し、置換又は非置換であり得る。特に明記しない限り、本明細書における用語「飽和ヘテロシクリル」は、炭素原子(複数可)及びN、O又はSから独立して選択される1~3個のヘテロ原子からなるヘテロシクリルを指し、置換又は非置換であり得る。ヘテロシクリルの非限定的な例として、ピロリル、チエニル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、モルホリニル、フラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、オキシラン基、ピラニル、ピリジル又はテトラヒドロピリジニルが列挙され得るが、これらに限定されない。
【0012】
特に明記しない限り、本明細書で使用される用語「アルコキシ」は、酸素原子が上記のアルキルと結合され、且つ酸素原子を介して単結合で分子の残りの部分に結合している基を指し、これは様々な可能な幾何異性基及び立体異性基を包含する。アルコキシの非限定的な例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ及びその他の7つの異性体、n-ヘキソキシ及びその他の16つの異性体が列挙され得る。
【0013】
特に明記しない限り、本明細書で使用される用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。特に明記しない限り、本明細書で使用される用語「ハロアルキル」は、1つ以上、好ましくは1~5個(1、2、3、4又は5等)のハロゲン原子によって置換された上記のアルキルを指す。ハロアルキルは、モノハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル及びペルハロアルキル、例えばクロロメチル、ジクロロメチル、ジフルオロメチル、ジブロモメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペルフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロ-1,1-ジクロロエチル等を含む。
【0014】
特に明記しない限り、本明細書で使用される用語「薬学的に許容される」は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応又は他の問題若しくは合併症なしにヒト及び動物組織との接触に適しており、合理的な医学的判断の範囲内で合理的な利益/リスク比に見合った、化合物、材料、組成物及び/又は剤形を指す。例えば、本明細書で使用される用語「薬学的に許容される塩」は、式Iで表される化合物及び薬学的に許容される遊離酸又は遊離塩基によって形成される酸付加塩又は塩基付加塩を指す。酸付加塩は、以下の酸:塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜硝酸、亜リン酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、乳酸、マレイン酸、グルコン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸等から得られる。塩基付加塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、又はマグネシウム塩を含む。
【0015】
特に明記しない限り、くさび形の実線及び破線の結合
【化4】
は、立体中心の絶対配置を示すために本明細書で使用される。特に明記しない限り、本明細書で言及される立体異性体は、幾何異性体及びエナンチオマーを含み、これらは全て本出願の範囲内である。
【0016】
特に明記しない限り、本明細書における用語「任意の」は、それによって変更される物体又は事象の、存在又は非存在、発生又は非発生を指す。例えば、置換基で「任意に置換される」は、該置換基で置換され得るか、又は置換され得ないことを意味する。
【0017】
一実施形態では、本出願は、式Iによって表される化合物、その薬学的に許容される塩又はそれらの立体異性体に関し、
【化5】
式中、R
1は、H、フェニル、C
1-4アルキル、N若しくはO若しくはSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員ヘテロシクリル、又は
【化6】
から選択され、
フェニルは、ハロゲン、C
1-4ハロアルキル及び/又はC
1-4アルキルで任意に置換され、Z
1は、C
1-10鎖状炭化水素基又はC
1-10鎖状炭化水素基の1つ以上の炭素原子をO、S又はNから選択されるヘテロ原子で置換することによって得られるヘテロ鎖状炭化水素基であり、且つ
R
a及びR
bは、それぞれ独立して、H若しくはC
1-4アルキルから選択されるか、又はR
a及びR
bは、それらが結合しているN原子と5員~10員飽和ヘテロシクリルを形成し、
5員~10員飽和ヘテロシクリルは、N原子に加えてN、O又はSから選択される0~3個のヘテロ原子を含有することができ、且つ5員~10員飽和ヘテロシクリルは、C
1-4アルキル、フェニル、又は1~3個のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員ヘテロシクリルで任意に置換されており、
R
2及びR
3は、それぞれ独立して、OH、C
1-4アルキル若しくはO(O)C
1-4アルキルから選択されるか、又はR
2及びR
3は、それらが結合するB原子と4~15員環
【化7】
を形成し、
R
c及びR
dは、それぞれ独立して、O、S、NH、NR
e、-CO、-NHCO、-NR
fCO、-OS(O)
2、-NHS(O)
2又は-NR
g-SO
2から選択され、且つ
Z
2は、C
1-10鎖状炭化水素基、又はC
1-10鎖状炭化水素基の1つ以上の炭素原子をO、S若しくはNから選択されるヘテロ原子で置換することによって得られるヘテロ鎖状炭化水素基、或いは1つ以上のR
c及び/又はR
dであり、
R
e、R
f及びR
gは、それぞれ独立して、ハロゲン、C
1-10アルキル、C
1-10アルコキシ、又はC
1-10ハロアルキルから選択され、
R
4は、C
1-4アルキル、フェニル、又はN若しくはO若しくはSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員ヘテロシクリルから選択され、
フェニルは、ハロゲン、シアノ、C
1-4アルキル、C
1-4アルコキシ、フェニル、C
1-4アルキルスルホニル及び/又はフェニルC
1-4アルコキシで任意に置換されており、
Xは、NH、O、S、-OS(O)
2-、又は-NHS(O)
2-から選択される。
【0018】
いくつかの実施形態では、R
1は、H、フェニル、ハロゲン化フェニル、C
1-4ハロアルキルフェニル、C
1-4アルキルフェニル、N若しくはO若しくはSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員不飽和ヘテロシクリル、又は
【化8】
から選択され、
Z
1は、C
1-10アルキルであり、
R
a及びR
bは、それぞれ独立して、C
1-4アルキルから選択されるか、又はR
a及びR
bは、それらが結合しているN原子を有する5員~7員飽和ヘテロシクリルを形成し、
5員~7員飽和ヘテロシクリルは、C
1-4アルキル又はフェニルで任意に置換されている。
【0019】
いくつかの実施形態では、R
1は、H、フェニル、ハロゲン化フェニル、C
1-4ハロアルキルフェニル、C
1-4アルキルフェニル、
【化9】
から選択され、
Z
1は、C
1-6アルキルであり、
R
a及びR
bは、それぞれ独立して、C
1-4アルキル基から選択されるか、又はR
a及びR
bは、それらが結合しているN原子と5員又は6員飽和ヘテロシクリルを形成し、
5員又は6員飽和ヘテロシクリルは、C
1-4アルキル又はフェニルで任意に置換されている。
【0020】
いくつかの実施形態では、R
1は、H、C
1-4ハロアルキルフェニル、フルオロフェニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、C
1-4アルキルフェニル、
【化10】
から選択され、
nは、1~6から選択される整数であり、
m及びm’は、同じであるか、又は異なり、且つそれぞれ独立して、0~3から選択される整数であり、
【化11】
は、C
1-4アルキル又はフェニルで任意に置換されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、R
2及びR
3は、それぞれ独立して、OH、C
1-3アルキル若しくはO(O)C
1-3アルキルから選択されるか、又はR
2及びR
3は、それらが結合するB原子と6~10員環
【化12】
を形成し、
R
c及びR
dは、それぞれ独立して、O、S、-CO又は-OS(O)
2から選択され、
Z
2は、C
1-5鎖状炭化水素基、又はC
1-5鎖状炭化水素基中の1~3個の炭素原子を、O、S又はNから選択されるヘテロ原子で置換することによって得られるヘテロ鎖状炭化水素基である。
【0022】
いくつかの実施形態では、R
2及びR
3は、それぞれ独立して、OH、C
1-3アルキル若しくはO(O)C
1-3アルキルから選択されるか、又はR
2及びR
3は、結合されたB原子と
【化13】
を形成する。
【0023】
いくつかの実施形態では、R4は、C1-4アルキル、フェニル、ハロゲン化フェニル、C1-4ハロアルキルフェニル、C1-4アルキルフェニル、シアノフェニル、C1-4アルコキシフェニル、ビフェニル、C1-4アルキルスルホニルフェニル、フェニルC1-4アルコキシフェニル、又はN若しくはO若しくはSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員不飽和ヘテロシクリルから選択される。
【0024】
いくつかの実施形態では、R4は、C1-4アルキル、フェニル、フルオロフェニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、C1-4フルオロアルキルフェニル、C1-4クロロアルキルフェニル、C1-4ブロモアルキルフェニル、C1-4アルキルフェニル、シアノフェニル、C1-4アルコキシフェニル、ビフェニル、C1-4アルキルスルホニルフェニル、フェニルC1-4アルコキシフェニル、又はN若しくはO若しくはSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員不飽和ヘテロシクリルから選択される。
【0025】
いくつかの実施形態では、R
4は、C
1-4アルキル、フェニル、フルオロフェニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、C
1-4フルオロアルキルフェニル、C
1-4クロロアルキルフェニル、C
1-4ブロモアルキルフェニル、C
1-4アルキルフェニル、シアノフェニル、C
1-4アルコキシフェニル、ビフェニル、C
1-4アルキルスルホニルフェニル、フェニルC
1-4アルコキシフェニル、
【化14】
から選択される。
【0026】
いくつかの実施形態では、R
1は、H、フルオロメチルフェニル、クロロメチルフェニル、ブロモメチルフェニル、フルオロエチルフェニル、クロロエチルフェニル、ブロモエチルフェニル、フルオロプロピルフェニル、クロロプロピルフェニル、ブロモプロピルフェニル、フルオロフェニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、
【化15】
から選択され、
nは、1~5から選択される整数であり、
m及びm’は、同じであるか又は異なり、且つそれぞれ独立して、0~2から選択される整数であり、
【化16】
は、メチル、エチル、プロピル又はフェニルで任意に置換されており、
R
2及びR
3は、それぞれ独立してOHから選択されるか、又はR
2及びR
3は、それらが結合するB原子と
【化17】
を形成し、
R
4は、メチル、エチル、プロピル、フェニル、フルオロフェニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、シアノフェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、プロポキシフェニル、ビフェニル、メチルスルホニルフェニル、エチルスルホニルフェニル、プロピルスルホニルフェニル、フェニルメトキシフェニル、フェニルエトキシフェニル、フェニルプロポキシフェニル、
【化18】
であり、
Xは、O、S、-OS(O)
2-、又は-NHS(O)
2-から選択される。
【0027】
いくつかの実施形態では、本出願に関与する上記式Iによって表される化合物、その薬学的に許容される塩又はそれらの立体異性体の中で、化合物は、以下から選択される。
(1)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸;
(2)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(2-(((4-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸;
(3)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(2-(((2-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸;
(4)(R)-(1-(2-(3-(2-(((3-フルオロフェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)-アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(5)(R)-(1-(2-(3-(2-(((3-クロロフェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)-アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(6)(R)-(1-(2-(3-(2-(((3-ブロモフェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)-アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(7)(R)-(1-(2-(3-(2-(((2,5-ジクロロフェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)-アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(8)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(2-((m-トリルスルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸;
(9)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(2-((チオフェン-2-イルスルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸;
(10)(R)-(1-(2-(3-(2-((ピリジン-2-イルスルホニル)オキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(11)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(3-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸;
(12)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(4-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸;
(13)(R)-(1-(2-(5-(4-ブロモフェニル)-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(14)(R)-(1-(2-(5-(3-ブロモフェニル)-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(15)(R)-(1-(2-(5-(2-ブロモフェニル)-3-(2-(((3-トリフルオロメチルフェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)イソブチル)ボロン酸;
(16)(R)-(1-(2-(5-(4-フルオロフェニル)-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(17)(R)-(1-(2-(5-(4-クロロフェニル)-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(18)(R)-(1-(2-(5-(4-シアノフェニル)-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(19)(R)-(1-(2-(5-(4-(メチルスルホニル)フェニル)-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(20)(R)-(1-(2-(5-(4-メチル-フェニル)-3-(2-(((3-トリフルオロメチルフェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)イソブチル)ボロン酸;
(21)(R)-(1-(2-(5-(4-メトキシフェニル)-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(22)(R)-(1-(2-(5-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(23)(R)-(1-(2-(5-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(24)(R)-(1-(2-(5-(フラン-2-イル)-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸;
(25)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-(チオフェン-2-イル)-3-(2-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸;
(26)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-メチル-3-(3-(((3-トリフルオロメチルフェニル)スルホンアミド)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)イソブチル)ボロン酸;
(27)(R)-(1-(2-(3-(3-ヒドロキシフェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)3-メチルブチル)ボロン酸;
(28)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(3-((3-(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸;
(29)(R)-(1-(2-(3-(3-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸塩酸塩;
(30)(R)-(3-メチル-1-(2-(3-(3-(2-モルホリノエトキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)-アセトアミド)ブチル)ボロン酸塩酸塩;
(31)(R)-(3-メチル-1-(2-(3-(3-(3-モルホリノプロポキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸塩酸塩;
(32)(R)-(1-(2-(3-(N,N-ジエチルエトキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)イソブチル)ボロン酸塩酸塩;
(33)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(3-(2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)イソブチル)ボロン酸塩酸塩;
(34)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(3-(2-(ピペリジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)イソブチル)ボロン酸塩酸塩;
(35)(R)-(3-メチル-1-(2-(3-(3-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ)フェニル)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸塩酸塩;
(36)((1R)-1-(2-(3-(3-(2-(2,6-ジメチルモルホリノ)エトキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸塩酸塩;
(37)((1R)-1-(2-(3-(3-(2-(S,S-2,6-ジメチルモルホリノ)エトキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸塩酸塩;
(38)((1R)-1-(2-(3-(3-(2-(S,R-2,6-ジメチルモルホリノ)エトキシ)フェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)-3-メチルブチル)ボロン酸塩酸塩;
(39)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(3-(2-(4-フェニルピペラジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸塩酸塩;
(40)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(3-(3-(4-フェニルピペラジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸二塩酸塩;
(41)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(3-(4-(4-フェニルピペラジン-1-イル)ブトキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸二塩酸塩;
(42)(R)-(3-メチル-1-(2-(5-フェニル-3-(3-((5-(4-フェニルピペラジン-1-イル)ペンチル)オキシ)フェニル)-1H-ピラゾール-1-アシル)アセトアミド)ブチル)ボロン酸二塩酸塩。
【0028】
一実施形態では、本出願は、上記の式Iで表される化合物、その薬学的に許容される塩又はそれらの立体異性体と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0029】
本出願の医薬組成物は、カプセル、錠剤、エアロゾル、溶液、懸濁液、糖衣剤、トローチ剤、シロップ、乳剤、軟膏、クリーム、注射、粉末、顆粒、ペースト、徐放剤、発泡剤等の任意の形態の製剤に調製され得る。投与経路に応じて、本出願の薬物は、経口投与製剤、経鼻投与製剤、肺投与製剤、頬側製剤、皮下投与製剤、皮内投与製剤、経皮投与製剤、非経口投与製剤、直腸投与製剤、持続性投与製剤、静脈内投与製剤、尿道内投与製剤、筋肉内投与製剤、鼻腔内投与製剤、眼投与製剤、硬膜外投与製剤又は局所投与製剤に調整され得る。
【0030】
本明細書に記載の賦形剤は、任意の薬学的に許容される賦形剤、例えば限定されないが、溶媒、噴射剤、可溶化剤、共溶媒、乳化剤、着色剤、崩壊剤、充填剤、潤滑剤、湿潤剤、浸透圧調整剤、安定剤、流動促進剤、香味剤、保存剤、懸濁化剤、酸化防止剤、浸透促進剤、pH調整剤、界面活性剤、希釈剤等であり得る。他の利用可能な薬学的に許容される賦形剤については、例えば、R.C.Roweらによって編集され、鄭沢民,2005,化学工業出版社によって翻訳された、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」(Fourth Edition)に見出され得る。
【0031】
一実施形態では、本出願は、プロテアソーム阻害剤の調製における、上記の式Iで表される化合物、その薬学的に許容される塩若しくはそれらの立体異性体、又は上記の医薬組成物の使用に関する。好ましくは、プロテアソーム阻害剤は、プロテアソーム関連疾患(腫瘍、プラスモディウム感染症、喘息、アルツハイマー病等)を治療又は緩和するための薬物に調製され得る。代替の実施形態では、本出願は、プロテアソーム関連疾患を治療又は緩和する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の上記の式Iで表される化合物、その薬学的に許容される塩若しくはそれらの立体異性体、又は上記の医薬組成物を投与することを含む方法に関する。代替の実施形態では、本出願は、プロテアソーム関連疾患の治療又は緩和に使用するための、上記の式Iで表される化合物、その薬学的に許容される塩若しくはそれらの立体異性体、又は上記の医薬組成物に関する。
【0032】
特に明記しない限り、本明細書における用語「患者」、「対象」及び「個体」は、互換的に使用され、且つヒト又は非ヒト動物(例えば、霊長類、げっ歯類等)を指す。
【0033】
特に明記しない限り、本明細書の成分又は反応条件の量又は物理化学的特性を表すパラメータ値は、全ての場合において用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。本発明が用語「約」で説明される場合、用語「約」は、既存の誤差値、例えば特定の値の±10%以内、例えば±1%又は±0.1%以内の変動を示す。
【0034】
特に明記しない限り、単数形の用語は、複数形の用語を包含し、且つ複数形の用語は、本明細書における単数形の用語を包含する。同様に、その文脈において特に明示的に示されない限り、単語「又は」は、「及び」を包含することが意図される。
【0035】
特に明記しない限り、本明細書における用語「含む」、「包含する」及び「含有する」又は同等の用語は、オープンエンドな様式の表現であり、列挙された要素、成分及び工程に加えて、他の不特定の要素、成分及び工程も対象とされ得ることを意味する。
【実施例】
【0036】
次に、実施例を通じて適用が詳細に説明されるが、本適用は、これらの実施例に限定されない。特に明記しない限り、以下の実施例で使用される全ての試薬、材料及び機器は市販されており、且つ全ての試薬は、化学的又は分析的に純粋で市販されている。
【0037】
【0038】
調製例1:化合物1の合成
工程1:中間体1-2の合成
1-(2-ヒドロキシフェニル)エタン-1-オン(13.6g、100mmol)及びベンズアルデヒド(10.6g、100mmol)を、KOH(16.8g、300mmol)の95%EtOH(125mL)溶液中に添加した。TLCの監視下で反応が完了するまで溶液を室温で12時間撹拌し、これを氷水(1000mL)に注ぎ、4NのHClでpH2~3に酸性化した。静置後、沈殿物を濾過し、且つpH値が6~7に達するまで水で洗浄し、且つ真空中で乾燥させて、黄色固体粗生成物(23.1g、収率95.1%)を得た。
【0039】
工程2:中間体1-3の合成
工程1で得られた粗生成物(8.69g、40mmol)及びエチルヒドラジノ酢酸塩酸塩(7.74g、48mmol)をEtOH(150mL)に懸濁させた。溶液を12時間加熱して還流し、且つ次いで、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル(100mL)及び水(100mL)に溶解させ、次いで、クエン酸でpH5~6に酸性化した。有機層を分離し、且つブライン(50mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、石油エーテル中に3.3%酢酸エチル)による精製後、7.2gの黄色油(収率55.6%)を得た。
【0040】
工程3:中間体1-4の合成
60%のNaH(0.16g、4mmol)を、氷浴及びアルゴン雰囲気下で、工程2の生成物(0.648g、2mmol)のテトラヒドロフラン(15mL)溶液中に添加した。3-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニルクロリド(0.732g、3mmol)をそれに添加した。溶液を氷浴下で30分間撹拌した後、水(2mL)及び4NのHCl水溶液(2mL)を滴下した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル(20mL)に溶解させ、且つ水(20mL)で洗浄した。水層を酢酸エチル(10mL×2)で抽出し、且つ合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、且つ減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を更に精製することなく次の反応に使用した。
【0041】
工程4:中間体1-5の合成
工程3で得られた粗生成物をトルエン(25mL)に溶解させ、且つDDQ(0.454g、2mmol)をそれに添加した。得られた溶液を100℃で12時間撹拌し、且つ次いで、室温まで冷却した。固体を濾過により除去し、且つ水(25mL)及び炭酸カリウム(0.276g、2mmol)を濾液に添加し、これを30分間撹拌した。有機層を分離し、ブライン(20mL)で洗浄し、且つ無水Na2SO4で乾燥させた。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、石油エーテル中に10%酢酸エチル)で精製した後、0.78gの黄色液体(収率75.3%)を得た。
【0042】
工程5:中間体1-6の合成
3NのLiOH水溶液(2mL)を、工程4で得られた生成物(0.78g、1.47mmol)とテトラヒドロフラン(15mL)及び水(15mL)との混合物に添加した。30分間撹拌した後、更なる水(15mL)を添加し、且つテトラヒドロフランを減圧下及び低温下で除去した。残留物を4NのHClでpH2~3に酸性化し、且つ沈殿物を濾過し、且つpH6~7になるまで水で洗浄した。標記化合物(0.69g、93.5%)を得、且つ更に精製することなく次の反応に使用した。
【0043】
工程6:中間体1-7の合成
EDCI(0.23g、1.2mmol)及びHOBT(0.15g、1.1mmol)を、工程5の生成物(0.52g、1mmol)のCH2Cl2(30mL)撹拌懸濁液中に添加した。次いで、ピナコールロイシンボロネート塩酸塩(0.25g、1mmol)及びDIPEA(0.15g、1.2mmol)を添加した。混合物を12時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、且つ残留物を酢酸エチル(20mL)に溶解させた。有機層を0.1NのHCl、ブライン、5%のNaHCO3及びブラインで洗浄した。有機相を無水Na2SO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させて、標記化合物(0.60g、不純物を含む粗生成物)を得、これを更に精製することなく次の工程に使用した。
【0044】
工程7:化合物1の合成
上記の工程6で得られた生成物(0.60g、0.86mmol)のエーテル(15mL)溶液中にジエタノールアミン(0.105g、1mmol)を添加し、且つ反応混合物を室温で12時間撹拌した。得られた沈殿物を濾過し、エーテルで洗浄し、且つ次いで酢酸エチル(20mL)及び水(20mL)の混合物で処理した。4NのHClを撹拌下で懸濁液に添加し、且つ更に12時間撹拌した。有機層を分離し、且つブライン、飽和NaHCO3及びブラインで洗浄し、且つ無水Na2SO4で乾燥させた。有機溶媒を減圧下で除去して、化合物1(0.33g、全収率32.7%)を白色固体として得た。mp:98~100℃。1H NMR(400 MHz,DMSO)δ 8.75(s,1H),7.97(d,J=7.8 Hz,1H),7.84(d,J=7.9 Hz,1H),7.78(s,1H),7.67(t,J=6.9 Hz,3H),7.57-7.47(m,2H),7.36(dq,J=21.4,7.2 Hz,5H),6.46(s,1H),4.58(q,J=17.0 Hz,2H),2.57(s,1H),1.44(dt,J=12.9,6.4 Hz,1H),1.14(ddd,J=19.4,14.3,6.8 Hz,2H),0.70(d,J=6.3 Hz,6H);13C NMR(101 MHz,DMSO)δ 169.6,150.4,146.4,139.5,136.2,132.9,132.5,132.0,132.0(dd,J=3.5 Hz),131.7,131.6,130.7(dd,J=33.5 Hz),128.9,128.5,128.2,125.5,124.3(dd,J=7.3,3.4 Hz),123.9,123.9,123.2(dd,J=273.1 Hz),105.4,50.5,43.0,40.7,25.8,23.3,22.8.C30H30BF3N3O5S(M+MeOH-H2O+H)+について計算されたHRMS(ESI+ve)m/z:612.1961、実測値612.19455
【0045】
調製例2~調製例26:経路1に示すように、化合物1の合成と同様の工程を用いて、各々が以下の表に示される化合物2~化合物26を白色固体として得た。
【表A-1】
【表A-2】
【表A-3】
【表A-4】
【表A-5】
【表A-6】
【表A-7】
【0046】
【0047】
調製例27:化合物27の合成
工程1:中間体27-2の合成
60%NaH(0.16g、4mmol)のテトラヒドロフラン溶液を、氷浴及びアルゴン雰囲気下で、エチル2-(3-(3-ヒドロキシフェニル)-5-フェニル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-1-イル)アセタートのテトラヒドロフラン(15mL)溶液中に添加した。塩化アセチル(0.24g、3mmol)をそれに添加した。溶液を氷浴下で30分間撹拌した後、水(2mL)及び4NのHCl水溶液(2mL)を滴下した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル(20mL)に溶解させ、且つ水(20mL)で洗浄した。水層を酢酸エチル(10mL×2)で抽出し、且つ合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、且つ減圧下で濃縮して、中間体27-2の粗生成物を得、これを更に精製することなく次の反応に直接使用した。
【0048】
工程2:中間体27-3の合成
DDQ(0.453g、2mmol)を、中間体27-2の粗生成物のPhMe(50mL)溶液中に添加した。得られた溶液を100℃で12時間撹拌し、次いで、室温まで冷却した。固体を濾過によって除去し、且つ水(25mL)及び炭酸カリウム(0.276g、2mmol)を濾液に添加し、これを30分間撹拌した。有機層を分離し、ブライン(20mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、且つ濃縮させて、中間体27-3の粗生成物(収率75.3%)を得、これを更に精製することなく次の反応に直接使用した。
【0049】
工程3:中間体27-4の合成
3NのNaOH(2mL)を、中間体27-3の粗生成物のテトラヒドロフラン(15mL)及び水(15mL)溶液中に添加した。50℃で12時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮して、テトラヒドロフランを除去した。更なる水(15mL)を残留物に添加し、且つ4NのHClでpH2~3に酸性化した。沈殿物を濾過し、且つpH値が6~7に達するまで水で洗浄した。中間体27-4(0.53g、89.4%)を得、これを更に精製することなく次の反応に直接使用した。
【0050】
工程4:化合物27の合成
調製例1の工程6及び7に示される手順に従って、化合物27を、中間体27-4から調製することによって白色固体として収率66.0%で得た。mp:127~129℃。1H NMR(400 MHz,DMSO)δ 7.56(d,J=7.0 Hz,2H),7.47(d,J=6.2 Hz,3H),7.22(dd,J=16.0,8.0 Hz,3H),6.80(s,1H),6.73(d,J=7.6 Hz,1H),4.76(s,2H),3.14(dd,J=9.3,5.3 Hz,1H),1.55(dd,J=12.9,6.4 Hz,1H),1.32(m,2H),0.84(dd,J=10.7,6.5 Hz,6H);13C NMR(101 MHz,DMSO)δ 166.8,157.8,150.2,145.8,134.8,130.4,130.1,129.2,129.2,128.9,116.7,115.1,112.3,103.7,52.7,38.2,25.2,23.7,22.3.C23H27BN3O3(M+MeOH-H2O)+について計算されたHRMS(ESI+ve)m/z:404.2140、実測値:404.2146
【0051】
【0052】
調製例28:化合物28の合成
工程1:中間体28-2の合成
Et3N(3.03g、30mmol)及び3-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニルクロリド(4.86g、20mmol)を、氷浴下でm-アミノアセトフェノン(2.70g、20mmol)のCH2Cl2(200mL)溶液中に滴下した。溶液を室温で12時間撹拌し、ブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で蒸発させて、中間体28-2(6.28g、91.6%)を白色固体として得た。
【0053】
工程2:中間体28-3の合成
調製例1の工程1と同様の手順を用いて、黄色固体を収率78.9%で得た。
【0054】
工程3:中間体28-4の合成
中間体28-3(4.31g、10mmol)及びヒドラジノ酢酸エチル塩酸塩(1.94g、12mmol)をEtOH(100mL)に懸濁させた。溶液を還流下で12時間撹拌し、且つ次いで減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル(100mL)及び水(100mL)に溶解させ、次いで、クエン酸でpH5~6に酸性化した。有機層を分離し、且つブライン(50mL×3)で洗浄し、且つ無水Na2SO4で乾燥させた。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、石油エーテル中に8%酢酸エチル)による精製後、2.39gの中間体28-4(収率45.0%、不純物を含む粗生成物)を黄色液体として得た。
【0055】
工程4:化合物28の合成
調製例1の工程3~7に示した手順を用いて、白色固体として化合物28を収率53.1%で得た。mp:119~120℃。1H NMR(400 MHz,DMSO)δ 8.04(m,3H),7.82(t,J=7.8 Hz,1H),7.63(s,1H),7.55(m,3H),7.49(dd,J=9.4,4.7 Hz,3H),7.31(t,J=7.9 Hz,1H),7.05(dd,J=8.0,1.3 Hz,1H),6.77(s,1H),4.77(s,2H),3.15(dd,J=9.6,5.4 Hz,1H),1.55(dd,J=13.4,6.6 Hz,1H),1.34(m,2H),0.84(dd,J=9.8,6.6 Hz,6H);13C NMR(101 MHz,DMSO)δ 166.7,149.3,146.0,140.9,137.8,134.6,131.4,131.2,130.3(d,J=32.6 Hz),130.3,130.2,130.1(d,J=3.1 Hz),130.1,129.2,128.9,123.7(d,J=273.0 Hz),123.7(d,J=3.7 Hz),122.3,120.4,117.8,103.7,52.8,38.2,25.2,23.7,22.3.C30H31BF3N4O4S(M+MeOH-H2O)+について計算されたHRMS(ESI+ve)m/z:611.2106、実測値:611.2100
【0056】
【0057】
調製例29:化合物29の合成
工程1:中間体Y-2(29-2)の合成
濃塩酸(2mL)を、エチル2-(3-(3-アセトキシフェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)アセタート(5mmol)の粗生成物のEtOH(50mL)溶液中に添加した。混合物を4時間加熱して還流し、次いで、室温まで冷却した。EtOHを減圧下で除去し、且つ残留物を酢酸エチル(30mL)に溶解させ、ブラインで洗浄し、且つ無水Na2SO4で乾燥させた。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、石油エーテル中に12%酢酸エチル)による精製後、1.05gの中間体29-2(収率52.0%)を白色固体として得た。
【0058】
工程2:中間体Y-3(29-3)の合成
K2CO3(0.28g、2mmol)及び2-ジメチルアミノエチルクロリド塩酸塩(0.28g、2mmol)を、中間体29-2(0.32g、1mmol)のアセトン(10mL)及びDMF(10mL)溶液中に添加した。混合物を12時間加熱して還流し、室温まで冷却し、次いで、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル(30mL)に溶解させ、ブラインで洗浄し、且つ無水Na2SO4で乾燥させた。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、石油エーテル中に30%酢酸エチル)による精製後、0.35gの黄色油状の中間体29-3を得た(収率89.1%)。
【0059】
工程3:中間体Y-4(29-4)の合成
中間体29-3(0.35g、0.89mmol)を4NのHCl(15mL)に懸濁させ、次いで、12時間加熱して還流した。得られた混合物を減圧下で蒸発させて、中間体29-4の粗生成物を得、これを更に精製することなく次の反応に使用した。
【0060】
工程4:化合物29の合成
調製例1の工程6及び7に示す手順を用いて、30.6%の収率で化合物29の非塩形態29-5を得た。化合物29-5(0.10g、0.21mmol)を酢酸エチル(10mL)に懸濁し、且つ塩化水素の2Nの酢酸エチル溶液(2mL)をそれに添加した。混合物を室温で12時間撹拌した。沈殿物を濾過し、且つ酢酸エチルで洗浄した。最後に、化合物29(85.7mg)を白色固体として得た。mp:146~148℃。1H NMR(400 MHz,DMSO)δ 7.57(dd,J=7.6,1.9 Hz,2H),7.51(dd,J=10.7,5.8 Hz,6H),7.39(t,J=7.9 Hz,1H),6.99(dd,J=8.2,1.9 Hz,1H),6.93(d,J=2.3 Hz,1H),4.80(s,2H),4.40(m,2H),3.55(m,2H),3.14(dd,J=9.6,5.3 Hz,1H),2.89(s,6H),1.55(m,1H),1.34(m,2H),0.85(dd,J=11.0,6.6 Hz,6H);13C NMR(101 MHz,DMSO)δ 166.8,158.3,149.8,146.0,134.9,130.4,130.2,129.3,128.9,119.0,114.6,111.7,103.9,62.6,55.9,52.7,43.2,38.2,25.2,23.7,22.2.C27H36BN4O3(M+MeOH-H2O)+について計算されたHRMS(ESI+ve)m/z:475.2875、実測値:475.2870
【0061】
調製例30~調製例42:経路4に示すように、各々が以下の表に示される化合物30~化合物42を、化合物29の合成と同じ工程によって調製した。
【表B-1】
【表B-2】
【表B-3】
【表B-4】
【0062】
(薬理実験)
1)細胞活性試験
腫瘍細胞増殖に対する化合物の効果をCellTiter-Glo法によって検出した。ヒトメラノーマ細胞株A375、非小細胞肺癌細胞株A549、ヒト肺腺癌細胞株H1299、結腸直腸癌細胞株HCT116、肝臓癌細胞株HepG2及び胃癌細胞株MGC80-3をインビトロで培養した。対数増殖期まで増殖させた後、細胞を回収し、1000rpmで5分間遠心分離し、且つ上清を捨てた後に適量の培地に懸濁させ、且つ細胞濃度を2×10
4/mLに調整した。細胞懸濁液を384ウェル細胞培養プレートに50μL/ウェルで接種した。細胞インキュベータ(37℃、5%CO
2)で24時間培養した後、細胞培養培地で希釈した5μLの薬物を処置群用の各ウェルに添加した。各薬物を3つのウェルの組で提供した。インキュベータ内の72時間のインキュベート後、20μLのCellTiter-Gloを各ウェルに添加し、且つ37℃で20分間置いた後、相対発光単位(RLU)をMultimode Microplate Reader Varioskan Flash(Thermo Scientific,USA)で測定し、且つ対照群のRLUと比較した。SigmaPlot10.0ソフトウェアを使用して、阻害率及びIC
50値を計算した。結果を以下の表に示した。
【表1】
【表2】
【0063】
2)酵素活性試験
Proteasome-Glo(商標)Cell-Basedアッセイキット(Promega,USA)を使用して、20Sプロテアソームに対する標的化合物の活性を判定した。ヒト慢性骨髄性白血病細胞株(K562、6000細胞/ウェル)を20μL/ウェルで384ウェルプレートに接種した。次いで、細胞を37℃、5%CO
2で2時間平衡化した。各384ウェルプレートに対し無処置(空白対照)群及び処置群を設定し、且つ処置群の各ウェルに、40μM、13.3μM、4.44μM、1.48μM、0.49μM、0.16μM、0.055μM、0.0183μM、0.0030μM、0.0061μMの最終濃度で化合物溶液5μLを添加した。細胞を薬物と共に37℃、5%CO
2で2時間インキュベートした後、ウェル当たり25μLに対応するProteasome-Glo(商標)Cell-Based試薬を添加した。15分後に、Multimode Microplate Reader Varioskan Flash(Thermo Scientific,USA)を使用して相対発光単位(RLU)を測定し、且つ対照群のRLUと比較した。SigmaPlot 10.0ソフトウェアを使用してIC
50値を計算した。結果を以下の表に示した。
【表3】
【0064】
(薬物動態試験)
この実験は、各群に3匹の動物を有する、PO群及びIV群を含む。PO群については、投与前、並びに投与15分、30分、1時間、2時間、4時間、7時間及び24時間後に眼窩静脈神経叢から約0.25mLの全血を採取し、且つIV群については、投与前、並びに投与5分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、7時間及び24時間後に眼窩静脈叢から約0.25mLの全血を採取し、これらはヘパリン抗凝固チューブに入れた。採血後、抗凝固剤を含有する採血管を数回反転させて完全に混合し、且つ遠心分離前に湿った氷上に置いた。採血後60分以内に8000rpm、2~8℃で10分間遠心分離して赤血球を分離し、血漿試料を得た。血漿試料を凍結保存用チューブに移し、分析まで-75±15℃で保存した。50μLの血漿試料を採取し、且つ5μLのアセトニトリル:水(1:1、v/v)を添加し、且つ200μLの0.1%ギ酸-アセトニトリルを添加し、遠心分離し(12000rpm、15分)、上清を超純水で1:1に希釈した。LC-MS/MS法を用いて血漿薬物濃度を分析した。Microsoft EXCELを使用して、実験データを平均(mean)、偏差%及び標準偏差(SD)で統計学的に記載した。WinNonlin 8.1ソフトウェアを用いて薬物動態パラメータを計算した。以下の薬物動態パラメータを計算した。CL(クリアランス)、V
d(見かけの分布容積)、T
1/2(消失半減期時間)、C
max(ピーク濃度)、T
max(ピーク時間)、AUC(血中濃度-時間曲線下面積)、及びF%(バイオアベイラビリティ)。
【表4】
【0065】
表4から、SDラットにおける1mg/kgの化合物39の単回尾静脈注射後、血中濃度-時間曲線下面積(AUC0-t)は767±117h・ng/mLであり、且つ見かけの分布容積(Vd)は13.9±2.8L/kgであり、これはSDラットの総液体容積よりも高く、薬物がインビボで広く分布しており、クリアランス(CL)は21.0±3.4mL/分/kgであることを示し、中程度のクリアランスを有する化合物に属し、インビボでの消失半減期(T1/2)は、7.63±0.30時間であることが分かった。SDラットに10mg/kgの化合物39を胃内投与した後、血中濃度-時間曲線下面積(AUC0-t)は、186±147h・ng/mLであり、ピーク濃度(Cmax)は、74.8±82.0ng/mLであり、ピーク時間(Tmax)は、0.33±0.14hであり、インビボでの消失半減期(T1/2)は、1.63±0.36hであり、且つバイオアベイラビリティは、2.42±1.91%であった。薬物動態試験は、中程度のクリアランス及び迅速な吸収を伴って、化合物39が雄SDラットに広く分布していることを示した。
【0066】
(抗腫瘍スペクトル研究)
7種類の腫瘍細胞モデル、A549、A375、HCT116、MDA-MB-231、HepG2、PC3及びMCF-7に対する化合物30の活性をMTT法によって評価した。試験に使用した全ての細胞を3.5×103細胞/mLの濃度で調製し、且つ各100mLの細胞懸濁液を96ウェルマイクロタイタープレートに24時間接種した(37℃、5%CO2)。次いで、異なる濃度の化合物30を添加し、72時間インキュベートし、且つ対照群については、等濃度のDMSO(最終濃度0.5%)を添加した。MTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)法により生細胞数を測定し、且つ492/620nmにおけるOD値を記録した。IC50値は、3つのウェルの組での実験の結果に基づいてPrism-Graphpadソフトウェアによって計算した。
【0067】
結果は表5に示され、化合物30は7種類の腫瘍細胞の増殖に対して有意な阻害活性を有し、そのうちHCT116及びMCF-7に対するIC
50は、それぞれ0.63μM及び0.69μMに達した。
【表5】
【0068】
(インビボでの抗腫瘍活性の研究)
本試験では、体重18~20gの6週齢の雄BALB/c無胸腺ヌードマウス(上海斯莱克実験動物有限公司から購入)に移植したヒト肝臓癌のBel7404モデルを使用して、化合物30の抗腫瘍効果を試験した。化合物30の投与量は、それぞれ50mg/kg(30H群)、25mg/kg(30M群)、及び12.5mg/kg(30L群)とし、週2回、合計5回静脈内注射し、同時に対照薬として5-FUを用い、週2回、計7回腹腔内注射した(各群5匹のマウスを化合物30投与群として、5匹のマウスを5FU投与群として、8匹のマウスを無処置群として使用した)。腫瘍の長径a(mm)及び垂直短径b(mm)をデジタル電子ノギスで1週間に2回測定した。腫瘍体積の計算式はTV=ab
2/2であり、且つ相対腫瘍体積計算式はRTV=V
t/V
oであり、V
oは、投与1日目(d1)に測定した腫瘍体積であり、V
tは、各測定時の腫瘍体積であった。投与の22日目(d22)に、動物を屠殺し、且つ秤量した。腫瘍塊を解剖し、且つ秤量した。腫瘍阻害率(腫瘤抑制率、%)を以下の式に従って計算した。
【数1】
【0069】
インビボでの抗腫瘍活性の結果を表6に示した。ヒト肝臓癌Bel7404に対する化合物30の腫瘍阻害率は、50mg/kg、25mg/kg及び12.5mg/kgの用量でそれぞれ61.29%、36.55%及び24.89%であった。
【表6】
【0070】
(マウスにおける最大耐量の試験)
最大耐量(MTD)試験のために、健康な非腫瘍担持雌NOD/SCIDマウス(斯貝福生物技術有限公司から購入)を選択した。化合物39を、NOD/SCIDマウスに単回尾静脈注射によって直接投与し、且つビヒクル(0.3mLのDMSO、0.27mLのTween-80、2.43mLの生理食塩水)を対照群として使用した。化合物39の用量に従って、投与群を、各群に7匹のマウスを有する以下の3つの群:低用量群(10mg/kg)、中用量群(20mg/kg)、及び高用量群(30mg/kg)に分けた。投与後(投与前日を「0日目」として記録)のマウスの体重並びに生存及び健康状態を観察して、マウスの最大耐量を判定した。マウスの体重を1日1回測定し、且つデータを表7に示した。
【表7】
【0071】
結果は、化合物39を30mg/kg以下の用量で投与することが安全であり、且つマウスの平均体重変化が5%以下であることを示した。
【0072】
(インビボでのヒト多発性骨髄腫RPMI8226の薬力学研究)
雌NOD/SCIDマウス(斯貝福生物技術有限公司から購入)への細胞株の皮下異種移植により得られた腫瘍動物モデルを用いて、インビボでの抗腫瘍効果を研究した。
【0073】
RPMI8226細胞をNOD/SCIDマウスの皮下に接種し、且つ細胞接種9日後にヒト多発性骨髄腫皮下移植腫瘍モデルの確立に成功した。試験をビヒクル(0.3mLのDMSO、0.27mLのTween-80、2.43mLの生理食塩水)対照群、化合物30低用量群(20mg/kg)、化合物30中用量群(30mg/kg)、化合物30高用量群(40mg/kg)、化合物39低用量群(5mg/kg)、化合物39中用量群(10mg/kg)、及び化合物39高用量群(15mg/kg)に分割し、且つボルテゾミブ(揚子江薬業から購入したAPI)を陽性対照群(0.5mg/kg)として使用し、上記にて確立した各群5匹の腫瘍担持マウスに、1週間に2回、合計9回尾静脈投与した。腫瘍の長径a(mm)及び長径に垂直な腫瘍の短径b(mm)をデジタル電子ノギスで週2回測定した。腫瘍体積の計算式は、TV=ab
2/2であり、且つ相対腫瘍体積の計算式は、RTV=V
t/V
oであり、V
oは、各群のマウスをケージに分割し、且つ最初に投与したとき(d1)に測定された腫瘍体積であり、V
tは、最後の投与で測定された腫瘍体積であった。動物をRPMI8226細胞の接種後31日(d22)で屠殺し、秤量した。腫瘍塊を解剖し、且つ秤量し、且つ以下の式に従って腫瘍阻害率を計算した。
【数2】
【0074】
化合物30のインビボでの抗腫瘍活性の結果を表8に示した。20mg/kg、30mg/kg及び40mg/kgの用量でのヒト多発性骨髄腫RPMI8226に対する化合物30の腫瘍阻害率は、それぞれ72.45%、82.53%及び92.07%であった。
【表8】
【0075】
化合物39のインビボでの抗腫瘍活性の結果を表9に示した。5mg/kg、10mg/kg及び15mg/kgの用量でのヒト多発性骨髄腫RPMI8226に対する化合物39の腫瘍阻害率は、それぞれ83.82%、93.35%及び96.14%であった。
【表9】
【0076】
本発明の実施例で調製された化合物は、優れた抗腫瘍活性を示すことができることが分かる。
【0077】
説明及び開示の目的で、全ての特許、特許出願及び他の刊行物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。これらの刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示のためにのみ提供される。これらの文献の日付に関する全ての記述又はこれらの文献の内容の表現は、出願人が入手可能な情報に基づいており、且つこれらの文献の日付又はこれらの文献の内容の正確さに関するいかなる承認も構成しない。さらに、本明細書におけるこれらの刊行物へのいかなる参照も、いかなる国においても刊行物が当該技術分野における共通の一般知識の一部を形成することの承認を構成するものではない。
【0078】
当業者は、本出願の範囲が上記の様々な特定の実施形態及び例に限定されず、本出願の保護範囲内に入る本出願の精神から逸脱することなく様々な修正、置換、又は再結合がなされ得ることを認識するであろう。
【国際調査報告】