(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】OLIG2阻害剤を用いる併用療法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/505 20060101AFI20230901BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230901BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230901BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230901BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230901BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230901BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20230901BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230901BHJP
A61K 31/517 20060101ALI20230901BHJP
A61K 31/4706 20060101ALI20230901BHJP
A61K 31/165 20060101ALI20230901BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20230901BHJP
A61K 31/4965 20060101ALI20230901BHJP
A61K 31/502 20060101ALI20230901BHJP
A61K 31/55 20060101ALI20230901BHJP
A61K 31/4709 20060101ALI20230901BHJP
A61K 31/436 20060101ALI20230901BHJP
A61K 31/343 20060101ALI20230901BHJP
C07D 241/28 20060101ALI20230901BHJP
C07D 239/48 20060101ALN20230901BHJP
C07D 239/94 20060101ALN20230901BHJP
C07D 401/12 20060101ALN20230901BHJP
C07D 215/54 20060101ALN20230901BHJP
C07D 471/04 20060101ALN20230901BHJP
C07D 237/32 20060101ALN20230901BHJP
C07D 487/06 20060101ALN20230901BHJP
C07D 453/02 20060101ALN20230901BHJP
C07D 498/18 20060101ALN20230901BHJP
C07D 307/92 20060101ALN20230901BHJP
【FI】
A61K31/505
A61K45/00
A61P43/00 121
A61P35/00
A61P25/00
A61P35/02
A61K31/5377
A61K39/395 N
A61K31/517
A61K31/4706
A61K31/165
A61K31/4745
A61K31/4965
A61K31/502
A61K31/55
A61K31/4709
A61K31/436
A61K31/343
C07D241/28
C07D239/48
C07D239/94
C07D401/12
C07D215/54
C07D471/04 105Z
C07D237/32
C07D487/06
C07D453/02
C07D498/18
C07D307/92
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513074
(86)(22)【出願日】2021-08-23
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 US2021047178
(87)【国際公開番号】W WO2022046650
(87)【国際公開日】2022-03-03
(32)【優先日】2020-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517286582
【氏名又は名称】カーテナ ファーマシューティカルズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビートン,グラハム
(72)【発明者】
【氏名】ステイン,グレゴリー ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】アルトン,ゴードン ロバート
【テーマコード(参考)】
4C050
4C063
4C065
4C072
4C084
4C085
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C050AA02
4C050AA07
4C050BB04
4C050CC10
4C050DD10
4C050EE02
4C050FF05
4C050GG02
4C050GG03
4C050HH01
4C063AA01
4C063BB08
4C063CC31
4C063DD10
4C063EE01
4C065AA05
4C065AA18
4C065BB06
4C065CC09
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH01
4C065JJ01
4C065KK01
4C065KK09
4C065LL04
4C065PP03
4C065PP19
4C072AA03
4C072BB03
4C072CC01
4C072DD07
4C072EE09
4C072FF15
4C072GG07
4C072HH01
4C072UU01
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZA01
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZC75
4C085AA14
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA05
4C086BC28
4C086BC42
4C086BC46
4C086BC48
4C086BC50
4C086BC73
4C086CB05
4C086CB11
4C086CB17
4C086CB22
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA01
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
4C206JA74
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA14
4C206NA05
4C206ZA01
4C206ZB26
4C206ZB27
4C206ZC75
(57)【要約】
【解決手段】本明細書には、第2の治療剤と組み合わせてOlig2の活性を阻害する化合物を含む医薬組成物が記載される。さらに、本明細書では、癌および他の疾患を処置するためにそのような医薬組成物を使用する方法が記載されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)第1の治療剤、2)第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物であって、前記第1の治療剤は、以下の構造を有する(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグであり、
【化1】
式中、
R
1はそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-NO
2、-OH、-OCF
3、-OCH
2F、-OCF
2H、-SR
8、-N(R
8)S(=O)
2R
9、-S(=O)
2N(R
8)
2、-S(=O)R
9、-S(=O)
2R
9、-C(=O)R
9、-CO
2R
8、-N(R
8)
2、-C(=O)N(R
8)
2、-N(R
8)C(=O)R
9、置換または非置換のC
1-C
6アルキル、置換または非置換のC
1-C
6アルコキシ、置換または非置換のC
1-C
6ヘテロアルキル、置換または非置換のC
2-C
7ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC
3-C
8シクロアルキル、置換または非置換のC
6-C
10アリール、あるいは置換または非置換のC
2-C
7ヘテロアリールであり、あるいは、2つのR
1は一体となって、置換または非置換の複素環、あるいは置換または非置換の炭素環を形成し、
R
2とR
3はそれぞれ独立して、H、-CN、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、またはC
2-C
7ヘテロシクロアルキルであり、あるいは、R
2とR
3は一体となって、5員または6員の複素環を形成し、
R
4はH、ハロゲン、-CN、-NO
2、-OH、-OCF
3、-OCH
2F、-OCF
2H、-SR
8、-N(R
8)S(=O)
2R
9、-S(=O)
2N(R
8)
2、-S(=O)R
9、-S(=O)
2R
9、-C(=O)R
9、-CO
2R
8、-N(R
8)
2、-C(=O)N(R
8)
2、-N(R
8)C(=O)R
9、置換または非置換のC
1-C
6アルキル、置換または非置換のC
1-C
6アルコキシ、置換または非置換のC
1-C
6ヘテロアルキル、置換または非置換のC
2-C
7ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC
3-C
8シクロアルキル、置換または非置換のC
6-C
10アリール、あるいは置換または非置換のC
2-C
7ヘテロアリールであり、
R
5は、ハロゲン、-CN、-OH、-CF
3、置換または非置換のC
1-C
6アルキル、置換または非置換のC
1-C
6アルコキシ、置換または非置換のC
1-C
6ヘテロアルキル、置換または非置換のC
2-C
7ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC
3-C
8シクロアルキル、置換または非置換のC
6-C
10アリール、あるいは置換または非置換のC
2-C
7ヘテロアリールであり、
R
6は-(C(R
14)(R
15))
mN(R
11)(R
12)であり、
R
11とR
12はそれぞれ独立して、H、あるいは置換または非置換のC
1-C
6アルキルであり、あるいは、R
11とR
12は一体となって、置換または非置換の5員、6員、7員、または8員の複素環を形成し、
R
14とR
15はそれぞれ独立して、H、あるいは置換または非置換のC
1-C
6アルキルであり、あるいは、R
14とR
15は一体となって、4員、5員、6員のシクロアルキル環を形成し、
R
8はそれぞれ独立してH、あるいは置換または非置換のC
1-C
6アルキルであり、
R
9はそれぞれ独立して、置換または非置換のC
1-C
6アルキルであり、
R
10はHまたはC
1-C
4アルキルであり、
mは2~6であり、および、
nは、0~4である、医薬組成物。
【請求項2】
R
2とR
3はそれぞれ独立して、H、-CN、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、またはC
2-C
7ヘテロシクロアルキルである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
R
2とR
3がそれぞれHである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
R
2とR
3は一体となって、5員または6員の複素環を形成する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
R
2とR
3は一体となって、5員の複素環を形成する、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
R
6は-(C(R
14)(R
15))
mN(R
11)(R
12)であり、R
14とR
15はそれぞれHである、請求項1~5のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項7】
R
11とR
12はそれぞれ独立して、H、あるいは置換または非置換のC
1-C
6アルキルである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
R
11とR
12はそれぞれ独立して、非置換のC
1-C
6アルキルである、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
R
11とR
12はそれぞれ-CH
3である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
mは2である、請求項1~9のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項11】
mは3である、請求項1~9のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項12】
R
10はHまたはCH
3である、請求項1~11のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項13】
R
5は置換または非置換のC
1-C
6アルキルである、請求項1~12のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項14】
R
5はCH
3である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
R
5はCH
2CH
3である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
R
4はH、ハロゲン、-CN、-NO
2、-OH、-OCF
3、-OCH
2F、-OCF
2H、-SR
8、-N(R
8)S(=O)
2R
9、-S(=O)
2N(R
8)
2、-S(=O)R
9、-S(=O)
2R
9、-C(=O)R
9、-CO
2R
8、-N(R
8)
2、-C(=O)N(R
8)
2、-N(R
8)C(=O)R
9、置換または非置換のC
1-C
6アルキル、あるいは置換または非置換のC
1-C
6アルコキシである、請求項1~15のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項17】
R
4はH、ハロゲン、-CN、-OH、-OCF
3、置換または非置換のC
1-C
6アルキル、あるいは置換または非置換のC
1-C
6アルコキシである、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
R
4はH、ハロゲン、-OCF
3、置換または非置換のC
1-C
6アルキル、あるいは置換または非置換のC
1-C
6アルコキシである、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項19】
R
4はハロゲンである、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項20】
R
1はそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-NO
2、-OH、-OCF
3、-OCH
2F、-OCF
2H、-SR
8、-N(R
8)S(=O)
2R
9、-S(=O)
2N(R
8)
2、-S(=O)R
9、-S(=O)
2R
9、-C(=O)R
9、-CO
2R
8、-N(R
8)
2、-C(=O)N(R
8)
2、-N(R
8)C(=O)R
9、置換または非置換のC
1-C
6アルキル、あるいは置換または非置換のC
1-C
6アルコキシである、請求項1~19のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項21】
R
1はそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-OH、-OCF
3、置換または非置換のC
1-C
6アルキル、あるいは置換または非置換のC
1-C
6アルコキシである、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
R
1はそれぞれ独立して、ハロゲン、-OCF
3、置換または非置換のC
1-C
6アルキル、置換または非置換のC
1-C
6アルコキシである、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項23】
R
1はそれぞれ独立して、ハロゲンである、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項24】
nは1である、請求項1~23のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項25】
nは0である、請求項1~19のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項26】
nは0であり、および、R
4はH、-CN、-NO
2、-OH、-OCF
3、-OCH
2F、-OCF
2H、-SR
8、-N(R
8)S(=O)
2R
9、-S(=O)
2N(R
8)
2、-S(=O)R
9、-S(=O)
2R
9、-C(=O)R
9、-CO
2R
8、-N(R
8)
2、-C(=O)N(R
8)
2、-N(R
8)C(=O)R
9、置換または非置換のC
1-C
6アルキル、置換または非置換のC
1-C
6アルコキシ、置換または非置換のC
1-C
6ヘテロアルキル、置換または非置換のC
2-C
7ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC
3-C
8シクロアルキル、置換または非置換のC
6-C
10アリール、あるいは置換または非置換のC
2-C
7ヘテロアリールである、請求項1~15のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項27】
R
4はH、-CN、-OH、-OCF
3、置換または非置換のC
1-C
6アルキル、あるいは置換または非置換のC
1-C
6アルコキシである、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
式(I)の化合物は、以下の構造:
【化2】
あるいは、その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグを有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項29】
1)第1の治療剤、2)第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物であって、前記第1の治療剤は、以下の構造:
【化3】
あるいは、その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグを有する、医薬組成物。
【請求項30】
前記第2の治療剤は、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤、血管拡張性失調症変異(ATM)キナーゼ阻害剤、毛細血管拡張性運動失調症およびRad3関連(ATR)キナーゼ阻害剤、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤、チェックポイントキナーゼ1(Chk1)阻害剤、シグナル伝達および転写活性化因子3(STAT3)阻害剤、ラパマイシンの機械的ターゲット(mTOR)阻害剤、あるいはヤヌスキナーゼ2(JAK2)阻害剤である、請求項1~29のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記第2の治療剤は上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤である、請求項1~30のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記第2の治療剤は血管拡張性失調症変異(ATM)キナーゼ阻害剤である、請求項1~30のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記第2の治療剤は毛細血管拡張性運動失調症およびRad3関連(ATR)キナーゼ阻害剤である、請求項1~30のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記第2の治療剤はポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤である、請求項1~30のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記第2の治療剤はサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤である、請求項1~30のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記第2の治療剤はチェックポイントキナーゼ1(Chk1)阻害剤である、請求項1~30のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記第2の治療剤はシグナル伝達および転写活性化因子3(STAT3)阻害剤である、請求項1~30のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記第2の治療剤はラパマイシンの機械的ターゲット(mTOR)阻害剤である、請求項1~30のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記第2の治療剤はヤヌスキナーゼ2(JAK2)阻害剤である、請求項1~30のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項40】
対象の癌またはダウン症候群を処置するための方法であって、請求項1~39のうちのいずれか1つの医薬組成物を、処置を必要としている前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項41】
前記疾患は癌である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記癌は、脳癌、多形性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、肺癌、乳癌、または白血病である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記疾患がダウン症候群である、請求項40に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2020年8月24日に出願された米国仮特許出願第63/069,472号の利益を主張するものであり、これは全体として引用によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
最新の脳腫瘍治療剤は患者の生存期間中央値を6か月しか延長できず、著しい全身毒性を引き起こす。この毒性は、認知、内分泌障害、および運動作用の観点から、生き残ったわずかな患者の深刻な長期間の病的状態の原因となる。現在、脳腫瘍は15か月の生存期間中央値で本質的には不治である。
【発明の概要】
【0003】
1つの態様では、1)第1の治療剤、2)第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物が本明細書に記載されており、第1の治療剤は、以下の構造を有する式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグであり、
【0004】
【化1】
式中、
R
1はそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-NO
2、-OH、-OCF
3、-OCH
2F、-OCF
2H、-SR
8、-N(R
8)S(=O)
2R
9、-S(=O)
2N(R
8)
2、-S(=O)R
9、-S(=O)
2R
9、-C(=O)R
9、-CO
2R
8、-N(R
8)
2、-C(=O)N(R
8)
2、-N(R
8)C(=O)R
9、置換または非置換のC
1-C
6アルキル、置換または非置換のC
1-C
6アルコキシ、置換または非置換のC
1-C
6ヘテロアルキル、置換または非置換のC
2-C
7ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC
3-C
8シクロアルキル、置換または非置換のC
6-C
10アリール、あるいは置換または非置換のC
2-C
7ヘテロアリールであり、あるいは、2つのR
1は一体となって、置換または非置換の複素環、あるいは置換または非置換の炭素環を形成し、
R
2とR
3はそれぞれ独立して、H、-CN、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、またはC
2-C
7ヘテロシクロアルキルであり、あるいは、R
2とR
3は一体となって、5員または6員の複素環を形成し、
R
4はH、ハロゲン、-CN、-NO
2、-OH、-OCF
3、-OCH
2F、-OCF
2H、-SR
8、-N(R
8)S(=O)
2R
9、-S(=O)
2N(R
8)
2、-S(=O)R
9、-S(=O)
2R
9、-C(=O)R
9、-CO
2R
8、-N(R
8)
2、-C(=O)N(R
8)
2、-N(R
8)C(=O)R
9、置換または非置換のC
1-C
6アルキル、置換または非置換のC
1-C
6アルコキシ、置換または非置換のC
1-C
6ヘテロアルキル、置換または非置換のC
2-C
7ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC
3-C
8シクロアルキル、置換または非置換のC
6-C
10アリール、あるいは置換または非置換のC
2-C
7ヘテロアリールであり、
R
5は、ハロゲン、-CN、-OH、-CF
3、置換または非置換のC
1-C
6アルキル、置換または非置換のC
1-C
6アルコキシ、置換または非置換のC
1-C
6ヘテロアルキル、置換または非置換のC
2-C
7ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC
3-C
8シクロアルキル、置換または非置換のC
6-C
10アリール、あるいは置換または非置換のC
2-C
7ヘテロアリールであり、
R
6は-(C(R
14)(R
15))
mN(R
11)(R
12)であり、
R
11とR
12はそれぞれ独立して、H、あるいは置換または非置換のC
1-C
6アルキルであり、あるいは、R
11とR
12は一体となって、置換または非置換の5員、6員、7員、または8員の複素環を形成し、
R
14とR
15はそれぞれ独立して、H、あるいは置換または非置換のC
1-C
6アルキルであり、あるいは、R
14とR
15は一体となって、4員、5員、6員のシクロアルキル環を形成し、
R
8はそれぞれ独立してH、あるいは置換または非置換のC
1-C
6アルキルであり、
R
9はそれぞれ独立して、置換または非置換のC
1-C
6アルキルであり、
R
10はHまたはC
1-C
4アルキルであり、
mは2~6であり、および、
nは、0~4である。
【0005】
1つの実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、R2とR3はそれぞれ独立して、H、-CN、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、またはC2-C7ヘテロシクロアルキルである別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、R2とR3はそれぞれHである別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、R2とR3は一体となって、5員または6員の複素環を形成する。別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、R2とR3は一体となって、5員の複素環を形成する。別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、R6は-(C(R14)(R15))mN(R11)(R12)であり、R14とR15はそれぞれHである。別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、R11とR12はそれぞれ独立して、H、あるいは置換または非置換のC1-C6アルキルである。別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、R11とR12はそれぞれ非置換のC1-C6アルキルである。別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、R11とR12はそれぞれ-CH3である。別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、mは2である。別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、mは3である。別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、R10はHまたはCH3である別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、R5は置換または非置換のC1-C6アルキルである。別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、R5はCH3である。別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、R5はCH2CH3である。別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、R4はH、ハロゲン、-CN、-NO2、-OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-SR8、-N(R8)S(=O)2R9、-S(=O)2N(R8)2、-S(=O)R9、-S(=O)2R9、-C(=O)R9、-CO2R8、-N(R8)2、-C(=O)N(R8)2、-N(R8)C(=O)R9、置換または非置換のC1-C6アルキル、あるいは置換または非置換のC1-C6アルコキシである。別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、R4はH、ハロゲン、-CN、-OH、-OCF3、置換または非置換のC1-C6アルキル、あるいは置換または非置換のC1-C6アルコキシである。別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、R4はH、ハロゲン、-OCF3、置換または非置換のC1-C6アルキル、あるいは置換または非置換のC1-C6アルコキシである。別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、R4はハロゲンである。別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、R1はそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-NO2、-OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-SR8、-N(R8)S(=O)2R9、-S(=O)2N(R8)2、-S(=O)R9、-S(=O)2R9、-C(=O)R9、-CO2R8、-N(R8)2、-C(=O)N(R8)2、-N(R8)C(=O)R9、置換または非置換のC1-C6アルキル、あるいは置換または非置換のC1-C6アルコキシである。別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、R1はそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-OH、-OCF3、置換または非置換のC1-C6アルキル、あるいは置換または非置換のC1-C6アルコキシである。別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、R1はそれぞれ独立して、ハロゲン、-OCF3、置換または非置換のC1-C6アルキル、置換または非置換のC1-C6アルコキシである。別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、R1はそれぞれ独立して、ハロゲンである。別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、nは1である。別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、nは0である。別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、nは0であり、R4はH、-CN、-NO2、-OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-SR8、-N(R8)S(=O)2R9、-S(=O)2N(R8)2、-S(=O)R9、-S(=O)2R9、-C(=O)R9、-CO2R8、-N(R8)2、-C(=O)N(R8)2、-N(R8)C(=O)R9、置換または非置換のC1-C6アルキル、置換または非置換のC1-C6アルコキシ、置換または非置換のC1-C6ヘテロアルキル、置換または非置換のC2-C7ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC3-C8シクロアルキル、置換または非置換のC6-C10アリール、あるいは置換または非置換のC2-C7ヘテロアリールである。別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、nは0であり、R4はH、-CN、-OH、-OCF3、置換または非置換のC1-C6アルキル、あるいは置換または非置換のC1-C6アルコキシである。別の実施形態では、医薬組成物は式(I)の化合物を含み、式(I)の化合物は、以下の構造、
【0006】
【化2】
あるいは、その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグを有する。
【0007】
別の態様では、1)第1の治療剤、2)第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物があり、第1の治療剤は、以下の構造、
【0008】
【化3】
あるいは、その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグを有する。
【0009】
前述の実施形態の別の実施形態では、医薬組成物は第2の治療剤を含み、第2の治療剤は、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤、血管拡張性失調症変異(ATM)キナーゼ阻害剤、毛細血管拡張性運動失調症およびRad3関連(ATR)キナーゼ阻害剤、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤、チェックポイントキナーゼ1(Chk1)阻害剤、シグナル伝達および転写活性化因子3(STAT3)阻害剤、ラパマイシンの機械的ターゲット(ラパマイシン標的タンパク質)(mTOR)阻害剤、あるいはヤヌスキナーゼ2(JAK2)阻害剤である。前述の実施形態の別の実施形態では、医薬組成物は第2の治療剤を含み、第2の治療剤は上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤である。前述の実施形態の別の実施形態では、医薬組成物は第2の治療剤を含み、第2の治療剤は血管拡張性失調症変異(ATM)キナーゼ阻害剤である。前述の実施形態の別の実施形態では、医薬組成物は第2の治療剤を含み、第2の治療剤は毛細血管拡張性運動失調症およびRad3関連(ATR)キナーゼ阻害剤である。前述の実施形態の別の実施形態では、医薬組成物は第2の治療剤を含み、第2の治療剤はポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤である。前述の実施形態の別の実施形態では、医薬組成物は第2の治療剤を含み、第2の治療剤はサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤である。前述の実施形態の別の実施形態では、医薬組成物は第2の治療剤を含み、第2の治療剤はチェックポイントキナーゼ1(Chk1)阻害剤である。前述の実施形態の別の実施形態では、医薬組成物は第2の治療剤を含み、第2の治療剤はシグナル伝達および転写活性化因子3(STAT3)阻害剤である。前述の実施形態の別の実施形態では、医薬組成物は第2の治療剤を含み、第2の治療剤はラパマイシンの機械的ターゲット(ラパマイシン標的タンパク質)(mTOR)阻害剤である。前述の実施形態の別の実施形態では、医薬組成物は第2の治療剤を含み、第2の治療剤はヤヌスキナーゼ2(JAK2)阻害剤である。
【0010】
他の態様では、対象の疾患を処置するための方法があり、上記方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される医薬組成物を投与する工程を含み、疾患は癌またはダウン症候群である。他の態様では、対象の疾患を処置するための方法があり、上記方法は、それを必要としている対象に、1)第1の治療剤、2)第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を投与する工程を含み、第1の治療剤は、本明細書に記載される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグであり、疾患は癌またはダウン症候群である。いくつかの実施形態では、対象の癌を処置するための方法があり、上記方法は、それを必要としている対象に、1)第1の治療剤、2)第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を投与する工程を含み、第1の治療剤は、本明細書に記載される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグである。いくつかの実施形態では、対象の癌を処置するための方法があり、上記方法は、それを必要としている対象に、1)第1の治療剤、2)第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を投与する工程を含み、第1の治療剤は、本明細書に記載される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグであり、癌は、脳癌、多形性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、肺癌、乳癌、または白血病である。いくつかの実施形態では、対象のダウン症候群を処置するための方法があり、上記方法は、それを必要としている対象に、1)第1の治療剤、2)第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を投与する工程を含み、第1の治療剤は、本明細書に記載される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグである。
【0011】
別の態様では、対象の癌またはダウン症候群を処置するための方法があり、上記方法は、それを必要としている対象に、1)第1の治療剤、2)第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を投与する工程を含み、第1の治療剤は、本明細書に記載される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグであり、第2の治療剤は、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤、血管拡張性失調症変異(ATM)キナーゼ阻害剤、毛細血管拡張性運動失調症およびRad3関連(ATR)キナーゼ阻害剤、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤、チェックポイントキナーゼ1(Chk1)阻害剤、シグナル伝達および転写活性化因子3(STAT3)阻害剤、ラパマイシンの機械的ターゲット(ラパマイシン標的タンパク質)(mTOR)阻害剤、あるいはヤヌスキナーゼ2(JAK2)阻害剤である。いくつかの実施形態では、対象の癌またはダウン症候群を処置するための方法があり、上記方法は、それを必要としている対象に、1)第1の治療剤、2)第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を投与する工程を含み、第1の治療剤は、本明細書に記載される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグであり、第2の治療剤は上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤である。いくつかの実施形態では、対象の癌またはダウン症候群を処置するための方法があり、上記方法は、それを必要としている対象に、1)第1の治療剤、2)第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を投与する工程を含み、第1の治療剤は、本明細書に記載される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグであり、第2の治療剤は血管拡張性失調症変異(ATM)キナーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態では、対象の癌またはダウン症候群を処置するための方法があり、上記方法は、それを必要としている対象に、1)第1の治療剤、2)第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を投与する工程を含み、第1の治療剤は、本明細書に記載される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグであり、第2の治療剤は毛細血管拡張性運動失調症およびRad3関連(ATR)キナーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態では、対象の癌またはダウン症候群を処置するための方法があり、上記方法は、それを必要としている対象に、1)第1の治療剤、2)第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を投与する工程を含み、第1の治療剤は、本明細書に記載される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグであり、第2の治療剤はポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤である。いくつかの実施形態では、対象の癌またはダウン症候群を処置するための方法があり、上記方法は、それを必要としている対象に、1)第1の治療剤、2)第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を投与する工程を含み、第1の治療剤は、本明細書に記載される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグであり、第2の治療剤はサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤である。いくつかの実施形態では、対象の癌またはダウン症候群を処置するための方法があり、上記方法は、それを必要としている対象に、1)第1の治療剤、2)第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を投与する工程を含み、第1の治療剤は、本明細書に記載される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグであり、第2の治療剤はチェックポイントキナーゼ1(Chk1)阻害剤である。いくつかの実施形態では、対象の癌またはダウン症候群を処置するための方法があり、上記方法は、それを必要としている対象に、1)第1の治療剤、2)第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を投与する工程を含み、第1の治療剤は、本明細書に記載される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグであり、第2の治療剤はシグナル伝達および転写活性化因子3(STAT3)阻害剤である。いくつかの実施形態では、対象の癌またはダウン症候群を処置するための方法があり、上記方法は、それを必要としている対象に、1)第1の治療剤、2)第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を投与する工程を含み、第1の治療剤は、本明細書に記載される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグであり、第2の治療剤はラパマイシンの機械的ターゲット(ラパマイシン標的タンパク質)(mTOR)阻害剤である。いくつかの実施形態では、対象の癌またはダウン症候群を処置するための方法があり、上記方法は、それを必要としている対象に、1)第1の治療剤、2)第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を投与する工程を含み、第1の治療剤は、本明細書に記載される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグであり、第2の治療剤はヤヌスキナーゼ2(JAK2)阻害剤である。
【0012】
別の態様では、癌またはダウン症候群の処置のための薬剤の製造における、1)第1の治療剤、2)第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物の使用であり、第1の治療剤は、本明細書に記載される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグである。
【0013】
他の本明細書に記載されている化合物、組成物、方法、および使用の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な記載から明白になる。しかしながら、詳細な記載と特定の例は特定の実施形態を示しているが、ほんの一例として与えられるにすぎず、本開示の精神と範囲内の様々な変化と修飾はこの詳細な記載から明白になることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1)第1の治療剤、2)第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物が本明細書で開示され、第1の治療剤は、本明細書に記載される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグである。さらに、1)本明細書に記載される式(I)の構造を有するOLIG2モジュレーターである第1の治療剤、2)上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤、血管拡張性失調症変異(ATM)キナーゼ阻害剤、毛細血管拡張性運動失調症およびRad3関連(ATR)キナーゼ阻害剤、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤、チェックポイントキナーゼ1(Chk1)阻害剤、シグナル伝達および転写活性化因子3(STAT3)阻害剤、ラパマイシンの機械的ターゲット(ラパマイシン標的タンパク質)(mTOR)阻害剤、あるいはヤヌスキナーゼ2(JAK2)阻害剤である第2の治療剤、ならびに、3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤、を含む、医薬組成物が本明細書に開示される。
【0015】
OLIG2生物学
本明細書に記載される式(I)または(II)の化合物は、神経性とGBM(多形神経膠芽腫)幹細胞転写リプレッサーOLIG2(例えば、ヒトについて、NM_005806、NP_005797)のモジュレーターまたは阻害剤である。OLIG2(本明細書ではOlig2とも書かれている)は乏突起膠細胞転写因子2である。このタンパク質はbHLH(塩基性ヘリックス・ループ・ヘリックス)ファミリーのメンバーである。bHLHファミリーは、ループによって接続される2つのアルファヘリックスを特徴とする構造モチーフを含む転写因子のファミリーである。bHLHドメインを含む転写因子は一般に二量体である。一般に、ヘリックスの1つは、DNAとの結合を促す塩基性アミノ酸残基を含んでいる。OLIG2は通常、非疾患状態で中枢神経系(CNS)に制限され、ここではOLIG2は前駆細胞運命の必要不可欠なレギュレーターである。OLIG2はE12またはE47タンパク質でホモ二量体化およびヘテロ二量体化することで、他の効果のなかでもp21遺伝子プロモーターと結合して抑制する。P21は幹細胞および腫瘍の抑制因子であり、OLIG2によって直接抑制される。P21は腫瘍抑制因子p53によって活性化される。p53は原発性のGBM患者のサンプルのほぼ70%において無傷の野性型形態で生じる。OLIG2は、すべてのびまん性神経膠腫において高発現し、CD133幹細胞マーカーに対して陽性であるGBM細胞の事実上100%で見られる。重要なことには、OLIG2は一般に正常な脳では見られず、T細胞白血病、黒色腫、肺癌、および乳癌などのように悪性でない限り、CNSの外側の組織でも見られない。他の神経または神経膠マーカー遺伝子も他の転写リプレッサーも乳癌との一貫したつながりを示すものはない。対照的に、膜受容体(EGFR、PDGFRなど)は患者の間では均一に発現せず、膜受容体を標的とすることに対する様々なアプローチはGBM処置では成功が限られている。
【0016】
びまん性の神経膠腫におけるOlig2の発現はこれらの腫瘍の形質転換幹細胞起源に起因する。患者のGBM中に存在する細胞の小コホートがとりわけCD133とネスチンを含む神経幹細胞マーカーを発現することが分かった。既存のGBMから単離したCD133(+)細胞は、マウスへ同所移植される際に、高腫瘍形成性である。1つの研究では、患者のGBMから抽出されたわずか100個ほどのCD133(+)細胞は、レシピエントマウスの脳へ移植されると侵襲性の腫瘍を生じさせたが、100,000個のCD133(-)GBM細胞は腫瘍を生成することができなかった。こうした発見物と一致しているため、GBMの著しく高い割合は、脳の中の神経幹細胞の胚領域に近接して生じ、つまり、神経幹細胞は悪性形質転換を経験し、胚領域から一定の距離移動し、GBMを確立する。
【0017】
GBM癌幹細胞(CSC)に関する別の重要な発見は、CD133(+)細胞が、CD133(-)細胞で構成される腫瘤よりも、GBMを処置するために使用される放射線や細胞毒性剤に対して著しく強い耐性を有しているということである。これは、従来の放射線/化学療法がGBM内にCSCを残し、これらの細胞が標的とされない限り、腫瘍は致死作用を伴って常によみがえるということを示唆している。さらに、GBMを生き残ったごくわずかな患者は、認知、内分泌腺の平衡、および他の機能の点で、化学毒性および放射線毒性により生涯を通して病的状態に苛まれる。
【0018】
Olig2はGBM CSC中で高発現するが、正常な脳では低レベルでしか発現せず、神経系の外側の組織では検出されない。Olig2阻害剤では従来の化学療法よりも優れた治療上のマージンが与えられることになる。低い全身毒性は、現在使用される処置のアプローチの場合よりも、GBMの長期的な臨床管理の方とはるかに適合するであろう。
【0019】
脳癌を抱える患者の死亡率が高いことから、脳癌は、男性、女性、および子どもにおける癌に関連する死亡原因である。原発性の脳腫瘍は実際に小児期の最も一般的な固形腫瘍であり、白血病に次いで癌による死亡原因の第2位である。最新の処置の毒性は、生存するわずかの患者において深刻な生涯続く病的状態をもたらす。小分子、すなわち、脳癌に効果的な低毒性で、経口で摂取可能な医薬品の開発は重要な進歩を意味することになる。さらに、上記化合物は、幹細胞により駆動され、Olig2を高発現する他の癌でも効果的なことがある。こうした癌はT細胞白血病、皮膚癌、小細胞肺癌、および乳癌を含む。さらに、こうした癌はしばしば脳に転移する。これは世界中で何百万もの患者に関係してくることになる。
【0020】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、神経膠芽腫や他の脳癌、つまり、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、および乏突起神経膠腫の生存と増殖に必要不可欠な転写因子であるOlig2を阻害する小分子がある。Olig2は主として脳で検出され、一般に神経系の外部では検出されず、神経膠芽腫腫瘍中で高発現する。このことは、Olig2の阻害が患者に対する毒性が比較的低いことを意味する。Olig2はさらに、黒色腫、肺癌、乳癌、およびT細胞白血病で過剰に発現し、したがって、Olig2阻害剤はこうした癌の処置にも適用可能なことがある。
【0021】
Olig2と同じくらい脳癌との一貫したつながりを示す転写因子またはマーカーは他になく、したがって、Olig2の阻害は神経膠芽腫中の他のシグナル伝達経路阻害剤に比較しても勝るとも劣らないはずである。Olig2は、その二量化ループのヒンジ領域がそのクラスの他のタンパク質(塩基性ヘリックス-ループ-ヘリックスタンパク質)と比較して一意的であるという点で、頑強な標的である。
【0022】
本明細書に記載されるOlig2標的阻害剤は、有効性と毒性の観点から一意的であると証明されるはずである。
【0023】
脳癌を処置するために使用される既存の薬剤、治療薬、および方法は、テモゾロミド(TMZ-Temodar)、放射線、シクロホスファミド、カルムスチン、カルボプラチン、および時々のアバスチンの補充を含む。これらはすべてごくわずかな効果しかない標準的な脳癌治療剤であり、毒性が非常に強い。脳腫瘍のための脳癌幹細胞阻害剤は現在、存在しない。
【0024】
別の態様では、OLIG2の活性を阻害する方法が提供される。上記方法は、有効量の本明細書で提供される化合物(例えば、式(I)または(II)の化合物)に、Olig2タンパク質を接触させる工程を含む。化合物は、本明細書で提供される式の構造(または、上記のその実施形態のいずれか)を有することもある。いくつかの実施形態では、Olig2タンパク質を阻害する方法は細胞内で行われる。したがって、特定の実施形態では、細胞内のOlig2の活性を阻害する方法が提供される。上記方法は、有効量の本明細書で提供される化合物に細胞を接触させる工程を含む。化合物は、本明細書で提供される式の構造(または、上記のその実施形態のいずれか)を有することもある。いくつかの実施形態では、細胞は前核生物または真核生物である。細胞は、真核生物(例えば、原生動物細胞、真菌細胞、植物細胞、または動物細胞)であってもよい。いくつかの実施形態では、細胞は、ヒト細胞、雌ウシ細胞、ブタ細胞、ウマ細胞、イヌ細胞、ネコ細胞、マウス細胞、またはラット細胞などの哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態では、細胞はヒト細胞である。細胞は臓器または生物の一部を形成することがある。特定の実施形態では、細胞は臓器または生物の一部を形成しない。
【0025】
別の態様では、細胞中のOlig2の活性を阻害する方法が提供される。上記方法は、本明細書で提供されるような化合物(例えば、式(I)および(II))に細胞を接触させる工程を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、Olig2の二量化ループのヒンジ領域と結合する。いくつかの実施形態では、化合物は、Olig2の二量化を阻害する。
【0026】
EGFR生物学
ヒト上皮増殖因子受容体(EGFRはHER-1またはErb-B1としても知られている)は、c-erbB癌原遺伝子によってコードされる170kDaの膜貫通型受容体であり、内因性チロシンキナーゼ活性を示す(Modjtahedi et al., Br. J. Cancer 73:228-235 (1996); Herbst and Shin, Cancer 94:1593-1611 (2002))。EGFRは、限定されないが、細胞増殖、分化、細胞生存、アポトーシス、血管新生、分裂促進、および転移を制御するシグナル伝達経路の活性化を含む、チロシンキナーゼ媒介性のシグナル伝達経路を介して多くの細胞プロセスを制御する(Atalay et al., Ann. Oncology 14:1346-1363 (2003); Tsao and Herbst, Signal 4:4-9 (2003); Herbst and Shin, Cancer 94:1593-1611 (2002); Modjtahedi et al., Br. J. Cancer 73:228-235 (1996))。
【0027】
EGFRの過剰発現は、膀胱、脳、頭頸部、膵臓、肺、乳房、卵巣、結腸、前立腺、および腎臓の癌を含む多くのヒトの悪性状態において報告されてきた。(Atalay et al., Ann. Oncology 14:1346-1363 (2003); Herbst and Shin, Cancer 94:1593-1611 (2002)、およびModjtahedi et al., Br. J. Cancer 73:228-235 (1996))。これらの疾患の多くにおいて、EGFRの過剰発現は、患者の予後不良と相関するか、関連している。EGFRはさらに、悪性細胞よりも一般的に低いレベルではあるが、正常な組織、特に、皮膚、肝臓、および胃腸管の上皮組織の細胞において発現する(Herbst and Shinを参照)。
【0028】
ATM生物学
ATMは、DNAの二本鎖切断(DSB)によって補充および活性化されるセリン/トレオニンプロテインキナーゼである。ATMは、DNA損傷チェックポイントの活性化を開始するいくつかの重要なタンパク質をリン酸化し、細胞周期の停止、DNA修復、またはアポトーシスへと導く。p53、CHK2、BRCA1、NBS1、およびH2AXを含むこれらの標的のいくつかは、腫瘍抑制因子である。ATMタンパク質は、そのカルボキシル末端領域に推定キナーゼドメインを有することからホスファチジルイノシトール(PI)3-キナーゼファミリーのメンバーである、350kDaのポリペプチドである。ATMは毛細血管拡張性運動失調症(AT)で変異した遺伝子の産物である。ATは、小脳変性症、放射線に対する細胞の極端な感受性、癌に対する素因を特徴とするヒトの希少な疾患である。すべてのAT患者はATM遺伝子(ATM)に変異を有している。他のほとんどのAT様疾患は、MRNタンパク質複合体をコードする遺伝子が欠けている。ATMタンパク質の1つの特徴は、二本鎖切断形成直後にキナーゼ活性が急激に上昇することである。ATの表現型の出現は、DNA修復、アポトーシス、G1/S、S内チェックポイントおよびG2/Mチェックポイント、遺伝子制御、翻訳開始、ならびにテロメア維持に関わるATMキナーゼの基質の範囲が広いことに起因する。したがって、ATMの欠損は、DNAの特定の種の損傷の修復に深刻な影響を及ぼし、不適切な修復から癌が生じる可能性がある。AT患者は乳癌のリスクが高く、これはDNA損傷後のATMによるBRCA1とその関連タンパク質の相互作用とリン酸化に起因するとされている。マントル細胞リンパ腫、T-ALL、非定型B細胞慢性リンパ球性白血病、およびT-PLLなどの特定の種類の白血病およびリンパ腫もATM欠陥と関連している。
【0029】
ATR生物学
ATR(ATMおよびRad3関連)キナーゼは、DNA損傷に対する細胞応答に関与するプロテインキナーゼである。ATRキナーゼは、ATM(血管拡張性失調症変異(ataxia telangiectasia mutated))キナーゼや他の多くのタンパク質と作用し、一般的にDNA損傷応答(「DDR」)と呼ばれるDNA損傷に対する細胞の応答を制御する。DDRはDNA修復を刺激し、生存を促進し、修復のための時間を提供する細胞周期チェックポイントを活性化することによって細胞周期の進行を遅らせる。DDRがないと、細胞はDNA損傷に対してより敏感になり、DNA複製などの内因性の細胞プロセス、または癌治療で一般に使われる外因性のDNA損傷剤によって引き起こされるDNA病変が原因で容易に死んでしまう。健康な細胞は、DDRキナーゼATRを含む、DNA修復のための多くの異なるタンパク質に頼ることができる。場合によっては、これらのタンパク質は、機能的に冗長なDNA修復プロセスを活性化することによって、互いを補うことができる。逆に、多くの癌細胞は、ATMシグナル伝達などDNA修復プロセスの一部に欠損を有しているため、ATRを残りの無傷のDNA修復タンパク質への高い依存度を示す。加えて、多くの癌細胞は活性化した癌原遺伝子を発現するか、主要な腫瘍抑制因子を欠いており、これによって、これらの癌細胞はDNA複製の位相が乱れやすく、その結果、DNA損傷を引き起こす可能性がある。ATRは、DNA複製の妨害に応答するDDRの重要な構成要素として関与している。その結果、これらの癌細胞は、健康な細胞よりも生存のためにATR活性に依存するようになる。したがって、ATR阻害剤は、健康な正常細胞よりも多くの癌細胞において細胞の生存に重要なDNA修復機構を遮断するため、癌治療に有用であり得る。(例えば、遺伝子欠失による)ATR機能の破壊は、DNA損傷剤の不在下および存在下の両方で、癌細胞死を促進することが示されている。このことは、ATR阻害剤が単剤としても、放射線療法や遺伝毒性化学療法に対する強力な増感剤としても有効であり得ることを示唆している。
【0030】
PARP生物学
ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)(ポリ(アデノシン5’-ジホスホ-リボース)ポリメラーゼまたはPARS(ポリ(ADP-リボース)合成酵素)とも呼ばれる)は、主にDNA修復とプログラム細胞死を含む多くの細胞プロセスに関与するタンパク質ファミリーの1つである。PARPは、対象となる4つのドメイン、DNA結合ドメイン、カスパーゼ切断ドメイン、自動修飾ドメイン、および触媒ドメインで構成される。DNA結合ドメインは、2つのジンクフィンガーモチーフで構成される。PARP酵素ファミリーのメンバーは、PARP-1、PARP-2、PARP-3、およびVault-PARP、ならびに、タンキラーゼ(TANKs)、例えば、TANK-1およびTANK-2で構成される。PARPは、DNA修復の促進、RNA転写の制御、細胞死の媒介、および免疫応答の制御において必須の役割を担っている。これらの作用により、PARP阻害剤は幅広い疾患の標的となっている。PARP阻害剤は、多くの疾患モデル、特に虚血再灌流障害、炎症性疾患、変性疾患のモデル、細胞毒性化合物の副作用からの保護、細胞毒性癌治療の増強において有効性を実証してきた。PARPはレトロウイルス感染症でも示されているため、阻害剤は抗レトロウイルス療法にも使用され得る。PARP阻害剤は、心筋梗塞、脳卒中、その他の神経外傷、臓器移植、眼、腎臓、腸、骨格筋の再灌流のモデルにおける虚血再灌流障害を予防するのに有効であった。阻害剤は、炎症性疾患、例えば、関節炎、痛風、炎症性腸疾患、MSやアレルギー性脳炎などのCNS炎症、敗血症、敗血症性ショック、出血性ショック、肺線維症、およびぶどう膜炎に有効であることが示されている。PARP阻害剤は、糖尿病(および合併症)やパーキンソン病を含む変性疾患の複数のモデルでも有益性を示している。PARP阻害剤は、アセトアミノフェンの過剰摂取による肝臓毒性、ドキソルビシンやプラチナベースの抗悪性腫瘍剤による心臓や腎臓の毒性、さらに硫黄マスタードに伴う皮膚損傷も改善することができる。様々な癌モデルにおいて、PARP阻害剤は、癌細胞のアポトーシスを増加させ、腫瘍の成長を抑制し、転移を減少させ、および腫瘍を有する動物の生存期間を延長することにより、放射線療法や化学療法を増強することが示されている。
【0031】
CDK生物学
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、重要な細胞機能を果たすセリン/トレオニンプロテインキナーゼのファミリーである。サイクリンは触媒的なCDKを活性化する制御サブユニットである。CDK1/サイクリンB1、CDK2/サイクリンA、CDK2/サイクリンE、CDK4/サイクリンD、およびCDK6/サイクリンDは、細胞周期進行の重要な制御因子である。CDKはさらに、転写、DNA修復、分化、老化、およびアポトーシスを制御する(Morgan, D. O., Annu. Rev. Cell. Dev. Biol., 13:261-291 (1997))。CDKの低分子阻害剤は、癌を治療するために開発されている(de Carcer, G. et al., Curr. Med. Chem., 14:969-85 (2007))。大量の遺伝学的証拠が、CDK、その基質、または制御因子が多くのヒトの癌と関連すると示されてきたことを裏付けている(Malumbres, M. et al, Nature Rev. Cancer, 1:222-231 (2001))。p16、p21、およびp27を含むCDKの内因性タンパク質阻害剤はCDK活性を阻害し、その過剰発現は前臨床モデルにおいて細胞周期の停止と腫瘍増殖の抑制をもたらす(Kamb, A., Curr. Top. Microbiolo. Immunol., 227:139-148 (1998))。CDKの低分子阻害剤は、心血管疾患、腎臓疾患、特定の感染症、および自己免疫疾患を含む異常な細胞増殖に起因する他の様々な疾患の治療にも使用され得る。細胞周期G1およびS期チェックポイントに関与する遺伝子(p53、pRb、p15、p16、およびサイクリンA、D、E、CDK2、ならびにCDK4)を含む細胞増殖経路は、血管形成術後のプラークの進行、狭窄、および再狭窄に関連している。CDK阻害剤タンパク質p21の過剰発現は、血管形成術後の血管平滑筋増殖および内膜過形成を阻害することが示されている(Chang, M. W. et al., J. Clin. Invest., 96:2260 (1995); Yang, Z-Y. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 93:9905 (1996))。一部のCDKの選択的阻害剤はまた、細胞周期進行の特定の期を阻害することによって、正常な未転移細胞を保護するために使用され得る(Chen, et al., J. Natl. Cancer Institute, 92:1999-2008 (2000))。細胞周期の異なる期を阻害する細胞毒性薬剤を使用する前に、選択的CDK阻害剤で前処理することによって、細胞毒性化学療法に伴う副作用を軽減し、治療ウィンドウを増大させる可能性がある。CDKの細胞タンパク質阻害剤(p16、p27、およびp21)の誘導により、阻害剤に反応する細胞ではパクリタキセルまたはシスプラチンを媒介とする細胞毒性に対する強い抵抗性が付与されるが、阻害剤に反応しない細胞ではそうではないことが示されている(Schmidt, M, Oncogene, 2001 20:6164-71)。CDK4とCDK6は、機能的に判別不可能な2つのサイクリンD依存性キナーゼである。これらは広く発現しており、造血器系統の細胞で高いレベルでの発現が観察される。CDK4/6は、レチノブラストーマタンパク質(Rb)をリン酸化することにより、細胞周期のG1-S移行を促進する。CDK4とCDK6のシングルノックアウトマウスは生存可能であり、ダブルノックアウトマウスは造血不全で出生前後に死亡する(Satyanarayana, A. et al., Oncogene, 28:2925-39 (2009); Malumbres, M. et al., Cell, 118:493-504 (2004))。強力な証拠が、癌の発生におけるサイクリンD-CDK4-p16INK4A-Rb経路の大きな関与を裏付けている(Malumbres, M. et al., Nature Rev. Cancer, 1:222-31 (2001))。Rbは、S期の開始に必要なE2Fタンパク質を隔離することで、G1での細胞周期を負に制御している。p16INK4Aは、CDK4/6細胞阻害剤のINK4ファミリーの主要メンバーである。Rbとp16INK4Aの遺伝子は、癌細胞でしばしば欠失または発現停止される腫瘍抑制因子である。さらに、CDK4、CDK6、およびサイクリンDは、血液悪性腫瘍や固形腫瘍で増幅されることが報告されている。CDK4の欠損または不活性化がマウス腫瘍モデルにおいて腫瘍の成長を阻害するという知見により、この経路の発癌における重要性がさらに裏付けられている(Yu, Q. et al., Cancer Cell, 9:23-32 (2006); Puyol, M. Cancer Cell, 18:63-73 (2010))。
【0032】
Chk1生物学
細胞周期チェックポイントは、DNA損傷チェックポイントシグナル伝達経路におけるATMおよび/またはATRの下流に位置する、細胞周期移行の順序およびタイミングを制御する制御経路である。この経路は、DNAの複製や染色体の分離などの重要な事象が高い忠実度で完了することを保証する。これらの細胞周期チェックポイントの制御は、多くの化学療法や放射線療法に対して腫瘍細胞がどのように反応するかを決定する重要な決定要因である。多くの有効な癌治療薬は、DNAに損傷を与えることで効果を発揮するが、しかしながら、これらの薬剤に対する耐性は、癌治療における重要な制限となっている。薬剤耐性のいくつかのメカニズムのうち、重要なものは、チェックポイント経路の重要な活性化の制御による細胞周期の進行の防止に起因する。これは、修復のための時間を確保するために細胞周期を停止させ、修復を促進するための遺伝子の転写を誘導し、それによって即時の細胞死を回避する。例えば、G2チェックポイントでのチェックポイント停止を無効にすることによって、DNA損傷によって誘発される腫瘍細胞死を相乗的に増強させ、耐性を回避することができることもある。ヒトChk-1は、ホスファターゼcdc25をセリン216でリン酸化することにより、細胞周期の停止を制御する役割を果たし、これはcdc2/サイクリンBの活性化を防ぎ、有糸分裂を開始することに関与し得る。したがって、Chk-1の阻害は、DNA修復が完了する前に有糸分裂を開始させ、それによって腫瘍細胞死を引き起こすことにより、DNA損傷剤を増強するはずである。
【0033】
JAK生物学
ヤヌスキナーゼ(JAK)は、細胞内でユビキタスに発現するタンパク質チロシンキナーゼである。JAKは、細胞表面受容体と相互作用する様々な細胞外因子によってトリガーされる膜シグナル伝達事象に関与している。JAKは、タンパク質チロシンキナーゼドメインを欠いているサイトカイン受容体の細胞質のシグナル伝達カスケードを開始する。シグナル伝達カスケードは、リガンド結合による表面受容体のオリゴマー化後に開始される。細胞質受容体結合型JAKが活性化され、その後、受容体鎖に沿ったチロシン残基がリン酸化される。これらのホスホチロシン残基は、シグナル伝達および転写活性化因子(STAT)タンパク質などの様々なSH2ドメイン含有トランスデューサータンパク質の標的である。STATは受容体鎖に結合した後、JAKタンパク質によってリン酸化され、二量体化され、核内に移動する。核内では、STATはサイトカイン制御遺伝子の発現を変化させる。
【0034】
哺乳類のJAK-2は、JAK-1、JAK-3、およびTYK-2も含むJAKキナーゼファミリーに属している。JAK-1、JAK-2、およびTYK-2は、ユビキタスに発現するが、JAK-3は造血細胞で優勢的に発現する。これらのキナーゼは約1150個のアミノ酸からなり、分子量は約120kDa~130kDaである。JAKキナーゼファミリーのアミノ酸配列は、高度に保存されたドメインの存在を特徴とする。これらのドメインとしては、JAKホモロジー(JH)ドメイン、チロシンキナーゼ機能を担うC末端ドメイン(JH1)、機能性キナーゼと高い類似性を示すが触媒活性を持たないチロシンキナーゼ様ドメイン(JH2)、および受容体の会合と非触媒活性に重要であるJH7~JH3)にまたがるN末端ドメインが挙げられる。N末端ドメインの機能は十分に確立されていないが、JH1ドメインに対する調節的な役割があり、したがって、触媒活性を調節していることを示すいくつかの証拠が存在する。
【0035】
JAK-2は、前立腺癌、結腸癌、卵巣癌、乳癌、黒色腫、白血病、およびその他の造血器悪性腫瘍などの多種多様なヒト癌において活性化される。加えて、JAK-2遺伝子の体細胞点突然変異は、古典的な骨髄増殖性疾患(MPD)や他の骨髄性疾患と高い関連性を持つことが確認されている。JAK-2活性の恒常的な活性化は、主にT-ALLに関連するTEL-JAK-2や、B-ALLおよびCMLに関連するPCM1-JAK-2などにおける造血器悪性腫瘍における染色体転座によっても引き起こされる。JAK/STAT経路の阻害、特にJAK-2活性の阻害は、STATのリン酸化の阻害に大きく起因する抗増殖作用とアポトーシス促進性作用をもたらすことが示されている。さらに、薬剤によるJAK-2活性の阻害、またはドミナントネガティブなJAK-2の発現は、細胞培養やインビボのヒト腫瘍異種移植片においてSTATのリン酸化を抑制することにより、腫瘍増殖を効果的にブロックし、アポトーシスを誘導する。
【0036】
mTOR生物学
ラパマイシンの機械的ターゲット(ラパマイシン標的タンパク質)(mTOR)は、脂質キナーゼ、PI3Kファミリーと配列類似性を持つ、セリン/トレオニンプロテインキナーゼファミリーである、ホスファチジルイノシトール-3キナーゼ関連キナーゼ(PIKKs)のファミリー内のキナーゼである。mTORはPI3K/AKT経路の下流エフェクターであり、mTORC1とmTORC2という二つの異なる多タンパク質複合体を形成する。この2つの複合体は、タンパク質パートナー、フィードバックループ、基質、および制御因子の別々のネットワークを有する。mTORC1は、mTORと、2つの正の制御サブユニット、raptorおよび哺乳類LST8(mLST8)と、2つの負の制御サブユニット、プロリンリッチAKT基質40(PRAS40)およびDEPTORとからなる。mTORC2は、mTOR、mLST8、mSin1、protor、rictor、およびDEPTORからなる。
【0037】
多くのヒト腫瘍は、mTORシグナル伝達の調節不全のために発生し、mTORの阻害剤に対して高い感受性を付与し得る。PI3K増幅/変異、PTEN機能喪失、AKT過剰発現、およびS6K1、4EBP1、およびeIF4E過剰発現のようなmTOR経路の複数の要素の調節不全が、多くのタイプの癌に関連している。
【0038】
STAT生物学
シグナル伝達および転写活性化因子(STAT)タンパク質は、サイトカイン、成長因子、および他のポリペプチドリガンドに対する正常な細胞応答を媒介する潜在性細胞質転写因子のファミリーとして、最初に発見された。STATの活性化は、増殖、分化、生存、発生、および炎症を含むサイトカインならびに成長因子誘発性の細胞および生物学的プロセスの媒介に重要な事象である。哺乳類では、STATファミリーのタンパク質の7つのメンバー、STAT1、2、3、4、5a、5b、および6が同定されている。ファミリーメンバーはすべて、N末端、コイルドコイル、DNA結合、Srcホモロジー2(SH2)、およびトランス活性化のドメインを含む6つの異なる構造ドメインを共有し、活性化の際にリン酸化される重要なチロシン(Tyr)残基をC末端(STAT3ではTyr705)で含有する。リン酸化によるSTATの活性化は、成長因子受容体チロシンキナーゼ、および細胞質キナーゼ、例えば、サイトカイン受容体関連ヤヌスキナーゼ(JAK)、およびSrcファミリーキナーゼによって媒介される。リン酸化は、相互のphosphoTyr(pTyr)-SH2ドメインの相互作用を介して2つの単量体間でSTAT:STAT二量体形成を誘導するが、不活性なSTAT単量体間の既存の複合体も検出されている。STATは細胞質から核に蓄積し、そこで、STATは特定のDNA応答要素に結合することにより、遺伝子の転写を仲介する。
【0039】
正常細胞におけるSTAT活性化の一過性の性質とは対照的に、多くのヒトの固形腫瘍および血液腫瘍はSTAT3活性を保有し、証拠は、異常なほど活性なSTAT3を腫瘍形成と強く関連付けている。多くの証拠が、成長と生存の調節障害、血管新生の促進、および腫瘍に対する宿主の免疫監視の抑制を裏付けている(Turkson J. Expert Opin Ther Targets. 2004; 8(5):409-22)。さらに、異常なSTAT3は浸潤と転移を促進し、それによって腫瘍の進行に寄与している(Turksonを参照)。現在、持続的に活性化するSTAT3は、腫瘍形成を促進する分子および生物学的な事象の主要制御因子として機能することが確立されている。したがって、遺伝学的または薬理学的アプローチによる異常なSTAT3活性の阻害は、インビトロでは腫瘍細胞の成長停止とアポトーシスを誘導し、インビボでは腫瘍退縮を誘導した。
【0040】
特定の用語
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、請求される主題が属する技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書の用語に複数の定義がある場合、この章の定義が優先される。本明細書で引用される特許、特許出願、公報、および公開されたヌクレオチド配列とアミノ酸配列(例えば、GenBankなどのデータベースで入手可能な配列)はすべて、参照により引用される。URLまたは他のそのような識別子またはアドレスについて言及される場合、こうした識別子を変更することができ、インターネット上の特定の情報は現れたり消えたりする場合があるが、同等な情報をインターネット検索により発見できることを理解されたい。これらに対する言及は、そのような情報の利用可能性と公共上の広まりを裏付けるものである。
【0041】
前述の一般的な記載と以下の詳細な説明は、単に典型的かつ例示的なものであり、請求される主題を限定するものではないことが理解される。本出願では、単数形の使用は、特に明記されない限り、複数形を含む。本明細書と添付の特許請求の範囲では、単数形「a」、「an」、および「the」は、他にその内容が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むということに留意されたい。本出願では、「または」の使用は、特に明記されない限り、「および/または」を意味する。さらに、「含むこと(including)」という用語の使用は、「含む(include)」、「含む(includes)」、「含まれる(included)」などの他の形態と同様、限定的なものではない。
【0042】
本明細書で使用される章の見出しは、構成上の目的のためにすぎず、記載される主題を限定すると解釈されるものではない。
【0043】
標準的な化学用語の定義は、限定されないが、Carey and Sundberg “ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4TH ED.” Vols.A(2000)and B(2001),Plenum Press,New York.を含む参考資料で見ることができる。特に指示がない限り、質量分析、NMR、HPCL、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術、および薬理学の従来の方法が使用された。
【0044】
特定の定義が提供されない限り、本明細書に記載される分析化学、有機合成化学、ならびに薬化学および製薬化学に関連して利用される専門語、およびそれらの検査法および検査技術は、当該技術分野で認識されているものである。標準的な技術は、化学合成、化学分析、薬剤の調製、製剤化、および、送達、ならびに、患者の処置に用いられ得る。標準的な技術は、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、および、組織の培養と形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)に使用され得る。反応および精製の技術は、例えば、メーカーの仕様書のキットを用いて、または、当該技術で一般に遂行されるように、もしくは、本明細書に記載されるように、行うことができる。前述の技術と手順は、一般に従来の方法で、ならびに、本明細書全体にわたって引用および議論される様々な一般的な文献と具体的な文献に記載されるように、行うことができる。
【0045】
本明細書に記載される方法および組成物は、本明細書に記載される特定の方法論、プロトコル、細胞株、構築物、および試薬に限定されず、したがって、変更され得ることを理解されたい。さらに、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態だけを記載することを目的としており、本明細書に記載される方法、化合物、組成物の範囲を制限することを意図していない。
【0046】
本明細書で用いられているように、C1-Cxは、C1-C2、C1-C3...C1-Cxを含んでいる。C1-Cxは、それが指定する(任意の置換基以外)部分を構成する炭素原子数を指す。
【0047】
「アルキル」基とは脂肪族炭化水素基を指す。アルキル基は、不飽和の単位を含むこともあれば、含まないこともある。アルキル部分は「飽和アルキル」基であってもよく、このことはそれが不飽和(つまり、炭素炭素二重結合または炭素炭素三重結合)の単位を含まないことを意味する。アルキル基はさらに「不飽和アルキル」部分であってもよく、このことはそれが少なくとも1単位の不飽和を含むことを意味する。アルキル部分は、飽和であれ不飽和であれ、分岐鎖、直鎖、または環状であってもよい。
【0048】
「アルキル」基は、1~12個の炭素原子を有し得る(本明細書ではいかなる場合も、「1~6」などの数的範囲は、指定された範囲の各々の整数を指し、例えば、「1~6個の炭素原子」は、アルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、および最大6個の炭素原子を含むものから成り得ることを意味するが、本定義は、数の範囲が指定されていない「アルキル」という用語の登場も含む)。本明細書に記載される化合物のアルキル基は「C1-C6アルキル」または同様の命名として指定されてもよい。ほんの一例として、「C1-C6アルキル」は、アルキル鎖中に1~6個の炭素原子があること、すなわち、アルキル鎖が、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソ-ペンチル、ネオ-ペンチル、ヘキシル、プロペン-3-イル(アリル)、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチルからなる群から選択される。アルキル基は置換型または非置換型であり得る。アルキル基は、構造によって、モノラジカルまたはジラジカル(つまり、アルキレン基)であり得る。
【0049】
「アルコキシ」は「-O-」アルキル」基を指し、アルキルは本明細書で定義される通りである。
【0050】
「アルケニル」という用語は、アルキル基の最初の2つの原子が、芳香族基の一部ではない二重結合を形成する、アルキル基の一種を指す。つまり、アルケニル基は、原子-C(R)=CR2で開始し、Rは、同じまたは異なり得る、アルケニル基の残りの部分を指す。アルケニル基の非限定的な例としては、-CH=CH2、-C(CH3)=CH2、-CH=CHCH3、-CH=C(CH3)2、および-C(CH3)=CHCH3が挙げられる。アルケニル部分は分岐鎖、直鎖、または環状であってもよい(いずれの場合でも、それは「シクロアルケニル」基として知られる)。アルケニル基は2~6個の炭素を有し得る。アルケニル基は置換型または非置換型であり得る。アルケニル基は、構造によっては、モノラジカルまたはジラジカル(すなわち、アルケニレン基)であり得る。
【0051】
「アルキニル」という用語は、アルキル基の最初の2つの原子が三重結合を形成する、アルキル基の一種を指す。つまり、アルキニル基は、原子-C≡C-Rで始まり、Rは、アルキニル基の残りの部分を指す。アルキニル基の非限定的な例としては、-C≡CH、-C≡CCH3、-C≡CCH2CH3、および-C≡CCH2CH2CH3が挙げられる。アルキニル部分の「R」部分は分岐鎖、直鎖、または環状であり得る。アルキニル基は2~6個の炭素を有し得る。アルキニル基は置換型または非置換型であり得る。アルキニル基は、構造によっては、モノラジカルまたはジラジカル(すなわち、アルキニレン基)であり得る。
【0052】
「アミノ」は-NH2基を指す。
【0053】
「アルキルアミン」または「アルキルアミノ」という用語は、-N(アルキル)xHy基を指し、アルキルは本明細書に定義される通りであり、xとyは、群x=1、y=1、およびx=2、y=0から選択される。x=2の場合、アルキル基は、それらが結合する窒素と一体となって、任意選択で環状の環系を形成することができる。「ジアルキルアミノ」は、-N(アルキル)2基を指し、アルキルは本明細書に定義される通りである。
【0054】
「芳香族」という用語は、4n+2π電子(nは整数である)を含有する、非局在化されたπ-電子系を有する平面環を指す。芳香族環は5、6、7、8、9、または9を超える原子から形成可能である。芳香族は任意選択で置換することができる。「芳香族」という用語は、アリール基(例えば、フェニル、ナフタレニル)とヘテロアリール基(例えば、ピリジニル、キノリニル)の両方を含んでいる。
【0055】
本明細書で使用されるように、「アリール」という用語は、環を形成する原子の各々が炭素原子である、芳香族環を指す。アリール環は5、6、7、8、9、または9を超える炭素原子によって形成可能である。アリール基は任意選択で置換可能である。アリール基の例としては、限定されないが、フェニルおよびナフタレニルが挙げられる。構造によっては、アリール基はモノラジカルまたはジラジカル(つまり、アリーレン基)であり得る。
【0056】
「炭素環」という用語は、環を形成する原子の各々が炭素原子である環を指す。炭素環はアリールまたはシクロアルキルでもよい。
【0057】
「カルボキシ」は-CO2Hを指す。いくつかの実施形態では、カルボキシ部分は、「カルボン酸バイオイソスター(bioisostere)」と取り替えられることもあり、これは、カルボン酸部分として類似した物理的および/または化学的な性質を示す官能基または部分を指す。カルボン酸バイオイソスターはカルボン酸基と同様の生物学的特性を有している。カルボン酸部分を含む化合物は、カルボン酸部分をカルボン酸バイオイソスターと交換することができ、カルボン酸を含む化合物と比較して、同様の物理的および/または生物学的特性を有し得る。例えば、一実施形態では、カルボン酸バイオイソスターは、カルボン酸基とほぼ同じ程度まで生理的なpHでイオン化することになる。カルボン酸バイオイソスターの例としては、限定されないが、以下を含む。
【0058】
【0059】
「シクロアルキル」という用語は、単環式または多環式の非芳香族ラジカルを指し、ここで、環を形成する原子(すなわち、骨格原子)の各々は炭素原子である。シクロアルキルは飽和されるか、または部分的に不飽和であり得る。シクロアルキルは芳香族環で縮合され得る(その場合、シクロアルキルは非芳香族環炭素原子を介して結合する)。シクロアルキル基は、3~10個の環状原子を有する基を含む。シクロアルキル基の例示的な例は、以下の部分を含むがこれらに限定されない。
【0060】
【0061】
「ヘテロアリール」または代替的に「ヘテロ芳香族」という用語は、窒素、酸素、および硫黄から選択された1つ以上の環ヘテロ原子を含むアリール基を指す。N含有「ヘテロ芳香族」または「ヘテロアリール」部分は、環の骨格原子の少なくとも1つが窒素原子である芳香族基を指す。多環式のヘテロアリール基は縮合されることもあれば、縮合されないこともある。ヘテロアリール基の実例となる例は以下の部分を含んでいる。
【0062】
【0063】
「ヘテロシクロアルキル」基または「ヘテロ脂環式」基とは、少なくとも1つの骨格環原子が窒素、酸素、および硫黄から選択されたヘテロ原子である、シクロアルキル基を指す。ラジカルはアリールまたはヘテロアリールで縮合され得る。非芳香族複素環ともしても表されるヘテロシクロアルキル基の例示的な例は、以下を含む。
【0064】
【化7】
ヘテロ脂環式という用語は、限定されないが、単糖類、二糖類、および少糖類を含む、炭水化物の環状形態もすべて含んでいる。別段の定めのない限り、ヘテロシクロアルキルは環に2~10個の炭素を有する。ヘテロシクロアルキル中の炭素原子の数を参照する際、ヘテロシクロアルキル中の炭素原子の数は、ヘテロシクロアルキルを構成する(ヘテロ原子を含む)原子(すなわち、ヘテロシクロアルキル環の骨格原子)の総数と同じではないことに留意する。
【0065】
「複素環」という用語は、少なくとも1つの骨格環原子が窒素、酸素、および硫黄から選択されるヘテロ原子である環を指す。複素環はヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルでもよい。
【0066】
「ハロ」または代替的に「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを意味する。
【0067】
「ハロアルキル」という用語は、1つ以上のハロゲンで置換されるアルキル基を指す。ハロゲンは同じこともあれば異なることもある。ハロアルキルの非限定的な例としては、-CH2Cl、-CF3、-CHF2、-CH2CF3、-CF2CF3、-CF(CH3)3などが挙げられる。
【0068】
「フルオロアルキル」および「フルオロアルコキシ」という用語は、1つ以上のフッ素原子で置換される、アルキル基とアルコキシ基をそれぞれ含む。フルオロアルキルの非限定的な例としては、-CF3、-CHF2、-CH2F、-CH2CF3、-CF2CF3、-CF2CF2CF3、-CF(CH3)3などが挙げられる。フルオロアルコキシ基の非限定的な例としては、-OCF3、-OCHF2、-OCH2F、-OCH2CF3、-OCF2CF3、-OCF2CF2CF3、-OCF(CH3)2などが挙げられる。
【0069】
「ヘテロアルキル」という用語は、1つ以上の骨格鎖原子が炭素以外の原子、例えば、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素、またはこれらの組み合わせから選択される、アルキルラジカルを指す。ヘテロ原子はヘテロアルキル基の任意の内部位置に置かれることもある。例としては、限定されないが、-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-CH2、-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-CH3、-CH2-NH-OCH3、-CH2-O-Si(CH3)3、-CH2-CH=N-OCH3、および-CH=CH-N(CH3)-CH3が挙げられる。加えて、最大で2つのヘテロ原子は、一例として、-CH2-NH-OCH3および-CH2O-Si(CH3)3など、連続的であってもよい。ヘテロ原子の数以外に、「ヘテロアルキル」は1~6個の炭素原子を有することがある。
【0070】
「結合」または「単結合」という用語は、結合によって連結された原子がより大きな下部構造の一部であると考えられるときの2つの原子間または2つの部分間の化学結合を指す。
【0071】
「部分」という用語は、分子の特定のセグメントまたは官能基を指す。化学部分は、分子に埋め込まれた、または分子に付加された化学物質と認識されることが多い。
【0072】
本明細書で使用されるように、単独で現れ、数の指定のない置換基「R」は、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合された)、およびヘテロシクロアルキルの中から選択される置換基を指す。
【0073】
「任意選択で置換される」または「置換される」という用語は、参照された基が、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、-OH、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、-CN、アルキン、C1-C6アルキルアルキン、ハロ、アシル、アシルオキシ、-CO2H、-CO2-アルキル、ニトロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、および、一置換と二置換のアミノ基(例えば、-NH2、-NHR、-N(R)2)を含むアミノ、ならびにそれらの保護された誘導体から個々に独立して選択された1つ以上の追加の基で置換されてもよいことを意味する。一例として、任意選択の置換基はLsRsであってもよく、各Lsは独立して、結合、-O-、-C(=O)-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)2-、-NH-、-NHC(O)-、-C(O)NH-、-S(=O)2NH-、-NHS(=O)2-、-OC(O)NH-、-NHC(O)O-、-(C1-C6アルキル)-、または-(C2-C6アルケニル)-から選択され、および、Rsはそれぞれ独立して、H、(C1-C6アルキル)、(C3-C8シクロアルキル)、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、およびC1-C6ヘテロアルキルから選択される。上記の置換基の保護誘導体を形成することができる保護基は、上のGreene and Wutsなどのソースで見られる。
【0074】
本明細書に記載される方法および製剤は、結晶形(多形体としても知られる)、式(I)または(II)の構造体を有する化合物の薬学的に許容可能な塩、ならびに同じタイプの活性を有するこれらの化合物の活性代謝物の使用を含む。いくつかの状況では、化合物は互変異性体として存在し得る。すべての互変異性体は、本明細書に示される化合物の範囲内に含まれる。加えて、本明細書に記載される化合物は、非溶媒和形態だけでなく、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を含む溶媒和形態で存在することができる。本明細書に提示される化合物の溶媒和形態も本明細書で開示されるものとみなされる。
【0075】
「キット」および「製品」という用語は同義語として使用される。
【0076】
「対象」または「患者」という用語は哺乳動物と非哺乳動物を包含する。哺乳動物の例は、限定されないが、以下の哺乳動物のクラスの任意のメンバーである、ヒト、チンパンジーなどのヒト以外の霊長類、ならびに他の類人猿およびサル種、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜、ウサギ、イヌ、およびネコなどの飼育動物、ラット、マウス、およびモルモットなどのげっ歯類を含む実験動物を含む。非哺乳動物の例は、限定されないが、鳥類、魚類などを含む。本明細書に提供される方法および組成物の1つの実施形態において、哺乳動物はヒトである。
【0077】
「疾患」または「疾病」という用語は、本明細書で提供される化合物または方法による処置が可能な患者または対象の状態または健康状態を指す。実施形態において、疾患は、Olig2または異常なOlig2活性に関連する(例えば、それらにより引き起こされる)疾患(例えば、脳癌、多形性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、肺癌、乳癌、白血病、またはダウン症候群)である。疾患、障害、または疾病の例は、限定されないが、脳癌、多形性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、肺癌、乳癌、白血病、ダウン症候群、結腸直腸癌、乳頭様甲状腺癌、肝細胞癌、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、前頭側頭型認知症、クロイツフェルト-ヤコブ病、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー症候群、プリオン病、神経変性疾患、癌、心血管疾患、高血圧症、X症候群、うつ病、不安、緑内障、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)または後天性免疫不全症候群(AIDS)、神経変性、アルツハイマー病、パーキンソン病、認知力改善、クッシング症候群、アジソン病、骨粗鬆症、虚弱、筋肉虚弱、炎症性疾患、変形性関節炎、関節リウマチ、喘息および鼻炎、副腎機能関連の病気、ウイルス感染、免疫不全、免疫調節、自己免疫疾患、アレルギー、創傷治癒、強迫行動、多剤耐性、中毒、精神病、食欲不振、カヘキシー、外傷後ストレス障害、手術後の骨折、医学的異化作用、主要な精神病性うつ病、軽度認知障害、精神病、認知症、高血糖症、ストレス障害、精神病治療薬により誘発される体重増加、せん妄、落ち込んだ患者の認知障害、ダウン症候群の個体の認知衰退、インターフェロン-アルファ治療に関連する精神病、慢性疼痛、胃食道逆流性疾患に関連する疼痛、産後精神病、産後うつ病、未熟児の神経学的障害、片頭痛、卒中、動脈瘤、脳動脈瘤(brain aneurysm)、脳動脈瘤(cerebral aneurysm)、脳発作、脳血管障害、虚血、血栓症、動脈塞栓症、出血、一過性脳乏血発作、貧血症、塞栓症、全身性の低潅流、静脈血栓症、関節炎、再潅流障害、皮膚疾患または疾病、ざ瘡、尋常性ざ瘡、毛孔性角化症、急性前骨髄性白血病、脱毛症、酒さ性ざ瘡、道化師様魚鱗癬、色素性乾皮症、角化症、神経芽細胞腫、進行性の化骨性線維異形成、湿疹、酒さ、日光による損傷(sun damage)、しわ、または表面的な疾病を含む。いくつかの例において、「疾患」または「疾病」は癌を指す。さらにいくつかの例において、「癌」は、ヒト癌および癌腫、肉腫、腺癌、リンパ腫、白血病などであり、固形癌およびリンパ癌、腎臓、乳房、肺、膀胱、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、胃、脳、頭頸部、皮膚、子宮、睾丸、神経膠腫、食道の癌、および肝細胞癌を含む肝臓の癌、B急性リンパ芽球性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(例えば、バーキット、小細胞型、および大細胞型のリンパ腫)を含むリンパ腫、ホジキンリンパ腫、白血病(AML、ALL、およびCMLを含む)、または多発性骨髄腫を含む。
【0078】
本明細書で使用されるように、「癌」という用語は、白血病、癌腫、および肉腫を含む、哺乳動物で見られる癌、新生物、または悪性腫瘍のすべての種を指す。本明細書で提供される化合物または方法により処置され得る典型的な癌は、甲状腺、内分泌系、脳、乳房、子宮頚、結腸、頭頸部、肝臓、腎臓、肺、非小細胞肺、黒色腫、中皮腫、卵巣、肉腫、胃、子宮、または髄芽細胞腫の癌を含む。追加の例は、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、多形性神経膠芽腫、卵巣癌、横紋筋肉腫、原発性血小板血症、原発性マクログロブリン血症、原発性脳腫瘍、癌、悪性膵臓インスリノーマ、悪性カルチノイド、膀胱癌、前癌状態の皮膚病変、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、神経芽細胞腫、食道癌、尿生殖器管癌、悪性高カルシウム血症、子宮内膜癌、副腎皮質癌、内分泌腺または外分泌膵臓の新生物、髄様甲状腺癌、甲状腺髄様癌、黒色腫、結腸直腸癌、乳頭様甲状腺癌、肝細胞癌、または前立腺癌を含む。
【0079】
「白血病」という用語は、造血器官の進行性の悪性疾患を広く表し、通常は白血球の異常な増殖および発達と、血液と骨髄におけるそれらの前駆体を特徴としている。白血病は通常、(1)急性または慢性疾患の持続時間および特徴、(2)関与する細胞のタイプ、すなわち脊髄性(骨髄性)、リンパ性(リンパ向性)、または単球性、および(3)白血病性または無白血性(亜白血病性)の血液における異常細胞の数の増加または非増加に基づいて、臨床的に分類される。本明細書で提供される化合物または方法により処置され得る典型的な白血病は、例えば、急性非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、非白血性白血病、白血球溶血性(leukocythemic)白血病、好塩基性白血病、芽細胞白血病、ウシ白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚白血病、幹細胞性白血病、好酸球性白血病、グロス白血病、有毛細胞白血病、血母細胞性(hemoblastic)白血病、血球芽細胞性白血病、組織球性白血病、幹細胞性白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、リンパ性白血病、リンパ様白血病、リンパ肉腫細胞性白血病、肥満細胞白血病、骨髄巨核性白血病、小骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄球性白血病、脊髄性顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ白血病、形質細胞性白血病、多発性骨髄腫、形質細胞性白血病、前骨髄性白血病、リーダー細胞性白血病、シリング白血病、幹細胞性白血病、亜白血性白血症、または未分化細胞性白血病を含む。
【0080】
「肉腫」という用語は通常、胎児結合組織のような物質から構成され、かつ、原線維性または均質な物質に埋め込まれた、ぎっしりと詰まった細胞で通常構成される、腫瘍を指す。本明細書に提供される化合物または方法により処置され得る肉腫は、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、骨肉腫、アバネシー肉腫(Abemethy’s sarcoma)、脂肪性肉腫(adipose sarcoma)、脂肪肉腫(liposarcoma)、胞状軟部肉種、エナメル上皮肉腫、ブドウ状肉腫、緑色腫肉腫、絨毛癌、胎児性肉腫、ウィルム腫瘍肉腫、子宮内膜肉腫、間質性肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、繊維芽細胞肉腫、巨細胞肉腫、顆粒球性肉腫、ホジキン肉腫、特発性の複数色素性出血性肉腫(idiopathic multiple pigmented hemorrhagic sarcoma)、B細胞の免疫芽球肉腫、リンパ腫、T細胞の免疫芽球肉腫、イエンセン肉腫、カポジ肉腫、クッパー星細胞肉腫、血管肉腫、白血肉腫、悪性間葉腫肉腫、傍骨肉腫、細網肉腫、ラウス肉腫、漿液嚢胞性肉腫、滑膜肉腫、または末梢血管拡張性肉腫を含む。
【0081】
「黒色腫」という用語は、皮膚と他の器官のメラニン細胞系から生じる腫瘍を意味するととらえられる。本明細書で提供される化合物または方法により処置され得る黒色腫は、例えば、末端性黒子性黒色腫、無色性黒色腫、良性若年性黒色腫、クラウドマン黒色腫、S91黒色腫、ハーディング-パッセー黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子由来黒色腫、悪性黒色腫、結節型黒色腫、爪下(subungal)黒色腫、または表在拡大型黒色腫を含む。
【0082】
「癌腫」という用語は、周囲の組織に浸透し、かつ転移を生じさせる傾向がある上皮細胞から構成された悪性新生物を指す。本明細書で提供される化合物または方法により処置され得る典型的な癌腫は、例えば、甲状腺髄様癌、家族性甲状腺髄様癌、細葉細胞癌、小葉癌、腺嚢癌腫、腺様嚢胞癌、腺癌(carcinoma adenomatosum)、副腎皮質の癌腫、細気管支肺胞上皮癌、肺胞上皮細胞癌、基底細胞癌、基底細胞癌、類基底細胞癌、基底扁平細胞癌、細気管支肺胞上皮癌、細気管支癌、気管支癌、大脳様癌腫、胆管細胞癌、絨毛癌、膠様癌、コメド癌、子宮体部癌、篩状癌、鎧状癌腫、皮膚癌、円柱状癌腫、円柱細胞癌、腺管癌、硬性癌、胎児性癌、脳様癌、類表皮癌、腺上皮癌、外向発育癌、潰瘍、線維癌、ゼラチン状癌腫(gelatiniforni carcinoma)、膠様癌、巨細胞癌、巨大細胞癌、腺癌、顆粒膜細胞癌腫、毛母組織癌、血様癌、肝細胞癌、ヒュルトレ細胞癌、硝子状癌、副腎様癌腫、小児胎児性癌、上皮内癌(carcinoma in situ)、表皮内癌、上皮内癌腫、Krompecher癌腫、Kulchitzky細胞癌、大細胞癌、レンズ様癌、レンズ状癌、脂肪腫様癌、リンパ上皮癌、髄様癌、髄様癌、黒色癌、軟性癌、粘液性癌腫、粘液分泌癌、粘液細胞癌、粘液性類表皮癌、粘液癌、粘液性癌、粘液腫状癌、上咽頭癌、燕麦細胞癌、骨化性癌、骨様癌腫、乳頭状癌、門脈周囲癌、前浸潤癌、有棘細胞癌腫、軟性癌、腎臓の腎細胞癌、予備細胞癌、肉腫様癌、シュナイダー癌腫、硬性癌、陰嚢癌、印環細胞癌、単純癌、小細胞癌、バレイショ状癌、回転楕円面細胞癌腫、紡錘体細胞癌、海綿様癌、扁平上皮癌(squamous carcinoma)、扁平上皮癌(squamous cell carcinoma)、ストリング癌腫(string carcinoma)、血管拡張癌、毛細血管拡張性癌腫、移行上皮癌、結節癌(carcinoma tuberosum)、結節癌(tuberous carcinoma)、疣状癌、または絨毛癌を含む。
【0083】
「異常なOlig2活性に関連する癌」(本明細書では「Olig2関連癌」とも呼ばれる)は、異常なOlig2活性(例えば、突然変異したOlig2遺伝子)により引き起こされる癌である。Olig2関連癌は、脳癌、多形性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、肺癌、乳癌、白血病、またはT細胞白血病を含み得る。
【0084】
「処置する」、「処置すること」、または、「処置」という用語は、本明細書で使用されるように、疾患または疾病を緩和するか、軽減するか、改善すること、追加の症状を防ぐこと、症状の根本的な原因を改善するか防ぐこと、疾患または疾病を阻害すること、例えば、疾患または疾病の進行を抑えること、疾患または疾病を和らげること、疾患または疾病の退行を引き起こすこと、疾患または疾病によって引き起こされた状態を和らげること、あるいは疾患または疾病の症状を予防的および/または治療的に止めることを含む。例えば、本明細書で提供される特定の方法は、癌の発生率を減少させること、および/または癌の寛解を引き起こすことにより癌の処置に成功する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される特定の方法は、ダウン症候群の発生率を減少させること、ダウン症候群の1つ以上の症状を減少させること、またはダウン症候群の1つ以上の症状の重症度を低下させることにより、ダウン症候群の処置に成功する。
【0085】
本明細書で使用されるように、特定の化合物または医薬組成物の投与による特定の疾患、障害、または疾病の症状の寛解とは、化合物または組成物の投与に起因または関連する可能性のある、重症度の任意の減少、発症の遅れ、進行の遅れ、または持続時間の短縮(永久的であれ一時的であれ)を指す。
【0086】
「調節する」という用語は、本明細書で使用されるように、ほんの一例として、標的の活性を阻害すること、または標的の活性を制限するか、減少させることを含む、標的タンパク質の活性を変化させるために、直接的または間接的に標的タンパク質と相互に作用することを意味する。
【0087】
本明細書で使用されるように、「モジュレーター」という用語は標的の活性を変化させる化合物を指す。例えば、モジュレーターは、モジュレーターがない状態での活性の大きさと比較して、標的の特定の活性の大きさの増加と減少を引き起こし得る。特定の実施形態では、モジュレーターは阻害剤であり、これは標的の1つ以上の活性の大きさを減少させる。特定の実施形態では、阻害剤は標的の1つ以上の活性を完全に防ぐ。いくつかの実施形態では、Olig2モジュレーターは、細胞におけるOlig2の活性を低下させる化合物である。いくつかの実施形態では、Olig2疾患モジュレーターは、Olig2に関連する疾患(例えば、癌またはダウン症候群)の1つ以上の症状の重症度を低下させる化合物である。
【0088】
本明細書に使用されるように、「標的活性」という用語は、モジュレーターによって調節することができる生物活性を指す。特定の典型的な標的活性としては、限定されないが、結合親和性、シグナル伝達、酵素活性、腫瘍増殖、炎症または炎症に関連するプロセス、および、疾患または疾病に関連する1つ以上の症状の改善が挙げられる。
【0089】
Olig2活性を「阻害する」、「阻害すること」、またはOlig2活性の「阻害剤」という用語は、本明細書で使用されるように、オリゴデンドロサイト転写因子2活性の阻害を指す。タンパク質-阻害剤相互作用に関して、この用語は、阻害剤(例えば、Olig2阻害剤またはOlig2阻害剤化合物)がない状態でタンパク質(例えば、Olig2転写因子)の活性または機能に対してタンパク質の活性または機能に負の影響を及ぼす(例えば、減らす)(例えば、Olig2により制御された遺伝子転写を減らす)ことを意味する。いくつかの実施形態では、阻害は、疾患または疾患の症状の減少を指す。いくつかの実施形態では、阻害は、シグナル伝達経路またはシグナル経路の活性の低下(例えば、Olig2による転写制御またはOlig2により調節された転写に関する経路の減少)を指す。ゆえに、阻害は、少なくとも部分的に、部分的に、または完全に、刺激を遮断し、活性化を減らし、防ぎ、または遅延させ、あるいは、シグナル伝達、酵素活性、またはタンパク質(例えば、Olig2)の量を不活性化し、脱感作し、または下方制御することを含む。いくつかの実施形態では、阻害はOlig2の阻害を指す。
【0090】
本明細書で使用されるように、製剤、組成物、または成分に関して「許容可能な」という用語は、処置されている対象の健康状態に対して持続的な有害効果がないことを意味する。
【0091】
「薬学的に許容可能」によって、本明細書で使用されるように、化合物の生物学的活性または特性を抑制せず、かつ、比較的無毒である担体または希釈剤などの材料を指し、つまり、上記材料は、望ましくない生物学的作用を引き起こすことなく、または、それが含まれる組成物の成分のいずれに対しても有害なやり方で相互作用することなく、個体に投与される。
【0092】
本明細書で使用されるような「薬学的な組み合わせ(pharmaceutical combination)」という用語は、1つを超える有効成分の混合または併用に起因し、かつ、有効成分の固定されたおよび固定されていない組み合わせを含む生成物を意味する。「固定された組み合わせ」という用語は、有効成分、例えば、式(I)または(II)の化合物と助剤の両方が、単一の実体または単回用量の形態で患者に同時投与されることを意味する。「固定されていない組み合わせ」という用語は、有効成分、例えば、式(I)または(II)の化合物と助剤が、特定の時間制限の介入なく、同時に、平行して、または順次、別々の実体として患者に投与されることを意味し、このような投与は患者の体に有効なレベルの2つの化合物を与える。後者の用語はカクテル療法、例えば、3つ以上の有効成分の投与にも当てはまる。
【0093】
「医薬組成物」という用語は、本明細書に記載される式(I)または(II)の化合物と、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、および/または賦形剤などの他の化学成分との混合物を指す。医薬組成物は、有機体への化合物の投与を促進する。化合物を投与する多くの技術が当該技術分野に存在し、限定されないが、静脈内、経口、エアロゾル、非経口、経眼、経肺、および局所的な投与を含む。
【0094】
「有効量」または「治療上有効量」という用語は、本明細書で使用されるように、処置されている疾患または疾病の症状の1つ以上をある程度まで軽減する、投与されている薬剤または化合物の十分な量を指す。その結果は、疾患の徴候、症状、または原因が減少および/または軽減され得るか、または、生物系の任意の他の所望の変化がもたらされ得る。例えば、治療用途の「有効量」は、疾患の症状を臨床的に有意に減少させるのに必要とされる本明細書に記載される式(I)または(II)の化合物を含む組成物の量である。任意の個体における適切な「有効」量は、用量漸増試験などの技術を使用して定められてもよい。
【0095】
「増強する(enhance)」または「増強すること(enhancing)」という用語は、本明細書で使用されるように、効力または持続時間のいずれかにおいて所望の効果を増加または延長させることを意味する。したがって、治療剤の効果を増強することに関して、「増強する」という用語は、効力または持続時間のいずれかにおいて、系に対する他の治療剤の効果を増加または延長させる能力を指す。「増強有効量」は、本明細書で使用されるように、望ましい系において別の治療剤の効果を増強するのに十分な量を指す。
【0096】
「接触すること」は、その単純な通常の意味に従って使用されるものであり、少なくとも2つの別の種(例えば、生体分子を含む化学化合物、または細胞)が、反応、相互作用、または物理的接触を行うのに十分に隣接することを可能にするプロセスを指す。しかしながら、結果として生じた反応生成物は、追加の試薬間の反応から、または、反応混合物中に生成され得る追加の試薬の1つ以上の中間体から、直接生成され得る。「接触すること」という用語は、2つの種が反応、相互作用、または物理的接触を行うのを可能にすることを含み、ここで、2つの種は、本明細書に記載されるような化合物、およびタンパク質または酵素(例えば、Olig2)であり得る。いくつかの実施形態では、タンパク質はOlig2でもよい。いくつかの実施形態では、「接触すること」は、本明細書に記載される化合物が、転写に関与するタンパク質または酵素と相互作用するのを可能にすることを含む。
【0097】
「同時投与」などの用語は、本明細書で使用されるように、一人の患者に対する選択された治療剤の投与を包含することを意味しており、同じまたは異なる投与経路によって、あるいは同じまたは異なる時間に、治療剤が投与される治療レジメンを含むことを意図している。
【0098】
「賦形剤」または「担体」という用語は、本明細書で使用されるように、細胞または組織への化合物の組み込みを促進する比較的に無毒な化学化合物または薬剤を表す。
【0099】
「希釈剤」という用語は、送達の前に所望の化合物を希釈するために使用される化合物を指す。希釈剤は、より安定した環境を提供できることから、化合物を安定させるために用いられることもある。(pHの制御または維持をもたらし得る)緩衝液中に溶解した塩は、限定されないが、リン酸緩衝生理食塩溶液を含む当該技術分野の希釈剤として利用される。
【0100】
本明細書で開示される化合物の「代謝物」は、化合物が代謝される際に形成されるその化合物の誘導体である。「活性代謝物」という用語は、化合物が代謝されるときに形成される化合物の生物学的に活性な誘導体を指す。「代謝される(metabolized)」という用語は、本明細書で使用されるように、有機体によって特定の物質が変化するプロセス(限定されないが、加水分解反応および酵素によって触媒される反応を含む)の合計を指す。したがって、酵素は、化合物への具体的な構造的変化をもたらし得る。例えば、シトクロムP450は、様々な酸化反応および還元反応を触媒する一方で、ウリジン二リン酸グルクロニルトランスフェラーゼは、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、カルボン酸、アミン、および遊離スルフヒドリル基への活性化グルクロン酸分子の移動を触媒する。代謝についてのさらなる情報は、The Pharmacological Basis of Therapeutics, 9th Edition, McGraw-Hill (1996)」から得られる。本明細書で開示される化合物の代謝物は、宿主への化合物の投与と宿主からの組織サンプルの解析により、または、肝細胞を用いた化合物のインビトロでのインキュベーションと得られた化合物の分析のいずれかによって、同定される。
【0101】
「バイオアベイラビリティ」とは、本明細書で開示される化合物(例えば、式(I)または(II)の化合物)の重量パーセントを指し、この化合物は、研究されている動物またはヒトの全身循環へ送達される。静脈内に投与時の薬物の完全な曝露(AUC(0-∞))は一般に100%生物学的に利用可能である(F%)と定義される。「経口バイオアベイラビリティ」とは、本明細書で開示される化合物が、静脈内注射と比較して、医薬組成物が経口で摂取される際に全身循環へ吸収される程度を指す。
【0102】
「血漿濃度」は、対象の血液の血漿成分内における本明細書で開示される式(I)または(II)の化合物の濃度を指す。本明細書に記載される化合物の血漿濃度は、代謝および/または他の治療薬との起こり得る相互作用に対する可変性ゆえに、対象間で著しく変動することがあることを理解されたい。本明細書で開示される1つの実施形態に合わせて、本明細書で開示される化合物の血漿濃度は対象ごとに変動することがある。同様に、最大血漿濃度(Cmax)、または最大血漿濃度(Tmax)に達する時間、または血漿濃度時間曲線(AUC(0-∞))下の総面積などの値は、対象ごとに変動することがある。この可変性ゆえに、化合物の「治療有効量」を構成するのに必要な量は、対象ごとに変動することがある。
【0103】
本明細書で使用されるように、「寛解」とは、疾患または疾病の改善、もしくは疾患または疾病に関連する症状の少なくとも部分的な緩和を指す。
【0104】
本明細書で使用されるように、「免疫細胞」は、免疫系の細胞、および免疫応答において機能または活動を実行する細胞を含み、限定されないが、T細胞、B細胞、リンパ球、マクロファージ、樹状細胞、好中球、好酸球、好塩基球、肥満細胞、形質細胞、白血球、抗原提示細胞、およびナチュラルキラー細胞を含む。
【0105】
化合物
Olig2モジュレーター
式(I)または(II)の構造を有するOlig2モジュレーター化合物が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、1)第1の治療剤、2)第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物が本明細書に記載され、第1の治療剤は、以下の構造を有する(I)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグであり、
【0106】
【化8】
式中、
R
1はそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-NO
2、-OH、-OCF
3、-OCH
2F、-OCF
2H、-SR
8、-N(R
8)S(=O)
2R
9、-S(=O)
2N(R
8)
2、-S(=O)R
9、-S(=O)
2R
9、-C(=O)R
9、-CO
2R
8、-N(R
8)
2、-C(=O)N(R
8)
2、-N(R
8)C(=O)R
9、置換または非置換のC
1-C
6アルキル、置換または非置換のC
1-C
6アルコキシ、置換または非置換のC
1-C
6ヘテロアルキル、置換または非置換のC
2-C
7ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC
3-C
8シクロアルキル、置換または非置換のC
6-C
10アリール、あるいは置換または非置換のC
2-C
7ヘテロアリールであり、あるいは、2つのR
1は一体となって、置換または非置換の複素環、あるいは置換または非置換の炭素環を形成し、
R
2とR
3はそれぞれ独立して、H、-CN、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、またはC
2-C
7ヘテロシクロアルキルであり、あるいは、R
2とR
3は一体となって、5員または6員の複素環を形成し、
R
4はH、ハロゲン、-CN、-NO
2、-OH、-OCF
3、-OCH
2F、-OCF
2H、-SR
8、-N(R
8)S(=O)
2R
9、-S(=O)
2N(R
8)
2、-S(=O)R
9、-S(=O)
2R
9、-C(=O)R
9、-CO
2R
8、-N(R
8)
2、-C(=O)N(R
8)
2、-N(R
8)C(=O)R
9、置換または非置換のC
1-C
6アルキル、置換または非置換のC
1-C
6アルコキシ、置換または非置換のC
1-C
6ヘテロアルキル、置換または非置換のC
2-C
7ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC
3-C
8シクロアルキル、置換または非置換のC
6-C
10アリール、あるいは置換または非置換のC
2-C
7ヘテロアリールであり、
R
5は、ハロゲン、-CN、-OH、-CF
3、置換または非置換のC
1-C
6アルキル、置換または非置換のC
1-C
6アルコキシ、置換または非置換のC
1-C
6ヘテロアルキル、置換または非置換のC
2-C
7ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC
3-C
8シクロアルキル、置換または非置換のC
6-C
10アリール、あるいは置換または非置換のC
2-C
7ヘテロアリールであり、
R
6は-(C(R
14)(R
15))
mN(R
11)(R
12)であり、
R
11とR
12はそれぞれ独立して、H、あるいは置換または非置換のC
1-C
6アルキルであり、あるいは、R
11とR
12は一体となって、置換または非置換の5員、6員、7員、または8員の複素環を形成し、
R
14とR
15はそれぞれ独立して、H、あるいは置換または非置換のC
1-C
6アルキルであり、あるいは、R
14とR
15は一体となって、4員、5員、6員のシクロアルキル環を形成し、
R
8はそれぞれ独立してH、あるいは置換または非置換のC
1-C
6アルキルであり、
R
9はそれぞれ独立して、置換または非置換のC
1-C
6アルキルであり、
R
10はHまたはC
1-C
4アルキルであり、
mは2~6であり、および、
nは、0~4である。
【0107】
別の実施形態では、R2とR3がそれぞれ独立してH、-CN、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、またはC2-C7ヘテロシクロアルキルである、式(I)の化合物である。別の実施形態では、R2とR3がそれぞれHである、式(I)の化合物がある。
【0108】
別の実施形態では、R2とR3がそれぞれ独立して、H、-CN、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、またはC2-C7ヘテロシクロアルキルであり、および、R2とR3の少なくとも1つがHではない、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R2がHであり、R3がC1-C4アルキルである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R2がHであり、R3がCH3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R2がHであり、R3がC3-C6シクロアルキルである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R2がHであり、R3がシクロプロピルである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R2がHであり、R3がシクロペンチルである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R2がCH3であり、R3がCH3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R2がC1-C4アルキルであり、R3がHである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R2がCH3であり、R3がHである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R2がC3-C6シクロアルキルであり、R3がHである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R2がシクロプロピルであり、R3がHである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R2がシクロペンチルであり、R3がHである、式(I)の化合物がある。
【0109】
別の実施形態では、R2とR3が一体となって、5員または6員の複素環を形成する、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R2とR3が一体となって、5員の複素環を形成する、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R2とR3が一体となって、6員の複素環を形成する、式(I)の化合物がある。
【0110】
別の実施形態では、nが0である、式(I)の化合物がある。
【0111】
別の実施形態では、R1がそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-NO2、-OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、-SR8、-N(R8)S(=O)2R9、S(=O)2N(R8)2、-S(=O)R9、-S(=O)2R9、-C(=O)R9、-CO2R8、-N(R8)2、-C(=O)N(R8)2、-N(R8)C(=O)R9、置換または非置換のC1-C6アルキル、置換または非置換のC1-C6アルコキシ、置換または非置換のC1-C6ヘテロアルキル、置換または非置換のC2-C7ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC3-C8シクロアルキル、置換または非置換のC6-C10アリール、あるいは置換または非置換のC2-C7ヘテロアリールである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R1がそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-OH、-CF3、置換または非置換のC1-C6アルキル、あるいは置換または非置換のC1-C6アルコキシである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R1がそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、置換または非置換のC1-C6アルキル、置換または非置換のC1-C6アルコキシ、置換または非置換のC1-C6ヘテロアルキル、置換または非置換のC2-C7ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC3-C8シクロアルキル、置換または非置換のC6-C10アリール、あるいは置換または非置換のC2-C7ヘテロアリールである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R1がそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、置換または非置換のC1-C6アルキル、あるいは置換または非置換のC1-C6アルコキシである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R1がそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、置換または非置換のC1-C6アルキル、あるいは置換または非置換のC1-C6アルコキシであり、nが3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R1がそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、置換または非置換のC1-C6アルキル、あるいは置換または非置換のC1-C6アルコキシであり、nが2である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが3であり、R1がそれぞれ独立してハロゲンである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが2であり、R1がそれぞれ独立してハロゲンである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが2であり、R1がそれぞれ独立してFまたはClである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが2であり、R1がそれぞれFである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが2であり、R1がそれぞれ独立してClである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが2であり、R1がそれぞれ独立して、ハロゲンまたは-CF3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが2であり、R1がそれぞれ独立してFまたは-CF3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが2であり、R1がそれぞれ独立してClまたは-CF3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1がハロゲンである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1がFである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1がClである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-CF3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が置換または非置換のC1-C6アルキルである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1がCH3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が置換または非置換のC1-C6アルコキシである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-OCH3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-OCF3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-OCF2Hである、式(I)の化合物がある。
【0112】
別の実施形態では、R4がそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-NO2、-OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、-SR8、-N(R8)S(=O)2R9、S(=O)2N(R8)2、-S(=O)R9、-S(=O)2R9、-C(=O)R9、-CO2R8、-N(R8)2、-C(=O)N(R8)2、-N(R8)C(=O)R9、置換または非置換のC1-C6アルキル、置換または非置換のC1-C6アルコキシ、置換または非置換のC1-C6ヘテロアルキル、置換または非置換のC2-C7ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC3-C8シクロアルキル、置換または非置換のC6-C10アリール、あるいは置換または非置換のC2-C7ヘテロアリールである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R1がそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-OH、-CF3、置換または非置換のC1-C6アルキル、あるいは置換または非置換のC1-C6アルコキシである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R1がそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、置換または非置換のC1-C6アルキル、置換または非置換のC1-C6アルコキシ、置換または非置換のC1-C6ヘテロアルキル、置換または非置換のC2-C7ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC3-C8シクロアルキル、置換または非置換のC6-C10アリール、あるいは置換または非置換のC2-C7ヘテロアリールである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R1がそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-CF3、置換または非置換のC1-C6アルキル、あるいは置換または非置換のC1-C6アルコキシである、式(I)の化合物がある。
【0113】
別の実施形態では、R4がH、ハロゲン、-CN、-NO2、-OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-SR8、-N(R8)S(=O)2R9、-S(=O)2N(R8)2、-S(=O)R9、-S(=O)2R9、-C(=O)R9、-CO2R8、-N(R8)2、-C(=O)N(R8)2、-N(R8)C(=O)R9、置換または非置換のC1-C6アルキル、あるいは置換または非置換のC1-C6アルコキシである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R4がH、ハロゲン、-CN、-OH、-OCF3、置換または非置換のC1-C6アルキル、あるいは置換または非置換のC1-C6アルコキシである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R4がHである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R4がハロゲンである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R4がFである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R4がClである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R4がBrである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R4が-CF3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R4が-OCF3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R4が-CH3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R4が-OCH3である、式(I)の化合物がある。
【0114】
別の実施形態では、nが0であり、R4がHである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが0であり、R4がハロゲンである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが0であり、R4がFである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが0であり、R4がClである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが0であり、R4がBrである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが0であり、R4が-CF3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが0であり、R4が-OCF3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが0であり、R4が-CH3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが0であり、R4が-OCH3である、式(I)の化合物がある。
【0115】
別の実施形態では、nが0であるとき、R4がハロゲンではない、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが0であり、R4がH、-CN、-NO2、-OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-SR8、-N(R8)S(=O)2R9、-S(=O)2N(R8)2、-S(=O)R9、-S(=O)2R9、-C(=O)R9、-CO2R8、-N(R8)2、-C(=O)N(R8)2、-N(R8)C(=O)R9、置換または非置換のC1-C6アルキル、置換または非置換のC1-C6アルコキシ、置換または非置換のC1-C6ヘテロアルキル、置換または非置換のC2-C7ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC3-C8シクロアルキル、置換または非置換のC6-C10アリール、あるいは置換または非置換のC2-C7ヘテロアリールである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが0であり、R4がH、-CN、-OH、-OCF3、置換または非置換のC1-C6アルキル、あるいは置換または非置換のC1-C6アルコキシである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが0であり、R4がH、-OCF3、置換または非置換のC1-C6アルキル、あるいは置換または非置換のC1-C6アルコキシである、式(I)の化合物がある。
【0116】
別の実施形態では、nが1であり、R1がClであり、R4がClである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-CH3であり、R4がClである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-OCH3であり、R4がClである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-CF3であり、R4がClである、式(I)の化合物である。別の実施形態では、nが1であり、R1が-OCF3であり、R4がClである、式(I)の化合物である。別の実施形態では、nが1であり、R1がClであり、R4がFである、式(I)の化合物である。別の実施形態では、nが1であり、R1が-CH3であり、R4がFである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-OCH3であり、R4がFである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-CF3であり、R4がFである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-OCF3であり、R4がFである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1がClであり、R4がHである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-CH3であり、R4がHである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-OCH3であり、R4がHである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-CF3であり、R4がHである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-OCF3であり、R4がHである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1がClであり、R4が-OCH3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-CH3であり、R4が-OCH3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-OCH3であり、R4が-OCH3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-CF3であり、R4が-OCH3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-OCF3であり、R4が-OCH3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1がClであり、R4が-OCF3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-CH3であり、R4が-OCF3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-OCH3であり、R4が-OCF3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-CF3であり、R4が-OCF3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-OCF3であり、R4が-OCF3である、式(I)の化合物がある。
【0117】
別の実施形態では、R6が-(C(R14)(R15))mN(R11)(R12)であり、mが2~5である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(C(R14)(R15))mN(R11)(R12)であり、mが2であり、R14とR15がそれぞれHである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mN(R11)(R12)であり、mが2であり、R11とR12がそれぞれHである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mN(R11)(R12)であり、mが2であり、R11が置換または非置換のC1-C6アルキルであり、R12がHである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mN(R11)(R12)であり、mが2であり、R11がCH3であり、R12がHである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mN(R11)(R12)であり、mが2であり、R11が置換または非置換のC1-C6アルキルであり、R12が置換または非置換のC1-C6アルキルである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mN(R11)(R12)であり、mが2であり、R11がCH3であり、R12がCH3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mN(R11)(R12)であり、mが2であり、R11とR12が一体となって、置換または非置換の5員、6員、7員、または8員の複素環を形成する、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mN(R11)(R12)であり、mが2であり、R11とR12が一体となって、置換または非置換の5員の複素環を形成する、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mN(R11)(R12)であり、mが2であり、R11とR12が一体となって、置換または非置換の6員の複素環を形成する、式(I)の化合物がある。
【0118】
別の実施形態では、R6が-(C(R14)(R15))mN(R11)(R12)である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(C(R14)(R15))mN(R11)(R12)であり、mが3であり、R14とR15がそれぞれHである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mN(R11)(R12)であり、mが3であり、R11とR12がそれぞれHである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mN(R11)(R12)であり、mが3であり、R11が置換または非置換のC1-C6アルキルであり、R12がHである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mN(R11)(R12)であり、mが3であり、R11がCH3であり、R12がHである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mN(R11)(R12)であり、mが3であり、R11が置換または非置換のC1-C6アルキルであり、R12が置換または非置換のC1-C6アルキルである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mN(R11)(R12)であり、mが3であり、R11がCH3であり、R12がCH3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mN(R11)(R12)であり、mが3であり、R11とR12が一体となって、置換または非置換の5員、6員、7員、または8員の複素環を形成する、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mN(R11)(R12)であり、mが3であり、R11とR12が一体となって、置換または非置換の5員の複素環を形成する、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mN(R11)(R12)であり、mが3であり、R11とR12が一体となって、置換または非置換の6員の複素環を形成する、式(I)の化合物がある。
【0119】
別の実施形態では、R10がHである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R10がC1-C4アルキルである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R10が-CH3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R10が-CH2CH3である、式(I)の化合物がある。
【0120】
別の実施形態では、R5がハロゲンである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R5が-CF3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R5が置換または非置換のC1-C6アルキルである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R5が-CH3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R5が-CH2CH3である、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R5が置換または非置換のC1-C6ヘテロアルキルである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R5が置換または非置換のC2-C7ヘテロシクロアルキルである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R5が置換または非置換のC3-C8シクロアルキルである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R5が置換または非置換のC6-C10アリールである、式(I)の化合物がある。別の実施形態では、R5が置換または非置換のC2-C7ヘテロアリールである、式(I)の化合物がある。
【0121】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、以下の構造を有する1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-(4-(3-(ジメチルアミノ)プロピルアミノ)-6-メチルピリミジン-2-イル)尿素である。
【0122】
【0123】
いくつかの実施形態では、1)第1の治療剤、2)第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物が本明細書に記載され、第1の治療剤は、以下の構造、あるいは、その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグを有する(II)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグであり、
【0124】
【化10】
式中、
R
1はそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-NO
2、-OH、-OCF
3、-OCH
2F、-OCF
2H、-CF
3、-SR
8、-N(R
8)S(=O)
2R
9、S(=O)
2N(R
8)
2、-S(=O)R
9、-S(=O)
2R
9、-C(=O)R
9、-CO
2R
8、-N(R
8)
2、-C(=O)N(R
8)
2、-N(R
8)C(=O)R
9、置換または非置換のC
1-C
6アルキル、置換または非置換のC
1-C
6アルコキシ、置換または非置換のC
1-C
6ヘテロアルキル、置換または非置換のC
2-C
7ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC
3-C
8シクロアルキル、置換または非置換のC
6-C
10アリール、あるいは置換または非置換のC
2-C
7ヘテロアリールであり、あるいは、2つのR
1は一体となって、置換または非置換の複素環、あるいは置換または非置換の炭素環を形成し、
R
2とR
3はそれぞれ独立して、H、-CN、C
1-C
4アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、またはC
2-C
7ヘテロシクロアルキルであり、あるいは、R
2とR
3は一体となって、5員または6員の複素環を形成し、
R
5は、ハロゲン、-CN、-OH、-CF
3、置換または非置換のC
1-C
6アルキル、置換または非置換のC
1-C
6アルコキシ、置換または非置換のC
1-C
6ヘテロアルキル、置換または非置換のC
2-C
7ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC
3-C
8シクロアルキル、置換または非置換のC
6-C
10アリール、あるいは置換または非置換のC
2-C
7ヘテロアリールであり、
R
6は、置換または非置換のC
2-C
7ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC
3-C
8シクロアルキル、置換または非置換のC
2-C
7ヘテロアリール、-(C(R
14)(R
15))
mR
21、または、
【0125】
【化11】
であり、
JはC(H)であり、
R
13は、H、置換または非置換のC
1-C
6アルキル、置換または非置換のC
2-C
7ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC
3-C
8シクロアルキル、置換または非置換の-C
1-C
4アルキルC
6-C
10アリール、あるいは置換または非置換の-C
1-C
4アルキルC
2-C
7ヘテロアリールであり、
R
14とR
15はそれぞれ独立して、H、あるいは置換または非置換のC
1-C
6アルキルであり、あるいは、R
14とR
15は一体となって、4員、5員、6員のシクロアルキル環を形成し、
R
21はハロゲン、-CN、-NO
2、-OH、-OCF
3、-OCHF、-OCF
2H、-CF
3、-SR
22、-N(R
22)S(=O)
2R
23、-S(=O)
2N(R
22)
2、-S(=O)R
23、-S(=O)
2R
23、-C(=O)R
23、-CO
2R
22、-C(=O)N(R
22)
2、-N(R
22)C(=O)R
23、置換または非置換のC
1-C
6アルコキシ、置換または非置換のC
1-C
6ヘテロアルキル、置換または非置換のC
2-C
7ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC
3-C
8シクロアルキル、置換されたC
6-C
10アリール、あるいは置換または非置換のC
2-C
7ヘテロアリールであり、
R
22はそれぞれ独立してH、あるいは置換または非置換のC
1-C
6アルキルであり、
R
23は置換または非置換のC
1-C
6アルキルであり、
R
8はそれぞれ独立してH、あるいは置換または非置換のC
1-C
6アルキルであり、
R
9はそれぞれ独立して、置換または非置換のC
1-C
6アルキルであり、
R
10はH、または非置換のC
1-C
4アルキルであり、
mは2~6であり、
nは0-5であり、
pは1-3であり、
qは1-3である。
【0126】
別の実施形態では、R6が置換または非置換のC3-C8シクロアルキルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が置換または非置換のシクロプロピルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が置換または非置換のシクロブチルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が置換または非置換のシクロペンチルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が置換または非置換のシクロヘキシルである、式(II)の化合物がある。
【0127】
別の実施形態では、R6が置換または非置換のC2-C7ヘテロアリールである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が置換または非置換のフラニル、チオフェニル、ピロリル、ピリジル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、インドリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ピラゾロピリジニル、イミダゾピリジニル、ピロロピリジニル、ピロロピリミジニル、インドリジニル、プリニル、フロピリジニル、チエノピリジニル、フロピロリル、フロフラニル、チエノフラニル、1,4-ジヒドロピロロピロリル、チエノピロリル、チエノチオフェニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、フロピラゾリル、チエノピラゾリル、セレノフェニル、セレナゾリル、またはベンゾイソオキサゾリルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が置換または非置換のピリジルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が置換されたピリジルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が非置換型のピリジルである、式(II)の化合物がある。
【0128】
別の実施形態では、R6が-(C(R14)(R15))mR21である、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(C(R14)(R15))mR21であり、R14とR15がそれぞれHである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(C(R14)(R15))mR21であり、mが2であり、R14とR15がそれぞれHである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mR21であり、mが2であり、R21が置換または非置換のC2-C7ヘテロシクロアルキルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mR21であり、mが2であり、R21が置換または非置換のC3-C8シクロアルキルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mR21であり、mが2であり、R21が置換されたC6-C10アリールである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mR21であり、mが2であり、R21が置換されたフェニルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mR21であり、mが2であり、R21が置換または非置換のC2-C7ヘテロアリールである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mR21であり、mが2であり、R21が-OHである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mR21であり、mが2であり、R21が-N(R22)S(=O)2R23である、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mR21であり、mが2であり、R21が-N(R22)C(=O)R23である、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mR21であり、mが2であり、R21が置換または非置換のC1-C6アルコキシである、式(II)の化合物がある。前述の実施形態の別の実施形態では、R22がそれぞれ独立して、H、または非置換型のC1-C6アルキルであり、および、R23が非置換型のC1-C6アルキルである、式(II)の化合物がある。
【0129】
別の実施形態では、R6が-(C(R14)(R15))mR21であり、mが3であり、R14とR15がそれぞれHである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mR21であり、mが3であり、R21が置換または非置換のC2-C7ヘテロシクロアルキルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mR21であり、mが3であり、R21が置換または非置換のC3-C8シクロアルキルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mR21であり、mが3であり、R21が置換されたC6-C10アリールである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mR21であり、mが3であり、R21が置換されたフェニルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mR21であり、mが3であり、R21が置換または非置換のC2-C7ヘテロアリールである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mR21であり、mが3であり、R21が-OHである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mR21であり、mが3であり、R21が-N(R22)S(=O)2R23である、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mR21であり、mが3であり、R21が-N(R22)C(=O)R23である、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が-(CH2)mR21であり、mが3であり、R21が置換または非置換のC1-C6アルコキシである、式(II)の化合物がある。前述の実施形態の別の実施形態では、R22がそれぞれ独立して、H、または非置換型のC1-C6アルキルであり、および、R23が非置換型のC1-C6アルキルである、式(II)の化合物がある。
【0130】
別の実施形態では、R6が置換または非置換のC2-C7ヘテロシクロアルキルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R6が
【0131】
【化12】
であり、JがC(H)である、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R
6が
【0132】
【化13】
であり、JがC(H)であり、pが1であり、qが1である、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R
6が
【0133】
【化14】
であり、JがC(H)であり、pが2であり、qが1である、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R
6が
【0134】
【化15】
であり、JがC(H)であり、pが3であり、qが1である、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R
6が
【0135】
【化16】
であり、JがC(H)であり、pが2であり、qが2である、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R
6が
【0136】
【化17】
であり、JがC(H)であり、pが1であり、qが1であり、R
13が置換または非置換のC
1-C
6アルキルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R
6が
【0137】
【化18】
であり、JがC(H)であり、pが2であり、qが1であり、R
13が置換または非置換のC
1-C
6アルキルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R
6が
【0138】
【化19】
であり、JがC(H)であり、pが3であり、qが1であり、R
13が置換または非置換のC
1-C
6アルキルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R
6が
【0139】
【化20】
であり、JがC(H)であり、pが2であり、qが2であり、R
13が置換または非置換のC
1-C
6アルキルである、式(II)の化合物がある。
【0140】
別の実施形態では、R5がハロゲンである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R5が-CF3である、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R5が置換または非置換のC1-C6アルキルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R5が-CH3である、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R5が-CH2CH3である、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R5が置換または非置換のC1-C6ヘテロアルキルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R5が置換または非置換のC2-C7ヘテロシクロアルキルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R5が置換または非置換のC3-C8シクロアルキルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R5が置換または非置換のC6-C10アリールである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R5が置換または非置換のC2-C7ヘテロアリールである、式(II)の化合物がある。
【0141】
別の実施形態では、R2とR3がそれぞれ独立してH、-CN、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、またはC2-C7ヘテロシクロアルキルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R2とR3がそれぞれHである、式(II)の化合物がある。
【0142】
別の実施形態では、R2とR3がそれぞれ独立してH、-CN、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、またはC2-C7ヘテロシクロアルキルであり、および、R2とR3の少なくとも1つがHではない、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R2がHであり、R3がC1-C4アルキルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R2がHであり、R3がCH3である、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R2がHであり、R3がC3-C6シクロアルキルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R2がHであり、R3がシクロプロピルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R2がHであり、R3がシクロペンチルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R2がCH3であり、R3がCH3である、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R2がC1-C4アルキルであり、R3がHである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R2がCH3であり、R3がHである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R2がC3-C6シクロアルキルであり、R3がHである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R2がシクロプロピルであり、R3がHである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R2がシクロペンチルであり、R3がHである、式(II)の化合物がある。
【0143】
別の実施形態では、R2とR3が一体となって、5員または6員の複素環を形成する、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R2とR3が一体となって、5員の複素環を形成する、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R2とR3が一体となって、6員の複素環を形成する、式(II)の化合物がある。
【0144】
別の実施形態では、nが0である、式(II)の化合物がある。
【0145】
別の実施形態では、R1がそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-NO2、-OH、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、-SR8、-N(R8)S(=O)2R9、-S(=O)2N(R8)2、-S(=O)R9、-S(=O)2R9、-C(=O)R9、-CO2R8、-N(R8)2、-C(=O)N(R8)2、-N(R8)C(=O)R9、置換または非置換のC1-C6アルキル、置換または非置換のC1-C6アルコキシ、置換または非置換のC1-C6ヘテロアルキル、置換または非置換のC2-C7ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC3-C8シクロアルキル、置換または非置換のC6-C10アリール、あるいは置換または非置換のC2-C7ヘテロアリールである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R1がそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-OH、置換または非置換のC1-C6アルキル、あるいは置換または非置換のC1-C6アルコキシである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R1がそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、置換または非置換のC1-C6アルキル、置換または非置換のC1-C6アルコキシ、置換または非置換のC1-C6ヘテロアルキル、置換または非置換のC2-C7ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のC3-C8シクロアルキル、置換または非置換のC6-C10アリール、あるいは置換または非置換のC2-C7ヘテロアリールである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R1がそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、置換または非置換のC1-C6アルキル、あるいは置換または非置換のC1-C6アルコキシである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R1がそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、置換または非置換のC1-C6アルキル、あるいは置換または非置換のC1-C6アルコキシであり、nが3である、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、R1がそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-OCF3、-OCH2F、-OCF2H、置換または非置換のC1-C6アルキル、あるいは置換または非置換のC1-C6アルコキシであり、nが2である、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、nが3であり、R1がそれぞれ独立してハロゲンである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、nが2であり、R1がそれぞれ独立してハロゲンである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、nが2であり、R1がそれぞれ独立してFまたはClである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、nが2であり、R1がそれぞれFである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、nが2であり、R1がそれぞれ独立してClである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1がハロゲンである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1がFである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1がClである、式(II)の化合物である。別の実施形態では、nが1であり、R1が置換または非置換のC1-C6アルキルである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1がCH3である、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が置換または非置換のC1-C6アルコキシである、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-OCH3である、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-OCF3である、式(II)の化合物がある。別の実施形態では、nが1であり、R1が-OCF2Hである、式(II)の化合物がある。
【0146】
別の実施形態では、
【0147】
【0148】
【化21-2】
から選択される化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグがある。
【0149】
様々な変数について上記の基の任意の組み合わせが本明細書において企図される。
【0150】
本明細書全体にわたって、安定した部分と化合物をもたらすように基とその置換基を選択することができる。
【0151】
EGFR阻害剤
式(I)または(II)の化合物である、第1の薬剤と組み合わせて使用されるEGFR阻害剤が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、セツキシマブ、パニツムマブ、バンデタニブ、ネシツムマブ、オシメルチニブ、テセバチニブ(tesevatinib)、ペリチニブ(pelitinib)、ロシリチニブ(rocilitinib)、およびJNJ2887から選択される。
【0152】
ATM阻害剤
式(I)または(II)の化合物である、第1の薬剤と組み合わせて使用されるATM阻害剤が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、ATM阻害剤は、KU-55933、KU-60019、ウォルトマンニン、トリン(torin)2、CP-466722、およびCGK-733から選択される。
【0153】
ATR阻害剤
式(I)または(II)の化合物である、第1の薬剤と組み合わせて使用されるATR阻害剤が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、ATR阻害剤は、ダクトリシブ(dactolisib)、VE-821、VE-822、ETP-46464、CGK-733、AZ-20、およびAZD-6738から選択される。
【0154】
PARP阻害剤
式(I)または(II)の化合物である、第1の薬剤と組み合わせて使用されるPARP阻害剤が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、PARP阻害剤は、ニラパリブ、イニパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、オロパリブ(oloparib)、ルカパリブ、CEP-9722、E7106、およびBGB-290から選択される。
【0155】
CDK4/6阻害剤
式(I)または(II)の化合物である、第1の薬剤と組み合わせて使用されるCDK4/6阻害剤が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、パルボシクリブ、アベマシクリブ、P1446A-05、リボシクリブ、R547、LY2835219、アルボシジブ(alvocidib)、PHA-793887、P276-00、AT7519、ミルシクリブ(milciclib)、SU9516、BMS-265246、JNJ-7706621、SNS-032、LDC000067、およびLEE011から選択される。
【0156】
Chk1阻害剤
式(I)または(II)の化合物である、第1の薬剤と組み合わせて使用されるChk1阻害剤が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、Chk1阻害剤は、CHIR-124、PF-477736、MK-8776、LY2603618、およびAZD7762から選択される。
【0157】
JAK2阻害剤
式(I)または(II)の化合物である、第1の薬剤と組み合わせて使用されるJAK2阻害剤が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、JAK2阻害剤は、ルキソリチニブ(ruxolitnib)、トファシチニブ、バリシチニブ、フィルゴチニブ、ガンドチニブ(gandotinib)、レスタウルチニブ、モメロチニブ、パクリチニブ(pacritinib)、ウパダシチニブ、フェドラチニブ(fedratinib)、セルデュラチニブ(cerdulatinib)、AZD1480、AZ 960、NVP-BSK805、CEP-33779、TG101209、WP1066、AG-490、GLPG0634、Go6976、LY2784544、およびAT9283から選択される。
【0158】
mTOR阻害剤
式(I)または(II)の化合物である、第1の薬剤と組み合わせて使用されるmTOR阻害剤が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、mTOR阻害剤は、ラパマイシン、テムシロリムス、エベロリムス、リダフォロリムス、トルキニブ(torkinib)、ボクスタリシブ(voxtalisib)、トリン(torin) 1、トリン 2、オミパリシブ(omipalisib)、アピトリシブ、ゲダトリシブ(gedatolisib)、ビスツセルチブ(vistusertib)、AZD8055、SF2523、CZ415、LY3023414、PI-103、KU-0063794、INK-128、OSI-027、PF-04691502、WYE-354、WYE-125132、WYE-687、BGT226、およびWAY-600から選択される。
【0159】
STAT3阻害剤
式(I)または(II)の化合物である、第1の薬剤と組み合わせて使用されるSTAT3阻害剤が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、STAT3阻害剤は、S3I-201、stattic、ニクロサミド、ナパブカシン、クリプトタンシノン、HO-3867、SH-4-54、LY5、C188-9、LLL12、およびSTX-0119から選択される。
【0160】
化合物のさらなる形態
本明細書に記載される化合物は、場合によっては、ジアステレオマー、エナンチオマー、または他の立体異性形態として存在することがある。本明細書で提示される化合物は、すべてのジアステレオマー形態、エナンチオマー形態、およびエピマー形態と、その適切な混合物とを含む。立体異性体の分離は、クロマトグラフィー、またはジアステレオマー形成、および再結晶化による分離、またはクロマトグラフィー、またはその任意の組み合わせによって実行可能である(Jean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, Racemates and Resolutions”, John Wiley And Sons, Inc., 1981、本開示のために参照により組み込まれる)。立体異性体は立体選択的な合成によっても得られることがある。
【0161】
状況によっては、化合物は互変異性体として存在することがある。互変異性体はすべて本明細書に記載される式内に含まれる。
【0162】
本明細書に記載される方法と組成物は、結晶形(多形体としても知られている)と同様に非晶質形の使用を含んでいる。本明細書に記載される化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態をしていることがある。同様に、同じタイプの活性を有するこうした化合物の活性代謝物は、本開示の範囲内に含まれている。加えて、本明細書に記載される化合物は、非溶媒和形態だけでなく、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を含む溶媒和形態で存在することができる。本明細書に提示される化合物の溶媒和形態も本明細書で開示されるものとみなされる。
【0163】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物はプロドラッグとして調製されてもよい。「プロドラッグ」は、インビボで親薬物に変換される薬剤を指す。プロドラッグは、状況によっては、親薬物よりも投与が簡単である場合があるため、しばしば有用である。プロドラッグは、例えば、経口投与により生物学的に利用可能であり得るが、親薬物はそうではない。プロドラッグはさらに、親薬物よりも医薬組成物中での溶解度が改善されている。プロドラッグの一例は、限定されないが、本明細書に記載される化合物となり、これは、水溶解性が移動度にとって有害である細胞膜での伝達を促すためにエステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、その後、水溶解性が有益な細胞の内部にいったん入ると、活性な部分であるカルボン酸へ代謝的に加水分解される。プロドラッグのさらなる例は、ペプチドが代謝されて活性部分があらわになる酸性基に結合した短鎖ペプチド(ポリアミノ酸)であってもよい。特定の実施形態では、インビボ投与後、プロドラッグは、化合物の生物学的、薬学的、または治療的に活性な形態に化学変換される。特定の実施形態では、プロドラッグは、化合物の生物学的、薬学的、または治療的に活性な形態へと1つ以上の工程またはプロセスによって酵素的に代謝される。
【0164】
プロドラッグを生成するために、薬学的に活性な化合物は、インビボ投与後に再生成されるように修飾される。プロドラッグは、薬の代謝性安定性または輸送特性を変えるか、副作用または毒性を覆うか、薬物の風味を改善するか、あるいは薬物の他の特徴または特性を変えるために、設計可能である。いくつかの実施形態では、薬力学的なプロセスとインビボでの薬物代謝についての知識のおかげで、いったん薬学的に活性な化合物が決定されると、化合物のプロドラッグが設計される。(例えば、Nogrady (1985) Medicinal Chemistry A Biochemical Approach, Oxford University Press, New York, pages 388-392; Silverman (1992), The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, Academic Press, Inc., San Diego, pages 352-401, Saulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985; Rooseboom et al., Pharmacological Reviews, 56:53-102, 2004; Miller et al., J. Med. Chem. Vol.46, no. 24, 5097-5116, 2003; Aesop Cho, “Recent Advances in Oral Prodrug Discovery”, Annual Reports in Medicinal Chemistry, Vol. 41, 395-407, 2006を参照)
【0165】
本明細書に記載される化合物のプロドラッグ形態(プロドラッグは本明細書で説明されるような式(I)または(II)の化合物を生成するためにインビボで代謝される)は、請求項の範囲内に含まれる。場合によっては、本明細書で記載される化合物のいくつかは、別の誘導体または活性化合物のプロドラッグであることがある。
【0166】
プロドラッグは、状況によっては、親薬物よりも投与するのが簡単なことがあるため、しばしば有用である。プロドラッグは、例えば、経口投与により生物学的に利用可能であり得るが、親薬物はそうではない。プロドラッグはさらに、親薬物よりも医薬組成物中での溶解度が改善されている。プロドラッグは、部位特異的な組織への薬物送達を増強する改質剤として使用されるために、可逆的な薬物誘導体として設計されることがある。いくつかの実施形態では、プロドラッグの設計は有効な水溶解性を増加させる。(例えば、Fedorak et al., Am. J. Physiol., 269:G210-218 (1995); McLoed et al., Gastroenterol, 106:405-413 (1994); Hochhaus et al., Biomed. Chrom., 6:283-286 (1992); J. Larsen and H. Bundgaard, Int. J. Pharmaceutics, 37, 87 (1987); J. Larsen et al., Int. J. Pharmaceutics, 47, 103 (1988); Sinkula et al., J. Pharm. Sci., 64:181-210 (1975); T. Higuchi and V. Stella, Pro-drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series、および、Edward B. Roche, Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987を参照。すべて上記開示のために本明細書に組み込まれる)。
【0167】
本明細書に記載される化合物の芳香族環部分上の部位は様々な代謝反応の影響を受けやすく、ゆえに、ほんの一例として、ハロゲンなどの芳香族環構造の適切な置換基の取り込みにより、この代謝経路を減少させるか、最小限に抑えるか、または取り除くことができる。
【0168】
本明細書に記載される化合物は同位体で(例えば、放射性同位元素で)標識されるか、あるいは、限定されないが、発色団または蛍光性部分、生物発光標識、光で活性化することができる標識、または化学発光標識の使用を含む他の手段によって標識されてもよい。
【0169】
1つ以上の原子が、通常は自然で見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子に置き換えられるという事実を別にすれば、本明細書に記載される化合物は、本明細書で提示される様々な式および構造で列挙されたものと同一である、同位体標識された化合物を含む。本化合物に組み込むことが出来る同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、硫黄、フッ素、および塩素の同位体を含み、例えば、それぞれ2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Clなどである。本明細書に記載される特定の同位体で標識された化合物、例えば、3Hや14Cなどの放射性同位体が取り込まれた化合物は、薬物および/または基材組織分布アッセイで有用である。さらに、重水素(つまり、2H)などの同位体を用いる置換は、例えば、インビボの半減期の増加または投与条件の減少などの、より大きな代謝性安定性に起因する特定の治療上の利点を与えることができる。通常、H原子を持つ化学化合物において、H原子は実際にHとDの混合物を表わし、約0.015%がDである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている重水素濃縮化合物は、重水素でのプロトン交換、または重水素で濃縮された出発物質および/または中間物を介するプロトン交換によって達成される。
【0170】
追加の実施形態またはさらなる実施形態では、本明細書に記載される化合物は、それを必要としている生物への投与時に代謝されることで代謝物が生成され、これを用いて望ましい治療効果を含む所望の効果が生み出される。
【0171】
本明細書に記載される化合物は、薬学的に許容可能な塩として形成されることもあれば、および/または、薬学的に許容可能な塩として使用されることもある。薬学的に許容可能な塩のタイプとしては、限定されないが、(1)化合物の遊離塩基形態を、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタリン酸などの薬学的に許容可能な無機酸と、または、有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-メチルビシクロ-[2.2.2]オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコペプトン酸、4,4’-メチレンビス-(3-ヒドロキシ-2-エン-1-カルボン酸)、3-フェニルプルピオン酸、トリメチル酢酸、3級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸、酪酸、フェニル酢酸、フェニル酪酸、バルプロ酸などと反応させることによって形成される酸付加塩、(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類イオン(例えば、マグネシウムまたはカルシウム)、またはアルミニウムイオンと取り替えられるときに形成される塩を含む。場合によっては、本明細書に記載される化合物は、限定されないが、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどの有機塩基と配位することもある。他の例では、本明細書に記載される化合物は、限定されないが、アルギニン、リジンなどのアミノ酸とともに塩を形成することがある。酸性プロトンを含む化合物とともに塩を形成するために使用される許容可能な無機塩基としては、限定されないが、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。
【0172】
薬学的に許容可能な塩に対する言及が溶媒付加形態またはその結晶形、とりわけ、溶媒和物または多形体を含むことを理解されたい。溶媒和物は化学量論または非化学量論量のいずれかの溶媒を含み、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を用いる結晶化のプロセスの間に形成されることがある。水和物は溶媒が水である場合に形成され、または、アルコラートは溶媒がアルコールである場合に形成される。本明細書に記載される化合物の溶媒和物は、本明細書に記載されるプロセスの間に都合よく調製または形成可能である。加えて、本明細書で提供される化合物は、溶媒和形態と同様に、非溶媒和形態でも存在し得る。一般的に、溶媒和形態は、本明細書で提供される化合物および方法の目的のため、非溶媒和形態と同等であるとみなされる。
【0173】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物、例えば、式(I)または(II)の化合物は、限定されないが、非晶質形、粉砕形状、およびナノ粒子形状を含む様々な形状で存在する。加えて、本明細書に記載される化合物は、多形体としても知られている結晶形を含んでいる。多形体は、化合物の同じ元素組成の異なる結晶充填配置を含む。多形体は通常、様々なX線回折パターン、融点、密度、硬度、水晶形状、光学的性質、安定性、および溶解性を有している。再結晶化溶媒、結晶速度、および保存温度などの様々な要因により、単結晶形が支配的になることがある。
【0174】
薬学的に許容可能な塩、多形体、および/または溶媒和物のスクリーニングおよび特徴づけは、限定されないが、熱分析、X線回折、分光法、蒸気収着、および顕微鏡検査法を含む様々な技術を駆使して実行されてもよい。熱分析方法は、限定されないが、多形遷移(polymorphic transitions)を含む熱化学分解または熱物理処理に対処しており、こうした方法は、多形体間の関係を分析するために、重量の損失を判定するために、ガラス転移温度を見つけるために、または賦形剤適合性研究のために使用される。上記方法は、限定されないが、示差走査熱量測定法(DSC)、変調示差走査熱量測定(MDCS)、熱重量分析法(TGA)、ならびに温度比重測定法および赤外分析法(Thermogravi-metric and Infrared analysis)(TG/IR)を含む。X線回折法は、限定されないが、単結晶および粉末回折計とシンクロトロン源を含む。使用される様々な分光器の技術は、限定されないが、Raman、FTIR、UV-VIS、およびNMR(液体と固体の状態)を含む。様々な顕微鏡検査法技術は、限定されないが、偏光顕微鏡法、エネルギー分散型X線分析(EDX)を含む走査電子顕微鏡(SEM)、(気体または水蒸気大気中の)EDXを含む環境制御型走査電子顕微鏡、IR顕微鏡検査法、およびRaman顕微鏡検査法を含む。
【0175】
本明細書全体にわたって、安定した部分と化合物をもたらすように基とその置換基を選択することができる。
【0176】
併用処置
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物は、OLIG2調節とEGFR阻害の組み合わせから利益を得ることになる哺乳動物における疾患、障害、または疾病の処置のために組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物は、OLIG2調節とATM阻害の組み合わせから利益を得ることになる哺乳動物における疾患、障害、または疾病の処置のために組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物は、OLIG2調節とATR阻害の組み合わせから利益を得ることになる哺乳動物における疾患、障害、または疾病の処置のために組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物は、OLIG2調節とPARP阻害の組み合わせから利益を得ることになる哺乳動物における疾患、障害、または疾病の処置のために組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物は、OLIG2調節とCDK4/6阻害の組み合わせから利益を得ることになる哺乳動物における疾患、障害、または疾病の処置のために組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物は、OLIG2調節とChk1阻害の組み合わせから利益を得ることになる哺乳動物における疾患、障害、または疾病の処置のために組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物は、OLIG2調節とJAK2阻害の組み合わせから利益を得ることになる哺乳動物における疾患、障害、または疾病の処置のために組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物は、OLIG2調節とmTOR阻害の組み合わせから利益を得ることになる哺乳動物における疾患、障害、または疾病の処置のために組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物は、OLIG2調節とSTAT3阻害の組み合わせから利益を得ることになる哺乳動物における疾患、障害、または疾病の処置のために組み合わせて使用される。
【0177】
処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載されるOLIG2モジュレーターである第1の治療剤、2)EGFR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)EGFR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)EGFR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法があり、癌は、脳癌、多形性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、肺癌、乳癌、または白血病である。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)EGFR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)EGFR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法があり、癌は、脳癌、多形性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、肺癌、乳癌、または白血病である。前述の方法のいくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、セツキシマブ、パニツムマブ、バンデタニブ、ネシツムマブ、オシメルチニブ、テセバチニブ(tesevatinib)、ペリチニブ(pelitinib)、ロシリチニブ(rocilitinib)、およびJNJ2887から選択される。
【0178】
処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載されるOLIG2モジュレーターである第1の治療剤、2)ATM阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)ATM阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)ATM阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法があり、癌は、脳癌、多形性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、肺癌、乳癌、または白血病である。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)ATM阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)ATM阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法があり、癌は、脳癌、多形性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、肺癌、乳癌、または白血病である。前述の方法のいくつかの実施形態では、ATM阻害剤は、KU-55933、KU-60019、ウォルトマンニン、トリン(torin)2、CP-466722、およびCGK-733から選択される。
【0179】
処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載されるOLIG2モジュレーターである第1の治療剤、2)ATR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)ATR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)ATR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法があり、癌は、脳癌、多形性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、肺癌、乳癌、または白血病である。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)ATR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)ATR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法があり、癌は、脳癌、多形性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、肺癌、乳癌、または白血病である。前述の方法のいくつかの実施形態では、ATR阻害剤は、ダクトリシブ(dactolisib)、VE-821、VE-822、ETP-46464、CGK-733、AZ-20、およびAZD-6738から選択される。
【0180】
処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載されるOLIG2モジュレーターである第1の治療剤、2)PARP阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)PARP阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)PARP阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法があり、癌は、脳癌、多形性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、肺癌、乳癌、または白血病である。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)PARP阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)PARP阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法があり、癌は、脳癌、多形性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、肺癌、乳癌、または白血病である。前述の方法のいくつかの実施形態では、PARP阻害剤は、ニラパリブ、イニパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、オロパリブ(oloparib)、ルカパリブ、CEP-9722、E7106、およびBGB-290から選択される。
【0181】
処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載されるOLIG2モジュレーターである第1の治療剤、2)CDK4/6阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)CDK4/6阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)CDK4/6阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法があり、癌は、脳癌、多形性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、肺癌、乳癌、または白血病である。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)CDK4/6阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)CDK4/6阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法があり、癌は、脳癌、多形性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、肺癌、乳癌、または白血病である。前述の方法のいくつかの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、パルボシクリブ、アベマシクリブ、P1446A-05、リボシクリブ、R547、LY2835219、アルボシジブ(alvocidib)、PHA-793887、P276-00、AT7519、ミルシクリブ(milciclib)、SU9516、BMS-265246、JNJ-7706621、SNS-032、LDC000067、およびLEE011から選択される。
【0182】
処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載されるOLIG2モジュレーターである第1の治療剤、2)Chk1阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)Chk1阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)Chk1阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法があり、癌は、脳癌、多形性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、肺癌、乳癌、または白血病である。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)Chk1阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)Chk1阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法があり、癌は、脳癌、多形性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、肺癌、乳癌、または白血病である。前述の方法のいくつかの実施形態では、Chk1阻害剤は、CHIR-124、PF-477736、MK-8776、LY2603618、およびAZD7762から選択される。
【0183】
処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載されるOLIG2モジュレーターである第1の治療剤、2)JAK2阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)JAK2阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)JAK2阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法があり、癌は、脳癌、多形性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、肺癌、乳癌、または白血病である。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)JAK2阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)JAK2阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法があり、癌は、脳癌、多形性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、肺癌、乳癌、または白血病である。前述の方法のいくつかの実施形態では、JAK2阻害剤は、ルキソリチニブ(ruxolitnib)、トファシチニブ、バリシチニブ、フィルゴチニブ、ガンドチニブ(gandotinib)、レスタウルチニブ、モメロチニブ、パクリチニブ(pacritinib)、ウパダシチニブ、フェドラチニブ(fedratinib)、セルデュラチニブ(cerdulatinib)、AZD1480、AZ 960、NVP-BSK805、CEP-33779、TG101209、WP1066、AG-490、GLPG0634、Go6976、LY2784544、およびAT9283から選択される。
【0184】
処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載されるOLIG2モジュレーターである第1の治療剤、2)mTOR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)mTOR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)mTOR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法があり、癌は、脳癌、多形性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、肺癌、乳癌、または白血病である。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)mTOR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)mTOR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法があり、癌は、脳癌、多形性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、肺癌、乳癌、または白血病である。前述の方法のいくつかの実施形態では、mTOR阻害剤は、ラパマイシン、テムシロリムス、エベロリムス、リダフォロリムス、トルキニブ(torkinib)、ボクスタリシブ(voxtalisib)、トリン(torin)1、トリン 2、オミパリシブ(omipalisib)、アピトリシブ、ゲダトリシブ(gedatolisib)、ビスツセルチブ(vistusertib)、AZD8055、SF2523、CZ415、LY3023414、PI-103、KU-0063794、INK-128、OSI-027、PF-04691502、WYE-354、WYE-125132、WYE-687、BGT226、およびWAY-600から選択される。
【0185】
処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載されるOLIG2モジュレーターである第1の治療剤、2)STAT3阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)STAT3阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)STAT3阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法があり、癌は、脳癌、多形性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、肺癌、乳癌、または白血病である。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)STAT3阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象における癌を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)STAT3阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法があり、癌は、脳癌、多形性神経膠芽腫、髄芽細胞腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、髄膜腫、乏突起神経膠腫、黒色腫、肺癌、乳癌、または白血病である。前述の方法のいくつかの実施形態では、STAT3阻害剤は、S3I-201、stattic、ニクロサミド、ナパブカシン、クリプトタンシノン、HO-3867、SH-4-54、LY5、C188-9、LLL12、およびSTX-0119から選択される。
【0186】
処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載されるOLIG2モジュレーターである第1の治療剤、2)EGFR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)EGFR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)EGFR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。前述の方法のいくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、セツキシマブ、パニツムマブ、バンデタニブ、ネシツムマブ、オシメルチニブ、テセバチニブ(tesevatinib)、ペリチニブ(pelitinib)、ロシリチニブ(rocilitinib)、およびJNJ2887から選択される。
【0187】
処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載されるOLIG2モジュレーターである第1の治療剤、2)ATM阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)ATM阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)ATM阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。前述の方法のいくつかの実施形態では、ATM阻害剤は、KU-55933、KU-60019、ウォルトマンニン、トリン(torin)2、CP-466722、およびCGK-733から選択される。
【0188】
処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載されるOLIG2モジュレーターである第1の治療剤、2)ATR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)ATR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)ATR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。前述の方法のいくつかの実施形態では、ATR阻害剤は、ダクトリシブ(dactolisib)、VE-821、VE-822、ETP-46464、CGK-733、AZ-20、およびAZD-6738から選択される。
【0189】
処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載されるOLIG2モジュレーターである第1の治療剤、2)PARP阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)PARP阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)PARP阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。前述の方法のいくつかの実施形態では、PARP阻害剤は、ニラパリブ、イニパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、オロパリブ(oloparib)、ルカパリブ、CEP-9722、E7106、およびBGB-290から選択される。
【0190】
処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載されるOLIG2モジュレーターである第1の治療剤、2)CDK4/6阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)CDK4/6阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)CDK4/6阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。前述の方法のいくつかの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、パルボシクリブ、アベマシクリブ、P1446A-05、リボシクリブ、R547、LY2835219、アルボシジブ(alvocidib)、PHA-793887、P276-00、AT7519、ミルシクリブ(milciclib)、SU9516、BMS-265246、JNJ-7706621、SNS-032、LDC000067、およびLEE011から選択される。
【0191】
処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載されるOLIG2モジュレーターである第1の治療剤、2)Chk1阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)Chk1阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)Chk1阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。前述の方法のいくつかの実施形態では、Chk1阻害剤は、CHIR-124、PF-477736、MK-8776、LY2603618、およびAZD7762から選択される。
【0192】
処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載されるOLIG2モジュレーターである第1の治療剤、2)JAK2阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)JAK2阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)JAK2阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。前述の方法のいくつかの実施形態では、JAK2阻害剤は、ルキソリチニブ(ruxolitnib)、トファシチニブ、バリシチニブ、フィルゴチニブ、ガンドチニブ(gandotinib)、レスタウルチニブ、モメロチニブ、パクリチニブ(pacritinib)、ウパダシチニブ、フェドラチニブ(fedratinib)、セルデュラチニブ(cerdulatinib)、AZD1480、AZ 960、NVP-BSK805、CEP-33779、TG101209、WP1066、AG-490、GLPG0634、Go6976、LY2784544、およびAT9283から選択される。
【0193】
処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載されるOLIG2モジュレーターである第1の治療剤、2)mTOR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)mTOR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)mTOR阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。前述の方法のいくつかの実施形態では、mTOR阻害剤は、ラパマイシン、テムシロリムス、エベロリムス、リダフォロリムス、トルキニブ(torkinib)、ボクスタリシブ(voxtalisib)、トリン(torin)1、トリン 2、オミパリシブ(omipalisib)、アピトリシブ、ゲダトリシブ(gedatolisib)、ビスツセルチブ(vistusertib)、AZD8055、SF2523、CZ415、LY3023414、PI-103、KU-0063794、INK-128、OSI-027、PF-04691502、WYE-354、WYE-125132、WYE-687、BGT226、およびWAY-600から選択される。
【0194】
処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載されるOLIG2モジュレーターである第1の治療剤、2)STAT3阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(I)の化合物である第1の治療剤、2)STAT3阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。いくつかの実施形態では、処置を必要としている対象におけるダウン症候群を処置する方法であって、1)本明細書に記載される式(II)の化合物である第1の治療剤、2)STAT3阻害剤である第2の治療剤、および3)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法がある。前述の方法のいくつかの実施形態では、STAT3阻害剤は、S3I-201、stattic、ニクロサミド、ナパブカシン、クリプトタンシノン、HO-3867、SH-4-54、LY5、C188-9、LLL12、およびSTX-0119から選択される。
【0195】
医薬組成物と投与方法
特定の実施形態では、式(I)または(II)の化合物である第1の治療剤、第2の治療剤、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物である第1の治療剤、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤、血管拡張性失調症変異(ATM)キナーゼ阻害剤、毛細血管拡張性運動失調症およびRad3関連(ATR)キナーゼ阻害剤、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤、チェックポイントキナーゼ1(Chk1)阻害剤、シグナル伝達および転写活性化因子3(STAT3)阻害剤、ラパマイシンの機械的ターゲット(ラパマイシン標的タンパク質)(mTOR)阻害剤、またはヤヌスキナーゼ2(JAK2)阻害剤である第2の治療剤、ならびに、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物がある。いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物である第1の治療剤、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤である第2の治療剤、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物がある。いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物である第1の治療剤、血管拡張性失調症変異(ATM)キナーゼ阻害剤である第2の治療剤、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物がある。いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物である第1の治療剤、毛細血管拡張性運動失調症およびRad3関連(ATR)キナーゼ阻害剤である第2の治療剤、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物がある。いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物である第1の治療剤、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤である第2の治療剤、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物がある。いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物である第1の治療剤、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤である第2の治療剤、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物がある。いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物である第1の治療剤、チェックポイントキナーゼ1(Chk1)阻害剤である第2の治療剤、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物がある。いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物である第1の治療剤、シグナル伝達および転写活性化因子3(STAT3)阻害剤である第2の治療剤、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物がある。いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物である第1の治療剤、ラパマイシンの機械的ターゲット(ラパマイシン標的タンパク質)(mTOR)阻害剤である第2の治療剤、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物がある。いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物である第1の治療剤、ヤヌスキナーゼ2(JAK2)阻害剤である第2の治療剤、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物がある。
【0196】
本明細書に記載される医薬組成物は、活性化合物を医薬的に使用することができる調剤(preparations)へと処理するのを促進する1つ以上の生理学的に許容可能な賦形剤を使用して、製剤化される。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。本明細書に記載されている医薬組成物の要約は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Twentysecond Ed (Pharmaceutical Press, 2012)、Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975、Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980、および、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed. (Lippincott Williams & Wilkins1999)に見られる。
【0197】
いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物である第1の治療剤、および第2の治療剤は、疾患の性質、患者の状態、および実際に使用する化合物の選択に応じて、同時的に(同時に、本質的に同時、または同じ治療プロトコル内で)、あるいは順次投与される。
【0198】
特定の実施形態では、投与の順序、および治療プロトコル中の各治療剤の投与の繰り返し回数の決定は、処置されている疾患および患者の状態の評価に基づく。
【0199】
特定の実施形態では、式(I)または(II)の化合物である第1の治療剤、および第2の治療剤は、同じ組成物の一部(固定された組み合わせ)である。いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物、および第2の治療剤は、異なる組成物(固定されていない組合せ)として投与される。別の実施形態では、式(I)または(II)の化合物は、第2の治療剤の前に投与される。いくつかの実施形態では、第2の治療剤は、式(I)または(II)の化合物の前に投与される。本発明の化合物および組成物が処置に有用である障害の多くは慢性障害であるため、一実施形態では、併用療法は、例えば、特定の薬物に関連する毒性を最小化するために、式(I)または(II)の化合物と第2の治療剤とを交互に投与することを含む。各治療剤の投与期間は1日、1週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、または1年であり得る。
【0200】
いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物の最初の投与は、例えば、静脈注射、ボーラス注入、5分~約5時間にわたる注入、丸薬、カプセル、経皮パッチ、口腔送達など、またはそれらの組み合わせなどのあらゆる実用的な経路を介して行われる。
【0201】
式(I)または(II)の化合物および第2の治療剤は、障害の発症が検出または疑われた後、実行可能となる限りできるだけ早く、および、疾患の処置に必要な期間、例えば、約1ヶ月~約3ヶ月、または個人の生涯を通じて継続的に投与しなければならない。処置の長さは、各対象について異なることがあり、この長さは既知の分類基準を使用して決定することができる。いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物、および第2の治療剤は、少なくとも2週間、約1ヶ月間~約5年間、または約1ヶ月間~約3年間投与される。いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物、および第2の治療剤は、個人の生涯を通じて投与される。
【0202】
治療有効量は、障害の重症度および経過、以前の治療、患者の健康状態、体重、および薬物に対する反応、および処置を行う医師の判断に依存する。予防的に有効量は、患者の容態、体重、疾患の重症度および経過、以前の治療、薬物に対する反応、および処置を行う医師の判断に依存する。
【0203】
いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物、および第2の治療剤は、定期的に、例えば、1日3回、1日2回、1日1回、1日おき、または3日おきに、患者に投与される。他の実施形態では、式(I)または(II)の化合物、および第2の治療剤は、断続的に、例えば、1日2回、その後1日1回、その後1日3回、または、毎週の最初の2日間、または、1週間の1日目、2日目、および3日目に患者に投与される。いくつかの実施形態では、断続的な投薬は標準的な投薬と同じくらい効果的である。さらなるまたは代替の実施形態では、式(I)または(II)の化合物、および第2の治療剤は、患者が特定の症状、例えば、疼痛の発症、または発熱の発症、または炎症の発症、または皮膚障害の発症を示す場合にのみ投与される。各化合物の投薬スケジュールは、それ以外のことに依存することもあれば、それ以外のこととは無関係なこともある。
【0204】
患者の症状が改善しない場合、医者の裁量に基づき、化合物の投与は、長期的に、すなわち、患者の障害の症状を回復させるためか、そうでなくとも抑制または制限するために、患者の生涯を通した期間を含む長期間、投与され得る。
【0205】
患者の状態が改善する場合、医者の裁量で、化合物は断続的に投与されてもよく、代替的に、投与されている薬物の用量は、一時的に減らされるか、または特定の長さにわたって一時的に止められてもよい(つまり「休薬日」)。休薬日の長さは、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、または365日を含む、2日~1年の間で変動し得る。休薬期間中の用量減少は、ほんの一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含んで、10%~100%であり得る。
【0206】
患者の状態の改善が起こったら、必要に応じて維持レジメンが投与される。その後、式(I)または(II)の化合物、および第2の治療剤の投与量または投与頻度、あるいはその両方を、症状に応じて、個体の改善された状態が保持されるレベルまで減少させることができる。しかし、個体は、任意の症状の再発後、断続的な処置を長期的に必要とすることがあり得る。
【0207】
式(I)または(II)の化合物、および第2の治療剤の量は、特定の化合物、障害およびその重症度、処置が必要とされている対象または宿主の独自性(例えば、体重)などの要因次第で異なり、例えば、投与されている特定の薬剤、投与経路、および処置されている対象または宿主を含む、症例の周囲の特定の状況に従って決定される。しかし、一般的には、成人の処置に利用される用量は典型的に、1日当たり0.02mg~5000mgの範囲内である。
【0208】
いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物の有効量は、約1mg~約1500mg、約1mg~約1400mg、約1mg~約1300mg、約1mg~約1200mg、約1mg~約1100mg、約1mg~約1000mg、1mg~約900mg、約1mg~約800mg、約1mg~約700mgである。いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物の有効量は、約1mg~約600mg、約1mg~約500mg、約1mg~約400mg、約1mg~約300mg、約1mg~約200mg、約1mg~約100mg、約1mg~約90mg、約1mg~約80mg、約1mg~約70mg、約1mg~約60mg、約1mg~約50mg、約1mg~約40mg、約1mg~約30mg、約1mg~約20mg、約1mg~約10mg、または約1mg~約5mgである。
【0209】
いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物の有効量は、約10mg~約1500mg、約20mg~約1500mg、約30mg~約1500mg、約40mg~約1500mg、約50mg~約1500mg、約60mg~約1500mg、約70mg~約1500mg、約80mg~約1500mg、約90mg~約1500mg、約100mg~約1500mg、約200mg~約1500mg、約300mg~約1500mg、約400mg~約1500mg、約500mg~約1500mg、約600mg~約1500mg、約700mg~約1500mg、約800mg~約1500mg、約900mg~約1500mg、約1000mg~約1500mg、約1100mg~約1500mg、約1200mg~約1500mg、約1300mg~約1500mg、または約1400mg~約1500mgである。いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物の有効量は、約10mg~約450mg、約10mg~約50mg、約50mg~約100mg、約100mg~約200mg、約200mg~約300mg、または約300mg~約450mgである。いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物の有効量は、約1mg~約100mg、約1mg~約5mg、約5mg~約10mg、約10mg~約25mg、約25mg~約50mg、約50mg~約75mg、または約75mg~約100mgである。いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物の有効量は、約10mg~約250mg、約10mg~約50mg、約50mg~約100mg、約100mg~約150mg、約150mg~約200mg、または約200mg~約250mgである。いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物の有効量は、約500mg~約1500mg、約500mg~約600mg、約600mg~約700mg、約700mg~約800mg、約800mg~約900mg、約900mg~約1000mg、約1000mg~約1200mg、または約1200mg~約1500mgである。
【0210】
いくつかの実施形態では、第2の治療剤の有効量は、約1mg~約1000mgである。いくつかの実施形態では、第2の治療剤の有効量は、約1mg、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約3.5mg、約4mg、約4.5mg、約5mg、約5.5mg、約6mg、約6.5mg、約7mg、約7.5mg、約8mg、約8.5mg、約9mg、約9.5mg、約10mg、約10.5mg、約11mg、約11.5mg、約12mg、約12.5mg、約13mg、約13.5mg、約14mg、約14.5mg、約15mg、約15.5mg、約16mg、約16.5mg、約17mg、約17.5mg、約18mg、約18.5mg、約19mg、約19.5mg、約20mg、約20.5mg、約21mg、約21.5mg、約22mg、約22.5mg、約23mg、約23.5mg、約24mg、約24.5mg、約25mg、約25.5mg、約26mg、約26.5mg、約27mg、約27.5mg、約28mg、約28.5mg、約29mg、約29.5mg、約30mg、約30.5mg、約31mg、約31.5mg、約32mg、約32.5mg、約33mg、約33.5mg、約34mg、約34.5mg、約35mg、約35.5mg、約36mg、約36.5mg、約37mg、約37.5mg、約38mg、約38.5mg、約39mg、約39.5mg、約40mg、約41mg、約42mg、約43mg、約44mg、約45mg、約46mg、約47mg、約48mg、約49mg、約50mg、約51mg、約52mg、約53mg、約54mg、約55mg、約56mg、約57mg、約58mg、約59mg、約60mg、約61mg、約62mg、約63mg、約64mg、約65mg、約66mg、約67mg、約68mg、約69mg、約70mg、約71mg、約72mg、約73mg、約74mg、約75mg、約76mg、約77mg、約78mg、約79mg、約80mg、約81mg、約82mg、約83mg、約84mg、約85mg、約86mg、約87mg、約88mg、約89mg、約90mg、約91mg、約92mg、約93mg、約94mg、約95mg、約96mg、約97mg、約98mg、約99mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、または約950mg、約1000mgである。特定の実施形態では、本項の用量のうち任意の2つを組み合わせて、本開示内に含まれる投与量の範囲を形成してもよく、例えば、第2の治療剤の有効量は、約2mg~約100mg、約10mg~約150mg、約50mg~約200mg、または約100mg~約300mgである。
【0211】
医療専門家が、様々な要因に従って投与レジメンを決定することが理解される。これらの要因としては、対象の年齢、体重、性別、食事、および医学的状態が挙げられる。
【0212】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)または(II)の化合物および第2の治療剤と、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、および/または賦形剤などの他の化学成分との混合物を指す。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式(I)または(II)の化合物と、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、および/または賦形剤などの他の化学成分とを指す。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、第2の治療剤と、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、および/または賦形剤などの他の化学成分とを指す。
【0213】
医薬組成物は、ほんの一例として、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、粉砕、乳化、カプセル化、封入、または圧縮のプロセスの手段などの従来の方法で、任意選択で製造される。
【0214】
特定の実施形態では、組成物はさらに、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、および塩酸などの酸、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、およびトリス-ヒドロキシメチルアミノメタンなどの塩基、ならびに、クエン酸塩/デキストロース、重炭酸ナトリウム、および塩化アンモニウムなどの緩衝剤を含む、1つ以上のpH調節剤または緩衝剤を含んでもよい。このような酸、塩基、および緩衝剤は、組成物のpHを許容可能な範囲で維持するのに必要な量で含まれる。
【0215】
他の実施形態では、組成物はさらに、組成物の重量モル浸透圧濃度を許容可能な範囲にするのに必要な量で1つ以上の塩を含んでもよい。こうした塩としては、ナトリウム、カリウム、またはアンモニウムのカチオン、および塩化物、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、または重亜硫酸塩のアニオンを有するものが挙げられ、適切な塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、および、硫酸アンモニウムを含む。
【0216】
本明細書に記載される医薬製剤は、限定されないが、経口、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)、鼻腔内、頬側、局所、直腸、または経皮の投与経路を含む任意の適切な投与経路によって投与される。
【0217】
本明細書に記載される医薬組成物は、限定されないが、処置される個体による経口摂取のための水性経口分散剤、液体、ゲル、シロップ、エリキシル剤、スラリー、懸濁液など、固体の経口投薬形態、エアロゾル、制御放出製剤、速溶解製剤、発泡性製剤、凍結乾燥された製剤、錠剤、粉末、丸剤、糖衣錠、カプセル、遅延放出製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、多重微粒子製剤、ならびに即時混合放出製剤と制御放出製剤を含む任意の適切な剤形に製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物はカプセルに製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は溶液(例えば、IV投与用)に製剤化される。
【0218】
本明細書に記載される医薬組成物は、正確な投与量の単回投与に適した単位剤形に製剤化される。単位剤形において、製剤は、適量の1つまたは両方の化合物を含む単位用量に分割される。単位投与量は、製剤の離散量を含む包装の形態であってもよい。非限定的な例は、包装された錠剤またはカプセル、および、バイアルまたはアンプル中の粉末である。水性懸濁液組成物は単回用量用の再密閉できない容器で包むことができる。代替的に、複数回用量用の再密閉できる容器を使用することができ、この場合、組成物中に保存剤を含むことが典型的である。ほんの一例として、非経口注入のための製剤は単位剤形中で提示されてもよく、これは、追加の保存剤と共に、限定されないが、アンプル、または複数回用量用の容器を含む。
【0219】
本明細書に記載される薬学的な固形剤形は任意選択で、本明細書に記載される化合物、および、互換性をもつ担体、結合剤、充填剤、懸濁化剤、香味料、甘味剤、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、潤滑剤、着色剤、希釈剤、可溶化剤、湿潤剤(moistening agent)、可塑剤、安定剤、浸透促進剤、湿潤剤(wetting agent)、消泡剤、酸化防止剤、保存剤、またはこれらの1つ以上の組み合わせなどの1つ以上の薬学的に許容可能な添加剤を含む。
【0220】
さらに別の態様では、Remington’s Pharmaceutical Sciences,20th Edition(2000)に記載されるものなどの標準的なコーティング手順を使用して、フィルムコーティングが組成物の周囲に提供される。いくつかの実施形態では、組成物は粒子(例えば、カプセルによる投与用)に製剤化され、粒子の一部またはすべてがコーティングされる。いくつかの実施形態では、組成物は粒子(例えば、カプセルによる投与用)に製剤化され、粒子の一部またはすべてがマイクロカプセル化される。いくつかの実施形態では、組成物は粒子(例えば、カプセルによる投与用)に製剤化され、粒子の一部またはすべてがマイクロカプセル化されず、コーティングされない。
【0221】
特定の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、微生物活性を阻害するために1つ以上の保存剤をさらに含むこともある。適切な保存剤としては、メルフェン(merfen)およびチメロサール(thiomerosal)などの水銀を含有する物質、安定した二酸化塩素、ならびに、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、および塩化セチルピリジウムなどの四級アンモニウム化合物が挙げられる。
【0222】
「消泡剤」は、水性分散液の凝集、完成したフィルム中の気泡を結果としてもたらし得る処理中に泡立ちを減少させ、または一般的に処理を損なうことがある。典型的な消泡剤はシリコーンエマルジョンまたはセスキオレイン酸ソルビタンを含む。
【0223】
「抗酸化剤」は、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸、二亜硫酸ナトリウム、およびトコフェロールを含む。特定の実施形態では、必要に応じて、抗酸化剤は化学安定性を増強する。
【0224】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される製剤は、抗酸化剤、金属キレート剤、チオール含有化合物、および他の一般的な安定化剤から利益を得ることもある。このような安定化剤の例としては、限定されないが、(a)約0.5%w/v~約2%w/vのグリセロール、(b)約0.1%w/v~約1%w/vのメチオニン、(c)約0.1%w/v~約2%w/vのモノチオグリセロール、(d)約1mM~約10mMのEDTA、(e)約0.01%w/v~約2%w/vのアスコルビン酸、(f)0.003%w/v~約0.02%w/vのポリソルベート80、(g)0.001%w/v~約0.05%w/vのポリソルベート20、(h)アルギニン、(i)ヘパリン、(j)デキストラン硫酸、(k)シクロデキストリン、(l)ペントサンポリサルフェートおよび他のヘパリノイド、(m)マグネシウムおよび亜鉛などの二価カチオン、または(n)これらの組み合わせが挙げられる。
【0225】
「結合剤」は、接着特性を与え、例えば、アルギン酸およびその塩、セルロース誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース(例えば、Methocel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(登録商標))、エチルセルロース(例えば、Ethocel(登録商標))、および微結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標))、微結晶性デキストロース、アミロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、多糖類酸、ベントナイト、ゼラチン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、クロスポビドン、ポビドン、デンプン、α化デンプン、トラガカント、デキストリン、スクロース(例えば、Dipac(登録商標))、グルコース、デキストロース、糖蜜、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(例えば、Xylitab(登録商標))、およびラクトースなどの糖、アラビアゴム、トラガカントゴム、ガティガム、イサポールハスク(isapol husk)の粘液、ポリビニルピロリドン(例えば、Povidone(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL、Polyplasdone(登録商標)XL-10)、カラマツアラビノガラクタン(larch arabogalactan)、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、ワックス、アルギン酸ナトリウムなどの天然または合成ゴムを含む。
【0226】
「担体」または「担体材料」は、医薬品において一般に使用される任意の賦形剤を含み、本明細書に開示される化合物との適合性と所望の投与形態の放出プロファイル特性に基づいて選択されねばならない。例示的な担体材料としては、例えば、結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、希釈剤などが挙げられる。「薬学的に適合性の担体材料」としては、限定されないが、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、バクガデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン(PVP)、コレステロール、コレステロールエステル、カゼイン酸ナトリウム、ダイズレシチン、タウロコール酸、ホスファチジルコリン、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カリウム、セルロースおよびセルロースコンジュゲート、糖ナトリウムステアロイルラクチラート、カラギーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、α化デンプンなどが挙げられてもよい。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995); Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975; Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980、およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed. (Lippincott Williams & Wilkins1999)を参照。
【0227】
「分散剤」および/または「粘度調整剤」は、液体培地あるいは造粒方法または配合方法によって薬物の拡散および均質性を制御する材料を含む。いくつかの実施形態では、これらの薬剤はさらに、コーティングの効果またはマトリックスを腐食する効果を促進する。典型的な分散促進剤/分散剤は、例えば、親水性ポリマー、電解質、Tween(登録商標)60または80、PEG、ポリビニルピロリドン(PVP;Plasdone(登録商標)として商業的に知られている)、ならびに、炭水化物系の分散剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、HPC、HPC-SL、およびHPC-L)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、HPMC K100、HPMC K4M、HPMC K15M、およびHPMC K100M)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアラート(HPMCAS)、非晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(S630)、エチレンオキシドとホルムアルデヒドを伴う4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノールポリマー(チロキサポールとしても知られている)、ポロクサマー(例えば、Pluronics F68(登録商標)、F88(登録商標)、F108(登録商標)であり、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーである)、ならびに、ポロキサミン(例えば、Tetronic 908(登録商標)、Poloxamine 908(登録商標)としても知られており、エチレンジアミンへのプロピレンオキシドとエチレンオキシドの連続添加に由来する四官能基ブロックコポリマーである(BASF Corporation, Parsippany,N.J.))、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、あるいはポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル酢酸コポリマー(S-630)、ポリエチレングリコール、(例えば、ポリエチレングリコールは約300~約6000、または約3350~約4000、または約7000~約5400の分子量を有することがある)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ゴム、例えば、トラガカントゴムおよびアラビアゴム、グアーガム、キサンタンガムを含むキサンタン、糖類、セルロース化合物、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシル化モノラウリン酸ソルビタン、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポビドン、カルボマー、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギネート、キトサン、およびこれらの組み合わせを含む。セルロースまたはトリエチルセルロースなどの可塑剤も、分散剤として使用することができる。リポソーム分散液と自己乳化性分散液に特に有用な分散剤は、ジミリストイルホスファチジルコリン、卵由来の天然ホスファチジルコリン、卵由来の天然ホスファチジルグリセロール、コレステロール、およびミリスチン酸イソプロピルである。
【0228】
「希釈剤」という用語は、送達の前に所望の化合物を希釈するために使用される化合物を指す。希釈剤は、より安定した環境を提供できることから、化合物を安定させるために使用することもできる。緩衝液(pHの制御または維持をもたらし得る)中に溶解した塩は、限定されないが、リン酸緩衝生理食塩溶液を含む当該技術分野の希釈剤として利用される。特定の実施形態では、希釈剤は組成物のかさ(bulk)を増やして圧縮を促すか、またはカプセル充填のための均質混合のために十分なかさを作り出す。そのような化合物は、例えば、ラクトース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、Avicel(登録商標)などの微結晶性セルロース、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム二水和物、リン酸三カルシウム、リン酸カルシウム、無水ラクトース、噴霧乾燥したラクトース、α化デンプン、Di-Pac(登録商標)(Amstar)などの圧縮可能な糖、マンニトール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアラート、スクロース系の希釈剤、粉砂糖、一塩基硫酸カルシウム一水和物、硫酸カルシウム二水和物、乳酸カルシウム三水和物、デキストラート(dextrates)、加水分解したシリアル固形物、アミロース、粉末セルロース、炭酸カルシウム、グリシン、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、イノシトール、ベントナイトなどを含む。
【0229】
「崩壊する」という用語は、胃腸液と接触した際の剤形の溶解と分散の両方を含む。「崩壊剤(Disintegration agents or disintegrants)」は、物質の分解または崩壊を促進する。崩壊剤の例は、デンプン、例えば、天然のデンプン、例えば、トウモロコシデンプンまたはジャガイモデンプン、α化デンプン、例えば、National 1551またはAmijel(登録商標)、またはナトリウムデンプングリコラート、例えば、Promogel(登録商標)またはExplotab(登録商標)、セルロース、例えば、木製品、メチル結晶セルロース、例えば、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Min Tia(登録商標)、およびSolka-Floc(登録商標))、メチルセルロース、クロスカルメロース、または架橋セルロース、例えば、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(Ac-Di-Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロース、または架橋クロスカルメロース、架橋デンプン、例えば、ナトリウムデンプングリコラート、架橋ポリマー、例えば、クロスポビドン、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸塩、例えば、アルギン酸などの塩またはアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸の塩、Veegum(登録商標)HV(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)などの粘土、ゴム、例えば、寒天、グアー、ローカストビーン、カラヤ、ペクチン、またはトラガカント、ナトリウムデンプングリコラート、ベントナイト、天然のスポンジ、界面活性剤、陽イオン交換樹脂などの樹脂、柑橘類のパルプ、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプンを組み合わせたラウリル硫酸ナトリウムなど、を含む。
【0230】
「薬物吸収」または「吸収」は、典型的に、薬物の投与部位から障壁を横切って血管または作用部位への薬物の移動のプロセスを指し、例えば、薬物は、胃腸管から門脈またはリンパ系へと移動する。
【0231】
「腸溶コーティング」は、胃では実質的に無傷のままであるが、小腸または結腸で溶解して薬物を放出する物質である。一般的に、腸溶コーティングはポリマー材料を含み、上記ポリマー材料は、胃の低pH環境での放出を妨げるが、より高いpH、典型的には6~7のpHでイオン化するため、小腸または結腸の中で十分に溶解して中にある活性薬剤を放出する。
【0232】
「侵食促進剤」は、胃腸液における特定の材料の侵食を制御する材料を含む。浸食促進剤は一般的に当業者に既知である。例示的な侵食促進剤は、例えば、親水性ポリマー、電解質、タンパク質、ペプチド、およびアミノ酸を含む。1つ以上の侵食促進剤と1つ以上の分散促進剤の組み合わせも、本組成物において使用することができる。
【0233】
「充填剤」は、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート、デキストラン、デンプン、α化デンプン、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどの化合物を含む。
【0234】
本明細書に記載される製剤における有用な「香味料」および/または「甘味料」は、例えば、アカシアシロップ、アセサルフェームK、アリターム、アニス、リンゴ、アスパルテーム、バナナ、ババロア、ベリー、カシス、バタースコッチ、クエン酸カルシウム、カンフル、カラメル、チェリー、チェリークリーム、チョコレート、シナモン、バブルガム、シトラス、シトラスパンチ、シトラスクリーム、綿菓子、ココア、コーラ、クールチェリー、クールシトラス、シクラメート、シラメート(cylamate)、デキストロース、ユーカリ、オイゲノール、フルクトース、フルーツパンチ、ショウガ、グリチルレチナート(glycyrrhetinate)、カンゾウ(甘草)シロップ、ブドウ、グレープフルーツ、ハチミツ、イソマルト、レモン、ライム、レモンクリーム、モノアンモニウムグリリチナート(glyrrhizinate)(MagnaSweet(登録商標))、マルトール、マンニトール、カエデ、マシュマロ、メントール、ミントクリーム、ミックスベリー、ネオヘスペリジン(neohesperidine)DC、ネオテーム、オレンジ、西洋ナシ、モモ、ペパーミント、ペパーミントクリーム、Prosweet(登録商標)パウダー、ラズベリー、ルートビア、ラム、サッカリン、サフロール、ソルビトール、スペアミント、スペアミントクリーム、イチゴ、イチゴクリーム、ステビア、スクラロース、スクロース、ナトリウムサッカリン、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、マンニトール、タリン(talin)、シリトール(sylitol)、スクラロース、ソルビトール、スイスクリーム、タガトース、タンジェリン、タウマチン、トゥッティフルッティ、バニラ、クルミ、スイカ、アメリカザクラ、ウィンターグリーン、キシリトール、またはこれらの香味料成分の任意の組み合わせ、例えば、アニス-メントール、チェリー-アニス、シナモン-オレンジ、チェリー-シナモン、チョコレート-ミント、ハチミツ-レモン、レモン-ライム、レモンミント、メントール-ユーカリ、オレンジ-クリーム、バニラ-ミント、およびこれらの混合物を含む。
【0235】
「潤滑剤」および「滑剤」は、物質の接着または摩擦を防ぎ、低減し、または阻害する化合物である。典型的な潤滑剤は、例えば、ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム、炭化水素、例えば、鉱油、または硬化植物油、例えば、硬化大豆油(Sterotex(登録商標))、高脂肪酸およびそのアルカリ金属やアルカリ土類金属塩、例えば、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、グリセロール、タルク、ワックス、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコール(例えば、PEG-4000)またはメトキシポリエチレングリコール、例えば、Carbowax(商標)、オレイン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ベへン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸マグネシウムまたはラウリル硫酸ナトリウム、Syloid(商標)などのコロイダルシリカ、Cab-O-Sil(登録商標)、トウモロコシデンプンなどのデンプン、シリコーン油、界面活性剤などを含む。
【0236】
「可塑剤」は、マイクロカプセル化材料またはフィルムコーティングを柔らかくすることで、それを脆くなりにくくするために使用される化合物である。適切な可塑剤は、例えば、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1450、PEG3350、およびPEG800などのポリエチレングリコール、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、トリエチルセルロース、ならびにトリアセチンを含む。いくつかの実施形態では、可塑剤は分散剤または湿潤剤としても機能することができる。
【0237】
「可溶化剤」は、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、ドキュセートナトリウム、ビタミンE TPGS、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、n-ブタノール、イソプロピルアルコール、コレステロール、胆汁酸塩、ポリエチレングリコール200-600、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコール、およびジメチルイソソルビドなどの化合物を含む。
【0238】
「安定剤」は抗酸化剤、緩衝液、酸、保存剤などの化合物を含む。
【0239】
「定常状態」は、本明細書で使用されるように、投与された薬物の量が、1回の投与間隔内で除去された薬物の量と等しく、結果としてプラトーまたは一定の血漿薬物曝露をもたらす状態である。
【0240】
「懸濁化剤」は、ポリビニルピロリドン、例えば、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、またはポリビニルピロリドンK30、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(S630)、ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールは、約300~約6000、または約3350~約4000、または約7000~約5400の分子量を有し得る)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースアセテートステアラート、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゴム、例えば、トラガカントゴムおよびアラビアゴム、グアーゴム、キサンタンゴムを含むキサンタン、糖、セルロース系、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポビドンなどの化合物を含む。
【0241】
「界面活性剤」は、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、Tween60または80、トリアセチン、ビタミンE TPGS、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリソルベート、ポロクサマー、胆汁塩、グリセリルモノステアレート、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマー、例えば、Pluronic(登録商標)(BASF)などの化合物を含む。他のいくつかの界面活性剤は、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリドおよび植物油、例えば、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、および、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとアルキルフェニルエーテル、例えば、オクトキシノール10、オクトキシノール40を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、物理的安定性を高めるために、または他の目的のために含まれてもよい。
【0242】
「粘度増強剤」は、例えば、メチルセルロース、キサンタンゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、アラビアゴム、キトサン、およびこれらの組み合わせを含む。
【0243】
「湿潤剤」は、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ドキュセートナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドキュセートナトリウム、トリアセチン、Tween80、ビタミンE TPGS、アンモニウム塩などの化合物を含む。
【0244】
本明細書に記載される固形剤形に使用される添加剤間の相当な重複があることが認識されるべきである。したがって、上記の列挙された添加剤は、単に例示的なものにすぎず、および、限定されないが、本明細書に記載される固形剤形に含まれ得る添加剤のタイプのものとして考えられなければならない。そのような添加剤の量は、所望の特定の特性に従って、当業者によって容易に決定され得る。
【0245】
従来の薬理学的技術は、例えば、以下の方法、(1)乾燥混合、(2)直接圧縮、(3)ミリング、(4)乾燥または非水性の造粒、(5)湿式造粒、または(6)融合の1つまたはその組み合わせを含む。例えば、Lachman et al.,The Theory and Practice of Industrial Pharmacy(1986)を参照。他の方法としては、例えば、噴霧乾燥、パンコーティング、溶解造粒(melt granulation)、造粒、流動床噴霧乾燥またはコーティング(例えば、ウースターコーティング)、接線コーティング(tangential coating)、頂部噴霧(top spraying)、錠剤化、押し出しなどが挙げられる。
【0246】
圧縮錠剤は、上記の製剤の大量の混合物の圧縮により調製された固形剤形である。様々な実施形態では、口の中で溶解するように設計される圧縮錠剤は、1つ以上の香味料を含む。他の実施形態では、圧縮錠剤は最終的な圧縮錠剤を囲むフィルムを含む。いくつかの実施形態では、フィルムコーティングは、第2の治療剤と組み合わせて、または、第2の治療剤とは別に、製剤からの式(I)または(II)の化合物の遅延放出を提供することができる。他の実施形態では、フィルムコーティングは、患者のコンプライアンスを支援する(例えば、Opadry(登録商標)コーティングまたは糖衣)。Opadry(登録商標)を含むフィルムコーティングは典型的に、約1%~約3%の錠剤重量の範囲である。他の実施形態では、圧縮錠剤は1つ以上の賦形剤を含む。
【0247】
カプセルは、例えば、カプセルの内部に、本明細書に記載された化合物の製剤の大量の混合物を配することにより調製され得る。いくつかの実施形態では、製剤(非水性の懸濁液および溶液)は、軟ゼラチンカプセルに入れられる。他の実施形態では、製剤は、HPMCを含むカプセルなどの標準的なゼラチンカプセルまたは非ゼラチンカプセルに入れられる。他の実施形態では、製剤はスプリンクルカプセルに入れられ、ここで、カプセルはすべて呑み込まれてもよく、または、カプセルが開いて内容物を食事前に食物にふりかけてもよい。いくつかの実施形態では、治療用量は、複数の(例えば2個、3個、または4個の)カプセルに分けられる。いくつかの実施形態では、製剤の全用量はカプセル形態で送達される。
【0248】
様々な実施形態において、本明細書に記載される化合物および1つ以上の賦形剤の粒子は乾燥混合され、錠剤などの固まりに圧縮され、これは、経口投与後、約30分未満、約35分未満、約40分未満、約45分未満、約50分未満、約55分未満、または約60分未満で実質的に崩壊し、それにより胃腸液に製剤を放出する医薬組成物を提供するのに十分な硬度を有する。
【0249】
別の態様では、剤形はマイクロカプセル化された製剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の他の適合性を有する材料が、マイクロカプセル化材料中に存在する。典型的な材料としては、限定されないが、pH調整剤、侵食促進剤、消泡剤、抗酸化剤、香味料、および担体材料、例えば、結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、および希釈剤が挙げられる。
【0250】
本明細書に記載されるマイクロカプセル化に役立つ材料は、他の適合性をもたない賦形剤から化合物を十分に単離する、本明細書に記載される化合物と適合性をもつ材料を含む。いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物および第2の治療剤と適合する材料は、インビボで、式(I)または(II)の化合物および第2の治療剤の放出を遅らせるものである。
【0251】
本明細書に記載される化合物を含む製剤の放出を遅らせるのに有用な例示的なマイクロカプセル化材料は、限定されないが、ヒドロキシプロピルセルロースエーテル(HPC)、例えば、Klucel(登録商標)またはNisso HPC、低置換ヒドロキシプロピルセルロースエーテル(L-HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(HPMC)、例えば、Seppifilm-LC、Pharmacoat(登録商標)、Metolose SR、Methocel(登録商標)-E、Opadry YS、PrimaFlo、Benecel MP824、およびBenecel MP843、メチルセルロースポリマー、例えば、Methocel(登録商標)-A、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアラートAqoat(HF-LS、HF-LG、HF-MS)、およびMetolose(登録商標)、エチルセルロース(EC)およびその混合物、例えば、E461、Ethocel(登録商標)、Aqualon(登録商標)-EC、Surelease(登録商標)、ポリビニルアルコール(PVA)、例えば、Opadry AMB、ヒドロキシエチルセルロース、例えば、Natrosol(登録商標)、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース(CMC)の塩、例えば、Aqualon(登録商標)-CMC、ポリビニルアルコールとポリエチレングリコールコポリマー、例えば、Kollicoat IR(登録商標)、モノグリセリド(Myverol)、トリグリセリド(KLX)、ポリエチレングリコール、加工食物デンプン、アクリルポリマーおよびアクリルポリマーとセルロースエーテルとの混合物、例えば、Eudragit(登録商標)EPO、Eudragit(登録商標)L30D-55、Eudragit(登録商標)FS 30D、Eudragit(登録商標)L100-55、Eudragit(登録商標)L100、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)RD100、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)L12.5、Eudragit(登録商標)S12.5、Eudragit(登録商標)NE30D、およびEudragit(登録商標)NE 40D、酢酸フタル酸セルロース、セプフィルム(sepifilms)、例えば、HPMCとステアリン酸の混合物、シクロデキストリン、およびこうした材料の混合物を含む。
【0252】
さらに別の実施形態では、ポリエチレングリコール、例えば、PEG 300、PEG 400、PEG 600、PEG 1450、PEG 3350、およびPEG 800、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、およびトリアセチンなどの可塑剤は、マイクロカプセル化材料に組みこまれる。他の実施形態において、医薬組成物の放出を遅らせるのに有用なマイクロカプセル化材料は、USPまたは国民医薬品集(NF)からのものである。また他の実施形態において、マイクロカプセル化材料はKlucelである。さらに他の実施形態において、マイクロカプセル化材料はmethocelである。
【0253】
本明細書に記載される化合物のマイクロカプセル化化合物は、当業者に既知の方法によって製剤化され得る。そのような既知の方法は、例えば、噴霧乾燥プロセス、回転盤による溶解プロセス、ホットメルトプロセス、噴霧冷却方法、流動床、静電気沈着、遠心排出、回転懸濁液分離、液体-ガスまたは固体-ガス界面での重合、圧力による押し出し、またはスプレー溶媒抽出槽を含む。これらに加え、様々な化学技術、例えば、複合コアセルベーション、溶解蒸発、ポリマー-ポリマーの不適合性、液体培地中の界面重合、インサイチュ重合、液中乾燥、および液体培地中の脱溶媒和も使用され得る。さらに、ローラー圧縮、排出/球形化、コアセルベーション、またはナノ粒子コーティングなど他の方法も使用してもよい。
【0254】
1つの実施形態において、本明細書に記載される化合物の粒子は、上記の形態の1つへと製剤化される前にマイクロカプセル化される。また別の実施形態において、粒子の一部または大半は、標準のコーティング手順、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 20th Edition (2000)に記載されるものを使用することによってさらに製剤化される前に、コーティングされる。
【0255】
さらに別の実施形態では、発泡粉末も本開示に合わせて調製される。発泡塩は、経口投与向けに水中で薬を分散させるために使用されてきた。発泡塩は、通常、重炭酸ナトリウム、クエン酸、および/または酒石酸で構成される、乾燥混合物中に薬剤を含む果粒または粗粉末である。本明細書に記載される組成物の塩が水に添加される場合、酸と塩基は反応して炭酸ガスを遊離し、それにより「発泡」を引き起こす。発泡塩の例は、例えば、以下の成分、重炭酸ナトリウム、または重炭酸ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合物、クエン酸、および/または酒石酸を含む。成分が医薬的用途に適しており、結果として約6.0以上のpHをもたらす限り、二酸化炭素の遊離を生じさせる任意の酸-塩基の組み合わせが、重炭酸ナトリウムと、クエン酸および酒石酸の組み合わせの代わりに使用され得る。
【0256】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される固形剤形は、腸溶性コーティングを施された遅延放出経口剤形として、つまり、胃腸管の小腸での放出に影響を与えるために腸溶コーティングを利用する本明細書に記載されるような医薬組成物の経口剤形として、製剤化可能である。腸溶コーティングした剤形は、それ自体がコーティングされているまたはコーティングされていない、活性成分および/または他の組成物成分の果粒剤、粉末、ペレット、ビーズ、または微粒子を含む、圧縮、成型、または押出加工された錠剤/モールド(コーティングされたまたはコーティングされていない)であり得る。腸溶コーティングした経口剤形は、それ自体がコーティングされているまたはコーティングされていない固形担体または組成物のペレット、ビーズ、または顆粒を含むカプセル(コーティングされたまたはコーティングされていない)であり得る。
【0257】
本明細書で使用されるような「遅延放出」という用語は、遅延放出の変化がなかったならば放出が達成されていたであろう位置よりも遠位にある胃腸管内の一般に予測可能な位置で放出が達成可能であるような送達を指す。いくつかの実施形態では、放出を遅延させる方法は、コーティングである。コーティングは、コーティング全体がpH約5未満では消化液で溶解しないが、pH約5以上では溶解するように、十分な厚みに塗布されなければならない。胃腸管下部への送達を達成するために本明細書に記載される方法および組成物における腸溶コーティングとして、pH依存性の可溶性プロファイルを示す任意のアニオン性ポリマーが使用され得ることが、予想される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマーは、アニオン性カルボン酸ポリマーである。他の実施形態において、ポリマーおよびその適合性をもつ混合物、およびそれらの特性のいくつかは、限定されないが、以下を含む。
【0258】
シェラック。昆虫の樹脂性分泌物から得られた精製された生成物である、精製ラック(lac)とも呼ばれる。このコーティングはpH>7の膜で溶解する。
【0259】
アクリルポリマー。アクリルポリマーの能力(主として生体液への可溶性)は、置換の程度およびタイプに基づいて異なり得る。適切なアクリルポリマーの例は、メタクリル酸コポリマーおよびメタクリル酸アンモニウムコポリマーを含む。EudragitシリーズE、L、S、RL、RS、およびNE(Rohm Pharma)は、有機溶媒、水性分散液、または乾燥粉末中に可溶化されたものとして利用可能である。EudragitシリーズRL、NE、およびRSは、胃腸管では不溶性であるが透過性であり、主に結腸の標的化に使用される。EudragitシリーズEは胃で溶解する。EudragitシリーズL、L-30D、およびSは、胃では不溶性であり、腸で溶解する。
【0260】
セルロース誘導体。適切なセルロース誘導体の例は、エチルセルロース、無水フタル酸を備えたセルロースの部分的な酢酸エステルの反応混合物である。その能力は、置換の程度およびタイプによって異なることがある。酢酸フタル酸セルロース(CAP)はpH>6で溶解する。Aquateric(FMC)は水性ベースの系であり、粒子が1<μmの噴霧乾燥させたCAP偽ラテックス(psuedolatex)である。Aquatericの他の成分は、プルロニック(登録商標)、ツイーン、および、アセチル化モノグリセリドを含み得る。他の適切なセルロース誘導体は、酢酸トリメリット酸セルロース(Eastman)、メチルセルロース(Pharmacoat、Methocel)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ヒドロキシプロピルメチルセルローススクシネート(HPMCS)、および、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(例えば、AQOAT(Shin Etsu))を含む。その能力は、置換の程度およびタイプによって異なることがある。例えば、HPMCP、例えば、HP-50、HP-55、HP-55S、HP-55Fのグレードが適切である。その能力は、置換の程度およびタイプによって異なることがある。例えば、適切なグレードのヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートは、限定されないが、pH5で溶解するAS-LG(LF)、pH5.5で溶解するAS-MG、およびそれよりも高いpHで溶解するAS-HG(HF)を含む。これらのポリマーは水性分散液のための顆粒または微粉末として提示される。
ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)。PVAPはpH>5で溶解し、水蒸気と胃液に対する透過性は非常に低い。
【0261】
いくつかの実施形態では、コーティングは可塑剤を含むことができ、通常は可塑剤を含み、場合によっては、着色剤、タルク、および/またはステアリン酸マグネシウムなどの当該技術分野で周知の他のコーティング賦形剤を含むことができる。適切な可塑剤は、クエン酸トリエチル(Citroflex 2)、トリアセチン(三酢酸グリセリン)、クエン酸アセチルトリエチル(Citroflec A2)、カーボワックス400(ポリエチレングリコール400)、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、脂肪酸エステル、プロピレングリコール、およびフタル酸ジブチルを含む。とりわけ、アニオン性カルボキシアクリルポリマーは通常、10~25重量%の可塑剤、特に、フタル酸ジブチル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、およびトリアセチンを含む。コーティングを施すために、スプレーコーティングまたはパンコーティングなどの従来のコーティング技術が使用される。コーティングの厚みは、経口剤形が腸管内の局所的送達の所望の部位に到達するまで無傷なままであることを確実にするように十分な厚さでなければならない。
【0262】
着色剤、デタッキファイヤー(detackifiers)、界面活性剤、消泡剤、潤滑剤(例えば、カルナバワックスまたはPEG)は、コーティング材料を可溶性にするか分散させるために、かつコーティング能力とコーティングされた生成物を改善するために、可塑剤の他にコーティング添加されてもよい。
【0263】
他の実施形態において、本明細書に記載される化合物を含む本明細書に記載される製剤は、パルス剤形を使用して送達される。パルス剤形は、制御された遅延時間後のあらかじめ決められた時点、または特定の部位で、1つ以上の即時放出パルスを提供することができる。当業者に既知の他の多くのタイプの制御放出系が、本明細書に記載される製剤との使用に適している。そのような送達系の例としては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ酸無水物、およびポリカプロラクトンなどのポリマーベースの系、多孔性のマトリックス、ステロール、例えば、コレステロール、コレステロールエステル、および脂肪酸、または中性脂肪、例えば、モノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリドなどの脂質である非ポリマーベースの系、ヒドロゲル放出系、シラスティック系、ペプチドベースの系、ワックスコーティング、生体内分解性の剤形、従来の結合剤を使用する圧縮錠剤などが挙げられる。例えば、Liberman et al., Pharmaceutical Dosage Forms, 2 Ed., Vol. 1, pp. 209-214 (1990);Singh et al., Encyclopedia of Pharmaceutical Technology,2nd Ed.,pp.751-753 (2002)、米国特許第4,327,725号、第4,624,848号、第4,968,509号、第5,461,140号、第5,456,923号、第5,516,527号、第5,622,721号、第5,686,105号、第5,700,410号、第5,977,175号、第6,465,014号、および第6,932,983号を参照。
【0264】
いくつかの実施形態では、対象への経口投与のために、本明細書に記載される化合物の粒子、および少なくとも1つの分散剤または懸濁化剤を含む医薬製剤が提供される。上記製剤は、懸濁用の粉末および/または顆粒であってもよく、水と混合すると実質的に均一の懸濁液が得られる。
【0265】
経口投与用の液体製剤の剤形は、限定されないが、薬学的に許容可能な水性の経口分散剤、エマルジョン、溶液、エリキシル剤、ゲル、およびシロップを含む群から選択される水性懸濁液であり得る。例えば、Singh et al.,Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, 2nd Ed., pp. 754-757 (2002)を参照。加えて、液体剤形は、(a)崩壊剤、(b)分散剤、(c)湿潤剤、(d)少なくとも1つの保存剤、(e)粘度増強剤、(f)少なくとも1つの甘味剤、および(g)少なくとも1つの香味料などの添加剤を含む。いくつかの実施形態では、水性分散液はさらに、結晶阻害剤を含む場合がある。
【0266】
少なくとも4時間、USP薬剤師薬局方(2005年版、905章)で定義されるように、本明細書に記載される水性懸濁液と分散液は均質な状態のまま留まることができる。均質性は、全組成物の均質性の決定に関して一貫したサンプリング方法によって決定されなければならない。1つの実施形態では、水性懸濁液は、1分未満続く物理的な撹拌によって均質な懸濁液へと再懸濁可能である。別の実施形態では、水性懸濁液は、45秒未満続く物理的な撹拌によって均質な懸濁液へと再懸濁可能である。さらに別の実施形態では、水性懸濁液は、30秒未満続く物理的な撹拌によって均質な懸濁液へと再懸濁可能である。さらに別の実施形態では、均質な水性分散液を維持するのに撹拌は必要ではない。
【実施例】
【0267】
これらの実施例は例示目的のために提供されるにすぎず、請求項の範囲を制限するものではない。本明細書に記載される化合物の合成に使用される出発物質および試薬は、合成され得るか、あるいは限定されないが、Sigma-Aldrich, Acros Organics、Fluka、およびFischer Scientificなどの商用源から得られ得る。
【0268】
実施例1:神経膠芽腫細胞におけるEGFR阻害剤と組み合わせた1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-(4-(3-(ジメチルアミノ)プロピルアミノ)-6-メチルピリミジン-2-イル)尿素の細胞毒性の相乗作用
【0269】
GBM8またはGBM4細胞を、1ウェルあたり100ulで96ウェルプレートに3x104c/mlの密度で播種した。周囲のウェルは使用せず、培地のみを入れた。NeuroCult NS-A Proliferation Supplement、20ng/mlのrhEGF、10ng/mlのbFGF、および0.0002%のヘパリンを含むStemCell NeuroCult NS-A基礎培地(Basal Medium)中で細胞を培養した。
【0270】
水平方向に濃度を増加させながらolig2阻害剤、1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-(4-(3-(ジメチルアミノ)プロピルアミノ)-6-メチルピリミジン-2-イル)尿素の存在下で(すなわち、0uMのolig2阻害剤を有していた行B~最高濃度を有していた行G)、細胞を播種した。olig2阻害剤添加後のアッセイプレート内の最終DMSO濃度は、約0.5%であった。
【0271】
翌日、約24時間目に、EGFR阻害剤を、垂直方向に濃度を増加させながら添加した(すなわち、0uMのEGFR阻害剤を有していた列2~最高濃度を有していた列10)。列11はDMSOのみを有する細胞を含んでいた。EGFR阻害剤の添加後のアッセイプレート内の最終DMSO濃度は、約1%である。
【0272】
細胞生存率は、Clariostar上のCell-Titer Glo(Promega)発光アッセイにより、薬物Bの添加の72時間後に測定した。データ解析はGraphpad Prismソフトウェアで行った。1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-(4-(3-(ジメチルアミノ)プロピルアミノ)-6-メチルピリミジン-2-イル)尿素とEGFRiとの組み合わせ試験は、細胞毒性効果に対する相乗効果を示す組み合わせ指数<1という結果をもたらす(表1)。
【0273】
【0274】
実施例2:神経膠芽腫細胞におけるmTOR阻害剤と組み合わせた1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-(4-(3-(ジメチルアミノ)プロピルアミノ)-6-メチルピリミジン-2-イル)尿素の細胞毒性の相乗作用
【0275】
神経膠芽腫癌細胞株NN01、NX03_CA、NX18_25、NN27、および対照株NP01とNHNPを、Accutase細胞剥離液(#10210-214、VWR、Radnor、PA)で分離させた。1ウェルあたり1000個の細胞を超低付着384ウェルプレート(#3830、Corning、Tewksbury、MA)にプレーティングし、2mMのL-Glutamax、ビタミンAを含まない1×B27(#35050-061,#12587-010,Thermofisher,San Diego,CA)、100U/mlのペニシリンストレプトマイシン(#30-002-CI,Corning,Tewksbury,MA)、32U/mLのヘパリン(#H3149-100KU,Sigma,St.Louis,MO)、2μL/mLのNSF-1(#CC-4323,Lonza Walkersville Inc,Basel,CH)、20ng/mLのEGF、および20ng/mLのFGF(#AF-100-15,#,100-18B,Peprotech,Rocky Hill,NJ)を補充したneurobasal培地(#21103-049、Thermofisher、San Diego、CA)中で、37℃でインキュベートした。ニューロスフェアが200μmの球形サイズに達すると、可変濃度の試験化合物、1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-(4-(3-(ジメチルアミノ)プロピルアミノ)-6-メチルピリミジン-2-イル)尿素を添加し、mTOR阻害剤も添加して10nMの最終濃度とした。アッセイ培地は最終DMSO濃度が0.1%であった。さらに72時間後、Tecan M200 Pro Plate Reader(Tecan,Mannedorf,CH)で製造者の指示に従って、Cell TiterGlo kit(#G7570,Promega,Madison.WI)を使用して、細胞生存率を測定した。生存細胞のパーセントは、ビヒクル対象(DMSOを100%と設定)に対して正規化した。細胞生存率の阻害パーセントを表2に示す。
【0276】
【0277】
実施例3:再発性のRb陽性神経膠芽腫患者における、オラパリブと組み合わせた式(I)または(II)の化合物の第II相臨床試験
【0278】
この第II相試験の目的は、Rb陽性である再発性多形神経膠芽腫または膠肉腫の患者における式(I)または(II)の化合物とオラパリブとの併用治療の有効性(6ヶ月時点の無増悪生存期間で測定)を判定することである。合計30人の患者が処置され、15人は計画された外科的切除を受け、手術の前に7日間、薬物を投与され、その後、手術から回復後に薬物を投与され、他の15人の患者は計画された外科手術を受けずに薬物を投与される。
【0279】
患者:適格な対象は18歳以上の男女である。
【0280】
基準:
包含基準:
・X線写真で証明された再発性の頭蓋内の多形神経膠芽腫または神経膠肉腫の患者は、このプロトコルに適格である。患者は、Rb陽性の疾患の証拠書類を持っていなければならない。
・すべての患者は、この試験の調査の性質を理解していることを示すインフォームドコンセントに署名しなければならない。患者は、保護された健康情報の公開の認定書に署名していなければならない。患者は治験薬を用いる処置の前に登録されなければならない。処置は登録の7日以内に行わなければならない。処置が7日よりも遅れる場合には、適格性と病歴のための臨床検査と健康診断を繰り返さなければならない。
・患者は先に外部ビーム放射とテモゾロミド化学療法を受けていなければならない。使用される先の化学療法の数には制限はない。患者は1回目、2回目、または3回目の再発で処置を受けることもある。
・患者は18歳を超えていなければならず、かつ、平均寿命が8週よりも多くなければならない。
・患者は、60を超えるカルノフスキー・パフォーマンス・ステータスを持っていなければならない。
・登録の時点で:患者は先の治療の中毒作用から回復していなければならない:任意の治験薬から28日超[注:FDAで承認された薬剤の適用外使用は、このプロトコルの目的のための調査とはみなさない]、先の細胞毒性療法から28日超、ニトロソ尿素から42日超、ベバシズマブから28日超、および非細胞毒性薬剤、例えば、インターフェロン、タモキシフェン、サリドマイド、シス-レチン酸、およびエルロチニブについて7日超。非細胞毒性薬剤の定義に関係するいかなる質問も、主任研究者に委ねられなければならない。
・患者は治療を始める前に、適切な骨髄機能(WBC>3,000/μl、ANC>1,500/mm3、血小板数>100,000/mm3、およびヘモグロビン>10gm/dl)、適切な肝機能(SGOTおよびビリルビン<ULNの2倍)、および適切な腎機能(クレアチニン<1.5mg/dL)を有していなければならない。試験前のEKGはすべての患者に要求され、患者は正常なQT間隔を持っていなければならない。これらの試験は登録前14日間以内に行なわれなければならない。ヘモグロビンの適格性レベルには輸血によって到達してもよい。
・患者は、MRI走査によって腫瘍進行の明白なX線証拠写真を示していなければならない。走査は、登録前の14日以内に、かつ、少なくとも7日間は安定していたステロイド用量で行われなければならない。ステロイド投与が撮像日と登録日の間で増加している場合、新しいベースラインMRIが必要となる。同じタイプの走査、つまり、MRIは、腫瘍測定のためのプロトコル処置の期間にわたって使用されなければならない。MR撮像を受けることができない患者は適格ではない。
・以下の条件のすべてが適用される限り、再発性または進行性の腫瘍を最近切除した患者は適格となる:
○ 患者は手術の影響から回復している。
○ 再発性の頭蓋内の多形神経膠芽腫または神経膠肉腫の切除後の残存疾患は、試験への適格性のために強制されるものではない。手術後に残存病変の程度を最良に評価するために、MRIは、登録前の14日間以内において、手術直後の96時間までに、または術後少なくとも4週間までに行わなければならない。96時間の走査が登録前の14日間を超える場合、走査は繰り返される必要がある。ステロイド投与が撮像日と登録日との間で増加している場合、新しいベースラインMRIは少なくとも7日間、安定したステロイド用量で必要である。
・患者は先の放射線治療およびテモゾロミドに失敗していなければならず、放射線治療の完了から試験エントリーまで42日以上の間隔を空けていなければならない。
・間質放射線治療、定位手術的照射、またはGliadelウエハーを含む先の治療を受けた患者は、PET走査法、MR分光法、または疾患の手術証拠書類に基づいて放射線壊死よりもむしろ、真の進行性疾患の確認を行わなければならない。
・15人の患者のサブセットは、計画された指示された外科的切除の前に登録される。患者は、手術候補であり、急性頭蓋内出血の証拠がなく、かつ、手術の7日前にプロトコル処置を始めることができる場合にのみ、手術前に登録することができる。
・生殖能力のある男女の患者は、試験処置の停止中および停止後3ヶ月間に、必要に応じて、承認されている避妊の方法(例えば、子宮内器具[IUD]、避妊薬、またはバリア装置)を使用しなければならない。出産の可能性のある女性は、登録前の14日間以内に陰性のβ-HCG妊娠試験を文書化しなければならない。
・以前の手術の腫瘍組織のブロックまたはスライドは、IHC Rb染色を行うのに利用可能でなければならない。陰性の腫瘍(Rb陰性)の患者は試験から除外される。
除外基準:
・患者は、調査者の見解において適切な治療では適切に制御できないか、または、この治療に耐える患者の能力を損なうことになる重大な医学的疾患を抱えていてはならない。
・任意の他の癌(頚部の非黒色腫性の皮膚癌または上皮内癌を除く)の病歴がある患者は、完全寛解ではなく、最低3年間のその疾患のすべての治療から離れていない限り、不適格である。
・患者は活性な感染または深刻な介入性の医学的疾患を抱えてはならない。急性頭蓋内出血の病歴のある患者も除外される。
・患者は妊娠していてはならず/母乳による育児を行っていてはならず、適切な避妊を行うことに同意しなければならない。
・患者は、毒性を目立たなくするか、または薬物代謝を危険なほどに変える疾患を抱えていてはならない。
・薬理相互作用の可能性があることから、酵素誘導抗痙攣薬、あるいはCYP3A酵素誘導または阻害を引き起こす他の薬物を摂取している患者は、少なくとも14日間治療から離れていない限り、適格ではない。
・EKGのQT間隔の延長について、先天的またはそれ以外の理由のある患者は除外される。
【0281】
試験設計:再発性の神経膠芽腫または神経膠肉腫の患者合計30人を、式(I)または(II)の化合物とオラパリブの組み合わせで毎日21日間連続して処理し、その後、7日間休薬する(サイクル長は28日間)。この30人の患者のうち、15人は進行について示された意図的な外科的切除前の7日間薬物を投与され、その後、手術からの回復後に同じ用量で薬物を再開する。処置は28日ごとに繰り返され、疾患の進行がない場合、患者は12のサイクルの処置を受けることがある。その際、患者は、12を超えるサイクル、最大で24のサイクルの調査を継続する選択肢を与えられる。
【0282】
登録後、以前の手術からの利用可能なブロックまたはスライドは、診断調査(多形神経膠芽腫または神経膠肉腫の確認)とRbステータスの決定のために提出されなければならない。Rb陽性腫瘍の患者だけを処置することができ、Rb腫瘍ステータスはいかなる処置の前にも知られていなければならない。以前の手術からのさらなる組織も腫瘍中の分子異常を評価するために入手される。こうした試験は過去に遡って行われ、登録前に実施される必要はない。
【0283】
モニタリングは各サイクルの開始前の(4週間ごとの)臨床的および神経学的な試験を含む。差異のある全血球数は各サイクルの1日目と15日目に調べられる。肝臓と腎臓の機能は4週間ごとに実行される。毒性と用量の修正は、NCI CTCAE Version 4に基づく。疾患ステータスは各サイクルで(4週間ごとに)臨床的に評価され、各2回目のサイクル(8週間ごと)後にX線写真で評価される。
【0284】
主要評価項目:
・無増悪生存期間によって決定されるような有効性[時間枠:1~2年][安全性の問題として指定される:なし]
・6ヶ月目の無増悪生存期間によって測定されるように、Rb陽性の再発性の多形神経膠芽腫または神経膠肉腫の患者における式(I)または(II)の化合物/オラパリブの組み合わせの有効性を判定する。合計30人の患者が処置され、計画された意図的な外科的切除を受ける15人が、手術の前に7日間、薬物を投与され、その後、手術から回復後に薬物を投与される。15人の患者は計画された外科手術を受けずに薬物を投与される。
【0285】
副次的評価項目:
・安全性と耐性の尺度としての有害事象を有する参加者の数[時間枠:1~2年][安全性問題として指定される:はい]
【0286】
実施例4:再発性または難治性の髄芽細胞腫を有する成人患者における、パルボシクリブと組み合わせた式(I)または(II)の化合物の安全性と有効性の第II相臨床試験。
【0287】
この第II相試験の目的は、式(I)または(II)の化合物とパルボシクリブの組み合わせが、再発性または難治性の髄芽細胞腫の成人患者の治療においてどの程度機能するかを調べることである。
【0288】
患者:適格な対象は、22歳以上の男女である。
【0289】
基準:
包含基準:
・再発性で、進行性で、または、標準的な治療に対して難治性であり、かつ、既知の治癒的な治療がない、髄芽細胞腫(後頭蓋窩PNETを含む)の診断が組織学的に確認された患者は適格である。段落に記載されるような試験前MRIでは、残存する測定可能な疾患または病変の証拠がなければならない。測定可能な脊椎疾患を有する患者は適格となる。
・診断は治療機関で確認されなければならず、(診断または再発からの、あるいは、好ましくは両時点からの)組織は生体試験に利用可能でなければならない。
・神経障害の患者は、登録前に最低1週間安定している障害を抱えていなければならない。これはデータベースに記録される。
・米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス0~2
・試験エントリーの4週間(事前のニトロソ尿素の場合には6週間)以内にいかなる他の骨髄抑制化学療法または免疫療法もない。
・デカドロン用量は、治療開始の少なくとも1週間(7日)前には安定しているか、あるいは減少していなければならない。
・放射線治療(XRT):頭蓋脊髄照射への試験エントリーの3ヶ月以上前(23Gy以上)、原発性腫瘍への局部照射では8週間以上、徴候的な転移部位への焦点照射について試験エントリーの2週間以上前。
・すべてのコロニー刺激因子を試験エントリーの1週間以上前からオフにする(GCSF、GM CSF、エリスロポエチン)
・絶対好中球数(ANC)≧1000/μL
・血小板数≧50,000/uL(輸血に依存しない)
・ヘモグロビン≧8.0gm/dL(RBC輸液剤を受けてもよい)
・クレアチニンクリアランスまたはラジオアイソトープGFR≧70ml/分/1.73m2、あるいは、
・血清中クレアチニン≦2.0mg/dL
・総ビリルビン≦年齢の正常上限(ULN)の1.5倍
・血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(SGPT)(アラニンアミノトランスフェラーゼ[ALT])≦制度上のULNの2.5倍
・血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(SGOT)(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ[AST])≦制度上のULNの2.5倍
・血清アルブミン≧2.5g/dL
・患者はこの試験にエントリーする前にすべての以前の治療の著しい急性毒性から回復していなければならず、他のすべての適格基準を満たさなければならない。
・妊娠は、出産の可能性のある女性への最後の投与後12ヶ月間は回避されなければならない。出産の可能性のある女性の患者は、妊娠していてはならず、授乳していてもならない。出産の可能性のある女性の患者は、処置を始める前に24時間以内に血清または尿妊娠テストが陰性でなければならない。
・出産の可能性のある女性は、試験への参加中および最後の投与後の12ヶ月間に1つのバリア法を含む許容可能な避妊の2つの形態を使用することを要求される。医学的な理由または個人的な理由で、禁欲に対して100%専念することは、避妊の許容可能な形態と考えられる。すべての患者は、調査者による、またはOB/婦人科医による、またはこの専門領域で資格のある他の医師による、避妊のカウンセリングを受けなければならない。
・制度上のガイドラインに従って署名したインフォームドコンセントが得られなければならない。
除外基準:
・プロトコル治療に耐える患者の能力を損なうことになるか、試験の手順または結果に干渉することになる可能性が高い、任意の臨床的に有意な無関係な全身疾患(深刻な感染症または重大な心機能不全、肺機能不全、肝機能不全、または他の臓器機能不全)を抱える患者
・任意の他の抗癌治療または治験薬治療を受けている患者
・フォローアップ訪問のために戻ったり、または治療に対する毒性を評価するのに必要なフォローアップ試験を受けたりすることができない患者
・執刀医によって決定される平均寿命が12週間未満
・カプセルを呑み込むことができないこと
・腸管内吸収に干渉することになる吸収不良症候群または他の疾病
・うっ血性心不全の病歴
・薬物を必要とする心室性不整脈の病歴
・適切な電解質の補充にもかかわらず施設の正常下限未満として定義された制御されない低カルシウム血症、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、または低カリウム血症
・先天性QT延長症候群。
【0290】
試験設計:患者は1日目~28日目に式(I)または(II)の化合物とパルボシクリブを1日1回経口で投与される。処置は疾患の進行または受け入れがたい毒性のない状態で最大26コースにわたって28日ごとに繰り返される。
【0291】
主要アウトカム:
・RECIST基準を使用する段階的な客観的な奏効率(PRとCR)[時間枠:最大12ヶ月][安全性の問題として指定されたもの:なし]
・真の未知の奏効率の95パーセントの信頼区間推定値は3つの層の各々について構築される。完全な応答、部分的な応答、および安定した疾患が確認された患者の割合が、3つの層の各々について記述的に報告される。時間対客観的応答の累積発生率の関数も提供される。
【0292】
副次的アウトカム:
・持続的な客観的応答の期間[時間枠:その後に確認された完全応答または部分応答を記録する最初の走査から、進行または試験中の死亡が記録されたいずれかの早い方まで、最長12ヵ月間評価する][安全性の問題として指定されたもの:なし]。
・無増悪生存期間[時間枠:式(I)または(II)の化合物を用いる当初の処置の日付から、進行または試験中の死亡の中で最も早いものまで、最長12ヶ月間評価される][安全性の問題として指定されたもの:なし]
・移植後の最初の6ヶ月間の医療費
・患者および移植片生着
【0293】
実施例5:再発性の悪性星状細胞腫の処置における、VE821と組み合わせた式(I)または(II)の化合物の安全性、耐性、および抗腫瘍有効性の第I相/第II相臨床試験
【0294】
これは、再発性の悪性星細胞腫(神経膠芽腫、神経膠肉腫、未分化星状細胞腫、退形成乏突起神経膠腫、未分化の乏突起星細胞腫、および未分化の上衣腫)の患者における、式(I)または(II)の化合物とVE821の組み合わせの安全性、耐性、および抗腫瘍有効性を調査するための単一施設の非盲検の非ランダム化第I相/第II相試験である。患者は最大で5つのサイクルにわたって処置される。処置サイクルは、28日+7日の休養として定義される(サイクル1~4の28+7日、およびサイクル5の28日)。処置の継続基準が満たされるまで、次のサイクルは開始されない。同時の支持療法が許可される。
【0295】
患者:適格対象は18歳以上の男女である。
【0296】
基準:
【0297】
包含基準:
・試験の性質について知らされており、書面によるインフォームドコンセントを提供している。
・少なくとも18歳
・0、1、または2のECOGパフォーマンス、あるいはKPS(カルノフスキー・パフォーマンス・ステータス)≧60。
・WHOグレード4星細胞腫(神経膠芽腫または神経膠肉腫)、あるいはWHOグレード3未分化星状細胞腫、退形成乏突起神経膠腫、未分化の乏突起星細胞腫、または未分化の上衣腫の病理学的な検証。
・化学療法と放射線の少なくとも1つの処置に失敗した後の記録された再発性の神経膠芽腫、神経膠肉腫、未分化星状細胞腫、退形成乏突起神経膠腫、未分化の乏突起星細胞腫、または未分化の上衣腫。
・少なくとも3ヶ月の予想生存期間
・実施された場合、腫瘍細胞縮小手術から少なくとも2週間、ベバシズマブまたは他の化学療法から4週間(以前の化学療法がニトロソ尿素だった場合、6週間)、および、放射線療法の完了から12週間。
・プロトコルで定義されるように周期的に撮像色素を用いないまたは用いるMRI走査を受けることができること。
・少なくとも7日間の薬物の投薬中断は、式(I)または(II)の化合物の最初の用量の投与前にCYP2C9とCYP3A4を誘発する
・保存された主要な臓器機能、すなわち:血球数≧3.0×109/L 血球絶対好中球数≧1.5x109/L 血小板数≧100x109/L 血中ヘモグロビン≧100g/L(輸血は可能) 血漿総ビリルビンレベル≦正常(つまり、基準)範囲の施設の上限(ULN)の1.5倍 血漿AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)またはALT≦|正常範囲|の施設内上限(ULN)の2.5倍 血漿クレアチニン≦|正常範囲|の施設内上限(ULN)の1.5倍 正常なトレーシングによる12誘導心電図、または臨床的に有意ではなく、医学的介入を必要としない変化、およびQTc<500ms 最初の試験処置日の前に、CYP2C9またはCYP3A4を阻害または誘導する薬剤を少なくとも7日間休薬する。
除外基準:
・調査者に従って患者に許容しがたいリスクをもたらす進行中の感染症あるいは他の主要な最近のまたは進行中の疾患
・過去28日以内のグレード3以上の便秘または無作為化前14日間以内のグレード2の便秘。(便秘が便秘の最適な管理によりグレード1まで低下した場合、過去14日以内のグレード2の便秘を抱える患者を再度スクリーニングすることができる)
・限定されないが、活性な心疾患と重大な痴呆を含む共存する制御されない病状
・抗レトロウイルス療法を必要とする、B型肝炎またはC型肝炎、あるいは、HIV感染症
・基底細胞皮膚癌以外の活性な悪性病変
・過去3年の他の活性な悪性病変
・4週間以内の主要な外科手術
・機能的なニューロイメージング(PET、ダイナミックMRI、MRS、SPECT)によって、あるいは再発の記録された組織学的な確認での再操作によって、明白な進行がない限り、従来の定位放射線照射またはガンマナイフ放射線照射あるいは陽子放射線
・以下のような以前の抗腫瘍治療:放射線治療から少なくとも12週間、テモゾロミドまたはベバシズマブを用いる以前の処置から少なくとも4週間、BCNUまたはCCNUから6週間。
・産児制限(経口避妊薬、IUD)の許容可能な方法の使用に同意しない出産の可能性のある女性(WOCBP)。この試験の目的のために、WOCBPは、初経を経験し、卵管結紮術を経験しておらず、および、閉経後ではないあらゆる女性を含む。閉経後は以下のように定義される:無月経≧別の原因のなく連続して12か月。
・医学的に制御されない1型または2型糖尿病
・妊娠または授乳
・4週間以内の他の治験に現在参加していること。
・薬物の最適化後の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス>2(付録4を参照)、またはKPS<60
・3ヶ月未満の予想される平均寿命
・治験薬への禁忌、あるいは既知のまたは疑いのある過敏症
・CYP2C9を誘導し、またはCYP2C9の有力な阻害剤であり、あるいは治療域が狭いCYP3A4の敏感な基剤である併用薬を摂取しなければならない患者は参加しなくてもよい。
・任意の理由により調査者によって判断される試験への参加の適切性が欠けていること
【0298】
試験設計:
【0299】
治験は二相に分割される。第1相では、10~20人の患者が登録され、28日間にわたって300~520mgの式(I)または(II)の化合物/VE821でBIDで処置される。第1相の主要評価項目は、再発性または進行性の神経膠芽腫の患者における、式(I)または(II)の化合物/VE821の推奨された第2相用量(RP2D)を決定し、および、この患者集団における式(I)または(II)の化合物/VE821の組み合わせの安全性と毒性を評価することである。試験は3+3設計を備えており、第1のコホートは、最大5サイクルで繰り返して28日間、式(I)または(II)の化合物とVE821で処置される。好中球減少症などの用量制限毒性(DLT)が生じた場合、投与は中断され、個々の患者は、正規化後、標準化された手順に従って同じまたは低い用量レベルで再開される。特定の用量レベルを受ける最初の3人の患者のうちの2人または3人が、式(I)または(II)の化合物を用いる処置の最初の28日間にDLTを経験した場合、以下の患者はより低い用量レベルで処置される。1つのDLTが最初の3人の患者における投与の最初の28日間で生じる場合、さらに3人の患者が同じ用量レベルで処置される。6人の患者のうちの2人がDLTを示す場合、次の患者はより低い用量レベルで処置される。6人の患者のうちDLTのないか、最大で1つのDLTがある最も高い用量レベルは、RP2Dである。その後のコホートのための用量調整に対する評価はすべて、処置の最初の28日間に行われる。非進行性の患者は、合計して5つの28日間サイクル(24週間)にわたって処置されてもよい。
【0300】
第2相では、12人の患者が登録され、5サイクルで繰り返されて28日間、式(I)または(II)の化合物/VE821の組み合わせの同定されたRP2Dで処置される。第II相の主要評価項目は、24週目に無進行である患者の割合を評価し、式(I)または(II)の化合物/VE821の組み合わせの安全性、耐性、および有害事象プロファイルを評価することである。
【0301】
主要アウトカム:
・第I相-推奨される第II相用量を決定する。[時間枠:8か月][安全性の問題として指定されたもの:はい]
・第II相-抗腫瘍効果を決定する[時間枠:4ヶ月][安全性の問題として指定されたもの:はい]
・第I相-安全性と耐性の尺度としての有害事象を有する参加者の数[時間枠:6ヶ月][安全性の問題として指定されたもの:はい]
・物理的/神経学的検査(病理学的所見および質と量)。
・有害事象(1用量レベル当たりの質および量)
・バイタルサイン、心電図、検査パラメータ(検査パラメータ、記述統計学のための質と量としての病理学的所見)
【0302】
副次的アウトカム:
・腎臓の第I相-最大耐用量(MTD)[時間枠:8ヶ月][安全性の問題として指定されたもの:はい]
式(I)または(II)の化合物のMTDを同定すること。
・第I相-最適応答の分子マーカー[時間枠:8ヶ月][安全性の問題として指定されたもの:はい]
最適応答のサブ集団群を予測することがある潜在的な分子マーカーを評価すること
・第I相-IGF(インシュリン様増殖因子)-1R経路の分子マーカー[時間枠:8ヶ月][安全性の問題として指定されたもの:はい]
悪性星細胞腫の患者における式(I)または(II)の化合物/VE821の組み合わせによる処置の後にIGF-1R経路活性化/阻害の代替分子マーカーを評価すること。
・第II相-無増悪期間(TTP)および全生存期間(OS)[時間枠:4ヶ月][安全性の問題として指定されたもの:はい]
式(I)または(II)の化合物/VE821の組み合わせを用いて処置された患者の無増悪期間(TTP)と全生存期間(OS)を判定すること。
・第II相-全奏効率[時間枠:4ヶ月][安全性の問題として指定されたもの:はい]
式(I)または(II)の化合物/VE821の組み合わせを用いる処置の後に再発性の悪性星細胞腫の全奏効率(ORR)を評価すること。
・第II相-応答の撮像証拠。[時間枠:4か月][安全性の問題として指定されたもの:はい]
RANO基準(T2-FLAIR、DWI(拡散強調画像法)、潅流MRI、およびマルチボクセルMRS(磁気共鳴分光法)配列にさらなる特別な注意を払って)によってMRI(磁気共鳴画像法)配列上の応答の代替的な撮像証拠を同定すること。
【0303】
本明細書に記載される実施例と実施形態は、例証目的のためのものに過ぎず、実施形態によっては、様々な修飾または変更は本開示と添付の請求項の範囲内に含まれるものとする。
【国際調査報告】