(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-11
(54)【発明の名称】格納式ガードアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60B 33/00 20060101AFI20230904BHJP
【FI】
B60B33/00 503Z
B60B33/00 X
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503438
(86)(22)【出願日】2021-08-16
(85)【翻訳文提出日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 IB2021057530
(87)【国際公開番号】W WO2022043822
(87)【国際公開日】2022-03-03
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム モンテレオン
(72)【発明者】
【氏名】マーク ネスター
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン スポエルストラ
(57)【要約】
本発明は、対応する1つ又は複数のガードトーホールド(214a、214b)を備える1つ又は複数の第1のガード(210a、210b)と1つ又は複数の第2のガード(212a、212b)とを備える、可動式機器(100)のキャスタに結合される格納式ガードアセンブリ(104)を提供する。1つ又は複数の第1のガード及び1つ又は複数の第2のガードが完全に格納された状態にある場合、1つ又は複数のガードトーホールドのうちのいずれか1つを完全に圧縮することにより、1つ又は複数の第1のガード及び1つ又は複数の第2のガードが完全に展開された状態に移行する。1つ又は複数の第1のガード及び1つ又は複数の第2のガードが完全に展開された状態にある場合、1つ又は複数のガードトーホールドのうちのいずれか1つを完全に持ち上げることにより、1つ又は複数の第1のガード及び1つ又は複数の第2のガードが完全に格納された状態に移行する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対応する1つ又は複数のガードトーホールドを備える1つ又は複数の第1のガードと、
1つ又は複数の第2のガードと
を備える、可動式機器のキャスタに結合された格納式ガードアセンブリであって、
前記1つ又は複数の第1のガード及び前記1つ又は複数の第2のガードが完全に格納された状態にある場合、前記1つ又は複数のガードトーホールドのうちのいずれか1つを完全に圧縮することにより、前記1つ又は複数の第1のガード及び前記1つ又は複数の第2のガードが完全に展開された状態に移行し、
完全に展開された状態において、前記1つ又は複数の第1のガード及び前記1つ又は複数の第2のガードのそれぞれが、地面との間に第1のクリアランスを有し、
前記1つ又は複数の第1のガード及び前記1つ又は複数の第2のガードが完全に展開された状態にある場合、前記1つ又は複数のガードトーホールドのうちのいずれか1つを完全に持ち上げることにより、前記1つ又は複数の第1のガード及び前記1つ又は複数の第2のガードが前記完全に格納された状態に移行し、
完全に格納された状態において、前記1つ又は複数の第1のガード及び前記1つ又は複数の第2のガードのそれぞれが、地面との間に第2のクリアランスを有し、
前記第2のクリアランスが前記第1のクリアランスよりも大きい、格納式ガードアセンブリ。
【請求項2】
前記1つ又は複数のガードトーホールドが2つのガードトーホールドを含み、
前記1つ又は複数の第1のガードが、前記2つのガードトーホールドを備える2つの第1のガードを含み、
前記1つ又は複数の第2のガードが、2つの第2のガードを含み、
2対のガードが、前記2対のガードが互いに直接向き合うように前記キャスタのホイールの両側に対称に配置され、
各対のガードが、前記2つの第1のガードのうちの1つと前記2つの第2のガードのうちの1つとを備え、
前記2つの第1のガードが互いに直接向き合い、
前記2つの第2のガードが互いに直接向き合う、請求項1に記載の格納式ガードアセンブリ。
【請求項3】
前記2つの第1のガードのうちの一方を動かすことにより他方が動くように前記2つの第1のガードを一緒に連結するブリッジリンク
を更に備える、請求項2に記載の格納式ガードアセンブリ。
【請求項4】
2つの滑動体であって、前記2つの滑動体の各滑動体が、前記2対のガードの各対のガードに取り外し可能に結合される、2つの滑動体
を更に備える、請求項3に記載の格納式ガードアセンブリ。
【請求項5】
各滑動体が、前記各対のガードの対応する第1のガードのスロット及び前記各対のガードの対応する第2のガードのスロットに挿入される延長部を備え、
前記延長部が、前記延長部が前記対のガードの第1のガードの運動を前記対のガードの第2のガードの運動に変換するように、各対のガード間のインターフェース部分として機能する、請求項4に記載の格納式ガードアセンブリ。
【請求項6】
前記2対のガードが前記完全に展開された状態にある場合、各延長部が、前記各対のガードの対応するスロットの内側端部に位置し、
前記2対のガードが前記完全に格納された状態にある場合、各延長部が、前記各対のガードの前記対応するスロットの外側端部に位置する、請求項5に記載の格納式ガードアセンブリ。
【請求項7】
前記延長部が、各対のガードを完全に格納された状態又は部分的に格納された状態のままに留める、請求項5に記載の格納式ガードアセンブリ。
【請求項8】
各対のガードのスロットが湾曲し、
前記各対のガードの前記対応する第1のガードのスロットの湾曲が、対応する延長部に力をかけて、前記スロットの内側端部から前記スロットの外側端部に前記延長部を移動させる、請求項5に記載の格納式ガードアセンブリ。
【請求項9】
前記完全に展開された状態において、前記1つ又は複数の第1のガード及び前記1つ又は複数の第2のガードが、前記可動式機器が移動している際に物体を押し退けるように構成され、
前記完全に格納された状態において、前記第2のクリアランスが、前記可動式機器が固定物体を越えて移動できるように前記地面から十分な距離を提供する、請求項1に記載の格納式ガードアセンブリ。
【請求項10】
キャスタホイールを備えるキャスタと、
前記キャスタに結合された格納式ガードアセンブリであって、前記格納式ガードアセンブリが、
対応する1つ又は複数のガードトーホールドを備える1つ又は複数の第1のガードと、
1つ又は複数の第2のガードと
を備え、
前記1つ又は複数の第1のガード及び前記1つ又は複数の第2のガードが完全に格納された状態にある場合、前記1つ又は複数のガードトーホールドのうちのいずれか1つを完全に圧縮することにより、前記1つ又は複数の第1のガード及び前記1つ又は複数の第2のガードが完全に展開された状態に移行し、
完全に展開された状態において、前記1つ又は複数の第1のガード及び前記1つ又は複数の第2のガードのそれぞれが、地面との間に第1のクリアランスを有し、
前記1つ又は複数の第1のガード及び前記1つ又は複数の第2のガードが完全に展開された状態にある場合、前記1つ又は複数のガードトーホールドのうちのいずれか1つを完全に持ち上げることにより、前記1つ又は複数の第1のガード及び前記1つ又は複数の第2のガードが前記完全に格納された状態に移行し、
完全に格納された状態において、前記1つ又は複数の第1のガード及び前記1つ又は複数の第2のガードのそれぞれが、地面との間に第2のクリアランスを有し、
前記第2のクリアランスが前記第1のクリアランスよりも大きい、格納式ガードアセンブリと
を備える、可動式機器のキャスタアセンブリ。
【請求項11】
前記1つ又は複数のガードトーホールドが2つのガードトーホールドを含み、
前記1つ又は複数の第1のガードが、前記2つのガードトーホールドを備える2つの第1のガードを含み、
前記1つ又は複数の第2のガードが、2つの第2のガードを含み、
2対のガードが、前記2対のガードが互いに直接向き合うように前記キャスタのホイールの両側に対称に配置され、
各対のガードが、前記2つの第1のガードのうちの1つと前記2つの第2のガードのうちの1つとを備え、
前記2つの第1のガードが互いに直接向き合い、
前記2つの第2のガードが互いに直接向き合い、
前記キャスタアセンブリが、前記2つの第1のガードのうちの一方を動かすことにより他方が動くように前記2つの第1のガードを一緒に連結するブリッジリンクを更に備える、請求項10に記載のキャスタアセンブリ。
【請求項12】
2つの滑動体であって、前記2つの滑動体の各滑動体が、前記2対のガードの各対のガードに取り外し可能に結合され、
各滑動体が、各対のガードの対応する第1のガードのスロット及び各対のガードの対応する第2のガードのスロットに挿入される延長部を備え、
前記延長部が、前記延長部が前記対のガードの第1のガードの運動を前記対のガードの第2のガードの運動に変換するように、各対のガード間のインターフェース部分として機能する、2つの滑動体
を更に備える、請求項11に記載のキャスタアセンブリ。
【請求項13】
前記2対のガードが前記完全に展開された状態にある場合、各延長部が、前記各対のガードの対応するスロットの内側端部に位置し、
前記2対のガードが前記完全に格納された状態にある場合、各延長部が、前記各対のガードの前記対応するスロットの外側端部に位置する、請求項12に記載のキャスタアセンブリ。
【請求項14】
前記延長部が、各対のガードを完全に格納された状態又は部分的に格納された状態のままに留める、請求項12に記載の格納式ガードアセンブリ。
【請求項15】
各対のガードのスロットが湾曲し、
各対のガードの前記第1のガードのスロットの湾曲が、対応する延長部に力をかけて、前記スロットの内側端部から前記スロットの外側端部に前記延長部を移動させる、請求項12に記載の格納式ガードアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、発明者がWilliam Monteleone,Marc Nestor,及びBrandon L.Spoelstraである、2020年8月31日に出願された「RETRACTABLE GUARD ASSEMBLIES」と題する米国仮特許出願第63/072,280号明細書の優先権の利益を主張するものであり、あたかも本明細書に十分且つ完全に記載されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
分野
本開示は、一般に、医療機器又は非医療機器などの可動式機器のキャスタに関連して使用するための格納式ガードアセンブリに関する。
【0003】
関連技術の説明
多くのタイプの機器、特に医療機器は、可動式とすることができて、あちこちに移動させることができるように、回転するキャスタホイールを有する。例えば、このように可動であることにより、医療スタッフは、手術室内、手術室間、フロア間(例えば、エレベータを使用)などであちこちに医療機器を移動させることができる。しかしながら、場合によっては、キャスタホイールに載せられて進む機器(例えば、医療機器)が、電気ケーブル、流体ホース、及び他の同様の物体の上に乗り上げたときに引っ掛かることがある。このことは、機器の操作者にとって煩わしいことであり、機器の機動性を低下させる。更に、このことは、機器を転倒させたり、電気ケーブルを損傷させたり、ホースを挟んで閉塞させたりする可能性があり、また他の同様の問題をもたらす可能性がある。
【0004】
場合によっては、機器がケーブル及びホースの上に乗り上げて上記のような問題を発生させることを防ぐためにケーブル及びホースを押し退ける目的で、特定の既存のケーブルガードがキャスタと共に使用される。しかしながら、既存のケーブルガードは、特定の更なる望ましくない問題を発生させる。例えば、ドアの敷居及びエレベータの敷居などの固定障害物、又はフロアマットなどの非固定であるが動かしにくい障害物を越えて機器を移動させる場合、いくつかの既存のケーブルガードは取り外して収納しなければならない。しかしながら、そのような物体を越えて機器を移動させなければならない場合には毎回ケーブルガードを取り外して収納することを機器の操作者に強いることは、操作者にとって極めて重荷となる。
【0005】
いくつかの他の既存のケーブルガードは固定位置にあるため、固定障害物を越えて機器を移動させようとする場合に取り外すことさえできない。そのため、固定ケーブルガードがそのような障害物に引っ掛かり、機器を転倒させる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、一般に、医療機器又は非医療機器などの可動式機器のキャスタに関連して使用するための格納式ガードアセンブリに関する。
【0007】
本明細書に開示される特定の実施形態は、対応する1つ又は複数のガードトーホールドを備える1つ又は複数の第1のガードと1つ又は複数の第2のガードとを備える、可動式機器のキャスタに結合された格納式ガードアセンブリを提供する。1つ又は複数の第1のガード及び1つ又は複数の第2のガードが完全に格納された状態にある場合、1つ又は複数のガードトーホールドのうちのいずれか1つを完全に圧縮することにより、1つ又は複数の第1のガード及び1つ又は複数の第2のガードが完全に展開された状態に移行する。完全に展開された状態において、1つ又は複数の第1のガード及び1つ又は複数の第2のガードのそれぞれが、地面との間に第1のクリアランスを有する。1つ又は複数の第1のガード及び1つ又は複数の第2のガードが完全に展開された状態にある場合、1つ又は複数のガードトーホールドのうちのいずれか1つを完全に持ち上げることにより、1つ又は複数の第1のガード及び1つ又は複数の第2のガードが完全に格納された状態に移行する。完全に格納された状態において、1つ又は複数の第1のガード及び1つ又は複数の第2のガードのそれぞれが、地面との間に第2のクリアランスを有し、第2のクリアランスが第1のクリアランスよりも大きい。
【0008】
本明細書に開示される特定の実施形態は、キャスタホイールを備えるキャスタと、キャスタに結合された格納式ガードアセンブリとを備える、可動式機器のキャスタアセンブリを提供する。格納式ガードアセンブリは、対応する1つ又は複数のガードトーホールドを備える1つ又は複数の第1のガードと1つ又は複数の第2のガードとを備える。1つ又は複数の第1のガード及び1つ又は複数の第2のガードが完全に格納された状態にある場合、1つ又は複数のガードトーホールドのうちのいずれか1つを完全に圧縮することにより、1つ又は複数の第1のガード及び1つ又は複数の第2のガードが完全に展開された状態に移行する。完全に展開された状態において、1つ又は複数の第1のガード及び1つ又は複数の第2のガードのそれぞれが、地面との間に第1のクリアランスを有する。1つ又は複数の第1のガード及び1つ又は複数の第2のガードが完全に展開された状態にある場合、1つ又は複数のガードトーホールドのうちのいずれか1つを完全に持ち上げることにより、1つ又は複数の第1のガード及び1つ又は複数の第2のガードが完全に格納された状態に移行する。完全に格納された状態において、1つ又は複数の第1のガード及び1つ又は複数の第2のガードのそれぞれが、地面との間に第2のクリアランスを有し、第2のクリアランスが第1のクリアランスよりも大きい。
【0009】
以下の説明及び関連する図面は、1つ又は複数の実施形態の特定の例示的な特徴を詳述する。
【0010】
添付の図面は、1つ又は複数の実施形態の特定の態様を示すものであり、したがって本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の特定の実施形態による、4つのキャスタアセンブリを備える医療機器を示す。
【
図2A-2C】
図2Aは、本開示の特定の実施形態による、展開された状態にある格納式ガードアセンブリを備える
図1のキャスタアセンブリの側面図を示す。
図2Bは、本開示の特定の実施形態による、
図2Aのキャスタアセンブリの斜視図を示す。
図2Cは、本開示の特定の実施形態による、格納された状態にある格納式ガードアセンブリを備える
図2Bのキャスタアセンブリの斜視図を示す。
【
図4A-4B】
図4Aは、本開示の特定の実施形態による、展開された状態にある前方ガード及び後方ガードの内側側面図を示す。
図4Bは、本開示の特定の実施形態による、格納された状態にある
図4Aの前方ガード及び後方ガードの内側側面図を示す。
【
図5】
図5は、本開示の特定の実施形態による、ブリッジリンクを使用して一緒に連結された前方ガード及び後方ガードを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解を促進するために、各図面に共通する同一の要素は、可能な限り同一の参照符号を使用して示している。1つの実施形態の要素及び特徴は、更なる説明を伴わずに他の実施形態に有益に組み込むことができるように企図されている。
【0013】
本開示の特定の実施形態は、可動式機器のキャスタに関連して使用され得る格納式ガードアセンブリを提供する。以下の実施形態は、キャスタ上に取り付けられ、眼科手術コンソールなどの医療機器と関連して使用される格納式ガードアセンブリを説明するが、本明細書で説明される格納式ガードアセンブリは、様々な医療機器及び非医療機器と共に使用され得ることが当業者には理解されよう。このような医療機器の例としては、手術用コンソール及び非手術用コンソール、診断機器、病院用ベッド、病院用カード、ストレッチャ、IVポール(点滴スタンド)、並びに他の可動式医療機器が挙げられる。非医療機器の例としては、キャスタを備えた任意の可動式で電気式及び/又は機械式のデバイス及び付属品が挙げられる。
【0014】
図1は、4つのキャスタアセンブリ102a、102b、102c、及び102d(図示せず)を備える医療機器100を示している。図示のように、各キャスタアセンブリ102は、回転するキャスタホイール(「キャスタホイール」)101とキャスタロックトーホールド106とを有するキャスタ(例えば、
図3に示すキャスタ303)を備える。キャスタロックトーホールド106を押すと、キャスタロックトーホールド106が地面と接触するため、対応するキャスタホイール101の回転を阻止し得る摩擦が生じる。
【0015】
各キャスタアセンブリ102はまた、以下でより詳細に説明するように、格納式ガードアセンブリ104を備える。特定の実施形態では、各格納式ガードアセンブリ104が、製造プロセスにおいて対応するキャスタに取り付けられる。
図2に関連して更に説明するように、各格納式ガードアセンブリ104は、押し下げられると4つのガードを展開するように構成されたケーブルプッシャトーホールド(又はガードトーホールド)を備える。展開されると、ガードは、ケーブル、ホース、及び他の同様の物体などの物体を押し退けるように構成される。展開された状態において、ガードは、医療機器100をあちこちに移動させることができるように、地面との間に特定の量のクリアランスを提供する。しかしながら、クリアランス(例えば、ガードの底部と地面との間の距離)は、ガードがケーブル、ホース、及び他の同様の物体に接触してそれらを押し退けることが依然として可能であるように構成される。トーホールドを持ち上げると、対応するガードが格納され、それにより地面との間のクリアランスが大きくなって、ドアの敷居及びエレベータの敷居などの固定物体(例えば、障害物)、又はフロアマットなどの非固定であるが動かしにくい障害物を越えて医療機器100を容易に移動させることができるようになる。
【0016】
図2Aは、いくつかの実施形態による、展開された状態にある格納式ガードアセンブリ104を備えるキャスタアセンブリ102の側面図を示している。
図2Bは、いくつかの実施形態による、展開された状態にある格納式ガードアセンブリ104を備えるキャスタアセンブリ102の斜視図を示している。
図2Cは、いくつかの実施形態による、格納された状態にある格納式ガードアセンブリ104を備えるキャスタアセンブリ102の斜視図を示している。
図2A~
図2Cに示すキャスタアセンブリ102は、
図1のキャスタアセンブリ102a、102b、102c、又は102dのうちのいずれか1つであり得る。明確にするために、本明細書では
図2A~
図2Cを一緒に説明する。
【0017】
格納式ガードアセンブリ104は、構成要素の中でも、キャスタホイール101とキャスタロックトーホールド106とを備えるキャスタ(
図3にキャスタ303として示す)に取り付けられる。格納式ガードアセンブリ104は、ハウジング208と、前方ガード210と、後方ガード212と、スナップボタン216と、ねじ218と、
図3に詳細に示す他の構成要素とを備える。ハウジング208は、2つのハウジングピース209a及び209bを備える。
図2Aでは、ハウジングピース209aのみが示されているが、
図2B及び
図2Cでは、ハウジングピース209bが部分的に示されている。ハウジングピース209a及び209bは、ねじ218a~218c及び袋ナット(
図3に示す)を使用して一緒に結合される。図示のように、前方ガード210a及び210bは、キャスタホイール101の両側に1つずつ前方ガードが存在するように対称に配置される。前方ガード210a及び210bは、前方ガードのうちの一方(例えば、前方ガード210a)を動かすと他方の前方ガード(例えば、210b)も動くように、ブリッジリンク(
図3及び
図5に示す)を使用して一緒に連結される。各前方ガード210は、ケーブルプッシャトーホールド214(「ガードトーホールド」とも呼ばれる)を備える。例えば、前方ガード210aはケーブルプッシャトーホールド214aを備え、前方ガード210bはケーブルプッシャトーホールド214bを備える。後方ガード212a及び212bもまた、キャスタホイール101の両側に1つずつ後方ガードが存在するように対称に配置される。スナップボタン216が、前方ガード210、後方ガード212、及びハウジングピース209a~209bを一緒に移動可能且つ/又は取り外し可能に結合するために使用される。
【0018】
上記のように、展開された状態において、前方ガード210及び後方ガード212が、地面との間に最小限の量のクリアランスを提供して、医療機器100がケーブルなどの物体を進路から押し出しながらあちこちに移動できるようにする。前方ガード210及び後方ガード212を格納するために、ユーザは、例えば、つま先を使ってケーブルプッシャトーホールド214a~214bのうちの1つを持ち上げることができ、そうすると、前方ガード210及び後方ガード212の4つすべてが格納される。前方ガード210a及び210bは連結されているため、4つのガードのうちのいずれか1つを持ち上げる、すなわち格納することにより、それ以外のガードが格納されることに留意されたい。このように、ケーブルプッシャトーホールド214a~214bのいずれか一方を持ち上げることにより、両方の前方ガード210が持ち上げられ、次いで、後方ガード212が格納される。特定の実施形態では、前方ガード210が格納されることにより、後方ガード212が格納されるが、これは、前方ガード及び後方ガードの各対間(例えば、前方ガード210a及び後方ガード212aが第1の対であり、前方ガード210b及び後方ガード212bが第2の対である)のインターフェース部分として機能する滑動体(
図3及び
図4a~
図4Bに示す)と呼ばれる構成要素に起因する。例えば、ケーブルプッシャトーホールド214aを持ち上げると、前方ガード210aが軸を中心としてスナップボタン216に沿って時計回りに回転する。前方ガード210aのこの時計回り運動により滑動体が動き、次いで、滑動体は、後方ガード212aと接合して、後方ガード212aの反時計回り運動を引き起こし、これにより、後方ガード212aも格納される。
【0019】
本明細書で説明される実施形態では、前方ガード210のみがケーブルプッシャトーホールド214を備えるが、特定の実施形態では、後方ガード212のそれぞれもまたケーブルプッシャトーホールド214を備えてもよいことに留意されたい。特定の他の実施形態では、後方ガード212のみがケーブルプッシャトーホールド214を備える。更に特定の他の実施形態では、前方ガード210a及び後方ガード212aのみ(又は代替的に前方ガード210b及び後方ガード212bのみ)がケーブルプッシャトーホールドを備えてもよい。特定の実施形態では、追加的又は代替的に、後方ガード212がブリッジリンクと連結されてもよい。
【0020】
図3は、特定の実施形態による、
図2A~
図2Cのキャスタアセンブリ102の分解図を示している。図示のように、スナップボタン216aは、ハウジングピース209aの開口部311a、滑動体320aのU字型開口部325a、後方ガード212aの開口部315a、及び前方ガード210aの開口部313aに図示の順に挿入されて嵌め込まれるように構成される。スナップボタン216aがこのような開口部のすべてに嵌め込まれると、スナップボタン216aは、後方ガード212a及び前方ガード210aがスナップボタン216に沿った軸(例えば、すべての開口部を通り、キャスタホイール101の外面に垂直である軸)を中心として、ハウジングピース209aに対して回転し得るように、ハウジングピース209a、滑動体320a、後方ガード212a、及び前方ガード210aを一緒に保持する。スナップボタン216bは、スナップボタン216aと同様に機能する。スナップボタン216bは、ハウジングピース209aの開口部、滑動体320bのU字型開口部325b、後方ガード212bの開口部315b、及び前方ガード210bの開口部313bに図示の順に挿入されて嵌め込まれるように構成される。スナップボタン216bがこのような開口部のすべてに嵌め込まれると、スナップボタン216bは、後方ガード212b及び前方ガード210bがスナップボタン216bに沿った軸を中心として、ハウジングピース209bに対して回転し得るように、ハウジングピース209b、滑動体320b、後方ガード212b、及び前方ガード210bを一緒に保持する。
【0021】
スナップボタン216aを使用して一緒に保持された構成要素及びスナップボタン216bを使用して一緒に保持された構成要素は、ねじ218a~218c及び対応する袋ナット219a~219cを使用してハウジングピース209aをハウジングピース209bにねじ込むことによって一緒に結合され、それによって格納式ガードアセンブリ104を形成するように構成される。上記のように、ブリッジリンク322が、前方ガード210a及び210bを一緒に連結するために使用される。図示のように、ブリッジリンク322は、内側に(例えば、キャスタホイール101に向かって)わずかに圧縮されて、対応する前方ガード210a及び前方ガード210bの開口部327a及び327bにそれぞれ挿入されるように構成された戻り止め323a及び323bを備える。より具体的には、
図3の実施形態では、開口部327a及び327bは、前方ガード210aと前方ガード210bとの間にブリッジリンク322を保持するために、戻り止め323a及び323bの先端を受け入れるように構成される。
【0022】
図3はまた、滑動体320a及び320bを示している。図示のように、滑動体320aは、後方ガード212aのスロット319a及び前方ガード210aのスロット317aを通るように構成された円筒状延長部321aを有する(例えば、滑動体320aは後方ガード212a及び前方ガード210aに取り外し可能に結合される)。上述のように、また
図4A及び
図4Bに関連して説明するように、滑動体320aは、前方ガード210aの回転運動を後方ガード212aに伝達し、それにより後方ガード212aを反対方向に回転させることなどによって、前方ガード210aと後方ガード212aとの間でインターフェース部分として機能する。滑動体320bは、滑動体320aと同様に機能する。
【0023】
図4Aは、前方ガード210、後方ガード212a、滑動体320a、及びハウジングピース209aの内側側面図を示しており、これらはすべて、スナップボタン216aを使用して一緒に保持されている。
図4Aでは、前方ガード210a及び後方ガード212aは完全に展開された状態にある。完全に展開された状態において、滑動体320aの円筒状延長部321aがスロット317a及び319aのそれぞれの内側端部に位置している。スロット317a及び319aの内側端部とは、地面又はスナップボタン216aの中心に近い方の端部を指す。スロット317a及び319aの外側端部とは、地面又はスナップボタン216aの中心から最も遠い端部を指す。図示のように、スロット317aは、ケーブルプッシャトーホールド214が持ち上げられたときに、滑動体320aがスロット317の外側端部だけでなくスロット319aの外側端部に向かって押されるようにサイズ及び形状が定められる。例えば、スロット317は湾曲しており、且つ/又は豆のような形状をしている。スロット317aが湾曲していることにより、前方ガード210aがスナップボタン216aに関して回転すると、延長部321aに力(例えば、上向きの力又はスナップボタン216aから離れるように延長部321aを押す力)がかかる。延長部321aはスロット317a及び319a内でしか移動できないため、前方ガード210aが延長部321にかける上方向の力などの力があれば、延長部321aはスロット317a及び319aの内側端部からその外側端部に移動する。
【0024】
図4Bは、延長部321aがスロット317a及び319aの外側端部に位置していることを示しており、このことは、
図4Aにおいて延長部321aが位置していた場所に対して、この延長部321aひいては滑動体320aがスナップボタン216aから離れるように移動したことを意味している。
図4Bでは、図示のように、前方ガード210a及び後方ガード212aは完全に格納された状態にある。
【0025】
特定の実施形態では、前方ガード210a~210bの内側延長部(内側延長部330)の軸開口部に溝又は戻り止め(例えば、戻り止め331a~331b)が設けられる。このような戻り止めは、対応するスナップボタン216のアームにあるバンプ又は突起と接触するように構成される。このような実施形態では、ユーザは、ケーブルプッシャトーホールド214を使用して、前方ガード210及び後方ガード212を完全に格納された位置又は完全に展開された位置のいずれかに完全に嵌め込むことができる。例えば、ユーザがケーブルプッシャトーホールド214を完全に押し上げると、対応するスナップボタン216のアームにあるバンプが前方ガード210a~210bの内側延長部に設けられた戻り止めに嵌め込まれ、したがって前方ガード210及び後方ガード212を完全に格納された状態に保持する。同様に、ユーザがケーブルプッシャトーホールド214を完全に押し下げると、対応するスナップボタン216のアームにあるバンプが前方ガード210a~210bの内側延長部に設けられた戻り止めに嵌め込まれ、したがって前方ガード210及び後方ガード212を完全に展開された状態に保持する。
【0026】
特定の実施形態では、前方ガード210及び後方ガード212を完全に展開された状態又は完全に格納された状態に保持するために戻り止めを使用する代わりに、滑動体320の重量及び/又は材料が、前方ガード210及び後方ガード212が、ユーザがそれらを配置するいかなる位置にも確実に保持されるように選択される。例えば、延長部321aは、前方ガード210a及び後方ガード212aを、ユーザがケーブルプッシャトーホールド214aを圧縮するまで、完全に格納された状態のままに留めることができる。同様に、特定の実施形態では、延長部321aは、前方ガード210a及び後方ガード212aを任意の格納された状態(完全に格納又は部分的に格納)のままに留める。特定の実施形態では、完全に展開された状態以外のあらゆる状態が、格納された状態又は部分的に格納された状態とみなされ得ることに留意されたい。このような状態はまた、部分的に展開された状態ともみなされ得る。特定の実施形態では、上述のように、滑動体320の重量及び/又は材料は、ユーザによって力が加えられることなしには前方ガード210a及び後方ガード212aを部分的に展開された位置又は完全に展開された位置に移行させるのに足る重力を生じないように選択される。より具体的には、特定の実施形態では、滑動体320aの重量は、前方ガード210a及び後方ガード212a(例えば、スロット317及びスロット319aのそれぞれの縁部)がかける反対の力には打ち勝つことはない。ケーブルプッシャ214aを再び地面に向けて完全に圧縮することにより、
図4Aに示すように、前方ガード210a及び後方ガード212aは展開された状態に移行する。
【0027】
特定の実施形態では、スロット317a又はスロット319aのそれぞれの長さが、各ガード(すなわち、前方ガード210a又は後方ガード212a)が完全に展開された状態から完全に格納された状態に、又は完全に格納された状態から完全に展開された状態になることによって経る回転変位量に対応することに留意されたい。スロット317及びスロット319aの長さ沿いのどこに延長部321aが位置していても、特定の実施形態では、スロット317及びスロット319aの長さは、前方ガード210a及び後方ガード212aの対応する状態を維持するのに役立つように構成される。したがって、ユーザは、前方ガード210a及び後方ガード212aが提供するクリアランスを、ある範囲に沿って、この範囲の一端である完全に展開された状態(例えば、最小限のクリアランス)からこの範囲の他方の端部である完全に格納された状態(例えば、最大限のクリアランス)まで任意の場所に調節し得る。
【0028】
図5は、ブリッジリンク322を使用して一緒に連結された前方ガード210a及び前方ガード210bを示している。図示のように、前方ガード210aの開口部313aは、後方ガード212a(
図3に示す)の開口部315に挿入されるように構成された円形の延長部又はリム332(「外側延長部」ともいう)を備える。また、内側延長部も開口部313aの反対側に存在する。内側延長部330の例は前方ガード210b側に示されている。特定の実施形態では、この内側延長部がキャスタホイール101の外面に設けられた円形の開口部に挿入されるように構成される。上述のように、
図5はまた、前方ガード210a~210bの内側延長部330の軸開口部に設けられた戻り止め331a~331bを示している。
【0029】
したがって、本明細書で説明された特定の実施形態は、機器のキャスタホイールと共に使用され得る格納式ガードアセンブリを提供する。格納式ガードアセンブリは、機器をあちこちに移動させる際にケーブル及びホースなどの物体を押し退けるように展開され得る。格納式ガードアセンブリはまた、ドアの敷居及びエレベータの敷居などの固定障害物、又はフロアマットなどの非固定であるが動かしにくい障害物を越えて機器を移動させる場合、格納され得る。
【0030】
前述の説明は、当業者が本明細書に記載の様々な実施形態を実践できるようにするために提供されている。これらの実施形態に対する様々な修正形態は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義する一般的な原理は、他の実施形態に適用され得る。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示す実施形態に限定されることが意図されるものではなく、特許請求の範囲の文言に一致する全範囲が認められるべきである。
【国際調査報告】