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特表2023-538701トークンに対する併合請求を伴うブロックチェーン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】トークンに対する併合請求を伴うブロックチェーン
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/08 20120101AFI20230901BHJP
【FI】
G06Q40/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517888
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 IB2022054545
(87)【国際公開番号】W WO2022238983
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】63/188,770
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/263,805
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517309766
【氏名又は名称】ゴールドマン サックス アンド カンパニー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポール バーチャード
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB61
(57)【要約】
1つまたは複数のルールを含むスマートコントラクトは、スマートコントラクトよって所有される1つまたは複数のトークンのプールと併せて、ブロックチェーンに定義および格納される。1つまたは複数のトークンのプールに対する複数の矛盾する請求は、受信されて、ブロックチェーンに提供される。トリガー条件が満たされていることを示す表示は、ブロックチェーンから受信される。トリガー条件は、1つまたは複数のルールを用いて判定される。複数の矛盾する請求を解決するための1つまたは複数のトークンの分配を示す情報も受信される。情報は、トリガー条件が満たされていることに応答して1つまたは複数ルールを用いて生成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トークンに併合請求を提供するコンピューター実装方法であって、前記方法は、
1つまたは複数のルールを含むスマートコントラクトを定義するステップと、
前記スマートコントラクトによって所有される1つまたは複数のトークンのプールと併せて、前記スマートコントラクトをブロックチェーンに格納するステップと、
前記1つまたは複数のトークンの前記プールに複数の矛盾する請求を受信するステップと、
前記複数の矛盾する請求を前記ブロックチェーンに提供するステップと、
前記ブロックチェーンから、トリガー条件が満たされているという指示を受信するステップであって、前記トリガー条件が満たされているとは、前記1つまたは複数のルールを用いて判定されたステップと、
前記1つまたは複数のルールのサブセットを用いて生成され、前記複数の矛盾する請求を解決するための前記1つまたは複数のトークンの分配を示す情報を受信するステップであって、前記情報は、前記トリガー条件が満たされることに応答して生成されたステップとを
備える、方法。
【請求項2】
前記複数の矛盾する請求を解決するための前記ルールのサブセットは、請求者の出資金に比例する以外の方法にある、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブロックチェーンは、それぞれのブロックチェーンアドレスに対して記録し、そのブロックチェーンアドレスによってプールされたトークンの総預金に等しい請求を記録する、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記トリガー条件が満たされることに応答して、前記ルールのサブセットは、
第1に、前記1つまたは複数のトークンに等しい額を、前記複数の矛盾する請求の第1の請求の最小値および最大預金保険金額に割り当てて、
第2に、前記1つまたは複数のトークンに比例する額を、前記複数の矛盾する請求の残りの請求に割り当てる、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の矛盾する請求は、前記ブロックチェーンに格納される定期的な利息の支払いを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1つまたは複数のブロックチェーンアドレスは、定期的な利息の支払いを提供するための別のスマートコントラクトから控除された利息の支払いと引き換えに、限られた時間の間トークンを借りる、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
トリガー条件は、1つまたは複数のトークンの前記複数の矛盾する請求が前記1つまたは複数のトークンの実際の値を上回る閾値に達しない場合に満たされる、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記プールにおける前記1つまたは複数のトークンの一部を預金保険スマートコントラクトに定期的に転送するステップであって、前記ルールのサブセットは、前記預金保険スマートコントラクトに転送された前記1つまたは複数のトークンの一部を用いて、プールの合計値と前記複数の矛盾する請求の合計値との間の欠損を少なくとも部分的に軽減することを含む、ステップをさらに備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記トリガー条件が満たされるという指示を受信するステップは、オフチェーン損失イベントが発生したオラクルから指示を受信するステップを含み、前記ルールのサブセットは、前記オフチェーン損失イベントによって影響を受けた1または複数のユーザーに利益になる請求を解決する、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記プールにおける前記1つまたは複数のトークンの一部を再保険スマートコントラクトに定期的に転送するステップと、
前記損失イベントの前記指示を受信するステップに応答して、閾値を超える損失に対する前記再保険スマートコンタクトからの再保険の支払いを受信するステップであって、前記ルールのサブセットは、前記再保険の支払いが考慮された後に、前記複数の矛盾する請求からの未処理の請求が前記プールに比例する額を取得するステップとをさらに備える、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の矛盾する請求は、将来の利息の支払いに対する請求および将来の元本の支払いに対する請求を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記プールは、併合請求を有するさらなるスマートコントラクトをさらに含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の矛盾する請求は、より高い優先度の請求およびより低い優先度の請求の階層を有し、前記ルールのサブセットは、前記階層におけるより高い優先度の請求がより低い優先度の請求よりも全額が支払われることを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記プールは、第2のスマートコントラクトをさらに含み、複数の前記矛盾する請求は、借り手に対する請求と、貸し手に対する請求とを含み、1つまたは複数の前記ルールは、前記借り手が規定の時間内に予定された支払いに失敗するステップに応答して、前記借り手に対する前記請求よりも優先度を有する前記貸し手に対する前記請求を解決するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ブロックチェーンは、複数のノードを含み、それぞれのノードは、前記スマートコントラクトおよび1つまたは複数のトークンのプールに対する前記複数の矛盾する請求に影響を与える取引の定義を受信し、それぞれのノードは、通知された前記スマートコントラクトおよび前記複数の矛盾する請求の独立した記録を維持する、
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ブロックチェーンから、前記トリガー条件が満たされる前に、第2のトリガー条件が満たされるという指示を受信するステップであって、前記第2のトリガー条件が満たされるとは、前記1つまたは複数のルールを用いて判定されたステップと、
前記第2のトリガー条件が満たされたことに応答して、前記複数の矛盾する請求のサブセットを解決するステップとをさらに備え、
前記複数の矛盾する請求を解決するための前記1つまたは複数のトークンの前記分配は、前記複数の矛盾する請求の前記サブセットの解決に依存する、
請求項1に記載の方法。
【請求項17】
プロセッサによって実行された場合に、前記プロセッサに、
1つまたは複数のルールを含むスマートコントラクトを定義することと、
前記スマートコントラクトによって所有される1つまたは複数のトークンのプールと併せて、前記スマートコントラクトをブロックチェーンに格納することと、
前記1つまたは複数のトークンの前記プールに複数の矛盾する請求を受信することと、
前記複数の矛盾する請求を前記ブロックチェーンに提供することと、
前記ブロックチェーンから、トリガー条件が満たされているという指示を受信することであって、前記トリガー条件が満たされているとは、前記1つまたは複数のルールを用いて判定されたことと、
前記1つまたは複数のルールのサブセットを用いて生成され、前記複数の矛盾する請求を解決するための前記1つまたは複数のトークンの分配を示す情報を受信することであって、前記情報は、前記トリガー条件が満たされることに応答して生成されたこととを
含む動作を実行させる命令を格納する非一時的なコンピューター可読記憶媒体。
【請求項18】
トークンに対する併合請求を用いるスマートコントラクトを提供するために適するネットワーク化されたコンピューティングシステムであって、前記ネットワーク化されたコンピューティングシステムは、
トークンに対する併合請求を用いるスマートコントラクトのルールを定義および管理し、
取引を処理して、複数の矛盾する請求をブロックチェーンに記録し、
前記スマートコントラクトによって所有される1つまたは複数のトークンのプールと併せて、前記スマートコントラクトをブロックチェーンに格納し、
前記複数の矛盾する請求のそれぞれの請求についての情報を複数のノードのセットに送信して、
クライアントデバイスに情報を提供して、ユーザーインターフェースを駆動するように構成される管理デバイスを備え、
前記クライアントデバイスは、前記スマートコントラクトと対話するように構成されるコンピューティングデバイスを含み、
前記スマートコントラクトは、トリガー条件が満たされているかを判定するための1つまたは複数のルールを含み、前記管理デバイスは、前記1つまたは複数のルールのサブセットを実行するようにさらに構成され、前記トリガー条件が満たされていることに応答して前記複数の矛盾する請求を解決する、
システム。
【請求項19】
前記複数の矛盾する請求は、請求者の出資金に比例する以外の方法にある前記ルールのサブセットを用いて解決される、
請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記トリガー条件が満たされることに応答して、前記ルールのサブセットは、
第1に、前記1つまたは複数のトークンに等しい額を、前記複数の矛盾する請求の第1の請求の最小値および最大預金保険金額に割り当てて、
第2に、前記1つまたは複数のトークンに比例する額を、前記複数の矛盾する請求の残りの請求に割り当てる、
請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ブロックチェーンの分野に関し、特に、トークンに対する併合請求を提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2021年5月14日に出願された米国仮出願第63/188,770号、および2021年11月9日に出願された米国仮出願第63/263,805号の利益を主張し、これらは、参照によって組み込まれる。
【0003】
分散型台帳(例えば、ブロックチェーン)は、1つの信頼されている仲介者を必要とすることなく、金融取引などの取引に従事するための手段として開発された。このようなシステムにおいて、それぞれの取引は、いくつかのノードによって独立して記録される。ある実装において、1つのエンティティがすべてのノードを制御することはないため、悪意のある当事者がノードによって一度記録された取引を変更することは非常に困難である。1つのエンティティがすべてのノードを制御する実装においても、データが改ざんされた兆候を残すことなく、十分なノードに記録されたデータを変更して、すべてのノードによって示されたコンセンサスを変更することは、いまだに非常に困難である。
【0004】
高いレベルで、暗号通貨は、所有権の譲渡がブロックチェーンに格納されるためのトークンを定義することによって機能する。それ故に、トークンを保持すると主張するある人がトークンの真の所有者であるか否かは、ブロックチェーンに格納されている取引履歴を調査することによって確立されることが可能である。しかしながら、既存の暗号通貨の実装に対して部分的な所有権が可能である一方で、これは、トークンを異なるエンティティによって所有される部分へと分割することによって達成される。つまり、トークン(またはトークンの一部)と所有権との間に1対1対応がある。既存のアプローチのこの技術的な制限は、このような暗号通貨でのレバレッジを伴う多くの強力な金融テクニックを用いることを非実用的にさせる。
【発明の概要】
【0005】
上記および他の問題は、同一のトークンに対して多様で、潜在的に矛盾する請求を可能とするスマートコントラクトを用いて解決することができる。つまり、レバレッジは、トークンに対する請求の合計が実際に利用可能であるトークンを超えることを可能にすることによって、暗号通貨へと導入されることができる。これは、暗号通貨を部分準備銀行、保険、債券、証券化商品、およびマージンローンなどの幅広い金融アプリケーションで用いられることを可能にすることができる。請求された資産が成長する可能性がある限り、矛盾する請求に対して、いかなる損失および潜在的ないくらかの利益なく解決することが可能になる。最も簡単な場合は、請求者の出資金に比例して決済された併合請求で処理されることが可能であるが、比例しない併合請求が用いられる場合に、さらに多くの金融イノベーションが可能である。それ故に、説明されるアプローチは、暗号通貨が以前は不可能であった方法で用いられることを可能にする。
【0006】
本開示の態様は、トークンに併合請求を提供するコンピューター実装方法を備える。この方法は、1つまたは複数のルールを含むスマートコントラクトを定義することと、スマートコントラクトによって所有される1つまたは複数のトークンのプールと併せて、スマートコントラクトをブロックチェーンに格納することと、1つまたは複数のトークンのプールに対する複数の矛盾する請求を受信することと、複数の矛盾する請求をブロックチェーンに提供することと、ブロックチェーンから、トリガー条件が満たされているという指示を受信することであって、トリガー条件が満たされているとは、1つまたは複数のルールを用いて判定されたことと、1つまたは複数のルールのサブセットを用いて生成され、複数の矛盾する請求を解決するための1つまたは複数のトークンの分配を示す情報を受信することであって、情報は、トリガー条件が満たされることに応答して生成されたこととを備える。
【0007】
ある実施形態において、複数の矛盾する請求を解決するためのルールのサブセットは、請求者の出資金に比例する以外の方法にある。
【0008】
ある実施形態において、ブロックチェーンは、それぞれのブロックチェーンアドレスに対して記録し、そのブロックチェーンアドレスによってプールされたトークンの総預金に等しく請求する。
【0009】
ある実施形態において、トリガー条件が満たされていることに応答して、ルールのサブセットは、第1に、1つまたは複数のトークンに等しい額を、複数の矛盾する請求の第1の請求の最小値および最大預金保険金額に割り当てて、第2に、1つまたは複数のトークンに比例する額を、複数の矛盾する請求の残りの請求に割り当てる。
【0010】
ある実施形態において、複数の矛盾する請求は、ブロックチェーンに格納される定期的な利息の支払いを含む。ある実施形態において、1つまたは複数のブロックチェーンアドレスは、定期的な利息の支払いを提供するための別のスマートコントラクトから控除された利息の支払いと引き換えに、限られた時間の間トークンを借りる。
【0011】
ある実施形態において、トリガー条件は、1つまたは複数のトークンの複数の矛盾する請求が1つまたは複数のトークンの実際の値を上回る閾値に達しない場合に満たされる。
【0012】
ある実施形態において、この方法は、プールにおける1つまたは複数のトークンの一部を預金保険スマートコントラクトに定期的に転送することであって、ルールのサブセットは、預金保険スマートコントラクトに転送された1つまたは複数のトークンの一部を用いて、プールの合計値と複数の矛盾する請求の合計値との間の欠損を少なくとも部分的に軽減することを含む、転送することをさらに備える。
【0013】
ある実施形態において、トリガー条件が満たされるという指示を受信することは、オフチェーン損失イベントが発生したオラクルから指示を受信することを含み、ルールのサブセットは、オフチェーン損失イベントによって影響を受けた1または複数のユーザーに利益になる請求を解決する。
【0014】
ある実施形態において、この方法は、プールにおける1つまたは複数のトークンの一部を再保険スマートコントラクトに定期的に転送することと、損失イベントの指示を受信することに応答して、閾値を超える損失に対する再保険スマートコンタクトからの再保険の支払いを受信することであって、ルールのサブセットは、再保険の支払いが考慮された後に、複数の矛盾する請求からの未処理の請求がプールに比例する額を取得することとをさらに備える。
【0015】
ある実施形態において、複数の矛盾する請求は、将来の利息の支払いに対する請求および将来の元本の支払いに対する請求を含む。
【0016】
ある実施形態において、プールは、併合請求を有するさらなるスマートコントラクトをさらに含む。
【0017】
ある実施形態において、複数の矛盾する請求は、より高い優先度の請求およびより低い優先度の請求の階層を有し、ルールのサブセットは、階層におけるより高い優先度の請求がより低い優先度の請求よりも全額が支払われることを含む。
【0018】
ある実施形態において、プールは、第2のスマートコントラクトをさらに含み、複数の矛盾する請求は、借り手に対する請求と、貸し手に対する請求とを含み、1つまたは複数のルールは、借り手が規定の時間内に予定された支払いに失敗することに応答して、借り手に対する請求よりも優先度を有する貸し手に対する請求を解決することを含む。
【0019】
ある実施形態において、ブロックチェーンは、複数のノードを含み、それぞれのノードは、スマートコントラクトおよび1つまたは複数のトークンのプールに対する複数の矛盾する請求に影響を与える取引の定義を受信し、それぞれのノードは、通知されたスマートコントラクトおよび複数の矛盾する請求の独立した記録を維持する。
【0020】
ある実施形態において、この方法は、ブロックチェーンから、トリガー条件が満たされる前に、第2のトリガー条件が満たされるという指示を受信することであって、第2のトリガー条件が満たされるとは、1つまたは複数のルールを用いて判定されたことと、第2のトリガー条件が満たされていることに応答して、複数の矛盾する請求のサブセットを解決することとをさらに備える。ある特定の実施形態において、複数の矛盾する請求を解決するための1つまたは複数のトークンの分配は、複数の矛盾する請求のサブセットの解決に依存する。
【0021】
本開示の態様は、プロセッサによって実行される場合に、プロセッサに、1つまたは複数のルールを含むスマートコントラクトを定義することと、スマートコントラクトによって所有される1つまたは複数のトークンのプールと併せて、スマートコントラクトをブロックチェーンに格納することと、1つまたは複数のトークンのプールに複数の矛盾する請求を受信することと、複数の矛盾する請求をブロックチェーンに提供することと、ブロックチェーンから、トリガー条件が満たされているという指示を受信することであって、トリガー条件が満たされているとは、1つまたは複数のルールを用いて判定されたことと、1つまたは複数のルールのサブセットを用いて生成され、複数の矛盾する請求を解決するための1つまたは複数のトークンの分配を示す情報を受信することであって、情報は、トリガー条件が満たされることに応答して生成されたこととを含む。
【0022】
本開示の態様は、トークンに対する併合請求を用いるスマートコントラクトを提供するために適するネットワーク化されたコンピューティングシステムであって、ネットワーク化されたコンピューティングシステムは、トークンに対する併合請求を用いるスマートコントラクトのルールを定義および管理し、取引を処理して、複数の矛盾する請求をブロックチェーンに記録し、スマートコントラクトによって所有される1つまたは複数のトークンのプールと併せて、スマートコントラクトをブロックチェーンに格納し、複数の矛盾する請求のそれぞれの請求についての情報を複数のノードのセットに送信して、クライアントデバイスに情報を提供して、ユーザーインターフェースを駆動するように構成される管理デバイスを備え、クライアントデバイスは、スマートコントラクトと対話するように構成されるコンピューティングデバイスを含み、スマートコントラクトは、トリガー条件が満たされているかを判定するための1つまたは複数のルールを含み、管理デバイスは、1つまたは複数のルールのサブセットを実行するようにさらに構成され、トリガー条件が満たされていることに応答して複数の矛盾する請求を解決する。
【0023】
ある実施形態において、複数の矛盾する請求は、請求者の出資金に比例する以外の方法の中にあるルールのサブセットを用いて解決される。
【0024】
ある実施形態において、トリガー条件が満たされることに応答して、ルールのサブセットは、第1に、1つまたは複数のトークンに等しい額を、複数の矛盾する請求の第1の請求の最小値および最大預金保険金額に割り当てて、第2に、1つまたは複数のトークンに比例する額を、複数の矛盾する請求の残りの請求に割り当てる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
開示された実施形態は、詳細な説明、添付の特許請求の範囲、および添付の図(または図面)からより容易に明らかとなる利点、および特徴を有する。図の簡単な説明は、以下のとおりである。
【0026】
図1】一実施形態にかかるトークンに対する併合請求を用いるスマートコントラクトを提供するために適するネットワーク化されたコンピューティング環境を示す図である。
図2】一実施形態にかかる図1のネットワーク化されたコンピューティング環境における使用に適する例示的なコンピューターを示すブロック図である。
図3】一実施形態にかかるスマートコントラクトを用いてトークンに対する併合請求を処理するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面および以下の説明は、例示だけの目的で特定の実施形態を説明する。当業者は、以下の説明から、説明された原理から逸脱することなく、構造および方法の代替実施形態を採用し得ることを容易に認識することとなる。類似または同様の機能を示すために、実行可能な限り、類似または同様の参照番号が図において用いられる。ここで、要素が共通の数字に続いて別の文字を共有し、これは要素が類似または同一であることを示す。数字だけへの参照は、文脈がそうでないと示さない限り、一般に、このような要素の任意の1つまたは任意の組み合わせを参照する。
【0028】
(例示的なシステム)
図1は、スマートコントラクトを用いてトークンに対する併合請求を提供するために適するネットワーク化されたコンピューティング環境100の一実施形態を図示する。示される実施形態において、ネットワークコンピューティング環境は、管理デバイス110、クライアントデバイス120、および分散ノード130のセットを含み、すべてがネットワーク170を介して接続される。他の実施形態において、ネットワーク化されたコンピューティング環境100は、異なる要素またはさらなる要素を含む。さらに、機能は、説明した方法とは異なる方法で、要素間に分配されることができる。
【0029】
管理デバイス110は、ユーザー(例えば、金融機関の従業員)がスマートコントラクトのルールを定義して管理し得るコンピューティングデバイスである。1つの管理デバイス110だけが示されるが、実際には、任意の数のユーザーによって用いられる任意の数のこのようなデバイスであってよい。さらに、ある実施形態において、複数の金融機関は、同一の分散ノード130を用いることができ、スマートコントラクトを記録する。代替的に、金融機関は、その独自の分散ノード130のセットを定義または操作することができる。
【0030】
クライアントデバイス120は、ユーザー(例えば、金融機関の顧客)がスマートコントラクトと対話し得るコンピューティングデバイスである。一実施形態において、管理デバイス110は、クライアントデバイス120に情報を提供して、(例えば、ウェブブラウザーを介して表示されるアプリまたはポータルにおいて)ユーザーインターフェースを駆動する。ユーザーインターフェースを用いて、ユーザーは、トークンまたはトークンの一部への請求の作成、転送、または削除につながる取引を開始することができる。「トークン」という用語は、暗号通貨、電子クーポン、別の有形または無形資産の識別子、または仮想約束手形などのようなデジタル通貨の任意の形態を参照することが可能であるが、これらに限定されない。管理デバイス110は、請求についての情報を分散ノード130のセットに送信することによって、取引を処理して請求をブロックチェーンに記録することができる。従来の暗号通貨アプリケーションと対照的に、請求は、1つまたは複数の既存の請求と置き換えることなく、ブロックチェーンに既に記録されている1つまたは複数の既存の請求と矛盾することがある。代替的に、クライアントデバイス120は、請求についての情報を分散ノード130に直接提出することができる。
【0031】
一実施形態において、ブロックチェーンは、トークンに対する併合請求を用いるスマートコントラクトを提供するために適するネットワーク化されたコンピューティング環境のそれぞれのノードで維持される取引記録である。それぞれのブロックチェーンアドレスに対して、そのブロックチェーンアドレスによってプールされたトークンの総預金に等しい請求が記録されることができる。ブロックチェーンは、「ブロック」一つにまとめられた取引のグループ分けを含む。ブロックチェーンへの変更が行われる場合に(例えば、新たな取引および/またはブロックが作成される場合に)、ノードは、変更がどのように分散ノード130のネットワークへと統合されるかについてのコンセンサスを形成する。コンセンサスに応じて、合意された変更は、それぞれの分散ノード130に押し出されることによって、それぞれのノードは、他のノードによって格納されるコピーとマッチングすべくコピーを維持する。合意に達しないあらゆる変更は、無視され得る。したがって、伝統的な集中型台帳とは異なり、1人の当事者が一方的にブロックチェーンを変更することは可能ではない。他の実施形態において、他のタイプの分散型台帳が用いられ得る。
【0032】
スマートコントラクトは、1つまたは複数のトークン(またはトークンの一部)に対する矛盾する請求を処理するための1つまたは複数のルールのセットを含む。さまざまな実施形態において、スマートコントラクトは、さらなる行動を取ることなく、最初に矛盾する請求を記録することとなる。スマートコントラクトのルールは、1つまたは複数の基準が満たされる場合にトリガーする1つまたは複数の矛盾解決ルールを含み、矛盾する請求を解決する。例えば、部分準備銀行の実施形態において、1つまたは複数のトークンに対する矛盾する請求は、1つまたは複数のトークンの実際の値を上回る閾値(例えば、1つまたは複数のトークンの値の3倍、5倍、または10倍など)に到達することを可能とすることができ、その条件が不履行である場合、矛盾する請求のそれぞれは、請求決済ルールに基づいて判定された1つまたは複数のトークンの一部の矛盾しない所有権を割り当てることによって解決される。請求は、1つまたは複数のトークンの実際の値を上回る閾値が不履行である(例えば、それ故にトリガー条件が満たされている)場合に、例えば、「矛盾している」は、非準拠である。
【0033】
ある実施形態において、多様なトリガー条件が用いられることができる。第1のトリガー条件が満たされる場合に、請求の第1のサブセットは、解決され、請求の第2のサブセットは、解決されないままアクティブになる。第2のトリガー条件が満たされる場合に、請求の第2のサブセットは、解決される。例えば、投資トークンプールに対する損失が第1の閾値を上回る場合、下位請求は、支払いなしで控除されて、プールへの上位請求をアクティブのままとすることができる。損失が第2の閾値を通過する場合、より上位の請求は、また支払いなしで控除されることができる。
【0034】
一実施形態において、請求は、請求の最小預金保険金額または最大預金保険金額までのそれぞれの請求に対して、等しい額を割り当てることによって決済されることができ、その後に、残りの請求に比例して決済されることができる。つまり、矛盾する併合請求の総決裁は、個人に対応する出資金に比例しない。矛盾する請求を解決するためのスマートコントラクトのルールのサブセットが、請求者の出資金に「比例しない」方法における場合に、ルールのサブセットは、1つまたは複数のトークンの額を、少なくとも第1の請求の最小預金保険金額および少なくとも第1の請求の最大預金保険金額に割り当てる。その後、1つまたは複数のトークンは、さらなる比例しない額を第2、第3、第4、第nなどの請求に割り当てられることが可能であり、または比例する額の預金保険を任意の残りの請求に割り当てられることが可能である。さまざまな例示的なユースケースは、以下でさらに詳細に説明される。
【0035】
分散ノード130は、トークンに対するスマートコントラクトおよび請求を記録するコンピューティングデバイスである。分散ノード130は、ブロックチェーンまたは他のタイプの分散型台帳を管理して提供することができる。分散ノード130は、また、スマートコントラクトによって設定されたルールを格納して実行することが可能である。それ故に、スマートコントラクトのトリガー条件が満たされる場合に、1つまたは複数の動作は、分散ノード130によって自動的に実行されることができる。さまざまな実施形態において、分散ノード130は、管理デバイス110の外側で動作することが可能である。スマートコントラクトに関連するイベントまたはデータが生成される場合に、関連情報は、ブロックチェーンのブロックに加えられることができる。一実施形態において、ブロックにおける記録は、請求者ID、資産、保険の支払い、および請求者に関連付けられるさらなるデータの要素を含んでよい。矛盾する請求がある場合に、これは、スマートコントラクトに関連付けられるさまざまな当事者(例えば、顧客)に割り当てられるトークン(またはその一部)の額に影響を与えることが可能である。それ故に、ブロックチェーンおよびスマートコントラクトは、請求の合計がトークンのプールの値を上回るトークンのプールに対する矛盾する請求の解決を管理するルールをコード化して自動的に施行することが可能である。
【0036】
図1は、3つの分散ノード130(第1の分散ノード130A、第2の分散ノード130B、および第Nの分散ノード130N)を示すが、実際には、より多くのこのようなノードが存在し得る(および存在することとなる可能性が高い)。さまざまな実施形態において、それぞれの分散ノード130は、トークンへの請求に影響を与えるスマートコントラクトおよび取引の定義を受信して、通知されたスマートコントラクトおよび請求の独立した記録を維持する。
【0037】
分散ノード130が請求を検証するための要求を(例えば、管理デバイス110から)受信する場合に、請求が記録と一致するかを確認または否定する。請求がそれらの記録と一致することに同意する分散ノード130の閾値額により、請求は、考慮され、成功裏に検証される。例えば、ビザンチン障害耐性のアプローチは、十分なノードが請求の妥当性を確認して請求を検証するかを判定することに用いられることができる。同様に、スマートコントラクトのルールにおいて定義されたアクションは、分散ノード130の閾値額がアクションのためのトリガー条件が満たされたことに同意する場合、トリガーされることができる。
【0038】
ネットワーク170は、ネットワーク化されたコンピューティング環境100の他の要素が通信することを介する通信チャネルを提供する。ネットワーク170は、有線および/または無線通信システムの両方を用いて、ローカルエリアおよび/またはワイドエリアネットワークの任意の組み合わせを含んでよい。一実施形態において、ネットワーク170は、標準的な通信技術および/またはプロトコルを用いる。例えば、ネットワーク170は、イーサネット、802.11、マイクロ波を利用した世界標準の通信方式(WiMAX)、3G、4G、5G、符号分割多重アクセス方式(CDMA)、デジタル加入者回線(DSL)などのような技術を用いる通信リンクを含んでよい。ネットワーク170を介して通信するために用いられるネットワークプロトコルの例示は、マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、シンプルメール転送プロトコル(SMTP)、およびファイル転送プロトコル(FTP)を含む。ネットワーク170にわたって交換されるデータは、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)、または拡張マークアップ言語(XML)などの任意の適するフォーマットを用いて表現され得る。ある実施形態において、ネットワーク170の通信リンクのすべてまたは一部は、任意の適する技術または技法を用いて暗号化され得る。
【0039】
(例示的なユースケース)
例示的な銀行業務構成において、スマートコントラクトに、預金者の請求額に対する利息を加えたトークンの額に等しい預金者の請求が記録され得る。スマートコントラクトのルールは、預金者がいつでも引き出しを試みることが可能であることを含み、コントラクトにおけるトークンの合計が預金者の請求の合計の指定された部分準備額を下回らない限り、預金者によるすべての引き出しは、額面価格で遂行される。このルールは、この条件が不履行である場合、預金者は、コントラクトにおける実際のトークンからまず、彼らの請求する最小預金保険金額および最大預金保険金額に等しい金額が払い戻され、その後に、残りの請求への1つまたは複数のトークンに比例する額が払い戻されることをさらに含む。このような例示は、1つまたは複数の請求のためであり得るトークンの比例しない額、および任意の残りの請求に対するトークンの残りの比例する額を含んでよい。利息の支払いの資金を供給すべく、他の借入当事者は、利息の支払いと共に限られた期間、コントラクトからトークンを借りることができる。利息および元本の支払いは、別の「併合請求」スマートコントラクトに指定され(例えば、そこから差し引かれ)得る。選択預金保険は、第1のスマートコントラクトによって所有されるトークンのプールからの保険の保険料の支払いと引き換えに、部分準備条件が不履行である場合に、それぞれの預金者に対する不足をある限度まで支払おうと試みる第3の「併合請求」スマートコントラクトによって実装されることが可能である。
【0040】
例示的な保険構成において、顧客は、定期的な保険の保険料をトークンの合計のプールに対する特定の偶発的な請求をする権利を与えるスマートコントラクトへと支払う。これらの請求は、顧客の出資金、つまり彼らが保険料をいくら支払ったかに比例する必要はない。これらの請求は、ブロックチェーンのオラクルが保険のスマートコントラクトに準拠するオフチェーン損失イベントを確認する場合にアクティベートされる。再保険は、第1のスマートコントラクトからの保険料を得て、所与の閾値を超える損失額の第1のスマートコントラクトを支払う第2の「併合請求」スマートコントラクトによって実装されることが可能である。第1のコントラクトにおいて矛盾する請求を解決するためのルールは、再保険が考慮された後に、未払いの請求がトークンのプールの比例する額を取得することを含む。
【0041】
証券化された商品を提供するための例示的な構成において、投資家は、プールの特定のトランシェ(tranche)に投資するためのトークンを投入して、将来の利息の支払いおよび将来の元本の支払いのシェアに対する請求を記録する。プールされた投資は、また、債券のような併合請求のコントラクトを含んでよい。スマートコントラクトは、プールされた投資から担保された請求をするキャッシュフローウォーターフォールの詳細なルールを有し、どの投資家の請求が満足することとなるかを判定するためのルールを適用する。例えば、上位のトランシェ投資家の請求は、下位のトランシェ投資家の請求の前に最初に満たされることができる。
【0042】
マージンローンを提供する例示的な構成において、スマートコントラクトは、貸し手および借り手の2人の当事者を有する。スマートコントラクトは、2人の当事者間の通貨および第2のスマートコントラクトである2タイプの資産を含む。オラクルは、評価エージェントとして機能し、第2のスマートコントラクトの現在の価値を判定する。貸し手と借り手は、マージンローンのスマートコントラクトの保有にわたる併合請求を有する。マージンローンのスマートコントラクトのルールは、借り手が、イニシャルマージンに同封のスマートコントラクトの現在の価値を加えた額に等しい通貨を預けることを要求する。その預金が指定された時間内に行われない場合、貸し手に有利になるマージンローンのスマートコントラクトの保有のための請求を解決する解決プロトコルが開始される。
【0043】
(コンピューティングシステムのアーキテクチャ)
図2は、一実施形態にかかる管理デバイス110、クライアントデバイス120、または分散ノード130として用いられるために適する例示的なコンピューター200を図示する。例示的なコンピューター200は、チップセット204に結合された少なくとも1つのプロセッサ202を含む。チップセット204は、メモリコントローラーハブ220および入力/出力(I/O)コントローラーハブ222を含む。メモリ206およびグラフィックスアダプター212は、メモリコントローラーハブ220に結合され、ディスプレー218は、グラフィックスアダプター212に結合される。ストレージデバイス208、キーボード210、ポインティングデバイス214、およびネットワークアダプター216は、I/Oコントローラーハブ222に結合される。コンピューター200の他の実施形態は、異なるアーキテクチャを有する。
【0044】
図2に図示される実施形態において、ストレージデバイス208は、ハードドライブ、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、DVD、またはソリッドステートメモリデバイスなどの非一時的なコンピューター可読記憶媒体である。メモリ206は、例えば、本明細書で説明される方法を実行するための命令、およびプロセッサ202によって用いられるデータを保持する。ポインティングデバイス214は、マウス、トラックボール、タッチスクリーン、または他のタイプのポインティングデバイスであり、キーボード210(これは、オンスクリーンキーボードであってよい)と組み合わせて用いられ、コンピューターシステム200へとデータを入力する。グラフィックスアダプター212は、ディスプレー218に画像および他の情報を表示する。ネットワークアダプター216は、コンピューターシステム200を1つまたは複数のコンピューターネットワーク(例えば、ネットワーク170)に結合する。図1のエンティティによって用いられるコンピューターのタイプは、実施形態およびエンティティによって要求される処理能力に応じて異なり得る。さらに、コンピューターは、キーボード210、グラフィックスアダプター212、およびディスプレー218などの上記のコンポーネントのある部分が欠如し得る。
【0045】
(例示的な方法)
図3は、スマートコントラクトを用いてトークンに対する併合請求を処理するための方法300の一実施形態を図示する。図3のステップは、方法300を実行する管理デバイス110の視点から図示される。しかしながら、ステップの一部またはすべては、他のエンティティまたはコンポーネントによって実行され得る。さらに、ある実施形態は、ステップを並行して実行してよく、ステップを異なる順序で実行してもよく、または異なるステップを実行してもよい。
【0046】
示される実施形態において、方法300は、管理デバイス100がスマートコントラクトを定義する310から始まる。スマートコントラクトは、1つまたは複数のルールを含む。ルールは、満たされる場合、ルールのサブセットに実行させるトリガー条件を識別することができる。管理デバイスは、スマートコントラクトによって所有される1つまたは複数のトークンのプールと併せてブロックチェーンにスマートコントラクトを格納して320、複数の矛盾する請求をトークンプールに受信する330。管理デバイス100は、矛盾する請求をブロックチェーンに提供する340。プールにおけるトークンに対する1つまたは複数の矛盾しない請求は、また、ブロックチェーンに提供されてもよい。
【0047】
ブロックチェーンのノードは、スマートコントラクトのトリガー条件が1つまたは複数のルールを用いて満たされているかを判定する。トリガー条件が満たされる場合、管理デバイス110は、トリガー条件が満たされるという指示を受信する350。管理デバイス110は、また、プールにおけるトークンをどのように分配するかを示す情報を受信して360矛盾する請求を解決する。情報は、トリガー条件が満たされていることに応答してルールを用いて判定される。ある実施形態において、管理デバイス110によって受信されるトリガー条件が満たされるという表示は、プールにおけるトークンをどのように分配するかを示す情報である。
【0048】
(さらなる検討事項)
上記のある部分は、アルゴリズムのプロセスまたは動作の観点から実施形態を説明する。これらのアルゴリズムの説明および表現は、コンピューティング技術の当業者によって、その作業の内容を他の当業者に効果的に伝達するために一般的に用いられている。これらの動作は、機能的、計算的、または論理的に説明されている一方で、プロセッサまたは等価電気回路、マイクロコードなどによる実行のための命令を含むコンピュータープログラムによって実装されると理解される。さらに、また、普遍性を失うことなく、時にはこれらの機能操作の配置をモジュールと呼ぶことが便利であることが証明されている。
【0049】
本明細書で用いられるように、「一実施形態」または「ある実施形態」への任意の参照は、その実施形態に関連して説明される具体的な要素、特徴、構造、または特性が少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。本明細書のさまざまな箇所に現れる「一実施形態において」という表現は、必ずしもすべてが同一の実施形態を言及しているとは限らない。同様に、要素または構成要素に先行する「a」または「an」の使用は、単に便宜上行われる。この説明は、そうでないことを意味することが明らかでない限り、要素または構成要素のうちの1つまたは複数が存在することを意味すると理解されたい。
【0050】
値が「約」または「実質的に」(またはそれらの派生物)として説明される場合、文脈から別の意味が明らかでない限り、このような値は、正確な+/-10%と解釈されるべきである。例示から、「約10」は、「9~11の範囲内にある」と意味すると理解されたい。
【0051】
本明細書で用いられるように、「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」の用語、またはそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含を含むことを意図している。例えば、要素のリストを備えるプロセス、方法、条項、もしくは装置は、必ずしもそれらの要素だけに限定されるのではなく、このようなプロセス、方法、条項、もしくは装置に明示的に記載されていない、または内在する他の要素を含み得る。さらに、反対のことが明確に述べられていない限り、「または」は、排他的なまたはではなく、包括的なまたはに言及する。例えば、条件AまたはBは、以下のいずれか1つによって満たされる。Aは真(または存在する)およびBは偽(または存在しない)、Aは偽(または存在しない)およびBは真(または存在する)、ならびに、AおよびBの両方が真(または存在する)。
【0052】
本開示を読むと、当業者は、さまざまな用途のための併合請求を有するスマートコントラクトを提供するためのシステムおよびプロセスに対するさらなる代替構造および機能的設計をさらに理解することとなる。それ故に、具体的な実施形態および用途が例示されて、説明されている一方で、説明された主題は、開示された正確な構造および構成要素に限定されないことに理解されたい。保護の範囲は、最終的に生じ得る任意の請求によってのみ限定されるべきである。
図1
図2
図3
【国際調査報告】