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特表2023-538664ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物ならびに抗腫瘍効果を含むその医薬用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物ならびに抗腫瘍効果を含むその医薬用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/704 20060101AFI20230901BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230901BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230901BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/258 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/287 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/28 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/79 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/902 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/284 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/47 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/39 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/62 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/537 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/896 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/8945 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/342 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/718 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/505 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/736 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/46 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/752 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/16 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/898 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/43 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/48 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/235 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/282 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/22 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/428 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/344 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/58 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/40 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/714 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/8888 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/708 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/8988 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/536 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 36/756 20060101ALI20230901BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230901BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20230901BHJP
【FI】
A61K31/704
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/12
A61K9/107
A61K9/70 401
A61K9/06
A61K9/08
A61P37/04
A61P43/00 121
A61K36/258
A61K36/287
A61K36/28
A61K36/79
A61K36/902
A61K36/284
A61K36/47
A61K36/39
A61K36/62
A61K36/537
A61K36/896
A61K36/8945
A61K36/342
A61K36/718
A61K36/505
A61K36/736
A61K36/46
A61K36/752
A61K36/16
A61K36/898
A61K36/43
A61K36/48
A61K36/235
A61K36/282
A61K36/22
A61K36/428
A61K36/344
A61K36/58
A61K36/40
A61K36/714
A61K36/8888
A61K36/708
A61K36/8988
A61K36/536
A61K36/756
A61P35/00
A23L33/105
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513098
(86)(22)【出願日】2021-08-20
(85)【翻訳文提出日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 CN2021113658
(87)【国際公開番号】W WO2022042428
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】202010861400.7
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510013987
【氏名又は名称】大▲連▼富生天然▲薬▼物▲開▼▲発▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(72)【発明者】
【氏名】王▲碩▼
(72)【発明者】
【氏名】富力
(72)【発明者】
【氏名】柳洋
(72)【発明者】
【氏名】▲魯▼明明
(72)【発明者】
【氏名】林▲栄▼▲金▼
(72)【発明者】
【氏名】付文斐
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼雪
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE05
4B018MD05
4B018MD10
4B018MD34
4B018MD35
4B018MD36
4B018MD52
4B018MD61
4B018MD64
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF02
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA11
4C076AA17
4C076AA24
4C076AA29
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC07
4C076CC50
4C076FF70
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA19
4C086GA17
4C086MA02
4C086MA04
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4C088AB18
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4C088AB52
4C088AB59
4C088AB62
4C088AB65
4C088AB80
4C088AB84
4C088AB85
4C088AB89
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4C088BA13
4C088MA08
4C088MA13
4C088MA17
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4C088MA37
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4C088MA52
4C088NA14
4C088ZB09
4C088ZB26
4C088ZC75
(57)【要約】
【課題】本発明は、免疫力増強、抗腫瘍効果増強、抗腫瘍標的薬に対する耐性の向上、放射線療法および化学療法の毒性および副作用の軽減または抗疲労効果の改善のための薬物、食品および健康製品を製造するための新しいタイプの原料および製造プロセスを提供する。
【解決手段】本発明は、ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物およびその調製方法、ならびに免疫力増強、抗腫瘍効果増強、抗腫瘍標的薬に対する耐性の向上、放射線療法および化学療法の毒性および副作用の軽減または抗疲労効果の改善のための薬物、食品および健康製品の製造におけるその適用を開示する。
本組成物は、即効性があり、毒性および副作用が少なく、長期使用に適しているという利点を有する。本組成物は、安全で高効率かつ安定した薬物、食品、健康食品の一種であり、シンプルな調製プロセスを必要とし、工業生産に適しており、容易に普及させることができる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5を含む組成物を調製するための方法であって、
1)チョウセンニンジンと漢方薬材とを混合するステップと、
2)ステップ1)で得られた混合物を水で数回煎じ、煎じ液を回収して混合するステップと、
3)ステップ2)で得られた煎じ液に清澄剤を加えてよく混合し、放置して濾過するステップと、
4)ステップ3)で得られた濾液を乾燥させて乾燥物質を得るステップと、
5)ステップ4)で得られた乾燥物質にエタノール水溶液を加え、加熱溶解し、濾過し、低温結晶化プロセスを行うステップと、
6)ステップ5)で得られた結晶を乾燥するステップと、
を含む方法において、漢方薬材が、ソウジン、ショウキコク、ビャクシャク、ブッシュカン、グウセツ、ショウキジツ、ハクカ、シテイ、ヤマトリカブト、レンボウ、チンピ(椿皮)、ソクハクヨウ、セキリュウヒ、サンシュユ、ゴバイシ、ビャッキュウ、ビャクブシ、センレンシ、カロコン、トウジン、ムラサキイリス、セイコウ、ソウカクシ、ウイキョウ、ジフシ、トウニン、ウバイ、インヨウカク、ケイナイキン、ショウジオウ、サンヤク、ジンギョウ、シャジン、ヒトツバ、タンジン、ケンゴシ、コロハ、ヘンズ、ソシ、セイハンゲ、オウレン、ホコツシ、オウバク、エンゴサク、セイカ、カンレンソウ、バンモクカ、バシケン、シトロン、ゴシツ、フクボンシ、カシュウ、リョウシンピ、シュロ、レンニク、センカクソウ、アオウメ、ハクバン、オウゾクコク、カシ、キンオウシ、チユ、ヘントウ、セイヒ、クチナシ、ジョテイシ、ジュクジオウ、オウゴン、ロコン、オウギ、ウコン、ソウハクヒ、バクモンドウ、ビンロウジ、生ニュウコウ、ケイケットウ、ビャクジュツ、ジコッピ、トウキ、クンバイ、バクガ、ビワヨウ、ハクシジン、ケイヒ、テンモンドウ、生モツヤク、キキョウ、ボウコン、加工ブシ、キクカ、モッコウ、ビャクブ、サンリョウ、トチュウ、チンピ(陳皮)、ダイオウ、ダイフクヒ、テンマ、タイシジン、シャクヤク、センプクカ、ウツボグサ、トシシ、コツサイホ、センギョクキン、タンナンショウ、ビャクブ、ホコウエイ、カンゾウ、ショウマ、ジチョウ、センソウ、ウヤク、ゴカヒ、ブシ、レイシカク、ヨカンシ、ヤカン、ダイセイヨウ、ゴシュユ、コウカ、コウブシ、ゴミシ、サンソウニン、サンザシおよびシコンのうちの1つまたは複数の薬からなるグループから選択される、方法。
【請求項2】
漢方薬材が、センギョクキン、タンナンショウ、ビャクブ、キクカ、モッコウ、ゴミシ、サンリョウ、ビャクジュツ、ヨカンシ、ケンゴシ、オウバク、ホコツシ、ヘンズ、クンバイ、ソシ、タンジン、ヒトツバ、サンヤク、ショウジオウ、ジンギョウ、シャジン、オウレン、コロハ、エンゴサク、アオウメ、トチュウ、チンピ(陳皮)、サンソウニン、ハクカ、セキリュウヒ、トウニン、ビャッキュウ、トシシ、サンザシ、ビャクシャク、ソクハクヨウ、タイシジン、シャクヤク、ウイキョウ、セイコウ、ゴバイシ、カロコン、トウジン、センレンシ、サンシュユ、キジツ、レンボウ、ソウジン、ケイナイキン、キコク、チンピ(椿皮)、トリカブト、シオン、ソウカクシ、ジフシ、ハンゲ、ダイオウ、テンマ、センプクカおよびウツボグサのうちの1つまたは複数の薬からなるグループから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
チョウセンニンジンと漢方薬材との重量比が1:100~100:1、たとえば、1:90~100、1:45~55、10:8~12、45~55:1または90~100:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
煎じ回数が2~5回、好ましくは3回である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
各煎じに使用する水の重量が、チョウセンニンジンおよび漢方薬材の総重量の2~100倍、好ましくは2~80倍である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
各煎じ時間が1~36時間、好ましくは2~24時間である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
各煎じ温度が90~100℃、好ましくは95~100℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
清澄剤がZTC1+1清澄剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ZTC1+1清澄剤の添加後の最終濃度が200~800ppmである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
放置時間が4~48時間、好ましくは4~24時間である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
結晶化に使用する水性エタノール溶液が40~90%(V/V)水性エタノール溶液である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
組成物が、請求項1~11のいずれか1項に記載のプロセスによって調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物に対するジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の総重量の割合が1%~100%、たとえば98.0%~100%である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
複合組成物は、請求項12または13に記載の組成物と、薬剤学または食品の産業において許容される担体とを含む。
【請求項15】
請求項11に記載の組成物と、薬剤学または食品の産業において許容される担体との重量比が1:1~1:100である、請求項14に記載の複合組成物。
【請求項16】
錠剤、カプセル、丸剤、粉末、顆粒、シロップ、溶液、乳剤、スプレー、エアロゾル、ゲル、クリーム、パップ剤、絆創膏もしくは硬膏の形態、または食品、たとえば乳製品、菓子、飲料、ビスケット、茶葉および関連製品、ワインなどの形態で存在してもよい、請求項14に記載の複合組成物。
【請求項17】
免疫力増強、抗腫瘍効果増強、抗腫瘍標的薬に対する耐性の向上、放射線療法および化学療法の毒性および副作用の軽減または抗疲労効果の改善のための医薬品の調製における請求項12または13に記載の組成物の適用。
【請求項18】
免疫力増強、抗腫瘍効果増強、抗腫瘍標的薬に対する耐性の向上、放射線療法および化学療法の毒性および副作用の軽減または抗疲労効果の改善のための方法であって、請求項12または13に記載の組成物を必要とする個体に該組成物の有効量を投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬化学の分野に属する。具体的には、本発明は、ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物およびその調製方法、ならびに免疫力増強、抗腫瘍効果増強、抗腫瘍標的薬に対する耐性の向上、放射線療法および化学療法の毒性および副作用の軽減または抗疲労効果の改善のための薬物、食品および健康製品の製造におけるその適用を含む。
【背景技術】
【0002】
チョウセンニンジン(Panax ginseng)は、ウコギ科(Araliaceae)トチバニンジン属(Panax)に属する。チョウセンニンジンは、中国、韓国、日本において2000年超にわたり広く使用されてきた。その主な目的は、疾患を予防し、寿命を伸ばすことである。神農本草経の記録によれば、チョウセンニンジンは、五臓を養い、神経を落ち着かせ、精神を安定させ、恐怖による動悸を抑え、邪気を払い、視力と知性を向上させ、体重のコントロールに役立ち、寿命を伸ばす治療効果を有する。現代医学の研究では、チョウセンニンジンの主な機能および効果には、中枢神経系の調節、抗癌および抗腫瘍効果の発揮、免疫機能の調節、抗糖尿病効果の発揮、肝機能の強化、心血管疾患および脳血管疾患の改善、抗動脈硬化作用の発揮、血圧調節、更年期障害の改善、抗骨粗鬆症効果の発揮、ならびに抗疲労、抗酸化およびアンチエイジング効果の発揮などが含まれることが明らかになっている。
【0003】
チョウセンニンジンの主要有効成分として、ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5は良好な安全性プロファイルを有し、臨床適用のための抗腫瘍経口製剤として開発されており、その注射剤形についても詳細な研究が行われている。
【0004】
しかしながら、本発明者らは、従来技術において、チョウセンニンジンの薬理効果は、ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の量が比較的近いことが多い1つまたは複数の抽出・精製されたジンセノサイドを試験することによって研究されるか、または、多数の異なる種類の(チョウセンニンジンを含んでいる)漢方薬材の混合物または抽出物を試験することによって研究されており、その中でジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の含有量は通常測定されていないことを見出した。伝統的な中国医学と最新の医学とにおける長期的な研究経験に基づいて、本発明者らは、シンプルなものであり、かつ穏やかなプロセス条件を必要とするものであるだけでなく、幅広い適用に対応する複数の製剤をも含むジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物を調製するための方法を開発した。免疫力増強、抗腫瘍効果発揮、抗腫瘍薬に対する耐性の向上、放射線療法および化学療法による毒性および副作用の軽減、ならびに抗疲労効果の発揮などに広く使用することができ、医薬製剤、食品および健康製品などの分野における適用が広く期待されるジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の多数の有効組成物が得られた。
【発明の概要】
【0005】
本発明のジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物は、免疫力増強、抗腫瘍効果の発揮、抗腫瘍薬に対する耐性の向上、放射線療法および化学療法による毒性および副作用の軽減、ならびに抗疲労効果の発揮に強い有効性を示す。また、この組成物は、これらの疾患を治療する新薬を開発するための新たなアプローチを提供する。本発明は、このような疾患を治療、調節、緩和するための薬物、食品または健康製品における新規適用の開発に新たな光を当てている。
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物、関連する調製方法およびその適用を提供する。
特に、前記ジンセノサイドRg3は、S型配座のもの、R型配座のもの、または任意の比率でのこれらの2つの型のジンセノサイドRg3の混合物である。
【0007】
特に、ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の前記組成物において、ジンセノサイドRg3とジンセノサイドRg5との重量比は1~99:1~99である。
特に、ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の前記組成物は、特定のプロセスを使用して調製されたチョウセンニンジンと他の漢方薬材との混合物であり、漢方薬成分の混合物におけるジンセノサイドRg3に対するジンセノサイドRg5の重量の割合は1%~100%である。
【0008】
特に、ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の前記組成物は、また、特定のプロセスを使用して調製されたチョウセンニンジンと他の漢方薬材との混合物と、物理的および化学的方法の両方を使用して処理および形成された薬学的に許容される担体との複合体を含む。
【0009】
特に、α‐、β‐もしくはγ‐シクロデキストリンまたはその誘導体を含むがこれらに限定されない薬学的に許容される担体の場合、漢方薬成分の混合物と担体との重量比は、1:1~1:100、好ましくは1:10、さらに好ましくは1:5、よりさらに好ましくは1:2、よりさらに好ましくは1:1である。
【0010】
特に、薬学的に許容される担体は、この目的に適しており、医薬剤の不活性成分として医療専門家に一般に認められている。薬学的に許容される担体をまとめたものは、American Pharmaceutical Association(Washington)およびThe Pharmaceutical Press(London)が出版した、『Handbook of Pharmaceutical Excipients,2nd edition』(A.WadeおよびP.J.Weller編)(1994年)で見ることができる。食品添加物は、食品の外観、風味、または保存性を改善するために意識的に少量添加される、栄養価のない物質である。適切な食品添加物は、中国の食品安全国家基準および食品添加物使用基準で見つけることができる。
【0011】
特に、前記担体は、デンプンおよび水などの賦形剤、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、微結晶セルロースなどの崩壊剤、ラクトースなどの充填剤、α化デンプンおよびデキストリンなどの結合剤、甘味料、抗酸化剤、防腐剤、香味料、着色料および香辛料を含む。
【0012】
特に、前記薬物は、錠剤、カプセル、丸剤、粉末、顆粒、シロップ、溶液、乳剤、注射剤、スプレー、エアロゾル、ゲル、クリーム、パップ剤、絆創膏または硬膏の剤形で存在してもよい。
【0013】
特に、前記食材は、乳製品、菓子、飲料、ビスケット、茶葉および関連製品、ワインなどの食品の形態で存在してもよい。
【0014】
特に、前記健康食製品は、錠剤、カプセル、丸剤、粉末、顆粒、シロップ、溶液、乳剤、スプレー、エアロゾル、ゲル、クリーム、パップ剤、絆創膏または硬膏の形態で存在してもよく、乳製品、菓子、飲料、ビスケット、茶葉および関連製品、ワインなどの食品の形態で存在してもよい。
【0015】
ここで、前記複合体における伝統的な漢方薬成分と、シクロデキストリンまたはその誘導体との重量比は1:1~100である。
【0016】
特に、前記シクロデキストリンはα‐、β‐またはγ‐シクロデキストリンである。前記シクロデキストリン誘導体は、ヒドロキシエチル‐β‐シクロデキストリン、2,6‐ジメチル‐β‐シクロデキストリン、2,3,6‐トリメチル‐β‐シクロデキストリン、2,6‐ジエチル‐β‐シクロデキストリン、2,3,6‐トリエチル‐β‐シクロデキストリン、マルトシル‐β‐シクロデキストリンまたはスルホブチルエーテル‐β‐シクロデキストリン、p‐トルエンスルホニルクロリド(p‐TsCl)置換β‐シクロデキストリン、6位置換β‐CD‐p‐トルエンスルホネート(β‐シクロデキストリン‐6‐OTs)、2‐オキソヒドロキシプロピル‐β‐シクロデキストリン、2位モノ置換‐p‐トルエンスルホネート(2‐β‐シクロデキストリン‐2‐OTs)、β‐シクロデキストリン‐p‐トルエンスルホネート(トシル‐β‐CD)およびPCL‐(Tos)7‐β‐CD(β‐シクロデキストリンの星型高分子)である。
【0017】
より詳細には、本発明の第1の態様は、ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5を含む組成物を調製するための方法であって、
1)チョウセンニンジンと漢方薬材とを混合するステップと、
2)ステップ1)で得られた混合物を水で数回煎じ、煎じ液を回収して混合するステップと、
3)ステップ2)で得られた煎じ液に清澄剤を加えてよく混合し、放置して濾過するステップと、
4)ステップ3)で得られた濾液を乾燥させて乾燥物質を得るステップと、
5)ステップ4)で得られた乾燥物質にエタノール水溶液を加え、加熱溶解し、濾過し、低温結晶化プロセスを行うステップと、
6)ステップ5)で得られた結晶を乾燥するステップと、
を含む方法を提供する。
【0018】
ここで、前記漢方薬材はチョウセンニンジンではない。好ましくは、本発明の第1の態様の方法では、前記漢方薬材は、ソウジン、ショウキコク、ビャクシャク、ブッシュカン、グウセツ、ショウキジツ、ハクカ、シテイ、ヤマトリカブト、レンボウ、チンピ(椿皮)、ソクハクヨウ、セキリュウヒ、サンシュユ、ゴバイシ、ビャッキュウ、ビャクブシ、センレンシ、カロコン、トウジン、ムラサキイリス、セイコウ、ソウカクシ、ウイキョウ、ジフシ、トウニン、ウバイ、インヨウカク、ケイナイキン、ショウジオウ、サンヤク、ジンギョウ、シャジン、ヒトツバ、タンジン、ケンゴシ、コロハ、ヘンズ、ソシ、セイハンゲ、オウレン、ホコツシ、オウバク、エンゴサク、セイカ、カンレンソウ、バンモクカ、バシケン、シトロン、ゴシツ、フクボンシ、カシュウ、リョウシンピ、シュロ、レンニク、センカクソウ、アオウメ、ハクバン、オウゾクコク、カシ、キンオウシ、チユ、ヘントウ、セイヒ、クチナシ、ジョテイシ、ジュクジオウ、オウゴン、ロコン、オウギ、ウコン、ソウハクヒ、バクモンドウ、ビンロウジ、生ニュウコウ、ケイケットウ、ビャクジュツ、ジコッピ、トウキ、クンバイ、バクガ、ビワヨウ、ハクシジン、ケイヒ、テンモンドウ、生モツヤク、キキョウ、ボウコン、加工ブシ、キクカ、モッコウ、ビャクブ、サンリョウ、トチュウ、チンピ(陳皮)、ダイオウ、ダイフクヒ、テンマ、タイシジン、シャクヤク、センプクカ、ウツボグサ、トシシ、コツサイホ、センギョクキン、タンナンショウ、ビャクブ、ホコウエイ、カンゾウ、ショウマ、ジチョウ、センソウ、ウヤク、ゴカヒ、ブシ、レイシカク、ヨカンシ、ヤカン、ダイセイヨウ、ゴシュユ、コウカ、コウブシ、ゴミシ、サンソウニン、サンザシおよびシコンを含む、1つまたは複数の薬のグループから選択される。
【0019】
より好ましくは、前記漢方薬材は、センギョクキン、タンナンショウ、ビャクブ、キクカ、モッコウ、ゴミシ、サンリョウ、ビャクジュツ、ヨカンシ、ケンゴシ、オウバク、ホコツシ、ヘンズ、クンバイ、ソシ、タンジン、ヒトツバ、サンヤク、ショウジオウ、ジンギョウ、シャジン、オウレン、コロハ、エンゴサク、アオウメ、トチュウ、チンピ(陳皮)、サンソウニン、ハクカ、セキリュウヒ、トウニン、ビャッキュウ、トシシ、サンザシ、ビャクシャク、ソクハクヨウ、タイシジン、シャクヤク、ウイキョウ、セイコウ、ゴバイシ、カロコン、トウジン、センレンシ、サンシュユ、キジツ、レンボウ、ソウジン、ケイナイキン、キコク、チンピ(椿皮)、トリカブト、シオン、ソウカクシ、ジフシ、ハンゲ、ダイオウ、テンマ、センプクカおよびウツボグサを含む、1つまたは複数の薬のグループから選択される。
【0020】
好ましくは、本発明の第1の態様の方法では、チョウセンニンジンと漢方薬材との重量比は1:100~100:1、たとえば1:90~100、1:45~55、10:8~12、45~55:1または90~100:1、好ましくは1:100、1:50、10:10、50:1または100:1である。
【0021】
好ましくは、本発明の第1の態様の方法では、煎じ回数は2~5回、好ましくは3回である。煎じ終了後、毎回、後に使用するために煎じ液を回収する。水を添加することによってより多くの煎じが必要な場合、煎じ液の回収後に濾過残渣を採取し、再度水を添加して水の添加による煎じが完了するまで煎じ、次いで、得られた液体と先に回収した煎じ液とを合わせる。
【0022】
好ましくは、本発明の第1の態様の方法では、各煎じに使用する水の重量は、チョウセンニンジンおよび漢方薬材の総重量の2~100倍、好ましくは2~80倍、より好ましくは2~50倍である。
【0023】
好ましくは、本発明の第1の態様の方法では、各煎じ時間は1~36時間、好ましくは2~24時間、より好ましくは5~12時間である。
好ましくは、本発明の第1の態様の方法では、各煎じ温度は、90~100℃、好ましくは95~100℃であり、たとえば煮沸状態を維持して煎じる。煎じは密閉容器中で行う。
【0024】
好ましくは、本発明の第1の態様の方法では、清澄剤は、薬剤学および/または食材の産業で許容される清澄剤、たとえば天然清澄剤である。このような清澄薬は、たとえばZTC1+1清澄薬として市販されている。ZTC1+1清澄薬の添加量は、200~800ppm、すなわち試薬の最終濃度である。
【0025】
好ましくは、本発明の第1の態様の方法では、放置時間は4~48時間、好ましくは、4~24時間、より好ましくは8~12時間である。
【0026】
好ましくは、本発明の第1の態様の方法では、結晶化に使用する水性エタノール溶液の濃度は40~90%(V/V)、好ましくは50~80%(V/V)である。より好ましくは、エタノール水溶液の重量は、ステップ3)で得られた濾液の乾燥によって得られた乾燥物質の重量の2~500倍、さらに好ましくは10~100倍である。
【0027】
好ましくは、本発明の第1の態様の方法には、ステップ6)に続く検出ステップも含めてもよい。たとえば、ジンセノサイドRg3および/またはジンセノサイドRg5などの成分の含有量は高速液体クロマトグラフィー法によって測定される。
【0028】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の方法によって調製されたジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5を含む組成物を提供する。ここで、ジンセノサイドRg3は、S型ジンセノサイドRg3、またはR型ジンセノサイドRg3、または上記の2つの配座の混合物である。
【0029】
好ましくは、本発明の第2の態様の組成物では、ジンセノサイドRg3とジンセノサイドRg5との重量比は1~99:1~99である。
好ましくは、本発明の第2の態様の組成物では、組成物中のジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の総重量の割合は1%~100%、好ましくは2%~99%、たとえば98.0%~100%または98.0%~99%である。
好ましくは、本発明の第2の態様の組成物では、ジンセノサイドRg3に対するジンセノサイドRg5の重量比は1:99~99:1である。
【0030】
本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様の組成物と、薬剤学または食品の産業において許容される担体とを含む複合コンポジットを提供する。
好ましくは、本発明の第3の態様の複合組成物では、本発明の第2の態様の組成物と薬剤学または食品の産業において許容される担体との重量比は1:1~1:100である。
【0031】
好ましくは、本発明の第3の態様の複合組成物は、本発明の第2の態様の組成物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物であってもよい。薬学的に許容される担体は、限定されるものではないが、α‐、β‐もしくはγ‐シクロデキストリンまたはその誘導体を含む。好ましくは、前記医薬組成物は、錠剤、カプセル、丸剤、粉末、顆粒、シロップ、溶液、乳剤、注射剤、スプレー、エアロゾル、ゲル、クリーム、パップ剤、絆創膏または硬膏の剤形で存在してもよい。
【0032】
好ましくは、本発明の第3の態様の複合組成物は、乳製品、菓子、飲料、ビスケット、茶葉および関連製品、ワインなどの食品の形態で存在する食品組成物であってもよい。
好ましくは、本発明の第3の態様の複合組成物は、錠剤、カプセル、丸剤、粉末、顆粒、シロップ、溶液、乳剤、スプレー、エアロゾル、ゲル、クリーム、パップ剤、絆創膏もしくは硬膏の形態、または乳製品、菓子、飲料、ビスケット、茶葉および関連製品、ワインなどの食品の形態で存在する健康製品の組成物であってもよい。
【0033】
本発明の第4の態様は、免疫力増強、抗腫瘍効果増強、抗腫瘍標的薬に対する耐性の向上、放射線療法および化学療法の毒性および副作用の軽減または抗疲労効果の改善のための薬物、食品および健康製品の製造における本発明の第2の態様の組成物の適用を提供する。したがって、本発明の第5の態様は、免疫力増強、抗腫瘍効果増強、抗腫瘍標的薬に対する耐性の向上、放射線療法および化学療法による毒性および副作用の軽減または抗疲労効果の改善のための方法であって、本発明の第2の態様の組成物の投与を必要とする個体に本組成物の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0034】
ここで、好ましくは、個体はヒトであり、ヒトに対する有効量は、動物実験から得られた有効量をヒトに対する等価用量に変換することによって計算することができる。
従来技術と比較して、本発明は以下の明らかな利点を有する。
【0035】
本発明のジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の調製方法はシンプルであり、工業生産に適している。前記組成物は免疫力増強、抗腫瘍効果増強、抗腫瘍標的薬に対する耐性の向上、放射線療法および化学療法による毒性および副作用の軽減または抗疲労効果の改善に関して明らかな効果を有し、適用が有望視されている。
【0036】
1.本発明のジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物は、独自の製法、高い安全性プロファイルおよび制御可能な品質を有する。
2.本発明の組成物は、新しい医薬の価値を探求しており、一連の実験的研究によって、免疫力増強、抗腫瘍効果増強、抗腫瘍標的薬に対する耐性の向上、放射線療法および化学療法による毒性および副作用の軽減または抗疲労効果の改善の効果を有し、明確な治療効果を有することが証明されている。
3.本発明の組成物は、調製がシンプルであり、穏やかなプロセス条件を必要とし、コストと価格が低く、幅広い適用に対応する複数の製法を有するなどの利点を有する。
4.本発明の製品は、原料の豊富な供給源、低価格、安全な臨床使用、シンプルな調製方法を有し、かつ様々な剤形に調製することができる。また、投与量が少なく、使用が便利である。したがって、普及させることが簡単である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明に記載されている製剤の有益な効果について、具体的な実施形態を用いて以下にさらに説明する。これらの例示的実施形態は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の製剤アイデアおよび使用範囲から逸脱することなく本発明の技術提案の詳細および形態を変更または置換できることは、当業者に理解されるであろう。ただし、これらの変更および置換のすべては、本発明の保護の範囲に含まれる。
【0038】
例示的実施形態1~180:ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の調製
具体的なプロセス経路は次のとおりである。チョウセンニンジンと他の原料との混合物を水で3回煎じ、水溶液をプールし、生薬/水の濃度が1:5(v/v)になるように混合物を濃縮し、温度を60~80℃に維持し、ZTC1+1‐II清澄剤(武漢正天成生物科技有限公司から購入できる)を最終濃度500ppmになるように加え、均等に撹拌し、放置し、濾過し、濾液を乾燥し、60℃でエタノール溶液を加えて溶解し、濾過後冷却し、氷水浴で結晶を分離し、沈殿物を回収し、乾燥させて最終製品を得る。各成分の含有量はHPLCで測定する。
【0039】
チョウセンニンジンは、表1に記載されている重量に基づいて様々な生薬とともに計量し、次いで上記のプロセス経路および表2に記載されている調製用パラメータに従って混合し、抽出する。得られた最終製品の試験データを表3に示す。
【0040】
【表1-1】
【0041】
【表1-2】
【0042】
【表1-3】
【0043】
【表1-4】
【0044】
【表1-5】
【0045】
【表2-1】
【0046】
【表2-2】
【0047】
【表2-3】
【0048】
【表2-4】
【0049】
【表2-5】
【0050】
【表2-6】
【0051】
【表3-1】
【0052】
【表3-2】
【0053】
【表3-3】
【0054】
【表3-4】
【0055】
【表3-5】
【0056】
例示的実施形態181~198:ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物とシクロデキストリンとの組成物の調製
【0057】
例示的実施形態1~180のプロセスに従って調製したジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物を用い、表4に記載されている重量比で、以下の手順に従って組成物を調製する。1)ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物をシクロデキストリン溶液またはシクロデキストリン誘導体溶液に直接加える。2)ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物をシクロデキストリン溶液またはシクロデキストリン誘導体溶液に直接加え、1~24時間十分に撹拌する。3)ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物をシクロデキストリン溶液またはシクロデキストリン誘導体溶液に直接加え、10~120分間加熱する。4)ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物をシクロデキストリン溶液またはシクロデキストリン誘導体溶液に直接加え、10~120分間超音波処理する。5)ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物をシクロデキストリン粉末またはシクロデキストリン誘導体粉末に直接加え、10~120分間粉砕する。または6)ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物をシクロデキストリン粉末またはシクロデキストリン誘導体粉末に加え、よく混合し、ふるいにかける。
【0058】
【表4】
【0059】
例示的実施形態181~198における賦形剤は、選択されたシクロデキストリンで例示されているが、他のシクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体も本発明に使用するのに適している。例には、1)β‐ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、2)ヒドロキシエチル‐β‐シクロデキストリン、3)2,6‐ジメチル‐β‐シクロデキストリン、4)2,3,6‐トリメチル‐β‐シクロデキストリン、5)2,6‐ジエチル‐β‐シクロデキストリン、6)2,3,6‐トリエチル‐β‐シクロデキストリン、7)マルトシル‐β‐シクロデキストリン、8)スルホブチルエーテル‐β‐シクロデキストリン、9)p‐トルエンスルホニルクロリド(p‐TsCl)置換β‐シクロデキストリン、10)6位置換β‐CD‐p‐トルエンスルホネート(β‐シクロデキストリン‐6‐OTs)、11)2‐オキソヒドロキシプロピル‐β‐シクロデキストリン、12)2位モノ置換‐p‐トルエンスルホネート(2‐β‐シクロデキストリン‐2‐OTs)、13)β‐シクロデキストリン‐p‐トルエンスルホネート(トシル‐β‐CD)および14)PCL‐(Tos)7‐β‐CD(β‐シクロデキストリンの星型高分子)が含まれる。
【0060】
例示的実施形態199:ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の錠剤の調製
【0061】
ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の錠剤を以下の比率で調製する。
・ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5
(両者の重量比2:98)の組成物 500g
・デンプン 480g
・タルク 1%(10g)
・ステアリン酸マグネシウム 1%(10g)
【0062】
例示的実施形態1~180のプロセス経路で調整されたジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の適量を取り、それに上記の比率でデンプンを加え、よく混合し、この混合物を顆粒に調製し、次いでタルクおよびステアリン酸マグネシウムを加え、よく混合し、次いでこの混合物を圧縮して10,000錠の錠剤にする。
【0063】
例示的実施形態200:ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の顆粒の調製
ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の顆粒を以下の比率で調製する。
・ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5
(両者の重量比2:98)の組成物 100g
・微結晶性セルロース 10000g
【0064】
例示的実施形態1~180のプロセス経路で調整されたジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の適量を取り、それに上記の比率で微結晶セルロースを加え、よく混合し、この混合物を顆粒に調製し、10,000個の袋に分注する。
【0065】
例示的実施形態201:ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物のカプセルの調製
ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物のカプセルを以下の比率で調製する。
・ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5
(両者の重量比2:98)の組成物 250g
・デンプン 2500g
【0066】
例示的実施形態1~180のプロセス経路で調整されたジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の適量を取り、それに上記の比率でデンプンを加え、よく混合し、10,000個のカプセルに分注する。
【0067】
例示的実施形態202~205:ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物のカプセルの調製
ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の適量を取り、それに表5の重量比に基づいてデンプンを加え、よく混合し、次いでそれを10,000個のカプセルに分注する。
【0068】
【表5】
【0069】
表に記載されている原料は、例示的実施形態1~180におけるジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物とすることができる。
【0070】
例示的実施形態206~209:ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の顆粒の調製
ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の適量を取り、それに表6に記載されている重量比に基づいて微結晶セルロースを加え、よく混合し、それを顆粒に調製し、次いでそれを10,000個の袋に分注する。
【0071】
【表6】
【0072】
表に記載されている原料は、例示的実施形態1~180におけるジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物とすることができる。
【0073】
例示的実施形態210:ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の錠剤の調製
ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の錠剤を以下の比率で調製する。
・ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5
(両者の重量比2:98)の組成物 500g
・デンプン 380g
・カンゾウ抽出物 100g
・タルク 1%(10g)
・ステアリン酸マグネシウム 1%(10g)
【0074】
ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の適量を取り、それに上記の比率でデンプンを加え、よく混合し、この混合物を顆粒に調製し、次いでタルクおよびステアリン酸マグネシウムを加え、よく混合し、次いでこの混合物を圧縮して10,000錠の錠剤にする。ここで、本例示的実施形態におけるジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物は、例示的実施形態1~180におけるジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物に置き換えることができる。
【0075】
例示的実施形態211:ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の顆粒の調製
ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の顆粒を以下の比率で調製する。
・ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5
(両者の重量比2:98)の組成物 250g
・カンゾウ抽出物 250g
・微結晶セルロース 24500g
【0076】
ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の適量を取り、それに上記の比率で上記の前記抽出物粉末を加え、よく混合し、それに微結晶セルロースを加えてよく混合する。次いで、この混合物を顆粒に調製し、10,000個の袋に分注する。ここで、本例示的実施形態におけるジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物は、例示的実施形態1~180におけるジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物に置き換えることができる。
【0077】
例示的実施形態212:ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物のカプセルの調製
ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物のカプセルを以下の比率で調製する。
・ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5
(両者の重量比2:98)の組成物 250g
・カンゾウ抽出物 250g
・センバイモ抽出物 250g
・クウテイチャ抽出物 250g
・デンプン 1000g
【0078】
ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の適量を取り、それに上記の前記抽出物粉末を加え、よく混合し、それにデンプンを加えてよく混合し、次いで10,000個のカプセルに分注する。ここで、本例示的実施形態におけるジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物は、例示的実施形態1~180におけるジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物に置き換えることができる。
【0079】
例示的実施形態213:ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の錠剤の調製
ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の錠剤を以下の比率で調製する。
・ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5
(両者の重量比2:98)の組成物 500g
・デンプン 480g
・チモ抽出物 500g
・タルク 1%(10g)
・ステアリン酸マグネシウム 1%(10g)
【0080】
ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の適量を取り、それに上記の比率で上記の前記抽出物粉末を加え、よく混合し、デンプンを加えてよく混合し、この混合物を顆粒に調製し、次いでタルクおよびステアリン酸マグネシウムを加え、よく混合し、次いでこの混合物を圧縮して10,000錠の錠剤にする。ここで、本例示的実施形態におけるジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物は、例示的実施形態1~180において調製したジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物に置き換えることができる。
【0081】
例示的実施形態214:ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の顆粒の調製
ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の顆粒を以下の比率で調製する。
・ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5
(両者の重量比2:98)の組成物 1000g
・ゲンジン抽出物 500g
・ササクサ抽出物 500g
・微結晶性セルロース 10000g
【0082】
ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の適量を取り、それに上記の比率で上記の前記抽出物粉末を加え、よく混合し、それに微結晶セルロースを加えてよく混合し、次いでこの混合物を顆粒に調製し、10,000個の袋に分注する。ここで、本例示的実施形態におけるジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物は、例示的実施形態1~180において調製したジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物に置き換えることができる。
【0083】
例示的実施形態215:ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の固体飲料の調製
ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の固体飲料を以下の比率で調製する。
・ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5
(両者の重量比2:98)の組成物 1000g
・粉糖 5000g
【0084】
ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の適量を取り、それに上記の前記抽出物粉末を加え、よく混合し、次いでこの混合物を顆粒に調製し、10,000個の袋に分注する。ここで、本例示的実施形態におけるジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物は、例示的実施形態1~180において調製したジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物に置き換えることができる。
【0085】
例示的実施形態216:ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の圧縮錠菓の調製
ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の固体飲料を以下の比率で調製する。
・ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5
(両者の重量比2:98)の組成物 1000g
・粉糖 5000g
【0086】
ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の適量を取り、それに上記の前記抽出物粉末を加え、よく混合し、それを顆粒に調製し、圧縮して錠剤にし、次いで10,000錠の錠剤を調製する。ここで、本例示的実施形態におけるジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物は、例示的実施形態1~180において調製したジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物に置き換えることができる。
【0087】
試験例1:マウスにおけるジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の免疫力増強効果
【0088】
1.実験材料
1.1 薬物および試薬
ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物は、大連富生天然薬物開発有限公司で製造されたものである。Rg3およびRg5の含有量は、それぞれHPLCによって測定された。詳細は表7を参照。
【0089】
【表7】
【0090】
1.2 実験動物
昆明マウス(6~8週齢、体重18~22g)は、大連医科大学実験動物センターから品質証明書番号:SCXK(13)2013‐0003で購入した。
【0091】
2.実験方法
2.1 群分けおよび投与
前記の健康な雄マウス合計290匹を、4日間馴化させた後、体重に応じて陰性対照群、陽性対照群、ジンセノサイド組成物実験群を含む29群に無作為に分け、後者の群の動物をそれぞれ高用量群、中用量群および低用量群にさらに分けた。陽性対照群の動物にはピドチモド(50mg/kg)を投与し、低用量ジンセノサイド組成物群には低用量ジンセノサイド組成物(36mg/kg)を投与し、中用量群の動物には中用量ジンセノサイド組成物(72mg/kg)を投与し、高用量群の動物には高用量ジンセノサイド組成物(144mg/kg)を投与し、陰性対照群の動物には同量の水を投与した。薬物および水は、1日1回、30日間連続で投与した。
【0092】
2.2 実験および結果
2.2.1 ConA誘発マウス脾臓リンパ球幼若化反応試験
最終投与から1時間後に、各群の動物の脾臓を無菌的に摘出して脾細胞浮遊液を調製した。脾細胞浮遊液を3×106細胞/mLの濃度に希釈した後、脾細胞浮遊液を2つのアリコートに分けた。それぞれのアリコートを24ウェル培養プレート2枚にそれぞれ1mL/ウェルの容量で移し、次いで75μLのConA溶液(a)を1つのウェルに添加し、もう1つのウェルは対照(b)として用い、それらを37℃で72時間培養した。培養終了4時間前にチアゾリルブルー(MTT)を添加した。インキュベーション後、酸性イソプロパノールを加え、よく混合した後、各溶液の吸光度(ABS)を570nmで測定した。式(増殖率=ABSa-ABSb)を用いて増殖率を計算した。試験試料の各投与群を陰性対照群と比較した。実験結果を表1に示す。
2.2.2 NK細胞生存率の測定
最終投与から1時間後に、各群の動物の脾臓を無菌的に摘出し、脾細胞浮遊液を調製した。注射用滅菌水で赤血球を溶解した後、細胞浮遊液を1%氷酢酸で希釈した。次いで、脾細胞浮遊液の濃度を2×107細胞/mLに調整した後、脾細胞浮遊液を培養のために96ウェルプレートに添加した。各動物について、ウェルを、反応ウェル(脾細胞浮遊液およびYAC‐1細胞浮遊液(各100μL)、エフェクターと標的との比率は50:1)、自然放出ウェル(YAC‐1細胞浮遊液および培地(各100μL))、および最大放出ウェル(YAC‐1細胞浮遊液および1%NP40(各100μL))に分けた。上記の各項目について、3連のチューブを用意した。37℃、5%CO2インキュベーター内で96ウェルプレートを4時間インキュベートした。次いで、LDHマトリックス溶液および1moL/LHClを添加した後、各パラレルウェルの溶液を合わせ、490nmで吸光度(ABS)を測定した。次いでNK細胞生存率を計算した。NK細胞生存率(%)=(ABS反応ウェル-ABS自然放出ウェル)/(ABS最大放出ウェル-ABS自然放出ウェル)。実験結果を表8に示す。
【0093】
【表8】
【0094】
3.試験結果
Tリンパ球のConAによる刺激後、芽細胞は増殖反応を示す。生存細胞、特に増殖細胞中のミトコンドリアヒドロラーゼはMTTを分解して青紫色の結晶にする。吸光度値が上昇している場合、細胞増殖能が亢進していることを示す。表1に示すように、ジンセノサイド組成物の高用量群、中用量群および低用量群の吸光度差は、陰性対照群の吸光度差よりも大きく、この試料が脾細胞の増殖を促進できることが示された。
NK細胞によって細胞が死滅した後、生存細胞の細胞質のLDHは細胞外に放出され、LDHは乳酸リチウムを脱水素することができるので、NADはNADHに還元され、さらに水素運搬体メト硫酸フェナジン(PMS)によって塩化ヨードニトロテトラゾリウム(INT)に還元される。H+を受け取った後、INTは還元されて紫色のホルマザン化合物に還元され、マイクロプレートリーダーを用いて吸光度値が測定される。表1に示すように、ジンセノサイド組成物の高用量群、中用量群および低用量群のNK細胞生存率は陰性対照群のNK細胞生存率よりも有意に高く、本試料が、NK細胞生存率を向上させられることが示された。
【0095】
上記の実験結果によって、ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物の様々な用量は、すべて脾細胞の増殖を促進し、NK細胞生存率を高め、免疫機能を著しく向上させられることが示された。
【0096】
試験例2:マウスS180肉腫に対するジンセノサイド組成物の抗腫瘍効果
1.実験材料
1.1 実験動物および移植腫瘍株
昆明マウスは広東省医学実験動物センターより提供された。証明書番号:SCXK2013‐005。
S180肉腫細胞は広東省医学実験動物センターから購入した。
1.2 医薬品
ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物は、大連富生天然薬物開発有限公司で製造されたものである。Rg3およびRg5の含有量は、それぞれHPLCによって測定された。
【0097】
【表9】
【0098】
治験薬の低用量、中用量および高用量は、それぞれ臨床等価用量(成人の60kgの体重に基づいて計算)の2倍、4倍および8倍とした。所望濃度の懸濁液は、二重蒸留水で調製した。調製した薬液は、使用するまで4℃の冷蔵庫で遮光して保存した。
陽性対照薬はシクロホスファミド(ロット番号:20130105、江蘇恒瑞医薬有限公司)である。成人の臨床等価用量(成人の60kgの体重に基づいて計算)については、必要な懸濁液を二重蒸留水で調製し、使用するまで4℃の冷蔵庫で遮光して保存した。
【0099】
2.実験方法
2.1 群分けおよび投与
7日間よく増殖させた肉腫180(S180)腹水腫瘍細胞を接種したマウスを用い、無菌的に腹水液を採取した後、滅菌生理食塩水で細胞数が2×106/0.2mLになるように希釈し、使用するまで氷水中で保存した。
6~8週齢、体重18~22gの健康な昆明マウス(雄雌半々)合計300匹を実験条件下で1週間予備飼育した。その後、その動物のうち10匹をブランク対照群として無作為に選択し、残りの290匹のマウスに、S180腫瘍細胞浮遊液0.2mLを各マウスの左後肢の腋窩に皮下接種した。接種後24時間でマウスを計量し、無作為に29群、すなわち担腫瘍対照群、陽性対照群およびジンセノサイド組成物実験群に分けた。そして、後者の群の動物をさらに、それぞれ高用量群、中用量群、低用量群に分けた。群分け日から開始して、ジンセノサイド組成物の低用量群(36mg/kg)、中用量群(72mg/kg)および高用量群(144mg/kg)の動物と陽性対照群に経口摂取でシクロホスファミド45mg/kgを投与した。正常対照群およびモデル群の動物には、1日1回、相当量の生理食塩水を経口摂取で投与した。
モデル化および投薬の後、各群のマウスの食物摂取量、水分摂取量、毛色の変化、活動、刺激に対する応答、下痢の存在、衰弱および死亡を随時観察および記録した。経口摂取による投与後21日目に薬物を停止した。翌日、頸椎脱臼によりマウスを殺して計量した。左後肢の皮下腫瘍組織を完全に剥離し、血痕および脂肪などのすべての非腫瘍組織を除去した後、電子天秤を用いて計量した。腫瘍抑制率は次式に従って計算した。
腫瘍抑制率=(対照群の平均腫瘍重量-治療群の平均腫瘍重量)/対照群の平均腫瘍重量×100%
【0100】
2.2 データは平均値±標準偏差(±s)で示した。測定データの群間比較には、SPASS13.0統計ソフトウェアを用いて一元配置分散分析を行った。p<0.05は、統計的に有意な差を示す。
【0101】
3.実験結果
3.1 投与後の動物の全身状態の観察
投与後、すべてのマウスは生存していた。ブランク対照群のマウスは、餌および水分の摂取量が正常で、動作は柔軟で、反応は迅速で、毛並みに光沢があり、下痢または衰弱はなかった。これと比較して、ジンセノサイド組成物の各投与群のマウスの全身状態は、ブランク対照群の全身状態よりも劣っていた。陽性対照群のマウスは、餌および水分の摂取量が少なく、動作が鈍く、反応が鈍く、毛が脱け、毛並みの色は悪く、下痢および衰弱が見られた。担腫瘍対照群のマウスの全身状態は最も悪く、食物の摂取量と活動がほとんどなく、反応は鈍く、毛艶が悪くなり、明らかに衰弱していた。
3.2 各群のマウスの移植腫瘍の重量および腫瘍抑制率を表10に示す。
【0102】
【表10】
【0103】
実験の結果、治療群のマウスの移植腫瘍の重量は、対照群のそれよりも有意に少なかった。これは、ジンセノサイド組成物A、B、Cが、移植マウスS180肉腫に対して抗腫瘍効果を有していたことを示している。また、ジンセノサイド組成物A、D、Gの腫瘍抑制率は50%を超えていた。これは、ジンセノサイド組成物が、顕著な腫瘍抑制効果を有していることを十分に示した。
【0104】
試験例3:ジンセノサイド組成物は、抗腫瘍標的薬に対する耐性を向上させる
【0105】
1.材料および方法
ヒト胆管癌細胞株QBC939は、上海弘順生物科技有限公司から購入した。
大連富生天然薬物開発有限公司で製造されたジンセノサイド組成物について、詳細は表11を参照のこと。
【0106】
【表11】
【0107】
2.実験方法
2.1 薬物耐性癌細胞株の作成
ヒト胆管癌細胞株QBC939を解凍し、細胞培養培地を充填したT25細胞培養フラスコに接種し、ADMの接触濃度を連続的に上げてQBC939/ADMを作成した。
【0108】
2.2 化学療法剤の細胞毒性検出におけるCCK‐8アッセイ
細胞を、ゼロブランク対照群、正常対照群、および9つの実験群に分け、それぞれに80μg/mLのジンセノサイド組成物100μLを含有させて細胞培養を行った。
対照群(化学療法薬群):化学療法薬を含む培地100μLを各ウェルに添加した。化学療法薬には、標的薬アファチニブ(400μg/mL)、セリチニブ(1000μg/mL)およびエルロチニブ(200μg/mL)が含まれた。各薬物について、6つの複製ウェルを設定した。
実験群(化学療法薬+伝統的な漢方薬):各ウェルに化学療法薬+ジンセノサイド組成物、すなわちアファチニブ(400μg/mL)+ジンセノサイド組成物(80μg/mL)、セリチニブ(1000μg/mL)+ジンセノサイド組成物(80μg/mL)およびエルロチニブ(200μg/mL)+ジンセノサイド組成物(80μg/mL)を含む培地100μLを添加した。各薬物について、6つの複製ウェルを設定した。
【0109】
3.実験結果
24時間後に化学療法薬の細胞毒性を検出した。その結果、実験群の細胞のOD値(吸光度)は対照群より有意に低く、これは、実験群の細胞の生存率が対照群より有意に低いことを示しており、実験群の細胞に対する化学療法薬の細胞毒性は対照群より有意に高く、これは、ジンセノサイド組成物実験群が、薬物耐性を逆転させる効果を有することを示している。その結果を表12に示す。
【0110】
【表12】
【0111】
試験例4:ジンセノサイド組成物による放射線療法および化学療法の副作用(嘔吐)緩和実験
1.実験材料
1.1 薬物および試薬:
ジンセノサイド組成物は、大連富生天然薬物開発有限公司で製造された白色~黄褐色の粉末である。その含有量は、2種類の検出器およびUV検出器を備えた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、外部標準として中国薬品生物製品検定所の標準品を用いて測定した。詳細は表13を参照のこと。
【0112】
【表13】
【0113】
陽性対照薬:メトクロプラミド注射剤(天津人民製薬工場、濃度:1mL/10mg、ロット番号:14060129)。
カオリン(上海奉賢区奉城試薬工場、ロット番号:140528)。
ラット用カオリンの調製:アカシアガム1gを秤量し、蒸留水100mLを加え、次いでそれをマグネティックスターラー上に載せて完全に溶解するまで撹拌した。次いで80メッシュのふるいにかけたカオリンを適量取り、撹拌しながら上記の溶液に徐々に加え、生地状に成形した。次いで、それを5mLシリンジに完全に充填されるまで押し込み、プランジャーロッドを押して、通常の食品に似た形状で非常に滑らかなエッジを有する小さなロッドを調製し、次いでそのロッドを、ブルーシリカゲル粒子を充填した乾燥機に入れ、後に使用するためにそれを乾燥させた。
【0114】
1.2 実験動物
雄のWistarラット(体重200~220g)は、大連医科大学実験動物センターから品質証明書番号:SCXK(13)2013‐0002で購入した。
【0115】
2.実験方法
ラットは、嘔吐反応を示さないげっ歯動物である。前庭刺激後のラットの異食行動は、他の動物の嘔吐反応に相当し、ラットの乗り物酔いの典型的な症状と考えることができる。
2‐1.馴化のためのラットの飼育
実験開始前に、ラットを馴化飼育した。すなわち、定量された通常飼料とカオリン飼料とを同時に与えた。ラットがほとんどカオリンをかじらなくなくなるまで、毎日一定の時点で2種類の飼料を取り出し、計量して、飼料表面の噛み跡を観察し、その後に正式な実験を開始した。
【0116】
2‐2 異食試験
Wistarラットを、モデル対照群、陽性薬物対照群、およびジンセノサイド組成物実験群の29群(各群ラット6匹)に無作為に分け、最後の群をさらに低用量群、中用量群、高用量群の3群に分けた。
モデル対照群のラットには経口摂取によって生理食塩水を10mL/kg投与し、陽性対照群のラットにはメトクロプラミドを2mg/kg腹腔内注入し、ジンセノサイド組成物の低用量、中用量、高用量群のラットにはジンセノサイド組成物A‐Iをそれぞれ15mg/kg、30mg/kg、60mg/kg投与した。
投与30分後に、遠心分離機を改造した回転刺激装置を用いて回転刺激を適用し、100回転/分の回転速度で1時間回転させて乗り物酔いを誘発させた。
各群のラットについてカオリン摂取異食行動を観察し、回転刺激停止後24時間以内の通常食およびカオリンの摂取量を記録した。
【0117】
3.試験結果
すべてのデータは、平均値±標準偏差(X±S)で示し、PPMS医療統計ソフトウェアを使用して分散分析を行い、p値の比較により有意性検定を行った。
通常食とカオリンの摂取量の統計結果を表14に示す。
【0118】
【表14】
【0119】
実験結果は次のことを示した。
放射線療法および化学療法の主な副作用は嘔吐であり、これはラットのカオリン摂取の異食行動に反映されていた。ジンセノサイド組成物投与群のそれぞれにおいて、ラットのカオリン摂取の異食行動は有意に抑制され、カオリン摂取量は、ブランク対照群と比較して有意に減少していた(P<0.05、P<0.01)。ジンセノサイド組成物の各投与群において、この処置によってラットの食物摂取量を有意に増加させることができた。上記の実験結果は、ジンセノサイド組成物が、放射線療法および化学療法によって引き起こされる嘔吐の緩和において顕著な効果を有することを示した。したがって、本組成物は、臨床適用が有望視されている。
【0120】
試験例5:ジンセノサイド組成物の抗疲労効果
1.実験材料
1.1 薬物および試薬
SODアッセイキット、南京建成生物工程技術公司
ジンセノサイドRg3およびジンセノサイドRg5の組成物(ロット番号:20120316)は、大連富正天然薬物開発有限公司で製造された。Rg3およびRg5の含有量は、それぞれ、中国薬品生物製品検定所から提供された標準品を用いてHPLCで測定した。
【0121】
【表15】
【0122】
1.2 実験動物:
BALB/Cヌードマウス(体重26~28g、6週齢)は、北京維通利華実験動物技術有限公司から購入した。
【0123】
2.実験方法
2.1 群分けおよび投与:
選択された合計280匹の雄マウスを、最初に8週間飼育し、1週間馴化飼育し、次いで1週間運動トレーニングを行った。
これらのマウスを体重に従って対照群およびジンセノサイド組成物実験群を含む28群に無作為に分け、後者の群の動物を、さらにそれぞれ高用量群、中用量群、低用量群に分けた。
対照群の動物には生理食塩水を投与し、低用量ジンセノサイド組成物群の動物には低用量のジンセノサイド組成物(3.2mg/kg)を投与し、中用量群の動物には、中用量のジンセノサイド組成物(6.4mg/kg)を投与し、高用量群の動物には、高用量のジンセノサイド組成物(12.8mg/kg)を投与した。薬物は、1日1回、30日間連続で投与した。
【0124】
2.3 実験および結果
消耗水泳試験
水泳プールの寸法は185cm×73cm×58cmであり、動物が水泳しているときの深さは30cmであり、水温は27±1℃であった。ヌードマウスを水泳プールに入れ、水に入って泳いでから極度の疲労までの時間を記録した。極度の疲労の判定基準は、マウスが明らかに運動障害を示し、頭部が水に沈んで8秒間水面から浮上できないことである。
SOD活性の測定
血中のSOD活性は、身体の抗疲労能力の重要な指標である。血中のSOD活性は、疲労指数を評価するために使用することができる。
【0125】
【表16】
【0126】
この表のデータから、ジンセノサイド組成物群のマウスの消耗水泳時間は、対照群よりも有意に長く、SOD活性は、有意差をもって消耗水泳群よりも有意に高く、ジンセノサイド組成物が顕著な抗疲労効果を有することが示された。
【国際調査報告】