IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マイクロポート・ニューロテック(シャンハイ)・カンパニー・リミテッドの特許一覧

特表2023-538699動脈瘤閉塞装置、動脈瘤閉塞治療装置、および動脈瘤閉塞システム
<>
  • 特表-動脈瘤閉塞装置、動脈瘤閉塞治療装置、および動脈瘤閉塞システム 図1
  • 特表-動脈瘤閉塞装置、動脈瘤閉塞治療装置、および動脈瘤閉塞システム 図2
  • 特表-動脈瘤閉塞装置、動脈瘤閉塞治療装置、および動脈瘤閉塞システム 図3
  • 特表-動脈瘤閉塞装置、動脈瘤閉塞治療装置、および動脈瘤閉塞システム 図4
  • 特表-動脈瘤閉塞装置、動脈瘤閉塞治療装置、および動脈瘤閉塞システム 図5
  • 特表-動脈瘤閉塞装置、動脈瘤閉塞治療装置、および動脈瘤閉塞システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】動脈瘤閉塞装置、動脈瘤閉塞治療装置、および動脈瘤閉塞システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20230901BHJP
【FI】
A61B17/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513561
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(85)【翻訳文提出日】2023-04-25
(86)【国際出願番号】 CN2021112628
(87)【国際公開番号】W WO2022042346
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】202010899258.5
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516346171
【氏名又は名称】マイクロポート・ニューロテック(シャンハイ)・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グオ,シュアン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,メンチー
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ビン
(72)【発明者】
【氏名】グオ,ユエンイー
(72)【発明者】
【氏名】デン,シューハオ
(72)【発明者】
【氏名】ルー,フイナー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD53
4C160DD63
4C160DD65
(57)【要約】
動脈瘤閉塞装置(10)、動脈瘤閉塞治療装置、および動脈瘤閉塞システムが提供される。動脈瘤閉塞装置(10)は、拡張構造体(11)とガイド構造体(12)とを備える。拡張構造体(11)は3次元メッシュである。拡張構造体(11)は、遠位端(111)から近位端(112)まで螺旋をなす螺旋形状の拡張形態と、血管から動脈瘤(30)へと送達するための圧縮形態とを有する。ガイド構造体(12)は、拡張構造体(11)の遠位端(111)に設けられる。ガイド構造体(12)の近位端(121)は、拡張構造体(11)の遠位端(111)に接続される。ガイド構造体(12)は、遠位端(122)から近位端(121)まで螺旋をなす螺旋形状の拡張形態と、血管から動脈瘤(30)へと送達するための圧縮形態とを有する。動脈瘤閉塞装置(10)は、安定的で柔軟なパッキングを達成する一方で、動脈瘤の破裂を回避し、血管塞栓症を予防し、動脈瘤ネックにおける開口部の被覆率を向上し、動脈瘤内での血栓形成を促進して動脈瘤の塞栓を加速させるという利点を提供する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張構造体とガイド構造体とを備え、
前記拡張構造体は3次元メッシュであり、前記拡張構造体は、遠位端から近位端まで螺旋をなす螺旋形状の拡張形態と、血管から動脈瘤へと送達するための圧縮形態とを有し、
前記ガイド構造体は前記拡張構造体の遠位端に設けられ、前記ガイド構造体の近位端は前記拡張構造体の遠位端に接続され、前記ガイド構造体は、遠位端から近位端まで螺旋をなす螺旋形状の拡張形態と、血管から動脈瘤へと送達するための圧縮形態とを有する、動脈瘤閉塞装置。
【請求項2】
前記ガイド構造体は、線形部材によって遠位端から近位端まで螺旋をなす3次元螺旋体である、請求項1に記載の動脈瘤閉塞装置。
【請求項3】
前記ガイド構造体の螺旋方向は前記拡張構造体の螺旋方向と同じである、請求項1に記載の動脈瘤閉塞装置。
【請求項4】
前記ガイド構造体の螺旋の軸が前記拡張構造体の螺旋の軸と一致する、請求項1に記載の動脈瘤閉塞装置。
【請求項5】
前記ガイド構造体の遠位端には遠位放射線不透性リングが固定され、および/または、前記拡張構造体の近位端には近位放射線不透性リングが固定されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の動脈瘤閉塞装置。
【請求項6】
前記拡張構造体の断面積は、近位端から遠位端にかけて増大した後に減少する、請求項1~4のいずれか一項に記載の動脈瘤閉塞装置。
【請求項7】
前記拡張構造体は、軸方向に順次接続される近位セクションと、中央セクションと、遠位セクションとを備え、
前記近位セクションの断面積は近位端から遠位端にかけて次第に増大し、および/または、前記遠位セクションの断面積は遠位端から近位端にかけて次第に増大する、請求項6に記載の動脈瘤閉塞装置。
【請求項8】
前記拡張構造体の断面積は、近位端から遠位端にかけて増大した後に減少することを繰り返す、請求項1~4のいずれか一項に記載の動脈瘤閉塞装置。
【請求項9】
拡張形態において、前記拡張構造体の最大外径は、前記拡張構造体の最大螺旋巻の外径の1/4以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の動脈瘤閉塞装置。
【請求項10】
拡張形態において、前記拡張構造体の最大外径は、前記拡張構造体の最大螺旋巻の外径の1/3~1/2である、請求項9に記載の動脈瘤閉塞装置。
【請求項11】
前記拡張構造体は、形状記憶素材製の0.0005インチ~0.002インチの直径を有する48本~144本のフィラメントにより編組されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の動脈瘤閉塞装置。
【請求項12】
前記拡張構造体は放射線不透性フィラメントにより編組され、または、前記拡張構造体は放射線不透性フィラメントと非放射線不透性フィラメントとにより編組されている、請求項11に記載の動脈瘤閉塞装置。
【請求項13】
拡張形態にある前記拡張構造体は、1回の螺旋巻または複数の螺旋巻を有し、
複数の螺旋巻を有する場合、遠位端に近接する前記拡張構造体の第1螺旋巻の外径は、前記拡張構造体の残りの螺旋巻の外径よりも小さい、請求項1~4のいずれか一項に記載の動脈瘤閉塞装置。
【請求項14】
複数の螺旋巻を有する場合、前記第1螺旋巻の外径は、前記残りの螺旋巻の外径の2/3以上である、請求項13に記載の動脈瘤閉塞装置。
【請求項15】
複数の螺旋巻を有する場合、前記第1螺旋巻を除いた前記拡張構造体の前記残りの螺旋巻の外径は同じである、請求項14に記載の動脈瘤閉塞装置。
【請求項16】
拡張形態にある前記ガイド構造体は、1回の螺旋巻または複数の螺旋巻を有し、
複数の螺旋巻を有する場合、遠位端に近接する前記ガイド構造体の第1螺旋巻の外径は、前記ガイド構造体の残りの螺旋巻の外径よりも小さい、請求項1~4のいずれか一項に記載の動脈瘤閉塞装置。
【請求項17】
複数の螺旋巻を有する場合、前記第1螺旋巻を除いた前記ガイド構造体の前記残りの螺旋巻の外径は、遠位端に近接する前記拡張構造体の第1螺旋巻の外径を超えない、請求項16に記載の動脈瘤閉塞装置。
【請求項18】
前記ガイド構造体が複数の螺旋巻を有する場合、遠位端に近接する前記ガイド構造体の前記第1螺旋巻の外径は、前記ガイド構造体の前記残りの螺旋巻の外径の2/3以上である、請求項16に記載の動脈瘤閉塞装置。
【請求項19】
前記ガイド構造体が複数の螺旋巻を有する場合、前記第1螺旋巻を除いた前記ガイド構造体の前記残りの螺旋巻の外径が同じである、請求項18に記載の動脈瘤閉塞装置。
【請求項20】
前記ガイド構造体が複数の螺旋巻を有する場合、前記第1螺旋巻を除いた前記ガイド構造体の前記残りの螺旋巻の外径は、遠位端に近接する前記拡張構造体の第1螺旋巻の外径の2/3以上である、請求項19に記載の動脈瘤閉塞装置。
【請求項21】
前記拡張構造体と前記ガイド構造体とが一体的に編組されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の動脈瘤閉塞装置。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載の前記動脈瘤閉塞装置と、
前記拡張構造体の近位端に接続されるプッシュロッドと、
を備える動脈瘤閉塞治療装置。
【請求項23】
前記プッシュロッドは、拡張形態にある前記拡張構造体における螺旋形状の螺旋輪郭の接線方向に沿って延びる、請求項22に記載の動脈瘤閉塞治療装置。
【請求項24】
請求項1~21のいずれか一項に記載の前記動脈瘤閉塞装置と、
カテーテルと、を備え、
前記拡張構造体は、前記カテーテル内に圧縮され、前記カテーテルから放出された後、螺旋形状の拡張形態を復元する、動脈瘤閉塞システム。
【請求項25】
前記カテーテルは、0.017インチ、0.021インチ、または0.027インチの内径を有する、請求項24に記載の動脈瘤閉塞システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具の分野に関し、特に動脈瘤閉塞装置、動脈瘤閉塞治療装置、および動脈瘤閉塞システムに関する。
【背景技術】
【0002】
頭蓋内動脈瘤は、頭蓋内動脈壁内の病理学的膨隆であり、罹患率は5%~10%である。磁気共鳴血管撮影法(MRA)の研究により、35~75歳の年齢の中国の成人の約7.0%が未破裂動脈瘤を有することが示されている。頭蓋内動脈瘤の破裂に起因するくも膜下出血は、脳卒中の約5%を占めているが、一次破裂には20~30%の死亡率が伴い、再破裂には60%に達する死亡率が伴う。動脈瘤治療は、治療法によって動脈瘤を血液循環から完全に分離することに依存している。現在行うことのできる治療法としては、主として開頭クリッピングおよび血管内治療が挙げられる。目下のところ、血管内治療は、脳組織に影響を及ぼすことなく病変に直接アクセスでき、その侵襲性が最小限であるため、主流となっている。現在行うことのできる血管内治療は、基本的には以下のようになる。
【0003】
(1)目下のところ、コイルによる動脈瘤塞栓術は、動脈瘤治療の主要な方法である。これは、局部的な血行力学的要因を変えることによって血栓を促進することで動脈瘤の閉塞および治療を実現できる。しかしながら、動脈瘤は形状およびサイズが多様なため、不完全なコイルパッキングでは動脈瘤の再開通を招く恐れがある一方、過度のパッキングは動脈瘤の術中破裂を引き起こす恐れもある。これは、医師の熟練度および経験に厳しい要件を課すことになる。さらに、コイルパッキングは、複数の手順を必要とすることがあるため、効率性に欠ける。場合によっては、ステント、バルーン、およびマイクロカテーテルの追加使用が必要となることもあり、操作の複雑性の増加を招く。さらに、ワイドネック動脈瘤には、コイルは親動脈内にヘルニアを起こす傾向にあり、血流に影響を及ぼし、さらに、深刻な事態の場合、血管狭窄症を引き起こすこともある。
【0004】
(2)頭蓋内動脈瘤の血管内治療の分野における重要なブレークスルーとして、フローダイバーターは複雑な動脈瘤の治療に新規のアプローチを提供する。このアプローチは、罹患した血管の管腔内再建と、動脈瘤ネック上の新生内膜の成長によるその後の管腔表面の再内皮化を可能にする、高密度のメッシュステントの親動脈への配置を伴う。フローダイバーターの使用は、大型で巨大な動脈瘤に対する長期的な治療的有用性を著しく向上させ、コイルの使用を大幅に削減してきた。加えて、コンピュータ支援血行動態シミュレーション解析によると、30~50%の金属被覆率で動脈瘤内血流を著しく減少させることができ、高い治癒率を実現できる。しかしながら、フローダイバーターの使用は、患者を長期的な二重抗血小板療法に依存させることと、術後の出血性合併症の危険性とを引き起こす恐れがある。さらに、大型の動脈瘤には、治療後の一定期間、破裂の危険性が伴うものもある。
【0005】
(3)現在、ワンパスで塞栓を可能にする新規の装置もあり、一般的に形状記憶素材製で、球状、柱状、またはディスク状に形成される。このような装置は、カテーテルを通して標的部位へと送達されるように設計され、標的部位にてシースから押し出され、その後、自己拡張してその球状に復元し、動脈瘤を閉鎖する。例えば、第1塞栓装置を提供する。該第1塞栓装置は、その両端にアンカーを有する球状または柱状の高密メッシュ装置である。動脈瘤内で装置が完全に拡張した後、その近位の高密メッシュが動脈瘤のネックを覆うことで動脈瘤を治療的に処置する。また、第2塞栓装置を提供する。該第2塞栓装置は、放射線不透性ワイヤと、周囲の自己拡張型形状記憶合金で構成される3次元メッシュ状構造体である。本装置は、コイルのようにカテーテルによって放出および回収でき、血流を妨げることが可能な球状で動脈瘤内にパッキングすることができる。更に、第3塞栓装置を提供する。該第3塞栓装置は、二層のニッケル・チタン合金を編組することにより形成される。更に、第4塞栓装置を提供する。該第4塞栓装置は、二層の形状記憶合金を編組することにより形成され、圧力がかかっていない場合は、ディスク状である。しかしながら、動脈瘤内に放出されると、動脈瘤の壁によって圧力が加えられて、チューリップのような形状を構成し、これによって動脈瘤の下部において安定できるとともに、動脈瘤ネックを覆って血行動態を再構築する効果をもたらす。第1塞栓装置の設計では、近位アンカーが装置を左右対称にし、動脈瘤ネックを一定の方向に覆う必要がある。したがって、第1塞栓装置は、ワイドネック型分岐部脳動脈瘤の治療に主に使用され、正常形態の動脈瘤に特に適している。さらに、第1塞栓装置の設計では、遠位アンカーは、動脈瘤壁に影響を与える恐れがあり、動脈瘤の破裂または出血を引き起こす可能性が高い。また、場合によっては、第1塞栓装置の近位アンカーは、動脈瘤壁によって押されて親動脈にヘルニアを起こす恐れがあり、動脈瘤ネックの内皮化に影響を及ぼす。加えて、第1塞栓装置は、一般的に単一の球状または柱状であり、大きな接触面積にも拘わらず十分な強度はない。このことは、動脈瘤内での装置の長期的な安定性に関して好ましくなく、動脈瘤内での装置のずれを引き起こす傾向にある。第2塞栓装置は、複数のメッシュシートで3次元メッシュ状構造体をなし、球状に類似する。3次元メッシュ状構造体の異なる部分間および構造体自体と動脈瘤壁との間の摩擦力が比較的に大きいため、装置が意図される形状を復元することが困難で、復元が達成されたとしても、装置は十分に長い期間、形状を安定的に維持できない。したがって、装置は、望ましいパッキング品質を提供できない。さらに、本装置は、コイルと併用されなくてはならないため、その操作は複雑である。第3塞栓装置は、第1塞栓装置と同様に作動するため、同様の問題に悩まされる。第4塞栓装置も近位アンカーを有し、同様に動脈瘤壁によって押されて親動脈にヘルニアを起こす傾向にあり、装置を頂端動脈瘤での使用向きとしている。さらに、本装置は動脈瘤内で満足に安定的に留まることができるまで繰り返しの再配置が必要となるため、効率性に欠ける。
【発明の概要】
【0006】
上記の課題を克服するために、本発明は、閉塞による動脈瘤の治療を実現する動脈瘤閉塞装置、動脈瘤閉塞治療装置、および動脈瘤閉塞システムを提供することを目的とする。動脈瘤閉塞装置は、動脈瘤内で予め形成された形状をより容易に復元し、計上をより安定的に維持し、動脈瘤の壁に与える損傷を減らすことができ、動脈瘤の破裂の危険性を低減し、より小さなサイズに圧縮することができ、小さな内径を有するカテーテル内でより幅広い種類の病変への送達、またはより細い血管を介した送達を可能にする。
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、動脈瘤閉塞装置を提供し、動脈瘤閉塞装置は、拡張構造体とガイド構造体とを備え、前記拡張構造体は3次元メッシュであり、前記拡張構造体は、遠位端から近位端まで螺旋をなす螺旋形状の拡張形態と、血管から動脈瘤へと送達するための圧縮形態とを有する。
【0008】
前記ガイド構造体は前記拡張構造体の遠位端に設けられ、前記ガイド構造体の近位端は前記拡張構造体の遠位端に接続され、前記ガイド構造体は、遠位端から近位端まで螺旋をなす螺旋形状の拡張形態と、血管から動脈瘤へと送達するための圧縮形態とを有する。
【0009】
任意選択で、前記ガイド構造体は、拡張形態において、線形部材によって遠位端から近位端まで螺旋をなす3次元螺旋体である。
【0010】
任意選択で、前記ガイド構造体の螺旋方向は前記拡張構造体の螺旋方向と同じである。
【0011】
任意選択で、前記ガイド構造体の螺旋の軸が前記拡張構造体の螺旋の軸と一致する。
【0012】
任意選択で、前記ガイド構造体の遠位端には遠位放射線不透性リングが固定され、および/または、前記拡張構造体の近位端には近位放射線不透性リングが固定されている。
【0013】
任意選択で、前記拡張構造体の断面積は、近位端から遠位端にかけて増大した後に減少する。
【0014】
任意選択で、前記拡張構造体は、軸方向に順次接続される近位セクションと、中央セクションと、遠位セクションとを備え、前記近位セクションの断面積は近位端から遠位端にかけて次第に増大し、および/または、前記遠位セクションの断面積は遠位端から近位端にかけて次第に増大する。
【0015】
任意選択で、前記拡張構造体の断面積は、近位端から遠位端にかけて増大した後に減少することを繰り返す。
【0016】
任意選択で、拡張形態において、前記拡張構造体の最大外径は、前記拡張構造体の最大螺旋巻の外径の1/4以上である。
【0017】
任意選択で、拡張形態において、前記拡張構造体の最大外径は、前記拡張構造体の最大螺旋巻の外径の1/3~1/2である。
【0018】
任意選択で、前記拡張構造体の最大外径は2.0mm~8.0mmであり、前記拡張構造体の最大螺旋巻の外径は3.0mm~25mmである。
【0019】
任意選択で、前記拡張構造体は、形状記憶素材製の0.0005インチ~0.002インチの直径を有する48本~144本のフィラメントにより編組されている。
【0020】
任意選択で、前記拡張構造体は放射線不透性フィラメントにより編組され、または、前記拡張構造体は放射線不透性フィラメントと非放射線不透性フィラメントとにより編組されている。
【0021】
任意選択で、拡張形態にある前記拡張構造体は、1回の螺旋巻または複数の螺旋巻を有し、複数の螺旋巻を有する場合、遠位端に近接する前記拡張構造体の第1螺旋巻の外径は、前記拡張構造体の残りの螺旋巻の外径よりも小さい。
【0022】
任意選択で、拡張形態にある前記拡張構造体が複数の螺旋巻を有する場合、前記第1螺旋巻の外径は、前記残りの螺旋巻の外径の2/3以上である。
【0023】
任意選択で、拡張形態にある前記拡張構造体が複数の螺旋巻を有する場合、前記第1螺旋巻を除いた前記拡張構造体の前記残りの螺旋巻の外径が同じである。
【0024】
任意選択で、拡張形態にある前記ガイド構造体は、1回の螺旋巻または複数の螺旋巻を有し、複数の螺旋巻を有する場合、遠位端に近接する前記ガイド構造体の第1螺旋巻の外径は、前記ガイド構造体の残りの螺旋巻の外径よりも小さい。
【0025】
任意選択で、拡張形態にある前記ガイド構造体が複数の螺旋巻を有する場合、前記第1螺旋巻を除いた前記ガイド構造体の前記残りの螺旋巻の外径は、遠位端に近接する前記拡張構造体の第1螺旋巻の外径を超えない。
【0026】
任意選択で、拡張形態にある前記ガイド構造体が複数の螺旋巻を有する場合、遠位端に近接する前記ガイド構造体の第1螺旋巻の外径は、前記ガイド構造体の前記残りの螺旋巻の外径の2/3以上である。
【0027】
任意選択で、拡張形態にある前記ガイド構造体が複数の螺旋巻を有する場合、前記第1螺旋巻を除いた前記ガイド構造体の前記残りの螺旋巻の外径が同じである。
【0028】
任意選択で、拡張形態にある前記ガイド構造体が複数の螺旋巻を有する場合、前記第1螺旋巻を除いた前記ガイド構造体の前記残りの螺旋巻の外径は、遠位端に近接する前記拡張構造体の第1螺旋巻の外径の2/3以上である。
【0029】
任意選択で、前記拡張構造体と前記ガイド構造体とが一体的に編組されている。
【0030】
上記の目的を達成するために、本発明は動脈瘤閉塞治療装置を提供し、動脈瘤閉塞治療装置は、上述の動脈瘤閉塞装置と、前記拡張構造体の近位端に接続されるプッシュロッドと、を備える。
【0031】
任意選択で、前記プッシュロッドは、拡張形態にある前記拡張構造体における螺旋形状の螺旋輪郭の接線方向に沿って延びる。
【0032】
上記の目的は、本発明は動脈瘤閉塞システムを提供し、動脈瘤閉塞システムは、上述の動脈瘤閉塞装置と、カテーテルと、を備え、前記拡張構造体は、前記カテーテル内に圧縮され、前記カテーテルから放出された後、螺旋形状の拡張形態を復元する。
【0033】
任意選択で、前記カテーテルは、0.017インチ、0.021インチ、または0.027インチの内径を有する。
【0034】
上記の目的を達成するために、本発明は動脈瘤を治療する方法を提供する。動脈瘤は、そのネックで血管と連通している。前記方法は、
(1)上述の動脈瘤閉塞装置を動脈瘤内に配置することと、
(2)ガイド構造体が動脈瘤内で所定形状へと螺旋をなすように、ガイド構造体を動脈瘤内で放出することと、
(3)拡張構造体を動脈瘤内で放出し、ガイド構造体の誘導の下、拡張構造体の外面が動脈瘤のネックにまたがるように、拡張構造体が動脈瘤内で螺旋をなし続けるようにすることと、を含む。
【0035】
任意選択で、前記方法は、
拡張構造体の近位端が、血管にヘルニアを起こすことなく動脈瘤の壁と平行に指向されるように、動脈瘤の壁と外面との間に拡張可能構造の近位端を配置することをさらに含む。
【0036】
上述した動脈瘤閉塞装置では、拡張構造体は3次元メッシュであり、拡張構造体が遠位端から近位端まで螺旋をなす螺旋形状の拡張形態と、血管から動脈瘤へと送達するための圧縮形態とを有する。この設計により、拡張構造体は、動脈瘤の腔内での放出時に受ける摩擦力が少なくなり、これによって、拡張構造体は、動脈瘤内でより容易に所定の形状を復元し維持することができ、より容易に動脈瘤ネックの閉鎖を達成できる。さらに、螺旋形状によって、装置の遠位端は包まれて、動脈瘤の壁に向けて指向されず、装置の近位端は、動脈瘤の壁と平行になるように(接線状態を含む)、3次元メッシュ構造体の外面と動脈瘤壁との間に圧縮されている。その結果、装置の近位端および遠位端はどちらも動脈瘤に衝撃を与えず、動脈瘤の破裂の危険性を回避する。加えて、拡張形態にある拡張構造体の最大螺旋巻の外面は、動脈瘤ネックをより良好に覆い、閉鎖することができ、動脈瘤内の血栓をより容易に誘発でき、拡張構造体の近位アンカーが動脈瘤ネック開口部の中央部周辺に配置される、または親血管にヘルニアを起こすといった問題を回避する。このように、動脈瘤ネックの内皮化が加速され、血管狭窄症の危険性を回避することができる。
【0037】
上述した動脈瘤閉塞装置では、螺旋形状のガイド構造体が拡張構造体の遠位端に設けられるので、拡張構造体を誘導することができる。従って、拡張構造体が動脈瘤内でより安定的且つ容易に所定の形状を復元し、動脈瘤ネックの閉塞をより容易に達成できる。また、ガイド構造体は比較的細く、柔軟なため、抵抗を低減させることによって装置全体の押し出しを容易にすることができる。また、その放出時に拡張構造体から張力を緩和することができ、その結果、動脈瘤壁への衝撃を低減し、さらに動脈瘤の破裂の危険性を低減する。さらに、血管から動脈瘤への送達時に、拡張構造体およびガイド構造体は、共に線形形状に圧縮され、カテーテルの中に収容され得る。これにより、送達のために装置のサイズを小型化することが可能になり、小さな内径を有するカテーテルを介した送達が容易になる。このようにして、装置は、より幅広い種類の病変へ到達するように、またはより細い血管を介して送達することができ、広い範囲の治療用途において使用可能になる。特に、3次元螺旋状構造体は、特定の方向に指向させる必要なく展開することができるので、規則的および不規則的な動脈瘤の両方を治療するために適切に使用することができる。さらに、装置は異なる形状の動脈瘤に適合することができ、より容易に動脈瘤の閉塞を達成することができる。加えて、本発明の動脈瘤閉塞装置は、複数の塞栓装置を使用することなく、ワンパスで塞栓を達成することができる。したがって、装置は、より高い塞栓効率、より簡単な操作、医師の手術経験への依存の軽減、ならびに手術の複雑さおよび手術時間の低減を可能にする。さらに、動脈瘤ネック開口部を拡張構造体の最大螺旋巻の外面で閉鎖するので、最大螺旋巻の外面は、動脈瘤の内径と一致するように設計されている。これによって、大きな接触面積、高い支持強度、および容易にずれることのない動脈瘤閉塞装置による安定した閉塞を可能にする。特に、3次元メッシュの設計により、拡張構造体は動脈瘤壁との接触面積をさらに大きくすることができ、これによって、動脈瘤閉塞装置が動脈瘤内によりしっかりと留まることを可能にし、さらにずれの可能性を低減させ、拡張構造体の近位端が親血管にヘルニアを起こす危険性をさらに低くする。
【0038】
上述した動脈瘤閉塞装置では、ガイド構造体は3次元螺旋体であることが好ましく、ガイド構造体の螺旋方向が拡張構造体の螺旋方向と同じであることがより好ましい。この設計は、拡張構造体が動脈瘤内でより安定的且つ容易に所定の形状を復元し、より容易に動脈瘤ネックの閉塞を達成することを可能にする。さらに、拡張構造体の断面積は、近位端から遠位端にかけて増大した後に減少し、または、拡張構造体の断面積は、近位端から遠位端にかけて増大した後に減少することを繰り返す。この設計は、拡張構造体の構成を紡錘形状(中央で膨張し、両端が先細りする)にすることを容易にでき、装置をより小さなサイズに圧縮することを容易にする。さらに、この設計は、受ける抵抗を少なくし、動脈瘤壁に与える衝撃を低減しながら、装置をより柔軟にし、押し進められることを可能にする。とりわけガイド構造体が設けられていない場合、拡張構造体の遠位端に遠位放射線不透性リングが固定されることが好ましい。これによって、拡張構造体の遠位端の滑らかさを増加させ、動脈瘤壁に生じる損傷をさらに低減させることができる。
【0039】
上述した動脈瘤閉塞装置では、拡張構造体は、0.0005~0.002インチの径を有する48~144本のフィラメントから編組されるメッシュ構造体である。このようにして、密度の高いメッシュ開口部を形成することができ、これらは動脈瘤の塞栓を容易にでき、動脈瘤壁により均一に圧力を加えることを可能にし、動脈瘤の破裂の危険性をさらに低減する。
【0040】
上述した動脈瘤閉塞治療装置では、プッシュロッドが拡張構造体の近位端に接続され、好ましくは拡張形態にある拡張構造体の螺旋形状の螺旋輪郭の接線方向に延びている。この設計により、プッシュロッドを操作して、拡張構造体の最大螺旋巻の外面による動脈瘤ネック開口部の被覆を、より高い手術精度および向上した被覆品質と共に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の好適な実施形態に係る動脈瘤閉塞装置の構造を表す模式図であり、ガイド構造体は、拡張形態にあるときに1.5回の螺旋巻を有する螺旋形状をとり、拡張構造体は、拡張形態にあるときに1回の螺旋巻を有する螺旋形状をとり、ガイド構造体の反対方向に螺旋をなしている。
図2】本発明の好適な実施形態に係る動脈瘤閉塞装置の構造を表す模式図であり、ガイド構造体は、拡張形態にあるときに2回の螺旋巻を有する螺旋形状をとり、拡張構造体は、拡張形態にあるときに1回の螺旋巻を有する螺旋形状をとり、ガイド構造体と同じ方向に螺旋をなしている。
図3】本発明の好適な実施形態に係る動脈瘤閉塞装置の構造を表す模式図であり、ガイド構造体は、拡張形態にあるときに1回の螺旋巻を有する螺旋形状をとり、拡張構造体は、拡張形態にあるときに同様に1回の螺旋巻を有する螺旋形状をとり、ガイド構造体の反対方向に螺旋をなしている。
図4】ガイド構造体が最初に動脈瘤内に放出された、本発明の好適な実施形態に係る動脈瘤閉塞装置を示す。
図5】動脈瘤内に完全に放出された、本発明の好適な実施形態に係る動脈瘤閉塞装置を示す。
図6】動脈瘤ネック開口部を覆っている、本発明の好適な実施形態に係る動脈瘤閉塞装置の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
添付の図面と併せると、本発明の目的、利点、および特徴が以下の詳細な説明からより明確になるだろう。なお、図面は、開示される実施形態の説明を容易および明確にする目的のみのために、必ずしも正確な縮尺で描かれているわけではなく、非常に簡略化された形態で提供されている。また、図面を通して、同じ参照番号は、同じまたは同様の要素を示すために使用されている。
【0043】
本明細書中で使用されるように、「1つ」、「1個」、および「該」という単数形は、文脈において明確な指示がない限り、複数指示対象を含む。本明細書中および特許請求の範囲で使用される、「または」という用語は、文脈において明確な指示がない限り、「および/または」を含む意味で一般的に用いられる。「複数」という用語は、文脈において明確な指示がない限り、「2以上」を含む意味で一般的に用いられる。「いくつかの」という用語は、文脈において明確な指示がない限り、「不確定の数の」を含む意味で一般的に用いられる。文脈において明確な指示がない限り、「近位端」という用語は、一般的に医療機器を操作するオペレーターに近い端部を指し、「遠位端」という用語は、一般的に一番に人体へと入る装置の端部を指す。
【0044】
ここで、本発明の実施形態に係る動脈瘤閉塞装置10を示す図1を参照する。動脈瘤閉塞装置10は、動脈瘤閉塞の治療のために使用される。動脈瘤の例として、頭蓋内動脈瘤が挙げられるが、これに限定されるものではない。具体的には、動脈瘤閉塞装置10は、拡張構造体11と、ガイド構造体12とを備える。拡張構造体11は3次元螺旋形状のメッシュである。実施形態によっては、3次元螺旋メッシュは単一の水平面内で螺旋をなしていない。この設計は、容易にずれることなく動脈瘤内で拡張構造体11をしっかりと支持し、強固に固定することを可能にする。ガイド構造体12は、拡張構造体11の外側に配置されるとともに拡張構造体11の遠位端に位置する。ガイド構造体12の近位端121は、拡張構造体11の遠位端111に接続されている。ガイド構造体12は、3次元または平面螺旋形状のような螺旋形状になっている。
【0045】
本実施形態では、ガイド構造体12は、線形部材によって遠位端から近位端まで螺旋をなす3次元螺旋体であることが好ましい。他の実施形態では、ガイド構造体12は、線形部材によって遠位端から近位端まで螺旋をなす平面螺旋体であってもよい。ガイド構造体12の螺旋方向は、拡張構造体11の螺旋方向と同じでもよく、異なってもよい。好ましくは、ガイド構造体12の螺旋方向は拡張構造体11の螺旋方向と同じである。このようにすれば、良好な誘導を可能にし、送達時にガイド構造体12の遠位端122の螺旋の屈曲を回避し、動脈瘤内での拡張構造体11の形状復元への影響を回避できる。さらに、ガイド構造体12の螺旋の軸は、拡張構造体11の螺旋の軸と一致してもよく、一致しなくてもよい。ガイド構造体12の螺旋の軸は、拡張構造体11の螺旋の軸と一致していることが好ましい。
【0046】
実際の使用では、拡張構造体11は、圧縮形態および拡張形態を有する。拡張形態にあるとき、拡張構造体11は、その遠位端から近位端まで螺旋をなす螺旋形状をとる。拡張構造体11の圧縮形態は、血管から動脈瘤内への送達を容易にすることができる。より詳細には、拡張構造体11は、カテーテル40(外部機構である、図4参照)に収容されると、圧縮形態をとる。この形態では、拡張構造体11は径方向寸法が最小となる線形形状に圧縮されていてもよく、内径の小さいカテーテル40内でのその送達を容易にする。カテーテル40から放出されると、拡張構造体11は、それ自体の弾力によって、3次元螺旋形状を復元する拡張形態に拡張することができる。同様に、ガイド構造体12も、圧縮形態および拡張形態を有する。拡張形態にあるとき、ガイド構造体12は、3次元または平面螺旋形状のような、その遠位端から近位端まで螺旋をなす螺旋形状をとる。ガイド構造体12の圧縮形態は、血管から動脈瘤内への送達を容易にすることができる。より詳細には、ガイド構造体12は、カテーテル40に収容されると圧縮形態をとる。この形態では、ガイド構造体12は線形形状に圧縮されていてもよく、カテーテル40内での送達を容易にする。カテーテル40から放出されると、ガイド構造体12は、それ自体の弾力によって、螺旋形状を復元する拡張形態に拡張することができる。
【0047】
再び図1を参照すると、本発明の実施形態では、動脈瘤閉塞装置10を送達するためのプッシュロッド20を含む動脈瘤閉塞治療装置も提供されている。拡張構造体11の近位端112は、プッシュロッド20に脱着可能に接続されるように構成されている。プッシュロッド20は、主に、動脈瘤閉塞装置10をカテーテル40から押し出して、動脈瘤30内に放出するように機能する。任意選択で、拡張構造体11の近位端112に、プッシュロッド20を脱着可能に接続するための別個の接続手段(図示省略)が設けられていてもよい。プッシュロッド20は、拡張形態にある拡張構造体11における螺旋形状の螺旋輪郭の接線方向に沿って延びることが好ましい。このようにして、拡張構造体11は、その最大螺旋巻の外面が動脈瘤ネック開口部31(図6参照)を覆うように前進され、放出され得る。すなわち、3次元メッシュの外面が動脈瘤のネックにまたがる。これによって、動脈瘤ネック開口部31の被覆率を向上することが可能になり、拡張構造体11の近位端112が動脈瘤ネック開口部31の中心部周辺に配置されること、ひいては親血管にヘルニアを起こす可能性を回避する。このように、動脈瘤ネックの治癒は影響を受けず、血管塞栓症を回避することができる。本発明を限定するものではないが、拡張構造体11の近位端112とプッシュロッド20との切り離しは、従来のように、熱的、電気的、機械的、加水分解的、またはその他の方法で行うことができる。
【0048】
ガイド構造体12は、拡張形態において、拡張構造体11の3次元メッシュの外径よりも大幅に小さい外径を有する細長い構造である(すなわち、細長い部材である)ことが好ましい。このようにして、拡張構造体11に比べて、ガイド構造体12はより細長く、より柔軟である。ガイド構造体12は、主に、それ自体の螺旋形状により拡張構造体11を誘導して、拡張構造体11が動脈瘤内でより容易に3次元螺旋形状を復元することを可能にする機能と、放出時に拡張構造体11から張力を緩和し、それにより動脈瘤の壁への衝撃を低減させる機能と、押し込みに対する抵抗を低減させ、より容易な押し込みを可能にする機能とを果たす。特に、ガイド構造体12は比較的細く、柔軟なため、動脈瘤壁に与える損傷が少ないか、または損傷を与えない。
【0049】
本発明の動脈瘤閉塞装置10の使用を、図4から6を参照して以下に説明する。ただし、以下の説明は、いかなる形でも本発明を限定するものとして解釈されることを意図していない。むしろ、装置の操作方法の好適な実施形態を説明することのみを意図している。
【0050】
まず、動脈瘤閉塞装置10は、送達のためにカテーテル40に収容される。動脈瘤閉塞装置10は、拡張構造体11およびガイド構造体12の両方が好適には線形形状に伸長されている圧縮形態で収容され、結果として、装置の全体の径方向寸法は、内径の小さいカテーテル40に装置を収容することが可能な程度に小さくなる。任意選択で、カテーテル40の内径は、0.017インチ、0.021インチまたは0.027インチであってもよい。その後、図4に示されるように、カテーテル40の遠位端が動脈瘤30の近傍で位置決めされた後、動脈瘤閉塞装置10が放出される。放出工程では、装置10を遠位方向に押すか、またはカテーテル40を装置10に対して近位方向に後退させるようにプッシュロッド20を操作して、動脈瘤30内でガイド構造体12を最初に放出してもよく、続いて動脈瘤内で所定の形状に螺旋をなす。ガイド構造体12は細く柔軟な螺旋構造なので、動脈瘤内で摩擦力を受けにくく、したがって容易に螺旋形状を復元することができる。動脈瘤閉塞装置10がさらに押されると、動脈瘤30内で拡張構造体11の放出が開始される。ガイド構造体12の誘導の下、拡張構造体11は螺旋をなし続ける。この工程で、拡張構造体12の外径は、図5に示されるように、完全な拡張形態に到達するまで次第に大きくなる。このとき、動脈瘤閉塞装置10の最大螺旋巻の外面が動脈瘤ネックをその内側から覆い、装置全体が動脈瘤30内で安定的に螺旋をなし、安定的で柔軟なパッキングを達成する。最終的に、所望のパッキング品質が確認された後、プッシュロッド20は拡張構造体11から電気的に切り離されてよく、カテーテル40およびプッシュロッド20は抜去されてよく、動脈瘤30に対する閉塞工程は終了する。
【0051】
引き続き図5を参照すると、閉塞工程の完了後、動脈瘤閉塞装置10の遠位端(すなわち、ガイド構造体12の遠位端)は拡張構造体11内に包み込まれるので、動脈瘤壁に衝撃を与えない。さらに、拡張構造体11の近位端112は、動脈瘤壁と平行に指向されるように拡張構造体11の最大螺旋巻の外面と動脈瘤壁との間に閉じ込められるため、動脈瘤壁にほとんど衝撃を与えない。加えて、動脈瘤壁に接触する部分は編組された高密度のメッシュである。これによって、動脈瘤壁はより均一に圧力が加えられ、損傷を少なくすることが可能になる。特に、拡張構造体11の3次元螺旋形状は、異なる半径方向位置に配置された複数の螺旋巻から構成され、これらの螺旋巻は動脈瘤内に複数のバリアを提供することができ、これによって、血流をより良好に遮断し、血栓形成を容易にすることができ、したがって、動脈瘤の塞栓を加速させる。追加的に図6を参照すると、動脈瘤ネック開口部31は、拡張構造体11の最大螺旋巻の外面によって覆われて閉鎖される。このように最大螺旋巻の外面と動脈瘤30の内壁との適合で閉塞を実現し、装置の安定性を高めることができる。さらに、装置の近位端が、親血管50(図5参照)へのヘルニア形成は起こりにくく、動脈瘤ネック上の内皮化に影響を与えない。したがって、動脈瘤ネック開口部の治癒を加速でき、良好な塞栓結果を得ることができる。
【0052】
代替的には、ガイド構造体12を設けずに、拡張構造体11のみを設けることで動脈瘤30の閉塞を実現できるようにしてもよい。拡張構造体11の遠位端にガイド構造体12が設けられることが好ましい。これによって、ガイド構造体12の誘導の下で、拡張構造体11がより容易に動脈瘤内で所定の形状を復元でき、より容易に動脈瘤ネックの閉塞を達成できる点において有利である。
【0053】
さらに、ガイド構造体12は放射線不透性であることが好ましい。例えば、ガイド構造体12は全体が放射線不透性材料で作られていてもよい。本発明は、ガイド構造体12の特定の放射線不透性材料に限定されるものではなく、例えば、プラチナ(Pt)、プラチナ・イリジウム(Pt-Ir)合金、金(Au)、プラチナ・タングステン(Pt-W)合金等を適切に使用することができる。代替的には、ガイド構造体12は、ニッケル・チタン合金またはステンレス鋼のような非放射線不透性材料で形成されていてもよい。一実施形態では、ガイド構造体12は、金属芯棒に金属ワイヤを密に巻いて一次コイルとした後、一次コイル(コイルとも言う)を、拡張形態にあるときに螺旋形状をとるガイド構造体12に成形することにより、細長い線形部材を作ることで得られてもよい。他の実施形態では、螺旋形状のガイド構造体12は、金属チューブを切削して可撓性メッシュチューブとし、可撓性メッシュチューブを細長い形状に伸長した後、成形工程を施すことによって得られてもよい。さらに他の実施形態では、螺旋形状のガイド構造体12は、予め形成された編組チューブを伸長して細長い形状とした後、それに成形工程を施すことによって得られてもよい。さらなる実施形態では、製造は、伸長工程なしで細長い線形部材を直接得た後、線形部材を螺旋形状に成形することを含んでもよい。拡張構造体11およびガイド構造体12は、一体的に編組されてもよいことも理解されるであろう。
【0054】
さらに、ガイド構造体12の遠位端122は、滑らかであることが好ましい。例えば、光硬化性の接着剤が遠位端122に塗布された後、そこで硬化されて滑らかなドーム状の先端を形成してもよく、これにより動脈瘤壁に生じる損傷を低減することができる。さらに、ガイド構造体12の遠位端122に、遠位放射線不透性リング123が取り付けられていてもよい。X線透視下における遠位放射線不透性リング123の放射線不透性により、ガイド構造体12の遠位端122の位置を確認することができる。また、ガイド構造体12の遠位端122を、遠位放射線不透性リング123内に閉じ込め、固定することができるので、動脈瘤壁に対する損傷をさらに少なくすることができる。代替的には、ガイド構造体12の遠位端122は、動脈瘤壁に対する損傷を少なくするために、接着剤を使用して固定されてもよい。この場合、遠位放射線不透性リング123が追加的に設けられてもよく、二重の保護をもたらす。
【0055】
拡張構造体11は、螺旋状に巻かれた編組チューブで形成されることが好ましい。好適には、編組チューブは、0.0005~0.002インチの外径を有する48~144本のフィラメントで形成される。このようにして、メッシュ開口部の密度が高い高密メッシュを構成でき、これによって、動脈瘤における血流の遮断および塞栓の促進を効果的に行い、動脈瘤ネックの被覆率をより良好にし、動脈瘤壁への圧力をより均一にすることを可能にするため、動脈瘤の破裂の危険性をさらに軽減する。フィラメントの製造に適した素材としては、形状記憶素材が挙げられてもよく、ニッケル・チタン(Ni-Ti)合金、ニッケル・チタン・コバルト合金(Ni-Ti-Co)、二層複合金属ワイヤ(例えば、Ni-Ti@Pt)等の形状記憶特性を有する金属材であってもよい。フィラメントに適した素材としては、ポリジオキサノン(PDO)、ポリ(L-ラクチド-co-ε-カプロラクトン)(PLC)、ポリウレタン(PU)、アモルファスポリノルボルネンまたはそれらの組み合わせ等の一定の形状復元特性を有するポリマー素材が挙げられてもよい。形状記憶金属材または一定の形状復元特性を有するポリマー素材からフィラメントを作成することは、編組メッシュに形状記憶特性を付与することができ、元の形状の復元を容易にできる。好適には、拡張構造体11は放射線不透性フィラメントから編組される。代替的に、拡張構造体11は、放射線不透性および非放射線不透性フィラメントの両方から編組されてもよい。この設計により、拡張構造体11は、X線透視下でそれ自体が放射線不透性である一方、十分な弾性を呈し、拡張構造体11がその元の形状を復元および維持するための強い能力を持つことを可能にし、その結果、別の放射線不透性部材の使用を省き、拡張構造体11の適合性を増加させる。本発明は、放射線不透性フィラメントの特定の放射線不透性素材に限定されず、例えば、プラチナ(Pt)、プラチナ・イリジウム合金(Pt-Ir)、金(Au)、プラチナ・タングステン(Pt-W)合金等が適切に使用できる。
【0056】
ガイド構造体12は、1回以上の螺旋巻、好ましくは1~6回の螺旋巻、より好ましくは1~3回の螺旋巻を有していてもよい。ガイド構造体12の螺旋形状の過大な外径が拡張構造体11の押出しまたは拡張に悪影響を及ぼす傾向にあることを考慮して、拡張形態にあるガイド構造体12の最大螺旋巻の外径は、拡張構造体11の遠位端に近接する第1螺旋巻の外径を超えないように制限される。例えば、ガイド構造体12が複数の螺旋巻を有する場合、ガイド構造体12の螺旋巻のうち、その遠位端に近接する第1螺旋巻の外径は、ガイド構造体12の残りの螺旋巻の外径より小さいことが好ましい。さらに、第1螺旋巻を除いたガイド構造体12の残りの螺旋巻の外径は、拡張構造体11の遠位端に近接する第1螺旋巻の外径を超えないことが好ましい。さらに、第1螺旋巻を除いたガイド構造体12の残りの螺旋巻の外径は、同じでもよく、異なってもよいが、同じであることが好ましい。追加的に、遠位端に近接するガイド構造体12の第1螺旋巻の外径は、ガイド構造体12の残りの螺旋巻の外径の2/3以上である。このとき、第1螺旋巻を除いたガイド構造体12の残りの螺旋巻の外径は、拡張構造体11の遠位端に近接する第1螺旋巻の外径の2/3以上であることが好ましい。この設計は、拡張構造体11の放出および形状復元時に、拡張構造体11によるパッキングのための空間を提供することができ、ガイド構造体12の螺旋巻が追加の空間を占有することなく、動脈瘤内での拡張構造体11の放出および形状復元に影響を与えることを防止できる点において有利である。ガイド構造体12の第1螺旋巻は、その最も遠位の螺旋巻を指すことが理解されるであろう。最大螺旋巻の外径は、その軸方向投影での最大外径を指すことが理解されるであろう。最大螺旋巻は、最大外径を有する螺旋巻を指す。
【0057】
拡張構造体11の螺旋巻の数は、治療する動脈瘤の実際のサイズに応じて決定されてもよい。螺旋巻が少ない場合、拡張構造体11は、より小さな動脈瘤の治療での使用に適したものとなり、螺旋巻が多い場合、より大きな動脈瘤の治療に使用することができる。本実施形態では、拡張形態にある拡張構造体11は、1回以上の螺旋巻を有していてもよく、任意選択で1~3回の螺旋巻を有していてもよい。螺旋巻の数が3回を超える場合、動脈瘤閉塞装置10の押し出しに対する抵抗が増加し、動脈瘤内での形状復元時の摩擦力がより大きくなり、拡張構造体11が螺旋形状を復元することが困難になる可能性があることを考慮すると、拡張形態にある拡張構造体11の螺旋形状は、3回以下の螺旋巻を有することが好ましく、1~3回の螺旋巻がより好ましい。本実施形態では、拡張形態にある拡張構造体11が複数の螺旋巻を有する場合、拡張構造体11の遠位端に近接する第1螺旋巻の外径は、拡張構造体11の残りの螺旋巻(単数または複数)の外径(単数または複数)より小さいことが好ましい。第1螺旋巻を除いた拡張構造体11の残りの螺旋巻の外径は、同じであることが好ましい。この設計は、抵抗を最小化することにより拡張構造体11の形状復元を容易にすること、および十分な支持を提供することにおいて有利であり、これによって、動脈瘤閉塞装置10をさらに安定させ、パッキング密度がより高いパッキングのための空間を確保することができる。拡張構造体11の遠位端に近接する第1螺旋巻の外径は、拡張構造体11の残りの螺旋巻の外径の2/3以上であることが好ましい。拡張構造体11の第1螺旋巻が、その最も遠位の螺旋巻を指すことは理解されるであろう。
【0058】
さらに、一実施形態では、図1に示されるように、患者の体内に移植される前に、ガイド構造体12は、拡張形態にあるときに1.5回の螺旋巻を有する3次元または平面螺旋形状をとる。さらに、拡張構造体11は、1回の螺旋巻を有する3次元螺旋形状のメッシュ構造体である。この場合、拡張構造体11の近位端112および遠位端111は、螺旋の軸の同じ側方で拡張構造体11の同じ半径位置(すなわち、近位端112と遠位端111とを結ぶ線は拡張構造体11の螺旋の軸と平行である)に配置される。加えて、拡張構造体11の螺旋方向とガイド構造体12の螺旋方向とは反対であり、且つ、ガイド構造体12の遠位端に近接する第1螺旋巻の外径は、その螺旋巻のうちの第2螺旋巻の外径よりわずかに小さいが、第2螺旋巻の外径の2/3以上であることが好ましい。ガイド構造体12の第2螺旋巻の外径は、拡張構造体11の遠位端に近接する第1螺旋巻の外径を超えないが、拡張構造体11の遠位端に近接する第1螺旋巻の外径の2/3以上であることが好ましい。さらに、拡張形態において、拡張構造体11(により画定される内腔)の最大外径D1は、その最大螺旋巻の外径D2の1/4以上、例えば、1/3~1/2であることが好ましい。本実施形態では、3次元または平面螺旋形状のガイド構造体12は、3次元螺旋形状の拡張構造体11を動脈瘤内でその所定の形状へと螺旋をなすように誘導することができる一方で、拡張構造体11の遠位端が動脈瘤壁に与える損傷を低減する。
【0059】
代替的には、他の実施形態では、図2に示されるように、患者の体内に移植される前に、ガイド構造体12は、拡張形態にあるときに2回の螺旋巻を有する3次元螺旋体である。さらに、拡張構造体11は、1回の螺旋巻を有する3次元螺旋形状のメッシュ構造体である。この場合、拡張構造体11の近位端112および遠位端111は、螺旋の軸の同じ側方で拡張構造体11の同じ半径方向位置(すなわち、近位端112と遠位端111とを結ぶ線は拡張構造体11の螺旋の軸と平行であり、水平面上の端部の投影は互いに一致する)に配置されている。加えて、拡張構造体11の螺旋方向とガイド構造体12の螺旋方向とは、同じであり、双方の螺旋の軸は、互いに一致することが好ましい。加えて、ガイド構造体12の遠位端に近接する第1螺旋巻の外径は、その螺旋巻のうちの第2螺旋巻の外径よりわずかに小さいが、第2螺旋巻の外径の2/3以上であることが好ましく、且つ、ガイド構造体12の第2螺旋巻(すなわち、最大螺旋巻)の外径は、拡張構造体11の遠位端に近接する第1螺旋巻の外径を超えないが、拡張構造体11の第1螺旋巻の外径2/3以上であることが好ましい。さらに、拡張形態では、拡張構造体11の最大外径D1は、その最大螺旋巻の外径D2の1/4以上、例えば、1/3~1/2であることが好ましい。本実施形態では、3次元螺旋形状のガイド構造体12は、3次元螺旋形状の拡張構造体11を、動脈瘤内でその所定の形状へと螺旋をなすように誘導することができる。
【0060】
さらに代替的には、さらなる実施形態において、図3に示されるように、患者の体内に移植される前に、ガイド構造体12は、拡張形態にあるときに1回の螺旋巻を有する平面または3次元螺旋形状をとる。さらに、拡張構造体11は、1回の螺旋巻を有する3次元螺旋形状のメッシュ構造体である。この場合、拡張構造体11の螺旋方向とガイド構造体12の螺旋方向とは反対であり、双方の螺旋の軸は互いに一致しない。さらに、拡張形態において、ガイド構造体12の最大螺旋巻の外径は、拡張構造体11の遠位端に近接する第1螺旋巻の外径を超えないが、拡張構造体11の遠位端に近接する第1螺旋巻の外径の2/3以上である。さらに、拡張形態において、拡張構造体11の最大外径D1は、その最大螺旋巻の外径D2の1/4以上、例えば、1/3~1/2であることが好ましい。
【0061】
拡張形態では、拡張構造体11は、複数の螺旋巻、例えば、1.5、2、2.5または3回の螺旋巻を有してもよいことが理解されるであろう。より多くの螺旋巻を有する拡張構造体11は、より完全に動脈瘤をパッキングすることができ、より大きな動脈瘤の治療に使用することができる。
【0062】
上述のように、拡張構造体11の最大外径D1は、拡張構造体11の最大螺旋巻の外径D2の1/4以上であることが好ましく、1/3~1/2であることがより好ましい。これによって、拡張構造体11の最大螺旋巻の外面と動脈瘤壁との間に十分な摩擦力を確保するという点において有利であり、動脈瘤閉塞装置10が容易にずれることを防ぎ、動脈瘤閉塞装置10からの支持を分散して、過大な局所的圧力によって動脈瘤壁が損傷を受けることを回避する。加えて、拡張構造体11の最大螺旋巻の外面が、動脈瘤ネックを可能な限り覆って、動脈瘤における血栓を加速させることを確実にできる。本実施形態では、拡張構造体11の最大螺旋巻の外径は、治療される動脈瘤のサイズに応じて基本的に決定される。例えば、拡張構造体11の最大外径D1は、2.0mm~8.0mmであってもよく、最大螺旋巻の外径D2は、3.0mm~25mmであってもよい。
【0063】
加えて、拡張構造体11の近位端112には、近位放射線不透性リング13が設けられてもよい。X線透視下の近位放射線不透性リング13の放射線不透性を利用して、拡張構造体11の近位端112の位置を確認し、装置全体の全体的な放射線不透性が増加させる。また、拡張構造体11のフィラメントの端部を近位放射線不透性リング13内に隠すことができるため、動脈瘤壁に与える損傷が少なくなる。さらに、別の放射線不透性リング(図示省略)が拡張構造体11の遠位端111に設けられてもよい。拡張構造体11の遠位端111に設けられる放射線不透性リングのX線透視下の放射線不透性を利用して、拡張構造体11の遠位端111の位置を確認し、装置全体の全体的な放射線不透性が増加させる。また、拡張構造体11のフィラメントの端部を遠位放射線不透性リング内に隠すことができるため、動脈瘤壁に与える損傷が少なくなる。任意選択で、近位放射線不透性リング13は、拡張構造体12の近位端112に接着剤で取り付けられてもよい。同様に、他の放射線不透性リングは、拡張構造体12の遠位端111およびガイド構造体12の近位端121の両方に接着剤で取り付けられてもよい。拡張構造体11自体が放射線不透性である場合、近位放射線不透性リング13および他の放射線不透性リングは、設けられてもよいし、設けられなくてもよいことが理解されるであろう。遠位放射線不透性リング123および近位放射線不透性リング13のいずれか、または両方を設けることが可能であることも理解されるであろう。
【0064】
本実施形態では、拡張構造体11の断面積は、近位端112から遠位端111にかけて、増大した後に減少することが好ましい。つまり、拡張構造体11の3次元メッシュの外径は、一定ではない。加えて、拡張構造体11は、遠位端111から近位端112まで、軸方向に沿って順次接続される遠位セクション113、中央セクション114、および近位セクション115を含む。遠位セクション113は、断面積(または外径)が遠位端111から中央セクション114かけて次第に増大することが好ましく、および/または、近位セクション115は、断面積(または外径)が近位端112から中央セクション114かけて次第に増大することが好ましい。別の実施形態では、拡張構造体11の断面積は、近位端112から遠位端111にかけて増大した後に減少することを繰り返してもよい。つまり、広がったり狭まったりすることを繰り返してもよい。この設計は、拡張構造体11の構成を紡錘形状(中央が膨張し、両端が先細りする)にすることを容易にし、より小さなサイズに圧縮することを容易にする。さらに、動脈瘤閉塞装置をより柔軟にでき、より少ない抵抗の中、動脈瘤壁への衝撃を抑えながら、押し進めることができる。加えて、この設計では、遠位セクション113はガイド手段として機能することができ、これによって、拡張構造体11の形状復元を容易にする。拡張構造体11は、遠位セクション113および近位セクション115の両方に、より大きなメッシュ密度を有してもよく、特に遠位セクション113のメッシュ密度が高い場合、動脈瘤閉塞装置10の強度を更に良くし、螺旋形状内でのより良好な支持安定性、およびずれに対するより高い抵抗力を持たせることができる。本発明は、拡張構造体11の中央セクション114の特定のメッシュ密度分布に限定されず、例えば、中央セクション114は、均一または不均一なメッシュ開口密度のどちらを有していてもよい。
【0065】
本発明の実施形態では、動脈瘤閉塞装置10およびカテーテル40を含む動脈瘤閉塞システムも提供されている。拡張構造体11は、カテーテル40内に圧縮され、カテーテル40から放出された後、拡張構造体11が螺旋形状の拡張形態を復元する。
【0066】
最後に、本発明のいくつかの好適な実施形態を上記で説明したが、本発明の範囲は、上記に開示されたこれらの実施形態に決して限定されないことに留意されたい。例えば、本発明は、拡張形態にある拡張構造体の螺旋巻の数、拡張形態にあるガイド構造体の螺旋巻の数、または拡張形態にある拡張構造体の最大螺旋巻の外径に限定されない。
【0067】
このように、本発明の実施形態は、その遠位端および近位端において動脈瘤壁に衝撃を与えない一方で、より容易に動脈瘤のネックを閉塞でき、その結果、動脈瘤の破裂の危険性を回避し、動脈瘤ネックの被覆率を高め、動脈瘤内での血栓形成を容易にする動脈瘤閉塞装置を提供する。加えて、拡張構造体の近位アンカーが動脈瘤ネックの開口部の中央部周辺に配置され、親血管にヘルニアを起こすおそれがあるという問題を回避することができる。このようにして、動脈瘤ネックの内皮化を加速させることができ、血管狭窄症の危険性を回避することができる。
【0068】
上記に提示された説明は、単に本発明のいくつかの好適な実施形態のものであり、いかなる意味においてもその範囲を限定するものではない。上記の教示に基づいて当業者によってなされるあらゆる変更および改良は、添付の特許請求の範囲に定義される範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】