(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
C04B 16/04 20060101AFI20230901BHJP
C04B 28/02 20060101ALI20230901BHJP
C04B 20/00 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
C04B16/04
C04B28/02
C04B20/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512432
(86)(22)【出願日】2021-08-18
(85)【翻訳文提出日】2023-02-17
(86)【国際出願番号】 GB2021052141
(87)【国際公開番号】W WO2022038354
(87)【国際公開日】2022-02-24
(32)【優先日】2020-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523058087
【氏名又は名称】ロー・カーボン・マテリアルズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ナターシャ・アリス・ボールディング
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ダニエル・バックリー
(72)【発明者】
【氏名】スコット・ピーター・ブッシュ
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112PA23
(57)【要約】
本発明は、約0.1μm~約1cmのサイズを有するプラスチック粒子を含む骨材を作製する方法に関し、この方法は、第1の複数のプラスチック粒子を低圧プラズマ及び/又は電子ビームで処理して、処理された粒子を提供することを含み、プラズマは、カルボン酸、アルコール、アミン、エステル、アルデヒド、アミド、ケトン、エポキシド、アンモニア、及びペルオキシドからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせから形成されるイオンを含む。本発明は、更に、骨材及びそれらの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約0.1μm~約1cmのサイズを有するプラスチック粒子を含む骨材を作製する方法であって、第1の複数のプラスチック粒子を低圧プラズマ及び/又は電子ビームで処理して、処理された粒子を提供することを含み、前記プラズマが、カルボン酸、アルコール、アミン、エステル、アルデヒド、アミド、ケトン、エポキシド、アンモニア、及びペルオキシドからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせから形成されるイオンを含む、方法。
【請求項2】
前記第1の複数の粒子が、異なるサイズのものであり、かつ/又は異なるサイズの処理された粒子が、互いに接触している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の複数の粒子が、異なるサイズのものであり、前記方法が、第2の複数のプラスチック粒子を分別して、分別された粒子を提供することを更に含み、これらのいくつかが、組み合わされて、異なるサイズの前記第1の複数の粒子を提供する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記分別することが、異なるメッシュサイズの粒子ふるいを使用して達成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、より大きいサイズのプラスチックを粒子化することによって前記第1の複数の粒子を調製することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、より大きいサイズのプラスチックを粒子化することによって前記第2の複数の粒子を調製することを更に含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項7】
粒子化することが、破砕することを含む、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
粒子化することが、破砕すること及び粉砕することを含む、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項9】
前記処理することが、低圧プラズマで処理することを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記低圧プラズマが、前記粒子と反応して、ペンダント親水性基を形成する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記プラズマが、大気圧の圧力及び20℃の温度で液体である前駆体から形成されたイオンを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記プラズマが、カルボン酸、アルコール、エステル、アルデヒド、アミン、アンモニア、及びエポキシドからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせから形成されるイオンを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記プラズマが、カルボン酸、エステル、アルデヒド、アミド、ケトン、及びエポキシドからなる群から選択されるいずれか1つ又は組み合わせから形成されるイオンを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記プラズマが、カルボン酸、アルコール、及びアミンからなる群から選択される気体のうちのいずれか1つ又は組み合わせから形成されるイオンを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記プラズマが、カルボン酸、好ましくはC
1~C
4カルボン酸から形成されるイオンを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記カルボン酸が、酢酸である、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記低圧プラズマが、約0.001mbar(0.1Pa)~約500mbar(50kPa)、約0.001mbar(0.1Pa)~約300mbar(30kPa)、約0.01mbar(10Pa)~約100mbar(10kPa)、又は約0.01mbar(10Pa)~約10mbar(1kPa)、好ましくは約0.01mbar(10Pa)~約10mbar(1kPa)の圧力である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記処理することの前に、前記第1の複数の粒子をセメントと接触させることを更に含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、前記処理された粒子を水と接触させることを更に含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記骨材の前記粒子のモードサイズが、約60μm~約2mm、約60μm~約1mm、約120μm~約1mm、約120μm~約0.8mm、又は約120μm~約0.7mmである、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記骨材の前記粒子のモードサイズが、約0,3mm~約0.6mmである、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記骨材の前記粒子のモードサイズが、約1,4mm~約3mmである、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記骨材の前記粒子のモードサイズが、約0.5mm~約4mm、0.75mm~約3.75mm、1mm~約3.5mm、又は約1.25mm~約3.25mmである、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記骨材の前記粒子のモードサイズが、約0.1μm~約700μm、約1μm~約700μm、約5μm~約700μm、約5μm~約700μm、約20μm~約600μm、又は約20μm~約500μmである、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の複数の前記粒子が、熱可塑性ポリマー及び/又は熱硬化性ポリマーを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の複数の前記粒子が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート、ポリエポキシド、ポリエステル樹脂、ポリシロキサン、スチレンブタジエン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、エチルビニルアセテート、及びアクリロニトリルブタジエンスチレンからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の複数の前記粒子が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエポキシド、ポリエステル樹脂、及びポリシロキサンからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の複数の前記粒子が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びポリウレタンからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の複数の前記粒子が、1つのタイプのポリマーを含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる骨材。
【請求項31】
約0.1μm~約1cmのプラスチック粒子を含む骨材であって、前記骨材の少なくともいくつかの粒子が、カルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミド基、アルキリデン基、エステル基、アルデヒド基、アシル基、アミド基、ケト基、エポキシ基、シアノ基、及びペルオキシド基のうちのいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせから選択されるペンダント基を含む表面を含み、前記少なくともいくつかの粒子が、a)電子ビーム又はb)低圧プラズマで処理されている、骨材。
【請求項32】
前記ペンダント基が、カルボキシル基、エステル基、アルデヒド基、アミノ基、アミド基、ケト基、及びペルオキシド基のうちのいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせから選択される、請求項31に記載の骨材。
【請求項33】
前記ペンダント基が、カルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミド基、アルキリデン基、及びエステル基のうちのいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせ、好ましくはカルボキシル、アミノ、アミド、及びケトンのうちの1つ又は2つ以上の組み合わせ、より好ましくはカルボキシル及びエステルのうちの1つ又は組み合わせから選択される、請求項32に記載の骨材。
【請求項34】
前記ペンダント基が、カルボキシル基、好ましくはC
1~C
4カルボキシル基、より好ましくは-CH
2COOH基である、請求項31~33のいずれか一項に記載の骨材。
【請求項35】
電子ビームで処理された前記骨材の少なくともいくつかの粒子が、架橋された表面を含む、請求項31~34のいずれか一項に記載の骨材。
【請求項36】
前記骨材の少なくともいくつかの粒子が、ガラス転移温度を示さない、請求項31~35のいずれか一項に記載の骨材。
【請求項37】
前記骨材の前記粒子が、不規則な形状のものである、請求項31~35のいずれか一項に記載の骨材。
【請求項38】
前記骨材の前記粒子のモードサイズが、約60μm~約2mm、約60μm~約1mm、約120μm~約1mm、約120μm~約0.8mm、又は約120μm~約0.7mmである、請求項31~37のいずれか一項に記載の骨材。
【請求項39】
前記骨材の前記粒子のモードサイズが、約0,3mm~約0.6mmである、請求項31~37のいずれか一項に記載の骨材。
【請求項40】
前記骨材の前記粒子のモードサイズが、約1,4mm~約3mmである、請求項31~37のいずれか一項に記載の骨材。
【請求項41】
前記骨材の前記粒子のモードサイズが、約0.5mm~約4mm、0.75mm~約3.75mm、1mm~約3.5mm、又は約1.25mm~約3.25mmである、請求項31~37のいずれか一項に記載の骨材。
【請求項42】
前記骨材の前記粒子のモードサイズが、約0.1μm~約700μm、約1μm~約700μm、約5μm~約700μm、約5μm~約700μm、約20μm~約600μm、又は約20μm~約500μmである、請求項31~37のいずれか一項に記載の骨材。
【請求項43】
前記骨材の前記粒子が、請求項20~29のいずれか一項で定義された通りである、請求項31~37のいずれか一項に記載の骨材。
【請求項44】
前記骨材の前記粒子が、熱可塑性ポリマー及び/又は熱硬化性ポリマーを含む、請求項31~43のいずれか一項に記載の骨材。
【請求項45】
前記骨材の前記粒子が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエポキシド、ポリエステル樹脂、ポリシロキサン、スチレンブタジエン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、エチルビニルアセテート、及びアクリロニトリルブタジエンスチレンからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせ、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエポキシド、ポリエステル樹脂、及びポリシロキサン、又はそれらの2つ以上の組み合わせ、より好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、又はそれらの2つ以上の組み合わせを含む、請求項31~44のいずれか一項に記載の骨材。
【請求項46】
前記骨材の前記粒子が、1つのタイプのポリマーを含む、請求項31~45のいずれか一項に記載の骨材。
【請求項47】
セメントを更に含む、請求項31~46のいずれか一項に記載の骨材。
【請求項48】
電子ビームで処理されている前記少なくともいくつかの粒子の約0.1~約100%、好ましくは約0.5%~約80%、より好ましくは約1%~約50%、なおより好ましくは約5%~約35%が、溶解試験によって決定されたときに架橋されている、請求項31~47のいずれか一項に記載の骨材。
【請求項49】
請求項31~48のいずれか一項に記載の骨材を含むコンクリート。
【請求項50】
前記コンクリートが、約49:1~約0:1、約8.1:1~約0:1、約49:1~約0.1:1、約8.1:1~約0.2:1、約19:1~約0.25:1、約9:1~約0.66:1、約5.5:1~約0.82:1、又は約2.7:1~約1:1の砂:骨材の比体積比範囲を含む、請求項49に記載のコンクリート。
【請求項51】
前記コンクリートが、約49:1~約0:1、約8.1:1~約0:1、約49:1~約0.1:1、約8.1:1~約0.2:1、約19:1~約0.25:1、約9:1~約0.66:1、約5.5:1~約0.82:1、又は約2.7:1~約1:1の天然骨材:骨材の比体積比範囲を含む、請求項49に記載のコンクリート。
【請求項52】
前記コンクリートが、約0.01~約2重量%、約0.1~約2重量%、約0.1~約1重量%、約0.5~約2重量%、又は約0.5~約1重量%の前記骨材を含む、請求項49~51のいずれか一項に記載のコンクリート。
【請求項53】
前記コンクリートが、約0.0005~約1重量%、約0.00125~約0.75重量%、又は約0.00125~約0.5重量%の前記骨材を含む、請求項49~51のいずれか一項に記載のコンクリート。
【請求項54】
前記コンクリートが、約0.01~約2重量%、約0.025~約1.5重量%、又は約0.025~約1重量%の前記骨材を含み、前記重量%が、前記コンクリート中に存在するセメント量に対する前記骨材の重量%を指す、請求項49~51のいずれか一項に記載のコンクリート。
【請求項55】
前記骨材の前記粒子のモードサイズが、約0.1μm~約700μm、約1μm~約700μm、約5μm~約700μm、約5μm~約700μm、約20μm~約600μm、又は約20μm~約500μmである、請求項49~54のいずれか一項に記載のコンクリート。
【請求項56】
請求項30~48のいずれか一項に記載の骨材をセメントと接触させることを含む、コンクリートを作製する方法。
【請求項57】
コンクリート中の天然骨材(砂などの)のための代替物としての、請求項30~48のいずれか一項に記載の骨材の使用。
【請求項58】
約5~約100体積%、約20~約100体積%、約40~約100体積%、約60~約100体積%、又は約80~約100体積%の砂が、置き換えられる、請求項57に記載の使用。
【請求項59】
約0.01~約2体積%、約2~約20体積%、約20~約60体積%、又は約60~約100体積%の砂が、置き換えられる、条項57に記載の使用。
【請求項60】
前記砂が、シャープ砂、プラスター砂、又はビルダー砂、好ましくはシャープ砂である、請求項57~59のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、約0.1μm~約1cmのサイズを有するプラスチック粒子を含む骨材を作製する方法に関し、この方法は、第1の複数のプラスチック粒子を低圧プラズマ及び/又は電子ビームで処理して、処理された粒子を提供することを含む。本発明はまた、そのような処理された粒子を含む骨材に関する。そのような骨材は、コンクリート添加物として、又はコンクリート中の天然骨材(例えば、砂)代替物として有用であり得る。したがって、本発明はまた、骨材を含むコンクリート、そのようなコンクリートを作製する方法、及びコンクリート中の天然骨材のための代替物としての骨材の使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
大量のプラスチック廃棄物が毎年生成され、埋立て地に処分されるか、焼却されるか、又はリサイクルされる。プラスチックを埋立て地に処分すること及びプラスチックを焼却することは、環境汚染の一因となる。プラスチックをリサイクルすることにより、同時に環境汚染を回避し、有用な製品を提供することができる。
【0003】
リサイクルされたプラスチックの1つの用途は、コンクリート又はモルタルなどの建築材料である(F.lucolano et al.,Mater.Design,2013,52,916-922、C.Makri,J.Hahladakis and E.Gidarakos,J.Hazard Mater.,2019,379,1-8、L.Cong et al.,Constr.Build.Mater.,2019,225,1012-1025、M.Gomez et al.,Constr.Build.Mater.,2020,230,116977,1-11を参照されたい)。プラスチックは、コンクリートに使用される天然の粗粒又は細粒の骨材を置き換えるための骨材として使用され、それによって、より軽量のコンクリートを生成することができる(例えば、S.Yang et al.,Constr.Build.Mater.,2015,84,444-453、G-P.Zehil and J.Assaad,Constr.Build.Mater.,2019,226,1-10、J.Ruiz-Herrero et al.,Constr.Build.Mater.,2016,104,298-310、及びJ.Thorneycroft et al.,Constr.Build.Mater.,2018,161,63-69を参照されたい)。代替的に、プラスチックは、コンクリートを補強するための繊維状添加物として使用され得る(L.Gu and T.Ozbakkaloglu,Waste Management,2016,51,19-42、及びC.Ince,Emerg.Mater.Res.,2019,8(2),265-274)。
【0004】
コンクリートに使用される天然骨材を置き換えるための廃プラスチックの使用は、廃プラスチックをリサイクルするためだけでなく、それらの過剰使用のために希少かつより高価になりつつある天然骨材の使用を回避するためにも有益である(M.Ju,K.Park and W-J Park,int.J.Conor.Struct.Mater.,2019,13(61),1-13)。天然骨材のプラスチックによる置き換えは、より低い圧縮強度を有するより軽量のコンクリートを生成することが報告されている(L.Gu et al.、上記を参照)。より低い圧縮強度は、天然骨材と比べて、コンクリート中のプラスチック骨材と周囲のマトリックスとの間のより弱い結合に起因する。圧縮強度の損失は、特定のサイズ分布及び粒子粗さのプラスチック骨材を選択することによって制限することができる。平滑な表面及び球形状を有するプラスチック骨材は、より高い加工性を有するコンクリートを生成することが報告されている。しかしながら、より大きい表面粗さを有するプラスチック粒子は、セメントマトリックスとより有利に相互作用することが報告されており、表面粗さは、プラスチックのセメントマトリックスへの固定に有益である(L,Gu et at.、上記を参照)。
【0005】
天然骨材は、典型的には、不均一なサイズ及び形状の粒子を含む。J.Thorneycroft et al.(上記を参照)は、天然骨材の、小さい及び大きい粒子サイズを含むように等級付けされた粒子サイズを含むプラスチック骨材との置き換えについて報告している。より大きいサイズ分布のプラスチック粒子を含む骨材は、コンクリート内での粒子の効率的な充填を達成すると理論付けられている。10%の細砂を異なるサイズ分布のポリエチレンテレフタレート(PET)骨材と置き換えて生成されたコンクリートの強度を比較した。細砂のサイズ分布と一致するサイズ分布を有するPET骨材を使用して生成されたコンクリートは、最大の圧縮強度及び引張強度を示すことが見出された。
【0006】
プラスチック骨材の典型的に滑らかで疎水性の表面は、多くの場合、セメントとの不十分な相互作用、及び形成するコンクリート全体にわたるプラスチックの不十分な分散につながる。より多い量の天然骨材がプラスチック骨材で置き換えられるにつれて、コンクリートの不十分な形態がもたらされ、構造が過度に多孔質になり、プラスチック骨材の周りに空隙が形成される(S.Yang etal.、上記を参照)。
【0007】
骨材内のプラスチック粒子を表面改質して、骨材のセメントとの相互作用を改善することができる。表面改質は、粒子を化学物質、ガンマ線照射、電子ビーム、又はプラズマに曝露することによって達成することができる。化学処理を介した表面改質は、典型的には、粒子の表面で新しい化学基の結合をもたらす。漂白剤と水酸化ナトリウムとの組み合わせで粒子を洗浄することは(J.Thorneycroft et al.、上記を参照、T.Naik et al.,Cement Concrete Res.,1996,26(10),1489-1492)、化学処理による表面改質の一例である。そのような処理は、粒子の表面でのオキシ基及びカルボキシレート基の形成につながり、これらの基がポゾラン反応(後述)などのセメント質反応に関与することができると理論付けられている。その結果、粒子はセメントと相互作用することができ、これにより、もたらされるコンクリートの構造及び強度が改善される。
【0008】
ガンマ線又は電子ビームを使用して、メチルアクリレート、アクリル酸、アクリロニトリル、及びN-ビニルピロリドンなどの極性モノマーの、プラスチック粒子の表面へのグラフト共重合を誘起することができる(グラフト共重合を誘起するためのガンマ線の使用についてはL.Ma,M.Wang and X.Ge,Radiat.Phys.Chem.,2013,90,92-97を参照し、グラフト共重合を誘起するための電子ビームの使用についてはC.He and Z.Gu,J.Appl.Polym.,2003,89,3931-3938及びS.C.Lapin,UV+EB Technology,2015,1,44-49を参照されたい)。ガンマ線又は電子ビームに曝露されると、フリーラジカルをプラスチックの表面に形成することができ、これにより、モノマーと共重合し、プラスチックの表面にグラフトされたモノマー鎖をもたらすことができる。代替的に、フリーラジカルは、空気中の酸素と反応し、オキシ基などの極性官能基の形成をもたらし得る。このようにして表面改質されたプラスチックは、セメントと接触させてもよい。極性鎖及び官能基は、セメントとより有利に相互作用し、形成されるコンクリートの構造及び強度を改善することができる。加えて、ガンマ線又は電子ビームを使用して、材料を除去するか、ポリマー鎖を架橋するか、又はポリマー鎖の切断を引き起こすことによって、プラスチックのトポグラフィーを改質することができる。その結果、プラスチックの表面は、より粗く、より接着性であり、プラスチックがセメントとより有利に相互作用し、より少ない多孔質構造及びより大きい強度を有するコンクリートを生成することを可能にすることができる(A.Martinez et al.,Constr.Build.Mater.,2019,201,778-785、G.Martinez-Barrera et al.,Evolution of Ionizing Radiation Research,Chapter 11,Gamma Radiation as a Recycling Tool for Waste Materials Used in Concrete,2015,259-279、C.Schaefer et al.,Waste Manage.,2018,71,426-439、A.A.El-Saftawy,et al.,Radiat.Phys.Chem.,2014,102,96-102)。
【0009】
プラスチック粒子の表面への新しい化学基の結合はまた、プラズマ処理を介して達成することができる。プラズマは、粒子の表面でプラスチックと反応して結合することができる。典型的には、処理は、大気圧で実施され、プラズマは、多くの場合、誘電体バリア放電を使用して、ガスをイオン化することによって形成される(J.Grace and L.Gerenser,J.Disper.Sci.Techno!.,2003,24,3&4,305-341を参照されたい)。多くの場合、プラズマ処理は、酸素、窒素、アンモニア、水蒸気、二酸化炭素、又は空気を使用して実施され、これらのガスをイオン化する際に生成されたプラズマは、プラスチック粒子の表面に結合し得る。親水性プラズマが使用されるとき、プラスチック粒子の表面は、親水性基に結合される。親水性表面は、セメントとより有利に相互作用し、したがって、もたらされるコンクリートの構造及び強度を改善することができる(C.Zhang,V.Gopalaratnam and H.Yasuda,J.Appl.Polym.,2000,76(14),1985-1996、及びT.Moravek,J.Rahel and Z.Szalay,WDS’13 Proc.Contrib.Pap.Part III,MATFYZPRESS,2013,161-164.)。加えて、プラズマ処理は、材料を除去することによってプラスチックのトポグラフィーを変更することが報告されている。これにより、プラスチックの表面に細孔が形成され、プラスチックの接着特性を改善することができる(A.Yanez-Pacios and J.Martin-Marttnez,Surf.Topogt.:Metro!.Prop.,2018,6,034020)。
【0010】
米国特許第6000877(A)号、国際公開第02/053646(A1)号、及び同第97/17405(A1)号(Plasphalt Project Ltd.Co.)には、プラズマ処理を含む方法によって表面活性化されたプラスチック粒子を含むアスファルト舗装材料が記載されている。国際公開第2016/084007(A1)号(MNZ Holdings Ltd.)には、コンクリートに使用するためのプラスチック骨材が記載されている。骨材の粒子は、プラズマ処理、具体的には火炎処理され得ることが言及されている。ヒドロキシ基を微小球上に結合させるための酸素プラズマの使用は、国際公開第2014/120172(A1)号(Empire Technology Dev,LLC)に記載されている。ヒドロキシ基をメタクリル酸クロリドと更に反応させて、メタクリレート部分の層をポリマー微小球の表面に共有結合させる。プラスチック粒子の表面を改質するための低圧プラズマ又は電子ビームの使用は、これらの特許文献のうちのいずれにも記載されていない。
【0011】
大気プラズマ処理は、大気圧で気体である化学物質をイオン化することに限定され、発生するプラズマのタイプを限定する。低圧プラズマ処理が代替形態として使用されてもよい。低圧プラズマ処理では、反応チャンバは、大気圧よりも低い圧力まで排気され、この圧力で、対象のプラズマ供給源がガス状になる。プラズマ供給源は、チャンバを通る低圧プラズマの流れを生成するためにイオン化される(A.Yanez-Pacios and J.Martin-Martinez、上記を参照、L.Gerenser,J.Adhesion Sci.Technol.,1987,1(4),303-318、L.Gerenser,J,Adhesion Sci.Technol.,1993,7(10),597-614、R.Foerch,J.Izawa and G.Spears,J.Adhesion Sci.Technol.,1991,5(7),549-564、及びE.Occhiello et al.,J.Appl.Polym.Sci.,1991,42(2),551-559)。上で参照した論文に記載されている低圧プラズマ処理は、大気圧でガス状である化学物質から誘導されたプラズマでバルクプラスチック基材及びプラスチックフィルムの表面を改質するために使用されてきた。
【0012】
国際公開第2007/026167(A1)号(Haydale Ltd.)では、空気から誘導された低圧プラズマが粒子状ゴムを処理するのに有用であると記載されており、米国特許出願公開第2013/320274(A1)号(同じく、Haydale Ltd.)では、酸素から誘導された低圧プラズマがグラファイト粒子又はカーボンナノ粒子の骨材を処理するのに有用であると記載されている。大気ガスの使用は、非常に便利であるとみなされている。
【0013】
セメント、及びその後のコンクリート中のプラスチックの分散を改善するために、骨材内のプラスチック粒子の表面を制御可能に改質することが望ましい。本発明は、これに対処しようとするものである。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、低圧プラズマ及び/又は電子ビームでの処理によって得ることができる、約0.1μm~約1cmのサイズを有するプラスチック粒子の骨材を提供する。そのような処理方法は、プラスチック粒子の表面が制御可能に改質されることを有益に可能にする。更に、低圧プラズマの使用は、使用大気プラズマよりも利点を提供する。大気圧で液体であり、大気プラズマ処理での使用に好適ではない供給源を含む多種多様なプラズマ供給源を使用して、プラスチック粒子の表面を改質することができる。加えて、低圧プラズマ処理の使用は、プラズマ供給源が選択的にイオン化されて、特定のプラズマを生成することを可能にし、プラズマが反応チャンバを通して制御可能に流れることを可能にする。
【0015】
第1の態様から見ると、本発明は、約0.1μm~約1cmのサイズを有するプラスチック粒子を含む骨材を作製する方法であって、第1の複数のプラスチック粒子を低圧プラズマ及び/又は電子ビームで処理して、処理された粒子を提供することを含み、プラズマが、カルボン酸、アルコール、アミン、エステル、アルデヒド、アミド、ケトン、エポキシド、アンモニア、及びペルオキシドからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせから形成されるイオンを含む、方法を提供する。
【0016】
第2の態様から見ると、本発明は、第1の態様の方法によって得ることができる骨材を提供する。
【0017】
第3の態様から見ると、本発明は、約0.1μm~約1cmのプラスチック粒子を含む骨材であって、骨材の少なくともいくつかの粒子が、カルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミド基、アルキリデン基、エステル基、アルデヒド基、アシル基、アミド基、ケト基、エポキシ基、及びペルオキシド基のうちのいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせから選択されるペンダント基を含む表面を含み、少なくともいくつかの粒子が、a)電子ビーム又はb)低圧プラズマで処理されている、骨材を提供する。
【0018】
本発明の骨材は、コンクリート添加剤として、又はコンクリート中の天然骨材(例えば、砂)代替物として有用であり得る。したがって、本発明はまた、骨材を含むコンクリート、そのようなコンクリートを作製する方法、及びコンクリート中の天然骨材(例えば、砂)のための代替物としての骨材の使用を提供する。
【0019】
したがって、第4の態様から見ると、本発明は、第2又は第3の態様の骨材を含むコンクリートを提供する。
【0020】
第5の態様から見ると、本発明は、第2又は第3の態様の骨材をセメントと接触させることを含む、コンクリートを作製する方法を提供する。
【0021】
第6の態様から見ると、本発明は、コンクリート中の天然骨材(例えば、砂)の代替物としての第2又は第3の態様の骨材の使用を提供する。
【0022】
本発明の更なる態様及び実施形態は、以下に続く考察から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】ふるいサイズの関数としての、ふるいを通して収集されたシャープ砂の粒子の百分率のプロットである。線の形状は、シャープ砂内の粒子のサイズ分布を示す。
【
図2】ふるいサイズの関数としての、ふるいを通して収集されたビルダー砂の粒子の百分率のプロットである。線の形状は、ビルダー砂内の粒子のサイズ分布を示す。
【
図3】ふるいサイズの関数としての、ふるいを通して収集されたプラスター砂の粒子の百分率のプロットである。線の形状は、プラスター砂内の粒子のサイズ分布を示す。
【
図4】ふるいサイズの関数としての、ふるいを通して収集されたシャープ砂、ビルダー砂、及びプラスター砂の粒子の百分率のプロットである。シャープ砂、ビルダー砂、及びプラスター砂内の粒子のサイズ分布が比較されている。
【
図5】ふるいサイズの関数としての、ふるいを通して収集されたシャープ砂の粒子及びサイズ一致ポリエチレン粒子の百分率のプロットである。シャープ砂内及びサイズ一致ポリエチレン内の粒子のサイズ分布が比較されている。
【
図6】それらの型から取り出したコンクリート試料P1~P4の写真である。
【
図7】コンクリート試料P1~P4の、それらの調製後3、7、及び28日目の圧縮強度のプロットである。エラーバーは、標準誤差を表す。
【
図8】試料調製後の日数の関数としての、コンクリート試料P4(濃い線)及びP2(薄い線)の圧縮強度のプロットである。軸切片は、試料P4に対する試料P2のより長い硬化時間を強調している。
【
図9】コンクリート試料P7及びP8の、それらの調製から7日後の圧縮強度のプロットである。エラーバーは、標準誤差を表す。
【
図10】AA、EDA、DMF、及びCPでのプラズマ処理前後のPE、PU、PET、PEX、及びSBについての静的水接触角の比較である。
【
図11】80keV出力及び450kGy線量での電子ビーム処理前後のPVC、PE、及びPPについての静的水接触角の比較である。
【
図12】未処理のPE表面上の4点(炭素及び酸素)(上の2つの画像)及び処理されたPE表面上の4点(炭素及び酸素)(下の2つの画像)についてのXPSスペクトルを表す。
【
図13】未処理のプラスチック粒子を含有するコンクリートと比較した、プラズマ処理されたプラスチック粒子を含有するコンクリート立方体の圧縮強度増加の百分率。
【
図14】3、7、及び28日後に未処理のプラスチック粒子を含有するコンクリートと比較した、プラズマ処理された(AA)プラスチック粒子を含有するコンクリート立方体の圧縮強度増加の百分率。
【
図15】プラスチックを含有しないコンクリートと比較した、添加剤としてAAでプラズマ処理されたPEプラスチック粒子を含有するコンクリート立方体の圧縮強度増加の百分率。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の方法は、骨材内のプラスチック粒子の表面の制御可能な改質を可能にする。
【0025】
続く考察では、数多くの用語について言及し、これらの用語は、文脈が明示的に反対のことを示さない限り、以下に提供される意味を有すると理解されるべきである。化合物、特に本明細書に記載の化合物を定義するために本明細書で使用される命名法は、化学化合物についての国際純正・応用化学連合(International Union of Pure and Applied Chemistry、IUPAC)の規則、特に「IUPAC Compendium of Chemical Terminology(Gold Book)」に従うことが意図される(A.D.Jenkins et al.,Pure & Appl.Chem.,1996,68,2287-2311を参照されたい)。疑義を避けるために、IUPAC組織の規則が本明細書で提供される定義に反する場合、本明細書の定義が優先されるべきである。
【0026】
「含む」という用語又はその変形は、述べられた要素、整数、若しくはステップ、又は要素、整数、若しくはステップの群の包含を暗示するが、任意の他の要素、整数、若しくはステップ、又は要素、整数、若しくはステップの群の排除を暗示しないことが理解されよう。
【0027】
「からなる」という用語又はその変形は、述べられた要素、整数、若しくはステップ、又は要素、整数、若しくはステップの群の包含を暗示し、かつ任意の他の要素、整数、若しくはステップ、又は要素、整数、若しくはステップの群の排除を暗示しないことが理解されるべきである。
【0028】
本明細書における「約」という用語は、数又は値を限定するとき、指定された値の±5%以内にある値を指すために使用される。例えば、粒子サイズ範囲が約60μm~約4mmであると指定される場合、57μm~4,2mmの粒子サイズが含まれる。
【0029】
大気圧は、約1atm又は1.013bar(101.3kPa)の圧力を指す。
【0030】
「粒子化」という用語は、粒子、すなわち個別の固体片に形成することを指し、破砕(引き裂き又は切断)、粉砕(押圧、圧壊、及び/又は粉末化)、及びチップ化(小片を破断する)によって達成することができる。
【0031】
本発明の低圧プラズマは、カルボン酸、アルコール、アミン、エステル、アルデヒド、アミド、ケトン、エポキシド、アンモニア、及びペルオキシドからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせ、好ましくはカルボン酸、アルコール、アミン、エステル、アルデヒド、アミド、ケトン、及びアンモニアから形成されるイオンを含む。これらのプラズマ供給源は全て、プラスチック粒子の表面に親水性基を形成することができる。「親水性」という用語は、当該技術分野でよく知られており、極性溶媒、特に水と相互作用するための分子実体の能力を指す。親水性基は、極性基とも称され得る。親水性基としては、カルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミドアルキリデン基、エステル基、アルデヒド基、アシル基、アミド基、ケト基、エポキシ基、及びペルオキシド基が挙げられる。
【0032】
上述のように、低圧プラズマ処理の使用は、プラズマ供給源を選択的にイオン化して、特定のプラズマを生成することを可能にし、プラズマが反応チャンバを通して制御可能に流れることを可能にする。第1の態様のプラズマ供給源の選択的イオン化を介して形成することができるイオンがここに記載される。
【0033】
カルボン酸は、式RC(O)OHの基であり、式中、Rは、典型的にはヒドロカルビルである。プラズマ供給源の一部として使用されるとき、結果として得られたカルボン酸イオンは、プラスチック粒子の表面で反応し得る。1つ以上の結合は、プラスチック粒子の表面と、Rの1つ以上の原子(例えば、ヒドロカルビルの炭素原子)又はカルボン酸イオンのカルボキシル基の炭素原子との間に形成され、プラスチック粒子の表面にカルボキシル基-RC(O)OH、及び/又は-C(O)OH、及び/又はエステル基-O(O)CRをもたらし得る。
【0034】
アルコールは、式ROHの基であり、式中、Rは、典型的にはヒドロカルビルである。プラズマ供給源の一部として使用されるとき、1つ以上の結合が、プラスチック粒子の表面と、Rの1つ以上の原子(例えば、ヒドロカルビルの炭素原子)又はアルコールイオンのヒドロキシ基の酸素原子との間に形成され、プラスチック粒子の表面にヒドロキシル基-ROH及び/又はアルコキシ基-ORの形成をもたらし得る。
【0035】
アミンは、式NR3の基であり、式中、典型的には、少なくとも1つのRは、ヒドロカルビルであり、他の2つのR基は、各々独立して、ヒドロカルビル又はプロトンである。
【0036】
プラズマ供給源の一部として使用されるとき、1つ以上の結合が、プラスチック粒子の表面と、R基の1つ以上の原子(例えば、ヒドロカルビルの炭素原子)又はアミンの窒素原子との間に形成され、プラスチック粒子の表面にアミノ基-RNR2、-NR2、及び/又はイミドアルキリデン基=NRの形成をもたらし得る。典型的には、アミノ基及びイミドアルキリデン基の少なくとも1つのRは、ヒドロカルビルである。
【0037】
エステルは、式R(O)ORの基であり、式中、各Rは、典型的にはヒドロカルビルである。プラズマ供給源の一部として使用されるとき、1つ以上の結合が、プラスチック粒子の表面と、R基の1つ以上の原子(例えば、ヒドロカルビルの炭素原子)との間に形成され、プラスチック粒子の表面にエステル基-RO(O)R及び/又は-R(O)ORの形成をもたらし得る。
【0038】
アルデヒドは、式RC(O)Hの基であり、式中、Rは、典型的にはヒドロカルビル又はプロトンである。プラズマ供給源の一部として使用されるとき、1つ以上の結合が、プラスチック粒子の表面と、R基の1つ以上の原子(例えば、ヒドロカルビルの炭素原子)又はカルボニルの炭素原子との間に形成され、プラスチック粒子の表面にアルデヒド基-RC(O)H及び/又はアシル基-(O)CRの形成をもたらし得る。
【0039】
アミドは、式RC(O)NR2の基であり、式中、典型的には、各Rは、独立して、ヒドロカルビル又はプロトンである。プラズマ供給源の一部として使用されるとき、1つ以上の結合が、プラスチック粒子の表面と、R基の1つ以上の原子(例えば、ヒドロカルビルの炭素原子)若しくはカルボニルの炭素原子又はアミドの窒素原子との間に形成され、プラスチック粒子の表面にアミド基-RC(O)NR2、-C(O)NR2、-R(R)N(O)CR及び/又は-(R)N(O)CRの形成をもたらし得る。
【0040】
ケトンは、式RC(O)Rの基であり、式中、各Rは、典型的にはヒドロカルビルである。プラズマ供給源の一部として使用されるとき、1つ以上の結合が、プラスチック粒子の表面と、R基の1つ以上の原子(例えば、ヒドロカルビルの炭素原子)との間に形成され、プラスチック粒子の表面にケト基-RC(O)Rの形成をもたらし得る。
【0041】
エポキシドは、式R2COCR2の基であり、式中、各Rは、典型的には独立して、プロトン又はヒドロカルビルである。プラズマ供給源の一部として使用されるとき、1つ以上の結合が、プラスチック粒子の表面と、R基の1つ以上の原子(例えば、ヒドロカルビルの炭素原子)又はエポキシドの炭素原子との間に形成され、プラスチック粒子の表面にエポキシ基-R(R)COCR2及び/又はヒドロキシル基(R2)CC(OH)(R2)の形成をもたらし得る。
【0042】
アンモニアは、式NH3のものである。プラズマ供給源の一部として使用されるとき、1つ以上の結合が、プラスチック粒子の表面と、アンモニアの窒素原子との間に形成され、プラスチック粒子の表面に-NH2、=NH、及び/又は=Nの形成をもたらし得る。
【0043】
ペルオキシドは、式R-O-O-Rの基であり、式中、各Rは、典型的には独立して、ヒドロカルビル又はプロトンである。プラズマ供給源の一部として使用されるとき、1つ以上の結合が、プラスチック粒子の表面と、R基の1つ以上の原子(例えば、ヒドロカルビルの炭素原子)又はペルオキシドイオンの酸素原子との間に形成され、プラスチック粒子の表面にペルオキシド基-R-O-O-R及び/又は-O-O-Rの形成をもたらし得る。
【0044】
「ヒドロカルビル」という用語は、任意の炭素原子からの水素原子の除去によって炭化水素から誘導された一価の基を定義し、「炭化水素」という用語は、水素及び炭素のみからなる化合物を指す。
【0045】
ヒドロカルビルは「アルキル」であってもよく、この用語は当技術分野でよく知られており、任意の炭素原子からの水素原子の除去によってアルカンから誘導された一価の基を定義し、「アルカン」という用語は、一般式CnH2n+2を有する非環式の分岐又は非分岐炭化水素を定義することが意図され、nは整数≧1である。
【0046】
「ペンダント」という用語は、親水性基などの化学物質の位置を定義するために本明細書で使用され、プラスチック粒子の外表面に位置し、外側表面から突出する基を指す。外側表面は、プラスチック粒子の中心から離れて配向されたプラスチック粒子の表面を指す。
【0047】
「熱硬化性ポリマー」は、硬化すると、熱硬化性物質として知られている不溶解性で不溶性のポリマーネットワークを不可逆的に形成するポリマーを指す。
【0048】
「熱可塑性ポリマー」は、ポリマーネットワークを可逆的に形成するポリマーを指す。熱可塑性ポリマーを加熱すると、固体ネットワークは、柔軟又は成形可能になり得、冷却すると固体形態に固化し得る。
【0049】
「骨材」という用語は、本明細書では粒子状材料を指すために使用される。「天然骨材」という用語は、砂、砂利、又は砕石などの天然材料から形成された骨材を包含する。「砂利」及び「砕石」は、約5mmを超えるサイズの粒子状の岩石及び鉱物、多くの場合、石灰石を指す。砂利は、典型的には、自然、すなわち自然風化によって低減したサイズである。砕石は、典型的には、大きい岩/石を破壊するために機械を使用して人工的にサイズを低減する。「砂」は、多くの場合、約60μm~約5mmのサイズのシリカSiO2を含む、粒子状の岩石及び鉱物を指す。市販の砂は、シャープ砂、ビルダー砂、及びプラスター砂を含む多くの異なる種類で入手可能である。
【0050】
シャープ砂は、粗いテクスチャにつながる角張った粒子を含む。シャープ砂をセメントと混合して、高強度のコンクリート又はモルタルを形成することができ、これらは、多くの場合、建築物に使用される。シャープ砂内の粒子のサイズ範囲及びサイズ分布は、当該技術分野において一貫して定義されてはいない。しかしながら、本明細書では、シャープ砂のサイズ分布、又は粒子サイズ範囲若しくはモード粒子サイズなどのその特徴への言及は、
図1に示され、表2にまとめられたサイズ分布及びその特徴を指すことが理解されるべきである。例えば、約60μm~約4mmの粒子サイズ範囲は、シャープ砂の粒子サイズ範囲と合致し、約125μm~約2mmのモード粒子サイズは、シャープ砂のモード粒子サイズを包含する。
【0051】
ビルダー砂及びプラスター砂は、微細構造につながる滑らかな粒子を含む。ビルダー砂及びプラスター砂をセメントと混合して、低強度であるが高可撓性のコンクリート又はモルタルを形成することができる。セメント及びビルダー砂を含む組成物は、レンガ積みで使用されることが多いが、セメント及びプラスター砂を含む組成物は、多くの場合、(典型的には外壁及び内壁の)下塗り及びプラスター塗りで使用される。
【0052】
シャープ砂と同様に、ビルダー砂及びプラスター砂内の粒子のサイズ範囲及びサイズ分布は、当該技術分野において一貫して定義されていない。本明細書では、ビルダー砂若しくはプラスター砂のサイズ分布、又は粒子サイズ範囲若しくはモード粒子サイズなどのそれらの特徴への言及は、それぞれ
図2及び
図3に示され、表2にまとめられたサイズ分布及びそれらの特徴を指すことが理解されるべきである。例えば、約60μm~約2mmの粒子サイズ範囲は、ビルダー砂及びプラスター砂の粒子サイズ範囲と合致し、約60μm~約0.5mmのモード粒子サイズは、ビルダー砂及びプラスター砂のモード粒子サイズを包含する。
【0053】
本発明の骨材は、第1の複数のプラスチック粒子を低圧プラズマ及び/又は電子ビームで処理して、処理された粒子を提供することによって得ることができる。低圧プラズマは、当該技術の用語であり、大気圧よりも低い任意の圧力のプラズマを指す。低圧プラズマ処理では、反応チャンバは、大気圧よりも低い圧力まで排気され、この圧力で、対象のプラズマ供給源がガス状になる。次いで、プラズマ供給源をイオン化して、低圧プラズマを生成する。イオン化は、典型的には、プラズマ供給源を、電極間で発生することが多い電界に曝露することによって達成される。無電極プラズマ励起方法も知られており、代替的に使用することができる。これらの方法では、プラズマ供給源をイオン化するために、典型的には、電磁波又は変化する磁場が使用される。
【0054】
典型的には、第1の複数の粒子が反応チャンバ内に導入され、反応チャンバが密封され、粒子は、反応チャンバの内側でプラズマを発生させることによってプラズマ処理に供される。多くの場合、電極は、プラズマ供給源をイオン化するために使用され、反応チャンバの内部空間に対して対向する位置に配置される。
【0055】
排気ポートは、反応チャンバの排気のために提供されてもよく、好適なフィルタを介して真空ポンプなどの排気手段に接続されてもよい。フィルタの孔径は、第1の複数の粒子が反応チャンバ内に残るようなものである。典型的には、HEPAフィルタ、セラミック、ガラス、又は焼結フィルタが好適である。
【0056】
真空の適用は、典型的には、プラズマ形成のためのガスの供給と組み合わされる。ガス流は制御可能であり、必要であれば、処理中に好適なフィルタを通してガスを除去してもよい。
【0057】
多くの場合、第1の複数の粒子は、反応チャンバ内の利用可能な容積の50%未満を占める。
【0058】
低圧プラズマは、通常、約0.001mbar(0.1Pa)~約500mbar(50kPa)、約0.001mbar(0.1Pa)~約300mbar(30kPa)、又は約0.01mbar(10Pa)~約100mbar(10kPa)の圧力である。典型的には、低圧プラズマは、約0.01mbar(10Pa)~約10mbar(1kPa)の圧力である。
【0059】
低圧プラズマが生成されると、制御可能な速度で第1の複数の粒子上を流れるようにされる。低圧プラズマの流量は、多くの場合、約5~約1000SCCM、約5~約800SCCM、又は約10~約500SCCMである。典型的には、低圧プラズマの流量は、約10~約500SCCMである。
【0060】
粒子の低圧プラズマ処理に好適なプラズマ反応器としては、固定床、移動床(バレル反応器)、及び流動床反応器が挙げられる。粒子をプラズマで処理するとき、典型的には、粒子を撹拌する反応器が好ましい。これは、粒子が凝集しやすく、粒子の表面全体が低圧プラズマに曝露されることを阻止するためである。その結果、粒子をプラズマに曝露するために、多くの場合、バレル反応器又は流動床反応器が使用される。バレル反応器は動くことができ、それによって内側の粒子を撹拌する。典型的には、バレル反応器は円筒形であり、長さ軸の周りの円筒の回転によって動く。流動床反応器では、粒子は高圧ガスを使用して懸濁され、高圧ガスは典型的にはパルス化され、それによって粒子を撹拌する。バレル反応器は、多くの場合、流動床反応器よりも効率的な粒子のプラズマ処理を生じさせ(H.Abourayana et al.,J.Miner.,2015,1,57-64を参照されたい)、したがって、バレル反応器が、多くの場合好ましい。
【0061】
反応器の壁は、パドル、ベーン、バッフル、凹部、スクープなどを含むことができ、これらは、処理中に、粒子が反応チャンバの下部領域から持ち上げられて解放され、多くの場合プラズマ流の経路内に落下するような形状及び寸法になっている。
【0062】
より長い持続時間にわたるプラズマへの物質の曝露が、より大きい程度の表面改質につながることはよく知られており、当業者は、好適な低圧プラズマ処理時間を特定することができる。しかしながら、多くの場合、第1の複数の粒子が低圧プラズマで処理されるとき、処理は、約1秒~約2時間、約2秒~約1時間、又は約5秒~約30分の持続時間である。典型的には、処理は、約10秒~約15分の持続時間である。
【0063】
ガス化を促進するために、プラズマ供給源に熱を加えることが有効であり得る。しかしながら、プラスチック粒子の溶融温度付近又はそれを超える温度のプラズマは、第1の複数の粒子の表面を有害な方法で溶融するか、又は変更し得る。したがって、高温でのプラズマ供給源は有効であり得るが、プラスチック粒子の溶融温度付近又はそれを超える温度は回避されることが多い。典型的には、熱は、ガス化を促進するためにプラズマ供給源に意図して加えられず、すなわち、低圧プラズマ処理は、典型的には、周囲温度で、多くの場合約15℃~約30℃で実施される。熱は、典型的には意図的に加えられないが、プラズマ供給源のイオン化の副生成物として生成され得る。そのような熱の発生は、熱が意図して加えられない低圧プラズマ処理の方法から除外されない。
【0064】
電子ビーム処理では、電子は、加熱されたカソードから放出され、抽出電極によってビームに集束され、強い電界によって真空中で加速される。電子ビームの最終エネルギーは、使用される加速器に依存する。表面改質の目的のために、低エネルギー自己遮蔽ユニットは、多くの場合、典型的には80~300keVの範囲の好適な運動エネルギーを有する電子ビームを提供する(S.Lapin,UV+EB Technology,2015,1)。上述のように、電子ビームを使用して、プラスチック粒子の表面に極性モノマーのグラフト共重合を誘起することができる。加えて、又は代替的に、電子ビームは、ポリマー鎖を架橋するか、又はポリマー鎖の切断を引き起こすことによって、プラスチックのトポグラフィーを改変し得る(D.Manas et al.,Polymers,2018,10,158,1-22)。結果として、プラスチックの表面は、より粗く、かつより接着性であり得、プラスチックがセメントとより有利に相互作用することを可能にする。
【0065】
プラズマ処理と同様に、第1の複数の粒子を撹拌する反応器は、典型的には、電子ビーム処理での使用に好ましい。その結果、粒子を電子ビームに曝露するために、多くの場合、撹拌床反応器又は流動床反応器が使用される。第1の複数の粒子が電子ビームで処理される場合、第1の複数の粒子は、好ましくは撹拌床反応器内で処理される。当業者は、好適な電子ビーム線量を特定することができる。しかしながら、多くの場合、線量範囲は、約30kGy~約900kGy、約30kGy~約500kGy、又は約80kGy~約200kGyである。典型的には、線量範囲は、約80kGy~約200kGyである。
【0066】
第1の複数の粒子は、低圧プラズマ及び電子ビームで処理され得る。両方の処理方法が使用される場合、第1の複数の粒子は、典型的には、最初に電子ビームで処理され、次いで低圧プラズマで処理される。
【0067】
本発明の骨材は、約0.1μm~約1cmのプラスチック粒子を含む。与えられたサイズ範囲は、プラスチック粒子の最長寸法を指すことが理解されるべきである。骨材の粒子の少なくともいくつかは、サイズ範囲内に収まるサイズのものである。例えば、骨材の粒子のいくつかは約100μmのサイズを有し得、骨材の粒子の残りは約1cmを超えるサイズを有し得る。特定の実施形態によれば、骨材中のプラスチック粒子の実質的に全て(90重量%超、多くの場合95重量%超、例えば98重量%又は99重量%超)が、約0.1μm~約1cmのサイズのものである。
【0068】
粒子は、同様にサイズ決定されるか、又は異なるサイズであり得る。いくつかの実施形態では、第1の複数の粒子は、異なるサイズのものであり、かつ/又は異なるサイズの処理された粒子が、互いに接触している。通常、接触させることは、粒子を組み合わせること、及び多くの場合、混合することを必要とする。多くの場合、第1の複数の粒子は、異なるサイズのものであるか、又は異なるサイズの処理された粒子が、互いに接触している。第1の複数の異なってサイズ決定された粒子を低圧プラズマ及び/又は電子ビームで処理して、異なるサイズの処理された粒子を提供することができる。代替的に、第1の複数の同様にサイズ決定された粒子を低圧プラズマ及び/又は電子ビームで処理し、次いで、異なるサイズの他の処理された粒子と接触させて、異なるサイズの処理された粒子を提供することができる。どちらの場合にも、骨材は、異なるサイズの処理された粒子を含む。
【0069】
本明細書では、粒子は、それらの最長寸法が5%超異なるとき、異なるサイズのものであると考えるべきである。例えば、第1の粒子が0.5mmの最長寸法を有し、第2の粒子が0.48mmの最長寸法を有する場合、2つの粒子は最長寸法において5%以下異なり、本明細書では同様のサイズでのものあるとみなされる。逆に、第1の粒子が0.5mmの最長寸法を有し、第2の粒子が0.53mmの最長寸法を有する場合、2つの粒子は最長寸法において5%超異なり、本明細書では異なるサイズのものであるとみなされる。
【0070】
多くの場合、第1の複数の粒子は、異なるサイズの粒子を含む。時には、第1の複数の粒子のサイズは、10%、20%、30%、40%、又は50%超異なる。
【0071】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、第2の複数のプラスチック粒子を分別して、分別された粒子を提供することを更に含み、これらのうちのいくつかを組み合わせて、異なるサイズの第1の複数の粒子を提供する。典型的には、第2の複数の粒子は、最長寸法によるサイズカテゴリーに分別される。次いで、各サイズの好ましい分量の粒子を接触させて、異なるサイズの第1の複数の粒子を提供することができる。したがって、第1の複数の粒子は、典型的には、第2の複数の粒子とは異なるサイズ分布を有し、典型的には、粒子サイズ範囲及び/又はモード粒子サイズが異なる。
【0072】
いくつかの実施形態では、第2の複数の粒子は、異なるメッシュサイズの粒子ふるいを使用して、サイズによって分別される。当業者は、1つのサイズカテゴリーによって網羅されるサイズ範囲に使用するのにどのメッシュサイズが適しているかを決定することができる。例えば、第2の複数の粒子を最長寸法によって<63μm、>63μm~<125μm、>125μm~<250μm、>250μm~<500μm、>500μm~<2mm、>2mm~<4mmのサイズカテゴリーに分別することが好ましい場合、230、120、60、35、10、及び5番のメッシュサイズが使用されるべきである。第2の複数の粒子は、メッシュサイズを大きくする又は小さくする順序でふるい分けすることによって分別することができる。典型的には、第2の複数の粒子は、メッシュサイズを小さくする(メッシュサイズ番号を大きくする)粒子ふるいを通してふるい分けすることによって分別される。
【0073】
いくつかの実施形態では、第2の複数の粒子は、より大きいサイズのプラスチックを粒子化することによって調製される。より大きいサイズのプラスチックは、バルクプラスチック、すなわちプラスチックシートなどの大きいプラスチック片、及び第2の複数の粒子内のサイズよりも大きいサイズのものであるプラスチック粒子を指すことが理解されるべきである。
【0074】
代替的に、第1の複数の粒子が、第2の複数の粒子から分別された粒子のいくつかを組み合わせることによって提供されない場合、このとき、第1の複数の粒子は、より大きいサイズのプラスチックを粒子化することによって調製することができる。この場合、より大きいサイズのプラスチックは、バルクプラスチック、及び第1の複数の粒子内のサイズよりも大きいサイズのものであるプラスチック粒子を指す。
【0075】
粒子化することは、より大きいサイズのプラスチックのサイズを低減し、それを粒子に形成する任意の方法によって達成することができる。粒子化することは、破砕すること、粉砕すること、及びチップ化することのうちのいずれか1つ又は組み合わせによって実施することができる。いくつかの実施形態では、粒子化することは、破砕することを含む。別の実施形態では、粒子化することは、破砕すること及び粉砕することを含む。典型的には、粒子化することは、破砕することに続く、粉砕することを含む。第1及び第2の複数の粒子における粒子の表面テクスチャは、より大きいサイズのプラスチックを粒子化するために使用される方法に依存する。より粗い表面は、より良好な接着性特性を生み出すことが報告されており、したがって、よりテクスチャリングされた表面を生み出す粒子化方法が好ましい。典型的には、得られる複数の粒子の表面を望ましくない程度まで滑らかにする場合があるため、より大きいサイズのプラスチックの過剰な粉砕は回避される。
【0076】
いくつかの実施形態では、第1の複数の粒子は、低圧プラズマで処理される。上述のように、低圧プラズマは、プラスチックの表面と反応し、それに結合することができる。
【0077】
低圧プラズマは、カルボン酸、アルコール、アミン、アンモニア、エステル、アルデヒド、アミド、ケトン、エポキシド、及びペルオキシドからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせから形成されるイオンを含む。いくつかの実施形態では、低圧プラズマは、粒子と反応して、ペンダント親水性基を形成する。親水性プラズマが使用されるとき、プラスチック粒子の表面は、親水性基に結合されるようになり、これは、セメントとより有利に相互作用し、したがって、そうすることによって調製され得るコンクリートの構造及び強度を改善することができる。これは、以下により詳細に記載される。
【0078】
セメントが水酸化カルシウム及びケイ酸を含む場合、これらの構成成分は、ポゾラン反応で反応して、ケイ酸カルシウム水和物を生成することができ、これは、カルシウムイオン及びケイ素イオンに結合したヒドロキシ基を含む。ケイ酸は、ポゾランの例であり、ポゾランは、水の存在下で水酸化カルシウムに結合することができる材料である。コンクリート混合物内でのそのようなポゾラン反応を介したセメントの水との反応は、コンクリートの硬化につながる。コンクリート硬化は、コンクリートの水和とも称される。
【0079】
カルボキシ基などのプラスチック粒子の表面にある親水性基は、ケイ酸カルシウム水和物又は水酸化カルシウムと反応し、カルシウムイオン又はケイ素イオンのヒドロキシ基を置換し、それによって、プラスチック粒子の表面にある親水性基とケイ酸カルシウム水和物又は水酸化カルシウムとの間に結合を形成することができる。したがって、プラスチック粒子の表面の親水性基は、ポゾランとして作用し、コンクリート硬化の速度を増加させ、プラスチック粒子が、形成するコンクリートの構造及び強度の改善とともに、コンクリート硬化の速度を増加させ、セメント全体にわたって分散することを可能にし得る。そのような改善は、Z.Pan et al.により、Cem.Conor.Compos.,2015,58,140-147に記載されており、ここでは、ポルトランドセメントへの0.05重量%の酸化グラフェン(ペンダントヒドロキシ基及びカルボキシ基を含む)の導入が、セメントの圧縮強度及び曲げ強度を高めることが見出された。
【0080】
いくつかの実施形態では、低圧プラズマは、カルボン酸、エステル、アルデヒド、アミド、ケトン、及びエポキシドからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせから形成されるイオンを含む。
【0081】
大気圧でのプラズマではなく低圧プラズマで第1の複数の粒子を処理する利点のうちの1つは、大気圧で液体である供給源を含む、より多種多様なプラズマ供給源を使用することができることである。いくつかの実施形態では、低圧プラズマは、大気圧及び20℃の温度で液体である前駆体から形成されたイオンを含む。そのような前駆体は、カルボン酸、アルコール、C≧3アミン、エステル、C≧2アルデヒド、アミド、ケトン、C≧3エポキシド、及びペルオキシドからなる群から選択される前駆体のうちのいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせを含む。低圧プラズマは、カルボン酸、アルコール、C3~6アミン、エステル、C2~6アルデヒド、アミド、ケトン、C3~6エポキシド、及びペルオキシドからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせから形成されるイオンを含み得る。多くの場合、低圧プラズマ前駆体は、6個以下の炭素原子を含む。したがって、低圧プラズマは、多くの場合、C1~6カルボン酸、C1~6アルコール、C3~6アミン、C1~6エステル、C2~6アルデヒド、C1~6アミド、C1~6ケトン、C3~6エポキシド、及びC1~6ペルオキシドからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせから形成されるイオンを含む。時には、カルボン酸は、酢酸又はアクリル酸などのC1~4カルボン酸である。時には、エステルは、酢酸メチル又は酢酸ビニルなどのC1~4エステルである。時には、アルデヒドは、プロペナールなどのC2~4アルデヒドである。時には、低圧プラズマは、C1~4カルボン酸、C1~4エステル、及びC2~4アルデヒド、例えば酢酸、アクリル酸、酢酸メチル、酢酸ビニル、及びプロペナールからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせから形成されるイオンを含む。時には、低圧プラズマは、C1~6カルボン酸、C1~6エステル、C2~6アルデヒド、C1~6アミド、C1~6ケトン、及びC3~6エポキシドからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせから形成されるイオンを含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、低圧プラズマは、カルボン酸、アルコール、及びアミン、多くの場合C1~6カルボン酸、C1~6アルコール、及びC3~6アミンからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせから形成されるイオンを含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、低圧プラズマは、カルボン酸、多くの場合C1~6カルボン酸、より多くの場合C1~4カルボン酸、及び典型的には酢酸から形成されるイオンを含む。
【0084】
第1の複数の粒子は、処理前にセメントと接触されてもよく、すなわち、処理は、セメント及び第1の複数の粒子を含む組成物に対して実施されてもよい。第1の複数の粒子は、2つを組み合わせて混合することによって、セメントと接触させることができる。しかしながら、典型的には、本発明の骨材は、セメントを含まない。むしろ、骨材をセメントと接触させて、コンクリートを生成することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、処理された粒子は、水と接触する。理論に束縛されるものではないが、処理された粒子のペンダント親水性基は、粒子の表面から周囲環境に突出するのではなく、表面内に配置されるように回転することができると考えられている。より湿った環境などのより親水性の環境は、ペンダント親水性基が粒子表面から突出しているとき、ペンダント親水性基を安定化することができる(M.R.Sanchis et at,Polymer Testing,2008,27,75-83を参照されたい)。したがって、処理された粒子を水と接触させることにより、ペンダント親水性基を安定化することができる。代替的に、又は加えて、処理された粒子を水と接触させることにより、そのような粒子の表面が、粒子の表面特性を有害な方法で変更し得る空気中の塵及び他の材料でコーティングされることを阻止することができる。
【0086】
処理された粒子は、水を含む密封バッグなどの容器内に保存され得る。容器内では、処理された粒子は、水で湿潤され得る。
【0087】
アルコール(C1~6アルコールなどの)、アセトン、酢酸エチル、及びアセトニトリルを含む他の親水性溶媒が、処理された粒子を安定化するために、水の代わりに又は水に加えて使用され得ることが理解されるべきである。
【0088】
上述のように、いくつかの実施形態における骨材は、異なるサイズの処理された粒子を含む。それは、J,Thorneycroft et at.(上記を参照)によって報告されており、置き換えられる天然骨材のサイズ分布に適合したサイズ分布を有するプラスチック粒子を含む骨材は、より良好な圧縮強度及び引張強度のコンクリートを生成する。したがって、本発明の骨材の粒子は、シャープ砂、ビルダー砂、又はプラスター砂などの天然骨材のサイズ分布に適合したサイズ分布を有し得、このサイズ分布は、
図1~3に示され、
図4で比較されている。
【0089】
骨材の粒子の少なくともいくつかは、約0.1μm~約4mm又は約4.1mm~約1cmの範囲のサイズを有し得る。多くの場合、骨材の粒子の少なくともいくつかは、約0.1μm~約0.1mmの範囲内にあるサイズを有する。
【0090】
コンクリート中の添加剤は、水、天然骨材、セメント質材料、及び繊維補強材以外の材料として定義され、その新しく混合された特性、硬化性特性、又は硬質化特性を改変するためにセメント質混合物の成分として使用され、混合前又は混合中にバッチに添加される(ACI Committee 212,2010)。
【0091】
多くの場合、骨材がコンクリート中で添加剤として使用されることが意図されるとき、骨材の粒子は、約0.1μm~約0.1mm、約0.1μm~約75μm、又は約0.1μm~約63μmの範囲のサイズを有する。いくつかの実施形態では、骨材の粒子のモードサイズは、約60μm~約2mm、約60μm~約1mm、約120μm~約1mm、約120μm~約0.8mm、又は約120μm~約0.7mmである。多くの場合、骨材の粒子のモードサイズは、約120μm~約0.7mmである。典型的には、骨材の粒子のモードサイズは、約0.3mm~約0.6mmである。
【0092】
いくつかの実施形態では、骨材の粒子のモードサイズは、シャープ砂、ビルダー砂、又はプラスター砂のモード粒子サイズの±60%、±50%、±40%、又は±30%以内である。したがって、いくつかの実施形態では、骨材の粒子のモードサイズは、
図1、
図2、又は
図3のモード粒子サイズの±60%、±50%、±40%、又は±30%以内である。時には、モード粒子サイズは、シャープ砂(
図1)のモード粒子サイズの±60%、±50%、±40%、又は±30%以内である。時には、骨材の粒子のモードサイズは、シャープ砂(
図1)、ビルダー砂(
図2)、又はプラスター砂(
図3)のモード粒子サイズの±30%以内である。典型的には、骨材の粒子のモードサイズは、シャープ砂(
図1)のモード粒子サイズの±30%以内である。
【0093】
第1の複数のプラスチック粒子の粒子は、任意のタイプのプラスチックを含み得る。多くの場合、第1の複数の粒子は、廃プラスチックの混合物などのプラスチックの混合物を含む。特定の廃プラスチックを使用することは、特定の廃材料の収集又はプラスチック廃棄物からの特定の廃材料の選別を必要とする点であまり有益ではない場合がある。その結果、特定の廃プラスチックを使用することは、多くの場合、費用がかかり、プラスチック廃棄物の選別されていない、選別不可能な、又は分類されていないバルク混合物を無駄にする。リサイクルされたプラスチックの混合物は、一般に、実用性がないと考えられており、多くの場合、埋め立て地に処分される。第1の複数の粒子は、そのようなリサイクルされたプラスチックの混合物を含み得る。
【0094】
典型的には、前の使用からの不純物及び余った残留物のために、廃プラスチックは、第1の複数の粒子に使用する前に一連の洗浄プロセスに供される。
【0095】
第1の複数の粒子は、多くの場合、熱可塑性ポリマー及び/又は熱硬化性ポリマーを含む。硬化時のポリマーネットワークの不可逆的な形成のために、熱硬化性ポリマーは、多くの場合、熱可塑性ポリマーよりもリサイクルが困難である。しかしながら、熱硬化性ポリマー及び熱可塑性ポリマーの両方が本発明の方法での使用に好適であり、第1の複数の粒子はいずれかのタイプのポリマーを含み得る。
【0096】
第1の複数の粒子は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート、ポリエポキシド、ポリエステル樹脂、ポリシロキサン、スチレンブタジエン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、エチルビニルアセテート、及びアクリロニトリルブタジエンスチレンからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせを含み得る。多くの場合、第1の複数は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエポキシド、ポリエステル樹脂、及びポリシロキサンからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせを含む。典型的には、第1の複数の粒子は、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリウレタンからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせを含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、第1の複数の粒子は、1つのタイプのポリマーを含む。第1の複数の粒子は、典型的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びポリウレタンからなる群から選択されるいずれか1つを含む。
【0098】
本発明の第2の態様は、第1の態様の方法によって得ることができる骨材を提供する。本明細書における「得ることができる」という用語は、その範囲内に「得られる」という用語を含み、すなわち、本発明の第2の態様の骨材は、本発明の第1の態様の方法によって得ることができる。第1の複数のプラスチック粒子を低圧プラズマ及び/又は電子ビームで処理して、処理された粒子を提供することによって、骨材を得ることができ、プラズマは、カルボン酸、アルコール、アミン、エステル、アルデヒド、アミド、ケトン、エポキシド、アンモニア、及びペルオキシドからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせから形成されるイオンを含む。特定の実施形態では、プラズマは、カルボン酸、アルコール、アミン、エステル、アルデヒド、アミド、ケトン、エポキシド、及びペルオキシドからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせから形成されるイオンを含む。
【0099】
第3の態様では、約0.1μm~約1cmのプラスチック粒子を含む骨材であって、骨材の少なくともいくつかの粒子が、カルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミド基、アルキリデン基、エステル基、アルデヒド基、アシル基、アミド基、ケト基、エポキシ基、シアノ基、及びペルオキシド基のうちのいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせから選択されるペンダント基を含む表面を含み、粒子の少なくともいくつかが、a)電子ビーム又はb)低圧プラズマで処理されている、骨材が提供される。プラスチック粒子の少なくともいくつかの表面にあるそのような親水性基は、ポゾランとして作用することができる。したがって、コンクリートの構成成分として使用されるとき、第3の態様の骨材は、形成するコンクリートの構造及び強度の改善とともに、コンクリート硬化の速度を増加させ、セメント全体にわたって分散させることができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、ペンダント基は、カルボキシル基、エステル基、アルデヒド基、アミノ基、アミド基、ケト基、及びペルオキシド基のうちのいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせ、好ましくはカルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミドアルキリデン基、及びエステル基のうちの1つ又は2つ以上の組み合わせ、より好ましくはカルボキシル、アミノ、アミド、及びケトンのうちの1つ又は2つ以上の組み合わせ、なおより好ましくはカルボキシル及びエステルのうちの1つ又は組み合わせから選択される。
【0101】
第3の態様の骨材は、本発明の第1の態様の方法によって得ることができる:架橋された表面は、低圧プラズマ処理及び/又は電子ビーム処理で形成することができ、ペンダント基は、カルボン酸、アルコール、アミン、エステル、アルデヒド、アミド、ケトン、エポキシド、アンモニア、及びペルオキシドからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせから形成される低圧プラズマイオンでの処理で形成することができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、骨材の粒子の少なくともいくつかの表面は、カルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミド基、アルキリデン基、エステル基、アルデヒド基、アシル基、アミド基、ケト基、エポキシ基、及びペルオキシド基のうちのいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせから選択されるペンダント基を含む。
【0103】
多くの場合、ペンダント基は、大気圧の圧力及び20℃の温度で液体である前駆体から誘導される。したがって、ペンダント基は、多くの場合、カルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、C≧3アミノ(多くの場合、C3~6アミノ)基、C≧3イミドアルキリデン(多くの場合、C3~6イミドアルキリデン)基、エステル基、C≧2アルデヒド基、C≧2アシル基、アミド基、ケト基、C≧3エポキシ(多くの場合、1,2-エポキシ-プロピルなどのC3~6アルキルエポキシ)基、及びペルオキシ基のうちのいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせである。多くの場合、ペンダント基は、6個以下の炭素原子を含む。したがって、ペンダント基は、多くの場合、C1~6カルボキシル基、C1~6アルコキシ基、C1~6ヒドロキシル基、C3~6アミノ基、C3~6イミドアルキリデン基、C1~6エステル基、C2~6アルデヒド基、C2~6アシル基、C1~6アミド基、C1~6ケト基、C3~6エポキシ基、及びC1~6ペルオキシ基からなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせである。
【0104】
時には、カルボキシルは、-CH2C(O)OH又は-CHCHC(O)OHなどの、C1~4カルボキシルである。時には、エステルは、-CH2C(O)OCH3、-CH2OC(O)CH3)-CHCHOC(O)CH3、又は-CH2C(O)OCHCH2などの、C1~4エステルである。時には、アルデヒド(aldehydo)は、-CHCHC(O)HなどのC2~4アルデヒドである。時には、低圧プラズマは、C1~4カルボキシル、C1~4エステル、及びC2~4アルデヒド、例えば、-CH2C(O)OH、-CHCHC(O)OH、-CH2C(O)OCH3、-CH2OC(O)CH3、-CHCHOC(O)CH3、-CH2C(O)OCHCH2、及び-CHCHC(O)Hからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせから形成されるイオンを含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、ペンダント基は、カルボキシル基、エステル基、アルデヒド基、アシル基、アミド基、ケト基、及びエポキシ基、多くの場合C1~6カルボキシル基、C1~6エステル基、C2~6アルデヒド基、C2~6アシル基、C1~6アミド基、C1~6ケト基、及びC3~6エポキシ基のうちのいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせから選択される。
【0106】
多くの場合、ペンダント基は、C1~6カルボキシル及びC1~6エステル基などの、カルボキシル基及びエステル基のうちのいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせから選択される。典型的には、ペンダント基は、C1~6カルボキシル基などのカルボキシル基である。多くの場合、カルボキシル基は、C1~C4カルボキシル基、典型的には-CH2COOH基である。
【0107】
一実施形態では、第3の態様の骨材の少なくともいくつかの粒子は、架橋された表面を含む。架橋度は、ガラス転移温度(Tg)の分析によって決定することができる。これは、ポリマーが硬い「ガラス状」の状態から柔軟な又は「ゴム状」の状態に移行する温度範囲であり、多くの場合、示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry、DSC)によって測定される。DSCでは、ポリマーからの熱出力は、温度の関数として測定される。ポリマーがガラス状からゴム状に移行するにつれて、その比熱容量が増加し、熱出力の増加につながる。ポリマーからの熱出力が増加する温度がTgである。Tgは、ポリマーの粘度が1013dPa・sである温度を指すようにIUPACによって定義される。
【0108】
骨材の表面での架橋度が増加するにつれて、Tgは、骨材がTgを示さない点まで増加する。いくつかの実施形態では、骨材は、Tgを示さない。
【0109】
代替的に、架橋度は、溶解試験によって決定することができる。
【0110】
一実施形態では、電子ビームで処理されている少なくともいくつかの粒子の約0.1~約100%、好ましくは約0.5%~約80%、より好ましくは約1%~約50%、なおより好ましくは約10%~30%などの約5%~約35%、例えば約15%~約25%が、溶解試験によって決定されたときに架橋されている。溶解試験の方法は、実施例3に記載されている。
【0111】
代替的に、架橋度は、骨材の1つ以上のプラスチック粒子のゲル含有量の分析によって推測することができる。ゲル含有量は、骨材の不溶性画分である。骨材の粒子内でポリマーを架橋することにより、ポリマーの構造が強化され、その溶解性が低減され、したがって、より大きい架橋度を有するポリマーは、より小さい架橋度を有するポリマーよりも低い可溶性である。
【0112】
ゲル含有量は、ASTM D2765試験方法Aを使用して測定することができる(J.W.Kim and H.S.Choi,J.Appl.Polym.Sci.,2002,83(13),2921-2929を参照されたい。ここには、ASTM指定:D2765-95の使用が記載されている(http:/Avww.astm.org/cgi-bin/resolver.cgi?D2765-95)。それ以後、これは、ASTM D2765-16標準試験方法に取って代わられている(https://www.astm.org/Standards/D2765.htm)。
【0113】
この方法では、既知の質量の骨材の試料を、溶媒中に骨材を浸漬するのに好適な予め秤量したステンレス鋼ケージ(例えば、メッシュ150のステンレス鋼ケージ)に入れる。ケージ及び骨材をデカヒドロナフタレン又はキシレンに浸漬し、それぞれ6時間又は12時間激しく煮沸する。キシレンを使用する場合、2,6-ジtert-ブチル-4-メチルフェノールなどの安定剤も採用することができる。煮沸後、ケージ及び骨材を、例えば真空オーブン内で一定重量まで乾燥させる。乾燥ケージ及び骨材を室温まで冷却し、デカヒドロナフタレン又はキシレンへの抽出後の質量をデカヒドロナフタレン又はキシレンへの抽出前の質量と比較するために秤量する。ゲル含有量は、以下のように計算される:
【0114】
【0115】
多くの場合、ASTM D2765-16試験方法Aによって測定された骨材の1つ以上のプラスチック粒子のゲル含有量は、約0.1%~約100%、約0.2%~約80%、約0.5%~約50%、約0.8%~約25%、又は約1%~約15%である。時には、ゲル含有量は、約0,5%~約50%、約0.8%~約25%、又は約1%~約15%である。
【0116】
骨材の1つ以上のプラスチック粒子のゲル含有量の範囲は、粒子の表面を架橋するために使用される方法に依存する。骨材の粒子内のポリマーが電子ビームへの曝露を介して架橋されたとき、ASTM D2765-16試験方法Aによって測定された骨材のゲル含有量は、約0.1%~約100%の範囲であり得る。対照的に、骨材の粒子内のポリマーを架橋するために低圧プラズマが使用されるとき、ASTM D2765-16試験方法Aによって測定された骨材のゲル含有量は、約0.1%~約70%の範囲であり得る。典型的には、骨材の粒子内のポリマーを架橋するために低圧プラズマが使用され、ゲル含有量は、約0.1%~約70%の範囲である。
【0117】
いくつかの実施形態では、骨材の粒子は完全な球状ではなく、すなわち、それらは1よりも小さい又は大きいアスペクト比を有する(1は、球のアスペクト比である)。いくつかの実施形態では、骨材の粒子は、完全な球状又は完全な回転楕円状ではない。いくつかの実施形態では、骨材の粒子は、角張っており、多くの場合、角張った形状、かつ球状に近い形状(約1のアスペクト比を有する)である。特定の実施形態では、骨材の粒子は、異なる長さ及びサイズの面及び角を有する。
【0118】
上述のように、低圧プラズマ又は電子ビームによるプラスチック粒子の処理は、ポリマー鎖を架橋するか、又はポリマー鎖の切断を引き起こすことを通して、粒子の表面のトポグラフィーを変更することができる。結果として、プラスチック骨材の表面は、そのような処理の後に、より粗く、かつより接着性であり得る。
【0119】
第1の複数の粒子に関連して本明細書に開示される制限(粒子のサイズ、形状、及び組成などの)は、第3の態様の骨材の粒子にも適用されることが理解されるべきである。例えば、第3の態様の骨材の粒子は、異なるサイズのものであり得、約120μm~約0.7mmのモードサイズを有し得、シャープ砂、ビルダー砂、又はプラスター砂のモード粒子サイズの±60%、±50%、±40%、又は±30%以内であるモードサイズを有し得、及び/又はポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリウレタンからなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせを含む。
【0120】
上述のように、本発明の骨材は、コンクリート添加物として、又はコンクリート中の天然骨材代替物として有用であり得る。第4の態様では、第2又は第3の態様の骨材を含むコンクリートが提供される。本発明者らは、本発明の骨材を含むコンクリートが、未処理のプラスチック粒子を含むコンクリートに対して、増加した圧縮強度を有し、より迅速に硬化することを見出した。更に、本発明の骨材を含むコンクリートは、驚くべきことに、未処理のプラスチック粒子を含むコンクリートに対して、調製するのに必要な水が著しく少ない。水含有量は、コンクリート強度に反比例すると報告されているため、コンクリート組成物中のより少ない水の使用が望ましい(J.Afsar Engineering Intro,「Water to Cement Ratio」,2012、及びA.Neville,Properties Of Concrete,5th Edition,Pearson Education Limited,Harlow,2011を参照されたい)。
【0121】
コンクリートは、約49:1~約0:1、約8.1:1~約0:1、約49:1~約0.1:1、約8.1:1~約0,2:1、約19:1~約0.25:1、約9:1~約0.66:1、約5,5:1~約0.82:1、又は約2.7:1~約1:1の天然骨材(砂などの):骨材比範囲を含み得る。
【0122】
コンクリートは、0.5重量%~20重量%などの約0,5重量%~約70重量%の骨材を含み得る。蓄熱ブロックに使用するためなどのコンクリートは、約1重量%~約70重量%の骨材、多くの場合、約15重量%~約70重量%の骨材を含み得る。
【0123】
代替的に、骨材が添加剤として使用されるとき、コンクリートは、約0.0005~約1重量%、約0.00125~約0.75重量%、約0.00125~約0.5重量%の骨材を含み得る。代替的に、コンクリートを作製するとき、添加剤の分量は、セメント含有量の重量%として決定され、骨材は、セメント含有量の約0.01~約2重量%、約0.025~約1.5重量%、又は約0.025~約1重量%である。当業者は、コンクリートが、典型的にはセメントを含むことを認識している。
【0124】
コンクリートは、約0.1:1~約3:1、約0.3:1~約2,5:1、又は約0,4:1~約2.2:1の範囲のセメント対骨材の比体積比を含み得る。
【0125】
コンクリートは、ガラス、フライアッシュ、酸化グラフェン、炭酸カルシウム、1つ以上の粉末化されたポゾラン、空気連行剤、超可塑剤、硬化促進剤/遅延剤、及びレオロジー調整剤からなる群から選択されるいずれか1つ、又はそれらの2つ以上の組み合わせなどの1つ以上の添加剤を含み得る。添加剤は、コンクリート中に、約0.01~約20重量%、約0.01~約15重量%、約0.1~約10重量%、又は約0.5~約5重量%の量で存在し得る。
【0126】
添加剤は、より均一なコンクリート構造を作り出すことができる乳化効果を提供することができる。
【0127】
第4の態様のコンクリートは、建築物、例えば、建物、橋、道路、ダム、ブロック、及び他のプレキャスト用途の建築物に使用することができる。それは、構造体の基礎のために使用されてもよく、又は構造体自体の中で使用されてもよい。
【0128】
第5の態様では、第2又は第3の態様の骨材をセメントと接触させることを含む、コンクリートを作製する方法が提供される。通常、接触させることは、骨材とセメントとを組み合わせ、多くの場合、混合することを必要とする。多くの場合、セメントミキサーが使用される。典型的には、本方法は、セメント及び骨材を水と接触させることを更に含む。
【0129】
セメントは、材料を互いに接着し、得られた組成物を固化及び硬質化するために使用される任意の結合剤であり得る。多くの場合、セメントは、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、及びケイ酸カルシウムのうちのいずれか1つ又は混合物を含む。典型的には、セメントは、ポルトランドセメントなどの水硬性セメントであり、ポルトランドセメントは、ポゾラン反応を介して水と反応して、硬化及び固化する。
【0130】
ポルトランドセメントは、通常、石灰石及び粘土鉱物を加熱して、クリンカーを形成し、これを粉末化して石膏と接触させることによって作製される。ポルトランドセメントは、典型的には、少なくとも3分の2の質量のケイ酸カルシウムからなり、残りは、アルミニウム含有化合物及び鉄含有化合物からなる。ポルトランドセメント内のCaO対SiO2の比は、少なくとも2:1である。
【0131】
多くの場合、第5の態様の方法は、セメント及び骨材を水と接触させることを更に含み、水対セメントの重量比は、約0.2:1~約0.6:1、約0.3:1~約0.55:1、又は約0.4:1~約0.5:1である。時には、水対セメント比は、約0.48:1である。
【0132】
多くの場合、第5の態様の方法は、セメント及び骨材を添加剤と接触させることを更に含む。第4の態様の添加剤に関連して本明細書に開示される制限(タイプ及び重量%などの)は、第5の態様の添加剤にも適用されることが理解されるべきである。例えば、添加剤は、約0.001~約1重量%の量で使用される酸化グラフェンであり得る。
【0133】
第6の態様では、コンクリート中の天然骨材(例えば、砂)のための代替物としての第2又は第3の態様の骨材の使用が提供される。
【0134】
天然骨材の約5~約100体積%、約20~約100体積%、約40~約100体積%、約60~約100体積%、又は約80~約100体積%が骨材によって置き換えられ得る。代替的に、天然骨材の約0.01~約2体積%、約2~約20体積%、約20~約60体積%、又は約60~約100体積%が骨材によって置き換えられ得る。
【0135】
好適には、骨材によって置き換えられる天然骨材は、シャープ砂、プラスター砂、又はビルダー砂などの砂である。好ましくは、骨材によって置き換えられる天然骨材は、シャープ砂である。
【0136】
実施例
以下の非限定的な実施例は、本発明を更に例示するのに役立つ。
【0137】
材料
タールマックブルーサークル砂及びブルーサークルマスタークリートセメントを、Wickesから購入した(4種類の砂:シャープ砂、ビルダー砂、プラスター砂、及びバラスト)。バラストは、サイズが少なくとも約10mmのシャープ砂及び石からなる。ポリエチレンフレーク(4mmフレークよりも大きい)及びポリエチレン微粉(63μm~4000μmの小さいポリエチレン粒子の廃棄物流)を使用した。
【0138】
プラスチック基材(40mm×40mm)及びプラスチック粒子(250μm~10mm)のプラズマ改質に使用した化学物質は、アクリル酸(AA)(98%、超純粋、安定化、Acros Organics)、シクロペンタノン(CP)(99+%、純粋、Acros Organics)、エチレンジアミン(EDA)(ReagentPlus(登録商標)、≧99%、Sigma Aldrich)、及びジメチルホルムアミド(DMF)(99+%、超純粋、Acros Organics)であり、全て受け取ったままの状態で使用した。砂(シャープ砂<4mm)及び砂利(4~10mmの石灰石)を、コンクリートミックス設計のための天然骨材として使用した。
【0139】
アルコール(-OH)及びエステル(-COOR)などの類似の官能基化学物質を表すように、アクリル酸(カルボン酸-COOH)改質を選定した。アンモニアなどの類似の窒素含有化学物質を表すように、エチレンジアミン(アミン)改質を選定した。アルデヒドなどのカルボニル基を有する類似の化学物質を表すように、シクロペンタノン(ケトン)改質を選定した。類似の窒素含有アミドを表すように、ジメチルホルムアミド(アミド)改質を選定した。
【0140】
使用したプラスチック基材及び粒子は、ポリエチレン(PE)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリスチレンブタジエン(SB)、エポキシ樹脂(PEX)、ポリプロピレン(PP)、及びポリ塩化ビニル(PVC)であった。PEX及びPU粒子を、市販の液体樹脂構成成分を成型することから生成し、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、及びエチルビニルアセテートなどの低程度のポリマー骨格分岐を有する熱可塑性物質を表すように、PEを選定し、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、及びアクリロニトリルブタジエンスチレンなどの環系を有する熱可塑性物質を表すように、PET及びPSを選定した。アクリロニトリルブタジエンスチレン及び高ビニル含有量エチルビニルアセテートなどの類似の材料の熱可塑性ゴム及び熱硬化性ゴムを表すように、SBを選定した。ポリシロキサン、ポリエステル樹脂、及びPUなどの一般的に高い架橋度を有する熱硬化性プラスチックを表すように、PEXを選定した。ポリイソシアヌレート(PIR)などの炭素-窒素結合を含有する熱硬化性プラスチック及び熱可塑性プラスチックを表すように、PUを選定した。
【0141】
方法
サイズ分布
乾燥砂のサイズ分布を、5(4000μm)、10(2000μm)、35(500μm)、120(125μm)、300(63μm)のメッシュサイズを使用するふるいスタック分別を介して決定した。各サイズの砂の質量を、デジタル天秤を使用して決定した。パンを、63μm未満の任意の粒子として定義する。
【0142】
砂の種類における水含有量
水含有量は、砂を90℃で24時間乾燥させる前後の砂の質量(デジタル天秤を使用して)を比較することによって決定した。
【0143】
プラスチック粒子サイズの低減
プラスチック粒子を、標準キッチンブレンダー(2000W)、3Devo製の破砕機(SHR3D IT)、及び/又はグラニュエータ(Crushmaster)を使用してサイズを低減した。
【0144】
プラズマ改質
回転バレルを有するHaydale HT60プラズマ反応器を使用して、プラスチック基材及び粒子をプラズマ処理した。本明細書で言及される全てのプラズマ処理は、低圧プラズマ処理である。プラスチック基材についてのプラズマパラメータは、以下であった。
●電力:20W
●時間:2分
●圧力:0.1mbar
●ガス流量:50sccm
プラスチック粒子についてのプラズマパラメータは、以下であった。
●電力:20~200W
●時間:20~60分
●回転速度:5~40rpm
●圧力:0.1~0.7mbar
●ガス流量:50~100sccm
【0145】
電子ビーム処理
EBLabシステムを使用して、プラスチック基材を電子ビーム処理した。電子ビーム処理を、40mm×40mmのプラスチック基材に対して行った。基材に、80keV~200keVの範囲の出力及び30kGy~900kGyの範囲の線量レベルで照射した。
【0146】
接触角測定
処理したプラスチック表面上の水滴の接触角を、Ossila接触角ゴニオメーターによって測定した。各プラスチックについて、3つの基材を分析した。各基材上に、3滴の水(各々10μL)を付着させ、写真を撮った。写真を、Ossila接触角ソフトウェアによって分析した。各基材について3つの液滴の平均接触角を計算した後、最終接触角を、3つの個々の基材上で測定した値の平均として計算した。
【0147】
X線光電子分光法
X線光電子分光法(XPS)データを、スポットサイズ400μm、パスエネルギー40eVで、マイクロフォーカス単色Al放射線を使用してThermo K-Alpha*分光計から収集した。データを、CasaXPSソフトウェアを使用して分析した。フォークトプロファイルを使用してピーク形状を適合させ、公開値に対する結合エネルギーを相互参照することによってピーク帰属を行った。
【0148】
実施例1
コンクリートの生成
円柱形コンクリート試料分類をP1、P2、P3、P4、P5、及びP6とラベル付けし、立方体コンクリート試料をP7及びP8とラベル付けした。コンクリート円柱(38mm×97mm)を、多孔度及び圧縮強度測定のために生成した。圧縮強度試験のためのコンクリート円柱は、結合水を除去するために乾燥させずに供給されたバッグからの砂を使用した。コンクリート立方体(50mm×50mm)を、7日間の圧縮強度測定のために生成した。圧縮強度試験に使用したコンクリート立方体は、結合水を除去するために乾燥させることなく、供給されたバッグからの砂を使用した。
【0149】
試料P1
1:5のセメント:砂比を使用した。ブルーサークルマスタークリートセメントをバケツ内でシャープ砂と混合し、次いで水を添加し、金属スパチュラを使用して手でかき混ぜた。次いで、自動コンクリートミキサーを使用して、スラリーを120rpmで300秒間混合した。次いで、プラスチックディスクで底部に蓋をした円筒形プラスチック型にスラリーを添加した。各円筒の3分の1にスラリーを充填し、鋼製の六角棒(幅25mm)を使用して10~20回タンピングした。これを更に2回繰り返して、スラリーで満たされた円筒を生成した。円筒を水平にし、空気中で、プラスチックシート下に3日間放置して硬化させた。3日後、鋸を使用して型を取り外した。15個の円柱をこの混合物で生成した。水中でかき混ぜた直後のミックス温度は、15.6℃であった。更なる詳細については表1を参照されたい。
【0150】
試料P2、P3、及びP4
試料P1の調製と同じ手順を使用して試料P2、P3、及びP4を調製したが、ただし、砂の約20%を、0.5の体積比を使用してポリエチレンで置き換えた(1.2kgの砂を0.6gのプラスチックで置き換えた)。P2及びP3のミックス温度は15.6℃であり、P4については16.2℃であった。酸素低圧プラズマ改質プラスチックを使用して、試料P3を調製し、カルボン酸低圧プラズマ改質プラスチックを使用して、試料P4を調製し、更なる詳細については表1を参照されたい。
【0151】
試料P5及びP6
試料P1の調製と同じ手順を使用して試料P5及びP6を調製したが、ただし、砂の100%及び約90%をポリエチレンで置き換えて(0.5の体積比を使用して)、それぞれP5及びP6を調製し、カルボン酸改質プラスチックを両方の試料で使用した。ミックス温度は測定しなかった。更なる詳細については表1を参照されたい。
【0152】
試料P7及びP8
ブルーサークルマスタークリートセメントを、バケツ内でシャープ砂及びプラスチックと混合した。次いで水を添加し、混合物を金属スパチュラを使用して手でかき混ぜた。次いで、スラリーを立方体型に添加した。各立方体の3分の1にスラリーを充填し、正方形の鋼ロッド(10mm)を使用して25回タンピングした。これを更に2回繰り返して、スラリーで満たされた立方体を生成した。立方体を水平にし、空気中で、湿潤したプラスチックシート下に24時間放置して硬化させた。24時間後、型のボルトを外し、硬質化したコンクリートを20℃の硬化タンクに入れた。ミックス当たり9個の立方体を生成した。更なる詳細については表1を参照されたい。
【0153】
【0154】
多孔度測定
初期多孔度測定を超音波プローブで行い、得られた値は各試料分類の1試料からのものである。
【0155】
コンクリートスラリー温度
水を乾燥骨材に混合した後、赤外線温度計を使用してコンクリートスラリー温度を測定した。
【0156】
圧縮強度測定
圧縮強度測定を、Instron 34TM-30機械で実施した。圧縮強度を、3、7、及び28日目に、各試料分類について5~7個の円柱について測定した。それらを型から取り出した後の3日間、試料を水浴に入れた。28日目の試料を、試験前に90℃のオーブン内で40分間乾燥させた。圧縮強度を、7日目に、各試料の4個の立方体について測定した。
【0157】
結果及び考察
砂の種類のサイズ分布
粒子サイズ分布分析を、シャープ砂、ビルダー砂、及びプラスター砂について実施した。ビルダー砂及びプラスター砂は、大部分の小粒子を含有していたが、シャープ砂は、いくつかのより大きい粒子を含有していた(表2及び
図1~4を参照されたい)。
【0158】
【0159】
シャープ砂のポリエチレンとのサイズ分布一致
サイズ分布分析を、ポリエチレン微粉及び破砕したポリエチレンフレークについて実施した(表3)。ポリエチレン微粉及び破砕したフレークを2つのカテゴリー:500μm以下及び500μm超にグループ分けした。500μm以下である粒子は、総質量の77%を占め(500μmのふるい-ポリエチレン微粉から得られた)、500μm超の粒子は、総質量の23%を占めた(2mmのふるい-破砕したポリエチレンフレークから得られた)。これは、
図5に示されるポリエステル分布をもたらし、ここで、シャープ砂のサイズ分布と比較する)。
【0160】
【0161】
走査型電子顕微鏡法を使用する表面トポロジー調査
走査型電子顕微鏡法(SEM)を実施して、シャープ砂、ブレンドされたポリエチレンフレーク、及びポリエチレン微粉の画像を得た。SEM画像は、極端に粗い表面を有する不規則形状を有するようにシャープ砂を示した。不規則形状は、ポリエチレン微粉及び破砕されたフレークに一致した。
【0162】
砂の種類における水含有量
「結合水」として定義された水は、コンクリートミックスに必要な水を計算するときに考慮されるべきである。水含有量を、シャープ砂、ビルダー砂、プラスター砂、及びバラストにおいて測定した(表4を参照されたい)。ビルダー砂は、11.3%でグループの最も高い水含有量の百分率を有しており、続いて、9.8%でプラスター砂、及び次いで9.6%でシャープ砂、及び最後に、バラストが6.8%で最も低い水含有量を有していた。これらの結果は、砂粒子サイズと相関するように思われ、砂粒子が小さいほど、結合水が多い。
【0163】
【0164】
コンクリート生成
全てのコンクリートミックスを、同様の加工性を達成するように作製した。したがって、同じスラリー稠度を達成するために、使用する水の体積を変化させた。これをスランプ試験によって測定した。
【0165】
試料P1の生成中、供給された砂の結合水(砂粒子に近い/結合した水の体積)を考慮した。しかしながら、混合したとき、ミックスが乾燥していることは明らかであった。これは、遊離水(ミックスに添加した水)と結合水との間の差を示した。結合水は、全体的な水含有量に寄与すると予想されるが、遊離水ほど有意に加工性に寄与するようには見えない。
【0166】
試料P2は、試料P1と同じスラリー稠度を達成するためにより多くの水を必要とした。これは、プラスチックがその疎水性の性質によって表面を湿潤させるためにより多くの水を必要としたためである可能性が最も高かった。湿潤砂を乾燥プラスチックと交換することにより、存在する結合水の量も減少する。加えて、乾燥プラスチックの粒子表面積がより小さくなり、必要とされる水の量を変化させることが予想される。水の添加は、より弱いコンクリートと直接相関することが報告されている(J.Afsar,2012 and A.Neville,2011、上記を参照)。
【0167】
試料P3の調製中、試料P2と同じスラリー稠度を達成するのに必要な水含有量は、著しく低かった。これは、酸素プラズマ処理がプラスチックの表面エネルギーを増加させ、プラスチックを湿潤させるのに必要とされている水が少なくなることを示している。試料P4は、試料P3と同じ水含有量を必要とし、ここでも、表面が試料P2よりも親水性であることを示した。
【0168】
コンクリート試料(P1~P4)を、3日後に円筒形型から取り出した。試料P3及びP4は、コンクリートの表面上にピットを含有することが直ちに観察され(
図6を参照されたい)、これは、これらの試料の調製に使用したより少ない量の水、又はプラスチックの表面にあるより多くのセメント/水に起因し得る。ピットの観察は、コンクリートの多孔度が増加したことを示唆している。
【0169】
コンクリート試料の密度及び多孔度
砂骨材を部分的に置き換えたプラスチック骨材でコンクリートを調製する際の潜在的な利点のうちの1つは、軽量コンクリートを生成することである。軽量コンクリートは、2000kg/m3未満の密度を有するものとして定義される(http://www.daygroup.co.uk/downloads/datasheets/concrete.pdfを参照されたい)。コンクリート試料P2~P8は全て、2000kg/m3未満の密度を示し、したがって、軽量コンクリート試料として分類される(表5を参照されたい)。
【0170】
【0171】
コンクリートの圧縮強度は、コンクリートの多孔度に関連する。一般に、多孔度が高いほど、存在する材料が少なくなり、同伴される空気が多くなるため、圧縮強度は低くなる。材料を通る音速を使用して、多孔度を測定する。プラスチックがコンクリート中に存在するとき、ポリエチレン中の音速は、石英(砂)についての5000m/秒超と比較して約1900m/秒であるため、音速は減少することが予想される。試料P1(プラスチックが存在しない)における音速は、3000m/秒である。予想通り、音速は、試料P2~P4(プラスチックを含む)において低下し、それぞれ2400m/秒、2350m/秒、及び2350m/秒である(表6を参照されたい)。
【0172】
【0173】
圧縮強度測定
試料P1~P4の圧縮強度を、3、7、及び28日後に測定した。圧縮強度は、全ての試料についての時間の関数として増加する。試料P1(プラスチックを含まない)は、全ての日にわたってP2~P4と比較して最も高い圧縮強度を有する(それぞれ、3、7、及び28日目で試料P2~P4よりも約4kN、6kN、及び8kN強い)。P2~P4の圧縮強度は類似している(同じ硬化時間について試料間で比較したとき、±1kN未満の差)。試料P4は、全ての硬化時間にわたってP2及びP3よりも一貫して強く、P2は、全ての硬化時間にわたって一貫して最も弱い試料である(
図7を参照されたい)。
【0174】
コンクリートを弱めることがよく知られている試料P3及びP4の増加した多孔度を考慮すると、圧縮強度がP2の圧縮強度よりも高いことは驚くべきことである。これらの結果は、試料P3及びP4で使用したプラスチックのプラズマ処理が、結果として得られたコンクリートの圧縮強度を増加させることを示唆している。水含有量の低減、及びプラズマ処理されたプラスチックとセメントマトリックスとの間の結合の増加が、強度の増加の原因であると予想される。
【0175】
試料P4は、試料P2及びP3と比較して最も高い圧縮強度を示す。使用したプラスチックの低圧カルボン酸プラズマ処理は、セメントマトリックスとの結合の増加をもたらし、セメント結晶化の核形成を引き起こし、これが硬化速度の増加をもたらすことが予測される。試料間の圧縮強度の差は、経時的に減少する。28日の硬化時間で、コンクリートは、その最終強度の99%を有すると予想される。したがって、圧縮強度における最大の差は、より短い硬化時間で観察されると予想される。
図8から、試料P2が試料P4の圧縮強度に達するのに要した時間を、3日目及び7日目で比較したとき、試料P4が3日後に25%より速く、7日後に42%より速く硬化したことを理解することができる。
7日間の硬化後に試料P7及びP8によって示される圧縮強度を
図9で比較している。低圧カルボン酸プラズマ処理されたポリエチレンを使用して調製されたコンクリートの圧縮強度は、改質されていないポリエチレンを使用して調製されたコンクリートの圧縮強度よりも15%高い。
【0176】
結論
ポリエチレン微粉及び破砕されたポリエチレンフレークを組み合わせて、ポリエチレン骨材をシャープ砂とサイズ一致させた。
【0177】
低圧酸素及びカルボン酸プラズマを用いたポリエチレン粒子の改質は、骨材の表面を湿潤させるためにコンクリートミックスに必要とされる余分な水の必要性の顕著な減少を示す。水含有量はコンクリート強度に反比例するため、より少ない水の使用が望ましい(J.Afsar,2012、上記を参照、及びA.Neville,2011、上記を参照)。更に、より少ない水を使用することは、より環境に優しい。
【0178】
コンクリート試料P2~P4の圧縮強度の比較は、低圧カルボン酸プラズマを使用するポリエチレン粒子の改質が、結果として得られたコンクリートの強度を最も(3日後に改質されていないプラスチックと比較して20%)改善することを示唆している。これは、低圧カルボン酸プラズマを用いたプラスチック粒子の改質が、結果として得られるコンクリートの硬化速度を増加させることを示唆している。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、プラスチック粒子の表面に結合しているカルボン酸に誘導された基がコンクリート内のセメントと反応して、コンクリートマトリックスとの強い結合を形成し、より高い圧縮強度をもたらすと仮定する。増加した硬化速度は、コンクリート産業において望ましい。
【0179】
低圧酸素プラズマを使用するポリエチレン粒子の改質も、結果として得られたコンクリートの強度を3日後に8%改善した(改質されていないポリエチレン粒子を含むコンクリート試料と比べて)。
【0180】
コンクリート立方体P7及びP8は、7日後に試験した円柱と比較したとき、圧縮強度において同様の増加を示し、カルボン酸基を使用する改質がより強いコンクリートを生成するという更なる証拠を提供した。28日目の圧縮データは、これらの試料について得ることができなかった。
【0181】
実施例2
プラスチック粒子生成
各プラスチックを、メッシュサイズ230(0,063mm)、120(0.125mm)、60(0.25mm)、35(0.50mm)、10(2mm)、及び5(4mm)番を有するふるいを使用してサイズ分別し、2~4mm、0.50mm~2mm、0.25mm~0.50mmのサイズを有するプラスチック粒子の3つの異なる画分をもたらした。必要に応じて、バルクプラスチックを、ふるい分けの前に粒子化を通して最初にサイズ低減させた。
【0182】
コンクリート生成
コンクリートミックスを、典型的なコンクリートミキサー内で調製した。砂、大きい骨材、及びセメントを最初にミキサーに添加し、3分間混合した。別個の容器中で、プラスチック粒子を水と接触させた。次いで、プラスチックミックスをコンクリートミキサーに添加した。結果として得られたコンクリートを10分間混合した後、100mmの立方体型に入れた。
【0183】
ミックス設計
プラスチック粒子が天然骨材の代用品としてコンクリートに組み込まれた状況では、コンクリートミックス設計は以下の通りであった。
○1:4:0のセメント:砂:砂利の比(体積%)
○0.27の水:セメントの比(質量で)
○10.33体積%のプラスチックの総含有量
プラスチック粒子が添加剤としてコンクリートに組み込まれた状況では、ミックス設計は以下の通りであった。
○1:1.1:2.8のセメント:砂:砂利の比(体積%)
○0.30の水:セメントの比(質量で)
○0.1~0,5重量%のプラスチック粒子含有量(セメントに対して)
○0.0004~0.002体積%のプラスチックの総含有量
【0184】
成形
鋼型を使用して、ミックス当たり3個の100×100mm立方体を打設した。型を振動台上に置き、コンクリートミックスを1/3だけ充填し、30秒間振動させた。型が完全に充填されて圧縮されるまで、これを更に2回繰り返した。コンクリートを、湿潤させたシート下(水の蒸発を回避するために)で24時間放置して硬化させた後、離型し、天然骨材代替物については0.5kN/s、及び添加剤含有物については5kN/sの速度で砕いて、圧縮強度を測定した。
【0185】
結果
プラスチックの静的水接触角
静的水接触角を、プラズマ処理及び電子ビーム処理したプラスチック基材の両方で測定した(それぞれ、
図10及び
図11)。水との接触角が大きいほど、表面はより疎水性である。データは、表面が化学基の連結で変更され、それによってより親水性になるため、プラズマ及び電子ビーム処理後に接触角が小さくなることを示す。例えば、PEがEDAでプラズマ処理されたとき、接触角は中心(プラズマ処理されていないプラスチック)の78%であり、接触角が処理後に22%小さくなった(表面がより親水性である)ことを意味する。
【0186】
プラスチック粒子サイズ
天然骨材代替物としてのプラスチック粒子
プラズマ処理され、天然骨材に置き換わることが意図されるプラスチック粒子(PE、PU、PET、PEX、及びSB)を、体積比で配合した(表7)。
【0187】
【0188】
天然骨材代替物としてのプラスチック粒子(高出力)
プラズマ処理され(高出力、200W)、天然骨材に置き換わることが意図されたプラスチック粒子(PE及びPS)を、体積比で配合した(表8)。
【0189】
【0190】
添加剤としてのプラスチック粒子
ここで、プラスチック粒子(PE)は、コンクリート中の添加剤として使用することが意図されている(0.0004~0.002体積%)。PEプラスチック粒子を、表9に表示されるサイズ分布をもたらす体積比によって配合した。
【0191】
【0192】
X線光電子分光分析
PEプラスチック粒子に対してX線光電子分光(XPS)分析を実行して、PE表面上の化学基が、プラスチックが供されたプラズマ処理で利用した化学基(この場合、アクリル酸、AA-RCOOH)に対応することを示した。PE体積比サイズ分布は、表10に見ることができる。処理したPEプラスチック粒子を、酸素ガスを使用する初期プラズマ処理及びAAを用いた主処理に供し、パラメータを以下に概説した(表11)。
【0193】
【0194】
【0195】
XPSデータの分析は、プラズマ処理されたプラスチック粒子の酸素含有量が、未処理のプラスチック粒子と比較したときに増加していることを示す(18,4%のOと比較した1.5%のO)(表12)。これは、-COOH(6.3%)、-C=O(3.8%)、及び-OH(8.1%)などのプラスチック表面上の酸素含有基の増加があるため、AAを用いたプラズマ処理が成功した場合に予想されたものと合致する(表13)。このXPSデータは、PE表面がAA部分を含有すること、及びアクリル酸プラズマ処理の使用がカルボン酸官能基を得るのに成功していることを証明している。表12及び表13のデータの決定に使用するスペクトルは、
図12.12に見ることができる。
【0196】
【0197】
【0198】
コンクリート分析
天然骨材代替物としてのプラスチック粒子
配合したプラスチック粒子をコンクリートに組み込み(10体積%)、未処理のプラスチックから生成したコンクリートの圧縮強度を、プラズマ処理したプラスチックから生成したコンクリートの圧縮強度と比較した。様々な化学官能基を使用し、処理した分類のプラスチック粒子を、以下に概説するパラメータ(表)を有する酸素ガスを使用する初期プラズマ処理に供した。初期処理の後、及びまだ真空下にある間に、処理した粒子を、以下に概説するプラズマパラメータ(表)で化学官能基(アルゴンガスによって運ばれる)を使用して直ちに処理した。使用したコンクリートミックス設計は、表16に見ることができる。
【0199】
【0200】
【0201】
【0202】
プラズマ処理したプラスチック粒子を含有するコンクリート立方体の圧縮強度を、対応する対照試料に対する百分率として測定し(FIG.13 13)、すなわち、AAで処理したPEX粒子を含有するコンクリート立方体は、未処理のPEXを含有するコンクリート立方体と比較して52%強かった。グラフから、プラスチック粒子のプラズマ処理がコンクリートの圧縮強度の増加に著しい影響を及ぼすことを理解することができる。
【0203】
天然骨材代替物としてのプラスチック粒子(高出力)
配合したプラスチック粒子(PE及びPS)をコンクリートに組み込み(12%、体積%)、未処理のプラスチックから生成したコンクリートの圧縮強度を、プラズマ処理したプラスチックから生成したコンクリートの圧縮強度と比較した。AAをプラズマ処理に使用し、パラメータを以下に概説した(表17)。使用したコンクリートミックス設計は、表18に見ることができる。ここでも、プラズマ処理したプラスチック粒子を含有するコンクリート立方体の圧縮強度を、対応する対照試料に対する百分率として測定したが、今回、圧縮強度を3、7、28日後に測定した(
図16)。
【0204】
【0205】
【0206】
プラズマ処理したプラスチック粒子を含有するコンクリート立方体の圧縮強度を、対応する対照試料に対する百分率として測定した(
図14.14)。グラフから、プラスチック粒子のプラズマ処理が、PE及びPSの両方について、コンクリートの圧縮強度の増加に著しい影響を及ぼすことを理解することができる。
【0207】
コンクリート中の添加剤としてのプラスチック粒子
配合したPEプラスチック粒子を添加剤としてコンクリートに組み込み(0.0004~0.002%、体積%)、プラスチックを含まないものから生成したコンクリートの圧縮強度を、プラズマ処理したプラスチックから生成したコンクリートの圧縮強度と比較した。PE粒子を、以下に概説するプラズマパラメータを用いてAAで処理した(表19)。使用したコンクリートミックス設計は、表20に見ることができる。
【0208】
【0209】
【0210】
プラスチック粒子を含めて生成したコンクリート立方体の圧縮強度(24時間後)を、プラスチックを含まないコンクリート(対照)の24時間後の圧縮強度と比較した。処理したプラスチック添加物を含有するコンクリート立方体の圧縮強度を、対応する対照試料に対する百分率として測定し、すなわち、0.25重量%の処理したPEを含有するコンクリートは、プラスチック添加物を含有しないコンクリートよりも40%強かった。グラフから、プラスチック粒子で作製したコンクリートが全てのPE重量百分率にわたってより強いことを理解することができる(
図15)。
【0211】
プラスチック-セメントミックスのプラズマ処理
AA(C-PE)でのプラズマ処理前に、PEプラスチック粒子(4~10mm)をセメント(5重量%のプラスチック)と接触させた。PEプラスチック粒子を、以下に概説するパラメータ(表21)で酸素ガスを使用して初期プラズマ処理に供した。初期処理の後、及びまだ真空下にある間に、処理した粒子を、以下に概説するプラズマパラメータ(表22)でAA(アルゴンガスによって運ばれる)を使用して直ちに処理した。使用したコンクリートミックス設計は、表23に見ることができる。
【0212】
【0213】
【0214】
【0215】
圧縮強度
処理中にセメントと接触させたプラズマ処理したプラスチック粒子(7%、体積%)を含めて生成したコンクリート立方体の圧縮強度(24時間後)を、未処理プラスチック(対照)の圧縮強度(24時間後)と比較した。
【0216】
添加物を含有するコンクリート立方体の圧縮強度は、142%±19%(対照に対する%)であった。これは、プラズマ処理中にセメントと接触させたプラスチック粒子を含有するコンクリートが24時間後に42%強くなったことを意味する。
【0217】
付属書
全てのモードサイズを、以下の式を使用して計算した。
【0218】
【数2】
式中、Lは、モード階級の下限であり、f
mは、モード階級の度数であり、f
1は、モード階級に先行する階級の度数であり、f
2は、モード階級に後続する階級の度数であり、hは、モード階級の幅である。
【0219】
シャープ砂、ビルダー砂、及びプラスター塗り用砂のモードサイズ。
【0220】
【0221】
実施例3:溶解PE試験
材料
PE-C(ポリエチレンの対照試料)、PE-T(ポリエチレンの電子ビーム処理した試料)、ACS試薬グレードのキシレン(≧99.9%、Sigma Aldrich UK)、及び分析グレードのメタノール(≧99.9%、Fisher Scientific UK)は全て、供給されたまま使用した。
【0222】
実験
PE-C(0.5011g)及びPE-T(0.4330g)を、各々別個の50mL丸底フラスコに入れた後、10mLのキシレンを各フラスコに添加し、コンデンサを取り付けた(H-グリースを使用して密封した)。次いで、溶液を油浴ヒーター(150℃に設定)に入れ、21.5時間かき混ぜたままにした。
【0223】
21.5時間後、丸底フラスコを油浴から取り出し、PE-Cは完全に溶解したが、PE-Tは部分的にしか溶解していないことを見れたはずである。これは、21.5時間のかき混ぜ後に依然として存在するPE-Tの半透明シートによって証明され、ピンセットを使用して、これを溶液から容易に分離し、溶解した及び未溶解のPE-Tを秤量することができるように、別個に後処理した。
【0224】
【0225】
これらの結果は、PE-T粒子(電子ビームで処理したもの)における架橋を裏付けている。
【国際調査報告】