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特表2023-538661感圧接着剤物品のための剥離コーティング組成物及び方法
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  • 特表-感圧接着剤物品のための剥離コーティング組成物及び方法 図1
  • 特表-感圧接着剤物品のための剥離コーティング組成物及び方法 図2
  • 特表-感圧接着剤物品のための剥離コーティング組成物及び方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】感圧接着剤物品のための剥離コーティング組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/00 20060101AFI20230901BHJP
   C08F 220/10 20060101ALI20230901BHJP
   C09D 4/00 20060101ALI20230901BHJP
   C09D 183/07 20060101ALI20230901BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20230901BHJP
   C09J 7/40 20180101ALI20230901BHJP
   C09J 7/38 20180101ALN20230901BHJP
【FI】
C08F2/00 C
C08F220/10
C09D4/00
C09D183/07
C09D4/02
C09J7/40
C09J7/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513077
(86)(22)【出願日】2021-07-26
(85)【翻訳文提出日】2023-04-19
(86)【国際出願番号】 IB2021056770
(87)【国際公開番号】W WO2022043786
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】63/069,298
(32)【優先日】2020-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】セモニック,マイケル エー.
(72)【発明者】
【氏名】ダミエン,キャサリン エス.
(72)【発明者】
【氏名】クマル,ラメス シー.
【テーマコード(参考)】
4J004
4J011
4J038
4J100
【Fターム(参考)】
4J004AA05
4J004AA10
4J004AA11
4J004AB01
4J004DA02
4J004DB03
4J004EA06
4J011AA05
4J011AC04
4J011CA01
4J011CA08
4J011CC10
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA03
4J011QA24
4J011SA04
4J011SA14
4J011SA16
4J011UA01
4J011VA01
4J011WA02
4J038DL102
4J038FA011
4J038FA111
4J038KA03
4J038KA06
4J038KA08
4J038MA09
4J038NA10
4J038PA17
4J038PC08
4J038PC10
4J100AL05P
4J100AL63Q
4J100CA04
4J100CA05
4J100CA23
4J100JA01
(57)【要約】
剥離コーティングされた物品の製造方法であって、剥離コーティング組成物を提供することであって、剥離コーティング組成物は、エチレン性不飽和成分の総量に基づいて少なくとも50重量%のエチレン性不飽和モノマーの混合物であって、少なくとも18個の炭素原子を有する直鎖アルキル基を有するモノマーと、7~31個の炭素原子を有する分枝アルキル基を有するモノマーと、を含む、混合物と、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を含む架橋成分と、を含む、提供することを含む、方法について記載する。本方法は、剥離コーティングを基材の主表面に適用することと、剥離コーティングのモノマー及び架橋成分を重合させることと、を含む。直鎖アルキル基及び分枝アルキル基を有するモノマーは、典型的には、剥離コーティングが25℃で液体であるような重量比で存在する。剥離コーティング組成物及び物品も記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離コーティングされた物品の製造方法であって、
剥離コーティング組成物を提供することであって、前記剥離コーティング組成物は、
エチレン性不飽和成分の総量に基づいて少なくとも50重量%のエチレン性不飽和モノマーの混合物であって、
少なくとも18個の炭素原子を有する直鎖アルキル基を有するモノマーと、
7~31個の炭素原子を有する分枝アルキル基を有するモノマーと、を含む、混合物と、
少なくとも2つのエチレン性不飽和基を含む架橋成分と、
重合開始剤と、
を含み、前記剥離コーティング組成物は1重量%以下の非重合性有機溶媒を含む、提供することと、
前記剥離コーティングを基材の主表面に適用することと、
前記剥離コーティングを前記基材に適用した後に、前記剥離コーティングの前記モノマー及び架橋成分を重合させることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記重合開始剤がフリーラジカル開始剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フリーラジカル開始剤が光開始剤である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記直鎖アルキル基及び分枝アルキル基を有するモノマーが、前記剥離コーティングが25℃で液体であるような重量比で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記直鎖アルキル基を有するモノマー及び前記分枝アルキル基を有するモノマーが、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45未満の重量比で存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記直鎖アルキル基を有するモノマー及び前記分枝アルキル基を有するモノマーが、50:50、45:55、40:60、35:65、30:70未満の重量比で存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記分枝アルキル基を有するモノマーが、下記
【化1】
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記分枝アルキル基を有するモノマーが、以下の式
【化2】
[式中、
及びRは、各々独立して、C~C30飽和直鎖アルキル基であり、
及びRにおける炭素数の合計は7~31であり、
は、H又はCHである]
を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
及びRにおける炭素数の合計が7~17である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記分枝アルキル基を有するモノマーが、以下の式のアルキル(メタ)アクリレート:
【化3】
[式中、
及びRは、各々独立して、C~C30飽和直鎖アルキル基であり、
及びRにおける炭素数の合計は7~31であり、
は、H又はCHである]
の構造異性体を少なくとも3つ含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記架橋成分が、少なくとも3、4、5、又は6つのエチレン性不飽和基を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記架橋成分がポリジオルガノシロキサン部分を含まない、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記架橋成分がポリジオルガノシロキサン主鎖を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記架橋成分が脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートではない、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記エチレン性不飽和基がフリーラジカル重合性基である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記フリーラジカル重合性基が(メタ)アクリレート基である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記基材が、有機ポリマーフィルム、金属コーティングされたフィルム、金属箔、紙、又は繊維ウェブから選択される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
エチレン性不飽和成分の総量に基づいて少なくとも50重量%のエチレン性不飽和モノマーの混合物であって、
少なくとも18個の炭素原子を有する直鎖アルキル基を有するモノマーと、
7~31個の炭素原子を有する分枝アルキル基を有するモノマーと、を含む、混合物と、
少なくとも2つのエチレン性不飽和基を含む架橋成分と、
重合開始剤と、
1重量%以下の非重合性有機溶媒と、
を含む、剥離コーティング組成物。
【請求項19】
前記剥離コーティング組成物が請求項2~16のいずれか一項によって更に特徴付けられる、請求項18に記載の剥離コーティング組成物。
【請求項20】
前記モノマー及び架橋成分が重合されている、請求項18又は19に記載の剥離コーティング組成物。
【請求項21】
基材と、
前記基材の主表面上に配置された、請求項1~20のいずれか一項に記載の剥離コーティング組成物と、
前記剥離コーティングと接触する感圧接着剤層と、を含む、感圧接着剤物品。
【請求項22】
前記感圧接着剤が、アクリルコポリマー、天然ゴム、合成ゴム、又はシリコーンポリマーから選択される少なくとも1種のポリマーを含む、請求項21に記載の感圧接着剤物品。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
様々な剥離コーティング組成物が記載されてきたが、産業界は、無溶媒製造方法に適した新しい組成物において利点を見出す。
【0002】
一実施形態では、剥離コーティングされた物品の製造方法であって、
剥離コーティング組成物を提供することであって、剥離コーティング組成物は、
エチレン性不飽和成分の総量に基づいて少なくとも50重量%のエチレン性不飽和モノマーの混合物であって、
少なくとも18個の炭素原子を有する直鎖アルキル基を有するモノマーと、
7~31個の炭素原子を有する分枝アルキル基を有するモノマーと、を含む、混合物と、
少なくとも2つのエチレン性不飽和基を含む架橋成分と、
重合開始剤と、
を含み、剥離コーティング組成物は1重量%以下の非重合性有機溶媒を含む、提供することと、
剥離コーティングを基材の主表面に適用することと、
剥離コーティングを基材に適用した後に、剥離コーティングのモノマー及び架橋成分を重合させることと、を含む、方法が記載される。
【0003】
好ましい実施形態では、直鎖アルキル基及び分枝アルキル基を有するモノマーは、剥離コーティングが25℃で液体であるような重量比で存在する。
【0004】
また、エチレン性不飽和成分の総量に基づいて少なくとも50重量%のエチレン性不飽和モノマーの混合物であって、
少なくとも18個の炭素原子を有する直鎖アルキル基を有するモノマーと、
7~31個の炭素原子を有する分枝アルキル基を有するモノマーと、を含む、混合物と、
少なくとも2つのエチレン性不飽和基を含む架橋成分と、
重合開始剤と、
1重量%以下の非重合性有機溶媒と、を含む、剥離コーティング組成物も記載される。
【0005】
いくつかの実施形態では、モノマー及び架橋成分は重合されている(例えば、剥離コーティング組成物を基材に適用した後)。
【0006】
また、基材と、基材の主表面上に配置された、本明細書に記載の剥離コーティング組成物と、剥離コーティングと接触する感圧接着剤層と、を含む、感圧接着剤物品も記載される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】バッキングと、主表面上の剥離コーティングと、バッキングの反対側の主表面上の感圧接着剤と、を含む、物品の側面図である。
図2】剥離コーティングされたバッキングと、別個の感圧接着剤コーティングされた基材と、を含む別の物品の側面図である。
図3】両方の主表面上に剥離コーティングを有し、剥離コーティングされた表面の間に感圧接着剤を有するバッキングを含む、別の物品の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
剥離コーティングは、少なくとも7個の炭素原子を有する分枝(例えば、末端)アルキル基を含む1つ以上の(例えば、フリーラジカル重合性)エチレン性不飽和モノマーを含む。(メタ)アクリレート基の炭素原子は、アルキル基の炭素原子の数に含まれない。分枝アルキル基は、典型的には、50個以下の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、分枝アルキル基は、45、40、35、34、33、32、31、又は30個以下の炭素原子を有する。
【0009】
少なくとも7個の炭素原子を有する分枝(例えば、末端)アルキル基を含む(例えば、フリーラジカル重合性)エチレン性不飽和モノマーは、以下の式I:
【化1】
[式中、
及びRは、各々独立して、C~C30飽和直鎖アルキル基であり(この式において、R及びRは一緒になって環を形成しないことが理解される)、
及びRにおける炭素数の合計は7~31であり、
は、H又はCHである。]によって表すことができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、R及びRにおける炭素数の合計は少なくとも18である。R及びRにおける炭素数の合計が18である場合、モノマーは、イソステアリルアクリレート又はイソオクタデシルアクリレートとして記載されてもよい。本明細書で使用される場合、接頭辞「イソ-」は、同じ分子式を有するが、1つ以上の異なる(例えば、分枝、非直鎖)構造を有する異性体を指す。
【0011】
いくつかの実施形態では、少なくとも7個の炭素原子を有する分枝(例えば、末端)アルキル基を含むエチレン性不飽和モノマーは、1つを除く全ての炭素が連続鎖を形成する異性体である。このような異性体は、鎖の末端にイソプロピル基を有する。例えば、用語「イソステアリルアクリレート」は、以下の化合物:
【化2】
を記載するためにも使用されている。
【0012】
他の実施形態では、剥離コーティングは、少なくとも2つの異性体の混合物を含む。例えば、用語「イソステアリルアクリレート」は、以下の化合物:
【化3】
【化4】
の混合物を記載するために使用されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、分枝(例えば、末端)アルキル基を含む(例えば、フリーラジカル重合性)エチレン性不飽和モノマーは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,102,774号に記載されているように、式(I)の構造異性体を少なくとも3つ含む。いくつかの実施形態では、式(I)のアルキル(メタ)アクリレートは、15~85モル%の2-アルキル(メタ)アクリレート異性体と、5~50モル%の3-アルキル(メタ)アクリレート異性体と、0.5~40モル%の4-アルキル(メタ)アクリレート異性体と、0~50モル%の5-~15-アルキル(メタ)アクリレート異性体のうちの少なくとも1つとを含んでもよい。いくつかの実施形態では、2-アルキル(メタ)アクリレート異性体は、典型的には、7~31個の炭素原子を有する分枝アルキル基を有するモノマーの総モルに基づいて35モル%未満である。
【0014】
いくつかの実施形態では、分枝(例えば、末端)アルキル基を含む(例えば、フリーラジカル重合性)エチレン性不飽和モノマーは、R及びRにおける炭素数の合計が7~17であり、すなわち換言すれば、イソステアリル(メタ)アクリレートよりも少ない炭素原子を有する、式(I)の1つ以上の構造異性体を含む。いくつかの実施形態では、R及びRにおける炭素数の合計は、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16である。
【0015】
好ましい実施形態では、少なくとも7個の炭素原子を有する分枝アルキル基を含むエチレン性不飽和モノマーは、25℃で液体である。
【0016】
剥離コーティングは、少なくとも18個の炭素原子を有する直鎖アルキル基を含む1つ以上の(例えば、フリーラジカル重合性)エチレン性不飽和モノマーを更に含む。アルキル基は、「n-」アルキル基として記載されてもよく、これは、全ての炭素が、連続した非分枝直鎖からのものであることを意味する。
【0017】
代表的な例としては、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、(メタ)エイコサニルアクリレート、(メタ)ベヘニルアクリレートなどが挙げられる。このようなモノマーは、典型的には、1000、900、800、700、600、又は500g/モル以下の分子量を有する。1つの代表的なモノマーであるステアリルアクリレート(STA)は、以下のように表される。
【化5】
【0018】
少なくとも18個の(例えば、隣接する)炭素原子を有する直鎖アルキル基を含むエチレン性不飽和モノマーは、典型的には、室温で固体であり、少なくとも20、25、30、35、40、45℃、又は50℃の融点を有する。理論に束縛されるものではないが、このような溶融温度は、(例えば、C18)結晶性側鎖の溶融に関連すると推測される。いくつかの実施形態では、重合剥離コーティングの(例えば、側鎖)溶融温度は、典型的には、100、95、90、85、80、75、70、65℃、又は60℃以下である。溶融温度は、窒素雰囲気下、10℃/分の加熱/冷却速度でASTM D3418-15に従って示差走査熱量計(DSC)によって測定することができる。
【0019】
分枝及び直鎖モノマーの両方のエチレン性不飽和基CH=CH-は、典型的には、エステル連結基-(CO)O-を介してアルキル基に結合している。しかし、有機連結基が分枝アルキル部分の液体特性を損なわない限り、又は少なくとも18個の炭素原子を有する直鎖アルキル部分の結晶特性を損なわない限り、エステル結合の代わりに他の二価以上の有機連結基が存在してもよい。分岐モノマー及び直鎖モノマーの両方のアルキル基は、典型的には、隣接している。しかし、ヘテロ原子の存在が、分枝アルキル部分の液体特性を損なわない限り、又は少なくとも18個の炭素原子を有する直鎖アルキル部分の結晶特性を損なわない限り、アルキル基は、このようなヘテロ原子又は他の二価有機連結基で任意に中断されていてもよい。典型的な実施形態では、アクリレートフリーラジカル重合性エチレン性不飽和モノマーは、特に無溶媒製造のために、メタクリレートよりも好ましい。
【0020】
剥離コーティング組成物は、少なくとも18個の炭素原子を有する直鎖アルキル基を含むエチレン性不飽和モノマーと、少なくとも7個の炭素原子を有する分枝アルキル基を含むエチレン性不飽和モノマーと、を、剥離コーティング組成物の(例えば、フリーラジカル重合性)エチレン性不飽和モノマーの総量に基づいて少なくとも50重量%の総量で含む。少なくとも18個の炭素原子を有する直鎖アルキル基を含むエチレン性不飽和モノマー及び少なくとも7個の炭素原子を有する分枝アルキル基を含むエチレン性不飽和モノマーの総量は、典型的には、混合物の他の重合性成分の合計以上である。いくつかの好ましい実施形態では、少なくとも18個の炭素原子を有する直鎖アルキル基を含むエチレン性不飽和モノマー及び少なくとも7個の炭素原子を有する分枝アルキル基を含むエチレン性不飽和モノマーの総量は、剥離コーティングのエチレン性不飽和成分の総量の少なくとも55、60、65、70、75、80、85、90、又は95重量%である。
【0021】
少なくとも18個の炭素原子を有する直鎖アルキル基を含むエチレン性不飽和モノマーと少なくとも7個の炭素原子を有する分枝アルキル基を含むエチレン性不飽和モノマーとの重量比は、このようなエチレン性不飽和モノマーの総重量に基づいて5:95~95:5の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも18個の炭素原子を有する直鎖アルキル基を含むエチレン性不飽和モノマーと少なくとも7個の炭素原子を有する分枝アルキル基を含むエチレン性不飽和モノマーとの重量比は、10:90~90:10又は20:80~80:20の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、
改善された結晶化及びアルキル鎖の整列に適した、少なくとも18個の炭素原子を有する直鎖アルキル基を含むエチレン性不飽和モノマーの濃度を最大にして、それによって、より良好な剥離(例えば、より低い剥離値)を提供することが好ましい。しかし、剥離組成物がn-ステアリルアクリレート80とイソステアリルアクリレート20との重量比を含む場合、剥離組成物は25℃で液体ではなく固体であり得る。
【0022】
好ましい実施形態では、少なくとも7個の炭素原子を有するアルキル基を含む1つ以上の分枝エチレン性不飽和モノマーの濃度、並びに架橋モノマー及び任意による他の成分(例えば、モノマー)の種類及び量は、重合剥離コーティングが25℃で液体であるように選択される。
【0023】
したがって、剥離組成物が25℃で液体である典型的な好ましい実施形態では、直鎖(C18+)アルキル基と分枝(C7+)アルキル基を有するモノマーとは、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45未満の重量比で存在する。更に、いくつかの実施形態では、直鎖(C18+)アルキル基と分枝(C7+)アルキル基を有するモノマーとは、50:50、45:55、40:60、35:65、30:70未満の重量比で存在する。
【0024】
他の実施形態では、例えば、剥離組成物が、少なくとも18個の炭素原子を有するアルキル基を含む分枝エチレン性不飽和モノマーよりも実質的に多くの直鎖モノマーを含有する場合、剥離組成物は、少なくとも30、35、40、45℃、又は50℃の溶融温度を有してもよい。理論に束縛されるものではないが、このような溶融温度は、(例えば、C18)結晶性側鎖の溶融に関連すると推測される。いくつかの実施形態では、重合剥離コーティングの(例えば、側鎖)溶融温度は、典型的には、100、95、90、85、80、75、70、65℃、又は60℃以下である。溶融温度は、実施例に記載の試験方法に従って示差走査熱量計(DSC)によって測定することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、剥離コーティングは、任意に、他の(例えば、フリーラジカル重合性)エチレン性不飽和モノマー、オリゴマー、又はポリマーを更に含む。これは、例えば、他のアルキル基を含むエチレン性不飽和モノマー、極性モノマー、芳香族モノマー、及びシリコーン成分を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、剥離コーティングは、任意に、5~17個の炭素原子を含む直鎖アルキル基を含むエチレン性不飽和モノマーを更に含む。このような任意によるアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、典型的には、単官能性であり、単一のエチレン性不飽和(例えば、(メタ)アクリレート)基を有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、任意によるエチレン性不飽和モノマーは、少なくとも10個、11個、又は12個の炭素原子を含む。代表的な例としては、例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0028】
いくつかの実施形態では、任意によるエチレン性不飽和モノマーは、10個未満の炭素原子を含む。代表的な例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、及びノニル(メタ)アクリレートが挙げられる。剥離コーティングは、このような任意によるアルキル(メタ)アクリレートモノマーの様々な混合物を含むことができる。
【0029】
このような任意によるアルキル(メタ)アクリレートモノマーの濃度は、アルキル(メタ)アクリレートモノマーの鎖長に応じて変化し得る。好ましい実施形態では、アルキル(メタ)アクリレートモノマーの種類及び量は、典型的には、その存在が未重合剥離コーティングの液体特性を損なわないように選択される。任意によるアルキル(メタ)アクリレートモノマーの濃度は、典型的には、少なくとも18個の炭素原子を有する直鎖アルキル基を含むエチレン性不飽和モノマー及び少なくとも7個の炭素原子を有する分枝アルキル基を含むエチレン性不飽和モノマーの合計未満である。したがって、任意によるアルキル(メタ)アクリレートモノマーの濃度は、典型的には、エチレン性不飽和成分の総量に基づいて、50、45、40、35、30、25、20重量%、又は15重量%未満である。いくつかの実施形態では、任意によるアルキル(メタ)アクリレートモノマーの濃度は、10、9、8、7、6、5、4、3、2重量%、又は1重量%以下である。
【0030】
いくつかの実施形態では、少なくとも18個の炭素原子を有する直鎖アルキル基又は少なくとも7個の炭素原子を有する分枝アルキル基を含むエチレン性不飽和モノマーは、供給業者から購入することができ、純度が100%未満であるため、低濃度の任意によるアルキル(メタ)アクリレートモノマーを含有し得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、剥離コーティングのモノマーの混合物は、アクリロニトリル、n-ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリル酸のC~Cアルキルエステル、及び/又は(メタ)アクリル酸のヒドロキシル官能性C~Cアルキルエステルなどの極性モノマーを任意に更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、剥離コーティングのモノマーの混合物は、任意に、スチレンなどの芳香族モノマーを更に含んでもよい。存在する場合、このようなモノマーは、典型的には、剥離コーティングのエチレン性不飽和成分の総量の10、9、8、7、6、5、4、3、2重量%、又は1重量%以下の量で存在する。
【0032】
剥離コーティング組成物は、少なくとも2つの(例えば、フリーラジカル重合性)エチレン性不飽和基を含む少なくとも1つの架橋成分を更に含む。架橋成分は、モノマーであっても、オリゴマーであっても、ポリマーであってもよい。いくつかの実施形態では、架橋成分は、ポリジオルガノシロキサン部分を含まない。他の実施形態では、架橋成分は、ポリジオルガノシロキサン部分を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、架橋成分は、多官能性エチレン性不飽和モノマーである。いくつかの実施形態では、架橋モノマーは、少なくとも3、4、5、又は6つの(例えば、フリーラジカル重合性)エチレン性不飽和基を含む。このような架橋モノマーは、典型的には、1000g/モル以下の分子量を有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、架橋モノマーは、シリコーンモノマー、オリゴマー、又はポリマーではない。この実施形態では、剥離コーティングは、シリコーンを含まなくてもよい。有用な(すなわち、シリコーンを含まない)マルチ-(メタ)アクリレートモノマー及びオリゴマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
(a)ジ(メタ)アクリル含有モノマー、例えば、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールモノアクリレートモノメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、アルコキシル化脂肪族ジアクリレート、アルコキシル化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオールジアクリレート、アルコキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、
(b)トリ(メタ)アクリル含有モノマー、例えば、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリアクリレート(例えば、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート)、プロポキシ化トリアクリレート(例えば、プロポキシ化グリセリルトリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート)、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート(Sartomerから商標名「SR444」で市販されている)、及びエトキシル化ペンタエリスリトールトリアクリレート(Sartomerから商標名「SR494」で市販されている)、
(c)高官能性(メタ)アクリルモノマー、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(Sartomerから商標名「SR399」で市販されている)、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及びトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(Sartomerから商標名「SR368」で市販されている)。
【0035】
いくつかの実施形態では、架橋成分は、例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、及びエポキシアクリレートなどのオリゴマー(メタ)アクリルモノマーである。このような(メタ)アクリレート成分は、例えば、Sartomer Company(Exton,Pennsylvania)、Cytec Industries(Woodland Park,NY)、及びAldrich Chemical Company(Milwaukee,Wisconsin)などの供給業者から入手可能である。このようなオリゴマー(メタ)アクリル成分は、5000~10,000g/モルの範囲の分子量を有してもよい。いくつかの実施形態では、剥離組成物は、オリゴマー(メタ)アクリル成分をほとんど又は全く含まない。このような実施形態では、オリゴマー(メタ)アクリル成分の濃度は、剥離コーティングのエチレン性不飽和成分の総量の10、9、8、7、6、5、4、3、2重量%、又は1重量%以下である。
【0036】
いくつかの実施形態では、架橋成分のホモポリマーのガラス転移温度(Tg)は、少なくとも50、55、60、65、70℃、又は75℃である。いくつかの実施形態では、架橋成分のTgは、200℃、175℃、150℃、又は100℃以下である。
【0037】
いくつかの実施形態では、架橋モノマーは、末端エチレン性不飽和(例えば、(メタ)アクリレート基)の間に1つ以上のエトキシル化基-(CHO)n-を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、架橋成分は、シリコーンオリゴマー又はポリマーである。シリコーン架橋成分は、典型的には、25℃で10,000、5,000、2,500mPas、又は1,000mPas以下の粘度を有する流体である。例えば、TEGO(商標)RC 902として市販されているシリコーン架橋成分は、25℃で420mPasの粘度を有することが報告されている。更に、TEGO(商標)RC 711として市販されているシリコーン架橋成分は、25℃で600mPasの粘度を有する。このようなシリコーンアクリレートの両方は、1%未満の揮発分を有し、したがって、粘度は分子量の関数であり、有機溶媒による希釈ではない。
【0039】
シリコーン架橋成分は、ポリシロキサン主鎖を含む。このようなシリコーン成分は、(例えば、ペンダント及び/又は末端)エチレン性不飽和(例えば、(メタ)アクリレート)基を含むことを考慮して、「官能性」として特徴付けられ得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、シリコーン架橋成分は、以下の式:
【化6】
[式中、R、R、及びRは、独立して、アルキル基又はアリール基から選択され、
はアルキル基であり、1つ以上のR又はR’基は、エチレン性不飽和(例えば、(メタ)アクリレート)基を含み、n及びmは、繰り返し単位の数である。]によって表すことができる。いくつかの実施形態では、アルキル基又はアリール基のうちの1つ以上は、ハロゲン置換基、例えばフッ素を含有してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、アルキル基のうちの1つ以上は、-CHCHであってもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、R及びRは、(例えば、メチル)アルキル基であり、nは1であり、すなわち、材料はポリ(ジアルキルシロキサン)である。いくつかの実施形態では、アルキル基はメチル基、すなわち、ポリ(ジメチルシロキサン)(「PDMS」)である。いくつかの実施形態では、Rはアルキル基であり、Rはアリール基であり、nは0であり、すなわち、材料はポリ(アルキルアリールシロキサン)である。いくつかの実施形態では、Rはメチル基であり、Rはフェニル基であり、すなわち、材料はポリ(メチルフェニルシロキサン)である。いくつかの実施形態では、R及びRは、アルキル基であり、R及びRは、アリール基であり、すなわち、材料はポリ(ジアルキルジアリールシロキサン)である。いくつかの実施形態では、R及びRは、メチル基であり、R及びRは、フェニル基であり、すなわち、材料はポリ(ジメチルジフェニルシロキサン)である。
【0042】
いくつかの実施形態では、R及びR’は、メチル基であり、すなわち、ポリジオルガノシロキサン架橋成分は、トリメチルシロキシ基によって終端化される。この実施形態では、nは少なくとも1であり、Rはエチレン性不飽和(例えば、(メタ)アクリレート)基を含む。したがって、このようなシリコーン架橋成分は、ペンダントエチレン性不飽和(例えば、(メタ)アクリレート)基を含む。
【0043】
他の実施形態では、Rはメチル基であり、R’はエチレン性不飽和(例えば、(メタ)アクリレート)基を含む。したがって、このようなシリコーン架橋成分は、末端エチレン性不飽和(例えば、(メタ)アクリレート)基を含む。
【0044】
又はR’基は、式CH=CH(CO)O-L-[式中、Lは、共有結合、アルキレン、アリーレン、アルカリーレン、又はアリールアルキレンである]を有してもよい。
【0045】
当業者であれば、ジメチルシロキサン繰り返し基の数(上記の代表的な構造の「m」)及びペンダントアクリレート官能基の数(上記の代表的な構造の「n」)は、ポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で決定することができるように、分子量に関して表すこともできることを理解する。ポリオルガノシロキサン架橋成分の数平均分子量は、典型的には、少なくとも200g/モル、300g/モル、又は400g/モルである。いくつかの実施形態では、数平均分子量は、少なくとも500g/モル、700g/モル、700g/モル、800g/モル、900g/モル、又は1000g/モルである。いくつかの実施形態では、ポリオルガノシロキサン架橋成分の数分子量は、少なくとも2000g/モル、3000g/モル、4000g/モル、又は5,000g/モルである。いくつかの実施形態では、ポリオルガノシロキサン架橋成分の数分子量は、少なくとも10,000g/モル又は15,000g/モルである。
【0046】
いくつかの実施形態では、ポリオルガノシロキサン架橋成分の重量平均分子量は、少なくとも1,000、2,000、3,000、4,000、又は5,000g/モルである。いくつかの実施形態では、ポリオルガノシロキサン架橋成分の重量平均分子量は、50,000g/モル、45,000g/モル、40,000g/モル、35,000g/モル、30,000g/モル、25,000g/モル、又は20,000g/モル以下である。
【0047】
いくつかの実施形態では、ポリオルガノシロキサン架橋成分の多分散度は、典型的には2~3の範囲である。
【0048】
シリコーン架橋成分は、米国特許出願公開第2014/0287642号に記載されているもののような、メルカプト官能性シリコーンマクロモノマーではない。当業者であれば、メルカプト基はフリーラジカル重合性であるが、このような基はエチレン性不飽和ではなく、連鎖移動によって重合を停止させることを理解する。
【0049】
いくつかの実施形態では、剥離コーティング組成物は、一般式X-(Y)SiR(3-m)[式中、
Xは(メタ)アクリレート基であり、
Yは、二価結合基であり、nは、0又は1であり、
mは1~3の整数であり、
Rは、水素、低級アルキル(例えば、メチル、エチル、又はプロピル)、アリール(例えば、フェニル又は置換フェニル)、又はアルコキシであり、
Zは、約1,000g/モルを超える数平均分子量を有する一価シロキサンポリマー部分である]を有するシリコーンマクロマーを任意に更に含んでもよい。シロキサンポリマー部分は、剥離コーティングのモノマー及び架橋成分の(例えば、フリーラジカル重合性)エチレン性不飽和基と共重合する官能基を含まない。
【0050】
好ましいシリコーンマクロマー(実施例で利用されるような)は、以下の式:
【化7】
[式中、Rは、H又はアルキル基である]を有する。
【0051】
シリコーンマクロマーの組み合わせも使用できる。
【0052】
このようなシリコーンマクロマーは単官能性であり、したがって、架橋成分ではない。存在する場合、このようなシリコーンマクロマーは、典型的には、剥離コーティングの(例えば、フリーラジカル重合性)エチレン性不飽和成分の総量の10、9、8、7、6、5、4、3、2重量%、又は1重量%以下の量で存在する。
【0053】
いくつかの実施形態では、(例えば、剥離)組成物は、1つ以上の添加剤を任意に更に含む。添加剤としては、例えば、1つ以上の酸化防止剤、光(例えば、UV)安定剤、レベリング剤、熱安定剤、レオロジー調整剤、着色剤、UV又は蛍光染料、抗菌組成物、可塑剤などが挙げられる。1つ以上の添加剤は、典型的には、総組成物に基づいて約0.01重量%~10重量%の範囲の量で組成物中に存在することができ、添加剤の種類及び剥離コーティングの最終特性に依存し得る。いくつかの実施形態では、添加剤の総量は、総固形(すなわち、存在し得る任意の溶媒を除く)組成物の9、8、7、6、5、4、3、2重量%、又は1重量%以下である。
【0054】
いくつかの実施形態では、剥離コーティングは、充填剤を任意に更に含んでもよい。充填剤を使用して、コストを低減すること、又は剥離コーティングの色及び/若しくは不透明度を変更することができる。有用な充填剤としては、例えば、粘土、タルク、染料、並びに顔料粒子及び着色剤(例えば、TiO又はカーボンブラック)、ガラスビーズ、金属酸化物粒子、シリカ粒子、並びに表面処理シリカ粒子(例えば、Degussa Corporation(Parsippany,NJ)から入手可能なAerosil R-972)が挙げられる。典型的には、充填剤は、剥離コーティングの総固形分に基づいて約1又は2重量%から25重量%までの範囲の濃度で添加される。
【0055】
典型的な溶液重合法は、少なくとも18個の炭素原子を有する直鎖アルキル基を含むモノマーをモノマーの融点より高い温度に予熱することと、少なくとも18個の炭素原子を有する分枝アルキル基を含むモノマー、架橋成分、及び任意によるモノマー、好適な溶媒、及び任意による連鎖移動剤を反応容器に加えることと、フリーラジカル反応開始剤を添加することと、窒素でパージすることと、バッチサイズ及び温度に応じて、反応が完了するまで、反応容器を、典型的には約1~20時間、高温(例えば、約40~100℃)にて維持することと、によって実施される。
【0056】
好適な溶媒の例としては、アルカン(例えば、ヘプタン)、並びにアセトン及びメチルエチルケトンなどのケトンが挙げられる。これらの溶媒は単独で、又はこれらの混合物として使用することができる。有機溶媒の量は、典型的には、溶液の総重量に基づいて約30~98重量パーセント(重量%)である。
【0057】
従来の溶液重合とは異なり、剥離コーティングされた物品の1つの具体的な製造方法は、未重合モノマー及び架橋成分、任意による溶媒、好ましくは無溶媒、及びフリーラジカル反応開始剤の混合物を、基材の主表面に適用することを含む。本方法は、剥離コーティングを基材に適用した後に、剥離コーティングのモノマー及び架橋成分を重合させること(反応容器内で重合させるのではなく)を更に含む。
【0058】
したがって、剥離組成物のモノマー及び架橋成分は、放射線重合を使用するプロセスを含む溶媒重合及び無溶媒バルク重合を含む様々な技術によって、基材上で重合させることができる。剥離組成物は、典型的には、コモノマー及び架橋成分を重合させるのに有効な種類及び量の重合開始剤、例えば、熱開始剤又は光開始剤を含む。
【0059】
本明細書に記載の剥離組成物は、従来のコーティング技術、例えば、巻線ロッド、(例えば、直接、キス、逆)グラビア、3ロール及び5ロールコーティング、エアナイフ、スプレーコーティング、ノッチバーコーティング、ナイフコーティング、スロットダイコーティング(張力ウェブへの適用を含む)、浸漬ディップコーティング、カーテンコーティング、並びにトレーリングブレードコーティングによって基材(例えば、テープバッキング)に適用されてもよい。いくつかの実施形態では、剥離コーティングは、グラビアコータを用いて、約5億立方ミクロン/平方インチ~50億立方ミクロン/平方インチ、60億立方ミクロン/平方インチ、70億立方ミクロン/平方インチ、80億立方ミクロン/平方インチ、90億立方ミクロン/平方インチ、100億立方ミクロン/平方インチ、150億立方ミクロン/平方インチ、200億立方ミクロン/平方インチ、250億立方ミクロン/平方インチ、又は300億立方ミクロン/平方インチの範囲の体積係数で適用される。コーティング装置は、剥離組成物がその融点を超えたままであるように加熱されてもよい。これは、加熱管、加熱ポンプ要素、加熱コーティングダイ/流体アプリケータ、及び加熱ロール(例えば、基材を搬送するため)などの送達のための加熱容器の任意の組み合わせを含んでもよい。温度は、コーティングプロセス全体を通して同じ温度又は異なる温度に制御することができる。温度は、任意の許容可能な手段、すなわち、抵抗加熱テープ、再循環流体(例えば、水、油)、赤外線などによって制御されてもよい。好ましい実施形態では、剥離組成物は、基材上に分配される際に、その融点を超えたままである。コーティング装置が維持される温度は、典型的には、室温(約25℃)、30℃、40℃、50℃、60℃、又は70℃である。
【0060】
コーティング方法に応じて、コーティングは、連続コーティングであっても不連続コーティングであってもよい。剥離コーティングの単位面積当たりの厚さ又は質量は変化し得る。いくつかの実施形態では、コーティングは、少なくとも0.0025ミクロン(2.5ナノメートル)から25ミクロンまでの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、不連続コーティングは、少なくとも0.0025グラム/平方メートル(gsm)から25gsmまでの範囲の単位面積当たりの質量を有する。いくつかの実施形態では、単位面積当たりの厚さ/質量は、少なくとも0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、又は0.5ミクロン/gsmである。いくつかの実施形態では、単位面積当たりの厚さ/質量は、10、9、8、7、6、又は5ミクロン/gsm以下である。
【0061】
好ましい実施形態では、重合は、(非重合性)有機溶媒の非存在下及び酸素の非存在下で行われる(典型的には、窒素不活性化によって達成される)。溶媒が架橋されたポリマーネットワークの形成に影響を与えない場合であっても、側鎖結晶の形成が影響を受け、したがって、異なる剥離力特性を有するコーティングが得られることがある。
【0062】
更に別の実施形態では、剥離コーティングのモノマー及び架橋成分を部分重合させて、(例えば、未重合)モノマー中に溶解した溶質(メタ)アクリルポリマーを含むシロップ組成物を生成することができる。部分重合により、1種以上のフリーラジカル重合性モノマー中の(メタ)アクリル溶質ポリマーのより高粘度のコーティング可能な溶液が得られる。いくつかの実施形態では、コーティング可能な粘度を達成するための重合は、モノマーからポリマーへの変換が約30%までになるように実施され得る。その後、部分重合組成物を好適な基材上にコーティングし、更に重合させる。この実施形態では、少なくとも18個の炭素原子を有する末端アルキル基を含むモノマーは、架橋成分を添加する前に部分重合され得る。
【0063】
有用な重合(例えば、フリーラジカル)開始剤としては、熱又は光への曝露の際に、モノマー及び架橋成分の混合物の(共)重合を開始するフリーラジカルを生成するものが挙げられる。開始剤は、典型的には、総重合性成分の約0.0001~約3.0重量部、好ましくは約0.001~約1.0重量部、より好ましくは約0.005~約0.5重量部の範囲の濃度で用いられる。
【0064】
好適な熱開始剤としては、Chemours Co.(Wilmington,DE,USA)から商標名VAZOで市販されているものなどの様々なアゾ化合物、例えば、2,2’-アゾビス(2-メチルブタンニトリル)であるVAZO67、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)であるVAZO64、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)であるVAZO52、及び1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)であるVAZO88;ベンゾイルペルオキシド、シクロヘキサンペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ジ-tert-アミルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジ-クミルペルオキシド、及びAtofina Chemical,Inc.(Philadelphia,PA,USA)から商標名LUPERSOL(例えば、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンであるLUPERSOL 101、及び2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシンであるLUPERSOL 130)で市販されているペルオキシドなどの様々なペルオキシド;tert-アミルヒドロペルオキシド及びtert-ブチルヒドロペルオキシドなどの様々なヒドロペルオキシド;並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0065】
有用な光開始剤としては、ベンゾインエーテル、例えば、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテル;置換アセトフェノン、置換α-ケトール、例えば、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン;芳香族スルホニルクロリド、例えば、2-ナフタレン-スルホニルクロリド;並びに光活性オキシム、例えば、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシ-カルボニル)オキシムが挙げられる。
【0066】
例示的な置換アセトフェノンとしては、2,2-ジエトキシアセトフェノン、又は2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(BASF Corp.(Florham Park,NJ,USA)から商標名IRGACURE 651で、又はSartomer(Exton,PA,USA)から商標名ESACURE KB-1で市販されている)、ジメチルヒドロキシアセトフェノン、及び2-ヒドロキシ-2-メチル-フェニル-1-プロパン(TEGO(商標)光開始剤A18)が挙げられる。更に他の例示的な光開始剤は、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノンなどの置換α-ケトール、2-ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド、及び1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシムである。他の好適な光開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商標名IRGACURE 184で市販されている)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(商標名IRGACURE 819で市販されている)、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(商標名IRGACURE 2959で市販されている)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン(商標名IRGACURE 369で市販されている)、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン(商標名IRGACURE 907で市販されている)、及び2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(商標名DAROCUR 1173でCiba Specialty Chemicals Corp.(Tarrytown,NY,USA)から市販されている)が挙げられる。
【0067】
重合性混合物を基材に適用した後、エチレン性不飽和モノマー及び架橋成分の重合は、典型的には光開始剤の存在下で、(乾燥溶媒含有、無溶媒、又はシロップ)剥離組成物を放射エネルギーに曝露することによって達成することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、剥離組成物は、UV線に曝露される。紫外線光源は、280~400ナノメートルの波長範囲にわたって概ね10mW/cm以下(アメリカ国立標準技術研究所(United States National Institute of Standards and Technology)によって承認されている手順に従い、例えば、Electronic Instrumentation&Technology,Inc.(Sterling,Va.)製のUVIMAP UM 365 L-S放射計を用いて計測したとき)を提供する、ブラックライトなどの比較的低光度の光源;及び概ね10mW/cm超、典型的には15~450mW/cmの強度を提供する中圧水銀ランプなどの比較的高光度の光源を含め、様々なタイプのものであってよい。モノマー及び架橋成分は、Fusion UV Systems Inc.から入手可能な高強度光源で重合することもできる。モノマー及び架橋成分を重合するためのUV光は、発光ダイオード、ブラックライト、中圧水銀ランプなど、又はこれらの組み合わせによって提供され得る。
【0069】
剥離コーティングは、多種多様な基材(例えば、テープバッキング)に適用することができる。いくつかの実施形態では、基材は、有機ポリマーフィルム、金属コーティングされたフィルム、金属箔、紙、発泡体、又は(例えば、織布又は不織布)繊維ウェブである。いくつかの実施形態では、基材は、医療用テープ及びドレッシング材のバッキングに典型的に使用されるものなどの、織布(編まれたものを含む)又は(例えば、スパンボンド又はメルトブローン)不織繊維ウェブである。いくつかの実施形態では、基材は、剥離ライナー、マスキングテープ、及び自己粘着性ノートパッドに使用されるものなどのコーティングを含み得る紙である。
【0070】
好適なポリマーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、及びポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム;ポリエチレン及びポリプロピレン(例えば、二軸延伸ポリプロピレン、BOPP)などのポリオレフィンフィルム;ナイロンなどのポリアミドフィルム;KAPTON(DuPont deNemours Corp.(Wilmington,Del.)から入手可能)などのポリイミドフィルム;酢酸セルロース;ポリ塩化ビニル;ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
【0071】
いくつかの実施形態では、基材の厚さは、少なくとも0.5、1ミル、又は2ミル、典型的には、5、10ミル、又は15ミル以下である。
【0072】
基材(例えば、バッキング)の一方又は両方の主表面は、剥離コーティング、接着剤、又はその両方の接着を促進するために、当該技術分野において既知のとおり、プライマー層を更に含んでもよく、又は表面処理(例えば、コロナ処理)されてもよい。
【0073】
得られるPSA物品は、テープであっても、ラベルであっても、創傷用ドレッシング材であってもよい。接着剤物品は、シート、多層シート、若しくはシートのスタック(例えば、ノートパッド、イーゼルパッド、ラベルパッド、テープスタック)の形態、又はテープのロールなどのロールの形態であってもよい。
【0074】
1つの例示的なPSA物品100を図1に示す。この具体化された(例えばテープ)物品は、基材(例えば、バッキング)120の主表面上に配置された剥離コーティング110と、120の反対側の主表面上に配置された感圧接着剤130と、を含む。
【0075】
図2は、別のPSA物品200を示す。この具体化された物品は、基材(例えば、バッキング)220の主表面上に配置された剥離コーティング210を含む。感圧接着剤230は、剥離コーティング210に剥離可能に結合される。感圧接着剤は、第2の基材221の主表面上に配置される。
【0076】
図3は、別のPSA物品300を示す。この具体化された(例えば、テープ)物品は、基材(例えば、バッキング)320の両方の主表面上に配置された剥離コーティング310及び311と、剥離コーティング311に剥離可能に結合された感圧接着剤330と、を含む。剥離コーティング310及び311の一方又は両方は、本明細書に記載の剥離コーティングである。
【0077】
本明細書に記載の剥離コーティングは、多種多様な感圧接着剤組成物と共に使用するのに好適である。好適な(例えば、感圧)接着剤としては、天然又は合成のゴム系感圧接着剤、アクリル感圧接着剤、ビニルアルキルエーテル感圧接着剤、シリコーン感圧接着剤、ポリエステル感圧接着剤、ポリアミド感圧接着剤、ポリα-オレフィン、ポリウレタン感圧接着剤、及びスチレンブロックコポリマー系感圧接着剤が挙げられる。感圧接着剤は概して、室温(25℃)で動的機械分析により測定することができる、1Hzの周波数での3×10ダイン/cm未満の貯蔵弾性率(E’)を有する。
【0078】
感圧接着剤は、有機溶媒系、水性エマルジョン、(例えば米国特許第6,294,249号に記載されているものなどの)ホットメルト、感熱性、及び化学線(例えば電子ビーム、紫外線)硬化性感圧接着剤であってもよい。感熱接着剤は、感圧接着剤について先に記載したのと同じ分類のものから調製することができる。しかし、それらの成分及び濃度は、接着剤が感圧性ではなく感熱性であるか、又はこれらの組み合わせになるように選択される。
【0079】
いくつかの実施形態では、有機溶媒を、接着剤を本明細書に記載の剥離コーティングと接触させる前に、感圧接着剤から除去する。いくつかの実施形態では、ホットメルト接着剤を、剥離コーティング組成物の溶融温度未満の温度で剥離コーティングと接触させる。有機溶媒又は熱への曝露は、側鎖の結晶化を破壊し得、それによって、剥離特性を変化させ得る。例えば、曝露後、コーティングは、剥離コーティングではなくプライマー又は接着促進剤として機能することができる。
【0080】
感圧接着剤は、必要に応じて1種以上の好適な添加剤を更に含んでもよい。添加剤の例は、架橋剤(例えば多官能性(メタ)アクリレート架橋剤(例えばTMPTA)、エポキシ架橋剤、イソシアネート架橋剤、メラミン架橋剤、アジリジン架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、フェノール変性テルペン並びにロジンのグリセロールエステル及びロジンのペンタエリスリトールエステルなどのロジンエステル、並びにC5及びC9炭化水素粘着付与剤)、増粘剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、静電気防止剤、界面活性剤、レベリング剤、着色剤、難燃剤、及びシランカップリング剤である。
【0081】
剥離組成物は、市販のテープの様々な異なる接着剤組成物に対して良好な剥離特性を示すことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の剥離特性は、50ミクロン厚のコロナ処理BOPPフィルム上に配置された、100部のSISブロックコポリマー(14.3%のスチレン含有量、88%のカップリング効率、及び9g/10分のメルトインデックス(条件G)を有する)、85部の粘着付与樹脂(87℃の軟化点を有するC9改質C5)、及び2部の酸化防止剤の混合物を含む、25ミクロン厚のホットメルト接着剤の層を有する、試験テープ1を用いて決定された。
【0082】
剥離コーティングの平均(23℃及び50%湿度又は50℃で7日間エージングした)剥離力は、概ね、90インチ(228.6cm)/分の剥離速度で1オンス/インチ(11.2g/cm)~25オンス/インチ(280g/cm)の範囲であり得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、平均剥離力は、90インチ(228.6cm)/分の剥離速度で少なくとも2、3、4、5、6オンス/インチ、又は7(22.3、33.5、44.6、55.8、78.1g/cm)オンス/インチである。より遅い剥離速度でのより高い平均初期剥離力は、いくつかの実施形態では、テープのロールが自己巻き戻しすることを防止するために、又は包装テープ及び医療用テープなどの過剰テーピングが生じたときにより大きな保持力を提供するために、好ましい場合がある。
【0084】
いくつかの実施形態では、平均剥離力は、90インチ(228.6cm)/分の剥離速度で、15(168g/cm)又は10(112g/cm)オンス/インチ以下、いくつかの実施形態では、9(100.8g/cm)、8(89.6g/cm)、7(78.1g/cm)、6(67g/cm)、5(55.8g/cm)、4(44.6g/cm)、又は3(33.5g/cm)オンス/インチ以下である。いくつかの実施形態では、23℃及び50%湿度又は50℃で7日間の平均剥離力の差は、平均CTH値の25、20、15%、又は10%以下である。
【0085】
再接着は、典型的には10~60オンス/インチの範囲である。いくつかの実施形態では、再接着は、50、40オンス/インチ、又は30オンス/インチ以下である。いくつかの実施形態では、23℃及び50%湿度又は50℃で7日間の再接着の差は、平均CTH値の25、20、15%、又は10%以下である。
【0086】
いくつかの実施形態では、剥離組成物は、テープの低接着性バックサイズ(LAB)として利用されてもよい。
【0087】
剥離値及び再接着値は、接着剤組成物に応じて変化し得ることが理解される。好ましい剥離値及び再接着値は、テープに応じて変化し得ることも理解される。
【実施例
【0088】
別段の記載がない限り、又は文脈から容易に明らかでない限り、実施例及び本明細書のその他の箇所における全ての部、百分率、比などは、重量によるものである。
【表1】
【0089】
100部のQ3620、85部のW86、及び2部の酸化防止剤を含む合成ゴム系接着剤混合物を、50ミクロン厚のコロナ処理BOPPフィルム上に約25ミクロン厚でホットメルト連続コーティングすることによって、試験テープ1を調製した。次いで、BOPPフィルムの反対側を溶媒系比較剥離コーティングでコーティングし、乾燥させた。
【0090】
コーティングされたUV硬化性のLAB実施例を調製する方法
STAを液体になるまで65℃で加熱した後、他のモノマー及び光開始剤と混合した。混合物の各々は、特に明記しない限り、25℃で液体であった。
【0091】
約2~3ミリリットルを幅15.2センチメートルのポリエステルフィルム片の上に置き、3番RDSコーティングバーにより薄フィルムをワイプすることによって薄い(6.8ミクロン)コーティングを適用して、長さ約75センチメートルのコーティングされたポリエステルフィルム片を得た。次いで、コーティングされたフィルムを、酸素35ppm未満のレベルまで窒素で不活性化し、線量400ミリジュール/センチメートルUVBで、Hバルブを取り付けたUVチャンバに12.2メートル/分で2回通過させて直ちに処理した。
【0092】
コーティングされたUV硬化LABサンプルの試験
様々な接着テープストリップ(約2.5×20センチメートル)を、ポリエステルフィルム上のUV硬化コーティングされたLABサンプルに対して、2kgローラを約230cm/分で2回スワイプして積層し、23℃及び50%湿度の一定温度及び湿度(CTH)又は50℃のいずれかで、両方とも7日間保存した。
【0093】
剥離力は、5kgのロードセルを有するIMASS機械上で、5秒間にわたって228.6cm/分の剥離速度で、180度の剥離角度で試験片を剥離することによって測定した。
【0094】
再接着力は、剥離力剥離試験からの試験片を、約230cm/分で2kgローラを2回スワイプしてガラス表面に対して再積層させた後に測定した。5秒間にわたって228.6cm/分の剥離速度で、180度の剥離角度で試験片をガラスから直ちに剥離して、再接着値を決定した。全ての値は、3回の繰り返しの平均として報告され、グラム/センチメートルで報告される。
【0095】
実施例1. 4.8gの重量比40/60のSTA/ISA、1gのTego 711、4gのTMPTA、及び0.2gのOmnirad 1173。
【0096】
実施例2. 6.8gの重量比40/60のSTA/ISA、1gのTego 711、2gのTMPTA、及び0.2gのOmnirad 1173。
【0097】
実施例3. 4.8gの重量比50/50のSTA/ISA、1gのTego 711、4gのTMPTA、及び0.2gのOmnirad 1173。
【0098】
実施例4. 8.8gの重量比40/60のSTA/ISA、1gのTMPTA、及び0.2gのOmnirad 1173。
【0099】
実施例5. 3gの重量比40/60のSTA/ISA、0.5gのTMPTA、及び0.2gのOmnirad 1173。
【0100】
実施例6. 7.8gの重量比30/70のSTA/ISA、2gのTMPTA、及び0.2gのOmnirad 1173。
【0101】
実施例7. 9gの重量比60/40のSTA/ISA、0.8gのTMPTA、及び0.2gのOmnirad 1173。
【0102】
実施例8. 9gの重量比40/60のSTA/ISA、0.8gのTMPTA、及び0.2gのOmnirad 1173。
【0103】
実施例9. 8gの重量比40/60のSTA/ISA、1gのTego 711、0.8gのTMPTA、及び0.2gのOmnirad 1173。
【0104】
実施例10. 7.8gの重量比40/60のSTA/ISA、2gのTMPTA、及び0.2gのOmnirad 1173。
【0105】
実施例11. 8.8gの重量比30/70のSTA/C8異性体ブレンド、1gのTMPTA、及び0.2gのOmnirad 1173。
【0106】
実施例12. 8gの重量比35/65のSTA/ISA、1gのTego 711、0.8gのTMPTA、及び0.2gのOmnirad 1173。
【0107】
実施例13. 6.8gの重量比50/50のSTA/ISA、1gのTego 711、2gのTMPTA、及び0.2gのOmnirad 1173。
【0108】
実施例14. 7.8gの重量比50/50のSTA/ISA、2gのTMPTA、及び0.2gのOmnirad 1173。
【0109】
実施例15. 7.8gの重量比80/20のSTA/ISA、2gのTMPTA、及び0.2gのOmnirad 1173。この組成物は、硬化前に、コーティング中に25℃でワックス状の半固体になった。
【0110】
実施例16. 8.8gの重量比30/70のSTA/C12異性体ブレンド、1gのTMPTA、及び0.2gのOmnirad 1173。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0111】
実施例4はまた、欧州特許第3587526号の第11頁、表4に記載されているエポキシ系接着剤を使用して、以下のように試験した:
【表6】
【0112】
試験片を上記のように調製し、CTHで3日後に30.5センチメートル/分の剥離速度で、180°剥離強度で以下のように試験した:
【表7】
【0113】
剥離値は、易剥離ライナー(3M(St.Paul,MN)から商標名「3M NON-SILICONE/NON-FLUORINE POLYESTER LINER 5977」で入手)よりも大きいが、以下のように、欧州特許第3587526号の表5に報告されている他の剥離配合物よりも低い:
【表8】
図1
図2
図3
【国際調査報告】